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土屋義彦君 第二班の
報告を行います。
去る九月五日から八日までの四日間にわたり、赤桐理事、
中村委員、
桑名委員、上田委員と私、
土屋の五名は、鳥取、島根両県における
建設事業の実情を
調査してまいりました。
以下、その主な
調査事項について概略御
報告申し上げます。
まず初めは、鳥取市の
都市計画事業の一環として進められております国鉄鳥取駅鉄道高架
事業についてであります。
鳥取
市街地内を走っている国鉄山陰本線及び因美線は、現在
道路と平面交差となっているため、
道路交通の混雑の原因や鉄道をはさむ
南北市街地の分断など
機能的な
都市を形成する上での阻害要件となっております。そのため鳥取県におきましては、
昭和四十四
年度から五十四
年度にわたり総
事業費約百六十六億円をかけまして山陰本線の
延長四・一キロメートル、因美線一・五キロメートルの五・六キロメートルを高架化し、駅部については貨物設備及び車両設備を湖山駅付近に移転させるとともに、現鳥取駅を南側に約五十三メートル移動させて旅客専用駅とする
事業を進めております。
昭和五十二
年度末の進捗見込みは八二多であり、明年十月には高架への切りかえを予定しているとのことであり、
事業の円滑な推進が一層望まれるところであります。
また、この鉄道高架
事業と並行し、鳥取駅前の密集
市街地を県都の表玄関にふさわしい近代的な
市街地として
開発するため、
昭和四十三
年度から総
事業費九十六億円をもって鳥取駅前
土地区画整理事業もあわせて行っております。
市街地面積五・七ヘクタール、うち対象戸数二百八十七戸、並びに国鉄
用地六・四ヘクタールの十二・一ヘクタールが施行
区域となっており、今
年度末までの進捗見込みは七八%、
事業費にして七十五億円となっており、先ほどの鉄道高架
事業と調和のとれた
事業の推進が図られるとともに、両
計画の
実現により鳥取市の近代的
都市の形成が
計画どおり進展されることが期待されます。
次は、米子市の
都市計画事業についてであります。
山陰随一の商都であり、中海新産業
都市の中核
都市でもある米子市をその表玄関にふさわしい近代的
市街地にするために、国鉄米子駅前の密集
市街地を
昭和四十三
年度より総
事業費百九億円をもって
土地区画整理事業として再
開発する
事業が進められております。その施行
区域は二十・五ヘクタールであり、対象戸数は七百二十六戸にも及んでいます。
昭和五十二
年度末の進捗見込みは五七%であります。残
事業についても円滑な推進とともに、
下水道施設を初めとした
都市施設の
整備もあわせて推進されることが期待されます。
次に、松江市の
都市計画事業についてであります。
水と緑に包まれた美しい自然環境と、数々の歴史的遺産やすぐれた伝統的文化にはぐくまれました松江市は、松江国際文化観光
都市建設法(
昭和二十六年法律第七号)により国際文化観光
都市の指定を受け、さらに
昭和四十一年十一月には中海
地区新産業
都市の指定を受け、その中枢管理
都市として主導的
役割りを果たすべく、大きな
課題を抱えながら種々の
都市計画事業を推進しているところであります。
まず、鉄道高架
事業についてであります。
道路と鉄道との立体交差化による
道路交通及び列車運行の安全、
円滑化や
南北市街地の一体的
発展と沿線の
開発促進等のため、島根県主体により
昭和四十五
年度から総
事業費八十五億円をかけまして高架
事業が進められております。これは山陰本線の松江駅を含む約三・五キロメートルの区間を高架化するとともに、松江駅の貨物設備を東松江駅へ移転
整備し、あわせて東松江駅−松江駅間を複線化するものであります。今年の三月には単線高架で営業運転を開始しており、
昭和五十三年九月の概成予定に向けて残
工事の円滑な推進が望まれるところであります。
次に、上乃木菅田線(第三大橋を含む)
道路改良
事業についてであります。
