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1977-11-18 第82回国会 参議院 決算委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年十一月十八日(金曜日)    午前十時十四分開会     —————————————    委員異動  十一月十六日     辞任         補欠選任      野田  哲君     瀬谷 英行君      矢田部 理君     宮之原貞光君      大塚  喬君     竹田 四郎君  十一月十七日     辞任         補欠選任      竹田 四郎君     大塚  喬君  十一月十八日     辞任         補欠選任      和泉 照雄君     太田 淳夫君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長        茜ケ久保重光君     理 事                 遠藤  要君                 坂元 親男君                 寺下 岩蔵君                 案納  勝君                 田代富士男君     委 員                 岩崎 純三君                 北  修二君                 世耕 政隆君                 長谷川 信君                 降矢 敬義君                 増岡 康治君                 坂倉 藤吾君                 丸谷 金保君                 太田 淳夫君                 沓脱タケ子君                 安武 洋子君                 下村  泰君    国務大臣        法 務 大 臣  瀬戸山三男君    政府委員        法務大臣官房長  前田  宏君        法務省民事局長  香川 保一君        法務省訟務局長  貞家 克己君        法務省人権擁護        局長       鬼塚賢太郎君        法務省入国管理        局長       吉田 長雄君        外務省経済局次        長        溝口 道郎君        大蔵政務次官   斎藤 十朗君        大蔵省関税局長  戸塚 岩夫君        通商産業政務次        官        河本嘉久蔵君    最高裁判所長官代理者        最高裁判所事務        総長       牧  圭次君        最高裁判所事務        総局経理局長   草場 良八君    事務局側        常任委員会専門        員        道正  友君    説明員        経済企画庁調整        局審議官     阿多 忠明君        法務省刑事局公        安課長      石山  陽君        法務省保護局総        務課長      高田  治君        外務省アメリカ        局北米第一課長  渡辺 幸治君        会計検査院事務        総局第二局長   松田 賢一君     —————————————   本日の会議に付した案件理事補欠選任の件 ○昭和四十九年度一般会計歳入歳出決算昭和四  十九年度特別会計歳入歳出決算昭和四十九年  度国税収納金整理資金受払計算書昭和四十九  年度政府関係機関決算書(第七十七回国会内閣  提出)(継続案件) ○昭和四十九年度国有財産増減及び現在額総計算  書(第七十七回国会内閣提出)(継続案件) ○昭和四十九年度国有財産無償貸付状況計算書  (第七十七回国会内閣提出)(継続案件)     —————————————
  2. 茜ケ久保重光

    委員長茜ケ久保重光君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告をいたします。  去る十六日、野田哲君が委員辞任され、その補欠として瀬谷英行君が選任され、また同日、矢田部理君が委員辞任され、その補欠として宮之原貞光君が選任されました。     —————————————
  3. 茜ケ久保重光

    委員長茜ケ久保重光君) 次に、理事補欠選任についてお諮りいたします。  去る十六日、大塚喬君の委員異動に伴い、理事に欠員が生じましたので、この際、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 茜ケ久保重光

    委員長茜ケ久保重光君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事案納勝君を指名いたします。     —————————————
  5. 茜ケ久保重光

    委員長茜ケ久保重光君) 次に、昭和四十九年度決算外二件を議題といたします。  本日は、法務省最高裁判所決算について審査を行います。  この際、お諮りいたします。  議事の都合により、これらの決算概要説明及び決算検査概要説明は、いずれもこれを省略して、本日の会議録の末尾に掲載いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 茜ケ久保重光

    委員長茜ケ久保重光君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  7. 茜ケ久保重光

    委員長茜ケ久保重光君) 質疑通告のない牧最高裁判所事務総長は退席して結構でございます。  それでは、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  8. 田代富士男

    田代富士男君 最初法務省にお尋ねをしたいと思います。  現在法律扶助制度という制度がございますが、これは、資力が乏しいために裁判を受けることができずに困っている人に対しまして、訴訟費用あるいは弁護士費用等訴訟に関するそういうすべての費用を立てかえて支払うという制度でございまして、訴訟終了後にもちろんその費用は返還をしてもらう制度になっておりますが、最近この扶助決定件数というものが非常に停滞をしている。それに引きかえまして申し込み件数は非常に多くなっていると、こういうような現状がございます。法律上正しい権利を持っているにもかかわらず、貧しいために法律の庇護を受けられない人を守るためにも、こういうような現在の停滞しているというようなことであってはならないと思うわけなんですが、まず現在の状況をあらあら御説明を願いたいと思いますし、こういう問題にどのように対処していくか、最初にお尋ねしたいと思います。
  9. 鬼塚賢太郎

    政府委員鬼塚賢太郎君) それでは最初に、最近十年間の法律扶助申し込み件数扶助決定件数との関係について、まず数字的なことを申し上げたいと存じます。  これを見ますと、全体の傾向といたしましては、申し込み件数はただいま御指摘のように毎年増加しておりますが、扶助決定件数昭和四十六年度をピークといたしまして、毎年減少傾向にございます。  ちょっと数字を申し上げますと、四十二年度の申し込み件数が四千四百九十三件、これに対しまして扶助決定件数が千九百二件、それから四十三年度の申し込み件数は五千二十九件、それからこれに対しまして決定件数が千九百五十一、それから四十四年度の申し込み件数が五千二百四十五件、これに対する決定件数千九百六十八件、それから四十五年の申し込み件数が五千九百六十七件、これに対する決定件数が二千四百十七件、四十六年度の申し込み件数は七千二百四十九件、これに対する決定件数が三千百四件、それから四十七年度の申し込み件数が六千八百四十二件、これに対する決定件数が二千九百三十五件、四十八年度の申し込み件数が六千九百十七件、これに対する決定件数が二千九百三十件、四十九年度の申し込み件数が六千五百十八件、これに対する決定件数が二千四百九十二件、それから五十年度の申し込み件数が八千五百三十六件、これに対する決定件数が二千百六十九件、五十一年度の申し込み件数が九千二百四十件、これに対する決定件数が二千二百七件でございます。  それで、この決定件数がこのように停滞しております原因として考えられますことは、これは従来扶助決定件数相当部分を占めておりましたものが集団訴訟事件、それから自動車事故関係事件でございましたが、これが最近急激に減少したためではないかと考えておるのでございます。それをもう少し具体的に申し上げますと、自動車事故関係事件は、昭和四十七年に六百九十八件でございましたが、以後減少を続けまして五十一年は二百五十件でございます。集団訴訟事件としては、御承知のとおりサリドマイド事件とか、スモン事件とか、カネミ油症事件大洋デパート事件等がございます。これらの関係事件か非常に最近減ったということがその大きな原因であろうと考えておるわけでございます。
  10. 田代富士男

    田代富士男君 いまこのように決定件数か少なくなった理由を申されましたけれども、私はそれだけではないじゃないかと思います。それも一つ原因であるかと思いますが、一つはこの法律扶助制度事務体制という問題がどういう状況になっているのか。たとえば地区協議会及び支部事務局職員の大半というものが弁護士会事務局との兼務者によって行われている。そういたしますと、弁護士会事務とこの法律扶助事務と両方になりますと、事務職員は過度の事務量を強いられることになりまして、事務処理の低下というものは否めないではないかと思うわけなんです。そういう意味から、現在専従職員の置かれております地区協議会及び支部全国でどのようになっているのか、御説明願いたいと思います。
  11. 鬼塚賢太郎

    政府委員鬼塚賢太郎君) ただいまの御質問の点でございますが、これはちょっと手元に資料がございませんので正確にはお答えできませんのでございますが、大体あらましのことを申し上げますと、専従職員東京で十四名、それから大阪がこれ六名中四名が専任、それから京都は四名中一名が専任、それから兵庫は三名中二名が専任、それから愛知は専任二名、それから福岡二名と、このように聞いております。なお、地区協議会支部職員というのはこれは同一でございます。
  12. 田代富士男

    田代富士男君 いま御説明されましたけれども、やはりこの法律扶助制度というものが社会的に弱い立場にある人を守る制度でありますから、より充実いたしまして、法務省といたしましても温かい手を差し伸べなくてはならない。いま代表的なところの数字を申されましたけれども、さしあたり各支部最低一名の専従職員を置くくらいの配慮をすべきではないかと思うわけなんですけれども、この点はどうでしょうか。
  13. 鬼塚賢太郎

    政府委員鬼塚賢太郎君) おっしゃるとおりそれは望ましいことであると考えておるのでございますが、協会の現在の財政事情では困難ではないかと考えております。
  14. 田代富士男

    田代富士男君 いま協会の財政的な問題でそこまではいかないということでございますが、後でもその問題は御質問いたしますけれども、こういうような法律扶助制度に対しましては、いまそういう法曹界の中にありましても、国情に合った専従弁護士制度を採用いたしまして事務処理迅速化、そして一件当たり扶助単価を低くしてできるだけこういう問題を処理するようにやっていったらどうかという声も聞かれております。そういう予算関係でできないということでございますが、法務大臣どうでしょうか。こういうような弱い立場を守る立場にある法務省責任者といたしまして充実すべきであると思いますが、大臣いかがでございましょうか。
  15. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) いま事務当局から説明したのが概要でございますが、私も就任早々でございますけれども、この制度は、いまお話しのように財政的に苦しい人の権利を保護しようと、法のもとに平等な立場に置こうと、こういう一つ社会保障制度みたいなものだと思います。ところが、いま御説明申し上げましたように、これはもう少し実態を私もきわめなきゃならないと思いますが、やや形式に流れておるような気がいたします。ですから、これはよく協会側とも相談をいたしまして、もう少し詰めてみる必要がある、かように考えておりますから、慎重に検討してみたいと思います。
  16. 田代富士男

    田代富士男君 いま財政的な問題で、そういう各支部最低一名の専従職員を置くことはできないということでございますが、最近十年間の国庫補助及び地方公共団体民間からの補助現状について御説明を願いたいと思います。
  17. 鬼塚賢太郎

    政府委員鬼塚賢太郎君) 昭和五十一年度におきます法律扶助協会に対する法務省補助金交付額は七千二百万円でございまして、そのうち六千四百万円が、これが扶助費それから八百万円が調査費として交付されております。で、以前は運輸省からも補助金がありましたのですが、これは交通事故関係について出ておりまして、先ほども御説明いたしましたように、交通事故関係が非当に減少したものですから、この運輸省補助金昭和五十一年度からは交付されないことになっております。これが国庫補助金の状態でございますが、そのほか扶助協会では、地方公共団体からの補助金交付、それから民間からの寄付を受けている、相当額受けているということは承知しておりますが、その金額につきましてはちょっと正確なところを把握しておりませんのでございます。もし必要があれば、また後で答弁いたします。
  18. 田代富士男

    田代富士男君 いま概略の説明でございますが、この法律扶助協会に対しまして従来国会議員寄付等が行われたわけでございますけれども、これは御承知のとおりに公選法の第百九十九条の二に違反するとして問題になったことがあると聞いておりますか、そういう意味から、同協会に対するただいまの国の補助金支給額、そういうものが非常に少ない。いま運輸省からのあれも打ち切られたというようないろんなことがございますけれども、この法律扶助協会というものは、国や地方公共団体からの補助金を得て国民裁判を受ける権利の実現に努めていかなくちゃならないと思いますから、こういうところに対しましても、啓蒙を図るなり、こういうような目的達成するための努力をみずからやるべきでないかと思いますが、大臣どうでございましょうか。
  19. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) 先ほども申し上げましたが、私はこの制度はきわめて重要な制度と思っておりますが、どうも現状を見ますると、これが十分にいっておるとは思いません。そこで、御承知のとおりに、これは貸し付けをして回収をするたてまえになっておりますが、事柄の性質上回収不能のものもあります。これは十分に回収されておらないという点もあります。そういう点が、事務能力関係か何かあるかもしれませんし、そういう点も含めて、もう少し真剣に検討してみたい。国から御承知のとおりに五十一年度も七千二百万、五十二年度も七千二百万予定しておるわけでございますが、それだけでいいのかどうか。この回収金事務体制と、そういうものを含めてもう少し充実すべきものだと思いますから、検討してみたいと思います。
  20. 田代富士男

    田代富士男君 そこで、ひとつこの費用の点でございますけれども、こういう事件を担当した場合の訴訟費用、また弁護料というものが実際にはどのくらいかかっているものでございましょうか。そこらあたり状況を御説明願いたいと思いますが、平均的なあれで結構でございます。
  21. 鬼塚賢太郎

    政府委員鬼塚賢太郎君) それでは、数字によって申し上げたいと思いますが、過去三年間の実績によりまして昭和五十三年度の扶助事業費必要額を推計いたしますと、大体総額三億百七万円余になる見込みでおります。その内容といたしまして申し上げますと、まず訴訟費用でございますが、訴訟費用件数が二千九百四十七件、一件当たり単価が二万二千百五十七円、それで金額といたしましては六千五百二十九万六千六百七十九円となります。  次に、弁護士手数料でございますが、これが二千九百四十七件、件数といたしましては。それから、一件当たり単価四万三千十一円、金額といたしまして一億二千六百七十五万三千四百十七円でございます。  それから弁護士の謝金、これが件数といたしまして七百四十八件、単価といたしましては九万五千六百十六円、金額といたしまして七千百五十二万七百六十八円。それから補償金がございます。この補償金件数といたしまして百六十五件、それから単価が二十二万七千二百九十七円、金額といたしまして三千七百五十万四千五円と、概要このような数字になっております。
  22. 田代富士男

    田代富士男君 いま概況の説明をいただきまして、現在一件当たり訴訟費用弁護士手数料というものは、これは事件内容にもいろいろありましょうけれども、六万円前後であるというような数字が出ておりますけれども、実際の所要経費実行単価というものは、これもいろいろ違いがありますが、これの大体倍ぐらいの費用がかかるというようなことも私は聞いておりますけれども、こういうような状況であったならば、やはりなかなか仕事というものも進まないではないかと思いますし、この法律扶助協会なるものの性格から言いまして、これは社会的に弱い立場の人を守る制度でありますから、これはやはり国庫補助に頼る以外にないのではないかと思うわけなんです。そういう意味から、協会資金の一部といたしまして国庫補助に求めておりますけれども、最近の法務省補償金というものは、ただいま大臣からもお話がありましたとおりに、一定して増額をされていないと、こういうようなことから考えるならば、補助金増額というものも考えて、そうして、法律扶助制度の本質というものを再考すべきではないかと思うんですけれども、ちょうどいまから予算審議も始まりますけれども、こういう点に対して大臣いかがでございましょうか。
  23. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) 先ほども申し上げましたように、五十三年度、やはり同じような概算要求をしておるようでございます。そういうことで、御承知のような財政事情でありますから、これを増額できるかということはいま確約的にお答えはできかねますが、どうもさっき申し上げましたように不十分なような気がいたしますから、十分検討してみたいと、かように考えております。
  24. 田代富士男

    田代富士男君 これは検討してもらうということでございますから、私はどうすることもできませんが、本当に検討をひとつお願いをしたいと思います。  それともう一つは、国民立場から申し上げるならば、こういう法律扶助制度というものがございますけれども、周知徹底されていない面がございます。そういう意味から、最近はこういう申し込み件数もふえておりますけれども、それ以外にも潜在需要があることは間違いないわけなんです。そういう意味から、この制度をもっとよくしていくには、ただいまも私が指摘しておりますとおりに、資金量が増大してくるならばこの制度の活用というものも活発化されていくことは間違いありませんけれども、それと同時に、この法律扶助制度周知徹底というものに対しましてどのように対策をされてきたし、今後はどのようにそれをさらに推進するために考えていらっしゃるか、お聞かせ願いたいと思います。
  25. 鬼塚賢太郎

    政府委員鬼塚賢太郎君) 人権擁護機関といたしましては、従来からこの法律扶助制度周知徹底を図るためにPRに努めてまいったのでございますけれども、まだ確かに一般的に言いますと、この制度に対しての国民の認識がそう高くはないのではないかというふうに考えられますので、そのために潜在的にありますそういう気の毒な方々の権利保護が薄くなるようでは困りますので、もっとこの扶助制度が利用されるように周知徹底に努めたいと考えておるわけでございます。  それで、法律扶助協会といたしましては、本年の五月に、日比谷公会堂でこの法律扶助に関する講演会を開きまして、この講演会につきましては朝日新聞、東京タイムズにも大きく取り上げられております。それから、人権擁護局といたしましては、総理府の協力を得まして、本年の七月に二回にわたりテレビの放映をいたしました。  なお、法務局地方法務局におきましてもパンフレットを発行しまして宣伝に努めておりますし、それから、人権相談を通じましてこの扶助制度の紹介に努めております。なお、市町村の広報紙にもお願いをいたしまして宣伝していただいております。  こういうことを今後も強化していきたいと考えております。
  26. 田代富士男

    田代富士男君 じゃ次に、全国法務局のいろいろ建物がありますけれども、この建物が、借り上げ庁舎建物が非常に法務省関係では多いわけなんです。まず、どういう現在の状況になっておるのか、御説明を願いたいと思います。
  27. 香川保一

    政府委員香川保一君) 法務局は、法務局支局、出張所を合わせまして現在千三百六十九庁あるわけでございます。このうちいま御指摘借り上げ関係でございますが、土地を借りているものが六百八十八庁、全体の五〇%になっております。建物が三百九十七庁で全体の二九%ということになっております。
  28. 田代富士男

    田代富士男君 問題は、この借り上げ庁舎解消の問題についてでございますけれども、私も地方法務省関係のところへ仕事に参りました折に、政府の他の省に比べまして、法務省のこういう建物といいますか、庁舎というものが非常に粗末である。もう廊下を歩いておりましてもきしんで音がするというような、そういうような建物もあります。こういうように見た場合に、庁舎を改善するなり、あるいはそういう仕事の能率を上げるためにも、迅速なそういう仕事を進めていくためにも、これは一つの障害になっているのではないかと思いますし、さりとてこれは一度に解決するわけにはまいりませんが、このまま放置するわけにもいかないと思います。だから、いまも法律扶助制度問題一つを取り上げましても、これはいろいろ関係もありましょうけれども、こういう仕事を進めるにおきましても、また法務全体の仕事を進めるにおきましても、こういうような庁舎がいま千三百六十九庁のうちの半分はこういう借り上げ庁舎であるという、こういう問題は解決をいたしまして、そうして、それは行政サービスの向上に努めるべきだと思います。法務大臣はただいまも、就任して間もないから、状況を判断して検討するとかいろいろ申されましたけれども、この庁舎の問題は他の省庁に比べまして大きな一つ問題点だと思うんですけれども、大臣、この問題いかがでございましょうか。
  29. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) 御承知のとおりに、法務局支局といいますか、これは非常に数が多うございまして、長い伝統があるわけでございますが、借り上げであるとか、庁舎が古いとか、いろいろ問題があります。   〔委員長退席理事案納勝君着席〕 従来から計画的に進めておるわけでございますけれども、おっしゃるように、やはりその執務環境あるいは国民に対するサービス、これは大事な機関でありますから、一挙にはいまおっしゃるようになかなかいきませんが、財政事情とにらみ合わせなくちゃなりません。しかし、これは今後とも積極的に整備を進めたい、かように考えておるところでございます。
  30. 田代富士男

