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1977-11-17 第82回国会 衆議院 農林水産委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年十一月十七日(木曜日)     午前十時三十二分開議  出席委員    委員長 金子 岩三君    理事 今井  勇君 理事 片岡 清一君    理事 山崎平八郎君 理事 竹内  猛君    理事 美濃 政市君 理事 瀬野栄次郎君    理事 稲富 稜人君       阿部 文男君    愛野興一郎君       加藤 紘一君    久野 忠治君       熊谷 義雄君    佐藤  隆君       染谷  誠君    玉沢徳一郎君       羽田野忠文君    向山 一人君       森   清君    森田 欽二君       小川 国彦君    角屋堅次郎君       柴田 健治君    島田 琢郎君       西宮  弘君    野坂 浩賢君       松沢 俊昭君    武田 一夫君       野村 光雄君    吉浦 忠治君       神田  厚君    津川 武一君       山原健二郎君    菊池福治郎君  出席政府委員         農林政務次官  羽田  孜君         農林大臣官房長 澤邊  守君         農林大臣官房審         議官      渡邉 文雄君         農林省農林経済         局長      今村 宣夫君         農林省構造改善         局長      森  整治君         農林省構造改善         局次長     福澤 達一君         農林省農蚕園芸         局長      堀川 春彦君         農林省畜産局長 大場 敏彦君         食糧庁長官  大河原太一郎君         水産庁長官   岡安  誠君  委員外出席者         防衛庁装備局武         器需品課長   渡邊 浩明君         外務省経済協力         局外務参事官  大鷹  弘君         国税庁間税部酒         税課長     大橋  實君         文部省体育局学         校給食課長   坂元 弘直君         農林大臣官房審         議官      佐々木富二君         農林大臣官房審         議官      小島 和義君         農林水産技術会         議事務局研究総         務官      北野 茂夫君         通商産業省貿易         局農水課長  矢口 慶治君         農林水産委員会         調査室長    尾崎  毅君     ————————————— 委員の異動 十一月十七日  辞任         補欠選任   馬場  昇君     西宮  弘君   津川 武一君     山原健二郎君 同日  辞任         補欠選任   西宮  弘君     馬場  昇君   山原健二郎君     津川 武一君     ————————————— 十一月十六日  小麦粉への米粉混入反対に関する請願田川誠  一君紹介)(第二八九〇号)  同外一件(戸沢政方紹介)(第二八九一号)  同(山口シヅエ紹介)(第二八九二号)  同(笹山茂太郎紹介)(第二九三八号)  農業用水汚染防止に関する請願増田甲子七  君紹介)(第二九六四号)  同(向山一人紹介)(第二九六五号)  昭和五十三年度稲作生産調整に関する請願(  増田甲子七君紹介)(第二九六六号)  同(向山一人紹介)(第二九六七号)  農林漁業金融公庫事務所長野県内設置に関す  る請願増田甲子七君紹介)(第二九六八号)  同(向山一人紹介)(第二九六九号)  農畜産物輸入規制に関する請願増田甲子七  君紹介)(第二九七〇号)  同(向山一人紹介)(第二九七一号)  農地転用許可後放置されている土地有効利用  に関する請願増田甲子七君紹介)(第二九八  三号)  同(向山一人紹介)(第二九八四号)  農業共済団体事務費国庫負担金補助金増額  等に関する請願外一件(権藤恒夫紹介)(第  三〇二七号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  農林水産業振興に関する件(米需給均衡化対  策等)      ————◇—————
  2. 金子岩三

    金子委員長 これより会議を開きます。  農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。愛野興一郎君。
  3. 愛野興一郎

    愛野委員 生産調整に関しまして、若干の御質問をいたしたいと思います。  今回の生産調整は、まさに史上空前の大転換とも称すべき政策であると思うわけでありますが、そのためには、農民自体も心構えを新たにしなければならぬと同時に、政府御当局もいろいろな面で大転換という意義を認識をしていただいておるというふうに思うわけであります。  そこで、過去六年間生産調整実施してこられて、これが定着をしておらないのはどういう理由であるか、この点をお伺いをしたいと思います。
  4. 羽田孜

    羽田政府委員 お答え申し上げます。  ただいま御指摘がございましたように、近年、米の生産過剰傾向、こういったものを見てまいったわけでございます。そういった中で、四十六年度から五年間、稲作転換、いわゆる米の生産調整と言われるものでございますが、こういった対策を進めてまいりました。また、昨年から本年にかけまして、水田総合利用対策により、米の過剰の抑制、あるいは需要の増大する中でまだ不足いたします農産物、こういったものへの生産転換、あるいは地域特性に沿った農業生産の推進などに一定の成果を上げてきたというふうに考えております。特に野菜果樹あるいは畜産と結びついた飼料作物などの作目にあっては、ほぼ定着を見ておるのではなかろうかというふうに思います。  しかしながら、大豆を初めといたします普通畑作物畜産との結びつきの弱い飼料作物につきましては、収益性稲作に比較いたしまして低いというような観点から、また作付規模が零細で市場との結びつきも弱い、こんないろいろな問題を抱える中で、不安定な状態にあるものも多いと考えます。  今後、これらの作物を中心に転作奨励補助金増額及び転作条件整備、こういったものを強化いたしまして、転作をより拡大すると同時に定着させていかなければならない、かように考えます。
  5. 愛野興一郎

    愛野委員 実は私も農協長経験いたしておりますし、今日でも五反三畝の米作農民であります。  そこで、その見地からお伺いをいたすわけでありますが、いま政務次官お話しになられたことと同時に、過去の生産調整政策の結果、いま定着をしたというプラスの面をお話しになったわけでありますが、反省をすべき点、まず米麦作、それから野菜、それから果樹飼料作物、こういうふうに分けて、反省すべき点はなかったかどうか、この点をお伺いしておきたいと思います。
  6. 羽田孜

    羽田政府委員 ただいま後段でお答えいたしましたように、幾つかの定着したものもございますけれども、しかし価格の問題あるいは市場、いわゆる流通関係、こういったものが整備されておらないという中でなかなか定着しなかったものもあるということを実は申し上げたわけでございます。
  7. 愛野興一郎

    愛野委員 政務次官の御答弁は、私、よくわかっておるわけであります。  そこで、実務的に御答弁を願いたいと思うわけでありますが、たとえば米作においては通年施行において圃場整備が促進をされ、そうして農業機械化及び近代化施設の導入によって省力技術が進んだ、麦作においては規模拡大が行われたというものがプラスの面、しかし今度は稲作の面においては、農家の稲作に取り組む関心が低下をし、あるいは休耕田の放棄によって病害虫の発生の原因になったり、あるいは水稲の十アール当たりが伸び悩みとなった、あるいは機械化貧乏が生じた、こういうようなプラスマイナスの面があるわけであります。  そこで、これは政務次官に御答弁を求めておるわけでは実際はないわけでありまして、実務担当の方から、いまのようなことでひとつ米麦作、それから野菜果樹飼料作物ということで、プラスの面、マイナスの面を御答弁を願いたいと思うわけであります。
  8. 小島和義

    小島説明員 お話がございましたように、四十六年から始まりました生産調整の段階におきましては、転作とあわせて休耕奨励という手段も講じたわけでございまして、そのことは、御指摘のように、全国の農村あるいは農民心理という点においてさまざまな影響を残したということはまぎれもないところでございまして、そういう反省に立ちまして、今回の対策におきましては、非常に困難な道ではございますけれども転作定着という非常に息の長い努力を傾けていくということで対策を仕組んでおるところでございます。  具体的にいま米麦お話がございましたが、米と麦との関係というのは、地方によりまして多少異なっております。西南地方におきますと、大体従来から表、裏一貫栽培が行われてきたところでございまして、そのことが一面においていわば土地利用型農業安定発展ということに非常に貢献している面もあるわけでございます。他面におきまして、麦作だけの観点から見てまいりますと、稲作作期がどんどん早まるというふうなことから麦作が押されてまいりまして、わが国の麦の自給率が非常に低下してきている、こういうふうな事情もございますので、今般の対策におきましては、米麦一貫栽培ということを放棄いたしたわけではございませんが、麦を導入いたしまして表作は米をつくらないというものについてもこれを水田再編対策の一環といたしまして奨励措置対象にする、こういうことを考えております。  また、果樹につきましては永年性の作物でございますので、植えました時期と実際に実がなります時期とでは周囲の条件が著しく変わってくるという事情がございます。温州ミカンにつきましては四十年前後非常に値がよかった時期がございまして、そのころに、農林省考えております果樹農業振興基本方針植栽の計画というものを相当上回ったような経緯がございまして、その結果、四十年代後半になりましてから値崩れを来した、こういうふうな事情もございます。そういうふうなことを踏まえまして、四十九年以降は温州ミカンについては一切転作物としては認めない、こういうふうな方針を打ち出してきているわけでございます。また、温州ミカン以外の果樹植栽につきましても、果樹生産のそのような長期性ということに着目をいたしまして、今後の転作指導に当たりましても需給動向を十分踏まえまして適切な指導を加えていく、こういうつもりでおるわけでございます。
  9. 愛野興一郎

    愛野委員 そういう今日までの生産調整の結果を十分踏まえて今回はいろいろな施策を樹立されたということはわかったような気がいたします。私は、やはり反省点はまだまだたくさんあると思いますし、同時にまた農業団体あるいは生産組合現場からの、反省をすべきところを個々に多々聞いてきたわけでありますが、これをやっておりますと長くなります。  そこで、昨日、森田委員からもお話がありましたが、従来、生産調整十分協力をした地域と、同時にまたあんまり協力をしていない地域があったことは明白であります。そこで、十分協力をした地域と今日まで協力をあんまりしなかった地域とを十分わきまえたいわゆる減反割り当てと申しますか、それを明確に実施をしていただくというお考えがありやなしや、その辺をお伺いいたしたいと思います。
  10. 羽田孜

    羽田政府委員 ただいま先生の御指摘は、生産調整目標面積、この配分に当たって公平を期せという御指摘だというふうに考えます。明年における転作目標西横配分につきましては目下詰め作業を進めておるところでございます。農産物需要動向に対応して、かつ地域特性に応じた農業生産構造の確立を期するという対策基本的方向に即して、今後の農業生産方向など各般の要素を総合的に勘案して適正な配分を行っていく必要があるというふうに考えます。その際、これまでにもたびたび各地域皆様方の声として、また、この委員会でも伺ってまいりましたいわゆる適地適産の考え方やあるいはこれまでの転作実施経緯などを踏まえまして、配分に公平を期するようにしてまいりたい、このように考えております。
  11. 愛野興一郎

    愛野委員 米作農民は、昭和十七年の食管制度が始まって以来、二つの著しく異なった経験をしておるわけであります。一つは、言うなれば、食糧不足から、とにかく強権発動をしてまで米を出せ、それで今日は、今度は全く正反対の過剰ということを経験をいたしておるわけでありますが、そこで農民一代でそういう二つ経験をする。政府の方は何年に一回か、ずっと大臣から全部がかわられいくわけでありますから、そういうことから考えますと、生産現場に毎日取り組んでおる農民だけが著しく相異なった経験一代の間にしなければならない。     〔委員長退席片岡委員長代理着席〕 こういうわけでありますから、これはやはり今度の場合は、生産調整に的確に応じた地域の米については全量買い上げをする、そうして応じなかった地域はいわゆる全量買い上げをしないというふうな明確な説得力のある対策を講ずるべきであると思うわけでありますけれども、その点はどうでありますか。
  12. 羽田孜

    羽田政府委員 確かに先生の御指摘のとおり、やはり行政というものについて実際にその現場にある方々の御信頼がなければ、なかなか行政目的といいますか、それを遂行することができ得ないわけでありまして、こういった点については私どもも十分配慮し、また御理解をいただくようにしていかなければならないというふうに考えます。特にいま先生が御質問ございました、いわゆる目標達成したものについては全量買い上げるようにという御指摘があるわけでございます。実は本年も大きな豊作であったわけでございまして、そういった中で、そういった声が非常に強かったわけでございます。しかし、従来から予約限度超過米が発生した場合に、これは実は政府買い入れておらなかったわけであります。そのかわり自主流通ルート、これで集荷、販売によりまして全量が処理されてまいりましたし、また本年の場合も同様に全量が処理できるというふうに私ども考えておるわけでございます。今後も一応この方針をとってまいることでございますけれども、いわゆる豊作により発生した予約限度超過米につきましては、転作目標の達成を奨励する見地に立って、特に円滑な流通を図るための適切な措置を今後ともとってまいりたい、かように考えております。
  13. 愛野興一郎

    愛野委員 昭和十七年の食管のいわゆる提案理由説明を聞いた委員というのは、この中で稲富先生であると私は考えておるわけであります。また、その同僚議員は、政務次官のお父さんであるとかあるいは私のおやじであるとかがおったわけでありますが、そこで、この食管制度の基本的な考え方というものは、私は当時の井野農林大臣提案理由説明を待つまでもなく、とにかくわが国米麦が足りないわけであるから、戦争を遂行するに当たっては戦地も銃後も腹が減っては戦はできぬわけでありますから、そこで、とにかく全量買い上げをするから米麦を大増産してくれという提案理由説明であったと思うわけであります。当時の速記録を調べればわかるわけでありますが、とすれば、全量買い上げをしないということがこの食管制度に違反しておるのではないかと私は考えるわけでありますが、その点はいかがでございますか。
  14. 大河原太一郎

    大河原政府委員 お答え申し上げます。  先生御案内のように、食糧管理法の第一条に、食糧管理制度目的は、国民食糧を確保し、国民経済の安定を図るために食糧を管理し、その需給及び価格を調整し、配給統制を行うということでございました。したがって、その制度目的を達成するに必要な数量買い入れを行うことをもって足りるのだとわれわれは考えておるわけでございまして、したがって基本的主食としての米について必要量を確保し、買い入れを管理するをいうことの目的のための数量として予約限度制を定めまして買い入れておるわけでございます。したがって、私どもといたしましては、必ずしも食糧管理法そのものの規定から全量買い入れというふうに規定しているというふうには思ってないわけでございます。御指摘のように、絶対的に戦時下食糧の不足した際においては、当然、国民食糧を確保するためにも全量を買い上げざるを得ないというような需給関係があったわけでございまして、その点については今日と需給関係条件が変っておるということを申し添えたいと思います。
  15. 愛野興一郎

    愛野委員 現実の問題としては、御答弁のとおりであります。  ところで、農業協同組合、当時は農業会と言っておったのですが、知事や市町村長あるいは国会で論議をされておることは、みずからの地域食糧を確保するために供出割り当てをできるだけ少なくしよう、あるいは隠そうというのが現実の問題であったわけであります。としますと、いまの御答弁は十分わかりますが、そのときどきによって、言うなれば、政府の御答弁が時宜に合わせて行われておるということでありますね。足らないときは強権発動をしておられたわけであります。あるいはやみ米の取り締まりをやっておられたわけであります。今日におきましては、今度は言うなれば、国民食糧に見合う数量以外は食管法に適しない、こういうことになるわけであります。簡単に言えば食管法にこだわらないということ、これは論議をすれば長くなりますが、しかし少なくとも米が足らない場合は強権発動政府がしておられた。余った場合は予約限度数量以外は買わない、こういうことになっておるのが現実なんです。それ自体を私は責めておるわけでありません。  そういうことでありますから、いわゆる転作政策なりあるいは水田利用再編事業なりに、農民説得力のある、自信のある確固たる政策を進めてもらわなければ、農民一代で二回も相反する経験をするわけでありますから、なかなかそれに取り組むことができない。したがって、何とかして、こういう時代であっても米づくりに執着をせざるを得ない、こういうふうになると私は思うわけであります。私はそういう意味から、まだこの問題自体につきましては論議をしたいわけでありますけれども、今日までの畑作では経営が安定しないというところに根本的な問題があると思うわけであります。これはもう私のみならず、全党の委員皆さん方が言っておられることであります。  そこで、今度はいままでと違った画期的な、農民説得力のある政策を打ち出してもらえると確信をいたしておるわけでありますが、その点については、農民が期待を持つような政策、いわゆるどういう目玉的なものがあるのか、お伺いをしておきたいと思います。
  16. 澤邊守

    澤邊政府委員 いま御指摘のように、畑作、特に普通畑作につきまして、稲作収入との反当での収益性の格差がかなりあるという点で、円滑に転作が進まないというような事情が見られるわけでございます。畑作といいましても、たとえば園芸関係野菜とか果樹等につきましては稲作以上の収益を上げているという例がございますので、こういうのは比較的円滑に進み、定着もすると思いますが、先生承知の麦だとか大豆であるとかソバであるとか、そういったようないわゆる普通畑作、これはまた自給力向上のためには非常に重要な作物であるということでございますが、残念ながら稲作との収益性に差があるということでございますので、これを転作重点作目として進めていくためには、一つ価格政策におきまして米価との相対価格関係を是正していく。これは一気にできませんので、かなり時間をかげながら段階的に、継続的にやってまいりたい。それによりまして稲作収入との差ができるだけ漸次縮まるようにしていく。そうは言いましても、いま申しましたように、直ちにできませんので、その間は転作奨励金でいわばげたを履かせるということが必要になるわけでございますが、この転作奨励金につきましても、特にいま収益性について問題のある普通作物につきましては特定作物に指定をいたしまして、転作奨励金の単価を一般的に上げる中でも特に重点的に引き上げるという配慮をしておるわけでございます。また、そういう普通畑作物は、これまで技術的に見ましても稲作などに比べますと非常におくれておる面がございますので、そういう価格政策あるいは経過的な転作奨励金による補てんというものとあわせて、生産対策におきましても、技術向上なりあるいは基盤整備ということによりましてコストの引き下げ、それによる収益性向上という点につきましては力を入れる必要があると思います。  もう一つ目玉といいますれば、従来の対策に比べまして、そういう関連した奨励施策といいますか、そういうものをできるだけ今回の対策に集中してまいりたい。その際、いま問題の普通作物については特に配慮してまいりたい、かように考えております。
  17. 愛野興一郎

    愛野委員 私も必ずしも迎合した質問をやっておるわけではないわけであります。自分みずからが五反の米作農民でありますから。  そこで、米の場合も一挙に今日の米価になったわけではないわけでありますから、麦も大豆も、それからまだ飼料作物も、一遍に相対価格になるとは私は決して思っておりません、いろいろ政策的にもまた技術的にもそれなりの努力をしなければならぬわけでありますから。  そこで、私がお伺いいたしたいのは、価格保障政策方向はいまの御答弁でわかったわけでありますけれども共済制度はどういうふうに考えておられるのか、あるいは集団でできるだけ麦作団地を拡大していくとかいうことについては、たとえば私のようなものがそれに農地を開放する、こういったものに対する奨励金とか、こういったものは考えておられないのか。あるいはまた今日まで米の品質をこれだけよくし、あるいはそれ以前においては多収穫をできるだけやっていくためには相当な技術改良品種改良の予算を穀研につけていただいたわけであります。ために佐賀県は多収穫日本一ということで、農林大臣から三遍表彰を受けておるわけであります。  そこで、こういう麦作なり大豆なり飼料作物に対するいわゆる品種改良やあるいは技術改良に対する国の政策、あるいはそれに裏打ちする財政政策、こういったものは、米が足りないときと同じような情熱を込めた品種改良技術改良、いわゆる収量もばらつきじゃなくて、日本全国が今日の米のような、余り変わりのないような収量を麦も上げていくための多収穫品種を改良する、こういったことをお考えになっておるのかどうか。
  18. 佐々木富二

    佐々木説明員 共済制度についてのお尋ねでございますが、転作作物のうちで、麦及び果樹については、すでに御承知のように、共済制度実施されておるところでございます。また、その他の畑作物につきましては、昭和四十九年度から試験実施を一部について行っておりまして、現在五十四年度からこれらについて本格実施に移行させるということを目途にいたしまして、目下作業を進めておるところでございます。本格実施に当たりましては、バレイショ、大豆、小豆、インゲン、てん菜、サトウキビ、この六つの試験対象作物について引き続き対象にしますほかに、その対象地域につきましては、試験実施地域に限らず広く全国的に拡大していきたいというふうに考えております。  その他の畑作物でございますが、これらにつきましても、必要なものについてはできるだけ早く調査検討を進めまして、できるものについては逐次共済対象として取り上げていきたい、こういうふうに考えております。
  19. 愛野興一郎

    愛野委員 いまのお話は、品種改良技術改良はどのように進めていくかということがなかったようでございますが……。
  20. 北野茂夫

    北野説明員 稲作転換を円滑に推進するためには、適正な作物あるいは技術開発が必要でございますので、農林省におきましては、各地域試験場におきまして、あるいはそのほか農事試験場畜産試験場草地試験場あるいは農業土木試験場、そういうようなたくさんの試験場を動員いたしまして、地域に適した品種改良あるいは地域の実態に即したそれぞれの作物栽培技術というものを開発しているわけでございます。  特に品種改良につきましては、農事試験場が中心になりまして各地域試験場と共同いたしまして、さらに特定県で指定試験といいまして、人件費あるいは事業費を全額国で負担いたしましてそれぞれ品種改良をやっておりますが、品種改良というのは事業を始めましてから少なくとも十数年の年数を要しますので、農林省では作物品種改良の基本計画というものをつくりまして、それに基づきまして現在それぞれの試験地において事業を実施しているわけであります。  品種につきましては、自然環境あるいは経営条件等それぞれ地域によっていろいろと要求される特性が違ってまいりますので、地域ごとに育種目標というものを決めまして、さらにその交配しました後代がどの地域に適するかというようなことにつきまして特性検定試験、あるいは地域適応性というような試験をやっております。そういう試験につきましては、麦類あるいは大豆等につきましては全国で十四カ所、それから飼料作物等につきましては三十一カ所の試験地でそれぞれ研究いたしまして、なるべく早く農家の要望する優良な品種が育成されることを期待して事業を続けているわけでございます。  それから、その他一般的な技術開発につきましては、水田の転作に関しましては、基本になりますことは、排水とかあるいは土壌改良というような問題が中心になるわけでございまして、農業土木試験場が中心になりまして、特に湿害あるいは水分過多に基づく生育の障害というようなことを防止するための排水の技術、あるいは農業試験場ではそういうところにおける栽培法、そういうものを中心に研究をしております。すでに昭和四十六年から五十年にかけまして、国あるいは県の試験研究機関を動員いたしまして稲作転換対策推進の特別大型プロジェクト研究をやりまして貴重な成果を得ておりますので、今後の水田利用再編の推進には、過去のそのような成果を大いに活用して事業が円滑に進むようにしたいと思っておりまして、それぞれの成果を取りまとめまして今後の事業の推進の指標としての印刷物をつくりまして、各県を指導することにしているわけでございます。  なお、今後いろいろ問題の発生に際しましては、必要に応じて適時適切に新しいテーマを構成いたしまして、品種改良あるいは技術開発に一層の努力をしたい、そのように考えております。
  21. 愛野興一郎

    愛野委員 そこで、いまの御説明の裏打ちとなるいわゆる財政対策と申しますか、これは農林省予算の中で、転作作目に対するいまのお話技術改良品種改良にどのくらいのウエートを置かれるおつもりであるか、お伺いをしておきたい。
  22. 北野茂夫

    北野説明員 いますぐにお答えできませんので、二、三分の御猶予をいただきたいと思います。
  23. 愛野興一郎

    愛野委員 説明された御本人が答弁をされるというのは、これはちょっとなかなか答弁しにくい問題でありまして、やはり予算編成に当たって農林予算全般をつかさどる方から答弁してもらわぬと、御本人が自分で自分の予算を上げるということは、これはなかなかあれでありますから……。
  24. 澤邊守

    澤邊政府委員 転作対象作物であるものについての品種改良等に幾ら予算を要求しておるかという御趣旨かと思いましたので、担当の研究総務官が立ったわけでございます。  御承知のように、転作奨励を行いますための直接的な予算といたしましては、現在二千億の要求をしておるわけでございますが、これは転作奨励金が主体でございます。  それから、ただいま直接お尋ねございましたような他の作物の試験研究なり、あるいは生産技術の改善なり、あるいは基盤整備なりにつきましては、農林省といたしましては、特に転作推進に、他の奨励施策あるいは基盤整備等の事業を集中して運用するということも含めまして、重点的な予算要求をしておるわけでございます。
  25. 愛野興一郎

    愛野委員 なかなか御答弁がよろしいわけでありますから、どのくらいのウエートを占めておるのかさっぱりわからなかったわけでありますが、私は、とにかく少なくとも農家が転作に取り組むためには、そういった、言うなれば、将来に期待を持つ面の財政対策というものにもウエートを置いてもらわなければならぬ、こういうふうに思うわけであります。米だって収量が反当五俵しかなかったのが十俵にもなっておるようなことでありますから、これは農家自身の経営努力もありましたろうが、米の収量を上げようとする国自体品種改良なり、そういったものも相まってそうなったと思うわけであります。したがって、そういった品種改良技術改良面にもっともっと重点的に力を入れていくということを予算面においても明確にしていただかなければならぬ、私はこういうふうに考えておりますので、ひとつその点よろしくお願い申し上げたいと思います。  そこで、とにかく食糧の自給度を向上させなければならぬということは、実際もう全国民のコンセンサスになっておるわけであります。それがなかなか実質的にいかないのはなぜかと申しますと、やはりいろいろな不安要因があるわけであります。農業も経営でありますから。そこで、将来の経営を考えると、転作をしなければならぬということがわかっておっても、所得的に不安があればなかなかうまくいかない。そこで、恐らくは御答弁農林省から出されておる将来の中期計画なり長期計画の御答弁になると思うわけでありますが、しかし具体的に十年先、米がどのくらいで、麦がどのくらいで、飼料作物がどのくらいでというような、いわゆる具体的な計画指標というものをやはり示す必要がある、こういうふうに思うわけであります。あるいは今日、外圧で農産物の輸入制限を撤廃せよというふうに外国から言われておるわけでありますが、今日ではもうテレビ、ラジオ、新聞を農民もみんな見ておるわけでありますから、転作はわれわれに押しつけられるけれども、将来何もかも外国から輸入をするということであれば、われわれがせっかく取り組んでも将来はどうなるのかという不安が起こるのはあたりまえのことであると私は思うわけであります。  そこで、具体的に米を初め各転作作目の長期需給計画と、それから国自体のそれぞれの作目生産と消費の需給計画を改めて発表する計画はないかどうか、この点をお伺いしたいと思います。
  26. 澤邊守

