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1977-10-26 第82回国会 参議院 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年十月二十六日(水曜日)    午前十時八分開会     —————————————    委員異動  十月十三日     辞任         補欠選任      田  英夫君     対馬 孝且君      下田 京子君     内藤  功君  十月十四日     辞任         補欠選任      内藤  功君     下田 京子君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         岡田  広君     理 事                 稲嶺 一郎君                 志村 愛子君                 相沢 武彦君     委 員                 伊江 朝雄君                 大鷹 淑子君                 北  修二君                 佐藤 信二君                 川村 清一君                 小山 一平君                 対馬 孝且君                 二宮 文造君                 下田 京子君                 喜屋武眞榮君    国務大臣        国 務 大 臣        (総理府総務長        官)        (沖繩開発庁長        官)       藤田 正明君    政府委員        内閣総理大臣官        房交通安全対策        室長       室城 庸之君        防衛施設庁施設        部長       高島 正一君        沖繩開発庁総務        局長       亀谷 禮次君        沖繩開発庁振興        局長       美野輪俊三君    事務局側        常任委員会専門        員        伊藤  保君    説明員        内閣審議官    黒木 忠正君        文部省管理局助        成課長      倉地 克次君        運輸省海運局参        事官       柳  昭夫君        運輸省航空局監        理部長      永井  浩君        自治省財政局財        政課長      関根 則之君        自治省財政局地        方債課長     津田  正君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○沖繩及び北方問題に関しての対策樹立に関する  調査  (派遣委員報告)  (特定防衛施設周辺整備調整交付金制度に関す  る件)  (沖繩県における基地返還後の跡地利用に関す  る件)  (交通方法変更に関する件)  (沖繩県に係る航空運賃及び配船調整問題に関  する件)  (沖繩県における高校増設問題に関する件)  (ベトナム難民対策に関する件)     —————————————
  2. 岡田広

    委員長岡田広君) ただいまから沖繩及び北方問題に関する特別委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る十三日、田英夫君が委員辞任され、その補欠として対馬孝且君が選任されました。     —————————————
  3. 岡田広

    委員長岡田広君) 沖繩及び北方問題に関しての対策樹立に関する調査を議題とします。  先般行いました委員派遣につきまして、派遣委員より報告を聴取いたします。二宮君。
  4. 二宮文造

    二宮文造君 御報告をいたします。  沖繩問題対策樹立に資するため、岡田広委員長志村愛子理事堀江正夫委員と私の四名は、去る九月五日から八日までの四日間、沖繩県下を訪問し、現地実情調査してまいりました。  現地におきましては、沖繩総合事務局那覇防衛施設局から所管概況等当面の諸問題につきまして、また沖繩県より振興開発計画実施状況基地返還後の跡地利用状況地籍問題、県・市町村行財政概況、その他当面する県政の諸問題についてそれぞれ説明を聴取し、さらに、海洋博後の景気の落ち込みに関連する諸問題及び交通方法変更に伴う対応策については、民間団体意見をも聴取いたしました。  このほか、石垣島におきましては、台風五号による被害復旧状況ベトナム難民移送問題等当面する行財政上の問題について説明を聴取し、島内の主産業振興事業である大浜パイン工場宮良農業水利事業伊祖部地区圃場整備事業宮良農道川平湾真珠養殖場水産試験場熱帯農業研究センターを視察してまいりました。また、宮古島においては、旧日本軍飛行場用地として強制接収された平良市、下地町、上野村内の土地返還問題、病害虫根絶防除事業農業振興等について説明を聴取し、沖繩製糖宮古工場上野サトウキビモデル展示圃場地下ダム建設地などを視察いたしました。  沖繩県においては、本土との格差是正のため沖繩振興開発計画に基づく社会資本整備社会福祉の充実、産業振興開発等が進められており、これがすでに六年目を迎えております。本土との格差状況は、昭和五十年度で全国平均と比較すると、一人当たり県民所得で七五・一%、道路改良率で七七・六%、中学校屋体達成率で七三・九%となっており、一般公共施設整備は比較的進んでおりますが、一方では、福祉関連施設である保育所老人福祉センター母子寮等設置状況全国平均の五〇%にも満たないという実情にあります。  こうした状況から抜本的に脱するには、七〇・一%も第三次産業に依存している状況を改め、第二次産業の比重を高め、バランスある産業構造にすることで県の経済力を高めていく必要があります。他方、いまなお戦後処理として未解決の問題や、基地から派生する複雑かつ困難な多くの問題も解決していく必要があります。  県・市町村当局は、これらの対策に腐心されており、実情説明に添えて多くの要望意見が寄せられましたが、今回の調査において特に当面する諸問題について御報告いたします。  まず第一は、交通方法変更に伴う対応策についてであります。  沖繩県交通方法は、本土と異なり、歩行者左側通行及び車両の右側通行制度で三十余年間にわたって実施されてきております。復帰によりこの制度変更が必要となったのでありますが、沖繩復帰に伴う特別措置に関する法律により、政令で定める日までの間は、従来の交通方法でよいことに暫定措置がされております。  政府においては、先般、交通方法変更に必要な政令を公布し、明年七月三十日から本土と同様の交通方法にすることになりましたが、沖繩県としては、県民理解協力を得て、その安全、円滑な実施推進するため、国の財政措置を初め、交通安全施設道路施設整備安全確保のための教育訓練交通指導監視交通規制実施及び広報活動強化、さらには、交通方法変更によって生ずる県民の生命、身体、財産の保護と補償等についても国において有効適切な措置を講ぜられるよう要望しておりました。中でも交通方法変更復帰処理の大事業であることから特別事業として、交通安全センター設置道路整備促進交通災害医療センター設置総額二千百六十二億円の三事業実施してほしいとの強い要請がありました。  交通方法変更の問題については、政府では沖繩県交通方法変更対策本部を設け、昭和五十二年度予算交通方法変更対策事業費として五十四億円余を計上しておりますが、県当局説明によりますと、那覇市、沖繩市では、交通方法変更に向けての道路施設変更、たとえば交差点におけるすみ切り、バス停留所確保等において、事業量、工法、買収及び着手の時期等から明年七月からの実施に必ずしも万全の対応策をとることができるとは言えないとの意見も出されているとのことでありました。交通量の多い、かつ交通環境が極度に悪化しているこれらの市においてこのような対応状況にあることを考慮しますと、早急にこれらの意見に対応するための施策を講ずる必要があると思われます。  第二は、地籍問題及び基地返還後の跡地利用状況についてであります。  沖繩県には、戦災、米軍接収等により戦前の不動産登記簿、台帳、公図がなく、また土地の形質も著しく変容したため、国土調査法に基づいて地籍調査をすることが困難な地域が存在し、これが境界不明地域として一万四千百十一ヘクタールに及んでおります。さきの第八十回国会においては、いわゆる地籍明確化法が成立し、おおむね五年間に位置境界明確化を図ること、また位置境界が明らかになった場合には、返還地土地区画整理事業あるいは土地改良事業等推進すること等の措置がとられることになりました。これに加えて、米軍沖繩爆撃前の昭和十九年に沖繩県本島の航空写真を撮っていたことから、技術的には従前より位置境界線引き作業が進むとの説明がありました。  県当局では、こうした位置境界明確化作業に伴う問題、すなわち地籍明確化法でいう土地区画整理事業等費用国庫負担位置境界が明確になった場合において、その土地所有者以外の者が建物等設置しているときの土地所有者建物等買い取り資金長期低利融資、また地籍明確化作業事業費全額国庫負担等について、国の責任明確化要望しておりました。このほかに本法の解釈及び運用上多くの疑問点を含んでいるので、これを解消するため位置境界が確定できない場合の行政決定による確定、地籍明確化によって生ずる私人の損失補償土地の権利の異動規制等の五項目について法律の改正をもって明確にされたいとの要望がありました。  基地返還及び跡地利用状況については、県当局説明によりますと、昭和五十二年五月十五日までに復帰面積の七・五%が返還され、地主にそのうちの八三・六%の千七百七十三ヘクタールが返還されております。しかしながら、民間返還された土地利用は六百六十ヘクタールにすぎず、地主への返還面積の四割にも満たない状況にあります。この原因としては、地籍が不明確であるため個々の土地が特定できないことのほか、地主や県・市町村との事前の調整がないままに米軍の一方的細切れ返還のため諸計画が立てられないこと等が挙げられており、基地返還のあり方に問題があると指摘されております。  沖繩県経済力の培養のため、第一次産業振興がきわめて重要であることを考えますれば、これらの問題に対し特段の配慮をする必要があることを痛感いたしました。  第三は、失業状況及びその対策についてであります。  本県失業状況は、引き続く不況駐留軍従業員大量解雇等によってきわめて厳しい状況にあります。復帰の年の昭和四十七年には三%であった失業率は、その後、年を追って悪化し、昭和五十二年六月現在で七・七%、三万三千人という状況で、全国平均二・一%に比べきわめて高い水準にあります。また、失業者の内容を見ますと、世帯主が三〇・三%で、年齢別には若年層が六三・六%と若年層失業者が多いことが注目されます。  このように本県における失業状況は厳しいものとなっておりますが、これらを取り巻く経済環境は早急に改善される見込みがありません。したがって長期的な雇用対策としての企業誘致を含めた産業振興、とりわけ第二次産業振興を強力に推進することが望まれます。当面の対策としては、雇用需要拡大失業の予防に対処すべく、公共事業拡大観光客誘致県産品使用推進地場産業振興に努める必要があります。労働行政面からは、若年層を中心とした広域職業紹介求人開拓職業指導等の積極的な推進を図ることが望まれます。なお駐留軍解雇者は、七月現在、有効求職者一万八千三百六十人中五千人余りがおり、これらの者は雇用保険受給終了後は就職促進手当によってどうにか生活を維持してきているとのことでありますが、この手当根拠法である駐留軍関係離職者等臨時措置法が明年五月十七日で効力を失うことになっております。この問題に対し、県当局では、今後も駐留軍従業員解雇が続くものと予想されること、現に受給している失業者手当が打ち切られ生活の安定を失うことなどから、この法律の延長を強く望んでおりました。  第四は、海洋博後の落ち込みの現状、中でも宿泊施設窮状についてであります。  海洋博を契機に道路、港湾、空港等基盤施設並びにホテル観光施設等整備が集中的に行われ、観光受けざらは飛躍的に拡充されました。しかしながら、海洋博終了後の観光入り込み客の急激な落ち込みは、宿泊施設への過剰な投資、長期的な不況と相まって観光関連業界の深刻な経営不振を招き、企業倒産が続出するなど厳しい状況下にあります。最近の観光入り込み客の状況をみると、海洋博開催年昭和五十年には百五十五万八千人であったものか五十一年では八十三万六千人に落ち込んでおります。五十二年には、七月までの実績で六十三万三千人を数え、前年比で四〇・五%の増加となっており、この伸び率からすると年間では百万人の大台を突破し県観光開発基本計画参考指標としての目標値百十五万人達成が期待されております。  このように観光入り込み客が漸増しているものの、ホテル業界に与える効果は地域別規模別に相当の格差が生じております。利用率についてみますと、まず地域別では本島北部宮古島では二、三割となっており、規模別ではベッド数百人未満のホテルが二六・三%で大規模の四四・一%と大きく格差が生じております。こうした状況から、特にホテル業界窮状打開のための対策として、借入金償還据え置き等特別措置過剰宿泊施設公的機関による買い上げ転用、さらには観光客誘致のための航空運賃の低減、那覇空港への国際航空路線運航継続措置についての要望かありました。当面の緊急措置として、借入金の返済について特別救済措置を講ずるとともに、個人観光客に対し短期往復割引運賃割引率GIT運賃並みに引き上げ、その適用期間を一週間程度に延長する措置等をとる必要があると思われます。  第五は、台風五号による被害状況及びベトナム難民対策についてであります。  まず、台風被害状況について申し上げます。台風五号は、七月二十九日から三十一日にかけて八重山地区に来襲し、石垣島で瞬間最大風速七十・二メートル、三日間の雨量二百二十三・五ミリメートルを記録し、また、この風雨に高波等も加わって道路決壊流失河川護岸決壊家屋の倒壊、サトウキビパインを主とした農作物の被害は甚大なものとなっております。県当局調査による八月十日現在の被害状況は、死者六名、重軽傷者五名を初め、家屋の全半壊三百九十棟、床上床下浸水二百二十八棟、船舶被害二十隻のほか、公共土木施設関係で三億五千万円、農産物被害で九億三千万円、商工業関連被害で八億円、その他で三十三億八千万円と総額五十四億六千万円に達しております。  県では、今回の台風被害に対しまして災害対策本部設置し、被害の大きかった竹富町、石垣市に対し災害救助法適用し、救済復旧対策を講じているとのことでありましたが、十分なものとはなっていないとの説明がありました。県庁での説明聴取の際に、災害対策にかかわる要望として、台風襲地帯における災害防除に関する特別措置法に基づく台風襲地帯に指定されたいこと、沖繩振興開発金融公庫における小企業等経営改善資金既往借受分償還期限等について特別の配慮をされたいこと、天災融資法発動基準を一県でもこの制度が発動できるように改正されたいこと等が挙げられました。なお八重山地区市町村長と懇談した際に、竹富町長より、今回の台風による死者六名は、竹富西表島船浮港避難港としての基本的施設整備がなされていないために転覆した漁船によるものであるので、早急に諸施設整備をされたいこと、また、台風の進路、被害状況を把握するための通信施設がきわめて貧弱であり、台風の来襲の善後策が十分にとれなかったことから、これらの施設を早急に改善してほしいとの強い要請がありました。  次に、ベトナム難民対策についてでありますが、私ども沖繩県を訪問いたしました二日前の九月三日に、ベトナム難民八十六名が与那国島に漂着し、与那国町の中央公民館収容されており、五月にも二十七名が来ているとのことでありました。このように多数の、かつ引き続く難民収容、食事の手当て等のため、町財政は窮迫しているので、早急に本土難民収容施設移送ができるようにしてほしいとのことでありました。この移送促進については、県当局及び地元町から再度にわたり要請されましたので、私どもは帰京の日の九月八日に藤田沖繩開発庁長官にお会いいたしまして、その善処方要請いたしてまいりました。なお、今後の難民対策として、その収容施設並びに監視体制強化も望んでおりました。  そのほか地場産業振興市町村財政の執行上の問題、さらには離島振興、中でもサトウキビパイン葉たばこ等生産量拡大と価格問題等多方面にわたって大きな課題を抱えております。  これらの点については、別に報告書を提出いたしましたので、本委員会会議録に掲載していただくよう委員長においてお取り計らいを願いたいと存じます。  最後に、今回の調査に御協力をいただきました関係当局並びに沖繩県民の方々に感謝の意を表明いたしまして、報告を終わります。  以上であります。
  5. 岡田広

