○太田参考人 現行の制度が、御
承知のとおり、毎年三月末に畜産振興
審議会に諮問いたしまして農林省が安定帯
価格をお決めになるわけでございまして、現在の制度では、上限を超えた場合には、事業団が国産の牛肉を持っている場合にはそれを放出する、あるいは
輸入牛肉を放出して上限
価格を超えないように中央卸売市場の
価格を安定帯内におさめる、これが消費者に対する
対策になっているわけでございます。生産者のための
対策といたしましては、安定基準
価格を割ったときに調整保管をしていただいた助成をするとか、あるいは事業団が買い上げて
価格の回復を図ってそれ以下には下げないようにするというのが事業団の第一次の任務であろうかと思います。
そういうことで、先ほど課長からも御説明があったわけでございますけれ
ども、事業団の放出が非常にうまくいったからというようなことを申し上げるつもりはございませんが、昨年の九月から乳用牡犢につきましては安定帯の中に入っておるわけでございます。それから和牛につきましても本年の三月から安定帯の中に入って推移をいたしておるわけでございますから、その限りにおきましては、第一次的の私
どもの任務は果たし得たのではないかというふうに考えております。ただ、卸売
価格が下がりましてもそれに連動して小売
価格が下がらないというような点があることは、先ほど来るる
議論がされたようなことでございまして、確かにそういった面があることは間違いないわけでございます。
そこで、先生の御指摘、国民の食生活の改善という大きな目的に沿って業務を運用すべきではないかというような御指摘、至極ごもっともでございまして、私
どもは、
一つにつきましては例の指定店制度というような制度を設けまして、
輸入牛肉につきまして末端の小売
価格の適正化に資するというような事業を実施しておるのでございます。
それと、よく私
どもが指摘されますのは、私
どもの例の売買差益あるいは調整金、これが
輸入牛肉勘定から助成勘定に繰り入れられまして指定助成対象事業という事業を実行しておりますが、その事業の採択がどうも生産者
対策本位になっているのじゃないかというような御指摘がございます。そこで今回、農林省にもお願いいたしまして、牛肉の特別販売等の事業について助成をするというようなことで、とかく従来事業団の運営が生産者サイドに傾き過ぎるというような御批判について、率直に受けとめまして、そういった事業を取り上げたような次第でございます。私
どもは、この事業の定着のぐあいを見まして、さらに農林省等にもお願いして、できれば規模の拡大等もやってまいりたい、かように存じておる次第でございます。
それから、御指摘の事業団の非常勤
理事の中に伊藤ハムの社長がいるではないかというようなことでございますが、私
どもの
理事会では、事業団の予算、事業計画あるいは決算、定款の変更、業務方法書の変更、こういった事業団の運営上の骨格となる事項につきましては、出資者を含めた学識経験者を広く参加させて、業界に関する知識経験を有する者の意見を事業団の業務運営の中にある程度反映させた方がよろしかろうという趣旨で、農林大臣の許可を得まして非常勤の
理事を私が任命するというようなことになっておるわけでございます。そこで現実の運用といたしましては、いま申し上げたような基本的事項につきましては、私
どもの
理事会に非常勤の方もおいでいただきまして
議論をしていただいております。あるいは持ち回りで決裁をしていただくというようなことがあるわけでございますが、具体的な
輸入牛肉の売買等の日常的な業務、これにつきましては、実は関係法律あるいは定款、業務方法書で、極端に言いますともう全部細かく縛られておるといいますか、ほとんど決まっておるわけでございまして、まあその中には売り渡し予定
価格とか買い入れ予定
価格とかいうような、確かに機密に関する事項もございます。したがいまして、そういった事項の決定につきましては、非常勤の方には、お許しを得まして、そういったことを決めることにつきましては一切関与していただかないで、われわれいわゆる常勤の
理事だけでそのことを決定をいたしておるのでございまして、決して、先生が御心配になるような
意味で、何か私企業の利益のために地位が利用されるというようなことのないような配慮はいたしておるつもりでおるわけでございます。