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1977-10-07 第82回国会 参議院 建設委員会 第1号 公式Web版

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  1. 調査承認要求に関する件 ○建設事業並びに建設諸計画に関する調査 (会議録情報)

    昭和五十二年十月七日(金曜日)    午後二時五分開会     —————————————   委員氏名     委員長         小谷  守君     理 事         古賀雷四郎君     理 事         坂野 重信君     理 事         土屋 義彦君     理 事         赤桐  操君                 遠藤  要君                 寺下 岩蔵君                 中村 太郎君                 中村 禎二君                 降矢 敬義君                 堀内 俊夫君                 増岡 康治君                 片山 甚市君                 松本 英一君                 太田 淳夫君                 桑名 義治君                 二宮 文造君                 上田耕一郎君                 栗林 卓司君                 森田 重郎君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         小谷  守君     理 事                 坂野 重信君                 土屋 義彦君     委 員                 遠藤  要君                 中村 禎二君                 降矢 敬義君                 堀内 俊夫君                 増岡 康治君                 片山 甚市君                 松本 英一君                 太田 淳夫君                 桑名 義治君                 上田耕一郎君                 栗林 卓司君                 森田 重郎君    政府委員        国土庁長官官房        長        河野 正三君        建設大臣官房長  粟屋 敏信君    事務局側        常任委員会専門        員        森  一衞君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○調査承認要求に関する件 ○建設事業並びに建設計画に関する調査  (派遣委員報告)     —————————————
  2. 委員長(小谷守君)(小谷守)

    委員長小谷守君) ただいまから建設委員会を開会いたします。  調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。  本委員会は、今期国会においても建設事業並びに建設計画に関する調査を行うこととし、その旨の調査承認要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 委員長(小谷守君)(小谷守)

    委員長小谷守君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、要求書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 委員長(小谷守君)(小谷守)

    委員長小谷守君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  5. 委員長(小谷守君)(小谷守)

    委員長小谷守君) 建設事業並びに建設計画に関する調査を議題とし、派遣委員報告を聴取いたします。  まず、第一班の御報告を願います。降矢敬義君。
  6. 降矢敬義君(降矢敬義)

    降矢敬義君 御報告申し上げます。  小谷委員長増岡委員森田委員と私、降矢は、去る八月三十一日から九月三日までの四日間、北海道における開発並びに建設事業実情調査を行いました。  今回の調査の目的は、その一に、昭和四十年代の半ば、経済の高度成長期に策定されました道央地区における幾つかの大規模プロジェクト事業がありますが、これが石油ショック以来、経済の安定成長過程の中でどのような位置づけのもとに進行しているか、その態様を見きわめること。その二に、人口の増加傾向にある札幌市など主要な都市における都市計画事業について、主な事業の内容の見聞に努めること。その三に、有珠山噴火に伴う災害の実態を調査すること及び事業の最盛期を迎えている青函トンネル建設工事を視察することの四点にほぼ大別できると考えます。  まず、各論的な調査に先立ちまして、北海道開発局、道、札幌市から当面の予算及び事業についてそれぞれ概要の説明がありました。この中で、現在政府で検討している行政機構改革ということもありましょうが、戦後の北海道開発の各分野で北海道開発局の果たした役割りはきわめて大きいということが強調されました。銘記すべきことと感じたのであります。  その理由的な根拠は、北海道開発庁地方支分部局として北海道開発局は設置され、農林、運輸、建設各省所管に係る国の直轄事業を行う事業実施官庁であります。これを内地の例で見ますと、地方農政局港湾建設局地方建設局のそれぞれ所掌しているものを、北海道では北海道開発局が総合的、一体的にこれらの事業を実施しているということにあり、北海道開発の幾多の成果はこの体制によるものと言えるからであります。  以下、調査の概要を御報告申し上げます。  第一に、石狩湾新港地域及び苫小牧東部の大規模工業基地開発プロジェクト等について申し述べます。  まず、石狩湾新港地域の開発についてであります。この開発は第三期北海道総合開発計画の中で位置づけられ、昭和四十七年八月に北海道開発庁によって策定された石狩湾新港開発基本計画に基づいて、国、道、札幌市等が中心となって進められているプロジェクトであります。  