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1977-11-18 第82回国会 衆議院 内閣委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年十一月十八日(金曜日)     午前十時三十一分開議  出席委員    委員長 正示啓次郎君    理事 木野 晴夫君 理事 近藤 鉄雄君    理事 竹中 修一君 理事 塚田  徹君    理事 木原  実君 理事 長谷川正三君    理事 鈴切 康雄君       逢沢 英雄君    宇野  亨君       関谷 勝嗣君    塚原 俊平君       中村 弘海君    藤田 義光君       大出  俊君    栂野 泰二君       矢山 有作君    新井 彬之君       大内 啓伍君    柴田 睦夫君  出席国務大臣         文 部 大 臣 海部 俊樹君         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)      藤田 正明君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 三原 朝雄君  出席政府委員         人事院総裁   藤井 貞夫君         人事院事務総局         給与局長    角野幸三郎君         人事院事務総局         職員局長    金井 八郎君         総理府総務副長         官       村田敬次郎君         内閣総理大臣官         房総務審議官  大濱 忠志君         総理府人事局長 秋富 公正君         行政管理庁行政         管理局長    辻  敬一君         防衛庁参事官  平井 啓一君         防衛庁防衛局長 伊藤 圭一君         防衛庁人事教育         局長      渡邊 伊助君         防衛庁装備局長 間淵 直三君         防衛施設庁長官 亘理  彰君         防衛施設庁総務         部長      銅崎 富司君         防衛施設庁施設         部長      高島 正一君         防衛施設庁労務         部長      古賀 速雄君         法務省矯正局長 石原 一彦君         外務省アメリカ         局長      中島敏次郎君         文部省初等中等         教育局長    諸沢 正道君  委員外出席者         警察庁警務局給         与厚生課長   山口 弘之君         警察庁交通局運         転免許課長   三上 和幸君         行政管理庁行政         監察局監察審議         官       佐倉  尚君         大蔵省主計局法         規課長     佐藤徳太郎君         大蔵省主計局給         与課長     川崎 正道君         大蔵省主計局主         計官      志賀 正典君         食糧庁総務部総         務課長     宮崎 武幸君         自治省行政局公         務員部給与課長 石山  努君         自治省財政局財         政課長     関根 則之君         内閣委員会調査         室長      長倉 司郎君     —————————————  委員の異動 十一月十八日  辞任         補欠選任   栗林 三郎君     大出  俊君 同日  辞任         補欠選任   大出  俊君     栗林 三郎君     ————————————— 十一月十七日  恩給共済年金受給者処遇改善に関する請願  (相沢英之紹介)(第三一二七号)  旧軍人恩給等改善に関する請願外九件(相沢  英之紹介)(第三一二八号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  一般職職員給与に関する法律の一部を改正  する法律案内閣提出第三号)  特別職職員給与に関する法律の一部を改正  する法律案内閣提出第四号)  防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案(内  閣提出第五号)      ————◇—————
  2. 正示啓次郎

    ○正示委員長 これより会議を開きます。  一般職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案特別職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案及び防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案の各案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大出俊君。
  3. 大出俊

    大出委員 昨日の残り時間ということなんでございますが、一つ二つ冒頭に承っておきたいのです。  F15イーグルにかかわるこれは防衛庁見解なんだろうと思うのでありますけれども、お出しになったわけでありますが、念を押しておきますが、これはどういう手続をおとりになったのか。つまり、先般福田総理出席委員会で、私ちょっと聞いておりましたが、みごとにどうも国防会議にかかっていないということで、政府としてはまだ白紙だという大変都合のいい使い分けでお逃げになっておりましたが、そうすると、これは、この見解もやはりまた政府としては白紙防衛庁見解だ、こう言うのですか。
  4. 三原朝雄

    三原国務大臣 お答えをいたします。  防衛庁決定に至りましたメモを、参議院の内閣委員会に昨日提出をいたしました。その提出要請がございました際のいきさつをまず申し上げますけれども防衛庁から搭載機器について、これを取り外しませんということをるる説明を申し上げました際に、それでは、そうしたいきさつについて、ひとつ防衛庁見解内閣委員会提出をしなさいという御要請と、それからいまちょうど大出先生御発言のような意見がございまして、福田総理はこのF15についてはまだ国防会議でも論議をしていないし、政府としてはこのF15決定するかどうかということについては、全くまだ白紙だということを言っておられる、そのとおりでございますと私から申し上げて、F15決定をいたしましたのは、防衛責任官庁である防衛庁決定でございます。これから先、各省庁との事務段階における折衝というようなこともありますし、国防会議における参事官会議等会議の議を経るということもあって、その後に国防会議にかけた上で政府最終決定ということになる運びでございますということを申し上げて、あのメモ内閣委員会提出をしたということでございます。
  5. 大出俊

    大出委員 これは増田甲子七さんが防衛庁長官時代に、私が少し時間をかけたやりとりをして爆装を外すことをはっきりさしたわけなんでありまして、この間たまたまこの委員席増田甲子先生お見えになっておりまして、すでに評論家になっておられる防衛庁中心人物が昔おりまして、どこかの国の防衛庁長官というのは有事即応だなんて言っていて、爆装をおっ外していざというとき間に合うのかなんというようなことを言ったのがいた、しかし問題は専守防衛という意味のこの国の憲法なんだ、だから私の見解は間違っていないということを個人的に私におっしゃっていましたが、これはその意味では大変基本的な問題なんですね。きょうは時間がありませんから、私はかつての論議をもう一遍ここで繰り返す気はないのですけれども、この基本的な問題を、国防会議という場所あるいは総理以下というところとの意思統一なしに、幾らそういう要請なり質問があったからといってぽんぽんと出してくるということは、これはその意味では大変大きな邪道だと思っておるのであります。あなた方がぽんぽんと出して後でこれをひっくり返すと、今度はこれはえらいことになる。本来ならこの種のものは、やはり基本的に国防会議の議を経た上で防衛庁が明らかにしなければならぬ筋合いだ、こう思っているのです。  そうしますと、あなたの方はいつごろこれを国防会議に持ち込む予定にしているのですか。
  6. 三原朝雄

    三原国務大臣 すでに国防会議参事官会議におきましては、数度の検討を進めておられるように承知をいたしております。したがいまして、これが一段階つきますればその時点からでございますので、恐らく国会終了後間もなくそういう事態になるのではないかというような判断をいたしております。
  7. 大出俊

    大出委員 つまり国会のこの時期はめんどうだから避けるというわけですな。  ところで一点だけ承っておきますが、これは懸架装置をつけて爆弾をそこにくっつけて、86なんというのは目視照準で目で見て対地支援をやるというシステムなんですね。今回お出しになった中に、空対空戦闘中心にできた飛行機なんで——それはそのとおりでございますが、補助的に爆装があるのだというような書き方なんですね。F15イーグルの性能から言って、一体どのくらいなものを積んでどういう爆撃ができるのか、ここのところだけお答え願いたいのです。
  8. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 標準兵装からいたしますと、二百五十ポンドの爆弾を十二発積んで、行動半径といたしましては二百八十海里の行動ができるということでございます。  その目視ということでいまお話ございましたが、F15が持っておりますのは、目標目視いたします。それからコンピューターを持っておりますので、いまこの位置で爆弾を落とせばどこに落ちるかということはコンピューターが計算してくれます。したがいまして、目で目標を見ながらそこに落ちるような時期にボタンを押せばその地点に落ちるということでございまして、それがいま先生おっしゃいましたように、86Fのように自分で風速、スピードを計算しながら落とすのと違っている点でございます。
  9. 大出俊

    大出委員 時間がありませんから、まだ国防会議最終結論出しておられないようでありますから、これは私にも責任がございまして、F1つまりT2のときも私の質問が基礎で石橋書記長が詰めたわけでございますから、これはひとつ改めて、もちろんそのときに三原さんやっておられるかどうかわかりませんが、ともかく先に延ばさせていただきましょう。  もう一点、本題に入ります前に承っておきたいのですが、横浜に落ちましたファントム事故で大変大きなおけがをなさいました皆さんたち状況は、防衛庁のお医者さんなりあるいは中央病院なりというところでやっておいでになっているわけでありますが、その後一体どういう状態においでになりますでしょうか。
  10. 亘理彰

    亘理政府委員 お答えいたします。  九月二十七日の事故によりまして人的、物的に多大の被害を生じまして、特に二人の小さいお子さんが亡くなられるというふうな重大なことになりまして、まことに申しわけない次第であると思っております。被害者方々につきましては、早速横浜施設局並び防衛施設庁本庁におきましていろいろ御支援の手だてを講じておるわけでございますが、この点につきましても、初動のときにいろいろ行き届かない点がございまして御迷惑をおかけした点をおわび申し上げておるわけでございます。  その後、重傷を負われました方、林さんの奥様と妹さん、それから椎葉さんの奥様が三つの病院に分かれまして治療を続けておられるわけでありますが、私ども職員をずっと配置いたしまして、いろいろ御家族の御要望にこたえてお手伝いできる体制もとっておるわけでございます。お三方とも大変重傷でいらっしゃるわけでございますが、これは日々状況大臣のお手元まで御報告しておるわけでございますが、幸いにして少しづつ快方に向かっておられるということを伺って、喜んでおる次第でございます。  なお、補償の問題につきましてこれまでに三回の説明会を開きまして、地元町内会あるいは県、市の職員の方もお立ち会いいただきまして補償基準と申しますか、方式についての大筋を御説明いたし、いろいろ御質問にもお答えしておりまして、この方式について大筋の御了承を得られれば、個々具体的に被害額の算定と、それに対応する補償についてできるだけ早く補償処理を申し上げたい。かつ被害額が最終的に確定するまでの間時間がかかることでもありますので、御要望に応じて内払いもいたすように手配もいたしておるわけでございます。  被害者方々との関係につきましては、現在、大体以上のようなことでございます。
  11. 大出俊

    大出委員 事故分科委員会等のその後の推移はどうなっておりますか。
  12. 亘理彰

    亘理政府委員 事故分科委員会は九月の三十日と十月の二日でございましたか二回開かれまして、その後事故分科委員会としての正式の会合は開かれていないわけでございます。この点は合同委員会の合意に基づきまして、現在、米軍におきまして第一次的な調査を行うということで、鋭意その調査結果の取りまとめを急いでもらっておるわけであります。もちろん、この間日米間におきまして事故分科委員会議長同士の連絡、交渉は随時絶え間なくやっております。先般もエンジン米本国への持ち出しが当方に具体的な通報なしに行われたという点につきまして、いろいろやりとりがございました。この点は、去る十一日に横田に持ち帰られたというふうなこともございますが、この米側の第一次的な調査結果の取りまとめをできるだけ早くまとめて、事故分科委員会の場に提供してもらいたいということを申しておるわけでございます。  航空機事故調査というのは、先生もよく御承知のとおりと思いますが、大変時間のかかるのが通例でございまして、民間機事故でありますと、一年を超えることも大きな事故になりますと珍しくないわけでございますが、事故原因を究明いたしまして、それとのかかわりで安全対策を早急に講ずるということが急務でございますので、多くの時間をかけているわけにはまいらないということで、米側調査結果の取りまとめを督促いたしておるわけでございます。日本側といたしましては、その米側調査結果が出ましたときにこれを検討できる技術的な体制を整えようということで、いま鋭意政府部内の専門家の選考を進めると同時に、政府外民間学識経験者の方にもこの事故分科委員会検討に参加していただくようにいろいろお話し合いを進めておるところでございまして、米側調査結果がまとまり次第これを検討、分析できる体制を整えまして、できるだけ早くこの事故分科委員会レベルでその調査結果を取りまとめ、特に安全対策を固めまして合同委員会に報告し、御公表申し上げるということを急ぎたいと思っておるわけでございます。
  13. 大出俊

    大出委員 時間がありませんから簡単にお答えいただきたいのですが、十月七日に横浜市が申し入れましたこの墜落事故調査に関する法律家あるいは航空工学関係の分野から二名以上ぐらいの人を入れたらどうか、あるいは市民感情というものもあるから横浜市に選定をさせてもらって代表二名ぐらい入れたらどうかという、実はこれは大変重要なことだと思っておるのです。現場の事情を知っておりますだけに。そこらのところは、どういうふうにお考えでございますか。
  14. 亘理彰

    亘理政府委員 横浜市長からは再々にわたりましていろいろな御要請をいただいておりまして、私どもは、これは地元代表の御要請として非常に貴重な御意見として受けとめておるわけでございます。ただいまお話しの専門家の人選につきましても、まだ御本人と交渉をいたしておる段階でございますので、具体的に申し上げることは控えたいと思いますが、横浜市から御推薦のリストも重要な参考として考えさせていただいておるわけでございます。
  15. 大出俊

    大出委員 市民感情というものを重視する限りは、市当局が地域の諸君その他とも相談をいろいろしておりますけれども、そちらから出してきております物の考え方最大限しんしゃくをする必要があると私は思っておるのですが、そこのところはいかがでございます。具体的なことはいいですが、大筋として市側から再三この申し入れをしたりしておりますので、これは市民皆さんがよく知っておるわけでありますから、極力その方向で御努力を願う、よろしゅうございますか。
  16. 亘理彰

    亘理政府委員 ただいま申し上げましたとおり、地元代表であられる市長さんの御要望につきましては、貴重な御意見として受けとめておりまして、できる限り御要望に沿うように努力いたしたいと思います。
  17. 大出俊

