○内閣
総理大臣(福田赳夫君) 高沢さんにお答え申し上げます。
高沢さんは、今日の
経済、これは私どもの
考え方の基本が悪いのだからもとからこれを直せ、こうおっしゃいますが、具体的にどうするのだというお
考えは示されておりません。
しかし、私は、いまどなたがどうやりましても、この混乱した世界情勢のもとでの一つ一つの国々の
経済運営というものは容易ならざるものがある。しかし、そういう中で、
わが国の
経済は、申し上げるまでもありませんけれども、世界先進国の中で際立った回復基調を示しておるのであります。もう昨
年度すでに五・八%
成長というものを実現しておるのです。世界最高の水準です。
物価はどうかといいますれば、もう卸売
物価を初め、
消費者物価にいたしましても、鎮静化、鎮静化への方向を示しておる。国際収支はどうかといえば、あの百三十億ドルも出した石油ショックのその翌年に比べまして、今日は黒字
責任論というのが
わが国に向けられるような状態にまでなってきておるのです。
私は、ことしを展望してみますと、どうしてもこれは六・七%、この
成長を実現してみなければならぬ、こういうふうに
考えておるのです。この
成長は世界最高です。
しかし、それだからといって、
わが国のすべての
経済問題が解決するというわけではない。このことは、はっきりと
所信表明で申し上げておるはずであります。つまり、あの石油ショックの結果、いろいろな環境変化があったわけであります。直接的な影響を受ける
産業もあります。あるいは間接的に受ける
産業もあるわけであります。その石油ショックというものは、ただ単なる石油ショックじゃないのです。世界が非常に大きな転換期に来ておるのです。もうちょっと先を見ると、資源があるいは窮屈になるかもしらぬ。エネルギー問題も非常に深刻な状態も出てくるかもしらぬ。その展望の中でのいま世界的な大きな混乱の
時代なんです。その中での
日本の
経済の問題だというとらえ方をしなければ、この問題は私は解決できないのじゃないか。そういうことを
考えるときに、私は、
国民各界各層が、
政府も、地方公共団体も、
企業も、
国民までもが、この世界の変わった状況に思いをいたしまして、その姿勢の転換というものをやらなければ、この問題の解決というものにはならぬ、そのように申し上げておるのであります。
特に
経済の問題が問題なんです。そういう中では何といっても
企業です。
企業がこの変わった環境に対応ができる、そういうことになれば、私はそのときが
経済が安定したそういう時期だと思う。その対応、それが非常に困難だという
産業がある。何であるかというと、これがいわゆる
不況産業であります。また、とにかく三年半、もう四年越しの
不況というか低
成長でありまするから、もう大
企業もくたびれておる。特に
中小企業の方は大変くたびれておるのです。そういうことを
考えますと、特にまた
中小企業の問題、私は、そういう大きな構想のもとにこの
構造不況問題を解決する、
中小企業の
倒産、破産、経営という問題に対しまして最善を尽くす。これで推移し、ことし六・七%
成長を実現する。そして、それは私はそれらの対応の変化にいい影響を与えるであろう、こういうふうに
考えておりまするけれども、そういう中で、全
産業にわたってこの対応ということが完成されていくということになって初めて
わが国の
経済は安定するのだ、私はそうずうっと皆さんに申し上げてきておるのです。この道を進んでいきたい、かように
考えておるのであります。
そういう中で、いま高沢さんは、私が
アメリカへ行って
カーター大統領と会談して、首脳会談で申し合わせたことの結果を確認し合う、
調査し合うという話を聞くがそうかと言うから、そういう
考えは持っておりません、私の補佐官をいたしまして、
大統領の補佐官とそれらの調整はさせておるというのが現状でございます。それで十分でございます。
それから、円高の問題に触れられました。いま為替は変動為替制にあるわけでありまして、
わが国といたしましては、この変動為替制のもとにおきまして円の相場、これに
政府は介入することがない、こういう
基本方針を持っておるのであります。しかし、時によってその為替が乱高下をすることがある。そういうときには、これは臨時、非常の手段として介入することもありますが、
原則はあくまでも不介入の方針なんです。そういう方針の中では、どうしても円が上がったり下がったりする、その際に
企業、特に
輸出関連業界は影響を受けるわけであります。特に円が上がる、急激に上がるというようなことになりますれば、これは
中小企業の