松江市は大橋川により南北に分断されておりますが、現在この大橋川を渡る橋梁は三橋しかないため
市街地内の
交通渋滞は著しいものがあります。そこで、この
交通の混雑を緩和し
都市の
発展を図るため、
昭和四十三
年度から総
事業費八十三億円をかけ、第三大橋を含む上乃木菅田線の
整備を図っているところであります。この第三大橋は
事業費二十八億円、
両側の取りつけ
道路を含む総
延長は五百八十四メートル、幅員は二十三メートル、
昭和六十五年の推定
交通量は一日二万四千三百台余を予定しております。現在、下部工の施行に入っているところであり、残
工事の速やかな推進により
計画的な
都市の
発展が図られることが望まれております。
次いで宍道湖
東部流域
下水道事業であります。
宍道湖、大橋川及び中海は魚類の豊富なことで有名でございますが、近年水質汚濁が急激に進み、生活環境が著しく阻害されるに至っております。そこで、宍道湖及び中海の水質環境基準を達成するため、広域的に
下水道を
整備する必要があるため、島根県におきまして、松江市を
中心とした
東部処理区と、出雲を
中心とした西部処理区からなる宍道湖流域別
下水道整備総合
計画が樹立されております。これに華づきまして
昭和四十九年十一月、松江市、安来市、玉湯町及び東出雲町の二市二町にわたる宍道湖
東部流域
下水道が
都市計画決定され、直ちに
事業に着手し、
昭和五十四年四月には一部供用開始の予定であります。このうち松江市竹矢町に
建設を予定しておりまする宍道湖
東部浄化センターは、敷地
面積十八・八ヘクタール、
昭和六十五年時の全体
計画は一日最大
計画汚水量は二十三万トンであります。現在第一期
計画として全体
計画の三分の一の
整備を推進しているとのことであります。
計画の適切な推進により水質保全を図るとともに、快適な生活環境づくりに寄与されることが望まれます。
次に、松江総合運動公園
事業であります。
スポーツ
施設の将来需要にこたえるため、上乃木町の山林三十五・三ヘクタールの
区域を松江総合運動公園として
昭和四十六年十二月に
都市計画決定されたものであります。園内には陸上競技場、野球場を初めとしてテニスコート、サッカー場、各種の広場、野外劇場、花園等の諸
施設が敷地の自然的景観をなるべく損なわないように配置されており、
昭和五十七年の国体の主会場にも内定しているとのことであります。公園
完成時には
市民のレクリエーションと体育向上の場として貢献することになると思われます。
次に、東郷池の水質汚濁についてであります。
東郷池は、鳥取県のほぼ中央部に位置し、
面積は四・一平方キロメートルあり、その周囲は十キロメートルの広さを持つ平均水深二メートル程度の浅い汽水湖であります。周辺に東郷、浅津両温泉があるため観光、漁業等に広く利用されております。このため両温泉及び近傍の人家等の排水により、その酸化物が汚濁の進行を速め、環境基準A類型の指定にもかかわらず現在はC類型となっております。そのため水質浄化の
対策といたしまして、
昭和四十八
年度より総
事業費六億円をもって、
河川環境整備事業によりこの底泥を除去し、早急に環境基準の達成を図る
事業を推進しております。
昭和四十八
年度の
調査開始以来、底泥の処理方法、土質
調査等を検討し、
昭和五十一
年度より本格的にしゅんせつに着手しているところであります。
計画ではしゅんせつ
面積百一万一千平方メートル、残土処分は十三万二千二百トンにも上るものであり、現在この残土処分については近傍の田畑に環元しているわけでありますが、これにも量的に限界があると思われるので、早急に他の方法の確立が望まれるところであります。
また、この底泥の除去とともに、水質浄化の
対策といたしまして流域
下水道事業もあわせて進められております。この天神川流域
下水道計画は、倉吉市、羽合町、東郷町、三朝町、関金町及び北条町の一市五町の
関連都市を有するもので、処理
区域面積約二千二百八十三ヘクタール、処理
