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1977-11-17 第82回国会 参議院 外務委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年十一月十七日(木曜日)    午前十時十九分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         安孫子藤吉君     理 事                 大鷹 淑子君                 亀井 久興君                 原 文兵衛君                 戸叶  武君     委 員                 稲嶺 一郎君                 上原 正吉君                 永野 嚴雄君                 秦野  章君                 町村 金五君                 三善 信二君                 阿具根 登君                 小野  明君                 福間 知之君                 渋谷 邦彦君                 矢追 秀彦君                 立木  洋君                 和田 春生君                 江田 五月君    国務大臣        外 務 大 臣  鳩山威一郎君    政府委員        外務省経済局次        長        溝口 道郎君        外務省条約局外        務参事官     村田 良平君        外務省国際連合        局長       大川 美雄君    事務局側        常任委員会専門        員        服部比左治君    説明員        警察庁刑事局公        害課長      浜田 栄次君        警察庁警備局警        備課長      若田 末人君        科学技術庁原子        力局調査国際協        力課長      川崎 雅弘君        科学技術庁原子        力局核燃料課長  田中 久泰君        科学技術庁原子        力安全局原子力        安全課長     中戸 弘之君        科学技術庁原子        力安全局核燃料        規制課長     石塚  貢君        外務省情報文化        局海外広報課長  山口 洋一君        資源エネルギー        庁公益事業部原        子力発電課長   高橋  宏君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○連合審査会に関する件 ○核兵器の不拡散に関する条約第三条1及び4の  規定実施に関する日本国政府国際原子力機  関との間の協定締結について承認を求めるの  件(第八十回国会内閣提出、第八十二回国会衆  議院送付)     —————————————
  2. 安孫子藤吉

    委員長安孫子藤吉君) ただいまから外務委員会開会いたします。  この際、連合審査会に関する件についてお諮りをいたします。  航空機強取等防止対策を強化するための関係法律の一部を改正する法律案について、法務委員会に対し、連合審査会開会を申し入れることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 安孫子藤吉

    委員長安孫子藤吉君) 御異議ないと認め、さよう決定をいたします。  なお、連合審査会開会の日時につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 安孫子藤吉

    委員長安孫子藤吉君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。     —————————————
  5. 安孫子藤吉

    委員長安孫子藤吉君) 核兵器の不拡散に関する条約第三条1及び4の規定実施に関する日本国政府国際原子力機関との間の協定締結について承認を求めるの件を議題とし、前回に引き続き質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  6. 渋谷邦彦

    渋谷邦彦君 昭和四十五年、核防条約署名に当たって、日本政府としては、三つの条件が満たされればという前提を表明されているわけでございます。言うまでもなく、一つ核軍縮推進、第二点が非核保有国安全保障、第三点が平和利用平等性確保。こうした問題、しかも、その前後の核防条約署名に当たっての背景、経過、そういったことを政府としても情勢分析された結果、この三つの要件は満たされたものと、このように受けとめられて署名されたという経過があるようであります。  今回の臨時国会におきましても、福田さんは、特にこの核軍縮については大変意気込んだ表明をされておりますし、また、過般、鳩山さんが国連総会において演説をされたその内容にもこの点について触れられていらっしゃる。  そこで、一番、われわれが将来においても大変気になりますことは、この核軍縮という問題これはもう国際世論も大変最近高まりを見せておりますので、ソビエトを初め、アメリカもようやくいままでの消極的な姿勢から積極的な姿勢への政策転換もするということで、核軍縮への道が開けたかのような感もするんでありますけれども、しかし、これはなかなか言うべくして、バランス・オブ・パワーというそうした環境を考えた場合に、そう簡単にいくもんだろうかという疑問がやはりぬぐい去らないわけですね。そこで、政府もたびたび言明もされ、本会議あるいは委員会等においてもお触れになってまいりましたように、非核三原則というものを一つの基本的な政策として、国是とまで言っていないようでありますけれども国連あるいは世界の舞台において、日本としても、唯一の核被爆国であるという、そうした貴重な経験を通して推進をしていくんだと、こういうふうなことがしょっちゅう述べられてきておるわけです。  この問題は、大変古くて、しかし、反面やはり常に新しい内容を含んだ問題であろうというふうに思うわけでございますが、この今回のNPT協定締結に当たりましても、こういったことが大前提になってこそ初めてNPTそのものが実効を示していくんであろうというふうに考えられるわけでございますね。そこで、この一番問題になる、いま申し上げておりますこの核軍縮について、少なくともこの条約署名に当たってからすでに七年間の経過というものがあるわけでございますけれども日本政府として絶えず述べてきたと、また推進してきたと、大変抽象的な、われわれにとっては大変観念的な印象しか感じられない側面があるわけです。具体的にどういう一体根回しをしながら、当然アメリカソビエトが対象となろうかと思いますけれども、そのほかにも核保有国はあるわけでございますので、そういった国々に対して世界世論というものを喚起するためには、日本がその先頭に立たなくちゃならぬことは常識でございます。もう一遍、その辺を整理していただきまして、具体的に日本政府として核軍縮に対してどういう取り組み方、そして手段を講じてこられたか、これについてお聞かせをいただきたいと思うわけでございます。
  7. 鳩山威一郎

    国務大臣鳩山威一郎君) ただいま渋谷委員御指摘のとおり、NPT条約というものは、本来からこれは不平等的な要素を持った条約でございますから、わが国のように非核保有国立場からすれば、これは核保有国核軍縮努力をしてもらわなければ、私ども立場としては非常に条約に加盟した意義を問われるわけだと思います。そしてまた、多くの核防条約にまだ入っていない国の立場、その気持ちを聞いてみますと、この条約は不平等であると、そして核保有国が本当に核軍縮努力をしてくれるのでなければ、この条約に入る意味がない、こういうことを考えているやに見受けられます。その考え方も私はよくわかるところで、日本の国内におきましても多くの議論があったのもその点であったと思うわけでございます。  そういう意味で、私どもといたしましては、原子力平和利用が確保されるということ、これと核軍縮というものは両方大きな柱になっているはずである。そして他方におきまして、原子力平和利用自体平和利用であっても核兵器への拡散につながるおそれがある。こういうことで新しい政策が打ち出されてきておるというような事態のもとにおきましては、なお一層核兵器軍縮というものが強力にそれに伴っていかなければ私はバランスがとれた考え方ではないと思っておりますし、また、国民皆様方もその点は非常に御関心があろうと思うわけでありまして、来年の軍縮特別総会、これに対します準備段階にいま入っておるわけでございます、たびたびの準備会議が開かれておりますが、最大の問題は核軍縮の問題であるということで、政府といたしまして、その準備会議に積極的に努力をし、協力をしておるという段階でございます。
  8. 渋谷邦彦

    渋谷邦彦君 いま述べられましたように、確かに同盟国であるアメリカ自体核軍縮じゃなくて核拡散という、そういう方向へいままでも来ていた印象を非常に強く受けるわけですね。これはもうヨーロッパあたりを見ましても、核基地というものを撤去したということも聞いておりませんし、あるいは韓国の場合もこれに当てはまるんではなかろうかという感じもいたしますし、加えて、最近は、中性子爆弾なんかの開発も進んでいる。一体、いま世界世論核軍縮方向へという願いが強まっているこのさなかに、逆の方向へむしろアメリカとしては向いているんではなかろうか。そういったところにカーター大統領が最近のこの核を中心とした新しい政策展望というものを表明しているようでありますけれども、果たしてどうなんだろうかと、また大統領がかわった場合、変な話でございますけれども、その政策というものはまたどういうふうに変わっていくんだろうか、そういう疑問がいままでの長い経過の中に改められたという事実関係がないだけに非常に心配になるわけです。  それで、いま確かに、来年五月あたりに予定されております国連軍縮会議、あるいはその同じ年の何月になるかわかりませんが、ジュネーブでも恐らく同様の軍縮委員会が持たれる予定になっているやに聞いております。そこで果たす日本役割りというものは一体何であるのか、果たして日本のいままでの表明というものは、大分御苦労もされたとは思いますけれども、実際にたとえばその御苦労された効果というものが具体的にどういうふうに一体アメリカに対し、あるいはソビエトに対し、あるいはフランスに対し、イギリスに対し影響を与えたんだろうか、まあ疑問として残るわけですね。その点は、いままでどういう推移のもとにそうした日本政府表明というもの、あるいは提言というものが取り入れられてきたのか、全然一顧だにされなかったのか、この辺はいかがなもんですか。
  9. 鳩山威一郎

    国務大臣鳩山威一郎君) 核軍縮の問題につきまして、福田総理カーター大統領と会見されましたときにも、強く核軍縮必要性を強調されましたし、私自身もバンス国務長官には日本国民の総意として核軍縮の必要につきましては強く申し上げ、また、バンス国務長官と会見の際は、常にソ連との間の交渉SALT交渉につきましては先方から詳しく御報告をしてくれておるわけでございますが、私ども、やはりソ連アメリカの二大核兵器保有国、この間で話し合いが進められていかなければならない、国際的な世論がみなそちらに向いておるわけでありまして、最近発せられましたブレジネフ氏の演説におきまして、核兵器の新しい生産禁止すべきだというようなところまで踏み込んだ演説がなされたということは、私は、最近これは画期的といいましょうか、そのような演説がなされたことを私どもは非常に歓迎をいたしておるところでございます。
  10. 渋谷邦彦

    渋谷邦彦君 いま御答弁を伺っていますと、せっかく努力をされてきた効果というものが具体的にどうあらわれたかというお答えがなかったように思うんです。  それと、いまブレジネフ発言について述べられました。これは先日の委員会話題になったわけでございますが、そのときにもアメリカはそれに対して非常に対応が早かった、ブレジネフ発言に対して。日本政府としては、何らそれに対して、拱手傍観をされていたのかどうかわかりませんけれども、別に表明するわけでもなし、答弁を伺っておりますと、きわめて慎重に分析をして、これから何らかの方途をと、こういう御答弁であったように思うんです。そういった一事が万事ということは言いたくありませんけれども、慎重もときには必要かもしれません。しかし、いまは非常に議論が沸騰しているこの核軍縮という問題について、日本政府としても、当然、そのイニシアチブをとる立場からも、敏感にそれに対応するということも必要であったろうと思いますし、それがなぜなされなかったのか。  それから大川国連局長もいままでいろんな世界会議の席上において大変苦労されたことも知っております、今度の場合も。そういうやりとりの中でやはりどういう一体向こうに反応を与え、いまどういうふうに動きかけているのか、この核軍縮について。それをいま私お伺いしたかったわけでございますがね。
  11. 大川美雄

    政府委員大川美雄君) わが国核兵器の洗礼を受けたただ一つの国として、申し上げるまでもございませんけれども国連に入りましたときから、それから十八ヵ国軍縮委員会、現在の軍縮委員会に入りましてからもずっと引き続き核軍縮重要性を訴えてまいったわけでございますけれども、特に、昨年核防条約を批准いたしましてから後は、いよいよ日本発言一つの権威を持って聞かれるようになったということが一つまず言えるかと思います。いままでは核防条約というものに入るのか入らないのか必ずしもはっきりしないような状態で、日本がいろいろ国際の場でいろんなことを言ってまいったわけですけれども、昨年の夏以来は核防条約のれっきとした締約国として発言することになったというのが一つまず言えるかと思います。  それでジュネーブ軍縮委員会の場におきましても、あるいは国連の第一委員会におきましてもいろんなことを言ってまいりました。一番強くいままで言ってまいりましたことは、包括的核実験禁止条約早期締結ということでございますが、これにつきましては、技術的な面からどのようにして地下核実験が行われたかどうかということを確認するかといういわゆる検証の問題につきまして、地震学的な見地からカナダやスウェーデンの専門家と一緒になりまして、かなり技術的な具体的な提案をジュネーブ軍縮委員会の場において進めてまいったわけでございます。それが最近包括的核実験禁止条約に向かっての大きな一つの一歩になっているように思われます。  いま一つ申し上げたいことは、ことしの夏の軍縮委員会におきまして、改めて日本代表から核不拡散というテーマにつきまして演説をやったわけでございますが、その中でひとつ兵器用核分裂性物質生産停止ということをやったらどうかということを呼びかけたわけでございます。これは、しかし、何も新しいことではございませんで、一九七〇年前後までは軍縮討議の場においてアメリカ等云々していたことでございますけれども、それからどういうわけか、しばらくばったりその議論がとだえていたわけでございます。それを日本が、ことしの夏の軍縮委員会におきまして、この問題をもう一遍ひとつ取り上げて検討してみたらどうかということを発言いたしましたところ、そのためかどうか知りませんけれども、恐らくそれが影響したかと思いますが、アメリカにおきましても、最近、再びその問題を取り上げて真剣に討議しようということを言っております。それから、この間のブレジネフ発言におきましても、その問題に触れたような発言がございますので、やはりじみちな努力ではございますけれども、少しずつ日本が主張していることが米ソ等にも聞き入れられて、多少なりとも影響が出てきているんではないかと、少なくとも私どもはさよう自負いたしております。
  12. 渋谷邦彦

    渋谷邦彦君 やはりこの核軍縮核軍縮というよりもむしろ核廃絶方向へ持っていかなければならない問題でございますがね、いま御答弁伺っておりましても、大分、そういった問題が表面に話題として提供されなかったというような時間的なずれもあったようでございます。  確かに、国連会議経過というもの、これは全部なんということはとても不可能でありますが、少なくとも一九六一年の国連総会で決議されているんですね。私読みますと、国際連合の精神に反し、同憲章の直接的違反であり、国際法に反しており云々。それから、同兵器使用国は人類と文明に対する罪を犯すものとみなさるべきである、と宣言された上に、使用禁止条約に調印する特別会議を開く可能性について協議すべきことを決議しておるわけですね。ところが、十六年たってもいまだに開かれていない、せっかく決議されているわけですが。だから非常に国連影響力というのは弱いなあという印象をこういったところからも受けるわけでございますけれども、やはり弱いということじゃなくて、常々日本政府がいままで言明してきたように、世界でたった一つ核被爆国であるという、そういう経験に立脚するならば、この十六年間一体何をやってきたんだろう、どうしてこの話し合いというものがいままで持たれてこなかったのであろうか、どこに一体何を努力してきたんであろうというような不信というものが、たびたび申し上げるようで恐縮でございますけれども、ぬぐい切れない。  これから果たしてどうなんだろうと、将来の展望に立って考えた場合に、もういままで十六年間もこれが放置されておるわけです、話し合いの場が全然持たれなかった。ようやくいまその機運が向いてきたというその経過もあるわけですね。しかも、そういった決議があり、十六年放置されてきたという経過があり、ようやく、いまやりとりしている中でもございましたように、ソビエト核軍縮方向へ新たな声明を発表する、カーター政権も新しい政策転換をする、そういうふうに機運としては盛り上がっているものの、実は、また今度の第三十二回の国連通常総会においてのカーター発言、これは一体どうなんだろうという一つの疑問が提起されているわけですね。  これはもう御存じのとおり、米本土米領土、米国の軍隊または同盟国に対して核または通常兵器による実際の攻撃が行われた場合以外には云々と。攻撃をしかけるということになりますと、このような状況が発生した場合、通常兵器攻撃を受けた場合でもアメリカ核兵器で報復する用意があると、非常に微妙な発言をしておるわけですね。そうすると、前向きなのか後向きなのか、アメリカのいま考えておることが。こういったことが今後の話し合いの中でどう理解され、核軍縮方向への一つの足がかりをつくっていく手がかりになるのか、その辺、どのように御判断になっていらっしゃるのか。
  13. 大川美雄

    政府委員大川美雄君) ただいま御引用になりました国連総会カーター発言、十月四日の発言であったかと思いますけれども、その中におきまして、カーター大統領は、いかにも自衛の場合以外には核兵器使用しない。すなわち合衆国の領土あるいは兵員あるいは同盟国に対する核兵器または通常兵器に基づく実際の攻撃に遭った場合を除き、核兵器使用しないということを申しております。これはアメリカ核兵器使用が問題になり得るのは、集団的自衛権を含むいわゆる自衛権行使の場合に限られるということでございまして、アメリカが不法な攻撃に際して自衛権行使を余儀なくされる場合に、どういう武器を用いるかは、アメリカがそのときそのときの状況に応じて判断すべき問題であろうかと思います。  ただし、少なくとも、限られた場合ではございますけれども核兵器使用しないというような表現アメリカ責任者が使ったということは、これはずっと以前に、一九五〇年代にはそういったようなことを使ったことはございますけれども、最近においては新しい表現でございますので、その限りにおいては、限られた内容のものでありましても、やはりそれなりに評価してよろしいんではないかと、私どもさように考えております。
  14. 渋谷邦彦

    渋谷邦彦君 そのように大変善意に解釈できればありがたいと思うんですけれども、いまの国際環境ではどこの国も自分から進んで核兵器使用するということを表明しておりません。当然でしょう。むしろいまは持っていても使えないという状況だろうと思うんですね。  ただし、カーター発言を見る限りにおいては、確かに自分の国からしかけるようなことはないというその表明の後に、もし通常兵器攻撃を受けた場合でも、そうしたこと以外には使わないということであって、どういう状況の変化で——ベトナム戦争なんかはいい例だと思いますね、これは通常兵器での戦争でありますから。そうした場合に、あるいは将来韓国で火がつくかどうかわかりませんけれども、いろんなことが想定された場合に、アメリカのその意図するところの気持ちの中には、いざとなった場合には、通常兵器でもって攻撃を受けた場合でも核兵器使用する用意は残されているんだよというふうに解釈はできないのかなあという心配があるんですね、カーター発言を裏返しにして見た場合に。そのようにはお受けとめになりませんでしたか。
  15. 鳩山威一郎

    国務大臣鳩山威一郎君) カーター大統領発言でございますが、核兵器使用される機会はないであろうという点につきましては、私も、そのように思いますが、カーター発言は、核兵器がいま戦争抑止力としての効果を果たしておるという面があり、通常兵器による攻撃があった場合に核兵器はもう絶対使わない、こういうことはかえって戦争抑止力を減殺するのではないかという、そういった配慮、また、同盟国に対する防衛責任、こういうものを考えた上での発言ではなかったろうか。現実に起こっております紛争あるいは武力攻撃というものが通常兵器によって行われておるわけでありますから、そういう通常兵器による攻撃というものを抑止するために、そのような表現をなお残したのではなかろうか。しかし、それをもちましてアメリカが積極的に核を使用するという意図を表明したものとは、私どもは理解いたしておらないのでございます。
  16. 渋谷邦彦

    渋谷邦彦君 そうあって願いたいというふうに思います。  確かに、この戦争抑止力という面については強力な働きを持つであろうというふうな感じはいたします。それだけにもうあと残された問題は、これはもう外交上の話し合い以外に核軍縮とか核の廃絶の道というものは模索もできなければ、そういう解決への方途も歩めない、こういうふうに思いますね。しかし、現実には、ヨーロッパにおいてもあるいは東南アジア地域においてもどういうふうに配備されているかわかりませんけれども核装備というものがいろんな国際世論高まりの中でまだ依然として減らされたというか、そういうことを聞いておりませんし、その可能性がこれからの話し合いの展開によって考えられるのかどうなのかということ。先ほど鳩山さんがお触れになりましたように、来年一つチャンスであるとも思われます国連軍縮会議あるいはジュネーブ軍縮委員会会議、こういった一つチャンスをとらまえて、日本としては、どういう主導権を握ったように立場における提言をなされるおつもりなのか、また、いまどういうことを想定しながら提言をしようとされておられるのか。
  17. 鳩山威一郎

    国務大臣鳩山威一郎君) 来年の国連特別総会におきまして、私どもは、やはり何よりも核軍縮最大の問題であるということ。ただ、核の廃絶というところまではなかなか一気にはいかれないと思いますので、したがいまして、いままで言われております全面的な核実験禁止というものはもう当然のことであろうと思いますが、それ以上に、現実核兵器保有国軍縮に成果を上げてもらうということが何よりも必要なことであろう。それとともに、通常兵器による軍備というものが非常に拡大されていった場合には、やはり現実的に非常な危険な状態を生ずる。また、現実におきまして軍事費に膨大な国民所得を投入するというようなことが行われておりますし、また、通常兵器の輸出、これが非常に増大をしておる、こういう傾向が一部の国にあるわけでありまして、こういった点につきまして私ども通常兵器の輸出の自制ということも強く主張いたしたい。  主要なポイントは、このような点にあろうかと思います。なお、大川国連局長をして補足をさせます。
  18. 大川美雄

    政府委員大川美雄君) 来年の軍縮特別総会に向かいまして、実は、ことしの四月十五日までに、各国から軍縮総会に臨む考え方ないしは軍縮総会で取り上げるべき問題についてそれぞれ意見を出す機会がございました。その際に、日本が出しました内容を御披露申し上げますと、日本は来るべき軍縮特別総会においては次の事項が優先的に取り上げられるべきであると考えるということを申しまして、五つの項目を挙げております。  第一番目が核軍備競争の停止と核兵器の削減、それが第一点でございます。それはもちろん究極の目的は核兵器廃絶ということでございます。それから第二番目に、これは最も緊急を要する問題として、いま大臣が言われました核実験の全面的禁止条約を実現するということ。三番目が、化学兵器の禁止ということでございまして、これは数年前から軍縮委員会におきまして化学兵器禁止に関する条約案がいろいろ論議されておりまして、もう少しというところまで来ておりますので、それを何とか早く解決させるべきであるという主張でございます。それから、四番目が、通常兵器国際移転という問題に国際社会としてメスを入れて何かこれについてはできないだろうか、ひとつみんなで考えてみようじゃないかというのが第四点でございます。第五点が、軍事費の削減という問題について互いに検討しようじゃないか。その五つの項目を優先議題として日本として提案した次第でございます。
  19. 渋谷邦彦

    渋谷邦彦君 そうしたまことにもっともな提言だと思いますし、それはぜひもう最大公約数としてもそれは具体化する方向へぜひ取り組んでいただきたい。  ただ、いま米ソ二大核保有国、これがどうしても焦点にならざるを得ないだろうと思いますけれども核保有国はそのほかにもフランスあるいはイギリス、中国というふうにあるわけでございますね。そういったやっぱり核保有国、米ソだけを焦点に照準を合わせるんではなくて、イギリスあるいはフランス等々についても、いままで世論喚起というような面からも話し合いは相当続けられた経過があるんでございましょうか。
  20. 大川美雄

    政府委員大川美雄君) 御質問の趣旨はもうひとつ実はよくわからなかったんでございますが、核兵器国すべてが参加すべきことについての世論喚起ということでございますか——それはまことにおっしゃるとおりで、国連あるいは軍縮委員会における軍縮関係の討議の際には常に問題にされることでございます。来年の軍縮特別総会国連総会の特別の会合ということでございますので、核防条約に入っていない核兵器国を含むすべての核兵器国が当然出てくる会合でございます。でございますので、われわれといたしましても、米ソのみならず、すべての核兵器国が来年の軍縮討議に積極的に参加してくることを強く期待し、そのようにも公にも希望を表明いたしております。
  21. 渋谷邦彦

