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1977-10-27 第82回国会 衆議院 農林水産委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年十月二十七日(木曜日)     午前十時三十八分開議  出席委員    委員長 金子 岩三君    理事 今井  勇君 理事 片岡 清一君    理事 菅波  茂君 理事 竹内  猛君    理事 瀬野栄次郎君 理事 稲富 稜人君       阿部 文男君    愛野興一郎君       加藤 紘一君    久野 忠治君       熊谷 義雄君    佐藤  隆君       染谷  誠君    羽田野忠文君       福島 譲二君    向山 一人君       森   清君    森田 欽二君       上原 康助君    小川 国彦君       岡田 利春君    角屋堅次郎君       柴田 健治君    島田 琢郎君       新盛 辰雄君    野坂 浩賢君       松沢 俊昭君    武田 一夫君       玉城 栄一君    野村 光雄君       神田  厚君    津川 武一君       菊池福治郎君  出席国務大臣         農 林 大 臣 鈴木 善幸君  出席政府委員         国税庁間税部長 矢島錦一郎君         農林大臣官房長 澤邊  守君         農林大臣官房技         術審議官    川田 則雄君         農林省農林経済         局長      今村 宣夫君         農林省構造改善         局長      森  整治君         農林省農蚕園芸         局長      堀川 春彦君         農林省食品流通         局長      杉山 克己君         農林水産技術会         議事務局長   下浦 静平君         食糧庁長官  大河原太一郎君  委員外出席者         沖繩開発庁振興         局振興第二課長 安達 弘男君         外務省経済協力         局外務参事官  三宅 和助君         農林水産委員会         調査室長    尾崎  毅君     ————————————— 委員の異動 十月二十七日  辞任         補欠選任   小川 国彦君     上原 康助君   吉浦 忠治君     玉城 栄一君 同日  辞任         補欠選任   上原 康助君     小川 国彦君   玉城 栄一君     吉浦 忠治君     ————————————— 本日の会議に付した案件  農林水産業振興に関する件  昭和五十二年産さとうきびの最低生産者価格等  に関する件      ————◇—————
  2. 金子岩三

    金子委員長 これより会議を開きます。  農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。加藤紘一君。
  3. 加藤紘一

    加藤(紘)委員 本日は、今後の水田利用再編対策について質疑を行いたいと思います。  米の過剰生産基調を背景としまして、来年度から、従来にも増して、従来九十万トンの生産調整が百七十万トンにまでなる、そして、その政策が具体的にどういうふうに打ち出されるのか、配分がどうなるか、そして、どこが主体となってイニシアチブをとってやっていくのか、いま大きな議論があろうかと思います。毎年毎年米価の問題が論議されますけれども、その問題にも増して、今度の生産調整という問題については大きな関心が末端農家で起こっているように思います。  そこで、まず最初に、鈴木大臣基本的にお伺いいたしたいと思うのですけれども、来年度以降のいわゆる政府でお考え水田利用再編対策基本的にどういう姿勢で、どういう哲学でお進めになるのか、概括的にお知らせいただきたいと思います。
  4. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 ただいま加藤先生が御指摘になりましたように、米の過剰基調が進んでおるわけでありまして、一方におきましては麦でありますとか大豆でありますとか、あるいは飼料作物であるとか、そのような国内の需要に比べまして自給率のきわめて低い主要作物生産が、あらゆる努力にもかかわらず停滞をしておる、こういうようなことはわが国の総合的な食糧自給政策という面からいたしましても、これは何とか積極的に改善をしなければならない状況である、このように考えております。農民方々稲作志向はきわめて根強いものがございまして、生産食管制度に守られ、また土地基盤整備の進捗あるいは品種改良肥培管理技術の進歩、いろいろの要因もございましてきわめて生産が大きく向上をしております。  一方、消費の面におきましては、学校給食への米飯の導入その他米の新しい利用分野開発等努力をしておりますけれども、この需給均衡というものは大きく崩れてきておるわけでございます。今年度好天等に恵まれまして九月十五日現在の作況指数は一〇四、その後におきましても、十月の調査をいまやらせておりますが、それを若干上回るような状況にあるようでございます。そういうようなことで政府在庫米は三百数十万トンになろうかと思います。さらに、明年度平年作でありますれば四百数十万トンにも相なる、こういうような状況に相なっております。  一方、その他の主要作物は、先ほど申し上げたように、農民の皆さんの御協力努力をいたしておりますが、思うように伸びてない、こういうようなことから、政府といたしましては、水田総合利用対策というものをいままで進めてまいりましたが、一歩進めまして水田利用再編対策というものを明年度からこれを十年ぐらいの長期事業として推進をしてまいりたい。私どもは今年度は九十万トンの転作をお願いしたわけでございますが、加藤さん御指摘のように、明年から百七十万トン程度をどうしてもこの際転作をし、他の主要作物転換をしていただく、これをお願いしなければならない、このように考えております。  そのためにはどうしても農民方々農業団体、それからさらに、その指導に当たります都道府県あるいは市町村等自治体方々にもこの事態をよく御理解をいただきまして、積極的な御協力を仰がなければならない、このように考えておりまして、先般来数次にわたって農業団体方々とあらゆる角度からこの実施が円満に実効あるものとしてこれが達成できるように御要望、御意見等も伺いながら、いまその実施計画の策定を急いでおるところでございます。  各県に対するところの転作目標設定の問題もございます。さらにまた、これを実施をいたしますためには、転作奨励金等の水準もいままでよりも思い切って手厚くしなければいけない、このように考えておりますし、また生産性の高い水田を活用して転作をするわけでございますから、そのために土地改良事業その他の基盤整備等の面も力を入れていかなければいけない。一方において麦、大豆あるいは飼料作物等生産を伸ばしてまいりますために、それらの価格の問題、米価との相対価格の是正、こういうこともやらなければならない。稲作営農とその他の主要作物転作した場合の相対的な収益性というものを、一遍にはまいりませんが、それに近づけるように最善の努力を払う必要があろうかと、こう思います。なおまた、農民諸君がみずからのものとしてこれを受けとめて積極的に御協力をいただくというためには、地域農政推進対策事業等もこれをさらに拡大をして実施する必要があろうかと思います。  こういうような施策を総合的に進めまして水田利用再編対策、これを強力に展開してまいりたい。昭和四十五、六年ころ、やはり需給均衡が大きく破れた際に、当時、政府休耕等の緊急避難的な施策をやったことがございますが、私は、先ほど来申し上げるような総合的な食糧政策という観点から、そういうことでなしに、需要生産長期見通しの線に沿いまして総合的な食糧自給力向上を目指し、これを定着をさせる、緊急避難的なものでなしに、日本農業構造も変えるというぐらいの基本的な方針、そういう方向でやってまいる考えでございます。
  5. 加藤紘一

    加藤(紘)委員 ただいまは今回の再編対策基本的な姿勢をお伺いしたわけですけれども、そこでひとつその関連でお伺いしたいのは、今回の米の過剰というのはかつての米の過剰に比べて重体である、病気で言えば重症であるという意見がございます。  かつて米の過剰は、それぞれ米づくりを一生懸命やりましょうということで全員が生産増強努力して、その結果として大変な過剰米が生じてしまった。ただ、今回のは、お互いに生産調整もやりました、水田総合利用対策もやりました、お金もつぎ込みました、一生懸命やってみたけれども、なおかつ過剰になってきた。前回は太ろうと思ったら太っちゃった。今回は一生懸命やせ薬を飲んだけれどもやはり肥満児になっちゃった。そういう意味で、どうもこれは危ないんじゃないかという議論が一部にございます。そして、過去の反省として、行政指導で、おたくの方は何%生産調整しなさいというのは、相対的な価格が米の場合有利である以上、行政指導ではもうどうにもならぬのじゃないか。だから、ここで相対価格相対収益性というもので引っ張っていこう。ですから、いい米にはいい値段をということで去年、ことしと良質米奨励金考えましたということで努力をしてまいったわけですね。しかし、そのやさき、やはり相変わらず行政指導行政措置によって、各県に、何%減反しなさい、生産調整しなさいというふうにならざるを得なかった。ここに一つの何か農林省の迷いみたいな苦しさがあろうかと思うのですけれども、今後緊急避難的ではなくと大臣おっしゃいましたけれども基本としては、この行政指導でやるのはやはり限界があるんだ、だから、できれば相対的な収益性による誘導に持っていきたいんだ。しかし、まだその効果が出ないうちに三百四、五十万トン、来年度四百五十万トンという話になりました。ですから、とりあえずこれでやるけれども、将来としてはやはり相対価格相対収益性による誘導方向は筋だと思うし、努力を続けるんだ、そういうふうに理解してよろしいでしょうか。
  6. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 加藤さんが御指摘のとおりでございまして、どうしてもこの転作計画的に進め、また、これを実効あるものにするというためには、農民方々日本農業はどうあるべきか、米だけでなしに、他の必要な主要作物、これもつくらなければいけない、こういうことを自分たちの問題としてしっかりととらえていただく必要がある。また、政府としては、そういう農民方々理解というものを生かしていくために価格の面あるいは生産対策構造対策、いろいろな面でこれが転作しやすいような条件環境整備をする、これが行政責任である、こう考えております。そういう点を私ども今後全力を尽くしたい、こう思っております。  さらに私、農業団体知事会その他と何遍も御懇談を申し上げておるのでありますが、やはりいまのままでは食管制度そのものを守ることもむずかしくなる。やはりこれは需給均衡を早く回復をして、そして食管の健全な運営、そして食管制度の根幹はどうしても守っていかなければいけない、こういう認識が、ある意味では危機感と申しますか、そういう気持ちが出てきております。でありますから、これは政府だけでなしに、生産農民方々もやらなければいけない課題である、これを避けて通れない、こういうしっかりした考え方にだんだんなってきております。この気持ちを実際に効果あるものとして生かしてまいりますためには、いま御指摘のいろいろな転作がうまくいくような条件環境整備、これに政府としては責任を持って当たらなければならない、このように考えております。
  7. 加藤紘一

    加藤(紘)委員 その相対価格性とか収益性、それは価格とか収入とか所得とか、そういう概念でとらえるわけですけれども、たとえば北海道の大豆の場合には、今回の大豆の値上げもありましたし、米の収量及び品種ごと単価考えると、そろそろ大豆の方がよくなってきたのじゃないかという段階に、米が非常にとれにくいところでは大豆の方がよくなってきたではないかという段階にまで近づいたか、それを超えたかという事態もある程度発生しておると思うのです。特に再編計画で示されます奨励金単価考えると、もうそれに十分にいくのじゃないかという印象を持つのですけれども、それでもなおかつまだやはり米という意欲が強いのは、いろいろな理由があるけれども一つ米づくりの場合には農業機械が非常に進んでおって、コンバインというのがあるけれども大豆コンバインはまだ開発されておりませんとかいう議論もございます。それと同列に最近多く聞くのは、水稲の場合には水稲共済が非常に的確に、いろいろ不満はあるけれども、ある一部の地区では水稲共済というのは非常に効力があるものだと思われている。それに比べて、大豆については畑作共済が十分に確立しておりません。その大豆共済がしっかりできておれば、われわれも安心して大豆転作しなくもないのだがという意見があると思うのです。この共済制度の確立がかなりおくれておる。いま試験実施をやっておると思うのですけれども、今後共済の方でどういう手を打っていかれるのか、今村局長にお伺いしたいと思います。
  8. 今村宣夫

    今村(宣)政府委員 畑作物共済につきましては、御指摘のとおり、昭和四十九年度から試験実施をいたしているところでございますが、私たちは、その試験実施実績等を踏まえまして昭和五十四年度から本格実施へ移行することを目途に目下制度化のための作業を進めておるところでございます。現在、学識経験者による研究会を行っておりまして、ほぼその結論を得る段階に至っておりますので、できる限りその速やかなる結論を得ますと同時に、党の方にも御相談を申し上げ、いろいろ御意見を拝聴しながら立法化を急ぎ、次の国会におきまして幸いにして法律が通りますならば、直ちにその準備に取りかかりまして、五十三年度いっぱいに諸制度実施のための準備を終え、その制度の普及を図ることにいたしまして、五十四年度からその本格的実施を図る予定でございます。
  9. 加藤紘一

    加藤(紘)委員 今村局長にお伺いしますが、その五十四年からの畑作共済の開始によって転作しやすくなるような条件をつくれる程度の、そういう制度をつくっていける自信がございますか、また、そういうふうにやっていきたいという御方針ですか。
  10. 今村宣夫

    今村(宣)政府委員 その畑作共済が現在の農林省が意図しております水田利用再編対策の一環として十分力を発揮できるように、その制度内容につきましては、十分私たちも慎重に検討いたしたいと考えておる次第でございます。
  11. 加藤紘一

    加藤(紘)委員 大臣または堀川局長官房長にお伺いしたいと思うのですが、来年の転作目標を各県ごと設定すると先ほど大臣おっしゃいましたけれども、一体いつ発表するのか。転作しなければならぬとするならば心構えもあるし、いろいろな農作業段階準備もある。なかなか発表しないようだけれども、いつなのかという声がかなり強いようですけれども、具体的な日にちを明確にお答えいただけませんでしょうか。
  12. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 転作目標設定、つまり配分でございますが、これは早くひとつやってほしいという御要望は私ども農業団体の方からも知事会の方からも御要請を受けておりますので、鋭意作業を進めております。全体としては十一月の二十日前後までにはこれをぜひ発表したい。また、播種期が追っております麦につきましては、実質的にはそれに先行しまして農作業に支障のないように早目にやりたい、こういうことも考えております。
  13. 加藤紘一

    加藤(紘)委員 たしか今度の再編対策では、各県ごとにどういう品目を何%及び何ヘクタールやってくださいということは明示しない方針だったと思うのですが、大臣がいまおっしゃる麦については少し前もってというのは、麦だけ取り上げておやりになるということですか。
  14. 堀川春彦

    堀川政府委員 これは従来からも転作目標県別配分は、おっしゃいますように、品目を明示しないで面積一本でやっておるわけでございます。しかし、来年から麦も重点作目として取り上げて水田利用再編対策を講じたい、こういう考えでございますので、播種期が終わっておるところもございますし、現在進行中、またこれから、こういうことで迫っておりますから、私どもとしては、県別配分をいたします来年以降の転換目標の数値と直に関係するという形でなしに、とにかく麦はつくっていただきたい、麦を重点作目に取り上げることの関係でつくっていただきたいということは一般的に要望し、かつ具体的には水田裏の麦につきましては種子対策等を講ずる必要がありますので、各県と個別に麦の水田の作付をふやすという方向に沿っての面積の連絡ということをいろいろやっておるわけでございます。そういう意味では関連があるとも言えますが、総体の転換目標面積の中にどれだけ入っておるかという形で厳密な関係をつけてやっておるわけじゃございません。
  15. 加藤紘一

    加藤(紘)委員 それでは、再編対策について政府がお考えの、農林省がお考えのことについて、若干細かくお伺いいたしたいと思います。  第一は、自力開田です。ある町村によりますと、従来の水田面積が二千七、八百町歩、ところが開田したのが過去七、八年で二百五十町歩、約一割などというケースが最近かなりあると思うのです。それで、末端農家にしてみれば、どうも開田して一割か一割二、三分ふえて、そこから米がどんどんとれて過剰になっていくのに、われわれ昔からの米づくり生産調整に類することをかぶせられたら割りが合わないというような感じがあります。なおかつ、農協もそれに一生懸命お金を貸して開田融資みたいなことをやっているではないか、もっときちっとした手を打てないのかという声が十分に聞かれると思います。  この開田の問題については、従来の開田にどう対処するのか、それから今後の開田にどう対処するか、この二つに分かれると思うのですけれども自力開田とそれから再編対策関係についてお答えいただきたいと思います。     〔委員長退席片岡委員長代理着席
  16. 堀川春彦

    堀川政府委員 米の生産調整をやりながら自力開田を放置するということは基本的にありませんので、私ども四十五年以降自力開田抑制に努めてまいっていたわけでございます。補助事業等扱いにおいて、新規開田をするというようなことは抑制する、それから融資等におきましても、開田のための政策融資はこれを行わないというようなことでやってきてまいっております。それにもかかわらず、自分お金開田をしてしまったというのがあることは現実でございまして、現在はこの水田総合利用対策の中では、自力開田分転作をしたとしても奨励金の交付の対象にはもちろんいたしませんほか、他に転作があった場合に、転作面積の中から自力開田相当分は差し引くというような扱いをしてきているわけでございます。  こういうようなことでやってはおりますが、自力開田の傾向というのはとまりませんし、それから今後水田利用再編対策ということで、長期にわたりまして構造政策的な視点に立ちまして新たな政策展開を図るということになりますと、しかも過剰の度合いも相当強いわけでございますから、一層こういった方向を強化する必要があるというふうに考えております。  具体的にいろいろのことを検討しておるわけでございますが、従来のような施策延長線上に立ちまして、次年度以降の措置としては、新たな開田につきましては、翌年度転作目標面積が個人に割り振られますから、それに上乗せをする、それからそれ相当面積予約限度数量から当然のことながら控除していく、こういうようなことを明確に再編対策運用面の中で仕組みまして、自力開田抑制を強化するということを考えておるわけでございます。
  17. 加藤紘一

    加藤(紘)委員 新規についてはわかりましたけれども、従来の開田についてはどういう施策をとりますか。  それをお伺いするのは、従来の施策延長線とおっしゃいましたけれども、実際にそれがかなり厳しくやられておりましたら、各町村及び各単協自力開田分ペナルティーがかなりかかってきて厳しく感じていたはずなんですけれども、大体単協開田融資をしている、政府開田政策融資というのはもちろんないわけですけれども農協お金を貸しているということは、具体的にいえば、農協も余りペナルティーをきつく感じなかったということなんじゃないでしょうか。
  18. 堀川春彦

    堀川政府委員 私ども農協側も、開田をするために自前のプロパー融資をしておるというふうには必ずしも思っておりません。組合員はいろいろな資金の必要があって農協からお金を借りるわけでございますが、経営上必要なお金だから貸してくださいというときにお金が貸されまして、それがたまたま開田費用部分に回ったというようなこともあろうかと思います。開田融資農協融資の一応の計画として組んであるといったようなことはないというふうに思っておるわけでございます。  それから、いま先生のおっしゃいましたような転作目標面積扱いなり、あるいは限度数量扱いとの関係で、従来ぴしっとしなかったということが農家の方の心構えにも影響するということではまずいわけですから、先ほどのような新たな措置をとりたいというふうに思っております。  なお、今後の目標面積県別なり市町村別なり、最終的にはそれは農家段階まで下りていくわけでございますが、そういう配分運用の問題といたしまして、たとえば県別目標面積配分する際に、そういう要素も考慮して配分をせよという声が現実にございます。ございますので、これはいろいろの要素考えて、私ども慎重に配分をやっていかなければならないというふうに思っておりますが、その点は重大な問題でありますので、今後、他の問題とあわせ慎重に検討して結論を出したいというふうに思っております。
  19. 加藤紘一

    加藤(紘)委員 しつこいようですが、もう一回お伺いしますが、先ほど堀川局長がおっしゃったのは、再編対象面積、ある町村に五十町歩いきました。その後、その町村で約五ヘクタールの自力開田がはっきり認められました。すると、その翌年は、その五町歩分もろに足して五十五町歩にする、そういうふうに理解してよろしいのですか。
  20. 堀川春彦

    堀川政府委員 基本的な思想はおっしゃるとおりということでよろしいと思います。ただ、具体的な仕組み方はいろいろ仕組み方がございますので、それはさらに詰めつつありますが、基本観念先生のいまおっしゃったとおりというふうに思います。
  21. 加藤紘一

    加藤(紘)委員 次に、再編対策内容大臣にひとつお伺いしますけれども、各農業団体、それからわれわれももちろんですが、それから自治体が心配しておりますのは、政府の言うとおり一生懸命再編対策協力して調整もいたしました、その言われたとおりの面積もやりました。ところが、世の中、豊作、不作というのがあって、非常な豊作になって、通常言われる限度数量以上のマル超が発生いたしました。そうした場合に、政府はどう考えてくれるのか。もちろん面積は達成しました。数量の問題は考えないで、ただ多収穫品種を一生懸命つくったなんということをやれば別なんですけれども、いい米もつくるようにしました、しかし、どうも豊作限度を超えましたという場合は、これだけ厳しい生産調整協力したのだから何か夢のあることを言ってくれたっていいじゅないか、農林省はかなり厳しいことを考えているようだがという声が大分ありますけれども、その辺は言いにくいと思いますが、いかがでしょうか。
  22. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 百七十万トンの転作をお願いする、相当厳しいものでございます。したがいまして、この目標を達成いたしますれば、豊作等がございましてもそう大きな過剰米余り米というものは発生しないだろう、私はこう思っております。  従来、政府としては自給上必要な量を限度数量としてお願いし、それを買い上げる、限度数量を超えた部分、この余り米につきましては、五十年の大豊作の場合でも今年でも、農協指定団体あるいは全糧連の卸売団体等自主流通のルート、これを活用いたしまして、政府が必要な助成もしながら自主的にこれを処分していただく、こういうことをお願いしておるわけでございます。今後も基本的にはそのように考えておるわけでありますが、達成をいたしましたその御努力、成果というものにつきましては、私ども深く敬意を表するわけでありまして、県段階における調整あるいは府県間の調整、いろいろな面で真剣に御努力を願ったものに対しましては何らかの優遇措置考えなければならないのではないか、このように思っておるわけでございます。
  23. 加藤紘一

    加藤(紘)委員 いまの点は、もちろんプロセスは余り具体的におっしゃられないと思いますが、その面ではかなり明るいやわらかなほんわかとした点がある、再編対策の中にごく一部あるというような感じで、それはぜひそのようにお願いしたい、明るい話としてお聞きしたい、こう思います。  最後に一つだけ、これまた細かなことで恐縮ですが、再編対策を進める上にやはり基盤整備をきちっとやっていかなければならぬ。確かにそれをぜひやってもらいたいのですが、一つはその基盤整備をやって、まだ完全にできないところの対処をどうするか。つまり、基盤整備をやるのは灌排分離、それから暗渠等によって田畑転換、それでほかに転換できるようにするということなんですけれども、まだ暗渠もできない段階で面つぶしがいま先行しているわけですね。その段階で、ここは一応面つぶしだけでも基盤整備対象として事業をやったのだから、その一定パーセントは生産調整協力してくれなければ困るということになると、どうも米どころでは兼盤整備をやりたくないという雰囲気になりはしまいか、そういう声があるので、せめて完全に暗渠が終わったところだったら転換努力の義務を課してもいいけれども、その場合はどうも早過ぎるのではないかという意見がかなり強いと思うのですけれども、その点を最後にお聞きして、質問を終わります。
  24. 森整治

    ○森(整)政府委員 ただいま御質問の件、たとえば圃場整備で一応ただいま全国平均二二%、圃場整備が仕上がった場合に二二%は転作をしていただきたいということで、いろいろ地域地域の実情に応じまして全国一律ではございませんが、全国的な結果としていまそういうことを指導しておるわけでございます。  さて、今度各方面からいろいろ、いま先生の御質問とまさに逆の話で、土地改良事業相当締めてかからないとなかなか転作は進まぬよという意見もあるわけでございます。その辺また、私ども構造改善局といたしまして、両面からいろいろ御意見があるわけでございますから、その点は今後われわれは決して無理なことを要求するつもりはございませんけれども、ただ、やはりこれだけ全農民の置かれている立場で、この基盤整備事業が進められるということは、やれない人から見ればやはりいい立場にあるというふうに考えざるを得ないと思うのです。  また、逆に申しますと、今度は、構造改善事業を進めないと転作が進まない、そういう逆の面もあるわけでございます。その辺を両方勘案いたしまして、無理はしないけれども、やはり全体の中で転作を進めていくという一つのてこには政策的に使っていかざるを得ないのではないか、こういうふうに考えておるわけでございます。  実態の運営につきましては、十分協議をして進めさせていただきたい、このように思います。
  25. 加藤紘一

    加藤(紘)委員 私の質問は終わりまして、同僚の佐藤議員から一問だけ関連質問がありますので、お許しください。
  26. 佐藤隆

    ○佐藤(隆)委員 農林大臣にお尋ねをいたしますが、この水田再編の問題、生産調整の問題、非常にむずかしい問題、みんながむずかしさは十分理解していると思うのです。それで、農林省だけでこれが全部できるわけじゃないと思うのです。先ほど行政責任ということを痛感されておるという発言がございました。行政責任において処理をする、こういう意味の発言がございました。それとて、いかに気張ってみても、たとえば農業団体はもちろんでありますが、地方行政のルートにひびがあったのでは困るので、その協力も求めなければいかぬと思うのです。  そういう意味では、きのう全国の知事会議があって、そこで、この問題を説明をされたはずであります。そのことについて全国の知事会議でどういう受けとめ方をしたであろうか。今日の事態を認識してやむを得ざる事態であるというような形で、どういう印象を受けられたか、それを率直に述べていただきたいと思うのです。むずかしさはわれわれも十分承知しております。しかし、何かをやらねばならぬ、私自身はそう考えておる、わが党もそう考えておる。そういうことで農業団体とも接してはおりますけれども、大事な知事会議はどういうことなのか、その印象を一言。
  27. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 佐藤先生指摘のように、この水田利用再編対策を進め、米の需給均衡化を図っていく、これは大変な大事業でございまして、役所だけでできるものではない、農業団体を初め知事会、市町村段階、各地方団体等の心からなる御理解と御協力がなければ達成することができない、このように考えておりまして、先般来農業団体知事会その他と数次にわたって御懇談を願う機会を持ちまして、その努力をやってまいったわけでございます。  昨日、お話しのように、全国知事会におきまして午後二時から四時まで約二時間にわたりまして、私も出席をいたしまして政府考え方を御説明し、御質問あるいは御意見、御要望等を拝聴いたしました。ブロック代表の知事さんを含め十二名の方から御発言があり、私から直接お答えもいたしたわけでありますが、その知事会の空気は、この米需給均衡化の今回の対策は食管制度の問題ともかかわる重大な問題であるのでやむ得ないものとして協力すべきではないだろうか、こういう大方のお考えであったように私は受けとめてまいりました。ただ、知事会としては、この事業を達成するために必要な諸条件環境及び条件整備、これを政府に強く要請したいというお考えが強いわけでありまして、それを取りまとめて政府の方に御要請が近くある、このように承知しております。
  28. 片岡清一

