運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1977-10-27 第82回国会 衆議院 物価問題等に関する特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年十月二十七日(木曜日)     午前十時四分開議  出席委員    委員長代理 理事 武部  文君    理事 加藤 紘一君 理事 片岡 清一君    理事 米沢  隆君       愛知 和男君    鹿野 道彦君       中西 啓介君    中村  靖君       堀内 光雄君    中村  茂君       馬場猪太郎君    長田 武士君       宮地 正介君    藤原ひろ子君       依田  実君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      倉成  正君  出席政府委員         公正取引委員会         事務局経済部長 妹尾  明君         経済企画庁調整         局審議官    澤野  潤君         経済企画庁物価         局長      藤井 直樹君         通商産業大臣官         房審議官    山口 和男君         資源エネルギー         庁石油部長   古田 徳昌君  委員外出席者         文部省体育局学         校給食課長   坂元 弘直君         農林省畜産局畜         産経営課長   続  省三君         農林省畜産局食         肉鶏卵課長   甕   滋君         参  考  人         (畜産振興事業         団理事長)   太田 康二君         物価問題等に関         する特別委員会         調査室長    曽根原幸雄君     ————————————— 本日の会議に付した案件  物価問題等に関する件      ————◇—————
  2. 武部文

    武部委員長代理 これより会議を開きます。  委員長所用のため、その指定により、私が委員長の職務を行います。  物価問題等に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。米沢隆君。
  3. 米沢隆

    米沢委員 最近の円の高騰物価に絡みまして、まず最初に一般的な話を経済企画庁長官の方から伺いたいと思います。  御案内のとおり、最近の円相場の急激な高騰というのは、ある人に言わせれば第二の石油ショックではないか、こう言われるほどにかなり様相を呈しております。確かに年初から円はじりじりと上がっておりましたけれども、九月末からの急激な高騰する円相場というものは、相場の今後の成り行きいかんによりましては日本経済環境をがらっと変えていく、そういう大変重要なポイントを持っておるような感じがいたします。  そこで、まず第一に、今後の円相場動きが一体どうなっていくと思っていらっしゃるのか、特にかぎは、わが国の輸出入の動向と、それを反映した為替需給というものもありましょうし、あるいはまた海外からの円買い中心とするいわゆる投機筋動きというものもありましょうし、あるいはまた日銀あたりがどういうときに介入していくかという介入の方針のいかんにも左右されると思いますけれども政府が現在持っておられる今後の円相場動き、その見解をちょっと示していただきたいと思います。
  4. 倉成正

    倉成国務大臣 円相場は、いまお話しのように、昨年の十二月、ことしの一月が二百九十円台、それから二月、三月が二百八十円台、四、五、六が二百七十円台、それから七、八、九が二百六十円台ということで、十月に二百五十円台になりまして、きょうの寄りつきは二百五十一円五十銭という非常に高い状況にございます。  そこで、経済政策を運営している立場の者として、こういうことになるだろうというようなことを言うことはちょっと差し控えさせていただきたいと思いますので、御容赦いただきたいと思いますが、背景となっておる点はこういうことではなかろうかと思うわけでございます。  それは、円相場は、短期的に見ますと、やはり為替需給関係で決まるということでありますから、日本国際収支動向、またアメリカ国際収支動向ということでございまして、ことしの一−八月の日本貿易収支は百十五億ドルの黒字でございました。アメリカは百七十六億ドルの赤字でございます。そういうことが短期的な円相場に大きく響いてきておる。それから同時に、よく新聞等で言われますスミソニアンレートからの変化率ということになりますと、IMF方式欧州方式それぞれ計算の仕方が違いますけれどもIMF方式で申しますと、日本の円が一九七一年の十二月二十日からことしの十月十八日までに二一・八八%高くなっておるわけでございます。これに対して西ドイツの方は四二・四九%、スイスフランは七〇・一〇%というふうに高くなっておるわけでございます。欧州方式で申しますと、日本円が一七・九五、西ドイツマルクが二九・八二、スイスが四一・二一ということで、若干相違がございますが、いずれにしても、日本の円の動きマルク動きスイス動きというのは、やはりスミソニアンレートからの変化率一つ背景になっておると思います。  と同時に卸売物価で申しますと、一九七一年十二月以降、国際比較上、これはことしの八月程度をとりますと、日本円は六一・七%上がっている、西ドイツマルクは三七%上がっている、スイスは二六・九%ということで、日本卸売物価は大分上がっているわけでございます。  そういうこともございますので、このスミソニアンレートからの変化率、それから日本卸売物価——なぜ卸売物価を申すかと申しますと、中長期的には大体両国卸売物価両国経済力と申しますか、そういうものが円相場基礎になるということが理論的に言われておりますので、そういう背景があるわけでございます。そのほかやはり投機的な要素が全然なかったとは申されないと思うわけでございまして、通貨当局は、この乱高下に対しては介入する、それ以外は市場の実勢に任せるという立場をとっているわけでありまして、この立場を私どもも支持しているというのが現状でございます。
  5. 米沢隆

    米沢委員 その立場からして、数字を挙げての説明というのは非常にむずかしいと思いますけれども、今後これからの日本経済を運営されていく場合に、現在のこの円の相場というものが、少なくとも定着をするのか、それともかなりこれから先乱れていくのか、あるいはまた二百六十円台から二百七十円台に回復するのが目に見えておるのか、そのあたりの感覚だけは教えていただけるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  6. 倉成正

    倉成国務大臣 そのあたりが非常にむずかしいわけでございまして、そういうことをちょっとでも申しますとすぐ電波に乗るわけでございまして、その辺のところは私が申し上げるべき立場にないということを御理解いただきたいと思います。
  7. 米沢隆

    米沢委員 今度の円高原因というのは、日本かなり対外黒字を持っておるということや、大変不況の中にも輸出が好調であるとか、一般的に言われるそのような原因というものがありますけれども、特に今回の場合、円に対する外圧というものがいろいろな面からささやかれておるわけでありまして、そういう意味では円高の今後の見通しというものは、逆に言いますならば、外国圧力というのがどこまで続くのかということと関連しておるような気がいたします。そういう意味からして、日本がどういう経済の姿になったときに海外の方からの圧力がなくなっていくのか、そのあたりが今後のポイントではないか、私はそう思うのでありまして、今後円高相場を見通す場合、外国から文句を言われない日本経済の姿とは一体どういう姿であろうか、そのことについて長官見解を伺っておきたいと思います。
  8. 倉成正

    倉成国務大臣 これは非常にむずかしい問題でございます。いま、御承知のように世界じゅうの経済がくたびれているというか、各国とも失業という問題を抱えまして、大変くたびれているのみならず、非常にいらいらしているというのがいまの実情でございまして、あらゆることに非常に神経過敏になっているというのが率直に申しまして世界の経済の状態ではなかろうかと思うわけでございます。その一つ背景は、やはりOPEC黒字OPECの一九七四年から昨年までの黒字というのが、約千八百億ドルぐらい経常収支であるわけでございます。毎年、この二年間ぐらいは四百億ドル以上の黒字を出しておるわけでございます。そうすると、その黒字のツケがどこかに行くわけでありまして、OPEC諸国にも行くし、非産油の途上国にも行く、その上に日本経常収支の大幅な黒字を出しまして他国の赤字原因をつくっておる、しかも日本商品輸出されて、失業輸出している、そういう受け取り方をしておるわけでございます。したがって、日本の側から申しますと、よい品物を安く、しかも納期も確実で、売るのがなぜ悪いかという議論も言いたいところでございますけれども、しかし立場を変えてみると、また外国のそういういら立ちというのも十分理解できるわけでございます。したがって、私は、基本的には輸出というのはやはり日本の命綱でありますから、これは大事にしなければならない、集中豪雨的な輸出は避けなければならないけれども、やはり大切にしていかなければ日本経済は大変なことになると思いますので、集中豪雨を避けつつも輸出は大事にしていく。同時に、日本輸入をできるだけふやして、そして貿易収支経常収支バランスをとっていくということがこれからの姿勢ではなかろうかと思います。そこで、中期的には、私ども前期経済計画を立てたときには、基礎収支バランスをとるという考え方をとったわけでございまして、そのときの基礎収支バランスをとる背景には、経常収支で四十億ドルの黒字を出す、そしてその四十億ドルの黒字対外投資なり対外援助を行う、そうすると基礎収支でとんとんになる、短期の資本の問題はこれは別にして、基礎収支バランスをとるということを実は中期経済計画は考えておるわけでございまして、そのときの貿易収支黒字は百三十億ドルと、そういうふうに一応試算をいたしたわけでございます。しかし、こういうふうに国際情勢が非常に変動しておりますから、この数字にわれわれは最終的にこだわるわけではございませんけれども、基本的な物の考え方は大体そういう考え方であるということを御理解いただきたいと思います。
  9. 米沢隆

    米沢委員 そのような国際収支海外諸国が納得できるような方向に持っていくということは、結果的には日本輸入というものをもう少しふやしていく、そうした場合、いまささやかれておりますのは、結果的には日本が、結局国内にいわゆる斜陽産業を持っておって、斜陽産業を保護するために、この分については輸入はだめです。そういうかっこうのものが取り除かれない限り海外の円に対する圧力というのは消えないであろう、そういうことがよく言われます。そうなりますと、確かに日本だけがオンリーで保護主義みたいなものを持っておるのは、これはもう全然許されないことでありましょう。しかし、そこから一歩出て、斜陽化するものはもう斜陽化するまで待とうという、大きな言葉で言いますならば日本産業構造を変えていかない限り海外からの圧力というのは消えない、こういう観点に立ちますと、いまこの不況のさなか、日本にも多くの不況産業があり、そしてまた不況産業構造改善していこうというこのやさき、急激な円の高騰というものは、その構造改善をしていくタイミングを失わしていくに余りあるという感じがするわけです。そういう意味で、構造不況業種あたり事業転換させるなり構造改善していくなりする場合に、ある程度の時間が必要であったにもかかわらず、急激な円の高騰が、急速、何か一挙に構造改善を迫られるという事態をつくっておる。そういう意味では、私は、国内にも大変大きな問題が派生してくることだという感じがしてなりません。  そういう意味で、この円の急騰に対して、今後日本構造不況業種と言われる、そういうものの事業転換を初めとする構造改善事業等を、何かタイミングを失った感じで、急速宿題がぱっと出されたという感じがするのですが、そのあたり対策というものは一体どのようになされようとしておるのか、ちょっと聞いておきたいと思います。
  10. 倉成正

    倉成国務大臣 いずれにいたしましても、オイルショック後の日本経済というものは一つの大きな構造変革を求められておるわけでありまして、産業構造転換を図っていかなければならないと思っておるわけでございます。その方向としては、一つは省資源・省エネルギー型の産業、それから知識集約型の産業、また、国際経済と調和をする意味での国際分業を意識した形の産業方向という、そういう方向づけはほとんどコンセンサスができているわけでありますけれども、しかし、具体的にそれではこれをどういう形に持っていくかということになると、これは非常にむずかしい問題でありまして、いま日本輸出御三家は、鉄鋼自動車造船であります。この鉄鋼造船自動車にかわる御三家が、今後十年、十五年後に何かということをいろいろな専門家に、私どもこういう仕事柄、いろいろな人と懇談をしてみますと、なかなかいい知恵は出てきません。たとえば、電子工業中心とするコンピューター並びにこれの周辺の産業、ハード、ソフト合わせ、また、これらに関連した産業というのがそういう御三家の一角に入り得る可能性はあります。可能性はありますが、必ず入るとだれしも言っていないわけでございまして、そういうことをいろいろ考えてまいります際に、われわれがやはり心しておかなければならないのは、ある程度雇用吸収力のある産業ということを頭に置いておく必要があるのではなかろうか。それからもう一つは、日本人口一億一千万、すなわち非常に大きな人口を持っておりますから、あらゆる産業が成立し得るマーケットがあるわけなんですね。人口が一億を超しておるわけですから。そういう意味において、資源や立地上の制約はありますけれども相当バラエティーに富んだ産業構造を持ち得る可能性をそういうマーケットの面では持っているということは言えると思うのでありますので、そういうことを踏まえながら、将来の産業構造を、産業構造の通産省の審議会であるとか、あるいはわれわれの方の計画局であるとか、あるいはいろいろな方面で、いま各方面知恵を集めて検討をいたしておるところでございます。しかしこの場合でも、やはりある程度の成長率がないと、産業構造転換というのは非常にむずかしいということで、われわれがエネルギーの許す範囲で全般に高目成長をということは、需給ギャップを埋めるということと、同時に産業構造転換を容易ならしめるという意味がありまして、そういう考え方をしたわけでございますけれどもお話しのように、円高という形での要素が加わってまいりますと、この産業構造転換の問題に急速に対応していかなければならないということが迫られてくるわけでございまして、その間に私ども一番心配しておりますのは、やはり雇用問題、この雇用問題について慎重な配慮をしていくことが大切であるというふうに考えておるわけであります。
  11. 米沢隆

    米沢委員 そういうことで、最終的には日本産業構造転換しない限り海外からの円に対する圧力というものは消えない、こういう観点に立ちますと、急激に出てきたわけですから、今後積極的に設備の廃棄とか、あるいはまた事業転換とか、あるいは業界再編成を従来以上のテンポで力を入れていただきたいということをお願いしたいと思います。  しかし、いまお話のありましたように、そういうことをやっていく場合にもやはり適当な成長というのが必要である、それは私も同感であります。そういう意味で、現在の円高様相というものは、御案内のとおりかなりデフレ効果を持っておる、こう言われ、現に政府がいろいろ資料を出していただきますけれども、マクロ的には確かによくなりつつあると思いますけれども、先ほど申しましたように、ミクロ的にはかなり大きな多くの難問を抱えておるわけでありまして、その上、この円の急激な高騰というのはデフレ効果をもたらして、かなり成長率の足を引っ張っていく、こういう議論がなされております。  そういう意味で、いまお聞きいたしたいことは、現在の、九月からの急激な高騰年初からのじり高、そういうものが日本経済にどれほどのデフレ効果をもたらしておるのか、そのことをちょっと聞かせていただきたい。
  12. 倉成正