この開発地域は、札幌市の都心から約十五キロメートル、小樽市と石狩町の両域にまたがる面積二千九百四十ヘクタールに及ぶ開発規模のものであります。区域の中央に掘り込み埋め立て併用方式によって新設される石狩湾新港を核とし、その後背地に物資流通の拠点となる流通地区都市型工業を中心とする工業基地を配置し、札幌圏における新たな流通と生産機能を分担するとともに、日本海沿岸諸地域の振興と北方圏諸国との交流拠点としての役割りを果たすことを目的とするものであります。  開発計画の詳細は省略いたしますが、この開発計画目標年次であります昭和六十年代には、地域の就業者は約五万人、流通地区における貨物取扱量は約二千六百万トン、卸売販売額約四千二百億円、工業地区における出荷額は約四千億円と見込まれております。三万トン級の船が出入りをし、一千万トンを超える貨物を取り扱う新しい港がこの石狩の石浜の一角に出現することになります。この地域に港をつくることは、かねて明治のころからの夢であったということが言われています。このプロジェクトの根幹であります石狩湾新港はすでに重要港湾に指定されて、昭和四十八年から工事に着手、すでに東防波堤七百五十メートルを完成し、現在は島防波堤作業船だまりを建設しているところであります。第五次港湾整備五カ年計画でも島防波堤北防波堤及び防砂堤の建設のほか、東地区における木材工区の整備等が計画されており、五十五年度には東地区の供用が見込まれています。  開発地域用地取得は、第三セクターである石狩開発株式会社によって行われ、ほぼ終了ということであります。この新港後背地計画区域を昭和四十八年に都市計画上の市街化区域に編入し、五十一年十一月に北海道がこの地域の総合的土地利用の指針となる土地利用計画を決定、同年十二月から石狩開発株式会社土地区画整理事業によって花畔地区住宅関連産業用地の百五十七ヘクタールの造成工事に着手しています。また、この花畔地区には道が先行的に昭和四十九年から植栽を始めており、五カ年計画で最大幅三百メートル、面積約六十五へクタールの遮断緑地となるものであり、現在まで四十七ヘクタールの植栽が完了しています。  なお、この開発区域石狩川放水路計画があります。この事業目的は、石狩川本流の洪水時には茨戸川と本流とを遮断し、茨戸川の水は放水路を通して海へ放流し、本流の逆流水を防ぐことと、茨戸川、創生川等市街地域内水はんらんを防除することにあるとしています。放水路延長は約二千五百メートル、最大流量は毎秒五百トンであり、同放水路の両側は河川緑地とし、総事業費は八十七億円と予定しています。  次に、苫小牧東部の大規模工業基地の開発について述べます。  この苫小牧東部の開発は、実質的には新全国総合開発計画を受け入れたかっこうの第三期北海道総合開発計画を決定したことによって、国の段階での開発が具体的になったということであります。特に第三期計画では、北海道における工業生産の飛躍的な拡大と産業構造の高度化を推進するための重要な施策として強力に推進するとしています。  昭和四十四年に、北海道議会はこの開発地域九千八百ヘクタールの用地取得を議決するとともに、道は用地買収に入ったのであります。現在まですでにその九割が買収済みとされています。また、この開発に当たって昭和四十五年に苫小牧東部規模工業基地開発委員会が発足し、翌四十六年三月には同委員会から開発の基本構想が報告され、同年八月の北海道開発審議会において工業基地開発マスタープランとも言うべき基本計画が了承されております。しかし、環境保全の見地からこれを段階的に進めることとし、当面の第一段階での計画では、石油精製石油化学自動車工業など年間の工業生産額四千三百億円を開発規模として想定するとともに、港湾は二十万トンタンカーの入港が可能な規模のもので、掘り込み埋め立て併用方式で建設するとしています。  この開発地域は、苫小牧市東部に展開する勇払原野、約一万ヘクタールを工業地区とし、新港を核とする臨海性の基幹工業コンビナートと関連諸工業の立地を推進し、周辺地域を含めた広域的、合理的な土地利用計画のもとに生活環境施設の整備を進め、苫小牧市の基本構想にありますように、地域住民の理解と参加を得て、生産と生活が調和できる地域社会の実現を目指して展開されようとしているのであります。  新設される苫小牧東港は、すでに重要港湾として指定を受けていますが、漁業補償等の問題もあって工事着手が大幅におくれ、昭和五十一年になって関係機関との合意が得られたため、同年八月に着工の緒についたのであります。現在は作業船だまりを建設、本年度中にこれを完成し、東防波堤工事に着手することとしています。すでに苫小牧西港域の造成地には千二百トン級のケーソンを建造できるケーソンヤードが完成しており、防波堤工事の促進に大きな役割りを果たすことになっています。  また、第五次整備五カ年計画では、国費三百三十五億円、事業費で約三百五十五億円の防波堤等の建設が予定され、本年度も九十一億円の事業費で本格的な建設が推進されています。なお、開発事業民間部門を担当する第三セクター苫小牧東部株式会社は、国及び地方公共団体の行う事業と一体性を保ちながら、用地の造成及び分譲などの事業を実施することとしております。しかし、石狩湾新港地域や、この苫小牧東部の大規模工業基地開発プロジェクトの原点である新全国総合開発計画並びに第三期北海道総合開発計画がそれぞれ新たな計画にかえられようとしております。宏定成長期の経済下でどのようにこの開発計画が位置づけられて推進されていくのか、一つの課題であると同時に、その開発はなかなか容易なものではないように思われます。  次に、高速自動車道の建設について簡単に触れておきます。  北海道における高速自動車道建設計画は、函館と稚内を結ぶ縦貫自動車道、小樽と釧路、北見を結ぶ横断自動車道があります。このうち、すでに縦貫自動車道の一部として道央自動車道、千歳−北広島間、横断自動車道の一部として札幌自動車道、小樽−札幌間が開通しております。  現在、縦貫自動車道路線の千歳−苫小牧−登別間七十五キロメートル、広島−岩見沢−鷹栖間百三十五キロメートルが事業実施中であります。このうち、千歳−苫小牧間二十九・三キロメートルを昭和五十三年度に、北広島−札幌間八・四キロメートルを昭和五十四年度に供用する予定で鋭意工事中でありますが、室蘭及び函館市当局は整備計画の決定を強く要請しております。