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1977-11-15 第82回国会 衆議院 物価問題等に関する特別委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年十一月十五日(火曜日)     午前十時三十三分開議  出席委員    委員長 西宮  弘君    理事 片岡 清一君 理事 平泉  渉君    理事 金子 みつ君 理事 武部  文君    理事 中川 嘉美君       鹿野 道彦君    島村 宜伸君       中西 啓介君    佐藤 観樹君       中村  茂君    野口 幸一君       長田 武士君    宮地 正介君       藤原ひろ子君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      倉成  正君  出席政府委員         公正取引委員会         委員長     橋口  收君         公正取引委員会         事務局経済部長 妹尾  明君         公正取引委員会         事務局取引部長 長谷川 古君         公正取引委員会         事務局審査部長 野上 正人君         経済企画庁調整         局長      宮崎  勇君         経済企画庁国民         生活局長    井川  博君         経済企画庁物価         局長      藤井 直樹君         食糧庁長官  大河原太一郎君  委員外出席者         大蔵省主計局主         計官      的場 順三君         文部省初等中等         教育局教科書管         理課長     岡部 稔成君         農林省畜産局牛         乳乳製品課長  中島 圭一君         農林省食品流通         局食品油脂課長 生出 正也君         食糧庁業務部長 秋川喜司雄君         通商産業省貿易         局輸入課長   斎藤 成雄君         通商産業省生活         産業局紙業課長 小野 雅文君         物価問題等に関         する特別委員会         調査室長    曽根原幸雄君     ————————————— 委員の異動 十一月十五日  辞任         補欠選任   馬場猪太郎君     佐藤 観樹君 同日  辞任         補欠選任   佐藤 観樹君     馬場猪太郎君     ————————————— 十一月二日  輸入品に係る国内販売価格の引き下げに関する  請願小川平二紹介)(第二八三七号)  同(下平正一紹介)(第二八三八号)  物価対策に関する請願小川平二紹介)(第  二八三九号)  同(下平正一紹介)(第二八四〇号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  物価問題等に関する件      ————◇—————
  2. 西宮弘

    西宮委員長 これより会議を開きます。  物価問題等に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。武部文君。
  3. 武部文

    武部委員 私はこの間の当委員会で数回にわたりまして為替差益のことについて政府側の見解をいろいろ問いただしたわけですが、その中で金額の問題でどうしても折り合わない問題がございました。そこで、きょうは食糧庁長官においでをいただきまして、この問題についてほんのわずかの時間でありますが、何回もやりとりいたしておりますからそう多くをする必要はございませんので、ごく短時間にこの問題についてお伺いをいたしたいのであります。  輸入小麦大麦国際相場下落円高によって相当な差益が出てきた。このことについて、この差益をどう取り扱うかということをいろいろやりとりしたわけですが、その中でまず冒頭に、食糧庁答弁によりますと、小麦が四百二十六万トン、主食用大麦が二十数万トン、合計四百五十万トン、これを五十二年度輸入数字として挙げられましたが、それは間違いございませんか。
  4. 大河原太一郎

    大河原政府委員 そのとおりでございます。
  5. 武部文

    武部委員 そういたしますと、まず最初に五十一年の経過から振り返ってみたいと思いますが、五十一年度の収支の決算によりますと、食糧管理特別会計、まず予算で八百五十億の赤字を見込んでおったわけです。それが国際相場下落等によって決算には逆に九十億という黒字が出た。こういう結果になったわけでして、これは明らかに合計九百四十億円という見込み違いをしたことになるわけです。これが五十一年度決算であります。  そういう経過を踏まえて五十二年の食糧管理特別会計の予定を見ますと、皆さんの方は、政府側は麦で七十八億円の赤字を生ずる、こういう予算になっておるわけですが、やりとりしておる中で明らかになったように、膨大な差益がむしろ生じてくるということはもう否定のできないところだと思います。一体、食糧庁としては五十二年末に、五十一年で九百四十億円の見込み違いだったわけですが、今度はどういう数字になるというふうに予想しておられるでしょうか。
  6. 大河原太一郎

    大河原政府委員 お答え申し上げます。  しばしば御質問を賜りまして、これについて十月時点における推計数字を申し上げたわけでございます。これは一定前提を置いておるわけでございまして、御案内のとおり、食糧庁買い付け価格は動いておりますし、また為替円高の基調でございますが、これ自体も動いておる。したがいまして、それについての損益見通しは、一定前提を置いて、一応十月時点ではわれわれとしては六百三十億の損益変動がある、したがって利益は五百五十億であるということを申し上げておるわけでございまして、その後の国際相場推移その他はまだ動いておりますので、先生お話しのように、最終決算を見通せるのは一月、年を越してからでございますので、残念ながら確たる数字を五十二会計年度についての損益については申し上げかねるわけでございます。
  7. 武部文

    武部委員 この辺がやりとりの中で非常に数字が食い違ったところであります。  それで、あなたの方の数字根拠にしていろいろ検討してみたわけですが、この相場は二百八十円のレートで計算をしてあるようです。それから国際相場の点でありますが、予算と現在の相場の開き、そういうものを見て、私どもはこのコスト逆ざやというものは相当多額になる、大体二万一千百九円という数字を出したのですが、食糧庁の方ではそうではなくて、一万七千六百六十九円という数字を出しておられる、そういうこと、それと二百八十円、こういう計算でいくと、おっしゃるように五百五十二億円ということになるわけです。私ども計算でいってトン当たり二万一千百円のコスト逆ざや、及び現在は二百四十五円台でありますが、そういう推移をずっと計算をすると、もう明白に八百億以上の数字が出ることになるわけです。これはいまおっしゃるように、決算がきてみればわかることであって、ここで架空のやりとりをしておったってしようがないことですけれども、結果は出てくるわけです。去年のように膨大な赤字だと言っておったのが膨大な黒字になったということは結果的に出ておるわけですから、これも結果が来年には出てくるわけですから、いずれこのどちらが正しい数字であったかということはそこでわかるだろうと思うわけです。  そこで問題は、こういう莫大な為替差益国際相場下落黒字食管会計の中に出ておる、一体この黒字をどうするのかということが問題であります。かつて当委員会で自民党の大蔵省出身委員から、予算が成立した後において麦の方に大変な黒字、たしか当時は三百八十億円ぐらいだったと思いますが、そういうものが出た、一体その金はだれがどこで何に使うのかという質問があった。農林省が使います。こういう答弁だった。それは予算が成立した後でそれだけのものが浮いてきたんだから、それを勝手に使ってもいいということはおかしいじゃないかという議論がここであったようです。私は議事録を読んでそういうふうに思いました。  そこで、この間消費者米価をここで論議をしたときに、皆さんの方は九・八%消費者米価を上げる、それは食管会計逆ざやを解消するためだ、こういうふうにおっしゃった。その金額は一体幾らかと言ったら、九百五十億円だとおっしゃったわけです。九百五十億円の逆ざやを解消するために九・八%消費者米価値上げするんだ、こういう根拠の発言がございました。そこでそのときに、われわれの計算によると大体四、五百億程度の麦の黒字がすでに予想されておる、だから全額九・八をやめろというわけではないが、麦の予想される黒字でもって、九・八というようなことではなくて、少なくとも何%かは何とか下げたらどうだということを主張したところが、麦は麦、米は米、別々だ、それは言い足りない点があったかもしらぬが、明確にそう載っているのですよ。麦は麦だ、米は米だ、そんなものは両方で使えぬ、こういうお話だった。麦でこれだけの黒字が予想されるわけです。われわれは八百億円と言う。あなたの方は五百五十億円とおっしゃる。そういうことが結果的に出てくる可能性が明白になってきた。だとすると、この黒字は一体何に使おうとしておるのか、この点はどうでしょうか。
  8. 大河原太一郎

    大河原政府委員 御案内のとおり、外麦買い付け価格低下によりまして利益が大変発生しているわけでございますが、食管損益は、ただいま先生の御指摘は大きな益でございますが、外麦経理処理されます輸入食糧管理勘定と、国内米経理を区分いたします国内米管理勘定、それに国内麦管理勘定、これを合わせて食糧管理勘定というふうに整理しておりますが、この全体の損益の中で調整されるということでございまして、麦の利益だけを取り出してこれを処理するというわけではなくて、食糧管理勘定全体としてはいろいろ損失要因なり利益要因があります。それらをすべて総合いたしまして調整をいたすということに相なるわけでございます。
  9. 武部文

    武部委員 確かに輸入食糧管理勘定というのがございますね。ただ、あの消費者米価値上げのときに、さっきのように九・八に九百五十億円とおっしゃった。そうすると、これだけ麦で浮くじゃないか、すでに浮いておるじゃないか、そのものをなぜそっちの方に利用して、一%でも二%でも下げる努力をしたということがあなたの方でできないかと言ったら、先ほどのように全然別だとおっしゃった。あなたはいま両方一緒にしてやるのだとおっしゃる。どっちなんですか。
  10. 大河原太一郎

    大河原政府委員 先生の御質疑は、損益処理利益処理それを価格関係にどう反映させるかという御議論でございますが、食管損益処理は、食糧管理勘定全体で損益調整いたすということが第一点でございます。第二点は、私ども関係部長が御質疑に答えて、麦は麦、米は米と申し上げましたのは、麦については申すまでもなく食管法でその売り渡し価格算定方式が決まっております。それに基づいて麦の買い入れなり、売り渡し価格関係を見ながら決めていく。米は米として、米価生産者価格なり消費者価格、これについてそれぞれ固有のこれを改定する理由なりその水準を判断すべきものがございます。たとえば、はっきり申し上げまして、その九・八は四・九の逆ざや是正を行っておりますが、このような売り値と買い値との関係逆ざやは、食管自体の健全な運営——単に財政だけじゃございません、売り値と買い値が逆の関係になっておるというような不正常な関係等の問題、あるいは農政上の農政費を圧迫している問題とかいろいろございますが、いずれにいたしましても、米につきましては米自体価格決定のそれぞれそのときにおける条件なり課題を考えて改定いたす、したがって、麦の方に利益が出ましても、ストレートに米価売り渡し価格にこれを取り入れるというようなことは考えておらないということでございます。
  11. 武部文

    武部委員 それでは次に質問する前に、あなたの方のお考えを承りたいと思いますが、先ほど五百五十億、こっちは八百億というような話をいたしましたが、その後円高の傾向も強まってきておるし、いろいろと計算をしてみると九百億ぐらいになりますね。これで円がなお二百四十円というようなことになってくると、これは一千億を超すようなことになってくるのですが、国際相場動向円高の動きをどのように食糧庁は見ておられるか、それをちょっと聞かせてください。
  12. 大河原太一郎

    大河原政府委員 お答え申し上げますが、先生一つ基礎を持った御推計で九百億云々かと思いますけれども、ここでちょっと私どもとして申し上げたいのは、五十二会計年度損益に影響いたしますのは、五十二年度買い付け量小麦でございますと四百三十万トン、これは買い付け売り渡しの全量ではございません。そのうち八十万トン分は次年度に持ち越し在庫として繰り越される。本年度売却量は四百三十万トンでございますが、五十一年度で調達した麦の在庫繰り越しでございます。したがいまして、平均仕入れ価格を見る場合には、必ずしも本年度価格推移だけでは判断できないという問題がございまして、その辺の基礎その他はいろいろ見方があることも否定いたしませんが、実は私ども計算する場合においては、その点損益計算の場合においてはそういう問題があるということを一つ申し上げたいと思うわけでございます。  むずかしい問題でございますが、今後の損益をどう見るかという問題でございますが、たとえば端的に述べさせていただきますと、輸出価格、したがって食糧庁買い付け価格に影響いたします相場、これはシカゴ相場動向を見ますと、年初はブッシェル二ドル六十セントぐらいでございまして、それが逐月下がりまして、八月は二ドル十セント程度というふうに底値圏におりましたが、最近におきましては、アメリカの農業政策のてこ入れとかソ連の計画を下回る減産とかございまして、十一月現在ではブッシェル二ドル八十セント、年内最高価格を出しております。したがいまして、価格関係自体が、これは国際相場が即食糧庁買い付け価格に反映いたしますので、その点の見通しを幾ばくか見るかということについては、現時点では申し上げることはなかなかむずかしいという御事情を御推察願いたいと思います。
  13. 武部文

    武部委員 損益計算上八十万トンというのが確かに出てきますね。それはわかります。しかし現実に八十万トンは安く買っていることだけは間違いない。だから、損益計算上の数字にあらわれるときにはそれは次の繰り越しになるでしょう、前のが入ってきて、今度買ったのは後に、次年度に行くわけですから。だから、そういう相場計算をすれば、確かに金額は減ってくるでしょう。それもわかります。説明を受けました。  ただ、問題は、国際相場動向というものをずっとわれわれ素人なりに見ておっても、そう大きくはね返って暴騰するようなことはあるまい、ずっと長い経過を見ておると、徐々に下がってきておりますね。去年もああいうことになったわけですから、去年一年間で見込み違いがあれだけ出ておるというような相場をずっと見ておってもそうだし、これからもそう逆にこれが暴騰するというようなことは考えられないとわれわれは思うけれども、これは相場のことですから何とも言えないと思うのです。ただ、問題は、そういう黒字が相当多く出てきたことだけは間違いないですね。ですから、その点でこれをどうするかということについて、われわれは、少なくとも差益として出てきたのだから、食管会計黒字として出てきたのだから、これを何らかの形で物価に反映させることが必要じゃ、ないかと思っておるわけです。  そこでお伺いいたしたいのは、麦の売り渡し価格を例年決めておる米価審議会はいつごろ開かれる見通しなのか、これをお聞きしたいのです。
  14. 大河原太一郎

    大河原政府委員 御案内のとおり、食管法におきます麦の売り渡し価格は毎年これを決めることになっておりまして、麦価のことでございますので当然米価審議会諮問いたしますが、われわれとしては、実は昨年は、もう六月に麦の買い入れ価格を決めました際に売り渡し価格も同時に決めました。が、本年は国際価格動向その他万般の情勢がございますので、あらゆる要素の出尽くした段階、これは年内にやらなければいけないわけでございますが、出尽くした段階において米価審議会を開いて諮問をいたしたいと考えておるわけでございまして、まだ確たる日取り等については決めてはおらないわけでございます。
  15. 武部文

    武部委員 生産者価格値上げをしたときに、売り渡し価格も当然上げなければならぬというような意味のことをあなた方はいままでにおっしゃっておりますね。麦の生産者価格をお上げになったときに、当然売り渡し価格も上げなければならぬ、特に米とのつり合いから売り渡し麦価は上げなければならぬ、そういう一貫した態度で今日まで来ておられることは間違いない。しかし、いまやりとりしておりますように、数字は違うけれども食管会計の中に麦の会計では莫大な黒字が出てきたということになってくるならば、当然それは麦価売り渡し価格諮問の際に考慮され生かされていくものだというふうにわれわれは思っておるわけですが、どうですか。
  16. 大河原太一郎

    大河原政府委員 お話しの麦の売り渡し価格については、食糧管理法なりその関係政令等におきまして、家計と申しますか可処分所得の伸びの範囲内で、外麦コスト価格、内麦のコスト価格米価との関係、バランスというものを考慮して定めろということに相なっております。したがいまして、外麦コスト価格自体一つ要素であることは間違いないわけでございますが、そのほか、先生のただいまの御質疑の中のお言葉にもございましたように、米との関係消費者米価との関係というようなものも大きな要素でございまして、現在はむしろ食糧なり農政視点からはその関係是正というような問題が強く論議をされ、われわれもそれは一つの大きな要素として考えるべきものであるというふうに考えております。
  17. 武部文

    武部委員 農林省のいろいろな発表を聞いておると、この黒字差益還元をしなければならぬ。農林省は別に米と麦だけのことじゃないわけですから、畜産もあるわけですし、いま牛肉の問題が大変問題になって、農林省に対する非常に厳しい批判が上がっておるわけですが、そういうようなこともいろいろ考慮をして、この麦価黒字というものは十分生かさなければならぬ。したがって、米価審議会には据え置き、われわれはむしろ下げろということを主張したいわけですけれども、下げるかあるいは据え置きか、そういう意向が現在農林省にあるというふうに理解していいのですか。
  18. 大河原太一郎

    大河原政府委員 お答え申し上げます。  外麦コスト価格低下、すなわちその結果としての利益の発生ということは一つの大きな要素でございまして、消費者への利益還元という問題も一つの大きな政策的要請であることは否定いたしませんが、一方におきましては、先ほども申し上げましたように、構造的な米の需給ギャップ、米の需要の確保、拡大という視点から、麦価を米との関係において大幅に引き上げるべしとか、あるいは麦の輸入を削減すべしとかというようないろいろの強い政策的要請もございますので、諸般のそれらの諸要素を総合勘案いたしまして結論を出すべきものであるというふうに考えておりますが、現在は先生お話のようにすでに一つ結論を出しているというわけではございませんでして、できるだけあらゆる要素を加味して最終判断をいたすべきものというふうに考えております。
  19. 武部文

    武部委員 そういたしますと、米審をこれだけ延ばしておるという理由は、現在の円の行方やあるいは国際相場動向等を見守って、一体どういうことになるのかというようなことを慎重に考えておるので米審への諮問は延びておるのだ、こういうふうに理解するのですか。
  20. 大河原太一郎

    大河原政府委員 その要素ももちろんでございますが、一方では米価麦価との関係、このあり方、基本的主食としての二つの麦製品と米との価格関係というものはどうあるべきか、これは、麦製品価格消費者米価に比べて相対的に割り安になっておる、したがってこの関係是正しろというような農政上の議論でございますが、そういうものについての一つの大きな要素として検討しなければなりませんので、それらも含めて現在諸要素について検討をしておるというのがありのままの姿でございます。
  21. 武部文

    武部委員 いま農林省は米の余剰について大変苦慮をしておる、来年はまた非常に大幅な減反政策をやるというようなことが言われ、相当問題になっておりますね。確かに麦の値段を決めるときには米の値段というものが非常に大きな要素になるということは、これは間違いない事実だろうと思うのです。  問題は、うまい米を安く消費者に売る、そういうことによって消費拡大をするとわれわれは思うのです。うまい米を安く売ってこそ消費拡大するのであって、九・八%も消費者米価を上げて家計にしわ寄せをするようなことをすれば、国民米離れということを促進する以外にないんだ、これはわれわれがいままで何遍も主張してきたところです。麦をどんどん輸入しておって、米が余る、米が余ると言うのは筋違いじゃないか、そういう意見も、これは当然出てくるだろうと思うのですね。そういう中で、確かに米と関係をして麦の値段を決めなければならぬということはよくわかりますけれども現実には米の問題については、いま言ったように価格の問題だってわれわれとしては納得できない価格体系です。それは食管会計の二重米価方式というものを徐々になし崩しにあなた方はやってきたということについても、この間ここでいろいろと意見を述べたところです。いまここでそういうことをやっておったってしようがないのですから、それはそれとしまして、米が余った、だから今度は何か聞くところによると十万トンの米を粉にして小麦の中に入れて消費拡大するのだ、こういうことを農林省考えた。それで今度は、そんなことになれば、高い米が粉になって麦にやってくれば、まずくなるしそしてコストは高くなるし、こういうことは当然起きてきますね。そういうことをやって混乱を巻き起こすようなことではなしに、小麦輸入量というものは米の完全消費と見合わせて決定すべきである。小麦輸入量というものは、米を完全に消費するかどうか、そういうことに見合って、それならば何百万トン輸入しましょう、このようなら話がわかるが、大体いつも同じようにどんどん輸入しておる。こっちの方では余ってくる。余った米をどうするかと言って大騒ぎをする。こういうやり方は全く本末転倒じゃないか、国民の側からはそう見るのは私は当然だと思うのです。この点はどうお考えでしょう。
  22. 大河原太一郎