    大出委員 もう一点、二、三日前に改めてお願いをしているわけでありますけれども、大変な騒音に悩まされている、しかも人口密集地でありまして、新聞にも出ておりますから、多く申し上げませんけれども、この周辺というのは、通常の基準面積に対する基準人口神奈川県の場合等と比較いたしまして極端に過密なんですね。それが騒音にまず四六時中悩まされることになる、艦載機もどんどん入ってまいりますから。そういう意味で、地上における騒音を七十五ホン程度に抑えたい、これは一つ基準でありますが、となるとその騒音、これは機種によって違いますけれども、飛行高度との関係が当然出てくるわけであります。そういう意味で、機種に分けまして、たとえばいま厚木に飛来をする各機を機種別に分けて、ファントムなら四千メートル以上とか、あるいは104のスターファイターならば三千メートル以上とか、86のセーバーならば千八百というふうな、七十五ホンを基準にすればそういう高度にならざるを得ないわけでありますが、幾つかの区にそのホン測定等機器もそろえまして、何とか市民騒音からの対策考えなければいかぬということが一つ。  それからもう一つ基地をどけてもらいたい、飛行停止をしてもらいたい、これは本旨でありますが、当面なお飛来が続くということである限りは、再びこの種の事故があっては困るわけでありますから、離脱のできる高度を考えなければならない、エンジンが停止した場合であっても、たとえば六千メートルというようなぐあいに。そういう基本的な立場で申し入れをしているわけでありますが、ここらのところは皆さんの方でも事故対策、今後こういうことがあっては困るわけでありますから、具体的な中身をぼつぼつあなた方の方もお持ちになってしかるべきだと思っているのですが、この市側言い分に対して、あなた方どうお考えになりますか。
  18. 亘理彰

    亘理政府委員 今後の安全対策再発防止の問題並びに騒音対策の問題、これは非常に重要なことであると思っております。これにつきましては、離陸の経路でありますとか、高度でありますとか飛行パターン、それぞれに関係することであると思います。非常に技術的な問題でございますので、私ただいまお答えする用意はございませんけれども日本側としまして、これは自衛隊にも専門家がおりますし、運輸省にもおいでになる、民間にもおいでになる、そういう方々の御意見事前日本側としましても、どのような対策をとるのが総合的に見て一番よろしいかということを考えて準備をいたしまして、米側の意向が出てきました場合に、事故分科委員会の場で十分その調整をできるような用意をいたしておきたいと思っております。
  19. 大出俊

    大出委員 少なくともやはりそういう意味での住民の安全あるいは騒音に対する対処というふうなことで、ここらの市側言い分等、現地の感情と絡んでおりますから、十分これはそしゃくしていただいて米側に対してぶつけていく、そういう姿勢が欲しいと私は思っておるのですが、そこのところ、念のためにもう一遍答えていただけませんか。
  20. 亘理彰

    亘理政府委員 お説のとおりに考えております。安全と騒音対策の面を総合的に考えまして、技術的にとり得る最善の方法を日本側としても考えまして、これを米側にもぶつけていきたいと思っております。
  21. 大出俊

    大出委員 抽象的にならざるを得ませんけれども、これはあってはならないことでございますから、ぜひひとつ御尽力いただきたいと思います。  ところで、昨日私申し上げました、どうもこれ考えれば考えるほど腹が立つのですがね。地元の知事が一生懸命、これは外務省中島さんに大変御尽力いただきましたが、大使館に物を言っていただいて公使に会うということになってきているやさきに、ぽかり、どうも米海軍当局が勝手に請負切りかえで発注をするというような、いささかこれは無礼千万だという気がするわけでありまして、きのう御調査お願いをいたしましたが、具体的にどういうことになっているわけでございますか。どうもスタープリンティングカンパニーにということなんですね、労管に来ている中身というのは。きのう申し上げましたように、調べてみたらどうも星印刷所という印刷所に間違いないようでありますけれども、不思議なことでありますが、いかがでございましょう。
  22. 古賀速雄

    古賀政府委員 昨日、大出先生から御指摘ございましたので、早急にできるだけの調査をしてみたわけでございますけれども、まだ十分に実態等がわかっておりませんが、私ども神奈川県を通しまして調べた範囲内でお答え申し上げますと、請負業者の所在地は横浜市中区山下町でございます。会社名スタープリンティングカンパニー契約者の名前は根本敬明というあれでございますが、これも神奈川県を通して調査をいたしたわけでございまして、私どもとしてはまだ具体的にその中身とか事業規模とか契約の内容とか、こういったことについては調査のいとまもございませんので、これからもう少し調査をしなければいかぬということでございますが、いまわかったところではそういうことでございます。
  23. 大出俊

    大出委員 これは印刷関係の業界もございまして、聞いてみて、この星印刷所、訳してみればスタープリンティングカンパニーなんですが、ここだとすると、この根本さんという方だとすると、これは食堂そのものに何の関係もないのですね、従業員二名いる印刷所ですから。だから、もしこの方が請け負うのだとすれば、どこかからこの種の方々を連れてこなければならぬことになる。そうすると、これはそういう意味供給事業をやるということになる可能性だってなくはない。まことにこれは不可解なんですね。せっかく基本問題だという認識で、従業員がいるのに、しかもそれはオクラホマシティーが佐世保に行く行かないの騒ぎがありまして、当時米海軍が居座るということになったのでありますけれども、一遍従業員をほとんど全部やめさせた。居座るということになったらあわてて今度は私宅まで訪ねて連れてくるというようなことをやった基地なんですから。食堂がなくなるわけじゃないのに、いるのに請負業者を首切って、しかもわけのわからぬ形でというのでは、これは納得のしようがない。ここらの本筋について一体皆さんの方はどうお考えでございますか。これには旧来、藤山さんの時代にある種のレターがございまして、私どもにすると、それ以来事前に協議して云々という定着している姿がある、こう思っておるわけですが、あの藤山・マッカーサー・レターというのはそれだけで終わったものであるにしても、その物の考え方は生きている。ただ単に事前協議をすればいいのだということにしてもらっては困るのでありまして、事前話し合いというものを制度化してその話の決着をつける、そういう前提に立ってもらうということでなければならぬと私は思っておるのです。そうでなければ働いている人間はこれはたまったものじゃない、生活の保障がないのですから。勝手にいつでもぽんぽん首を切って請負に出せるというのでは、これはそれこそ日本政府として、この国の契約に基づく労働者なんですから、その保障がないなんてばかなことはない、そこのところを一体基本的にどうお考えになりますか。
  24. 亘理彰

    亘理政府委員 横須賀士官食堂の業者切りかえの問題につきましては、私どもも事柄の重要性を十分認識いたしまして、これは単に従業員の十七名の方の問題にとどまらない。この業者切りかえの問題は雇用の安定にかかわる重要な問題として、昨年来日米間でも話し合いになっている項目でもあるわけでございます。お話のような経緯がございますにもかかわらず、去る八月二十五日に士官食堂の財政難という理由から在日米軍の方で申し入れをしてきたわけでございますが、私どもはこの点につきまして米側と、私自身も在日米軍代表者とも時間をかけて話をいたしましたし、労務部長以下も横須賀にも参り、何回となく交渉をいたしておるわけでございます。また神奈川県当局におかれましても、昨日も大使館に知事さんがおいでになって交渉をしておられるということで、あらゆるルートを通じて事の重要性米側に説いて、考え直すように求めておるわけでございますが、これが具体的に交渉が進展しない、昨日はまた御指摘のような事項も出てきたということは、はなはだ遺憾であると思っております。ただいまのその具体的な請負者の問題につきましては、さらに実情を調べまして、神奈川県御当局とも御相談して、とるべき措置について検討いたしたいと思っております。
  25. 大出俊

    大出委員 これは外務省中島さんにも承りたいのですが、こういうやり方というのは、占領当時ならいざ知らず、今日余りといえばこれは国内秩序というものを無視した、まことに不法な行為だという気がする。先ほどのスタープリンティングカンパニーというのももっとお調べいただかなければわかりませんけれども、どうもいま私が調べた感じとしては、これは一つ間違えば職安法違反だなどという疑いだって全くないとは言えない。印刷所なんですからね、二人しか従業員はいない。同業他社に聞いてみても同じことを言う。労働者を供給する事業をやるのだとすれば、これだってちょっと黙って捨てておくわけにはいかない問題でありまして、したがって、そこらのことまで含めましてこの調査を早急にやっていただきませんと間に合いません。大至急御調査をいただいて、この種のことについての不当性というものが出てくれば、これはきちっとした処理を願いたい。これが一つ。  それから、この食堂問題というのは、兵員食堂の同種のことがございましてさんざんもめましたが、もとへ戻したわけですね。このときにもう一遍こういうことはしないと言っていた。人がかわった途端に出してくる、実はこういうやり方。これは基本的な問題ですから、外務省筋でももう少し御努力願いたいのです。  それで、年間の売り上げが百万ドルくらい、人件費が六十万ドル、十七名のいま首にするという方々が二十五万ドル、パートを雇っておりますが、これが二十万ドル、ドルの差額とか雑費とか、食堂に艦隊の軍楽隊を呼んだりするなどというときに金を払う費用などがありまして、これが十五万ドル、こういう内訳なのですね。これは中身がはっきりしているのです。そうならば、ほかにも例がありますが、この職種はIHAなんですね。MLCにこのうち何人か切りかえるとか、方法が全くないわけじゃない。あるいは規模をもう少し、十七名を十五名程度に、もしそれならば、一人五万ドルなら五万ドルなんというようなことを言われているのですから、切りかえるということだってできる。あるいは士官、准士官、兵員食堂、三つあるわけですから、これは多少の統合措置だってやってできないことはない、兵員食堂でもさんざんもめたのですから。だから、そこらのところを具体的にやはり詰めていただかぬといけないというふうに私は思っているのですが、あわせてこれはひとつ外務省の方からも御努力願いたいので申し上げているのですから、御答弁いただきたい。
  26. 中島敏次郎

    中島政府委員 お答え申し上げます。  まず第一に、この業者切りかえの問題一般につきましては、いま先生からも御所見がありましたように、私どもといたしましても、これは雇用の本質、根本にかかわる問題だという認識を持っておりまして、この問題は日米間で十分協議して、そして納得ずくの解決を図る、そういうルールがつくられていくようにということで、施設庁とも十分御協議しながら、合同委員会の場で従来とも努力を重ねておる次第でございます。  本件の具体的な問題につきましても、従来から先生からもお話があり、私どもとして施設庁なり神奈川県なりの御努力に対して側面的になし得る限りのことを、努力をやっていきたい、こういう姿勢でやっておりまして、今後とも円満な解決がつくように何とかできる限りの努力をいたしたい、こう考えております。
  27. 大出俊

    大出委員 ぜひこれは外務省御当局、特に中島さんの所管でございましょうから、ひとつ早急に。大変にこれはどうも私は納得しかねるのですね。せっかく詰めた話をしていて、知事も外務省皆さんの御尽力もいただきながら、シャーマン氏ですか、公使にお目にかかって話をするという寸前ですね。こういうやり方は何とも納得しようがないのです。ぜひひとつそういうことで御努力をいただきたいのであります。  それから次に、もう一つ問題がございますが、余り突っ込み過ぎる質問もいたしにくい、日米間の交渉が続いているのだろうと思うのでありますが、例年駐留軍の職場に勤めている、しかも相当長年月働いている他に簡単に切りかえのきかない年齢層もたくさん抱えている方々米軍の在日基地維持等の面ではずいぶん協力もしてきた人たちのはずでありますから、この方々の賃金という問題でもめ続けて今日に至っているわけです。ときには年を越して三月だとか五月だとか、こういうことが自今なお続くとなると、その方々の御家族を含めてこんなに非人道的なことはない、こう思っているのです。なぜかといいますと、ここにございますけれども法律百七十四号、日本国との平和条約の効力の発生及び日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定の実施等に伴い国家公務員法等の一部を改正する等の法律、これはいにしえの法律でありますけれども、間接雇用形態の基本、法的基礎ですね。ここで第九条に「駐留軍等労務者の給与は、その職務の内容と責任に応ずるものでなければならない。」これが一項。二項に、二項が問題なんですが、「駐留軍等労務者の給与その他の勤務条件は、生計費並びに国家公務員及び民間事業の従業員における給与その他の勤務条件を考慮して、防衛施設庁長官が定める。」こうなっているのですね。亘理さん、これはあなたに決定権があるのですね。ところが、横の方に基本労務契約なるものが米側との間にあるというところに常にこれはジグザグを起こす。だから雇用責任はこの法律で明確になっていて、施設庁長官が決めなければならない責任と義務がある、こうなんですね。これを根拠にして、今日まで長い年月たちましたが、昔PW方式なんという方式をとっていたところから、小坂さんが労働大臣のころに切りかえまして、基本労務契約ができた。以来ずいぶん長い年月がたちますが、この間に、一言で言ってしまえば公務員の給与に準ずるということになっている。だから、公務員の賃金が人事院の勧告で上がるということになれば、連動して上がっていくということになる。はっきりこういうことになってきているのですね。にもかかわらず、これが年を越えても実施できない。一々そこに文句がついてくる。一般の公務員の方はとっくの昔に、前年もらっているというのに、翌年になってまだストライキを打ちながら三月、五月と過ぎていくということを放任できない。この責任を一体どう果たしていただけるかという、これは防衛分担だとかなんとかいう問題じゃない、労務の基本なんです。労働者である限り生きる権利がある。しかも百七十四号という法律があって、防衛施設庁長官に明確な責任と義務がある。なぜこの責任を果たさないかという問題なんですね。いかがでございましょうか、御所見をいただきたい。
  28. 亘理彰