    倉成国務大臣 為替レート円高が長期にあって続きますと、お話しのように、輸出数量の伸びを抑え、また逆に輸入の方はふえてくるということが考えられるわけでございます。ただ、具体的にこれがどうなっていくかということになりますと、その貿易収支経常収支に与える影響は、円が高くなった場合にどれだけの価格が変化するかしないか、これは競争力ある商品であるかどうかということも関連するわけでございますから、その辺はどうかみ合わさっていくかということの判定が非常にむずかしいわけでございます。  それからもう一つは、ついけさもやはり輸出関係の方々と懇談をいたしたわけですが、円高があったから、それじゃすぐ輸出数量が減るかというと、これは御案内のとおり先物での予約をしたりいろいろした経緯もありますし、また急に操業を落とすわけにもいかないということで、ある場合には出血輸出することもあろうかと思うわけでありまして、すぐ円高輸出に響いてくるということもなかろうということになるわけで、ある程度のタイムラグがあるわけでございます。  したがって、その辺をどう見たらよろしいかということについて内部ではいろいろ議論をしたり勉強いたしておりますし、また民間の機関がそれぞれ一定の前提を置いていろいろな試算をしていることもよく承知しておりますけれども政府責任者として、余り仮定議論をするということは、今日の段階で適当でないということで、数字的に申し上げる段階には至っていないというのが実情でございます。むしろ円高の傾向がずっと続くということになると、響いてくるのはやはり来年度というのが一番大きな響き方をしてくるのではなかろうかという感じだけは持っておるわけでございます。
  13. 米沢隆

    米沢委員 いま政府は、一向に景気がさえないということから、御案内のとおり総合経済対策等を立てまして鋭意努力をされておるわけでありますけれども、その際、総合経済対策というのは、これもある試算でありますけれども、大体GNPを〇・八%から〇・九%上昇させるという数字があったように記憶いたしております。しかしながら、今度のこのような円高、特に九月来の急激な、九月からもう十円ぐらい上がっておるわけですから、そういうものは、デフレ効果計算しますと、〇・三%ぐらい成長を下げるものだ、そういういろいろな試算がございます。また、私もちょっと計算してみたのですけれども、たとえば日本の総輸出に対して円高がどういう影響をあらわすか、こういう計算をしますと、たとえば七月の貿易会議で決まっております五十二年度の輸出見通しトータルで七百九十八億ドルありますね。こういうものが、もしたとえば五十一年の平均レート約二百九十三円と比較しまして、たとえば今年度二百六十五円という平均で推移いたしますと、約二兆二千三百四十四億という影響が結局為替変動によって出てくるわけでありまして、総合経済対策で約二兆円規模の今度の予算だと、こういうことでありますけれども、実際は、トータル論議で大変申しわけないのでありますが、日本トータルの総輸出だけでも円高が与える影響というのは二兆二千億にも及ぶわけですから、単に輸出だけを取り上げましても、今度の総合経済対策の二兆円というのは完全に円高で吹っ飛んでしまう、こういう計算が成り立つわけであります。そうなりますと、よく約束をされております今年度の六・七%成長が本当に期待できるのかどうか。いま申されましたように、来年度の方に影響を濃くしていくであろう、こうおっしゃいますけれども、今年度においても相当成長率を下げていく要因になることは確実であるという感じがしてなりません。そういう意味で、そのあたり果たして今年度の六・七%成長というのは、今度のこの円高、それから期末に向けてほとんど同じような様相で円の相場が進んでいくとしますならば、かなりデフレ効果を持って成長ポイントを下げていくという認識が必要だと私は思います。そういう意味で、自民党筋あたりからも第二の景気対策あるいはまた第二の円高対策等が叫ばれておりますけれども、今後、経済運営のかなめの長官として、そのあたりどういう景気対策というのを考えていくのか、どのあたりに重点を置いていくのか、そのあたりをちょっと説明してほしいと思います。
  14. 倉成正

    倉成国務大臣 最後の段階でお述べになりましたように、円高がどういうふうに推移していくかということは、まだその確たる見通しはございませんけれども、しかし、国内景気かなり影響を及ぼしてくるという認識は私ども持っておるわけでございます。ただ、先ほどお述べになりました数字は、まあ御承知で言っていらっしゃると思いますが、非常に大胆な仮定を幾つか立てられてお述べになった数字でありまして、しかも、輸出が仮に減りましても、今度輸入がふえてくる、卸売物価が安定してくると、実質的なGNPが上がってくるといういろいろな問題がございますから、これと二兆円と比較されるのは、経済専門家であります米沢委員から承りますと大変残念に思っておる次第でございます。  実は私どもいろいろな勉強をしております。ただ、今度の総合経済政策で考えておりますモデルをいろいろ使いまして、二兆円の事業効果について、また公定歩合等のものを入れて計算いたしますと、総理が国会で答弁しておりますのは、約四兆円の、間接効果を入れた効果ということでありますが、確実なところ、対策から一年間ぐらいをとるのが一番よかろうということで計算をいたしますと、大体年度内、五十二年度中に一兆五、六千億の効果、そして住宅等効果のうちの相当部分が五十三年度の上半期すなわち半年ぐらいの間に出てくるという計算でございまして、これが一兆五千億強ということでございます。両方合わせまして、一年ぐらいの間に三兆円強の直接、間接効果が出てくるという計算を私どもいたしておるわけでございます。したがって、この総合対策を着実に実施していく、そしてできることなら五十三年度の効果の一部でも五十二年の中にあらわす工夫がないだろうかというようなことをいろいろ努力をしてみたいと思うわけでございまして、何とか六・七%の成長は達成いたしたいというのが現在の私ども立場でございます。
  15. 米沢隆

    米沢委員 わかりました。  それでは話を転じますけれども、これは先般来話題になっておりますが、十月十四日に、物価担当官会議で「円高に伴う物価対策の推進について」、こういうものが決定をされました。それなりにその施策につきましては評価をするものでありますけれども、この中に、たとえば総輸入量の約七〇%を占める原材料為替差益問題あたり物価問題対策として全然取り上げられてないということが大変私にとって不満でございます。個別にいろいろと話題にはなっておりますけれども、この物価担当官会議というもので、特に総輸入量の七〇%を占める原材料等の今後の追跡あるいはまた物価対策に好影響をもたらしていく対策施策、そういうものが全然論じられないというところに大変大きな問題があるような気が私はいたします。おたくでなさいましたこの輸入品品目別価格動向調査等によりますと、たとえばこの七割のうちほとんど四割ぐらいを占める石油製品ですね、こういうものは、最終的には、最近の円高石油製品国内販売価格に反映されていると見ることができるという大変第三者的なかっこうで、円高は何らかの形でうまく影響しておりますという表現だけしかないという、このことに私は納得できないのです。そういう意味で、故意に落とされたのか、それとも別問題として他にげたを預けられて新しい別な方法で何かをされておるのか、もしされておるなら、具体的な施策というものをぜひここで説明をしてほしいと思います。
  16. 倉成正

    倉成国務大臣 専門に勉強しております物価局長が参っておりますから後で補足をしていただきたいと思いますが、私ども六項目の対策は、とにかくあの十月十四日の時点でやれることをひとつ各省で話し合おうということで決めたわけでございまして、なかなかそれが全部を網羅していると思っておりません。まだ落ちているものがいろいろあろうかと思うわけでありまして、あの時点では電力の問題についてまだいろいろやっていた時代で、あれから数日後に、御案内のとおり電力等については現在の価格をできるだけ長く維持するというような方針が明らかにされたわけでございます。そういうことで、やれることをその都度やっていこうという気持ちがあるわけでございます。  それからもう一つ、この調査原材料についての調査はどうしてやっていないかというようなお話でございますけれども、わが国の輸入のうちで原燃料の比率が大体六四%ぐらい、そのうちで原油が三二%ですね一全体の中で。それぐらいの比率だと思うのですが、これはどちらかというと、原燃料の場合は、売り手と買い手との力関係から申しまして需要者がかなり強いわけで、目をさらのようにして為替相場なり国際動向というのを見ておりますので、やはりこの市場のメカニズムにゆだねましてもそうおかしな結果にはならないだろうという考え方がございまして、ここにゆだねておるわけでございます。  また、最近の卸売物価がやはり円高——円高だけではございません。一つ国内が非常に不況需給関係が緩んでおるということもございますし、海外市況も落ちついたということも響いておるわけでございますけれども、やはり円高というものが卸売物価の鎮静化に相当役立っておるという感じがいたしておるわけでございます。しかし同時に、消費財について見ますと、需要家側は大変情報に不足しておりますし、またおかしいと思いましてもなかなか対抗能力がないわけでございますから、これについては政府としても、十分な情報提供を行って、また行政的に指導ができるものについてはその円高効果が反映できるように指導していく、そういう態度をとっておるわけでございます。この調査は、実は円高を何とか国内物価、消費者物価に反映できないだろうかということで、六カ月間の期間をとりまして一生懸命勉強したわけでございまして、もちろんわれわれだけの力で足らないものですから、いろいろな関係の機関の協力も得たわけでございますけれども、専門的に見ますと、まだいろいろ足らない点があったり、もう少し掘り下げたらいいのじゃなかろうかという部門が多々あろうかと思います。しかし、とにかく一里塚として、まず、われわれが得た情報を整理して明らかにする、これを一つの手がかりにしながらさらに問題を深めていきたい、そういう気持ちでおります。したがって、これが完璧なものともすべてであるとも思っておりません。しかし、そういう意味で、一歩前進のための手がかりには十分なり得るというふうに思っておるわけでございます。
  17. 米沢隆

    米沢委員 もうおわかりだろうと思いますけれども、そういう意味では原材料輸入というものが為替相場の変化によって為替レートに大変大きな差をもたらすわけですから、そのあたりを使っておる業界に対して、今後も強力な行政指導というものを、特にまた為替レートの差益というものは座して入ってくる金ですからね。そういう意味では確かに個々の企業、業界の利益になったといたしましても、やはりそれなりの還元というものは、ある程度の力を持って行政指導できる、そういう分野を持っておるのではないか、そう思いますので、今後の強力な御指導をぜひお願い申し上げたいと思います。  さて、そういうことで、円高卸売物価あたりかなりいい影響を与えておる。その結果、この前の経済見通しの改定試算等でも、卸売物価は下がるという計算を改定されました。しかし、消費者物価が全然変わってないというところにもまた大変大きな疑問があるわけです。物価局の理論値なんかを読ましていただきますと、一円円が上がると卸売物価にどれだけ影響して、それが何カ月後には消費者物価にどれだけ影響する、こういう少なくとも理論値はあるのですね。ところが、卸売物価は下がったけれども消費者物価はそのままでございます。こうなりますと、結果的には消費者物価そのものに対して、本当に経済企画庁として積極的にやる気があるのだろうかという、姿勢を疑うような感じもしますし、数字そのものに全然あらわれてこないようなものであるならば、そんな大げさに騒ぐようなことでもないという感じもします。そういう意味で、卸売物価は下がる計算をなさいましたけれども、消費者物価が全然変わらないというそのあたりの事情をちょっと明確にしてほしいと思うのです。
  18. 藤井直樹

    ○藤井(直)政府委員 御指摘のように、今回の見通しの改定におきまして、卸売価格につきましては従来の五・四%を二・九%に低下させております。これは三つほど原因がございまして、一つは、海外市況が軟調になってきているということでございます。それから一つは、国内要因として需給が緩和しているということ、そのほかに円高が加わったということでございまして、その三つの要素を織り込みまして改定を行ったわけでございます。他方、消費者物価については、当初の見通しの七・七%を変えておりませんが、その理由といたしましては、今回の卸売物価の鎮静化を、内容を見てまいりますと、非常に生産財で下がっておるわけでございます。九月でいいますと、対前年同月で生産財がマイナス一・〇%ということでございまして、全体として〇・五%上昇しております。一方消費財関係になりますと、かなり上昇しておりまして、まあ円高とそれから海外市況の低落によって、まず卸売物価には輸入の素原材料の低下が効いてきているということでございまして、それが非常に大きな原因となっております。消費財の方は、卸売物価の中でもわりに需給の関係がよろしくて、まあ価格としての上昇傾向を示しているということでございます。  これに対して消費者物価がどうなるかということでございますが、卸売物価と消費者物価との関係は、卸売物価のどの段階でその上昇、下降が起きているかということによって非常に影響が違ってくるわけでございます。当面のところは、消費者物価から一番遠いところ、要するに卸売物価の一番初めのところ、素原材料で起きているというところにあるものでございますから、それが消費者物価影響してくるのには相当タイムラグがございます。そういうようなことでございまして、本年度内において出てくる影響というのはそれほど大きくないだろう、そういうふうに考えているわけでございます。そのほかの問題としまして、これは二百海里問題等に伴いまして、水産関連品について従来よりもやや高い上昇を示しているというようなことがありまして、その辺については多少消費者物価影響してくるだろう、そういう両面をいろいろ勘案いたしまして、当初の見通しを維持することにしたわけでございますが、私どもとしては、こういう見通し見通しとして、先ほどから問題になっております。円高による輸入価格低下を消費者物価に反映させるということについて最善の努力をしていくことによりまして、この目標の達成に努めていきたいと思っておるわけでございます。
  19. 米沢隆

    米沢委員 ということは、結果的には政府も当初はこんなに円が高くなるなんて予想されてなかったわけです。しかし、結果的にはこんなに円が高くなって、卸売物価に好影響を与えた。もし円高がこんなに起こっていなかったならば、消費者物価というものはもう少し上がっておっただろう。そういう意味で、消費者物価上昇というものが円高によって救われた、結果的にはそういう計算になったというふうに理解していいですか。
  20. 藤井直樹

    ○藤井(直)政府委員 消費者物価というのはなかなか計測がむずかしいくて、全体の雇用の問題とか、鉱工業生産の問題、それから全体の需要、個人消費、それから民間投資の動き、それから輸入物価等がどうなるかということで、非常に多くの要素を持っておりまして、そういう要素をモデルに入れまして出てきたものが現在の消費者物価の推計数字でございますけれども、いまおっしゃったような点について、もちろん円高というものがあって、それが卸売物価の低下となってあらわれている、それが消費者物価に引き続いて出てくるということでございまして、それはどの程度かということを申し上げるわけにいきませんけれども、そういうことから言いますれば、当初の見通しに対しては、それは引き下げる要因になったであろうということは言えるかと思いますが、また逆に、先ほど申し上げましたような二百海里問題というような要素も出てまいっておりまして、こういうものについての動きがまた別の方向に動いているということもございますので、円高だけ取り上げて、それについて確かに下げる方向になりますけれども、その他の要因もあわせて考えてみないといけませんので、全体として円高なかりせばどうであったかということについては、それだけで単独の議論として、消費者物価数字をながめていくということは、なかなかむずかしいのではないかと思います。
  21. 米沢隆

