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1977-11-22 第82回国会 衆議院 農林水産委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年十一月二十二日(火曜日)     午前九時四十八分開議  出席委員    委員長 金子 岩三君    理事 今井  勇君 理事 片岡 清一君    理事 山崎平八郎君 理事 竹内  猛君    理事 美濃 政市君 理事 瀬野栄次郎君    理事 稲富 稜人君       愛野興一郎君    加藤 紘一君       鹿野 道彦君    久野 忠治君       熊谷 義雄君    佐藤  隆君       染谷  誠君    玉沢徳一郎君       中野 四郎君    羽田野忠文君       平泉  渉君    福島 譲二君       向山 一人君    森   清君       森田 欽二君    小川 国彦君       岡田 利春君    角屋堅次郎君       島田 琢郎君    武田 一夫君       野村 光雄君    吉浦 忠治君       神田  厚君    津川 武一君       菊池福治郎君  出席国務大臣         農 林 大 臣 鈴木 善幸君  出席政府委員         農林政務次官  羽田  孜君         農林省農蚕園芸         局長      堀川 春彦君         農林省食品流通         局長      杉山 克己君         食糧庁長官  大河原太一郎君         水産庁長官   岡安  誠君  委員外出席者         中小企業庁計画         部金融課長   松尾 成美君         農林漁業金融公         庫総裁     武田 誠三君         農林水産委員会         調査室長    尾崎  毅君     ――――――――――――- 委員の異動 十一月二十二日  辞任         補欠選任   佐藤  隆君     鹿野 道彦君   小川 国彦君     兒玉 末男君 同日  辞任         補欠選任   鹿野 道彦君     佐藤  隆君   兒玉 末男君     小川 国彦君     ――――――――――――- 十一月二十一日  原材料供給事情変化に即応して行われる水  産加工業施設改良等に必要な資金の貸付け  に関する臨時措置に関する法律案内閣提出第  一三号) 同月十七日  小麦粉への米粉混入反対に関する請願愛野興  一郎君紹介)(第三一〇一号)  同(大西正男紹介)(第三一〇二号)  同(谷川寛三君紹介)(第三一〇三号)  同(前田治一郎紹介)(第三一二四号)  同(橋本登美三郎紹介)(第三一五九号)  米国産サクランボの輸入反対に関する請願(竹  中修一紹介)(第三一二三号) 同月十八日  小麦粉への米粉混入反対に関する請願愛知和  男君紹介)(第三三五二号)  同(石井一紹介)(第三二五三号)  同(大塚雄司紹介)(第三三五四号)  同(奥田敬和紹介)(第三三五五号)  同(粕谷茂紹介)(第三三五六号)  同(鯨岡兵輔紹介)(第三三五七号)  同(小坂徳三郎紹介)(第三三五八号)  同(齋藤邦吉紹介)(第三三五九号)  同(始関伊平紹介)(第三三六〇号)  同(塩谷一夫紹介)(第三三六一号)  同(河本敏夫君外一名紹介)(第三三六二号)  同(中村靖紹介)(第三三六三号)  同(濱野清吾紹介)(第三三六四号)  同(福田篤泰紹介)(第三三六五号)  同(船田中君紹介)(第三三六六号)  同外一件(前尾繁三郎紹介)(第三三六七  号)  同(松永光紹介)(第三三六八号)  同(与謝野馨紹介)(第三三六九号)  牛乳販売業者経営安定に関する請願鈴木強  君紹介)(第三三七〇号)  同(野村光雄紹介)(第三三七一号)  昭和五十三年度稲作生産調整に関する請願(  有島重武君紹介)(第三三七二号) 同月十九日  マツクイムシ防除農薬空中散布中止等に関す  る請願岩垂寿喜男紹介)(第三五四七号)  農業経営発展基本施策確立等に関する請願(  久保等紹介)(第三五四八号)  小麦粉への米粉混入反対に関する請願中村重  光君紹介)(第三五四九号)  超過米早期全量買い入れに関する請願(川口  大助君紹介)(第三五五〇号)  同(栗林三郎紹介)(第三五五一号) 同月二十一日  小麦粉への米粉混入反対に関する請願越智通  雄君紹介)(第三七一〇号)  同(濱野清吾紹介)(第三七一一号)  農業共済団体事務費国庫負担金補助金増額  等に関する請願権藤恒夫紹介)(第三七一  二号)  牛乳販売業者経営安定に関する請願和田耕  作君紹介)(第三七一三号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――- 十一月十八日  昭和五十三年度稲作生産調整に関する陳情書  (第二〇四号)  予約限度超過米全量買い上げに関する陳情書  外三件(第  二〇五号)  米穀対策に関する陳情書  (第二〇六号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――- 本日の会議に付した案件  原材料供給事情変化に即応して行われる水  産加工業施設改良等に必要な資金の貸付け  に関する臨時措置に関する法律案内閣提出第  一三号)  農林水産業の振興に関する件(昭和五十三年度  転作等目標面積及び昭和五十三年産米事前売渡  申込限度数量の配分)      ――――◇――――-
  2. 山崎平八郎

    山崎(平)委員長代理 これより会議を開きます。  委員長の指名により私が委員長の職務を行います。  原材料供給事情変化に即応して行われる水産加工業施設改良等に必要な資金の貸付けに関する臨時措置に関する法律案を議題とし、趣旨説明を聴取いたします。鈴木農林大臣。     ————————————−  原材料供給事情変化に即応して行われる水産加工業施設改良等に必要な資金の貸付けに関する臨時措置に関する法律案     〔本号末尾に掲載〕     ————————————−
  3. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 原材料供給事情変化に即応して行われる水産加工業施設改良等に必要な資金の貸付けに関する臨時措置に関する法律案につきまして、その提案理由及び主要な内容を御説明申し上げます。  最近における外国政府による漁業水域設定等に伴い、わが国漁業活動制約を受けつつあり、特に、さきの日ソ漁業交渉の結果により、北洋漁業は大幅な縮減を余儀なくされたのであります。  このような事態に対処し、政府としては、漁業者救済対策離職者対策等各般施策を講じつつあるところでありますが、水産加工業対策としても、すでに経営維持安定資金融通、設備の合理化についての助成等措置決定しております。  しかしながら、水産加工業につきましては、基本的には、漁業水域設定に伴う加工原材料供給量の著しい減少に対処するため、原材料転換製品転換等を図るとともに、国民に対する食用水産加工品安定的供給確保を図る見地から、食用としての利用度が著しく低いサバイワシ等の多獲性魚種食用水産加工品原材料として活用していくことがきわめて緊要な課題となっております。  このような観点から、この法律案提出した次第であります。  次に、この法律案の主要な内容につきまして、御説明申し上げます。  第一に、北洋における外国政府による漁業水域設定等に伴う水産加工品原材料供給事情の著しい変化に即応して行われる水産加工施設改良、造成または取得政令で定める要件に該当するものに必要な長期かつ低利資金について、政令で定める範囲内の条件で、国民金融公庫、中小企業金融公庫及び農林漁業金融公庫から、貸し付けを行うことができることとしております。  第二に、この法律は、昭和五十八年三月末までの時限立法としております。  以上が、この法律案提案理由及び主要な内容であります。  何とぞ慎重御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。  なお、本件につきましては、諸般事情から提出がおくれ、あわただしい御審議をお願いすることを申しわけなく思っております。今後かかることのないよう十分注意する所存であります。(拍手)
  4. 山崎平八郎

    山崎(平)委員長代理 以上で趣旨説明は終わりました。     ————————————−
  5. 山崎平八郎

    山崎(平)委員長代理 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。岡田利春君。
  6. 岡田利春

    岡田(利)委員 本法提案理由説明の中で、いま最後に大臣が声を強められて——去る十八日に本法閣議決定をされて、あと二日間残した国会審議をすることになったわけです。延長国会でありますので、こういう法案審議は私もきわめて遺憾であることをまず申し上げておかなければならないと思います。  そこで、このように延長国会に本法案提出せざるを得なかった、今国会が召集される以前から、この対策は、新しい立法として提出予定法案であったことも私は承知をいたしておるわけです。したがって、このような時期に提案せざるを得なかった諸般事情について、まずお伺いをいたしたいのであります。
  7. 羽田孜

    羽田政府委員 ただいま大臣からも、大変提案がおくれたことにつきましておわびを申し上げたわけであります。  いま先生から前段お話がございましたように、このたびの北洋漁業縮減に伴う水産加工業者対策の一環といたしまして、私ども農林省あるいは水産庁といたしましても、この問題につきまして、九月中旬ごろにはおおよその目安がついたわけでございますけれども、その後具体的な措置内容につきまして検討を続けてきたところでございます。その間におきまして、金融機関分野調整という非常にむずかしい問題もございました。あるいは、直接原材料供給削減影響を受けた加工業者のみにしぼるかどうかという対象の問題、こういった問題で政府部内でもいろいろと意見がございまして、今日になってしまったわけでございます。この点につきましては、私からも改めておわびを申し上げたいと思います。
  8. 岡田利春

    岡田(利)委員 法案が今国会可決成立をされましても、一応提案理由説明を聞いた範囲においては、一体これが公布になって今年度直ちにこの法案運用できるのかどうかについて、若干疑問があるわけであります。その一つは、貸付枠設定が、もうすでにそれぞれ各三金庫の場合には予算が決まっておりますし、そういう意味で、新たな貸付枠増額は一体どうなっていくのだろうか。あるいはまた五%という金利設定をされておりますから、そういう意味では利子補給という問題も当然予算措置として考えられなければならないのではないか。いわば平面的に考えますと、この法案は通過をしても今年度の運用は無理ではないか、こう率直に感ぜざるを得ないわけです。したがって、この法案成立後の運用についてこの際説明いただきたいと思います。
  9. 岡安誠

    岡安政府委員 水産加工業対策につきましては、すでに御説明申し上げましたとおり、経営維持安定資金融通制度、それから施設の廃棄に際しての助成措置等決定をいたしまして、鋭意現在その措置推進を図っておるところでございます。そこで、水産加工業に対します締めくくりの対策といたしまして、本法案の御審議をいただいているわけでございますが、この法律が成立いたしまして、この制度によります新しい融資措置の導入につきましては、私ども来年度から実施をするということを考えているわけでございます。  ただ、水産加工業者等につきましては、緊急の対策はいたしておりますけれども、今後本格的な構造改善等は挙げてこの制度に、挙げてといいますか、主要な部分はこの制度にまつわけでございますので、この法律が成立いたしまして施行されましたならば、至急、水産加工業者の側におきまして再建の計画を樹立していただき、都道府県その他関係団体で御審議をいただくということにいたしまして、しっかりした計画を樹立をいたしたい。それを待ちまして、来年度早々にもこの資金融通をするということを現在考えておるわけでございます。
  10. 岡田利春

    岡田(利)委員 そういたしますと、本法案は実際的には来年度から運用される、こういうことがいま確認をされたわけであります。もちろん都道府県関係との協議、あるいはまたそれぞれ加工業者転換への準備、すでに補正予算ではスクラップ措置が決まっておるという関係もございますから、確かに計画を要すると思うわけでありますけれども、それについてもいささか、前段に申し上げたように、こういう状況の中で法案が出されたという点について、何かすとんと落ちないものをわれわれとしては感ぜざるを得ないわけであります。しかし、この対策重要性については私ども十分承知をいたしておる問題でありますので、以下内容について質問を続けたいと思います。  本法は、北洋における原材料供給事情変化並びに多獲性魚種イワシサバ、これらの魚種高度利用拡大食品加工利用拡大を目指す、こういう二つ内容から成り立っておるわけです。そこで、一つ北洋に関する原材料供給事情変化スケソウ等と、こういう説明が行われておるわけですが、対象魚種についてはどう考えられておるのか。あるいはまたサバイワシにつきましても、サバイワシ等という一応の魚種対象として考えられておるわけですが、いずれも具体的な貸し付け政令の中でこれらは指定が決められるものと考えられますけれども、この二つ案件についての魚種指定の考え方をこの機会に説明願いたいと思います。
  11. 岡安誠

    岡安政府委員 まず、北洋におきます外国政府による漁業水域設定等に伴う水産加工品原材料供給事情の著しい変化ということが問題でございますが、これは北洋におきます魚種も、スケトウダラのみならずいろいろな魚を従来とっておりましたし、今後もスケトウ以外の魚をとっていくつもりでございますけれども漁業水域設定、特に日ソ交渉におきましては、スケトウダラが大幅な制約を受けましたけれども、その他の魚種につきましてもやはり制約を受けまして、全体的にその影響を受けて加工業経営が困難になっておるというような実情がございます。  そこで、私どもは、スケトウダラだけに着目するのではなくて、スケトウダラ以外の北洋関係魚種につきましても当然着目いたしまして、漁獲減少を受けた度合い等を勘案をいたしまして、この制度運用してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。  それから、食用水産加工品供給確保というために、多獲性魚種、たとえばサバイワシ等を例に挙げまして、それを新しく食用水産加工品に振り向ける、そのための施設を増設する場合にこの制度対象になり得るわけでございますが、これもサバイワシのみならず、たとえばそれ以外のイカナゴとかその他当面必要とされるような魚種も、多少幅を広げまして運用してまいりたいというふうに考えておるわけであります。
  12. 岡田利春

    岡田(利)委員 確かに北洋の場合には、スケソウダラのみならず、サケマスについても当然対象になる魚種でしょうし、イカについても相当のウエートを占めておることも事実であります。したがって、本法案が目指すものとして大体端的に例を挙げることが可能ではないかと私は思うのですが、たとえばスケソウ以外のこうこうこういう魚種が考えられる、あるいはまた多獲性の食用品加工するサバイワシ以外にもこういう魚種、いまイカの問題がちょっと出ましたけれども、端的にこういう問題が考えられ、検討されているということを長官、示していただきたいわけです。
  13. 岡安誠

    岡安政府委員 いまお話にございました、たとえば漁獲量減少によりまして転換をする必要がある場合に、影響を受ける魚種はどういうものかという御質問につきましては、私ども考えておりますのは、スケトウダラのほかにニシンとかサケマスイカナゴホッケ、カレイ、カニというようなものを考えまして、そういうものが今回の漁業水域設定等に伴いましてどういう影響を受けたかということを勘案いたしたいというように考えております。  それから、原料転換先につきましては、その主体は、漁獲が現在急にふえておりますマイワシであろうというふうに思っております。それ以外におきましては、従来ハマチの養殖えさ等に向けられておりましたイカナゴ小型ホッケ、ニギスなど、それから底びき網漁業で混獲されて市場性がないとして捨てられておりましたミズウオ、小型カワハギ等につきましても、食用向け利用率向上を図るというような意味から、この制度対象にするように検討をいたしたいというふうに思っております。
  14. 岡田利春

    岡田(利)委員 そうしますと、大体これは地域的に考えますと全国的に及ぶことになるだろうと思いますし、また北洋関係につきましては、従来の緊急融資等対策は北海道、青森、岩手、宮城、こういう地点に限られてきたという経過も実はあるわけです。したがって、これらは政令で定められる事項でありますけれども地域的にはどう考えられておるか伺っておきたいと思います。
  15. 岡安誠

    岡安政府委員 これは提案理由説明でも御説明申し上げたところでございますけれども、この制度は、従来からございます水産加工業に対します金融のほかに、現下の事情に対応いたしまして特に長期低利資金融通するというような臨時暫定措置でございます。  そこで、この資金融通いたします場合、特定理由によって施設を新設し、改良し、取得をするというような場合に限りまして、この制度対象にいたすということを考えておりますので、先ほど申し上げましたとおり、漁業水域設定等によりまして原材料製品転換、または製品歩どまり向上その他の製造方法改良等を必要とするような情勢に置かれているような地域、それから従来、多獲性の魚といたしまして十分食用品として利用されておらなかったサバイワシ等が大量に水揚げをされまして、今後そういうところにおきまして食用向け利用向上する必要のあるような地域というようなものを、私どもは具体的に都道府県単位農林省告示によって指定をいたしたいというふうに考えているわけでございます。
  16. 岡田利春

    岡田(利)委員 本法資金貸付枠が三百億とも伝えられておるわけですが、三金庫関係で一体どういう枠を初年度考えられておるか。同時にまた、金利は五%のほか六・五%、そして二年据え置きの十年償還、こう承っておるわけですが、初年度こういう規模であるという理解でよろしゅうございますか。
  17. 岡安誠

    岡安政府委員 この制度によります資金貸付枠でございますけれども、私ども大体五年間で約三百億程度貸付枠ということを現在想定をいたしております。初年度は大体五十一億程度というふうに考えております。  それから、貸付条件につきましては、大別をいたしまして、まず来年度予算におきまして、私ども共同モデル工場というものの建設、これに対する助成を考えておまりすが、その補助残融資、これにつきましては大体六・五%の金利ということを考えております。それから、それ以外の、先ほど申し上げましたように、原材料製品転換その他、それから新しくサバイワシ等原材料とする製品製造施設新設等につきましては、原則六・五%ということを考えておりますが、特定資金につきましては五分資金というものも創設をいたしたいというふうに思っております。  それから、貸付期間につきましては原則として十年以内、うち据え置き期間は二年以内ということを考えております。
  18. 岡田利春

    岡田(利)委員 水産庁は五十三年度の予算で、水産加工業モデル地区設定して、これを全国的に発展をさせていくという計画をお持ちのように私は承っておるわけです。しかも、これは二カ年計画全国八カ所ということも当初検討をされておった。いわば塩竈とか八戸とか釧路とか、それぞれの地区で八カ所モデル地区設定する。私はこの制度とこの計画との関連は当然出てくるだろう、こう判断せざるを得ないのですが、この点について説明願いたいと思います。
  19. 岡安誠

    岡安政府委員 共同モデル工場につきましては、原料転換等中心にしてつくっておりまして、新しく水産加工業のあり方を探るというようなこと、それから地域的に見ましても非常に経営が困難になりました水産加工業につきまして、新しい進路を見出すというような意味合いから、モデル的な工場をつくっていただくという場合には、ほかにほとんど例がございませんけれども助成をいたしたいということで、来年度予算で現在要求をいたしているわけでございます。数につきましては、これから大蔵省といろいろ折衝いたしますので、確定的なことを申し上げるわけにはまいりませんけれども、やはりモデルでございますので、全国五、六カ所ないし七、八カ所という程度になろうかというふうに思っております。  先ほど申し上げましたとおり、そういうようなモデル工場をつくりました場合には補助残があるわけでございますが、補助残につきましては、この制度によりまして六分五厘の資金融通をするということを考えておるわけでございます。
  20. 岡田利春

    岡田(利)委員 イワシサバの多獲性魚種の特性というものはすでに、私が述べるまでもなく、いままでも検討が加えられてきておると思うのです。しかし、何といっても、技術研究開発ということが先行されなければこういう政策は前進をしないことも明らかであります。今日の多獲性魚種利用について一体どこまで研究開発が進められておるのか、非常に注目されるところだと思うのです。  私は、一つには、すり身かまぼこ、黒いかまぼこといいますか、そういう方向でこれを活用していく。あるいはまた、たん白素材としてシューマイとか肉だんごとか、そういうものにこれを活用していく、言うなればレトルト食品といいますか、そういう方向は大体目指すことができるだろう。あとは直接フィッシュブロックのような形にして活用する。この程度しか現時点では考えられないのではないか、こういう気がするのですが、どういう認識を持たれておりますか、伺っておきたいと思います。
  21. 岡安誠

    岡安政府委員 多獲性魚種高度利用につきましては、これまでの研究結果によりまして、大体イワシ等赤身魚によります冷凍すり身化、それからフィッシュブロック化、それからマリンビーフ等繊維性たん白化といいますか、そういうような中間素材として利用するような場合の基礎的な知見をすでに得られております。     〔山崎(平)委員長代理退席片岡委員長代理着席〕 ただ、今後は、これを大量に生産をするというような大量企業化等の機械的な処理等の面がまだ開発の余地を残しておりますので、今後はそういうことを中心にいたしまして、できるだけ早く現在得られておる知見を実用化する、また、これを大量企業化するという方向を促進をいたしたい、このように考えておるわけでございます。
  22. 岡田利春

    岡田(利)委員 わが国水産加工業実態でありますけれども、これもすでに調査をやらして統計が出ておりますから御承知のように、大体九人以下の雇用の企業が七二%を占めておる、非常に零細中小といいますか、これが大宗を占めておることは間違いのない事実であると思うわけです。そしてまた、水協法、漁協あるいは加工協関係中小企業法の組合、その他、非加入で一万八千九百七十九件が今日統計上は把握をされておるわけです。したがって、もちろん今日の特別措置は必要でありますけれども、基本的に考えてみますと、わが国水産加工業実態を考えれば、いわば水産加工業近代化あるいはまた構造改善というものは、相当時間をかけて長期的に推進をしなければならない政策ではないか。わが国の一千万トンの魚のうち七五%程度、あるいはまた沖合い、沿岸、養殖漁業等を判断いたしますと、九三%程度と言われるほど何らかの形で加工に回っておるわけです。あくまでも漁業加工というものは一体化の関係にあるものでありますから、そういう意味では、この暫定措置法も必要であるけれども、基本的にわが国水産加工政策というものを見直す段階に来ておるのではないか。しかも、国際漁業の環境が変化をしている。それにいつでも対応していける、そういう基本的な政策というものが必要ではないか、私はこう考えるのですが、こういう点についてはどう考えられておりますか。
  23. 羽田孜

    羽田政府委員 ただいま先生からお話がございましたように、まさに水産加工業あるいは水産業すべての背景というものは、いま御指摘のとおりであります。しかし、このたびの法律というものを時限立法にいたしましたのは、このたびの各国の漁業水域設定というものに伴いまして非常に大きな影響というものを受けておるわけでございます。しかし、いずれこういった状況というものは、二百海里時代の一つの流れの中で帰趨が定まっていくんじゃなかろうかというふうに考えております。そういったことで、時が流れると同時に一つ供給量、こういった枠組みなんかも定着してくるんじゃなかろうかというふうに考えております。  そういったものを考えましたときに、このたびの対策といたしましては、やはり一応時限立法でやって、五年間の経緯を見ながらそのときにまた措置していくことが、このたびの対策としては必要じゃなかろうかということが、時限立法とした理由でございます。
  24. 岡田利春

    岡田(利)委員 しかし、私は、ここ数年来の水産加工に配分される魚種内容等をずっと検討してみますと、もちろん今回影響を受けるスケトウダラの問題がございますが、一般的には一千万トンの配分というものは大体固定化しているのではないか。そして、生鮮、冷凍向け、あるいはまた養殖用の魚のえさとかかん詰め、あるいは練り製品、それから塩干物、そしてまた非食用の飼肥料の関係、この配分というものは大体もう安定している状況に来ているのではないかなという感じがするわけです。私はそういう時期こそ、近代化、そしてまた協業化といいますか、あるいは共同化、あるいはまた全体の構造改善をしていく、流通加工センターの構想、これとの関係、こういう中で総見直しをして、そして、これに対応する金融制度を打ち立てていく、やはりこういうぴしっとした姿勢があってこそ、今度の臨時措置法というものも理解できるのではないかなと、こう思うのですが、そういう一歩踏み出す考えが一体あるのかないのか。どうもやはり水産加工というものは、水産庁と通産省の谷間にあって、そういう政策がきちんと体系づけられていない、こういう点について私は非常に問題があると感ずるわけですが、今後この法案運用し、さらに私がいま述べた方向水産庁政策を展開する用意があるかどうか、承っておきたいと思います。
  25. 岡安誠

    岡安政府委員 確かに先生御指摘のとおり、現在のわが国漁獲物のうち約七割は加工向けになっていると思います。にもかかわらず、その加工業を担っております水産加工業者はきわめて零細規模である、そこに私どもやはり水産加工業の体質を改善をする必要、これは痛感をいたしておるわけでございます。  じゃ、水産庁何もしていなかったのではないかという御指摘がございますけれども、私どもやはりこういう脆弱な体質を持っている加工業者構造改善を進めるために、いわゆる団地化を進めるというような考え方から、従来から水産物産地流通加工センター形成事業というような事業を推進してまいりましたし、今後もこの事業はさらに力を入れて推進をいたしたいというふうに思います。また、それらとタイアップするように大規模冷蔵庫の設置事業というものも、やはり水産加工という側面からバックアップするというようなことで推進をいたしたわけでございまして、今後ともこの零細な、しかしなお重要な水産加工業につきましては、その共同化、協業化を進めてまいりたいというふうに思います。  その重要な役割りを果たすものがやはり金融であろうと思いますし、その金融につきまして、従来の制度に加えて、今回は新しい水産加工業の育成を促進をするという意味から、本制度制度化をお願いをいたしたというような次第でございます。
  26. 岡田利春

    岡田(利)委員 今回とられた措置の中で、日ソ漁業協定の結果転廃業の加工業者の先ほど触れましたスクラップ助成、設備簿価の三分の二を助成をする。そして、先般成立した予算の中で十二億七千六百万円が組まれておるわけです。当然これはスクラップをするわけでありますから、これに対して簿価の三分の二を助成するのだ。これが新たに転換をするという場合にも当然この政策は適用されるだろうと思うわけです。したがって、この措置と今回出されている暫定措置法は、政策的に見ると連動することが好ましいのではないか、こういう感じを受けるのですが、この点についてはどういうお考え方を持っていますか。
  27. 岡安誠