    亘理政府委員 おっしゃるとおりでございまして、間接雇用方式をとっているわけでございますが、この法律百七十四号にありますとおり、この給与等の条件は施設庁長官が定める、こうなっているわけでございます。したがって、私どもは、この条項に基づきまして、公務員と同時、同率の給与改定の実施ということは当然のことであると思っておるわけでございますが、これについて米側との交渉が年々難航して、そのために従業員にも御迷惑をかけているということは大変申しわけない次第だと思うわけでございます。  一方アメリカの方は、駐留軍従業員が相当数が減ってきておるわけでございますけれども、石油ショック以降の賃金水準の日本における高騰ということもございまして、一方米国政府の海外経費の削限方針ということもございますので、在日米軍も苦労しておることは事実でございますが、私どもは基本的にこの法律の条項に基づく精神は守らなければならない、こう思っておるわけでございます。  そこで、国が雇用している労務者、従業員でございますので、この雇用主としての責任を現実に即していかに果たし得るかということにつきまして、いろいろ検討を重ねておるところでございます。本年の給与改定の問題につきましては、すでに米側申し入れまして、他方で、御存じのような基本問題の日米間協議が昨年来続いておりますが、これと並行して本年度の給与改定の問題については片づけようということで話を進めておるわけでございますが、私どももこの雇用主責任ということを念頭に置きまして具体的に現実に即した解決策を求めて、そうしてあくまで従業員方々、二万三千人の従業員、家族を含めれば十万人の生活にかかわる問題でございますので、御迷惑をかけないようにできるだけ早く解決したいというふうに考えております。
  29. 大出俊

    大出委員 不思議なことに新聞がいろいろなことをお書きになったり、関係委員の方からいろいろこの質問が出たりするのですが、どうも百七十四号といういまの法律が出てこない。本来この百七十四号という法律で、いま御答弁いただきましたように、これは明確に防衛施設庁長官給与なり労働条件なりを決定する責任と義務がある。間接雇用ですから、雇用主は日本政府なんですから、しかもその責任者は施設庁長官なんですから、雇用責任がある。そうすると、その雇用責任を果たしてもらわなければ困るということになるので、これはあたりまえの要求ですよ、働いている限りは生活があるのですから。これがどこかに抜けてしまって、途端に防衛分担、アメリカで会計検査院がどう言ったとかこう言ったとか、そんなべらぼうなことじゃないのです。中身というのは。しかも明確に限定されている。どこまで行っちゃうかわからない、そんなものじゃない。はっきりしている。  そこで承りたいのですが、これはずいぶん新聞関係の方にも誤解があるのですが、五十一年度の労務関係のいろいろな費用の支払いの実績、これをちょっと承っておきたい。
  30. 古賀速雄

    古賀政府委員 お答えいたします。  駐留軍従業員の労務関係の経費の内訳でございますが、まず賃金等というのがございます。これは給料でございますが、これが五十一年度一千十七億でございます。この中には格差給とか語学手当とか退職手当等が含まれております。次が福利関係費でございますが、これはいろいろな社会保険の経費でございます。これが五十一年度で五十億円でございます。そのうち社会保険等の経費が四十八億でございます。それから、その他労務関係の事務費が三十億でございます。合計いたしまして千百二十一億。米側が負担しておりますのが千七十七億、日本側の負担が四十四億ということでございます。
  31. 大出俊

    大出委員 つまり日本の国内法である労働基準法に言うところの賃金というのは一体何だ、これもはっきりしておいていただきたいのでありますが、退職手当などまでは賃金に入ります。つまり、ここに分類がございますが、普通給与五百七十三億三千五百万円、期末手当等百九十四億七千六百万円、退職手当等二百四十七億円、旅費一億六千四百万円、給与と言ったら大体これまでしか入らない。これの合計が千十六億七千五百万円。だから、基準法のたてまえから言っても、賃金というのはここまでだと私は思う。そうすると、いまお話がございました福利費、法定福利費と言ったらいいと思うのですが、国内法で決まっている。これも特定されているのですね、国内法の数が決まっているのだから。健康保険事業主負担金、これは十九億二百万、厚生年金、これが十九億二千百万、雇用、労災保険九億一千三百万、日雇い健保百万、船員保険九百万、児童手当拠出金が五千六百万円、これは地位協定が決まるころには児童手当なんかなかったのですね。本来ない。これらの法定福利費というのは、基準法上の賃金じゃないのです。そのほかにもう一つ任意福利費という、法定福利費ではなく、要するに事業主がそれなりに選択して組んでいる福利費、それが四千四百万、健康診断費が三千四百万、ほう賞費六千八百万、安全衛生、災害見舞い金などが八百万、制服の費用が三千百万、これが合計で一億八千五百万などということになっているわけであります。要するに、一番最初に申し上げましたもの以外は賃金じゃない。いまのこの問題は、一体この部分をどう見るかということにしかならない。この部分をどういうふうに見るか、これだけなんです。だから、歯どめがあるも何も、項目的に全部決まっている。問題は、これと地位協定との関係をどういうふうに見るかというところが、さっきから申し上げているように、百七十四号という法律に基づいて防衛施設庁に給与、労働条件、これらについて、間接雇用なるがゆえに雇用主としての責任を果たしてもらいたいという主張なのであって、片一方に基本労務契約というものを控えているから、日米間の交渉が続いているということなんです。これを基本的な問題として合同委員会に上げたわけですね。それをいまやっているわけですね。そこで問題になるのは、賃金だということになると、それは向こうが負担するのはあたりまえのことです。だがしかし、法定福利費などというものは一体どう解釈をすべきかというところが問題の争点になる。片や雇用主の責任という意味での責任を果たさなければならぬ義務が皆さんにはある。  そこで承りたいのですけれども、地位協定の十二条というのがございます。地位協定の十二条の五項、四項も関連がありますから読み上げますが、十二条四項は、「現地の労務に対する合衆国軍隊及び第十五条に定める」——十五条というのは諸機関でございます。「諸機関の需要は、日本国の当局の援助を得て充足される。」五項が「所得税、地方住民税及び社会保障のための納付金を源泉徴収して納付するための義務並びに、」ここからが問題なんですが、「相互間で別段の合意をする場合を除くほか、賃金及び諸手当に関する条件その他の雇用及び労働の条件、労働者の保護のための条件並びに労働関係に関する労働者の権利は、日本国の法令で定めるところによらなければならない。」こうなっている。日本国の法令によらなければならないということになっているけれども、ここで挙げているのはすべて条件である。つまり支払いの金額云々、これをどうするかということに触れていない。これはどっちがどう払うかということには触れていない。あくまでも条件です。条件をどう決めるかということになっている、日本国の国内の法令に従って。あたりまえのことであります。だから、地位協定の十二条というものを取り上げる限りは直接的関連はない。どっちがどうということをここで決めていない。それからもう一つ、地位協定二十四条では「日本国に合衆国軍隊を維持することに伴うすべての経費は、」こうなっている。「2に規定するところにより日本国が負担すべきものを除くほか、この協定の存続期間中日本国に負担をかけないで合衆国が負担する」、こうなっている。ここで言う「日本国に合衆国軍隊を維持することに伴うすべての経費」とは一体何だという問題が出てくる。本来、駐留経費、維持経費という分け方を解釈上している。だが、残念なことにこの地位協定というのは、当時の地位協定が国会を通過したときにほとんど議論されていない。私が調べた限りでは、岡田春夫さん等が路線権問題などについては相当詳しい追及をしています。あと調べてみても、国会におけるまあ確定解釈みたいなもの、全くない、これは。だから、これはただ単に国会を通ったということであって、どういう協定、出発の趣旨に立っていたかということは不明確だ。そうすると、この「すべての経費」というきわめて抽象的な包括的な概念、これは一体何だということになる。私は、果たして維持経費なのか駐留経費なのかということさえ明らかでない。そうすると、この地位協定十二条、二十四条の関連からすると、百七十四号法律に言う施設庁長官の賃金、労働条件に対する責任、充足する義務がある。この問題と支払いの方法との関連はまことに不明確であると言わざるを得ない。しかも、国内法の基準法に言う賃金でない、法定福利費なんというものは。そうすると、使っている使用者が使用責任を果たさんとすれば、雇用者が責任を負わざるを得ない。そのことが地位協定に明確に抵触するという条文はない、こういう結果にならざるを得ない。  維持経費というものは、じゃどんなものを維持経費というかと言って、全部分類をして出してもらって仕分けをして、これは一体何に該当するということまで当たっていかなければ本当は結論は出ませんけれども、しかし、この条文から言う限りは、しかも国会の議論がない限りは、まことに不明確であると言わざるを得ない。ならば、百七十四号法律を優先的に、やはり雇用なんですから、その意味で雇用責任を果たせと、働いている方々言うのはあたりまえ。一つも不思議ではない。会計検査院がアメリカで何を言おうと、防衛分担がどうのこうの、そんな問題じゃない。明確に項目別に、しかも決まっている。国内法改正で上ってきていますが、恐らくこれをつくったころには、社会保険各費用というのはきわめて低廉だったと思う。それほど大きな問題になっていない。まして、児童手当だ云々だというものは当時はない。だとすると、この結論をどこかで出してもらわなければ働いている人たちは生活を抱えて、世の中じゅうが暮れに賃金も上がったんだからということでいい正月をというときに、たすきがけで闘争をやっているなんてばかなことを、雇用主がほうっておける筋合いのものじゃない。これをどう考えるかということを、私は地位協定の関連その他を含めて明確にしていただきたい。いかがでございますか。
  32. 亘理彰

    亘理政府委員 ただいまの先生の御意見は、非常に貴重な御示唆に富んでおると思うわけでございます。ただこの問題につきましては、現在日米間で鋭意検討、協議中の問題でございますので、具体的にただいまの御意見に対する政府としての意見を申し上げることは、今日は差し控えさせていただきたいと思うわけでございますが、私どもは、先生のおっしゃいましたように、あくまで法律百七十四号に規定されております雇用主責任ということを踏まえまして、同時に従業員の雇用、生活にかかわる問題でございますので、これを安定した基盤の上に置くために雇用主の責任を適切に果たすべく、何をなし得るか、何をなすべきかということを踏まえて、鋭意努力をいたしたいと思っているわけでございます。あくまでこの地位協定の枠内におきまして、この法律百七十四号の精神を踏まえて、事は抽象論でなく、十万人の生活にかかわる問題でございますので、そのことを十分念頭に置いて従業員の雇用並びに生活を安定した基盤の上に置くためになし得ることを最大限考えていきたい、こういうふうに思っております。
  33. 大出俊

    大出委員 くどいようですけれども、「給与及び実費」というこの基準法上の給与、賃金というものについては、これは千十六億七千五百万円ある。これが上がったとしても、これは米側の負担なのは明らかなんだ。初めからはっきりしている、これは。疑いの余地がない。だが、法定福利費というのは、さっき申し上げたように合計四十八億二百万円、それから任意福利費等々を入れてみても、まあたかだか六十億前後のことにしかならない。それだけのことを、しかも条文ではっきり決まっているから、言っているのです。しかも、基準法の賃金でないから言っている。しかも、地位協定の十二条の四項、五項をながめてみたって、二十四条をながめてみたって、直接的にこの配分についていずれが負担するかなんということの解釈のしようがない。だとすれば、限られた形の中でどういうことにするのが一番いいかと言っているのであって、とてつもない金でも何でもない。しかも、防衛分担なんという筋合いのものじゃない。私もこの防衛問題を基本的にやってきた人間ですから、いわゆる防衛分担をというならば、これは正面から反対しなければなりませんし、それなら地位協定の改変をしなければならぬことになる。地位協定の枠内でどこからどう考えてみても、このことを出すことが不当だとは言えない。向こうに持たせることができればそれにこしたことはない。一銭も日本の金をよけい払えとぼくは言いたくない。ないけれども、雇用主の責任、百七十四号法律がある限りは雇用主の責任は果たすべきであるということにならざるを得ないと申し上げている。この辺あたりについて、これは地位協定と絡みますから、中島さん、アメリカ局長お見えになっておりますから、一体どういうふうにお考えかを念のために承っておきたい。
  34. 中島敏次郎

    中島政府委員 この問題につきましては、ただいま施設庁の長官からもお話がありましたように、これは十万に上る駐留軍の従業員方々の雇用の安定の問題というふうに私どもも認識いたしまして、この雇用の安定をいかにして地位協定の枠の中で図るかという見地から検討を行っておりまして、防衛施設庁とも十分協議しながら合同委員会で詰めているところでございます。  ただいまの大出先生の地位協定に関する御所見、それから雇用主の責任に関する御意見、大変貴重な御意見として私も十分な注意をもって拝聴させていただきました。今後ともこれを念頭に置きまして、いまの検討を続けていきたいというふうに考えております。
  35. 大出俊