    澤邊政府委員 今度の米の需給均衡化対策は、「概ね十年間」ということで、「概ね」という言葉もついておるわけでございますが、十カ年の長期の方針として進めていきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。  そこで、十年先のといいますと、六十二年ということになりますけれども、六十二年のそれぞれの作物についての需給計画を立てるべきではないか、こういう御趣旨かと思いますが、私ども現在持っております長期の、需給計画ではございませんけれども、見通しは、御承知のように、五十年五月に政府として、農林省だけではなしに政府として審議会にも諮り、決めました、六十年を目標といたします「需要生産の長期見通し」を持っておるわけでございます。これをむしろ改定をして六十二年に合わせてやるべきではないか、こういう御趣旨の御質問かと思うわけでございますが、私ども現在持っております六十年の見通しといいますのは、もちろん十年間そのままで続き得るというように、これまでの経験からも思っておるわけではございませんが、五十年五月といいますと二年半前でございますが、かなり審議会の慎重な審議を得て、政府全体として決めたものでございますし、その内容におきましても、現在再検討してみますと、年次は六十年と、ただいまの御趣旨の六十二年とは違いますけれども、六十年の見通しそれ自身としては、米につきまして、需要において予想した見通しよりは下がっておる、低いというような動向が見られる。それから生産は逆に、当時の目標千二百十一万トンでございますが、これよりはこのままいきますとふえるのではないか、こういう心配がされます。その他の作物につきましては、需要につきましてはそう大きな違いはない。それから、生産につきましては麦とか大豆とか飼料作物等大いにこれから生産をふやさなければならないものにつきましては、これを策定いたしました当時、麦でいいますと毎年三〇%ぐらい年率で下がっておったわけでございますが、そういうものが下げどまるというところまで各種の施策によって来ておりますけれども、六十年の長期見通しに即して伸びているところまでは行っておりません。  したがいまして、私どもとしては、現段階では直ちにこれを改定するのではなくて、むしろ六十年の見通しにできるだけ近づくように最大の努力をすべきではないかというように考えておりますので、いま直ちにこれを見直して再検討するということは考えておりませんが、先ほど来申し上げておりますように、経過を見ながら、必要が参りますればそういう時期もあるいは来ようかというように思います。
  27. 愛野興一郎

    愛野委員 この問題につきましては、また後日一般質問の際に私いろいろお尋ねしたいことがありますので保留をいたしまして、少なくとも過去六年間の減反政策の間において、麦の輸入もいろいろな事情がありましたろうがふえておるわけでありますから、麦をつくれ、つくれと言われても、これはちょっと、農業以外の国の施策からどんどん輸入されるのじゃなかろうかというふうに、そして、それがいわゆる麦価の引き下げの要因にもなるのじゃなかろうかという不安を持つのはあたりまえであると思うわけであります。  そこで、そういうことは麦が足らないからそうなるのでありますから、需給を何年後にはこうしていくといういわゆる総合的な政策ではなしに、農業生産計画から見た確固たる説得力のある長期計画を示すべきであるというふうに私は考えておるわけであります。  そこで、この問題は時間がありませんからやめるといたしまして、米の消費拡大につきまして行政的にどのような政策を今日までとられたかということについてお伺いしておきたいと思うわけであります。文部省の学校給食についてもはなはだ手ぬるいわけでありますが、これを聞いておりましたら時間がありませんから、本日は特に大蔵省あるいは防衛庁、外務省にちょっとお伺いをいたしておきたいと思うわけであります。  その前に、昭和八年に米の過剰事態があったわけでありますが、そのときに皆様方の先輩はどのような対策をとられたのか、時間がありませんから簡潔にお答えを願いたいと思います。
  28. 大橋實

    ○大橋説明員 昭和八年にどのような対策がとられたかという御質問でございましたけれども、いまさしあたって手元に用意がございませんので、お答えできませんのでございます。
  29. 愛野興一郎

    愛野委員 いまのは国税庁にお伺いしたわけではないのでありまして、国税庁にお伺いするのはその先の質問についてであります。  昭和八年の場合は、私はこれは架空に言っておるわけではありません。皆様方の先輩の亡くなられた湯河元威農政課長さん、それから今日、全国拓植連の会長をしておられる平川守さん、あるいはその当時有名な大蔵省の石渡荘太郎国税課長あるいは松隈秀雄事務官等々にまつわる話が本に書いてあるわけであります。そこで、昭和八年の場合は、減反政策という声がありはしたわけでありますが、とにかく政府は手持ち米を格安で貧しい人々に放出をしたわけであります。それから、手持ち米を海外にダンピングをして売った。それから、米穀利用研究所、いまの農林省の食品総合研究所の前身でありますが、これを設置して、米のウイスキー醸造研究をしたわけであります。南京陥落のときに、もうその当時から酒税法というのがあるわけで、これは売るわけにいきませんから、農林省全部でそのウイスキーで宴会をやらして大乾杯をやったわけであります。  そこで、私がお伺いをいたしたいのは、これから先が御答弁願わなければならぬところでありまして、日本の酒税法自体が、日清戦争の際に戦費が不足したから歳入財源としてできたわけであります。その前はそういうものはなかったわけであります。それはともかくといたしまして、米の消費拡大のためにウイスキーとかビールを米でできないものか、これは少し漫画的質問でありますが、真剣に考えなければならぬ問題だというふうに思うわけであります。それから、いまの清酒はアルコール混入率がだんだん多くなって、昔は一升の米で一升五合の酒ができた、今日では一升の米で四升五合の酒をつくっておるということであります。これは言うなれば、アルコール混入をアルコール専売の方から盛んに勧められた。したがって、コストの面はともかくとして、アルコール混入の方を少なくしてできるだけ米の純度を上げていく酒づくりの方法はないものか、これをお伺いしておきたいと思うわけであります。  それから、もう時間がありませんから、一遍に何もかもお伺いいたしますが、いま東京あるいは東海地方に地震の予測が盛んに行われております。したがって、東京、東海に大地震が来た場合の米の備蓄対策はどうなっておるのか。  それから、防衛庁にお伺いしておきたいと思うわけでありますが、与野党の議論を待つまでもなく、日本はずっと専守防衛というのはわかり切ったことであります。専守防衛ということは攻めていかないということでありますから、外国から攻められた場合は、とにかく食糧をまず第一番に防衛の基礎になさなければならぬ。そこで、専守防衛の日本として、一たん事ある場合の米の確保対策あるいは食糧の確保対策、これは数量的に一体どのくらいの専守防衛用の米を確保しておられるのか、あるいはまた、その運搬手段等々はどういうふうに考えておられるのか、これをお伺いしておきたいと思います。  それから、外務省にお伺いしたいわけでありますが、三年前にローマで開かれた国連の世界食糧会議で、先進国は途上国に対して食糧援助をすべきであるということが決められたわけであります。そこで、日本の米を途上国に送る、あるいは緊急食糧援助を申し出ておる国が今日までどのくらいあったのか、あるいはまた、これは外務省でなくても結構でありますが、送れないとすれば、農民を説得するために、赤道を越えれば変質するとか、あるいは開発途上国は体制が不安でせっかく送っても首脳部で握ってしまって国民に行き渡らないのだとか、そういうことを言っても、日本国民自体があの食糧不足のときには、エジプト米であるとか南京米であるとかカリフォル米とか黄変米であるとかを食べておるわけでありますから、毎日圃場で米と取り組んでおる生産者には説得力を欠くわけであります。  そこで、具体的に、時間がないから本日中に御答弁をいただかなくてもいいわけでありますが、日本が開発途上国に食糧援助をする場合の隘路は、今日言われておるのは体制の問題、支払い決済の問題、品質の問題、地域的気候風土による変質の問題、あるいは食生活の問題、それからまた炊き方の問題、これで食糧援助や輸出もできないのだ、こういうふうに言われておるわけでありますが、これを第三世界と申しますか、開発途上国全部にわたって、こういう理由でできないということを資料として御提出をお願い申し上げたい、こういうふうに思うわけであります。  以上であります。
  30. 北野茂夫

    北野説明員 先ほどの麦、大豆等の稲転関係の試験研究の予算の件でございますけれども、直接的なもの、間接的なもの、あるいは施設等がいろいろと絡み合っておりまして、転換関係作物の予算はこれだけだということを端的に申し上げるのは、現在のところ、まことに不可能な状態でございますけれども、大型プロジェクト研究といたしまして、稲転関係作物についてそれぞれ特別の研究をやっておりますが、その関係の予算は五十二年度で三億三千万ございまして、これは稲、麦の一貫栽培であるとか、牧草の採取の問題であるとか、その他いろいろと大型研究を数項目やっておりまして、それが三億三千万でございます。  それから、大豆、麦、飼料作物等の品種改良関係しております研究員は二百名余りでございますけれども、一人当たりの人当研究費というのがございまして、それは一人百万円程度でございますので、それがおおむね二億から二億五千万程度、その他施設あるいは備品等の予算がいろいろありますので、合計については申し上げられませんが、お許しをいただきたいと思います。
  31. 大橋實

    ○大橋説明員 余剰米の酒類に対する開発利用の問題でございますけれども、現在、清酒業界におきましては、中小企業近代化促進法等に基づきまして構造改善事業の中で清酒の新製品の開発につきましてはかなり努力をしているわけでございます。しかし、現在いろいろな酒類が潤沢に供給されてきておりまして、それらの酒類の製造方法であるとか使用原料、こういうものは定着したものがございます。そこで、こういった酒類市場の中で新しい種類のお酒がいろいろ既存の酒類と競争しまして、消費者の支持をどの程度受けられるかということにつきましてはなかなかむずかしい面がございます。特にわが国の場合でございますと、米価水準というようなものもございますので、こういった点から、お米を使用した酒類の開発につきましてはコスト面からの制約ということも考えなければならないということがございます。それから、現在つくられております清酒でございますが、これは玄米のほかにアルコール、糖類というものが一部使われているわけでございます。しかし、このアルコールや糖類を減少させまして、かわりにお米の使用量を多くするというようなことになりますと、相当の原価高になってくるという問題、それから消費者の嗜好に合致する品質のものができるかどうか、それから技術とか設備の面での対応ができるかどうか、そういった問題がございます。  現在、これらの制限は何らないわけでございますけれども、実際にはそういった意味で急激な変化はなかなかむずかしいというのが現状でございます。
  32. 大鷹弘

    ○大鷹説明員 ただいま食糧援助について御質問がございまして、三年前にローマの世界食糧会議で先進国は途上国に対して食糧援助をしようということが決められた、こういうお話でございましたけれども、実はそういう決定が行われたわけではございません。一種のアピールと申しますか、開発途上国にはできるだけ食糧を援助してやろうという精神的な申し合わせができたということで、具体的なメカニズムとかやり方が決まったわけではございません。  そこで、現在、日本政府といたしましては、食糧援助を大まかに言って二つのルートでやっております。一つは、ケネディ・ラウンドの食糧援助、KRの食糧援助と言っております。これはすでに十年近く実施してきておりまして、毎年少しずつ量も金額もふえております。もう一つのルートは、関係開発途上国からのアピールによる二国間のベースでの食糧援助でございます。  このKRの食糧援助について申しますと、最近は日本米をほとんど供与しておりません。第三国のタイであるとかビルマであるとかエジプトとかパキスタンとか、そういうところの米を日本政府が買いまして、そして米を必要とする開発途上国に贈与する、こういうやり方をやっております。それはなぜかと申しますと、第一に、日本の産米でございますと価格が非常に高くなるということでございます。最近のあれを見ますと、日本の米の生産価格は国際価格の五倍ないし六倍でございます。そうしますと、非常に高いそういう米を開発途上国に押しつけることができませんから、その差額を日本政府が負担することになりますと、これはもう大変な国庫の負担になるわけでございます。それから、第二の点は、日本の米の質でございます。日本人の好みに合っているのですけれども、開発途上国、南方の人たちには必ずしも好まれないタイプの米でございます。向こうの方はどっちかというとばらばらとした、そういう米が好きでございます。そういうこともございまして、日本の産米が使われてないのでありますけれども、もう一つ、KRの食糧援助ではできるだけ開発途上国の米を使ってやろう、そうすることによって彼らの輸出にも貢献してやろう、こういう意味が込められております。したがいまして、いまのKR援助については日本の米は最近は使っておりません。  次に、第二の二国間のルートでございますけれども、ときどき日本の米を貸してほしいとか、そういう話が舞い込んでまいります。これは、国際的にほかのたとえばいま申し上げましたビルマだとかタイとか、そういうところの米の生産がもう底をついて、そこから借りることができないというような、そういう特別な場合に限ってやむを得ず日本に米を貸してくれ、こういう話がございます。これについては日本政府としても、できるだけそのときの事情を見ましてケース・バイ・ケースで検討することにしております。新聞にも出ておりましたけれども、現在たとえばインドネシアからそういう申し入れを受けておりますけれども、これにつきましては前向きに検討している、こういうわけでございます。
  33. 渡邊浩明

    ○渡邊説明員 先生お尋ねの、米としての備蓄は防衛庁としては持っておりませんけれども、これを加工した形で飯かん詰めとして非常用糧食を持っております。数量は約十日分でございます。この保管場所は、北海道から九州まで各地区補給処とそれから各駐とん地部隊、ここに保管しておりまして、その割合といたしましては、地区補給処には所要量の約三分の一、その他三分の二を部隊で保有しております。  それから、輸送手段でございますけれども、最初調達いたしました業者から納入する場合には、地区補給処の方へ納入していただきます。これはかん詰めですから有効期間がございます。現在三年というふうに私どもの方は定めておりますけれども、当初一年までは補給処で、一年を経過したものにつきましては部隊へ出す。その輸送方法は各部隊が保有しているトラック類で輸送する、このようにやっております。
  34. 羽田孜

    羽田政府委員 ただいまそれぞれの担当の方からお答えを申し上げたわけでございますけれども、もう先生指摘がございましたように、このたびの対策といたしましては、生産の調整というものあるいは転換を図っていく、これも大切でございますけれども、何と言っても大切なのはやはり消費拡大でございます。そういったことで本来の米の消費というものを一層進めると同時に新規需要、こういったものについてもそれぞれの各般の対策を立ててまいりたい、かように考えます。  なお、大臣がしばしばこちらで御答弁を申し上げてまいりましたとおりに、今度の稲作転換のための対策、これを閣議でお諮りいたしますときに、この消費拡大につきましても各省庁の御協力を得られるように発言をしてまいりたいということをつけ加えさせていただきたいと思います。  以上です。
  35. 片岡清一

    片岡委員長代理 次は、松沢俊昭君。
  36. 松沢俊昭

    ○松沢(俊)委員 いろいろそれぞれ御質問がございましたので、なるべく重複を避けながら質問したいと思いますけれども、ただ百七十万トン、四十万ヘクタール、これはもう絶対にやっていかなければならないという考え方農林省は臨んでおられるようでありますが、たとえば水田に麦の裏作をやる、こういう場合、表作というのは一体減収するものかどうか。裏作をやるということになれば、私の地帯なんかは大体一俵ぐらいは減収せざるを得ない。こう見ているわけであります。そうすると、いままで土地改良を農林省の方ではやってこられたわけでありますが、裏作ができるような状態になっているところの水田の面積、これは一体どのくらいあるのか、これをまずお伺いしたいと思います。
  37. 堀川春彦

    ○堀川政府委員 これは農林省調査で、関東以西の水田につきまして、地下水位七十センチ以下の水田面積は百十二万ヘクタール、そのうちすでに裏作が行われております面積が二十四万ヘクタール、したがいまして、その差ということで出してまいりますと、八十八万ヘクタールくらいかと存じます。
  38. 松沢俊昭

    ○松沢(俊)委員 そこで、考えられるのは、残っているところの八十万ヘクタール以上のそのところへ裏作の麦の奨励をやるということになりますと、仮に一俵減収ということになりますと、表の方では四十八万トンの実際上の生産調整というのができるのじゃないか、こういうぐあいに考えられるわけなんです。これは関東以西ということを言っておられますけれども、北の方でも相当の面積というのが私はあると思いますが、北の方はどうでしょうか。
  39. 堀川春彦

    ○堀川政府委員 実は北の方はそれに相応するものを算定をしてございませんので、関東以西と北とは気象条件も異なりますから裏作の導入しやすい、しかも耕地利用率が低いということも考えまして、いま申しましたような数字を持っておるわけでございます。
  40. 松沢俊昭

    ○松沢(俊)委員 私は一俵落ちるのじゃないか、こういう考え方を持っておりますが、その点はどうお考えになっておりますか。
  41. 堀川春彦

    ○堀川政府委員 裏作に麦をやりました場合に、水稲作がちょうど麦の収穫後適期に入るような品種をうまくつくっているという場合は別でございますが、そうでありませんと、一般に水稲作の適期播種の時期をずらしますと、かなり収量が落ちるという結果は試験場の試験成績にもあるわけでございますから、したがって麦作の次に続く表作の適性な品種が適当な栽培体系で導入されておるということがございませんと、やはりそこのところで作期のおくれということが出てまいりまして減収ということが起ころうと思います。ただ、これは地域差なり栽培条件なりいま言った品種の問題、そういうものが全体に絡んでまいりますので、よく私どもも裏作麦をやった場合に表作の米は一俵減収という話は聞くわけでございますが、直ちにこれを客観的事実として認定するというわけにはちょっとまいらぬかと思いますが、先ほど申しましたような性質を持っておるということは確かに言えると思います。
  42. 松沢俊昭

    ○松沢(俊)委員 政務次官に聞きますけれども、米をつくるな、つくるなという、それだけを一方的に農民に押しつけるわけなんです。さっきの御質問にもございましたように、食糧管理法ができまして、私が調べたのによりますと、たしか昭和二十三年だと思います。これは警察庁で調べたのですが、四、五年前の話なんでありますけれども食管法違反で検挙されたところの数というのが一年間に二十三万人おったわけなんです。その当時は、農村の場合においては強権発動、大変な事態であったわけであります。同じ食管法が今日あるのに、今度は逆に米をつくってもらっちゃ困る、こういうことでまた生産農民が痛めつけられているというところの状態になっておるわけなんです。だから、私が言いたいことは、つくるな、つくるなということよりも、外国からたくさんの小麦を輸入しなければならないというところの現状になっているわけなんでありますから、農林省の方といたしましても、ことしの麦価の場合におきましても、生産奨励金を基本麦価の中に入れて、麦作に力を入れろという方針というのを出されたわけなんです。そういうふうにして、麦作振興ということがいま言われている時期において、麦をどんどんつくってくれという政策を出していくとするならば、関東以西におきましても約五十万トン程度の表作の米というのが減収するということが予想されるのに、これは関東以北の方をも勘定するということになりますと、そんなに生産調整をやらなければならないという理由というのは出てこないのじゃないか、こういうぐあいに考えます。むしろその方が、米をつくってもらわないように要請するよりも、麦をつくってもらいたいというふうに要請した方が農民の同意を得られることになるのじゃないかと私は思うのでありますが、その辺、農林省の方ではどうお考えになっているのですか。
  43. 堀川春彦

    ○堀川政府委員 確かに麦作を裏作に導入しました場合に、水稲作のあり方いかんによりましては減収が起こることは私も先ほど申し上げたとおりでございますが、現在当面しております百七十万トンの需給ギャップというものは、麦の裏作奨励ということは私どもも一生懸命やっておるわけでございますが、裏作奨励をやり、かつそれに続く米を依然としてつくるという形では調整し得るような数量ではとてもないというふうに考えられるわけでありまして、私ども麦の裏作奨励、それから、それに続く米、これを機械化一貫体系で能率のいい、全体としての農業経営をつくり上げようというのを施策として堅持しておるつもりでございます。しかし、それと別に、どうしても百七十万トン、こういった大量の需給ギャップを調整するために、麦を一つ施策として考えつつ米の転換ということを考える際に、やはり麦を今回の利用再編対策の重点作物として取り上げ、そして麦をつくっていただく、その後は米をつくっていただかない、ほかのものはもちろんつくっていただいて結構でございますというものを仕組みとして考えて、奨励金の体系などを考えておるわけでございまして、少なくとも麦を入れつつ、米以外のものをこれに続く作物としてつくっていただくというようなことを考えながら、つまり土地の高度利用を図りながら米の生産転換ということを強力に進めるという措置が当面とらなければならない最大の課題の一つではないかというふうに思っておるわけでございまして、単に裏作奨励ということだけで米の需給ギャップが直ちに縮まるというふうには考えておらないわけでございます。
  44. 松沢俊昭

    ○松沢(俊)委員 あなたはさっき私が一俵落ちするのじゃないかと、こう言ったら、試験結果から言ってもやはりそういう結果が出てくるというお話もあったわけなんです。そうすれば、いま面積で計算していきますと、相当の減収というのがあることだけは間違いないわけなんです。しかも、いままで九十万トンの生産調整をやっておるわけです。だから、あと八十万トン上積みをする、そこで、いま大きな問題になっているわけなんでありまするから、その八十万トンをつくるなと言わないようにしながら実際上減収が行われれば需給均衡はできるわけであります。そういう方法でやるということが、本当に農民の立場を考えたところの需給均衡政策ということになるんじゃないか、こういうふうに私は考えるわけなんでありますが、これは政務次官、一体どうお考えになりますか。
  45. 羽田孜

    羽田政府委員 お答え申し上げます。  このたびの百七十万トンにつきましては、過去先ほどもお答え申し上げましたように、この六年間やってまいりました政策というものを十分検討した上で実はお願いしているわけでございます。その中にはもちろん麦作を奨励した上でのことでございますので、そういったものを考えましたときに、今日の需給事情考えましたときに、どうしてもやはり百七十万トンの生産調整をお願いしなければならぬということを申し上げる次第でございます。
  46. 松沢俊昭

    ○松沢(俊)委員 いや、だからそこで問題は、裏作がどうして進まないのかということです。進まないような障害があれば進まないわけなんであります。その障害というのを取り除く、そうすれば裏作というのは振興されていくんじゃないですか。ですから、たとえば麦価の基本価格の問題にいたしましても、ことしは小麦で九千五百九十五円ですか、そういう値段になったわけなんでありますけれども、そこへも進まないということになれば、裏作奨励金をもう少しかさ上げをしてやる、そして農民が裏作の麦をつくっても十分に採算が合うという状態になれば、これは進むんじゃないですか。問題はそのやり方の問題だと思いますが、やり方がまずければ進まないわけであります。そうすれば、外麦輸入というものも削減して差し支えないと、こうなるわけなんであります。だから、何も別にいままで裏作ができなかったから、こういうふうにして頼む以外はないんだということでなしに、もっと積極的にお考えになった方がいいんじゃないか、こういうぐあいに私は言っているわけなんですが、それはどういうことでしょうか。
  47. 堀川春彦

    ○堀川政府委員 松沢先生のお考えになっておられる考え方を根本的に否定するというわけじゃございませんけれども、裏作麦の栽培生産調整を結びつけて考えるという考え方も、それは考え方としてはあり得ると思うわけでございますけれども、さっき申し上げましたように、裏作麦を入れた場合に表作の米のつくりぐあいということによって減収というのはかなり食いとめられるわけです。理論的に考えられる。そういうようなこともございまして、したがって、その量的な把握も困難でございますし、百七十万トンという、ぜひとも達成しなければならぬと私ども考えておりますこの需給のギャップを松沢先生のような方式で達成できると確信を持って言えないということがあるわけでございます。  全体としまして、裏作奨励に私どもは力を入れて、そして六十年見通しでも四十三万四千ヘクタールの麦作をしたいというふうに考えているわけでございます。その方向に向かって、しかも米麦合わせた一貫体系での麦作稲作ということも大事なことでございますから、それはそれとして進めていきたい。しかし、その一方、百七十万トンを調整する必要がございますので、その際の転換先の奨励重点作物としてやはり麦をつくっていただくのですが、その際には麦をつくった後には米をつくらないでいただきたい、できるだけ耕地の効率利用ということを考えて他作物で適当なものがあればそれも入れていただくという形のものを特に今回奨励をするという形になれば、これは絶対米はつくらないということになるわけでございますので、その点で担保がある、この点が大きな違いであるというふうに思っておるわけでございます。
  48. 松沢俊昭

    ○松沢(俊)委員 それは要するに役人の考え方ということだと思うのですよ。私は、米をつくらぬで、そして麦をつくれ、豆をつくれ、えさをつくれ、こういうことを言われても、いま農業の一番大きな問題点は何であるかと申し上げますと、単品生産ですよ。だから、十年後にどういう農村、農業経営体というものをつくっていくのか、そういうことを農林省は一体考えているのかどうかということです。効率、高度利用ということをいま言っておられますけれども、効率、高度利用ということになりますならば、やはりヨーロッパ農業と日本農業の大きな違いというは、日本農業は集約農業だと思うのです。ですから、単位面積の回転率をどの程度高めるかということが非常に重要なことじゃないかと思うのですよ。そして、農家の労働力というものを他産業の方に浮かせて出すということでなしに、農業生産の方で消化をさせる、こういうことなんじゃないかと思うのですよ。そうすれば、麦と米、これはちゃんと組み合わせができるわけであります。そのほかに、畜産の導入だとか鶏の導入だとかいろいろなことをやって、少なくとも村でよそへ出なくてもいいような農業経営、農業生産、こういうことを考えていかなければならないのに、米が余るから、だから米はやめてくれ、麦をやってくれ、こういうようなことになって、ただそれだけだということになれば、十年後は一体どうなるかと言われたところで、ちっとも要するに青写真というのは出てこないのじゃないですか。一戸、一戸の農家が十年後にこういうふうになっていくんだという見通しがつくならば、それはあなた方の言い分というのもごもっともでございますということで教育することができると思いますけれども、いまの農林省のやり方というのは、やればできるのをやらぬで、しゃにむに百七十万トンの生産調整だと言っているところに私は無理があるんじゃないか、こんなぐあいに思うわけであります。だから、作目の組み合わせ、そういうものを十分考えてやっていかなければ本当の需給均衡、農業生産がバランスのとれたところの状態、こういうことは生まれてこないのじゃないですか。だから、私は、余るとか余らぬとかという議論の前に、農林省はこういう問題を出すとするならば、やはり将来、農家がそれならばいいでしょうという納得のいくような、そういう方法をとってもらわなければならぬのじゃないか、こう思うのです。そういう点で、一体農林省はどう考えているんだかちっともわからぬわけなんであります。  政務次官も政治家なんでありますから、そういう点、私の言っているのがわかりませんか、わかりますか、どうですか。
  49. 羽田孜

    羽田政府委員 先ほどから先生お話がございました農業経営のあり方、これはもう基本的に全くそのとおりでございまして、農林省といたしましても、ただ米づくりをやめなさいということじゃなくて、それと複合経営をどんどん進めていただく、実はそういった政策というものを日ごろ進めてきておるところでございます。ですから、先生のおっしゃることにつきましては、私ども十分承知しております。  ただ、この百七十万トンを出したのは、そういった政策をとりながら、しかも今日まで九十万トンですか、進めてきた、そういった経験を踏まえて、実は先生がいま御指摘になったようなことを踏まえながら、なおかつ四十万ヘクタール、百七十万トンというものをお願いしなければならないところにいま立ち至っているんだということを御理解いただきたいと思うわけでございます。
  50. 松沢俊昭