    岡安政府委員 いま先生御指摘のとおり、私ども、日ソ漁業交渉等によって影響を受けました水産加工業者に対しましては、不用加工施設をスクラップ化する場合に、特に助成措置を講ずるということにいたしております。  そういうスクラップの助成対象者が製品転換等を図るような場合、この制度によります資金融通が受けられるかという御質問でございますけれども、スクラップ助成を行う場合の対象施設範囲につきましては、この資金利用可能性も踏まえまして、関係水産加工業者の負担が加重されたり、財政資金の適切な利用に支障がないように十分指導をしてまいるつもりでございます。
  28. 岡田利春

    岡田(利)委員 そういう意味では、私はどうも最後の長官の答弁がぴしっと受けとめられなかったわけですが、結果的に連動することもあり得るのだ、こう思うわけですね。スクラップをした、一応やめたのだけれども、しかし新しい今度の措置が来年度実施されるわけですから、その措置の適用を受けて、別に製品転換をしたい場合は、当然適用を受けられると思うわけですね。したがって、政策的には、時間の差もあるから連動していくだろう、こう申し上げたわけです。連動している、そういう関係でいいということですね。そういう理解でいいですか。
  29. 岡安誠

    岡安政府委員 理論的には、スクラップをいたしまして助成を受ける、その業者が、製品転換等の新しい施設取得をするという場合には、本制度によります融通対象になり得るわけでございます。ただ、先ほど申し上げましたように、すべてスクラップした方々がこの施設対象になり得るかということになりますと、これは多少ケース・バイ・ケースということもございますので、原則としてはこの制度によりまして、施設取得のための資金融通できると思いますけれども、ケース・バイ・ケースによりましてなお検討いたしたいということを申し上げたわけでございます。
  30. 岡田利春

    岡田(利)委員 午前中の私の時間がありませんから、これ一問で終わりますけれども、もう一つは、こういう臨時措置法を実施をするに当たって、特にそれぞれの研究機関で多獲性魚種高度利用とか、いろいろ研究開発が進められておるわけです。私もその点については承知をいたしておるわけですが、さらに研究開発体制を強化するということが当然必要ではないか。同時にまた、いままでのいきさつがずっとありまして、それぞれの水研から利用部を全部吸収をして東海区に統合をする、こういう政策がとられておるわけです。そういう意味では、従来のそれぞれ水研に利用部が設けられ、これらの研究開発が進められておったわけですが、もう一度この点については見直す必要があるのではなかろうか。少なくともたとえば北あるいは南、南北にはそれぞれの水研がございますから、その水研には利用部を復活をさせるということが必要ではないか。そういう必要性があると思うのですが、この点の見解を承っておきたいと思います。  同時にまた、私はずっと質問してきた中で言いたいことは、本法は五年間の時限立法であって、しかも十年間の融資をするわけです。国際海洋法のこれからの推移等を見ても、長期的に漁業国際環境というものは安定するとは私は思えないわけです。流動の状態は相当長期に続いていくのではないか、こう考えざるを得ないわけです。当面この措置暫定措置、こう言っておりますけれども、基本的にはわが国水産加工業というものを今日の情勢に適応させていく、こういう意味の積極的な政策をとるという前提があれば、私は五年の時限立法でもよろしいと思いますけれども、そういう前提がないとするならば、五年の期間というものは短過ぎるのではないか、少なくとも十年程度時限立法にせざるを得ないのではないか。この点、言いにくい点があろうかと思いますけれども、関連をさせてこの機会に考え方を承っておきたいと思います。
  31. 岡安誠

    岡安政府委員 まず、水研におきます利用関係、保蔵関係研究を現在東海区水研に集めまして重点的にやっているわけでございますが、ほかの水研にもそういう機能を持たしたらどうかという御質問だと思います。  これは、利用関係、保蔵関係等の研究と申しますのは、まず設備としまして高度の分析機器が要るとか、大型の製造機器が要るということもございまして、分散をするとそれだけ能力が低下しはしないかという心配もあります。また、この種の研究につきましては、大学とか、それから関係の水産試験場とか、さらに民間団体との有機的な協力関係というものも非常に重要なわけでございます。それから、人材の点におきましても、ある程度優秀な人材を一カ所に集めておいた方が研究の成果が上がるということも考えまして、現在、東海区水研で集中的にこれの研究を進めるということにいたしておるわけでございます。私どもは当分はこのような考え方でもって、東海区水研におきます研究を促進していきたいというふうに思っております。  それから、この法律が限時法五年というのは短いではないかという御質問でございますが、現在、二百海里時代が到来し、その対策に追われているわけでございますけれども、しばらくいたしますと、これも落ちついてくるというふうに思うわけでございます。したがって、二百海里時代の影響を受けまして非常な困難に直面しております水産加工業も、ある程度ここ数年間には行く末というか行方が、いまよりも明らかになってくるというふうに考えるわけでございます。そこで、五年程度この制度運用をいたしまして、この制度をなお存続する必要があるかどうかは、その時点でもう一度検討をするということが適当であろうと考えまして、五年の時限法ということで御提案申し上げたわけでございます。
  32. 岡田利春

    岡田(利)委員 終わります。
  33. 片岡清一

  34. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 原材料供給事情変化に即応して行われる水産加工業施設改良等に必要な資金の貸付けに関する臨時措置に関する法律案について、当局に質問いたします。  まず、この法案提出に当たりまして、先ほど鈴木農林大臣から提案理由説明がございまして、その最後に、臨時国会の延長の、しかも、もう法案審議日はきょう一日しかない時点において、一日で議了するというあわただしい審議になったわけですけれども、これに対して農林大臣から、まことに遺憾であると遺憾の意を表されたわけでございますが、今回のこの法案提案については、今後二度とこういうことのないように十分当局は反省をして、十分審議ができるように提案されることをまず私は当局に強く要望しておく次第でございます。  それと同時に、本法提案については、臨時国会の冒頭からこういった法案検討されておることは十分私も承知しておりましたが、この間、いろいろ聞くところによると、三カ月半にわたって、通産省との折衝が、ずいぶんむずかしい問題があって難航したということも聞き及んでおります。当初、一道三県、すなわち北海道、青森、宮城、岩手、こういったものならばということでもあったようであります。すなわち、北洋関係のみならばやむを得ない、こういうふうなことが通産省の強い要請であったようにも聞いております。したがって、多獲性のイワシサバまでする必要はないではないかというような意見であったというのですけれども、これでは西日本地方は全く救われないわけでございます。  そういったことで、われわれにも強い要請をしてきたわけでございますが、五年の時限立法ということで最終的には話がついた、こういうようなことも実は伺っております。しかし、この法律は、いわゆる現行の農林漁業金融公庫法では水産加工専業者に対する融資の道は開かれていないが、臨時措置として、二百海里問題に関連して漁獲量が大幅に減少したスケトウダラなどを主原料とする加工業者の体質転換食用水産加工品の安定的な供給の確保の必要性から、イワシサバなど多獲性魚種の大量水揚げに対応して、これら魚種原材料として利用する食用水産加工業発展を促進するために、これら水産加工品の製造または加工のための施設改良、造成または取得に必要な資金について、新たに農林漁業金融公庫からの融資を可能にしようとするということで、今回こういった差し迫った審議でありましたけれども、こういった水産加工業者経営体数が約一万九千ございますけれども、これら零細企業に対してわれわれは何とか救ってあげたいということで、本日審議をし、議了するということでいま進めておるところでございます。  本法審議に当たりまして、まずは、先ほど申し上げましたように、通産省とのいろいろな交渉に問題があったというような経緯もわれわれは一応は聞いておりますけれども、本委員会で冒頭、いままでの経過と、それから、この法律提案に対しての目的、及び水産庁はこの法案に対して今後どういうふうに進めていこうとするのか、そういったことをあらあらお答えいただきたい、かように思うわけです。
  35. 岡安誠

    岡安政府委員 この法案の御提出がおくれました理由等につきましては、大臣並びに政務次官から先ほどお答えをしたとおりでございまして、いろいろと政府部内におきます審議、調整に手間取ったことにつきまして、おわびを申し上げるわけでございます。  この法律を御提出申し上げております目的と背景等につきましては、これも提案理由において御説明をしたとおりでございますけれども、最近の二百海里時代を迎えまして、日米、日ソ間の漁業交渉等をやってまいりました。日米間につきましては、今年は一一%の減等にとどまりましたけれども、日ソの間におきましては、わが国の漁船がとり得る漁獲量は三六%程度減少という大幅な縮減を余儀なくされたわけでございます。  そこで、私ども二百海里対策といたしまして、すでにるる御説明申し上げましたとおり、漁業者救済対策、それから離職者対策等につきましてそれぞれ措置を講じてまいりましたし、水産加工業者に対しましても、経営維持安定資金融通制度を設けるとか、それから設備の合理化についての助成措置を新設するということをやってまいったわけでございますが、二万前後を数える水産加工企業者はきわめて零細でございます。その零細な企業が水産物の七割の加工をしょっている現実を踏まえまして、今後さらに厳しくなるであろう二百海里時代に対処するためには、どうしても水産加工業者の構造の改善を図らなければならないと思っております。  それから、二百海里対策の一環といたしまして、漁獲量が従来よりも減ることが当然予想されますので、従来、非食用として大幅に回っておりましたイワシサバ等の多獲性の魚類を食用向け加工し、転換をする、そういうことも加工業者にお願いしなければならないということを踏まえまして、この際新たに長期低利資金確保しまして、国民金融公庫、中小企業金融公庫のほかに農林漁業金融公庫からも融資できるように措置をいたしたいということが、この法案提出に至りました経過等でございます。
  36. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 去る十一月八日午後一時三十分から水産加工業金融制度確立決起大会が日本プレスセンターの十階ホールで行われ、私も出席して、全国加工業者の皆さん方の意見も聞き、また、いろいろとごあいさつもしてまいりましたが、このときの皆さんのまさに悲壮なまでの訴えがいまだに目に決っておるわけでございます。  現在の加工種類別・常時従業者規模別・経営体数を見ましても、一人から九人までの経営体が、総数一万八千九百七十九のうちに一万三千八百七十二もございます。これらから見ても実に小さい経営体です。また、経営体の中を見ましても、一つ経営体が二つ、三つまた兼業をしているというような状態等でございますが、時間の関係で詳しいことは申し上げられませんけれども、この法案が通ったならば、何としても早急にひとつ貸し付けをしてもらいたいというのが切なる願いでございます。  本法を見てみますと、この法案が成立したとしても、政府のいわゆる財政投融資資金でございますがゆえに、該当者に対して今年度内に貸し付けが行われるかは疑問でございますし、政府のお考えは五十三年度からというふうなことのようでございますが、貸付枠設定もありませんし、政府利子補給についての予算措置もないからそういうふうに考えられますけれども、これは焦眉の急務である、また大会のときの決議を見ましても、何としても一日も早く、こういう熱望が満ちあふれておったわけでございますが、その点については、本年度内に貸し付けをスタートするというようなことにはならぬのか、どうしても五十三年度からということでありますか。何としても本年度内に貸し付けができるような方向でいろいろ対策はとれぬものか、その点も明らかにしていただきたいと思います。
  37. 岡安誠

    岡安政府委員 私どもは、この法律が通過、成立いたしました場合、この資金融通は、先生御承知のとおり、来年の四月一日以降本格的な融資業務を開始いたしたいと思っております。と申しますのは、この資金が高度の政策融資でもございますので、この制度内容等につきまして、関係金融機関はもとより、末端の利用者に対しましても趣旨の徹底を図る必要もございます。また、利用者につきましては、施設の改善、新設その他の計画をつくっていただきまして、都道府県知事その他関係の団体で御審議をいただくということも必要であろうかと思いますので、それらの準備を法律が成立し、公布あり次第至急進めたいと思っているわけでございます。
  38. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 この法案は、公庫のいわば能力規定というものを定めているにすぎないということになるわけでございますけれども貸し付けを受けられる要件というものはほとんど政令にゆだねられております。法案審議に際しては、われわれは政令の中身というものが重要な問題になるわけですけれども、けさほど政令のいわゆる「見込事項」について文書が回されてきましたが、何せ審議のいとまもないわけですけれども政令事項について概略どういうことをうたうんだということを明確にしておいていただきたい、かように思います。
  39. 岡安誠

    岡安政府委員 政令で定める見込みは、一応「規定見込事項」としてお手元にお配りしてございますが、二つございまして、第一項の関係政令とそれから第二項の関係政令ということに分かれるわけでございます。  一項関係政令は、ここに長く書いてございますけれども、要約して申し上げれば、まず第一は、スケトウダラなどいわゆる北洋魚種が多量に水揚げされております道県の区域内で、水産加工業者原材料転換、それから製品転換加工方法の改良などのための施設改良等を行うような場合、その場合にこの融資の対象になるということが第一でございます。  それから、第二は、サバイワシなどいわゆる多獲性魚種が大量に水揚げされます道県の区域内で、水産加工業者が多獲性魚の食用水産加工品原材料として有効利用を図るための施設改良等を行う場合、これが第二の融資対象ということになるわけでございます。それが一項関係政令の見込事項の内容でございます。  二項関係につきましては、貸し付け条件等を決めるつもりでございまして、利率につきましては年六分五厘以内、これは原則でございますけれども、私どもは五分資金というものも設けたいというふうに考えております。それから、償還期間につきましては十年以内、それから、そのうち据え置き期間は三年以内ということを政令で定めたい、かように考えております。
  40. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 そうしますと、この法案というものは、水産加工品の製造または加工のための施設改良、造成または取得について、全国一律に適用しようとするものではなくて、大別してスケトウダラとかサケマス北洋関連魚種と多獲性赤身魚であるところのサバイワシ加工生産地についてのみ適用されるというふうに理解されるわけでございますけれども、この中で、いずれ政令事項で農林省は告示等によって何県何県というふうに指定されるということになるのだろうと思いますが、その辺と、それから多獲性魚種とはどういうものをこの政令の中で指定されるのか、どういうものを考えておられるのか、サバイワシだけなのか、その点も明らかにしていただきたいと思う。
  41. 岡安誠

    岡安政府委員 いま御質問のとおり、私ども、まず融資対象の第一のグループといたしましては、先ほど申し上げましたとおり、スケトウダラ等いわゆる北洋魚種が大量に水揚げされていた道県というものを農林省の告示で指定をいたしたいというふうに考えておりますし、また第二のグループでございますサバイワシ等のいわゆる多獲性魚種が大量に水揚げされる道県というものも農林省の告示で指定をいたすつもりでございます。  御質問の第二番目は、多獲性魚種とはサバイワシだけなのかという御質問でございますが、これは政令等で明らかに指定をする、また限定的に指定をする考えはございません。ただ、考えておりますのは、サバイワシのほかには、たとえばイカナゴというようなもの、その他従来は非食用に向けられていたものが今後食用水産加工品として利用され得るような、そういうような魚種につきましては、当然勘案といいますか、都道府県指定の際の勘案事項として十分検討をいたしたいというふうに思っております。
  42. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 多獲性魚種に対しては、サバイワシイカナゴというようなことは考えておられるようだけれども、その他については今後検討をするというようなお話のようでありましたが、そこでサバイワシまたはイカナゴ等を多量に水揚げをする県は対象になる、また、これら水揚げが少ない県は対象にならぬということになるのではないかというふうにも思うのですが、その辺の基準といいますか、その辺はどういうふうに想定しておられますか、お答えいただきたい。
  43. 岡安誠

    岡安政府委員 やはり私ども考えておりますのは、サバイワシ等いわゆる多獲性魚種が大量に水揚げされる道県ということを考えております。と申しますのは、やはり大量に従来から水揚げされてまいりましたので、勢い非食用に回る部分が非常に多くなっていたという現実がございます。そういうようなところにつきまして、これを極力食用加工向けに振り向けるということが本制度の目的でもございますので、私どもはある程度量がまとまって水揚げされている実績のあるところということをこの指定対象として考えたいというふうに思っております。
  44. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 そのある程度というところが、われわれがなかなか問題にするわけですけれども、本案審議に当たって、現段階でも、三カ月半も審議してずいぶん苦労してこられたことも事実でありますが、いまの段階でもある程度としか言えないのですか、どうですか。
  45. 岡安誠

    岡安政府委員 これはある程度ということで、先生はたとえばそれは何トン以上なのかということを答えろということかとも思いますが、やはりこれは大量に水揚げされるためになかなか食用には回りがたい部分が発生するような、そういう状態にあるような道県について、特にその資金融通するということでございますので、一応机上で抽象的に何トンということもお答えできるわけでございますけれども、むしろそういう形式的なトン数よりも、実態に即した、いわば非食用魚種ができるだけ食用の方に回り得る、また回す必要のある、そういう実態を備えた場所ということを私ども考えておりますので、現在どの道県を指定するかということにつきましては、指定の勘案要素も含めましてなお慎重に検討させていただきたいと思っております。
  46. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 慎重に検討は結構ですけれども、九州各県は、全部とは言わなくてもほとんど入る。しからば、瀬戸内はどうか、四国についてはどうか。四国も九州と同じようにおおむね入る可能性が強い、こういうふうにわれわれは思うのですが、瀬戸内についてはどうかというようなことがどうしても疑問となって残るわけですけれども、慎重に検討ということですけれども、その辺のところはどういうふうにあらあらお考えであるか。いずれこれは政省令等で定めてはっきりするわけでありますけれども、その辺についてもさらにひとつお答えをいただきたいと思います。
  47. 岡安誠

    岡安政府委員 なお現在どの道県を指定するかにつきましては検討中でございますが、そんなに少ない県になるのではなくて、ある程度幅広く指定ができるのではあるまいかというふうに考えております。
  48. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 ある程度広く考えられるのじゃないかということで、なかなかおっしゃらぬけれども、ひとつ本員が質問した趣旨を十分解していただいて、冒頭申し上げましたように、北洋漁業関係一道三県のみならず、西の方についても十分対応ができるように対策を講じていただくように特に強く要求をいたしておく次第であります。  さて、公庫の貸し付け条件は、原料転換に係るものについては金利が五%、その他については六・五%、償還期限十年、据え置き期間二年を予定しておられるわけでございますけれども、現在、大蔵、通産ともいろいろ折衝しておられるやに聞いておりますが、私も昭和二十五、六年から、農林漁業金融公庫設立当時から、当時県におりましたので、農林省から再三呼び出されて、いろいろ意見を申し上げ、農林漁業金融公庫を設立するのに陰ながら努力をさせていただいた経緯がございまして、こういった長期低利の金でなければ救われないということで、ぜひとも今回、公庫によって救済されるようにお願いしたいわけです。できるだけ長期低利でなくてはならぬ、こう思うわけです。  そこで、融資枠が三公庫で五年間で三百億というようなことでございますけれども、こんな金ではどうにもならないのではないか、こういうふうに思っているのです。その融資枠の問題、貸し付け申し込みが多ければまた将来考えていくということであるのか。また、貸付限度とともに、私は十分、長期低利の融資を考えていただきたい、こういうふうに思っておるわけですけれども、その点についても当局のお考えをひとつ明らかにしていただきたいと思う。
  49. 岡安誠

    岡安政府委員 まず、貸付枠でございますが、先生の御質問のとおり、私ども現在考えておりますのは、昭和五十二年度以降五年間で総枠約三百億円というものを貸付枠と考えておりますし、初年度は約五十一億円というような予定を現在持っております。もちろん、これはあくまでも予定でございますので、将来事情が変われば当然変わり得るものというふうに考えております。  それから、貸付条件につきましては、これも先生御指摘のとおり、現在考えておりますのは、まず共同モデル工場建設に伴います補助残融資につきましては、六・五%の金利ということを考えております。それ以外の融資につきましては、原則六・五%と考えておりますけれども特定資金につきましては五%資金というものも考えてまいりたいというふうに思っております。  それから、貸付期間につきましては、原則として十年以内、そのうち据え置き期間は二年以内ということを現在考えております。
  50. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 そこで、本法は五年間の時限立法という措置になっておりますけれども、附則の二項によると、「この法律は、昭和五十八年三月三十一日限り、その効力を失う。ただし、その時までにした行為に対する罰則の適用については、この法律は、その時以後も、なお効力を有する。」そこで、普通ならば、法律を廃止するというようなことに書くわけですけれども、今回の法律というものは、いまもおっしゃったように、少なくとも十年以内の貸し付け、二年の据え置きというようなことであれば、事実上これは十年にわたるわけですね。この法律は廃止するものとするというならば、従来からいろいろわれわれも法律を作成した際に検討したこともございますけれども本法においては「その効力を失う。」ということで、厳しい内容になっております。その点、通産省との交渉において、そういうことであったからこの法律は通産とも折り合いがついたというふうなことも聞いておりますけれども、実際問題としては五年ではどうしようもないと思うのです。その辺の「失う。」とした経緯、そしてまた将来五年たって、当然これは必要なことが起きてくるわけですけれども、その時点ではわれわれまた議員立法で考えたりいろいろなこともしなければならぬと思っておりますけれども、その時点でまた十分考える用意があるのか、その辺も含めて本法審議に当たって水産庁長官から御答弁をいただきたいと思う。
  51. 岡安誠

    岡安政府委員 これは提案理由説明でも申し上げましたとおり、五年間の限時法ということで御提案を申し上げているわけでございます。これは一つ申し上げておきますけれども、「五十八年三月三十一日限り、その効力を失う。」と書いてございますが、新規の貸し付け等につきましては五十八年三月三十一日限りということになるわけでございます。その後の償還その他の管理は当然継続し得ることは、先生十分御承知のとおりだろうと思っております。  では、新規の貸し付けの能力を五年間に限った理由はどうかということになるわけでございますが、これは二百海里時代が参りまして、私どもその対策に忙殺をされているわけでございます。なお二百海里時代が定着したとは言いがたいと思います。ただ、ここ数年を経過いたしますれば、世界の二百海里体制というのもある程度落ちついてまいりましょうし、そうなりますと、わが国のそれに対する対応というものもある程度安定したものになり得る。そうすれば、当然二百海里時代と大いに関係のある水産加工業界もある程度安定をした姿というものが見出されるであろう。そこで、とりあえず、この緊急措置は五年間を試みてみるということにいたしたわけでございます。  五年を経過いたしました時点でどうなるかということにつきましては、もちろん明らかでない面がたくさんあるわけでございまして、五年を経過した時点でこの法律の効力は当然失われるわけでございますので、改めてその状況を判断をいたしまして、この法律をこの規定どおり効力を失わせるかどうかということは判断がなされてしかるべきものというふうに思っております。しかし、とりあえず、臨時暫定措置といたしまして、私どもは五年間の限時法として御提案を申し上げておるわけでございます。
  52. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 一応五年ということでありますけれども、その時点でまた議員立法なりあるいはまた延長するなりそれは考えるとして、私たちはこの法律は五年ではどうも短過ぎる、現在の不況、長期的な不況等を考えましたときに、将来にわたってこれは当然考えていかなければならぬ、かように思っておるわけであります。これは将来のことでございますので、一応それだけ申し上げまして、農林漁業金融公庫総裁おいでいただいておりますので、こういう機会に御発言をいただきたいと思うのです。  いままでいろいろ質問してまいりましたが、本法が施行された場合に、農林漁業金融公庫としては、こういった資金貸し付けについては十分な陣容、そういった受け入れ体制ができておるかどうか、その点どういうふうにお考えであるか、お答えをいただきたいと思います。
  53. 武田一夫

    武田説明員 本法が施行されましたときに、農林漁業金融公庫としてそれに対応する準備ができておるかという御質問でございます。  先生御承知のように、水産関係の融資につきましては、私ども公庫発足当時以来相当幅広く行ってまいっております。水産関係の専門家も多数養成されておりますし、また融資の手足といたしまして、私どもの支店あるいは事務所は全国で十八カ所しかございませんけれども、御承知のように、地方銀行あるいは信漁連等の系統機関に業務を委託いたしまして、津々浦々といいますか、漁村のすみずみまで私ども資金を今日まで利用していただいております。したがいまして、今後この資金を扱うようになりましても、これを利用していただく水産加工関係の方々に御迷惑をかけるようなことはないというふうに確信をいたしておりますが、さらに、この資金内容が細かく決まりますれば、それにつきまして、末端まで詳細にできるだけ早く周知徹底させるような努力を重ねてまいりたいというように考えております。
  54. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 農林漁業金融公庫総裁にさらにお尋ねしますけれども政府の考えをお聞きしましたところ、五十三年から五年間、約三百億、初年度は大体五十一億を融資枠として考えているようなことが明らかになりましたし、いずれ据え置き期間または償還期限、または貸し付け条件等明確になってくると思いますけれども、公庫の本来の業務規定からいけば、当然これはもうおのずから利子その他もうなずけるところでございますが、それは将来決まるとして、農林漁業金融公庫を初め中小企業金融公庫、また国民金融公庫、この三公庫でこういった資金の分捕りといいますか、シェアをめぐっていろいろ問題が起きてくるのではないかと思う。私どもは、今回のこの措置については、重点的に農林漁業金融公庫にウエートを置いてもらいたい、こういうふうに考えておるわけでございますけれども、これについては受け入れ体制も十分自信があるということでございますが、その点については公庫としてはどういうふうな希望を持っておられるか、総裁からあわせて御見解を承っておきたい。
  55. 武田一夫

