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1977-11-24 第82回国会 衆議院 農林水産委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年十一月二十四日(木曜日)     午前十時五十一分開議  出席委員    委員長 金子 岩三君    理事 片岡 清一君 理事 山崎平八郎君    理事 竹内  猛君 理事 瀬野栄次郎君    理事 稲富 稜人君       愛野興一郎君    加藤 紘一君       久野 忠治君    熊谷 義雄君       佐藤  隆君    染谷  誠君       玉沢徳一郎君    中野 四郎君       羽田野忠文君    平泉  渉君       福島 譲二君    向山 一人君       森   清君    森田 欽二君       川本 敏美君    柴田 健治君       島田 琢郎君    松沢 俊昭君       武田 一夫君    野村 光雄君       吉浦 忠治君    神田  厚君       津川 武一君    大原 一三君  出席政府委員         農林政務次官  羽田  孜君         農林大臣官房長 澤邊  守君         農林省農林経済         局長      今村 宣夫君         農林省構造改善         局長      森  整治君         農林省農蚕園芸         局長      堀川 春彦君         農林省畜産局長 大場 敏彦君         農林省食品流通         局長      杉山 克己君         食糧庁長官  大河原太一郎君         林野庁長官   藍原 義邦君  委員外出席者         国土庁地方振興         局山村豪雪地帯         振興課長    羽鳥  博君         大蔵省主税局税         制第一課長   矢澤富太郎君         農林省農林経済         局国際部長   志村  純君         労働大臣官房審         議官      松井 達郎君         農林水産委員会         調査室長    尾崎  毅君     ————————————− 委員の異動 十一月二十四日  辞任         補欠選任   馬場  昇君     川本 敏美君   菊池福治郎君     大原 一三君 同日  辞任         補欠選任   川本 敏美君     馬場  昇君   大原 一三君     菊池福治郎君     ————————————− 本日の会議に付した案件  閉会中審査に関する件  農林水産業振興に関する件  請 願     一 水産庁釣り人課新設に関する請願       (瀬野栄次郎紹介)(第四五号)     二 昭和五十三年度水田総合利用対策の       適正化等に関する請願外一件(芳賀       貢君紹介)(第五四号)     三 北海道に対する昭和五十三年度稲作       転換目標面積配分に関する請願外       二件(芳賀貢紹介)(第五五号)     四 同(島田琢郎紹介)(第九三号)     五 同(村上茂利紹介)(第九四号)     六 昭和五十二年産米全量政府買い入れ       に関する請願外三件(芳賀貢君紹       介)(第五六号)     七 同(島田琢郎紹介)(第九五号)     八 農業経営発展基本施策確立等に関       する請願外一件(阿部昭吾紹介)       (第一一〇号)     九 中国食肉輸入禁止解除に関する       請願石野久男紹介)(第一六五       号)    一〇 米国サクランボ輸入阻止等に関       する請願阿部昭吾紹介)(第三       八三号)    一一 中国食肉輸入禁止解除に関する       請願松沢俊昭紹介)(第三八四       号)    一二 農業経営発展基本施策確立に関す       る請願有島重武君紹介)(第四六       八号)    一三 水産庁釣り人課新設に関する請願       (稲富稜人君紹介)(第四六九号)    一四 同(稻葉修君紹介)(第四七〇号)    一五 同(横山利秋紹介)(第五五六       号)    一六 米国サクランボ輸入反対に関す       る請願渡辺三郎紹介)(第五五       五号)    一七 農業経営発展基本施策確立等に関       する請願外二件(渡辺三郎紹介)       (第五五七号)    一八 同外四件(大原亨紹介)(第六四       三号)    一九 同外十八件(渡辺三郎紹介)(第       六四四号)    二〇 中国食肉輸入禁止解除に関する       請願竹内猛紹介)(第七三〇       号)    二一 米国サクランボ輸入反対に関す       る請願古寺宏紹介)(第九九八       号)    二二 同(熊谷義雄紹介)(第一一四〇       号)    二三 同(竹内黎一君紹介)(第一一四一       号)    二四 同(津島雄二紹介)(第一一四二       号)    二五 農事試験場千葉試験地の移転に関す       る請願井上裕紹介)(第一一三       九号)    二六 広域農業開発事業の促進に関する請       願(椎名悦三郎紹介)(第一一四       三号)    二七 畑作物対策に関する請願椎名悦三       郎君紹介)(第一一四四号)    二八 土地改良事業に対する補助増額に関       する請願椎名悦三郎紹介)(第       一一四五号)    二九 二百海里漁業水域設定に伴う水産対       策の強化に関する請願椎名悦三郎       君紹介)(第一一四六号)    三〇 食糧政策確立及び米の需給対策の       樹立に関する請願椎名悦三郎岩紹       介)(第一一四七号)    三一 農業用水汚染防止に関する請願(       井出一太郎紹介)(第一二四七       号)    三二 同(唐沢俊二郎紹介)(第一二四       八号)    三三 同(倉石忠雄紹介)(第一二四九       号)    三四 同(小坂善太郎紹介)(第一二五       〇号)    三五 同(清水勇紹介)(第一二五一       号)    三六 同(中島衛紹介)(第一二五二       号)    三七 昭和五十三年度稲作生産調整に関       する請願井出一太郎紹介)(第       一二五三号)    三八 同(唐沢俊二郎紹介)(第一二五       四号)    三九 同(倉石忠雄紹介)(第一二五五       号)    四〇 同(小坂善太郎紹介)(第一二五       六号)    四一 同(清水勇紹介)(第一二五七       号)    四二 同(中島衛紹介)(第一二五八       号)    四三 農林漁業金融公庫事務所長野県内       設置に関する請願井出一太郎君紹       介)(第一二五九号)    四四 同(唐沢俊二郎紹介)(第一二六       〇号)    四五 同(倉石忠雄紹介)(第一二六一       号)    四六 同(小坂善太郎紹介)(第一二六       二号)    四七 同(清水勇紹介)(第一二六三       号)    四八 同(中島衛紹介)(第一二六四       号)    四九 農畜産物輸入規制に関する請願(       井出一太郎紹介)(第一二六五       号)    五〇 同(唐沢俊二郎紹介)(第一二六       六号)    五一 同(倉石忠雄紹介)(第一二六七       号)    五二 同(小坂善太郎紹介)(第一二六       八号)    五三 同(清水勇紹介)(第一二六九       号)    五四 同(中島衛紹介)(第一二七〇       号)    五五 農地転用許可後放置されている土地       の有効利用に関する請願井出一太       郎君紹介)(第一三一一号)    五六 同(唐沢俊二郎紹介)(第一三一       二号)    五七 同(倉石忠雄紹介)(第一三一三       号)    五八 同(小坂善太郎紹介)(第一三一       四号)    五九 同(清水勇紹介)(第一三一五       号)    六〇 同(中島衛紹介)(第一三一六       号)    六一 マツクイムシ防除農薬空中散布中       止等に関する請願小川国彦君紹       介)(第一七〇七号)    六二 同(後藤茂紹介)(第一七〇八       号)    六三 同(島田琢郎紹介)(第一七〇九       号)    六四 同(島本虎三紹介)(第一七一〇       号)    六五 同(新盛辰雄紹介)(第一七一一       号)    六六 同(竹内猛紹介)(第一七一二       号)    六七 同(野坂浩賢紹介)(第一七一三       号)    六八 同(馬場昇紹介)(第一七一四       号)    六九 同(瀬野栄次郎紹介)(第一九三       一号)    七〇 同(武田一夫紹介)(第一九三二       号)    七一 同(野村光雄紹介)(第一九三三       号)    七二 同(吉浦忠治紹介)(第一九三四       号)    七三 北海道に対する昭和五十三年度稲作       転換目標面積配分に関する請願(       安井吉典紹介)(第一七一五号)    七四 昭和五十二年産米全量政府買い入れ       に関する請願安井吉典紹介)(       第一七一六号)    七五 大規模林道事業国庫補助率引き上       げ等に関する請願伊東正義君紹       介)(第一七五四号)    七六 米国サクランボ輸入反対に関す       る請願津川武一紹介)(第一九       三五号)    七七 農業用水汚染防止に関する請願(       中村茂紹介)(第二二一五号)    七八 同(原茂紹介)(第二二一六号)    七九 昭和五十三年度稲作生産調整に関       する請願中村茂紹介)(第二二       一七号)    八〇 同(原茂紹介)(第二二一八号)    八一 農林漁業金融公庫事務所長野県内       設置に関する請願中村茂紹介)       (第二二一九号)    八二 同(原茂紹介)(第二二二〇号)    八三 農畜産物輸入規制に関する請願(       中村茂紹介)(第二二二一号)    八四 同(原茂紹介)(第二二二二号)    八五 農地転用許可後放置されている土地       の有効利用に関する請願中村茂君       紹介)(第二二三三号)    八六 同(原茂紹介)(第二二三四号)    八七 水田利用再編対策等に関する請願(       小沢辰男紹介)(第二六〇七号)    八八 小麦粉への米粉混入反対に関する請       願(相沢英之紹介)(第二六七九       号)    八九 同(石井一紹介)(第二六八〇       号)    九〇 同(市川雄一紹介)(第二六八一       号)    九一 同(稲垣実男紹介)(第二六八二       号)    九二 同(小此木彦三郎紹介)(第二六       八三号)    九三 同(大塚雄司紹介)(第二六八四       号)    九四 同(奥野誠亮紹介)(第二六八五       号)    九五 同(鹿野道彦君外一名紹介)(第二       六八六号)    九六 同(粕谷茂紹介)(第二六八七       号)    九七 同(鯨岡兵輔紹介)(第二六八八       号)    九八 同(國場幸昌紹介)(第二六八九       号)    九九 同(小泉純一郎紹介)(第二六九       〇号)   一〇〇 同(河野洋平紹介)(第二六九一       号)   一〇一 同(左藤恵紹介)(第二六九二       号)   一〇二 同(佐々木義武紹介)(第二六九       三号)   一〇三 同外一件(志賀節紹介)(第二六       九四号)   一〇四 同(塩谷一夫紹介)(第二六九五       号)   一〇五 同(島村宜伸紹介)(第二六九六       号)   一〇六 同(砂田重民紹介)(第二六九七       号)   一〇七 同(地崎宇三郎紹介)(第二六九       八号)   一〇八 同(友納武人紹介)(第二六九九       号)   一〇九 同(中尾栄一君外三名紹介)(第二       七〇〇号)   一一〇 同(中西啓介紹介)(第二七〇一       号)   一一一 同(中村靖紹介)(第二七〇二       号)   一一二 同(中山利生君外二名紹介)(第二       七〇三号)   一一三 同(中山正暉紹介)(第二七〇四       号)   一一四 同(灘尾弘吉紹介)(第二七〇五       号)   一一五 同(野中英二紹介)(第二七〇六       号)   一一六 同(原田憲紹介)(第二七〇七       号)   一一七 同(福田篤泰君外二名紹介)(第二       七〇八号)   一一八 同(藤井勝志紹介)(第二七〇九       号)   一一九 同(藤波孝生紹介)(第二七一〇       号)   一二〇 同(船田中君紹介)(第二七一一       号)   一二一 同(古屋亨君外一名紹介)(第二七       一二号)   一二二 同(細田吉藏紹介)(第二七一三       号)   一二三 同(前尾繁三郎君外一名紹介)(第       二七一四号)   一二四 同(増田甲子七君紹介)(第二七一       五号)   一二五 同外一件(三塚博紹介)(第二七       一六号)   一二六 同外一件(村山達雄紹介)(第二       七一七号)   一二七 同(森喜朗紹介)(第二七一八       号)   一二八 同(山崎拓紹介)(第二七一九       号)   一二九 同(山下元利紹介)(第二七二〇       号)   一三〇 同外一件(山田久就君紹介)(第二       七二一号)   一三一 同(与謝野馨紹介)(第二七二二       号)   一三二 同(綿貫民輔紹介)(第二七二三       号)   一三三 同(木村武千代君外一名紹介)(第       二七二四号)   一三四 農業用水汚染防止に関する請願(       小川平二紹介)(第二八一四号)   一三五 同(下平正一紹介)(第二八一五       号)   一三六 昭和五十三年度稲作生産調整に関       する請願小川平二紹介)(第二       八一六号)   一三七 同(下平正一紹介)(第二八一七       号)   一三八 農林漁業金融公庫事務所長野県内       設置に関する請願小川平二君紹       介)(第二八一八号)   一三九 同(下平正一紹介)(第二八一九       号)   一四〇 農畜産物輸入規制に関する請願(       小川平二紹介)(第二八二〇号)   一四一 同(下平正一紹介)(第二八二一       号)   一四二 農地転用許可後放置されている土地       の有効利用に関する請願小川平二       君紹介)(第二八三三号)   一四三 同(下平正一紹介)(第二八三四       号)   一四四 小麦粉への米粉混入反対に関する請       願(田川誠一紹介)(第二八九〇       号)   一四五 同外一件(戸沢政方紹介)(第二       八九一号)   一四六 同(山口シヅエ紹介)(第二八九       二号)   一四七 同(笹山茂太郎紹介)(第二九三       八号)   一四八 農業用水汚染防止に関する請願(       増田甲子七君紹介)(第二九六四       号)   一四九 同(向山一人紹介)(第二九六五       号)   一五〇 昭和五十三年度稲作生産調整に関       する請願増田甲子七君紹介)(第       二九六六号)   一五一 同(向山一人紹介)(第二九六七       号)   一五二 農林漁業金融公庫事務所長野県内       設置に関する請願増田甲子七君紹       介)(第二九六八号)   一五三 同(向山一人紹介)(第二九六九       号)   一五四 農畜産物輸入規制に関する請願(       増田甲子七君紹介)(第二九七〇       号)   一五五 同(向山一人紹介)(第二九七一       号)   一五六 農地転用許可後放置されている土地       の有効利用に関する請願増田甲子       七君紹介)(第二九八三号)   一五七 同(向山一人紹介)(第二九八四       号)   一五八 農業共済団体事務費国庫負担金・補       助金の増額等に関する請願外一件(       権藤恒夫紹介)(第三〇二七号)   一五九 小麦粉への米粉混入反対に関する請       願(愛野興一郎紹介)(第三一〇       一号)   一六〇 同(大西正男紹介)(第三一〇二       号)   一六一 同(谷川寛三君紹介)(第三一〇三       号)   一六二 同(前田治一郎紹介)(第三一二       四号)   一六三 同(橋本登美三郎紹介)(第三一       五九号)   一六四 米国サクランボ輸入反対に関す       る請願竹中修一紹介)(第三一       二三号)   一六五 小麦粉への米粉混入反対に関する請       願(愛知和男紹介)(第三三五二       号)   一六六 同(石井一紹介)(第三三五三       号)   一六七 同(大塚雄司紹介)(第三三五四       号)   一六八 同(奥田敬和紹介)(第三三五五       号)   一六九 同(粕谷茂紹介)(第三三五六       号)   一七〇 同(鯨岡兵輔紹介)(第三三五七       号)   一七一 同(小坂徳三郎紹介)(第三三五       八号)   一七二 同(齋藤邦吉紹介)(第三三五九       号)   一七三 同(始関伊平紹介)(第三三六〇       号)   一七四 同(塩谷一夫紹介)(第三三六一       号)   一七五 同(河本敏夫君外一名紹介)(第三       三六二号)   一七六 同(中村靖紹介)(第三三六三       号)   一七七 同(濱野清吾紹介)(第三三六四       号)   一七八 同(福田篤泰紹介)(第三三六五       号)   一七九 同(船田中君紹介)(第三三六六       号)   一八〇 同外一件(前尾繁三郎紹介)(第       三三六七号)   一八一 同(松永光紹介)(第三三六八       号)   一八二 同(与謝野馨紹介)(第三三六九       号)   一八三 牛乳販売業者の経営安定に関する請       願(鈴木強紹介)(第三三七〇       号)   一八四 同(野村光雄紹介)(第三三七一       号)   一八五 昭和五十三年度稲作生産調整に関       する請願有島重武君紹介)(第三       三七二号)   一八六 マツクイムシ防除農薬空中散布中       止等に関する請願岩垂寿喜男君紹       介)(第三五四七号)   一八七 農業経営発展基本施策確立等に関       する請願久保等紹介)(第三五       四八号)   一八八 小麦粉への米粉混入反対に関する請       願(中村重光紹介)(第三五四九       号)   一八九 超過米早期全量買い入れに関する       請願川口大助紹介)(第三五五       〇号)   一九〇 同(栗林三郎紹介)(第三五五一       号)   一九一 小麦粉への米粉混入反対に関する請       願(越智通雄紹介)(第三七一〇       号)   一九二 同(濱野清吾紹介)(第三七一一       号)   一九三 農業共済団体事務費国庫負担金・補       助金の増額等に関する請願権藤恒       夫君紹介)(第三七一二号)   一九四 牛乳販売業者の経営安定に関する請       願(和田耕作紹介)(第三七一三       号)      ————◇————−
  2. 金子岩三

    金子委員長 これより会議を開きます。  農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。竹内猛君。
  3. 竹内猛

    竹内(猛)委員 私は、米の生産調整配分をめぐる問題、それから農畜産物海外からの輸入の問題、なお茨城県の県西地区における白菜の取り扱いに対する問題に関して質問をしたいと思います。  第二次の米の生産調整配分が十九日に公表をされました。私は、この配分の前に、本委員会内閣総理大臣出席を求めて、そして農政上の重要な点であるから、農政上における位置づけ等々に対して十分に話し合いをしたい、こういうふうに再三要請をいたしましたが、ついにその実現を見ないままに公表をされたわけであります。したがって、社会党を中心とする五つの野党は、十一月十七日の夕刻、総理大臣官邸において次の申し入れをいたしました。私は、この問題を、質疑を通ずる中で、これは成功が非常にむずかしい、恐らく前回の生産調整もそうであったし、農業基本法もそうであったように、農民との間の合意が得られないままに、一方においては許可権認可権、一方に補助金あるいは助成金交付金等々という問題、あるいは食管制度を守るというようなことで、行政機関農業団体をにらみながら、政治的な展望の誤りを生産農民消費者に転嫁をするものであるということで、しばしば指摘をしてきました。そこで、私たちは次の申し入れをしたので、将来のためにその申し入れの文を全文記録にとどめておきたい。  まず、その全文をここで読み上げます。   世界的な食糧不安のなかで、各国が食糧生産拡大に努力しているにもかかわらず、我が国食糧自給率は他に類例をみないほど低下しつつある。   政府は、昭和四十五年以来、米過剰を理由に、農民生活の犠牲を強いる減反政策をとりつづけて来たが、これは完全に失敗した。政府はこの責任をとらぬまま、新たに「米の需給均衡化対策」の名のもとに、昭和五十二年度の約二倍にあたる、百七十万トン、四十万ヘクタールの減反政策をむこう十年間の長期に亘り強行しようとしている。   この「新生産調整政策は、農民の心を荒廃させ、生産意欲を失わせるばかりか、食管制度形骸化農業基本法体制の総仕上げ、輸入農畜産物の増大など、国際分業論を一層強化するものである。その結果、我が国農業は破壊され、国民生活に重大な危機をもたらすことになる。   したがって、米の「新生産調整」の押しつけを直ちに中止し、次の措置を講ずべきである。     記  一、食糧海外依存、黒字べらしのための農畜産物輸入拡大に強く反対するとともに、日本農業を阻害している外麦輸入を極力抑えると同時に、国内産麦の増産をはかること。  二、農業に従事するすべての農民都市勤労者なみの所得が得られるよう、主要農産物の価格保障制度を確立し、農民が安心して、米以外の作物の選定が出来るようにすること。特に小麦については、当面対米比価七〇パーセント以上とすること。  三、農用地の造成、高度利用と、田畑輪換可能な土地基盤整備を国の責任で行うとともに、畑作の試験研究、農業災害補償制度の確立など畑作振興対策を強化すること。  四、米問題を解決するため、消費者米価を抑制し、一般消費の拡大(百万トン)、学校給食米飯導入の拡大海外援助輸出米、酒米のアルコール添加抑制など、政府の財政支出によって消費拡大をはかること。  五、古々米、下位等級米について、飼料化、ライスワイン等利用開発(百万トン)を行うこと。  六、備蓄は三百万トンとし、原則として、もみ貯蔵ライスサイロ、農家備蓄を併用して行うこと。   右申し入れる。  以上が十一月十七日に申し入れ全文であります。これは将来のために特に記録にとどめておきたい、こういうふうに思いますから、別にこれは答弁は要りませんが、三つ、この問題について質問します。  第一は、公平にして適正な基灘とは何か、第二、米の減反にかわるべき作物を指示しているか、三、その作目の種類や生産技術——種類というのは転作する種類ですね、それの種子あるいはその生産技術、価格とか財政的な措置があるのかどうか。  先般農林省から発表された表を見ると、四十万ヘクタール、詳しくは三十九万一千でありますが、北海道が三四・九、東京、神奈川が二九あるいは二一%、あるいは山梨もそうですか、大変各地区ごとにいろいろバランスが違っている。なるほど良質米の方に転換をしてみたり、あるいは都市近郊に考慮をしたり、いろいろなことはわかるけれども、基準が何としてもはっきりしない。私の茨城県などは、今度の減反の調整の面積は全国で四番目になっていると思いますが、前年度の三倍ぐらいになっていて、何に転作するかということについてはよくわかりませんが、県知事などの話では、知事の特認事項として落花生などに移してほしい、こういう話もありますけれども、いずれにしても米をつくっていた者が何に転作をしていいかということについてはほとんど明らかでない。なるほど麦、大豆、飼料作物その他となっていますけれども、そこらはどうなっているか、こういうことについて三点。
  4. 堀川春彦

    ○堀川政府委員 御質問の点でございますが、まず私ども前提といたしまして、今回の配分は、おっしゃるように、公平適正を旨といたしましてやったつもりでございます。しかし、それを具体的に感じでやるというわけにはまいりませんので、一昨日御説明申し上げましたとおり、都道府県別の配分に当たりまして、一つには農業生産の地域指標の要素、これは三割のウエートをつけておりますが、これにつきましては六十年見通しの生産の姿、そういうものに合うように考えておりますので、具体的には六十年のブロック別の水田面積のシェア、こういうものを使って、ブロック内の配分は、さらに潜在生産面積がございますので、各県のそれに応じて配分をする、こういう方法をとったわけでございます。  それから、線引き政策との整合性、これは一割のウエートを用いましたが、これにつきましては市街化区域内水田面積及び用途地域内水田面積、これをウエートをとって一割分を配分しております。  それから、特定作物の転作可能性、これは飼料作物、麦、大豆、ソバ、ビート、こういった特定作物を予定しておるわけでございますが、これの過去における転作面積なり総作付に対しますこういった特定作物の作付の比率なり、そういうものをウエートとしてとりまして、そして全体といたしましてはこれに一五%のウエートを置いて配分をしておるわけでございます。  それから、土地条件でございますが、これは二つ要素をとりました。一つは、圃場の整備状況でございまして、これは四十六年以降、圃場整備について義務転作の指導をしてきておるわけでございまして、そういった義務転作に見合う部分につきまして五%のウエートをとり、それからもう一つは、転作物のつくりやすさということから排水条件が非常に重要になってまいります。したがいまして、水田の中における乾田の比率、これは地下水七十センチ以下ということでどのくらいの面積があるかということが私どもの方の調査でわかっておりますので、それに一〇%のウエートを置いておるわけでございます。  なお、産米の品質問題、これは適地適産ということがいろいろと言われておりますので、これは自主流通米比率というものを配分要素としてとりまして、これに二割のウエートをつけておるわけでございます。  もう一つは、水稲の適地性ということを見る上におきまして、統計情報部が出しております過去の県別の被害率、これの全国被害率に対する比率、これは一割のウエートを用いておるわけでございます。  かようにいたしまして県別の数値を算出し、かつその数値が、たとえば五十二年の転作目標面積に対しまして非常に極端に高い倍率になって出てくるということはぐあいが悪いということで、その点は極端な激変を避けるという意味で一定の頭打ちをしておるわけでございます。  なお、頭打ちを調整する数量は全体から見れば非常に小さい。いま言いましたそれぞれの要素の最低のウエートは五%でございますから、それを超えることのないような調整ということをしておるわけでございます。そういう形でやりました。  それで、しからば、この結果がいかにして公平性というようなことについて貫かれておるかということでございますが、たとえば一つの要素といたしまして、各県の転作率につきましては、転作率の計算はいろいろやりようはあるわけでございますが、五十二年をとってみますと、いずれにいたしましても最低と最高の間で十倍ないしそれ以上、計算の仕方にもよりますが、格差が開いておるということでありまして、このことが現状においても非常に公平を欠いておるではないか。百七十万トン、三十九万一千ヘクタールもの転作を今後三年間続けて実施するということであれば、その辺は十分考慮をすべきであるというお考えがありました。こういうことは私どもも何とか是正しなければならないというふうに考えておりましたが、その際、是正の方向といたしまして、たとえば機械的な均等配分をせよ、それが最も公平であるというような御議論も実はあったわけでございますが、これは地域の農業条件の差というものを全く無視する議論になりますので非常に問題が多い。さりとて、これはもちろんのことでございますが、これまでの転作の実績というものを重視いたしまして、いわゆる実績主義によるということをやりますると、その要素を強く出してまいりますれば、転作に協力をしたところほど重くなるということで、いわゆる正直者がばかをみるというような結果になりますから、こういう考え方は排除しなければならないということから、先ほど申しましたような七つの要素について、私どもとしては適切なウエートをつけて、そして基本的な配分の方向を決めたわけでございます。  そういった多面的な配慮を行ってやりました結果、先ほど申しましたような転作率が低いところと高いところとの間で十倍ないしそれ以上の格差が出ておるというふうな現状は、おおむねその格差は半分程度に縮まっておるわけでございます。一つの指標でございますが、そういう形になるようないろいろ配慮の仕方をやったつもりでございます。  なお、次に、転作面積の配分に際しまして作物別の配分なり指示ということはいたしておりませんが、先ほども申しました要素の中にも、特定作物の転作可能性という言葉で申し上げましたが、そういう要素も入っております。  そのほか、土地条件等についても相当のウエートをつけて配分をしておるというようなことで、そういうことの上に立って各県々で適切なる作物の作付について御指導になるということを期待しておるわけでございます。  なお、しかし、これにつきましては、私どもとしては、農業生産の地域分担を六十年見通しの線に合わせまして過日公表しておるわけでございますが、これは十三の農業ブロックごとになっておるわけで、必ずしも県別ということではございませんが、こういう長期の地域分担の姿ということも十分念頭に置いて、今後転作作物の選定というものを各県でやっていただきまして持っていくことが肝要であるというふうに考えておるわけであります。  それに関連いたしまして、先生が御指摘になりましたような技術指導、営農指導の面が非常に重要になってまいります。私どもとしましても、生産技術の点につきましては、これから新しく、かつてはつくっておりましたにしても、ぐっと作付の面積も減っておるような麦でありますとか大豆を相当重点的に取り上げてこなしていただかなければならぬというような地域が出てくるわけでございまして、こういうところに対して改良普及員を中心といたします技術指導体制が十分に対応していただきませんとぐあいが悪い。それから、農協サイドにおきましても営農指導員がかなりおるわけでございますが、こういう方々もやっていただく必要があるということで、これらに対する特別指導事業の予算を増額要求する、あるいは農協の営農指導員については研修のための経費も組むというようなことをやりまして、これはなかなか一遍にいかぬ要素もございますが、できるだけ指導体制の強化を今後とも図ってまいるつもりでございます。  なお、作目に関連いたしまして、たとえば県から県固有の特殊地域産物を特定作物として扱ってほしいという声はかなりの県から御要請があったわけでございますが、これらは当委員会でもこれまでいろいろ審議の過程でも出た問題でございますけれども、私ども特定作物といたしましては、一つには転作の可能性が非常に大きいということ、それから、その作目についての生産増大を特に重点的、政策的に図っていく必要がある、そういう点と、それからもう一つは、その作目についての、特に反当所得において米作所得との格差が著しい、この三つの要素に着目して、先ほど申しました特定作物を選定したわけでございます。  そういう角度からいたしますと、御例示になりました落花生というのは、特定作物としての取り上げ方はなかなかむずかしいということでございます。ただ、しかし、県知事さんが各地域地域の実情を踏まえまして、転作がやりやすいような条件をできるだけ整備するという意味で、何らかそういった作目に結びつけて、奨励金の上積みという形ではできませんけれども、何らかの奨励措置を県の特殊性に応じた形で実行できるような予算を組めないかということで、目下既定の予算要求をしておる枠内における一つの考え方をそういう点に置きまして、水田利用再編の条件整備対策事業といったものの中に、先生のおっしゃるようなことと一〇〇%イコールではございませんが、何らかの奨励、助成措置がとれるようにできないものかということを真剣に検討しておるわけでございます。  この点は、今後予算案を決定していく過程で十分詰めまして、私どもとしては何らかそういう方向での実現ができないかということを考えておる次第でございます。
  5. 竹内猛

    竹内(猛)委員 大変丁寧な回答があったわけですけれども、それ自体としては理解ができるということもあります。  ところで、この配分公表されたとき、私は実は茨城におりました。これは知事も大変びっくりしていたし、大体一万ヘクタールぐらいは予想されたところであるけれども、それよりもはるかに多いということで途方に暮れているような状態です。それから、その次の日には秋田県に行きまして、山形や宮城やそういう東北の米どころの仲間とこの問題について話し合いをしました。そのときに、各県の新聞などに出た、ある農協の組合長は、これは農民に対する死刑の宣告に等しい、こういう極言的なことも言われている。あるいはまた、もうこれは仕方がない、米が余っていることはわかるけれども、米の余ったということは農民の責任ではなくて政治の責任だ、それを農家にやれと言ってもやりようがないから、任せるより仕方がないのだというようなことも言っている。末端の農家に対して大変厳しい問題であります。  改良普及員が農家にいままで指導してきたのは、たくさんとれる品種と土地改良をやって増産ができるように努力してほしい、こういう米の指導をしてきた。その同じ改良普及員に今度は米をつくることをやめて別なものに移せと言っても、改良普及員は大変行きにくいことになるであろう、こういうふうに思います。これは私の意見ですから回答は要りません。  そこで、食糧庁長官にちょっとお伺いしますが、これからの話ですね。いまのそういう厳しい中にも、もし割り当てを完遂をした農家の米が余った場合に、これを買い上げることはあるかどうか。
  6. 大河原太一郎

    ○大河原政府委員 お答え申し上げます。  ただいまの先生の御質問については、大臣以下しばしば当委員会においてもお答え申し上げておるとおりでございまして、昭和四十六年度の予約限度制の導入以来、生産調整の目標が達成した年におきましても、その超過米については全量自主流通ルートによって処理いたすということに相なっておるわけでございます。今後におきましても、そういう取り扱い方針でいくことについては、しばしばお答え申し上げているとおりでございます。  ただ、実際問題といたしましては、百七十万トンという農民に御苦労願うわけでございますが、その場合の超過米の発生というものも、その数量はそう多くないだろうというふうに私ども考えておりますし、また、その場合の流通処理等につきましては、農林省としては、その転作目標の推進という視点からも、御努力願った農家の方々の超過米の処理については手厚い助成等を配慮して十分におこたえしなければならないというふうに思っております。
  7. 竹内猛