    米沢委員 時間が切迫しておりますので、公取も用意しまして、わざわざ来ておりますけれども、えらい済みませんが、割愛させていただきます。  いま円高、そして為替レートの差益というものが話題になりまして、御案内のとおり、石油業界と石油化学業界との間で、例のナフサ戦争がまた始まっております。石油化学業界の主張は、御承知のとおり、ナフサの現行価格というものがキロリッター当たり二万九千円で、これは欧州のナフサ価格の約二万四千円に比べて五千円ぐらい高いのだ、あるいはまた現在の設定された価格というのは、円高レートを全然反映していない。特にまた日本の場合、ナフサの需要が動きましても価格に反映されない、そういう実勢を反映しないような状況になっておりますから、そういう意味で不満も大きいのだと思います。同時にまた、石油業界の方は、欧州の価格なんというのはスポット物の価格であって、長期契約による価格はどうなっていくかわからぬ、そういうあいまいな欧州価格を基準にして国内ナフサ価格が高いとか、それゆえに引き下げるという、そういうわけにはいかない、こういうホットな論争が続いておるわけであります。  そこで、まず基本的な認識として、現在のナフサの日本価格ですね、こういうものが高いのか安いのか、どっちの方が理屈的にいま合っているのか、行政の立場としては大変言いにくい面があるかもしれませんが、このあたりは客観的に基本的な見解をまず聞いておきたいと思います。資源エネルギー庁の立場からする議論と、産業政策局的な立場からする議論、あるいはまた高いナフサによりまして日本の石油価格というのは国際競争力を完全に失いつつありますから、そういう意味では基礎産業局的な立場から議論は変わってくるのだろうと私は思いますが、ぜひそのあたりは分けて見解を伺っておきたいと思います。
  22. 古田徳昌

    ○古田政府委員 確かに先生御指摘のとおり、現在のわが国の国内ナフサ価格は、国際価格、特にヨーロッパにおきますロッテルダムのスポット価格に比較しますと割り高になっておるわけでございます。ただし、このヨーロッパのロッテルダム・スポット価格というものは、需給を反映しまして非常に変動しやすいものでございまして、現在のようにわが国の国内価格が割り高になりましたのは昨年の夏ごろからでございます。その当時以降、ヨーロッパにおきましては渇水に基づきましての重油消費の増大、それに関連しまして連産品のナフサの生産がふえた。他方、石油化学業界の状況がよくなくて需要は余り伸びなかったというふうなことで、その需給関係を反映して、その後次第に値下がり傾向になったということでございます。現時点におきましてヨーロッパでの価格とわが国の国内価格を比較しますと、円高影響もありまして確かに五千円前後の格差ということになっております。ただ、この国際ナフサ価格といいますものは、先ほど言いましたようにナフサの需給動向によりましてそのときどきに変動するものでございまして、一概に国際価格に比べて国内価格が安い状態が定着しているとかいうふうな見方はできないのではないかというふうに思っております。私どもとしましては、最近の情勢の推移等も踏まえまして、さらに国内輸入需要の増大も考えまして、現時点におきましては海外の割り安になっておりますナフサの輸入の増大ということで弾力的に対処したいと考えておるわけでございます。  それから国内のナフサ価格につきましては、石油業界あるいは石油化学業界内で、それぞれ各企業間の結びつきの程度、あるいは製品構成の差異というふうなことがございまして、複雑な問題があるわけでございますが、私どもとしましては、当面各企業間におきます話し合いが円滑に進み、両業界間の協議が進むということを考えまして、引き続き指導を行っていきたいと思っておるところでございます。
  23. 米沢隆

    米沢委員 いまの御答弁によりますと、高いか安いかはこれからの需給バランスを見なければ実際わからない、しかし、現には五千円ぐらい高いのは事実である、こういう御答弁だったと思います。そういうことで、さきに、ナフサ関連業界の実情にかんがみて輸入ナフサを入れて、それもかなりの好影響があるだろう、こういう判断をなさっておられるようであります。しかし、こういう価格交渉になったときに、確かに両業者の話し合いというのが従来までの慣行であったかもしれませんし、ときには行政が介入されたかもしれませんけれども、しかし、完全に利害が相反する状況、それからまた欧州の価格論争あたりでもこれが是だこれが非だという議論が余りできないという情勢、そしてまた現在のように、また円高による為替差益の問題等が浮かび上がった時点におきましては、業者に任しておってもそんな簡単に話が決まるものではない。それよりも、行政そのものがもう少し客観的な判断をされながら中に入って介入されるということが私はベターではないかという感じがするのです。そういう意味で、いま行政あたりが逃げ腰でおられるというのは大変遺憾に私は思うわけであります。しかしながら、結果的には、この前の閣僚会議あたりでは、ナフサ価格については石油業界と需要業界の調整を進めるという一項目まで入れられて、いま田中通産大臣にげたが預けられておるはずですね。そういう意味で、調整作業というのはいまどこまでいっておるのか、同時にまた、いつごろまでその解決のめどを立てておられるのか、そのあたりをはっきりしてほしいと思います。
  24. 古田徳昌

    ○古田政府委員 ただいま先生のお話の中にございましたように、確かに昨年からことしにかけましての円高傾向を反映しまして、石油企業に為替差益が発生していることは事実でございますが、他方、先生の御存じのとおり、ことしの一月、それから七月以降OPECの決定に基づきまして原油価格が大幅に値上がりしているわけでございます。この原油価格の値上がりと、先ほど言いました為替益差の発生という両者がそれぞれメリット及びデメリットという形で企業経理に反映してくるわけでございますが、その結果をコンビナート・リファイナリー、つまりナフサを主たる製品として供給しております企業九社の数字で見ますと、本年の三月末でもなおかつ百三十五億の繰越赤字を計上している状況でございます。その後この経理状況は必ずしも好転せず、本年度上期、つまり九月決算の数字についてはまだ集計が終わっておりませんけれども、なおかなりの繰越赤字を抱えた状態ではないかと思っております。  そういうことでございますから、私どもとしましては、両業界の調整につきましては、まず両業界がそれぞれの事情をよく話し合って、両業界の協議が先行するということが必要じゃないかと思いまして、現在ではそれぞれ関係企業間の話し合いを直接行わせるということで指導しているわけでございます。
  25. 米沢隆

    米沢委員 そういう御指導があるにもかかわらず、そう簡単にいっておりませんね。そういう意味で姿勢論は確かに結構かもしれませんけれども、実際は進んでないわけでありまして、私はまた進みようがないと思いますね。最終的にはそういう意味で行政が介入されるという意思を明確にしていただくことが必要ではないかと思います。  いまいろいろと石油会社の事情等も御説明いただきましたけれども、石油化学業界の方は、円高によって為替差益があるんだから、確かに各企業によっては赤字もあれば黒字もあるわけですから、その為替差益が収益に影響して自分のものだというのはあたりまえかもしれませんけれども、先ほど申しましたように、この為替差益というものは座して待つような収益なんですから、ある程度の還元は必要なんではないかという議論はわかるような気が私はするのです。そしてまた、いまおっしゃいましたように、精製業界の方は、本年二回にわたる値上げによってそんなのは相殺されておる、こうおっしゃいますので、私は、ぜひ数字的なことでお聞かせいただきたいと思うのでありますが、これも各予算委員会を通じていろいろと出ておりますけれども、これは簡単でいいです。現在の年初からの円のじり高によって石油業界がどれほどの為替差益を生じているのか、それから石油業界自体二回の値上げによって、トータルで結構ですが、どれだけの出費増になっておるのか。それからこれは物価局にちょっと聞いてほしいのでありますけれども、たとえば五十年時点でこのナフサの標準価格を設定したときには一ドル三百二円建てで計算しているのですね。そのときに二万九千円という数字が出ておるわけです。現にはもう御案内のとおり、ことしいっぱい平均は二百六十円から二百五十五円前後で推移しておるわけですから、もしこの三百二円のときの計算からして二百六十円に変わっていったならば、もし現在その標準価格を設定するとするならば、その現状をそのまま取り入れた場合には、大体四、五十円の為替レートの差があるのですね。大体一円円高になりますとキロリットル当たり八十五円ぐらいもうかる、こういうのですから、それに四十五円を掛けまして、それに大体年間消費量三億キロリッターですね、そういう計算をしますと、大体一兆円ぐらい安い費用で石油が入れられるというのですが、これは為替レートの差益によるものですね。そういう計算をしますと、確かに二回の値上げ分のマイナス分と、円高によったプラス分と、それプラス五十年時点の一ドル三百二円建てのところから二百六十円前後で推移しておるわけですから、もしその当時の計算をそのままやった場合には一兆円前後の出費減になっておるわけですね。そういう意味では、私は、今度の円高為替差益というものは、民族系あたりは大変だと思いますし、そういうものがある程度吸収されるのはわからぬわけではありませんが、トータル論議といたしますと、私は、差益というものがまだ相当需要業界の方に還元されてしかるべきだ、そう思うのですけれども、このあたりいかがでしょうか。
  26. 古田徳昌

    ○古田政府委員 昨年度の円の対ドルレートは平均しますと二百九十二円ということでございましたが、本年度上期はこれに対しまして平均で二百七十二円ということになっております。この実績を前提としまして計算してみますと、一円円高になりますとキロリットル当たり大体八十五円程度原油価格についてのメリットが生ずるということでございまして、年率ベースに換算して考えました場合に、今年度の原油の輸入総量が二億八千六百万キロリットルということで考えられておりますので、その計算をしますと、円高に伴うメリットは今年度の上期につきましては約五千億円というふうな数字になっております。  他方、これに対しまして、先ほども御説明いたしましたOPECの値上げは、本年一月にOPEC十三カ国のうち十一カ国が一〇%、二カ国が五%であったわけでございますが、その結果の影響が上期につきましては約二千三百億円、それから下期につきましては、七月一日にOPEC十三カ国一律一〇%アップになりましたので、その影響もあり、約三千億円程度というふうなことでございます。そういうことで、両方合わせますと約五千三百億円ということになりますが、先ほど言いました円高に伴うメリットは、そういう数字の関係で大体相殺されるということになるわけでございます。  他方、このほかにもコストアップ要因がございまして、たとえば備蓄法に基づきます五日分の備蓄積み増し義務の実施とか、あるいは消防法の強化に基づきます防災費のアップ、そのほか原重油関税も引き上げられております。このような事情を考えまして私ども計算しますと、年率ベースで約千五百億円のコストアップ要因ということになっております。  さらにメリットの方で考えますと、企業によりましては、為替変動による影響を回避するという観点から、その取引の一部につきましては先物予約を行っておるケースもございます。そういう場合につきましては為替メリットというものは相殺されるわけでございますが、そのようないろいろな事情を考えまして、私どもとしましては、本年度上期について考えました場合には、円高のメリットはコスト高の方で相殺されているというふうに考えているわけでございます。  かつ、他方、石油製品価格について考えますと、OPECの値上げを受けまして、石油会社は、本年の三月ないし四月から二千円ないし二千四百円引き上げたいということで発表したわけでございますが、その後、円高動向も反映しましてその値上げを実現してないということでございます。私どもとしましては、そういう形で為替メリットが需要業界の方に事実上還元されているというふうな見方ができるのではないかというふうに考えているわけでございます。
  27. 米沢隆

    米沢委員 物価局に聞きますけれども、たとえば五十年に標準価格みたいなものを設定された時点では、一ドル三百二円ですね。だから、現在は、二百七十円とか二百六十円に計算しましても、その差が三十円とか四十円あるわけですから、もし標準価格を現在の時点で設定し直すとするならば、相当の、一兆円ぐらいの金が要るわけですね。そういう意味では、これはメリットじゃないのですか。
  28. 藤井直樹

    ○藤井(直)政府委員 標準額算定をいたしました五十年十二月の時点からの問題としてみますと、その後におきます五十一年度中の経費増が、先ほどからの備蓄その他の費用について出てきているのではないかというふうにも思われますし、また五十二年に入ってからのOPECの値上げ等もあるわけでございます。そういうことで、石油企業の繰越損益等については、民族系についてかなりのものが残っているわけでございます。そこで、その辺を勘案して、現在の石油価格が実際の円建て輸入価格の推移に対応したものかどうかということを私どもとしては六月の時点で調査したわけでございますが、その時点では、円高影響OPECの値上げの影響とが相殺された形になっていて、大体、コストに当たる円建ての輸入価格はほぼ横ばいに来ているというふうに判断したわけでございます。  ただ、いまのような円高がさらにどの程度進んでいくのかというようなことについては、十分関心を持って見ていかなければならないと思いますし、一方で今後のOPECの値上げということもあるかもしれませんので、その辺のところをにらみながら、石油製品価格、特に私どもが関心を持っております灯油等についての対応をしていきたいと思っておるわけでございます。
  29. 米沢隆

    米沢委員 聞く人が悪かったかもしれませんが、物価局というよりも経済企画庁の判断みたいなものを聞いたわけですね。  標準価格を設定するときに一ドル三百二円でやった。現在ではすでに平均一ドル二百六十円とか二百七十円台だ。ですから、もし標準価格を設定した時点を今日に持ってきたとするならば、三十円とか四十円の差があるわけですから、その分だけは当然メリットとして考えられる要素があるんではないですかと、その判断を聞いただけです。
  30. 藤井直樹

    ○藤井(直)政府委員 御指摘のように、標準額設定当時のレート三百二円が現在二百五十円台になっているということでございますが、そういうことから現在の石油製品価格を算定いたしますとすれば、当然に現在のレートで積算すべきものと思います。その現在のレートについては、ユーザンスの問題とかいろいろあるかと思いますけれども、そういうタイムラグを一応考えることにいたしましても、円高の傾向というのは標準額算定のときに織り込んだ三百二円のレートよりも高いもので考えてもいいと思います。
  31. 米沢隆

