運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1977-11-15 第82回国会 衆議院 文教委員会入試問題に関する小委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年十一月十五日(火曜日)     午前十時二十二分開議  出席小委員    小委員長 藤波 孝生君       石川 要三君    小川 仁一君       嶋崎  譲君    中西 績介君       池田 克也君    鍛冶  清君       中野 寛成君    山原健二郎君       西岡 武夫君  出席政府委員         文部大臣官房長 宮地 貫一君         文部省大学局長 佐野文一郎君  小委員外出席者         文教委員会調査         室長      大中臣信令君     ————————————— 十一月十五日  小委員曽祢益君同日小委員辞任につき、その補  欠として中野寛成君が委員長指名で小委員に  選任された。 同日  小委員中野寛成君同日小委員辞任につき、その  補欠として曽祢益君が委員長指名で小委員に  選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  入試問題に関する件      ————◇—————
  2. 藤波孝生

    藤波委員長 これより入試問題に関する小委員会を開会いたします。  入試問題に関する件について調査を進めます。  本小委員会は、さきの第八十回国会に設置されて以来、入試に関する種々の問題について討議を重ねてまいりました。言うまでもなく、大学入試改善はいまや社会問題となっており、昭和五十四年度から実施される共通第一次学力試験国民の注視の中で行われようとしております。本小委員会国民的立場から、国立大学協会高等学校関係者等教育関係の各方面方々にたびたび参考人として出席願い、いろいろな角度からの御意見を聴取するなど慎重に協議を重ね、調査を行ってまいりました。その中から幾つかの問題点指摘されましたが、委員会報告するために、各党間の意見をもとに問題点の整理の作業を進めてまいりました結果、お手元に配付いたしております小委員長報告案を作成いたしましたので、朗読させていただきます。     入試問題に関する小委員長報告(案)   入試問題に関する小委員会における調査経過及び結果について御報告申し上げます。   大学入試改善に関する国民的要請を考慮し、さき国会(第八十回通常会)において、共通第一次学力試験実施大学入学者選抜方法改善に関する調査研究を行うための機関として大学入試センターを設置するための法律改正については附帯決議を付して認めたところであります。   本小委員会は、附帯決議趣旨に沿い、さき国会以後における共通第一次学力試験実施に係る諸般の状況について関係者及び国民各層の見をきき、慎重に検討を重ねてきました。   その結果、大学入試改善についての各方面努力には敬意を表するものでありますが、なお、幾つかの問題点があり、それらが積極的に解決されないと、かえって改悪になるのではないかとさえ思われるのであります。   昭和五十四年度の入学者選抜から共通第一次学力試験実施するにあたっては、政府当局大学入試センター及び各大学は次の諸点について試意をもって対処し、大学入試改善の実を挙げ、高等学校教育、ひいてはわが国教育全体の健全な発展に寄与するよう、重ねて強く要請するものであります。  一、共通第一次学力試験実施期日について各方面種々意見が出ております。   高等学校側意見としては、授業計画学校行事実施への影響考え、第三学年のなるべく遅い時期に共通第一次学力試験実施してもらいたいと希望し、また、文部省入試センターは、願書提出試験、採点、結果の通知など一連のスケジュールを考慮しての期日決定という運びとなっております。   然(しか)し、高等学校教育を法に定めるとおり達成しようとするならば、大学入試高校の全課程が終了した時点で、その到達度を判定するという趣旨実施されることが原則であるべきです。そのためには、むしろ大学側において入学時期を多少変更させるなどの措置も含めた最善配慮をすべきであるとの強い意見が出されました。  二、このたびの大学入試改善共通第一次学力試験、各大学の行う第二次試験調査書などによる総合的判定によって入学者決定するという趣旨であることにかんがみ、一部の大学で行われようとしている二段階選抜は、その実施を避けるとともに、国立大学一期、二期の廃止など入試期日を一元化することによって、受験機会が減少するということに対し、その機会を確保するという観点から、更に多くの大学が第二次募集方式実施するよう努めるべきである。  三、名大学が行う第二次の学力検査については、なお多くの科目を課す大学が見られるが、受験生の過重な負担とならないようその科目数最少限にすべきである。  四、大学入試の問題は、国公私立大学を通ずる改善によってその効果を期待し得るものであることにかんがみ、共通第一次学力試験への私立大学の参加の実現に向って更に積極的に努力すべきである。  五、共通第一次学力試験実施大学入試制度改善について、更に国民各層の理解を求め、受験準備の過熱の防止について極力努力すべきである。   以上、御報告申し上げます。  いま朗読をいたしましたのが本小委員会文教委員会に対する小委員長報告の案でございます。  いま朗読をいたしました小委員長報告案につきまして、小委員各位の御意見がございましたらどうぞ御開陳をお願いいたします。
  3. 西岡武夫

    西岡委員 まず原則的なことを委員長にお尋ねをいたします。  小委員長報告という形に案ではなっておりますが、やはり国大協及び関係者文部省に対して小委員会としての意見をまとめる以上、小委員会決議、という形式がいいか悪いかは別としまして、報告ではなくて意思決定という形をとることが望ましいのではないか。この点を形の問題としてまず初めに意見として申し上げます。これはまた後で皆様の御意見があろうかと思います。  それから、続けて内容について一、二点、よろしゅうございましょうか。
  4. 藤波孝生