    委員長岡田広君) 以上で派遣委員報告は終わりました。  なお、ただいま御報告がございましたが、別途、詳細にわたる報告書が提出されておりますので、これを本日の会議録の末尾に掲載したいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 岡田広

    委員長岡田広君) 異議ないと認め、さよう取り計らいます。     —————————————
  7. 岡田広

    委員長岡田広君) 次に、本調査に関し、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  8. 小山一平

    小山一平君 この委員会でいろいろお尋ねしなければならない問題は山積しておりますか、時間がありませんから、きょうは、特定防衛施設周辺整備調整交付金の問題と、返還軍用地跡地利用の問題についてお尋ねする予定ですけれども、これとてもきょうの時間の中ではどれだけできるかわかりませんが、逐次お尋ねしてまいりたいと思います。  まず最初に、調整交付金制度法律規定について簡単にひとつ説明していただきたいと思います。
  9. 高島正一

    政府委員高島正一君) 御指摘調整交付金は、去る昭和四十九年に成立を見ました防衛施設周辺生活環境整備等に関する法律の第九条に規定されておるところでございます。  その趣旨は、「防衛施設のうち、その設置又は運用がその周辺地域における生活環境又はその周辺地域開発に及ぼす影響程度及び範囲その他の事情を考慮し、当該周辺地域を管轄する市町村がその区域内において行う公共用施設整備について特に配慮する必要があると認められる防衛施設があるときは、当該防衛施設特定防衛施設として、また、当該市町村を持定防衛施設関連市町村として、それぞれ指定」し、その指定した市町村に対しまして、公共用施設整備を行うための費用を交付するというのがその趣旨でございます。
  10. 小山一平

    小山一平君 そこで、この調整交付金に対する基本的な認識についてただしておきたいと思うんですが、特定防衛施設の存在する関連市町村に対しまして、恩恵的にめんどうを見てやるという考えなのか、関連市町村に対する国の責任義務考えているのか、これは大変重要な問題ですから、はっきりさしておいていただきたいと思います。
  11. 高島正一

    政府委員高島正一君) お答えいたします。  この交付金趣旨は、ただいまも御説明申し上げましたように、面積の広大な防衛施設航空機騒音の著しい飛行場等、その設置運用周辺地域生活環境地域開発に著しい影響を及ぼしており、これがために当該周辺地域を管轄する市町村が、本来の行政でございます生活環境整備等につきまして、これらの防衛施設のない市町村に比べまして、より以上の努力を余儀なくされておるという点に着目いたしまして、当該市町村生活環境整備等のため行う公共用施設整備に資するよう、幅広く公共施設を取り上げ、これに充てるため交付するものでございます。
  12. 小山一平

    小山一平君 そういうことを聞いているんじゃないですよ。  この交付金を交付するということは、関連市町村に対して国が責任義務があるから交付するという立場に立っているのかどうかということなんですよ。
  13. 高島正一

    政府委員高島正一君) これは交付金でございますが、補助金適正化法適用を受けておりますので、いわゆる補助金としての性格を帯びておるものというふうに考えております。
  14. 小山一平

    小山一平君 もう少し私の聞いていることに答えてもらいたいんですよ。  国は、当然、関連市町村にいろいろ迷惑をかけたり、これによってその当該団体が他の団体に比べて過重な問題を持っているので、そこに特別の交付金を交付することは当然国の責任義務であると、こういうことが基礎にあるはずだと私は思うんですよ。ですから、当然、国の責任があり義務があるから、この交付金を交付すると、こういう基本的な考えに立っていらっしゃるのかどうかということをはっきりさしておいてもらいたい、こういうことです。
  15. 高島正一

    政府委員高島正一君) 国の当然の義務があるかということになりますと、それぞれの法律上の根拠を必要とすると思います。  私ども考え方は、当然国に責任があると、法律上当然責任があるということではなく、やはり非常な御迷惑をおかけしておるのであるから、その御迷惑を幾らかでも補てんしなければならない、そういう見方に立っておるわけでございます。
  16. 小山一平

    小山一平君 これは大変問題ですね。国か予算を組んで地方団体に特別の交付金を交付するのに、交付すべき責任義務かないと言うんですか。そうだとしたら、大変これは問題じゃないですか。
  17. 高島正一

    政府委員高島正一君) ただいまの説明が若干足りなかったかと思いますが、法律の第九条に交付すべき規定があるわけでございますから、その意味において交付金を支出するということは国として当然なさなければならないところだと思います。しかしながら、これはあくまで交付金であり、補助金的な性格を持った交付金であるという意味合いにおいて、先ほどそのような答弁を申し上げた次第でございます。
  18. 小山一平

    小山一平君 どうして、国が責任義務があるからこういう制度を設けたのだ、こういう答えができないんですか。義務責任もないのに、みだりに予算を操ったり交付したりすることができるんですか。
  19. 高島正一

    政府委員高島正一君) 市町村におきましていろいろな公共施設整備するということが、直ちにこの防衛施設設置運用によって当然この公共施設整備しなきゃならないということは出てこないと思います。  ただ、先ほど来申し上げておりますように、基地の存在しない市町村に比べて非常な御迷惑を及ぼしておるから、その他の基地の所在しない市町村に比して欠落しておる、あるいは支障を及ぼしておる、そういう面に対しまして、国としてはこれを補てんしようというふうな考え方に立って、この九条が成立しておるというふうに考えておる次第でございます。
  20. 小山一平

    小山一平君 ちょっとおかしいですね。それは当然国がそうすべき責任があるからやるんでしょう。どうして責任もないのに恩恵的な交付金を交付するなんということが許されるはずないじゃないですか。他のこういう施設のない市町村に比べればそれだけ迷惑がかかっているんだから、それを何らかの形でカバーするのが当然国の責任である、こういうことが前提なんでしょう。
  21. 高島正一

    政府委員高島正一君) 立法趣旨は、先ほど来申し上げておりますように、基地が所在しない市町村より、基地の所在している市町村に対して大変御迷惑をかけておるから、それを補てんするという、その意味合いにおいては、先生御指摘のように、国がその責任を感じてこのような立法がなされたというふうに理解してよいというふうに思います。
  22. 小山一平

    小山一平君 それから、この法律には、第三条、第八条等において基地にかかわる障害防止であるとか、音響防止であるとか、生活環境施設などの整備等々に対する国の補助制度が定められておりますね。この調整交付金は、これらの補助金とは異なるものであるはずだと思います。したがって、この調整交付金補助金と同一視するというのは、その位置づけがおかしいんじゃないですか。
  23. 高島正一

    政府委員高島正一君) これは立法の過程におきましていろいろ論議がなされたところでございますが、まず、その当時の議論は、この交付金はいわゆるつかみ金であってはならない。あくまで公共施設整備をするものであるから、公共施設をつくる以上は、当然、補助金適正化法適用を受けるものであるというふうな議論がなされたわけでございます。いわゆる自由に使える金ということであってはならないというのがこの九条の立法趣旨であったわけでございます。  それから、他の法令との関連におきまして、公共施設をつくるということになりますと、当然、補助金適正化法を受ける。そこで補助金適正化法に基づく政令にその旨の規定がなされておるわけでございます。この交付金もその例外ではないということで、政令に明確に入っておるわけでございます。
  24. 小山一平

    小山一平君 この法律の第九条の二は「公共用施設整備を行うための費用に充てさせるため、」と明記されていますから、それはそれでいいんですが、関連市町村、特に沖繩における市町村においては自主財源が非常に少ないので、この調整交付金財源を公共用施設整備を行う上で一般財源的に運用ができて、地域実情に基づいて効率的に使えるようにしてほしい、こういう強い要望があるわけです。この要望についてどういうお考えですか。
  25. 高島正一

    政府委員高島正一君) 御指摘要望は、私どもも日常いろいろな地方公共団体の方々からお話を承ってよく存じております。しかしながら、先生御案内のように、人件費にこの交付金を使用する、いわゆる人件費への補てんということになりますと、これは財政援助ということになりまして、防衛施設庁といたしましては、このような施策を講じ得る立場にはないということを御理解いただきたいと存じます。
  26. 小山一平

    小山一平君 いや、この関係市町村要望しているのも、これを一般財源にして人件費や事務費や旅費や、そういうものに使いたいと言っているわけじゃないんですよ。この財源を同じ公共用施設をつくっていく上で弾力的な運用のできるような幅を持つことができるようにしてほしいと、こういうことを言っているわけですよ。
  27. 高島正一

    政府委員高島正一君) この交付金政令の第十四条には、八つの施設についてそれぞれこの交付金対象の公共用施設としてとらえることができるということが規定されております。この一から八まで規定されておる施設によりまして、公共施設はわれわれとしてはほぼすべてのものが該当するというふうに考えております。したがいまして先生いま御指摘の地方公共団体の御要望に対しましては、この政令で十分賄えるというふうに考えております。  ただ、採択に当たり、いろいろ他の規定との関連で取捨選択について実は議論があるところでございます。その点につきましては、今後とも、私ども十分地方公共団体の方々とも御相談申し上げまして、弾力的な運用を期したい、このように考えておる次第でございます。
  28. 小山一平

    小山一平君 補助金であれ交付金であれ、その使い方についてはできるだけ地方団体の自主性を損ねるとか、あるいは支配介入するとか、そういうことのないようにやるのが、これが一番基本的な考え方でなければならないわけです。しかし、この調整交付金を見ますと、全く皆さんの権限のもとに、ほとんど関連市町村の独自性や自主性というものを十分生かすことができない、こういう欠陥があるのが問題なんですよ。  ですから、これをできるだけ自主財源として、同じ公共用施設をつくっていくにいたしましても、独自的な計画地域のそれぞれの実情、こういうようなものに見合うように関係市町村がこの財源を有効適切に活用できる、こういう道が開かれないと、せっかくこれだけの交付金が交付されるにもかかわらず、地方団体にとっては大変不満、そういうものが実際にあるわけですからね、どう思いますか。
  29. 高島正一