    米沢委員 わかりました。  時間がありませんので、最後の質問になりますけれども、もとはと言えば、政府が石油業界を救済するために、石油業法を発動して標準価格を設定されたのですね。現在のナフサ価格はそういう経緯で決まったわけです。しかし、現在は標準価格というものは撤廃されておりますけれども、ナフサの価格はそのときに決めた一キロリットル当たり二万九千円で膠着したままですね。その上日本には、御案内のとおりナフサの需給調整等がございまして、価格変動が起こりにくい状況にあるわけですから、標準価格を撤廃したからといってそのまままたナフサが需要によって上がったり下がったりしない、そういう環境をながめてもらったら、政府自身が正常な価格へ戻していただくという努力はぜひ必要なのではないかという感じが私はするのです。そのあたりを最後に聞かしていただきたいと思います。  同時にまた、石油化学業界も、何も為替レートの差益を、もうかった分をみんな吐き出せという議論をしておるのじゃありません。ナフサの価格というものを国際価格に近づけてほしい、そのためには為替差益のもうけ分もある程度還元してほしいし、同時にまた考えてもらわなければならぬことがたくさんあることは皆さんもう御案内のとおりです。たとえば通産段階では、全油種間の価格バランスの見直しも必要でしょうし、石油諸税からの補てんあたりがいま取りざたされて、建設省とエネルギーあたりとのホットな戦争になっていますね。しかし、そのあたりは今後の状況をながめていきましたならば、必ず避けて通れないものになってくると思いますし、今後の石油の確保というのが重要な国策になってきますと、石油に対してもう少し石油関連諸税というものの財源を取っていくという方向が大勢としては正しい方向ではないかと私は思うのです。全体の約三・数%ぐらいしか石油に使わぬで、ほかのものはみんな道路ですから、道路も大変重要なことでありますけれども、財源がない今日は、備蓄の問題もありますし、運転資金もかなりのものがありますし、施設をつくるといっても相当の金額が要るという試算を聞かしていただいておりますから、そういう意味では、今後の問題として油種間の価格バランスの見直し、そして石油諸税からの財源の補てんの問題等々御検討いただいた上、今後も努力をしていただかなければなりませんが、このあたり政府がもう少し力を入れるべきだと思います。  いま申し上げました二点について、現時点における皆さんの対応の仕方というものを聞かしていただきまして、質問を終わりたいと思います。
  32. 倉成正

    倉成国務大臣 エネ庁その他からお答えするには非常に大きな問題でございますので、私からいまどういうふうにこの問題に取り組んでいくかという考え方を申し上げてみたいと思います。  税の問題は、御承知のとおり石油関係から一兆八千億程度の税が取られておるわけでございまして、その大部分が道路財源に使われておるという点は御指摘のとおりでございます。  それから石油製品価格の問題につきましても、オイルショックからナフサは大体三・九倍ぐらいに上がっておる。それぞれの品目について違うけれども、灯油その他は二倍強の値上がりであるというふうに、それぞれの製品の中の値上がり率も、それぞれの理由があろうかと思いますけれども違うわけでございます。したがって、価格間のバランスをどうとるかという問題もこれからの大きな問題であろうかと思うわけでございます。ただ、税の問題にしても、価格の中のアンバランスの問題にしましても、いろいろな沿革があるわけですね。故事来歴がございまして、非常に複雑な利害関係と結びついておるというわけでございますので、なかなかさっと理論どおりにこれを割り切ることができないというのが御承知のとおりの状況でございます。しかし、この問題を避けて通るわけにはいかないということも御指摘のとおりでございますから、せっかく政府の部内において、いま申されたような問題意識を持ちまして取り組んでまいりたいと思っておる次第でございます。
  33. 古田徳昌

    ○古田政府委員 ただいま長官からお答えした基本的な考え方に尽きると思いますけれども、私どもとしましても、先生御指摘の差益の問題あるいは石油関係諸税の問題について、現在総合エネルギー調査会等におきましても審議を続けていただいておりまして、その検討の結果も踏まえながら、その対策というものについて十分将来の方向を考えていきたいというふうに考えております。
  34. 米沢隆

    米沢委員 ちょっと漏れておりますが、最後に……。  第一点の、石油業界を救済するために標準価格を設定したわけですね。石油業法を発動されました。そういう形で出てきたものがそのままフィックスされているわけです。しかし、日本実情は、ナフサの需給によって価格が変動しませんので、それをそのまま膠着した状況でのまざるを得ないわけですから、そういう意味で、政府にも設定当時からの責任みたいなものがあると私は思うのです。そういう意味で、政府自身がもう少し介入されて、円満に早くナフサ価格を下げる努力をしてほしい、その約束をしてほしいということを私はお願いしたわけでありまして、それを最後に終わりたいと思います。
  35. 古田徳昌

    ○古田政府委員 先ほども御説明いたしましたように、石油化学業界の事情は別としましても、石油業界自体にも非常にいろいろな問題があるわけでございます。特に先ほど御説明いたしましたコンビナート・リファイナリーの形状といったような問題もございますので、私どもとしては、現時点では、両業界の調整というものは、まず両業界がそれぞれの事情をよく話し合う、それを政府として促進していくということにあるのではないかというふうに考えております。
  36. 米沢隆

    米沢委員 そこまで言われると、ナフサ業界の実情にかんがみて調整に乗り出すという経済閣僚会議の約束はどうなるのですか。
  37. 古田徳昌

    ○古田政府委員 いま述べましたように、まず両業界がそれぞれの事情をよく話し合って協議を進めるということで、その進展に応じて私どもとしても態度を決めたい、そういうふうに考えております。
  38. 米沢隆

    米沢委員 終わります。
  39. 武部文

  40. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 輸入牛肉の小売高値を中間業者から吸収する、こういう意図のもとに、輸入チルド牛肉に対しまして調整金を十一月より二百五十円アップするというお話が一昨日も出ております。これに対しまして、全国のチェーンストア協会は、この調整金の引き上げによって小売価格を引き上げないと採算が合わない、こういうふうに言って、この調整金の引き上げを撤回するように要求しておられると聞いております。  そこで、まず最初に農林省にお尋ねをいたしますが、あなた方のいままでの説明ですと、調整金を引き上げてもそれは絶対に小売価格の引き上げにはつながることはない、こういうふうに断言できるのかどうか、まずお答えをいただきたいと思います。
  41. 甕滋

    ○甕説明員 チルド牛肉の調整金につきましては、この十一月分から従来の三百五十円を六百円に引き上げるということで、九月時点で関係業界に通知をして、現在そのような運びになっております。これは、いろいろ御論議をいただいたように、中間段階における民間段階の不当な利得を吸収することが目的でございまして、末端価格に悪影響を及ぼすということを考えたものでは決してございません。そこで、今回の引き上げが末端価格の上昇につながらないように、チルド牛肉の放出量をふやしますとか、目安価格の一層の徹底を期する措置を講じますとか、最善の努力をしておるところでございます。  ただいまお話がございましたように、チェーンストア協会の方で、小売の目安価格を引き上げざるを得なし、そのためには調整金の引き上げを撤回せよというような御要望があること等も承知しております。小売目安価格の現在の算定上から申し上げますと、一般のチルド牛肉の流通価格に比べますと二割程度低いところでこれを設定しておりまして、モデル的な販売という意味でこれを行っております関係上、三百五十円を六百円に引き上げますと、確かに厳しい小売目安価格にとってはこれが果たして吸収し切れるかどうかという議論があることは事実でございます。そこで、小売目安価格は引き上げない、こういう大前提のもとで、小売目安価格の算定基礎になっております。これは調整金もそうでございますけれども、諸要素を見直して検討をいたしたいというふうに考えておるわけでございまして、調整金のレベルについても、小売目安価格、いわゆる指定店に流れる分については検討の余地があろうというふうに考えておるわけでございます。
  42. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 要するに大体大丈夫だということですね。  それでは続いてもう一つお伺いをいたしますが、牛肉の場合、輸入牛肉を含めまして、卸値が小売の段階では正しく反映されていなくて高いという現象が、先日来ずっと指摘をされてきたわけでございます。この理由は一体どこにあるのか、原因がどこにあると考えておられるのか。先日来いろいろ言われておりますので、整理をして農林省の見解をお答えいただきたいと思います。実は、私いま委員部の方からも本会議の関係でなるべく質問を縮めよと言われておりますので、御答弁も明快にお願いをしたいと思います。
  43. 甕滋

    ○甕説明員 卸売価格が小売価格になかなか反映しない、連動しないということが昔から言われておりまして、現時点で見ましても、卸売価格は、昨年来高騰しておりましたものが、乳雄の中規格で申しますと昨年の秋から、和牛の中規格で申しますとことしの春から鎮静化いたしまして安定価格帯の中におさまり、現状で申しますとおおよそ中心水準を推移しているというふうに落ち着いてきておるわけでございます。それに対しまして小売価格の方も、昨年に比べますと二%程度でございますが、やや低下傾向で推移をしておるわけでございます。しかしながら、卸売価格が安定した度合いに比べますと、まだ十分それを反映して下がり切っていないという実態にあろうかと思います。  これがどうしてそういうことになるのかという点につきましては、一つには、牛肉の場合生鮮食品でございますが、品質的に日もちがいたします。そこで、ある程度小売段階価格が時々の卸売価格を調整して安定化されるという傾向があること、これは特に零細な小売商の場合、毎日毎日卸売価格が変動した場合に、一々それが小売価格に反映されますと、お客さんに対しても消費の安定という見地から好ましくないといった点もあるわけでございます。また、ベースとして卸売価格が下がってまいりますと、そのベースを踏まえて小売価格を下げるということはございますけれども、不安定なうちはなかなか値下げに踏み切れないというような事情もございます。これは下がった場合の話でございますけれども、上がる場合にも、いままでの数字を見ますと、卸売価格が上がるほどには小売価格は上がっていないということもあるわけでございますが、やはり現状で申しますと、卸売価格のベースが下がっておりますから、小売価格もさらに下げるという指導を私どもも強力にいたしておるわけでございます。  それからそういった事柄のほかに、もう少しやや流通の構造にわたる問題もあろうかと考えておるわけでございまして、牛肉の流通が、卸売価格につきましては枝肉の段階で市場で形成されておりますのに対して、小売はそれが部分肉に分割をされ、さらに再分割をされ、末端の小売店の店頭におきましてはスライスされて消費者の手に届くということで、流通段階で姿、形を変えて動くわけでございます。そこで、卸売価格と小売価格がそういった物流上も離れておりまして、しかも、その間歩どまり等がございまして、関係がわかりにくいということが一つございます。したがいまして、そういった面に対しましては、卸と小売をできるだけ流通ルートを短絡いたしまして、その中で中間段階価格形成も明確にしていくということが必要になろうかと考えております。  そこで、現在枝肉にされたもの以降の部分肉段階におきます流通が相当ふえてきておる実態にございますので、その部分肉の段階で太いパイプの流通にいたしまして、物流としての合理化も図ると同時に、そういった場合がございますと、価格形成といたしましてもこれがオープンになるということが期待できるわけでございます。そこで、部分肉段階価格が枝肉の卸売価格と精肉の小売価格との橋渡しになりまして、両者の関連性を高めるというような役割りも期待できると考えておる次第でございます。  また、そういった流れをつなぐものといたしまして、もう一つ規格の問題があるわけでございます。枝肉の規格につきましては、昭和三十七年から決まっておりまして、大体枝流通の中で定着をしてまいっております。部分肉の規格につきましては、昨年の二月にこれができまして、現在その普及、定着に努力をしておる最中でございます。また小売段階においても、品質基準をつくりまして流通の各段階における規格が定められ、それが一貫することによってその連動性を高めるということが考えられるわけでございまして、そういった流通機構面あるいは規格面、そういった面からも連動の問題に対しては今後取り組んでいきたいと考えておる次第でございます。
  44. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 いま幾つか挙げられましたが、流通段階に大変問題があるということが重要だというふうに私は考えます。しかし、先日来の御答弁ではここのところが、原因につきまして明確に答えられていないわけです。いまも現象としてはああしている、こうしているということは述べられるわけですが、一体これがどういった原因から起こってくるのかということが明快でないわけです。こういった点についてもっと調査を深くしなければならないというふうに思います。私は、輸入牛肉の問題もありますけれども、この際はこれだけの議論にとどめるのではなくて、これだけを突っ込んでいたのではどうも堂々めぐりで問題の解明にならないということを感じてきているわけです。そこで食肉全体のことについて質問を進めていきたいというふうに思います。  まず、日本における食肉の需要量の変化ですけれども、この農林水産統計によりますと、昭和四十七年には二百二十五万トン、四十八年は二百四十一万トン、四十九年は二百五十四万トン、五十年には二百七十万トン、そして五十一年は食肉流通統計によりますと二百六十四万トンということになっておりますが、これに間違いはございませんね。
  45. 甕滋

    ○甕説明員 数字につきまして、細部は別といたしまして、仰せのとおりであろうかと思います。
  46. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 この食肉のうち加工用に回っているものは約二〇%だというふうに聞いておりますけれども、そういうふうに考えてよいわけですか。
  47. 甕滋

    ○甕説明員 これは牛肉、豚肉等の食肉別に多少違うわけでございますけれども、大体十数%から二〇%程度という理解でよろしいかと思います。
  48. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 それでは食肉を大量に使用する食肉加工業界、このうちの大手五社というのは、牛肉の購入量は、昭和四十八年決算と五十二年の決算を比較してみますと、一三五%の伸びになっているわけです。すなわち三万八千二百六十二トンから五万一千七百二トン、こういうふうにふえてきております。これは食肉全体の需要量の伸びと比較をいたしますと決して低くない。もともと食肉加工品の業界では牛肉は大きなウエートを占めていなかったことを考え合わせると、これは全く軽視できないことだというふうに思いますけれども、農林省はこんなことは当然いままでに知っておられたのでしょうね。
  49. 甕滋

