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1977-11-15 第82回国会 参議院 運輸委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年十一月十五日(火曜日)    午前十時三十二分開会     —————————————    委員異動  十一月十四日     辞任         補欠選任      木村 睦男君     衛藤征士郎君      村田 秀三君     穐山  篤君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         内田 善利君     理 事                 安田 隆明君                 山崎 竜男君                 瀬谷 英行君                 三木 忠雄君     委 員                 井上 吉夫君                 伊江 朝雄君                 石破 二朗君                 江藤  智君                 衛藤征士郎君                 佐藤 信二君                 高平 公友君                 平井 卓志君                 青木 薪次君                 穐山  篤君                目黒朝次郎君                 田代富士男君                 内藤  功君                 柳澤 錬造君                 山田  勇君    衆議院議員        修正案提出者   加藤 六月君    国務大臣        運 輸 大 臣  田村  元君    政府委員        運輸省鉄道監督        局長       住田 正二君        運輸省自動車局        長        中村 四郎君        運輸省航空局次        長        松本  操君    事務局側        常任委員会専門        員        村上  登君    説明員        警察庁刑事局捜        査第一課長    平井 寿一君        警察庁交通局交        通指導課長    広谷 干城君        大蔵省主計局主        計官       角谷 正彦君        厚生省環境衛生        局環境整備課長  森下 忠幸君        通商産業省立地        公害局保安課長  飛永 善造君        日本国有鉄道総        裁        高木 文雄君        日本国有鉄道常        務理事      田口 通夫君        日本国有鉄道常        務理事      高橋 浩二君        日本国有鉄道常        務理事      尾関 雅則君        日本国有鉄道常        務理事      馬渡 一真君    参考人        日本航空株式会        社副社長     高木 養根君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道法の一部を改  正する法律案(第八十回国会内閣提出、第八十  二回国会衆議院送付) ○委員派遣承認要求に関する件 ○公聴会開会承認要求に関する件 ○参考人出席要求に関する件     —————————————
  2. 内田善利

    委員長内田善利君) ただいまから運輸委員会開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨十四日、村田秀三君及び木村睦男君が委員辞任され、その補欠として穐山篤君及び衛藤征士郎君が選任されました。     —————————————
  3. 内田善利

    委員長内田善利君) 国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道法の一部を改正する法律案議題といたします。  まず、本案趣旨説明並び衆議院における修正部分説明を順次聴取いたします。田村運輸大臣
  4. 田村元

    国務大臣田村元君) ただいま議題となりました国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道法の一部を改正する法律案提案理由につきまして御説明申し上げます。  国鉄は、過去百年間国内輸送の大動脈として、国民生活の向上と国民経済の発展に寄与してまいりました。今日全輸送機関の中で国鉄が占める輸送割合は逐年低下し、かつての独占的地位は薄れてきてはおりますが、今後とも、国鉄わが国交通体系の中で、主として、都市間旅客輸送大都市圏旅客輸送及び中長距離・大量貨物輸送の分野に重点を置きながらその役割りを果たしていくことが強く期待されているのであります。  国鉄財政は、昭和三十九年度に赤字に転じて以来急速に悪化の傾向をたどっており、昭和四十四年度及び昭和四十八年度の二回にわたる財政再建対策もその目標を達成することが困難な状態に立ち至ったのであります。このため、政府におきましては、昭和五十年十二月に、日本国有鉄道再建対策要綱閣議了解し、速やかに収支均衡の回復を図るとともに、その後における健全経営を維持するための抜本的な再建対策を策定して、その実施を推進してきたところでありますが、今回、諸般の情勢にかんがみ、再建対策の基本は維持しつつも、収支均衡目標年度をおおむね昭和五十四年度に変更するとともに、国鉄経営改善のための措置と国の援助についての方針を明らかにすることとし、本年一月に同要綱の一部を修正した次第であります。  今後、国鉄経営健全性を確立するためには、徹底した国鉄経営改善政府による所要の行政上・財政上の援助を行うとともに、国鉄がその自主的な判断に基づき適切な収入を確保することができるように措置することが必要であります。このため、今後の運賃改定に当たって、経済・社会の動向、他の交通機関との関係等を考慮しながら、適時適切にこれを行うことができるよう、今回、暫定的に、運賃改定についての一定の限度法律上明らかにした上で、具体的な額の決定について運輸大臣認可を受けて国鉄が定めることとしようとするものであります。  また、国鉄再建を確実に達成するためには、所要運賃改定とあわせて国鉄経営全般にわたって改善を行っていくことが必要でありますので、この際、こうした経営改善の一環として、国鉄投資対象事業範囲を拡大し、新たな発想のもとに、関連事業の充実、資産の有効活用等を推進して経営健全化に資する道を開こうとした次第であります。  次に、この法律案の概要について御説明申し上げます。  まず、国有鉄道運賃法改正内容について申し上げます。  第一に、当分の間、鉄道普通旅客運賃賃率航路普通旅客運賃及び車扱い貨物運賃賃率につきましては、運輸大臣認可を受けて国鉄が定める賃率または運賃によることといたしております。  第二に、右の期間中、一事業年度における賃率または運賃改定率は、決算で損失が生じたときは物価等変動率に一五%を加えた率を限度とし、決算で利益が生じたときは物価等変動率に五%を加えた率を限度とすることといたしておりましたが、これにつきましては、衆議院におきまして修正されております。  なお、物価等変動率とは、国鉄経費変動に影響する物価及び賃金変動を示す指標として、卸売物価指数消費者物価指数及び賃金指数を基礎とし、国鉄経費の構成を勘案して算定される率であり、具体的な算定方法は政令で定めることといたしております。  第三に、さきの日本国有鉄道法改正によりいわゆるたな上げ措置を講じた特定債務に相当する額である二兆五千四百四億五百万円を除いた国鉄累積赤字が解消されたときは、右の措置により新たな賃率または運賃を定めることはできないことといたしております。  次に、日本国有鉄道法改正内容について申し上げます。  第一に、国鉄投資対象事業範囲を拡大いたしまして、国鉄の委託によりその業務の一部を行う事業国鉄の所有する施設または土地の高度利用に資する事業及びその営業線利用の促進に資する事業を追加することといたしております。  第二に、政府は、国鉄経営健全性の確立のため必要があると認めるときは、国鉄に対し、無利子貸付を行うことができることといたしております。  なお、この法律施行期日は、公布の日といたしておりましたが、国有鉄道運賃法改正に係る規定施行期日につきましては、衆議院におきまして修正されております。  以上が、この法律案提案する理由であります。  何とぞ慎重御審議の上、速やかに御賛成いただきますようお願い申し上げます。
  5. 内田善利

  6. 加藤六月

    衆議院議員加藤六月君) 国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道法の一部を改正する法律案に対する衆議院修正部分につきまして御説明申し上げます。  修正部分の第一は、当分の間、鉄道普通旅客運賃賃率航路普通旅客運賃車扱い貨物運賃賃率または国有鉄道運賃法第九条の二の運賃もしくは料金につきまして、運輸大臣認可をしようとするときは、当該認可に係る新たな賃率等実施される事業年度におけるすべての新たな賃率等実施による平年度収入増加見込み額の総額が、実施年度経費増加見込み額を超えないようにしなければならないこととするものであり、実施年度経費増加見込み額は、実施年度の前事業年度経費の額に物価等変動率を乗じた額から、前事業年度経費の額を、前事業年度に新たな賃率等実施されなかったとき等にあっては、実施年度の前々事業年度経費の額を、控除して得た額とし、この場合において、前事業年度決算が完結していないときは、前々事業年度経費の額に物価等変動率を乗じた額を前事業年度経費の額とすることとし、また、経費につきまして、日本国有鉄道業務のうち、鉄道事業連絡船事業及びこれらの付帯事業経営並びにこれらの業務を行うのに必要な発送電及び電気通信に係る経費に限ることといたしております。  修正部分の第二は、国有鉄道運賃法改正規定施行期日昭和五十三年三月三十一日とするものであります。  以上をもって説明を終わります。     —————————————
  7. 内田善利

    委員長内田善利君) 次に、委員派遣承認要求に関する件についてお諮りいたします。  本案審査のため、明十六日、福岡市において現地の意見を聴取するため、委員派遣を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 内田善利

    委員長内田善利君) 御異議ないと認めます。  つきましては、派遣委員決定等は、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 内田善利

    委員長内田善利君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  10. 内田善利

    委員長内田善利君) 次に、公聴会開会承認要求に関する件についてお諮りいたします。  本案審査のため、来る二十一日に公聴会開会いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 内田善利

    委員長内田善利君) 御異議ないと認めます。  つきましては、公述人の数及び選定等は、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  12. 内田善利

    委員長内田善利君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  13. 内田善利

    委員長内田善利君) これより本案に対する質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言をお願いいたします。
  14. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 私は、この法案質問に入る前に、十一月の十一日、韓国裡里市におきまして列車爆発事件発生いたしました。鉄道事故としては世界的にも類のない大事故だと、こう新聞は報じておるわけであります。韓国は、四十八年の八月十二日にも石油タンク車が大爆発いたしまして三十人ほど亡くなった、こういうような実績もあるわけでありますが、この今回の韓国鉄道事故に関連して、わが国鉄道関係でこれに類する状態にあるのかないのか、この問題についてまず国鉄側から見解を聞きたいと思っております。  われわれの記憶では、いわゆる貨物競合脱線というのが発生しておるわけでありますが、この競合脱線についてなかなか原因がわからない、こういうことをわれわれも現状としてとらえておるわけでありますが、競合脱線タンク車、こういう点を考えますと、この韓国の大爆発というのは必ずしも日本では絶対起こらないという保証はない、このように私は考えるわけでありますが、この韓国の大爆発に関連して国鉄現状はどうなのか、ひとつ聞かしてもらいたいと、このように考えます。
  15. 尾関雅則

    説明員尾関雅則君) 最近五年間におきます貨物競合脱線の推移を申し上げたいと思います。  四十七年度に三件、四十八年度三件、四十九年度五件、五十年度四件、五十一年度七件の競合脱線が起きております。
  16. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 そうしますと、このタンク車なり、火薬なりを積んだ貨車は一体一日平均でどのぐらい走っておるのか、三千とか四千とか言われておるわけでありますが、この実情についてお知らせ願いたいと思います。
  17. 尾関雅則

    説明員尾関雅則君) ただいま正確な数字を持っておりませんので、後ほど調査をしてお答えいたしたいと思います。
  18. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 これは、四十八年の韓国タンク車爆発で三十人亡くなったときの国鉄側発表によりますと、塩酸、硫酸、ガス、カーバイド、ガソリンなど、いわゆる危険物を運ぶタンク車は一万九百両、一日約三千両と、こういうふうに報道しております。今回の韓国の大爆発に絡む国鉄側の本社の発表として、十トン積み車貨車が四千五百両日本全国を走っておると、こういう発表がありますが、四十八年は三千、現在は四千云々と、大体この程度の車が走っておると、このように推定して間違いありませんか。
  19. 尾関雅則

    説明員尾関雅則君) おおむねその程度数字と了解しております。
  20. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 そうしますと、四千両から車が走っておって、毎年三件ないし四件の競合脱線があると。皆貨車ですから、客車じゃありません。貨車競合脱線があると。そうしますと、やはり競合脱線可能性によっては年間三回ないし四回、この危険な四千両の車両が、こういう韓国のような爆発、四十八年の爆発、こういう危険性をはらんで全国各地を走っておると、こういうふうになるわけでありますが、それに対する保安対策というのは大丈夫なんでしょうか。どういう保安対策やっていますか。
  21. 尾関雅則

    説明員尾関雅則君) 競合脱線原因は、車両線路、積み荷、運転状態等いろいろな要素が競合して発生すると考えられておりまして、これにつきましては、従来から実験線を北海道の狩勝地区につくりましてテストを行うなど、防止に、解明に努めておりますけれども、ただいま有効な防止対策として判明しておりますのは、二軸の貨車の当面の改善、それから軸と軸の長さ——軸距と申しますが、軸距の短いものにつきましては、ボギー台車改造をする、それから線路曲線部を主体といたしまして脱線防止ガードという設備を新設いたす等、また軌道整備の基準というものを改善いたしまして鋭意この減少に努めております。この結果、競合脱線事故は、昭和四十四年ころには十三件も発生しておりましたけれども、漸次減少をいたしまして、現在では、先ほど申しましたように、年間三件ないし七件というようなぐあいになっております。  今後はボギー貨車で、タンク車につきまして比較的発生の多い軸距の短いものの台車改造、あるいは二軸貨車走行安定性を向上するための施策、軌道狂い、管理方法を深度化する、軌道整備を促進する、あるいはボギー貨車脱線の状況をもう少し調査する技術を開発する等の対策を進めまして、これらの発生防止してまいりたいというように考えております。
  22. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 まあ、列車編成であるとか、速度であるとか、競合脱線を誘発するいろいろな条件については、われわれそれなりに心得ておるわけでありますが、しかし、同じ韓国で二度もこういう百人から千人も負傷する、こういう事故が起きているんですから、対岸の火事視しないで、より一層私はタンク車爆発危険物爆発、こういうことについては、列車編成も含めて十分な対策を通じて、こういう心配のないように今後とも一層の努力をひとつお願いしたい。  これと関連して、私は、成田空港暫定燃料輸送、こういう問題とも関連してくると思うのですが、非常に関連いたしますが、この成田空港問題等については一体どの程度労使関係で話が進んでおるのか、また進んでいないのか、現状だけでいいですから聞かしてもらいたいと思います。
  23. 田口通夫

    説明員田口通夫君) 御説明申し上げます。  労使関係につきましては、現在まだ御当局の方で開港日その他決まってございませんので、具体的な話し合いがまだできない状態でございます。
  24. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 具体的な話し合いができてないという点だけ確認しますが、しかし、私のもらっている資料では、相当細かい面まで千葉当局と協定を結んでるんじゃないですか。ボギー車を使うとか、何ミリ厚さの貨車を使うとか、台車をこうするとか、踏切をこうするとか、ずいぶん私はネタをもらって——これはネタではないのです、千葉の市議会で正式に市長が全員協議会説明をして、たまたまその中にわが党の議員がおりますから、わが党の議員からもらった資料を全部見ますと、まだ国鉄労使関係で話をしていませんでは、ちょっと労使関係を甘く見ているのではありませんかな、私にそんな気がします、それでは、いつ労使関係で具体的な話し合いに入るのですか。
  25. 田口通夫

    説明員田口通夫君) 確かに千葉市の全員協議会等で安全の問題について詳しくいろいろと、鉄道のみならず、全体について検討されたことは事実でございますし、また、その資料が先生のお手元にあると思います。  なお、労使関係につきましては、やはり輸送計画そのものが立ちませんことには、具体的に労使問題のいろいろの労働条件も出てまいりませんし、またダイヤも決まってまいりませんので、極力、開港日決定いたしますれば早急に提案をいたしまして、十分納得ずくの上で輸送を進めていきたい、こういうふうに考えております。
  26. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 まあきょうは午前の部にないだろうと思って資料を持ってこなかったから、午後の部でゆっくりその成田空港千葉側船橋側銚子側運輸省公団関係などについて聞きますから、それ以上はいま触れません、この時間は。ただ、そういう現状はわかりました。あとは具体的に運輸省公団側に聞きたいと思っております。では、列車爆発関係は以上で、要望を含めまして安全の確保をひとつお願いしたい、こう思います。  では次に、提案された法案に入るわけでありますが、七十八国会段階国鉄の問題何回か議論されておるわけでありますから、基本的な問題、考え方については大分三木内閣当時の石田運輸大臣から幾つかの点について見解を聞きましたので、田村運輸大臣になっても、この点は私は変わりはないと思うんでありますが、一つは、三十九年に赤字発生したと大臣も述べておりましたが、この赤字発生した際に国鉄対策総合交通対策を十分にやらなかった、それがやっぱり失敗の第一だったという点については大臣も確認していいですか、まずこの第一点から聞きます。
  27. 田村元

    国務大臣田村元君) 国鉄当局当事者能力の問題もございますけれども、そういう意味において欠くるところがあったと私は思います。
  28. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 そうすると、この議事録の五ページに出ておりますとおり、三十九年の赤字になったこういう段階で、国鉄の果たすべき役割り、使命というものと、他の交通機関との関係を十分調整すればよかった、その当時ですね、昭和三十九年当時。そういうことについて大臣は責任を感ずる、こういう意味答弁をしているんですが、この事実認識については変わりはないですね。
  29. 田村元

    国務大臣田村元君) 総合交通体系の中における国鉄の位置づけというものはある程度明確にされておりますが、ただ総合交通体系そのものが、いわゆる四十六年答申、あるいは閣議了解内容というものがきわめて厳しく押しつけることがなかなかむずかしかったということもございましょうし、また、国鉄の体質がなかなか直ちにそれに適応できなかったということもあるいはあったかもしれません。
  30. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 じゃ、そのように確認をしておきます。  それから二番目の問題は、同じ六ベージの段階で、二回にわたる再建計画失敗した。その失敗した原因については四点ほど挙げておるわけでありますが、産業構造の変化、運賃の水準、あるいはいろんな物件費が上がった、あるいは運賃改定の時期がずれた、この四点を挙げておるわけでありますが、この四点の事実認識についてもお変わりありませんか。
  31. 田村元

    国務大臣田村元君) 五十一年十月十九日の、当時の石田運輸大臣答弁、私も同感であります。
  32. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 では、それも確認しておきます。  第三点は、本会議で、ある党の皆さんが大分きつい質問をされて、大臣答弁をされておるわけでありますが、いわゆる労働政策失敗、特にマル生等について総裁辞任をする、こういう点ではやはり労働政策失敗、特に合理化に対する取り組み方に反省すべき点があったんじゃないかということについても大臣がそれを認めておるわけでありますが、この点についても、大臣も再三予算委員会などで労使関係についての重要性という点は答弁されておりますからそれなりにわかりますが、この労働政策の問題があったということについてはいかがでしょうか。
  33. 田村元

    国務大臣田村元君) 労使関係改善につきましては必ずしも十分でなかったと私は思います。目黒さん御承知のところと思いますが、私は労使関係改善こそ国鉄改善への最大足がかりだと、再建への最大足がかりだというふうに確信いたしておりますし、国鉄のみならず、労使関係はいわゆる協調精神でなければならぬという従来の私の基本的な考え方がございますので、いま総裁もほぼ同じような考え方のようでございますから、二人でいろいろと前向きの相談をしておるというところでございます。
  34. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 それでは、そういうマル生を含めた労働政策のあり方がやはり今日の問題を残しておるのであるから、そういうものについては克服する方向で前向きに取り組んでいきたい、そのような受けとめ方でいいですか。
  35. 田村元

    国務大臣田村元君) 特に何がどうということより、ぎくしゃくした、あるいは対決的な労使関係であっちゃいかぬという実は考え方に立っての御答弁を申し上げた次第でございます。
  36. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 では、筋道はそのように確認しておきます。  四点目は、これも七ページにあるわけでありますが、独立採算制を要求する以上は、公共負担についてはそれぞれの政策部門負担してもらうと、こういう大原則を打ち出して一年間一生懸命努力しようと、そういうふうになっておったわけでありますが、この第四番目の問題点についてはいかがですか。
  37. 田村元

    国務大臣田村元君) おっしゃるとおりなんです。いわゆる公共割引につきましては、あらゆる点で見直しをしなきゃなりませんでしょう。同時に、関係省庁において予算化していただくということは当然のことでございますから、私は着任と同時に閣議でこれを発言し、そうして、事あるごとに関係省庁に対して、各大臣に対してこのことを申し入れておるというような努力をいたしてまいりました。いずれにしてもこれは早い機会に抜本的に解決をしておくべきものと、それによって国鉄の、まあよけいなというと言葉は悪いかもしれませんが、国鉄負担をいささかでも軽減してやりたいと、このように考えております。
  38. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 ちょっとまあ今後の質問にも関連しますから、いま言った公共負担政策部門分担等については、閣議といっては変でありますが、前の大臣から閣議提案されて、閣議了解事項になって各省が取り組んでいるのか、閣議決定までいかなくてその前段の、いわゆるさわりの段階話し合いになっているのか、この辺の手続の問題について、ちょっと後の質問関係ありますから教えてもらいたい、こう思うんです。
  39. 田村元

    国務大臣田村元君) これは対策要綱にきちっと入っておりますから、閣議了解されたものというふうに考えてよかろうかと思います。
  40. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 そうしますと、閣議了解事項閣議決定、まあどういうウエートあるか、私、大臣の経験ありませんからわかりませんが、まあ各省ですね、文部省、農林省、通産省、各省の大臣はその了解事項に従って作業を進めていると、進めなければならないと、こういうふうに大臣がその責任を持っているというふうに理解していいんですか。
  41. 田村元

    国務大臣田村元君) 関係省庁においては、その努力をしていただくべきというふうに考えております。
  42. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 大臣は、関係大臣は義務づけられていると、こういうふうに、まあ極端でありますが、この問題については関係大臣閣議了解事項で義務づけられて現在作業していると、こういうふうに受けとめていいですか。
  43. 田村元

    国務大臣田村元君) 私は、関係大臣がそのような気持ちで取り組んでいただきたいというふうに期待いたしております。
  44. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 まあ総理大臣の「願望」という言葉もあるそうでありますから、願望では困りますから、これは後ほど、関係各省の大臣または大臣に身がわりする人に、どういう取り扱いをしているか聞きます。  そうしますと、一応四つの点を確認されますと、前の三木総理が本会議において、国鉄問題については幾つかの反省点があるけれども、その総理大臣の反省点ということについて、いままで述べた四つの点については、石田前運輸大臣はそのとおりだと、こういう答弁をいておるんですが、現在の福田総理大臣はどういう受けとめ方をしておるか。私はやっぱり前総理大臣が反省点として認めた点ですから、現在の福田内閣の、ずうっといま田村運輸相が答弁してきたことをとらえますと、やはり福田内閣総理大臣としても三木総理大臣同様、これらの問題については、この事実関係問題点については受けとめていると、こういうふうに受け取って間違いないでしょうか。
  45. 田村元

    国務大臣田村元君) 私は福田内閣の、第一次内閣の運輸大臣であります。でありますから、福田内閣のまあ国鉄問題にしても、そもそも発足のときから政策を担当してきたわけでございます。でありますから、先ほど来私はお答えもいたしました。従来私は当委員会、あるいは衆議院、あるいは本会議等におきましてもお答えをしておりますが、私が御答弁申し上げたこと、それが福田総理の同じ考え方である。私がいろいろと答弁いたしましたことについて、福田総理から激励こそあれ、いろいろな苦言というものは一回もございませんでした。
  46. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 じゃ、そのとおり確認をしておきます。  次は、国鉄が置かれておる現状問題点などについても、エネルギーの問題であるとか、輸送量の問題であるとか、そういう点からいろいろ前国会でも議論をされて、やはりこの石油、エネルギーが非常に問題になっておる段階では、通産省の話によりますと、五年ぐらいはまあいろいろと心配ないとしても、十年、十五年になると、やはり国鉄の占める産業、経済における位置づけということについては大変な見直しが必要だ。いやしくも国鉄安楽死論なんということは絶対にとるべきではないと、こういうふうに前国会でも議論され、そういう意思統一をされておるんですが、この点についても、国鉄の位置づけについてはお変わりありませんか。
  47. 田村元

    国務大臣田村元君) 私は、四十六年答申の中に盛られておる、いわゆる方向が示されておる国鉄の位置づけというものはいまなお正しいと思っております。その意味におきまして、私は国鉄再建をしなければならない国民の足であって、安楽死をさせるべき足ではない、このように信念を持っております。
  48. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 この際ちょっと、これは自動車局長かどうか知りませんが、私この前幾つかの事故、公害のいろいろな具体的な数字を挙げて、トラックの社会的な費用負担問題点について提案をしたんですが、当時の石田運輸大臣は、初めて聞くので今後検討してみたいと、そういうまあこの場で答弁されたわけなんです。  それで、私ももう一回勉強するつもりで、昭和四十六年の十二月十七日の臨時総合交通問題閣僚協議会、このパンフレットをもう一回読み直してみたんですがね。これの四ページ、いわゆる「社会的費用の負担と開発利益の還元等交通市場」において云々と、こう書いてありまして、注意書きの一項として「事故、公害等のように経済活動の結果、第三者または国民一般が被る直接、間接の損失をいう」と、この費用については云々と、検討する必要があるという点で、もう昭和四十六年段階でトラックの社会的費用の負担の問題について閣僚会議提案されておるんですがね。この問題と、去年の大臣答弁と、そして現在まで一年間あるわけですから、一年間検討した結果どういう作業になっておるか、関係局長から教えてもらいたいと、こう思うんです。
  49. 中村四郎

    政府委員(中村四郎君) トラックを含めまして自動車についてその社会的費用、この問題につきましてはいろいろな考え方がございまして、一番広い考え方ですと、道路費用のみならず、交通安全に関する費用、あるいは事故、公害による損害額等も含めまして、これを自動車による社会的費用と見るべきでないかと、こういう考え方もございます。しかしながら、その範囲につきまして、あるいは軽量化する計算方法等につきまして種々の考え方がございます。いまのところ確定的なものまでに至っておりません。私どもも鋭意その内容の分析、考え方の整理等をやっておりますが、まだ確定的な段階に至っておらぬわけでございます。  しかしながら、自動車通行が可能となるための道路費用につきましては、現段階におきますと、自動車関係諸税の特定財源、あるいは一般財源含めまして、道路関係支出額を上回るような状態に現在ございます。また、事故等におきましても、自動車責任の賠償額の問題、それから公害につきましても、騒音あるいは排出ガスを含めまして逐次その強化を行ってまいっておるわけであります。  私どもとしましては、以上のように自動車の社会的費用の負担の問題につきましては、その内容を究明いたしまして、そして自動車が直接的なコストだけでなしに、鉄道と他の輸送機関と公正な競争を行っていくという上において負担すべきものを明らかにして負担していくと、こういう基本的な考え方で現在進んでおるわけでございます。
  50. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 あのね、この前私も諸外国の例なども示して提案しているんですが、だから、やろうと思えば私はやる可能性は十分あると、諸外国で実施しているんですから。公害、交通事故ね。救急車の出動とか、いろんな社会的費用が国鉄に比べて大分費用を負担しているんですから、そのやり方については、私は諸外国の例からすればいろんな点が出てくると思うんですよ。それをやろうとするけれども、どこかで反対されてできないのか。原案をつくってみたけれども、大蔵省がなかなか抵抗して問題にするとか、運輸省の自動車局が素案でもいいから、もうたたき台をつくっているのか、つくってないのか。  総合交通体系の公正な競争という条件のために、自動車局が、せめてこういう素案であれば非常にバランスがとれるという素案をつくっておる段階なのか。いやいや、そうは言うけれども、まだ素案までいかないと、こういう段階なのか。関係省庁は一体どこなのか、通産省か大蔵省か。関係者を呼んで今後ともお互いに相談する必要がありますからね。あなたが直接当たっている官庁なり民間団体はどこなのか、その点をもう少し。もう一年前に提案したんですからね。しかも四十六年にもう閣僚懇談会で取り上げてやっているんですから、私は、検討検討ではもう済まない。ですから、具体的に素案づくりを含めて、どこまで進んでいるのか、どこに障害があるのかひとつ教えてもらいたいと、こう思うんです。
  51. 中村四郎

    政府委員(中村四郎君) 私どもも、いま先生の申された意味の素案づくりを目指して作業、検討をやっているわけでありまして、これは私どもとしましては、先ほど申し上げましたように非常に費用の範囲というものが、因果関係が連鎖的に発展してまいりますので、それを諸外国の例等も参考にいたしまして、どこが一番公正な限界点になるのかということの勉強をいたしておるわけでございます。
  52. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 いや、もう検討は……。一番最初は四十六年に取り上げているんだから、この閣僚会議でね。それはおくとしても一、去年大臣は、大いに勉強して物にしますと、物にできる努力しますと。それから一年たっているんですから、この素案ぐらいつくってもいいと思うんですがね。私は、素案をつくって、初めてその素案に基づいて大蔵省、通産省あるいは民間団体に当たってみる。やっぱりメモにして当たらないと私はなかなか作業は進まないと、こう思うんですが、どうでしょうか。
  53. 中村四郎

    政府委員(中村四郎君) 私ども、いま先生のおっしゃったような方向に向かっての作業をやっておるということでございます。
  54. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 いつごろまでに素案できますか。逆に聞きます、いつごろまでに素案づくりが完成しますか。
  55. 中村四郎

    政府委員(中村四郎君) 作業は非常に、先ほど申し上げましたようにむずかしいものを含んでおりますので、確定的にいつごろというのはむずかしいと思いますが、昨年の御質問にもありましたので、私どもとして急いでその作業を進めておる、こういうことでございます。
  56. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 国鉄の問題をああでもない、こうでもないと議論する際に、これに関連する交通産業の状態を的確にお互いに見ないと、弱い者いじめになってしまうのですよ。だから私は言っているのであって、あなた方は、口を開けば総合交通体系総合交通体系と言うのだけれども、それが一つのやはりトラック、バス、自家用車を含めて、鉄道産業と自動車産業というのはこうなっていま現実の国鉄問題が出ているのですから、一番問題点の根っこが私はやっぱり自動車の問題だと言っても過言ではないと思うのですよ。ですから要望しますが、きょうは幾らこれを言ってもしようがありませんから、次の五十三年の四月一日からまた新しい国鉄問題が来るわけでありますから、年度内にはやっぱりある程度素案をつくって、問題を煮詰めると。そういう目標について、どうですか、年度内に素案をつくってまとめるということについては。
  57. 田村元

    国務大臣田村元君) これは私からちょっとお答えしたいことがあります。と申しますのは、運輸省というのは、これは私の持論なんですけれども、縦割り行政の一番極端な役所であって、まあ言うならば、総合交通体系というものでまとめていくという窓口が非常にしっかりしたものがない。これが一番ぼくは欠点だと思うのです。言うなれば、商売がたきが全部並んでおると、その上に次官、大臣がおるという形になっておるわけです。  でありますから、私はここで断定的に申し上げることはできませんけれども、いま行政機構改革ということが非常に強く叫ばれておるときに、やはりこれをまとめていくような、しかも権限の強い局等をつくりまして、そうして各局がその局との相談によって総合交通体系にそぐうように動いていくというような仕組みにしないと、なかなかこれは言うべくして行いがたいところがある。いま目黒さんおっしゃったように、弱い者は取り残されるというような面があろうかと思う。でありますから、まず機構改革の面からこの問題のまず基礎をつくっていかなければならぬ、こう思いますので、まあ年度末とか年度内とかいう御意見でございますが、それ以上にいまのような機構改革にむしろ進むべきではないだろうか。そして、りっぱなものをつくっていくということの方がかえって早回りではないだろうかというような感じがいたしましたので、私のこれも持論でございますので、ちょっと私からお答えをいたしました。
  58. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 私の質問事項の中にも入っておったのですがね。私は、こういうふうに具体的に聞いていくと、たとえば空の問題、海の問題、それから陸でも自動車の問題、もうそういうことが、私は先ほど大臣が確認した、昭和三十九年に国鉄赤字に傾斜し始まったと、少なくともその時点で、お互いの交通関係の任務と役割りをどうすべきなのかということをやっぱり手を打たなかったことが、今日の国鉄に追い込んでしまったということに私はなっていると思うのですよ。ですから、陸上交通では何と言っても私は道路と自動車、こういう問題と鉄道の問題、これは密接不可分なんですから、やはり問題点、こういうふうにして議案審議をしようとすればするほど前提条件になるこういう問題を整理しないと、運賃値上げと合理化だけだでは私はどうにもならぬ。  ですから、まあ縦割りと大臣率直に認めてしまったわけですから、やはり自動車局長の方でも作業を急いでもらう。それから運輸大臣の方も、そういう総合交通体系を具体的に実現するための行政指導機関はどうあるべきかという点もやっぱり早急に手続をしてもらって、機構改革をしてもらって、この問題について取り組むと、そういう方向を確認してもいいですか。
  59. 田村元

    国務大臣田村元君) 全く同感でございます。
  60. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 じゃ、そのようにひとつお願いをいたします。  それで、今回国鉄財政再建の問題が提案されたわけですが、前回のこの運輸委員会では運賃値上げ、合理化財政援助と、この三本を柱にして五十四年まで収支均衡を図る、こういうことを国民に約束をしたわけでありますが、今回の五十一年度の決算を見ますと、予定が四千九百四十億、決算は九千百四十一億の赤字と、こういうようになりまして、前回で議論した特定債務整理特別勘定、こういうものを設けて、ある程度措置をしても赤字が予定の倍になっている、こういう決算現状だと思うんです。  したがって、そのほかにこれも予算委員会で議論をしたように、グリーン車の問題については大臣は同感だと、こういうように私の質問に対して答えているわけでありますからそれは追及をいたしませんが、この三本柱という再建の方法、これはウエートの置き方で相当限界に来ておるものもあるんではないか。たとえば運賃の問題、合理化の問題こういう問題についてもう限界に来ている。こう考えますと、私はどうしてもこの責任の所在を一体どうするのかという点が国鉄再建論争では非常に不明確になっている。総理大臣が責任とるのか、運輸大臣が責任とるのか、あるいは総裁が責任とるのか。  マル生問題では藤井総裁あっという間に首を切られましたけれども、そういう責任のとり方というものについて非常に不明確になっておるんですが、これはやっぱり本会議でもその当座言われたとおり、国鉄再建の方法、それが実現しない場合にはその責任所在をどこに置くのか、この点ぐらい厳しくしていかないとどうしても優柔不断になってしまう。この点はどうもやっぱり考えられるんですが、この点について大臣総裁見解をもう一度ここで聞かしてもらいたいと、こう思うのです。
  61. 田村元