輸出業者というものは相当の打撃を受けるということになるだろうと思う。そういうことを配慮いたしまして、この円高による中小
輸出業者の事業が円滑に行われるように、このためには金融等の
措置を講じましてできる限りの配慮をいたしたい、かように
考えておるのであります。
それから、
日本経済の中で
雇用対策、これが非常に重要であると
総理も指摘しておるではあるまいか、それに対しまして有効な手を打たなければならぬという御説、これは私が申し上げているとおり、全く私も同感なんです。しかし、この
雇用問題を
考えましても、大事なことは国の
経済をよくするということですよ。特にその
産業の状態をよくしなければならぬということである。
そのためには一体どうするかということを
考えまするときに、これは私がただいま申し上げましたように、
日本経済全体のスケールのかさ上げを行う、六・七%
成長が実現をする。同時に、そのかさ上げしたことを踏まえまして、また
構造不況産業等の立ち上がり、これを
政府が助成をする。こういうような形によって、私は、まず基本的に就業問題という問題への
対策を
考えなければならぬ、こういうふうに
考えております。総合
経済対策というものを強力に進めていきたい、かように
考えておるのであります。
たとえば、そういう二兆円の事業費、その追加
対策を行う、これは
雇用に非常に影響があるんですよ。それからまた、同時に、
日本銀行が
公定歩合の
引き下げを行った、それに連動いたしまして金融機関が
貸出金利の
引き下げをやる。そういうことになれば、いま
金利の
負担であえいでおる
企業、それは一体どうなるかというと、もしそのことがなかりせば、人員の
整理だとか、あるいは新しい
雇用をやめるとか、そういうことになってくる。そうじゃない、これはそうしてはならない。そこで、これは事業量をふやしましょう、また
金利負担も軽減いたしましょう。ですから、無理なところではありまするけれども、この
雇用の問題につきましては慎重にしてもらいたい、そういうことも願ってやっておるのです。これも私は
企業対策への非常に大きな配慮である、このように御理解を願いたいのであります。
しかし、今回の
経済総合
対策でどのくらいの
雇用が増進するかということになりますと、これは非常に計算がむずかしいのは、つまり、
企業がいま過剰
労働を抱えておる、その過剰
労働を解雇しようというような動きもなきにしもあらずという状態なんです。今度こういう施策ができた結果、そういう解雇はやめましょうとか、そういうようなことへの効果、そういうことが非常に大きいと思うのです。そういうことを
考えますと、数字的にこの二兆円事業費、これがどういう数字となって
雇用にあらわれてくるかということは申し上げることはできませんけれども、事務当局におきましてはいろいろな試算をしておりまするけれども、これは私がここで申し上げることは妥当ではない、こういうように
考えておるのであります。
なお、そういう背景を前提といたしまして、
雇用安定
資金制度を積極的に活用いたしますとか、職業訓練、これも機動的に実施いたしますとか、あらゆる
雇用のための
努力をいたさなければならない、かように
考えておるのであります。
なお、高沢さんは、
雇用保険制度、これなどについての改定の御意見がありまするけれども、これらにつきましては、なお慎重に検討しなければならないと
考えております。まだここでお約束をするわけにはまいりません。
次に、税制の問題であります。かねて、これからの
わが国の
財政、またさらに、
わが国の
経済ということを
考えてみますと、もう
国民の
負担は、これは
増加せざるを得ない。つまり、歳出の需要というものは、
社会保障だとかなんとか、そういうことを
考えまするときに、老齢化
社会になるのですから、どうしても増高せざるを得ない。一方におきまして、
経済はいままでのような高度
成長は期待できない、こういうことになりますれば、税収の方はそう伸びというものが
考えられないわけであります。そうすると、その間のギャップを一体どうするか。やはりある程度の
国民負担の
増加というものにこれを求めざるを得ないのじゃないか。これがとにかく大勢だ、大きな
傾向であるというふうな見方を私はしておるのです。そういう見方は、各界各層
においても圧倒的に多いわけであります。
そういう流れを受けまして、
税制調査会は一昨日、その検討の結果を
政府に対して答申をした。そして、なかなか
財政がむずかしい、そこで
政府においても、歳出面
においても冗費の節約、
合理化、
行政の
合理化というものに注意してもらいたい、同時に、新税というものも
