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説明員(
高木文雄君) 同じような時期に別々なところで違う文書をつくったということで、その場合に両方が同じ用語を使った、こういう結果になったわけでございます。「
国鉄再建の基本方向」は、
衆議院で各党の間でお
話し合いになっておつくりになった
考え方でございます。
私の方は、総理府の基本問題懇談会が、
国鉄につきましても、他の公社につきましても、
経営形態をどうしたらいいかということで御審議が進んでおりまして、その御審議の進行をにらみながら、いずれ私どもも何か物を言わしていただく機会があろうかということで、春以来勉強をしてまいりましたが、十月末にその機会がございましたので申し上げたわけでございまして、したがいまして、これは全然別に起こってきたものでございまして、両方がたまたま「構造的」という言葉を使ったという結果でございます。
そこで、私の方で使いましたのは、幹線部分は、これはあくまで私どもが採算がとれるように運営をしてまいりたいと思いますが、どうも地方交通線につきましては、私どもの方から申しますと、本音を言わしていただくと、実は外してしまった方がよろしい、
経営的だけで言いますとそういうことになります。しかし、それは現実にここ十年やってまいりましたけれども、地域の方の同意が得られない。地域の方の同意が得られないというのは、それは
それなりに
理由があることでございまして、私どもの
経営的な立場と、地域の方の必要性といいますか、
鉄道に対する依存度ということから言ってレールを外すことができない。
そこでギャップが出た場合にどうしたらよろしいかというと、どうもそういった「構造的」という表現がいいかどうかわかりませんが、ここやや半永久的に生ずるであろう
赤字というものについてはとてもうちではやっていけません。いままでは他の線区でかせいだ分で埋めておった、内部経理で相互流通してやってきたわけでございますが、だんだん幹線の方も他の
輸送手段との競争が厳しくなりまして、つまり独占性を失ってまいりまして、
運賃改定もそうできなくなってまいりましたから、そうすると、こちらの地区で多少利益を得たものをこちらへ回すということがもうできなくなってきましたから、それはどうかひとつ国の方で考えていただきたいというのが一つでございます。
それから「過去債務による
負担」というのは、これはいろんな
意味で、率直に申しますと、手が打たれるのがおそかったということによって生じてきたものでございまして、これをいま
運賃改定その他で回収をしようと思いましても、前のゼネレーションの時代
——ゼネレーンョンというのは少し大げさですが、過去の五年なり十年の間の問題をこれから先の、五年先、十年先のお客さんに
負担をしてもらうということはどうも現実的ではないんではないか。つまり、それだけを回収するだけの力をわれわれはもう持っておりません。そこで、これはひとつお助け願いたいという趣旨でございます。
それから三番目は、御存じのように、
国鉄は百年の歴史を持っておるわけでございますが、百年の歴史の結果、他の社会では見られない
負担がいろいろと起こってきておりますので、これをひとつやはり助けていただきたい。これは言葉の上でははっきり出ておりませんけれども、これは
内容としては、結果的には年金の問題とか、いろんな問題で出てくるわけでございまして、これはどういうふうに今後詰めていくかという問題がありますが、そのうちの要員構成が非常にゆがんできておる。
戦後から今日まで二十万人も要員を縮小してきた。にもかかわらず、現在四十三万という
状態でございまして、これの
負担を負っておるわけでございますのでこれは何とかしていただきたい。あとは私どもが何とかいたしたいという、ある
意味ではこれだけはお願いしたいが、あとはわれわれが何とかやってまいりたいという、裏から申しますと、助成をお願いするお願いの基準でありますと同時に、
経営の決意と申しますか、残りの部分はやってまいりましょうという気持ちのあらわれでございます。これと、こちらの
国会の方で、
衆議院の方の皆さんで合意されました「構造的欠損」というのは、ちょっと似て非なるものでございまして、必ずしもぴったり同じものではないと思うわけでございます。
私どももしかし、ここに書きましたものをどういう形で、どういう
限度でお願いをするか、それからもうこれ以外には何もお願いしなくても全く大丈夫かという点も、いろいろ勉強していくうちに、とてもやり切れませんという部分がまだまだ出るかもしれませんし、あるいはまた
経済の変化、あるいは
輸送体系の変化というものによって変わってくる
可能性もございます。時間の経過とともにこの構造的欠損
負担という点についてなお詰めてまいりたいと思いますが、基本的な
考え方を示したつもりでございます。
こちらの方の「
国鉄再建の基本方向」に挙げられております「構造的欠損」がどういうものであるかは、私もまだ御
提案の方々に突っ込んで聞いておりませんので、まあ感じとしてはわかっているつもりでございますが、多少どうも、少し違うところで違う
考え方で書きましたから、完全には合っていないということではないかというふうに思います。