運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1977-11-02 第82回国会 衆議院 農林水産委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年十一月二日(水曜日)     午前十時二分開議  出席委員    委員長 金子 岩三君    理事 今井  勇君 理事 片岡 清一君    理事 菅波  茂君 理事 山崎平八郎君    理事 竹内  猛君 理事 美濃 政市君    理事 瀬野栄次郎君 理事 稲富 稜人君       阿部 文男君    加藤 紘一君       熊谷 義雄君    佐藤  隆君       染谷  誠君    森   清君       森田 欽二君    岡田 利春君       島田 琢郎君    新盛 辰雄君       野坂 浩賢君    馬場  昇君       松沢 俊昭君    武田 一夫君       野村 光雄君    吉浦 忠治君       神田  厚君    津川 武一君       菊池福治郎君  出席国務大臣         農 林 大 臣 鈴木 善幸君  出席政府委員         経済企画庁調整         局審議官    澤野  潤君         外務省経済協力         局長      菊地 清明君         農林大臣官房長 澤邊  守君         農林大臣官房審         議官      犬伏 孝治君         農林省農林経済         局長      今村 宣夫君         農林省構造改善         局長      森  整治君         農林省農蚕園芸         局長      堀川 春彦君         食糧庁長官  大河原太一郎君  委員外出席者         農林省農林経済         局統計情報部長 白根 健也君         農林水産委員会         調査室長    尾崎  毅君     ————————————— 十一月一日  農業用水汚染防止に関する請願中村茂君紹  介)(第二二一五号)  同(原茂紹介)(第二二一六号)  昭和五十三年度稲作生産調整に関する請願(  中村茂紹介)(第二二一七号)  同(原茂紹介)(第二二一八号)  農林漁業金融公庫事務所長野県内設置に関す  る請願中村茂紹介)(第二二一九号)  同(原茂紹介)(第二二二〇号)  農畜産物輸入規制に関する請願中村茂君紹  介)(第二二二一号)  同(原茂紹介)(第二二二二号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  農林水産業振興に関する件(米需給均衡化対  策)      ————◇—————
  2. 金子岩三

    金子委員長 これより会議を開きます。  農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  この際、鈴木農林大臣から、米需給均衡化対策(案)に関する農林大臣説明について発言を求められておりますので、これを許します。鈴木農林大臣
  3. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 米需給均衡化対策につきまして、農林省が現在取りまとめております案の趣旨及び主要な内容を御説明申し上げます。  御高承のとおり、政府は、将来にわたり国民食糧安定的供給を確保するため、国内生産体制を整備し、国内生産可能な農産物については、極力これを国内で賄うよう、総合的な食糧自給力強化することを基本総合食糧政策を展開しているところであります。  しかるに、最近の農産物需給推移を見ますと、米については、依然として稲作志向がきわめて根強く、他方消費拡大努力にもかかわらず需要の減退が続いているため、再び生産調整開始時期の昭和四十五、六年当時のような事態を招きかねない状況にございます。  今後、米需給均衡を図るためには、需要拡大を積極的に図るとともに、従来の水準を大幅に上回る規模の生産調整が必要な情勢となっております。  一方、飼料作物、麦、大豆等の増産の必要な農産物国内生産は依然として伸び悩んでおり、生産拡大のためには一層の努力要請されております。  元来、総合食糧政策は、需要面においてわが国風土に適した国内自給型食生活への誘導を図るとともに、供給面において自給力向上の主力となる作目に思い切って重点を傾斜する農政の展開を意図するものであります。  したがって、今日の事態は、単に米の減産を目的とする後ろ向きの緊急避難的なものではなく、総合食糧政策基本的考え方に立脚した農業生産の再編成を通じてこそ克服されるべきものと考えております。  このような考え方から、このたび、長期的視点に立って、国内資源に依存する食生活への誘導を図るとともに、需要動向に即し、米の生産計画的に調整し、飼料作物大豆麦等生産拡大とその農業経営における定着化を図り、もって需要動向に安定的に対応し得る農業生産構造の確立を期するために、新たに米需給均衡化対策実施することといたしている次第であります。  これは日本農業の新たな発展のためにぜひとも実行しなければならないものであり、また、このことが現下の需給事情のもとで食糧管理制度の根幹を堅持するゆえんであると考えます。  次に、本対策の主要な内容につきまして御説明申し上げます。  第一は、国内食糧資源依存型食生活への誘導であります。わが国風土に適した国内食糧資源に依存する食生活への積極的な誘導を図るため、食生活における米の見直しを基本とし、学校給食への米飯導入計画的拡充米粉入り麦製品等新規用途開発普及良質米普及奨励等、米の消費拡大対策を強力に推進することといたしております。  第二は、農業生産地域指標の作成であります。長期的視点に立って、需要動向に即して地域農業生産誘導するためのガイドポストとして、農業生産地域指標を作成することといたしております。  第三は、水田利用再編対策実施であります。水田利用再編対策は、昭和五十三年度以降おおむね十年間の事業とし、これを数期に分けて実施するものとし、第一期は昭和五十三年度から昭和五十五年度までの三年間といたしております。  この場合、米の生産調整目標数量転作目標面積及び予約限度数量は各期初めにこれを定め、その期間中は原則としてその総量を固定することといたしており、第一期の生産調整目標数量は、各年百七十万トンとしております。  また、転作奨励対象作物については、原則として、需給事情に問題のない作物はすべて対象とすることとし、特に飼料作物大豆麦等重点を置いて推進を図ることとしております。  さらに、転作奨励補助金についても、重点作目を中心に稲作との均衡等配慮して適正な水準に定めることとしております。  このほか、水田利用再編対策を円滑に推進するため、農協等による管理転作地域ぐるみ計画的転作市街化区域内水田等についての転作目標等傾斜配分転作未達成の場合の次年度転作目標面積等調整措置転作条件整備等実施してまいることといたしております。  第四は、農産物各種作目間の相対価格関係是正であります。米と転作作物との収益性均衡を図るための対策の一環として、継続的に米と畑作物との相対価格関係是正を図ってまいることといたしております。  第五は、構造政策強化であります。米需給均衡化を図るためには、米以外の農産物生産の担い手となる者を育成する必要があり、このために地域農政推進水田利用中核農家への集積、新たな構造改善事業発足等各般施策を講じてまいる所存であります。  第六は、畑作振興対策強化であります。畑作物生産振興を図るとともに、水田利用の再編成に資するため、畑作のための土地基盤整備重点的推進畑作物共済本格的実施等畑作に関する施策全般的強化を図ることといたしております。  以上、米需給均衡化対策案の主要な内容について申し上げましたが、政府といたしましては全力を傾注して本対策推進する覚悟でありますので、委員各位の御理解と御支援を切にお願い申し上げる次第であります。(拍手)     —————————————
  4. 金子岩三

    金子委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。佐藤隆君。
  5. 佐藤隆

    佐藤(隆)委員 限られた時間でございますので、個条書き的に端的に質問をいたしますので、政府委員におかれてもきわめて簡潔、明快にひとつ答えていただきたいと思います。  第一点であります。昨日、円対策、ドル減らし、こういうことに関連をして、実は、緊急輸入ということについて具体化を急げ、こういう総理指示があった、そのことについて経済企画庁はこれを受けてプロジェクトチームをつくって、そして、それに対応いたしたい、経済企画庁長官はこれに同意をした、こういうお話日本経済新聞にも明らかになっております。  このことについて実は私が心配をいたしますのは、農産物輸入について、なるほどいままで開発輸入問題等もいろいろ政策として挙げてきた政府でありますから、輸入物資が幾ばくかは必要だということは承知をいたしております。自給率を高めながらそういうことは必要だということは承知をいたしておりますが、むやみやたらに無計画にやった場合は、かつての国際分業論を誘発しやしないかという心配を私はしておるわけでございます。したがって、そういう心配から、実態はどういうことであるのかお答えをいただきたい。
  6. 澤野潤

    澤野政府委員 お答え申し上げます。  例の、黒字対策といま先生はおっしゃいましたけれども国際収支対策、これはもうすでに先生承知のように、九月三日の総合経済対策の中で対外経済対策という一項目を設けて、この問題について今後積極的に推進するということをいたしております。これを受けまして九月二十日にその具体的な対策と申しますか、具体的にどのように進めるかということを閣僚の間で合意をしたものがあるわけでございます。これは対外経済対策として発表いたしたものでございまして、政府といたしましては、この九月二十日に発表いたしました対外経済対策をより積極的に具体的に推進するということをいま鋭意やっておるわけでございます。  もちろん、御承知のように、黒字対策というのは、基本的にはまず国内需要を喚起しまして輸入を増加するということが一番重要なんでございますけれども、昨今におきます円高の問題というようなものも非常に緊急度を増しておるわけでございまして、一方で内需を振興するとともに、他方ではやはり緊急的に、緊急避難総理は申しておられますけれども、そういう緊急輸入対策ということも必要であることはもう皆様のよく御承知のところだろうと思っておるわけでございます。  したがいまして、これを進める上におきましては、あの中で書かれておりますように、原燃料等備蓄輸入とか、それからいろいろな輸入の繰り上げといったようなものを挙げておるわけでございますけれども、もちろんこれを進めてまいる上におきましては、政府といたしましても、十分国内需給等を勘案しまして進めていくのは論をまたないところでございますけれども、やはりこういった緊急輸入というようなものは、政府として全力を挙げて今後とも具体的に推進実施してまいらなければならないというのが現在の事態ではなかろうかと思っておるわけでございます。したがいまして、総理も非常にそういう点を御承知になっていらっしゃいまして、そういう政府として全力を挙げて輸入を行うようにという御指示があったというふうに私どもは聞いておるわけでございます。  農産物もその中に含まれておりまして、国内需給等十分勘案しながらそれを進めてまいりたいということでございます。
  7. 佐藤隆

    佐藤(隆)委員 プロジェクトチームを具体的に組んでやるのですか。そこまで積極的なんですか。
  8. 澤野潤

    澤野政府委員 プロジェクトチーム云々といいますよりも、これを政府として全面的に全力を挙げて推進するということで、いまその方法を検討いたしておるところでございまして、いかにして現在輸入というものを推進していくかということを検討している段階でございます。
  9. 佐藤隆

    佐藤(隆)委員 具体的に考えておられる農産品はどういうものですか。
  10. 澤野潤

    澤野政府委員 具体的にと申されましても、何という問題よりも、飼料用穀物等備蓄等でございます。
  11. 佐藤隆

    佐藤(隆)委員 ここで企画庁とそのことについて細かく議論しようとは思いません。  農林大臣政府全体としての物の考え方、これは私は別にこれを批判するものではございません。ただし、先ほど申し上げたように、安易にこれが取り進められますと、かつての、もう六、七年前非常に議論をいたしました国際分業論を再び誘発する結果になりかねないという心配をしておるのです。ですから、慎重にも慎重にひとつ対処していただきたい。農林大臣自身はどの程度相談を受けておられるのですか。
  12. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 国際収支均衡を図る、これは今後の日本国際経済発展の上からいってもぜひやらなければならない課題である、こう心得ております。しかし、農産物につきましては、これは国内生産可能なものは極力生産を伸ばして自給力を高める。そして、国土資源関係から足らざるところはこれを安定的に輸入を確保して、消費者である国民の皆さんに食糧問題等についてはいささかも不安を与えてはならない、これが農政基本だ、私はこう考えております。したがいまして、あくまで国内自給力を高め、足らざるところを安定的に輸入をするということでございますから、私は国際分業論というようなものは、基本的に、わが国農政の方針からいたしまして、絶対にこれを容認するものではないということを明確にいたしておきたいと思います。  なお、農林省所管物資につきまして私に相談をせぬでこれを取り運ぶというようなことは、この内閣では絶対にあり得ないことだ、こう考えております。
  13. 佐藤隆

    佐藤(隆)委員 まあその基本線だけすっきりしていれば、とりあえず私の心配がなくなるわけでございます。  それにいたしましても、何を考えているかということの企画庁お答えは、えさ等というお話がちらりとございましたが、それについても、備蓄という問題をなおかつどう進めていくかというようなこともあわせて考えていきませんと、専門的に相当きめ細かく考えないとできないわけでございますから、企画庁におかれても、慎重な取り組みをひとつお願いをいたしたい。  それからもう一つ、実はきのうのニュースで、インドネシアに対する援助計画、この問題が報道されておるわけであります。タイ米を購入してそれを援助しようということで考えておったところが、タイは不作であってその手当てができない、インドネシア日本に対して援助要請している、それじゃ日本余剰米を出そうか、こういうことで、鳩山外務大臣から農林大臣大蔵大臣要請があった、こういうことでありますが、その実態をひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  14. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 これはインドネシアからの借款要請外務省を通じて政府にあったようでございますが、これは食糧援助でございませんで、借款でございますから、わが国の方でこれを買え、あれを買えというひもつきでやるわけにはいかない、これが一つでございます。  しかるところ、当初インドネシアは、日本から借款を受けてタイ米等を購入をしたい、こういう計画であったようでございますが、タイ輸出余力というものが、今年は、二毛作でございますから今後の推移を見なければはっきりいたしませんが、いまのところ輸出余力は十分でない、こういう状況にあるようでございます。  そういうようなことから、タイビルマ輸出余力がないということであれば、日本では在庫米を相当抱えておるのであるから、日本から日本米輸出をしたらどうか、こういうお話が確かに鳩山大臣からあったわけでございます。しかし、その際私申し上げておいたのでありますが、国際米価は大体トン六万円程度でございます。ところが、わが国米価割り高になっておりまして、約五倍でございます。そこで、これを仮に輸出するといたしますれば、トン当たり約二十九万円くらいの犠牲を食管で払わなければ輸出できないということに相なるわけでございまして、それだけ来年度農林予算の方にも食い込んでくる、影響を与えかねないという問題もございます。そこで、もしやる場合には、そのトン当たり二十九万円くらいの財政負担の問題は政府全体として考えておく必要があるということを申し上げて、これは大蔵大臣十分関連があるなという話をしたという経過に相なっております。  なお、外務省に対してインドネシア等から要請のあったことについては、外務当局から御答弁を願いたいと思います。
  15. 菊地清明