    大河原政府委員 いろいろ先生の御質疑の中には論点があり、お答えすべき点があるかと思いますけれども最終外麦輸入量と米の需要関係でございますが、これははっきり申し上げますと、われわれの需給計画といたしましては、大体麦製品も原麦に換算いたしますと一人当たり消費量はこの十年間三十一キロでほぼ横ばいでございます。人口増分だけを輸入しておるという点でございまして、この点では米の過剰をもたらすような外麦輸入は、当然のことでございますが行っておらないわけでございます。  さて、この外麦輸入をある程度カットして米を余らせないようにすべしというような議論がございますが、これについては、麦製品国民の食生活に定着しております。したがいまして、これを相当量削減いたしますれば、端的に申し上げますと品がすれなりあるいは価格の騰貴というようなことで、そういう問題に対応するためには、昭和二十年代のような麦を配給制に戻すというような、これは極端な言い方でございますが、そういうような事態でございますので、われわれとしては頭からの相当量の削減は困難であろう。逆に、先生はその点について問題があると御指摘がございましたが、粉食形態が定着している今日、米を粉として小麦粉と小麦製品に混入していくことができないか、またその限度はどうかとか、食味やコストはどうかということで、現在この施策を検討し進めておるところでございます。
  23. 武部文

    武部委員 これは論争になりますからこれ以上のことをいたしませんが、われわれ素人側で考えてみても、麦の中に米を粉にして入れていけば、片一方は高いのですから、それを理由にして値上げすることは、だれだって、業者ですから完全にこれは考える、いまからそういうことになるだろうと推定できます。そういうふうに米を粉にして麦に十万トン入れていくというようなことになってくれば、まずいパンができたりうどんができたりするし、同時に、今度はそれを理由にして値段が上がるし、そういうことは当然目に見えておるので、これについては私は異論を持っておるのですが、それはそれとして、いまやりとりいたしましたように、金額の点においては相当開きがあります。出てくる金額においては。しかし、そのものが間違いなく大幅な黒字であることも間違いない。だとするならばそれを今度の諮問の中に当然に生かして、われわれは下げてもいいと思っておるのですが、そういうものを当然考慮して米価審議会売り渡し麦価の点についての諮問要素にするということは、先ほどお答えになったのでそれはわかりました。  そこで申し合わせの時間が来ましたから、経済企画庁長官にお尋ねをいたしますが、ここで何回かやりとりしたときに、この麦のことをあなたに申し上げました。麦の問題については米価審議会諮問をされるときにそれを生かしたいということを考えておるというふうにおっしゃったわけですが、いまここでやりとりして、八百億、九百億、千億、それぞれ金額には若干の開きはございますが、円のレートが非常に高くなってくることも間違いないし、国際相場はそう動かぬということになれば、黒字はふえる一方です。そういう問題についてどういうふうにお考えでしょうか、最後にお伺いしておきたいと思います。
  24. 倉成正

    ○倉成国務大臣 ただいま食糧庁長官からお答えしましたように、消費者麦価につきましては、食管法並びに食管法の施行令に基づきまして、家計麦価の範囲内で輸入麦のコスト価格、国内麦の価格、また消費者米価との関係その他の経済事情を勘案して決める、こういうことになっているわけでありまして、その中で、食糧庁長官が申しましたように、米価との関係、特に米が生産過剰でことしは百七十万トンの生産調整をやらなければならぬというような事情がやはり一番大きく麦価を決める場合に響くのじゃなかろうかと実は率直に思っております。  ただ、私の立場からいたしますと、単年ごとで黒字が出たり赤字が出たりするのを考えるのはいかがかとは思いますけれども、しかし、いずれにしても、この麦の会計に相当な黒字が出てくる、そうすると、民間に対しては、いろいろこれを消費者に還元せよということを主張しているわけでありますから、素朴な国民の感情として何とかこれを価格に反映してほしいという気持ちを持つのは当然だと思いますので、そういう国民感情を踏まえてひとつ対処していただきたいということを農林大臣にもお願いをいたしているところでございます。具体的にどういうふうに決着をつけるかということは、これは最終的には農林大臣がお決めいただくことでありますけれども、やはり国民にわかりやすく説明のつくような処置が望ましい、そう思っております。
  25. 武部文

    武部委員 申し合わせの時間が来ましたので、これで終わりたいと思います。
  26. 西宮弘

    西宮委員長 武部文君の質疑は終了いたしました。  次は、中村茂君。
  27. 中村茂

    ○中村(茂)委員 私からは牛乳の問題について質問申し上げたいと思いますが、まず農林省関係から質問をいたします。  最初に、五十一年度の牛乳の生産量とその利用の内訳について、時間がございませんから、私の方で調査してある内容をまず申し上げてみたいというふうに思うのですが、生牛乳の生産量は五十一年度五百二十六万五千七百トン、その内訳は、飲用牛乳向けが三百三十一万六千七百トン、六三%、乳製品向けが百八十三万二千二百トン、三五%、その他十一万六千八百トン、二%、五十一年度はそういう生産量だというふうに把握しているのですが、それでいいですか。
  28. 中島圭一

    ○中島説明員 ただいま先生から御指摘のありました生乳生産量とその内訳につきましては、たしか先生の御指摘数字は暦年の数字だと思います。暦年の数字としてはそのとおりでございます。  私ども五十一年度会計年度で把握している数字では、生乳生産は五百三十七万トン、このうち飲用牛乳等に向けられる量が三百三十六万トン、乳製品向けに仕向けられる量が約百九十万トン、その他仕向け量、これは酪農家の自家消費でございますが、十二万トンという状況でございます。  内訳は、飲用牛乳等の仕向け量が六二・五%、乳製品仕向け量が三五・三%、その他自家消費用の仕向け量が二・二%ということでございます。
  29. 中村茂

    ○中村(茂)委員 そこで、牛乳価格の決定方法でございますが、まず、五十二年度の加工原料乳価格について御説明いただきたいというふうに思うのです。
  30. 中島圭一

    ○中島説明員 五十二年度の加工原料乳保証価格につきましては、現在略称で不足払い法と申しておりますが、不足払い法に基づきまして、本年三月末に決定いたしたところでございますが、保証価格につきましては、主要な加工原料乳地帯における生乳の再生産の確保を旨として定めるということになっておりまして、この地帯におきます牛乳の生産費をもとにいたしまして計算いたしました。五十二年度の保証価格は一キログラム当たり八十八円八十七銭ということで決定したところでございます。
  31. 中村茂

    ○中村(茂)委員 もう少し細かく説明いただきたいというふうに思うのですが、基準取引価格、メーカー価格というふうに言っているのは、どのくらいになるのですか。
  32. 中島圭一

    ○中島説明員 メーカーの支払い可能乳代として算定されます基準取引価格につきましては、五十二年度は一キログラム当たり六十四円二十九銭ということで決定をしたところでございます。この基準取引価格と、酪農家の再生産を補償するような水準でございます保証価格との差額を不足払いとして交付しておるところでございます。
  33. 中村茂

    ○中村(茂)委員 補給金の限度数量か百五十八万トンだと思うのですが、そうすると、先ほどの差額の国庫の補給金が二十四円五十八銭ですから、国庫の総支出は三百八十一億円になるのですか。
  34. 中島圭一

    ○中島説明員 御指摘のとおりでございます。
  35. 中村茂

    ○中村(茂)委員 それから、飲用向けについて、いま価格はどういうふうになっていますか。
  36. 中島圭一

    ○中島説明員 飲用向けの生乳につきましては、従来からこれは生産者の団体と乳業メーカーとの間で自主的な交渉によってこれを決定するということになっておるわけでございます。  その考え方といたしましては、加工原料乳につきましては、生乳の取引面で飲用向けと比較いたしますと相対的に不利な条件があるということがあるわけでございます。すなわち、加工原料乳地帯、これは北海道、東北等の地帯でございますが、このような地帯は大都市圏からも非常に離れておりまして、マーケット上の不利がございます。それから沿革的に生乳の取引面で価格も安いというようなことがございまして、このままでは、今後発展が期待されます。わが国の主要な酪農地帯でございますところの主要な加工原料乳地帯における生乳の再生産が困難になるというようなこともございまして、四十年に不足払い法を制定いたしまして、これに対しては不足払いを行うということになったわけでございますが、飲用向け生乳につきましてはそのような市場面あるいは取引面におきます不利な条件もないというようなことから、これは需給の事情とか消費動向に応じまして、当事者間の自主的な交渉によって決定するという仕組みがとられております。現在これは地域によりまして飲用向け生乳価格はかなり違うわけでございますが、関東地域の標準で申し上げますと、現在は生乳一キログラム当たり百十二円五十銭、これに本年の九月に飲用向け乳価の交渉が行われまして、暫定的な措置といたしまして、四カ月間一円九十五銭を、これは卸売価格の改定を伴いませんで生産者に支払うという合意がされております。ですから、その四カ月間におきましては、百十二円五十銭に一円九十五銭が上乗せされて支払われるという形になっております。
  37. 中村茂

    ○中村(茂)委員 私の調査でいきますと、飲用牛乳の価格が一キロ当たり百十四円四十五銭、この中にはいま話がありました暫定価格の一円九十五銭が含まれた価格でありますけれども、それが、メーカーの販売卸価格が大体百七十六円四十銭、それから販売店の小売価格が二百二十円から二百三十円、こういうふうに把握しているのですが、大体そういう傾向ですか。
  38. 中島圭一

    ○中島説明員 メーカーの卸売価格及び小売段階の末端価格につきましては、これは個別のケースによって異なるわけでございますが、大体標準的なところは御指摘のとおりであります。
  39. 中村茂

    ○中村(茂)委員 そこで、先ほどもちょっとお話がありました、飲用牛乳について紛争があって、多分一週間ほどもめたと思うのですけれども、それで一円九十五銭の値上げになった。それは確かに卸とか小売の方には波及しておりませんけれども、暫定でございますから、十月から一月まで暫定的に決まった。今後どういうふうになるのか、その傾向についてどういうふうに把握をしておられますか。
  40. 中島圭一

    ○中島説明員 さきに行われました乳価交渉におきまして、生産者団体は当初生乳一キログラム当たり十五円程度値上げをメーカーに要求したわけでございます。メーカーとの話し合いはなかなか難航をいたしまして、八月に入りまして、生産者側は本格的な乳価の改定までの間の暫定的な措置ということに要求をしぼったわけですが、この交渉もうまく進展しませんで、御指摘のとおり、九月の十六日から生産者団体は、特定メーカーを中心にいたしまして生乳の出荷停止という措置をとったところでございますが、その間農林省といたしましても、当事者の話し合いができる限り円滑に進むようにいろいろと努力をしたわけでございます。特に出荷ストップという事態を迎えまして、双方からの事情聴取、あるいは双方話し合いのテーブルに着くようにあっせん等も行いました。その結果、ただいまお話のありました四カ月間一円九十五銭ということで支払うというような話し合いがついたわけでございますが、この期間以降の取り扱いにつきましては、当事者間におきまして今後誠意をもって話し合うということに合意を見た。今後は、生産者、乳業メーカー双方の話し合いによってその期間以降の額が決められることになった次第でございます。
  41. 中村茂

    ○中村(茂)委員 いまお話にありました、そのときに農林省のあっせんで五項目、それから生産者と乳業者との合意点、こういうものをそれぞれ合意し合って一応先ほどのような暫定的な決定になった、こういうふうに把握しているのですが、その三項目目に、「双方は、牛乳の不当廉売の防止、牛乳の消費拡大等について積極的に協力する。」こういうふうにあるわけですけれども農林省としてはこの廉売問題についてどういうふうに把握しておりますか。
  42. 中島圭一

    ○中島説明員 近年スーパー等の著しい進出に伴いまして、牛乳を目玉商品といいますかそういう形で使われるようなケースがふえてまいりました。かつては牛乳の販売は、主として牛乳専売店を中心にいたしまして消費者に供給されておったのであります。この家庭配達のウエートが次第に低下してきているわけでございます。この問題につきましては、農林省といたしまして、わが国におきます飲用牛乳の消費と申しますのはまだ天候等によりまして相当消費量に変動があります。非常に暖かい暑い天候のいい日が続きますと消費が非常に伸びるわけでありますが、雨の日が続くというようなことになると消費ががた落ちになるというような傾向がございます。家庭配達方式というのは、月決めで、雨の日でも風の日でも販売するというような形でございまして、消費の安定拡大というような点において非常に意味の大きいものであるというふうに考えております。牛乳小売店の経営が現在かなり苦しい状況にあります。これに対しまして、われわれといたしましても、流通形態の大きな変化というような中で牛乳販売店というものが成り立っていきますように、牛乳販売店の仕入れ、保管、配送等の共同化、協業化、あるいは牛乳の隔日配達制の採用とか、牛乳以外の他品目の販売等を含めました経営の協業化、合理化、近代化を、国の助成もいたしまして進めているところでございますが、量販店におきまして不当廉売のような形のものが非常に広範に行われるということになりますと、牛乳販売店の努力もおのずから限度がございまして、非常に問題を生ずるわけでございます。不当廉売という形はわれわれといたしましても好ましくないというふうに考えております。
  43. 中村茂

    ○中村(茂)委員 公正取引委員会にお聞きしますが、いまの不当廉売に関係してどういうふうに現在の状況を把握しているか。私のところにも広告で、千cc百円、こういうのが何枚かあるわけですけれども先ほどもいろいろお聞きしてまいりましたように、若干は違いますが、百七十六円四十銭というようなメーカーから販売店への卸価格、それが百円ということになれば、もう仕入れ原価を割っているわけであります。こういうのが目玉とかまたはおとりという名前でスーパーにどんどん出てきている。こういう状況でございますが、公取としての見解を明らかにしていただきたい、こう思います。
  44. 橋口收

    ○橋口政府委員 牛乳の問題につきましては、公正取引委員会といたしましても頭を痛めておるわけでございまして、極端な表現をいたしますと、一日に一回公取にかかってまいります電話は、牛乳の不当廉売を取り締まってほしい、こういう電話でございまして、審査部で係を設けて対処いたしておるわけでございますが、ことしの四月から九月までに日頭で警告をいたしました件数が百八十一件でございますから、大体一日に一回は口頭で警告をいたしておるわけでございまして、大型スーパー店におけるおとり販売あるいは不当廉売等につきましては、申告に基づきまして是正の措置を命じておりますし、さらに反復することのないように警告をいたしておるわけでございます。こういう措置は今後とも厳正にやってまいりたいと思いますが、先ほど来の質疑にございましたように、基本的には、牛乳の需給のバランスが崩れている、それから販売形態、消費形態に変更があるということであろうと思いますので、不当な廉売等につきましては従来以上に指導いたしてまいりたいと思いますが、そういう基本的な点も踏まえて農林省においての善処ということもお願いいたしたいというふうに思っておるわけでございます。
  45. 中村茂

    ○中村(茂)委員 需給バランスが崩れているというふうに言われるのですが、私が調査してみますと、飲用牛乳というのはほとんど以前は家庭配達が多かった。九〇%くらいはほとんど家庭配達になっていた。しかし、最近は、スーパー等の売り出し、こういうことによって家庭配達は五四%程度、スーパーが三〇%から三五%、生協関係が五%程度、以下その他。まあ九〇%家庭配達でやられていたのが、今度店頭で売って持ち帰る、または駅で飲む、そういうふうに需給バランスが相当変わってきた。そのスーパーの三〇%というものが、先ほどの千cc百円というのは本当に仕入れ原価を割ったようなひどいものですけれども、しかし、全体的にもスーパーで売り出している価格については仕入れ価格すれすれのところでやっているところが多いのです。その集計したものが私のところにあるのですけれども、ずっと見ていきましても、百七十八円、百八十三円、百七十七円。まあ百七十円から百八十円。先ほど申し上げましたように、仕入れそのものも大体こういう値段ということになっていくと、バランスは変わってきていますけれども価格をどういうふうに決定していくかという点についても、相当あらゆる角度から検討していかなければいけない時期に来ているのではないか、こういうふうに思うのです。その点について後ほどお聞きしたいと思いますが、若干保留して、もう少し不当廉売の問題について公正取引委員会からお聞きしたいと思うのです。  牛乳関連のそれぞれの業者、団体から公正取引委員会に、この廉売の問題について不公正な取引方法の指定をしてもらいたいという要請が幾つかいっていると思いますが、そういう要請に基づく措置はいまどのように進んでいるのですか。
  46. 橋口收

    ○橋口政府委員 牛乳の団体の方から御要望がございましたのは三点であろうと思いますが、第一点は、不当廉売について従来取り締まりいたしておりますのを従来どおり続けてほしいというのが第一点でございます。第二点は、いまお話がございましたような大型スーパー店等におきますおとり広告における不当表示について基準を示してほしい、つまり適正な表示を行うようにすべきであるというのが第二点でございます。それから第三点は、いまお話がございました不公正取引方法としていわゆる特殊指定をしてほしい。この三点でございまして、第一点につきましては、先ほどお答えいたしましたように従来から指導もいたしておりますし、今後も強化いたしてまいりたいと思っております。それから第二点の表示の問題でございますが、この点につきましてもいろいろ検討を進めておるわけでございまして、さらに資料を整備し、実態を調査して必要な措置はとってまいりたいというふうに考えております。それから第三点のいわゆる特殊指定でございますが、これにつきましても検討を進めておるわけでございますが、ただ、特殊指定ということになりますと、要件の限定なり確定ということが必要になってまいります。つまり、どういう場合は不正公な取引であるかということをはっきり決める必要がございます。そのためにはやはりもう少し実態の調査も必要でございますので、さらにその点につきましては、第二点と同じような趣旨で現在調査を進めておるところでございます。  さらに詳細は、取引部長が来ておりますから取引部長から御説明を申し上げさせたいと思います。
  47. 長谷川古

    ○長谷川政府委員 お答えいたします。  不公正な取引方法につきましての特殊指定につきましては、まだ具体的に条文がどうこうというところまでについての検討に入っておりません。むしろ、実態につきまして調査を始めておる、一方では、業界につきましての実態の調査を始めると同時に、消費者モニターその他を通じまして消費者側の意見もいま調査しつつあるところでございます。今後はその調査の結果を待ちまして、関係業界あるいは消費者団体と十分に打ち合わせた上で、どのようなものが不公正な取引方法かということを決めてまいりたいと思っております。
  48. 中村茂

    ○中村(茂)委員 独禁法の二条に、私が申し上げるまでもなく、「公正取引委員会が指定するもの」とあり、それが十九条に関連して「不公正な取引方法」ということですでに昭和二十八年の九月一日に告示十一号が出ているわけでありますが、その中でも十分取り締まることができるのかどうか、この指定をもう少し改正しようとするのか、そこら辺のところはどういうふうになっていますか。
  49. 長谷川古

    ○長谷川政府委員 先生の御指摘になりましたその二十八年の告示第十一号、われわれ一般指定と呼んでおりますけれども、それによりましても取り締まることは可能でございます。しかしながら、その一般指定の表現はきわめて漠然としております。したがいまして、個々のケースに現実に適用しようということになりますと、規定の仕方が抽象的でございますので、実際的にはなかなかむずかしい場合がある。したがいまして、的確に取り締まるためには特殊指定という形で明確にした方がいいわけでございますが、一方では、明確にするということになりますと、一体どの線からぐらいが不当な誘引とみなされるのか、あるいはどの程度からは不公正な、公正な競争を阻害するとみなされるのか、技術的にはなかなかむずかしい問題がございまして、これは実態に即して検討しなければならない問題だと思っております。
  50. 中村茂

    ○中村(茂)委員 いま検討中という話ですけれども、一応検討の案はおありなんでしょう。
  51. 長谷川古

    ○長谷川政府委員 お答えいたします。  ただいま御説明いたしましたように、いま具体的な案を持っておりません。むしろ実態から考えていくべきだと考えております。
  52. 中村茂

    ○中村(茂)委員 仕入れ原価に手数料的なものを六%、それから不当廉売が起きたその原価の計算は、三カ月前にさかのぼって三カ月の平均、こういうことは皆さんの方の一応原案というか考え方なんでしょうか。
  53. 長谷川古