    竹内(猛)委員 これは要望として、これだけの厳しい割り当てを完遂をした場合においては、これは米が余ってはいけないんだ、そのときには全量買い上げるように要望して、私は次に移ります。  問題は、やはり日本の政府並びに農林省、またわれわれも含めてそうですか、農業というものは国の基本的な産業だ、工業が一つの柱なら農業ももう一つの柱なんだ、こういう立場に立って政治に取り組んでいるかどうかということが非常に問題だと思うのですね。農林省はそういう立場であったとしても、他の省庁がこれに同調しなければ非常にやりにくい。  アメリカからリバーズ法律顧問が日本にやってきて、七つの問題を中心にして貿易の問題が話し合いをされている。その中で、農業団体はこれを非常に危惧をしております。近く大会もあるようですが、わが国の総輸入額のうちで農林水産物は二七%、工業製品は二一%、米国や西ドイツ、イギリスの五〇%に比べて極端に低い、こういう状態であります。そういうような中で、いま残存二十七品目の中の二十二品目になっていると思うのですが、なおこれを自由化しろ、こういう強い要請がある。  全国果実生産出荷安定協議会に出席された農林省の果樹花き課長の情勢報告があります。十一月十八日に、こういうふうに話をされているようですね。「本日は相手方の言い分を聞くことにしているが、米国は相当いらだっており、小手先の短期的な対策ではだめで、長期的な輸入対策をたてるよう強く要求している。品目としては、牛肉、果汁、オレンジが対象となろう。これから東京ラウンドを迎え、いろいろ折衝があるが、三品をさけて無傷に進めることはちょっと難しい状況である。」こういうあいさつがあったそうです。  そこで、これはひとつ仮定の問題としてお尋ねをしますが、総理大臣は三十億ドルの処理をしろというようなことを言って農林大臣に指示した。その中で、仮に全部の農畜産物の自由化をしたとしたときには、一体どれくらいのドルを消化できるのか、これは仮にですよ、一体どれくらいの役に立つのか。牛肉を十万トン輸入したって、ぼくらの計算では一億六千万ドルぐらいのものなんだ。そういうようなことで、サクランボの問題もこれから言うけれども、サクランボを全部輸入してみたところで、こんなものは何億ドルにもなりはしないんだ。  こういうように、ようじの先で歯を掘るような、重箱のすみを突っつくようなことをして農業をいじめなくったって、もっとやりようがあるじゃないか、こういうふうに考えるのですが、一体それはどういうことになるのか、ここら辺をちょっと……。
  8. 志村純

    ○志村説明員 ただいまの御質問についてお答え申し上げます。  現在の残存輸入制限品目を仮に全部自由化したとした場合に、どの程度の輸入拡大効果になるかということでございますが、正直に申しまして、二十二品目、これは一つ一つ全部個別の需給事情が異なっております。そういう意味で、これを計算するということは非常に仮定が多く、複雑な要素が絡みまして、計算をするということはなかなか困難であると考えております。  ただ一つ、御参考までに申し上げますと、現在の二十二品目の輸入実績、これを昭和五十一年暦年で見ますと、ちょうど五億ドルになっております。したがいまして、二十二という品目等からそんなに大きな数ではございませんので、全体としてはそれほど大きな金額になるとは考えておりません。  以上でございます。
  9. 竹内猛

    竹内(猛)委員 大変明快な回答で、これは結構だと思うのです。そういうような飛行機一台にも達しないようなものを自由化しろ、自由化しろというようなことで、一方においては米の生産調整がやられようとする。一方では外国からの輸入がねらわれようとする。これでは農家はたまったものではない。  そこで、国内の米の生産調整でこれから何としても生きていかなければならない日本の農民、特に北海道や東北や北陸や関東、それから山陰、九州、こういう農業地帯の者から、競合する農畜産物輸入についてはぜひやめてもらいたいという熱烈な叫びがある。  私はこの間、さっきも言ったように、秋田県に行ってきました。ここでは、特にサクランボの代表から厳しい要請を受けました。このサクランボの関係は、果樹組合の組合長でありますが、過般アメリカの現地に調査に行ったそうです。そうして、アメリカの現状をよく調査をしてきた中で、次の危惧を持っておりますので、これをいまここに出しますから、これに対するまとめた答えをいただきたい。  私は、しばしばこの委員会で、サクランボのことについての質問をいたしました。それに対して農林大臣は、コドリンガという病虫害がアメリカで除去された、そして、これは自由化されているものであるから拒否することはできないのだ、したがって輸入をする場合には、輸入の時期というものを変えて、七月ごろにこれを輸入せざるを得ない、こういうようなお話です。同時にまた、日本の国内ではアメリカに対応できるような生産体制をつくるべきではないか、このようなお話でありました。しかし、現実にこのコドリンガの問題は、クルミ、マルメロ、リンゴ、アンズ、それからもちろんサクランボ、スモモ等についております。そして、これは非常に強い病虫害であり、絶対に駆除というものはできない、駆除ができるという保証がないということで、もしもこれがふえたら大変なことになる。日本は幸いに汚染されていない地区でありますから、ぜひ汚染されないように守ってもらいたい、こういうのが現地の声です。  それで、ワシントン州、オレゴン州のサクランボなどが入ってくるわけですけれども、その現地へ行ってみると、一〇〇%コドリンガが退治されたという保証は認められない。したがって、第二次の感染が心配だというわけです。過般アメリカシロヒトリあるいはリンゴの黒星病等が現に日本に入ってきて非常に悩んでおりますが、アメリカには現在この虫がうようよしておる。そうして、それを退治するためには、日本で禁止されているパラチオンによって何回も駆除しなければこれはおさまらない。しかし、わが国の場合には、このパラチオンを使ってはならないという形になっている。わが国で衛生上使ってはならないという農薬を使って駆除したものを輸入するということは、国内における消費者としてはこれは大変心配なことなんです。こういう点から考えてみて、まだまだ問題が残る。  それで、それでは農林省内にそういう専門家がいるかどうかということについて、これは失礼な話だということを前置きにして申し上げると、りっぱな方々が地方の果樹試験場にはいらっしゃるが、本省には残念ながらコドリンガの専門家はいないように思うというのが現地の声でした。これは誤っていれば訂正をしていただきたい。したがって、万一侵入したときに果たして日本の国ではどういう責任をとってくれるのか。過去においてリンゴの黒星病が問題になったときに、最初は若干の補助金を出してくれたが、結果的には農家が負担をさせられて、農家はいまだにこの負担を背負っている、こういう悩みを訴えられました。農林省がこれに介入した場合に、最終段階までそれを守るという保証が本当にあるかどうか、これが大変心配だ。そういう法律もどうもないようだ。結局、輸入をしてしまえば、もう後は野となれ山となれという形になるのではないか。  それから、出荷の時期の問題についてでありますが、大勢としては六月中が国内のサクランボを出荷するときである、だから七月になったらいいではないかということでありますが、秋田県や青森県や、あるいは山形県の一部においても、やはり七月に相当な量が出荷をされる、こういうことで、なおこの点にも心配があると言っております。  同時にまた、サクランボ輸入されれば、続いてリンゴをアメリカは輸出したい、アメリカの農家の声はリンゴを大変輸出をしたいという声でありますから、リンゴの問題にも及んでくるということで、これも心配なことだということでありますから、これについてひとつお答えをいただきたいと思います。
  10. 堀川春彦

    ○堀川政府委員 サクランボは三十五年に自由化をされておる品目でございますが、お話のようにコドリンガの問題がありまして、米国からのこの寄主であるサクランボ輸入を禁止しておるところでございます。そこで、アメリカ側ではこれまで屡次にわたる試験を繰り返しまして、私どもも現地に立ち会ったり、また試験成績について専門家によって評価をいたしまして、一定の方法を用いますれば、日本にサクランボ輸入いたしましても、その中にコドリンガが生きて入ってくることはないという確信を持っておるわけでございます。  そこで、そのやり方の問題でございますが、私どもとして考えておりますのは、アメリカの濃密な防除実施地区で生産をされ、出荷をされてまいるサクランボにつきまして、私どもの防疫担当の検疫官を派遣いたしまして、そうして現地におきまして殺虫駆除を行う現場に立ち会わせ、これはもちろんアメリカ側の技術指導も加わるわけでございますが、メチルブロマイドという薬を用いまして殺虫いたしますると、完全に死ぬという結果が出ておりまするから、その方法によって殺虫したものであるということを確認の上、アメリカ側の検疫の証明書というものを箱ごとにつけていただきまして、それには私どもも立ち会ったということの証拠をつけまして、そうしてこちらへ持ってくるわけでございます。それで、こちらへ持ってまいりましたときに、植物防疫所におきましてそういった事実を確認し、かつまた、入ってきたものにつきまして部分的にサンプルをとって、一定の方法によってサンプルを徴取いたしまして、その入ってきましたサクランボの中におけるコドリンガの有無、それから死滅の有無、こういうこともチェックをいたしまして、もし万一生きたコドリンガが付着しておるというような場合には、廃棄、返送等の手続をとるわけでございます。  そういうやり方でやってまいりますので、私どもとしては、アメリカからサクランボ輸入されたといたしましても、御心配のようにこれが国内に蔓延をするということは万々ないと思っておるわけでございます。また、あってはならないわけでございまして、そういう体制のもとに入れるということが条件になるわけでございます。  その際、実は専門家が少ないではないか、それが心配であるというお話でございますが、なるほどコドリンガということだけ研究をしておる専門家あるいはそれの防除技術についての専門家というものはございません。これはわが国で未発生でございまして、しかも検疫上重要な病菌、害虫の種類は、病菌類にいたしまして約三千種ぐらい、害虫類にいたしまして約千三百ぐらいあろうかと思うわけでございます。そのそれぞれについてそれだけの専門家ということはございませんが、わが方の植物防疫所において何十年も経験を持った害虫類につきましての専門家もいるわけでございますし、また私どもの農業技術研究所の昆虫関係、害虫関係の専門家、それから県等にも害虫関係の専門家が試験場におるわけでございますので、これが入ってきて蔓延するということは夢にも想定をしておりませんが、そういう害虫関係の専門家の知識、技術、こういうものを動員をするということは、今後いろいろの事態の発生に対しまして私どもも考えられるところでございます。そういう意味で、まず生きた虫が入ってくることが絶対ない、一匹もないという体制を築くわけでございます。  それから、パラチオンのお話に御言及になりましたが、なるほど私どもとしては、国内ではパラチオンの使用を禁止しております。これは主としてパラチオンが作業者の皮膚等を通じまして薬の害が出てくる、あるいはまた誤用をする、あるいは自殺に使うというようなことがございまして、国内では使用禁止にいたしておるわけでございます。アメリカではパラチオン剤は使用可能ということになっております。ただ、これが使われまして、そしてパラチオン剤の残留が起こって心配があるかどうかという点は先生の御懸念であろうかと思うわけでございますが、私ども、このパラチオンの薬の性格からいいまして、防除の段階、生育段階にパラチオンを使用したものが収穫をして日本に仮に入ってくるということになったときの残留の問題としては、大体私どもの管轄ではございません、厚生省の問題ではございますが、心配はなかろうというふうに思っておるわけでございます。  なお、わが国におきましては、パラチオンの食品残留につきましては〇・三ppmというような残留基準が決められております。アメリカでは一・〇ppmでございますが、日本は厳しい食品残留基準を用いておりますので、もし万一これを超えるような数値が検出されるようなサクランボがあるということになれば、食品衛生法の立場からこれは流通をさせないということになるわけでございます。  なお、出荷の時期の問題でございますが、この点が、自由化されておるサクランボでございますけれども、時期を選ばず大量にどっと入ってくるということになりますと、日本の国内におけるサクランボ生産農家に対する打撃になることは間違いないわけでございまして、したがって、こちらにサクランボが入って出回る時期が、国内のサクランボの出回る時期、最盛期と重複しないということにするということが、たとえ自由化されておる品目につきましてもきわめて重要である。こういう認識のもとに、何回も何回もアメリカ側と折衝を重ねまして、私どもとしては、現段階において、七月一日ということを一応日本に到着して入る時期としてはアメリカ側にのませたわけでございます。  なお、しかし、解禁当初におきまして、いろいろの混乱あるいは困難というものも考えられないところではないわけでございますので、解禁当初におきましては、これをさらに若干ずらしておくらせて入れるということを考えておるわけでございまして、この点はアメリカ側にものんでいただくつもりにしておるわけでございます。  そういうようなことで、さらにまた、基本的には、日本のサクランボにつきまして、できるだけ生産性を上げまして外国のものに太刀打ちできるようなサクランボ生産ができるということが基本的に重要でございますから、この点につきましては従来もやっております施策を拡充強化をいたしまして、サクランボの、たとえば裂果防止施設の設置の拡充、選別、出荷、流通の段階における体制整備を図るということであれば、そういった施設の増強、こういうようなことに力を入れて、サクランボの生産、流通が強い体質のものになるということを基本的には図ってまいるつもりでございます。  なお、リンゴの問題でございますが、もともとサクランボというのはコドリンガがつきにくい植物でございます。アメリカ側でも自然にサクランボにコドリンガが付着したものを実験の際に求めようとしましたが、これはなかなか得られません。リンゴなどの方が付着がしやすい性質を持っているわけでございます。サクランボの場合には、したがいまして試験をやるに際しまして人工的にサクランボに付着させるような方法をとって、その付着したものについて実験をしたわけでございますが、リンゴについてはそういう状況がございますので、アメリカから、サクランボの生育地帯と同じような地域にリンゴが生産されます。これはサクランボがいいからといって無条件に入ってくるということはできませんので、私どもはリンゴの問題はリンゴの問題として別途扱う必要がある。リンゴについて仮に輸入を要請され、入れるというようなことになるとすれば、植物防疫上の問題といたしましては、リンゴとコドリンガの関係について改めて白紙の立場から検討し直すという必要があるというふうに考えておりますが、現段階で、リンゴについて、サクランボがいいんだからリンゴも安心だろう、だから入れたらいいじゃないかという声は、アメリカ側からも要請を受けておらないわけでございます。もし、あるとすれば、それは今後の問題ということで対処をしてまいりたいと思っております。
  11. 竹内猛

    竹内(猛)委員 時間が来ておりますが、もう一点だけどうしてもこれは質問しておかなければならない問題がありますから、質問をさせてもらいます。  それは、サクランボもこれは米の生産調整の中で行われたものであります。であるだけに非常に大事だということであるし、また同じように、茨城県と長野県を中心として二十五県でいまつくっているトマトの問題であります。トマトについても、現在、五十二年で四千六百六十一ヘクタール、三十一万六千トンという生産がありますが、これに関して、これは夏以来しばしば自由化対象品目として要請をしてきたことでありますが、またこのトマトの問題に赤信号が出てきた、こういうふうに心配をしております。  そこで、四十七年に自由化になったトマトペーストの場合には、自由化になると物すごい勢いで輸入がふえるのですね。四十五年には三千百四十四トンから、四十七年には一万六千十一トン、五十年には三万五千トンというようにふえている。また、トマトピューレの場合においても、四十五年には四十トンのものが、四十七年には八十五トンになり、そして五十年には六千四百トンという形でふえてくる。  同じようにトマトの自由化が行われれば、まさに現地は壊滅になってしまう。せっかく調整で成功しているところにそういうものを入れないように、ぜひこれは政務次官も含めて答弁を……。
  12. 羽田孜

    ○羽田政府委員 先ほど来先生からお話がありましたように、確かにドルの関係でいろいろと外圧が強いことは事実でございます。しかし、このたびの米に関しての需給均衡化対策、こういったものをお願いしているやさきでもございます。また、わが国の農業というものが非常にまだ厳しい状況にあるという点を踏まえまして、農林大臣もいろいろと閣議でも対処しておるところでございます。  特に、いま御指摘のございました加工用のトマト、これにつきましては、まさに生産者が非常に零細でございます。それと同時に、トマト加工、加工製造をされている方々も非常に零細であるということでございまして、そういったものを私ども配慮いたしましたときに、今日これを自由化するということは非常に危険であるというふうに認識しております。その意味で、私ども、現状では自由化する考え方は一切ございません。
  13. 竹内猛

    竹内(猛)委員 時間が来たからこれでやめますが、白菜の問題で質問するわけだったですけれども、時間がありませんから質問できませんけれども、四千万トンの隔離の問題です。この問題については、気候のせいでああいうふうに成長しておりますが、補助率の引き上げ八〇から九〇へという要求や、あるいは加工などを考えて、何とか新しい方式を考えてもらわないと、現地はどうにもならないという状態でありますから、これはひとつ調査をされて、よろしくお願いしたい。  以上で終わります。
  14. 金子岩三

  15. 川本敏美

    川本委員 私は、奈良県の吉野郡の出身でございます。吉野というところは、御承知のように、全国的にも有名な林業地帯であります。私は、これからも機会があれば、この林業の問題あるいは木材産業の問題等について質問をさせていただきたい、政府の見解をただしていきたい、このように考えておるわけですけれども、きょうは一応私の考えていることを申し上げて、政府の見解をお聞きしていきたいと思うわけです。  昭和三十六、七年ごろであったかもわかりませんけれども、当時、農林大臣をしておりました河野一郎さんが、奈良県の吉野郡へ視察にお見えになったことがあるわけです。そのときに、奈良県の十津川村の高等学校の講堂に約三百人の人々を集めてごあいさつをされた。そのあいさつの中で河野大臣はどう言ったかといいますと、私はいま農林大臣をやっておるけれども、日本の農村というものは、山があって、鎮守の森があって、村があって、たんぼが広がって、川が流れて、その間に集落がある、こういうものを日本の農村だと思ってきた。ところが、この奈良県の吉野というところへ来てみると、山と道と川とだけしかないじゃないか、言いかえれば、こんな農村というものが日本にあるということを、私は農林大臣をしておるけれども、きょうまで知らなかった、こういう話なんだ。まだその当時は沖繩は日本に復帰していませんから、河野さんはそのときに、あなた方は税金払っておるから日本人だと思っているかもしれないけれども、農林大臣はこんなところに人間が住んでいるということを知らぬで農林行政をやっているんだから、あんたらは、まあ言いかえれば沖繩の人間と同じだ。税金払っておるから勝手に日本人だと思っているだけで、政府はあなた方のことを考えて政治はやっていないんだ。こういう演説をされたことが私はいまも心に残っておるわけです。  今日、日本の林業はもう危機という言葉では当てはまらない、まさに荒廃ということ、荒廃に瀕しておると私は思う。そういう荒廃に瀕しておる今日、約二十年前の河野農林大臣の演説を思い浮かべたときに、私は、今日まで政府は日本の林業というものに対して一体どういう対策を講じてきたのか、これは怒りが込み上げてくるわけなんです。そういう点について、まず私は具体的に指摘をしながら、お聞きをしていきたいと思うわけです。  現在、日本の林業の危機あるいは木材産業の危機、こういうものを見てみますと、あるいは林業白書あるいは林業統計等で調べてみましても、まことに深刻なものがあると思うわけです。現在、人工造林の植林面積を調べてみますと、昭和五十年度で民有林が大体十七万ヘクタール、国有林が大体五万八千ヘクタール、合わせまして二十二万ヘクタールほどしか植えつけが行われていないわけですね。これはもう三十六年のピーク時に比べてみますと、植林面積にして大体五五%ぐらいに低くなってきておる。  さらに、五十一年における問題をいろいろ数字を拾って調べてみますと、大変な問題がたくさん出てきておると思うわけです。国産材の生産量を調べてみても、四十二年に五千二百七十四万立米であった国産材が、五十年には三千四百十五万立米、五十一年には三千五百二十七万立米、これは四十二年に比較して大体六六%程度まで生産量が落ちてきておるわけです。それに比較して、外材の輸入は、昭和四十二年が三千三百二十万立米、四十八年がピークになりまして七千五百三十七万立米、五十一年には六千六百八十四万九千立米ということで四十二年の約二倍、国内総需要の六五・一%を現在外材で賄っておる。こういうところを見ましても、この数字一つを取り上げてみましても、いわゆる国内林業あるいは木材産業の中で占める国産材、こういうものが林業にも意欲を失ってきておる。木材産業も、これまた御承知のように、非常に脆弱な基盤に立っておる産業であります。木材産業は、御承知のように、現在、あるいは倒産数あるいは企業の赤字経営、こういうようなことから見ても、日本のいろいろな業種の中で一番多い企業倒産数や赤字経営の数を抱えておる。  こういうような状態一つを取り上げてみても、私たちとしてはこれから日本の林業をどうしていくのか、木材産業をどうしていくのかということについて、改めて新しい角度から考え直さなければならぬと思うわけです。政府も最近、林業とか木材産業の問題を検討する検討会か何かを設置したようでございます。  そこで、私はまず最初にお聞きをしたいと思いますことは、五十二年、本年度の木材需給計画について林野庁はどういう計算を立てておるのか、まずお聞きしたいと思います。
  16. 藍原義邦

    ○藍原政府委員 ただいま御指摘の五十二年度の木材の需給の見通しにつきましては、需要の総数が一億五百二十万立方というふうに見込んでおりまして、それに対しまして国産材、輸入材を含めまして大体これに対する供給はできるであろう。その場合の国産材が総数で三千六百万、それから外材、輸入関係でございますけれども、こういうものが大体六千九百二十万立方、こういうふうに見込んでおります。
  17. 川本敏美

    川本委員 ただいまおっしゃった数字だと思うのです。しかし、そこで問題として考えられることは、最近の国際的な経済情勢であります。最近、きのうのロンドン市場ではすでに円が二百四十円を割ったというようなことも報道されておりますけれども、最近、日本のドル減らしというようなこととも関連をして、やはり私たち林業あるいは木材産業に携わっておる者の立場からするならば、いま昭和三十年代から今日まで日本の林業が荒廃し、あるいは木材産業が疲弊の一途をたどっておる、そういうことの一番大きな原因は、やはり外材の圧力にあるのではなかろうかと思うわけです。そこで、こういう経済情勢のもとで、やはり外材が、円が高くなればまた採算が合いますから、だから、さらに外材の輸入圧力というものが高まってくるんじゃなかろうか。特に最近問題になりますのは、ツーバイフォーとか、あるいは建設省がやっておるハウス55計画、そういうようなもの一つを取り上げてみても、外材の中で特に製材品の輸入率がふえてくるんじゃなかろうか、そういうことが国内の林業を圧迫し、木材産業を圧迫する大きな要因になるんじゃなかろうかということを憂慮いたしておるわけです。  これに対して林野庁あるいは政府はどういう態度でおられるのか、ひとつお聞きいたしたいと思います。
  18. 羽田孜

    ○羽田政府委員 基本的な問題についてお答えしたいと思います。  ただいま先生からお話がございましたように、林業に関しますいわゆる環境というものは非常に悪いというのは、御指摘のとおりでございます。  そこで、いま外材の問題につきましてお答え申し上げますと、わが国の森林資源の現況から見まして、国民生活に不可欠な木材需要を充足するためには、ここ当分の間、国内森林資源の増強を図りつつ相当量の外材の輸入を行うことはまだ必要だというふうに考えております。しかしながら、外材の輸入に当たっては国内林業あるいは林産業の現状を踏まえ、需要に見合った秩序ある輸入が行われることが必要であるというふうに考えておりまして、今日までもそのような指導をしてきたところでございます。  さらに、昨今の木材需給にかんがみまして、関係各省庁が加わった、いま先生が御指摘のございました協議会などを通じまして行政指導の強化に努めるとともに、長期的な観点に立って国内林業、林産業の振興と外材輸入のあるべき姿について検討を進めておるところでございます。いま先生がお話がありましたように、ツーバイフォー、いろんなものがあるというお話がございました。こういったものにつきましても、できるだけ国内の木材、これを使った住宅をひとつぜひともつくっていただきたい、こんなことも住宅政策を担当いたします建設省に対しても、私どもの方からお願いを申し上げておるところでございます。  いずれにしましても、木材需給の現状というものを見ましたときに、今日、外材の輸入を増加させる措置というものは、この際とることは考えておりません。
  19. 藍原義邦

    ○藍原政府委員 木材全般の問題につきましては、いま政務次官からお答えいただいたとおりでございますし、また先生御指摘の製品輸入の問題でございますけれども、御存じのように、現在の木材の輸出国におきましても、素材を、丸太を輸出するよりも製材を輸出したい、付加価値を高めて輸出したいという傾向が強いことは事実でございます。したがいまして、そういう関連から、ことしの上半期につきましては、あるいはわが国の景気回復の期待というものも含めまして、製材の輸入が比較的伸びたということは事実でございます。しかしながら、やはり在荷の増大あるいは日本の景気の回復のおくれ等々から、後半に至りまして、製材の輸入につきましては減少の傾向を示しております。現在、在庫は非常に多うございますので、これから先につきましても製材輸入がそう急激にふえる方向にあるというふうには考えておりません。
  20. 川本敏美

    川本委員 急激に製材品等もあるいは原木等の輸入もふえないだろうということですけれども、全般的に見るとそうかもわかりませんが、日本の国内林業あるいは国内の木材産業、こういう点から見ると一番競合してくるのが北米産である。このことはもう御承知のとおりです。私は北米産の米ツガ、米トガあるいは米松等、そういう北米産の木材との競合ということをやはり重点的に考えていかねばならぬと思うわけですけれども、いまおっしゃったように、これらの国においても自国の製材業を守るという立場から、やはり原木輸出よりも製材品にした輸出という形の方向を強く打ち出してきておる。また、国内における住宅の建設の指導を見ても、そういう規格品を当てはめたツーバイフォーとかハウス55計画等の奨励を盛んに建設省がしておる。  私は、ツーバイフォーの住宅とかあるいはハウス55計画の住宅が、日本の国民の要求にかなっておるのかどうかということについて疑問を持っておるわけです。この前、総理府がやった林業等に関する世論調査、その結果を見ても国民の七五%、四人に三人までは、大体居住性が高いとかあるいは自分の好みに合うた家を建てられるとかいうような理由で、やはり従来工法の木造住宅というものを要求をしておるということが明らかなはずです。そういう状態の中で、ツーバイフォーの住宅とかハウス55計画の住宅というものは密閉した乾式の建物工法をとっておるわけですから、どうしても日本のように湿気の多い梅雨時期等にはやはり中で露が出る、たんすの中の衣類が湿るというような欠点もあるわけです。  だから、そういうような観点から見た場合に、耐震耐火に強いというだけで、果たしてそれが日本の気候風土に合う住宅なのかどうかということについて問題がある。そういうような観点から見たならば、国内産の木材によって住宅を建てていくことを奨励をしていく、そういう施策を建設省等に働きかけて、農林省、林野庁はやはり努力をしていくべきだと私は思うわけです。そういう点を見逃しておってはならぬと思うわけですが、特に外材の問題につきましては、他の産業といいますか、他の日本の基幹産業、やはり原料輸入というようなサイドのものを見てみますと、あるいは鉱産物その他のところを見てみても、外国から輸入するものについては関税をかけて、そして国内産のものが非常にコストが高い場合には、その関税の収入をもって国内の産業に保護助成をしておる、こういうケースが通産省の中でもあるわけです。私は、そういう面から見ると、現在、製材品の輸入の関税、時代の流れからいうと関税を下げようという時代かもしれませんけれども、やはり国内産業の保護、あるいは林業というものは、何といいましても国土の保全、治山治水ということと関係があるわけです。  これは一遍次官にお聞きしたいと思うのですが、長官でも結構ですが、この前いわゆる林野の持つ公益機能といいますか、これをどこかに委託して評価してもらったことがあるように聞いておるのですが、一体公益機能というものを金に換算するとどのくらいのものになるのか、お答えいただきたいと思う。
  21. 藍原義邦

    ○藍原政府委員 ただいま先生御指摘のように、森林には木材資源としての森林の機能ばかりではございませんで、水資源の涵養あるいは国土保全の関連の土砂流出防止、土砂崩壊防止あるいは環境整備的な保健休養の機能等々がございます。そういうものを私ども従来から定性的にいろいろ話して、あるいは主張してまいりましたけれども、これを定量的に把握することを検討いたしまして、森林の公益的機能計量化調査というものを昭和四十六年から四十八年までの三年間にわたって実施いたしました。  その結果、これを社会的効用額として金額に一応概算はじいてみたわけでございますけれども、いま申し上げましたような水資源涵養機能だとか土砂流出防止、土砂崩壊防止、あるいは保健休養、野生鳥獣保護、さらには酸素供給というものをもろもろ含めまして、おおよそ十二兆八千二百億円の社会的効用額があるんではなかろうかというふうに踏んでおります。
  22. 川本敏美

    川本委員 昭和四十七年の十二月ごろに大体出された数字だと思う。だから、十二兆八千二百億という数字を、今日仮に五十一年の十月の卸売物価指数から計算して一六五・四という数字を掛けてみますと、現在価額にすると大体二十一兆二千百億ぐらいの公益機能があるということになるんじゃなかろうか。これは国の五十二年度の予算が二十八兆円ですから、三十一兆円というのは、国の一年間の予算のほぼ八〇%にも相当するものが山林から出ておる公益機能としてある。このことをやはり胸を張って政府の中で強く農林省は主張をして、その業界、あるいは林業、木材産業の保護の行政を積極的に進めてもらわなければいけないと私は思うわけです。  そこで、話を次に進めたいと思う。私、現在、日本の林業の持っておる課題の中でいろいろな問題があろうかと思いますけれども、その中で、私の住んでおりますところは吉野ですから、奈良県の古野林業を例にとって、人工造林の林業というものが果たして採算に合うのか合わぬのかということを計算をしてみたわけです。そうしますと、ちょっと詳しく申し上げますと、一ヘクタールについて大体奈良県の場合は、杉檜を大体七千本ぐらい植えておるわけです。五十年ないし六十年撫育をして間伐をして、そうして伐倒していくわけですけれども、最終的に主伐をするまで六十年かかる、こういう計算でやってみますと、拡大造林の場合、地ごしらえに三十五工かかります。三十五日。再造林の場合、完全地ごしらえでいわゆる地明けに二十日、古いものの焼却とかその他に五日、合わして二十五工かかります。一日一万円の労務賃金としますと、拡大造林で三十五万、再造林で二十五万かかるわけです。苗の代金は、昨年の価格で一本五十五円ですから、七千本植えますと、苗代が三十八万五千円かかります。それから、苗はすぐに植えるわけじゃなしに、苗圃から持ってきて水につけておいて今度山に移植するわけですから、その間の管理費がかかります。さらに、植林費は、大体人夫が一日に三百本をくわで穴を掘って植えていくわけですけれども、そうしますと、一万円としますと、管理費と合わすと大体一本につき四十三円かかるわけです。だから、七千本としますと、一ヘクタールについて三十万一千円かかります。そして、一年後には大体一割ぐらいは枯れますから、それの補植をしなければいかぬ。その補植を七千本の一割と見て七百本と見て、一本当たりの植林経費、すべて合わせて百三十円と見ますと大体九万一千円かかるわけです。  そうすると、造林費というものが、地ごしらえから補植を終わる段階までで、一ヘクタール当たり大体百二万七千円かかるわけです。  それから後は撫育に入っていくわけですけれども、撫育は下刈りとか除伐とか、あるいは枝打ちとか間伐とかいろいろあるわけです。  そこで、下刈りについて、私の方では大体四年間は年二回下刈りをする。五年から七年までは年一回、八年から十年までの間にもう一度、十年から十五年までの間にもう一度、合計大体十三回下刈りをするわけです。合計しますと、大体下刈りの延べ日数が百七十一日、百七十一工かかるわけです。一万円としますと百七十一万円。除伐が大体六年から二十五年までの間に三回やるとして、一回十工かかるとして三十工かかりますから三十万円。それから、下枝払いとか枝打ち作業、これも下枝払いに三十万円、そして枝打ち作業が大体三十六万円かかる。合計いたしますと、撫育費合計が二百九十七万円かかるわけです。  そうすると、いわゆる造林費と植林費と、そして撫育費を合計しますと、投資する金額は大体三百九十九万七千円。一ヘクタール当たり約四百万円、山というものはかかるということになるわけです。  ところが、これで五十年あるいは六十年後の収益を計算してみますと、大体三十年ぐらいで私どもの方はみがき丸太の間伐をやるわけです。これは一ヘクタール当たり大体百五十本ぐらいをみがき丸太として間伐をする。一本六千円ぐらいで売れるわけですから九万円の収入がある。四十年から五十年の間に一ヘクタール当たり大体四百本ほどの間伐をするわけです。これは杉八五%、ヒノキ一五%ということで、大体杉の単価が二万五千二百円、ヒノキ六万一千二百円、これは立米当たりですけれども、そういうことで計算をしてみますと、杉が八十五立米、ヒノキが一五立米。価格に直して計算しますと合計三百六万円の収入になる。今度は主伐、皆伐になるわけですけれども、皆伐のときには一ヘクタール当たり二百二十三立米、石にして約八百石の石材積がある。杉が八三%、ヒノキ一七%ということで、杉が二万八千八百円、ヒノキ七万二千円という立米当たりの単価で計算してみますと、合計八百六万四千円の収入になる。合計しますと、間伐、主伐合わせて収入合計は千二百二万四千円。  四百万投資しておいて、五十年かかって千二百二万四千円の収入にしかならないわけです。これは地域によっても違いますし、あるいはこのほかに、あるいは肥料をやるときもある、雪害で木が倒れて木起こし作業がある、病虫害の防除作業がある、いろいろなことがありますけれども、そういうものは別として、普通の経費を計算してもこういう計算になってくるわけです。こういう計算ですから、どうしても造林意欲というのは落ちていくわけです。  そこで、こういう状況の中で造林意欲をさらに増加させ、木材産業を守っていくということから考えますと、当面幾つかの課題があるわけです。いろいろな課題があり、いろいろな面からこれを保護育成していく施策をとらなければ、山の荒廃を食いとめることはできぬと私は思うのです。  そこで、問題点を一つ一つ言っていきますが、一つは再造林の問題です。拡大造林に対して補助を出しておるけれども、再造林に対しては、水源涵養林等一部のところを除いて現在、補助金は出ておらぬ。これはやはり国土保全、治山治水の公益機能という面から見ても、町造林に対しても補助をしていくべきではないか、このように考えるわけです。この点についてひとつ林野庁の意見を聞きたいと思う。
  23. 藍原義邦

