○西宮
委員 そう言われてしまうとこれ以上追及のしようがないのだけれ
ども、とにかく刑務所の中でそういう不満分子が跳梁するということが許される
状況ということだと、この問題は決して後を絶たないという懸念があるので、これは
法務大臣も、お聞きになっただけで結構ですが、ぜひ重大関心を持ってもらいたいと思います。何分にも
日本の監獄法というのは非常に古い
法律で、したがっていろいろいまの時代には合わない問題等を内包しているために、よけいそういう問題が起こるのじゃないかという懸念があるわけです。そして、そういう凶悪
犯人までが
日本赤軍の隊列に編入されていくということが次々に起こってくるというようなことになったら大変であります。
そこで、その次の問題は、要するにこういう
ハイジャックなどが起こらないような環境を整備していく、そういう土壌をつくっていくということが大事な問題で、これは特に大臣な
ども最も注意を要する問題じゃないかと思うのです。今度の問題でも、たとえばロッキード
事件であるとか、いわゆる韓国癒着の問題であるとか、
天皇制という問題も取り上げておりますけれ
ども、そういう問題を理由にしておるわけですね。あるいは、あの
ハイジャックの
犯人が、
アルジェリアに着陸する直前に、われわれの作戦は
日本帝国主義に対する庶民の反抗であった、こういう
声明書を朗読したというふうに
新聞は伝えておるのでありますけれ
ども、こういうことで、この言葉のとおりであるとすれば、彼らは、われわれは単なる一庶民だ、だからいまのような
日本の、たとえばロッキードにしても韓国にしても、そういう問題がある限り、庶民の感覚として黙っておれないのだ、こういうことをやるのはあたりまえなのだ、こういう感じしか持っておらないと思うのです。これはまことに重大問題だと思うのですね。
そこで、大臣が一番大事にしている
法律を尊重するということに対して、法を無視するという風潮が生まれてくるという根拠は何であるか。ロッキード問題、韓国問題な
どもそのティピカルな例の
一つだと思いますけれ
ども、私は先般来、新大臣になりましてからも丸正
事件というのを取り上げてお
考えを願ったわけですけれ
ども、ああいういわゆる冤罪
事件なんというのがまかり通っている。これは丸正
事件に限りません、この前の大臣のときには島田
事件というのを例に出したこともありますけれ
ども、裁判官でも検察官でも、あれが罪人じゃないということは、恐らくいま
考えたらわかるのだろう、これは全く文句なしにわかるのだろうと思う。ただそのとき非常に周囲の
情勢が厳しくて、早くその
犯人をつかまえろ、民心が非常に不安、動揺しているというようなことから、せっぱ詰まってああいう結果になってしまったのだと私は想像するのですが、そういったような
事件で、本来
犯人でない者が
犯人にされてしまっているというようなことなどがあると——これは単に
犯人だけではない、近ごろは若い人
たちがそういう冤罪者を救えというような運動にずいぶん決起しております。そういうのが救われないでそのままに終わってしまうというようなことになりますと、恐らくそういう人
たちは、絶望の余り同じように、それじゃこっちもこっちだという気持ちで法を無視するというようなことになるおそれが多分にある。したがって、この冤罪問題なんというのはそういう観点からも本当に慎重に扱ってもらわなければならぬと
考えておるわけであります。後で時間の許す範囲で大臣にお
答えをいただきたいと思います。
もう
一つだけ、時間がいっぱいになりましたので取り上げたいのは、この間の
事件に対して、世界の
世論は相当
日本に冷たかったわけでありますが、そのうちの
一つ、特にイギリスのザ・ガーディアンの九月三十日の
新聞でありますが、あれなどは全くわれわれが読んでみてもなるほどと思うようなことがたくさん書かれているわけですね。つまり「ゆすりと
人質」ゆすりと
人質というのは、
日本の社会の中で完全に根づいてしまっているのだ、
日本の社会がゆすりと
人質になっておるのだ、こういうことでいろいろな例を挙げている。たとえば企業に対する総会屋の存在とかたくさんの例が挙がっておるわけですが、あれなんかゆすりの例でありましょう。それから
人質の例として特に興味を持って読んだのは、徳川三百年の間、大名、小名の夫人を東京に
人質として置いておいたではないか、それによって徳川三百年は安泰であり得たのだ、こういう例を挙げて、
日本の社会においては
人質というのはこれはあたりまえなんだ、
日本人はそういう感覚しか持たないのだ、そういうふうに論評しているわけですね。そういうふうに断定して論じている。
私は、こういうことはまさに重大問題で、これはぜひとも今後、必ずしも
法務大臣の所管とは言いかねるかもしれませんけれ
ども、さっき申し上げた冤罪の問題、ロッキード、韓国の問題等、あるいは最後に申し上げたような問題等についても、ぜひ大臣としてお
考えがあったらば聞かせていただきたいと思います。