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森田委員 私は、
稲作転換、
水田利用再編対策等につきまして御
質問を申し上げたいと思います。
本年度、予想されていなかったような
稲作の異常な出来高、そういったこと等から、かねてから懸念されておりました
限度超過米を非常に多量に抱え込むといった
状態になってまいっておりまして、来年度予定されております
稲作の
転換なり
水田利用再編対策といったようなことが必要でございますことは
十分承知をいたしておるわけでございます。しかしながら、
農民なりあるいは
農業諸
団体等は必ずしもこれにもろ手を挙げて賛成するといった
気持ちでなしに、むしろ
拒否反応といった
状態を示しておると言ってもあえて
過言でないのが
現実の姿でございます。私ども、やはりそうした
かかわり合いのございます地域に住んでおります者として、何とかして現在の
状況を
十分承知していただいて
協力していただかなければならないという
前提に立って、いろいろと
お話は申し上げておるわけでございますが、過去行われてまいりました
状況下におきます
転換といったようなもの、
調整といったようなものと違った
意味で、非常な
危機感を持って、現在の
時点、
農民がこれに対応しようとしておるという
現実は避けることのできない
状態のようでございます。
そこで、そういった
前提を基礎にいたしまして、いろいろ直接そういった問題と取り組んでおります
過程の中で、特に
お尋ねを申し上げたい、また特にこういった点についてお
考えをいただきたいと
感じます諸点につきまして
お尋ねをさしていただきたい、かように
考えるわけでございます。
五十三年度の
目標とされております百七十万トンあるいは四十万ヘクタールといった形というものは、五十二年度の約二倍に
相当する量であり、面積であるわけでございます。このことだけを
考えてみましても、これはなかなか容易なことじゃない。簡単にこの問題が実現できるという
前提に立って取り組んでおっては必ず
失敗に帰すのではなかろうかという感なきにしもあらずでございます。先般の
委員会において
稲富委員から、今回この方策については、戦後行われました
農地改革に次ぐ
農業の大変革を迎えておるんだというお言葉がございましたが、私も全くそういった
感じがいたすわけでございます。それだけの、
農業全体の
根幹をゆさぶるような問題であるならば、もっと
農林省自体、否むしろ
政府が本腰で、本当に
農民がここまでくればやむを得ないといったようなものをぶつけて、
農民に
協力をさせる。あるいはこれらの
施策が講ぜられるに当たりまして、むしろ
農林省自体よりも地方自治体、県を初め市町村、あるいは直接
かかわり合いのございます
農業諸
団体、そういった
第一線で
説得をしなければなりません
立場の
人たちが、いかに苦慮されるか、いかに御労苦が多いかということは、これはあえて
過言でないと率直に私は
大臣にも申し上げたいのでございます。
農民はこの問題をできるだけはね返そうといままで
経営をいたしてまいりました。
わが国の主食でございます。しかも
農業の
基盤ともいうべき
米つくりが思うようにつくれないといったような
状況に置かれておりますそうした
農民の
立場を十分理解しながら、何とかして
説得をするということにいたしますためには、そうした
第一線でやられておる
方々が
説得しやすい
条件をまずつくり出すということが先行しなければならない、私はかように
考えるわけでございます。
ところが、そういったような
条件整備が、果たして、十分とはいかないまでもある程度行われて、この
施策が実行に移されようとしておるのかどうなのか、私はあえてそれを是認するといった
気持ちになれません。と申しますのは、たとえば
条件整備等の中で、少なくとも、米をつくるよりもいささか悪いけれども、まあまあこれくらいのことであるならばがまんをして
転作せざるを得ないだろうといったような
条件が果たして整備されておるかどうか。私は、昨日小
委員会におきますあの
農産物の
価格問題の
審議の中でそういったことをふと
感じました。と申しますのは、特に米に比較して他の
作目に
転換しにくいというのは、やはり