    政府委員高島正一君) この交付金の交付に当たりましては、先生御指摘のように、いろいろな御不満があることは十分承知いたしております。そこで、いま御指摘がございましたように、私どももせっかくの交付金でございますので、これを十分有効に活用し、各地方公共団体の方々から御不満が出ないように十分戒心してまいりたい、このように考える次第でございます。
  30. 小山一平

    小山一平君 この問題について自治省にお尋ねしたいんですが、地方団体では、こめ財源を、補助金制度というのは別個にあるんだから、この財源というものは自主財源という機能を発揮することができるようにぜひしてほしい、こういう強い要求があるわけです。これは自治省としては、私はそういう方向というものが最も望ましいものだとお考えだろうと思うんですけれども、自治省の見解だけお聞きしておきたいと思います。
  31. 関根則之

    説明員(関根則之君) 自主財源というお話でございましたが、典型的な一番自主的に使える金ということになりますと、一般財源という形になるわけでございますが、この法律の立て方から、先ほどから説明のありましたように、公共用施設の財源としてということで立てられております関係上、完全な意味での自主財源といいますか、一般財源として使うということはむずかしいだろうと思います。したがって施設の財源として使うという意味で特定の財源という範疇に属さざるを得ないと思います。しかし、そうは言いましても、実際の使い方の問題として、できるだけ広く公共施設に使えるようにしてあげていくべき筋合いのものではないかというふうに考えております。  そういう観点からながめますと、現在、政令の十四条で単独事業についてだけしか充当できないというような決めがあるようでございまして、施設そのものは相当幅広く含んでおりますから、大体、市町村が必要とするような公共施設は網羅されているんじゃないかという感じがいたしますが、特に基地所在市町村等におきましては財政力が非常に低いというのが多いわけでございまして、そういった団体は国の補助事業を追っかけるだけで精いっぱいというのが現状でございます。そういうところで余り単独事業にだけというふうに限定しますと使い道がなくなるという心配もございますし、それからまあ使い道があるにしても、優先度の必ずしも高くないような、必ずしも緊急性のないような仕事をやりがちになってくるという心配がある。そうしますと、何か箱物などをつくりますと、後々維持管理費等で相当経費がかかってきてしまって、逆に身分不相応な施設をつくったために後々財政が苦しくなるというような変な結果も出てきかねないわけでございます。  そういう意味におきまして、私ども考え方といたしましては、できるだけ幅広く地方団体がその地域実情に即しまして自主的な財政運営ができるような形で、仕事も自分で自主的に選択できるような形で交付されることが望ましいというふうに考えております。
  32. 小山一平

    小山一平君 そこで、この財源を補助事業の裏負担、自己負担分ですね、そこに充当できるような道を開くということがこれは重要だと思うのですよ。単独事業ばかりでなしに、補助事業をたくさん法律に基づいて行う、その裏負担というものが必ずあるわけです。この裏負担そのものに沖繩における関連市町村は大変苦慮しているわけですから、その裏負担にもこれを使っていくことができるということになると、この財源というものは非常に幅広く有効に生きてくる、こういう形になるわけですからね。そういうようなことも含めて皆さんの方で御検討をいただいて、地方団体要望に沿うような方途をこれから検討していただきたい、こう思いますが、どうですか。
  33. 高島正一

    政府委員高島正一君) いま先生御指摘の御要望は、常々、地方公共団体の方々から御要望があるわけでございますが、現行法に基づく交付金補助金適正化法適用も受けておりますし、その裏負担に充当はできないということに統一されておるところでございます。しかしながら、地方公共団体の方々が非常にその点で御苦労なさっているという実情はよく承知しておりますので、いろいろな形においてその御負担を軽くするということを今後とも検討してまいりたいというふうに考える次第でございます。
  34. 小山一平

    小山一平君 最初もお答えいただいたように、国の責任であり義務であると認識をして、この交付金制度というものをおつくりになったにもかかわらず、対象市町村要望がこの制度の中で十分生かされないということは、これは国が一方的に押しつけるという、こういう形になるわけですから、これは法的な問題もこの中にはあることは承知ですけれども、そういうものも含めて皆さんの方でこの問題の抜本的な検討、そして関連の市町村の希望するような財政運営ができるように、こういうことをひとつ言葉の上でなくて実際的に取り組んでいっていただきたい。やってくれますか。
  35. 高島正一

    政府委員高島正一君) 現行の交付金制度は、るる御説明申し上げましたとおりでございますが、先生御指摘の点は、それとは別に、どのようにそういった支障に対処していくかということは、私ども、当然、検討の課題であろうというふうに存じます。
  36. 小山一平

    小山一平君 いまの問題は、皆さんの方でこうやりたいけれども法律があるからだめだというならば、その法律は直せばいいんですよ。法律を直してみんなが望むような形をつくり上げていけばいいでしょう。法律があるから、そうやってあげたい、対象町村もそういうふうに望んでいる、だけども、この法律があって障害になってだめだというなら、もとを直せば済む話なんですけれども、やっぱりそういう取り組みというものが私はどうしても欠けているような気がするんですよ、まあ役所というのは大体そうですけれども。やっぱりそういうふうに、本当に皆さんがこの関連市町村に対して責任を感じ、できるだけ国の責任によって問題処理をしていこう、こういう姿勢があれば、当然そこまで考えていいはずだと思うんですよ。まあそういう問題も含めて、自治省、その他関係の省庁等もあるでしょうから、御相談されて検討をしていただく、これだけの約束だけはしていただきたいと思います。
  37. 高島正一

    政府委員高島正一君) 御指摘の点については、関係省庁ともよく協議をし、検討いたしたいと存じます。
  38. 小山一平

    小山一平君 まだちょっと時間がありますから、先ほどの調査報告の中にもございましたが、跡地利用という問題が非常に進んでおらない。これにはいろんな理由があると思いますが、これに対してどういうふうに今後対処をしていくと、こういういま方針をとっておられますか。
  39. 亀谷禮次

    政府委員(亀谷禮次君) 先生も御案内のように、返還地の跡利用につきましては、沖繩県におきましても、当然、軍用返還地を含めまして、全島地域についての国土利用計画法に基づきます土地利用の基本計画をつくっておられるところでございます。それに沿いまして、それぞれの個別の区域につきましての利用が図られていくわけでございますが、私ども、国で策定しております沖繩振興開発計画につきましても、国土の基本計画との調整を図りながら、御案内のように沖繩本島を中南部と北部、それから宮古、石垣の主要離島の四地域につきまして基本的な県土の利用方向が定められておるところでございます。これに基づきまして、御案内のように沖繩といいますところは限られた狭小な島嶼でございますので、できるだけ有効な利用か図られることが必要でございますが、返還されます地域につきましても、当然、県あるいは関係地方公共団体及び関係地主の方とも十分の協議、調整がなされた上で有効な利用を図る必要があろうと思います。  そういった観点の中で、基本的には振興計画にうたわれておりますように、やはり都市部及びその周辺の地域におきます返還軍用地につきましては、やはり中心的には都市公共施設整備がさらに図られる必要がありますし、狭小過密な住宅の改良、解消のための対策、あるいはまた公共空間の確保等生活環境整備に充てる必要があろうと思います。なお、そのほか産業振興の見地から第一次産業及び第二次産業に備えましての有効な土地利用を図る、こういった観点で、今後も、振興計画にのっとりまして県及び関係機関とも十分調整を図りながら国としても対処してまいりたい、こういうふうに考えております。
  40. 小山一平

    小山一平君 もう時間がありませんから、ここで簡単に二点だけ聞いておきます。  一点は、先ほどの報告の中にもあったように、米軍から突如として返還される、事前に把握ができない、準備が間に分わない、こういうことが一つの要因であります。そこで、米軍と早期に連絡をとり準備ができるような返還の方法というものを皆さんの方でぜひ積極的に交渉してほしい。これをどういうふうにおやりになるかが一点。  それからもう一つは、民間土地返還されて、これが地籍明確化もなかなかうまくできないというような段階で、また、この跡地利用計画もそう早急に進んでいかない、こういうことですから、返還される前は地代というものが入っていたのに、あの猶予の期間を見てもらうと、後はその土地は何ら利用もしないのに地代というものは一銭も入らなくなる。この期間が場合によるとかなり長期にわたるというものがありますね。これは当然何らかの方法で補償をしてやらないと、返還によって土地所有者生活問題もそこに出てくる。こういうことで、返還された民有地が実際問題として所有者が何らかの形でそれを利用できる、こういう跡地利用事業が進捗する間、長くなるような場合には地代の補償をして生活を守ってやる、こういう方策をとる必要がある、こう思うんです。この二点だけお答え願いたいと思います。
  41. 高島正一

    政府委員高島正一君) お答えいたします。  第一点の細切れ返還はいかぬ、それから返還前には事前に十分な予告期間を置くべきである、御意見ごもっともであると存じます。しかしながら、一般的に申しますと、先生御案内のように、沖繩における施設区域の返還につきましては、去る昭和四十八年の一月に開催されました第十四回日米安保協議委員会、それから翌年の一月に開かれました第十五回、それから一年置きまして五十一年に開かれました第十六回の各日米安保協議委員会返還を予定される区域が示されておるところでございます。このほかに、個々にいわゆる小返還というのがございますが、そういった点につきましては、御指摘のように、十分所有者の方々の御不便にならないように、今後とも調整に努力してまいりたいというふうに考えております。  それから第二点のいわゆる管理費の問題でございますが、御案内のように本土におきましては三カ月間の管理費を認めておるにすぎないわけでございますが、沖繩県におきましては、その特殊事情にかんがみまして、通常生ずる損失期間をおおむね二年というふうに見ておりまして、その中で所有者が十分所有権を行使し得る期間は一体どれだけであろうかということを勘案いたしまして、現在、できる限り所有者の方々に御不満のないように検討をし、処置していこうというふうに考えておる次第でございます。
  42. 岡田広

    委員長岡田広君) 小山君の質疑は終了いたしました。次に伊江君。
  43. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 私は、交通区分の変更に関連する問題と、それから運輸行政の問題、この二点について御質問申し上げるわけですが、時間を二十分しかいただいていませんので、答弁はきわめて簡潔にお願いをしたいと思っています。  交通区分の変更政令も出ましたし、また、先ほど御報告がありましたように、本委員会現地調査もなさり、貴重な御提言が数々あったわけです。さらにまた、参議院の交通安全対策特別委員会において慎重な審議がなされ、今日、十分なそういう御提言を踏まえて準備段階に入っている状態であろうと推量するわけでありますが、一つ心配なのは、交通安全対策特別委員会の御審議の過程も私拝見したんですが、道路施設整備の問題、したがって先ほどもお話が出ましたけれども、すみ切りの問題、それに伴っていろいろと現地で問題があるようであります。  まず、整備すべき場所についての認識が違うという問題もあったように聞いております。あるいはまた用地買収の問題もあろうかと思います。それから工程上の問題もあろうかと思います。その経過をまず御説明をいただきたい。
  44. 美野輪俊三

    政府委員美野輪俊三君) 交通方法変更に伴います道路施設整備の準備状況でございますが、大体の考え方といたしまして、変更に先立ちましてあらかじめ施工しておかなければならないような、たとえば交差点のすみ切りであるとか、あるいは視距改良とか、それからバスの停車帯、これはバスベイと申しますか、その移設等の工事等につきましては、これを五十二年度中に施工しようと、これは相当の期間がかかりますので、五十二年度中にこれを施工しよう。それからもう一つ交通方法変更に伴う施設変更のうちに、たとえば交通島の変更とかあるいは道路標識、それから道路照明あるいは区画線のかきかえ、こういったような工事がございますが、これらは交通変更日の直前あるいはその後でなければ実施できない、こういう性格のものでございまして、したがいまして、これらにつきましてはこれを五十三年度に実施をすると、基本的には、このような考え方のもとに準備を進めておるところであります。  で、このため五十二年度におきまして、当初予算におきまして約二十七億計上いたしました。ただいま先生御指摘のように、その後市町村の方から追加の施設変更につきまして要請等がございました。これにつきましては、私ども、九月に建設省並びに私どもの専門家を現地に派遣いたしまして、県それから市町村の担当者とも立ち会いの上、現地に視察をいたしまして、その要請との間の調整をいたしました。それによりまして、かなりの精査増を生じ、採択個所につきましての増加がございましたので、そのうちやはり期間を要します、先ほど申し上げました交差点の改良等につきましては、これをやはり本年度において実施するという考えで、今回御承認いただきました補正予算に約十七億ほど計上いたしてございます。  で、それの工事の中には、先生御指摘のように用地の買収等を必要とするものもあるわけでございます。ただ、当初、市民の要望等の中には理想的な工事を行うというようなことから大きな建物の移転を含むような改良工事が入ってございました。幸い、それらの必要は、そういった工事は現在含まれてございません。用地買収はございますが、すみ切りのための小規模の用地買収等が含まれておるという形になってございます。  ただ、いずれにしましても関係地主さん方の十分な御了解、交通方法変更についての趣旨に対します十分な御理解が必要であろうということで、関係省庁とも協力をしながらやっていくとともに、十分誠意を持って関係者と折衝するように、このような指導をこれからやってまいりたい、このように考えております。
  45. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 それじゃ、地元と、整備を要すべき個所についてのある程度のコンセンサスはできたということで認識してよろしいですか。
  46. 美野輪俊三