    ○松沢(俊)委員 だから、要するにあなたが私と同じような考え方であるならば、なぜそれが進まなかったのかというのですよ。裏作だ、裏作だというのになぜ進まないのかというのです。進まないところの障害があるから進まないんじゃないかと思う。それはやはり直せばいいんじゃないかというのです。障害を除去すればいいんじゃないですか。それをやらなければ進まないに決まっているのです。だから、そういう点で、私はこの生産調整の問題に対しましては大変疑問を持っているわけです。  それから、これは事あるたびごとに消費の拡大ということを言っておられます。  まず、大蔵省にお聞きしたいのでありまするけれども、酒屋さんの話を聞きますと、酒屋さんの方では、やはり洋酒に押されて酒の消費拡大というのがなかなか思うようにいかない、こういう話をよく聞くわけなんであります。  そこで、要するに酒の消費をやるためには、障害になっているところの洋酒というものをやはりある程度制限しないと酒の消費は進んでいかないのじゃないかということが一つであります。  それから、もう一つは、さっきも御質問ございましたけれども、私が調べたのによりますと、アルコール添加、酒のつくり方が変わりましたのは昭和十七年だと思います。よその国々にみんなアルコール飲料というのがございますけれども、アルコール添加をしてごまかしているところのアルコール飲料のつくり方というのは、私が聞いた範囲においてはないわけなんです。にせものということなんです。だから、昭和十七年以前というのはそういうものはなかったんじゃないですか。ですから、そういうアルコール添加というのを禁止をして、そして民族の酒を発展させていくということがやはり必要だと私は思っております。  それともう一つは、最近は純米酒というものが言われ始めました。純米酒をつくっておられるところの人たちというのは、大体どの規模の酒屋さんなのか。それから、アルコール添加を相も変わらずやっているのはどの程度の酒屋さんなのか。それから、要するにその量の面は一体どの程度の比率になっているのか、その点を、これは大蔵省の方から御答弁願いたいと思います。
  51. 大橋實

    ○大橋説明員 ただいま先生の御質問一つ一つ申し上げてみたいと思います。  最近におきます酒類の消費数量の推移でございますが、最近五年間で、清酒でございますと年率〇・九%、ビールで三・七%、ウイスキーは一四・二%ということで、比較的清酒の伸びが鈍化しているということが言えるかと思います。  この辺の原因が一体どこにあるのかということにつきましては、十分な分析というものが実はないわけでございますけれども、巷間これまでに言われておりますことは、一つは生活様式の変化、たとえば洋風化の問題であるとか都市集中の問題、そういったようなことに起因する嗜好の変化というのが一つございます。それから、もう一つは、清酒メーカーの場合には零細企業が多いというようなことでございまして、ビール、ウイスキー等に比べますと需要開発力が下がるというようなこともあるかと思います。それから、原料米の価格等コスト面でのコスト差というものがございまして、ビール、ウイスキー等に比べますと、やはり相対的にコストが早くアップしていくといった点が、こういった需要の停滞を招く原因の中の大きなものではなかろうか、かように考えている次第でございます。  現在、アルコールが添加されているお酒が外国にあるかどうかということにつきましては、私ども実は実態をよく把握していないわけでございますが、聞くところでは、ウイスキーについては使用しているという国もあるようでございます。  それから、アルコールを添加していない純米酒の清酒全体の中に占めます比率でございますが、これは〇・三%程度ということで、きわめて少ない割合でしかございません。  それで、これをつくっていらっしゃる企業はどういう企業かということですが、これはいろいろな大手、中小、それぞれが新しいタイプの清酒の開発に取り組んでおるわけでございますけれども、それ以外の、いわゆる純米酒を除きました一般的な清酒というのは、すべてアルコールというものが添加されておりまして、これは大企業あるいは中小企業、いずれの間でもほとんど差がございません。そういう実態にございます。それで、こういった無添加酒をつくっているのは、全体の三千社のうちで七百五十ほどございますけれども、製造数量は一企業当たり十五キロ程度ということで、きわめて少量でございます。そういうような実態にございます。  それから、先ほどの御質問とも関連いたしますけれども、純米酒をふやしていくということにつきましては、嗜好の問題、それから原料高になるという問題、それから技術、設備面での対応がなかなかむずかしいということもございますので、一挙にはそういった方向に行くということはむずかしいのではないだろうか、こういうようなことでございます。
  52. 松沢俊昭

    ○松沢(俊)委員 嗜好の問題と言われますけれども、田舎の地酒なんというのはよく純米酒があるわけです。これは、酒の通に言わせるなら、そういう地酒を見つけるということが酒の通だ、こういうわけなんです。だから、嗜好なんということになれば、純米酒の方がいいに決まっているんです。問題は、だからそれを禁止をする、アルコール添加を禁止してしまうはっきりした方針を出して、あとたとえば、これも大蔵省の方から資料をもらっているわけなんでありますけれども、洋酒を入れることによって関税が二百四、五十億出ているんじゃないですか、それを、コストが高くなるということになれば、酒米に補助を加えればこれは拡大するということになるじゃないですか。そういう工夫というのをやらなければ、ただ農民に米をつくるな、つくるなと言うことよりも、消費の拡大をやるのだったら、それぐらいのことは当然やっていかなければならぬじゃないかと思う。だから、嗜好がどうとかというのは言い逃れなんでありまして、やはり純米酒の方がいいに決まっているわけなんであります。  それと、大体酒というものはどこでもそうですけれども、そんなまぜ物を入れて延ばしてやるなんというのは、これはにせものなんであって、本物の味ではないわけです。だから、本物の酒というものをつくらせるような努力というのを、これは農林省の方からも積極的に大蔵省に話をつけるべきであろうし、大蔵省の方でも、農林省で米が余っているのはおれの関係したことじゃないじゃないかというような、そういう態度というのは私はけしからぬと思うんですよ。やはり全省庁を挙げて消費拡大ということをやるというならば、それぐらいの決意でやっていけばいいじゃないか、できないことはないんですよ、やればできるんですよ。やればできるのをやらないということは、余りにも誠意のない話なのではないか、こんなぐあいに実は考えるわけなんですが、この点はどうでしょうか。
  53. 大河原太一郎

    大河原政府委員 お答え申し上げます。  われわれとしては、米の固有の用途としての清酒の需要の拡大ということについては、一段と努力をしなければならないと思うわけでございます。現に、酒米についても、これは全量自主流通米でございますけれども、これについては約二百億を超える各種の助成を食糧庁の方でいたしておるわけでございます。それで、たとえば先生の御所論の方向とつながるわけでございますが、本年は特にアルコール添加量を減ずる、そのためのコスト増等を考慮いたしまして、自主流通米よりも割り安な政府米を約六万トン売却するというようなこともいたしております。  そのようにして、われわれとしてはわれわれのサイドで努力を大いにいたしたいというふうに思っております。
  54. 松沢俊昭

    ○松沢(俊)委員 食糧庁の方ではそういうふうにしてやっている、だけれども食糧庁の金というのは実はやはり農村のために使ってもらわなければならぬ金ということになるわけなんでありますから、だから確かにそういうことも結構な話であります。だけれども、大蔵省としても考えてもいいんじゃないかということなんです。何もこの百七十万トンの生産調整農林省だけが責任を負わなければならぬという問題ではないんじゃないか、閣議の決定によってやるということになれば、各省とも責任を負ってもらわなければならないんじゃないか、農林省だけが一生懸命やっても問題の解決にはならぬと思うのですよ。そういう点で、大蔵省の方ではどう考えるのかということなんです。
  55. 大橋實

    ○大橋説明員 御承知のように、清酒は伝統的な嗜好品ということでございますので、消費者の嗜好の変化があると申しましても、比較的緩やかな形でございます。現在そういったアルコールを減らすというような努力をしている酒屋さんもございますが、これは私ども何ら制限をしているわけではございませんで、また先ほどのお話にもございましたように、酒米の助成の中でもそういったアルコールを減らす努力というものに対する一つの誘因というような形の配慮がなされているわけでございますけれども、実際にともかく売れなければ仕方がございませんので、そういう意味で各業者がそれぞれ一生懸命需要開発をしているということで、その中でお米というものがどの程度消化していけるかというふうな形にならざるを得ないのではないかというふうに考えている次第でございます。
  56. 松沢俊昭

    ○松沢(俊)委員 だから、法律を変えて、抑制なんということでなしに、アルコール添加は禁止してしまえばいいんですよ。それをやりなさいと言うんです。そうして、なお、にせものを飲みたいということであれば、別な名前にして売り出せばいいでしょう。だから、酒というのはもともと米からつくるのだということを明確にしてしまえということなんです。それでもアルコールを飲みたいということならば飲ませてやればいいじゃないですか。酒というのはもともとアルコール添加なんかやってはならないのだという法律の改正をやったらどうか、こういうことなんです。
  57. 大橋實

    ○大橋説明員 現在、清酒業者は三千百ほどございますが、九九・六%が中小企業である、そういうことで、非常に厳しい業界の中で競争をしているわけでございますけれども、そういう中で米だけを使うということになりますと、総体としての清酒の需要そのものがむしろ減ってしまって、お米の消費の増大につながらないといったようなことがきわめて危惧されるということが一つと、それとともに、そういった全体が中小企業でございますので、蒸し米機から技術の問題とか、すべて手当てが非常にむずかしいという点もございます。それから、原価高ということでは、アルコールのかわりに米を使いますと、現在のコストでいっても原料米だけで約五倍の価格のアップというような形になりますので、相当程度製品価格も上がらざるを得ない、こういった中でいきなりそういったような措置をとるということについてはきわめて困難ではなかろうか、かように考えております。
  58. 松沢俊昭

    ○松沢(俊)委員 もちろん困難であるに決まっているんです。米の生産調整百七十万トンでも困難なんです。あたりまえの話です。それを農家にだけ困難なやつを押しつけて、そして、あとは知らぬふりするという話はないじゃないか。そっちの方も構造改善をやればいいじゃないですか。そのために酒屋さんにも助成を出してやればいいじゃないですか。そういうふうにやっていかなければならないんじゃないかということです。困難でないものなんていうのはないんですよ。全部困難なんです。その困難を克服することによって、日本の農業というものが健全な発展を遂げる、そしてまた日本の清酒も発展を遂げる、こういうことに私はなると思うわけであります。そういう点、課長にこれ以上言ってもしょうがない話でありますので、これは大蔵省へ農林省の方から話を持ち込んでもらって検討してもらいたい、こう思いますが、どうでしょう。
  59. 羽田孜

    羽田政府委員 今日までも米の消費拡大のために、こういった問題、いま先生お話のございましたような問題についても、実は当局に対してお願いしてまいったところでございますけれども、これからもいまお話がございましたことを踏まえながら話し合いを続けてまいりたい、かように存じます。
  60. 松沢俊昭

    ○松沢(俊)委員 文部省おいでになっておりますか。——学校給食の問題でありますけれども、これもこの前お聞きをしているわけでありますけれども、しかし非常にテンポが遅いようでありまして、お話を承りますと、完全給食をやりますと二十五万トンぐらいの学校給食になるのじゃないか。一週間六回かそこらやりますと、そういうことになる、こういうお話を聞いているわけなのでありますが、ところが、これからやるというのは五万トン程度、そうすると、あと要するに二十万トンの余裕があるわけです。どこが隘路になっているのか、要するに、その隘路をどういうふうにして解決をつけていこうとしているのか、この点はっきりしてもらいたい。  それから、もう一つ、外務省でありますが、さっきいろいろ御説明がありましたので大体わかりましたのですけれども、インドネシアが最近、日本の米、それを援助してもらいたいという話が出ているということで、この前の委員会でもそのことについてお話がありましたけれども、その後どういう状況になっているのか、その点お伺いしたいと思うわけなんです。
  61. 坂元弘直

    ○坂元説明員 御承知のとおりに、私ども学校給食に米飯給食を正式に取り入れたのは、五十一年度、昨年度からでございます。当面、私どもの計画といたしましては、五十六年度当初までの間に、週二回の米飯給食を実施していきたいということで、施設、設備の整備などを、それに伴って整備計画を推進いたしております。  先生いま御指摘の隘路という問題でございますけれども、学校給食というのは、御承知のとおりに、まず生徒の嗜好の問題もさることながら、給食調理員とか、それから栄養士の方々、それから学校の給食指導をいたします先生の問題等もございます。端的に申し上げますと、いままでパンで学校給食を行ってきたのを一挙に米飯に切りかえるということになりますと、手間がそれだけよけいにかかるという問題もございまして、学校現場としてもなかなか踏み切れないというのが実情でございます。私どもとしましても、何が何でも早く米飯給食を普及する、推進するということで、各設置者をやみくもに指導するよりも、むしろ無理のない形で、円滑に米飯給食にまず踏み切っていただいて、そして当初の計画といたしましては、いま御説明いたしましたとおりに、週二回を目途に踏み切っていただいて、それがある程度定着した後に、さらにそれ以上米飯給食を推進していくかどうかという点については、関係者とも十分打ち合わせをしながら、前向きに検討していきたいというふうに考えております。  それから、先生指摘の数字でございますが、現在、学校給食というのは週五回やっておりますが、その五回とも全部米飯給食に踏み切った場合には二十五万トンでございまして、私どもが現在計画いたしております週二回で一応計画が終わりますと、十万四千トンばかりの米を消費するというような状況に相なります。  私どもとしましても、いま申し上げましたとおりに、とにかく無理のない形で米飯給食を定着させて、その後、週二回を週三回あるいは地域の実情の許すところでは週五回でもやっていっていただきたいということを各設置者と御相談して、前向きに検討していきたいというふうに考えております。
  62. 大鷹弘

    ○大鷹説明員 インドネシアからの要請につきましては、先方の事情が非常に窮迫しているようでございますので、外務省といたしましては関係省と協議いたしまして、大体において先方の要請に応ずるという方針を決めました。現在、かねてインドネシアに対しましては、六十五億円の範囲で食糧のための借款を供与する約束がございますので、この範囲で、先方の要請する十万トンにできるだけ見合う額のものを供与しようということで、細部を詰めているところでございます。
  63. 松沢俊昭

    ○松沢(俊)委員 学校給食の問題は、これは昔から言われているのですけれども、日本学校給食会というのがありまして、それがやはり一つのネックになっているということだけは私も大体わかるわけです。そこで、要するにそういうものをやはり何とか変えていかなければ、二十五万トンの消化というものはできないのじゃないか、こんなぐあいに考えております。それから、手間がかかる、いろいろなことはあると思います。これは人件費の問題だと思います。それはそれなりに予算づけをしていけばいいことなのであります。ですから、やはりもっと努力してもらわなければならない、こういうぐあいに考えております。  それで、外務省の方でも、十万トンぐらいことしインドネシアに援助をやる、そういう方向で行っている、こういうお話を聞きましたのですが、以上、私、いろいろ農林省、文部省、大蔵省、外務省それぞれに注文をつけたわけでありまするけれども、要するに、この注文が注文どおりに行われたという場合におきましては、これは百七十万トンの生産調整は必要ないわけであります。はっきりしています。ただ、私の注文をいまの内閣、政府が受けるか受けないかによって、やらなければならない、やらぬでもいい、そういう結果になるのじゃないか。だから、農民にこういうお話をした場合、農民生産調整に賛成するわけにはいかないというところの結論になると思います。  そこで、私は聞きますけれども、もし皆さんの方で、三カ年間、百七十万トン生産調整をやる、それに応じなかった場合においては、翌年買い入れ限度数量のところから、よけいつくった分は差っ引く、しかし言うことを聞かない、こうなれば、これは相当、自主流通米にもならない、そしてまた政府米にもならないというところの米が出てくるわけなのであります。仮に二割出たということになりますと、一体どうなるでしょうか。その米というものは、食糧管理法の立場からいって、一体どう処理されるのか、その点はっきりしていただきたいと思うのです。
  64. 大河原太一郎

    大河原政府委員 お話のとおり、先生のおっしゃいました場合、発生する米は、まさに予約限度を超える米でございます。従来もしばしば議論されておりますいわゆる余り米ということでございまして、これは食管制度流通全量を管理するというたてまえから、先生十分御案内のように、自主流通ルートによって処理するということになりまして、本年の超過米と同様な処理をいたすということに相なるわけでございます。ただ、その場合、やや申し上げさせていただきますれば、目標を達成した場合の全量買い入れとの関係でしばしば申し上げておりますように、われわれとしては目標を達成していただいた場合になお生ずる超過米というものについては、手厚い流通助成をいたして農家手取りの確保をいたしたいというふうに考えておりますが、目標に協力していただけなかった結果で生ずる超過米については、それとの格差というようなことは考えなければならないというふうに思っております。
  65. 松沢俊昭

    ○松沢(俊)委員 そうすると、いままでと同じように、生産調整にとても協力するわけにはまいりませんということで協力しなかった場合においては、買い入れ限度数量から外れるわけです。外れるということになりますと、超過米ということだけれども、いままでの超過米はそれなりの手当てをやってまいりましたけれども、今度は手当てをやらないで、それで自主流通米のルートに乗せる、こういうことになるのですね。その場合、去年から食管の売買逆ざやの解消ということを皆さん五カ年間でやるということで進められているわけなんであります。そうなりますと、政府の売り渡し価格というものは当然来年も上がるということになると思います。  そこで、いまの状態というのはどうなっているかということになりますと、たとえば新潟県の場合におきましては、自主流通米に乗ったところのコシヒカリなんというのになりますと二万一、二千円と、二万円を出ているわけなんです。それから、政府の米の買い入れ値段というのは平均して一万七千二百三十二円、こうなるわけです。それから、いわゆる雑米というのは一万二、三千円、こういう状態になっているわけなんです。いまはそういう状態でありますけれども、自主流通米のルートに乗せることによって大変買いたたかれるということになると、買いたたかれるところに売るわけにはまいりません。ですから、自分の知っている最寄りのお米屋さんにその値段よりも高い値段で売るというのは経済の常識だと思うのです。そうなった場合に処罰をするのですか、どうですか。
  66. 大河原太一郎

    大河原政府委員 お答え申し上げます。  売買逆ざやの解消による政府売り渡し価格というものの引き上げと自由米等の発生という関係お話でございますが、われわれとしてはこの問題についてはこういうふうに考えております。と申しますのは、問題はやはり前提として需給関係だと思います。昭和三十七年ごろは純ざやでございました。売り渡し価格の方が高かったわけです。その場合は、需給関係がほぼバランスがとれていた。したがいまして、その場合においては売買逆ざやがなかった、純ざやでございましたが、一応政府必要量の集荷ルートには乗ったという関係でございます。したがって、今度の場合も、あくまでも需給関係のバランスをとるということによりまして、あとはその系統集荷団体の集荷努力とかそういうものによって、売買逆ざやが段階的に解消されていった後においても、ことさらその自由米の発生が大量化して、それによってわれわれが最終目的といたします食管制度の健全な運営というものが阻害されるわけではないと思いますが、ただ地場の場合には多少そういう可能性もあるという点から、この点についての対策等もわれわれとしては今後考えていかなければならぬというふうに思っております。
  67. 松沢俊昭

    ○松沢(俊)委員 しかし、あなた方は買わないのだ。要するに買うルートに乗せないというのが生産調整で、買い入れ限度数量目的なんだ。買い入れ限度数量というのは政府米と自主流通米なんで、それ以外のは相手にしないというのだから、相手にされないということになれば、やむを得ない、それは相手にしてくれるところに売る以外にないわけなんですね。こういう結果というのはやはり出てくるのじゃないでしょうかね。だから、そういうのが出てきた場合、それは処理するというけれども、それではどういうふうにしてやるのだということです。厳罰に処するか、それともそれは任せておく、任せておくということになれば、食管制度のある中で、大体買い入れ限度数量を割り当てること自体一つは問題があろうと私は思いますし、それからもう一つ、百七十万トンの生産調整なんというのを、本来、食管法のある中で行うということ自体、大変法律的にも問題があるのじゃないでしょうか。いまもう八年がかりで農林省と全日農の方で米価をめぐっての訴訟が展開されているわけなんであります。また、この問題をめぐって農林省農民の間で訴訟の起きる可能性があるのじゃないか。要するに、こういう重要な問題というのは法律を無視してやるというわけにいかないのじゃないかと思うのです。だから、私は、この百七十万トンの生産調整だけではありませんで、生産調整そのものが法的に考えてみると疑問の点というのがたくさんあるのじゃないか、こう思いますが、全然疑問はございませんですか。
  68. 大河原太一郎

    大河原政府委員 先生の御質疑の中で、私どもお答えすべきものが二点あると思います。  第一点は、相手にしないというお言葉でございますが、予約限度超過米も、自主流通集荷団体、農協等の集荷団体に集めていただきまして、これに対して必要な流通助成を行い、そうして実需者、卸の団体に対して、本来の自主流通米と同様に配給計画の中に組み込まれて処理される、その分は政府米の売却を操作するということでございまして、その点についてはわれわれとしても食管制度のかさのもとで一応処理しておるということでございます。  それから、第二点の問題でございますが、これは先生とも制度論でしばしば御見解を異にするということを申し上げているわけでございまして、私どもとしては四十六年の予約限度制の導入の際、食管法第一条なり第三条の趣旨から、政府考え方といたしまして、その予約限度制の導入は食管法に基づいて適法であると考えておりますので、そのゆえんをるる繰り返すことは差し控えさしていただきます。
  69. 松沢俊昭

    ○松沢(俊)委員 いずれにいたしましても、生産調整は何が何でもやっていくというところの政府方針であります。しかし、私、いろいろ申し上げましたけれども、恐らくこれに協力する人もいるでしょう、しかし協力しない人もやはり相当たくさんあるということは見通されるのじゃないかと思うのですが、どうでしょうか、羽田政務次官、成功すると思っておられますか。完全に百七十万トンを消化できると思ってやっておられるのですか。しかし、消化はできないにしても、三年ぐらいたつうちに何とかなるのだ、要するにこういうお考えなんでしょうか、どうでしょうか。
  70. 羽田孜

    羽田政府委員 今日の米の需給事情の中にありましては、何としてもこれは農民皆様方に御理解をいただきまして達成しなければならないというふうに考えております。
  71. 松沢俊昭

    ○松沢(俊)委員 以上で質問を終わりますけれども、とにかくもう少し農民の立場に立って生産の問題、消費の問題というものを考えてもらわぬと、これは日本の将来の農業にやはり重大な暗影を投げかけると私は思います。  そういう点、農林省の方でも十分考えていただきたいということをつけ加えまして、終わります。
  72. 片岡清一

    片岡委員長代理 この際、午後二時より再開することとし、暫時休憩いたします。     午後零時三十分休憩      ————◇—————     午後二時三分開議
  73. 片岡清一

    片岡委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。小川国彦君。
  74. 小川国彦

    ○小川(国)委員 私は、最初に、米の需給調整の問題に関連いたしまして、モチ米の問題についてお伺いをしたいと思うわけでございます。  政府はこれから十カ年間、年四十万ヘクタール、百七十万トンという米の生産調整をしていく、こういう状況を迎えておりまして、これは日本の農家にとって大変な事態になっているわけでございますが、そういう中でなぜかモチ米だけは生産不足に陥って外国から輸入をしなければならぬ、こういうきわめて不手際な事態を迎えているわけでございます。  そこで、私は、この実情を当局にただしてみたいと思うわけでございますが、モチ米の過剰現象というものは五十年産まででどのくらい過剰があったか、まずこの点をお伺いしたいと思います。
  75. 大河原太一郎

    大河原政府委員 お答え申し上げます。  モチ米は、御承知のとおり、全量契約栽培でございまして、実需者と生産者団体との契約栽培でやっております。四十九年、五十年が大幅な過剰でございまして、約十万トンくらい指定法人である全農が調整保管で繰り越したという事態でございました。
  76. 小川国彦

    ○小川(国)委員 そういうことで繰り越したということはあるようでございますが、五十一年国内産は何トンという目標で生産目標を立てておられますか。
  77. 大河原太一郎

    大河原政府委員 予約限度の中に組み込みましたモチ米の流通需要量は、二十五万トンでございました。
  78. 小川国彦

    ○小川(国)委員 ところが、五十一年は二十五万トンという目標が十七万トン予約があった。ところが実際に集荷の段階になると、これが十三万トンになってしまった、これは事実でございますか。
  79. 大河原太一郎

    大河原政府委員 お話のとおり、四十七年、四十八年、モチ米の生産数量が非常に少なかったためにモチ米が非常な高値になりまして、四十九年、五十年の生産過剰がございました。そして、価格が下がった。したがって、モチ米の生産が減りまして、五十一年産におきましても、二十五万トンの予約限度に対して十七万トンを目標にし、実際は十三万トンということでございます。
  80. 小川国彦

    ○小川(国)委員 この結果、政府の手持ちは二万二千トンになってしまって、結局一万トンタイから輸入せざるを得ない、こういう実情になった、こういうことを伺っておりますが……。
  81. 大河原太一郎

    大河原政府委員 お話のとおり、そのような状態でタイから不足分を輸入したということでございます。
  82. 小川国彦

    ○小川(国)委員 さらに、五十一年の後半に及んで、また三万トンを追加輸入されたということを伺っておりますが、そうしますと、トータルで、五十一年度は総額何万トンを輸入されたことになりますか。
  83. 大河原太一郎

    大河原政府委員 会計年度と米穀年度の差がございますが、五十一米穀年度に一万トン、それから五十二米穀年度で三万六千トンということでございます。     〔片岡委員長代理退席、委員長着席〕
  84. 小川国彦

    ○小川(国)委員 そうしますと、五十一年度、五十二年度を通じまして四万六千トン輸入をされた、こういうことでございますが、さらにその後、モチ米の不足状態というものは大変な状態になってまいりまして、ことし五十二年度からは三カ年計画で毎年二十五万トンずつ、こういう目標でまた進んでおるようでございますが、現在の予約は二十万トン、しかし、これも一割減ったと見ると十八万トンになってしまうだろう。さらに、手持ちが三万トンということになりますと、実数は二十一万トン、そうすると、さらに四万トン不足の事態が起こり得るのではないか、こういうふうに考えられるわけでございますが、この点はいかがでございますか。
  85. 大河原太一郎

    大河原政府委員 お話のとおり、われわれとしては大体二十五万トンが実需というふうに見ておりますが、二十一万トンないし二十二万トン程度の自給ということから考えますと、外米の二、三万トンの手当てということが必要になるかと思うわけでございます。
  86. 小川国彦

    ○小川(国)委員 いまの長官の御答弁ですと、不足は二、三万トンというふうに言われております。しかし、実態面から見ますと、通常モチ米は六十万トンぐらいというふうに推定されているわけです。そのうち自主流通が二十万トン、農家消費が二十万トン、自由米という形で二十万トン、六十万トンの流通があるわけでございますが、この流通の実態から見ますと、ことしの不足量というものは、結局、四万トンの不足に加えて、政府の手持ちを二万トンないし三万トンと見ると、六、七万トンの輸入をせざるを得ない事態に立ち至るのではないか、こういうふうに私どもは判断されるわけでございますが、この点どういうふうに食糧庁ではお考えになっておりますか。
  87. 大河原太一郎

    大河原政府委員 お答え申し上げます。  先生の御指摘にもございましたように、総生産量六十万トンのうちで、農家保有、自由米等の関係もございまして、その辺の全体を見て幾ばくかの——政府の方で予定いたします二十五万トンに不足いたすかどうかという点については、まだもう少ししさいな検討を要すると思いますけれども一つの見方としては、先生指摘の五、六万トンというような数字もあり得るというふうに思います。
  88. 小川国彦