    武田説明員 今度の資金につきまして、私ども農林漁業金融公庫が融資の窓口として指定されることになろうとしておるわけでありますが、これについては、公庫で扱ったらどうかという水産加工業者の多年の御意思が一部実現されたものだと思って、私どもとしては非常に一生懸命この融資について取り組んでまいりたいというように考えておるのでございます。  この資金をめぐりまして、政府関係の三金融公庫が妙な競争をするということは好ましくないことだというふうに私は考えております。それぞれの公庫の持ち味もございますしいたしますので、おのずから分野も決まってまいるかというふうにも思いますけれども、当面この資金配分その他のこともございますので、行政庁の方でも、関係各省の問で分野調整といいますか、そういった問題についてもお話し合いを進められることであろうというように思っております。  いろいろとこの資金に関します行政庁の指導方針が決まりますれば、それに基づきまして十分に対応してまいりたいというように思っておりますが、私どもとしては、資金の多寡にかかわらず対応できるというように思っております。
  56. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 羽田政務次官、いろいろお尋ねしてまいりましたが、いま公庫総裁からも決意のほどが御答弁ございましたけれども、この資金のいわゆる三公庫のシェアについては、私たちは農林漁業金融公庫に重点的に回していただきたい、こういうふうに考えておるわけですけれども、その辺についてはどういうふうに、政務次官、農林省当局の方ではお考えであるか、ひとつこの機会にお考えを述べていただきたいと思います。
  57. 羽田孜

    羽田政府委員 いま先生の御質問ございました件につきましては、利用者の需要の動向、こういったものを見きわめながら、それぞれの関係機関と十分調整してまいりたい、かように存じます。
  58. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 もう一点お尋ねしておきますけれども本法の中で、冒頭「北洋における外国政府による漁業水域設定等に伴う水産加工品原材料供給事情の著しい変化に即応して行われる」云々と、こうございますが、この中で「漁業水域設定等」と、「等」というのはなかなか意味深長なことになっておりますが、たとえば韓国、中国とか南洋海域のいわゆる締め出し、こういったものも入るのか、いろいろこう思うのですけれども、この「等」ということについて当局はどういうふうに検討して本法提案に至ったのか、その点を明らかしておいていただきたいと思う。
  59. 岡安誠

    岡安政府委員 これはここに書いてございますとおり、「北洋における外国政府による漁業水域設定等」は、一応二つの要素があると思います。その一つは、まず北洋における問題のほかに、北洋以外の海域における漁業水域設定というような場合も一応考えているということ、それが一つ、それから北洋における外国政府による漁業水域設定に伴うのではなくて、漁業水域外の問題、たとえばサケマス等の規制がどうなるかというようなことと、二つのことを考えまして、現在「設定等」というふうに表現をいたしているわけでございます。  そのような事態が発生をいたした場合にこの法律をどういうふうに動かすかということにつきましては、法律を改正しないでも動かし得るわけでございますけれども、その必要性のいかんによりましては、関係省庁と十分協議をいたしまして対処いたしたい。そういう準備から、とりあえず、ここでは「等」という文字を入れてあるというふうに御了解をいただきたいと思います。
  60. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 最後に、それでは政務次官に締めくくりとしてお尋ねいたしますけれども、冒頭申しましたように、この加工業者は一万八千九百七十九経営体になっておりますが、大変な不況下において苦境に立たされております。こういった加工業者にとって、本法の施行というものは重大な多年の念願でありましたし、ぜひとも早く通過して零細企業を救っていただきたいということで、われわれもこういった緊急、押し詰まった委員会において審議をいたしておるわけでございますが、ほとんどの内容政令事項にゆだねられておる。あらあら本日の御答弁でその内容が浮き彫りにされたわけでございますけれども、何としてもこの年内に、この不況下において早く構造改善をせねばならぬ、また近代化合理化をせねばならぬというような差し迫った問題が多い。しかも、一人から九人という、零細な中でも少ない経営体が一万三千八百七十二もあるということでございますので、来年四月一日以降の本法施行、いわゆる融資の実施ということになりますけれども、年末から年始、来年三月までにかけて、これは大変大事なときでございます。もちろん、国民金融公庫、中小企業金融公庫等の融資の道があるとは言いながらも、長期低利資金を一日も早く望んでおる、多年の念願でもございますので、この年末から年始、三月までにかけてどういうふうに金融対策をお考えであるか、また、その間のつなぎとしてどういうふうにお考えであるか、私は政務次官に承ると同時に、この加工業関係構造改善については指導員がまことに少ないわけですね、九百名以内で少ない。農業改良普及員なんかと比べると全然立ちおくれているという問題もございますが、こういった面のいわゆる指導も徹底してやらなければ、今後こういった加工業転換も、白身から赤身に変える問題もございますので、大変なことになるんじゃないかと思っております。  時間が参りましたので、全部質問することができませんが、締めくくりとしてはしょって質問いたしましたので、それを含めて、今後、関連水産加工業者が明るい展望に立って近代化並びに合理化構造改善に努力することができますように対処していただきたい、政務次官の答弁をいただきたい。
  61. 羽田孜

    羽田政府委員 ただいま先生からお話がございましたように、水産加工業者は確かに零細なものが大宗を占めておるわけでございます。この零細な加工業者に対しまして、今日のようなまさに最大とも言われるような状況になったわけでございまして、こういったものを踏まえまして、私ども加工業者に対する対策というものは緻密に行っていきたいというふうに考えております。  また、当面いたします年末あるいは年始の問題等につきましては、つなぎ融資あるいは制度の維持資金、こういったものを十分に活用しながら対応してまいりたいというふうに考えております。  なお、指導体制、これが非常におくれておるんじゃなかろうかというお話がございます。先生の御指摘のような零細な状況でございますので、構造改善等を含めまして十分な指導を行っていきたい、かように存じます。
  62. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 時間が参りましたので、以上で終わります。
  63. 片岡清一

    片岡委員長代理 神田厚君。
  64. 神田厚

    ○神田委員 原材料供給事情変化に即応して行われる水産加工業施設改良等に必要な資金の貸付けに関する臨時措置に関する法律、この問題につきまして御質問をさしていただきます。  午後からの農林大臣に対する同僚議員の質問もありますから、私は少し細かい点にわたりまして御質問をさせていただくわけでありますが、二百海里時代を迎えて非常に厳しい日本の漁業、その中での水産加工業に対する状況というのは、まことに大変な局面に立っているわけでございます。現在までにいろいろとそれなりの施策が決められ、行われているわけでありますけれども、きょうはこの金融問題ということで新たな法律の追加事項が出てまいりました。先ほど来からの御質疑を聞いておりまして、さらに釈然としないものもございますから、その点について御質問をさしていただきたいと思うのであります。  まず第一に、先ほどからずっと問題になっておりました、この法律案をなぜ五年間という限られた非常に短い時限立法、この五年間という期間をとったという理由はどういうところにあるのか。法律案提案の背景やなんかからいろいろ考えまして、五年間というものが適当であるのかどうかというのは非常に大事な問題になってくるわけであります。その点どういうふうにお考えになっておりますか。
  65. 羽田孜

    羽田政府委員 最近におきます各国の漁業水域設定に伴いまして、国際的な規制が強化される中で、わが国漁業及び水産加工業は本当に重大な影響をこうむりつつあるところでございます。いずれ二百海里時代の帰趨が決まり、世界の漁業秩序も安定してくる時期が来るというふうに私ども考えておるわけでございます。そのような時点におきましては、水産加工業原料供給事情等の枠組みもまさに定着してくるんじゃないかというふうに考えます。  今回の資金貸し付けは、いわゆるこういった急激な事態、これに対処するために設けたものでございまして、その推移を私ども見きわめながら、本格的な対策を行っていかなければならぬというふうに考えます。それには、ちょうどこの推移というものが定着してくるのにはおよそ五年間ぐらいのものが必要じゃなかろうかということで、今度の臨時暫定措置としましてこの対策をお願いしておるわけでございまして、そういった意味で、五年間の時点が来ましたときに私どもまたもう一度見直していかなければいけないというふうに考えます。
  66. 神田厚

    ○神田委員 五年間というのは、一つの目安として出されてきたというふうな形では困る。水産加工業に対するきちんとした長期的な展望に立ちまして、大体どういうふうにしたらどのくらいの時期でどうなるという確固たる計画の中で出されてこなければ、五年たったらまた考えましょうというのではちょっと問題があるのではないかというふうに考えるわけであります。しかし、一応五年という形で出されてきておりますので、それはそれで、この後の推移を見たいと思うのであります。  第二番目の問題といたしましては、貸し付け対象、いろいろ政令の見込事項やその他でも出されてきておりますけれども、この対象とする施設というものが、具体的にどういうような施設対象とするのか、これを少し細かな形で御説明をいただきたいと思うのであります。
  67. 岡安誠

    岡安政府委員 対象とする施設につきましては、先ほど申し上げましたとおり、法律の一項並びにそれに基づきます政令によりまして明らかにするわけでございますが、具体的にどういうような施設かという御質問でございますので、仮に六つばかり具体的な例を申し上げてみたいと思います。  第一は、北洋魚種減少に伴いまして、既存原料魚の入手難に対して原材料転換を図る場合といたしましては、たとえばすり身業者が多獲性魚を原料とするすり身製造施設取得するというような場合でございます。  それから二番目は、北洋魚種減少に伴いまして、原料魚の入手難に対処いたしまして原材料及び製品転換を図る場合でございまして、これはたとえばスケトウダラの干し製品業者が多獲性魚を原料として、レトルト食品製造施設取得するような場合、これが第二番目でございます。  三番目は、北洋魚種減少に伴いまして、北洋魚種の食料利用向上を図るなどの場合といたしましては、たとえばミールの製造業者が、スケトウダラをミールではなく積層フィレーブロックに製品転換をする、そのための製造施設取得するような場合でございます。  それから四番目の、スケトウダラ漁獲減に伴いまして、その利用割合の向上を図るための製造、加工方法の改良を行う場合ということが考えられるわけでございますけれども、これはすり身製造業におきます歩どまり率を向上するための施設取得するというような場合でございます。  それから五番目は、練り製品製造業者がスケトウダラすり身の供給減少に対処いたしまして、みずから多獲性魚を原料とするすり身を製造するための施設取得するような場合でございます。いわばすり身を買って練り製品をつくるのではなくて、みずから多獲性魚を原料としてすり身を製造する、そのための施設取得する場合でございます。  六番目は、食用水産加工品供給確保に資するために、多獲性魚を原料として、たとえばレトルト食品とか冷凍食品等を製造するための製造施設取得するような場合、こういうことが大体この制度対象になり得る具体的なケースであろうというふうに考えております。
  68. 神田厚

    ○神田委員 大変いろいろな細かなところにわたって融資の道が開けてくるというふうなことでございますが、この細かいいろいろな問題については、また練り製品や何かの、たとえば研究開発、そういうものがどういうふうにされているのかという問題点もあるわけであります。それらについてはまた後ほど御質問をしますが、そうしますと、この法案によりますと、これは大体貸し付けというのは、そういうふうに設備資金に対するものだけ、増設その他に関するものだけというふうに規定をされているようでありますけれども、いま業者が一番緊急に必要としているのは、そういう設備資金もそうでありますけれども、運転資金そのものも大変困っている、こういうふうな陳情も来ているわけであります。どうしてこの中に運転資金対象とすることができないのか、なぜ運転資金対象にしないのかという点については、どういうふうなお考えをお持ちなんでございますか。
  69. 岡安誠

    岡安政府委員 まず、今回の制度を設けました理由がきわめて高度の政策理由に基づくということがございますので、新しく施設取得したり、または施設改良したり、増設したりというような、施設に着目をいたしまして低利長期の融資を考えるということを私どもは考えているわけでございます。  もちろん、こういう施設をつくりました場合には、その施設を有効に円滑に利用していく場合には、必然的に運転資金が必要になるわけでございます。従来からこの水産加工業者が必要といたします運転資金につきましては、いろんな資金ルートがございまして供給されておりました。たとえば、農林中金等の農林漁業の系統金融機関からも出ておりますし、また地元の一般市中金融機関からも出ているというように、多元的なルートがあるわけでございます。  私どもは、施設を円滑に運用するために当然必要とする運転資金は、適期に適当な額が融通されることが必要であるというふうに考えておりますので、この施設資金融通とあわせまして、それぞれの従来からのルートによる運転資金融通をぜひ積極的にやっていきたいというふうに思います。その場合に、もし信用保証制度等についてネックがあるならば、そういうような信用保証制度につきましての充実等も今後十分配慮してまいりまして、私どもはこの制度による資金融通とあわせまして、運転資金確保につきましても十分意を用いてまいりたいというふうに考えております。
  70. 神田厚

    ○神田委員 あわせてこの運転資金の面でもめんどうを見ていく姿勢だというふうなことでございますが、先ほどおっしゃいましたように、信用保証の問題などが一番大事で、やはりこういうことについて強く助成というか、助言というか、指導というか、こういうものがないとうまく運んでいかないというふうに思うわけであります。ですから、いまおっしゃいましたけれども、私はまだまだこの農林中金にしろ一般の金融にしろ、金利の問題やそういうものを考えていきますと、運転資金が出されたと言っても、それが本当に水産加工業者のこれから先の運営の問題に、いろいろと役には立つけれども、利息が高かったりして大変だというように思うのでありますが、そういう点も含めまして、せっかくこういうふうな施設に対する融資の道を開いたわけですから、これを殺さないような形でより積極的な運用の指導というものをひとつしていただきたいというようにお願いをしたいと思うのであります。  次に、先ほどいろいろ長官の方から御説明がありましたが、この法案では練り製品に対する問題が一番関係があるわけであります。食用加工品の生産の中で、これは大体年間二百三十万トン程度あると言われておりますが、かまぼこなどの練り製品が百十五万トン、非常に重要な位置を占めておるわけであります。この練り製品原料の約八割がスケソウダラに依存をしていたわけでありまして、現在のこういう状況の中から練り製品原材料の供給の現状と今後の見通し、これは一体どういうふうな見通しをお持ちになっているのか、お聞かせいただきたいと思うのであります。
  71. 岡安誠

    岡安政府委員 先生十分御承知と思いますけれども、水産練り製品は消費者の嗜好に合うというようなことから、最近その供給が非常にふえているわけでございます。練り製品生産量を約百万トンと考えておりますが、その原料の構成を申し上げますと、魚肉が約六割でございます。その他でん粉とか植物たん白、野菜の種もの、水分等があるわけでございますけれども、この魚肉の六割のうちスケトウダラすり身が約七割を占めております。これは約四十七万トンというふうに私ども考えております。残りはハモとかグチとかという地場で揚げられるもの、これが原料として供給をされているわけでございます。  そういたしますと、この練り製品の主たる原料であるスケトウにつきましては、御承知のとおり、その大部分を外国の二百海里内に依存をしているという現状から、現に日ソの協定によりましてスケトウについては漁獲量を大幅に削減されましたし、今後もその供給につきましては減少をすることが予想されるわけでございます。その場合に、練り製品生産量がある程度減少をいたしまして、肉畜加工品等に代替されるということも避けられないのではないかというふうに思っておりますが、冒頭申し上げましたとおり、水産練り製品に対します消費需要というものは相当根強いものがございますので、私どもできるだけ原料確保ということに努めてまいりたいというふうに思っております。  その場合に、私ども、どうしても実現しなければならないのは、まず、すり身等の歩どまりの向上、これによって原料確保する。それから、以西の底びき網の漁獲物等、これは従来は相当練り製品利用されていたものでございますが、今後はこれらをスケトウすり身にかわりまして利用するというようなこと、また、この制度の融資対象に考えておりますように、サバイワシ等の多獲性魚を練り製品原料としてすり身化していくということもぜひ進めてまいりたいということによりまして、多少時間がかかるかと思いますけれども、私どもは大体原料確保はできていくものというふうに見通しをいたしております。
  72. 神田厚

    ○神田委員 スケトウにかわるサバイワシ、こういう多獲性魚種の今後の資源の確保、これが大変大事になってくるわけですね。  そうしますと、いまちょっと言われましたけれども、スケトウが大部分でありましたが、多獲性魚種がそれにかわるということですが、本当にそれにかわるだけのものがとれるのかどうか、こういう可能性はどうでございますか。
  73. 岡安誠

    岡安政府委員 サバイワシを例にして申し上げますと、戦前はわが国漁獲量のうち大部分がイワシというようなことでございました。ところが、戦後から昭和四十年の当初にかけましては、イワシが激減をいたしまして、非常に出回りが少なくなったということもございます。ところが、最近これが急速にふえてまいりまして、ことしは恐らくはイワシ類合計では百四十万トン程度漁獲が見込まれるのではあるまいかというふうに考えております。それから、サバにつきましては、戦後大体一貫してふえてまいりまして、最近若干減りぎみではございますが、大体おおむね百万トン程度漁獲ということが予想されます。したがいまして、サバイワシ合計いたしますと二百万トンから二百五十万トンくらい、そのくらいの漁獲量は、今後とも、資源量等の点から見ましても余り漁獲量として狂いはないものというふうに見通しているわけでございます。
  74. 神田厚

    ○神田委員 そうすると、今度はこのサバイワシの多獲性魚種加工化、特にそのすり身化をどういうふうにして促進していくかというふうな技術的な問題も大変重要になってくるわけでありますね。  それで、まず第一番の問題としては、イワシサバすり身化する技術が確立しているのかどうか。いろいろ専門的には脂肪の分離やいろいろな問題があるように聞いております。そういう技術が確立しているのかどうか。  第二には、すり身化を行うための魚体の処理機械、こういうものが完成しているのかどうか。  それから、第三番目に、できた製品加工業者の採算のとれる範囲で消費される見込みがあるのかどうか。これはいろいろスケトウの原料などに比べて色が違ったりする、そういうふうな問題も出てきているように聞いております。ですから、こういうふうな技術的な問題についての見通しはどういうふうになっているのか、その点をお聞かせいただきたいのです。
  75. 岡安誠

    岡安政府委員 サバイワシすり身化技術でございますけれども、これは現在、非常に高度に発達をいたしておりますスケトウすり身化技術、これを基本にいたしまして、すでに各地方で練り製品原料に使用をいたしているわけでございます。色が黒いというようなことその他問題がございます。と申しますのは、血合い肉とか脂肪が多いわけでございますので、製品について、スケトウのすり身利用した場合に比べて、消費者の需要に合うという点ではなお改善を要する点があるというふうに考えております。この点につきましては、血合い肉や脂肪の除去についての新技術の開発につきまして、すでに今年度からこの試験研究を進めているわけでございますので、近くこれは完成をするものというふうに思っております。  もう一つの問題で、今度はサバイワシ等すり身化するための前処理としての魚体の処理について、たとえば頭を除く機械とか、それから肉をおろす機械というようなものはどうなっているかということでございますけれども、一応そういう機械はできているわけでございます。ただ、イワシサバ等は、御承知のとおり、鮮度が非常に急速に落ちるというようなこととか、それから小型の魚であるというようなことから、より高速に、高能率に処理ができる機械ということになりますと、まだちょっと問題がございます。そこで、私ども考えておりますのは、混獲によってとれました魚を魚種別に選別をするとか、それから特に小型の魚に対する魚肉のおろし機をどういうふうにつくるかとか、それから魚肉おろし機にかけるために魚体の選別をどういうふうにするかというような機械化の過程においてなお問題がございますので、来年度以降の予算におきまして、こういう点の高速処理機械の開発のための試験研究というものをぜひ推進してみたいというふうに考えているわけでございます。  それから三番目に、では、サバとかイワシを使ってつくった製品が採算ベースに合うのかという御質問でございます。これにつきましては、それぞれ一利一害があるようでございます。と申しますのは、サバイワシを使った場合の方が、スケトウダラを使った場合よりもまず原魚価格が非常に安いということ、これがサバイワシの利点でありますし、また製品歩どまりもスケトウダラの場合に比べて高いというような利点があります。ただ、反面、加工に際しまして、先ほど申し上げましたように、現在、機械の開発というものが十分でございませんので、人手が多くかかるというような点がやはり製品価格にもはね返るということが、スケトウすり身の場合よりも不利な点であろうというふうに考えております。しかし、まだイワシサバ等を原魚として利用する場合の技術開発の余地が相当ございますので、将来性といたしまして、私どもサバイワシ原料とする製品の見込み、将来の見込みはそう悲観をしてはいないわけでございまして、現在指摘されておりますようなネックを急速に解決することによりまして、私どもはこのサバイワシ等食用に大量に向けられております多獲性魚をできるだけ食用向けに回すという努力を続けてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  76. 神田厚

    ○神田委員 時間が来ましたので、最後に二点御質問申し上げます。  スケソウダラから多獲性魚種原料転換する、こういうことでございますね。釧路や八戸、こういう従来からスケトウのほかにサバイワシが大量に水揚げされているところは、それなりにこの法案の恩恵といいますか、そういうものを受けるでしょう。ところが、稚内のように、スケトウは大量に揚がっていたけれども、それにかわる加工向けの魚種がない場合、これらの産地加工業者はいま非常に困っておるわけであります。こういう場合、やむを得ず事業転換するというような産地の業者に対しましては、施設の買い上げなどのいわゆるスクラップ補助を今後ともとり続ける御用意がありますかどうかということが第一点。  さらに、最後には、いわゆる水産加工業に対する施策というのがいろんな形でいままでなされているわけであります。水産物の高度利用の促進という形でいろいろなされている。さらには、水産物の価格安定対策及び流通加工対策の強化ということでいろいろなされている。こういうことを含めまして、ひとつこういうふうないままでの施策がどういうふうな形で現在まで進行されているのか、その二点をお聞きして、質問を終わりたいと思います。
  77. 岡安誠

    岡安政府委員 御指摘のとおり、地域によりましては、従来のスケトウダラ中心とする原料から、たとえばサバイワシ等の水揚げがないので転換すべき材料がきわめて少ない、したがって、なかなか転換がむずかしいという地域があることは承知いたしております。もちろん、そういうような場合に、従来の施設をスクラップ化したいという場合は、先ほど申し上げましたとおり、スクラップに対する助成ということを考えておりますので、それを適用することは当然でございますけれども、なお、この制度によります資金の活用方法も別にあり得るというふうに考えております。  たとえば、従来スケトウダラのミールをつくっておりました業者が、従来の原料を使用いたしまして、食用歩どまり率の高いフィレー製造というような食用品加工転換するというような場合には、当然この制度対象になり得るわけでございますし、また従来の製造を続けるにいたしましても、その製造、加工法の改良を図りまして歩どまりを向上させるというための施設を導入する場合にも、この制度対象になり得るというふうに考えておりますので、そのような地域の特性によりまして、私どもの考えておりますいろいろな施設の御利用をいただいたらというふうに思っております。  それから、加工一般につきましては、御指摘のとおり、現在二百海里時代の影響を受けまして、まず非常に原料難等によって経営に安定を欠いているような業者に対して、すでに八十億のつなぎ資金を用意いたしましたし、また、つなぎ資金につきましては、期間の延長を図ると同時に、必要に応じまして長期の維持安定資金への借りかえも認めるということで、当座のつなぎ等はいたしておるわけでございます。  また、従来から零細規模の業者に対しましては、団地化による協業化、共同化の促進ということも行っておりますので、今後はやはり二百海里の行く末というものを見定めながら、特に零細な水産加工業者実態に即して、その構造改善、特に協業化、共同化を強力に促進するというような方向に、私どもは今後の水産加工業対策施策を進めてまいりたいというふうに思っております。
  78. 神田厚

    ○神田委員 終わります。
  79. 片岡清一

    片岡委員長代理 津川武一君。
  80. 津川武一

    ○津川委員 提案されている法律の融資条項、いま二百海里問題で苦しんでおる水産加工業者とともに、私たちもこれを使うように努めてみたいと思います。  そこで、行政的な技術的なことを若干質問し、政治的な本質的なものは、後刻大臣質問させていただきます。  そこで、一つは、業界の要求は設備投資の融資措置だけでなく、いまかなり苦しくなっているので、お金を借りることも結構だけれども、それ以上にやはり根本的に助成、こういうことを求めております。私も今度の法律のことである加工業者に聞いてみたら、三百万や五百万借りていてもどうにもならない状態だから、この際助成ということも考えていただきたい、これを政府に求めていただきたいというのであります。この点についてはいかがでございますか。
  81. 岡安誠

    岡安政府委員 助成という意味がどういうことなのか、余り私どもはっきりしないわけでございますが、先ほど申し上げましたように、水産加工業者が置かれている現状というものは相当厳しいというふうに考えております。それは水産加工業者が零細であるということ、したがって体質を根本的に改善していかなければならない。体質の改善のためにどういう施策を要望しているかということが一点と、それから、やはり原料が従来よりも非常に窮屈になってきた。したがって、原料転換製品転換をどういうふうに図って、今後どういう形で水産加工業を続けていくかという問題、この二点にしぼられるというふうに思います。  前者の構造改善問題につきましては、従来から私ども、やはり団地化による協業化、共同化を進めているわけでございまして、これは従来からも各種の助成措置等を考えてその促進方を図っているわけでございます。  それ以外の急場の問題等につきましては、これは先生も十分御承知のとおり、つなぎ資金、それからさらには長期の維持安定資金制度も設けまして、当座の急場はしのいでいるつもりでございまして、今後の新しい行き方につきましては、この制度によりまして長期低利融資措置というものを考えておるわけでございます。当然これは長期低利の融資でございますので、私ども相当手厚い助成措置だというふうに考えておるわけでございますので、補助金を交付することだけが水産加工業者の今後の展開に有意義であるというふうには必ずしも考えていないわけであります。
  82. 津川武一