    ○長谷川政府委員 お答えいたします。  確かに、昭和四十八年でございましたか、そのような——これは牛乳に限らず一般商品につきまして小売業における不公正な取引方法としてそのような案を考えたことはございます。そしてその案に基づきまして五回にわたりまして各地で公聴会を行いました。その結果、残念ながら非常に反対意見が多かった。特に消費者団体、学者、学識経験者の方々からの御批判が多かったので、もう一度根本的に考え直さなくてはならないものと考えております。
  54. 中村茂

    ○中村(茂)委員 すると、もうこれはいま全く白紙に戻ってしまっている、こういうふうに理解していいのですね。そしていま考えているのは、本当に白紙の中からいろいろ意見を聞いて、いま申し上げたような点をどういうふうに明確にしていったらいいかということで検討中だ、こういうふうに理解していいですね。
  55. 長谷川古

    ○長谷川政府委員 おっしゃるとおりでございます。特に、その前に、いま申し上げましたように、まず実態をよく把握する、前回の経緯にかんがみまして、消費者団体あるいは学識経験者の御意見も十分よく聞いた上で具体的な案を考えたいと思っております。
  56. 中村茂

    ○中村(茂)委員 四十八年のこれについて相当問題があると私は思うのですよ。先ほども申し上げましたように、六%ということになると、すでにスーパー等で売られているのが大体入ってしまう。そうかといって、そういうものを決めれば、消費者の面から見るとやはり六%より絶対に安くならないということになるのかという意見も出てくるでしょうし、ここら辺をどう持っていくかということは、学者等を含めた意見を相当聞いた中で方向を出していかなければ大変なことになるのじゃないか。こういう意味で、十分多くの意見を結集して、一応の方向を出して、一日も早く特殊指定をしていただきたい、こういうふうに思うわけであります。  次に、いままで、ずっと質問を申し上げてまいりましたように、一口に言えば、加工原料乳については法律に基づいて政府の金も相当出して決定する、飲用牛乳の方は自由。歴史的な経過があるでしょうけれども、私ちょっと調べてみたところ、加工牛乳は相当な金を政府が出しているのですね。先ほど言いました国庫補助の金が補給金として三百八十一億円、乳質改善奨励金として一キログラム当たり一円七十五銭で総額二十七億円、五十一年度限度数量オーバー分として十五万トン分三十八億円、合計四百四十六億円出して何とか維持してきている。それから経営改善資金として四百億円の融資枠。飲用の方は自由。自由もいいでしょう。しかし、先ほど申し上げましたように、廉売の問題が出てくる、需給のバランスが相当変わってくる。それから決定の際にも、ことしありましたように一週間程度の紛争が起きて、しかも、その内容は四カ月というようなほんの暫定的なものだった。では一月からどうなるだろう。一月からということになれば、もう小売または消費者の方へ波及するような大幅な値上げに恐らくなるのではないかという不安も出てくる。ですから、この際、加工牛乳のようなわけにはいかないと思いますけれども価格を決定していく何かうまいルールを決めて、そういうルールに基づいて、生産者の皆さん、メーカー、小売、消費者、こういうものの意見が十分反映できる中で決めていくような新しい価格決定のルールというものが考えられないものだろうか、こういうふうに思うのです。また先ほど、生産者、業界を含めて努力するというふうにもなっているわけでありますから、その点について農林省はどういうようにいまお考えなんでしょうか。
  57. 中島圭一

    ○中島説明員 飲用向け乳価のルール化の問題でございますが、われわれといたしましても飲用向けの乳価が円滑に決まるということはもとより望ましいことであると考えているところでございまして、農林省といたしましてもこのルール化の問題について部内で種々研究を行ってきたわけでございますが、率直に申し上げまして、国がこの種の価格に介入するということについてはいろいろとむずかしい問題があるわけでございます。たとえば、この飲用乳価の決定に当たりまして国が指導価格あるいはガイドラインというようなものを設定することも考えられるわけでございますが、この問題につきましては、国が行政指導としてこういうものを行いますと、独禁法との関係価格カルテルの指導に当たるというようなことで、実はこの点については公正取引委員会からも昭和四十九年に、行政指導価格を出すことは価格カルテルの存在意義を認定せざるを得ないというような御注意をいただいておることもありますし、また昭和四十二年の国民生活審議会の消費者保護部会におきまして、飲用乳価に国が介入することを避けるべきであるという要望もいただいておるというようなこともありまして、行政指導として行うことは非常に困難な問題もあります。  したがいまして、これを行うといたしますと、何らかの立法措置が必要になるわけでありますが、この立法措置についてもいろいろとむずかしい問題がございます。たとえば、現在国が標準価格を設定できるという法律といたしまして、国民生活安定緊急措置法とか石油業法におきます石油等の例があるわけでありますが、国民生活安定緊急措置法におきましては、国民生活に関連する重要な物資で価格が高騰したりあるいは高騰するおそれがある、国民生活に重要な影響があるというようなときに設定できるということになっております。また、石油業法に基づく石油につきましては、基礎的なエネルギーについて国家的管理を必要とするという考え方から、石油精製業の許可制とか石油輸入業の届け出制というような厳重な規制がございます。その上に立ちまして、価格が暴落したりあるいは暴騰したりというようなときに標準価格の設定ができるということになっておるわけでございますが、牛乳の場合にはこのような場合と少し事情が異なります。  また、単純に指導価格ないしガイドラインというようなものを法律で設定するといたしましても、牛乳は本来自由流通商品でございますので、流通過程におきましてこれが果たして実効性があるのかどうかというような問題もありまして、いろいろと問題があると思います。  われわれといたしましても、問題が問題でございますので、今後とも関係者の御意見も十分聞きながら研究を続けてまいりたいと考えておるわけでございます。
  58. 中村茂

    ○中村(茂)委員 いまの点について公正取引委員会はどういうふうにお考えですか。
  59. 野上正人

    ○野上政府委員 価格カルテルを行う場合にはやはり立法措置が必要ではないかと存じております。
  60. 中村茂

    ○中村(茂)委員 大臣、ずっとお聞きになっていて、私、不当廉売に絡む問題と、乳価の決定方法について特に飲用牛乳の問題と、問題を二つ提起したのですけれども、御存じのように、一週間程度牛乳を捨てるというような問題も起きて、また、それも暫定でありますから二月からどうなるかという、非常に決定の方法が乱れてきておる。多岐にわたって研究しているということでありますけれどもなかなか名案が出てこない、こういう状況の中で、この乳価のいま提起した二つの問題について、お考え、御感想をひとつ。
  61. 倉成正

    ○倉成国務大臣 この不足払い制度をつくりますときに、ちょうど私は自民党の酪農特別委員長で、これに関与したわけです。このときのわれわれの考え方は、実は飲用乳については何とか生産費を賄うだけの価格形成ができておる、したがって今後酪農を伸ばすためには加工原料乳について助成をする必要があるという考え方に立ったわけでございます。それで、当時から飲用乳についても何か考えたらどうかという考え方もあったわけでございますけれども、やはり国民食糧の中で米とは大分ウエートが違う。それから地域によって、また世代によって消費に非常にばらつきがあるという問題もございますし、また同時に、飲用乳の価格形成が、加工原料乳と違って流通形態が、先ほどお話しのように、各戸に配達するのが大分スーパーで買うのが多くなったという変化はございますけれども、しかし、流通形態が非常にばらばらでございますし、また、いろいろこれが各地で各消費家庭に配達する場合でも、地域が非常に入り込んでおりまして、なかなか合理的な配達形態になってないとか、いろいろな問題がありまして、飲用乳について不足払いするということは、財政上の問題もありまして非常に困難ではないかということを当時も考えましたし、現在でもやはりそういう感じを持っておるわけでございます。  ただ、御指摘のように、毎年のように飲用乳の価格についてメーカーと生産者との間にトラブルが起こる、これは非常に好ましくない現象でありますから、当事者の間でやはりこういうトラブルが起こらないようなルールというと非常にむずかしいかもしれませんけれども、やはりそういう慣行が確立できると非常に望ましいことではないかというふうに思っております。  それから不当廉売の問題については、生産から消費に至る過程の合理化という面でコストを安くすることができる面が一面においてあると思いますけれども、しかし、コストを割って目玉商品的に牛乳を不当に低い価格で売る、これが他の関係者に大変な遂惑を与えるということは、これは公取にお願いをいたしまして、やはり不公正な取引として取り締まっていただくというのが一番適切じゃなかろうかと思っておる次第でございます。
  62. 中村茂

    ○中村(茂)委員 終わります。
  63. 西宮弘

    西宮委員長 中村茂君の質疑は終了いたしました。  次は、佐藤観樹君。
  64. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 私は、きょう、五月に質問しました段ボール原紙及び段ボールのメーカー、この間の問題について、いまカルテルが結ばれているわけでありますけれども、そのカルテル前後の問題についてお伺いをしたいと思うのであります。  まず公取委員長にお伺いをしたいのでありますけれども、新しく橋口さんがなられて、各新聞やあるいは記者会見で、経済状況は御存じのとおりで大変な不況下でありますので、それに見合ってということは正しい表現かどうかわかりませんけれども、カルテル認可についてもなるべく早く行政的に片づけたい等というような発言も耳にしているわけでありますけれども、まず基本的に、いまの経済状況の中でカルテルを結ぶときにきわめて柔軟にとおっしゃるけれども、その際にはある程度やみカルテルと思われるようなものも目をつぶるということで柔軟ということではないと私は思うのですね。あるいはこういう時期だから一つの業界を何とか立ち行くようにしていこう、こういうだけの観点でも公取の仕事はできないと私は思うのであります。このあたり経済が強いときならば非常にやりいいかと思いますけれども、非常に経済状況が弱い状況でありますから、その意味では公取の裁きというのは商工行政とも絡んで非常にむずかしい時期にあるとは思うのでありますけれども委員長がよく発言をされている「柔軟に」、これはどういう中身を持っているのか、よもややみカルテル的なものを目をつぶったりあるいは業界の言いなりにカルテルを認可していく、こういうことでないと私は思いますし、あってはならぬと思うのでありますが、まずそのあたりからお伺いをしていきたいと思います。
  65. 橋口收

    ○橋口政府委員 去る九月に公正取引委員会委員長に就任をいたしましたが、大変むずかしい時期に重責を担ったという感じを持っておるわけでございまして、独占禁止政策なりあるいは公正競争政策というものは本来経済の基本的なルールを決めたものでございますから、経済が好況状態にあろうと不況状態にあろうと、あるいは高度成長期であろうと安定成長期であろうと、本来変わりのない性格のものであると思いますが、しかし、経済の不況状態なりあるいは停滞状態が今日のように長く継続いたしてまいりますと、やはり独禁政策を適用する場合に好適な環境かと申しますと、これは必ずしもそうとは言いにくいと思うわけでありまして、むしろ独禁政策の円満なあるいは円滑な遂行には不適当な環境であるというふうに考えております。したがいまして、いま先生の御質問の中にもございましたように、こういう経済情勢に即応して独禁政策の運営なりあるいは不況カルテルの認可等につきまして公取が柔軟な姿勢をとるのではないか、これは柔軟な姿勢とか緩和とかいうのは私は一度もそういうことを申し上げてはおらないわけでございますけれども、どうもマスコミの方でそういうような活字を多用するきらいがあるわけでございまして、基本的には、こういう経済情勢を踏まえて独禁政策の運営につきましては緩ならず厳ならず、緩急自在よろしきを得るというのが本来の姿ではないかと思っております。したがいまして、必要な不況カルテルにつきましては、要件に該当いたします場合には認可をいたしますが、しかし一方で、違法カルテルなりあるいはやみカルテルがあります場合にはこれは厳正な態度で取り締まる、こういう基本的な姿勢でおるわけでございまして、全体として独禁政策を転換するとかあるいは柔軟な姿勢で対処するということはないわけでございまして、改正独禁法が近く施行になるという情勢の変化ということも十分承知をいたしておりますから、そういう点で総合的な角度から独禁政策を運営してまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  66. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 大変限られた時間しかないものですから、もう少しそのことについてもお伺いしていきたいのでありますが、具体的な問題の中でひとつお考えをただしていきたいと思うのであります。  それで、段ボール原紙のカルテル申請が六月の二十日にされました。そして認可されたのが九月の二十日であります。ちょうどこの間公取の委員長も澤田さんから橋口さんにかわられたわけでありますけれども、その六月二十日のカルテル申請前に、公取は十日も前に段ボールのユーザーメーカーであるところの段ボール製造メーカーに、どういう状況だろうかという事情聴取をしているわけです。これは澤田委員長時代になるべく早く認可をするということで行われたのだと思うのでありますけれども、いずれにしろ、それだけ万全な措置をとっておきながら、六月の二十日にカルテルが申請になり、ちょうど三カ月日の九月の二十日に認可になった。この間三カ月という時間が経過をしているわけでありますけれども、どうも、ユーザーメーカーにはカルテル申請前から意見を聞く、事情を聞くということをやっておきながら、三カ月もかかったというのは一体どういう背景があったんだろうか、まずこの点についてお伺いしておきたいと思います。
  67. 妹尾明

    ○妹尾政府委員 段ボールの不況カルテルにつきましては、認可要件との関係でいろいろ判断にむずかしい点がございまして、端的に言いますと、そういう関係で通常の場合に比べまして時間がかかったということでございます。  なお、最終的に認可をいたしました不況カルテルは、当初のあれとは期間が変わっておりまして、これは処理がおくれたということに絡むわけでございますけれども、九月八日に最終的には現在認可されたカルテルが申請されたというかっこうになっております。
  68. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 ですから、それは判断がむずかしかったからおくれたと言うが、なぜ、どういう問題がむずかしかったかということですよ。
  69. 妹尾明

    ○妹尾政府委員 一番のあれは、これは御案内のように不況カルテルにつきましては、価格が平均生産費を下回る、こういう要件があるわけでございますが、これにつきまして、これも先生案内のとおりでございますが、本年の春ごろでございますか建て値が上がった、こういう状況がございまして、その辺との関係で実態を把握するのにいろいろむずかしい点があった、こういうことでございます。
  70. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 じゃ、その建て値の話からお伺いしておきますけれども、私も五月の半ば過ぎにここで質問をし、そのときすでに指摘をしておきましたけれども、四月一日から強引に原紙業界の方では上げてきた。それでは、その建て値について、一体、段ボール側の方では建て値が通っていたのか、公取としてはこの建て値が通っていたという判断に立っているのか。もう時間がありませんからそう多くを申し上げませんが、もしこれ、建て値が通っているのだったら、不況カルテルを申請する経済的な要件というのはなくなるだろうし、実際に手形をとって、実際の経済状況の中で手形が動いているということになれば、これは私は不況カルテルの要因はなくなると思うのです。どうも私の聞いた限りでは、大体三カ月くらいの決済が普通だと聞いておりますけれども、事業上八月になり九月の段階で仮価格とは言いながら手形が動いているということを聞いているわけですね。一体、皆さん方の調査ではこの建て値というものがどういう状況にあったのか。いま申しましたように、実際に段ボール業界に通っていて、実際の経済の動きとしてこの手形なりが動いていたというふうに判断をされているのかどうなのか、その点はいかがでございますか。
  71. 妹尾明

    ○妹尾政府委員 私ども調査しましたところでは、一部先生指摘のような点もあったようでございますけれども、業界全体といたしましては、実際実勢価格というものは建て値どおりになっていなかったということでございます。
  72. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 その割合は——割合と言ってもなかなかむずかしいかと思いますけれども、きのうの日経新聞の夕刊にも大きく出ましたように、あれだけ払い戻しを——払い戻しと言うのですか、仮価格になって、一度とった手形を返すというようなことが大きな問題になるくらい、四月一日なり五月一日から上げた仮価格と称するものが現実には不況カルテルの認可前に生きていたのではないか。生きていたから、きのうの日経新聞にも大きく出ているように、仮価格になったものをいま非常に需要が少ないので返さないといかぬというような状況になっていたのじゃないですか。つまり仮価格とは言うものの、実際にはこれがほとんどの場合に経済活動として動いていた、そういうことになるのじゃないですか。
  73. 妹尾明

    ○妹尾政府委員 私どもの調べでは、仮価格と実勢価格との間には乖離があった。それから、念のために申し上げますけれども、仮価格の問題は今回の場合だけではないようでございまして、昨年以来からそういうことがあったように聞いております。
  74. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 いま最後に言われましたけれども、そこが問題だと思うのは、この仮価格なんというものが生きているのは紙の業界だけなんですよ。ほかの業界で仮価格を決めて取引をするというのは私は寡聞にして聞いたことがない。しかもこの仮価格というのが、実際に手形の動きがあるという状況の中で今度の認可をしたということか——私は、この前五月の質問のときに申しましたように、いまの原紙メーカーと段ボール業界との状況を見たら、ある程度不況カルテルも原則的にやむを得ないと思うのです。両方経済が生きていくためには原則的にはやむを得ないと思うのです。ただし、ここで仮価格なるきわめておかしなものが生きていて、そしてその後に、認可される不況カルテルがその仮価格を維持するために使われるとか、あるいは不況カルテルによって仮価格というものが補強される、こういうのは公取の認可の状況としては好ましいことではないのではないだろうか。本来、仮価格といっても、これはどうも聞いたところでは紙の業界だけであり、しかも、常時こういったことがあったわけではなくて、この一年くらいに仮価格の制度——制度と言ってはおかしいけれども、仮価格というもので決済をするということが行われていたようなので、本来ならば、その仮価格というものを公取が調べたときに、あるものについては一回もとに戻さして、そしてもし——つまり仮価格か生きているということは不況条件がないということですから、一回もとに戻さして考えるべきではなかったか、この点については私はこう思うのでありますが、いかがでありますか。
  75. 妹尾明

    ○妹尾政府委員 これは大変むずかしい問題だと思うのでございますけれども、結局、不況カルテルの一番重要な要件であります価格が平均生産費を下回るという場合の価格は、一体どういう価格であるかということになるわけでございます。  不況カルテルが設けられた趣旨というものを考えますと、業界が非常に採算割れがひどくて、事業者の相当のものが事業の継続が困難になるようなおそれがある事態である、こういう趣旨でございますので、そこら辺を考えますと、やはり価格というのは実際を反映した価格で見るのが妥当ではないか、こう考えております。  なお、もちろん、業界でこういう値段で売りたいという値段を支持するために認めるものではございませんで、認可は、あくまで、平均生産費をカバーできないような事態においてそういう事態を克服するために認める、こういう趣旨のものでございます。認可に際しましては、そういう趣旨のことは十分伝えておるつもりでございます。
  76. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 いまの経済部長の話では、仮価格が何か実勢価格のように受け取れるのですが、私もこの前の質問のとぎに指摘したように、あくまで仮価格で取引をしないと、たとえば品物をとめるとかそういうことをやっているところも事実あったわけですね。それは余りにも行き過ぎではないかということを当委員会でも指摘したわけであります。  実際に私が調べた限りでは、つまり四次の値上げ、四月以降行われた値上げ価格で、仮価格ですでに支払ってしまっているもの、あるいは三次の値上げの分と四次の差額分とを手形で分けて決済しているもの、一部には、全く三次の値上げの分だけで決済を済ましている、いまだに価格が決まってないという状況も聞いているわけでありますけれども、その意味では、いま経済部長最後に、その趣旨は十分業界の方に言ってあるということでありましたので、この問題については打ち切ります。     〔委員長退席、武部委員長代理着席〕  私は、やはり正常な公取の調査、あるいは原紙メーカーも段ボールメーカーの方も、両方とも何とか立ち行かなければ困るわけでありますから、その意味においては、片方から、川上の方から強引に言ってくる仮価格というものが前に四月なり五月なりにあって、そしてその後行われた不況カルテルの認可によってそれが補強されたり、事実上その仮価格というものが公取の公認のような形になってしまう公取の不況カルテルの認可というのは、私は好ましくないと思うのです。何も不況カルテルそのものを私は否定しているのではなくて、そういった非常にあいまいな形で、それを追認するような形で行われたこの不況カルテルの認可というものは好ましいことではないんじゃないかと私は思うのでありますけれども、この点についていかがでございますか。
  77. 妹尾明