また、この本体的な建設工事とは別に、冬季の凍結、除雪等により毎年七ミリ以上の摩耗が生ずるため、五年に一回程度は、舗装補修並びに改装の必要があるということであります。  第二の課題である札幌市等主要都市都市計画事業等について述べます。  急速な発展を続けている札幌市は人口百三十万人を擁する都市に急成長し、過密化が進む中で今後の解決にまたなければならない多くの問題を抱えているようであります。こうした問題を解決するためには、適確な長期的見通しのもとに先行的、計画的な町づくりを進める必要から、昭和七十年を目標年次とする新札幌市長期総合計画を策定し、適正人口を百八十万ないし百八十五万人に設定して都市計画を進めることとしております。  都市の交通は、市民生活経済活動などを支える基礎的な要件であり、これが不備であると都市の機能は停滞することになります。したがって、札幌市は地下鉄東西線の建設並びに南北線の延伸工事を行っており、一環状、五放射線を主体とした都市計画道路網の整備が進められています。現在、都市計画事業認可を得て施行中の街路事業は約五十キロメートルで、昭和五十三年度以降に約三百三十億円を必要とするとしています。中心市街地南北市街地を分断し、交通のネックとなっている国鉄函館本線の発寒川−東九丁目間約七・二キロメートルの鉄道高架化事業があります。本事業は総額七百四十二億円を要する膨大な事業でありますが、本年度に事業化を決定しております。都市計画道路第二十七路線との立体化は、一日平均七時間の遮断ロスの解消となり、南北市街地の均衡ある発展を誘導することとなります。しかし、早期実現のためには事業費の確保が求められることになります。  今日、下水道の整備充実都市計画事業の中で重要な位置を占めております。現在、札幌市の整備率は二五・一%であり、これを五カ年計画期間には三〇%の水準に引き上げることにしています。このためには国庫補助金の増額を柱とする財源の確保はもちろんのこと、起債融資条件の改善のほか、在来、終末処理場にのみ充当されている特別地方債について、幹線施設であるポンプ場とか幹線管渠へも充当することが必要であると言われます。このことは他の都市についても言える問題であります。  都市公園は、現代都市の総合的な都市計画の推進上、その整備と充実は今日ますます大きな課題となってきております。こうした要請の中で、豊平川の河川緑地は、河川環境の上からも市民の憩いの広場として利用されるのもかっこうの施設であると考えます。すでに札幌市が四百ヘクタールの用地を取得し、現在、青少年自然の村を開設している南区滝野の区域に、昭和五十年度から北海道開発庁並びに建設省が調査を行うこととなり、委託によってすでに国営公園基本計画が策定されておりますが、全道のレクリエーション活動の拠点として機能するこの国営公園早期新設について、道、市の強い要望があります。  苫小牧市は、健康で住みよい福祉都市、公害のない新しい工業都市、活力のある機能都市、自然を守り、育てる緑の都市という都市像を描き、人間環境都市を宣言するなど、古い紙の町のイメージから新しい工業都市に転換されてきております。昭和二十六年に苫小牧港の建設を軸に進められてきました西部工業地帯の開発は完成の城に達しています。しかし、この臨海工業地帯立地決定企業は八十二社でありますが、このうち昭和五十年度までに操業したものは四十七社であり、二社が建設中であるとしています。このことは石油ショック以来の経済の低成長によると言われています。この新旧混在都市形態の中で、同市の課題としているところのものは、昨年から公共団体施行による若輩地区約四十三ヘクタール、苫小牧駅北側の本場町地区約二十七ヘクタールの市街地における土地区画整理事業について、予算増額によって早期に整備する必要があるということであります。  また、当市の海岸線は約三十三キロメートルを占めていますが、この沿岸地帯は著しい開発と都市機能が集中し、急速な発展を続ける中で、近年特に浸食が激しく、護岸の決壊、道路、家屋への浸水など危険にさらされてきているということでであります。したがって、現在の一般海岸特定海岸に昇格して、国の直轄事業として実施し、早期完成が必要であるとしています。市街地を流れる二級河川、準用河川、計十一河川の改修工事について早期完成を期する必要があることから、その予算の増額執行について配慮してほしいという要望も出ております。  室蘭市の市街地馬蹄形をなしており、幹線道路一般国道三十六号と三十七号の一条のみであります。しかも半島部に突っ込み路線となっています。このため、自動車交通の緩和を図るため、高架橋、トンネルを織り込んだ四車線、一部六車線の広規格の室蘭新道と同様な方式をとり、四車線とする三十七号の改良工事が実施されています。また、絵柄半島の突端部と蘭北地区とを結ぶ約三キロメートルの白鳥大橋、ベイ・ブリッジの計画があります。この白鳥大橋を架橋することは、すでに建設中の室蘭新道を延伸取りつけ、また現在改良工事を進めている室蘭環状線並びに一般国道三十七号などと連結することにより、本市の環状幹線道路網を形成する道路交通体系が確立されるのみならず、既成市街地及び臨海工業地帯の短絡化、自動車交通の円滑化が図られるとしています。その実現については検討され、善処される余地はあろうかとも考えられます。  長万部町の海岸保全工事は昭和三十八年から着工され、今年度事業を含めて延長約三・二キロメートル、事業費約五億二千万円の工事であります。本年度工事は延長百五十五メートルの表法被覆工と消波堤五十五メートルとなっています。この工法は、基礎栗石の上に防砂シートを敷き、その上に二トンのホロスケヤー・ブロックをかみ合わせて十四個並べるという形式のものであります。もちろん勾配は三割としているようであり、内地では余り見かけられない形式と考えられます。  また、函館市は多くの都市計画事業の中で、事業費の五七%を占める管渠、終末処理場等公共下水道の整備にウエートが置かれ、積極的に取り組んでいると言われています。なお、一般国道五号は交通の急増が著しいため、特に両側にある老松並木について保存すべきであるという強い市民の希望もあることからバイパス事業が計画されております。  第三に、有珠山の噴火の災害について申し述べます。  有珠山の噴火は、八月六日未明より有珠山系に火山性と見られる地震が発生し、翌七日午前九時十二分、突然大規模な噴火が発生し、噴煙は高度一万二千メートルに達し、火山礫を含む火山灰は洞爺湖を中心に虻田町、伊達市等、遠くは日高支庁管内に及んだと言われます。