    藤波委員長 どうぞ。
  5. 西岡武夫

    西岡委員 恐縮ですが先に問題提起をさせていただきます。  前文のところはこれで大体いいのではないかと思いますが、第一のちょうど三枚目の真ん中から以降の「然し、高等学校教育を法に定めるとおり達成しようとするならば、」というふうな文言になっておりますけれども、これは、「しようとするならば、」という表現は余り適切ではないのではないか。達成することが大前提だという意見が大勢を占めていたというふうに思いますし、達成することが大前提という、そういう表現が望ましいのではないか。  そうして、四ページ目の最初のところでございますが、できれば、「最善配慮をすべきであるとの強い意見が出されました。」ということではなくて、これは小委員会のまとまった統一見解という形で、出されたというようなことではなくて、統一した見解という形でまとめていただきたい。  それから、次の二の問題でございますが、これは後から他の委員の方から御指摘があろうと思いますけれども、二段階選抜については、これは、二段階選抜というものが全くゼロであるかどうかということについてはいろいろな考え方があろうかと思います。非常識な、俗に言われる足切りという形は望ましくないということについては統一した考え方ができるのではないかと思いますが、少なくとも相当数受験生受験が行われるということを前提考えれば、二段階選抜について全くこれを否定した形でいいんだろうかというところはなお議論の残るところではないだろうか、これは少し緻密な表現が必要なんではないかということを感じます。
  6. 藤波孝生

    藤波委員長 あってもいいということですか。
  7. 西岡武夫

    西岡委員 その表現の仕方がもう少し細かく表現すべきところではないだろうか。当然このことに関連して後で一番問題になりますのは、それではそれだけのことをやるとして、高等学校の三学期を無視しない、これを前提とした入試を行った場合に、準備その他、五十四年度の実施をいまほぼ決定してその方向で進んでいるわけですけれども、技術的な問題として、どこまで五十四年度に私どもが希望している形での共通一次試験実施できるかという、技術的な見通しについては若干なお検討の余地があるという新たな問題が出てくるのではないか。こういったところについてどういう表現をとるのか。  私の問題提起としての意見はとりあえず以上でございます。
  8. 藤波孝生

    藤波委員長 ほかに……。どうぞ。
  9. 嶋崎譲

    嶋崎委員 最初に、この入試問題に関する小委員長報告、これは、いままでの小委員会での議論経過からすれば、きょうの委員会を設定した理由などから考えても、報告じゃなくて、やはり決議趣旨で強く立法府の意思を表明すべきであると思います。  内容については、前段はまあいいんですが、実施時期の問題について、この時期の問題を考えるときには、いままでこの委員会でも議論がありましたように、前提になることは、高校進学がいまや九〇%を超えて半ば義務教育的な性格を持ってきている。それだけに、後期中等教育国民のいわば最低の教育として、そこまでの教育水準を確保するという、そういう前提が必要になっていると思うのです。したがって、法に定めるとおり、高等学校教育への影響を避けた実施時期を選ぶべきであるという趣旨議論がいままで小委員会で行われてきたと思います。したがって、三ページの「然し、高等学校教育を法に定めるとおり」ということで、「大学入試高校の全課程が終了した時点で、その到達度を判定するという趣旨実施されることが原則であるべきです。」というふうに言わなければいけないと思います。  いままでのここでの議論の中には、これを生かすかどうかは別として、全国高等学校進路指導連絡協議会の二月要望説、それから全国高等学校校長会のこれまた二月要望説がありまして、二月というのは雪や何かの時期で無理であるけれども、三月ぐらいの検討はできないかという議論が出て、結論が出ないままになっている。そういう意味で、そういう趣旨のことを委員会として背後に持ちながら、こういう趣旨があるという点を確認できるような表現にしたらどうだろうか。そういう意味で、「最善配慮をすべきである。」で文章をぶち切ってしまった方がいいのではないか。  第二番目の、この小委員長報告案趣旨は、二つ内容の後者に力点を置いた文章になっていると思います。つまり「二段階選抜は、その実施を避けるとともに、」これが前段一つあって、最後は「第二次募集方式実施するよう努めるべきである。」としています。したがって、この第二次募集方式というのは、この小委員会では十分議論が煮詰まっているのかどうか、これは後の懇談会で少し議論を出し合ったらいいかと思いますが、むしろ、前段の二段階選抜というのは、国大協自身が本委員会に対して七項目約束をしたわけですね。その七項目約束の中に、悪い表現ですけれども、足切りをしないということを前提にして言ったわけですね。ところが実際はそうでなくなっているという事実にかんがみて、国大協の初期の本委員会への答申の考え方に基づいて、むしろ、二段階選抜と思われるようなあり方はなくすべきであるということを言うのと第二次募集云々は切り離して表現すべきではないかと思います。  あとは、山原委員木島委員から出ていた問題ですから、山原さんその他から、実施の問題に関連しての問題点をどういうふうに付記するかなどの意見を述べていただいて、各党それぞれ意見を出していただければいいんじゃないかと思います。  以上です。
  10. 池田克也

    池田(克)小委員 いまお話が出ましたように、小委員長報告にするか決議とするかということについては、私も決議とする方に賛成です。  それから、拝見した感じでは、私たち議論していたニュアンスよりもずいぶん丸いものになったなという印象でおります。  そこで、この前文なんですが、ここに、私たち立場として大学自治を尊重してきたということを一言入れておいたらどうか。私たちとしては、いろいろ問題があって何とかしたいと言うのですが、結局は、大学入試というものは大学自治の枠内であるという、そこに一番の留意点があったわけで、後にこの記録が残っていくわけですから、そのことを私は一言入れておきたいなという感じを持ちます。  それから、そういうような状況にかんがみ、あくまでも自治でありますが、ほかの方々の御指摘がずっとありました第三項目目最後のところ、いわゆる二次試験科目数最少限というふうに大変抽象的に書かれておりますが、この間の高校長会の会長さん、森先生お話も二科目ということを数としてうたっておられましたので、二ないし三科目というふうな具体的な数をここへ掲げたらどうか。これはあくまでも大学自治というのをたてまえとして大学がお決めになることであることは事実ですが、私たち議論をした一つ経過として、なるべくこの内容は具体的にしておいた方がいいんじゃないか。  以上でございます。
  11. 中野寛成