    ○小川(国)委員 これから年末を迎えて恐らく正月のいろいろなもち、もち菓子類、そういうモチ米の需要が非常に高まってくる。現実にもうモチ米は一俵六十キロ当たり二万五、六千円という非常に高値になって、しかも品薄の状態を引き起こしておるわけです。日本の農家がモチ米をつくれないなら別でございますけれども、せっかくモチ米をつくる能力、力を持っている日本の農家がこのモチ米をつくらないで、外国からモチ米を輸入しているというのはまことにナンセンスな事態だ。日本の農家がこれから年間百七十万トンも削られる中で、去年、おととしで四万六千トン。いまモチ米が非常な高値を呼んでいる中で、この年末のモチ米が集まらない、年末年始のモチ米の需要に対してこれを食糧庁が供給し得ないということになりますと、私の推定で言えば六、七万トン、長官は二、三万トンと言っておりますが、当然それだけのモチ米を輸入せざるを得ないということになりますと、長官の言う数字をもってしても、仮に三万トンと見れば、この三年間にざっと七万六千トン、私の言うように七万トンと見れば十一万六千トン、こういうモチ米を外国から輸入せざるを得ない。これはやはり食糧庁の行政に計画性の的確な判断を欠いたということになりはしないか。百七十万トンを切るなら、まず、そのモチ米の適正割り当て、適正面積というものがちゃんと確保されていれば、何も国内でできるモチ米を輸入しなくてもよかったのではないか。こういう点は食糧庁として厳しい反省がなされなければならないのじゃないか、私はこういうふうに考えるわけでございますが、この点長官の御見解をひとつお聞きしたいと思います。
  89. 大河原太一郎

    大河原政府委員 お答え申し上げます。  確かにモチ米につきましては、全量、実需者と生産者とが結びついて生産流通される関係から、全量、自主流通で行われております。したがいまして、ときどきの需給価格関係で変動いたしますので、大体二年サイクルぐらいで生産が過剰になり、あるいは不足するというような事態を実はいままで繰り返してきておるわけでございます。したがいまして、御指摘のように、その調整をするために外米を輸入せざるを得ないというような事態ということでございます。したがいまして、この点については、おおむね国がその流通需要量について調整いたす二十五万トンというものについては、確実に別枠で予約限度を示しまして、それが確実に履行されるような施策というものが確かに必要でございまして、その年々の変動によって、需給について、非常に外米を輸入せざるを得ないというような事態は避けるべきものであるというふうに思うわけでございます。
  90. 小川国彦

    ○小川(国)委員 農林次官が見えておりますから、農林次官にも一応ただしておきたいと思うのですが、政府が明日ごろ発表するであろう米の生産調整を行うその百七十万トンというのは、これを全国に割り当てられると日本の農民としては大変な恐慌が起こるという状態であります。そういう中で、農林省が一方において、こういうモチ米の作付計画なり作付面積なり、あるいはまたその需給計画なりの中でこういうそごを来して、そのためにこういうような輸入せざるを得ない事態になった。これは政府自体においてもやはり反省をして、このものは国内の農家で自給できるという態勢をきちっと立てていく。これこそまさに手持ちが二年、三年あってもいいわけでございますから、そういう点から、このモチ米は国内生産でやる、緊急輸入のような事態は避ける、こういう農林省のきちんとした方針を立てていく、こういうことについて次官のお考えをひとつ承っておきたい。
  91. 羽田孜

    羽田政府委員 いま先生から御指摘のありました点につきまして、モチ米は、もう先生もよく御案内のとおり、需要動向が非常にアンバラがあるということの中に、契約栽培等も私どもの方で指導しておるわけでございますけれども、それがなかなか実際にうまく運営されておらないという実態もございます。こういったものを踏まえ、また、いま先生の御指摘のありましたことを踏まえながら、これから十分指導してまいりたいというふうに考えます。
  92. 小川国彦

    ○小川(国)委員 長官に念のためにもう一度伺いますが、この辺の備蓄はどの程度まで考えればこういう輸入の事態を避けられるか。
  93. 大河原太一郎

    大河原政府委員 お答え申し上げます。  実は五十年、五十一年では、四十九年、五十年の生産の大幅な増加、過剰生産を反映いたしまして、全農段階で五十年の持ち越し量が十万二千トンあったわけでございます。それから、五十一年が九万六千トンでございますね、次の年度に持ち越されたという数字があるわけでございます。したがいまして、そのためにやはり全農等の指定法人は、モチ米の実需ということから考えまして、その生産を抑えぎみにしたというために、五十一年、五十二年の年産のモチ米の流通出回り量が不足しておるということでございます。  したがいまして、これについては、ただいまも基本的な方針についてのお尋ねがございましたが、やはり契約栽培につきましても、モチ米等については生産団地をしっかりつくって、それに対する契約の履行その他について相当な助成を行い、過剰になった場合には調整保管を制度的につくっておく、先生のおっしゃいますような一種の備蓄でございます。そういう点によりまして、過剰になった場合に、いわゆる過剰になりますとすぐ減産というようなことでなくて、これを調整保管いたしまして、これは自主流通でございますから、指定法人等にはその金利、倉敷その他十分めんどうを見るというような形で調整保管の制度整備いたしまして、先生指摘のような備蓄についての機能を働かせたらいかがかということでございまして、その数量等については、なおどのくらいいけるかというふうに検討したいと思っております。
  94. 小川国彦

    ○小川(国)委員 これはもう一度農林次官に申し上げますが、これは確かに実需者と生産者の間でやっている問題でございますけれども、事は、いま長官の御答弁にありますように、政府保管なり調整保管なりをきちんと持っておれば、日本の農民のつくったモチ米で十分自給できるわけでございますから、これのための財政措置等については農林省もきちんとやる。そして、今日、五十二年五十三年に起こるような緊急輸入、モチ米を外国から買わなければならない、こういう事態は避けるということを、農林省だけじゃなく大蔵省も含めて、来年度の予算の中でもこうした体制をきちんとつくる、こういうことをお約束をいただきたいと思います。
  95. 羽田孜

    羽田政府委員 ただいま長官からも具体的に申し上げましたように、調整保管の制度、こういったものをびしっとすると同時に、これに対する国からの助成、こういうものによって、この増減というものがやたらに起こらぬように私ども十分努めてまいりたいと思います。
  96. 小川国彦

    ○小川(国)委員 次に、通産省の農水産課長お見えになっておると思いますが、米の生産調整をしていく中で大きな問題は、外麦輸入による圧迫、これが避けられない問題としてあるわけでございます。五十二年度で見ましても、えさ用で百三十二万二千トン、主食用で三十二万一千トンでございまして、合わせますと百六十四万三千トン大麦において輸入しておる。それから、主食用、えさ用の小麦において合わせて五百五千万トン、両方合わせますと七百十四万トンという大麦と小麦を輸入をしておるわけでございます。私ども、この米の生産調整が百七十万トン、十年間行われる、こういう事態を考えてみますと、先般来のこの質疑を通じて農林省あるいは農林大臣は、麦の自主的な生産量が高まっていけば輸入は減らしていくんだ、こういう答え方をしているわけなんですが、これは表裏一体、因果関係がありまして、麦の自給体制を高めていくということも必要でございますが、同時に、外麦輸入の数量というものを今後十年間にどういうふうに落としていくのか、そういう考え方というものも当然農政の一環としてなければならないわけでございまして、そういう点を通産省の農水産物の輸入の課長はどんなふうに考えているか、お伺いしたい。
  97. 矢口慶治

    ○矢口説明員 麦の輸入に関しましては、食管物資ということになっておりますので、私ども輸入割り当てをするに当たりましては、農林大臣の許可があったものについて輸入をしていくという方針でございまして、その許可をどういう形でしていくかということは、あらかじめ農林省と十分打ち合わせをしまして、事前にある程度計画を立てながらやっているというのが現在の実態でございます。
  98. 小川国彦

    ○小川(国)委員 ちょっと参考に伺いたいんですが、この麦輸入による商社の手数料というのは、大体、年度どのくらいの手数料が入っているというふうに推定されますか。
  99. 矢口慶治

    ○矢口説明員 どういう輸入コストによって輸入をしているかということにつきましては、食管会計の方で、その辺の買い入れ等の段階で把握をしておられるだろうと思います。私どもの方では具体的に承知をしておりません。
  100. 大河原太一郎

    大河原政府委員 外麦の政府買い付け価格における手数料の見方という点については、われわれとしては実績としては一%程度であろうというふうに思っております。この数字自体は、純民間物資でございますトウモロコシその他飼料というものとほぼパラレルなものというふうに承知しております。
  101. 小川国彦

    ○小川(国)委員 金額にいたしますと、どのくらいになりますか。
  102. 大河原太一郎

    大河原政府委員 総輸入金額から推計いたしますと、二、三十億、非常にラウンドの数字で恐縮でございますが、手元に資料がございませんので記憶によりまして申し上げているのでありますが、二、三十億というふうな大きさであるというように承知しております。
  103. 小川国彦

    ○小川(国)委員 続いて、通産省の農水産課長にお伺いしたいのですが、いま日本の総物資の輸入量は約十九兆円、そのうち農林水産物が約六兆円、純粋な農産物だけでいくと三兆円、こういうふうに言われておりますが、この三兆円の農産物資の輸入の中で、商社の手数料はおよそどのくらいあるというふうに推定しておりますか。
  104. 矢口慶治

    ○矢口説明員 総体の輸入手数料がどの程度かということにつきましては、品目によってそれぞれ違うと思いますけれども、通常私どもいろいろな物資を扱う際に聞いておりますところで私が現在判断をいたしますと、四、五%、また多いもので一割というようなこともあろうかと思いますが、その程度ではないかというふうに感じております。
  105. 小川国彦

    ○小川(国)委員 これは一〇%に見ると三千億ですし、四、五%に見ると一千五百億。麦の方の取り扱いで、先ほど長官は二十億か三十億とおっしゃられましたが、農産物輸入をめぐる商社の利益というものは、いま政府の把握していらっしゃる数字の中でもその程度でございますから、細かく挙げていくと、私は大変な収益、利益というものがあると思うのですね。これを今後どういうふうに抑えていくのか、こういう考え方がないと、この壁を破ることなくして日本の農産物生産力を自主的に高めていくといっても、これはなかなかでき得ないことではないか。ですから、農林省のいわゆる米の生産計画というものとこういう農産物の輸入を抑えていく計画というものは、相並行して行われなければならない。一方国内の生産を高めていく、一方輸入を落としていく、そういう十年間なら十年間を展望したものがないと、この輸入の枠、輸入の壁を破れない限りは、いつまでたっても日本の農民による国内農産物の自主的な生産力を高めていく、国内自給の体制をつくっていくということは容易でないと思うのですが、この点、米を担当する食糧庁長官にはまことにむずかしい問題ではないかと思いますが、長官としてはどういうふうにお考えになるか、きょうは農林大臣いませんので、ひとつかわって御答弁をいただきたいと思います。
  106. 大河原太一郎

    大河原政府委員 全農産物につきまして、国内的な総合自給力を強化するという点について、現実的な条件を基盤にいたしましてできるだけ自給力を高めるという点につきましては、先生御案内のとおり、昭和六十年までの「農産物需要生産の長期見通し」でその政策的な姿勢は示しておるわけでございます。これは各作物別に違っておるわけでございます。  さて、米を担当する私の方からの直接の関係といたしましては、輸入麦の問題でございます。輸入麦について、これをどう考えるかという点でございますが、この点につきましては、食糧庁が輸入麦について一元管理しております。したがいまして、毎年毎年の全体の需給計画については、総需要量を見て、それから内麦の供給量を引いた残りのものを輸入するというたてまえをとっております。  ことに現在におきましては、いたずらに過剰な麦の輸入により麦製品の市場の開拓をすることについては、ただいま前面に出ております米の需給均衡という問題を果たさなければならないというようなことからいたしまして、われわれといたしましては、昨年以来、五十一年、五十二年は人口増程度のものをプラスする程度ということで抑えております。そのために、御案内のとおり、最終消費者には御迷惑をかけておりませんが、中間の企業需要で麦が足らぬとかいうお話を間々承るわけでございますが、そういうふうにして国内の最終需要にきちんと見合った全体需給計面に基づいて輸入いたすという方向で進んでおるわけでございます。  なお、今後、米の需要の確保なり消費の拡大、たとえばいろいろ御議論も賜っておりますが、米粉の小麦粉混入その他の施策というような需要の拡大によりまして米の需要で置きかえられる部分については、当然外麦の輸入量はそれに伴って減らしていくべきものと思っております。  ただ、この点でしばしば御議論を賜りますが、現在一挙に、あるいは相当数量外麦の輸入量を制限することは、麦製品が日本人の食生活に定着していることは否定できませんので、これによって値上がりとか品がすれとかいろいろな問題等も生じますので、その辺の実情の推移を見てやっていくべきものと考えております。
  107. 小川国彦

    ○小川(国)委員 畜産局長においでいただいておりますので、これに関連して、いまえさ用の大麦の国内の生産が非常に伸びてきておりまして、昭和五十年に九千トン、昭和五十一年に一万三千トン、昭和五十二年は二万三千トンと、契約栽培の中でえさ用の大麦が農家によってたくさんつくられる、こういう形になってきているわけでございますが、これの取り扱いは畜産局でおやりになっていらっしゃる。また一方、食用の麦については食糧庁でやっていらっしゃる。どうもえさ用につくられた麦が非常にいいものができる。そうすると、せっかく人間が食べられる麦を家畜に食わせるような事態も起こっている。だから、将来的には畜産局として、食糧庁と麦の問題を何とか体系的に一元化していく方向考えるべきではないか。そういう中で、いいものは人間が食べる、悪いものについては家畜が食べる、これは自然の道理のように思うわけなんです。そういう方向考えていかなければならないのじゃないかと思いますので、畜産局長さん、食糧庁長官さんおいでになるので、それぞれこの辺をどういうふうにお考えになっていらっしゃるか。  それから、もう一つは、いま国内産の麦の生産は二万トンぐらいでございますけれども、これをどんどん奨励していきますと、これから麦はふえる。それから、百三十二万トンぐらい入っているいまの麦の輸入は当分変わらないでいくかもしらぬ。こういう状況でいきますと、二万トンの方はこれから農林省方針としてはどんどんふやす、国内自給の麦はどんどんふやしていく、輸入は減らしていく、こういう考え方になりますと、これに対して国内産のえさ用麦の生産奨励拠出金ですか、これはいま七百円ぐらい輸入麦には乗っかっているわけですね。輸入麦を減らしていくということになると、いろいろな団体が負担している七百円という額を引き上げていかなければならなくなるだろう。そうなってまいりますと、国内の麦の生産を上げて自給体制を高めていくことは当然だし、外麦の輸入を減らしていくことも当然、しかし、その外麦からえさの方にとっているいままでの奨励金の金額をふやさない限りにおいては、今度はえさ高になってくる可能性がある。だから、確かに国内生産の麦を高めていくのは大命令ですからやっていかなければならないのですが、その反作用として今度えさ高になってくるようなことになっては、いま七百円はそっくり生産者の上に乗っかってきているわけですから、これがもっとふえると、今度は畜産農家の方にそれが響いてくるおそれはないのか。その辺の配慮をどういうふうに考えておられるか。
  108. 大場敏彦

    ○大場政府委員 いま御指摘になりましたように、国内産の飼料用麦につきまして、畜産農家側と麦生産農家側との間でいわゆる契約生産という形でお互いにルートをつないで増産してもらっている、こういう形をとっております。そのときに、畜産農家の使い得る飼料価格としての麦価の水準と麦作農家が再生産を確保するためのコストの水準は、当然価格差がありますから、それを補てんする意味で、いま御指摘になりましたように、一つは六十キログラム当たりの奨励金を根っこに置いて、さらに政府が輸入飼料を売却するわけですが、売却する場合に売却先の団体から拠出金を出してもらう。これは従来は大麦を売却する場合にトン当たり七百円という拠出金を出してもらっておりましたが、五十二年度からはそれだけではなくて、さらに増産ふすまを売り渡す場合に、それについてたしかトン当たり二百三十円だったと記憶しておりますが、そういうものを拠出して、それをいわゆる価格差の補給財源に充てている、こういった措置をとっているわけであります。  そこで、お尋ねになりましたように、今後仮に国内産麦が増加し、輸入麦が傾向としては減っていくということに相なりますと、そこで畜産農家の負担がふえるのじゃないかというお尋ねでありますけれども、いま御説明いたしましたように、今年度から新たに大麦だけではなしにふすまにつきましても拠出奨励金を創設したということであります。  なお、形式的には実需者団体、政府のえさを売る相手方から取っておりますけれども、実は政府の売却する値段をその分だけ考慮して、端的に申し上げれば安くして売っているということですから、実質ありように申し上げますれば、それだけ政府が負担しているといった形で対応しております。決して畜産農家の負担増にならないような形で対応している。  普通、政府の売却飼料の値段は、ピーターソン方式とわれわれ称しているわけですが、要するにえさの持っている栄養分の含有量を基準にして決めているということでありますから、それよりも安い値段でえさの実需者団体に売って、その安く売った分を畜産農家の方に回してもらっているという形をとっておりますので、畜産農家の負担にはならないような形で軽減を図っているわけであります。  将来、国内産麦が増産されるに応じてどうなるかという問題がありますが、この問題は結局、政府が売却する大麦なりあるいは小麦の値段をどの程度値引きするか、そういった値段とも関係するわけでありますから、いずれにいたしましても、畜産農家の負担増にならないような形でわれわれは対処していきたいと思っております。  それから、最初にお尋ねになりました麦の食い分けの問題です。つまり、いい麦は人間が、低質麦は家畜が、これは一つの大きな御議論だろうと思います。それから、同時に、国内産麦と輸入外麦、これはえさの問題でもあるわけですから、それをどうするかという問題はかなり根本的な問題でありまして、いま私がここで断定的なことを申し上げる段階にはまだ私自身の考えもまとまっておりませんが、いずれにいたしましても、今後大きな問題として、この食い分けをどうするかということは、畜産振興審議会等におきましてもいろいろ議論のあるところであります。まだ十分なコンセンサスができておりませんし、これはもうちょっと研究させていただきたいと思っておるわけでございます。
  109. 小川国彦

    ○小川(国)委員 時間があれでございますから、最後に一つ。  構造改善局長さん、おいでになっておりますか。——生産調整の問題に関連しまして、印旛沼の干拓地が干拓が終わり、仮配分が終わってすでに十年近くなろうかと思うのでございますが、依然として仮配分のままで数百ヘクタールの農地が放置されておる、こういう状況にあるわけです。これは国の農業施策として見ましても、仮配分のまま放置されている、それから、その中には新規入植に入った者が既存の耕地を処分するということをきちっと行っていない。ですから、そういう中での混乱もある。構造改善局としては、印旛沼干拓という戦後三十年近くかかった大変な事業を、完成の時期においていま放置しておるのじゃないか、こういうふうに私どもは実態を見ているわけでございますが、これに対する今後の営農指導なり、それから本配分土地の利用というものをどういうふうにやっていく考え方を持っておられるのか、その点を関連してお尋ねしたい。
  110. 森整治

    ○森(整)政府委員 御指摘の問題でございますが、完了がおくれておりますのは、地区内の圃場整備事業をやっておることが一つと、それからもう一つは、係争中の土地が九ヘクタールばかりございます。これをどうするかということで手続がおくれておりましたことは大変申しわけないと思っておりますが、それを残しまして、九ヘクタールを除いて本年度中に竣工いたしたいと考えております。そういたしますと、土地配分計画に基づきまして所有権が移転されるということに相なるわけでございます。と同時に、圃場整備も完了いたす予定にしております。したがいまして、圃場整備が完了いたせば、背後地の所有権を持っておられる方はこっちへ移るわけですから、それは御処分いただくということでお約束どおり履行していただくというふうに考えております。
  111. 小川国彦

    ○小川(国)委員 その点について、地元でいろいろ誤解や混乱もありますので、適切な指導が行われるように要望しておきます。  終わります。
  112. 金子岩三

    金子委員長 西宮弘君。
  113. 西宮弘

    西宮委員 私、ほんの一言だけでございますが、関連質問をさせていただきます。  構造改善局長にお尋ねをしたいのでありますが、生産調整が非常にやかましいいまの時代であります。したがって、これに関連いたしまして、いわゆる市街化区域の線引きの見直しというような問題が起こっておるわけですが、これは当然関連づけて考えていい問題ではないかというのが私のお尋ねしたいいわば原則なんでありますが、具体的な例として申し上げたいのは、私の住んでおります仙台を中心とした仙塩広域都市計画というのがありまして、その中で農地を改めて宅地にしたいという問題があるわけであります。つまり、市街化区域の線引きの見直しをしてほしい、こういう問題が出ておるわけであります。これがずいぶん時間がたっておるのですけれども、一向に進展をしないわけであります。一方において、生産調整という非常に重大な課題を農民は課せられておるわけでありますから、他方で、農用地には非常に不適当だ、特に水稲作等にはきわめて不向きだ、そういう土地は整理をしたい、こういう要望を農家の皆さんが持っておるわけでありますが、これにはどういうふうに対処されるのか、まず伺いたいと思います。
  114. 森整治

    ○森(整)政府委員 御指摘のように、市街化区域の農地、ことに水田につきましては、今回は傾斜配分をするということでできるだけ転作をしていただく、そういう考え方農林省としては対処をいたしておるわけでございますが、御指摘の問題につきましては、一般論といたしまして、市街化区域の設定の手続は、県が建設大臣に認可を受ける、農林省はそれに協議を受けるという形で処理をいたしております。御承知のように、仙塩地区もそうですか、五年ごとに見直しを行うということが原則になっております。それ以外でも、建設当局から協議があれば、われわれは喜んで協議に応ずるという態度でおるわけでございます。  そこで、御質問の仙塩地区でございますが、昨年の七月に調整を行いまして、いろいろな問題がございましたので、私どもも東北農政局から逆に本省段階に引き上げまして、建設省と農林省の間で具体的に詰めまして処理をいたしたわけでございます。それはたしか七月でございまして、決定をいたしまして告示をしたつもりでございます。その農林大臣との協議を終わりまして、取り込まれた農地面積が約四百六十ヘクタール、このうち水田は約二百九十ヘクタールということになっております。なお、その際、市街化区域拡大面積は約三千ヘクタールということでございます。  いま先生の念頭に置かれておる問題がどの地域に該当するのかちょっとわからないものですから、個別の問題として具体的には別途御相談をしてみたいと考えております。
  115. 西宮弘

    西宮委員 個別の問題については別途私どもの意見も聞いてもらうということでありますならば、その際にまた詳しく申し上げてよろしいと思うのでありますが、仙台の中でも荒浜あるいは深沼地区という地区がありまして、この地区などは、一方は海で片方は川で、その間にはさまれた地域なんであります。そこはきわめて農家が密集しておりまして、本当に狭い農家の集落なんです。車も中に入れない、あるいは農機具置き場などをつくろうと思っても、そういう余地は全くない。それで、川をはさんだすぐ向こう側に農地があって、そこを市街化区域の中に入れてもらえれば、そこへたとえばせがれに嫁をもらったので家をつくるとか、そういう問題等がいろいろあるわけです。だから、そういう際にはそこを利用させてもらう、こういうことで、非常に熱心な要望が出ているわけです。私も何回か現地に参りましたけれども、密集地域は本当に気の毒だという感じがするわけです。あるいはまた、中には、そういうところでありますから、もともと農用地としては不適当だ、特に水田には向かない、こういう土地だから、そこを売り払ってしまって他に新しい農地を求めて新しい営農をやろう、つまり果樹畜産などですね、そういう新しい農法に切りかえようというようなことを熱心に考えている人たちもあるわけです。そういう人も全部そこが市街化区域に入らないということによって、いま言ったようなことが実行できない、こういうことに現在あるわけでして、ですから、ぜひこれをそういう実情に即して早くやってもらいたい。  私も農政局とも大分前にお話をしたことがあります。農政局では、そこはそれとしていいんだけれども、われわれとしては全体を見なくちゃならぬ、東北農政局としては管内全体を見なくちゃならぬ、そういうことで、そうにわかに結論が出せないんだという話をしておりましたけれども、それももっともだと思いますけれども、もう余りにも時間がたち過ぎているわけです。市あるいは県、それから建設省もこれには了解しておる、同意をしておるわけです。無論、農業委員会等も全部それが通っているわけです。ところが、農林省、つまり農政局が一つひっかかっておりまして進行しない、こういう現実なんです。ですから、ぜひこれを見て早くやってもらいたいということがわれわれ現地の人間の切なる要望なんですが、もう一遍お答えしてください。
  116. 森整治

    ○森(整)政府委員 私、ちょっと記憶違いかもしれませんけれども、飛び地になっておる場所ではなかったかと思うのですが、それはともかくといたしまして、せっかくの御質問でございますので、至急調査をいたしまして、できるだけ善処をしたいと思います。
  117. 西宮弘

    西宮委員 ことしの予算委員会でも、私は分科会で農林大臣にこの問題について質問をしたんですけれども、ただし、この問題といいましても、全く一般論、原則論を言っただけですから、局長などまでその問題について十分理解をいただいておるというふうには思いませんけれども、原則論として申し上げたのに、まあ原則論としては大臣も賛成をされたわけです。ですから、いま局長お話のように、ぜひ具体的な問題としてできるだけ早急に解決をするようにひとつお願いしたいと思います。  非常に限られた時間でございますので、次は経済局長にお尋ねをしたいのでありますが、農協の検査官というのがございますが、これは何名おられるのでしょうか。
  118. 今村宣夫

    ○今村(宣)政府委員 検査官は、農林省の職員としては二十六名おるわけでございます。
  119. 西宮弘

    西宮委員 その二十六名の検査官に対して、これはあくまでも農協の健全なる運営を確保するというために検査に当たるという、そういう任務を持った職員であるわけでありますが、こういう人に対しては、いわゆる職務執行のあり方と申しますか、そういう点について局長としてどういう要請をしておるか、そういうことをお尋ねをしたい。  もう少しざっくばらんに申し上げると、検査に行った際に、たとえば接待を受けるとかあるいは手みやげをもらうとか、そういうような問題等についてはどういうふうにふだん指導しておるかということをお尋ねしたいと思う。
  120. 今村宣夫

    ○今村(宣)政府委員 検査官は、検査を行いますに当たりましては、厳正な態度で検査を行うべきものであり、また検査の結果知り得た事項につきましては、その秘密を保持するということが検査官の心構えであろうかと存じまして、そのようなことで検査官を指導監督をいたしておる次第でございます。
  121. 西宮弘

    西宮委員 厳正な態度で検査に当たるというのは当然だと思いますが、私がいまお尋ねをしたのは、いわゆる接待を受けるとかあるいは手みやげをもらうとか、そういうことについてはどういう指導をしておられるかということです。
  122. 今村宣夫

    ○今村(宣)政府委員 検査官が検査に行きました場合にいろいろ接待を受けるということは、これは厳に慎むべきことであり、また、そのように処理をいたしておるところでございます。
  123. 西宮弘

    西宮委員 厳に慎むという言葉はかなり解釈に幅があるわけですけれども、たとえば今度、会計検査院の問題が問題になっておりまして、国会での論議を聞いておると、会計検査院としてはそば一杯ごちそうになってはならぬ、こういうことを命じておる。しかし、実際はそれが破られたので、今度ああいうことが問題になっておるわけです。いわゆる具体的に、接待を受けるとかそういう問題については一切やっちゃいかぬ、こういうことを命じておるのか、あるいはこの程度ならいいじゃないかというようなことを指導しておるのか、そういうことをお聞きしたいと思う。
  124. 今村宣夫

    ○今村(宣)政府委員 従来、県に行きまして、県庁等で一回だけ儀礼的に食事をともにするというふうなことがあったようでございますが、先般、会計検査院等の問題がございましたので、私の方はそういうこともやめるようにそれぞれ関係部局に指示をいたしているところでございます。
  125. 西宮弘