一時弱まっていた噴火活動は、八日の午後一時三十分ごろ再び活発となり、降灰は有珠山北西洞爺湖温泉街地区、洞爺村等に集中し、温泉地区一帯では火山礫が多く見られたが、九日朝には火山灰が折からの雨と混合して生コンクリート状となり、泥流ともなって農地、農業用施設農作物等に大きな被害をもたらしたのであります。なお、その後も断続的な噴火が起こり、長期化の傾向を見せるに至ったと言われていました。このため、農地、農作物、森林等に甚大な被害をもたらし、被災地域は一市十一町村にも達しております。特に有珠山に最も近い虻田町は、噴火の状況から住民の一部は小学校などに避難を続けているのでした。道当局の調査による二十八日現在までの被害額は約二百七十二億円に達し、その内訳は、公共土木被害三億四千六百七十五万円、農地農産物百二十七億円、林業被害五十六億円等となっております。  この災害に対し、道はいち早く災害対策連絡本部を設置し、情報の収集に努めるとともに、現地に係官を派遣して、特に降灰、降礫の著しい市町村については、警察、自衛隊、消防関係の協力のもとに地域の住民を避難させ、八月七日から十五日にかけては、水源地、ろ過池の機能が不能となった虻田町等に対しては、自衛隊の協力を得て給水活動を実施するなど応急対策が急がれたのであります。調査の九月二日時点でも、主要道路降灰除去はほとんど済んでいるかっこうでありましたが、警察による厳しい交通規制が実施されており、年間約三百万人の観光客の来洞があると言われる洞爺温泉地区においても人影は余り見られず、一切の経済活動は休止しており、全くのゴーストタウンと化しておりました。  このような被害の中で、降灰等の直接災害に対する各種の対策と同時に、三億立方メートルとも言われる山腹等に堆積している降灰等が降雨、融雪等によって流出し、人家、公共施設農地等に第二次災害を与えるおそれが多分に考えられますので、当面の災害復旧事業とあわせて、緊急治山緊急砂防事業等、再度災害防止のための総合的な特別対策が必要であると考えます。なお、被害農家等の収入を確保するため、被害地域において道路除灰土地改良等公共事業を実施する道もとられてしかるべきではなかろうかと考えます。  第四に、日本鉄道建設公団青函トンネル工事について申し述べます。  津軽海峡の調査は、昭和二十一年から行ってきたと言われていますが、昭和三十九年より、断層や岩石の状態を直接見て、湧水をとめる工法や掘削工法などを研究するために調査坑の掘削に着手し、昭和四十六年三月、調査線としての調査を終了して、同年四月、工事線に指定されました。この青函トンネルは、全長が五十三キロ八百五十メートルで、そのうち海底部分の延長が二十三・三キロメートルであり、今回の調査は古岡工区の部分であります。海底部の施工に当たっては、水平ボーリングによって地質状態を確認しつつ、先進導坑作業坑を先進させ、作業坑の後を追って本坑が掘り進んでいきます。  青函トンネルは、普通のトンネルと違って海底に三本のトンネルがそれぞれの目的から掘られています。先進導坑は公団の直営により、他の二坑は請負によって施工されています。先進導坑地質調査を兼ねて掘り進められており、将来は換気、排水坑の役目を持ち、大きさは高さ四メートル、幅五メートルの馬蹄形であります。作業坑は、本坑と同じ高さの位置で、本坑の横に平行して掘り進められています。本坑を掘るための機械の搬入や掘削したズリの搬出路として使い、完成後には新幹線の保守用通路等に利用されることになっております。作業坑は、本坑に先行して六百メートルないし一キロメートルの間隔で本坑への連絡横坑を設け、本坑の掘進を始めます。本坑の掘削を能率的に行うためには、作業坑の進行を高め、本坑の切羽をふやすことになります。また、本坑は新幹線の通るトンネルで、高さ九メートル、幅十一メートル、断面は約八十平方メートルにもなる大きなものであります。  現在、吉岡工区では、本坑十四・七キロメートルのうち掘削している進行延長約六・三キロメートル、完成約五・五キロメートルであります。作業坑は延長約九キロメートルのうち約五・四キロメートルが進行し、先進導坑は延長十一・八キロメートルのうち約五・七キロメートルの掘削が進行している状況であります。  いずれにいたしましても、青函トンネル工事は昭和五十七年の完成を目指して、わが国の土木技術の総力を結集し、約四千名の作業者が日夜掘削に努力されている大事業であります。心から御健闘を祈ります。  以上で報告を終わりますが、最後に、道の建設業界から、景気浮揚に対しては公共事業費増額等が必要であるという趣旨を内容とする陳情がありましたことを申し添えます。また、今回の調査に際し御協力を賜りました関係各位に対し心から感謝の意を表する次第であります。  終わります。
  7. 委員長(小谷守君)(小谷守)

    委員長小谷守君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  8. 委員長(小谷守君)(小谷守)

    委員長小谷守君) 速記を起こして。  次は、第二班の御報告をお願いします。土屋義彦君。
  9. 土屋義彦君(土屋義彦)

    土屋義彦君 第二班の報告を行います。  去る九月五日から八日までの四日間にわたり、赤桐理事、中村委員、桑名委員、上田委員と私、土屋の五名は、鳥取、島根両県における建設事業の実情を調査してまいりました。  以下、その主な調査事項について概略御報告申し上げます。  まず初めは、鳥取市の都市計画事業の一環として進められております国鉄鳥取駅鉄道高架事業についてであります。  鳥取市街地内を走っている国鉄山陰本線及び因美線は、現在道路と平面交差となっているため、道路交通の混雑の原因や鉄道をはさむ南北市街地の分断など機能的な都市を形成する上での阻害要件となっております。そのため鳥取県におきましては、昭和四十四年度から五十四年度にわたり総事業費約百六十六億円をかけまして山陰本線の延長四・一キロメートル、因美線一・五キロメートルの五・六キロメートルを高架化し、駅部については貨物設備及び車両設備を湖山駅付近に移転させるとともに、現鳥取駅を南側に約五十三メートル移動させて旅客専用駅とする事業を進めております。昭和五十二年度末の進捗見込みは八二多であり、明年十月には高架への切りかえを予定しているとのことであり、事業の円滑な推進が一層望まれるところであります。  