    ○甕説明員 食肉加工メーカー、いわゆるハム、ソーセージ等を製造している業者でございますが、御承知のように食肉の加工品の主体は豚肉でございまして、その取り扱いは昔から非常に高かったわけでございます。しかしながら、そういった業界で加工品を扱うだけではなくて、いわゆるフレッシュな生肉、これを取り扱うということが近来進んできておる実態は御指摘のとおりです。その中に、牛肉につきましてもこれを取り扱いまして、いわゆる卸業者的な機能をも兼ね備えてきておるという実態になっておるわけでございます。
  50. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 大手食肉加工業、ここは五十一年度決算と五十二年度決算を比較してみましても、その売り上げの伸びというのは一三%、ほかの業種に比べまして大きく伸びているわけでございます。  そこで、引き続き農林省にお尋ねをいたしますが、この食肉大手企業の伸びは一体何によるものだと思っておられるでしょうか。
  51. 甕滋

    ○甕説明員 食肉の需給規模、その消費の伸びにつきましては、先生から先ほど流通統計の数字でお話がございましたように、近来非常に伸びが進んでおります。もちろん石油ショック前後で一つの区切りがございまして、以前のような十数%という伸びは見られませんけれども、このところ数年、数多の伸びで安定して推移をしておるわけでございます。そういった中で、食肉の加工品あるいは生肉についてのハム、ソーセージ業界の取り扱い量がふえていくという実態もございまして、業界の中におきます。特に大手の業界におきまして競争力が非常に大きくなってきているというような実態がいまの数字に反映しておろうかと思います。
  52. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 委員長のお許しをいただいて、この資料をちょっと見ていただきたいと思います。  ただいまお配りいたしましたものは、有価証券報告書、これに基づいて独自でつくった資料でございます。これを見ていただいてもわかりますように、この大手五社の生肉の売上高の伸びは、四十七年度を一〇〇といたしますと、五十一年度は二二二と、非常に高い比率を示しております。つまり、この大手五社は、生肉販売に積極的に介入してきているというふうに考えられますけれども、農林省は、そのようにお考えにならないでしょうか。
  53. 甕滋

    ○甕説明員 そういう実態にあると考えております。
  54. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 もう一つ、「日本ハムの生肉売上高の推移」という表を見ていただきたいと思います。  これによりますと、生肉の売上高は、昭和四十九年から五十年の七月三十一日までの一年間と、五十一年の七月三十一日までの一年間の比較をしてみますと、四一%の伸びとなっております。中でも生牛肉の伸び率は六〇・九%と飛び抜けて高い比率を示しているわけです。この日本ハムに見られますように、明らかに食肉大手五社は生肉販売に力を入れてきていると私は考えますけれども、あなたはそうは思われませんでしょうか。
  55. 甕滋

    ○甕説明員 具体的な数字につきましては、いただいたばかりで、なお当たらしていただきたいと思いますけれども、傾向といたしまして、生肉の取り扱い高がふえている、それから大手業者も加工品と並んで生肉について力を入れているという実態にあるように承知しております。
  56. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 おっしゃるとおり、この食肉大手五社は、明らかに生肉販売に乗り出してきているということです。これは私の個人的な判断でそう言っているのではないわけで、日本ハム自身が言っているわけです。  私はここに、昭和五十一年の十一月三十一日付で、日本ハムが増資申請書、これに添付をして大蔵省に提出をした書類の写しを持っております。ここに、「当社を含む五大会社は、一九六五年の加工肉生産の四二・八%を占めていたが、一九七五年では六〇・六%を占めている。同期間中に全生肉供給量が一六八%増加したのに対して会社ならびにその連結子会社が購入した生肉量は二六二%増加している。」このようにみずからが書いているわけです。  また、こういうふうにもこの報告の中には言っております。「一九七六年七月三十一日に終了する五事業年度を通じて加工肉の売上げは毎年増加しているが、連結売上高に占めるこの部分の割合は下った。この傾向は主としてNMP」——NMPといいますのは、日本ハム株式会社及び連結五社のことですが、この「NMPのような大手メーカーがその期間中、日本の生肉市場の占有率を増大させたこと」、こういうふうにみずから自負をしているわけでございます。まさにこの食肉の価格が下がらないのは、牛肉の小売値が下がらないのはここにあるというふうに指摘をしているわけです。  日本ハムの資料によりますと、この中に表が出ているわけですけれども、これを見ますと、総売上額の中で生肉の占める比率は、一九七二年の五五・六%から一九七六年には六五・四%、その比重は一層高まってきているわけです。なぜいまのような事態が続くのかわからないというふうなことが、ずっとこの物価問題特別委員会の中で論議されても、農林省は明快にされないわけですけれども、私は、自然にこういうふうになったものではなくて、必ず仕掛け人がいるんだ、こういうふうに見ております。それを追跡調査をしてはっきりさせる必要があるというふうに思うわけです。そうしなければ、チェーンストア協会が言うように、調整金を上積みすれば必ず小売価格にはね返るということになるわけです。あなた方の思惑と違うことが行われるというような事態が出てくるわけです。  農林省と経済企画庁の両方にお聞きをいたしますが、流通の実態を調査する用意があるでしょうか。また、用意だけじゃなくて実際に調査をするのかどうかということをお答えをいただきたいと思います。
  57. 甕滋

    ○甕説明員 流通の実態につきましては、特にいま先生からお話のあった加工メーカーが取り扱う生肉は部分肉形態のものが相当多かろうと思います。そこで、先ほど申し上げました部分肉の流通の担い手の一翼を担うに至っている加工業界ということが言えるわけですが、部分肉流通につきましては、さらに農林省が産地で食肉センターの整備事業を進めておりますが、その中におきましても、屠殺から処理、加工、部分肉に至るまでの施設を完備いたしまして、消費地に流すという事柄が進んできております。かたがた、さらにはハム・ソーセージ・メーカー以外の食肉の卸業者が当然ございまして牛肉を扱っているというような実態でございまして、そういった部分肉流通については、それぞれの取り扱い業者が自由な競争で現在流通を進めているという実態でございまして、競争条件をハム・ソーセージ・メーカーの現状が非常に妨げているというような実態にあるとは私どもは見ておりません。そういった部分肉の流通のパイプを整備しようと私どもも考えておりますのも、そういったところでさらに一層競争条件を高めようというような意図も一面はあるわけでございまして、そのために、流通の実態等については常日ごろ私どもも業務上の必要からいろいろ調べておるわけでございまして、そういった中で、いま申し上げたような認識を持っているわけでございます。
  58. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 簡単にお願いいたします。
  59. 藤井直樹

    ○藤井(直)政府委員 牛肉関係の流通の合理化というのはこれから大きな問題ですが、その中でやはり部分肉の流通をどうするかというのが一つの大きなテーマではないかと思います。そういうことで、現在の食肉加工業について、いま農林省からお話がありましたように、そういう面ではかなり重要な役割りを果たしているということもあるわけでございます。私どもとしては、牛肉と限らず生鮮食料品等についての流通の実態を常々フォローしておりますけれども、今後ともその辺についてよく調べていきたいと思います。
  60. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 食肉センターの整備事業、これが完備すればこういったことがなくなっていくようにもとれる農林省の答弁だったのですが、こういったものが実際に大蔵省に報告されている、これを見ただけでもそういった五大メーカーを野放しにしてはだめだ、ここにメスを入れるということが重要だということを特に指摘をして、次に進みたいと思います。  今度は、事業団の理事長さんにお尋ねをいたしますが、役員さんの中に伊藤伝三さんという方がおられますが、この方は事業団の理事以外に、非常勤ということになっているわけですけれども、一体何をしておられる方でしょうか。
  61. 太田康二

    ○太田参考人 伊藤さんは、御承知のとおり伊藤ハム栄養食品の社長でありますし、それ以外に、団体ではたしか日本ハム・ソーセージ工業協同組合の理事長をやっておられるというふうに理解しております。
  62. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 伊藤ハムの社長さんということでございます。伊藤ハムといえば、いままで私が指摘してまいりました食肉大手五社のうちの一つです。そこの社長さんが役員で入っている。これも国民の側から見ますれば、大変おかしいということになるだろうと思います。きょうは時間がありませんので、この問題は改めてお聞きしたい、こういうふうに私は思っております。  続いて、私は、輸入牛肉の問題でいま一つお伺いをしておきたい、こう思うわけですけれども、それは、学校給食用の二千トンという特別枠についてでございます。  農林省にお伺いをいたしますが、この二千トンを決めた根拠は一体どこにあるのですか。何を基準にしてお決めになったのか、御答弁をいただきたいと思います。
  63. 甕滋

    ○甕説明員 学校給食用の特別枠につきましては、もともと学校給食に対して事業団が昭和四十五年から一定量を売り渡しを行っておりましたが、五十年度の下期から現在の数量で割り当てを行うようにいたしております。その根拠といたしましては、当時の学童給食人口、それから給食の実施率、そういうことを基礎にいたしまして、かたがた牛肉の国内需給の関係もにらみながら、これを決めておるわけでございます。
  64. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 それでは、文部省にお尋ねをいたしますが、輸入牛肉を使いたいという学校現場からの希望量というのは、五十二年度では幾らあったのでしょうか。
  65. 坂元弘直

    ○坂元説明員 五十二年度の四月から十二月までのトータルで二千五百六十五トンでございます。
  66. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 それでは二千トンの枠ですから、足らないわけですね。お聞きをいたしますと、どんどんこの需要がふえているということです。初め、輸入牛肉に対して調理の仕方など理解が深くならなかったというときには、希望どおりの量がもらえていた。しかし、だんだんと普及をしてまいりまして需要がふえてきますれば、当然割り当て量は少なくなる。今後一層少なくなるのではないかというふうに私は思うのですけれども、現場であるとか都道府県からはどんな意見が出てきているのでしょうか。また、この需要を満たそうというふうに思えば、現在二千トンの割り当てを幾らぐらいにしてほしいのか、お尋ねをしたいと思います。
  67. 坂元弘直

    ○坂元説明員 先生御指摘のとおりに、五十一年度までは大体需要と供給が一致しておりましたが、本年度の四月からは、私どもが供給できる量の大体倍ぐらいの需要がございます。恐らく今後もふえていくであろうというふうに私ども思っておりますが、ただ単に牛肉を使うということだけで申し上げますと、チルドビーフと別枠にボイルドビーフを私どもかなり農林省から輸入枠をいただいておりまして、これもある程度現場で調理の方法等を工夫していただければ十分使い得るものでして、キロ八百五十円で供給いたしておりますが、その辺、ボイルドビーフを現場で調理の中でどう生かしていくかということの兼ね合いで、今後チルドビーフについての需要量の要望が決まると思いますが、大きな数字、大体のマクロの数字で申し上げますと、都道府県の関係者からは、いまの割り当てよりも倍ぐらいいただきたいというような要望が私どもに出ておりまして、私どもとしましては今後の課題として、ボイルドビーフをどうやって学校給食の中に生かしていくかということの兼ね合いで、割り当ての増については農林省と御相談してまいりたいと考えております。
  68. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 ボイルドビーフ、煮沸肉ですね、これにつきましては、いま調理の講習などをして普及に努めておられる努力を文部省はしておられるわけですけれども、しかし、当面、日々の問題だというふうに思うわけです。文部省としては現場の様子を細かくおつかみになっていらっしゃると思いますけれども、私も京都市でいろいろと話を聞いてまいりました。これについて何とかならないのか、せめて要求どおりにいただけないか、余分にくれというところまでは言わないけれども、要求どおりぜひ欲しいんだという強い要望があるわけです。  といいますのは、実態を少々述べてみたいと思いますが、京都市では、小学校の場合ですけれども、学校給食は年間百八十七回の給食をやっております。少ない月で十一回、多い月で二十二回です。そうしますと、牛肉はどれだけ使っているかといいますと、少ない月の十一回というときには、月に一回から二回しか子供たちの口には牛肉は入っていないわけです。二十二回という月でも二回から四回、平均いたしまして三回なんですね。五十二年度の必要量が京都市では九十五トン七百キログラムに対して、八十八トンの割り当て量が来ているわけです。そういたしますと、不足量をどう補っていくのかということで苦労をいたしております。学校給食会からもらえる分は八百五十円で入ってくる。しかし、質の変わらない同じものを一般業者から購入いたしますときには千三百円で買っているわけです。ここに四百五十円高いものを購入しなければならない。そして、月に平均三回子供たちの口へ入れてやるということを確保しなければならないというふうな状態にあるわけなのです。安くておいしい給食を食べさせてほしい、これは国民の声です。子供や父母の強い要求でございます。すると、特別枠のこの日本学校給食会に対する二千トンの割り当て量をもっとふやすならば——私は決して輸入牛肉の総量をふやせと言っているのではありません。この学校給食に対する特別枠の割り当て量をふやせばこの多くの父母、国民の要求が実現できるわけです。これに対してどうなんでしょうか、倍ほど欲しいと現場も言っている、文部省も言っている、農林省にお願いをしている、煮沸肉の調理の仕方なども講習をしたりしながらやっている、これに対して農林省はどうでしょうか。お答えいただきたいと思います。
  69. 甕滋

    ○甕説明員 最近、学給の関係者の方々からは、その枠が足りないのでこれをふやしてくれというような要望は承っております。私どもも枠の拡大については、学校給食の実施校数あるいはいまの給食率の実態の推移、そういったこともさらに承知をした上で、これは全体需給ともにらみ合わせながら文部省等からお話を伺いつつ慎重に検討してまいりたいと思います。
  70. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 慎重に検討するということですが、これは前進的に受け取ってよいものだろうと私は思うのです。なぜかといいますと、この学校給食というのは三食のうちの一食なんですね。食べることは生きることだというふうに私は思います。そうしますと、日本の将来を背負う子供たちの健康を考えれば、これは当然真剣に検討すべきことだ。いまおっしゃった全体を見ながら検討するということは、このような日本の将来を展望した検討だ。そうすれば前向きに検討せざるを得ないというふうに思うのですけれども、その用意はあるでしょうか。
  71. 甕滋