    田代富士男君 そういうわけで、いま、せめてどのぐらいのめどでこれを大臣としておやりになっていくのか、この計画でも、具体的な説明でもお聞かせ願えたらと思いますが。
  31. 香川保一

    政府委員香川保一君) 借り上げ庁舎解消の点につきましては、今後は、数年前からでございますが、借り上げ庁舎は大体老朽のものが多うございまして、古いものは明治時代に建ったというふうなものもございまして、さような老朽庁舎を新営いたします場合には、地元に負担をかけないで全部国費で新営するという原則を貫いておりまして、したがいまして、先ほども申し上げましたように、建物については借り上げ庁舎が著しく減少してきておるわけでございます。先ほど申しました建物借り上げ関係の三百九十七、これは大多数が老朽のものでございまして、今後、私どもといたしましては、これも含めまして国有老朽のものも合わせて五年ぐらいで全部解消したい、かように考えておるわけでございます。  ただ、土地借り上げ関係でございますが、これは民有はわずかでございますけれども、大部分が公有、地方公共団体から拝借しておるわけでございます。これは単価が非常に高うございまして、なかなか不動産購入費でもって買い上げるというふうなことは一挙にはまいらないわけでありまして、その面の努力も今後続けてまいりたいと思うんでありますが、それとあわせまして、他の国有地、普通財産になっております国有地との交換を強く進めておりまして、財務当局の御協力も得まして交換方式によって借り上げ解消してまいりたいというふうに考えて目下鋭意努力中でございます。
  32. 田代富士男

    田代富士男君 じゃ、ひとつ努力していただきたいことを希望いたしまして次の質問に移りたいと思います。  ロッキード問題の裁判が現在行われておりますけれども、現在ロッキード事件裁判一つ問題点となっておりますのが、事件解明の唯一のかぎというものはSECにおきますロッキード社に対する証言内容ではないかと思います。この証言については、過日五十一年三月十二日閣議決定された政府の資料提供に関する基本方針に基づきまして、いわゆる三木親書をもちまして、米国に対しわが国へ全面移譲し公表するという段取りで進まれてまいったことは御承知のとおりだと思いますが、しかるに、重要部分であります政府高官名は伏せられ、また、資料の全面公開もされておりません。また、御承知のとおりに、日米司法共助によるコーチャン等三名の嘱託尋問調書の証拠能力をめぐりまして、裁判進行の中におきまして、田中側の弁護人等からその信憑性に疑義があると提起されておりますけれども、これは日米政府間における段取り決めで行われた嘱託尋問であり、その証拠に疑義があると提起をされるということは、裏を返して言うならば、SECのロッキード社調査資料等が十分にまた全面的にわたり公開されていないところに原因があるのではないかと思いますけれども、真相究明のためにもこのような全資料を速やかに公表すべく、法務省といたしまして、外務省あるいは在米大使館等を通じまして、交渉に当たるべきだと思いますけれども、大臣、いかがでございましょうか。
  33. 渡辺幸治

    説明員(渡辺幸治君) 現在いわゆるロッキード事件については、米国の証券取引委員会及び司法省において現在も捜査続行中であるというように承知しております。で、外務省といたしましては、ロッキード事件に関する公開の資料については、公開された直後に米国政府を通じて入手するように努力しておりますけれども、先ほど申しましたように、現在米国証券取引委員会及び法務省において続行中ということでありますので、その入手については困難であるということになっている次第でございます。
  34. 田代富士男

    田代富士男君 大胆どうですか、法務省として。
  35. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) いま外務省からお答えいたしたとおりでありまして、向こうが公開をしないという段階においては非常に困難であると、かように考えております。
  36. 田代富士男

    田代富士男君 こういうことが、現在ロッキード事件が、一面では、衆議院のロッキード特別委員会におきましては大刀川喚問も拒否された、アメリカに対する調査に行くということも決まっていたことが拒否されたということで、ロッキード事件の幕引きではないかということがいろいろうわさされておりますけれども、あれだけの疑惑を持ったロッキード事件でございますから、これはこのまま済ますわけにはまいりません。だから、そういうアメリカの態度でありますけれども、法務省といたしまして、アメリカに資料の公開、新たな資料を要求してこそ日米相互の信頼関係を結んでいくことができるのではないかと思います。そういうようなアメリカ側のかたい姿勢というものは、もちろんロッキード事件だけでありますけれども、   〔理事案納勝君退席、委員長着席〕 それ以外にあらゆる面に見え始めております。これは御承知のとおりに、公明党の矢野書記長——矢野団長を中心に訪米団が行っておりますけれども、ロッキード事件に対する強い姿勢とともに、これは経済問題に対する強い姿勢を示しております。  関連いたしましてお尋ねをいたしますけれども、去る十一月の十六日に、モンデール副大統領、ストラウス米通商交渉特別代表、ウルフ同次席に会いまして、日米経済関係の緊急緩和策を話し合いをいたしました。その席上で、モンデール副大統領はこのように言ったということを党本部に連絡がございました。また、これはすでに一般紙にも報道されましたが、モンデール副大統領は、福田首相はロンドンでの先進国首脳会議で黒字減らしを表明したが、日本の黒字は逆に増大している、経済成長率の目標達成はよいけれども、輸入がふえなければ困る、日米経済関係の緊張は日々に深刻化していると、こういう発言をしております。またストラウス特別代表は、具体的成果が期待されないまま訪日すれば、アメリカの議会内の保護貿易主義、反日感情を爆発させてしまう危険性がある、このままの状態を放置しておけば、日米関係は破裂し、貿易関係もだめになると警告をしておりますけれども、このようなモンデール副大統領、ストラウス特別代表のこういう警告に対しまして、政府といたしましてどのような受けとめ方をするか、ひとつこれは外務省お願いいたします。
  37. 溝口道郎

    政府委員(溝口道郎君) 御指摘のとおり、最近世界経済の深刻な状況を背景といたしまして米国の経済もいろいろ問題がございまして、失業問題などが出て、労組あるいは議会方面で非常に保護主義的な機運が高まっているという状況でございまして、わが国はアメリカとの間ではこの春の総理の訪米あるいはロンドンの首脳会談、あるいはOECDの閣僚会議等々、あるいは九月にいわゆる準閣僚会議がございましたが、いろいろな機会を通じてアメリカと協議をいたしておりまして、こういう機会におきましても、米国といたしましては日本の増大する国際収支の不均衡に対して非常に懸念を表明してきておりますけれども、特に最近におきましては、米国政府は米国の国内の空気が非常に悪いという、日本の国際収支の問題もなかなか解決しないということに非常ないらだちが高まっておりまして、矢野書記長に米側が伝えたような空気は政府のいろいろな情報においても伝わってきておりまして、わが国といたしましては、ただいまストラウスのSTRの法律顧問であるリバーズ等の米国の事務当局のミッションが来日しておりまして、本日から協議を行っておりますが、さらに詳しく米側の態度を聞いてこれに対処していきたいという考え方でございます。日本政府の方といたしましては、従来より、成長率の六%台の達成と、そのために一連の総合経済対策も九月に発表をいたしまして、その一環といたしまして、いろいろ対外面につきましても、国際収支の均衡を図るためにいろいろな対外施策について九月二十日に一応の措置を発表いたしまして、その具体化についていろいろ目下検討を行っておる状況でございまして、その状況については米側に説明する予定になっております。
  38. 田代富士男

    田代富士男君 時間がありませんからまとめて質問をいたしますが、その会談の席上でストラウス、ウルフ両氏が、本来ならば日本政府に警告をしたいという気持ちであったかわかりませんが、公明党の訪米団に、米国の貿易不均衡是正要求の三項目を突きつけられました。この第一番目の要求は、すでに御承知のとおりに、すべての非産油国というものは赤字を現在抱えておると、そこでお互いにこの赤字は配分して負担すべきである、したがって、経常収支で赤字を出さねばならないけれども、日本政府も赤字にすることを目標にしているけれども、問題はいつ赤字にするのか、経常収支赤字の時期的なめどについて日本政府と話したい、日本の経常収支を赤字にする時期を示せということを申し出ております。  二つ目には、アメリカの国民がつくった製品というものは日本でも売られなければならないのではないか、貿易の不均衡を是正すべきだ、この点について日本政府と具体的な目標を話し合いたい。アメリカとするならば要求でしょうけれども、劇的な方法でと強く主張したそうですが、米国からの輸入をふやしてくれるよう、こういうことを望んでいるそうです。日米間で日本におけるアメリカからの製品輸入のシェアをどの程度にするのか、また製品輸入の全体量をどの程度にするのか、協議したい。これは日米貿易の中で日本が米国から輸入する工業製品の割合、そういうものの絶対額というものをどの程度にするかということを迫られた問題ではないでしょうか。  三つ目には、日本政府の輸入関税、輸入制限品目を減らす方針は重要であるけれども、通常の貿易に追加する形で輸入がふえるようにしてもらいたい。これは関税引き下げ措置などによる輸入実績の拡大を迫った問題でありますが、このようなアメリカからの報告によれば、アメリカの姿勢というものはかなり強いものがあるということは覚悟していたけれども、このような強い姿勢で、言葉はやわらかい言葉になっておりますが、表現というものはまことにもう本当に大変な表現を使ったそういう状況であると、これはただごとではないぞという報告が来ておりますけれども、政府関係省庁から、来ていただいておりますから、これに対する、それぞれの省庁はただいま検討中であるかわかりませんけれども、現時点におきます御答弁いただける範囲内をお答え願いたいと思います。順次お願いいたします。
  39. 河本嘉久蔵

    政府委員河本嘉久蔵君) 矢野書記長が訪米中でございまして、日本の極端なる黒字、貿易収支の黒字ということを指摘されたことはニュースで知るところでございます。問題は、黒字をいかに減らせということでございますが、わが国の産業構造自体が輸出優先型になっておるということがまず第一であります。そういうことから、なかなかこの問題も大きな課題ではないかと思います。製品の輸入をふやせとアメリカは言っておりますが、これは実はヨーロッパは四、五〇%の製品輸入があるが、わが国は二〇%ぐらいの製品輸入しかやっていないということであります。これは事実でございます。  また、矢野書記長は、ドルの防衛もしっかりやってほしいということを主張しておられますが、これはわが国としては当然要求することでございますし、またこういうことをおどかしのような言葉を使われまして、ちょっとおどかし的な感じを受けますが、これによって保護貿易主義に移るというような、移行するような発言があったようでありますが、このことは世界経済全部に対しましてもいいことではないという意味から、書記長もそういう発言をしておられるわけであります。  いずれにしましても、日米関係は世界の経済のある程度の主導権を握ったような関係でございますので、おろそかにはできない問題であります。現にいま外務省からお話が出ましたように、経済通商協議がすでに非公式に行われて、この問題に真剣に取り組んで、現在、本野経済局長及びリバーズSTR法律顧問の非公式な会談がすでに接触が始まっておるということでございます。そういう観点に立ちまして、われわれもその精神にのっとりまして最善を尽くす所存でございます。
  40. 斎藤十朗

    政府委員(斎藤十朗君) 円高の問題からくる貿易不均衡その他経済問題の点でございますが、円高はまさに各国の貿易の背景となります問題がその円高に影響をいたしてまいるわけであり、日本の貿易が非常に堅調であるということが一つの大きな原因でありますと同時に、ドル安という点もその円高の部分の大きな部分を占めているということは否めないわけであります。日本の貿易が非常に黒字をふやしていると同時に、アメリカの貿易収支が非常に赤字になっている。異常なまでの石油の輸入というようなことも原因をいたしておるわけでありまして、日本の貿易収支改善を努めていくと同時に、アメリカの赤字減らしも努力をしてもらわなければならないという立場もあろうと思うわけであります。しかしながら、それはそれといたしまして、いろいろ立場もあり、国々によっての考え方の違いはあるといたしましても、ただいま先生がお話しのように、アメリカにおける言うならば市民感情的ないら立ちというようなものを私たちもはだで感じている昨今でございます。特に昨日の公明党訪米団とモンデール副大統領との会談などにおきまして、それが決定的なものになって伝えられておるわけでございます。そういったようなことを踏まえまして、政府も御承知のように九月の三日の総合経済対策の中にもこの黒字減らしの対策を盛り込んでおります。すでに御承知のように、原油燃料等の原材料の備蓄強化、そのための繰り上げ輸入などの対策を実現可能な願望としての三十億ドルということで、いま鋭意努力をいたしております。  また、関税問題につきましても、御承知のように、政府東京ラウンドの関税引き下げ問題の成功のために最大の努力を続けてまいっておる今日でございますが、最近の高まってまいりました保護貿易主義を抑止していくためにも、またそして日本の国際収支の均衡に資するためにも、この東京ラウンドの妥結前に日本が先駆けて関税率の引き下げをいたしてまいろうということで鋭意検討をいたしておる今日でございます。  御承知のように、対外経済対策会議というものを経企庁長官の議長のもとに政府に置きまして、この会議をもって鋭意その方向に向かって努力をいたしておるということでございます。
  41. 阿多忠明

    説明員(阿多忠明君) 今回ストラウス大統領通商交渉特別代表が公明党訪米団に伝えられましたアメリカ側の考え方についてでございますが、私ども、この問題につきましてはきわめて重大な真剣な受けとめ方をしているわけでございます。基本的には私どもとしましては、日米関係の緊密な協力がやはり今後ともきわめて重要であるというふうに考えておるわけでございますが、ただ具体的なアメリカ側のいろいろな日本に対します経済的な要望につきましては、十分その考え方を理解するとともに、私どもとしましても、必要な現在の日本の情勢から見ますいろいろな要条件というものにつきましても、十分アメリカ側に理解していただかなければならないというふうに考えているわけであります。  ストラウス代表が挙げておられます三点のうち、私どもの方に特に関係のありますものは二点ございますが、特に第一点の、現在の大幅の経常収支の黒字というものをいつバランスさせることができるかという点でございますが、この点につきましては、私どもとしましては、経常収支の大幅な黒字というものが急激に生じてくるとか、あるいはそういう大幅な黒字というものが長期間継続するとかいうことはきわめて問題であるというふうに考えているわけでございますけれども、ただ、この経常収支の黒字を適当な幅におさめていくというためにその期限を切るということにつきましては、かなり問題があるのではなかろうかというふうに考えているわけでございます。できるだけ速やかに経常収支の現在のような大幅な黒字というものを縮小さしていくということは必要でありますけれども、御承知のとおり、わが国の経済は自由経済でございまして、貿易を担っておりますのはほとんどが民間でございます。そういう意味から申し上げまして、民間の活動を政府におきまして一々規制することは不可能でございますし、政策によりまして次第にその方向に持っていくということがわれわれのするところでありますから、何らか期限を切りまして、いついつまでに赤字にするというようなことを申し上げることはきわめて適当ではないというふうに考えているわけでございます。しかしながら、もちろんこのような大幅な黒字というものが望ましくないことは当然でございますので、政府といたしましては、先ほども申し上げておりますように、できるだけの努力を払っていくということでございます。  また、製品輸入の拡大という御要求があったようでございますけれども、これにつきましても、すでに通産省の方から御説明ございましたけれども、製品輸入の拡大に努めることは当然でございますが、期限を切って云々あるいは商品別等々につきまして、枠を、金額を定めるというようなことは、自由貿易の原則から申し上げましても適切ではないのではないかというふうに考えておるわけでございます。基本的に経常収支の黒字をできるだけ早く縮小させていくということ、あるいは製品輸入の拡大につきましても漸次そのシェアを拡大していくということは、きわめて望ましいことでもありまして、そのための努力も当然するべきでありますけれども、期限を切ってということはなかなか現在の経済体制からいきましてもむずかしいのではなかろうかというふうに考えているわけでございます。
  42. 溝口道郎

    政府委員(溝口道郎君) 外務省といたしましても、カーター大統領が矢野書記長御一行に伝えられたとおり、日米関係は非常に緊密で大事であるということを言われたと伺っていますが、外務省といたしましても、万一この貿易経済問題が不幸な事態となって、これが日米友好関係あるいは世界経済にとって悪い影響となることはきわめて憂慮すべきことでありますので、外務省といたしましても、閣僚レベルの対外経済対策会議のもとで関係各省と緊密な協力をいたしまして、この問題の解決に努力していきたいと思います。
  43. 田代富士男