    国務大臣田村元君) 従来の姿は、やや政府の方の責任が重いということが言えるかもしれません。と申しますのは、国鉄当事者能力というものがございませんから、その意味においてはやはり政府の責任というものは、まことに申しわけないことながら認めざるを得ない点があろうかと思います。  幸いにしてこの法律が成立いたしますと、今度は助成とか、先ほどの公共割引の問題とか、あるいは新線の建設とかというような面については政府の方の責任になりましょうし、そしてまた営業姿勢の問題、いわゆる経営姿勢の問題、労使問題あるいは運賃問題等については、これは国鉄総裁が当然責任を負うべきものと。その意味においては国鉄総裁の責任は非常に重くなるし、重くなるということは裏返せばやりやすくなる、国鉄総裁が決断をして経営がやりやすくなると、このように言えるかと思います。
  62. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 再建の問題は、第一次的には私ども国鉄と申しますか、あるいは総裁自身と申しますか、私どもの責任であるというふうに考えております。ただ、現実にはいろいろと外部的条件によってできることもあり、できないこともある。私どもお願いをいたしましてもできないことがあるわけでございまして、今後は私どもが考えます具体的ないろいろな問題をいわば遠慮なく提起をして、そして、それについて御理解をいただいて進めてまいりたい、そういうつもりでおります。あくまで第一次的には私どもの責任であるというふうに考えております。
  63. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 私、ある雑誌からとってみたのですがね。国鉄公社発足当時は資本金は四十九億一千六百八十二万円、発足当時。それから翌二十五年に対日援助の見返り資金で四十億を国鉄がもらいまして、合計二十五年度で八十九億千六百八十二万円、これが資本金だったわけなんです。ところが、もう第一次の場合には五千九百八十六億円、三十六年には第二次は一兆三千四百十九億円、四十年の第三次は二兆九千七百二十億円、四十四年には三兆七千億、こういうかっこうですね。これは国鉄の意思がどうあろうと、資本の内容がどうあろうと、もう国の政策で、どんどんどんどん、新線もローカル線も借金で建設をして、元利合計とも国鉄でうまくやれという形で進められたのが、私はこの資本金と借入金の裏から見ると、こういうことになると思うのですよ。  そうしますと、この前、これは総裁が、青函トンネルには新幹線を通してもちょっと採算が見込めないから通す意思がないと、そういう発言をしたら、私も北海道の皆さんにはお世話になっていますが、北海道から青森周辺からどっと総裁に別な意味の陳情が行く、そういう形になっておるわけですが、やはり私は今日の国鉄に置かれてしまった責任の所在というのは、総裁は遠慮して第一次的に総裁だと、こういうふうにきれいな答弁をされておりますけれども、構造的には私は政府の責任だと、このように見て間違いない、そう思うのですが、いかがでしょうか。
  64. 田村元

    国務大臣田村元君) 私と高木総裁とは非常に考え方もよく似ておりますし、お互いに友情も通い合っておりますので、二人がかばい合ったというようにあるいはお受けとめになったかもしれない。まあそのとおりであろうと思います。問題は、やはり国鉄が本来負担する限界を超える負担というものについて政府がどのように助成をしていくかということにおいて政府の責任が問われるものというふうに思います。でありますから、先ほど私が御答弁を申し上げたような内容になるわけでございます。
  65. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 そうすると、今日の国鉄に追い込んでしまった第一次の責任はやっぱり政府の責任ということになる。第二次の経営面の問題については国鉄総裁、たとえば営業とか経理とか労使関係とか、こういう問題については歴代国鉄総裁の責任、こういうように受けとめていいですか。
  66. 田村元

    国務大臣田村元君) 恐らく運輸省にも言い分はあろうと思います。役人にも言い分はあろうと思います。しかしながら、経営の面における責任を総裁が感じておる、その責任は総裁であるというふうに言明された以上は、やはり監督官庁である政府の責任も認めざるを得ない、大きい責任があるということは言えるかと思います。
  67. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 そうしますと、大臣はこの法案改正されれば云々という前提で言われましたけれども、いままでの問題からこう締めくくると、いま大臣答弁が最終的な国鉄問題の責任の所在ということについては、大臣答弁を確認していいわけですね。
  68. 田村元

    国務大臣田村元君) 私自身、そのように考えております。
  69. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 私は、先ほど大臣が、この問題を発足のときからずっとやってきた大臣だと、こういうふうに言われましたから、私が考えるということではなくて、やはり福田内閣全体として、今日の国鉄に追い込んでしまったこの根元はやはり歴代政府の責任ということで受けとめないとこれからの議論が進みませんから、そういうふうに大臣個人の気持ちはわかりますが、やっぱり政治としては歴代の内閣の責任というふうに確認したいんですが、いかがですか。
  70. 田村元

    国務大臣田村元君) 福田内閣は、第一次内閣において私が運輸大臣として基本政策を組み立てていったのでありますから、恐らくこの政策方針は変更はないと思います。これは断言してはばかりません。まあ、歴代政府の責任ということになりますと、具体的にどうのこうのということになってくるんでありましょうが、ただ言えますことは、少なくとも一国鉄が今日の姿になったということは一つの内閣の責任ということではない。その意味においては歴代内閣の責任はやはり感じてよいというふうに思います。
  71. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 じゃ、その点は確認します。  そうしますと、私はやはりこの再建計画、第一次から第二次、第三次、何回かの再建計画がありました。この再建計画の柱は、大臣も一答弁しているとおり政府の助成、合理化、受益者負担運賃値上げ、この三本の柱だと、こう言ってきましたが、今回のグリーン車の再値下げの問題から考えますと、私も前回のこの運輸委員会で名目五一%、実質三七%ということは本当に責任持てるんですかと、国鉄離れをしませんかと、貨物——私も仙台ですから宮城県の宮城野原の操車場に行ってみると、これ以上運賃上がったら荷物は来ないよということを日通の職員そのものが言っている。  こういう現状で五〇%の値上げというのは国鉄離れをしますよと言ったんですが、この議事録見ますと、そうではないと言って国鉄側の常務も答弁された。しかし、現実は国鉄離れが起きてしまった。こうしますと、もう運賃という問題はそろそろ限界ではないかと、こういう客観的な受けとめ方をせざるを得ないと思うんですが、三本柱の運賃についてはどうお考えですか、国鉄離れの問題で。
  72. 田村元

    国務大臣田村元君) 運賃については非常に厳しい状況になってきたことは事実であると思います。しかし、未来は続くのであります。今日の状況では非常に厳しい状況になってきたということは言えますけれども、、しかし将来を考えるときに、私がこれは絶対的限界に達しておるというふうには思っておりません。いずれにいたしましても、運賃をどれだけ上げるかということよりも、むしろ適時適切に上げる場合には上げるんだということに大きな意義があるのではなかろうかというふうに思います。
  73. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 国鉄総裁、お伺いしますが、現状運賃で客車も貨物も現実に国鉄離れをしておるんですが、いま大臣が言ったとおり、適時適切に上げるということを前提とした国鉄離れとの相関関係についてはどういう認識をお持ちですか。上げても国鉄離れはしないのか、上げて国鉄離れをしても上げた分で回収できるからとんとんだと、こういうお考えなのか。その点は実際に営業を担当をしている総裁として、前回の五一%、実質三七%は見誤りになったわけでありますから、結果的には私はこの責任をとれとこう言いたいんだけれども、責任の問題はさっき言いましたからそれは言いません。しかし、いま大臣国鉄離れと運賃の限界性、相関関係、こういうものについては営業の責任者としてどういう考えをお持ちですか。
  74. 高木文雄

    説明員高木文雄君) いろいろ世間から御批判を受けておりますように、五〇%という一挙に大幅な値上げをお願いしたということが適当であったかどうかということについては御批判のとおりでございまして、大いに問題があるところだと思います。ただしかし、三七%まではお客さんからいただきませんでしたけど、最近の状況では大体三〇%ぐらいの収入増加になっておるわけでございまして、もしこれが全くなかったならばどういう状態になっているかということを考えますと、何といいますか、非常に慄然とするわけでございまして、大変国鉄離れで経営上困っておりますけれども、また一面において、値上げがなかったならばどんなことになっておったであろうかと考えますと、やはりそれなり意味があったと思うわけでございます。  ただ、その場合に五〇%がよかったかどうか、それが三五%だったらどんなふうだっただろうか、二〇%だったらどうだったであろうかというようなことはなかなかわからないわけでございまして、私は必ずしも運賃が上がり過ぎたから国鉄離れが起こったということだけではなくて、やはり全体としての経済情勢の変化というものとうまくタイミングが合わなかったということが非常に問題ではないかというふうに思いますし、またその他不安定輸送というようなことで、たまたま不幸にして、めったにない異例の雪が降ったというようなことで、貨物輸送について青函連絡船が長期に休まざるを得なくなったというようなことも重なりまして、どうもいろんなことが重なったというふうに思っておるわけでございます。  今後の問題といたしましては、現在のような残念ながらインフレ的要素を持った経済下、つまり毎年物価も上がります、賃金も上がりますという前提におきましては、やはり相当部分を運賃改定に依存せざるを得ない日本経済状態ではないかと思っております。ただ、くれぐれもお願いいたしたいと思っておりますのは、一挙に上げるということは適当でない。また、一律に上げるということもどうも適当でない。そこらを今後工夫をしていく以外には道がないのではないかというふうに思っております。
  75. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 雪などの連絡船の問題はそれなりにわかります。私はおもしろい——おもしろいと言っちゃ語弊がありますが、国鉄側からグリーン車の状況について資料をもらったのです。これは私は運賃の問題に対するお客さんの受けとめ方を端的にあらわしていると思うのですよ。参考までに言うと、在来線なんです。在来線はグリーン車の値上げ前は乗車効率は全国平均で八三%。で、五〇%上げたら途端に六七%に下がっちゃった。そして、この前下げましたね、下げる直前の利用率は六九と書いてありますから、大体傾向は同じですね、六七、六九ですから。それで途端に、下げたらまた八三に戻っちゃった。八三で六七に下がって、また下げたらぽっと八三に上がっちゃった。これは私はお客さんの選択の気持ちをよくあらわしておると思うのですよ、この数字は。  ですから、私は物価変動とか、そういうことで客観的なもので、ある程度の値上げするということはあったとしても、やはり現状から見ると、運賃というのはお客さんの選択から見ると限界ではないのか、そういうふうに受けとめて国鉄経営を考えた方が健全であるというように私は考えるのですが、このグリーン車の傾向から見て、再度総裁どういうお気持ちですか。
  76. 高木文雄

    説明員高木文雄君) グリーン車につきましては、ほとんど毎年のように少しずつ改定を行ってまいりました。足かけ三年の間にほとんど倍になったというようなことでございますので、これはどうも、いかにももう少し慎重な態度が望ましかったんではないかと反省をいたしておるところでございます。そのグリーン車の実態から言って、国鉄として今後運賃、料金を改定したならば、まあショックを受けることになるかどうかということでございますが、これはかなりもう限界に近づいておりますから、よほど慎重にあちこちに気を配りながらでないといけないわけでございますけれども、しかし、さりとてもう上げられないということではないと思っておるわけでございまして、他の交通機関と比べまして、まだ私の方がかなり安いという場所もあるわけでございますので、それらをもう少しきめ細かく考えていかなければならないというふうに考えておるわけでございます。お言葉ではございますが、もう限界に来たんじゃないかということについては、かなりその天井に近づきつつあるということではございますけれども、決して全くやりようがないということではないというふうに判断をいたしております。
  77. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 大分、私は——総裁ね、そんな遠慮しないで、苦しかったら苦しいと率直に言ってもらった方が私はやっぱりいいんじゃないか。まあそう言うと、隣に大臣が座っているから、今度大蔵省からいろんな金もらう関係があるからなかなか言えない気持ちはわかるけれども、われわれが推定すれば、天井に近づきつつあるというこの表現は、総裁としては手いっぱいの表現であるから、運賃という問題は厳しいと、こういうふうに私は理解します。  それから、二番目のこの合理化の問題は、後ほどゆっくり合理化の問題やりますから、私はこの前、合理化の問題についても、いま貨物問題の論争をされておりますが、私は縮小再生産という形でどんどん国鉄を切り詰めていくということについては余り賛成できないんです。この合理化問題については、私はむしろ今後の点から考えると反対だ。  一例を、大臣考え方を聞くんですがね、いま国土庁が新しい開発計画をつくって、北海道の東苫小牧であるとか、あるいは東北関係であるとか、九州であるとかどんどん政府の助成でやってますね。あれには必ず鉄とセメント、生産資材とか食糧とか、そういうものの大量輸送が伴うわけですね、建設工事が始まれば。この国で助成しながら大規模開発をする際に、これと国鉄貨物輸送の結合性という点は考えられないんでしょうか。  私は鉄監局長だと思ってたんですが、北海道の苫小牧に何か物資を運ぶために新しい船をつくるとか、改造するとかという話をちょっと新聞だか雑誌で見たことがあるんですが、それは確信がありませんから鉄監局長に聞くしかありませんが、少なくとも国が開発をするそういう工事と、国有鉄道貨物の機構というものを連動的に結びつける政策というのはとれないんでしょうか。この点について、まあ私の構想ですから、とれないならこれこれの理由があってとれない、この点を直せばとれる、そういうことについて、国鉄貨物合理化の問題とそういう再開発というものを一体化する必要性が十分国の政策として存在すると、こう私は思うんですが、いかがでしょうか。
  78. 田村元

    国務大臣田村元君) 自由主義経済というたてまえがありますから、強権的にこれを進めることは非常にむずかしいかもしれませんし、またこの問題については運輸大臣個人が御答弁申し上げるべき筋のものではないかもしれません。しかし、国鉄を担当する大臣として物を申せばそのようにありたい。少なくとも国が開発をするというような大きなプロジェクトについては、こういうものはなるべく国鉄で扱うとか、そういうことで何とかひもをつけてほしいなという願望は非常に強うございます。ただ、だからといってそれに対して断定的な答弁は、これは一個の大臣がすべきものでないというふうに思います。
  79. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 私が去年、予算委員会でずうっと北海道を回ったとき苫小牧に行ったら、苫小牧の皆さんとそれからあの地域の農民の方々からこういう話があったんですよ。やはりいまこれだけの、東苫小牧、あの原野に莫大な鉄とセメントを持ってくるんですから、鉄とセメントを全部というと自由経済であるからなかなか無理であるから、国が金を見るに相応する量、半分とか三分の一とか、それはやっぱり国鉄貨物を使って運ぶ。そうすれば何も貨物合理化をする必要はないじゃないか。同時に農民の方々は、来るときはそういう資材を運んで、また東京に帰るときはジャガイモとかタマネギとかビートとか、そういう農作物を積んで帰ってもらう。そうすれば高いトラックに頼んでしなくとも、行きもよし帰りもよし、国鉄もよし農民もよし。国の税金を使うんだから、あるいは助成をするんだから、そのぐらいの構想がなぜ現在の政治は打ち立てることができないんだろうか。何で弱い国鉄労働者とか農民をいじめる。そういうことばかり考えないで総合的なことを考えてほしい。  それは当然三分の一か半分というんですから海も使うんですね。それは海も使う、陸も使う、そういう総合的な開発プロジェクトに対する輸送手段というものがあってもいいじゃないかと、こういうことをじゅんじゅんと農民の方から言われたんです。ですから、私はやっぱりなるほどなあ、それはそうだと、こう思うんですから、大臣は願望としてそう思っているんですから、福田総理の願望が本物になるように、田村運輸大臣の願望も少なくともやっぱり閣議決定あたりに持っていって、そういう国鉄貨物の再開発ということについて私は前向きな議論をぜひ閣議段階で、通産大臣とか農林大臣とか関係あるんですから、もちろん大蔵大臣関係あるんでしょうから、そこでやっぱり私は実を結ぶような努力をぜひ大臣にしてもらいたいし、それを実現するために障害になる法律なりあるいは問題点があれば、それを一つ一つほどいていくような私は前向きなやっぱり検討をされたらどうかと、今後開発するんですから、二十兆も三十兆も使ってね。そういう点でどうでしょうか。  私はぜひその積極姿勢を大臣にお願いしたいし、総裁としても、経営という点から見ればこういう着想についていかなる考えをお持ちか。貨物合理化で二割か三割切ることだけ考えないで、現有する輸送をどう使うかということについて総裁も私はやっぱりこのアイデアについて前向きに取り組むべきではなかろうか、こんなふうに思うんですが、大臣総裁見解を聞きたいと思うんです。
  80. 田村元

    国務大臣田村元君) 私は自動車も海運も所管をしておりますので、現実的には悩みが多いと思います。しかし、いまの御意見は私はやはり一つの見識だと思う。これは当然きめ細かく検討する必要があろうかと存じます。そういう意味においても、先ほどの話にまた逆戻りをするわけでありますけれども、運輸省あたりで調整機関のような機構、総合交通体系にそぐうていくような機構ができましたならば、そこでやはりイの一番に検討する一つの大きな問題というふうには思います。
  81. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 私ども、いま貨物合理化といいますか、どうやって少ない経費で同じ物を運べるようにするかということに相当力を入れておりますが、同時に、どうやって新しくといいますか、お客さんにお願いをするか、あるいはいままでうちのレールを使って運んでいただいておったのが他の輸送機関にどうも移るというのを、そうでなく、なお引き続きわれわれの方を使っていただくようにお願いをするか、いわゆる増送増収運動を並行してやっていかなければならないと思っております。ただ、まだ私どもの努力が足りませんが、増送のためにいろいろ荷主の方々の御意見を伺ったりしておりますけれども、一つには、まだわれわれのサービスが十分でないということのために、他の輸送手段よりも鉄道の方を使っていただくというお願いをするのに、いささか私ども自身がもう少し改善しなければならぬと思う点がいろいろあるという点が一点でございます。  それから、もう一点は貨物赤字程度の問題でございますが、これは総掛かり費のようなものを含めては赤字になるけれども、貨物輸送その部分だけをとらえてみれば赤字にはならない、固有経費だけは賄えるという程度赤字でありますならば、少しでも荷物を運ばしていただくと赤が減るというかっこうになるんでございますけれども、現状のように固有経費、つまり貨物を運ぶだけの直接の経費だけでも赤字になるという状態では、これはどうもどんどん増送をしますと、赤字がどんどんふえるというかっこうになってしまう危険がございまして、まずこの固有経費だけは賄えるような状態に早く直さなければいけないというふうに思います。  その両々相まつことによって、その整備ができましたならば、おっしゃるようにこういう荷物をもっと運ばしていただきたいというお願いを強くできるわけでございますし、またお願いでなしに、商売としても積極策をとれるわけでございますけれども、どうもその基本のところで、いまの二点でまだできてないと思っておりますので、さればこそこの五十五年までの貨物合理化によるところの赤字の解消、特に固有経費に対応するだけのものは何とかバランスがとれるようにするということにいま全力を挙げたいと考えておりますのはそういう意味でございます。
  82. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 私は、自由経済体制も百も承知の上で、ただ国がリードをした総合開発やるんですから、総合開発をするには必ず物流——物が動くんですから、その面との対応でできないものだろうかと。もちろん私もトラックの必要性、あるいは海運の必要性、港湾の必要性、それは全部大臣の管轄でしょう。港湾局も、海運局、船も、トラックも——道路つくるのは建設省だよね。物流の輸送手段をどうするかという調整、指導権限は運輸省が持っているんですから、天下の運輸大臣がおるわけですから、これだけの荷物を何年計画で北海道と鹿児島へ運ぶ、あるいは裏日本に運ぶという際に、大まかに言って鉄道三分の一、トラック三分の一、海が三分の一と、このくらいお互いに分担してうまくやれというぐらいの私は誘導政策はあってもいいと思うんですよ。それを自由経済だから入札しちゃって、トラックへ持っていけ、海へ持っていけ、それでは国民の税金を使って、やっと国民の税金で建設した国鉄そのものの活用ということについて見ると、私はちょっとその辺に味気なさを感ずるんですよ。  ですから、先ほどから行政機構を改革をしてそういう権能を付すると、総合交通体系のことを言っておりましたが、当面具体的な苫小牧への開発とか、あるいは志布志湾の開発であるとか、そういう問題等について、幸い北の端と南の端に大プロジェクトをやろうとしているんですから、ですからいま東北、北海道の鉄道線路の問題をどうするかといえば、それに乗っければ北海道の苫小牧まで貨物はいくんですよ。こっちに乗っければ鹿児島まで行っちゃうんですよ。そういうものをやっぱり私は、国の金を使って助成をする開発事業であるだけに、調整誘導政策が必要じゃないか。そうすると、いま国鉄労使で問題にされようとする貨物合理化問題について一つの私は展望が開ける。そのぐらいの展望を持った政策がぜひあってほしいと、こう思うんですが、どうでしょうか。
  83. 田村元

    国務大臣田村元君) 実は、私のモットーは果断即決でありまして、いま鉄監局長と自動車局長に相談をいたしました、総裁答弁しておる間に。この問題ひとつどうだ、前向きに取り組もうかと、こういう相談をいたしまして、両局長とも異議がないと。そこで、たとえば新しい大きな港をつくる。そういう場合に、国鉄貨物の引っ込み線、これを国で助成するとか、何らかの形でこれを持っていくとかいうような問題について、ここで、妙な話ですけれども、答弁をしてよいかと、こう言いましたら、二人とも、いいでしょうと、こういうことなんです。  ただ、ここで私が必ずやりますとかなんとか言える段階じゃまだありません、予算編成という問題がありますから。けれども、自動車局長までが、それはいいことでしょうということでございますから、早速鉄監、自動車、海運三局長、それから港湾局長、それに国鉄、これを呼びまして私自身が調整をいたします。そして、いい方向へ——それは、実際問題合理化は必要でごさいましょうけれども、私は合理化全部しないでいいとは言いません。合理化必要でしょうけれども、それは合理化する以上に仕事がふえて人が足りないようになったらもっとありがたい話でございますから、そういうことも——そこまでいけるかどうかはまあとにかくとして、そういうこともございまして、早速調整をいたします。
  84. 青木薪次

    ○青木薪次君 関連。  ただいま目黒議員質問に対して田村運輸大臣から前向きの答弁がありました。で、いま目黒議員質問されたのは、輸送の結節点ということについて、いままで行政の側から誘導政策というものが全く感じられなかったということだと思うのです。  たとえば先般の運輸委員会——東京の羽田の手前の大井地区にトラックの関係のトラックターミナルがある、それから流通ターミナルがある、その隣に国鉄貨物ターミナルがある、その隣にまた広大な用地が、緑道公園というものがいま空いている。東京都港湾局の関係等について私は現地に調べに行ったわけでありますが、国鉄から要請があればわれわれはこれを提供する用意がある、ただし、経営主体というものについて責任を持ってやってもらいたい、こういう話でありました。  昭和五十年代の前期経済計画によるならば、都市圏における小輸送についてはこれはトラックがやらなきゃしようがない。しかし、運輸大臣総裁も言ってまいりましたように、中長距離の大量貨物輸送というものについては、これは国鉄も真剣に考えていかなきゃいかぬし、またそういう使命と役割りがあるということになると、この地域において、たとえば一大複合ターミナルとしてここを形成するということはどうだろうか。  そうしてこの汐留の駅の関係等が問題になっておりますけれども、ここから芝浦に抜ける貨物線、これは現在あるんです。それから京葉臨海鉄道といいますか、京葉線といいますか、東京都の外郭を通って関東方面へ線路をつなぐならば一これはもう十年来その計画があるけれども、実態はさたやみになっている。そうすれば、いま言われたように北海道から東北、常盤、上越、それから総武といったような関係につながるし、東海道と東北、北海道との有機的な連係というものができるということに実はなるわけであります。この点は、有識者に意見を聞いてみると全くいい方法だと言っているわけであります。  国鉄の方は港湾の方に話をした。港湾は港湾で、三兆一千億の第五次五カ年計画でもって国費を使っていま仕事をしているわけであります。そういう関係が、現実に内航海運というけれども、たとえばこの東京湾の関係等については、大阪から東京へ持ってくる品物は、貨物は単品が多い。したがって、これをまた内航海運につなげるということになれば輸送コストが非常にかかる。一方、トラックはどうか。トラックは東名高速道路を多額の料金を使ってきてもその方がまだ得だということです。  これは輸送のネックとしては、輸送の結節点というものがないということから生ずる問題でありまして、多額の、一兆円も投資をするということであるならば、この点についてこの際、本運輸委員会としても、大臣答弁は前向きでありますから、その点を積極的に流れるようにしていけば貨物は流れるわけでありますから、国の行政ベースの指導がないために、港湾は港湾、自動車は自動車、国鉄国鉄、内航海運は内航海運という形で、これがばらばらに進められているところに運輸省としても非常に問題点があるし、そこに輸送のネックがあるというように考えているわけでありますから、そういう点については大臣にあわせて答弁をお願いいたしたい、こう思います。
  85. 田村元

    国務大臣田村元君) 先ほど目黒さんにお答えいたしましたように、こういう問題については整合性を図りながらそれぞれの位置づけをしていくというふうにいたしたいと思います。具体的には先ほど目黒さんにお答えしたとおり。ただ、目黒さんにも申しましたが、運輸大臣というのは海運も自動車も所管しております。いま国鉄で頭が痛い以上に頭が痛い問題は、一つは海運不況でございます。海運造船の不況でございます。でございますから、現実的にはいろいろな悩みがあると思います。思いますけれども、しかし調整をしていくことは、私は場合によったら海運にとってもプラスだと思う。でありますから、その意味において、いまの御趣旨まことに結構な御趣旨でありますので、それこそお使いになった表現じゃありませんが、前向きに考えていきたいと、こう考えております。
  86. 内田善利

    委員長内田善利君) 午後一時まで休憩いたします。    正午休憩      —————・—————    午後一時六分開会
  87. 内田善利

    委員長内田善利君) ただいまから運輸委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道法の一部を改正する法律案議題といたします。  この際、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  本案審査のため、本日の委員会に、日本航空株式会社副社長高木養根君を参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  88. 内田善利

    委員長内田善利君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  89. 内田善利

    委員長内田善利君) これより質疑を行います。  質疑のある方は御発言願います。
  90. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 きのうのきょうということで、ずうっと流れの中で日本航空の皆さんにお伺いしようと思ったんですけども、何か会社の時間との関係などあるそうですから、飛んでいたしますけれども、ちょっとお伺いいたします。  実は、総合交通政策の中で公正な競争条件という角度からずっと陸、海、空を当たっておりましたら、日本航空の安全の問題について、どうしてもちょっと合点がいかないものですから、きょうその点をお伺いしたいと思ったんです。この前、クアラルンプールの事故の衆参両院の交通安全対策特別委員会の朝田社長の見解によると、四十七年ですか、八年ですか、事故が起きてから八十三項目の点検要項を設けて、十分に設備その他を含めて点検をしていると、こういう御答弁議事録に残っているわけでありますが、これは間違いありませんか。
  91. 高木養根

    参考人高木養根君) 日本航空副社長の高木でございます。実は、かぜをひいておりまして、のどを痛めておりますんで、大変お聞き苦しいかと思いますけど、ひとつ御勘弁を願います。  ただいま目黒先生から御指摘のありました、四十七年の連続事故の後におきます四十八年当初におきます八十三項目の安全対策、これはいま御指摘のとおり間違いございません。
  92. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 おたくは四十八年の八月に、立教大学の早坂研究室に頼んで従業員の意識調査ということをやったことありますか。
  93. 高木養根

    参考人高木養根君) 日時をはっきり覚えておりませんが、立教大学の早坂先生の教室を使っての意識調査、確かに行いました。
  94. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 その内容が、おたくの労使関係で争われてる裁判所の準備書面に、こう安全関係で載っておるんですが、その中で巨大な中小企業という言葉を使ってるんですね、日本航空を評して。で、巨大な中小企業というのはどういうことだと思って私、いろいろ聞いてみたんですがね。もう体はジャンボ以上にでかくとも、内部の従業員対策というか、安全対策というか、きわめて町場の中小企業と同じような人間関係労使関係があるということを称して、巨大な中小企業、日本航空と、こういうまあ表現を使ってるんですが、おたくが頼んだ立教大学の早坂教室がこういう言葉を使ってるという点に対しては、どう受けとめてますか。
  95. 高木養根

    参考人高木養根君) ただいまの先生の御指摘でございますが、これは早坂先生の教室で職員の意識調査をしたものでございまして、当時の職員の意識が確かにこの早坂先生の教室の手でまとめられたものというふうに承知をしておりまして、したがって、そういった取りまとめについては私どもとして厳粛に受けとめておるわけでございます。
  96. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 会社の安全対策については従業員——地上勤務員もパイロットも客室も含めて、全体の半分以上が会社の安全対策については信用できないと、そういうことを言っておることについてはどう受けとめましたか。
  97. 高木養根

    参考人高木養根君) 私ども経営陣といたしましては、何と申しましてもこの交通事業、特に航空事業におきましては、申すまでもなく安全ということがすべてに優先しなければならないことでございまして、そういう意味で私どもは経営の責任においてこの安全の問題については日夜心胆を砕いて努力をしておるわけでありまして、確かにあの取りまとめを見ますと、先生のいま御指摘のような傾向があるのでございますけれども、この点については私どもは非常に残念に思っております。
  98. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 しかも、実際の操縦士、機関士の皆さんは七〇%程度おたくの会社の安全対策については信用できないと、毎日パイロットの操縦桿を握っている皆さんがそう言っているんですが、これはどういうことなんでしょう。
  99. 高木養根

    参考人高木養根君) この安全問題につきましては、かねがねいわゆるコクピットクルー——運航乗員の組合、あるいは客室乗員の組合、あるいは地上職員の組合、先生御案内のとおり、会社には四つの組合があるわけでございますけれども、特にそのうちの直接航空の安全に関係をします乗員の組合あるいは客室乗員の組合等とは、この安全の問題についてはよく話し合っております。そして私どもの基本的な立場として、組合の方では団交マター、団交事項というようなことで話し合いをしたいという要求をよく受けるわけでございますが、私どもとしてはこの安全問題というのは決して経営と労働組合とがいわゆる経済問題のように取引をすべき事項ではないんであると、これは経営にとっても組合にとっても、あるいは要するにもっと突っ込んで言いますと、この航空運送事業に従事しておる者すべてについて共通の一番基本的な問題なんだと、だからこれについてはお互いに忌憚なく、とことんまで話し合いをしようじゃないかということで常々話し合いをしておるのが実情でございます。
  100. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 この四十八年の調査ですが、これを私もらいました。ことしの九月、いわゆるパイロット組合です、これね。それからこれはスチュワーデスの組合。これは社外秘、あなた方の立場を尊重して社外秘になっていますよ。しかし、ここまで来れば、社外秘ちょっと見せてくれと、安全問題どうも気にくわぬと。見たら、依然としてスチュワーデスの客室乗務員、それから乗務員、パイロット、機関士、この方々のアンケート見ますと、私も驚いちゃったんですが、日本航空の乗員制度についてどう思いますか、抜本的に改めるべきだが八五%、それから会社の安全運航の姿勢をどう思いますか、きわめて不十分であるが九〇%、それから安全運航は会社に任せられると思いますか、任せられない、心配だというのが八四%、これはパイロットですよ。  だから、あなたが国会でどんなきれいなことを言おうと、パイロットはこういう受けとめ方をしているんです。あるいはスチュワーデスの皆さんもこういう受けとめ方をしている。これは余り数字変わりありません。そうしますと、ほかの、日本航空でなくて全日空とか東亜国内航空であるとか、ほかの民航の方を聞いてみたら、こんなに極端じゃないですよ。日本航空だけこんなに極端だというのは、どこか私は経営にひずみがあると。同じ組合員同士がこういうのをつくってやっているでしょう、航空安全推進会議と。みんな情報を交換しているでしょうが。みんな情報を交換して共通の地盤にありながら、なぜ日本航空のパイロットとスチュワーデスだけがこういう異常な数字を出して、会社の安全運航が信用できないと、こうなっているのでしょうか。どうも私はここが理解できない。どこにガンがあるのか。  私はむしろ社長に直接聞きたかったのですが、もう一回われわれ運輸委員なら運輸委員日本航空の安全体制、労使関係、装備、やはりわれわれに全部公開をして、この原因はどこにあるのかという点を私は国会の責任において点検する必要がある。日本航空は政府の出資会社でしょう。こんなに安全の問題について従業員と会社側にずれがある。しかも毎日乗るパイロットですよ。私も昭和十六年から国鉄の機関士ですよ。国鉄の機関士が国鉄当局に対してこんなに不信感持ったら安全運転できませんよ。いわんやパイロットでしょう。どこにガンがあるとあなたは受けとめますか。
  101. 高木養根

    参考人高木養根君) ただいまの先生の御指摘でございますけれども、私どももそういう印刷物が出ておることは承知しておりまして、そういう意味で大変残念に存じております。まことに遺憾であり、本当に残念に思います。そこで先ほども申し上げましたとおりに、何といいましても、とにかく特に運乗の労働組合と、客室乗務員の労働組合と、経営の間に確かに非常に大きなみぞがあるということは言わざるを得ないと思うのですね、こういう事実があるということで。  そこで、先ほど申し上げましたように、私どもとしては、この安全の問題は決していわゆる経済的な諸要求のような、経営と働く者とがお互いに取引をして何かを決定するというような種類の問題ではない。安全というのはやっぱり基盤として、基礎として、これはみんなに本当に共通にやらなきゃいかぬことなんで、今後もその辺を踏まえてさらに話し合いというのを進めてまいりたいと、こういうふうに思います。
  102. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 これね、十一月二日、日本航空と全日空の労働組合が合同で団体交渉をやった。そのときに全日空の社長さんが、とにかく日本航空には困ったもんだと、困ったもんだということを両方の労使の代表の前で公然と言っているというんです。どういう会社の競合関係あるかしりませんが。同じ航空界でも日本航空と全日空、まあロッキード問題でいろいろあったにしても、やはり安全とかそういう問題について、公然と全日空の社長が労働組合の代表の前で、困ったもんだ——困った内容は言いません。ここに私は全部メモしていますが、困った内容は人格も関係ありますから言いませんが、困ったもんだということを全日空の社長に言われるだけあなた方の会社はどこか問題があるのですよ。これをどう見ますか。
  103. 高木養根