    政府委員美野輪俊三君) 先生の御指摘のとおりでございます。
  47. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 それから、これもたびたびお尋ねが各委員会であったようでありますが、いま県あるいは市からの特別事業についての御要望がありますね、これについてはどういうふうにお考えになっているのか、また、どう取り組まれるのか。これ大臣でなくてもよろしゅうございます、事務当局で結構ですから、お答えいただきたい。
  48. 室城庸之

    政府委員室城庸之君) 沖繩県といたしましては、この交通方法変更を円滑に実施するために特別事業をぜひやってほしいということで、さらにお話がございましたように、道路整備あるいは交通安全教育センター、救急医療センター、こういった三つの事項につきまして二千億強の予算をかけて実現をしてほしいと、こういう御要望が出ております。  私どもも、当初から、このお話につきましては十分耳を傾けて御相談に乗っておるつもりでございますけれども、県といたしましても一応こういうものをという希望はお示しになっておりますものの、具体的にどこにどういう施設をつくるかということにつきましてははっきりした成案がございません。したがって、私どもといたしましては、予算化するにつきましては事務的にもう少し具体的な詰めが必要であろうと、県当局もこれについては十分了解いたしまして、現在の時点では、たとえば交通安全教育センターということで、安全運転学校というものを県内五カ所につくってくれと、それも県の北部、中部、南部、あるいは宮古島、八重山こういった場所が一応抽象的に示されておるというにすぎませんで、これをそれじゃ県北とすれば、県北のどの地点にどの程度規模のものが必要かというようなことも事務的に詰めていく必要があるということで、これからそういった事務的な詰めに入っていこうということで合意をいたしております。  また、そういう問題につきまして県としても何らかの約束をこの時点でしてくれないかというようなきつい御要望もございまして、前回、参議院の交通安全対策特別委員会におきましても、大臣の方から、五十三年度予算にそのための研究調査費も計上しようというお答えもいただいておりまして、私どもも、現在、五十三年度予算にこのための研究調査費を追加で要求するような事務的な検討も進めておる、このような次第でございます。
  49. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 そうすると、そのいまの特別事業、投資をするものについての発想はいいけれども、プログラムがないんだという県側のいまの状態だということですね。それに対しては前向きに検討していくと、こういうことで受け取ってよろしいですか。
  50. 室城庸之

    政府委員室城庸之君) おっしゃるとおりでございます。前向きに検討いたします。
  51. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 いろいろと問題が多いわけで、予算も金も大分かかるような状態だと思いますが、どうかひとついまの御答弁がありましたように、前向きに検討していただいてスムーズに移行ができるように御努力を願いたいと要望さしていただきます。  次に、運輸行政についてお伺いしたいと思いますが、私が申し上げるまでもなく、これからの交通政策というものは離島の交通政策というものが非常に大きな問題になってくるだろうと思うのです、離島への交通政策ですね。これはまあ空か海しか選択の可能性はないわけです。そのほかに、交通機関を選択できる地域との格差費用の割り高という点で非常に大きく圧迫してくるだろうと、こういうふうに思うわけです。  沖繩本島そのものも離島でありますし、また沖繩本島には、御承知のとおり、沖繩振興特別措置法で指定されている指定離島が三十九もある。これはもちろん人が住んでいる島、そういう島でありますから、どうしてもやはり空か海しか利用できない。これは本土の事情と非常に違った特殊な事情であろうと思うんです。もちろん沖繩だけではなくて、本土周辺の離島もそうだし、あるいは南西諸島にかけての列島についてもそうであろうと思うんですが。  そこで、そういう実態を反映して、今日、沖繩へ入域される方々あるいは沖繩から本土へ来られる方々のほとんどが航空機利用である、こういう実態を踏まえまして、これについて航空運賃の問題をいろいろと現地でも問題にして、何とかならぬかというふうな御要望が強いわけです。いま復帰後の沖繩への航空運賃というものが、国内線の運賃と比べて、一体、どういう状態にあるか、その実態をお示し願いたい。
  52. 永井浩

    説明員(永井浩君) 現在、たとえば例を申し上げますと、東京−那覇間片道が三万円でございます。これは本土内の幹線——幹線と申しますのは、比較的大型ジェット機の就航しておりますルートでございます、私ども幹線と申しておりますが、幹線の平均のキロ当たりの運賃に比べまして約八%安くなっております。また具体的な例を申し上げますと、東京−那覇間とほぼ同じ距離でございます福岡−札幌間の運賃、キロ当たりの運賃でございますが、これに比べまして東京−那覇間が十七円二十七銭、福岡−札幌が二十三円五十三銭、約二十六%割り安の形になっております。私どもとしては、できるだけ本土沖繩間の運賃を低位に抑えたいということで指導してまいりたいと思います。
  53. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 それは対キロの話ですか。
  54. 永井浩

    説明員(永井浩君) はい。
  55. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 対キロですね。対キロから言うと、なるほどそれはそういうことになるのですが、一体、それじゃ航空政策として安く抑えているということですか、いまの御答弁は。
  56. 永井浩

    説明員(永井浩君) 航空運賃は、航空法に基づきまして原価主義に基づいておりますが、路線別の原価を割らないぎりぎりの範囲内で低位に抑えている、こういうことでございます。
  57. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 今後も航空運賃というのは、やっぱり企業である限りいろんな燃料税も高くなっていくし、値上げをしなきゃならぬ時期が来るだろうと思うんですね、いずれの交通機関においても。その場合には、そういった緩和曲線を沖繩の航路については入れるというふうなお考えはありますか、離島航路の振興のために。
  58. 永井浩

    説明員(永井浩君) 特に長距離の路線でございますので、全般的な制度として長距離の比較的割り安な制度に、要するに長距離の割引のような制度を導入できないかということは、私どもは、現在、検討中でございます。
  59. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 ぜひそういった政策を今後とも考慮していただきたいと思います。  それから今度は、沖繩本島から離島へ行く航空機ですが、これは沖繩県の調べによりますと、やはり離島航路としての海運もあるわけですが、先ほどの本土沖繩どの交通量と同じように、船の飛行機に対する割合が二対八になっている。そうすると、これはまた死活問題なんですね、交通問題としては離島の人たちにとっては。この離島の航空運賃を企業でありますから下げろとは言わないけれども、それに賦課される公租公課、たとえば通行税、ああいったものについての考え方を見直す気持ちはないのですか。これは沖繩には限りませんよ、全国の離島問題として。
  60. 永井浩

    説明員(永井浩君) 離島航路につきましての通行税あるいは航空機燃料税の減免につきましては、かねてから関係方面から御要望もございまして、私どももこれの減免について税制当局に要望しておるところでございますが、五十三年度においてもその要望を続けてまいりたいと、このように考えております。
  61. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 ぜひこれは沖繩に限りませず、離島の航空機のそういった公租公課の問題についての減免をしていただければ、それだけ実質的にも運賃が下がるわけですね。ぜひそれを御努力願いたいと思っております。また、われわれもそのつもりで努力をさせていただきます。  時間がないんで急いで御質問しますが、往復運賃割引というのがありますね。あの期間が、先ほどの調査報告の中でも御指摘がありましたけれども、現在、沖繩で五日間なんです。この五日間といったその根拠は何でしょうか。
  62. 永井浩

    説明員(永井浩君) ほかの交通機関に比べまして往復割引の期間が航空については非常に短くなっております。これは飛行機が国内におきましてはどの地点においてもおおむね数時間で行けるということで、実質的にビジネスあるいは観光等旅行の実態を前提といたしまして五日間ぐらいが適当じゃないかと、このように定められておるということでございます。
  63. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 先ほどのお話もありましたけれども、これを一週間ぐらいに延長することによりまして、端的に沖繩の事情だけを申し上げると、観光客の入り込みは多いけれども、滞在日数が五日以内に限られておる。そうしますと、先ほどのお話にもあったように、ホテルあたりも需要は少なくて供給力が多くなっている。それがもう少し滞在してもらえばその辺が非常に浮揚してくるんだということになるわけなんですね、つながるわけです。かたがた、またそういった期間の延長によって運賃の割引という実質的な効果も出てくる。それを一週間ぐらいに延ばしてほしいという気持ちが現地では非常に強いわけです。それについてはどうお考えになりますか。
  64. 永井浩

    説明員(永井浩君) 往復の割引の期間を延ばすことにつきましては、ただいまも申し上げましたように、全国的な制度の改正につながるものでございますので、なお困難な問題があろうかと思いますが、一方、沖繩のそういった特殊事情もよくわかりますので、旅行の実態等を私ども把握いたしまして、早急に検討いたしたいと思います。
  65. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 ぜひ前向きに取っ組んでいただくと、こういうことで理解してよろしいですか。
  66. 永井浩

    説明員(永井浩君) 前向きに検討いたします。
  67. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 次に、海運問題を、質問時間か大分切れてまいりましたが、海運局に伺いたいんですが、いま沖繩航路について配船調整というものがありますね、あれはどういう性格のものですか。
  68. 柳昭夫

    説明員(柳昭夫君) 現在、沖繩航路につきましては、配船調整を内航総連合組合の規定によってやっております。これは沖繩復帰に際しまして、沖繩復帰時の沖繩航路に就航しておりました各社の安定化と申しますか、そういうものを図るために、外部の、それ以外の盟外の船が就航することを制限するという趣旨で定められたものでございまして、これは四十六年の閣議決定に基づきまして、一定期間という条件つきで、そういう制限を課しておるものでございます。
  69. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 一定期間というのはいつまでですか。
  70. 柳昭夫

    説明員(柳昭夫君) 一定期間というのは、別に明記はございませんけれども、当初、沖繩海洋博の終了までということを一応の目安といたして運営しておりまして、その時点でこの見直しをはかったわけでございますが、そのときには沖繩海洋博後の荷物の荷動きの減少ということが非常にございまして、関係各社が非常に不安定な経営をやっておったということがございまして、その規定はとりあえず一年延長いたしました。それが五十一年になりましてさらに再度もう一年延長いたしまして、現在は五十三年の五月末までということでその調整規定が働いておるわけでございます。
  71. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 そうすると、来年の五月になると、そのいわゆる保護政策が裸になる、こんなような状態になるわけですか、そのままいけば。
  72. 柳昭夫

    説明員(柳昭夫君) そのとおりでございます。
  73. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 この配船調整は運賃同盟という表現もあるようですが、そういった性格も持っておるのですか。
  74. 柳昭夫

    説明員(柳昭夫君) 運賃同盟は、沖繩に就航しております各社が同盟を組みまして、運賃と配船につきまして業務上の協定をやっておるものでございまして、これは商売の話でございます。ただいま申します配船調整と申しますのは、そういう同盟船以外の船が沖繩航路に就航することを制限するという業界内部の一種のカルテル行為みたいな調整行為でございますので、性格が全然異なるものでございます。
  75. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 確かに、いまカルテルという言葉が出ましたが、保護政策であれば、いま荷動きが不況であれば不況カルテルのような感じですね。そうすると、五十三年の五月の時点においてまだそういう状態が続くような状態があるならば、その時点においての判断として延ばすなら延ばすというふうなお考えの弾力を持った構えでおられるのか、あるいは海運政策上、あるいは独禁法上の立場から、これはもう絶対打ち切るんだというふうに、かたくなにお考えになるのか、その辺ひとつ。
  76. 柳昭夫