    田代富士男君 最後に一問だけ。大臣、ロッキード事件の問題も未解決であるし、韓国問題についても与野党代表の調査団がアメリカに参りますけれども、これでまた経済問題もこういうような状況になっておりますけれども、日本の国民の側からするならば、やはり友好関係というものを保っていかなければなりませんけれども、大臣も直接こういう問題には関与されませんけれども、ロッキード事件、日韓問題に対しましては関係がありますけれども、ひとつ福田内閣の閣僚の一人としての決意をお聞かせいただきまして、私の質問を終わります。
  44. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) 御承知のとおり、世界の中で日本にとりましては日米関係が最も緊密でなければならないわけでございます。経済問題その他でやや最近ぎくしゃくしておるということは、これはまさにきわめて不幸なことでございますから、政府としては全力を挙げてその間の調整を図るためいま努めておるところでございます。今後ともそういう考えでいきたいと思います。
  45. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 私は法務行政の執行経過に関しましては、ハイジャックの問題、あるいは刑法改正の問題、あるいはまた少年法、監獄法あるいは入国管理の問題だとか、ロッキード裁判など、幾つかただしていかなきゃならぬ観点があるわけでありますが、これはまた後日に譲ることにいたしまして、きょうはむしろ昭和四十九年度の決算諸表に中心を置きまして質問を申し上げたいというふうに思います。  質問は、おおむね大きな柱といたしまして、まず一つは、昭和四十九年度会計検査院の検査による検査報告、これに関連をする問題。二つ目の問題は、これは法務省が所管をいたします補助金あるいは委託費に関する関係。三つ目の問題は、法務省管内全体の予算編成と、その執行姿勢、こうした問題について順次質問をしてまいりたい、こういうふうに考えるわけでございます。  まず初めに、会計検査院の報告によりますと、不当事項がなくて、注意によって措置をした事案が一件。これは、船舶所有権保存登記の登録免許税、これに関する問題が一件だけでありますが、さすがに法をつかさどる法務省として、成績のいい検査成績であったというふうに評価をするところなんですが、この結果を見られまして、法務大臣、まだ当時はそうでなかったと思いますが、新大臣として、この結果をどういうふうに評価されますか、その辺の認識をまずお伺いしたいと思います。
  46. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) おほめをいただいたようなことで、まことに恐縮と申しますか、感謝をいたしますが、法務省は、御承知のとおり、法秩序を守るのがその職責になっております。一面においては、国民の皆さんからやや固苦しいという考え方で見ておられるかもしれませんが、法治国家において法秩序を守るということが国民全体の生活の基盤であると思いますから、法務省内では、やや固苦しいと思われるくらいに、法に反しない、こういう基本的な態度で向かっておるわけでございますから、今後もそういう態度を堅持して、いささかでも国民から疑惑を受ける、あるいは非難を受けるようなことがないように努めてまいりたいと、かように考えております。
  47. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 どうか、固苦しいというのが古いということにならないように、ぜひひとつ御要望申し上げておきたいと思います。  そこで、会計検査院の報告事項につきまして、これは検査院の方にお伺いをすることになりますが、この表現の中で、一つには「課税標準額の認定が実情に即応しておらず、」という表現、同時に、「登録免許税額が低額になっていると認められる事態」、こう特徴的な文章が二つ続いているわけです。その中で、まず一つはこの標準額の問題でありますが、この「認定が実情に即応しておらず」ということは、とり方によりますと、二つの意味が私はあると思うんです。その一つは、課税標準になる一つの決め事ですね、この決め事が実情に合わないのか、決め事は合っても、その決め事に基づいて事実認定をしていく経過、いわゆる認定結果が実情に合わないのか。この辺がこの報告書の中では、下の説明書きもありますが、よく理解ができません。したがって、この辺についてひとつ見解をお聞きをしたい。
  48. 松田賢一

    説明員(松田賢一君) ただいま御質問の認定基準の問題でございますが、われわれの方は、その基準そのものが実情に沿っていないということを申し上げておるわけであります。すなわち、当時の船価認定基準、これで挙げています船舶の種類、これは、船舶の材質を鋼材と木材に区分して、また船舶登記取扱手続にあります貨物船、貨客船と、六種類の船種で分けておるわけでございます。ところが、この取扱手続なり認定基準、これは二十八年に改定されまして、そのままとなっておる状況であったわけでございます。ところが、われわれが見ました四十九年当時、この当時には、造船技術の進歩あるいは積み荷の形態、そういうものに即しまして、従来のそういった船舶の区分、それよりも船価の割り高なコンテナ船とかそれからカーフェリー、水中翼船、そういったものが出現してきておるわけでございます。また材質も、軽合金とか強化プラスチック、そういった船舶が出てきておる、非常に多様化してきておるんじゃないか。そうしますと、旧基準にありますものはそれらの変革された実情に合ってないんではないか、したがって、その基準を見直していただかないと適正なものではないんではないかと、そういうふうに感じたわけでございます。
  49. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 そうしますと、この報告書の文章は、「課税標準額の認定が実情に即応しておらず」ということは、国語の時間じゃないんですけれどもね、しかし、少なくともこの表現というのは、いま御答弁のあった趣旨、それからいきますと大分問題があると思う、この表現の仕方は。この辺どうですか。
  50. 松田賢一

    説明員(松田賢一君) 私どもはそういうつもりで記載したつもりでございますが。
  51. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 つもりじゃなくて、字句の問題ですよ。
  52. 松田賢一

    説明員(松田賢一君) 非常にわかりにくい字句になっておるかとも思われますが、その点は検討いたしたいと思います。
  53. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 お役所の人は故意にむずかしい言葉をたくさん使いますので、もう少し一般の人がわかるようにやはり正確にとらまえてもらわないと、これでいきますと、「課税標準額の認定が実情に即応しておらず」と、こうなる。そうすると、課税標準額というのがありましてね、その認定行為ですよ、認定行為が実情に即応しておらず、こうとるんです、私どもとしましては。こうなりますと、注意事項じゃなくて、不当事項になりますね、はっきり申し上げて。だから、これが不当事項に上がってないから、そうではない。さらに後の説明がありますから、そういうふうに思いますけれども、ぜひこの辺の言葉遣いというのは正確に取り上げてもらいたいと思います。  それから同時に、「登録免許税額が低額になっていると認められる」と、会計検査院は、この税額が低額であるか高額であるかという判断をされるんですか、常に。はっきり答えてください。
  54. 松田賢一

    説明員(松田賢一君) 割り高になっている船が出ていると、その基準が見直されれば、ひいて結果的には税額が低額になっていると認められるわけでございます。
  55. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 その辺がよくわからぬのですがね。実情に即さないから低額だと認める、ここには論理の飛躍があるんじゃないですか。会計検査院が、たとえば手数料あるいは登録税、こうしたものに対して現行規定があるはずですね、その現行規定が高いか低いかという判断権まで持っているんですか。
  56. 松田賢一

    説明員(松田賢一君) 現行規定が高いか低くなっているか、その判断権、そこまでは判断するあれはないと思います。
  57. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 結局この形からいきますと、明らかにその判断基準が実情に合わないじゃないか、こういう指摘になっているのです。これは会計検査院の権限ですか。何に基づいてこれはやっているのですか。法的根拠を明らかにしてください。
  58. 松田賢一

    説明員(松田賢一君) その基準に基づいて税なり手数料が取られているわけでございますので、その基準が実情に合わなければ、やはりその結果として税額が低額になったりするということはございますので……。
  59. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 よくわからないんですがね。たとえばいま所得税法がありますね。この所得税法の基準が高いか低いか、そういう判断権まで会計検査院は持つんですかと、こう言っているんです。
  60. 松田賢一

    説明員(松田賢一君) その税額の高い低い、そこまでは判断権はないと思います。
  61. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 そうしますと、ここに、「登録免許税額が低額になっていると認められる事態」というのは行き過ぎですね。
  62. 松田賢一

    説明員(松田賢一君) ひいてそういう結果になっているのではないかということを表現したのでございまして、行き過ぎであるかもしれません。
  63. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 行き過ぎであるかもしれませんでは困るんです。現実にこれは公式に会計検査院が権限を持って出しているわけでしょう。しかも、それをこの国会の場で承認を求めようとしている、このことに行き過ぎがあるかもわからぬという、こういう答弁では私は納得できません。
  64. 松田賢一

    説明員(松田賢一君) 税率等につきましては、もちろんこれは大蔵省が決定することでございますが、そのもとになる標準価額、そういったものにつきましては、実情に即したものに改正するということはわれわれ検査院にもできるのではないかと思います。
  65. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 これ、検討して、この報告書を訂正をする気持ちはありますか。
  66. 松田賢一

    説明員(松田賢一君) これは会計検査院検査官会議の決定を経て出たものでございまして、訂正はできかねます。
  67. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 この「会計検査院の組織と権限」ですがね、これは調査室でつくられておるのですが、会計検査院の規定法規、どこをながめましても、いま私が皆さんに答弁求めていること、そうした権限はどこにもないんです。ないことが基礎になりまして、こういう検査報告が出ているということになりますと、これは私、大変なことだと思うんですよ。しかも、現実にこの登録税、いわゆる免許税ですね、これがおたくの指示によって書きかえられている。これは後でまた触れますけれども、改正をせられて改正した結果は結果的に税金が高くなっているわけですね。税金と言うと言葉が語弊があるかわかりません。しかし、収入印紙で納めるやつですから、明らかにこれは税金です。そのことによって、いままでの登録をしておった人と、改正をしてから登録をした人と明らかに数段の違いが出てくる、こういう結果が出ているわけですね。これは単に会計検査院が現行規定に即して調べて、それに間違いがあるかないかという調査からさらに一歩進んで、その基準自体、省令自体がこれが現行に合っているか合ってないか、ここまで突っ込んで検査をされているわけです。したがって、会計検査院が私は必要上そういうところまで突っ込んで調査をされることについて、検査をされることについて否定をしているんじゃないんです。そのことの掌握はあくまでしてもらっていいんです。しかし、別な形でそのものの解決というのは図られるべきじゃないんだろうか。これを法務省にぶっつけて、法務省はそうして検査院の指摘に基づいてそれを変えなきゃならぬ、こういう形というのは私はないだろうと思うんです、国の仕組みの中で。この辺、法務大臣どうですか。
  68. 香川保一

    政府委員香川保一君) 経緯を申し上げますと、船舶の登録免許税の徴収は、登記申請の都度窓口で徴収することでございますので、したがってある程度形式的にならざるを得ない。さようなことから、昭和二十八年に認定基準をつくりまして、通達の形で示してあるわけでございますが、その後いろいろの状況の変化に基づきまして、法務省といたしましてはこの認定基準の改定について内々検討をしておったわけでございます。なかなか問題が技術的にもむずかしい点がございますので、関係各省の御協力を得て検討をしておったのでございますが、なかなかむずかしい問題がございまして、結果的には私どもの怠慢でございますが、三十五年に部分的な改定をしただけで推移しておったわけでございまして、したがいまして、会計検査院からの御指摘を待つまでもなく、実情に即した認定基準を早急につくるべきだという考えは私ども持っておったわけでございます。  それがおくれておった関係から、四十九年度におきまして会計検査院から先ほど指摘のような指摘がございまして、鋭意努力いたしまして五十年に改定をしたと、かような関係になっておるわけでございまして、決して会計検査院の御指摘も、いま御指摘のような、認定基準自身がその後の状況変化に即応していないことから、ある部分については登録免許税が安きに失しておる、つまり、認定価額が低いものでございますから、その部分について登録免許税が安きに失しておると、かような趣旨の御指摘であったわけでございます。つまり、昭和二十八年に設けました認定基準、三十五年に手直しいたしました認定基準によりましても、たとえばコンテナ船とか、あるいはコンピューターを入れておる船舶とか、あるいは新しい硬質のものを使っておるものとか、いろいろそういった新しい型の船舶に対応するには非常に不備があったわけでございまして、さような面からの登録免許税の徴収が適当でないという御指摘であったわけでございます。さような点を踏まえまして、ごもっともな御指摘でございますので、前々から私どもとして検討しておったのをピッチを上げまして五十年に改定したと、かような経緯でございます。
  69. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 私はその中身を聞いているんじゃないんです。先ほども言っているように、会計検査院が指摘をしていること自体が会計検査院の任務から見て行き過ぎじゃないのか、このことを言っているわけですよ。それが妥当であるかどうか、中身の話が。そういうことを言っているんじゃない。これは会計検査院として、私は会計検査院の機能、権限、この事項から見て逸脱をしているのかしていないのか、この辺を明確にしてもらうと同時に、先ほど言ったその辺があいまいだというのに、あいまいな形を私は報告として認めるわけにいきません。したがって、これは後で取り扱いを私は委員長に協議をいただかなきゃならない、こういうふうに思います。  なお、いまのお話ですが、少なくともこの認定の問題については、いまの登録免許税法第九条、これに定める別表第一で、いわゆる信託登記の場合はこれだけ、あるいはまた船の価額を、船を購入しまして、それを自分のものだということで登録をするとき、そのときの税金というのは、この別表第一によってその場合には税率はどれだけ、その基礎になるものは「船舶の価額」と、こうなっておるわけですね。問題はその「船舶の価額」の取り方の問題が、これが今日までの法務省令で決められておった。これがこう変えられたわけですね。だから変えられたのがいいかどうかの問題はこれはまた別なんです。ところが、そういう省令で出されておるものが、会計検査院として適法であるか、現行に合っているかどうか、そこまで調査をするいわゆる権限があるかどうか。たとえば、今日の税法全体をつかまえて、税の不公平が盛んに言われているときの中に、どこが不公平なのかと言って検査院が指摘をする権限があるのかどうか、ここの問題です。
  70. 香川保一

    政府委員香川保一君) 表現はともかくといたしまして、会計検査院からの御指摘の点は、全体として見ますれば、私どもの定めておる認定基準、これは省令ではなくて民事局長通達でございますか、これが実情に即していない、つまり新しい型の船舶ができてきておるのに、それが認定基準の中に明記されていない、こういう点を指摘されたわけでございまして、さような意味から申しまして、私どもとしては会計検査院の権限を越えていることだというふうには受け取っておりません。
  71. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 会計検査院の権限を越えているというふうには判断をしないといういまの御答弁ですね。根拠法規を明らかにしてください。検査院の規定に対する法の何条のどこに書いてあるのか、明らかにしてください。
  72. 松田賢一

    説明員(松田賢一君) 私どもの方では、会計検査院法の第三十六条に、「検査の結果法令、制度又は行政に関し改善を必要とする事項があると認めるときは、主務官庁その他の責任者に意見を表示し又は改善の処置を要求することができる。」ということになっておりまして、まさにこの内容そのものは行政の分野に入るかもしれません。だから、その認定基準がそういうような状態であるということで、この三十六条でもって意見を統一しようとしておったわけでございます。それに基づいて法務省の方ではそれを改正していただいた、そういうことで処置がとられたものとして検査報告に載せておるわけでございます。
  73. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 結局その三十六条の取り扱いなんですがね。こういう会計検査院の報告の中へ、しかもこれは注意をしたと、こうなっておるわけです。注意をすべき性格なんですか、会計検査院の。これは私は、少なくとも別な形で意見——会計検査院が実情を調査をしたところ実情にそぐわない基準になっていやしないか、こういう意見としてこれが掲記をされているんなら私はとやかく言いません。しかし、少なくともこれは注意になっております。注意ということは、法のたてまえからいきますと、検査院の注意は、そのことについて言うならば聞かざるを得ないものを持っている。不当事項ではありませんから、直ちにどうこうというものじゃないでしょう。しかし、少なくともその権限を私は会計検査院というのはやっぱり託されている。そうなりますと、注意の中にそれを入れるべきなのか、意見の中に入れるべきなのか、私はもっと慎重にこれから取り扱いをしてもらいたい、こういうふうに思います。
  74. 松田賢一

    説明員(松田賢一君) 先生の御指摘の点まことにもっともだと思います。確かに「本院の注意により」という言葉はこの場合には適当でなかったと反省しております。
  75. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 そこで、これは法務当局にお聞きをすることになりますが、先ほどちょっと答弁の中で、前々からこの問題について——内容の問題ですよ、検討をされておったやに話がありましたけれども、これはいつごろから検討にかかられていたんですか。
  76. 香川保一

    政府委員香川保一君) 先ほども申し上げましたように、表面に出ているものとしては二十八年の認定基準通達を三十五年に一部手直ししているわけでありますが、その後、昭和四十年のころからと思いますか、運輸省、大蔵省、農林省等の関係各省からいろいろ資料をちょうだいしたりいたしまして、実際の新しい船舶の型式はどういうふうなものが出てきておるのか、あるいはその場合の製造価格はどのようになっておるか、あるいは売買の価額が実例的にどうなっておるかというふうないろいろな資料をちょうだいいたしまして、そういうことから船舶の国際競争力を持たせる必要もあるわけでございまして、いろいろの観点からこの認定基準の改定をどのようにすればいいかということを協議してまいったわけでございます。昭和四十年ごろからだというふうに承知いたしております。
  77. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 大体、いろいろと通達その他、法が、あるいは規定が、基準が、こうしたものが具体的実情に具体的な事例として上がってきたときにそれに合いませんと、その流れに従って通達が出たり、言うなら改正をされるまでの間のつなぎの措置というものがこれが行われるんですよね。そうしますと、いまこの登録の関係等につきますと、おっしゃられたように、グラスファイバーの船、プラスチックの船、こうしたいままでの形に合わないそうした船が出てきてますわね。具体的にそれを受け付けるいわゆる地方の出先機関、ここに対してはどういう指導をされておるのか。
  78. 香川保一

    政府委員香川保一君) 端的に申し上げますと、従前の通達は木造船あるいは鋼鉄船、そういった大きな分け方をいたしておりまして、個々の、そういうコンテナ船の場合はどうかとか、いまおっしゃるような材質の違う新しいそういうものについてはどうかというふうなものが含まれてないわけでございまして、大きくそこに挙がっているものに該当しないものは、結局その他の船舶というふうなところで一線では認定せざるを得ないというふうなことになっておったわけでございます。そこに問題が大いにあるということであったわけでございます。
  79. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 そうしますと、認定を具体的に行うところ、受け付けるところ、この辺からは、そういう基準とそれから実態と大変不都合だと、合わないと、こうした意見というのは、法務本省としてどういう形でそれらを取り上げておるのか、意見について。
  80. 香川保一

    政府委員香川保一君) そういった実情に合わない、認定が非常に不均衡になるというふうな意見が一線の登記所から本省にも盛んに上がってまいりまして、さようなことを受けまして昭和四十五年あるいは昭和四十七年、昭和四十八年に、それぞれそういった新しい型の船舶についての認定を適正にやるようにというふうなことで通達を出しまして、そしていわば部分的に補正したようなことになろうかと思いますが、実際の製造の単価、価格を調査して認定するようにというふうなことでつなぎをしてきたというふうな実情でございます。
  81. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 ちょうどタイミングよく検査院が四十九年度ですか、注意をしまして、その注意に基づいて直ちに五十年度には基準が変えられておる、こうなりますと、そんな勘ぐりまでする必要はないと思うんですが、少なくともいまお話しのように、準備をしてきておるのに、そうした内部的な実情も聞かないで、検査院は何か手柄でも立てたようにこのことについて堂々と報告しておられる。本来、これはどうなっているんだろうかということで一線の意見は聞き、いま準備中で実は大体このぐらいになると改正のめどがありますんやという話になれば、私は少なくともこういう指摘というのはないだろうと思う。この報告を見る限りにおいては、検査院から注意をされるまで法務当局は全然知らなかった。下から意見があったにしてもそれは法務本省としてはどうも理解がしにくい、下から言ってきたって本省の立場からはどうも理解しない、ほうりっ放しておった。ところが検査院から指摘をされた。これはいかぬということであわてて規定改正をやった、こう受け止められるんですね。いまお話しの状況と大分このニュアンスからいきますと異なるんですが、その辺、実際はどうなんですか。
  82. 香川保一

