○山原
委員 私は、
監督官庁としての
文部省の能力、面目というようなものはいままるつぶれだと思うのです。それで
審査について私は疑義を持っています。それは、いままで
大学設置審あるいは
私学審議会
委員が供応を受けるとかいうような
事件が起こり、司直の手にかかるというような問題も出てくるわけですね、そういうことな
どもあって、いわばあの四十六年、四十七年の
私立大学ブーム、あのときにはまさに百鬼夜行、もう莫大な札束が乱れ飛んだというようなかっこうだと思うのですよ。これは本当に私は実証したいと思っていますけれ
ども、そういう
事態であったのですね。それがぼつぼつ出てきてああいうことになっているのです。だから、認可申請書、
寄付行為認可申請書、これは永久保存ですから、いま問題になっておるところの
大学の
寄付行為認可申請書だけでも出してみなさい。そうしたら全部わかるのですよ。
文部省はできるだけのことをやったけれ
ども、いままでなかなか
寄付の
実態がわからない、
寄付は入っていますと言われたらそれ以上突っ込めないのですということを、ずっといままでこの
委員会の質問に対しても答えていますが、これは北里
大学医学部の設置
状況なんです。「北里十年史」の中にこういうふうに出ているんですよ。「
昭和四十四年十二月七日、
文部省管理局から医学部設置予算表に組み込まれている予定
寄付金五億円が、全く実績なく、架空の数字としか考えようがないという指摘を受けた。これでは一週間後に迫った
大学設置
委員会私大審議会に、北里医学部申請書を提出できないと宣告された。どの位の金額の
寄付がされればよいのかと問うと少くとも億単位でなくてはとの答えである。七日の余裕しかない。この
機会を逸すれば、多分北里
大学医学部は永久に設立の機を失う。
学内の
事情はそれ程流動的であった。正に成否の関頭に立ったのである。頼るところは他にない。島田
教授にお願いして、木川田東電社長にお頼みした。社長室で
事情を説明すると「やりましょう」唯一言であった。この快答をいただいた時の木川田社長の姿は、今も眼に残っている。救われたのである。三日後、東電平岩常務(当時総務部長)から、お願いした以上の東電と関電工振り出しの小切手を頂戴し更に感激した。忘れてはならぬことである。」これが十年史の中に残っておりまして、さらにこういう状態の中で
指導しておりますのが私大審なんです。「これはほんの一例であるが、他にも実に多くの方々が北里の医学部設置の理念を
理解し、物心両面の強い支持を惜しまれなかった。特に
大学設置審議会、
私立大学審議会、医学部専門部会の好意ある
指導と忠言を得られたのは幸いであった。分けても心強かったのは、宮沢喜一氏や高村象平氏の高い次元での協力と、樋口一成氏、」これは御
承知のように私大審の有力な幹部でありますが、「懸田克躬氏の新しい医学部創設に対する直截な
指導である。」こういうふうに書かれているわけですね。
だから、五億円の見せ金が出てきた。ところが
文部省はそれを知った。だから実績から見てもそんな金は入ってないのだということで注意をした。そうすると北里創設
委員会の
理事が来て、じゃ幾ら出したらよろしいでしょうか。億を下ったらいけませんよ、五億円必要ないですよ、億を下らない、一億を超すあるいはその前後のものであればいいですよという
指導がなされる。それを一週間でつくるために、木川田さんという財界の大立て者に頼んで小切手の振り出しが行われる。それはその金額より少し多かったのですから一億そこそこのお金でしょうが、それで認可の運びになる。
実際にこういう
実態を
皆さんの前に明らかにすることは困難ですが、多かれ少なかれ全部これです。見せ金なんです。見せ金を本当に追及しようと思ったって、率直に申し上げて恐縮なんですけれ
ども、
大学を設置しようとする場合には、たとえば大阪のある医科大創設の人たちは東京に東京の事務所をつくって
文部省に対する折衝を行う。あるいは認可申請書を書く、あるいは
寄付行為申請書を書く、これは大変なものです。これを書くのだって、そういう専門家というものはそんなにいるわけではありませんから、結局
文部省のお役人を使うわけですよ。アルバイトをやっているでしょう。アルバイトをやって、そして東京のどこかの部屋でこれをつくってあげるわけですよ。つくってあげて、それが出されて、今度はチェックするのは自分である、あるいは同僚がチェックするという形態になっておったのです。あの当時は。だからこそ
文部省は適切なチェック、創設準備の段階で土地はどうなっているかあるいはお金はどうなっているか、こういうことが本当にチェックできなかったのです。これが
実態だと思うのです。
大学局長はかわっておられるけれ
ども、あなたはそういうことを御存じありませんか。薄々
感じておられますか。ここの禍根を断たなければだめです。