    渋谷邦彦君 いままでの答弁を通しまして、もう一つお答えをいただけなかった今後の展望なんですけれども、いままでの日本政府のたゆまざると言っていいのかもしれませんけれども、そういう努力というものがどのように評価されて、そして核軍縮への道が必ず開けるという自信をお持ちになっているのかどうなのか、その点いかがですか、鳩山さん。
  22. 鳩山威一郎

    国務大臣鳩山威一郎君) 核兵器保有国の中でも、特に米ソのような超大国の間におきまして、SALT交渉の面では話し合いが一時大変停滞をいたしておりましたけれども、これがほぼ話し合いの線に乗ってきたということも承っておりますし、また、軍縮特別総会が開かれていくこと自体が、このような問題を促進するのに絶好の機会であろうと思うわけでございます。現実に米ソが核兵器で従来からの交渉からいきますと非常に難航していたことから見ますと、米ソの核兵器の削減ということはなかなか容易なことではないような気がいたします。しかし、この点につきましては国際的な世論を高めるということで国連の場でプレッシャーをかけていくということ、それによって米ソが核兵器の削減の方向に進むように、わが国といたしましては最大努力をいたすべきである、このように考えております。
  23. 渋谷邦彦

    渋谷邦彦君 くどいようですけれども、現段階としては相手もあることでございますので、それが近い将来なのか遠い将来なのか不明確であることはやむを得ないと思いますけれども、今後とも努力を重ねていくことによって必ずその道は開けると、そのような判断と確信をやはりお持ちになっていらっしゃるのですか。
  24. 鳩山威一郎

    国務大臣鳩山威一郎君) 最終的に核廃絶まで進めるべきであると思いますけれども、なかなか現実問題としてそこまでいくのは大変むずかしいのではないかという感じを持っております。しかし、米ソを核兵器の削減の方向に何とか向けることがまず当面必要なことではないか、それだけは何らか最大努力をして国際的なプレッシャーによりまして削減の方向に向かわせるということが当面一番必要なことではないかと考えております。
  25. 渋谷邦彦

    渋谷邦彦君 次に、今回のNPTの問題でございますが、大川国連局長も根回しに当たって、その平等性を貫く立場から鋭意熱意を持って取り組まれたということが伝えられております。確かに、こう一見すると、今回のこの保障措置にいたしましても、われわれ素人が考えましても非常に平等を欠く内容ではなかろうか。特に大川局長が強調された点はどういうところにありましたか。
  26. 大川美雄

    政府委員大川美雄君) 御質問は、この間私が出席してまいりました国際核燃料サイクルの評価会議のことと理解いたしますと、私が特に強調いたしました点は、各国のそれぞれのエネルギー事情によりましてどうしても原子力平和利用を強力に推進しなければいけないという国がたくさんあるのだ、日本はその一つである。原子力平和利用推進というのが非常に望ましい必要なことであるということと、それから同時に、アメリカ大統領がおっしゃるように、いかにも核兵器拡散することにつながる可能性もないではないんで、核拡散の防止ということも非常に必要である。その両方の命題を、しかし、日本政府としては両立させることができるんだということが日本政府考え方であり、この国際核燃料サイクルの評価という今後二年間にわたる作業も、言ってみれば、まさにその二つの命題をいかに調和、両立させるかということが主眼であるというようなことを主張をしてまいったわけでございます。  そのほかに、燃料生産国と申しますか、供給国といったような国々が、核の拡散防止という見地を重んずる余り、燃料を買います方の国々に対して、一方的に供給を停止するようなことでもって圧力をかけてくるというようなことは、やはり間違ったことではないんだろうかというようなことも主張いたしました。  それから、この二年間の会議を通じて、いろいろの角度からいろいろの問題を取り上げて検討するわけでございますけれども、それに参加いたします国は、初めから二年後の結果に拘束されるものではなく、二年の経過が終わった時点でもし何らかの結果が出てまいりますれば、その結果についてその時点でそれを評価し、それに従うかどうかをそれぞれの国が自主的に決める自由があるんだと、そうあるべきであるといったようなことを述べてまいった次第でございます。
  27. 渋谷邦彦

    渋谷邦彦君 これから申し上げることが正鵠を得ているかどうかわかりませんが、伝えられるところによりますと、カーター政策、これによれば、核防条約の加盟、非加盟を問わず、原子力開発には規制を加えようとしている。いわゆる平和利用に対しては拡散するおそれがあるんではないかというその根拠があってのことだろうと思うんですが、まあそれをいま恐らくお触れになったんだろうと思うんです。事実、どうなんでしょうかね、やはり新しい日本の自主的な技術開発に対しても規制を加えようとしているのか、その辺はいかがでございますか。
  28. 大川美雄

    政府委員大川美雄君) 一概に特定の国の特定の技術について規制を加えようとしているというふうには必ずしも言えないんではないかと思います。カーター政権が危惧いたしておりますのは、特に原子力平和利用を通じて出てまいります使用済み燃料を再処理いたしました場合に、それがプルトニウムを生み出す。しかも、そのプルトニウムという物質は核兵器の製造につながるものであるから、そこら辺に非常な危険が伴うんではないか。したがって、直ちにいわゆるプルトニウム経済に国際社会が飛び込むのではなくて、いましばらく本当にプルトニウムの抽出を行って、それを再利用するいわゆるプルトニウム経済に飛び込むべきなのか、みんなでしばらく時間を置いて考えてみるべきではないか、こういう趣旨だろうと思います。これはいろいろ言われておりますけれども、やはりカーター大統領といたしまして核兵器拡散という問題について真剣に憂慮しているという真意から出ていることではないかと思います。  それに対しまして、平和利用推進しようといたします国々におきましては、拡散の危険あるいは拡散を防止しなければならないという点については何らの異存はないわけでございますけれども、その方法につきまして、いろいろ別にそれぞれの議論があって、ことしの初めごろからアメリカに対していろいろの意見を述べてまいった。それがそれでは関係国が集まって、あらゆる角度からこの二つの問題について検討を行ってみようということになって、今回の核燃料サイクル評価という作業が発足したと、かように考えます。でございますので、この二年間の作業の結果、二年経過した時点でどうするかということは、その時点におきまして各国が改めて考えるというようなことではないかと思います。
  29. 渋谷邦彦

    渋谷邦彦君 再処理によって精製されるプルトニウム、それが核拡散につながるおそれがある。また、軽水炉を利用しての発電というものはまだ時期尚早ではないか、いろんなそういう議論のやりとりがあったんだろうと思うんです。  しかし、もうすでに東海村の原研は再処理工場を運転しているわけでございますし、その能力についても恐らくアメリカ側としてもいろんな評価をされておられるんじゃないかと思いますね。これからも相当量の廃棄物が出るわけでございますので、それ自体をそのまま放置しておくことも大変な問題である。やはりリサイクルでもって新しい燃料の確保ということが日本にとっては急務であるということになれば、二年間九十九トンというような制限を加えられるようなあり方、しかし、そのことはあくまでも日本立場から言えば平和利用ということで貫いているわけでありますので、別に問題はないんではないか。一方において、アメリカが非常に危惧するところは、それが核兵器製造へ結びつきかねないということをむしろ恐れているがゆえに、時間尚早であるとか、そういうような判断をしたのではないかというふうに受け取られる節も、カーター表明や何かをいろいろ角度を変えて検討いたしますと、感じられる面がございますけれども、その辺は外務省としてはどのように受けとめておられましょうか。
  30. 大川美雄

    政府委員大川美雄君) 先ほど申しましたように、アメリカ原子力平和利用の仕方いかんでは核の拡散につながるという懸念を持っているということはわれわれ認めるんでございますけれども、他方、核防条約を批准いたしました非核兵器国といたしましては、あの条約の第四条にもございますとおり、原子力平和利用という問題については無差別に権利が認められているというふうに思っております。思っていると申しますか、はっきり条約の第四条に書いてございます。したがいまして核拡散防止という命題は常に念頭に置きながらも、同時に、核防条約のいわゆる信憑性を維持し、また高めていかなければいけないという見地から、平和利用面の重要性についての主張を、アメリカを初めとするそういう主張をなします国々に対しては、たゆまず言い続けるということをやるべきだろうと思いますし、現に、それを日米首脳会談におきましても、あるいはことしの五月のロンドンにおける七ヵ国首脳会談におきましても、さらにその後の専門家会合あるいは日米二国間の交渉、その他の国々との交渉においても常に主張してまいったわけでございます。  その結果でもあろうかと思いますけれども、少なくとも先般十月にワシントンで開かれました会議におきますアメリカ代表の態度は、ことしの三、四月ごろにアメリカが言っていたことに比べると、かなり融通性が出てきたと申しましょうか、少なくとも各国の言い分をある程度理解してきているという印象を私は率直に持ってまいったわけでございます。もちろん、アメリカがそれじゃ三、四月ごろに述べていた主張を完全に放棄したということかと申しますと、決してそうではございません。今後とも、恐らく核拡散防止という命題を強く前面に打ち出してくるかと思いますけれども、少なくとも平和利用面についての各国の立場は十分頭に入れた上での対応をしてくるんではないか、このように考えております。
  31. 渋谷邦彦

    渋谷邦彦君 さて、今回、協定を結ぶことによって国際原子力機関の査察を受けなければならない、そういうことになるんだろうと思うんですが、いろんな査察の仕組みがあるようですね。通常査察だとか特別査察であるとか、恐らく専門の立場の方がちょっと見てもわかるというようなことなんだろうと思うんですが、この査察というのも、これはまあ先日も若干問題になったようでございますが、これをすんなりと一体認めていいものかどうなのか。ユーラトムあたり状況大分形態を異にしているようでありますけれども、一番心配することは、やはり日本が自主的に開発した高度な技術というものが盗まれやしまいか、われわれ素人が考えましても端的にそのことをすぱんと感じますわね、査察ということ自体がこれは一種のスパイ行為じゃないかと。  そうすると、企業秘密というものが守られるということを前提にしつつも、果たしてそれは信頼というきずなのもとにおいて間違いなく守られるものかどうなのか。これはなかなか言うべくして非常にデリケートな問題ではないかと思いますけれども、その辺の判断はどのようにお考えになっていらっしゃいますか。
  32. 大川美雄

    政府委員大川美雄君) その点、ごもっともな御心配であろうかと思いますけれども、ただいま御審議願っております国際原子力機関との保障措置協定の中で、実は、いろいろの規定がございまして、まず、その国際原子力機関の査察員がやって参りましていろんな施設を査察する場合でも、わが国のいわゆる産業機密といったようなものが盗み取られてしまうというようなことは、まず、ないのではないかというふうに考えております。  具体的に申し上げますと、協定の第八条には、原子力機関の要求する情報、資料等は必要最小限度のものでなければならないんだということがまず書いてございます。それから、同じく第八条に、特に機微であるとわが国が認める施設の設計情報の審査は、国際原子力機関のあるウィーンに持っていって調べるんではなくて、わが国にある施設の建物の中で調べる、審査することになっております。それから、いま一つ協定の四十六条で、日本なら日本がもし要請いたしますれば、商業上機微な情報を含みます工程につきましては、特別の物質収支区域、いわゆるブラックボックスと呼ばれておるものでございますけれども、そういったものを設けることもできるんだと。それから、さらに第七十六条におきましては、査察における立ち入りにつきましては、枢要な個所等をあらかじめ合意して、そういう場所に限って査察員が入るようにできるんだというような規定がございます。  このほかに、実は、国際原子力機関の憲章自体にも、国際原子力機関の事務局の職員等の秘密保持の義務がはっきり書いてございますので、そういったいろんな規定からいたしまして、まず、この協定に基づきます国際原子力機関の査察を受けましても、わが国の産業の秘密は十分保護されるのではないかと、かように考えております。
  33. 渋谷邦彦

    渋谷邦彦君 この再処理工場でございますけれども大分世界各国の状況を見てみますと、失敗している例が余りにも多過ぎるんじゃないか、余りにもと言ってもそう数は多くないんでしょうけれどもアメリカしかり、またフランスしかり、イギリスしかり、いまほとんど操業を停止しているという状況が伝えられておりますけれども、その辺は、科学技術庁としてはどのように評価しておりますか。
  34. 田中久泰

    説明員(田中久泰君) 先生ただいま御指摘のございましたように、現在、世界にございます商業再処理工場、アメリカ、イギリス、フランス、その三カ国が商業再処理工場を持っております。そのうちアメリカにございます再処理工場は数年前に技術的なちょっとしたトラブルがございました。それからそのトラブルの改修を兼ねまして、さらにその能力を拡張する工事を行うという計画を立てましてアメリカ政府に対して申請をしたわけでございますが、アメリカ政府としては、その規制上のいろいろな理由でいまその認可をとめておるという状況でございます。  それから、フランスの場合は、比較的最近に商業再処理工場ができまして、そのテストランを行っている段階でございます。それから、イギリスの場合は、これはもうずいぶん長いこといわゆるガス炉と言われております天然ウランの燃料を再処理する工場は運転が続けられておりまして、現在でも運転を続けているというふうに聞いております。それからさらに、軽水炉用の酸化ウラン燃料の処理をする工場、これも天然ウラン用の再処理工場の一部を改造して酸化物燃料も処理できるような施設をつくりまして、その運転の経験もございます。  このように再処理の運転そのものについては、相当の長い経験世界的にもあるんではないかというふうに私どもは考えておるわけでございます。
  35. 渋谷邦彦

    渋谷邦彦君 いろんな資料がありまして、大体、再処理工場を各国が手がけ始めたのが一九六五年前後、ですから十四、五年たっているんでしょうか。そうした経過の中で、いまお述べになった中で、イギリスあるいはフランス、アメリカの例を出されました。しかし、実際、再処理の運転についてはいわゆる本格的操業というものが現実には停止されたような状況に置かれているというふうに伝えられておりますね。そうしますと、東海村における再処理工場は、一体、将来どうなるんだろうか。  技術的にも相当進歩をしていると思われるアメリカあるいはイギリス、フランスあたりにおいても商業ベースに合わないいろんなそういう問題があると思います。あるいは技術開発について問題がもちろんあったのかもしれませんし、プルトニウムそれ自体が、すでに各国が運転を開始したその当初は大変高価なものであったようですね。一グラム二百ドルぐらいであったものが最近では一グラム七、八ドルぐらいに暴落しているというようなことも言われておるようです。これは私は確かな資料に基づいて申し上げておるわけではございませんので、その辺の信憑性はいかがかとは思いますけれども、そういった点で商業ベースに合わないということから、とてもその採算がとにかく合わないし、操業を停止する以外にない、あるいはいま申し上げたように、技術的にまだまだ未開発な点があって、これ以上操業を続けることは相当厳しい試練に耐えなければならない、いわゆる危険の度合いを増すと、いろんなことが想定されるんではないだろうか。その辺をいま申し上げたようにどのように評価しながら、日本の東海村における再処理工場の運転というものが将来安全なのかどうなのかということを、まず前提としてお伺いしておかなければならない問題だろうと思うのですね。
  36. 田中久泰

    説明員(田中久泰君) ただいま御指摘の再処理の経済性の問題でございますが、御指摘のとおり、プルトニウムの価格がかつて相当の高い値段で一応評価されておりましたものが、最近、その価値が相対的に下がってきておるということは事実のようでございます。で、この原因は、プルトニウムの利用の方が若干おくれておるということで、当面、必ずしも本格的に商業的に利用できる状態になっておらないために御指摘のような事態になっておるわけでございます。  しかしながら、もうちょっと長期にながめてみた場合に、私ども考えております再処理の目的は、何といっても資源の有効な利用を図るということに第一の目的があろうかと考えておるわけでございますが、そういった観点から見ますと、仮に現在ございます軽水炉にかなりの量のプルトニウムがリサイクルされたというふうな仮定を置いて考えますと、これから今世紀末、二千年ごろまでの間に、たとえば日本の国内にある原子炉の中にリサイクルされたというふうな比較的精度のある仮定を置いて計算してみましても、一五%から二〇%ぐらいのウランの資源を節約できるというふうに試算できるわけでございます。それから、もう少し長い先、つまり高速炉が実用化されるというふうな事態において考えてみますと、これは五十倍とか六十倍とかというふうにそのウランの利用の可能性がふえてくるわけでございます。そういういわゆる資源経済的な観点から見て、再処理はどうしてもしていかなければならないというふうに考えられるわけでございます。  それから、もう少し今度はコストの面についての考えでございますが、これもある程度の試算がございまして、使用済み燃料を再処理しないでそのまま捨ててしまう、捨てることによって当然その費用がかかるわけでございますが、そういう費用と、再処理することによるコストももちろんかかりますが、一方、回収されたプルトニウムとかそれからまたウランもまだ使えますので、そういうウランを再利用する、再利用することによってもちろん加工賃とかそういうものもかかりますけれども、そういうものを計算に入れてもなおかつ燃料の費用で一割近くまで安くなるんではないかというふうな試算もございます。
  37. 中戸弘之

    説明員(中戸弘之君) 東海村の再処理工場の安全性につきまして若干御説明いたしたいと思います。  先生御指摘になりました東海村の再処理工場でございますが、本工場は昭和四十六年に建設を開始いたしまして、以来、通水試験とかあるいは化学試験及びウラン試験、これは俗称コールドテストと申しておりますけれども、そういった段階を追って慎重に進められてまいりまして、このコールドテストの終わった段階で、本年春でございますけれども原子力委員会といたしまして慎重な総合的なレビューをいたしました。その結果、ホットテストに入ってよろしいということで、ただいまホットテストをこの七月から開始しているという段階でございます。  それで今後の予定でございますが、このホット試験が終わりました段階で、原子力委員会といたしましては、さらにこのホット試験の全結果をレビューいたしまして、それにつきまして本格操業に移る最終的な評価をいたしたい、こういうことで段階的に十分安全性を確認しながら進めてきているわけでございます。
  38. 渋谷邦彦

    渋谷邦彦君 それは当然でございまして、原子力発電について一番危惧されることは、安全の問題、と同時に、この再処理工場の場合でも相当危険な放射能物質を出すというおそれがあると考えられること、そうした面について、もちろんいまお述べになったように安全ということを大前提にすることは当然だろうと思うんですね。  ただ、先日も御答弁があったのを記憶しているんですが、現在、フル運転して十四基でもって八百万キロワット、それからいま稼働しようとしている準備中のもの、そうしたものが動き出せばこれが二千二百万キロワットですか、それから昭和六十年に三千三百万キロワット、昭和六十五年に六千万キロワットというふうに計画をお持ちになっているようです。しかし、これがきわめて短期間にできるのかというもちろん疑問があります。地域住民のコンセンサスも得なければ、そう簡単に原子力発電所というものが設定されませんのでね。そうなると、今後、一応エネルギー確保という面から、油にかわるものとして相当量の濃縮ウランも使うでしょうし、プルトニウムも使うだろうということが想定されますね。それによって生ずる廃棄物というものがわれわれが想像できないくらいに大量に排出されるんではないだろうか。  そういったようなその処理の仕方、たとえば出たものについて固定するとかいろんな方法があるようですね。それに対してもずいぶん莫大なお金がかかるだろうし、それだけでもって果たして安全というものが確保されるのかという問題もあるでしょうし、まあこれから出るであろうというおびただしいそういう廃棄物に対しても、当然、その対応策というものはお考えになっていらっしゃるんだろうと思いますけれども、従来のような方法で果たして完璧を期することができるのかどうなのか。当然、原子力発電というものが設置されれば、それに並行して同様の措置がとられていくであろうということは想像にかたくないんですけれども、しかし、出る廃棄物の方がそれに反して相当量出てくる、むしろ出る量の方が非常に多くなってきはしまいか、そうした処理というものに本当に万全を期することができるんだろうか。  たとえば(資料を示す)ちょっと遠くて見えないかもしれませんが、これは去年の二月の十八日に撮影したんです、東海村の原研で。これはプルトニウムを抽出した残りのかすですわ。これは何かボール箱か何かに入っておるんだそうです。十年間ぐらい、こういうままの状態で放置されてあったんだそうです。最近行ったら、これがきれいに処理されて、どこかに整理されたという報告を聞いております。こういうような状態の保管の仕方、こういうことで一体本当にその安全というものが保障できるのかどうなのかというと、もうひとつやっぱり心配が出てくるんですよね。限られた人員でもって、しかも、その処理しなければならない量の方がはるかに多い。そういった矛盾というものを十分整理していくことができるのかどうなのか。総合的に安全という面からいままでも取り組んできたということはわかってはおりますけれども、やはりこういう問題が出てくると心配がある。  それから、時折、敦賀原発にしても、福島にしても、核燃料棒が故障したとかいろんなことが伝えられて、現在、動いているのは常に半分ぐらいしか稼働していないわけでしょう。そういうようなことを考えた場合に、一体、これからの原子力発電というものがどんなぐあいに省資源の時代にスポットライトを浴びながら活用されていくのかなと、そこでまたもう一つ疑問が出てくるんですよね。その点について整理をして簡単にひとつお答えをいただければありがたいと思いますね。
  39. 中戸弘之

    説明員(中戸弘之君) まず、第一の放射性の廃棄物に対します対策でございますが、放射性廃棄物と申しますのは、先生御承知のとおり、高レベル廃棄物と低レベル廃棄物と二種類に大別できると思いますが、この高レベルと申しますのは、ただいまおっしゃいましたように、再処理工場から出てくるものでございます。これはまだ日本には存在していないわけでございます。これからテストランに入りましたので徐々に出てまいります。  それから低レベルの廃棄物でございますが、これは各研究所とかあるいは発電所から出てまいりますが、これはたとえば作業衣でございますとか、あるいは手袋とか、あるいは若干の漏れた水といいますか、床にたまった水といったようなものがこの低レベル廃棄物の範疇に入るわけでございますが、これは、確かにおっしゃるように、量としてはかなりございますが、非常にレベルが低うございまして、これにつきましては、たとえばこれを減容をしなくてはいけませんが、その減容の方法は、圧縮をするとか、それから焼却をいたしまして減容をする、そういったような技術は確立しておりまして、いまそういった状態で各サイトに保管をしている状況でございます。  なお、将来、行く行くはこれを何らかの形で処分をしなくてはなりません。その処分の形態といたしましては二つ考えられておりまして、一つは、海に処分をする、一つは、陸地処分ということでございますが、この処分の仕方につきまして、ただいま鋭意研究を進めている段階でございます。  それから高レベルの廃棄物でございますが、これは徐々にこれから出てまいりますが、幸いにして量としては少ないという性質のものでございます。まあ簡単な試算がございますが、たとえば昭和五十五年度末では、一応、百五十立方メーターといったような量が推定として数字として出ておりますけれども、その程度のものでございまして、これにつきましては、当面、東海村の再処理工場内に十分これを保管できるタンクがございますので、そこに保管をしてまいりたいということで考えております。  なお、高レベル廃棄物の処理につきましては、これは最終的には、たとえばガラス固化をするとか、そういった研究が必要でございまして、これは先進各国ともいま鋭意研究を進めているところでございまして、成果は上がりつつあるということで、私どもといたしましては、研究を鋭意進めているところでございます。
  40. 渋谷邦彦