    ○甕説明員 先ほど申し上げましたように、具体的な内容について私ども残念ながらまだ承知しておりませんので、その辺を伺いながら検討させていただきたいという趣旨でございます。
  72. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 きょうは課長さんが御出席ということで、たびたび謝っていただいた中で、大変答弁としては苦しいだろうと思いますので、ぜひとも農林省として前向きに検討していただきたい。農林省は、国内の畜産を高めるために、安い輸入牛肉と、飼料費等で高くつくというふうな和牛とのつり合いを考えて、そのためにこそ事業団に調整金を取らせるという御説明が一貫してあったわけですね。私もそのとおりだというふうに思うわけです。そうするならば、日本の牛を育てるだけでなくて、日本の子供を育てるということにも大きく目を向ける必要があるというふうに思うわけなんです。一カ月二十二回の給食中ただの三回、しかも一回に幾ら食べていると思われるでしょうか。二十五グラム口に入るだけなんですね。一回に二十五グラムしか牛肉を食べたことのない、しかも多い月で月三回。それじゃ家でうんと食べているかといったら、いまのインフレと不況の中ですき焼きなんか一度も食べたことがないという子供たちの詩があるくらいです。こういう状況があるわけですね。そうすると、一回に二十五グラム、月にたった三回、給食で牛肉が当たる。牛肉を食べたことがないというような日本の子供を育てて、大人になったときには日本の畜産事業を真剣に理解できる、こういう大人が育つでしょうか。もっと百年の大計を持って検討すべき重大な問題だというふうに思うわけです。大変しつこいようですけれども、いかがでしょうか。
  73. 甕滋

    ○甕説明員 御趣旨も十分踏まえて検討さしていただきたいと思います。
  74. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 経済企画庁長官にお尋ねをしたいと思います。  各省庁や各部門の担当が専門、専任の仕事に精魂打ち込めて従事することは私は非常に重要だと思います。しかし、そのセクションは、自分の持ち場だけ必死に守ればよいというだけではなくて、その持ち場は全体にどう機能し国民生活を安定させるためにどのように働きが行き渡るのかというふうに、多角的総合的見地に立って任務を遂行するという必要があろうと思います。この立場に立つならば、たとえばいま申しました輸入牛肉の特別枠の量、日本学校給食会が年間二千トンだということを固定化して考えずに、どうすれば日本の子供たちの体位向上に役立つのか、給食費値上げをしたりしないでもっとおいしい給食を食べさすことができるのかというようなことを検討すべきではないかというふうに思うわけですが、経済企画庁長官は、国務大臣として、国政をあずかる責任者として、このやってまいりました議論についてどう思われたでしょうか、御感想なり御意見なりお聞かせいただきたいと思います。
  75. 倉成正

    倉成国務大臣 藤原委員の非常に多方面にわたる御議論、傾聴いたしておりました。御意見を十分踏まえながら各省庁がそれぞれ検討いたすことを期待いたしております。
  76. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 それでは石油の問題に移りたいと思います。通産省にお尋ねをいたします。  七月一日から原油価格は昨年比一〇%の上昇ということでございますが、一バレル当たりCIF価格で、昨年十二月から現在にかけて何ドルから何ドルになったのでしょうか、お述べいただきたいと思います。
  77. 古田徳昌

    ○古田政府委員 大蔵省の日本貿易月報によって数字を御説明いたしたいと思いますが、CIF価格で昨年十二月はバレル当たり十二ドル五十六セントでございましたが、本年の七月が十三ドル五十一セント、八月が十三ドル六十三セントということになっております。
  78. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 OPEC値上げ以前のCIF価格十二・五八ドル、これを円換算すると、当時レートが一ドル当たり三百二円と言われておったわけですから、一キロリットル当たり二万三千五百六十円、こういうことでしたね。そこで一〇%値上げの後のCIF価格は十三・八二ドル、これをとって、現在の円レートを便宜的に私は一ドル二百五十円ということで換算をしてみたいと思うのですが、こういうふうにしますと一体幾らになるのでしょうか。
  79. 古田徳昌

    ○古田政府委員 昨年十二月の為替レートは月平均で二百九十五円六十八銭でございましたが、今年の七月が二百六十七円七十八銭、八月が二百六十五円七十銭でございます。そういう関係で、私どもとしましては、ただいま先生御指摘の二百六十円あるいは二百五十円という形での換算はいたしておりません。
  80. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 それでは、一ドル二百五十円で換算をいたしますと、二万一千七百三十円ということになると思うわけです。これは計算に間違いないと思います。これを値上げ以前の価格と比べてみますと千八百三十円安くなっているわけです。要するに、一ドルが二百五十円の水準のときには、支払いをする原油については値上げ以前よりは千八百三十円安く買えるということになるわけです。  そこでお尋ねをしたいと思います。政府は、備蓄であるとか防災費であるとか関税引き上げ分など、こういうコストアップによってこの千八百三十円が消えてしまうというふうにお考えになっているのでしょうか。いかがでしょうか。
  81. 古田徳昌

    ○古田政府委員 私どもとしましては、為替レートが現在非常に流動的でございますので、石油企業に対しましての円高によるメリットがどういう形で出てくるかということにつきましては、本年度の上期、つまり四月から九月の実績値をもって検討しております。その実績によりますと、今年度上期は二百七十二円という平均のレートになっておりますので、このレートを前提として考えますと、昨年に比べまして円高が二十円ということになります。それを一キロワットル当たり八十五円という原油価格へのメリットを適用しまして年ベースに直しますと、約五千億円という計算になります。他方、これに対しましてOPECの値上げを同じようなやり方で年ベースで計算をいたしますと、約五千億円強という数字がございます。これに対しまして、ただいま先生御指摘の備蓄とかあるいは保安、防災関係といったもののコストアップが、私ども試算では約千五百億円程度に見込まれるということで、その両者をどういうふうに考えるかということで検討をしておるわけでございます。
  82. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 昨日参議院でわが党が提出いたしました資料は持ってきていただいているでしょうか。もしなければここにございます。  これを見ていただいたらいいわけですが、私は、石油製品価格のプライスリーダー的存在であります出光の場合で計算をしてみたわけです。出光は、OPECの二本立て値上げのときに、他社に先がけて二千四百円アップを宣言いたしましたね。今回も価格凍結を打ち出している、こういう関係から私は出光を取り上げたわけです。出光の言い分をすべて認めて計算をすると、ここにありますように、コストアップは全部一キロリットル当たりで関税分が百二十円、精製費として百四十円、販売管理費として二百六十円、備蓄、防災費等二百七十七円、コストダウンは、自家燃料費調整分は九十七円となりまして、合計七百円のコストアップとなり、出光が言うたとおり計算いたしましても差し引き千百三十円まだ安いわけです。これは一体どういうことでしょうか。結局、現在のレートで支払われている原油については千百三十円近く値引きをしなければならないことになるはずでございますが、為替差益などと言うておりません、この点に限ってお答えいただきたいと思います。
  83. 古田徳昌

    ○古田政府委員 ただいま先生御指摘の二百五十円という為替レートを前提としまして計算いたしますと、あるいは先生御説明のような計算が可能かもしれませんが、企業につきましてその製品価格をどうするか、あるいは企業経理についてどう考えるかということになりますと、どうしてもある一定期間をとって考えざるを得ないと思います。したがいまして、私どもとしましては、現時点で見ました場合、上期につきましての判断はできる、しかし今後につきましては、現在の為替レートがどういう形で推移するか、さらに議論されておりますOPECの十二月総会での結論がどうなるか、つまり来年一月一日以降の原油価格の引き上げがどういう形で行われるかということを勘案して検討せざるを得ないというふうに考えております。
  84. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 先ほど少し触れましたが、いまの計算方法では為替差益の還元には全く触れていないわけです。それでいて値下げができるわけです。これまでの政府の発言は、出光に代表されますように、価格凍結の言葉の陰で値下げの回避をしよう、こういう動きに便法を与えるもの、結果的にはこうなるのではないかというふうに思います。特に重大なことは、通産省は出光のこうした計算方法を知っていたというふうに昨日、十月二十六日の参議院の物価問題特別委員会で、わが党の渡辺武参議院議員の質問に対してお答えになったわけでございますが、そのとおりでしょうね。もう一度ここで確認をしたいと思います。
  85. 古田徳昌

    ○古田政府委員 本年一月以降の原油価格の引き上げを受けまして、石油精製各社は製品価格の値上げを打ち出したわけでございますが、出光は二月の中旬に、三月以降二千四百円値上げしたいということで需要者側に申し出たわけでございます。その際のコストの見方については、先生のお示しいただきますこの表のA欄だけについてでございますけれども、これについては私どもとしましては承知していたわけでございます。  なお、当時、この出光の発表に追随しまして六社が二汗四百円の値上げを打ち出し、さらに日石はこれに追随しませず一月おくれで二千円アップということで、他の数社がこれに追随したという形になっております。
  86. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 計算方法を知っていたという確認がただいまあったわけです。通産省はこれまで、マクロ計算と称して、五十二年度中に円高による為替差益が五千億円出るが、OPECの一〇%値上げによるコストアップ分が五千億円、備蓄、防災費などでコストアップ分が千五百億円、こういう計算で先ほども示されたわけですけれども、とんでもないことだ、為替差益などないのだという言い方で一貫して主張され、値下げはできないのだ、こういうふうにして、出光のように値上げを撤回したところを逆に評価するような発言を繰り返してこられたわけでございます。しかし、通産省は出光のコスト計算方法をさっきも確認しましたように知っていたわけです。だから、私と同じ計算が、こんなことはたやすくできたはずですし、その結果、値下げできることも知っていたはずだというふうに思います。  今回の出光の値上げ撤回は、同社の荒木取締役販売部長はこう言っておられます。値上げ撤回で出光は月間約三十億円の為替差益を還元することになる、こんなことを胸を張って言っておられるわけですけれども、私の計算からしてもこれは全くのごまかしでございます。通産省のこれまでの態度は、こうした石油会社の声を代弁するものだ、そういう態度で答弁をしておられるというふうに思います。通産省はこれまでの姿勢をこの場で直ちに改めるべきだ、国民の立場に立って謙虚に値下げ指導を行うべきだと私は思うわけです。  また、私の計算では先ほどから除外いたしておりました為替差益の還元分を加えますとどうなるでしょうか。もっと大幅に直ちに値下げできるはずです。その意味でも通産省の値下げの指導は重要だというふうに思います。国民に還元できるように強力な指導を行うことを望みます。御答弁いただきたいと思います。
  87. 古田徳昌

    ○古田政府委員 先ほども御説明いたしましたように、ある製品の価格につきましてそのコストとの関係をどう見るかという点は、いずれにしましてもある一定期間を置いて判断せざるを得ないというふうに考えております。したがいまして、私どもの説明としましては、本年度上期の二百七十円レートのもとでどういう状態であったかということを御説明したわけでございまして、その際に、これは年率ベースに換算しての数字でございますけれども、五千億円強のOPEC値上げによるコストアップ要因があったけれども、製品価格が据え置かれたという形で円高のメリットが需要サイドに還元されていったというふうに考えているわけでございますが、このお示しいただきました表の中でも、たとえば二百五十円というレートで計算した場合どうなるかという点でございますが、たとえば本年度につきまして二百五十円のレートを前提として計算し判断するということになりますと、上期が二百七十二円でございますから、下期のレートは二百三十円程度にならなければいかぬというふうな形になるわけでございます。したがいまして、いずれにしても私どもとしましては上期の判断は判断としてありますが、今後につきましては現在の二百五十円台の円レートがどうなるか、現在非常に流動的でもございますので、この先行きについて十分注視したいと思います。同時に、先ほども触れましたが、かなりの確度で議論されております十二月のOPEC総会におきます来年度の原油価格の引き上げ問題の推移も見きわめたいというふうにも思っておるわけでございます。
  88. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 いろいろ言いわけがつくわけです。認めておきながら、またしかしということで言いわけがつくわけですけれども、時間がないのでこれ以上言えませんが、通産省の値下げ指導は当然で、とんでもないことをするのでもないし、お恵みでするのでもないし、恩に着せてするわけでもない、仕事をやらなければならない、値下げ指導をすべきだということを強く主張しておきたいと思います。  最後に経企庁長官にお尋ねをいたします。  長官物価担当の大臣でいらっしゃる。そうすると物価を引き下げるという立場に立って事に臨めば、いま私が明らかにいたしましたような、通産省のごまかしというふうに私は感じるわけですけれども、こういったものに乗ることはなかったというふうに思います。物価担当大臣として直ちに石油価格の引き上げのための措置をとるべきだ、こういうふうに思いますが、いかがですか。
  89. 倉成正

    倉成国務大臣 引き上げでなくて引き下げということではなかろうかと思いますけれども、(藤原委員「引き下げです」と呼ぶ)どうもお話を聞いておりまして、やはり議論がすれ違っていると思います。二百五十円のレートというものはまだ実現しておりません。また二百五十円台になったのはことしの十月からでございます。したがって、上半期については実績が出ているわけですから、これは客観的に見て、ある部分的に多少の議論がありましても、大筋において出光の計算を認めるか認めないかという問題が部分的にはあろうかと思いますけれども、まあ大体こういうところでなかろうかという感じはするわけですけれども、今後の問題あるいは年間を通じての問題を、ここに渡辺議員が提出されたCの議論ですべて律して、そして直ちに引き下げろという議論については、私としてはなかなかそうでございますと言うわけにはいかないと思います。しかし、基本的に申しまして、円高が安定的に長期的に続いてまいりまして、そして莫大な利益が出る、そしてOPECの値上げ等をカバーして余りある、そういう場合に、当然これは石油の値段が消費者に還元されるべきものという基本的な姿勢は私ども堅持してまいりたいと思います。しかし、このままの数字で、これだからどうだと言うにはちょっと少し前提が大胆過ぎるのではなかろうかという感じがいたします。
  90. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 私はすれ違っていないと思います。なぜかと言いますと、もちろん、いまおっしゃった、十月から二百五十円台だというふうな点はあるといたしましても、現実そうだ。そうすると、これは認めざるを得ない状態に来ている。そこで土俵は一つになったと思うわけです。ただすれ違っている点があると思います。それは何かと言いますと、だれの立場に立つのかという点は明らかにすれ違っております。出光などこういった大企業、大メーカーの立場に立って、これをカバーして、値上げ撤回しません、据え置きですといったようなことをあたかも評価するような立場にお立ちになる。私はこれではない、国民の立場である。この点は全くすれ違っていると思うわけです。
  91. 倉成正