    説明員(柳昭夫君) 基本的に申しますと、こういうカルテル行為は言うならば不自然な事態でございまして、基本的には、航路の安定のためには、同盟に入っております各社がそれぞれ合理化と申しますか、船腹か過剰であれば調整をし、あるいは運賃の適正な収受を図るというふうなことによりまして経営を安定させるというのがたてまえでございます。われわれといたしましても、そういう趣旨でこの海運問題を指導しておるわけでございますが、この沖繩問題につきましては、先ほど来御説明しておりますとおり、こういう配船調整規定が臨時措置として行われておるわけでございますので、これをどうするかということにつきましては、来年の五月末の時点におきまして、関係業界とも話し合いをし、あるいはそのときの情勢をよく見ながら検討するということ以外にはちょっと御返答のしようがございません。
  77. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 もう時間が来ましたので、あと質問残りが若干ありますが、委員長のお許しをいただきまして次回に保留さしていただきたい。  それで、いまの御答弁はわかりましたが、ぜひひとつ前向きにその状態を把握していただいて、その時点において弾力的に構えていただくように要望して、終わります。
  78. 岡田広

    委員長岡田広君) 伊江君の質疑は終了いたしました。次に二宮君。
  79. 二宮文造

    二宮文造君 私も、いま冒頭に御質問がありました沖繩県交通方法変更の問題についてお伺いしたいんですが、まず、政府にあります沖繩県交通方法変更対策本部長をされている総務長官にお伺いしたいんですが、交通方法変更というのは、結局、考えてみますと、県民理解協力がなければこれはもう成功しませんし、また、その理解協力がなければ安全確保もできませんし、ひいては生命、財産という問題にも非常に大きな問題を生じてまいります。  そこで、そういう面から、ひとつ総務長官にお伺いしたいんですが、明年の七月にこの変更実施すると、こう踏み切った理由は一体那辺にあるんですか、これをお伺いしたい。
  80. 藤田正明

    ○国務大臣(藤田正明君) これは昭和四十八年の九月の閣議決定で、五十一年に実施するということをまず決めたわけでございます。ところが、海洋博その他の関係もございまして、これを五十年の六月の閣議で再度決定をいたしまして、五十三年の七月の末に実施する、こういうぐあいに決定をし直しました。そのときに、この決定に対しましては沖繩県の副知事も参加しておりまして、地元の方の意向も十分に入れた上で五十三年の七月末に実施すると、こういう閣議決定がすでに五十年の六月にできておるわけでございます。ですから、いまさら五十三年の七月末にそれを実施すると決めたわけではございませんで、五十年の六月にはもうすでに決めておった、その時点において沖繩県の意向も十分に参酌もし述べてもらった、こういうふうなことでございます。
  81. 二宮文造

    二宮文造君 いまの御説明で、実施の時期はそういうふうに決定をした、しかし、その対応策が果たしてテンポが間に合ってきたかというのが今日非常に問題になっているわけです。  たとえば、いまの総務長官は副知事が出席をしたと。ならば県は全面的にこの国の方針に賛成をしているかどうか、この御判断はどうですか。あるいは一番問題になってくるのは、やはり那覇市とか浦添とか宜野湾とか沖繩市とか、こういうところが交通状態から考えて一番問題になってまいりますが、そういう交通方法変更についての自治体とのいわゆる話の詰めですね、これは完全にできたのかどうか。まず、私、この県と四つの市とのいままでの協議の模様について御報告いただきたい。
  82. 藤田正明

    ○国務大臣(藤田正明君) 大体、先ほど申し上げましたように、五十三年の七月末でやるということは決定をいたしておったわけでございますが、いよいよ政令の公布をいたしましてその段取りにかかるという段階になってまいりまして、いろいろと各市、特に那覇市、沖繩市、その方面からクレームが出たことは事実でございます。  そこで、六月、七月の段階に、総理府の政務副長官、事務副長官、それからまた交通対策室長、こういうふうな人々か、特に交通対策室長はもう数回にわたって沖繩に参りました。いまのような政務、事務副長官も沖繩に参りまして、そして地元と協議を重ねてきたわけであります。  それから、これを来年の七月に実施するといたしますと、どうしても八月末なり九月中にはこの政令の公布をしなければ間に合わない。これは工事のこともございますし、それからバスの発注ということがございます。バスとかタクシーの入口の変更がございますから、それらを発注するためにももう八月末、九月半ば、これが限度であろう、こういうふうな事態も生じてまいりました。  そこで、私は、沖繩の県知事と二時間にわたって東京で九月一日に会談を持ちました。ひざ詰めでいろいろと話をいたしまして、現地要望もそこで十分にお聞きもいたしました。県知事といたしましては、すべて納得をされたとは申しませんが、大筋において了解をされたところであります。で、そういうふうなことを踏んまえた上で政令の公布というふうに考えたわけでございますが、参議院の交通安全対策特別委員会の方が九月の二日に向こうに行かれております。帰るまで政令公布を待たぬかと、こういうお話もございまして、そしてまたそれを待ちまして九月の九日でございましたか、その委員会がございまして、これに数時間にわたる質疑をいただきました。この現地に御出張なさり、そして視察をなさった特別委員会の先生方にもほぼ御納得をいただき、その上で公布をしたと、こういうことでございますので、われわれといたしましては、決して見切り発車ではございませんし、全部が全部一〇〇%御了解をいただいたということは申し上げませんが、大筋において御了解は得ながら政令の公布に踏み切った、こういうことであると思っております。
  83. 二宮文造

    二宮文造君 経過の御説明をいただきましたが、沖繩の県知事と総務長官がお話をされたのは九月の日、私ども沖繩に参りましたのはその後でございます。先ほど報告いたしたとおりであります。  そのときの県知事と私どもとの懇談の零囲気を私いま思い起こしてみますと、この交通方法変更沖繩にとってプラスかマイナスか、果たして七月にやって問題は残らないかというようなやりとりをやっておりますうちに、県知事はそっぽを向いてしまいました。要するに何か箝口令をしかれたみたいな、自分としては何らこの問題については発言ができない、反対をすれば反対をしたで政府の方のごきげんが悪いだろうし、また賛成をしたら県民に会わす顔がないというようなせっぱ詰まったお気持ちなんでしょうが、非常に不満を顔にあらわしながら積極的に発言をなさいませんでした。いま総務長官は一〇〇%御承認をいただいたとは思わないけれどもというふうな印象をお話しされましたけれども、私の印象は、交通方法変更についての県知事の考えは不満の方が九〇%近くあるんじゃないかな、そういう印象を受けてまいりました。  それから、いまちょっと答弁がございませんでしたが、那覇市とか浦添、宜野湾、沖繩、この関係自治体といままで協議をされた、あるいはいろいろ皆さん行かれたようですが、今日におけるこれらの自治体の感触はいかがですか。
  84. 室城庸之

    政府委員室城庸之君) 九月の一日に大臣が県知事にお話しになりましたことは、いま御答弁があったとおりでございますが、その後、九月五日の日に、県知事が那覇市長と——まあ三役会議と言っておられますが、県と那覇市の主だった幹部が集まられまして、そこでいろいろこの問題について慎重に会議を持たれました。その結果、那覇市としても延長ということを従来言ってきたけれども、今日の時点ではとにかくやれるだけやってみようというふうなお話になったというふうに承っておりますし、その後、私は九月の二十八日の日に沖繩に参りまして、県知事にもお会いいたしました。また、私の方の調査官を現地に現在常駐さしておりまして、この調査官に、那覇市あるいは沖繩市、宜野湾市そういった主だった市長にはお目にかかって、いろいろ事業の遂行についての御意見等を九月の時点で十分にお伺いさせております。  そういうことで、ただいまも大臣からお話がありましたように、いろいろ事務上の不安ももちろんあるわけでございます。私どもも初めての経験でございますので、これだけやっておけば完璧だという自信はもちろんあるかと言われれば、いろいろ問題があることは十分承知いたしております。しかし、いまの時点では、みんなでとにかくこの方向で努力するだけしてみようという機運になってまいったということは申し上げて差し支えないんじゃなかろうかというふうに考えております。
  85. 二宮文造

    二宮文造君 私、寡聞にして、いまの御説明趣旨はよく知ってないんですが、私の記憶の中には、たとえば那覇市は五年間延長してほしいと公式に宣言をされました。それから、その他の地区は五年じゃありませんけれども、たしか三年か二年か延期してほしいと、このままではとても対応できないということをかねてから市長は発表しておりました。その後市長さんかかわった地域もありますけれども、これは公式にそういうふうに発表されたことを公式に取り消されたんですか。いま言った那覇市あるいは宜野湾、浦添、沖繩、従来延長してほしいという意思を公表していましたね。これをもうやむを得ないと、協力しようと、こういうふうに延長してほしいという意思を公式に取り消しておりますか、この辺どうですか、私はまだ聞かないんですが。
  86. 室城庸之

    政府委員室城庸之君) 公式にという内容がちょっと私どもも解せない点ございますけれども、五年延長ということは那覇市長はいわば持論のように新聞にも御自分の論文を載せておられますし、また県知事に対しましても那覇市長の名前で五年間の延長は必要であるという文書も出しておられます。ただ、いま申し上げましたように、それをとにかくやってみようということで踏ん切っておられますのは、現在の時点そういうことでございまして、いまの五年延長説を消したとかいうような、そういった表向きに積極的に否定されるというような形で動いておられるかどうかについては承知いたしておりません。
  87. 二宮文造

    二宮文造君 これは委員会の席上ですからね、市長というのは公式に市民に選ばれた代表ですよね、その皆さん方との間の私の話し合いを、公式の席上でいかにも市長が前言を取り消したがごとく報告をされるということは、これは市長の意思を十分にくみ取ったものじゃないような気がしますよ。ですから、私は、公式に市長はそういう宣言をされたんですかと。私人のささやきと公式の表明と、それはこういう公のこの委員会の席上でやはり言っていいことと悪いことと判断されるべきではないだろうか、こういう気持ちで、ついそういう話になったものですから、これはひとつ非常に重要な発言ですから、恐らくこれは沖繩のローカル紙には、市長は協力すると、こう政府に約束をしていると、こういうふうに報道されたら、市長の意思と反したら、これは大問題でありますよ。この辺は取り消さなくてよろしゅうございますか。
  88. 室城庸之

    政府委員室城庸之君) 積極的に協力するというような御発言があったということではないと思います。私が申し上げておりますのも、県知事と市長とがお会いになりまして、ほかの幹部も携えて両者御協議になりました際に、とにかくついた予算は完全に消化するように努力すると、これははっきりおっしゃっておりますし、新聞にもそのように出ております。したがって、延長する必要があるというその必要性をいまだに持っておられるとは思います。しかし、それはそれとして、やるだけやってみると言っておられることは、これは事実でございます。
  89. 二宮文造

    二宮文造君 非常にまた答弁変わったんですよ。ついた予算を消化する努力をしようと言ったことであって、七月実施協力をしましょうということじゃないんですよね。ついた予算をこなしましょう、こういう話でしょう。  これは後で具体的にまた問題出てきますから申し上げたいと思いますが、一つは、ですから、そういうふうな背景というものを考えながら、この交通方法変更というものについての自治体やあるいは県民の受け取り方は、端的に言いますと、これは国が国の都合で言い出したことだと、よろしいですか、国の都合で言い出したことだ、われわれがこうしてくれと願ったことではない、だから事業の主体というものは国がやるべきだ、県とか市町村協力をする立場にある、したがって交通方法変更に要する費用というものを自治体の負担にはさせてはならない、また県民の負担にもさせてはならない、こういう論法が現地のコンセンサスだと私は思うんです。この辺、大臣、どうでしょうか、こういう現地の受け取り方は。
  90. 藤田正明

    ○国務大臣(藤田正明君) いま二宮先生がおっしゃるとおりでございます。これは国の責任においてやるべきことでございますから、もう原則的に国庫が負担すべきものである、かように考えます。
  91. 二宮文造

    二宮文造君 それで、問題は、これも新聞報道ですから、私はまだ果たしてその数字が正しいかどうかこれは確信持てませんが、新聞報道をそのままここに問題提起をして政府考え方をお伺いしたいんですが、要するに、いまも伊江先生からお話があったように、すみ切りの問題とか、あるいはバス停の改良の問題とかいうのは安全確保にはどうしても必要なことです。ところが、那覇市の市道は約八百三十本あるそうですね、その中で特に重要だと思われる市道の十数本を引き出して、よろしいですか、十数本の市道を引き出して、そしてこの際どうしても安全確保のためにすみ切りをしなければならない個所として選び出したのが百九十カ所、ところが国の方で話をしているうちに、その話がまとまったのはわずかに二十一カ所、こういうふうに新聞報道に出ております。  市の方が安全確保のために選び出したすみ切りの場所が百九十、合議ができたのが二十一カ所、こういうのはこれは実態ですか。
  92. 美野輪俊三