    片岡委員長代理 次に、柴田健治君。
  29. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 時間の関係上簡潔に質問申し上げますから、大臣の方も簡潔にお答え願いたいと思います。  明年度から当面三カ年、百七十万トンの生産調整面積にして四十万ヘクタール、こういうことなんですが、これは農政の大きな基本問題に関する重要な政治課題だ、われわれはこう判断をしておるわけですが、まず生産調整をしなきゃならぬ最大の理由は何かということが第一点。そして、これは行政だけでやれる問題ではない、やはり政治的な問題も加わっておると思うのですが、いまの政府は自民党政権であります。自民党ではもはやこの問題は了承されておるのかどうか、まずこの二点、ひとつお答え願いたい。
  30. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 今回、米の需給均衡化を図るために、水田総合利用対策から一歩を進めて水田利用再編対策、これを進めなければならないということは柴田先生もすでに御高承のとおりでございまして、一方において需要を大幅に上回る米の生産がなされておるのに、片方において国民生活上必要な麦、大豆その他飼料作物自給率がなかなか進んでいない、こういうようなことから、今回、水田利用再編対策ということで百七十万トンの転作をお願いする、しかも、これは緊急避難的なものでなしに、十年ぐらいの長期の時間をかけてこれが定着をするように、そしてバランスのとれた食糧の総合的な自給率向上になるようにということでお願いをするわけでございます。  この問題につきましては、与党であります自由民主党には、先般来数次にわたって農林省考え方も御説明し、御理解を願うようにいたしておるわけでありますが、最終的な転作目標設定その他の問題等は党の方ともまだ協議を続けておる段階でございますが、この方針、これはどうしてもやらなければならないという基本的な認識につきましては、党の御理解も願っておるところでございます。     〔片岡委員長代理退席、委員長着席〕
  31. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 どうも大臣の御説明によれば、生産調整の理由を、われわれの立場から考えればあいまいなというか、無責任というか、そういう印象を持つわけでありますが、政府・自民党の方も大体了承しておられるようです。そうすると、私たち野党の立場から申し上げると、何か割り切れない点を感じるわけであります。特に昭和四十四年、五年、六年、三カ年生産調整をやった。米の価格も抑えた。そのときも転作奨励金を出し、休耕奨励金も出した。もう第一回があるわけでありますから、その後の需給の見通しを立ててそれぞれ予算措置もして、農家の方ももう生産調整はこれ以上なかろう。長い歴史を持ってきた日本米づくり、そういう立場から言って、政府の今度打ち出した生産調整の三年というのが十年、十年というともはや永久的にこの生産調整をやっていくということになるわけでありますが、そういうことで日本農家が納得するのかどうか、われわれは非常に疑問を持っておるわけであります。われわれはもう不満であります。だから、なぜ生産調整をするような事態が——政府は、農林省はどういう見通しを持っておったのか。第一回はもう生産調整をやって苦い経験がある。七百二十万トン在庫米の処理に苦労した。いつもその苦労話は聞くのですけれども、二度とこういうことを起こしてはならないということを皆さん方ははだで感じておったと思うのです。なぜこういう事態をまたつくり出さなければならぬのか、その責任の所在はどこにあるのか。日本農民にあるのか、政府・自民党が負うべきなのか、行政府農林省責任を持つのか、どこが責任を持つのですか、大臣
  32. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 これは柴田先生も経緯はよく御承知のとおり、前回の昭和四十四年、五年、六年の際におきましては、米の過剰、この処理をいたしますために、どちらかというと、休耕を含む緊急避難的な措置を講じたわけでございます。その後、三年が経過いたしますと同時に、水田総合利用対策ということで誘導政策をとってまいったわけでありますけれども、その間にいろいろ世界的な食糧事情等もあり、また過去の古米、古々米の在庫も、一兆円の国費を投入したとはいえとにかく一応解消することができたというようなこともありまして、休耕田等がまた復活するというような事情にもなりました。そして、その後における機械化の導入によって二種兼業あたりも簡単に稲作もできる、そういうようないろいろの条件が重なりまして、再び稲作に対する農民方々の意欲が高まり、今日のような状況に相なってきたわけでございます。  それは政府責任ではないかという御指摘もありますが、私どもは必ずしもそのことを回避するものではございません。しかし、現実事態としまして、米の需給均衡をできるだけ早く回復するということが一つ。一方においては、麦、大豆飼料作物等、国内でぜひ増産を願いたいという作物のこともございます。そういう総合的な自給力を高める必要があるということで、これを今回は単なる緊急避難的措置としてじゃなしに、需要に見合ったところのその他の主要作物への転換、こういうことを定着させていく。でありますから、私は十年ぐらいの年月をかけて、むしろ日本農業構造を再編成するというような基本的な方向で今回の措置をとろうとしておるわけでありまして、この点は農業団体方々にも数次にわたって意見の交換もし、御理解も願っておるところでございます。今後、政府だけでできる問題ではございません。食管制度を守ると同時に、本当に総合的な食糧政策を今後進めていく、そういう観点で今回の政策を展開していこう、こういうことでございますので、御理解を賜りたいと思います。
  33. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 大臣理解してくれと言うけれども理解できないのですよ。責任の所在がはっきりしないと前進しないわけでありますから、だれが反省すべきか。  今日の国際収支の黒字、五十年で七億ドルの赤字、その時点で貿易のあり方というものを考えるべきであった。昨年、五十一年度が三十七億ドルの黒字、今年度は六十五億ドルないし七十億ドルの黒字、明年の上半期では四十億ドル以上の黒字が出るだろう。こういうふうに、貿易の関係では黒字が出ることはちゃんと見通しを立ててやっているのだ。その黒字の解消、OPEC地域は三百億ドル、四百五、六十億ドルの黒字を毎年出しておりながら、そういうところには何も言わない。二十兆円ほど輸入しておるのに、その一割前後ぐらいドルがたまったからといってなぜ日本だけが黒字攻撃を受けなければならぬのかという疑問を持つ。国際社会における政府・自民党の外交政策のあり方をもう一遍反省してもらいたい、われわれはこういう気持ちがあるわけです。それは取引だから多少の黒字、赤字が出るだろう。その黒字が出るものを——大臣、いま総理大臣から各省へ輸入をふやせという指示があるようですが、農林省に対して、当面、農産物の輸入についてどういう指示があったのか、なかったのか、お答え願いたい。
  34. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 国際収支の均衡を図る、これは世界経済の現状を打開していくために重要な問題であると考えておるわけでありまして、わが国も経済的に大きな責任を持っておるわけでございますから、それに協力をしていかなければいけない、このことは御理解いただけることだと思っております。  そこで、この国際収支の均衡化の中で、第一義的にはやはり輸出の面、鉱工業品の輸出の面で秩序のある輸出をすることが必要であると私は考えております。  農林省の分野におきましては、国内の食糧自給力を高めるという基本政策に立って農政を進めておるわけでございますから、それに悪影響を及ぼさない範囲におきましてこれに協力をするという考え方でございまして、したがいまして、当面、今年度輸入を予定しておりましたものを前倒しで年内にこれを繰り上げて輸入をする、これが一つ考え方でございます。もう一つは、飼料作物等はいま国際相場も非常に低位に推移をしておりますから、これは日本の畜産業のためにどうしても必要不可欠な物資でございますから、こういうものは相当量の備蓄量の上積みをしておいて差し支えない、このように考えております。  そういうようなものを中心として、農林省としてもできるだけの協力はやらなければいけない、このように考えております。
  35. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 総理大臣から農林大臣に指示があった、できるだけ協力をしなければならぬ、こういう結論のようですが、昨年の日本のあらゆる輸入の率を見ると、工業用原料が七三・三%、七割以上が工業用の原料であります。あとは食料品が一四%、その他が一二・七%。いま工業用のものを備蓄、たとえば飛行機を買ったらどこへ置いておくのだろうか、燃料を最大に備蓄できるような基地があるのだろうか、また、いろいろな工業用の原料をこれ以上ふやしてどこに置くところがあるのだろうかという気がする。そうすると、手っ取り早く輸入品をふやすところは農産物よりほかにないじゃないか。だから、自然に農産物の方に強要されてくるだろう。農林大臣協力という言葉を使われたのだから、ドル減らしに農産物の輸入数量をふやさざるを得ない、そういうことになるのではないか、その点をわれわれは非常に心配して恐れておる。  あなたは、日本農業構造を今度の生産調整で大きく変えるというのは将来の見通し、いままでは過剰投資であり、そして生産過剰である、こういうことでいろいろなことで逃げを打っておられるわけですけれども日本農業のあり方というのは、そう過剰投資であったり生産過剰というのでなくして、消費拡大、需給の見通しのあり方、要するに消費拡大をおろそかにして、何もしないで、需要が伸びない、そういう方便で逃げようとしている。消費拡大というものをどういう方法でやられたのか。先ほど大臣食管法を守る、こう言った。食管法の第三条、第四条、第十一条、それから農業基本法にちゃんと書いてある。法律一つ守らないじゃないか、全然守ってないじゃないか。農業基本法の十三条には「輸入に係る農産物との関係調整」ということがある。食管法の十一条にも輸出入の調整ができるようになっている。それで、輸入の調整はせずにただ農民だけに生産調整、買い入れ制限だと、日本農民だけに制限を加えている。たとえば、三カ年の生産調整をするんなら三カ年の間輸入の調整をやるべきじゃないか。これは常識論から言って理屈に合わぬ。それから、あなたは食管会計を守ると言って、食管法の三条、四条、十一条を一つも守ってないじゃないか。自主流通制度だって食管法から言えば大きく逸脱しておる。一つも守ってない。基本法にちゃんと書いてある。この十三条、それから食管法の十一条をどう解釈するのですか、法の解釈、立法の精神、大臣どうですか。
  36. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 先ほども御答弁を申し上げたわけでありますが、農産物関係の輸入の問題につきましては、国内で自給力を高めて必要なものを国内で極力生産を進めていく、一方において、国土資源の関係からたとえば家畜の飼料のようなものはどうしても足りません。そういうものは安定的に輸入をし、畜産業者等に供給をしてあげることが必要である。また、肉等につきましても、畜産危機を脱して、その後着実に伸びてはきておりますけれども、まだ二〇%程度需給の面から言って足らない面がございます。そういうようなことを考えまして、不足分についてはやはり安定供給を図るという意味で輸入はしていかなければならない。こういうことが私は農業基本法の精神に反するとは考えておりません。また、食管法等におきましても、政府として国民に配給する面から言って必要な量だけは責任を持って確保し、御不安のないように供給をするという責任を命じておるわけでありますが、それを踏まえまして調整を図りながらやっておるということで、私は、基本法に対してもあるいは食管法に対しても政府は無視してやっておるというようなことは当たらない、このように考えております。
  37. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 法理論について論争をやると相当時間がかかりますし、この問題は農政の基本に関する重要問題でありますから、いずれまた次の機会で論戦をしたいと思います。  農業基本法の中に「選択的拡大」という言葉があるのですが、この選択的拡大の意味は、農民に徹底させたものは果樹と畜産と米の三本の柱、こういうことである。この三本の柱を強要したのは、要するに国際分業論をねらっての字句であったとわれわれは判断しておる。いまや国際分業論という言葉がなくなって水平分業論だとか、そういう言葉になりつつあるようでありますが、とにかく基本法の精神を生かしてないということは、われわれの立場から申し上げれば言えるわけであります、法理論については別ですが。  次にお尋ねしたいのは、生産調整をやろうとする前に努力すべき点があったんではないか。それは要するに消費の問題、消費行政、消費指導の中で拡大政策をもっとやるべきじゃなかったか。何もしてないのじゃないか、われわれの立場から言えばこういうふうに申し上げたい。たとえば、学校給食はただ二十万トン、二十五万トンだから大したことはない、こう言われるけれども、米を食う癖をつけるということが一番大事なんです。学校給食は多少の犠牲があってもどうしても完全実施をする、これが第一点。  それから酒、昔の酒はアルコールをまぜてなかった。戦争中の食糧がない時分に万やむを得ない措置として、暫定措置としてアルコールを入れることになった。それをいまだにアルコールを入れて、米一升で酒を三升も四升もとるようなアルコールの添加方式をとっている。これはもう農林省が大蔵省へ圧力をかけてどうしても全部米でやる、アルコールをまぜてくれては困る、こういう強い姿勢で閣議で決定をすべきじゃないか。それで消費拡大をやる。たとえば、酒屋へ行って聞いてごらんなさい。一級酒を百本持ってきなさい、いま一級酒はないのです、まあ二時間待ってください、二時間の間に〇・五%ずつアルコールをふやしていけば一級酒になる。アルコールで一晩のうちに一級酒になったり特級酒になったり、こういうごまかしをしてやっておる。全部アルコール添加をやめる、そして消費拡大をする。これは大蔵省来ておると思うのだが、もう酒税法をぜひ改正してもらいたい。それを農林大臣から要請してもらいたいのですが、その点、農林省は大蔵省とどういう折衝をしておるのか。  それから、加工食品でも、たとえば酢でもそうでしょう。化学酢をつくらなくとも米で酢をつくればいいのです。酢を米でつくれるのだから、米でつくれる加工品は徹底的につくっていく、そういう米の加工食品の拡大のための技術開発なり、また、おいしい御飯ができるように炊飯器の改良を徹底的にやる、そういう総合的な消費拡大をやるべきである。  それを何もやらずにおいて生産過剰になっておる、在庫米がふえる、赤字が出る、調整をやる。まことに安易な、こんなものは電子計算機でやれば女の子でもできる。食糧庁長官の大河原さんがいばっておられなくとも、若手の優秀な者でもやれるわけです。大臣も要りやせぬ。こんなばかなやり方は私はないと思うのですが、消費拡大について大臣はどういう手を打とうとするのか、いままでどういう手を打ってきたのか。
  38. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 米の消費拡大に一層努力をすべきだ、こういう柴田さんの御指摘、私も全く同感でございます。私は就任以来、微力ではありますが、そのことに努力をいたしておりまして、昭和五十二年度予算の編成の際におきましても学校給食に米飯を積極的に導入すべきであるということで文部省にも申し入れをいたしまして、相当改善を加えたわけでございます。五十三年度におきましても引き続きこの政策は強力に進めてまいりたい。御指摘のように、この学校給食は当面の量はそう大きなものでないにしても、これが長期的には国民の食生活に影響を及ぼす問題でございますので、私は非常に重要な問題だと考えております。  それから、アルコール添加の酒、これはもうアルコール添加をやめて、米だけでお酒をつくったらどうか、こういう御意見もございます。柴田さんからもいま御指摘がありましたが、この点につきましても食糧庁から大蔵省に申し入れをいたしまして、一挙にできないにしてもアルコール添加の率というものを引き下げる、こういう方向で折衝もいたしておりますし、なお今年度政府手持ち米、在庫米の中から酒造業界に対してこれを売り渡しをするということもいたしております。さらにまた、新しい、米を材料とするところの食品の開発、その普及、そういう面につきましてもいろいろな推進の対策を立てまして、各方面にこれの研究開発等を進めるようにお願いをいたしておるところでございます。  私は、今回の水田利用再編対策農民の皆さんにお願いをするに当たっては、柴田さん御指摘のように、一方において消費の拡大、両々相まって初めて米の需給均衡というものが図れるわけでございますから、それを欠落して生産調整だけを農民の皆さんにお願いをするということでは、これは納得がいかない、これも私も全く同感でございます。したがいまして、政府においてこの水田利用再編対策を決定いたします場合には、消費拡大の問題も一緒に閣議において決定を願い、そして政府が先頭に立って米の消費拡大にも最善の努力を傾ける、こういうことにいたしたい、こう思っております。
  39. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 酒税法を変える意思があるかどうか。——大蔵省来てないですか。
  40. 矢島錦一郎

    ○矢島政府委員 お答えいたします。  いま御質問にございましたように、戦前におきましてはお米、それからお米のこうじ、こういうものからお酒をつくっておったのでございますが、戦後、現状を申し上げますと、米が非常に不足いたしまして、あわせて技術の向上というものもございまして、米こうじのお酒のほかに、やはり醸造用アルコールを使いました添加酒が出てきたことは事実でございます。現在、普通酒と申しておりますが、そういうことによって非常にいい味ができるような普通酒が約七割、それから米の重量を超えない限りにおいてお米以外のものをまぜる、醸造用の糖類とかアルコールをまぜるといったものが約三割、これを増醸酒と言っておりますが、こういうもので構成されておるわけであります。  お話のございましたように、米で、もっと消費を拡大して、清酒のいいものをつくっていったらどうかという御質問でございますが、現在、市販清酒の場合でございますが、一升びん、一・八リットル当たりの製造に使用します主要原料を見ますと、平均的なところで玄米を六百六十七グラム使っております。それから、アルコールが百二十ミリリットル、糖類その他が三十三グラムといったようなところでございます。問題は、これを直ちに糖類とかアルコールにかえまして米を使うということになりますと、何分にも非常に原料高になるということでございます。現在、自主流通米に乗りまして特別措置をいただいておるわけでございますが、それにいたしましても、米代、人件費その他原価が非常にかさむという問題があります。  それから、品質的に申しましても、現在、戦後そういうようなお酒に非常に嗜好がなれてきたということでございます。お酒につきましては嗜好飲料でございますので、そういうような嗜好というものを急激に変えるということもいかがかという問題がございます。  それから、技術面、設備面におきましても、御案内のように、お酒屋さんは九九・六%までが中小企業でございます。直ちにこれをお米にかえるということになりますと、膨大な設備とかあるいは技術の問題、いろいろなネックがございます。  したがいまして、先生のお話でございますが、直ちにこれをそういうようなことに切りかえるということは、深く検討したことはございませんが、大変むずかしい問題ではないかと思っております。ただ、長期的には少しでもいいお酒をつくろうというような動きが現在ございまして、現実に業界でもそういうようないいものをつくっていくということで、純米酒が現在〇・三%程度でございますが、こういうものもだんだん見直されてくる。それから、少しでもアルコールを減らして醸造用のアルコールを減らしておりまして、お米を少しでもふやしていこうというような動きがございます。ことしにおきましても、食糧庁の方からも清酒の質を少しでもよくするようにということで、お米の消費の拡大というようなことで政府米の払い下げをいただいたわけでございます。長い目で見ましても、四十五年に比べましてこの六年間にかなりいわゆる米のたくさん使われたお酒がふえてきているというのが現実でございます。そういうことでひとつ御了承いただきたいと思います。  私どもも今後ますます酒質の向上、やはり伝統的な日本のお酒であります清酒が非常に停滞しているということは、私どもとしても非常に悲しいことでございますので、酒質の向上ということについてはますます指導していきたいと考えております。  それから、さっき級別の問題がございましたが……(柴田(健)委員「そんなことを言わぬでも、改正するかどうか聞いてるのだ」呼ぶ)直ちにそういうことをお米に切りかえるということは非常にむずかしいということをお答え申し上げざるを得ないと思うのでございますが、長い目で見まして、やはり徐々にそういうものに向かって酒質を向上していく、お酒の質のいいものをつくっていくというようなことを指導してまいりたいと思っておるわけでございます。  それから、級別の問題でございますが、現在、酒類審議会というのがございまして、学識経験者によりまして構成されたその酒類、審議会のメンバーによりまして官能によります審査がございます。それによりまして特級、一級、二級というふうな級別審査が行われるわけでございまして、さっきお尋ねのように、業者の方の恣意によって級別が決まるということは決してございません。  以上でございます。
  41. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 農林大臣、お聞きのとおりに、大蔵省はやる意思がない、正直に言ったら。これは閣議でそういう方向で決定してもらうように、大臣がはっきり強力に、あなた、有力な大臣なんだから、もうどっちが総理大臣かわからぬぐらい力を持っておられるんだから、ひとつ大いに押しまくってもらいたい。  それから、問題は、米をつくる農民が、たとえば農協なら農協へ、これは酒にしてくれと言う委託加工の道を開いてやる。農民がみずから米を出したものを、アルコール、化学薬品を入れたものを飲まなければならない理由はないわけだから、加工賃と税金だけを払えばいいのだから、そうすると、現物を出して純生の酒を飲めるようにその道を開いてやる。どうです、大臣、その点できるか、できないか。
  42. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 画期的な御提案でございますから、よくひとつ研究いたします。
  43. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 大蔵省はなかなか壁が厚い。日本で一番の政治、行政を混乱させる最大の原因は大蔵省だと思う。  次に私は、時間がないから飛びますが、いずれ後で、たとえば稲作営農から畑作営農という方向へ歩まざるを得ないという、これは痛ければ放せという行政指導なんだから、農民がいやじゃ言うても強要するのが農林省の姿なんだから、とにかくそうなった場合に、農業所得、農家所得ということになると出かせぎと言う。出かせぎの場所がない。農業所得をふやさざるを得ない。ところが、いまの畑作の価格、果たして農業所得というのがふえるのかどうか。ただ奨励金を出したらいいんだ、奨励金政策というものはわれわれの立場から言うと余り好ましい姿じゃない、インチキなんです。便法だ。そういう姿でまたごまかしてある程度の期間で奨励金をぶち切った、また大ごとになる。  それから、価格問題がどうなるかということが農民の重大な関心事、価格の決め方をどうするのか。畑作農産物に対して転作品目を拡大するでしょう、その辺に対する価格の決め方は、品目別に生所方式をとるのか、対米価比価方式をとるのかどちらか、大臣からはっきり……。
  44. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 転作を進めてまいりますためには、御指摘のように、価格政策あるいは政府の助成政策あるいは生産対策構造対策、これは総合的に進めて条件環境をつくってやることでないとこの水田利用再編対策というのはなかなか円滑に行われない、このように私考えておりますので、一遍に米価と同じように価格を変えるというわけにまいりませんが、米価との相対価格を是正する、そういう方向努力をいたしております。今年度の麦価あるいは大豆等の価格の面におきましても、御承知のように、従来の生産奨励金基本価格の中に繰り入れて価格の是正を図ったことは御承知のとおりでございます。今後ともいろいろの価格を決めるに当たりましては、その実態に即しまして、価格算定の方式は違っておりますけれども、精神としてはそういう方向でやってまいる。そこで、価格だけで一遍にはまいりませんから、その間やはり必要なところの生産奨励なり助成政策をとらざるを得ないわけでありまして、今度の水田利用再編対策に当たりましても転作奨励金、さらにその上に計画加算、いろいろのことを考えまして、米づくりとの相対的な収益性を近づけるように努力をいたしてまいるところでございます。
  45. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 大豆をつくれ、何をつくれ、麦をつくれと、こう言うが、農民の方は価格問題がどうなるか、どういう決め方をするのかということに重大な関心を持っているわけですから、ただ奨励金だけで基本価格は安く抑えていくということは、地域的においても、米なら長い歴史を持っているし、米の栽培技術もまた営農もすべて進歩しておる。ところが、ほかの畑作はもうほったらかしにしてきた責任があるのです、農林省は。政府はみずから何十年もほったらかしにしておる、そういう責任を一遍に農民にかぶせるのはおかしい。  それから、価格問題もはっきり明確にしてやるということ、どういう決め方にしても、米一俵が二万円ならその九〇%は麦と大豆ですよ、こういうことを決めれば、二万円の米価が決まったらことしは大豆が一俵一万八千円だ、小麦は一俵一万八千円だ、こうなるわけだから、対米価比価方式をとる方がわれわれは手っ取り早いし、ただ畑作は米と違って生産費のとり方、いろいろなことで地域において大変な違いが出てくる。その都度論争を巻き起こしてけんかをしなければならぬ、こういうことになるので、生所方式もいいけれども、当分の間、対米価比価方式をとった方がいいのではないか、こういう気がするので、十分検討してもらいたい、こう思います。  次に、過去の生産調整協力した都道府県、地方公共団体、協力してない地域、都道府県、第二回目と言っても今度永久的な生産調整に入るわけですが、そういういままで協力した地域としない地域の不公平是正をどうするのかという問題がいろいろ地域において意見が出てくるのが第一点。  それから、本来、稲作から畑作に変わる場合、畑作農業は地域によって大きく違ってくる。そうすると、地域農業政策を進めなければいかぬ。それから、地域農業を進めるなら地方公共団体にどれだけの権限とどれだけの財源措置をしてやるのか、この点の構想があれば聞かしてもらいたい。基本法の三条、四条にちゃんと書いてある。地方公共団体の任務にどういう権限や財源措置をするか、国の責任でやらなければならぬとなっている。何もかも中央集権で中央から命令だけ出して、痛ければ放せ、もう転作しなければ団体への補助金もつけないぞ、農林関係の公共事業の予算もつけないぞ、痛ければ放せということで、東京の真ん中で号令をかけるだけでは地域農業は発展しない。地方公共団体にどれだけ権限を持たせるか、これが大きなポイントだと思うのですが、大臣、どうですか。
  46. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 ただいまのお尋ねの、地域に対してどこまで財源を与えるのかというお尋ねでございますけれども、この事業推進のための特別な事務的経費につきましては、従来以上に御苦労をおかけするわけでございますので、都道府県なりあるいは市町村に対しまして事務費の助成、指導費の助成は手厚くやりたいというように考えて現在折衝中でございます。  なお、あるいはお尋ねの点は、この事業を進めます際に、単に直接的な指導費なり事務費ということではなしに、この事業全体を進めますために、農林省の持っております各種の補助金等をこの対策の推進に役立つように重点的に強化すべきではないかというお尋ねかと思います。その点につきましては、農林省の基盤整備事業なりあるいは個々の各種の奨励補助金あるいは技術指導、普及事業等の事業につきましても特にこの事業に役立つような対策を集中的に強化をしてまいりたいということで、単に転作奨励金というような直接的な奨励金だけではなしに、農林省関連する各種の予算、補助金を重点的に地方公共団体にこの対策が促進できるように交付をしてまいりたいということで予算要求もしておりますし、ぜひ実現を図りたいと思っております。  もう一つのお尋ねの、転作をこれまで達成してこなかった場合に対しまして配分上どのような配慮をするかというような趣旨のお尋ねであったと思いますが、この点につきましては現在の転作率は各県においてかなり差がございます。一番大きいところは二〇数%、一番低いところはブロックで見まして二%ちょっと上回ったということでかなり差がございますし、さらにまた転作目標の達成率も、高いところは七〇数%から一〇〇%超えるところもあるというような状態でございますので、それらのこれまでの努力、実績というものも配分の際の基準の一つ要素として考慮してやっていきたいということで、具体的な方法につきましては現在検討を進めているところでございます。
  47. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 この需給均衡化の事業推進してまいりますためには、何といっても県並びに地方公共団体の協力を得なければなりません。昨日も全国知事会に出席をいたしまして、直接私が懇談をし、御意見、御要望等も伺ったわけでございます。ただいま柴田先生からのお話にありました点も、恐らく知事さんの方からも具体的な御要請があろうかと思っておりますので、前向きに対処をいたしまして御協力をお願いする考えでございます。
  48. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 この問題は地域における大変な政治問題になってくると思いますから、時間の関係もございますので、きょうは論戦はこの程度に打ち切っておきたいと思うのですが、いままでの需給の見通しの手直し、それから基盤整備長期計画がいまあるわけですが、これらの手直しをする意思があるのかないのか、これが聞きたい第一点。  それから次に、畑作の転作品種、麦でも大豆でも豆類でも、正直に言ってすべて三十年も四十年もおくれておる。そのおくれておるのに明年からすぐ植えつけをしてふやしなさいと言ったって、この種苗関係、要するに種が絶対に確保できるのか。この品種改良に伴う責任農林省が持つのか、そしてまた栽培技術なり営農技術のどういう体制づくりをして指導するのか、大臣、この点をひとつお答え願いたい。いままで四十年もおくれておるものを、直ちに農民責任において取り返しをせいというのは酷であります。それは政府みずから責任を持たなければならぬ。農林省みずからこれは責任を持たなければならぬ重大な問題だ、この点を明確にお答えを願いたい。
  49. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 農産物の需要生産の見通し、これにつきましても一つ長期見通し政府が作成をいたしまして、全国の農民方々にお示しをしておるところでございます。  なお、土地改良につきましても十年計画を定めまして、その目標に向かって努力をしておるところでございます。今回の水田利用再編対策需給均衡化の事業を進めるに当たりまして、十年くらいを目標にいたしますが、三年目ごとに一つのめどを立てまして、それに対する具体的な目標設定をして御協力を願うようにいたしたい、このように考えております。  なお、先ほど来るる申し上げておりますように、これを達成いたしますためには何といっても価格の問題あるいは生産基盤の問題その他の諸条件整備する必要があるわけでありまして、これは農林省行政にとりましても大きな責任のある重要な問題でございますから、最善を尽くしてまいる考えでございます。
  50. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 結局、需給の見通しなり基盤整備長期計画を見直しをするという御意見ですが、次の国会には恐らく出して示されると思いますが、われわれその時点でまた論争をしなければならぬと思います。  時間がございませんから、最後に大臣から決意を聞きたいのです。今度の、明年度から実施する百七十万トンの生産調整は、これは大変なことだと私は思う。われわれはもろ手を挙げて賛成するわけにいかない。もろ手を挙げてではない、げんこつを挙げて反対闘争をやろうと思っている。どうも日本農民だけに責任をかぶせるというやり方は不見識であり、無責任姿勢である。いままで一切努力しない。ただ余ったからということだけで農民責任を転嫁するやり方はわれわれは許せない、こういう気持ちがあるわけです。  それから、生産農民が国の生産調整に非協力の態度をとった場合、協力できない場合。食管法を守るといっても守ってくれない、農業基本法の精神も守ってくれない、何も守ってくれないじゃないか。どこに法治国家があるか。農民だけに行政指導を強めて右往左往させるというのは許せない、こういう気持ち農民の中に強い。それから、協力しなかったら農林省生産調整は崩れてしまう、どうしても進める、それはあなたの決意ということになるでしょうが、生産農民協力しなかったらどういう法律的処置をとるのか、どの法律はやるのか。どこの法律で、第何条の規定でどうやるのか、どういうことをやるのか、言うことをきかないときには別の立法措置を講じて、新しい法律をつくって強行作戦をやるのか、どういう道を選ぶのか、大臣の決意を聞かしていただきたい。
  51. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 私は柴田先生がおっしゃるように受けとめておらないのでございます。農民の皆さんも、いま米の過剰基調、これは真剣に受けとめております。早く需給均衡化を図らなければいけない。食管制度を守っていかなければならない、こういう認識では末端農民諸君も同様に考えておると私は思います。  そこで問題は、この需給均衡化に伴う水田利用再編対策を進める場合に、それができるような、できやすいような環境条件をつくっていく、これが大事な問題でありまして、先ほど来るる先生からもお話がありましたように、稲作との対相的な収益性等の改善、こういう問題もあります。そういう点に私どもも全力を尽くしまして、農民の皆さんが本当に日本農業の将来を考えて、自分の問題としてこれを受けとめて一体となって進めていく、こういうことでお願いしたいと思っております。したがいまして、ここで協力しない場合には法律をもって、強権をもってやるというようなことでなしに、条件整備をし、そこに御協力がいただけるように誘導政策として進めてまいる、こういう考えであります。
  52. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 決意を聞かしてもらいたいと言ったら、あくまでも理解協力ということで進められるようでありますけれども、いままで農林省がとってきた農政のあり方、そして農民の方は、農林省の無責任なやり方、見通しの甘さ、そして消費拡大に一つも手を打ってくれない、いろいろな不満があるわけですが、それなら大臣、法的の措置をとって強権発動的な強力な指導をやらない、あくまでも生産農民の強い要望、いろいろな要望が出てくると思うのですが、その要望を満たすためには最善の努力をする。あくまでも話し合いで進めることになるのですか、最後にお答え願いたい。
  53. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 転作しやすいような条件整備を、農林省としては最善を尽くしましてそれを整えることによって生産農民の皆さんの御協力が得られるもの、また御協力をいただきたい、そういう考えでございます。
  54. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 終わります。
  55. 金子岩三

    金子委員長 この際、午後一時三十分より再開することとし、暫時休憩いたします。     午後零時十九分休憩      ————◇—————     午後一時三十三分開議
  56. 金子岩三

    金子委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。松沢俊昭君。
  57. 松沢俊昭

    ○松沢(俊)委員 新しい生産調整につきまして御質問を申し上げたいと思うわけなのでありますが、まず大臣にお聞きをいたしたいのは、ことしも生産調整をやりましたけれども作況指数からいくと九十万トンぐらいのマル超米が出るのじゃないかというようなことが言われているわけなのであります。米が余る余る、こう言われますけれども、過剰になるところの原因というのは一体どこにあったのか、その点大臣からまずお伺いをしたいと思うわけなのであります。
  58. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 米の需給均衡が大きく予想以上に隔たりがある、これは一つには米の消費が年々減退の傾向にございます。この点は午前中に柴田さんからも、もっと政府が先頭に立って米の消費拡大にあらゆる工夫と努力を講ずべきだ、こう御指摘がありましたし、そういう方向で私ども努力をいたしております。  それから、一方におきまして、ことし九十万トンの生産調整をお願いをした。これはおおむねその目標は達成しておるにかかわらず、なお九十万トンも予約限度数量を上回る超過米が出るというのはどういうことか、こういう御趣旨のお尋ねであろうか、こう思います。これは前年度、冷害等ございまして、四十数万トン予定よりも生産が少なくなった。そういうこともございまして、どうもいままでの統計というのははっきりとした分析が困難ではございますけれども、冷害がありますと二年ぐらい続くのではないかというずっと古くからの傾向、そういうこと等も勘案をいたしまして、生産量は一定の予想数量の幅の中で下限をとった。消費の方は、需要の方はおおむね前年度並みということでとったわけでありますが、ことしは豊作でございまして、八月十五日現在の作況指数では全国平均一〇四、こういうようなことでございます。  そういうようなことからいたしまして、結果的に九十万トンわれわれの予想よりも収量が上がった、こういうことで、まあ見通しが少し誤ったのではないか、こういう御指摘があればそのとおりでございますけれども、そういうような経過に相なっております。  これを全般的に申し上げますと、もう釈迦に説法でございますけれども基盤整備等も逐次進んでまいりまして生産性も上がっておる。農業機械の導入も行われて、第二種兼業等の農家でも機械化によって簡単に稲作ができる。肥培管理、品種改良その他の技術的な面も進んできた。それに加えて、食管制度に守られて農民の皆さんの稲作志向、これは非常に根強いものがある。そういうようなこと等が結果をいたしまして米の生産というのが非常に伸びておる、こういうことがあるわけでございます。
  59. 松沢俊昭

    ○松沢(俊)委員 確かに米の消費減退ということは統計に出ております。いままで年間百十八キロぐらい食べておったのが、いまは八十六、七という状態になっている、こういうことはわかるわけなんでありますが、しかし考えてみますと、そういう日本人の食生活というのが大変変わってきたところの原因というのは一体何なのかというのがやはり問い詰められていかなければ、日本農業の発展ということは考えられないのじゃないか。私も率直に申し上げますけれども、米だけの日本農業であってはならぬと思うわけなんでありまして、やはりバランスのとれたところの農業生産というのが好ましい日本農業発展のあるべきところの姿だ、こう私思っておるわけであります。しかし、現実にこういう状態というものが生まれてきたのはそれなりにやはり日本政府のやり方に問題があったんじゃないか、こういうぐあいに実は考えるわけであります。  そういう点で、実は昭和三十七年の五月に「農産物の需要生産長期見通し」、こういうのが出ているわけでありますが、それによりますと、たとえば麦なんかの場合におきましては、四十六年になりますと小麦が百七十八万トンの生産ができる、こういう長期見通しをやっておられるわけであります。しかし、昭和三十五年から麦をつぶすところの政策というのを日本政府は打ち出しまして、そして反当千円ですかのつぶすための奨励金というものを出しておられるわけであります。それから、その後昭和四十三年の十二月に「農産物の長期見通し」というのをまた発表されておられるわけでありますが、その四十三年十二月の農林省長期見通しからいたしますと、「主要作目の概要」というところには米、野菜、果樹、それから肉類、これだけでありまして、小麦の生産問題というものは全然出されておらぬわけであります。そして、今度は麦の輸入の状況というのを見ますと、物すごく膨大な輸入が行われてきております。たとえば、昭和三十五年には二百十三万二千トン入っておりましたのが、四十三年になりますと二百七十九万トン、それから四十七年になりますと四百二万トン、そして現在では四百二十六万七千トン、こういうものが入ってくるわけであります。でありますから、いま米の消費減退、こういうことを言っておっても、それなりの政府誘導政策と申しますか、そういうものがこういう結果を招来させている、こういうことになるんじゃないかと私は思うわけであります。そうだとするならば、いままでの日本の農政のやり方の間違いと申しますか、それが米が余るという結果になっているんじゃないか、こんなぐあいに考えられるわけでありますけれども、農林大臣はどうお考えになりますか。
  60. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 国民の食生活は近年相当多様化され、その嗜好に沿うて中身がいろいろ変わってきておるわけでございます。特にパン食の問題につきましては、戦後長期にわたって学校給食等でパン食を主体とした給食が行われた、そういうようなこと等もありまして、若い世代にこれが定着化の傾向にあることは否めない事実であろう、こう思っております。そういうことでこの小麦等の需要がふえてきたということに相なると思うのでありますが、しかし米の需要の問題と麦の需要の問題、これは微妙な関連はあろうかと思いますが、直接的に結びついていないように見られるわけでございます。私ども基本的には何と言っても日本は温暖多湿の風土であり、稲作に適する国柄でございますから、食糧の基幹をなすものは米であり、米飯である、そういう重要なものとして位置づけてはおります。しかし、一方において、御指摘のように、相当量の外麦を輸入しておるわけでございますから、この需要に見合って必要な主要食糧用の穀物を増産する、自給力を高める、これは何としても日本農業のあるべき姿としてそうしなくてはいけない、このように思うわけでございます。米の需給均衡化の対策として、昭和四十四、五、六年ころには緊急避難的に休耕等相当ドラスチックな措置もとったわけでございますけれども、私どもはこの政策はいま深く反省をしておるわけでありまして、どうしてもこれは生産性の高い水田を活用して国民の需要のあるところの小麦、大豆あるいは飼料作物等必要なものの生産にこれを転作をする、そういうような形でバランスのとれた総合食糧政策ということに、今後は長期的にこの転作が定着をするようにあらゆる条件整備をいたしまして努力をしてまいらなければならない、このように考えております。
  61. 松沢俊昭