    ○藍原政府委員 再造林につきましては、ただいま先生御指摘がございましたけれども、本来、再造林と申しますと、人工造林地ができ上がって、その人工造林の立ち木を切りまして、その収入で造林ができるであろうという基本的な考え方がございます。そういう点から拡大造林とは取り扱いを確かに別にはいたしております。しかしながら、やはり林業というものの重要性にかんがみまして、災害復旧のための造林あるいはいまおっしゃいましたような保安林等に対します再造林、それから森林施業計画に基づきまして行われる造林につきましては補助対象にいたしまして、現在、補助で造林をしていただくような体制をとっておりますし、これは森林施業計画制度というものを推進する意味からもこういう形で今後とも再造林についても補助体系を維持してまいりたいというふうに考えております。
  24. 川本敏美

    川本委員 森林施業計画の推進ということでそういうふうに考えておられる。ところが、現実に私どもの奈良県で民有林でいわゆる施業計画案を持ってやっておる林業家というのは大林業家で、十本の指に折れるぐらいの数しかないと思うわけです。実際の中小の山林地主というものは施業計画案を持てない山林経営家が九〇%以上を占めると思う。やはりそういう方々に対しても再造林の意欲を持ってもらわなければいかぬ。そういう意味において、私は、すべての再造林に対して苗代の補助とかをやっていくような具体的なことをひとつこの際お願いしたい。  次に、間伐の問題についてですけれども、最近、林業白書等でも出ておりますように、間伐の停滞といいますか、これが国土の荒廃につながり、山林の荒廃につながる重大な問題になっておるわけです。昭和五十一年から六十年までに必要な間伐面積というものは、全国で人工林の面積が八百八十六万ヘクタールのうちで二百七十六万ヘクタールあるといわれております。そこで出てくる間伐材の材積は、五千六百五万立米といわれておる。私どもはこの間伐というのは、終戦後植林した山がいまちょうど間伐期に入っておる。だから、ここで間伐ができないというようなことであれば大変な問題でありますけれども、林業白書等でも指摘されておるように、四十六年から五十年までの実績で見ますと、大体一六%から二〇%ぐらいしか間伐が行われていない。五十一年から六十年までも恐らくいまのままで放置するとそういうことになるということでいろいろな施策を講じておられると思うのですけれども、問題はやはり間伐材を搬出する搬出路の問題だと思う。二メートルぐらいの林道基準に合わなくてもいい。いわゆる農村へ行くと、あの小さなリヤカーみたいなものを引っ張った耕運機みたいなものが通れるような林道でもいい。間伐した木材を滑らして落として、道路の端へ落ちたものを拾って帰るということだけでも採算に合わせることができる。それでなければ山で切って捨てなければならないという実情にあるわけです。ところが、こういうものに対する助成については林業改善資金の作業路のいわゆる無利息の融資、それも一ヘクタール三十五万円ですか、その程度のものしか認められていない。私はやはりこういう林道規格に合わない作業路であっても、この際間伐を行わせる、促進するという意味からは、そういうものには融資だけじゃなしに助成もすべきではないかというふうに思うわけですし、その助成、無利息の融資の金額ももっとふやさなければいけないと思う。  それから、やはり小径木の活用の問題です。吉野における杉檜等の小径木は現在、造園用の支柱ぐらいにしか売れないわけです。それも遠隔地だと採算が合わないわけですから、道路を整備することによって搬出を安くすることによって、そして、それも公園木の支柱なんかの規格を林野庁あたりでも統一してもらうということになると、もう少し活用できるんじゃなかろうか。その他、木材技術センターですか、技術研究所ですか、林野庁でも最近小径木の活用について研究しておられるようですけれども、やはりこれは日本の林業を守るということになれば相当な金をかけてでもやってもらわなければいけないと私は思うわけです。その点についてまずお答えいただきたいと思います。
  25. 藍原義邦

    ○藍原政府委員 初めに、先ほどお答えいたしました施業計画制度の問題でございますけれども、先生御指摘のような個人だけではなくて、ただいま団地共同施業計画というのを考えております。こういう団地共同施業計画、これは小面積の所有者の方々が一緒になりまして施業計画を組んでいただく制度でございますけれども、こういう場合でも補助対象にいたしておりますし、私どももできるだけこういう団地共同施業計画を森林所有者の方々が組んでいただけるように県を通じて指導してまいりたいというふうに考えております。  それから、先生ただいま御指摘の間伐のための作業路でございますけれども、これは先生御指摘のとおり、ただいま林業改善資金で無利子でこの融資を行っておりますし、そのほか造林事業の中に、大体二十年生までの保育間伐につきましては、造林の方から森林整備事業という形で補助対象にいたしておりますが、その内容の中に作業路の開設につきまして補助をする体制を一応とっております。こういうことで、われわれも考えておりますし、今後とも間伐等を推進するためには、こういうものの充実、さらには林道の中にも間伐林道という低規格な林道も考えて実行いたしております。  こういうもろもろのものを含めまして、今後、間伐が推進できるような基盤整備に努めてまいりたいというふうに考えております。  それから、小径木の問題でございますけれども、小径木の活用につきましては、従来からいろいろ普及宣伝あるいは研究開発ということを進めてまいりましたけれども、先ほど先生おっしゃいましたように、ことしから日本住宅木材技術センターというものをつくりまして、そこが中心になりまして、建設省とも十分連絡をとりながら、こういうものの利用開発あるいは普及宣伝等を進めてまいりたいというふうに考えております。
  26. 川本敏美

    川本委員 何か新聞によりますと、ミサワホームですかがカラマツ等の小径木を利用して、ツーバイフォーみたいな家を建てる中の一部に使用しておる、利用状況は現在二〇%程度だ、しかし、これも使いようによっては将来五〇%以上にふやせるというようなことも報道されておったと思うのです。私は、そういう面でも小径木の活用を図って市場価値を高めていくということによって、やはり間伐というものがもっと楽にできるようになってくると思います。  そこで、私は次に金融に移っていきたいと思うのです。  先ほど申し上げたように、一ヘクタール四百万投資して、千二百万、五十年後に金が入ってくる、こういう林業経営、おじいさんの代に植えたやつが孫の代に金になって返ってくる。こんな気の長いような経営の中で、現在、金融の制度としては、農林漁業金融公庫あるいは先ほど言った林業改善資金あるいは林業信用基金、いろいろな制度があるわけですけれども、農林漁業金融公庫の三・五%という金利が一番現在安いと思うのです。ところが、三・五%ですけれども、中小零細な林業家は、森林組合に委託をして連帯保証をもらって借り入れるというようなことになりますと、大体利率というのは四%ぐらいにつくわけですね。そういう四%の利息で計算をしてみますと、仮に三・五で計算しても、四百万借り入れて五十年後に返す、五十年間に利息何ぼつくのかということを計算してみますと、三・五%では単利で計算して大体六百七十五万の利息が要るわけです。複利で計算しますと、二千二百三十三万九千七百七円です。これは銀行に計算させたのだから間違いないのです。かかるわけです。これを仮に四%の利息として計算しますと、四百万で五十年では利息が八百万、六十年では九百六十万。これが複利で計算しますと、五十年で二千八百四十二万六千七百三十三円、六十年では四千二百七万八千五百九円。とてもじゃないが農林漁業金融公庫の造林資金を借りて、五十年間その金を借りておいて五十年後に伐採したときに返すという計算をしたならば、単利で借りてもこれは計算に合わぬわけです。そうすれば、どうするのかということになりますと、やはり農林漁業金融公庫の利息、利率を下げるか、そうでなければこれに対する政府の利子補給、こういうようなことを考えてもらう以外にないと思うわけです。そういう点について、先ほど来言いました外材の圧力あるいは再造林の補助金、間伐の活用、あるいは金利の引き下げ、こういうようないろいろな面を総合的に考えることによって、初めて日本の林業を食っていける林業にすることができる、このように思うわけです。  それで、私はこの際、農林漁業金融公庫の利率を下げるかあるいは利子補給をする、あるいは林業改善資金についても枠が小さいし、そのいろいろなケースの借入限度額を見ても一つ一つについてきわめて少額です。これで果たして本当に林業を振興するという意図があるのかどうか疑わしい。そういう点について、もう一度御答弁いただきたいと思います。
  27. 藍原義邦

    ○藍原政府委員 林業が非常に重大な危機に立ち至っておりますことは先ほど先生御指摘のとおりでございまして、私どももそういう観点から、林業につきましての今後の振興を図るべく、ただいま基本的な問題を検討する体制をとっておるわけでございますが、林業の振興につきましては、いま御指摘の金融公庫の貸出金利の問題ばかりではなくて、先生もちょっとおっしゃいましたけれども、たとえばただいま基盤整備につきましても林道あるいは作業道等々、きわめておくれております。そのほかいろいろな問題もございます。そういうもろもろのものを含め、さらには外材の安定的な輸入、特にまだ日本の現存の森林資源の賦存状況から見まして、ここ当分の間はやはり外材をある程度輸入いたしませんと国内の需要には対応できないということでございますし、また国内の需要に対応できないと、昭和四十八年度にございましたように非常に木材価格が高騰してしまうという問題も出ます。その辺はやはり十分われわれも踏まえながら対応しなければいけないというふうに考えておりますし、いま御指摘の金融の利率の問題につきましても、これは昭和三十九年に四・五から三・五に切り下げております。さらには、その後、昭和五十年には保育につきまして対象林齢を二十年まで下げるというような形で逐次対応いたしておりますし、いま御指摘のようなこの三・五をさらに下げろという御指摘につきましては、われわれとしては今後さらに林業のいろいろな問題の総合的な検討の中で慎重に対応し、検討してまいりたいと思っております。
  28. 川本敏美

    川本委員 次に、私は林業の振興という立場から、大蔵省おいでいただいておりますね、大蔵省に税制の問題についてお聞きをしてみたいと思うのです。  それは、一つは、山林所得の問題についてです。現在、山林所得については、いわゆる所得税法あるいは租税特別措置法等によって特別な措置が講ぜられておるところであります。ところが、大体御承知のように、五分五乗方式と一口に言われる山林所得の計算方法ですけれども、その中で特に租税特別措置法の中で林業の、何と言いますか、いわゆる概算経費、お医者さんのあの医師優遇税制の七二%に相当するやつですね、その概算経費率が三〇%というふうに抑えられておるわけです。しかし、現実にこの三〇%の概算経費では経費がおさまらない、こういう事態がいま発生してきておると思うわけです。これはいわゆる租税特別措置法の三十条の第四項ですか、あるいは省令の施行規則の第十二条、こういう中で書かれており、特に先ほど来お話のありました森林施業計画を持っておる林業については上積み二〇%の概算経費というようなことを書かれておりますが、施業計画を持っておる大林業家に比べて、中小林業家の場合、三〇%ではとうてい概算経費として勘定に合わない時代になってきておる。私は、もう一度この経費の算定をやり直してもらって、そうして、これを四〇%まで一〇%アップしてもらわなければいけないのじゃなかろうかと思うわけです。  さらに、もう一つは、これは地域的な問題がありますけれども、私どもの奈良の古野では人工しぼりという方法があります。床柱にするのに、山の立木にあるいはツツジの枝とかあるいはビニール製のものをあてがって針金でぐるぐると巻いて、そして二年、三年おいておきますと、しわができたいわゆる床柱ができ上がるわけですが、これをみがき丸太にして搬出する。そうすると、市場価格もかなり高くなるわけです。ところが、これを巻きますと、巻くだけで、材料費と人件費と見ますと、一本について大体二千円ほど、小さいのも含めますと、平均すると千二百円ぐらい、総平均で千二百円、高いもので大体一本二千円ぐらいにつくわけです。それを丸太で売る日になりますと、大体六千円ぐらいです。そうすると、その巻く材料費と労務賃金だけで三〇%いってしまっておるわけです。ところが、これを別個に管理費として、いわゆるこれは人工的に工法を加えたものですから、それは管理費として別個に損失計算してもらいたいということを税務署で話をしても、税務署は概算経費の三〇%しか認めないわけです。そうすると、実際大きな利益が出てきて課税をされるということになるわけです。これでは小径木を生かして使おう、間伐を促進しようと思っても実際できない。  こういう観点から、私はまずここで概算経費の三〇%を四〇%にするということについて、この際、大蔵省の考え方を聞きたいと思うのです。
  29. 矢澤富太郎

    ○矢澤説明員 お答え申し上げます。  ただいまの第一の御質問の山林所得の概算経費の控除でございますが、この制度は山林事業というものが、先ほど来先生からお話がございますように、大変に長い時間のかかるものであるということを考慮いたしまして、本来、所得税の上での経費というのは実際にかかった経費を積み上げて引いていくわけでございますが、時間が非常に長くかかるだけになかなかその古い資料等もないでしょうということで、概算的に経費を控除するか、あるいはそれでは足りない方は実際のかかった経費を積み上げて控除するという選択制を認めておるものでございます。したがいまして、その概算控除率は、御指摘のように、ただいま三〇%でございますが、全国的な平均でなければいけない。また、全国的な用材林と申しますか、一般的な山林経営に当てはまるものでなくてはならないという制約がございます。たとえば、これがある特殊なケースに対して適用されるような率で、実際にそこで大変高い率、四〇とか五〇とかいう率が出てきたといたします。これは全国一般に使われるものでございますから、その場合には実際の経費が低かった方々のところに恩典がいくと申しますか、そういった方々は実際にかかった経費以上に経費の控除が認められるということでございまして、どうしても全国的な平均の経費率でなければいかぬという制約があるわけでございまして、ただ、その御不便の点につきましては、それ以上実際に経費がかかる方につきましては実際の経費で控除することも認めているという選択制をとっているわけでございます。  先ほど申し上げましたように、ただいま控除率は三〇%でございますが、確かに御指摘のとおり、いろいろ情勢も違っておりますので、私どもとしても実際に調査いたしまして、算定方式についてまた検討してみたいと考えております。  それから、もう一点の人工しぼりの件でございますが、これは大変むずかしい問題でございまして、人工しぼりを入れたところで経費率をはじき出しますと、恐らくそれ以外の用材林については経費率が高くなってしまうという問題がございますので、実際に納税される方々にとってはなかなかお手数が大変であろうかと思いますが、実際にこの概算経費率の三〇を上回るような場合には実額控除と申しますか、実際にかかりました経費を積み上げて御申告いただく以外ちょっと解決の方法はないのではないかと考えております。
  30. 川本敏美

    川本委員 次に、私は、林業の振興をしていく中で重大な問題は、山林労働の問題だと思うわけです。そこで、労働問題について若干お聞きをしておきたいと思うのです。これは労働省にお見えいただいておりますので、労働省にお聞きしたいと思う。  御承知のように、林業労働者の雇用の問題については非常に不安定です。私はこの間社会労働委員会でも申し上げたのですが、奈良県の実情を見てみますと、五十年、五十一年、五十二年、毎年、木材の伐採量が減っていっておるわけです。山林労働者はどうしておるのか。いままで二十五日働いておったのが二十日になり、十五日になり、いわゆる失業者数としては出てきませんけれども、働く日数が少なくなるという形の中で現在しわ寄せされてきておると思う。だから、山林労働者が年間安定した仕事につけるような雇用の改善対策が当然必要だと思うわけです。  そこで、私がお聞きしたいことは、一つは現在の労働基準法との関係です。現在、労働基準法では、農業、林業に関係する労働者について、労働時間の問題あるいは休日、休暇等については労働基準法の適用から除外をしておる。最近チェーンソーの問題もありますし、早急に、労働時間について労働基準法を適用していく時期が来ておるのではないかと私は思うわけです。休日、休暇ももちろんですけれども、まず労働時間から適用していくべきではないか、このように考えておるわけです。  それから、もう一つ、労働条件が非常に不明確です。そこで、労働基準法第十五条では「労働条件の明示」ということが法律で規定されているわけですけれども、最近も奈良県の十津川村で、山林労働者が山作業をするのに、架線で木材を引っ張り上げるのに必要なモーターのかわりに、自動車をよそから借りて持っていった。事業主があてがうべきものですけれども、あてがってもらえないから自分らで借りて持っていっている。ところが、たまたまそれが川に転落をしたわけです。転落をしたために、そこで山林労働者は死亡した。死亡した山林労働者は労災保険を適用されるけれども、今度は落として壊れた自動車の損害賠償が出てきたときに、事業主は、あれは請負だから労働者の責任だからわしのところに関係ないと言って逃げてしまう。ついには借りていたグループの労働者が一人六十万円ずつ出してその自動車の損害賠償をしたら、何日間か働いたやつが、結局は何もしなかった方がましだったという結果に終わるようなことがありました。あるいは和歌山県の古座川町でも、架線が道にたれ下がっておった。たまたまそこを単車に乗った高校生が通りかかって、その線にひっかかって転倒してけがをされた。その損害賠償が出てきたときに、今度は事業主に対して要求が来たわけですけれども、事業主は、これも請負制で請け負わしてやったのだから事業には関係ないんだということで損害賠償の責任を労働者に押しつけてくる、こういう具体的なケースがあらわれてきておるわけです。  私は、この際、労働基準監督署が、林業労働についても、一つは労働基準法の未実施部分を適用していく、あるいはいま申し上げた労働基準法第十五条の労働条件の明示ということを励行させるような指導を強化をしてもらう、こういうことも必要じゃないかと思うのですけれども、この点についてまずお聞きしたいと思う。
  31. 松井達郎

    ○松井説明員 お答えいたします。  最初の第一点の労働時間、休日、こういう規定を林業に適用すべきではないか、法改正をやるべきではないかという御意見でございます。なるほど先生のおっしゃいますように、法律を改正しましてこれを義務規定にいたしまして林業にも適用し、違反については罰則を付するということが対策としては一番効果的なものであろうかとは思います。ただ、御存じのとおり、農業なり林業なりにつきましてこういう規定について適用除外をいたしましたのは、外で働かれるということとか山地で働かれるというか、そういう自然条件あるいは気象条件、こういうことを考えまして、こういう規定を適用し、その違反に罰則をかけるということはむずかしいのではないかと考えたわけでございまして、これにつきましてはずっとこういう議論があったわけでございますが、いまなおそういう規定が、そういう解釈をなされてないということは、やはりこういう実態があるからではなかろうかと思うわけでございます。  ただ、そうかといって私どもといたしましては、農業、林業、ことに林業につきましては法律改正といいますか、法律による強制ということを絶対やらないのかということになってまいりますと、必ずしもそうではございませんので、もちろん林業につきましても法律による強制になじむ面もございます。あるいはなじまない面もございます。たとえば、なじむ面につきましては、先生御存じだと思いますが、チェーンソーの構造規格ということでもって振動の限度を設けまして、いわゆる三Gの制限をつけるという制度改正をやりまして、今般改正を実施したわけでございます。しかしながら、先ほど申しましたように、なじみにくい面もありますが、その面につきましてはひとつ指導をやっていくというのが私どもの考え方でございますが、何分奥地のことでございますので、事業主の方にしっかりしてもらわなければいかぬということでございます。事業主の方にしっかりした作業管理、災害防止の対策を組んでもらわなければいかぬということでございますので、たとえばチェーンソーの取り扱いの問題なども含めました林業の事業主の自主的な規範と申しますか、これを林業災害防止協会におきましてことしの五月に制定いたしましてやっておるというようなことでございますが、私どもとしましては、事業主に対する指導という面は今後とも大いに強化していきたいと思っておるところでございます。  その次に、先生御指摘の労働基準法の十五条の問題でございます。いま先生が御指摘になりました二つのケースにつきましては、実は私初めて伺ったケースでございますので、十分調査いたしてみたいと思います。  それで、労働基準法の十五条によりまして、労働条件につきましていろいろな条件を明示しなければならないということでございますが、これにつきましては、御存じのように、就業の場所とか、それから業務に関する事項とか、休憩、休日、休暇、こういうものにつきましては明示しなければならぬことになっておりますし、特に賃金につきましては書面でやるということは、昨年、賃金支払確保に関する法律が成立しましたときに特に入れられた改正でございます。ただ、先生がおっしゃいましたケースにつきましては、直接労働条件に関する事項かどうか、なかなか問題の点もあると思います。あるいは事柄によりましては、もっと詳細に調べますと、むしろ民法の適用の問題ということになってくるかもしれませんが、いずれこの事態につきましてはもう少し私どもよく事態を調べまして先生に御報告するなりいたしたいと思います。  ただ、先生の御指摘のように、十五条を活用して林業における労働条件の明示の一層の徹底を図る、これは非常に重要な御指摘、ポイントだと思いますので、私どもとしましては、今後林業についてその指導をやっていきます際に、この条文の活用についてもさらに努めてまいりたいというふうに思っております。
  32. 川本敏美

    川本委員 やはり十五条の適用については、私はできるだけ文書で明示をさせるような、労働条件、賃金について明示させるような指導をやっていただきたいと思うわけです。  さらに、ことしの七月の二十八日に、高知地裁で、国有林を退職した白ろう病、振動病の患者が裁判を起こしておったのに判決が出ました。その判決は、御承知だと思いますけれども、いわゆる労働者の安全確保を怠ったという農林省、林野庁の責任を追及されて、総額一億四千万ほどの金を払えという命令が出されたわけだと思うのですけれども、こういう事態を前提にして、民有林でも、御承知のように、いま振動病がますます大きく問題になりつつある。ところが、国有林の方は、チェーンソーの使用については何分間使うたら何分間休めとか、気温が何度以下に下がったらどうだとか、いろいろの具体的な労働協約がある。ところが、民有林に対しては基準局長通達が出ておるだけです。二時間使うたら休めとか、あるいは何時間以上使うたらいかぬという大きな規定だけです。そういう中で、民有林の白ろう病患者、振動病患者の方から使用者の安全義務というものを追及する、それに対する行政の責任を追及するような訴訟が行われる可能性もないとはいえない。  そういうようなことを考えますと、この際チェーンソーの使用についての規制というものを法制化する必要があるのではなかろうか。いまの通達だけでは無理なのではないかというふうに思うわけなんですが、その点について労働省もう一度……。
  33. 松井達郎

    ○松井説明員 お答えいたします。  いま先生がおっしゃいましたことしの高知地裁の判決、あるいはバックには五十年の二月でございましたか、最高裁が自衛隊の事件につきまして国の安全配慮義務を認めたという基本的な考え方が背景にありまして、それの流れに沿ったものではないかと思いますが、先生御存じのとおり、たとえば事前調査義務とか、あるいは増悪防止義務と申しますか、そういうような点につきましてさらに分析を加えた判決であろうかと思っております。  この職業病につきましては、ことに発生のメカニズムと申しますか、そういうものについてはなかなかむずかしい面もあり、そして振動障害につきましてもいまだに専門家の間で御議論があるというような状況でございますが、いずれにしましても、私どもとしましては、振動障害の防止につきましては非常に真剣に取り組んでいるわけでございます。  先ほど申しましたように、その法律規制につきましては、たとえば労働時間とかあるいは休日の問題、これは気象条件あるいは地形とか、そういうもので考えてみますとむずかしい面がございますが、それにつきましては四十五年来の通達でもって指導を図っているわけでございますが、もう一つ、先ほど申しましたように、構造面から振動の少ない機械を使用していただくということで、構造規格を今度新たにチェーンソーについて設けまして、機械そのものが防振構造を持った機械である、そういうものをつくるのだ、こういうことで構造規格の告示を制定したわけでございまして、これに違反すれば当然法の罰則が適用されてくるわけでございますけれども、まず、そういう面から進めていく。  さらに、もう一つ、これも先生御存じだと思いますが、最近また労働基準法の施行規則を改正いたしまして、危険有害業務につきましては特別な教育をするというのが使用者の義務になっておりますが、その危険有害業務として特別な教育をすべきものにチェーンソーの取り扱いというものを入れまして、チェーンソーの操作、それから整備、こういうものについて特に使用者は教育をしなければならぬということで、いわば法的な強制を図るというような措置を講じまして、私どもとしては逐次法的規制になじむものから取り上げていくということでせっかく努力しているところでございます。
  34. 川本敏美

    川本委員 最後に、国土庁からおいでをいただいておると思うのですが、突き詰めていきますと、やはり林業の振興とか木材産業の振興、こういうことが過疎対策、あるいは山村振興対策そのものであると私は思うわけです。  そこで、現在、国土庁でやっておられる過疎対策あるいは山村振興対策の主な点を、重要な施策について簡単にまず御報告いただきたいと思います。
  35. 羽鳥博

    ○羽鳥説明員 お答え申し上げます。  先ほど御指摘のございましたように、山村地域は農林産物の供給のほか、国土の保全、水源の涵養、自然環境の保全などの重要な役割りを担っておるわけでございまして、また過疎地域は人口の流出が著しく、地域社会的基盤が脆弱な地域でございます。  こういった地域における住民福祉の向上と地域格差の是正を図りますことは、国民生活の安定と国土の均衡ある発展を図る上できわめて重要なことであります。このための基本的な対策は、これらの地域におきまして人口定住のための条件を整備することでありまして、農林業を初めといたします産業の基盤を整備して就業機会の拡大と所得の増大を図りますとともに、立ちおくれた生活環境の整備を進めることが重要であると考えておるわけでございます。  このようなことから、山村対策につきましては、昭和四十年の山村振興法制定以来、山村振興計画の樹立とその計画に基づきます各種の事業を実施してまいりまして、現在、昭和四十七年度を初年度といたします山村第二期対策を推進中でございますが、山村地域と他の地域との格差が依然として解消していないことにもかんがみまして、去る十一月十四日開催されました山村振興対策審議会におきまして、第二期対策終了後の山村振興対策の進め方につきまして、部会を設けて検討することが決定されたところであります。  国土庁といたしましては、審議会におきます検討結果を踏まえまして、また関係の各省庁の協力を得まして、山村振興対策の拡充強化に努めてまいりたい、かように考えておるところでございます。  また、過疎対策につきましては、現在、過疎地域対策緊急措置法に基づきます地域振興後期五カ年計画の推進が図られておりますが、今後におきましても、本計画に基づきまして積極的にかつ総合的な過疎対策を実施して、地域振興を図りますとともに、住民福祉の向上と地域格差の是正を図ってまいりたいと考えておる次第でございます。  以上であります。
  36. 川本敏美

    川本委員 私は、最後に、国土庁に要望だけしておきたい。  やはり五十三年度予算編成なり政策決定の時期も近づいておるわけですけれども、特にこういう国内情勢の中で、景気の状況の中で、過疎対策は特に重要だと私は思うわけです。  そこで、一つは、過疎法の問題があります。これは五十四年度までのいわゆる時限立法だと思う。この際、五十三年度、五十四年度で過疎対策が完全に終わらないという状態の中で、過疎法というものをさらに延長するということをまず決定して、その上に立って政策を進めてもらいたいということが一つであります。特に山村振興については、私のところでもお世話をかけておる奈良県の吉野郡の大塔村というのがあるのですが、村道をつけておる。一年間に百メートルか百五十メートルぐらいまでしか向こう向いていかぬわけです。六十過ぎた方が、私の生きておる間に家のかどまで自動車つけられないのじゃないかというて心配しておる。私は、この際どんなことがあっても山村振興事業の枠を増大させる必要があると思います。さらに、交通、過疎バスの補助金等ももっと上げてもらいたい。あるいは僻地医療問題の充実補助、こういうことを特に強化していただくように強く要望いたしておきたいと思うわけです。  最後に、林野庁、政務次官、先ほど来お聞きをいただいたとおりでありますけれども、特に五十三年度の予算編成期も近づいておりますので、林業振興、国内木材産業の振興のためにせっかくの御努力を賜りますように強く要望して、私の質問を終わっておきたいと思います。
  37. 金子岩三

    金子委員長 この際、午後二時より再開することとし、暫時休憩いたします。     午後零時四十八分休憩      ————◇————−     午後二時十六分開議
  38. 金子岩三

    金子委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  請願の審査に入ります。  今国会において、本委員会に付託になりました請願は全部で百九十四件であります。  本日の請願日程第一から第一九四までの請願を一括して議題といたします。  各請願の内容につきましては、請願文書表等によりましてすでに御承知のことと存じます。また、先ほどの理事会におきましても慎重に検討いたしましたので、この際、各請願についての紹介議員からの説明等は省略し、直ちに採決いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  39. 金子岩三

    金子委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  これより採決いたします。  先ほどの理事会において協議いたしましたとおり、本日の請願日程中、第一二、第二六ないし第二九、第三一ないし第三六、第四三ないし第四八、第五五ないし第六〇、第七五、第七七、第七八、第八一、第八二、第八五ないし第八七、第一三四、第一三五、第一三八、第一三九、第一四二、第一四三、第一四八、第一四九、第一五二、第一五三、第一五六ないし第一五八及び第一九三の各請願は、いずれも採択の上、内閣に送付すべきものと決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  40. 金子岩三

    金子委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  ただいま議決いたしました各請願に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  41. 金子岩三

    金子委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ————————————−     〔報告書は附録に掲載〕     ————————————−
  42. 金子岩三

    金子委員長 また、本委員会に参考送付されました陳情書は、農業経営発展基本施策確立等に関する陳情番外八件外三十二件であります。右、御報告いたします。      ————◇————−
  43. 金子岩三

    金子委員長 閉会中審査に関する件についてお諮りいたします。  すなわち  農林水産業振興に関する件  農林水産物に関する件  農林水産業団体に関する件  農林水産金融に関する件  農林漁業災害補償制度に関する件 以上の各件につきまして、閉会中もなお調査を行いたい旨、議長に申し出たいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  44. 金子岩三

    金子委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次に、お諮りいたします。  閉会中審査案件が付託になりました場合、本会期中設置されております農産物の価格等に関する小委員会につきましては、閉会中もなおこれを設置し、調査を続けたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  45. 金子岩三

    金子委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、小委員及び小委員長は従前どおりとし、その辞任及び補欠選任につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  46. 金子岩三

    金子委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次に、閉会中審査におきまして、委員会及び小委員会に参考人の出席を求め、意見を聴取する必要が生じました場合には、参考人の出席を求めることとし、その人選及び出席日時等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  47. 金子岩三

    金子委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次に、閉会中の委員派遣に関する件についてお諮りいたします。  ただいま議長に申し出ることに決しました閉会中審査案件が付託になり、その調査のため委員を派遣する必要が生じました場合には、その調査事項、派遣委員、派遣期間、派遣地並びにその承認手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  48. 金子岩三