    渋谷邦彦君 大体いまお述べになったことを、一応、予備知識として私も心得ているつもりでございますけれども、確かにいままでは低レベルであったかもしれませんね。で、いろんな出されたその廃棄物には、何もプルトニウムに限ったことじゃなくて、セシウムだとかストロンチウムだとか、いろんなそういうものを含んだ放射性物質というものがあるだろうと思いますね。そうしたものをドラムかんだとかあるいはボール箱だとか、いろんなそういうものに詰めて、あるいは固形にしたり、最終的には海水に投棄する。そうした廃棄物を詰める場合、一体、保存期間がどのくらいならば全くその害がないというふうなことになるのか、これは素人にはわかりません。専門家立場に立って見れば、いろんなデータをもとにして、だから安全だという結論はわかるんですよ。しかし、一般の地域住民というのは、やはり意識的にというか感覚的にというか、とにかくこわいものであると。その辺が完全にやっぱり払拭されていかなければ、これからの原発の推進というものはなかなか困難であろうという、その危惧を抱くわけですよね。  だから、そうした安全性については、こうした一つの、古い話かもしれませんけれども、例が一つあるんですよ。そのほかにもいろいろ出された問題がないではない、全くもう皆無であるということは言えないわけでありますので、特にこれから出るであろうと予測される、われわれの頭で判断できないくらいのハイレベルの廃棄物も出てくるということを踏まえれば、それに対応できる十分の安全措置というものはとられなければならぬことは言うまでもないと思いますね。  それで、もっと申し上げたかったんですけれどもね、一応、私の持ち時間が間もなく終わりますので、最後に、警察庁の方おいでになっていますか。——核ジャックの問題についてお尋ねをしたいんですが、これも先日提言されたわけです。先般、ウィーンで国際会議が開かれて、警察庁、外務省、科学技術庁それぞれの専門の方が参加をされて討議をされたそうでありますが、概略で結構ですからね、その際に特に話題になった、そのポイントとなるべき議論の焦点ですか、経過といっても長々しくなりますから、ポイントだけおっしゃっていただけませんか。
  41. 大川美雄

    政府委員大川美雄君) 私からとりあえずお答えさしていただきますけれども、この間ございました会議は、実は、アメリカがあらかじめ各国とかなり相談いたしました上でつくりましたいわゆる核ジャック防止条約案というものを前に置きまして、その主な条項について、いわば第一読会とでも申しますか、を行なったわけでございます。  実は、私どもの予想する以上にかなりその審議のテンポが早かったわけでございますけれども、その理由といたしましては、まず核燃料物質の使用中あるいは貯蔵中あるいは輸送中に起こり得る盗難事故に対しては、国際的に何らかの防護措置を講ずべきであるというきわめてはっきりした認識が徹底していたということが一つ挙げられるかと思います。それから第二点として、先ほど申しましたように、アメリカが主な国と事前にいろいろ相談をして、各国の意見を取り入れてつくった案でございましたので、その点からも審議が進展した。それから、アメリカ自身がこの会議に臨むに際して、かなり柔軟な態度で臨んだということであろうかと思います。  で、条約内容の細かいことについては、私、実は十分勉強いたしておりませんけれども、とりあえず各国間における防護措置については、原則としてそれぞれの国のやり方を認める、しかし、国際的な移動については、みんなで合意したルールを採用して、それに当たろう。それから、現実に核ジャック、盗難等が起こった場合には、どのようにしてその犯人を所属国に引き渡すか、いわゆる犯罪人の引き渡し等の問題につきましても規定が設けられておると承知いたしております。
  42. 渋谷邦彦

    渋谷邦彦君 申すまでもなく、核ジャックという国際世論まで起こったこの問題については、起こり得るということを想定しながら各国とも連携をとりながら絶滅を期そう、確かにそのとおりだと思いますし、これは断じて試行錯誤を許されない問題だろうと思います。  特に国内法を整備して万全の措置をとらなければならないことは言うまでもありませんが、一見すると、そんな大変むずかしい問題ができるだろうかという一面考えられないこともない点もあるわけですね。相当専門的な技術を持った者でなければ、そうやすやすと内部からにしろ外部からにしろ、放射能を浴びるわけでございますから、それを盗む本人自身が大変危険を冒さなけりゃならぬという面もあるだろうと思いますが、彼らがやるときには、われわれの想像もつかないことをやる。先般引き起こされたハイジャックの場合でもそうでございますし、警察庁としては、そうした絶対試行錯誤を許されないという観点に立って、絶えず科学技術庁、あるいは国際的にも情報交換というようなことをしながら、特にすぐれたその防護措置というものを導入しつつ、体制を固めておられるだろうというふうに思います。  これから原発が仮に設置が進めば、それだけ全国的に広がるという規模も想定されるわけです。そうすると、そうした警備体制というものは果たして大丈夫なのかどうなのか、そういった一連のことについて、もちろん具体的な機密に属することまでどうこう私はここで述べてくださいということは言っておりません。ただ、大綱的にいまこういう方針で臨んでいるなら臨んでいるという、そうした考え方をお示しいただければよろしいかと思いますね。
  43. 浜田栄次

    説明員(浜田栄次君) 私から、現在考えております大綱的なことについて御説明申し上げたいと思います。  まず一つは、わが国におきますいわゆる防護体制につきましてでございますが、これはただいま原子力委員会の方に核物質防護専門部会というのを昨年設置をいたしまして、現在、検討を進めておるわけでございます。これは先般九月に第一段階といたしまして第一次の報告書が出されたわけでございますが、この中に政府としてとるべき措置として出しておりますのが法制面の整備でございますとか、あるいは対応体制の整備の問題、それから関連研究開発の推進の問題というようなことにつきまして具体的な措置を講じなくちゃいかぬ、こういう段階にございます。  警察庁といたしましても、この核ジャック防止といいますのはきわめて重要な問題でございますし、また、核防護につきます警察の果たすべき役割りというものもきわめて大きい、このように認識をいたしておるわけでございまして、この防護専門部会に私どもの方も参加をいたして、いろいろと具体策について意見を述べたわけです。それで、この防護専門部会の具体的な措置と並行いたしまして、警察庁として、現在の体制をいかにすべきか、あるいはどういう装備を進めなければいけないか、あるいは参加する隊員の教養訓練をどのように進めるべきかというような点につきまして、具体的に検討をいたしておるという段階でございます。  それから、各国との情報関係でございますが、これは、先般、核物質防護海外調査団というものを編成いたしまして欧米に派遣をされたわけでございます。これはわが国関係省庁あるいは関係団体等で構成いたしておるわけでございますが、これに警察庁からも積極的に参加いたしまして、米国の状況等を視察してまいったわけでございます。米国におきましては、ERDAあるいはNRC、FBI等の関係者と意見交換をしてまいりましたのとともに、原子力発電所あるいは加工施設、それから研究施設、こういうものを調査をいたしまして、つぶさにアメリカの防護制度の実態、こういうようなものも見てまいってございます。その調査結果は、いずれ委員会の方に報告しなくちゃいけないわけでございますが、そういった現在アメリカの進んでおるような実態なども十分に参考にいたしまして、わが国の核物質防護制度の整備には十分生かすように進めていきたいということで、ただいま検討をいたしておるわけでございます。
  44. 渋谷邦彦

    渋谷邦彦君 いずれにしても、これから高レベルのプルトニウムの精製というものが生産されている段階に入ってきておりますしね、改めて申し上げるまでもありませんけれども、わずかな液体でもあるいは粉末の状態でも、相当数の人命を殺傷するだけの威力を持っておりますだけに、必ずしも核爆弾をつくるというようなことじゃなくて、そのもの自体を使っても人命に多大の損傷を与えるということを考えますと、これはもう全く猶予できない。  ただいま申し上げましたように、これはもう警察庁本体だけじゃなくて、各県それぞれ原発のあるところにはそういった体制というものを早急に確立をしていく必要があるんではないだろうか。いま恐らく、おっしゃったお話をそのまま受けとめますと、まだその緒についたという段階でありまして、しかし、実際にもう再処理工場の方は運転を開始しているわけでございますから、それに即応できる警備体制というものが当然必要ではあるまいか。  で、いままでのハイジャックの例なんかを考えると、数人ぐらいが中心になって飛行機を乗っ取る。こうした想定される問題の一つとして、再処理工場なんかを襲う場合に、あるいは相当数のメンバーを用意して人質をとる、あるいはいろいろな方途を講じて構内に入る、手の下しようがない。盗まれたなんということも、われわれ素人が考えましても、起こり得る危険性というものは感じられるわけですね。だから、そういう点についても恐らく十分分析もされ、検討もされ、これからの対応というものを完璧を期していかれるというふうに考えているわけですけれども、その点は本当に完勝を期していただきたいんです。これは待ったなしでございますからね。その点は本当に大丈夫でございましょうか。
  45. 若田末人

    説明員(若田末人君) ハイジャック等を警察庁で担当いたします課長といたしまして、補足御説明申し上げたいと思います。  先生御指摘のとおり、先般、ハイジャックが起こったわけでございますが、核ジャックはハイジャックよりなお危険性は非常に大きいというふうに私ども認識をいたしております。したがいまして、これについては、いま御指摘のとおりに、ハイジャック対策以上に真剣に取り組んでいかなければならない。しかし、現実にはまだそこまで至っておりません。  で、現状で、極左の関係につきまして、一部、この核の問題について関心を持っておるセクトがあるという事実がございます。これについて調査をいたしましたところ、こういう核ジャックということではなくて、むしろ原子力発電所に関連いたします公害問題を中心としてそれに反対をしていこうではないかというようなことから、施設を見学した動きをキャッチいたしておるわけでございますが、しかし、これはいずれそういう核ジャックのような問題の方に発展する可能性は十分あるというふうに感じておるわけでございます。  したがいまして、私どもはいろいろこの核防護の問題につきましても分担がございまして、まず第一番目には、そういう施設の管理者に対しまして、自主的に——非常に専門的な危険なところもあるわけでございますので、管理者自体が自主警備をしっかりやってほしい。そしてまた自主警備のあり方につきましても、いわゆる物理的に——現にやっておられるそうでございますが、二重三重に非常なチェックをしていただく、物理的に入れないようにすでになっておるようでございますが、そういうことを強化していただきますとともに、また万一事態が起きました場合には警察との連絡体制を十分とっていただく。そういうことでございまして、施設の場合にはまあまあいまのところ安全のように私ども感じておるわけでございますが、輸送のときが一番危険だと私ども感じておりまして、その際は、それぞれ関係機関等と密接な連絡をとりまして厳重な警戒を行っておるところでございます。  それから、現在、いま御指摘の各県にどうだということでございますが、こういう施設を持っておりますのが私どもの調査の結果では、十二都府県、警察署にいたしまして二十の警察署にわたっておるわけでございまして、これらの県、県警あるいは署に対しましてよくこの事情を知らせまして、その警備体制の万全を期すようにいたしておるわけでございますが、こういうものがだんだん多くなってまいりますと、先生御指摘のとおり、専門知識を持ったある種の特殊部隊というようなものも必要になってくるかと思いますが、こういう面につきましては、また国会の御支援等もいただきまして、増員も含めまして人員、装備等について充実をしてまいりたい、このように考えております。
  46. 渋谷邦彦

    渋谷邦彦君 科学技術庁の方々、いま警察庁の答弁を聞いてもおわかりいただけると思うんですがね、確かにダブルチェックを初めとして大変中に入ることは厳しいようであります。しかし、私がしばらく前に島根の原発へも行きました。まあどこからでも入れるんですね、構内自体には、海からも入れるし。これはやはり自主防護というものが大変必要ではないかということが考えられるわけです。  これはやはり絶えず警察署とも連携をとられて、いろいろ工夫もされているんだろうと思いますけれども、現状を見る限りには、東海村にしても、あるいは敦賀の原発にいたしましても、いま申し上げた島根の原発にいたしましても、もう無防備状態じゃないだろうか、この辺もう少しく工夫をしてそういう万全の体制というものをつくるべきではないだろうか。その必要はないと、構内よりむしろ工場の中に入った方が大変厳しい、これはわかりますよ。けれども、構内には自由に入れるんですから、そこらあたりまで、工場の中に入る前に、こう厳重なチェックができればいいんじゃないかなというふうに感じたことがありますけれども、この辺いかがですか。
  47. 中戸弘之

    説明員(中戸弘之君) いま警察庁の方から御説明ありましたとおり、核ジャック問題につきましては、当庁といたしましても非常な関心を持って臨んでいるところでございます。  いま御説明にありましたように、原子力委員会に核物質防護専門部会というものを設けまして、これは先ほど第一次報告書というのを出しまして、じかも、その後、警察庁の方にもお加わりいただきまして海外調査団を出したということでございます。科技庁といたしましては、この原子力施設のそういった面での防備体制につきましては、これまですでに放射線管理という意味から周辺監視区域を設けるとか、あるいは管理区域を設けるとかいった、これは別の観点からでございますが、一応、そういう管理をしておりますので、必ずしも外部の人が容易に入り得るということではないと思いますけれども、核ジャックという立場からは確かにこれまで検討がされたことは少のうございましたので、このたび、原子力委員会におきまして、原子力発電所の審査指針というのがございますが、それの改定をいたしました際に、今後、原子力発電所の審査をする際にはそういった核物質防護といった観点からも施設を審査しなさいという一項を加えております。そういう改正を行いまして、今後の審査に臨みたい。  なお、当庁といたしましては、この審査会の指針に沿いまして、具体的に施設の施設基準と申しますか、そういった防護基準をこれから整備していきたい、このように考えております。
  48. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 初めに、私は、本論に入ります前に、日中平和友好条約締結について少し簡単にお伺いしたいと思います。  この間の補正予算の審議の際には、私も二、三質問をいたしましたが、余り明確な答弁がございませんでした。最近、新聞紙上にはいろいろ政府の動きが出ております。これについてお伺いをしたいんですが、まず日中平和条約締結の時期、これは大体どの辺を目途としてやられておるのか。そうして批准については次の通常国会で実現をするという見通し、あるいはそれだけの目標でやられておるのか、それがまず第一点。  次に、反覇権問題でございますが、この条項を本文に入れるというふうな感触が新聞に出ておりますが、これについて共同声明との関係でどうなのか。  この二点を初めにお伺いしたいと思います。
  49. 鳩山威一郎

    国務大臣鳩山威一郎君) 日中平和友好条約締結の問題につきましては、かねて申し上げましておるとおり、なるべく速やかに双方が満足し得る形で締結をいたしたい、こういうことを申し上げ、福田総理もたびたび申しておるところでございます。私ども真剣に取り組んでおりますが、時期をいつと決めておることは、まあ何ぶん相手もあることでもございますし、時期は決めてはおりません。  また、覇権条項につきましては、いろいろ御議論がありますし、新聞にもいろいろ出ておりますが、条約内容にわたりますので、この席では申し上げることは控えさせていただきたいと思います。
  50. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 いま時期について決めていないと言われましたが、目標といいますか、大体の目安も決めておられないわけですか。もちろんそれは相手がありますから、いつ何日までということは言いませんが、いま申し上げた来年の通常国会に批准というふうなことは十分考慮された上でやられておるのかどうか、その点いかがですか。
  51. 鳩山威一郎

    国務大臣鳩山威一郎君) 時期につきまして私ども本当になるべく早い機会という考え方でございまして、具体的な日にちは決められていない、こういうふうにお考えをいただきたいと思います。
  52. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 いまの反覇権条項ですが、確かに中身は言えないと思いますが、この間の私の予算での質問で、条文の内容についての中国側とのすり合わせはまだやっていない、こういう答弁があのときはございました。その後、その条文の内容のすり合わせまで話は進んでいるのかどうか、中国側と。それより前の段階で、いまむしろ政府部内あるいは自民党の内部での話し合い等が進んでおるのか、その点はいかがですか。
  53. 鳩山威一郎

    国務大臣鳩山威一郎君) 案文につきましては、双方から、一昨年になりますか、一昨年の春ごろにおきまして双方の案文が交換をされたような形になっておるわけでございます。その案文の先方の具体的な詰めの作業というものは、実際問題として行われておらないということでございまして、この案文の問題というのはある程度最終段階におきまして詰めるべきものではないかと考えておるのでございます。
  54. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 ということは、まだ具体的な詰めの段階に入っていないと、こういうことですね。
  55. 鳩山威一郎

    国務大臣鳩山威一郎君) そのとおりでございます。
  56. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 ということは、いまできるだけ速やかにやると言われておりますが、問題は、中国との話し合いではなくて、政府の態度を決めることがいままだおくれているのは、政府あるいは自民党内の調整という点に手間取っておると、こうとらざるを得ないわけですが、そういうふうに解してよろしいですか。
  57. 鳩山威一郎

    国務大臣鳩山威一郎君) それは両方関連があると私は考えております。と申しますのは、当方の案と先方の案とあるわけでございまして、先方の案どおりであれば、これは先方との交渉は要しないわけでございますが、当方として考え方を持っており、また主張すべきことは主張すべきものと考えております。したがいまして、先方と詰めを行うということとともに、日本国内のコンセンサスと申しますか、大多数の方々の御理解を賜らなければならない。この両方が関連し合っているという部面もあろうと思います。
  58. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 ということは、いま条文のすり合わせの交渉はまだ入っていない、もとに出たのがある、そのままこちらがオーケーすればすぐできると。いま大臣が言われたのは、条文の詰めをやるのは最終段階になるであろうと。ということは、そう大きなすり合わせ変更は双方の話し合いによってはできないと、要するに日本側が決断するかどうかということにかかっているような感じを受けるわけです、いまの答弁で。その点はいかがですか。  要するに、こちらから相当あのときの内容、中国側とは違ったものをぶつけて、それで相当話し合いをしてやるというふうな時間的な余裕といいますか、それだけの時間をかけないような発言にいま伺ったんですけれども、最終段階ということはもう大体わかっているわけですから、問題は決まっているわけですから、腹を決めるかどうかということで、総理は決意決意とよくおっしゃっていましたから、その点で私が聞きたいのは、やはり日本側で、こちら側の方でいま言われたコンセンサス、私は党内コンセンサスだと思いますけれども、その点が決まればもうすぐ一挙にいってしまう、それがいま早期締結をおくらしておる大きな原困だと、こう言わざるを得ないんですが、それでよろしいですか、重ねてお伺いします。
  59. 鳩山威一郎

    国務大臣鳩山威一郎君) その点ははっきり申し上げたいと思いますが、まだ先方と詰めなければならない問題があるということ、これはやはり相手方のあることでございますので、折衝の際にはある程度日本側の考えもまとめた上で臨まなければならない。しかし、先方の案に対しまして、わが方としてはわが方としての日本の外交政策というものがありますから、そういう日本として主張すべき点は主張しなければならない、かように考えておるわけであります。
  60. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 その最終的な中国側との折衝の時期というのは、近い時期、すなわち締結へのその折衝が始まれば、もうすぐ締結がされると、こう見てよろしいですか。
  61. 鳩山威一郎

    国務大臣鳩山威一郎君) その点はやはり交渉事でございますので、あらかじめ予断をすることはできないと思います。
  62. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 余りはっきりしませんので、この辺でやめておきます。  次に、この核防条約について伺いますが、先ほど来も渋谷委員の方から核軍縮の問題が出ておりましたが、大臣も不平等条約ということはお認めになっておりますが、この核軍縮が進まなければ、この不平等条約のその不平等というものがますますふえてくる、要するに核防体制というのは核軍縮があって初めて意義がある、こう私は思いますが、その点は大臣お認めになりますか。
  63. 鳩山威一郎

    国務大臣鳩山威一郎君) 私もそのとおり考えております。
  64. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 したがって、やはり米ソ、この核をたくさん持っておる米ソの核軍縮が進まない限り、結局、核防体制は意味のないものに極論すればなってしまいます。したがって、米ソの責任とは言うものの、核軍縮が進まない。これはもっとはっきりと言っていくべきだと思いますが、その点はいかがですか。特に国連の場ではいろいろ言ってはおられますけれども、私はもっと強力な話を持っていくべきだと思いますが、いかがですか。
  65. 鳩山威一郎

    国務大臣鳩山威一郎君) 核防条約を本当に意味ある条約にしていくためには、やはりあらゆる国がこれに加盟をしなければならない。フランス、中国、インド、その他の国で、相当原子力につきましての水準の高い国でありながら核防条約に入っておらない国があるわけであります。したがいまして、これらの国が加盟をすることによって核拡散の防止というものも図られるわけでありますから、そのためには条約自身が効果を発揮するためにやはり核兵器国、特に米ソの巨大な核兵器国が核軍縮努力をする、そういう実績があらわれることが必要であるというふうに考えて、そのためには強力に働きかけるべきであると考えております。
  66. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 いま未加入国の話を出されましたが、結局、こういった諸国が入らないのも米ソの超核大国の核軍縮が余り進まない、それに対する不信感が最大の原因だと私は思いますけれども、大臣の見解はいかがですか。
  67. 鳩山威一郎

    国務大臣鳩山威一郎君) 私はインドの外務大臣と会いましたときにも、この問題につきまして議論をいたしまして、直接この不平等性に言及されましたし、私が直接聞いたのはインドでございますが、そのような考えで入っておらないと考えます。
  68. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 もちろん米ソがこの加入の推進をやる最大の責任があるとは思いますが、日本としても、そういう行動はしてもいいのではないかと思いますが、それはいかがですか。
  69. 鳩山威一郎

    国務大臣鳩山威一郎君) 私もそのように考え、インドの外務大臣にも加盟を強く訴えたところでございます。
  70. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 次に、カーター大統領のエネルギー政策、またカーター大統領の外交政策について伺いますけれども、特にカーター大統領が再処理プルトニウム利用について大変厳しい規制を打ち出してきておりますが、これはカーター大統領が何をねらっておるのか。具体的には従来の保障措置というものに欠陥があると、こう見ておるのか。その点はいかがですか。
  71. 鳩山威一郎

    国務大臣鳩山威一郎君) 先ほども大川国連局長から申し上げましたが、カーター大統領アメリカのいろんな調査機関の報告等によりまして、現実核兵器を保有することができれば保有したいという国が具体的に数ヵ国あるということ、そしてインドが核実験をしたということ、これらのことから考えて、核兵器国が非常に増大をする危険というもの、これが世界平和に及ぼす影響ということを考えて、プルトニウムにつきまして、この平和利用につきましてもある程度何らかの規制をしなければならない、こういう結論に達しておるものと思います。ほかのいろいろな意図という話も聞きますけれども、私は、やはり核拡散現実の危険度ということから考えられた政策であると考えます。
  72. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 そのカーター大統領の、確かにいま大臣の言われた核拡散を絶対させないんだという強い信念、これは私も評価はいたします。しかし、現実に非常に矛盾しているのは、自分たちの国の、これはもう兵器だけではなくて、エネルギーにしてもどんどん強力に拡大、強化をしているわけですね。中性子爆弾だって一つのいい例ですし、それから核軍縮話し合いも、ソ連があるからだと言ってしまえばそうでしょうけれども、私は、まだまだ本格的な本気の努力感じられませんし、そして、いま言った未加入国に対する核防体制に入りなさいというような働きかけが強力に行われているとはカーターさんの外交では見られない。  むしろ、このエネルギーで締めつけようと、一番締めつけやすいのは日本だから、結局、日本に徹底的にきておると、こう私は考えざるを得ないわけですけれども、いまの大臣は非常にカーター大統領を評価し、ただ理想主義的な大統領の理想ということからだと言われますけれども、私はもっと厳しい見方をしておるわけですけれども、その点はいかがですか。
  73. 鳩山威一郎

