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政府委員(謝敷
宗登君) 造船不況の克服に関しまして、OECDの造船部会で、かなり長期にわたって
議論が行われてまいりました。昨年の秋に
日本とECとの間で、貿易のアンバランスから端を発しまして、造船業もその
一つの対象業種として論議の的になったわけでございます。造船の場合にはほかの業種と違いまして、
日本からECなり
日本から
ヨーロッパ諸国に向けて輸出が急増したとか、そういう問題ではなかったわけでございまして、その意味では他の業種の問題とちょっと趣を異にしておりました。で、欧州側が問題にいたしておりましたのは、要するに貿易収支のアンバランスによりまして、向こう側の輸出が少なく輸入が多いという論点よりも、むしろ世界的な造船不況の中におきまして、特に競争力の弱い欧州の造船国がこのままでいくと非常にゆゆしい事態になると、こういうような論調でございました。で、その中で特に新規の受注のとり方が
日本に偏ってるんではないかと、そういう論旨でございます。
それに対応いたしまして私どもからは、まず第一点に、ほかの業種と違うので、まあ言うなれば貿易アンバランスの問題でなくて、要するに世界の造船業をどう考えるかという問題であるということで、ほかの業種から切り離して対応したわけでございます。で、まあ向こうの言う一点目の、新規受注の量がほかの
各国に比べてきわめて際立って多かったということに関しましては、
日本のキャンセル量なり、あるいはそういうものが非常に
ヨーロッパの国よりも比率が多くて、極端に手持ち工事量が減ってきます、したがってそれの穴埋めにとったわけでして、新規受注量だけで見ないで、むしろ今後の工事量そのもので見てほしいと、こういう
議論で、なかなか食い違いがあったんですが、基本的にはそういう
議論で対応してまいりまして、まあその結果としまして世界におきます造船のシェアというものにまで言及されたわけでございます。
私どもはその国際的にシェアを決めるということに関しては基本的に反対でございまして、そういった動きに関しましては、秩序ある輸出なり秩序ある建造はいたしますが、そういう固定的な概念を持ち込むべきでないということで、基本的に食い違っておりますが、一応そのシェアの点については、
日本は工事量におけるシェアを従来の実績以上には増加しないということで、そこで堅持をしております。したがいまして、五〇%以上を工事量が超えるような場合には何らかの対応をするというような主張で通しております。この点に関してはまだ同床異夢でございますが、一応向こう側も、完全に納得はしておりませんが、
日本側の主張についても耳を傾けております。
それから、第二点の船価問題でございますが、これは基本的に私どもは、昨年の六月の海運造船合理化審議会で、
国内的な問題といたしまして、世界全体で需要が落ちていくときには、
日本の造船業としては
国内的にこれに対応するために船価を——建造量が減ってくるわけですから、下請あるいは関連工業を考えますと、船価を上げて、より付加価値の高い、あるいは船価の高い船で対応すべきであるという基本的な考え方を持っております。そこで、まあ向こう側の言う、言うなれば
日本と欧州との間で、二割とか三割とかっていう
議論はありますが、船価差があるということで、これを何とか縮めてほしい、あるいは
日本の船価を上げてほしいという要望が強かったことも事実でございます。それに対応いたしまして
日本側としましては、先ほどの
国内的な
対策も考えまして、あるいは第三国との競争力を考えて、
日本の建造シェアが今後ふえないように船価の引き上げを図ります、こういうことで対応して、数字については具体的に一いろいろ仮定の
議論ではありましたが、私どもの約束としては数字についてはそういう言い方で答えてきております。
それから、輸出の条件につきましては、これはいままでの二つの
議論と違う協定がOECDにございまして、これは輸出信用条件を国際的に過当競争しないで一定の水準でとめようという協定でございます。この協定によりますと、延べ払い比率七〇%、金利八%、頭金七〇%、それから延べ払い期間七年ということで国際的に統一しております。したがいまして、今後ともこの協定については、他国も含めて守られるように対応してまいりたいと、こう考えております。
以上でございます。