    政府委員美野輪俊三君) ただいま先生御指摘の数字は百九十カ所という数字を挙げられましたけれども、これは経過的に申しますと、昨年の予算によりまして、建設省から沖繩県の方に、この交通方法変更に伴って道路施設をどういうところをどのくらい改良したらよろしいかというような調査を依頼して、そして県の方では、それによりましてそのための委員会をつくりました。学識経験者、それから関係官庁の職員、それから県、那覇市の職員、それが加わりまして検討を続けてまいったわけであります。  その際に、まず、那覇市の方からその百九十カ所を改良してほしいという要望が出されたわけです。それがその委員会によりましていろいろ検討された結果、結局、那覇市につきましては、先ほど先生が挙げられました二十カ所でございます、これが改良必要な個所ということで出されたわけでございます。それによりまして私ども大体所要額を積算いたしておりましたところ、本年の七月になりまして、那覇市から百九十カ所について再度の要望が出された。それから、それと一緒に他の市町村からも同時に追加要望——十カ市町村でございますが、出されたという、こういう経緯がございます。  私どもといたしましては、市町村要望が出そろいました九月の末に、担当官を派遣する、建設省からも参加して。こういう形で現地にいろいろ精査をいたしまして、その結果、那覇市の担当官等も了承の上で採択をいたしましたのが約五十カ所でございます。那覇市につきましては約五十カ所採択をいたしております。この点につきましては那覇市の方も了承いたしておるところでございます。
  93. 二宮文造

    二宮文造君 そうすると、確認をしますが、百九十カ所、とにかく改良であろうが何であろうが、交通方法変更に伴って道路の改良をしてもらいたいという要望が、いろいろ手続をおっしゃいましたけれども那覇市の意思として出た。そしてその合議をして二十カ所まず採択した。その後またさらに百九十カ所の要望が出てきたので、九月に係官を派遣して、五十カ所とおっしゃったが、さらに五十カ所追加をしたということですか。
  94. 美野輪俊三

    政府委員美野輪俊三君) 当初の那覇市の百九十カ所という要望は、これは交通方法変更に伴います必要な事業ということで私ども考えておるわけでございますが、さらに理想的に考えますと、この辺の改良をいたしたいというような個所も実は含まれてございまして、その後、那覇市との折衝におきまして、政府考え方といいますか、あるいは先ほど申し上げました県の調査委員会考え方等について那覇市の方も了解いたしました結果、その百九十カ所は、先ほど申し上げました九月に私どもの専門官等が派遣された段階では、那覇市の方においては取り下げてございまして、実は、大変数字を間違いまして申しわけないんですが、先ほど五十カ所とこう申し上げましたが、九月の段階では那覇市の要望そのものが二十カ所になってございます。それにつきましては、さらに現地を視察しました担当官等がほかに必要な個所、漏れがないのかどうかというようなことも精査をいたしまして、最終的には、現在、二十五カ所予定しておる、こういう状況でございます。
  95. 二宮文造

    二宮文造君 数字が変わったので、また再確認しますが、前に二十カ所とおっしゃったのは、それを含んで二十五カ所ですか、新たに二十五カ所ですか、この点はどうですか。
  96. 美野輪俊三

    政府委員美野輪俊三君) 含んでの二十五カ所でございます。
  97. 二宮文造

    二宮文造君 前進はないということですよね。ですから、大臣がそういうふうにすべて国の責任でやりますと、こういうふうにおっしゃっていただくことは非常によくわかるんですが一実務の段階で那覇市が取り下げた、取り下げたんじゃないんです、取り下げさせる努力を国の方がやったんです。それじゃ話にならないということで、那覇市に、これはまた私の言葉が悪いかもわかりませんが、俗に言う押しつけというようなかっこうでやったのではないか。  だって交通安全を確保するためには理想的な状態にしていいんでしょう、理想的な状態にして悪いはずないじゃありませんか。しかも、いままでとは車の運転は全く逆になるんですから、ドライバーの心理としてはこれはもう非常に危険きわまる不安を常に持ちながらハンドルを握っているわけですよね。安全確保をするならば、安全確保ということに重点を置くのであれば、理想的な状況に近づけることが非常に大事なことであって、予算とかなんとかいうことに縛られてそれを制約してしまう、これは今回の場合政府のとる方式では私はないと思います。  あわせてお伺いしたいのですが、バス停の改良がこれまた那覇市の方からは六十一カ所、こういうふうに政府の方に要望したようですが、これも改良として採択されたのか二十八カ所、半分以下、こうなっているというふうに伺いましたが、これもその九月に係官が行かれたようですが、その後、変わりましたか、バス停の改良は。
  98. 美野輪俊三

    政府委員美野輪俊三君) 交差点の改良の問題でございますが、これにつきましては、まず、交通方法変更に伴う道路施設変更事業といたしましては、県の調査委員会報告に基づきまして、交通方法変更に伴い必然的に必要となる道路施設変更、それからもう一つは、交通方法変更に伴い交通上の危険を予防するために必要な道路施設変更、これを交通方法変更に伴う道路施設事業として採択をするという基準ができ上がっておるわけでございます。先生御指摘のように、よりよくして悪いことは決してないわけでございます。それらにつきましては……
  99. 二宮文造

    二宮文造君 時間がありませんから、バス停の方を言ってください。
  100. 美野輪俊三

    政府委員美野輪俊三君) 失礼しました。  バス停につきましては、那覇市につきましては、当初要求では六十一カ所、それからそれに対しまして県の報告書によりまして二十八カ所でございます。それで、そのうち必ずしも必要ないと思われます——その辺、他に必要な個所の追加等もございます、その辺の差し入れがございますが、最終的には、その二十八カ所を採択する予定にいたしております。
  101. 二宮文造

    二宮文造君 いまお話を伺いまして、やはり大臣の積極的な姿勢とそれから実務との間に大きなずれが生じているような気持ちがいたします。  これは冒頭に申し上げましたように、国の都合でやるという認識に立つならば、もっともっと問題解決のために財政上の負担あるいは事業の進捗、そういうものをあわせやっていただきたいし、そして七月の末と決めたから、あくまでも実施するんだという姿勢ではなくて、場合によったら、住民、県民のコンセンサスを得るため、安全確保のために延ばしてもいいんだと、こういうふうな含みも場合によれば私は必要ではないだろうか、こういう気がします。これは答弁要りません。答弁を求めても恐らく答弁は出ませんから、ですから要望事項として私申し上げて、本日の質問を終わりにしたいと思います。
  102. 岡田広

    委員長岡田広君) 二宮君の質疑は終了いたしました。次に下田君。
  103. 下田京子

    下田京子君 沖繩県を中心にした中学浪人の解決をどういうふうな形で図っていくかというようなことも含めて御質問したいと思います。  御存じのように、文部省が今月の十一日に「五十二年度学校基本調査」を発表されました。今回の調査の中で新たに取り上げたこととして中学浪人の問題がありますけれども、全国では一万七百四十八人、入学者に占める割合がなんと〇・七%、そういう中で、実に沖繩県だけで入学者に占める中学浪人の割合が六・三%、まさに日本一の中学浪人を抱えているわけで、その数字が御存じのように千百五十三人おるわけです。  こういったことにつきまして、いろいろとその原因等々あると思うんですけれども、全国的に一般的に言われていることは、何といってもいまの学歴第一主義社会の中で有名高校に殺到するという傾向が出ているわけですけれども、しかし、本当に入りたくとも入れない、近くに高校がない、また近くに高校があっても私立高校で、その授業料はと言えば沖繩の場合ですと実に一カ月の授業料が八千五百円にもなるというような状況で、またこれも大変だというようなことをあれこれ考えますと、特に全国的にも、そしてまた沖繩についても言えることは、はっきりと絶対的な高校不足が挙げられるんじゃないか、こう思うわけです。  私自身も子供がおりますし、特に沖繩那覇市の教育関係者あるいは先生方、また父母の皆さん方の声を聞くにしましても、本当に真の学力を身につけさせる、あるいは、わずか十五歳の少年少女が浪人ということでもってこの社会の中で大変な悩みを受けるということ、これが人間形成上から見て本当に好ましいということにはだれしも考えられないことだと思うわけですね。これらについて、文部省なり、それから担当大臣なりがどのようにお考えをお持ちか、今後の改善策など、非常に基本的な考えで結構ですので、まず最初にお願いしたいと思います。
  104. 藤田正明

    ○国務大臣(藤田正明君) おっしゃるとおりでございまして、沖繩県におきまして高校不足は確かにございます。それからまた、私立高校の方にはこれは定員の余剰がございます。これは私立高校をもっと充実させなきゃいけない、こういうことがございます。  現在、私立高校の充実とともに、新しく高校を四校新設するべく準備中でございますし、すでに二校の方はその工事にかかっております。こういうふうに四校が新設され、そしていまのような少し定員の方が余っておるというふうな私立高校が内容が充実され、そしてまた金銭的負担が家庭にかからないというふうな方途も、これも考えていかなくちゃならぬと思います。そういうことができますれば、沖繩における中学浪人の解消、こういうことができると存じます。これも長い年月ではございませんで、ここ三年間ぐらいのことでやはり遂げるつもりでおります。
  105. 下田京子

    下田京子君 文部省の方も。
  106. 倉地克次

    説明員(倉地克次君) いま御質問の件でございますが、開発庁の大臣の方から御答弁がありましたように、沖繩についてはそういう事情であるかと思いますけれども、私ども、最近高校生が非常に急増しておりますので、五十一年から本土につきましても高校の新増設に対する建物の補助ということを始めている実態でございます。沖繩では、四十七年以来、高校をつくりますときには三分の二の高率補助で補助を行っている次第でございますが、本土におきましては、各県の進学率の実情でございますとか空き定員の実情などを考慮いたしまして、一定の要件のもとに三分の一の補助をしている次第でございまして、五十一年では四十億程度補助金でございましたけれども、五十二年ではこれを百八億に伸ばし、さらに来年度も相当程度伸ばすよう努力している次第でございます。そういったことによりまして、いまのような浪人問題にも校舎の面からの対策としては措置をしている次第でございます。
  107. 下田京子

    下田京子君 全国的に去年からようやく高校新設に対しての補助かついたと、来年も伸ばしていきたいというふうな答弁でしたが、一つ、最初に、全国的に見て絶対的にいまの国の予算ではやっぱり足りないということで、御存じのように全国知事会の中でも国に何度かそういう要望を出されているということで、文部省としても全体としてのもう少し促進ということで、まずお願いをしておきたいと思います。  沖繩のことについて具体的にお話を伺いたいわけですけれども、いま大臣のお話の中で、私立の充実を一つはやりたい、それから公立高校にしても今後五十三年度を目途に四校というようなことも出されました。ということは私も聞いておるわけですけれども、実際にこれで足りるんだろうか。現地の皆さんはとても足りない、こう言われているわけです。  その点で、まずこれに先立ちまして確認しておきたいわけですけれども沖繩については四十六年に沖繩振興開発特別計画が出されて、翌年新たな計画が具体的に出されまして、高校問題についてはその後五年計画、あるいは一年繰り上げて去年から新たにまた三年計画ということでやられて、その中にいまのお話が入っているんだと思うわけですけれども、ただ実際としては、高校の数そのものがそれでは足りないということと、それから高校建設のことを考え予算を計上しても、その高校を建設するための用地がないということを実際出しているわけです。このことについては大臣並びに関係者の皆さん御承知だと思うんですね。特にその沖繩についての振興の特別な計画が出されたその背景としても、この計画の中にきちんと言っているわけですよね。御存じかと思いますけれども沖繩の場合には、土地利用状況から見ても、特に米軍基地が全県の中の本島の中で二三%を占めているというふうなことで、米軍基地の問題が絡んでいる。そういう中で用地買収が困難であるということはもう御承知だと思うんですけれども、そういう点で、やっぱり県任せ、あるいは市の計画を土台にということが基本だと思うんですけれども、もっともっと国が責任を持って、用地買収等も含めて実情に合った形での計画の練り直し、あるいはそれに見合った形での補助といいますでしょうか、そういうものが必要じゃないかと、こう思うんですが、その点いかがですか。
  108. 美野輪俊三