    国務大臣鳩山威一郎君) 日本の場合に、特に先般の東海村の工場につきまして、日本につきまして非常にきつくアメリカは臨んでいるではないかと、こうおっしゃいますけれども、私どもは、むしろそうではなくして、最初のこの運転を認めるかどうかという国が日本であったということで、カーター大統領としては、むしろ日本に対しまして、日本非核三原則を持っておるということもよく知っておりますし、日本核兵器を持たないという決意をしておることもよく知っておるから、その点はそういう心配からではなくして、やはりこれは先ほど来申し上げましたように、世界の数ヵ国が核兵器を持ちたいと考えておる、こういう国々のことを考えてのことであり、そういう国々に規制を加えるためには、日本は全く自由であっていいかと、こういう問題があったわけだと思います。  したがいまして、数度にわたります会談が行われ、また、現地におきます調査も行われたということで、アメリカ政府としては、最大限の努力をして話し合いによって解決をした、このように私は理解をいたしております。
  74. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 いま非核三原則をカーター大統領は理解をしておると、こう言われますが、しかし、現実アメリカ世論調査、これはギャラップの世論調査ですが、これによりますと、設問の中で、日本は将来核兵器を保有すると考えるか、こういう質問に対して、イエスというのが四十九年が六五%、五十年の二月が六九%、五十年の十二月で七〇%、五十二年の三月で六五%と、核兵器日本が保有するというこの世論調査の高い率が出ているわけです。ノーと答えたのが、この四回で一番高いのが二〇%、意見なしが一番高いのが一七、低いので一三と、こういうふうになって、大変この核兵器日本が保有するであろうというアメリカ世論は強いわけです。  しかも、その保有すると答えた人のうちで、五年以内、十年以内、二十年以内、二十年以上後とこういうふうな分け方をしたのを見ますと、十年以内にやるというのが大体半分近くを占めている。五年以内はその次で大体二三%から三〇%、ことしなんか三三%五年以内に核兵器を持つ。十年以内には四六%と、非常に近い将来日本核兵器を持つと、こういうデータが出てきておるわけですね。  したがって、カーター大統領非核三原則に深い理解を示したというのは私は信用しとらぬわけでして、そういう意味で、この世論調査をどう踏まえられるのか。さらに、こういうアメリカ世論に対して、日本としては、絶対核兵器は持ちませんという、こういう何らかの、あかしと言ったら変ですけれども、何らかの働きかけは私はやらなければいけないと思うんですが、この点はいかがですか。
  75. 山口洋一

    説明員(山口洋一君) わが国は、従来から、非核三原則を内外に表明してきておりますし、また、さらに、昨年六月にNPTに加盟したことによって、わが国核兵器国とならないという政策国際的に宣明しているわけです。  しかし、さらに、政府としては、このようなわが国政策を広く諸外国に啓発するための広報努力をいろいろな形で行っております。特に米国に対しましては、この世論調査に出ているような世論動向も勘案して、これを強力に行っておりまして、具体的には、たとえば資料の作成配布、これにつきましてはいろんなものをつくっておりますが、特に核武装の問題につきましては、最近、ことしの九月につくったばかりですが、ジャパン・ディスアーマメント・ポリシーズというような特別の資料をつくりまして、その中で非核三原則等を啓発するということをしております。  それから、また、各種のマスメディア対策、これは現地の大使が新聞記者にブリーフをするとか、資料を提供する、あるいは記者会見に応ずるといったような形で、その中で日本の核問題についての立場を明らかにする。さらに、招待計画で米国から多数の報道関係者ないし世論指導層を本邦に招待しておりまして、こういう招待計画の中では、総理、外務大臣にお会いいただいたり、あるいは防衛庁においでいただいて、日本の核問題についての政策をきちっと明らかにするというような、いろいろな方策を組み合わせて広報努力を展開しておりまして、これによって米国の日本に対する核問題についての認識を改善するよう努力を重ねているところでございます。
  76. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 いろいろ努力はされて、私は絶対いないとは申し上げませんが、現実問題として、これ三年間、余りデータは変わっていないわけですよ、努力にもかかわらず、ほとんど。五十年から五十二年まで五%下がっているといったらそれまでですけれども、大臣、これはもう少し強力にやる必要があると思いますが、いかがですか。
  77. 鳩山威一郎

    国務大臣鳩山威一郎君) 私どもアメリカの行政府といいますか、たとえば国務省の方々とか、そういう方々はみんなよく理解をしていると思います。ただ、一般の大衆に徹底していないじゃないかということがいま御指摘だと思います。その点はいま努力をしているということを申し上げたわけでありますが、一つは、やはり将来の話になりますと、これはいわゆる未来学的な考え方になりますと、いろんな考え方があるのであって、私も直接会ったある人は、それはおまえの政府はやらないということはそれはわかっておると、しかし、将来どういう政府ができるかわからないんだと、そういう式の発想もありまして、そうなりますと未来学のようなことになっちゃって、これはなかなかむずかしいことでございます。したがいまして、私、いま日本が本当に核兵器は絶対にやらないということは、世界の少なくとも外交関係といいますか、そういう人たちはよく理解をしているということはもう確言できることであると思います。
  78. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 次に、私は、日本の対米外交、いろいろいままでとは違った時代に入ってきておりまして、いろいろやらなきゃならぬことはいっぱいあると思いますが、特に日本だけどうして、極端な言い方をしますと、たたかれてきておるのか。最近のドルの問題、円高にしてもそうですし、いろんな面で日本に厳しい。その反面、同じようにドルを、外貨を持っておりながら西ドイツはたたかれていない、上がってはいますけれども。その点は非常に私は不満に思っておるわけですが、この核防体制につきましても、たとえばユーラトム諸国は米国の許可なくして米国産の燃料を再処理できる、ところが、わが国は許可が要る、これはもう完全な不平等ですね。こういうふうなことが大変あるわけです。まず、このユーラトムの問題、これの不平等の是正はどうやっておやりになりますか。
  79. 大川美雄

    政府委員大川美雄君) ユーラトム諸国はアメリカ原子力協力協定を持っておりますが、おっしゃいますとおり、その中では日本との協定にありますような再処理を行う場合のアメリカの事前同意ということを定めた規定はございませんが、これにはいろいろいきさつと申しますか、理由があろうかと思います。  その最たることは、ユーラトム、つまりヨーロッパ原子力共同体に加入している国々は、それぞれの国々であると同時に、そのユーラトムという国際機関のメンバーであるわけです。その国際機関自体が原子力平和利用についての保障措置を行う組織になっておるわけです。ですから、日本の場合は、直接国際原子力機関との関係になるわけですけれども、ユーラトムの国々は、まず自分たちで構成しているユーラトム——ヨーロッパ原子力共同体という国際機関の保障措置に服し、その上で改めてまた国際原子力機関との関係を持つということですでに保障措置をかけられている、自分たちの間で保障措置をかけているというような形になっている特殊な事情があります。その辺が恐らくアメリカがユーラトムとつくりました協定日本のような規定を入れなかった一つの要因ではなかったかと思います。  ただ、おっしゃいますように、確かに、たとえばこの再処理を行います場合の手続については日本の方がアメリカから事前に同意を取りつけなければいけませんし、ユーラトム諸国はその必要がないという意味で不平等であることは間違いございません。その点は私ども何度もアメリカにも申しておるところでございますが、ただいまアメリカの議会で核不拡散法案という法案が審議されているところでございます。この法案は来年の前半ぐらいには恐らく法律になると言われているものでございますが、これはカーター政権の要するに保障措置を強化し核拡散を防止するためのいろいろの政策を盛り込んだ法案でございますけれども、現在結んでいるいろんな二国間の原子力協力協定の保障措置の規定を引き締めることを一つ政策として織り込んでございます。したがいまして、その法律が成立いたしました場合には、アメリカ政府としては、現在ユーラトムと結んでいる原子力協力協定を再交渉して、できれば日本との間にありますような再処理についての事前同意権をも導入しようという意図を持っているように私どもは承知しております。それが果たして実現するかどうかは別の問題でございますけれどもアメリカとしては、日本並みにほかの国との原子力協力協定の保障措置の厳しさを引き上げようという方向に向かっているように了解いたしております。
  80. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 そういった動きも見ながら、この不平等という面についての是正はぜひお願いしたいと思います。  それから、けさの新聞によりますと、オーストラリア政府がこの原子力協定の改正案を提示してきたと、こういうことが言われておりますが、これの内容、それからこれに対するわが国の対応策、カナダの二重規制のようなことになってくると思いますが、その点はいかがですか。
  81. 大川美雄

    政府委員大川美雄君) 新聞にも報道されておりますとおり、十五日、一昨日であったかと思いますけれども、東京にあります豪州大使館を通じまして外務省に対して御指摘のような新しい原子力協力協定案が提示されたことは事実でございます。  で、この協定案の内容につきましては、相手のこともございますので、申しわけございませんけれども、公表をいたしかねますけれども、豪州政府といたしましては、ことしの五月の下旬にフレーザー首相が発表いたしました新しい保障措置政策実施するために、こういった各国との原子力協力協定を改定するということを考えているようであります。わが国だけじゃございませんで、ほかにも豪州のウランを輸入していこうとする国々に対しても、十数ヵ国と承知いたしておりますけれども、同じような新しい協定案を提示したと承知いたしております。
  82. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 中身について詳しくはできないと思いますが、カナダと同じようだといたしますと、カナダ自身にも大変問題があって、いま交渉が行き詰まっておりますが、関連してカナダの点についても伺っておきたいんですが、結局、豪州がこういうふうに出てきた。カナダの問題を早く処理をしないと、次々にこういうことになってくると大変困りますし、ますます日本はエネルギーで締めつけられてしまう、こういうことにもなりかねませんので、このカナダ交渉、これはどういうふうに打開をされようとしておりますか。特にカナダがどうしてこういう、まあ拡散防止に熱心なのはいいんですけれども、友好国に対して供給停止というふうなことになってきたのか、この辺はどういうふうにとらまえておられるのか、その点はいかがですか。
  83. 大川美雄

    政府委員大川美雄君) カナダがこういうことを言い出しましたそもそもの遠因と申しますか、動機は、御存じのとおり、一九七四年にインドが核爆発を行った。その核爆発を行ったのは、カナダがインドに売却いたしました原子炉でつくられた原料をもとにしてやったんだということで、カナダとしては恐らく非常な衝撃を受けたであろうかと思います。したがいまして、その年の暮れにカナダ政府原子力協力についての新しい政策を発表したわけでございまして、それに基づきましてカナダと二国間の原子力協力協定をつくっている国々に対して、その協力協定の保障措置面を強化することを申し入れてまいったわけであります。で、そのための交渉日本とも昨年来ずっとやっておりますけれども、いろいろの面でかなり話し合いが進んだのでございますけれども、なお幾つか問題が残っております。  で、そのカナダとの交渉の進展がなかなかカナダ側として思うように進捗しないということであったんだろうと思いますけれども、ことしに入りまして、ことしの一月から、突如、日本、それから先ほどのユーラトム諸国、それからスイス等に対しまして、カナダの天然ウランの輸出を停止するような措置を一方的にとってまいったわけでございます。これはとにかく原料供給国でございますから非常にその点では相手国に対して強い立場にあるわけでございまして、そういう一方的な燃料差しとめというようなことで交渉に圧力をかけてくるというようなやり方は国際的にもいろいろ問題があろうかと思いますけれども、私ども日本政府としましては誠心誠意カナダと話し合いを続けてまいったわけでございます。  ただ一つ、大きな問題として残っておりますのは、カナダから買います天然ウランが直接日本に入らずに、アメリカで濃縮されて濃縮ウランという形で日本に入ってまいるわけです。その濃縮ウランにつきまして日本が再処理をする、あるいは第三国に移転するとか、いろいろのことをやりますときに、日米原子力協定に基づく規制に服するものだと私どもは考えていたわけです。それで、現に、東海村の再処理工場でアメリカから入ってきた濃縮ウランの使用済み燃料を再処理する場合には、日米協定に基づく手続としてアメリカとの間に共同決定をつくらなければならぬという事情でございますけれども、カナダの言い分でございますと、その分については、アメリカのほかに、カナダとの間にも事前の交渉をして事前に同意を取りつけなければいけないんだというような主張になってまいるわけでございまして、輸入する側といたしますれば、二ヵ国から事前に同意を取りつけなければならない。これが二ヵ国だけにとどまらないかもしれないわけです。将来、輸入いたします場合に、ある国でその天然ウランを転換して、次の国で濃縮して、それがさらにまた日本に入ってくる。ですから、その供給国が二つにも三つにも四つにもなり得る、そうなれば買う方の国といたしましては非常に複雑なことになりまして、国際的にも問題があるんではないか。  そこで、これがカナダとの間にいま起こっている問題でございますけれども日本としては、日本とカナダの問題、日本とカナダと米国の問題だけにとどまらず、むしろすべての原料供給国とすべての輸入国との間で国際的に話し合って、こういういわゆる二重規制あるいは多重規制の問題をみんなが納得するような形で解決する方向を考えようではないか、私どもはそういうような形でこの問題をできれば解決いたしたいということで、現に、そういった問題を検討するための国際的な作業グループを日本が提案いたしまして、それが近く作業を開始することになっております。それとは別に、もちろんカナダとの間には引き続き誠心誠意話し合いを続けて、できるだけ早くカナダとの話し合いに決着をつけたい、こういうふうに考えております。
  84. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 カナダとオーストラリア両方含めて、大臣、この見通しはどうですか。
  85. 鳩山威一郎

    国務大臣鳩山威一郎君) カナダにつきましては、アメリカのスミス代表がカナダに参りましたときに、いろいろ話し合いがあり、この二重規制の問題につきましてはある程度アメリカとカナダとの間に話し合いが進んできたという感じを持っておりまして、したがいましてカナダとの条約の改定交渉は進捗する見通しが出てきたと思っております。  オーストラリアとの間にも、同様な問題が出てまいろうかと思いますが、これは新しく改定する問題でありますので、これは至急話し合いを詰めたいと思います。
  86. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 次に、INFCEについてですが、これに対してわが国はどのように具体的に提案をされようとしておられますか。特に、この問題は私はアメリカカーター大統領が高速増殖炉はつくらないというふうな姿勢に出ています。それ以上の代替手段がある、こういうふうなことで、その一つの例としてフランスの提案の新濃縮技術及び地域核燃料センター構想、こういった点を指摘しておりますけれどもソ連の場合は高速増殖炉再処理の推進をする、こういうことになっているわけですが、わが国としては、このアメリカの態度、ソ連の態度、それに対応してどういうふうな立場でいかれるのか。特に、最初に申し上げたように、このINFCEに対してどういう提案をしていこうとされておるのか、この点をお伺いしたいと思います。
  87. 大川美雄

    政府委員大川美雄君) まず、最初に申し上げたいと思いますけれどもカーター大統領は、最近、確かにいわゆるクリンチリバーの高速増殖炉のための予算支出に対して拒否権を発動したようでございますけれども、高速増殖炉自体を否定する、高速増殖炉の開発そのものを否定したということはないようでございます。その点は、カーター大統領のほかに、あの東海村の交渉に参りましたスミス大使も最近ヨーロッパでも演説をいたしておりますけれどもアメリカ立場は決して原子力平和利用反対だとか、あるいは高速増殖炉反対ということではないのだということを明言いたしております。ただ、しばらく様子を見たいというような気持ちではないかと思います。  そこで、この国際核燃料サイクル評価作業でございますけれども、これはこの間発足したばかりで、どういうふうに進めていくかという組織的な問題については一応合意を見てスタートしたわけですけれども、今後、八つの作業部会に分かれまして、核燃料・重水の入手可能性でありますとか、あるいは濃縮の能力の問題であるとか、高速増殖炉の問題でありますとか、あるいは再処理・プルトニウム再利用、それから使用済み燃料の貯蔵、廃棄物の処分、それから新型原子炉、新型核燃料サイクルの概念といったような、いろんなテーマにつきまして二年間にわたって討議を進めていく、討議と申しますか、勉強会を行っていくわけでございます。  でございますので、日本はそれぞれの八つの作業部会に出まして積極的に参加する所存でございますけれども、これから始まることでございますし、関係省庁間、それから民間の大ぜいいらっしゃいます専門の学者や、その他の方々のお知恵を拝借いたしまして、官民一体となって、それぞれの作業グループに対する日本の対処の仕方について協議し合っている真っ最中でございまして、具体的にそれぞれの作業グループにどういう方針で臨むかということはまだちょっと申し上げられる段階ではございません。
  88. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 これは検討期間が二年間に限定され、そして検討結果に参加国は拘束されない、いま言われた研究グループになっておりますね。だから、これは私必要ないとは言いませんが、必要な機関だと思いますが、さらにこれをもう少し実際に実りあるようなものにするためには、この結果がどういう機関で諮られてどういうふうになっていくのか、ある程度各国を拘束するような場合も出てくるかと思いますが、ここで検討されたものはそれがどういうふうに生かされていくか、その点はいかがですか。
  89. 大川美雄

    政府委員大川美雄君) この作業がどういうことになれば実りのあるものになったんだということは、恐らく国によって立場がそれぞれ違うかと思います。基本的には、原子力平和利用を何とか推進していきたいということを強く考えている国々と、それから他方で、それはもちろん必要であろうけれども、同時に、原子力平和利用が核の拡散ということにつながることは何としても防がなきゃならないのだということをより強く思っている国々とがあるわけです。  でございますので、それぞれの国の立場があろうかと思いますけれども、私どもとしましては、その二つの命題はりっぱに両立させられるのだと、調整できるのだという立場でおりますので、私ども立場からすれば、この二年間の作業を通じまして、いろいろ原子力平和利用面での方法を論議すると同時に、それに対してどういうふうに核の拡散が防止できるような保障措置を適用できるかとか、そういったようなことを議論して、幸いにしてそれぞれの作業グループで何らかの国際的な合意が出れば、それも結構でございましょうし、仮にそういったコンセンサスが各作業グループで出てまいらなかった場合でも、それぞれの考え方を報告書に併記して各国に提出するということになっております。無理をして一致した結論を出さなければならないというような筋合いのものではございません。その二年経過した時点で、今度どうするかと、もし何らか新しい国際取り決めのようなものをつくることに衆議が一致いたしました場合には、その段階で改めてそういったものをつくるための国際交渉会議を招集するというようなことになるかもしれませんし、そういう意見の一致がなければ、それはそのままでということになるんではないかと思います。
  90. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 次に、原子力発電所あるいは再処理工場の問題について伺いたいと思います。  十一月十五日の通産省の発表によりますと、原発の稼働率が大変また悪い状況が出ておりますが、これについて御報告をしていただきたいと思います。
  91. 高橋宏

    説明員(高橋宏君) お答えいたします。  原子力発電所につきましては、定期検査の期間あるいは運転開始の時期、初期のものあるいは最近のものといったようなことでございますが、さらに国産化率の違い等によりまして稼働率には発電所ごとに相当の開きがございますので、平均的な利用率として一般的に議論するのはむずかしい実情にございます。そういうことを前提といたしまして最近の稼働率を御報告いたしますと、五十一年度年平均で時間稼働率で六〇・四%でございましたが、五十二年度に入りまして、主として定期検査中のトラブルの発見、そのための定期検査の延長等によりまして下がっておりまして、上期四月−九月で四二・八%になっております。  以上でございます。
  92. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 いませっかくつくった原発が稼働率が大変悪い。しかし、先日、ドル減らしということで濃縮ウランの緊急輸入をやる、こういうふうなことですが、現在の稼働率程度でいきますと、必要なウランはどれぐらいになりますか、年間で。それからフル稼働した場合、一応七〇%ですか。
  93. 高橋宏

    説明員(高橋宏君) 現在稼働中の発電所は十四基、約八百万キロワットでございますが、これが七〇%で稼働をいたしました場合の年間の天然ウラン所要量は約千八百ショートトン程度かと存じます。これが年間で仮に四〇%という数字を仮定いたしますと、比例計算になるわけでございますが、天然ウランは約千ショートトン程度かと存じます。
  94. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 で、いま緊急輸入されるということで、一億三千万ドルですか、あれはトン数では幾らになりますか。その話はどこまで決まったのですか。
  95. 高橋宏

    説明員(高橋宏君) お答えいたします。  ただいま御指摘の一億三千万ドルでございますが、天然ウランU3O8に直しまして約千四百四十ショートトンでございます。
  96. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 現在、ウランはどれぐらい備蓄されているんですか。
  97. 高橋宏

    説明員(高橋宏君) 現在、天然ウランの確保量でございますが、いわゆる長期契約等によりまして約十四万ショートトンの契約ベースの確保をいたしておりますが、いわゆる備蓄といったような意味でのものではございません。
  98. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 いまの緊急輸入で、またいままで以上のものが輸入されるわけですけれども、これはいつ大体輸入になりますか。契約は終わったんですか、そこはいままでの通常よりプラスアルファ、いま言われたその確保量のプラスアルファのものなのかどうか、その点いかがでしょうか。
  99. 高橋宏

    説明員(高橋宏君) ただいまの千四百四十ショートトンでございますが、これはただいま申し上げた相当数でございまして、これは契約はすでに整っております。
  100. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 この量は、いま言われたその長期計画に基づく確保量があるでしょう、それに上乗せされるんですかと聞いているんです。
  101. 高橋宏

    説明員(高橋宏君) そうでございます。
  102. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 いまの十四万トンの確保量、備蓄とは言わないと言われておりますが、稼働率がこのように下がった段階でかなりこの計画も狂ってくるのではないか、こう思いますけれども、その点はどうなのか、どういう見通しを持っておられるのか。  それから、もう一つは、緊急輸入をした場合、これはふえてくるわけですから、ただ、いままでは一億三千万ドルですが、総理は十億ドルぐらいやりたいなんというお話がありましたけれども、先ほど来の議論をお聞きになっておわかりのように、いろいろ各国の制約があって実際には入ってこない可能性もある。それからまた、備蓄は、いま確保量と備蓄の関係ははっきりしませんが、備蓄ということは考えられるのかどうか、そういう計画はあるのか、その点はいかがですか。
  103. 高橋宏

    説明員(高橋宏君) 稼働率の件でございますが、先ほど御報告いたしましたように、現在、上期で四十数%に低下いたしておりますが、この稼働率につきましては、これを引き上げるべくいま努力をいたしておりまして、たとえば原子力発電所の自主技術に基づく改良とその標準化といったような政策を進めておりまして、さらに定期検査を適確にかつ短く行うというための措置も現在検討いたしておりますので、ここ一、二年の間に所定の七〇%稼働率に戻すように努力をいたし、その期待をいたしております。  それから、緊急輸入の件でございますが、現在、いまだ具体的な結論を得るには至っていない段階でございます。
  104. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 将来計画が狂ってきていると思うんですがね。
  105. 高橋宏