    大出委員 私は昔、いまの仕分けからいきまして、これ日本政府の雇用責任において払ってしまえ、公務員賃金に見合うものを払ってしまってアメリカに物を言え、雇用責任があるのだから、と言ったことがある。当時おられた方々が違いますけれども、一遍皆さんの方でも検討されたことまであった。これは歴史的なことで、きのうきょう始まったことじゃない。私がこの問題を取り上げてからでもかれこれ二年近くたつのだろうと思うのですね。だから、その間にこの辺の法律解釈その他について結論を求めておられないということは、これはいささか私は怠慢だと思うのでありますが、防衛庁長官きょうはお見えいただきましたので、これはひとつ防衛庁長官としても、雇用責任を負っておられるのは、法律上は施設庁長官だが、施設庁に対する内閣法上の所管の大臣というのは三原さんなんですから、あなたなんですから、あなたにもその意味における大きな責任がございます。一体、そこのところをどうお考えか、明らかにしていただきたい。
  36. 三原朝雄

    三原国務大臣 先ほど来大出議員の貴重な御意見を拝聴いたしておりました。示唆に富んだ御意見として受けとめておるわけでございますが、先ほど来施設庁長官、外務省中島アメリカ局長が御答弁を申し上げましたように、私もこの在日米軍に対する従業員の問題につきましては、安保条約の地位協定の枠内において、雇用責任者としての施設庁長官の責任において取り組ましておるわけでございます。したがいまして、この問題は、先ほど来お話があっておりますように二万三千の従業員、そしてその家族を入れますと十万の生活に関する問題であり、雇用安定の問題でもございますし、私どもといたしましては、その基盤を確立してやらねばならないという基本的な姿勢のもとに、前向きでこの問題の処理をいたしたいということで、鋭意努力をいたしておるところでございます。  私といたしましては、合同委員会の結論を期待しながらおるわけでございますが、その結論が出ますれば適宜な処置をいたして御期待に沿いたい、そういう考えでおるところでございます。
  37. 大出俊

    大出委員 沖繩が復帰を果たしまして以来五年余になるわけでありますけれども、当時五万と言われた方々が減ってきておりまして、減った方々が賃金が確定をしない、大変な苦労をしなければならぬなどということを見過ごすわけにはまいらぬと実は私は思っておる。しかも重ねて申し上げますが、大変くどいようですけれども、よくこの議論の中で出てくるお話に、歯どめがないではないかという議論も出てくる。歯どめは明確にある。国内法というのは限られておりまして、やたらつくるわけにはまいらない。雇用主負担と言われるものは法律で決まっている。先ほども読み上げたとおりであります。それ以上に拡大するというのは、新しい法律ができた場合ということになる。それが限度であります。あとは物価が上がる、したがって法律改正をして負担金が上がる、その場合にふえるというだけであります。これはいたし方がない、世の中じゅうの雇用主がその責任において負担しているわけでありますから。しかも国内法の解釈からすれば雇用主の責任になる。通常は雇用主、使用主一緒でございますけれども法律の趣旨は雇用主負担の形になる。そうだとすれば、当然これは百七十四号法律は生きているわけですから、当然負担すべきものになる。もちろん截然と決めてなかったわけでありますから、何となく向こうが負担していたということになっているのだから、向こうに負担させることができればそれにこしたことはない。ないが、向こうがそれを削り削り続けたから年を越して三月になり五月になりということで、それが限度に来ている。ということになるとすれば、どこかで雇用主の責任を果たすという必要が出てこざるを得ない。これ以上この苦しい生活の状態を放任はできない、こういうふうに実は言わざるを得ないわけであります。  そこで今日的交渉の経過その他ながめまして、御努力をいただいているのでありますけれども、たとえば先ほどの横須賀士官食堂問題なんかでも、長官にも御努力を願っておりますけれども、リン参謀長と話してみたらこうだったとか、あるいは司令官と大臣命令で丸山次官が電話で話したらこうだったとかいろいろございますけれども、やはり最終、最悪の場合には三原さん、あなたが所管の大臣だから、大臣責任において事を処理するという姿勢があってしかるべきだと私は思っておりますが、そこらのところはいかがでございますか。最終的には、みずから乗り込んででも司令官を説得するぐらいのことは、お考えをいただいてもいいのではないかという気がする。そこらはいかがでございますか。
  38. 三原朝雄

    三原国務大臣 ただいまの横須賀士官食堂に対します従業員の問題につきましては、私も重要な問題として受けとめておるわけでございます。ただいま施設庁はもちろん、外務省もそして県御当局も煩わしておるような事態でございますが、私自身といたしましても、丸山事務次官に折衝を続けさせておるということでございますが、最終的には関係者を招致をして御相談をすべきかなということを、けさも施設庁長官と話をしたぐらいでございますし、最終的な努力をやりたいと考えております。
  39. 大出俊

    大出委員 私は、今回この問題の決着をつけて、久方ぶりに駐留軍に働いておる皆さんが、比較的年内早い時期に解決をして、波穏やかな正月を迎えるようにさしてあげたいと思っているのです。それでさっきから歯どめと言ったってこれしか項目がないじゃないか、国内法は決まっているじゃないかと申し上げているのですが、将来を展望した場合に、やれ円高、ドル節約だと言っているわけですから、それでも片づかぬ場合だってあり得る。だけれども、そのときに出てくる問題があるとすれば、これは新たな問題で、いま取り上げているこの問題に絡む問題でないことだけははっきりしている、これは枠がこれしかないのですから。だから、そういう点をむしろ新聞がいろいろお書きになることについて、後ろに引っ込んで物を言わぬというのじゃなくて、やはり詰めるところは法律的にも詰めていただいて、積極的に前に出て誤解を解くという姿勢が皆さんにないと、何か知らぬが、日米相互の防衛分担に云々ということに走っちゃって、これは現に駐留軍で働いている方々だって生活は苦労しながらやっているのですから、その方々がそういう問題のとらえ方によって逆にその上に迷惑をしているという、何となく肩身の狭いことになるということ、これは考えものだと私は思う。そういう点まで御配慮をいただいて、言うべきことは大胆に言うという姿勢がなければ、防衛分担でないのはないというふうに明確に言い切るなら言い切るということにしなければ、働いている方々に気の毒ですよ。そこらのところもひとつぜひ御考案をいただきたい。最後に施設庁長官から御答弁をいただいて、終わります。
  40. 亘理彰

    亘理政府委員 先生のおっしゃるお気持ちはよくわかるわけでございます。はなはだ歯切れの悪いことばかり申し上げておりまして恐縮なわけでありますが、この問題につきましては、やはり国会の大方の御了解をいただかなければならないということで、私どもも各党の、各界の御意見をいろいろ伺いながら努力をいたしておるわけでございます。ただいまの段階で、はなはだ歯切れの悪いことを申し上げたわけでございますが、できるだけ早くこの見通しを得まして、おっしゃるとおりはっきりした立場で、はっきりした物の言い方を申してまいるようにいたしたいと思っております。
  41. 大出俊

    大出委員 終わります。
  42. 正示啓次郎

    ○正示委員長 続いて、柴田睦夫君。
  43. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 きょうは文部大臣に来ていただきましたが、きのう文部大臣が、主任制の弊害について具体的事例を言えば、これを調査するということをおっしゃいました。きのうから私、各学校に連絡いたしまして、具体的な事例を出してもらいたいということを申しましたところ、それぞれの組織に諮らなければならないということで、これは出した場合の当局からの弾圧といいますか報復といいますか、そういうものに対する配慮からですけれども会議などを持たなくちゃいけないということで、急に間に合わなかったのが現実であります。そういう意味で、いままで公表されている具体的な事実、ちょっと抽象的なものがありますけれども、十点ほど資料を用意してまいりましたので、これをきょう第一次分として差し上げておきたいと思います。  調査に当たりましては、教育当局を通じるというだけではなくて、やはり組合、支部、分会、こうしたところからも聞かなければ真相がわからないとは思いますが、そういう点で調査していただけるかどうか、もう一遍確認して、文部大臣に対する質問は終わりたいと思います。
  44. 海部俊樹

    ○海部国務大臣 きのう先生の御質問の中に、私たちが願っております望ましい主任のあり方と全く逆のような、たとえば教務主任が親との話し合いを現実に反対して抑えてしまっておるとか、あるいは職員会議が全く開かれないようになっておる実情等について御指摘がございましたので、私どもとしても、そういうあり方というのは決して願っておるわけじゃありませんから、そういったものを具体的にお示し願えば、当然そういった状況が解消されるように指導しなければならぬ、こう思っておりますので、具体的にお示しいただけたらわが方もきちんと調査をいたしまして、そういう事実があれば改善するように、指導を教育委員会を通じてきちんといたします。そういうつもりでおります。
  45. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 それでは文部大臣は終わりまして、次に、防衛庁職員給与法案についてお尋ねいたします。  今度の法案では、一昨年のように食事代を俸給に組み入れるというような特別優遇措置は含まれていないように思います。従来の一般職給与との対応関係から見ると、今度の改正案は、一般職給与改善に準じていると言えるのかどうか。きょうはちょっと質問がたくさんありますし、時間が制限されておりますので、この点簡単に答えてください。
  46. 渡邊伊助

    ○渡邊(伊)政府委員 先生承知のように、自衛官俵給は独自の俸給表を作成しておるわけでございますけれども、これにつきましては、公安職とのリンクに基づいて作成されておりますし、公安職の方が人事院勧告によって改定を伴うということに伴いまして、自衛官俸給表も改定をいたしておるわけでございまして、いま御質問のようにいわゆる食事代、それに類するような趣旨の改正は行っておりません。
  47. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 では、この機会に新聞等で伝えられております米軍基地従業員の労務費分担問題に関連してお伺いいたします。  伝えられるところによりますと、米軍基地従業員の労務費分担問題について日米合同委員会などの日米交渉で、日本側給与以外の健康保険、労災保険など各種社会保険料の事業主負担分、福利関係費及び調達労務管理事務委託費などを負担する方針で協議に臨んでいるということを書いてあるのですが、防衛庁長官、こういう事実を知っておられますか。
  48. 亘理彰

    亘理政府委員 ただいまの御質問の点につきましては、先ほどもお話が出ておりますが、この年来、駐留軍従業員給与改定が年々難航をしてきておるということから、昨年来、日米間で合同委員会を設けまして、労務に関する全般の問題を鋭意検討しておるところでございます。  私どもは、先ほどもお話が出ましたこの駐留軍従業員に対する雇用主責任というものを果たしながら、地位協定の枠内において何をなし得るか、なすべきかということを鋭意検討しておるところでございますが、具体的にまだ成案を得ているわけではございません。日本政府関係機関の内部におきましても、日米間におきましても、鋭意検討しておるという段階でございまして、具体的にその内容を申し上げられる段階には至っておりません。
  49. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 知っているかと長官に聞いたのに、ずいぶんよけいな答えが戻ってきたわけですけれども、次に移りましょう。  この調達労務管理事務委託費の一部は、現在すでに実質的に日本が負担し、肩がわりが行われていると私は考えます。以下、具体的事実を挙げて質問いたしますので、明確に答えていただきたいと思います。  まず、調達管理事務委託費は、地位協定第十二条に基づく基本労務契約第四条にある「管理費」のことだと思うのですが、これは米軍が基本的に補償することになっておりますけれども、これは間違いありませんか。
  50. 古賀速雄

    古賀政府委員 労務基本契約の中のいろいろな事項に即しまして契約の内容に即して負担をするということでございますけれども、これはAB間の協議を経て負担をするというふうなたてまえになっておるわけでございます。
  51. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 調達管理事務委託費は、一般会計で支出されて、米軍側からの償還は特別調達資金というものを経由して一般会計に受け入れられるということですが、昭和三十五年に地位協定ができてから、それ以後現在までの支払い実績は総額幾らになるか、それに対して一般会計への受け入れ償還実績は幾らになるか、その金額を答えてください。
  52. 古賀速雄

    古賀政府委員 お答えいたします。  先生の御質問は、昭和三十五年からということでございますけれども、若干資料の準備が間に合わなかったこともございまして、私どもいま手元に資料がございますのは四十年から四十六年までの資料でございまして、四十年の単年度を申し上げますと、予算額が七億五千七百万円、支出額が七億五千七百万円、償還額が七億一千三百万円でございます。それからこれの四十年から四十六年までの総計で申し上げますと、予算額、支出額が六十九億八千八百万円で、償還額が六十億六百万円でございます。
  53. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 いただいた資料によりますと、一般会計上では、支払い額は二百三十六億円余り、それから償還額は五十六億円足らず、こうえらい差になっているのですけれども、これはどういう理由ですか。
  54. 古賀速雄

    古賀政府委員 その集計はそういうことにはならないと思います。いま申し上げましたように、四十年から四十六年までの集計が支出額で六十九億八千八百万円、償還額が六十億六百万円でございます。それから四十七年から五十一年までは、これは償還額がまだ未定でございますので、資料は整備しておりませんので、まだ申し上げるわけにいかない、こういうことでございまして、固まっております四十年から四十六年までの間を——私、いま先生の御質問に十分お答えしておりませんので、大変申しわけないのでございますが、そういうふうなことでございます。
  55. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 一般会計上のことを言っているのですが、それではちょっとこの資料を見てください。
  56. 古賀速雄

