○渋谷邦彦君 おっしゃるとおりだと思いますね。発展途上国の問題については、今後、新しい国際的なルールの取り決めというものも恐らく相当活発に論議がなされて、そういう方向へまとまっていくような状況にもなっていくであろうと推測もされます。
ただ、問題は、むしろ先進国における
日本の
海外における
企業進出、ここにいろいろなごまかしがあるんではないかという、いまおっしゃった
アメリカの場合の例が出ましたけれ
ども、確かに法人税率にしても
日本と比較をいたしますと高いかもしれません。ただ、向こうの調査というものはどういうものであるかわれわれは知りません。先ほど途中で私ちょっと触れましたけれ
ども、例のオイルショック直後におけるべらぼうな利益を占めることによって巧みな価格操作が行われて、それが
一般消費者に対して甚大な影響を与えたという経過があったわけでございますね。で、たしか、あの当時、国税庁から調査官が二人米国の
承認を求めて派遣されてその実態が明るみにされたということもわれわれ知っておるわけでございます。そのような問題がいろんな経過を経て、つまり不正行為があったということがわかったんだろうと思うんですけれ
ども、ただ、そういう実際向こうで取引されたその取引の内容であるとか、そういう問題については的確にこちら側が調査をする権限もなければチェックもできない、そういうところに抜け穴があったということも反省があるわけですね。
じゃ、今後、そういうことが起きないか。やっぱりこういう深刻な
経済情勢であるならば、これはむしろある方に、別に期待するわけじゃございませんけれ
ども、
考えられる。たとえば実際には十億もうかっているんだけれ
ども帳簿には五億しかもうかってないと、こんなことは簡単にやれる操作の
一つではないか、売上高のごまかし。あるいはいろんな名目についていろんな支出が行われた、架空の支出が行われたというようなことで、いろんな操作が行われて、できるだけ
課税の対象にならない、
課税の対象になっても大変軽減された税金で済むというようなことも今後は
考えられる
一つの問題点ではあるまいか。
こういったことを捨てておけないということで、国連もようやく動き出さざるを得ない。まあ
アメリカのやり方については、別に
他国のことですから、どうこうという必要はないかもしれませんけれ
ども、一番われわれ印象に残る問題としては、あのアジェンデ政権が倒れるといういきさつなんかを
考えましても、あれは大変な力を持っているわけですからね、多国籍
企業というのは。それを持っておりますだけに、その辺の本当に
経済秩序というものを守ってやっていただきたいのがわれわれの願いでありますけれ
ども、なかなか最近はそういうような
経済慣行というものが守られていない。そういうところにいろんな問題点を残しているということが
考えられるわけです。そうした、特に、むしろ税金を免除してくれるとか、税金
回避国ということじゃなくて、税金は正当に取るけれ
ども、そこの中にごまかしが起きないかという点がむしろ多国籍
企業の今日までのきわめて際立った
特徴的な現象ではなかったかというふうに思うわけです。むしろそういう面について
大蔵省として取り組む厳しさというもの、
姿勢を厳しくしていただきたい。むしろその辺にウエートを置いていただきたいなという感じすらもするわけです。