    菊地政府委員 ただいまの農林大臣お話で尽きているわけでございますけれども、私の方に要請がございましたのは、実は最初は二十万トン要請がございましたけれども日本側事情を考慮しまして、十万トン、六十五億円ということで、この八月に福田総理がおいでになりましたときに、先方の大統領に対して、六十五億円の米の借款を供与するということをお約束したわけでございます。  その後、御案内のとおり、タイビルマの米の供給がないということで、急遽私の方から農林省に御相談申し上げまして、日本米利用を含めて、現実にインドネシアはいま非常に困っておるようでございますので、早急な手当てをしたいというふうに考えておるわけでございます。
  16. 佐藤隆

    佐藤(隆)委員 外務省農林省も、失礼ではありますが、タイ米あるいはビルマ米というインドネシア国民にも嗜好の合う米を供給する結果になるものであればということで、物だけの価値観ではなくて、心の通じた配慮をもってお金を貸す、こういうでしょう。その場合、一体外務省は米の嗜好というものをどう考えておられるのだろうか。というのは、私ども承知をしておる範囲では、日本軟質米は向こうでは喜ばれないのである、こういうことですよ。そこらはどうなっているのですか。
  17. 菊地清明

    菊地政府委員 確かに仰せのとおり、米の嗜好の問題がございます。日本の米が、炊き方にもよりますけれども、非常にスティッキーで、それから丸い米でということでございますけれども、その点は実はインドネシア側はよく承知しておりまして、俗に言います背に腹はかえられないといいますか、タイ米ビルマ米がないということであれば、ぜひとも日本米で結構であるということでございます。その点は私の方も非常に心配いたしまして、この点は大丈夫だなということを念を押した上で、そういう話に進んでいるわけでございます。
  18. 佐藤隆

    佐藤(隆)委員 私がなぜそういうことを極端に心配するかというと、たとえば円借款等について、総理が八月に回られた結果は、その陰口は、やはり日本銭もうけが上手だ、金が余っているから今度はただで貸してくれるのだというような数合わせの受け取り方なんですよ。だから、今度はまた、日本は米が余ったから余剰米を回してくれたのだというように受け取られたのでは大変だ。ただ、インドネシア政府は、政府の立場から言うと、本当にぬれ手にアワ、極端に言えばそういうことでもありましょうから、いやそんなことは心配ございませんと言うけれどもそこらはよほど慎重にやらないと、後で陰口をたたかれることになりますよ。それはインドネシア政府だけではなくて、インドネシア国民にわかる、そういう配慮までしないと、心が通じませんよ。そういう心の通ずるやり方というものをもう少し考えて、あわせて数合わせ、銭の裏打ちというものを考えなければいかぬでしょう。いまの政治に欠けているのは、一番それが大きいのじゃないですか。まあここであなたにそれ以上言ってもしようがありませんから、外務大臣によくそれを言っておいてください。  なお、余剰米処理という問題について、農林省に対しましては、かねて私は、古米処理計画について回転備蓄考え方もひとつやったらどうか、しかし、それは二百万トンがいいのか三百万トンがいいのかという議論を実は前にもしたことがあるわけであります。そういう中で、今度は、十月十五日現在の作況指数から言うと千三百万トンを上回るであろう、これは喜ぶべきことではあるけれども、また全体を考えると大変な事態である、こういうことであります。そうすると、余剰米がどんどん出てくることは必至でありますから、それをえさ援助かというような話が、インドネシア食糧援助、これは表向きは円借款ではありますけれども、そういうことに関連をして、東南アジアに大きな関心を呼ぶであろうし、また国内余剰米処理対策として大きな関心が出てくると思うのです。その点食糧庁はどう考えているのですか。
  19. 大河原太一郎

    大河原政府委員 お答え申し上げます。  御案内のとおり、われわれとしては、いろいろな御意見もございますが、米穀年度末の持ち越し在庫は、二百万トンあれば十分備蓄的機能を果たし得るというところでございますが、本年は三百三十万トン以上、来年度は、昨日発表した本年度作況等にも明らかなように、膨大な超過米の発生と政府在庫の激増ということから、四百万トンを相当上回る持ち越し在庫を持つということでございます。  これについては、通常操作二百万トンの分については、主食等に充当いたしまして、いわゆる回転備蓄をしていく、古米を新米に置きかえていくということでございますが、それを超える部分をいかにいたすかという問題だと思うわけでございます。  これにつきましては、しばしばの御意見もございますが、えさなりあるいは援助輸出という問題については、それぞれ飼料用価格国内米価格との大きな価格差トン当たり三十万円前後になりますし、輸出においても、いまもお話が出ましたように、トン三十万円というような問題もございまして、膨大な財政負担を要するという問題もございます。また、かつて七百二十万トンを処理いたしました際は、まだ東南アジア諸国等米需給が今日よりもはるかに逼迫していたということで、援助輸出等条件も相当あったということもございますし、また穀物ショックでごらんのように、トウモロコシその他の輸入飼料穀物が暴騰した、それに対して過剰米が約三百万トン飼料用としてあった、そういうような諸条件がそろっておったわけでございますが、いま申し上げましたような財政負担の問題、あるいは特別処理用途先条件の問題、いろいろございますので、われわれとしてはなお相当慎重な検討を要するというふうに思っておるわけでございます。  ただ、われわれとしては、とりあえずは工業用原材料米、御案内のとおり、みそとかしょうちゅうとかせんべいとか穀粉とかという工業用原材料につきましては、通常の毎年産の米を充当いたしますと価格割り高になり、なかなか問題もございますので、古米処理としては工業用原材料等にこれを充当するということでとりあえず第一歩を進めたらどうだというふうに考えております。
  20. 佐藤隆

    佐藤(隆)委員 いろいろ慎重に考えておるということでありますから、時間がございませんからこれ以上申し上げませんけれども工業用の問題にしても、それじゃ売り渡し価格をどうするかという問題もまた出てくる、それを考えればまた財政負担が出てくる、こういうことで非常にむずかしい点はわかります。しかし、いずれにしても、通常備蓄ランニングストック以上のもの、これをどう回転させていくかということ、これはやはり常日ごろのプログラムとしてあるべきことだと私は思っておるのです、こういう事態だからどうだこうだじゃなくて。そうすると、私は三百万トン必要だと言っている、前からの議論なんですけれども。まあそれはさておいて、慎重に真剣に取り組んでいただきたいということを、前々からの私の主張でありますが、重ねてお願いをいたしておきます。  それから、米の生産、流通の実態というものが私自身にはよくわからないわけであります。それは自己開田の問題、憲法上どうだとかこうだとかいろいろありますが、これがなかなか的確につかみにくい状況にある。そういう点については、無謀な自己開田というものが何かその辺から食管法というものを形骸化していくのではないかというようなことも実は私は心配をいたしておる一人でございます。そういう心配をしておりますので、自己開田あるいは市街化区域内田の問題等についてひとつ真剣な取り組みをお願いいたしたい。時間がございませんから、この程度に、お願いだけにとどめておきます。  それから、土地基盤整備の問題。十カ年計画、ことし五年度目ですか、十カ年計画の中で、当初は今日のような田畑転換だとかそういうような問題がそれほど深刻に議論されておりませんでした。おりませんでしたが、あの十カ年計画には、排水改良、そして田畑転換ができるがごとく一応看板としては載っているわけであります。しかし、土地改良事業推移を見てまいりますと、看板がかけてはあるけれども、田畑転換が実質的に取り運ばれるような基盤整備の実施には、そっちの方は実効が上がっていないということは事実だろうと思うのです。答弁は要りませんが、いままさに田畑転換、こういうことで畑作目へのいろいろな配慮、この間加藤議員が質問したように、相対価格の問題もあり、あるいはまた共済問題も始末をつけなければならない、いろいろな条件整備をしてやらねばならぬときでありますから、田畑転換にかかわる土地改良、基盤の整備というものは、十カ年計画当初考えた、そして看板を上げた排水改良等について、それをもう一度真剣に考え直す、五十三年度の予算要求に対処して考え直せということを、これは要請、指摘をしておきたいと思います。  それから、最後の点でございますが、いま農林大臣から御説明がございまして、農産物の総合的な自給力強化米需給均衡化対策あるいは再編対策、こういうことについて資料を配っていただいて説明がございましたけれども、そのことについて個条的に申し上げますから、一括して答えていただきたいと思うわけであります。  まず、一番大事なのは、私もしばしば国会論議の場で議論をしてきましたけれども地域分担の問題、今度の再編対策の裏打ちとして地域分担の問題が大きくクローズアップされてきた。特にことしの米価闘争のとき、農業団体筋、農協中央会を初めそうしたところ、農業会議所等においても地域分担ということについての強い要請が活字として出てきた。この実態を受けとめて、これからの転作生産調整、こうしたことについて一体どう考えておられるのか。  私は、いまから七年前の昭和四十五年十一月末に農林省が打ち出した三地域十四ブロックの地域分担、この程度のものが今後示されるとするならば意味のないことである、これをまず指摘をしておきたいのです。もう少しきめの細かいものでなければ意味がない。なぜそう言うかというと、北陸四県なんかは共通した基盤なんでありますけれども、東北なんかはプロック一つで考えたって、農林大臣も東北の御出身でありますが、これは違うのですよ。岩手と山形、秋田では違います。そういう意味において、これは私の邪推かもしれませんが、あの当時の、約七年前のものがちょっと二、三本毛の生えた程度で焼き直されてくるものだとするならば、それは意味のないことである、これを一つ申し上げておきたいと思います。  そういう意味で、地域分担を明示をしようというお話を先般来私も漏れ聞いておるわけでありますけれども、その時と内容について、内容は簡潔で結構ですから、いま申し上げた点に焦点をあててお答えをいただきたい。  同時に私は、そうした国が示す地域分担とあわせて、北海道は北海道、あるいは新潟県は新潟県、それぞれの地方自治体、市町村までいかなくとも県ごとの、県内における農政事務所単位ぐらいの地域分担的な誘導指標というものを県独自で努力してつくるべきではないか、こういうことも従来主張してきたのですが、パーフェクトのものができ上がるかどうかということを考えると、なかなかそれは無理だということでおっくうになってしまって、そういう指示も全国知事会議等におかれてもしておられないようであります。きわめて消極的であると私はこれを指摘しておきたいと思います。そういうことも含めて地域分担について御答弁をいただきたい。  それから、この地域分担がどういう内容であるかにもよりますけれども、それを今度の地域転作目標の配分にどう生かされるのか、答えていただければありがたいということであります。  三番目には、大規模転作実施するについて転作対象作目というものを拡大すべきであるということで、すでにいろいろ御配慮はいただいておるようでありますけれども、林地、それから養鯉が主体になろうかと思いますけれども養魚池、そういうようなことについてどう考えておられるか。  四番目に、農協管理転作の進め方、特にこのことについては改正農振法と農地法の関連においてひとつ説明をしていただきたい。  以上四点、お願いします。
  21. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 私から地域分担の問題についてお答えしたいと思います。  十一月の半ば中には県別の転作目標の配分をしたいということで作業を急いでおりますが、そのときまでには地域分担の目標を取りまとめまして明らかにしたいということで、これも作業を急いでおるところでございます。  考え方といたしましては、六十年の農業生産の長期見通しを各ブロック別にブレークダウンをして、主要な作物は現在のところ九ないし十、地域は十三ないし十四ということで考えております。  そこで、そのようなブロック単位では意味がないんではないか、県別にやるべきではないかという点のお尋ねでございますが、率直に申し上げまして、私どもできれば県別にということで検討を進めてまいったわけでございますが、何分にもデータの制約等がございまして、残念ながら先ほど申しましたような十三ないし十四の地域ブロック単位で明らかにする以外むずかしいのじゃないかというふうに思っております。といいますのは、いまの県別のデータの不足、それをあえて県別の指標を示しますと、精度においてかなり問題が出てくる、正確度において問題が出てくるということでございます。もう一つは、各県ごとにそれぞれそれなりに長期の振興計画を主要作物についておつくりになっている県が多いわけでございますが、これらとの関係で、県別の地域分担指標を示すということになりますれば調整を要する。ただ、これは前回も調整に努力したわけでございますが、各県ごとの調整が非常に難航をいたしまして、実際にはあきらめざるを得なかったという経緯もございます。今回の地域指標の作成に当たりましても、もちろん県単位の計画も参考にはしておりますけれども、かなりの開きがあるということで、調整に自信が持てないという点がございます。それらのこととも関連いたしまして、県によっては県別の指標を提示することについては慎重を期してほしいという要請も参っております。  それやこれや考えまして、御指摘のように、県別の指標を示すということがガイドラインとして最も望ましいということは私どももそのとおりだと思いますけれども、現段階においては尚早ではないかということで、ブロック単位の指標作成について現在検討を進めているところでございます。
  22. 堀川春彦