    参考人高木養根君) ただいまの先生御指摘の、日航と全日空の組合が共同で団交というふうにいま先生おっしゃったというふうに私理解したんですけれども、私はそういう事実、承知しておりません。
  104. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 じゃ、調べて後で回答してください。  それで、どこに日本航空の特質があるんだろうかということで、全日空とか、それから東亜国内航空の皆さんからいろいろ聞いてみました。ただ、一つ発見したのは、いわゆる機長ですか、私は東北弁だから発音が悪いけれども、その機の親分だね、親分はこれ組合員でないんだってね、日本航空だけ。そう言えば、私二、三日前、非常にうれしい暮れのボーナスの記事が全部挙がっていました。日本航空のところは機長、これは管理職だと、別途と、こうなっていますがね。いろいろ理由は聞きました、東京条約から何から含めて。しかし、ここに私は日空航空の他の会社と違う、国際的にもただ一つだけだそうですね。  アメリカに何とかという小さい民間会社のパイロットだけが挙がっているけれども、それは出資者であってかつパイロットの親分だと、そういうことがあって管理職になっていると、株主兼機長なもんだから。あとは国際的な傾向としては、パイロットの機長はやはり組合員としてやられているけれども、日本航空は、東京条約の際に、いろいろな紛争を通じてこれを強引に一方的に管理職にして、機長になるためには二十二回人事面でチェックするそうですね。このチェックの内容はなかなかあなた方は公開しないそうですが、この二十二段階のチェック制というのもぜひ資料として出してもらいたい。なぜ日本航空だけが機長を管理職にしているのか。  私は、国鉄マル生を経験した男として、結局あなたたち日本航空の中に鉄のカーテンを引きながら、目に見えない私はマル生的な関係があると。そこに、きわめて人間関係が不十分で、こういうような会社不信というのが全体の中に広まっているんじゃないでしょうか。裏を返せば、こういうずさんな人事管理をやりながら競争条件を、利益を上げようとする、いわゆる国鉄と競争しようとしている、そういうきわめて不純な関係があるんじゃないですか、どうでしょうか。
  105. 高木養根

    参考人高木養根君) ただいまの日本航空が機長を管理職にしております理由につきましては、先生もいま御指摘ありましたが、聞いておる、あるいは知っておるというふうに先生言われましたんで、ここでまた改めて申し上げませんけれども、何か国鉄と不当な競争というようなこともいまおっしゃいましたように私聞いたんですけれども、私どもはそういうつもりはもう本当に毛頭ございません。
  106. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 毛頭ありませんてね。従業員が満足するような安全設備、安全対策、それをやらないで、いわゆるこれを従業員が言うとおり、あるいは機体の改造をやる、こういう取り扱いをする、それはそこに金がかかるでしょう。この安全設備を満足にするためには金がかかるんですよ。そのかかる金をかけないで、結局コストダウンしているんじゃないですか。この従業員の要求に応じて安全設備その他についてきちっと直せば、それだけ運賃にはね返ってくる、そういうのが運賃とコストの関係じゃありませんか。だから関係ないじゃないですよ。人の生命を預かっておって、こんなに従業員が不信感を持っておる。不信感を持たないように航空機の安全設備をしなさいよ。やりますか、それじゃ。
  107. 高木養根

    参考人高木養根君) ただいまの先生の御指摘でございますけれども、確かにこの安全対策としていろいろなものがございます。それで基本的に一番大きなことというのは、先生も御存じでいらっしゃると思いますけれども、何といいましても、この航空界における技術革新というものは非常なスピードで進んでおりまして、ということは、言いかえますと、新しい種類の機材でございますね。これはやはり確かに安全上も非常にすぐれておる、いわゆる多重装備というような面からいきましても、大きければ大きいほどまたそういう技術的な余裕も出てくるということでありまして、そういう意味で、一口にいいますと、航空会社として取り組める安全対策の一番大きな問題というのは、やはりすぐれた安全性を持っている新機材を導入する、こういうことになるかと思います。そういう点では今後も私どもとしてやっていきたいし、あるいは従来使っております航空機につきましても、その後の技術の進歩によって新たに開発されましたような安全関係の機器類につきましては、これを順次取りつけていくということで安全性を向上さしていきたいと、こういうふうに考えております。
  108. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 あなたがどんなきれいごとを言ったって——私が言うのがわかりませんか。従業員がこういう認識を持っているのであるから——あんたは労使以前の問題を言っているでしょう、労使以前の問題。私も国鉄の安全論争でもう二十年もやっているからわかりますよ。従業員が安全についてこれだけの不信感を持っているのであるから、この要求を満足させるためにやっぱりおたくは最大努力をすべきじゃありませんかと言っているんですよ。お金かかってもしようがない。それが当然じゃありませんか。  それから、国際的にただ一つぽこっと突出しているパイロットのいわゆる管理職という制度は、国内的にも国際的にも改めるべきじゃありませんかと、こう二つ聞いているんですよ、いかがですか。
  109. 高木養根

    参考人高木養根君) この安全施策の問題につきましては、ただいまお答えいたしましたように、もちろん資金その他の問題もありますし、それから日常の業務関係もありますので、可能なる範囲で順次これをやっていきたいというふうに考えておりまして、計画を立てているわけでございます。  それから機長を管理職に現在しておるわけでございますが、これを管理職からはずすということにつきましては、私ども日航の経営の衝に当たっている者としては、そういうことはいろいろいままでも話が出ておりますので考えたこともございますけれども、やはり日航においては機長は管理職ということで持っていくことが一番いいというふうに現在も考えております。
  110. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 国際的に日本航空だけがこうなっているというのは、そうするとあなたの考えは、国際的なやり方が誤りであって、わが日本航空ただひとり、全世界でただひとりおれのところが正しいんだと、そういうお考えですか。それともなぜ、国際的にそういう慣行がとれない理由は、じゃあ逆にどこにあるんですか。日本航空だけがとって国際的な皆さんがとらないという最大原因はどこなんですか。
  111. 高木養根

    参考人高木養根君) ただいまの先生のお言葉で、日航だけが正しくてほかが間違っているのかと、そういうお言葉ございましたんですけれども、私はそのようには申し上げませんですし、そういうふうに考えておりません。というのは、同じ、たとえば国際航空に従事しておる世界じゅうにいろいろな会社がございます。しかし、それぞれの会社にそれぞれの会社としての個性がございまして、まあ私どもは日本航空の立場で考えた場合にはやはり現在の制度が適しておる、こういうふうに考えておるということを申し上げたつもりでございます。
  112. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 だから、あなたの主張が正しいということは、逆説的に言えばほかの方が間違っているということなんでしょう。日本だって全日空と日本航空は違うんでしょう。全日空はああいうかっこう、日本航空はこうと、単純な国内だけではいいけれども、国際的に聞いてみれば、ITFというわれわれ昔の車へん、陸海空の、ITFの皆さんに聞いてみたら、それは日本航空というところは前近代的なところだよと一口でそう言いますよ。そんなことおかしいから、ちょいちょいクアラルンプールで墜落してみたりなんかあるんだと。  機長の皆さんに聞いてみると、言いたいことを言えないんだってね、日本航空の管理職の皆さんは、言いたいことを。今度亡くなったあのパイロットの皆さんもいろんな問題を言っておったけれども、やっぱり管理職ということになるとなかなか口が重くなる。あなた方も機長を管理職にしておくのは、そういう問題を抑えるための人事管理の手段として使っているのであって、安全対策としての問題じゃない、私はこう思うんですが、間違っていますか。人事管理の手段だと。言うな、見るな、しゃべるな、文句言うなと。  じゃ聞きますが、外人の機長はなぜ管理職になっていないんですか。これは国際的に外人の機長は管理職じゃないでしょう、外人機長はずしていますね。ここもおかしいじゃないですか。何で外人機長をはずしているんですか。雇用関係は一緒でしょう、国際的にも。外人の機長は管理職はずして、日本人の機長だけ管理職にして、結局人事管理の手段として使っていると言われても釈明できますか、教えてください。
  113. 高木養根

    参考人高木養根君) ただいま先生から御指摘の点でございますけれども、私どもは決して先生がおっしゃいましたような、要するに物を言わない、あるいは言わせないために管理職にしているのでは毫もございませんで、むしろ管理職であれば、より会社の基幹的な要員という意味で、より発言をしてしかるべきだというふうに考えておりますし、また実際に発言を聞いてもおります。
  114. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 じゃ、ここで仮定論争やっていてもしようありませんから、この国鉄問題が終わった後に、機会があれば、あなたが言っている問題のきょうの議事録をとりまして、その議事録の裏づけについて、私は実際にじゃ、日本航空に行ってみて、あなたの発言がうそか、このアンケートが間違っているのか、実態をぜひ時間をかけて見せてもらいたいと思いますが、それは応じますか。
  115. 高木養根

    参考人高木養根君) 国会の場においてただいま先生がおっしゃいましたような発言を求められた場合には、もちろん申し上げるということにしたいと思います。
  116. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 それでは、この「乗員速報」によりますと、アメリカの発表で、日本航空は安全率については世界で六十三番、それからパイロットの死亡率はアメリカの一・六倍、これは間違いありませんか。
  117. 高木養根

    参考人高木養根君) アメリカの雑誌にそういう記事が出ておるということについては承知しておりますが、そういう評価について絶対にそうなんだということが言えるかどうかについては、私は若干疑問に思っております。
  118. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 じゃ、きょうは時間がありませんから、その疑問点を文書で回答してください。あなた方がどういう点で疑問点を持っているのか、それをぜひ答弁書で出してもらいたい。いいですか。
  119. 高木養根

    参考人高木養根君) 事務局と相談をいたしまして、しかるべき書類を提出したいと思います。
  120. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 出すと言うのか出さないと言うのか、どっちなんですか。
  121. 高木養根

    参考人高木養根君) 提出したいと申し上げました。
  122. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 じゃ確認します。ぜひ出してください。  それから、航空局長にお伺いしますが、おりませんか。——十月二十五日、これはクアラルンプールの墜落に関連する問題だと思うんですが、乗務員の職場における士気高揚、働きがいある職場、そうするためには、日航の存在がかかっている大事な時期だと、経営内容についてはさらに行政指導を強化したい、こういう答弁をしておられますが、間違いありませんか。
  123. 松本操

    政府委員(松本操君) 二十五日と先生仰せられましたが、二十六日の委員会でないかと思います。久保先生の御質問に対して航空局長が、文言は正確であるかどうか、私記憶がございませんが、この問題については、航空局長としては、この事故が起こる前から、いろんな点について日航のありように問題があるというふうに考えておりましたと、ついてはそれについて早急に点検をするということを考えたい、こういう御返事は申し上げております。
  124. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 いま副社長さんとのやりとりについても聞いておられますから、やはりこのアンケートに絡む安全の問題、設備の問題、投資の問題も含めて、航空局の方で一回チェックしてもらいたい。両方の言い分について、どっちが本当かうそかね。そっちはやっていると言うし、こっちはやらないということならね。そういうことについていかがですか、行政上のチェックは。
  125. 松本操

    政府委員(松本操君) 実は、本十五日から数日間をかけまして、私どもの関係部長がそれぞれ日航の関係役員及び関係職員に出頭を求めまして、主として安全の見地から委細について聴取をする、その結果を私どもの方でさらに検討いたしました上で、問題点があればこれを指摘して、日航においてもさらに突っ込んだ検討をしてもらうと、こういうような措置をとる、こういうことにいたしております。
  126. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 私は呼ぶのも結構だけれども、ハイジャック問題が起こると、お巡りさんが日航の服着て職場を回っているらしいですねいま。きょうは時間がありませんから言いませんが、ここに報告書があります。そのくらいハイジャックに熱心なんだから、航空局も現地に出て行って、いま言った機長さんとか、外人の機長とか含めて、ひとつこのアンケートの裏づけがどうなのか、日本航空の答弁がどうなのかということについて、現地に出て行って私はぜひ調査をしてほしい。その際に、至らない者であるけれども、目黒朝次郎も連れて行ってもらえれば非常にいいなあと、こう思うんですが、いかがでしょうか。
  127. 松本操

    政府委員(松本操君) 四十七年に日航が連続事故を起こしましたときに、私どもはいわゆる先生のいまおっしゃった、立入検査と私ども呼んでおりますが、これをいたしました。従来も事故がありますたびに立入検査、改善勧告というパターンを繰り返しておるわけでございまして、それによって特段の向上があればともかく、やはり同じような事故が起こったといたしますと、私どもとしても従来のやり方を少し変えるべきではないか。ただ形式的な立入検査だけでよしとするわけにはまいりませんので、先生のおっしゃったようなことをも十分に踏まえまして有効適切な手を打っていきたい、このように考えております。
  128. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 じゃ、そうお願いいたします。  それでは運輸大臣ね、まあ結局、どうも日本航空だけ飛び抜けて特殊な条件にあるものですから、交通政策全般の一環としてお伺いしたいんですが、日本航空は政府にも関係する会社ですから、ぜひいまの論争を聞いての大臣見解を一言聞いて、この航空問題終わりたいと、こう思うんです。
  129. 田村元

    国務大臣田村元君) 日本航空といえども、一般の株主もたくさんいらっしゃる営利企業でございますから、特に私から経営内容の問題についての具体的な問題について触れることはあるいは遠慮しなきゃならぬのかもしれません。いまのお示しになった統計がどういうものであるのか、一遍これまた拝見しなきゃならぬと思いますが、まあいずれにしましても、いかなる会社といえども、改めるべきものは改めてもらうということは当然でありますが、とりわけ航空会社は非常に危険度の高い仕事をしておるんでありますから、しかも人命に関する問題でありますから、より一層安全というものは重視してもらいたいし、それには労使関係もうまくいってもらわなきゃならぬと、このように思います。日本航空のそういう意味の内情については、大変申しわけない話ですがまだ不勉強でございまして、一遍勉強したいと思います。
  130. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 ひとつ要請いたします。じゃ、どうも日本航空の副社長、ありがとうございました。  それで、午前中に続くんですけれども、運賃値上げ、合理化の問題についてはそれなりに聞いたのですが、そうしますと、私なりあるいは社会党としても、やはり三本の柱の政府助成、あるいは政府の責任と、こういう問題についてもう少し明確にされないと、第一次、第二次、第三次の再建失敗したように同じ繰り返しをするんじゃなかろうか、こんなふうに考えますんで、この五十一年度の決算を見てみますと、三千百六十億ですか、これだけの利子負担をしているんですからね。大変な問題だと、こう思うんですが、大臣はこの前の予算委員会で、国の助成の問題については、わが国は諸外国に比べてピカ一だと、こういう御答弁なすったんですが、まあ運輸省にお願いしても、ピカ一だというやつのその具体的な裏づけが資料として出してもらえないんですがね。大臣、手元にこのピカ一の資料があったら教えてもらいたいと、こう思うんですがな。
  131. 田村元

    国務大臣田村元君) 私がこの前お答えしましたのは、こういうお答えを申し上げたんです。世界的に見て、日本政府国鉄に対してなしておる助成は恐らく世界超一流クラスであろう、輸送効率等からながめてみれば、あるいはまあピカ一と言いましたか、一番と言いましたかちょっと覚えありませんが——になるかもしれませんと、こういうことを申し上げたわけです。で、私は、実はいろいろな世界の国鉄関係の本なんか拾い読みではありますけれども読んでおりまして、確かに世界でずば抜けて一番とは言えないかもしれませんけれども、やはり政府助成が多いということにおいては世界の先進国じゃないかというふうに思うんです。ただ、具体的な数字とかそういうものにつきまして、私がここで大みえを切って御説明を申し上げるだけのまだ知識を持ち合わせませんが、単に私が文献を拾い読みしたということでございますが、いい機会でございますので、鉄監局長から御説明をさしたいと思います。
  132. 住田正二

    政府委員(住田正二君) まあ、諸外国の助成と日本の助成とを比較いたしましてどっちが多いかということの比較は一概には言えないんで、いろんな条件があるわけでございます。いま大臣が申し上げましたのは、やはり助成というのは、国鉄が運んでいるお客さんが多ければそれだけ営業成績がいいわけでございますので、助成は少なくて済むということが言えるわけでございまして、そういう点から言いますと、日本国鉄は諸外国の国鉄と比較して非常にたくさんのお客さんを運んでいるということが言えると思います。お客さんが多いかどうかというのは、輸送密度を見ればわかるわけでございまして、日本国鉄の一営業キロ当たりの輸送密度は千七百三十三万人でございます。それに対しまして、イギリスの国鉄の一営業キロ当たりのお客さん百七十万人キロ、ドイツが百三十七万人キロ、フランスが百三十万人キロということで、大体日本国鉄輸送密度はイギリスの十倍、ドイツ、フランスの十数倍ということでございます。  別の見方でございますけれども、たとえば新幹線、これは千キロしかないわけでございますけれども、新幹線で一年間輸送いたしております延べの輸送人キロと、イギリスがいま一万八千キロございますけれど、それの輸送人キロとは大体同じでございます。新幹線は千キロでそれだけのお客さんを運んでおりますので、非常に大きな利益を上げているということでございますので、助成と輸送密度というものは反比例するんじゃないかと、輸送密度が高いほど助成額は少なくて済むということが言えるわけでございまして、そういう点から見れば、日本の場合には十数倍のお客さんを運んでいるわけでございまして、イギリス、ドイツ、フランスの助成額と比較すれば日本の方が大きいということが言えるのではないかと思います。
  133. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 私、ある雑誌からとったんですが、そういう輸送量と助成との相関関係もまた別な角度から見れば、たとえばイギリスなどはこれは監査報告にもちょっと載っておりますが、この前の一九七四年の決算の際のころを見てみますと、収入がこれは億に直して五千九百二十五億、支出が六千九百三十六億と、そして当初予算で九百八十五億助成をして、決算をやった結果、これは資本勘定も含めて千十一億円の赤字だと、決算段階で。この赤字に対して国庫支出で千十一億を補てんをして単年度でも繰越赤字はなくしてしまうと、こういうルールがイギリス国鉄のルールだと、こういう説明されておるんですが、これはおたくの方の調査ではどうなっていますか。  私は、この国鉄監査報告とある雑誌からとったんですが、結局、最初当初予算で助成をすると、しかし決算赤字が出れば、赤字分だけ補てんしてしまう、単年度でもう繰越赤字を残さないと、こういう決算方式で国鉄の問題をやっているわけです。もちろん労使間で合理化の問題もやっているし、いろんな問題もやっている。いろんな合理化の問題、営業活動を一生懸命やって、そうして出た赤字についてはこういう単年度で締めくくりをして残さないと、こういうルールがイギリス国鉄のルールだと、こう言われているんですがね、これは確認できますか。
  134. 住田正二

    政府委員(住田正二君) イギリスだけではなくて、ヨーロッパの国鉄に対する助成の基本的な考え方がECの規則で決まっているわけでございます。商業的採算に乗るものについては助成はしないというのが一つの原則になっております。  それからもう一つは、公共的な役務を継続的に提供しなきゃいかぬという、公共的な制約からどうしても国鉄赤字になってもやむを得ないというものについては国が助成をすべきであるという大原則があります。それ以外には助成しないというたてまえをとっておりますけれど、いま先生の御指摘のように、各国とも毎年度出ております赤字については単年度で補てんをするというやり方をいたしております。これは、いわゆるECの規則から見ますと例外的な措置ではないかと思います。たとえば一昨年だと思いますが、ドイツの場合には、この赤字が非常に大きくなりまして補てんをやらなかったこともあるわけです。
  135. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 これは確かに日本国鉄と対照するには、アメリカの鉄道やっても、それはやれませんからね。大体イギリス、フランス、イタリーあたりの鉄道のあり方がわれわれとしては対照になってくる。ですから、われわれそれに関心を持って調べたんですよ。そうすると、多少の違いがあっても、たとえばドイツの場合には、決算で二千八百四億の赤字に対してやはり二千四百九十一億を補てんをして、若干赤字は残ったんですかね、三百十三億。これはおたくの言う採算ベースの関係で、採算ベースで、何と言うかね、経営が余りうまくいかなかったと。だから、これはおまえらの責任だから、おまえらで埋めろという金が三百十三億。あとの金は全部赤字の大部分、二千八百に対して二千四百。これは一九七四年のドイツ国鉄の会計です。こういう補てんをしている。  あるいはフランスの場合にも同じような形で、大体赤字決算見込み額から逆算をして、単年度で赤字が出ないように補てんをしている。こういうのが私はECにかかわる方々の、大体国鉄の国庫補助あるいは国の責任というものについてやっておる姿ではなかろうか、こう思うんですが、これは、私は横文字が読めませんから、横文字の読める人に翻訳してもらって、それを書いた数字がこの数字なんですが、これは余り事実関係とは違いないでしょう。
  136. 住田正二

    政府委員(住田正二君) 先ほど申し上げましたように、ヨーロッパの国鉄では、商業的分野については助成をしないというたてまえをとっておりますけれど、この分野の赤字が非常に大きいということで、いま御指摘のような助成をしているわけでございます。本来のたてまえとしては、公共的な面だけしか助成はしてはいかぬということをECは決めておるわけでございますけれど、実際上、いわゆる採算が本来とれるであろうという分野の赤字が非常に大きくて、そういう分野についてドイツの場合非常に巨額になっておりますけれど、ドイツ、フランス等は助成をしている。ただ、イギリスの場合についてはかなり合理化が進んでおりまして、そういうしりぬぐいもやっておりますけれど、その額は非常に少なくなってきているというようにわれわれは見ておるわけでございます。したがって、いま先生のおっしゃった額が全部公共的な制約に伴う助成であるというふうには理解いたしてないわけでございます。
  137. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 これと日本国鉄との違いというのを見ますと、イギリスでもドイツでもフランスでも、物を大事にするということですかね。たとえば私は二年ほど前イギリスへ行って、イギリスの運輸大臣と新幹線問題を論争したら、こう言われました。日本の方の考えはわからないと。そんな狭い国に新幹線走らして、在来線との関係はどうなるんでしょうか。いわゆる雇用の問題どうなるんでしょうか。もうけるのは、鉄やセメントの特定の方々だけであって、とてもイギリスの金を使ってはやれません。国鉄は自前でやったんですかと聞かれました。全部借金ですと。そうでしょうと。自前でやったら国鉄経営は成り立たない。しかし、借金でも成り立たないんじゃありませんかと。私一例を挙げたのは、そういう新線建設の問題については、向こうはなかなかないですね、むしろ撤去しているくらいですから。  ですから、日本の国庫助成を考える際には、やっぱり新線建設とかローカル線の問題、そういう問題の政策的な点からくる赤字ということに対して、政策的にこれを十分に補てんするという原則がないままに——午前中からやっているようにずっと三十九年から若干の手当てはしたにしても、大骨の方には手当てしないまま今日に来ていると、こう思うんですよ。ですから私は、この三本の柱の国の助成という問題は、やっぱりそこのところにポイントを置いた大きなウエートを置かないと、運賃値上げや合理化だけではもう、絶対ではないけれども、ほぼ限界に来ているから、国鉄を建て直すためにはやはり政府助成——いい悪いは別にして、たとえばイギリスのように単年度で赤字を繰り越さない、これぐらいのやっぱり私は措置をすべきだと、こういうふうに思うんですが、ここがもう国鉄再建問題のポイントじゃないかと、こう思うんですが、いかがでしょうか。
  138. 住田正二

    政府委員(住田正二君) 私どもといいますか、日本国鉄についての私どもの考え方と、ヨーロッパの各国政府国鉄に対してとっている考え方とは大体同じではないかと考えているわけです。いまイギリスの例が出ましたが、先ほど申し上げましたように、イギリスの一営業キロ当たりの輸送密度というものは百三十万人キロでございます。日本のローカル線九千二百キロの一営業キロ当たりの輸送密度が百二十三万でございまして、大体日本の地方ローカル線とイギリスの国鉄との輸送密度は大体同じだということでございます。そのように輸送しているお客さん非常に少ないわけでございますので、やはりローカル線については現状のままでは国鉄経営上の負担の限界を超えるんじゃないかということで、私どもとしてはローカル線についてその負担の軽減を図る方向で努力をいたしているわけでございます。
  139. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 とにかく何といっても監査報告が言うとおり、特定債務整理特別勘定で、これは本会議でやったとき二兆五千四百億ですか、これをとっても依然として過去債が五兆四千五百八十二億円、これだけの金を抱えているんですからね。それも皆午前中から言ったとおり、まあ国鉄にかかわりなくと言っちゃ語弊がありますが、やはり国鉄のどうこうどうこう、全然聞かないとは言わぬけれども、大体別な政策の面でどんすかどんすか第何次、第何次、第何次と決めて、一兆円、二兆円、三兆円というお金を借金してやったんでしょう。その金がまだ現に五兆四千五百八十二億円国鉄の肩にかかっているんですよ。この問題の処理をせずして国鉄再建やれと言ったってもう限界じゃないですか。  いま鉄監局長、キロ当たり何とかってね、そういうことはずいぶんもうわれわれ長い間議論してきたの。議論して議論して、議論されて議論して、やっとこの前の国会で二兆五千四百億は始末をした。始末をしてみたけれども、依然として午前中の決算報告のあのとおりこういう現状だと。四千億が九千億になってむしろ赤字がふえちゃったと、こういう現状認識国鉄にこれだけの借金を背負わしてやれと言ったって、これはどうなんですかね。まあ、これは自信のある人が——高木さんには悪いけれども、あるいは常務理事の皆さんには悪いけれども、自信のある人がひとつ国鉄総裁になってやっぱりやってもらうと。  私はこの前、三木総理に予算委員会で、あんたやりますかと言ったら、三木総理は、いやいや私は現状のままではとても国鉄総裁勤まりませんと、こう言ったんだから、総理大臣が勤まんないやつを、あんた大蔵省の一事務次官——といえば最高のポストかもしれませんけれども、そこをやってきた高木さんにこれでやんなさいと言ったって、これは政治の押しつけじゃありませんか。ここのネックをとるのが私は政治だと思うんですよ、政治の責任だと。そこのところをきちっと政治のイロハはやっぱり原点に返れと、困ったときは原点に返れと。そういう原点に返った気でやっぱりやらないと、福田総理大臣を引っ張ってきてこの点を聞かないと、この法案をどんな小手先で議論したって、ここの根っこが私は決まらない限りは国鉄再建なんというのはあり得ないと。もう高木総裁以下全部辞表出して、どうぞやれる人やってくださいと、私も能がありませんから、私はできませんから、やっぱり政治の責任でめんどう見てもらうと、これはいかがでしょうか。  まず総裁もそういう考えについてどうなのか、総裁からも鉄監局長からも聞きたい。
  140. 住田正二

    政府委員(住田正二君) 確かにいま御指摘がございましたように、国鉄がやっております工事の中には性格のはっきりしないものが多いわけでございます。やはり国鉄が企業として必要な工事と、それから国の政策面から見て必要な工事というものは分けていかなければいけないわけでございまして、今回衆議院法律が通りました際に「国鉄再建の基本方向」という案が示されておりますけれども、その中で今後政府国鉄が一緒になって投資について基準を考えろということがうたわれております、したがいまして、われわれといたしましても、今後国鉄が自分の商売のために必要な工事と、そうでないものとを分けて、そうでないものについてもし採算が取れないような場合にはどうするかというようなことも含めて今後基準をつくっていかないと、いたずらに国鉄の借金だけがふえていくということになって、国鉄健全経営が阻害されるおそれが今後も残る。そういう意味で「国鉄再建の基本方向」に示された答申についての考え方は非常に重要な問題であると受けとめております。  ただ先ほど御指摘のように、二兆五千四百億円の債務をたな上げしたにもかかわらず、なお五兆四千億の赤字が残っているではないかという点はまさしくそのとおりでございますけれども、ただ一方、国鉄の資産も五兆七千億の財産があるわけでございまして、その債務に見合う財産はまだ十分あるわけであります、したがいまして、現在の五兆四千億がすべて不良債務であるということではないわけでございまして、その中には赤字運転資金に見合う債務もございますので、昨年の参議院の当委員会の附帯決議にもよりまして、本年度予算では利子負担の軽減を図っておりますし、将来収支均衡がとれる時点におきましては、そういう不良債務についての処理をきっちりいたしたいと考えているわけでございます。
  141. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 率直に申しまして、ずいぶんいろいろな問題が絡み合いまして、また過去のいろいろな問題も底の方におりのようになってたまっているという現状でございますので、なかなか一刀両断に片づくというか、解決方法を見出すということはできないという現状でございます。で、それをどうすればいいかということでございますが、これは余りにも言い古されたことでございますけれども、やはりお客様からしかるべく運賃を払っていただくことと、それから私どもの企業努力と、さらには政府の助成ということによらざるを得ないわけでございまして、そのどれがどうと、たとえば運賃がもうすでに限界に来ておるとか、企業努力が限界に来ておるという前提に立って、それではあとは助成をお願いする以外にないというわけにもまいらないのではないか。助成と申しましても結局国民の皆さんの御負担でございますから、そこへどんどんしわ寄せるというわけにはいかないんではないかと。必死になってわれわれが努力をした上で、どうしても及ばない点はお願いをするということでいかざるを得ないというふうに考えております。
  142. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 私は、率直に聞きたいのは、奥歯に物が——確かに経営の責任というのはあるから慎重であることはわかりますが、ただそれだけ何とか一生懸命努力してみて、いま総裁の言葉じりをつかまえるわけじゃありませんが、一生懸命努力してみて、そうしてどうにもならないときはお願いするしかありませんと、こう言っているんですけれども、私はやはり国鉄国鉄の責任でこの五兆四千五百八十二億、このほかに別の累積赤字があるでしょう、三兆円近く。だから、この五兆何ぼの問題についてできるかできないか。できなければひとつ政治でめんどう見てもらう。このくらいのやはり私ははっきりした見解をもう示すべき時期ではなかろうか、こう思うのですよ。総裁はこの大きな荷物を背負ってこれから国鉄再建ができると、こういう自信をお持ちなんですか。くどいようですけれども、もう一回お伺いします。  私は、大変、この前三木さんがおどけて言ったかどうかしりませんが、三木総理大臣まで、前総理大臣も言っておったんですから、私は、高木総裁、何ぼ日本銀行の何とか何とかという大変識見があってもやはり大変ではなかろうかと。大蔵省をやってきた非常なりっぱな方でありますから高く評価はしますけれども、どうにもならない段階にあるんではなかろうかと、私は私なりにこう見詰めておるんですよ。ですから、もう一回くどいようですけれども、総裁の考えを。
  143. 高木文雄

    説明員高木文雄君) まことに申しわけないんですけれども、五十一年度で一兆円近い九千百四十一億円という赤字になったわけでございます。これは何ともこれ以上縮めようがないものかどうかということについては、目黒先生はもうこれで限界じゃないかとおっしゃいますが、私はそうは思ってないわけでございまして、まだまだこの九千億円の赤字を圧縮し得る可能性があるというふうに考えております。助成をお願いいたしますにつきましても一兆円ということになりますと、国民一人当たり一万円ということになるわけでございますから、なかなかいよいよ困っておるというのでないと、そういう巨額の助成をお願いするわけにもいかないわけでございまして、やはり私は真剣に、われわれがいまの経営状況をできる範囲内において改善をする。  しかし、過去のいろいろなおりもたまっておりますので、それは何としても現在のわれわれの力ではできません。したがって、そういったものであるとか、その他、たとえば現在余り人口が少なくてお客さんがないところでありながら、住民の御要請もあってどうしても走らせなければならないというような、幾ら努力をしてみてもやりようがないところもございますので、そういった部分については助成をお願いする。できるものとできないものとだんだん仕分けていく、そういういま仕分けを進めてまいりたいというふうに思っておるわけでございます。
  144. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 そうすると、簡単に言うと、何とか努力したい、五兆四千五百八十二億のやつは、可能なやつと不可能なやつを、簡単に言うと仕分けをして、そしてどうにもならないやつは政府にめんどう見てもらう、その政府にめんどう見てもらう仕分けについてはまだできてないんですか。いつころ出るんですか。
  145. 高木文雄

    説明員高木文雄君) それはそう簡単ではないと思っております。たとえばどこまでが私どもでやっていける線路であるかというような問題につきましても、時々刻々飛行機が便利になっていくとか、道路が進んでいくとかいうことがありまして、しばしば御指摘を受けております総合交通体系と申しますか、そういうあり方というようなものも明らかでない現状において、ここから先は大丈夫です、これはだめですというところをなかなか明確にできない。  現時点で仮にできたとしましてもそれはまた時時刻々動いていく、こういう状況でございますので、いわば生き物でございますから、なかなかそういつまでに簡単明瞭にというわけにはいかないと思いますが、しかし、これまで十年間再建の過程をずっとたどってみましても、おぼろげながらだんだん整理ができてきつつあるのではないかというふうに思っております。大変歯がゆくごらんになるかもしれませんけれども、一刀両断にこうやればこうなるというわけになかなかいかない現状であるところに、国鉄問題のむずかしさがあるのではないかというふうに思っておるわけでございます。
  146. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 私も立ち入って調べたわけじゃないからわかりませんが、そう——じゃ逆にお伺いしますが、この五兆四千五百八十二億というのは、何年度にどの金融機関から利息何ぼで借りた、そういう仕分けはできるんでしょうか。これは常務でも結構ですけれども。これはほとんど第一次、第二次、第三次というずっと、十年か十五年か知りませんが、ずっと金を借りてたまったやつがこれだけだと思うんですが、これがここで時間がなければあれですけれども、金融機関別に仕分けをして、それをそのやつは何に使ったか、新幹線建設に使ったとか、動力近代化に使ったとか、あるいはローカル線の建設に使ったとか、そういうものをひとつ参考に出してもらえば、われわれはわれわれで交通整理ができる、こう思うんですが、そのネタはどうでしょうか。
  147. 高木文雄