    政府委員香川保一君) 私どもとしては精いっぱい、びぼう的ではございますけれども手当てをしてきておったわけでございますけれども、二十八年の認定基準の基本通達そのものは、外からごらんになりますと抜本的な改正がされてないわけでございまして、私どもの内部で努力しておりましても、それが外に出る認定基準の抜本的改正という形になってあらわれない限りは、やはり私どもの怠慢は指摘されてもやむを得ないことだろうというふうに受けとめるわけでございますが、ただ、この御指摘が出る前に、会計検査院からも、一体どういうふうなことになっておるのかというふうないろいろ問い合わせはございまして、それに対しまして、ただいま、先ほど申し上げましたような経緯を御説明しておったわけでございます。さようなことから、これは我田引水かもしれませんけれども、単に問題点指摘する、注意を喚起する、改善を図れというふうな形ではなしに、そういう問題があったのが昭和五十年に改定されたという、いわば報告的な形で出されたということではなかろうかというふうに私どもは受けとめておるわけでございます。
  83. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 先ほど法務省としてはこの問題について運輸省あるいは大蔵省、農林省、いわゆる関係のところ、これといろいろ意見を徴してきた、こういうお話でありました。結果は、これは罰金の問題じゃなくて、そういう科罰的な問題じゃなくて、少なくとも税の問題ですね。税の問題ということになりますと、その対象になるのは各省じゃなくて実際の船を持っている人なんですよ。当然これは船舶関係者、そういう人たちの意見も聞きながら、船価の状況は一体どうなんだ、船の値段の関係というのは最近どうなんだ、それらの動きは一体どういうふうになっているんだろうか、こういうところをやっぱり聞きませんといけませんね。それから、登録税法そのものが基準が船価によって決まっている。そうすると、値動き、それを判断する基礎の法律というのは全然変わらないで、単なる法務省の省令に基づいて税金が上がったり下がったり勝手にされたんではたまったものじゃないですよ、これ実際問題としては。だから、基準が——基準がというか、税率が変えられるんなら、私はこれは大きくこういう場で論議をされまして、そしていろんな意見があって、今日の情勢から見てこれは適当だろうという判断で税率を上げられるというなら、これはまた別ですよ、変えられるというなら。しかし、基礎になる法律の税率はそのままで、船のいわゆる値段の物の見方が、私らから見れば、たとえば一億円なら一億円は、きのう買おうときょう買おうと一億円は一億円です。すると、一億円という船が現実に異動した場合、そしてそれを登録をした場合に、これは千分の四だと、こうなる。この基準は変わらないのに、法務省の省令が出ることによって、いままで一億円で、逆に言いますと低いなというふうに仮に見られておったものが、今度は高くなる。こういうふうな簡単な手続で実際に出す人の金が左右されるというのは、実際問題として私はちょっと腑に落ちない。この辺に対する認識というのは一体どうなんでしょうか。
  84. 香川保一

    政府委員香川保一君) 御質問の御趣旨がちょっと私にはよくわからないんでありますが、登録免許税法は船舶価額を課税標準価額といたしまして、それの千分の四とか千分の一・五というふうな率を掛けたものを徴収する、こういうことになっておるわけでございまして、この場合の船舶価額、つまり課税標準価額である船舶価額というものの意味は、登記をする際における当該船舶の時価というふうに解釈されておるわけでございます。したがって、時価をまず把握してそれを課税標準価額にして税率を掛ける、こういう仕組みになるわけでございますが、やはり経済情勢の変動等によりまして、従来一トン当たりがたとえば二十万でできておった船舶が、五年たった今日においてはあるいは五十万になるというふうなことは当然あるわけでございまして、その辺のところを、認定基準でもって、登記所においては、こういう船舶については一トン当たり幾らというふうに認定して登録免許料を徴収する、こういう仕組みになっておるわけでございます。したがって、おっしゃるように、きのうまでトン当たり二十万円という認定基準でやっておったのが、きょうその通達で認定基準が改められまして、トン当たり五十万円ということに相なりますと、きのう登記を受けた人ときょう登記を受ける同じ船舶につきましても、登録免許税の負担が違ってくるということはあるわけでございます。しかし、さような関係は、おっしゃるように、客観的な価額あるいは時価、それによって登録免許料を取るという法律のたてまえはたてまえといたしまして、やはり国民の税負担の均衡ということを考えなければなりませんので、それぞれ、そういった場合に急激な負担の上昇と申しますか、それはなるべく避けなければならぬというふうなことで、いわば経過的なもの、徐々に負担を上げるべきものは上げていくというふうな形で運用しておるつもりでございます。  ただ、いま御指摘昭和二十八年の認定基準、それが三十五年に一部改正されたにいたしましても、五十年まで基本的にはそのままになっておった。その間、先ほど申しましたように、四十五年、六年、七年、八年というふうにびぼう的に改定をしておるわけでございますけれども、全体的に見ますれば、やはり急激な税負担の増加というふうな非難は避けられないだろうというふうに思っておるわけでございます。今後、そういうことのないように、その情勢に応じて即応できる認定基準の改定に努めてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  85. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 結局、時価の評価の仕方がこの省令で変えられた、こういうことになるわけでありましてね。しかも、いま御答弁のありましたように、これは、土地のいわゆる評価の問題あるいは建物の評価の問題いわゆる固定資産関係の評価の問題の評価基準を変えるのと一緒のことなんですね。したがって、そういう重要な問題が、簡単に、余り関係者もよく知らぬうちに会計検査院の指摘でぱっと変えられるというような、何というか、状況に対する慎重性を欠くようなこういう形というのは私は好ましくない、こういうふうに思いますので、これからの取り扱いについて十分に注意をいただきますように御要望申し上げておきたいと思います。  それから次に、二点目の補助金並びに委託費に関する関係について入りたいと思います。  四十九年度の一般会計の補助金、これは補助金便覧で見ますと、法務省関係は更生保護事業費補助金、これは二つに分かれまして、更生保護会補助金、これが二千五百四十八万三千円、それからもう一つが保護司共済事業費補助金二百四十二万円、この二つ合わせて二千七百九十万三千円というふうに出ているわけですね。そうして、このうちの更生保護会補助金というのは事務費と施設費に分かれて、事務費の方は四分の一負担で千八百三十万五千円、施設費の方は七百十七万八千円、これは二分の一負担ですね、こうなっているわけであります。それから、もう一つ法律扶助事業費補助金七千万円、これは定額補助、こういうふうにあるわけでありまして、総体として九千七百九十万三千円、こう掲載をされているわけです。ところで、四十九年度決算報告書によりますと、更生保護事業費補助金というのは二千七百八十五万七千円、そうしてこの金から支出決算額というのは二千三百六十九万七千九百円、そうして不用額、これが四百十五万九千百円、こうなりますと、合計をいたしますとこれは少し補助金便覧の方と決算数字が合わない。四万六千円ばかり不符合になる。これは一体どちらが正しくてどういうことなんです。私は決算の方が正しいとは思うんですがね、その辺について明確にひとつ。
  86. 前田宏

    政府委員(前田宏君) ただいまお尋ねの補助金の若干の額の違いでございますが、それは予算の補正がございまして、そのときの補正によりまして若干減額になっている点が違っているわけでございます。
  87. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 この補助金便覧の方が間違いですね。
  88. 前田宏

    政府委員(前田宏君) 先ほど指摘の便覧の方は、恐らく補正前の当初の予算額であったと思います。決算の方の数字は補正後の数字が挙がっていると思います。そういう意味では両方違っていないということになろうかと思います。
  89. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 ああ、補正後のやつを見ないとわからぬということですか、経過は。だから、冒頭の便覧を見てるととんでもないと、こういう話になるんですか。これはまあいい。  そこで、朝、田代先生の方からも御指摘ありましたが、法律扶助事業費のこの補助金につきまして、五十二年度は二百万増加して七千二百万、こうなってますね。法務大臣、ひとつ大臣にお伺いをしたいんでありますが、法律扶助事業につきまして先ほども御答弁ありましたけれども、一般的概念からいきまして、国が援助するというかかわりあたりについてどういうふうに御認識なのか、もう一度御答弁いただきたい。
  90. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) 御承知のように、これは貸し付けまして、それから訴訟に勝ちましたら償還をしてもらうというたてまえになっている。ですから、その資金の運用で扶助協会の円滑な運営をしていこうと、こういうことになっておるわけで、国の補助というものは比較的少なくなっておるわけでございます。しかし、私が見ておるところ、さっきもいろいろ御指摘ありましたが、どうもこの制度は非常にいい制度なんですけれども、大切な制度なんですけれども、やや形式に流れておるんじゃないか。協会との御相談をいろいろして実態を突き詰めなくては簡単に言えませんけれども、もう少し突き詰めて、どういうふうにしたらもう少し充実ができるか、あるいは国の補助をふやすべきかと、こういうこともよく相談をしてみたいというのが先ほど私が申し上げた趣旨でございます。
  91. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 法律扶助協会は、相当この事業内容についてみずからの問題として、しかも社会的責任を負って、突っ込んで検討をされているわけですがね。そうした関係について、法務当局としてこの扶助協会の意見というのは何か聞く機会というのはつくられているんですか。
  92. 前田宏

    政府委員(前田宏君) 人権擁護局長がおりませんので、私からかわってお答えいたしますが、扶助協会人権擁護局とにおきましては常時連絡を密にいたしまして、いろいろと法律扶助制度問題点、あるいはそれをどのように改善していったらいいかというような点について協議をしておるというふうに承知をいたしております。
  93. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 そこで、ちょっと数字的なことをお伺いをするんですが、この法律扶助事業費補助金というのは、扶助協会のほかにどこか出されているところがありますか。
  94. 前田宏

    政府委員(前田宏君) ただいまのお尋ねは、法務省からどこかほかのところにも出しているかというお尋ねでございますか。——そういう意味でございますと、ございません。
  95. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 この扶助協会の方から、これは責任ある書類だと思うんですが、最近の法務省扶助費を見ていきますと、四十九年たとえば六千四百万、それから五十年六千四百万、五十一年、五十二年も同じく六千四百万、こうあるんです。七千万円まるまる出ているのは四十六年。そうすると、予算計上とのかかわりからいきますと、これは今日では大分相違があるんですがね。この辺は、まあ法務当局に聞いても問題はあろうと思いますが、きちっとこれは予算どおり執行されているんですか。
  96. 前田宏

    政府委員(前田宏君) 御指摘補助金の総額が七千万円でございますが、その内訳といたしまして、いわゆる立てかえ金と申しますか、貸し付ける金が六千四百万円でございまして、その残りがいわば事務関係補助というようなことでございますので、その点が違っているのではなかろうかと思います。
  97. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 一部は事務補助という形で内訳にされていくわけですね。すると、中身の扶助費というのは、いま申し上げました六千四百万というのがずっとと、こう理解していいわけですね。  そこで、法律扶助協会の方から、五十二年度はぜひともこれだけは欲しいんだという強い要望があると思うんですが、この辺、先ほど大臣答弁でいきますと、その辺全然組み入れられない冷たい御返事がありまして、ことしの予算はいままでどおりだと、こういうふうになっているわけです。ただ、余分がついていますから、これから検討するというわけですから、その辺はいただくといたしまして、一体、社会的に大変重要な仕事をしてみえるこういう任務のところから、実は何とかして今日の現状をもっともっと充実をさせていくのに、少なくとも本年は、五十三年は一億五千万は欲しいんだ、こういうふうに強い要望があるにもかかわらず、これを組み入れられないという、この辺の何か事情ございますか。
  98. 前田宏

    政府委員(前田宏君) 五十三年度の概算要求におきましては、先ほど数字に即して申しますと、扶助費の方の六千四百万円を八千百万円にしたいと。それから、事務関係の方の金額は同額というようなことで、少なくとも前年同額ということの要求ではないわけでございます。五十二年度予算と同額の要求ではございませんで、若干ながらさらにこれをふやすという形の要求をしておるわけでございます。
  99. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 いま扶助協会、大変な赤字を抱えているわけですね。御案内のとおりだと思うんです。そうしたことが先ほど田代先生の方にお答えになったような幾つかの障害になっている、現実問題として。この辺はもう少し理解をして、ぜひこれ、大臣は検討していくというんですからね。五十三年度、これは概計要求の段階でこれから決まるわけですから、ぜひ来年の予算にもっともっと組み込んでもらいたいと思うんですが、どうでしょうか。
  100. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) 実は私が就任いたしまして、先月の初めでございますが、この項についての事務当局説明を受けましたときに、内容を細かく突き詰めておりませんけれども、私がそのとき受けました印象が、どうもこの点に対する施策が積極的でないような印象を率直に受けておるわけでございます。しかし、まあ五十三年度は、御承知のとおり、もう八月に概算要求しておりますが、七千二百万だと記憶しております。いや、八千九百万。私の記憶が間違っておりました。ですからこれは、さっき申し上げましたように、もう少し協会の内部の実態と、先ほど事務運営の問題もありましたが、あるいは償還の実態、そういうことを詰めて検討する必要があるということを事務当局にも言っておるわけでございます。  しかし、五十三年度の予算をふやせというようなお話でございますが、そうしたいのでありますけれども、先ほど申し上げたように、何しろ財政がきわめて窮屈なときでありますし、概算要求に出ておらないのを追加できるかどうかということは正直なところ確言ができない、こういうことでありまして、私、将来にわたってこれはもう少し積極的に突っ込んで検討する必要がある、かように考えておるわけでございます。
  101. 茜ケ久保重光

    委員長茜ケ久保重光君) 午前中の審査はこの程度にとどめ、午後一時より再開することとし、暫時休憩いたします。    午後零時三分休憩      —————・—————    午後一時九分開会
  102. 茜ケ久保重光

    委員長茜ケ久保重光君) ただいまから決算委員会を再開いたします。  午前に引き続き、昭和四十九年度決算外二件を議題とし、法務省最高裁判所決算について審査を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  103. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 午前の質問に対して引き続き申し上げますが、大臣、午前中の法律扶助関係について、人権擁護局長は、最近の取り扱い件数が減ってきている原因につきまして、むしろ原因というより現象を答弁されたと思いますが、集団訴訟関係が減っている、それから交通事故関係が減っている、こういうふうに理由をお挙げになっていますが、会の方では、扶助決定件数の停滞の原因、こういうことで、明確に、一つ地方での申し込みを受け入れる体制の整っていないこと、これはスタッフの不足、申し込み受け入れの関係ですね、あるいは下調べ、こういう施設面の不備をとらえているわけです。二つ目の問題は、同じくスタッフ不足による広報——これは知らせる方の広報でありますが、それから啓発活動の不足。三点目には、決定に際しての基準の不明確さ。四点目は、扶助費事務費の不足。この四つを明確に指摘をされているわけでございます。したがって、質疑の中でも申し上げてまいりましたように、こうした体制を一日も早く整えられるように、法務当局としても十分その力を注いでもらいたいという気がするんです。  なお、先行きの展望ということでは、肝心のこれに携わる弁護士の各先生方自体が、こういう扶助協会の設立趣旨、あるいはそれが全国組織になっておって支部が幾つかある、こういう実情を御存じなかった、こういう状況があるわけですから、肝心のそのことに携わる先生方がそういう状況でありますから、一般的によく知らない。これが最近は、会の御努力によって、僻地等を回られながら一般に周知をされていきますので、もっともっとこの申し込みの件数というものは一挙に増大をしてくるのではないか、こういう予測を指摘をされておるわけでありまして、どうか、そういう意味合いでこの扶助制度が充実をして本当に国民権利が平等に行使のできる、こういう保障をぜひとも取りつけていただきますように御要望を申し上げておきたいというふうに思います。  なお次に、保護司の関係なんですが、これあえてきちっとした御答弁をというつもりがないものですから、関係のところをお呼びをしてないと思いますが、この報告をされております資料、昭和四十九年度決算関係資料、これは調査室が出されておるものでありますが、これによりますと、保護司の定員と実数の関係で、大変この実数が不足をしているという現状一つはあります。  たとえば、昭和四十七年度は、この表によりますと、定員が五万二千五百人に対して実数が四万六千五百七人、昭和五十一年度の場合は五万二千五百人、これに対して実数としては四万六千三百七十五人、こういう実情が報告をされておるわけですね。同時に、平均年齢が全部これもう六十歳、こういう実態であります。  そうしますと、警察白書等でも指摘をされていますように、少年あるいは女子少年、こういうふうに言いますか、こういう形がどんどんふくらんできている今日の実情からながめまして、果たして保護司としての役割りか果たせられるのかどうだろうか、こういう問題が大変私としては気がかりになりますし、同時に、いま申し上げましたように、そうした立場で強化をしなきゃならぬのに、いわゆる実数が不足をしている。それが毎年毎年こうなっているわけですからね。これらに対する措置について、少し明確な展望といいますか、措置内容といいますか、そうしたことについてひとつ御答弁をいただきたいと思うんです。
  104. 高田治