    西宮委員 県庁に行って、県庁で食事をともにするというようなことはまあよろしいというおつもりかもしれませんけれども、私が指摘をしたい、あるいは伺いたいと思うのは、そうではなしに、農協の検査に行って農協から料亭でごちそうになる、こういうようなことはどうなんですか。
  126. 今村宣夫

    ○今村(宣)政府委員 検査に参りました連合会と料亭等で食事を行うということは適当でございませんし、今後はそういうふうなことはないように厳重に指導をいたしてまいりたいと考えております。
  127. 西宮弘

    西宮委員 今後はやらないというのは、いままではやってもよろしい、こういうことであったわけですか。
  128. 今村宣夫

    ○今村(宣)政府委員 いままででもそういうことはやってはいけないことでございます。
  129. 西宮弘

    西宮委員 いままででもそういうことは一切やってはならぬ、こういうことで臨んでおられたということでありますが、実は宮城県の場合にはそうではなしに、この前、共済連の検査に来られたわけですけれども、その際は料亭で宴会をしているという事実があるので、これは局長、全く御存じありませんか。
  130. 今村宣夫

    ○今村(宣)政府委員 宮城県の共済連の検査に参りましたときに、私の方の検査官と県の職員とそれから共済連の方と一緒に食事をしたということは承知をいたしております。
  131. 西宮弘

    西宮委員 局長承知をして、かつ、それはよろしい、こういうお考えでございますか。
  132. 今村宣夫

    ○今村(宣)政府委員 本件につきましては、職員に厳重に注意をいたすところでございます。
  133. 西宮弘

    西宮委員 実はこのことは、私は労働組合の情報で指摘をされたので承知をしたわけですけれども、それでは、いまこの席でなくて結構ですから、どこでそういう接待を受けたか、そしてまた、その接待を受けた検査官はだれであったか、こういう点をぜひお知らせを願いたいと思う。  実はこの問題は、この前検査が行われて間もなくのころ、労働組合の情報で流されたわけであります。労働組合なんかは非常に重大視しておるわけです。あえて労働組合だけではない、この問題に関心を持つ人たちは少なくないわけですね。恐らく局長のお耳に入っているというのも、そういう労働組合等が指摘をしているということがあったからだと思います。  実は私もこれには大変なショックを受けました。手前みそで恐縮でありますが、私は国会に最初出てまいりましてから特に政治資金を扱う委員会に所属をいたしまして、こういう問題を、つまり政治の浄化とかあるいは綱紀の粛正とか、そういうことをばかの一つ覚えにいままで一生懸命やってきたわけであります。そこで、この事実、労働組合の資料等には使われた金額などまで載っておるわけです。私は非常なショックを受けたんでありますが、今日までこの問題、どうしようかと思って実はひそかに悩んでおったのでありますが、たまたま会計検査院の問題が出て、検査官の態度ということが非常に重大問題になったので、私はその点明確にしておきたいと思うので、後でもっと詳細をお聞きをしたいと思います。  なお、ついででありますから、今度の検査はいわゆる特別検査ですね、宮城県の共済連へ行かれたのは。常例検査ではなしに特別検査であります。したがって、これは当然に最初からある問題意識を持って検査に行っているわけです。そういう重大な特別検査の際にそういうことが行われているということは、これは労働組合ならずとも非常な問題だとわれわれ考えるわけです。そのとき、どういう問題を問題として行かれて、検査の結果はどういう結果であったかということを簡単に聞かしていただきたいと思います。  もっと具体的に言えば、新聞等に報道されておりますのは、二十一億の不良貸し付けがある、こういうことで、農林省が検査に来た結果わかったということが何回も新聞に報道されておるわけであります。それがそもそも検査に行かれた最初の理由だと思いますけれども、そして、その結果はどうであったのか。依然として二十一億の不良貸し付けであったのかどうか。その辺は新聞等にも報道されておりませんので、結局、不良貸し付け、つまり回収不能であるとかあるいは回収困難であるとか、そういうのはいかほどの金額であったのか、聞かしていただきます。
  134. 今村宣夫

    ○今村(宣)政府委員 宮城県の共済連につきましては、特別検査といたしまして二月に検査をいたしたわけでございますが、これは宮城県の共済連におきます不動産担保貸し付けについて検査を重点的に行ったところでございます。  その検査の結果でございますが、新検査時点で判明したことは、一つは、貸付金のうち約三十億円余りが延滞をいたしております。そうして、その貸し付け時の審査、貸し付け後の債権の保全、その回収等につきまして、改定すべき点が認められたのでございます。その他、担保の評価等につきましても、是正すべき点があるということでございます。したがいまして、私たちとしましては、検査において、執行管理体制の強化、不動産担保貸付金の回収、保全について指摘をいたしまして、それと並行して、担保物件について再評価を行って損失額を明確にすると同時に、会員の組合員の方々の十分の理解を求めて、債権回収、損害の補てんを計画的に行うように指導をいたしておるところでございます。  お話の二十一億円というのは、ある一つの建設会社に対して貸し付けた残高でございます。
  135. 西宮弘

    西宮委員 終わりにいたしますが、その検査の結果、最終的にいまお話しになられたようなそういうことをいろいろ手だてを講じて、しかし、どうしても最後にこれだけは回収できない、あるいは回収きわめて困難だというふうに認定をされた金額は幾らですか。
  136. 今村宣夫

    ○今村(宣)政府委員 全体の評価のし直しにつきましては、現在、鋭意共済連においても行っておるわけでございますので、トータルの金額としてこれだけは不十分であるという額は出ておりませんが、その建設会社に貸し付けました当初貸し付けの二十三億円のうち、五十二年三月末現在の残高で二十一億に相なっております。これの担保の評価でございますが、これにつきましては、開発利益を含んだ相当高い単価で評価をいたしておるわけでございます。そういうことをいたしましても、担保の不足額が約三億円ぐらい出るという計算に相なります。もし、その評価を、たとえば評価の七掛けという通常の担保の評価をいたしますと、十億ぐらいな赤字が出るという形に相なるわけでございます。  その一件はそういう計算に相なりますが、その他の件につきましても、現在、鋭意評価を行っておるところでございます。
  137. 西宮弘

    西宮委員 時間がありませんから、これで終わりにいたしますが、いま現在なおその再評価をしているとか、いろいろそういう局長お話でありましたから、最初の一応出た数字は三億あるいは十億というようないまの御答弁に対して、さらにその後、その評価のやり直しとかいろいろなそういうことを作業中だというお話でありますから、それが明確になったならば、これまた後で聞かしてもらいたいということをお願いしておきたいと思います。
  138. 金子岩三

    金子委員長 神田原料。
  139. 神田厚

    ○神田委員 引き続きずっと論議をされております米の新しい生産調整の問題につきまして、御質問を申し上げたいと思うのでありますけれども、ずっと皆さんの論議を聞いておりますと、ますます来年度からこういう形でこの生産調整の新たな実施をするということが非常に困難ないろいろな条件を持っているということが浮き彫りにされてきているわけであります。そういう中で、私はやはり前にも御質問申し上げましたけれども、どうしてもこういうふうな状況の中で、来年度からこういう大きな生産調整をするべきではないという原則的な意見を持っているわけでありますけれども、もしも、こういうふうなことをなさっていくということであるならば、今度はどういう方法でこういう問題をしていくのかという、ひとつそういうふうなものをきょうは御質問させていただきたいと思うのであります。  この前から大きな問題につきましては何度か御質問申し上げておりますが、まず政務次官おいででございますので、この新しい生産調整に対するいわゆる取り組みの中で、こういう形で百七十万トンの生産調整をしなければならないという、言ってみれば農林省は決断を下したわけでありますが、こういう決断をどういう時点で、どういう省内の検討を経て、そういうふうな結論を出したのか、その点を一点御説明をいただきたいというふうに思うのであります。
  140. 羽田孜

    羽田政府委員 お答えいたします。  ことしのちょうど春、四月ごろからでございますけれども、今年度の需給事情、そしてこれからの見通し、こういったものを見きわめた上で実は検討を始めたところでございます。  検討の経過は、もちろん省内で詰めますと同時に、生産者の代表の皆さん方、あるいは市町村関係の方々、あるいは県の皆さん方、こういった皆さんと寄り寄り協議してまいったところでございます。
  141. 神田厚

    ○神田委員 四月ごろから今年度の収穫とそれから先の見通しの中で始めたということでありますが、生産者との話し合いというのはどういうような形でなされましたか。
  142. 澤邊守

    澤邊政府委員 生産者団体との話し合いは、ただいま政務次官がお答えいたしましたように、省内では赤ごろから需給動向についてもう一遍見直したり、あるいは新たに生産調整対策を見直すというようなことを始めてまいりましたが、その間に、そのころは需給事情につきまして当初われわれが予想したところよりはかなり様相が変わってきておる、潜在生産力はかなりふえておるのではないか、あるいは消費が予想外に停滞しておる、その辺の需給動向につきましては、春ごろから公式、非公式に農業団体にも御説明する機会を持ちましたが、具体的に水田利用再編対策についての考え方について、わが方なりの考え方をお示しをし、また、それに対する農業団体としての公式、非公式の意見を求め、何回も協議を繰り返したわけでございますけれども、始めましたのは八月の上旬からでございます。
  143. 神田厚

    ○神田委員 そういうところにやはり一番の問題が出くると思うのですね。八月ごろから突然言われても、それに対応するようなことができるわけがないのであります。しかも、そのやろうとしていることが大変な大がかりなことでありまして、それをことしの八月ごろ日をかけ始めて、そして来年度に向かって実施をしようということ自体、非常に無理があるというように考えているのです。  それで、生産者の団体に対して話し合いをしたということでありますけれども、私は十分にそれがこなされてないというふうに感じているわけであります。そして、そういう中で、ことしの収穫と見通しを見ながら百七十万トン、とりあえず三年連続これをやるというふうなことでございますけれども、それでは、そういうような形でやられた後は、来年度は来年度でまたその時点で考え直すのかどうか、そういう点はいかがでございますか。
  144. 澤邊守

    澤邊政府委員 この前提出いたしました需給均衡化対策につきましての資料にも書いておりますように、今回の対策はおおむね十カ年という長期の対策として進めたいというふうに考えておりますが、その中を一期三年に区切りまして、初年度である来年から三カ年間は、百七十万トンという調整目標数量につきましては固定をしていく。また、原則として奨励措置転作奨励金その他の奨励措置につきましても大体固定をしていく。三年たったところで見直していきたいというような考え方を原則としてとっております。
  145. 神田厚

    ○神田委員 そうすると、どうしてもあくまで三年を一区切りというふうな形でやっていくようなことであるようでありますけれども、私は、とにかくいままでの話を聞いておりましても、どうも農林省も非常に自信がない。一体これだけのことができるのかどうかというきちんとした、何というか毅然とした態度もないようでありますし、さらに、その自信もないようなこういうものが果たして成功するのかどうかというのは非常に疑問が多いところであります。したがいまして、いろいろな情報によりますと、今週中に都道府県別の配分について決定をするというような話も聞いておりますけれども、一体そういうような形でやられるのかどうかということと同時に、都道府県から先の段階についてはどういうふうな形でこれをやるのか、都道府県のそれに全部任せてしまうのかどうか、農林省としてはそういうふうなものについてどういう指導をしているのか、その辺をお聞かせいただきたいと思うのであります。  と申しますのは、末端の農家では、ことしの実績によって自分たちのところが減らされるのではないかということで、栃木県などはことしは非常に、まあ平年作までいかないのでありますが、農家が食べる飯米というものをそれまでとにかく出してしまいまして、自分たちの食べるものについては米屋さんから買って食べるようにしようというようなことまで考えている人たちがたくさんいるのであります。これは現実なんです。そういうふうな農家の人がたくさんいる。  ですから、非常に情報が混乱しているというか、うまくきちんとした話が伝わってないというか、ともかく大変な混乱を生ぜしめているわけでありますが、そういう意味で都道府県に対する配分と、それからさらに市町村に配分されるようなものの行政指導というのはどういうふうになされるのか、ちょっとお聞かせいただきたいと思います。
  146. 小島和義

    小島説明員 お答えを申し上げます。  国から都道府県に対する目標の配分につきましては、農産物需要動向に応じまして、かつ地域特性に応じた農業生産構造を確立するという姿勢に基づきまして、各般の要素を細み合わせて配分をするということで、ただいま検討をいたしております。  都道府県から市町村、さらに市町村から農家の配分というのは、考え方としては大体同じような考え方で行われるということが望ましい、こういうふうに思っておりますが、具体的なやり方については各地域のさまざまな実態がございますので、都道府県知事あるいは市町村長配分のやり方についてはお任せをいたしておるということでございます。  各県からも、一体国がその県に対してどういう考え方配分をしたのかということはぜひ詳しく知らせてもらって、それを県内の配分の参考にいたしたい、こういう要望もございますので、そういう要望にかなうように措置をいたしたい、こういうふうに考えております。
  147. 神田厚

    ○神田委員 そうしますと、県の方には配分をして、後は県の方に、その各市町村に対するものはまあ適当にやれというような形でありますね。そういうことでは、農林省がきちんとした百七十万トンのものをやろうとすること自体ですら、これはなかなかむずかしいのじゃないですか。  それで、たとえば地域分担指標を示すというようなことがあります。さらに、この減反の数量を示すというふうな問題の中で、一体、都道府県にただ米の減反問題だけを示すのであれば、ほかの、このところは何をつくれというような指示をしなかったならば、重点の転作作目というものを幾つか並べておりますけれども、何がつくられても第一年度はかまわないということなんでしょうか。つまり、どこの県についてはどういうふうなものをつくれ、それからどこについてはどういうふうなものをつくれというふうな、ある程度の目安みたいなものを一緒に示していくのかどうか。そうでなかったら、極端な言い方をすれば、どこも小麦をつくってしまったら、大豆などはつくらないということになったらどうなるのだという問題が一つあるわけです。その辺のところをどういうふうに考えて、どういうふうな指導をなさっているのか、配分の中でどういうふうにそれを消化していっているのか、お聞かせいただきたいと思います。
  148. 堀川春彦

    ○堀川政府委員 これは従来からも私ども転作目標面積の配分をしますに際しまして、その内訳である作目というようなものを示してやっていないわけでございますが、これには理由がございまして、先生のおっしゃるような趣旨でのことをやろうと思いますと、末端からの積み上げということをある程度やらざるを得ないということが必要になってまいるわけでございます。  それと、もう一つは、県さまざまのいろいろな事情がございます。御意見を集約するのもいろいろの方法があって、末端の声なども聞きながら、県は県としての、こういう具体的な作目をつくったらどうかということを御指導になるわけでございます。これはただ単に目標面積だけでなしに、県は県の独自のそれに対応する施策というものを考えながらおやりになるという一面もございますので、これはやはりその辺は県なり、あるいは末端へまいりますれば市町村の御当局の考え地域住民のその地域における総意などを考えながらやっていくというのは、これは県知事さんなり市町村長さんがお考えいただいてやっていただくのが適当である、そういうことでこういう配分方式を続けておるわけでございます。  今回、相当、転作目標面積がふえてまいるわけでございますが、これをこなすに当たりまして、私どもとしては、重点作目考えておりますのは、地域的ないろいろな事情がございます。てん菜などは北海道しかつくっていないというようなことがございますが、しかし、てん菜ならてん菜というようなものを考えました場合に、北海道においてはなおまだまだ伸ばす余地もありましょうし、そういうところに着目をして、伸ばすのに必要な国としての奨励措置である奨励金の優遇ということも考えておるわけでございまして、そういうことが国の措置として伴ってまいれば、後は道知事さんなり市町村長さんなりが現地に即したやり方で配分をお考えになってやればこなし得る、たとえばの話でございますが、こういうことを考えてやっておるわけでございます。  こういうことで、私どもとしては、三年一期の終着である三年目におきましては必ず転作作物定着するような方向で、地域の総意の中で組み立てられたような形で作付が行われるというふうになっていくのではないかということでございます。
  149. 神田厚

    ○神田委員 どうもなかなか苦しい御答弁のようでありますけれども、はしなくもおっしゃいましたように、細かいことは末端から積み上げていかなければできないわけですよ。確かに末端から積み上げていったもので、やはりきちんと理解をさせてやってもらわなければならないものでありますけれども農林省がただ米が余って困るということから出た発想ですから、上からここはこれだけ減らすということになれば、あとは都道府県で良心的に考えて、おまえらが適当に考えろという話と同じことになってしまって、それでは非常な行政の無責任というふうな言葉で言われても仕方がないのではないかというふうに私は思うのであります。きちんと六十年度の目標に向かって、何を何%自給するという自給度についてのものをもとにしてこの計画というのは立てられたというふうに、この前私が質問したときにお答えになっておるわけですね。それであるならば、六十年度目標において、たとえばそういう転作に予定されている作物というのは何%自給するのだ、それに合わせるものを第一期分としてきちんと配分していく指導というものをやらなければまずいのじゃないですか。それを全部都道府県で適当にできるようにやりなさいということでは、やはり本当の転作——転作するということは非常に大変な問題なんです。前にも話しましたけれども、ただ単に変わるということじゃなくて、価格の問題も手間の問題もいろいろある。そういう中で転作させるならさせるだけのきちんとした責任を持った行政指導というものがなされるべきだと思うのですが、いかがですか。
  150. 堀川春彦

    ○堀川政府委員 私どもとしては、少なくとも県別配分の際には、作目については明示をいたしてやるわけではございませんが、これまでも御説明申し上げております農業生産地域分担、こういったものがあわせて明らかになる、そういう要素も勘案をいたしまして面積配分をするということでございますから、地域分担の姿等も、知事さんなり市町村長さんなら明らかになるわけでございますので、それを参考にしながら、どこに重点を置いて配分してまいるかということには、おのずから大いに参考になるものというふうに考えておるわけでございます。
  151. 神田厚

    ○神田委員 おのずからやるというのは、それをやったらメリットがあるという形ならばおのずからやるといってもいいでしょう。ところが、言ってみれば全部いわゆるデメリットの話ですね。そういうものをおのずからうまいぐあいにできるというふうに考えることは非常に甘い考えだというふうに私は思うわけであります。  しかし、そういうふうな形でおやりになるということでありますけれども、それはそれでいろいろこれから先問題を起こしてくるだろうと私は思うのであります。そして、本当に転作をするという一つの目標が達成されるということは非常にむずかしいのではないかという感じを持っているわけであります。もうすでに来年度に向かって、麦でも何でも準備が済んでしまっているところもあるわけです。そういう中で、具体的な形になりますと、たとえば一つはそういうふうな転作というものを考えながらそれを推し進めていった場合、どうしても転作をしたいと思ったけれども、結局、種が入らなかったりいろいろして転作できないというような状況も実際に出てくるだろうと思うのであります。そういうものについては、形の上では休耕という形になりますけれども転作という形でそれをとらえることができるのかどうかという問題についてはどういうふうにお考えでありますか。
  152. 堀川春彦

    ○堀川政府委員 管理転作は、私どもかつて四十六年から四十八年までにとられました生産調整措置の中でとられたような単純休耕、あるいは寄託休耕というような、米の生産を休めばいい、抑制すればいいという思想に立つものではございません。必ずこれは三年目には転作物が乗っかっていただく、転作作物栽培していただくという思想に立つものでございますから、その点は基本的に発想が違うということを申し上げたいと思います。
  153. 神田厚

    ○神田委員 考え方としては転作と休耕というのは違うのですから、それはそのとおりであります。ところが、転作に至るまでの過程の中で、どうしても休耕せざるを得ないような状況というものがあると思うのですが、そういう場合はどういうふうに取り扱いますか。
  154. 堀川春彦

    ○堀川政府委員 したがいまして、管理転作の仕組みということを考えたわけでございまして、兼業農家等で、労働事情や機械その他の装備、技術関係転作がしにくい、そういう場合、たとえば土地を農協に提供していただきまして、そして、その提供を受けた土地について適当な転作者を探して転作物をつくっていただくまでの間、良好な状態でその水田を管理していただく。その間は転作物はありませんから休耕状態のように見えますが、終局的に転作作物をつくるために利用していただくという趣旨で管理をするわけでございますので、その点は基本的に性格が違うわけでございます。
  155. 神田厚

    ○神田委員 そうすると、そうした場合にはやはり転作に準じた形での奨励金なりあるいはそういうふうなものを出す、手当てをする、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  156. 堀川春彦

    ○堀川政府委員 そういう仕組みを働かせるためのインセンティブになるような奨励措置として、管理転作奨励補助金というものを四万円、その上に転作物がつくられたという段階では、それがしかも計画転作の要件に沿う場合には一万円というような形を行えておるわけでございます。
  157. 神田厚

    ○神田委員 時間がありませんので、次に進みますが、農協の水田の管理転作の問題でいろいろ意見が出ております。今回の対策で農協の管理転作が前面に打ち出されておりますけれども、一体これは全体の中でどれくらいの数量でどれくらいの面積、そして、どういうふうな予算の措置考えているのか。私は、やはりこれも非常に理想的なことをいま農林省は言っていて、なかなか現実にはそれに追いつける体制がないのじゃないかというふうな心配をするわけでありますが、その点はいかがでございますか。
  158. 堀川春彦

    ○堀川政府委員 農協の管理転作がたとえば初年度でどれくらいの規模になるかというのは、現段階では的確に見通すことは困難でございます。     〔委員長退席片岡委員長代理着席〕 しかしながら、先生もおっしゃいましたように、これだけの規模の転作を一挙に実現するというのはなかなか困難な面もございます。したがいまして、さしあたり初年度としては相当な面積をカバーする管理転作というのが行われるのではないかというふうに思っておるわけでございます。具体的にその面積がどのくらいということは、現段階では困難でございます。  それで、先ほど申しました奨励金等を交付してやるという仕組みを考えているわけでございますので、予算の問題といたしましては、単価を決定いたしますれば、それは実行上の問題として、たとえば予算が足らなくなると申しますか、あるいは余ると申しますか、その辺のことは実行上の問題としては出てまいるというふうには思うわけでございますが、いずれにいたしましても、そういうことで二千億の中にこの部分の管理転作奨励金は入っているわけでございます。そういう形で要求をしております。
  159. 神田厚

    ○神田委員 この場合、大体すべての農協がそういうふうなものを行えるというような制度化、そういうものについてはどういうふうに考えていますか。
  160. 堀川春彦

    ○堀川政府委員 農協法上、その他制度的な法的措置というものは何ら不要であるというふうに思っておるわけでございます。  そこで、どのくらいの農協がこれに取りかかり得るかということは、これは地域転作に対します実情がそれぞれさまざまでございます。そういう事情から、どの程度がこれにかかり得るだろうかということは、的確に農協数としての見通しを挙げることは困難でございますが、私は先ほど申し上げましたような理由で相当数の農協がこの形の転作に携わってもらうということが必要にもなるだろうし、また現実にそうなるだろうというふうに考えております。
  161. 神田厚

    ○神田委員 時間がありませんから、最後に一問質問いたしまして、終わらせてもらいます。  いまお話を聞いていましても、どうもなかなかむずかしい問題がたくさんあって、細かいところにわたってはいろいろ混乱をするというか、これから先非常にいろいろな問題が出てきそうでありますが、その都度また委員会で御質問させていただきます。  私は最後に、転作作目につきましてもやはり地域の特産、そういうものについて少し幅の広い考え方を持って、特定作目の中に少し幅を広げて入れてもらわないとなかなか転作というのはうまくいかないだろうと思うのであります。たとえば、栃木県の場合でも、コンニャクとかたばことか、そういうものについて転作をしたいという希望がかなりあるわけでございます。ところが、たばこはいろいろ問題がありまして、大蔵省なんかの関係がいろいろございます。そういうような形で、あるいは野菜ですね、そういうものについても、その地域の特産に合った形で特定転作作目の中に少し幅を広げて入れていただくようなお考えがあるかどうか、最後にお聞きいたしまして、これから先またいろいろな問題について御質問させていただくことにいたしまして、きょうの質問を終わりたいと思うのであります。
  162. 堀川春彦

    ○堀川政府委員 特定作目についての考え方はこれまでも再々申し上げておるわけですが、一つにはその作目について需要供給の関係をよく考慮いたしまして、国内の生産を飛躍的に拡大する必要のあるようなもの、自給力の急速な向上を図る必要のあるものという要件が一つと、それからまた奨励措置のとり方によっては水稲からも転作として相当な面積が期待できるもの、また、その奨励措置といたしましては稲作との反当所得の関係、反当収益関係で現状において相当大きなギャップがある、こういう三つの要件を考えて選定をしておるわけでございます。  そこで、私どもとしては、基本的にこの転作奨励の対象とする作物は広く取り上げるという考え方をとっておりますが、特定作物はそういう考え方のもとにやってありますので、したがって、いま考えておりますものを——たとえば先生の御指摘になりましたようなたばこでございますと、反当収益が非常に高いという現実がございます。それからなお面積の拡大と申しましても、専売公社の管理のもとにあるものでございますので、その辺に問題がある。それから、もう一つ、コンニャクでございますが、たとえばコンニャクにつきましては、これは奨励の対象にはしておりますけれども、また来年もするつもりでございますが、現在、需給上国内生産需要との関係で非常に困難な状況に立ち至っておるというようなこともございまして、したがって、これの扱いはきわめて慎重に行わなければならぬという事情、そういうことから考えますと、なかなかむずかしい問題ではあると存じます。  ただ、先生のおっしゃるように、地域転作がなるべくしやすいようにする仕組みを何か考える必要があるのではないかという御趣旨であれば、いまの奨励金の基本体系をどうこうということでない方法も、何らかの助成措置を別途考えるとか、そういうこともあり得るのではないかということで、その点は先生の御指摘の御趣旨も十分体しながら真剣に検討してまいりたいと思っております。
  163. 片岡清一

    片岡委員長代理 武田一夫君。
  164. 武田一夫

    ○武田委員 いよいよあす県への配分が行われるということが聞かれておりますが、そうなりますと、きょうはまさにその配分の前夜であるということで、これは各地域におきまして農家の皆さんは戦々恐々としておるというのが現実生産調整の問題でございます。  私の宮城県では、これはもう絶対反対だというのろしを、十三日、十四日、各農協が団結して、おいしいお米を食べさせる宮城県は何としてもその先頭を切るんだという集会を開きました。私も、その農家の方々の代表の血の出るような悲しい叫び声を聞いてまいりました。最近も当地にまた多くの生産者の代表が来て、何とかわれわれ農家の生きる道を考えてくれと真剣でございます。ある農家の方が私に、この方は非常に歌をたしなむわけでございますが、農林省政府考えている生産調整というものは、歌に託すれば、「苦しみはあなたまかせのおらが春」だと小林一茶の句をもじって歌っておりました。「苦しみはあなたまかせのおらが春」、どういう内容かよく考えて、この農家の心情というか、それをよく知っていただきたいと思うのでございます。  また、各市町村あるいは県の代表者会議などにおきましても、この生産調整につきましてはいろいろと要望があって、願わくは、これはもう長い期間の中でじっくりと検討して、そして農家の皆さん方協力が得られるような、理解の得られるような方法でやってもらいたい、政府がやると決めている以上は、そういうわれわれの希望、願いもかなえてほしい、こう言っております。大臣もこの委員会での答弁で、何度も、農家の理解と協力を得られずしてはこの大事業は実現できない、こう言っております。となれば、まずやはりこうした大臣考えと、そして農家あるいはまた各市町村の首長さん方の要望というものを、これは真剣に考えて、この調整の問題については取り組んでいるし、また、そういう考えの中で作業が進んできたと思いますが、まず最初に、そうした農家の理解と協力を得るという観点から、この配分についてはどのような配慮がなされているか、ひとつお聞きしたいと思います。
  165. 堀川春彦