    ○妹尾政府委員 この点につきましては、先ほども申し上げましたように、不況カルテルはあくまで、何度も繰り返しになりますけれども価格コスト割れになるような、平均生産費を下回るような事態におきまして、そういう事態を克服するために認められるものでございまして、そういう点ではおのずから限界があるわけでございます。当然、私どもの認可も、その認可時におきまして、実際の価格が幾らであるか、その実際の価格とその時点における平均生産費との関係で一応要件を満たしておるのではないかと判断した、こういうことでございます。
  78. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 六月二十日に原紙業界の方からカルテルの申請がされて、その後七月の初めぐらいに、原紙業界に対する独禁法違反の被疑事件ということで提訴がかなり公取の方に持ち込まれたと思いますけれども、この調査はどういうふうになされましたか。
  79. 野上正人

    ○野上政府委員 その件につきましては、クラフトライナー、ジュートライナー、それから中しん原紙の各メーカーにつきまして厳重に調査いたしました結果、証拠不十分ということで打ち切りました。
  80. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 その調査のやり方ですけれども、私の聞いた限りでは、二カ月ぐらいかけて、初めには段ボールメーカーに対して報告の依頼書という形で、そういった独禁法違反の被疑、容疑がないかどうか値段等について各段ボールメーカーに聞いた、あるいはその後公取の審査官の方が来て事情聴取をするというようなことで、どこからどこまでと見るかわからないが、約二カ月ぐらいかかっているわけですね。ところが、段ボールメーカーの方の調査の場合には、昨年の十二月でございましたか、あのときには、抜き打ち検査、書類没収と行われましたね。これを見ますと、いまでも、関係の新聞記者の方やらユーザーに聞いてみても、今度の原紙メーカーの第三次、第四次の値上げについてもほとんどクロだ、いま証拠不十分と言われたけれども関係していらっしゃる業界の方やあるいはそれを取材される新聞記者の方は、ほとんどあれはクロだった、どうして公取は踏み込まなかったんだろうか、段ボール業界の方には抜き打ち調査で書類没収だ、原紙メーカーの方には二カ月をかけて、まず書類で出してもらってそれからおたくの審査官が来て調べる、これはどうも片手落ちじゃないかという、公取行政に対する疑問というものが率直にかけられているわけですよ。証拠不十分というのでそれ以上中身はよくわかりませんけれども、これはどうなんですか。じゃ、どうして抜き打ちなり強制調査というところまでいかれなかったんですか。
  81. 野上正人

    ○野上政府委員 われわれの調査には、立入検査する場合、それから業界から報告命令をとり、あるいは出頭を命じ、あるいはこちらから出頭していく、いろいろな調査の方法をとっております。  それで、本件につきましては、大体原紙メーカーの方はこちらから調査に入るということを十分承知していた節がございます。そういうこともございましたので、報告命令と供述調書をとりまして審査を行った次第でございます。
  82. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 そうすると、いまの御答弁ですと、要するに原紙メーカーも公取に入られるんではないかというのでかなりあれしていたが、たとえば書類を焼き捨てたりどこかにしまい込んじゃったりして——しまい込んでも皆さん方わかるでしょうけれども、要するに、どこかに消却をしてしまって、そうして皆さん方が入ってみても恐らくこれは現物がつかまえられないだろう。そうすると、公取はそれだけ大きなこぶしを挙げてみたけれども、どうもこぶしのやり場がなくなってしまう危険性があるので、事情聴取といいますか、各段ボールメーカー等も含めて報告依頼書というので済ました、こういうことになるのですか。
  83. 野上正人

    ○野上政府委員 そういうことで済ましたということではございません。これは厳重に調べております。
  84. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 済ましたというのは、現実の行為としては立入調査なり何なりはなさらなかったわけで、その意味では、この調査を見てみますと、私はもう一点後で申し上げますけれども、原紙メーカーに対する公取の態度と段ボールメーカーに対する態度が——十二月のときには、確かに段ボールメーカーの方がはるかに数が多いですから、公取の目をくらましてやみカルテルを結ぶということはなかなかむずかしいかと思うのです。私はやれと言っているわけじゃないんだけれども。ところが、原紙メーカーの方がある程度大手があるし数が限られているので、その辺やりよかったのかもしれませんけれども、そういうふうに原紙メーカーに対する公取の態度が、国民の前には現実にあらわれてくるものしかわかりませんから、その意味では、公取が非常にゆっくりと慎重にというのか、ゆっくりやられたこの調査というのは、どう見てもこの調査のやり方に均衡を欠いているんではないか、皆さん方の場合では、これを調べてみても、もし万が一現物が挙がってこない場合には皆さん方の立場もなくなるということもあったのでしなうけれども、やはりこのあたりでも、今後の調査においても、もちろん中身はおのおの違うのでありますから、均衡を保つと言うと変な言い方でありますけれども、しかし、前の説明に挙げましたように、川上から来る値上げについて川下の段ボール業界の方はそのまま受け入れなければならぬというような状況、あるいはいま申しましたように、専門家も原紙メーカーのカルテルというのはほとんどクロだと言う。大体、業界の方なり新聞記者の方から見ると、本当にほとんどクロだ、どうして公取が踏み込まなかったんだろうと疑問を持たせるような調査というのは、特にこの場合には段ボール業界と原紙業界という、川上と川下があるだけに、この辺は十分調査のあり方について、均衡を保つと申しますか、いやしくもその関係の方々に、公取はどうも原紙業界に甘いのではないかというような誤解を呼び起こすようなことのないように、ぜひお願いをしたいと思うのでありますが、公取委員長、どうでしょうか。
  85. 橋口收

    ○橋口政府委員 御指摘がございましたように、段ボールの原紙業界とケースメーカーとの間の関係というのは大変錯綜したものがあると思います。お話を伺っておりましても、仮価格の問題——仮価格は恐らくは金融の手段として使われたのではないかという感じが私はするわけでございますが、それは別といたしましても、両業界に対する公正取引委員会の取り扱いに公正を欠くような印象を与えるということは、これは適当でないと思いますので、今後の立入検査あるいは調査等につきましては、そういう点均衡を失することのないように十分注意してやってまいりたいというふうに考えております。
  86. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 それから次に移りますけれども、私の知り得る限りでは、段ボールメーカー側も、非常に原紙の価格が不安定になることについては、みずからの業界の不安定にも通ずることでありますので、その意味では、原則的に値上げにつながる不況カルテルというものについてそうそうめったやたらに反対というわけではなかったわけですね。私の知り得る限り、六月十日に紙業課長が入られて、段ボール業界と原紙業界と、恐らく両方うまくやりなさいというのですか、両方の業界を寄せて何か会合を持たれたやに聞いているのでありますけれども、これは六月十日じゃなくて五月十二日かもしれませんけれども、そういうことはあったのでございますか。
  87. 小野雅文

    ○小野説明員 私ども五月十二日に当委員会先生の方から御指摘を受けまして、段ボール原紙業界が値上げを通告している、それで原紙メーカーに比べて段ボールシートメーカーあるいはケースメーカーというのは非常に中小である、そういうふうなところに影響が非常に大きく出るのは問題ではないかという御指摘を受けたわけでございますので、早速原紙メーカーを呼びまして、余り大きな影響が出ないようにしろ、特に出荷停止といったような事態はやっていないと思うが、もしかやっているのであれば、それは非常に大きな問題であるということを指摘したわけでございます。それと同時に、原紙メーカーが自分たちの苦しい状態というものをユーザーに対して十分説得していないのではないかという感じを持ったものですから、いま先生指摘のように、日にちは六月二十日であったと思いますが、段ボール原紙メーカー、それからそれを取り扱います流通、それからシートメーカー、ケースメーカー、四者を呼びまして、主として段ボール原紙サイドから、カルテルをやりたい、その実情についての説明をさせたということでございます。もちろん、その会合というものは、独禁法に違反になるようなそういった個別価格といったようなものについての会合ではございませんで、全く苦しい実情について説明させた、こういうことでございます。
  88. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 その際に、両方の業界で、段ボール業界の方も、不況カルテルを結ぶ場合にはどう考えるかということについては、これは審問というのですか、事情聴取というのですか、公取からあるわけですね。したがって、関係業界として当然あるわけでございますので、その辺のところはいま課長からお話があったような意思の疎通をしたのだと思うのでありますけれども、その際に、恐らく私の知っている限りでは五月十二日に、両方の業界が、不況カルテルを段ボール業界が認めるならばということで、一応条件的なものが、五月十二日付の「了解事項覚書(案)」なるものが、四つあるのでありますけれども、事務局レベルでつくられたということを聞いているわけであります。その点については通産省としては御存じでございますか。     〔武部委員長代理退席、委員長着席〕
  89. 小野雅文

    ○小野説明員 ちょっといま五月十二日——手帳等も調べたのでございますが、いまの先生指摘のような事実ははっきりわかりませんし、記憶にもございません。
  90. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 いや日にちはいいのですが、また、課長がそこに立ち会ったという意味ではないのですが、要するに両方の業界が五月十二日に「了解事項覚書(案)」なるものをつくったわけですね。私の手元に案があるわけです。これは四つあって、  第一 両業界は、現下の経済不況の極めて困難な環境を勘案し、両業界の安定をはかり、その共存共栄の実をあげるため、相互の理解と信頼を深め、誠意と責任を以つて業界秩序の確立に最善の努力を払うものとする。  第二 段ボール原紙メーカーは、今回の不況カルテル結成により一方的な原紙の値上げを行わない。  第三 両業界の代表者よりなる委員会を設け、次の事項を協議する。  (1) カルテルの運営に関する両業界の利害の調整  (2) その他両業界に関係ある諸問題  第四 必要な事案については政府関係当局の有効適切な施策を要請するものとする。 ということで、第一については、これは全く一般論的なことでありまして、要するに、原紙メーカーの不況カルテルについてもある程度段ボールメーカーとしても了解をする、ただし、今年度値上げをしないでくれ——今年度とは書いてないけれども、要するに希望的なことはそういうことのようなんであります。  ところが、不思議なことに、五月十二日にこの事務局案ができたのだけれども、結局これは合意に至らず、原紙メーカーの方は今度段ボールメーカーに対して、何と九月二十日に「了解事項覚書(案)」なるものを段ボールメーカーに示しているわけなんですね。この九月二十日というのはどういうわけか不況カルテルが認可をされた日なんですよね。どうもこの辺が私は何となく釈然としないのであります。しかも、中身については、原紙メーカーとしては都合の悪い一番肝心かなめの第二、第三あたりはなるべく自分の都合のいいように若干改ざんをして、たとえば第二については、「段ボール原紙メーカーは、今回の不況カルテル結成により段ボール原紙の価格については相互に意向を尊重するものとする。」というふうに直し、そして第三に、「両業界の代表者よりなる委員会を設け相互に連絡を密にするものとする。」第四は一緒というようなことで、原紙メーカー側が、いわゆる条件つきに段ボールメーカーが賛成したものを、その条件の方はずっと延ばして案を直して、不況カルテル認可の日に段ボールメーカーの方に中身はなるべく自分の都合のいい方に直して持ってくる。これもどうも私は解せないのですね。これについて通産省の方で何も関与してなければ、公取委員長にお伺いしてもわかる話でもないし、部門が違いますのでいたし方ないわけでありますけれども、この点については通産省としては何ら関与してない、こういうことですか。
  91. 小野雅文

    ○小野説明員 いまの両業界が文書をもって了解し合うという点については、私ども全く知りません。ただ、五月時点では、いま十二日の案というのをお持ちのようでございますが、それは多分、私の想像でございますけれども、段ボールレートメーカーがつくったのではないだろうか。といいますのは、その当時まだ原紙メーカーとシートメーカーとが非常に対立が激しくて、五月十二日ぐらいの時点では両業界が話し合うようなそういう空気になっておりませんで、五月の末から六月ぐらいにかけてやっと両業界で話し合ってもいいような雰囲気になってきて、先ほど言いました私が出席しての会合に持っていった、こういう経緯がございますので、五月の初めごろではまだそんなような空気になかったように私は記憶しております。  それから、九月二十日の文書については、私きょう初めてお伺いいたしまして、全く存じておりません。
  92. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 五月十二日の了解事項覚書というのは、内容から言って、シートメーカーとケースメーカーの問題ではなくて、一番問題になる原紙メーカーの不況カルテル結成に臨むための両業界の了解、こういう中身でありますので、ちょっと課長の言われることと内容は違うのではないかなと思うのであります。  いずれにしろ、これは通産省が責任を持って両業界を寄せて話した話ではないようでありますので、ここでこれ以上言っていても仕方ないわけでありますので、次に進みます。  次に、実は奇怪なことなんでありますけれども、私が耳にした話では、九月二十日に不況カルテルが認可されるわけでありますけれども、その前の九月の初旬に、非常に原紙メーカーの不況カルテルの認可がおくれているせいもあるのか、公取の方が、全段連、というのは要するに段ボール業界メーカーの集まりでありますけれども、その方に要請をして、とにかく早く認可をしてくれという要請を出させた。出させたというのか、出してもらうようにしてくれと言ったのか、要するに、公取の方が段ボールメーカー側に、早いところ原紙メーカーの不況カルテルの認可をしてもらわないと自分のところの業界も価格が非常に不安定でやりにくいというので、早いところ不況カルテルの認可をしてくれという要請書を公正取引委員会に出させたということを私は耳にしたのでありますけれども、こういうような要請書というのを業界に対して公取が求めるということはあるのですか。
  93. 妹尾明

    ○妹尾政府委員 そういう話は、私いま初めて承ったのですけれども、私どもが不況カルテルを認可いたします場合には、不況事態であれば何でもやってよろしいということではございませんで、需要業界等に対して不当に利益を害することがあってはならない、こういう要件がございまして、それとの関係で、不況カルテルの認可の申請がございますと、必ずそれぞれの需要業界に対しまして、不況カルテルについて意見があれば言ってほしいというふうに言って意見を求めているわけでございます。  それで、恐らく先生指摘のことは、私ども当然、今回の認可に先立ちましても、全段連の方へもどういう意見であるか意見を求めておりますので、それは事実でございますけれども、私どもの方から、認可を早くするためにそういう要望書を持ってこいというふうなことを言った覚えはございませんですが、あるいは何か誤って伝えられたのではないかと思いますけれども……。
  94. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 恐らく、私の常識から言っても、公取が関係の業界の事情聴取をすることは、これは行政的に十分あり得ることだし、公取はその業界の中身について非常によく知っていなければ、企業の活動に即影響することでありますから、非常に重要な要件でありますから、調査をされることは私は当然だと思うし、それは先ほど言ったように、すでに不況カルテルの申請前に手早くやられたようでありますので、それについてはいいわけでありますけれども、いまから見れば、認可少し前に公取がいわゆるユーザーメーカーに対して、なるべく早くしてもらわないと自分たちの方も仕事がやりにくいというような要請書が公取の方からの要請によって出されたということを私は聞いておるものですから、そんなことを果たして公取がやるだろうか、事情聴取のことなら私は当然わかりますけれども、要請書という形で公取が指示をして、それに従って業界が出すというようなことは、少なくとも私の常識ではあり得ないので、どういうことかなということをお伺いをしたわけでありますけれども、まあそういうことならば、一応その問題についてはそこまでにしておきたいと思います。  その次に、通産省にお伺いしますけれどもとにかく第四次の値上げでかなり価格が上がってきたわけですね。若干夏枯れのときもありましたけれども、かなり価格が上がってきた。こうなりますと、私なんかでも非常に困るのは、輸入した方が安いではないかという問題が現実に起こってくるわけですね。クラフトライナーでキロ当たり二十円近く違ってきますと、それはもう保険から、関税から、保管料から、輸送費金利、口銭まで入れても二十円も安いような価格だったら、これは使う方にしてみれば安い方を買う。しかも、国は経済的にドル減らしだ。段ボールの原紙を入れてみても、そんなにいま言っておるような二十億ドルだ、三十億ドルだというほどのあれにはならないけれども、全体的にとにかく——特につくっているところがアメリカなりカナダというドル圏であればあるほど、若干なりといえどもそれならば輸入した方がいいではないか、国策にも合うではないか、こういう話になってきちゃうと思うのですね。これは、経済的に見れば安いものを使うというのはそれはそれなりに経済原則としてはいいにしても、やはり片方では、原紙メーカー側の雇用の問題も非常にシビアになっていますから、簡単にそうはいかないわけですね。このあたりのことは一体どういうふうに通産省としては見ていらっしゃるのですか。
  95. 小野雅文

    ○小野説明員 先生指摘のとおりでございまして、実は原材料の輸入チップも今度の円高で安く手に入るわけですが、それの影響というのは、大体百円前後の紙に対して二円前後安くなる程度でございます。それに対して輸入原紙、紙で輸入する場合には、今度の円高で大体十四、五円ぐらい安くなったと思います。その結果、いま先生指摘になりましたように、二十円ぐらい輸入の紙の方が安くなったということでございまして、非常に急激でございますので、現在まだこれといった対策も立ってないわけでございますが、一つはやはり徹底的に合理化を図るということが必要であると同時に、一部品種等、特に国際競争力の弱い品種等については今後ある程度輸入が増加するというのはやむを得ないかというふうに思っております。
  96. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 時間も来ているものですから、もう一問……。  いまの原紙業界を見ますと、この前この点を私も指摘したのでありますけれども、一体構造改善をどうするんだということはどこかへ行っちゃった。とにかく公取にお願いをして何とか不況カルテルから価格カルテルへ持っていきたい、どうもそちらの志向の方が強いんじゃないか。どうも構造改善、機械の消却という問題はどっかへ行っちゃっている感がしてならぬのであります。何か機械の消却の話をしたら、二%ぐらいしか出てこなかったんで、もう一回何とかやったら四%になったという、非常に過剰な設備にしては四%というのは何にもならぬようなものだと思うのです。この前質問してからちょうど五カ月ばかりたつわけでありますけれども、この間通産省としてこの構造改善についてはどうしたのですか。
  97. 小野雅文

    ○小野説明員 現在段ボール原紙の業界においては三〇%を超す過剰設備を抱えておるわけでございますが、それの構造改善につきましては、一応一〇%ぐらいをめどに廃棄を進めようということで業界を指導しまして検討しておるところでございますが、いま先生指摘のように、いざふたをあけてみましたところが、非常に廃棄する希望の数字が少なかったということでございまして、現在さらにそれについてもっと希望を募ると同時に、廃棄のほかに、たとえば設備の一部廃棄といったような方法がないかどうかという点について、つまり、廃棄の方法についてももう少しやりやすい方法を現在検討中だということでございます。
  98. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 その問題が片づかないと、最終的にはこの原紙メーカーの過剰設備あるいはその価格暴落、これは防げないんじゃないかと思うので、より一層御努力をお願いをしたいと思うのであります。  それと、最後に、公取委員長と通産省に警告と注意とお願いをしておきたいと思うのであります。  それは、不況カルテルは認可になったけれども、事実上余り価格面に影響してこないということで、業界側はさらに三日間の運転限度日数をふやしてもらいたいやに聞いているのです。私はそういうふうに聞いていたのでありますけれども、段ボールメーカーの話によりますと、すでに三日間短縮をしたというふうに聞いているのですが、これは一体実態はどうなっているのかということが一点であります。全くやみカルテル的に行われたのか、公取はこれを認可をしたことなのかどうなのか、その点についてお伺いしたい。  もう一つは、これも業界から聞いた話で、もしこのとおりなら私は非常に大変なことだと思うのでありますけれども在庫が非常に減らないということで、たとえばクラフトライナーの場合には、九月の末の在庫が九万七千トンある。これを三回ぐらいに分けて、十一月の二十日までに、七千トンはどこかから融資を受けて凍結をする、一万八千トンについては封印をしてしまう、これが進んでいるという話を私は耳にしたのです。それからジュートライナーについては、九月末の在庫が七万七千トンありますけれども、これを一万三千トンについては融資を受けての凍結、そして五万トンについては封印をしていくということで、何とか価格を維持しようということを、数字までこれだけはっきりして私の耳に入ってきているのでありますけれども、明らかに、こういった在庫凍結を公取の許可なくやることは、また本来ならできないはずでありますけれども、この点について、もしまだ御存じなかったら、こういうことも指摘をされておりますので、ぜひ調査をしていただきたいと同時に、もしこれが行われていることになりますと、かなりの部分が封印をされてどこかの倉庫に眠っているということになりますと、ひょっとすると、また、今度は物が不足する、紙が不足するという事態にもなりかねないわけでございますので、ひとつこの点についても通産省としても指導を強めてもらいたい。希望及び質問をしておきたいと思うのであります。
  99. 橋口收

