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国務大臣(
田村元君) 私が申しましたのは、これは物価変動率というものが上がることばっかり想定しておるわけですね。ところが、現実はとにかくとして、理論的には下がることもあり得るわけですね。物価変動率というものを上がることばかり考える必要はない。現に戦前は物価変動率が上がったり下がったりしておったわけです。ですから、理論上から言えば――現実にはそういうことはまあまあないだろうけれ
ども、理論上から言えば物価変動率が大幅に下がったときには、まあ
国鉄が値下げを持ってくることもあり得る。もちろんほかとのいろんな絡みがありますよ。ありますけれ
ども、これを持ってくることはあり得る。まあ実際にそういうことはなかなか、そんなうまいぐあいにいきゃいいんですけれ
ども、現実にはむずかしいこと。しかし、理論上はあり得る、仮定の問題ですが。
それから、まあ要するにこの算定方式でやった上限、これはいつも言いますように、上限を決めるわけですから、これ以下でなければいけませんよということですから、ですから一番上を持ってくるということはまずございません。といいますのは、
運賃法にも一条だったかに明示してありますが、他の物価との絡みもあります、
一つには。それから従来は三〇%かせぎたいけれ
ども、三〇%かせぐのには、
国鉄離れや客離れもあろうから、まあちょっとサバ読んで五〇%にしておこうと、値上げは。ということで、名目と実質に分けたわけです。ところが、今度は名目、実質に分けない。
国鉄の
経営努力というものを徹底的にやってもらおう。
先ほど来
山田さんが非常に示唆に富んだ、まああなた御自身が車にお乗りになって、
鉄道にお乗りになって感じられた経験談からいろいろと質問されましたね。むだも多いわけですよ、率直に言いましてね。たとえば広告なんかの場合でも、広告会社と
国鉄との間の契約というものが私鉄と広告会社の契約とは
内容が大分違いますね。これはあなた
関西ですから、申し上げれば近鉄の方ががめついですよ、ずっとがめつい。たとえばそういうことがあります。
それから、
国鉄の
関連会社あるいは出入り会社等との契約だってずさんな面ありますね。ということは、
国鉄のOBがそういうところへ入っておれば、その連中食わすために上積みする、たとえば――そういうことがあるかどうかは別ですよ。あるかどうかは別として、家具とかあるいは文房具とか、あるいは事務器具とかいうものを製造元から直接買えば安いですね。ところが、それが
国鉄関連会社の商事会社のようなものを
一つ経由してくれば、そこでマージン抜かれますね。ということは、
国民はそれだけ余分な金を使わされるわけですね。まあそういうことはないと思いますよ。ないと思いますけれ
ども、たとえばという話で、これを盾にとられると困るけれ
ども、そういうことありますね。
それから、
国鉄直接じゃありませんけれ
ども、私は実は駅弁マニアなんですよ。先ほど食堂車のことをお話しになったが、私、
新幹線の食堂車って一遍も入ったことないんです。私は駅弁マニアなんです。ですから、
北海道から九州まで、もうあちらこちらの駅弁食ってるんです。ところが、最近汽車の窓開けて「おーい」って言って、走ってくるやつを買って、汽車が走り出す、それと一緒に弁当屋さんが走って、金払って受け取る、もうあの光景はなくなりましたね。
そうすると、汽車の中で駅弁売りに来るわけです。あるいはアイスクリーム売りに来る、プリン売りに来る。で、人間ていうのは妙なものでして、売りに来るやつを買うのに、けちじゃないんだが、瞬時ためらうんですよ、考えるんです。ところがね、売りにくる女の子、まあ男でもおるでしょうけどね、買おうかなと思うとるうちに行っちまって、いないんですよ。私はいつも買いそびれる、それで。私ね、けちん坊で言うんじゃないけ