    説明員(高橋宏君) 備蓄の現状及び将来の見通しでございますが、将来の見通しといたしまして、今後の方向といたしましては、実は、ことしの八月の総合エネルギー調査会原子力部会基本政策委員会におきまして、安定供給の観点から相当量の濃縮ウランを電力会社が協力して備蓄し、国が所要の助成を行うことが必要であるという報告をいただいておりまして、通産省といたしましても、来年度、財投要求等におきましてその具体化を図るべく努力をいたしておるところでございます。
  106. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 私がもう一つ聞いているのは、核燃料の需要量の見通しがありますね、五十五年、六十年、六十五年、これはこういった現状で見直すことにならないか。もう一つは、いまいった対外的なウラン供給が非常に厳しくなったこと、そういった点を含めて、あくまでもこれを目標としていかれるのか、修正をされるのか、その点はいかがですかと聞いているんです。
  107. 高橋宏

    説明員(高橋宏君) 先ほどもお話しいたしましたように、稼働率自身につきましては所定の稼働率に戻すべく努力をいたしております。かつ開発規模につきましても、昭和六十五年六千万キロワットという開発目標を達成すべく努力をいたしておりますので、天然ウラン量としましては、必要量は従来計画どおり確保に努めてまいるという考えでございます。
  108. 安孫子藤吉

    委員長安孫子藤吉君) 午前の質疑はこの程度とし、午後二時まで休憩いたします。    午後零時五十一分休憩      —————・—————    午後二時六分開会
  109. 安孫子藤吉

    委員長安孫子藤吉君) ただいまから外務委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、核兵器の不拡散に関する条約第三条1及び4の規定実施に関する日本国政府国際原子力機関との間の協定締結について承認を求めるの件を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  110. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 次に、私は、東海村の再処理工場について伺いますが、この再処理工場では、現在、ウランテストを終了しホットテストを行っており、間もなく本格的に稼働されようとしております。ここでの廃棄物処理についてどのようにされておるのか。そして、ここから出された廃棄物の人体に与える影響についてどのように把握をされておりますか、伺いたいと思います。
  111. 石塚貢

    説明員(石塚貢君) お答えいたします。  再処理工場で発生いたします廃棄物のうち高レベルのもの、これは液体と固体両方ございますが、いずれも施設内に厳重に保管管理されるということでございますので、高レベルの廃棄物につきましては、全く環境には影響がないというふうに措置がなされております。  それから低レベルの廃棄物でございますが、まず、これも気体廃棄物と液体廃棄物に分かれます。気体廃棄物につきましては、ごく低レベルのものは、処理いたしました後、スタックから環境に放出されるわけでございますが、環境に放出されます低レベルの気体廃棄物の量を申し上げますと、大体全部ほとんどはクリプトン85と呼ばれますベータ線を出します放射性物質、これが一日に八千キュリー環境に出るということになっております。なお、これは年間二百十トン操業したということをベースとして考えられております放出量でございます。クリプトン85以外の核種につきましてはほとんど無視し得るという程度のものでございます。  そこで、このクリプトン85に基づきます被曝線量でございますが、これは原子力委員会におきまして慎重にいま評価、審議されたわけでございますが、その結論によりますと、年間に三十二ミリレム、全身線量でございますが、一般の公衆の人は受ける可能性があるということになっております。なお、この三十二ミリレムという値は、先ほど申し上げましたとおり、クリプトン85と言いますのはすべてベータ線を出す放射性物質であるということでございまして、これに基づきます被曝はほとんど皮膚でとまってしまうという皮膚被曝に相当するわけでございますが、皮膚被曝の場合は、一般的にICRPで定められております許容被曝線量というものは全身に対するものの六倍というような値に設定されております。  それから、液体廃棄物でございますが、これもいろいろ処理されまして、ごく低レベルのものを海中に放出するということになるわけでございますが、この場合は、これも年間二百十トン操業というベースで考えますと、一日最高一キュリー、平均〇・七キュリー、年間に直しますと二百六十キュリーの放射性物質が海洋に放出されるということになっております。この放射性物質が海洋の中で拡散をいたしまして、さらにそれが魚介類の中に取り込まれる、その魚介類を人間が摂取するという食物連鎖を考えまして、その結果、周辺の住民が被曝する線量は年間に〇・七ミリキュリーでございます。さらに、これは食物摂取でございますが、それ以外に外部被曝線量といたしまして、漁業でございますとか海水浴でございますとか、そういった外部線量について評価いたしますと、これが年間五ミリレム。したがいまして海洋に放出されます低レベル廃棄物によります被曝線量は年間六ミリレムというふうに評価されております。  以上の評価結果は、最初に申し上げましたとおり、昭和四十四年に、この施設が設置の計画の段階原子力委員会によりまして厳重に審査をされております。また、海洋につきましては、その後、昭和四十四年以降得られました現地の詳細なデータに基づきまして、さらに審査が改めて行われておりまして、その結果は、ことしの五月に原子力委員会で答申が出されておるという、そういう数字でございます。
  112. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 いまのお話だと、一応、そういう計算ということで、いま言われた数字は五十一年十二月の時点のものですか。
  113. 石塚貢

    説明員(石塚貢君) ただいま申し上げました数値は、大気につきましては昭和四十四年の評価値そのままでございます。それから海洋につきましては、本年の五月に最終的に原子力委員会が詳細な審査をいたしました結論でございます。  なお、私、ちょっと申し忘れましたが、先ほどの環境への放出のキュリー数の中にはトリチウムは含まれておりません。トリチウムは、大気中には一日四十九キュリー、海洋には百四十キュリーが出てまいります。
  114. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 現在、国際的には五ミリレムということが言われておりますし、大体、日本原子力委員会も、これは原発の場合になりますけれども、そう言われておりますが、それと比べますと少し高い値ですが、この辺はどういうふうに考えておりますか。
  115. 石塚貢

    説明員(石塚貢君) 御指摘の点につきましては、私先ほど御説明申し上げましたとおり、大気について三十二ミリレムという値は、原子炉の場合の目安線量でございます五ミリレムよりも高いではないかという、これはそのとおりでございますが、このクリプトン85といいますのはベータ線のみを出しまして、まあガンマ線も若干ございますが、非常にネグリジブルスモールであるということになっておりまして、三十二ミリレムというのは全身というふうに一応表現はしてございますが、実質的には皮膚で全部そのベータ線はとまってしまうということでございまして、皮膚被曝というふうに考えられます。  なお、クリプトン85その他の核種によりますガンマ線による全身被曝線量、これは軽水炉におきます五ミリレムに相当するわけでございますが、ガンマ線によります外部被曝線量を仮に計算いたしますとしますと、その場合は数ミリレムになってしまうというふうに考えられております。
  116. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 いま言われたクリプトン85、これについてはいろいろ言われておりますけれども、このクリプトン85についてのいろんな研究ですね、遺伝とかいろいろ問題が言われておりますが、その調査研究、これはどうなっておりますか。
  117. 石塚貢

    説明員(石塚貢君) クリプトンにしろ、海洋放出にしろ、現在のままでも、それから受けます影響といいますのは十分低いわけでございますが、なお一層低減化するといいますか、ICRPの勧告にも不必要な被曝はできるだけ抑えるという勧告がございまして、ALAPと言っておりますが、その精神にのっとりまして、現状でも安全であるが、さらにできるだけこれを低く抑えるという方針で、たとえばクリプトン85につきましても、それを回収いたしまして環境へは十分の一しか出さないというような技術開発を現在行っております。現在、これは詳細設計中の段階でございまして、これが完成いたしますのは昭和五十四年の予定になっております。  それから、海洋につきましても、さらにそれを十分の一引き下げる、放射能の放出量を引き下げるための施設を開発中でございます。そのうちのE施設と呼ばれますものは現在すでに完成いたしておりまして試運転中でございます。ウラン試験の段階では所期の目的が達成されておるというデータがすでに出ておりますが、現在、ホットの状態で試運転中でございます。このE施設のほかに、さらに十分の一引き下げるための技術開発、これをわれわれZ施設と呼んでおりますが、これにつきましては現在建設中でございまして、昭和五十四年には完成の予定ということでございます。  いずれにいたしましても、環境へ放出されます放射能の量をとにかくできるだけ小さく抑えるということで、技術開発を鋭意進めておるところでございます。
  118. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 次に、トリチウムについて伺いますが、これは私も、前に、いつか科学技術特別委員会で取り上げたことがございますけれども、東大医学部の田中教授また岡山大学の黒岩博士の研究結果では、フタマタタンポポの種子をトリチウム水溶液の中に浸したところ許容量以下の濃度でも染色体がちぎれる、こういう結果が出たと、こういうことが日本遺伝学会で発表されております。また、秋田教授の研究、これも東大ですが、トリチウム水の濃度が一マイクロ当たり一ミリマイクロキュリーでも発生異常が認められております、これはウニの胚の研究です。したがって、このトリチウムと遺伝の関係、これはどういうふうになっておりますか、どういうふうに把握されていますか。
  119. 石塚貢

    説明員(石塚貢君) トリチウムにつきましては、再処理工場から先ほど申し上げましたとおり大気中には一日四十九キュリー、海洋中には百四十キュリーのものが放出されるということでございますが、これらの影響につきましては先ほど申し上げたとおりでございます。  なお、遺伝に対する影響といたしましても、日本を初め国際的にもいろいろと研究がなされておるということは御案内のとおりでございますが、たとえば日本の放射線医学総合研究所、こういったところにおきましても、従来より人間の染色体を対象といたしましたトリチウムの影響といったような研究が行われております。この結果によりますと、再処理施設からのトリチウムの量というものを検討いたしますと、まあ影響はあり得ないというのが結論でございますけれども、この放医研の研究結果によりますと、許容レベル以下では影響は見られないというようなデータが出ておるように聞いております。  一方、再処理施設から出てまいりますトリチウムの濃度、それからそういったものを摂取いたします際に人間の体の中に取り入れられる量、そういったものはこの許容レベルの三けたも四けたも下でございますので、まず再処理施設からの影響というものは考えられないというふうに考えております。
  120. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 いまの考え方はちょっと私甘いように思うのですけれどもね、遺伝に影響がないという断定はちょっと行き過ぎではないか。これだけいろんな研究が出ているわけですから、もう少しいろんな研究の結果を見ないと断定してはどうかと思うのですが、特にベータ線が全く関係がないという立証はまだないわけですからね、関係があるかもしれない。その辺まだはっきりしていないわけですから、いまのはちょっと断定的ではないかと思うのですが、その辺はいかがですか。
  121. 石塚貢

    説明員(石塚貢君) 遺伝に関係がない、これはレベルの問題かと思いますが、私が申し上げました意味は、この再処理施設から出てくる程度の量では多分影響はないというふうに申し上げたわけでございまして、どの程度から影響があるかどうか、その辺のところは、御指摘のとおり、いろんな研究所で研究が進められておるということでございますので、将来、こういった研究成果等を踏まえまして、十分な配慮をいたしていくということは当然のことかと思います。
  122. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 いま再処理施設から出てくる量は以下だから大丈夫だと言われますが、その点、絶対にトリチウムがいま言われたような量以上にはならぬというこの保証はあるんですか。
  123. 石塚貢

    説明員(石塚貢君) これは保安規定で一日に放出してもよいという量を規定いたしておりまして、これを計測しながら環境に放出するわけでございますので、この量は確実に厳守されるということになっております。さらに、運転中の環境のモニタリングを実施することになっておりまして、このモニタリングの結果というものがさらに原子力委員会で評価されるということで二重三重の監視体制を整えております。
  124. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 次に、京大農学部遺伝学研究室の市川助手の研究によりますと、ムラサキツユクサを使って遺伝的影響の調査をやっておりますが、その結果、突然変異の発生率は、原発から一ないし二キロ離れた近距離では一七%、これは去年です。ことしになりましても一〇%と平常よりも大変高いわけです。これはどのようにこの研究結果を見ておられますか。
  125. 石塚貢

    説明員(石塚貢君) 本件に関しましては、われわれは次のように考えております。  まず、ムラサキツユクサの雄しべの毛でございますが、この細胞は放射線のみならず、湿度でございますとか、あるいは温度、それから日照度、降雨量、化学物質あるいは塩分、そういった自然環境条件の変動に対して非常に感受性が高いというような植物でございます。このため、これらの要因の詳細な分析を行わなければ、非常に低い線量の領域においては、特に放射線の影響というものを断定するのは非常にむずかしいというふうに考えております。  それから、自然界に発現いたします変異の中で、微量の放射線の影響の有無というものを判断いたしますためには、非常に大量の資料、大量のデータが必要でございまして、そういった見地からムラサキツユクサにおきます放射線の影響が仮にあらわれたといたしましても、その結果を人間に適用するということは、現在の研究の水準では、非常に困難であるというのが定説かと思います。  なお、このムラサキツユクサの研究は、京都大学の市川先生以外にも、いろいろなところで、たとえば、日本の場合は、農林省の農業技術研究所あるいは科学技術庁におきましても委託研究でこのムラサキツユクサについての放射線からの影響といった調査研究を実施いたしておりますけれども、そういった結果を踏まえましても、いまのような考え方というものを裏づけるということでございます。
  126. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 市川助手は、この突然変異の増加の原因を沃素131と推定をされておりますが、これは実際は大変少なく排出されるものでありますから、現在では、モニタリングでは捕捉ができない。しかし、濃縮度が植物では三百五十万倍から一千万倍、牛乳では六十二万倍。しかも沃素131は体内に入ると甲状腺に集中をしておる、こういうようなことで、いろんな甲状腺がんの原因や遺伝的障害をもたらすのではないか、こういうふうに言われておるわけですけれども、いま量の問題等で大丈夫だ大丈夫だというお話ですけれども、こういった点はまだこれからの大きな研究課題ですから、いま研究をやられておるとは言っていますが、いま言われたような立場での認識でやったんでは、まだまだ私は完全な安心を国民に抱かせることは無理じゃないかと思うんですが、このいまの沃素131、これについてはどうですか。
  127. 石塚貢

    説明員(石塚貢君) 沃素131の許容線量というものは国際放射線防護委員会の勧告というのがございまして、それ以内におさまっておれば、まず影響はないというのが国際的に認められた現段階での考え方かと思います。わが国におきましての安全強化の考え方といいますのも、現在は、こういった国際放射線防護委員会の勧告値というものを目安として評価をいたしておるわけでございますが、原子力発電所にしろ再処理施設にしろ、その許容値よりもはるかに小さいレベルで現状では抑えられておるということをわれわれは確認いたしておるわけでございまして、その点では、まず心配はないというふうに評価されております。  なお、このムラサキツユクサにつきましては、非常に低レベルの領域の放射線を計測するという一つの手法といたしましては非常に貴重な方法かと思いますし、さらに、こういった手法を用いまして低レベルにおきますいろんな研究が実施されるということは非常に評価されているということもございますので、こういった分野での研究につきましては、今後とも、鋭意進めてまいりたいというふうに考えております。
  128. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 現在、原研では、トリチウムは年間どれぐらい出されておりますか。
  129. 石塚貢

    説明員(石塚貢君) 申しわけございません。原研から出てまいりますトリチウムの量につきましてのデータは、現在、手元にございませんが、たしか原研が海洋に出します全放射能というのは数キュリーということでございますし、それから再処理施設から出てまいりますトリチウムの量は、一般の原子力発電所に比べますと、数十倍から数百倍というような量になっているということでございますので、この点だけ申し上げられるかと思います。
  130. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 動燃の核再処理工場の年間の処理能力、これはどれくらいですか、いま。
  131. 石塚貢

    説明員(石塚貢君) 年間二百十トンでございます。
  132. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 これを処理すると、毎日、どれぐらいのトリチウムが出ますか。
  133. 石塚貢

    説明員(石塚貢君) 大気中には四十九キュリー、海洋には百四十キュリーでございます。
  134. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 そうなると、年間、どれぐらいになりますか。
  135. 石塚貢

    説明員(石塚貢君) 年間に直しますと、大気中には一万四千七百キュリー、海洋には五万一千百キュリーとなろうかと思います。
  136. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 いま海洋を取り上げても五万一千、かなり大きいわけですね。両方足しますと六万キュリーにもなるわけですから、これはかなり大きな量になると思いますが、これの及ぼす影響というのは、どの程度になると分析されていますか。
  137. 石塚貢

    説明員(石塚貢君) まず、大気について申し上げますと、大気中に放出されましたトリチウムが拡散されるわけでございますが、それの最大濃度になる地点におきます濃度は、最大許容濃度、そこまでは許し得るという濃度の約三千分の一でございます。  それから海洋につきましては、これが海産物に取り込まれまして、それを人間が食べる、この場合、海産物にはどの程度蓄積されるか、あるいは人間が一日どの程度魚介類を摂取するか、そういった詳細な調査の結果に基づきまして評価した結果でございますが、それによりますと、一般人の摂取量は一日9.7×10−4マイクロキュリーというものが体内に入るというふうに評価されております。この量は、一般人の最大許容摂取量の一万分の一に相当いたします。これによります被曝線量を計算いたしますと、内部被曝につきましては〇・〇四ミリレムパー年というふうに計算されまして、これはトリチウム以外の放射性物質によります体内摂取のための被曝線量——内部被曝と呼んでおりますが、これが〇・七ミリレムパー年でございますので、それの十分の一にも満たないということでございます。また、外部被曝につきましては、全身、これは海水浴とかいろんなファクターを織り込んで計算したものでございますが、これは年間に5×10−4ミリレムパー年となりまして、これは許容値の百万分の一ということになろうかと思います。
  138. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 いまの計算も私わからぬでもないんですが、かなり平均にこうしてやっているような気がしてならぬのですがね。もう少しいろんな形の放射線の取り方というのが出てくると思うんですね。だから、いまのような単一計算で出てくるのと現実とはかなり開きが出てくる場合があるんではないかと思うんですが、その点はいかがですか。
  139. 石塚貢

    説明員(石塚貢君) 現実との比較の問題でございますが、これはあくまで事前評価といいますか、仮定に基づきます評価の値であるということは御指摘のとおりでございます。  実際に再処理施設を運転した後、どの程度被曝するかということにつきましては、まず、海水中の濃度あるいは魚介類に蓄積されておる放射能の濃度、そういったものが実際のモニタリングによりまして大がかりに調査が経常的になされます。この調査の結果を踏まえまして、人間がどの程度被曝するかというこの被曝評価の作業は、原子力委員会の中に設けられております環境放射線モニタリング中央評価専門部会というのがございまして、その専門部会の場におきまして厳正に評価される。この評価の結果を踏まえまして、その施設の安全性を確認をしながら運転を続けてまいる、そういうシステムになっております。  それから、先ほど原研からのトリチウムの量の御質問がございましたが、これにつきましては原子力研究所東海研究所の原子炉施設から出てまいりますトリチウムの量は、年間、七百キュリーというデータがございます。
  140. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 ぜひひとつ安全性については、再処理工場は大変外交問題にも発展をいたしますので、これはきちんとしていただきたいと思います。  それで、大臣に伺いますけれども、再処理工場はアメリカとは話し合いがまとまっておりますけれども、もし何かの結果、この安全性の問題等について問題が出れば、それを契機にまたアメリカから強い姿勢が出てくる可能性が考えられます。そういった意味で、大臣としても、この再処理工場の安全性というもの、あるいはまた環境に及ぼす影響に対するきちんとしたことをやらすように要請もしていただきたいし、また、あくまでも日本の再処理工場は安全であるということを確認した上で、またこれは外交交渉に使うべきだと思いますが、その点はいかがですか。
  141. 鳩山威一郎

    国務大臣鳩山威一郎君) ただいまは、特に安全性の確保、廃棄物の処理につきまして御討議をいただいたわけでございます。この東海村の運転は二年間に限りまして運転をして、その後の運転につきましてアメリカとも協議をすることになっておるわけでありまして、御指摘のような点は、これは細心の注意を持って取り運ぶ必要があろうと思います。  また、今後の問題としてやはりまだ二年先の問題が残っておるわけでありまして、この点につきましても、鋭意、努力を続けたい。また、アメリカとの間にも、逐次、交渉といいますか、先々のことを考えながら日本として臨むべきであるというふうに考えて努力をいたす所存でございます。
  142. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 次に、原発から出るトリチウムですが、これは今後を考えますとかなり多くなりますが、現在の計画の七〇年あるいは七五年、八〇年あるいは二〇〇〇年、そういった点から見ますと、どういうふうになると計算されておりますか。
  143. 石塚貢

    説明員(石塚貢君) 原発からのトリチウムの量は、先ほど申し上げましたとおりの程度のものかと思いますが、大体、年にいたしまして一基千キュリー程度出てまいります。したがいまして再処理との比較において考えますと、再処理ではこれの十倍ないし数十倍ないし数百倍というようなトリチウムを出しましてもなお安全であるという評価結果から対比いたしますと、原発からのトリチウムというものはそれほど大きくないのではないかというように考えられますが、ただ、原発が基数がふえてまいりますと、トリチウムの量もそれに比例して大きくなるということかと思います。  ただ、このトリチウムの除去の技術といいますか、これは各国とも現在研究開発中の段階でございます。日本におきましても、動燃事業団等でこのトリチウムを環境に出さないで、これを捕獲してしまうというための技術開発を、現在なお基礎的なものでございますけれども、着手いたしておりまして、そういった将来の原発の増加といったものから生じますトリチウムの放出の増加、そういったものに対処していく。これは日本だけではございませんで、国際的にもいろいろとそういう研究開発が現在進められておるというふうに承知いたしております。
  144. 立木洋

    ○立木洋君 先般、NPTの審議をした際、政府としては、このNPTが不平等性を持っておるということは認められたわけですが、あの際に、これはこれ以上核兵器保有国をふやさないものである、また、それについては役に立つ、これ以上核兵器をふやさないという点でですね。もう一つは、平和利用についてはその推進を保障し、国際協力を進めるねらいを持っている、こういうことも述べられたんですね。そしてまた、今後、この条約に参加しないと、核燃料の提供とか技術協力など、平和利用の面での不利益が増大する可能性があるということも述べられたと思うんですが、現在の時点になって、あの当時このように述べられておったNPTに関する評価というのは、現在でも全く変わりがないのかどうなのか、その点いかがでしょうか、大臣。
  145. 鳩山威一郎

    国務大臣鳩山威一郎君) カーター大統領の新しい政策が出まして、このNPT条約との関連が確かに問題になると思います。その際に、NPT条約ということによりまして核拡散を防げるんだと、こういう観点であったわけでありますが、原子力平和利用の過程におきまして、それが核拡散につながるというおそれが出てきたために、平和利用面それ自体におきまして核拡散につながるという危険を何とか防ぎたい、こういうことが問題になってきたわけでありますから、したがいましてNPT条約の御審議の際に考えておりましたことより、さらに複雑な面が出てきたという点におきまして、核拡散を防ぐ、また平和利用を促進するという面で大きな目的自体は変わっておらないと思うのでございますけれども、やや複雑な面が出てきたということは否めないと思います。
  146. 立木洋