    ○津川委員 助成というのは国の補助という意味です。そのことは、後刻、大臣構造改善をめぐってもう少し質問しますので、いまは切り上げておきます。  そこで、今度の法案が目指す零細加工施設の改善の内容、これは当然スケソウダラすり身からサバイワシすり身、こういうことに転換することだ、これが中心になっておりますが、そこで、この技術開発の現状、今後の見通しですね。イワシサバだとやはりにおいもする、色もある、いろいろなこともたくさんありますので、この研究の現状と今後の見通しを知らしていただきます。
  83. 岡安誠

    岡安政府委員 いま御指摘のイワシサバ等の多獲性魚の高度利用につきましては、技術的な面においても必ずしもいろいろなネックがないわけではございません。そこで、私ども五十二年度から七カ年計画によりまして、水産物の処理加工技術の研究開発というものを計画的に進めることといたしておりまして、その前半におきまして、イワシサバ等の多獲性赤身魚とそれからオキアミについての冷凍すり身化フィッシュブロック化、それから繊維性たん白化のような中間素材として利用する技術の開発を図りたいというふうに思っております。技術の問題でございますので、急げ急げと言いましてもそう簡単に成果が上がるわけではございませんが、できるだけ能率を上げまして、できるならば昭和五十四年ごろまでには大体目的を達成できるような技術開発を達成いたしたいというふうに思っております。  それから、以上のほか、水産加工廃棄物の中に含まれます凝集剤によるたん白の回収、これによりまして、非食用の部分を食用転換をさせるということによります飼料などへの補てんといいますか、飼料などへの有効利用、これをまずぜひ推進をいたしたいということで、これはいろいろ問題がございますので、若干おくれるかもしれませんが、引き続きましてこれらの点につきましても、技術開発推進を図っていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  84. 津川武一

    ○津川委員 技術開発の点で、水産庁長官説明、よくわかりました。  ところが、皆さんのこの研究計画、多獲性赤身魚高度利用技術開発研究計画、オキアミの食用化に関する技術開発研究計画は、たとえば原料品質別大量練り製品化技術の研究、これが五十二年にスタートして五十五年に終わる。長官はいま五十七年までにやると言った。こういう点で、一体試験研究ができるのかどうか。これまでの研究でもっと予算をつぎ込まなければならぬ。人をつぎ込まなければならぬ。研究体制を強化していかなければならぬ。政府は、研究陣営の人員整理をやっています。こういう点について、これに相応していくだけの五十二年から五十五年、五十二年から五十七年の予算措置、人員、研究体制を充実していく計画は、五十三年度予算要求でどうなっているか、ここいらを明らかにしていただきます。
  85. 岡安誠

    岡安政府委員 確かにこういう面におきます試験研究は、いままでの努力が十分であったかという点につきましては、反省をしなければならないというふうに思います。おくればせと言われましてもいたし方ないわけでございますけれども、五十二年度からひとつ本腰を据えてやろうということで、試験研究の進め方につきましての計画も一応つくりまして、予算措置その他をいたしておるわけでございます。  五十二年度は、いま御指摘のような研究開発関係予算は一億九千万円余りでございまして、五十三年度予算要求につきましては、それぞれ年次を追いまして研究を進めるための経費のほかに、やはり当面必要とするような技術開発についての要請もございますので、合計としましては現在要求中の金額は約八億六千万円でございます。数倍にもなるような予算要求でございますので、なかなか獲得は容易ではないと思いますけれども、この必要性というものは私どもも痛感をいたしておるわけでございますので、ぜひこの程度予算確保してまいりたい。また、当然、これらの研究を進めるために必要な人員も確保するわけでございますが、ただ技術開発のやり方としましては、国の水産研究所がみずから行うことのほか、大学とか都道府県の水産試験場とか民間団体の協力を得て組織的に行う、その方がより効率的であるという面もあるわけでございます。そういうことも考えまして、できるだけ早期に成果が上がるような、そういう体制を考えてみたいというふうに思っております。
  86. 津川武一

    ○津川委員 技術開発研究、人員の整理、ふえるかどうか、研究体制ができるかということをわれわれは非常に心配しているわけであります。皆さんのところの計画によると、五十二年から五十五年のもの、五十二年から五十四年のもの、こういうふうに分かれておる。水産研究所でやるもの、大学でやるもの、県でやるもの、民間でやるもの、こう分かれておる。したがって、年次別にどのくらいの人員をふやして、どんなチームをつくって、どこの大学で、どこの研究所でやるのかという計画を立て、それに予算をつける、そうでないと私はこの問題、切り抜けられないと思う。したがって、いま持っていなかったらつくって、つくったものを私たちに出していただきたい。それでまた、その体制を推進するように私たちは進めてみたいと思います。これが一つ。  第二番目には、私たちはこの皆さんの計画で終わりが五十五年と思っていた。いま長官が五十七年、こうなってくるとどうなるか。五十五年に試験研究が終わる、それからでないとなかなか技術開発に手をつけられない。研究が終わったときに施設をやっていく。それで、この法律が五年の時限立法なんだ。これでいいかという問題なんです。研究がやっと終わるのが五十五年なんです。したがって、この法案の先に対してやはり長期的な計画、この技術研究と融資、時限立法として間に合うかどうか。本当に、だからやる気があるのかという、中途半端で仕方なしにやっているのじゃないかなという気がするわけだけれども時限立法でいいか、根本的な対策をもう一回明らかにしてもらいます。
  87. 岡安誠

    岡安政府委員 研究のプロジェクト、特に将来に向かってのプロジェクトにつきましては、そう詳細な点までできるかどうか、これは研究者ともよく相談をしてみたいというふうに思います。  それから、先生は、私が五十七年ぐらいまでにイワシサバ等多獲性赤身魚とオキアミについての冷凍すり身化フィッシュブロック化、それから繊維性たん白化の技術開発を図るというふうに答えたいとおっしゃいましたけれども、私はそうではございませんで、もし、そうだとすれば訂正いたしますが、現在五十二年度から七カ年計画で始めております。その前半でいま申し上げましたような試験研究の成果を上げたい。昭和五十五年というふうにいままで研究者等も考えておりますが、できるだけこれを促進するようにということで、五十四年ごろというふうに私はお答えを申し上げたつもりで、できれば一年ぐらい短縮をいたしまして成果を上げていきたいというふうに実は考えております。  もちろん、そういう面もございますけれども、私どもはとりあえず、この融資制度臨時暫定措置でもございますので、五年間の臨時限時法ということにいたしておるわけでございます。もちろん、そのときまでに現在の世界の二百海里体制というものがある程度落ちついてくるものかどうか、また、それの影響の中でわが国水産加工業がどういう状態にあるか、これはわかりません。五年たってみた段階で、もし必要があれば、新しい体制をどうするか検討する機会があってよろしいというふうに考えまして、とりあえずは五年の限時法ということで御提案を申し上げているわけでございます。
  88. 津川武一

    ○津川委員 かなり基本的な問題もありますので、あとは農林大臣質問するとして、水産庁と八丈島の約束、これはきょう私督促されたので、ちょっと臨時質問してみたいと思います。  八丈島へわざわざ水産庁が出ていって、八丈島での漁民の決起集会の際、八丈島付近の試験研究区域の設定、そこに入る船の隻数について真剣に対処したいと述べております。その後、水産庁の東京都の漁連への回答でも、そこに試験研究に入る隻数、それは目に見えるような形で減らしたい、こう述べております。ところが、返答が具体的に行ってない。そこで、全部減らすべきだと思います。減らさないならば、隻数をどのくらいに目に見えるように減らすのか。せっかく水産庁から行って答弁がないというので、漁民が焦っておりますので、答えていただきます。
  89. 岡安誠

    岡安政府委員 いま御質問の伊豆七島周辺におきます大中型まき網の試験操業の問題でございます。これは地元の沿岸漁業者から反対の陳情がありまして、沿岸漁業者と大中型まき網業者両者間の話し合いの場がようやく十月の半ばに八丈島で行われたわけでございます。私どもも係官を派遣いたしまして、地元沿岸漁業者の御要望の内容等はつぷさに伺ったつもりでございます。したがいまして、私どもは、大中型まき網業者の言い分もあると思いますけれども、現状をそのまま継続することは適当ではないというふうに思っております。  したがって、この大中型まき網漁業者の今後の操業をどうするかという点につきましては、地元の沿岸漁業者の御意見も十分承知いたしているつもりでございますので、そういう沿岸漁民の意向というものを尊重した形でもって、できるだけ早く方針を決定いたしたいというふうに思いまして、現在調整を急いでおるところでございます。
  90. 津川武一

    ○津川委員 資源保護上からもここは大変問題のあるところでございます。あの地域に銭州地域があって、これはサバの産卵の宝庫です。ここにまき網漁船が入ってかなり荒らすということは大変なことなので、農林省告示でも千二十七号、四十七年の六月三十日、それから五十二年の六月三十日にこれを禁止区域にしているのです。そこへまき網がわざわざ入っていくのは何なのかということ、ここは漁業資源の上でも守るべきじゃないかと思うのです。  まき網漁船は百十トン前後、八丈島の、伊豆七島の島の人たちの船は五トン、十トン、どっちも大変な船なんです。これがお互いに角突き合わせているのは、どっちも守らなければならないと思うが、まき網の万はまだほかにも守り方があると思うわけなんです。この点で、漁業資源を守る点においても、あの試験研究のまき網漁船は引き揚げさせて、まき網漁船のところは、あそこでとれる漁獲量は北部の方では一〇%か五%というから、その五ないし一〇%の減は別な形で何かありそうな気がする。ここいらについての指導があるのかどうか。  もう一つ、このまき網漁船があの伊豆七島周辺に出かけていくのは四月の二十日から五月の三十日、まき網漁船がマグロ、カツオの本漁をやるのは六月以降、したがって、八丈島の人たちは、水産庁は八丈島、伊豆七島の人たちに被害を与えても、まき網漁船が出ていけないその休漁期をわざわざ試験研究という名でこれにやらしているのではないか、こういうことなのです。これが二つ目の疑念。  三つ目の疑念は、試験研究で何を試験研究してきたのだろう。いま簡単な報告書を求めたら、出ていった船のとった量だけ書いている。これは試験研究でないのだな。だから、試験研究でない単なるまき網漁を水産庁がやらせて、小さい漁民たちを苦しめているのではないか。これが疑点の三点。  四番目は、試験研究だったら水産試験場ではやれないのか、国の調査船でやれないのか。試験研究なら試験場でやるのが本当です。国の調査船でやるのが本当でないか、こういうことなのです。  以上、最初の三点の疑問にまず答えていただいて、最後に、試験研究ならば試験場もしくは国の調査船でやるべきではないかということを答えていただきたい。
  91. 岡安誠

    岡安政府委員 まず第一点の、まき網漁業者がいろいろ資源保護上または調整上設けられております操業禁止または制限の区域を侵して操業をしている事実についての御指摘がございました。確かに若干の操業違反があるやに聞いておりますので、従来から私どもは取り締まり船をこの水域に重点的に派遣をするということのほかに、航空機も使いまして重点的な取り締まりを図ってきたところでございます。当然のことながら、操業する以上は諸規則は守らなければならないというふうに思いますので、今後とも取り締まり体制はさらに一段と強化をしていくつもりでございます。  それから、試験研究といいますか、試験操業の名において、試験的なことは余りやらないでただ操業しているのではないかという御指摘、確かに従来からのデータの提出その他の点につきまして、必ずしも私どもの満足するような状態であるとは言いがたいというふうに思います。そこで、私どもは先ほど申し上げたとおり、従来の形そのままの試験操業をこのまま存続するつもりはございません。これはやはり従来の試験操業ということに対する実態の反省をしなければならないというふうに思います。そういう方針で現在調整を行っているわけでございます。  さらに、もちろん今後そういう新しい体制ができ上がった場合において、御指摘のとおり、水産庁また官の調査船を派遣するというような必要があるならば、当然私どもは従来の調査船派遣計画に加えまして、この水域におきます官公庁の調査船による直轄の調査というものも検討しなければならないというふうに思っております。これはひとつ私ども十分検討さしていただきたいというふうに思っております。
  92. 津川武一

    ○津川委員 最後に一つ。  そこで、水産庁長官、いつ調整して返事なさるのですか。これが一つ。それから、十二隻出ているのを何ぼぐらい減らすのですか。この点ひとつ答えていただく。  それから、こういう試験研究でなく、国の調査船でやる必要があるならばと言った。私はいまこそその必要が出たのではないかと思うが、この点、二点を答えていただいて、私の質問を終わります。
  93. 岡安誠

    岡安政府委員 従来ならば、このまき網船の出漁は来年の四月二十日ぐらいだというふうに考えておりますので、できるだけ早くその試験操業の規模というものを決めたいというふうに思います。現在十二隻が試験操業をいたしておりますが、これを漸次減少させるという方向で現在検討をいたしておるわけでございます。  それから、試験操業の必要性、御指摘がございましたので、私ども新しい体制下におきます試験操業のあり方並びに官公庁船による調査船の必要性の有無、これもあわせて検討いたしたい、かように思います。
  94. 津川武一

    ○津川委員 終わります。
  95. 片岡清一

  96. 小川国彦

    小川(国)委員 本法提案に当たりまして、水産加工経営体数というような資料が出ておりますが、大まかに申し上げまして、水産加工業の置かれてきた状況というものは、同僚の委員からも指摘がありましたように、非常に水産業協同組合と中小企業協同組合の谷間のようなところに置かれておりまして、それだけにこの対策というものが、農林省、水産庁なりあるいはまた中小企業を担当する通産省当局、それぞれのところから一応の指導を受けながらも、現実の問題としては非常に前近代的と言ってはなんですが、水産加工業の場合には立ちおくれた状況にあったというのが否めない事実だというふうに思うわけでございますが、いま北洋漁業のさまざまの影響が起こってきている中で、水産庁としては、現実の水産加工業の配置状況というものを業種別にどういうふうに把握して、その経営の態様なり規模というものを、大まかで結構ですから、どういうふうに把握をし、そして、それを今回の法律の中でどういうふうに転換せしめていくのかという構想をひとつお聞かせいただきたいと思います。
  97. 羽田孜

    羽田政府委員 いま先生の御指摘がございましたように、確かに水産加工業のあり方というものが一つの谷間の中にあったという御指摘、この御指摘は私どもも否めないものというふうに考えております。しかし、水産加工が私どもの食生活に寄与してきたものというのはやはり非常に大きなものがあり、また今後ともこれらは大きな役割りを果たしてもらわなければならぬと思っております。しかし、いまお話がありましたように、このたびの二百海里という新しい時代の中で非常に厳しい状況に陥っておるわけでございまして、私どももこれはもう水産庁と緊密に連絡をとりながら、これらに対して十分な措置をしていかなければならぬというふうに考えております。  私どもとしまして、加工業者構造改善を今日まで積極的に進めなければいけないということで、経営内容の充実を図っていく考えのもとに、水産物の産地流通加工センター形成事業や大規模冷蔵庫の設置事業に助成することによりまして物流条件の整備の促進、また団地形成によります共同化、協業化を促進するとともに、原料魚の価格と需給の安定のため、加工業者原料魚共同購入事業推進の見地から、五十一年度以降全国水産加工業協同組合連合会の行う加工向け原料魚の調整保管事業につきまして所要の助成を行ってきておるところでございます。  また、さらに、北洋漁業縮減によりまして影響を受けております転換期にある加工業者に対する原料製品転換、製法または加工法の改良、多獲性魚の有効利用等のための施設取得等に要する資金につきまして、現在御審議いただいておりますこの法律によって対処してまいりたい、このように考えております。
  98. 岡安誠

    岡安政府委員 いま政務次官からお答えしたとおりなのでございますけれども、問題は、約一千万トンございますわが国の魚獲量の七割が加工に依存いたしまして、その加工を通じて供給をされておるという現状、それから、その加工業者というものが非常に零細規模のものが主たる構成をなしておるというようなこと等を考えまして、私ども水産加工業の将来は構造改善以外にはないというふうに考えまして、先ほどお答えいたしましたとおり、団地化による共同化、協業化のための助成措置を講じてきたわけでございます。  問題は、そういう方向のほかに、外部の原因としまして二百海里時代による原料不足というのが起きてきております。そこで、原料不足に対処するためには、まず転換すべき原料確保ということが第一でございます。そのためには、やはりわが国の二百海里内その他を急速に開発しなければならないということ、これは私ども今後の対策の基本に据えたいと思います。ただ、転換すべき原料魚が従来の原料と大幅に性質を異にする場合には、その間におきます技術開発、これをあわせて行わなければスムーズに転換できないという問題がございまして、先ほど申し上げましたとおり、イワシサバ等の赤身魚すり身化技術その他の技術開発を急速にいたすように現在対策計画的に進めているということがございます。  それから、もう一つは、原料転換をする場合に、やはり零細な水産加工業者でございますので、資金的にも非常に問題があるというようなことを考えまして、新しい制度としまして長期低利の融資を行うために今回法律を御提案申し上げておるわけでございます。  これらの諸制度がそれぞれ効果を発揮いたしますれば、私どもは水産物の供給について重要な地位を占めております水産加工業者の体質改善というものも急速に図られるものというふうに考えております。
  99. 小川国彦

    小川(国)委員 これからの方向性については一応理解できるわけでございますが、現実にいま長官がおっしゃられたように、水産加工業者経営状況というのは零細であり、最大の問題は、資金の回転、いわゆる原材料の仕入れの資金源に悩む、それからもう一つは、施設の老朽化をどういうふうに近代化し、合理化していくか、そういう面での悩みを持っているわけです。これまでのこの水産加工業者に対する金融の指導というのは非常に不徹底ではなかったかというふうに私は思うわけなんですが、その加工業者金融の態様というものを水産庁としてはどういうふうに把握されておられるか。いわゆる信漁連系統を通じての金融、あるいは中小企業金融公庫、国民金融公庫を通じての金融、もう一つは市中銀行を通じての金融、大きくはこの三つに分けることができると思うのですが、この加工業苦の現実的な資金利用の態様というものはどういうふうになっているか、この点をどういうふうに把握されているか、お伺いをしたいと思います。
  100. 岡安誠

    岡安政府委員 御質問水産加工業に対します融資状況を申し上げますと、これは五十一年十二月末現在におきます貸付残高について調べたわけでございます。  まず、総貸付残高は五千二百十億円というふうに私どもは考えております。  その内訳を申し上げますと、まず地方銀行など一般の金融機関は三千七百七十七億円でございます。それから、農林中金、信漁連などの系統金融機関からは千百三十五億円の融資の残高がございます。それから、中小企業金融公庫農林漁業金融公庫などの政府金融機関からは二百九十七億円の残高ということになっております。  以上申し上げましたとおり、一般金融機関からの融資が現状といたしましては大半を占めているということになっております。
  101. 小川国彦

    小川(国)委員 水協法のたてまえからいきますと、加工業者水協法の団体として育成指導してきている、こういう農林省や水産庁の考え方からいくならば、当然、系統資金利用というものが水産加工業者に対して十分配慮がなされていかなければならない、資金手当てがなされていかなければならないわけでございますが、いまお話しのように、地方銀行がトップで、その次が農林中金、信漁連で、これも市中銀行から見ると四分の一くらい、こういう数字になってまいりますし、今回法律提案になる農林漁業金融公庫政府金融機関など二百九十七億ということですから、まだまことに零細な政府資金の活用度であると言わなければならないと思うのです。  そこで、なぜこういうふうに系統金融利用されないで市中金融利用されるのか。私どもも身近な加工業者実態を調べてみますと、大体系統機関を利用している者が一〇%、それから市中銀行を利用している者が九〇%、こういう状況にあります。その一〇%の人たちの中では、一応八〇ないし九〇%信漁連の系統金融利用されて、市中金融は一〇%くらいになっております。ただ、いずれにしましても、水産加工業者の九割近くの人が系統金融利用せずに市中金融利用しなければならない、こういう実態に問題があるのではなかろうか、こう考えるわけです。  しかし、問題は、金融のことですから、利用者の面から見ますと、やはり金利の安いところに飛びついていく、これはもう自然の原理だと思うわけなんです。ところが、農林中金なり信漁連なりの貸し付け方針というものを見てまいりますと、現実の貸し付けの態様の中では、組合員一人当たり五千万円限度まで貸し付けをやっている、こういう場合に、五千万円の借り入れの申し込みに行きますと、一千万円の定期預金を積む、こういうことをやらされているわけでございまして、現実には四千万円しか借り入れができない、こういう形が行われているわけでございます。こういうように定期をとられたり担保をとられたりという形になりますと、これはどうしても系統金融利用するのではなくて、市中銀行の方に逃げたくなるというのが事実だと思うのです。こういう点の指導については、どういうふうに現状を把握されて、今後の運営というものをお考えになるか、その点の御見解をひとつ承りたいと思います。
  102. 岡安誠

    岡安政府委員 御指摘のとおり、水産加工業向け金融実態は、運転資金、設備資金を込めて考えれば、先ほど申し上げましたとおり、一般金融機関からの融資というものが圧倒的に多いというのが現状でございます。  なぜそうなったかというと、それはいろいろ理由があると考えます。しかし、先生御指摘のとおり、農林中金とか信漁連が貸し付けに当たって非常にうるさいことを言っているから逃げていって、一般金融機関の方が借りやすいからそっちへ行ったというふうにばかりは考えられないのではないかと思います。と申しますのは、私どもも指導について多少欠くるところがあるかもしれませんけれども水産加工業者につきましては、水協法に基づきます協同組合をつくる場合には、系統金融機関並びに農林漁業金融公庫からも、まさに農林漁業の一般金融の一環として金は出るようになっておりますけれども水産加工業者はいわゆる農林漁業者ではないというふうに法律上もなっておりますし、そういう扱いもあったということもございます。そこで、やはり従来からの結びつきといいますか、そういうことから一般金融機関に依存するということが多かったのではあるまいかというふうに思います。  もちろん私どもは、金が借りられるところから借りればいいわけで、問題は、低利長期資金を適期に、必要とする場合にそれを融通できる金融機関があるかという問題、これは私ども十分考えなければいけないと思います。従来からも農林漁業金融公庫は、水産加工業者漁業とは見られませんから直接融資はできませんが、漁業を兼営するような加工業者には積極的に貸し付けをするとか、また水協法の組合をつくる場合には貸し付けをするとかというような方法で、できるだけめんどうを見てきたものと考えております。  そこで、今回は、水産加工業の現在置かれている厳しい現状にかんがみまして、特に長期低利の融資をするに当たりまして、農林漁業金融公庫に能力を付与いたしまして、農林漁業金融公庫から信漁連等を通じまして融通ができるようにということを考えたわけでございます。私どもは、水産加工業が求めているものをできるだけ適期に与えるということで従来も対処してまいりましたし、この際はこのような長期低利資金が最も要望されているというふうに考えまして、従来のルートとは別に新しいルートも開くということによって対処いたしたいと考えておるわけでございます。
  103. 小川国彦

    小川(国)委員 今度の資金の大きな意図というか、もくろみというか、そのねらいは私どもも理解をしているわけでございますが、問題は、北洋漁業加工業者転換に伴ういまの加工特産物の産地形成というものが大きく変わっていくのではないか、こういうことを私ども心配しているわけでございます。  たとえば、私ども関東中央部の地帯を中心にいろんな産地を見てみますと、たとえば沼津へ行きますとアジの開きが特産でありまして、静岡や熱海へ参りますと大体アジの開きがおみやげになる、そういう形があるわけであります。房州の方へ参りますとサバの開きがある。九十九里へ参りますと目刺しや丸干しがある。小名浜へ行きますとサンマのみりん干しがある。茨城の波崎へ行きますとセグロのみりん干しがある。あるいはまた銚子へ参りますとサンマの開きがある。こういうふうに、いろいろ特産品にそれぞれ特色を持ってやっているわけです。     〔片岡委員長代理退席委員長着席〕  ところが、こうした関東中部の特に銚子などでこうした原材料をどこに仰いでいるのだどいうと、これは福島とか宮城とか、あるいは岩手や青森、北海道、こういう方面から原材料を仰いでいるわけです。そうすると、原材料を仰いでいるところが、北洋漁業から転換して今度はこういう沿海魚の加工を始めてまいりますと、当然産地間競争みたいなものが起こってくる。現在まで沿岸漁業中心にして加工業をやってきた関東中部の地帯、こういうところが、今度は北洋漁業中心としていたところが沿岸漁業転換することによって、原材料がそこに押さえられてしまう、こういうおそれを非常に持っているわけですが、そういう今後のいわゆる加工ものの産地形成というようなものについてはどういうふうな配慮を持っていらっしゃるのか、その点をお伺いしたいと思います。
  104. 岡安誠