    説明員高木文雄君) いまちょっと持ち合わせていないようでございますけれども、おっしゃる意味は非常によくわかるわけでございまして、たとえば建設のために使った部分とか、あるいは単年度の赤字の資金繰りといいますか、穴埋めのために使った分とかいろいろあるわけでございますので、それはちょっとお時間をいただきますれば、それぞれの御用向きに応じて分析をしてみたい。そして御提出をいたしたいと思います。
  148. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 ぜひそれをお出しください。お願いします。  それから、ある人の計算によると、国鉄の過去債だけで金融機関は約一兆円の利息を受け取っていると、こういうことを克明に計算をした方がいらっしゃるんですがね。その人の名前は言いませんが、ここに本があって、私もなるほどな、国鉄赤字国会で大論争やっているのだけれども、金融機関は、国鉄の新幹線を初めこの借入金のおかげで一兆円の利益を上げていると、これは国鉄様々だ、金融機関から見れば。こういうものについてはこれは大蔵省になるのだろうけれども、大臣ね、やっぱり応分の負担をしてもらうと、こういう考えはいかがでしょうか、一兆円だそうです。
  149. 田村元

    国務大臣田村元君) ちょっとしっかり聞こえなかったんですが、だれに負担をしてもらうんですか。
  150. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 だから、私はそれはまだ資料がありませんから、たとえば金融機関別に幾ら借りた、その借りた金で何に使ったという、総裁が仕分けると言いましたから、その仕分けがくれば、何々銀行に何兆円借りて利息は何ぼ払ったというのが一覧表で出てくると思うのですよ。そういうことを、ある——これは内部告発かどうかしりませんが、経理関係に明るい人が計算をして、そして少なくとも一兆円以上の利息を受け取っていると、金融機関が。そういうことが私は計算上なると思うのですよ。去年だって四千何ぼの利子を払っているんですからね。  そうすると、そういう自由経済とまた言われるかもしれないけれども、国鉄がこんなに困っておるのに笑いがとまらない人が三人いらっしゃるのです、三人。一人は金融機関なんですよ。一人は鉄、セメント関係の基礎生産資材関係、一人は土建屋さん。この三人は国鉄赤字であろうと黒字であろうと、そんなことにかかわりなく笑いがとまらない方が三人いらっしゃる、三人。もっと足んないかな……。この三人にやっぱりこの際応分の負担をしてもらうというそういう何か方法はないのでしょうか。こう聞いているのです。
  151. 田村元

    国務大臣田村元君) ちょっと唐突の御質問なんで私もちょっと答えに窮しますが、とにもかくにも一度、目黒委員がいまお求めになって国鉄当局も出すと言っておりますその資料を私も一遍にらみっこして、その上でいろいろ考えたいと思います。
  152. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 まあ、それは資料が出てもらってから具体的にお願いしたいし、あるいはこの前の運輸委員会で、鉄道弘済会の純益が幾らあるのだと、そうしたら約四億だと。国鉄が困っておるときに鉄道弘済会が四億の収入もあるなら半分ぐらい国鉄に還元せいということを言った、向こう側に座っておる議員さんもおったのだから。こっちじゃないですよ、野党じゃないですよ。そっち側に座っておる議員さんがそういう発言をしたのですから。ですから、四億円でそのくらい発想を持つ方がいらっしゃるのですから、一兆円の利息ならひとつ大蔵省で考えてくださいよ。そうして私は五兆四千五百八十二億、これを何とか償却するために、可能なあらゆる限りを尽くしてもらいたい。  セメント会社が今後国鉄にお世話になるなら、セメント会社も配当の一割か二割、これは国鉄さん十年間お世話になりました、今後もお願いしますと、ひとつ五兆四千何ぼかの一部に使ってくださいというぐらいの私は相談があってもいい。これを通産大臣とよく相談してもらいたい。そういうことで五兆円を償却する努力をしないと、総裁はきれいごとを言っているけれども、腹の中ではもっといいことを言ってくれないかなあと、こう思っているんじゃないですか。大変なことですよ、この五兆円というのは。ですから、ここのところがポイントですから、ぜひ大臣もこの問題について、本会議で総理大臣答弁してますがね。ああいう形式答弁でなくて、もう少し身の入った私はこの償却方について考えてもらいたい。ここが私は国鉄問題の最大のポイントだと思うんですよ、この五兆円が。そう思うと、私は再度善処方を要望したいと、こう思うんですが、いかがですか、関係大臣と協議して。
  153. 田村元

    国務大臣田村元君) とにかくこの出てくるであろう資料を拝見して、その上で御意見のほどを関係大臣にお伝えをいたします。  ただ会社更生法の適用でもあると、その対策もこれは楽なんでしょうけれども、これはなかなかむずかしい問題もあると思いますけれども、きょうの御意見はよくお伝えいたします。
  154. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 それで、いま金利を下げる時代でもあることですから、金利を下げるというのも一つの方法だし、セメント会社から応分の配当をもらうというのも一つだし、それから鉄鋼会社からもらう、そういうことも含めてぜひ総合的にひとつお願いしたい。この問題が解決しない限りやっぱり国鉄問題は依然として尾を引くと、こういう見解を持ってますから、ぜひそういうことについて御努力をお願いしたいと、こう要請しておきます。  次は、この法案関係でちょっとお伺いをいたしますが、修正提案者がいなくなったのですが、この修正案で三月三十一日になってるんですがね。そして、四月一日からこの法律が発効するとなると、具体的に運輸審議会なら運輸審議会に国鉄が、政府が素案をつくって、運輸審議会にいかがですかといって諮って、そして最終的な額を決めると、そういう手続になるんですか、この取り扱いは。
  155. 住田正二

    政府委員(住田正二君) 手続としてはいま先生のおっしゃったとおりでございますけれど、いずれにいたしましても初めてのことでございますので、申請ありました場合の日程の取り扱い等については慎重に運輸審議会等と十分話し合いをいたしたいと思っております。
  156. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 運輸審議会にかかると、私鉄の例などを見ると大体一カ月か二カ月かかってますわね、具体的には。大体二カ月ぐらいは平均かかるだろうと。そうしますと、三月三十一日に発効して、四月一日から問題をやって、素案をつくって運輸審議会に持っていく。それで運輸審議会から答申があって、答申を運輸大臣が検討する。そういう時間的に考えますと、どんなに早く考えても六月か七月ころになってしまうというように物理的に考えられるのですが、これで違いはありませんかな。
  157. 住田正二

    政府委員(住田正二君) いままでの例ですと、たとえば去年の例を申し上げますと二十八日ということで、一カ月ぐらいの日程で済んでおりますので、いまお話しのように、二カ月かかるか三カ月かかるか、ちょっとこの場で申し上げにくいわけでございますけれども、少なくとも四月一日から直ちに実施できるとか、あるいは五月一日からできるということではないと思います。
  158. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 そうすると、大体私は、本会議でもちょっと質問があったのですが、あと運輸委員会で二日とか三日とかいう短期間に汗かきかき大騒ぎでやらなくても、次の通常国会でやっても十分間に合うという大きな——これは社説ですか、そういう世論もあるんですがね、この点はどうですか。やっぱりどうしてもこの国会でやらなければ重大なあれだと、こういうふうに考えていらっしゃるのでしょうか。
  159. 住田正二

    政府委員(住田正二君) 先ほど大臣から御答弁申し上げましたように、この法律は、国鉄当事者能力を強化するということで、今後の国鉄再建の基盤となる法律であるわけでございます。したがって、この法律が成立いたしませんと、来年度以降の予算の編成がきわめて困難になる。この法律が通りませんと、今後の国鉄財政運用の見通しがつかなくなるということでございますので、ぜひこの国会で成立をさしていただきたい。実際の運賃値上げは、先ほどのように四月以降になることは明らかでございますけれど、国鉄財政再建の基礎を固めることができないということで、ぜひ今国会で成立が必要であるというように考えているわけでございます。
  160. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 日鉄法その他の関係もあるんですけれども、運賃という問題だけを焦点に合わせると、次の通常国会、次の予算編成の問題と考えても物理的には重大な支障はないと私は思っているんですが、支障はありますか。
  161. 住田正二

    政府委員(住田正二君) 来年度予算は、御承知のようにことしの暮れに組むことになると思いますので、その際にこの法律が成立いたしませんと、今後の国鉄財政運用の基礎ができていないわけでございますので予算の組みようがない。予算をどういうふうに組んだらいいのか、非常にむずかしい局面に立たされるというように考えているわけでございます。
  162. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 じゃあ、それで法案関係でちょっと聞きたいんですが、修正案要旨二の(ロ)、これはこの前の先々週の日曜日の国会討論会で、共産党の皆さんと民社党の皆さんが論争をやってかみ合わなかったんですが、これは簡単に言うと、二年分値上げできるということですな、これは。
  163. 住田正二

    政府委員(住田正二君) 今回の修正案について私どもの受けとめ方は、現在国鉄赤字体質というのは一兆円——大ざっぱな話ですが、収入が二兆円で経費が三兆円、約一兆円近い赤字体質にあるわけでございます。今回の修正案は、そういう赤字体質をこれ以上悪くしないということが法案の修正の趣旨ではないか、というように理解をいたしているわけでございます。すなわち、今後ふえるであろう人件費、物件費等の経費上昇額だけは運賃値上げでカバーするということでございますので、赤字体質をこれ以上悪くしないというのが法律のねらいではないかと思います。したがいまして、仮に運賃値上げを一年休んだという場合には、翌年度それを取り戻しませんと赤字体質が悪くなるわけでございまして、そういう意味で、二年間経費上昇額のカバーができるというたてまえになっていると理解いたしているわけでございます。
  164. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 そうすると、二年分上げるようにしてあると、二年分ね。そうすると、この前、国会討論会で国民の前に示されたことは、民社党の人はこの修正案は一二%と言って、そんな共産党の言うことはうそだと言ってやっておった。共産党の国対委員長のごときは、それは鉄監局長が衆議院で社会党の久保三郎先生の質問に答えたんだからおれの方が本当だと、こういうような論争になったんで、国民はどっちが本当かわからないんですよ。だから、それで若干時間がかかるけれども、国民に、一二%という民社党の受けとめが本当なのか、三七%という共産党なり社会党の受けとめが本当なのか、これは国会を通じて明らかにしないと困りますから、ちょっと幾つかの私は試算をお願いしたいと思うんですが、お答え願いたいと思います。  一番は、五十一年度から五十二年度の物価変動率が一〇%と仮定すると、五十一年度に対する五十二年度の経費増は幾らになりますか。これはおたくに資料要求をしますから、答弁してください。
  165. 住田正二

    政府委員(住田正二君) 物価変動率が一〇%ということであれば、仮に経費が二兆九千億といたしますと、二千九百億ということになるわけでございます。これはあくまで上限でございますので、それまで全部やるということではなくて、できるだけ営業努力によりまして実際の値上げ幅は下げるということでございます。これはあくまで上限でございます。
  166. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 そうすると、結局二千九百六十二億と、こういう試算ですね。  二番目に、じゃ二千九百六十二億を運賃の値上げ率にパーセンテージに変えますと幾らになりますか。
  167. 住田正二

    政府委員(住田正二君) 先ほど申し上げましたように、現在の国鉄収支がアンバランスの状態になっております。したがって、物価変動率だけでは経費の上昇額というのはカバーできないわけでございまして、経費の上昇額をカバーするためには物価変動率に対しまして、仮に先ほどの例で収入が二兆円で経費が三兆円という場合には、収入から見ますと五割のギャップがあるわけでございますから、物価変動率に五割を掛ける、一五%というものが上限になるということでございます。
  168. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 私はそういうことを聞いているのじゃなくて、そういういろんな仮定条件はそれはわかります。ただ、いま国民にわかりやすく二千九百六十二億の経費増だと、これを運賃改定で賄うとすれば私の計算では一三・〇七%でありますが、これは間違いありませんか。いろんな条件を抜きにして、いま変動率が一〇%と、こうした場合に。
  169. 住田正二

    政府委員(住田正二君) いまお示しの数字の基礎はちょっとよくわかりませんが、経費上昇額というものと、一方では分母になります収入見込み額というものがあるわけでございます。その収入見込み額を幾らにするかということによってパーセンテージは変わってくるわけでございます。いずれにいたしましてもそういう計算をいたします場合に、収入につきましても経費についても、それぞれ営業努力というものがあるわけでございますので、どのように計算いたしますといたしましても、あくまでもそれは上限の数字というふうに御理解いただきたいと思います。
  170. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 いろんな仮定条件、見込みについては、私はそれをどうこう言いません。たとえばこの数字については国鉄側は一体収入見込み額は幾らか、あるいは自動車経費を差っ引いて、その結果二兆一千八百九十七億、こういう大体見込み数字、この見込み数字で計算しますと一三・〇七%、大体この試算は上限として違いないと見ていいですか。いろんな条件があります。条件はありますが、現在の結局算定できる数字としては一三・〇七%。このように、これは実収率ですよ、実収率。
  171. 住田正二

    政府委員(住田正二君) 目黒委員のおっしゃったような前提で御計算になった数字はそのとおりだと思います。
  172. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 そうしますと、今度は二年分ね。二年分ということになりますと、どんな数字になりますか。
  173. 住田正二

    政府委員(住田正二君) 前提がいろいろあるわけでございますので……
  174. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 前提は、収入は横ばい、それから物価変動は仮におたくに資料を求めたのは三%、非常に低目ですが三%と考えた場合にどうか、収入増が。その際どういう試算になりますか。パーセンテージで結構です。
  175. 住田正二

    政府委員(住田正二君) これは全く仮定の話で、いま目黒委員の御指摘のような数字で計算すれば二六%ということになるかと思います。
  176. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 私の計算では二七・四%になるんです。それで一年分だと一三・〇七%。二年分だと、いろんな条件はあるにしても二七・四%。これを国鉄離れと言われた前国会の論争ですね、国鉄側の。五一%に対して三七%と、そういうことを国鉄側議事録で前回も答弁していますから、このパーセンテージで修正しますと二七・四%は三七・五四%になる、いわゆる鉄監局長が国会答弁した三七%はここから出てきたわけですな。これいかがですか。私の計算では三七・五四%……
  177. 住田正二

    政府委員(住田正二君) 仮定の話ですけれど、衆議院法律が成立いたします際に「国鉄再建の基本方向」というものが示されておりますが、その中では利用減率は営業努力で吸収するのだということがうたわれております。したがいまして、今後の運用といたしましては実収率と名目率とは同一のものに抑えるという努力をいたしていくわけでございますので、そういう意味では先ほど申しました二六%というものが限度になろうかと思います。
  178. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 わが党の、社会党の運輸部会が計算しますと、大体名目で四八%、計算のしようによってはいろいろな条件のとり方で違いますがね。私がただここで明らかにしたいのは、あなたが衆議院答弁した三七%というのはこのことですねと、いろいろな前提条件を置いて、大体上限が三七%程度ということはこのことを意味しておると受け取っていいですかということを聞いているのです。
  179. 住田正二

    政府委員(住田正二君) 衆議院委員会での審議で申し上げましたことは、従来のような計算をすればという前提で申し上げたわけでございます。しかし先ほど申し上げましたように、「国鉄再建の基本方向」の中にはっきり利用減は営業努力でカバーしろということが明示されておりますので、今後はそういう利用減というものは運賃認可する際、あるいは国鉄が申請する際も同様だと思いますけれど、そういうものは織り込まないでやっていくということになるわけでございます。したがいまして、前回どうであったからというような数字というものは今後考えていかないつもりでございます。
  180. 田村元

    国務大臣田村元君) 誤解が生じるといけませんから私からもう少し申し上げたいと思います。  先般住田君が答弁いたしましたときは私もおりました。総理大臣もおりました。あのときは、従来どおりの国鉄の姿で計算をすればという前提で、全く仮定の前提の上に立っての数字計算だったのです。ところが今度は、この運賃法と同じく御提案申し上げておりますもう一つの営業の方の法律がございます。それから「基本方向」でも示されましたように、とにかく徹底した経営努力をしてもらう、こういうことがございます。その収入というものについては一切考えないで、要するに国鉄が従来どおり親方日の丸と言われたような形で従来どおりにやっておるとしてという仮定の上に立っての答弁であったわけでございますから、私どもは、国鉄がうんとこれから働いて、そして大いにかせいでくれることを期待しておりますから、いま住田君が先般申しましたことについてるる述べましたけれども、住田という人は、これわりあいに修飾語が上手でございませんので、私からあえて申すのでございますが、全然前提が違うということだけは御理解を願いたいということをお願いしておきます。
  181. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 われわれみたいに国鉄に幾らかかんでおる者でもなかなか判断に困るのだから、テレビを通じて見ている一般国民はなおさら私はわからないと思うのですよ。ですから、確かにこの営業関係について、たとえば国鉄にホテル業をやらせるとか、ステーションホテルは全部民間から吸い上げて今後どんどん国鉄がやるとか、あるいは現在の日本食堂なんというああいう関連産業を全部直営にするとか、そういうものを直営にしたところで私は水揚げというものは大臣、どういう意味でか知らぬけれども、これは営業担当の国鉄の常務理事がおったら聞きたいのですけれども、そんなにたなからぼたもちが落ちるように、国鉄の営業外収入として入ってくる可能性はあるのですか。私は大臣、それはちょっと甘いと思うのですよ。  だから、運賃問題を計算するには大体現状の場合にどうするかということを国民は見ているんですから、ですからやっぱり私は、営業法を変えるから云々と言うことは、ちょっと国民に向かっては過大評価をされる、往々にして今後過ちを犯す、こんな気がするんで、国鉄の営業担当の常務おったら、事業担当ですか、その辺はどんな考え持ってますか。この日鉄法改正されて事業に手をつけるとすれば年間どの程度収入が可能だと、こんなふうに考えて仕事をされているか、参考までに教えてください。
  182. 田村元

    国務大臣田村元君) その前に私から申し上げますが、日鉄法だけで能事終われりとするものではない、あらゆる努力をするということでございます、あらゆる努力を。それで国鉄がようかせがぬようなら、そんな夢のない話ならもう何をか言わんやであります。私は、国鉄がうんと働いて、うんとかせいでくれると思うんです。労使も仲よくしてくれると思うんです。みんなでがんばってくれる、それを期待しておるんです。そんなもうどのみち余り変わらぬじゃないかと言われると私自身の夢が覚めますが、私は夢を描いておるんです。その点どうぞひとつ御理解を願いたいと思います。
  183. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 国鉄どうですか、事業担当。
  184. 田口通夫

    説明員田口通夫君) 現在事業収入としては年間三百六十億程度でございますが、できるだけ努力をいたしまして一千億近くに持っていきたいと思います。  なお、さらに現在、ある程度見通しをつけておるのがそうでございまして、今後とも努力をいたしまして増収を図りたいというふうに考えております。
  185. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 だから年間三百億、山口前常務が乗り込んでいろいろ考え出したけれども、せいぜいやっても、一千億といったら大変な仕事じゃないですか、一千億。国鉄財政から一千億程度出たって、これは四千億の利子にもならないわね。利子にもならない。ですから、私は、やっぱりこの計算をするためにはいろいろありますが、それじゃ、ここではっきりしておきたいのは、民社党は一二%と言ってテレビで発表する。共産党は三七と言って発表する。民社党の国対委員長が言った一二%というイメージは、具体的な数字ですから、どこから導き出して一二%という計算をされたのか。これは政府側が提案した数字なのか。民社党自身が党内事情で計算した数字なのか。  三七%は、これは共産党さんが計算したんじゃなくて、鉄監局長が答弁した数字ですから、これは客観性があります。一二%という数字は私の計算ではどうしても出てこないんですよ。この一三%、これは実収ですから、実収。名目にしますと一八%です。だから、今度の一九%という運賃値上げはある程度合っているんですね、これは。名目一八ですから。だから、民社党の方が言った一二%の問題については政府が関知しておったのか関知しなかったのか、その関係だけぜひ聞かしてもらいたい、こう思うんです。
  186. 住田正二

    政府委員(住田正二君) 先ほど申し上げましたように、物価等変動率国鉄収支のアンバランスの幅、この二つが相関するわけでございまして、国鉄収支アンバランスの体質が改善されてくれば物価変動率に近い数字でいいわけでございます。したがいまして、最初の間は若干高くなるけれど、体質改善が進めばだんだん上限は下がってくる、もし収支相償う状態であれば、物価変動率即値上げ上限率ということになるわけでございまして、毎年幾らということは言えない数字でございます。  したがいまして、民社党の方でどういうふうに御計算になったかわかりませんけれど、今後の物価等変動率の見通しを立てて大体一二%ぐらいでおさまるんじゃないか。もちろん国鉄の体質改善というものが前提になりますけれど、そういうような前提を入れて今後の見通しで一二%程度におさまるというように御発言になったのではないかと思うんですが。
  187. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 そうすると、一二%の問題については、政府の方から具体的な考え方なり数字提案して、そして鉄監局なら鉄監局、国鉄なら国鉄が関与して算出した数字ではない、国会討論会で言った数字は、いわゆる民社党独自の問題であって政府は関与していない、国鉄も関与していない、その点は確認できますね。
  188. 住田正二

    政府委員(住田正二君) 先ほど申し上げましたように、私どもが計算した数字ではございませんけど、そういう数字も一当然あり得るというように考えております。
  189. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 だから、片方では三七、そこが、言葉じりをつかまえるわけじゃないけれども、それは大事なことですよ、国民から見たって。そういう数字もあり得ますと言うことは、じゃそういう数字もあり得ますようなネタを民社党に提案、あるいは三党修正の際に提案したことがあるんですか。ないんでしょう、政府は。その一二%を算出するに必要な基礎的な数字政府が出したのではなくて、民社党さんが独自に判断した数字だと——政府が関与しておればあんたの責任問題ですよ。共産党、社会党には三七を説明して別な政党には一二%、国民を愚弄するもはなはだしいですよ。だからしつこく聞いているんですよ。一二%の問題は政府が関与しなかったんですな。
  190. 住田正二

    政府委員(住田正二君) 一二%というのは民社党の方で御計算になった数字ではないかと思いますけれど……。  それから、先ほど申し上げました二六%というのは二年間——年間値上げを見送った場合の数字であり、民社党の数字は単年度の場合の数字であって、前提条件が違っていると思います。  それともう一つ、先ほど申し上げましたように、国鉄の体質改善が進み、また今後景気が安定してくれば物価等変動率というのは下がってくるわけでございますので、今後は値上げの上限というものは下がる傾向にあると考えられます。したがいまして、来年度をつかまえて言ったのか、将来をつかまえてそういう数字を出されたのかわかりませんけれど、そういう意味ではあり得るということを申し上げたわけでございます。
  191. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 三年も五年も前の論争をしているんじゃありませんからね。この「国鉄再建の基本方向」という三党修正の問題、政府が出した問題を見ると、五十三年、五十四年で何とかしよう。来年、再来年のことだからね、もう。だから私は聞いているんですよ。整理しますと、現状のままで、現在の国鉄収入見込みを基礎に置いて計算すると、実収で一三・〇七%、名目で一八%になる、名目でね。それから二年分で計算すると、これも条件は現在と同じ、現状条件で計算すると、実収は二七・四%、名目は三七・五四%になる。  これは上限であって、ただし事業法を改正して事業の拡大をしたり、労使が一生懸命やって収入対策をしたり、節約をしたり、いろんなあらゆる努力をして営業成績を上げれば、この上限から逐次下がってくる性質のものだ。その下がってくる過程の中で、民社党さんはどういう計算したか知らぬけれども、一二%ということを言ったんでしょう。政府は関与いたしておりません。大体整理すると、このように整理していいんですか。
  192. 住田正二

    政府委員(住田正二君) いや、こういうことではないわけでございます。
  193. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 どういうこと。
  194. 住田正二

    政府委員(住田正二君) 先ほど来申し上げておりますのは、一年間で一三%であれば一三%が上限であり、二年間が二六%であれば二六%が上限であるというように運用したいということでございまして、名目一八%とか、名目三七%というような考え方は今後はとらないということを申し上げているわけでございます。確かに従来の傾向では利用減率というものが見られまして、実収率と名目率の間に乖離があったことは事実でございますけれど、先ほど来申し上げておりますように、「国鉄再建の基本方向」の中で、利用減率は経営努力で吸収をしろということが言われておりますので、今後の運用に当たっては実収率即名目、名目値上げ率と実収値上げ率とを合わせるように努力をいたしたいと考えておるわけでございまして、したがって、名目一八とか、名目三七という数字はないわけでございます。
  195. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 じゃ、黒板持ってきて計算しますか、話が合わないんだから。国民がどっちが本当だかさっぱりわからない。私が整理すると言うと整理ではないと言う。運賃値上げを決定する上限です。私は、あんたが正しいなんて言っている上限のいま論争をしているんです、上限。しかも、収入見込みは大体国鉄が試算している見込み額と、そういう前提を置いて、しかも現状と、その前提はいいでしょう、これは計算の基礎だから。そうしますと、さっきあなたが言ったとおり、六千十億の経費増になれば二七・四%になるじゃないですか。これはおれの算術が間違ってあんたの算術が正しいのかね。おれは高等小学校から教わってきたから、算数の名人じゃなかったけれども、間違いないと思うんだね、これ、数字が合っていれば。  その際に、あんた国民をごまかしていけないのは、二七・四%と言うけれども、いわゆる国鉄離れする一定の係数があるでしょう、名目運賃を出す際に。これは否定しませんな。実質から名目に振りかえる際に。去年は五一%上げて三七%、これは〇・七三だと。ところが、運輸省からもらった資料によりますと、〇・八掛けてくださいと、ここもちょっとおかしいんだよね。国鉄が〇・七三の数字をつくっておって、鉄監局が〇・八というのは、ここでもう〇・〇七だけれども、これ安く見せかけて、ごまかしと言っちゃ変だけれども安く見せる、その計算をやると。  国民に向かっては名目最上限幾らかと、こういう説明をしないとわかんないですよ、実収でなくて。それ計算するとこうならないんですかね、いろいろな条件現状のままで。それから収入見込み額は国鉄の見込み額、それでこの案分を計算しますと、単年度では一三・〇七%、名目一七・八%。二年分の場合には実収二七・四%、それから名目で三七・五四%、これ上限ね。しかしこの上限についても、大臣が言うとおり事業法の改正をやったり、国鉄に一生懸命努力してもらうと。あらゆる手を尽くして、大臣の言うとおり希望の持てることをやって実を結べば、この上限がだんだん下がってきて、下がる過程で民社党さんの一二%もあるいはあるかもしれないと、こういう予測、これは私の考えが間違っているんですかね。
  196. 住田正二

    政府委員(住田正二君) 先ほど来たびたび申し上げているわけでございますけれど、衆議院における「国鉄再建の基本方向」にうたわれておりますように、今後の運用に当たりましては、名目改定率と実収改定率とを合わせるという方向で努力をするわけでございます。利用減率は算定しないということでございますので、その利用減率は国鉄の営業努力でカバーするということでございますから、今後の運用に当たっては実収率と名目率の乖離というものはないというふうにお考えいただきたいと思います。
  197. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 それは国民を愚弄するもんだと言うんだ、あんた。去年の国会議事録を見てみなさい。そこに田口常務から皆いるけれども。去年三七%、〇・七三、これだけ見ても国鉄離れで四千億の赤字の予定が九千億の赤字になったんでしょう。だから、学問的な考えとしては名目と実収をなくすようにします、それは学問的にはわかります。でも国民が現に受けるのは名目で幾ら上がるかでしょう。だから、国民に向かっては名目の賃率を使うべきですよ。それを、やり方はごまかしじゃありませんか。やっぱり実質と名目を使い分けて国民には名目だと、国民の皆さんに協力してもらえればこの名目はだんだん下がりますよと、こういう説明が本当じゃないですか。私はそう思うんですが、いかがでしょう。  国鉄側にお伺いしますが、この運賃論争をする際に、去年の五一%、実収三七%という考え方は、いま鉄監局長の答弁のように考え変わっているんですか、あるいはその可能性あるんですか。総裁でも営業担当の常務でもいいですよ。そんな甘っちょろいものでやるんですか、現状国鉄離れから、運賃論争する際に。どうですか。
  198. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 昨年まで、あるいは現行法におきましては、運賃法に一キロ当たり幾らという金額が出ております。現行法では七円九十銭という賃率が決まっておるわけでございます。従来の改正は、キロ当たり幾らという金額をどのように直すか、前回でございますと五円九十銭から七円九十銭に変更したわけでございます。そういうキロ当たり賃率の上昇を計算します場合には、現実的な問題としてやはり名目の率と実収の率はなかなか一致しにくいということになろうと思います。今回の場合には、必ずしもすべて一律に賃率改定することになるかどうかということは今後の問題になるわけでございまして、許される範囲内は、その運賃改定によって得られるでありましょうところの収入増加額が経費の増加額を上回ることがあってはならないというのが今回の修正案の基本的精神だと思います。  そうだとすれば、今後どのように計算をし、国民の前へお示しをするかということになりますが、その場合には、従来のように名目改定率が幾らであって、しかし、いわゆる逸走率が何%だから、よってもって実収率は幾らになるという、従来とってきましたような方式をとることが望ましいかどうかということになりますと、全く事情が変わってくるわけでございますので、今後はとにかく経費の増加額を超えて運賃改定してはいけませんよということでございますから、ずばり千億とか二千億とかの増収を図らしていただきたい、こういうことを御説明することになろうかと思います。  先ほどからの御論議を聞いておりますと、先般の衆議院の御論議でも、今後どうなるかということではなくて、過去の方式で計算したらどうなるかという御質問に対する鉄監局長の方のお答えがあったわけでございまして、今後は全く変わりまして、総額としてその経費増加額の範囲内で収入の増加を図りなさいというのが基本的原理でございますから、その基本的原理に従って私どもこれから新しく改めて、いままでと違った考え方改定額、改定率を算定していくことになると思います。  その場合には、繰り返し鉄監局長から御説明がございますように、必ずしも実収率と名目改定率というものが別々に表現されていくということにはならないのではないか。私どもまだ十分頭の整理がよくできておりません。できておりませんが、明らかにいままでとは違った方法で御説明するといいますか、そういう形になっていくだろうと思いますので、いま鉄監局長がるる述べられましたことに従って私どもも計算をやっていくことになろうかというふうに考えております。
  199. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 総裁、一年たって四千億の赤字予定が二千億とか千億とかなったというんなら経営姿勢も買いますが、予算上四千億の赤字が九千億に倍増している段階で、総裁の発言は少し強気過ぎるんじゃありませんかな。  あなたは去年の質問の際に、自民党の佐藤信二委員質問に対して、いずれにいたしましても、旅客につきましても三七%を確保できるかどうか、率直に言って絶対の自信はございません、しかし努力してみましょうと、その努力した結果がいま言ったとおりこれより悪くなって赤字がふえたんでしょう。一年前にこういう答弁しておって、今度は紙切れにこう書かれたから経営ががらっと変わると。私は、先ほど申し上げた五兆円の特別債務についても特別な措置でもしてもらえるというんなら変わるかもしれない。たとえば、本会議答弁で、ローカル線の赤字に対して去年は百七十二億、今回は四百七十七億、確かに二倍になった。二倍になったけれども、ローカル線の赤字の絶対額から見ればまだスズメの涙でしょう。あるいは国鉄バスにしても十一億の補助がついたと。十一億ばかりもらったって国鉄の過疎線を走っているバスから見れば、これまたスズメの涙だね。財政的な裏づけは去年と変わらない、ほとんど同じ。  ただ、法律改正して事業がやれる、事業がやれると言っていたら、現在の三百億が、まあいろいろといま考えているから、これは百億になるのか二百億になるのかしれませんが、財政的に見た場合は条件はみな同じじゃないですか、去年と。若干はいいけれども。それでもって去年の国会でこういう答弁しておって、名目と実質はイコールにしますなんということは、願望としてはわからないわけじゃないけれども、国民から見れば何言っているんだ、こうなりませんか、実際問題として。これだけ運賃、今後たとえば二七%上げれば、国鉄離れはゼロでいいんですか。本当にゼロでいいんですか。いままでは〇・七。  この前の馬渡常務の答弁によると、長い間の経験から割り出した一つの傾向値だと、こう言って、三七の関係はどうだと聞いたら、長い国鉄の営業マンとしての大体傾向から割り出したものでありますから、ほとんど間違いはありませんと思います。だけれども、総裁云々と、こうあったんでしょう。そこから見ると、名目と実質をイコールだなんというとらえ方は私は甘いし、国民を迷わせると、こう思うんですが、どうしてもそこのところ、そうですと言い切れないですか。どうです。そんなに自信あるんですか。
  200. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 一つだけお尋ねの点で思い違いしていらっしゃる点がありはしないかと思いますので、申し上げますけれども、昨年は四千億強の赤字が見込まれておりました。それが九千億になったわけでございますが、それは、四千億強の赤字というのは、六月一日から五〇%上げるという前提の予算でございましたので、それが十一月六日になりましたものですから、その分に四千億が九千億というふうに約五千億近くふくらみましたけれども、そのうちの大体三千億ばかりは期間のずれによるものでございます。残りが三七%というふうに考えておりましたけれども、実は三〇%程度、一二、二%程度の実収増加になったために六、七%のギャップが出ました分でまた二千億前後の増になっておると、まずその事実だけちょっと御説明いたします。  それからその次に、三七と申しましたのが三〇ということになりましたにつきましては、これはいろいろな事情があると思います。私も当時いささか疑問を差しはさみながらお答え申し上げたことは、いまの速記録でお示しのとおりでございます。その事情はやはりある経済状態なり、つまり景気がいいとか悪いとかいうことでありますとか、他の交通機関の変化の状態国鉄に有利な場合と不利な場合とございますから、過去の経験値の平均的なものから言いますと五〇対三七という関係になっているわけでございますが、それが今回の場合そうなりませんでしたのは、やはり経済状態が、物流が非常になえておる、経済が活発に動いていないということによることだとか、それからちょうど飛行機その他による消費者のそっちの方面への選好が強くなりつつあるんだとかいう時期に当たりましたので、結果そういうことになったと思っております。  そこで、今後どうなるかということなんでございますが、これは実際問題として非常にむずかしいわけでございます。先の見通しを立てるのは非常にむずかしいわけでございまして、そのときの経済事情なり、今後のわれわれの商売のやり方なり、いろんなことによって変わってくる可能性を持っているわけでございますが、ただ、はっきり申し上げられますことは、五〇と三七というふうに非常に大きな乖離率があったわけでございますけれども、その乖離率は、やはり何と申しましてもすべての賃率、たとえば昨年の場合でございますと運賃も料金も、特に急行料金や特急料金もほぼ同じ水準で上げました。  貨物も同じような水準で上げましたというようなことでございまして、そのいわばなかなかきめの細かい運賃、料金政策がとれませんで、やはり法定主義ということで国会にお願いしてということになりますと、比較的——どうも申しわけございませんけれども、簡明といいますか、単純な案になってしまいますものですから、そこで結果としてそういうことになりましたが、今後主として経費が増加します分を限度として、それを償う範囲内で運賃と料金とをしかるべく組み合わせして、そうして運賃率、料金率を立ててやっていきなさいと、そういうプリンシプルでいくのでありますれば、名目改定率というものは余り問題にならなくて、実収改定率を中心に考えることによって運賃体系を立て得るというふうに考えております。  ただ、これ何分長い間やってきたやり方に対して、今度のやり方はかなりやり方が変わるわけでございますので、私どもの頭の中におきましてもどういうふうになってまいりますか、またどういうふうに組み立てますか、まだまだ、つい先般修正案を衆議院でお示しいただいたばかりでございますので、私の方の頭の整理もついておりませんから、一〇〇%しかとしたことが申し上げられませんけれども、従来のように名目改定率と実収改定率とがやや大きな乖離率をもってあらわれてくるということにはならないということだけは間違いなく申し上げられると思うのでございます。
  201. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 学説としてはわかるけれども、学説としてはなるほどそういう学説もあると思う。しかし、総裁大臣も、きょう十一月だわね。先ほど、年末には来年度の予算を立てると、こう言っていますわね。そうすると、もうすぐ来月から作業始まるんですよ。そうすると素朴な国民が、この法律が通った際に、来年の国鉄運賃はどうなるんでしょうかと、こう聞かれた際に、いまの総裁や鉄監局長のようにくどくど学説的に言ったって、国民は結論はどうなんだと、幾ら上がるんだと、幾ら考えているんだと、そこが国民の素朴な私は疑問だと思うんですよ、聞きたいところ。来年ね。  だから、その聞きたいものに対して、修正案の受けとめ方が食い違っておったんでは議論にならないでしょう。だから、来年の四月一日からこの法案が成立したとすると、六・七%経済成長率と言っているんだから、政府が。その路線に従った際に幾ら上がるんですかと国民から聞かれた際に、大体の目安はこの辺ですと、それはしかじかの理由だと。このぐらいやっぱり新聞記者を通じて国民に回答する私は義務があると思うんですよ。  その素朴な質問があった際に、まだ時間があるから、いまから頭の整理をしますからではちょっと落つるんじゃないですか。五十二年の決算見込みをもう国鉄持っているわけですわな、決算見込みこの辺だなと。そうしたならば、どういう答弁すればいいんですか、鉄監局長教えてくださいよ。おれの計算が合わない合わないと言うんだから。じゃ、あなたの計算はどういうふうになるの、来年の四月一日から。運輸審議会に諮る素案をつくる際に大体どうなるの。
  202. 住田正二