    中野(寛)小委員 いままで各小委員から指摘をされました順番に合わせながら意見を申し上げたいと思います。  タイトルの文というか、この内容のものの趣旨目的については、やはり小委員長報告よりも、先ほど来申されましたように、私自身もこれを小委員会決議と、むしろより一層われわれの決意を述べた、また要望を述べたものにした方がいいのではないかと思います。  それから、前文について特に異論はございません。  一項目目。先ほど来取り上げられておりますところがやはり問題だと思います。「高等学校教育を法に定めるとおり達成しようとするならば、」という仮定の問題としてではなくて、やはり「高等学校教育を法の規定どおりに達成するためには」ということ、むしろそれ以上に、表現をいますぐ思いついて申し上げることはできませんが、法に定めてあるからということではなくて、より積極的な表現にできるならばなおいいのではないかと思います。  同時に、その項目最後の部分につきましても、「最善配慮をすべきである。」ということで切っても十分なだけの意思の一致が、本小委員会であったというふうに私も考えております。  それから二項目目につきましては、「二段階選抜は、その実施を避けるとともに、」というこの表現については、西岡委員とは若干意見が異なりますが、われわれの意思として、このくらいの意思というものがむしろ出されるべきではないかと思います。  第二次募集方式の問題は、確かに嶋崎委員指摘のとおりにそれほど煮詰めたという記憶が余りございませんけれども、しかし、内容として私は異論はありません。  三項目目につきましては、ダブるようではありますけれども、この第二次の持つ意味を、すなわち一次試験基礎的学力とは別の目的を持った意味があることを若干触れられればいいのではないか。その目的を達するためには、たとえば論文式にするとか、そういうものがむしろ加味されるべきであるということを触れられないだろうか、触れるべきであるという気がいたしております。  四項目、五項目等につきましては異論はございません。
  12. 山原健二郎