    金子委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇————−
  49. 金子岩三

    金子委員長 農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。柴田健治君。
  50. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 山の問題について質問を申し上げたいと思うのです。  私は、今日、日本の森林資源の実態から見て、森林行政、そしてまた国土の七二%を持っておる山林に対する政策が非常におくれておるという判断に立って申し上げたいと思うのですが、年々造林が進まない理由、だんだん減っておるのですが、その造林事業が伸びない理由は何が原因なのか、その認識をひとつお聞かせ願いたい、こう思います。
  51. 藍原義邦

    ○藍原政府委員 先生御指摘のように、ただいま林野庁におきましては、森林の造成につきまして長期の計画をつくって拡大造林等を進めておるわけでございますけれども、おおよそ千三百万ヘクタールの造林地をつくろうという目標に対しまして、ただいま国有林、民有林あわせまして約九百万ヘクタールの造林地ができ上がっております。これは目標に対して大体七〇%前後の達成率でございます。  最近、造林が進まない一つの大きな原因として、過去に行いました造林地が比較的立地条件のいいところから進めてまいりました関係上、非常に立地条件が悪いところが残りつつあるという傾向がございます。したがいまして、県によりましては、すでに目標に対しまして九〇%以上の達成をしたところがございますけれども、やはり東北地方あるいは北陸、山陰等々山岳地帯をよけい持っております都道府県につきましては、いまだに造林の新植が目標に対しましておくれておるのが実態でございます。  そういう点とあわせて、林業の造林等を進める場合に、必要な林道等の基盤整備の立ちおくれもわれわれ痛感いたしておりまして、できるだけ林道等基盤整備の推進を図ろうということで努力いたしておりますけれども、これもまだ十分至っていないという点もございます。  また一方、最近、木材価格が非常に伸び悩んでおります。これは木林需要が最近非常に停滞いたしておりまして、そのために木材の供給という面からも林業に対する意欲は非常に薄れておるという点もございます。  さらには、林業労働力の問題もございます。  そういういろいろな問題がございまして、最近、林業に対する意欲は非常に停滞ぎみであるというふうにわれわれも認識いたしておりますし、こういう厳しい事態を乗り越えるために、今後さらに基本的な問題を詰めて検討し、対応してまいりたいと考えておる次第でございます。
  52. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 認識はほぼわれわれと同じような認識をしておられると思うのですが、それをどう克服して前向きに進むかということなんですね。その対応策です。対応策についてどういう具体的なものをいま持っておられるのか。  たとえば、造林事業が伸びない。いま個人なり団体なり、また国営なりということでそれぞれの機関が、できるところは、やりやすいところはやっておる。ところが、これからやりにくいところに入っていくわけですね。そのやりにくいところをどういう方法で進めていくのか。そして、木材の輸入についてはどういう方法をとるのか。そしてまた、価格政策、労働政策についてはどういう方法をとるのか。具体的にどう進めようとするのか、その具体案があればひとつ御説明を願いたい、こう思います。
  53. 藍原義邦

    ○藍原政府委員 先生十分御存じのように、林業につきましては、戦後、荒廃しました林地をいち早く的確な林地に仕立て上げようということで、造林を中心にいたします基盤整備を進めてまいりました。その後すでに三十年たちまして、ただいま造林につきましては、先ほど申し上げましたような目標に対しましておおよそ七〇%達せられておるわけでございます。  それに対しまして、現在、保育の問題あるいは間伐の問題がございます。そういう点と、残っております地域の拡大造林をさらに進めるという問題があります。これについては、前生樹の伐倒をしなければ拡大造林も進まない。前生樹の伐倒をすれば当然経費がかかりますし、その伐倒された前生樹をいかに利用するか、利用開発の問題が入ってまいります。こういう点で、造林を中心にいたしますこれからの林業を推進するためには、木材の需要供給との関連、需要面の開発が非常に必要であろうとわれわれは考えております。  先生御指摘のような具体案ということになりますと、現段階でまだ御説明できるようなものは私ども持っておりませんけれども、基本的に基盤の整備、さらには需給の的確なる把握、また物によりましては、外材等の問題については、これに対応すべきいろいろな組織の問題等々の検討もしなければなりませんし、また労働力の確保の面からは、山村におきます林業労働力をいかに確保するかという面からの検討を進めなければいけないということで、もろもろの総合的な問題について今後さらに基本的に詰め、具体案をもって逐一対応していきたいと考えておる次第でございます。
  54. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 長官、これからだと言うのですが、これからなら、林業に関していろいろ知識を持っておる専門家の人や国民各階層の皆さんの意見をもっと聞く。これから日本の林業を発展させるための基本的な、そういう個別的に具体的な政策を打ち立てられるということになれば、もっと知識を吸収していく体制づくりがまず必要だと思いますが、それをいつごろまでにやられるのか、そういう政策立案に対して何年度までにやられるのか、その考え方をひとつお聞かせいただきたいと思います。  もっと多くの皆さんの意見を聞かないと、ただ机上論だけでは、山というのは机上論と実態論に大きな食い違いがある。ほかの産業とは違って現況がそれぞれ違っておりますから、現況を十分踏まえて具体的に進めていく。それから、机上論だけでは成功しない。いままでの林業政策の基本はどうも机上論が多過ぎる。机上論じゃなしに、本当に現地を見て実態を把握して政策を立てないと大変なことになると私は思うので、その点の考え方と、いつごろまでにそうした具体的な案を立てられるのか目標を示してもらいたい、こう思います。
  55. 藍原義邦

    ○藍原政府委員 先生御指摘のように、確かに林業は現地の実態に合った政策を講じなければ推進されないということは私ども十分理解しております。したがいまして、ただいま林野庁におきましては、森林、林業の基本問題を検討する会議をつくりまして、学識経験者の方にお集りいただき、基本的な問題について検討を進め、おおよそ二年ぐらいの間に基本的な問題についてはいろいろと御意見をいただき、施策について必要なものは逐次対応してまいりたいというふうに考えております。
  56. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 前の松形長官もそういうことを言われた。そうしたら、いつの間にかやめて逃げてしまって何もしない。あなたももう二年寿命があるかどうか私にはようわからぬ、任命権者でなければわからぬが、あなたの任期中にやるというくらいな決意があってほしい、こう思うのですね。それはこちらの希望条件ですから、人事権に介入する気はないから、その点はきょう政務次官が来ているのだから、よう認識して、任期が来たからといって長官をくらくらかえて、山が大事なのか人が大事なのかということをよう考えてやってもらわないといけない、そう私は思うのですよ。つまらぬ長官なら早うやめてもらってもいいけれども。  まず、具体的に質問申し上げたいと思うのですが、いま造林をやっている機関というものは個人その他たくさんあるわけですが、国営も林野庁直営でやっているところもあるわけです。けれども、私たち地方公共団体でこの林業公社があるということは御承知だろうと思います。林業公社、いま全国で三十七ある。これは民法の法律からこしらえた組織なんですが、この林業公社が、それぞれの地方公共団体の一つの外局としていま造林をどんどん進めておる。実態を調べてみると、もう行き詰まっておるというようにわれわれは認識しておるのです。それはなぜかというと、人の問題もあるが、大きなのは資金の問題だと思っている。この資金をどうしてやるかということ、これを考えないと、各都道府県が持って、一生懸命造林をやって、林業公社の経営自体が行き詰まって破産をするということにもなりかねない状態に来ておると思うのでありますから、この林業公社の育成をする気があるのかないのか、まず、その点を簡潔にお答え願いたいと思う。
  57. 羽田孜

    ○羽田政府委員 いま森林資源につきまして、基本的な問題で先生からるる御指摘がございました。先ほどの審議の中でもお話があったわけでございますけれども、森林資源というものにつきましては、単にでき上がってくる木材、これだけの問題じゃございませんので、私たちも国土の保全、そういったものを中心に考えながら、今後速やかに検討の結果を出してまいりたいということをまず申し上げたいと思います。  なお、ただいまお話がございました、公社が行き詰まっているという御指摘がございました。この問題につきまして、林業公社は、わが国の森林資源の整備のためにどうしても必要な拡大造林、これを推進していく上で重要な役割りを果たしており、従来から公社が行う造林につきまして、国庫補助及び制度融資の面で優遇措置を講じてきております。このことは先生すでに御承知のとおりであります。今後とも造林事業の推進に占める林業公社の重要性にかんがみまして、林業公社の育成のためのきめ細かな指導助成に努め、同事業の円滑な推進を図ってまいりたい、このように考えております。
  58. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 たとえば、よその県のことはわからないから、岡山県のことを具体的に申し上げてひとつ参考にしてもらいたいと思うのですが、岡山県の場合は、昭和四十年から昭和六十四年まで二十五カ年の計画を立てて、面積にして二万五千ヘクタールをやろう、年間一千ヘクタールから一千百ヘクタールをやろうということで、いま計画以上にやっておるわけですが、この資金調達の中身を見ると、造林補助金としてやっておる、そして農林漁業金融公庫の借入金、不足分として県の借入金ということで、三段階に資金計画はなっておるわけですが、たとえば五十一年度を見ると、県の借入金として比率が二三%、金額にして、五十一年度末までの累計ですが、十四億八千三百七十五万円というのが県独自の借入金であります。公庫の借入金、これは金融公庫ですが、三十三億七千三百三十四万七千円という、これは五二%の比率であります。それから、造林の補助金として十六億四千五十万五千円ということで、これが二五%、こういう資金計画で五十一年度まではやっておるのですが、この事業資金中の県の借入金二三%というのが、これはまあ大変な負担でありまして、金利が六・五%でありますから、これはこれから償還に入っていくと、年々県の借入金の支払い増額というものが四千万円から五千万円になってふえてくる。そうすると、今年度五十二年度末で九千五百万円からを借入金の償還に充当しなきゃならぬ。これは、一方では借金を支払っていく、一方ではこの造林の事業費に充当しなければならぬ。この相差というものが、大変な県の負担がふえるわけですね。これは県の一般財源に食い込む。それならもう造林したところはすぐたたき売ったらいいじゃないかと言えば、そうはなかなかいかない。相当の期間が必要でありますから、その間の資金計画、収支のバランスをどう安定させていくかということを真剣に考えてやらないと、これはもう造林そのものが行き詰まってしまう。  そういう実態なんですが、これはよその県も同じだと私は思う。よその県においても、三十七の林業公社の実態は同じであると思わなきゃならぬ、こう私は思うのですね。これらをどうするか、この点について長官、どういう考えを持っております。
  59. 藍原義邦

    ○藍原政府委員 ただいま先生御指摘のように、県の公社はそれぞれ現在それなりの県の実情に応じて仕事をやっておりますけれども、ちなみに五十一年度の国全体の、府県がやっております公社の資金調達状況を見ますと、補助金が大体二〇%、公庫融資が五六%、府県等の借入れが一六%、その他八%というふうになっておりまして、岡山県の例を先生ただいま御説明になりましたけれども、大体同じような形で公社はそれぞれ造林事業を推進していただいておるわけでございます。  国におきましても、こういう公社、現在三十七の公社につきまして、それぞれの問題が投げかけられておりますけれども、公社についての融資制度あるいは補助制度ということにつきまして、特にこれから大きな問題になります点としては、造林の保育の問題がございます。これから造林については、造林面積が相当広がりましたので、保育が重点になりますが、保育につきましては、ただいまの制度では、公社が補助金を使って保育をするという条件になかなかなっておらない点が非常にあるわけでございまして、こういう点について、公社等では主として公庫の融資で仕事をしておられるというふうに聞いておりますけれども、できるだけこういう面、造林補助制度がこれに乗るような形で私どもも今後検討してまいりたいというふうにも考えております。  そういう点で、できるだけやはり造林というものが、個人造林よりもこういう組織造林的なもの、森林組合の労務班を含めまして、組織的な造林というものが今後造林を推進する上に非常に重要な母体でございますので、私どもといたしましても、造林公社の今後の造林推進が支障のないような形でいけるようなあり方について、真剣に検討を進めてまいりたいというふうに考えております。
  60. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 金利を事業費の半分も、五〇%以上も支出しなきゃならぬというときは異常だ、これは事業はできない、結局自転車操業になってくる可能性がある。それは大変なことだと思うのですが、倒産をしない前に早く手を打ってやらなければならぬ。いまの補助残融資と非補助融資の二本立ての融資制度の中で、金利が二本立てですね。それを三分五厘に統一したらどうかという意見があるのですが、そのくらいは——本当に林業公社を育てようと思えば、非補助だろうと補助残融資だろうと融資ということには間違いないのだから、目的は一緒なんですから、三分五厘にしてやる、それだけの熱意があってほしい。やる意思があるかないか、長官、どうですか。
  61. 藍原義邦

    ○藍原政府委員 ただいま国の方の助成といたしましては、造林については基本的には四〇%の補助が国、県を合わせまして出ておりますし、こういう補助を受けた方の融資については三分五厘、非補助の方には、いま先生が御指摘のとおり六分五厘という形で二本立ての利率になっております。これを一本にしたらどうだというお話でございますが、そういう御意見もあろうかということは重々私どもも理解いたしますけれども、補助を受けた方と補助を受けない方の利率を同じにするということは、ある意味で穏当を欠くのではなかろうかというふうに考えておりますし、利率を一本にするということについては、いまの段階では私どもとしては検討は非常にむずかしい問題であると考えております。
  62. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 長官、林業公社という組織を十分認識してもらわないと、個人で、柴田健治個人がやるなら、非補助融資と補助残融資と別にしないと、個人の私有財産権の受益者負担の原則からいっても、一本にするのはむずかしいという理屈は成り立つ。けれども、林業公社そのものは、御承知のように、個人のものを全部、市町村が持っておる、また財産区が持っておる公有林という面もございますけれども、地上権設定をやるわけです。そういう特殊な方法の契約の中で、日本の林業をどう発展させるかという立場から、地方公共団体が国にかわってやるのです。林業政策というものは、本当は国がやるべきなんですよ、私らに言わせたら。それを地方公共団体が肩がわりでやっておるということを十分理解して、林業公社がやるものについては金利は一本にしてやる。個人であろうと公有林であろうとどんどん地上権設定をして拡大造林をやりなさい、こういう発想の転換をしない限り、林業公社の育成にはならないと私は思う。個人と林業公社の考え方を変えてもらわなければならない。林業公社の位置づけというものをどう踏まえてそれを育成強化するかということです。ただ個人を対象に物を考えられたのでは拡大造林というものはできないと私は思う。長官、もう一回お答え願いたい。
  63. 藍原義邦

    ○藍原政府委員 ただいま公社で造林をしていただいております量が、全国の拡大造林の中の大体一二%とわれわれは理解いたしておりますけれども、そういう面で、造林事業についての中心的役割りをしていただいておるということはわれわれも十分理解いたしております。しかしながら、いま先生御指摘のように、先生のようなお考えもあろうかと思いますけれども、私どもといたしましては、現在、公社が非常に使いにくいといいますか、いまの保育の補助に対する条件という面から、公社でその補助金を利用されるということが非常にむずかしい採択条件になっておりますので、私どもといたしましたら、できるだけ拡大造林ばかりではなく保育等々についても公社を御利用いただいて、そして補助残につきましては六分五厘の利子で公庫の融資でしていただくというような形で、できるだけ補助体系が公社等にも回りますような考え方で今後対応してまいりたいと考えておる次第でございます。
  64. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 長官も相変わらず発想の転換ができないので、本気で日本の拡大造林をやるという熱意がないように思われるのです。残念なことですよ。もう一回検討してもらいたい、こう思います。  次に、それができないのなら、一般管理費なり森林の保険料を融資の対象にできるかできないか、このくらいのことは対象になるでしょう。日本にただ一人しかいない林野庁の長官、あなた一人の決断でできるのですよ、大蔵省と折衝したらわけはないのだから。長官、これはできませんか。一般管理費と森林保険料だけは融資の対象にしますか、どうですか、明年度からやりませんか。
  65. 藍原義邦

    ○藍原政府委員 先生ただいま御指摘の一般管理費の問題でございますけれども、現在、農林金融公庫から融資いたします場合は、林業ばかりではなくていろいろな他の制度もございます。そういう一般の制度金融との関連から、直接事業費に必要な資金という形で融資いたしておりますので、いわゆる一般管理費というものは、融資対象にするというのは非常に困難ではなかろうかと思います。ただ、直接事業費に関連ございます設計費だとか造林の監督費、また労災保険等については現在でも融資の対象にいたしておりますが、森林保険につきましては、これは事業を実施するための直接の経費ではございませんで、でき上がったものに対しての保険という形になりますので、これも融資の対象にするのは現段階では非常にむずかしいとわれわれ考えております。  しかしながら、先生御指摘のように、またわれわれも、林業公社というものがこれからの造林事業推進の母体であるということは十分理解いたしておりますし、そういう面から、ただいま林業公社を全国的にいろいろと調査いたしまして、今後公社をどう指導していくか、また、それぞれの都道府県においては公社を今後どう指導されるか、その辺をわれわれとしても十分検討いたしまして、将来に向かって検討は進めてまいりたいと考えております。
  66. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 あなたは都合のいいことばかり考える。造林で補助を出すでしょう、自動的に森林保険に加入させて補助金から天引きしているのじゃないですか、保険料を。補助金から保険料を天引きして、残額を補助金として支払っているのですよ。保険料が天引きできるぐらいなら、融資の対象にできないはずはない。努力が足らないのじゃないか。関係当局に、それぞれの機関に努力すれば、このくらいのことはできるはずだと私は思う。どうですか、努力したらどうですか。いままでどういう努力をせられたのですか。ただ自分の頭の中で判断して答弁してもらっては困る。いままで努力をしてない、これから努力をしてやります。こういうふうに——努力せずにただ自分の頭の中で考えて答弁してもらったのじゃ前進しないのだから、どうですか、長官。
  67. 藍原義邦

    ○藍原政府委員 先ほども御説明申し上げましたけれども、林業公社がこれからの造林事業推進の母体であるということは十分理解いたしておりますし、そういう面から、林業公社の行き方、あり方、国の助成の仕方等々については、ただいま私どもとしても真剣に検討し、今後できるだけ早い機会にいろいろな問題点について対応してまいりたいと考えておりますので、先生の御指摘の点も含めまして、将来にわたってのあり方をいろいろと検討してまいりたいと思っております。
  68. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 それは努力して早急に解決してもらいたい。それが林業公社を育成する一つの手段でもある、こう思います。  次に、現行制度の据え置き期間、この延長をやったらどうですか、金利が一本にならなければ。三分五厘にしなさいと言ってもできない。金利も検討していると思いますが、現行の据え置き期間も大幅に延ばして、最低五十年くらい、五十年にするのだ。大体常識的に考えても、四十年以上五十年過ぎなければ伐採できないのだから、要するにものによって判断をするというのが政治、行政の一つの責任を果たす見方じゃないでしょうか。五十年たたなければ伐採できないものを、二十五年で返しなさいというのはどう考えてもおかしいのです。この間物価の上昇、いろいろな面で経費がかかっていっておるし、伐採はできないし、どうします。だれが考えたってそれは償還できない。だから、償還年限を延ばす、据え置き期間も延ばす、こういうことで、この点を考えないと、林業公社を育成するといっても、これはただ口だけに終わるのじゃないですか、どうでしょうか。
  69. 藍原義邦

    ○藍原政府委員 林業の長期性については、先生十分御存じのとおりでございますし、いま公庫の中でも、林業に関する融資というのは、三十五年償還で二十年の据え置きということで、非常に長期なものになっております。そういう面では、十分超長期性という林業の特殊性はとらえられておるというふうにわれわれは理解いたしておりますけれども、逆にまた、先生御指摘のとおり、非常にいま林業はいろいろな面で重大な時期にも立ち至っておりますし、また、その問題はひとり公社ばかりでなくて、一般の民有林の林業についても、ある面では同じであろうというように私は考えております。  そういう点で、これからの日本の林業を推進するために、やはりある意味で木材の需給の調整といいますか、的確な需要を把握し、的確な供給をするという点で、総合的な林業の木材の需給のあり方というものをつかみながら、さらには主伐に至る間におきます間伐・小径木の利用という問題、こういう問題も含めまして、今後の研究開発なり普及というものを含めて、総合的な、基本的な問題を検討してまいりたいということで、ただいま先生が御指摘のものを含めた基本的な林業のあり方を検討すべく、目下鋭意努力をいたしておるわけでございまして、そういう基本的な問題の検討の中に十分先生の御指摘等の問題も含めて検討してまいりたいというふうに考えております。
  70. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 もう明年度の予算の編成時期に入っておるのですから、五十三年度からこれとこれとはとにかく思い切って改善しますよ——いま申し上げた点のうち、何ぼ五十三年度から実施できるのか、考えがあればひとつ明らかにしていただきたい。目下検討中、検討中でごまかすんだけれども、もうどの長官も歴代の長官はごまかすのが多いが、あなただけはごまかさぬだろう、こう信じてお尋ね申し上げておるのだから、前の松形長官のようなのは、政治家になる腹がもう前からあったのでしょうが、いまの政治家みたいに口先で終わっては困るので、あなたは恐らく政治家を目指していないのだろうから、ひとつ日本の林業をどう発展させるかということに自信を持って取り組んでいく、そういう中から、五十三年度の予算についてはこれだけ変えていくのだという自信のほどをひとつ簡潔にお願いをしたい。次があるものだから、もう時間がないので。
  71. 藍原義邦

    ○藍原政府委員 融資の方につきましては、先生いろいろ御指摘されましたけれども、来年度の予算については、特に融資の条件の改定というものは考えておりません。ただ、三分五厘の融資の枠の拡大という点で、他の項目に比べまして五十三年度は予算要求を大幅にいたしております。  それから、造林の先ほど御説明いたしました保育の問題、この保育の条件、ただいま人工林率五〇%、あるいは共同施業計画を組むという条件になっておりますけれども、これらについて、保育の条件緩和によりまして造林の補助が利用される対象がふえるような形で現在予算要求をいたしております。
  72. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 いずれまた時期を見て、次の通常国会は山に関する法案が出てくるようですから、論戦をしてみたいと思いますが、次に、松くい虫の跡地の問題。  いま防除問題で農林省全体を含めて、林野庁は当面の責任者でいろいろ苦労をされておると思います。この防除問題もそうですか、これから何年防除対策をやるのか、まあ相手のあることだからはっきりしないでしょうけれども、ただ跡地をどうするかということをもう真剣に考えなければならぬ。だから、結局跡地対策について、林野庁は、ただいまこの防除の方が手いっぱいです。跡地の方はまだ考えておりませんというならそれでいいが、われわれの立場から申し上げると、跡地対策の方を急がなければならぬ。どうするのか。現状を見る限り、われわれが関係住民の方から、どうするのだろう、あのままでいいのかと質問を受ける。いや、そのうちに跡地対策を本気でやりますよ、こう言うてみるけれども、やはり具体的にどうするのかという質問を受けたときにはどうにもならぬわけですよね。肝心かなめの林野庁がどういう具体策を持っておるのか。各県別、地域別に考え方が違うでありましょうが、どうするのかということをまずお聞かせを願いたいと思う。
  73. 藍原義邦

    ○藍原政府委員 跡地造林につきましては、本来であれば早く抵抗性の強い松の品種を見出しまして、特に瀬戸内海沿岸のような花崗岩地帯等々松が一番適しているという地域については、そういう抵抗性の強い品種を跡地の復旧造林に利用するということが一番適当かというふうに考えておりますけれども、ただいまこの問題につきましては、育種場を中心にいたしまして検討を進めまして、大体その見通しも得ましたので、五十三年度からはこの選抜育種というものを事業化いたしまして、できるだけ早くこれに対応してまいりたいというふうに考えております。  それまでの間、私どもといたしましては、被害跡地については、土壌改良という意味からも、特殊林地の改良事業ということで対応できる地域につきましては、特殊林地の改良事業という形で対応していきたい。それには、ヤシャブシとかヤマハンノキとか、そういう、ある意味では肥料木でございますけれども、こういうものを混植しながら造林を図っていきたいということと、それから、さらには五十一年度から復旧造林の中で、実質補助率がかさ上げされますように、代替造林の支障となります被害木あるいは枯損木の伐倒除去費を補助対象にいたしております。したがって、四〇%の一般的な補助率に対しまして、五二%という補助率でこの復旧造林に対応できる経費面での対応を考えております。  また、特殊の林地改良事業、これは補助率が七〇%でございますけれども、これで採択できるものにつきましては、従来〇・五ヘクタールでございましたものを〇・一ヘクタールというふうに採択基準を緩和いたしております。こういうもので助成を図っていきたい。  また、跡地が保安林でございますところにつきましては、先生十分御存じの保安林改良事業というものがございます。これは都道府県と国がそれぞれ五〇%ずつ出して対応する事業でございますけれども、こういう形で対応していこうということで、現在ございますいろいろな制度の中で、跡地について、特にいま申し上げましたような形で積極的な復旧を図っていこうという姿勢で対応いたしております。
  74. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 この跡地対策については、単年度でできる仕事じゃないので、はたまた農林省、林野庁だけでできる仕事じゃないと私は思う。国土庁も、特に大きな目を開かなければならないのは大蔵省だと思うのですね。  それから、明年度からこの計画を長期に、まあ五カ年計画を立てるのか十カ年計画を立てるのか、跡地対策についてその計画、そうして面積を確認して、それに対して事業のやり方、それに対する財政措置、国がどれだけ持つ、都道府県はどれだけ持つという負担区分、財源措置、それらを具体的にいつごろわれわれに示してもらえるのか、まず、その点をお答え願っておきたい、こう思います。
  75. 藍原義邦

    ○藍原政府委員 被害の跡地につきまして、いま先生が御指摘のような、いつごろまでにどういう形でという具体的な案は、いまのところ林野庁としてはまだ立てておりませんけれども、ことしから本格的な防除が始まりましたので、ことしの結果を十分踏まえて——防除結果がどういう状況になるか、その辺の調査をいま徹底してやるようにいたしております。そういう結果を踏まえて、今後の対応につきましては粗漏のないように万全を期してまいりたいというふうに考えております。
  76. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 ここの委員会の答弁技術だけで判断をしてもらっては困るので、委員会で質問が出た、それをどうして答弁をして逃げるかという姿勢じゃ困るので、具体的なものが出てこないとわれわれは論議したことにならぬわけですよ。論議をしたということは、具体的に出てくることを期待をして論議しておるのですからね。言いっ放し、聞きっ放しというのは審議したとは言えない。早急に具体案を出してもらいたい。それは長官にひとつげたを預けておく。ぜひお願いしたいと思うのですが、明年度の予算編成にどれだけ跡地が出てくるか、それによってまたわれわれも申し上げる点は率直に申し上げなければならぬ。  いつまでほっておいていいというものじゃない。特に松くい虫の発生地域は、気象条件が雨量の少ない乾燥地域で、砂地で、ほかのもの何を植えるのか。日本のそういう地域における歴史的経過というものは、松よりほかに育たぬ地域もあるでしょう。ほかのものを植えるといったって、植えて育つところもあるでしょう。そういう点は、地方公共団体と十分連絡をとりながら具体案を立ててもらいたい、こう思うのですね。  山に対する考え方というのは、国も県でもそうですか、ほっておけば自然に生えるわいというのが大体いままでの先入観ですね。ただ、そういう先入観で結論を出してもらうと困る。具体的にひとつ早急に出してもらいたいということを強く要望して、次に移りたいと思うのです。  次は、大規模林業圏の開発、これは予定どおりやれるのですか、計画は間違いないですか、長官。大規模林業圏の開発構想というあの青写真は、年次別におくれるようなことはないのですか。
  77. 藍原義邦

    ○藍原政府委員 大規模林業圏の開発事業につきましては、一応年次計画を立てましたけれども、現時点では必ずしも計画どおり進んでおりません。いまはその基幹になります大規模林道というものを中心に対応いたしておりますし、私どもとしてもできるだけ計画どおりに実行できるような努力はしてまいりたい、また、まいる覚悟でおりますけれども、現時点では計画どおり進んでおりませんが、できるだけ計画に沿うよう今後とも努力はしてまいりたいというふうに考えます。
  78. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 この前の松形長官と——大規模林業圏開発の中で林道の分ですね、先ほども長官が林道の面もおくれておる、こう言われましたが、おくれておることはみんな認めておる。けれども、問題は事業負担の区分ですね、地方公共団体に余りの負担をかけるところに問題がある。この負担軽減について、林野庁の一監理官と、自治省のあの時分には石原財政課長だったと思うのですが、石原財政課長と二人が申し合わせをして協定を結んで、地方財政計画の中で処理しようということで、地方公共団体の負担軽減について了解事項があるわけですね。ただ、課長クラスでは地方負担の軽減は解決しない、トップクラスでやりなさい、こういうことで前の長官にも申し上げた。前向きで検討いたします。考慮しますと答弁した。その後何にも音さたないし、何にも変化がない。ただ答弁技術で、話術でその場逃れをやったという受けとめ方をせざるを得ない。あなたなら、藍原長官ならそういう答弁技術で逃げるということはないのだが、長官がかわっても、前の長官が約束したらそれは引き継ぎがあると思う。引き継ぎがなくても、議事録を読んだらわかると思う。それがいまだに行われていないというのはどういうわけだろうか。それを責めてもしようがないのですが、あなたは、この林道の事業負担の地方公共団体に対する軽減措置をどういうふうにするか、どういうぐあいにしてやるか、考え方があったら知らしてもらいたいと思う。
  79. 藍原義邦

    ○藍原政府委員 大規模林道の地元負担の軽減については、確かにただいま先生御指摘のとおり、数年前から地元から強い要望がございまして、私どもも過去数年その対応にいろいろ努力してまいったわけでございますけれども、残念ながら先生御指摘のように、いまの段階では、本年度も地元負担が一〇%という形になっております。ただ、これにつきましては、先生もいま御指摘されましたけれども、自治省と十分お話し合いをいたしまして、二・五%の特交で、毎年その特交に算定していただくという形で今年度も対応いたしております。  これに対しまして五十三年度、私どもといたしましては、ただいま大蔵省の方に地元負担を二・五%に軽減するように、そのために国の補助率も上がりますけれども、そういう形で予算要求をいたしておりまして、目下大蔵省とその辺については十分折衝しておる段階でございます。
  80. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 これも一挙に解決できない問題だと思いますので、計画どおり進めてもらうということと、地方負担の軽減措置について最善の努力をしてもらわないと、前の長官のときから質問申し上げても前へ行かない。当局の答弁というものは、検討いたします。考慮いたします。前向きに善処しますと言って、いつ前に向いているのか、後ろに向いているのかわからぬような、そういう検討と考慮と配慮という言葉で逃げてしまうのですから、今度は長官、逃げないようにひとつ最大の実現方の努力を願いたい、こう思います。  次に、時間がございませんから申し上げますが、いま御承知のように、深刻な合板業界の実態、いろいろ社労委員会なりその他の委員会なり、また本委員会でも論議されてきたところであります。御承知のように、林野庁がよく知っておるのですが、木材産業基本問題調査会という、いまから二年ほど前に設置されて、いろいろ紆余曲折があっても、提言としてまとめられた文案があるわけですね。御承知だろうと思います。調査会の委員の名簿を見ると、日本で優秀な人が集まって提言をしておられるのですから、これをまじめに受けとめて、これを守っていくという姿勢が林野庁になければならぬ、こう思うのです。  時間がございませんから、二つの点でお尋ねをしたいのですが、合板事業について、いま危機状態の中で、私たちが特に重点的に取り上げておるところは雇用の問題であります。雇用の確保について、この提言の中にちゃんと書いてあるのです。これは長官、絶対間違いのないように守るということでこの提言をしているものと思うのですが、どう理解したらいいのですか。これはもう間違いない、実行するという判断に立って取り組んでおられるのかどうか、まずお聞かせ願いたい。
  81. 藍原義邦