    ○橋口政府委員 一般的に申しまして、カルテルの認可内容に重大な変更がございます場合には、当然内容の変更についての公取の内意を伺うということが必要になると思いますし、本当に内容が変わるということであれば認可をし直すとか、あるいは適当な内容の変更でなければこれを却下するとか、こういう手続が必要になると思いますので、おっしゃるような事態がありますかどうかよく承知をいたしておらないのでございますから、早速調査をいたしまして善処いたしたいというふうに思います。
  100. 小野雅文

    ○小野説明員 カルテルを申請いたします時点に比べまして需要が非常に伸びが鈍いというようなことから、在庫が非常にふえてきているということは事実でございまして、したがって、カルテルの内容を変更して操短日数を強化したいという話は聞いておりまして、それはカルテルの変更ということで検討しておるようには聞いております。しかし、後で先生が御指摘になりました在庫凍結については私全く聞いておりませんので、至急調査したいと思います。
  101. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 終わります。
  102. 西宮弘

    西宮委員長 佐藤観樹君の質疑は終了いたしました。  午後一時二十分から再開することとし、暫時休憩いたします。     午後零時三十三分休憩      ————◇—————     午後一時二十二分開議
  103. 西宮弘

    西宮委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。宮地正介君。
  104. 宮地正介

    ○宮地委員 初めに、現在国民の中で重大な問題となっております義務教育の教科書無償化の廃止の問題につきまして、最近大蔵省が財政制度審議会に来年度から実施をしたいという意向でその諮問を行った、このように聞いているわけでございますが、その根拠につきまして大蔵省から伺いたいと思います。
  105. 的場順三

    ○的場説明員 御質問の件は、五十三年度予算編成に関することでございます。御承知のとおり、大変厳しい財政状況でございますので、五十三年度予算編成に当たりましては、既定の施策も含めまして見直し等を図っていく必要があるということで、ただいま検討いたしております。  御指摘の義務教育教科書無償給与制度につきましては、これは制度のいきさつ、それから従来の経緯等を十分に踏まえまして、これから文部省と十分に相談いたしたいというふうに考えております。
  106. 宮地正介

    ○宮地委員 いわゆる財政問題が逼迫しているから、この教科書の無償化を廃止する。私は、大蔵当局としては余りにも軽率ではないかと思う。大蔵委員会でも再三この財政問題については、私も大蔵委員の一人として、今後の財政収支の見通しの問題、歳入歳出のいわゆる洗い直しの問題、根本的な日本財政については今後やらねばならないことが多々あるわけでございます。しかし、今回のこの問題は、憲法二十六条に盛り込まれた義務教育の無償措置の精神に反している、そういう重大問題に絡んでいるわけであります。私は、財政問題ということでこの問題を片づけてはならない、こういうふうに思うわけでございます。  そういう点から見まして、文部省にお伺いをするわけでございますが、私どもの伺っているところによりますと、公立小学校の場合、昭和四十年度約一年間に一万五千五百三十六円、四十五年度には二万六千六百五十円、五十年度には五万八千三百二十九円と、年々父兄の負担が増加をし、公立小学校においては何と四十年度と五十年度を比較いたしますと、約三・八倍に父兄負担が上っております。また、公立中学校におきましても、四十年度は二万二十七円、四十五年度は三万五千三百七十円、五十年度に至っては何と七万九千九百六十五円と、三・九倍にも父兄負担が増大しているのであります。  こういう父兄負担の増大を考えましたとき、むしろ今後副教材にまで無償化を発展していくべきではないか、これが国民の偽らざる心境ではないか、このように思うわけでございますが、文部省に、私のいま申し上げましたこの数字が正しいのか、また、大蔵当局のこの無謀な財政措置という観点からのみ教科書を有償化しようという行為に対して、文部省当局はどのように考えておられるのか、答弁をいただきたいと思います。
  107. 岡部稔成

    ○岡部説明員 お答えいたします。  ただいま先生が、父兄が支出した学校教育費の中の児童生徒一人当たりの経費についてお述べになりましたのですが、先生のおっしゃるとおりの数字、間違いございません。私の方が調査いたしておるのと同じでございます。四十年から五十年の間で、小学校で三・八、中学校で三・九という伸び率を示しておるわけでございます。このようにだんだんと父兄負担というものは毎年かさんできておるわけでございます。  先ほど先生おっしゃいましたように、義務教育の教科書の無償制度というものは、憲法二十六条に基づく義務教育無償という精神をより広く充実していくことというような立場から、昭和三十八年度スタートということで今日まで来ているわけでございます。この制度は国民の中に広く定着をいたしておりまして、また、学校教育の中に占める主たる教材としての教科書は非常に比重が高くなっておる現在でございます。そういう意味からいたしましても、文部省といたしましては、この無償制度を非常に大事に今後も守っていきたい、かように考えておるわけでございます。
  108. 宮地正介

    ○宮地委員 大蔵省に確認をいたしますが、ただいま文部省当局からは、大事にこの無償化の制度を育てていきたい、また、過日も海部文部大臣からもそのようなお話もございました。先ほどは、文部省との合意を取りつけてから、こういうようなニュアンスのお話でございますが、今後この問題について検討をしていくために合意を取りつけるどころか、憲法に抵触するという観点からも私は撤回をすべきである、このように思うわけでございますが、もう一度大蔵当局の見解を伺いたいと思います。
  109. 的場順三

    ○的場説明員 来年度予算の話でございますから、検討項目の一つであることは事実でございますけれども、文部省と十分に相談をいたしたいと思っております。政府の予算でございますから、最終的に決定を見るためには文部省との合意が当然必要でございます。
  110. 宮地正介

    ○宮地委員 そこでこの問題について経済企画庁長官に伺いたいと思います。  倉成経済企画庁長官は現在の福田内閣における財政経済運営のかなめの人であるとも言われておりますし、国民もそのように理解をしていると思います。そういうお立場から、今回大蔵省が、財政が窮迫をしているからという理由で、憲法にも抵触すると言われている義務教育における教科書の無償化の廃止を来年度より実施したい意向を示しているわけでございます。元来日本の財政が今後大変な状況にあるということは国民も理解をしております。いま政府としてこの財政問題に取り組むに当たって最も重要なことは、一つ国民に対し勇気を持って歳入歳出の洗い直しをする。たとえば歳出においては行政改革を行うとか、あるいは歳入においても租税特別措置法の洗い直しをするとか不公平税制を改革するとか、やらねばならないことをやれば、いま文部省からあえてこの予算をむしり取らなくても、この程度予算は幾らでも捻出する方法はあると私は思うのです。政府の経済運営の中心的立場におありになります倉成長官のこの問題に対する御見解を伺いたいと思います。
  111. 倉成正

    ○倉成国務大臣 義務教育学校の教科書無償配布については、ただいま御指摘のとおり義務教育諸学校の教科用図書の無償に関する法律によって定められておるわけでございます。ただいまのところこの法律を廃止するという具体的な提案は私の方で伺っておりません。したがって、この法律の趣旨を頭に置きながら何か具体的なお話があれば、私の方の考え方をまとめたいと思いますけれども、ただいまのところこういうお話は、内部でどういうことになっているか知りませんけれども、正式のお話として承っておりませんので、この席で論評申し上げることは差し控えたいと思います。
  112. 宮地正介

    ○宮地委員 正式に承っておらないから論評を差し控える、これでは福田内閣の経済をリードする立場にある長官としてはまことに残念な答弁であります。  御承知のように、いま国民の父兄負担は、幼児教育から義務教育に至るまで年々物すごい増大をしております。立場をかえて見れば、これは大きな意味では消費者行政の一環にも見られる重大問題であります。いま大蔵大臣が、ただ財政という、お金ということで、教育を度外視してまでその実行をしようとしておる。良識ある倉成長官であるなら、そういう無謀なことはやめるべきである、もしもそういうようなお話が今後閣議内などで論議されたとき、そういう働きかけをするお考えがあるかどうか、国民にお答えをいただきたいと思います。
  113. 倉成正

    ○倉成国務大臣 この問題につきましては、やはり一義的には文部大臣と大蔵大臣とで十分話し合われる筋のものじゃなかろうかと思うわけでありまして、要するに、この法律をつくりました趣旨にかんがみまして、国民が納得いく形で解決されるべきものであると考えるわけでありまして、私がこれはどうすべきだということを所管大臣を差しおいて申し上げるのはどうも適当でないと思いますので、論評はお許しいただきたいと思います。
  114. 宮地正介

    ○宮地委員 私の趣旨がちょっとまだ大臣の心にすぱっと入ってないようですけれども、論評しろということは私は言ってない。これだけの重大問題でございますから、当然坊大蔵大臣としても自分単独ではこの問題は決断できないと思います。逆に、福田内閣の閣議などにおいてもこういう問題がもしも論議されていないとしたなら、私は福田内閣の姿勢にも問題があると思います。そういう論議に及んだとき、あるいはいまこれだけ社会的に大きな問題になっているわけでございますから、論評するとかしないとかという問題以前として、やはりこの問題について、坊大蔵大臣と同様に経済の運営の重大な立場にあるあなたです。それを論評を差し控えるとかということでなくして、やはり積極的に、この問題については多く問題があるようだ、金よりも教育だという信念に燃えて論議を展開するようにむしろやっていくのが私はあなたの立場であろうと思います。そういう点で、非常に消極的というか、そういう点について余りにも、私たちから見ますと、何か避けて通ろうというような感じがしてなりません。そういうことであったとしたら、今後の大きな経済運営においてもやはり私は問題が残ってしまうと思います。もう一度ぜひ、そういう消極的なことでなくして、根本的問題から、大臣としての御決意を伺いたい。私見でも結構ですから伺いたいのであります。
  115. 倉成正

    ○倉成国務大臣 しばしば申し上げますように、この問題の主管大臣は文部大臣でございます。そしてまた同時に、財政的な裏づけをいたすのは大蔵大臣でございます。したがって、大蔵当局が、いろいろ御批判はあるにしても財政上の見地でいろいろ意見を申すということは、私はそれはあってしかるべきじゃないかと思います。しかし、それらの問題をどう国民の納得いく形で調整をしていくかということが今後の問題でありますから、私があらかじめ予断を持ってこういう公の席でこうだということを申し上げるのは適当でないということを申し上げておるわけでございまして、教育の重要性については私も十分承知しているつもりでございます。
  116. 宮地正介

    ○宮地委員 国民の納得いく形の上において処理したい、この中身は教育を重要視する、こういうことでありますから、大蔵省の今回の措置についてはできるだけ撤回をし、国民の期待に沿う方向で、納得のいく形で、今後大臣としても閣内で検討をしていただきたい。また、そのようにしていただけるものと信じ、私はこの問題について質問を終わりにしたいと思います。  続きまして、最近通産省が輸入品の流通機構の実態について調査をいたしました。今月の十日に発表されました調査結果を見ますと、日本の流通機構が先進国の中で最も複雑で、流通マージンも高いことを示している、このような調査結果が出たと報じられておりますが、その調査結果についてどのように考え、また評価をされておるのか、御説明をいただきたいと思います。
  117. 斎藤成雄

    ○斎藤説明員 お答え申し上げます。  ただいま御指摘のございました輸入品の流通実態調査は、国内で小売商でよく扱われる商品六品目、具体的には自動車とそれからゴルフクラブ、ライター、ウイスキー、ワイン、チョコレートを選んで調査をしたものでございます。調査時点で、国産品についての流通実態とそれから外国における流通実態の調査と、時期がちょっと違っておりますので、その意味で流通機構について直ちに比較をするのは若干の問題がございますけれども、一応私どもがこの六品目について調査を行った結果について申し上げますと、第一は、わが国の流通形態というものが諸外国の流通に比べまして段階が多い、大体外国に比べて一、二段階多いというのが一つの特色でございます。それから、そういった段階が多いということなどを反映いたしまして、流通マージンが諸外国に比べて高い物が多いというのが二番目に指摘されようかと思います。この場合の流通マージンと申しますのは、輸入の原価と小売価格との差をもって流通マージンというかっこうで調査をいたしておりますので、その流通マージンの中に、税金あるいはマージンのほかに販売までに必要な諸経費たとえば自動車で申しますと、国内の自動車の規制に合わせるために改造するといったような費用も含まれておりますので、マージンを直ちに国内流通における利潤とみなすことは不適切でございますけれども、マージンの幅が大きいということは明らかに言えようかと思います。  品目によりまして、流通マージンの多い物、少ない物を各国と比べました場合に、日本の方が少ない物もございますけれども、大ざっぱに申しますと日本の流通マージンが概して高いということでございます。  以上、きわめて簡単でございますけれども、概要を申し上げました。
  118. 宮地正介

    ○宮地委員 ただいま通産省から御報告のとおり、この円高の折に輸入品がなぜ安くならないのだろうか、円高差益を還元せよ、こういう国民の声は日増しに高まっております。さらに、さきに円高の集中審議が行われました。しかし、明くる日の朝刊を見ますと、ほとんどの新聞が、内容が乏しい、政府には対策がない、こういうような論評が多かったと思います。  いま通産省が調べた調査によりましても、一つは流通機構のマージンの幅が大きい、もう一つは流通機構が複雑である、そのためにいわゆる円高による為替差益がどこかに消えてしまっている、これが偽らざる状態ではないかと私は思います。  そこで、この円高差益を還元せよという消費者の声に対し、また、海外からは黒字国日本ということで大きな批判を受けております。それにこたえるためにも、輸入品のいわゆる流通機構に今後どのようにメスを加えていくつもりなのか、この点について、最初に通産省当局、そして次に大臣の御見解を伺いたいと思います。
  119. 斎藤成雄

    ○斎藤説明員 ただいまのような調査の結果が出ました点については、私どもはやはり国内の流通機構についてさらに強力な改善指導をやっていく必要があろうと考えております。ただ、流通の問題につきましては、長年の懸案でございまして、雇用問題その他いろいろ影響するところがございますので、そういう意味ではいろいろむずかしい点もあろうかと思いますけれども、ぜひともこれを強力に改善をしていくということが必要であろうと考えております。
  120. 倉成正

    ○倉成国務大臣 ただいま御指摘のように、円高であるにかかわらず、下がった物もございますけれども輸入価格が下がってもその輸入価格下落が必ずしも末端の小売価格に反映しないというものが相当数ございます。まあたとえばマグロであるとか、プロセスチーズであるとか、その他幾つかの品目があるわけでございますが、それはそれぞれ理由を調べてみると、それなりに、マグロであれば国内の需給がタイトである、プロセスチーズについては国内の酪農品が高いとかいう、そういう理由はあるわけです。それにしましても、やはりこれらの輸入物資に、円高が末端の小売価格にできるだけ反映するようにということで、ただいま通産省の方からお答えがありましたように、十月十八日付で主要輸入関係三十八団体及び流通十六団体に、円高による輸入品価格の降下が国内の消費者価格にも十分反映されるよう協力要請を行ったところでございます。  そこで、私は基本的にはこう考えております。  一つは、やはり政府としては消費者にできるだけ的確な情報を提供するということが大事なことではなかろうかと思います。どのくらいの差益が出てどうなっているということを知らせることが、やはり一つのポイントではないかと思います。  第二は、流通機構がそれぞれの品目について非常に複雑であります。したがって、これに一つ一つメスを入れていくということも大事なことではありますけれども、やはりこれに刺激を与えるということが非常に大事だと思います。  具体的に申しますと、たとえば牛肉でありますと、牛肉の末端の小売店は、全部仲買の人がそこに持っていくわけです。だから、これの部分肉の市場が形成されますと、その部分肉の市場に末端の小売店の人は買いに行くことができる、そういう問題もあるわけでございます。また、生協に多少助成金を与えまして産地直売という形をやらせますと、安い牛肉が末端に行くということになりまして、これはやはりそういう流通面に大きな刺激を与えて、不合理な面があるとすればそれがだんだんなくなっていくという問題もございます。  それから、いま通産省からもお話がありましたけれども、ちょうど卸、小売関係にしまして、たとえばスーパーが現地に出ていく。そうしますと、これは末端の小売にとっては大きな脅威であるわけでありまして、最近の中小都市におけるこの問題というのは大変大きな社会問題になっておるわけでありますから慎重にやらなければなりませんが、また、ある意味においては流通に大きな刺激を与えておる、その接点をどこに求めるかということではないかと思うわけであります。  また、外国から入れてくる場合に、総代理店があって独占している、それなら並行輸入を公取にお願いしてもっと進めていく、いわば自由公正な競争を阻害する条件をできるだけなくしていく、そういうことをやっていくことが、やはり市場経済における適正な価格形成のための条件であるというふうに思っておるわけでございます。
  121. 宮地正介

    ○宮地委員 そこで私は、きょうは具体的にコーヒーの問題について伺いたいと思っております。  御承知のように、最近コーヒー豆の国際相場が大変に下落傾向にございます。さらに、円高により相当な差益も出ていると言われております。コーヒーの国際相場については、一九七五年の七月にブラジルで大きな霜の害が起こり、それが理由で高騰してきたと言われております。また、最近では、ブラジルがOPECに似たように一ポンド約三百二十セントという高値にこだわり、他の諸外国が一ポンド約二百セントくらいになっておりながら高値安定を維持しておる、こういうことが理由でなかなか下がらないなどと言われております。  しかし、国民から見ますと、本年の三、四月をピークといたしまして、最近に至って国際相場下落を続けております。さらに、本年一月の円ドルレート、一ドル約二百九十円が今日約二百四十円台、一ドル約五十円の差が出ております。しかし、小売の段階にまいりますと、レギュラーにせよ、インスタントにせよ、その値段は下がっておらない。むしろ上がりを続けている。この実態について国民はまことに不可解な感じを抱いているのであります。この点について、まず農林省関係省庁は国民にどのように御説明をいただけるか、伺いたいのであります。
  122. 生出正也

    ○生出説明員 お答え申し上げます。  ただいま先生の御指摘になりました国際相場並びに国内の事情については御指摘のとおりでございます。  御存じのように、ただいまの先生お話にもありましたが、一九七五年七月に世界のコーヒー生産量の約三分の一を占めておりますブラジルが大霜害に遭いまして、その生産量が三分の一になりました。それから世界のコーヒー豆の需給が逼迫をいたしまして、コーヒー価格が高騰したわけであります。それ以降、相当長期間にわたって国際価格は高価格水準を維持していたわけでございますが、最近に至って下降傾向に至っております。  そこで御説明申し上げたいのは、一応国内におきます消費者にわたっている製品のメーカーの在庫でございますが、これが年間おしなべまして約二カ月分ございます。それから、加工に約一カ月かかるといたしますと、それで三カ月。コーヒー豆が生産国からわが国に入りますまでの期間でございますが、これが大体洋上に浮かんでいるのが平均いたしまして一カ月半くらいかと思います。それからさらに、コーヒー豆を買い付けます場合は、さらに一カ月半分くらい先のものを手当ていたすということになりまして、実際、メーカーが輸入業者に依頼をしてコーヒー豆を買い付けた時点から、それが製品になって消費者の手元に届くと申しますか、店頭に並べられるまで約八カ月近くかかるということになります。  そういうことでございますので、国際価格が下がって、その国際価格どおりで買い付けができたといたしましても、それが製品の価格に反映するのは八カ月先ということになります。そこら辺をひとつお含みおきいただきたいと思います。
  123. 宮地正介