    山原委員 小委員長報告案ですね、これを決議とすべきであるという意見が出たわけですが、結局、小委員長報告決議との強制力の問題が出てくると思うのですね。したがって、私は、これを決議とした場合に、国大協あるいは入試センター文部省に対してどういう強制力が作用するかということを検討すべきだと思うのです。したがって、法律作成立法機関である国会決議をするということは必ずしもあってはならぬことではありませんけれども、いままでの経過から言いまして、果たしてこのままでここで決議という形で、相当強制力を持つものを出していいかどうかについては私はまだ若干の疑問を持っていますので、後で懇談会意見の交換をさせていただきたいと思います。  それから二つ目の問題ですが、前文にありますところの「五十四年度の入学者選抜から共通第一次学力試験実施するにあたっては」というところでございますが、これは前々から言っておりますように、五千四年度実施ということを必ずしも否定するわけではありませんが、これを既定のものとするということに私は疑問を持っているのです。もっと率直に言えば、いつまでも遷延することはできませんけれども、少なくとも本委員会でもこれだけ相当論議が重ねられる過程あるいはいろいろの疑問が出る過程においては、やはり時間を限って、たとえば一年間この実施を延期するということも必要ではなかろうかというふうに思っているわけです。それは、決してこの共通一次テストをやっていくということに水を差したりあるいは後退さしたりするという立場ではありません。共通一次テストに到達した国大協努力とかそういうものについてはこれを評価するという立場をとっておりますので、これをいたずらに遷延をするとかあるいは後退さすとかいう立場ではありませんが、五十四年度という枠をまずはめることについては疑問を持っております。したがって、私の考えをもっと端的に言うならば、五十四年度実施をもう一年繰り延べて五十五年度実施とする、その間にいろいろの手だてを講ずる必要があるということを主張しているわけであります。  まず第一番に、入試センターにしましても五月にできたばかりでございますし、その入試センター自体共同利用研としての意思決定機関がどこにあるかということを調べてみますと、たとえば所長にすべての権限が集中しているような気配もありますし、その辺の機構上の問題も大変不明確です。むしろ、入試センターの中にたとえば教授会のごときものをつくりまして、意思決定をする機関を設置して、そこでいろいろなことが論議をされて決定をしていく。またその考え方国大協意思統一していくという努力が必要だろうと思います。そういう意味で、入試センターそのものがせっかくできたのでありますけれども、その機構とかあるいは運営とかいう点についてはまだ不分明なところがあるということが一つ指摘できると思います。  それから二つ目の問題は、現在の高校側あるいは大学側の対応の仕方でありますが、これが非常にばらつきが多いわけですね。それは私は当然のことであると思うのです。その理由は、一つは、いままで三回行われました試行テストは、一番人数の多い場合でも一万二千名という小規模なテストが行われておるにすぎません。したがって、現実にどういう生徒がいままで受験したかということを調べてみますと、あるところではいわゆる進学校に集中しておるとかいうようなこと、またその他の学校では本当にごく少数生徒しか受験していないということですね。しかも全国的に集めましてもそれが一万二千名という状態でございます。したがって、この三回の試行テストに基づいて、それを十分分析をして、そこから意見が出てくるというような体制にはないわけです。そうして、実際に受験する生徒国立が二十万、あるいは私学を含めて四十五万ということになりますと、共通一次テスト実施された場合には、私学受験する生徒もこの共通一次テストを受けてみるという人数相当ふくれ上がってくる。そうしますと、場合によっては四十五万から、その正確な数字は別にしまして、相当の数が共通一次テストを受けるということになると思います。その際にどういうふうな状態があらわれてくるか、あるいは東大や京大や、あるいは地方大学においてはどんな事態が発生してくるかということも、まだこの参考資料は全くないというのが実情であります。  それから高等学校側におきましても、こういう少数テストのために、これに対応するようなあるいは関心を示すような状態ではない。そういう中からいろいろの疑問が生じてまいりまして、ある高等学校組織では一月末でも結構ですという組織もありますし、また高等学校長協会のように二月以降の実施要望するというところもあります。また、二月以降に実施をしました場合に、高校長協会の出されております最後のところには、大学入試についての多少の変更があるということが出てくるわけですが、大学入学時期の変更について果たして大学側が、少なくとも各大学教授会等がこれに対する検討を加えられたような形跡はいままでにないわけでございます。そういう点から考えますとかなり、混乱とまでは申しませんが、意思統一には時間がかかるのではなかろうかというふうに思うわけです。  したがって、私はまず第一番に、この十二月二十四日、二十五日に実施されます八万人規模の、いままでに比べますと大型の試行テストというものを非常に重要視する必要があると思います。それを十分分析をしまして、そして大学高校側にその結果をおろして参考にしていただくということも必要だろうと思いますし、また、入試の時期をめぐりまして大学入学期変更するということになりますと、それなりの対応すべき討議が必要であるというふうに考えるわけです。私の考えとしては、一年延期という説、もっと精密に言えば、五十四年度実施既定のものとしないで、それを含めて考える。すなわち、そういう大学入学期をおくらすというようなことについても意思統一というものができれば五十四年度に実施してももちろんそれは結構でありますが、私の推測としては、少し困難があるのではなかろうか、こういうふうに思うわけです。  この一年間、ではどうするかということになりますと、私はまず、いわゆる本番に近い本格的な試行テストというものを少なくとも来年度において実施をしてみてはどうかというふうに考えています。そういう中から、いや大学入学期をおくらしてもいいのだ、あるいは、西岡さんがおっしゃっていますように九月にしてもいいのだというような意見が総合的に出てくることが必要だと思うのです。  したがって、ここで私たちがこの報告書あるいは決議というものを決定をします場合には、三月末に実施することが高等学校教育を尊重する意味から一番妥当なことであるという強い意見が出たことは事実です。そのことは強く報告書の中に書かれても結構でありますけれども、同時に、共通一次テストの時期、それだけから大学のすべての大きな改革までに発展をすることには疑問を持っているわけです。いま私たちがここまで論議してきたのは、少なくとも共通一次テストについての論議であります。大学改革していくあるいは大学の四年間の教育課程変更していくという、そういう大がかりな改革については、むしろ論議はまだ不十分であるというふうに思うのです。そういう意味で、そういう変更をするならば、それなりに一層の合意を求める期間というものが必要ではないか。そういう意味で私も、三月末に実施をして高等学校教育全般を保障するということには賛成でありますけれども、同時に、そこから派生してくる種々の問題、あるいは就職の問題、私学との関係の問題あるいは大学における事務的な手続上の問題とかいうような大変革を、この共通一次テスト実施時期だけで規定をしていくことは危険がある。そういう意味で五十四年度実施についての意見を申し上げているわけであります。  この考え方は、繰り返して申し上げますけれども、いままで進んできたものを決して後退さすものではないという立場に立っておることを強調いたしたいと思うのです。したがって、 その前文に掲げておりますところの「昭和五十四年度の入学者選抜から共通第一次学力試験実施するにあたっては」という表現につきまして、むしろ五十四年度という数字を消した方がいいんじゃないか。早急な意思統一を図り、そして五十四年度に実施できればそれは結構なことでありますから、そういう意味での、ここで枠をはめる表現については反対をいたしたいと思うわけであります。  それから次に移りまして、二段階選抜の問題についてでありますが、この点については参議院の附帯決議等にも出されておりまして、いわゆる足切りという問題についてずいぶん警告的な決議意見が出されてきたわけであります。その点について私ども反対ではありませんが、いま西岡さんがおっしゃったように、ゼロか否かという問題については、これはむしろもう少し検討をする必要があると思います。というのは、現在大学側から出てきております五〇%にわたる足切りですね、これも実は推測の上に立ったものだと思うのです。何ら背景に実証的なものがありませんから。いままでの経過からするならば足切りをやらなければならぬだろうというようなのが、出てきたのが五〇%に達する、大変な当初の目的と反するものが出てきたと思います。この点についてはもう少し検討をするべきだと思いますが、しかし、二段階選抜ということをなるべく避けようとするこの意思は、これは高校側も、あるいはわれわれの本委員会討議の中でも出てきておりますので、その点について強く主張することは結構なことだと思っています。  それから、その次に出ております国立大学の一期、二期の問題ですが、この廃止の問題については実は私どもはかなりこだわっておりまして、一期校、二期校を存続することもできるのではなかろうか。その点についてはまだ十分な討議が、かみ合う討議がなされていないように思うのです。だから、最後に出ております。第二次募集方式をさらに多くの大学実施することに努力するということは結構でございますが、一期校、二期校の廃止あるいは存続の問題についてはもう少し検討をしていいのではないか。言うならば、この間の参考人の方からもやはり一発勝負の問題が出てきまして、二回受験するチャンスがあるということがいままでの慣例であったわけですから、その点について、共通一次テストをやりましても、一期校、二期校の問題は、これを固定化するのではなくして変更してもいいのですが、これは残して、受験生の二度受験できるチャンスを保障する必要があるのではないかという考えを持っておるわけであります。  最後に、私学の問題であります。この「私立大学の参加の実現に向かって更に積極的に努力すべきである。」ということは賛成でありますが、ややもすると私学がまとまって参加をせよというような指導がなされておるかのように聞くわけでありますけれども、そういうことではなくして、私立大学側もこの共通一次テストを積極的に利用できるような状態をつくっていくという立場を私たちはとりたいと思っているわけであります。  以上です。
  13. 小川仁一