    政府委員(住田正二君) 来年度の運賃値上げをどうするかというのは運輸省が決めることではなくて、これはあくまで国鉄総裁が判断して申請することでございます。したがいまして、来年度は先ほど来議論の出ておりますように、私どもといたしましては二六%が上限であるというように考えておりますので、その範囲内でいろいろこれから営業努力とかというものを加味しまして、国鉄総裁がその範囲内でどういうような判断をして申請されるか、それを受けた上で検討をいたしたいと思います。
  203. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 総裁がさっき言った四千億と九千億の関係はわかりました。これはそのまま総裁の言うとおり確認します。であるけれども、当初考えた赤字よりもふえておるということはこれは事実ですから、経営上苦しかったという点は言えると思うんです、その点だけは。だから、これは資料要求でもらった数字で、五十二年度収入見込みという数字があるんですよ。営業収入が二兆三千五十八億、資本経費が、これはこのうち一月から三月まで衆議院の予算で修正された八百五億、これは入っている。それから、それで自動車経費を差っ引くと二兆一千八百九十七億、これ、収入見込み額を国鉄はちゃんと計算しているんですよ。収入見込み額が計算されておる段階で、さて鉄監局長さんよ、四月一日から幾ら上がるんですかと、こう聞かれたら、どう答弁するのかね。いまみたいにごもごも言ったって私自身がわからぬから、国民の方が頭がいいのか、おれが頭が悪いのかしらぬけれども、おれはわからぬね。  一二%と三七%という二つの数字だけは国民の頭に残っているんですよ。これはあんた、名回答——米のしんにゅうでなくて、名高い、誇り高い回答をしてくださいよ。現在の状態で上限はどうなるんですかと、来年の四月一日から。こういうふうに言われた際に、わかりませんでは困るんじゃないですか、もうきょうは十一月だから。わからないんなら、法案撤回しなさい、こんなの。こんな国民がさっぱりわからぬ、国会議員もわからないものをやられたって、審議のしようがないでしょう。この条件下でどうなんですかと私聞いているんですから、この条件下で。名目と実収はそれは少し譲りましょう。では実質幾らですか、実質で、この見込み額で。ちゃんと計算、赤で書いている、ちゃんと国鉄から資料もらったんだから、これ。わからぬな。
  204. 住田正二

    政府委員(住田正二君) どうも目黒委員は、運輸省運賃値上げを決めるというふうにお考えのようでございますけれど……
  205. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 いや、法律のたてまえはどうなんだ、法律のたてまえは。
  206. 住田正二

    政府委員(住田正二君) 運賃値上げをどうするかというのは、今回の法律目的の趣旨は、国鉄総裁が自主的に適時適切に決めるということでございまして、国鉄総裁はやはり国鉄財政が今後どうなるか、あるいは他の交通機関との競争関係はどうであるかというようなことを判断した上で、先ほど申し上げているような上限の範囲内で決定されるということでございまして、運輸省が幾ら上げろとか、幾らにしろということを申し上げるわけではなくて、国鉄総裁の判断が出てまいりました上で、運輸省としてはそれが妥当であるかどうかを検討するということに相なろうかと思います。
  207. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 それは責任逃れですよ、あんた。法律提案権は運輸省持っているんでしょう。だから、提案されているこの法律——修正案を含めて、この法律を実際的に法定主義改めるとどうなるんですかと、この法律の運用、考え方を聞いているんだから。その具体例として、五十一年度の経費、五十二年度の収入見込み、この二つのデータのもとに計算するとどうなるんですかと。これは法律の運用として、鉄監局が、この二つの条件があればこうなりますと、むしろ国鉄に模範を示して、自後、国鉄間違いないようになと、こういうのが法案のたてまえじゃないですか。——違うの、違うんなら、国鉄に聞きます。  それじゃ、国鉄。では、五十一年度の経費二兆八千六百十七億、収入見込み二兆一千八百九十七億、その差二千九百六十二億、こういうかっこうになった際に、運賃改定は、この法律に従って何%になるんですか、馬渡さんでも田口さんでも、だれでもいいから。この法律どおり、決算収入見込み、こうあった際に実質の実収。パーセンテージ幾ら。じゃ国鉄に聞きましょう、運輸省が逃げているんだから。
  208. 馬渡一真

    説明員(馬渡一真君) ただいままだその分についての計算はいたしておりませんが、私どもいま経費の中身をどういうふうに考えたらいいのか、そういう点につきましても研究をいたしておる最中でございまして、その点が的確に私どもにもまだお答えできないところでございます。
  209. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 法律提案者もわからない、国鉄当事者もいまから計算する、それでは一体この法律が通ればどのくらいの運賃値上がりになるのか、運輸大臣はどれだけの権限があるのかというのを、最も基本的なやつが提示されないで、これは審議のしようがないじゃないですか、遺憾ながら。しかも、前提条件は幾らもちゃんと私言っているの。もう決算書でやるんですから、これは決算書はちゃんと監査委員会からの決算出てくる。この決算書と収入見込み、もう十一月ですからね、第三・四半期をもう終わろうとしているんですから。したがって、国鉄側収入見込みはわかっている。決算収入見込みがわかって何で計算できないのかね、上限を。私は無理言っているんじゃない。  その上限も事業法の改正であるとか、あるいは経営努力であるとか、資産の償却であるとか、あらゆる手を尽くしてやればこれがだんだん下がってまいりますと、ここまで認めているんです、私。そういう前提で幾らというのをあなた試算できなければ、運賃値上げ法案をこれ議論する最も根本のネタがないんだから、議論しようがないねこれは。遺憾ながら。これは皆さんどうですかね、議論できますかね。私はちょっと議論できないね、これ。最も根本的なネタがないんだから。
  210. 田村元

    国務大臣田村元君) 目黒さんの御追及、もっともなんですけれども、法律のたてまえから運輸省運賃を決めるわけではございません。これはもうはっきりしておるわけです。ですから、鉄監局長から言えば、それは国鉄が本来決めるべきものであって、それを持ってきて運審にかけて運輸大臣認可するものだから、まあ国鉄に聞いてくださいということになるわけです。そこで、私が決めるわけではありません、運輸大臣である田村が決めるわけではありませんが、こんなことで空回りしておりましてもどうかと思います。  そこで、たとえば五十二年度に改定すると仮定した場合のアップ率の限度、上限、これは五十一年度決算の、これは目黒さんの計算になるわけだが——だから目黒さんの計算を前提にして物を言えば、五十二年補正予算運輸収入、これが二兆一千八百九十七億ということですね。それから——ですから、二千八百六十二億円を、二兆一千八百九十七億円を割るということにしますね。そうすると一三一%という実収率が出ますね。それから、今度は五十三年度の改定前の運輸収入が五十二年度に対して三%増と仮に仮定した場合の改定限度は、これは二兆一千八百九十七億円掛ける一・〇三になりますね、あなたのさっきの話で。そうすると二兆二千五百五十四億円になりますね。これを分母にすれば、そして六千十を割れば二六・六%が実収と、実収イコール名目と。しかし、現実にはこんなに上がりっこありません、はっきり言って。実際にはこんなに上がりっこありません。  それから将来を思えば物価変動率というものは私は一けたになると思うんですよ。こんな二けたの一〇%台、一一%台が今後も続いて、五十一年度の物価変動率が、これは狂乱物価の後遺症も幾らか残っておるというのを未来に対する算定基準にはできません。ですから、その点では将来は物価変動率は恐らく一けたになると思いますが、まあそのように考えればそんなに大きなアップ率になるはずはない。はっきり申し上げまして一三・一%あるいは二六・六%という数字まではいかない、とてもそれだけ現実にも上げられっこない。そこで、この目黒さんのつくられた仮定を前提としても、国鉄総裁は恐らくそれ以下のところでいろいろと計算をして申請してくるものと、このように思われます。
  211. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 わかりました。で、大臣、これは総裁も、こういう細かい計算になると思って私はちゃんとコピーに撮って、資料要求をきのうおととい出したのですからね。だから、この数字目黒数字ではなくて、おたくの方が私の資料要求に応じて出した数字ですから、それはお間違いのないように。そうして、こういう計算をすれば、いま大臣が言ったとおりに現状では上限はこうだと、一年の場合は一三・一、二年越しの場合は二六・六、これは実収。名目じゃない、実収。この数字は確認していいと。ただ、法案の運用としてこれにならないようにいろいろな手を尽くして、最大努力をして最小限度に抑えるように努力します、その努力目標はわかります。それから、名目と実収の乖離率、この点についても、ならないように一生懸命努力いたします、そういう前提引けばきちっと交通整理できるんですよ、それでいいんですな、じゃ。これは鉄監局長もそれでいいですな。
  212. 田村元

    国務大臣田村元君) そういうことになるわけですよ。ただ、くどいようでございますけれども、いま目黒さんが、国民が非常に迷って、心配しておるということを前提にしておっしゃったから、私はあえてそういう意味で答えますならば、そういうものよりはずっと低い数字で恐らく総裁出してくるでしょうからどうぞ御安心願いたい、そんな高いものにはなりませんということをあえて申し上げておきたいと思います。
  213. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 そうすると、大体前に戻って、民社党の国対委員長がテレビで言った一二%ということも、ほんのりと浮かんでくるんですよ、一二%。ただ、根本的に食い違っているのは、片方の共産党の皆さんは二年の問題を言っているし、民社党の諸君は一年単位で計算をすると言うし、その基礎条件が私はどうもあのテレビ討論会聞いておって食い違いがあったと、こう思うので、それは人のことですからいいとして、いま大臣答弁したことがやはり改正案の運用に当たってはこういうことになるんだと。しかし、極力一年ならば一三・一%、二年ならば二六・六%、これは現状の上限です。それを下げるように今後とも一層努力すると、そういうことでこの問題については大分堂々めぐりしましたが、ひとつ終わります。ぜひ、本会議で福田総理大臣が常識の線ということを言っておりましたから、その常識の線は何を意味するのかしらぬけれども、やはりいま大臣答弁で一三・一%よりも下げるように、一けたになるようにという政府の姿勢であるということについてはそれなり考え方としては受けとめておきます、いい悪いは抜きにして、考え方。  それから、もう一つだけこの法案関係でお伺いしたいのですが、この「当分の間」ということを大臣も本会議答弁をしておったのですが、この「当分の間」という問題と、五十三年、五十四年に何とかかんとかするというこの「基本方向」との関連性はどういうふうに受けとめていいのでしょうか。この「国鉄再建の基本方向」のプリントには一項の四、「以上の事項について、政府及び国鉄は、五十三、五十四年度中に所要対策を確立し」云々と、こういうふうに年度がきちっとうたってあるし、この法案には「当分の間」と、こうなっているのですね、どちらが時間的に正しいのだろうか。   〔委員長退席、理事瀬谷英行君着席〕
  214. 住田正二

    政府委員(住田正二君) いまお話しの「当分の間」というのは、この今回の修正案が適用される期間を言っているわけでございます。これは累積赤字が解消されるまでの間ということで「当分の間」と言っているわけでございます。  で、「国鉄再建の基本方向」の中で五十三年度、五十四年度に所要対策を確立すると言っておりますのは、その前にあります(一)、(二)、(三)そういうような問題について、今後国鉄運輸省、あるいは政府がいろいろ検討いたしまして、これは構造的欠損であって、これに対してはこういうような措置を講ずる必要があるというようなことをこれから詰めていくわけでございますけれど、その詰めるにはなお二年ぐらいの期間を要するだろうということで五十三年、五十四年を準備期間にして、五十五年以降できるだけ早く健全財政に乗せていこうというのがこの趣旨と受けとっているわけでございまして、五十三年、五十四年は準備段階であるというふうに理解すればいいのではないかと思います。したがいまして、法律の方の「当分の間」とは関係のない問題ではないかと思います。
  215. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 そうすると、この一項から三項までのこういう条件について、五十三、四の二年間を準備期間としてきちっと基礎づくりをして、その上で五十五年から軌道に乗せる、そういうことであって、こっちの修正案の一の口の関係の「当分の間」ということについては、この基礎の上に改定案が機能する。だから、必ずしも五十五年で終わるものではない、こういうふうに解釈すればいいわけですな。その解釈はわかりました。  それから警察庁が何か会議へ行くらしいので、ここでまた本論を中止をして警察庁関係ちょっとお伺いします。いまメモが参りましたから、これは私の意思じゃありませんから御了解しておいてください。  ひとつ聞きます。国鉄の公安本部長おりますか、公安本部長。
  216. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 呼んでいません。
  217. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 では質問をしますが、私はこれ去年の予算委員会でも警察庁長官にお願いしたし、当時の法務大臣にもお願いしたわけですが、ことしの予算委員会は時間がなかったからやらなかったんですけれども、国鉄に関するいろんな不可解な事故、たとえば村上の駅における信号妨害、まくら木を線路に縛って置いてみたり、あるいは新幹線の鉄橋の問題で置き石があってみたり、あるいは十一月三日ですか、小田原−新横浜間で運転室にねらい撃ちしたのかどうか知りませんが、時速二百キロで進行中の運転士の目の前にばばっと石だか、弾だか飛んできたり、そういう国鉄に絡むいろいろな事故があるんですがね。これは公安本部長はどういう調査をなさっておりますかとまず国鉄側に聞きたかったんですよ。ですから、それをまず聞いて、公安本部としてどういう受けとめ方をしているのか、ちょっとお伺いします。
  218. 田口通夫

    説明員田口通夫君) 御指摘のとおり、列車妨害につきましてはそれぞれ多くの件数がございますが、国鉄としては大体三つの方法をとっております。  一つは、やはり何といいましても地域社会との関連がうまくいきませんので、そういう列車障害が出るということもございますので、各管理局とも広報活動を行いまして、たとえば映画等をつくって巡回するとか、そういう形でまず地域の理解を得ておることが一つ。  それから具体的なハード面といたしましては、たとえばなかなか構内なりあるいは線内なりに入りにくいというための防護さくを極力つくりまして、要注意個所を各線ごとにチェックをいたしまして、それの防護さくの増強に力を尽くしておるわけでございます。  それから三番目といたしましては、これは何とかそういう方面を人的な努力で食いとめたいということで、公安職員の巡回警備を強化いたしまして、あらかじめ張り込みをいたしまして未然防止に努めておりますけれども、やはり御指摘のように、件数はかなり年間の件数もございますので——鉄道妨害の件数で申し上げますと、五十年では九千七百件、五十一年度では九千五百件ということでございますので、四十年度からは徐々に減っておりますけれども、なお膨大な件数でございますので、いろいろと努力をいたしております。
  219. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 この警察庁なり法務の方では、当時の法務大臣、警察庁長官は国鉄のそういう問題については最大限調査をして問題の把握に努めたい。単に子供の遊びということにはならぬという問題の受けとめ方を、当時の法務大臣だれか、福田法務大臣おりましたね。その方が予算委員会答弁しているんですが、その後一年半ばかりになっていますが、警察庁の取り組みはどうなっているんですか。
  220. 平井寿一

    説明員平井寿一君) 投石とか、あるいは置き石などによりますところの列車妨害事件は、場合によりますと列車脱線転覆にもつながりかねませんし、また多数の乗客の生命にもかかわるような重大な結果をもたらしかねない重要な事件でございますので、警察といたしましても捜査の重点事案にいたしまして、この種事件発生の場合には、国鉄当局など関係機関との連携を密接にいたしまして、その予防警戒はもとよりでありますけれども、事案の真相解明と犯人の早期検挙を図ると、こういう目的のもとに徹底した捜査活動を行うように関係の府県警察には指示しているところでございます。  本年に入りましてからも、警察の方で届け出その他によりまして認知いたしましたこの種列車妨害事件は、二十六件確認いたしておりますけれども、そのうち十一件を検挙解決いたしております。いま申し上げましたように、大変重要な事柄でございますので、なお今後とも引き続きこの種事案に対してはその検挙の徹底を図る、こういう立場で捜査の推進に努めてまいるように考えておる次第でございます。
  221. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 私は、うちの乗務員がずっと点検しているやつのメモをとってあるんですがね。特に新幹線——線路、駅舎の爆破予告、まくら木、角材、これは新幹線、置き石が三件、それから発砲が全部で九件。この爆破予告とか、置き石とか発砲、投石、しかも新幹線が四十件、これはことしの二月から四月まで一斉点検やったこの三カ月間で新幹線が四十件、名古屋管理局が百十件、それから東京が五十四件、これは非常に乗務員の、私がはっぱをあえて言っているわけじゃありませんからね。  警察庁の捜査課長、よく見てください。国鉄には運転障害事故報告、こういうのがあるんですよ。これは担当乗務員が全部書く。それからこの数字をとっているんですから。新幹線、東京、名古屋、大阪、集中的に多いですね。しかも列車に向けて発砲するなんていうのは、私も乗務員何年か経験しておりますけれども、発砲されたなんていう経験ないんですがね。これはやっぱり乗務員にしてみればゆゆしい問題ですよ。しかも時速二百キロ以上で走っておってね。皆、これ乗務員の事前発見で事故はなくなっている、いまのところね。でも、乗務員は神経を使うのが大変なんですよ、これだけの事故があるというのは。ことに高速列車であればあるほど。  だから、やっぱり私は本格的にこの問題の背景は何なのかということについて、法務大臣予算委員会答弁がその場なりの答弁ではなくて、本格的に私は背景とか問額点を調べてもらわないと。この前の十一月三日なんかは運転士の目の前です。ちょっとあれしたらみけんをやられて運転士はパーです、あの世へ。窓でとまったからよかったけれども、運転士の目の前ですよ。こうなると私は大変なので、やっぱり根本的な対策を立てないとこの問題はだんだんと広がっていく。こう思うんですが、いまの捜査課長の答弁だけでは私はちょっぴり足りないと思うんですが、もう一歩突っ込んだ答弁ないですか。  これは総裁もやっぱり総裁として、事故対策に公安官を使っているのですから、われわれが公安官やめろやめろと言っても公安官使うんだ使うんだと言って三千名も使っているのですから、三千名も公安官を使っておって乗務員に大変な心配をかけるというのは、もう公安官は要らない、こういうふうにもなりかねないと思うんですが、総裁はこの関係はどういうふうに考えているのか。私はやっぱりお客さんの命と乗務員を守るためにぜひ必要だと思うが、総裁のお考えも聞きたい、こう思うんです。
  222. 平井寿一

    説明員平井寿一君) 確かにおっしゃられますとおり、この種事案というものは万一の事態、幸いいままでのところ起きていないにいたしましても、非常に重要な結果の発生をもたらしかねない問題であるだけに、私どもの方でもこの事案の捜査にはいろいろな努力をしてまいっているところでございます。御承知のように、高速で走っている列車に非常に幅広い範囲のところから投石などが行われるということになりますと、確かに一般の他の犯罪と比べても、捜査のむずかしい点はございます。  しかしながら、やっぱりそういう重要な事案であるということは、十分これは全国の各府県警察とも承知しておりまして、そのためのいろいろな対策を講じておるところでございまして、たとえて申し上げますと、特別のゲリラ活動をやって予防警戒に当たるとか、あるいは幅広い聞き込み捜査活動を展開いたしまして不審者の発見に努める、いろいろな人員を投入した捜査ということを推進しているところでございます。しかしながら、なおそれでもまだまだ未解明の事件というものは残されておりますし、今後ともさらに新たな捜査方法ということも十分開拓してこれに対処しなければならぬというふうに考えておりますので、引き続きこの点につきましてはそうした新しい捜査手法ということも十分考えながら、鋭意捜査に努めてまいりたい、かように考えております。
  223. 高木文雄

    説明員高木文雄君) ただいまの問題は、実は公安官の数は三千名前後でございますし、線路の距離、長さが非常に長い現状におきまして、なかなか公安官だけに任しておけないといいますか、公安官だけではとても手が足りないといいますか、そういうことになっております。で、部内の関係の職員もお互いに協力し合っていろいろいたさなければいけませんし、それぞれの駅のように、地域に密着した仕事をしているところでは、地域の皆さん方にいろいろお願いをするというようなこともやらなければいけないわけでございます。もちろん公安官が主力になりますけれども、皆相互によく連絡をさせながら対策をとっていきたいと思っておるんでございますが、正直に申し上げましてどうもいろいろ妨害事案がふえてきておる現状でございます。  これはなかなか鉄道だけの問題ではないのでありまして、先ほど鉄監局長からも申し上げましたように、どうもやはり基本的に、沿線の学校を初めとする青少年のことに当たっていらっしゃる方方にいろんな意味で御協力を願わなければいけないわけでございます。いろいろそれぞれの担当で相当一生懸命やってくれていると思っておりますが、現実いま御指摘のように案件が減らないと、のみならず、むしろふえる傾向にある。また非常に残念なことでございますけれども、爆破予告のいたずら電話というようなものもまた相当ふえてきておりまして、それでそのためにやはりこれどうもいたずらじゃないかなと思いましても、やっぱりいざということがありますので、安全サイドで仕事をやることになりますものですから、多少とも列車のおくれを伴いましたり、いろいろな問題が起こっておるわけでございます。  いま御指摘の列車妨害は、運転に従事する職員にとってはもちろんのことでございますけれども、全体として事故につながる危険がありますので、非常に気を使っておりますし、また、いまの不穏な予告というようなものもなかなか気を使っているところでございまして、どうもあれこれいろいろなことをやらなくちゃならないので、公安もちょっとまいっているような感じでございます。しかし、あしたから急によくなるということはとても期待できませんけれども、じみちな日ごろの努力によって全体としてのトラブルが減るように対策をとってまいりたいと思います。決して私自身も任せっきりではございませんで、どうも気になっておる心配な現象の一つでございますから、私自身関係の者を督励をして何か新しい手を打つとか、いろいろ工夫をしてまいりたいというふうに思っております。
  224. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 これね、これは別な、先ほどは二月ですけれども、ことしの四月一日から九月三十日まででこのような運転報告があった列車妨害が七百八十六件。やっぱり傾向は新幹線、東京、名古屋、同じ傾向なんです、傾向値は。先ほど言った二月から四月の傾向と列車妨害だけをとってみてもやっぱり同じ傾向。約六カ月間に七百八十六件。月に百件か百五十件全国のどこかでやられていると。ですからね、ほとんど乗務員が事前に発見して、急停車して事なきを得ているんですよ。   〔理事瀬谷英行君退席、委員長着席〕 でも、やっぱりこの傾向としてはふえているんですから、総裁が心配しているという点もありますけれども、私は警察庁が、たとえば村上駅の信号妨害事故などは、ほとんど私もこの前村上警察へ行ってみたら、そうですね先生、あれはむずかしい話ですねというのが関の山でね。  だから、やっぱりもう少し子供のいたずらか、あるいは相当計画性があるのかと、案件を見ればわかるんですから、子供のいたずらなら決まった対策でいいでしょうけれども、どうもこれは少し臭いなというやつは重点的にしぼって問題点を明らかにするというくらいの私は姿勢はぜひほしいなと。何件かあります、村上事件だとか新幹事件とか。そういうものを重点的にしぼってひとつ問題点を浮き彫りにして、再びないようにすると。特にまくら木を線路に縛っておくなんというのは、これは言語道断でね。しかもカーブで機関士から確認のできないところにまくら木を置いて線路に縛っているんですから、これは悪質ですよ。  そう考えますと、やっぱり私はいまのおざなりの答弁でなくて、計画的な問題とみなされる列車妨害については集中的に捜査体制を固めてみる。国鉄側も協力をして、そして問題点を浮き彫りにする。そしてやっぱり列車妨害の事前の対策を立てるということがぜひもう必要ではないかと、こう思うんですが、こういう重点的、集中的に計画的なものをしぼってやると、こういう考え方、いかがですか。
  225. 平井寿一

    説明員平井寿一君) 先ほど申し上げましたように、こうした列車妨害事故につきましては、捜査上もまたその他の犯罪を軽視するわけではありませんけれども、中でもかなり重点を置いて捜査を進めにゃならぬと、こういう事案としてとらえております。警察庁におきましても、各県警察で、日常犯罪非常に多発しておりますけれども、列車妨害事案で明白な犯罪となるものにつきましては、中央にもいろいろな資料を集めまして、十分分析して今後の対策を考えようというふうにいま検討を進めておりますので、将来そうした重点的な捜査の対策問題と、こういうことで十分詰めてまいりたいというふうに考えております。
  226. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 ひとつ具体的な実績上げてもらいたいと思うんです。  その際に、私は注意事項を一つ、二つ申しますと、何か事故の調査のやつと労働組合運動というものを混同してみたり、あるいは無断で職場へ入ってみたり、そういうことは私は余りよくないと思うんです。ですから、関係事件について関係乗務員から話を聞く際には、あるいは局を通すなり、あるいは機関区長を通すなりして行って、やはり乗務員から丁寧に聞く。それを、そういう問題にするとすぐ労働運動と混同しちゃって大変な職場の不満を巻き起こすと。さっきの日本航空も同じだけれども。その点についてはやはりきちっとけじめをつけた私は取り扱いをしてもらいたいし、そのことについても国鉄側もきちっとその点は問題の本質ということをわきまえて、そういう労使関係の紛争になることのないように、国鉄側も警察官が職場へ入ってくる以上はきちっとルールを通じて入ってくると、こういうことを職場にしないと、つまんないところから不安感が出てしまう、こうなりますから、関係者両方に事件の解明とその姿勢について、警察側と国鉄側から答弁を求めます。
  227. 平井寿一

    説明員平井寿一君) 私どもの行っております犯罪捜査は、特に他の目的、他の意図でやるということは、これは絶対にないわけでございまして、刑事訴訟法などの法律に定められた手続にのっとりまして真相を解明して犯人を発見すると、こういうことのためだけに厳正公平な立場で行っておるわけでございます。この態度は今後とも変わらないということを御了承いただきまして、決してそうした御懸念がないように私から申し上げておきたいと、かように思います。
  228. 田口通夫

    説明員田口通夫君) 鉄道妨害の検挙につきましては、いろいろと警察御当局に御協力を得ておりまして、かなりの実績も上げております。ただ、労働問題と混同というようなお話でございますけれども、私どもそういう見方をしておりませんし、あくまでこれは鉄道妨害の検挙に対する努力ということで御協力を得ておるわけでございまして、そういうふうなことで私どもは常に検挙に公安職員一同努力をいたしておるというふうに考えております。
  229. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 そういうきれいごとはやめなさいよ。大分君ら時間気にしているから私もそんなことしませんけれども、ここに何通か報告書ありますよ。国鉄職員の制服着ておって、あれ見たことない人だからみんなで聞いたら、それは警察手帳を持っておった。機関区長に聞いたら機関区長は知らないと。そういう例もあるんですよ。ですから、私は根拠があるから言っているんだから、絶対なんていう言葉はちょっと軽々しく言ってもらいたくないし、国鉄側も、じゃ捜査上ですからいろんなそれは隠密も必要でしょう。しかし、必要ですけれども、最小限八百人も六百人もある機関区を管理する機関区長が知らないで入るということは許されないでしょう、職場に、自分の管轄区域に。  少なくとも警察は機関区長に話しする、機関区長のあり方は対応の組合に、実はきょうこういうことで列車妨害事故を調べに来ているんでここに入っているから、それなりに捜査上の秘密もあるから了解してほしいというふうにきちっと最低限のパイプを通しておくのが管理者であり、捜査の態度じゃないですか。機関区長に聞いても知らないと、片方の方は国鉄側の了解をもらったと。どこの了解だと、いや公安であるとかああであるとか言っているけれども、そういうことはやっぱり職場に紛争を起こすもとであるし、列車妨害の本当の原因を探るということに支障来たしますから、警察側も国鉄もそのけじめをきちっとしてやってくださいよという私の要望なんですよ。要望どおり努力しますと言えばいいじゃないですか。絶対なんて言われると、おれもこういう男だから、何月何日、何時何分、ありますよと。いまから警察に確認しなさい、警察官の名前までわかっている、警察手帳見ているから。そういうことはないように、ひとつ最善の努力をしてください。もう一回、警察庁どうですか。
  230. 平井寿一

    説明員平井寿一君) 先ほど申し上げたような立場でございますけれども、捜査といいますものは事実の真相をきわめるために、いろんな関係者に会って話を聞くというケースが大変多いわけでございます。そういう過程におきまして、警察としてはそういう意図は毛頭ないとは思うんですけれども、誤解を与えるようなものがあればこれは非常に残念でございます。今後とも十分そうした人間の接触の場におきましては、十分な慎重なる配慮を払いまして、真相究明という捜査目的を遂げるために努めてまいりたいと、かように考えておりますので、その点御了解いただきたいと思います。
  231. 田口通夫

    説明員田口通夫君) 先ほどのお話をお伺いいたしますと、どうも公安官には連絡があって、機関区長には連絡がないというお話でございますが、これは国鉄内部の連絡が恐らく十分でなかったんだろうと思いますので、努力をいたします。
  232. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 事故起きれば何千人か何百人か亡くなるんだし、その賠償、補償問題になると、こんな運賃値上げの問題でけんけんがくがくしているこの金もぽんと飛んじゃうんだし、私はやっぱりあんな列車の妨害事故なんてと思っているけれども、これは大変な問題を含んでいるし、国鉄経営にも影響すると。ですから、やっぱり午前中申し上げた大事故が起きない前に早く問題点を把握して、対策を立ててもらうということを、私は乗務員とお客さんにかわって再度要望しておきますわ、これ。  それから、もう一つ警察庁、これは今度はいい話です。この十一月十日、東京新聞の、会社ぐるみの関係があるんですがね。白トラ、それから過積み、神奈川県警が一斉取り締まりやったと、そうしたらもう大変な化け物があっちこっち出てきたと新聞が報道している。  自動車局長にお伺いしますがね、こういう白トラやって莫大な無免許をやりながらやっているというこの報道を見ると、やっぱり自動車行政はまだまだ手が届かないのか、業者の方が小利口なのか、非常にこれは問題があると思うんですがね。いわゆる午前中申し上げた公正な競争条件ということからみると、この記事見て私はびっくりしたんですよ。この記事について東京陸運局か、あるいは神奈川自動車事務所などから連絡があるかどうか。連絡があったとすれば、今後どういう形でトラック関係の無法地帯といいますか、やはり是正する必要があると、こう思うんですが、いかがでしょうか。
  233. 中村四郎