    ○堀川政府委員 配分については、農産物需要動向に即し、また地域特性に合いました生産構造を実現をしていただくというような基本的な方向に即し、かつ地域地域の実態も十分踏まえて、かつまた、これまでの過程で適地適産、あるいはまた農家の間、市町村の間、県の間における不公平感が出ないような公平配分ということについてのお声もございますので、こういったことを十分配慮して適正に行ってまいりたいと思っております。
  166. 武田一夫

    ○武田委員 そうしますと、地域のいろいろな実情等々を考え、また農家の意見、各市町村のそういう要望等を考えた上で、要するに無理のない状況の中で行われるであろうということは、これはかたくはないと私はいまの話から想像するのですが、そう理解してよろしゅうございますか。
  167. 堀川春彦

    ○堀川政府委員 転作目標面積全体が大きな規模でございますから、これを転作実施に持っていくには、各段階におきまして相当な御努力が要る仕事であるというふうには思います。そういうことであるだけに、私ども、この近々やりたいと思っておりますまず最初に来ます県別の配分は、きわめて慎重を期して、これまで伺っております各方面の御意見、また当委員会の御審議の際に出ました御意見というものも十分念頭に置きまして、適正配分をやってまいりたいと思っております。
  168. 武田一夫

    ○武田委員 それはスムーズに行くことを私は期待するのですが、もし万が一なかなか思うように進まないということで、作業に当たる過程の中において配分がきちっと計画どおりにいかないということが裏目に出て、そのために強制的なような、たとえばペナルティーですか、要するにことしやらない分は来年に課するのだぞ、それができなければ再来年だぞというふうなことが話し合いの前面に出てきて、それを盾に、農家の協力というよりも、強制的なようなことにならないとも限らないというおそれを私は抱いている。現実に私の県では、農家の方々に何とか協力させようというその意欲のあらわれでしょうか、そういうこともちらっと聞いておりますので、その点のきちっとした指導だけはしていくつもりでしょうけれども、その点はどうでしょうか。
  169. 羽田孜

    羽田政府委員 先ほど来先生から、農民の方が詠まれた歌もお示しいただきまして、今度の対策というものは非常にむずかしいものであるという御指摘があったわけでございます。私ども、今度の対策を皆様に御理解いただき、また御協力いただくために、ただ安易にやったものではございませんで、日本の農業というものを確立させるために今度打ち出した対策でございます。  そういった中で御協力をお願いするわけでございますけれども、ただ実際にこれを進めていくに当たりまして、御協力いただける農家あるいは御協力いただけない農家というものが出てきたときに、これは不公平を生ずることになるというふうに考えます。こういったことを考えましたときに、公平を確保する措置の一環といたしまして、転作目標の未達成があった場合には、次年度の転作目標面積は当該年度の未達成分を加算して定めるとともに、予約限度数量についても、転作目標未達成相当分を減じて定めることとする考えでございます。  基本的には、地方公共団体あるいは農業団体と一体となった推進体制を確立して、農業者を指導し、その御協力を得て進めてまいりたい、このように考えております。
  170. 武田一夫

    ○武田委員 それで、実は東北市長会で、この問題についてはもうどうしようもないということで、農家と直接接触するわれわれにとって、今回の国の案ではとても農家を納得させる自信がない、農林省に農家を納得させるとらの巻を要求したい、こういう苦悩の発言が出ました。また、ある会合で農協の組合長は、農家からどうすればいいんだと言われたとしても私は回答しないことにしております。農協に何とかしろと言ったって、そういう行政のルーズなやり方というのはわれわれに負担がかぶさるだけで、それはとても納得できないというような発言が常々と出ています。ということは、これは相当問題が深刻でありますから、いまお話されたことを十分に踏まえて、ひとつ無理なく、しかもスムーズにいくような努力を、誠意を見せなければならないということを私は要求して、次の質問に移ります。  まず、生産調整がスムーズにいくためにはいろいろな条件整備が必要なことは、何度も質問がありまして尽くされているように思いますけれども、なお念を押して二、三質問をしてみたいと思うのでございますが、耕作条件というのが非常に問題になってくると私は思います。地域によっては、転作が果たして十分できるかということを心配している地域もありますので、排水あるいはまた圃場整備等のそういう事業は、この転作物の耕作条件を進めてよりよくしていくために十分な体制を考えられていると思うのでございますが、その点について、農家の人が安心して転作してもよろしいという、そういう万全の体制ができているかどうか。できている、できていない、簡単にその点だけで結構です。
  171. 森整治

    ○森(整)政府委員 耕作条件として通常とられているのは地下水位が七十センチ以下になるということでございますが、それについての農林省調査では、五十一年の調査で百七十七万ヘクタールとなっております。これは非常に大きな数字でございますが、区画ごとという意味ではなしに、一つの水系で用水、排水ができる、そういう意味の面積が百七十七万ヘクタールというふうになっておるわけでございます。  それで、そういう中で圃場整備なり排水条件整備するという事業につきましては、もちろんわれわれとしても万全の措置をとって、その条件整備のための努力は今後さらに続けてまいりたいというふうに考えております。
  172. 武田一夫

    ○武田委員 その圃場整備が、この目標から非常におくれていますね。大体この目標の半分くらいしか達成していないというのが最近の傾向ですが、これを挽回できるという見通しがあるわけですか。
  173. 森整治

    ○森(整)政府委員 先生指摘のことは、恐らく土地改良長期計画がおくれておるということだと思います。確かに御指摘のように、長期計画は五十二年で五年たったわけですが、計画に掲げておりました百二十万ヘクタールの圃場整備に対しまして、現在、進捗率として二二%ということではございます。ただ、この数字というのは、先ほど私申しましたように、区画を整形いたしまして、その区画ごとの圃場整備といいますか、たとえば三反区画というような圃場整備がまだそこまで進んでおらないということでございまして、その転作が可能かどうかという最大限の数字としては一応百七十七万ヘクタール、それからむしろ三反区画なりあるいは一反区画で水のかけ引きができるかどうかということになりますと、約六十六万ヘクタールという数字が調査の結果出ておるわけでございまして、そういうことで、土地改良長期計画は現実の進捗状況はおくれておりますが、耕作条件としてできるところはどうかということになりますと、先ほどの数字で面積としては御了承いただきたいというふうに思います。
  174. 武田一夫

    ○武田委員 いずれにしましても、その条件づくりのための整備事業というのは一番大事だと思いますので、その点農家の方が本当に安心できるような体制を私はきちんと示してほしいという要望だけにして、次の問題を質問します。  政府は、転作は第一次減反政策の中でも定着できなかったということは認めるわけでございましょうが、その原因はどこにあったと考えておられますか。
  175. 堀川春彦

    ○堀川政府委員 私どもといたしましては、たとえば、いままでやってまいりました水田総合利用対策の中でのいろいろの転換作目定着の度合いというものについては数字で申し上げるわけにはまいりませんけれども野菜でございますとか畜産に結びついた飼料生産でございますとか、そういうものはかなり定着をしている。それから、過去に行われました果樹などでも定着をしたものがかなりあると思っておるわけでございますが、飼料作物につきましても、畜産経営とつながりを持たない形での飼料作物への転換というようなもの、あるいはまた大豆とか、必ずしも土壌条件等の関係定着性を強くしておるとは見られないものがあることも事実でございます。  これについてはさまざまの事情もございまして、いま申しましたような土壌条件一つでございますし、それからまた市場条件、つまりつくったものが適切な価格市場に出ていくことがなかなかむずかしいというような条件がある場合にはなかなか定義しがたい、こういうふうに考えているわけでございます。
  176. 武田一夫

    ○武田委員 このデータによりますと、昭和四十八年ごろから作目別の推移をずっと見てみますと、大体、飼料作物野菜も豆も、その他作物等についてもずっと減ってきています。特に飼料作物については、東北の場合二五%、北陸で三五%、これは五十年度の稲作転換実施状況、食糧管理月報の資料によりますと、そういうような実態があるわけです。  こういうような実態を見ておりますと、これは前にもいろいろ論議が尽くされましたが、価格の問題、保証がないという問題が非常に心配である。さらにまた、一つには、こういう転作物をつくった場合に、どうもいまの農産物に対する外圧を考えないわけにはいかないんじゃないか。要するに、こういうものをたくさんつくっていったとしても、いつのときにも外国との貿易関係の中において農産物へのしわ寄せが非常に大きい、となれば、うかうかしてつくっておれないということもこの大きな要素になっているんじゃないかと私は思うわけです。  たとえば、麦などはその一つの典型ではないかと思うわけですけれども、今回においてもやはり円高、外貨の急増ということによって農産物を買うんだということを農家の方々が見聞きするに従って、前にもそういうことがあって苦労した、となると、たくさんつくっていって、果たしてこれがまた外国の圧力をはね返せない農林省の力の弱さとなったとき、われわれは本当に安心できるのかという不安が農家の方々にたくさんあることも事実なわけであります。協力したいという方もおることは事実ですが、そういう方ほどこういう不安をたくさん持っている。これについて、今後いかなることがあろうとも転作作物等における外圧に対しては、いや農産物農業への圧力には負けないという農林省のかたい決意があるかどうか、それを農家の皆さん方に確約できるかどうか、これはできる、できないだけで結構です。
  177. 羽田孜

    羽田政府委員 大臣もしばしば申し上げておりますとおり、不足する農産物について輸入していくという方針でございますので、そのとおりやってまいるという気持ちでございます。
  178. 武田一夫

    ○武田委員 決意どおり、農家の期待のとおりきちっとやっていただきたいと思います。  次に移ります。政府は、農林省は米が余っている、こう言うわけでございますが、余らないようにすれば一番いいわけです。その方法をいろいろ考えているわけですが、われわれ宮城県に住んでいる、また、そこで農家を営んでいる方々は、うまい米をどんどんつくれば食べるのだ、そういうことを確信を持っていますし、事実そのとおりでございます。東北に至ってはどの県においてもうまい米をたくさんつくろうという運動は一つの計画の中に繰り入れられております。宮城県のササニシキは、最低六五%までつくっていこう、これ以上減らさない。隣の山形県では、百万俵だったからことしは二百万俵ササニシキを生産しようと張り切っております。うまい米をどんどん提供して、御飯をどんどん食べていただこう。青森県にもそういう運動、良質のおいしい米をつくろう、いろんな条件をはねのけてがんばろうという雰囲気があるわけでございます。  この動きを農林省としては、今後の消費拡大という面から考えて、どのようにお考えでしょうか。
  179. 大河原太一郎

    大河原政府委員 御案内のとおり、米の消費の拡大という視点から、良質米の普及奨励ということは、農林省としても以前から取り上げているところでございます。当初は銘柄米奨励金その他という形で優良銘柄に対しての奨励金、これは現在もなお続いておりますが、特に五十一年から良質米奨励金というものを新たに出しまして、いまお言葉の優良品種銘柄はもちろんでございますが、各県におきまして自主流通比率が非常に高く、市場評価の高い産地品種につきましては、良質米奨励という形で助成を強化しておるという基本方針をとっておるわけでございます。
  180. 武田一夫

    ○武田委員 ということは、ひとつおいしい米を各地の生産環境に合わせてどんどんつくって国民に提供してほしいということになるわけだと思います。とすれば、これは大変な努力が要ります。収穫にしましても二割から三割五分くらいは減るわけでございます。消毒するにしても手間も大変かかります。苦労の中でできたとうといササニシキであります。地元におきましてはこうしたものをどんどんつくる、たんぼだけはつぶさせてもらいたくない、こういう願いが非常に多いわけであります。この点を配分の中でどういうふうに蓄えていただけたのでしょうか、あるいはいただいているものかどうか。農林省の米の需給均衡化対策の第三項の中にも、ガイドポストの問題として、地域分担の指標の中に、こういうことも十二分に考えて検討した上での配慮がなされておると私は確信しておりますけれども、いまの答弁をいただくと、私はこのことは実現できるという非常に安心感をいま抱いたわけでございますが、その点についてお考えをお聞きしたいと思います。
  181. 堀川春彦

    ○堀川政府委員 いま県別配分作業に鋭意努力しておるところでございますが、再々申し上げておりますように、この配分に当たって適地適産ということを言われておるわけでありまして、その適地適産という言葉の中に、先生のおっしゃるように、消費拡大の意味からも好ましい良質米の生産ということが一つ大きな要素として含まれておるものと思います。そういったことを一体どういう形でやるのかということについて、目下、鋭意真剣に検討中でございます。
  182. 武田一夫

    ○武田委員 では、そのくらいにしておきまして、次にちょっと転作作物技術的な問題をお伺いしたいと思います。  麦あるいは大豆その他いろいろな飼料作物等々、そういう転作作物に対するいろいろな技術指導というのは非常に大事だと私は考えておりますが、そういう技術研究、これはたとえば麦とか大豆などというと非常に平均的に収穫が低いわけです。米が平均しまして七俵としても、これは昨年度のデータですが、小麦などは三俵半までいかない。それから、大豆に至ってはやはり三俵というのがもう精いっぱい、データによるとそういう状況です。となりますと、やはり増産も考えなければならないし、その土地に合った作物というもの、あるいは種子等の研究等もなさなければならないということで、いろいろと技術研究という体制、また転作指導員というような問題なども、これは今後の生産調整の中での重要なかぎになってくると思いますが、その体制は万全であるかどうか、お聞きいたしたいと思います。
  183. 北野茂夫

    北野説明員 転作作物に関する研究につきましては、すでに昭和四十六年から五十年まで、稲作転換推進対策研究という大型プロジェクト研究で、国の試験研究機関を初め各県の試験場と共同して大型研究を実施いたしまして、貴重な成果はたくさん出ているわけでございます。それにつきまして、今後の水田利用再編対策の参考とするために、このような資料を集大成いたしまして、これを今回の再編事業の参考に資するために、各県に対しまして、この資料をもとにして指導するようにしております。  なお、品種改良あるいは基盤整備といいますか、水田に作物をつくりやすくするためのいろいろの研究につきましては現在も実施しておりまして、特に品種改良につきましては育種組織というものがございまして、県の試験場を初め国の試験研究機関が中心になりまして、全国の主要な県あるいは地帯ごとに系統適応性検定試験あるいは特性検定試験というようないろいろな試験の圃場を設けまして、麦、大豆等では十四カ所、飼料作物では三十一カ所というような多数の試験地におきまして、各地域の立地条件あるいは経営条件に適合するような良質多収、あるいは特に転作関係につきましては耐湿性というようなことに重要な育種目標を置きまして選抜し、農家の需要にこたえられるような品種をつくるべく努力をしております。さらに、土壌関係につきましては、農業土木試験場が中心になりまして、特に排水あるいは土壌水分あるいは土壌改良等の問題につきまして長年研究を続けているわけでございますが、四十六年以来の稲転の推進に伴いまして、極力重点をその方面に指向しまして、畑作物を水田でつくりやすいようにするためのもろもろの研究を実施しておりますが、さらに今後も一層その方面の研究を推進していくことにしております。
  184. 堀川春彦

    ○堀川政府委員 技術の普及浸透の問題、非常に大事な問題でございまして、私ども農業改良普及組織においてこの問題を取り上げてやっておるわけでございます。水田の総合利用を図るための転作等についての指導助言というのは、当面する改良普及事業の重点目標課題であるというふうに設定をいたしまして、力を入れてまいっておるわけでございます。このために、一般的な普及員の、そのための対応し得るような資質の向上のための研修の強化、巡回指導のための機動力の整備でございますとか、そういうことを力を入れてやってまいっておるわけでございますが、こういったことを引き続き強化する一方、特別に水田総合利用促進特別営農指導事業というようなものを現在やっております。これは特定の水田からの畑作物への転換のための特別指導事業ということで組んでおるわけでございますが、こういったものの内容を特別事業としても一周強化をして取り組んでいくという方針でおりますのと、あるいはまた専門技術員が調査研究活動を現地においてやりまして、農家の方々あるいは普及員の方々と、ともども、現地から課題を拾って、そして検討を進め、それを技術普及に移していく、こういうようなことも力を入れてやってまいりたいというふうに思っておるわけでございまして、そのほか、これは申すまでもなく試験研究機関との連携も強める、それから農協等農業団体におきます営農指導ともタイアップする、また農協における営農指導転作に資するような研修の強化を図ることについて助成をする、こういった総合的な施策によって技術普及のレベルをアップをし、現地に実情に合ったような形で転作作物についての必要な技術の普及浸透が図れるようにしてまいりたいと思っております。
  185. 武田一夫

    ○武田委員 それで、先に答弁いただいた方にお聞きしますが、そういういろいろな研究をいろいろ進めている過程で、今回のこの生産調整の中で、いろいろ転作作物が植えられて、果たして期待するような成果が十分に上げ得るという確信がある、また、そういう技術あるいは研究者等の指導を通して、農家の人たちをリードしていくという体制は大丈夫だという、その点は間違いなく心配はございませんか。
  186. 北野茂夫

    北野説明員 その成果を発揮するためにはいろいろの条件が必要でございますけれども条件をいろいろ挙げますと非常に複雑になりますが、土壌水分といいますか、排水関係だけは、これは絶対的なものであるというふうに思いますが、たとえば大豆につきましては、わりあいに他の作物に比べて耐湿性があるということで、地下水位が二十五センチ以上、それから飼料作物ではまあ三十−四十、あるいは麦では四十程度ということで、少なくとも四十ないし五十センチ以上あれば非常に条件はいいわけでございますけれども、そういう条件が整った上では目標は必ず達成される、そのように信じております。
  187. 武田一夫

    ○武田委員 そうしますと、いまの条件にかなう、たとえば東北だけを例にとっても結構ですが、いまの条件にかなうような水田というのは、東北にはどのくらいあると見ておりますか、概数で大体わかれば……。
  188. 北野茂夫

    北野説明員 東北地帯におけるそのような条件に合った面積は何ヘクタールかということは、申しわけございませんが、私の方は担当でございませんので、即座に申し上げることはできませんが、一方ではみずからの手によって現在の圃場に労力を加えてそういうことをやるということも可能でございまして、たとえば弾丸暗渠の施工をするとか、あるいは明渠を圃場の周囲につくって排水を図るとか、そのような自主的な努力によってもそういう条件は相当に達成できるものではないか、そういうふうに考えておりますので、総体の面積に対してはちょっとお答えできませんけれども、自主的努力によってはかなり達成する可能性もあるというふうに考えております。
  189. 森整治

    ○森(整)政府委員 先ほど私申し上げました百七十七万ヘクタールに対応する東北の面積は、三十八万六千ヘクタールということになっております。これが地下水位七十センチ以下となり得る圃場でございまして、そのうち区画ごとに排水が完備をしておるものは十八万七千ヘクタールというふうに数字が出ております。
  190. 武田一夫

    ○武田委員 それでは、次に移らしていただきますが、普及員の問題で、かなりオーバーウエート、仕事が過重であるということは、前にちょっと質問いたしまして、その過重負担を解消してほしいということを私要望して、いろいろとそのための努力をしているようなことは聞きましたけれども、この話が出てからたまたまそういうところを歩いたら、どうもわれわれにまた負担が余分に来るのじゃないかという、そういう懸念を抱きまして、どうしたものか、そういう表情の方に出くわしたのでございます。いままでも大変であるということで、新しい、言うなれば、技術的にはやはりこれからいろいろとマスターもしなければならないし、研究も勉強もしなくてはいけないという中で、ここに今度はそういう指導をしていかなくてはならない、アドバイスをしていかなくてはならないとなると大変だという雰囲気、感じがしたのですが、そういう心配はございませんでしょうか。
  191. 堀川春彦

    ○堀川政府委員 農家の方々が非常な御苦労をされて転作に取り組むということでございますので、私どもはもちろんのこと、現場技術普及あるいは経営の指導に当たりますところの普及員の皆さんにも、この際、重点的農政の課題を解決をするためにいままで以上の御苦労をかけることになると思います。なるとは思いますが、精いっぱい努力をしていただいて、農家の御努力とともに転作の成果が上がるように持っていく必要があるというふうに考えておる次第でございまして、さような趣旨で私ども、普及員の方々を特別にお集めをして、そういう趣旨の普及徹底を図る等のほか、研修の強化というようなことについて具体的に、たとえば大豆についての技術、こういうものは地域によりましては少し手薄であるということもございます。そういうようなことから、県別にいろいろと一般研修の中で特に大豆に重点をしぼった研修をやっていただくとか、それからまた地方農政帰単位で相当な人数でいまやっておるわけでございますが、一般職員も含めまして約五百人程度の方を早急にブロック別に研修をするとか、いろいろなやり方で、機会をとらえて研修を実施をし、現場において技術指導あるいは経営指導に欠けることがないような体制を一刻も早くつくり上げたいということで考えておるわけでございます。
  192. 武田一夫

    ○武田委員 もう一つ関連して聞きますが、たとえば全然そういう経験がなかった普及員等が、そういう作物指導あるいは教育というものに当たる場合、やはり二カ月とか半年とかあるいは一年とかという、何かきちっとマスターして、そういうものを安心して農家の人に指導できる、教育できるという、そういうめどというのはどの程度のものなんでしょうか。たとえば一年は必要か、あるいはまた半年は必要なのかというような点で、具体的な問題としてお聞きしたいのです。
  193. 堀川春彦

    ○堀川政府委員 これは改良普及員で申しますと、改良普及貝の中にもいろいろ特技を持っておる方がございます。主として、たとえば今回の転作関係します麦とか大豆とかということになってまいりますと、一般作物関係のほか、たとえば野菜を主とする方でも経験年数を積んだ方は、麦の展示圃のお世話をする、指導をするとか、そういうことはずっとやってきておりますから、そういうような野菜が主であるけれども、麦とか大豆も素質があるという方は、相当いるわけでございます。しかしながら、いまの体制で私は必ずしも十分であるというふうには申し上げません。不十分な点があると思います。そこで、これらを補うために、さっき申し上げましたようないろいろの機会をとらえた研修の強化というようなことをやってまいるわけでありまして、その際、従来からの経験の積み上げ、いろいろ一人一人によりまして違いますので、そういった違った程度に応じた研修の実施というようなことをきめ細かく配慮してやっていく必要があるというふうに思っております。従来もそういうことでやってまいっておりますが、今後もそういうことについては特に意を用いてまいりたいと思います。
  194. 武田一夫

    ○武田委員 聞きますと、約一万数千人の普及員の職員の方がいるということですが、人数をふやさないといういまの政府の行き方からすれば、減らしてもらっては困るのですが、これはふやさないということになると、その中でフル回転してどの程度実効あらしめることができるかというと非常に心配だし、また、そういう方々に相当な仕手における負担がくるんじゃないかという心配もあるのです。だから、そういうことでなく、精いっぱいの努力をしながらやるといういまの局長答弁、これは当然のこととして受けとめますが、それが結局はそういう普及員の方々にかぶさってきて、負担過重となるようなことのないように十分に配慮をしていただきたい、私はこのことをお願いをして、次の質問に移ります。  水田の管理転作、これは地域ぐるみの計画を奨励しておるわけですけれども、たとえば山間僻地のぽつんぽつんとたんぼがあるところで、余り米のとれない地域があります。沢を開いてたんぼをつくったところとか、大分あります。三俵か五俵なんというところもあるわけでございますが、そういうようなたんぼで協力して転作の方にやろう、そして全部を任せちゃう、それで奨励金をいただいてさっぱりしようというような人がもし出てきた場合、それにも全部これは奨励金として規定のものは、三俵であろうと五俵であろうと、ちゃんと出してくれるわけですか。
  195. 堀川春彦

    ○堀川政府委員 管理転作対象になる水田について、国が特段の限定ということをやることはなかなかむずかしいと思います。地域の実情に応じてやっていく必要がある。ただ、しかし、この仕事の主体になります農協等の体制とか地域の実情によりまして、いま御説明のような、これは単に米作を休む場合という性格のものでございませんので、そうなりますと、こういったものを対象にして管理転作として扱ったらどうかということについては、知事さんが関係の農協の方々とかそういう方々と十分御協議の上、一定の基準というものをつくっていただくということも適当ではないかというふうに考えておるわけでございます。
  196. 武田一夫

    ○武田委員 そうすると、その基準の中に、そういうものも県によってあるいは話し合いでいいだろうとなれば、これはきちっと国の方としての転作奨励金のそういう適用の中に入るということですね。
  197. 堀川春彦

    ○堀川政府委員 そのとおりでございます。
  198. 武田一夫

    ○武田委員 それをだれか転作をする人を探してさせるわけです。いなければ農協で、荒らさないようにきちっと手入れをする、管理するという人を探さなくてはいけない。そういうのができない、不可能だというような場合、どうなりますか。
  199. 堀川春彦

    ○堀川政府委員 適正な管理ができないというような圃場というのは、やはり県知事さんが基準をつくられるときに、そういうものを対象にすることはどうかということで、いろいろ関係の方々とも御協議になりまして、そういうものは外すというふうになるべきもの、こう思うわけでございます。
  200. 武田一夫

    ○武田委員 それじゃもう一つ聞きますが、この管理費ですね。大体、転作する人が出ないとなると、管理させる管理費というのが必要になってくる。これは何か聞きますと、各地域の農協単位で決めてほしい、要するに農家の間で話し合いをして決めてほしいと、こういうことですが、そうなりますと、いろいろな問題が出てくるのじゃないかと思うのです。国としては、これは平均的にどのくらいかかるの、だという一つの見通しというのを持っていないわけでしょうか。
  201. 堀川春彦

    ○堀川政府委員 私どもがかつて休耕を認めた時代に寄託休耕という制度がございまして、そのときの実績等を考えてみますと、大体、当時三千円から五千円くらいの管理費用を徴収をしておった農協が多いようでございます。そういう管理費用を徴収いたしまして、水田が雑草が生えるということのないように、あるいは病害虫の発生の根源になることがないようにというような趣旨での管理行為をしていただいてきたという経過がございます。それ以降いろいろ物価も上がっておりますから、そういうことを勘案して妥当な額が設定されるであろうというふうに思っておるわけですが、ただ、その額について余り極端に高くなるというようなことになりますと問題になりますので、そういうようなことであれば私ども指導を加えたいというふうに思っておりますが、画一的にこれ以上はだめというふうにして金額を設定してやるということまでまだいまの段階では考えておりません。これはどういう実態が出てくるかに相応しまして適切な指導を加えるというのが適当ではないかというふうに考えております。
  202. 武田一夫