    ○小川(仁)小委員 この決議が基本的な方向だけを中心にして行われているということについては賛成でございますが、特に、前に木島委員が申し上げました一年延期説、これにつきましては、私は十分検討に値するという感じがいたします。と申しますのは、私の県、地方の県だからでございましょうか、非常にこの内容説明その他がおくれまして、高校並びに父兄がこれについて対応するのに困っているという状態がございます。岩手県の高等学校の教員や校長、父兄を含めて、一年延期という考え方を岩手大学の学長を通して国大協に反映させる、こういう運動さえ出ております。これは、単に私の県だけの問題ではなくて多くの県にそういう問題があるとすれば、この際思い切って大きな試行テストをした上で、万全を期してもらいたいという考え方一つあります。  それからもう一つは、国大協が決めたコースといいますか、九月願書、十二月試験というふうなこの一定の時間的なコースというものに対して全然変更の手が加えられていませんが、この技術的な問題についても国大協に十分考えてもらいたい。と言いますのは、九月願書というのは、その時点で志望校を決めるわけであります。そうしますと、高校生徒は八月までにいわゆる自分の進路を決めなきゃならぬ。ですから、塾その他に対する準備、それから自分の偏差値、いろんなものをこの八月中に決定してしまうという結果になって、九月願書。いまのコースを仮にやるとして、九月願書が十二月試験と一体どうかかわるだろうかと考えてみますと、そんなに三カ月間も願書と試験時期の間が開かなきゃならぬという理由が存在しないのじゃないか。こういう技術的な問題があると思うし、それから、入学試験の第一次共通テストの時期と、それから大学の第二次試験までの間のいままでの国大協が決めた決め方、これはまだまだ検討の余地かある。それを検討したのが、高校の進路研究協議会ですか、この前来られた方々のこの会を終わってからの決定なんです。二月一日実施でできる、こういう言い方の中には、国大協決定したあのコースの変更考えているわけであります。こういう技術的な部分の改善というものを国大協に私たち考え方として、きちっとしたものでなくても要求して構わないのではないか。そうしないと、実際いままでのものがそのまま動かないで、その全体の長さをどう前後させるかというだけの発想では、実施時期並びに現在の受験生の不安というふうなものが解決されないのではないか、そう思いますのでこの点をひとつ要求したい。  それから、二段階選抜については、私は、現在のような受験の厳しさあるいは大学を終わってからの就職条件のむずかしさ、こういう事態を子供たちあるいは父兄が十分認識しておりますから、遊び半分の受験といいますか、どうせ見込みがないけれどもここへやってみようがなどというふうな形での受験体制はもうなくなったと見ているわけです。事実、高校の先生方から聞いても、そういうふうないわゆる初めから可能性のない受験などというものは考えていない、こういう状態がありますだけに、二段階選抜は全部なくしてもらいたい。仮にその子が志望した大学が無理であったという状態があったとしても、それはやはり十八歳にもなり自分の進路を決めた子供の一つの意欲的な方向としてこれを認めていいのじゃないか。彼は一年目について仮に失敗したとしても、この学校へどうしてもという意欲に駆られて二年目ということもあり得るわけですから、下手な足切りを認めた形にしますと、高校の教師が子供たちに、能力に応じたといいますか、そういう進路指導を無理をしてやってしまう。おまえはここの学校、おまえはこの学校というふうに指導してしまうことによって、その人間が持つ意欲なり個性的なものを殺してしまう結果になる、私はそんな感じがするので、二段階選抜はなくするということを原則にしていただきたい。そうしなければ、何か妙に平均化した子供だけが出てきて、一つのルールの中にはまってしまって、その中で身動きかできないような子供たち、将来の日本人ができてくるような感じがするのです。これは高校についても大学についても入学試験が持っている大きな弊害の一つだ、そう思いますだけに、子供の希望というものを生かしていけるような形で二段階選抜をなくしていただきたい、こういうふうに考えます。  以上です。
  14. 中西績介

    ○中西(績)小委員 この組織運営まで立ち入っで私たち指摘をすることについていろいろまた問題が出るかと思いますけれども、一応申し上げますなら、大学入試センターの資料を読んで、配られました機構図等を見ますと、入試センターの評議員、そうして運営協議員名簿などをずっと見ますと、この前から指摘をしておりますように、もちろんこれはそうならざるを得ないわけでありますけれども、大学学長なりあるいは運営協議会のメンバーというようなことになりまして、大学側方々によってすべてが運営される、これは当然そうなると思います。そこで問題は、この前から出ておりました連絡協議会なりのあり方等についてでありますけれども、ここいらが、いままでのこのような結果になった大きな原因として高等学校なりあるいは第三者の意見を十分入れていく体制があっただろうかということを懸念するような案になっておるという指摘をすれば、そういう意見をどのようにして聴取していくかというのが問題になってくると思われるわけです。そういうことになりますと、連絡協議会総合部会の委員を見てみますと、それぞれ大学入試センター側、高等学校側あるいは教育委員会側というのがあるわけでありますけれども、この数の上からこうしぼられざるを得ないという感じはいたしますけれども、何と申しましても高等学校のそういう意見がどのように聴取され、そしてそこに反映されるかということになってまいりますと、これを見ますと、すべて高等学校の校長をもって充てられておるわけですね。ですから、現場の具体的にそれにかかわっておる教師あるいは教員の代表の者を入れるという意思がそこには働いておらないような感じがするわけですね。そういうことからいたしましても、この文章の中にはそういう点での高等学校意見なり——一番最後のところに「改善について、更に国民各層の理解を求め、」ということはありますけれども、そういう面をある程度具体的に入れておく必要があるのではないかということを一つ感じます。  それともう一つは、この前国大協の皆さんといろいろ討論をした際に出てまいりましたように、七項目について検討していただき、それに対する意見見解というのを出していただいたわけでありますけれども、その中に出ておりました職業高校なりあるいは定時制、通信制等を含めてどのようにしていくかという問題が一つあるわけです。ですから、この点の配慮をやはり十分とるべきではないか。この前出された中には、二次試験では代替教科として英語のAを加えるとか、あるいは数I、理科一般、こういうものを加えるとか、こういうこと等が出てまいったわけでありますけれども、こういう点についてもう少しやはり具体的に指摘をしておく必要がある、意見としてまとめておく必要があるのではないか、こう考えるところです。  以上です。
  15. 鍛冶清