また、この鉄道高架事業と並行し、鳥取駅前の密集市街地を県都の表玄関にふさわしい近代的な市街地として開発するため、昭和四十三年度から総事業費九十六億円をもって鳥取駅前土地区画整理事業もあわせて行っております。市街地面積五・七ヘクタール、うち対象戸数二百八十七戸、並びに国鉄用地六・四ヘクタールの十二・一ヘクタールが施行区域となっており、今年度末までの進捗見込みは七八%、事業費にして七十五億円となっており、先ほどの鉄道高架事業と調和のとれた事業の推進が図られるとともに、両計画実現により鳥取市の近代的都市の形成が計画どおり進展されることが期待されます。  次は、米子市の都市計画事業についてであります。  山陰随一の商都であり、中海新産業都市の中核都市でもある米子市をその表玄関にふさわしい近代的市街地にするために、国鉄米子駅前の密集市街地昭和四十三年度より総事業費百九億円をもって土地区画整理事業として再開発する事業が進められております。その施行区域は二十・五ヘクタールであり、対象戸数は七百二十六戸にも及んでいます。昭和五十二年度末の進捗見込みは五七%であります。残事業についても円滑な推進とともに、下水道施設を初めとした都市施設整備もあわせて推進されることが期待されます。  次に、松江市の都市計画事業についてであります。  水と緑に包まれた美しい自然環境と、数々の歴史的遺産やすぐれた伝統的文化にはぐくまれました松江市は、松江国際文化観光都市建設法(昭和二十六年法律第七号)により国際文化観光都市の指定を受け、さらに昭和四十一年十一月には中海地区新産業都市の指定を受け、その中枢管理都市として主導的役割りを果たすべく、大きな課題を抱えながら種々の都市計画事業を推進しているところであります。  まず、鉄道高架事業についてであります。道路と鉄道との立体交差化による道路交通及び列車運行の安全、円滑化南北市街地の一体的発展と沿線の開発促進等のため、島根県主体により昭和四十五年度から総事業費八十五億円をかけまして高架事業が進められております。これは山陰本線の松江駅を含む約三・五キロメートルの区間を高架化するとともに、松江駅の貨物設備を東松江駅へ移転整備し、あわせて東松江駅−松江駅間を複線化するものであります。今年の三月には単線高架で営業運転を開始しており、昭和五十三年九月の概成予定に向けて残工事の円滑な推進が望まれるところであります。  次に、上乃木菅田線(第三大橋を含む)道路改良事業についてであります。  松江市は大橋川により南北に分断されておりますが、現在この大橋川を渡る橋梁は三橋しかないため市街地内の交通渋滞は著しいものがあります。そこで、この交通の混雑を緩和し都市発展を図るため、昭和四十三年度から総事業費八十三億円をかけ、第三大橋を含む上乃木菅田線の整備を図っているところであります。この第三大橋は事業費二十八億円、両側の取りつけ道路を含む総延長は五百八十四メートル、幅員は二十三メートル、昭和六十五年の推定交通量は一日二万四千三百台余を予定しております。現在、下部工の施行に入っているところであり、残工事の速やかな推進により計画的な都市発展が図られることが望まれております。  次いで宍道湖東部流域下水道事業であります。  宍道湖、大橋川及び中海は魚類の豊富なことで有名でございますが、近年水質汚濁が急激に進み、生活環境が著しく阻害されるに至っております。そこで、宍道湖及び中海の水質環境基準を達成するため、広域的に下水道整備する必要があるため、島根県におきまして、松江市を中心とした東部処理区と、出雲を中心とした西部処理区からなる宍道湖流域別下水道整備総合計画が樹立されております。これに華づきまして昭和四十九年十一月、松江市、安来市、玉湯町及び東出雲町の二市二町にわたる宍道湖東部流域下水道都市計画決定され、直ちに事業に着手し、昭和五十四年四月には一部供用開始の予定であります。このうち松江市竹矢町に建設を予定しておりまする宍道湖東部浄化センターは、敷地面積十八・八ヘクタール、昭和六十五年時の全体計画は一日最大計画汚水量は二十三万トンであります。現在第一期計画として全体計画の三分の一の整備を推進しているとのことであります。計画の適切な推進により水質保全を図るとともに、快適な生活環境づくりに寄与されることが望まれます。  次に、松江総合運動公園事業であります。  スポーツ施設の将来需要にこたえるため、上乃木町の山林三十五・三ヘクタールの区域を松江総合運動公園として昭和四十六年十二月に都市計画決定されたものであります。園内には陸上競技場、野球場を初めとしてテニスコート、サッカー場、各種の広場、野外劇場、花園等の諸施設が敷地の自然的景観をなるべく損なわないように配置されており、昭和五十七年の国体の主会場にも内定しているとのことであります。公園完成時には市民のレクリエーションと体育向上の場として貢献することになると思われます。  次に、東郷池の水質汚濁についてであります。  東郷池は、鳥取県のほぼ中央部に位置し、面積は四・一平方キロメートルあり、その周囲は十キロメートルの広さを持つ平均水深二メートル程度の浅い汽水湖であります。周辺に東郷、浅津両温泉があるため観光、漁業等に広く利用されております。このため両温泉及び近傍の人家等の排水により、その酸化物が汚濁の進行を速め、環境基準A類型の指定にもかかわらず現在はC類型となっております。そのため水質浄化の対策といたしまして、昭和四十八年度より総事業費六億円をもって、河川環境整備事業によりこの底泥を除去し、早急に環境基準の達成を図る事業を推進しております。昭和四十八年度調査開始以来、底泥の処理方法、土質調査等を検討し、昭和五十一年度より本格的にしゅんせつに着手しているところであります。計画ではしゅんせつ面積百一万一千平方メートル、残土処分は十三万二千二百トンにも上るものであり、現在この残土処分については近傍の田畑に環元しているわけでありますが、これにも量的に限界があると思われるので、早急に他の方法の確立が望まれるところであります。  また、この底泥の除去とともに、水質浄化の対策といたしまして流域下水道事業もあわせて進められております。この天神川流域下水道計画は、倉吉市、羽合町、東郷町、三朝町、関金町及び北条町の一市五町の関連都市を有するもので、処理区域面積約二千二百八十三ヘクタール、処理区域人口は約七万三百人に達し、幹線管渠延長約二十八・三キロメートル、一日の最大処理能力は十六万トンになるものであります。