    説明員(高田治君) ただいま保護局長が出張中でございますので、私、総務課長でございますので答弁させていただきます。  先生御指摘のとおり、保護司の定員は五万二千五百人でございますが、現員は四万六千二百四十三人でございまして、これは相当欠員があるわけでございます。  この原因はどこにあるかといいますと、やはり御指摘のとおり、元来この保護司さん方は地域住民のボランティアでございまして、そこで、保護司さんになっていただくには社会的信望がなくちゃならないとか、それから熱意とか時間的余裕がなくちゃならないとか、生活が安定しているとか、健康で活動力を有することということが保護司法で決まっております。  そこで、この保護司のお願いについては、まず、地元の観察所長がいろいろその県下で探しまして、それからいろいろな人のつてを頼ってお願いして、それで推薦するわけでございます。ところが、先生御承知のとおり、年々都市化現象を起こしまして、都市の中に団地がふえてきまして、それで社会的な連帯感がだんだん薄れてきているということで、元来このボランティアというのは非常にヒューマニズムに基づいた善導の精神に富む人じゃないとできませんので、それで年々得がたい事情になっていることは確かでございます。それでいろいろ努力しておるわけですが、さほど減ってはいないと、こういう認識でございます。  それから、もう一つでございますが、平均年齢が先生御指摘のように六十歳でございます。これも先生いま御指摘のように、非行少年を扱うためにはやはり年齢の格差がない方が信頼関係を得るために、それからコミュニケーションをつけるために、非常に結構なことでございます。  また一方、非行少年によりますと、やはり兄さんとかあるいはお父さんとか、場合によってはおじいさんになっていただいて、それで導いてもらうということもございますので、この年齢については、ケースによって一概には言えないわけでございます。それから、お年寄りになりますとやはり時間的余裕がございまして、非常に御熱心に活動していただく。  それから、一番保護司さんにやっていただくので効果があるのは、就職のあっせんでございますね。それから、あと結婚の世話。そうしますと、地域社会である程度地位のある方が、人につてを頼ったり、それで就職とかそれから結婚相手を探してもらうことは非常に結構でございますので、一概には言えませんけれども、ただし、高年齢化という現象が生じておりますことは事実でございますので、これを解消するために保護関係機関で非常に努力を払っている、なるべく年齢を下げようと努力していることは実情でございます。
  105. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 実態報告という立場から聞きますと、たとえば私のところへ投書等があったケースからいきますと、実際には保護観察に付された少年が頼っていきづらい、こういう現象が一つありますしね。それから、あるところでは三ヵ月に一遍ぐらいずつおれのところへ日を決めるから来なさいと、これだけで終わっているわけですね。しかも、その決められた日に行かないと保護観察処分を解きませんよと、逆にこういうやり方で運営をしている場合がありましてね。したがって、本当に非行を正し、保護観察の目的というものを達成をしていく立場にこの保護司の場合きちっと立っているのだろうかどうか、こうしたことを考えていきますと、大変私は現状、問題があると思うんです。  同時に、これは時間の関係もありますので多く論議をいたしませんけれども、一つの提案は、御承知のように公立高校等に、先生方の中でいわゆる生活補導を、まあ担当といいますか、正規の自分の担当じゃありませんけれども、校内で、自分の校内に限ってそういう立場を踏まえて奉仕してみえる先生方は大変多いんです。したがって、そういう方々等が具体的に町の中へ幾つか実効を上げてみえるケースが非常に多いんです。私は、これは制度上の問題、それから先ほど御答弁のありましたボランティアという一つの精神、こうしたことの中で規制をしていくことはどうかと思いますが、もっともっと実態に即したような形で関係省庁等も十分に協議をしていただいて、具体的実効効果が上がるように、ぜひひとつ工夫をしていただきたいと思うんですが、そうした準備がおありかどうか。
  106. 高田治

    説明員(高田治君) 保護者になっていただくためには、社会のあらゆる階層から来ていただく方が非常に結構でございまして、そのほかに学校の教員関係の方もございます。それから公務員、宗教団体、それから主婦、いろいろありますので、先生の御指摘のように、公立学校の先生方にお願いすることもケースとして非常に多いと思います。特に先生御存じと思いますけれども、BBS会という若い友達活動をしている団体がございます。BBS活動には若い学生が入って、これは保護司さんでございませんけど、保護司さんの外に更生保護婦人会とかBBSとかあります。そのBBSを指導している方々にも学校の先生がございまして、やはりひとつのそういう方々は社会資源だと考えております。  それから、あと関係省庁との連絡協調でございますが、先生御存じのように、矯正保護審議会という審議会がございまして、そのメンバーには学者だけじゃなくて、有識者だけじゃなくて、関係省庁、労働省とか青少年対策本部の次長とか、いろんな少年非行を扱っている方々も委員に任命されております。そこで、大臣からの諮問事項として、その犯罪対策のためのボランティアのあり方とか、そういうのをいま諮問して、その先生方の御意見を聞いて審議しているところでございます。そこでときどきそういう有識者とか学者とか関係省庁からいろいろな御意見を承っておりますので、それを施策に生かしている現状でございます。
  107. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 いま御答弁をされていますけれども、正直申し上げまして、この保護司として活躍をしてみえる人、この人は、決して私は悪い意味で申し上げているわけではありませんけれども、社会的な地位にこだわったり、言うならば依頼をしている法務当局の側の姿勢の問題ですね、これは人権擁護委員会の内部も含めまして、一般の社会の中に、むしろ実態がよくつかめて、溶け込んでそして本当にその立場になってお世話のできるような、そういう立場からながめますと、きわめてお役所的、こういうきらいを私は率直に言って受けるわけでありまして、もっと本当に保護観察の目的等を、保護司的目的を十分に達成をするためには、もっとやはり社会的に突っ込んだ、そういう経験を持たれた方の方がむしろ私は具体的に役に立っていくんじゃないか。こういう意味で、ぜひその辺のあり方について検討をいただいて、それらの実効の上がるように御要望を申し上げておきたいと思います。  次に、三点目の柱でありますが、予算編成、それからその執行姿勢に関しましてお尋ねをいたしたいというふうに思います。  四十九年度の一般会計報告書を見ますと、省内の予算の中に相当の移流用、これが見られるわけでありますが、総体にこの移流用について、結果がこう出ているわけですから、どういうふうにこれを評価をしてみえるのか、まずその辺の評価からお聞きをしたい。
  108. 前田宏

    政府委員(前田宏君) お尋ねに対しましてお答えになるかどうかと思いますけれども、たしか四十九年度におきましては相当額の移用あるいは流用が行われております。ただその実態は、先生も決算書で御存じのとおりであると思いますが、いろいろベースアップ等に伴いまして、人件費の増額、いわゆる給与改善が必要だというようなことでありますとか、あるいはまた、それに関連いたしまして、共済組合の負担金が足りないとかいうような実態がございまして、そういう不足を補うために、当初組まれておりました予算から、執行の実情によりまして残りますような形になったものを移用する、あるいは流用するというようなことが従来から行われておるわけでございます。本来、当初の予算のときに、その年度における必要経費というものを正確に見込むのが筋であろうかと思いますけれども、やはりその年の状況等によりまして若干のずれが起こることもございますので、そういうような観点から、まあ結果的にと申しますか、不用が見込まれるものを不足分に回すというようなことが、行わざるを得ないといいますか、行われているという実情でございます。
  109. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 まあ報告書にあらわれておることでございますから、ことさらに数字を述べなくともいいとは思いますが、実は法務本省の関係で見ていきますと退職手当、これが百四十五億五千七百五十二万三千円の予算ですね、それに対して流用による減額、これが十六億五千五百七十四万二千円、そうして不用額となったものが八億五千三百五十五万二千四百九十六円、これが決算の結果ですよね。そうして、この流用減額と不用額の合計合わせますと二、十五億九百二十九万四千四百九十六円、こうなります。これは予算に対しまして一七・二四%、大変大きな比率なんですよ、予算に対しまして執行の結果。私はこの辺に何か問題があるのじゃないのかと、予算の組み方に。こう比率からいきましても指摘をせざるを得ないのです。  しかも流用先を見ていきますと、常勤職員給与に百四十九万八千円、休職者給与に八百七万五千円、公務員災害補助費に三千五百十六万九千円、児童手当に六百万、それから庁費に五百七十六万八千円、それから公務員共済負担金に十三億五千六百一万八千円、賠償償還及び払戻金に千七百六十四万円、こういうふうに流用先が出てますね。しかもこの合計は十四億三千十六万八千円、こうなるわけです。そうしてこの流用減額に対しまして、いま言いました合計をいたしますと、冒頭申し上げました流用減額、いわゆる十六億五千五百七十四万二千円に対しまして、いまの合計額が十四億三千十六万八千円ですから、二億二千五百五十七万四千円不符合になるのですね。この不符合分は、法務本省から検察庁へ流用している部分がありますね、これが二億三千百十一万五千円、それから公安審査委員会、これに向けて四十五万三千円、こういうふうな関係があるらしいんですが、これにしても減額総額と少し不符合があります。この不符合は、私いまとやかく申しませんけれども、こういう形で流用をされている。引き続いて、法務総合研究所、ここでは職員基本給一億八千七百六十八万九千円、これが予算ですね。これに対して庁費に百三十五万七千円、まるまると流用をしている、こういう形になります。  この職員基本給から流用をしている形、他に流用している形というのは、検察庁の場合には一億四千万円、刑務所の場合は四百十八万一千円、こういうふうに流用をされていますね。それから、さらに法務局の場合を例にとりますと、これは職員諸手当、これが八十九億七千四十万五千円、これが予算額です。この予算額に対して流用減額が八千六百四十九万六千円、不用額が三千八百八十四万二千三百三十六円、合計いたしますと一億二千五百三十三万八千三百三十六円、こういう数字になります。しかも流用いたしました先は、職員基本給に六千七百八万六千円、児童手当に百三十二万円、庁費に一千八百九万円、こういうふうに流用されています。これはきちっと数字が合うんです。こういうふうに職員諸手当から他に流用しているケースですね。このケースというのは、婦人補導院、これが四万六千円。少年鑑別所、これが三十六万七千円。少年院六百五十七万四千円ですか。それから矯正官署、これが百一万。更生保護官署、これが三百五十六万四千円。公安調査庁八百四十六万二千円。公安審査委員会五万九千円。地方入国管理官署三十七万三千円。こういうふうに、一つ職員諸手当から、一つは基本給から、こういう形で他に流用しているケースというのが法務省関係の全省庁ですね、これ。全省庁というとおかしいですけれども、関係のところ全部、すべてがそうなっている。これは何か理由があるんですか。
  110. 前田宏

    政府委員(前田宏君) これも正確な理由を申し上げられるかどうかと思いますけれども、特に四十九年度におきましては、委員も御案内のとおり、いわゆるべースアップ率が相当高額であったと、高率であったということが一つ問題点であろうかと思いますが、そういうことで人件費の当初の積算自体が非常に不安定な状態で積算されておったということ、その後人事院勧告によりましてベースアップが決まって、その人件費をどういうふうに捻出するかというような問題がその中にあったように思うわけでございます。そこで、大体先ほども御紹介がございましたように、基本給であるとか、あるいは諸手当であるとか、広い意味の人件費の系統から主として人件費の系統への移流用が行われているわけでございます。  また一方、庁費と申しますのは、主として燃料費であるとか電気代であるとか、そういうものの値上がりが年度途中に起こりまして、それの不足分を何とかしなきゃいけないと、たまたま人件費の積算上、そういうふうな残額が見込まれるというようなところで、その一部をそちらに回させていただいたというような実情から、そういう形になったというふうに考えております。
  111. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 人事院勧告実施に伴いまして不足をという、こういういまの説明ですし、それから報告書にもそういうところが全部出てますね。それは人勧によってアップする部分については、これは全公務員官署すべてありましてね、しかもこれは補正予算にいつも上がっているケースですよね。そうすると、この補正予算とのかかわりというのは一体どういうふうにお考えになっていますか。
  112. 前田宏

    政府委員(前田宏君) 基本的にはただいま御指摘のようにべースアップというのは全省庁に及ぶわけでございますが、他省庁のことは内容的につまびらかでございませんけれども、法務省の場合には人件費の占める率が非常に大きいということがほかの省庁に比べまして違っている点ではなかろうかと思うわけでございます。法務省の場合、よく言いますように、いわゆる事業官庁でございませんで、最近の予算でも人件費が八割を超えるというような実態になっておりますのがあるいは一つ他の省庁と違う点として申し上げられるかと思います。
  113. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 結局人件費が中心の官署だから、むしろこの職員の数の問題、これらは厳格に把握をして、それだけに正確に予算を提起をしまして、そしてそれを確保する、こういう筋にならないと私はおかしいと思うんですよね。いまの答弁からいきますと、逆に人が中心の官署だから、だから、人件費をたくさん盛っておくんだと、これじゃ私は予算を編成するに当たっての心構えからいきまして逆じゃないだろうか、こういうふうに思いますが、いかがですか。
  114. 前田宏

    政府委員(前田宏君) 確かに御指摘のような点がありまして、いろいろと考えなきゃいけない点があろうかと思いますが、人件費の当初予算の編成の場合におきましては、一般的に全省庁ともあるいはそうかと思いますけれども、ベースアップ率というものがまだ決まらない段階でございますので、それを大まかに一部だけ計上しておくというような例が実際の運用のように思うわけでございまして、その後にベースアップ等が勧告によりまして決まってくるというようなことで、当初予算を編成します場合になかなかその辺の見通しが立たないというような点、これが御説明になるかどうかと思いますけれども、一つあるわけでございます。
  115. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 べースアップの関係というのはずっと長い間補正予算ではほとんど処理されますね、毎年。その辺の慣行と具体的な組み方の問題というのは、いまの御答弁、どうもすっきりしないんですがね。どんなもんですかね。あわせて検査院のお考えもちょっと聞いておきたいですね。
  116. 松田賢一

    説明員(松田賢一君) 予算編成のことでございますので、私の方からとやかく申し上げられないかもしれませんが、もちろん予算はその当省の、省庁の人員に応じてなるべく正確に組まれなきゃいかぬことは承知しております。
  117. 前田宏

    政府委員(前田宏君) 同じようなお答えで恐縮でございますが、先ほども御指摘のございましたように、いわゆる人件費といいますか、基本給以外に移用または流用の財源になりましたのが、たまたま四十九年度では退職手当が相当な部分を占めておるわけでございますが、その点につきましては、私どもといたしまして、その時点、その年度におきます退職者の見通し等を結果から言いまして誤ったという点があったかと思うわけでございます。
  118. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 それから先ほどの答弁で、人勧実施分を含んでいるような含んでないような、当初予算盛るときに、この辺がどうもはっきりしないんですが、現実にそれを想定をされていつも予算編成に当たられるんですか。それともそれは想定をしないで、そのときの基本にしているんですか。
  119. 前田宏

    政府委員(前田宏君) 先ほど申し上げましたのは、予算編成時におきまして、これは法務省だけがそうしているわけではないと思いますけれども、統一的な大蔵当局の方針もありまして、一応人事院勧告がどのくらいになるかということはわからないわけでございますので、その一部的なおおむね五%ぐらいは少なくとも最初から組み入れていこうというようなお考えで編成がされているというふうに承知しております。
  120. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 五%の関係というのは、大蔵省の意向というふうに受けとめていいわけですか。
  121. 前田宏

    政府委員(前田宏君) 私ども正確に大蔵省の人件費の積算、わからない点もあるわけでございますか、私ども見ておりますところでは、そういうような率といいますか、割合で査定か行われているように受けとめておるわけでございます。
  122. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 もうちょっとはっきりしてくれませんか。査定か行われているということと予算要求をする段階とは私は違うと思うんですよね。そうしますと、たとえば職員基本給あるいは退職手当、たとえば退職手当はいまの年齢構成その他から見まして来年度は大体どれぐらい出るだろう、それをある程度概算をしてみまして、そしてそれが予算編成のときの基礎になる、こうなりますわね。それから職員基本給なんかは現員現給ですから、現員現給の場合にこれは省で必ずその数字がまともに出るわけですよね。それから五%という数字で考えていきますと、この法務省予算というのはそんなものでおさまりませんね。そうしますと、さらにこの査定という言葉が入ったんですか、それで出していって、現実問題予算が査定されて減らされたりふやされたりするんですか。
  123. 前田宏

    政府委員(前田宏君) 一般的に、各省からの要求に対しまして大蔵省の査定が行われているわけでございまして、この法務省の分につきましても、当然のことでございますがそういうことでございますので、人件費につきましても一応私どもなりに計算をいたしまして要求にのせるわけでございますが、それに対しても、ほかの費目と同様に大蔵省当局の査定が行われているというわけでございます。     —————————————
  124. 茜ケ久保重光

    委員長茜ケ久保重光君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、和泉照雄君が委員辞任され、その補欠として太田淳夫君が選任されました。     —————————————
  125. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 四十九年度でありますが、仮に五十年度の数字を見ていきますと、四十九年度と同じようなかっこうになっているんです、これは。だから、そのことから推計するのは、わずか二年間だけで推計したんじゃこれは大変だろうと思いますが、私は、私にいただいている範囲の資料で物を言いますから、もし間違っておりましたらきちっと訂正してもらえばいいんですが、法務省のとっている態度というのは、そういう意味合いから言って、あえて退職金だとか人件費だとかここに予算を盛りつけをしておいて、そうして、何といいますか、移流用でもって庁費、ここに意識的に流しているんじゃないのか、こういうふうにとらざるを得ないんだよ。五十年度の読み上げてみましょうか。五十年度の場合は、退職手当に対して流用減額が一億七千百十五万七千円、不用額は何と六十一億六千百二十七万一千四百六十円、こういうふうになっておりますよ。そしてこれらの金が庁費に対して千四百八十九万円流用しているんです、五十年度の場合にしましても。そして、さらに先ほども例に挙げましたからあわせて挙げておきますと、法務総合研究所の場合も同じように五十年度で六十五万九千円、これは金額はわずかですけれどもね。これがやっぱり庁費の方に入っているんです。こういう形を見ますと、ただ単に四十九年度だけでこれが積算の誤りだったとか、そういう話にならないと思うんですよね。傾向として、いままでの惰性でもってまあこの程度にはじいておけという形なのか、私はもう少ししっかりした予算編成に当たるところの考え方、同時に毎年こういうふうな流用が出ているとするならば、この流用結果から見てどういうふうにあるべきかという姿というものをきちんとしてもらわなければならぬ、そういう立場から、もう少し明確な御答弁をいただきたい、こういうふうに思います。
  126. 前田宏

    政府委員(前田宏君) ただいま御指摘のように、確かに庁費系統へも流用が一部行われているわけでございますが、改めてこちらから申し上げるまでもなく、流用移用の主たる先は人件費系統であるわけでございまして、庁費系統につきましては、もちろん額は小さいというふうに申し上げるわけではございませんけれども、先ほどもちょっと触れましたように、燃料費であるとかあるいは電気代であるとか、公共料金の値上げというようなことを言ってはいかがかと思いますけれども、そういうようなものが年度途中に起こりまして、私どもといたしましては、そういう生活費的な予算が不足するというような実情も結果的に起こるわけでございます。そういうことで、たまたまと申しますか、不用額が立つ見込みのものをそちらへ回していただくというようなことでしのいでいるということでございまして、当初から先ほどのような計画的にやるというような考えではないわけでございます。
  127. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 私はいま大変重要な御発言だと思いますよ。大体物価の上昇率あたりは役所専門にいままで——あなた、素人で、いままで全然経理の経験がなくて予算をつくられるのならいざ知らず、少なくとも役所の予算編成に当たっては、例年どういう形で実績の流れがあるのか、そのことは当然含めて私は予算の編成というのが行われると思うのですよ。ところが、意表をついて物が上がってきて、そしてその日暮らしができないような、そういうような形になるなんていうことは私はちょっと考えられない。そういう実例があるのなら言ってください。
  128. 前田宏