    ○藍原政府委員 先生御指摘のように、合板業界は非常にいろいろむずかしい問題を抱えておりまして、ただいま団体法に基づきますカルテルも実施いたしておりますし、さらに、ただいま業界の中では設備調整をやろうという意欲も盛り上がってきております。そういう設備調整ということになりますと、先生御指摘がありましたように、確かに雇用の問題が非常に大きな問題になってまいります。私どもといたしましても、この雇用問題については非常に重要な問題であるということで、労働省とも十分連絡をとりながら、今後とも労使間において十分な誠意を持って対応ができるような指導をしてまいりたいというふうに考えておりますが、労使問題そのものでございますので、私どもが直接どうこうと言うわけにはまいりませんけれども、林野庁の行政指導という面から、関係方面には十分この辺を指導してまいりたいという考え方でおります。
  82. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 われわれは、政府のとっておる安易な姿勢というか、安易な考えというか、日本の今日の円高政策一つ見ても、どうも経済の見通し、日本の財政金融政策のあり方に疑問を持っておるところなんですが、この合板の問題についても、三カ年に十回も不況カルテルを結ぶ。どう考えても、常識的に考えて、三カ年の間に十回も不況カルテルを結ぶような、実施するようなことをしておいて、だんだん悪くなることがわかっておりながら、それでごまかしてきたというその姿勢、これはだれの責任か、こういう責任問題を言わざるを得ないのです。その点、三カ年に十回も不況カルテルをやって、その間何をしておったか。そのうち、そのうちという考えでとうとう日が暮れて、暗やみになって、どこから出ていこうか、いま真っ暗やみの中へ追い込んでしまった、こういうことになっておると思うのですが、その責任はどう感じておられるか。
  83. 藍原義邦

    ○藍原政府委員 合板につきましては、確かに先生御指摘のように、カルテルを何回もやってまいりました。その間、日本全体の経済のあり方、経済の状況等々に支配され、必ずしもカルテルをやりました結果が所期の目的を十分達したとわれわれも理解いたしておりません。しかし、本年度に入りましてからは、組合員ばかりでなく、アウトサイダーの規制ということも対応いたしまして、先般十一月からアウトサイダー規制をやり、三月まで実行することにいたしております。そういう関係で、従来に比べますと、単なる組合員だけのカルテルではなくて、アウトサイダーを含めた全体の生産調整という形で対応いたしておりますし、今回につきましては、十分その効果が出てくるんではなかろうかとわれわれは考えております。  先生御指摘の責任という問題でございますけれども、これは日本全体の経済の流れの中で非常に判断のしにくい問題もあっただろうと私は思いますし、業界挙げて現在その対応をしておるわけでございまして、今後はこういうことのないように、業界の方も十分その辺を検討し、踏まえていきたいというように考えておる次第でございます。
  84. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 そういう責任問題から物を考えてみても、この提言について、あくまでも雇用問題を避けて通るわけにいかないし、これを素直に受け入れて守っていく。それから、労使の合意というものが原則にならなければならぬ、これは確認事項としてわれわれは守っていくべきだろう、こう判断をしておるのですが、長官としては、たとえば設備廃棄の問題——いまの不況論の中で、国民の購買力が下がったということは政府はなるべく言わない。ただ、構造不況論、過当競争、過剰設備論、この三つの言葉でごまかしておる。このくらい無責任な言葉は私はないと思う。過当競争論にしても設備過剰論にしても、ぼくは企業がむやみやたらに勝手に見通しを立てて設備投資をしておるとは考えられない。やはり日本の政府が長期の経済の見通し、指標というものを出して、御承知のように、いま国の五十二年度の予算の編成の基軸になったものも中期経済計画であります。そういう国の長期計画なり中期計画なりという、第一次、第二次、第三次全国総合開発計画の基本にしておる経済の指標というものを国が示しておる。  この間、われわれは砂糖の法案を農林委員会でやった。砂糖の需要が下がりました、伸びませんと言うが、糖分の摂取量は伸びておるのです。いかさま砂糖としての需要は伸びないかもしれないけれども、糖分の摂取量は人口増で伸びておる。あれだけ外国から菓子を入れられたら砂糖の需要が伸びないのはあたりまえなんです。それと同じように、日本の林業政策そのものが長期の見通しもない。木材のそうした生産体制というものの見通しもない。そして、昭和九十年までの日本の林業の長期見通しでは、輸入については、補完的という言葉を当局は使ってきた。いま補完的は国内木材であって、ほとんど六五%、七〇%輸入するようなことをしておる。それから、日本のいまの合板の問題でも、設備過剰だなんだと言って企業にどろをかぶせておる。企業も無責任に労働者にどろをかぶせていこうとする。勝手にどんどん輸入しておいて、それで過当競争論だとか設備過剰論だとか構造不況論だとか、こんな無責任な言葉はないと私は思うのです。個人の木造住宅の見通しは、一番最初は百八十万から百九十万というものを政府が出したでしょう。途中で民需、官需含めて百三十万だ、百四十万だ、いや百五十万戸だろう。そういういいかげんな数字を示しておるから、合板の消費量、需要量というものがおよそどの程度だろう、こういうことになる。問題は、企業別に責任を持たせるのでなくして、政府の見通しの誤りから来ておるのです。  そういうことを考えたら、責任はだれにあるのか、企業にあるのか、労働者にあるのか、国民が持つべきなのか。われわれの立場から言えば、政府の経済の見通し、これの誤りからいまあらゆる産業の面で混乱を起こしておるのが実態じゃないでしょうか。そういう立場から、合板のこの危機的な深刻なこの業界の全体の中で、労働者だけが責任を持たなければならぬという理由もなし、企業が責任を全部かぶらなければならぬという理由もない。政府みずから責任を感じて財政措置や救済措置をとるべきじゃないか、こういう気がするのですが、政務次官と長官と二人のお答えを願いたい。
  85. 羽田孜

    ○羽田政府委員 ただいま先生、今日の合板業界の背景をるるお話しいただきまして、この責任論についてお話があったわけでございますけれども、ただ、これは責任論というのが非常にむずかしい問題でございまして、やはり需要の面におきましても、非常に多様化してきておるという面もあるわけでございます。  しかし、実際に合板業界というものは、非常にいま厳しい状態にあることは現実であるわけでございまして、私どもも十分この今日の事態に対応できるようにいろいろと措置をしてまいりたい、かように存じます。
  86. 藍原義邦

    ○藍原政府委員 いま政務次官からお答えございましたように、私どもといたしましても、合板業界が設備調整をするということで、いま鋭意検討を進めておりますし、こういう問題が具体的になりました段階においては、十分それに対応する私どもの体制なりあり方というものを考えながら、対応してまいりたいというふうに考えております。
  87. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 もう一言。長官、雇用問題は労働省の管轄ですから、林野庁は、不況カルテルを今日まで何回となくやって、どうもそれが芳しくない、これはもう責任を感じてもらわなければいかぬ。そしてまた、設備の改善対策をやる、これも理解できる。しかし、この雇用問題だけはひとつ別だということの考えでなしに、提言されたあの文章の中にも雇用問題は不可欠だという文章があるんですから、これは避けて通らないように、絶対責任を持ってやってもらうという、責任を持ってやりますと一言だけ答弁を願って、私の質問を終わりたいと思う。
  88. 藍原義邦

    ○藍原政府委員 先ほどもちょっと御説明申し上げましたけれども、労働省とも十分連絡をとりながら、そして労使間で十分意思の疎通がされますように、十分徹底して指導もしてまいりたいというふうに考えております。
  89. 金子岩三

  90. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 林業問題並びに財団法人日本動物愛護協会問題について、政府当局に質問をいたします。  昭和四十九年、法律第三十九号によって森林法等の抜本改正を行ったのであります。  さて、森林組合は、森林の保続培養と森林生産力の増進という公益的性格と、森林所有者の社会的、経済的地位の向上という協同組合的性格とをあわせ有し、その役割りが広範にわたっておることは御承知のとおりでございます。このため、今後その広範な役割りへの制度的対応を図るために、森林組合制度を森林法から分離独立せしめ、その根拠法として新たに森林組合法(仮称)を制定すべく、附則第二条の規定に基づき、単独法化について森林組合制度等検討会等において検討してきたところでありますが、次期第八十三回通常国会にぜひ政府は提案していただきたい、かように思うわけであります。よって、その提案の用意とどのような検討をしているのかについて、当委員会でまず明らかにしていただきたい。
  91. 藍原義邦

    ○藍原政府委員 ただいま先生お話しございましたように、森林組合制度につきましては、森林法等の一部改正の時点におきましての附則二条で「森林組合の組織及び機能について検討を加える」ということになっておりましたので、私どもといたしましては、昭和五十一年の六月に学識経験者等十八名から成ります委員会をつくりまして、今回まで約七回の検討をやってまいりました。そして、その検討結果は、大体本年中には結論を得るという形になっておりますので、そういう先生方の御検討を踏まえまして、次期国会には森林組合の単独法というものを出すべく現在検討を進めております。  その内容といたしましては、いまも先生ちょっとおっしゃいましたけれども、森林組合は公益的性格とそれから協同組合的性格、両方あわせて持っております。そういう広範な役割りに対します制度的な対応を図るために、森林法から特に分離——現在、森林法の中に包含されておりますけれども、これを分離独立させまして、新たに、仮称ではございますけれども、森林組合法というものをまず出したいということ。  その内容としては、まず共済事業の明文化でございます。  それから、監査士制度というものを森林組合の中に設けまして、森林組合の健全な事業運営というものに資するために適確な指導教育を行う監査士というものを設けてまいりたいというふうに考えております。  それから、森林の受託施業あるいは受託経営に対します事業の推進ということを考えております。これは最近の林業が非常に停滞いたしておりますので、こういう停滞がさらに今後進行することのないように、この停滞から脱却するためにも、森林組合によります計画的、集団的な森林の受託施業あるいは受託経営というものを一層推進してまいりたいという観点から、その員外者の利用制限を緩和するという観点から、この受託施業あるいは受託経営の事業の推進を考えたいと思っております。  それから、生産森林組合制度の改善でございますけれども、これは生産森林組合というのは性格上一つの事業体でございますので、これを森林組合と並列的に置くということは非常に不適当であるという観点から、これを森林組合の正組合員として位置づけていこうということでございます。  それから、そのほか、森林組合の合併助成法も延長してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  92. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 国民の生産所得を見ますと、水産と林業所得はほぼ同じである、こういうように私は認識しておりますが、当局はどのように分析しておられるかわかりませんけれども、私はこの単独法化に当たって、共済事業の明文化は当然でありますが、引き続き早い機会に、森林組合で信用事業が行えるような森林組合制度等検討会の検討を始めていただきたい、かように思うわけですが、これに対しては林野庁長官、どういうように御見解をお持ちであるか、明らかにしていただきたいと思う。
  93. 藍原義邦

    ○藍原政府委員 信用事業の問題につきましては、先ほど御説明申し上げました検討会の中でも検討いたしましたけれども、まだいろいろ検討を進めなければいけない重要な事項が多々残っております。     〔委員長退席、山崎(平)委員長代理着席〕 したがいまして、こういう問題につきまして、林野庁においてさらに各方面の御意見を聞きながら、今後鋭意検討し、詰めてまいりまして、今後それらの検討を詰めた段階でまたいろいろと御審議いただくということで、現段階では、信用事業につきましては、今後の問題として、林野庁で事務的にいろいろな関連する大きな重要な問題をさらに検討を詰めるることで対応することにいたしております。
  94. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 森林組合の合併助成法の延長問題ですが、いま長官からお考えがあるということが御答弁ございましたが、これは去る十一月二日、九段会館における第十七回全国森林組合大会においても、規模の零細な森林組合がなお少なくない実態にかんがみて、地域の実情に応じた合併を促進するため、五年間の延長をせよという強い要請があったわけでございます。いままで合併の進展を見ましても、組合数は、四十七年に比べ二百九組合が減少したにとどまり、五十年は二千百八十七組合となっておりますので、まだまだ合併促進の必要がある、かようにわれわれも思っております。この点についても、次期国会でぜひとも提案するように準備をお願いしたいと思うのですが、そのことについてさらにひとつ見解を承っておきたいと思う。
  95. 藍原義邦

    ○藍原政府委員 先ほどもちょっと触れましたけれども、森林組合の合併助成法につきましては、いま先生御指摘のように、森林組合を見ますと、規模が零細であったり、常勤役員がいなかったり、あるいは事業が実行されておらなかったり、まだ相当機能的に弱い組合が多うございます。したがいまして、こういうものを地域の実情に即しました森林組合にするために、合併をさらに進めていきたいということで、今後この合併助成法を一部改正いたしまして、さらに延長することを現在考えておりますし、そういう心づもりで対応いたしております。
  96. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 次に、林業従事者の労働力の問題で、私は問題を提起しながら、林野庁長官のお考えをお聞きしておきたい、こう思うわけでございます。  御承知のように、森林組合の作業班というのがあるわけですが、その作業班員は約六万人現在おるのでございます。ところが、その平均年齢がちょうど五十歳前後であるわけでございます。ちなみに、十年前を調べてみますと、四十歳前後でございました。十年前の四十歳のいわゆる作業班の皆さんが、そのまま十年後も同じような歩調で今日に来ておる。そうしますと、あと十年たったら、そのまま移行していきますれば六十歳になるということで、かなり老齢化してくることは明らかに数字となってあらわれておるわけでございます。  私は、今後山林に従事するこういった作業班の皆さん方の人手がなかったのでは、林野行政は大変な問題になる、かように思うわけです。農業もさることながら、林業も大変な時期に来ております。山は緑になるが、切る人がいない。すなわち、山は緑にして人手なし、こういうことになりかねないことを私は憂慮しております。たくさんいろいろ問題もありますけれども、私はこの問題をあえて指摘したのは、後で申し上げますすべての今後の林業推進に大きな影響をもたらすからでございます。  そこで、私は、何としても次期国会で森林組合の単独法化を図ると同時に、森林組合の合併も促進しながら、森林組合に力をつけさせ、森林組合中心に仕事が回転するようにすべきではないかと考えております。すなわち、森林組合の仕事の充実を図るべきである。そのためには、通年雇用等も真剣に考え、指導していくということが最も大事な問題の一つになってくる、かように思っておるわけでございます。毎年五千万立米切る森林組合が、組織的に伐採し、国産材の供給力を高めるようにしていかなければゆゆしい問題である。すなわち、若手を入れるための政策を考えなければならぬ。機械があっても木は出ないわけでございます。  そういった意味で、平均年齢五十歳、こういったことを考えたときに、作業班員のみならず、また林業に従事する労働者の皆さん方を思ったときに、これまたほっておけない実に重大な時期が来ている、深刻に考えるべきだ、こういうふうに思っておりますが、問題提起をしながら長官のお考えを聞き、次期国会は林業国会ということで、いまも答弁ありましたように、四本ぐらいの法案も出るやにわれわれは予測しておりますが、林業国会というふうに名づけるくらい林業推進に力を入れていきたいと思いますので、それに先立って、この問題も長官から見解をお聞きしておきたい、こういうふうに思うわけです。
  97. 藍原義邦

    ○藍原政府委員 森林組合の労務班が非常に高齢化してきておるということは、ただいま先生御指摘のとおりでございます。これにつきましては、私ども非常に憂慮しておるわけでございますが、特に最近非常に厳しい環境の中で林業あるいは森林行政を推進するに当たりましては、地域林業の中核的な担い手というのは、この森林組合の労務班であろうというふうにわれわれも理解いたしております。  そういう点で、今後こういう労務班をさらに育成強化するために従前からいろいろ対応いたしております。たとえば、林業労務の改善促進事業等を通じましてその育成強化を図っておるわけでございますけれども、特に五十三年度におきましては、林業労働者の福祉の向上ということを考えまして、若手の労働者が定着していただけるような目的を持ちまして、林業の就業労働に合致いたしました退職金の共済制度、こういうものを創設するべく現在予算を要求中でございます。  私どももこういうことを通じ、さらには従前からやっております制度を通じまして、今後、森林組合の労務班の育成強化を図ってまいりたいというふうに考えております。
  98. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 森林組合の労務班の育成強化には、長官も十分認識しておられるようでありますが、ぜひともひとつ強力な指導をしていただきたい、かように重ねてお願いをしておきます。  次に、外材の問題で、私はこれまた問題を提起しながら、長官のお考えをお聞きしておきたい。また、次期国会においてもこういった問題が大きな焦点になってまいりますので、お尋ねをしておく次第でございます。  御存じのように、昨年同期に比べまして、全般的に見ましても外材輸入量は二〇ないし四〇%増加しているというふうになっております。国内市況を考慮せずして、現在、木材商社等が勝手に外材を輸入しているということで、いわゆる国産材に対する圧迫というものがいま盛んに問題になっていることは御承知のとおりでございます。木材の低迷に対して、外材輸入によってこういった需給の悪化にますます拍車がかかっている、かようにわれわれは憂慮しておるわけでございますが、市場においてもなかなか国産材の落札が最近は余りないということで、各市場からもいろいろと厳しい要請等が出ております。  ちなみに申し上げますと、四十五年は約一億立米であったのが、四十八年一億二千万立米、その後だんだんに木材は停滞して、現在一億立米に横ばい状態になっているのは御承知のとおりだと思いますが、政府の長期需給見通し等によりますと、昭和五十六年は一億三千五百万立米の膨大な需要見通しを立てておられますけれども、先ほどから申し上げておりますように、木材の低迷によって大体一億立米で停滞をしているというのは否めない事実でございます。  こういった意味から、私は四十八年に策定された政府の長期見通しの再検討をすべきじゃないか。また、外材の抑制を真剣に考えなければならない。先ほどの十七回森林組合大会でもこれが提起されましたが、こういった問題について早く手を打たなければ、まさに外材の輸入過剰時代がやってくるということで、取り返しのつかないことになってくる、かように思うわけでございます。そういった点については十分林野庁長官も御検討をいただいたと思うが、どういう構想で臨まれるか、次期国会は林業国会にもならんとするわけでありますが、そういったことに対する対策の見通し等をお伺いしておきたいと思います。
  99. 羽田孜

    ○羽田政府委員 いま先生からお話がございましたように、確かに外材の輸入という問題につきましては、非常に大きな問題になっております。そして、四十八年に定めたこの長期見通しについて見直すようにというお話がございます。今日この問題につきましては、林野庁の方で鋭意検討中でございますので、このことを申し上げたいと思います。  なお、わが国の森林資源の現況を見ましたときに、やはり国民生活にどうしても不可欠な木材の需要というものにつきましては、今日しばらくの間はまだ国内資源というものを十分涵養しながらも、ある程度の量というものはやはり輸入していかなければならないというふうに考えております。しかしながら、外材の輸入に当たりましては、国内林産業の現状を踏まえ、需要に見合った秩序ある輸入が行われることが必要であるというふうに考えております。  さらに、昨今の木材需要の実態にかんがみまして、関係各省庁も加わって、協議会を通じて行政指導の強化に努めるとともに、長期的な観点に立って、国内林業、林産業の振興と外材輸入のあるべき姿について十分検討を進めてまいりたいというように考えております。
  100. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 政務次官から答弁がございましたが、現在この国産材というのは、売れ行きが悪いところへもってきて、なかなか将来に暗い影を投げかけておりますが、仮に伐期四十年として、一年平均五千四百万立米の素材が生産され、供給されるとした場合に、五千四百万立米は、国産材は現在三千五百万立米でございますので、約二千万立米ふえるというような計算が出てくるわけですけれども、これは現在の外材に匹敵するような数字でございます。わかりやすく申しますと、外材が六五%、国産材が三五%ぐらいのシェアになっておりますが、私はこれを何とか逆転させるような方向へ持っていかなければ、これは戦後植えた、いわゆる人工造林によって育成してまいりました林分がいよいよ主伐の時期に入ってくるわけです。  そこで、長期需給見通し等からずっと検討してまいりますと、国内供給量の不足分を輸入すると言っておりますけれども、実際は外材の輸入量で不足しているところを国産材で補っている、こういうことでありますが、私は外材輸入量が決まってから国内の供給量を決めるのじゃなくて、やはり国内供給量が主人公であって、これを先に決めて、そして外材輸入を決めるというような、逆転をするという方向に早く持っていかなければ、これはもう取り返しがつかないというふうに思うわけでございます。そういったためには、林道だとか労働力の対策だとか木材の価格、こういった政策の充実をしないと、いまのままでは国産材はますます出てこない、こういうことになりかねないということで、皆さんも十分御承知のことでございますけれども、そういった問題について真剣に取り組んでもらわなければ、いまのままいきますと、国産材というものがますます低迷していくということで、林業に対して大きな問題点を残すということになるわけでございます。  林野庁長官、その点についてはどういうふうにお考えであるか、重ねて御答弁いただきたい。
  101. 藍原義邦

    ○藍原政府委員 ただいま林業なり林産業の置かれております非常に厳しい状況、私どもも十分認識いたしております。したがいまして、ただいま先生御指摘のように、国内林業なり林産業をいかに充実強化するかということにはいろいろな問題があろうかと思います。さらには、われわれ林業に携わる者ばかりでなく、学識経験者の方々にもいろいろな御意見を伺う必要があろうということで、ただいま林野庁では、森林、林業の基本問題の検討会議というのを学識経験者によって構成していただきまして、いろいろな面から森林、林業のあり方について御意見をいただくことにいたしております。  そういう面を踏まえまして、基盤整備から、あるいは木材の需給価格の安定から、さらには公益的機能の発揮から、また地域林業の振興、それらもろもろのものを含めまして、基本的な問題を早急に検討いたしまして、それなりの対応できるものから順に対応してまいりたいというふうに考えております。
  102. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 さらに、この間伐材の問題でございますけれども、昭和五十年の林業白書によりますと、人工林九百十七万ヘクタールでございまして、戦前の造林地も合わせてこのような数字が出ております。毎年の造林の状況を見ますと、現在は民有林が十六万ヘクタール、国有林が四万ヘクタールで約二十万ヘクタールということで推移しておるようでありますが、私は四、五年を経ずしてやがて一千万ヘクタールの人工林ができる、こういうふうに見ておるわけです。日本の林業が最高の人工林面積を占めたのは戦時中、四百万ヘクタールでございました。すなわち、戦前の二倍半の人工林を持つに至ることは明白でございます。  そうしますと、私はこの間伐材というものは早く需要をふやすべきである、たびたび当委員会でも政府にこういった問題を提起して見解を承ってまいりましたけれども、建築材に使うということはもう当然ですが、従来の母屋角、たるきを使う政策を立てなければならぬということと同時に、戦後造林の主伐の時期がもうやってくる、いわゆる適正伐期齢級がやってくるわけでございます。そうしますと、今日の間伐材問題はあすの主伐材問題である、こういうことでもろにはね返ってくる。さっきも申し上げましたように、外材に押しまくられ、国産材はだんだん低迷してくる。そこへ持ってきて、もう一つは、大きな問題として、いわゆる間伐材の需要が今後増していかなかったならば、間伐材はおろか、もう主伐の時期がやってくるということで、まさに林業の大きな問題が重なってくるというふうに考えて憂慮いたしております。  時間が詰まっておりますので詳しくは申されませんけれども、そういったことについて、林野庁も十分な対策をとってもらいたいと思うのですが、これらのことについての考えはどういうふうに思っておられるか。次期国会でまたいろいろ検討するということにいたしたいが、それに先立って長官のお考えをあわせ承っておきたいと思います。
  103. 藍原義邦

    ○藍原政府委員 先生御指摘のように、間伐はやがて主伐の時期であるということで、確かに時期が参りますと主伐の時期が参りますし、もうそれも目に見えたころにやってくるわけでございまして、私どもも間伐の推進、さらにはこの利用開発ということには数年前から重点を置きましていろいろな施策を講じておる次第でございます。  特に本年度からは、この間伐材の利用促進あるいは技術開発という面からも、日本住宅木材技術センターというものを設けまして、そこで積極的な技術開発なり普及を図っていこうということを考えておりますし、従前からやってまいりました間伐林道あるいは間伐材の流通促進パイロット事業、さらには間伐材のモデル加工施設の設置、こういう面につきましても今後さらに積極的に進め、間伐材がいろいろな面から十分利用していただけ、それによりまして残った林分が優良林分になり、やがては有効な主伐ができるという体制に持っていけるような方途を十分検討しながら対応してまいりたいというふうに考えております。
  104. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 松くい虫の問題についていまからただしてまいりたい、かように思います。  まず、逐条審議をする前に、昭和五十二年度松くい虫特別防除の実行結果を見ますと、当初計画九万四百十ヘクタールに対し、実行面積が一回目八万六千九百七十七ヘクタール、二回目八万六千八百二十四ヘクタールで、九六%の実行となっております。したがって、不実行面積が一回目三千四百三十三ヘクタール、二回目三千五百八十六ヘクタールとなっているが、本年度の被害発生概況と不実行の主な理由について、まず明らかにしていただきたい。
  105. 藍原義邦

    ○藍原政府委員 ただいま先生御指摘になりましたように、本年度から特別防除を実施したわけでございますけれども、五月九日鹿児島県を皮切りに、七月二十日福島県で最終的な終了をいたしております。  その実施結果は、いま御指摘になりましたけれども、計画に対しまして、民有林では九六%、実行面積が約八万七千ヘクタール、それから林野庁の所管の国有林におきましては九四%、実行面積が六千五百ヘクタールでございますけれども、それだけのものを実行いたしております。  被害の発生状況でございますが、ただいまその後の枯損被害は、今年度の枯損状況は、現在各県で調査中でございますけれども、ことしは、先生御存じのように、特に西日本におきましては、夏がきわめて高温寡雨でございましたために、一般的に松枯れの被害の発生は非常に多いようでございます。そのために、薬剤防除の実施の松林と非実施の松林ではその発生状況に著しい差が出ておる、そういう効果の報告を概要は受けておりますけれども、細かい状況につきましては、現在、都道府県で取りまとめておりますので、年末までには林野庁に報告される予定になっております。
  106. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 いま長官から御答弁がございましたが、各県別の実行結果から見ますと、不実行の主なものは、茨城県が五百十五ヘクタール、静岡県四百二十六ヘクタール、和歌山県二百九十一ヘクタール、広島県千四百八十二ヘクタール、山口県四百九十五ヘクタール、これが大面積でございまして、次いで宮城県六十六ヘクタール、千葉県六十八ヘクタール、島根県五十六ヘクタール、徳島県六十九ヘクタールなど十四県に及んでおりますが、それぞれ実施できなかった理由はどうであったか、かいつまんでお答えをいただきたい。
  107. 藍原義邦

    ○藍原政府委員 それでは、数県につきまして、実施できなかった理由について御説明申し上げたいと思います。  まず、茨城県でございますけれども、ここではたとえば鉾田町あるいは大洋村、旭村等でございますけれども、一回目に散布しましたときに蚕に一部、軽い被害でございましたけれども、中毒症状が起こりまして、その後これは回復いたしましたけれども、そういう状況がございましたので、地元と話し合いをいたしまして、二回目は中止いたしております。それから、北浦村では、たばこに対して被害が出るといけないということで、一回目、二回目とも中止いたしております。また、水海道市では、鳥獣保護区特別保護地区を全面的にまくことを中止いたしております。  それから、静岡県でございますけれども、榛原町、御前崎町、浜岡町あるいは大東町、そのほか数町あるいは市がございますけれども、こういうところで、たばこに対します被害防止をするために二回目を全面中止いたしました。それから、焼津市、大井川町では、海産物の被害が出るといけないということで、一回目の一部を中止いたしております。それから、新居町、湖西市あるいは三ケ日町では、蜂群に対します被害防止のために一回目の一部を中止いたしておりますし、浜北市では、貴重な昆虫のハッチョウトンボというものがここにおるそうでございまして、これに対する被害防止のためにその生息地の周辺を除外いたしております。  それから、和歌山県でございますけれども、ここでは橋本市で、飲料水の水源地及び人家の周辺を一応散布の対象地から除外いたしました。それから、高野口町では、人家の周辺を除外いたしますと実施可能面積が非常に少なくなりますために、ここは全面的な中止をいたしました。それから、九度山町では、稚アユの養殖及び水源地の関係で、ここも全面中止をいたしております。  それから、広島県でございますけれども、ここは福山市及び神辺町で、一回目は自然保護団体等の反対がございましたので、この反対の方々と十分話し合いを行っておりますうちに防除適期を失いましたために、一回目は中止いたしました。二回目は、人家とか水源地等に対する被害発生を生じないように配慮するために、まく予定の区域を一部拡大いたしまして、中止いたしております。それから、安芸津町では、飲料水の水源地域につきまして一、二回目とも一部地域を中止いたしております。そのほか、蒲刈町、豊浜町、豊町等々におきましては、農業あるいは漁業への被害防止、あるいは水源地が近くにあるということで一部中止をしたものもございます。  それから、山口県におきましては、柳井市で、コイの養殖地に対する被害を防止するために、一部区域につきまして一、二回目とも中止いたしております。それから、秋穂町で、エビ養殖場に対します被害防止のために、一部区域につきまして一、二回目とも中止した地域がございます。  おおよそ以上でございます。
  108. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 そこで、被害を受けたものについてはどのような措置をとられたかということと、訴訟問題等が起きておれば、それについても御答弁いただきたい。
  109. 藍原義邦

    ○藍原政府委員 先ほど申し上げましたように、私ども、できるだけ、被害が発生するような危険性がある地域につきましては除外いたしまして、的確な対応をし、危被害対策をやりながら防除をしたわけでございますけれども、これは気象の関係等々があったのかとは思いますけれども、一部につきましては、防除に際して桑園あるいは葉たばこ等に微量の薬剤が飛散した例があったようであります。  これにつきましては、関係者の話し合いによりまして、見舞い金等をもって早期の解決を図っておりまして、現在のところ、この見舞い金でその被害に対しましての取り扱いについては対応いたしまして、その後国家賠償法上の責任を問われたような事例はございません。
  110. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 香川県でクルマエビが八十万匹死ぬという事件が起きて、養殖に大変な被害があったわけでございますが、聞くところによると、香川大学または県香川水産試験場に調査依頼中であるということも聞いておりますけれども、これについてはどういうふうな真相で、どういうふうになっているか、この機会にお害えいただきたい。
  111. 藍原義邦

    ○藍原政府委員 ただいま先生御指摘の香川県のクルマエビの被害でございますけれども、これは香川県の仁尾町というところで特別防除を実施いたしました日の翌日、クルマエビに異状が出たという届け出がございました。そこで、直ちに庁の職員と県の職員が現地に参りまして調査いたしましたが、被害の状況等について不明の点が案外多くございましたので、ただいま香川大学に調査をお願いいたしまして、調査をしている段階でございます。
  112. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 いままでいろいろ答弁を求めてまいりましたことで、調査中等のものについては、いずれまたこの結果わかり次第、資料提出を委員長からぜひお願いしたいと思います。よろしくお伝えください。
  113. 山崎平八郎

    ○山崎(平)委員長代理 それでは、調査の上、結果をお知らせします。
  114. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 そこで、今回の特別防除実行に当たりまして、今後五カ年間三百億に及ぶ駆除をするわけでございますので、今回は高温寡雨でもあったというようなことでもあったし、いろいろな問題があったわけですが、林野庁としても、本年度実施されて、実行に対するいろいろな反省あるいは教訓等があったろうと思います。こういったことについてかいつまんでこの席で発表いただき、将来のためにも十分な対策をとってもらわなければならないと思うので、その点について明らかにしていただきたい。
  115. 藍原義邦