    岡安政府委員 御指摘のとおり、従来から水産加工業につきましては、産地それぞれの特色を持っているということは事実でございます。しかし、最近は、これも御指摘ございましたけれども、アジとかサンマ等につきましては、漁獲量が急速に減ってきたということもございまして、従来の産地が移動をしている。したがって、特色ある水産加工品生産するためには、他地区から原料を移入しなければならないという事態がすでに起こっております。先生の御指摘は、そういうような事態があるのにもかかわらず、今回さらに不足する原料を他の原料魚に転換をすれば、その原料魚に依存している加工業者影響をこうむるのではあるまいかという御指摘でございます。  ただ、私ども考えておりますのは、サバとかイワシなど、現在相当量とれておりまして、そのうちのまた相当の部分、たとえばイワシ等につきましては、全体の大体七割ぐらいは非食用に向けられておるというふうに言われておりますし、サバども六割ぐらいは他の非食用部門に向けられておるというふうに言われております。そういうように、現在大量にとれておりまして、そのうち相当な部分が非食用に回っている、そういう原料魚を食用向け加工品に転換をする場合に長期低利の融資をつけるということでございますので、当面直ちにその原料魚がきわめて不足をするという事態はそうはないものと考えております。  むしろ今後検討しておかなければならないのは、非食用に回っている魚が食用に回りますから、非食用部門の用途の大宗を占めております家畜のえさ、それから養殖等の餌料等の供給面への影響、これは多少考えなければならぬというふうには思っております。  しかし、私ども、従来からの特産品を製造している加工業者の営業につきましては、特に注意を払わなければならないというふうに考えておりますので、今後この制度によります資金を借り受けたいという水産加工業者は、施設改善計画というものをつくって、その審査を都道府県知事その他にお願いをするということを現在考えておりますので、この施設改善計画の審査の段階におきまして、諸般影響等も十分検討いたしまして、このことによってこうむる打撃を極力最小限に抑えるという配慮は十分いたしたいと思っております。
  105. 小川国彦

    小川(国)委員 いま申し上げましたような問題点から、たとえば北海道の大きな漁業基地をたくさん持っていらっしゃるところ、そういう地域では、加工の労働者の数も何千あるいは何万という単位でそれぞれ水産加工関係に働いていらっしゃる、そういう実態を聞いているわけでございますが、関東近県に参りますと非常に零細な加工業者で、何人か何十人、こういう単位の加工業者しかいないわけです。これは現実には都市近郊、都市近県、こういうところでは、水産加工のような非常に厳しい労働にはなかなか労働者が集まらないという実態を持っているわけです。したがって、そういう中では、いままで北洋漁業の関連の仕事をしてきたところでも、今回のこの中でいろいろ方向転換をしていく、そういうことになりますと、どうしても施設合理化をし、少ない労働力の中で加工をしていかなければならない。そうしますと、その加工に必要な魚体処理機とかあるいは包装機とか、あるいは自動計量器、乾燥機、冷蔵庫、選別機、こういうものをそれぞれ近代的な施設にかえていかなければならない、こういう宿命を持ってくるわけでございますが、こういうものに対しては貸付対象として考えていかれるのかどうか、その辺をひとつお伺いしておきたいと思います。
  106. 岡安誠

    岡安政府委員 これは先ほどから御説明いたしておりますように、今回の長期低利融資の対象というようなものは、やはり北洋におきます二百海里設定等によって影響を受けて、原材料転換、それから製品転換、または製造方法の改善というようなことを目的とした施設の新設、改良等の場合が一つと、それから、イワシとかサバのように従来非食用に回っていたものを食用にするための施設を新設するような場合等も今回の制度対象にいたしておりますので、いま御指摘のような機械の導入等が、いま私が申し上げましたような目的に沿ったような、そういう種類の機械の導入であったり、施設の新設であるならば、この制度対象になり得るものというふうに考えております。これはひとつ具体的に問題が出ましたならば、この制度対象になり得るかどうか検討させていただきたいと思います。
  107. 小川国彦

    小川(国)委員 この資金枠の問題でございますが、五年間で三百億円、初年度は五十一億円ということを予定しているということでございますが、私どもせっかくつくられた新しい金融制度の道に非常な期待が実はかかっているわけですが、今度の対象としては主としてやはり北洋漁業中心にしてきた三道県がありますし、それから関連の二十数県があるということでございますが、この五十一億円という想定で大体どの程度施設改善が企業体の数として見られるか、地域的に見てどの辺に予算配分的なものを考えていらっしゃるか、その辺をお伺いさせていただきます。
  108. 岡安誠

    岡安政府委員 いま御質問は、全体で貸付額三百億を考えておりますが、五十三年度において約五十一億円を予定をしておる、その五十一億円によって、どの程度施設について融資の対象になり得るかという御質問かと思いますが、現在私ども一応想定をいたしておりますのは、今回の制度融資は二つに分かれまして、モデル的な共同加工場に対する補助残融資につきましては、五十三年度で大体六ないし八くらいの間の工場対象になり得るように予定をいたしております。それから、それ以外の、先ほど申し上げました原材料転換製品転換製造方法改良ないしイワシサバ等の多獲性魚を食用に振り向けるための施設新設等に対します融資につきましては、五十三年度におきまして大体三十七、八ぐらいが対象になり得るというふうに考えます。合計いたしますと、それらの工場に対します融資は、もちろん具体的に上がってまいりませんと数字を確定するわけにはまいりませんけれども、大体五十一億程度貸付枠で充足し得るものというふうに考えておるわけでございます。
  109. 小川国彦

    小川(国)委員 これはこういう制度ができて期待だけが非常に大きく広がっちゃっているわけなんですが、現実の問題としては、いま六ないし八共同工場補助残融資でございますか、それから三十七、八カ所のイワシサバ加工施設への転換ということでございますが、このモデル共同加工場六ないし八と見た場合、一共同加工場に対して大体どのくらい見ていらっしゃるか。それから、三十七、八を対象にして考えた場合には、それは一工場に対してどの程度予算を考えていらっしゃるか、その辺ひとつ聞かせていただきたい。
  110. 岡安誠

    岡安政府委員 先ほど申し上げましたように、モデル工場補助残融資は、補助金が出たその残額でございますので、私どもこの残額について、大体一工場当たり融資額は一億前後になろうというふうに考えております。これは必要額に対します融資率というものを掛けた上での数字でございますけれども、大体一工場当たり一億前後というふうに考えます。それから、それ以外の工場の新設、改良その他でございますが、これも融資率を掛けましてその後でございますけれども、これも融資額といたしましては大体一億前後になろうかというふうに思います。これは平均的な数字でございます。
  111. 小川国彦

    小川(国)委員 時間が参りましたので、午後からの質問に継続をさせていただきます。
  112. 金子岩三

    ○金子委員長 この際、午後三時三十分より再開することとし、暫時休憩いたします。     午後零時三十七分休憩      ————◇————−     午後三時三十分開議
  113. 金子岩三

    ○金子委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  農林水産業の振興に関する件について調査を進めます。  この際、昭和五十三年度転作等目標面積及び昭和五十三年産米事前売渡申込限度数量の配分について、政府から説明を聴取いたします。堀川農蚕園芸局長
  114. 堀川春彦

    ○堀川政府委員 十九日に、私ども、五十三年度の転作等目標面積の県別の配分をいたしたわけでございますが、この転作等目標面積は、五十三年度におきまして三十九万一千ヘクタールでございます。この三十九万一千ヘクタールと申しますのは、転作のうち定着分二万八千ヘクタールを除きました三十七万一千ヘクタールに通年施行の二万ヘクタールを加えたもの、計三十九万一千ヘクタールでございます。  都道府県別の配分の考え方でございますが、これは転作等目標面積の配分につきましては、農産物の需要の動向に即した農業生産の再編成と地域の特性に応じた農業生産の確立を図るという趣旨に立ちまして、先般公表いたしました農業生産地域指標、いわゆる地域分担と称されるもの、これの六十年目標の生産見通しに合わせた形で地域分担がつくられておりますので、その六十年目標の姿を想定をいたしましたブロック別の水田の面積というのが出ておるわけでございます。この要素に、全体のウエートを一〇〇といたしますと、三割を充てております。  それから、次に、線引き政策との整合性の問題でございますが、これは市街化区域あるいは用途地域内における水田の状況、面積、これにウエートといたしましては全体一〇〇のうち一割、一〇%を充てております。  それから、次に、特定作物の転作可能性でございます。特定作物については、本委員会ですでに御説明したような種類のものに限っておるわけでございますが、これの転作の可能性ということで、これに一五%のウエートを置いております。  次に、土地条件が非常に重要になってまいりますが、これにかかわるものとして、まず第一に、圃場の整備状況でございます。これは四十六年以降、圃場整備につきましてはいわゆる義務転というようなものを課してきておるということもございまして、この圃場の整備、これにつきまして全体一〇〇のうち五%のウエートを付しております。  それから、次に、畑作物の場合には、排水条件がいいことが生産を上げる必要条件でございます。そういうことを勘案いたしまして、地下水位が七十センチ以下というような乾田の割合、この要素にウエートといたしましては一〇%を充てる。  それから、もう一つ、適地適産というような趣旨から、産米の品質の問題が出てまいります。そこで、この問題については、自主流通米の出回り比率、こういうものを要素にとりまして、これに全体のうち二割のウエートをつけております。  それから、「等」と書いてございますが、これは水稲作の適地性というようなことを判断する意味で、過去における統計の被害率の出方、これを全国平均との対比で比率を出してみまして、それをウエートとしては一〇%勘案をするというようなことで、こういった要素に基づいて算定をし、かつ、その結果、数値につきまして前年目標よりも倍率が非常に高くなるというようなものにつきましては、頭打ちをいたしまして、それを超えた部分については、さらに全体に再調整して配るというような調整をやっておるわけでございます。  公平確保の観点からも、そういった頭打ち及び若干の微調整ということをやっておるわけでございます。  そういう結果、数字でお示しをしてございますように、転作目標面積、通年施行を含んで全体三十九万一千ヘクタールの配分を決めたわけでございます。  なお、この配分いたしました面積は、かねて来申し上げておりますとおり、五十三年度から五十五年度まで原則として固定をするという考え方のもとに配分をしておるわけでございます。  以上でございます。
  115. 金子岩三

    ○金子委員長 大河原食糧庁長官
  116. 大河原太一郎

    ○大河原政府委員 五十三年産米の政府売り渡し申し込み限度数量の配分について、御説明を申し上げます。  御案内のとおり、いわゆる予約限度数量につきましては、ただいま農蚕園芸局長から御説明を申し上げました転作目標数量とうらはらの関係になるわけでございますが、おおむね三年間原則として固定するという問題もございますので、特に本年につきましては、各県の実情をそれぞれ承りまして、各県の水稲生産力の実態に合わせるということを本義といたしまして、慎重に検討して、先般内示を行ったわけでございます。  さて、お配り申し上げました資料にもございますように、五十三年産米の予約限度数量は八百三十万トンでございます。これはすでに御説明申し上げましたように、潜在生産量を千三百四十万トンと見、これに流通需要量を千百七十万トンとして、百七十万トンの生産調整をいたします。これがすなわち生産予定量になるわけでございますが、その千百七十万トンから農家消費等三百四十万トンを差し引きまして八百三十万トンといたすということでございます。これは御承知のとおり、五十二年産の予約限度が八百七十万トンでございますので、四十万トン減ということになるわけでございます。八百七十万トンが八百三十万トンに相なるということでございます。  これにつきましての考え方は、生産調整が始まります直前の昭和四十二年から四十四年産米の平均政府売り渡し実績数量から五十三年度の水田利用再編対策による転作等目標面積に基づいて算出された米換算数量を差し引いた数量を基礎として、所要の調整を加えて算出したものでございます。その結果の県別の表はお手元に差し上げてあるとおりでございますが、所要の調整につきましては、基準年次でございます四十二年から四十四年、この基準年次から五十四年までの作付面積の変動、十アール当たりの収量の変動というような米生産力の推移というものの変動を見たことと、もう一つは、限度に影響を及ぼします農家消費等の変動等について行ったわけでございます。  全体の予約限度数量が四十万トン減じておりますので、各都道府県とも前年に比べて県別の予約限度数量は減っております。ただ、各県の間で対前年比でその減少率に差異がございますのは、申すまでもなく、転作目標数量の増加の度合いが違っておるということと、もう一つは、今回、全体需給計画におきまして潜在生産量を実勢に合わせて見直したことに伴いまして、この調整に当たりまして、各県の米生産力の最近の実態を適正に反映させることとしたことによるものでございます。  以上でございますが、なお、モチ米につきましては、最近の需給実勢その他から、各都道府県なり集荷団体の意向を聴取し、さらに本年の集荷実績等をも考慮いたしまして、各県の明年度から行おうとするモチ米生産団地の計画というものも勘案いたしまして、県別の配分数量を飯用ウルチ米とは別に限度を二十五万トン設けて配分いたしたわけでございます。  以上でございます。
  117. 金子岩三

    ○金子委員長 以上で説明は終わりました。      ————◇————−
  118. 金子岩三

    ○金子委員長 引き続き、原材料供給事情変化に即応して行われる水産加工業施設改良等に必要な資金の貸付けに関する臨時措置に関する法律案を議題とし、審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。岡田利春君。
  119. 岡田利春

    岡田(利)委員 ただいま政府から五十三年度の減反に関する報告があったわけですが、千三百四十万トンの米の生産能力、そしてまた今日一千万トンの魚、まさしくわが国の食糧政策の二大双璧をなすものだと思うわけです。しかも、輸入を含めて大体今日では一千百万トンの供給が行われて、このうちの七五%は何らかの形で水産加工業の手を経ているというパターンが大体安定的にいま確立されておるわけです。  しかし、水産加工業実態は、すでに御承知のように、非常に零細をきわめておりまして、七二%は従業員雇用の面で九人以下、十人と四十人の間が二一・四%でありますから、これを含めると九四%、こういう実態にあるわけであります。しかも、政府は、水産加工実態把握のために、昭和四十年から四十七年の七年間にわたって、水産加工業協同組合に、この実態の把握、加工関係統計、きわめて不十分でありましたから、これを整備するために委託を行って整備を図ってきた、こういう経過も実はあるわけであります。私は、そういう意味で、漁業と水産加工はまさしく表裏一体の関係にあるのですが、こういう歴史的な経過からかんがみて、どうもやはり行政の谷間に置かれているのではないか、こういう感じがするわけであります。  今日まで農林省、水産庁は、たとえば大衆魚の魚価の安定の冷蔵庫の建設、これに対する補助政策を積極的に進める、あるいはまた水産物産地流通加工センターに着手をする、さらにまた今日、水産加工業モデル地区推進しよう、こういう一連の政策がとられておるわけですが、私は加工業のこういう実態を考えますと、どうもそれぞれの行政サイド、たとえば農林省、通産省に分かれているこの水産加工業、これを一本筋を通して一元的に把握していく水産加工業政策は今日きわめて重要ではなかろうか。まして、内外の漁業をめぐる環境が非常に厳しくなっておるわけですから、当然、構成する組成魚種変化をしていくことは避けられない傾向を当分の間続けていくだろうと思うわけです。  そういう意味で、政府が今回この本法提案をいたしたわけですが、私は基本的な政策を一本どうしても構築する必要があるのではないか。そういう意味では、水産加工振興に関する基本法的な考え方、いわば水産加工業振興法とでも言いましょうか、そういう一元的な立法が必要ではないか。これを基本にして従来の水産加工業に対する政策をより包括的に筋を通して推進をしていく。そして、いま私が申し上げましたように、中小零細企業が非常に多い、この共同化や協業化、あるいはまた団地の構造改善事業というものを積極的に進めていく、これに対応する資金制度というものが一元的に対応でき得る状況にあるという政策を多くの人々が望んでおりますし、このことは避けて通るべきではないと思うわけです。  そういう意味で、本法提案に関して、これらの問題について鈴木農林大臣の見解を承っておきたいと思います。
  120. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 水産加工業の実情、実態、これは水産庁において相当時間をかけまして調査をいたしまして、ただいま岡田先生御指摘になりましたような状況下にあるわけでございます。企業形態も相当の数のものが中小企業、あるものはきわめて零細規模のものである、こういう実態にあります。と同時に、漁業生産の本当にその結果を確実なものにするためには、やはり水産加工業の果たす役割り、これもきわめて重要でございまして、漁業の漁労活動とは切っても切れない関係にある、このように私も認識をしております。  そういうような認識の上に立ちまして、農林省といたしましても、水協法、水産業協同組合法に基づきまして、この中小零細な加工業等につきましては、その組織化を進めてまいったところでざいます。私は、水協法によりまして、系統金融利用もできるように、また諸般の行政が浸透されるように今日まで努力をしてまいったところでございます。しかし、一面、これは中小企業であるという観点から、従来、金融制度等におきましては、国民金融公庫、中小企業金融公庫がもっぱらこの世話をやいてきたところでございますが、今回、北洋におけるところの日ソ協定等に伴いまして、加工原材料が大幅に削減を見るに至った。これは北洋の今回の削減に伴う救済対策として、関係漁業並びに漁船員対策、そういうものにつきまして諸般対策を進めてまいりましたし、また加工業者等に対しましても緊急融資を行い、また二百八十億の特別な融資につきましても措置を講ずることにいたしたところでございます。いまの問題は、原料不足に伴って工場の設備を新たに取得をする、あるいは改造もするような事態は長期低利の設備投資の資金というものが必要になってくる、こういうような一連の北洋漁業対策の一貫として今回の措置をとろうとするものでございます。  また、一方において、いままでの北洋スケトウダラその他の主原材料、これが削減を見たということで、どうしてもそれにかわるイワシサバ等々の多獲性の魚種、これを高度利用する、加工をするということが必要に相なりますので、そのための工場施設の整備、取得、そういう面に対応いたしまして、この設備に関するところの設備資金長期低利資金融通というものをやろうとするものでございます。  そういうようなことで、前段に申し上げましたようなことは、水協法に基づく組織化、それによって水産行政としても系統金融その他を中心として指導対策を講じてまいる、こういう考え方で今後とも対処してまいりたいと思いますが、先生が御提案になりましたところの水産加工業振興法の制定等につきましては、今後の課題として私ども研究をしていきたいと考えております。
  121. 岡田利春

    岡田(利)委員 わが国のこれからの二百海里内における生産拡大目標というものは、それぞれ今後検討され、そういうものに伴って内水面漁業養殖漁業、あるいは沿岸資源の培養、あるいは二百海里内の資源開発、こういう点が次々と手を打たれていくだろうと思うわけです。常識的に私は六百万トンが将来七百五十万トン程度、二五%増くらいを目指して、やはり雄大な政策を展開しなければならないのではないか。だが、現実の問題として、これは簡単に実現不可能でありますから、相当時間を要するわけです。そういう意味で考えますと、依然として原料確保のための輸入政策というものが、従来と違った意味で大きなウエートを持ってくることは間違いがありません。しかも、IQ品目生産量は六百六十四万トンも実はウエートを占めておる。これはノリを除いておりますけれども、こういうウエートがあるわけであります。わが国の沿岸、沖合い、養殖漁業の分野で見ると九三%という数字が出るわけであります。そういう意味で考えますと、今後の原料確保のための輸入政策というのは、大臣がしばしば述べられておるように、秩序ある輸入の原則ということが当然考えられていくわけですが、また雇用の確保のためにもそういう政策を進めなければならないわけですが、今日、円高問題があり、水産物の輸入等も積極的に行うべきであるという声もありますし、特にIQ品目は、たとえば多獲性魚種といっても、最近サンマのように量的に少ない、そういうものについては外してはどうかなどという意見もあるやに私は聞いておるわけです。しかし、やはりIQ品目、この割り当て制を中心にして、これをてこにして輸入政策というものを展開する以外にないだろう、私はこう考えざるを得ないわけであります。  いずれにしても、きわめて重大な問題でございますので、農林大臣としてのこれからの水産物の輸入政策という点について、改めてこれらの問題と関連させて見解を承りたいと思います。
  122. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 ただいま岡田さんから御指摘がございましたとおりでございまして、海外で二百海里の制約で削減を見ますところの減少分というものは、何といってもわが国の二百海里水域内で沿岸漁場の開発整備を進め、資源をふやし、さらに積極的な栽培漁業等の振興によってこれをカバーしていく。幸いにして、世界で六番目の広い二百海里水域を擁しており、暖流性、寒流性の魚がとれるという好漁場でございますから、日本漁業の将来の展望というものは決して暗くない、ある意味では非常な明るいものを持っておる、私はこのように考えております。要は今後の政府施策関係漁民の御協力、こういう形で進めてまいりたいと考えております。  ただ、それには数年ないし相当の時間がかかるわけでございますから、その間、海外で削減を見たところの魚肉たん白の国民への供給、これを高めていく必要がございます。いままでハマチのえさであるとかウナギのえさであるとか、あるいはミール、肥料等になっておりましたものを、可食部分は可能な限りこれを有効に利用する、食膳に供するという努力、これが非常に大事だと考えております。  なおまた、足らない分は安定的に輸入する必要があるわけでございますが、この輸入に当たりましては、私がしばしば申し上げておりますように、秩序ある輸入体制を確立したい。それは生産者に対する影響もきわめて深いわけでございますから、生産者団体やあるいは実需者である加工団体、加工業等を中心として、需給協議会等を設立して、そして国内の漁業者に与える影響等を十分慎重に勘案しながらこれを進めてまいる、こういうことにいたしたいと考えております。それには、関税等の問題はもう少し弾力的に考えていいと思いますけれども、IQ品としての輸入割り当て制というものは、その選択については慎重の上にも慎重を期したい。それをべースにいたしまして、必要なものはこれを輸入してまいる、そういうことによって加工業者等の原材料確保も図っていく、こういう方向で対処していきたい、こう思っております。
  123. 岡田利春

    岡田(利)委員 この際、日ソ関係の問題について一、二点お伺いをいたしておきたいと思うのですが、日ソ交渉は、当初十一月十日から交渉が開始をされるという予定でありましたけれども、本日から交渉が開始をされる、期間は大体一カ月間、十二月末ぎりぎりまでかかるというようにいま予定をされているようであります。そこで、一体どうして十日の予定が二十二日までずれ込んだのか、この理由について説明願いたいというのが第一点であります。  第二点は、今度の交渉において特に残されている問題は、漁獲の量、漁区、これは鮭鱒関係の問題はまた別にございますけれども、一応量とそれから漁区の問題が恐らく最重点になるのではないか。前回の日ソ交渉では、量及び漁区、漁期、それから漁船、漁具と四つの制限があったわけですが、今度の交渉はこの二点に重点があるのではないかと私は思いますが、この点についての政府の見解を承りたいと思います。  特に、先般審議をしました法案に関連をして、いわゆるソ連の罰金攻勢ということで盛んに新聞関係では報道されておりますけれども、その後、北海道新聞等のソ連漁業相に対する公開質問といいますか、こういう質問に対する答えが発表になっておりますのをわれわれが承知をいたしておる内容からすれば、もう少し日ソ間で詰めをさらに行う必要がある。したがって、今度の交渉の場合も、すぐすべてが解決できなくても、いろいろなケースをよりよく話をして相互理解をさらに深める措置をすべきだ、こう思うのですが、これらについて大臣の見解を承っておきたいと思います。
  124. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 第一点は、交渉の開始期日が当初の予定よりもおくれた理由は何か、こういうことでありますが、これは前回事務レベルで交渉に当たりました際に、わが方の首席代表の宮澤欧亜局長がイシコフ大臣とも会って、おおむね十日ごろから始めよう、こういう合意がなされたことも事実でございます。しかるところ、その後、ソ連側の都合等によりまして大分おくれる、月末になるということでございましたけれども、わが方としてはそういうぐあいに延ばされては困るというようないろいろの折衝をいたしました結果、二十一日からこれを行うということで、最終的に本日から交渉に入ることに相なったわけでございます。  この交渉に臨む基本的なわが方の考え方、これは第一点は、来年度のクォータの問題でございます。第二点は、クォータに相関連をするわけでありますが、その操業の区域、海域の問題でございます。第三点は、取り締まり、いまの罰金攻勢とかいろいろの問題がありますが、この取り締まりの問題につきましてもっと両国間で改善を加える方法があるのではないか、第三点がこの問題でございます。  それから、もう一つの問題は、それと並行しまして、これは暫定協定の来年の延長の問題に絡んでの問題でありますが、それとは別に日ソ間の協力協定というものを締結をしよう、これは並行して交渉を進めることにいたしておるわけでございます。それには日ソ合同委員会の問題、それから広範な日ソの漁業の協力問題、第三点はサケマスの問題、こういう問題があるわけでございます。  そこで、さきに申し上げました漁獲量、クォータの問題、操業漁場の海域の問題、これらは相互主義ということが今後ともやはりこの交渉では絡んでくるわけでございます。私どもは向こうに、漁場をたとえば北緯五十度線を五十二度まで上げるとか、いろいろな改善を求めたい、こう考えておりますが、そうなった場合には、同様に今度は日本沿岸沖合いにおける漁場の問題、これも恐らく相互主義の観点から問題として提起されてくるのではないか、こういう問題もございます。  そういう点を総合勘案をしながら、わが方として、前回の今年度の操業で不十分であり、この点はどうしても改善をしたいという点につきましては、最善の努力を傾けてまいりたい、こう思っております。
  125. 岡田利春

    岡田(利)委員 新聞報道の伝えるところによりますと、今回非公式でございますけれども、ソ連側から、ソ連の漁船修理の寄港を条件にして、納沙布、貝殻岩礁のコンブ漁の安全操業を認める、こういうような提案がされた。これに対して、燃料、水の補給等の問題と関連して、国民感情も考慮しながら、最終的にこれに対処するということも実は伝えられておるわけです。  かつて北方四島の安全操業の問題をめぐってソ連側は漁船の寄港を提案したことが経過としてございます。その後また安全操業をめぐって歯舞、色丹、国後、択捉のうち二島に限るということで相当交渉は前進をしたけれども、この安全操業は妥結するに至らなかった、実は過去にこういう経緯もあるわけでございます。したがって、この報道に関して農林大臣としてはどう受けとめられておるか、また、どう対処されようとしておるか、この点についてお伺いいたしたいと思います。
  126. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 その報道は私どもも聞き及んではおりますけれども、まだソ側から公式にそういう話は出ておりません。出ておりませんが、ソ連側がかねてから漁船の修理をぜひ日本の造船所でやりたいという強い希望がある、これはしばしばいままでもあったわけでございます。その問題と貝殻島のコンブの民間協定等、これが交換条件としてどうなるか、これも正式に何も言ってきておりません。おりませんが、私はやはり日ソ友好という大局的な判断からいたしまして、漁船の修理等にはひとつ前向きで考えていきたいということで、外務省にも私の考えを伝えまして、そういう方向でいま進めておる、こういう段階でございます。
  127. 岡田利春