    古賀政府委員 お答え申し上げます。  これは、支払い実績は一般会計の地方公共団体委託費でございまして、先生のおっしゃっておりますのは、これは予算でございます。予算と支出でございますから、はっきりいたしておりまして、先生のおっしゃっております数字になるわけ  でございます。私どもが先ほど申し上げましたのは、この間調査のはっきりいたしております四十年から四十六年までの間の米軍の償還の実績を申し上げたわけです。それから、そのほかに一般会計から、今度は一般会計へ繰り入れる償還金を繰り入れる状況がここに資料として出ております。これは私が申し上げました償還実績とは、直接の関係はないわけでございます。
  57. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 そうすると、米軍から実際の入金は毎年受けているが、特別調達資金の運転資金が不足するとかいうようなことから、ほかに流用してしまって一般会計へ受け入れすることができなかったということになるのじゃないかと思うのですが、それでは米軍からの実際の入金額、これは先ほど言われた金額になるわけですね。ですから、その分についての資料を提出していただきたいと思います。
  58. 古賀速雄

    古賀政府委員 直ちに提出いたしたいと思います。
  59. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 特別調達資金設置令第六条で、「調達に関する事務の取扱に要する経費は、一般会計の支弁とする。」その最後に「相当する金額は、資金から一般会計に繰り入れるものとする。」こうなっております。米軍から毎年入金を受けながら特別調達資金に流用し、一般会計へ繰り入れないのは、この六条に違反するのではないかと思うのですけれども、その点はどう考えていますか。
  60. 銅崎富司

    銅崎政府委員 この点につきまして、少しく御説明申し上げたいと思います。  先生御存じのように、この特別調達資金設置令が昭和二十六年に、駐留米軍等の需要に応じて行う物及び役務の調達を円滑に処理するということで制定されまして、七十五億円の回転資金が設置されたわけでございます。ところが、その翌年の二十七年の講和条約発効時に駐留軍の従業員特別職の国家公務員から国の雇用員に身分が切りかえられました。これに伴いまして全従業員に退職手当が支給されるということになったわけでございます。この退職手当の支給の対象期間が実は二つに分かれておりまして、一つは昭和二十六年六月三十日以前の終戦処理費で支弁する期間と、それから二十六年七月一日以降の特別調達資金で支給する期間と、この二つに分かれておったわけでございます。  それでこの終戦処理費支弁期間に当たる退職手当については、これの額が約七十一億あるわけでございますが、これは当時占領されておりました日本政府が負担して支払うということになっておったわけでございます。この政府が負担して支払わなければならない終戦処理費支弁期間の退職手当約七十一億円、これをどこから出すかということが当時もかなり論議されたと思うわけでございますが、二十五年も前の話でございますので、詳しいことはわかりませんけれども、結論としましては、閣議了解等によりまして特別調達資金から支出するということに決定を見たわけでございます。そういうようにいたしまして、この七十五億円の回転資金から七十一億円を支出するということになりましたために、資金が窮屈になってまいりまして、米側から償還されました管理費を一般会計へ繰り入れるということでなくて、回転資金として使用せざるを得ないというような、やむを得ない形になったわけでございます。  先生お話しのように、特別調達資金設置令第六条二項に「資金から一般会計に繰り入れるものとする。」というふうに規定されておりますように、一般会計に繰り入れられるのが原則ではございますが、ただ、この特別調達資金は、その性質上会計年度独立の例外をなしておりまして、年度を超えて経理を行うものであるということ、それからこの設置令の六条二項におきましては繰り入れるべき時期等について別段の規定がなされておりませんので、そういうことから一般会計に対する繰り入れは資金繰り等を勘案しながら行うということにしておるわけでございます。しかしながら、特別調達資金は七十五億円を資金として運用されておりますので、この七十五億円を超えるようになりました四十七年度以降につきましては、資金繰りを勘案しながら、特別調達資金に振り込まれました管理費は年度末に一括して一般会計の方に繰り入れておる、こういうのが実情でございます。
  61. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 私の調べでも、昭和四十年から四十六年まで米軍からの入金は実際にあるにもかかわらず、七年間一般会計への入金はゼロということになっているわけです。これじゃ予算書を見ただけでは実態が何もわからないということになるのですが、いまのような解釈でよいのか。少なくともこの条文からして正常な状態とは言えないのではないか、大蔵省の見解をお伺いします。
  62. 志賀正典

    ○志賀説明員 お答え申し上げます。  ただいま防衛施設庁の方から御答弁がございましたように、特別調達資金設置令六条二項の考え方は、私どもも理解をしております。御指摘の四十年から四十六年の期間におきまして調達資金の回転資金が不足をしている状況にございましたので、そういう資金繰りの状況を勘案しつつ処理をしていたという事実はございます。現状におきましては、ただいま施設庁総務部長から御答弁ございましたように、設置令の三条で規定をされております資金の限度額七十五億を超えるものにつきましては、一般会計に繰り入れが行われております。そういうことで私どもも、現在の処理で問題はない、かように承知をしております。
  63. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 ちょっと納得できないのですが、時間がなくなってきましたので、先を急ぎます。  昭和四十七年度以前の金額は、暫定額ではなくて確定されたものだと思うのですが、施設庁提出の資料によれば、毎年一割から二割の差額ができてきております。この額は米軍から償還ができるのかどうか、お伺いします。
  64. 古賀速雄

    古賀政府委員 お答え申し上げます。  償還の交渉をいたしまして、これがセットした部分についての差額は、もちろん若干の歩どまり等はございますけれども、その年度ごとに精算済みでございますから、さらにそれの償還を求めるということはございません。
  65. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 毎年一割ないし二割の差額が累積されてきますと、四十年から四十七年までだけでも十億円になるわけです。この額は、米側から現実に償還されていないわけですから、実質的に日本が肩がわりしていることになっているわけです。このように米軍との交渉の結果、米軍がどうしても支払わない額、いわば焦げつき債権はいままでどんな処理をしてきたのか、またそうしたものが生じた場合に、今後はどんな処理をするつもりか、債権が年々ふえるようですが、どういうことか、お伺いします。
  66. 古賀速雄

    古賀政府委員 委託事務費につきましては一般会計の歳出でございまして、決算もしかりでございます。したがいまして、この差額について赤字であるとか欠損であるとか、そういった観念ではございません。償還の分はまた別に資金の中に、資金を通しまして一般会計へ繰り入れるわけでございますから、その差額がありましても、それは歳入と歳出の違いがあるかもしれませんけれども、赤字であるとか欠損とか、そういうふうな考え方にはなるわけではございません。
  67. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 そうすると、結局全部返してもらっているということを言うのですか。
  68. 古賀速雄

    古賀政府委員 年度別に交渉した限りにおいて、精算がまとまった分はそのとおりでございます。
  69. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 だから、精算がまとまったと言っても、実際日本側が払った分を結局交渉の結果、まけてやっているわけでしょう。そういうことじゃないですか。
  70. 古賀速雄

    古賀政府委員 それはまけてやっているわけではございませんで、中には日本政府関係で支払いを当然とするものがございます。これは、たとえば離職者対策の経費であるとか福利経費であるとか、そういうものについては日本政府が当然見ておるということでございますので、まけてやるということではございません。
  71. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 どうも答弁を大分ごまかしているようですけれども、実際いただいた資料によっても差額がずっとできている。これは私は、実質的に肩がわりをしてきていると思うのです。ちゃんと日本政府が見てやるというのではなくて、米軍が基本的に負担するとなっているものについては、日本政府はアメリカに対してちゃんと取らなければならぬと思うのですが、防衛庁長官、その点ひとつ決意のほどを聞きたいと思います。
  72. 亘理彰

    亘理政府委員 おっしゃるとおりにやっているわけでございます。
  73. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 いただいた資料によっても、いまの説明と違うと私は考えるのです。  そこで私の見解を申し上げておきますと、非常に複雑な特別調達資金の運営によって、国民の前に明らかにされないまま実質的な日本の肩がわりが進行しているということは、非常に重大であると考えます。より実態を明らかにするために次の資料を要求いたします。  一つは、特別調達資金創設以後現在までの年度別による米軍からの実際の償還額。二番目は、同じく特別調達資金創設以後現在まで米軍との交渉の結果、償還が不可能となった額の年度別実績。三番目に、米軍から特別調達資金へ入金を受け入れしながら一般会計への繰り入れを行わなかった額の年度別実績。これは出せますか。
  74. 古賀速雄

    古賀政府委員 至急検討いたしまして、できる限り御提出いたしたいと思います。
  75. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 終わります。
  76. 正示啓次郎

    ○正示委員長 続いて、逢沢英雄君。
  77. 逢沢英雄

    ○逢沢委員 まず、人確法のいままでの経過についてただしたいと思います。  人確法の成立の時期はいつだったのでしょうか。
  78. 諸沢正道

    ○諸沢政府委員 昭和四十九年の二月二十五日であったと思います。
  79. 逢沢英雄

    ○逢沢委員 その人確法なるものの趣旨、目的、それについて説明をいただきます。
  80. 諸沢正道

    ○諸沢政府委員 第一条の「目的」のところに掲げてありますのは、義務教育諸学校等の教職員の処遇について必要な措置を施すことによって人材を確保し、もって学校教育の水準の維持向上に資する、こういうのが目的でございます。  そして、そのために一般の公務員の給与水準に比較して必要な優遇措置を講ずるものとし、その措置を講ずるために、人事院は内閣及び国会に対して必要な勧告をし、その勧告に基づいて改善の措置を講ずる、こういう骨組みになっておったと思います。
  81. 逢沢英雄

    ○逢沢委員 その人確法によって、今日まで当局はどのような作業を進めてこられましたか。
  82. 諸沢正道

    ○諸沢政府委員 この法律に基づきまして、政府としては、さしあたり三カ年をもって義務教育学校の先生給与水準を高めるという計画を立てまして、その高める中身は、四十七年当時の教員の給与水準をもとにして二五%上げるということで、その二五%を一〇、一〇、五と三カ年でやることとしたわけでございます。そして最初の第一年次において本俸の九%相当、第二年次において本俸の三%、それから義務教育等教員特別手当という新しい手当を創設いたしまして、これが本俸の四%に相当する額でございます。つまり七%の改善、そして現在、第三次の改善を計画しておるわけでございます。  その中身といたしましては、ただいまの給与法の、法案の一部になっておりますところの特別手当の額をもう二%相当引き上げて六%とする。それから主任の制度化に伴って、主任に対して手当支給の道を開く。それから校長、教頭の全員を、校長は特一等級、教頭は一等級に昇格させる。それから部活動指導手当といいますか、学校の先生が休日等に部活動の指導をする際に、現在でも手当の支給の道が開かれておりますが、その支給範囲を拡大する。以上の四点を内容といたしておりますが、特別手当の法案が現在審議中でございますので、これが成立いたしますならば、四点一緒に実施をするというのが、これまでの人事院のお考えのようでございます。
  83. 逢沢英雄

    ○逢沢委員 いま言われました作業の内容が、俗に言う一次改善、二次改善に相当するものであろうと思いますが、その結果、教育公務員の方々の待遇は、俗にどの程度向上したことになっておりますか。
  84. 諸沢正道

    ○諸沢政府委員 これはいろいろのつかみ方がございますが、大体四十七年四月のベースをもとにいたしまして、今回の特別手当の二%引き上げも含めて計算をいたしますと、一般の先生で初任給において一三五%の引き上げ、教頭先生になりますと一五〇%くらいの引き上げ、校長先生も一四〇%くらいの引き上げということで、これはもちろん一般の人事院勧告に基づくベースアップも加えての引き上げ率でございますが、改善自体だけを言いますと、先ほど申しましたように大体二二、三%ということになるわけでございます。
  85. 逢沢英雄

    ○逢沢委員 これから先の問題になりますが、いま当局が考えております第三次改善の内容を、もう一遍具体的にお示しをいただきたいと思います。
  86. 角野幸三郎

    ○角野政府委員 お答えいたします。  第三次給与改善は、いまも説明がございましたが、二つに分かれておりまして、現在御審議中の法案の内容になっております部分は、特別手当の二%相当の引き上げ、それから主任の関係、その他部活動あるいは校長、教頭の格上げの運用という四つの問題がございますが、いずれにしましても、この法律が成立いたしまして実施される段階でそれぞれの実施についての人事院規則等で実施に移すわけでございます。  その結果を見まして具体的には検討するという運びになろうかと思いますが、いずれにしましても、教員給与改善はこの三次の二度に分かれております前半、後半と申しましょうか、その後にもう半分残っておりますもので最終というようなことになっておりますので、最後でございますとすれば、全体を見渡しまして、また、公務員部内の全体との関係をよくわきまえまして慎重に考える必要がある、現在はそういう感じでおります。  ところで、二次、三次を通じまして、人確法に基づく給与改善中身はこういうふうに願いたいという要望を文部大臣から受けておりまして、その内容は、ほとんどすでに実施あるいは現在御審議中の法案の中に含まれておりますが、まだその中で、たとえば校長、教頭の管理職手当の問題でありますとか、あるいは幼稚園関係でありますとか、その要望の中、あるいは夏の勧告に際しての文部大臣からの要望の中にも若干まだ残るものもございます。そういうものも含めまして、いま申し上げましたように、最終でございますので、慎重に検討してかかりたい、そういうふうに思っております。
  87. 逢沢英雄

    ○逢沢委員 主任に入ります前に、小学校にいたしましても、中学校にいたしましても、教頭という職務があります。一般論として、教頭という職務の職務内容、職務権限はどういうことになっておりましょうか。
  88. 諸沢正道