    倉成国務大臣 お言葉を返してまことに恐縮ですが、私どもは国民の立場に立って行政をやっております。一企業の立場に立っておりません。この点ははっきりいたしておきたいと思います。  なお、十二月にOPECの総会がある。そうすると、そのときの原油価格がどうなるかということは不確定の要素でございます。そのときになれば、それではその価格が上がったら直ちにこれを石油の価格に反映したらよろしいという議論にも通ずるわけでありますから、やはりこれはもう少し冷静に、客観的な資料、いろいろ御勉強なさって提出されたこの資料は資料として評価いたしますけれども、これがすべてであるということに基づいて御議論されることには承服いたしかねます。
  92. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 これがすべてだというふうには私も思わないわけですが、いまこういった傾向にあるということは事実である、動かしがたい事実であるというふうに思うわけです。お言葉を返すようでございますが、先ほどの日本の食肉の問題にいたしましても、いろいろ私の申し述べましたように、伊藤ハムであるとか大メーカーの立場に立ったことがやはりあったわけですね。もちろんこういった方たちも国民の一人だということになれば、国民の側に立っているんだということは言えようかと思います。しかし、いろいろそういったことはまた次の問題といたしまして、私も冷静にこのことは考えていきたい。決してかっとして申し上げているわけではないということでございます。今後とも、国政を預かっていらっしゃる皆さん方が本当に国民の立場に立っていただくということこそ重要なのですから、切にそのことを強く要望して質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
  93. 武部文

    武部委員長代理 依田実君。
  94. 依田実

    ○依田委員 きょうは、円高の中で牛肉にしぼっていろいろお尋ねいたしたい、こういうふうに思うわけであります。本会議が一時からということでございますから、余り時間がございません。ひとつお答えの方もすっきりとしていただけたら、こういうふうに思うわけであります。  最初に経済企画庁長官に、最近の円高問題、外国からいろいろ日本経済政策、特に貿易政策について批判があって、こういうものが今度の円高背景にあるんじゃないか、こういうふうに言われておるわけであります。日本黒字幅は一向に減らない。これまでの日本経済はややもすると輸出促進でありまして、輸入拡大はおろそかになりがちであったわけでありますけれども、こういう円高の中で、企画庁長官、ひとつ日本輸入政策というものについてお話をしていただきたい、こう思います。
  95. 倉成正

    倉成国務大臣 私は、貿易立国の日本でございまして、やはり日本原材料また燃料を外国から入れまして、これを加工して外国輸出するということでございますので、日本にとって輸出というのはやはり命綱に当たる非常に大事なものであると思っております。同時に、今日の世界が失業問題また世界の不況という問題で非常に悩んでおる。この一つ原因は、御案内のとおりOPECで毎年四百億ドルに及ぶ経常収支黒字が出てきておる、その黒字のツケが先進国並びに非産油の途上国に行っている、その上に日本経常収支の大きな黒字を出して赤字を他国に押しつけておる、しかも日本輸出によって失業問題が起こっているというところに、各国のいらいらが高じておるというのがいまの実情でございます。したがって、日本としてはできるだけ輸入をふやすということが大事でありまして、経常収支バランスをとっていくということが大切なことであろうかと思うわけでございます。ただ、御案内のとおり輸入の問題は、日本輸入品の構成というのが、原燃料が大体六四%ぐらい占めておるということで、純粋の消費財というのは三・八%ということでございまして、食糧関係を入れましても十数%の比率ということになるものですから、どうしても不況影響を受けやすい。したがって、国内不況でありますと、なかなか輸入がふえないという構造的な問題を含んでおるわけでございます。したがって基本的には、内需を振興して輸入をふやしていくということが基本ではなかろうかと思いますが、これには時間がかかる。そこで、緊急に何か経常収支のアンバランスをもう少しバランスをとるための方法はないだろうかということで、鋭意政府の部内で検討いたしておるのが現状の姿でございます。
  96. 依田実

    ○依田委員 いまいろいろ大綱についてお話がございましたけれども日本輸入政策の中で外国から批判のある品目がいろいろあるわけでありますけれども、その一つに最近話題になっておる牛肉が入っておるわけであります。きのうの夕刊などを見ましても、ニュージーランドの政府日本に非常に強硬なことを言っておる。二百海里の問題と絡めてこの問題を処理するんだ、こういうことを言っておるわけであります。先日ニュージーランドからトルボーイズ副首相が来日をされまして鈴木農林大臣と交渉をされましたけれども、なかなか厳しい情勢のようである。その後、ニュージーランドと日本の議員懇談会がございまして、トルボーイズ副首相が来られましたのですが、日本の議員がこの問題のある場面で笑ったわけであります。そのとき、それを非常にとがめまして、こういう重大な問題をなぜ日本の議員は笑うんだということで、会談が非常に気まずくなった様子がありました。しかじかさように日本の牛肉の輸入政策について外国の批判が強い。そこで、その一つの典型でありますこのニュージーランドの問題、この間鈴木農林大臣と会われて、会談をされ、そしてこの二百海里問題が出たわけでありますけれども、この辺の経過といいますか、雰囲気、そういうものについてひとつ農林省の方からお答えをいただきたいと思います。
  97. 甕滋

    ○甕説明員 御指摘のように先般ニュージーランドからトルボーイズ副首相が来日されまして、鈴木農林大臣との間で会談が行われました。その中で、輸出国側としては安定的な輸入を要望しておる、その具体的なやり方といたしまして、長期に固定した数量と申しますか、これを設定いたしますとか、あるいは年々必ず伸びていくということで輸入割り当て方式自体の改善を非常に強く要望されたわけです。それに対しまして、私どもの方は、国民に長期安定した牛肉供給を確保いたしますために、国内生産を育成しつつ、しかし、足りないものについては安定的に輸入していくという基本的な立場を述べたわけでございます。その足らざるものを安定的に輸入していくということは、具体的にはやはり、年々国内需給事情によって多少の変動はございますけれども相当量が継続的に輸入をされるという理解でございます。したがいまして、現在までも、四十八、九年の石油ショック、畜産危機の異常な事態を別といたしますと、五十年に輸入を再開して以来安定的な輸入に努めているわけでございまして、そういった実績を今後積み重ねていくことによりまして、両国の安定的な関係が確保できるのではないか。しかしながら、両国の間にも理解の不足が相互にあるということで、今回は双方ともども双方の事情についての情報交換を密にいたしまして、そういった中で輸入の安定化についても努力をしていきたいという趣旨を申し述べたという経過でございます。
  98. 依田実

    ○依田委員 ニュージーランドは前からこの二百海里の問題と絡めて交渉をするんだということを言っておったわけでありますけれども、果たしてそういうことを出してきた。これは農林省としては、当初から予想しておったことかどうか、その辺を伺わせていただきたいと思います。
  99. 甕滋

    ○甕説明員 私どもの理解としましては、牛肉の問題は牛肉の問題で最善を尽くしてまいるということでございまして、それがほかの問題とリンクされているというふうには少なくとも私は理解をしておりません。
  100. 依田実

    ○依田委員 この問題をリンクさせることが外交交渉として果たして筋に合うことかどうかということは、私も一抹の批判があるわけでございますけれども、しかし、しかじかさように外国日本のいまの牛肉政策というものについて非常な批判を持っておる。それがこういう、言ってみると行き過ぎたような態度にまで出てくるのではないだろうかと私は理解をしておるのであります。これは外国だけではなくて、われわれ消費者の立場から言いましても、いまの日本の牛肉政策というのは外から見てすっきり割り切れない、どうしても理解ができないということが非常に多いんじゃないか。皆様方は御専門でありますから、それぞれに政策立案の過程で筋が通ったというふうにお考えになっておるのですが、でき上がったものは、わきから見ますと非常にわかりにくい。どうもひとつ筋が違うんじゃないかというところにいまの牛肉政策がある。それがやはり外国人に理解ができなくて、こういうような問題、トラブルがこれからも起こるんじゃないだろうか、こういうふうに思いますので、われわれ素人から見て、どういうところが筋が通らないかというか、わかりにくいかということをきょうばいろいろ質問させていただきたい、こういうふうに思うのでございます。  一番最初に、先日も堀内議員からいろいろお話がございました、この生肉の調整金を上げる、こういうことでございます。新聞にも本末転倒だ、こういうふうに書いてございましたけれども、われわれも素人ではございますが、そういう気がするのであります。途中で利益が業者に吸い取られるから調整金を上げるんだ、こういう論理のようでございますけれども、われわれから考えてみると、しからば、その利益を横取りするそういうルートこそを改善するのがいいのじゃないか、こういうふうに思うのであります。物の考え方が縦と横のかみ合わないところで農林省とわれわれはいつも論争をするのでありますけれども、われわれはそう思うのであります。  この間農林省の方からお答えの中に、そういうこともあるので、この放出するルートをふやそうじゃないか、こういうことを検討しておる、こういうお話がございましたけれども、それはそういうことになっておるのでしょうか。そしてまた、いつごろまでに検討なされるのでしょうか。
  101. 甕滋

    ○甕説明員 ただいまのお話は、中間で吸われているルート自体に問題がある結果価格が下がらない、こういう御指摘であろうと思いますので、その点私どもも十分気をつけてやってまいらなければならないと思います。ただ、細かい議論になって恐縮でございますが、現在のチルドの牛肉価格も、決してそれ自体で価格がついておるものではなくて、国内の牛肉、いろいろございますけれども、それとのバランスでその需給実勢の時価ということになっておりますので、それが形成されておりますと、事業団の売り渡し価格がたまたま安過ぎる場合にはプレミアムという形で吸収されるという実態になっておるわけでございまして、その実態を踏まえて前回の調整金の改定を行ったという経緯でございます。しかしながら、御趣旨のような売り渡しルート自体についても改善を加えるということにつきましては、私どもも検討課題だと思っておりまして、競争原理を働かす余地はないものかどうか、そういった点を含めまして現在検討しております。いつということまでただいま申し上げられなくて残念でございますが、なるべく早急に結論を得てまいりたいと考えております。
  102. 依田実

    ○依田委員 先ほど藤原委員の中にございました学校給食会、こういうのがあるわけでございますけれども、必ずしもそれを取り上げるわけではございませんけれども、要するに、途中でそういう利益を吸い取る、つまり指定団体が利権化しているのじゃないか、こういうふうに巷間言われておるわけであります。これは農林省の方も巷間言われておることは御存じであろう、こう思うわけであります。しからば、そういうようなことがあるのかないのか、農林省としてこれを定期的にいろいろチェック、監視するような、そういう制度になっておるのかどうか、そしてまた、これまでにそういう例があったのかどうか、その辺をお聞かせいただきたい。
  103. 甕滋

    ○甕説明員 事業団が放出をいたしましたものが末端に流れていく過程でそれがどうなっているかということにつきましては、事業団の方で当然関心を持ち、かつ調査等もいたして実態を把握するように努めておるわけでございます。その中で、もちろん書類等によりましてチェックをするということは当然でございますが、必要によりましてそのルートに実際に実地にまいりまして調査をするというようなこともいたしておるわけでございまして、私どももそういった経過を承知しておるわけでございます。
  104. 依田実

    ○依田委員 いままでにそういう調査の結果、不正といいますか、横流しがあった事実があるのでしょうか。
  105. 甕滋

    ○甕説明員 その辺は現在もいろいろ調査中というものが多うございまして、まあ横流しと申しますか、期待している流れ方どおりになっていないというような実態については確認はされておりません。
  106. 依田実

    ○依田委員 もしそういうことが明らかになった場合は、そういうものを指定団体として取り消す意思があるのかどうか、その辺はいかがでしょうか。
  107. 甕滋

    ○甕説明員 好ましくない実態が判明いたしましたならば、当然適切な処置をとるべきものと考えております。
  108. 依田実

    ○依田委員 きょうは時間がございませんので、ひとつ後で資料だけ出していただければ、こう思いますけれども、学校給食会二千トン、こういう数字が出ておりますけれども、割り当てられた肉がどういう経路でどういうふうに流れたか。そのフォローされたデータを後でひとついただきたい、こういうふうに思います。  ところで、畜産振興事業団にこのことにつきまして次にお伺いをさせていただきたい。  事業団は、御承知のように畜産及びその関連産業の健全な育成と同時に、国民の食生活の改善、こういうことをうたわれておるわけでありますけれども、ややもすると生産者の方に、それも本当にそちらの方を向いておればよろしいのでありますけれども、それにもいろいろ批判がある。一方、消費者の方についてはほとんどその事業がなされてない、こういうふうに伺っておるわけであります。先ほどこれも藤原委員が先に御質問いたしましたけれども、役員の構成の中に伊藤ハムの社長さんがいらっしゃる、こういうことが出ましたけれども、これも本当に素人つまり国民というのはそういう感覚を持って政治というものを見ておるとわれわれ思いますけれども、こういう公的な団体の中に現役の業者の代表が入っておるというのは、やはり国民の皆さんに納得がいかないのじゃないか。これは例がいいかどうかわかりませんけれども、たとえば、住宅公団の中に現役の大手建設会社の社長が入っておったならば、国民の皆さんはどういうふうに感ずるかどうか。この辺の素朴な疑問にひとつ畜産振興事業団の理事長としてお答えをいただきたい。
  109. 太田康二