    岡田(利)委員 時間がございませんから、二、三点要請を含めて申し上げておきたい一と思うのですが、一つは、今回の法律資金については五年間三百億を一応の枠として考えているという先ほどの説明もございました。また、対象魚種は、北洋関係では、先ほど質問の結果、タラ、サケマスイカ、カレイ、カニ、ニシン、こういうものが挙げられましたし、また、サバイワシ関係では、特にマイワシイカホッケ、ミズウオ、ニギス、カワハギですか、こういうものが魚種として対象となるという答弁をいただいたわけです。  こう考えてまいりますと、この融資枠については、もちろん五年間分割がありますが、情勢の変化等もあるでしょうから、私はやはり目的意識を持ってやる以上、その点については目的が達成されるように弾力的に対応してほしい、第一点としてこういう希望を強く述べておきたいと思います。  第二点の問題は、これは北海道でいま検討されているわけですが、九十六トン型の沖底船、この沈船魚礁の計画がいま進められています。もちろん、この計画は、今回の政策によってスクラップ化される船の一部を特に解撤をして、そして、これを沈めて魚礁がわりにするもので、今日の漁場開発政策から言って当を得たものだと私は思うわけです。ところが、古い漁船とはいえ、解撤その他に費用が若干多くかかるのではないか、こういう点でいまいろいろ検討をなされています。国の補助ももちろんあるわけでありますが、この点は思い切って確実に実行でき得るように推進してほしいというのが第二点であります。  そして、第三点として、最後に申し上げておきたいのは、水産庁は先般、海難漁船員の遺家族の実態調査をされたことがあると思います。その結果は、生活が非常に困難である、こういうようにアンケートに答えているのが非常に多かったというぐあいに報告されておるわけです。しかも、海難の遺児については、大臣がこの育英資金制度の会長をやられているわけです。もちろん、これはおととしですか、改善をされたわけですね。しかし、運輸省の交通事故の遺児に対する育英資金よりも実は低いわけであります。そういう意味で、この点は別にここで質問というよりも、ぜひそういう面にももう一度配慮を及ぼして十分対応してほしい。  こういう三つの点について私は要望申し上げて、もし大臣の御答弁をいただけるならばまた幸いであると思います。
  128. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 第一点は、おおむね三百億、一件一億前後の融資をいたしまして、この法律が意図しております工場設備等の取得長期融資をしようということでございます。この点につきましては、この目的が達成されるように最善の配慮もいたしてまいりたい、こう考えております。  なお、減船等によって浮いてまいりましたところの中古船を解体し、あるいはそれを利用して魚礁その他に活用するということにつきましても、これは沿岸漁場の整備開発にも役立つことでございますから、これも対象にしてまいる考えでございます。  海難遺児基金の問題は、これは全漁連の系統機関、その他水産各方面の浄財を御協力を願いまして基金を設定して、その果実によってお気の毒な海難遺児の育英その他に差し上げておるという、民間でやっている仕事でございますが、相当各方面の理解を得て、基金もだんだん増勢されてきておりますので、その給付等につきましては、今後とも財政事情と見合いながら改善をしてまいる考えでございます。
  129. 岡田利春

    岡田(利)委員 終わります。
  130. 金子岩三

    ○金子委員長 小川国彦君。
  131. 小川国彦

    小川(国)委員 この法案国会の会期末になって出てきたということについては、私どもどういう事情があったかつまびらかではないわけでありますが、法案内容そのものについては、農林漁業加工業者に道を開いたという点では非常に画期的な努力であった、そういう点で、大臣初め水産庁関係者の御苦労に敬意を表するわけでござます。そうして、私どもは、この資金が今後大いに拡大され、一時的な臨時措置だけではなくて、恒久的な措置としてこれが定着し、発展していく、こういうことが零細な立ちおくれた水産加工業者のために大いに必要なことではないかというふうに考えるわけでございます。  そこで、この資金を活用していく窓口でございますが、農林漁業金融公庫、それから中小企業金融公庫、国民金融公庫、この三つの窓口があるわけでございます。このどの公庫を利用するかということは、今後政令の中で具体的に定められていくと思うのでありますが、ある程度その道筋が明らかでございませんと、実際水産加工業者がこの資金利用したいというときに、どの窓口に行ったら水産加工業者の気持ちを一番理解してもらえて、しかも、この資金の導入、借り入れが円滑にできるかということで、第一線の現場の人が苦労するのではないかという感を持つわけなんです。したがって、その利用のルートについては、どういう考え方を持って利用者に使いよい資金にしていくか、そういう道筋をお示しいただけたらと思います。
  132. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 小川さん御指摘のように、この融資に当たります金融機関は、農林漁業金融公庫中小企業金融公庫、国民金融公庫と、こういうぐあいにあるわけでございますが、どの金融機関利用するかは、借り受けをしようとする加工業者御本人の選択によって、どの金融機関でもこれを選ぶことができる、こういうことに相なっております。末端におけるところのそういう関係者の指導等は、県の当局、あるいは県と連絡をとりながら、各県にありますところの水産加工の団体その他がお世話をしながら、その申し込み手続等につきましても御指導をしながらこれをやってまいる、こういう考え方でございまして、水産加工業者の諸君は、何といっても農林漁業の分野の関係が深いわけでございますから、そういう意味では、農林漁業金融公庫利用する方々が全般的に多いのではないか、このように私は考えておりますし、農林漁業金融公庫にも、その事業者の立場に立って懇切丁寧にお世話を願うように指導してまいりたい、こう思っています。
  133. 小川国彦

    小川(国)委員 私もいま大臣のおっしゃられたように、この資金の性格、それから今後の水産加工業者の育成、発展、そういう面から考えましても、従来この団体が、鳥かけものか、どちらの団体に属するのか、いわゆる水産業協同組合として発展させていくのが望ましいのか、あるいは中小企業協同組合として発展させていくのが望ましいのか、二枚の衣を着ているわけではないのですが、その辺が判然としない性格の中にあった。そこに、漁業の前近代的な性格と相まって、この業種の近代化がおくれた大きな要因があるのではないか、こういうふうに思うわけなんです。  それで、実は私この法案の質疑に当たって、水産加工業者資金利用実態等をいろいろ当たってみたわけでございますが、その中で意外に中小企業金融公庫利用している数字が大きいわけなんです。したがって、全国段階まで調べてみましたら、全国水産加工業者中小企業金融公庫の貸し出しを受けております残高は、この十月で三百二億二百万円、これだけ全国水産加工業者の方がこの中小企業金融公庫資金を使っているわけです。千葉県で見ましても、五十二年十月末で直接貸し付け、代理貸し付け含めまして六十九件、十一億三千七百万円、それから一番関係の深い銚子市で調べてみますと、直接貸し付けで二十三件、代理貸し付けで三十六件、五十九件で八億六千百万円という金が中小企業金融公庫から水産加工業者に貸し出されているわけなんです。  そして、本来私どもが本筋として、県信漁連を通じ、それから末端の加工業者に金が貸し出されたならば最も望ましいという形で考えたわけでございますが、先ほども申し上げましたように、実は加工業者の九割は一般の市中銀行の金を使い、あるいはまたこうした公庫の金を使い、肝心の農林中金とか信漁連の金を使っていないわけであります。そういう点では、私どもはやはりこうした水産加工業者の人が農林漁業金融公庫資金としてこれを使える方向をぜひつくってやりたいと思うわけなんです。  ただ、問題は、その下が県ということになりますと、私、先日も県の水産部長にどういう考えを持っているかと言ったら、やはり県信漁連を通してやってもらいたい、こういう考え方を言うわけなんです。ところが、私、午前の質問水産庁長官に言ったように、県信漁連から借りると、実は二割くらい、資金量が足りないので預金してくれ、五千万申し込んだら一千万預金させられて四千万しか借りられなかった。それから、利息も、漁民の預託を資金源としておりますからどうしても金利も高いものになる。そうすると、せっかく水産加工業者が、いわば漁業者と親戚のようなおつき合いで信漁連を通してこの金を使おうと思っても、信漁連では預託がとられたり利息が高かったりしますと、県の指導の信漁連を通して農林漁業金融公庫を通じて借りたらどうかと言っても、現実には中小企業金融公庫の方へ行ってしまう。この三百二億という数字はそういう実態を物語っている一つの面じゃないか。国民金融公庫は残念ながら間に合いませんでしたけれども、恐らくかなりな額の金が水産加工業者に出ていると思うのです。  そういう意味では、私ども、農林大臣初め関係者がせっかく御苦心をして御苦労をされてつくられたこの資金が、本筋の系統金融の形で利用されていくのには、県を通しての貸し付けだけではなくて、農林漁業金融公庫そのものが直接貸し付けもできる、こういう形をとっていただいて、水産加工業者農林漁業金融公庫の本店の窓口へ直接飛び込んでいっても、そこでいま大臣おっしゃられたような指導の中でこの資金利用できる、そういう道もぜひひとつ講じておいていただきたい、こういうふうに考えるわけでございます。その点にいて御所見を承りたい。
  134. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 小川先生御指摘のように、中間の機関を経由いたしますれば、どうしても手数料であるとかいろいろ金利負担がかさんでくる。ただ、そうすることによって、設備資金は公庫から借りるにしても、運転資金も借りられるとかいろいろな問題はあろうかと思います。しかし、加工業者が融資を受けます場合に、直接農林漁業金融公庫から融資が受けられるというような道はちゃんと開いておるわけでございますから、農林漁業金融公庫の支所、出張所も各地にあるわけでございますから、そういうところを活用してもらって直接公庫から借り入れができるように、そういう道は当然開いてまいる考えでございます。
  135. 小川国彦

    小川(国)委員 それから、もう一つ、これは蛇足になろうかと思うのですが、実は現実に私ども銚子などの末端で実態調査してみますと、信漁連から借りている人あり、町の信用金庫から借りている人あり、それから中小企業金融公庫から借りている人ありなんです。いま申し上げたように、調べてみたら三百二億も枠はあるのですが、実はこれを利用している人が、今度これができたためにこっちの枠が減らされては困るということも言っているわけなんです。だから、私は中小企業金融公庫の三百二億という枠はあっていいと思うのです。むしろ農林漁業金融公庫が今度道を開いた三百億はぜひこちらを重点にして、むしろこれが本筋だと考えるならば、こっちをもっとこれからふやしていっていただく、そういう考え方でこっちは動かさない、いわゆる中小金融公庫の枠は動かさないでいける、こういう形をひとつとっていただきたいというふうに思うのですが、その辺はいかがでございますか。
  136. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 小川さんのおっしゃるように、融資残高は三百億前後のものがあるようでございます。水産庁の調べで言えば二百八十何億、こういうことでございますが、確かに三百億前後の融資残高になっておる。しかし、これは加工業者が借りております融資総額の中では全体として五%程度ということでございまして、案外地方銀行あるいは信用金庫等の融資の方が非常に大きいシェアを占めておるようでございます。  もう一つは、中小企業金融公庫は、設備資金のほかに運転資金も融資できるように相なっております。その点、農林漁業金融公庫の方は、運転資金というようなものは融資をしていないという実態でもございますから、今回の措置による融資は、どうかひとつ、せっかくの長期低利資金でございますから、設備資金の方に使ってもらいまして、そして中小企業金融公庫等は従前どおりこれが利用できるように、これは中小企業庁等とも十分連絡いたしまして、そのように進めてまいりたいと考えております。
  137. 小川国彦

    小川(国)委員 おっしゃられますように、中小企業金融公庫貸し付け実態を調べてみましたら、たとえば加工業者が平均一億円ずつ借りているといいますと、その七、八割はいわゆる施設ではなくて運転資金でございます。これはいろんな原材料を豊漁のときにストックをたくさん買わなければならない。そっちの冷蔵庫を借りる、こっちの冷蔵庫を借りる、至るところの冷凍庫、冷蔵庫を借り集めまして、そういうところに蓄えておくための運転資金原材料を買うための運転資金にほとんどの部分が使われているというのが私は実態だと思うのです。ですから、大臣おっしゃるように、今度の資金はぜひ設備の改良資金に使っていただきたいというふうに考えるのですが、懸念いたしますのは、こういう残高がありまして、これが今度借りた中に入ってくるなんということになりますと、せっかくつくっていただいた資金が生きないわけでございまして、これは一つ別に置いていただいて、せっかく農林大臣先頭で御苦労いただいた予算でございますから、そういう農林漁業金融公庫中心とする今度のこの目的に沿った設備の資金として使う、こういうたてまえをひとつ貫いていただきたい、こういうふうに考えますが、その点の裏づけといいますか、保証はどういうふうにとれますか。
  138. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 今回の新しい立法による融資制度というのは、先ほど来お話がありますように、北洋漁業等の漁獲枠の削減等に伴う原材料不足、こういうものに対する対策としてとられた特別な措置であり、したがって資金枠も別枠として活用さるべきものでございますから、前のノーマルな場合における融資がこれだけあったから今回の枠からそのまま削られるとか、そういう性質のものではございません。この立法趣旨を生かすように、中小企業庁等とも十分連絡をとりながら、間違いのないように指導していきたい、こう思っています。
  139. 小川国彦

    小川(国)委員 大変安心して御答弁を承ってまいりたいと思いますが、次に、せっかく取っていただいた資金でございますが、私ども今度はこの活用の場合に全国的にどういうふうにこの資金が配分されていくんであろうか。東日本、西日本、大きく分けるとそういう形になってこようかと思います。その中で、何といっても今度一番大きな打撃を受けましたのは東日本の一道三県が主体であるということは、私どもも率直に認める大きな打撃を受けた地帯でございますから、この地域が優先的になされるということは私どもも当然というふうに考えておるわけでございます。ただ、この法律の中に、水産加工業施設改良等という中に、私ども地域の銚子とかそれから西日本も何か入ってきているのである、それからまた関連の魚種も入ってきているのである、こういうふうに聞いているわけなんですが、この今度の三百億をトータル的に見まして、地域的にはどういうふうに配分されていくんであろうか。大まかで結構なんでございますが、東日本にはどういうふうになるか、関東中心ではどうであるか、西日本ではどうなるか、その辺一応案分に対する考え方、そういうものがございましたらひとつお聞かせいただきたいと思います。
  140. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 今回の立法におきましては、当局から御説明があったと思いますが、北洋漁業の今回の原料不足、原料入手が削減を見た、そういうものに対する対策と、それからもう一つは、そういうことに対応して多獲性の魚種高度利用する、こういうものに対する設備の改良取得、こういう二つの面があるわけでございます。したがいまして、前段の方の従来北洋スケトウダラ等に多く依存しておった、こういう加工業、これが第一グループ、したがって、そういう地域内の加工業者対象になる。それから、第二のグループ、イワシとかサバとかその他の多獲性の魚種高度利用しようというための設備の改良取得、そういうものは、イワシサバ等の水揚げのある地域等々でございますから、これは相当広い範囲にわたって対象に考えていいのではないか、こう考えております。
  141. 小川国彦

    小川(国)委員 大臣の御見解ですと、これは直接一道三県にこだわらず、全国的に改良等に向けて広めていく、こういうお話と承ったのでございますが、実は私ども、この北洋漁業と関東地域漁業地帯というのはそれほど関係がないかと思っておりましたら、かなり切実な関係を持っておりまして、いままでスケトウダラ加工をしていたところが、今度はサバとかイワシ加工に変わってくる。そうすると、たとえば銚子などの場合には、サバをしめサバにして、関西人は非常にしめサバが好きなそうでございまして、関東は余り食べないそうですか、サバの大半は加工して関西に送っている。イワシども冷凍して各地に送っている。そういうものもかなりあったようでございますが、こういう原材料が、今度は東日本の方でも北日本の方でもこういうものを原材料としてやっていくということになると、やはり原材料の面でかなり影響を受けるのではないか。いままでは北洋の方は、スケトウを中心とする北洋漁業の魚の加工で来たものが、今度は沿海魚の加工に変わってまいりますと、材料を取られてしまうという心配をかなり持っているわけです。  そういう点では、私どもは、イワシサバだけではなくて、アジとかサンマとか、こういうもので今度はまた加工を、こちらの千葉や銚子の方になると、そういうものの加工でもやっていかなければならない。そうしませんと、どうしても北の方の影響がこの関東中部にもはね返ってくる、そういう状況があるわけでございまして、そういう点を勘案していただきますと、いまのところイワシサバという品種が挙げられておりますが、サンマとかアジとか、そういうようなものも影響を受けたしわ寄せがこう来るわけでございますから、こういうものも魚種に加えていくということもひとつお考えいただけないものか、こういうふうに思うわけなんでございますが……。
  142. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 イワシとかサバとかいうのは相当広範に漁獲があるわけです。特に千葉県、茨城県等は、これはもうサバイワシの主産地の一つでございますし、また長崎、福岡というような九州方面でもサバイワシも相当とれる。山陰でもとれる。わりあいに広範にとれますので、私どもはその点は、そういう多獲性魚種原料不足、そういうようなものは、若干の輸送その他流通問題を考えれば、これは各方面でできるのではないか、こういうぐあいに考えておりますし、そういう点につきましても十分配慮してまいる考えであります。
  143. 小川国彦

    小川(国)委員 いまサンマとアジの方の話がちょっと出なかったのですが、その辺はいかがでございましょうか。
  144. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 まあ研究してみますけれども、ちょっと無理なような感じがするわけです。
  145. 小川国彦

    小川(国)委員 その辺は、では検討課題にお願いをいたしまして、将来に期待をかける、こういうことにいたしたいと思います。  もう一つは、水産加工業の態様を見ますと、零細とはいいながらも北海道のこういう加工と、それからこちらの千葉の方の加工とはまた規模が違いまして、水産加工の規模が北海道は非常に大きいわけです。大臣の地元の岩手の方は、何か千葉よりまだもっと零細になってしまうという話を伺いましたので、まあそういう面も非常に対策が必要なんじゃないかと思いますが、こういう人手不足の府県ではどうしてもいま言った施設の改善をやっていかないとならない。そういう面ではいろいろ先ほども申し上げたのですが、包装機を入れるとか、乾燥機を入れるとか、魚体の処理機を入れるとか、そういういろいろなオートメの機械を導入して、できるだけ手間がかからなくて処理ができる、それからもう一つまた、パックなどによって新しい趣向の変わったものをつくっていかないと、水産加工がいずれも沿岸漁業に向けて産地競争のようなものが起こってくる事態の中では、やはりそういうきめ細かなところの施設改善にもぜひこの資金利用されていく、そういう道を開いていっていただきたい、こういうふうに私は考えますが、この点についてはいかがでございましょうか。
  146. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 いまの小川さんのおっしゃること、これはそういうことが必要だとは思います。思いますが、今回のこの特例法一特別な立法措置は、提案趣旨にもうたっておりますように、北洋漁業漁獲割り当ての削減等に伴う原料不足、そこでこれを他に転換をせざるを得ない、そういうものの工場の設備等の改良取得、それから、そういうものをカバーするためにイワシサバ等の多獲性魚種原材料を置きかえていく、そのために必要な工場の設備の取得、そういうものに今回の立法の目的があるわけでございまして、いまのいろいろ包装容器の問題であるとか、あるいは省力化のための問題であるとかというような一般的なものは、一般的な金融の面を利用していただくということに考えておるわけでございます。
  147. 小川国彦

    小川(国)委員 私、ちょっと細かい点を申し上げておりますのであれですが、新規なものを系統的に組み立てて、そして、いまおっしゃられているサバとかイワシ、これを対象にして、いま申し上げたようなものを系統的に組み立ててやっていく、こういうような全体的な施設改善になった場合には、そういうものも含めていくという考え方が持てないだろうか。個々の施設ではなくて、全体の系統的な施設としてそういうものをつくっていきたい、こういうものが生まれてきた場合にはいかがでございますか。
  148. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 イワシサバ等の多獲性魚種対象として、そういうことをずっと一連のものとしてやってまいるということになりますれば、これは対象になるわけでございます。  いずれにしても、融資に当たってケース・バイ・ケースでその適格要件を審査をして採択をしていく、こういうことになろうかと思います。
  149. 小川国彦

    小川(国)委員 大変いろいろ細かい点をお伺いいたしましたが、どうかこの資金の十分な活用を図りまして、水産加工業に対する一つの系統利用、あるいは農林漁業全体の中での振興ということで、せっかく御獲得いただいたこの資金枠に敬意を表しながら、その拡大にまたひとつ今後とも御奮闘を願いまして、私の質問を終わりたいと思います。
  150. 金子岩三

    ○金子委員長 武田一夫君。
  151. 武田一夫

    武田委員 法案につきまして、私は宮城県塩竈の問題を中心に、大臣に二、三質問をいたしたいと思います。  御承知のとおり、二百海里、そして北転船の問題で、全国的に影響が非常に多かったのは東北、北海道、なかんずく塩竈じゃなかろうかということをいろいろな角度からぜひ知っていただきたいと私は思うわけでございまして、そういう意味で、現状を二、三お話を申し上げたい、こう思います。  御承知のとおりに、塩竈は約六万の人口でございまして、テレビなどでは魚の港として全国に知られるようになりました。かまぼこ業者等もたくさんおります。ささかまの加工業者も多い、さらにまた、北転船の漁獲物を扱っている業者も非常に多いわけでございますが、この影響というものがいまだに続いている。しかも、最近それがやむどころか、依然として深刻の度合いを示しているのが一つの特徴でございます。というのは、塩竈の一つの特殊性もあるわけでございまして、この法案による文字どおり「地域特性を考慮して」という一項目を考えたときに、私はこの塩竈という特殊な都市、漁港というものをよく知っていただいた上で、ひとつこれからの質問に答えていただきたいと思うのでございます。  現在、塩竈は、スケトウの水揚げの依存度が非常に高い。全国の百五十四隻の北転船の中で、塩竈市だけで四十隻を抱えています。ですから、大体三分の一近いと言っても過言ではないわけでありまして、業者の九〇%以上はそういう北洋ものの加工あるいはまた鮮魚等を扱って生活をしている、こういう地域であります。ほかの地域がこういうものがとれなくなったというときに、サバイワシあるいはサンマなどにその生計の道を見出した、それで急場をしのいだというところと違いまして、塩竈はそういうことができなかった。しかも、塩竈の場合は、海から揚がるものばかりでなく、北海道等から来る陸ものもあわせてこの塩竈という町を大きく痛めつけた。海からのものと、それから北海道等から来るものがまた塩竈というものを痛めるという、海と陸からの大きな被害があったというか、そういう状況でございます。  最近、町の経済というものを調べた調査によりますと、約千百軒の小売店、四百軒の飲食店からのおのおの百軒の抽出アンケートによりますと、売り上げの減少、いわゆる収入減というのがはなはだしい、二百海里の影響がいまだに非常にあると返事をしたのが、四月から六月までのデータでも四二・三%あります。しかも、その中で、二〇%以上の売り上げの減少につながっていると答えた人が何と三七%近くもいる、こういうような状況であります。しかも、九月から水揚げの量がまた一段と減少しているということを考えますと、非常に深刻な現実であります。町ぐるみ非常に深刻な問題でありまして、今回のこの法案が、われわれにとっては本当に救いの神になるものであろうという期待の中で、地元の方々が関心を持っておるわけでございます。そういうような特殊な地域性というものを勘案した上で、私は大臣から二、三質問に対して御答弁をいただきたいと思うわけでございます。  まず、第一番目に、この第一項目におきまして、今回の融資の対象となるための条件がるる明記されているわけでありますけれども、ここで言う「水産加工品」というのは、参考資料としていただきましたこれでございますが、この五ページにあるたとえば「かまぼこ類」あるいは「魚肉ハム・ソーセージ」「くん製」云々と、こう書かれておりますこの十四種類全部、この対象の中に入るのかどうか、これをまず最初にお伺いしたいと思います。
  152. 岡安誠

    岡安政府委員 参考資料で御提出いたしております加工品の品目の中で、これは大部分は入ると思いますけれども、たとえば「寒天」とか、それから「加工のり」とか、そういうようなたぐいのものは、この法律での「水産加工品」という分類には入りがたいのではないかというふうに思っております。     〔委員長退席、山崎(平)委員長代理着席〕
  153. 武田一夫

    武田委員 それでは、その「寒天」の下にある「その他の加工食品」、この「その他」というのはどういう種類ですか。これは全部、できれば、種類が少なければ明示してほしいと思います。
  154. 岡安誠

    岡安政府委員 大体これは調味加工品を主としたものでございまして、これらもこの法律の「水産加工品」として分類されるべきものというふうに考えております。
  155. 武田一夫

    武田委員 長官、ちょっとお聞きしますけれども、焼き魚というものを知っておりますか。
  156. 岡安誠

    岡安政府委員 入り得ると思います。
  157. 武田一夫

    武田委員 塩竈ではこの焼き魚業者というのが約五十業者おります。この五十軒が一般の加工業に占めるウエートが非常に高いわけでありますけれども、これはカレイ類を焼いているわけでありまして、非常においしいわけでございます。しかしながら、こういう業者というのは非常に零細の中の零細、ところが、これがいつも融資の対象外に置かれて、金を借りることができないという苦情がたくさんあるわけでございますが、そういう事情を御存じでしょうか。
  158. 岡安誠