    政府委員(中村四郎君) 私ども輸送秩序の確立ということにつきましては、トラック輸送におきまして最大の眼目として中央、地方を通じて努力しておるわけでありますが、いま先生御指摘のような事態が発生しているということにつきまして、なおわれわれの努力が足りないということで東京陸運局あるいは陸運事務所の方から、その内容については私どもの方にも通報がございまして、私どもの方としてはこれに対して監査を行いましてその是正を図ってまいりたい、かように思います。
  234. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 もう警察から摘発されたこの問題については、やっぱり私は手心を加えると、それが前例になって次から次へ雪だるま式にトラックの無法地帯が出てくる、こうなるんですから、こういう摘発を受けたやつは直ちに営業停止をかけてやっぱりきちっとした免許許可条件に対する経営側の建て直しですか、そういうことをきちっと改めた段階で初めてまた免許を発行する、そのぐらいの厳しさがないと、この過積み、過重、白トラ——白タクシーも含めて私は直らないと、こういう状態が今度は法人のトラックの労働者の労働条件をどんどんどんどん下げる力になっていると、そういう悪循環が私はあると思うんですよ。ですから、警察がせっかくこういう摘発しても、肝心かなめの陸運行政にいくと、ぽっとこう緩めるんでは何にもならない。やっぱり原則としては免許停止、そのぐらいの姿勢で経営を点検するという私は考えが必要だと思うんですが、いかがでしょう。
  235. 中村四郎

    政府委員(中村四郎君) 確かに先生おっしゃいましたように、自家用トラックと営業用トラックの関係におきまして循環いたしまして、結局公共性の高い営業用トラックにもその影響が及ぶと、こういう現象でございますので、私どもといたしましては聴聞等の手続ございますが、監査をいたした結果によって事態を厳しく認識して対応したいと、かように思います。
  236. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 運輸大臣、どうですかね。これは国鉄問題、いろんな貨物問題議論しても、物流の流れでこういう形でどんどんどんどんやみからやみへ公然と大手を振ってトラックの悪質業者がやっている、それがてこになっていわゆる一生懸命やっている一般のトラックの業者も運転手も含めてじりじりとダンピングしていく、こういうダンピングの私は根っこがこれだと思うんですよ。ですから、こういう問題についてはやっぱり国鉄論争やっていることを含めて大きな角度からこういう不正な、不公平な問題を取り締まらないと、国鉄問題何ぼ苦労してもどんどんどんどん物流機構は崩れていく、こういうことになりますから、この点に対する大臣のいま、私はむしろ免許停止をして手入れをすべきだと、そして本当に再生された会社であれば再度免許を交付する、そのぐらいの厳しさがないと、どうしても貨物をめぐる物流は直らない。これは港湾にもありますがね。この前マルシップのことやりましたけれども、海の方はマルシップ、陸の方はこれではね、善良な国鉄が何ぼ働いたって国鉄貨物来ませんわ、何といったって。それで大臣、こういうものに対してどういう考え持っているか、ぜひ大臣見解を聞きたいと、こう思うんですが。
  237. 田村元

    国務大臣田村元君) 国鉄本位の考え方で他の交通機関を律するということは、これはちょっと無理かと思います。しかし、国鉄が論じられておるときに、非常にいい機会でありますから、やはり他の交通機関を論ずることは必要だと思う。その意味におきまして、たとえばトラックなんかでも、いまおっしゃったような違法行為に対しては、やはり私は厳しい態度で対処すべきだと思うんですよ。特に悪質なものに対しては、私は免許停止食らわしたっていいと思います。いずれにいたしましても、法は守ってもらわなきゃなりませんから、その意味で改めて自動車局長に対して厳正なる態度で臨むように指示をいたします。
  238. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 そうしますと、私は警察庁の方にも何回か日通の皆さんであるとか、あるいは運輸労連、全自運という組織されておる労働組合から何回か皆さん方に具体的なネタを持って……。白トラ、白タクシー、それから過積み、過重あると思うんですよ。私は神奈川県警の皆さんが昨年十月二十三日ですか、砂利トラの事故で一斉にやった、その点は敬意を表したいと思うんです。できればやっぱりこれを、大体私も全国歩きますと、あそことあそことあそこ怪しいなと、こうわかるんですよ。ですから、この問題をひとつ出発点にして過積み、過重、白トラは取り締まると、そして運輸省きちっとやって本当に正常な物流の態様をつくる、今後ともこれは張り切ってもらいたい、こう思うんですが、いかがでしょうか。
  239. 広谷干城

    説明員(広谷干城君) 過積みの問題あるいは白トラ、白タク等の問題、先生御指摘のように非常に重要な問題を含んでおる事案でございまして、われわれといたしましてはこれらの違反につきまして、従来も取り締まりの重点を向けてまいっておるわけでございますけれども、今後とも先生御指摘のように、これらの違反を重点的に警察力を投入をして取り締まってまいりたいと、かように考えております。
  240. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 ひとつよろしくお願いします。  通産省おりますか。——それじゃもう一つ、トラックの問題出たついでに。  通産省、これはまあ衆議院でも若干問題になっているんですけれども、高圧ガスタンクローリーの関係です。それで自動車局長、これ、私のところに請願に来たんですが、ダンピングといいますか、許可運賃に対する実施運賃がもう悪いところでは五割、六割、いいところで七割程度で、相当タンクローリー関係のところ値切られているわけです。これは実態をつかんでいますか。私は、会社の名誉にかけて出すことはいいんですけれども、神奈川が調べた二十五社の、実際運転手の皆さんが受け取りを持って、許可運賃と受け取りでこうやっているんです。私持っているんです、これだけ。あれ、ひどいのは半分、しかも大手でありながら半分に値切っていると、こういう実態があるんですが、ダンピングの実態、これらに対してはどうお考えですか。
  241. 中村四郎

    政府委員(中村四郎君) トラックの運賃につきまして、適正運賃収受ということは非常に重要な問題でありまして、私どもとしては、何といってもトラック事業零細、あるいは数が多いと、こういう実態でございますので、荷主に対する経済的な立場を強化していこうと、こういうことで構造改善事業その他を実施してまいっておるわけであります。また他方、これの遵守についての取り締まりということにつきましても、貨物輸送監理官制度発足と同時に、またトラック事業者団体内部でもそういったことをえりを正すということで、指導員制度を設けて、ついせんだって研修も終えて配置についたわけであります。  先生御指摘の高圧ガス関係のダンピングの状況というのは、先般衆議院でも御審議いただきまして、私どもそのことについてはこれは適正運賃収受の中でも特に荷主が特定できる業態でございますので、何としてでもこれを突破口と申しますか、入り口にして、一番遵守しやすい態様のところから確立していこうということで、荷主団体に対しましても働きかけを行い、そしてまたトラック事業者の方も互いに競争して崩すということのないような措置を講ずることといたしております。
  242. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 やっぱりLPガスをやっている業者はわかるわけですから、車は。おたくの方で許可運賃を決めた限りは、それなりの根拠があって許可運賃を決めたんでしょうから、許可運賃をきちっと払うということについて再度行政指導してもらって、そしてそれに従わなかった場合にはどういう罰則というか、取り扱いというか、それは考えているんですか。  それから、運輸省から言われたときははいとやって、運輸省の指導がぽっと抜ければまたもとに戻ってしまうという、まあ何といいますか、きわめて巧妙にやっているというのがこの調べた方々の話なんですよ。陸運局からあると一時はよくなる。そしてものの一カ月もしないうちにまたもとに戻ってしまうと、こういう非常に悪循環をやっているというのが実態だそうでありますから、十分指導してもらうと。同時に、その指導に従わない者については、しかるべき私は措置をしないとダンピングは直らないと、こう思いますから、この辺の考え方はどうでしょうか。
  243. 中村四郎

    政府委員(中村四郎君) 私どもも関係者から生に声も聞いております。したがいまして、いま先生おっしゃいましたように、強力に指導してまいりますが、それがまた繰り返されてもとへ戻るということのないようにいたしたいと思いますし、仮にそういうような方向が出てまいります場合には、それに対しての適切な取り組み方を考えてみたいと思います。
  244. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 ひとつ強力な行政指導をお願いします。  それから通産省にお伺いしますが、この資料を見ますと、高圧ガスタンクローリー保険——爆発保険と俗に言われているそうですが、これはおたくの担当ですか。
  245. 飛永善造

    説明員飛永善造君) 先生御指摘のとおり、タンクローリーにつきましての保険につきましては、高圧ガス保安協会が窓口になりましてLPGのローリー等を中心とした自動車保険の特約といいますか、プラスアルファの保険制度を実施しております。
  246. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 この資料をもらいまして見たんですがね。五十年十二月の加入台数が千三十三両、それで五十二年の九月現在でも千三十三両、約一年半たっているんですがほとんど、偶然の一致といいますか、千三十三両、全体の三分の一と、こういうことなんですが、三分の二の車は保険も掛けないでもう自由に走っていると、こういうことになるんですが、危険きわまりないと同時に、最悪の場合、あれは西宮ですか、西宮のような爆発が起きた際にはこれはもう収拾のつかないことになってしまうということですから、これらに対する指導についてはどんな指導をしているんですか、加入について。
  247. 飛永善造

    説明員飛永善造君) ただいま先生御指摘のように、本年の十月一日現在で——一日になってちょっとふえたのです、千四十台ということで。御指摘のように、タンクローリーの約三分の一ぐらいしか加入されていないわけでございます。ただ、この数字は最初に申し上げましたように、高圧ガス保安協会が窓口になってやっております一種の団体加入保険でございますので、それ以外に若干任意に加入していらっしゃる、個別に加入していらっしゃるタンクローリーがあるやに聞いておりますが、その具体的数字は把握しておりませんので、この関係では約三分の一ということになると思います。  で、前回の国会でも御議論いただいたわけでございますが、このようにタンクローリーの保険の加入率が低いことにつきまして、私どもとしては何とかしてこれを引き上げたいということを考えまして、現在高圧ガス保安協会でやっておりますこの保険制度も実は四十九年度からスタートしたわけでございますが、実はその前は業界が自主的に、いわゆる先ほど先生が例示されましたが、爆発保険という形でタンクローリーが爆発したときだけの保険と、こういうことだったわけでございますが、その場合に、ガスが漏れた場合にも担保できるようにということで、その内容も拡充してこういう新しい制度を四十九年度から実施したわけでございます。  ただ、三年目になりますが、いまだに普及率が低いということにつきましては私ども心配いたしておるわけでございまして、実は約半月前国会でも議論がありましたので、早速このタンクローリー関係につきましては私どものLPガスを扱っております日本LPガス団体連絡協議会という中に、保安関係委員会といたしましてLPガスタンクローリーの事故防止委員会ということで、タンクローリーの事故防止のためいろんな民間の自主活動をやっておりますが、その委員会の幹部の方とお目にかかって、この際これをどうして普及したらいいかということについて現在相談しているところでございます。
  248. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 時間がありませんからひとつ要望なり……、一つはやっぱり経営者の皆さんなり、働いている皆さんに直接聞いてみると銭がない、国鉄もないが銭がないと、銭がなぜないんだと。これは全日通の有志の方々が試算した原価計算表を持っていますが、時間がありませんから申し上げません。この日通の心ある方々が計算した良心的な原価計算を見ても、やはりさっき自動車局長にお願いした許可運賃でもいっぱいいっぱいだと。許可運賃でいっぱいいっぱいの許可運賃が六割とか五割とかと値引かれているからますます経営が苦しい、経営が苦しいから保険の掛け金も十万とか二十万とか言っていましたけれども掛け金も掛けられない、そういう悪循環にある、こういうことになっていると思うんですよ。ですから、やっぱり適正運賃をきちっと払ってもらうという点についてひとつやってもらう。  それから私は、事故が起きたものですからね、自賠法とかいろんな法律論もありますが、やっぱりこの性質からいって強制加入というような方向に対策を強化すべきじゃないかと、こう私は思うんです。これはぜひ検討してもらいたいと。  それから三つ目には、そういう問題が検討されるまでこの高圧ガスタンクローリー保険に加入している方に、まあ爆発保険なら爆発保険という何かマークでもつくって「加入済み」と。その「加入済み」のマークをしているタンク車には積むと、マークのないタンク車には積まないというぐらいの交通整理をすれば、これは積んでもらえないから保険に加入する必要があるということで、やっぱり促進する一つのアイデアではないかと、こう思うんです。  ですから、収入の方は自動車局長の方にがんばってもらうから、そっちの保険の加入の方、安全という問題はおたくの方でやっぱりいま言った強制加入、何らかの形で表示するということで検討をしてもらえたらいいなあと、そういう行政指導をぜひお願いしたいものだと、こう思っております。調査によりますとLPガスは相当各家庭に入っておるわけですから、私は重要な国民生活の問題でありますから、その点で、そういうことについてぜひ検討をお願いしたいと、こう思うんですが、いかがでしょうか。
  249. 飛永善造

    説明員飛永善造君) ただいまの御指摘、先生の種々の御示唆でございますが、非常に興味深い、貴重なあれでございますが、私ども現在の時点で法律的にも強制加入にまで持っていくかどうかということにつきましてはまだまだ勉強しない点があるかと思います。いずれにしましても、先ほど申し上げましたように、現にそういう事故が起こった場合の対策というのが非常に大事だということでこういう制度も発足させましたことでもございますし、現実に実際の関係の業界の方々ともこれを普及させるための相談を始めておりますので、できるだけその方向で努力したいと思います。
  250. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 ぜひそういうことについてお願いいたします。  それからもう一つ、これは余り食事の前になると失礼なことになるかもしれませんから、まだ食事まで二、三時間ありますからちょっとお願いいたします。  列車のたれ流しの問題ですね、これは総裁、いま裁判やっているの知っていますか。
  251. 高橋浩二

    説明員(高橋浩二君) 列車の運行によりまして手洗い所からいわゆる黄害というたれ流しをやっておりまして、これにつきましてはもう先生方も御存じのとおりいろんな対策を進めておりますけれども、まだ十分に目的が達成されておりません。それに絡みまして私の方の施設関係の職員から、これに対しまして国鉄の管理者の義務違反ではないかというようなことに絡んでの提訴が出ておることを了知いたしております。
  252. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 私は、黄害あるいはたれ流しの問題は、やはり基本的にはタンク車を全部つけて、地上設備をつけて、そして沿線の皆さんなり従業員の皆さんに迷惑をかけないというのが私はあくまでも国鉄なり民鉄を含めて施すべき基本姿勢ではないかと、こう思うのですが、いかがでしょうか。
  253. 高木文雄

    説明員高木文雄君) まさにそのとおりと思っております。それでまだ不十分でございますが、ある種の計画はできておるわけでございます。で、計画はまあ大別しますと車両を整備するということが一つと、それから処理場をつくるということが一つと、この二つに分かれるわけでございます。  車両の方は、新しくつくる車両にはほとんど大部分のものにタンク車をつけるようにしております。また古いものでも、大修繕の機会にそれを整備するようにしております。  いかにも困っておりますのが処理場の方の問題でございます。処理場は車が車庫に入りましたところで、検修その他を行います機会にタンクから抜くわけでございます。ところが、車両基地は特定のところにございますから、特定の市町村にお願いをして、多くの場合に一次処理をして河川に放流するとか、あるいは下水道を通じて流す。下水道の方は私ども単独でつくるわけにもまいりませんので、市町村が計画をしておられる下水道につなぐということになるわけでございますが、どうも車の検修あるいは清掃をいたしますような庫のある場所は、一般に住民の方が住んでいらっしゃる場所とやや離れたところにあります関係で、市なり町なりとしては下水処理の、汚水処理の施設をいま建築して進めておるけれども、全部市がそれをやるのにはたとえば十年なら十年かかる。その場合にどうしても住民の方の処理が先行するので、お気持ちはわかりますが、おたくの分をお引き受けするのはもう少し待ってというようなことになりましてなかなか進まないわけでございます。  率直に言って、私も先般主要な基地の処理場の工事の進捗状況を一件ごとにチェックをいたしてみましたが、そして担当の者はかなり一生懸命足を運んで市町村にお願いをしておりますが、どうもなかなか市町村の方で、その市町村でやっておりましても、計画し進行しておりましても、うちの方の庫があるところへ下水道を持ってくるというのをなかなかお認め願えない、おまえさんの方は後だと、もっとこっちにうるさく言われていると、こういうことになりまして、それで、仮にしかも一カ所これできましても一カ所だけではいけませんので、車両が行ったり来たりする場合に、立ち寄りますどの基地にもそういう設備ができていないといけないというようなことで、私自身大変いらいらしておるのですが、思うように進まないわけでございます。  線路保守の諸君には非常に申しわけないと思っておるわけでありまして、いまごろああいう事態になっているのは大変申しわけないと思っております。また、沿線の住民の方々にも非常に申しわけないわけでございますので、これは何とかこの関係者の御同意を得てもっとスピードアップをいたしたいと、もしよけい金がかかるのであるというようなことがありましても、それは金がかかってもどんどん先にやるべきだというぐらいのつもりでいま指導をいたしております。どうかひとつ皆さんの各地域の方々の御協力が多少でも進行いたしますよう、この機会に皆様にもお願いをいたしておきたいと思う次第でございます。
  254. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 そうすると、この問題のタンク車の取りつけ、処理場の問題を考えますと、まあ地方自治体の協力を得るとしても整備するまで相当期間かかるわけですね。五年か十年か知りませんが。大体車の整備その他から言って五年はかかると、こう見ますと、私はまあ仙台から帰ってくるとき大宮近くになると、専務さんがわざわざ大宮から向こうではトイレを使わないように御協力願いますと、こう言っている言葉はいま総裁が言っているとおり、沿線の皆さんには非常に迷惑をかけていると、それから保線その他、この汚物処理に当たる方にも大変御苦労をかけているという気持ちが端的に表明されているんですが、五年間かかるということから見ますと、私はこれは国鉄の本当に恥部の問題だと思っても間違いないと思うんですよ。  それで、この裁判における国鉄側の準備書面と答弁——いまの総裁の言葉と、この裁判の答弁書を見て愕然とするんですがね。この裁判所の答弁書は一貫して地域住民はがまんせいと、保線の諸君は粉末の霧をかぶるのはあたりまえだと、そんなことがまんせいと、こう言わんばっかしに一貫して答弁書を書いているんですがね。私はこれはいまの総裁答弁とこの裁判所の答弁書は完全に食い違うと、こう思いますが、この答弁書を書いている責任者はだれですか、常務理事の中で。
  255. 高木文雄

    説明員高木文雄君) これは非常に多くの場合に弁護士さんに委嘱をしてやっております。もちろんたてまえ上は、うちのそれぞれの担当が目を通すことにいたしております。しかし、訴訟でございますから、ある程度弁護士さんに依頼をして弁護士さんにやってもらうということになりますので余り口出しもなかなかできにくいと、訴訟で訴えられておるわけでございますので、訴訟というのはある意味でやっぱり闘いでございますから負けるわけにもいかないのでございまして、その辺は多分にテクニックもあろうかと思います。  しかし、基本はいまのようなことでございますので、いま御指摘を受けましたから私もよく目を通してみたいと思います。ただ、一生懸命やりましても、どうにも解決の道がなかなかつかないということで苦慮をいたしておることだけはひとつおくみ取りいただきたいと思います。
  256. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 これは、全く端的に言えばこの汚染の全身洗礼、それは忍従の限度範囲内であるから保線従業員は当然の仕事だと、病気にかかるわけでないから問答無用だと、こういう筋道なんです、筋道。いや私が読んだんだから間違いないですよ。きょうは時間がないが、付せんして全部読んでみました、準備書面。いやあ、これもおれも国鉄の元の一職員として、こんなにまで争ってこの保線の従業員なり沿線の方々に開き直る必要があるんだろうかと、こう思ったんです。  これは常識の線でスピードアップすればするほど、いわゆるお小便とうんこは霧状になるでしょう。スピードアップに幾何級数的に粉末になるんですよ。その粉末を浴びるのはあたりまえだなんていうことを言うんなら、何で東北本線の大宮から向こうトイレを使わないようにということを車掌が言っているんですか。自己矛盾じゃないですか。そんなに保線や関係の従業員をこれでもか、これでもか、これでもかって、こんな仕事をさせておって裁判で争うなんていうことは私はもってのほかだと思う。  これは法務課長が書いたのかだれが書いたか知らぬけれども、一回総裁、あんた暇があったら読んでみなさいよ。実際行ってやってみなさい、これは。保線の皆さんと一緒に。これやっぱりこういう裁判やったら、誠意を持って皆さんと話をして、皆さんの希望に沿うようにやってやるというのがたてまえじゃないですか。私はこれは冷酷無比だと。近ごろ保線という仕事は、わしら運転だからしょっちゅうわかりますけれども、大変な仕事ですよ、保線という仕事は。そういうことについて、これをその裁判に対してもう一回見直しをする気はありませんか。総裁どうです。
  257. 高木文雄

    説明員高木文雄君) どうもお言葉ではございますが、非常にむずかしい問題でございまして、私としていわば経営者の責任において、うちの職員がそういう苦労をしておるということは非常に胸が痛むわけでございますが、しかしまた同時に、沿線の皆さんの関係がいろいろありまして、沿線の皆さんにも十分おこたえできない現状なんでございます。で、あれだけ日本じゅう二万一千キロでございますので、なかなかどう処理するといいましてもすぐには対策が立たないわけでございます。  ですから、いま御指摘の、少しおまえ冷たいじゃないかということについては、そう私は思ってないんですが、どうもその書面ではそうなっておるとしますと、そこらは具体的にひとつ考えてみたいと思いますが、大変これは大きな問題といいますか、影響の大きい問題でございますので、いまここで軽々しくどのようにいたしますということはちょっと申し上げにくいわけでございますので、私まずそれを見ましてよく考えてみたいと思いますから、よろしくお願いをいたします。
  258. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 これは私、ILOの東京事務所からちょっと相談があったんですけど、やはりこれなかなか決着がつかなければILOの環境問題部会があるんですよ。この環境問題部会に提訴するというのだね、これ。日本の国内で足りなくてILOの舞台まで日本列車黄害問題がいくなんといったら、これは私は国際的に恥をかく。ですから、民鉄関係は、この通達によりますとうまくいっているんですからね。やはり私はこの問題の公判問題も含めて、もう一回関係者の皆さんとよく話をして、期待にこたえるように努力する。たとえば給与上の改善措置を行っているとか、あるいは労働契約の際に予定されているとかと、学問的な言葉を使っていますが、そんなこと私は承知しませんよ。保線関係全部トイレの霧かぶることが条件なんということは、そんなことどこに書いてありますか。そんなこと。こんなこと裁判所へ行って勝手なこと言っているなんてもってのほかですよ、これは。  それからILOに行って争ってもやるつもりなのか。そういう問題であればもう一回、全体でも理事会でこれは何回かかってますかな。理事会は四十三年九月、四十四年二月、四十四年十月、主回常務理事会にかかっている問題ですからね、記録を見ますと。やっぱりもう一回、いま総裁が一番最初言った気持ちでこの問題を再度見直して、案件がILOの場までいくことのないようにやはり誠意を持ってこの問題の処置に当たる。これはこのままもっていって沿線住民に聞かせたら沿線住民怒りますよ、これは。そういうことを含めてひとつこの黄害問題については善処してもらいたいと、こう思いますが、総裁の最後の答弁いかがですか。
  259. 高木文雄

    説明員高木文雄君) いまILOの話などは実は私よく知りませんでしたので善処をいたしたいと思います。
  260. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 これは民鉄も関係するから運輸大臣、これはこの問題のきっかけになったのが四十二年十二月、全国人権擁護委員会連合会から運輸大臣に問題申し入れがあって始まったことですから、それから四十五年の十二月、廃棄物の処理及び清掃に関する法律、この法律ができて、運輸大臣が民鉄と国鉄に指示した経緯がありますから、いまの総裁答弁を受けてやっぱり大臣見解を聞きたい。やっぱり物事を大事にしてジュネーブまでこの問題行かないように、ひとつ適切な指導なり取り組みをしてもらいたい、こう思うのですが、いかがですか。
  261. 田村元

    国務大臣田村元君) 総裁は人権問題と現実との板ばさみで大変苦しい答弁をしたんだろうと思います。一度よく近いうちに実情を私自身も聞いてみて、場合によってはまた目黒さんからもレクチュアを受けて勉強してみたいと、こう思います。
  262. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 勉強するのは結構ですけれども、先ほど言った法律ができた際に、運輸大臣国鉄総裁と各民鉄の社長さんに通達を流しておりますから、この通達の趣旨に従ってひとつ早急な善処方を要望します。いかがですか。
  263. 田村元

    国務大臣田村元君) 勉強は知識がふえることであり、進歩することでありますから大いに勉強したいと思います。
  264. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 厚生省来ていますか。——厚生省はこの問題どういう受けとめ方してるんですか。おたくの方も環境衛生上直接関係があるんですが、これは環境衛生局として、局長代理でひとつ厚生省側の考えを聞かしてもらいたい。
  265. 森下忠幸

    説明員森下忠幸君) 先ほどから先生おっしゃっておりますように、廃棄物処理法におきましても、こういった便所が設けられております車両、あるいは船舶あるいは航空機、こういったものを運行する者は、便所から出てまいります屎尿を環境衛生上支障のないように処理しなければならない、処理することに努めなければならない、こういうふうになっておるわけでございまして、私ども厚生省といたしましても、この規定の趣旨に従いましてできるだけ必要な設備等を整備していただきますように、運輸省並びに国有鉄道に申し入れを行っておるわけでございます。  ただ、先ほどのお話の中にもありましたけれども、いろいろ施設をつくります場合に問題があるようでございまして、私どもそういった場合にできるだけこれに対して御協力するということと同時に、くみ取りました屎尿の処理につきましては最近新しい技術がたくさん出ております。これにつきまして厚生省も相当な蓄積があるわけでございまして、こういった点で運輸省あるいは国鉄当局の方に御協力申し上げたい、こういう用意があることを申し上げたいと思います。
  266. 三木忠雄

    三木忠雄君 ちょっと関連で一つ。  その問題、せっかく厚生省が来てるんで聞いておきますけれども、不法投棄した場合は罰則規定どうなるんですか。
  267. 森下忠幸

    説明員森下忠幸君) 不法投棄と申しますが、便所から出てまいります屎尿の場合には従来からそういったふうな処理の仕方が認められておったというふうなことでございまして、たとえば列車のタンクにたまりました汚物のたぐいを一度に不法投棄した、一度にある特定の場所に放出したというふうな場合には廃棄物処理法の不法投棄の罰則がかけられるわけでございますが、通常いま行われておりますような場合につきましては恐らく適用がないというふうに考えております。
  268. 三木忠雄

    三木忠雄君 もう一つ。  そうしますと、量によって不法投棄であるかないかを限定するんですか。その問題だけ明確にしておいてもらいたい、不法投棄の限界を。
  269. 森下忠幸

    説明員森下忠幸君) 量と申しましょうか、公衆衛生上あるいは環境衛生上の支障というふうなところから見るわけでございますが、私どもいままでの経緯、歴史的なことを考えますと、通常行われておりますような列車からの放出に対しまして、直ちに廃棄物処理法の罰則をかけるのはいかがかというふうに理解しております。したがいまして、しかしそれでは公衆衛生上やはり支障がないわけではございませんものですから、それにつきましてできるだけ車内にこれを貯留し、これを基地等で放出して処理するというふうなことをお願いしておるわけでございます。
  270. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 運輸大臣、そうしますと、いま厚生省の見解などをお聞きしますと、やっぱりますます問題があって早急に処理すべき問題だと、こう思うんです。しかし国鉄側の話を聞くと、たとえば処理場の場所の選定になると地方自治体との関係があるということでありますから、これは国鉄だけではどうしようもない問題もあると思うんです。ですから、国鉄側と連絡をとって、関係各省の問題については十分に協力方をお願いして、一日も早くこの問題がけりつくように、関係大臣を含めて大臣の特段の配慮をお願いしたい、こう思うのですが、いかがでしょうか。
  271. 田村元

    国務大臣田村元君) 私は、やはり下水道パイプの問題だと思います、つまるところ。下水道は御承知のように人家棚密のところを中心にやっておる。いまはまだ下水道は、どんどん進んではおりますけれども人家稠密以外のところへまでは手が伸びていない現状でございます。でございますから、これは建設省下水道部、あるいは厚生省、自治省等と相談をしなきゃならぬのかもしれませんが、何か下水道工事をやっていくのに国鉄から、もちろん下水道というものは御承知と思いますけれども、受益者負担という大原則がございますから、国鉄も受益者負担という原則の中に入って、国鉄から応分の受益者負担を出して、そしてパイプを引っ張ってもらうというようなことでも考えたらどうかなという感じで実はいま承っておりましたが、実は私は下水道というのを非常に興味を持っておる一員でございますので、一度これ研究させてもらいたいと思います。
  272. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 ひとつ検討方お願いいたします。  じゃ、本論に戻って、この「国鉄再建の基本方向」についてお伺いいたしますが、この文章を見ますと、一項の冒頭に「企業的経営」、こういう言葉を使っておるわけでありますが、国鉄という分野は公共的な使命を重点に考えておる。こういう点から考えますと、この「企業的経営」という言葉は、もう国鉄は交通シェアでも独占という姿がなくなったから、公共性の問題については度合いを薄めて「企業的経営」というところにずっとウエートをかけていく再建方式、こういうふうに変わったのかどうかですね、日鉄法との関係を含めて、このまず冒頭「企業的経営」という問題について、考え方なり問題点を教えてもらいたい、こう思うのです。
  273. 田村元

    国務大臣田村元君) 国鉄は確かに公共性の非常に高い公共輸送機関でございます。しかし、いわゆる鉄道特性といいますか、この鉄道特性の発揮できる分野というのがあるわけでありまして、そういうところでは、そういう分野では一般企業並みの経営努力を行えば採算がとれると、このような判断でこのような表現がなされたものだろうというふうに実は私は理解しております。
  274. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 そうすると、そこにずっとウエートを置いていくと、どうしても採算の合わない公共的な問題が取り残されるという現象が考えられるんですが、その取り残される部面については、運輸省とか政治の関係で特別の負担のことを考えるとか、あるいは助成をするとか、そういうものの組み合わせを前提に「企業的経営」という言葉を使っているのかどうか、そういうことを関係なく、もう国鉄一本で企業的経営の方にかわっていくのだというふうにお考えなのかどうか、その辺の度合いといいますか、考え方といいますか、それをもう一度お願いしたい。
  275. 田村元

    国務大臣田村元君) 国鉄は、先ほども申し上げましたように大変公共性の高い公共輸送機関であります。でありますから、国鉄が本来負担する限界を超えておる負担という面が公共性の強い面であるわけであります。でありますから、そういう点においては当然これは国が助成等で保護をしなければなりません。保護というよりむしろ国が努めていくという方があるいは正確かもしれません。でありますから、そういう部門はそういう部門として助成対象で考えていきながら、国鉄がみずから大いに活躍できる国鉄の特性分野という面では企業性を求められておるというふうに解釈したらいいんではないかと思います。
  276. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 それと日鉄法の第一条の大原則は依然として中心として生きていると、そういう大前提の上にこういうやり方の仕組みというものについてこの企業的経営というものを導入していくんだと、こういうふうに理解していいわけですね。
  277. 田村元

    国務大臣田村元君) やり方の仕組みでございましょう。
  278. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 次は、二番のところに「他の輸送機関との関連において」云々という言葉があるんですが、これもよく他の交通機関と比べて国鉄が能率がいいとか悪いとか、まあ私鉄の問題を言われていろいろ言われるわけでありますが、この他の交通機関との関連ということについてはどういうことを言わんとしているのか、国鉄の置かれている条件と採算のいい私鉄、地理的条件も違うし、それとの単純比較だけでは私はやっぱり国鉄を論ずる際にはちょっと軽はずみではないのかと、こういま私は考えておるわけでありますが、この言葉に使っておる「他の輸送機関との関連において」云々ということは何を求めようとしておる文章なのか、私は具体的に考え方を聞かしてもらいたいと、こう思うんです。
  279. 住田正二

    政府委員(住田正二君) 交通機関にはそれぞれ特性があるわけでございまして、国鉄の場合には大量輸送という特性があるわけでございます。したがいまして、現在国鉄経営いたしております二万一千キロの路線の中には、大量輸送に適しない路線もあるわけでございまして、他の交通機関の中には小量輸送に適している交通機関もあるわけでございまして、そういう他の交通機関との関係から、国民経済的に見てどちらが有利であるかと、トラックで行くのと鉄道で運ぶのとどちらが有利であるか、あるいはバスと鉄道でどちらを使うのが国民経済的に見て有利であるかというようなことを検討する、そして効率的な輸送体系の方を残していくというのがこの意味ではないかと考えておるわけでございます。
  280. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 そうすると、他の交通機関との関係で有効な指標というか、そういうものをずっと交通機関別に検討して、それに適合する交通手段を行使してもらうと、そういうふうに考えると。これだけのいろんな交通機関があるわけですから、私は運輸省が他の交通機関との関係という言葉を使う立場の際に、おのおのの、たとえばバスならバス、トラックならトラック、国鉄なら国鉄と、そういう共通する指標といいますか、何かそれがないと、午前中言われたようにばらばらばらになってしまうと、こういうことにいまなってしまうじゃなかろうかと。したがって、共通する指標を各交通機関ごとにつくることがいいではないかと、こんな気がするんですが、その辺の考え方があれば聞かしてもらいたいし、公正な交通手段の競争を促すためにも、やはりそういうものが必要ではないかと、こんな気がするわけでありますが、お考えがあったら聞かしてもらいたいと、こう思うんです。
  281. 住田正二