    政府委員(前田宏君) 御説明が不十分であったかと思いますが、もちろん概算要求をいたします場合に、ある程度の物価上昇率といいますか、見通しというものを立てて、それの必要額というものを要求するわけでございます。その分はそれなりに予算編成の際にも見込まれるわけでございますが、それをさらに上回るような、ちょっと予想できなかったようなものがあった場合が先ほど申し上げたようなことでございまして、もちろん全然見通しもなく編成というか要求をするということは適当でないわけでございますので、その点は従来からも考えておりますし、今後もまた一層精密に見通しを立てまして、御指摘のような点が大きくなりませんように十分考えていきたいと思います。
  129. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 庁費の法務省における支出の科目解疏、これは一体どうなっていますか。
  130. 前田宏

    政府委員(前田宏君) 庁費につきましてはいろいろと分かれておるわけでございますが、ずっとかいつまんで申し上げますと、いわゆる備品費、消耗品費、それから事務用の消耗品、それから印刷製本費等がございますし、さらに先ほども申し上げておりますような電気料、水道料、ガス料等を含みます光熱水料、それから郵便料、電信料、電話料等を含みます通信一般費、あるいは物の借料でありますとか、そのようなものがいろいろと含まれておるわけでございます。
  131. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 会計検査院にお尋ねをいたしますが、いまの質疑のやりとりをお聞きになっていまして、予算編成、同時に予算執行、こういう立場に対しまして、法務省の姿勢の問題を検査院としてどうお考えになりますか。
  132. 松田賢一

    説明員(松田賢一君) ただいま法務当局からも御答弁がありましたが、いまのお話に出ております四十九年度、五十年度、これの移流用の関係、これは流につきましてはそれぞれ理由があってやむを得ずそういう処置がとられたものと解しております。  ただ、先ほどもちょっと申し上げましたが、予算の点について私の方からとやかく言うのはどうかと思いますが、移流用の結果でなおかつ相当額の不用額を立てている、これが例年続くような状態でございますと、予算的に編成に当たってひとつ考えてもらわなければいかぬ点があるんじゃないかと、そういうことが考えられます。
  133. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 私が午前、検査院の注意の事項で申し上げましたが、あの形はきわめて積極的で、本来、これ会計検査院が、予算編成された予算が移流用を伴わないで支出目的に従って具体的に正当に支出をしていく、こういう状況になるようにこれは指摘をせざるを得ないことなんじゃないですか。私は、いま申し上げておりますように、四十九年、五十年見ましただけでも同じようなケースの移流用が毎年行われておる。こういうところを検査院が指摘をしないで、標準が実態に合っているか合ってないか、こういう形のはきわめて勇んでやっている。一体どういうことなんですか、これは。
  134. 松田賢一

    説明員(松田賢一君) 確かに予算執行全般について、われわれとしてはよく見て指摘すべきものは指摘しなきゃならぬわけでございます。いまの移流用につきましては、それぞれ理由があってやむを得ず行われておるものでございますので、そのこと自体については別にいままでこちらの方から何も申し上げていないわけでございます。
  135. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 理由があってと言って、その理由は確かめられているんですか、検査院としましては。理由なしに移流用が行われるはずはないんです、それは。たとえどんなことであろうと、それは移流用をしなきゃならぬ実態が起こっているんですから、理由はあるんですよ。理由があったら全部合法なんですか。検査院として、それはその中身は一体どうなのか、いわゆる予算を執行していく姿勢の問題としてどうなのか、そこをきちっと押さえていくのが検査院の本来の姿じゃないんですか。
  136. 松田賢一

    説明員(松田賢一君) 確かに先生のおっしゃるとおりであるかもしれませんが、この移流用につきましては、大蔵省との協議もありますし、そして、それはどういう流用をしたという報告もわれわれのところへ参っておりまして、その書面検査の過程で、なるほどこういう流用が行われたか、それはどういう理由であるか、そういうことは見ておりました。その予算編成の当時からの事情としてやむを得ないものというふうに感じておるわけでございます。
  137. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 特に財政法、会計法の諸規定、こういう立場からいきましても、編成した予算がたまにその年の大きな一つ状況の変化、こういう場合はともかくとしまして、同じ科目から同じ費目に常に行われているというようなことは必ず問題があるんですからね、いかに理由があろうと。何でしたら、その理由を資料として私提出を求めたいんですがね。しかし、それはともかくとしまして、少なくともそういう問題に対して、もっと私はそこに神経をとがらし、予算を編成をし、それを執行する者は特に留意をしてもらいたいというふうに思います。私、冒頭、大臣に、法をつかさどる法務当局として、検査院の指摘がなかったことについてきわめて私はいい、そう評価をしているというふうに言いましたが、一皮めくっていきますと、一つの惰性でもって予算の編成が行われる、これはこうやって回しておけばいいんじゃないかというような軽い気持ちで予算が執行されているようなふうに受けとめられてかなわぬのです。これはぜひ私は正してもらいたいというふうに思う。  なお、刑務所の収容費、少年院の収容費、少年鑑別所の収容費婦人補導院の収容費、これらをながめていきますと、いずれも被収容者が少なかったためにという理由の中で食糧費から収容諸費、これは言うならば本省の庁費に当たるようなものです、収容諸費は。ここへやはり相当の流用があるんです。たとえば刑務所の場合は千二百三十四万八千円。少年院の場合は五千二百八十一万四千円。少年鑑別所の場合は千六百八十七万円。婦人補導院の場合は八十四万七千円。これも四十九年度だけではなくって五十年決算の場合にも同じようにあらわれていますね。私は先ほどから繰り返して言いますように、たまたま四十九年度にこうした事情が出たと言うんなら、私はこんなに声を大にして指摘をする必要はないんです。ところが、四十九年度もあり五十年度も引き続き同じケースが出てきている。これでは言わざるを得ません。特に五十年度の場合、矯正官署総体に、何と言いますか、諸費に流用しました金額、これは一億三千八百十二万九千円に及んでいますね。こういう状況が出ているわけですから、ぜひ私はきちっとした一つの、これからの方針もありますから、明確な態度表明を求めたいと思いますよ。
  138. 前田宏

    政府委員(前田宏君) ただいま矯正関係の御指摘を受けたわけでございますが、一応の説明としてお聞き取りいただきたいと思いますけれども、収容諸費は庁費ということだといういまお話がございましたけれども、もちろん庁費系統でございますが、いわゆる被収容者の関係の庁費系統と申しますか、被収容者のためにいろいろと細かいものが要るということで要する経費でございます。  それから、全般的な問題で先ほど来御指摘を受けておりまして大変恐縮しておるわけでございますが、できるだけ御指摘のようなことが起こりませんように、今後とも十分注意をいたしたいと思います。
  139. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 特に、何と言いますか、刑務所以下少年院、鑑別所あるいは婦人補導院、こうした関係についていきますと、これは実際は、この表で挙がっていますから、私、内容をよく承知をしているんですがね。警察白書でいきますと、これは五十二年八月の三十一日の官報でそのあらましが報告されていますけれども、刑法犯の認知件数というのは前年に比べて一・一%増だ、そして三年連続——四十九年、五十年、五十一年、三年連続ということでになりますとね——増加をしている傾向にある。しかもその特徴的な傾向というのは、暴力団の銃器使用事犯、これは大体五年前に比較をして倍増だという、こういう指摘がある。それから覚せい剤事犯、これも四十五年以降増加をいたしまして、五十年に比べると三〇%増だ、こういう指摘がございます。それから、女子少年の非行の関係は、四十八年、一万三千七百七十四人に比較をいたしますと、五十一年には二万二千三百七十四人、大幅増ですね。残念ながらこういう増の傾向というものが警察白書の中で指摘をされているわけですよね。片方で警察白書の方ではそういうふうに事件の増、該当者の増というものが指摘をされて、そしてこの決算書類を見ていきますと、確かに収容の人員というのは統計的には減っていますから、それはわかるんでありますけれども、いい傾向として収容している人員というのは減りつつある形になっていますね。したがって、何か一般的にながめますと、数字にあらわれてくるものと警察白書というものが何かこう違ったような形です。で、実感としましては警察白書の方が正しい、こういう社会的認識がある。こういうちぐはぐな問題になるものですから、この辺について、これは聞き方がむずかしいんでありますけれども、実際具体的にどうなんだろうと。しかもそういうところがこの予算編成に、たとえば社会的傾向あるいは白書の傾向、こうしたもので予算を過大に見積もったけれども実際は少なかったので、そしてこれを庁費の方へ回したんだということになるのか、その辺のところをちょっと聞かしてほしいんですよ。
  140. 前田宏

    政府委員(前田宏君) 大変むずかしいお尋ねでございますが、確かに事件がある程度ふえておると、ところが一方刑務所等の矯正施設に入る者が減っていると、これはどういう関係かということになるわけでございますが、その間に検察、裁判というものが入ってくるわけでございまして、実際に実刑になりませんと刑務所に入らないという、端的に言えばそういうことになるわけでございますので、その辺が非常に検察あるいは裁判の運用というものがここに反映しまして、流動的といいますか、若干浮動的な要素になるわけでございます。  で、少年院につきましても似たようなことかあるわけでございますが、そういう裁判の実情というものについてとやかく申し上げるわけではございませんが、一面検察側としては処罰を重くするというようなこともございますし、反面施設内処遇という、矯正施設におけるいわゆる施設内処遇というものと、それからたとえば具体的に申せば執行猶予にして施設外で、社会で改善更生を図った方がいいというような考え方と、その辺がいろいろと混在しているわけでございまして、そのようなことで、事件がまず基本的にふえましても、当然にその実刑あるいは少年院収容ということで矯正施設に入る者が当然増のようなかっこうではふえていかないという点があるわけでございます。
  141. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 どうもやっぱり実態とこう違うような気がしてならぬですが、刑務所の未決がありますね、未決の関係あるいは四八過ぎましてからの警察のいわゆる刑務所に対する代監ですね、代監中のもの、こうしたものの経費というのは一体どこから出るんですか。
  142. 前田宏

    政府委員(前田宏君) 未決の場合に、刑務所といいますか、むしろ拘置所でございますが、そこに入れる場合と、ただいま御指摘の警察の留置場、代用監獄ということで警察の方に入れている場合とございまして、拘置所に収容している場合には法務省の方のそういう収容費系統から出るわけでございますし、警察の留置場に収容している場合には、警察に対しましてその実費を予算的に払うといいますか、そういう仕組みになっております。
  143. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 この予算費目にあります、警察へ弁償の形で払っているものがそうなんですね。そうすると、それらも含めまして、私は法務省関係の総体予算、この編成のあり方を、先ほどから言っていますように、きちっと一遍洗い直しまして、そしてもっと実態に即した予算編成、これをぜひつくってもらいたいと思うんです。これは担当のところと、同時に大臣のその辺の所感、こうしたものをぜひ聞いておきたいと思います。
  144. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) 先ほど来坂倉さんの御指摘、御注意、実はありがたく承っておったわけでございます。予算は申し上げるまでもなく予算成立の際に審議されることは、それを必要経費として必要だということで決定していただくわけでございますから、それは予算執行の上において余りそごがないようにするということは、これは当然のことでございます。先ほど来、四十九年、五十年のお話等が御指摘ありました。何年かの傾向を見ながら予算編成のときにはやはり実態に合うように進めていかなければならぬ。これは私、内容をつまびらかにしておりませんから、的確なお答えになるかどうかわかりませんが、四十九年、五十年が非常に経済状態が変動する時期に当たっておりました。そういうものが原因になっておるのかどうか。やはりそういう移流用が相当多額になっておるなら、理由を突き詰めて、そこをやっぱり分析してからかからなきゃいかぬのじゃないかと思います。  それから、先ほど人件費のお話がありましたが、おおよそ政府が当初予算で人件費を組みますときには、先ほども出ておりましたが、おおむね五%を上積みして組んでおると。人事院勧告がどう出るか、経済情勢その他で違ってきますから。しかし、財政運営上、五%程度は見込んでおかなければ、将来の財源の問題もありますからさようにしておりますが、それから補正予算を組みます場合に、やはり大蔵省、財政当局としては、人事院勧告がありまして、それを完全実施する場合に、既定の予算にそのとおり上積みするということはなかなか財政事情からやりにくい場合がございます。既定の経費の中で何とかもう少し人件費に回せる余裕があるかないか、それを各省庁に検討させる場合がある。それで不足するものを人事院勧告を完全実施するために追加補正予算をすると、こういうこともやっておりますから、そういうかかわり合いがあるのかどうか。そういう点もやはり分析をして、数年にわたって当初予算決算との非常な違いというものは分析して、やはり将来の予算編成の資料にしなきゃならぬ。きょうは御指摘をいただきまして、そういうことを大きく関心を持ったわけでございますから、事務当局としても十分そういう点を考慮して将来の予算編成に当たらなければならない、かように考えております。
  145. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 まだ質疑時間は残っておりますが、いまの大臣答弁を了といたしまして、ぜひ予算編成に当たって、従来の惰性に流れることなしに、きちっと現実を見ていただく、そうして現実処理が能率的に、しかも所期の目的が達成かできるように、ぜひともひとつ努力をして、そうして、少なくとも財政法で原則的に禁止をしております移流用等が余り行われないように、ぜひとも努力をしていただきますように御要望申し上げて、終わりたいと思います。
  146. 安武洋子

    ○安武洋子君 法務省からこの「人権の擁護」という、こういうパンフレットをいただきました。このパンフレットによりますと、人権相談とか、それから人権侵犯の相談数、この受理事件数ですね、これが年々ふえております。これは、人権を侵されるという環境があるということと、人権に対する国民の自覚が高まってきたんだというふうなこととが相まっているのではないかというふうに思うわけなんです。  で、人権擁護局を初めとして、人権擁護機関は日常いろいろ御苦労なさっていらっしゃる、人権の思想の高揚に努めていらっしゃるというふうなことで、私は大変御苦労なことだと思うわけなんですけれども、国民一人一人が人権の大切さを自覚して、そしてほかの人にも人権は大切だよと、こう訴えていくことが非常に重要なことだというふうに思うわけですけれども、大臣はいかがお考えでございましょうか。   〔委員長退席理事案納勝君着席〕
  147. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) おっしゃるように、憲法を制定し、憲法下の法治国家としておりますのは、御承知のように憲法が第一に基本的人権を中心に定めてあります。それをいかに実行に移すかということで立法、司法、行政、こういう組織をつくっている。とにかく人間の幸せを図るのが政治の目標であると思いますから、人権といいますか、正しい人権の伸長、これは一番の目標であると考えております。  ただ、これは私の思い過ごしかもしれませんが、残念ながらまだまだ日本のこの憲法下の法治主義というものについて、日本では日が浅いといいましょうか、成り立ちが違っておるといいましょうか、法治国家というものに対する強い意識が必ずしも十分でないと同時に、いわゆる人権思想というものがまだ必ずしも十分でない、かように考えておりますから、これはやはりたゆまず努力をしていかなきゃならぬ、かように考えておるわけでございます。
  148. 安武洋子

    ○安武洋子君 まあごりっぱな御答弁いただいてありがとうございます。日本国憲法といいますのは、もうお聞きするまでもなくこれは職場の中であろうと守らなければならないと、こういうふうに思うわけなんです。労働協約、就業規則、社則、そういうものも、もちろん憲法違反こういうものは締結したり結んだりすることはできないと、こういうふうに思いますけれども、念のためにもう一度大臣にお伺いさしていただきます。
  149. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) おっしゃるとおり、もとより憲法下においてすべて法律規則発動は憲法の方針に従ってやらなければなりません。憲法違反のことを決めるということは不適当であります。
  150. 安武洋子

    ○安武洋子君 憲法の第十一条は、これは基本的人権を侵すことのできないものだということがうたわれておりますし、憲法の第十四条には、「すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。」と、こういうふうにもなっておりますし、憲法の第十九条です。これは、「思想及び良心の自由は、これを侵してはならない。」とこういうふうになっているわけなんです。よく御存じだと思いますが、それを踏まえまして私は一般的な問題としてお伺いいたしますが、思想、信条のみを理由として、職場外で次の私がいまから申し上げるようなことが起こった場合は、人権を侵されたことになるのではないかということでお伺いしたいんです。  第一点です。帰宅するときに尾行する。どういうところに立ち寄るのかという、こういうことを調べる。第二点です。お葬式のときのお手伝いをして、来客、それから会葬者、お香典、こういうものを調べて交友関係を調査する。第三点です。通勤するときに同一の交通機関を利用する者については、その者は孤立させる必要があるんだから交際をしてはいけないというふうなことで、特に退勤の途上行動をともにさせぬように孤立化を図る、そのことが必要だということを周りの人に説明する、こういう点について、人権が侵されているとお考えになりますでしょうか、お伺いいたします。
  151. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) 細かいことは専門の事務当局にお答えをさせますが、尾行調査、それがどういう具体的な事例か、一般的に尾行調査が全部悪いとはこれは言えない範疇もありますから、そうは申し上げられないんですけれども、具体的な事例によりませんと的確な申し上げようはできないわけでございますが、個人の名誉あるいは行動を邪魔立てするということはもちろん人権を侵すことになると思います。
  152. 安武洋子