    政府委員美野輪俊三君) 沖繩の高校不足の問題につきましては、先生御承知のとおり、復帰後これまでに公立高校で五校建設しております。それから今後五十五年までになお四校建設する、こういうような計画になっておるわけでございます。  国としましては、復帰時、高校の施設の不足というようなことも考え、また沖繩の財政事情等も考慮いたしまして、その建設の促進のために、沖繩県に対する特別措置といたしまして高校の施設整備に対する補助制度を設けたわけでございまして、これは全国的にはない制度でございますが、施設整備につきましては沖繩県で三分の二の補助をいたしておるというのが現在でございます。そういうことで、これまでにも、私ども聞いておる限りにおきましては、県の計画どおりに高校の新設、増設等がなされてきておりますし、さらに用地の取得について補助制度考えたらどうかという御指摘でございますが、現在のところ、起債措置によるほか国庫補助制度を設けることは困難ではないかというふうに私ども考えております。  また、もう一点は、すでに県といたしまして計画的に九校の建設を進めてきたわけでございます。これまでに五校を整備した。さらに、あとの二校につきましては本年すでに建設に入っておるわけでございまして、そういったことであと二校、それも隔年一校ずつの整備計画と、こういうような形になっておることも申し上げておきます。
  109. 下田京子

    下田京子君 いまの話は私も聞いて知っているわけなんですが、それでは実際にいまの中学浪人の問題も含めて沖繩の全部、県の教育の問題の解決にはほど遠いというお話なんですよね、現地の方が。そして具体的に高校の建設のその計画につきましても、沖繩全県で足りないということと同時に、那覇市だけ見ましても、それが特にはっきりとあらわれているわけです。  御存じだと思うんですけれども、五十二年度沖繩全体の中で那覇市だけで中学浪人が三百七十一人出ていますね。同時に、那覇から那覇市以外の市外の高校に通っている子供が現在千七百五十名おるわけです。そういうことを足しますと、単純計算ですけれども、二千百二十一名という数字になりますから、一学年八学級から十学級が適正と、こう言っていて、それ以内でというお話で、仮に四十五名定員のクラスで十学級建設ということにしましても、単純計算でも五校必要になるわけですよ。あと何年か後に一時また生徒数が減りますけれども、その後またふえていくというような傾向でありますから、児童生徒の動態を見ますと、やっぱり長期的計画を展望した形での高校増設という問題が絡んでくると思う。ですから那覇市だけとってもそういうことになれば、もう市内だけで五校の建設がいま望まれる、必要だと、こう言われているわけです。そして教育関係者も含めまして、那覇市で再三県にも国にも具体的に要望を出しているというお話で、最低でも三校、三地区、首里地区とか泊、小禄とかと分けて必要だと、こう言われているわけです。だから、ここの御認識を変えていただかなきゃならないわけで、その点で再度現地の皆さんとの懇談をし、また生徒、児童の今後の推移等を見まして、計画を練り直してみるというお考えはお持ちでしょうか。
  110. 美野輪俊三

    政府委員美野輪俊三君) 高校の新増設計画等につきましては、まず、県の方の計画等をよく私どもといたしましてもお聞きいたしまして、その計画が妥当なものであれば、これが円滑に実施されるように国の方としてもそれに対応する措置を講ずる、こういう形でやっていく。これまでも大体県の計画は円滑に実施されてきておったと思いますし、また、今後も、県の計画の円滑な実施に私どもとしてできるだけの努力をいたしたい、このように考えておるわけでございます。
  111. 下田京子

    下田京子君 ぜひそういう点で県なり、それから地元の関係者なりと相談をして、本当にこれでいいのかという形で再度また検討も含めて本当にこれらの解決のために具体的に手を打っていただきたいと思います。  それを進めていくに当たって、さらに具体的なことになるわけですけれども、現実としていま那覇市だけでも市民運動のような形で新たにこれは盛り上げていかなきゃもうだめだという声が上がっているわけなんですよね。いまおっしゃったような方向で政府にやっていただく上でも、どうしてもやっぱり絡んでくるのが用地買収の問題なんです。現在の制度としてはおっしゃるように起債しかないということなんですが、まず、この起債の問題なんですけれども、自治省との関係になりますでしょうか、起債の枠そのものを拡大してほしいということと、それから低利の財政投融資関係ですか、そういうようなものを充ててほしいというふうな希望もあるわけで、実際に用地買収に関しての起債の限度があって、基準があって、その中ではとても適当な土地が見つからない、そう言っているわけなんで、その点沖繩に見合った形での起債そのものについて見直すというお考えはないでしょうか。
  112. 津田正

    説明員(津田正君) 自治省の方からお答えいたします。  高校の用地の起債につきましては、一般単独事業の中で措置しておりまして、所要額の九〇%を起債で措置するというようなことになっております。五十一年度の実績で見ますと、全国的に百尺十一億程度の許可をしておるわけでございます。本年度につきましては、現在、取りまとめ中でございますが、沖繩につきましては、私ども、起債申請、用地関係で十三億の申請が来ております。これは近く処理いたしたいと、かように考えております。  それから資金の問題等御質問がございました。資金の問題につきましては、実は、地方債計画全体におきます政府資金、まあこれか一番良質安定的なものでございますが、これが正直申しまして非常になくなっておるような状況でございます。地方債計画は、従前でございますと、大体その六〇%程度政府資金でカバーしておったわけでございますが、五十一年度、五十二年度等におきましてはそれが半分程度に落ちております。その場合に、少なくなった政府資金をどこを重点的に置くかと申しますと、やはり市町村関係が一番いわゆる民間資金からの調達が困難であろうというようなことで、残念ながら高校関係につきましては県というものが事業主体で、むしろ市町村に比べれば民間資金の調達がしやすいというようなことで政府資金が措置されておらないような状況でございます。  私ども、これで決して満足しておるわけでございませんで、来年度なるべく政府資金の充実と、特にこういうような高校施設整備という問題、国民的にも重要な問題でございますので、その点にも政府資金を入れてまいりたい、かように努力してまいりたいと存じますが、そのほか、いわゆる高校改組に絡みまして、公営企業金融公庫が普通会計債にも貸し付けられるようになればある程度の安定資金が確保できるのではないか、こういうことで、来年度いま努力中なわけでございます。
  113. 下田京子

    下田京子君 いまの答弁の中で、基本的に高校問題については県が主体であるということですが、社会的な大きな問題になって、これも国の責任も大きいということでどんどん変わってきているわけですから、その御認識はだんだん変わってはいるんでしょうけれども、さらに改めていただきたいということを、そういう視点から政府資金の活用を来年度はやりたいということでお話があったんだと思うんですが、ぜひその方向で、特に沖繩、また要望の強い急増地帯等々にもそれらの政府資金の活用をと要望したいと思います。  それから、同時に、起債の枠についても、基準そのものが低いというわけで、その九〇%をと言ってもそこに問題があるわけで、さらに検討いただきたいということ、これもまた要望しておきたいと思います。  さらに、この起債の問題と同時に、やっぱり高校建設に対して特別に補助制度を入れていただきたいということが、全国、そして沖繩では特に強い要望になっているわけなんですね。時間もありませんから、やっぱり補助制度を特別に設置しろという点でのこれからの動きなんですが、その辺を簡単にちょっと伺いたいんですが。
  114. 津田正

    説明員(津田正君) 高等学校の補助制度につきましては、御承知のとおり五十一年度より公立高等学校の補助金が文部省でつくられたわけでございます。今後とも、その制度の拡充強化が図られるよう、私どもとしましては関係省庁に要請してまいりたいと存じます。ただ、この場合に、施設自体の補助が私どもとしましてはまだ不十分ではないかというような感じを持っておりまして、用地の問題というよりは、現在の段階では、施設の補助制度の拡充というようなことを関係省にお願いしておるような状況でございます。
  115. 下田京子

    下田京子君 沖繩のことに特にしぼってですが、おっしゃるように全国的に施設云々のことではわかりますけれども、同時に、それと並行して数字的にも、いま細かく言いませんけれども、同じぐらいかかっているのが用地買収の問題ですね。特に沖繩の場合にはそれがひどくなっているわけで、だから沖繩については、まずとりあえずこの用地買収も含めて補助の中に入れろということをお願いして次に移りたいんですけれども、特段に沖繩那覇市なら那覇市の中で高校建設を進めていくときに、用地がないという点で米軍基地の払い下げ問題が五十一年度から出ていると思うんですよね。  その後の経過と、それから今後の見通し等についてお伺いしたいんですけれども、五十一年の三月四日だと思うんですけれども、内閣委員会でうちの瀬長亀次郎議員が質問しておりまして、現在の那覇空港、それから海軍補助施設の払い下げ問題ですね。この中には旧那覇市内の国民学校が第一、第二と二つあったと、これらのことも含めて早く払い下げて使用できるようにというような質問をしているわけなんです。これに対して当時の国務大臣が答弁しているわけですね、返還実現のための作業が進められていると、そしてこれはおっしゃるように市の所有地でもあるから、すぐに学校用地として使えるようにしたいというふうな答弁をしているわけなんですが、その後も、この小禄の空軍・海軍補助施設の払い下げ問題というのが現実的に市の方に移管になっていないというようなことで、要望等も国に上がってきていると思うんですけれども、これらのことについて、どういう見通しが持てるでしょうか。
  116. 亀谷禮次

    政府委員(亀谷禮次君) 先生のただいまの御質問は主管が防衛施設庁でございまして、私どもがお答えを直接する権限はございませんが、関係省庁として承知しております範囲では、先生御案内のように、復帰の時点におきましてアメリカ政府と日本政府基地返還の大要を決めました際、沖繩市内におきますいわゆる小禄の米軍空軍・海軍補助施設並びに天久のいわゆる米軍軍人軍属用の専住住宅地域につきましては、適当な地域に移設を条件として、これを速やかに返還を図るというふうに相互に結ばれたように私は理解しておりますが、その一環として、現在、天久の軍人住宅地区につきましては逐次予算化と移設が図られておりますが、そういった関連の中で今後行われることになろうと思いますが、いまあの地域の部分が早急にいつ返ってくるということについては、まだ私ども省庁としても伺っておりません。
  117. 下田京子

    下田京子君 もう昨年の話で、大臣も含めてやりたいとおっしゃっているわけですから、防衛施設庁並びに関係するところと早急に話し合いの上、地籍確定の問題等も絡んでおると思うんですけれども、やっぱりこういったところを早急に利用できるように進めていただきたいというふうに思います。  それから同時に、さっき私学の充実の問題がありましたけれども、私学助成を、授業料直接補助というような形も含め、あるいは公費民営といいますでしょうか、そういうふうな形でもっともっと予算上本当に充実ができるように私希望したいわけですか、その点の具体的な見通し等ありましたら、お願いします。
  118. 倉地克次

    説明員(倉地克次君) 私ども私学の助成の所管課ではございませんので、直接責任ある御答弁はできないわけでございますが、私の承知しておる限りにおきましては、私学の経常費の助成ということで五十年度に八十億の予算が計上されたわけでございます。その後、五十一年度には一二五%、五十二年度は六七%という非常な伸び率予算がふえておるわけでございまして、五十三年度の概算要求におきましても六〇%の概算要求の増を行っておる次第でございます。
  119. 下田京子

    下田京子君 簡単に、もう時間ですし。
  120. 倉地克次

    説明員(倉地克次君) そのように私ども文部省としては十分努力しているということでございます。
  121. 下田京子

    下田京子君 時間でありますから、やっぱりやれるかどうかということを聞いているんですから、本当に、私学のことも含めて、用地のことも含めて、高校増設が速やかになされるようにという点で、大臣の方でも、特段に地元並びに関係省庁と連絡の上、さらに計画の練り直しも含めて対処されますことを最後に希望しまして、発言を終わります。
  122. 藤田正明

    ○国務大臣(藤田正明君) ただいま下田委員の言われましたことは、中学生浪人の解消でございます。それを必ず一日も早く高校を充実させることによってその解消の実現を図りたい。各関係省庁と協力して努力をしてまいります。
  123. 岡田広

    委員長岡田広君) 下田委員質疑は終了いたしました。次に喜屋武君。
  124. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 私は、ベトナム難民の受け入れについて、きわめて短い時間でありまするが、お尋ねしたいと思います。  まず、難民受け入れの責任はどこにあるのか、これをまず明らかにしていただきたいと思います。
  125. 藤田正明