    ○堀川政府委員 転作作目についてのお尋ねにつきましては、需給上問題のないものについては広く取り入れて考えたいという基本態度でございます。  お尋ねの林地、養魚池の関係でございますが、林地、養魚池ともこれは一定のもの、無制限にというわけにはまいりませんが、これもたとえば山合いのたんぼでほかに転作作目がない、しかも農振地域、農用地区域の外にあるものというようなことであれば、周辺にある森林の状況等を勘案いたしまして林業地として活用を図るということも考えられますので、そういうものは検討して取り上げてみたいと思っております。  それからなお、養魚池につきましても、水田養鯉はいま認めておるわけでございますが、二百海里時代で国内のたん白資源の供給の増大という要請もございますので、これは施設を設けまして、そして養魚を行うというものも検討して取り上げることにしたいというふうに考えております。  それからなお、管理転作の仕組みでございますが、管理転作は、趣旨といたしましては、経営規模の小さい水田農家が、自力では労力事情等の関係からなかなか転作がしにくいというような水田につきまして、これを農協に預託をいたしまして、農協といたしましては、水田の預託者にかわりまして、その土地につきまして、借りて、転作作目で経営規模を拡大しましょうという農家にこれを橋渡しをいたしまして転作をしていただくということでございます。その形態といたしましては、使用貸借による地代のない使用関係利用関係というものを中心に据えて考えておるわけでございます。  なお、これとあわせまして、改正農振法によりますところの農用地利用増進事業、それから農協による経営の受託、こういう形で転作作目がつくられるということもあわせ、水田の預託者から農協に水田の提供がある際にそういう活用も図られるよう仕組んでまいって、この場合には、借り手が見つかった場合におきましては、賃借権に基づいて転作が行われる、あるいは経営受託という形で転作が行われるというような形になるわけでございますから、耕作権に基づく定着した転作の姿ということに法的にもなるわけでありまして、そういう形になった段階では、この管理転作の形から外れていくというふうに考えておるわけでございます。  こういった仕組みに対しまして、水田の提供者である預託者に奨励金の交付をする、そして土地を出しやすくする、片方、その土地を活用して経営規模の拡大を図るというふうに考えておるわけでございます。その際、いまも若干触れましたが、使用貸借の関係を結ぶということになれば、農地法上、農業委員会の許可を要するということにはなるわけでございまして、適法な進め方ということをやることは当然のことと考えておるわけでございます。
  23. 佐藤隆

    佐藤(隆)委員 済みません、もうちょっとだけで終わりますから……。  いま官房長からの説明では、地域分担はブロック別で示すことになるであろう、県別のものはあることはあるのである、しかし公表はしがたいのである、こういうことです。言われる意味はわからぬでもございません。しかし、いずれにしても、そうしたものが転作目標の配分に利用をされるということは明らかでありますから、きょうのところはそれで理解をいたしておきたいと思います。  しかし、どうしても一律的な物の考え方というよりも、地域分担そのものの考え方というものは、よくよく考えてみれば、いつかの時期にはだれかが憎まれ口をきいてすっきりしたものをやらなければ、いつまでたっても容易ではない、こういう気がするわけです。だから、七年間もほってきたんです。倉石農林大臣のときです。むずかしいからほってきたんです。私は、これをいままさにすっきりさせる時期である、こういうことであります。そういう地域分担をできるだけ明確にしていただきたいということを特に要請をいたしておきます。  そして、そのことについては、農業団体にやはり理解を得なければいかぬと思いますから、私は本当なら農業団体も地域分担ぐらいつくってもいいじゃないかと思うのですよ。みずからの努力で、やはりかくあるべき姿というものは、生産自身もまた筆をとってみるということも必要ではないかと、私自身団体の友だちにも申し上げたこともあるわけであります。そういうことでひとつ進めていただきたいと思います。  あわせて、米の減産につながる良質米制度というものは、これまた地域分担の中にも出てくることではありますけれども、十二分に米の消費拡大ということとの関連において、特に最近は社会面でも新聞記事をにぎわしておりますけれども、ハン屋さんやめん類屋さんにまたいろいろの反発も出てきておる。そういう中で、米の消費拡大というのはいかにむずかしいか、やはり良質米制度というものをもっと強化拡充していかなければいかぬなということは、もうだれも疑わない事実、現実でございますから、そういうことについても十分な配慮をひとつお願いをいたしておきます。  以上であります。
  24. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 いま佐藤さんから御意見がございました点は、私も全く同感でございます。  米の需給均衡化対策、さらに水田利用再編対策と申しましても、これは米の消費の拡大、さらに日本農業の構造の改善、これが基本になるわけでございます。そういうような観点から、やはり適地適産、地域分担というような、その地域地域の特性に応じた作目を選んで、そして均衡のある総合的な食糧自給力を達成をする、これが今回の目標でございます。単なる緊急避難的な、びほう的な対策でなしに、十年の長期の時間をかけて日本農業を再編成しようということでございますから、この地域分担ということを頭に十分置きまして、そして今後の施策を進めていく。さらにまた、米の消費拡大の問題につきましては、やはりおいしい良質米をつくっていただくということが米の消費拡大にもなることでございますから、そういう方向で今後の施策を進めてまいる所存でございます。
  25. 金子岩三