    岡安政府委員 具体的には承知いたしておりませんけれども、一般的に水産加工業者というものは、十人未満というような規模の業者が相当のシェアを占めているということから、融資を受ける際に、信用力その他の面でいろいろ問題があったということは十分想像はできるわけでございます。  それらに対しましては、やはり信用補完制度というものを将来活用していかなければならないということで、われわれはその面の施策を充実してまいりたいと考えております。
  159. 武田一夫

    武田委員 この焼き魚業者が外されるという理由には、どうも名前として焼き魚業者というものがないからだ、焼き魚業者というのが不適当であるならば、名前を変えて、この業種の中にはっきりと示しておいてもらえば、われわれは肩身の狭い思いをしないで借りられるんだということで、何とか特認事項として業種指定というものができないものかということを地元の方々が強く要望しているのですが、大臣、この点検討する余地がないでしょうか。
  160. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 サバとかイワシとか、そういうようなものを原材料にする焼き魚、これはもう当然対象になるわけでございまして、その点は農林漁業金融公庫等にも、これから融資の規定と申しますか、農林省の指導に基づきまして公庫では融資方法書というようなものを策定をするわけでございますから、そういう際には、そういうものも門前払いを食わされないようにきちっと公庫を指導して、やるようにいたしたいと思っております。  それから、武田先生などが御指導願う場合に、その個人個人で焼き魚をやっているというような本当に零細な諸君で、実際に公庫等で融資の審査をする場合、信用保証制度でも活用するというようなことであれば、それは対象になるわけですが、非常にむずかしい場合があるわけでございます。そういう際には、何とか指導をされて、組合をつくるとか、何かそういうような組織も活用して、共同でもってそれが利用できるように、そういうことをやることがまた経営合理化にもつながることでありますから、そういう御指導をお願いしたいものだ、こう考えています。
  161. 武田一夫

    武田委員 それじゃ、次にお願いしますが、一項の中に「水産加工品の製造又は加工のための施設改良、造成」云々というようにありますが、塩竈にはまた流通業者というものがたくさんいるわけでございます。流通業者というのは何だと聞いたら、大体わからないと思います。正確に流通業者とは何だと聞くと、大体わからないそうでございます。ところが、鮮魚仲買人と言うとわかる、こういうふうな名前のむずかしいのがありまして、この業者が何と百三十人もおりまして、こういう方々が扱っている北転船の魚がスケトウ、ギンダラ、カレイ、マダラ等々相当の量でございます。ところが、こういう方々はここの対象には入っていないわけであります。しかしながら、こういう方々は、先ほど申し上げましたように、海から陸から痛めつけられている典型的な業者でございまして、しかも、こういう方々も比較的零細な方々が多い。組合はつくっておりますけれども、しかしながら、こういう方々が北転船の減船並びに二百海里の影響によって非常な苦しみを受けています。  たとえば、数字で申し上げますと、昨年に比べまして今年の一月から十月は数量にしまして一万四千六百十二トン減少している、金額にして八億六千七百七十二万の収入減であるということが出ておりまして、これは本当に大変な苦しみの中で仕事を続けているわけでありますが、こういうような方々に対する配慮というのは、何としてもしていただかなければならないし、していくべきだと私は思うわけであります。  本当にこの地域の特性というものを考えたときに、ほかの地域とは違うこういう鮮魚仲買人というものを、何らかの形で今回の法案の中にありますような措置によって救済していかなければいけないのじゃないかということを考えるわけですが、この点についてどういうお考えでございましょうか、大臣にお聞きいたします。
  162. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 これはいろいろな角度から検討したわけでございますが、今回の立法対象にすることがどうもできない。ただ、中小企業関係の融資枠として四十億の枠を設定いたしまして、対象一件当たり五百万円を限度、金利は六分五厘、これは五年以内ということで、据え置き期間が一年、こういう融資枠を設定いたしましてごめんどうを見る、こういうことにいたしておるわけでございます。
  163. 武田一夫

    武田委員 こういう方々は、品物を買っておかなければならないわけです。でないと、いま大手の皆さん方によってもうわれ勝ちに買い占めということも行われておりまして、そういう方々が、たとえばギンダラとかそういうものは、もうこの間行ったらわれわれにはいままでの三分の一しか入らないというようなことがありまして、品物を確保するためにはかなりのそういう資金が必要である、五百万などではとてもどうしようもない。調べてみましたら、平均しまして一千二百万くらいは最低必要だ、そういうことがありますが、いまの大臣の答弁によると、こういう方々はもう恐らく百三十業者のうちの何分の一救済されるかというような、そういうものであるという実情をよく調べた上で、これはどうにかしてこういう方々の救済というものを考えてやっていただきたいと私は思います。しかも、こういう方々はもういままで何度も苦労しておりますので、担保の問題にしましても保証人の問題にしましても、そういうものがないというような状況に追いやられているのが現実でありますけれども、こういう四十億そこそこの中で、しかも、いま言われた五百万とかいうのでは、救済は不可能じゃなかろうかと思うのです。その点の再考を私はお願いしたいと思うのですが、これはお願いだけをしておきまして、次の問題に入ります。  減船補償の問題なんです。日ソ漁業交渉がまた再開されておりますが、どうもニュースを聞きますと、かなり厳しいのじゃないかということもありますし、地元ではまた北転船の減船があるのじゃないか、そういうそわそわしておる状況でありますが、大臣としては見通しをどういうふうにお考えでございましょうか。
  164. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 来年度のクォータの問題、これはこれからの日ソ代表団間における交渉にかかっておるのでありますが、私どもは今年度のクォータ、これを絶対に下回らないようにぜひ割り当て量を確保したいということで全力を尽くす考えでございます。  新聞等では、ソ連側は等量主義というようなことを強く押し出してくるであろうとかいろいろな憶測記事が散見をいたしておるわけでありますけれども、やはり今年度のクォータを決めますためには、過去の実績等々を勘案しまして日ソの間ではああいう漁獲量になったということでございまして、いままで私とイシコフ大臣との間におきましても、等量主義という話は一遍も出ておりません。これは実績を基礎としまして、そして、それにどれだけの削減をするか、配分をするか、こういうことでやってきておるわけでございまして、一部でそういう考えを持っている者があるやには仄聞をしておりますけれども、私とイシコフ大臣との間におきましては、等量主義などということは一遍も話が出ておりませんし、日ソ漁業協定の条文づくりの際におきましても、等量主義的なにおいのするようなものは削除をさせた、これはこの前御審議を願う場合に、私は交渉の経過でも明らかにしておったところでございます。  今後もそういう方針で一貫して交渉に当たってまいりたい、こう思っております。
  165. 武田一夫

    武田委員 いまそういうお話がありましたけれども、いろいろ前回の経過などを踏まえますと、やはり地元の皆さんにとりましては、万が一のことを考えておかなければならない、そういう厳しい状況の中で交渉が進められていくと思います。  そこで、万々が一今後そういうことでさらに第二次の減船ということが出てくるとするならば、私はここでひとつ水産庁に考えておいてもらわなければならない問題があるわけでございます。それは補償の問題であります。  新聞あるいは直接関係機関等から報告が入っておると思いますが、塩竈地区でいま減船補償をめぐっての労使交渉が非常に難航しております。これは大変な難航のようでございまして、そういう実情報告、その他経過等御承知でございましょうか。
  166. 岡安誠

    岡安政府委員 大体、今回の減船につきましては、各漁業種類ごとにほぼ対象の船が決まったわけでございますが、それぞれの船につきまして、一部につきましては、御指摘のとおり、労使間でまだいろいろ交渉をしているというようなことは聞いております。
  167. 武田一夫

    武田委員 水産庁、今回の減船につきまして、その船主に対してどのくらいの補償金を平均して払っているわけですか。
  168. 岡安誠

    岡安政府委員 これは減船の対象漁業種類によりましてそれぞれ違っておりますので、一概に申し上げるわけにはまいりませんけれども、今回減船の対象になりましたのは総計千二十五隻でございまして、政府の交付金の総額は七百九十七億円ということになっております。  繰り返しますが、それぞれ対象漁業種類によりまして金額は違っております。
  169. 武田一夫

    武田委員 北転船の場合は、それじゃどうなっておりますか。
  170. 岡安誠

    岡安政府委員 今回の減船によりまして政府が交付金をそれぞれ漁業種類別に支払っているわけでございますが、まず北転船について申し上げますと、経費補てん金というのがございます。これは休漁中の諸般の経費のほかに、船員の給料等を内容といたしまして、また、やむなく退職する者につきましての退職金相当部分というものも含まれますが、これは北転船の場合平均一億七千万円でございます。  それ以外に、のれん代につきましては、原則として共補償でいくわけでございますけれども、北転船の場合につきましては、残存船主の共補償支払い能力というものが非常に限定をされますので、そういうことを勘案いたしまして、特別救済金というものを一億七千万円のほかに一億四千万円というものを交付することにいたしておりますので、政府交付金の合計額は三億一千万円ということになっております。
  171. 武田一夫

    武田委員 水産庁長官、これは非常に大変な問題だったのです。ですから、実際問題として頭の中にそのくらいの金はぽんと入っていてほしいと思うのです。三億一千万、一億七千万と一億四千万とあるのだというくらい、ちゃんと出てこないと、一生懸命になって考えたということは私は言えないと思うのです。  その証拠に、それじゃ、一億七千万の中に船員の給与とか退職金とかが含まれている、こう言いますが、そのほかにこの中身は何があるわけですか、この一億七千万の中に。全部船員の給与、退職金だけで一億七千万なんですか。
  172. 岡安誠

    岡安政府委員 先ほど申し上げましたように、北転船につきましては、まず四月、五月の出漁ができなかったわけでございます。そこで、いろいろな仕込みをいたしているわけでございますので、その仕込みに要しました漁具等の材料費、それから先ほど申しました労務費、それ以外には修理費とか船体の保険料、租税公課その他固定的な経費等を見込んだ合計が一億七千万円でございます。
  173. 武田一夫

    武田委員 そこで、一億七千万円の中の船員の給与、退職金というものはどのくらいが一つのめどだったでしょうか。たとえば、仕込み料とか修理等々のそういう経費を引いた船員の給与、退職金、これはどのくらいの金額……。
  174. 岡安誠

    岡安政府委員 これは実は一億七千万円、それ以外にもございますけれども政府交付金の詳細な内訳につきましては、これは金額としては公表いたしておりません。しかし、従来の減船のときにも多少問題もございましたので、特に労務費につきましては、この政府交付金の中に織り込んでおります織り込み方といいますか、それはそれぞれ関係漁業者にも、また漁船員の団体等にもお示しをいたしているわけでございます。  たとえば、労務費につきましては、準備期間中の給与としましては固定給に当たる部分、それから漁期に当たる期間につきましては固定給のほかに歩合給の一部、これは固定給の一・二カ月分というふうに考えておりますが、そういうものも織り込んでおります。  それから、退職金ないしはこれに相当する一時金といたしましては、北転船のように周年操業の業種につきましては、固定給の六カ月分を組み込んで計算をいたしております。  私どもはこういうような基本的な考え方をすでにお示しいたしておりますけれども、具体的な金額につきましては、これはそもそも労務費は労使の間でもって協議が行われ、話し合いによって決定をされる筋合いのものでもございますので、政府交付金の内訳を金額として明示することは、労使間の話し合いを拘束することにもなりかねませんので、私どもは金額の公表は適当ではないというふうに考えまして、現在まで公表はしないでまいっております。
  175. 武田一夫

    武田委員 いろいろと船主側あるいは乗組員の皆さんの話を聞きますと、船主の方では、この間、乗組員一人につき固定給の六カ月分を上限に勤続年数に応じて傾斜配分をする、そういう案を出したそうですか、それが最近になって撤回されて、一律固定給の六カ月分、平均にしまして八十六万八千八百円、これ以上は出せない、こういうふうになってきておるようです。こういうふうに船主の方でも前の条件とまたこういう条件が違ってくるとかというようなことで、しかも八十六万八千円しかもらえないということではとても生活もできない、今後また大変だということで、船主側の考えと乗組員の方の要求は相当な隔たりがありまして、乗組員の方は約四百八十万ぐらいを要求している、こういうふうな隔たりがあるために話し合いが一向に解決しないわけでありますが、聞いてみますと、こういう船主と乗組員というのは非常に近いところで、親戚づき合いのような、あるいは隣近所のつき合いの非常にいい仲であったわけです。それが金が入ってきてから、静かな漁村が大変ないがみ合いをしてみたりいろいろなうわさをしてみたりで、非常に大変な人間関係が出てきた。どうしてもっとはっきりした線を国の方では出してくれなかったのか。何か話に聞きますと、サケマスが休業補償したときには二百万くらいのものが出ているんだ、そういうような話もありまして、そのときは国の方ではどうも二百万という線は出したのだということも言っているのですが、その真偽はどうでしょうか。  だから、われわれは今後、職もどうしようもなくなる、船はもう出ていく見込みはない、そういうわれわれに百万そこそこでというような、これはどうするのだというのが乗組員の皆さん方の心情であります。船主の中にも、交渉の段階において、いま水産庁が言ったような内容では大変だからもっと考えてほしい、こういうふうに要望したそうですか、大蔵省が云々ということでそれもだめであった。船主にとってみますと、やはり自分たちの先という心配もありますから、ふところに入った金はおいそれと離すわけでもない、これは人情であります。そうなりますと、これはこのままほうっておいたのではいつ解決するかという心配もある。しかも、暮れであります。そういう方々は職の心配もしなくてはいけない。農家もそうですか、漁村は特に月賦などの多くの借金も抱えて、そういうものから支払うということになりますと、これはいろいろな面でそういう離職する方々に対する圧迫というのは大きいわけであります。最近そういうことを心配された船主の代表の方が、水産庁の方に何とかしてほしいと来たようですが、そのときも、どうもそんなことはもうあなた方で話し合いをしなさいということで帰された。ずいぶんそっけなく帰されたような話でございます。  一体これを今後どういうふうにしていこうというのか。これは今後北転船の問題として減船がまた出てくるということを考えたときには、こういうトラブルが起こらないような何らかの歯どめをしなければいけないと考えるだけに、この処置が大きく後まで影響をするのじゃないかという点から私は善処願いたいわけですが、どういうふうにしよう、またどうしなければならないという考えであるか、伺いたいわけです。
  176. 岡安誠

    岡安政府委員 この労務費の問題につきましては、先ほどもお答え申し上げましたとおり、本来労使の間の話し合いで解決をするということが本筋だろうと思います。と申しますのは、先生十分御承知と思いますけれども、北転船とサケマスの場合におきましてもそれぞれ給与の体系が違いますし、また同じ北転船の中でもそれぞれ給与が違っておるというのが実態でございます。これを画一的に幾らということの方がむしろ弊害が大きいと考えているわけでございまして、私どもはひとつ精力的にお話し合いをいただき、円満な妥結に一日も早く到達することを願っているわけでございまして、もちろんいろいろ私どもの指導する場面があれば、その点において御相談にあずかることはやぶさかではございませんが、しかし給与を幾らにしなさい、退職金を幾らにしなさいというような裁定のようなかっこうでの水産庁その他の介入ということは適当ではないと思っております。  ただ、私どもは、給与が最終的に支払われました場合には、その実績について減船の対象になりました漁業者から報告を徴することにいたしております。したがって、その報告が出てきた場合、その内容が著しく妥当を欠くというような場合には、当然私どもといたしまして適正な指導はしてまいりたいと考えておる次第でございます。
  177. 武田一夫

    武田委員 大臣、何か大臣として、こうしたらいいんじゃないかという妙案はないでしょうか。これは時間が長くなるにつれて非常に険悪の度合が強くなります。いままで親しかった仲も、また静かな漁村も、そういう金というものを媒介として険悪になってくる、これはゆゆしき問題です。人数は百人か百五十人かもしれませんけれども、その一つの小さな町にとっては大問題でありまして、これは今後何らかの手を打たなければならないし、今後ともこういうものが尾を引いてあちこちに起こってくるとすれば、これまた非常な問題と思うのでありますが、大臣としてどうでしょうか、どういうふうに対処していこうとしておりますか。
  178. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 これは武田さんもよくおわかりのことなんでしょうが、各船ごとに固定給も違います。それから歩合給等につきましても船によってまた違う、それから同じ船員の中でも、熟練をした漁船員とそうでない人たちとは違う、そこに非常にバラエティーがある。そういうようなことでございますから、農林省としては、出漁前の準備期間中は固定給を考える、それから漁期に入っておって交渉が長引いたために休漁した期間は、固定給に、当然操業しておれば入るであろう歩合給もそこに上乗せをする、それから退職をされる場合については固定給の六カ月分、こういう物差し、基準というものはお示しをしておりますし、そういう内容のことをやっておるわけでございます。     〔山崎(平)委員長代理退席委員長着席〕 あとは各船主とその乗組員、そういう形で労使の間で話し合いをする、どうもこれ以外にないのでありまして、すべての漁船、条件その他も違うものを同一の金額で律するというようなことは、かえって不自然にもなり、適当を欠くのではないか、こういうことでさような措置をとっているわけでありますが、今後この業種団体の各地域の組合の幹部、指導者等にも私ども助言をして、早く円満な妥結、結論が出るように指導はいたしたい、こう考えておりますが、個々に立ち入ることはちょっと行政の限界でございますから、御了承いただきたい。
  179. 武田一夫

    武田委員 時間がなくなりましたので、最後に、これまた塩竈にとっては死活問題でもある水産加工団地の問題でございます。  大臣も塩竈の水産加工団地をごらんになったと思うのですが、昭和四十二年、これは全国の初めてのケースとして、モデル地域として大いなる期待を受けて始まった注目の事業だったわけでありますけれども、いまはもう、たとえば昭和四十九年六月から五十二年六月までをとりましても、累積赤字一億九千万、こういうような中で四苦八苦、瀕死の状況であります。ここは現在九十七業者が入っていて、今年の十二月で百三十三の全業者が入る予定でございますが、そういう方々をひっくるめて、この問題については市全体で、一般市民も総ぐるみで、どうしたらいいかということでこの水産加工団地の行方を心配しているわけであります。本当に希望と夢を持って始めた事業が、こういうまことにお粗末な、というよりも不幸な結末として今日来ている。  この水産加工団地に対して、今後どういうように対処していこうとしているのか、この問題をまずひとつお伺いしたいと思います。
  180. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 十年ぐらい前に全国に先駆けてやった施設でございます。私も現地も見ましたし、県や市当局から当時説明も聞いたり、大分積極的な進んだ施設をやるなということで敬意を表しておったわけでありますが、その後、境港であるとか各地のものは大分おくれてからできた。塩竈は他に先んじてやった関係もありまして、その設備等においても、最初のことでありますから、今日各地でやっておりますものよりも性能がいろいろ劣ったとか、そこで設備、装備の入れかえをするとか、いろいろ紆余曲折もあったようであります。  そういうことで、最近やったものよりはいろいろ手直し等もあったりして、結果的に設備投資は相当の額になっておる。それからまた、この塩竈市内の各製造加工業者があそこの団地に入ることになっておったのでありますが、いろいろいままでの自分の工場を離れがたいということで、あの団地に入ることも計画どおりには進まなかった。そういうようなことで、結局収入の方よりは支出の方がかさんだということで、累積赤字がいまお話しになったようにかさんできておるわけであります。  この再建整備につきましては、現在、塩竈市当局と県当局とでいろいろ再建対策について協議をいたしておるわけでありますが、その結果を私ども見まして、政府としてできることについては何とか協力もいたしたい、実はこう考えておりますが、あの施設をやります場合には、政府としては所定の助成、補助等をやってきておるわけでございます。いま申し上げたような運営上の事情等で累積赤字がかさんだというようなことで、農林省としてもストレートでこれに対して救済措置等はなかなか困難でございますけれども、県や市当局の再建案を見た上で、長期融資等の問題、いろいろあろうかと思いますが、そういう点もよく検討の上で対処いたしたい、こう考えております。
  181. 武田一夫

    武田委員 時間が来ましたので、最後にお願いしますが、この加工団地がこういう状況になったのは、一つにはやはり石油ショック、さらに二百海里の結果による問題というのが相当な比重があるということも十分勘案した上で、いま大臣が答えられた前向きの姿勢を加工団地のためにぜひお願い申し上げまして、質問を終わらしていただきます。
  182. 金子岩三

    ○金子委員長 稲富稜人君
  183. 稲富稜人

    ○稲富委員 私の質問することに対しましては、あるいはもうすでに同僚各位から質問された問題があるかと思うのでありますけれども、この法律案は、本日提案説明を承り、また本日採決をするという非常に急な審議であります。しかしながら、大臣は、きょうの説明において、慎重に審議をしてもらいたい、そういう御希望もありましたので、その御趣旨を尊重いたしまして、重複する点がありましたらその点を御了承願いたい、かように考えます。  まず、最初にお尋ねいたしたいと思いますのは、この法律案が会期末に唐突としてここに提案されました。これはやはり巷間伝えられるところによると、各省間において、閣内のいろいろな問題があって、その調整をやられておった関係上この法案提案がおくれた、こういうようなことも伝えられているのでございます。私は事実そういうこともあるかと思うのでございますが、これは今後の参考になることでありますので、各省間にどういう点の意見の相違があったのであるか、閣内統一のためにどういうようなことがあったのであるか、提案のおくれた理由、この点、もしもお聞かせ願えれば、今後の法律運用上にも非常にいいんじゃないかと思いますので、その点最初に承りたいと思います。
  184. 岡安誠

    岡安政府委員 今日の二百海里時代に入りまして、日ソ交渉を主としていろいろ影響がございました。減船の問題、離職者の問題等をやってまいりまして、水産加工業につきましても、つなぎ融資、また、それの肩がわりをするべき長期低利資金措置をやったわけでございますが、さらに水産加工業の将来を展望いたしまして、特別の金融措置をする必要があるということは、九月中旬には大体方向は出ておったのでございます。その後、本日に至りました理由二つございます。  一つは、そういう特別の資金融通に当たりまして、やはり分野調整、そういうむずかしい問題がございまして、従来の実績を持つようなルートと、それから新しいルートを新設するというような問題、どういうふうに調整するかというようなことにつきまして、いろいろ政府部内で検討いたしたということが、時間がかかった一つ理由でございます。  もう一つは、北洋関係原材料が非常に減少いたしまして、水産加工業者影響をこうむったわけでございますが、そういう北洋関係原材料が少なくなったということを重点といたしまして今回の融資措置を行わせたものか、それとも、さらに今回御提案しておりますように、そういうことを踏まえまして、従来非食用に回っておりました多獲性の魚類を食用水産加工物に回す、そのための新しい施設の新設、取得改良等もこの制度対象にするかという問題、これも政府部内で相当議論をしたわけであります。その結果、私どもほぼ満足するような結論が得られたということで、大変おくれたわけでございますけれども、御提案がこの期になったということ、恐縮に存じておりますが、内容はほぼ満足するようなことに整備ができたというふうに考えております。
  185. 稲富稜人

    ○稲富委員 私がこれを冒頭にお尋ねしますゆえんのものは、概して従来の加工業に対する融資というのは、中小企業金融公庫あるいは国民金融公庫の融資等が多かったと思うのです。今度新しく農林漁業金融公庫の融資ということになりますと、はなはだ失礼だけれども、役所内のいろいろなセクトの問題がありまして、どうもなわ張りを荒らされるような、こういう点がありまして、なかなか思うように運ばないという点がよくあるのでございます。私は、今後のこれの運営に当たりまして、そういうことのないように、ひとつすべての金融関係の公庫というものが一致してこれに対する融資の問題を考える必要がある、かようなことをおもんぱかりますがゆえに、もしもそういう点に対しての問題があったとするならば、率直にここで話していただいて、そうして今後そういうことのないようにしたい、こういう点からお尋ねしたわけでございますので、そういう点があったとするならは、ここにひとつ明らかに——われわれが仄聞するところによると、そういうことも聞いておりますので、お尋ねをしたわけでございます。長官は非常に慎重に、当たりさわりのないような御答弁をなさっておられるのでございますけれども、私はこれを責めるわけではなくして、今後の運営上の参考になるのではないか、かような考え方からあえてお尋ねしておる、こういうことをひとつ念頭に置いていただきたい、かように考えるわけでございます。  次にお尋ねいたしますことは、本法は、公布の日からこれを施行する、こういうことになっております。本法が通過いたしましたときに、政令、省令等が当然伴わなければ、この公布ができないだろうと思うのでございますが、その公布がされるのはいつごろの予定になっておるのか、その予定がありましたら承りたいと思うのでございます。
  186. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 いまの公布の日からということでございますが、いま稲富先生からお話がありましたように、政令、省令、さらに農林漁業金融公庫の融資についての業務方法書、そういうようなものも全部整備しなければなりませんから、実際にこれが実施に移されるのは来年度から、こういうことに相なりますしかし、その前におきましても、特別な状況の存在する場合におきましては、融資の面で配慮をしてまいりたいものだ、こう考えております。
  187. 稲富稜人