    ○鍛冶小委員 大体いままでに意見が出ておりますが、十一月一日の参考人の方三名、校長会、それから進路指導の先生の代表の方、それからPTAの方からお話を伺ったときに、これにも幾分盛られておりますが、やはりこの文案にある後の諸点について、これが改善されないと生徒諸君の負担過重になるということを明決に三人ともそれぞれの立場でお答えをされておりました。そういう観点から、御意見も出ておりましたが、文言等については明快にはっきりとした表現にした方がいい、こういうふうに思います。  それから、いままで議論がまだ深く突っ込んでない点が確かにさっきから指摘されているのでありますが、いろいろまた入試関係委員会等も開かれるとかいうようなことでございますので、そこに意思を表示するという意味も含めて、きょうの時点でまとめるとすればやはりこういう形のものはぜひまとめてやっておかなければいけない。そしてまたさらに時間をかけてそういう議論の足りないところは真剣に討議しながら、さらに具体的な決議なり提案なりをしていくべきであろう、こういう考え方を持っております。そして、やはりこれは決議という形で明快に強くすべきであるということには私も賛成です。  それと、この前文の中の最後の方で、できれば皆さんに御検討いただいてぜひ入れていただきたいのは、私ども公明党は、この入試問題についていろいろ質疑を交わしてまいりました中で、この入試共通一次テストだけを変えても、本当の受験地獄の解消、それから前文最後にありますような教育全体の健全な発展に寄与するということには足りないところがあるのではないか。それには、やはり大学のいま行われている諸制度の改善ということも並行してやっていくことによってこの入試改善共通一次テストの問題が非常に効果的に機能してくるのではないか、こういう判断をして、質問のときにも行政当局、文部省当局にも再々質問してまいりました。そういう意味合いから、前文最後の方の四行目のところ、「大学入試改善の実を挙げ、」とありますが、できればその後に「挙げるとともに、入試改善をより効果あらしめるために大学の諸制度の改善を並行して進め」というふうな、文言の検討はまだあると思いますが、一行だけでも入れていただくということにしていただいた方がいいのではないか。これは提案でございますが……。  以上です。
  16. 石川要三

    ○石川小委員 まず第一点に、報告でなく意思決定にすべきだというふうな御発言がありまして、その点については、その後の各位の意見にも、決議ですべきだというような意見も二、三あったようです。この点について、正直のところ私自身も率直にどちらがいいかということはよくわからない状態です。特に委員長がそこいらをどんなふうにお考えになっているかという点をちょっと聞きたい点もあるのですけれども、後ほど、もしその見解をいただければお聞きしたいと思うのです。いまかいつまんでの直観的な意見では、先ほどいろいろと各位の意見を聞いておりまして、この入試改革に当たっては、具体的に一年延期をしたらどうだというような意見もございましたし、それからまた、人間の個性をこれから伸ばしていく教育のためにも、二段階の選抜というものの点についてはもう少し十分に考慮すべきではないかというふうな意見もあったようです。そんなようなことを考えてみて、現時点で果たして決議ということの方がいいか悪いか、私はその点ちょっと疑問に思うのですが、そこいらの、報告よりも決議の方が強制力があるというような見解もさっきございましたけれども、そこは具体的にどういうふうに違うものか。特にそこいらをめぐって委員長がどんなふうな御見解であるかということを聞きたいと思います。  それから、中をずっと見まして、先般、この小委員長報告について委員長室でいろいろと意見交換があったわけですが、それからきょうに引き続かれたという、そういう継続の中でながめているのですけれども、そういう意味では大分まとまって、各意見が非常にうまくまとめられてきたというふうに直観的に感じているわけです。ですから、委員長報告という内容でこれを見てみますと、かなりよくまとまっているし、多少の表現の点につきましては、先生方の御意見のように直した方がいいという点も同感でありますけれども、私は、全般的にはかなりこれでいいのじゃないかというふうな感じがしているわけです。  しかし、最後の第五点目、ここへ行きますと、前の、特に一番、二番あたりから見ると、急に空気が抜けたような感じがするんですね。ここへ来て急にがちゃっとおっこちてしまって、これは余りにも漠として抽象的に書いてあるので、このぐらいのことなら書かない方がいいのではないかというような気もするのです。この入試問題小委員会というものは、いろいろな参考人を呼んだりいろいろなことをされまして、今日まで長い時間をかけてきたのですが、私はその各会議に全部出ておりませんのでよくわかりませんが、そういったような過程の中だけでまとめられる、その中の議論をまとめるものである、それを逸脱してはいけないのだとするならばどうかと思いますけれども、しかし、先ほど鍛冶委員の御発言にもありましたように、私は、やはり入試改善というものは、入試試験制度だけをながめていたのではこれは抜本的な改善ができない。したがって、いまお話がございましたような大学の制度そのもののいろいろな制度改革改善というものは当然でありますが、いま社会的によく言われております入学イコール卒業というふうな関係、日本の大学は入ってしまえば後はところてん式につるつると出られてしまって、卒業はちっとも苦しくなくて、こういうようなあり方は果たしていいかというような非常に社会的な批判があるわけですが、そういうことから見ても、入学イコール卒業ということではなくして、やはり卒業を厳しくしていくような、そういうようなことも何かの中で取り上げられていってもいいんじゃないか、私はこう思うのです。それからまた学歴社会ですね。この学歴社会、余りにも偏重するというようなことから今日のようなものが非常にひずみとして出ているわけなんですから、そこいらにももう少しメスを入れたことで中に加味されないか。そこまで触れることがこの小委員会の今回の報告なりそういったようなことから逸脱するんだということならばこれは別でございますが、私は決して逸脱していないと思いますので、あえて、それは各位の御意見をちょうだいいたしまして、もしそういうところまでも言及できるならば、やはり入れていただければ幸いだ、こういうふうに思います。  以上です。
  17. 西岡武夫