    金子委員長 竹内猛君。
  26. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 私は、さきの十月二十七日に本委員会で米の生産調整の問題について集中的な論議が行われた、それに引き続いて、なお米の生産調整の問題をめぐって質問をしたいと思います。  まず最初に、農政に対する農林省及び関係省庁の基本姿勢について尋ねたいと思います。  それは、農林省は農協あるいは自治体、これにはかなり前から、昨年に引き続いてなお四十万ヘクタール、百七十万トンという、ちょうどことしの約倍の作付転換をするということを、理解を求めるべくそれぞれ協力を求めてきた。ところが、この間までの国会においては何ら資料なしに、新聞やあるいはまた個別には説明を受けてはおりますけれども、正式な問題提起なしにこの議論をした、こういうきわめて重要な問題で国会を軽視をしている、ここに私はまず苦言を呈さざるを得ない。これがまず第一点。  きょうここに六点にわたって問題点が指摘をされました。私はかねがね、農政基本姿勢について農林省並びに各大臣にも申し上げてきたのですが、今日までの農政基本というものを見ると、財政主導型だ、財政が優先をして先行しているのではないかというのが第一点、指摘ができるということを言ってきました。第二点は、官尊民卑ではないか。私は官民一体の方向でなければこのような重要なものはできないけれども、官尊民卑ではないかということも言ってきた。残念ながらそういう方向にいま来ているのではないかと思われる。したがって、自民党の議員でさえも自分の選挙区へ帰れば説明がつかないような状態がいま行われている。農林大臣も岩手県だから、岩手県の農民にどういう説明をされるか、私は聞きたいと思う。私の茨城県は、北海道、新潟、宮城、秋田等に次ぐ全国でも五番目か六番目の米の作付面積を持っている県であります。そういうところで、いま知事が大変苦労をしている。  こういうことからして、今日までの政治姿勢の中で、農林省自体が相当な形で米の生産の制限をしてきた。四十五年以来、第一次の転作をしたけれども、農家の方ではこれを九〇%から一〇〇%以上達したにもかかわらず、依然として米が余る。こういうことは、米以外の作物に対して価格の保証がされていない。米が農家にとって一番有利であるということをそのままに放置をしてきて、そこで、ここで今度米が余ったから何とかしようじやないか、だからということで、ここでまた、ある面は思いつきの面もあるし、ある面は真剣に考えた面もあるけれども、百七十万トン、四十万ヘクタールというものが出てきて、これを何とか消化をしようということでやってこられたと思うのですが、米を余らして、ここでこのような大がかりな作付転換をするという今日までの政治姿勢の問題について、その責任の所在について私は何としても農林大臣からはっきりした言葉をもらいたいと思います。農民に向かってどういうようなことについて協力を求めるのか。そして、このような重要な問題は、与党、野党の対立ではなくて、本当ならば国会もすべて一致をしてこの大きな問題に協力をしていかなければならないが、いまのところ私たちはこの段階で初めて正式な質料をもらった。したがって、ここで協力できるかどうかということは、これからの答弁に関する問題でありますから何とも言えませんが、ひとつ農民に向かって明確な考え方を述べていただきたい。
  27. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 竹内さんの御質問、御意見の第一点は、国会に対してこういう重要な問題をまず真っ先に審議をお願いすべきではないか、どうも国会軽視のきらいが見受けられる、こういう御指摘でございました。  私どもは、竹内さんも後段でお話がございましたように、農民並びに農業団体等の御理解、またいろいろの御意見、御要望、こういうものを十分伺いまして、そして、この画期的な日本農業の構造改築という大事業でございますから、しかも百七十万トン、四十万ヘクタールの水田の利用方法を変えていこうという大問題でございますから、私どもはまず実際にその生産に当たるところの農民の皆さんの御意見、御要望等を十分くみ上げて案をつくる必要がある、こういうことで先般来数次にわたって農業団体等にも御意見を伺ってきたところでございます。  さらにまた、実際上今日までこの水田総合利用対策等につきましても御協力をいただいてやってまいりましたところの知事会あるいは全国の町村長会あるいは議長会、そういう方面の御意見も十分聞く必要がある。さらに、農政審議会等につきましても、懇談会等を通じて御意見を伺う必要がある、こういうことで今日まで時間をかけて、農林省の案を固めますに当たりましてそういう努力をしてきたわけでございます。  今回、それらの御意見等もくみ上げて、ここに農林省の案として固まってまいりましたので、本日、これを当委員会に御説明申し上げて御審議を煩わそうということでございますから、きわめて民主的であり、かつ、官尊民卑というお話がありましたが、それとは全く反対のことを私は心から意を用いてやってきたということでございますから、この点は御理解を賜りたい。決して政府が独走しておるものでもないし、また半煮えのものを国会に出して、そして、いろいろ審議に値しないというようなものであってもいけない、十分実行可能なもので、各方面の実際にこれを実行していただく方々の御意見等もくみ上げたもので、これならいけるというものでないと権威ある国会の御審議を煩わすわけにはいかない、こういう考えでございましたので、全く他意の存しないことを御理解おきを賜りたい、こう思うわけでございます。  なお、農政の進め方につきまして、財政主導型、こういう御批判があったわけでございます。これは農政を進めるに当たりましても財政の裏づけというものが必要であることは御承知のところでございまして、国会におきましても、予算が最も重要な問題としていつも予算委員会等で相当の時間をかけて御審議をいただいておるということでございますから、農政を進めてまいりますためにその財政の裏づけということは当然のことでございます。  しかし、私は大局的に考えまして、高度経済成長の中で都市勤労者の所得は年々向上してきた、それに農山漁村が一体追いついていけるのか、こういうことで、やはり所得格差、地域的な所得の格差があってはいけない、産業問格差があってはいけない、そういうようなことで、農林省も財政当局を強く動かして今日までやってまいりました結果、先ほども出ましたように、国土資源関係もありますが、特に米価においても国際米価に比較して五倍にもなっている。あるいは肉の問題につきましても、この間中ニュージーランドあたりから来ていろいろやっておりますが、これも国際価格から見て非常に割り高になっておる点がございます。その他の農産物につきましても、不十分という御批判はありますけれども、とにかく日本の農業についてこれを他産業との格差を縮小するということで、農政の面でいろいろな保護政策、助成政策を講じてきたことはもう御承知のとおりでございます。そういうようなことで、私は必ずしも財政主導型で農政というものがないがしろにされたというぐあいには考えておりません。
  28. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 大臣の農業生産の見通しの甘さという点について、米を余らせたということについてのその責任の問題がまだ明らかにされておらないわけです。そして、いまお話にありましたが、今度の生産調整の問題は、前回と違って、垂直的に各農家なり地域に割り当てがおりてくる。これに従わなかった場合には罰則が、それは罰則という言葉はないけれども、結局前年度の負担、そういうものと同時に、奨励金や補助金がとられる、あるいは場合によると許可認可まで奪われる。つまり農林省が持っているもろ刃の剣だ。一方において許可認可権、一方においては補助金、奨励金、そして割り当てをする、こういう形のものが今度は個々の農家に下がってくるわけだ。だから、知事にしても町村長にしても、これを受けたときには今度はわらじがけでこれを説得しなければならない。農協でもそうです。終戦直後に米の供出問題があった。あのときにはわらじがけで米を出してくれと言って歩いた。その同じ町村長の足が今度は米をつくらないように、別なものをつくれと説得して歩かなければならない、こういう場面が出てくる。そのことがいまからでも考えられる。そうすると、米をつくるより、より以上の収入というものが保証されない限りいやだという農家がかなりあるに決まっている。そのときに一体これをどうするのだ、うまく成功すると思われるかどうか。  確かにここに奨励金やあるいはそれぞれの目標が設定をされております。四十万ヘクタール、これはなかなかできないだろう。二十八万かもしれない。あとの十二万程度のものは農協に管理委託をしよう、物をつくらなくてもそれに対しては何とか金を出そう、こういう苦労のことはよくわかる。あるいはまた麦をつくろう、大豆にしよう、あるいは飼料作物にしよう。それならもう十一月です。十一月の末から十二月の初めになると、うちの県あたりはぼつぼつ麦なら麦の種まきをしなければならない。そういう段階でいまだにこの問題は末端に具体的におりてきておらない。そういうようなことを考えると、この重大な問題が本当に成功するかどうか、これは本当に中央も地方も一体になり得るかどうかということなんです。上からそういう形で押しつけたところで、私はこれについては大変危惧する者の一人です。この点についてどうでしょう。
  29. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 私は、数次にわたって農業団体あるいは知事会あるいは市町村長会等々と懇談を重ねてまいりました。事務当局だけに任さずに、私自身もそれぞれの会合に出まして直接御意見等も伺い、また御要望等も聴取してまいったわけでございます。農業団体やそれらの関係各方面が、米の需給均衡化、そして日本の農業について、この際国内で必要な農作物はぜひ自給力を高めていこう、そういう観点に立ちまして非常に理解が深まっておる、と申しますよりも、むしろ自分らの問題としてこれを進めていかなければならない、こういう考え方が深く浸透しておるということを私じかに受けとめまして、大変心強く感じておるところでございます。  そこで、この基本的な考え方は、農林省関係各方面も意見が一致しておることでございますから、問題は、これからこれを実施するための環境条件づくり、これについては確かにいろいろ御要望、御注文がございます。そういう点は私ども十分くみ上げまして、この大事業実施できるように、達成できるように、条件整備については役所が中心になって、大蔵省等も理解させ、また協力を得てこれをやってまいろう、そういうことで努力をいたしておるところでございます。  なお、これを来年度から実施するにつきまして、各県に対する転作目標等の設定は今月の二十日前後、中ごろにはやりたい、こう考えております。  御指摘の麦等につきましては、播種期も迫っておるということで、この方は全体に先んじてすでに各県と協議をして進めておるところでございます。
  30. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 私が危惧することのないように、ひとつしっかりやってもらいませんと、末端ではそう簡単にはいかないということを強く申し上げておきます。それほど楽観できるような条件ではありません。  次に問題は、農政基本において誤りがあるのではないかということについて、私は具体的な例を挙げて申し上げます。  それは、六十年の長期展望というものをつくることを私は前の委員会要請をして、四十七年にそういうものをつくったが、これは閣議の決定もないし、農政審議会の議も経ていないから、農林省の申し合わせ文書じゃないかということで審議をしていただいて、五十年に六十年展望が出ました。その六十年展望の中で、水田については昭和六十年に二百四十八万七千ヘクタールという面積でなければならない、そして米の生産量一千二百十一万トン、反収四百八十五キロとなっていますが、すでに五十一年度現在で水田が二百七十四万ヘクタール、その中から二十万ヘクタールの減反分を差し引いた場合においては、すでに五十二年の段階でもう六十年段階の面積になっている。生産量においても、潜在生産力ということをよく言われるけれども、千三百四十万トンということをいわれております。こうなると、六十年展望などというものは、米に関する限り全くどうにもならないし、逆に今度は大豆にしても小麦にしても、展望の方向からいってみて、その基準年度より現在は面積が下がっているという状況だ。こういうようなことからいってみて、やはり米にウエートがかかって、依然として米中心の農政が続いてきた。米から他のものに条件変化がない。条件変化がないということは、基盤整備なり価格政策において熱意が足らなかったということになる。こういう状態でありますから、まず基本においての誤りがあるということを、これは認めてもらわなきゃ困る。これは客観的にそういう数字が出ている。  なお、私は、こういう十年なりの長期計画を立てる場合に、仮にそれが三年ずつに区切られたとしても、なぜ農政審議会というものの議を経なかったのか。本来、長期にわたるものをやるときには、農政審議会の議を経るということになっている。農業基本法については、社会党としては、これは将来問題があるからということで賛成はしなかったが、押し切ったその農業基本法の第八条にちゃんと書いてある。その法律さえ守らないでいるということは一体どういうことか、こういう点について私はお尋ねしたいと思います。
  31. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 ただいまの御指摘でございますけれども、現在持っております五十年に定めました「農産物需要生産の長期見通し」は、当時閣議決定をしたものでございますが、その立案の過程におきまして農政審議会の審議も経て、答申を得てつくったものでございます。  そこで、具体的には、米について現在すでに六十年見通しの方向からかなりずれておるのではないかという点の御指摘でございますけれども、この点につきましては、私どもといたしましては、水稲で申しまして二百四十八万七千ヘクタールというのが六十年見通しになっておりますが、現在は二百七十万を超えているというようなかなりのギャップがございます。ただ、私どもとしては、現在の趨勢が続きますと、六十年の二百四十八万七千ヘクタールという目標を達成することが困難であるというように考えます。したがいまして、需要につきまして、従来以上に積極的な米の消費拡大対策を講ずることと相まちまして、生産は、いまの過剰基調を思い切って六十年見通しの方向に十年先持っていくために転作も大幅にやらなければならない、かような考えに立って今回の対策を進めておるところでございます。  なお、小麦とか大豆とか、それらの今後生産をふやすべき作物につきましては、今回の対策転作作物として重点的に取り上げておるわけでございますが、これにつきましても、六十年の見通しはかなり意欲的に基準年次から高めております。これの方向にこれまでの生産推移が向かっているかという点につきましては、私どもといたしましては、四十九年ごろまで急減してまいりました傾向に一応歯どめがかかって、おおむね横ばい程度のところまでは来ておりますけれども、六十年見通しに向かって生産の増大の基調に乗るというところまでには至っておりません。したがいまして、私どもといたしましては、今回の対策の中におきまして、それらの生産をふやす必要のある作物が、六十年見通しに沿った増産の基調に乗るように転作を進める。もちろん転作ではなくして、畑地におきますそれらの作物生産増大にも努力しなければいけないと思いますが、それらの一環として努力すべきものであるというように考えておりまして、現在直ちに六十年見通しを適当でないというようには考えておらないのでございます。
  32. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 どうも時間がないものだから全部細かく言うことができないので大変これは残念ですが、やはり六十年見通しを、それはいますぐ直すということは言いにくいだろうけれども、直さざるを得ない状態にだんだんなることは間違いないということだけははっきりここで私は申し上げておきます。それはもう直さざるを得ないのです。  次に、財政主導型の問題で、私はなぜそういうことを言うかというと、来年度生産米価を据え置きか抑える、そうして消費者米価を上げる、そうして逆ざやをだんだん縮小して、縮小した部分を麦なり転作物のところに今度は加えていくという、こういう方針なんです。私はやはり農業の問題は挙げて財政問題だと思っている。だから、確かに農業のために投資する場合には、国際価格やその他を見た場合に、あるいは採算が合わない面があるかもしれない。しかし、農業は保護すべきという立場に立ったときには、それは多少無理なことがあってもがまんをして、日本の農業の発展のために土地改良なり価格なり、あるいはその他の生産条件の整備のために農林予算をふやしていくということが、これが一つ努力の目標じゃないかと思う。ところが、四十八年以来農林予算は、一二・何%がいまは一〇%を割っているということはだれでも知っているとおりなんです。いろいろな説明がありますけれどもそうなんです。来年は一体農林予算はどうなりますか。どういうことになりますか、この柱は。米価を含めてどうなりますか。
  33. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 米価の問題につきまして、ただいま竹内さんから生産米価を据え置くのではないか、こういうお話がございましたが、米価につきましては、私は現時点では全然白紙に考えております。米価を決める場合におきましては、これは食管法の趣旨に沿いまして生産費所得補償方式、再生産を確保し、また農家の所得を守っていく、これを基本にして米価を決めるわけでございますから、私は今後食管法の精神を踏まえてやってまいるということを申し上げておきたいと思います。  なお、農業に対しましては、この食糧の問題が国民生活の安全保障の基本であるという認識は先ほども申し上げたわけでございまして、国内生産可能なものはできるだけこれを助長をして自給力を高めていく、こういう政策をとってまいりますから、今後ともこの第一次産業である農業の振興育成、農民の生活の安定向上という観点に立ちまして、来年度予算につきましても農業保護政策の基調、これは絶対に揺るがさない、そういう方向で来年度予算に取り組んでいく所存でございます。  それには何と言っても日本農業の体質を強化する必要があるわけでございまして、生産基盤の整備、また農業の担い手である農民あるいは後継者の育成の問題、さらにまた総合的な食糧政策を進める観点から、米以外の主要作物につきましての価格政策につきましても、これを逐次改善をしてまいる、今年度も私はそういう方向で取り組んだことは御承知のとおりでございます。  また、農村、漁村、山村等の生活環境の整備、そういう問題も、これは何と言っても重要な問題でございますから、そういう点にも意を用いまして、来年度予算はそういう点を柱として進めてまいる所存でございます。
  34. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 もう時間がありませんから、あと三点だけ質問をして終わりますが、そういうようなことで、大臣のいまの決意を忘れないで、次の段階においても確かめながら、私は引き続いてその考え方推進させるように努力をしてもらいたいと思いますが、ここで具体的な問題を質問します。  まず、こういうように作付転換をやっていく中で、わが茨城県に高浜入干拓というのがあります。あれはもうやめた方がいい。この段階では残務整理をして廃止をして、水資源の確保に努めるべきであるということが第一。  第二の問題は、すでに転作が行われた後でトマトが定着している、あるいは納豆大豆が定着しているようなところは、これはやはり育成をして、そうして、そのところの農家の所得を保証するようにますますこれを保護していくという努力が必要だ、こういうぐあいに考えます。  それから、統計の方に問題がありますが、実際、現在の農林省のつかまえている統計と、現地の作付の状況の中にかなり差がある。これは自力開田、自主開田というものがあります。この問題は、今後作付を転換をする場合には避けられない状況なんです。こういう問題について、本当に農林省の統計が現地の状況を把握しているかどうかということに私は非常に疑問を持っている。  それから、今度は食糧庁に要求しますが、縁故米あるいはレジャー米というような形で米がかなり出回っている、そういう統計について後でこれは調査をしてもらいたい。  以上、質問をしたり、資料を要求して終わりますが、答弁のできる問題については答弁をしていただきたいと思います。
  35. 森整治

    ○森(整)政府委員 御質問の高浜入干拓の問題でございます。御承知のように、現在は茨城県の要請を踏まえまして、現在まで工事休止という措置をとっているところでございます。県の水需給全体についてのいろいろの御意見という問題も承知をいたしておりますが、今後の対処方針につきましては、茨城県と十分協議をいたしまして、今後の取り扱いを決定してまいりたいというふうに考えております。
  36. 堀川春彦

    ○堀川政府委員 転作作目定着化を図ることはきわめて重要でございまして、この点はあらゆる生産施策、その他の施策を含めまして、私ども真剣に考えてまいりたいと思います。
  37. 白根健也

    ○白根説明員 いまの実態と統計上のギャップがあるのじゃないかというお話でございますが、先生承知のように、現況の農地といいますか、耕地の状況を見ますれば、非常に千差万別なのは事実でございます。したがいまして、終戦以来私の方は実測標本調査ということをやっております。これは全国と府県推計ということで、全国に大体五万単位区という調査区を設定しまして、その中で耕地の壊廃を含めまして、作付の状況というものの実態を見ましてやっております。目標精度としては非常に高いわけでございますが、先ほど申し上げましたように、府県及び全国の推計でございますので、実際の市町村段階といいますか、実際耕作されている方々の個々の生産力ということではございません。そういうことで、若干のあるいは認識上のそういう差があるというのは方法上の問題として当然ではないか、ただ私どもの方で現在の耕地の状況を見ますれば、やはりいまの標本調査というのが、効率的な上からも、全国なり府県の形をとらえる意味からも妥当ではないかということで考えておるわけでございます。  また、自力開田の問題が出ましたけれども原則は先ほど申し上げましたように標本調査でやっておりますけれども、そのほか見回りとかいろいろな各方面からの事情聴取とか、そういうことで補完しているような形で、これはできるだけ正確を期したい、こう考えて現在調査しているわけでございまして、今後ともこういうことはさらに意を用いていく所存でございます。
  38. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 これで終わりますが、私はいまいろいろと政府に要望しました。だが、われわれも一つ考え方、提案をしたいと思っておりますけれども、時間がありませんからそれは次に回して、これで終わります。
  39. 金子岩三

    金子委員長 美濃政市君。
  40. 美濃政市

    ○美濃委員 若干の質問をしたいと思います。  最初に、ことしの限度量を超過した米の取り扱いがいろいろ論議されたと思うのですが、取り扱いの方針、それから奨励金あるいは金倉等の出し方、これをお尋ねいたしたいと思います。
  41. 大河原太一郎