    ○松沢(俊)委員 私の聞いておりますのは、バランスをとるように農業を発展させていかなければならない、これは大臣も私も同じだと思うわけです。ただ、いま百七十万トンの生産調整を三年間コンクリートに固めてやってみようじゃないか。きのうは知事会があって大臣も出席してこられた。しかし、知事会はもろ手を挙げて賛成なんかしておらぬわけであります。大変困難だという悲痛な思いでいるということも大臣おわかりだと思います。あるいはまた農業団体にいたしましても決してそれを歓迎しているものではないわけであります。大変むずかしいということも言っているわけであります。恐らく農林省そのものにいたしましても大変むずかしい話だというふうに理解をしておられると思います。そういうような生産調整をやらなければならなくなったところの原因というのは一体何なのであるか。それはいままでの農業政策そのものに問題があったのじゃないか。農民に聞けば一番よくわかります。農林省の言うことを聞いて得したためしはないということを言っているわけであります。しかし、私は考えますに、これは農林大臣にだけ物を申してもしようがないような日本経済になっているのじゃないか。その日本経済そのものというのを洗い直さなければ本当の意味日本農業の発展というやつは出てこないんじゃないか、こういうぐあいに考えるわけなのでございます。たとえば、昭和五十年一月に出されましたところの六十年の長期見通し、これを見ましても、自給率はむしろ、三七%ですか、下がるというところの長期の見通しをやっておられるわけなのであります。しかも、きのうあたりの夕刊なんかを見ますと、ニュージーランドが「農産物譲歩を迫る 日本政府、苦しい選択」、こういうような見出しになっておりますし、あるいはまた外務省の方では、これについては反対があっても押し切って牛肉を入れなければならぬのじゃないかと審議官が言っているわけなのであります。  考えてみますると、それは、たとえば貿易の面からいたしまするならば、わが国の輸出の総額、これは昭和三十年、二十億ドルであったわけなのであります。それが五十一年になりますと六百七十二億ドルという大変膨大なものになっておりますし、その中に占めるところの重化学工業品は八五%を占めている。そして、自動車だとかテレビだとかというものが大変大きなぼろもうけをやっておるわけなのであります。それがいわゆる外圧ということになってはね返ってきているのじゃないですか。しかも、農林省は、農業を守ろうという考え方をここにおられるところの人はみんな持っておられると思います。でありますけれども日本に対するところの外圧、農林省に対する外圧というのは、外務省だとか、あるいはまた通産省だとか、そういうものが大きな外圧になっているのじゃないですか。だから、その問題を解決つけない限りにおきましては、いかに百七十万トンの転作をやって日本農業というのを発展させるんだ、バランスのとれたところの農業にするんだと言っても、これはできないところの相談じゃないか、こういうぐあいに考えておりますが、農林大臣は一体どうお考えになっておられますか。
  62. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 いまの日本の国際経済の中に占める貿易収支の均衡を回復する、一方において黒字減らしというような問題もあるわけでございますが、私は基本的には松沢さんがおっしゃるように、鉱工業製品等の輸出、これは秩序のある、節度ある輸出でなければいけない。日本の鉄鋼あるいは自動車等々が集中豪雨的に輸出がなされていく。相手国の産業に大きな圧迫要因になり、失業問題等も起こす。外国では、日本は失業輸出をしておるという非難もあるわけでありまして、私は基本的にはこの国際収支の均衡化を図るという観点からは、何言ってもそういう面の是正、反省というものがまずなされなければいけない、こう考えます。しかし、日本は国土資源の関係からいたしまして、国内で生産できるものはこれの生産をできるだけ伸ばしていくという自給向上政策をとってはおりますけれども、国土資源の関係で家畜のえさでありますとか、あるいは肉が問題になりますが、肉につきましても、あの畜産危機を乗り越えてようやく健康体になりつつあるとはいいましても、まだ畜産の基盤というものは非常に脆弱でございます。しかし、畜産農民の皆さんの御努力自給率は肉の場合おおむね七五%から八〇%台まできております。しかし、どうしてもやはり足らない面が二〇%なり二五%なりある。これはやはり消費者である国民の皆さんのために、足らないものは安定的にこれを輸入をして国内生産のものと合わせて供給の確保を図る、こういうことは食糧政策上当然とらなければならない問題である。  そこで問題は、そういう必要なものは安定的に輸入いたしますが、この国際収支の均衡を図るというただそのために必要以上のものを輸入をする、それによって食糧自給政策に水をかけるようなことがあってはいけない。私は、そういうことで農林省としてできるだけの、可能な範囲においては国際収支の均衡化というものに協力はいたしますが、それが日本農業農民に圧迫要因になってはいけないし、また自給向上政策というものに支障を来すようなものであってはいけないというようなことで、私が考えておりますのは、家畜の飼料になりますトウモロコシ等の飼料穀物、これは国際価格も非常に低位に推移しておりますし、豊作でもありますから、こういうものは相当備蓄をふやしていいのではないか。これは畜産農家のためにもプラスになることだ、このように考えております。それから、今年度第四・四半期に予定をしておりますところの農林物資の輸入、これは前倒しでひとつやろう、こういうようなことでありまして、決して外務省とか通産省とか、あるいは外圧とか、そういうようなものに私が屈しまして、そして日本農家を圧迫するようなことは絶対にしない、こういう姿勢でこれに取り組んでおるということを申し上げたい。  それからもう一点、私はこの外圧の問題の裏には、いまニュージーランドのお話が出たわけでありますが、日本が高度経済成長の中で都市勤労者の所得と農民の所得との所得格差というものが生じてまいりました。できるだけこの格差を縮めて都市勤労者と農民の生活が同じようにやはり向上していかなければならないというようなことで、価格政策の面あるいは助成政策の面、いろいろなことで相当お金農業の保護政策としてとっておりますことは御承知のとおりでございます。したがって、振り返ってみたら日本の農畜産物の価格は国際価格に比べまして軒並みに三倍ないし五倍というような状況でございます。そこで、ニュージーランド等においては、日本は金に飽かしてそういう無理な保護政策をやっておる。やはり国際分業として、われわれの方は安い良質のものをつくっておるのだから、日本はこれを輸入するのは当然だ、こういうような言い分になってくる。また、財界の一部等においては、そういう論理に同調するような動きもある。これはどうしてもやはり日本は国土資源の関係からそういう農業国等のようには価格改善することはできません。できませんけれども、これが一つの外圧の要因になってきておる。しかし、食糧の問題は国民生活を守る最低の基本的な安全保障でございますから、私どもは、食糧の自給力はどうしても一定の水準までは高めなければいかぬ、こういう信念でもって農政を進めておる、こういうことを御理解を賜りたい、こう思うのです。
  63. 松沢俊昭

    ○松沢(俊)委員 大臣の言われることはわからぬわけではないのです。ただ問題は、これだけ膨大な小麦が入ってきて、長期見通しからいたしますと、昭和六十年では月給率九%、こういうことなんですよ。農業団体の方でも輸入の漸減をすべきなんじゃないか、要するに外麦を減らしなさい、こういうことを強く言っているわけなんです。農民団体も言っているわけであります。しかし、減らすことができないというのは一体どこに原因があるのだ、これがやはり問題であろうと思います。今度貿易の問題につきましても新国際ラウンドでいくわけでありますけれども、たとえば私、晴海の埠頭へ行ってびっくりしたのですが、よく財界と政界の癒着なんと言われますけれども、あの小麦の輸入の状況、埠頭にバラ積みで積んできた船が着けば、真空のパイプであの林のごとく建っておる入れ物の中にどんどん入っていくのです。そして、検査を受ければすぐそれは製粉工場に回っていくわけであります。これがもうすでに定着してしまっているんじゃないですか。  ですから、もう大臣もおわかりのとおり、アメリカでは食糧メジャーがありまして、そしてアメリカの輸出の八割近くを握っております。世界全体の四割を握っているわけです。日本の輸出に対しましても六割を上回っているわけであります。そうして、その指定商社がみんなで二十九社あるでしょう。そのうち五割近いものを三井物産、あるいはまた兼松江商、日綿、三菱商事、丸紅、これが握っているわけなんですよ。これらの利益のために何で日本の小麦をつぶさなければならなかったのですか。千円の補助金を出して麦をつくってもらいたくないという政策を出したのは日本政府なのであります。そうして、小麦というのは合わなくしてしまったのではないか。反面、こういう商社が莫大もない輸入をやってくるわけであります。足りないものは入れるということはわかりますけれども、足りないものを入れるのではなしに、あるものをつぶして入れてきたわけであります。そうして、一面におきましては、さっき申し上げましたように、貿易の面からいたしますならば、東化学工業製品はどんどんとふえているわけです。この関係がはっきりしない中で、日本農業生産のバランスを考えたところの、やはりこれは一つ構造政策も入っているわけでありますが、百七十万トンの十カ年間の生産調整によって日本農業を変えていこう、それは言うまでもなしに日本農業をぶっつぶすという政策につながってくるのじゃないですか。  たとえば、価格の面一つとらえてみましても言えるわけであります。よく言われますけれども、米の値段は高いからみんな米の方へ寄りかかって、そして他の農産物はつくらなくなっているんだと言う人もいます。だけれども、米の値段にいたしましても、昭和九年から十年、十一年、私の調べた範囲におきましては大体生産費の二倍が価格になっているわけであります。統制経済でも何でもないわけであります。それじゃ、いまの米の価格は一体どうなっているのかということになりますと、二倍にはなっていないのです。だから、米の値段が高いということにはならぬわけであります。そしてまた、他の農産物の価格、対米比価、これも調べてみましたけれども、ほとんど問題にならぬところの価格政策がとられてきているわけであります。でありますから、問題にならないから麦もなたねも大豆もみんな消えていってしまったわけであります。そして、一面におきましては外国からそれを持ってくる。持ってこなければならぬわけでしょう。貿易収支のバランスをとらせるために持ってこなければならない。だから、農林大臣は一生懸命農業振興考えておられると私は思いますけれども、この日本政府のやり方、貿易政策、経済政策を根本的に変えない限りにおきましては日本農業はつぶれてしまうのじゃないか。ことし食管も若干小型になったわけであります。逆ざやの解消を五カ年間でやる、こういう方針を出されまして、逆ざやの解消を五カ年間でやって食管を健全なものにするということになりますならば、当然のこと生産米価と消費者米価を連動させなければならぬわけであります。物価が九・四%も上がり、賃金が八・八%も上がっているのに、日本の米作農民の米の値段は四%しか上がらなかったわけであります。そうして浮かしたところの食管の金を稲転の方に回しているのじゃないですか。それでは農村全体から見ましたならば、何の得もないわけであります。今度要するに二千億円の要求をやっておられるということを聞いております。でありますけれども、五カ年間で赤字を減らしていく、そういうやり方をとることになれば、当然米価は低く抑えなければならぬわけであります。そうして、その低いところの米価と他の農畜産物との均衡をとらせるということになれば、日本農業はつぶれていくことは決まりきった話じゃないですか。だから、新生産調整というものは、私たちの立場から見ますならば、生産のバランスを求め、日本農業を発展させるんだという、こういうものにはつながらないのじゃないかと思うわけであります。  しかも、食管の問題なんというのは、いままで休耕奨励金が出されています。休耕奨励金が出ているときにおきましては確かに減反も進んだわけでありますけれども、休耕奨励金が切れると、がたっと稲転をやる農家が薄くなっているわけであります。今度政府の方といたしましては案が出ておりますけれども、四万円に七千円プラスしていこうといういままでのやつを、今度は五万五千円に、そして一万五千円を足して七万円というようなことで、団体でやる場合でしょうけれども、そういうぐあいにしておやりになる。あるいはこれに乗る農民もあるかもしれません。でありますけれども、いま三反、五反農家というのはほとんど委託耕作に出しているのですから、そういうものを農協が引き受けるといったところで、引き受けるつもりでやっても出す者がいないじゃないですか。出す者がいなくなると思うのです。そして、いま委託料は大体三俵ぐらいから三俵半ということになりますから、そうすると五万円以上となります。農協の管理ということになれば四万円ということになりますから、したがって農協に管理してもらったって四万円だ、委託しておれば五万円以上の収入が入るわけでありますから、そんなことでうまくやるなんと考えたら大間違いな話なんであります。  全体的におきましては、農業基本法が一つの節目であったと思います。そうして、さんざんな目に遭わされて、それから今度は十カ年間の新生産調整、これまたひどい目に遭わせる、これがいまの政府考えているところの新生産調整ということになるのではないですか。したがって、私は貿易構造全体の問題、日本経済全体の問題を見直さないでこれをやるというのは大変危険なことではないか、こんなぐあいに思うわけでありますが、どうでしょうか。
  64. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 松沢さん、いまいろいろ一緒に重要なことをおっしゃっておるわけでありますが、一つは、日本の経済政策というのは基本的に国際分業的なことを考えておるのではないか、一口に言うと、そういう御批判、もっと端的な表現でおっしゃった。それは商社や財界のために小麦の輸入をしておる、こういう表現、私は、さようには考えておりません。小麦の生産反別等が確かに年によって後退したこともございます。しかし、農林省としては、やはりこれは重要な作物として育成をしなければいけない、こういう考えで取り組んでおるわけであります。  そこで、これに関連して、小麦の輸入を相当大幅に減らしたらどうかという御意見がございました。これを急激にやりますと、結局国民の食生活態様がこういう状況下におきましては、パンの値上がりを来し、品不足を来す。そうすると、当然これは切符制なり何なり本当に統制的な配給割当制のようなものをとらざるを得なくなる、こういう問題がありますから、そういう急激な極端な政策というものはとるべきでない。今回の水田利用再編対策等によって国内の麦の増産がだんだんなされていく、その生産が伸びた分、輸入量からこれを削減をしていく、つまり国内生産のものでだんだん置きかえていく、こういうことなら需給関係に大きなアンバランスは出ないわけでございますから、国民の皆さんにも御迷惑がかからぬ、私はこう思います。それを強引に百万トン減らす、二百万トン減らす、一方においてお米はあるんだから米の方を食べろ、こういうことはちょっといまの非常に自由化され、食生活が多様化しておる今日において、そういう強硬な政策はなかなかとりにくい。農業団体方々や皆さんがそういうことを提唱されておりますけれども、まず国内の小麦等の生産を伸ばし、輸入から、その伸びた分は置きかえて削減をしていく、こういう政策をとっていくことが妥当ではないだろうか、このように私は考えるわけでございます。  なお、その過程において、農林省が麦をむしろつくらせないようにする政策をとったというような御指摘もございましたが、これはいま政府委員の方から御答弁させます。  なお、今度の新しい水田利用再編対策内容につきましてもお触れになりましたから、これも説明をさせることにいたします。
  65. 松沢俊昭

    ○松沢(俊)委員 その前に、私の言っておるのは、余るのをどうしてもつくろうというふうに農民も思っていないと思うのですよ。だけれども、大変無理じゃないかということなんです。百七十万トン減らすというのであるならば、それなりのちゃんと準備を、環境づくりをやって減らしていかなければならぬわけなんじゃないか、こう思って質問しておるわけなんでございますが、それは余りにも急激過ぎる、こういうぐあいに考えております。  それから、消費の拡大、学校給食をやるにしたところで全部やっても二十五万トン程度だということを聞いておるわけなんであります。柴田さんの方から午前中酒の話も出ました。これを最大にやって四十五万トンから五十万トンの消費ということになると思いますが、これもやはり努力をしていかなければならぬと思います。  外務省来ておられると思います。外務省に聞きますけれども、外務省はおととしになりますか、バングラデシュにタイ、ビルマの米を二十六億五千五百万円、それからフィリピンに四億六千万、それから国連の難民の救済事業機関ですか、これに対して六億一千六百万、こういうぐあいにして、一昨年は全部で四十七億円の外国の米を買って外国に援助しておられるわけなんです。そして去年は、三十四億円の米だけの援助ということになっておるわけです。本当に米が余るということになれば、外国に援助してやっても差し支えないじゃないかと私は思うのです。一体何でこんなことをやっておられるのか。これは同じ政府の外務省、農林省農林省の方としては大変米が余って困ると言っておる。外務省の方は米が足りなかったならばよその国から買ってよその国に援助してやればいいじゃないか、閣内におきましてこういう不統一な政策をとっておられるじゃないか。一体、トン数に直したらどのくらいのトン数を援助したのか、はっきりしてもらいたいと思います。
  66. 三宅和助

    ○三宅説明員 お答えいたします。  まず、事実関係でございますが、五十年の予算年度につきましては合計三万九千トン外国米を買いまして援助をやっております。五十一年度予算につきましては四万九千トン外国米を使って援助しております。  そこで、いま先生指摘のありました、なぜ外国米を買って諸外国に援助しておるのかという御質問でございますが、国産米は、国内価格が国際価格と比較しまして非常に高うございます。たとえば、最近の例でございますが、国内生産米の諸掛かり全部合計いたしますと、トン当たり三十五万円近くになっております。片や国際価格の方は六万円、そのときの米の相場その他によりますが、精米トン当たり約二百五十三ドルないし二百七十ドルでございまして、六万円ないし六万五千円でございまして、日本の米の価格は約五倍近くになっております。したがいまして、さらに援助国に対する輸送費をも考慮いたしますと、国産米の援助をいたしますと、援助の資金の効率的な立場からいろいろと問題になってくるわけでございます。  また、米の嗜好の問題がございまして、相手国の、援助をする国の意見もいろいろと聞きまして、嗜好の観点からも、外国米を希望している国が非常に多うございます。  それから、第三点でございますが、たとえばタイ米とかビルマ米とかエジプト米を使っておるわけでございますが、これらの国から米を買いまして第三国に援助するということによりまして、これらの国の食糧の輸出に貢献する。これらの国は日本とはアンバランスの関係で、米の買い付けをかねがねから要求したわけでございます。日本といたしましては、これらの国からの米を援助で買い付けて第三国に輸出している、そういう二重、三重の意味一つの国際協力になっているわけでございます。  そういう事情から、いままでは第三国の米を使いまして第三国に援助しているという実情でございます。
  67. 松沢俊昭

    ○松沢(俊)委員 大臣に聞きますけれども、高いとか安いとか、そんなのは関係ないのでありまして、とにかく七百二十万トンも余った時代におきましては、一兆円の金を使ってこれをえさにしたわけなんです。ですから、いま百七十万トンの生産調整をどうしてもやらなければならぬということになれば、食糧に困っているところの国というのは世界じゅうにたくさんあるわけです。     〔委員長退席、今井委員長代理着席〕 いま外務省言っていましたけれども、いや嗜好の関係だなんて、私たち米で生きてきたところの日本人にとりまして、メリケン粉なんというのは、そんなものは代用食であったのですよ。でも、食わなければならぬ、こうなれば代用食であるところのメリケン粉を食べたわけなんであります。そんなのは理屈にならぬと思うのです。そういうことを考えた場合におきましては、これはやはり援助をやってしまえばいいじゃないか、援助をやれば何も百七十万トンの生産調整なんてやる必要ないじゃないですか。  それぐらいのことをやるということと、もう一つは、それはやはり海外援助なんです。海外援助というのは、言ってみまするならば、要するに、そうすることによってまた重化学工業製品、これを売り込むに都合のいいところの環境づくりをやっているのでしょう。どう考えてみても、こんなべらぼうな政策というものはないと私は思うわけなんです。こういう点、一体どうお考えになりますか。
  68. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 食糧援助の問題は、いま外務省からこういういろいろな問題がありますということの御説明があったわけでありますが、やはり援助であるから、相手国の希望はどうあれ日本の都合でひとつこれを受け入れろ、最近の開発途上国もそういうわけにはなかなかまいりません。むしろ食糧援助等は工業先進国等がやるのが義務であり、当然のことだ、こういう傾向にありますことは、もう私が申し上げるまでもなく先刻御承知のところでございます。  そういうようなことからいたしまして、相手国がそれを喜んで受け入れるということでありますれば、私はやりたい、こう思っておりますが、いま外務省からも言われたように、そこにいろいろの相手国としての希望なり注文なり要望がある、こういうことでございますので、御趣旨はよくわかりますので、今後とも研究してまいりたい、こう思います。
  69. 松沢俊昭

    ○松沢(俊)委員 私は生産調整というものは、先ほど申し上げましたように、大変無理だと思います。  それで、お聞きしますけれども生産調整をやらなかった場合には、報復手段として、やらなかった分を翌年度回しにして買える限度数量というものを減らしていく、要するにこういうやり方で、どうしても三年間で合計して五百十万トンですか、やってしまうのだ、こういう強硬な姿勢を出しておられますが、配分問題でまだいろいろ出てくると思います。北海道は、すでに日本全体の生産調整の三分の一を負わせたわけなんであります、これ以上は無理だと言っているわけなんです。考えてみますと、南方の作目を北海道まで要するに国策に沿って栽哉することに努力したわけなんです。これをやはり同じ比率にやるということになると、北海道の農民はたまったものじゃないじゃないか、こうなります。そうかといって、それじゃ市街化区域に対して傾斜配分をやる、傾斜配分をやっても飯米だけだ、こうなれば、もう言うことは聞かぬ、こうなります。それじゃ米どころの新潟とか東北の方にやる、こういうことになっても、私は政府の言うことを聞きません、こういうことになると思うわけなんであります。そうした場合、皆さんはそういうアドバルーンを上げられたとしても、事実上成功しないと思うのです。そうすると、今度は流通ルートに乗らぬところの米というのがはんらんしてくる、こうなります。よく政府側の方で言いますが、そんなら食管はパンクしてしまうのだと言うのです。パンクするもしないもないじゃないかと言うのです。そうならざるを得ないだろうと思うのです。そうなった場合、要するにそこに新しい一つの米の自由市場というものができ上がってしまう。こういう場合、やはり法律で厳罰に処するという態度で臨まれるのですか。これはどうですか。
  70. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 松沢さんはそういうぐあいに極端な表現を言っておられるわけでありますけれども、私は全国知事会あるいは農業団体、いろいろな方に御説明を申し上げ、理解協力をお願いをしておるわけでありますが、私は、皆さんが日本農業の将来のことも考え、やはりバランスのとれた農業構造に変えなければいけない、こういう基本的な認識、これは非常によく理解をされており、これは役所だけでできる仕事ではない、これは日本農業の将来のために自分らの問題としても取り組んでいかなければならない、こういうことになっておるわけでありまして、北海道もだめだ、北陸もだめだ、どこもだめだというように松沢さんはきめつけておられますけれども、私は、そういうものではない、問題はその転作がスムーズに行われるような環境条件をつくる、それに政府も全力を挙げる、そして納得と協力のもとにこれを進めていきたいというのが私の考えでございます。
  71. 堀川春彦

    堀川政府委員 先ほどお話のございました昭和三十五、六年ごろの麦の事情でございますけれども、当時食用に用いておりました大裸麦が、米の生産も上がってくる、食生活の内容も豊かになってきたということを反映をいたしまして、急速に減退をしたわけなんでございます。そこで、一年分の大裸麦が実は余ってしまったという過剰の状態ができた。そこで、これを他の需要のあるものに転換をする。需要のある方面に転換をするということで、そのときには小麦への転換ということも同じ麦類の中で考えておったわけでございます。このための特別の措置法案を用意をいたしまして三十八国会、三十九国会に提案をしたわけでございますが、審議未了で不成立という経過がございました。したがって、その間、転換を図るために転換のための奨励金を交付をいたしまして、そして転換を図ったという事実がございます。これは過去そういう食生活内容の急激な変化ということに基づきまして起こった事態に対する一つの対応であったかと思うわけでございます。  現在の時点では、麦類はもっともっと生産を伸ばさなければならないという状況でございますので、水田裏奨励金、それから価格には奨励金を織り込みましてアップするというようなことのほか、基盤整備、そのほか麦作のための土地改良や高度集団麦作、営農集団の育成というようなことで非常に力を入れてきております。  なお、今後の米需給均衡化を含む水田利用再編対策の中で、私どもは麦を重点作物として考えていきたい。現在の扱いでは麦は水稲と作期が競合する、そういう地域での奨励ということを水田総合利用対策の中で取り上げてやっておりますが、そういう制限を取り払いまして、水田において麦をつくる、米をつくらないという形のものに対しましては、大いに麦の生産を伸ばすという趣旨において重点作物として扱って奨励をしてまいる、こういう取り組みをしてまいりたいというふうに考えております。
  72. 松沢俊昭

    ○松沢(俊)委員 これで終わりますけれども、足りないときも奨励金、余るときも奨励金、要するに金で決済をつけながらその政策を進めていく、それは役所にとっては都合のいい話かもしれませんけれども生産農民にとっては大変困る話なんです。そういうのは、農民から言わしめるならばネコの目農政なんということを言っているわけなのでありまして、恐らくこの問題につきましても、結果はやがて判明すると思いますけれども、決して私は成功するとは考えておりません。でありまするから、生産調整という問題につきましてやる前に、外務省の方でそういうようなやり方をやっている、こうなればさっき大臣も検討してみよう、こういうことでありますので、ぜひそういう点を検討されまして、そして、いやだいやだと言う者に対して転換をさせるなんということをやらないようにしながらバランスのとれた農業生産というやつを考える、こうなれば、それはやはり順を追ってやっていただきたいということを強く要望申し上げまして、質問を終わります。
  73. 今井勇

    ○今井委員長代理 野坂浩賢君。
  74. 野坂浩賢

    ○野坂委員 午前中から今度の新しい生産調整の問題について質疑が交わされておりますが、農林大臣は、農民理解してくれるだろう、そして真剣に受けとめてくれることを期待しておるというお話がありました。また、論戦の中で何としても質問をかわして逃げ切らなければならぬ、こういうような考え方もあるではないかと推測をされる発言をしばしば見るわけでありますが、私たちはいま日本農業の将来の問題にとって、また農民の期待にどうこたえていくか、そういう意味で衆知を集めた議論をしていかなければならぬ、よりよい結論を求めていかなければならぬ、こういうふうに思うわけでありますので、積極的に丁寧に答えていただきたい、こう思います。しかし、時間はありませんから、ごく簡潔にお願いをしていきたいと思うのであります。  そこで、私が大臣に聞きたいのは、数量にして百七十万トン、面積にして三十九万九千ヘクタール、これをやるということであります。たとえば、農林大臣が言われることを真っすぐに受けて三十九万九千ヘクタールの目標を達成した場合は、それは達成したのだから、政府はそれだけは、できた米は全部買い上げる、こういうことになると思うのですが、そのとおりでしょうか。
  75. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 百七十万トン、約四十万ヘクタール相当転作を今回お願いをするわけでありますが、これが農民の皆さんの理解協力によって達成をいたしますれば、平年作の場合におきましては余り米が出るというような事態にはならない、豊作の場合におきましても、そこまで生産調整が行われますればそう大きな量にはならない、私はこのように見ておるわけでございます。昭和五十年作況指数一〇七、今年は八月十五日現在で一〇四、こういう状況下にございましても、その限度米を超過した分につきましては、自主流通のルートを通じて政府の助成のもとに農業団体等においてこれが適切に処理がなされておりますから、私は、この水田再編対策が達成できました場合においては、余り米の問題というのはそう大きな、処理に困難な事態というものは出てこない、このように考えております。また、この事業を達成されました方々に対しまして、本当にその御苦労に配慮をするという措置も今後いろいろ考える必要があるとは考えておりますが、基本的にはそう大量に余り米が発生することはないであろう、また、その場合には、いままでの経験から自主流通ルートで十分処理できるもの、このように考えております。
  76. 野坂浩賢

    ○野坂委員 長々と御答弁をいただいたわけでありますが、私が聞いておりますのは、農家に割り当てるのは、たとえば、あなた方の案なら約三十九万九千ヘクタールです。これで農家はやるのです。これでできたものは——農林省は技術指導して農業生産性を高めることに集中をしておるわけです。そして、汗を出して研究をしてつくり上げたものは、生産が平年作だったら期待できるけれども、それ以上の作況指数が出たら買えないかもしらぬということではだれが協力しますか。生産調整面積はこれだけです、これからできたものは責任を持ちます、こういうのが最高責任者としてあたりまえじゃないですか。これ以上出たらまたわかりませんなというような答弁ですよ。はっきりしてもらわなければ協力はできません、農民はこう言いますよ。それはどうですか。
  77. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 はっきり申し上げておるわけでございます。そういう線で御協力を願うつもりでございます。
  78. 野坂浩賢

    ○野坂委員 それなら四十五年度から始まった生産調整、この今度の五十二年産米までの、政府が示した転作面積の達成率というものは平均どのくらいになっておりますか。
  79. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 平均しておりませんので、各年度ごとに簡単に申し上げます。  四十六年は九八、次が一〇八、一一二、九八、五十年が一一一、五十一年が九一、五十二年がいまの見込みで九九でございます。
  80. 野坂浩賢

    ○野坂委員 平均して一〇〇%ですね。四十五年度の一三九%を合わせれば一〇七%程度になってくる。こういう実情です。農家はみんないままで協力をしてきた、しかも余り米を出してきた。生産性向上されたのだ。努力をしたのです。それを余り米だと言って政府はいま去年の過剰米よりもさらに条件を悪くして一万七千二百三十二円を二万四千五百円以下で買おうとしている、買わせようとしている。これで農林省を信頼してくれと言っても、農家鈴木善幸氏個人は別にして、本当に農林大臣は信頼できない、こういう結果になるのじゃないですか。だから、今度の生産調整についても大きな不満が出てくることは、私は当然だと思う。それだけ達成したならば、農民の汗に報いてそれは必ず買い上げるという姿勢がない限り、農民は、私なら協力はできない、こう言うと思うのです。  その点については、いままでの実績からして、なぜ今度はそういうふうに去年と奨励金も違う過剰米、超過米の措置を農林大臣はしたのですか。
  81. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 野坂さんと私はその点考え方が若干違うところがあるのでございます。政府需給関係その他から見て、これだけは食管として買い入れをしなければならないということでこの限度数量を決めまして、そして限度数量予約分は全部買い上げをするわけでありますが、そこで豊作等の結果、限度数量を超えるものが出てくる。これは確かに農民の皆さんの御努力によって増産されたものでございます。しかし、また一面からいいますと、その分は、平年作をオーバーしたその豊作分というのは、農民方々から見ると、それはプラスされる所得になる分でございます。これが自主流通ルートによって処分されても、政府買い上げの価格よりは値段は若干安いにしても、そう大きな開きなしに平年作を上回るボーナス分として、所得として農家のプラスになる、私はこういうぐあいに考えておるわけでありまして、しかも、これをただ自分らでおやりなさいということでなしに政府も金倉その他できるだけの助成をいたしまして、その超過米の処分については政府としてもめんどうを見てやってまいりたい、こういうことでございますから、農民諸君の立場を考える点においては、私はそう変わっていないと思います。
  82. 野坂浩賢

    ○野坂委員 それでは、具体的にお尋ねいたしたい。  去年の面積達成率九一%、ことしは九九%、それだけ努力しているのになぜ奨励金を下げたのですか。——農林大臣に聞いておるのです。
  83. 大河原太一郎

    ○大河原政府委員 数字のことですから、私の方からお話し申し上げます。  先生は昨年の例を申し上げましたが、昨年は不作でございまして、予約限度超過米は発生いたしませんでした。五十年は、作況指数は一〇七です。したがって、超過米が五十万トン以上発生いたしました。予約限度制を導入いたしましたのは四十六年でございますが、それ以来若干の超過米が発生した場合においても、先ほど大臣が仰せのとおり、自由流通ルートで処理してまいりましたが、一昨年は五十万トンを超える大幅な超過米でございましたので、それを自主流通ルートによって適正に配給計画の中に組み入れて処理するためには相当大幅な助成によってこれを片づけるということでございます。  本年も相当な超過米が発生するわけでございますが、本年は豊作も早く伝えられましたので、生産者団体並びに配給団体がこれも一昨年と同様自主流通ルートによって処理するということで、それに必要な限度の適正な助成をいたすということでございます。金利、倉敷なり、あるいは適正集術対策費というようなものによってこれを処理するということでございまして、それぞれその年の超過米の処理に必要な限度の助成でございまして、一昨年と本年との助成水準は確かに本年の方が低うございますが、それなりに片づけ得る見通しを持って助成水準を決めたわけでございます。
  84. 野坂浩賢