    ○藍原政府委員 本年度から始めました特別防除につきましては、県、市町村並びに地元の方の非常な御理解によりまして、先ほど申し上げましたように、おおむね九〇%以上の実行率が上がったわけでございますけれども、やはりその中にも、先ほど申し上げましたような一部危被害があったのではなかろうかという点から、見舞い金を出すという事態も起こりました。そういう点、現在の時点で私どもが各都道府県から集約いたしました点を申し上げますと、こういう事業をやります場合には、市町村の体制整備、あるいは普及啓蒙といいますか、こういうものを徹底してやっていただく必要があろうと考えておりますし、こういう実行体制なり意欲の高い町村ほど円滑な実施ができておりますので、今後ともこの辺につきましては私ども十分指導してまいりたいと考えております。  それから、農業、漁業等への被害防止の観点から散布地域から除外した個所が、案外松くい虫によけいやられておるという実態がございます。そういう点で、こういうところの松くい虫防除に対しましては、今後どういう方途をとったらいいか、この辺については十分検討しなければいけない問題があるのではなかろうかと考えております。  それから、三番目に、ちょうど防除時期が雨期と重なるために、どうしても雨が降りますと空中散布もできませんので、予定が変更になるという事態が案外多うございました。そういう点、今後その辺の連絡を十分密にして適宜的確な、円滑な実施ができるようなことを考えなければいけないと思っております。  それから、非常に微気象と申しますか、山腹等をまくわけでございますので、風向きとか風力、こういうものと薬剤の適正な散布というもの、この辺の関係が非常に重要になるわけでございまして、今後こういう点、パイロットの判断を助けるようないろいろの措置というものを検討していく必要があるというふうに考えております。  それから、被害が非常に少ない初期段階の地域におきましては、まだ被害が少ないからということで、地元の方々の被害に対する認識が非常に低いというところがございます。しかしながら、こういうところもほうっておきますと激甚な被害になるわけでございまして、できるだけこういう方々に激甚地等の見学をしていただいて、松くい虫の今後の対応に対しての御協力を願うという意味からも、そういう方々に対するPRが今後とも非常に大事ではなかろうか。  以上、現時点でわれわれとして検討しなければいけないと思っております。
  116. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 次に、松くい虫の特別防除に対して林野庁が提出した参考資料の第十二として、九事例を出し、さらにその中で七事例がいろいろ問題となったわけでございますが、私も去る七月に記者会見をし、これらの問題については当委員会で明らかにするということを言明してまいりました経緯がございますので、これらの問題について各事例ごとにその問題点を浮き彫りにしながら、長官の見解を承っていきたいと思います。  まず、事例一でございますが、これは兵庫県赤穂市御崎の民有林でございますけれども、毎年違ったところを調査したものを挙げておるわけです。すなわち、標準地のとり方が移動しております。ここに問題があるから国民も大変疑惑を持ったわけでございます。大阪大学の植村振作助手も捏造、こういうふうに指摘をしておりますし、これについても国民の疑惑を解くために明らかにしてもらいたいと思う。  昭和四十九年の成立本数が六百六十五になっておりますけれども、実際は七百五十本、被害本数率も五・三%、また五十年が成立本数六百二十五に対して実際は八百八十五本で被害本数率は二・八%、こういうふうになっております。林野庁は同一個所とみなして、その松の林分がクロマツであったということでこういうことを見ておられるようでありますけれども、この標準地のとり方に大変問題があると思うのです。その点についてどういうふうに検討されたのか。捏造だと言われても当然だと思いますが、林野庁長官の見解をお聞きしたい。
  117. 藍原義邦

    ○藍原政府委員 冒頭、今回提出いたしました資料に誤りがございました点については、私どももきわめて遺憾でございまして、この点については十分おわびを申し上げたいと思います。  ただ、私どもといたしましては、この資料の間違いにつきましては、後ほど具体的に御説明いたしますけれども、連絡等のミス等々でございまして、捏造というような形で間違えたものではございませんので、その辺は十分御理解いただきたいということを冒頭申し上げておきたいと思います。  いま御指摘の事例でございますけれども、これは兵庫県で空中散布を実施いたしました四十八年、四十九年、五十年につきまして、標準地で被害の状況を調べようということで、まず四十八年に当該被害地につきまして標準地をとりまして、被害の状況、それから成立本数を調べたわけでございます。そこで、翌年になりまして、そこにやはり散布をしたわけでございますけれども、たまたま散布をした結果を見ますと、そこの被害の状況は、前年度にとりました個所が代表性に非常に乏しい。と申しますのは、やはり松くい虫の被害が一つの林分に毎年平等にうまく分布して発生すればいいわけでございますけれども、必ずしもそうもいかない。そうなりますと、標準地をとる場合に、前年度の標準地をそのままとりますと、全体の林分の代表性がきわめて乏しいということで場所を変えまして、同じような面積でございますけれども、やはり被害本数を調べたわけでございます。  五十年度につきましても、同じような形で場所を変えて被害本数をとったわけでございますが、これはすべて同じ林分の中で標準地調査というような形でとったわけでございまして、その林分全体の傾向を示す点については、私どもとしては間違いはないというふうに判断いたしております。  したがいまして、一番最初に調査いたしました林分の成立本数を基準にいたしまして、その後の被害状況あるいは成立本数というものを計算してこの表をつくり、提出したわけでございまして、場所を変えてとったということは、被害の状況の代表性があるところをその林分の中で選んでとったというところが、場所が変わったということでいろいろ御批判をいただいたわけでございますが、松くい虫の被害状況が本当に全林分にまんべんなく同じように出ればこういう問題はないわけでございますけれども、毎年毎年発生する状況がそれぞれの林分によって違いますので、その林分を全部調査するというわけにはなかなかまいりませんので、代表的な形でとる場合の標準地というもののあり方については、四十九年、五十年、こういう形で兵庫県では調査したものを私どもとしてはここに掲上したわけでございまして、そういう点で私どもの説明が不十分であったという点につきましては重々申しわけないと思いますけれども、そういう形で調査したことを御理解いただきたいと思います。
  118. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 その中で、林野庁の参考資料の注の3を見ますと、「昭和四十九年度から特別防除(航空防除)を実施。」と書いてありますけれども、これは明らかに昭和四十八年度からの実施であって、完全な間違いであると思うが、これは認めますね。
  119. 藍原義邦

    ○藍原政府委員 御指摘のとおり、間違いでございます。
  120. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 事例二についてお尋ねしますが、この事例二は、広島県宮島町の国有林で、県の数字と違っているということが言われているわけですが、この点明らかにしてください。
  121. 藍原義邦

    ○藍原政府委員 この事例二につきましては、県の資料と違っておるという御指摘を受けておりますけれども、私ども、広島県の林業試験場の研究報告の昭和五十年度における宮島における松くい虫予防事業に対する調査からこの資料を出したものでございまして、これと全く一致いたしております。
  122. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 事例三の山口県光市の民有林についてでございますが、四十七、四十八年度は〇・三一ヘクタール、四十九、五十年度は一ヘクタールの調査であり、これを比較してつくられているのはまことにおかしいわけでございます。これまた国民の疑惑を伴う問題であると同時に、被害本数は六十九本、一本となっておりますけれども、実態は七十本とゼロ本であります。この点、林野庁は誤りを認めるのか、また誤りの原因は何であるか、お答えいただきたい。
  123. 藍原義邦

    ○藍原政府委員 事例三につきましては、まず、これがいま先生御指摘のような〇・三一ヘクタールと一ヘクタールであるという御指摘でございます。  これは先ほど申し上げました事例一と同じように、山口県で四十八年度に空中散布を行いました松林を対象に被害本数の標準的なところを〇・三一ヘクタール選定いたしまして、成立本数なり被害本数を調査いたしました。そして、四十九年度におきましては、前年度調査いたしました〇・三一ヘクタールでは、先ほど申し上げましたように、被害の状況の代表性が非常に欠けておるという実態になりましたので、昭和四十九年度の被害状況を代表させることができますように、先ほど申し上げました四十七年、四十八年調査いたしました〇・三一ヘクタールを含めてこれを一ヘクタールについて伸ばしまして、成立本数なり被害本数を調べたわけでございます。そういう点で、四十七年と四十八年の調査の面積と、四十九年の調査面積が違っておりますけれども、代表性を持たせるという点でその辺苦労してこういう形で対応いたしまして、最終的には〇・三一ヘクタールにして計算したわけでございまして、これもやはり松くい虫によります被害の状況のあり方というものの把握の仕方がこの時点ではまだ非常にふなれであったために、こういう標準地のとり方をし、その説明を私どもが十分ここに書きませんでした点につきましては申しわけないというふうに思っておりますけれども、こういう形で調査したものでございます。  さらに、御指摘になりました本数の違いでございますが、これにつきましては、私どももなぜこの七十本と六十九本、零本と一本とを間違えたか、その原因というものは非常に把握しにくかったわけでございますけれども、これもごらんになればおわかりのように、故意にやったわけではございませんし、私ども主として県の資料を聞きまして資料をつくったわけでございますが、これは資料作成時における県との連絡の間のミスではなかろうかというふうにわれわれは考えております。
  124. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 そこで、これも明らかにしておかなければなりませんが、参考資料によると、山口県光市の民有林でアカマツ三十五年生であったわけですけれども、私も調査してみましたが、全体としてはアカマツということが言えるかもしれませんけれども、結果的には標準地はクロマツの二十年生であったということが明らかであると思うのです。すなわち、「アカマツ三十五年生」となっておるけれども、クロマツの二十年生というふうにこれは当然訂正すべきだと思うのですが、この点はそのとおりでよろしゅうございますか。
  125. 藍原義邦

    ○藍原政府委員 先生御指摘のとおりでございまして、やはり松林というのは、これはもともと全体ではアカマツ三十五年生、そういう形になっておるわけでございますが、たまたま調査した地域につきましては、クロマツの二十年生であるということで、われわれの説明の不十分でございます。
  126. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 事例五についてでございますが、この事例五が防府市桑山の民有林についての参考資料でございます。参考資料によると、「昭和四十九年度から特別防除(航空防除)を実施。」こういうふうになっておりますけれども、本事例は地上散布に係る事例であり、空中散布の事例でないということで、これこそ完全なミスであると思うが、これは林野庁は完全に認めるわけですね。
  127. 藍原義邦

    ○藍原政府委員 これはいま先生御指摘のとおり、完全な間違いで、私どもの不注意につきましては十分おわびを申し上げなければいけないと思っております。  なぜこのような間違いが生じたかということでございますけれども、五十一年度までは空中散布というものは正式な形ではやっておりませんで、やはり薬剤防除という形で全部対応し、その中で一部実験的に空中防除をやっておったわけでございまして、データをとる場合もすべて薬剤防除という形で処理しておりまして、その中から空中散布あるいは地上散布というように分けてやったわけでございまして、そのために薬剤防除という形で調査データをとりました中にこういうものが紛れ込んで誤りまして、これを空中散布と間違えて資料として提出した点、この点につきましては不注意のミスとはいいながら、きわめて大きなミスをいたしましたので、深くおわびを申し上げたいと思います。
  128. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 時間の制約があるものですから、事例の問題等を矢継ぎ早に一応お聞きして、あと総括的にいろいろお尋ねしたいと思いますが、事例六の福岡県の九大早良演習林についてでございますけれども、福岡県早良の国有林では空中散布はしていないということがはっきりしておりますし、二つ目には、九大早良演習林の成立本数が問題になっておりますけれども、約二万本と言われていますが、林野庁のその後の調査では、聞くところによると、樹高二十センチのものを二十カ所標準地調査を行ったというようなことも言われています。その結果はどういうふうになっているかということも含めて明らかにしてもらうと同時に、被害本数も四十七年度は二千百八十四本というのが正しいのであって、二千四百八十四本は間違いである、かようにわれわれは主張しておるわけですが、この点についてもひとつ明らかにしていただきたい。
  129. 藍原義邦

    ○藍原政府委員 事例の六につきましては、これは私どもの説明が不十分であったために「早良の国有林」というふうに書いたものが、林野庁所管の国有林であるというふうに御理解いただいたために間違いというふうに指摘されたというふうにわれわれ考えております。これは九大の演習林でございまして、九大の演習林も国有林の一種でございますので、一般的には国有林ということは間違いないかと思いますけれども、やはりもっと丁寧にこの辺は説明を書いておくべきであったというふうに考えております。  それから、御指摘の成立本数の問題でございますけれども、これは九大の演習林の報告によりますと、胸高直径六センチ以上のものについては、その成立本数が二万二千本余というふうになっております。そして、それに対しまして、プラスマイナス大体二千六百本というふうになっておりますけれども、私どもが出しましたこの資料は、福岡県が九大の早良の演習林の事務所に問い合わせて林野庁に報告したものでございます。また、林野庁が現地でプロットで調資した結果によりますと、胸高直径の六センチメートル未満のものを含めますと、松が約十九万木成立しているというふうに推計されておりまして、私どもといたしましては、この十九万九千木という四十七年成立本数は間違いない数字だろうというふうに考えております。
  130. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 この事例六の中でもう一点あるわけですが、参考資料掲載によると、「福岡県早良の国有林(アカマツ六十−七十年生)」こういうふうになっておりますが、これまたアカマツではなくて、クロマツの平均六十ないし七十年生である。これは完全なミスですね。お認めになりますか。
  131. 藍原義邦

    ○藍原政府委員 その前に、先ほど先生御指摘の中で一点私答弁を落としまして恐縮でございます。  四十七年の被害本数二千四百八十四本が二千百八十四本ではないかという御指摘がございました。これはそのとおりで、これも間違いでございます。  それから、いま御指摘のアカマツとクロマツの樹種の間違い、これは原本はクロマツと書いてございまして、私どもの転記をする場合のミスでございまして、これも私どもの事務的な、本当に初歩的なミスで申しわけないと思っております。
  132. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 事例七、佐賀県虹の松原国有林についてでありますが、私も現地へ行って調査をしてまいりました。四十九年、五十年の被害本数は半年分のものを載せておるわけでございます。これが大変な問題になっておりまして、時間の関係で詳しくは申しませんが、これまた四十九年も五十年も四月から十月で半年分掲載ということのようでありますが、年鑑を通じてやるべきものに、こういうふうに異質なものが入っていると私は思うわけです。これもまた林野庁に有利な解釈に結びつくということで問題になっておるわけでございまして、営林局に対する確認不足であり、調査不十分であると同時に、当局の怠慢この上なしと私は指摘したいのですが、この点についての御見解を承りたい。
  133. 藍原義邦

    ○藍原政府委員 事例七の先生の御指摘は、まさにそのとおりでございまして、熊本営林局では毎年十月末に空中散布を実施した松林の枯損状況について営林署から報告を受けておりまして、その後御存じのように、十月以降も一部枯れるわけでございまして、その数値につきまして修正をしておらなかったということ、そのために、林野庁が熊本営林局から報告を受けた時点では、まだその修正措置が営林局でなされていなかった。その後それを私どもとしては確認したわけでございまして、この辺、事務の連絡並びに事務処理の徹底を欠く点については、先生の御指摘のとおり非常に申しわけないと思っております。
  134. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 この事例七で参考資料の掲載を見ますと、これまたアカマツが実際はクロマツであったわけで、この点は林野庁も完全にその非を認められますね。
  135. 藍原義邦

    ○藍原政府委員 先生御指摘のとおりでございます。
  136. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 いままで指摘した中で事例六、事例七は、いずれもアカマツとなっているが、クロマツが正しいのであり、間違っております。藍原林野庁長官も完全に認めておられますが、また事例三もさきに指摘しましたように、アカマツは誤りで、クロマツが正しいということが確認されたわけであります。  そこで、誤りの原因は何かということは、いまいろいろ答弁ございましたが、全部がクロマツが正しいのにアカマツとしております。一つでもクロマツとアカマツが逆の事例でもあれば、ミスとも考えられますけれども、全部が同じくクロマツが正しいというふうになっておるわけでございます。  私は、この際あえてお聞きしておきますけれども、アカマツとクロマツでは松くい虫に対する抵抗性はどうか、長官は改めて国民の前に明らかにしていただきたいと思う。抵抗性はクロマツが強いことはもう当然でありますから、その点を含めて御答弁をいただきたい。
  137. 藍原義邦

    ○藍原政府委員 試験場等々で実験した結果によりますと、アカマツとクロマツとでは松くい虫に対する抵抗は差がないというふうに考えられております。
  138. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 次に、時間の関係がございますのでお伺いしておきますけれども、参考資料の二十一ページ(1)の「特別防除の効果」の表と、いままで藍原林野庁長官にお聞きしてまいりました事例、及び林野庁で約六百カ所の効果調査を実施しておられるわけでございますが、その三者の関連について、この機会に明らかにしておいていただきたいと思うのです。
  139. 藍原義邦

    ○藍原政府委員 先生ただいま御指摘の「特別防除の効果」の表、それから私どもが県から調査いたしまして提出いたしました事例、それからそのほかの六百カ所の効果、この三つの問題でございますけれども、第一の参考資料の「特別防除の効果」の表でございますけれども、これはその年に薬剤防除を実施することによりまして前年度に対しましてどのように変化するかを、前年度の被害程度別に取りまとめたものでございます。これは農林水産航空協会が独自で調査した資料を協会から提供を受けて取りまとめたものでございます。  それから、二番目の、参考資料のいま御指摘になりましたいろいろな事例でございますけれども、これは特別防除が毎年行われました地域につきまして、数年間継続して、その経年変化を把握するために、各県で過去においてやりましたものから同一個所でやったものを取り出しまして整理したものでございまして、各年の経年変化を見たものでございます。  それから、約六百事例という問題につきましては、これは薬剤防除を実施いたしました松林と実施しなかった松林の比較をするために、実施いたしました松林の被害状況の標準的なところを大体一市町村当たり一カ所選定いたしまして、そこの被害本数だとか成立本数というものを調査いたしまして、その付近で、これと大体似たようなところで薬剤散布をしなかった松林、こういうものを選びまして、そこの状況をとりまして、その比較をするために出した資料でございまして、それぞれその目的のためにとった調査でございまして、三種類の調査は、その方法なり目的によってそれぞれ異なっておるものでございます。
  140. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 松くい虫防除特別措置法の参考資料について、いま逐条的にいろいろと当局の見解をただしてきたわけでございますが、これまでの質問に対する林野庁長官の答弁で明らかになりましたように、松くい虫の被害松林に対し、林野庁は継続して同一標準地の調査を統一的に実施していなかったところに重大な一つの問題があった、こういうふうに指摘するわけでございます。だから、急いで県などに照会して資料を作成しておるわけであります。林野庁は怠慢のそしりを免れないと私は申し上げたい。五年間で三百億円に及ぶ重大な特別防除を、六百事例からえりにえって十二カ所選定し、その中から九事例を選び、国会に参考資料として提出したのに、その中の七事例に重大な誤謬があったわけでございます。その誤謬はすべて林野庁側に有利になっているということで、国民としても納得がいかない、また、われわれとしても納得がいかない。だから、国民は、故意によって行ったものである、また作為的な捏造である、こういうふうに言っているのも当然であります。  そこで、私は、さきに事例一でも指摘しましたように、林野庁が何と弁解しようが、標準地のとり方、調査方法について問題があったわけでございます。このことについて厳重に林野庁当局に猛省を促すとともに、今後どう対処するのか、反省を込めて答弁をいただきたい、かように存じます。
  141. 藍原義邦

    ○藍原政府委員 五十一年度までの空中散布につきましては、先生御指摘のとおり、統一的なあり方を都道府県にそれぞれ指示してやらなかったために、先生御指摘のように、いろいろと調査のあり方等について皆様方から御批判をいただくような結果になったわけでございまして、この点については、私ども深く反省いたしております。  したがいまして、正式に特別防除として五十二年度から航空防除をやることになりましたので、今後こういう事態が二度と発生しないように、林野庁におきましても、林野庁長官名で都道府県に調査のあり方等々についてしさいな指示をいたしまして、今後は的確な散布結果あるいは被害状況等が把握できるような調査をしてまいる所存でございます。
  142. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 政務次官にこの問題について御答弁を求めますが、松くい虫の特別防除に対する事例の書類等がきょうまた配付になりました。いまいろいろと質問してまいりましたが、本年最後の当委員会で、しかも相当いろいろな問題が詰まっている中で、重要な問題でありましたのでいま質疑をしてまいりましたが、本日いただきました林野庁側の資料に基づき、さらにいま指摘した問題等の会議録を見た上で、また次の機会にいろいろと見解をただしていきたい、私はこういうように思っておりますけれども、いずれにしても、特にこういった問題について数々のいろいろなミス、問題があったわけでございますが、たくさんの事例の中の九事例の中で七事例も間違いがあるということ、これに対して農林大臣も十分反省をしたが、同時に政務次官としても、これに対して今後対処していただくためにどうされるか、決意を承っておきたい。
  143. 羽田孜

    ○羽田政府委員 お答え申し上げます。  大切な法案を審議していただきます国会の資料といたしまして提出いたしました資料に、数値あるいは記載上のミスがあった、こういったことのために大変御迷惑をおかけしたわけでございます。このことにつきましては、まことに遺憾に存ずる次第でございます。もとよりこれは作為でやったものじゃないということはもう御理解いただけたと思いますけれども、今後こういったミスのないように細心な注意を払って資料等を提出するようにいたしてまいりたい、かように存じます。
  144. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 財団法人日本動物愛護協会にかかわる動物病院事業等にかかわる問題については、当委員会昭和五十年十一月五日の第一回質疑により問題を提起し、以来五回にわたってきょうまで政府の見解をただしてまいりました。その間、昭和五十年十二月四日から五日にかけて、過去二十年間も監査していなかった日本動物愛護協会に対して農林省当局は監査を行ったわけでありますが、それ以来二年一カ月を要した問題でございますけれども、このほどようやく十一月十九日に大場畜産局長を介して関係者の交換文書によって解決を見たわけでございます。  当委員会において、改めてこの点について大場畜産局長から経過を明らかにしていただきたい。
  145. 大場敏彦

    ○大場政府委員 御指摘になりました動物愛護協会と東京都の獣医師会との間で動物の診療事業をめぐっていろいろあつれきがあったわけでありますけれども、私ども、考え方といたしましては、これは基本的には当事者の話し合いによって自主的に解決すべき問題であるというふうに理解して、そういうような指導をしておりました。しかしながら、いろいろな経過がありまして、なかなか自主的な話し合いだけでは進まないという点もございましたので、農林省が当事者間の仲介を行うということで、いろいろ両者から意見を聴取する等の手続をとりまして、円満解決のための努力をしたわけであります。このたび両者の間で、畜産局長を仲介といたしました文書交換というような手続を経まして、大体次のようなラインで合意の成立を見たということでございます。  一つは、動物病院事業は当分の間休止する。そして、その再開については、動物愛護協会あるいは関係の地方獣医師会等、関係者間の合意に基づく成案を得て決定するというのが一点であります。  それから、第二点といたしましては、東京都の獣医師会は、従来動物病院を利用していた者の便宜を図るため、動物の治療には万全を期する。それと同時に、動物病院を退職いたしました獣医師等の再就職等については、必要な協力を行うというのであります。  それから、三点といたしまして、動物病院事業については、今後とも円満な解決を図るため、話し合いを進めるというようなことであります。  それで、私どもといたしましては、こうした関係者の合意ができたわけでございますから、この合意に基づきまして、今後その合意事項ができるだけ円満に進められるよう指導していきたい、かように思っております。
  146. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 財団法人日本動物愛護協会理事長から、「動物病院事業について」という文書が大場畜産局長あてに来ているわけです。畜産局も、畜B第二八二六号で十一月十二日に受け付けておられますが、いま局長からいろいろ答弁がございました中で、二項目の「動物病院事業の再開については、当協会、日本動物福祉協会、日本獣医師会、関係地方獣医師会及び監督官庁その他関係者間で動物愛護運動推進全般の広い視野よりその在り方を検討し、関係者の合意(全員の同意)に基づく成案を得た上決定することとする。」こうありますが、この「合意(全員の同意)」については、一人の反対者があっても合意には達しないと私は理解するが、この点はどうですか。
  147. 大場敏彦

    ○大場政府委員 「全員の同意」ということをわざわざ書いてあるわけでありますから、いま御指摘になりましたことというふうに私どもも理解しております。
  148. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 くどいようですけれども、獣医師会が反対であれば動物病院事業は今後できないということになる、こういうふうに理解していますが、その点もこの際念を入れてお伺いしておきます。
  149. 大場敏彦

    ○大場政府委員 いまお話しになりましたような内容で両者の合意ができ上がっているというふうに理解しております。
  150. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 ただいまの交換文書の中で、第三項に「その他当協会の今後の事業及び運営等については、上記の諸事項に伴い再検討を要することも多くなるので、別途理事会、評議員会等の議を経て今後実行に移すこととする。」こうあります。この第三項の中の「その他当協会の今後の事業及び運営等については、」というのは何を指しているか、明らかにしていただきたい。
  151. 大場敏彦

    ○大場政府委員 いま御指摘になりましたような趣旨が第三項に記載されているわけでありますけれども、その趣旨は、一項で動物病院事業を当分の間休止する、それから第二項で、ただいま御議論になりましたように、その再開については関係者間による合意を得る、全員の合意が必要である、こういった方針が決まったわけであります。そういう方針の決定に伴いまして、今後動物愛護協会の運営について再検討を行うことがいろいろ必要になってくるわけであります。たとえば、動物病院用地として取得しておりました新宿区大京町の土地の問題だとか、あるいは動物収容施設用地として取得した神奈川県厚木市の土地の利用方法の問題だとか、基本財産の確定の問題だとか、そういったこと等があるわけでありまして、これらは農林省が従来から早期に解決を図るよう指導してきた問題であります。そういうようなことに対しまして、協会として早急に農林省の指導方針に従って解決したい、こういった姿勢を示したものというふうに私どもは理解しております。
  152. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 財団法人日本動物愛護協会については、五十年十一月以来当局にも大変御苦労をいただき、ここに円満な解決を見たわけで、本員も喜びとするところでございます。  長い間協力をいただきまして、感謝を述べながら、私の質問を終わります。
  153. 山崎平八郎

    ○山崎(平)委員長代理 野村光雄君。
  154. 野村光雄

    野村委員 私は、ただいまから、去る十九日に発表になりました五十三年度生産調整配分表の問題を主体的に、限られたわずか十分でございますので、質問いたしたい項目約八、九点に及んでおりますから、最初に質問をいたしてまいります。  特に本配分に当たりましては、すでに前後四日間にわたりましてこの問題について集中審議が行われてまいりました。そういう中で、いろいろな異論がありながら発表なされました内容でございますし、あれだけ大きな論議を呼び、集中審議をしてきたこの生産調整というものが、発表になったらもうそれで仕方ないんだということでは決してございませんし、これから本会期が終わりまして、関係地方自治体並びに生産者団体、生産者、こういう方々から本配分に対していろいろな疑問なり質疑というものが私どもに出てまいります。その場合に、私たちが政府の考えを明確に知っておく必要がある、こういうことで質問をいたしますので、時間は制約されておりますけれども、一つ一つ正確な御答弁をいただきたいということを最初に要望いたしておきます。  まず、第一点は、転作目標面積の配分について、五十三年度、三十九万一千ヘクタールというこの配分に対しては、非常に大きな論議を呼んできたところでありますけれども、他府県は別として、北海道に対して八万八千八百二十ヘクタールという大幅な調整配分をなさいました根拠というものをまず具体的に示していただきたい。われわれの立場から見ますと、いままで他府県に類例のない生産調整に対して、政府の方針にまじめに協力をしてきた北海道が、すなわち正直者がばかを見た、こういうふうに思われてならないのでございますので、この点に対する根拠をこの際ひとつ明確にしていただきたい。  第二点は、昭和五十三年から五十五年産米までを原則として固定する、こういうことで、今回の配分に当たっては三カ年を固定するというふうな内容になっております。そこで、それでは五十六年度以降はどうなるのか、こういうことに農家は非常な不安を抱いております。私が何回か言っておりますとおり、農業経営というものは、三年や五年で方針がくるくる変わったんではたまったものではない、そういうことで、はっきりと責任ある御答弁をいただきたい。五十六年以降は今回の減反面積、数量よりもふえるのか減るのか、このままいくのか、三年後、すなわち五十六年以降、こういうものに対する見通しはどのようになっているのか。この見通しがないようでは私は大変だと思いますので、責任を持ってこの点を御答弁いただきたい。  第三点目、本配分というものを消化しない限り、いま地方自治体、農協団体が農民に対して、食管制度は責任を持てなくなるんだ、こういうふうに農民が非常に不安を抱いていくような言動が盛んに言われております。何かそういうおどかし文句というような立場で、本配分の消化というものに対してまさしく地方自治体、農協団体の役員が、私どものいる前で盛んに食管制度は責任を持てなくなるんだ、こういうことを配分の消化に当たって裏づけとして口に出している向きがありますけれども、こういうことを政府自身が、農協団体なり地方団体に裏づけとして言っているのじゃないか、こういう懸念がありますので、この点を確認をしておきたい。また同時に、このことにおいて食管制度というものが本当に責任が持てなくなると思っているのかどうか。思っているなら思っている、この点も明らかにしていただきたい。ないならないとはっきりしていただきたい。  第四点、これは先般来から論議されてまいりました大きな課題でありますけれども、もし本配分が満度に実施されました場合、向こう三カ年間の農家の生産量というものは全量責任を持って買い上げる、こういう確約ができるのかできないのか。この配分を満度に消化して減反政策に各都道府県が協力しても、生産の事前売り渡し申し込み限度数量以上にとれたものは一切責任を持たないのか。また、この配分に協力した場合には、天候その他によって過剰に生産された場合には責任を持つのか、この点をはっきりしていただきたい。  第五点、北海道のみが他府県に比較して全国の二三%、こういう大幅な生産調整配分をいたしました。一体農林省としては北海道農業の将来をどうしようとするのか。この点をただ無意味に——北海道だけが全道でこれほどの大幅な生産調整というものを配分した限りは、北海道農業の将来の位置づけというものについてどのような考えを持っていらっしゃるのか。この北海道農業の米作に対する将来の位置づけ、役割り、こういうものを農民の前にはっきりとしていただきたい。  次に第六番目、本配分表の最終決定に当たって自民党、すなわち与党の農林部会等に意見をお聞きになっていらっしゃると思います。新聞にも出ております。こういう発表に対して、事前に意見を聞くことがいい、悪いということを言っているんではない。その際、この配分表に対して農林部会というものが全面的にこれに賛成したのか異論があったのか、その際、数字に対して出し入れはされなかったのか、この点について確認をしておきたい。  第七点、農林省は配分のしっ放しということでなくて、たとえて言えば、北海道あたりでこの配分に当たっていろいろな論議がなされた場合に、配分をしたのは政府でありますから、必要に応じて北海道の地方自治体なり、また農協、生産者の団体、こういう方々とさらにひざを交えて、本配分の根拠、将来の北海道の米作に対する展望、方針、こういうものを関係者と話し合う必要があるのじゃないか。配分さえすればおまえの方でやれ、こうはいかないと私は思う。そのときに要請があれば、当然ひざを交えて関係団体と話し合う必要があると思う。しかも、北海道は全国の二三%も割り当てしたんだから、これぐらいのことはあたりまえだと私は思う。その場合に、要請されても話し合う考えはないのかあるのか、この点を明確にしていただきたい。  八番目、農林省が去る十八日、自民党農林部会に示した新農業生産の地域分担試案というものによって、北海道の水稲は六十年に十七万二千ヘクタールと、五十二年作付実績に比べますと一二・二%も減反をする、こういう全国一の減少が提示されたようでありますけれども、この提示いたしました具体的内容をこの際明らかにしていただきたい。  以上、八点を質問いたします。
  155. 堀川春彦