    政府委員(住田正二君) 一例を申し上げますと、現在国鉄の路線のうち、地方ローカル線と言われているものが九千二百キロあるわけでございます。この九千二百キロをどういう基準で選んだかということでございますけれども、これは国民経済的な観点から、道路で使う費用と国鉄で動かす費用とどちらが安いかという基準によりまして、国民経済的に見てむしろ道路の方が有利ではないかという路線が九千二百キロということでございます。国民経済的に見て九千二百キロは鉄道輸送する方が不利だと、だから直ちにどうこうするという意味ではなくて、一応国民経済的に見たらこういうような区別ができるということでございます。
  282. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 そうすると、ローカル線で鉄道と道路が走っていると、その場合にどっちを使ったならば効率がいいということで、自動車とローカル線というのを調整をするということになりますと、たとえば、いま東北新幹線つくっています、盛岡まで。片や花巻空港の拡張をやっている。その際に私は、東北新幹線をいまからつくろうという——これはこの前、大臣予算委員会で黒字だと、三年か五年で黒字になるから心配するなと言うから、まあ大船に乗ったつもりでいましょう。同じところに競争相手である航空機をやってしまうと、東北方面に行くお客さんというのは、私も東北人だけれども、それは関西に比べるとなかなか移動率がないと思うんですよ。  その辺の見通しも立てないまま新幹線建設と空港、飛行場の拡張、大型化と、同じ交通機関を同時に運輸省が許可している。これはどっちか行き倒れになってしまう。そういう可能性は私はあると思うんですが、そういう際にはやっぱり思い切って運輸省としては決断を下す。そういうことをしないと、どっちかの交通機関が行き倒れになってしまう、そういうことにならないでしょうか。私はこの岩手県におけるいろいろな指標とか、あるいは動向を読んでみましても、どうも国鉄の方にそのしわ寄せがきてしまって、開通して一年や二年は珍しいから乗るけれどもという気がするんですがね。やっぱり同じことを繰り返す。ですから、そういう点ではやっぱり他の交通機関との関連という段階では、そこまで立ち入って他の交通機関との調整、競合ということを考えないと、これからの国鉄は立っていかないと、こんなように思うんですが、この辺はいかがでしょうか。
  283. 田村元

    国務大臣田村元君) いまおっしゃったことが、私が先ほど申し上げた、行政機構上からも総合交通体系をとらまえるべきだという、そのことに帰してくるわけです。でありますから、私はそういうふうにしていきたい。ただ、花巻空港と東北新幹線が競合してがっちゃんやる、私はそれはないと思うんです。花巻空港というのは東京と花巻を結ぶだけの空港じゃありませんから、花巻空港から将来沖繩行きが出るかもしれないのですから。ですから、それは一概に言えないと思いますけれども、しかし、それはそれとして、そこにいま言ったガイドラインとしての総合交通体系が必要であり、同時にそれを現実に行っていく行政機構が必要である、こういうふうに思います。
  284. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 これも午前中議論したことですから、私はやっぱりその辺の歯どめといいますか、調整といいますか、その点、低成長時代だったらなおさら私は輸送効率の調整という点については力を入れてもらいたいということを改めて要望しておきます。飛行機と新幹線で悪かったら、鉄道と道路でもいいんです。そういう点でぜひお願いしたい。  それから「構造的欠損」という言葉を使われておるわけでありますが、高木総裁にお伺いしますが、高木総裁はこの前、公共企業体等基本問題会議国鉄の意見開陳をしておるわけでありますが、この意見開陳で、一つは「地方交通線から生ずる負担」、Bとして「過去債務による負担」、Cとして「戦中戦後、国の機関として国策遂行上生じた要員構成の歪みによる負担」、こういう三つを挙げておるわけでありますが、この三つの問題と、それからいまの「基本方向」にある「構造的欠損」、こういうことは同じ意味で使われておると理解していいのかどうか。違うとすればどういうことなのか、ひとつ総裁からお伺いしたいと思います。
  285. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 同じような時期に別々なところで違う文書をつくったということで、その場合に両方が同じ用語を使った、こういう結果になったわけでございます。「国鉄再建の基本方向」は、衆議院で各党の間でお話し合いになっておつくりになった考え方でございます。  私の方は、総理府の基本問題懇談会が、国鉄につきましても、他の公社につきましても、経営形態をどうしたらいいかということで御審議が進んでおりまして、その御審議の進行をにらみながら、いずれ私どもも何か物を言わしていただく機会があろうかということで、春以来勉強をしてまいりましたが、十月末にその機会がございましたので申し上げたわけでございまして、したがいまして、これは全然別に起こってきたものでございまして、両方がたまたま「構造的」という言葉を使ったという結果でございます。  そこで、私の方で使いましたのは、幹線部分は、これはあくまで私どもが採算がとれるように運営をしてまいりたいと思いますが、どうも地方交通線につきましては、私どもの方から申しますと、本音を言わしていただくと、実は外してしまった方がよろしい、経営的だけで言いますとそういうことになります。しかし、それは現実にここ十年やってまいりましたけれども、地域の方の同意が得られない。地域の方の同意が得られないというのは、それはそれなり理由があることでございまして、私どもの経営的な立場と、地域の方の必要性といいますか、鉄道に対する依存度ということから言ってレールを外すことができない。  そこでギャップが出た場合にどうしたらよろしいかというと、どうもそういった「構造的」という表現がいいかどうかわかりませんが、ここやや半永久的に生ずるであろう赤字というものについてはとてもうちではやっていけません。いままでは他の線区でかせいだ分で埋めておった、内部経理で相互流通してやってきたわけでございますが、だんだん幹線の方も他の輸送手段との競争が厳しくなりまして、つまり独占性を失ってまいりまして、運賃改定もそうできなくなってまいりましたから、そうすると、こちらの地区で多少利益を得たものをこちらへ回すということがもうできなくなってきましたから、それはどうかひとつ国の方で考えていただきたいというのが一つでございます。  それから「過去債務による負担」というのは、これはいろんな意味で、率直に申しますと、手が打たれるのがおそかったということによって生じてきたものでございまして、これをいま運賃改定その他で回収をしようと思いましても、前のゼネレーションの時代——ゼネレーンョンというのは少し大げさですが、過去の五年なり十年の間の問題をこれから先の、五年先、十年先のお客さんに負担をしてもらうということはどうも現実的ではないんではないか。つまり、それだけを回収するだけの力をわれわれはもう持っておりません。そこで、これはひとつお助け願いたいという趣旨でございます。  それから三番目は、御存じのように、国鉄は百年の歴史を持っておるわけでございますが、百年の歴史の結果、他の社会では見られない負担がいろいろと起こってきておりますので、これをひとつやはり助けていただきたい。これは言葉の上でははっきり出ておりませんけれども、これは内容としては、結果的には年金の問題とか、いろんな問題で出てくるわけでございまして、これはどういうふうに今後詰めていくかという問題がありますが、そのうちの要員構成が非常にゆがんできておる。  戦後から今日まで二十万人も要員を縮小してきた。にもかかわらず、現在四十三万という状態でございまして、これの負担を負っておるわけでございますのでこれは何とかしていただきたい。あとは私どもが何とかいたしたいという、ある意味ではこれだけはお願いしたいが、あとはわれわれが何とかやってまいりたいという、裏から申しますと、助成をお願いするお願いの基準でありますと同時に、経営の決意と申しますか、残りの部分はやってまいりましょうという気持ちのあらわれでございます。これと、こちらの国会の方で、衆議院の方の皆さんで合意されました「構造的欠損」というのは、ちょっと似て非なるものでございまして、必ずしもぴったり同じものではないと思うわけでございます。  私どももしかし、ここに書きましたものをどういう形で、どういう限度でお願いをするか、それからもうこれ以外には何もお願いしなくても全く大丈夫かという点も、いろいろ勉強していくうちに、とてもやり切れませんという部分がまだまだ出るかもしれませんし、あるいはまた経済の変化、あるいは輸送体系の変化というものによって変わってくる可能性もございます。時間の経過とともにこの構造的欠損負担という点についてなお詰めてまいりたいと思いますが、基本的な考え方を示したつもりでございます。  こちらの方の「国鉄再建の基本方向」に挙げられております「構造的欠損」がどういうものであるかは、私もまだ御提案の方々に突っ込んで聞いておりませんので、まあ感じとしてはわかっているつもりでございますが、多少どうも、少し違うところで違う考え方で書きましたから、完全には合っていないということではないかというふうに思います。
  286. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 政府側はどうですか。この言葉、この「構造的欠損」というのは。
  287. 住田正二

    政府委員(住田正二君) 国鉄が抱えておりますいろいろな赤字要因があるわけでございます。ここで、この「基本方向」の中に「構造的欠損」という言葉が使われているわけでございますけれども、これは私の私見でございますけれど、「構造的欠損」というのは広義のものと狭義のものとあるのではないか。ここで、「基本方向」の中で使われております「構造的欠損」という言葉はむしろ狭義の構造的欠損、これは国鉄の分野について——地方ローカル線のように国鉄が幾ら努力しても赤字を解消できない、そういう分野について言っている意味ではないか。そういう意味で狭義の意味ではないか。  それとは別に、先ほど国鉄総裁の言われておるような問題、あるいは午前中も御指摘がありました公共負担の問題であるとか、このほかに再建対策要綱の中の手小荷物であるとか、国鉄バスであるとか、いろいろ今後国鉄経営改善をやってみても、どうしてもやっていけないような赤字がなお残る可能性があるわけでございまして、そういうようなものを含めたものが広義の意味の「構造的欠損」ということではないかと思います。したがいまして、この「基本方向」の(二)の中のは狭義の意味の構造的欠損、そして全体として、たとえば一の(三)の問題であるとか、あるいは大きい三の問題の中で検討されるような赤字、こういうものを含めたものが広義の意味の構造的欠損ではないかというように理解をいたしております。
  288. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 まあ、若干言い回しはおのおのの立場で違うようですけれども、根底には共通する点があると思うのです。  それで、国鉄側にお伺いしますが、こういう大胆に三点を提案しておるわけでありますから、この現時点でこの三つの問題について、たとえば五十一年度の決算——見込みでやるとまたさっきのように空転しますから、五十一年度決算は出て、監査報告も出ておるわけでありますから、五十一年度決算を点検した際に、この総裁提案したABCというこの三つのものに見合う具体的な金額なり、あるいはある程度の金額でも結構ですから、どういうふうな中にあるのか。これは私も前もって国鉄側資料要求をしておりますから。ところがなかなか要求資料出てこないんですが、まあ計算をしてなかったのか、計算をしていれば大体A関係は何千億、B関係は何千億、C関係は何千億と、こういうことを決算上からひとつわかれば教えてもらいたいと、こう思うんです。
  289. 馬渡一真

    説明員(馬渡一真君) 五十一年度の決算におきまして、地方交通線の欠損というのが二千三百六億円でございます。  それから過去債務によります利子負担と申しますのは、実は国鉄の利子の支払う場所はいろいろございまして、損益勘定で払っておりますもの、あるいは工事勘定で払っておりますもの、それから先般特別勘定を新設していただいて払っておりますものがございますが、一応一般勘定、損益勘定で払っておりますもののうち、工事費の補助金をいただいておりますものを除きまして、金額は二千百八十四億円でございます。  この金額と、それから三つ目にございますものにつきましては、実はまだ的確にどういう基準で考えたらいいのかという点の意思がまとまってもおりませんけれども、ただいまの状態で申しますと、たとえば五十一年度では一万三千九百人退職をいたしました。これを普通の年で考えた場合に、平均的に現在四十三万人おります人間が、勤続年数三十五年というふうにして計算をいたしますと、一万二千三百人ぐらいが普通の状態で退職をするのではないかという見方もございますが、それで五十一年度の数字からだんだん五十二年度以降ふえてまいりまして、恐らく二万六千人ぐらい退職をされる年もあろうかと思っております。そういう意味で、ここの差を退職手当として国鉄が支払います場合に問題点であるという意識を持っておるわけでございます。  それからなお、ただいまの方々がやめられますと、当然その方々には年金をお支払いしなければならない。一方で、現職の数をこれからふやす方向ではなくて、むしろ減らす方向でいろいろ考えてまいりたいというふうに思っておりますので、そうなりますと、現在の年金受給者が二十五万人ございますが、将来、恐らく昭和六十年度ぐらいには四十万人になろうかというふうに算定をされます。そうすると、職員一人に対して一人の年金受給者を持つという形になりますので、これも問題点であるというふうに思っておる次第でございます。
  290. 高木文雄

    説明員高木文雄君) ちょっと補足して申し上げておきますが、まあ思想的にこういうものを、以下の諸点については切り離して考えるという行き方はどうであろうかと、このための国の基本的な助成方を、基本的な考え方を明確にしていただけないものかという思想でございます。  したがって、いまは五十一年度の例で数字を示せということでございましたから数字を申し上げましたが、さてこれをどういうふうに処理をしていくかということになりますと、いろいろなやり方があり得るわけでございまして、たとえば必ずしも地方交通線から生ずる負担の全部、過去債務による負担の全部を皆助けてくださいというわけでなくて、これはそういうことをひとつ論議の対象に挙げてもらいたいというような気持ちでございまして、現に、昭和五十一年度の予算で新しく設けていただきました特定債務のたな上げの思想の場合には、一応たな上げていただきますけど、あれはわれわれの方で資産活用を大いに広げ、資産処分を進めまして、それでお借りした元本はお返しをすると、こういう形での助成方式になっておるわけでございます。  助成方式にはいろんな助成方式があろうかと思いますが、こういったものはとにかく助成の対象として何らかの形でひとつ手をお貸しいただきたいと、漠然と助成をお願いするといってもいけませんので、こういう面をやっていただきたいと、残りはひとつ大いに私どもで何とか歯を食いしばってがんばっていきます、こういう思想を表明したものと御理解いただきたいと思いますので、いまの担当常務が申しました数字、それを必ずしもこの財政と結びついての話じゃなくて、思想的にそういうふうな整理をしていただいたらいかがなものであろうかということを意味するものでございます。
  291. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 そうするとね、先ほど総裁考え方と、五十一年度の決算からこうながめてみると、やはりいま言ったABCというこの三つ、まあ人件費関係が一万三千九百人に対して一万二千三百人が標準とすれば、千六百人から千七百人、まあ二千人前後ずうっとこう退職がふえていく、それに伴って年金がふえていく。年金がふえれば国鉄の分担金が多くなる。これはこの前国鉄共済組合の審議会の答申を見ると、大分二千、三千億の金がかかると、こういうまあ数字が出ておるわけですが、この三つを考えてみると、五十一年決算で九千億の赤字になっておるんだけれども、この三つの問題をある程度整理をしてくると、いわゆる赤字というものに対して相当明るい展望が見受けられて、職員自体も再建に対する意欲という点が出てくるんじゃなかろうかと、こんな気がするんですがね。  ここは運輸大臣総裁との政治的なやりとりの場になるんだろうけれども、ABCについてはやっぱりこの際政府の力で荷を軽くして、国鉄がんばれやというのが一番いいことではなかろうかと。国鉄側もそれを求めていると。こうなりますとね、まあもう一歩突っ込んで、先ほどの五兆円の累積赤字じゃありませんが、ここのところもう少し双方が歩み寄って政治的な決断を下すということがきわめて私は大事なことであるし、大臣が長い間国鉄問題をあずかってきて、よしこの際やろうというためには、どうもやはり回り回ってこの辺にまた来てしまったと、こう思うんですが、大臣いかがでしょうか、この問題。
  292. 田村元

    国務大臣田村元君) やはり私と総裁とが、いまおっしゃったように十分話し合って、コンセンサスを得て、また私の立場から言えば可能な限り総裁の要望も受け入れて荷を軽くしてあげるということは考えなきゃならぬと思います。  いずれにいたしましても国鉄再建というものは、運輸省国鉄がそれぞれ勝手なことを言い合っておってはいかぬのであって、あるいは労使の間でも同じことが言えましょう。そういうことでございますから、お互いに愛情を持って、国鉄をしっかりもう一回生き返らせるという方法を講じていきたいと、こう考えております。
  293. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 もう問題点は浮き彫りになったわけでありますから、その問題点を、浮き彫りを少しでも前向きに解消するようにお願いしたいと思いますし、この問題が一番焦点だ。  ところで、大蔵省来ていますか。——やっぱり銭を握っているのが大蔵省なものだから、大臣がそう言ってもなかなかあんたの方で財布がかたいと議論も空転してしまう。それで、本会議でですね、大蔵大臣が地方交通線の補助については、去年は百七十二億、ことしは奮発して四百七十七億と、こういうのを答弁しているんですがね。この四百七十七億を算出した積算の根拠をひとつ教えてもらいたいと、こう思うんです。
  294. 角谷正彦

    説明員(角谷正彦君) 地方交通線の五十二年度の助成額は貸付金、交付金を含めまして四百九十億でございます。その積算の内訳を申し上げますと、旅客部門のキロ当たりの欠損額が千六百万円見込まれておりますので、それを、地方交通線の対象が九千二百キロあるわけでございますが、その対象を地方交通線のうちどの部門を助成の対象にするか、なおこの点につきましてはいろいろ論議のあるところでございますので、この点につきまして三分の二を対象といたしまして、九千二百キロに三分の二を掛けます。それに対しまして、一応補助率を二分の一掛けるということでございます。端的に申しますと、千六百万円のキロ当たり欠損額に九千二百キロを掛け、それに三分の二を掛け、それに補助率の二分の一を掛けたというのが四百九十億の内訳でございます。  なお五十一年度につきましては、いま目黒委員からお話ございましたように百七十二億という助成でおったわけでございますが、その点におきましては一応対象を二分の一と考えておりまして、また、なおキロ当たり欠損額につきまして申しますと、キロ当たり欠損額につきましては、五十一年度は人件費の二分の一と物件費を加算したものでございましたが、五十二年度におきましては積算内容について相当改善を行いまして、人件費の全額とそれから物件費の全額、それにある程度合理化割合を一割ばかり引いておりますけれども、それにその他の経費といいますか、具体的には市町村納付金でございますとか、減価償却とか、そういったものを対象といたしまして、それにかかりますところの旅客割合というものを掛けまして千九百万円というキロ当たり単価を算定いたしております。
  295. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 そうすると、去年と変わったのは、去年は人件費の二分の一と物件費を差っ引いたと。このことが今回は全部見たということですか、一つは。
  296. 角谷正彦

    説明員(角谷正彦君) はい。
  297. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 ははあ。それでキロ当たりの昨年は九百万円がことしは千六百万円になったと、こういうことですね。  それから、私も九千二百キロの二分の一というのはおかしいじゃないかと、まるまる見るべきじゃないかとこの前言ったら、今回は一歩進んで、去年は二分の一、ことしは三分の二見たと、なかなかいいですね。  補助率二分の一というのは、これはどういうことですか。補助率こそ満配にすべきだと思うんですが、どうもここにきてまた二分の一にしてしまうのは、全額赤字でしょう、単価当たりの赤字を算出して補助率二分の一ということは、二分の一はまだおまえの方でめんどうをやれということだから、結局先ほど国鉄の方は二千三百六億の赤字だと言っておるにかかわらず、こういうふうに改善しても四百九十億と、大体五分の一と、こうなるんですね、大体。国鉄の方は二千三百六億と言っているんですから、赤字線の関係は、ローカル線は。と、おたくは約五百億、五分の一。これではね、私はやっぱり大蔵省としての数字のやり繰りは、去年から上がったから多とするも、政治的にこの問題を解決したというふうには私はならないと思うんですよ、五分の一見て、五分の四は依然として国鉄負担になっているんですから。  この前、小川自治大臣は、地方自治体もらっても要りませんから全部返上しますと、こういう国会答弁やったわね、自治大臣が。この前、自治省に行って事務次官に会ったら事務次官も、赤字のローカル線を自治体にもらったってもうどうにもなりません、のし袋つけて政府国鉄に返しますから、住民の足が守れるようにやってくださいと、自治省の事務次官がそういう答弁を私にしておったんですね、みんなの前で。そうしますとね、赤字をかぶるのは国鉄なんですよ、これは、遺憾ながら、五分の一だけでは。やっぱり五分の一でなくて、せめて五分の三見るとか、せっかく値上げしたんだから、全額の三分の二ぐらい見るというぐらい大蔵省のそろばんは動かないですか、どうでしょうか。
  298. 角谷正彦

    説明員(角谷正彦君) 地方交通線の問題は、先ほどから国鉄総裁運輸大臣がいろいろお話ございますように、非常にむずかしい問題でございます。そこで運輸省におきまして、御承知のとおり、運輸政策審議会の場でこの地方交通線問題のいろいろな検討が行われておりまして、先般中間報告も出されたように聞いているわけでございます。そういった審議会の結論がまだ正式には出されておりませんけれども、ただ大蔵省の立場といたしましては、国鉄現状にかんがみまして、その結論を待つまでの間の暫定的な措置ではございますけれども、やはり助成を拡充すべきではないかと、こういう立場で助成額につきましても五十一年度に比べまして三倍程度大幅に増額したところでございます。  したがいまして、そういった地方交通線問題のいろいろな問題につきましては、こういった運輸政策審議会の結論、あるいは各党でおまとめいただきました「基本方向」等におきましてもいろいろな対策等をこれから検討するということになっておりますので、そういったふうな検討の結果を踏まえまして、大蔵省としても必要なものについては措置してまいりたいと、このように考えているわけでございます。
  299. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 これはね、調子悪くなると運輸審議会とかなんとかっていろいろありますわ。ありますけれども、自治体も要りませんと言うし、大蔵省は、おたくの答弁どおりそうやっても五分の四の赤字は依然として残っておると。住民は取られてしまっては困るから国鉄は動かしてほしいと要望する。と、動かす。とどのつまりは結局国鉄に戻ってきて、国鉄がけしからぬ、けしからぬと世論の非難を浴びる。本当に歩の悪い仕事に総裁はなったものだと、こう思うんですがね。私はやっぱり国鉄総裁が公共企業体等基本問題調査会議に初めてこういうぐあいに言っているんですから、先ほどの大臣答弁に戻りますが、問題点はわかったんだから、やはりこれをきちっと荷をおろすように再度政府側の考え方の修正を求めて、この三つの問題について決着をつけてもらうということを要望したいと思います。  さっきから自民党の理事さんから再三再四ありますが、大体この辺で一通り終わったようでありますから、しかし私まだ成田空港の問題についてどうしてもやりたい問題があったんですけれども、大体勤務時間が五時ですから、いまからはオーバー労働になりますから次の機会に、同僚委員質問した際に、それと関連づけて残った問題について論議するとして、大体国鉄再建に絡む問題の問題点、関連産業との問題点については一通り私は触れたつもりでありますから、質問を保留して、この辺で次の方にバトンタッチすると、こう思います。どうも御苦労さまでした。
  300. 佐藤信二

    ○佐藤信二君 今国会に御提出になる前に、昨年の七十八国会、ちょうどいまごろでしたが、やはり鉄道法と運賃法の改正案がかかったわけであります。それで私の実は認識ですと、昨年の場合には、五十年の十二月三十一日の「日本国有鉄道再建対策要綱」というのが基礎となって昨年の再建案が提出されたわけです。またことしの場合には、五十二年一月二十日の「日本国有鉄道再建対策について」というこの閣議了解事項が基礎となって本改正案が提出されたと、かように考えていいわけですね。これがまず基本的な問題でございますので。
  301. 田村元

    国務大臣田村元君) 聞こえないんだがな。
  302. 佐藤信二

    ○佐藤信二君 聞こえなかったですか。それじゃ初めから言いましょう。  昨年の七十八国会でちょうど運賃法並びに鉄道法の改正の審議がありましたが、そのときの基礎となりましたのは五十年十二月三十一日の閣議了解事項、「日本国有鉄道再建対策要綱」というのが基礎となったと思います。そして、今回の改正案は、五十二年一月二十日の「日本国有鉄道再建対策について」というのが基礎となったと、かように了解して話を進めてよろしゅうございますか。鉄監局長でいいですよ。
  303. 住田正二

    政府委員(住田正二君) いま御指摘のとおり、昨年御審議いただいたときには、五十年十二月の再建対策要綱によって再建の方向を考えておったわけでございますけれど、その後の情勢の変化によりまして本年一月に新しい——新しいといいますか、昭和五十年の再建対策要綱を一部修正いたしまして、それに基づいて御審議をいただいているわけでございます。
  304. 佐藤信二

    ○佐藤信二君 そこで、昨年の場合の再建対策要綱のまず目玉というものが何かといったら、五十一年、二年という両年度、二年間収支均衡を図るんだというのが目玉であったと思うんです。そして、その対策としてまず過去の債務二兆五千四百億というもの、これをたな上げするというのが一本の柱であり、もう一つは五十一年度中に名目五〇%、こうした値上げをし、続いて五十二年にも値上げを考えると、こういうことでこの二カ年で収支均衡を図るということになったと思うんです。  ところが、審議をやってた十月の時点においては、この初めの値上げ法案、こういうものは六月一日の値上げということでしたから、もうそれが大分おくれてきたということで、五カ月間大体おくれたということで、すでにその時点において二千六百五十億の実は欠損になった、こういうことがわかったわけです。そして、また社会情勢からいって二年間続けて値上げをするということも、これもやっぱり不可能に近いということがあったわけであります。  そこで、私が当委員会でもって、こうしたような情勢下においては、もうすでに一年たった今日において、この五十年十二月三十一日の閣議了解事項というものは変更する必要があるんじゃなかろうか、こうした実は質問をしたわけでありますが、当時の石田大臣は、もし今国会においてこの法案が通るならば、そうした心配はございませんと、かような実は御答弁があったわけであります。ところが、いま申したように、法案が通って二カ月足らずして閣議了解、この変更があった。そして、またことしに運賃法と鉄道法の一部改正法律を出さざるを得ないということは、運輸省のやはり見方の甘さがあったんじゃないだろうか、こういうことを私はまず指摘をしたいのでございますが、これに対する大臣の所感をお願いしたいと思います。
  305. 田村元

    国務大臣田村元君) いろいろと事情はあったわけでございますけれども、その一つは五十一年度の運賃改定が当初の予定より大幅におくれたということ、これもやっぱり国会に対する見方が甘かったといえば甘かったかもしれません。それから、景気の回復が予定よりかなりおくれたということも一つの大きな理由でございましょう。それから、やはり他の交通機関との運賃上の競争関係が非常に厳しくなったということもあろうかと存じます。そういう意味で、ある意味においては不可抗力、またある点では甘かったといえば甘かったということは言えると思いますが、私どもとしましては、事務当局には事務当局なりの意見もあろうかと思いますけれども、その責任はやはり大臣として感じなければならないと思います。
  306. 佐藤信二

    ○佐藤信二君 大臣の御答弁の言葉じりをとるわけじゃございませんが、いま私が申しましたように、参議院に審議がきたときにはもうすでに五カ月おくれでしたわけであります。これが大幅なおくれとおっしゃるんだと思いますが、そのことを実は前提とし、そして五カ月間における実は落ち込みというのが二千六百五十億あるんだと、こういうことも指摘し、同時に他の交通機関、すなわち私鉄並びに航空、こういうものと実は運賃改正後における国鉄運賃というものは国鉄の方がどうもぐあいが悪いんだと、割り食うからそのことはむずかしいでしょうということを再三申し上げたわけであります。それで、私がいまそのような指摘を申したわけでございますが、いま大臣が甘かったといえば甘かったろうとおっしゃるから、この点はそのぐらいにとどめておきます。  そこで、ことしまた運賃改正に関する法案をお出しになったわけでありますが、私はその甘かったということに引き続いて申し上げると、いまのようなことで五十一年度の赤字は約九千億出てきたわけであります。そうして五十二年度の予算の当初においては四千八百億ぐらいの赤字が見込まれると、こういうふうな指摘があり、予算に組まれたわけでありますが、すでに十月の末でもって七千三百五十億、当初予定の四千八百億を上回っているわけであります。そしてまた来年の一−三月、この間の赤字というのが大体八百五億見込まれているわけでありますから、四千八百億に比べて来年の三月までで八千百五十五億にいまのところで赤字になるということじゃないだろうかと思うんです。  私はやはりそうしますと、大変いままでの累積赤字からいって単年度でもって九千億並びに八千億、大体一兆弱のことだから大したことないとおっしゃるかもわかんないけど、やはり国民的な感情からいうと、一兆円といったら大変な実は額になるわけであります。そこで、今後やはり相変わらずこうしたような見方の違いというものが再三、来年においても再来年においてもおっしゃれるのかどうか、この点を明確に教えていただきたいと、かように思います。
  307. 高木文雄

    説明員高木文雄君) おっしゃるとおりきわめて巨額な赤字でございまして、現在の制度では長い目で見ますと、これは結局政府の方にお世話にならなければならない、過去債務処理というような形で後になって政府の方にお世話になることになります。つまり納税者の負担ということにかかってまいるわけでございます。そこで、これをどうやって小さくするか、特に今回の衆議院の修正では、年々の経費の増加分を限度としてしか運賃を上げることは、あるいは料金を上げることはだめですよという思想で修正が行われましたから、現に単年度で生じておりますところの赤字については残るところわれわれの努力と、そして助成とに頼らざるを得ないということでございます。ある意味ではどういうふうにしてこの国鉄赤字を消していくかという方向が昨年度の場合よりはだんだんはっきりしてきたわけでございますけれども、反面において非常に何といいますか、それを消していきます厳しさというものを感ずるわけでございます。  いつもいつも目算からはずれるではないかという意味での御指摘は大変痛いわけでございますけれども、しかしこのままほっておくわけにもいかないわけでございまして、いま言われました単年度に発しますところの一兆円近い赤字につきましては、これは相当程度いろいろな形で助成をお願いいたしますと同時に、やはり経営を厳しく立て直していかなければならないと思うわけでございまして、さればこれといって、たとえばこういうことやれば五百億赤字が減りますとか、こういうことやれば千億赤字が減りますというような名案もなかなかないわけでございますので、いろいろと心配りをいたしまして、いろんな方法で十億、二十億といって穴を埋めていくことを、経営改善していくことを考える以外に方法がないということで、その問題のむずかしさをますます痛感をいたしているという現状でございます。
  308. 佐藤信二

    ○佐藤信二君 そこで、ことしの一月二十日の閣議了解日本国有鉄道再建対策について」、この実は閣議了解事項再建案の目玉というものは何かというと、やは「運賃決定方式の弾力化」ということじゃないだろうかと思うわけですが、この中で大変実は問題があると思うのは、「収支均衡の回復」というところで、「収支均衡目標年度」というのを「国鉄財政収支均衡の回復については、これを可及的速やかに達成するものとし、その目標年度はおおむね昭和五十四年度とする」と、こういうふうになっているわけであります。  ところが、果たして五十四年度にこうしたような収支均衡ができるのかということになりますと、これはちょっと話が飛躍するわけでありますが、この間衆議院でもって後から出てまいりました「国鉄再建の基本方向」というところには、この一の(四)として「以上の事項について、政府及び国鉄は、五十三、五十四年度中に所要対策を確立し、五十五年度以降健全経営を目指すための基盤とする。」ということで、どうも健全経営というのが収支均衡を図るという意味ならば、もうすでにここで一年間ほどおくれてきているんじゃないだろうか、こんな実は見方をしたわけであります。ということは、あくまでも今度出された政府原案、これでいけば五十四年でもって大体目標年度とする、ことができたんだが、三党修正によってこれが五十五年度以降というふうにおくれたと、かように実は考えていいのかどうか、この点をお答え願いたいと思います。
  309. 田村元

    国務大臣田村元君) 一九%値上げを見送ったということも一つの大きな理由であります。それから今度の修正も大きな理由でございます。そういう点から大変厳しい状況にある。でございますから、五十四年度という数字については、私どももひそかにこれは訂正をしていかなきゃならぬのじゃないかというふうに考えておりました。この修正案が出てまいりまして、これが幸いにして通過いたしますならば、当然私たちはこれを踏まえたであろう「国鉄再建の基本方向」というものに盛られておる内容に合わせていかなきゃならぬというふうに考えております。
  310. 佐藤信二

    ○佐藤信二君 そうすると、いまの大臣の御答弁だと、この修正案が通過したらまたこの閣議了解をし直すというふうに考えていいわけですか。
  311. 田村元

    国務大臣田村元君) 当然そういうことになろうかと思います。
  312. 佐藤信二

    ○佐藤信二君 国鉄総裁にお聞きしたいと思うんでございますが、公共企業体等基本問題会議において総裁が「国鉄経営の基本問題について」というようなことでお話をなさったわけでありますが、その実は要旨がここにございますが、これを読ましてもらって一つだけお聞きしたいのは、何といってもいろいろちまたである民営論、分割論というものについておっしゃっておりますが、結論から申すと、こういうものには総裁として反対だというふうに理解してよろしいんでしょうか。
  313. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 二つ考え方があると思います。  一つは、そもそもいまの日本国鉄がどういう経営形態がよろしいかということについて白紙で問題を考えるとすれば、あるいは分割とか民営とかいう議論が十分成り立ち得るのではないかと思うのでございますが、現に公共企業体として三十年の歴史を持っておりますし、それなりにいろいろとそういう体質を持っておりますので、現状において民営にするとか分割するとかというのは現実的ではないというふうに考えておるわけでございまして、やや結論的な表現といたしまして末段に、「したがって、民営に移行し、若しくは分割することには躊躇せざるを得ない。」という表現をとっておりますが、これは現状においてそれは現実的な案ではないんではないかという意味でございまして、事態の推移あるいは事情の変更というようなことがありました場合に、全く民営論はだめだ、全く分割論はだめだという意味ではないわけでございますけれども、現状から考えますと、民営移行あるいは分割ということは、どうもいかにもぐあいが悪いのではないかというふうに考えておるわけでございます。
  314. 佐藤信二

    ○佐藤信二君 まあ端的に大臣総裁にお聞きしたいと思うんですが、今回のこの法律案改正でありますが、この法律案が通れば国鉄経営者に権限ができるということで、大変前進するということで国鉄再建ができるというふうなお考えであろうと思うんです。これは当然でしょうが、その反面、もし今回の法律案が通らなかったり、また非常におくれたという場合には一体どうなりますか。その端的な例として、来年度の予算というものが果たして組めるんだろうか、そしてまた、いま大分論議されております新幹線の建設というようなもの、こういうものが一体どうなるんだろうか、この辺を率直にお話し願いたいと思います。
  315. 田村元

