○松沢(俊)
委員 大臣の言われることはわからぬわけではないのです。ただ問題は、これだけ膨大な小麦が入ってきて、
長期見通しからいたしますと、
昭和六十年では月給率九%、こういうことなんですよ。
農業団体の方でも輸入の漸減をすべきなんじゃないか、要するに外麦を減らしなさい、こういうことを強く言っているわけなんです。
農民団体も言っているわけであります。しかし、減らすことができないというのは一体どこに原因があるのだ、これがやはり問題であろうと思います。今度貿易の問題につきましても新国際ラウンドでいくわけでありますけれ
ども、たとえば私、晴海の埠頭へ行ってびっくりしたのですが、よく財界と政界の癒着なんと言われますけれ
ども、あの小麦の輸入の
状況、埠頭にバラ積みで積んできた船が着けば、真空のパイプであの林のごとく建っておる入れ物の中にどんどん入っていくのです。そして、検査を受ければすぐそれは製粉工場に回っていくわけであります。これがもうすでに定着してしまっているんじゃないですか。
ですから、もう
大臣もおわかりのとおり、アメリカでは食糧メジャーがありまして、そしてアメリカの輸出の八割近くを握っております。世界全体の四割を握っているわけです。
日本の輸出に対しましても六割を上回っているわけであります。そうして、その指定商社がみんなで二十九社あるでしょう。そのうち五割近いものを三井物産、あるいはまた兼松江商、日綿、三菱商事、丸紅、これが握っているわけなんですよ。これらの利益のために何で
日本の小麦をつぶさなければならなかったのですか。千円の補助金を出して麦をつくってもらいたくないという
政策を出したのは
日本政府なのであります。そうして、小麦というのは合わなくしてしまったのではないか。反面、こういう商社が莫大もない輸入をやってくるわけであります。足りないものは入れるということはわかりますけれ
ども、足りないものを入れるのではなしに、あるものをつぶして入れてきたわけであります。そうして、一面におきましては、さっき申し上げましたように、貿易の面からいたしますならば、東化学工業製品はどんどんとふえているわけです。この
関係がはっきりしない中で、
日本農業の
生産のバランスを
考えたところの、やはりこれは
一つの
構造政策も入っているわけでありますが、百七十万トンの十カ年間の
生産調整によって
日本の
農業を変えていこう、それは言うまでもなしに
日本農業をぶっつぶすという
政策につながってくるのじゃないですか。
たとえば、
価格の面
一つとらえてみましても言えるわけであります。よく言われますけれ
ども、米の値段は高いからみんな米の方へ寄りかかって、そして他の農産物はつくらなくなっているんだと言う人もいます。だけれ
ども、米の値段にいたしましても、
昭和九年から十年、十一年、私の調べた範囲におきましては大体
生産費の二倍が
価格になっているわけであります。統制経済でも何でもないわけであります。それじゃ、いまの米の
価格は一体どうなっているのかということになりますと、二倍にはなっていないのです。だから、米の値段が高いということにはならぬわけであります。そしてまた、他の農産物の
価格、対米比価、これも調べてみましたけれ
ども、ほとんど問題にならぬところの
価格政策がとられてきているわけであります。でありますから、問題にならないから麦もなたねも
大豆もみんな消えていってしまったわけであります。そして、一面におきましては外国からそれを持ってくる。持ってこなければならぬわけでしょう。貿易収支のバランスをとらせるために持ってこなければならない。だから、農林
大臣は一生懸命
農業の
振興を
考えておられると私は思いますけれ
ども、この
日本政府のやり方、貿易
政策、経済
政策を根本的に変えない限りにおきましては
日本の
農業はつぶれてしまうのじゃないか。ことし
食管も若干小型になったわけであります。逆ざやの解消を五カ年間でやる、こういう
方針を出されまして、逆ざやの解消を五カ年間でやって
食管を健全なものにするということになりますならば、当然のこと
生産者
米価と消費者
米価を連動させなければならぬわけであります。物価が九・四%も上がり、賃金が八・八%も上がっているのに、
日本の米作
農民の米の値段は四%しか上がらなかったわけであります。そうして浮かしたところの
食管の金を稲転の方に回しているのじゃないですか。それでは農村全体から見ましたならば、何の得もないわけであります。今度要するに二千億円の要求をやっておられるということを聞いております。でありますけれ
ども、五カ年間で赤字を減らしていく、そういうやり方をとることになれば、当然
米価は低く抑えなければならぬわけであります。そうして、その低いところの
米価と他の農畜産物との
均衡をとらせるということになれば、
日本の
農業はつぶれていくことは決まりきった話じゃないですか。だから、新
生産調整というものは、私
たちの立場から見ますならば、
生産のバランスを求め、
日本の
農業を発展させるんだという、こういうものにはつながらないのじゃないかと思うわけであります。
しかも、
食管の問題なんというのは、いままで休耕
奨励金が出されています。休耕
奨励金が出ているときにおきましては確かに減反も進んだわけでありますけれ
ども、休耕
奨励金が切れると、がたっと稲転をやる
農家が薄くなっているわけであります。今度
政府の方といたしましては案が出ておりますけれ
ども、四万円に七千円プラスしていこうといういままでのやつを、今度は五万五千円に、そして一万五千円を足して七万円というようなことで、団体でやる場合でしょうけれ
ども、そういうぐあいにしておやりになる。あるいはこれに乗る
農民もあるかもしれません。でありますけれ
ども、いま三反、五反
農家というのはほとんど委託耕作に出しているのですから、そういうものを
農協が引き受けるといったところで、引き受けるつもりでやっても出す者がいないじゃないですか。出す者がいなくなると思うのです。そして、いま委託料は大体三俵ぐらいから三俵半ということになりますから、そうすると五万円以上となります。
農協の管理ということになれば四万円ということになりますから、したがって
農協に管理してもらったって四万円だ、委託しておれば五万円以上の収入が入るわけでありますから、そんなことでうまくやるなんと
考えたら大間違いな話なんであります。
全体的におきましては、
農業基本法が
一つの節目であったと思います。そうして、さんざんな目に遭わされて、それから今度は十カ年間の新
生産調整、これまたひどい目に遭わせる、これがいまの
政府の
考えているところの新
生産調整ということになるのではないですか。したがって、私は貿易
構造全体の問題、
日本経済全体の問題を見直さないでこれをやるというのは大変危険なことではないか、こんなぐあいに思うわけでありますが、どうでしょうか。