○
山原小
委員 小
委員長報告案ですね、これを
決議とすべきであるという
意見が出たわけですが、結局、小
委員長報告と
決議との
強制力の問題が出てくると思うのですね。したがって、私は、これを
決議とした場合に、
国大協あるいは
入試センター、
文部省に対してどういう
強制力が作用するかということを
検討すべきだと思うのです。したがって、
法律作成、
立法機関である
国会が
決議をするということは必ずしもあってはならぬことではありませんけれども、いままでの
経過から言いまして、果たしてこのままでここで
決議という形で、
相当の
強制力を持つものを出していいかどうかについては私はまだ若干の疑問を持っていますので、後で
懇談会で
意見の交換をさせていただきたいと思います。
それから
二つ目の問題ですが、
前文にありますところの「五十四年度の
入学者選抜から
共通第一次
学力試験を
実施するにあたっては」というところでございますが、これは前々から言っておりますように、五千四年度
実施ということを必ずしも否定するわけではありませんが、これを
既定のものとするということに私は疑問を持っているのです。もっと率直に言えば、いつまでも遷延することはできませんけれども、少なくとも本
委員会でもこれだけ
相当の
論議が重ねられる
過程あるいはいろいろの疑問が出る
過程においては、やはり時間を限って、たとえば一年間この
実施を延期するということも必要ではなかろうかというふうに思っているわけです。それは、決してこの
共通一次
テストをやっていくということに水を差したりあるいは後退さしたりするという
立場ではありません。
共通一次
テストに到達した
国大協の
努力とかそういうものについてはこれを評価するという
立場をとっておりますので、これをいたずらに遷延をするとかあるいは後退さすとかいう
立場ではありませんが、五十四年度という枠をまずはめることについては疑問を持っております。したがって、私の
考えをもっと端的に言うならば、五十四年度
実施をもう一年繰り延べて五十五年度
実施とする、その間にいろいろの手だてを講ずる必要があるということを主張しているわけであります。
まず第一番に、
入試センターにしましても五月にできたばかりでございますし、その
入試センター自体の
共同利用研としての
意思決定機関がどこにあるかということを調べてみますと、たとえば所長にすべての権限が集中しているような気配もありますし、その辺の
機構上の問題も大変不明確です。むしろ、
入試センターの中にたとえば
教授会のごときものをつくりまして、
意思の
決定をする
機関を設置して、そこでいろいろなことが
論議をされて
決定をしていく。またその
考え方と
国大協の
意思を
統一していくという
努力が必要だろうと思います。そういう
意味で、
入試センターそのものがせっかくできたのでありますけれども、その
機構とかあるいは運営とかいう点についてはまだ不分明なところがあるということが
一つ指摘できると思います。
それから
二つ目の問題は、現在の
高校側あるいは
大学側の対応の仕方でありますが、これが非常にばらつきが多いわけですね。それは私は当然のことであると思うのです。その
理由は、
一つは、いままで三回行われました
試行テストは、一番
人数の多い場合でも一万二千名という小規模な
テストが行われておるにすぎません。したがって、現実にどういう
生徒がいままで
受験したかということを調べてみますと、あるところではいわゆる進
学校に集中しておるとかいうようなこと、またその他の
学校では本当にごく
少数の
生徒しか
受験していないということですね。しかも全国的に集めましてもそれが一万二千名という
状態でございます。したがって、この三回の
試行テストに基づいて、それを
十分分析をして、そこから
意見が出てくるというような体制にはないわけです。そうして、実際に
受験する
生徒は
国立が二十万、あるいは
私学を含めて四十五万ということになりますと、
共通一次
テストが
実施された場合には、
私学を
受験する
生徒もこの
共通一次
テストを受けてみるという
人数が
相当ふくれ上がってくる。そうしますと、場合によっては四十五万から、その正確な
数字は別にしまして、
相当の数が
共通一次
テストを受けるということになると思います。その際にどういうふうな
状態があらわれてくるか、あるいは東大や京大や、あるいは
地方大学においてはどんな事態が発生してくるかということも、まだこの
参考資料は全くないというのが実情であります。
それから
高等学校側におきましても、こういう
少数の
テストのために、これに対応するようなあるいは関心を示すような
状態ではない。そういう中からいろいろの疑問が生じてまいりまして、ある
高等学校の
組織では一月末でも結構ですという
組織もありますし、また
高等学校長協会のように二月以降の
実施を
要望するというところもあります。また、二月以降に
実施をしました場合に、
高校長協会の出されております
最後のところには、
大学入試についての多少の
変更があるということが出てくるわけですが、
大学の
入学時期の
変更について果たして
大学側が、少なくとも各
大学の
教授会等がこれに対する
検討を加えられたような形跡はいままでにないわけでございます。そういう点から
考えますとかなり、混乱とまでは申しませんが、
意思統一には時間がかかるのではなかろうかというふうに思うわけです。
したがって、私はまず第一番に、この十二月二十四日、二十五日に
実施されます八万人規模の、いままでに比べますと大型の
試行テストというものを非常に重要視する必要があると思います。それを
十分分析をしまして、そして
大学が
高校側にその結果をおろして
