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参考人(
朝田静夫君) ただいま
運輸大臣から御報告がございましたように、まことに申しわけのない
クアラルンプールの事故を起こしまして多数の
人命を失う結果になり、亡くなられました方の御冥福を心からお祈りいたしますとともに、生存者で負傷されております方々の一日も早く回復されることをお祈りいたしておるような次第でございます。
事故の概要はただいま御報告のとおりでございまして、私
ども常々
安全運航、安全整備、安全性の確保というものを絶対命題として経営に当たってまいりましたが、しかしながら不幸にしてこのような事故が再び起こりまして、まことに申しわけないことと存じております。深くおわびを申し上げます。
その後、事故
対策を、私
どもは連続事故の当時に総合安全推進本部というものを設置いたしまして、私みずから
本部長の任に当たりました。八十三
項目の
安全対策を設定をいたしまして今日まで
努力をしてまいったのでありますが、ちょうど昨年十二月に、この
安全対策をやっておればこれで十分だと、安全にはこれで足りるという
考え方というものはございませんから、これでもって能事足れりとしてはいけませんので、ひとつ見直しを行うと。事情の変化に応じて間尺に合わなくなったようなものがあるかどうか、あるいは硬直化した
安全対策であってはならないというので、四月あるいは七月にその見直しとその報告を受けておったやさきでございます。
そこで、今回の事故はマレーシア
政府当局が
調査に当たっていただいておるわけでありますが、客観的に科学的に合理的に厳正に
調査を進められることを期待いたしておりますが、そういう事故の真相究明というものと、これは
調査の結果を待たなければなりませんけれ
ども、そして予断をもってこの問題を推論をすることは避けなければならない問題ではございますけれ
ども、
考えられる可能性を十分私
ども頭に入れまして、とりあえず即刻八十三
項目の
安全対策につけ加えて、事故後とりました
安全対策の補完について御報告をいたしたいと思うのでございます。
そこでまず第一に、何といいましても、
安全運航のためには、定められました規定、手順というものを厳守するということ。そして相互モニターの実施が最も重要な
基本でございますので、その徹底を図ることを最重点
項目といたしております。
それから第二番目は、離着陸
安全対策委員会の設立でございまして、少し
名前が新聞に出ておりましたものも、
名前が少し奇異にお感じになるかと思いますが、イレブンミニッツという
委員会ということで出ておりましたが、このことは、
航空事故は統計的に見ますと、離陸時の三分間、進入、着陸までの八分間という十一分の間に集中いたしておりますので、この十一分間を、私
どもも絶えず今日まで研究開発を続けてまいりました人間工学的な研究や、あるいは自衛隊のケース等を参考にするなど、いろいろな角度からこれを解析して、人間に起因する誤操作、ヒューマンファクターというものを、誤操作、あるいは判断ミス、そういったものの入り込む余地のないように手順の確立と
乗員相互間の連係動作の完璧を期することにいたしております。具体的にたとえば
チェックリストをより正確に読む、あるいは
乗員相互間の連係作業を洗い直してその成果を日常運航に反映せしめる。
なお、そういうようなことがこの
委員会で決められたことは即刻ラインに移しまして実施の確保を期しておるようなわけでございます。
それと、第三番目は、経験豊かな老練な先任の機長によりますところの日常運航による特別
指導でございます。できるだけ速やかに主席以上の機長が同乗をいたしまして若い後輩の
指導に当たるということであります。
第四番目には、機長養成に当たりまして、それを教育
指導をいたしますキャプテン、そういった者の
指導要領を充実
強化する、
基本的な
考え方についてのより充実した
指導要領をもとに機長養成訓練の
強化充実を図るということにいたしたわけでございます。
第五番目は、特定
空港についての再点検でございますが、精密でない進入方式で着陸する滑走路を持っておったり、あるいは特殊な地形あるいは特殊な気象条件が存在する
空港や、
空港施設が不十分な
空港——名前は申し上げませんが、そういうところの
空港におきます最新の
情報を入手いたしまして、
乗員並びに地上運航当事者への徹底、必要に応じて運航方式の見直しを行いたいと
考えておるようなわけでございます。
第六番目には、地上運航従事者と運航乗務員間の運航
情報伝達の円滑化でございます。カンパニーラジオというものを持っておりますが、これと、この地上運航従事者と、
飛行機との間に運航
情報の伝達が円滑に行われるような装置を地上に装着をするということでございます。
一番
最後の七番目の
項目といたしましては、飛行記録の装置
——普通フライトレコーダーと呼んでおりますが、飛行記録の装置を抜き取り
検査をいたしまして、その飛行の経路、あるいは進入時、アプローチにかかったところのいわゆるフライトの実態を把握いたしまして、それを
指導の材料にいたしまして、これの
指導監督に役立てたいと、こういうことでございます。
以上、とりあえず八十三
項目安全対策につけ加えまして、今回の事故に直接原因があったと
考えられなくても、
考えられ得る可能性も十分考慮に入れまして、とった
措置でございます。
以上でございます。