    ○安武洋子君 じゃさらにお伺いいたします。  職場内で——私先ほども申し上げたのは、思想、信条のみを理由にしてということを前提として置いております。ですから、思想、信条のみを理由として、職場内でまたいまから私が申し上げるようなことがあった場合、これは人権が侵されているというふうにお考えでしょうかどうか、お伺いしたいわけです。  その第一点です。本人がその職場に転入をすると、そういう前に、職制が、職場の人に孤立化の必要があるんだということでそれを十分に説明して、地固めを行ってから受け入れる。それから第二点目です。何とか仕事のミス、あらを探して、注意するよりも文句を言うようにしている。また、休暇の日に家庭を訪れて、虚偽の申告をしているかどうかを確かめる。日曜日なども急に突然に家庭を訪問して動静を探る。それから四点目です。昼休みに喫茶店に行くときも同行者を注意する。五点目です。他の者が同情的にならないように注意を払って、信用失墜を図るように、他の者が相手にしなくなるように努めている。それから六点目です。いまの仕事は重要なポストであるので仕事に張り合いがある、また他の係との接触もあるので、これでは孤立化を図れないために、業務の分担についても検討をしていく。それからさらに仕事を軽減して、単純、定型的な業務に移して孤立化を強めよう、そして自発的に退職をさせるように働きかけようとしている、こういうこと。それから、本人または他の者が近づかないように、十分に準備をして、ロッカーに指紋の残らないように用意万端を整えて、ロッカーをあけて私物を検査して、手帳を出して、その内容を写真に撮り確認する、こういうふうなことはいかがでございましょうか。
  153. 鬼塚賢太郎

    政府委員鬼塚賢太郎君) 具体的な事柄につきましては、やはり先ほど大臣が言われましたように、具体的な事実関係をよく確認しなければ軽々な判断はできませんのですが、いまおっしゃいました事柄一般的に申しますと、やはりそれは思想、信条の差別のみを目的としてなされる行為は人権侵犯の疑いがあるのではないかというふうに考えます。
  154. 安武洋子

    ○安武洋子君 私がいま申し上げましたことは、これは昭和四十六年四月三十日に法務省にも救済を訴えた事件の発端になった関西電力のマル秘文書、労務管理懇談会報告書、すなわち関西電力が会社の意に沿わない思想を持つ一部の社員をマル特社員、こういうふうに呼んでおります。こういう社員として職場内外で監視、孤立、差別、人権侵害、これをどう行ってきたかということを、そしていかに退社に追い込まれざるを得ないようにするかということを目的として開かれた労務管理懇談会の実施報告の中身の一部なんです。しかも、この中でマル特者として名指しをされている人たちがいるわけですけれども、そのマル特者とはどういう人たちかというのは、この報告書の中でどういうふうに書かれているかといいますと、「勤務状態は遅刻、早退、欠勤等はなく、真面目な勤務振りである」。これは水谷治さんという人で、このことを発表しているのは西宮営業所主任の細見敏夫さんという人です。  それからまた、「本人はおとなしい、まじめに仕事をする人間として振舞っており、これが生地なのか作戦なのか見分けがつけ難い実状である」、これは速水二郎さんという方に対して発表しているわけですけれども、発表者は兵庫営業所の内線主任の秀川正純さんという人です。  それから家庭は円満で、「万事が低姿勢で終始ニコニコムードで人当りも極めて良い。出退社時間も正確で仕事についてもミスがなく真面目な標準的社員である」、これは松本育造さんという人に対して明石営業所の営業主任の川人喜八郎さんという人が発表しております。この明石の営業所の営業課の主任さんは、「社内でも過去一年間格別な動きがなく、本人の行動についても何の特徴も把握できず、強いあせりを感じている」、こうも言われているんです。要するにまじめな模範社員だと。それなのに思想、信条、これだけの理由で、庶務課長とともに、本人の居住する地区を管轄する加古川警察署に本人の写真を持って出向いております。そして情報を交換したいと申し入れて、その後社内外でのこの情報を得ているというふうな報告もされているわけです。それには、九条営業所を退職した人が来所して一緒に帰宅をしたとか、あるいは旗開きに参加をしたとか、演説会に参加をしたとか、こういうふうなことです。それだけではなくて、なお、「明石警察とも常に連けいを保っている」、こう書いているんです。しかも、「むしろ現状は当所より」、というのは関電ですね。関電より「情報を提供している感じである」、こういうふうに書かれております。こういうふうな企業のやり方について一体どうお考えでございましょうか。大臣並びに人権擁護局長の御答弁を承りとうございます。
  155. 鬼塚賢太郎

    政府委員鬼塚賢太郎君) 先ほども申し上げましたように、具体的な事件についての判断は軽々に申し上げることはできないんでございますけれども、一般的なこととして申し上げれば、そういうような事柄につきましては、先ほど申し上げましたように人権侵犯の疑いがあると考えます。
  156. 安武洋子

    ○安武洋子君 いま挙げた件で、この関係の四名の方は、司法救済を求めて四十六年十二月二日に神戸地裁に告発をしております。現在係争中です。ところが、民事裁判を起こした時点で神戸地方法務局の人権擁護関係の審査がストップになってしまったままなんです。そのために差別が依然として続いているという実例を私は申し上げたいんです。  このストップがいかにこの人たちの人権を侵し続けたままになっているかということを、ここに持ってきておりますので申し上げますが、この一件書類は、速水二郎さんが同期同年齢の方と比べて賃金が年間五十万から六十万違うということを四十八年と四十九年に会社に対して申し立て書を出しておられる、これが書類なんです。それからさらに、これは担当業務、この会議に出席をさせない、なぜ出席をさせないのかということで五十一年九月にこういうふうな書類を、苦情申し立てをされておられます。それからさらに、この申し立て書は、仕事上の差別などでいろいろ苦情を申し立てているのにかかわらず一向に改善をされない、だからなぜそういうふうになっているのかということを話し合ってほしいということを申し入れたわけです。ところが、仕事上のことなのに、勤務時間内にはそんなことは話せない、話すなら勤務時間外だというふうに拒否をされたので苦情の申し立てを行っていらっしゃる、これが一件書類です。  それから、同じくこの速水二郎さんですけれども、ほかの裁判の証人の出廷命令が裁判所から来ております。こういうときは労働協約によって特別休暇が与えられることになっております。ところが会社は、この速水さんに対しては本人の申請どおりに休暇を与えなかったという、これが苦情申し立てです。  それからこれは、関電では年に一回ずつ全社員が身上申告書を出すことになっているんです。これにはいろいろなことが書かれてありますけれども、ここに本人の希望を書く欄があります。この欄には、差別をやめてほしいというふうなこと、それから、自分は同期生と同じような仕事を与えられたらやれるからそういう仕事を与えてほしいというふうなこと、毎年書いておられるんです。これは四十七年から五十二年、六年間の分。毎年同じことを書いておられていまだに全く改善がされておりません。  それから、関電はいま三件係争中の事件があるのは御存じだと思います。これの一件の奥山さんという方なんですけれども、この奥山さんは、職場交歓の行事、こういうのがあるわけですけれども、ことしになって三回もこの行事に参加をさせてもらえない。職場の人が参加するのに奥山さんだけは参加をさせてもらえない、ということがあります。それから転勤の際にはみんなで歓送迎会をする、こういうものにも参加をさせてもらえないわけです。所内のスポーツ大会にも出席をさせてもらえない。  現在こういうふうな差別がまだ続いているわけなんです。しかも新しい事態も起こっているわけなんですけれども、いま私が挙げましたようなこういう差別が続いているという事態について、一体どうお考えでございましょう。
  157. 鬼塚賢太郎

    政府委員鬼塚賢太郎君) ただいま御指摘事件につきましては、ちょっとじゃ御説明さしていただきますが、昭和四十六年四月三十日に人権侵犯事件として申し立てがございまして、そして申し立てを受けましたのが神戸地方法務局でございますが、大阪法務局と共同で人権侵犯事件として調査をいたしておりました。そのうちに昭和四十六年十二月二日に、その申告の事件とほぼ同一の事実を請求原因といたしまして、速水さん外三名の方でございますか、本件相手方である関西電力株式会社、これを被告といたしまして、慰謝料の支払い、謝罪文の掲載、それから差別的取り扱いの禁止を求める訴え、訴訟を神戸地方裁判所に起こしたわけでございます。このように、申告されて調査の対象になっております事件関係者が同一事件について訴訟を起こしましたときは、結局、その訴えにつきまして人権擁護の終局的な機関としてございます裁判所が厳密な事実認定と判断を下すということでございますので、御承知のように任意の調査しかできません法務局等の人権擁護機関といたしましては調査を中止する、そして裁判所の判断を見守るというのがこれがたてまえでございますので、本件につきましても、昭和四十七年三月七日に中止処分、これは一時やめるということでございますけれども、中止処分ということがなされました。しかし、ただいま御指摘のように最初申告されました事実以外にいろいろ新たな人権侵犯事実があるということでありましたならば、それにつきましてその申告等がございますならば、これはやはり人権侵犯事件として調査を進めたいというふうに考えておるわけでございます。
  158. 安武洋子

    ○安武洋子君 ぜひ調査を進めていただくべきだと思います。  それから私はここに一つの文書を持っております。これは社長室担任支配人、この方がお出しになった文章なんです。これは書いてあることはビラの配布の問題についてです。「職場・勤務時間の内外を問わず、断じて容認し得ないところであります」「この種行為の厳禁を重ねて徹底するとともに、職場規律の確立に一段の努力を払われるよう命により通知します」、こういう文章なんです。職場内外を問わずにビラの配布を断じて容認しないと、これを命によって通知をすると、こういう通達についてはいかがお考えでございましょう。
  159. 鬼塚賢太郎

    政府委員鬼塚賢太郎君) 私どもといたしましては、やはり一般論といたしましても、詳しい事実関係をよく調査しませんとちょっと判断がしにくいという感じでございます。
  160. 安武洋子

    ○安武洋子君 いや、事実は私がいまここに申し上げているわけなんです。出しているのは昭和四十四年一月二十九日、これがまだ生きております。いま私が申し上げた、「社員の自覚と職場規律の確立について」、お見せいたしましょうか。——じゃ事実を確認していま御答弁いただきとうございます。
  161. 鬼塚賢太郎

    政府委員鬼塚賢太郎君) ちょっとお時間をいただきたいと思います。
  162. 安武洋子

    ○安武洋子君 私、余り持ち時間がないので急いでください。
  163. 案納勝

    理事案納勝君) 速記とめてください。   〔速記中止〕
  164. 案納勝

    理事案納勝君) 速記始めて。
  165. 鬼塚賢太郎

    政府委員鬼塚賢太郎君) とっさのことでございますので、いま拝見しましたが、ちょっと判断しにくいものでございます。
  166. 安武洋子

    ○安武洋子君 なぜ判断しにくいのか、理由をおっしゃってくださいませ。
  167. 鬼塚賢太郎

    政府委員鬼塚賢太郎君) 文章がやはり抽象的で、ちょっと判断しにくいのでございます。
  168. 安武洋子

    ○安武洋子君 憲法第二十一条、「集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない」、こういう条項があるのは御存じでございましょうか。
  169. 鬼塚賢太郎

    政府委員鬼塚賢太郎君) 存じております。
  170. 安武洋子

    ○安武洋子君 それに照らして、なぜ職場外で勤務時間外にビラをまくことがいけないんでしょうか。
  171. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) いま、憲法その他にいろいろ書いてありますが、いまおっしゃることを、具体的な内容とその文章だけでなくて、会社の規律その他もあると思います。でありますから、そういう点まできわめないとどういうことなんだということがわかりかねますから、それがいいとか悪いとか判断ができないわけでございます。やはり会社には会社の規律がある。憲法に書いてあることが理想でありますから、どこでもかしこでもこの憲法に書いてあるとおりやれるというものじゃないと思います。
  172. 安武洋子

    ○安武洋子君 大臣の御答弁が最初と違いました。大臣はどこでも日本で憲法は施行されるべきものだと、職場の中においても厳然と憲法はあるものだという最初のごりっぱな御答弁をいただいております。しかし、これはビラの中身なんか書いてないわけですよ。どんなビラだって、ビラの中身によらず、「勤務時間の内外を問わず」です。勤務時間外になぜビラをまいたらいけないんですか。こういう行為を厳重に「命により通知します。」と、こういう権限が一企業にあるんですか。
  173. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) 安武さんのお言葉でございますが、そういう、そのビラがまたどういうビラか、ここで全然わかりません。
  174. 安武洋子

    ○安武洋子君 ビラの中身を問わずでしょう。関係ないわけですよ。これは一切のビラなんですよ、一切のビラ。
  175. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) ちょっとお待ちください。会社には会社の規律があるわけでございますから……
  176. 安武洋子

    ○安武洋子君 だから、職場外のことを言っているんです。
  177. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) いや、外であろうがなかろうが、会社の規律があると思います。その会社の規律とどういう関係があるか、全然ここではわかりませんから、その文章だけではちょっと判断ができかねると、かようなことを申し上げているわけです。
  178. 安武洋子

    ○安武洋子君 勤務時間外に職場の規律が及ぶんですか。その点をお尋ねいたします。
  179. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) 重ねて申し上げますが、具体的な行動あるいはその内容、それは、たとえば安武さんも、失礼でありますけれども、安武さんの悪口を書いたビラを、これは言論の自由だと言ってどこでもここでもまけるものじゃないと思います。それはそういう具体的な事実があるかどうかわかりませんから、ここでそれだけでああでございます、こうでございますという判断はわれわれの方では下せないと、かように申し上げているわけです。
  180. 安武洋子

    ○安武洋子君 中身のすりかえをしていただいたら困るんです。私の悪口を書いた文章、そういうビラが配布されて、それが真実でないときは私は人権侵害で訴えます。中身の問題でなくって、どういうビラであろうとなかろうと、企業外でビラを一切まいてはいけないというのはどういうことなんですか。
  181. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) それがわからないから答えようがないというわけでございます。それは何もかにも個人の、全然会社に関係ないビラをまくことを禁止するなんということはできません。
  182. 安武洋子

    ○安武洋子君 どんなビラとも書いてないんですよ、これは。ビラをまいたらいけないと書いてあるんですよ。その点をよくわきまえていただかないと、会社のビラをまいたらいけないとか、私の悪口を書いたビラをまいたらいけないとか、何とも書いてない。ビラはいけないと書いてあるんですよ。勤務時間内外を問わずなんですよ。だから、私は内を言っていません、勤務時間外になぜビラをまいてはいけないんですかと。
  183. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) そこが明確でないからこちらで判断的なことは申し上げられないというのは、その通達を出した趣旨がはっきりわからないわけでございます。文字にはそうありますけれども、一切のビラだとか言論とか行動を禁止するという意味かどうか、ここでは明確でありません。
  184. 安武洋子

    ○安武洋子君 これをお見せしてもおわかりにならないようですから、ですから改めて調査をなさるというふうなことを私は要求をいたします。これを受けて、さらに当時の兵庫火力事務所長が、もう一人一人に周知徹底をさせろというふうなことで、厳罰をもって対処する会社の方針だというふうなことまで書かれているわけですから、私は厳重に調査をなさり、こういう不適当なものは取り消すように勧告をなさることを強く要求いたします。よろしゅうございますでしょうか。
  185. 鬼塚賢太郎

    政府委員鬼塚賢太郎君) 先ほども申し上げましたように、新たな人権侵犯事実につきましては申告等があれば調査いたします。
  186. 安武洋子

    ○安武洋子君 じゃ、まだございます。申し上げますけれども、関電の神戸支店に勤務をしている森下清治さんという方が、ことしの六月の四日の土曜日の、まだこれは勤務時間外でございますからね、早朝に近くの市役所の前で人権擁護を訴える昼休みデモに参加するように呼びかける、こういうビラをまいていたんです。そうすると、直接の上司である関谷電路課長に出会ったんです。そうすると、六月六日月曜日に、そういう活動をするんやったら会社をやめてからやれと、それが聞けんのやったら即刻部屋から出ていけと、こういうことをこの関谷電路課長から言われております。それから、よく聞いていただかないといけないのは、人権を擁護しようというビラをまいたらこういうことになったわけなんです。その後、仕事上のいやがらせとか、街頭でのビラの配布の監視とか、こういうものが続いております。そうしてさらに九月に入ってから、いままで数年やってきた設計の仕事を取り上げられて補助に回される、こういう事件を御存じでございますか。
  187. 鬼塚賢太郎

    政府委員鬼塚賢太郎君) 実はきょうお尋ねがございましたので、昨日神戸の地方法務局に照会いたしましたところが、昭和四十九年以後、現在まで神戸の地方法務局へ新たな侵犯事実としての申告はないということでございますので、私どもまだ承知しておりません。
  188. 安武洋子

    ○安武洋子君 申告の事実がないから調査をしないというのは私は怠慢だと思います。この人権侵犯の問題については、おたくでは、新聞、雑誌の出版の記事とか、放送その他、そういうものからでも情報の収集を行う、「進んで事件の端緒を得ることに努めなければならない。」と、こういうふうになっているわけです。ですから、私がいま申し上げましたこういうふうな人権侵犯の事件が重ねて行われているわけです。ぜひこの捜査を始めていただきたい。このことを強く要求いたしますが、いかがでございますか。
  189. 鬼塚賢太郎

    政府委員鬼塚賢太郎君) 調査いたします。
  190. 安武洋子

    ○安武洋子君 調査をされまして——これは関電はいままで係争事件をたくさん起こしている、三件も。しかも、私がいま申し上げたのは氷山の一角なんです。こういうことを起こすようなこういう会社に対して適切なやはり指導をなさって、再びこういう人権侵犯を起こさないように厳重にやっていただきたい、こういうことを強く要求いたしまして次に移ります。  この十一月二十二日で、兵庫県の八鹿高校事件が発生して三年目になります。この事件といいますのは、もう私が申し上げるまでもなく、白昼の路上と公教育の現場である八鹿高校内で、六十数名の先生方が十時間以上にわたって言語に絶する集団暴力を加えられたり、そして要治療者が約六十名、即日入院が二十八名、いまも後遺症に悩んでおられる先生方もいらっしゃるわけです。日本の教育史上かつて例を見ない残虐な事件です。この事件を引き起こした人たちは一部起訴をされており、裁判に付されております。しかし、当時の釜谷八鹿署長、この方ほか十一名というのは不起訴処分になりました。しかし、これを不服として吉富健二氏らが五十年十二月に神戸検察審査会に審査申し立てを行っております。そしてこの十一月七日に、神戸検察審査会は、釜谷氏ら五名の不起訴を不当とする、こういう裁決が行われております。私はここにその通知書を持ってきておりますけれども、この議決の理由が書かれておりますけれども、検事正のところにも裁定書が送付されていると思います。   〔理事案納勝君退席、委員長着席〕 この私がいま持ってきております通知書と、それから検事正のところに送られた裁定書というのは、要点は同じなのでしょうか。
  191. 石山陽