考えざるを得ないでしょう。そういう際の構想といたしまして、有力な柱とも
考えられるものは
一般消費税であるということでございますが、しかし、
税制調査会の方でも言っておるのです。この答申はそのときの情勢——私は、そのときの情勢というものは、あるいは
景気という問題が大きな要因になっておる時期もあろうと思う、あるいは
財政という角度の問題が大きな要因となっておるときもあろうと思いまするけれども、とにかくそのときの情勢、これを見て、
政府においてその実施のタイミング並びに内容を詰めてもらいたい、こういうふうに申しておりますので、その答申のとおり、その実施の時期並びにその内容、これは慎重に対処してまいりたい、かように
考えておるのでありまして、いま直ちに、いつどういう内容の新税を持とうというような結論は持っておりません。
次に、
中小企業問題に触れられましたが、私は、これも
所信表明で申し述べたとおり、
構造不況問題と並んで非常に大きな問題だというふうにとらえておるところであります。この
中小企業問題につきましては、これは本当に
政府としては総力をしぼるというか、
考えられるあの手、この手、とにかく
中小企業問題を、この際は深刻な最大の関心事であるという取り組み方をいたしておりますので、そのように御理解願いたいのであります。
具体的に高沢さんからは、
中小企業の
近代化、
合理化というようなことを挙げられておりますが、
考え方は私は賛成です。協同組合の結成等が大いに進められるということは、今後に対しましても有効なことであるというふうに
考えます。
それから、親
企業に対する下請の団結の
強化の法制化、そういうようなことを言われておりまするけれども、法
強化、そういうことが一体できるかどうか、これは別として、
考え方としては、私もそのようなことにつきましては理解が持てる次第でございます。
また、
官公需五〇%の
中小企業への発注、こういう御提案でございますが、五〇%というパーセントは私は約束はできない。できませんけれども、今後ともこの割合は伸ばしていきたいというふうに、全力を尽くしてみたいと
考えております。
中小企業倒産防止基金制度を推進せよ、こういうお話でございますが、これは十分検討してみたい、また各党にも御相談をいたしてみたい、かように
考えておる次第でございます。
それから、
農業政策について、食糧の自給率を引き上げろという話ですが、その自給率を引き上げろという抽象的な
考え方、これは私は賛成でございます。しかし、それを何か七〇%までとかなんとかというようなことになりますると、これはなかなかそう簡単にはいかぬことでございます。たとえば、高沢さんは米の減産
政策、これをやめろ、こうおっしゃっておる。これはそういう
政策を再検討しよう、あるいはやめる、こういうわけにはまいりません。ところが逆に、飼料、私どもは、飼料だとかあるいは大豆だとか麦でありますとか、そういうもの、これは大いにこれを転作を進めたい、こういうふうにいま
考えておるわけでありまして、米の方を抑えて、そうして余力をつくってそういう方向に持っていくという素直な
考え方の方がいいんじゃないか、そのように
考えております。
それから、
年金、老人医療
制度等についてのいろいろなお話がございましたが、これらの問題は、これはただいま
政府といたしましては
年金制度基本構想懇談会、また老人保健医療問題懇談会
において検討中でございます。私ども
政府といたしましては、これらの
社会保障の問題は充実したい、こういう
考えでございます。ございまするけれども、その一つ一つを一体どうするか、こういう問題につきましては、全体のスケールの中の一つとして論ずべきであって、一つを取り上げてそうして論ずるという
考え方は妥当ではない、私はさように
考えております。
次に、
住宅政策また
土地政策についてのお話でございますが、高沢さんのお話では、これは
公的資金住宅、つまり公団、公営、この
住宅を重点とすべしというお話でございまするが、案外世の中ではいわゆる公庫
住宅、これへの要請が強いのです。そういうようなことを
考えて、それは公庫
住宅に重点を置くんだとかあるいは公営、公団
住宅に重点を置くんだとか、そういう偏った
考え方をとらないで、双方ともバランスのとれた形でこれをやっていくという
考え方が妥当じゃあるまいか、そのように
考えておるのであります。
なお、
住宅ローン金利問題にも触れられましたが、これはせっかく
努力をいたし、またいたしておるところであるということを申し上げます。