    西岡委員 いろいろお話があったわけですが、要するに入試の問題というのは教育の諸問題の中の一つの問題にしかすぎないということは、皆様方御指摘のとおりだと思うのです。ただ、いままで教育の問題というのは、これだけ議論されながら、ほとんど問題の指摘、抽象的な議論、問題があるのだということだけを取り上げて、それでほとんど終わってきてしまっているわけで、具体的な改革ということが動き出したのは今回が初めてです。これだけ大がかりな改革が動き出そうとしているのは、今回がきわめて少ない例の大きな一つだと思うのです。ですから、入試の問題というのは教育改革一つの切り口だと思うわけで、そこから切っていこうということに一つ意味があるのだと思うのですね。そうしませんと、何かいろいろな問題提起だけに終わってしまって、三すくみ、四すくみみたいな形で、これ一つだけではすべての問題は片づかない。それじゃすべての問題を同時に全部切り刻んでいけるのかといえば、なかなか切り刻んでいけない。この入試の問題の共通一次試験というものの制度としての導入というのは、初めて大学関係者もここまで進んできたわけで、これはやはり強力に進める中で切り口を広げていくということだろうと思いますから、このことについてはこの小委員会として、まあたくさんほかにも言いたいことがあるわけですけれども、やはり原則のところだけをきちっと踏まえて、山原さんの先ほどの御指摘もございましたけれども、決議という形できちっと簡潔な意思決定というものをぶつけていく、そして具体的に影響を与えていくということが必要だろうと思います。  そして、入試の問題は、これは決して今度の共通一次試験を導入するということだけで済む問題ではないわけで、技術的にも、いろいろな本質的な問題についても、先ほどからお話がありましたように、かなり永続的に今後も取り組んでいく課題だと思いますから、この小委員会も場合によってはこのままずっと継続して、当分の間常設していくというような形で今後も取り組んでいくということで、いままでのいろいろなつけ加えていかなければいけない御意見等も消化される問題ではないだろうか。たとえば、先ほどもちょっとお話がありました私大をこの共通一次試験の中にどのように組み込んでいくかという問題については、これは、いままでの発想は国大協が中心になってきた入試センターというものに私大を参加させていくんだという発想だったのですけれども、本来ならば国公私立が共通して、入試センターというものを共同利用の一つ機関としてスタートの時点から一緒につくっていく、共同で設立するということが一番望ましかったわけですけれども、ここまで来ればそういうことも言っておられない。ということになれば、場合によっては、いまの国大協を中心とした入試センターのようなものを、私大が中心になって別途私大の共通一次試験のセンターというものをつくっていく。これだけの膨大な入試の事務を消化していくということを考えれば、私大は私大で共通のものをつくっていくということも一つの発想として今後あり得ることだろうと思います。  こういうことを考えれば議論は際限なく出てくるわけですから、これは別途提案をいたしますけれども、とにかくきょうのところは原則のところで合意して、そうして決議という形で委員長のもとでぜひこれはまとめていただきたい。  先ほどからいろいろな御指摘がございました中で一番問題なのは、五十四年度実施の取り扱いの問題ですけれども、これは山原議員のおっしゃっていることもよく私自身もわかるわけです。ただ、前々からの会議での議論にもありましたように、やはり五十四年度を目指してここまで進んできているという実態というものを無視することはできませんし、それをここで全く五十四年度はやらないというようなことを小委員会として決めることによって起こる新たな混乱ということもあり得るわけですから、目標と申しますか、五十四年度に実施できればそれにこしたことはないわけですから、そこの表現の仕方は工夫の余地があるのではないだろうか。結果としてやれるかやれないかという問題は出てくるわけですけれども、一応は五十四年を目指して努力をしてきたという前提で何らかの表現の仕方はあるのではないか。  それからもう一つ、先ほど民社党さんから御指摘があったと思いますが、二次試験意味づけということについては、やはり御指摘のとおり書いた方がいいのではないか。先ほど二科目とか三科目という具体的な数字を入れるべきだというお話がございましたが、これは学校によっては二次試験については学科を課さないというところも現にあるわけです。これは科目を書くということになると、まあ私の個人的な、個人的といいますか、私の考えなどは、原則として一科目ということを書くことが一番望ましいと思いますけれども、これにも異論があるでしょうし、科目数を書くということはかえって逆の効果が出てきて、それじゃ二、三科目はしていいということにもなってしまうわけで、そこには若干問題があるのではないか。  ですから、かなり問題は出尽くしていると思いますし、先ほど公明党さんからの御指摘は、大学自治をわれわれは尊重してここまで慎重にやってきたけれども、自治にゆだねていれば、自治の枠を超えたところで教育に大変な影響を与えてくるんだ。そうすれば、国会として、大学自治と日本の社会全体、教育全体に与える入試制度の重大な役割りということを考えれば、大学自治の範疇ということでわれわれが非常に慎重に扱ってきた枠を再検討しなければいけなくなるかもしれない、そういうような決意の意味でおっしゃったのだとすれば、私もその点は賛成です。
  18. 藤波孝生