    ○武田委員 ひとつトラブルのないようにやっていただきたい。これはお互いに近くに住んでいるわけですから、そういう金の問題になりますと、つい隣の親しい仲も何とやら、こうですから、特にこの点についてはお互いが納得いくような、そういう体制で行われるような監督、指導をぜひ強化していただきたい、私はこのことをお願いする次第であります。  以上で、生産調整については質問を終わりまして、時間がちょっとありますので、水産庁に一問だけお聞きしたいと思います。  これは私の住んでいる宮城県の石巻、漁港でございます。特に造船の従事者が多いところでございますが、漁船課決定事項というのが五十二年の七月十八日各企業の方々に来たそうですか、減船対象船の決定及びその処理に関する措置が確定するまで、当分の間船をつくっちゃいけないというような通達が出たそうでございます。ここにこの写しがあるのですが、このためにいまてんやわんやです。というのは、いまの状況でいけば、いま仕事をやっているのが来年の三月から五月で全部なくなっちゃう。関連企業等を含めまして、石巻十一万の人口の中の二万五千人というのが、造船、船をつくるということで生きているわけであります。そのために、特にいま受験期を迎えまして、自分の親が仕事がなくなって失業したら大学に入れるのかというような心配から、小学校の子供までうちの父ちゃんは大丈夫だろうかというようなことで、最近、校長会議まで開かれたという実態でございます。地元の人はいつ船がつくれるようになるのか、もし五月以降も続くとなれば、いま何か契約した分でも、こういう状況で十隻ほどは契約を解消しているということでありまして、これはどういうことになっているんだ、われわれを殺す気かということで、非常に深刻な悩みが町全体に充満しているわけですが、これについて伺いたいわけでございます。いつ船をつくってもいいという許可が出るんでしょうか、その点ひとつ。
  203. 岡安誠

    ○岡安政府委員 まず、先生が言われましたことしの七月の、当面の漁船建造許可申請の取り扱いの問題でございますけれども、これは正式に通達をいたしたという趣旨のものではございませんで、われわれが建造許可を今後するに当たりましての内部の申し合わせといいますか、内規というようなものでございます。ただ、やはりあらかじめ関係の方々にお知らせしておきませんと混乱が生ずるということでお知らせをしたというふうに考えております。この内規におきましても、船を今後絶対につくらないということではございませんで、今後必要に応じてもちろん建造許可を進めるつもりでございます。  趣旨をちょっと申し上げさせていただきますと、御承知のとおり、先般の日ソ漁業交渉によりまして千隻以上の船を減船するということになっておりますし、その減船される船の中には今後スクラップになる船もあるというようなことが当然予想され、われわれはまたスクラップ対策につきましても助成金を出そうということを決めておる御時世でございます。  そこで、私ども、そういうような関係の魚種につきましては無制限に新船の建造を進めるというわけにはまいらないというふうに考えております。まずやはり減船の対象となりました船を活用する、中古船の活用ということをまず第一にお考えいただきまして、それでもなおかつ新しい船を建造する必要があるという場合には、従来でも建造許可を出しておりましたし、今後もそういう方針で建造許可を出すつもりでございます。  したがって、この内規は、当面、減船の対象の船が決定をする、それから、その船につきましてスクラップその他の措置が明らかになるというときまで、とりあえず中古船の活用を進める意味におきまして、私ども新船の建造許可を出すに当たりまして、あなたは中古船の活用について努力をいたしましたか、それはできるのか、できないのかということを確かめて、その上で許可の決定をしたいという趣旨で私どもは進めております。  私ども、現在の漁船の造船業界等が非常な不況にあるということもよく承知をいたしております。ただ、私どもの数字によりますと、九月末までの数字では、前年に比べまして漁船の建造隻数が減ったとは決して考えておりません。問題は、地域的にそういう情勢が出ております。御指摘のように、東北におきましては、日ソ交渉の影響を多分に受けましたので減船をする船が多数出ております。また、そういう影響を受けまして、東北地方の造船所等につきましては若干建造隻数が減っているということは承知いたしておりますが、今後そういう造船所につきましては、漁船のスクラップ関係の仕事等は優先的にこれを取り扱えるように、そういう指導をいたしましてこの急場を切り抜けてまいりたい、かように考えております。
  204. 武田一夫

    ○武田委員 それでは、時間が来たのですが、一つだけ最後に。  いまの件ですが、そうしますと、減船対象措置、処理決定、これは見通しというのは、各そういう会社なりあるいは企業の方には指示してちゃんと教えていただけるわけですか。  それから、もう一つ、スクラップの問題が出ましたが、北転船を分解するという話があります。いま聞きますと、たとえば地元で仕事がなくなったような人たちが、もし仕事が入るまではその仕事をやらせてくれというときは検討するということになるわけですか、その二つ、最後にお願いします。
  205. 岡安誠

    ○岡安政府委員 減船の作業は、現在サケ・マスを除きましては、すでに減船の対象の船が全部決定いたしました。サケ・マスも近く決定をいたします。したがって、それらの対象の船のうちスクラップに回るものその他も近くほぼ明らかになるというふうに考えておりますので、それが明らかになりますれば、私どもは必要に応じまして新船建造ということも進めてまいるつもりでございます。  スクラップにつきましては、補助金対象になるような場合には確認をいたさなければなりませんので、やはり特定の造船所で明らかにこれがスクラップ化されたというような証明がとれるところでないと困ると思いますけれども、それ以外につきましては必要に応じて指導はいたしてまいりたい、かように思っております。
  206. 武田一夫

    ○武田委員 どうもありがとうございました。
  207. 片岡清一

    片岡委員長代理 野村光雄君。
  208. 野村光雄

    ○野村委員 米の生産調整に対します集中審議もいよいよ大詰めになってまいりまして、最終的な大詰めという段階を踏まえた中で、端的に私の方から質問をいたしていきます。  そこで、まず一番先にぜひここで確認をしておきたいことは、御存じのとおり、この米の生産調整問題が本委員会の大きな議題となってまいりましてすでに約二カ月、しかも、その間、前後四日間にわたりまして集中審議が行われてまいりました。その中で一様に各委員からも言われました問題は、今回の大幅な生産調整実施に当たっては、画一的に一方的に上からこの生産調整配分数量というものを強要するのでなくて、農民の意向というものを十分尊重しながら進めるべきだ、異口同音に各委員から主張がございましたことは十分御承知のことと思います。  そこで、まず第一点にお聞きしたいことは、この意向を踏まえて農林省としては、今回の生産調整のこの数量配分に当たって、農民の声をどのようにして受けとめてきたのか。この農民の意向の確認をしてきた実態と、その確認をした中で農林省農民の声をどのように受けとめたのか、どのように認識しているのか、この三点をまず最初に聞きたいと思います。     〔片岡委員長代理退席、山崎(平)委員長代理着席〕
  209. 堀川春彦

    ○堀川政府委員 これは水田利用再編対策全般についても言えることでございまして、これにつきましては大臣からも再々御答弁をしておりますように、かねて来農業団体それから関係地方公共団体、そういうところと話し合いを累次にわたって続けてまいりまして、その際、いろいろこの点についての御意見も拝聴しておるわけでございます。  配分につきましては、一口に言えば適正公平にやってほしいということでございます。その内容はいろいろございますが、地域の実情に合ったような形でやってほしいというお声や、あるいはまたそれを適地適産というような言葉で表現をされる向きもございますが、片方には農家やあるいは市町村あるいは県の間において不公平だというような感じの出ないような配分をぜひともお願いをしたいという声が圧倒的に強うございます。  そういう声を受けとめて、私どもも慎重に配分作業を進めておるわけでございまして、適正な配分ということになるようにいたしたいと思っております。
  210. 野村光雄

    ○野村委員 確認をいたしますけれども、この生産調整配分について再三基本的な農林省の声を聞いておりますと、適正でありますとか公平でありますとか、どこからも指摘のされないような非常に適当な言葉、こういうふうに発言をされております。そこで、この問題はいよいよ大詰めに来ておりますので、ここで確認する段階ですから、公平適正、こう言っている意味をまず確認をしておきたい。公平ということは、私が再三ここで主張いたしておりましたところの耕作反別を基準として平均平等にと、こういう意味なのか、ほかにどのように認識しているのか、この点の基本的な考えをまず明らかにしていただきたい、どうせすぐわかるわけですから。
  211. 堀川春彦

    ○堀川政府委員 私は、機械的な均等一律ということは、かえって実質的公平にならないというふうに思っておるわけでございます。したがいまして、たとえば水田の潜在生産面積というものに対して一定率をすべて掛けて出た答えが目標面積配分になるということであれば、これは作業もほとんど要らないということになるわけでございますが、そういう形では私は転作目標面積配分に当たって公平を期したということにはなるまい。むしろ実質的に、農家の方から見ても、あるいは農業団体の方から見ても、いま現に九十万トンの生産調整生産転換をやっておるわけでございます。その上に八十万トン乗っかった姿として、これなればということで、まあまあこの辺ならばということになることが、私は実質的公平ということの意味だというふうに思うわけでございます。
  212. 野村光雄

    ○野村委員 そういたしますと、どうも意味が大分変わってきておるようでございますけれども、一体、農民の声も具体的に聞いたような様子もございませんし、だれの考えで何を基準にして配分作業を、もう終わっているんだろうと思うけれども、やっているんですか。  政務次官、あなたから聞きたい。大事な問題だ。あなた、この問題、頭突っ込んでないんですか。全部役人に任せ切っているんですか、政務次官
  213. 羽田孜

    羽田政府委員 まさに最後の詰めの段階に入っているということでございます。
  214. 野村光雄

    ○野村委員 その詰めをするに当たって、機械的に平等に一律にやるなら、いま言ったように、これはだれでもできるのです。これは小学生でもできるんだ。しかし、地域の実情とか、そういうことを加味するというから、一体、農林省のだれがやるんだ、どの面まで、どういうふうにしてやるんですか、この配分表はだれがつくるんですか、政務次官
  215. 羽田孜

    羽田政府委員 これは最終的に決めますのは担当の局長が中心になりまして、最終的には大臣が決裁をいたすわけでございます。
  216. 野村光雄

    ○野村委員 じゃ、もう一つここで聞きますけれども、いずれにいたしましても、うわさによりますと、あしただとかあさってだとか、こういうことが流れております。もうここまで来て、いまだに配分を発表する日時、方法も決まってない、こんなことは私はないと思う。そこで、この配分の発表は、何日の何時から、だれがどこで、どういうふうにして発表するのか、具体的にひとつお答えいただきたい。
  217. 堀川春彦

    ○堀川政府委員 いまお尋ねになったような趣旨では確定をしておりません。しかし、今週中にはぜひともやりたいということで、鋭意作業を進めておるわけでございます。
  218. 野村光雄

    ○野村委員 そうすると、今週中に発表するということなんですか、この点、
  219. 澤邊守

    澤邊政府委員 そのとおりでございます。
  220. 野村光雄

    ○野村委員 何日ですか。
  221. 堀川春彦

    ○堀川政府委員 私の見込みでは土曜日になる公算が大であろうと思っておりますが、土曜日と決めておるわけではございません。
  222. 野村光雄

    ○野村委員 その場合、だれが、どこで、どういうふうにして発表するんですか。一回聞いたことはすぐ答えなさいよ、同じことを何回も言わせないで。
  223. 堀川春彦

    ○堀川政府委員 これは農林省におきまして担当の者が各県の事務所に知らせることになりますのと同時に、報道関係にも明らかにするということに相なります。
  224. 野村光雄

    ○野村委員 各県に知らせる方法は文書ですか、電話ですか。
  225. 堀川春彦

    ○堀川政府委員 これは両方の方法を用います。
  226. 野村光雄

    ○野村委員 いまの発表の大体のスケジュール、方法、土曜日、発表の方法をお聞きいたしましたけれども、この機会に私、委員長にちょっと一言申し入れておきますけれども、そういたしますと、われわれが、一番関係の深い農林水産委員会というのは、一体いつ、どういう方法で受けるのかということは、いまの答弁の内容からいきますと、わが農水委員会というものは全くもってこの重大な問題の発表に当たっては一切ノータッチだと、こういう中で行われる、こういうふうに私は受け取りました。そういうことで、こういう大事な重要課題が、担当所管のわれわれ委員会が一切ノータッチの中で発表されるとか通達されるとか、こういうことに対しては私は承服できませんので、ぜひひとつこの問題の発表の方法に対しては委員会理事会等で十分検討なさった上で、委員会に対してもしかるべき手続によって発表の機会をきちっと与えるようにひとつ理事会で検討いただきたい、申し入れしておきます。よろしいでしょうか。  次の質問に移りますけれども、米の生産調整に関する政府の資料によりますと、昭和五十二年度すなわち本年度の生産計画目標というものが、一千二百十万トンを生産しよう、こういう考えであった。ところが、ことしの出来秋を見てみましたら、実績一千三百十万トンの米が、十月十五日現在ですよ、まだまだ出てくると思いますけれども、こういうことで、約百万トン、ことしの生産計画よりも生産量が上回った、こういう実績が出ました。  どうしてことしの生産目標一千二百十万トンが一千三百十万トンと、百万トンもオーバーしたのか。この内容を分析してみますと、政府生産調整に対する資料から言うと、ことしの日本全国稲作の耕作面積が、調整数を引いた面積で二百六十六万ヘクタールを作付するという計画であった。生産調整全部引いてですよ。ところが、実際に全国から作付面積を集めてみたら二百七十二万ヘクタール作付をしてあった。そこにすでに、これだけやかましく言われておりながら、六万ヘクタール余の見込み違いをしていらっしゃいますね。もう一つ大きな理由としては、反収の見込み違い、これが御存じのとおり、政府考えでは十アール当たり四百五十五キロ、こういう目標で生産見込みを立てた。ところが、豊作でもあったし、実質四百七十八キロ、七十万トンこれで見込み違いをした。  しかし、過去の実績を見ますというと、過去十カ年で反当たりの生産指数が一〇〇を下回ったのは二カ年しかないのですよ。十カ年、過去さかのぼってみますと、生産指数は一〇五くらいになっているのです。  こういうところに生産調整に対する大きな見込み違いというものがあったということをお認めになりますか。
  227. 堀川春彦

    ○堀川政府委員 先生も御指摘のとおり、私ども生産調整をやります際の需給計画の基礎に持っております数値と、統計情報部ベースで出てまいった諸数値との間にギャップがあるということは事実でございます。反収につきましては、これは平年ベースで見るべきものでございますから、ことしのような作況指数が非常に上であるという場合にはその予想をディスカウントしなければなりませんが、面積においてどうも相当なギャップがあるということは、これは私ども率直に認めざるを得ないと思うわけでございまして、こういった面での統計情報部ベースでの数値と、それからわれわれの持っております計画上のベースとのギャップというのは、今後はできるだけ実態に即したものにするという趣旨で訂正をいたしましてやってまいるということにいたしたいと思っております。
  228. 野村光雄

    ○野村委員 生産の見込み違い、実質的にお認めになりましたので、私も限られた時間でございますから、認めたものを追い打ちするわけにもいきませんので、ぜひひとつ五十三年度の計画案に対しても、いろいろ私、数字的に調べてまいりましたけれども政務次官、よく聞いておいてくださいよ、こういう見込み違いを事務局はやっているのですから、しっかり監督してもらわないと。  次に、銘柄米と良質米の差別問題につきまして、御存じのとおり、食管制度というものがこういうふうに厳しく制度化されております。そういう中におきまして、さらに大幅な向こう十カ年間にわたるところの生産調整というものを農民に強制的に押しつける。こういう農民がつくりたいだけつくれないようないろいろな枠を上からも、下からも、横からもはめておいて、そうして生産された米は、すでに長い間伝統としてやってきました検査員によって、等級別にきちっとその品質の良否を差別できるような段階というものが昔から出てきております。こういう食管制度生産調整をして自由につくりたいだけつくれないような情勢の中で、私は一部的の地域のためとか、一部的の限られた農家のために銘柄米とか良質米とかといって幾つかに差別をするということは非常に異論があると思うのです。そういうことで、向こう十か年間、これほどの強制の生産調整の中でも依然としてこういう差別をつけていく考えなのか、この点に対する考え方と見通しについて伺いたい。
  229. 大河原太一郎

    大河原政府委員 米の需給のゆとりが出ました四十年代以降、需要者、消費者の米の食味に対する要求が非常に強くなりまして、もちろん購入階層にもよりますが、価格よりもむしろ食味の点を重視する、画一的な配給統制ではその需要にこたえられないというようなことから、先生御案内のとおり、四十三年から自主流通制度というものが発足したわけでございます。  その際、やはり自主流通米は消費者が食味を中心として選択するものでございますので、それについては産地、品種を明らかにするということから、産地品種銘柄制度が導入されたわけでございます。この銘柄制度を導入した際、やはり米の消費の拡大、需要の強化ということから、四十七年から銘柄米奨励金が交付されたわけでございますが、良質米の普及ということの一層の急務が米の需要の確保にもつながりますので、昨年から良質米奨励制度というものを導入いたしまして行っておるわけでございまして、いろいろ見方もございましょうけれども、現在、各都道府県とも良質米の品種の導入とその数量の増大ということに努めておるわけでございまして、今後の米の需給均衡対策におきましても、需要の確保の面その他からいいましても、やはり良質米制度、この制度はむしろ強化をする必要があるのじゃないかというふうに考えております。
  230. 野村光雄

    ○野村委員 食糧庁でしょう、いま答弁なさったのは。消費者に本当においしいお米を食べさせたい、あなた、そう思うのなら、いいですか、私はいつも言っておりますけれども、専門に米をつくってきた方ですよ。最大いい味で、おいしいお米を食べさせようとするならば、自然乾燥、と同時に土用を越すと米というものは味ががたんと落ちるのです。本当に消費者に味のいい米を供給しようとするときは、もみで貯蔵して、なるべく消費者に渡る近い時点になってお米にする、こういうことの方が、最も味を主体とする農政としてはとらなければならない政策じゃないですか。それを単なる品種とか良質とかいうことで差別をつけていく。私は、そういう食糧庁として言っていることと対策が伴わないことに対して非常な疑問がまず一つあります。  第二点の疑問は、水稲を主体といたしました試験場全国にございます。この試験場では、いままで長い間主体としてやってまいりましたのは、耐冷、耐病、多収ということを品質改良の主体にしてやってきたのですよ。いいですか、御存じでしょう。味を主体とした試験に基本的に水稲試験場のあり方を変えなければならないのじゃないですか。  この二点に対して、どのような考えを持っておるのか。
  231. 大河原太一郎

    大河原政府委員 お答え申し上げます。  第一点の、もみの今ずり米が食味が最もよろしいということは当然でございますが、今日の農家の米の販売と申しますか、出荷というような形態から、もみ貯蔵を長くしておきまして出荷をするというわけにはなかなかまいらないわけでございます。また、政府観点からいたしましても、もみ貯蔵につきましては、その容量が、倉庫に対しまして、二倍以上かかるというような問題もございまして、実際問題として、もみ貯蔵、今ずり米による配給米の確保ということは困難でございます。そのかわり、御案内と思いますけれども、現在では低温倉庫の整備に努めておりまして、政府の持ち越し古米の三分の二以上は低温倉庫によって貯蔵しておりまして、この食味についてはほとんど新米と変わらないというような点で、配給精米の食味の維持という点に努めておるわけでございます。
  232. 野村光雄

    ○野村委員 私は、実際にいま買って食べている一人でございますけれども生産された農家からのお米を集める、収集する系統、方法、これはもう全国的に万全にできているんですが、ところが集まったお米を精米して消費者に渡す、こういうルートに対しては非常に明確さがだんだんなくなってきたんじゃないですか。  もう一つ、私はしみじみ自分で見ておりますけれども、たとえ銘柄米でなくても銘柄米一歩手前の味のいい米、こういうことでいま農家は努力してつくっております。それは銘柄米に指定されてない品種だけれども、比較的味がいい、こういうことで、銘柄米の奨励金がもらえる、もらえぬにかかわらず努力している農家はいっぱいおるのですよ。しかしながら、消費者にそのままちゃんとその品質どおりにお米が正規のルートで品種別に分けて売られているのですか。私はよく聞かれるのです。銘柄米ではないけれども、この品種は非常においしい、その米ありませんかと言って品種名指しで言っても買えるところがないと、こう言っているのですが、どうなんですか。実際の品種と違って、おかしな名前がついているのじゃないですか。
  233. 大河原太一郎

    大河原政府委員 いろいろの御質疑でございますが、一つは、現在におきます食味のいい品種銘柄の米、これは自主流通ルート流通をしております。消費者段階においては上米と通常言われておりますが、この購入でございます。これについての品質表示等につきましてはそれぞれ所定の規制をしておるわけでございますが、自主流通に乗らない米については、これはすべて政府管理米でございますから政府売却をする、これについては産地、品質まで、等級区分によりまして売却をしているわけでございまして、それを消費者の側が政府売却米からその品種を指定して購入することはできないというわけでございます。
  234. 野村光雄

    ○野村委員 それから、先ほどの配分に当たって、ちょっと一つ大事なことをお聞きしておくのを落としておりましたので、確認いたしますけれども農林省から土曜日に先ほど言ったようなルートで配分が示されますね。しかし、これはことしだけでなくて、いままでもこういう方法でやってきたわけでしょうけれども、そこで今度のは特に単年度でなくて一応向こう十カ年、こういう大きな長期展望に立った数量でございます。相当、都道府県ごとに異論が出てくると思いますけれども、この配分の消化に対して、受け入れに対して、法的にどのような制約を持っているのか。  この政府配分表を地域農民に諮ってみたけれども農民団体としてはどうしてもその全額、全数量を受け入れることはできない、この程度ならば可能である、こういうふうになった場合に、その不可能な数字を返上することができるのかどうなのか、これが第二点。  第三点は、今日まですでに過去行ってきた配分に対しても、まじめな北海道あたりは全国の三分の一引き受けても一〇〇%達成してきた、他府県では北海道と比較して少ない数字であったけれども、その少ない数字さえも一〇〇%達成しない、しなければしないで終わった、こういう実例がございますけれども、今度の配分に当たって返上やむなしと、こうなった場合に対しての担当者としての対応の考えをお聞きしておきたいと思います。
  235. 堀川春彦

    ○堀川政府委員 これは法律に基づいてやっておるわけではございません。そこで、県別に配分をいたすわけですが、それはいま先生のおっしゃるようなことの起こらないように、私どもとしては誠心誠意、適正配分に努めてまいりたいと考えておるわけでございます。したがいまして、返上というようなことは、私ども、毛頭想定をしておらないわけでございます。  なお、過去における目標面積と実績との関係、つまり達成率と称されるものでございますが、それの関係を今回の配分の中に直接的な形でカウントするということはきわめて困難であると思っておりますが、今後いろいろの諸要素を考えまして配分数字を決めてまいるわけでございますけれども、その際に、過去どうであったかということは、事実としてはこれは私ども十分念頭に置いて配分作業は進めてまいりたいと思っております。
  236. 野村光雄

    ○野村委員 政務次官、これは重要な問題ですから、担当者の局長は、返上は全くないだろう、これは担当者としては希望的観測なんです。そういう希望だと思うのです。現実に起きた場合に法的な制約がない、こういう御答弁ですから。たとえて言えば、一〇〇来たものは、八〇はできたけれどもあとの二〇はどうしてもできない、こういう場合は返上なり、その状況に応じて話し合いができる、こういうものがあるのか、話し合いもできないのか、機械的に返上は一切まかりならぬ、こういうのか、その点を少し詰めてお聞きしておきたいと思います。
  237. 羽田孜

    羽田政府委員 確かに、ただいま局長から答弁申し上げましたように、これは法的な規制によってお願いするものじゃございません。しかし、もし、どこかが、こうこうこういう事情でおれたちはこれだけはできないということで返上されてくるとしますと、今度お願いする分につきましては各地区にも相当御無理をお願いするわけでございまして、一カ所、あなたのところはこれだけ減らしましょうということになると、これは大変なことになるわけでございまして、それこそこの過剰の事態という今日的な状況を踏まえて考えましたときに、いまこそ御協力いただきませんと、将来の農業の基本というものは崩れ去ってしまうということでございまして、どうしてもひとつ御理解をいただきたい。そのために、配分に当たってはいろいろな要素を加味していきたいということを先ほど来局長答弁しているわけでございます。
  238. 野村光雄

    ○野村委員 政務次官、だから私は当初に言ったでしょう。農林省は法的に配分に対する何の権限もないのだ。受け入れなかったらこうするぞという権限もないくせに、配分表を出した以上は受け入れてもらわなければ困るんだ。受け入れてもらわなければ困るのなら困るように、もう少し事前に民主的に、私は前回も言ったけれども、話し合うなり、そういう期間をもっとおくべきだ、こう言っているのですよ。北海道はいまごろ配分いただいたって——いいですか、皆さん方転作には麦だとか豆類を奨励していますけれども、もう秋まき小麦はすっかり時期が終わって雪が降っているのですよ。転作するならするらしく、秋起こしもしておかなければならない。しかし、もう時期を失しているのですよ。そういう時期がおくれた中で、協力したくてもできないような時期に、そういう実質的な数字に対する何らの相談もなくして、ある日突然というような形で土曜日に発表して、法的権限もないくせに返上まかりならぬ、おかしいんじゃないですか。どうですか、自分でも納得できますか。
  239. 羽田孜

    羽田政府委員 いま先生お話の中で、ある日突然数量を発表してというお話でございますけれども、百七十万トンの転作をしなければならないというのは、実は相当前から各方面に向かってお話を申し上げ、また私ども役所としましてもそれぞれの担当者からヒヤリングを続けてきたところでございます。  そういったことで、今日まで全然こういったことをやらなかったということじゃございませんで、本年もやっておるということでございますので、それぞれの方々はこれについてやらなければならないということについての御理解はございますので、担当の方々も、また、それぞれの農家の方々も御理解をいただけると考えております。
  240. 野村光雄

    ○野村委員 御理解できるって、あなた自信あるのですか。私は、最悪の場合がないとは言えないから言っているんですよ。最悪の場合がなければ、それにこしたことはありませんよ。しかし、物事というのは、いつでも何でも最悪ということは常に考えておかなければならないのじゃないですか。その最悪に当たって、これでは非常に無理だ、しかし、この程度ならできるのだけれどもというときに、そういう実態に対して話し合いをするゆとりもないのですか。
  241. 堀川春彦

    ○堀川政府委員 そういうような事態が起こらないように、配分につきましては最善の努力を傾けたいということを申し上げておるわけでございます。
  242. 野村光雄

    ○野村委員 抽象的な答弁をしなさんな。じゃ、どういう努力をしたのですか。具体的に北海道はだれを窓口にしてどういう話し合いをしてきたのですか。北海道だけでも言ってください。数字は何ぼに言ってあったのですか。
  243. 堀川春彦

    ○堀川政府委員 先ほど申しましたように、団体としてはまとまった御意見をいろいろ拝聴しているわけでございますが、それ以外に北海道の道知事さん、副知事さん、部長さん、その他担当者の方々、ヒヤリングもやっておりますから、いろいろと御事情も聞いております。それから、北海道の農業団体、農協系統、その他農民組合、各種の方々の代表の方々なり、また現地の農家の方々のお声も直接的に私ども聞かせていただいております。そういう中で、こうするからどうだというようなことをそういう方々と私ども御相談するというような形にはなかなかやりにくい、これは御理解をいただけると思うわけでございます。北海道でもいろいろ人によりまして御意見の差がございますし、それからまた県が違えば、それぞれよその県との関係においていろいろおっしゃる方もあるわけでございます。  そこで、そういう方々と何らかの形でいろいろネゴをしながら決めていくことはなかなかやりにくいことであると思っておりますので、私どもはこの配分につきましては各方面の御意見に本当に心から耳を傾けた上、慎重適正にやってまいるということしかないのではないかと思っておるわけでございます。
  244. 野村光雄