    ○立木洋君 そうすると、現在の状態から見てみると、あの当時、より積極的にNPTを評価しておったけれども、やっぱり不十分な面もあるというように、いわゆるカーターの新原子力政策との関連ではお考えになるという意味ですか。
  147. 鳩山威一郎

    国務大臣鳩山威一郎君) 平和利用の面で、その基礎となる技術そのものが核兵器拡散につながるというそういう問題が出てきたということで、この点が、現実問題といたしまして、インドの核爆発以来、より真剣に討議されるようになったわけでございます。確かにNPT加盟国はNPTの精神に沿って努力をいたしておるわけでありますが、片方にやはりNPT条約に未加盟の国が多いということもございます。そういう意味NPTにあらゆる国が加盟していくということによりまして一つのまた核拡散の防止が促進されるということができてくると思いますが、他方、もう一つ、技術的な面で解決を迫られた問題が出てきたんだというふうに言えるのではないかと思うのでございます。
  148. 立木洋

    ○立木洋君 カーターの新原子力政策ですね、この根底には、NPT体制に対する不信ということがあるんではないかというような点はいかがですか。
  149. 鳩山威一郎

    国務大臣鳩山威一郎君) ある見方からすれば、NPT体制があれば絶対安全である、そういうことにつきまして心配が出てきたという意味におきましてはNPT体制自体が安全であるということも言えないのではないか。また逆に言いますと、NPT体制にさらに加えて何らかのもう一つ規制がもう一つ別な角度から必要になってきたんではないかという気もいたすわけでございます。
  150. 立木洋

    ○立木洋君 この点なんですがね、そうするとNPTの審議をしておった段階で、先ほど簡単に私が言いましたけれども政府が評価しておったNPT体制に対する評価とアメリカが今日提起したカーターの新しい原子力政策で示された点とは、やっぱり評価の点では違いがあるというふうに言えるわけですか。
  151. 鳩山威一郎

    国務大臣鳩山威一郎君) 私は、むしろやや次元の違った問題が提起されてきたというふうに考えるべきではなかろうか。NPT体制というものはやはり核兵器拡散を防止する上で役割りを持つものであり、他方、純粋技術面におきまして別個の問題が出てきて、これについても何らか検討を真剣に取り組んで、何らかの答えが急がれる問題が出てきたというふうに考えるのでございます。
  152. 立木洋

    ○立木洋君 状況が変わってきたと言っても、審議した経過から見れば、それ以前にインドの実験が行われているわけですしね、私たちは、あの時点でも、いま述べたような危険性というのは指摘していたわけですよ。しかし、なかなかそういう点は政府はお認めにならなかった。だけれども、こういうカーターの新しい原子力政策というのが出てくると、いろいろと考えざるを得ない問題点が新たにやっぱり提起されてきている。  その点で、たとえば日本はすでに、先ほど来政府も繰り返し言われているんだけれどもNPTを批准したんだから、当然、平和利用の問題で言うならば、アメリカ日本に対してNPTの第四条をやっぱりしっかり守った立場をとるべきではないだろうか。これは今回の日米のあの再処理交渉経過を見てみると、なかなかそういうふうにはとられない点があると思うんだけれども、この点はどのように考えておいででしょうか。
  153. 鳩山威一郎

    国務大臣鳩山威一郎君) NPT条約の第四条の規定は確かにあるわけでございますが、他方におきまして、日本アメリカに対しまして再処理等につきましてアメリカとの合意を必要とする、こういう体制にあるわけでございます。アメリカが特に日本に対しまして規制を厳格にしてきたと、こういうことではなしに、やはりカーター大統領として新しい原子力政策といいますか核政策を打ち出した、その政策の最初の適用として日本の再処理工場の運転という問題がひっかかってきたわけであって、この問題の処理につきましては、アメリカ政府といたしましては最大限の努力をして今回の運転につきましての同意を与えるということになったと、むしろそのように考えております。
  154. 立木洋

    ○立木洋君 第四条を改めて読み直してみますと、「平和的目的のための原子力の研究、生産及び利用を発展させることについてのすべての締約国の奪い得ない権利に影響を及ぼすものと解してはならない。」というのが一項目で述べられてありますし、二項の後段の方でも、「平和的目的のための原子力の応用、特に締約国である非核兵器国の領域におけるその応用の一層の発展に貢献することに協力する。」と、こういうふうになっているわけですね。  そうすると、今回のアメリカがとった内容、これはいま大臣が日米原子力協定の八条C項ですか、の問題との関連を述べられましたけれども、しかし、この第四条の観点から言うならば、アメリカのとった今日の日米再処理交渉で見られた点というのは、アメリカのこういう態度はこの第四条の規定に、厳しく言えば、反する、それを若干弱めるならば、抵触するというか、そういうふうなとらえ方はいたしませんか。
  155. 鳩山威一郎

    国務大臣鳩山威一郎君) この第四条の精神から言えば、確かに問題があろうと思います。  しかし、新たに提起されたプルトニウムが容易に核兵器に転化し得るという問題、これにつきまして世界各国ともその危険は皆認める方向にあるわけであって、したがいまして、この問題につきましてはやはり何らかの対処を日本としてもいたすべきだ、こういうことから、日本といたしましても、そういう意味アメリカ政府と協力をすべきである、こういうことで協力の結果、いろいろな共同の研究等も討論を行った上で暫定的な結論というものを出した、こういうふうに考え、日本といたしまして、それは第四条を盾にとって徹底的にアメリカと争っていくという考え方もできないことではないだろうと思います。しかし、各国首脳会議等で示された、各国でも核兵器拡散の危険というものにつきまして皆関心を持ち、これは何とか防ぐべきであろうということで大方の意見は一致しておるところでありますので、そういう方向において日本としても協力をする、こういうことになったと理解をしておるわけであります。
  156. 立木洋

    ○立木洋君 衆議院の科技特で、この問題が問題になったときに、これはことしの四月の六日ですけれども、宇野科学技術庁長官はこういうふうに述べられたわけですね。「今度新政策が決定すれば」——これはアメリカカーターのことですが、「そうした第四条」——これはNPTの第四条です。「第四条に水を差してしまう、アメリカみずからが水を差すんだ、こういうことについてはどう説明なさるんだと、」そういう気持ちで「アメリカの要人たち」に対して主張しておるわけであります。「それは余りにも大国としての言うならばエゴじゃないか、そこまで私は申しておる」というふうに宇野長官は述べられているんですが、外務大臣という立場で大臣はどのようにお考えですか。
  157. 鳩山威一郎

    国務大臣鳩山威一郎君) 私どもも、アメリカに対しまして、このNPT条約第四条の精神というものは強く主張してまいりました。なお、この第四条の精神というものは非常に大事な精神でありますから、アメリカの新しい政策決定に対しまして、日本側といたしましては、この精神を強く主張する、そういう態度は変えておらないのでございます。
  158. 立木洋

    ○立木洋君 このアメリカのこういう態度、これがNPT体制に今後どういうような影響をもたらすというふうにお考えになっておられるのか。  たとえば、先ほど言われた八条C項の問題は、午前中他の委員が質問されたら、大川局長は、ユーラトムですか、にもいわゆるそういう趣旨のことを要請することになる可能性もあるんではないかというふうな趣旨の答弁をされましたが、そういうふうなことを想定されるとするならば、NPT体制というふうなものにアメリカの新政策というのはどういう影響を今後もたらしていくというふうにお考えでしょうか。
  159. 鳩山威一郎

    国務大臣鳩山威一郎君) ただいま仰せの点は、これはやはりINFCEにおきまして議論を詰めていく、そしていかなる結論が出るか、これは結論を予定しないで臨むわけでありまして、その結果次第によっていろいろな対応が必要になってくるであろうと思います。  私どもといたしましては、やはり原子力平和利用という面では、これはどうしても既定のプログラムを実施してまいりたい。そして核拡散の防止につきましては、これを国際的な協力によって防いでいくということが必要である。この二つのことは両立し得るのではないかということを申しておるわけであって、そういう意味で、わが国立場からすれば、この第四条の規定というものはやはり貫かるべきであるというふうに考えて努力をいたすつもりでございます。
  160. 立木洋

    ○立木洋君 いろいろ問題を出されてくるからあれなんですけれども、核の不拡散平和利用と両立できると。だが、現に核兵器が存在する限り、常に核の拡散の危険というのはあるんですよ。これは核兵器世界から一掃されない限り、常にその危険というのは存在する。  その点については後であれしますけれども、ただ、いま言ったのは、日本政府がどうかということではなしに、アメリカのとっておるそういう新しい原子力政策というのが今後NPT体制にどういう影響を与えるというふうに考えておいでになるのかという質問です。アメリカがどのようなことを言おうとも、NPT体制というのはずっとそのままうまくいくというふうにお考えなのか、いわゆるこのNPT体制が将来何らかの変化が起こるということもあり得るというふうにお考えなのか、その影響についてはどういうふうにいまの時点で判断されておられるのかということです。
  161. 鳩山威一郎

    国務大臣鳩山威一郎君) なかなかむずかしい御質問でございますが、しかし、核拡散の危険ということがより強調されてきたことは事実でありますし、また、この点につきましての多くの人々の理解も進みつつあるように思います。いままでは核兵器というようなものは手の届かない別の世界のことであるように考えられていたものが、原子力平和利用の面で非常な普及をしてきた今日におきましては、核兵器というものがごく簡単に手に入れることのできるものであるということにいま現在なりつつある、こういうことから考えますと、このNPT条約必要性というものはやはりさらにさらに強まってきたというふうに考えられるわけであって、そういう意味NPT体制というものの必要性、また多くの国がこれに入るべきだと、そうでなければ世界平和にとりまして非常な危険が出るのだ、こういう考え方は強まってきたと思います。したがいましてカーターの新しい原子力政策NPT条約を揺るがすものであるというふうには考えられないのではないかと思います。
  162. 立木洋

    ○立木洋君 IAEAのエクランド事務局長は、ユーゴスラビアなどが核不拡散条約は得るものがないとして脱退するかもしれないということを、イランのシラズで開かれた原子力技術移転会議での記者会見で述べているわけですね。その挙げた理由というのが、一つは、カーターの新しい原子力政策により条約の第四条が阻害されるおそれがある。もう一つは、米ソ両大国は核軍縮を実行していないというような点を挙げているわけですけれども、この点については政府はどのようにお考えになりますか。そういう事実と、それについての政府の御認識、それはもう政府は知っているわけですね。
  163. 大川美雄

    政府委員大川美雄君) エクランド事務局長が、ことしの四月でございますか、五月初めにかかっていたと思いますけれども、イランで開かれた原子力技術移転国際会議で、たしか記者会見か何かの席で聞かれて、それに応じて、そのような趣旨のことを述べたということは事実のようでございます。仮に、報道されているように、カーター大統領政策がそのまま対外政策として採用されるようなことになれば、これはNPTの第四条との関連で、NPTに加盟している非核兵器国に衝撃を与えることになるのではないだろうかということを述べたという報道はございました。  これをどう受けとめるべきか、国際原子力機関の事務局長として原子力平和利用推進を主たる任務とするエクランド氏としては、やはりアメリカの新しい政策が各国の原子力平和利用政策を阻害するようなことになっては困るなということで、NPT体制に対するカーター政策影響を恐らくその時点では懸念したんではないかと思いますけれども、他方、ユーゴスラビアが脱退する云々というようなことにつきましては、私どももあの時点で調べてみたんですけれども、そういったような考えをユーゴスラビア政府が持っているものではないというふうな報告を得たように記憶いたしております。
  164. 立木洋

    ○立木洋君 来年の五月から六月に開かれる国連軍縮特別総会の準備委員会が何回かやられていますけれども、この準備委員会の中でも、この原子力平和利用の問題が問題にされてきていると思いますが、この中での議論というのは、カーターの新しい原子力政策について、直接的ではないにしても、それについてどういうふうな準備委員会としては意見が各国から出されているでしょうか。
  165. 大川美雄

    政府委員大川美雄君) ただいま開かれております来年の軍縮特別総会のための準備委員会はいままで三回会合を開いております。あと二回やることになっておりますけれども、その問題の中身もさることながら、主として、いままでのところはその会議の組織的な問題、あるいはその会議でどういう文書を採択するかといったような問題にむしろ主眼があったんではないかと思います。核エネルギーの平和利用問題については若干の国が発言はいたしておりますけれども、やはりそれの開発、利用等については各国が自由なアクセスを認められるべきであるというような論調が目立っているんではないかと思います。
  166. 立木洋

    ○立木洋君 これは後でもう少し詰めてお尋ねしたいんですが、今後、二年後、日米で再び再処理交渉が行われることになるわけですけれども、その結果いかんによっては、NPTに対する日本政府の態度を変更するという可能性はありますか。
  167. 鳩山威一郎

    国務大臣鳩山威一郎君) 二年後の再処理工場の運転につきましては、これはなるべく早目に結論が出ることが好ましいわけでありますが、やはりこれはINFCEの推移と絡んでくる問題であろうと思います。その際におきまして、NPT体制に対してどうするかというところまでまだ突き詰めて考えることはいたしておりません。  しかし、問題は、やはり核兵器拡散の危険を少なくするような方途におきまして再処理というものが行われれば、日本としても、それにこしたことはないということは考えられるわけでありまして、そういう技術的な問題並びに制度的な問題、これら両面から検討をいたすべきものと考えております。
  168. 立木洋

    ○立木洋君 もちろん、核兵器をこれ以上拡散しないということは当然のことですし、それがどういうふうにしてうまく実現できるかというのは、一方では、核兵器を持っている国がそのまま持ち、それをどんどんさらに核兵器の増強を図るというふうな事態が存在している限り、核拡散の危険というのはなくならないんですよ。  その点については、さらに後で引き続いてお尋ねしたいんですけれども、今度、ソ連ブレジネフ書記長がソ連の革命記念日のときに演説をしました。あの中で述べられている内容を見てみますと、すべての国による核兵器生産の同時停止条約締結、あるいは核保有国はすでに蓄積された核兵器を徐々に減らし、核兵器の一〇〇%全廃へ向かって進むべきである、あるいは一定期間すべての核兵器の実験を禁止すると同時に、平和目的のための核爆発も停止する条約を結ぶ用意がある等々の内容演説をされましたが、これについては外務省はどのように評価をなさっているでしょうか。
  169. 大川美雄

    政府委員大川美雄君) このブレジネフ演説は私たちも大変興味を持って読んだわけでございます。核兵器生産停止、それから平和目的の核爆発も含めて核爆発の一定期間の禁止というような提案のようでございまして、いまその内容と申しますか、意味するところを私どもとしても一生懸命検討をしている段階でございます。  いずれにしましても、とにかく世界でただ一つの原爆の洗礼を受けた国として、わが国は、御承知のとおり、核兵器廃絶ということをあらゆる場で呼びかけてきておるわけでございまして、そのための第一歩として、一挙に廃絶までいけるのであれば問題はございませんけれども、なかなかそういうわけにはまいりませんので、一歩一歩その究極の目的に向かって近づいていくという趣旨から、まず第一段階として、あらゆる種類の核実験の停止を実現すべきであるというのが日本政府が従来から強く主張をしていることでございまして、その際に、各国の間で、特に米ソの間で交渉が続けられてまいりましたけれども、その際に、平和目的の核爆発については例外なんだというような立場ソ連がとっていたように承知しておりまして、それが米ソが全面核実験禁止ということに到達するための一つの障害になっていたというふうに承知いたしておりますので、もしブレジネフの意図が、伝えられているように、本当に平和核爆発をも含めたあらゆる種類の核爆発の停止ということであるといたしますれば、それはわが方の考え方と軌を一にするものではあるまいかと思います。  なお、現在もアメリカソ連とイギリス三ヵ国が、特に核実験全面禁止交渉について密度の高い話し合いを続けておりますが、これが今度のブレジネフの提案を受けましてどのように進展いたしますか、われわれとしては、来年の軍縮特別総会の時点までに何らかの進展がもし期待できるんであれば、これは大変結構なことではないかと考えております。
  170. 立木洋

    ○立木洋君 それから、もう一つ、この間の国連総会でのカーター大統領演説ですね、これについては他の委員が先ほど政府の評価について尋ねられて、大川局長が答えられましたけれども、限定された条件つきではあるにしても、こういう使用しないということを述べたことは、それは評価できるんではないかという趣旨の説明がありましたけれども、大臣、自衛のためだとか、あるいは通常兵器攻撃を受けた場合であるならば、核兵器行使というのは、大臣としてはどういうふうにお考えになりますか。
  171. 鳩山威一郎

    国務大臣鳩山威一郎君) これは率直なところでありますけれども、私ども経験をしたのは、広島、長崎に原爆を落とされて、そして終戦になったという記憶があるわけであります。もしあの原爆がなかったならば、最終まで日本人は戦ったかもしれない、こういった記憶が私どもには非常に鮮明にあるわけでありまして、核兵器現実において、私は、通常兵器を主体とする戦争状態といいますか、こういったものに対する抑止力になっておるということは確かにあろうと思います。  核は絶対に使わない、最初の一撃は使わないというような表現もありますが、しかし、これがアメリカとしては絶対使わないということがコンベンショナルな兵器による戦争の誘因を引き起こすという可能性もあるわけであって、そういう意味で注意深くあの発言はできておるのではないか。しかし、アメリカ自体として、最初に核兵器を使うということは、私は、これは非常に慎重に考えているに違いないと思うわけでございまして、そういう意味で、自衛のためということを、あるいはアメリカがコミットを与えた国の自衛のためということを言っておるわけで、この点はやはり通常言われておる核のかさのもとにある国といいますか、そういった国々のことも考え、アメリカ自身のことも考えて、自衛のために使われることがあるべきことを残してあるように、そういうふうに私自身は受けておるのであります。
  172. 立木洋

    ○立木洋君 核の抑止力という点で大臣がそのようにお考えになっているということは、賛成するしないは別として、大臣のお考えはわかるわけですけれども、しかし、私は、そういうカーターの主張をどういう理由からどういうふうに考えるかということではなしに、いわゆる核兵器を使うということ自身についてどうお考えになるか。条件がある場合は、それはやむを得ないというふうに言うのか、核兵器というのは絶対に使うべきではないというふうに言われるのか、その点はどうなんです。
  173. 鳩山威一郎

    国務大臣鳩山威一郎君) わが国立場として、唯一の被爆国として再び核兵器が使われるようなことがあってはならない、これはもうだれが考えても皆そう考えておるに違いありません。核兵器が使われないことを心から望む点では、私も立木先生もそれは全く変わりないことを申し上げておきます。
  174. 立木洋

    ○立木洋君 それで、先ほど大川局長が、限定された場合にしろ、使わないということを初めて述べたんだから評価できるという趣旨のことを言われましたけれども、しかし、一つは、アメリカがベトナムに対する戦争を行っている状況の中で、あの戦争が終結した後、アメリカのベトナム戦争からどのような教訓を引き出すかという点の一つとしては、アメリカ政府部内で核兵器を使うべきであったという問題の指摘もあるわけですね。  それから、他の委員も午前の質疑の中で出されていましたけれども、現在、中性子爆弾の開発、これを認めて促進するという事態になった。これは大量な殺戮、いわゆる放射能により人類を殺戮する、また手軽にそれがやれるというふうなそういう性格の爆弾。さらには巡航ミサイルの開発、これは命中精度が三十メートルの範囲内であるというふうな大変な巡航ミサイルの開発。あるいは御承知でしょうけれども、トライデント潜水艦、これに積み込んでおるミサイルというのが一基に十七発つけられて、それが二十四基。ですから三百三十八発に上るいわゆる弾頭がついているという大変なものですよ。それから、さらにはいままでICBMというのは固定式で相手からの攻撃の目標にされておるということから、このICBMを移動式にする、つまり固定した状態で敵の攻撃に常にさらすということを避けるための移動式のICBMの開発。いまアメリカはどんどん核兵器を開発しているんですよ。こういう事態についてどのようにお考えになるのか。これもあくまで抑止力でアメリカの核のかさにある日本としては、それは結構ですというふうに言われるのかどうなのか、その点はいかがですか。
  175. 鳩山威一郎

    国務大臣鳩山威一郎君) わが国といたしまして、これはNPT条約加盟国といたしまして、第六条でうたわれておりますように、どうしてもいまの気違いじみたと言っちゃ余り適当じゃないかもしれませんが、従来、核軍備競争が米ソの間に行われてきたということにつきましては、これはもう大変残念に思う次第であります。そういう意味で第六条の規定によって核軍備競争の早期の停止、また核軍備を縮小してもらいたい、こういうことにつきまして本格的に米ソとも取り組んでもらいたい、それはもう切に願うところであります。世界的な規模におきまして核戦争が行われるというようなことは私はもうとうてい考えられないところであって、現在のように米ソがいろんな種類の核兵器を持つということ、また、これにつきまして新たな開発が行われるということにつきましては、私どもは大変残念に思う次第でございまして、核軍備の縮小、ぜひともその方向に米ソ両国とも向いてもらいたいと考えておるのでございます。
  176. 立木洋

    ○立木洋君 その点は大臣も否定的な見解を述べられたわけですけれどもアメリカはそういうふうに核兵器の開発をどんどんやる、そうしていわゆる核拡散はさせない、さらには、そのことを口実にして、他国における平和利用に関する面まで規制をするというふうな態度というのは、一体、どのようにお考えですか。
  177. 鳩山威一郎

    国務大臣鳩山威一郎君) これはアメリカはやはりソ連と対抗意識を持って行っていることでありますから、やはり米ソが核軍縮に進んでもらいたい、こう考えるところで、そのことが行われて初めてNPT条約の理想というものが可能になってくると思います。したがいまして、いまの加盟国も脱退するであろうというような話、あるいは現在のような状態NPT条約に入っているのはおかしいと考える国、そういう国は多いわけでありますから、したがいまして、ぜひとも核軍縮を実行——いろいろな演説だけではなしに実行をしてもらいたいと、こう思います。
  178. 立木洋

    ○立木洋君 その実行を迫るように、被爆国日本の外務大臣としてはもっと私はなすべきことがあるんではないだろうかというふうに思うんですよ。  宇野長官の発言ばっかり引き合いに出して大変申しわけないけれども、長官がこう言っているのですね。「特にNPTを貫く問題はいわゆる核不拡散でございますから、したがいまして、核の利用ということは、軍事目的たるを問わず、また平和目的たるを問わず、それを差別すること自体がおかしいんであって、」というふうなことを述べて、「本当に危険ならばまず軍事からあなたたちは制限し、規制すべきではないか、それを先に平和利用を規制してしまって、軍事の方はへっちゃらだというようなことは私は解しかねるということを、われわれ自体もアメリカに主張をいたしておるところであります。」というふうに述べておるんですよね。これは科学技術庁長官の委員会における答弁ですけれども、大臣の姿勢としては、この長官の発言をどういうふうにお考えになりますか。
  179. 鳩山威一郎