参考にしていただくということも必要だろうと思いますし、また、
入試の時期をめぐりまして
大学の
入学期を
変更するということになりますと、
それなりの対応すべき
討議が必要であるというふうに
考えるわけです。私の
考えとしては、一年延期という説、もっと精密に言えば、五十四年度
実施を
既定のものとしないで、それを含めて
考える。すなわち、そういう
大学の
入学期をおくらすというようなことについても
意思統一というものができれば五十四年度に
実施してももちろんそれは結構でありますが、私の推測としては、少し困難があるのではなかろうか、こういうふうに思うわけです。
この一年間、ではどうするかということになりますと、私はまず、いわゆる本番に近い本格的な
試行テストというものを少なくとも来年度において
実施をしてみてはどうかというふうに
考えています。そういう中から、いや
大学入学期をおくらしてもいいのだ、あるいは、
西岡さんがおっしゃっていますように九月にしてもいいのだというような
意見が総合的に出てくることが必要だと思うのです。
したがって、ここで私
たちがこの
報告書あるいは
決議というものを
決定をします場合には、三月末に
実施することが
高等学校教育を尊重する
意味から一番妥当なことであるという強い
意見が出たことは事実です。そのことは強く
報告書の中に書かれても結構でありますけれども、同時に、
共通一次
テストの時期、それだけから
大学のすべての大きな
改革までに
発展をすることには疑問を持っているわけです。いま私
たちがここまで
論議してきたのは、少なくとも
共通一次
テストについての
論議であります。
大学を
改革していくあるいは
大学の四年間の
教育課程を
変更していくという、そういう大がかりな
改革については、むしろ
論議はまだ不十分であるというふうに思うのです。そういう
意味で、そういう
変更をするならば、
それなりに一層の合意を求める期間というものが必要ではないか。そういう
意味で私も、三月末に
実施をして
高等学校教育全般を保障するということには
賛成でありますけれども、同時に、そこから派生してくる
種々の問題、あるいは就職の問題、
私学との
関係の問題あるいは
大学における事務的な手続上の問題とかいうような大変革を、この
共通一次
テストの
実施時期だけで
規定をしていくことは危険がある。そういう
意味で五十四年度
実施についての
意見を申し上げているわけであります。
この
考え方は、繰り返して申し上げますけれども、いままで進んできたものを決して後退さすものではないという
立場に立っておることを強調いたしたいと思うのです。したがって、 その
前文に掲げておりますところの「
昭和五十四年度の
入学者選抜から
共通第一次
学力試験を
実施するにあたっては」という
表現につきまして、むしろ五十四年度という
数字を消した方がいいんじゃないか。早急な
意思統一を図り、そして五十四年度に
実施できればそれは結構なことでありますから、そういう
意味での、ここで枠をはめる
表現については反対をいたしたいと思うわけであります。
それから次に移りまして、二
段階選抜の問題についてでありますが、この点については参議院の
附帯決議等にも出されておりまして、いわゆる
足切りという問題についてずいぶん警告的な
決議や
意見が出されてきたわけであります。その点について私ども反対ではありませんが、いま
西岡さんがおっしゃったように、ゼロか否かという問題については、これはむしろもう少し
検討をする必要があると思います。というのは、現在
大学側から出てきております五〇%にわたる
足切りですね、これも実は推測の上に立ったものだと思うのです。何ら背景に実証的なものがありませんから。いままでの
経過からするならば
足切りをやらなければならぬだろうというようなのが、出てきたのが五〇%に達する、大変な当初の
目的と反するものが出てきたと思います。この点についてはもう少し
検討をするべきだと思いますが、しかし、二
段階選抜ということをなるべく避けようとするこの
意思は、これは
高校側も、あるいはわれわれの本
委員会の
討議の中でも出てきておりますので、その点について強く主張することは結構なことだと思っています。
それから、その次に出ております
国立大学の一期、二期の問題ですが、この廃止の問題については実は私どもはかなりこだわっておりまして、一期校、二期校を存続することもできるのではなかろうか。その点についてはまだ十分な
討議が、かみ合う
討議がなされていないように思うのです。だから、
最後に出ております。第二次
募集方式をさらに多くの
大学が
実施することに
努力するということは結構でございますが、一期校、二期校の廃止あるいは存続の問題についてはもう少し
検討をしていいのではないか。言うならば、この間の
参考人の方からもやはり一発勝負の問題が出てきまして、二回
受験するチャンスがあるということがいままでの慣例であったわけですから、その点について、
共通一次
テストをやりましても、一期校、二期校の問題は、これを固定化するのではなくして
変更してもいいのですが、これは残して、
受験生の二度
受験できるチャンスを保障する必要があるのではないかという
考えを持っておるわけであります。
最後に、
私学の問題であります。この「
私立大学の参加の実現に向かって更に積極的に
努力すべきである。」ということは
賛成でありますが、ややもすると
私学がまとまって参加をせよというような指導がなされておるかのように聞くわけでありますけれども、そういうことではなくして、
私立大学側もこの
共通一次
テストを積極的に利用できるような
状態をつくっていくという
立場を私
たちはとりたいと思っているわけであります。
以上です。