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説明員(高木文雄君) この「基本方向」の方に示されております「構造的欠損」と申しますのは、これはこの文言の作成に私ども関与をいたしておりませんので明確に理解いたしておらない点があるかもしれませんが、(一)との関連から申しますと、きわめて具体的には、いわゆる地方ローカル線というようなものについて生じてくるところの欠損のうちの構造的なものという御趣旨ではないかと、
鉄道監督局長が先般来狭義の
意味でと言っておられるのはそういう
意味ではないかというふうに
思います。
こちらの方につきましては、御存じのように五十一年度で二千三百億円の赤字になっておるわけでございますが、これをどうしたらいいかというのは、運輸政策
審議会でいろいろこれから御検討いただく間、私どもの方で単に待っておるわけにもいかないわけでございまして、私どもは私どもなりに、もう少し何とかローカル線の運営をいろいろ工夫することによって少しでも少なくできる
部分があるんではないかと
思いますが、しかし、いずれにいたしましても、現在ローカル線の収支係数が三〇〇前後になっておるわけでございますので、なかなか私どもの
努力だけではとてもこれは消しかねるわけでございまして、その
努力によってどこまでその二千三百億を減らし得るか、特に今後人件費、物件費がふえました場合にも、なおかつそれを減らしていけるかということを取り急ぎいろいろ詰めてみなければいけない。その結果、
負担の
限界を超えると認められるという
部分がもう少し数字的にはっきりお願いをできることになるんではないかと思っております。
それから、たまたま同じ用語が使われましたので、はなはだ議論がややこしくなりましたわけでございますけれども、私どもが基本問題について陳述いたしましたときに申しました方の構造的欠損と申しますのは三つに分けておりまして、
一つは「地方交通線から生ずる
負担」の問題、この問題はただいまの衆議院の御論議の段階でおまとめになりました方の「
国鉄再建の基本方向」の一の(二)とほぼ同じ範囲のものというふうに考えていただいてよろしいかと
思います。
それから「過去債務による
負担」でございますが、これについては五十二年一月二十日の閣議了解の中にも触れていただいておりますし、それから「
国鉄再建の基本方向」の中の三の「
政府の援助」の(二)というところに触れていただいておるわけでございまして、大体ほぼこれに見合う思想のものというふうに考えます。これによりましてある程度、いまちょっとお触れになりました新勘定と旧勘定といいますか、そういう表現はとっておりませんけれども、これまでに発生してきた重荷というものから解放していただきたい。それによって何といいますか、私どもの
努力目標をはっきりする。それによって
職員の士気も高まってくるであろうというような
考え方でございます。
それからア、イ、ウとありますウの問題は、実は内在的に私ども持っておりますウイークポイントでございまして、御存じのように、四十三万人の
職員のうち二十万人の
職員が現在四十五歳以上である。そこで要員構成が非常におかしくなっておるわけでございますが、これはある
意味では
国鉄自体の人を採用する採用計画なり何なりにまずい点があったのかといいますと、それは全くないとは申せませんけれども、やはり終戦前後を通じて非常に大ぜいの人が外地で勤務をしたり、兵隊さんとして勤務したりした人
たちが二十年、二十一年、二十二年に戻ってまいりまして、一時は六十何万人という人間を抱えておりました。
それが現在四十三万人まで減ってきたわけでございますけれども、まだ
国鉄では戦争の後始末が終わってないという状態でございまして、それに伴ういろいろな、何といいますか、経営としては異常な
負担があります。そういう
負担の中身は具体的にはどういうものかということになりますと、たとえばこれから十年ぐらいの間に発生してまいります退職金の問題でありますとか、それから、やめられました後の年金の問題というのがあるわけでございます。
これらにつきましては、いま鋭意勉強中でございまして、まだ具体的にどういう方式でどういうふうにひとつお助け願いたいということにするかということは大変専門的な問題でございますので、いまそれぞれ斯界の権威の方にお願いしていろいろ研究をしていただいておりますから、一体幾らぐらいの金額のものをどういう方式で助けていただいたらいいかということはまだまだはっきりしておりません。
それから、同時にこの問題は、
政府全体としても、恐らく
国鉄以外にもややそれに類することで問題が起こっているところがあるわけでございまして、現在厚生大臣の私的諮問
機関として年金問題の懇談会というところでいろいろ御議論もあるようでございますので、そこらの御議論の進行と見合いながら私どもは問題を持ち出していきたいというふうに思っております。
従来しばしば御議論いただいておりましたいろいろな
問題点として、地方交通線の問題と、
貨物の問題と、過去債務の問題ということが大変問題として指摘された大きなテーマであったわけでございますが、
貨物問題はまずわれわれが何とかもう少し能率のいい運用の仕方をしたいということで、五十五年度までに相当抜本的な手直しをするということで取り組みました。これは固有経費だけは少なくとも
貨物で
負担できるように直したいと思っておりますので、それはそういう方向でありますが、従来から問題の中の地方交通線の問題と過去債務の問題は、これはどうしても
財政的に御援助を願わねばならぬという
考え方でございます。
そしてさらに、いささか将来の問題にわたりますけれども、いわば国策遂行上やむを得ずお引き受けした
職員の、言ってみれば今後の
職員の関係から生じてくる今後のわれわれの
負担というものについても一、今後ひとつ十分御理解を賜りたいという気持ちをあらわしたものでございます。