    ○国務大臣(藤田正明君) ベトナム難民の受け入れにつきましていろいろと協議いたしましたけれども、結果、厚生省が担当するとか、外務省が担当するとか、いろいろうまくいかぬ点があるのです。そこで、内閣の方でベトナム難民対策連絡会議というものを設けまして、その座長を官房長官にいたしました。そういうことで総理府、法務省、外務省、大蔵省、厚生省、農林省、運輸省、労働省、建設省、自治省、それぞれの大臣か参加をしてそれを構成してやる、今後処置していこうと、こういうことでございます。
  126. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 そうすると、難民受け入れの一切の責任は日本政府にあるとおっしゃるんですね。
  127. 藤田正明

    ○国務大臣(藤田正明君) 御承知のように、一時上陸ということは認めております。ただ、定住ということになりますと、現在検討中でございますから、いま喜屋武委員が言われた受け入れということが定住を意味するのか一時上陸を意味するのか、その辺が不明でありますが、現在、すでに受け入れておるわけですから、ですから、責任があるとかないとかじゃなくて、これは人道上の問題であると私は思います。
  128. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 私の聞くところによりますと、難民受け入れの責任の主体は国連難民高等弁務官の事務所、ここが受け入れの責任の主体だと聞いておりますが、それは間違いですか。
  129. 藤田正明

    ○国務大臣(藤田正明君) それは受け入れの主体ということではございませんで、日本としては現在一時上陸を認めておるだけでございますから、この難民の問題の処理につきましては、いまの難民高等弁務官事務所の方へ連絡をし、協議をし、そして相談しておると、こういうことでございます。
  130. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 受け入れる場合に、どういった手続が必要なんでしょうか。
  131. 黒木忠正

    説明員(黒木忠正君) 御説明いたします。  現実に難民が日本に到着いたします際は、まず金銭的な問題でございますが、国連がその難民の身元を保証すると生活費等を支払うということ、そういう口上書を出してまいるということが一つの要件になっております。それから外国船の場合に限りましては、それに加えまして、その当該船籍国の政府から同じような保証をする、それから長期間第三国へ出ることかどきない場合は、その船籍国が難民を引き取るという一つの保証書、これもやはり口上書の形で出てまいりますけれども、そういう保証を前提としまして法務省当局で上陸を許可している、こういうことになるわけでございます。
  132. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 私の調査によりますと、実態は、全国で四十一回受け入れられておる。そして人員にして千五十五名。それから上陸を認めたのが三十九回で千十七名。上陸不許可が三十八名。こういうことを聞いておりますが、これは事実ですか、どうですか、ちょっと確かめておきたい。
  133. 黒木忠正

    説明員(黒木忠正君) ただいまの数、私どもの手元の数字と若干の違いはございますけれども、ほぼ正確なお話でございます。  なお、念のため申しますと、上陸を許可されなかった三十何名といまおっしゃいましたけれども、これはたしか、先ほど申し上げました外国の船舶が救助しました難民につきまして、その政府から最終的な、先ほど申し上げたような保証が出なかったというために、結局、上陸が許可されなかったと、このように聞いております。
  134. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 そうしますと、確認しますが、全国で四十一回で千五十五名。上陸を認めたのは三十九回で千十七名。そうすると三十八名、人員の相違はあるにしましても、これが不許可になった。この不許可の理由はいまおっしゃった理由ですか、ほかにまた理由がありますか。
  135. 黒木忠正

    説明員(黒木忠正君) 私の聞いております限りでは、先ほど申し上げたとおりでございます。
  136. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 それじゃ具体的に、いままでのお話から総合しますと、去る五月一日に沖繩の与那国町に上陸しましたベトナム難民は、結局、不法入国、密航と、こういう形での特殊なケースだと思いますが、これの責任はどこかお持ちでしょうか。
  137. 黒木忠正

    説明員(黒木忠正君) 責任と申します前に、手続的なことをちょっと御説明いたしますが、最初五月一日の事件も、それから九月四日の事件もいずれも与那国町に救命ボートで乗りつけたということでございまして、ほかの三十数件がいずれも大型の貨物船に救助されて本邦に到着したというのと様相を異にしております。そのためにとりあえずどういう手続をとるのかということで若干問題がありましたけれども、第一義的には、いま先生おっしゃいましたように、不法入国の疑いがあるということでそのような調査が行われたやに聞いております。ただし、この問題につきましては、不法入国として取り扱うということは相当でないという判断から、後日、正規の上陸の手続というものが行われまして、ほかの大型の貨物船で救助された難民と同様に、現在、上陸の許可——一時滞在でございますけれども、上陸の許可が出されている、このように承知しております。
  138. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 五月一日に二十七名第一回上陸していますね。で、これはしばらく与那国町で預かっていただいて、いま現在那覇のカトリック教会が引き受けておる、まあきょうの時点ではよく存じておりませんが、最近まで。それから第二回の八十六名が九月四日にこれまた上陸して、そしてきのう与那国を立って、きょう東京に来ると、こういうことなんですが、これは事実なんでしょうね。
  139. 黒木忠正

    説明員(黒木忠正君) そのとおりでございます。
  140. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 それじゃ、この難民が与那国滞在期間に要した経費ですね、費用、これは与那国町が立てかえておるわけですが、この経費の負担はどこが負担するのか、また、その始末はどうなっておるか、これをちょっとお聞きしたい。
  141. 黒木忠正

    説明員(黒木忠正君) 御説明いたします。  先ほど申し上げましたように、国連が一応の生活費を出すという前提で難民の保護が行われておるわけでございますが、私ども国連当局から聞きました話によりますと、与那国町が、五月に入りました二十七名でございますか、これにつきまして約五日間世話した間の費用、それから九月四日に入りました八十六名に対します九月末までの費用、合計五百四十八万円余りを町が支出しているそうでございます。そしてこの五百四十余万円につきましては、一週間ほど前に、与那国町から東京にあります国連難民高等弁務官事務所の方に請求書が送られてきていると聞いております。  それにつきまして、現在、たまたま与那国から東京に向かっております難民を引き取るためにいま国連の職員が那覇に行っておりまして、その請求書の詳細について現在与那国町長さんが那覇に来ておられるようですので那覇調整していると、こういうふうに聞いております。
  142. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 その出費、費用積算の基礎といいますかね、その基準はどうなっておりますか。
  143. 黒木忠正

    説明員(黒木忠正君) 国連の支出でございますが、私ども聞いておりますところによりますと、これは大人、子供を問わずでございます、難民一人一日九百円の生活費を支給する。それからそのほかに一カ月間諸雑費がかかりますので、これにつきまして五千円を支出する。それから医療、病院にかかる等の費用がその他にかかりますれば、これについて国連の方で支出する。それから、ただいまの与那国の事案について申しますと、昨日与那国を出発いたしまして、現在東京に向かっておるわけですが、この間の船賃、航空賃、こういったのも国連が支出する、このように聞いております。
  144. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 いままでの御答弁を通じても、総務長官の御答弁では一切の責任は国にあるんだと、こういった前向きの姿勢であったと私は受けとめておる。ところが、いまの御答弁は何かよそよそしく、聞くところによるととか、日本政府には関係がないといったような、こういう感じを受けてなりません。それではいけないと私は思うわけなんです。  私がそれを聞きましたのは、五百何万というお金は、これは国の規模からするとポケットマネー程度の金かもしれませんが、与那国町にとりましては大変な問題ですよ。私は与那国町予算も調べてみました。そうしますと、まず人口二千二百名ですね、与那国町二千二百名。その貧乏予算が、五十二年度当初予算、歳入が八億七百三十六万八千円ですね。それで、この難民受け入れをめぐって九月に予算補正をして、補正予算が九億九千三百六十二万二千円に補正されておるんです。その中で民生費が当初予算が六千三百七十九万三千円、それが九月補正をして八千三百九十五万八千円、このように補正をして、そしてこの立てかえの経費は予備費から当初予算が四百六万七千円、それが九月補正で六百十二万七千円と、このように貧乏町村の予算を補正をして、そしてこの予備費から一応立てかえてあると、こういうわけなんです。  そして第二回目では、目下、いわゆる九月四日から十月四日までの経費が五百四十八万七千円と一応出してありますね。ところが、十月五日から十月二十五日まで、きのうまでがいま集計中であると、そして船賃もそれにプラスされるわけなんです、その生活費にさらに船賃が。こうなりますと七百万円は超すであろうと、こう言われておるわけなんです。このように貧乏財政をやりくりをしてやっておるわけなんです。それで町長もはるばる皆さんのところにもいろいろとその心情を訴えて要望があったと思うんですが、そういう中で、この前、町長さんとの約束、九月末にその難民を引き取ると、こういう約束がなされておると思うんです。それがきのうまで約一カ月延びたわけなんですが、その延びた理由は何でしょうか。
  145. 黒木忠正

    説明員(黒木忠正君) 延びました理由につきましては、残念なことに、この難民収容いたします施設が、適当なと申しますか、収容する施設がとにかく見つからなかったということでございまして、今度のきょう東京に着きますこの八十六名につきましても分散をして収容せざるを得ない。八十六名全員を一カ所に入れることはできませんで、赤十字関係、宗教関係の各施設四カ所に分散して入れるということからも御理解いただけますように、収容施設を探すのに時間をとった、こういうことでございます。
  146. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 その一カ月も延びたことに対する政府の努力のあり方についても、私は疑問を持つのでありますが、本当にその実情理解してやってやろうという意欲、前向きで問題解決に当たってこられたかどうかということにも私は疑問を持つわけなんですが、こういう不安を持っております。  経費は一応立てかえた、無理算段をして。そうして申請をしてもいつまでに支払われるのか、これに対する不安がある。そうして国連が責任を負ってくれるか、責任を持ちますという正式の回答も得ておらない、こういうことで町当局は非常に不安をいま持っておるのです。それで、もちろんこれは町当局に一文の負担、不利益を与えてはいけない、こう思うんですが、そういう前提に立って、政府が筋として国連から出ると言うならば、それまででも政府か立てかえてやる意思があるかどうか、この点をお聞きしたいと思います。
  147. 藤田正明

    ○国務大臣(藤田正明君) おっしゃいましたように、与那国町に一銭の負担もおかけする筋合いのものではないと思います。国連の難民高等弁務官事務所の方が当然出すべき筋合いのものでございますけれども、もし万一それが延びるとか、出さないとかというときには、これは国の方で責任を持つことを申し上げておきます。
  148. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 万一延びるという、ものには限界が——非常にこれは抽象的でありますが、たとえば一年よりは六カ月は早い、六カ月より五カ月は早いということになりますね。私が確認したいことは、町当局がもうこれ以上待てないから政府でどうにかしてくれ、こう要望したときには直ちに応じてもらえるかどうか、このことを聞きたい。
  149. 藤田正明

    ○国務大臣(藤田正明君) 御承知と思いますけれども、国連難民高等弁務官事務所には日本は相当な金を拠出しているわけでございます。日本も発言権があるわけでございますから、国連の難民高等弁務官事務所の方に早速にも催促をいたします。  それから一年延びるとか半年延びるとか、さっき先生かおっしゃいましたような町財政でそういう負担をかけることは、これは考えておりません。ですから、年内にはぜひ解決をいたしたいし、年内に高等弁務官事務所の方が支払いができないようなら、これは立てかえなければならないというふうにも考えます。時期としてはそんなものだと思います。
  150. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 もう一点、時間ですので、最後に要望を申し上げ、御検討を願い、実現してくださるように。  それは与那国町がそれこそ人道愛から町を挙げて温かくもてなしておること、そのことを御存じだと思います。そうしてまた、町当局は、先ほど来申し上げましたように、非常に苦しい予算の中からやりくり算段をして温かく遇しておる。これを考えてみますと、これこそ私は博愛の精神に通ずるものだと思うのです。  それで、ひとつ財政的にのしをつけて補助していただきたい、補っていただきたい、こういうことも要望申し上げますが、せめて感謝状を与那国町に上げていただくわけにはいかないか、またいただきたい、これを要望申し上げて御検討願いたいと思います。
  151. 岡田広

    委員長岡田広君) 喜屋武君の質疑は終了いたしました。  本日の調査はこの程度とし、これにて散会いたします。    午後零時三十九分散会      —————・—————