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正木委員 それではハイジャック等、要するに飛行機の問題はこれで終わります。
さて、
景気の問題。朝、社会党の多賀谷政審会長がいろいろ御質問なさいましたので、それとはできるだけ重複しないようにやっていきたいと思います。
今度、政府は総合
経済対策を立てました。そして、
景気刺激のために追加公共事業等事業費で約二兆円、そのほか
金利を〇・五%下げる、それから
国際収支関係の
対策、
構造不況業種に対する
対策等々、総合的に、何しろ六・七%の実質
成長率を保持できるようにという考えでおやりになりましたね。これは朝も質問ございましたし、そのことで、余り実りのない質問でございますから、六・七%がどうのこうのということにはあえてこだわりませんけれども、私は、問題は、いまだれが考えてもそんなに奇手妙手というものはないだろうと思うのです。したがって、これはこれなりに成功されていくことを私は願いますがね。こう言ってはなんですが、あの狂乱物価のときに、あの物価を鎮静させるために
福田さんが、その当時は
総理じゃございませんでしたけれども、
福田さんがおとりになった
政策、私は実にみごとだったと思うのです。こう言うとあなたは御不快な感をお持ちになるかわかりませんが、
福田さんは
経済を縮小するというか、ぐっと締め上げて、そうして
景気を鎮静させる、過熱
状態を鎮静させたりなんかするということについては、ずっといままでの
福田総理の御経歴から見ても私は実にはまり役だったと思うのです。ところが、
経済を拡大したり
景気を持ち直したりするということは余りお得意でないような気がいたしますね。それがどういう形であらわれるかといいますと、いわゆる
施策が小出しなんです。
施策が後追いなんです。したがいまして、どうしてもこれは遅々たる歩みになってしまうおそれが多分にある。そういう
意味から申しまして、実はこの総合
経済対策も、二兆円の事業規模の追加ということ等々、私はそんなに多過ぎるとも思わないし、そんなに少な過ぎるとも思っていないのです。私はもうちょっと高いものを望みますけれども……。ところが遅いです。これは恐らく
経済企画庁の
景気動向調査がぐっと下がってきた、ここであわててということでなかったのではないかと私は思うのですが、いまこの
景気回復の軌道に乗せなければならない時期としては、余り小出しや、それよりも手おくれというやつ、後追いというのは
景気対策にとっては非常にまずい結果が起こってくるだろうと思うのですね。それで、こういうときにはこういう
施策が出てくるだろう、こういう
施策が望ましいだろうということが出てきたときは、
総理、できるだけ早くやるかやらぬかを決めなければいかぬだろうと思うのですよ。
経済学は心理学とも言われますが、心理的なものが非常に大きいのです。
そういう
意味で私は、あの選挙中におっしゃったことですから、これは全部信用してません、選挙
対策としておっしゃったのだろうと思いますが、梅雨明け宣言とともに
景気回復宣言ができるだろうとあなたはおっしゃった。ところが実際はできてないのです。だから、
本当を言えば、あの時点からわれわれはすでに公共事業十兆余りの前倒しをやっているのであるから、これがずっと前期に集中してくると後で穴があくから、ここで息切れが起こるから必ず継ぎ足しをしなければならないだろう、これをやらなければ、
景気回復が仮にずうっと軌道に乗ろうとしても必ず後半で失速するだろう。したがって、竹入
委員長は名古屋の記者会見で、失速を防ぐために追加補正が必要だということをもうそのときに明らかに言っております。これはあのときに実は
総理が言わなければならなかったことなのです。私はそう思います。だれが考えたって、前倒しをやれば後で穴があいてくるのですから、そこで失速するのです。なぜ遅過ぎたから困るかというと、せっかくああいうふうに前倒しをやりましても、八月で大体六〇%を超えるような成約率、要するに公共事業の契約率がそこまでいっていますが、私はある親しい建設業者といろいろ話してみますと、後がどうなるかということがわからなければ仕事は必ず延ばすというのです。今度この総合
経済対策で約二兆円の事業規模のものが出てまいりましたから、まあ何とか五十二年度中はある程度仕事にありつけるかもわからないという目安が立った。そうすると、今度は五十三年以降はどうなるかということが全然見当がつかぬ。したがって、六ヵ月で竣工する工事も工程をずっと延ばして九カ月もつようにするのです。これはどの場合だって私は心理としてそうだろうと思います。
たとえば、
総理、私たちがハイキングに行って山の中で迷ったとします。いつ里へおりられるかどうかわからぬ、握り飯が一つしかないというときに、ちょうど飯の時間だからといって全部食いますか。必ず三分の一か半分は残しますよ。そうして次の飯の当たるめどがつくまでその握り飯には絶対手をつけぬです。同じことなんです。ですから早い目早い目――早い目じゃなくても、おくれないように
対策をお打ちになることが大切だ。私は、総合
経済対策はおくれたと思います。
それから、私どもは〇・五%の公定歩合の引き下げに反対でございました。要するに預貯金
金利の引き下げに連動いたしますから反対いたしましたが、しかしこれも下げるならばもっと早く下げるべきだったと思います。いろいろ
中小企業だとか、また中には大きな
企業の方々もいらっしゃいますが、いろいろ話を聞きますと、もうこれが新聞に出てから決まるまで二カ月以上かかっているのです。そうするとやらないならやらない、やるならやるということをはっきり言ってやらないと、
企業家はいま金が要るけれども、いま金を銀行から融資してもらいたいけれども、公定歩合が引き下がるかもわからないから、それが決まるまで待とうということになるのです。そうするとその間の金の動きはぴたっととまるのです。やらぬのならやらぬとはっきり言えば、そのときに現在の利率で、どうせ借りなければいかぬのだから借りるのです。それを決めてやらないものだから、それが決まるまで待とうというのは
企業の心理ですよ。
これはまた後で詳しくやりますが、これから申し上げる土地税制もそうです。いま土地税制の問題は大方毎日のように新聞に出ているのです。いわゆる譲渡
利益の重課の問題が下がるかもしれぬ、特別保有税も下がるかもしれぬ、撤廃されるかもしれぬというようなものがありますと、よけい土地は動かぬのです。やらぬならやらぬとはっきり言うべきです。そうすると、いつまで待っても、いつまでたっても税金は安くならぬのなら、いまちょうど買い手があるのだから売ろうということになるのです。いま流通はぴたっととまっているのは、土地税制の行方を土地を持っている者がじっと見ているからです。
これは二、三の例にしかすぎませんけれども、こういう
景気対策というような、しかもここまで深刻になって、もう落ちようがないかと言われるぐらいの深刻な
状態になっているときに手を打つことがおくれた、これは私は当然
総理としても責任を感じていただかなければいかぬと思いますが、こんなことを聞いても、そんなことないと言うに違いないと思うが、一回答えてみてください。