さきの東郷池の底泥の除去及び天神川流域下水道事業により、東郷池の環境基準の達成が早急に図られることが期待されるところであります。  さらに、この一帯に広域公園として臨海公園を建設する事業も総事業費約八十億円をもって昭和四十七年度から進められております。昭和五十一年度までに事業認可面積約五十二・四ヘクタールの九二・四%の用地買収を終えており、これから施設建設が始まるのでありますが、施設建設に当たっては東郷池の水質汚濁の要因とならぬようにきめ細かい事業の推進が望まれるところであります。  次に、国道の整備についてであります。  島根県の道路は、国道十路線、主要地方道三十八路線を幹線として、一般県道百八十五路線、その延長は三千二百四十四・七キロであります。うち、国道は五百八十四・七キロで一八%を占めておりますが、これらの道路は日本海沿いの国道九号線が主動脈として縦貫し、これに五十四号線等の国道、主要地方道が陰陽連絡はもとより、京阪神、北九州の各経済圏を結んでおり、さらに一般県道が国道、主要地方道を相互に結んで道路網を構成しております。道路密度は人口に比し比較的高水準となっておりますが、中国山脈の北面に位置しておるため起伏が多く、多雨、降雪等気象的悪条件に災いされ、道路整備には多額を要するため、現在総延長に対し四八・四%の千五百七十・三キロしか改良されておらず、全国平均を下回っております。また、舗装済み区間は八二・三%の二千六百六十九・四キロで、全国平均に達している現状であります。  次に、鳥取県下の国道について申し上げます。  国道九号は日本海に沿って県を東西に走り、鳥取市を中心とする東部生活圏、倉吉市を中心とする中部生活圏、米子市を中心とする西部生活圏を結ぶ唯一の幹線道路であり、県内生活圏相互の道路交通を一手に引き受けております。また、九号は鳥取、島根両県と特に経済的にも結びつきの強い京阪神地区とのメインルートで、阪神地区との自動車交通の六八%はこの国道を利用しております。国道五十三号は鳥取、岡山を結ぶルートで、一部は三百七十三号と重用しており、この道路が完全に整備された場合、この重用区間、鳥取−智頭町の交通が飛躍的に増加することが期待されております。国道百七十八号は山陰海岸沿いに鳥取県東部から舞鶴に至るいわばローカル交通を受け持っております。国道三百七十三号は昭和五十年に国道昇格になったのでありますが、昭和四十九年、津山まで中国縦貫自動車道が開通したため、京阪神地区と連絡する最短ルートとして一躍クローズアップされております。  これらの道路はすべて一次改築は終了しているものの、県境の峠がいずれも線形が悪く、勾配も急で、特に冬期交通の難所であるため、九号については蒲生トンネル、特に積雪の多い二十九号戸倉峠については降雪余裕幅をとり、線形を改良する局部改良、三百七十三号については昭和五十二年度から権限代行で志戸坂トンネルの改築が着手されておりますが、交通安全施設等の整備も不十分な現在、地域の方々から中国縦貫自動車道と短時間で連絡する道路の改築が強く求められているため、整備目標の早期達成に今後一層の努力を期待いたします。  次に、鳥取市の道路交通問題と鳥取南バイパスについて申し上げます。  鳥取市は、面積二百三十七・二五平方キロ、市街化区域面積二十三・一平方キロと比較的コンパクトな中都市でありますが、都市交通問題では大都市並み、あるいはそれ以上深刻な問題を抱えております。特に朝夕のラッシュ時の交通渋滞は常時慢性しており、公共輸送機関のサービスレベルが非常に低下しております。この傾向は年とともに激しくなる一方であるため、市では鳥取市交通対策審議会を設け、問題解決に取り組んでおります。その対策といたしましては一方通行、バス優先レーン等の交通規制、マイカー通勤の自粛運動、時差出勤等提案しておりますが、いずれも当面の解決策で、根本的な解決策とはなっておりません。  このような道路交通問題を引き起こしておる原因について考えてみますと、第一は鳥取市街地の街路面積の絶対的不足であります。鳥取市は戦災は免れたのでございますが、昭和十八年の大地震、昭和二十七年の大火災と相次いで大被害を受け、特に大火の後は従来の城下町を一新して、東西南北に碁盤の目のように整理し近代都市に一変したのでありますが、道路幅については一部四車線を除いてほとんど二車線幅しかなく、近年のモータリゼーションに対応できなくなっている現状でございます。  第二に、公共輸送機関のサービスが大都市と異なり劣っているため、マイカーの利用、特に通勤者の利用が多いことでございます。  第三は、道路交通体系の問題でございます。鳥取市への流出入幹線道路としては、さきに申し上げました国道九号、二十九号、五十三号、県道鳥取鹿野倉吉線、鳥取国府岩美線がありますが、いずれも都心に放射状に集まり市街地を避けて迂回する道路がほとんどないため、通過交通がすべて市街地を通る仕組みになっていることでございます。  第四は、鳥取市街地の形成——都市機能の一点集中——であります。鳥取市街地はコンパクトではありますが、限られた面積の中に都市機能が過度に集中しているため朝夕のラッシュ時に拍車をかけていることであります。  鳥取南バイパスはこれらの現状認識を踏まえて計画されたもので、市の北西、鳥取バイパス千代水を起点として、ここから南下し、主要地方道の鳥取鹿野倉吉線、都市計画街路停車場布勢線と交差し千代川を渡り国道五十三号と交差して国道二十九号に至る、鳥取市街地を半円形に取り巻く環状道路で、延長八キロ、幅員三十から四十メートル、四車線道路であります。バイパスの完成後は市街地への流出入交通を分散導入させるとともに、沿道に都心機能を再配置し、鳥取市将来構想人口二十万人の受けざらとして都市基盤の骨格をなすもので、早期完成について地元からは大きな期待が寄せられております。  次に、皆生海岸の浸食防止事業についてであります。  皆生海岸は、鳥取県西部に位置する弓ケ浜、美保湾一帯を総称し、弓ケ浜半島の基部に日野川を、左岸に皆生温泉を有し、大山、日本海とともに風光明媚海岸であります。皆生海岸は、明治初年から大正にかけまして全域にわたってなぎさ線は前進しておりましたが、大正十二年をピークにいたしまして皆生温泉付近よりなぎさ線が約三百メートル東西に広がり後退したため、その対策として、昭和十三年から鳥取県で突堤、護岸工事中心に海岸保全事業を進めてきたのであります。昭和三十一年、海岸法が施行され、建設省で調査の結果、一帯を海岸保全区域に指定し、昭和三十五年四月より建設省直轄工事区域といたしまして、皆生工区三千三百二十メートル、日吉津工区三千二百六十メートルを海岸保全施設整備事業費によって浸食対策工事が進められておりました。