    ○宮地委員 時間がありませんので、関係者は簡潔に明確にお答えをいただきたい、このようにお願いします。  そこで、私は具体的にコーヒーのうちレギュラーコーヒーについて最初にお伺いを進めていきたいと思います。  レギュラーコーヒーの場合には、言うならば、輸入商社が海外で買い付け、輸入をし、そして生豆の専門問屋に売り、焙煎業者に行き、業務用で喫茶店やホテル、あるいは家庭用に、流通機構はこういうふうになっておると思います。  ある商社がこの流通段階におけるいわゆるコーヒーの価格の内容について広報で発表しております。農林省は御存じと思いますが、その数字を流通段階ごとに発表していただきたいと思います。
  124. 生出正也

    ○生出説明員 お答え申し上げます。  これは三菱商事の社内報に、ことしの四月号だったと思いますが、ただいま先生の御指摘がありましたような「コーヒーの輸入から焙煎まで」という経路を図示して説明をしたものがございます。それによりますと、当時の脱穀業者——これはブラジルの場合をとったようでございますが、産地におきます脱穀業者の豆の売り渡し価格が一キロ当たり千三百三十五円ということになっております。それから、ブラジルでの輸出税とか流通税とか検査・選別費というものが六百六十五円ということが出ております。それから、海上運賃、保険、物品税、倉庫代、金利、商社手数料等が三百十円、これにロースターと申しますか、焙煎業者でございますが、あと、焙煎業者の製造加工費、営業販売費等で七百二十円というぐあいになっております。  ただ、ここに括弧して「焙煎時の目減り約二割」というのがございますが、これを確かめてみましたら、実はこれが含まれてないということでございまして、それを含めますと、これが約千円から千百円ぐらいになるということでございます。したがって、これにあと四百円から四百五十円ぐらい上乗せになるということでございます。したがって、あとは国内のコーヒー専門問屋手数料五十円を含めまして、この表では三千八十円とあるのでございますが、これにさらに四百五十円ぐらい上乗せをしなければならないということになろうかと思います。
  125. 宮地正介

    ○宮地委員 このいわゆる広報誌の内容は、私は概括的には正しい数字ではないかと思います。  そこで、脱穀業者のコーヒー豆現地売り渡し価格千三百三十五円、こうなっておりますが、問題はこの中身であります。要するに、輸入業者というのは、海外に行って、たとえばブラジルならブラジルの現地に行って、バイヤーに頼んで契約をして帰ってくる、こういうふうに国民は思っておる。ところが、輸入業者の中には海外に農園を持っていたり、自分の系列の海外法人を持っている、そういう輸入商社がこのコーヒーの場合にはほとんどであるといわれております。農林省、その実態については掌握しておりますか。
  126. 生出正也

    ○生出説明員 掌握しておりません。
  127. 宮地正介

    ○宮地委員 そこに私はまず第一の問題、穴があると思うのです。いわゆる輸入商社の場合には海外に農園を持っていたり海外法人を持っておる。そして自分の仲間と買い付けをして帰ってくる。また、自分の農園から持ってくる。ところが、国際相場が変動したからという理由で、国内に来るとその価格がそれに比例して高値になってくる。これについてはまず国民は非常に大きな疑問を持つわけであります。そういうように、ある輸入業者は農園を持っておる。ある輸入業者は海外法人を持っておる。ある輸入業者は、いわゆる国民の感じているようなそういうものはなくて、ただダイレクトにバイヤーから契約して買ってくる。ところが、国内に入ってくると価格が高値でどうもどこも同じような相場になってしまう。まことに不可解な現象であります。輸入業者間において何らかの形においていわゆるカルテル行為的なものが働いているのではないかと疑問を持つのは、私は国民の一人として当然であろうと思います。この点について、まず公正取引委員長、どのようにいままで調査をしてこられておりますか、また、このような疑問について全然調査した覚えがありませんか、伺いたいと思います。
  128. 橋口收

    ○橋口政府委員 コーヒーの実態につきましては、主としてインスタントコーヒーにつきましては、これは後ほど御議論があろうかと思いますが、市場占有率が高いということで従来から重大な関心を持っておりますが、ただいま問題になっております豆の輸入につきましては、従来調査をいたしたことはございません。
  129. 宮地正介

    ○宮地委員 農林省も、海外の実情は掌握しておりません。公取も、港に入ってきた輸入業者の横の関係についてのカルテル行為などについてもわかりません。そして、さらにいま問題とされることは、それでは入ってきてから今度は輸入業者が生豆問屋に豆を卸します。このときにも、商社が買い付けてから日本で専門問屋に荷渡しする間にも相場は動く。先ほどの広報誌の後半にも書いております。今度は入ってから商社と生豆問屋の間においても相場が動く。この関係においても、当然、この夏ごろ問題になったいわゆる魚の二百海里という問題を利用して魚ころがしが行われたりあるいは魚隠しがあったのではないかと、国民に大きな社会的問題を起こしましたが、同じような操作ができる環境がいまの流通機構の中にある。この問題について公取は調査したことがございますか。
  130. 橋口收

    ○橋口政府委員 流通機構問題につきまして、公正取引委員会としてタッチをし得る分野というものにはおのずから限定があろうかと思います。たとえば、先ほど倉成長官のお答えにございましたような、輸入総代理店契約につきましての並行輸入阻害条項についての是正指導等はもちろんやっておりますし、さらに、最近の流通の実態を見ておりますと、メーカーサイドはできるだけ販売の安定性ということを考えまして系列化の傾向を強めておると思います。これは一般的に申しましてそういう傾向が見られるわけでございまして、卸の段階におきましても、供給の安定性ということを考えますと、系列化を一部希望するという向きもあるように見受けられます。系列化それ自体が直ちに独占禁止法上の問題になるということではございませんが、しかし、系列化の傾向が行き過ぎてまいりますと、そこには再販売価格維持契約とか不当な競争制限をもたらすような行為というものも生まれてまいります。そういう点から、従来、調査もいたしておりますし、また事件として取り上げた例もございますが、いまお話がございましたような物資のころがしと申しますか、商品のころがしと申しますか、そういう点につきましては、いままで残念ながら調査したことはございません。
  131. 宮地正介

    ○宮地委員 コーヒーの豆の問題一つを見ましても、国際相場下落をし、円高基調が強くなり、当然、国民消費者のコーヒーの値段は安くなるのではないか、こういう国民の期待。通産省が輸入品目を指定して調べれば、流通機構に問題がある。それでは、流通機構に問題があるならといろいろ調べて、今度は関係省庁の皆さんに伺えば、実態はわかりません。調査はしていません。これでは国民は納得するわけがございません。政府は円高為替差益物価に反映せよと総理みずから大号令をかけたって、その中身を少し調べれば、このような無謀な無責任な答弁しか返ってこない。結果的には国民は高いコーヒーを飲まされている。この実態に対して、長官、どのようにお感じになりますでしょうか。
  132. 倉成正

    ○倉成国務大臣 ただいまお話しのように、コーヒーの国際相場がポンド当たり三月の三百八セントからだんだん下落してまいっておりまして、今日ではかなり低い水準にあることは御指摘のとおりでございます。これが末端のコーヒー価格、インスタントコーヒーの価格にまだ十分反映してないではないかというお話のようでございますが、さっきの農林省の説明によりますと八カ月ぐらいのタイムラグがあるということですから、これは私はやっぱり時間がたてば必ず反映してくると思うわけでございます。問題は、やはりその間において何か不公正な取引なり独禁法に違反するようなやり方があったかどうかということが問題でありまして、そういう価格形成が、自由な市場経済の中でお互いに競争しているわけですから、そこで形成されていくということになれば、これはその自主性に任せるのが正しいあり方であって、その間に何か特別な操作を特殊なメーカーなりあるいは特殊な中間の業者がしておるということになれば、これは公取の方で十分取り締まっていただきたい、そう思っておる次第でございます。
  133. 宮地正介

    ○宮地委員 先ほど国民からの疑惑に対して、公取委員長は、両方とも調査をしてないと不十分な答弁でございますが、今後の御決意はいかがでございましょうか。
  134. 橋口收

    ○橋口政府委員 コーヒーが全体として値下がりをしていない、そういう状況につきましては承知をいたしておりますし、それから、いま先生から御指摘がございましたような事実につきましては十分承知をいたしておりませんし、実態の調査もいたしておりませんが、しかし、これからは十分注意してまいりたいと思います。  ただ、いま倉成長官からお答えがございましたように、国際市況の上下によりましてそれが国内価格にどういうふうに反映するかというプロセスなりあるいは反映の過程全体についてのすべてにつきまして、公正取引委員会が事態を掌握するということは、これは現実問題として不可能でございますから、やはり問題を限定し、問題が先鋭な形であらわれてくるものにつきまして、時期を失しないように手を打ちたいと考えております。したがいまして、コーヒー豆の問題等につきまして、商品のころがしとか、あるいは不公正な取引があるとか、あるいは競争制限的なカルテル行為があるということであれば、端緒をつかんだ上で善処をいたしたいというふうに考えております。
  135. 宮地正介

    ○宮地委員 先ほどから大臣も、不公正な競争、自由な競争を堅持することができない場合にはということを再三おっしゃっております。  私は、ここで一つ事例をぜひ皆さんにお知らせをしたいと思う。  その前に、私は農林省に伺いたい。インスタント業界の国内生産と国内シェアの状況を説明していただきたいと思います。——時間がないようですから私から言って確認します。——わかりますか、では……。
  136. 生出正也

    ○生出説明員 生産数量で申し上げます。五十一年度でございますが、これが二万二千八百九十四トン……
  137. 宮地正介

    ○宮地委員 国内生産の、重立った業界のその内訳を言ってください。
  138. 生出正也

    ○生出説明員 業界ですか。これは大手、まあ二社でほとんどでございますが、ネッスル日本とそれから味の素ゼネラルフーヅ……(宮地委員「各数量を言ってください」と呼ぶ)その生産量でございますか。大体両方合わせまして……
  139. 宮地正介

    ○宮地委員 二万二千トンでしょう。だからその中身を言ってください。
  140. 生出正也

    ○生出説明員 二社で九八%ぐらい……(宮地委員輸入」と呼ぶ)輸入数量は三千九百五十九トンでございます。
  141. 宮地正介

    ○宮地委員 大変歯切れの悪い御答弁です。要するに、わが国における国内のインスタントの消費需要は約二万六千トン、そのうち輸入は約四千トン、国内生産が約二万二千トン。その二万二千トンのうち大手業者が二つある。いまおっしゃいましたネッスル日本とゼネラルフーヅ。このお互いの業者の生産トン数をおっしゃってください。
  142. 生出正也

    ○生出説明員 企業の概数で申し上げますと、ネッスル日本が二万二千トンのうちの約七九%でございます。(宮地委員「トンに直すと」と呼ぶ)約一万七千トンでございます。それから味の素ゼネラルが約四千トンでございます。
  143. 宮地正介

    ○宮地委員 その二つの業者の一般消費家庭に売られております主なブランド、銘柄をおっしゃってください。
  144. 生出正也

    ○生出説明員 ネッスル日本の場合は、一般的なものはネッスルインスタントコーヒーでございます。それからあとゴールドブレンドというのもございます。それからカフェインフリーというような種類もございます。それから味の素ゼネラルフーヅでございますが、これは一番普通といいますか親しまれておりますのはマクスウエル、それからその上にマキシム、それからユーバンというような種類がございます。
  145. 宮地正介

    ○宮地委員 いまおっしゃったいわゆるネッスル日本のたとえばネスカフェあるいはゼネラルフーヅのマクスウエル、これは代表的な、われわれがスーパーや小売、デパートで買う製品であります。このインスタントコーヒーの販売が、実は最近消費者への販売合戦の目玉商品となったり、あるいはコーヒー祭りなどと称して商戦に利用されているのが実態なんであります。この辺の実態調査を公取はやっておりますか。
  146. 橋口收

    ○橋口政府委員 大型小売店、スーパー等におきまして、目玉商品あるいはおとり商品としていろんな商品がそのときに応じて選ばれておることは承知をいたしております。たとえば、午前中論議がございました牛乳等につきましてもそういう問題があることは承知をいたしております。ただ、これは関係者からの申告等によってまず端緒をつかみ得るわけでございまして、いま審査部長に聞いてみたところでは、インスタントコーヒーにつきましてはそういう事例は特に聞いていないということでございます。
  147. 宮地正介

    ○宮地委員 私は、ここでいま農林省のおっしゃったいわゆる製品について、一消費者の立場からいろいろと、小売段階でどの程度で売られているのだろうか、こういうことで、同じ製品を買ってまいりました。たとえば、いまおっしゃったゼネラルフーヅ、国内シェア約二〇%、この会社が売っておりますマクスウエル、ある小売店では百グラム九百五十八円、これをAといたしましょう。B小売店では八百五十五円、C小売店では八百四十八円、百グラムにつき何と百十円も小売値で違うのであります。当然キロに直せば千百円であります。ネッスル日本、これは約八〇%のシェアであります。代表的なネスカフェ、A小売店では百五十グラム入りが千二百六十八円、B小売店では九百三十八円、C小売店では九百九十八円、これも百五十グラム入りにしてその差は三百三十円であります。このような実態が小売段階であり、この中で一番安いのは、先ほど申し上げましたように目玉商品になったり、コーヒー祭りの商戦の一つの利用商品になっておる。こんなめちゃくちゃなことが行われて、なお正常な経済競争が行われているのか。先ほどから何度も申し上げていますように、国際相場下落し、そして円高になり、当然為替差益が出ておる。その流通機構においても、いろいろ聞いてもわかりません、調査をしておりません。私たちが一消費者として数軒その小売を歩いただけでも、こういうめちゃくちゃなことが行われておる。そして小売段階では、趨勢は値上げをしておる。こんなばかげたことが国民を納得させるわけがないと私は思う。関係省庁は何をやっているんだ、政府は何をやっているんだという国民の声が、私は聞こえてならないのであります。先ほどから大臣も、公正な競争、自由競争ということを御旗にして、また、コーヒーが現地買い付けされてから小売になるまで八カ月かかるとか、何か理由をつくって逃れようとする答弁ばかりじゃありませんか。実態はそうじゃないんだ。どこかに仕掛け人がいるか、どこかに経済競争に何らかの問題があるんだという、私はそのことを言いたいのであります。その点についての反省なくして円高差益の問題の解決はできないし、政府のやり方が無策であると国民から言われても、私は仕方がないと思うのであります。このような実態に対して、関係省庁はどのように反省をしておりますか。また、大臣は今後どのようにこの対策を講じていくつもりなのですか。お答えをいただきたいと思います。まず農林省、公取、経企と、こう行きましょう。
  148. 生出正也

    ○生出説明員 農林省といたしましては、公正な競争が行われますよう今後も十分指導してまいります。それから価格にいたしましても、原料の輸入価格が製品に適正に反映するよう今後十分指導していくつもりでございます。
  149. 橋口收

    ○橋口政府委員 いろいろな問題が包含されていると思いますが、一つは、末端価格におけるばらつきの問題でございまして、これはいま御指摘がございましたように、仮に原価を割って販売するということになりますと、観念上は不当廉売に該当するわけでございまして、こういうふうに不況状態が継続してまいりますと、いろいろな物資につきましてそういう問題が起こるわけでありまして、あえて物資の名前を挙げることは省略させていただきますが、大変な数の物資につきまして、言葉は悪いんでありますが、押し込み販売とかあるいは不当廉売というような事件がございました。そういうことにつきまして関係業者からの申告等も来ております。その都度審査部におきましては、口頭の警告とかあるいは書面を取るとかいろいろな措置をとっておるわけでございますが、そういう点につきましては、従来からやっておりますが、さらに広範な問題につきましても積極的な姿勢で対処してまいりたいと思います。  それから豆の輸入の問題等につきまして、協定まがいのことがあるのではないか、こういう御指摘もございますので、これは早速可能な方法で調査をしてみたいと思います。
  150. 倉成正

    ○倉成国務大臣 ただいま御指摘のように、国際相場が五十二年の一−六月で大体六六%、キログラム当たり九百四十九円から千五百八十円に暴騰しているわけでありまして、このインスタントコーヒーがだんだん原料高を製品価格に転嫁して一−六月で三六%の上昇になっておるわけでございます。しかし、先ほどからの御指摘もありましたように、三月がピークで、これがだんだん末端の価格に響いてくると思いますから、その間において適正な価格形成ができるように、先ほど農林省からもお答えがございましたように指導してまいりたいと思っておる次第でございます。
  151. 宮地正介

    ○宮地委員 時間が参りましたので、本日はこれで終わりにしたいと思いますが、どうか、国民の素朴な疑問、コーヒーは苦い、なぜ国際相場が下がっていながら下がらないのだろう、円高になっていながら、為替差益でもうけていながら下がらないのだろう、こういう国民の偽らざる素朴なその疑問に対して、やはり積極的に行政にあずかる当局は取り組んでいかなくてはならないし、そこには当然勇気も必要であろうと私は思います。単に国会の論議の言葉じりでその論戦をかわしたとしても、それでは解決になりません。私は、いま国民の生活を感じたとき、不況とインフレ、そして円高という問題、為替差益を得ている問題に対して、総理が何度か大号令をかけても国民消費者にはなかなか還元されない、政府は何をしているんだ、この厳しい批判に対して、私は、今後さらに反省の上に立ってこの問題に取り組んでいただきたい、強く強く要望いたしまして私の質問を終わりにしたいと思います。
  152. 西宮弘

    西宮委員長 宮地正介君の質疑は終了いたしました。  次は、藤原ひろ子君。
  153. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 先日来からの議論にあります輸入麦の為替差益の還元につきまして少しお聞きをしたいと思います。  今年度予算に比べまして輸入麦についてはどれくらいの利益が出る見通しなのか、お答えをいただきたいと思います。
  154. 秋川喜司雄

    ○秋川説明員 お答えいたします。  輸入麦の差益につきましては、当初予算におきまして約七十八億程度赤字を計上いたしておりましたわけでございますが、その後輸入価格の値下がりあるいは為替円高問題等ございまして、現時点で試算をしております見通しといたしましては約六百三十億程度黒字がふえるのではないかという見通しでございます。
  155. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 私は、あなた方が幾つか前提を置いた上で計算をされた資料をいただいているわけです。これを見ますと、円は一ドル二百八十円というレートを使って試算をしておられるわけですが、これによりましては五百五十二億円の黒字になるという見込みの試算をちょうだいしたわけです。現在、円は一ドル二百五十円を割っているわけですから、この政府の対応を見ても一気に下落することはまず考えられない、こういうふうに思います。そうするならば、実際には政府試算の二倍くらいの為替差益になるだろうというふうに思いますが、こういった中で、麦の価格を下げるべきだというふうに思いますが、いかがお考えでしょうか。
  156. 秋川喜司雄

    ○秋川説明員 お答えいたします。  差益の問題でございますが、私どもの方で試算をいたしました六百三十億黒字という点につきましては、実は私どもの方の小麦の買いつけのやり方でございますけれども、三カ月くらい先行をして先買いをしておるわけでございます。したがいまして、ただいま申し上げました数字根拠になります為替のレートでございますけれども、私どもといたしましては、本年の一月から八月までというものの実績をベースにいたしまして、平均をいたしました数字で試算をいたしておるわけでございます。したがいまして、残り四カ月あるわけでございますけれども、現時点為替レートとの差につきましては、ウエートとしては約三分の一程度しか響かないということでございますので、為替差益に関する限り、そう大幅な数字の変更はないというふうに見込んでおるわけでございます。  あと、麦の価格につきましては、実は私どもの方の食管法の規定からまいりますと、直接輸入価格を反映するという形にはなっておりませんで、食管法の規定によりますと、まず一番重要なのは消費者家計にどのように影響するかという点でございまして、家計支出のいわば伸びと申しますか、伸び率の範囲内で価格をまず考えるということになっております。それ以外の要素といたしましては、米の価格との関係、あるいは物価、それからいまございました輸入価格、言いかえますとコストになるわけでございますけれども、そういった各種の要素を勘案いたしまして決めることになっております。したがいまして、輸入価格が下がったから麦の売り渡し価格を下げる、あるいは上がったから上げるという形にはなっておらないわけでございます。
  157. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 それでは麦の価格は据え置くということでしょうか。簡単に明確にお答えいただきたいと思います。
  158. 秋川喜司雄