    ○稲富委員 私がその点をお尋ねしますゆえんのものは、ただいま大臣から御答弁のありましたことももちろんでございますが、さらに本法政令で定められる利率につきましては六分五厘以内ということになっております。それから、償還期限が十年以内、それで据え置き期間を二カ年含むことになっておるのでございますが、本来から言って、今日の加工業者実態、今後の需要から見まして、この期限が十年以内、しかも据え置き期間を含んでの十年以内、こういう点も余りにも短期限ではないか、こういう感じもします。  さらに、六分五厘以内ということ、これも「以内」というのはどこまでを指しておるのか、どういう点に目標を置いていらっしゃるのか、あるいは五分ぐらいにしよう、こういう考えであるのか、この点をひとつ念のために承りたいと思います。
  188. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 六分五厘以内ということにしておりますが、五分資金のものも考えております。だから、五分資金のもの、六分五厘資金のもの、こういうことにいたしたい、こう考えております。  なお、期間の問題は、私ども製造加工業等の分野におきましては、他との振り合い、関連からいたしまして、おおむね妥当なものだ、こう考えております。
  189. 稲富稜人

    ○稲富委員 さらにお尋ねいたしたいことは、本法政令で定める要件を満たした場合に資金を貸す、こういうことになっておりますが、具体的にこの法案対象となる魚種と適用になる地域、こういう点はどの点であるか、この点をひとつこの機会に明らかに述べていただきたいと思うのでございます。
  190. 岡安誠

    岡安政府委員 これは「政令規定見込事項」というものでお配りをいたしておるわけでございますが、一つは、やはり北洋におきます漁業水域設定等によりまして影響を受ける水産加工業者が、原材料または製品転換をする場合、それから製造方法改良をする場合等が一つのグループでございます。これにつきましては、やはり北洋におきまして従来とっておりました漁獲量減少をするという影響を受ける道県というものがあるわけでございますので、そういう道県を農林省の告示でもって定めたいというふうに思っております。  それから、もう一つは、従来非食用に大量に回っておりましたイワシサバのような多獲性魚、これを食用の方に回す、そのために必要とする施設新設等につきましては、従来からイワシサバ等の多獲性魚が大量に陸揚げされておりましたような道県、これを農林大臣指定をするということを考えております。  前者は、やはり北洋関係影響を受けるところでございますので、ある程度限定をされると思いますけれども、後者につきましては、全国相当広範囲の道県が指定されるものというふうに考えております。
  191. 稲富稜人

    ○稲富委員 それから、次にお尋ねしたいと思いますことは、この法案は五カ年間の時限立法でありますが、五カ年だけで原材料転換等に必要な施設改良、造成が果たして行えるのであるかどうか。また、この措置資金の需要を見込んでおられる企業の数あるいは資金枠、こういうものはどのくらいを考えていらっしゃるかということが一つ。  さらに、いま一つお尋ねしたいと思いますことは、御承知のとおり、水産加工業は非常に零細な企業が主体であります。それで、零細企業でありますがために、その信用力というものが非常に乏しいわけでございますので、こういうような信用力の乏しい企業に対しましては、大体公庫が金を貸すことをなかなか好まない点が多いのでございますが、政府はこういうような零細企業に対しても、ある程度の信用において金を貸すんだ、これほどの幅を持たせるつもりがあるのであるか、この点をお尋ねしたいと思うのでございます。
  192. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 五年間の時限立法ということでございますが、これは五年以内に融資がなされればよい、こういうことが一つでございます。それから、私ども当面は、今回の一連の北洋漁業交渉の結果、クォータが大幅な削減を受けて原材料確保が減った、その影響の大きいものということでそうしたわけでございますが、その五年後の事態で、日ソ交渉と同じように二百海里の時代というのはまだ今後続くわけでございますから、さらに、そういうような状況が発生をしたという場合におきましては、その時点でこの問題はひとつ見直す必要があるのではないか、こう考えております。  何にせよ、先ほど長官から御答弁を申し上げましたように、既存の各金融機関との間の分野調整これはなかなか苦労した問題でございまして、その点は水産庁の諸君が大変苦労して、とにかくこのことをまとめたということをひとつ御理解を賜わりたい、こう思います。  それから、中小の零細加工業者が非常に多いわけでございますから、たとえば中小企業信用保証協会の保証をとれとかなんとか言っても、これはなかなかむずかしい。そこで、個人保証であるとか、あるいは建設、造成をしたその設備、工場等を担保にして、そういうことで融資ができるようにいたしたい、こういうことを考えておるわけでございます。
  193. 稲富稜人

    ○稲富委員 いろいろ突っ込んで聞きたいのですけれども、時間がありませんので、そういうことで、ぜひ零細業者がこれによってやはり報いられるように、この点を十分御考慮願いたいということを特にこの際お願い申し上げたいと思います。  それから、将来、加工において起こりますことは練り製品の問題でございますが、これは従来はスケトウダラが大半を占めておったことは御承知のとおりでございます。ところが、この問題が今回、日ソの関係で非常に大きな問題でございますが、ここで承りたいと思いますことは、六月二十一日の閣議了解事項による日ソ漁業交渉に伴う救済対策の基本方針によれば、加工原料として不足が見込まれる魚種についてはバーターの方法による輸入を考慮する、こういうことを明らかにされておりますが、このバーター方式に対してはどういうような検討をなされておるのか、また可能性に対する見通しがどういう状態であるか、この点をひとつ承りたいと思うのでございます。
  194. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 このバーターの問題は、わが国が三海里から十二海里に領海の幅員を広げる、その際に、ソ連漁船が実績を持っておった三−十二海里の中では操業できなくなる、そういうようなこと等から、イワシサバ等の漁獲が割り当てをしても相当減るのではないかというようなこと等を配慮いたしまして、バーターによって、ソ連漁船が十二海里の外に出てそのイワシ等がとれない場合のことを配慮してやったわけでありますけれども、ことしは実際にやってみますと、十二海里の外でも結構イワシサバもとれておるというような実態のようでございまして、したがいまして、ソ連側は当初この問題に非常に大きな関心、興味を持っておったのでありますけれども、いまのところ、バーターの問題についてソ側から積極的な対応がございません。しかし、今後、先ほども申し上げましたように、今次交渉におきまして日ソの漁業協力協定というものを結ぶ交渉をやるわけでありますが、そういう際に、ソ連側から再度そういう問題が提起されてまいりますかどうか、そういう点をよく見きわめた上でわが方としても対処いたしたい、こう思っております。  そこで、その問題が一応ペンディングになっておるわけでありますけれども、一方において、このスケトウダラ等を原料としたすり身加工、それを受けてのかまぼこ等の製造業、これが原料不足になるというような事態が発生いたしました場合には、バーターとは別に、別個の問題として、漁業団体並びに加工団体、業者等の実需者でもって需給協議会をつくってもらいまして、そして秩序ある輸入をやっていきたい、このように考えておるわけでございます。
  195. 稲富稜人

    ○稲富委員 先刻大臣の御答弁もありましたのでございますが、これが実施に当たりましては、政令あるいは省令等の関係で来年度からだ、こういうようになるだろうという御答弁もあったのでございますが、さらに、やはりわれわれが非常に不安に思いますことは、これは貸し付けに対する利子補給というものが当然行われてくるだろうと思うのでございます。これに対してどういうようなお考えを持っていらっしゃるか、承りたいと思います。
  196. 岡安誠

    岡安政府委員 これは先ほど申し上げましたように、原則として六分五厘でございますが、五分資金も設けるということになりますと、御承知のとおり、原資の金利いかんによりましては、融資機関について差損というものが出るわけでございます。ただ、農林漁業金融公庫につきましては、先生御承知のとおり、非常に低利資金から七分を超えるような資金までございまして、それらの総計につきまして政府が交付金を交付するというような措置をいたしております。したがって、それらの金融機関につきましては、それぞれ差損の処理方法が違うわけでございますので、農林漁業金融公庫中小企業金融公庫、国民金融公庫、それぞれについて、大蔵省また通産省とも相談いたしまして、措置は当然いたすつもりでございます。
  197. 稲富稜人

    ○稲富委員 そういう場合は、予算措置はやらなくても、ただ大蔵省その他の行政的な、そういう指導によって問題は解決する、こういうことでございますか。
  198. 岡安誠

    岡安政府委員 先ほど大臣からお答えしたわけでございますけれども、この制度の本格的実施は来年の四月一日以降と考えておりますので、来年度の予算の中において措置をされるというふうに御了解をいただきたいと思っております。
  199. 稲富稜人

    ○稲富委員 そうすると、私たちが腑に落ちないのは、来年度の四月一日以降から実施するということになりますと、この法律案を唐突としてこの会期末に出されたという意味がなおわからぬようになってくるのですよ。来年の四月一日から実施されるということになれば、当然この問題は次の国会でも審議の余地があってもいいわけなんです。それをあえて、来年の四月一日以後に実施するようになるものを、この会期末のこの機会にこの法律案を出されたというその根拠はどこにあるか、この点、われわれはどうも腑に落ちない点があるのでございます。その点をひとつ御説明いただきたい。
  200. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 これは先ほど長官からも御答弁申し上げたように、各方面の御要望も踏まえまして九月中旬ごろから取り組んできたわけでございます。それが農林省としては、ほぼこの辺ならばまあ満足できる、これ以上のことはむずかしいというような結論が出たものでございますから、一日も早く国会の御承認をいただいて、それに基づいて、先ほど来申し上げるように政令、省令、それから公庫におきましては融資の業務方法書等々の整備を急ぎまして、そして四月一日からはぜひやりたい。それが次の通常国会ということになりますと、予算が成立した後で初めて法案審議に入る。そうすると、なかなか四月一日からというようなぐあいには間に合わないのではないかということで、とにかく善は急げで、できたことでございますから、この国会で御承認をいただく、こういうことにいたしたわけでございます。
  201. 稲富稜人

    ○稲富委員 結論は、これは非常に加工業者その他の方々が不安を持っているから、まず、その方々に早く安心を与えなくちゃいけない、そういうような親心からあえて会期末をいとわずこれを出した、こういうようなことなんでございますね。それでは、そういうように解釈をいたします。  もう時間がありませんから、最後にいま一つお聞きしたいと思いますことは、御承知のように、最近の円高によりまして、国内加工品のかん詰めその他の輸出の停滞が非常に生じている、こういうようなことをわれわれは承知しているのでございますが、これに対してはどういう対策をやろうとしておられるか、この点を承りたいと思うのでございます。
  202. 岡安誠

    岡安政府委員 確かに円高の影響を受けまして、かん詰め業につきましては相当苦境に立っているわけでございます。特にマグロ等のかん詰め等につきまして問題があるわけでございます。  それで、現在、業界とも相談をいたしまして、それぞれ対策を練っているわけでございますが、まず業界におきましても、自主的に生産を多少調整をしようというようなことを検討をいたしております。私どもも、そういう機運は、この難局に対処するためには非常に結構なことなので、ぜひ応援をしたいと思っておりますし、また必要に応じまして、調整保管という措置もこの際とりたいというふうに思っております。それらの措置を発動いたしまして、ともかくこの難局を切り抜けまして、さらに滞貨につきましては、新しい消費の部面を開発するというPRの面につきましても、業界とも手を携えて今後さらに努力をいたしてまいりたい、かように考えております。
  203. 稲富稜人

    ○稲富委員 時間が来ましたので、これで質問は終わりますが、せっかく中小企業庁から来てもらっておりますので申し上げますが、先刻から私、大臣にお導ねいたしましたように、中小企業庁といたしまして、中小企業金融公庫等の指導に当たられましても、今回の融資関係が、従来は中小企業金融公庫の所管であったのが、今度は農林漁業金融公庫の所管になったのだというようなもつれのないように、ひとつ各公庫が一体となってこれが推進に邁進してもらうように、中小企業庁としての指導方をよろしくお願いしたい、こういうことを私は最後に中小企業庁にお願いをして、私の質問を終わりたいと思います。
  204. 松尾成美

    ○松尾説明員 今回の法案におきまして、私ども関係しております国民金融公庫、それから中小公庫も、農林公庫と並びましてこの金融を扱わせていただくわけでございますので、各機関の間で密接に協力をして、そして水産加工業者のために金融の円滑化を図っていくということで指導してまいりたいと思います。
  205. 稲富稜人

    ○稲富委員 質問を終わります。
  206. 金子岩三

    ○金子委員長 津川武一君。
  207. 津川武一

    ○津川委員 この間、塩竈の加工業者に会っていろいろ懇談してみたところ、スケソウダラと加工は車の両輪、とる漁業加工する工業が車の両輪、どちらも同じように育たなければならないと言っていました。ところが、とる方に重点が置かれて、加工業が少し軽視されているんじゃないか、車の両輪として加工業をきちんと位置づけるべきでないかというのでございます。この点での農林大臣の方針をまず聞かせていただきます。  これと関連して、加工業者のたっての要求は、水産省の設置であります。加工担当部及び加工担当の課を新設して、水産加工振興法の制定によって、水産加工を水産行政の一環として正当に位置づけて振興を図ってほしいという要求でございます。この水産省の設置について再びお尋ねしてみたいと思います。  ところが、政府は、水産省の設置を農林水産省への改称にとどめ、さらに加工担当の課の新設を見送りました。いま水産流通課で苦労されておる皆さんの努力がむだと言うのではないが、これからは技術開発しなきゃならぬ、製品を普及しなきゃならぬ、金融などの措置もやらなきやならぬ、原魚の確保のための輸入問題も出てまいります。新製品の販路の拡大など、加工問題だけでも仕事は山ほどございます。どうして課の新設を見送ったのか、もう一回考える余地がないのか、この三点をまず答えていただきます。
  208. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 漁業生産と水産加工、これは御指摘のように、本当に切っても切れない関係にございます。そういうようなことから、行政の分野におきましては、農林省におきまして、水産庁が主体になって、漁業と相並ぶ水産加工業の育成指導をやってきたわけでございます。特に水産業協同組合法におきましては、中小の加工業者が多い関係もございまして、水協法による組織化、事業の共同化、そういうようなことも必要であるということで指導を加えてまいったわけでございます。  ただ、金融の分野におきましては、水協法に基づく協同組合としての加工業は、当然、農林中金等の系統金融利用しておったわけでございますけれども、そうでない制度金融の面としての分野におきましては、これは一般中小企業ということで、中小企業金融公庫、国民金融公庫というようなところで扱ってきたわけでございます。確かにそういう制度金融の面における水産加工に対することが、水産行政と一体になって進められていなかったという御指摘、これは業界にもそういう点について不満というか、かねてからの要望のあったことも私承知をいたしております。今回、北洋のこういう事態に対処いたしまして、政府部内において大変いろいろ問題もありました、ありましたが、今回ようやく関係各省庁の問で話し合いがつきまして、今回の法律提案をいたした次第でございます。  それから、第二の水産省の設置の問題は、かねてから私申し上げておりますように、わが国の食糧問題、食糧政策という観点から、農林水産というものを一体として今後食糧政策を進めることがベターである、こう考えまして、来たるべき予算編成並びに国会に対しましては、農林水産省の設置ということで御審議をお願い申し上げたい、御提案をしたい、このように考えております。  なお、その際におきまして、水産加工課というようなものを設置すべきではないか、こういう御提案でございますが、私どもその重要性は十分認識をしておりますが、当面、係というか人員等の整備をいたしましてやってまいりたい。しかし、今後においては、もとよりこれは重要な問題でございますから、今後の課題として検討を進めてまいりたいと考えております。
  209. 津川武一

    ○津川委員 農林水産省というふうに改称するいい機会だから、特にこれから、午前中の質問でも明らかになったんですが、五十二年から七年間でスケソウからサバイワシに移る技術なんか研究されて出てきますので、重ねてこの加工課はつくるように大臣に要求して質問を進めていきます。  そこで、この法案提出が異常におくれた、いろいろその点では議論になったようですが、大きな要因は農林省と通産省の調整に手間取ったからであります。この調整の難航から、当初の農林省案の農林漁業金融公庫一本の融資から、国民公庫、中小公庫、農林公庫の三本、こういう融資、何とも繁雑になってしまったわけです。私も青森の加工業者に会ったら、事務が、手続がめんどうでしょうがない、もっと一本化されないかという要求がかなり出ております。自民党の商工部会や中小企業筋は、本法について、あくまでも暫定的な特別措置であり、例外的なものだ、水産加工への融資は基本的に中小企業庁の所管だと主張しております。大臣はこのことについてどう考えるかということです。実際に末端で使っているものは、漁協が一七%、水協法に基づく加工協同組合が二九%、中小企業協同組合法による組合が一一%、やはり漁業が主になっております。これに対してまた三つのばらばらの融資をする。何か妙なものが出てこないかということなんです。そこで、農林公庫融資も、加工施設改善だけでなく、設備、経営資金全般に対処をしていくようにすべきじゃないかということです。いかがでございますか。
  210. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 これは中小企業に対するところの分野の調整、すでに中小企業金融公庫、国民金融公庫はそういう機関として実績も持ち、やってきたわけでございますから、今回の特殊な事態に対応してということで、通産との間、大蔵との間等で、これをこういうぐあいに対処することにしたわけでございます。私は、この五年間という時限立法でございますが、これは主として北洋関係の新しい事態に対応するためのものでございますが、二百海里の問題、これは今後も出てくる問題でございますから、北洋と同じような事態に当面いたしました場合においては、その時点においてさらにその見直しをすべき問題である、このように考えておるところでございます。  なお、農林漁業金融公庫利用するか、中小企業金融公庫利用するか、国民金融公庫を利用するかというのは、その借り入れ申請をやりますところの業者の選択にゆだねるわけでございまして、それが複雑になるという問題ではなしに、農林漁業金融公庫をひとつ利用しようという者は、その業務方法書等によりまして所定の手続をやってやればよろしい、こういうことに考えております。  なお、零細な中小企業者のことでございますから、私はできるだけ信用の保証等の問題も簡潔に運んでいきたい。個人保証、あるいは改良あるいは造成、取得いたしました設備等を担保にして融資ができるようにというぐあいにして、簡素にして利用がしやすいように図ってまいりたい、こう考えております。  それから、今回の問題だけではなしに、農林漁業金融公庫に運転資金も扱わせるように公庫法の改正等を考えるべきではないかということも含んでの御質問であると思いますが、こういう問題につきましては、今後とも研究を進めていきたいと考えております。
  211. 津川武一

    ○津川委員 次は、いま問題になっておる、対象になっておるスケソウダラなどの資源の利用でございます。少し資料が古いのですが、FAOの七四年の報告では、全世界で一千万トンに上る魚を投げたり捨てたりしていると言われております。  ここにも一つのあれを持ってきましたが、国際化に対応した農業問題懇談会の提言ではこう言っております。「日本の漁業は漁場を発見し、開発すると集中的に操業し、このため魚体が小型化すると、着業当初は小型魚として投棄していた」、こういうことが言われております。北転船でも三割にも及ぶ有用魚の投棄があったと言われている。「漁業が資本漁業形態をとっているので、特にトロール、底曳網漁業では投棄魚が多い。これは漁業者のみを責めるわけにゆかず、国の指導で価値の少ない魚を持ち帰るよう、あるいは船内で処理加工するようにして、」漁業者が努めるべきだ、そのために漁業者に出てくる損失赤字は国の方で何らか援助すべきじゃないか、こんなふうなことを言っておるわけであります。  また、海洋水産資源開発センターの調査でも、イトヒキダラ、ムネダラなどを投げたり捨てたりしていることがかなり出ております。「例えば、一九七二年五月から八月までの期間、太平洋北区の沖合底びき網の調査を行なった第八親潮丸が、岩手県久慈沖の水深四百メートルから九百メートルのメヌケ・キチジ漁場で行なった試漁の結果をみると、」魚を投げたり捨てたりしているのが有用魚の五倍もある、この捨てているものは加工原料にすることが明らかにできる、こう言っております。  これからスケソウ資源が少なくなるときに、ここに国政がかなり重点を注いでこれを利用することに努める、利用の道を開く、ここいらに国が援助する、こうあるべきだと思いますが、この点で大臣の所見を聞かしてもらいます。
  212. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 過去に一部漁船等において御指摘のように資源をむだにした、大事にしなかったというような事例があったろうと思うのでありますが、これは反省もしなければなりませんし、行政当局としても、二百海里時代というように非常に厳しい資源事情に置かれたわけでございますから、今後はいま御指摘のように、あらゆる漁業資源を利用するように、加工研究等の面におきましても新技術の開発等についても行政面でも特に力を入れ、業界も指導いたしまして、そういう未利用資源と申しますか、いままでむだにしておった資源等の積極的活用を図ってまいるようにいたしたい、このように考えております。
  213. 津川武一

    ○津川委員 これは大事なことだから、ぜひその利用を進めるように重ねて要求して、もう一つ進めます。  スケソウダラの利用状況ですが、洋上すり身、母船式の歩どまりは平均一五ないし一六%、陸上すり身、北転船や沖合い底びき、平均二六%、洋上すり身の母船式の歩どまりが非常に少ない。これに対して、国際化に対応した農業問題懇談会ではこう指摘しております。「母船式の歩留が陸上のそれより低い原因は、良い肉だけとることのほかに、人手の問題から頭・尾を切り落とすのに機械を使うことにある。魚体が一定でないので、機械ではどうしても肉の部分まで切り落としてしまうことになる。」もったいない、いまこそ洋上すり身の歩どまりをふやしていくように国の資源として考えなきゃならないんじゃないか、非常にもったいない、これを何らか手を加えた方がよろしい、ここにも政府施策、行政が及ばなきゃならない、こう書いてあります。  いかがでございます。
  214. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 御指摘のように、過去においてはその歩どまりを向上させるという努力が足らなかった面もあろうかと思いますが、二百海里時代になりまして特にスケトウダラ漁獲が減ってきたということで、すり身業界におきましても歩どまり向上ということに特段の努力を払っておるようでありまして、全体の平均として歩どまりは二五%程度にまで向上いたしております。今後ともそういう面につきましても水産庁としてもさらに指導を加えてまいりたい、このように考えております。  なお、可溶性のたん白等も煮汁等とともに捨てておったわけでありますが、こういうものもひとつ活用することを考えなければいかぬ。粗アルギン酸なんかを使いますと、そういう可溶性のたん白も吸着して、そうすればハマチのえさ、ウナギのえさぐらいには活用もできるわけでございますから、そういう面にもさらに意を用いてやっていきたい、こう考えております。
  215. 津川武一

    ○津川委員 洋上すり身で歩どまりを上げるようにがんばっているようですがという大臣の答弁でなく、やはりちゃんとつかまえて、これを全部利用するように指導、援助、監督するように要求して、私の質問を終わります。
  216. 金子岩三

    ○金子委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。     ————————————−
  217. 金子岩三

    ○金子委員長 これより討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。  原材料供給事情変化に即応して行われる水産加工業施設改良等に必要な資金の貸付けに関する臨時措置に関する法律案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  218. 金子岩三

    ○金子委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。     ————————————−
  219. 金子岩三

    ○金子委員長 この際、本案に対し、瀬野栄次郎君外五名から、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党、日本共産党・革新共同及び新自由クラブの共同提案に係る附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨説明を求めます。瀬野栄次郎君。
  220. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 私は、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党、日本共産党・革新共同及び新自由クラブを代表して、原材料供給事情変化に即応して行われる水産加工業施設改良等に必要な資金の貸付けに関する臨時措置に関する法律案に対する附帯決議案の趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     原材料供給事情変化に即応して行われる水産加工業施設改良等に必要な資金の貸付けに関する臨時措置に関する法律案に対する附帯決議(案)   最近の我が国漁業をめぐる厳しい諸情勢のなかで、水産加工業もまた原料不足等により甚大な影響を受けている。   我が国の漁業経営及び国民食生活の安定に大きな役割を果たしている水産加工業重要性にかんがみ、政府水産加工業の振興について積極的な対策を講ずるとともに、本法の施行に当たつては左記事項の実現に努めるべきである。         記  一 水産加工業漁業との密接な関連性に留意して、本資金制度が適切に運営されるよう、農林漁業金融公庫をはじめ三公庫に対する所要の資金枠の確保加工経営の実情等に即した融資条件設定及び対象地域指定、本資金を必要とする者に対する適正かつ迅速な貸付け等につき十分な配慮を行うこと。  二 水産加工業近代化等を促進するため、水産物流通加工センター形成事業、大規模冷蔵庫設置事業、原料魚の価格安定のための調整保管事業等の一層の充実に努めるとともに、水産加工排水処理等公害対策を積極的に進めること。  三 多獲性魚種、南極海おきあみ等の食用としての利用を一層促進するため、新製品開発、新しい食品素材としての利用を含め加工技術の開発を促進するとともに、これらの消費拡大について努力すること。  四 原材料を含む輸入水産物については輸入割当制度の適切な運用により需給の安定に万全を期すること。   右決議する。  以上の附帯決議案の趣旨につきましては、質疑の過程等を通じ、すでに各位の十分御承知のところと思いますので、説明は省略させていただきます。  何とぞ全員の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。(拍手)
  221. 金子岩三

    ○金子委員長 以上で趣旨説明は終わりました。  本動議に対し、別に御発言の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。  瀬野栄次郎君外五名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  222. 金子岩三

    ○金子委員長 起立総員。よって、本案に対して附帯決議を付することに決しました。  この際、ただいまの附帯決議について政府より所信を求めます。鈴木農林大臣
  223. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 ただいまの決議につきましては、その御趣旨を尊重し、十分検討の上、善処してまいる所存でございます。(拍手)     ————————————−
  224. 金子岩三

    ○金子委員長 なお、本案の委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  225. 金子岩三

    ○金子委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  226. 金子岩三

    ○金子委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時二十一分散会      ————◇—————