    ○野坂委員 政府は立場に困るとすぐに適正とか適切とか所要の措置とか言って適当にごまかしますけれども、それだけ協力したのに去年より下げる、それが適正な措置だ、適正な基準だ、そんなことはありません。農林大臣はそういう状況考えて、それらの変更を当然考えなければならぬのじゃないですか。  あなたに聞いておるのじゃないですよ、長官。農林大臣農民に愛情を持っておるし、愛情ある農政を進めると言っておるから聞いておるのです。
  85. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 この点は、実態的に申し上げますと、農業団体等とよくお話し合いをしまして、御理解の上に、そこまで政府がやってくれるのであれば、われわれとしても自主流通ルートによって十分処理できる、こういう話し合いですべてやっておるのでありまして、その点は農業団体方々もよくその経緯並びにそういう措置に奉ったことは理解をされておるわけであります。
  86. 野坂浩賢

    ○野坂委員 それは押しつけたのですよ。しかし、時間がありませんから、これから適正に答えていただきますようにお願いをしておきます。  今度の計画を見ますと、需要数量は減ってきますか。いままで議論がたくさんありましたが、消費拡大に全力を傾注した結果、来年は消費、いわゆる需要の拡大は減る見通しですか。どうですか。
  87. 大河原太一郎

    ○大河原政府委員 数字にわたりますので、お許しを願って私から答弁させていただきます。  五十一年、五十二年でございますが、総需要量を千二百十万トンと見ております。その際におきましては、四十八年、四十九年の需要量が千二百万トン台であった、いままで減って総需要量が千二百万トン程度であったことを見た上に、さらに五十年の食料需給表による実績が昨年暮れ出まして、千百九十六万トンという需要量が出たわけでございますが、その後の政府売却その他から見た米の需要なり工業原材料の米の売れ行きというようなものを見ますと、最終的な作業を省全体として急いでおりますが、五十一年の米の需要量は千百八十万トンを割る、前後だということでございますので、われわれといたしましては、いよいよこの十年間の利用対策を始める場合に、量について的確に見なければいけないということから、米の需要量は千百六十万トン、これは工業用原材料の減りが非常に大きいわけでございますが、主食の需要も減ることから千百六十万トンと見ておりますけれども、午前中からたびたびお話がございましたように、学校給食なり、あるいは米粉の混入等の消費拡大の努力、十万トン乗せまして千百七十万トンにいたしまして、三年間はおおむねこの需要を見越して計画を立てるということで、結論的に申し上げますと、最近の需要の動向を見て政策努力をこれに加味して需要量を見ておるということでございます。
  88. 野坂浩賢

    ○野坂委員 あなた方が提出された骨子の案に表がありますね。潜在生産量が千三百万トンです。それを今度は千三百四十万トンにした。ここにもお話がありますが、生産量はできるだけ高く見よう、消費はできるだけ抑えておこう、今度の案はこれですよ。これで見ておけばまあ大丈夫じゃなかろうか、こういうところで百七十万トンの減反、減量というものを出してきた。どっちも低く見るならともかく、農民側の方は思い切り高く見ており、需要の方は思い切って下げる。消費拡大の案は、考え考えたあげく、大河原さんが千百六十万トンにプラスアルファ十万トンをつけて消費拡大分だ、こう言って逃げる資料をつくったのですね。私は、そういうことでこういう計画案がつくられたというところに腹立たしさを覚えております。消費の拡大ということについて本格的に何をおやりになったのですか。学校給食は去年と比べて何万トンふえましたか。そして、これから本気で考えていかなければならない、柴田さんも松沢さんも言いました酒は、もしアルコール分を取ってやるということにすれば、一体何万トン要るだろうか。農協の諸君たちがいやと首を振りながら、それではめんやパンに二割でも混入したらどれだけ米の消費は拡大されるであろうか。皆さん方はあらゆることを検討されたと思います。この間も食糧庁長官のお部屋にお邪魔いたしましたときには、米を食おう、消費の拡大を図ろうというビラがたくさん張ってありました。中身は別にして、そういう姿勢はいいと思いますね。そういうことをやっておられるわけでありますから、そういう数字を踏まえて、農民が米をつくりたいと考えておるならば、その期待にこたえてどう消費を拡大するかということを具体的に一つ一つ検討することが議論じゃないですか。そして、その要求にこたえて、米を中心とする国内の自給体制確立ということが、一番安定した道を進んでいくことになるのじゃないでしょうか。私はそう思います。したがって、学校給食何万トン、あるいはもし酒を全部そういうかっこうにすればそれは何万トンになる。しかし、先ほど大蔵省が言っておりましたように、設備に大影響があるということになれば年度を置いて、農林省としては大蔵省と協議してどのような方向で進めようとしておるのか、あるいは製めん業者、製パン業者の方たちに、米の混入については、どうやれば皆さん方の期待にこたえられますか、飼料にも出すという状態ならば、一定の政府の金が出されたにいたしましても、スムーズにそういうかっこうをとり、無用な議論をしなくても済む、そういう農林委員会でなければならぬ、こう思うのでありますが、具体的にその数字を示していただくと同時にその計画、方法、そして最後に農林大臣考え方をお聞きしたい。
  89. 大河原太一郎

    ○大河原政府委員 数字にわたる部分なり具体的な点についてお話し申し上げますと、御案内のとおり、学校給食は昨年からパン給食と並びまして本格実施に踏み切りました。政府米の三五%の値引き売却を現在行っております。数量は、昨年は一万二千トン程度でございましたが、本年はかたく見積もりましても二万四千トンということでございます。それで、われわれがただいま文部省と話しておる伸び率、ある程度の広い普及率を示してまいりまして、はずみがついてきた感じでございますが、来年度は四万五千トンの値引き売却を政府として手当てしたい。もちろんこれはもっとふえればふえただけの売却はいたしますが、学校給食は全体が精米換算で二十五万トンでございます。したがいまして、とりあえずは週二日ということで文部当局はやっておりますけれども、さらにそれを推進するように努力をいたしたいということでございます。  さて次は、めん、パン等への米粉の混入問題、これはわれわれとしても明年度からぜひやりたいということでございますが、麦製品については、御案内のとおり、米粉につきましては品質だとか製法だとか設備だとか、いろいろ技術的な問題がございます。麦製品業者から今日相当抵抗がございますが、われわれとしては玄米換算十万トン程度は米粉の混入というようなことで来年度はやれないかということでただいま業界を指導、説得しておる最中でございます。  第三点の、酒米につきましては、午前中も国税庁間税部長のお話がございましたが、これは設備の問題、あるいはアルコール添加になれた消費者の嗜好の問題とか、いろいろございますけれども昭和十七年当時までは水と米ということでございますので、アルコール添加をできるだけ米に置きかえていくという問題については、所管が国税庁でございますけれども、われわれとしては一段と努力したい。現に具体的には、アルコール添加から米にかえますとコスト高になりますので、本来酒米は君主流通米を酒屋さんが買っておりますが、本年は政府米を主食用価格で六万トン売却いたしました。そういうようなことによってコストの低下について配慮する。  いろいろ具体的な問題を進めまして、御所論のような施策を進めたいと考えております。
  90. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 米の需給均衡を早急に回復する、そのためには消費の拡大と生産調整、両方から施策を進めなければならない、こう考えております。学校給食等は、量の問題もありますが、またこれが長期にわたって国民の食生活にも大きな影響を持つわけでありますから、私はこれを非常に重視しておるわけであります。  そこで、この水田利用再編対策を閣議で決めます場合に、米の消費拡大の問題もあわせて重要な米の需給均衡化対策として閣議で方針を決定いたしまして政府全体として取り組んでいく、こういうことで臨みたいと思っております。
  91. 野坂浩賢

    ○野坂委員 数字を挙げて御説明もいただき、農林大臣からもお話をいただいたわけでありますが、考え方として、学校給食は完全に軌道に乗せていく、そして製パン、製めん業者についても協力を得て来年度から実施をし、十万トンをとりあえずやる、あるいは酒米も政府米を六万トン放出して具体的にそれはこれから軌道に乗せていく、こういうことであります。  そういたしますと、閣議了解のもとに全面的にこれらの消費拡大政策を本気で進めるわけでありますから、今日から展望して五年なり十年先ということになれば、倍数としてどのくらいになるのでしょうか。
  92. 大河原太一郎

    ○大河原政府委員 お答え申し上げます。  それぞれ現在その緒についたばかりでございまして、その条件整備をしてこれを進める。したがって、五年なら五年後にこの数量がいかばかりになるかという点については、率直に申し上げまして、私どもとしては数量として申し上げられる段階ではないということをお許し願いたいと思います。
  93. 野坂浩賢

    ○野坂委員 それでは、学校給食を全校やるとして、あるいはアルコールを入れるのを全部やめる、そして製パン業者、製めん業者が現数量に二割混入をする、そうすれば何トンになりますか。
  94. 大河原太一郎

    ○大河原政府委員 お答えを申し上げます。  いまの米粉の小麦粉混入の問題は、小麦粉なり米のでん粉質の差とかいろいろ問題がございまして、製品の技術的な限度を見ませんと頭から二割とか一割がいいかということを申し上げられないと思います。したがって、数量等については申し上げかねるということでございます。  それから、あとはいわば条件整備でどこまでいけるかという問題でございますが、計算上は、先ほど申し上げましたように、現在は学校給食を全面的に置きかえた場合には、精米換算で米は二十五万トンですね。それから、アルコール添加についても、ただそれはわれわれが全力を挙げても条件のいかんによりますが、たしかアルコールを米に置きかえた場合には、精米換算四十万トンというような数字を承知しておりますが、これは今後のわれわれの推進いかん、条件整備いかんというふうに考えております。
  95. 野坂浩賢

    ○野坂委員 私はいまのお話を聞いて非常にがっくりしておるわけでありますが、今度の四十万ヘクタール、百七十万トン、こういうものは十年間は固定をするんだよ、一期三年間はそうだよ、大体こういう考え方ですよね。だから、それと消費拡大とあわせてやはり将来の展望というものは考えていかなければならないんじゃないか。それを消費拡大というものは緒についた、これからやらなければわからぬ、米はきちんとしてある、こういうようなことでは困りますから、ぜひ消費拡大に積極的に取り組んでいただくよう農林大臣に強く要求をしておきます。  それから、食管制度は堅持をするということを午前中言われたのですが、そのとおりですね。
  96. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 食管制度の根幹はあくまでこれを堅持していくということは、しばしば私が当委員会で申し上げておるとおりでございます。
  97. 野坂浩賢

    ○野坂委員 農林大臣は、食糧庁長官もそうですが、米の割り当ては限度数量を通知するだけであって、数量の方はできますが、面積生産調整というものは法律に縛られぬわけですからね、協力をあくまでも願うということです。農林大臣の御説明によると、協力の問題は環境条件整備することだ、そして収益性の問題を解決することだ、それをやればできるんだ、こういうお話であります。  そこで、私が聞きたいのは、まず食管の堅持の問題ですが、政府は五年間で逆ざやは解消するという方針ですね。いまは政府の買い入れ価格はたしか一万七千二百三十二円、売り渡し価格は一万四千五百円、これで逆ざやの解消というものができてくれば、一般の農家の皆さんはどこに売っても同じですね。ちょっと隣に行っても、いまは安いからそこから買う、同じになればどこから買ってもいいし、やみ米が横行するという、そういう弊害だって出てくる可能性と危険性はあると私は思うのです。だから、売り渡し価格は安く、買い入れ価格は高いという方が全体の数量把握その他については非常にいいんじゃないかと思うのです。  それと、たとえば九十万トン残るよと農業団体等が言っておっても政府は五十万トンだ、こう言いますね。だんだん政府の方に近づいてくるのですね。なぜかといいますと、農協自主流通米なり余り米を倉庫に山ほど積んでおると、その立てかえ金額だけでも大変ですからね、何とかして処分をするということになれば。こういう結果にもなってくるんじゃなかろうかというふうに思うのですね。そうすると、売り渡し価格と買い入れ価格との関係食管制度というものが非常に壊れてくるんじゃないか、こういうふうに思うのです。その点についてはどうお考えでしょうか。
  98. 大河原太一郎

    ○大河原政府委員 御承知のとおり、おおむね五年を目途にして売買逆ざやを解消いたす。現在は二千四百六十一円でございますか、そういう売買逆ざやがございます。その場合に、御所論のように食管の集荷なりその他の面の条件が崩れて、したがって、その意味食管の運営に非常に問題を生ずるのではないかという点について、やみ米との関連でお話がございましたが、御承知のとおり昭和三十七、八年までは順ざやでございました。それから、四十年の初めまでは逆ざやでございましたが、ほとんどその幅がないというような事態でございましたが、われわれとしてはその運営を確実にやることによって食管の運営は確保されたという経験を持っております。それが第一点でございます。  それからもう一つは、やはり需給事情等が大きく響くわけでございまして、過剰な状態で自由米が流れるような条件が非常に多い場合においては、御所論のような問題もあるかと思いますけれども、たとえ逆ざやが縮小ないし解消された段階におきましても、集荷団体、農協等の努力と適切な運営によって、私どもとしては必ずしもそのために大量な自由米が発生いたしまして、それによって食管運営が問題になるというふうには考えておらないわけでございます。
  99. 野坂浩賢

    ○野坂委員 いまの条件整備の問題ですが、たとえば米の場合は平均五百五キロとして八俵と半分、約九俵でしょうが、八俵としても、これを転換をする場合、十三万七千六百円になりますね。麦は最高五俵とれるとして五万円だ。差額は八万七千六百円、大体九万円ぐらいになりますね。その収益性から言うと、十アール当たりで九万円も違いますと、一町歩もあれば九十万円も違ってくる、こういうことになってきますね、たとえば麦の場合を例に挙げれば。ほかのものはいろいろありますが、ほかのものはもっと安い。そうすると、収益性からいってなかなかかわりにくい、こういうことになるんじゃないでしょうかね。その点についてはどうお考えですか。将来の農業者の姿を明らかにしてもらいたい。
  100. 堀川春彦

    堀川政府委員 奨励金の水準とそれから稲作所得との関係になるわけでございますが、私ども今回奨励金の引き上げを考えておるわけでございます。その引き上げを行う際に、先生の御引例になりましたような麦でございますとか大豆飼料作物、そういったところに重点を置いて転作面積もそこに大きく期待をいたしますし、したがって奨励金もそこに稲作所得との関係考えて重点的に引き上げを図っていく、こういう考えでございます。  その際に、稲作所得とのバランスは、畑作物の所得との関係考える。特に反当所得である程度のバランスということが図れませんと、農家からすれば稲作をやめてほかのものに転換しにくい、こういうことがございますので、私どもはその辺十分配慮をいたしまして、個々の品目ごとに奨励金の体系をつくるというのは非常に複雑に過ぎまして実行上いろいろ問題を起こしてまいりますから、私どもそういう特定の重点作目につきましては大豆、麦、それから飼料作物、ビート、そういったものの反当所得の水準ですね、そういうことを考え、稲作所得は九万円を少し上回っておるというような想定のもとに考えてみますと、奨励金といたしまして、私ども基本額とそれから計画加算合わせました奨励金の水準が、ほぼ妥当なところへ来ておるというふうに思うわけでございます。  さらに、これは三年間一応固定をしていくという思想に立っておるわけでございまして、その間、畑作物価格につきましては先ほど来御論議がございますように、米価との相対価格関係の是正ということで、格差が縮まるような引き上げ措置をとってまいるというようなことも考慮をすれば、この水準はおおむね妥当であるというふうに思っておるわけでございます。
  101. 野坂浩賢

    ○野坂委員 私の方から見ますと、やはり反収一万五千円程度は違うじゃないか、こういうふうにも思います。それは一般奨励のうちの特定作物ですから、一般作物の場合は五万円ですから、そうするとそれも差がある、稲作が現実転換をされるわけですから。そういう品目別と言って、それでは、つくるものは稲作の収益性と全く同じような、それよりも悪くならないという、そういう保証を政府はしてくれるわけですね。しかも、奨励金というのは三年間固定ですが、それよりももっと悪い条件になれば、稲作と全く同じような収益は保証するというふうに考えてよろしいわけですね。
  102. 堀川春彦

    堀川政府委員 一期三年間のその期間の経過の間に起こってくる需給事情その他価格条件生産品の状況等の変化、こういうことを十分考えまして、三年後の第二期の対策のときにその辺は十分考えてやってまいりたいと思います。
  103. 野坂浩賢

    ○野坂委員 稲は非常に技術的にも安定をしておりますし、経営上も比較的安定をしておる、一応安定しておる。今度稲作を転換をする場合には、畑作の技術的な体系あるいは米とは違った共済の問題ですね、共済制度あるいは基盤整備事業あるいは価格制度、そういうものを全部、条件環境、文字どおり整えてさあいらっしゃい、こういうかっこうになってスムーズにやはり喜んでいくという体制がなければ、私は本当の意味の農政にならぬじゃないか、こう思いますね。これは強制執行ですからね。  ここにも書いてあるのは、今度転換調整も何もやらないし、協力をしない者は買ってやらぬと言わんばかりのことがこの骨子案には書いてあるのです。そういうことになれば、農民はやはり農林省というものはおれたちの味方じゃなしに敵だ、こういうふうに思われるのは当然だと思うものですから、そういうことを整えてやはりやる必要があるんじゃないか、それが環境づくりだろう。それを、まだできないから、保証も相対価格から思うようになっていかないから奨励金でごまかしておきますよ、これですよ。それだけであるもの、奨励金というものは元来非常に、三年間はそうですが、浮動性のあるものです。だから、これについては、今後はそういう点について独自で体系その他を整えられてスムーズに転換ができる、そして日本全体の需給のバランスというものをとる、こういう方向でなければならぬと思うのでありますが、それらについては大臣は自信がありますか。
  104. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 米価との相対価格、そういう点も米価とバランスがとれるような条件をつくってからスタート、そういうようなわけにはまいりません。条件を整えつつこれを実施に移していく。でありますから、この米以外の主要戦略作物の価格は先般来方針を決めまして、逐次これが改善をされるという方向をとっております。それまでの間、転作奨励金等を交付をいたしまして、そして農家の所得に、稲作の場合と余り変わらないような所得が確保できるようにという措置を補完しながらこの政策推進してまいる、こういうことでございますから、価格が年々改善されていくということで、三年後において価格の方が相当向上するという場合におきましては、今度は奨励金の方をどのようにするかということを相対的に考えていく、こういうことになるわけでございます。
  105. 野坂浩賢

    ○野坂委員 あなた方が示されました骨子の案でございますね。これの七項には、先ほど午前中にも柴田さんからも話があったわけですが、県に割り当てるわけですね。そして、それは動かないわけですね。それが今度は町に行く、町は集落に行く、集落は個人に行く、こういうことになるわけですか。
  106. 堀川春彦

    堀川政府委員 基本的な考え方としては、これは固定主義をとろうというのは、いままで単年度、単年度で変動がございますと対応が非常にむずかしいということがございまして、農家の側からの声としても私はそういう声があるということを強く聞いておるわけでございます。そういう御意見も参照いたしまして、こういうシステムにしたわけでございます。県間配分はこのとおりやってまいる。これのほかに例外要素といたしましては、未達成分が出たというようなときには、翌年度においてそれを調整をいたしまして上積みをするというようなことが出てまいるわけでございます。  そういう考えのもとに県間配分をやってまいりますから、知事さんは原則として、例外はもちろん出ると思いますが、原則としてやはり市町村におろすときにもよくお考えになって、年々の目標数量が理由なしに変動するというようなことのないようによく考えて市町村におろしていただく。市町村の中では、やはり個人の転作ということになり、個人の限度ということに最終的にはなるわけでございますから、理由のあるものはもちろん弾力的な運用をすべきだと思いますけれども、原則固定ということで計画的な転作が進むようにという考え方を基本において、次回の対策を構成したいというふうに思っております。
  107. 野坂浩賢

    ○野坂委員 この辺で上からは、普通は外から見れば比較的何とかかんとかと言われておりますけれども、裏ではこういうかっこうで、ちょうど徳川幕府がやった五人組制度みたいなかっこうで締め上げる、こういうかっこうになってきますね、究極は。そうすると、鈴木農政の目玉であった地域農政問題が、私は地域の中でたくさんの問題を生んでくるんじゃないか、そういうことを心配をするわけです。だから、できるだけ協力をしてもらって、協力がないところは、府県でもできなかった、来年は上積みをするんだ、そうしなければ公平が期せない、こういうことだけできちっと仕切るというようなことでは、後で問題を残すんではないかと思いますが、農林大臣はどう思われますか。
  108. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 昨日来いろいろの御意見を社会党の皆さんからも伺っておるわけでございますが、私が考えておるように理解協力を求め、また転作しやすいような条件整備等も行政の場において最善を尽くす、それだけで果たしてうまくいくのか、もっと法律でも改正して、政府責任できちっとやったらいいじゃないかという御意見もございました。しかし、私はそうでなしに、あくまで私がいま申し上げたような方向理解協力のもとに、しかも転作のしやすいような条件環境をつくる、こういうことで進めてまいりたい、こう思っております。そういう意味で、地域農政対策推進事業、こういうものも十分活用してまいりたいと考えております。  私は、農林省としては、今度のこの水田利用再編対策というのは、日本農業構造改善にもなる、日本長期展望に立って、日本農業は総合的な食糧の政策の面からこうなければならない、こういうようなことで取り組んでおりますから、農林省の全施策、全機能でこれの達成ができるように集中的に努力をしてまいる考えでございます。
  109. 野坂浩賢

    ○野坂委員 全機能、全能力を発揮してやられることは結構でありますが、それが圧力をかけてやるということではなしに、いい政策さえあれば全機能を挙げなくても、何もしなくてもスムーズに来るわけですから、そういうかっこうにしてもらわなければならぬ。そういう条件整備環境づくりに全機能を集中されることだろうと思うのですけれども……。  そこで、農林大臣にお尋ねをしたいのは、この生産調整というものは農民が自主的に協力をしてどのくらいできると思っておられますか。昭和四十八年度にたしか二十八万ヘクタールですか、それが最高限度ぎりぎりですね。自主的に農民がやろうとするのはどのくらいだとお考えですか。圧力をかけないで協力をしてもらうのですから、お願いをするわけですから、どうですか。
  110. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 私は、今回のこの大事業、これはまさに大事業だと思うのです。役所だけでできる問題ではございません。また、農民の諸君は自分たちの問題として、日本農業をみずから担っておられるわけでございますから、自分たちの問題として取り組んでいただく、また、そういう認識もだんだん深まってきておるわけでございますから、ただ農民の諸君が自主的におやりなさい、どれだけできるかというようなことではない。これは需給均衡を早く回復をして、日本農業構造を変えるということは大政策でございますから、政府としても全力を挙げて農民の御協力と相まって、これを達成していく、こういうことでございます。
  111. 野坂浩賢

    ○野坂委員 時間がありませんので、多くを申し上げることはできませんが、私は、そういうことはなかなかでき得ないと考えて、農協管理田方式というものを打ち出されたと思っておるのです。これで農協にやらせよう。しかも、都市近郊は傾斜配分だ。都市近郊の農協は何をやっておるかといいますと、営農対策よりもスーパーや信用事業とか、そういうところに重点が置かれておるわけです。それが管理田というかっこうでできるかどうかということは非常に疑問がありますね。  いままで一貫をしてお話しを伺っておりますと、条件整備環境づくりということがありますか、まず私は農林大臣に確認しておきたいのは、米との相対価格といいますか、稲作を転換をした場合には、いままで水田で得た収益よりも下回らない、こういうふうに考えておいてよろしゅうございますか。
  112. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 先ほど来申し上げておりますように、価格だけで米と同じようにというわけには一挙にはまいりません。これは逐次改善をしていく、その間の補完的措置として転作励金等の水準も稲作の営農との収益性均衡が保持されるような方向で私ども努力をしておるわけでございます。
  113. 野坂浩賢

    ○野坂委員 ちょっと私は、堀川さんと農林大臣との認識が違ってきたかなと考えておるわけですが、初めのうちはだめなんだ、だから、その差があるから奨励金を出すと、こういうことじゃないですか。だから、その収益を確保する、足らなければいわゆる奨励金を出して必ずその線は確保する、こういうことでなければ進みませんよ。だから、私は農林大臣に聞いておるのです。あなたが一番確実だから聞くわけですから、それだけは保証いたします、足らざるところは補完をいたします、こういうことでなければ進みませんよ。いままでの稲作よりもずっと落ちますよ、しかし、いつかは追いつきます。こういうようなことで協力せいと言ったって、だれが協力できますか。保証いたしますと、こういうことが明言できますか。
  114. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 私と堀川君が申し上げていることは少しも違いはございません。(野坂委員「それじゃ条件が悪くなるわけですか」と呼ぶ)悪くありません。先ほど来申し上げるように、麦だとか大豆だとか、そういう主要作物、それの価格を一挙に米価と同じようにするということは事実上これは困難でございます。しかし、この価格の是正ということは努力をしておることでございまして、ことしも大豆、麦等につきまして所要の改善策を講じました。これは逐次改善をされていく。そこで、それが米価との間に収益性ということで問題になってまいりますから、それを補完するためにこの転作奨励金等を用いまして、そして稲作と転作をした場合の相対的な収益性というものを余り開きのないよう確保してまいるように努力をしておる、こういうことであります。
  115. 野坂浩賢

    ○野坂委員 納得できませんね。いまもお話しになったように、一遍にはならない、開きがあるということはわれわれも認めた。しかし、これは奨励金でここまで追いつくのだ。いま稲作を現実にやっておるのですからね、水田作業を。それを政府がどうしてもやめろ、これをつくれというから、それをつくる。それはいまよりも条件が悪くなりますよ、こういうことで協力せいといって農民に押しつけたことが、自分のものとして考えろというようなことでは、これはいかぬじゃないですか。いまよりもみな物価は上がるのですから、それ以上によくなるというものをやはりつくってやる、それが条件整備環境づくりじゃないですか。いまよりも悪くなりますがやむを得ません、これでは血も涙もないじゃないですか。だから私たちは、所要の措置というのは、同じことですよ、またより以上いいことなんです。労働時間がもっと前よりも、米よりも一時間も減ります、これならいいじゃありませんか、これが環境づくりと条件整備じゃないですか、違うのですか。いまよりも悪くなるというようなことで協力をするということは、いまの水田収益性より悪くなるということでは、農民の皆さんの協力を得ることはできません、こう言っているのです。
  116. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 私は、悪くなりますよと、こういうことは一つも申し上げておりません。収益性均衡を保つように政府としては奨励金その他で補完をして、そういう方向でやってまいりたいということを申し上げておるわけでございます。
  117. 野坂浩賢

    ○野坂委員 いや、私はわかります、方向とか努力というのはきわめてあいまいなんです。責任を持てますか。責任を持ちますと、こう答えてくだされば、頭の悪い私もよくわかりますから、そう言って答えてください。
  118. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 これはもう釈迦に説法でございますが、来年度予算の編成もございます。国会の御承認も得なければなりません、私はそういう方向努力をしておる、最善の努力をしておるということを申し上げておるのです。
  119. 野坂浩賢

    ○野坂委員 時間が参りましたから、これで終わりますけれども、午前中からの議論、私の議論も含めて、その考え方としてはわからぬでもありませんけれども農民にとってはきわめて厳しい問題であります。そして、それがいまよりも収益性が低くなるという危険性と可能性は増大をしておる。しかも、強権発動的に県から市町村へという圧力をかけてやるということでなしに、真に農民協力できる農政確立をわれわれはこれから議論をしてつくっていかなければならぬ。いま農協農民団体あるいは知事の要望等も、いま私が言ったようなことがたくさんある。きのうあなたが御出席になって、その場で要望意見書を出したいと考えたけれども出し得なかった、たくさんの問題があり過ぎる、こういうところから要望意見書というものは出なかったんじゃないですか。  この百七十万トン、約四十万ヘクタールというものについては、私は再検討して、真に農家の一人一人が協力をする、そういう体制づくり、条件環境づくりをして後に行うということが最も大切ではなかろうかと思う。余りにも問題があり過ぎます。だから、この原案については多くの人たち意見があるところでありますから、再検討されたらどうかということを提言を申し上げて、私の質問を終わります。
  120. 今井勇

    ○今井委員長代理 上原康助君。
  121. 上原康助

    上原委員 せっかく米作問題をめぐっていろいろ御審議をいただいているところですが、私もぜひお尋ねをしておきたい点がございまして時間を割いていただきました委員長初め各党の皆さんに敬意を申し上げておきたいと思います。  そこで、きょうはせっかくの時間を党の同僚委員の皆さんからちょうだいをして、三十分程度しかお尋ねできませんので、簡単に、明日中にも決定されようとしておりますサトウキビの生産価格の問題について、農林大臣並びに政府の御見解を率直に承ってみたいと思うのです。  午前中の日程が終わった段階で、わが党としても、今回のサトウキビの最低生産価格を決定するに当たってぜひ御検討をいただきたいということで五項目にわたって御要望を申し上げました。農林大臣から率直な御見解もございましたが、確かに最近の砂糖をめぐる国内、国際情勢というのは、豪州糖の取り扱い指摘するまでもなく大変厳しい環境にあることは改めて申し上げるまでもございませんが、しかし何と言ったって政府みずからが一応の方針を持っておる国内産の甘味資源の自給率向上ということを考えた場合に、沖繩、奄美のサトウキビ価格生産というものは見過ごすわけにはいかない重要な課題であることは申し上げるまでもありません。  そこで、今回のキビ価格を決めるに当たって政府はどういうお考えで決定されようとしているのか。せんだっててん菜糖の最低生産価格がすでに決定を見ているわけですが、これと関連させて考えますと、農民や県当局あるいは関係団体の強い要求であるトン当たり三万四千円以上の価格というものはなかなかその線に近づけ得ないどころか、またまた大幅に切り詰められていくのではないかという懸念、不安を率直に言って持っております。そういう点を含めて、明日中にも決定されようとするこの価格についてどのようなお立場で決定をしていかれようとするのか。二万四千円の要求に対して一体政府はどういう受けとめ方をしておられるか、その点について御見解を賜りたいと思います。
  122. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 サトウキビは、てん菜とともに重要な甘味資源でございます。現在、日本の経常的な需給関係から見ますと、大体二〇%程度のものを国産糖で賄っておる。私どもは、今後とも必要な作物はその自給力を向上させる、こういう基本的な政策に基づいて、このサトウキビの問題についても取り組んでおるわけでございます。しかも、このサトウキビは、沖繩並びに鹿児島県の奄美大島等におきましては、気候風土の関係、ああいう海洋性亜熱帯性の気候風土であり、また台風その他の被害もしばしばある。また、沖繩のような土壌の中で、やはりサトウキビというものは基幹的な重要な作物である、こういう認識を持っておりますから、沖繩県の農業振興のためには、このサトウキビの生産性を高める、また農民方々の所得もこれを向上させていかなければならない。このように考えております。  そういうような考え方でこの価格の問題につきましても取り組んでおるわけでありますが、同じ甘味資源というようなこと等からいたしまして、従来からもてん菜糖と同じような考え方で価格を逐次改善してきておるところでございます。私は今年度の分につきましても、基本的にはそういう考えによって価格を決定いたしたい、こう思っております。
  123. 上原康助

    上原委員 私たちは、先ほど少し指摘いたしましたように、十月七日にいま大臣がお述べになりましたてん菜糖の価格が決定を見たわけですね。御案内のように、多くは申し上げませんが、農家手取りでトン当たり一万八千百二十円、これから推していまの御答弁と関連させて考えますと、大体一万八千百二十円前後の価格にしかなりませんよというお答えを暗にされたことにならぬとも限らぬわけですね。確かに甘味資源ということ、あるいはビートをおつくりになっている農民の立場、あるいはサトウキビをつくっている農家の立場などを考えますと、行政の公平性という面からしますと、価格決定に当たってつり合いをとるということは一つのルールと言えるかもしれません。しかしながら、北海道のビートの値段と沖繩、奄美のサトウキビ価格と同一次元で考えているところにそもそも問題があるというふうに正直申し上げて私は指摘をせざるを得ないわけです。  そこで、一体政府は、沖繩県の農業諸収益に占めるサトウキビの割合というものはどのように見ておられるのか、簡単でいいですから、そういう点をお聞かせいただきたいと思います。
  124. 安達弘男