    ○秋川説明員 お答えいたします。  麦の価格につきましては、一年に一度は米価審議会に諮りまして、売り渡し価格の審議をし、決定をいたすことになっておるわけでございますが、目下のところ売り渡し価格をどうするかという点につきましては未決定でございます。
  159. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 差益が出ているにもかかわらず値下げもしない、また、据え置くということもはっきりしない、これでは為替差益国民に還元されないということになるわけですけれども輸入麦の場合、それができないのはなぜなのでしょうか。お米の関係なのでしょうか。はっきりお答えをいただきたいと思います。
  160. 秋川喜司雄

    ○秋川説明員 いま申し上げましたように、麦の価格の決め方でございますけれども差益食管会計に生じたから麦の価格を下げてその分を消費者に還元するというふうな形にはなっておらないわけでございまして、過去五年ぐらいの実績を見ましても、たとえば昭和四十八年、九年、五十年あたりは三カ年引き続きまして相当大幅な赤字を出しておるわけでございます。金額にいたしまして合計で二千五百億円以上の食管会計赤字が出ておるわけでございまして、その場合でも価格は極力上げないという方針で貫いてきておるわけでございまして、目下のところ、麦の価格につきましては何らの決定もいたしておらないという実情にあるわけでございます。
  161. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 いろいろ言われるわけですけれども、結局はお米の関係だというふうに思うわけです。私も、お米の消費拡大は確かに重要なことだ、こういうふうに思います。  そこで経済企画庁長官にお尋ねをいたしますが、私は、政府がこの春以来言ってこられました為替差益国民に還元すべきであるということと、そしてお米の消費拡大するというためには、この為替差益の分で消費者米価を引き下げるべきだというふうに考えているのですが、物価行政を担当する国務大臣として、そのように主張されるおつもりはないでしょうか、お答えをいただきたいと思います。
  162. 倉成正

    ○倉成国務大臣 いま食糧庁からお答えいたしましたとおり、麦の会計についてはかなりの差益が出てくる、これはもちろん円高の部分も一部ございますけれども、そのうちの大部分は海外の麦の相場が下がったということが相当大きな比率を占めておると思うわけでございます。  そこで、食糧庁からのお答えがありましたように、この麦の価格については食管法並びに食管法の施行令で、家計麦価の範囲内で輸入麦のコスト価格、国内産麦のコスト価格、それに米の消費者価格その他の経済事情、物価とか財政事情とか、そういうものを参酌して、消費者家計を安定させることを旨として農林大臣が定めるという規定になっておるわけでありまして、これはひとつ米価審議会が開かれた際に、米価審議会の御意見を聞いて最終的には政府として決定するということになろうかと思いますが、いまお話しのポイントの一つは、非常に素朴な国民感情として、麦でかなり利益が出ているじゃないか、それなら何かの形でこれを消費者に還元する方法はないかという国民の素朴な気持ちというのは私は十分理解できると思うのでありまして、農林大臣にも十分国民に説明のできるような形の御配慮をいただきたいということを申し上げておるところでございます。
  163. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 私は、いただきましたこの政府試算の五百五十二億円、これでも消費者米価を少なくとも十キログラム当たりで八十円は値下げが可能だというふうに思います。現在のレートの動向から見ますと、十キログラム当たり百円は値下げができるだろう。政府は、口では為替差益国民に還元する、こうおっしゃいますけれども、政府自身の手で行えるこの消費者麦価の据え置きと消費者米価の値下げができないというのは大変残念なことだと思います。これではますます政府を信用しなくなるだろう、こういうふうにも思います。  私は、米の消費拡大との関係小麦のことについて少し突っ込んでお尋ねをしていきたい、こういうふうに思うわけです。  それは、最近話題になってきております小麦粉製品に米粉を混入するという問題でございます。この米粉入りのものをつくろうという考えは、業者の側から出た意見なのか、それとも農林省の方から出された意見なのか、お尋ねをいたします。
  164. 秋川喜司雄

    ○秋川説明員 お答えいたします。この考え方でございますけれども、これにつきましては私ども農林省食糧庁の方で現在考えておる案でございます。
  165. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 農林省から出された意見ということですけれども、それじゃこれは何を主要な目的としてお出しになったのでしょうか。
  166. 秋川喜司雄

    ○秋川説明員 この米粉を小麦粉に入れるという考え方でございますけれども、私どもといたしましては、食糧消費につきましてはできるだけ国内で供給のできるものの消費をふやしていく必要があるというふうに考えるわけでございまして、主食につきましては、やはり米を中心といたしまして米の消費拡大を図っていくということが基本的に必要だという認識に立っておるわけでございます。現在の米の需給につきましては御案内のとおりでございますけれども、国内生産は非常に供給過剰ぎみでございます。他方におきまして米の消費が大幅に減っておるという実情をも踏まえまして、現在粉食形態消費が非常に伸びてきておる、あるいは定着しておるという中で、米につきましても消費拡大の一環といたしまして粉食形態での消費拡大を図りたいということが趣旨でございます。
  167. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 それじゃ、農林省はこの問題を国民に出すに当たって、どこの研究機関で研究をされて、その研究はいつから始めて、いつそのことを提示しようという結論に到達をしておられるのでしょうか。
  168. 秋川喜司雄

    ○秋川説明員 試験研究を国でしたかどうかという御質問であろうかと思いますが、小麦粉に米粉を入れるという点の試験につきましては、国といたしましては現在考えておりますような少量の混入というふうな形のものにつきましては正式の研究をいたしておるわけではございませんが、現在考えております米粉の混入ということにつきましては、すでに一部の製品等にも商品化されておるということでございまして、基礎的な研究にまつというよりも、むしろ消費者の嗜好に関係する問題でございますので、どちらかと申しますと企業的な問題ではないかというふうに考えておるわけでございまして、その上また、小麦関係の二次製品というのは非常に用途が多岐にわたっておりまして、こういったものをことごとく対象として試験研究するということはとうてい困難な実情にあるわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては、むしろそれぞれの業種におきまして試験的な試作その他をお願いしたいという考え方をとっておるわけでございます。
  169. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 あなた方の責任で研究をしているというものではないということが明確になったというふうに思いますが、そうなんですか。
  170. 秋川喜司雄

    ○秋川説明員 お答えいたします。  いまも申し上げましたように、国が何か基礎的な研究をするというふうな性質の分野のものではないのではないかというふうに考えておるわけでございます。別に申し上げますと、たとえば米なら米の物理化学的な性状とか、あるいは小麦なら小麦の物理化学的な性状というものにつきましては、これは十分研究が行われておるところでございます。したがいまして、少量の米粉を小麦粉にまぜるという場合に、これにつきましてはむしろ消費者の嗜好との関係で企業的な試作その他による検討が一番重要ではないかというふうに考えておるわけでございます。
  171. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 このように米粉入りのうどんをつくったりそばをつくったりするのは新しい試みですね。それを国民の嗜好だということで、農林省は別に研究することもなく業者に依頼をしている、任しているわけですけれども、それじゃ業者の皆さん方はいろいろ御工夫をしておられる、今後も質問していきますが、その研究費などは、農林省がしてない分を研究費としてお渡しになってやってもらっておるわけですか。
  172. 秋川喜司雄

    ○秋川説明員 研究費を政府が現時点で支出をいたしておるということはないわけでございます。ただ、私どもといたしましては、消費拡大の一環といたしまして、予算上千トンの米の無償供与を計上いたしておるわけでございまして、原料でございます米については無償供与の道があるわけでございます。
  173. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 私は、ちょっと常識外れの大変虫のいい話だなというふうに思います。こういう中で、あなた方はお米で十万トン、米を粉にすると十万トンは八万トンになるというふうに昨日聞いたわけですけれども、これを小麦粉に混入して使いたいということのようですけれども小麦粉でつくります製品すべてについてこの米粉入りのものをつくらせようとしていらっしゃるのでしょうか。それとも小麦粉だけのものと米粉入りのものと、つまりいままでずっと私どもが食べてまいりましたそばやうどんは小麦粉だけですね、そういうものと、新しく米粉を入れたそばやうどん、こういう二種類のものをつくろうとしておられるのですか、いまの考えをお答えいただきたいと思います。
  174. 秋川喜司雄

    ○秋川説明員 米粉を小麦粉に入れます場合にその入れ方を一律にするのかどうかという御質問かと思いますが、どの製品にどの程度米粉の混入ができるかということにつきましては、現時点でまだいろいろと検討中でございまして、私どもといたしましては、むしろそういった方法も含めましてまず技術的な側面について業界等の御協力を得ましてある程度のめどをつけていきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  175. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 ここに私どもの機関紙であります赤旗が、香川に行って調査し取材したのを持っております。  香川というところは喫茶店でもうどんが出るというような状態です。高松市栗林町でうどんの卸小売を営んでおられる上原実さん、五十一歳の方ですか、「うどんに米の粉をまぜるなんて——。高松の人はうどんの味にはうるさいのですよ。不況で売れ行きが落ちてるときに——」と、大変憤慨しています。  それから、香川県の製粉製麺協同組合の松岡登常務、この方も「米と麦という性質の違うものを混ぜられたのでは、讃岐うどんのイメージダウンは必至だ。せっかく関東方面にも販路を広げてきたのに」と、大変怒っておられるということでございます。  こういった中で単刀直入に私はお尋ねをいたしますが、この讃岐うどんはどうなるのでしょうか。また、信州そばというのがありますけれども、こういうものはどうなるのでしょうか。これは製めん業界でも特別な扱いをしているものなんですけれども、これにも米粉を入れるということになるのかどうか、農林省の見解を明らかにしていただきたいと思います。
  176. 秋川喜司雄

    ○秋川説明員 讃岐うどんに米粉を入れるのかどうかという端的な質問でございますが、私どもといたしましては、どの製品にどの程度入れられるものかということをいま詰めておるところでございまして、これはいろいろ製品の業種によってかなり幅があるのではないかというふうに見ておるわけでございます。したがいまして、いろいろやった上で、どうしてもだめだというものに無理に強制的に入れるということではございません。
  177. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 長い歴史の中でその土地の風土に即したつくり方、食べ方が工夫されて、めん類業者の不断の研究、努力、こういう中で今日まで育て上げてきました名産品にまで米粉を入れてその味や特徴を消してしまうというようなことは、よもやなされないだろうというふうに思いますが、いかがでしょうか。
  178. 秋川喜司雄

    ○秋川説明員 その辺につきましては、さらに私どもといたしましても十分詰めてまいりたいというふうに思うわけでございまして、製粉業界から始まりまして、その下の各流通段階あるいは加工段階を含めまして、どういう工夫の仕方があるかというふうなことを詰めておるところでございます。  たとえば、米粉にはグルテンがございませんので、それを補てんするためにうんとグルテンの高い小麦粉を添加するというふうなやり方等もあるわけでございまして、かなり工夫の余地があるのではないかというふうに見る見方もあるわけでございます。たとえば、いまおっしゃられましたそばの場合でございますと、そば粉の混入数量がかなり多いわけでございますので、たとえば非常に上質のそばだというふうなことになりますと、これは八割、九割ぐらいそば粉が入っているのではないかということがあるわけでございます。そうすると、たとえば仮に八割そが粉が入っておるというふうにいたしますと、残りの二割が小麦粉でございますが、その二割に仮に二%入れるということになりますと、全体としては〇・四%ということになるわけでございまして、たとえば百グラムのそばを食べて〇・四グラムの米粉が入っておるという場合の味なり品質はどうかということになるわけでございまして、数量的にはかなり小さい数量でございますので、その辺はむしろそれぞれの業態に即しまして、製粉業界でどういう粉のつくり方をするのか、あるいは各業種によりましてどういう工夫の仕方があるのかという形で詰めていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  179. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 農林省でお金をかけて研究したりなさらないから、いまのようなことだと思うのです。そばのよいのはほとんどそば粉だ。そうすると小麦粉はつなぎに入れているわけですね。米粉を入れたら、いまでさえぼろぼろになると言っておられるわけですから、もっと皆さんしっかり研究なさったら、そんな御答弁はないのだろうというふうに私は思うわけです。  それからいま一つの問題は、消費者側の問題です。消費者が古来伝統を守り続けた小麦粉によるうどんやそば、パンを食べたい、こう思っても、米の粉を源泉混入されて今日までのものがないという状態、食べられないというようなことが今後もし起これば、それは国民の食べ物、嗜好に対する選択の自由を奪うことになるというふうに私は考えます。こんなことには絶対になさらないでしょうね。もう一度念を押して、聞かしていただきたいと思います。
  180. 秋川喜司雄

    ○秋川説明員 ただいま先生の言われました消費者の嗜好をできるだけ尊重するという点につきましては、私どもも同感でございまして、できるだけそういった消費者の選択の余地あるいは嗜好を尊重するということを念頭に置きまして、今後取り進めてまいりたいというふうに思うわけでございます。
  181. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 では、国民の声、つまり業者の声をよく聞いていただくということだと思います。  ここに、昭和四十七年八月二十五日付で農林省が告示をしました即席めん類の日本農林規格というのがあります。これによりますと、もともと即席めんには米粉を入れてもよいことになっておりますね。明快に書いてあるわけです。ところが、現在調べてみますと、即席めんで米粉を入れたものを生産しているというところがあるでしょうか。わかりましたらお答えをいただきたいと思います。
  182. 秋川喜司雄

    ○秋川説明員 私どもといたしましては、いまのところ寡聞にしてそういう例を聞いておらないわけでございます。
  183. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 私どもも、知る範囲では、米粉入りの即席めんをつくっているというところはなかったわけです。それで、農林省ならおつかみになっているかと思ってお尋ねをいたしたのですが、農林省答弁でも、米粉入りのものをつくってよいと明示してある即席めんに現在米粉を使っていない。しかし、以前は米粉入りのものもあったわけですね。だからこそ、この日本農林規格という中にも米粉入りも含めているわけだ、こういうふうに思います。それにもかかわらず、いまその製品がつくられていないというのは、一体どういうことなんでしょうか。品質が落ちるからか、採算が合わないからか、消費者に喜ばれないからか、このいずれかの理由によるのだというふうに思いますが、この問題について、なぜ米粉を入れないでいま即席めんがつくられているかということを検討し調査されたことがあるでしょうか。
  184. 秋川喜司雄

    ○秋川説明員 米粉入りの即席めんが出回っておらないという原因について調査をしたということはないわけでございますが、即席めんの中に米粉を入れるということは、かなりの程度可能ではないかというふうに現在までのところ私どもは見ておるわけでございます。
  185. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 そんな中で、あなた方は、即席食品を生産している食品工業界にも米粉の混入についての協力を要請しておられますね。いかがでしょうか。
  186. 秋川喜司雄

    ○秋川説明員 小麦粉を使っておられます各業界に米粉をぜひ使っていただきたいという協力方を依頼しておることは、そのとおりでございます。
  187. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 米粉を入れてつくってもよいということになっている即席めんの業界にわざわざあなた方が要請しなければならない、こういう事態になっているわけですね。こんなことにこそ、いま大変重大な問題になっている矛盾した姿が私は出てきていると思います。食品工業界は、入れてもよいことにはなっているけれども、それを入れたのでは採算が合わない、だからやめたわけです。つまり、国民消費者がそれを求めなかった、嗜好に合わなかったということだと思うわけです。このことは、もうこの問題ではっきりしたというふうに思うわけです。これを農林省はあえてやろうというわけですから、それなりに国民消費者に喜んでもらえるという確信がなければできない話だと思うわけです。要は、業者の方は、どう言われようとも、消費者である国民がそんなものは困る、こう言えば、それは買わないということになるわけで、食べないということになると思うわけです。農林省は一消費者が米粉入りのものを喜んで食べるというふうな確信がおありでしょうか。いかがでしょうか。
  188. 秋川喜司雄

    ○秋川説明員 即席めんの場合におきまして米粉が入っていないという理由につきまして、私どもは、先ほども申し上げましたように調査はいたしておりませんが、その原因として考えられます一つの大きな要素といたしまして、米の値段と麦の値段を比べました場合に、小麦粉の値段が非常に安いということで、いま先生もおっしゃられましたように、採算の点ではるかに小麦粉の方が有利であるということが重要な要素になっておるわけでございまして、品質の問題につきましては、これは現在いろいろ検討していただいておるわけでございますけれども最終的には消費者皆さん方が選択してお決めになるということでございますが、二%程度、これは平均でございますけれども、どの程度入れられるかということになりますとさらに詰めなければいけませんが、かなりのものが使えるのではないかというふうに私ども考えておるわけでございます。
  189. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 あなたは大変矛盾した御答弁だというふうに私は思いますが、言っておられる方は思われないから平気で御答弁になるのかもわかりませんが、調査していないというのに何がわかるんだろうと思っていたら、わかることがあると、それは小麦粉が安いと言われました。つまり米粉は高いということですね、言いかえたら。安い方をとられたわけですけれども、米粉は高い。そうすると、この即席めんが高くなるから、つまり採算が合わないから使わないんだ、しかし、これは皆さんに研究してもらったらもっと普及するだろう、こうおっしゃる。全く私は矛盾に満ちた答弁だというふうに思います。大変苦しいんだろうなというふうに想像もするわけですけれども、昨日私は、全国製麺協同組合連合会、ここが行いました米粉入りのめんの試食会に行って試食をしてまいりました。うどんとそぱと中華めんとが出ておりました。それぞれ、現在の小麦粉だけのもの、それから二%米粉入りのもの、三%の米粉入りのもの、こういうふうに三種類に分けて並べてあったわけです。実際に食べてみますと、嗜好ですからいろいろ違うとは思いますが、私が感じましたのを率直に申し上げますと、おうどんは確かに腰がないわけです。しこしこしているというのがうどんの特徴ですけれども、やはり米粉が入っていると腰がなくなっているということを感じました。そばは三%入っているのを、私は大分遅くそれを食べたんですけれども、そうしますと、米粉が入っているのはだんごのように固まっているわけですね。だんごを食べているというふうな感じでした。  それから中華めんは、そのきのう出ておりましたものをここへ持ってきているわけですが、大体こういったなまものは三日間もつようになっているわけですね。そうすると、きのう試食会に出たものはおとといつくったわけですね。そして、まあこれ三日目なんですが、もう中華そぱぼろぼろなんですね。こういう状態になるわけなんです。これは米粉入り三%、そうしますと、三日目でこういうことになれば、お商売は成り立つのだろうか。私は、この米粉の入ったものが決しておいしいとはお世辞にも言えない。中には二%や三%くらい入ってたってそんなものわからぬなあという人ももちろんあるだろうと思います。しかし、私もまだめんしか試食しておりませんから、ほかのものについては確定的なえらそうなことは言えません。けれども、食べる側の者から言いますと、決して喜んで食べられるものではないということは感じてきたわけです。二%入り、三%入りのものでもこうだったわけですから、五%も一〇%も入れるとなると、全国的に米粉入りめん類の消費は減退するのではないか、こういう感想を持って帰ってまいりました。  あなた方は、米粉入りのめんは小麦粉だけのものよりおいしいと考えておられますか。まあ、私がきのう試食に行ってひがみ目で見てきたからあんなことばっかり言うているんだ、あいつの舌はおかしい舌ではないかというふうにお感じになるのならば、おいしいんだというふうに自信がありますか、どうでしょうか。お答えいただきたいと思います。
  190. 秋川喜司雄