    国務大臣鳩山威一郎君) まあ表現は宇野長官ほどではないかもしれませんが、私どももそれはアメリカと話をする際には常々申しているところでございまして、また福田総理カーター大統領と会見されましたときにも、その点ははっきり申し述べられておるところでございます。
  180. 立木洋

    ○立木洋君 まあ大臣はおとなしいですから、表現もなかなかやわらかく言われるようですが、私はやっぱり被爆国日本国民の代表としては、もう言うべきことは厳しく言う、怒るべきときには怒るということは私は必要だと思うんですよ。何をされてもにこにこ笑っておとなしく話しておるというふうなことではやっぱり困るんではないかと思いますがね。  それで、私は、この核の平和利用というのを正しく発展させるためには、核兵器を全面的に禁止する、そしたら核の拡散の危険性も一切なくなるわけですよ、本当に原子力平和利用ということが正しくやっていける。これは核兵器というものがあるから問題になる。  また、現に、この原子力平和利用というのも核兵器の開発の後から行われたことですよね。いろいろな工場を見てみますと、アメリカなんかの場合には、一つの企業の中に、核兵器生産をやっている、その横で同じような企業が平和利用だといって一部を利用している。こんなことを見ておったんじゃ、これは平和利用なのか、平和利用がすぐ軍事利用になるというようなことはだれでもすぐわかっちゃうんです。だから、何としても、私は、先ほど来の話では核の不拡散原子力平和利用を両立させるということをおっしゃいますけれども核兵器の全面禁止と核の平和利用ということを進めるんだというふうな立場日本政府はとるべきだと思う、核兵器がある限り拡散の危険はあるわけですから。この点については大臣はいかがお考えでしょうか。
  181. 鳩山威一郎

    国務大臣鳩山威一郎君) この核兵器の全面禁止も、それは理想として大変結構でありますし、それ自体につきまして文句があるとは私は考えません。  しかし、問題は、自分のところだけ何とかこっそり核兵器を持ちたいと、こういう国がありますと、ただ核兵器は全面禁止だと、こう言いましても、それだけで安心できないというところが問題である。そして当初のように濃縮ウラン、まあオークリッジの工場みたいなああいう膨大な工場をつくるということはなかなか普通の弱小国にはできがたいことであった。それが再処理というところで簡単にできるということになってきたというところに非常にまた核兵器拡散の危険、また核兵器自分のところだけは持ちたいというようなことを考える国ができますと、これはまた大変危険なことであるということで、したがってこの第六条に言われていますように「効果的な国際管理」というようなこと、こういうことも必要になってくるのではないか。したがいまして核兵器の分野におきましては、新たな製造はもう行わないというようなことができれば、また一つの前進でありましょう。いままでの兵器を全部何らか平和目的のために転換するというようなことが行われることが一番好ましいと思いますが、早急にはそこまで国際的な、何といいますか、安全保障国際的に完全に確保されるというようなことが片方で行われる必要があるのではないか、そういう感を深くするのであります。
  182. 立木洋

    ○立木洋君 その点、来年行われる国連軍縮特別総会との関連でちょっとお尋ねしたいんですけれども、大臣がこの間の国連総会演説で、核兵器国による一層の核軍縮努力が必要であるというふうにお述べになっている。これはもちろん賛成なわけですけれども核兵器国による一層の核軍縮努力が必要であるということを強調される日本の外務大臣としては、今後、具体的にどういうふうに来年の軍縮総会を目指してどういう努力日本としてはなさいますか。
  183. 鳩山威一郎

    国務大臣鳩山威一郎君) 先ほど来申し上げておりますように、いま来年の軍縮特別総会のために準備会議が持たれておりまして、その準備会議におきまして、わが国が積極的に協力をし、また、わが国の意見を申し述べておるということであります。また、アメリカ等との話し合いの際には、これは特にアメリカとしてはソ連との間のSALT交渉最大の問題点であろうと思います、これにつきましては、ぜひとも軍縮の精神に沿ったSALT協定をつくり上げてもらいたい、こういうことを日本の特殊な立場から申し述べておる、こういうことでございます。
  184. 立木洋

    ○立木洋君 さっき、大臣は、外国の代表の発言について、演説ではなくて実行していただきたいというふうに言われましたが、日本の大臣も演説だけではなくて、日本政府としてもやっぱり実行していただきたい。  ここに国連準備会での日本の代表の発言等も見せていただいたわけですが、核兵器全面禁止国際協定を結べという提案はないんですね。全面的な禁止国際協定を結べということを日本政府は一言もお述べにならないのは、どういう理由ですか。
  185. 大川美雄

    政府委員大川美雄君) もちろん、そういうことが一朝にしてできれば日本政府としても大賛成でございます。われわれの究極の目標は廃絶でございますから、それに行く短距離の道があれば、もちろんそれは提案するのにやぶさかではございませんけれども、残念ながら、現実の世の中はそんなにすぐにそういうところまで行く可能性は少ないという判断に立ちまして、私どもは、一歩一歩積み重ねでもって究極的な廃絶のところまで持っていこうという、そういうアプローチをとっているわけでございます。
  186. 立木洋

    ○立木洋君 その点の反論はちょっとおいて、もう一つお尋ねしたいんですが、核兵器使用禁止すべきだということも明確にお述べにならないのは、どういう理由ですか。先ほど大臣は使うべきではないと、それは全くそのとおりだと、立木さんと私は一緒だと言われた。使うべきではないということを明確に国連の場で言うべきではないでしょうか。なぜ、それが入っていないんでしょうか。
  187. 鳩山威一郎

    国務大臣鳩山威一郎君) 核兵器を使うべきでないと、当然、私どもはそういう考えでおるわけでございますし、その点につきまして、言わなかったから、核兵器を使うことは結構だと言っているわけでは毛頭ございません。  ただ、現実問題といたしまして、核兵器をなくすことが、使わないものならばなくすことの方が確実なわけでございますから、核兵器を全く使わない、あるいはなくすということが、現実のいまの米ソのあのような状態のもとにおきまして早急に決まるということはおよそ現状では現実的でない、こういうだけの判断でありまして、私どもといたしまして、理想としてそのようなことを思っていることは御理解をいただきたいと思います。
  188. 立木洋

    ○立木洋君 理想として持っておるけれども、先ほど大臣がお述べになったようなアメリカカーター発言ですね、それは抑止力としての面から考えられ得るという趣旨の発言、つまりアメリカに気がねしてというか、アメリカに遠慮してというか、アメリカとの関係において、そういうことを明確に国連総会の場で言うのを差し控えるという意味ですか。
  189. 鳩山威一郎

    国務大臣鳩山威一郎君) 別に、どこに気がねしてとしうことではなしに、やはり現実的なことを主張すべきだと、こういう配慮からでございます。
  190. 立木洋

    ○立木洋君 それならば、私は入れてほしいと思うんですよ。  日本政府というものはどこの政府かと言えば日本政府です。それで、御承知のように、四十八年七月九日、参議院で全会一致で可決されております。それによりますと、「政府は、本院の主旨をたいし、すべての国の核兵器の製造、実験、貯蔵、使用に反対し、全面的な禁止協定締結されるよう努める」と、これ院の決議ですよ。日本政府はこれを体して努力すると、院の決議になっているんですよ。「努める」云々と続いていますけれどもね、文章は。そうすると、日本政府日本政府であるならば、当然、この院の決議を体して——国連軍縮特別総会というのは、御承知のように、今度初めて開かれる。非常にある意味から言えば画期的なことだし、ある意味から言えば大きな期待を寄せられているし、ある意味から言えば非常な困難もあるだろうということも想定されているわけです。しかし、そこにおいて被爆国日本として、それは理想であるから言いませんということでやるという態度が本当にいいのかどうなのか。堂々とわれわれはこうしたいんだということを真正面に掲げて、それならできるところからやろうと言うならば、それはできるところからやろうと言ったっていいんですよ。しかし、それを理想です、思っています、賛成ですと腹の中で幾ら言っとったって世界じゅうだれも知りませんよ、そんなこと、日本政府が本当にそう思っているのか。  私は、国連総会の場でこそ、この院の決議を体して、堂々と日本政府はそういうことを主張すべきだというふうに考えますが、いかがでしょうか。
  191. 鳩山威一郎

    国務大臣鳩山威一郎君) 御趣旨は、全くそのとおりであろうと思います。
  192. 立木洋

    ○立木洋君 そうしたら、外務大臣、そういう点で、その趣旨を生かして、今度の国連軍縮特別総会に大臣がおいでになるだろうと思いますけれども、そのときには、大臣であったら、その趣旨を体した演説を私はやっていただきたい、明確に。いいですか。
  193. 鳩山威一郎

    国務大臣鳩山威一郎君) この問題につきまして、やはり私といたしましては、現実国際的な安全保障と申しますか、この点につきましてこれはなかなか進展がないというのが現実ではなかろうか。日本国憲法をつくられたときにおきまして、これは全世界の善意に信頼をしているわけでありますが、そういう意味におきまして、現実におきましては超大国が絶対的圧倒的な武力を持っておる、こういう時代がいま続いておるわけでございます。そういう現在におきまして、理想といたしまして核兵器というものは廃絶されるべきであるということはよくわかるわけでありますが、それに応ずるような国際的な安全保障体制というものは進歩していない、こういうのが私は実態であろうと思っております。  そういう意味におきまして、現実的にとり得る措置というもの、これを進めることが現実の問題としては第一であるべきである。もちろん理想というものは追求しなければならない、これはおっしゃるとおりでありまして、その点は演説では述べなかったといたしましても、そういう気持ちを持っておることは確かであります。
  194. 立木洋

    ○立木洋君 また後退したですな。  これはやりとりしとったら時間が長くかかりますけれども、しかし、院の決議ですからね、これをやっぱり軽視されると、政府姿勢の基本が問われるわけですし、何も私は演説でやるということだけが大切だということではなくて、そういうことに本当に日本政府として積極的に取り組む、そういう「努める」ということが院の決議としては政府に要請が出されて、全会一致の決議の内容になっているわけですから、そのことはやっぱりしっかりと踏まえてやっていただきたいというふうに考えるわけです。  それで、先ほど局長が言われました国連軍縮特別総会の準備委員会が三回にわたって行われて、その中の一つでNGOのオブザーバー参加という問題が問題になって、それがそういうふうに決まったというふうに聞いているわけですが、これがどういう形で提起され、討論の経過、それからどういうふうな結論になったのかというのをちょっと簡単に説明していただきたいんです。
  195. 大川美雄

    政府委員大川美雄君) いわゆるNGOの代表の参加につきましては、実は、この特別総会の準備委員会の過程で、ことしの五月の九日であったかと思いますけれども、まず、この準備委員会自体の会合にNGO、いわゆる非政府機関の代表が出席を認められる、それから、それぞれの立場からの意見を文書にして提出することも認められる、それはその準備委員会に出席の各国政府代表が容易に手に入れられるように、部屋の片すみに場所を設けて、そこに各非政府機関の出した意見書を並べておくというようなことが決められております。それから、そういったもののリストを配るようにも手配されているようでございまして、それが準備委員会段階での話で、それをそのまま、大体、本番の軍縮特別総会自体においても適用しようというような考え方になっているようでございますけれども、まだ、今後、来年の一月と四月にあと二度準備委員会の会合がございますので、その席でさらに詳しい段取り、細かい規定が設けられることになるのではないかと思っております。
  196. 立木洋

    ○立木洋君 NGOの方からは、準備委員会ではなくて、その本番の会議においても発言できるようにさしてほしいという趣旨の要請がなされてあるはずだと私は記憶していますけれども、それはどういうふうになっているでしょうか。
  197. 大川美雄

    政府委員大川美雄君) いまのところ、私が承知いたします限りでは、あくまでもオブザーバーということでの出席を認められるということで、発言を認めるというようなことにはまだいまのところなっていないように承知いたしております。
  198. 立木洋

    ○立木洋君 そのNGOのオブザーバーとしての出席、それから意見を文書として提出して、それを各国代表が入手しやすいように配付する、それから発言もさしてほしいという要望が出されておる、これらの一連の問題に関して、日本政府としては、これに賛成されるのか反対されるのか、あるいはほかに別途の意見をお持ちになっているのか、その点はどうでしょう。
  199. 大川美雄

    政府委員大川美雄君) この問題につきましては、今後のあと二回の準備委員会においてさらに詳しく取り上げられることになるだろうと思いますので、そのときの対処方針として検討してみたいと思います。
  200. 立木洋

    ○立木洋君 これは局長もよく御存じだと思いますけれども国際的な民間団体NGOとしては、核軍縮の問題についてはきわめて積極的に取り上げてきた。日本にもそういう運動がありますけれども、そういう国連自身が何も民間を締め出し閉鎖して、いわゆる排他的な立場をとるものではなくて、NGO自身が幾つかの諮問機関として加わっておる状態もあるわけですから、だから、こういう重要な軍縮特別総会に関しては、そういう問題で努力をしてきた国際的なそういうNGOの意見も積極的に取り上げられるように、そういう点については日本政府としては、当然、私は努力していただきたいというふうに考えますけれども、そういうふうに前向きに努力していただけるというふうに理解しておいていいでしょうか。
  201. 大川美雄

    政府委員大川美雄君) 御意見を十分体しまして、処理いたしたいと思います。
  202. 立木洋

    ○立木洋君 それから、先日来、問題になって、一応、日米共同声明で合意を見たと言われる日米再処理交渉について少しお尋ねしたいんですが、日米共同声明で一応合意はしていますけれどもカーター大統領の新しい原子力政策の基本方針はこの共同声明で変わったものではないというふうに考えますが、それはそういうふうに理解してよろしいですか、政府としてはどういうふうに判断されるのですか。
  203. 大川美雄

    政府委員大川美雄君) 核兵器拡散を何としても防がなければならないんだという意味でのカーター政権考え方は変わっていないと思います。
  204. 立木洋

    ○立木洋君 このプルトニウム、まあ問題になるプルトニウムですよね、単体抽出なんかの問題について問題になってきたんですが、この点についてアメリカ政府は態度を変える可能性があるというふうなお考えですか。基本的な点では変わらない、核不拡散の点だけは変わらないと言えば、問題はプルトニウムの問題になってくるわけですけれども、その点も基本的には変わっていないのか。先ほどの午前中のあれでは、柔軟なというふうなことを言いましたけれども、その柔軟ながどういう意味で柔軟なのかということも関連してくると思いますけれども、この点はどうですか。
  205. 大川美雄

    政府委員大川美雄君) この点は、いま発足いたしましたばかりの国際核燃料サイクル評価の作業を通じて、だんだんいろいろのことがわかってまいるかと思いますけれども、いずれにいたしましても、先般の日米共同声明に記載されておりますとおり、この東海村の再処理工場は、当面、二年間はいわゆる単体抽出を行うことになっておりまして、それと並行的に、いわゆる実験処理施設というのが東海再処理工場の横にございますけれども、その実験施設におきまして混合抽出方法についての実験が並行的に行われることになっております。この当初の二年間を経過いたしました後の、いわば三年目から先の運転方法につきましては、その運転実験施設における実験の結果と、それから他方INFCE、国際核燃料サイクル評価の結果との双方に照らして、単体抽出から混合抽出法に移行することが技術的に可能であり、かつ有効であるということにつきまして、日米の双方の政府が合意いたしますれば、その第三年目以降から混合抽出法に変わる、こういうふうに一応日米間では了解されておるわけでございます。
  206. 立木洋

    ○立木洋君 その点、九月十三日のアメリカの上院エネルギー研究開発小委員会で、ロバート・W・フライ米エネルギー研究開発局長代理という方が証言しておる点を見てみますと、「米国が東海村の運転開始を認めたのは、同工場が研究開発のための小規模のもので、日本が米国の核不拡散政策に沿っていくつかの具体的な措置を講じたからである。しかし再処理工場は核不拡散に反する、というわれわれの信念は変わっておらず、東海村は先例とはならない」という趣旨の証言がありますが、これは御存じでしょうか。これについてはどういうふうにお考えになっていますか。
  207. 川崎雅弘

    説明員(川崎雅弘君) ただいまの御質問の点は、フライ長官代理の九月十三日の米上院エネルギー研究開発小委員会における証言を引用されての御質問と推察いたします。  御指摘のとおりでございますが、共同声明の中にも、さらにそれを引用いたしましての共同決定の中にも明記してございますとおり、一般的な意味での再処理ということについて、保障措置が効果的であるかどうかということを今回の日米共同決定においてはいたしていないわけでございまして、その点をフライ長官代理は議会で明らかに説明をしたと、かように私どもとしては考えております。
  208. 立木洋

    ○立木洋君 で、日本政府としては、核燃料サイクル確立という方針は、これはもう堅持して変わらないということは明確にされておる。しかし、アメリカとしては、いろいろまだ問題があって、再処理工場が不拡散に反するものだというふうな立場は変えていないというふうなことになると、今後、二年後ですね、日米再処理交渉が行われた場合、どういうふうになるのかという見通しはいかがでしょうか。
  209. 大川美雄

    政府委員大川美雄君) これはちょっといまの時点で予測することはむずかしいかと思います。
  210. 立木洋

    ○立木洋君 確かに予測することがむずかしい側面も私はあるだろうと思うんです。しかし、これはその時点になってあわてたんでは、これは外交としては全く拙劣でありますから、問題についてはよく検討される必要があるだろうと思うんですけれども、その点では、今回の交渉の結果、混合抽出法のテストを日本が行うということで、これが成功し、先ほど局長が言われたように、日本が同意すれば、そのための改造をすると。この改造をする場合の費用を何か計算したみたいな話も聞いたんですが、どれぐらいになるんですか。
  211. 川崎雅弘

    説明員(川崎雅弘君) 動燃再処理施設において、混合抽出法あるいはその他のいわゆるビュレックス法という単体抽出以外の方法については、五十一年六月末から七月十一日にかけて行われました専門家によります日米合同調査において、種々のケースについて種々の観点から検討をいたしました。その一部として、そういうようないろいろのケースに改造をする場合にはどの程度の追加コストが要るかということについても試算をいたしたわけでございますが、実は、この文書自身は日米双方間の外交文書として公表しないということに一応なっております。  ただ、混合抽出法といいましても、一つの方法ではなくて、検討いたしましたものは十数通りございまして、それぞれの方法によって追加的に要します経費というものの額も数百億のオーダーから数千億のオーダーへというばらつきがございます。
  212. 立木洋

    ○立木洋君 数百億から数千億までのばらつきがあると。
  213. 川崎雅弘

    説明員(川崎雅弘君) はい。
  214. 立木洋

    ○立木洋君 その十数種類の摘出法ですね、これは成功する可能性という点から見ると、どうなんでしょうか。成功する確率が高いというふうにいまの時点で判断されるのか、大変困難だというふうなのか、どうなんですか、その点。
  215. 川崎雅弘

    説明員(川崎雅弘君) ただいまのような改造あるいは混合抽出法にいたしました場合、考えなければならない点は、まず、再処理施設そのものの改造の難易度というのが第一点ございます。  それから、出てまいりました製品、これはいまの方法でございますとプルトニウムとそれからウランという形で分離されたものでございますが、まじった形で出てまいりますと、そのまじりぐあいによりまして以後燃料としての価値の評価が加わってまいります。すなわち、現在自主技術で開発を進めております高速増殖炉の燃料として使う場合には、炉の方の設計も若干変えなければならないのではないか、あるいは燃料に成型加工をいたします工程もそのまじり方いかんによっては変えなければならない、そういうようないわゆる開発中の炉に使うまでの道程で考えますと、いずれも一長一短がございまして、施設の方では非常にやさしい方法ではあっても、炉のところへまいる段階で大変困難な作業が要求されるといったような点がございまして、一概に十数通りのこれらについてどれが一番安易なといいましょうか、やさしい方法だと、見通しがつけやすい方法だということはちょっと申し上げにくい結果が出ております。
  216. 立木洋

    ○立木洋君 だから、いろいろな面から考えてみるとなかなかむずかしいと。そうすると、成功する確率というのもきわめて少ない。  それから、日本としては、先ほどあれした結局核燃料サイクルの確立という方針で、そういう混合抽出法は何種類かあるわけですが、それが仮に成功したとしても、日本政府としてはそれに同意しなければこれは問題にはならない。そうした場合に、この再処理というのはどういう形になるんですか。
  217. 川崎雅弘

    説明員(川崎雅弘君) 先ほど来、大川局長の方からも御答弁をいたしましたとおり、二年後の運転あるいは二年後の再処理については、現在、始められておりますINFCEの結果と、それから私どもの動燃で研究開発をいたしております種々の混合抽出法あるいは共沈法と言われるようなものとの技術開発の度合いというのを勘案しなければならないわけでございますが、少なくともこの結果を見るまでは予断ができないわけでございますが、これまでの知見からは、私どもといたしましては、プルトニウムとウランとを分離する方式でも、十分に有効適切な措置さえ講じ得れば、いわゆる核拡散防止という見地からの対応は可能になるのではないかということを基本的な考えとして持っております。
  218. 立木洋

    ○立木洋君 INFCEの結果といっても、これは先ほど局長も説明されましたけれども、拘束力を持たない、最終的には日米の交渉で結論を出さなければならないわけですね、もちろんそれは考慮に入れることにはなりますけれども。同時に、いまのプルトニウムの単体摘出ですか、分離して摘出するという方法をあくまでアメリカが認めないということになったらどうなるんですか、課長さんではお答えにくいかもしれませんけれども
  219. 川崎雅弘

    説明員(川崎雅弘君) 大変恐縮でございますが、あくまで仮定ということでわれわれの方の考えております一端を御説明させていただきたいと思います。  INFCEにおきまして、幸いにして、わが国がいわゆる再処理・プルトニウムについての作業をいたします共同幹事国をイギリスと並んで務めることになっております。したがいまして、私どもといたしましては、こういう国際的な場でわが国が精いっぱいの貢献をすることによって、私どもが考えております主張が国際的に十分調和あるものになるかどうかというような点がやはり大きく日米交渉の際にかかってこようかと、かように考えておりまして、私どもとしては、いまの段階では、そういうわが国としての自主的な核燃料サイクル確立という見地からいかなる支障も来さないような形で、二年後の日米交渉においても合意をかち取っていきたい、かようにいま考えておる次第でございます。
  220. 立木洋

    ○立木洋君 今度の合意というのは、ある意味でいえば、二年間延期したということですよね、極端な言い方をすれば。だから、本当に今後こういう方向でいけますという確証がとれたわけではない。  で、いま言われましたけれどもアメリカとしては再処理工場は核不拡散に反するという基本的な立場はあくまで変えないということ。そうすると、これは二年後でもなかなか、INFCEにある程度の期待をかけるとかというふうなことを説明され、あるいはそれが核不拡散になり得る保障を技術的にも証明するということは努力をすると言われても、この二年間という期間はきわめて短いんですよ、そういう内容からすれば。これは二年たったときには大変な問題にまたなると思うんですよ。それで本当に見通しがあるというふうにいまの時点で言えるんでしょうか、大臣。
  221. 鳩山威一郎