ども。待てよ、プリンを買おうかなあと思うでしょう。そうすると、腰かけてる向かい側から来たやつはね、まず買い落としませんよ、買いますよ。後ろから来たやつはまず買い漏らします。売りながら走っていくんですもの、中を。そういうことだってむだですね。で、そういうようなまあいろいろなことを考えれば、
国鉄の
経営努力というものは、大きな問題からいま言ったような小さな問題までたくさんあるわけです。で、これを徹底的にやってもらう。同時に、
政府の
助成も可能な限りこれはやっぱりやらなきゃうそですよ。ですから、たとえば
政府の
助成というものを、従来のような
考え方じゃいけません。それは
国鉄はやりたくない仕事たくさんやらされてるんですから、かわいそうに。
それは
国鉄は、あんな線路本当はつくりたくないがなあと考えておる、あるいはあんなところ複線にしたくない、あそこを複々線にしたくない、あの新線つくりたくないと、こう考えておっても、まあ賢明、聡明な
国会議員が先頭に立つことはあり得ないでしょうけれ
ども、まあひとつこれをやってくれいといって、別に与党だ野党だという
意味じゃありませんよ。そういうことじゃないけれ
ども、まあ頼みに来て、損するに決まっておる、たとえば百円もうけるのに千円も金のかかるようなものまでやらされてるわけですね。
ですから、そういう点で、
国鉄が本来やりたくない仕事で、またやらなきゃならぬという義務もない仕事で、そしてやらされる仕事なんかは、まあ言うなら「構造的欠損」という言葉がこの間から盛んに使われておりますが、そういうようなものに対して私はやはりいままでのように
政府が
助成金というものを恵んでやる的な
考え方であっちゃいかぬと思うんです。
政府が、これだけのことは
政府で
責任を持つから、おまえさんの方も
経営努力は徹底的にやんなさいよと。
たとえば、仮にですね、
総裁が何の車に乗っておるか知らぬが、それこそ先ほどの
山田さんのお話によれば、まあ私もその、専売公社じゃないが、トヨタや日産からしかられるかもしれませんけれ
ども、まあプレジデントに乗っておるんなら、セドリックの普通車に乗りなさい、これも
経営努力ですよ、本当のことを言って。そのようにして、まあとにかく徹底した
経営努力をやる。で、
政府も
助成に対しては
国民に対する務めという観念をもって徹底的にやる。
そうしてね、この二つを組み合わせましてね、それでもなお毎年こうじりじり上がっていきますね、
経費というものは。これはしようがありません、
経費というものは。まあそれはさっき下がるという話をお互いにしたわけですが、上がりますね。その
経費の自然増の部分だけは、これは物価変動率という、まあ言うなれば消費者物価指数や人件費の値上がりやいろんなもので一それは
運賃値上げするなといっても、それじゃあ給料も値上げせぬぞというわけにいかぬのですね。これはまあ一種の連れ高ですよ。ですから、そういうような面で自然に
経費がかさむ点だけは物価変動率の範囲内でこれは
運賃値上げをしてもいいけれ
ども、それにしても上限はこれだけだよと、それ以下でなければならぬよと、名目と実質は同じでなければならぬよと、このようにこの修正案というものは縛りつけておるわけです。
でございますから、私は大変お恥ずかしい話でございますけれ
ども、私個人としては――
政府原案を提出した私は
責任者でございます。
責任者でございますが、こういうことを言うと舌鍋事件になるかもしれませんが、まあそれはお許し願うとして、私、原案よりいいと思っているんです、これはっきり言って、一個の
国会議員として見て。原案よりこの方がいいと、修正案の方がよいと。これならばやみくもな値上げということで
国民を苦しめることはあるまいと、そして
国鉄に対する支えにもなろう。しかし、
運賃値上げはあくまでも支えのつえであって、実際のしっかり立ち上がって歩く両足は
一つには
経営努力であり、
一つは国の
助成であると、こういう
考え方に徹し切るべきだと、こういう
考え方を持っておる。ちょっと長くなりましたが、私の
意見はこういうふうでございますと申し述べた次第でございます。