    ○諸沢政府委員 学校におかれます教職員の職務内容につきましては、学校教育法の二十八条であったかと思いますが、規定がございまして、昭和四十九年の学校教育法の改正に際しまして、教頭の職が法律に規定されることに伴い教頭の職務権限が二十八条に規定されたわけでありますが、その規定は「校長を助け、校務を整理し、及び必要に応じ児童の教育をつかさどる。」こういうことになっておったかと思います。
  89. 逢沢英雄

    ○逢沢委員 そうしますと、過般来いろいろ議論になっておりまする主任という職務の職務内容、職務権限、これはいかようなことでありますか。
  90. 諸沢正道

    ○諸沢政府委員 主任というものは、学校の校務運営の一つとしていろいろの仕事を分担するいわば職務命令の内容になるわけでございます。したがって、主任の職務については法律上の規定はございません。学校教育法施行規則の中に、学校においては、調和ある運営を図るために必要な校務分担の組織を設けなければならないという規定がございまして、その規定を受けていまの教務主任、学年主任、生徒指導主事といったような主任が置かれるわけでありますが、その職務はいずれも、教務主任であれば、当該学校の教務に関して連絡調整、指導、助言をするということでありまして、具体的に申すならば、全学校の時間割りを編成するに当たって、各担任の先生方にいろいろ連絡をしたり、あるいはそれぞれの希望を調整したり、あるいは必要に応じて指導、助言をしたりというような、いわば教育活動を円滑に促進されるための仕事が主任の仕事、こういうふうにつかんでおるわけでございます。
  91. 逢沢英雄

    ○逢沢委員 過般来、主任というものをめぐりましていろいろと議論が沸騰いたしております。主任の制度としては、すでにほとんどの県で実施をされておるやに聞いております。そういたしますと、まだ実施をされていない府県が若干あるように聞いております。これは具体的に言いますと、何県でしょうか。
  92. 諸沢正道

    ○諸沢政府委員 主任を制度化するに当たって、高等学校は大体県立でございますから県の教育委員会が定め、小・中学校は市町村教育委員会が定める、こういうことになっております。  ところで、県においてまだ主任の制度化を実施しておりませんのは、東京都、神奈川県、大阪府、京都府、沖繩県の五都府県でございます。  なお、市町村につきましてはごく一部でございますが、北海道、新潟、奈良、福岡の各県で一部の市町村にまだ制度化してないところがございます。なお、兵庫県は、県は実施をいたしておりますが、市町村はまだ実施してない、こういうような状況でございます。
  93. 逢沢英雄

    ○逢沢委員 いま未実施の個所を挙げられましたが、それはどうして実施されていないか、当局としてはそれをどのように聞いておられるか。
  94. 諸沢正道

    ○諸沢政府委員 端的に申しますと、そういう県あるいは市町村では、教組等の反対があって、教育委員会がなかなか規則制定にまで達し得ない、こういう現状のように聞いておるわけでございますが、われわれとしましては、この主任の制度化というのは、文部省令に基づきますいわば学校設置の基準でありますので、この省令の趣旨に従って早く制度化を図ってほしいということは、これまでも再三要請をしてきておるところでございますが、いま申し上げました団体につきましては、残念ながらまだ実施に至っていない、こういうことでございます。
  95. 逢沢英雄

    ○逢沢委員 主任に対して制度づける、あるいは主任に対して手当をつける、この問題につきまして、全国の校長会あるいは教頭会等々はどのような態度を持っておるか、文部省はどのように受けとめておられますか。
  96. 諸沢正道

    ○諸沢政府委員 主任の制度化を具体的に実施いたしましたのは、昭和五十年十二月二十六日であったかと思いますが、省令を制定したわけでありますが、それに先駆けまして、文部省ではいろいろな団体等の御意見も承ったわけであります。ただいま御指摘のように、その際、都道府県教育長協議会、教育委員会協議会、中学校、高等学校、小学校の校長会、教頭会等から、主任を制度化し、手当をつけてほしいという要望があったわけでございます。
  97. 逢沢英雄

    ○逢沢委員 それでは、いまの問題につきまして、PTAの側の方はどういう考え方を持っておったと文部省は感じておられますか。
  98. 諸沢正道

    ○諸沢政府委員 この点につきましては、PTAとしての文書等による要望意見の開陳はなかったように記憶をいたしておりますけれども、幹部の方が見えられました際にそのお話が出まして、それはぜひ進めてほしい、こういうような御要望を承った記憶がございます。
  99. 逢沢英雄

    ○逢沢委員 いま問題になっておるのですが、主任というものを現場でだれが任命をするのですか。それについてお答えをいただきたいと思います。
  100. 諸沢正道

    ○諸沢政府委員 主任の制度化をしましたときに、これを実際に実施に移すには、各都道府県、市町村の教育委員会において教育委員会の管理規則をつくりまして、その中に設置する主任の種類、その職務内容、任命の方法等を規定することとなるわけでありますが、その際、文部省はいわば試みの案としてのその規則の試案を各教育委員会に参考として送付をしたわけであります。  この中におきまして、任命の方式として三つを掲げたわけであります。一つは、教育委員会が校長の意見を聞いて任命する。二番目は、校長が教育委員会の承認を得て任命する。三番目は、校長が任命して教育委員会に届け出をする。そしてこれらの三つについて、省令化以前にも主任というものは事実上は存したわけでございますので、従来の任命の方式をことさら変える必要はないので、この三つを一つの目安としてそれぞれの委員会において判断してほしいというふうな指導をいたしました結果、現在その任命の方式は地方公共団体によって三つに分かれておるわけでございます。
  101. 逢沢英雄

    ○逢沢委員 具体的に主任手当は大体どれぐらいつくような目安になるのですか。
  102. 角野幸三郎

    ○角野政府委員 お答えいたします。  手当支給の対象となる主任の範囲の問題がまずあると思いますが、文部省の省令で、公立学校については、主任がたくさんありますものですから、主としてその中の全国的に定着しておりますものについて省令化していただきまして、その中から連絡調整、指導、助言という、要するに同僚の職員、教員に対して大変御苦労が重い、そういう主任に、その御苦労を評価して特殊勤務手当を差し上げる、こういうことで主任手当を勧告したわけでございます。  それで、主任の名称で申し上げますと、小学校については教務主任、学年主任、それから中学校については、それプラス生徒指導主事、それから高等学校については、さらにその上に進路指導主事、こういうものが加わる。大ざっぱに申しますと、主任の範囲としてはそういうものでございます。  そういう職務といいますか勤務の御苦労ということでありますけれども、特殊勤務手当で評価いたしますその評価の前提といいますか校務分担ということは、そういう主任の方でなくても多かれ少なかれ校務の分担をなさっておりまして、そういう一般の校務の分担に比べて、いま申し上げましたような主任はさらに重いということで、特殊勤務手当を上積みとして差し上げる、こういう関係になっておりますものですから、連絡調整、指導、助言をなさる主任の中でそれが特殊勤務手当の評価としてほかの方に比べて標準以上に重いものであるかどうかということも兼ねて人事院で評価するわけでございます。  それから金額の関係で申しますと、これは特殊勤務手当でありますので一日日額幾らという形をとっておりますが、二百円、二十五日計算にいたしますと月に五千円、こういう関係に相なると思います。
  103. 逢沢英雄

    ○逢沢委員 わかりました。そういたしますと、第三次の改善ができた暁には、学校の校長先生、教頭先生あるいは主任の先生、これらの方々の待遇、給与がよくなるということですが、世間で俗に言うどれくらいになるのか、どれくらいようなるのかということなんですが、これを、各県の課長さん、次長さんあるいは部長さん、たとえばそういう人と比較対照して表現した場合に、第三次の改善がなされた後は、これは大ざっぱな話ですが、どの程度のことになるのであろうか、この辺をひとつお示しをいただきたいと思います。
  104. 角野幸三郎

    ○角野政府委員 お答え申し上げます。  大ざっぱな表現で申し上げますと、まず給与水準といいますと、諸給与も含めた水準という意味と、それから基本給といいますか本俸という関係と、両方ございます。それで、地方団体で申しますと、県の一般の行政職、一般職員に比べてどのくらいの相対関係になったのかということが、人確法の一般の公務員に比べて優遇するという、そういう感じから見ますと、大変わかりやすい関係であるだろうと思います。  そういうことで大ざっぱに申し上げますと、この人確法による一次改善が起こります前には、一般の義務教育の教諭の先生は、県で言いますと、県の課長補佐クラスをちょっと下回る、係長とは言いませんが、課長補佐クラスを下回る水準、等級で申しますと、行政職(一)表の四等級を下回る水準でございました。それが第三次改善が終わりますと、課長補佐を超しまして、さらにその上に課長がおりますが、その県の課長を上回る水準になっておりまして、等級で申しますと、行政職(一)表の二等級を上回る水準に改善される、そういうことに相なります。  それから教頭の方について申し上げますと、これは第一次改善前は教諭と同じ等級におりました。教頭等級ができる前でございます。したがって、俸給表のカーブといたしましては、県の課長補佐を下回る水準、一般教諭と同じことに相なりますが、第三次改善が終わりました後では、県の部長と部次長の中間、課長ではございませんで、部の次長の上、等級で申しますと、要するに一等級と二等級の中間まで上がる。ここのところは大変よくなります。  それから校長先生で申しますと、一次改善前には、これは県で言いますと、四等級を上回る、県の課長補佐よりは上というカーブでございましたが、三次改善が終わりました後では、ほとんど県の部長に近いカーブになる、こういう状況でございます。これは基本的な給与、すなわち本俸等についての相対関係でございます。  このほかに教員の特別手当がございますし、そのほかにも手当がある、こういうことでございます。
  105. 逢沢英雄

    ○逢沢委員 事は教育のことでございます。私は、教育には金を惜しんではいけないという一つ考え方を持っておりますが、当局もひとつ勇気を持って、あすの日本を支える若い人を育てる教育の正常化、健全化のためにがんばってほしいと思います。  次に、育児休業給についてお尋ねをいたしたいと思います。  育児休業というのは、いつごろから実施をされておりますか。
  106. 秋富公正

    秋富政府委員 育児休業法ができまして、昨年の四月一日から施行されております。
  107. 逢沢英雄

    ○逢沢委員 現在、育児休業でお休みになっておられる先生方、おおよそ何人ぐらいおられる計算になりましょうか。——おおよそで結構です。
  108. 秋富公正

    秋富政府委員 五十一年度におきます育児休業許可件数について申しますと、国家公務員が、文部省関係で百七十五名、厚生省関係で二百六十五名、合わせて四百四十名でございます。地方公務員につきましては、公立学校教員関係が九千三百七十二名、それから医療施設等の職員が、これは昨年の十二月末まででございますが、二千百四十五名、合わせて地方公務員関係が一万一千五百十七名という数字でございます。
  109. 逢沢英雄

    ○逢沢委員 育児休業の大体平均の休業期間というのは、どの程度に押さえておられますか。また、その上限は設定されておられましたか。休業期間の上限です。
  110. 秋富公正

    秋富政府委員 育児休業法に基づきまして、満一年になるまででございます。その間にいわゆる有給の産後の休暇がございますので、一年以内ということになるわけでございます。
  111. 逢沢英雄

    ○逢沢委員 各人によって期間は違うと思いますが、それで大体休業期間はどれくらいを想定しておられますか。早く出てこられる先生もおられると思いますし、また、そうでない方もおられると思います。
  112. 秋富公正

    秋富政府委員 期間別に申し上げますと、これは教員の方だけでございますが、四カ月以内が六百三十五、四カ月から八カ月以内が八百七十一、八カ月を超しまして一年未満と申しますものが約千六百というところでございます。
  113. 逢沢英雄

    ○逢沢委員 育児休業の文書を見ておりますと、「当分の間、義務教育諸学校」云々、こうなっておるのです。こういう場所にふさわしからぬ表現が出ておるのですが、この「当分の間」というのは、これはどういうふうに解釈をしたらいいのか。非常にあいまいな表現なんですが……。
  114. 秋富公正

    秋富政府委員 これは育児休業法の制定された趣旨から申しましても、その職種の需給関係の変化等によりましてその必要度が変化してくるということに見合ってのことでございまして、この需給関係が薄れました場合には、再検討する必要があると考えております。
  115. 逢沢英雄

    ○逢沢委員 ありがとうございました。  次に、ちょうど一年前の七十八国会におきましてこの職員給与法律が出ましたときに附帯決議がついております。その内容は三点に分かれておりますようですが、その第一点、   公務員の給与決定は、人事院勧告をもととする法定主義によるものとされている。これは民間給与決定方法と異なる公務員給与制度の特殊性である。   政府並びに人事院は、このような公務員給与制度の特殊性にかんがみ、今回の特別給の改定については、民間の動向を考慮し、可及的速やかに従前の月数に回復するよう努力すべきである。 こういう附帯決議がついております。  この決議に対しまして、当局はどのように努力をされてきましたか、お伺いいたします。
  116. 角野幸三郎