    説明員(石山陽君) 同じであるかどうか、先生のちょっとお手持ちのものを拝見しないとわかりませんが。
  192. 安武洋子

    ○安武洋子君 では私の方から申し上げます。これは「議決の理由」として、   一、被疑者鳥井政雄について   慎重審査を行ったが、検察官の不起訴裁定を覆えす証拠は見当らない。  それから、   二、被疑者山本佐造について   本件監禁及び強要の事実について   (一)旧体育館内の糾弾につき、当初から指示を行つていること。   (二)監禁中の被害者を、旧体育館から会議室等へ移すことについても関与していること。   (三)会議室及び部落解放研究会部室においても糾弾の指示を行つていること。   (四)具体的に糾弾の方法について、暴力導入を指示していること。   等からみて、たとえ事前共謀に加わつていないとはいえ、犯情は重い。   三、被疑者小山友一について   糾弾に参加した共斗会議構成員の人数が、異常なまでに多数であつた情勢下における被疑者の所為の被害者に与える心理的影響、困惑が、その極限に在ることを充分認識して監禁に及んだ犯情は重い。   四、被疑者山根新作について監禁されている被害者の服装、出血状況、頭髪がバサバサで、毛布にくるまつていたこと等から、暴行受傷の事実を推認した状況下で、至近距離において、鋭く話合いを求めて強要に及んだ犯情は重い。   五、被疑者前田昭一について社会教育主事として、事態収拾のために八鹿高等学校へ派遣された立場にあつたにも拘らず、却つて共斗会議構成員に加担し、本件被害者を第二体育館内へ連行逮捕した犯情は重い。  よつて前記趣旨のとおり議決した。  これが一通です。これはいかがですか。
  193. 石山陽

    説明員(石山陽君) 先生のお手持ちのものと、私どもいま持ってきておりますものの内容は全然違っております。私どもの方に入手しておりますのは、「議決の趣旨」「議決の理由」という形になっているものでございまして、これが外部的に発表された公式文書であろうと思いますが、それによりますると、たとえば「議決の趣旨」として、本件不起訴処分中、ある者については相当であるが、そのほか三名については不当であるというのが趣旨でございまして、「議決の理由」の部分は、それら不当とされる人々あるいは相当される人々の被疑事実の要旨というものを書いたもの、これをとりあえず入手している次第であります。
  194. 安武洋子

    ○安武洋子君 通知書というものは要旨が違うんですか。
  195. 石山陽

    説明員(石山陽君) ですから、その通知書とおっしゃいますものの中身がちょっと私どもよくわからないんでございますが、あるいはそれはそのような裁決に至ったところの内容説明書のようなものではないかというふうに、お読みになっている文章から拝察いたしましたが、公的に——表に出します議決書というのは、要するに判決の主文に相当するようなものでございますので、やや抽象的になっているものを私ども報告で受け取っているのではないかというふうに考えております。
  196. 安武洋子

    ○安武洋子君 ではそれを資料としてお出し願えますでしょうか。
  197. 石山陽

    説明員(石山陽君) 後日検討しまして、なるべく御趣旨に沿いたいと思います。
  198. 安武洋子

    ○安武洋子君 ここに私の方に通知されました——私じゃなくて、審査申し立て人吉富健二ということで、神戸検察審査会から通知書が来ております。これには、被疑者釜谷吉四郎に対して不起訴を不当とした理由というのが挙げられております。これは、事件の第一現場の立脇履物店前の路上の暴力事件が第二現場の八鹿高校内での集団暴力事件に継続していると、こういうことで第一現場を現認した釜谷元署長の行為は、現行犯または準現行犯的な犯罪であって、それによって被害をこうむっている人々を救助すべき義務があったにもかかわらず、第二現場に強制的に逮捕、監禁されている被害者の救出を行わなかった、こういうことなどで、公務員職権乱用、保護者遺棄致傷、これについて不起訴処分は不当である、こういうことになっておりますが、この公務員職権乱用、保護者遺棄致傷について不起訴処分は不当であると、こういうことは間違いございませんですね。
  199. 石山陽

    説明員(石山陽君) 結論はおっしゃるとおりであります。
  200. 安武洋子

    ○安武洋子君 検察審査会の設置目的についてお伺いいたしますけれども、これは「公訴権の実行に関し民意を反映せしめてその適正を図る」ということだと思います。で、事件が起こったときというのは、これは異常な事態で、自分の目でこの異常さを見た県民、あるいはそのときは事実がなかなか知らされませんでした。でも三年たったいま、あの事実を知ってこれは大変なことだというこの県民の良識、こういう県民の良識がこういう審査会に反映して、民意として反映しているというふうに思うわけです。また兵庫県政自身も、こういうふうな事件を引き起こした解放教育の誤りを認めて是正をしているというふうな、事件直後とはいまは非常に変わった状態の中でのいまの時点の民意の反映だというふうに、私はこの検察審査会の設置の目的に照らし合わせても思うわけなんです。ですから、こういう点を重視をしていただきたい、こう思います。この審査会の議決を尊重されるおつもりがおありかどうか、いま再捜査はどのように進めておられるのか、この点をお伺いいたします。
  201. 石山陽

    説明員(石山陽君) ただいまの委員指摘の点の、前段の検察審査会の目的という点につきましては私も全く同感でございます。この事件につきましては、すでに昭和五十年の七月二十一日に、検察庁といたしましては、種々関係者あるいは被疑者を取り調べをいたしまして、そのうち八鹿高校事件と俗に言われる部分につきましては被疑者十人を起訴いたしまして、現在公判係属中であります。その余の関係者等につきまして捜査を遂げましたが、あるいは事実関係が明確でないあるいは犯情が起訴するに足りないというような理由から、それぞれ当時何人かの不起訴者が出たことも事実であります。今回の不起訴処分不相当と出ましたのは、そのうちの五名の方についての再審査の申し立てがなされまして、一名は検察官について不起訴処分相当ということに相なりましたが、残り四名については不相当である、こういう形になったのが一つでございます。  それから次のもう一グループは、事件当時のいわゆる八鹿署長に対します職権乱用等の告発事件でございまして、これは一人に対してなされました再審査の請求が認められまして、不起訴不相当という結論に相なっているわけでございます。  以上の両件につきましては、先ほど先生御指摘のように、一部の事件はまる三年が来週早々にまいりますので、その前までに何らかの結論を出さねばならないという形で、現在神戸地方検察庁におきまして鋭意その当時の証拠書類等を再検討いたしまして、さらに起訴すべきものかあるいは再度不起訴処分を維持すべきものか、いわゆるその点について調査中でございます。
  202. 安武洋子

    ○安武洋子君 私の質問に一点いまお答えいただきました。しかし、もう一点が抜けております。審査会の議決というものを尊重されるという、そういう姿勢がおありでございましょうかということを私は申し上げました。
  203. 石山陽

    説明員(石山陽君) これは私がお答えするには相当でないと思いまして、実は先ほど意識して外したわけでございます。これは現地の具体的事件でございますので、あくまで神戸地方検察庁におきまして検察官が証拠を判断し、その結果におきまして、具体的事件については検察官の判断によって最終結論が出るもので、法務省がその結論を予測してとやかく言うべき筋合いのものではないという意味で申し上げたわけでございます。
  204. 安武洋子

    ○安武洋子君 特に私がこの釜谷氏の問題を問題にしたいという理由は、釜谷氏は当時の八鹿署長です。特別公務員の立場で、現在甲子園署長として御栄転なさっていらっしゃる人です。警察官だからということで、私はこの事件をうやむやにしていただいては困る。全くそういうことはないというふうに御信頼は申し上げておりますけれども、先ほどおっしゃったように、公務員の職権乱用罪というのはこの十一月の二十一日で時効になります。いま大阪の高等裁判所に付審判の請求の抗告が行われておりますけれども、時効も間近に迫っているわけなんです。こういうときに、私はまず何よりも検察側の態度を明確にして、即刻起訴を決めるべきだ、こういうふうに思うわけですけれども、いかがでございますか。
  205. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) 安武さんも御承知だと思いまするが、事件を捜査をしてそれを起訴するかしないかというのは検察の職権にかかっております。法務省がこれを左右するような指揮はできないことになっております。検察官が厳正な取り調べをして、調査をして、そして起訴すべきかしないかを判断するものと思います。
  206. 安武洋子

    ○安武洋子君 その厳正な判断をされるという資料に、私は三年前の十一月の二十二日の午前十一時前から二十三日の午前三時まで八鹿警察署におりました。このときにおったのは、私どもの党の小巻敏雄議員、それから小巻敏雄議員の長谷秘書、それから私の戸崎地元秘書、同行の弁護士です。私はあの釜谷元署長の言動を知っている生き証人の一人です。ですから、私はその場にいたという証拠は、私も被害者として告訴をしております。不起訴にはなっておりますけれども、その起訴を見ていただければ明確です。私はなぜ彼が起訴されなければならないかという理由を申し上げたいと思います。  私は十一時前にすでに八鹿警察署に入りました。そのときには高校生数名がもう警察署の前に来ております。代表の男子の生徒二人が署長室で鷲尾民雄次長に対して、先生が暴行を受けている、なぐられたり、けられたりしてけがをして血を流している、集団で取り囲まれている先生を何とか助けてほしいと、こう言っておりました。私が次長に対して、署長はどこなのかと聞くと、署長は路上の現場から一たん帰って、再びいまの八鹿高校の現場に出向いていると。署長にすぐに連絡に行きなさいと言いますと、無線でずっと連絡をとっているから、無線ですぐに連絡がとれると、こう言いました。だったら無線でいまの高校生の要請を連絡せよと、こういうふうに言いました。次長はすぐに連絡したと私に答弁をいたしました。  しかし、十二時前には生徒がさらに続々と集まって来ました。そして、先生が血を流して殺されそうになっていると次々、次々に全員が訴えました。そして、何とかして先生を助けたい、警官にすがって泣いておりました。しかし、警察は微動だにもしない。そこで生徒はデモをして先生を励まそうと、学校の周りを取り巻いて先生を励まそうと、こういうふうに言っておりました。警察にデモ届けを出しましたけれども、五十人の保護者を要求されておりました。生徒たちは町を駆けめぐって五十人の保護者を集めてきました。そして、私はそういうデモが平穏に行われるように保護を要請いたしました。そしてその間に、私は中がどうなっているんだ、署長に中に立ち入れと再三再四次長を通じて要請をいたしました。ところが、署長からの返事は、中は平穏だと、こういう返事しか返ってきません。生徒たちの訴えとは全く違っております。そんなに平穏なら私自身が学校内に立ち入るから私を保護しなさいと、こういう申し入れをしました。ところが、道路上で二人のけが人が出ていて警官がそれについているから、手がないから来てもらっても保護ができないとか、実にあいまいな返事しか返ってこなかったんです。  しかし、十二時には農業研修員だという人が警察に逃げ出して来て駆け込んで来ております。この人の被害状況を私の同行した弁護士を通じて次長に聞き取らせ、すぐに署長にそれを連絡させました。次長は連絡をしたと言いました。そうすると署長の方から返事が来ました。十二時現在です。これは、署長は二十四、五名が体育館の中で話し合うからと、いま机を並べている、育友会や解放同盟の人は体育館にはいないと、三百人ほどが体育館から出て校庭にいると。そういうことがわかるのは署長は中にいるのかと、私は聞きましたら、署長は中におりますと次長は答えました。署長がうそを言ったのか次長がうそを言ったのか、共謀したのか、当然私は調べていただかなければ、こういううそを警察が平気で言っているということに対してがまんがならないと思います。  それから十二時三十五分には、病院に入った先生の見舞いに行ったら、いやがらせが続いている、脅迫が続いている、こういう情報が入りました。次長に伝え、署長に伝えよと言いました。伝えたと、こういう返事が来ました。しかし、署長の返事は、病院は平穏無事だと、こうでした。これがどんなに偽りであったかは後でわかりますけれども。  十三時になりました。署長は、体育館の中は先生だけで、育友会の人は体育館のそばで食事をしている、校長は、私たち——私と小巻議員です——二人が入るのはしばらく待ってほしいと、こういうことを返事してきました。私たちは、そんなに平穏なら保護も要らない、自分たちで行くと。しかし待ってくれと、絶対にいてもらっては困る、これが警察の返事でした。  そして十三時前後から、先生の家族の方が続々と警察に詰めて、どうか自分たちの主人を救ってほしいと涙ながらに訴えて、繰り返し繰り返し警官に出動を要請されておりました。だから私たちは、警察に出動するようにと要請をするとともに、私と同行した弁護士の手ですぐに保護願いを出しました。保護願いは、これは署長に伝えるようにということを厳重に申しました。また私自身、県の県警本部にも連絡いたしました。これは県警本部長の秘書が出てきて、私は八鹿の事態を伝えて、八鹿の警察署が犯人逮捕に出動するようにと、こういうことを伝えるようにと言いました。本部長のこの秘書は、よくわかりました、本部長に伝えますと、こういう返事をしております。  さらに十六時十五分、先生五名——これは氏名もはっきりいたしまして——が入院したという情報が入ってきました。このころ町にはパトカーが行きかっております。それから一一〇番が——私は警察の中にいたわけですからよくわかっておりますが——ひっきりなしに入っております。  それから、二十時になりますと、私どもは、そんなに平穏なら署長が早く帰ってきて私たちに会いなさいと要求していましたが、署長がいつ帰ったのか全然知らなかった。署長が偶然の機会に帰ってきているのを見つけたわけです。これが二十時です。署長はいまから出て行きますと、こういうふうなことを言っておりました。  それから二十時三十分、こうなりますと鷲尾次長が、機動隊がいまから動きます、先生方を一たんここに連れてきます、こんなところに私と小巻議員などがいては、投石なんかがあったらもう自分たちとしては責任が負えないから、けがでもされたら、責任をかぶせられたら迷惑だから出て行けと、安全なところに行けと言いました。安全なところはどこかと聞くと、そんなことは知りません、何でも出て行ってくださいと、こういうことを言いました。  それから、十二時近くになって署長が帰ってきました。にこにことして署長は何と言ったか。署長は、監禁されていた人数は学校内には約三十人連れ込まれておりましたと、入院している人の人数はいま調査中です、学校で面接した人は名簿でチェックをしました、十五人ぐらいの先生とお話をしましたと、こういうふうに言いました。  そして、時刻は七時前後だったと思います。私自身八鹿病院で入院した先生方が脅迫をされているという事実を確かめて、そういう連絡が入ったので、警官に出動するように要請しました。やっとのことで警官十名が出動しました。その後について私も私の秘書たちと一緒に八鹿病院に行ったんです。ところが、警官がいる前で私は彼らに暴行を受けて、そして三十人余りに追われて八鹿警察まで逃げたんです。そして彼らは八鹿警察の前で喚声を上げているんです。私は署長室の戸をあけて、彼らを逮捕しなさいと、こう言いました。ところが、しばらくお待ちくださいと私を押し出して戸を締めました。国会議員である私に対してさえこういう態度をとっているんです。  だから、あの当時の八鹿、異常な事態が起こった八鹿の中でだれが高校の中で平穏無事に話がされていた、こう思う人があったかと。そういう人は一人もいないはずです、あの状態を知っている者の中では。法治国家であり、憲法が重んぜられると、こういうふうに大臣も言われている中で、考えられないような事態が起こっているときに、この警察署長のとった態度というのは私は全く許しがたい。署長がこの事態を知らなかったということは全くありません。私は、それどころか、百も承知していたということを断言してはばかりません。だから即刻起訴をしていただきたいと、このことを強く要請いたします。いかがお考えでございましょうか。
  207. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) そのときの事態は検察あるいは警察が調べるはずでございます。調べておると思います。それによって検察が判断をする、かようなことでございます。
  208. 安武洋子

    ○安武洋子君 いま私が申し上げたことは、調べていただければ全部判明することです。だから私は、厳正に審査をなさって起訴をされることを期待いたします。そして、きょうあすじゅうにでも、こういう判決をお出しになることを要求いたします。時効が迫っております。そのことを要求するとともに、私はまだ一点御要求を申し上げます。  裁判というものは公正で厳正に行わなければならない、こう思います。しかし、いま法廷で審理中のこの裁判について、法廷内で証人が証言しようとすると、証人に対して、傍聴席に詰めかけた解同員が大声を上げて威圧をする、また証人の家の周りにビラをまく、法廷内外でのいやがらせ、これが盛んに行われているわけです。これでは正確な証言もしにくくなるのではないかというふうに思うわけです。私は、検察当局としては、法廷において証人か真実を述べられる、こういう環境を維持するために特に毅然たる態度をとられるべきだ、こういうふうに思いますが、いかがでございましょうか。
  209. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) 法廷における裁判の進行は、もう言うまでもなく裁判官のやることでございますから、私の方からとやこう指導するわけにはまいらないわけでございます。
  210. 安武洋子

    ○安武洋子君 法廷内で法務省としてこういうふうに裁判が厳正に行われないという状況をおつかみになっても、法務大臣としては何もおやりにならないと、こういうふうに解釈してよろしゅうございますか。
  211. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) 御承知のとおり、三権分立によって裁判所は裁判所の権限でやることでございまして、外部からこれをとやこう指導するわけにはまいりません。
  212. 安武洋子

    ○安武洋子君 検察当局として私は毅然たる態度をおとりになるべきだというふうに言っているんですが、いかがなんですか。
  213. 石山陽

    説明員(石山陽君) 大臣のお言葉に補足するようで恐縮でございますが、大臣がおっしゃいましたのは、最終的に司法自体の権威を守り、裁判を円滑に進行させるかどうかということは、これは裁判所にかかって帰一する責任問題である。ただし、当事者といたしまして、検察官も安武委員指摘のとおり法廷に立ち会っておりますし、検察官も公訴官として公訴の維持遂行に責任を持っております。その意味におきまして、そのような事態に対しましては、検察官は速やかに裁判官の強固な訴訟指揮権を発動するよう要求するというような態度で、裁判所の毅然たる裁判秩序が維持され、かつ公判が円滑に進行するように、当事者の側からの努力を続けておる、これはとみに御承知のとおりでございます。
  214. 安武洋子

    ○安武洋子君 さらにその努力をお続けになって、この裁判が公正に進行するようにというふうなことで御努力をいただきたいということを御要請いたしまして、私の質問を終わります。
  215. 茜ケ久保重光

    委員長茜ケ久保重光君) 他に御発言もないようですから、法務省最高裁判所決算につきましてはこの程度といたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時三分散会      —————・—————