    ○安達説明員 沖繩県の農家の所持の三割が畜産、三割がサトウキビ、大体そういう状況になっております。
  125. 上原康助

    上原委員 それは若干違うのですね。おおよそ言うとそういうことかもしれませんが、四十八年が三八・三%、四十九年が四一・六%、五十年は四三・七%と、農家収益に占めるサトウキビの比率というものは年々高まってきているのですね。したがって、いかにサトウキビに依存をしなければ農家経営が成り立たないかということをこの数字は物語っていると私は思うのですね。もちろん私はビートの価格はどうでもいいとか、あるいは関連がないとは言いませんが、北海道の場合ですと、ここに島田先生もいらっしゃいますけれども、輪作体系がきくわけですね。ビートでなければほかの作目を選択するということができる。しかし、沖繩の場合はサトウキビしかつくれない、奄美の場合もしかりです。ここいらの点を、価格の面を含めてどうお考えになるかということをよく検討していただかなければならないということ。  いま一点は、生産性向上ということを絶えず強調なさるわけですが、基盤整備の面においても、北海道のビート生産と沖繩のサトウキビ生産との間では三十年近い格差が現にあるということですね。ここいらの点についてはどういうふうにお考えなのですか。整合性をとるというだけで解決できない大きな問題が、この二つの価格を決めるに出たって考慮に入れなければいかない要素があると私は思うのですが、この点についてはどのようにお考えなのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  126. 安達弘男

    ○安達説明員 便宜、私から御説明申し上げさせていただきます。  先生おっしゃいますのは、基盤整備その他の施策のおくれと価格関係であろうかと存じますが、復帰後急速に農業基盤整備等も進めてまいっておりまして、土地改良長期計画の想定する期間に格差が是正されるというテンポで、近年は私どもの出先及び県等の行政部局の能力目いっぱいの予算措置を講じてございます。その効果も復帰後五年にして目覚ましく上がってきておりまして、そういった点で、直ちにその格差と価格を結びつけて議論するのが妥当かどうか、現段階では若干の問題があろうか、このように存じます。
  127. 上原康助

    上原委員 あなた、そんなただ抽象的なことだけ言っちゃいけませんよ。私が申し上げているのは、先ほど大臣は、北海道のビート、てん菜の価格決定を考慮した方向で決定をしていきたい、基本的にはそういうお考えだというわけです。それも一つの理屈かもしらぬけれども、長い間の基盤整備なりいろいろな条件の違うサトウキビとてん菜の価格決定を同一次元で考えることは筋が通らぬじゃないか、これに対してどう思うかと申し上げているのであって、その点についてお答えください。
  128. 杉山克己

    ○杉山政府委員 価格はそれ自身の持つ備品的な価値、それから生産費、さらには取り巻く物価その他の諸条件、そういったものを総合的に勘案する必要があろうかと思います。ただ、キビにいたしましてもビートにいたしましても、その価格はパリティによって算定するということを基本といたしております。ですから、直接価格の金額そのものの上に、いま仰せられたような基本的な条件、地理的な差でありますとか生産性の差でありますとか、それを直ちに価格の上の配慮として金額でもって表示するということは、これは技術的にもできない話ではないかと思います。ただ基本的に、従来、奨励金扱いでありますとか、それから全体的な関連する生産対策、そのほかの措置におきまして、価格決定の際にもそれらを配慮した措置をとってまいってきておるところでございます。
  129. 上原康助

    上原委員 それじゃ、そういうお考えもあるかと思うのですが、現に沖繩総合事務局の農水部が昭和五十一年産サトウキビ生産費というものを出していますね。これは例年のことなんですが、皆さんが、五十一年産ですよ、今度の五十二年のことじゃないですよ、去年の段階で一トン当たりの生産費は一万九千三十円という資料を出していますね。これはどうなんですか。去年の段階で一万九千三十円かかるのを、昨年の決定額は、御案内のように、奨励金を含めても一万七千百円にしか決定していませんでしたね。すでに二千円以上の差が出ているわけですよ。例年こういう調子なんですね。この矛盾は一体皆さんどういうふうに説明なさるのですか。
  130. 杉山克己

    ○杉山政府委員 個々の年、個々の地域をとってみれば、原生産費が決まった価格を上回るということは確かにございます。ただ、生産費を完全にカバーするという形でいまの価格が決定されるわけではございません。先ほども申し上げましたように、基準年に基づきますパリティの指数、これによりまして価格を算定するというルールになっておるわけでございます。もちろん生産費を配慮するというようなことで、従来その生産費について各般の形で配慮してまいって加算等を行ったことがございますが、近年におきましてはパリティを基本とする考え方が定着してまいりまして、むしろ生産事情その他もろもろの環境的な問題につきましては、生産性を高めて生産費そのものをもう少しコストダウンするような方向で対処すべきじゃないか。特に沖繩の生産費の内容を見ますと、労働時間、なかんずく収穫労働における時間が非常に長時間かかっておりまして、ビート等に比べてこれがなかなか短縮できないという事情がございます。むしろそういった面で対策を考えていくべきだというふうに、生産性向上ということを重点に考えておるわけでございます。
  131. 上原康助

    上原委員 それは何といいますか、農業理論、価格理論から言うと、あなたのおっしゃるようなことも、これは言うお立場にあるので、わからぬわけではありませんが、しかし農民の皆さんからすると、政府の決めた価格というものは、昨年は奨励金を入れても一万七千百円だった。しかし、政府が、サトウキビ一トンをつくるには家族労働費はこれこれで、これだけの経費がかかるんだということを、年々、一年おくれのをみずかち出しておられるわけですね。何でそんなに格差が生じるのか、これは素朴な疑問として農民方々は持ちますよ。だから、私たちはパリティではいけないんで、生所方式をとれということをこれまで一貫して主張してきたんだが、これも全く顧みられない状況でしょう。そこに政府自体のやっておられることにも大きな矛盾があるということは、まあお認めになることはメンツの問題はあるかもしれませんが、現にそういった矛盾点が、皆さんが価格問題を決定するに当たって、生産費の問題を含めて出ているということは、これは事実関係ですからわかりますね。お認めになりますね。
  132. 杉山克己

    ○杉山政府委員 年によっても異なりますが、確かに昨年の数字では生産費が決定価格を上回っておったという事実は、そのとおりでございます。
  133. 上原康助

    上原委員 それは例年そういうことですね。  そこで、基盤整備の問題をよくおっしゃるわけですが、確かに四十九年以降、主に五十年以降ですが、五十年から大体五十一年、今年度と、この基盤整備費というのも増額されてきていることは私も評価はいたしますが、しかし実際問題として、沖繩振興開発計画計画目標で基盤整備計画というのが立てられているわけですが、一体これは目標年次において達成可能なのですか。よく基盤整備を積極的にやっているという言葉で皆さんは非常に宣伝をしておるわけですが、圃場整備にしても、二万二千三百ヘクタールを目標にして、土地改良をしなければいけない面積は四万四千五百十ヘクタールもあるのですね。完全にやったにしても十年で五四%しか達成できない。しかも、大臣、これはよく御理解いただきたいのですが、現在のテンポでいきますと、いかに力を入れておるといっても、この目標年次には達成できないというふうに私たちは見ているわけです。テンポはきわめて遅い。したがって、基盤整備を本当にやるというお考えがあるならば、予算も単年度方式ではなくして年次的にやるとか、あるいは補助率の問題にしても国庫補助で全額やるとか、こういった多角的な多様な方針をやらない限り基盤整備というものは絶対できない。生産性向上といったってそう簡単にいく問題ではないと思うのです。こういう点についてはもっと予算面の措置と、さらに、いまの基盤整備事業推進に当たってはテンポを早めていく。それはもちろん県や市町村との関係もあるでしょうが、そういう具体的な手を打たない限り、私は問題解決につながらないと思うのですね。この点についてはいま少し前向きの御検討をしていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  134. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 上原さん御指摘のように、沖繩県が復帰いたしましてから、内地と比べましておくれてスタートをしておるわけでございます。そういうような関係もございますので、農林省としては、とにかくできるだけテンポを早くして進めなければいけない、そういうようなことで、土地改良事業、基盤整備事業等の予算の配分に当たりましては、傾斜配分をする、そういうことで今後とも沖繩県の基盤整備事業が一層促進されますように努力をいたします。
  135. 上原康助

    上原委員 それともう一点、よくビートとの関係でいろいろ論じられるわけですが、たとえば生産振興対策事業費というのがございますね。これなどは北海道へ行ってごらんになれば、北海道と沖繩農業を比較すること自体というか、これは全く比較の対象にならないと思うのですね、あれだけ大規模な機械化農業ができる地域と、わずかな面積で細々とやっている沖繩農業の後進性というものを比較すること自体ですね。しかし、それでも生産対策費においては、先ほどいろいろ沖繩のサトウキビは金がかかり過ぎるということなどもおっしゃっておりましたが、どうなんですか、これは。五十年の振興対策費は、サトウキビの方が四億七千万円ちょっと余りますね。ビートは八億一千五百万円。五十一年は継続費がなかったということで大体均衡して、キビが十億一千万で、ビートの方は十一億九千万。五十二年度のごときは、振興対策費は、沖繩の場合は十六億四千万、ビートの場合は三十億七千万ですね。基盤整備が非常に行き届いており、機械化されている中で、金がかかり過ぎるという振興対策費においては、実際問題としてはるかにビートの方にウエートを置いているのですね。これは数字の上で明らかにされていることですから、われわれとしてはこういう矛盾点も、サトウキビの生産性が上がる、あるいは対策が振興できるということにもう少しウエートを置くべき予算措置のあり方として問題指摘をしておきたいし、同時に、農、家戸数にしても、生産面積は確かにビートの方が多いけれども農家数からすると奄美、沖繩の方がビート生産農家よりもはるかに多いのですね。こういう点などもぜひ再検討をしていただきたいと思うのですが、今後御検討をいただけますね。
  136. 杉山克己

    ○杉山政府委員 本年も、明日、価格決定に関して先生指摘のような問題点がいろいろ議論されると思います。ビートとのバランス等も考え条件の差等も考え、そういった基本的な問題等も含めて私どもは対処いたしたいと考えております。
  137. 上原康助

    上原委員 そこで、もう時間がありませんので、できれば一時間ぐらいおかりしてもう少しいろいろな点をお尋ねしておきたかったのですが、やむを得ませんので、あと一点。  生産合理化緊急対策事業費というのが昨年からでしたか計上されて、一応五十四年度まで十億程度のことだったかと思うのですが、これをメニュー方式にせずにもっと弾力性を持たすべきでないかということと、さらにいま一つ、含みつ糖対策ですね。粉状化の問題なども出ておるわけですが、含みつ糖の問題は、離島振興という意味からも、分みつ糖のように法的にもっと保護するということもございますが、粉状化については、税制問題を含めて積極的に対処していただきたいと私は思うし、この点はどうお考えなのか。さらに、今度のこの特例法の件とも関連するのですが、沖繩の企業をある程度健全化をしていく意味においても、臨糖費の問題、含みつ糖に対しての助成金というものは継続をすべきだと思うのですね。こういうことについては今後もより充実した形でやっていくべきだと思いますので、この三点について御見解を聞かしていただきたいと思います。
  138. 堀川春彦

    堀川政府委員 第一点のお尋ねでございますが、これは生産合理化を緊急に進めるという趣旨から始まったものでございまして、一応三年計画ということにしておりますが、いずれにいたしましても、初年度と違いまして、全く農家の運転資金的なものをやるということは、これは生産対策としてもいかがであるかということから、土壌改良資材でありますとか機械施設等、一定のこれは妥当と思われるものにメニューをしておるわけでございます。  それで、そういうこととはまた別に、生産性向上を図るような営農的な施策、こういうものを別途考え実施もしており、また、これを拡充したいというふうに考えておりますので、その方向で対処したいと思っております。
  139. 杉山克己

    ○杉山政府委員 含みつ糖一般の振興策と粉状糖の御質問でございますが、含みつ糖につきましては、これは菓子等特殊な用途を持っておりまして、さらに今後の品質の向上、販路の開拓によって相当程度需要が見込まれると思います。今日まで含みつ糖に対しての助成を継続いたしておりますが、これは臨時措置ということで始められたものではありましょうが、私ども、現在の状況からして、当面これはなお存続させる必要があるというふうに考えております。  それから粉状糖、これは技術的に見て新しい、むしろ品質その他の面でもって推奨し得る性格のものであると考えております。免税の問題についても、私どもとしては、一般の含みつ糖と同様に、現在の格差をなくすよう大蔵省に対して折衝いたしているところでございます。
  140. 上原康助

    上原委員 時間ですから、これで終えますが、最後に大臣の方に、価格の決定に当たって、よく言われておることではありますけれども、沖繩の今後の経済振興あるいは県民生活ということを考えた場合に、やはり第一次産業というものは相当力を入れなければいけないと私は思うのですね。その中でも基幹作目産業であるこのサトウキビの価格というもの、あるいは今後の保護育成、生産性向上ということについては政府が蛮勇をふるっていただかないとなかなか成り立たないと私は思うんですね。その意味農民関係団体の期待を裏切らないように価格を決めていただきたい。また今後、いまちょっと申し上げたような諸点についても積極的に振興策をとっていただくという決意をお伺いして、質問を終えたいと思うのです。
  141. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 先ほども申し上げましたように、沖繩におけるサトウキビ、これは沖繩農業の最も重要な基幹的作物であります。したがいまして、価格の面におきましても算定方式というものがございますけれども、そのルールに沿いながら再生産が確保されるように、また価格だけでなしに生産対策、基盤整備その他の施策につきましても、先ほど来申し上げるように、これは沖繩にとって大事な問題でございますから最善の配慮をしてまいりたい、こう考えております。
  142. 今井勇

    ○今井委員長代理 武田一夫君。
  143. 武田一夫

    ○武田委員 私は、いま政府計画されようとしております米需給均衡対策、この問題につきまして若干の質問をいたしたいと思います。  いま、東北、北海道等収穫期の真っ盛りでございます。実りの秋でございますから張り切って仕事をやる、そういう状況が見られていいわけでございますが、働く皆さん方の動作の中にどうも生気が感じられない、非常に元気のない様子、仕事に身が入らないという様子を、あちこち歩きまして感ずるわけでございます。それもむべなるかな、ことしは御承知のとおり低い生産米価に抑えられたという中にあって、またぞろ来年は米が余っているということで生産調整があるんだということが農家の皆さん方の耳にも入っております。ことしは豊作だ、天災はなかったけれども人災はまたやってきたというような深刻な状況でございますが、いま計画されております百七十万トン、四十万ヘクタールという膨大なる生産調整というのを考えてみますと、これは福島県四つぐらいの大きな、膨大な量になるわけでございまして、こうした生産調整に対しまして、先ほど来いろいろお話を聞いておりますが、政府はあえて実行する決意に立っておるようでございます。であるならば、その決意を裏づけるその見通し、その点につきましてまず大臣からお伺いしたいわけでございます。     〔今井委員長代理退席、委員長着席〕
  144. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 私も米どころの東北の出身でございまして、武田さんは隣県の宮城県、この米がわが国の風土に合った基幹作物である、食糧の中でも中心的な作物である、このように考えておりまして、これは需給関係をにらみ合わせながら絶対に守っていかなければならない農業である、このような認識においては全く同じでございます。ただ、一方におきまして、御承知のように、米の需給均衡というのは大きく崩れてきておるわけでございます。この米の需給均衡を速やかに回復するということが、食管制度の健全な運営の面からいたしましても、また国民の中から食管制度は廃止すべきだなどというような世論が出てこないように、農林省農民方々農業団体も一緒になって、食管制度堅持に向かってあらゆる努力をしていかなければならない、このように考えております。  また、一方において米はこのように過剰基調でございますけれども、その他の麦、大豆飼料作物等々、国民の側から見てぜひたくさんつくってほしい、生産力を向上してほしい、こういう主要作物生産が現在停滞しておって、自給力は四%ないし五%、こういう状況であります。  そこで、総合的な食糧の自給力の向上を図るという観点からいたしましても、どうしてもこの際、私ども長年にわたって農民の皆さんの協力を得て水田総合利用対策等を進めてまいりましたが、現在置かれておるような米をめぐる諸情勢から勘案しまして、食糧情勢からもこれを見まして、一歩を進めて水田利用再編対策というものをやる必要がある。端的に申し上げますと、日本農業構造食糧政策のこれは根幹にも触れるわけでありますが、構造的な改革を進める必要がある、このように私は考えております。  このことは大変な大事業でございまして、役所だけでできる問題ではございません。どうしても農民方々農業団体あるいは全国の都道府県、市町村等の御理解と御協力を得なければ達成できないことでございますから、先般来数次にわたりまして会合を持って、その辺の御意見の交換もいたしておりますが、幸いにして、やはり大局的に見て、いま日本農業というのは重大な転換期に立っておる、これをやらなければならないという御理解が深まってきておるわけでございます。  そういうようなことでございますが、さてそこで、これを実行してまいりますためには、何と言ってもその転作ができるような条件並びに環境整備することが必要でございます。そういうような観点から、米価とその他の主要作物価格の是正、相対価格の是正ということにつきましても、今年度の麦あるいは大豆等の価格につきましてもそういう観点で実施したところでございます。なお、一挙に米価と同じようにはなかなかまいりませんから、その間におきましては転作奨励金その他を水準を高めて、そして稲作農業転作農業との間の所得においてこれが均衡化が保持されるような方向で私ども努力をしておる、こういうことを申し上げておきたいと思います。
  145. 武田一夫

    ○武田委員 大臣からは先ほど、この事業を行うためには多くの農家の皆さんたち協力が必要であるという言葉がたびたび出てまいりました。となれば、協力をいただくだけのいろいろな要素というものがどうしても欠かせない重大なかぎだと私は思うわけでございます。農家方々がどういうようにこの事態を見ているか、ちょっと私が聞いてきた二、三の声を聞いていただきたいと思うのでございます。  ある方は、この措置というのは真綿で首を絞められる思いだ、政府方針どおり一〇〇%協力してきたのにまた減反とは何事だと、こういう声でございます。また、政府はことしは十月には三百四十万トン、来年の十月には四百十万トンと余り米が出ると言っておるけれども、私たち農家責任ではないのだ、政府の見通しの甘さ、さらに総合農政の失敗というのを私たちに転嫁させることによって、すなわちこのような生産調整というものを行おうとしているのではないか、そんなとばっちりを受けるのは御免だ、そういう声もございます。また、われわれはもう転作すべきはほとんど転作して何もない、それでもせよと言うのか、しかもペナルティー、罰則のようなものまであるというけれども、それではわれわれ農村の者は死ねと言われるのも同然だ、そのような声がたくさんあるわけでございます。  四十五年からスタートいたしました減反に国は一兆円という国費を使いました。しかるに、それによっても、こうしたいろいろな不平不満が出てくるような、根本的な解決が図れなかったというのは、私は、これは政府責任として、その責任の反省の中に、重大な決意を持って臨まなければならないと思うわけでございます。農家方々が言うのも当然だと私は思います。たとえば、昭和四十六年目標に対してはもう九八%、四十七年には一〇八%、四十八年一一二、四十九は九八、五十は一〇〇%ちょっと超しています。五十一年、この年はちょっと少なかったのですが、九一、ことしも九九というふうに、いずれにいたしましても、この目標というものが一生懸命の努力によってこのようになってきているわけでございます。こうした農家の精いっぱいの努力に対して、このような生産調整によって報いようとするというところに、また農家の皆さん方はがまんのならない思いが心中固まっているのではないか。私は、米が過剰だというそこには何かからくりがあるのではないかという農村の皆さん方の声、そして、こうした問題がいつもわれわれに覆いかぶさってくるという不平不満、そして不信というものをすっきりと取り除いてやることが政府のなすべき第一点の仕事ではないか、こう思うわけでございますが、その点につきまして農家の皆さん方が納得のいくような答弁を重ねてお伺いをしたいわけでございます。
  146. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 これは武田さんからいま御披露がありましたような農民諸君の声、またその心情、私も非常によくわかるわけでございます。しかし、いずれにしてもこの米の需給均衡化を図る、これはどうしてもやはりしなければなりませんし、必要とするところの主要な作物の方に生産を向けていって、そして、その方面の自給力も向上させなければいけない、そして総合的な食糧の確保を図っていく、これは私はどうしても日本農業のあるべき姿としてやらなければならない課題だ、こう思っております。  ですから、個々の農民の皆さんにとりましては、確かに現状に安住してやっておるんだからそれを変えたくない、これはよく私はわかるわけでありますが、しかし、そういうことを今後も続けていくことができないような条件状況にありますことは、武田さんよく御存じのところでございます。そういう点を私は知事会あるいは農業団体、いろんな方面と話し合いをいたしまして、御理解と御協力をいただいておる、こういうことでございます。そのかわり、政府としても、それだけ農民方々に現状を大きく変更して新たなる麦とか大豆とかいうものの耕作に今度は転換をしていただくわけでありますから、そういう転換のために必要なところの条件環境整備、これはやはり政府として責任を持って進めなければならない、このように考えておりまして、その点につきましては全力を傾倒してまいる考えでございます。
  147. 武田一夫

    ○武田委員 いままでのとってきた政策というか施策というのが、いろいろのところで失敗といいますか、破綻といいますか、そういうものを見せつけて、何度かこうした問題が、そのたびごとに農家方々を悩ましてきたわけでございます。いま大臣がいろいろと申されましたが、本当に今後十年あるいは二十年、そして百年という日本農業考えたときに、私はいままでのそうした失敗、見通しの甘さといいますか、そういうものの反省を本当に生かした、そして農家方々が心から協力をしていただけるような体制の中でこの大事業推進していかなければならない、こう思うわけでございます。  私はそういう観点から、恐らくこうした大きな事業計画でございますから、この施策の骨子案の中にも、十年の事業として云々と、こういうふうに書いておりますが、こうした大事業を行う以上は、今後のその事業計画といいますか、その過程におけるしかとした考え、見通し、あるいはまた展望というものはお持ちであろうと思うわけでございますが、果たして三年後、この事業協力していったらどうなるのかという農家の不安と期待、十年後に果たしてどうなるのか、われわれの生活はどうなるのか、農業はどうなるのか、また果たして米の過剰基調というのはいつの日になくなり、自給率の万全の体制というのはいつどの時点であるのか等々の、そうした青写真といいますか、そういうものをはっきりと国民の、そして農家の皆さん方の前に提示をしながら、説得ある仕事を進めていかなければならないと思うわけでございますが、その点の展望といいますか見通し、そういうものにつきまして、簡潔に要点をとらえて説明をしていただきたいと思うわけでございます。
  148. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 今回の対策は、骨子にも書いておりますように、おおむね十カ年間の対策として実施をしてまいりたいと思っているわけでございます。そこで、私どもといたしましては、五十年の五月に、農業生産長期目標長期見通しを掲げております。これは閣議決定までしたものでございますので、現在この長期目標を現段階で見まして、特に目標といたしまして適当でないというような点はないように思います。したがいまして、当面はこの六十年見通しに沿って農業生産の再編成をしていくという中で、水田利用再編対策を進めていく、かような考え方をしておるわけでございます。  したがいまして、第一期三年間は百七十万トンの調整をするということを目標にいたしておりますが、三年たった場合どのようになるかという点についてのお尋ねでございますけれども、私どもといたしましては、六十年見通しでは、米の生産はおおむね千二百十万トンを見通しております。これは現段階で見通しましても、そう大きく直すべき必要はないというように考えておりますので、この目標に向かっておおむね十カ年間進めるといたしますと、百七十万トンの調整は、その後農用地の壊廃等が考えられますので、これまでの傾向がおおむね続くというように考えますと、三年たったところで、確たることは申し上げられませんけれども、百七十万トンの調整量というのはある程度減らし得るのではないかという期待を持っておりますけれども実施状況を見まして、三年たったところで改めて次の期の、まあ三カ年になると思いますが、調整目標数量を決定していくということを段階的に実施いたしまして、六十年見通しの方に持っていきたいというふうに考えております。
  149. 武田一夫

    ○武田委員 いま話を聞きますと、これが一つの目安だということでございます。とすれば、かなり問題があるということだと思うのです。というのは、まずこれには需要生産長期見通しはありますけれども、やはりそれとあわせて農家の経済というか、要するに農家方々がこういうものを通して安心して仕事に励める、農業ができるというものがどうしても必要じゃないか。ただ、こういう需給関係とか生産の云々だけではこれはどうしようもない。  それからまた、これを見てみますと、自給率の問題などでも、穀物の自給率は四十七年四二%が、六十年には三七%と減少、小麦の自給率など五%が九%と、思うように向上しない。裸麦の一八%が三六%等々。それからまた、米の消費量の減少が依然として続く。拡大拡大ということでいながら、これから七年間という中で、依然として四十七年の九十一・七キロが六十年には八十一・五キロというふうに減る。依然としてこの傾向は続くというようなことがあるとか、あるいはまた穀物の輸入が依然としてこれもふえていく等々の問題、二、三項を見ただけでも問題があるわけです。こういうものを基準にしてこれを進めていくとするならば、私は必ずや三年たたずしていろいろな破綻が出てくるのじゃないかという心配をしているのですが、その点に対してはどうですか。
  150. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 当面の米について申し上げますと、六十年見通しは、先ほど申しましたように、需給の規模が約千二百十万トンを見通しておるわけでございますが、最近の傾向を見ますと、このままで推移いたしますと、生産がそれ以上になる心配がある。逆に消費はそれ以下に減退をするというような心配がされるような需給の動向になっておるわけでございます。  したがいまして、われわれといたしましては、消費の拡大に従来以上に努力いたしますとともに、生産につきましては、これまでやってきておりましたのをさらに生産調整を強化いたしまして、来年度から十カ年計画で発足したい。それによりまして、六十年ころには五十年に作成いたしました見通しのような線に持っていきたい、こういうような考えで進めておるわけでございます。
  151. 武田一夫

    ○武田委員 いずれにしましても、いろいろと何やかやと説明があったようですが、こういう見れば見るほど心配になりそうな計画の中でこれが行われるとすれば、非常な問題である。それだけ大きな事業をそうせっかちに来年度から実現していくのだ、実行していくのだというような考えの前に、もっと綿密な検討、吟味をした上で、そして農家方々も、多くの国民がこれに合意できるような、その立場からこれを実現、実行に移してもいいのではないか。そういう点の配慮が依然として足りない。私は、これでは農家方々が、本当に日本農家が心配でならない。時間がありませんので、この点についてはどうか慎重にも慎重を期した中で十分な検討の上に私は進められるようにお願いするわけでございます。  次に移りますが、こうした問題が出てきた一つの原因として米の過剰というのがあるわけでございますが、この米の過剰というもの、余り米がこう出てきたということは、どこにその原因があるかということについて、簡単に要点だけ説明していただきたいと思います。
  152. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 米の過剰基調を再現しておることの基本的な原因といたしましては、やはり米の消費が停滞ないし減退をしてきておる。この点につきましては、御承知のように、でん粉質食料から動物性たん白質食料へと食生活の変化が依然として続いておるということが根本にございまして、米につきましての消費が、都市住民あるいは農家を含めまして減退をしておるということが一つ需要面の要因としてあるわけでございます。  さらに、生産面におきましては、土地改良なり品種改良、技術改良その他によりまして反収が非常に伸びておる、あるいはまた収益性におきましても他の作物と比べて有利性があるということのために、稲作志向が非常に強まってきておる。さらにまた、兼業化が進みますとともに、兼業農家がつくりやすい作物としてどうしても稲作を選ぶというような状況のために、生産が予想外に上がってきておる。また、ごく最近の短期的な要因といたしましては、私どもは四十六年以来生産調整を進めるに当たりまして開田抑制ということに努力をしてまいっておるわけでございます。補助なり融資等対象からはすでに外しておるわけでございますけれども、いわゆる自力開田というような形で開田が進んでおる。あるいはまた最近の経済情勢下で水田の壊廃がこれまでよりかなり少なくなっておる、転用が少なくなっておるというようなこと、われわれが見込みましたのと食い違いが生じておるということのために、これまでの調整数量が結果的に過小であったというようなことのために、今回かなり大幅にいかざるを得ない、こういう事情になったわけでございます。
  153. 武田一夫

    ○武田委員 私はそういう理由の前に、これは要するに農家方々にとっては価格の面で何としても米以外に頼るべきものがなかったという、そういう問題があるんじゃないか、こう思います。農家にとっては最も安定した収入という、その収入源でございますし、これがほかの作物と比較して何よりも魅力であった。ほかの作物が価格が安かったりあるいは不安定であるという要素、マイナス面があるということがそれを助長しているのじゃないか、私はこう思うわけであります。たとえば、小麦、大豆などと米を比較してみますと、ことしの例で見ても米が一万七千ちょっと、小麦が九千そこそこ、大豆が一万四千八百円、まあ一万五千円、ちょっと近づいていてもこれもまた値段が安い。ですから、一俵当たりにしますと、米と小麦で七千七百円以上も違うし、大豆とはやはり二千四百円近く違う。また、収穫の面においてはさらに大きな違いがある。片方の米は大体七、八俵が平均、それに対して小麦はせいぜい四、五俵とか大豆が二、三俵とかというふうになりますと、ここにまた格段の差がつく。大体五、六万から十二万ぐらいの収入の違いが出てくるというような、こうした問題、これがやはり大きく米過剰の原因となった理由だと私は思うわけです。  ですから、この十年間あるいは今後ずっと続くであろうと思われるこの事業を行う場合には、こうした一番の原因となっているところに何としても集中的に手をつけていかなければならない。すなわち、価格の安定という問題について、米と見合うだけの転作作物等については配慮がなければならない。また、そうしてほしいというのが農家の皆さん方の切なる願い、何年続いてきたかわからない、いつの日に政府はやってくれるのか、こういう思いを、この機会にはっきりと、間違いなく皆さん方の期待にこたえるようにやりますから、ひとつ御協力をいただきたいというような決意と、その決意の中に実行をしていただきたいと思うわけでございますが、大臣にこの点についてお伺いしたいと思います。
  154. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 いま武田さんお話しになりました点は、私も非常に大事な重点である、このように認識をいたしております。転作をお願いするにしても、その収益において格段の差がそこにあるということであれば、総論的にはわかっても実際の個々の農家としてはなかなかそうはいけない、これはもう御指摘のとおりでございます。私どもは麦、大豆につきましても、御承知のように、ことしはいままでの生産奨励金基本価格の中に繰り入れをし、そしてパリティ計算でもって価格改善を図った。従来から農業団体等は一万円麦価ということを要求されておったのでありますが、ことしの麦価はまさに一万円台に乗ったわけでございます。今後も生産奨励金基本価格の中に入れましたから、今後のパリティ計算によりましても年々これは改善をされていく、向上していくもの、このように見ております。  しかし、米価との間にはやはり依然として格差のあることは否めません。そこで、この格差が生じて、改善されるまでの間におきましては、それを転作奨励金等で補完をいたしまして、相対的な収益性においてはそう見劣りのない水準にこれを引き上げていく。また、収量の問題も大事であります。稲作につきましては相当品種改良等も進んでおりますが、これから麦、大豆等の品種改良、こういう点にも大いに力を入れていかなければならないと考えておりますし、また畑作物に対する共済制度、これも今度の通常国会に試験実施の経過を踏まえまして法案を提出をし、本格実施準備を完了いたしまして、そして五十四年度からこれを本格的に実施をする、こういう諸般の準備を進めておるところでございます。  私どもは、そういうような条件環境整備に全力を挙げてまいりたいと思っております。
  155. 武田一夫

    ○武田委員 これは新聞でちょっと見たのですが、いつまでも奨励金云々というようなものは農家にとってもありがたくないわけでございます。ですから、やはり本体が米と見合うような、そういうものであればという農家の期待をくすぐるかのような話が新聞に載っておりましたが、澤邊官房長が、将来は奨励金がなくても転作できるようにしたい、こういうふうに述べておるようでございますが、これの時期はいつごろと考えたらいいでしょうか。
  156. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 いま大臣からもお答えがありましたように、価格政策におきまして、米価転作作物価格との相対価格関係を是正していくということは一気にまいりませんけれども、毎年着実にやっていきたい、かように考えております。そのテンポいかんによって奨励金の額を減らし得る期間が決まってくるということになるわけでございます。価格政策相対価格関係がかなりの部分が是正されますれば、その段階におきましては、奨励金は暫定的な措置として考えておりますので、少なくて済むようになるわけでございますが、五年でとかあるいは七年でというような具体的なめどを現在つけておるわけではございません。
  157. 武田一夫