また、今年度は両三柳工区二千四百九十メートルを直轄区域に編入いたしております。  離岸堤は、海岸堤から沖合い三十メートルに重さ十六トンのテトラポット約九百個と、捨て石約一万立方メートルをもって長さ約百五十メートル、海底から六メートルの高さに積み上げたものであります。この離岸堤により日本海特有の波浪が砕け、波の力が弱まり、運んできた砂が堆積して美しいトンボロを形成、自然の砂浜を取り戻す大きな成果を上げております。高潮、津波、波浪等による災害及び海岸浸食は全国的に進行しつつある現在、これらの対策とともに、海岸の環境を保全するため第二次海岸事業五カ年計画二十五億円をもって離岸堤四基、離岸堤補強二基、突堤、根固め等、長期計画を立案中とのことでありますが、被害の防除と失われた自然は帰らないという前提で事業を強力に推進することを期待をいたします。  次に、大山山系直轄砂防事業についてであります。  現在、大山山系の直轄砂防事業は天神川、日野川の両水系について実施いたしておりますが、天神川水系小鴨川流域は、大山から噴出した火山土質の堆積であるため、降雨の都度河岸及び山腹が崩壊し、多量の土砂を下流平野部に堆積させていたのでありますが、昭和九年の室戸台風による豪雨で天神川流域では至るところに大崩壊が発生、多大な災害をこうむったのであります。このため鳥取県におきましては昭和年度から天神川流域の砂防工事に着手したのでありますが、事業規模及び河川改修事業との関連等があり、昭和十一年度に小鴨川流域を直轄事業として実施することとなり現在に至っております。事業の進捗状況は現在土石流対策としてのダム工がほぼ完了し、流路工を主体とした事業を実施しておりました。  日野川水系につきましては、右津の各渓流の上流部に大山南壁から崩落する火山砕屑が多量に堆積しており、降雨の都度多量の土砂を押し出し、常に土石流発生の危険があるため昭和年度から鳥取県では砂防工事が実施されてきたのでありますが、河川事業とあわせて一貫した治水対策を樹立するため、昭和四十六年度から建設省で大山山系全域についての基礎調査を実施し、別所川、清山川、大江川、白水川、小江尾川、船谷川、俣野川の七渓流について直轄で砂防工事を実施することとなり、昭和四十九年度より土石流対策としてダム工に着手しております。  昭和五十二年度事業概要によりますと、業費四億九千七百万円をもって、天神川水系では小鴨川上下流、泉谷川、清水谷川等の流路工を実施し、日町川水系では大江川添谷ダム、小江尾川吉原ダム、大江川一ノ沢床固め工等の事業が実施されております。特に近年は集中豪雨による激甚な災害が頻発しておりますが、土石流はその破壊力が著しく大きいため、一瞬にして人命財産に壊滅的な被害をもたらすため対策はきわめて緊要であります。強力に事業が推進されますよう強く要望いたします。  次に、千代川河口つけかえ事業についてであります。  千代川は、源を中国山脈の沖ノ山に発し、鳥取平野を北流、砂丘を貫いて賀露町で日本海に注ぐ鳥取県東部の重要な河川であります。流域は千百九十三キロ、流路延長五十七キロ、流域内人口二十万人で、山陰の中心的の役割を果たしております。河口はこうした大砂丘地帯を貫流して日本海に注いでいるため漂砂の問題が多く、河口維持には多大の努力が払われております。千代川は河口の川幅が狭いため、豪雨で大量の水が出ると、はき切ることができず、湖山川や旧袋川など河口付近の小河川に逆流、特に大正七年の大災害では死者三十名のとうとい命を失っております。一方、河口の賀露港では、毎年漂砂の移動に伴って河口に砂が推積、船舶の航行に支障を来し、港湾としての機能が著しく減退しております。  これらの現状から、河口を改修つけかえして、治水面では洪水の安全流下と港湾機能維持のため、昭和四十九年試験導入堤の着工に至っております。工事は総事業費八十五億円、うち、治水分は約六十億円をもって河口の水深を現行より四メートル下げ、計画高水流量四千九百トンを六千トンに変更し、川幅を二百三十メートルに広げ、五十五年度を通水目標とするものであります。流量変更に伴う砂丘等への影響については土木研究所で調査し、実験の結果、特別の配慮を施すこととなっております。河口処理と鳥取港整備は鳥取市の都市計画上重要な位置を占めているもので、地域振興に寄与するところが大きく、また将来の大陸貿易港としての物流基地にとどまらず、山陰観光の基地としても大きな期待が寄せられております。  次に、斐伊川の改修事業についてであります。  斐伊川は、源を鳥取、島根の県境、船通山の北麓に発し、三刀屋川、赤川等の支川を合わせ、簸川平野を貫流し、宍道湖に流入する幹川で、流路延長百五十三キロ、流域は鳥取、島根両県の六市六部、流域面積二千七十平方キロであります。斐伊川の治水事業は古く、寛永年間の築堤工事の記録が発見されております。  本川は、大正十一年直轄事業として、明治二十六年の大洪水に基づき大橋川をしゅんせつする計画に着手し、昭和八年まで十二カ年継続工事として総工費六百二十万円で施行、その後さらに工期の延伸により、昭和十九年度竣工の二十三カ年継続事業となったのであります。その間、斐伊川の右派川である新川は昭和十四年一月に締め切り、廃川敷として処分されております。その後昭和二十年、斐伊川の特性である流送土砂による河道の埋没対策として下流の複断面計画と、堤防が砂質であるため漏水対策、さらに昭和四十二年から区域延長された本川上流部の改修と、宍道湖については暫定水位二メートルに対し堤防高三メートルの暫定施行を行い、中海についても計画高水位一メートル四十四に対し堤防高三メートルの暫定施行を行い現在に至っております。  しかし、昭和四十年七月、昭和四十七年七月、さらに昭和五十年七月の洪水にかんがみ抜本的治水計画を樹立する必要に迫られ、昭和五十一年七月、斐伊川水系工事実施基本計画の改定を行ったのであります。計画では、基準地点大洋で計画高水流量三千六百トンを五千百トンとするもので、高水処理の施設計画としては、斐伊川及び神戸川に洪水調節ダムの建設と、斐伊川中流部左岸から神戸川右岸に至る放水路の開削のための調査計画しております。昭和五十二年度での事業といたしましては、改修、維持修繕、環境整備費十二億六千余万円をもって本川上流部の請川、三代橋等の継続実施と、中海・宍道湖地区の湖岸堤の促進、浄化用水導入の末次ポンプ場完成、中海汚泥しゅんせつの試験施工を実施いたしております。  