また、地方公共団体の先買い権、これについてのお話がありましたが、これは国土利用計画法によりまして遊休
土地の買い取り制というものがあるわけなんです。これを積極的に活用すれば、これは簡単にできることなんです。ただ、そうは申し上げましても、地方公共団体の方に一体それだけの遊休地を買い取る
財政力があるかというと、なかなかそういう状態ではないのだということもまたつけ加えて申し上げておきます。
次に、日中
関係についてのお話でございますが、この基本的な
考え方につきましては
所信表明において申し上げておるとおりであります。去る三十日におきましては、鳩山外務大臣と黄華
外交部長がニューヨーク
において会談をいたしております。その会談
において、とにかく早く平和
条約は
締結しましょうやという両者の意見は一致しておるわけであります。しばらくこの
政府の動きを見守っていただきたい。かように
考える次第でございます。
それから、これに関連いたしまして、
国会の決議をしたらどうかというお話でありますが、これは
国会において御論議、御協議を願いたい、かように
考えます。
次に、
ソ連との
関係につきましても、基本的な
考え方は私が
所信表明演説において申し上げたとおりでございます。ただ、高沢さんから、歯舞、色丹だけ返してあとは継続審議というか、安保
条約の問題と絡めて交渉したらどうかというような御提案でございまするけれども、
わが国は歯舞、色丹だけの要求をしておるわけじゃないんです。国後、択捉まで要求しているんですよ。(
拍手)歯舞、色丹だけ返してもらって、あとは後のことだというようなことになれば、現実の問題として、択捉、国後を返してくれという要請、これに大きな障害が来る、かように
考えておるということを申し上げておきたいのであります。
それからさらに、高沢さんは、日米安全保障体制は
アメリカの反共世界体制の一環である、これは廃棄すべきである、こういう御議論でございまするけれども、私は前から申し上げておるのです。
日本は平和国家でなければならぬ、そして世界じゅうが、もう軍備なんか要らぬような状態になってくれることが望ましいんだ、こういうことなんです。しかし、現実はそういう状態ではないのであります。世界の各国で、いま
方々で紛乱が起きる、こういうような状態を見ても明らかでございまするけれども、世界じゅうの国が釈迦やキリストだ、そういうような聖人君子の国でありますれば、それはどこの国だって軍備を持つ必要はないのです。同盟
条約というか、安全保障
条約とか、そういうものの必要はないのです。
ところが、そういう現実の世界情勢でない今日におきましては、国際連合でも言っておるじゃありませんか、集団的にみずからの国の安全を保障せよ、こう言っておるじゃありませんか。わが
日本は、その国際連合の精神にのっとりまして、
わが国の安全を日米間の
条約によって保障するという態度をとっておりますので、これはどこの国を敵とし、どこの国を
友好国というような
関係じゃないのです。どこの国も
わが国と善隣
友好の国であるというたてまえのもとの、最小限の
わが国の安全を守ろうという趣旨でございまして、その辺は素直に御理解のほどをお願いしたい、かように思うのであります。(
拍手)
また、なお、これに関連いたしまして、
アジア・太平洋地域に
非核武装地帯を設定したらどうだというようなお話でございますが、これはまた同時に、世界的に
核保有国が核不使用の
条約を結んだらどうだ、こういうような御提案でございますが、こういうものは幾ら
条約を結んだって、しかし、一朝有事の際ということになればどういうことになるかわかりませんよ。これはもうかつて
わが国も苦い教訓があるじゃありませんか。(発言する者あり)そうじゃない、私は、そうじゃなくて、問題は、核というものがこの地球上から廃絶されなければならぬというところにある。廃絶されなければならぬ、そのためへの
努力がなされなければならぬ、こういうふうにいま
考えておるのであります。(
拍手)高沢さんの御議論は、一つの意見としてはこれは私も理解はできまするけれども、これは現実的な
考え方ではない、私はそのように
考えるのであります。
それよりも、むしろもっと徹底的に、全世界の核を保有している国々が、核廃絶をしようじゃないか、その方向に進むべきですよ。(
拍手)その一歩として包括的な核実験禁止、これをひとつ呼びかけるなどということは非常に現実的で、またわが
日本がそれを呼びかけるということは、
わが国の置かれている
立場、つまり初めて原子爆弾の洗礼を受けた国であり、また
非核三
原則を持っておる国としてまことに有意義のことである、かように