区域人口は約七万三百人に達し、
幹線管渠延長約二十八・三キロメートル、一日の最大処理能力は十六万トンになるものであります。さきの東郷池の底泥の除去及び天神川流域
下水道事業により、東郷池の環境基準の達成が早急に図られることが期待されるところであります。
さらに、この一帯に広域公園として臨海公園を
建設する
事業も総
事業費約八十億円をもって
昭和四十七
年度から進められております。
昭和五十一
年度までに
事業認可
面積約五十二・四ヘクタールの九二・四%の
用地買収を終えており、これから
施設の
建設が始まるのでありますが、
施設の
建設に当たっては東郷池の水質汚濁の要因とならぬようにきめ細かい
事業の推進が望まれるところであります。
次に、国道の
整備についてであります。
島根県の
道路は、国道十路線、主要地方道三十八路線を幹線として、一般県道百八十五路線、その
延長は三千二百四十四・七キロであります。うち、国道は五百八十四・七キロで一八%を占めておりますが、これらの
道路は日本海沿いの国道九号線が主動脈として縦貫し、これに五十四号線等の国道、主要地方道が陰陽連絡はもとより、京阪神、北九州の各
経済圏を結んでおり、さらに一般県道が国道、主要地方道を相互に結んで
道路網を構成しております。
道路密度は
人口に比し比較的高水準となっておりますが、中国山脈の北面に位置しておるため起伏が多く、多雨、降雪等気象的悪条件に災いされ、
道路整備には多額を要するため、現在総
延長に対し四八・四%の千五百七十・三キロしか改良されておらず、全国平均を下回っております。また、舗装済み区間は八二・三%の二千六百六十九・四キロで、全国平均に達している現状であります。
次に、鳥取県下の国道について申し上げます。
国道九号は日本海に沿って県を東西に走り、鳥取市を
中心とする
東部生活圏、倉吉市を
中心とする中部生活圏、米子市を
中心とする西部生活圏を結ぶ唯一の
幹線道路であり、県内生活圏相互の
道路交通を一手に引き受けております。また、九号は鳥取、島根両県と特に
経済的にも結びつきの強い京阪神
地区とのメインルートで、阪神
地区との
自動車交通の六八%はこの国道を利用しております。国道五十三号は鳥取、岡山を結ぶルートで、一部は三百七十三号と重用しており、この
道路が完全に
整備された場合、この重用区間、鳥取−智頭町の
交通が飛躍的に増加することが期待されております。国道百七十八号は山陰海岸沿いに鳥取県
東部から舞鶴に至るいわばローカル
交通を受け持っております。国道三百七十三号は
昭和五十年に国道昇格になったのでありますが、
昭和四十九年、津山まで中国
縦貫自動車道が開通したため、京阪神
地区と連絡する最短ルートとして一躍クローズアップされております。
これらの
道路はすべて一次改築は終了しているものの、県境の峠がいずれも線形が悪く、勾配も急で、特に冬期
交通の難所であるため、九号については蒲生
トンネル、特に積雪の多い二十九号戸倉峠については降雪余裕幅をとり、線形を改良する局部改良、三百七十三号については
昭和五十二
年度から権限代行で志戸坂
トンネルの改築が着手されておりますが、
交通安全
施設等の
整備も不十分な現在、
地域の方々から中国
縦貫自動車道と短時間で連絡する
道路の改築が強く求められているため、
整備目標の
早期達成に今後一層の努力を期待いたします。
次に、鳥取市の
道路交通問題と鳥取南バイパスについて申し上げます。
鳥取市は、
面積二百三十七・二五平方キロ、市街化
区域面積二十三・一平方キロと比較的コンパクトな中
都市でありますが、
都市交通問題では大
都市並み、あるいはそれ以上深刻な問題を抱えております。特に朝夕のラッシュ時の
交通渋滞は常時慢性しており、公共輸送機関のサービスレベルが非常に低下しております。この傾向は年とともに激しくなる一方であるため、市では鳥取市
交通対策審議会を設け、問題解決に取り組んでおります。その
対策といたしましては一方通行、バス優先レーン等の