価格の問題があると思うのです。もちろん米は非常に安定をしておる。つくって
失敗することがない。いろいろな
災害等の問題がございましても、
価格等におきまして安定をいたしておりますし、昔からなじんできております
農業でございますために、
失敗がない、安定してつくれる。ところが、それを他に
転換するということになりますれば、
一体かわるべき米に次ぐような安定した
作目があるかどうか、そういったようなものの手当てがなされておるかどうかといった点について、私はいささか
危惧の念を持たざるを得ないのでございますし、昨日の
価格小委員会に出ました、
農林省がお
取り組みいただいております
農産物の
価格等に対します
審議がいかような形でとり進められておるのであろうか。本当に米というものが現在のような趨勢にあるということであるならば、当然、
価格等に対する
問題等も本気で取り組んでおられるならば、もっと何かここら
あたりで
農民を納得させられるようなものが打ち出されてしかるべきではなかったろうかという気がして私はならないのでございます。
きのう「
農産物価格政策の
検討状況について」という
経過報告がございましたが、これは五十年の九月十三日に
省内に
価格政策検討委員会というのが発足されておるようでございます。メンバーにつきましては、
次官を座長にいたしまして、幹部の
方々ほとんど顔を並べておられるようでございます。もちろん、これらの問題が短期間のうちに安易に結論づけられるものだとは思いません。しかしながら、少なくともこういった
農業の大きな変革期を迎えなければならないのではなかろうかというような情勢の中で行われるこの
委員会の結論の出し方というものが、いまのような
状態で果たして納得できるものであろうかという気がいたすわけでございます。
昭和五十年の九月十三日に
省内に設置されて、現在まだ何ら結論的なものは見出されていないようでございます。ただ、
大筋は一応
方向づけされておるといったにすぎないというのが
現実の姿のようでございます。
一体この間何回ぐらいこれらの会合をお開きになったのか、
一体次官は何回ぐらいそういった
会議に御
出席になったのか、そういった点についてまず私は
お尋ねを申し上げたいと思うのですが、このこと一つをとらえてみましても、私は本当に
条件を整備して少しでも
農民に納得のいく農政の形において、そういった中でこれらの問題を取り進めていこうという省を挙げての
姿勢というものがその中から
考えられるだろうかと言わざるを得ないのでございます。
さらに、いろいろ
転換あるいは
再編対策等について
方向づけはされておりますけれども、そういったものに対して果たして
一体どれだけの
裏づけがなされようとしているのか、なされるのか、そういった点については何らいまの
時点では具体的なものがないようでございます。ただ、いろいろな
奨励金等については
増額されておるようでございますし、その
範囲等においてもある程度拡大されてまいっておるようでございます。しかしながら、これは本当に今後
農家が
農業と
取り組みます場合の安定した
農家経営、そういったものの
裏づけに足るものであるかどうか。私は、あくまでこういった
奨励金というのは暫定的なものにすぎない、そういった
感じがするわけでございます。もちろん、そういった
過程の中で、その十年間の歩みの中でそれらの
裏づけをし、
現実農家の
経営が安定していくような
方向づけをするという
考え方で十年間という
計画が立てられておると思うのですが、しかしながら第一歩が私は非常に大事だと思うのです。最初を誤ればせっかくのそうした十年
計画の
事業も思うような
成果を上げ得ることができないのではなかろうかという気がするわけであります。
そういう点を
考えますと、やはりこの五十三年度において、少なくともさきに申し上げたような
考え方で問題をとらえた場合に、これだけ大きな問題と
取り組みます
政府の
姿勢、
農林省の
考え方としては余りに甘過ぎるのではないか、こういう気がいたします。
一体、今度の
取り組みの
中心がどこに置かれておるのか。恐らく御
答弁は
官房長だとおっしゃるかもしれないし、
次官だとおっしゃるかもしれませんけれども、われわれが
感じますところでは、
農蚕園芸局の
局長あるいは
審議官のところが
中心になってこれらの問題に取り組まれておるような