    大河原政府委員 お答え申し上げます。  本年度は、昨日公表された作況の発表でも明らかなように、大幅な超過米が発生いたします。したがいまして、私どもとしては八月以来、この取り扱い方法等についていろいろ検討してきたわけでございますが、基本的な方針といたしましては、四十六年、限度制を導入して以来とっております全量を自主流通ルートによって販売をいたし、これを配給計画の中に組み入れて処理するという方向で、指定法人である全農あるいは卸の配給団体等についてもその体制を整え、ただいま集荷処理ということで急いでおるわけでございます。  なお、この助成等につきましては、本来の自主流通米と同様な金利、倉敷の助成と、それ以外に集荷を円滑適正にいたすために、適正集荷奨励金を生産者団体並びに配給団体等にあわせて五百円というものを交付いたしまして、現在集荷を急いでおるところでございます。
  42. 美濃政市

    ○美濃委員 その五百円というのは、自主流通米に上乗せするのですか。
  43. 大河原太一郎

    大河原政府委員 お答え申し上げますが、これは正規の自主流通米ではございません。自主流通ルートによって処理するということでございまして、自主流通米の助成に上乗せするものではなくて、本来の自主流通助成は限度超過米に対しては交付されないわけでございまして、私がただいま申し上げました適正集荷対策費というものが超過米には交付されるというわけでございます。
  44. 美濃政市

    ○美濃委員 いまの点は確認できたと思うのですが、本年の超過米はどのくらいになると予想しておりますか。
  45. 大河原太一郎

    大河原政府委員 お答え申し上げます。  最終の数字についてはなかなか申し上げかねる点もございます。と申しますのは、生産予定量が計画生産量より超えた全量が、きのうの作況発表から言うと、約百万トン近く計画生産量に対して予定生産量がオーバーいたしますが、これが全量流通段階に出回るかどうかということについては、にわかに申し上げかねる点があります。と申しますのは、農家在庫とか、豊作のときは農家在庫を積み増すとかということで、流通販売しないというような分もございますが、そういう点で、計画生産量をオーバーしたものは必ずしも全量超過米流通をいたすわけではございませんので、確たる数字は申し上げられませんが、作がしり上がりに上がっておりますので、われわれとしては現業的な感覚で、大ざっぱな推計ということでございまして、積み上げではございませんが、七、八十万トンはかたいところであろうというふうに思っております。
  46. 美濃政市

    ○美濃委員 ことしの生産調整推進する過程で、生産調整を一〇〇%消化した県は、農作で限度量を超えても全部政府は買うというふうな話があったのじゃないですか。そういうことがあちこちの県で、北海道の知事もそういうことを言っておるようなんですが、農民はだまされたとか言うのですが、どうですか。農林省は知事会か何かでちらほらそんなことを言ったのじゃないですか。
  47. 大河原太一郎

    大河原政府委員 お答え申し上げますが、本年の転作目標は九十万トンでございました。これをお願いするということで例年以上の御努力を願ったことは確かでございますが、予約限度を超えた米が発生した場合に、これを全量政府に云々というふうな、従来定着した方針を変更するというようなことは一切申し上げておらないわけでございます。
  48. 美濃政市

    ○美濃委員 五十三年度においては百七十万トン生産調整をするわけですが、これは依然として限度を超えたものは政府は買わない、この方針を貫くのですか。
  49. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 これからの方針でございますから、私から申し上げておくわけでありますが、ただいままで食糧庁長官から、限度数量を超過した余剰米、いわゆる余り米の処理につきましては、自主流通ルートを通じてこれを自主的に販売をしていただく。そのために政府としても金倉その他適正集荷促進費というようなものを助成をしてやっておる。昭和五十年が作況指数一〇七ということで大変な豊作でございました。ことしは作況指数一〇五というようなこれに次ぐものでございますが、私ども超過米につきましては、そういう自主流通のルートを通じて指定団体等の御努力によってこれを処分してまいっております。したがいまして、五十三年度百七十万トン、四十万ヘクタール、これは大変な転作になるわけでございますが、そういたしますれば、限度数量を上回る超過米というのがそう多量に発生をするというぐあいには考えておりません。しかし、豊作等によりましてそれが出てまいるかもしれませんが、その際におきましては、今日まですでに定着をしておる余剰米の処分方法、これを今後もやってまいる考えでございます。  ただ、これに特段の御協力をいただいた方面に対しまして、この自主流通ルートを通じて販売する場合に、政府としても特別な考慮を払ったらどうかなというようなこともいま検討をしておるところでございます。
  50. 美濃政市

    ○美濃委員 とれた米は、自主流通であろうと政府ルートであろうと結局消費に乗りますから、残量は政府手持ちにしわ寄せをされると思うのですが、どうですか、そういうふうに政府は考えておりますか。
  51. 大河原太一郎

    大河原政府委員 お答え申し上げますが、これはまさに御指摘のように、配給計画に組み入れられる米でございます。したがって、政府売却というものとの関係でやはり政府在庫がその分ふえるということであるわけでございます。そういう意味でも、超過米が発生をしないように、根っこの需給均衡ということで今回等の対策お願いするというようなことかと思います。
  52. 美濃政市

    ○美濃委員 これはきょう時間がありませんから、それとなかなか重要な課題ですから、即答を得られるとは思いませんが、もう少し……。  まず、超過米に対して、限度数量を示して、これだけをつくってくださいといって農民、生産者に政府としてつくってもらう以上、やはり豊凶の差ぐらいは政府が責任を負うべきですよ。食管の赤字、逆ざやの問題もありますけれども、来年度を通り越して持つ残量、通常の繰越在庫を超える残量が発生すると、金利、倉敷、あるいは最後には先年やったようにえさに処分するとかそうなるわけですから、政府がしみったれて、豊作でとれた米を、豊作が喜べないようなことをやらぬで、政府が買ってもいいのじゃないですか。それは答弁は要りません。買いますとはきょうは言えぬと思います。しかし、慎重に考えてください。農村地域で豊作で喜べないという現実、いわゆる限度超過量を、生産調整を一〇〇%消化した県は、豊作でとれたらよかったですねと言って政府がやはり買うべきだと私は思うのです。それが政府だと思うのです。
  53. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 美濃先生がおっしゃる気持ちもわからぬでもないわけでございますが、予約限度数量をオーバーして豊作等で超過米が出る、これはいわばただになるわけでございませんで、やはり一万三千円なり四千円なりに自主流通ルートを通じて販売をされ、それが農家の所得の上積みになるわけでございます。だから、豊作分は、これはおてんとうさんのおかげでそれだけ予定よりも多く所得がふえたんだ。それが政府の買い上げ価格とは若干の値段の格差はあるけれども、やはり一万三、四千円には売れるんだということは、実質上農家の所得がそれだけふえるわけでございますから、農民の皆さんも、豊作はやはり天の恵みとして喜んでいただいていいものではないか。また、政府もそれを傍観するものでなしに、その販売につきましては、先ほど来長官から御説明申し上げておりますように、いろいろな助成の手を差し伸べておる、こういうことでございますから、そういうようなことで御理解を賜りたい、こう思うわけでございます。
  54. 美濃政市

    ○美濃委員 次に、自主流通に準ずる取り扱いですが、これは米の消費を伸ばすためにも、集荷した農協等がもう少し、近くに消費者はたくさんおるわけですから、集荷と同時に精白にして、きょう集荷した米が翌日精白にして売れるような迅速な措置をとるべきだと思うのです。どうですか。
  55. 大河原太一郎

    大河原政府委員 お答え申し上げます。  超過米については自主流通ルートで販売いたすわけでございますが、農家手取りをできるだけ高くするという意味もございますし、また現物の処理も早めるという意味で、私どもといたしましても、広域流通をできるだけ避けまして、県内流通というようなことで全体の各県の配給計画というものを立て、これを指導しておるところでございます。ただしかし、その地域によりましては、やはり県内の米よりも他地域の米の搬入を望むというような、いろいろ消費者の要望というようなものもございますので、そういうものと調整しながら、できるだけ需給計画上は県内流通ということで処理いたすということで現在進めております。
  56. 美濃政市

    ○美濃委員 時間の関係で、十分答弁が熟知できませんので、重ねて問うのは時間のむだになりますので、前段にお尋ねしました金利、倉敷、それから取り扱い奨励金ですか、それと、いわゆるできるだけその県内なり近くで処理をする体制を立てるという流し方を図に書いて、それと一切の奨励金、細かい端数があってよくわかりませんので、後でひとつ資料をいただきたいと思います。  次に進みます。次に、きょういただきました資料を見ますと、「米粉入り麦製品等新規用途開発普及」とありますが、これはかなり見込まれますか。それから、もう一つは、どういう手段でこれをやるか。あるいは、これとは違いますけれども、本来自由であるべき輸入粗糖を、いわゆる大臣が制限措置をもって業界の混乱を救済しようという法律をきのう可決したわけです。こういうことを少し強くやるとすれば、やはり何か混入する法律でもつくりますか。法律でもつくって進めることになるのか。どういうお考えですか。
  57. 大河原太一郎

    大河原政府委員 お答え申し上げます。  米の生産を調整するという一面と両輪になります需要拡大ということについては、いよいよ一層進めなければならないわけでございますが、その場合に、学校給食その他のすでに取り上げているものを一段と拡充するのはもちろんでございますが、あらゆる方面に米の用途を開発していくという点から、私どもといたしましては、粉食形態が今日これだけ定着しておるが、その小麦粉の粉食形態の中に米粉を取り入れていくということについて、これを推し進めたいという考えでございます。ただ、何分、製品の質とか技術とか、でん粉質の差だとか、あるいは新規の設備とか、いろいろむずかしい問題がございますが、われわれとしては、一挙に多量のものの混入というわけにはまいりませんけれども関係業界の理解を得ながらこれを進めたいと思うわけでございます。  その方法としては、外麦の一元管理をわれわれ主としてやっておりますので、やはりそれとの関係から、その運用とあわせて米粉の使用を進めたい。ただ、相当の割合を一挙にということは、繰り返すようでございますが、むずかしゅうございますので、強制とかその他ということについてはわれわれ考えておりません。
  58. 美濃政市

    ○美濃委員 参考に申し上げておきたいと思いますが、醸造用のものも入るのじゃないですか。議員宿舎は日曜日に食堂がないので、私は試験的に米の粉でカレーライスをつくって食べたんですよ。小麦粉よりもうまいですね、カレー粉が効きますから。米の粉の方が小麦粉よりうまいです。だから、あらゆる検討をすれば需要はもっと大幅に拡大できると思います。  次に進みます。次に、五十三年の限度量は、全国総量は何ぼにするのですか。生産調整量と転作田はわかりましたが、限度量は何ぼに設定しようとしているのですか。
  59. 大河原太一郎

    大河原政府委員 お答え申し上げます。  先生案内のとおり、潜在生産量と需要量との差を生産調整するわけです。明年度生産予定量は、千百七十万トンという需要に合わせた生産予定量を予定しているわけでございますが、これから農家消費等をいろいろ見まして差し引いたものが政府買い入れの限度量ということに相なるわけでございます。御案内のとおり、本年五十二年度は三百四十万トンでございますが、これは年によって動きます。したがって、農家消費等の見方をどうするか、その予定量の確定を現在急いでおるわけでございまして、まだ最終的数字を申し上げる段階ではないわけでございます。
  60. 美濃政市

    ○美濃委員 次に、割り方の問題よりも、これが決定すれは、昨年のあの農林省が示した各県の生産調整反別、それからことしの限度量、二年平均して資料として出してもらえますか。
  61. 堀川春彦

    ○堀川政府委員 提出いたします。
  62. 美濃政市

    ○美濃委員 そこで、いまの作業をしておると思うのですが、予定は昨年と全く均てんしますか、それとも何かの要素で昨年と均てんしないのですか、どういうことになっておりますか。
  63. 堀川春彦

    ○堀川政府委員 これは今後長期にわたる施策として展開するその第一期の最初の三年の調整数量、目標面積それから限度数量ということになるわけでございますので、しかも原則固定ということでいくわけでございますから、私ども慎重の上にも慎重を期し、あらゆる要素を考えてまいりたい。特に需要動向に即した農業の長期的な生産の展開を図り、転作作物がそういう方向に沿って定着をするということがきわめて肝要でございますので、今後の適地適作の要請なりあるいは地域間の負担の公平の問題なり、そういったことも含めまして、あらゆる要素を慎重に検討して決定してまいりたいと思います。
  64. 美濃政市

    ○美濃委員 とにかくでき上がってからはなかなか直すことができませんので、そこは不公平にならぬように、資料をいただいて私どももよく検討しますから、後から検討してこれはどうしたんだということが起きないように、ひとつ十分実態に合うようにつくってもらいたいと思います。  次に、市街化区域内の傾斜配分というのはどういうことをやろうとしておるのですか。傾斜配分というのは、「予約限度数量傾斜配分を行うものとする。」こうなっておるが、これはどういうことなんですか。
  65. 堀川春彦

    ○堀川政府委員 これは十年間にわたる長期の取り組みということでまいるわけでございますので、当然に農用地の利用の性格づけということが問題になります。それらが農地法、農振法あるいは都市計画法というような関連の法規によりまして体系づけられております。そういうことも十分考えてやっていくという趣旨において、市街化区域あるいは都市計画法に基づきますところの用途地域内にある水田ということも十分勘案をいたしまして、配分の際にそれを考えていきたいということを目下考えておるわけでございます。
  66. 美濃政市