    国務大臣鳩山威一郎君) この問題は科学技術庁の方からお答えした方がよろしいかと思います。私どもは、INFCEの結果がどうなるかということもありますが、私どもはINFCEの中で主張すべきことは主張して、やはり結論をつくり出していく責任も日本として負うわけでございます。特に、大事な問題を処理する作業部会の議長国になっておるわけでありますから、主体的に努力もしなければならない。これはINFCE自体の議論になるわけでありますけれども、技術的な問題としてよりベターな技術が開発されればそれに従うべきであろうと思うわけであります。  また、もう一つの問題は、やはり国際管理と申しますか、そういった意味国際的な面で心配の少ないようなやり方をつくり出すということも研究しなければならない。一国で再処理施設を持つことよりも、ヨーロッパにはユーラトムという——そういったユーラトムというものか直接仕事ができるかどうかはわかりませんが、そういったもので特定の国ということを離れてもし再処理ができるならば、その方が危険度は少ないという考え方もありますし、そういった面の国際的な約束とか国際的な処理によってこの拡散を防ぐという考え方もあり得るんだと思っております。そういった意味で、技術的な面は科学技術庁の方が所管でありますし、外務省といたしましては、そういった面で努力をいたしたいと考えておるのでございます。
  222. 立木洋

    ○立木洋君 やはり午前中も問題になりましたけれども、日米原子力協定の八条C項、これが問題だと思うんですよ、前回も問題にしましたけれども。  これは午前中の局長の御答弁では、何回も申しておるというふうなことを言われましたけれども、これを削除するなり変えるなり、もっと積極的に努力をするというふうなお考えは日本政府としてはないんですか。どうもアメリカの方は、それどころか、さらにはユーラトムにもそれを押しつけようとしておる可能性があるなんというふうなことで、こちら側が漫然としておったんじゃ事態が進まないんじゃないですか。
  223. 鳩山威一郎

    国務大臣鳩山威一郎君) 八条C項の問題点は当然あるわけでありますけれども、先ほど申し上げましたように、原料ウランの供給国としてのカナダも再処理につきましての同意を要するという主張を始めておりますし、オーストラリアも恐らくそういった考え方を持ってくるのではないか。そういう意味で、ウラン資源を持たないわが国といたしましては、やはりウラン資源輸出国の方がもうすでにそういう体制になってきつつありますので、これはやはり日本が全く独自の立場で何でもすると、こういうことではもう立ち行かなくなってまいるのではないか。そういう意味で、やはり積極的にINFCEの中に入って日本立場を貫くということ、それによって大体の方向が出れば、その方向に従って協力をしていくということは現状ではやむを得ないことではないかというふうに考えております。
  224. 立木洋

    ○立木洋君 エネルギー庁おいでになっていますか——日本のエネルギーの自給の問題ですね、政府としては原子力を純国産エネルギーとして扱ってエネルギーの自給度向上計画の中心に据える、一九八五年では、電源別電力発電量における原子力発電の割合というのは三四・四%になるわけですか。
  225. 高橋宏

    説明員(高橋宏君) 一次エネルギーに占めます原子力の比率は、一九八五年におきましては五・四ないし七・四%でございます。それから同じく一九八五年におきます電力の発電所、火力、水力とございますが、その中におきます原子力の比率が一五%ないし一九%というぐあいに考えております。
  226. 立木洋

    ○立木洋君 いま言ったような点で、エネルギー自給向上の中心に原子力を据えるという計画で進めていくわけですが、そうした場合に、この日米原子力協定などに見られるような事態で、いわゆるアメリカが態度を変えると次々と変わった状態が生まれてくるというふうなことでは、日本の経済や産業がアメリカ原子力政策によって非常に大きく左右され、影響を受けるというふうなことにならざるを得ない。そういうふうなことも考えに入れて、いわゆる自給度向上計画の中心に原子力を据えて、そういう計画で進められるという判断なんですか。
  227. 高橋宏

    説明員(高橋宏君) 総合エネルギー調査会におきまして、将来のエネルギーの需給構造についての答申をいただいておるわけでございますが、そのときの考えは、先生御存じのように、日本の必要な経済成長を維持するためのエネルギーをどういうエネルギーで供給するか。その際に、一番大事なことは脱石油と申しますか、石油の依存率を減らし、国産エネルギーあるいはその他の代替エネルギーの比率をふやしていく、そういう観点から、各種エネルギー種別の目標値と、それに対します政策努力の項目を挙げているわけでございまして、原子力につきましても、そういう観点から石油にかわる最も有望なエネルギーという趣旨から、できるだけ努力をいたしまして、先ほどのような構成率に持っていく、そういう考えでございます。
  228. 立木洋

    ○立木洋君 結局、大臣、原子力を自給度向上の中心に据えるというふうにしても、いま言ったようにアメリカが態度を変えれば、日本としては大変な経済的あるいは産業の面で打撃を受けていくというふうな事態はもう目に見えているわけですね。そういう点では、先ほどの問題に返りますけれども原子力協定内容自身がやっぱり問題だというふうには、大臣、思いませんか。八条C項は、原子力協定自身が問題だというふうにお考えになりませんか。
  229. 大川美雄

    政府委員大川美雄君) 私からちょっと補足させていただきたいと思いますけれどもアメリカは約二十数ヵ国の国とあのような二国間原子力協力協定を結んでいるわけでございます。その中で、再処理の場合に、アメリカの事前同意を必要としない協定は、ユーラトムとの協定、それからたしかカナダとの協定、それからもう一つぐらいあるだけで、あとの二十前後は皆日本と同じような規定ぶりになっているという現実がございます。でございますので、遺憾ではありますけれども、もはやあのような規定ぶりというのは、もう一つのいわばほぼ確立された形式であると言えるんではないかと思います。  そこで、確かに、日本としては、ユーラトムとの間で差別されているということに強い不満を持っているわけでございまして、もしアメリカとユーラトムとの交渉でユーラトム側が同じような規定を受諾すれば、その不均衡は是正されるわけでありますけれども、問題は、あれを削除するということを引き続きアメリカに向かって要求することよりも、あの規定の運営いかんということにあるいはその解決が見出されるかもしれないというふうに考えます。  なお、先ほど川崎課長が申し上げましたINFCEにおける第四作業部会は、使用済み燃料の再処理という問題と、その結果出てまいりますプルトニウムの取り扱いの問題と、それからそのプルトニウムを再び使用できるかどうかという問題、まさにこの問題をテーマとした作業部会でございまして、それに日本はイギリスと一緒に共同幹事国を務めることになっておりますが、少なくとも東海村の再処理工場、実験と呼ぶにしましても、再処理工場を運転しているという実績がございますから、それを通じて得たいろいろな経験なり資料なりを第四作業部会を通じてINFCEに提供するということは、それなりの重みがあるんではないかと思います。  それから、アメリカは初めからINFCEの結果を予断するようなことはないんだという立場をとっておりますし、また、たとえばその第四作業グループにおきまして、大多数の国々が、再処理というものは適切な保障措置を適用すれば核拡散につながるものではないという意見を持つに至れば、それはそれなりに十分国際的な重みのある主張になるんではないかと思いますし、アメリカとしても、それなりにそれを尊重することになるんではないか、かように考えております。
  230. 立木洋

    ○立木洋君 その点で、これは四月の段階でしたか、審議会の設置の問題が衆議院で問題になって、国民的な英知を結集して原子力開発政策の全面的再検討を行うための新しい審議会の設置が必要ではないかという提案をしたのに答えて、宇野長官が原子力問題は幅広いので、一つ一つの部門について実りのある審議会なら大いに意味があり、検討するというふうに答弁されていますが、検討された結果がどういうふうになっているんでしょうか、検討されたのかされないのか。
  231. 川崎雅弘

    説明員(川崎雅弘君) ただいまの委員の方からの御質問に宇野大臣が答弁をいたしました審議会の点でございますが、現在、私どもといたしましては、今国会にもお願いをいたしております原子力委員会を二分いたしまして、開発を担当いたします原子力委員会と、それから安全規制を担当いたします原子力安全委員会という二つの委員会によって開発と安全規制の均衡のとれた原子力行政を進めていこう、それに伴いまして諸般の規制法の改正によります各省における規制を一貫化しようという構想で、現在、国会に御審議をお願いをしているわけでございます。  それとともに、その安全委員会なり原子力委員会の機能としましては、すでに専門部会というものが学識経験者によって構成されております。したがいまして、必要があれば、そういう政策的な専門部会を原子力委員会の中に設け、いま先生の方から御指摘のあったようなことなどを含めまして、総合的な検討をすることになろうかと考えております。  ちなみに、現在は、原子力委員会原子力開発利用長期計画専門部会というのを設けまして、今後の約十年程度を展望いたしましたわが国原子力政策について、現在、検討を進めている次第でございます。これの結果は、われわれといたしましては、明年の夏ごろにはぜひ得たい、かように諸先生方にお願いをしている次第でございます。
  232. 立木洋

    ○立木洋君 それでは安全の問題についてお尋ねします。  政府としては、核燃料サイクルの確立ということを至上命題にしておられる。これはまあ生命線であると宇野長官が言われていますけれども、この再処理についての安全性はまだ問題が非常に多い。アメリカでも技術の安全性を明確に実証するまでは国内の商業用再処理を実施する許可を抑えるというふうに言われていますが、この安全性の点について、日本はどういうふうに判断しておられるでしょうか。
  233. 石塚貢

    説明員(石塚貢君) 再処理の安全性の問題でございますが、先刻、矢追先生にもお答えしたとおりでございますけれども、東海村の再処理工場につきましては、その設置計画の段階におきまして詳細な評価が原子力委員会においてなされ、その結果、東海村の再処理施設につきましては十分安全性が確保されるというような結論を得ておるわけでございます。  その後、建設に入りまして以降、そのスケジュールの各段階に応じましてウラン試験、現在はホット試験を実施中でございますけれども、そういう各段階におきましてステップ・バイ・ステップに安全性の確認を原子力委員会の場において行い、あるいは原子炉等規制法に基づきます施設検査あるいは設計工事方法の認可あるいは保安規定の認可等を通しまして、その安全性には十分な配慮を行っているということでございまして、安全性につきましては問題ないというふうにわれわれは考えております。
  234. 立木洋

    ○立木洋君 そうすると、日本では完全に安全であると。アメリカでは安全にはまだ問題があるというふうに言っているんで、日本では独自にそれを研究して、完全に安全だというふうに言われるのは、それは政府答弁と違いますよ。完全無欠ではないと科学技術庁長官は言われていますよ。
  235. 石塚貢

    説明員(石塚貢君) カーター政策で言っております再処理工場についての批判といいますか、そういったものは、安全性という面よりは、むしろフィジカルプロテクションでございますとか、核拡散という面からの指摘であるというふうにわれわれ理解しておるわけでございますが、安全性につきましては、御承知のとおり、ウラン試験あるいはホット試験を通じまして、いろいろなふぐあいな個所の発見に努め、そういったものを改良していく。東海村の再処理工場は、何と申しましてもこれは実験規模のものでございますので、運転に対します安全性というものは基本的には確保されておるわけでございますが、そういった試験運転等を通じましてさらに改良を重ねていく、こういうことであろうと思います。
  236. 立木洋

    ○立木洋君 いま東海村で核燃料再処理工場のホットテストをやられておる。そこで、そのテスト中に発生したトラブルが四件というふうに聞いているんですが、それはどういう性質のトラブルなんですか。
  237. 石塚貢

    説明員(石塚貢君) まず第一点は、ホット試験を開始いたしました後、JPDRの燃料を現在ホット試験中でございますが、それを剪断するわけでございます。剪断を行いましたその剪断片は溶解槽にまあ落ちていくようなシステムになっているわけでございますが、この剪断されましたその剪断片が溶解槽に至ります間に、その剪断片が詰まりまして、その結果、若干工程のおくれを生じたということでございます。なお、この詰まり現象といいますものは、全く予期しなかったということではございませんで、ウラン試験でいろいろとテストされたわけでございますが、詰まった場合にはこうするという一応の手当てはつけてあったということでございます。  それから、第二点は、まず、このホット試験に入りました後、初めてそのオフガスといいますか、その気ガス、この場合クリプトン85でございますけれども、こういったクリプトン85というものが環境に放出されます前に、一時、貯留タンクというものに貯留されます。その一時貯留タンクからパイプを通して排気筒に導かれるわけでございますが、この貯留タンクから排気筒に至ります間のパイプのフランジの部分が締めつけがよく行われていなかったということのために、このクリプトンのガスがパイプの外に若干漏れてきた。ただ、この漏れました場所は、人の通常立ち入らない機械等が装置してございます部屋でございまして、その部屋の中に漏れ、漏れたものは、さらに空気といいますか、そういったもので引かれまして、結局は、排気筒の方に導かれるわけでございますけれども、そういったトラブルが一件ございました。  それから、三番目に御説明申し上げますのは、この再処理工程の一番最後に、蒸発されまして濃縮されたウラン溶液を最後に脱硝にかける工程がございます。この脱硝塔にこの濃縮されたウランの硝酸溶液を注入いたしますところにノズルがあるわけでございますが、通常、この脱硝塔を動かします直前には、そういったノズルの部分に漏れがないかどうかということを確認いたしますために、真水を通しまして漏れの有無をチェックいたします。そのときに、このノズルの部分のニップルがちょっと緩んでおりましたために、その水が若干漏れた。ただ、真水ではあったわけでございますが、そのノズルの内部に付着しておりましたウランがその真水の中に溶け込んだということがございまして、外に漏れました数十CCの水の中にウランが多少含まれておった、そういう程度のものでございます。  第四のトラブルは、再処理工場の分析所というのがございます。この分析所では、各工程から試料を抽出いたしまして、その成分を各種いろんなものの分析を行っておるわけでございますが、その分析所の中にグローブボックスというのがございまして、プルトニウム等の物質はそのグローブボックスの中で取り扱うということになっております。御承知のことかと思いますが、そのグローブボックスといいますのはガラスでできておりまして、中が負圧になっておる。中で多少のプルトニウムが飛散いたしましても、作業員の外には出てこないような仕組みになっておるわけでございますが、そのガラスの中のプルトニウムをゴム手袋を通して取り扱うという構造になっております。そこで、このゴム手袋の一部が何かにぶつかりまして破損したということが原因でございまして、そこからそのプルトニウムが水に溶けたものが環境といいますか部屋の中に出てまいりまして、作業員の衣服を若干汚染したというトラブルでございます。  以上が四件でございます。
  238. 立木洋

    ○立木洋君 いま課長が言われたとおりだと私も思うんですが、九月の二十四日から十月の十四日ですね、わずか二十日間の間に四件。で、作業員の右足を汚染したり、あるいはクリプトンが室内に漏れたり、あるいは作業衣からも汚染の状態が発見される。事故というのは小さな事故から大事故につながるわけで、やはりきわめて短期間の間にこういう事故があるというのは、もう完全無欠でございますという状態には私はとれない。その点、アメリカでも軽水炉でのプルトニウムリサイクルについての総合環境影響報告という調査結果が発表されていますし、また、イギリスでもウィンズケール再処理工場の海洋汚染の報告等もあると思うんですが、こういうものを当然御検討なさっておると思うんですが、検討された結果については、どういうふうにお考えになっておられるのか。
  239. 石塚貢

    説明員(石塚貢君) 御指摘のまず第一点でございますアメリカのプルトニウムの環境評価、これはGESMOとわれわれ呼んでおるその報告書かと思いますけれども、本件は、再処理で得られましたプルトニウムをもう一度軽水炉で使用する、プルトニウムをリサイクルするということにつきまして、全然プルトニウムをリサイクルしない場合の状態と比較いたしまして、プルトニウムをリサイクルすることによる環境安全の問題、あるいは軽水炉の安全性そのものの問題、あるいはフィジカルプロテクション等に対する影響、そういったものについてのコスト・ベネフィット・リスク・アナリシスといいますか、そういったものを行いまして、アメリカのNRCが公表いたしたものであろうかと思います。それで、そのGESMOの結論は、プルトニウムを軽水炉にリサイクルいたしました場合にあっても、安全性については特に問題は見当たらないというのがこのGESMOの結論であったかと思います。  一方、わが国におきましては、こういったプルトニウムの利用といいますか、プルトニウムの軽水炉への利用につきましての安全性といいますのは、すでに美浜の原子力発電所でそういったものを試験的に使用するというような計画がございましたときに、原子力委員会におきまして、その安全性を確認いたしておるということもございますし、さらにプルトニウムを抽出するかなめでございます再処理工場、そういったものにつきましても、その設置の段階で、先ほども御説明いたしましたとおり、十分な安全性が確認されておるということでございまして、このアメリカのGESMOの結論とわれわれのプルトニウムの利用計画というものとの間には、何ら矛盾はないというふうにわれわれ考えております。  それから、次の御指摘の点のウィンズケールの海洋汚染の問題でございますが、このウィンズケールの海洋放出の放射性物質の量といいますか、これは一口に申しますと、東海村再処理工場が出しております放出量の約五百倍というふうに聞いております。したがいまして、その海洋放出量というのは相当多いというふうに考えられるわけでございますけれども、東海村の再処理工場にありましては、したがいまして、そのようなウィンズケールで見られておりますような海水汚染は将来とも出てこないであろうというふうに考えられておりますし、さらに、その将来におきます長期的な影響というものも原子力委員会の安全性で確認されておる。それからさらに、今後、再処理工場の運転というものに際しましては、環境の汚染レベル、そういったものを厳重にモニタリングをいたしまして、そのモニタリングの結果につきましても原子力委員会で厳正に評価していく、そういう考え方で進むということになっております。
  240. 立木洋

    ○立木洋君 やっぱり日本としても安全性の問題はもっと重視して、結局、日本独自の基礎的系統的な研究ということを重視しないといけない。何でもアメリカに依存をするというふうなことで、アメリカがいいと言えばいいということでなくて、それに比べますと、西ドイツなんかの場合にはもっとやっぱり研究していると思うんですよ。だから、そういう独自の研究、自主的な研究というのを重視してやらないと、先ほどエネルギー庁の方で出されておったエネルギー自給率の中心に据えるというふうな問題、これを本当にやっていくためには、安全が本当に確保されないと大きな問題になるわけですから、問題が起こってからでは、もうだめでしたということでは済まぬわけですよね、この原子力の場合には。ですから、この点、念には念を入れてやっても私はやり過ぎではないぐらいあると思うんですが、そういうふうなことを十分にやられないで核燃料サイクルの確立をやる、あるいは再処理の過程でできる高放射性廃棄物の安全処理体制が十分確立されていないのに、これをやる、そのまま進行させるというふうなことは、私は、やっぱり適切ではないというふうに思いますが、その点はどうでしょう。
  241. 石塚貢

    説明員(石塚貢君) いま御指摘の廃棄物の問題でございますけれども、放射性廃棄物の処理、処分というものにつきましては、すでに昭和五十一年に原子力委員会が基本的な方針を定めております。したがいまして、この原子力委員会の方針に基づきまして、今後、十分な調査、研究を実施していくということが第一。それから、安全性につきましては御指摘のとおりでございまして、慎重な上にも慎重な検討を行い、さらにその検討の結果を評価しながら進めていくということになろうかと思います。  また、こういった廃棄物対策を進める上におきましては、国民及び関係者の理解と協力というものが不可欠でございますし、さらに廃棄物の問題は日本一ヵ国の問題ではなくて、国際的な問題でございます。事実、IAEAあるいはIEAというような国際的な場におきまして、この廃棄物の問題につきましていろいろ協議、協調あるいは協力するといったような場も設けられておることでもございまして、こういった国際的な協調を図りながらこの廃棄物の問題につきましては対処する。それで国及び国民あるいは民間機関、こういったところの協力のもとにこの廃棄物の問題は総合的に進めてまいらなきゃいけないということで、現在、日夜努力しておるところでございます。
  242. 立木洋

    ○立木洋君 最後に、大臣の所信をお伺いしたいんですが、きょう、幾つかの点にわたってお尋ねしたわけですけれども、いわゆる日米再処理交渉が二年後ということで、いまから見通しを述べるのはむずかしいということは決してわからないわけではありませんけれども、その時点になって、いわゆる後手後手の交渉になって、事実上、抜き差しならない状態日本が追い込まれるというふうなことになれば、これは大変な事態になるという問題もありますし、それから核不拡散原子力平和利用の両立という問題については、やっぱり核兵器を全面的に禁止する。核兵器が存在し、一方では核兵器をどんどん開発しておる状態がありながら、これが事実上政府も認められましたように、NPTというのは不平等であるということから起こる問題点というのは、もっと複雑な問題があるわけですから、だから、本当の意味で核不拡散、これはもう核兵器そのものをなくしてしまうという根本にまで立ち上らないと、できない問題だと思います。その点で核兵器の全面禁止ということを大臣がおなかの中にしまっておかれるのではなくて、もっとやっぱり積極的にその主張を展開していく。そういう場としては、来年の国連軍縮特別総会というのは重要な意味を持っているわけですから、その点での積極的な努力もお願いしたい。  それから、もう一つの点は、いま最後に述べました安全性の問題ですね。これはもちろん関係省庁は別ですけれども、外務省としても、そういう点からも十分な配慮を今後持っていっていただきたいということを強く要望したいわけですが、その点についての大臣の所見を伺って、私の質問を終わりにしたいと思います。
  243. 鳩山威一郎

    国務大臣鳩山威一郎君) ただいまお述べになりました三つの点につきまして、御趣旨のほどはよくわかります。  第一の、二年後のこの再処理施設の運転につきまして、私どもも、日米の一応の解決がつきました際に、これはもう二年先のことを引き続いて検討しなければならない、そういう気持ちでおります。御趣旨のほどはよくわかる次第であります。  また、第二点の、核兵器の全面禁止、これは理想として確かにそれが一番好ましいことはもうおっしゃるとおりでございます。そのような方向で、特に来年は核軍縮特別総会国連で持たれますし、そういった面におきまして、日本といたしましても、核兵器が全面禁止になること、これはもちろん好ましいことである、そういう理解の上に立って努力をいたしたい。  安全の問題につきましては、これは技術的な問題でございますけれども、大事な問題でございます。わが外務省といたしましても、諸外国におきますいろいろなデータを集めるとか等につきまして、科学技術庁と協力をしてまいりたいと思います。
  244. 安孫子藤吉

    委員長安孫子藤吉君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  ちょっと速記をとめてください。   〔速記中止〕
  245. 安孫子藤吉

    委員長安孫子藤吉君) 速記を起こしてください。  これより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  核兵器の不拡散に関する条約第三条1及び4の規定実施に関する日本国政府国際原子力機関との間の協定の締約について承認を求めるの件を問題に供します。  本件に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  246. 安孫子藤吉

    委員長安孫子藤吉君) 多数と認めます。よって、本件は多数をもって承認すべきものと決定をいたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  247. 安孫子藤吉

    委員長安孫子藤吉君) 御異議ないと認め、さように決定をいたします。  本日はこれにて散会をいたします。    午後四時三十二分散会