    藤波委員長 各小委員から、小委員長報告案に対しましていろいろ御意見をお述べいただきましてありがとうございました。  石川小委員の質問がございましたので、それだけ少しお答えをしておきますと、決議報告のところに関しましては、衆議院規則で、小委員会決議をするということは権能としては与えられていないわけでございます。小委員会というのは、本委員会の審査を進めるについて、いわばその下でいろいろ段取りをするとか、準備するとか、検討をさらに細かくするとかいうことが小委員会の機能になっております。そういう意味で、もしあり得るといたしますと、本委員会での決議をいたしますために小委員会決議案を決定をする、こういうことになるかと思います。したがいまして、その辺も十分踏まえた上でございましたけれども、一応ここでは報告という形でとにかく本委員会報告をして、その扱いはさらに本委員会の理事会でまた御検討をいただいたら、こういうふうに思いましたので、報告という形にしたわけでございます。  いろいろと御意見を出していただきましてありがとうございました。ほかの科目よりは国語には少し点数を取る自信があったのですけれども、これだけ試験委員が多うございますとなかなか辛い採点になりまして合格も危うくなってきておりますけれども、先ほど来御意見が出ておりますように、できれば本日の午前中に本小委員会としては、決議案ないし報告をまとめまして各方面入試かできるだけよりよい形で行われるように働きかけをするタイムリミットが来ている、こういうふうに思いますので、あと少し時間をかけて、それぞれお出しをいただきました御意見をもとにいたしましてまとめるように努力をさせていただきたいと思います。  そこで、ひとまずここから懇談に入らせていただきまして、この場でそのまま懇談を続行いたしたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。     〔午前十一時三十二分懇談に入る〕     〔午後零時二十七分懇談を終わる〕
  19. 藤波孝生

    藤波委員長 懇談を終わります。この際、暫時休憩いたします。     午後零時二十八分休憩      ————◇—————     午後一時三十五分開議
  20. 藤波孝生

    藤波委員長 これより入試問題に関する小委員会を再開いたします。  先ほどの小委員長報告案に対する各小委員の御意見をもとに整理、作成いたしました小委員長報告の案文を朗読をさせていただきます。     大学入試改善に関する件(案)   本委員会は、大学入試改善に関する国民的要請を考慮し、第八十回国会において、共通第一次学力試験実施大学入学者選抜方法改善に関する調査研究を行うための機関として大学入試センターを設置するための法律改正については附帯決議を付して認めたところである。   本委員会は、附帯決議趣旨に沿い、入試問題に関する小委員会を設置し、共通第一次学力試験実施に係る諸般の状況について関係者及び国民各層意見をきき、慎重に検討を重ねてきた。   その結果、大学入試改善についての各方面努力には敬意を表し、且つ大学自治を尊重することは勿論であるが、なお、幾つかの問題点があり、それらが積極的に解決されなければ、かえって改悪になるのではないかとさえ思われる。   ついては、昭和五十四年度の入学者選抜から共通第一次学力試験実施するにあたっては、政府当局大学入試センター及び各大学は次の諸点について誠意をもって対処し、大学入試改善の実を挙げ、高等学校教育ひいてはわが国教育全体の健全な発展に寄与するよう、重ねて強く要請するものである。  一、共通第一次学力試験実施期日については各方面種々意見が出ている。   高等学校側意見としては、授業計画学校行事実施への影響考え、第三学年のなるべく遅い時期に共通第一次学力試験実施してもらいたいとの希望があり、また、文部省入試センターは、願書提出試験採点、結果の通知など一連のスケジュールを考慮しての期日決定という運びとなっている。   然し、大学入試は法に定めた高等学校教育の全課程が終了した時点で、その到達度を判定するという趣旨実施されることが原則である。   そのためには、むしろ大学側において入学時期を多少変更させるなどの措置も含めた最善配慮をすべきである。  二、このたび大学入試改善共通第一次学力試験、各大学の行う第二次試験調査書などによる総合判定によって、入学者決定するという趣旨であることにかんがみ、一部の大学で行われようとしている二段階選抜は、その実施を避けるべきである。  三、各大学が行う第二次の学力検査については、なお多くの科目を課す大学が見られるが、本来受験生の専門課程の適性を判定するという趣旨にかんがみ、受験生の過重な負担とならないようその科目数最少限にすべきである。  四、国立大学一期、二期の廃止など、入試期日を一元化することによって、受験機会が減少するということに対し、その機会を確保するという観点から、更に多くの大学が第二次募集方式実施するよう努めるできである。  五、大学入試の問題は、国・公・私立大学を通ずる改善によって、その効果を期待し得るものであることにかんがみ、共通第一次学力試験への私立大学の参加の実現に向って更に積極的に努力すべきである。  六、共通第一次学力試験実施大学入試制度改善について、更に国民各層の理解を求め、受験準備の過熱の防止について、極力努力すべきである。    右決議する  以上で案文の朗読は終わりました。  お諮りいたします。  ただいま朗読いたしました案文を委員会報告いたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  21. 藤波孝生

    藤波委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  ちょっと速記をとめてください。     〔速記中止〕
  22. 藤波孝生

    藤波委員長 速記を始めて。  本日は、これにて散会いたします。     午後一時四十三分散会