    ○角野政府委員 お答えいたします。  附帯決議の趣旨は、民間給与と特別給についての均衡ということを考えた上でできるだけ早くもとの月数に回復するように、こういう趣旨であろうと思いますが、今回の勧告に際しましては、昨年の特別給の民間の一年間の実績、それを公務員と比べる、この点は一年ずれておりますけれども、特別給の官民比較は、支払い済みの面積でとらえておりますので、こういうことになりますが、附帯決議を頭に置きまして、私どもも昨年分について官民比較をやったわけでございます。  ところで、昨年の民間の景況といいますか、ボーナスの支給の状態は、景況を反映しまして大変悪かったわけでございまして、特に昨年の夏は非常に落ち込んだままの状態でございました。やっと暮れになりまして大分回復してまいりましたが、その夏の落ち込みがきいておりまして、年間を面積でとらえますと、平均いたしまして伸びが思うほどなかったということでございます。  結果的に申し上げますと、四・九九月分というのが支給月として調査の結果出てきたものでございまして、その一年前四・九五でございましたのに比べますと、〇・〇四伸びてはおりますが、もとの五・二月に回復するまでにはとうてい及ばないというような状況になりました。そこで、四・九九でございますので、現行五・〇ということでやっておりますのを動かさないで、そのままでよろしいという、そういう勧告を申し上げたわけでございます。  それで、私どもといたしましては、今後の問題としましても、できるだけ附帯決議の趣旨に沿って十分な調査をしていきたいと思いますが、ことしの民間の特別給の状態が来年の勧告に反映する、そういうことに今度は順送りにまたなるわけでございまして、そういう意味で、現在は夏の民間のボーナスはすでに終わっておりまして、これからいまちょうど暮れのものが出かかっておりますが、こういう状況を心配をしながら一生懸命見ておる、こういう状況でございます。
  117. 逢沢英雄

    ○逢沢委員 附帯決議をつけるにはつけるだけの理由があって、ついておるものと思います。この精神をひとつ遵守してほしいと思います。  次に、論題はいささか外れますが、最近非常に交通事故が多うございます。世間でも交通安全母の会であるとか、交通安全対策協議会であるとかいったような、まことにどうも、あってほしくないような妙な団体もある。しかし、現実の社会は交通事故が非常に多いということでございます。特に学校生徒の交通事故につきまして、学生がオートバイに乗りまして、それによって事故を起こす、けがをする、他人に迷惑をかけるというケースが最近非常に多くなっております。この問題は非常に重大なことであると思います。  私、なぜこんなことを言うかといいますと、過般くにに帰りましたときに、逢沢さん、ああいうオートバイだとか自動車に乗れる年齢が少し低過ぎるのではないか、免許を与える年齢を引き上げたらどうなのか、そういうことをぜひひとつ国会で言うてくれぬかという要望が出たわけなんです。当局の方へ行っていろいろお伺いもいたしたのですが、しかし、車に乗って仕事をやっている青年もおるので、なかなかむずかしいというお話なんですが、きょうは担当の警察の交通関係の方にお見えいただいておりますでしょうか。——満何歳からそういうエンジンのついた単車、オートバイのたぐいに乗れるようになっておりますか。
  118. 三上和幸

    ○三上説明員 お答えいたします。  満十六歳から二輪の免許、それから原動機付自転車の免許が取れるようになっております。
  119. 逢沢英雄

    ○逢沢委員 いま交通取り締まり警官の乗っているいわゆる白バイ、あれはエンジンの力は何cc、どういうことになっておりますか。
  120. 三上和幸

    ○三上説明員 お答えいたします。  車種はいろいろございますのであれですが、大体四cc以上の大型のものが多く使われていると思います。
  121. 逢沢英雄

    ○逢沢委員 その程度のエンジンのついたものに満十六歳の人は乗れる、こういうことにいまの仕組みはなっておるわけですね。
  122. 三上和幸

    ○三上説明員 これは、自動二輪車の中で大型、中型、小型と三種類に分けておりまして、小型と申しますのは五十ccから百二十五ccまでのものでございます。中型が百二十五ccを超えて四百ccまで、それから四百ccを超えるものが大型ということになっております。  それで、大型の免許年齢といたしましては十六歳以上ということになっておりますけれども、免許試験の方で、実際の大型の試験につきましては、ナナハン、七百五十ccの試験車を使っておりまして、これには体格その他、十分それを運転ができるような試験というものを、たとえば寝ているものを起こす、あるいはそれをある程度の距離引っ張っていく、エンジンをかけずに引いていく、そういうような、かなりその体格に応じた試験もいたしておりますので、実際的には非常にその二輪の中で大型を取る率が低くなっておりまして、ことしの上半期では全二輪の中で〇・二%ぐらいの合格率でございまして、百六十人ほどの者が取っておるという実情でございますので、実際問題としては、高校生では大型車はなかなかむずかしい、こういう実情にあろうかと思います。
  123. 逢沢英雄

    ○逢沢委員 いまお聞きになったようなことなんですが、文部当局におかれましても、これは何かの方策を打ち立てられまして、中学生あるいは高校生等を主として、そういう単車あるいは四輪車、そういうものによる事故防止の指導監督ができぬものか、ここをぜひひとつ希望いたしまして、私の質問を終わらしていただきます。  大変ありがとうございました。
  124. 正示啓次郎

    ○正示委員長 午後二時から委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午後零時四十七分休憩      ————◇—————     午後二時開議
  125. 正示啓次郎

    ○正示委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。近藤鉄雄君。
  126. 近藤鉄雄

    ○近藤委員 きょうは総務長官と人事院総裁もお見えでございますので、最初に大変初歩的なことで恐縮でございますが、承っておきたいと思います。  それは人事院勧告と、それからそれに基づいて総理府でおやりになる給与法との関係でございますけれども人事院総裁が勧告をされました場合に、それは自動的にそのとおりの額を総理府の方で給与法の改正ということで国会提出をする、その辺の関係がどうなっておるのか承っておきたいと思うのですが、御両人からお願いいたします。最初に、総裁どうでしょう。
  127. 藤井貞夫

    ○藤井(貞)政府委員 人事院制度というものができまして以来相当年月がたちまして、制度自体もほぼ定着をしてきたというふうに考えております。その間人事院といたしましては、公務員の労働基本権の制約に対する代償機能ということを一つの大きなねらいといたしまして勧告を行っておる次第でございますが、この勧告制度というものは漸次御尊重いただく素地ができてまいりまして、政府におきましても、あるいは国会においても、人事院がお願いを申し上げておる内容をそのまま御尊重いただくということで、だんだん慣例として定着をしてきておる次第でございます。  御承知のように、内容自体はすでにわれわれの勧告というものをそのまま実現をしていただくということに相なっておるわけでございますが、その勧告の実施時期等につきましては、国の財政の問題その他いろいろございまして、最近まで完全実施というところには至らなかったわけでございますが、ここ数年完全実施ということが定着をしてまいりましたことは、われわれ人事院といたしましても大変喜びにたえないというふうに考えておる次第でございます。  われわれ、給与担当だけをやっておるわけではございませんが、給与問題だけに限定して申し上げましても、それぞれの専門的な積み重ねというものがございます。その点では自信を持って仕事をやっておるつもりでございまして、そういう意味合いから非常に詳細な内容にわたる勧告をやっております。これは御承知のように、民間では労使の交渉でもって大体の水準が決まり、さらに労使の詰めでもってその配分関係が決まってくるというわけでございますが、人事院といたしましては、それらの機能を全部あわせて行使をしておるということでございまして、俸給表のごく細部にわたっても具体的に検討いたしました結果、勧告をいたしております。  この勧告自体は、われわれといたしましては自信のあることで、こうなければならぬということで結論を下してやっておるわけでございますが、この点は政府当局においてもよくお認めをいただきまして、勧告どおりに実現をするということで、俸給表の細部にわたりましても、そのままにお認めをいただいておるというのが現実でございます。
  128. 近藤鉄雄

    ○近藤委員 総務長官にお答えいただく前に、一歩進んで御質問したいのですが、その場合に予算との関係ですね、むしろ予算との制約の関係がありまして、国家としてやらなければならない、いろいろな重要な施策がある。これを予算化してまいりたい。片一方で、税収その他の国家財政の制約がある。こういう場合に、どうしてもはみ出るということは可能性としてあるわけですね。逆に、人事院勧告どおりにそれを全部立法化して予算化するということだといたしますと、人事院だけでいいようなもので、その中に総理府なり大蔵省なりという第二、第三の機関の介在の余地がなくなるわけでございますが、その辺の関連について、何が何でもそうなのか、いま総裁は時期については変わったことがいろいろあったというお話でありますけれども、純粋に法律的もしくは理論的に考えて、その点は総務長官なり政府のしかるべき裁量、判断でこれを変更することができるかどうかについて、どうでしょう。長官、どうですか。
  129. 藤田正明

    藤田国務大臣 人事院というものは、私はこういう解釈をいたしておるのです。国家公務員の方は、ストライキ権も団体交渉権もございません。これは国家公務員法で禁止をされております。その代償機関として、第三者機関として人事院が設けられているわけでございます。ですから、人事院の方で勧告がありましても、政府には自由裁量権というものは基本的に存在するという考え方でございます。ですから、給与関係閣僚会議もこのたびも二回も開きました。そしてまた閣議において、この人事院勧告を完全実施するかどうかということも最終的に決定をした、こういう経緯でございますから、基本的には政府は自主裁量権を持っておる、こういうぐあいに考えております。
  130. 近藤鉄雄

    ○近藤委員 そこで、単刀直入に承りたいのですが、きょう大蔵省給与課長見えていますね。五十二年度歳出予算の中で、いわゆる人件費関係の予算として幾ら計上しておられるか。それから最近通りました補正予算の中で、しかもどれだけのさらに増額といいますか、差額を組んでいるか承りたい。
  131. 川崎正道

    ○川崎説明員 お答えいたします。  五十二年度予算で申し上げますと、一般会計の予算規模が、当初予算で申しますと二十八兆五千百四十三億でございますが、その中で人件費が五兆二千二百九十二億円、比率にいたしますと一八・三%含まれております。今回補正予算で追加計上いたしました金額が六百九十四億ございます。
  132. 近藤鉄雄

    ○近藤委員 いま給与課長から話があったのですが、その当初予算の中にも、人事院勧告等で人件費の上昇を当初から見込んで、五%は取り組んでいる、こういうようなことであります。  そこで、いま給与課長説明にあったかどうか、私もちょっと聞き漏らしたのですが、今度の平均六・九二%のアップに基づいて人件費として増加する分というのが、一般会計で三千四百六十一億円、特別会計で七百五十八億円、これを単純に合計いたしますと四千二百十九億円、こういうことですが、この一般会計、特別会計のダブりがありますから、これを差っ引いて純計を出しますと三千六百二十三億円だ、こういうことですね。  そこで、この給与法案を通しますと、三千六百二十三億円、政府の支出がふえるわけでございますが、実は、たまたまきのうからきょうにかけて一部新聞に、最近の経済不況を反映して非常に財政も厳しくなっておる、いわゆる租税、印紙収入が補正後の予算でも十七兆九千四百億円を見込んでおったのだが、しかしどうも思ったより景気が悪くて、したがって歳入欠陥が五千億、何かきのうの読売の夕刊では、ひょっとしたら一兆円にもなるのじゃないか、こういうような話が出ているわけです。  そこで、大蔵省の主計局の法規課長に承りたいのですが、もしもこういう歳入欠陥が起こった場合にどういった措置を財政当局でとられるのか。いわゆる来年度予算は幾らになるか、わかりませんが、よく言われますように、概算を集めると三十二兆とか、三十三兆とか言われるようでありますけれども、たとえば三十二兆と考えて、ことし五千億の歳入欠陥があれば、それを来年度に繰り込んで、来年度予算を三十二兆プラス五千億、三十二兆五千億にしておいて、来年度で租税収入と国債発行を合わせて三十二兆五千億に充てる財政計画を立てるか、それとも五千億なら五千億の歳入欠陥は本年度の予算内で何とか処理するのか、その点について財政法上どういう取り扱いがなされるのか、承りたいと思います。
  133. 佐藤徳太郎

    ○佐藤説明員 お答えいたします。  税収につきましては、主税局の方の担当でございますが、私ども聞きました限りでは、九月末の税収は、そこまでがいまわかっておるわけでございますが、ほぼ前年どおりの進捗割合で来ている。しかし先行きは厳しいけれども、現時点でまだ不確かな点が多くて、計数的に幾らというようなことはまだわからない。先生がおっしゃったような数字は、新聞等で私は拝見しましたけれども、新聞等でそう予想したものと考えております。したがいまして、現在私どもとして具体的に、そういうような歳入欠陥が出てどうこうという話につきましては、対策等を考えておりませんけれども、恐らく先生の御質問は、そういう具体的な問題を離れて、一般的、抽象的な問題として、財政法上そういう歳入欠陥あるいは財政赤字が見込まれるときにどういう手があるかということだと思うのです。  現在の財政法では、決算において赤字が生じた場合ということに対する規定はございませんで、したがって、決算上赤字が生ずることは財政法のたてまえとして予想しておらないということでございます。したがって、決算上赤字が生じましたときの処理については何らの規定がない。それでは、もしも赤字になると見込んだときに、おまえどういう手があるのかねというお話かと思いますが、この辺は非常に一般論で申しわけありませんけれども、たとえば例年歳出について不用というようなものが生じますので、不用がまだ出るかどうかということを洗いますとか、あるいは歳入面につきましても、さらに歳入を増加するようないろいろの手だてがないかどうか検討いたしますとか、あるいはまたどうにもならない場合には、国会に御審議をお願いしまして、歳入面の補正なり、歳出面の補正なりをお願いする、そういうようなことでとってまいることだと思います。ただ、繰り返して申しわけございませんが、現在私どもについては、歳入欠陥が幾らになるかということもまだわかりませんので、具体的にどういう対策をとるかという段階には至ってございません。一般論として申し上げました。
  134. 近藤鉄雄