考え、そういう
考え方を進めていきたい、かように
考えておるのであります。(
拍手)
また、さらに
朝鮮半島の問題に触れられましたが、お話のように私は、
南北朝鮮というものが終局的には平和的な話し合いによって統一される、これが一番望ましいと
考えておるのです。しかし、現実の問題としてそれがすぐ簡単にできますか。そういうことを
考えると、これが成立するまでの過渡的段階におきましては、
南北の間に安全保障についての均衡状態が存在するということが必要である、私はこのように
考えておるのであります。しかし、最終的に
南北が平和的に統一される、それは私は賛成でございます。その環境づくりにつきましては
努力をしなければならぬ。
それから、
朝鮮民主主義人民共和国と国交を回復せよというお話でありますが、私はこれも現実的な
考え方でないと思うのですよ。ソビエトにいたしましても、
中国にいたしましても、
韓国を承認しておらぬじゃありませんか。そういう状態下
において、わが
日本が
朝鮮民主主義人民共和国——これはちょっと言うのが長過ぎて困るのですが、そう言え言えと言われるものですからそう言うのですけれども、……(発言する者多し)それとの間に平和
条約を
締結せよということは、私は妥当ではない、かように
考えておる次第でございます。
それから、
日韓癒着を
国会で徹底
調査せよというお話でございますけれども、私、
政府の者といたしましては
日韓癒着——私はしばしば言っておるのです。
日韓というものは本当に一衣帯水の国である、非常に
関係の深い国である、これに
癒着というか、深い
関係があることは当然なんです。しかし、その
関係というものはいい
関係でなければならぬ、悪い
関係じゃ困るのだ。悪い
関係がもしありとすれば、徹底的にこれを究明するにやぶさかではありません。
なお、
金大中事件にお触れになりましたが、これはもうすでに
外交的に決着済みの問題でありまして、その身柄を
わが国に引き渡せということを要請する
考えは持っておりません。
それから、
ASEANの問題につきましては高沢さんは一応の評価をされながらも、さらに首脳者間の理解と協調、この
考え方、心と心との触れ合い、その上さらにこれを
国民次元まで持っていけというような趣旨のお話でございますが、私はそれは全く同感なんです。ですから、私は、この間の
所信表明におきましても、まだ新しい一本の苗木を植えたにすぎないのだ、こういうふうに申し上げておるわけです。さらにこの苗木を育てなければならぬ。育てるということの一番大きな問題は、いま首脳者間
において心と心の触れ合いというものができたら、さらに進めてこれを
国民次元のものに持っていきたい、このことをも含めてあのように申し上げておるわけであります。
なお、この問題に関連いたしまして高沢さんから、
ASEANが
軍事同盟的な、SEATO的なものになっては困る、こういうような御注意がありましたが、私は、ただいまのところそのような
傾向は認めておりません。おりませんけれども、十分注意してまいりたい、このように
考えておる次第でございます。
それからさらに、最後の問題といたしまして四つの点について触れられましたが、一つは、
国際人権規約を
批准せよ、こういうお話でございます。これには私は趣旨として大賛成でございます。そのためには、
わが国として締約国になるための検討作業を詰めていくことにいたしております。
それから、
鯨尺、
かね尺の例を引かれまして、
国民の気持ちにぴったりした政治をやれというお話でございますが、私もそのとおりに心得ておりますから、またお気づきの点があったら、御注意のほどをお願い申し上げます。
また、
国鉄管理職などの
地位利用に関する
公職選挙法違反事件、これは私も全く残念至極に思っておるところでございます。この
事件はもう刑事
事件化いたしまして、もう司直の手にあるわけでございますから、その裁きを待つほかはないのでありますが、一般的に申しまして、このようなことが再びあってはならぬ、さように
考えまして厳重な
措置をとっておるところでございます。
最後に、いま提案をされておりますところの諸法案につきましての
政府の見解いかん、こういうことでありまするが、この補正予算案、これはもう
景気対策にかかわる大問題でありますので、なるべく速やかに上げてもらいたい。また継続諸
案件、これにつきましてもいろいろ御所見はありましょうけれども、ひとつまげて御議了のほどを切にお願い申し上げます。(
拍手)
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