感じだけしか受けない。そういうような
状態でこの問題を見なければならないことを私ははなはだ遺憾に思う。もちろん、
大臣は
委員会の
たびごとに御
出席いただいて、真摯な態度で真剣に御
答弁もいただいておりますし、
大臣のこの問題にかけられております情熱というものにはわれわれは打たれます。しかし、
農林省全体が火の玉となってこれだけの大
事業を進めるという、そういった
考え方に立って問題をとらえておるとは私にはどうしても思われません。
そこらあたりを
農林省自体についても、私ははなはだ申し上げにくいことだけれども、申し上げざるを得ない気がいたすわけでございます。
そこで、私はさらに
大臣に
お尋ねを申し上げたいと思うのですが、いろいろな
作文はできておるけれども、その
裏づけとなります財源問題、財政問題、それをどういうふうにお
考えになっておるのか。これだけの大きな
事業を、しかも第一年度において一歩を誤れば十年間その
成果を上げることができない、そういったことにつながるのではなかろうかというような
状態の中におけるこの問題を、
閣議決定までなされて取り組まれておる、
政府を挙げて取り組まれておる。だとするならば、少なくとも十年間に、あるいは十年間と言わなくても第一期の三年間には特別これだけの枠で別に
予算措置をいたします。これくらいの
取り組みの
姿勢というものがあってしかるべきだという気がするのです。そういったものがあってこそ、それぞれの自治体、それぞれの
農業団体の
責任者が
責任を持って
農民を
説得する、
政府の
施策に
協力をさせる、そういった本当に
責任を
感じての
措置ができるのではなかろうかと私は思うのです。そういったことはしないでおいて、ただいたずらに事を急いで、ここ二、三日のうちにはその
目標を提示されるような
お話も聞きますけれども、いままで安易にと言えばあるいは
過言であるかもしれませんけれども、
転作ができてきた、
生産調整ができてきた、こういった
考え方の上に立ってこの問題をとらえようとされるならば、私は
失敗に帰するのではなかろうかという
危惧の念を抱かざるを得ません。
そこで、そういった点について
大臣はどういうふうにお
考えになっておるのか。ただ単に
作文をつくっていただいただけでは腹はふくれません。
農民は納得しません。米にかわるべき物はかくかくしかじかのものでありますと
作文をつくりましたなら、その
裏づけにこれだけのものをわれわれは
考えます。そういったことがあってしかるべきだと私は思う。
治山治水のああいった
事業等については、第何次といったようなことで
相当多額の金が別途前もって
裏づけされて
事業が推進されようといたしております。
農家の
経営を根本的に
考え直してもらわなければならぬ。ただこれは一時的なものではないと思うのです。一時
米つくりをやめておけば将来はまたもとに戻すことができる、そういったような
状態ではないと思うのです。将来ともに、あるいはより以上のものを無理を言わなければならないかもわからない
状況の中において、私はそれくらいの
考え方を持ってなさるべきではなかろうかという気がいたします。
引き続き
お尋ねを申し上げておきたいと思いますが、五十三年度の
農林省の
要求なさる
予算、五十二年度と変わってこういった大きな問題を抱えておりますがゆえにどれだけの
予算を
要求されるつもりなのか、前年度に比してどれだけの増を見込んでの
要求であるのか、こういった
事業をやるために、その中にどれだけの
配慮がなされようとしておるのか。
土地基盤整備事業等におきましても、私は少なくとも
稲作の問題としてでなしに
農業全体の問題として
考えるならば、単に
奨励金を出したからこの問題は事足れり、そういったことではなかろうと思うのです。やはりそうした
農業の
根幹になりますような
事業については、この際特別な
配慮をして特別な枠組みの中で
事業を推進していくといった
考え方があってしかるべきだと思う。そういったような
考え方が盛り込まれておるのかどうなのか。あわせて、
大蔵省の方から御
出席をいただいておると思いますが一それでは、
大蔵省から見えておりませんので、私は
大臣に、
大蔵省にかわったつもりでそういった点についてひとつ御
決意のほどをお願い申し上げたい、かように
考えます。