交通規制、マイカー通勤の自粛運動、時差出勤等提案しておりますが、いずれも当面の解決策で、根本的な解決策とはなっておりません。
このような
道路交通問題を引き起こしておる原因について考えてみますと、第一は鳥取
市街地の街路
面積の絶対的不足であります。鳥取市は戦災は免れたのでございますが、
昭和十八年の大地震、
昭和二十七年の大火災と相次いで大
被害を受け、特に大火の後は従来の城下町を一新して、東西南北に碁盤の目のように整理し近代
都市に一変したのでありますが、
道路幅については一部四
車線を除いてほとんど二
車線幅しかなく、近年のモータリゼーションに対応できなくなっている現状でございます。
第二に、公共輸送機関のサービスが大
都市と異なり劣っているため、マイカーの利用、特に通勤者の利用が多いことでございます。
第三は、
道路交通体系の問題でございます。鳥取市への流出入
幹線道路としては、さきに申し上げました国道九号、二十九号、五十三号、県道鳥取鹿野倉吉線、鳥取国府岩美線がありますが、いずれも都心に放射状に集
まり、
市街地を避けて迂回する
道路がほとんどないため、通過
交通がすべて
市街地を通る仕組みになっていることでございます。
第四は、鳥取
市街地の形成——
都市機能の一点集中——であります。鳥取
市街地はコンパクトではありますが、限られた
面積の中に
都市機能が過度に集中しているため朝夕のラッシュ時に拍車をかけていることであります。
鳥取南バイパスはこれらの現状認識を踏まえて
計画されたもので、市の北西、鳥取バイパス千代水を起点として、ここから南下し、主要地方道の鳥取鹿野倉吉線、
都市計画街路停車場布勢線と交差し千代川を渡り国道五十三号と交差して国道二十九号に至る、鳥取
市街地を半円形に取り巻く環状
道路で、
延長八キロ、幅員三十から四十メートル、四
車線の
道路であります。バイパスの
完成後は
市街地への流出入
交通を分散導入させるとともに、沿道に都心
機能を再配置し、鳥取市将来構想
人口二十万人の受けざらとして
都市基盤の骨格をなすもので、
早期完成について地元からは大きな期待が寄せられております。
次に、皆生海岸の浸食防止
事業についてであります。
皆生海岸は、鳥取県西部に位置する弓ケ浜、美保湾一帯を総称し、弓ケ浜半島の基部に日野川を、左岸に皆生温泉を有し、大山、日本海とともに風光明媚海岸であります。皆生海岸は、明治初年から大正にかけまして全域にわたってなぎさ線は前進しておりましたが、大正十二年をピークにいたしまして皆生温泉付近よりなぎさ線が約三百メートル東西に広がり後退したため、その
対策として、
昭和十三年から鳥取県で突堤、護岸
工事を
中心に海岸保全
事業を進めてきたのであります。
昭和三十一年、海岸法が施行され、
建設省で
調査の結果、一帯を海岸保全
区域に指定し、
昭和三十五年四月より
建設省直轄
工事区域といたしまして、皆生工区三千三百二十メートル、日吉津工区三千二百六十メートルを海岸保全
施設整備事業費によって浸食
対策工事が進められておりました。また、今
年度は両三柳工区二千四百九十メートルを直轄
区域に編入いたしております。
離岸堤は、海岸堤から沖合い三十メートルに重さ十六トンのテトラポット約九百個と、捨て石約一万立方メートルをもって長さ約百五十メートル、海底から六メートルの高さに積み上げたものであります。この離岸堤により日本海特有の波浪が砕け、波の力が弱
まり、運んできた砂が堆積して美しいトンボロを形成、自然の砂浜を取り戻す大きな成果を上げております。高潮、津波、波浪等による
災害及び海岸浸食は全国的に進行しつつある現在、これらの
対策とともに、海岸の環境を保全するため第二次海岸
事業五カ年
計画二十五億円をもって離岸堤四基、離岸堤補強二基、突堤、根固め等、長期
計画を立案中とのことでありますが、
被害の防除と失われた自然は帰らないという前提で
事業を強力に推進することを期待をいたします。
次に、大山山系直轄砂防
事業についてであります。