    ○美濃委員 次に、こういうものを書くときはいいように書くのだが、なかなか実行が伴ってこないのです。「各種作目間の相対価格関係是正等」、こういう見出しのところに書いてありますが、「価格需要生産に対する誘導調整機能が十分発揮されるよう継続的に米と畑作物との相対価格関係是正及び価格安定対策の充実を図る」、これは畑作物について従来よりももう少し前向きの前進した価格対策をとる、こういうふうに解釈してよろしゅうございますか。
  67. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 御承知のように、今年度、麦あるいは大豆、てん菜その他、いろいろ価格を決定いたしたわけでありますが、その際に、できるだけ米以外の主要農産物価格関係米価との対比において向上させていこう、こういう考え方のもとに、従来引き続いて行ってまいりました生産奨励金等定着したものにつきましては、あるものは奨励金全部を基本価格の中に組み入れて価格として処理、改善を加えた、またあるものは、とりあえず今年度生産奨励金等の半分を基本価格に組み入れる、こういうことをやったわけでありますが、今後におきましても、米価との相対価格是正ということは引き続いて改善をしていきたい、こう思っております。  ただ、一挙に米価並みというわけにはまいりませんから、その間におきましては、今回の転作奨励金、そういうような奨励措置、助成措置というもので補完的にこれを行いまして、稲作と他作物をつくる場合の相対的な収益性というようなものをできるだけ近づけていく、そういう努力をしようというのがそこに申し上げておる点でございます。
  68. 美濃政市

    ○美濃委員 もう時間が来ましたので、畑作共済の本格実施、これは来年法律を出しますね。
  69. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 畑作共済は、御承知のように、試験実施をやってまいりましたが、それらの基礎データに基づきまして、来るべき通常国会に本格実施のための法案を提出をし、五十四年度から実施いたしたい、そういう方針で進めております。
  70. 美濃政市

    ○美濃委員 以上で終わります。
  71. 金子岩三

    金子委員長 野村光雄君。
  72. 野村光雄

    ○野村委員 最近の大きな課題であります米の生産調整問題に対しまして、非常に限定されました、わずか二十五分の与えられた時間でございまして、端的に重要な課題のみに触れまして、鈴木大臣にお尋ねをいたしたいと思っております。  この問題が提起されまして以来、先般来わが党からも瀬野並びに武田両委員から長時間にわたりまして質問が出ております。私は北海道出身でございますので、特に本道に関連した問題に焦点をしぼりまして質問いたしたいと思っております。  まず最初に、私は、私自身が農家で生まれ農家で育ってまいりました一人といたしまして、近年来続けてまいりました米の生産調整ということによりまして、大臣も御存じのとおり、全国的に農地がだんだんと荒廃をしてきた、しかも農民のとうとい生産意欲である新田、こういうものも荒廃されてきている事実がございます。  さてそこで、率直に、大幅な今回の米の生産調整に当たりまして、農民の声というものをぜひ聞いていただきたい。  まず第一に、農民がこの生産調整に当たっていま非常に憂慮しておりますことは、いままで政府の言うとおりまじめに生産調整に対しては一〇〇%応じてきた。にもかかわらず、なぜ過剰米ができるのだ。一体過剰米ができたというのは農家に責任があるのか、そうではない。政府自身需給見通しに大きな誤りがあったのではないんだろうか、こういう率直な疑問をいま農民が抱いております。私はこの際、いろいろな感情とか立場とかというものを超越して、責任ある鈴木大臣として、この現況に対していささかも反省するものはないのか、こういう点を率直に農民に対して心境をひとつありのままにお答えをいただきたいと思うのです。
  73. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 米の需給均衡を図るというようなことで、昭和四十五、六年当時からこれに取り組んでまいったところでございます。あの当時は、大変な古米、古々米の在庫が累積をいたしましたので、緊急避難的に休耕田というようなものまでお願いをしまして、約一兆円の国費を投入してこの在庫の処理をやった苦い経験があるわけでございます。  その後におきましても、水田総合利用対策というようなことを進めまして、生産性の高い水田の生産力を活用して必要な他作目生産を伸ばしていく、こういう政策もとったわけでございますが、これは三年間の対策であった。しかし、稲作に対する農民の方々の意欲、稲作志向というものは非常に根強いものがあり、さらにまた一方におきましては、米の消費が年々低下をしてきておる、一人当たり八十八キロ程度というところまで落ち込んできておるというようなことで、さらに米の需給均衡を失するような事態が顕在化しておりますことは、先ほど食糧庁長官から御説明を申し上げたところでございます。  今年は九十万トン転作生産調整お願いいたしたわけでございます。確かに目標に対して九八%達成ができた、北海道等におきましては一〇〇%の御協力をいただいたわけでありますが、それならば、それで需給均衡が単年度については達成されておるはずだ、これは農林省の計算が甘いというか、見通しを誤ったのではないか、こういう御指摘、これは御承知のように、昨年は北海道、東北、北陸等相当冷害で四、五十万トンの減産になったわけでございます。そこで、生産の面につきましては、大事をとりまして下限をとった、それから消費の面では上限をとったということで推算をしたわけでございますが、ことしは五十年度に次ぐ全国平均作況一〇五、特に北海道は一一一という大変な大豊作、こういうことで、天候等の関係もございまして、農林省の推算には確かに大きな狂いが出てきたことは事実でございます。この点は私ども深く反省をいたしておるところでございます。
  74. 野村光雄

    ○野村委員 見通しの最大の見誤りがことしの大豊作に何かしわ寄せが来ているようでございますけれども、私は、いま農民の皆さん方がせっかく一年間耕してこられて、出来秋、例年にない大豊作を迎えて、心から喜ぶことができない、こういうところに非常に大きなこれからの農政として危機を迎えたというように私自身心配いたしております一人であります。  そこで、時間がないので端的にお聞きしたいことは、今後の政府がいま立てておりますところの百七十万トン生産調整に対する四十万ヘクタール等、この配分の基本的な考えをどのように持っていらっしゃるのか。こういう点について、北海道の農民といたしましては、先ほど鈴木農相からもお話がございましたとおり、どこの地域よりも生産調整に非常にまじめに順応してきた。ともいたしますと、まじめに生産調整に参加をしてきた北海道農民が、この大幅な百七十万トン生産調整に当たって、いままでまじめにやったことが裏切られるように、さらに追い打ちをかけるような過重な調整割り当てが来るのじゃないかということを非常にいま心配いたしておるわけです。そういうことで、私は少なくても、いままでの単年度方式の生産調整と異なって、十年という長年にわたるところの生産調整であるために、あくまでもこれは平等に農家が連帯して分担すべきものであるという基本的な考えを持つものでありますけれども政府地域配分に対する基本的な考えをまず明らかにしていただきたい。
  75. 堀川春彦

    ○堀川政府委員 これからの農産物の長期の需給動向等を踏まえて、生産政策の方向もこれにマッチして進める必要があるという観点に立ちながら、各地域地域生産の長期的方向等もにらみ、その他農業事情、諸般の事情を考慮して、さらに適地適産、あるいは公平分担というようなことにも十分心を配って、慎重の上にも慎重に検討して配分をいたしたいと思います。
  76. 野村光雄

    ○野村委員 非常に抽象的なお答えでございまして、先ほど来の各委員の質問に対する御答弁を聞いておりますと、すでに十一月の遅くても中ごろまでにこの配分を行いたい、こう言っていらっしゃるようです。しかも、耕作をする農家自体にとりますと、大臣、御存じと思いますけれども、この転換の最大目標を麦に置いていらっしゃるようでありますが、北海道あたりは秋まき小麦の時期はもうすでに失しております。そういうさなかにあって、いまだに基本的な配分の明確な方針が出ていない、これは一体どういうことなんでしょうか。私は、少なくても先ほど申しましたような、平等に分担する計画で割り当てをするとか、基本的なことがもう少し明確にここで当然発表されるべきだと思いますが、改めてもう一回聞きます。
  77. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 この転作目標の設定の問題は、今月の中ごろに決定をし、発表したい、このように考えておりますが、その考え方は単なる算術計算的にやるわけのものではございません。堀川局長から申し上げたようないろいろの諸要素を総合勘案して、適正かつ公平にやってまいりたい、このように考えております。そのために、各農業団体、都道府県知事あるいは町村長会、さらに県の実務担当者等から、県内事情その他の諸条件等についてのヒアリングも実はいまやっておるわけでございます。  そういうようなことでございまして、この点は客観的に見て十分公正妥当な割り当てであるというものを出したいということでいまやっておるということでございますが、麦につきましては、御指摘のように、播種期ももう迫っておるということで、全体に先んじて、すでに各県に対してそれぞれ御連絡を申し上げて進めておるところでございます。
  78. 野村光雄

    ○野村委員 もう一回大臣に、失礼ですけれども確認をいたしたいわけですが、基本的にはただいまのお考えわかりましたけれども、確認したいことは、いままでの実績等にこだわらないで、全く白紙の立場で全地域の実情、関係者の意見、こういうものを総合して配分をするということなんでございましょうか、この点を確認したいのでございます。
  79. 堀川春彦

    ○堀川政府委員 農業団体も、必ずしも過去の実績にこだわることなくということを要請してきております。実績という言葉がいろいろな意味に解釈されますが、私どもは、少なくとも過去の経緯を一切無視してというつもりはございません。しかし、実績が実績だからということでありますのは、これについてはいわば正直者がばかを見るという非難攻撃があることもあるわけでございますので、いろいろの経過も踏まえながら、しかも心を本当に無にしてと申しますか、そういう形でえりを正してやってまいりたいと思うわけでございます。
  80. 野村光雄

    ○野村委員 昔の農民と違いまして、だんだん疑り深くなってきておりまして、私もその一人でございますけれども、いずれにいたしましても、ひとつ公平な、そして平等な立場の割り当てをぜひしていただきたいということを強くこの機会に御要望申し上げておきます。  次に、もう一点どうしてもお聞きしたいことは、これほどの大がかりな生産調整転作、こういうことになってまいりますと、特に本道の場合、御存じと思いますけれども、専業農家が全体の四一%を占めております。しかも、この四一%にわたりますところの専業農家に限って経営面積が非常に多い。こういう中に今後の大幅な生産調整というのが余儀なくされるわけでありますけれども、この場合、専業農家であるがために、一つには現在の農業経営者に畑作の経営の経験が全くないということであります。さらに、もう一つは、大型化されましたこの専業農家に畑作に対する農機具というものが全く整備されていない。こういう段階の中で一挙に明年度の作付に対して大幅な転作をされましたときに、何らの耕作、経営する経験、知識もないままに畑作物に転換をせざるを得なくなっていくということが非常に憂慮されるわけでございます。そういうことで、私は少なくともこの大幅な転換というものは、先般来もこれは問題になっておりましたけれども、明年度から即刻百七十万トン生産調整をする、こういうことには実質上農家にとって非常な戸惑いがある、こういうふうに感ずるのでありますけれども、これに対する対応策なり考えをこの際明らかにしていただきたい。
  81. 堀川春彦

    ○堀川政府委員 転作作目に関する技術の問題でございますが、きわめて重要な問題でございまして、私どもこれについては、その地域地域の実情に合った技術指導を徹底してやる必要があるというふうに考えております。それの基本になります農林省の技術指針というものを集大成をいたしまして、各県に御参考のために送付することにいたしております。それに基づきまして各地域地域実態に沿った具体的な技術指針をつくっていただく。なお、この中では、転作作目について地域実態の中で成功しておる事例等も織り込んで、参考にするようにしておるわけでございます。なお、普及体制を通じて、あるいは農協の営農指導の体制を通じてこれに対応することもきわめて肝要でございますので、これらに対する予算措置等もとってまいりたいというふうに考えておるわけでございます。  それから、農機具等の問題につきましては、確かにいままで水田ばかりやっておったというところに畑作物をやるということになりますと、作目によりまして、麦などの場合には米と共通で使える機械もありましょうけれども、新たに機械を導入するということが必要になってまいりますが、そういうような場合には、私どもの方でこれを、共同的な形で畑作経営といっても、かなり規模をまとめてやるということが定着化のために必要である、そのためには共同利用の機械の導入が必要である、施設導入が必要であるという場合には、助成の道も講ずるということで対応を考えておるわけでございます。
  82. 野村光雄