    ○野村委員 北海道でも意見の違う方があるという話ですから、じゃ確認しますけれども、どういう違いがあるのですか。北海道は全国の耕作面積のわずか一割しかない中で生産調整三割、私たちはいままでどこまでもまじめにこたえてきた、これ以上断じてふやしてもらっては困る、こういうことを主張し、われわれも関係市町村長、知事、農業団体から聞いておりますけれども、それ以外の意見があったらお聞かせください。だれが言ったのか。
  245. 堀川春彦

    ○堀川政府委員 これはだれからどうというふうに名前で申し上げるわけにはまいりませんが、いま先生の仰せられたような事実を御指摘になりながら、全体として生産調整数量、面積が大幅にふえるという事情は理解できるが、その際に配分に当たっては北海道分についてふえる分を極力少なくしてほしい、こういう御意見はかなり多くの方から伺っております。
  246. 野村光雄

    ○野村委員 じゃ、いずれにいたしましても、その基本線に沿った中で恐らく配分表というものは出てくるのであろう、こういうふうにきょうの段階は受けとめておきます。  限られた時間、あと十分でございますから、最後に私は、この際、改めて北海道の特質、こういうものを政務次官初め担当者によく理解をしていただきたい、こういうことで述べますけれども、北海道というのは、御存じのとおり、農業の経営者の四一%の方々が専業農家になっておるわけです。しかも、この専業農家というのはだんだんと経営面積を拡大化いたしております。大型化いたしまして、三町の人が五町、五町の人が六町、こういうふうに、借金をして経営面積を拡大してきている実態です。そこへもってきて、年々の圃場整備基盤整備等によりまして、これまた大幅な借金をいたしております。さらに、経営面積が拡大し、圃場整備の結果、大型農機具の購入をして、これまた借金に借金がかさんできた。しかも、最近ようやく都市の不況化によりまして、農家の若者が都市から農家へUターンの現象を起こしてきております。そういうところで、米づくり専業農家としてさあこれから、こういうときを迎えての大幅な減反政策、こういうものが打ち出されただけに、深刻な状態で道民は受けとめているわけです。しかも、大幅な経営拡大によりましてライスセンターの共同化でありますとか、農機具におきましても共同化とか農機具銀行とか、こういうものをつくって、ようやくこれからの稲作というものに対しての基盤というものが整った、こういう状況下にあるわけであります。  そういう中で、せっかく借金して増反をした、経営面積を広げたところが、ここでわざわざ転換しなければならない、こういうところに来ているわけでございますけれども、こういう経営面積拡大等に伴う中で、今回の生産調整配分というものに対してはひとしお深刻な状態で受けとめておりますけれども、こういう実態を十分考慮に入れて配分をすべきだと考えますけれども、これらの認識をどのように踏まえて今後の配分を調整しようとしているのか、この点をお伺いいたしたいと思います。
  247. 堀川春彦

    ○堀川政府委員 北海道におきましては、先ほども申しました転作率というものがすでに相当高水準に達しておる。相当高水準と申しますか、全国で一番高いわけでございます。そういうような実態というものは、現実の水稲作経営に対してかなりの影響を持っておるということも私はそれなりに理解できるわけでございます。そういう状況のもとで、なおかつ来年以降の転作目標面積を北海道についてもふやしていただくという必要があるというふうに私は考えておるわけでございまして、そういうことになれば、必然的に平均的な形で見ました転作率というものは上がるわけでございます。そういうことが経営に及ぼす影響というものも十分理解できるわけでございまして、その点は、配分に当たって、そういう転作率の要素というものがどういうことであるのかということは十分念頭に置いた上で配分をやってまいりたいと考えております。
  248. 野村光雄

    ○野村委員 最後に、転作の前提条件といたしまして一、二の具体問題を申し上げます。  すでに御存じと思いますけれども、水田と畑では土地の利用体系というものが全く異なっております。そういう中で水田に畑作物を作付するということは、本格的な畑としての土壌改良、土地改良がなされない限り、本当の畑作としての機能というものは発揮できないわけであります。一つの実例でありますけれども、本年度、北海道上川支庁管内で転作をいたしました小豆に疫病が多発いたしまして、しかも、これは伝染力が非常に強い。調査の結果、パース菌という病菌でございますけれども、これに冒されて全滅状態になった。この疫病はどうして発生したのかという原因を調べてみますと、排水の不良が最大の原因で、土壌に病原菌が非常に繁殖しやすい状況にあった。こういう排水の不良ということが最大の原因で、せっかくの転作の小豆も全滅に瀕したという実例が出てまいってきております。  そういう実例からいきまして、ただ単に転作転作といいますけれども、お米以外のものをつくっても、転作としての実質的な効果が上がらない、こういうところに農民が大きな不安を抱いておる状態でございまして、こういう実態に対してどのように認識し、さらに畑作としての機能を発揮できる土地改良に対しての今後の金融対策技術的な問題の指導体制の強化、これにはどのような対応策を持っていらっしゃるのか、最後にお尋ねをいたしたいと思います。
  249. 堀川春彦

    ○堀川政府委員 転作しやすい条件づくり、環境づくりをするということはきわめて重要なことでございまして、先生指摘のとおり、土地基盤の整備の問題、それから簡易なる営農排水事業の推進の問題、それから病害虫防除の適確な実行、それから技術指導の強化、これら一連の施策の総合的な推進がなければ転作が円滑に進み、かつまた定着をすることにならないわけでございまして、私ども直接的な転作奨励措置のほか、こういった基本的な環境条件整備に今後ともさらに一層努力をするということでございます。
  250. 野村光雄

    ○野村委員 では、時間でございますので……。
  251. 山崎平八郎

    ○山崎(平)委員長代理 山原健二郎君。
  252. 山原健二郎

    ○山原委員 最初に、ただいまの問題ですが、いま御答弁の中で、しばしばヒヤリングが行われたということでございますが、現在、各県に対して、少なくともおたくの県はこれだけの協力をしてもらいたいとかいう意味の内示めいたものが行われておるのではないかと思いますが、この点はどうですか。
  253. 堀川春彦

    ○堀川政府委員 全くございません。
  254. 山原健二郎

    ○山原委員 そうしますと、各県にとりましては、寝耳に水というような形で配分を受け取ることになるのでしょうか。
  255. 堀川春彦

    ○堀川政府委員 各県のいろいろな関係の方々からいろいろな形で希望の表明みたいなものがございます。中には転作目標面積の具体的な数値を挙げられまして、これ以上は無理だというようなことをおっしゃる方もおられます。私どもはそれに対しまして、具体的にその面積でいいとか悪いとか言うわけではございませんが、そういうことをお伺いした際、それはそのようなオーダーでおさまるような性格の話ではないのではないですかというような形で応答をしたことはございますが、全く配分に関するこちらの案をこれでどうだというような形で申し上げてはおりません。そういう意味では、今回配分いたしますると、それはもちろん数字としては初めて見るということになるわけでございますが、その間、それは各県にもいろいろと御専門の方がいらっしゃるわけでございまして、今回の転作について、まあこのくらいなら何で対応ができるがというようなこともお漏らしをいただいておるようなことでございますから、全く下地がないということを言えば、それは事実に反すると思うわけでございます。
  256. 山原健二郎

    ○山原委員 過去の実績というのは、どういうふうな判定をするのか、これはどうですか。
  257. 堀川春彦

    ○堀川政府委員 過去の転作目標面積なりあるいは実績というものを直接的にとらえまして配分を行うということは、私どもはいたしていかないつもりでございます。
  258. 山原健二郎

    ○山原委員 私は高知県ですが、過去の実態を見てみますと、水田面積が二万九千六百三十三ヘクタールですが、いままで転作につきまして示された数字が、昨年度は五千五百三十三ヘクタールで、そのうちの一八・七%になるわけですが、その中で平たん地、そこでほとんど八割を消化しておるというような実情にあります。ああいう山岳の多い土地でございますから、平たん地において八割を消化するということ、これは全国平均の約四倍余となっているわけですね。  こういう実績というものは、一つは実績があるのだから今度もその程度のことはやってもらいたいとか、あるいはそれに上積みしたものをやってもらいたいとか、あるいは過去の実績がかなり一生懸命やっておるから、それは少し勘案をしようとか、そういうことはどうなんですか。
  259. 堀川春彦

    ○堀川政府委員 過去の転作率が非常に高い地域については、配分をするに当たって一つの配慮要素になろうと思います。
  260. 山原健二郎

    ○山原委員 転作作物の場合、たとえば私のところは野菜園芸の盛んなところで、まさに減反政策がとられましてから生鮮野菜の供給基地ということで今日までやってきておるわけです。それで、転作のパーセントは、五十一年度は五六%が野菜園芸への転作です。五十二年度の場合は五七%という数字を示しておりますが、現在、競合産地がふえまして大変な事態が起こっているのです。  ちょっと例を申し上げますと、これは十一月八日、十日前ですが、東京市場の実態を見てみますと、キュウリ五キロ、高値が九百五十円で安値が八百円です。昨年の十一月八日、同日を比較をしてみますと、昨年は平均千三百五十円です。ピーマンの場合は、百五十グラムで、本年の十一月八日が高値が二十一円で安値が十八円です。昨年同日はどうかといいますと、七十三円となっています。ピーマンに至りましては全くもとに戻る可能性がないというような状態ですね。それから、ナスの場合、五キロが、本年が高値が千三百円、安値が千二百円ですが、去年の同日は、高値が四千円、安値が三千五百円、こういう状態でございます。ほとんど三分の一の価格に落ち込んでいる、こういう状態ですね。これ以上転作を続けていくならば、高知県の野菜園芸が重大な危機を迎えることは必至です。  したがって、私が何を言おうとしておるかといいますと、いままで行われてきた第一次生産調整が、結果としてこういう実情を招いているということです。その上に立って政府として今回百七十万トンの生産調整に入るというわけですが、こういう実態をかなり分析をされ、あるいは反省をされておるのかどうか、この点を伺っておきたい。
  261. 渡邉文雄

    ○渡邉(文)政府委員 お答え申し上げます。  野菜生産につきましては、御承知のように、気象変動によりまして短期的な価格あるいは生産の変動がございます。特にごく最近の現象でございますが、過去一カ月近く非常に異常な高温が続きましたために、いま先生指摘のように、幾つかの品目につきまして価格が値下がり状況になっていることは事実でございますが、むしろそれはことしの異常高温の結果でございまして、特に転作野菜の面積がふえた、そういうために価格が恒常的に下がっているというふうには私ども考えておりません。  それから、御指摘のように、転作の推進に当たりまして、こういった若干の需給の変動によりまして価格が比較的大きく動く野菜につきましては、そういう点を十分慎重に念頭におきながら指導すべきものだということは私ども十分心得ておりまして、今後におきましてもその点につきましては十分心をいたしてまいりたいというふうに考えております。
  262. 山原健二郎

    ○山原委員 いまの御答弁で少し聞き取りにくいところがあったのですが、確かに価格の問題については、私はこの落ち込みというのは、いつまでもこういう状態ばかりではないと思いますけれども、しかし実態として、ピーマンなどに至ってはもとへ戻らないというのが農家の人たちの感じておる実感なんです。  それで、価格だけでなくて、実際に第一次調整以来どういうふうになっているかといいますと、たとえば高知県の特産といえばキュウリであったわけですが、キュウリが実は昭和四十六年度には園芸連の共同出荷の割合を見ますと、全出荷の三四・三%を占めておったのです。これが次第に下がりまして、昨年度、五十一年度には一七・九%というふうになっているわけです。価格の問題は多少の変動はあるとしても、要するに競合産地の増大のためにパーセントがぐっと下がっている、こういう実情ですね。ここへさらにまた、命令ではありませんけれども、かなり強烈な転作要請が出てくるとなりますと、これはもう農家にとっては大変な問題で、県自体におきましても、私ども、県側からの要請もいただいておるわけですが、相当深刻な事態になっておるということはおわかりでございますか。
  263. 渡邉文雄

    ○渡邉(文)政府委員 先ほど私申し上げましたのは、野菜転作によりまして野菜の面積が非常にふえて、その結果恒常的に野菜価格が低落傾向にあるということではないのではなかろうか、むしろことしの現象は、先ほども申しましたように、過去一カ月ぐらいの異常高温、非常に暖かくて非常に早く生育が進んだ。反収増もあった。したがいまして、出荷の時期がかなり繰り上がって、幾つかの品目につきまして、御指摘のように、価格がかなり下がっておるという現象がございます。それは御指摘のとおりでございますが、転作が進んだために野菜生産総量がふえて恒常的に価格が下がっているということではないのではなかろうかというふうに申し上げたわけでございます。  ちなみに、野菜転作面積の過去の実績と野菜の作付面積の総面積でございますね、それをずっと数字を追ってまいりますと、野菜の作付面積総量は、たとえば昭和四十一年あるいは二年、三年ごろは、約七十万町歩ございました。最近はその総体が約六十二、三万町歩にむしろ減っております。その中に野菜転作面積は含まれておるわけでございまして、野菜転作面積自身も、米の生産調整が始まりました当初は約七万町歩ぐらいございましたが、ここ数年間は六万町歩前後ということで非常に安定しております。むしろ面積が減りっ放しでおかしいではないかという御疑問があろうかと思いますが、その間、反収増が相当ございます。ここ七、八年の間に、そういうようなこと、それから畑が減りまして水田の野菜の作付がふえているというような傾向もございます。そういうことが、先ほど申しましたように、野菜の面積全体はむしろ伸び悩みというよりも微減傾向、最近下げどまっておりますが、微減傾向にある中で、転作野菜の面積も安定しているということで、転作の結果、野菜が何と申しますか、構造的に価格が低落傾向にあるというふうには私ども見ておらないということを申し上げたわけでございます。
  264. 山原健二郎

    ○山原委員 その問題で、専門家であるあなたとここで論争するつもりはありませんが、私ども農業問題に対する専門家を持っていまして、赤旗新聞等を通じてかなり長文の調査結果、統計等も出しております。その中で価格傾向というのはやはり出ておりまして、その点ではいまおっしゃることと価格の面でもかなり食い違いがあるように思います。しかし、いまここでこれ以上この問題を申し上げる時間がございませんので、おきたいと思います。  二番目の問題として、米の消費拡大の計画についてお尋ねをいたしたいのでございます。消費拡大対策の中で、米飯給食の問題について伺いたいと思いまして、文部省にも出ていただいておるのですが、米の需給均衡化対策の骨子というのを農林省が出したのをいただいておりますが、その中に米飯給食の導入の拡充など消費拡大対策を強力に推進すると述べておりますが、まず一番に、これは具体的な計画はあるんでしょうか。また、あさってと言われました配分の発表に当たって、一面ではそれの裏づけとなりますこの消費拡大の計画というものを同時に発表される用意があるかどうか、伺います。
  265. 大河原太一郎

    大河原政府委員 お答え申し上げます。  米の消費拡大については、その具体的裏づけという点については、われわれといたしましては明年度の需要量の千百七十万トンのうち十万トン程度は政策努力としてこれを見たいということでございまして、それは骨子にも書いてあり、先生がただいまお述べになりましたような各種施策でございます。  さらに、それを一段おろしまして申しますと、学校給食におきましては玄米換算で本年度の実績が二万二、三千トンということでございますが、文部省当局の来年度の見込み計画量というものを見ますと四万五千トン程度、これは当面週二日を目途にして文部省当局でははじいておるようでございますが、週二日が完全に実施されますと、玄米換算で十一、二万トン程度ということでございます。明年度は四万トンを超える学校給食用の米を予定したいということでございます。  それからまた、現在いろいろ御議論も受けておりますけれども、粉食形態による米の消費拡大というようなことで小麦粉に対する米粉の混入というようなこと、これもわれわれとしてはそれぞれ現在各業界等についていろいろな検討を願っておるわけでございますが、当面十万トン程度の米の混入、粉としての混入というような計画を持っておるわけでございまして、そういうような全体の需要量における需要の拡大という数量を持っておるわけでございますが、県別の数字には直接これは反映しないわけでございます。したがって、われわれとしては、いずれ近く、これは長期にわたる方針でございますので、全体のこの需給均衡化対策政策の柱を閣議の了解とか、そういう形でとる場合におきまして、この需要の拡大大綱もそれと並行して政府全体の考え方として定めていきたいということでございまして、今週中に公表する各県別の目標というものの際には、特にこれをあれするわけではございません。
  266. 山原健二郎

    ○山原委員 学校給食についてちょっとしぼって質問いたしますが、私の県の農林部の方からいただいた学校給食への米飯の導入の方法として三つを挙げています。米飯給食実施校における米飯給食密度の向上ということで、週一回のところを三回ぐらいにまで引き上げる。それから、二つ目が、全完全給食実施校に米飯給食を導入する。三つ目が、給食未実施校に米飯給食を導入する。ことしの米価要求の農民の大会の中でも、学校給食に米飯をというスローガンが掲げられておりましたから、恐らくこういうことになるんだろうと思います。  ところで、なぜこれが進まないかということでありますけれども一つは設備、人件費にあると思うのです。現在、単独校調理施設が二分の一補助、設備が二分の一補助でございますが、これはまず今日のような米の状態の中で二分の一を三分の二に引き上げる必要があるのではないかということが一つです。それから、人件費につきましては、学校栄養士にのみついておりますけれども、調理師には全くついておりません。補助の対象ともなっておりません。     〔山崎(平)委員長代理退席、委員長着席〕 これは政府の責任でもっと導入しやすいような状態をつくり出す必要があるのではないか。強力に推進をするという言葉もあるわけですから、そういう意味でこういう問題についての対策考えておられるかどうか、これは文部省にも伺いたいのですが、お答えをいただきます。
  267. 坂元弘直

    ○坂元説明員 施設、設備の補助率を三分の二に引き上げるべきじゃないかということですけれども先生も御承知だと思いますが、現在、中学校でも未実施校が、児童生徒数でつかまえまして四五%ございます。私どもとしましては、米飯給食云々という以前の問題といたしまして、なるたけ広い範囲に学校給食を実施していただきたいということで、学校給食を開設する場合にはその施設、設備について補助金を二分の一出しておる。新たに学校給食を実施するところでさえ二分の一の補助率でございますので、米飯給食関係の施設、設備だけについて三分の二に引き上げるというのは、バランス上非常にむずかしいのではないかというふうに感じております。ただ、実際問題といたしまして、私どもの予算の執行状態を見ておりますと、ほとんどの設置者が、新しく開設するところもさることながら、いままでの給食施設が老朽化したということで改築する、更新するというときに、事のついでに米飯給食関係の施設、設備もあわせて整備したいというのが実態でございます。その際、いままでの施設、設備を更新するのは予算補助で三分の一の補助率で措置いたしておりますが、米飯給食関係の施設、設備につきましては二分の一で私ども補助を出しております。そういう意味から申し上げますと、若干、米飯給食関係については補助率を一般の更新よりも差を設けている、三分の一を二分の一というような形で事実上差を設けておると言っても差し支えないのではなかろうかというふうに感じております。  それから、第二点目の人件費の問題でございますが、先生も十分御承知のとおりに、国が補助する人件費というのは、どういう職種にどういう率で補助をするかというのは非常にむずかしい問題がございまして、栄養士の補助の問題につきましても、長年懸案事項であったものを、やっと二年ばかり前に国庫負担の対象にした。以前からよく国庫負担の対象にせよという御要望の強い職種といたしまして、用務員の方々もございます。用務員の方々あるいは給食調理員の方々等、その辺の横の職種とのバランスを含めて考えなければならない問題でございますので、確かに米飯給食、私ども文部省としましても、無理のない形とは言うものの、積極的に今後推進していきたいということで望んではおりますけれども、そのことから直ちに給食調理員の国庫負担を行うというふうに踏み切るのは用務員とのバランスの問題もあって、なかなかむずかしいのではないかというふうに感じております。
  268. 山原健二郎

    ○山原委員 これは単に文部行政の面からだけでなくて、こういういわゆる米作調整に入るという、しかも重大な問題を抱えて、しかも米飯給食を米の需要拡大の一環とするならば、そういう点からも考えていく必要があるのではないか。これは農民側の要求もそうですし、同時に県側としても、たとえば私の県の農林部の資料を見ますと、米飯給食実施校三百十四校、これが週一回の米飯をやっているわけですが、それを週三回に引き上げる。そうしますと、年間約五百二十トンという米の消費ができるという計算をいたしております。それからさらに、完全給食実施校三百三十九校で週三回実施するといたしますと、約六百トンの消費ができるという計算をいたしております。  それから、そのための経費として出しておりますが、たとえば炊飯センターを利用した場合におきましては人件費が安くなりますので、施設費として、二百人としての設備経費が七十六万、その中で補助対象になるのが五十六万、こういうことで考えています。また、家屋の建て増しについても二十四万という金額を出しておりますが、それを合計しますと約百万ですね。それから、対象校を三百三十九校にいたしますと、締めて必要全額が三億三千九百万ということで、この二分の一の補助ということになりますと、さして困難な金額でもなかろうというふうに考えるわけです。  これは農林省としてもやはり米の需要拡大という点から、これらの問題についてはそれぞれの県からもこういう要請が出ておると思いますので、こういうものは当然検討して参考にすべきであると思いますが、最後に、この点についての政務次官の御見解を伺っておきたいのであります。
  269. 羽田孜

    羽田政府委員 このたびの米の過剰に対処いたしますまず何と言っても基本は、やはり本来、米の需要というものを拡大していくということが一番大切な問題でございまして、ただいまいただきました御意見というものは私どもは踏まえてまいりたい、かように存じます。
  270. 山原健二郎

    ○山原委員 この米の問題ですが、私は、学校給食の問題には当初から関係してきておりますけれども、御承知のように、戦後アメリカから小麦が入ってまいりまして、とにかくこれが日本の農民に与えた影響というのは非常に重大でした。しかし、その給食をとにかく学校の先生、子供たちに食わさなくちゃならぬということで、ずいぶん無理をしたわけですね。そうして、その給食に熱心でない者は非国民のごとく言われて、アメリカの小麦を無理やりに子供たちに食わしていくという経過があるわけです。そのことを私はみずから体験してきておりますからよく知っているわけですが、そうして日本の農業に大きな影響が与えられてきたばかりでなく、米というものに対して罪悪であるかのような宣伝までなされてきたわけですよ。米を食えば頭が悪くなる、あるいは脳溢血の原因になるとかいうような宣伝までまき散らされて、そして、アメリカの小麦と脱脂粉乳を日本の子供たちに食わしていくという、日本国民の嗜好までここで変えていったわけですね。しかも、それを強権でやってきたというのが実情です。私は、そういう意味で、いま米の問題でこれだけの本当に重大な時期を迎えておるわけですから、そういう過去の反省というものも当然しなければならぬという意味で、学校給食に米飯を取り入れるために積極的にやれ、こういう主張をしておるのですから、この点は、農林省も文部省もぜひ理解をしていただきたいと思います。  最後に、小麦粉への米粉の混入の問題についてでありますが、これもいままで当委員会でずいぶん論議されておると思いますからもう詳しいことは申し上げませんが、たとえば、この問題について、私は、いまここへ製パン業者の要請書も持ってきております。当然反対が起こるということは容易に理解することができますが、また香川県に讃岐うどんというのがあるわけです。これは香川県の特産であるといいますか、もうすでに東京あたりにもずいぶん進出をしてくるという、あの粘りの強い、腰の強いこの讃岐うどんというのはどうしてできたかといえば、これは御承知のように、特に手打ちでやるわけです。手で長時間にわたってこれを練りまして、そうして、あの強い讃岐うどんというのができておるわけでございまして、これはまさに伝統的な味覚であるわけですね。そういう意味で、相当の人々がこれで生活をしておるというわけですが、これはまさに米の粉が入ったならば、この特産の性格は完全に失われてしまうという内容を持っているわけであります。また、香川県に例をとりますと、小豆島に手延べそうめんというのがございます。これはまさに大打撃を受けると言われているわけでして、これはうどん以上に細く延ばしていくという作業があるわけでして、これに米の粉を混入した場合には、こんなものはとてもできるものではないということになるわけですね。  一つの県の特産品がここでつぶれていくという可能性さえ持っておるわけでございますが、こういう点を考えますと大変深刻な事態でございまして、パンの問題を含めまして、これについては当然反対が起こるわけです。そして、この人たちが、製めん組合あるいは製パン組合の方たちが初めて店頭で反対の署名運動をやる、こういう事態まで発生をしておるのでありますが、このような実態から考えまして、これらに対してはどういう手を打つのか、この点を伺っておきたいのであります。
  271. 大河原太一郎

    大河原政府委員 粉食形態が小麦製品として食生活に定着しておりますが、この米の消費の拡大ということのために何とか粉食への導入ということもできないかということで、われわれとしては小麦粉に対する米粉の混入という政策を取り上げておるわけでございます。  現在考えております一応のめどは、小麦粉の換算消費量が四百万トンでございまして、これに十万トン分の玄米を混入いたしますと、米粉で八万五、六千トン、したがって二%前後ということに相なるわけでございます。これを一応のめどにいたしまして、現段階では小麦製品、各部門がございます。いまお話のようなパンもございます。めんもございます。インスタントラーメン、即席めんもございます。あるいはパン粉もございます。あるいはギョーザ等の皮の業界もございます。ケーキミックス等の業界もございます。それぞれ多岐にわたります小麦製品の業界に対しまして、この混入についていろいろ検討をお願いしておるという段階でございます。すでに業界によりましては、ある程度混入をしてもその製品固有の特質が失われないとか、あるいは混入する小麦粉自体をソフト系のプロテインの低いものからハード系の、強力粉と市販では言われておりますが、そういうものに変えることによってある程度のその製品の特質は確保されるとか、いろいろな実験を現在行ってもらうわけでございまして、恐らく各部門によって必ずしも画一的に、ある部門では五%ぐらいいけるかもしらぬし、ある部門ではそうはいけないというものもあるかもしれませんし、また御案内と思いますけれども、パンについてはすでに米粉一〇%混入のものが商品として市販されておりますとか、いろいろこのような米の需給事情からその米を導入していく工夫を各業界にお願いをしておる。決して制度をもって強制するとか、そういうことはないわけでございまして、ただいまいろいろの御意見がすでに出ておりますけれども、じっくりそれぞれの可能性というものについて検討していただいた上で、われわれとしては具体的な施策を進めたいというふうに考えております。
  272. 山原健二郎

    ○山原委員 それで、もちろん製パン業界におきましても、米の消費についてのいろいろな努力や研究をしておられることは要請書の中にもあるわけです。でも、いま私が言いましたのは、たとえば香川県の讃岐うどんであるとか、あるいは小豆島の手延べそうめんであるとかいうものは、これはどうにもしようのないものです。他のところで米粉を入れてやるというようなものでなく、それのみに生活がすべてかけられておる、こういうふうな伝統的な、しかも県の特産として生きておるものは、いまのお話ではやり方によっては守ることができるというふうに理解してよろしいでしょうか。
  273. 大河原太一郎

    大河原政府委員 先ほども申し上げましたように、各業界それぞれただいまいろいろの研究工夫をしていただいておるわけでございまして、その結果を見て判断をさせていただきたいというふうに考えております。
  274. 山原健二郎

    ○山原委員 ありがとうございました。
  275. 金子岩三

    金子委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時五十四分散会