高度成長から安定成長経済情勢が移行した現在、高度成長時代に受けた河川への影響は、流域の急激な開発に伴い、洪水量の増大、用地の取得難と相まって、治水上の安全度は向上するどころか、都市河川にあってはむしろ低下しており、また利水面では水需給のアンバランスが拡大しております。これらの原因は、急激な経済成長と、これに追いつかない社会設備投資という外的要因でありますが、河川の側での内的要素として、治水にあっては洪水時のみを対象とし、利水にあっては渇水時のみを対象とし、ただ対症療法的に計画しているところに多少要因があるのではないかと思われます。いずれにいたしましても、人間環境重視の安定成長期に入った現在、河川の目標とすべき安定した姿はどんなものか、そこに至る過程はどうあるべきかを考えると、ただ線的に河川の形を改造するだけではなく、環境にマッチした河川を創造するため、流域管理といった面的なものの考え方を織り込み、国土利用計画法、都市計画法との連係を保ちつつ事業を積極的に推進することが肝要であると考えるのであります。  次に、中海干拓事業についてであります。  本事業は、大正十一年から昭和七年に実施された大橋川のしゅんせつによって塩水が宍道湖へ逆流するようになり、沿岸の耕地が用水源を失ったため開発計画が立案されたのでありますが、治水、漁業、観光等の理由により実現するに至らなかったのであります。その後島根県は、高度な産業構造への移行を期して中海・宍道湖の大規模な干拓並びに淡水化と斐伊川の治水対策を結びつけた斐伊川・宍道湖・中海総合開発計画を、鳥取県では中海の埋め立て、弓ケ浜半島の農業開発、日野川の多目的開発を一環とした地域の総合開発計画をそれぞれ策定し、調査を進め、昭和四十二年、漁業補償の解決、さらに河川法、公有水面埋立法等の協議を完了し、昭和四十三年度から農林省が工事を開始し、昭和五十七年度完成を目標として施行中であります。  この事業は、中海に約二千八百ヘクタールの大規模な干拓を行うとともに、中海・宍道湖の残水域一万五千ヘクタールを淡水化し、干拓地と沿岸既耕地、約四千八百ヘクタールの農業用水を確保し、近代的農業経営を可能にする先進農業地域を創設するとともに、農業経営の合理化を図ろうとするものであります。さらに、この事業は農業振興にとどまらず、昭和四十一年十一月に指定されました中海地区新産業都市計画とも相まって、港湾道路網、観光の開発、淡水湖の工業用水利用等、地域の総合的な開発に大きな役割りを果たすことが期待されております。  事業計画では、中海内に五地区を選定し、江島、大根島、大海崎を結ぶ北部海域、揖屋沖及び米子湾にポンプ排水による干拓、米子市彦名地先と境港市小篠地先に埋め立てを行い農地を造成するものであります。干拓による湖面の縮小に対しましては、中海の洪水調節能力が減退することのないように、境水道の疎通能力の増大を図るため、境水道の現況平均断面二千百平米を二千六百平米にしゅんせつし、さらに中浦水道を幅員五百メートルに拡張し、その調整を図るものであります。また、中浦水道及び佐陀川仲田地点に防潮水門を建設し、船舶航行のための同門を併設、中浦水門では最大五千トンの船舶の通航が可能とのことであります。中海干拓は周辺の地域開発に有形無形の可能性を与える重要な事業であるため、大きな期待とともに、中海の水質に与える影響、観光資源としての景観の損失、さらには農地としての将来性についての検討等も大きな課題であります。  以上で両県下における実情調査概要を御報告いたしましたが、両県知事から要望がありましたので、その内容について申し上げます。  鳥取県につきましては、特に開発がおくれている現状から、地域開発の促進のための根幹をなす建設行政を県政の重点施策として推進するため、中国横断自動車道姫路−鳥取線、岡山−鳥取線及び山陰海岸自動車道を国土開発幹線自動車道の予定路線への追加指定、国土開発幹線自動車道(中国横断・中国縦貫自動車道)の建設促進、一般国道九号の四車線拡幅の促進並びに米子バイパス、鳥取バイパス、北条バイパス、駟馳山バイパス、一般国道二十九号の戸倉バイパス、一般国道五十三号の叶バイパス、鳥取南バイパス、河原バイパス、一般国道三百七十三号志戸坂トンネル建設促進、一般国道百七十八、百七十九号(特に人形峠のトンネル)及び百八十一号、一般国道百八十号及び三百七十三号の整備の促進、県道及び市町村道、都市計画道路(街路)の整備促進、小鴨橋の改良を含む国道三百十三号の整備促進、国鉄鳥取駅及びその付近の高架事業、広域公園事業、天神川流域下水道事業公共下水道事業、鳥取駅前及び米子駅前通り土地区画整理事業、市町村施行土地区画整理事業、直轄河川千代川、天神川及び日野川の改修事業、直轄海岸保全事業、中小河川改修事業、東郷池(橋津川)河川浄化対策事業、殿多目的ダムの建設促進、賀祥治水ダム建設事業費の増額、中海浄化対策の推進であります。  島根県におきましても、鳥取県とほぼ同様、県政推進の基本方針について説明を聴取いたしました。  個々の陳情の内容につきましては、宍道湖流域下水道事業の促進、斐伊川及び神戸川の治水対策、山佐川総合開発事業及び水道用水供給事業の促進、島根県沿岸の特定海岸指定、高速自動華道の建設促進、上乃木菅田線(松江第三大橋)街路事業土地区画整理事業の促進、一級河川江の川の直轄区間の延長河川改修事業、海津保全事業、砂防事業の促進、急傾斜地崩壊対策事業に対する受益者負担の軽減、道路整備五カ年計画の拡大改定と道路整備事業の促進、一般国道九号バイパス並びに登坂車線整備促進、一般国道三百十四号坂根峠の直轄事業着手、既設公営住宅改善事業の採択基準の緩和、公営住宅建設用地先行取得債制度の新設について要望がございました。  以上で報告を終わらしていただきたいと思いますが、建設省当局にお願いでございますが、どうかひとつ聞きっ放しでなくて、この島根、それからまた鳥取県から出ている要望事項等につきまして、それは北海道も含めてでございますが、真剣にひとつ取り組んでいただきたいと、このことを強く私といたしまして要望いたします。  以上でございます。
  10. 委員長(小谷守君)(小谷守)

    委員長小谷守君) 以上で各班の派遣委員報告は終わりました。  ただいまの御報告に対し、質疑はございませんか。——別に御発言なければ、派遣委員報告はこれをもって終了いたします。  本日はこれにて散会いたします。   午後三時十三分散会