    ○太田参考人 現行の制度が、御承知のとおり、毎年三月末に畜産振興審議会に諮問いたしまして農林省が安定帯価格をお決めになるわけでございまして、現在の制度では、上限を超えた場合には、事業団が国産の牛肉を持っている場合にはそれを放出する、あるいは輸入牛肉を放出して上限価格を超えないように中央卸売市場の価格を安定帯内におさめる、これが消費者に対する対策になっているわけでございます。生産者のための対策といたしましては、安定基準価格を割ったときに調整保管をしていただいた助成をするとか、あるいは事業団が買い上げて価格の回復を図ってそれ以下には下げないようにするというのが事業団の第一次の任務であろうかと思います。  そういうことで、先ほど課長からも御説明があったわけでございますけれども、事業団の放出が非常にうまくいったからというようなことを申し上げるつもりはございませんが、昨年の九月から乳用牡犢につきましては安定帯の中に入っておるわけでございます。それから和牛につきましても本年の三月から安定帯の中に入って推移をいたしておるわけでございますから、その限りにおきましては、第一次的の私どもの任務は果たし得たのではないかというふうに考えております。ただ、卸売価格が下がりましてもそれに連動して小売価格が下がらないというような点があることは、先ほど来るる議論がされたようなことでございまして、確かにそういった面があることは間違いないわけでございます。  そこで、先生の御指摘、国民の食生活の改善という大きな目的に沿って業務を運用すべきではないかというような御指摘、至極ごもっともでございまして、私どもは、一つにつきましては例の指定店制度というような制度を設けまして、輸入牛肉につきまして末端の小売価格の適正化に資するというような事業を実施しておるのでございます。  それと、よく私どもが指摘されますのは、私どもの例の売買差益あるいは調整金、これが輸入牛肉勘定から助成勘定に繰り入れられまして指定助成対象事業という事業を実行しておりますが、その事業の採択がどうも生産者対策本位になっているのじゃないかというような御指摘がございます。そこで今回、農林省にもお願いいたしまして、牛肉の特別販売等の事業について助成をするというようなことで、とかく従来事業団の運営が生産者サイドに傾き過ぎるというような御批判について、率直に受けとめまして、そういった事業を取り上げたような次第でございます。私どもは、この事業の定着のぐあいを見まして、さらに農林省等にもお願いして、できれば規模の拡大等もやってまいりたい、かように存じておる次第でございます。  それから、御指摘の事業団の非常勤理事の中に伊藤ハムの社長がいるではないかというようなことでございますが、私ども理事会では、事業団の予算、事業計画あるいは決算、定款の変更、業務方法書の変更、こういった事業団の運営上の骨格となる事項につきましては、出資者を含めた学識経験者を広く参加させて、業界に関する知識経験を有する者の意見を事業団の業務運営の中にある程度反映させた方がよろしかろうという趣旨で、農林大臣の許可を得まして非常勤の理事を私が任命するというようなことになっておるわけでございます。そこで現実の運用といたしましては、いま申し上げたような基本的事項につきましては、私ども理事会に非常勤の方もおいでいただきまして議論をしていただいております。あるいは持ち回りで決裁をしていただくというようなことがあるわけでございますが、具体的な輸入牛肉の売買等の日常的な業務、これにつきましては、実は関係法律あるいは定款、業務方法書で、極端に言いますともう全部細かく縛られておるといいますか、ほとんど決まっておるわけでございまして、まあその中には売り渡し予定価格とか買い入れ予定価格とかいうような、確かに機密に関する事項もございます。したがいまして、そういった事項の決定につきましては、非常勤の方には、お許しを得まして、そういったことを決めることにつきましては一切関与していただかないで、われわれいわゆる常勤の理事だけでそのことを決定をいたしておるのでございまして、決して、先生が御心配になるような意味で、何か私企業の利益のために地位が利用されるというようなことのないような配慮はいたしておるつもりでおるわけでございます。
  110. 依田実

    ○依田委員 確かにそれは法律上ちゃんと完璧な答えが出るようにはなっているというふうには私は思っております。しかし、昔からよく言う李下に冠を正さずという言葉がありますもので、ひとつ国民の皆さんが疑惑を持つような、非常勤の理事と常勤の理事で違うんだというお話でございますけれども、同じ建物の中へ出入りするのでありまして、そういう意味では、李下に冠を正さずという方向へぜひ改善をしていただきたいというふうに思うのであります。  それから、いままた助成金のお話が出ましたけれども、この助成金、ここに五十一年度、五十二年度の指定助成対象事業というのがございますが、このお金の出方、いろいろ見てみますと、五十一年度にはどっさり出て五十二年度には一文も出ない、あるいはまた五十一年度には出ないけれども五十二年度にはどっさり出る、いろいろ多少おもしろいところがあるわけでありますけれども、この対象事業はいま幾つあるのか、そしてまたその理事長の中で農林省のOBの方は何人いらっしゃるのか。その辺をちょっとお聞かせ願いたいと思います。
  111. 太田康二

    ○太田参考人 いままで五十一年度は実行がすでに済んだわけでございますから、五十一年度の事業について申し上げますと、御承知のとおりこれには補助と出資があるわけでございます。補助事業としては、項目で七項目でございまして、金額で約六十七億ということでございます。出資は、全部で二十の団体に対して出資をいたしておりまして、これが四十六億ということに相なっております。  このうち農林省のOBの方が関係をいたしておりますのは、一つ日本食肉格付協会。これは中央卸売市場で格づけ事業を実施いたしておるわけでございますが、この事業をやっておる団体の理事長が農林省の出身者でございます。それから配合飼料供給安定機構という団体がございますが、この理事長が農林省の出身者でございます。それから畜産環境整備リース協会、これにも出資をいたしておりますが、これの理事長も、いまの配合飼料供給安定機構の理事長と兼ねておられるわけですが、これも農林省の出身者でございます。昨年度で申し上げますと、二十団体に出資をいたしまして、そのうちの三団体が農林省の先輩の人が理事長をやっておる団体である、こういう実態でございます。
  112. 依田実

    ○依田委員 その中で、いまお話が出ました畜産環境整備リース協会、これは岡田さんという方が理事長でございますが、ここは職員が何人おりまして、そして幾ら出資をされておるのか、そしてまたこの団体の主なる事業はどういうことか、簡単に御説明をいただけたらと思います。
  113. 太田康二

    ○太田参考人 私どもが出資いたしましたのは三億でございます。それから、リースをする機械を購入するための経費として十億円の原資というか、その資金に充てるための経費の補助を五十一年度にいたしております。したがいまして、両方合わせますと、たしか十三億ということに相なるわけでございます。  それから、職員は、専務理事以下専任の職員は四人ということに相なっております。これは先生も御承知のとおり、畜産の場合には畜産公害問題というのが大きく取り上げられまして、家畜のふん尿の適正な処理あるいは利用促進ということがこれからの畜産を伸ばしていくための大きな課題になっておるわけでございます。こういったものの機械が大分最近は出てまいったわけでございますが、農家の側にとってみますと、必ずしも前向きの投資ではございませんので、できる限り安い金利の金でこういったものが取得できるように持っていきたいという農林省の政策意図がございまして、昨年発足いたしたわけでございます。私どもがいま聞いておりますのは、昨年の十月末ごろから事業の宣伝を始めまして、今日までまだ十分その趣旨が徹底していないようでございますが、約三億程度の融資の申し込みがありまして、その実行が行われておるというふうに承知をいたしております。
  114. 依田実

    ○依田委員 職員の方が四人ということで、これから大事業をなさろう、こういうことでございますので、ひとつがんばっていただきたい、こういうふうに皮肉も込めて申し上げるわけでありますけれども、しかしこれも一部には、正しいかどうかわかりませんけれども、お給料を差し上げるためにできた団体ではないか、こういうふうに言われておるわけでございまして、その真偽は問いませんけれども、しかし、私が一番初めから一貫して申し上げておるのは、皆様方は正しいことをしておるのだというふうにお考えになって、法律でもってそれをちゃんと整備なさって御事業をなさっていらっしゃるけれども、国民の側から見るとそれが理解ができない、こういうことが私は政治不信に対して非常に重大なる影響を持つのじゃないだろうか、こういうふうに思いますので、ひとつその辺についてもいろいろ今後御事業をなさる上について善処をお願いいたしたい、こういうふうに思います。  時間が少なくなりますので、少し飛ばさせていただきます。本当でしたら、きのうから始まりました例の安売りの問題についてもお伺いをさせていただいて、消費者に対するこれからの畜産振興事業団のお金の出し方についてもぜひお願いをしたいところでございますけれども、時間がございませんので少し飛ばさせていただいて、外国からよく言われる日本の牛肉政策の中で、内村農林次官は、先日ある新聞を見ておりましたら、現在の自給率というものを七〇%から将来八五年には八〇%に持っていきたいのだ、こういうことを言われておるわけでございますけれども、果たして日本で畜産事業の自給率がそこまで高められるのかどうか。御承知のように、えさはほとんど外国から輸入をしておるわけであります。ですから、たとえ自給をしても、いざ外国とのトラブルが出てえさが入らないということになれば自給はできないのでありまして、これは架空の論議だろう、こういうふうに思うのでございますけれども、農林省のお考えはいかがでしょうか。
  115. 続省三

    ○続説明員 将来の牛肉の自給率八〇%というのは達成できる見通しがあるかどうかというようなお尋ねでございます。  農林省の長期見通しでは、昭和六十年を目標にしているわけでございますが、肉用牛の飼養頭数は三百三十万頭ということで、牛肉の自給率は八一%、これは五十一年現在で七〇%でございますが、これを目標としているわけでございます。  わが国の肉用牛の飼養状況でございますが、長期見通しの基準年次でございます四十七年の時点では百七十七万頭でございました。五十二年、ことしの二月の頭数が百九十八万七千頭、約二百万頭でございまして、かなり増加を見ているというふうに思うわけでございます。これから三百三十万頭まで増大させるというのはかなり努力を必要とするのではないかと思うわけでございますが、この目標達成に力を尽くしてまいりたいというように考えているわけでございます。  このためいろいろな施策をやっているわけでございますが、私ども、肉専用種と乳用種とに分けて、いろいろ施策を講じているわけでございます。  肉専用種につきましては、生産の適地で、山林原野の多いようなところで、段階的な規模拡大を図ってまいりたいというように考えております。  また、乳用種につきましては、もともと酪農に由来するものでございますので、その酪農経営の健全な発展を推進してまいるということのほかに、集団的な組織的な保育育成を進めてまいりたいというように考えておるわけでございます。  それから、ただいま外国からえさを輸入しているのが実態であるので、自給率を高めるといっても本当の意味での自給率にならないんではないかというような御指摘があったわけでございますが、これについてはいろんな御意見があるわけでございます。それで、ただ肉用牛に関しましては、繁殖子とり経営でございますが、これは大体必要な養分の八割くらいを国内で生産される粗飼料で賄っているのでございます。輸入が多い濃厚飼料が二割でございます。ただ、肥育経営におきましては、肥育の効率を高める、早く牛肉を生産する、あるいは良質の牛肉を生産するというような面から、同じくこの給与総量のうちの濃厚飼料が繁殖経営と逆になるのでございますが、八割くらいが濃厚飼料でございます。  それで、こういった肉用牛の飼養の実態は、中小家畜から見ますとかなり粗飼料の給与が高いということが言えるわけでございますので、私ども草地開発を進めまして、できるだけ国内のえさで自給度を高めてまいりたいというように考えているわけでございます。
  116. 依田実

    ○依田委員 ちょっと急ぎますけれども、農林次官のこの座談会の中に、いまは牛肉というのは過剰である、将来またこれが逼迫するときがあるかもしれない、そのために自給率を高めておかなければ危ない、こういう御議論が出ておるわけでありますけれども、私たちは逆にいまのような外国との、つまり牛肉生産国とのトラブルがあると、そういうふうに需給が逼迫してきたときには売ってもらえないんじゃないか。本来、平時において仲よくしておれば、必ず国際信義というものは通用するものでありまして、困っている日本にそれじゃ割り当てを少し多くしてやろうじゃないか、こういうふうに生産国が私はなるんじゃないか、こういうふうに思うので、その点農林省のお考えになっておる自給と、私が考えておる、まあ将来の牛肉の需給バランス、そういうものはちょっと食い違うのでありますけれども、最後に、ベルもなりましたから、最後に一つだけぜひ経済企画庁長官に御意見を承りたい、こういうふうに思っております。  きょうは、本当は輸入割り当ての問題あるいはフローズンとチルドの割合の問題、テンダーシステムの問題、いろいろお聞きをしたかったのでありますけれども、しかし一番最初に話を戻させていただきまして、いま日本と豪州、ニュージーランド、こういう仲が非常に悪くなっておる。これは、先日豪州へ行かれた方が、数年前は日本熱が盛んで日本語を習おうという塾までがたくさんできておったけれども、いまやそういう熱はすっかり冷めておる、こういうことを新聞に書いてございました。あるいはまた、フレーザーさんが日本の総理大臣に対していろいろ書簡を出して、日本の牛肉政策のあり方について批判をされている。こういうことは外交交渉上非常に異常なことじゃないか。もっとわれわれは外国との関係について真剣に考えなければならない時代が来ておるのではないか、こういうふうに思うのであります。  私も、山の奥でほかの農作物ができない、一頭、二頭の牛を飼われて少しのお小遣いを取られる、そういう方のことは、それは確かに考えなければいけませんけれども、しかし、本当のナショナリズムというものを、本当の国益というものはどうあるのか、それをひとつぜひ農林省の方に考えていただきたい。そして農業政策というものをやっていただきたい、こういうふうに思うのであります。われわれから言いますと、昔陸軍いま農林省、こういうふうに思うくらいでございます。短期的な国益が果たして長期の国益にかなうのかどうか、この辺をひとつぜひ考えていただきたい。農は国のもとでございます。昔から日本はたくさんの篤農家を育てました。ひとつ畜産振興事業団の皆さんも、本当に篤農家の気持ちでぜひこの牛肉政策というものを遂行していただきたい、こういうふうに思うわけであります。  最後に、経済企画庁長官に、いまのような国際信義の問題、その中で日本の牛肉政策がどうあるかということについて、ひとつ御感想を承りたい、こう思います。
  117. 倉成正

    倉成国務大臣 世界の中に生きていかなければならない日本が、国際的な摩擦を避けて信頼を獲得していかなければならないということは、非常に重要な問題でございます。それと同時に、ただいまもちょっとお話がございましたように、FAO並びにOECDの資料を見ますと、やはり近い将来において牛肉の需要が逼迫するという予想をいたしております。したがって、一定量の国内における生産を維持することが必要である。牛は一年に一回しか子供を産みませんし、いま二百万頭、その中で五十万頭が乳用の雄でございます。そういうことを考えますと、やはり一つの哲学と申しますか、国内においてある程度の自給をするということが長期的に見て日本の将来の食糧のために大事であるという考え方がいまあるわけでございます。その接点をどこに求めていくかというところが非常にむずかしい問題だと思います。したがって、その哲学を維持しながらも、何か接点をどこかに見出していくいい方法がないだろうかというのがこれからの課題であろうと思いますので、せっかく農林大臣、関係閣僚で話し合いをいたしてみたいと思っているところでございます。
  118. 依田実

    ○依田委員 終わります。
  119. 武部文

    武部委員長代理 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時五十七分散会