    ○堀川政府委員 お答えを申し上げます。  北海道に対しまして、先生のお話しのような面積の配分をしたわけでございます。その根拠につきましては、一昨日ときょうの午前中にも御説明しましたように、全国共通の要素といたしまして七つの要素を挙げまして、それぞれの要素に五%から三〇%の、項目別に違いますが、ウエートを付しまして、これで計算をしましたものを基本といたし、さらに激変緩和という趣旨で一定の頭打ち調整を行った。この意味は、前年の目標面積に対しまして非常に多くの伸びをするというような県が出てまいった場合に、それは一定の倍率で頭打ち調整をいたしまして、そうして、その分はまた全体に割り振り直す、こういうことを基本にしてやったわけでございまして、その結果、北海道につきまして八万八千八百二十ヘクタールという五十三年度の転作目標面積が出てまいったわけでございます。北海道につきましての根拠というのは、そういうことに相なるわけでございます。  その結果、北海道につきましては、従来とも転作率が全国一高いというようなことで、転作に御協力をいただいております。そのようなことも十分念頭に置きまして、いまのような配分要素の考え方でやってまいった、その結果といたしまして、前年度の目標に対する増加率は、高知県に次いで低い一・四倍ということに相なっておるわけで、これは全国平均では二倍でございます。都府県平均では二・三倍でございます。これを大きく下回っていることになりますし、また全体の目標面積に占める北海道の目標面積シェアも、先生のおっしゃっておられるとおり、五十二年の場合には約三分の一でございますが、これが約二三%ということでシェアとしては大幅に下がるということに相なったわけでございます。  そこで、県別に配分いたしました数量は、原則として五十五年まで三年間固定をするという考え方でございますが、では、五十六年以降はどうなるかということは、その時点の需給事情、それから、この三年間におきます水田利用再編対策の実施の推移、こういうことを頭に置いて検討しなければなりませんので、この段階でふえるのか減るのかということを断言するわけにはまいらないわけでございます。
  156. 野村光雄

    野村委員 答弁申ですけれども、私の質問は第一点、第二点ときちっと区切って質問していますから、答弁も第一点の質問に対してと、こうやってもらわないと、ずらずら何を答えているのかさっぱりわからなくなってしまう。はっきりしてください。
  157. 堀川春彦

    ○堀川政府委員 第二点の問題ですが、これは五十五年までの水田利用再編対策の実施の推移、これを十分検討し、かつ、その時点における需給事情を十分踏まえまして再検討した上、転作の目標面積はその時点で決定すべきものだというふうに考えておるわけでございます。  それから、第三番目でございますが、私どもは、確かにこの百七十万トン、三十九万一千ヘクタールの調整ということは、農家の方々にとりましても大変きついことであるということは十分承知をしておるわけでございますが、食管制度を堅持するためには、この水田利用再編対策による生産の転換ということをぜひともやっていただかなくてはならないという認識に立っておりまして、そういう意味では、食管制度堅持のための基礎的な前提条件であるというふうに考え、その旨は都道府県や農業団体の方々等にも従来も申してまいりましたし、今後もそういう考え方で臨むというつもりでおります。  それから、第四点、第五点は飛ばしまして、第六点でございますが、これにつきましては、お配りをしてあります「昭和五十三年度転作等目標面積及び昭和五十三年産米事前売渡申込限度数量の配分について」というところに述べられております配分に当たっての考え方は、十八日の日に自民党の総合農政調査会並びに農林部会にこのままの形で御説明申し上げました。  数字の点でございますが、転作等目標面積三十九万一千ヘクタール、それから事前売渡申込限度数量の八百三十万トン、並びにこの数字を三年間「原則として固定する」と書いてございます。これにつきましては、数字でございますから、三十九万一千ヘクタールなり八百三十万トンというものはその際に申し上げたわけでございますが、これ以外の県別の数字等については一切申し上げておりません。その際、総合農政調査会なり農林部会に御出席をされておる自民党の国会の先生方のお話といたしましては、個々の数字にわたっては、県別のいろいろの関係もあろうから、一切口出しはしない、適正な、あるいは公平な配分を農林省に期待しようということで締めくくられたわけでございまして、県別の転作目標面積あるいは限度数量、こういうものについての数字にわたった論議は一切ございませんでした。  それから、次は、七番目の点でございますが、配分のしっ放しでなしに、その後地方自治体なり農協、生産団体といろいろと配分についての再度の話し合いをする考えはあるかという点についてでございますが、これは私ども配分に当たってはこういう考え方でやりましたということを、この配分決定後におけるブロック会議で県当局には十分御説明してあるわけでありますし、一たん配分しましたものを、この際、県別の配分面積なり数量につきまして話し合いをして動かすという考え方は持っておらないわけでございます。ただしかし、配分につきまして、従来からもいろいろと農業団体なり農家の方なりが御要請なりいろいろ来られたことはございますので、私どもこれから先、農家や自治体の方々が来られればもちろんお話は承りますが、配分を変えるという考え方は持っておりません。  それから、八番の点は、後刻、別途、担当局長からお答えをいたします。
  158. 大河原太一郎

    ○大河原政府委員 御質問の第四点についてお答え申し上げます。  御案内のとおり、昭和四十六年から予約限度制を導入いたしまして、転作と表裏させたわけでございますが、その場合、転作が一〇〇%達成した場合においても、発生いたしました予約限度超過米については政府買い入れは行わず、自主流通ルートでの集荷、販売により全量処理されてきたことは御案内のとおりでございます。したがって、来年以降につきましても、この方式によって処理し得るものと考えておりますが、ただ、この場合、御質問の転作目標を速成してなおかつ豊作等により発生した予約限度超過米については、転作目標の達成を奨励する見地に立ちまして、特に円滑な流通を図るための適切な措置を講ずる考えでございます。
  159. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 第五点の、北海道農業の将来の展望あるいは位置づけ等についてどのように考えるかということでございますが、私どもは、北海道農業はわが国の食糧の主要な供給基地として、将来一層重要な役割りを担っていくものだというふうに思っております。寒冷な気象条件に置かれています。さらにまた土地資源が内地に比べましてはるかに豊富であるというような特色を生かしまして、生産性の高い酪農だとか畑作というものを中心とした農業経営を発展させていくべきであるというように思うわけでございます。畜産につきましては、大規模な草地開発やあるいは既耕地での飼料作物の増産に支えられた大家畜酪農、あるいは肉牛もかなり将来性があると思いますので、それらを伸ばしていきたいと思いますし、畑作物につきましては、合理的な輪作体系という中で、麦なり大豆なりあるいはてん菜等を現在以上に伸ばしていく必要がある、このように考えております。水稲につきましては、現在の需給状況から見ますと、北海道におきましては、水稲の北限地帯でもあるし、生産の不安定性は内地の稲作に比べましてかなり不安定度が高い、あるいは品質につきましても、内地米に比べて有利性はないというような点からいたしますと、作付面積は減少していくべきではないか、かように思っております。  そこで、第八番目にお尋ねのございました地域分担について、ただいま申し上げました稲作部分のことと重複する面もございますけれども、これは前回の当委員会においてお答えいたしましたように、六十年の長期見通しを各地域別にブレークダウンしたものでございますが、稲作につきましては、まず四十ぐらいの指標を使って各地域ごとに、十三地域に配分をしたということをお答えいたしておりますが、農業依存度に関連する指標を十二ばかり、それから水稲作の生産性に関連する指標を十三、それから稲作その他の特化度を示す関連指標を十一ばかり、圃場条件に関連する指標を五つほど、約四十の指標を使いまして計測をして配分をしたということでございます。  その結果、御指摘がございましたように、北海道におきましては、水稲の作付面積が、五十年の基準年が十八万六千ヘクタールが六十年には十七万二千ヘクタールで、九二・五%ということで五十年よりは減になっております。五十二年に比べますと、五十二年は作付面積が十九万六千と、五十年よりもふえておりますために、減少の程度が八七・八%、かような数字になっておるわけでございます。
  160. 野村光雄

    野村委員 最後に、確認だけして終わります。  いまの御答弁の中で一つだけ確認しておきますが、五十六年以降の生産調整は、そのときになってみなければさっぱり見通しはつかない、かいもく見当がついていないのだ、さしあたりここ三年間だけやったのだ、どうなるか農家はわかりませんよ、こういうことですね。  それから第二点、食管制度はどこまでも前提条件が含まれているのだ、地方自治体なり農協団体が農民に対して個々に割り当てるときに、先ほど言ったように、これがおどかし文句に盛んに使われております。これは単なる地方自治体とか農協団体の役員が言っているのではなくて、悪い言葉で言うと、おどかし的文句で農林省自身が脅迫的にこれを押しつけようとしているのだ、こういうふうにとられてもやむを得ないと思いますが、そういうふうに理解してよろしいですね。
  161. 堀川春彦

    ○堀川政府委員 私どもといたしましては、この三年間の水田利用再編対策が的確に実施されれば、その次に来る水田利用再編対策の第二期の要調整数量なり調整面積は減ることを期待するわけでございますが、しかし、これはいまからそういうことを断言できる性質のものでございませんので、何としてもこの第一期の転作計画を一〇〇%成功に導かなければならないという考えでございます。  それから、第二点の問題は、これは大臣も当委員会、それから別のところでも申しておりますが、決しておどかしという意味で申し上げているわけではございませんで、事実に対する認識という形で申し上げているわけでございます。これは生産者団体あるいは知事会等に対してもそういうことを申し上げておるわけですが、需給均衡をこの方策によって達成できなければ食管制度の堅持がなかなかむずかしくなる、こういう事実の認識を明確に述べているわけでございます。
  162. 野村光雄

    野村委員 以上で終わります。
  163. 山崎平八郎

    ○山崎(平)委員長代理 神田厚君。
  164. 神田厚

    ○神田委員 私は、新しい生産調整の問題につきまして、御当局に御質問を申し上げたいと思うのであります。  先ほど来から、各委員の方からいろいろと問題が提起されておりました。十九日に三十九万一千ヘクタールの新しい都道府県別の転作の目標が発表されまして、各地ではこれに対して、非常に厳しい配分の内容だ、こういうふうな形でいろいろと苦慮している状況があるわけでありますが、私はまず最初に、先ほども問題になっておりましたが、転作等の目標面積の配分の要素、これは七つほどの要素をとっておられるわけでありますけれども、この前の委員会で発表されました要素よりなお詳しい要素のものがあるやに聞いておりまして、その目標面積の配分要素についてひとつお知らせをいただきたいと思うのでありますが、いかがでございますか。     〔山崎(平)委員長代理退席、委員長着席〕
  165. 堀川春彦

    ○堀川政府委員 先ほど来御説明しておりますような要素につきましてウエートを付しまして、これを県別に配分をし、かつまた前年に対する目標面積の伸びが非常に大きいところについては若干の調整をやり、これをさらに全体に割り振るという形でやっておるわけでございまして、それ以上詳細な要素はないわけでございます。
  166. 神田厚

    ○神田委員 それでは、たとえば地域指標をもとにして求めた六十年の転作面積の要素はどの程度であるのか、自主流通米比率の要素はどの程度であるのか、特定作物への特化度の要素はどの程度であるのか、排水条件の要素はどの程度であるのか、水稲被害率の要素はどの程度であるのか、市街化区域等面積の要素はどの程度であるのか、圃場の整備状況の要素はどの程度であるのか、この点についてお伺いいたします。
  167. 堀川春彦

    ○堀川政府委員 やや詳しく申し上げますと、地域指標をもとにして求めましたのは、六十年の地域指標における転作面積の要素を三割ということであります。それから、二番目には、自主流通米の関係でございますが、これは自主流通米比率をとりまして、この関係では二割でございます。それから、三番目には、特定作物の特化度の要素でございますが、これにつきましては一割五分でございます。それから、排水条件でございますが、これは乾田率と申してもよろしいかと思いますが、地下水七十センチ以下の水田の割合で、これが一割でございます。それから、市街化区域等面積の要素を線引き関係との整合性においてとりました。これは市街化区域内並びに用途地域内の水田面積のシェアでございますが、これについて一割でございます。それから、圃場の整備状況の要素でございますが、これにつきましては、圃場整備等について義務転作というようなことをやってきた経過もございまして、その状況を五%のウエートでやっております。それから、水稲被害率でございますが、これは統計情報部から出ております過去の県別の被害率の全国被害率に対する割合、こういうものを要素にとりまして、これに一割配分をいたしております。
  168. 神田厚

    ○神田委員 いま配分要素についてお答えをいただいたわけでございますけれども、こういうものを全部一律に出していくということは非常に問題があると私は思うのであります。たとえば、水稲被害が非常に少ない県、あるいは市街化区域等の面積の要素が非常に少ない県、いろいろあるわけですね。そういうものを全部百分率で割りまして、それを付与していくという形は大変問題があるのではないかということをまず一つ考えるわけであります。  さらに、この問題については、要素の配分において考慮されるものといたしまして、極端な変動の緩和、それから公平の確保のための所要の微調整を行ったと言っておりますけれども、極端な変動の緩和というのはどういうものについてどの程度行ったのであるか、あるいは公平の確保のための所要の微調整というのはどの程度の限度において微調整がなされたのか、こういう点についてはどうでございますか。
  169. 堀川春彦

    ○堀川政府委員 まず、頭打ち調整でございますが、これは前年の目標面積に対しまして、原則として三倍を超えるところは三倍で頭打ちをする。ただし、自力開田のあるところはこれも組み入れるということを考えなければなりませんが、その際には、三倍ということではなかなか問題がございますので、二・五倍で頭打ちします。それに自力開田を加えたものをもって頭打ちをするという形にしまして、そこで、いわゆるかんながかけられたというところで出てまいったもの、これは全体の配分要素につけられました最低の配分ウエートでございますところの五%を下回るようにということで考えておるわけでございまして、それほど大きな数量のものではございません。
  170. 神田厚

    ○神田委員 そうしますと、この微調整というのは五%以下というようなことでございますか。
  171. 堀川春彦

    ○堀川政府委員 いま申しました頭打ち調整をやりましたものはそれ以下、全体に対しましてそれ以下でございます。
  172. 神田厚

    ○神田委員 こういう形で出されました問題につきましては、いろいろと大変農林省で御苦心をなさって出されたのだろうと思うのであります。そのことは大変な作業であったろうと思うのでありますけれども、やはり私はこの配分の要素というものが一番、数字が出てきた以上は、それのその基礎になっているものが何であるかということを明らかにしていかなければ、それは本当に納得をさせるものになっていかない、こういうふうに考えるのでありますが、この中で、こういう問題につきましては、いつ各都道府県に対しまして説明を行いましたですか。
  173. 堀川春彦

    ○堀川政府委員 今週の月曜、火曜の両日にわたりまして、ブロック別に会議を開きまして、そして、そこに県の担当部長等担当官の出席を求めて、先ほど申したような配分の考え方について御説明をしてあるわけでございます。
  174. 神田厚

    ○神田委員 その席上で、各都道府県におきましては、農林省のこういう配分につきまして、全く異議なしで実行しますというような意見が大勢でありましたか、いかがですか。
  175. 堀川春彦

    ○堀川政府委員 各ブロック別に状況が違いますが、大変きつい配分であるということにつきましては、いずれの各県も共通をしておったように存じます。私どもも、どこかが非常にきつくて、どこかが非常に楽だというような声であるようでは困ると思っていたわけでございまして、大変きつい配分であるということについては各県とも共通であったというふうに認識をしておるわけでございます。  なお、今後の進め方につきましては、これから配分作業に各県別に入っていくわけでありまして、そのやり方等は、各県々が地域の実情に合ったような形でやっていただくということに相なっておりますので、その過程でいろいろと農業団体の県内配分についての御意見等、市町村はもちろんのことでございますが、意向を聞きながらやっていくというのは、これまた共通の御意見であったというふうに拝聴しておるわけでございます。
  176. 神田厚

    ○神田委員 大変、農政局を通じて御説明をなされた中でも、いろいろと意見があったやに聞いております。  さらに、細かい問題について多少お伺いしたいのでありますが、この転作等の目標面積の配分のいわば基本となっておりますのが六十年見通しである、こういうふうに答弁されております。その中で、私はちょっと見ておったのでありますけれども、この数値の中に、いわゆる六十年におきましては二万一千ヘクタール残されておるはずの陸稲の部分が全然入っていない、この辺のものはどういうふうにお考えになっているのですか。
  177. 堀川春彦

    ○堀川政府委員 これは陸稲は陸モチが主体でございまして陸稲については転作対象にしておりませんので、この要素は配慮する必要はないということになると思います。
  178. 神田厚

    ○神田委員 陸稲はモチだといいますけれども、現実につくられているのはモチだけではないのですね。私は、二万一千ヘクタールというものも、やはり全体の数値の中に入れた形で問題にしていかなければいけない。この数値を見落としているということは、極端な言い方をすれば、基本的にこの全体的な数値全部を計算し直さなければいけない、そういうふうに思いませんか。
  179. 堀川春彦

    ○堀川政府委員 転作の対象には取り上げておらないわけでございます。
  180. 神田厚

    ○神田委員 現実に陸稲でつくられているのは、普通の米がつくられているのですね。そういうのが多いのです。ですから、それは、そうすると、陸稲の部分というのはそのまま全部残されるのですか、それとも全部モチ米か何かつくらせるという形にするのですか、このままの形に残るのですか。
  181. 堀川春彦

    ○堀川政府委員 これはモチといえども米でございますから、需給計画上は算定されますが、転作の対象には取り上げてやっておらないわけでございます。そういうことで御理解をいただきたいと思うわけです。
  182. 神田厚

    ○神田委員 ちょっと釈然としませんけれども、時間の関係で次へ移っていきますが、次に、地域指標というものを非常に大きく見ておりますね、三〇%の地域指標というのを見ておる。そして、この地域指標のとり方が非常にやはり問題になっているのです。  昭和四十五年にも農林省は地域指標をつくりましたね。その中で、いわゆる減反の一つの資料としてその地域指標を利用した。そのときの地域指標は、今度の十三ブロックではなくて、あと一つ多くなって十四ブロックくらいになっておりましたですね。このような形で、しかし、そのときつくられた地域指標というのは、いまは全然これはもうないものになってしまっている。農林省の考え方としては、このときつくられた地域指標がどうして現在受け継がれることができなくなってしまったのか、こういうような問題についてはどういうふうにお考えになりますか。
  183. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 前回の地域分担指標は、四十三年につくりました五十二年を目標年次とするものでございます。今回つくりましたのは、五十年に政府決定いたしました六十年の長期見通し、これを十三農業地域に配分をして地域指標を定めたということでございます。したがいまして、前回のものはすでに終わっておりますし、新しい長期目標ができたわけでございますから、それに基づく長期の地域指標をつくるのが妥当である、また、それを用いるのが妥当である、こういうふうに考えます。
  184. 神田厚

    ○神田委員 なぜ、この四十三年につくられて、さらに、その減反の政策の中で減反配分の非常に大きな役割りをした地域目標というものが、その変更をせざるを得なかったのか、こういう理由が一つですね。  それから、そういうことを考えていくと、今度また地域指標を目標にして、三〇%も地域指標によって割り当てをしているけれども、果たしてこのままの形の地域指標で大丈夫なのかどうかという見通しですね。  この二つはいかがですか。
  185. 堀川春彦

    ○堀川政府委員 これは過去の地域分担をつくりましたときも、転作を考えます場合に、その要素をかなりの程度算入をして県間の配分を決めた経過がございます。私ども、この時点で六十年の生産の長期見通しに即しまして長期的な農業施策の方向づけをしておる以上、十三ブロックでございますが、地域に分けてその分担関係を明らかにする必要があるということで出されました地域分担指標を、先ほど申したようなこともございますので、とにかく三割ぐらいは算入する必要があるというふうに考えたわけでございます。  なおまた、そういうものであれば、これを四割なり五割なり六割なりというようなウエートをもってやるべきであるというような御議論もあり得るかも存じませんが、これは五十三年から五十五年までの第一期三年間の計画でございますのと、地域分担は六十年時点を目標にしてつくられておる、そのものとの間に時間的なずれもございます。また、現実問題として、そういった高いウエートを付するという形になって出てまいりましたものは、形として相当現実性に乏しい姿が出てくる。その二つの要素を考えまして、地域分担の指標のウエートを三割にしたわけでございます。
  186. 神田厚

    ○神田委員 三割の地域目標はわかるのですが、四十五年の減反のときにも地域目標を多くとって失敗している。減反しながら、結局また米がふえてしまったという状況があるわけですね。今度もまた三〇%ですけれども、地域目標によって転作をやって、果たしてこれが成功するかどうか、この辺のところを非常に心配しているわけであります。  ですから、私は、こういう七つの要素が適正であるかどうかという事前の問題がわれわれの間には一切伏せられておりまして、農林省だけで七つの要素をつくって、それを転作目標配分の要素にしたというところに問題があるのではないかというように考えるわけであります。いろいろな各県の事情や何かによりまして、すべてをオープンにできないけれども、どういうものを転作目標の配分の要素にするのかという問題については、ある程度オープンにして論議をすべきではないか。また、それにどの程度のパーセンテージをかけていくかという問題もあわせて論議をしていかなければならない、こういうふうに考えるわけでありますけれども、農林省は一応こういう独自の一〇〇%の七つの要素をつくってまいりました。それによってなされたわけでありますけれども、それでは具体的に、今度は地域目標が非常に大事なものになってきておりますけれども、地域指標を一律に三〇%にとりまして、これを転作目標面積の配分の最大の要素にした根拠はどういうことでございますか。
  187. 堀川春彦

    ○堀川政府委員 地域指標、地域分担を早く出してほしいということは、農業団体からのかねてからの強い要望もございまして、また当委員会でもしばしば御論議のあったところでございます。できたら県別にもというようなお話もあったわけでございますが、私ども鋭意作業を詰めてまいった結果、この配分の直前になってやっとまとまったということでございます。  これのウエートのつけ方等につきましては、他の上項目のウエートのつけ方等とも当然に相関、関連をしてくる問題でございまして、このウエートをふやせば他のウエートがその分だけ減る、逆はまた逆でございまして、そういうことにつきまして、各県等の御意見を具体的に拝聴するということになってまいりますと、これは正直申しまして、どこでもできるだけお米をつくり続けたいという気持ちが各県共通に強いわけでございますので、この点は一つ一つウエートのつけ方について御相談というわけにはいたしかねる事情があったということを御了察いただきたいと思います。  私どもといたしましては、結果としてあのようなウエートで算定をして出てまいりました、大筋はそれで決まったわけでありますが、配分というものは、いろいろ御批判もございましょうが、きつさの程度ということにおいて実質的にバランスはとられておると思っておりますので、これしかなかったのではないかというふうに思っておる次第でございます。
  188. 神田厚

    ○神田委員 地域指標というのは、十三ブロック別に出されているわけであります。そして、転作目標の配分というのは各都道府県別に出されているわけであります。そうしますと、十三ブロックに分けて地域指標が出されている、それを各都道府県にその三〇%一律に転作の目標配分の要素にしていくということは多少問題があるというふうに考えるのですが、その辺はいかがですか。
  189. 堀川春彦

    ○堀川政府委員 これはブロック会議の折に各県に対しても御説明をしておるわけでございますが、十三地域、北海道は一ブロックになっておりますから問題はございませんが、それ以外の内地のブロックにつきましては、県別のこの三割のウエートを付しております地域分担指標によります割りつけということは、各県のブロック内におきます水田の潜在生産面積というものがありますので、それのシェアでブロック全体のものを割っておる、こういう形にしておるわけでございます。したがって、その辺の事情は、潜在生産面積割りということにブロック内ではなるわけでございます。
  190. 神田厚

    ○神田委員 なかなか議論がかみ合いませんけれども、地域指標の問題につきましては、農林大臣も言つておるようでありますけれども、府県別の地域指標というものを一緒に示していかなければ、これを配分の要素とした理由というか、そういうものの正当性というものもなかなか納得できないのじゃないか。すなわち、府県別にも地域指標が出されまして、ブロック別にも出されまして、ですから、こういう表の形で要素をとりましたよ、こういうことでないと、なかなか一般の農民は納得していかないのじゃないか、こういうふうに思うわけであります。しかし、この問題だけやっているわけにまいりませんから、次に参ります。  次に、特定作物への特化度の要素というものを一五%とつておりますね。そうしますと、これはこれからどういうふうな形でこの特定作物へいわゆる水田の利用を導入していくのか。つまり、畑作物の問題なども含めましてこれをどういうふうに考えているのか。さらには、そういうような形でいきますと、共済制度も非常に大事なものになつてまいりますから、それらとの関連をどういうふうに考えているのか。いま農林省がお考えになっている非常に少ない品目では、なかなか転作誘導することができない、こういうふうに考えるわけですが、その辺のところはどういうふうにお考えですか。
  191. 堀川春彦

    ○堀川政府委員 特定作物五品目のうち、麦につきましては共済制度もかなり体系が整備されておる。それ以外に大豆あるいはビートといったものにつきましてはまだ試験実施の段階でございまして、これを本格実施するよう法律改正の準備をしておるということでございますが、共済制度のそういった充実のほか、先生の御指摘のとおり、これらにつきましては価格制度の運用等とも相まちまして、できるだけ圃場条件の整備を進めていく、こういう努力も進めながら、大いに転作を期待しておる作目でございますので、われわれとしては技術の指導、圃場条件の整備、その他各般の施策の総合的な展開によって、可能な限り水田からこれら特定重点作目に転換を急いでいただくということを進めてまいりたいと思います。
  192. 神田厚

    ○神田委員 そうしますと、具体的に野菜、いろいろな野菜がありますね。こういうものについてはどの程度のものをこれから先、転作された場合の価格保証をも含めて、考えておられるか。  それから、施設園芸、これらの問題についてはどういうふうに考えておられますか。
  193. 堀川春彦

    ○堀川政府委員 施設園芸につきましては、現在、共済制度の試験実施をやっておるわけでございますが、本格実施の際、これは本格的なものに取り上げられることになろうというふうに思うわけでございます。  それから、野菜につきましては、共済の対象という形ではなかなかむずかしい点がございますので、これにつきましては価格の安定措置としての安定基金の充実、あの制度の充実によりまして、たとえば保証基準の価格を上げるとか、あるいは補てん率を引き上げる、こういったことを予算上の措置として現在検討しておるわけでございまして、そういう対応によって価格の安定を図っていくということが一つでございます。  ただ、転作の分野では、野菜につきましてはもうすでにかなりの転作が進んでおり、定着性を持ったものもかなり多いというふうに見られる現状でございますが、余り多くつくられ過ぎますと、これは日もちの悪いものでもございますし、貯蔵性も少のうございますので、価格の暴落というようなことが起こりやすいわけでございますから、先ほど申しましたような安定基金制度の拡充はやりますけれども、そう過大な面積をこれに期待するのは無理であろうというふうに思いますので、特に野菜につきまして、各県の転作指導においては、その点を十分配慮してやるようにということは指導しておるわけでございます。  今後ともそういう態度で臨んでまいりたいと思います。
  194. 神田厚

    ○神田委員 地域指標やあるいはいろいろなこういう特定作物への問題、こういうことで、やはり各十三ブロックのうち、それぞれ産地としての特徴を持っているわけですね、そういうものについての転作に対するきちんとした誘導、そういうものがなされなければ、私はこの問題は失敗していくというふうに考えるわけであります。ですから、そういう点について十分配慮をして指導をしていただきたい、こういうふうに思うわけであります。  同時に、今度、県から市町村に配分がなされるわけでありますけれども、これらについては、農林省といたしましては、農政局等の会議において、都道府県にどういうふうな配分の指導をするのか、あるいは指導したのか。都道府県が各市町村にどういうふうに配分をするように指導したのか、この点はいかがですか。
  195. 堀川春彦

    ○堀川政府委員 これはブロック会議等において私どもの申し上げておりますのは、この配分をいたしました県別の面積の各市町村別配分に当たりましては、十分市町村ごとの農業の動向あるいは農業経営の動向、そういった地域の特性、実態に即して都道府県知事さんにおいて適切な配分を、しかも、できるだけ急いでやってほしいということを申し上げておるわけでございまして、この点については、これまでもそうでございますが、今後も同じような態度で臨んでまいりたいと思っております。
  196. 神田厚

    ○神田委員 そうしますと、国が県に示したような配分の要素というのはないわけですね。都道府県が市町村に対して配分をする場合には、この要素を参考にするというわけにはいきませんですね。その辺はいかがですか。
  197. 堀川春彦

    ○堀川政府委員 この県別にお示しした基礎になる配分要素というものを御参考にするということは、大いにあり縛ることでございます。しかし、どういうふうに参考にせよというような指示はいたしておらないわけでございます。あくまでも県の独自の立場におきまして、これをどのように参考にするか、あるいはとっていくかということは、実は県にお任せした方が、地域地域の実情により合った市町村間の配分が可能であろうというふうに思って、その辺は差し控えておるわけでございます。
  198. 神田厚

    ○神田委員 差し控えているという言葉は非常にいい言葉ですけれども、やはりそれは差し控えるのではなくて、こういうふうなものだということで、確固とした一つの方針でもって協議をしながら適正に指導をしていただくというのが本来の姿ではないかと思うわけであります。集落ぐるみの計画転作や農協の管理転作、こういうことでやられていくようでありますけれども、いろいろな問題が出てくると思いますね。それで、たとえば転作についての営農指導の問題、これはどういうふうに考えていますか。これだけの転作をするのですから、やはり当然その営農を指導する指導員の問題、それから指導の仕方あるいは予算の問題、こういうものも現実に出てくると思うのですが、この辺はいかがでありますか。
  199. 堀川春彦

    ○堀川政府委員 この転作にかかわります技術指導、経営指導に携わります改良普及員あるいは専門技術員等の営農指導の問題は非常に重要でございまして、私ども、特に転作作目にかかわる技術なり経営問題についての知識の不足あるいは体験の不足ということを補うための研修の強化ということを考えて、資質の向上を図る一方、特別な濃密指導を行う必要があるというふうに考えまして、このためには、一般普及事業の全組織を挙げて対応すべきものでございますが、そのほかに特別の濃密指導のための指導事業というものに対しての助成を考えておるわけでございます。  また、これと並行いたしまして、私ども、転作作目について、昔はつくっていましたけれども昨今は非常に面積が少なくなってきておる、技術者も不足であるというようなこともいろいろと耳にいたしますので、国といたしましてこういった転作作目につきまして、特に重点的な特定作目についてはもちろんでございますが、技術の指針となるべきものを全国版でつくって、すでに県には御配付をしてあるわけでございます。これを参考にいたしまして、各県々で独自のその県内の地域事情を考え、かつまた県で取り上げられる可能性のある転作作目についてのより詳しい技術的な指導指針というものをつくっていただいて、これを関係の普及組織なりあるいは農協の営農指導員なり市町村の御当局なり、こういうところへ流しまして、転作の技術面、営農面での指導の徹底を図る、こういうことを考えて、目下取り組みつつあるところでございます。  こういった問題については、今後とも、一年、二年の話じゃございませんので、私どもも十分力を入れて取り組んでまいりたいと思っております。
  200. 神田厚

    ○神田委員 やはり転作をするにはそれなりの体制、誘導するきちんとした姿勢がなければできないわけですから、ひとつそういうことは一生懸命にやっていただきたい、こういうふうにお願いをいたします。  生産調整に協力した場合、先ほど来から話がありましたが、米は全量を買い上げるべきである。生産調整をしてなお米が余ってしまったらこれは買い上げませんよというのでは、農家に対する説得力がなくなると思うのであります。ですから、今度の生産調整を一〇〇%やった場合には全量を買い上げるということをひとつ明言できませんか、いかがですか。
  201. 大河原太一郎

    ○大河原政府委員 しばしば大臣からお答え申し上げておりますように、御質問の点につきましては、御案内のとおり、昭和四十六年に生産調整を実施いたしまして、それとともに予約限度制を導入いたしました。その以後、生産調整が一〇〇%達成いたしましてもなお予約限度超過米が発生いたしましたが、これらにつきましては全量、自主流通ルートによって集荷いたしまして、配給計画の中に組み入れまして、全量消化されてきております。  私どもといたしましては、明年以降も基本的にはこれによって処理し得るものというふうに考えておりますが、ただ御質問のように、一〇〇%達成した、しかも豊作であったというようなことで、これをどうだというお話につきましては、転作の推進を図るために、これらについては特に円滑な流通につきまして特段の措置を考えていきたいというふうに考えておりまして、従来しばしば申し上げておる考えのとおりでございます。
  202. 神田厚