    ○武田委員 この問題はそのまま素通りできない問題でございますから、私はこの事業を始める肝心かなめの問題として、本当に温かい配慮をしてひとつ検討していただきたいということをお願いする次第でございます。  そこで、ちょっと聞いたのですが、どうも何か来年の米価を上げないようにしようというようなことをちらっと偉い人が言っているというのを農家の方から聞きましたが、これはどうなんでしょうか。農家でこの点心配しております。ちらっと聞いたというので、私もちらっと聞いてきたのですが。
  158. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 いまの時点で来年の米価をどうするかということは全く白紙の状態でございます。また、米価審議会におきましても、米価並びに米価を取り巻く諸問題につきましていま懇談会を持ちまして、いろいろ検討していただいておるところでございます。  私は、いずれにしても、食管法の命ずるところによりまして、これは農家の生活の安定そして再生産が確保できるように、これを旨として米価には対処してまいりたい、こう思っております。
  159. 武田一夫

    ○武田委員 農家方々が神経がぴりぴりしているときでございますから、不用意だと私思うのですが、そういう生産意欲を失わせるような、神経をとがらすようなことはひとつ慎重に対処していただきたい。これはこの点でとどめておきます。  次に移りますけれども生産者の皆さん方にいろいろと協力をお願いすると言ったとしても、肝心の消費拡大の面はどうなんだという問題もやはり大きな問題の一つでございます。幾らわれわれが生産調整をしたとしても、肝心の米を食べるあるいは使用するということが思うように進まないとなれば、それは一方的に生産者の方にその責任をかぶされてしまうということではやり切れない。政府はもっと消費拡大に励むべきである。しかしながら、見ているとどうもその様子が一向にない、こういうことをあっちこっちで聞くわけですし、私も現実に見ておるわけでありますが、そういう片手落ちのないような、言うなれば車の両輪とも言うべき消費拡大について私はお伺いしたいわけであります。  まず、先ほど何人かの方々もおっしゃっておりました学校給食の米飯導入の問題です。これは大都会ほど進んでいないというのが私の感触でございますが、その点につきましてこういう思うように進まない理由と、それをどのように推進しようとしていままで努力をしてきたか、私はこれは文部省の方にも言いたいわけですが、きょうは農林省サイドでの努力、その点についてお伺いしたいわけでございます。
  160. 大河原太一郎

    ○大河原政府委員 学校給食こそ長期にわたる米食の定着と拡大という点で最も大きいわけでございますので、本格実施ということで昨年からパン給食と並んで取り上げ、これを進めており、政府といたしましても政府米の値引き売却、そのほかの助成等を行っておるわけであります。この点は、学校給食は、先生おっしゃいましたように、まさに文部省の行政としておりますので、これに対する積極化というようなことでいろいろ配慮を願っておるわけでございますが、米飯給食の場合におきましては、御案内のとおり炊飯施設設備その他、それらの整備が必要でございます。この点については文部省関係相当努力をいたしまして、それらの関係予算を大幅に増額しておるというわけでございますが、われわれといたしましてもその点については一層の御努力を願うような要請を続けております。  また、われわれサイドの努力といたしましても、たとえば本年からは、一遍に自校炊飯が可能というわけにもまいりません。しかも、学校給食の普及は急ぐということから弁当持参の形を推進する。弁当持参の学校給食の体系を、そのための施設の助成というようなことも行いますし、またパン給食の場合において、中小のパン屋さんが学校給食パンを供給しておりますが、それらがパン焼きかまどの改造によって委託炊飯を受けるというようなかっこうの施設の助成もいたすというようなことで、それぞれの地域の実情によってネックになっておる問題について進めていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  161. 武田一夫

    ○武田委員 その弁当給食についてちょっと聞きますが、これは教育上非常にいいという方々が多うございます。御飯を炊く、そうすれば子供が弁当を持っていくということだけでなく、それと関連をして親も御飯を食べるようになるのではないかという波及効果は大きい。ところが、この点は文部省が物すごく反対だそうですか、ひとつその反対を押し切ってもこの実行というものが私は私なりに必要だと思います。その決意のほどをひとつ聞かしていただきたいのでございます。これはやっているある村の村長さんが言っておりましたが、御存じだと思うのでございます。これはどこでもそのとおりだと思う。いま子供との対話がなくなる、非常に殺伐とした中にはそういう、御飯を一緒に食うという、同じかまの飯云々ということがありますけれども、そういうことを考えたときに、米の消費拡大プラスアルファのものがかなり多くあるということを考えれば、いいものはどこの省であろうといいわけです。それを反対するなどということを平然としてほうっておくこと自体、私は農林省姿勢の弱さでないか、確信を持ってやるべきではないかと思うのですが、どうでしょうか。
  162. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 私も、弁当を持参にして、そして、その主食分の費用を副食物の方に回して副食物を充実をする、こういう学校給食のあり方には大賛成でございまして、すでに静岡県の豊岡村でございますか、これを実施をし、家庭の面からもまた子供さんたちからも非常に喜ばれておる。あそこの村長さんは米価審議会の委員もやっておられますが、周到な用意でアンケートを村民に出して、そして圧倒的な支持と理解のもとにこれを実施しておる、こういうことで非常に成果が上がっておりますので、こういうことを私は全国的に見習って普及をさしていきたい。  私はこの機会に申し上げておきますが、先ほど来武田さんおっしゃるように、米の需給均衡化を図るためには消費の拡大、そして生産調整、これは車の両輪だ、これは全くおっしゃるとおりでございます。そういうようなことでございますので、水田利用再編対策、これは日本農業構造を変えていく大事業でございますから、これを閣議で了解事項として政府全体でこれに取り組んでいく、その際に、米の消費拡大の問題も一緒に政府方針決定として推進をしてまいりたい、これによって私のこの消費拡大に対する積極的な姿勢というものを御理解賜りたい、こう思います。
  163. 武田一夫

    ○武田委員 それから、一般の消費の拡大につきまして、ある県などでは県知事さんのあれなのでしょうか、何か一日は食堂では米しか出さないようにしている、そういうところもあるんだそうでございますが、そういう姿勢というのは、いろいろ評価されるでしょうけれども、私は米の消費を拡大していこうという、そういう意欲のあらわれじゃないかと思うわけでありますが、国民全体にそうした米というもののよさを訴えて、米というものの一般の消費拡大を図るために何らかの国民的な運動というものをしていくべきじゃないか。たとえば、米という字は八十八と分析すると言われておりますが、八の日を米を食べる日とするとか米祭りにするとか、何かそういうようなことで、そのときに米というものに対するいままでの誤った考えを一掃させ、そして米というものはこういうすばらしい食べ物である。米は栄養の王様であると最近は新聞とかラジオあるいはテレビ等で言っているようでございますが、そうしたものを通して大々的に集中的にそういうものをPRしながら拡大に努めていくという方向がとられてもいいのではないかというふうに私は思いますが、この点につきましてどうお考えでございましょうか。
  164. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 私がただいま水田利用再編対策と同時に米の消費拡大問題を閣議の方針政府方針として確立をしたいと申し上げております趣旨は、政府が先頭に立って米の消費拡大運動を展開しよう、こういう気持ちでおりますので、そういうPRの問題その他も総理府等ともひとつ連携をとりまして政府全体として取り組んでまいりたい、このように思っております。
  165. 武田一夫

    ○武田委員 もう時間もありませんので、次に移りますが、この案の中に「農協等による水田の管理転作、地域ぐるみで計画的に行う転作等」云々という項がございますが、この農協等による水田管理の問題について二、三お聞きしたいと思うわけであります。  その前に、これは昭和五十一年度水田総合利用対策実績調査結果表、農林省の方で出している統計でございますが、都道府県別転作実態が出ております。ちょっと読んでみますと、これは食用作物と非食用作物とあるのですが、北海道が千百二十八ヘクタール、これが普通の転作です。集団転作は六千八百七十五、いま申し上げたのは食用作物ですが、非食用作物は普通転作が百八十三、集団が五十八。そこはいいのですが、その後に関東十県というのがございます。それで普通転作が千六百二十八、集団転作は八十ヘクタール、埼玉県ほか五県は集団転作はゼロ、非食用作物におきましても五県がゼロ、北陸は四県で食用作物の集団転作はゼロ等々、近畿、中国・四国、九州いずれにしても集団転作がゼロ、ゼロというふうに、この集団転作、地域ぐるみの計画というものが非常にむずかしいということを私はこの実態の中で感ずるわけでございますけれども、この集団転作、地域ぐるみ等の計画、あるいはまた農協等による管理云々という問題に対して政府はどのような見通しを持ってこれを実行に移そうとされているのか。時間がございませんので、簡単にお聞きしたいと思います。
  166. 堀川春彦

    堀川政府委員 いま私ども考えております水田利用再編対策の中における地域ぐるみの計画転作並びに農協等によります管理転作、これは新たな仕組みでございます。現在その細部につきまして詰めを行っておる段階でございます。農協等直接これに関係される方々ともいろいろと意見交換をしてまとめつつあるという段階でございまして、現段階でこの計画的な転作並びに農協管理転作、これは管理転作と仮称しておるわけでございますが、これがどの程度の規模に達するかということは断言はできないわけでございます。いずれにいたしましても、相当面積規模をカバーするということを期待いたしております。  集団転作との関係で対比してみますと、集団転作は確かに北海道というようなああいう広い地域で生産組織などが地縁的につくられやすいというようなところに転作一つのあり方として非常に普及をしておるといいますか、進んでおるわけでございますが、一方、内地におきましては条件がなかなかむずかしいものだから、そういう形のものが伸びないというようなこともございます。それらの点も十分念頭に置きまして、地域的に計画的な転作が定着するような方向で進むようにということを十分配慮してやってまいりたい。  いずれにしても、面積としては相当のものをそれぞれの形態について期待をするというふうに考えております。
  167. 武田一夫

    ○武田委員 時間が来ましたので、最後に一つ。  いろいろとこのほか問題がたくさんあるような計画だと私は思うわけでありますけれども、こうした計画実施するには、どうしてもそうしたいろんな問題というものをきちっと整理し、それの解決をめどにした実施でなければ、私は安易にこの計画というのがスタートするわけにはまいらない、こう思うわけでありますが、今後の日本農業の発展、そして生産者の皆さん方の将来ということを考えたときに、私はこの内容というものをさらに一層吟味、検討した上で、国民そして農家の皆さん方の合意を得られるような慎重な検討というのはさらになさるべきだと思うわけでありますが、具体的な手続としまして、この生産調整についての法制化を図るべきだという意見も私は聞いておりますが、そうした点につきまして大臣から最後に答弁をいただきまして、私の質問を終わりたいと思うわけであります。
  168. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 今度の水田利用再編対策、これを進めるに当たりまして法制化ということは考えておりません。ただ、これを進めてまいりますためには、どうしてもいま武田さん御指摘のように、十分この案というものを吟味をして、そして農業団体もまた各都道府県の知事さん方、町村長さん方も、いろいろ御要望、御意見がございます。先般来数次にわたって会合を持ちまして農林省の案を御説明をし、それに対していろいろの御意見、御要望等も伺っております。そういう御意見等十分検討、そしゃくをいたしまして、万金の準備のもとにこれを実施に移してまいりたい、このように考えております。
  169. 武田一夫

    ○武田委員 以上で終わります。
  170. 金子岩三

  171. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 米需給均衡化対策について、農林大臣に質問いたします。  農林大臣は、米需給均衡化対策を打ち出し、向こう十年間で水田利用の再編成を行うとともに、年間言七十万トン、四十万ヘクタールの生産調整を行い、農産物の総合的な自給力の向上を図るため、長期的視点に立って農業生産構造の確立を期するとしておりますが、本員は日本農業構造の大転換ともいうべき重大な問題としてこれを受けとめております。  農林大臣は、過去の農政の失敗、見通しの誤り等その責任を明らかにし、そして反省の上に立ってこの問題を提案したのか、その点をまず国民の前に見解を明らかにしていただきたい。私は、その反省なくして今回の計画は国民は納得できない、かような観点からひとつ大臣から篤と国民の前に明らかにしていただきたい、このことをまず最初に要求するものであります。
  172. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 米の需給均衡化を図る、この対策につきましては、昭和四十四、五、六年ごろ大変な過剰米が出ました段階におきましても、これに取り組んだ経緯がございます。しかし、この際には、休耕を含む緊急避難的なものとしてこれを実施をいたしました。私は今日、農政の大局的な面から考えて、緊急やむを得ない事態として容認をするものでありますけれども長期的なわが国の農政としてはこれは必ずしも適切でなかった。やはり一方において、食糧問題として必要な小麦であるとか大豆であるとか、そういうようないろいろな主要作物もあるわけであります。しかも、自給向上政策を進めてはおるが、それが十分進行してない、こういう点につきまして私は反省をいたしております。  そういう反省の上に立ちまして、今回、水田総合利用対策を一歩進めまして、そして生産性の高い水田というものの水田利用再編対策といたしまして、米の生産調整をいたしますと同時に、他の必要な作物の自給力を高める、そういう基本的な農政の方向でこれを進めてまいろうとするものであり、まさに御指摘のように、日本農業構造の根本的な改革につながるような大事業でございます。  私は、過去のやってまいりました政策、これはきわめて緊急な事態としてつくったやむを得ない措置でございますが、やはり日本農業の将来を考え、大局的な立場に立ち、その反省の上に立って、今回の水田利用再編対策を進めよう、こういうことでございますから、御理解を賜りたい。
  173. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 農林大臣は、反省と責任を十分感じているという御答弁でありますが、しからば冒頭単刀直入にお伺いしますけれども、今回の年間百七十万トン、四十万ヘクタールの生産調整に対して、それでは十年間やった後、十年後はどういうことになるのか。事実農林省が描いている、また国民が期待するバラ色の農政になるのかどうか、この点もこの際はっきりしておかないと、やはりスタートとゴールが大事ですから、その点をはっきりしてもらいたいと思う。見通しがあるのかないのか、これを国民の前にはっきりしてもらいたいのです。なぜ十年間というのを設定したのか、その辺もあわせて御答弁いただきたいのであります。  われわれが皮肉った言い方をしますと、これはわれわれの仲間でもいろいろ話しているんですけれども、現在のいわゆる農林省の担当職員、また大臣を含めて、十年後までおるかどうかわからないし、また役人も入れかえになる。十年間ぐらい計画しておけば、そのうちにはポストもかわる、責任はなくなるということで、従来、四十六年から五年間やって、そして五十一年から五十二年、今度は量から面積に切りかえてやってみた、これでもいかぬ。今度は思い切って十年というわけでもないでしょうけれども、果たしていまの職員がおるとも限りませんし、また、いまの公務員の出世の度合いからいけば、一カ所に長くおらないというのが現在の状況でありますから、われわれもまたその人事権に対しておれとも言えませんが、農民のためにはじっくりおってやってもらいたいのですけれども、そうもいきません。そういった面から、十年後は山となれ野となれというようなことでは困るわけです。そういった面で、十年後はどういうビジョンを、バラ色を目指して計画を立てられたか、その辺も篤と私は承っておかなければ承服できません。そうしないと、第一回の生産調整をまたぞろ繰り返し、十年後は同じことをやる、かようなことにもなることは、これはもう火を見るよりも明らかであります。  そこで、この問題について大臣から、中期、長期計画も策定するというようなこともおっしゃっておるわけです。すなわち、水田利用再編対策生産構造を変えるものである。これまでの転作は、将来のことを考えていない面があった。先ほども大臣は、いわゆる長期的には適切ではなかった、反省しているということをおっしゃった。そのとおりでありまして、今後は中、長期生産目標をつくる。官民一体で転作のための環境条件整備をしたい。そのための農林省施策を集中するというようなことでいろいろ決意を述べておられるようですが、それをあわせてひとつバラ色の農政ができるのかどうか、冒頭その御意見も、国民の前に明らかに見解を述べていただきたいと思います。
  174. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 今回の水田利用再編対策、これはまさに日本農業構造を変えていくという大事業でございます。  さきに政府は、六十年の見通しで、食糧の需要生産の見通し、これを策定をし、発表いたしたところでございます。今回の水田再編対策、これもこの需要生産長期見通し、この線に沿いまして、この六十年展望の国内の主要食糧の生産構造というものをそういう方向に向けていこう、こういうものでございまして、私どもは今回の措置というのは単年度で達成するものとは考えておりません。一遍転作をしてもすぐ逆戻りをするようなものであっては、これは意味のないことでございます。長期にわたってこの転作が定着をする、日本農業構造がそういう形で定着をしていく、成長していく、こういうことを考えておるわけでございます。そこへ到達するために一応三年ごとぐらいにその実施の跡を点検をし、そして足らざる面については施策をさらに強化をして、この十年間くらいでこの大事業が達成をし、定着をするようにと、こういう考えでおります。
  175. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 大臣も力強い答弁でありますけれども長期にわたって定着するようにとおっしゃる。確かに十年というと、十年一昔と言いますように、相当これは長い期間です。  さて私は、こんな大事な転換をにわかに考えたわけでもないでしょうし、いろいろ考えたあげく提案されたと思う。だけれども、こういった長期にわたる、しかもオーバーな言い方をすれば、過去の農地改革に匹敵するような、日本の将来の農政の方向づけをする重大な構造転換である、かように思う。してみると、単に二、三カ月ぐらいで、ちょこちょこと言えば言い過ぎかもしれないけれども、いわばちょこちょことやったような計画で、そして国民の前にこれを提案する。これほどの重大な問題であれば、一年なら一年間のいわゆる討議期間を設けて、そして本当に長期計画というものを立てるならば、農業団体を初め、農民はもちろんのこと、国会においてもいわゆる慎重な検討をしてやるべきではなかったか。それならば、去年からでもやるべきことではないか。それを臨時国会のこんなに押し迫った、しかも十一月の中旬にはいわゆる生産目標を下へおろす。知事もうろちょろする、こんなことで大変戸惑いますし、農民もぽかんとしてまだ何のことやらわからない、テレビやら新聞では先行してじゃんじゃん報道されるというようなことで、こういう大変な問題を、軽々にもということには当たらないかもしれないけれども、もう少し慎重にやるべきじゃなかったか。まさに二、三カ月の間にちょこちょことやってしまうというような感じがしてならぬのです。計画を出していろいろやっているのにいまさら水を差すようでありますけれども、もっと慎重な検討といわゆる事前討議がなされるべきじゃなかったか、かように思うのですが、その辺はどういうふうに反省をしておられるのか。そういったことは十分内部で検討して出されたと思うが、そういうようなことについてもはっきりとこの場で言っていただかないと、われわれは納得できない問題であります。
  176. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 この問題は、そう思いつきや短兵急にこの問題を取り上げておるのではございませんで、御承知のように、水田総合利用対策というものをおおむね水田利用再編対策と同じような方針の線に沿うて農林省はやってきたところでございます。そういう経験等も踏まえ、またさらに一歩を進めて、これをもっと本格的な問題として取り組まなければならない、こういうことで、前から農林省としては、いろいろ生産性の高い水田を利用し、そして総合的な食糧の自給力を向上する。これを考えてまいったところでございます。  私が就任をいたしまして、一方、海の方は二百海里時代の急速な到来、これでどうしても日本の漁業を再編成をせにゃいかぬという事態になりました。また、陸の方におきましても、こういう米の需給均衡を早く回復をし、あわせて総合的な食糧の自給力を向上させる、この二つが私に課せられた役割りであるというぐあいに私、使命感を持ってこれに取り組んでおるわけでございまして、幸いにして水田総合利用対策というそういう経験を踏まえて、農林省としても全部局の総力を結集してこの大事業をやろうとするものであって、ちょこちょことか、そういう軽率な考えでやっておるのではないということをはっきり御認識を賜りたい、こう思います。
  177. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 大臣の決意は一応承るとしまして、われわれはこういう十年間にわたるいわば長期計画、こういったものに対してもっと慎重さがあってほしい。そうしてまた、国会にもこれを提案して十分審議の時間を置いてもらいたい、こういうことを強く思うがゆえに申し上げたわけです。これが緊急避難的な施策であればまだしも、十年間というとかなり長い期間の計画であります。それならば、十年後はどういうようなバラ色にするか、どういうビジョンを持った農政を考えているのか、この辺が何らはっきりしないわけです。そういった面でまさに不安でもありますし、その辺が何となくはっきりしない。こういう重要な問題を短時間では審議できませんが、いろいろな点で聞いておく点もございますので、また十一月の二日にはさらにこの問題について再度当委員会で長時間かけて追及することになりますので、一応聞きおくことにしておきます。  そこで、生産調整百七十万トンについてでありますけれども、これは政府需給見通しの誤りであったわけです。いわゆる農民の批判の一番強い、また批判の矢が向けられておるのも、いわゆる過去のこの生産調整の誤り、失敗がそうであります。  ちなみに、先ほども若干申し上げましたが、四十六年が九八%、四十七年が一〇八%、四十八年は一一二%、四十九年が九八%、五十年が一〇〇%、そうして五十一年から数量から面積に変わったわけでございまして、五十一年が十九万五千ヘクタールの目標に対して十七万七千ヘクタールで九一%達成、五十二年が十九万五千ヘクタールで十九万三千ヘクタール、九九%の達成、こういうことになっておりますが、農民は一〇〇%のいわゆる協力をしてきた。ところが、農林省はこういったものを十分承知しながら、われわれは後でわかったことでありますけれども、五十二年度生産調整に当たっては、当初百三十万トンを考えておられたことは事実であります。それを昨年は、いろいろ政治情勢があったので、そういった政治情勢の風に吹きやられたかどうかわかりませんが、そういったことで九十万トンに目標を減らした。すなわち四十万トンを削ったわけです。こういったいわゆる経緯があるわけで、これは政府だけの責任とも言えない面もあるかもしれませんが、実に百三十万トンの生産調整を九十万トンにしたという、こういった政治情勢の問題をいまさら農民責任に嫁するということはけしからぬことであって、まさに政府の見通しの甘さというか、いわゆる見通しの誤りから来た失政である、こう思うのです。  大臣、その点は率直にお認めになりますか。
  178. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 この問題はいろいろ御議論のあるところでございますが、農林省といたしましては、生産の面、消費の面、両方から勘案をいたしまして、九十万トンの生産調整をお願いをしたわけでございます。  御承知のように、昨年は全国的に大変な冷害もあり、四十数万トンの減収にもなった。この天候、気象等の長期見通しその他もいろいろ調べてみたところでございますが、どうも冷害はとかく二年ぐらい続くというようなこと等もございます。そういう点も勘案をしまして、生産量については下限をとった、消費の面につきましてはこれを上限をとったというようなことがありまして、ことしは平年作を上回る作況指数も一〇四というような状況でございまして、確かに結果的にはいまもお話があったように、需給推算において、また、それに基づくところの生産調整量ということについて見通しが甘かったのではないか、誤算を来したのではないかと、こういう御叱正、私はそれをそのとおりと思いますが、いま申し上げたようなことで農林省としてはこの九十万トンの生産調整をやったと、こういうことを御理解を願いたいと思います。
  179. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 農林大臣は就任以来、二百海里の問題から農政の構造の大転換に当たる、こういった大変重要な問題と取り組んで鋭意やっておられる、それは私も十分敬意を表するわけですが、過去の農林大臣をここに引っ張ってきていろいろ追及するわけにいきませんので、大臣はやはり現職大臣として十分覚悟のほどを踏まえてやってもらいたい、検討してもらいたいわけです。  それで、大臣も長い間国会に籍を置いておられるので過去を思い出してもらいたいと思うが、これも農林省に対する大きな反省の一つとしてどうしてもこの席で言っておかなければならぬ問題であります。  端的に言うと、米以外の農産物に対する対策が、いままで本当にないと言ってもいいほどいわゆる貧弱であった。だから、この十年間やっても果たしてどれだけの期待が持てるかという不安から申し上げるわけです。  いわゆる昭和四十五年以降、総合農政が始まってまいりましたが、これに対する予算配分は、農林省予算をずっと見ますと四〇%を占めておりますね。その予算の内容構造等を見ましても、過去八年間ほとんどと言っていいほど変わっておりません。今後十年計画でこういった計画を進めると言うけれども、八年間やってできないものが十年間で果たしてできるかどうか、こういったことに農民は不安を持ち、われわれもまた疑問を持つわけです。  大臣も思い出していただきたいことは、米以外の農産物について、昭和四十四年ないし四十五年以降、時の西村農林大臣が総合農政を打ち出したときの背景というものがあるわけです。いわゆる当時、米が過剰でございました。このときの言い分は、米にはバイパスがある、しかし他の果樹、畜産には、でこぼこ道で車が入っていけない。なかなかうまいことを言ったなとその当時われわれも聞いておった。それでみんな米へいくんだ、総合農政はこれを改め、果樹、畜産のバイパスをつくるんだ、だから涙をのんでほしい、耐えてほしいということで、生産調整転作を推し進める。しかし、八年たったいま、私たちはこういった西村農林大臣のあの当時のことを思い出すときに、当時は一応はこれでなるほどとわれわれも納得したわけでありますけれども、今日振り返ってみるとどうでしょう。また同じことを政府は繰り返しております。今度は十年間、そのころいまの役人がおるかおらぬかわからぬ、とにかく十年間もやっておけば何とかなるであろうというような、そういうことでもないかもしれないが、そう言われても仕方がない。八年でできぬものがどうして十年でできるか、こういったことを農民は率直に指摘しておるし、われわれもまた農民の、国民の代表として言わざるを得ません。これに対しても当時を思い出し、率直に農林大臣からさらにひとつ国民の前に見解を明らかにしていただきたい、かように思います。
  180. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 水田総合利用対策、これは私は間違った政策ではなかった、こう思っておりますが、これを進めるに当たりまして、その裏づけをなす諸施策というものが、いろいろな経済情勢、財政情勢、そういうようなもの等の影響もこれあり、十分でなかったということは私どもも反省をいたしております。  今回の水田利用再編対策に当たりましては、いまの価格の問題、さらにそれを補完するための転作奨励金のかさ上げの問題、それから先ほど来私申し上げておるのでありますが、土地改良事業その他、とにかく農林省の全部局の施策をこの大目標の達成のために集中をいたしまして、これを達成をしてまいる、こういう決意でございます。
  181. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 そこで、時間も限りがあるので、どうしても聞いておきたいことがありますが、米の生産調整で昨日十月二十六日、農林大臣に対し、知事会において各県知事から意見が出されておるわけであります。今回の知事会は、米の生産調整でこういった知事会を開くということはいまだかってないことであろうかと思いますが、知事会では、今後の進め方では検討すべきことが多く、知事会として新たに意見書を出す、こういったことを何か知事会で決議していったようでありますが、各県知事から出されたいろいろな意見もあろうと思いますけれども、集約してその主なる内容について、大臣からこの席で率直にひとつかいつまんで御報告いただきたいと思います。
  182. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 昨日、私も当委員会のお許しを得まして時間をちょうだいして、午後二時から午後四時まで全国の知事さん方と率直な御意見の交換もやり、農林省としての御説明も申し上げたわけでございます。私自身も各ブロック代表の知事さん十二名と親しく御質問も受け、私の所見も申し述べたわけでございますが、この会議を通じまして、今回の米需給均衡化のための水田利用再編対策というのは、食管制度とのかかわりもある問題であるので、これはやむを得ない措置である、これはやらざるを得ないということは了解できる。ただ、これを実施してまいりますためには、いろいろの条件整備環境づくり、そういう問題について各県にもそれぞれの問題を抱えておる。そういう点は知事会として意見を集約をして、これを農林大臣のもとに提出をして、この知事会意見を十分くみ上げて、そして万全の構えでもってこの問題に取り組んでほしい、こういうのが集約された御意見のように思います。
  183. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 いま大臣がおっしゃったように、知事会で集約した話がありましたが、熊本、福岡、鹿児島の九州関係、また岡山、富山県等は、転作目標の公平な配分、地域の実情を重視しろということで強力な発言があったということをその後私たちも聞いておりますし、さらに北海道とか宮城、石川県は過重な配分を避けよということで強い声が出た。地域分担についても、米の主産地としての位置づけをせよ、こういった強力な意見であった、かように聞いておりますけれども、十二のブロックでいろいろ意見が聞かれたので、私はこういったところに重大な関心を持っているのですけれども、大体そういったわけでしたか。
  184. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 私が知事さん方の御意見自分でメモしながら御意見の交換をやってまいりましたが、これを取りまとめて幾つかに集約をいたしますと、この転作目標配分設定というものは公平にやってもらわなければ困る。また、この問題については、適地適産の地域分担という考え方もあわせて目標設定をすべきである、こういう御意見、つまり転作目標設定についての御意見がございます。それから、もう一つの問題は、米の消費拡大、需給均衡を図るためには米の消費拡大ということがやはり大事である、これを政府も積極的にやってほしい。それから、第三の問題は、この転作が円滑にできるような条件環境整備、それは麦、大豆等の戦略作物の価格の問題、それから、それを補完する転作奨励金の問題、土地改良事業その他の問題、そういう転作に必要な条件環境整備、さらに畑作物共済制度本格的実施、さらにまた、これは政府だけでできる問題ではない。関係団体、農業団体等に十分意見を徴し、それを組み入れて、そして、これをやるべきである、こういう御意見。また、北陸のブロックの知事さんあたりからは、やはり稲作について、いままでの量より質へという転換、これはおいしいお米をつくることが消費拡大にもなるし、また収量を多くするよりは上質のお米をつくった方がよろしい、こういう御意見。それから、地域農政推進対策事業、そういうものをさらに拡大強化をして、地域の盛り上がる協力を喚起すべきである、こういう御意見。それから、もう一つは、農業団体の管理転作、これが一つの大きな問題になるであろう。百七十万トンという転作をするわけであるから、この農業団体等の管理転作、これがどういうぐあいになるかということが、全体としての成果が上がるかどうかという一つのポイントでもある。こういう点を十分農業団体等に理解をしていただき、力を合わせてやる必要がある。  主な点、いろいろ集約をいたしますと、いま御披露申し上げたようなことでございます。
  185. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 細部にわたると時間がかかるので、一応概要をお聞きしましたが、各県の知事が言うということは、各県の農民の代表として意見が出たわけですから、尊重していただきたいと思う。  そこで、いまのことに対して鈴木農相は、農林省で現在固めている基本的なことを答弁されているようでありますが、これも全部言うことは時間がかかると思いますけれども長期的には地域分担を考慮するとか、配分はこういうふうにする、農協の管理転作は重視していく、この対策は非常に重要なことであるから閣議で決め、政府全体で取り組むというようなことをおっしゃっておるようですが、その点そういうことですか。どういうように結論を述べられたか、その点もこの席で明らかにしてもらいたい。
  186. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 いま瀬野さんからおっしゃったようなことを私お話を申し上げて、これは日本農業構造改善する画期的な事業であり、日本農業が今後健全に発展していくことは一にかかってこの問題が達成できるかどうかにかかっている。農林省としては全省庁を挙げてこの達成に立ち向かう決意でございますので、どうか知事さん方にも御協力を賜りたい、こういうことを申し上げた次第でございます。
  187. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 そこで、今回の米需給均衡化対策で、いまも出ましたけれども、時間も迫っておりますから簡潔に一、二点お聞きしておきますが、地域分担指標を作成することについては、今回は指標作成をするというふうにはっきり明示してありますけれども、これはいつまで、また、その構想はどういうふうなことなのか。この地域分担の指標の作成はまさに政府の怠慢であって、私はけしからぬと思う。県ごとにやるのかどうなのか、その点ひとつ時間もございませんから、簡潔にお答えを願いたい。
  188. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 現在、地域分担指標の作成について鋭意検討を急いでいるところでございますが、大体の考え方を申し上げますと、主要な九作物につきまして、六十年を見通しました長期見通しを各ブロックごとにブレイクダウンした指標をつくりたいということで急いでおります。個々の主要作物品目につきましてのそれぞれの特性、最近の生産動向、反収あるいは労働生産性、あるいは基盤整備状況等の生産事情、あるいは土地利用の現状等をそれぞれの指標を用いまして見通すわけでございますが、その際、都道府県でそれぞれおつくりになっております農業振興計画、これに類するものを皆ほとんどの県が持っておりますので、それらも十分参考にさせていただきまして、ブロックごとにつくりたいということで急いでおります。  その作成の目標の時期でございますが、これは来年度から行います水田転作目標の都道府県別配分を十一月中旬中に行いたいと思っておりますので、その前に、少なくとも同時に明らかにするということで検討を急いでおるところでございます。
  189. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 農林大臣、時間が迫ってきますので、たくさん通告しておきましたけれども、最後に二点だけお伺いしておきます。  食管の問題と今回の計画との関係ですね。御承知のように、四十六年当時と最近ではずいぶん様子が変わってきております。時間の関係で詳しくは申しませんが、農林省は今後三年間で売買逆ざやを解消する、こういうことは、必然的に食管制度がだんだんなし崩しになっていく。きつい言い方をすれば、食管は崩壊して間接統制に移行するというようなことも考えられる。生産米価を据え置きにしておいて食管堅持ということが言えるかどうか。食管堅持のために農林大臣は今回の計画を立案した、こういうことをおっしゃっておられるわけですから、その辺のことを踏まえ御答弁いただきたいと思うわけです。食管堅持というのであれば、私は売買逆ざや解消は撤回すべきである。やってもごく小幅にすべきである、こう言いたいわけですが、そういった点も十分検討して御答弁いただきたいわけです。  今後三年間に生産調整奨励金を固定するというようなこともおっしゃっております。そうすると、そのうちに米価も三年間固定する、こういうことになりかねない。内村次官なんかも、米の価格は来年は据え置きにするような、そういう感触のような発言もあっておりますが、私はこういった点、大蔵省と陰で何かすでに約束ができているようなはだざわりを受けるわけです。そうなればけしからぬ問題である。いわゆる再生産が確保されるということであれば、私は食管を堅持するのは当然でありますし、この十年計画食管との問題、大臣が言っていることと大分矛盾する感じがしてなりませんけれども、その点を明らかにしていただきたいということが一つ。  それから、いよいよ最後に後継者問題ですが、ようやく後継者もいまUターン現象で、意欲を出して農業に励もうとしてきているのが各地で見られております。御存じのように、高度成長時代で農業以外に働く場があった場合はまた別であります。あの時代はすぐに休耕とか出かせぎとか、また離農ということが比較的できたわけでありますけれども、今回はあの高度成長時代の転作環境が全然違うわけです。不況で雇用もない、出かせぎにもいけない、しかも就職も大変むずかしい段階になってきております。こういった中で、農業内部でいわゆる後継者がUターンしてきて、農業で今度はひとつ自分たちも故郷へ帰っていい空気を吸ってやろう、こう思ったときに何も見出せない。そういった意味で、今回の十年計画というのは、農民理解も納得もできないし、抵抗も強くなってくる。十一月中旬以降でしょうけれども、これは行政ベースで下へおりてきた場合に相当な問題が起きる。すでに各地でいろいろな大会も開かれつつあります。日本農政の構造転換に当たって、こういった後継者に対する配慮ということも十分考えられておられるのかどうか。  たくさん問題がありますけれども、自後の問題は十一月二日質問することにして、その二点を最後に大臣から御答弁をいただきたいと思います。
  190. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 私は機会あるごとに申し上げておりますが、食管制度の根幹はあくまで堅持してまいる、これは私の一貫して変わらない方針でございます。瀬野さんは末端逆ざやを解消すれば食管制度の崩壊につながる、こういう御意見でございますが、私は全然考え方を異にするものでございます。先ほど大河原長官からも申し上げたように、売買逆ざやが全くなかった時代、そういう時代もございます。きわめてその幅が狭かった時代もございます。食管制度はその時代におきましてもりっぱに機能し、その役割りを果たしてきておるわけでございまして、私は、売買逆ざやを解消することが食管制度の崩壊であるというぐあいには認識をいたしておりません。  それから、次の問題は、来年度以降の生産米価の問題でございますが、この点は私はいま全く白紙でございます。これはそのときにおけるところの情勢を十分踏まえながら、しかし食管法の命ずるところによりまして、農民の生活の安定、さらに再生産の確保、こういう食管法の精神を体しまして米価は決めるべきものである、私はそういうぐあいに考えておるわけでございます。  なお、最近の経済社会情勢から農村に若い人たちがUターンをする傾向がある、まさにそのとおりでございます。これらの方々を農村で受け入れて、後継者として十分働いていただけるように温かく受け入れる条件整備するということが大事な問題でございます。そういう際に、この水田利用再編対策が行われるということは、何かその人たちに意欲を喪失させるのではないかという趣旨の御発言がございましたが、私はそのようには考えておりません。新しい日本農業をここで建設するんだ、こういうことでございますから、むしろそういう若い人たちがこの大事業の中に参加をしていただきまして、本当に均衡のとれた日本食糧政策というものが、本当に需要に見合った生産の増強ができ、そして総合的な食糧の自給度が向上していく、国民からも本当に感謝をされる、そういうやりがいのある仕事でございますから、ぜひそういう方向誘導していきたいし、また今度の事業にもぜひ御参加を願って第一線で働いていただきたい、こういうぐあいに考えております。
  191. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 あと一分ありますので、大田がいま売買逆ざやの問題で、食管は絶対に崩れない、こういうことをおっしゃいました。それなら私も一言申し上げなければいかぬが、時代が違う。時間も参りますので、詳しくは申しませんけれども、団体においても、農民も、またわれわれ議員仲間においても、このことを大変心配して常に論議している問題です。大臣はそれならば、絶対に食管は堅持する、絶対に食管は堅持して守り抜く、こういうふうにはっきり言えるかどうか、もう一度改めて最後に言明をしていただきたい。
  192. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 私は食管制度はあくまで堅持をする、その根幹は絶対に揺るがしてはいけない、こういう一貫した考え方で取り組んでおるということを再度申し上げておきます。
  193. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 以上で、質問を終わります。
  194. 金子岩三