    ○野村委員 時間がやってまいりまして、考えておりましたことに全般的に触れることができませんけれども、ただ私はいまの御答弁を聞いておりまして、予算措置さえ講ずればこれが対応は可能なんだ、こういう非常に安易な考え——農業経営というものはいずれにしても長い経験というものが必要なのである。大自然を相手にした農業経営、耕作というものが、予算措置をして人員配置さえすれば、機械さえ備えつければ、それで畑作転換はあしたからでもできるのだ、こういう農業技術というものを無視したような基本的な考え方農林省としてはやはり改めていく必要がある。そういう基本的な農業の本質というものを、実質的に経験のない、そういう農民の心というもの、経験というものを無視した考えに、今日までの農業政策の大きな行き詰まりがあるのだ、私はこういうことの反省をひとつ強く求めておきます。  最後に、今日までこれだけの大きな食糧政策の中で、先般来消費拡大についてはいろいろな問題が提起されてまいりました。これに対して一、二点お伺いいたしますけれども、一体農林省としては、消費拡大に対して具体的にどういうことを手がけ、どれぐらいの予算をもって消費拡大というものに対して実績を上げてきたのか、その消費拡大に対する経緯と実績等についてこの際お伺いいたしたいと思います。  この機会に、私のところにちょっと手に入りましたのを一つの参考に大臣に見ていただきたいと思うのですが、これが実はお米でつくったライスワインといいまして、いま試験されましてすでに市場に上ってきております。最近、日本酒からワイン、洋酒に嗜好が変わっておる段階で、私は現時点における消費拡大政策からいって関心に値する、こういうことで一応持ってきたわけでございますけれども、こういう面に対しましてもぜひひとつ担当係官等は十分これらの実態を踏まえながら、政府としてもぜひこれらの方面にもひとつ力を注いでいただきたい、こういうことをお尋ねいたしまして、最後の質問にかえます。
  83. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 米の需給均衡を図るためには、何といっても米の消費拡大ということが重要な一翼を担っておるわけでございます。そこで、先般も当委員会で私申し上げましたが、今度の米の需給均衡化対策水田利用再編対策、これは閣議了解、つまり閣議で決定をいたしまして政府全体として取り組んでいきたい。その際に、単なる水田の再編対策というだけでなしに、米の消費拡大というものも合わせて二本柱として政府全体の方針としてこれを決定をし、取り組んでいきたい、このように先般も申し上げたわけでございますが、米の消費拡大は私も非常に関心を持っておりまして、学校給食の積極的な米飯の導入を初めとしまして、米を原料とする新規の用途の開発研究、こういう方面にも力を入れるように事務当局を督励をいたしておりますし、所要の予算措置も講ずるつもりでございます。  いまライスワインのお話がありましたが、私も実はすでに試飲をしてみまして、これならいけるぞという感じを受けておるわけであります。ライスワインだけでございません、米を原料とするいろんな新規の食品、これは新聞その他で見るたびに、それを現地に連絡をして全部取り寄せまして、そして農林省の幹部も集めて試食をしたり、いずれ私は閣僚の諸君にも米のそういう新規製品の試食会でもやってもらおうと思っております。この問題につきましても、真剣に前向きで取り組んでまいる所存でございます。
  84. 野村光雄

    ○野村委員 以上で終わります。
  85. 金子岩三

    金子委員長 神田厚君。
  86. 神田厚

    ○神田委員 過日の委員会に引き続きまして、米の生産調整について御質問を申し上げたいと思います。  まず第一に、私はこの前の委員会でもいろいろ意見を述べさせていただきましたが、この米の生産調整を来年百七十万トン行うということの決定でありますが、こういうふうなことが、いまの時期になりまして来年百七十万トンやるんだというふうなことを言われまして、農民といたしましては非常に戸惑っている、非常に唐突な感じを受けて困っているというのが現状ではないかと思うのであります。私は、この生産調整の問題が出ましてから、郷土におりまして農民から二人、三人と、一体どういうふうなことをやるつもりなんで、どういうふうな方法でこれをやろうとしているのか、大変困っている、こういうふうな話を聞いているわけであります。  どうして困っているかといいますと、第一には、この時期が、準備の期間が一つあります。それから、やり方といたしまして、このやり方が、たとえば極端な例を申し上げまして、一つの町に二十ヘクタールの減反、転作指示されたとする。そうすると、この二十ヘクタールの転作というものを指示されたところにおきまして、農業委員やなんかが一生懸命各部落を回って説明をして歩くわけであります。ところが、現在、頭の中ではなくて、現場の農村に行ってみていただければいいのでありますけれども、その農村、私どものところは大体平均一・五ヘクタール、一町五反ぐらいの農家が多いのでありますが、そういう人たちが二十軒ぐらいで一つの集落をつくっている。そうすると、そこに、どういうふうなことかわかりませんが、町で、たとえば二十ヘクタールというのがありまして、このところはどうだろうというふうな形で話しに来る。話しに来まして、それじゃそこでやろうかと言いますと、一つの農家が一町五反持っております。そうすると、たとえばそれを一割減反して一反五畝を減反するということになりましても、いろいろ地域的な問題がありまして、片っ方では米をつくっていて、片っ方では麦をつくるといっても非常に無理なんであります。水田があって、そして、そこで少しずつ減反をしていく、あるいは転作をしていくということが、これは物理的に不可能なことがたくさんあるのであります。つまり、頭の中で考えておりまして、大体平均的に押しつけたらいいんじゃないか、おろしたらいいんじゃないかということでありますけれども、現実にはこれは個人が土地を所有している、農地を所有しているということを大前提に本当にきちんと踏まえてこういうことをなさろうとしておるのかどうか、私は非常に疑問を感ずるところであります。  こういうふうなことから、一体どういう方法でこれをやるおつもりなのか、その方法についてひとつお考えをお示しいただきたいと思うのであります。
  87. 堀川春彦

    ○堀川政府委員 市町村段階で具体的にこうなった場合という御指摘でございましたが、これは県知事が市町村に目標を配分する際に、県内の諸農業事情、土地条件その他すべて考えて配分を考えていただきたいということでございます。  さらに、末端でそれをこなす際に、確かに先生のおっしゃるような事態も想定をされますが、できるだけまとめて転作しやすいような計画的なやり方ということが必要になってまいります。したがって、計画転作の特別の奨励措置も講ずるつもりでございますが、その際に、三年間の計画の中で集落内の負担の公平ということも十分考慮をして、一年目と、場合によったら二年目とまとめてやるけれども、場所は変える、土地条件が許せばそういうことをやっていくという計画づくりということもあり得ようか、現地の具体的な適応をよく考えてやっていただくということが基本でございます。また、そういうことを念頭に置いて知事さんが具体的な市町村別の配分を御決定なさるものというふうに考えているわけでございます。
  88. 神田厚

    ○神田委員 そうは言いましても、米よりほかのものに転作した方が収益が上がるというのでしたらこれはどうにでもなる問題だと思うのです。ところが、何をつくりましても、現在米ほど安定した、あるいは価格の保証されたものはない。そういうことを考えますと、その転作をしろという一つの農民に対しましてメリットといいますか、どうしてそういうものが生まれてくるかということですね。米より高くなるならば、それはこうすればいいのだというふうなことがあります。ところが、技術的には、先ほどもお話がありましたけれども、非常に畑作の技術の問題もありますし、そういうことで、米よりもむしろ金銭的にも収益の面でも下がってしまう、こういうものについて、どうしてその転作をしろという、あるいはそれを強引に話をしていく根拠がありますか、あると思いますか。そういうことは現実に私はちょっと無理だと思うのですが、いかがですか。
  89. 堀川春彦

    ○堀川政府委員 現在のやり方でも、かなり米よりも反当収益において高い水準転作作物も相当あるわけでございます。しかしながら、米と反当所得において著しい差のある、しかも、これから転作作物として重点を置いてやっていきたい麦とか大豆でございますとか飼料作物、そういうものについては特別の配慮をする必要があるということから、奨励金の面で私どもかなり思い切った引き上げ措置を講ずることを考えておりますので、一般的に申せば、そういう米との所得関係転作が全く困難だということにはならないのではないか。しかし、地域地域の実情もございますから、その辺も踏まえて、配分を具体的にやってまいる際にその辺は十分配慮してやるべきこと、こういうふうに思っておるわけでございます。
  90. 神田厚

    ○神田委員 具体的な話になりましたから少し具体的に聞きますが、そうしますと、麦とか大豆とかいわゆる重点転作作物につきましては、米と同程度の、あるいはそれ以上の収益というものを奨励金その他できちんと保証する、こういう方向であるというふうに考えてよろしゅうございますか。
  91. 堀川春彦

    ○堀川政府委員 重点特定作物につきましては、お配りしてあります資料にあるような考え方で奨励金を交付するというふうに考えておるわけでございます。その際には、米作所得との均衡というのはほぼ妥当な線に保たれておるというふうに考えておりますし、それから畑作物価格は、これから相対価格是正基本的な考え方に即して上げていくわけでございますので、そういう面からも私は対応が可能なように仕組まれておるというふうに考えておるわけでございます。
  92. 神田厚

    ○神田委員 ちょっとはっきりしませんけれども、具体的に断定的にわかりやすく答えてください。  小麦あるいは大豆、そういう重点作物については、米と同等もしくはそれ以上の価格の問題について保証する考えがあるかどうかです。
  93. 堀川春彦

    ○堀川政府委員 これは転作誘導のための奨励措置でございますので、先生のおっしゃるような厳密な意味の保証という考え方に立って算定をしておりません。重点作物につきまして、重点作物畑作による反当所得、それから米作所得との関係を考慮いたしまして、その差額、格差をできるだけ埋めるという考え方に立ちまして、お配りしてありますような奨励金の体系をつくっておるわけでございますから、米作から転換された場合に、通常の反収を上げるというようなことになれば、非常に不利になるというようなことにはなるまいというふうに考えておるわけでございます。
  94. 神田厚

    ○神田委員 米に比べて不利にならないということですか。つまり、いまの麦の奨励金やその他の問題についても、かなり麦については重点的にやっている。さらに、これに対して、来年はまた生産米価は上がるわけですね。そうして、またそれに見合った形できちんとついていけるだけのものを考えておられますかどうかということを言っているわけであります。いかがですか。
  95. 堀川春彦

    ○堀川政府委員 具体的に申せば、麦につきまして計画的に転作をし、やってまいりますと、計画加算を含めまして七万五千円程度の奨励金が最高額としてもらえる仕組みにしておるわけでございます。これは転作率等の差によって若干それよりも下がる場合が出てまいりますが、そういたしますと、麦の所得を合わせますとかなりの額になるというふうに仕組んでおり、この仕組みは三年間一応固定してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。  今後の相対価格関係は、基本的に、これまで再再御議論のありましたような考え方で進めていくわけでございますので、そういうことを前提にいたしますと、奨励措置の内容として、転作誘導のために十分有効に機能し得るのではないかというふうに考えておるわけでございます。
  96. 神田厚

    ○神田委員 どうもはっきり私はわかりません。局長の答弁では不十分でありまして、納得できないものであります。しかし、限られた時間でありますので、この問題は後においておきまして、なお機会がございましたら質問さしていただきたいと思うのでありますが、大臣にお伺いいたします。  わが国の農業は、もうすでに何回かここで論議をされましたし、大臣自身も御案内のように、米作が基礎になっておりました農業であります。そして、これを今度政府が発表しました米の需給均衡化対策にしますと、本当にその構造からこれを改善、改革するという大構造改革の事業になるわけでありますが、こういうふうなことをやっていった場合に、急激なこういう変化に対しまして、農家が一体これについていけるだろうか、農家経済がどういうふうになっていくんだろうかという長期的なビジョンというか、それについての見通しといいますか、そういうものをひとつお示しをいただきたいと思うのであります。  といいますのは、転作をいたしましても、さっき言いましたように、米より以上の転作のいわゆる価格の保証、収益というものが確保されない、そういうことになりますと、全体的にはやはり農家の経済収入というのは私は非常に落ちるのじゃないかと思うのです。一年間、来年に限っても、たとえば四十万ヘクタール、百七十万トンの米の減産をするということによりまして、非常に収益が落ちていく。これを十年間にわたってやるということになりますと、私は大変にこの辺のところが心配なんでありますが、ひとつそういう面を含めまして、長期ビジョンにつきまして、お考えをお示しいただきたいと思います。
  97. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 神田さん、先ほど来生産農民の方々の生の声をお話しいただいておるわけであります。私も、恐らくそれが農民の皆さんのいまの心境であろうというぐあいに理解をいたしておるわけでございます。  本来、日本列島は、こういう高温多湿の風土の中で、やはり稲作というものが一番適する農作物である、これが日本農業の根幹になっておる、これは全くそのとおりだと考えております。また、私は、日本食糧の面からいたしましても、転作等を進めるにしても、依然として米というものは日本人の食糧の最も根幹をなす大事な食糧である、このように認識をいたしておるわけでございます。  しかしながら、それならば、一番米がつくりやすい、だからこのままでいいかということになりますと、恐らくこれは神田さんもそうはお考えになっておらないだろう。また、農民諸君としても、こういう過剰基調がどんどん強まっていっているというようなことで、後は政府が始末をすればいいじゃないかというようなことでもこれはいかない。やはり農民の皆さんとしては、子々孫々まで農業でおやりになっていくということになれば、自分たちの問題と受けとめて、日本の農業はどうあるべきかということをやはり静かに考えておられることだろうと思います。実際に私は農業団体その他の皆さんとお話をしても、そういう認識、いまのままではだめだという考え方は、いささかもわれわれと変わっていないということを私はくみ取っておるわけでございます。  そこで、いままで緊急避難的に休耕をやったり、あるいはまた、その後三年間水田総合利用対策というようなものをやってまいりましたけれども、これではどうしてもいかない。今後はどうしても総合的に、一方においては米は余っている、一方においては自給率が四、五%というように、必要とする主要作物等の自給率は低い、これをできるだけ均衡のとれたものに持っていかなければならない、こういう総合農政考え方、これも私は当委員会先生方も同じような認識をお持ちになっておると思います。  問題は、それを実行してまいりますための環境条件づくりを政府がどれだけやれるか、こういう条件であればわれわれもひとつ転作をしよう、そういうことだと思います。私は、価格の問題あるいは生産対策、構造対策、そういうような総合的な施策条件づくりというものを農林省全力を挙げてやっていこう、そして農民の皆さんにも御協力をいただかなければいけない、こういうぐあいに考えております。  私は、米は十分需要に見合ったものは確保する、その他の麦、大豆飼料作物等につきましては、自給率を四〇%を五〇%、七〇%というぐあいに高めてまいりまして、総合的な食糧政策というものを確立する、そういう目標に向かいまして今後施策を進めてまいりたい、こう考えております。
  98. 神田厚