    ○神田委員 一生懸命生産調整はしろ、でき上がって余ったものは自主流通米にしろということでは、なかなか農民に対する説得力もないし、食管制度そのものもだんだんと崩れていってしまう、こういうふうな危険性といいますか、憂慮をするわけであります。今度の生産調整というのは、一体食管制度を守るためにやるのか、それともなし崩しのためにやるのか、この辺のところを、それを推進していく農林省当局がきちんと、食管制度を守る、堅持する方向でやるのだという方針を持つならば、生産調整によって一〇〇%それを達成したならば、その米は全量買い上げるというぐらいの姿勢をやはり示していただかないといけないのではないかと思うのですが、政務次官、いかがですか。
  203. 羽田孜

    ○羽田政府委員 この問題につきましても、先ほど来しばしば皆様から御質問があるわけでございますけれども、先ほど来長官からお答え申し上げておりますように、超過米が出た場合には今日までも全量買い上げということはやっておりません。しかし、自主流通ルートに乗せることによりまして、これは全量販売されておるわけでございます。  今度の場合には相当大きな調整をお願いするわけでございまして、いわゆる超過米が出る量はそれほど大きいものではないというふうに考えます。いずれにしましても、そのためにいろいろな措置というものは私どもも考えてまいりたいというふうに考えます。
  204. 神田厚

    ○神田委員 自主流通米にすればそれで事が済むということでは、やはり非常に問題があるのですね。自主流通米そのものにも、何年かやってきましてやはり大変問題が明らかになってきました。この問題は、機会がありましたらまた質問させていただきます。  それで、米価の問題、来年のことですが、これもいろいろお聞きしたいのであります。ほかの委員の方からもいろいろとこの米価の問題についても話がされると思いますが、米価はだんだんと抑えていってしまう、そして、いわゆる農家の作物に対する価格保証がうまくいっていない、こういうことになってきますと、農業そのものが非常にじり貧になってしまうということを私は非常に心配しているのであります。  来年度の米価については、いま政務次官はどういうふうにお考えになっておりますか。
  205. 大河原太一郎

    ○大河原政府委員 お答え申し上げます。  ただいまの御質問につきましては、先般も大臣がお答え申し上げましたとおり、明年度については全く白紙でございます。申すまでもなく、食管法の三条二項に基づきます算定という線によって決定すべきものと考えておりますが、現在のところ具体的な方針は何ら検討しておりません。
  206. 神田厚

    ○神田委員 生産調整はやらせる、それからなかなかむずかしいものに転作はさせる、そういう中で、今度は米価については上げないというのでは、本当に踏んだりけったりでありますから、ひとつその辺のところは十分——これからの景気は、もっと積極的な財政をいまとろうとしているわけです。それに合わせて、農家経済についてもそういう姿勢をひとつとっていただきたい。御要望をしておきたいと思います。  最後に、三全総との関係でちょっと質問をさせていただきたいと思うのであります。  第三次全国総合開発計画、これが十一月四日に閣議決定されました。この中で農業の部分を見ますと、いま論議になっております転作の問題の位置づけが明確でない。ほとんど出てない。それから、都市近郊農業の位置づけが、農林省の考え方と違って、やはり都市近郊農業は守っていくべきであるというような方向が一つ出されている。さらに、五十年に農地面積が六十年見通しで出ておりますけれども、この国土庁の三全総においては、六十五年の農地の面積は五百九十二万ヘクタール、こういうふうになっている。  こういう問題については、農林省は十分にこれを国土庁との間で調整をされて問題を出しているのかどうか、六十五年の五百九十二万ヘクタールという数字を出してきたということにはどういう根拠があるのか、この三点をお伺いいたしまして、質問を終わらせていただきます。
  207. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 まず、転作推進について触れてないではないかという点につきましては、ここに持っておりますけれども、本文の五十五ページの上の方から数行目のところに、食糧の総合的な自給力を上げ、国内の供給力を高めていくということのためには、飼料作物なり麦なり大豆に重点を置いた農業生産の増強を図る必要があるとともに、それから二、三行置きまして、「更に、過剰基調にある米の生産調整を図るとともに、」というふうなくだりがございます。転作という言葉は直接使っておりませんけれども、生産調整を大いにやらなければいかぬ、しかも他に供給力の強化を図るべき作物が麦以下あるというところから、考え方としては、転作を進めるという趣旨でそのような記述になっておるわけであります。  それから、次に、近郊農業につきまして、これを守っていくのだというような記述との関係でございますけれども、この本文には、守るというような言葉はもちろんございません。先生すでによく御承知のとおりでございますけれども、関東とか東山、東海、近畿及び中国地方、これはいわゆる市街化区域ということではなしに、そういう都市に比較的近接した大きな地域におきましては、生鮮食料品を中心として食糧の供給基地として整備を進めるということで、具体的には野菜とか果実、中小家畜等の生産の振興を図るというような考え方が述べられておりますので、今回転作を奨励いたします際に具体的に農林省がやろうとしておる措置も、この線に沿っておるものというふうに考えております。  それから、第三点の、六十年の五百八十五万ヘクタールの農地面積でございますが、これは農林省で検討して五十年に出しました六十年長期見通しと全く同じ目標数字になっておるわけでございます。六十五年につきましては五百九十二万ヘクタールということで、年次を五年延ばして、その間の傾向を先に延ばして算定をしておるわけでございます。
  208. 神田厚

    ○神田委員 終わります。
  209. 金子岩三

  210. 津川武一

    津川委員 最近、野菜の値下がり、ブルドーザーで野菜を砕く、ミカンもカキも余りよくない、こういう中で、まことに困っておるものの一つにリンゴがございます。九年前にリンゴが売れなくなって、山や川に捨てて山川相場が成り立った、これは私たちはまだ忘れていません。それで、農民は懸命に品種更新に乗り出し、リンゴ産業の振興にがんばりました。政府も県もこの農民に援助してくれました。政府も県も農民の品種更新に、土地基盤整備に、土壌改良に、薬剤散布のスピードスプレヤーの普及拡大に、そしてまた、その防除の組織を確立する上に、矮化栽培、腐乱病対策、黒星病対策、冷蔵庫や選果場の建設にかなりの援助もしたし、農民農業団体もその面でがんばりました。おかげでどうやらリンゴ産業は、生産面でかなり立ち直ってきたのでございます。  この点を踏まえて、政府は、農林省は、五十二年十一月の「農業生産の地域指標の試案」の中で、リンゴを次のように位置づけております。今後の見通しとして、リンゴ及び晩柑類の生食需要は伸びが見込まれる、ミカン等の果汁の需要も伸びが見込まれる。これがリンゴに対する見通しです。そして、リンゴは地域別に今後の増産が期待される。東北は相対的に高い伸びが見込まれる、こうもリンゴを考えております。  そして、栽培技術については、「りんごについては、東北、東山等を中心に、スピードスプレヤーによる防除を中核とした生産組織化が進展するとみられ、また今後矮化栽培及び無袋栽培が徐々にではあるが増加し、省力化が進展する」、十アール当たりの反収は、リンゴについては矮化栽培の普及、品種を更新した木の収量回復によって増加する、このように政府が位置づけたのはこの十一月でございます。本当に御苦労さまです。よかったと思います。リンゴ生産農民も、農協も、私も、政府も、県も喜んでおります。この点はよかったと思います。  ところが、このリンゴ、最近、採算を割って値下がりしております。採算を割って値下がりしたから、売れればいいのですが、それがなかなか売れない、こういう状態でございます。幸いおととい、きのう、きょうと三百円ばかり値上がりしておりますが、まだこれでも採算割れで、農協も、移出商も、農民も出荷する気持ちになっておりません。例年であれば、リンゴ栽培の端っこの方であるたとえば青森県西津軽郡の鯵ケ沢町では、スターキングをリンゴ商人が箱を持って買いに来る。ところが、今度、売れない、値下がりしたために、箱を持って商人が買いに来る行為がとまる、農民がリンゴをもぎ取る、仕方ないから手元にあった箱に入れる、箱が足りない、野積みになる、スターキングはやわらかくなって売れない、農家はこんなリンゴに見切りをつけて出かせぎに出ていく、こんな状態であります。これは一番ひどいところ。リンゴの中心地でも、スターは一部は売れたが、一部は農協と商人に委託、値段を決めておりません。値段を決めないままに商人と農協に委託して、一部は自分たちの手に持っておる。箱が動かない、荷が動かないから入れる倉庫もない、こんな状態を呈しております。  この原因についてはいろいろあるでしょう。いまの不況が第一、天候がよくてリンゴの鮮度が落ちたとか、生産額がふえた、外国農産物が輸入されてくる、こういう状態でございます。私は、この困っておる農民の何人かとも会ってみました、農協にも行ってみました、りんご協会にも行ってみました、銀行にも行ってみました、県にも行ってみました。そうしたら、みんなが言うのは、構造不況だとか円高で苦しむのはだれか、一番弱い農民にしわ寄せさせているのがいまの政府ではないか、この弱い農民に、何らかの形で政府が乗り出して援助することが必要なんじゃないのか、これが農民の、農協の心からの切実な要求であります。この九年間順調に伸びてきて、いまここに追い込まれたこのときに、政府が何らかの手を差し伸べてくれるのじゃないのか、こういう期待でいっぱいになっております。  この状況をどう見て、これにどのように指導、援助をなさるのか、まず聞かせていただきます。
  211. 堀川春彦

    ○堀川政府委員 最近リンゴの価格がどう推移しているかということにつきましては、十月中は、先生も御承知のとおり、おおむね順調に推移してきたわけでございますが、十一月に入りまして、上旬、中旬は長野、山形等の早出し物がまだ相当残っておりまして、それを中心に——昨今の収穫期の天候が余りよくございませんでした。したがって、果肉がその影響を受けましてやわらかくなっておる、日もちが悪いという状況がございます。一口に言えば、品質不良というような状況が見られるわけでございます。一方、消費面におきまして、ことしは気候が変調子でございまして、高温の続くような日もかなりございました。そういう影響もあって末端の売れ行きが悪い。それからまた、消費者の消費態度におきましても、いわゆる財布のひもがかたいと申しますか、そういう状況が見られるわけでございまして、十一月に入りましてから、十月の推移と比べましてかなり価格が低落してまいりました。ただ、去年に比べればかなり値下がりということになるわけでございますが、その前の状況を見てみますと、どうやら去年を通り越した前の価格推移に近いような感じもいたすわけでございます。  私ども、全体としまして、ことしのリンゴの生産は、前年に対しては反収も高いし、ある程度伸びるという見通しを、八月時点での生産収穫見通しでも持っておるわけでございます。しかし、全体として、基調としての過剰だというふうには考えておりませんで、先ほど先生御指摘の地域分担にも書いてございますような認識で、今後生産もいろいろなことを考えながら伸ばしていかなければならぬというふうにも思っており、かつ特に加工向けの需要が増大すると考えられますので、その点には特に配意してまいる必要があると思っておるわけでございます。  当面のこの価格対策につきましては、私どもすでに十一月二十二日に、主要都市の小売の代表の方々に集まっていただきまして、販売不振の要因等についていろいろとお話を承り、先ほど述べたようなことがいろいろと響いておるのではないかということをキャッチしたわけでございます。  これはミカンについても言えることでございますが、ミカンが卸価格でキロ九十円を割るというような状況が昨今見られまして、これについては計画出荷を呼びかけまして、出荷の方法を、いろいろございますけれども調整をした関係か、また百二十円程度に戻ったというようなことがございます。短期の出荷調整がかなり価格に響くということもございます。  いままでの推移で、リンゴが生産費を割り込んでおる状況だと私ども見ておりませんが、できるだけ有利な販売体制をとりまして価格が安定的に推移するという形で持っていきたい、こういう基本的な考え方のもとに、きょうから三日間、これからの出回りの主力になります青森に担当係官も派遣をいたしまして、その辺の今後の産地事情も把握をいたし、現場では加工需要に相当当て込むというお考えもあるようでございますから、それらの点も十分拝聴いたしまして、今後の出荷の計画をできるだけ図って、価格の安定を図ることが当面の急務ではないかというふうに考えておるわけでございます。  それからなお、先生御指摘の中にもいろいろございました点に触れるわけですが、産地におきます貯蔵施設の整備増強ということも非常に重要でございますので、この点につきましてはリンゴの主産地でございます青森県におきましても私どもいろいろの施策を展開してまいりまして、大規模果樹生産流通基地整備事業の中で貯蔵施設、貯蔵庫の整備についても進めてまいり、本年も計画があるわけでございます。今後におきましても、新たに産地におきます低温貯蔵庫の整備等については新たな観点から検討し直しまして、予算の中でも工夫をこらしておるところでございまして、こういったことのほか、加工向けの果実の価格安定を図るための御案内の制度があるわけでございますが、これについても保証基準価格の引き上げ、補てん率の引き上げ、こういうことを検討して取り組んでおるわけでございます。  なお、リンゴの消費拡大ということもございますので、これにつきましてはできるだけ果汁の消費宣伝にも取り組んで、果汁形態での消費を伸ばすことも、自然の成り行きに放置しないでやってまいるという姿勢でおるわけでございます。
  212. 津川武一

    津川委員 政府もいろいろ苦労されているところを言われると、私も身につまされる。どうしたらよいのかという具体案がないので困っているのですが、しかし、あるのです。今度、ミカンを一割カットしたらミカンが上がった。ミカンが上がったら、リンゴがこの二日で三百円上がったのですよ。すごいのです。政府のわずかの手の引っ張り方がこんなかっこうになるわけです。ここのところを私は、リンゴのためにもミカンのためにも、価格安定のためによかったと思います。この間も市場に行ってみました。ここの質問をする前に市場に電話したのです。私は、そこの議員のために地域を言いませんが、あるところのリンゴがやわらかくなって売れなくて、まずくて、これがリンゴの流通も価格をも困らしている、消費をも邪魔している。これに対して加工は、おかげさまで一〇〇%のジュースは非常によく売れています。非常に人気がいいのです。したがって、二十一日にはりんご対策協議会が、二十二日はりんご協会が、そして十二月五日には単協の組合長会議が、いろいろそういう点で現地もまた苦労してやっております。  そこで、政府がミカンに対してちょっと手を加えたら、三百円上がって、売れてきている。上がっただけではなく売れている。きのう私は、休日のために街を歩いて、リンゴを売っている小売商を歩いてみました。少しのところが大事なんで、いま第二段で申し上げた点に対して政府の施策が欲しい、求められておる。これをやると政府だということになりますが、いかがでございます。
  213. 堀川春彦

    ○堀川政府委員 ミカンとリンゴの関係が、先生のおっしゃるように、非常にきれいに図式的に出てくるかどうかについてはいろいろ問題があろうかと思いますが、ミカンも非常に過剰で、市中にはんらんをするということになれば、当然足を引っ張る要素になろうと思いますので、その点はミカン自体の問題として計画出荷を進める、そのことが間接的にまたリンゴの価格にも好影響が及ぶということであれば、これは大変結構なことだ、そういう認識のもとに取り組んでいきたいと思います。  ただ、ミカンの計画生産なり計画出荷の話には、ミカン生産農家が非常に大同団結をいたしまして、かなり苦労なことではございますが、自主的にいろいろなことをやっておるということが基本的前提にあるわけでございまして、リンゴについては、実はなかなかそこまでのまとまりが正直言ってとりにくいという要素があることも、先生青森県でございますから、十分御承知のことだと思うわけでございます。私どもとして、リンゴ生産者あるいは流通業界等がよく話し合いをしまして、そして、まず取り上げるべきことは、先ほど申しましたような計画出荷の徹底ということでなかろうかと思います。その点がしり抜けになったままでいくということは、どうもうまくないというふうに思いますので、当面この話ができるだけまとまるように指導することにまず全力を注いでまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  214. 津川武一

    津川委員 農民に会ったら、このままでは余る、特に青森ものが市場の主力をなしていく一月以降になって余ることが目に見えている。そうすると、九年前の状況が再現される。そして、いまリンゴが採算を割ってないと言っているけれども、安値で二千二百円、出荷までの経費が千二百円、農民の手取りは一箱千円なんです。そこいらをよく考えていただきたい。  そうすると、いま身を切ってでも農民は出さなければならぬと言っている。農協は、自分で委託を受けたものを身を切っても出さなければならぬと言っている。りんご移出商組合連合会に行ったら、いま倉庫に入っているものを出さなければ大変だ。だが、だれが先頭切って出すかということになってきたら、みんな渋ってしまう。おれだけ自分のリンゴを身を切って売れない。農協は、おれの農協だけ身を切れない。りんご移出商組合連合会は、おれが買ったリンゴだけはいけない。県は、青森県だけ身を切るわけにいかない、長野、山形、福島もある。ここのところに政府からの協議なり指導なり呼び水が欲しいというのが、農民の、農協の、移出商組合連合会の、県の考え方なんです。この点はいかがでございますか。
  215. 堀川春彦

    ○堀川政府委員 これからは、先ほど申し上げましたように、青森県がだんだん主力になってくるわけでございますから、やはり青森を主体に考えていくのが妥当だと思いますが、しかし今回だけの話でなしに、今後もあり得る話ということで、全体の、青森県以外の県も含めましたリンゴの主産県における全体の考え方をどう統一していくかということにつきましては、私どももこれは農林省として各県に呼びかけまして、いろいろと考え方をまとめていかなければならぬという指導的立場にあるというふうに存じますので、そういう立場を踏まえて今後とも検討し、今回具体的に主産県では青森がどういう対応をしようとするのかということも十分踏まえた上で、国のベースで考えるべきことは考えてまいりたいというふうに思います。
  216. 津川武一

    津川委員 次の質問は、非常に政府としてもつらいだろうけれども、この状態になって、私もリンゴはまだ先があると見ています。皆さんもこの中で、消費もふえると書いている。けれども、これだけたたかれてみると、先が心配になってくる。堀川さんが、先ほどリンゴの将来には心配がないと言った。私もそう思うのだけれども、農民がぜひ国の考え方なり覚悟を聞いてほしいというのは、ことしのいまの現象が一時的、短期的なものなのか、リンゴ産業の構造上からこうなっているのか、この点、政府の見解を一度聞いておきたい。主産地のところはそうじゃないけれども、青森県でも境界地域の中では、そこのところで判断をしなければならなくなっている。政府に責任を転嫁するつもりはないけれども、この見方をひとつ明らかにしてください。
  217. 堀川春彦

    ○堀川政府委員 私どもとしては、先ほど申し述べましたように、構造的なものという認識は現在のところ持っておりません。ただ、さりとて、一過性のものであるということを現時点で軽々に断定し去るのもいかがかという点もございますので、ことしの計画出荷に努めつつ、その結果がどうなるかという事態を踏まえまして、関係県の関係者によりまして、この問題は十分検討してみたいというふうに思っております。
  218. 津川武一

    津川委員 見通しは、構造的なものと見たくない、しかし一時的な現象とも見ない、大変だと言う。  そこで、いままで私も皆さんにかなりお願いもした、要求もした、質問もした、ときには高い調子になって張り合った。結局何をやってきたかというと、生産条件を整備するためだ。そこで、こうなってきたところで、一遍で消費、流通というものの矛盾がこんな形で急速にあらわれるとは私も思っていませんでした。この点は、私も自分の考え方の足りなかったことを皆さんとともに自己反省をしなければなりませんが、そこで過剰という状態を来さないようなかっこうを考えつつ、やはりミカンが過剰になった場合には、かなりたくさんのことを皆さんもしてきました。ミカンで言うならば、温州ミカンの計画生産出荷促進事業だったり、温州ミカンの生産出荷安定対策推進事業だったり、このことから考えてくれば、加工原料果実価格安定対策事業の中においても、温州ミカンがやっぱり中心にやられてきたのです。  そこで、私はリンゴ産業に対しても、生産を中心に考えてこれはやらなければならぬ。これと同時に、価格の安定、流通、消費、これももう一本の柱において考えなければならぬ時期に来たのではないかと思いますが、この点の政府の見解を聞かせていただきたいのです。加工用の果物にしても、リンゴは三十二円、これではとてもだめだし、そこいらの検討も必要になってきたと思いますが、これはいかがでございます。
  219. 堀川春彦

    ○堀川政府委員 先生がいまおっしゃった三十二円というのは、ことしの保証基準価格の青森における適用がそうなっておるということだろうと思います。そこで、私ども全国ベースでの基準価格はかなりのわりあいで来年は上げたいというふうに考えておりますから、これが実現すれば、当然青森の分も上がっていくという形になるわけでございます。  なお、加工なり流通面での取り組みが薄いではないかということにつきましては、これはリンゴにつきましてはミカンよりも一層複雑な要素があることは御案内のとおりでございまして、私どもも十分関係者の声に耳を傾けまして、長期施策としてどういうものが必要かというようなことについては、今後真剣に検討してまいりたいと思っております。
  220. 津川武一

    津川委員 ことし、三十二円なのを改正できませんか。
  221. 堀川春彦

    ○堀川政府委員 これは予算に関連する問題でございますので、ことしの問題としてどうするというわけには、なかなか困難な問題でございまして、いまどうするかと言われれば、これは来年の問題ということで重点的な取り組みをしたいというお答えを申し上げたいと思うわけでございます。
  222. 津川武一

    津川委員 青森県のリンゴ生産農民はやはりさすがだと思うのです。これにもめげずやっぱりリンゴをやっていくというんだ。私も偉いと思う。  そこで、生産費を割っても販売している人たちが出てきて、これからの営農、生活、かなり困難な面が出てくると思います。この点で、来年のリンゴの営農、ことしの腐乱病の予防対策などとひっくるめて、その営農と生活を指導、援助していく対策がほしいと思うわけですが、この点では何か考えておられましょうか。
  223. 堀川春彦

    ○堀川政府委員 リンゴの生産面での対策を充実するということは、基本的に私どももいろいろ考えているわけでございますが、現在、リンゴの中でも高級ものにどうも生産が少し行き過ぎているのではないかというようなことも、実は私ども今後検討すべき重要課題だと思っているわけでございまして、もう少し大衆的なつくり方でコストを安くしながら、消費者にも喜んで食べていただけるような方法はないものかというようなことも真剣に考えていかなければならぬというふうに考えております。  なお、リンゴに関連いたしましては、いろいろと病気の問題がございます。これまでもいろいろと取り組んでまいりましたが、これは技術指導なり一般営農指導の徹底を図ることによってかなり防除できるという面がございますので、いままで薬剤補助とかいろいろなこともやってまいりましたが、今後の方向としては、園の管理について手を抜くという傾向がございます。その点は十分指導の徹底を図ることによって、病害の対策の徹底ということをやってまいるつもりでございます。
  224. 津川武一

    津川委員 この点で、自創資金を必要になったとき必要な分出すつもりがあるのかどうかということが、今度の生産と生活の援助の場面で非常に具体的に農民の中から出されているのです。この考え方はどうです。
  225. 堀川春彦

    ○堀川政府委員 自創資金の運用は、私、直接の担当局長じゃございませんが、これは災害等によりまして農家の経営が非常に大きな打撃を受けまして、その資金を借り入れることなしには営農が立ち行かない、農地を売り払うというような状況が起こるということの際に、これを融資するという仕組みになっております。したがって、これはいま申しました価格問題と直につながる話であるかどうか、私どももよく詳細に検討してみないといけないのですが、単に価格下落ということだけですぐ発動、特別枠とか限度だとかいう話にはなかなかなり得ないのではないか、こう思っております。
  226. 津川武一

    津川委員 約束の時間が来てしまったので、リンゴを少し深追いしたかっこうになって、時間をなくしてしまいました。そこで、米の生産調整に対して、うんと省いて、要点だけやります。  まず、割り当てを相談なしに天下りに決めたことに強い抗議を申し上げて、もし、やるならば、次の三つの条件を満たす必要がある。  一つ。何に転作していくか、その相談に乗る。乗った、転作した作物をつくっていく上について十分な相談をする、指導をする。そして、米並み、お米をつくっていたときの収入が保障されるように、作物をつくった場合に、土地をどうするか、どの品種にするか、いつ、どんな営農をするか、いろいろな点で具体的に指導、相談をして、農民が納得したときに初めてやらせる。この点を農民に念書を交換してほしいというのです。農民は、少なくとも市町村長は、この点で知事は一枚書いてほしい、これが一つの農民の端的なる心持ちでございます。  第二番目。こういう形で転作した場合に、それが二年、三年、五年、六年と米みたいに定着できるかどうかという点、定着させるために保証が必要だ。木造町の農民は、転作せいと言って、クルミを植えてひどい目に遭った。その後加工トマトをやって、またひどい目に遭った。その後スイカをやったら、バッタン病とコンニャク病でやられちゃった。その後カボチャを植えたら、また一年でだめになっちゃった。この点で、農民に、その転作した作物の定着の保証をやっぱり一札書け、これが二つの要求。  三つ目には、本気になって政府と協力した場合に、余り米を食糧庁長官が自主流通米にやるからいいと言っている。とんでもない話。いまの値段で言うと、政府買い上げだとわれわれのところで一俵一万七千二百三十二円、余り米が一万三千円。これで農民に実質的な損害を与えない、この買い入れがぜひ必要なんだ。ここでこそ、この第三項目こそが、農林省と農民の信頼関係が、生産意欲があるかないか、ここのところが具体的になってきたわけです。  この三つを、生産調整するときに農民と協議して決めて、農民の側から言うと一札欲しいという、これが一つの質問。  第二の質問は、県別の割り当て。この見通しに対して、地域指標の試案に対して、県別の割り当てをしていない。ところが、不公平なんです。割り当てられてみたら、青森県がこうですよ。たとえば、生産調整目標の数量の動きを見ると、四十六年に青森県が七万一千二百トン、五十年に四万二百トン、これはちゃんと政府のやるとおりやってきたのです。そして、四十六年に対して五十年の割り当ては五六%。やらないところの宮城県、四十六年九万一千トン、五十年一万一千六百トン、一二%。こんなふうに協力してきた青森県に、この正直者が一生懸命やったことに対して、一政府は何をこたえてくれただろうか。東北地方を十把一からげにして地域のものを出さないから、どうなったか。青森県には一万二千七百二十ヘクタール。いま政府が買ってくれる限度数量は三十五万九千トン。宮城が、ササニシキのあるところだろうけれども、四十四万九千トンの政府の限度買い上げ数量に対して、転作面積七千百ヘクタール。  これは農民の自家保有米なんていろいろなことがあるだろうけれども、こんな明らかな、農民の背中を逆なでするような生産調整面積の割り当て、買い上げの限度数量の割り当て、一体、いままでの農民の、市町村長の、そして知事たちの、県当局の苦しみというものをどういうふうに考えているんだろうという明確な釈明と、現実に市町村にやってみて、もし受けられない場合は県の責任だなどと言わないで、もう一回買い上げ限度数量と生産調整の反別に対して相談をし直せ、し直してほしい、これが第二の質問でございます。  時間がなくなったので、明快に答えていただきます。
  227. 堀川春彦

    ○堀川政府委員 まず、最初の一、二点でございますが、いかなる作物に地域地域でもって転作をするかということは、地域事情にもよることでもございますが、農家のお考えも十分考えながらやっていくべきものというふうに考えるわけでございます。こういったことについて、たとえば普及組織、普及事業が対応することは当然でございまして、これについて十分な指導が行われるよう私どもも期待をいたし、また、そういう趣旨で県当局等を指導してまいるということは当然でございますが、そのことを農民と知事さんとの間の念書にするというような性質の話ではないというふうに私は思うわけでございます。  なお、転作物による、先生のお言葉では米並み所得が保障されるようにという点につきましては、私どもこれまでしばしば申し上げておりますように、特に特定作物に重点を指向いたしまして、米の所得との関係を、反当所得の関係に着目をしつつ十分な配慮を行って、御説明申し上げましたような奨励補助金の単価、体系をつくっておるわけでございます。そういう形でまいりますれば、米作との間の所得のバランスというものもかなりとれておるというふうに思いますので、これにつきましても、そういう施策でやります。単価でそういうふうに仕組みましてこれを三年間やりますということをお約束申し上げているわけでございますので、これについて特段、知事さんと農家の方々との間の念書というような話になる性質のものではないのではないかというふうに考えておるわけでございます。  いずれにいたしましても、単価問題のみならず、この水田利用再編対策における仕組みも、できるだけ転作物に農家が意欲的に取り組んでいただいて、定着し得るような仕組みということを、計画加算の仕組みにいたしましても管理転作の仕組みにいたしましても、工夫をこらして仕組んでおるわけでございますので、こういった施策の活用によりまして定着するような姿に持っていくよう、私どもも十分、県等の行政機関はもとより、農家の組織でございます農業団体にもぜひとも御理解と御協力を求めて進めてまいるということにいたしたいと思うわけでございます。  三番目の余り米の問題はちょっとおきまして、四番目の県別割り当ての問題でございますが、これにつきましては、青森県に対しては非常に不公平な配分であるというようなお言葉のように承ったわけでございますが、青森県は、東北管内におきまして転作にいままで積極的に御協力いただいたということから、転作率が東北ブロックの中ではいままでも高いということは十分に私ども念頭に置いておるわけでございます。そういった諸事情等を十分考慮して今回の配分を決定したつもりでございまして、前年の目標に対しまして青森県の五十三年度の目標の増加率は、東北全体の中で最も低い二・二倍ということになっております。東北平均は二・八倍でございますが、その中で二・二倍。都府県で平均いたしましても二・三倍でございます。これをも若干でございますが、下回っておるということでございますし、都府県全体の中の目標面積に占める青森県のシェアも、これは四・二%ということになるはずでございまして、前年度は都府県全体の中で四・五%のシェアを青森県が持っていたということからすれば、この点についても下回るということに相なるわけでございます。  いずれにしましても、それはそれとして、とにかく目標面積が前年に比べて二・二倍というようなことで伸びるわけでございますから、青森県の農家の方にも一層御理解と御協力をいただき、御苦労願うということになるわけでございます。  私どもとしては、適正な配分というふうに考えておりますので、この県別配分を変更するつもりはございません。県当局といたされましては、青森県内の諸事情等十分勘案されまして、これから公平、適正な市町村配分に努められるものというふうに考えておるわけでございます。
  228. 大河原太一郎

    ○大河原政府委員 転作達成後の余り米について全量を買い入れるという点については、しばしば申し上げておりますように、従来も転作達成後の超過米については全量政府買い入れを行わず、自主流通等によって処理してまいりました。今後の問題につきましても、その方針によって処理し得るものと考えておりますが、特に転作奨励という問題もございますので、転作が一〇〇%いき、しかも豊作等によって余り米が出ました場合は、その流通については格段の配慮をいたしたいということでございます。  それから、最後に、青森県についての予約限度の配分についてきわめて不公正だというようなお話がございましたが、私どもは全く認識を異にしております。と申しますのは、転作目標は六千ヘクタール以上ふえましたが、予約限度の減少は二千五百。他の諸県との関係を見ていただければ、青森の潜在生産力は十分見直して、予約限度は必要限度に配分いたしたというように考えております。
  229. 津川武一

    津川委員 これで終わりますが、先ほど東北の中で青森県が二・二倍、山形、宮城などは二・六倍、二・九倍、この数字の問題は、私、伏魔殿みたいな数のことをここでやるつもりでおったのです。これはいずれ別な形で皆さんにお届けします。  最後に、農蚕園芸局長、これだけの生産調整をやるときに、改良普及運動がどうかという問題、私いつも改良普及事業で弘前の名前を挙げると、弘前の人がまたいろいろな反響を起こすので、きょうは弘前でない改良普及員と私との折衝です。  青森県で一万二千、これだけの減反をやるとすれば、現在の改良普及員の数、現在の改良普及員の能力、施設、足ではとてもできるものではありません、私たちは逆立ちしても一万二千ヘクタールの生産調整に、農民の個々に応ずるわけにはまいりません、こういうことなんです。局長は、その点でいろいろな本も出したとか、資料も出したとか、督励するとか言っていますけれども、大変な状態であるということを指摘して、私、質問を終わります。
  230. 金子岩三

    金子委員長 本日は、これにて散会いたします。     午後六時二十八分散会