  195. 稲富稜人

    ○稲富委員 早朝来同じ質問が繰り返されて、私たち聞いている方があきあきしているのに、これに対してまじめに大臣が御答弁なさっておることに対しまして非常に敬意を表します。さぞかし御退屈だろうと思いますので、できるだけ大臣の答弁を少なくするようにいたしまして、まず私は若干の質問をいたしたい、かように考えます。  政府は来年度より米の需給均衡化対策をやる、こういうことを承っておりますが、これはわが国の農地改革が実施されて以来の農業の再編成でもある、こういうような非常に重大な問題である、こういう立場に立って、政府もわれわれもともに取り組まなければできない問題である、かように考えます。こういうふうに考えますならば、まず、こういうようなことを今日やらなければできないようになった事実というものもまた私たちは十分参考にし、検討の素材にしなければならない、かように私たち考えるわけであります。  私は、かような点から申し上げますならば、今日、米が非常に過剰生産されるようになった、ここにこの計画基本的な問題があると思うのでございますが、なぜ米がこういう生産過剰になったかということであります。私は、実は農業基本法が三十六年に制定された当時からこれを指摘いたしました。それは何であるかというと、農業基本法によって農業に従事する者と他の産業に従事する者との所得の均衡を図るとするならば、農業に対してはやはり主要農産物に対する価格対策というものをうたわなければ、現在の段階においては米だけが食管法によって価格というものがともかくも政府責任下にある。そうすると、一番安定作物としては米になるから、米に偏在するという傾向になるということをわれわれは考えなければいけない。それで、農業基本法制定に当たっては、本当に農業に従事する者の所得の拡大を図るためには、米以外の農産物に対しましても価格対策をうたうべきではないか、こういうことをわれわれは強く主張いたしましたけれども、その当時政府は、そういうことにはならないということで押し切られました。ところがその後、米がやはり一番安定作物であるということによって、だんだん米の生産に偏在したということは、今日私たちは否定することはできないと思うのでございます。こういう点を大臣はどういうように御解釈をなさっておるかということをまず承りたい。  さらにまた、これは鈴木農林大臣責任ではございません。決してあなたの責任を問うわけではございませんが、歴代の自民党内閣がとってきた農政というものが、そこに将来の見通しを誤ったと言ったらあるいはおしかりになるかもわかりませんけれども、将来の見通しというものに対する見当違いがあった、こういうことも言われる、かように考えるわけでございますが、こういうことに対してどういうように解釈をしていらっしゃいますか。これは長い間の農業基本法以来の農政の実情に対しての——もちろん農林大臣は先刻から反省しているんだということは率直に認めていらっしゃいますが、今回のこの需給均衡化を図るに対しましても、一つの参考としてこれも考えなければいけない問題であると思いますので、これに対する大臣考えを承りたいと思います。
  196. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 ただいま稲富先生が御指摘になりました点、特に前段、高度経済成長のもとで都市勤労者と農民の所得の格差がどうしても開いてくる状況下にある。それで、やはりこの所得の格差をなくして、都市勤労者と同じような生活水準を与えていこうということにならざるを得ない。そこで、その場合において、やはり日本の気候風土に適した、また長年やってきておるところの稲作、米というものを中心として食管制度でこれを保護して、都市、農村の所得均衡化を図るようにということでそこに重点を置いた。その結果、それから漏れたところの他の主要作物というものの生産自給力の向上ということが非常におくれ、また停滞をした、こういう御指摘、私もまさにそのとおりだと思うわけでございます。  私どもは、そういうことが、米だけが生産が一〇〇%以上に伸びて、そうして他の需要に見合って必要とされる主要作物生産がむしろ減退をした、伸びなかった、こういう結果を招来したわけでございまして、このことは農政当局として深く反省をしなければならない点である、そういう認識、また最近における国内の食糧事情、米の過剰基調、そういうことを総合判断をいたしまして、いままで水田総合利用対策というものを進めてまいりましたけれども、これをさらに強力に進める必要があるというようなことで、今回、再編対策、これは日本農業構造の変革にもつながる大事業でございますけれども、決意を持ってこれに取り組んでまいろう、こういう考えでございます。
  197. 稲富稜人

    ○稲富委員 それで、これが実施に当たって考えなければいけないことは、米だけが農業ではないんだ、この点はやはり農民の中に認識を与えるような指導、対策というものが非常に必要ではないか、かようにわれわれは考えます。  その点でわれわれが特に考えますことは、今日、一方には米の生産調整をやりながら、一方には圃場整備であるとかあるいは土地基盤整備等の事業というものが広範に行われております。これに取り組んだ大きな目的というものは、農業の近代化はもちろんのこと、やはり米の生産というものをふやそうというようなねらいが非常にあるということも否定することができないのであります。これはいまその計画途上でございますので、これに対しましても、米だけを生産する基盤整備じゃないんだ、あるいはそれで反別の幅とか、そういう問題に対しましても、米以外の作物もつくれるような、こういうようなことを目標に置いた基盤整備というものが行われる、こういうことも私たちは十分考えなければいけないんじゃないかと考えるわけでございますが、いかがでございますか。
  198. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 私も全く同感でございます。いままで食管制度に守られた稲作農業、これに対する農民の諸君の稲作志向というものは根強いものがあり、したがって、その生産の基礎である水田、稲作の生産性を上げるような角度から土地改良事業、圃場整備その他要請が強かったと思います。そういうことで、役所の方でも、やはり要望の強いものに沿うようにしてきたということは否めないことだと思います。  しかし、いまのような情勢に相なってまいりましたから、今後、圃場整備、土地改良等におきましても、やはり田畑輪換ができるように、さらにまた畑作地帯の畑地灌漑、その他農道の問題、そういう畑地に対するところの基盤整備事業、これに今後相当重点を向けてやっていかなければならない、このように考えております。
  199. 稲富稜人

    ○稲富委員 この点に対して私たち過去の日本の農政を見ておりますと、その点が非常に一貫していないのですね。たとえば、一方には米がだんだん生産過剰の方向をたどっておるにもかかわらず、一方においては国費を投じまして、あるいは干拓事業をやる。八郎潟の干拓である、あるいは新潟の福島潟干拓である、そのほか干拓事業というのがどんどん行われておる。はなはだしいのは、福岡県における三池の干拓である。     〔委員長退席、菅波委員長代理着席〕 三池の干拓のごときは、カドミウムのために、米はつくっても、これは食べないような米をつくらせて、これを買い上げているというような実に矛盾した行為が行われているということ、こういうことに対しましても、本当に政府のやり方というものは、一方には生産調整をやりながら、一方には土地の開発をやる、こういうように一貫性がなかったのじゃないか。これは同じ農林省の中で、構造改善局と食糧庁との間に、それは関連はあるのでございましょうけれども、こういう点は農林省内においてもやはり調整をしながら進むべきものであったのじゃないか、かようにわれわれは考えるわけで、この点も農林省自体の中におきましても非常に反省すべきものがあるのじゃないかと思うのでございますが、いかがでございますか。
  200. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 御指摘のことは、私ももう十分痛いほどわかるわけでございます。ただ、稲富先生、長年農政に御尽力いただいてきたわけでありますが、大規模な土地改良事業等にいたしましても、どうも二年や三年でできない。そういうようなことで、食糧不足時代にいろいろ干拓事業であるとかそういうものを計画をした、そして、それがスタートをした、こういうようなことから、情勢は変わってきても、それを中断してどうこうということはなかなかむずかしい問題もあったと思います。後で御指摘を受けますと、これはどうもやはり農林省が、その辺横の連絡が十分でなかった、いろいろおしかりをこうむることになるわけでありますが、そういう点には今後十分注意をいたしまして、省内の連携を密にし、また今回の水田利用再編対策、この大事業を達成する方向に各局の施策を集中してやってまいりたいと思います。
  201. 稲富稜人

    ○稲富委員 もちろん、ただいま申し上げましたような干拓その他の今後の農地の利用に対しましては、米作だけにならずして、やはりほかの農作物の生産とか、そういうものにおのずから転換されるべきものであると思います。  参考までにここで申し上げたいと思いますことは、たとえば福岡県の三池干拓の問題があります。これは九十ヘクタールというものが干拓されたのでございますが、カドミウム米が生産されて食糧にはならない。数年来カドミウムの汚染米だから食糧に供せられないと言いながらも、やはり今年もつくらせている、こういうばかげたことをどうして農林省指導しておるのか。これはどうしても食ぜんに上がらない、食べることのないような米であるならば、早く何かの作目に変換するような指導をなぜやらなかったかということなんです。これを知りつつ、もう数年前からこの三池干拓の米というものは、食糧にならないのだということを知りながら米をつくらせて、そして政府は食糧に供することのできないものを買い上げている、こういうようなばかげたことをやっているということは、だれでもどうしてこんなことをやるかという疑問を持たざるを得ない。これは早く、あるいは米じゃなくても、別なそういう被害を与えないような農業転換せしめるという指導をなぜやらなかったか、こういう点にもわれわれは非常に疑惑を持つわけなんです。この点も非常に農林省の怠慢さというものがあるのじゃないか。やはりもっと農林省農業に対して情熱を傾けながら、日本農業をどうするかということに真剣に取り組むならば、こういう問題に対しては早く手を打つべきであると私は思うのです。  この点から、こういう問題に対しましても、農林省として、大臣は恐らくこの問題を御存じないだろうと思うのですが、なぜこういうことをやらしたかということを、係の方で事情があるならひとつ承りたいと思うのです。
  202. 堀川春彦

    堀川政府委員 先生指摘の地区は、昭和四十八年八月にカドミの汚染地域として干拓地区の一部が指定をされておるわけでございます。  そこで、まだここでは対策計画を策定に至っておりません。どういう対策計画を立て、どのような事業をするかということについて地元で協議中の段階でございます。その間、地元といたしましては、これは汚染原因者がおりますので、このケースに限りませんけれども、その間の対応として二つございまして、一つは、休耕をいたしまして汚染原因者から補償をもらうという行き方、それからもう一つは、米をつくりましてその米を検査をして、食用として不適なものは食用に回さない、食用として適というものは食用に回るように食糧庁等において買い上げ等の措置をとってもらう、こういう二つの対応があるわけでございますが、当地区は米作を続けたい、本格的な対策が実施されるまで暫定的に続けたいということで、その間、若干の数量の汚染米が生産された米の中から生じております。私ども調査によれば、四十九年に一・五トン、五十年に〇・四トンというようなことでございますが、残りのものは食用として処理されておるというふうに承知をいたしております。  そこで、先生指摘のカドミ汚染地域のようなところで、汚染米が全部出ないにしても、心配のあるところでの米づくりは、このような過剰基調のもとでは、できるだけその他の作物に転作誘導すべきじゃないかという御主張だろうと思います。私どももその御趣旨には全くそのとおりと思うわけでございますが、農家の方としては、公害問題でございますので、やはり公害の発生しないようなもとの形にしてほしいという気持ちがなかなか根強うございます。そういう地元事情等いろいろございますけれども先生の御指摘の趣旨が、地元農家の納得が得られまして進められるように、私どもとしても配慮してまいりたいと思っております。
  203. 稲富稜人

    ○稲富委員 そういうところは努力が足らないのじゃないですか。本当に食えない米を何年も前から、これはだめだと言いながらも農民につくらせておる。ことしもそうなんですよ。九十ヘクタールというものは全然食糧に供せないものをやはり農民はつくっておる。今日もふさふさと実っておる。食糧にならないものをわれわれはつくらなければいけませんと言いながらも、つくっている。こういうことに対しては政府は早く手を打って、これはどういうように転換すればいいか、こういう指導をやることが最も必要ではないですか。そういうことを放任しながら、まだ方法は立っておりません、農民がつくろうと言っておるからつくらせております。これでは指導している農林省としての対策というものがあんまり弱過ぎるのじゃないか、自信がなさ過ぎるのじゃないか、かように思うわけです。こういうようなことも、やはり米が過剰の傾向をたどる一つの原因にもなってくると私は思うものですから、この問題では、ひとつ大臣も十分耳に入れておいていただいて、こういう問題に対しては余り長くなりますので——実にこれはもうけしからぬと言えばけしからぬ、矛盾した事実があるということなんです。しかも、これは政府が国営として干拓したところでやられておるということなんだから、こういうことに対して早く手を打たなくちゃいけないということを十分考慮に入れなくちゃいけない、かように考えます。  それから次には、もう先刻からずいぶん話が出たのでございますが、米の消費拡大の問題でございます。  これは学校給食なんかに対しても積極的にやらなくちゃいけないことも一つでございますが、この消費拡大のためには、やはりうまい米をつくるということが必要であるということは、先刻も御意見がありました。最近よそに行きますと、米がまずくてと、こういう声を聞くわけでございます。これに対しては政府がもっと積極的に、どの地方にはどういう米がいいのだ、こういうような品種改良指導というものをなさっているかどうかということ、非常に弱いのですよ。従来、戦争中から増産一本で、たくさんつくればいいのだというような観念が農民にあるから、そういう品種をつくりたがる。しかし、やはりうまい米をつくらなくちゃ消費ができないのだ。品種改良というものに対して政府が積極的に取り組んで、そうして、その地方に適する品種改良をやるというような指導をやらなければできないと思いますが、これに対しては政府がおやりになっておるということを一向に聞かないのです。もしもそういうような実践があるならば教えていただきたいと思うのでございますが、こういうことに対しましても今後十分取り組むべき問題ではないか、そうすることによって消費の拡大を図る、こういうことも必要ではないか、かように考えるわけでございますが、これに対する政府考え方を承りたいと思います。
  204. 堀川春彦

    堀川政府委員 確かに最近の状況を見てまいりますと、いわゆる食味のいいお米の比率がやや減少の傾向にあるのではないかというふうに思っております。この点は、先ほど来御論議のございます米の消費拡大という問題にもつながる重大な問題でございまして、食味のよい良質米をできるだけ適地で適作をしていただくということが指導の指針になろうというふうに思っております。そのために、各県で適品種の選定ということを専門家、関係者を集めてやっておりまして、これを農林省指導をするという体制をとっておるわけでございます。  そこで、県で、たとえばコシヒカリとかササニシキといいましても、土地、気象が違いますと必ずしも向かないということもございますから、その辺十分考えて、その地域に合った良質米あるいは食味のよい米というものを安定的につくるということを主眼とした県の指定品種というものを奨励品種として指定をしていただきまして、これを普及事業等にのせて普及を図っていくという体制をとっております。不十分な点がなお多く、課題も多いと考えておりますが、これらについては真剣に取り組んでまいりたいと思っております。
  205. 稲富稜人

    ○稲富委員 今回、当然、転作問題が起こるのでありますが、農産物というものは風土、土壌によって、品種の同じものでも品質のいいものと悪いものができる。それで、その土壌、風土に合ったものをつくらせる、こういうようなことが主体でやられなくてはいけない。米の問題もそういうことで、その地方の土壌、その地方の風土に合ったいい品種を奨励する、こういうようなことに対して農林省はもっと積極的に指導をすべきではないか、この点が非常におくれておる、こういうことを私は指摘をいたしたいと思うのでございます。  さらに、米の味、御飯が非常においしくないと言われるのでございますが、これに対しては品質の問題と同時に備蓄の方法というものも考えなくてはいけないと私は思うのです。現在の備蓄の対策というものは、米をビニール袋に入れられる、あるいは紙袋に入れられる。米というのは生き物でございますから、窒息するとうまくないものなんですよ。昔から米というものは、もみのまま置いておけば何千年ももてたものなんです。農家の旧家へ行きますと、いざというときのために、凶作があった場合に備えて倉庫の二階に種もみをつっておるのです。これは何十年も生きておるのですよ。米というものは生き物なんです。それをわざわざ今日は死に米にしている。死に米にしたものを食べるから米の味が悪くなる。将来は、備蓄の問題を考える場合でも、こういう点も考えながら備蓄対策をやらなければ、米の品質というもの、味というものが悪くなる。この備蓄対策に対してはどういう考えを持っていらっしゃるか、この点も承りたいと思うのであります。
  206. 大河原太一郎

    ○大河原政府委員 御案内のとおり、内外の食糧事情なりあるいは国内の作況変動というようなことから、われわれとしては二百万トンの備蓄を保有しておるわけでございます。さらにその上に、本日いろいろ言われておるような過剰米の在庫があるということでございますが、備蓄の問題につきまして、食味の維持その他からもみ貯蔵という問題についての御指摘でございますが、われわれもこの点については、いろいろ真剣な試験研究もいたしました。しかしながら、今日のもみにつきましては、先生指摘のような往年のような手刈り乾燥、手刈りで天日乾燥というようなものではなくて、今日の稲作の収穫時が端的にあらわしておりますように、機械収穫で急速な火力乾燥というようなことでございまして、われわれとしては、もみ貯蔵されたものの品質と低温貯蔵倉庫等によって貯蔵された品質とを比較いたしますと、むしろ低温倉庫等における玄米の保管の方が品質についていろいろ影響を受けるところが少ないというような数字も出てまいりますし、また、実はもみ貯蔵の場合だと玄米貯蔵の場合に比べて二倍ぐらいのスペースを要するとか、いろいろな問題がございまして、われわれといたしましては、たしかに二百二十四、五万トンの低温貯蔵倉庫も整備されておりますので、さしあたってはこの低温貯蔵倉庫による備蓄という点で対処しておるわけでございます。
  207. 稲富稜人

    ○稲富委員 だんだん時間が迫ってまいりますので、今後の問題について、具体的な問題に触れて二、三お尋ねいたしたいと思いますが、まず本年度におきまする米がやはり相当生産過剰だ、こういうことが見込まれておるのでございます。しかしながら、この生産過剰に対して政府がどうされるかということは、これは米作農家のいま非常に憂慮していることなんであります。先刻も農林大臣は、われわれは食管法の精神というものはどこまでもくんでいくのだ、こういうことをおっしゃっています。それで、われわれは、過剰生産の本年度の米というものは食管法に基づいて全量買い上げをやる、これは当然行われなくてはいけない問題であると思うのです。これは私、毎年言うことなので、毎年毎年同じことを繰り返して言うことは私も実はいやなんですけれども、その点はやはり食管法の立法の精神にのっとって、全量買い上げをするというたてまえで私たちは本年度は臨み、今後生産調整をやるといたしましても、全量買い上げをやるのだというたてまえにのっとって生産調整をやらなければ、農民もなかなかこれにくみしないということをわれわれは考えなければいけないと思いますので、その範をたれる意味においても、本年度におきましては全量買い上げはある、こういう政府考え方が当然あるべきであると思いますが、これに対する政府考え方を承りたいと思うのであります。
  208. 大河原太一郎

    ○大河原政府委員 お答え申し上げます。  御指摘のように、本年はまだ集荷の最盛期でございまして、予約限度超過米が最終いかほどという点については明らかでございませんが、本年度の作況その他から見まして相当数量が出るということは、八月以来予測されておったところでございます。  それで、これにつきましては、しばしば先生とも御議論のやりとりをしておりますように、われわれとしては、予約限度超過米、すなわち需給上の限度を超えました米につきましては、自主流通米と同じ流通ルートによりまして販売をしていただく、それについて年々によって必要な助成をいたすということになっておりまして、五十年の大豊作の際も、これによって全量配給計画の中に入れて処理いたしました。本年も八月以来、全農その他の集荷団体と配給業者との間で綿密な準備をいたしまして、助成の水準も決めまして、それによって消化するように現在措置しておるわけでございまして、われわれとしては、この点については、先生の御主張でございますけれども、全量自主流通ルートによって処理いたしたいと考えておりますし、処理し得るものというふうに考えております。
  209. 稲富稜人

    ○稲富委員 最後がどうもはっきりわかりませんでしたが、いまのところは全量買い上げをするものだというふうに考えておる、こういうことでございますか。
  210. 大河原太一郎

    ○大河原政府委員 自主流通ルートによって、全農等の指定法人が卸売業者に対しまして集荷をして販売する。したがって、政府がこれを買い上げることは、予約限度超過米、すなわち四十五、六年、本日もしばしば御議論になった生産調整開始以来、予約限度超過米については買い入れはいたしておりません。したがいまして、本年もその自主流通ルートによる販売ということで、政府買い入れはいたさないで済むというふうに考えております。
  211. 稲富稜人

    ○稲富委員 食糧庁長官自主流通米というものがどうもくせものなんで、大体食管法をなし崩しにしようというような考え方から自主流通制度というものをつくった、われわれはそう解釈している。ところが、これは私この前も鈴木農林大臣に質問したのでございますが、この食糧管理法ができましたときに、そのときの井野農林大臣は、この食管法をつくった目的の一つは、「生産セラレタル米麦ハ必ズ政府が之ヲ買上グルト云フ体制ヲ明カニスルコトが緊要デアルト信ズルノデアリマス」と、これが食管法を国会に提出した理由の一つになっておるのですよ。これを無視しては立法の精神に反するということになる。自主流通米というものは、食管法から言うならばこれは一つの邪道なんです。邪道を主体として食管法を動かすということは、食管法の本質を侵すことになるわけなんですから、この点は十分拳々服膺して、この立法の精神というものは、そういうような考え方を持ってもらいたい、こういうことを私は強く要望したいと思いますが、いかがでございますか。
  212. 大河原太一郎

    ○大河原政府委員 お答え申し上げますが、食糧管理制度の目的は、食管法第一条にも書いてございますように、国民食糧を確保して国民経済の安定を図る、そのために主要食糧についての需給調整価格調整を行うということでございまして、政府が買い入れますのは、この必要数量を確保し、買い入れ、管理するためでございます。そのために生産者にも売り渡し義務をお願いいたしましてやっておりまして、制度の目的といたしましては、需給上必要な数量の確保ということでございまして、農家方々の販売可能数量全部を買い入れなければならないというふうに法律そのものはなっておらないということが、四十六年予約限度制を導入以来、しばしば御議論のあったところでございますが、われわれとしてはそういうたてまえで一貫しておるわけでございます。
  213. 稲富稜人

    ○稲富委員 それから、今度の計画に対して一番考えなくてはいけないことは、さらに転作をいかに具体化するかということにまた一つの問題があると思うのでございます。それで、第一期には百七十万トンの生産調整目標とされておるのでございますが、この生産調整に対しましても、やはり適地適作の立場に立っての生産調整というものが必要であるし、それから転作をやらせる作物というものも、適地適作というものを考えながらその作物に転作させる、こういうようなことをやらなければいけない。しかも、これは計画的な、総合的な計画の上に立たなければ、今度は転作されたものがまた生産過剰になるという問題が起こってくるので、これはやはり全体の作柄の見通しの上に立ってやるべきものである、かようにわれわれは考えます。  しかも、これに対しましては、その作物によってずいぶん価格差が出てまいります。この価格差に対しては、米をつくったらどれだけ上がるんだ、転作をしたからこれだけできたんだ、そこに今度は非常に収入の格差ができます。収入の格差ができましたら、当然これに対しては価格差補給金というものを出して、そして農民があえて転作にも快く応じ得るような対策をやることが必要であると思います。これは具体的な問題としてそうあるべきであると思いますが、これに対する政府考え方を承りたいと思います。
  214. 堀川春彦

    堀川政府委員 転作の作目につきましては、需給上問題のあるようなものは避けるという基本考えでございます。それ以外のものでございましたらば、需給上心配がないというものであれば、すべて取り入れて対象にするという考え方で臨んでおるわけでございます。  その際に、先生、適地適作とおっしゃいましたが、やはり土地土地の条件その他が違うわけでございますから、そういう点は十気配慮をいたしまして、適作目を選んで転作をするということが重要なことになります。  それからなお、米作所得との関係では、先ほど来大臣からもお話し申し上げておりますとおり、これは生産性向上のあらゆる諸施策あるいは価格政策運用、そういうものと相まちながら、補完的に私ども奨励金を交付をするという仕組みを考えておるわけでございまして、この奨励金仕組み方につきましても、重点的に生産を伸ばしたいと思っております麦だとか大豆だとか飼料作物等特定作目につきましては、特にその点を配慮いたしまして奨励金の水準を決めてまいりたい、こういうふうに考えております。
  215. 稲富稜人

    ○稲富委員 その奨励金というものは、転作したものが十分な価格を得ることができなかった場合は、米をつくった場合よりも収入が上がらなかったといういわゆる価格差に対する補給金を出すんだ、こういうような意味であると解釈していいのでございますか。
  216. 堀川春彦

    堀川政府委員 これは価格差の補給金というような性格のものではございません。先生御案内のように、価格として、買い入れ価格なり支持価格として決定するもの、あるいは不足払いの額の算定というようなものは、きわめて厳密な一定の方式に基づいてやるという仕組みでございますが、これは転作をしやすい条件整備として、転作誘導するための奨励措置であるというふうに考えております。
  217. 稲富稜人

    ○稲富委員 この奨励金制度というものはよく考えませんと、価格の上においてこれを高く買い上げるとかそういうことをやればいいけれども、たとえば麦をつくる、麦をつくった者に対しては奨励金を出すのだ、こうなりますと、悪くしますと惰農をつくることになるのですよ。奨励金だけもらって麦を植えておけば、余りとれないでも奨励金だけもらえるのだという惰農奨励のような結果になるおそれがあるということ、こういう点から、奨励金さえやればいいのだという考え方というものは、これは農業経営の基本的な考え方から十分考慮すべき問題であると私は思うのです。それならば、やはりできた品物を価格の上において償うのだ、それで価格差ができた場合、価格差の補給金として出すのだ、こういうようなたてまえをとるべきであるということを十分検討していただきたいということをこの機会に申し上げておきたいと思います。惰農奨励にならないような方法をとってもらいたいということを私は特にこの際強く要望したいと思います。  時間がありませんので、最後になりますが、この前の本年度米価決定のときに農林大臣から、米価決定の方式に対しては検討をしたいと思っておるという言葉があっておりました。それで、米価決定方式に対しては、来年度米価にはどういうようなお考えを持ち、どういうふうに対処しておられるかということを承りたいと思います。
  218. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 御指摘のように、今年度生産米価を決定いたします場合に、政府が二、三年来とってまいりましたところの米価の算定方式、算定要素、こういうものと、農業団体等が取り上げておりましたところの算定方式、算定要素、物差しが大分違いまして、御意見の食い違いがそこからいろいろ出てきたわけでございます。こういうようなことでは生産農民方々から農政不信も出てくる、私はこういうことを憂慮いたしまして、やはり米価の算定方式なり算定要素のとり方というものはできるものなら何とか一本化できないものであろうか、こういうことを考えまして、米価審議会の皆さんにお諮りをして、ひとつ共通の土俵をつくるために御研究を願いたいということを御要語をしたわけでございます。それを米審の方でも取り上げていただきまして、先般も米審の懇談会を持ちまして、それにはまず米をめぐる周辺の諸問題について意見の交換をして、共通の認識を得た上で取り組む必要があるということで、周辺問題について懇談会でいろいろ御議論を願ったところでございます。また近く、来月、十一月には再度懇談会を開きまして、この問題等につきましてさらに突っ込んだ御検討を願うことにいたしております。
  219. 稲富稜人