現在、大山山系の直轄砂防
事業は天神川、日野川の両水系について実施いたしておりますが、天神川水系小鴨川流域は、大山から噴出した火山土質の堆積であるため、降雨の都度河岸及び山腹が崩壊し、多量の土砂を下流平野部に堆積させていたのでありますが、
昭和九年の室戸台風による豪雨で天神川流域では至るところに大崩壊が発生、多大な
災害をこうむったのであります。このため鳥取県におきましては
昭和九
年度から天神川流域の砂防
工事に着手したのでありますが、
事業の
規模及び
河川改修
事業との
関連等があり、
昭和十一
年度に小鴨川流域を
直轄事業として実施することとなり現在に至っております。
事業の進捗状況は現在土石流
対策としてのダム工がほぼ完了し、流路工を主体とした
事業を実施しておりました。
日野川水系につきましては、右津の各渓流の上流部に大山南壁から崩落する火山砕屑が多量に堆積しており、降雨の都度多量の土砂を押し出し、常に土石流発生の危険があるため
昭和七
年度から鳥取県では砂防
工事が実施されてきたのでありますが、
河川事業とあわせて一貫した治水
対策を樹立するため、
昭和四十六
年度から
建設省で大山山系全域についての基礎
調査を実施し、別所川、清山川、大江川、白水川、小江尾川、船谷川、俣野川の七渓流について直轄で砂防
工事を実施することとなり、
昭和四十九
年度より土石流
対策としてダム工に着手しております。
昭和五十二
年度の
事業概要によりますと、業費四億九千七百万円をもって、天神川水系では小鴨川上下流、泉谷川、清水谷川等の流路工を実施し、日町川水系では大江川添谷ダム、小江尾川吉原ダム、大江川一ノ沢床固め工等の
事業が実施されております。特に近年は集中豪雨による激甚な
災害が頻発しておりますが、土石流はその破壊力が著しく大きいため、一瞬にして人命財産に壊滅的な
被害をもたらすため
対策はきわめて緊要であります。強力に
事業が推進されますよう強く要望いたします。
次に、千代川河口つけかえ
事業についてであります。
千代川は、源を中国山脈の沖ノ山に発し、鳥取平野を北流、砂丘を貫いて賀露町で日本海に注ぐ鳥取県
東部の重要な
河川であります。流域は千百九十三キロ、流路
延長五十七キロ、流域内
人口二十万人で、山陰の
中心的の役割を果たしております。河口はこうした大砂丘地帯を貫流して日本海に注いでいるため漂砂の問題が多く、河口維持には多大の努力が払われております。千代川は河口の川幅が狭いため、豪雨で大量の水が出ると、はき切ることができず、湖山川や旧袋川など河口付近の小
河川に逆流、特に大正七年の大
災害では死者三十名のとうとい命を失っております。一方、河口の賀露港では、毎年漂砂の移動に伴って河口に砂が推積、船舶の航行に支障を来し、
港湾としての
機能が著しく減退しております。
これらの現状から、河口を改修つけかえして、治水面では洪水の安全流下と
港湾の
機能維持のため、
昭和四十九年試験導入堤の着工に至っております。
工事は総
事業費八十五億円、うち、治水分は約六十億円をもって河口の水深を現行より四メートル下げ、
計画高水流量四千九百トンを六千トンに変更し、川幅を二百三十メートルに広げ、五十五
年度を通水目標とするものであります。流量変更に伴う砂丘等への影響については土木研究所で
調査し、実験の結果、特別の配慮を施すこととなっております。河口処理と鳥取港
整備は鳥取市の
都市計画上重要な位置を占めているもので、
地域振興に寄与するところが大きく、また将来の大陸貿易港としての物流基地にとどまらず、山陰観光の基地としても大きな期待が寄せられております。
次に、斐伊川の改修
事業についてであります。
斐伊川は、源を鳥取、島根の県境、船通山の北麓に発し、三刀屋川、赤川等の支川を合わせ、簸川平野を貫流し、宍道湖に流入する幹川で、流路
延長百五十三キロ、流域は鳥取、島根両県の六市六部、流域
面積二千七十平方キロであります。斐伊川の治水
事業は古く、寛永
年間の築堤
工事の記録が発見されております。