    国務大臣田村元君) もしこの法案が通らなければこれは大変なことになるということを心配しておるわけです。まあ先ほどの御議論にもあったのですが、三月末まで凍結されているんだからいいじゃないかという御意見もありましょう。しかし、現実にこの法律案がこの国会で通りませんと、御指摘のように五十三年度予算編成ということが非常にむずかしくなります。それから再建対策要綱、これも予算編成時につくっていかなきゃならぬ。これも先行きの見通しがむずかしくなりますから不可能に近くなるということもございます。  と申しますのは、法案の成立がおくれると——しかし必ずそれが成立するんだという国会の保証はこれは得られるものじゃないわけです。これが各党一致で得られるならば話は別でしょうけれども、恐らくこれは得られるものじゃないということになれば、成立するまではやみくもであるということになります。でありますから、そういう点で非常にやりにくくなる。まあ新線建設等も当然でございますけれども、当面、とにかく予算編成とか再建対策要綱というものに対して私どもはもう盲の作業をしなきゃならなくなり、現実にはなかなかそれはできなくなってくるという悩みがございます。
  316. 高木文雄

    説明員高木文雄君) ただいま大臣からもお答いただきましたように、来年度の予算がほとんどむずかしくなる、どういうふうに組んでいいか。私ども、たとえば政府援助をふやしていただきたいとお願いをしたいわけでございますけれども、どうも先行きがどんなふうにして再建するのかということがはっきりしないから援助の手を差し伸べないよと言われてしまう危険があって、非常にその点心配をいたしておるわけでございます。  同時にもう少し長い目で見ましても、実は私の気持ちといたしましては、何とまあいろいろ問題があるだろう、いろいろなことがたくさんございまして、いろいろと次々次々解決をしていかなければならない問題に追われておる次第でございまして、率直に申しましてこの法律もその第一歩といいますか、私どもがいささかなりとも当事者能力を回復させていただく第一歩を意味するものでございますので、そうしたことを順々に積み上げていって、そして年々少しでも経営を立て直すということ、とても一挙にいきませんから、少しでも直していくという仕事がいろいろと待っておるような状態でございますので、何とか順々に一つずつこの処理がついていきますようにお願いをいたしたいと切にお願いをする次第でございます。
  317. 佐藤信二

    ○佐藤信二君 そこで、いまのお話にも出ました、やはり新線建設が非常にむずかしくなるというお話でございますが、私、先ほどの実は目黒委員のお話にもありましたように、この狭い日本で新幹線というものが果たして必要なんだろうかという気がしている一人なんです。というのは、まあ山陽新幹線ができた、新大阪から博多まではキロ当たりが十七億かかったと言われておりますが、いま建設予定されている東北新幹線なり上越なんというのはキロ当たり四十億かかると言われている。非常に諸物価の高騰、そういうものからこれだけの大幅な値上げになっている。それだけの設備投資をして、東北新幹線などというもので北海道まで直行便ができても果たして利用者というものがふえるんだろうか、実はこういう気がするし、また一説によると、北海道に住んでいる人たちは青函トンネルというものは一回は通りますが、後はみんな飛行機でもって東京まで行きますということを平気で言う。こういうことに設備投資をかけて、そしてまたいま言ったように、運賃的には設備投資が安くても高くても同じ料金しか取れない。こういうところに非常に問題があるだろうと思うんです。  そこで、いまおっしゃったように、この法案が通らないなんというときには、こうした新幹線を含む新線の建設というものをもう一回お考えになるというようなことがありますか、ありませんか、率直にひとつ。
  318. 田村元

    国務大臣田村元君) この法案が通らない場合にはということは想定しておりませんし、想定いたしたくもない気持ちであります。でありますから、いまの御質問に対して私もちょっと答えにくいのでありますが、この法律が通らなかったときに、われわれはいままで考えておりました問題について根本的に考え方を一遍変えなきゃならぬというような事態に追い込まれる可能性は非常に大きいというふうに思います。
  319. 佐藤信二

    ○佐藤信二君 総裁のさっき申した国鉄の基本問題、これによると国鉄再建の三本柱、これは昔から言い尽くされたことだと思うんです。そして、この中にはもちろんまず国鉄努力があり、政府の助成があり、利用者の負担というこの三つを言われているわけでありますが、いままでにおいて、また今度のこうした法律改正案によってもこの三つが精力的に推し進められていくだろうと思うんです。ところが、もちろんこれを平たく言えば政府の助成というのは財政援助で、これは政府がするというからいいでしょうし、そしてまた、利用負担というのは運賃値上げということで、これも四囲の情勢からいってなかなか上げにくい面もあるけれども、情勢によってはお上げになるだろうと思うんです。  そこで、一番私たちがわからないのは、この国鉄努力という点における国鉄合理化、これはもちろんこの中にもあるように、いろいろいままで国鉄当局においてはこうした合理化というものをお考えになって、そして推し進められたということは、これはまた評価するわけでありますが、その中においていつの委員会でも論議されることは、果たしていまのこうした国鉄の実情というものに対して、同じ国鉄に働いている職員である組合の皆さんがどういうふうにいまの事態というものを認識しているだろうか、いわゆる現状認識はどういうふうだろうか、こういうことを端的にお聞きをしたいわけであります。もちろんきょうは総裁でいらっしゃって組合の当事者ではございませんが、いろいろ総裁が組合の幹部の皆様方と話されている中において、どのように組合の人たちは現状認識されていると総裁は了解されておりますか、この点を教えてください。
  320. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 昨年来私は組合の幹部の皆さんといろいろ話し合いをいたしております。また、この夏の各組合の大会でいろいろな組合としての方針というものが明らかになる、そしてそれが代議員の皆さんとの間で討議をされております。そういうものを見ておりまして、最近一年の間に最も大きく変わってきておる点は、いいにつけ悪いにつけ、やはり職員の集団である組合としても、何らかの形で経営の問題に参画をするといいますか、首を突っ込むといいますか、そういう形にだんだんなってきておると思うのでございます。国鉄は公共企業体ではございますけれども、やはり一つの企業体でございますから、経営の問題はこれは当局側が考える問題だ。一般職員といいますか、組合員は関知しないんだということであっては物事は進まない。  特に私どもの企業の輸送業というものの性格は、総コストの中で人件費が占める割合は六割ないし七割にも至るということでおわかりいただけますように、人が仕事をやっておるわけでございまして、金の力とか機械の力とかいうものよりも、やはり何としても人が仕事をやっておるわけでございますから、職場で働く職員の皆さんが、うちの経営自体に少なくとも関心を持つということがどうしても必要なわけでございます。それを一年余の間にだんだんと強調してまいったつもりでございますが、いろいろたてまえの問題もございますので、そう正面からというわけにもまいりませんけれども、その底流としては経営の問題に職員が首を突っ込もうといいますか、関心を持とうといいますか、勉強しようといいますか、そういう空気が出てきたことは大きな変化ではないかと思います。  これをぜひ今後とも進めまして、職員自体が自分のところの経営について関心を持ち、同時に自分自身がいろいろな現場現場において、たとえば新しい提案を持つとか、そういうことが広がっていくということが大事ではないかというふうに思っております。ただし、残念に思っておりますことは、方向はそういう方向に向いておりますけれども、そういう方向への向き方のテンポというものは、そうまだ必ずしも早いテンポで進んでおるわけではございませんので、この十一月四日にも早朝いろいろ御迷惑をかけたというようなことが起こっておりますのは、やはりまだまだ私から見ますと理解をしてもらう程度が不十分なんで、その点非常に残念に思っておる次第でございます。
  321. 佐藤信二

    ○佐藤信二君 やはり私は、あくまでも国鉄再建の基本となるのは労使一体ということだと思うのです。そこで、いまおっしゃったんですが、なかなかむずかしいことをおっしゃったが、たてまえ論だけではなくて、腹をぶちまけた話し合いというのがどうしてできないんだろうか、こういう気がするわけなんです。いまいみじくもおっしゃったが、四日の日にはストライキがあり、そして今度の二十四日にもストライキであるわけです。このストライキの名目は一体何かと言ったら、いまの法案の反対ということじゃないかと思うのです。そういうことを考えると、国民感情から言って、国鉄再建というのは一部の経営者だけで言っているのではないか、本当に組合員の皆さんはそこまで認識してない、かような実は気がするわけです。  そこで、いまおっしゃったたてまえを通り越して腹を割った話し合いというものをぜひしてもらいたい。そしてやはり私は、その中において国鉄再建ができる、またはその見通しが立つまでは少なくとも政治休戦するんだと、一切の争議行為は行わない、これぐらいの実は決心が組合にあり、そしてまたそうしたことをやはり話し合っていいんじゃないだろうかと、かように思うんですが、総裁はいかがお考えですか。
  322. 高木文雄

    説明員高木文雄君) たとえば一例を、貨物輸送システムの合理化を図って、そして経費を減らすことに努力をいたしたいと、五十五年度までにそれをある程度のところまで進めたいというようなことを考えており、それを具体的に組合にもこちらから提案をいたしました。組合との間でいろいろ論議を重ねておるわけでございます。しかし、組合員としましては多少私どもとも意見が違いまして、そういうふうに合理化を進めることよりは、どうやってもっと貨物を多く運ぶ、それによって増収を図るということに重点を置かないのかというようなことで論議が分かれておるわけでございますが、この点もその持ちます意味を十分いま説明をし、説得をすることを重ねておるわけでございます。  しかし、職員の立場になって考えますと、過去におきまして十数年の間に職場が六回も七回も変わると、それは当然通勤時間が長くなったり勤務条件が変わったり、いろんなことが起こるということで、何しろ昭和二十四、五年から今日まで三十年間の間に二十万人の要員数が減少したと、そうして繰り返し繰り返しいろんな意味での合理化が進められてきたということで、今日ただいまだけの断面でございますと、ともかくこの二十年、三十年の歴史というものはまさにそこを繰り返し繰り返し今日まで来ておりますので、やはり一人一人の職員にとりましても、相当アレルギーのようなものが起こっております。  したがいまして、直ちにわかったと、賛成というわけになかなかいかない気持ちもわかるわけでございまして、私はそこを粘り強く繰り返し繰り返し、本社におきましてももちろんそうでございますが、各地方出先におきましてもそういう話し合いを進めて、理解を得て進めてまいりたいというふうに思っておるわけで、何か少し一生懸命やっているようだけれども、いかにもテンポが遅いじゃないかというおしかりを受けるのはわかるのでございますが、だんだんとそういう方向に行きたいというふうに考えておる次第でございます。
  323. 佐藤信二

    ○佐藤信二君 私が提案したように、やはり折を見て、少なくとも再建できるまでは休戦しようじゃないかと、一緒にやろうじゃないかというようなことが必要だろうと思うんです。そこでそれに関連して、昨年でしたか、大臣が新聞紙上でもおっしゃっていましたが、やはりこうした組合の幹部、または組合出身者というのを経営陣に入れるという、そしてやはり本当に労使一体となって再建を考える。私はやはり、民間会社において赤字倒産する、またしそうだということになると、組合の人が重役になったりする例があります。  同じように、やはり私は組合の人の意見というものを率直に聞くためにも、そうしたようにやはり国鉄経営陣に加えるということも一つの方法じゃないだろうか、かように私は前から思ったんですが、ちょうど昨年でしたかことしでしたか、大臣がそのようなことを新聞紙上でおっしゃっていましたが、そうしたお考え方というのは大臣はいまもお変わりになりませんか。そのことについてお聞きしたい。
  324. 田村元

    国務大臣田村元君) 法改正をして経営参加をせしめるか、あるいは何らかの形で経営参加をせしめるか、その方法論についてはいろいろとまた御議論もありましょうけれど、私はやはり何らかの形で組合が経営参加をして、経営者の苦労も知ってもらうし、同時にまた経営者も組合の気持ちを知ってもらう。このようにして国鉄再建していくことはすばらしい方法だというふうに考えております。でありますから、もういまもって変わるどころか私の非常に強い持論でございます。
  325. 佐藤信二

    ○佐藤信二君 総裁はいまの考え方にどうお考えでございますか。
  326. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 私も一つの理想としてはそういうことになることが望ましいんじゃないかと思いますけれども、ただ現状はどうかということになりますと、現実問題としてなかなか具体的にどういう方にお願いしたらいいかなというようなことをちょっと考えてみますと、なかなかこれむずかしい問題いろいろあるということでございまして、そこまで行きつけますればもはや問題はなくなると。そこへたどりつく、それが現実のものとなるようにたどりつくのにどういうふうな歩みをしたらよろしいかというふうなところが一番の悩みでございます。そういうことが可能になるような事態になりますことが私にとっても一番望ましいというふうに考えますけれども、ちょっとこれ、どのぐらいの期間でそこへ到達し得るかということはいまちょっとまだ見当がつかないという感じでございます。
  327. 佐藤信二

    ○佐藤信二君 いまのように組合がストライキをやり、そこで世論が持ち上がって首にする。それがまた組合の幹部になる。またストライキをやる。そういうときにおいて、組合が悪いとかいいとか言ってもこの問題解決しないと思いますので、私はいま申したように、そうした前向きの姿勢が国鉄当局にも、また運輸省当局にも必要であると思います。ひとつその点を運輸大臣はよろしくお願いしたいと思います。  私の質問はこれで終わります。
  328. 高平公友

    ○高平公友君 私は、国会の経験はきわめて浅い次第であります。しかし、従来地方議会におきまして国鉄のあり方につきましての考え方を持っておる次第であります。しかし、どうも時間の制約、きわめて時間的に短いようでありますし、本当に要点だけ三、四点お聞きをしたいと思います。関係の方々、率直に簡単にひとつ御答弁を賜りたいと思うわけであります。  国鉄百年の歴史というものは、これはもう私は日本の運輸交通の中核として今日の日本がりっぱになりました大きな使命を果たしたと思います。そしてまた国民に、国鉄というのはずいぶん親しまれておるわけなんですよ。三十九年に新幹線ができまして、あのスピードとそれから安全性の問題も、これはもうりっぱなもんでありまして、これは世界に冠たるもんである。むしろ新幹線の強化というのは、今日もう不便なところにおる人たちの強く要望されておるところだと思います。  ところが、残念ながらいまほどいろいろお話ありましたように、三十九年から国鉄が左前になってしまいまして、そしていろいろとこの再建について御心配になっておる。もう数次にわたっていろいろ計画もつくられ、再建の方法が講ぜられたわけでありますけれども、しかしここ一、二年の状況を見ましても、先ほど言われましたように、九千百四十一億、あるいは八千二百億というような赤字を示すほどの厳しい状況下にあると思います。しかし、私は日本から国鉄がなくなったらどうなるかということになりますと、国民はただいまのところ何としても国鉄再建していただきたいと、そして国鉄がりっぱに運営されることがこれはもう国家的、国民的要請と申し上げていいと思うんです。そういう思いを私はしておると思います。  そこで、実はまず第一点、運輸大臣にお聞きを申し上げたいわけでありますが、国鉄再建についてどのような決意で取り組まれるか。特に運輸大臣、実力大臣であります。私たちは大きな期待を持っておるわけでありますが、所信のほどをひとつ簡単にお聞かせいただきたいと思います。
  329. 田村元

    国務大臣田村元君) 国鉄再建、これは何としてもやり遂げなければなりません。で、私どもは国鉄当局、まあ労使と言ってもいいかもしれませんが、国鉄自体の徹底した経営努力を前提としながら適正な運賃決定とか、あるいは本来国鉄負担すべき限界を超えておる公共性の強い問題については国が手厚く助成をするというような三本の柱を立てまして、これにのっとって努力をしてまいったところでございます。で、さきに衆議院運輸委員会で御要請のありました「国鉄再建の基本方向」を十分に踏まえて有効な再建対策を進めてまいりたいと考えております。  私は、先ほど佐藤委員から組合の経営参加ということに関する御提言がありましたが、この際、まず何としても労使は協調してもらいたい。それは当局の独善であってもならないし、また組合の独善であってもならない、協調してもらいたい。それから、たしかイギリスであったと思いますが、あるいは西ドイツであったかもしれませんけれども、国鉄総裁みずからが、長距離・大量輸送等の貨物を求めるために各企業を歩いてセールスマンをされたと、それが非常に功を奏したというようなことも聞いております。私ども運輸省も一生懸命にやります。同時にひとつ高木総裁日本の企業を歩いて貨物のどんどんと注文をどんどん受けて歩くというぐらいの意気込みでやっていただきたい。合理化は必要でございます。しかし合理化以上に必要なものは商売の量がふえることでございます。そのような気持ちで私ども懸命の努力を果たしていくつもりでございます。
  330. 高平公友

    ○高平公友君 力強い運輸大臣の実は答弁を承りまして、われわれ大きな期待感を持っておるわけであります。しかしながら、いままでの経緯を見まして、昭和四十四年から始まりまして四十七年、五十年十二月三十一日、それから五十二年の一月二十日の閣議了解、こういうことで先ほども目黒委員、その他佐藤委員からの御指摘もありましたけれども、しかしなかなか、よほどしっかりしないと、計画はつくりましても——いろいろな理由はあったと思います。理由はあったと思いますけれども、やはり砂上の楼閣的な一つの、いまから考えてみますとそういう経緯をたどっております。  私は、今度の提案されたこの法案というのは、これは再建の基本になる大切なものだと思いますけれども、運輸大臣、この法案の位置づけというものについてどうお考えになっておるか、簡単にお聞かせいただきたい。
  331. 田村元

    国務大臣田村元君) 位置づけといいますと大変幅が広いことになりますが、簡略に私の見解を申し述べれば、とにかく国鉄当局当事者能力を少しでも多く与えたい、それによってうんとがんばってもらいたい、こういうことでございます。そういう意味におきましては、国鉄はこの両法案の成立によって非常に責任も重くなりましょうけれども、また仕事もやりやすくなるというふうに考えております。
  332. 高平公友

    ○高平公友君 次にお伺いしたいのは、先ほども各委員から御指摘がありました国の思い切った援助といいますか、地方ローカル線に対するところの先ほどのお話もありました。それからまた料金の関係もこれは大きな再建の要素になると思います。しかし、やはり何といいましても国鉄自身の経営改善計画、総裁も先ほどからお話しになっておりますけれども、これが五十二年の四月四日にこれをつくっておいでになりますけれども、これは私やっぱり大きな要素でないかと、こういうぐあいに思いますが、この経営改善計画の一環として、たとえば貨物駅あたりの合理化の問題であります。  私、富山県でありますけれども、氷見だとか、あるいは滑川市、こういうところの合理化が言われておりますが、地域の住民は、いまの国鉄の厳しさの中で、われわれもがまんしてやらにゃいかぬが、本当はあった方が便利だけれども、どうも協力しなければならぬのでないかというような、そういう声があるわけでありまして、非常にそういう面では、私は国民の理解もきわめて深いと思っておるわけであります。  一地方だけを私は申し上げてすべてを律するわけにはまいらぬと思いますけれども、しかし、こうしたいま四月から発足して、私はこれはもう直ちにこれが成るものとは思いませんけれども、この貨物経営改善合理化計画、こういうものの一体進捗状況といいますか、こういうものはいま進められていると思っていますが、どういうぐあいになっておるか。まあわかったところでひとつお聞かせいただきたい。  さらにまたこれの六番目には、経営改善計画の中での国鉄の投資の考え方、これにつきましてもざっとでいいですから、時間がありませんので、一体どういうことを考えておるか。関連事業収入の確保、先ほども目黒さんからお話がありましたがなかなか期待できないんではないかと。そういうことであればあるほど、やっぱり力を入れてがんばらなければならぬということではないかと思いますが、これらの見通し。  それから、この経営改善計画は紙は薄いけれども、これがやっぱりある程度成らぬと、私はこの国鉄再建というのは成らぬのじゃないかと思いますが、これらに対する見通しといいますか、これは何としてもやるんだという決意のほどを、そういうものについての国鉄当局からひとつ御説明をいただきたいと思います。
  333. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 経営改善計画はまだ不十分でございます。この中で触れておりますのは、貨物の問題、あるいは荷物輸送の問題、あるいはただいまお触れになりました関連事業の問題といったようなことがわりあいに具体的になっておるわけでございます。  そこで、まず貨物でございますが、貨物につきましては、やはり何といいましてもかなり勤務条件が変わるということで、職員諸君といいますか、組合側にいろいろ問題があるわけでございます。第二に、地域の方々に御迷惑をかけますので、地域との関係をどう調整していくかという問題があるわけでございます。  具体的に本年の八月の十八日でございましたか、その前後に具体案の発表をいたしたわけでございまして、その具体案に基づきまして組合との間も話を進めておりますし、地域の方々にもお願いに出ているところでございます。地域の方々の方は大筋では御理解は願えますが、やはりできれば残してもらいたいというところもかなりございますし、それから通運の仕事をやっておる方々から、あるどこかの駅で貨物扱いがなくなりますと、通運の仕事がなくなってしまいますので、そういう面で何とか工夫をしてほしいというような話もあります。やはり駅のすぐそばにいる荷主さんの場合には、トラック輸送の距離が延びるために輸送負担がふえるということでいろいろ御議論があります。  しかし、その辺の事情を伺いながら余りショックを大きくしませんようにしながら取り進めたいということで、ちょうどいま各地方におきまして熱心に御説明をしたり、お願いをしたり、御要望を承ったりということが進行中でございます。組合との間におきましてもいろいろ話し合いを積み重ねているところでございます。現在は、たてまえとしては組合としてもなかなかイエスというわけにはいかないということになっておりますが、まあしかし、とにかくそう言わずに話をしようよということでいろいろの話をしておるという程度の進捗状況でございます。具体的にどこの駅についてどういう問題があるかということであれば、御必要があれば資料をもって提出さしていただきます。  それから第二の問題としてお触れになりました関連事業の問題でございますが、これはこの春以来関連事業の仕事をいたしますところの組織の整備を進めてまいりまして、本社は大体この春から大分強化をいたしましたが、この十月及び来年の二月に、地方組織の中にも関連事業を担当する組織あるいは人員を配置をしてやるようにいたしておるところでございます。で、いままだその結果何十億、何百億収入がふえましたというところにはとても至らないわけでございますけれども、しかし、そういうことを国鉄がやり出したということがいろいろプレス等を通じてだんだん知れ渡ってまいりましたので、いろいろな御提案が具体的に出ておるような状況でございまして、実は余りいろいろな御提案が各方面から出てきますので、それを順番にどういうふうに組み立てたらいいかということを考え、処理してまいりますのに追われておるような始末でございます。  これは関連事業とは直接関係ございませんけれども、この間、王選手の記念切符というような案が出てまいりまして、王選手に便乗して少し収入を上げさしていただいたわけですが、ああいうことは現場の水道橋の駅の諸君が考えて案を出しましたようなことでございまして、そういうことで現場現場でそういうことの、現場の諸君がささいなものであってもだんだんいろいろ考えるようになってきたという意味において、私はこういうことをもって一生懸命国鉄としてやりましょうということが次第次第に現場にまで及んでおるということを喜んでおる次第でございまして、残念ながらまだそれで何億円赤が減りましたというところまでは、あるいは何十億円減りましたというようなぐあいにはまいりませんけれども、だんだんつぼみが開いてきたというような感じでございます。
  334. 高平公友

    ○高平公友君 大体わかりましたが、こういう経営改善計画、要するに国鉄努力ですね。努力はわれわれはやりますと、こういうぐあいに、これは抽象的でありますから全然わかりません。わかりませんが、少なくも総裁から私はやっぱりそのぐらいの言葉は聞きたいわけですよ。国も応援しようではないかと、それかまた料金だって高いけれども負担しようではないか、国鉄自身もこの計画に基づいてやりますよと、こうでなかったらどうもちょっとすっきりしないんですよ。もう一度答弁願います。
  335. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 御指摘のとおり、運賃につきましても、また助成をいただきますにつきましても基本は私どもがしっかりやると、そしてそれが何となく皆さんに見ていただける、このごろ少しよくなったねという感じを持っていただくということが大事でございます。この経営改善計画は、その点必ずしもそういう気持ちが十分文字にあらわれておりませんけれども、いま御指摘のような気持ちでやっていきたい、その具体的な案の一部がここにあらわれているというふうに御理解いただきたいと思います。
  336. 高平公友

    ○高平公友君 わかりました。  大急ぎでもう二点だけひとつお聞きしたいと思います。  それはいまほど佐藤委員から申されました整備新幹線の問題であります。いささか私は考えを異にしておるものであります。三全総に盛り込まれておる整備新幹線というのは、もうわれわれにしますと、これはぜひやっていただけるものだという実は感じを持っているわけであります。  たまたまいま国鉄財政は逼迫して、赤字で、とてもこの方法さえどうもはっきりしないというときに、この話は必ずしも私は妥当ではない、こういうぐあいに思いますけれども、しかし、これは建設に伴うものであると同時に、それからまた在来線の関係もあります。いろいろあると思いますけれども、しかし私は、三全総の一つの方向というのは、やはり人口の定住圏の設定ということを大きな柱にしております。さて北海道だとか、あるいは東北だとか、あるいは北陸の地方とか、こういう不便なところに定住圏を設定する。口では簡単に言えましても、われわれが東京へ出て来るには急行で九時間かかるんです。また特急に乗りましても六時間半かかります。そういうところに定住圏の設定が一体可能でしょうか。  それからまた、定住圏を設定してみたって、そこでわれわれの子供が学校出てきた、さあ就職する、職場がないでないかということになることは当然であります。私はやっぱりある程度まで今日の世間並みの交通体系をとらなければならない。北京まで四時間で行けるときに六時間半もかかっておるような、そういうことであっては、私はもうそれぞれの地域の開発というのはなかなか困難でなかろうか。  そういう中で整備新幹線、五線でありますけれども、これらの着工についての考え方をこれは運輸大臣からぜひお聞きしたいわけであります。特に北陸新幹線あたりは一番先に手を挙げておりまして、篠原総裁に言わせると一番そろばんの合うと太鼓判を押しておいでになりますが、大臣どういうぐあにお考えでありましょうか、承りたいと思います。
  337. 田村元

    国務大臣田村元君) 整備五線、皆同じような経過でございますが、北陸新幹線一つを例にとって申し上げますと、四十八年の十一月に整備計画を決定いたしました、御承知のとおり。現在、鉄建公団で工事実施計画策定のための調査を行っております。これからどういうふうにするかということでございますが、新幹線をつくるということは、これは言うべくしてなかなか行いがたいむずかしい問題がたくさんございます。私どもはすでにつくった新幹線で苦い経験もし、貴重な教訓も得ました。成田空港またしかりであります。  でありますから、地域住民との完全なコンセンサスを得なければ、これはもう簡単にできるものじゃございません。新幹線の場合でございますと、在来線と違いまして、そうあちらこちらに駅をつくるわけにいかない。そうすると、駅と駅との間は素通りをされてしまう。そこいらの方々の心境もまた察しなきゃならぬというようなことから、私どもはこの際、環境アセスメントを初め徹底した調査を行おうではないか。結局急がば回れだ。そしてこのような調査をして、それを地方自治体等を通じてできる限り公表していく、このようにすべきではないだろうかということで、その方向づけで調査を行うことにいたしました。  それからまあ、じゃ、いつからか、これはまだ何とも言えません。東北、上越の大宮以南をごらんになってもおわかりのように、いつからやっていつ終わるんだということはなかなかこれは予測のできるものじゃございません。しかし、まあ可能な限り急いでやらなければならぬでしょう。実際に地域住民の方々に接してみますと、その要望というものはまことに切なるものがあります、私は新幹線の建設についてどちらかというと批判的な立場をとっておった一員でございました。しかし、各地へ参りますと、その切実な御要望の御心情に触れて、やはり整備五線なんかは早く整備しなければいかぬのだなというふうにしみじみ思うようになりました。しかし、それとてこの法案が通りませんと何とも言えないというようなことでございまして、まあそこいらどうぞひとつ御賢明なる御理解を賜って、御協力を賜りますようにお願いを申し上げる次第でございます。
  338. 高平公友

    ○高平公友君 じゃ、大臣に一言最後にこの問題でお聞きしますが、いまやっぱり日本の政治の、内政の柱というのは景気回復、何とか需要を振起したい、円高を何とか抑えたい、これは大きな政治の目標だと思うんです。  ところが、このごろこういうことを言う人があります。もうケインズでもだめなんだ、マルクスでもだめなんだ、何か思い切ったことを国内で考えていかぬ限りは、日本はもう黒字ばかりになって、円高になって一体これからどうするのだ、着想の転換こそ必要ではないか、この機会こそひとつ大型プロジェクトを思い切ってやって、そしてもっと国内の需要振起を図るべきではないかというような議論等もあります。これは政策的な問題であります。まあしかし、私の思うには、福田内閣の実力大臣であるところの大臣がこういうことをひとつ進言して、これは積極的に展開される御意思があるかないか、この機会に承りたいと思います。
  339. 田村元

    国務大臣田村元君) 大変おこがましいお答えになるかもしれませんが、私どもは大型プロジェクトを興こしていかなければならぬという気持ちもございます。と同時に、安定成長下において安定成長をこれから長く目指していく場合に、産業基盤というものについて社会資本投資をどの程度で抑えていくかということもまた真剣に考えなければなりません。そういうことでなかなか悩み多いことでございますけれども、しかし総合的なプロジェクトというものについては、やはりそれなりに評価をしていかなければならぬと思います。  それ以上私が申し上げますと、いささかちょっと所管の範疇を脱してしまいますので、余り大みえを切るわけにはいきませんが、そういう考え方を持っておりますことを申し述べて、閣内においてまたいろいろと議論が出ましたときの参考意見として、いまおっしゃったようなことも申し添えてみたいと思います。
  340. 高平公友

    ○高平公友君 最後に一言申し上げますが、これはひとつさらに大臣に、いまのお言葉にこれはお願いといいますか、要望を申し上げる次第であります。やはり国民というのは、公平な中でずいぶん長い時間をむだにしてつらい思いをしておるというところもまたお考えいただきまして、鉄道の、言うならば公的使命というものにも思いをいたしてくださいまして、なるべく日本の国が平等でうまくいくような方向をひとつ確立をお願い申し上げます。これは要望であります。  最後に申し上げることは、これは佐藤委員からもお話がありましたが、国鉄再建を図るに当たって、この「基本方向」が出ております。これの二番目に「国鉄労使努力」として、「労使は、国鉄経営現状にかんがみ、相互の十分な理解のもとに相協力し」と、これがあるわけであります。「経営のあり方」と、「労使努力」と、三番目に「政府援助——政府援助は万般やってもらいたい。経営のあり方もしっかりやってもらいたい。労使の面におきましても——私は国鉄の方々とはずいぶん知り合いが多いわけです。それは偉い人ではありません。私の方はむしろ助役以下の方ですが、ずいぶん日ごろから交際しております。非常にいい方だし、私だって一カ月に一、二回は国鉄利用さしてもらいます。乗務員の方方の接客の態度だとか、そういうものは本当に好もしく、大変みんなりっぱな方だと尊敬をいたしております。しかし、どうも何か問題が出てまいりますと、これはストも辞せず、先ほど佐藤委員の指摘になったとおりであります。  私は、いまわれわれがこれはもういろんな審議の中でやはり国鉄をひとつ望みあるといいますか、希望のある国鉄にして、働いておいでになる皆様方全部が希望を持って働けるようにつくり上げねばならない。そのためには国だって思い切って財源の投資もしようじゃないかと、そしていろんなその間に隘路があれば、先ほど目黒委員がいろいろと言われましたが、そういう問題も取り除いてうまくやろうじゃないかと、こうした努力をわれわれも持っておりますし、さっきも申し上げました貨物駅の一つの例をとりましても、国民もそういうぐあいに極力健全なあり方について、これは応援をしておるわけであります。  しかし、どうも事問題になりますと労使が対当になって、これ一体果たして損得、いまの窮状を考えておいでになるんだろうか。親方日の丸だから何やっておってもいいと思われると、そういうような節さえ見受けられるわけなんですよ。いま地域経済社会におきまして、中小企業あたりは本当に一体になって真剣に取り組んでおる。一面ではそうでない、親方日の丸で楽にストでもやって何か言うておればいいというような姿勢がうかがわれるようでは、なかなか私はこの再建計画、こういうものもうまくいかないと思うんですよ。先ほど総裁がいろいろ言われました。いままでの長い歴史があるからこれからひとつうまくやっていくと、あるいは政治休戦という一つの提案もありました。  いずれにしましても私は労使というのは、この際こそはひとつこの難局を本当に乗り切る、会社ならもういつの昔にぶっつぶれて、そして職探しをやらねばならぬ現状でないかと、こういうものをやはりみんなが納得するような形でひとつ努力をいただきたいと思いますが、この労使の問題につきまして先ほど総裁から御意見がありましたが、もう一遍ひとつこの際御開陳をいただいて私の質問を終わります。
  341. 高木文雄

    説明員高木文雄君) まさにおっしゃるとおりでございまして、その問題が経営につきましても、また再建につきましても基本になると思っております。何しろ、しかし非常に大きな集団でございます。日本で一番大きな企業集団でございますし、それから一口にまあ国鉄と申しますけれども、地域も分かれておりますし、それから職種も分かれておりますので、なかなか外からごらんになりましても御理解いただきにくいいろいろな問題が中には介在をいたしており、それがこじれこじれていろいろな問題になって展開をいたしておるわけでございます。一つ一つそういうものをほぐしてまいりたいと思っておりますので、どうかひとつ応援をしていただきたいと思う次第でございます。
  342. 高平公友

    ○高平公友君 どうも……。終わります。
  343. 内田善利

    委員長内田善利君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後六時十六分散会      —————・—————