    ○神田委員 大臣のお話を聞いておりまして、私も同感のところがあるのでありますが、大臣がもしそういうお考えであったならば、なぜもう少し準備期間を置きまして、そして農民の納得するような形でこの需給計画についての御発表をなさらなかったのか、その辺が大変残念であります。十年間という大変長期にわたる需給計画を発表になられましたが、私は、それだけの御決意でもってそれだけの予算を投入して日本の農業の一大構造変革を行おうとする御決心であったならば、もう少し農民のじかの声を聞きまして、そして誤りのないような形でやられなければいけない。私は、大変失礼な言い方でありますけれども、非常にどろなわ的な感じを抱かざるを得ないのでありまして、そういう意味におきましては、だれもがやはり米が余ってきているという傾向につきましては納得しているのでありまして、どうにかしなければならないということは考えているのであります。ですから、そういう考えの中で国民の合意ができてきたところで、やはり時間を置いて農民を説得し、そして消費者を説得し、そういう中で需給均衡対策というものを発表すべきであった、私はこういうふうに考えるわけであります。  そして、いま現実に示されております案を見ましても、来年度は百七十万トンというふうな形で示されております。この百七十万トンというものにつきましても、潜在生産量を千三百四十万トンと、五十二年の千三百万トンよりも四十万トンも大きく現在見ているわけであります。こういう理由は一体何なんであろうか。つまり、生産量は大きく、需要量は少なく見ている。そして、言ってみれば六十年目標のあのものに合わせようとしているような感じがしないわけではないのでありまして、私は、あの六十年目標というものは、この大転換の構造変革を伴う需給均衡対策が発表されました段階では、きちんとした見直しをすべきである、こういうふうな考え方をしているわけでありますが、いかがでありますか。
  99. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 千三百四十万トンが六十年見通しに合わせた潜在生産力を見ておるのではないか、こういうお尋ねでございますが、私ども六十年見通しはあくまでも長期の目標でございますので、来年直ちにそれに合わせるというような計算をしておるわけではございませんので、今年度一千三百万トンの潜在生産力を計画としては持っておったわけでございますが、最近の自己開田のふえ方、自力開田のふえ方、あるいはまた転用が、御承知のような経済情勢のもとにおいて見込みよりかなり低くなっておる、あるいは事実上の休耕から水稲作に復帰しているのがかなりある、あるいは反収も、われわれが考えておるより若干上回るというようなところから見ますと、計画段階ではできるだけ、こういう仕事でございますので必要最小限ということで、潜在生産力をいろいろな予想される幅の中で下限を実はとっておったわけでございますが、そういう意味では甘かったということは反省をしておるわけでございますが、今回一千三百四十万トンといたしますのは、そういう下限ではなくしてありのままの最近の実態を反映さした数字として見込んでおるわけでございまして、六十年見通しに合わせているというようなことではないわけでございます。
  100. 神田厚

    ○神田委員 最後に一言。  市町村、各県に対する配分、これらの問題につきまして最後に御要望しておきたいのですが、ひとつ公平な形で、先ほどから言われておりましたような形でやられることをお願いして、終わります。
  101. 金子岩三

    金子委員長 津川武一君。
  102. 津川武一

    ○津川委員 本会議で大臣が大臣席に着かなければならぬので、五十五分までに終わるようにやってみたいと思います。  そこで、最初に質問全部話してみます。  一つは、転換作物でございますが、なたね。なたねは、作付がぐんぐん減っておる。自給率はいまでは〇・八五%。国民の植物性の油として大事な大事な食糧であります。そこで、特定作物に加えて転作畑作物にした方が、主食を国民の手で生産する上においても、また減反を成功裏にやり抜く上にもどれほどか都合がいいと思いますので、この点まずひとつ答えていただきます。  第二の問題は、先ほど佐藤委員も話をした鳩山外相が昨十一月一日の閣議で、開発途上国への食糧援助に国産の米を充てようと提案しております、そのことに関連してでございます。  この点での第一は、いま世界食糧会議食糧優先国FPCとして分類された開発途上国は四十二国ございます。この中で、食糧を優先しなければならぬ一番厳しい国としては、バングラデシュ、イエメンなどがランクされ、非常に厳しいというところにインド、インドネシアなどがランクされております。そして、八年後の一九八五年には、インドネシアで言うと千四百二十四万トンの不足、バングラデシュでは三百十三万トン、韓国では九百二十三万トン不足と言われております。いま生産調整十カ年計画、そうすると、八年後の一九八五年、これは外国へ援助しても生産計画途中で動揺するようなことがなくて十分やれる状態でございます。これが私たちがまず認識しなければならない第一の問題です。  これと関連して世界食糧会議でございますが、一九七四年、ローマで参加国百三十三で世界の食糧会議が開かれ、日本からは当時の農林大臣の倉石さんが出席しております。そこで議決したことは、「飢餓及び栄養不良撲滅に関する世界宣言」、この宣言の中に、食糧問題解決のために、先進国と発展途上国の間のみぞをなくし、新しい国際経済秩序をもたらすためにあらゆる努力を払うということの宣言をしております。この宣言に基づいて、出席した倉石農林大臣はやはり非常にいい演説をしております。食糧不足が相当な量に達する一九八五年、そういう状態にありますので、その生産能力を各国はできるだけ発揮していこう。「わが国としても、開発途上国の当面の深刻な食糧不足の事態は十分認識しており、これに対する食糧援助については、今後とも応分の協力を行う用意があります。」これが政府の態度でございます。この発展途上国の食糧飢餓、これに面しておる国にひもつきのない食糧援助をしてやるべきだと思うので、この点、政府の見解を明らかにしていただきたい。これが一つ。  そこで、きのうの鳩山外務大臣の閣議における問題であります。これは新聞でございます。「同日の閣議で鈴木農相が報告した今年のコメの予想作柄が水、陸稲合わせて千三百八万九千トンと豊作の見込みで、コメの在庫がさらに増える見通しなのに伴い、その解決策を兼ねて提案したもの。」「鳩山外相は一日の閣議で国産のコメを発展途上国への食糧援助に充てることを提案し、坊蔵相と鈴木農相の協力を要請した。」こういうことでございます。このとおりだと思うのですが、こうであったかどうかを閣議の内容を知らせていただいて、これに対する鈴木農林大臣の意向を聞かしていただきたいと思います。  この点での第三点は、そこで食糧難の発展途上国を米で援助することですが、これはかつての日本が、アメリカの余剰農産物をMSA協定などでひもつきで縛ってやられたのではなく、本当に民主的に、余り米で品質の下がったものでやるのではなく、国民と同じ立場でやっていく必要があると思うのです。  そこで、現在米を輸出している国はといいますと、中国を除くと、一九七五年で五百八十万トン。この中でアメリカが二百十三万トンタイが九十四万トン、主としてアメリカです。アメリカは、国内生産されるお米の六割から七割を輸出用に使っております。そこで、今度のタイのお米が不作で、福田総理大臣が六十五億のお金を借款して、そのお金でタイの米を買ってインドネシア食糧危機を防ごうということになったが、いいか悪いかわかりませんけれどもタイの米が余り豊作でないので、日本の六十五億円でタイの米を買うゆとりがないから、日本のお米を出してやる、こういうことが何よりも必要になってまいりました。ところが、この余剰農産物処理原則というものの中には、その余剰農産物通常生産及び国際貿易に支障を与えることがないように行われる。したがって、米をやる場合には、タイ、アメリカなどの関係国と事前協議する。ここでタイと協議することはできました。アメリカとの協議ですが、アメリカはああいうふうに世界一の米の輸出国で、輸出のためにやっているので、この協議は話せば必ずでき上がると私は思っております。この点でも政府の意向を聞きたいと思うのです。  そこで、今回はタイがそのとおり不作で米がないからこれでいいが、タイが平年作、豊作であっても発展途上国の食糧難を援助する方針を立てていきたいのです。そこで多少障害になるのは、食糧飢餓、栄養不良撲滅の宣言の後でできておる食糧援助委員会、FACでございますが、これは日本も参加して決めております。この中で、米は対象外にする、こういう規定がございます。日本からは二十二万五千トン援助してやる。この二十二万五千トン援助の中で米が外されておる。ところが、日本の皆さんの強力な発言で、米でもいいということになっておりますので、私はこの点で障害がないと思います。とすれば、鳩山さんが言われたみたいな援助をしてあげた方がよろしいのではないか。二百六十億円お金がかかると新聞は報じていますけれども、十万トンやりますと二百六十億円。しかし、来年から百七十万トンやるために二千億円からのお金を使う。十万トンに百十八億円もかかる。米を保管していくのに十万トンで二十五億円もかかりますので、こういったものも勘定すると、私の素人勘定ですが、実額百二十億ばかりあれば事が済むと思うのです。したがって、重ねてこの点で鳩山外務大臣の提案を受け入れていくべきだと思うわけでございます。  こういった点をまとめて質問させていただいて、五十五分で終わらせていただきます。
  103. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 第一点は、なたねを今度の転作の際における特定作物に指定をしたらどうかということでございますが、これは青森県、それから鹿児島県の一部、ほとんどなたねの作付をやっております主産県は両県でございます。また、いろいろ調査もいたしておりますが、これが大幅になたねの増反ができるようなことは余り期待ができない。そういうようなことで、全国で青森県と鹿児島県だけという状況下にございますので、いまのところなたねを特定の作目として指定をするというようなことはまだ考えておりません。  それから、米を食糧援助に向ける問題でございますが、FAOでこの食糧援助に関する国際的な取り決めがなされたことも私承知をいたしておるわけでありますが、ただ、これには非常にむずかしい問題がいろいろございます。  一番大きな問題は、何といっても日本米価国際米価に比べまして六倍強の価格に相なっておるという点でございます。今回インドネシアからの、食糧輸入のための借款の申し入れがございまして、六十五億円というものを政府では借款に応ずるということでございますが、これはタイから輸入をするということをインドネシアでは計画しておったようでございます。しかるに、タイの方が、二毛作の国でございまして最終的にどうなるかわかりませんが、輸出余力が余りないというような点が出ております。そういうようなことから、鳩山外務大臣が、ことしの豊作と関連をして、閣議の際に発言をした、これは事実でございます。  ただ、従来は食糧援助日本でもやり、また、そのための借款等にも応じてきておるわけでありますが、いままではお金でもって援助をし、あるいは借款に応ずるというようなことにいたしております。そういたしますと、同じお金でもって日本の六倍ぐらいの量のものを入手できるということで、現物で日本から援助を受けるよりはお金で援助をしてほしいというのが関係国の要望であったわけでございます。あわせて、タイ並びにビルマ等米産国におきましては、これが外貨獲得の唯一の大きな財源でもある、自分らの米の販路をふさいでもらっては困る、こういうようなこともございまして、やはり日本の米を出すことに対しまして歓迎をされない。だから、ひもつきでなしにお金で援助をしてもらいたい、こういう要求が関係国からもあるわけでございます。  そこで、国際価格日本の米の価格日本生産価格並びにその上に管理費等を加えますと、それを差し引いてなおかつトン当たり二十九万円ぐらい食管でもって財政負担をしなければいけない、こういうことに相なるわけでございます。津川先生はいまいろいろ計算をされて、生産調整のための二千億の対策費等々、いろいろそろばんを置いてみれば、食管でそれぐらいの赤字をしょってもそう大きな犠牲にはならないのではないかというお話がございました。しかし、私は先般来申し上げておりますのは、米の処理の問題だけでなしに、同時に、日本農業の総合的な自給力の向上を図る。こういう形で麦だとか大豆だとか飼料作物だとかいうものを、大部分を海外から輸入しておる形、こういう日本農業の構造というものはどうしてもやはり国民食糧の安全保障の問題とも絡めて改善をしなければならない。そろばんの問題もありますが、そういうことが今回の米の需給均衡化対策であり、水田利用再編対策である、こういうような観点がございまして、私は、この米の食糧援助につきましては克服すべき問題がたくさんある、非常にむずかしい問題である、こういうぐあいに考えておるところでございます。
  104. 津川武一

    ○津川委員 総理大臣に出席していただいて一度委員会を開くという計画もありますので、大事な問題なのでそのときさらに論戦してみます、質疑してみます。  終わります。
  105. 金子岩三

    金子委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時五十九分散会