本川は、大正十一年
直轄事業として、明治二十六年の大洪水に基づき大橋川をしゅんせつする
計画に着手し、
昭和八年まで十二カ年継続
工事として総工費六百二十万円で施行、その後さらに工期の延伸により、
昭和十九
年度竣工の二十三カ年継続
事業となったのであります。その間、斐伊川の右派川である新川は
昭和十四年一月に締め切り、廃川敷として処分されております。その後
昭和二十年、斐伊川の特性である流送土砂による河道の埋没
対策として下流の複断面
計画と、堤防が砂質であるため漏水
対策、さらに
昭和四十二年から
区域延長された本川上流部の改修と、宍道湖については暫定水位二メートルに対し堤防高三メートルの暫定施行を行い、中海についても
計画高水位一メートル四十四に対し堤防高三メートルの暫定施行を行い現在に至っております。
しかし、
昭和四十年七月、
昭和四十七年七月、さらに
昭和五十年七月の洪水にかんがみ抜本的治水
計画を樹立する必要に迫られ、
昭和五十一年七月、斐伊川水系
工事実施
基本計画の改定を行ったのであります。
計画では、基準地点大洋で
計画高水流量三千六百トンを五千百トンとするもので、高水処理の
施設計画としては、斐伊川及び神戸川に洪水調節ダムの
建設と、斐伊川中流部左岸から神戸川右岸に至る
放水路の開削のための
調査を
計画しております。
昭和五十二
年度での
事業といたしましては、改修、維持修繕、環境
整備費十二億六千余万円をもって本川上流部の請川、三代橋等の継続実施と、中海・宍道湖
地区の湖岸堤の促進、浄化用水導入の末次
ポンプ場の
完成、中海汚泥しゅんせつの試験施工を実施いたしております。
高度
成長から安定
成長に
経済情勢が移行した現在、高度
成長時代に受けた
河川への影響は、流域の急激な
開発に伴い、洪水量の増大、
用地の取得難と相まって、治水上の安全度は向上するどころか、
都市河川にあってはむしろ低下しており、また利水面では水需給のアンバランスが拡大しております。これらの原因は、急激な
経済成長と、これに追いつかない社会設備投資という外的要因でありますが、
河川の側での内的要素として、治水にあっては洪水時のみを対象とし、利水にあっては渇水時のみを対象とし、ただ対症療法的に
計画しているところに多少要因があるのではないかと思われます。いずれにいたしましても、人間環境重視の安定
成長期に入った現在、
河川の目標とすべき安定した姿はどんなものか、そこに至る過程はどうあるべきかを考えると、ただ線的に
河川の形を改造するだけではなく、環境にマッチした
河川を創造するため、流域管理といった面的なものの考え方を織り込み、国土利用
計画法、
都市計画法との連係を保ちつつ
事業を積極的に推進することが肝要であると考えるのであります。
次に、中海干拓
事業についてであります。
本
事業は、大正十一年から
昭和七年に実施された大橋川のしゅんせつによって塩水が宍道湖へ逆流するようになり、沿岸の耕地が用水源を失ったため
開発計画が立案されたのでありますが、治水、漁業、観光等の理由により
実現するに至らなかったのであります。その後島根県は、高度な
産業構造への移行を期して中海・宍道湖の大
規模な干拓並びに淡水化と斐伊川の治水
対策を結びつけた斐伊川・宍道湖・中海総合
開発計画を、鳥取県では中海の
埋め立て、弓ケ浜半島の農業
開発、日野川の多
目的開発を一環とした
地域の総合
開発計画をそれぞれ策定し、
調査を進め、
昭和四十二年、漁業補償の解決、さらに
河川法、公有水面埋立法等の協議を完了し、
昭和四十三
年度から農林省が
工事を開始し、
昭和五十七
年度完成を目標として施行中であります。
この
事業は、中海に約二千八百ヘクタールの大
規模な干拓を行うとともに、中海・宍道湖の残水域一万五千ヘクタールを淡水化し、干拓地と沿岸既耕地、約四千八百ヘクタールの農業用水を確保し、近代的農業経営を可能にする先進農業
地域を創設するとともに、農業経営の合理化を図ろうとするものであります。さらに、この