    ○稲富委員 来年度米価決定に対しましては、従来のような轍を踏まないように、いかにも自民党と政府との間のサル芝居によって米価決定をするというような感じを農民に持たせることは、これは私はおもしろくないと思いますので、どこまでも生産者と政府側が本当に算定の基礎をどこに置くかと真剣に考えれば、ともに認めるところあるいは譲歩する点は出てくると思うのでございますから、誠意を持ちながらその問題は進めていただきたい。そして、米価決定に当たって、いままでのようないわゆるお祭り式な米価決定、長年やってきたこういう轍を踏まないように、特に鈴木農林大臣の英断によって来年度米価の決定に当たっていただきたいということを申し上げたいと思います。  最後に、要望として申し上げますが、今回の米の需給均衡化対策の問題は、先刻申し上げましたように、農地改革以来の大きな問題だと私は思います。農地改革におきましては、農民自分のつくる土地ぐらいは自分のものにしたいのだという悲願が達せられて、農地改革によって農民が非常に希望を持った。今回の米の需給均衡化対策によりましても、少なくとも農民がこれによって農業に対する望みを失うようなことのないように、農民に希望を与える対策であるという自信を持ってひとつこれに当たっていただきたいということを特に私は強く要望いたしまして、これに対して大臣の決意を承って、私の質問を終わらせていただきます。
  220. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 御指摘のように、今回の水田利用再編対策、これは日本農業構造を変えていくような重大な問題でございますから、この点につきましては、全国の農民諸君が希望を持ってこれに取り組んでいただくように、私ども条件整備等に最善を尽くしてまいりたい、こう考えております。
  221. 稲富稜人

    ○稲富委員 これで終わります。
  222. 菅波茂

    ○菅波委員長代理 神田厚君。
  223. 神田厚

    ○神田委員 大変限られた時間でありますが、私、郷里の方に帰りましても、いま多くの農民の関心といいますのはいわゆる米の需給均衡化対策、これがどのようにこれからなされていくか、そういうことに対しまして非常に心配をしておりました。先ほど来からずっと各委員とのやりとりを聞いておりまして、私は基本的な点について三、三の御質問をいたしたいと思うわけであります。  いわゆるこの米の対策の問題が、この前にやられましたような緊急避難的なものではなくて、日本農業構造改善、そういうものを意図する、日本農業構造食糧政策の根幹にかかわる非常に大事な問題であるということにつきましては、よくわかるわけであります。しかしながら、唐突に百七十万トンを第一期としまして、五十四年、五十五年につきましてもこの線でやりたいというようなことになりますと、三年間にわたりまして相当数量生産調整をやっていくということでありまして、転作をしていくということであります。こういう問題につきまして、ただ単に農林省だけでできるというふうには私は考えないわけでありますけれども、その辺の問題を政府の部内におきましては、大蔵省やあるいはほかの関係で、農業構造改善推進するというような意味も含めまして、どういうふうな合意がなされておるのか、お聞かせいただきたいと思います。
  224. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 御指摘のとおり、米の需給均衡化対策の具体的なアプローチとして水田利用再編対策というものを策定をいたしておるわけでありますが、これは何といっても農林省だけでできる問題ではございません。県や地方公共団体、さらに農業団体末端農民方々理解協力を得てできる問題でございます。そういうようなこと等を踏まえまして、私は、これは政府方針として閣議了解というような権威のあるものとし、政府の全体の方針として取り組まなければならない、このように考えておりますし、そのためにすでに財政当局、大蔵省等とは綿密な協議を進めておるところでございます。
  225. 神田厚

    ○神田委員 これは大変重要な問題でありまして、本来ならば来年の問題で百七十万トン、それからさらに二年続けて百七十万トンを生産調整するというような問題がいますぐに出てきて、そうしてこれを十年計画の中でやるというふうなことを言いましても、それはそれなりに一つの説得力を持たないわけであります。先ほどからの話を聞いておりますと、「農産物の需要生産長期見通し」にのっとった形でやるという話をしておりますけれども、米の生産調整についてはこれにのっとったと言ってもいいですけれども、それでは転作をされた作物の需給見通しはどうなってくるのか。当然これらのものの手直しが考えられると思いますが、その点はいかがでありますか。
  226. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 六十年見通しにおきましては、麦、大豆飼料作物等それぞれ基準年次よりは相当大幅に生産をふやすという目標を掲げておるわけでございます。政府といたしましては、その後鋭意奨励金の交付その他助成措置を講じまして、これまで減収傾向にありました麦、大豆、あるいはまた伸び悩んでおりました飼料作物につきまして、一層ふやすような予算措置その他の対策をやっておるわけでございますが、御承知のように、麦、大豆につきましては、六十年見通しの方向に進むところまではまだ至っておりません。ようやく極端な減少傾向に歯どめがかかったというところでございますので、われわれといたしましては、一般畑作はもちろん、水田転作を含めまして、六十年見通しの方向に持っていくのが当面の目標である、かように考えておるわけでございます。
  227. 神田厚

    ○神田委員 ですから、私が言いたいのは、そういう方向考えるならば、六十年見通しそのものをやはり変えていくといいますか、十年かけて日本構造改善しようというときに、その前につくられました見通しに合わせて農政を運用していくということではなくて、これからこういう形でやっていくのだという新たな事態を、いまの事態を出発点として新しい十年先の見通しをつくっていかなければならない。そうすれば、これは何も六十年見通しという二年も前につくられたものにこだわる必要はなくて、もう少し前向きの形で取り組むべきである、こういうふうに考えるわけであります。  そうして、時間がありませんから、続けて話しますが、そういうことを考えた場合に、それでは権威のある審議会なり調査会なり、そういうものを利用しまして、あるいは新たに設けまして、食糧政策構造改善、この大事な国家的事業に対します考え方なりそういうやり方なりについて、国民の納得のいくような、とりわけ農民の、農家の人たちの納得のいくような形でのそういう指標なりやり方なりを明示すべきであると考えるわけであります。その点いかがでございますか。
  228. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 ただいまもお答えしましたように、六十年見通しは現状からいたしますとかなり高い目標になっておりますので、われわれといたしましては、その目標にできるだけ到達するということで、転作作物の作付の増大を図っていきたいと考えておるわけでございます。  なお、審議会等に諮ってという御意見でございますが、確かにそういう御意見もあろうかと思います。ただ、農林省といたしましても、今回の需給均衡化対策を進めますためには、これまでも農政審議会にお諮りをしながら、すでに一回開きまして、明日も第二回目を開くということで、御了承も得ながら進めておるところでございます。
  229. 神田厚

    ○神田委員 最後に、大臣にお尋ねいたします。  この数量でこういう形でやっていくといいますと、それをされる農家の側といたしましては、非常に大きな問題があるわけです。集団的に転作指導するといっても、地域的な集団転作というのはなかなかむずかしいものでありまして、やはり個々の農家考えなりそういう希望なり、こういうものを十二分にしんしゃくされまして、無理のない方向でひとつお進めをいただきたい、こういうふうにお願いをいたして、決意をお伺いして、質問を終わらせていただきます。
  230. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 御指摘の点は、これを実施してまいります上から非常に大事な点でございます。末端の個々の農家が本当に理解をし、協力していただかなければ十分な達成はできない、このように考えております。農林省としては、すでに各県の担当官等にお集まりを願って、個々にヒアリングと申しますか、地方事情等も詳細に伺いながらお打ち合わせをいたしております。また、県段階におきましては、町村農協その他の団体と十分具体的にお打ち合わせを願って、そして、この目標等の設定配分等につきましても、そういうような配慮を十分しながら進めてまいりたい、このように考えております。
  231. 菅波茂

    ○菅波委員長代理 津川武一君。
  232. 津川武一

    ○津川委員 農林大臣、御苦労さんです。七時間も同じ繰り返しみたいな話をされまして大変ですね。私、できるだけ繰り返さないようにやってみたいと思います。  そこで、四十五年から五十二年までの生産調整転換対策で一兆千二百九十三億円使っている。四十五年が余り米のために一兆円くらい使っている。そのあげくがことしかなり大規模な百万トン近い余り米。来年から百七十万トンもの生産調整をするという。使った金がまことに痛わしい。これからの百七十万トンをうまくやれるだろうかの疑問が本当に農民の間にみなぎっております。それは昨日の知事会議でも、そう簡単にあなたのことをうんと言ってくれなかったでしょう。  そこで、四十五年−五十二年の生産調整がなぜ所期のとおりに成功しなかったのか、ここで厳重な行政の点検と反省が必要でございます。これをあなたから直接聞こうと思って、この機会を私二度ばかり求めていたのですが、きょうやっとのことなので、ここをひとつどう反省しているかということを端的に答えていただきたいと思うのでございます。  あなたたちの方は、水田利用再編対策をやる、そしてまた、かなり大きな米需給均衡化対策の骨子を十月十三日に出しております。この反省がどうなのか、水田利用再編対策とこの均衡化対策の骨子がその反省の上に立っているのか、この二点を答えていただきます。
  233. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 御指摘のように、昭和四十四年、五年、六年、大変な米の過剰、古米、古々米の在庫、そういうようなときに当たりまして、食管制度の健全な運営、食管の財政の問題、こういう点を考えまして、緊急避難的に休耕を含めた、需給均衡を図るようにするというよりもむしろ減産対策と申しますか、そういうことをやってまいりました。またさらに古米、古々米の処分につきましても、相当の国費を投入をしてこれをやったわけでございます。これは御指摘もありますように、きわめて緊急避難的なものとして実施をいたしました関係からいたしまして、総合的な食糧政策という観点から見ますと、私は非常に欠くるところがあったというぐあいに反省をいたしております。  また、その後政府におきましては、休耕等措置をやめます際におきまして、水田の総合利用対策というものを立てまして、これを実施してきたわけでございますが、その裏づけになる諸施策等において、私はいま顧みまして十分でない点が多々あった、このように思います。  そういう反省の上に立ちまして、今回は単に米の生産調整をやるということでなしに、一方におきましては需要の面からいっても必要なところの麦、大豆飼料作物等、そういう主要作物のぜひ自給力を高めたい、こういうことでございますので、私は今回はこの生産性の高い水田を十分活用して、そして食糧政策を進める、こういう観点で水田利用再編対策ということを長期に時間をかけて、そして一遍転作したものはこれを定着をさせる。そうでないと、総合食糧の自給向上という政策にも沿いませんから、転作はこれを長期に定着をさせる、そういうことを考えておるわけでございます。そのためにはいろいろの裏づけになる施策が必要でございまして、価格政策あるいは生産対策構造対策、いろいろな諸般の政策農林省の各部局を動員をし、この目的達成のために全力を挙げて努力をしてまいりたい、このように考えております。
  234. 津川武一

    ○津川委員 過去の生産調整の反省の上に立って、私たちは幾つかのことを前二回ここで要求いたしました。それは必ずしもいまの再編対策の中で実現されておりません。私は不十分だと思います。それにもかかわらず、価格の問題や構造改善の問題、土地基盤整備の問題で若干の進歩のあることは私は正直に認めたいと思っております。  そこで、どう進むか。進むこともよろしい。だが、歩いてきた跡をもう一回振り返ってみる必要がある。たとえば青森県、青森県の知事はかつて生産調整に三〇〇%近い協力をしたこともあります。一五〇のときもありました。そして、その協力した人たちがいまどうなっているかということをもう一度振り返ってみなければならないと思います。  知事の出身地の木造町、ここは反収六百キロ以上とれる水田、これを七年間、七百七十四ヘクタール生産調整しております。最初にクルミとクリを二百ヘクタール植えた。ところが、水田そのままにしたために、水分のために両方だめです。これはやめました。これほど苦労してやったその後に、今度は何をやったかというと、トマト、これはメーカーと契約栽培でやって、いけるかと思ったが、ここもやはり水田、湿田、あの地帯は、さるけ地帯、これでトマトもだめになりました。農民は一生懸命になって協力するつもりで、今度は白菜を植えたのです。これは今度は価格の問題でひどい目に遭ってしまっている。今度はメロン、スイカ、カボチャ、これが今度はバッタン病、ビールス病、これにやられてしまった。そして、ことしの八月五日の集中豪雨。メロンもスイカもそれからカボチャも、七百七十四ヘクタールのうち約四百五十ヘクタールが甚大な被害を受けて、二百五十ヘクタールは皆無作に近い。こうして七年間、生産調整協力した、本当に苦労して協力したその結果がこうなんです。いま水田に返りたい。だが、水田に返ると機械をたくさん支度しなきゃならぬ、返れない。したがって、これを続けていくより仕方がない。転作の畑作、こういうのが実情なんです。  これをこのままにして残して、百七十万トン減反に進もうと思っても、農民はついてきません。だから、知事会にああいう議論が出てくる。だから、ここでいままでの生産調整、たとえて一例として述べたこの例を、やはり整理してあげなきゃならぬ。農民は苦労に苦労を重ね、いま一戸平均五百万円以上の借金です。酪農家でない人たちがこれだけの借金を持っている。しかも、この借金は農協からの借金、制度資金に入らないものもあるから一二%、一割二分の利息です。ここで、もうまいってしまっておるんだ。農民の具体的な要求は、一時回復するまで元利払いのたな上げ、二つ目には、立ち向かっていけるように長期低利の資金の援助、三つ目は、どんなことをしても畑作に適するような土地基盤整備、わけても排水、これが具体的な問題です。これはこの木造だけでなく全国にこの例がある。これを残しておいて百七十万トン減反に進むところに反省がないと私は思う。この減反に積極的に協力した地帯をどうするか、これに対する木造の具体的な例に対してどうするか、この二点を答えていただきます。
  235. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 これは非常に具体的な生々しいお話を伺ったわけでございますが、せっかく転作協力をされて、そういうような非常に苦しい立場に立っておるというようなことは、これは私どもとしても本当に心が痛む問題でございます。十分調査をいたします。全国的に過去において転作したところがどういうぐあいになっておるのか、そういう点の調査をいたして、できるだけの対策を講じてみたい、こう思います。
  236. 津川武一

    ○津川委員 これはやった者が犠牲で泣かないというのが百七十万トン転作にかかってくる大事な問題なので、ぜひ速やかに調査をして必要な援助をしてやることを私からもお願いをし、要求もし、進めていきます。  次の問題は、何か米から転換されるので、米が被告みたいに、悪者みたいに扱われる向きもありますが、やはり米は日本農業の柱である。ここで米に対して農民生産意欲を失うと、日本農業全体が大変になってくる。したがって、米はゆるがせにできないし、都市近郊で米をつくれるのは、兼業農家は、あの米の技術が進む、品種改良が進んだために、米をつくっているからこそ兼業ができるのだ。畑作にも畜産にも果樹にも支えられておる日本農業の根幹は、やはり依然としてお米だと思うのです。このお米を粗末にすると、百七十万トン転作が逆にはね返ってきて大変なことになると思います。したがって、この米を守る点について、減反していかなければならない事情は私も百も承知しておりますが、この米というものを育成しなければならない。米に対する政府の態度をまず聞かしていただきます。
  237. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 これは午前中にも私、お話を申し上げたのでありますが、やはり稲作というのは日本農業の中では最も大事な基幹作物でございます。温暖多湿の気候風土からいたしましても、長い農業における定着してきた歴史、そういうものから考えましても、国民の食生活の面からいたしましても、これは農産物の中では最も重要な基幹的作物であるという認識を持っております。     〔菅波委員長代理退席、今井委員長代理着席〕 したがいまして、米の需要と供給、この面からいたしまして、なおまた消費の拡大も考えますが、それを含めまして、米の必要量の生産というものは絶対に確保しなければいけない、守っていかなければならない、このように考えております。
  238. 津川武一

    ○津川委員 そこで、農林大臣もいやというほど経験されておりますが、米の問題で一番大きなのは生産米価です。来年度生産米価に対して、大臣はまだ白紙だ。私は、生産費所得補償方式、食管法に基づいて米価は適正に決定されなければならないということを繰り返し繰り返しやってみましたが、多少心配な発言が食糧庁長官の中にあるのです。それは十月十九日の日本農業新聞に、「大河原食糧庁長官は、十八日朝の自民党農林部会、総合農政調査会合同会議で、来年の生産米価の水準に触れて「あえて据え置きとはいわないが、水準はおのずと明らかである」」と出ております。農業新聞の記者は、来年の生産米価を抑えると報道しております。こういうことだとまことにぐあいが悪い。やはり生産米価は正しくやらなければならないし、大臣の言うように、まだ白紙だというなら、それはわかります。依然として生産米価に対しては正しい立場で臨んでいかなければなりませんが、大河原長官は来年の米価抑制するつもりがあるのかどうか、これを答えていただきます。
  239. 大河原太一郎

    ○大河原政府委員 お答えを申し上げます。  これは具体的に来年の米価云々ではございません。米の需給均衡をぜひとも達成する今回の均衡化対策を実施する上におきましては、その米価の水準等についても、先ほども大臣から申し上げましたように、稲作生産志向が非常に強い、したがって、その価格の取り扱いについてはきわめて慎重にならざるを得ないという点で、均衡化対策についての実効あらしめるための水準というふうな考えを持っておるわけでございまして、具体的に来年の米価をいかにするということについて申し上げておるわけではないわけでございます。
  240. 津川武一

    ○津川委員 そこで、皆さん方の十月十三日に出した米需給均衡化対策の骨子案、この中で、「生産米価水準は、本対策を実効あらしめるものとするとともに、継続的に米と畑作物との相対価格関係の是正を図る。」これはお米を食管法どおりに生産費所得補償方式で上げていって、畑作物の転作作物の価格をそこに均衡させる、こういう意味ならば了解できますが、米の生産価格を下げて、日本の全体の農産物の低価格政策を導入しようという意図があるのであれば大事件になりますので、この意味づけを説明していただきます。
  241. 大河原太一郎

    ○大河原政府委員 お答え申し上げます。  生産米価を引き下げる云々というようなお言葉がございましたが、われわれとしては、ただいまも申し上げましたように、米価水準については均衡化対策を実効あらしむる水準ということで、本年産米価についてもしばしば御議論がございましたように、われわれも申し上げましたように、需給の実勢というものを踏んまえた米価水準でなければ、米の均衡化対策の達成はしにくいということでございます。
  242. 津川武一

    ○津川委員 大変な話になった。食管法三条の米の再生産費を補償する、これは守るつもりでありますか。
  243. 大河原太一郎

    ○大河原政府委員 お答え申し上げます。  御案内のとおり、食管法三条二項におきましては、生産費、物価その他の経済事情を参酌して、再生産を確保するように決定するということでございまして、それは当然でございます。
  244. 津川武一

    ○津川委員 わかりました。  それでは、その次、よく農林省が話し合えば、われわれもこのままで米が余る状態はいいとは言っておりません。農民が納得するように、みずから進んで転作できるような体制をとった場合に、私はこれが成功すると思います。その体制に関しては前二回ここでかなり詳しく申し上げております。  そこで、農民農業団体と地方自治体政府のやり方に協力して百七十万トンを一〇〇%達成したとき、それでもなお余り米が出る場合があります。政府は、出るはずがない、出さないために全力を挙げると言うでしょう。それはそのとおり。出た場合、今度こそは全量買い上げしないと、農民はついていきません。いま農政を転換する上において何が大事かというと、農民政府との信頼関係がここで再び裏切られるようなことがあると大変でございます。  ところが、二十二日の日本農業新聞、鈴木農林大臣のあれが出ておりますが、「転作目標を達成して、なお発生した超過米について農協は「国が全量買い入れる」と要請しているが、鈴木農相は「生産調整を達成しで、なお出る超過米については農業団体意見を十分ききながら、目標達成の奨励の見地に立って円滑に流通をはかるため、適切な処置をとる」」こう答えております。この適切な処置とは何なのか。理屈から言えば、全面協力して一〇〇%やった場合には、当然どの見地からいっても一〇〇%買い上げる、こういうことでなければなりませんが、この大臣の発言は、こういう私が言っている意味なのか、この点答えていただきます。
  245. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 私が申し上げたことを報道しておるようでありますが、その報道のとおり御理解を願って結構でございます。
  246. 津川武一

    ○津川委員 私は少し頭が悪いので、それでは少し聞いてみます。報道は、そういう意味において一〇〇%達成した場合に余り米は全量買い上げますか、こういうことです。政府余り米は出さない、出ないために努力すると言うが、天候やいろいろなことで出ると思います。出た場合どうします。
  247. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 津川さん、農民の諸君を裏切るようなことになりはしないか、こういうことをおっしゃいました。政府は従来、需給関係から見まして、必要量を限度数量として予約しておるわけであります。そこで、豊作等によりまして限度数量を超過した分につきましては、今日まで、五十年の大豊作の際も今年も、自主流通のルートに乗せて、農業団体卸売団体等に必要な助成等もいたしまして、自主流通ルートを通じてこれを処分していただいておる、これはもう定着した一つのルールになってきておるわけでございます。したがいまして、それが農民に対する政府の背信行為であるというぐあいには私は見ておりません。これは農業団体理解をし、今年度余り米についても御協力いただくことに相なっておるわけでございます。  そこで、今度の水田総合利用対策実施するに当たりまして、県の中でも本当に協力をして、目標を達成していただいた町村なり農協等もあるわけであります。そうでないところもあります。そういう点はよくその状況を勘案して、一生懸命御協力を願ったところについては特別な配慮をして、円滑にいくようにしなければならないというのが私の考えでございます。
  248. 津川武一

    ○津川委員 大変な農林大臣になりましたね。皆さんに生産調整協力してもらうときには何が前提かということです。ことしの値段でいくと、三等米で一俵一万七千三百三十二円、あなたの言う自主流通米に上げていくと一俵一万四千五言四十五円。だからこそ農民が全量買い上げろと言っておる。だからこそ生産調整協力する。あなたは、一〇〇%やってもなお余り米は出る、これに差別をつける、ここでこういうふうに言ったと私解釈してよろしゅうございますか。
  249. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 速記を見ていただけばわかるわけでありますが、先ほど来申し上げておるように、予約限度数量を超えた超過米につきましては、今日まで農業団体等の協力により自主流通ルートによって処分がなされてきております。これはもう定着した一つの超過米の処分方法になっております。農業団体もそれを理解をしております。それに対して政府も適当な助成も講じてやっておる、こういうことでございます。そういうような意味合いからいたしまして、私は全量買い上げということは一言も言っておりません。ただ、県内におきまして、あるところはどうも目標達成に至らなかった。ある町村は非常に協力をしてやっていただいた、そういうところに対して特別な配慮を払い、やっていくということは理解ある措置である、そうありたい、やらなければいけない、こういうことを申し上げておるわけであります。
  250. 津川武一

    ○津川委員 特別な配慮、いいでしょう。たとえばどういうことです。
  251. 大河原太一郎

    ○大河原政府委員 お答え申し上げます。  定着したルールに基づきます自主流通ルートの措置をいたす場合においても、もちろん発生いたしまして集荷されました予約限度超過米が全量配給計画の中に入って処理されなければならないという措置の問題が一つでございます。それから、さらにその場合に、指定法人である全農等が卸売業者と仕切りますその仕切り価格から流通経費が差し引かれて農家方々の手取りとなる、その場合におきましても、全量の転作目標を達成いたしましたような地域、県なら県というようなものにつきます助成は非常に手厚い助成をいたして、手取り水準のできるだけの配慮をいたすべきであると私どもは思っておるわけでございます。それを大臣が一般論として申し上げたと理解しております。
  252. 津川武一

    ○津川委員 手厚い助成をするという、特別な配慮をするというから、これは後刻大臣のところへお伺いにいってまた話を詰めてみたいと思います。  次の問題は、こうして生産調整協力して転作した作物に対しては、いつまでも政府責任を負って育ててくれるでしょうな、途中でこれが大変なことにならないでしょうなということが農民の心配なんです。そうでないとついていけない。この点はどうです。
  253. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 その点は、先ほど来申し上げるように、今回は単なる需給均衡回復をするというだけの緊急避難的な措置ではない、総合食糧政策の七に立ってやることであるから、長期にわたってこれを定着させるようにしたい、こういう考えでございますから、これを転作したものにつきましてはあくまで育成し、定着するようにやってまいる、こういう考えであります。
  254. 津川武一

    ○津川委員 そこで、具体的な問題になってくると、山形のサクランボなんです。過去において生産調整協力して転作作物としてサクランボをつくった。このサクランボが今度は貿易の自由化、サクランボの輸入で被害を受ける、受けそうだ。政府にだまされた、政府もひどい、ついていけない、こうなるわけです。もう一つたばこ、転作作物としてたばこを植えつけた。今度は専売局は何と言っているかというと、「国内産葉については、品質の改善につとめるとともに、在庫の適正化をはかるため生産調整を行う。」として、転作でたばこをやったのを打ち切っております。これだとついていけなくなる。したがって、今後この二つの点をどうするのか。これからも貿易の自由化などで入ってくる、その場合どうするのか。サクランボが自由化されて、山形のサクランボ、転作としてつくったサクランボ農家が被害を受けたときに、何らかの救済の措置を講じてあげることがこれからの最良の再編のための重要なかぎだと思うのですが、この点はいかがでございます。
  255. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 津川さん御承知のように、サクランボが自由化されたのはたしか昭和三十五年だったと思います。そこで、これは自由化品目である。ただ、コドリンが等の害虫の付着寄生によって植物防疫上の観点から、今日までこの防除が確実に行われる、日本に輸入してもこれが他に悪影響を及ぼすことがあってはいけないということで、慎重の七にも慎重に日本政府としては考えまして、米側に対し今日まで相当の時間をかけて、安心できるような防除の措置というものを要求してまいったわけでございます。この点、いかに農林省が慎重な態度、時間をかけて今日までやってきたかということは御承知のところでございます。しかし、それがすでに植物防疫上ももう問題がないというところまで来た段階におきましては、本来自由化されておるわけでございますから、これを非自由化品目にするなどということはできないわけでございます。  そこで私どもは、これを入れるにしても、国内のサクランボの出回り時期、出荷時期等々との競合関係等その時期的なものも十分考慮に入れ、影響を最小限度にとどめるようにしながらやらざるを得ない、こういうことでございます。その結果、果たしてどういうような影響がありますかどうか、これは実際にやってみなければならないと思います。  私は、この機会に申し上げるのでありますが、日本の農産物にしても果物にしても、やはり国際競争力を持つということが第一でございます。何でもかんでもいろいろな庇護や何かのもとでなければ競争できないというようなことであってはいけない。そういう意味で、今後とも品種改良その他の面についても農民方々と一緒になって、政府機関も動員して、品種改良等をやって、そういうものが入ってきても負けない、こういうことをやらなければいけない。現に日本の海でとれるノリでございますが、韓国から一時相当の量入って、大分ノリ養殖業者も困ったのでありますけれども、冷凍網等の非常な画期的な技術開発がなされた。いまはもう日本のノリと韓国のノリとでは、品質の面、生産量の面で太刀打ちができないというようなことで、韓国のノリというものはだんだん衰退している。いまほとんど日本のノリで国内の市場はやっておる。こういうような努力がありませんと、私は、日本農業というのはやっていけないのではないか、こう考えておりますよ。
  256. 津川武一

    ○津川委員 農林大臣、どうも懇切丁寧な説明をいただきまして私も恐縮いたしました。それでもう時間がなくなってしまいました。しかし、かなり重要な話を聞きましたので、いまの発言、外国の農産物をどしどし入れるという意味でなければ賛成です。そういうふうにとられる節があると大変で、そこで最後にあと一つだけしかやれなくなりました。  青森県のお米が減額1として二百円引かれていることです。昭和五十一年六月二十二日、この委員会でいまの大河原長官が、「御指摘の青森米、たしか黒石とか弘前以外の米につきましては、当時の北海道その他市場における評価というものからわれわれとしては二百円の減額を講じたわけでございますが、これにつきましてはその実態が変わらない限りはわれわれとしてはにわかにこれを廃止することはできない」、こう答えている。さらにまた、私の再度の質問に、「価格の問題もあったわけでございまして、その価格関係かどうか、その他実態をとにかく調べましてその検討をしたい」。この大河原さんの答弁に青森県の農民は奮起しました。レイメイからいろいろな形で苦労してたどり着いたのがアキヒカリ、実にいい米でございます。そして、いま岩手、秋田にかなり広まっております。このお米を依然として減額1二百円、これは政府の態度としても恐ろしく不当だ。もっと青森県の余り米問題について聞くつもりだったけれども大臣の答弁があれだったので聞けない。アキヒカリをどう評価しているか。速やかに減額をやめるべきだと思うのです。この点では実際に減額させている卸などの人と一緒に食べてみればすぐわかります。品質からいっても、いまはもう昔みたいなかっこうでの取り入れでなくなっているから、この点明確に答えていただきたいと思います。いまにわかに答えられないというなら検討してからでも結構です。
  257. 大河原太一郎

    ○大河原政府委員 お話しの銘柄につきましては、なお検討させていただきますが、私どもが承知しておる限りにおきましては、そのような食味のよい米であれば自主流通ルートとして、各県の産地品として乗っておるわけです。減額米は非銘柄米で、政府がこれを買い入れて標準価格米の原料玄米として売っているものでございます。したがって、今日ただいま御指摘のアキヒカリがいかなる数量、いかなる流通、いかなる市場評価を受けているかという点もなお検討したいと思いますが、それは市場評価が高ければ自主流通米として政府買い入れ価格よりもさらに上の価格で仕切られるものでございまして、心配はないものだと思っています。
  258. 津川武一

    ○津川委員 これで終わりますが、最後に、アキヒカリは本当に皆さんも援助してくれて、農民も本当に苦労して、試験場も苦労して、耕作面積は文句ありません。非常においしい米で、いま秋田、岩手から種もみの注文が非常に来ておりますので、ぜひ検討して、自主流通米どころか銘柄米に指定して、減額はもちろん、そういう取り扱いをするように速やかな処置を要求して、私の質問を終わります。      ————◇—————
  259. 今井勇

    ○今井委員長代理 この際、瀬野栄次郎君外五名から、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党、日本共産党・革新共同及び新自由クラブの共同提案に係る昭和五十二年産さとうきびの最低生産者価格等に関する件について決議すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨の説明を求めます。瀬野栄次郎君。
  260. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 私は、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党、日本共産党・革新共同及び新自由クラブを代表して、昭和五十二年産さとうきびの最低生産者価格等に関する件について御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     昭和五十二年産さとうきびの最低生産者価格等に関する件(案)   砂糖の価格安定等に関する法律に基づく昭和五十二年産さとうきびの最低生産者価格等の決定に当たり、政府は左記事項の実現に努めるべきである。     記  一 沖縄及び南西諸島の基幹作物であるさとうきびの生産価格については、前年度農家手取価格を基礎にして、最近における労賃、生産資材等の上昇を適正に織り込み、農家の所得及び再生産の確保が十分図られるよう所要の措置を講ずること。  二 甘しや糖の事業団買入れ価格については、原料歩留、製造経費の上昇を適正に織り込んだ価格水準に引き上げること。  三 さとうきびの長期生産目標達成のため、土地基盤の整備、優良種苗の開発普及、原々種農場の整備及び機械化作業体系の確立等の生産対策を更に強化すること。  四 さとうきびの共済制度については、早期に本格実施を図ること。   右決議する。  以上の決議案の趣旨につきましては、質疑の過程等を通じてすでに各位の御承知のところと思いますので、説明は省略させていただきます。  何とぞ全員の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。(拍手)
  261. 今井勇

    ○今井委員長代理 以上で趣旨の説明は終わりました。  本動議に対し、別に御発言の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。  瀬野栄次郎君外五名提出の動議のごとく決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  262. 今井勇

    ○今井委員長代理 起立総員刀よって、動議のごとく決しました。  ただいまの決議に対し、政府の所信を求めます。鈴木農林大臣
  263. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 ただいまの御決議につきましては、その御趣旨を尊重して、適切に対処してまいる所存でございます。
  264. 今井勇

    ○今井委員長代理 本決議について、議長に対する報告及び関係当局への参考送付等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  265. 今井勇

    ○今井委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さよう取り計らうことにいたします。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後七時十六分散会