    ○秋川説明員 先ほども申し上げておりますように、この製品にどの程度入れられるかということにつきまして、特に技術的な側面を優先いたしましていろいろ関連業界に試作その他試食というふうな形をお願いしておるわけでございますが、ただいま五%というお話ございましたけれども、私どもといたしましては、総体の数字といたしましては二%程度考えておるわけでございまして、物によっていろいろ違うと思いますが、極力消費者の嗜好を尊重するというふうな形で実施をしてまいりたいと思っておるわけでございまして、ただいまの試験設計がどういうものか詳しくは私ども知りませんけれども、米粉自体につきましても、その加工方法等によりまして米粉の物理化学的な性状が相当違ってまいります。  それから、一番問題ございますのは、米粉の粒度の大きさ、メッシュという形であらわしますと、小麦粉と米粉ではメッシュが普通にひきますと違うわけでございまして、米は非常にかたくてひきにくいという形で、米粉のメッシュの方が大きいわけでございます。したがいまして、米粉のメッシュを小麦粉とある程度そろえるとか、あるいはそれ以上小さくするというふうな問題から始まりまして、使います原料米が、どういう米を使うのか、新米を使うのか、古米を使うのか、いろいろあろうかと思いますが、そういったことから始まりまして、さらに、使います小麦粉の種類と申しますか品質と申しますか、そういう点もいろいろと工夫をいたしまして、グルテンのない米の入った分だけグルテンの高い小麦粉で補てんをするというふうなやり方が、恐らくある業種については必要なんだというふうに聞いておりますけれども、そういったいろいろな工夫が必要かと思うわけでございまして、ただいま先生のおっしゃられました試食でございますけれども、どういう内容のものか、三%という数字につきましてもいろいろあろうかと思うのでございますが、私どもといたしましては、数量的にそう大きなものを入れようということを考えておるわけでもございません。その点、ちょっと試食につきましては正確なお答えを申し上げられないという実情にあるわけでございます。
  191. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 二%や三%ならば大したことはないのだ、一貫してこういう気持ちが土台にありながら、どの製品にどの程度入れられるかただいま検討中でございますということが必ず答弁の初めについて何遍かお聞きしたわけですけれども、その二%、三%入りがこれだという話を私はしているわけです。だから、五%一〇%だったら話にならぬという話をしているわけで、五%、一〇%をいま論議しているのと違うわけですね。いまの御答弁をお聞きしましても、ずいぶんと工夫や苦労が要るのだということをみずからおっしゃっている。研究が必要だということをみずから認めておられるというふうに思うわけです。ですから、ずいぶんと工夫や苦労せんならぬものを、農林省みずからが手をこまねいていて、口ばっかりで業者にやれやれ、こういう姿は全く道理に合わないというふうに思います。ここのところは、農林省がきちんと科学的にも検討もし、研究、調査もし、これは国民の口に合ったものだ、日本人に合ったものだという確信を持つ研究が必要だ。そして、いまやらしておられる業者の方には、先ほど千トンでしたかの現物米を支給していると言うけれども、暇も手間もかかりますし、お金もかかるわけですね。そういった補償を考えるべきだというふうに思います。それはいかがでしょうか。
  192. 秋川喜司雄

    ○秋川説明員 米と小麦粉まぜ合わせるという問題でございますが、これにつきましては、同じ食べ物同上のことでございまして、数量も非常に小さいということでございますから、先ほども申し上げましたように、むしろ企業的な立場から試作品をつくってみるというふうなことが消費者の嗜好との関係で一番実際的ではないかというふうに考えておるわけでございまして、助成をするかしないかという点につきましては、現在のところ助成をするというふうな予算は持ち合わせておらないわけでございますけれども、今後その辺につきましては若干検討の余地があるのではないかというふうに思うわけでございます。
  193. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 助成の予算は持ち合わせておらぬ、企業は研究をせいと言うて、予算は持っておるだろう、こういうことですか。私は、中小零細企業がうどん屋さん、そば屋さん、めん業者だということを調査してきたわけですけれども、そういった方たちの研究は当然であって、しかし、一番初めに、米粉を入れるというのは一体どこの発想なのかと質問したら、農林省の発想だとおっしゃったわけでしょう。何も業者が進んで研究してそれを入れましょうとも言ってないのに、研究はおまえたちでやれ、これは一体どういうことでしょうか。
  194. 秋川喜司雄

    ○秋川説明員 この点につきましては、私どもといたしましては、小麦粉を使っております各業界に対しまして、総量で二%程度の米粉を使っていただくようにお願いをしたいということで、協力要請をいたしておるわけでございます。
  195. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 それじゃ業者はそれを喜んで協力しておられるというふうに認識しておられるわけですね。
  196. 秋川喜司雄

    ○秋川説明員 各業界でいろいろと取り扱い方も態様が違うわけでございますが、やはり先生の御指摘ございましたように、製法上若干問題があるのではないか、あるいは米の値段が高いというふうなことも含めまして、各業界では反対をしておられるということは私どもも十分存じておるところでございます。これにつきましては極力、消費者も含めまして、現在の米の実情等その他も含めて御理解をいただくように努力をしてまいりたいと考えておるわけでございます。
  197. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 もう一つ違う立場からお尋ねをしてみたいと思うのですが、一袋に二十五キログラム小麦粉が入っておりますね。これはそばですけれども、これをゆでうどんにしますと約三倍の七十五キログラムになるそうです。そういう二十五キロが七十五キロにふくれ上がるという中で、うどんの玉は三百個から三百十二個ぐらいとれるそうです。関東と関西のとり方は違うそうですけれども、とにかく三百前後とれるわけですね。ところが、米粉を混入いたしますと、かさは低くなるわけです。二十五キログラムが七十五キログラムにはならないわけです。そうしますと、同じように三百とりますとうどんの玉が小さくなるわけですから、どうしても同じようにとろうと思うと二百九十個ぐらいしかとれないわけですね。味は落ちるわ、しかも価格は高くなって消費者サービスにはならないということが、この面から見ても私ははっきりしているというふうに思います。まずかろう高かろうということでは、消費者は好むはずがないのではないでしょうか。こういうことをあなた方は承知の上で、業者が反対もしておられるのに、まだ、御納得いくように御説明申し上げて、御研究もしていただいて、金はあなた持ちでということを言っておられるのですが、全くこれで道理に合うというふうに思っておられるのでしょうか。
  198. 秋川喜司雄

    ○秋川説明員 こういった食品につきましては、嗜好を尊重しなければいけないことはもちろんでございますけれども、翻りまして品質とか味とかいうことになりますと、相当幅のある問題でございまして、相対的な面があるわけでございます。  それから価格につきましては、実は別途これはまた麦の価格が高いか安いかというふうな議論があるわけでございまして、現在正確な金額はまだわからないわけでございますけれども、たとえばいま小麦粉二十五キロ当たりで仮に百円程度コストに響くというふうなことになりますと、いまの三百個とれるということになりますと、一食当たり三十数銭というふうな金額になろうかと思うわけでございます。米の方はだんだん消費が減っていっておりまして御承知のとおりのなかなかむずかしい局面に立ち至っておるわけでございますが、他方、麦の方はどんどん消費が伸びてきておるというわけでございます。そういう中で、食糧問題をどういう形で、特に米の消費拡大という側面から考えていくかということから出てきた考え方でございますので、その辺の趣旨につきまして、今後消費者を含めましてご理解をいただくよう努力をしてまいりたいというふうに存じます。
  199. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 私は、一番最初に申しましたように、米の消費拡大を非常に重要だというふうに考えているわけです。ですから、十万トンを米粉入り、源泉混入しまして、もう日本じゅうのうどんやそばは全部米粉入りだというふうな一律的なやり方はだめなのではないかという問題提起が一つあります。  それと同時に、そうしたらどうして米の消費拡大をするのかという問題があるというふうに思うのですが、それじゃもっと違うものをつくったらどうか。米でよいという、たとえばビスケットなんか入れると大変おいしいと言われておりますといって課長補佐の方が部屋へ来ていろいろ力説をしていただいたわけですけれども、そういうものに開発をしていくとかですね。ところが、これだけ反対をしておられる。もちろん米粉入りのうどんをきのう食べてみたらやわらかくておいしかったわという方があるかもわかりませんから、それじゃ幾ばくかは入れる部分もあるかもしれない。しかし、無理にこれだけはどうしても入れいというようなことを言ったり、日本じゅう一律にやったりしないで、いままでの純粋の小麦粉のものと、それから米の粉が入ったものは、米粉入りうどんですよ、これは米粉入りそばですよとちゃんと表示もしてもらってやられるということが、私は必要だというふうに思うわけです。  それから、先ほど御理解をいただいてというふうにおっしゃっているわけですけれども、先日、全日本麺類業組合総連合会から農林大臣及び食糧庁長官に米粉混入に反対する要請が提出をされているということですが、御承知のことだろうと思います。先ほど業者の方も反対しているというふうにおっしゃっておりましたから、御承知のことだと思いますが、私どもも、ここにありますようにめん類業の業界の方から米粉の混入に反対してもらいたいという要請を受けているわけです。業界の方はどういうふうに言っておられるかといいますと「パンは一部市販されているが、「老化が早く、ボソボソする」という欠点が指摘されている」というふうに書いておられます。それからまたこう書いておられます。「小麦粉にはグルーテンがあり、米には無い。そして小麦粉グルーテンと親和力のある澱粉は限られている。小麦粉製品に於てグルーテンと澱粉はなじんでいるが米は全くなじまない異質のものでありいわば〃異物混入〃である。米を入れることにより、小麦の特性は失なわれてしまう。従って現在では主要商品のパン、麺にうまく合せることは無理である。」お願いを幾らしても、こういうふうに専門家が言うておられるわけですね。ですから、研究もしないで押しつけるというのは全くおかしな話、道理に合わないということは、この要望書を見ても明らかだというふうに思います。  それからまた、こういう中であなた方は、業者の方は納得し喜んで、まぜる割合などはまだわからないけれども、米粉を入れてもらうことに賛同してもらえるというふうに思っておられるでしょうか。それとも、いま読みました業者の方々の言い分は、そんなことはないというふうに断言できるでしょうか。いかがでしょうか。
  200. 秋川喜司雄

    ○秋川説明員 現時点におきまして業界の方が反対をしておられるということは私どもも承知をいたしておるわけでございますが、これから先極力試作その他を重ねていく、あるいは試食その他を積み重ねるというような形で、消費者の御納得のいただけるような品物ができるかできないかということを詰めてまいりたいと思うわけでございまして、その辺につきましては今後もう少し研究をしてみたいと思うわけであります。
  201. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 また、この要請書には、混入率の検知は不可能だということで書いておられます。「米にせよ他の穀物にせよ混入の検知は不可能とも云え、仮に両者間に価格差があれば、混入率の不正が行なわれる可能性がある。」こういうところまで専門家は指摘をしておられるわけです。そして「古来伝承のめん類の味を低下させ、ひいては消費の減退をきたす米粉の小麦粉混入は取りやめていたゞきたい。」こういうふうに強く反対をしておられるわけです。実際にこのめん製品をつくっておられる業界が、品質が落ちるからやめてほしい、こう言っておられるわけです。あなた方は、業界が納得しないというようなことを盾にとって小麦粉の供給を削減するというような半強制的なやり方はなさらないでしょうね。明確にお答えをいただきたいと思います。
  202. 秋川喜司雄

    ○秋川説明員 小麦粉の供給量につきましては、需要があります場合にはやはりその需要に即して適正な供給枠を決めていくという必要があると思っております。したがいまして、米粉問題と関連をさせて小麦粉の供給量云々というふうなことはいまのところ考えておらないわけでございます。
  203. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 いまのとおり、需要に対してきちんと供給をする。幾ら言っても納得しない、説得を聞かない、それじゃおまえら言うこと聞かないのだったら小麦粉を渡すのを減らすぞというようなことは言わないという御答弁をいまいただいたというふうに思います。  業者の方々が納得するというその裏づけは、消費者つまりお客さんですね。こういう場合はうどん屋さんやそば屋さんのお客さんということですけれども、このお客さんが喜んで食べるという保証がないと業者の方々は納得しない、こう思うのです。業者がひとり納得したって、売れなかったら、お客さんに喜んでもらえなかったら——高くてもおいしければ喜んでもらえるでしょう。しかし、まずかろう高かろうということですから、納得することはまずむずかしいだろうと私は考えます。ですから、品質的にも保証されなければならないと思います。先ほどの御答弁でも品質が大事だというふうにおっしゃっていたわけですから、これは保証をされなければならないと思います。もっと言うならば、新製品をつくる場合というのは少なくとも安くておいしいということでなければ新製品とは言えない、これが現在の社会常識だというふうに思います。高くてまずい新製品でも消費者が喜んで食べるというふうにあなた方はお考えになっているでしょうか。いかがでしょう。
  204. 秋川喜司雄

    ○秋川説明員 値段が安くて品物がよくて非常においしいということは確かに理想でございます。また、消費者もそういうものを選ばれるというふうに私ども考えるわけでございます。今回の小麦粉に米粉を入れまして小麦粉製品をつくるという点につきましては、先ほど来申し上げておりますように、数量的には非常に小さい数量でございまして、何らかの工夫をして、たとえば先ほど申しましたように、グルテンのない米粉のグルテンを補てんするためにグルテンの高い小麦粉を使うというふうな工夫をするとか、これは一例でございますけれども、そういったいろいろなやり方を積み重ねまして、従来の小麦粉だけの製品に遜色のない製品ができ上がるように期待をしておるところでございます。
  205. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 めん製品で消費者と直接つながっておられるのはうどん屋さんであり、そば屋さんです。その人たちが自信の持てる製品をつくらなくてはだめだ、こう思います。こういう施策は、あなた方がいま米粉を入れて変質をさせようとしておられる、こういうことを推進しようとしておられるわけですから、これの実施に当たっては、農林省、政府は重大な責任があるというふうに思います。  そこで、私は、最後にお聞きをしたいわけですけれども、もし、あなた方が強力に進めようとしておられる米粉入りのうどんやそばが出回るというふうなことで、業界が不振になったり営業困難になった場合は、政府がそれの生活保障も含めて責任を持つ用意があるのかどうか。いかがでしょうか。
  206. 秋川喜司雄

    ○秋川説明員 私どもいま考えております予定といたしましては、五十三年度からできれば実施をいたしたいというふうな考え方でございまして、まだかなりの期間があるわけでございます。その間にある程度、製品等につきましてもめどをつけたいというふうに思っておるわけでございます。
  207. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 期間があるとおっしゃっていますが、私は、五十三年度からでは、まだ研究もできていないし予算も組んでないし、大変だなあと思うわけですけれども、それでは、その五十三年度から進めるというような施策でもし失敗したら、いまのように業界が不振だ、営業困難だというふうなことがあったら、当然政府がその責任を持つべきだ、政府が進んでいる方向を変えられたわけですから。そういう覚悟もなしにこれをやらせることはできないというふうに私は思いますが、そこまでの決意をしておられるのかどうか。いかがでしょうか。
  208. 秋川喜司雄

    ○秋川説明員 米粉入りの製品が出回ることによりまして、たとえば売れ行きが減って商売が不振になるという見込みの話でございますが、この点につきましては、現時点では、どうなるかということにつきまして私どもといたしましても確たる見通しがないわけでございます。ただ言えますことは、数量が非常に小さいわけでございますので、できるだけこの程度の数量をこなせないものかというふうに考えておるわけでございます。
  209. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 現時点見通しがないというようなことを具体化されるというのは大変不当なことだと思います。もっときちんと、この見通しはどうだ、お客さんも大丈夫だと安心して買ってくださるよということでしてもらう、そうでないと業者は納得がいかない。見通しは暗い、政府は、倒産しようが何もめんどうも見てくれないというふうな中で、どうして皆さんが納得できるだろうかというふうに思います。一貫しておっしゃっているのは、数量は小さいんだ小さいんだ、十万トンというのはわずかなんだという考えが一貫してあるわけです。それじゃ伝統的に守られてきた、先ほども書いておられたこういった方々の御苦労などは一体どう考えておられるのか。  時間がありませんので、最後に経済企画庁長官にお尋ねをしたいというふうに思います。  いま農林省が米粉入りのものを研究するのは結構です。研究をしておられないので困ると思いますけれども、私は、米の消費拡大ということで研究もしなければならないというふうに思います。しかし、高くてまずいという米粉入りのものしか食べられないようになるということだけは絶対にやめてもらいたい。もともとのもある、また、米粉が入ったのも好きな人は食べなさいということだったらまだしも、一律に源泉混入するというようなことは絶対やめてもらいたい。消費者にも選択権は与えてもらいたいというふうに思います。これは単に業者の問題にとどまらずに、国民全体にかかわる問題だというふうに思いますので、今後私も厳しく注目をしていきたいというふうに思いますけれども、大臣の御意見をお聞きしたいというふうに思います。
  210. 倉成正

    ○倉成国務大臣 食生活は長い伝統に基づいて形成されてきたものでございますし、最終的にはやはり国民の嗜好にゆだねらるべきものだと考えております。ただ、いませっかく農民の方々が苦労してつくられたお米が非常に余っている、したがって、何とかこの消費拡大したいということで、農林当局が非常に苦労しておられるという点でありますので、これはやはり味の面その他いろいろないま御指摘のような点もごもっともだと思いますので、これから民間あるいは政府が協力して新しい道を考えてみる必要があるんじゃないかと思います。  私も、あるお米の生産県の代議士からオートミールにかわるライスミールというか、お米を材料にしたオートミールみたいなもの、これを試作したのをいただき、まして、私の家庭でもいただいてみましたけれども、かなりおいしいものがあるわけでございます。したがって、やはりこれはなかなか一遍で理想的なものはできませんけれども、やはりこれだけ国内に資源があるという現実に着目して、これを何とか消費者にも喜ばれるものにしていくという工夫が大切だと思いますので、この辺は特に農林省にも格段の御勉強をいただこうと思っております。
  211. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 いま大臣は、農林省は米の消費拡大に大変苦労しておられるというふうにおっしゃいました。確かにその面はあるだろうと思います。しかし、きょうの答弁である限り、苦労しておられないというふうなことも一理あるのではないか。これだけ消費拡大のために調査し研究もしなければならないものを、業者任せにしている。それで、金も出さない、口だけ出すというふうな状態に押しつけだけしている。これでは苦労しておられるのは業者の方ではないでしょうか。農林省がこのことについて何を苦労しているでしょうか。  私は、米の消費拡大について、前にお米の集中審議がございましたときに、学校給食用に三五%の値下げがされて子供たちの口に入っている、こういうふうに値下げをすれば消費拡大されるという質問を行いました。ところが、学校給食用だって日本学校給食会を通らなければ三五%の値下げはしない。農協か渡したり——京都の川上小学校というのは丹後の奥の方ですけれども、丹後織物が大変疲弊してきて、給食代を現金で払うのは父母が大変困難だ、そういう中で、父母が米をつくり野菜をつくったものの現物を学校へ持ってこさしている。そして子供たちの健康を地域ぐるみで考えていこう、この不況を乗り切ろう、こうしている人たちには三五%の値下げはしないわけですね。もっともっと農林省はこういったところにも、大臣がおっしゃるように米の消費拡大のために苦労をしていただきたい、もっと研究も考えもしていただきたいということを私は心から強く願うわけです。  いま苦労しておられるのは業者だ、このめん類の業者、製めん業者——きのうは自分たちの商売をやめて一般の方々に広く宣伝をし、婦人の皆さんやいろいろな方々へ呼びかけて、自分たちの費用でもって、食べてください、そして意見を聞かしてくださいと言っておられるわけです。苦労しているのは業者なんです。この業者の皆さん方は——あの石油ショック以来の狂乱物価と深刻な不況の中で、中小企業の倒産というのは史上最高の記録を更新し続けているわけです。経営の大半は赤字かあるいは利益がないという状態になっているわけです。統計にあらわれない小零細業者の倒産、廃業は数限りがないわけです。自営業者の大多数は収入が減って生活を切り下げざるを得なくなっているわけです。めん類や製めん業者は中小零細企業が九二%です。一日じゅう家族ぐるみで良心的に精いっぱいうどんやそばをつくり、伝統を守って一生懸命働いている人たちです。これらの人たちが七十万人おられるわけです。この七十万人の生活権が脅かされることがないように、その営業を守り発展させるということができるように、この米粉の混入問題を検討すべきだ、簡単にそんなことを右か左を決めてはならないというふうに私は思います。強くこのことを要望いたしまして質問を終わりたいと思います。
  212. 西宮弘

    西宮委員長 藤原君の質疑は終了いたしました。  本日は、これをもって散会いたします。     午後三時三十八分散会