事業は農業振興にとどまらず、
昭和四十一年十一月に指定されました中海
地区新産業
都市計画とも相まって、
港湾、
道路網、観光の
開発、淡水湖の
工業用水利用等、
地域の総合的な
開発に大きな
役割りを果たすことが期待されております。
事業計画では、中海内に五
地区を選定し、江島、大根島、大海崎を結ぶ北部海域、揖屋沖及び米子湾にポンプ排水による干拓、米子市彦名地先と境港市小篠地先に
埋め立てを行い
農地を造成するものであります。干拓による湖面の縮小に対しましては、中海の洪水調節能力が減退することのないように、境水道の疎通能力の増大を図るため、境水道の現況平均断面二千百平米を二千六百平米にしゅんせつし、さらに中浦水道を幅員五百メートルに拡張し、その調整を図るものであります。また、中浦水道及び佐陀川仲田地点に防潮水門を
建設し、船舶航行のための同門を併設、中浦水門では最大五千トンの船舶の通航が可能とのことであります。中海干拓は周辺の
地域開発に有形無形の可能性を与える重要な
事業であるため、大きな期待とともに、中海の水質に与える影響、観光資源としての景観の損失、さらには
農地としての将来性についての検討等も大きな
課題であります。
以上で両県下における
実情調査の
概要を御
報告いたしましたが、両県知事から要望がありましたので、その
内容について申し上げます。
鳥取県につきましては、特に
開発がおくれている現状から、
地域開発の促進のための根幹をなす
建設行政を県政の重点施策として推進するため、中国
横断自動車道姫路−鳥取線、岡山−鳥取線及び山陰海岸自動車道を国土
開発幹線自動車道の予定路線への追加指定、国土
開発幹線自動車道(中国横断・中国
縦貫自動車道)の
建設促進、
一般国道九号の四
車線拡幅の促進並びに米子バイパス、鳥取バイパス、北条バイパス、駟馳山バイパス、
一般国道二十九号の戸倉バイパス、
一般国道五十三号の叶バイパス、鳥取南バイパス、河原バイパス、
一般国道三百七十三号志戸坂
トンネルの
建設促進、
一般国道百七十八、百七十九号(特に人形峠の
トンネル)及び百八十一号、
一般国道百八十号及び三百七十三号の
整備の促進、県道及び市町村道、
都市計画道路(街路)の
整備促進、小鴨橋の改良を含む国道三百十三号の
整備促進、国鉄鳥取駅及びその付近の高架
事業、広域公園
事業、天神川流域
下水道事業、
公共下水道事業、鳥取駅前及び米子駅前通り
土地区画整理事業、市町村施行
土地区画整理事業、直轄
河川千代川、天神川及び日野川の改修
事業、直轄海岸保全
事業、中小
河川改修
事業、東郷池(橋津川)
河川浄化
対策事業、殿多
目的ダムの
建設促進、賀祥治水ダム
建設事業費の
増額、中海浄化
対策の推進であります。
島根県におきましても、鳥取県とほぼ同様、県政推進の基本方針について説明を聴取いたしました。
個々の陳情の
内容につきましては、宍道湖流域
下水道事業の促進、斐伊川及び神戸川の治水
対策、山佐川総合
開発事業及び水道用水供給
事業の促進、島根県沿岸の
特定海岸指定、高速自動華道の
建設促進、上乃木菅田線(松江第三大橋)
街路事業、
土地区画整理事業の促進、一級
河川江の川の直轄区間の
延長、
河川改修
事業、海津保全
事業、砂防
事業の促進、急傾斜地崩壊
対策事業に対する受益者負担の軽減、
道路整備五カ年
計画の拡大改定と
道路整備事業の促進、
一般国道九号バイパス並びに登坂
車線の
整備促進、
一般国道三百十四号坂根峠の
直轄事業着手、既設公営住宅改善
事業の採択基準の緩和、公営住宅
建設用地先行取得債制度の新設について要望がございました。
以上で
報告を終わらしていただきたいと思いますが、
建設省当局にお願いでございますが、どうかひとつ聞きっ放しでなくて、この島根、それからまた鳥取県から出ている要望事項等につきまして、それは
北海道も含めてでございますが、真剣にひとつ取り組んでいただきたいと、このことを強く私といたしまして要望いたします。
以上でございます。