    ○近藤委員 そこで法規課長、そういうことですから、少なくとも五十三年度予算にその赤字を繰り越しはしない、五十三年度で処理しない、こういうことですね。
  135. 佐藤徳太郎

    ○佐藤説明員 失礼いたしました。決算赤字が生じましたときに、先生お話のような処理は、現行法ではできません。
  136. 近藤鉄雄

    ○近藤委員 そういたしますと、結局五十二年度の予算の中で何かやりくりしなければならない、こういうことなんですが、差し引きどうしてもたとえば三千億、五千億足りない、こうなりますと、その分は五十二年度内に第二次補正予算を組んで、そうして特例公債、これは一応特例公債だけじゃないかもしれませんが、発行してやりくりする、こういうことにならざるを得ないと思うのです。そういたしますと、これはすでに今度の補正予算のときにも、特例国債を含めて国債発行は予算の三〇%ぎりぎり、制限数字は忘れましたけれども、二九・何%、限度いっぱいやっているわけですね。ですから、どうしても歳入欠陥が、これは仮定の議論ですけれども、起こった場合には、国債発行額が予算の三割を超える、こういう可能性は十分あるわけであります。それをどうするかという問題については、法規課長にお答えいただくのはなかなか厳しい問題ですから、あえて質問いたしませんが、私は総務長官に申し上げておきたいのは、結局来年度へ繰り越ししないで今年度で何とか処理いたします。そういたしますと、歳入欠陥が五千億、一兆円と、本当に幾らになるかは、これからまだまだわかりませんが、しかし、最近の経済情勢を考えますと、一兆はともかく、五千億や六千億くらいの歳入欠陥が出ても不思議でない。まして三千億くらいの歳入欠陥が出てもそんな不思議はないぞ、こういうふうに判断されるわけであります。一方、予算のいろんな歳出の項目をいじるといたしましても、いろいろな予算については大体全部張りついているわけです。ですから、その張りついているものを集めてどれくらい節約できるか、すでに先ごろの補正予算の編成に当たって私たちがそっと見ておりますと、洗いざらい大蔵省はその予算を集めまして、そうして何とか国債発行額を抑えたい、こういうことでやったというふうに解釈しているわけであります。  そういたしますと、特例国債、しかも財政の三割の線を超えないでやりくりしようとするなら、政府としてやりくりできる財源というのは、きょうお役人さんがたくさんいらして恐縮ですけれども、一般会計、特別会計、純計の三千六百二十三億円という数字は、最後のときに、片方で財政法の枠の中で国債を三割を超えないという、この二つの制約の中で政府が年度内にやりくりできる財源としては、言ってみれば唯一の非常に貴重な財源ではないかとすら思うのですが、その点について、そういうことをあえて私は仮定の議論と申し上げましたけれども、先ほど来申しておりますように、現下の経済情勢を考えれば、起こり得る確率の非常に多いことだというふうに考えておりますが、そういうものを踏まえながら、あえてこの際法律を通して、公務員の給与を実質上げるということの決意といいますか、判断は一体どういうことで政府としてお考えになっていらっしゃるのか、承りたいと思います。
  137. 藤田正明

    藤田国務大臣 最初に、数字のことをちょっと申し上げますが、純計で三千六百二十三億ふえる、こう申されました。それはそのとおりなんですけれども、実際に今度の予算の差し引き必要なのは一千百二十億ちょっとくらいでございます。一千百二十億を差し引き必要でございますけれども、それはそれといたしましても、これは一般論でございますが、いま日本の国民の中に定着している考え方としまして、昨年よりはことしがよくなる、ことしよりも来年が生活がよくなるのだという物の考え方がやはり根強くある、こう思うのです。そういう中で、昭和四十八年の暮れの石油ショックを一つの境といたしまして、大変な経済の混乱を起こし、そうしてまたいまのような低経済成長に移らざるを得ない、こういうことに日本は相なってきたこと、これは確かでございます。そうすると、このような時代の変革にもかかわらず、そういう意識がまだ定着しておる、これが一つの問題であります。  それからもう一つは、やはり物価が上がってきているということでございます。去年も八・七%でしたか、消費者物価の値上がりがございました。ただ、そういうふうな二点をつかまえましても、私は、今後日本の国民生活というものが毎年毎年よくなっていかなくちゃならぬというふうな考え方ではなくて、五年たち十年たってみるならば、ああ確かによくなったな、自分たちの物的生活だけではなくて精神的にも豊かになった、コミュニティーも非常によくなってきた、こういうふうな社会になっていかなければならぬのだろう、こう思います。しかし、先ほど来申し上げましたように、消費者物価も確かに上がり、またそういうふうな去年よりはことしというふうな、心情もまだまだ根強く定着いたしておりますので、民間の方も八・八%というふうな春闘相場もことしあったわけでございます。そこで公務員だけこれを取り残してというわけにもまいりません。六九二ということになっておりますが、定昇込みにいたしますと八・七六ぐらいになります。大体物価の上昇、そしてまた一般の春闘相場、これとも見合った公務員の今回の給与値上げということが人事院の方で勧告をされたものだ、かように受けとめておりまして、本年はそういうことで人事院の勧告をそのまま尊重して実施するということに決定した次第でございます。
  138. 近藤鉄雄

    ○近藤委員 いま長官のおっしゃることはよくわかります。ただ、ちょっと一言、その数字のことで大変恐縮なんですが、確かに補正予算で組んだ分は一千何億かもしれませんが、実際やはり六・九二アップすることによって必要な経費というのは三千六百二十三億円ですね。給与課長、そうでしょう。ですから、五%上積みしてすでに取ってあるから、補正としてはわずかかもしれませんが、いずれにしても三千六百二十三億円は別枠で外してあるわけですから、これはいろいろやりくりするときも非常に大きな財源と言うとあれですが、なんじゃないかということは申し上げておるわけであります。  お役人さんだけが安い給料でがまんするわけにいかない、がまんさせるわけにはいかない。これも全く私はそうだと思いますが、しかし、最近の異常な円高を契機にして、日本経済が非常な不況に入りつつある。そして中小企業が倒産したり失業者が増加しつつある、こういう状況の中で、確かに今度の給与は四月の民間ベースアップ分を延ばし延ばし来たのだ、こういうことでありますけれども、こういう非常な厳しい状況の中で、ばっと公務員給与が上がるというようなことが、国民的に考えてみて、やはりお役人さんは楽をして親方日の丸で、みんな苦労しておるのに月給ばかり上げてという批判が相当起こる可能性は十分にある、私はこういうふうに考えております。  しかも、こういう不況状況、何としても私たちはこれを克服していかなければならない。そういたしますと、来年度の予算ですが、さっき三十二兆か三十三兆と申しましたけれども、私は、歳入の増が来年もそう簡単に望めないとすれば、いよいよもって国債の発行割合を、予算の三割の線を超えてこれを何%にするかわかりませんが、上げていかなければ、私は思い切った景気、不況克服策はできないのじゃないか。言ってみれば、この不況克服ということで銘打って出された補正予算が通って、しばらくなるわけでありますけれども、まさに補正予算が、一体、では効果がどこにあらわれているのだ。全く私たちはだで感じない。言ってみれば、非常にちゃちな補正予算になってしまったのも、先ほど申しましたように、やはり何としても国債発行を財政の三割以内におさめたい、こういう財政当局の願いのために、いわば非常に小規模の予算しか組めなかった、こういうふうに私は考えるわけであります。  そこで、大先輩にいま単純なことを申し上げて恐縮でございますけれども、いわゆる不況は何で起こるかといったら、それは国民経済全体の需給ギャップである。端的に言えば、超過貯蓄があるから経済が不況なんだ、こういうことだと思うのです。そこで、たとえば十兆なら十兆の超過貯蓄があって経済が不況だ。これを民間が金を借りて、そして投資をする。景気がよくなりますね。これは健全であって、そして財政が国債発行、借金してそれを使う、それは不健全である。民間は健全で財政が不健全であるということは全くないと思うのです。資金循環を考えれば同じことなんでありますが、あえて民間が健全だとみんな思うのは、民間が借金する場合にはちゃんとした償還計画を立てますね。そしてこれだけ借金するから、こうこう返すのだという形で借金する。国が借金する場合は、その国債の方は国債の方で別途議論しますけれども、いよいよ償還計画を立てる場合の端的に言って税制、もっと端的に言えば増税は、これは政治家はどうも国民の方を向いておりますと増税なんかしたくないということで余り積極的ではない。ですから、結局財政当局としてもわれわれにそう率直に言いませんけれども、そういう償還計画がちゃんと立ててあれば、私は積極的に国債を発行して景気振興、財政施策ということに賛成をしてくれると思うのでありますが、そういうことがないから、やはり三割ということでひたむきにがんばっているわけだと思うのです。  そこで、私も先日の土光さんや桜田さんがお集まりの会合でも演説をしてまいったのでありますけれども、いまの財界も政府の財政施策を批判して、どうも消極的でけしからぬ、もっともっと国債を発行しなさい、しかし同時に、所得税も法人税も減税しろ、こういう話があったものですから、私が立ち上がってこれに反論いたしまして、それは国債発行、結構ですよ、しかしその償還計画も立てないで減税もしなさいということでは、これは財政当局ならずとも先行き不安で仕方がないじゃないか、だから思い切った国債発行をします。そのかわり償還計画を立てなさい。端的に言えば、十兆円の国債を発行すれば十年間で国債を償還するのだから元本の償還分は毎年一兆円ですよ。さらに七分で借りれば七千億だから一兆七千億の増税をする。そして十兆の国債を発行する。増税、と言うとちょっと言葉がきついのですが、しかし十兆出して一兆七千億とるわけですから差し引き八兆三千億出るじゃないか、こういう形でやらなければならないときに、それは財政だけは勝手に借金しなさい、おれたちは税金を払うのはいやだ、そういうことではこれは成り立ちませんよ、そういう話をしたわけであります。  その一七%というのはちょっときついにしても、先日もちょっと調べてみたのでありますが、たとえば所得税を一%平均して上げます。そうすると税収が四千億円だそうですね。法人税を一%上げれば、これは千五百億だ、こういうことなんです。ですから、われわれ政治家はいま国民に向かって財政が危機だ、経済が危機だ、ある人はもう第二次大戦前だ、ABCDに囲まれておるのだというようなことさえ言うのでありますけれども、そう言うなら、財政を思い切って国内景気回復策をやろう、しかし、そのためには償還計画を企業もそれから労働者も一緒に協力してくれ、一%ぐらいずつ所得税を上げる、法人税も上げる、これぐらいのことをわれわれ政治家が国に向かって言えなくはないと思うのでありますが、そういうときにたまたまお役人さんの月給は、これは半年おくれだから仕方がないのだということでなしに、たとえば六・九二%まるまるはともかく、これを半分ぐらいはひとつ抑えよう、だから公務員も、一般民間人も、ましてや会社もみんな協力をして、やはり今度の財政危機に処するんだ、そういう気持ちがないと、私はなかなか現下の危機は解決できないのではないかという気がするわけでございます。  いまの言い方は、みんな国があれをしろ、おれたちは税金を払いたくない、月給を上げろ、みんなそういうことばかり各界で言っているわけですから、一体だれが本当に日本の財政の再建、日本の経済の安定をするのだということをだれも考えていない、そういうことだと思いますので、あえてお役人さんだけにこういうことを言うのは私はきついと思いますが、やはり昔から先憂後楽という言葉もあるわけでありますので、ここはひとつみんなでがまんするというぐらいのことが正しい政治のあり方ではないかという感じがするわけであります。総務長官、お立場もございますから、御回答は結構でございますが、そういう気持ちもあることを十分にお考えをいただきたい、こういうことであります。  そこで、そういう情勢であればあるほど、私は、これはたびたび同僚議員の話も出ているわけでございますが、やはり行財政の改革、合理化、これが絶対に必要じゃないか、こういうふうに考えておりますし、各党においても、行財政の改革問題を取り上げる委員会ができて、議論されておることは大変喜ばしいことだと私は思います。  そこで、行財政の改革ということでありますが、しばしば機構の改編ということをよく言われますし、場合によっては地方支局の統合というようなこともよく俎上に上るわけでございますが、もちろん私もこれは大事なことだと思います。しかし、やはり機構というものはいじれば切りがないので、行財政の改革の大前提は何といっても定員管理だと思うわけであります。お役人の数を減らすことが最大の課題で、後は少なくしたお役人をどういうふうに使うかということは、むしろ場合によっては——年来、外務省が中南米局をつくってくれという要望をしているわけであります。私は、外務省の肩を変に持つわけではありませんけれども、たとえば中南米担当参事官という参事官にしておくよりも、数は変えないわけですから中南米局長にしておく。しかし会った人は、参事官に会ってきたというより局長に会って帰ったと言うわけで、気持ちがはるかにいいというのであれば、私はあえて参事官を局長にしたって変わりないと思うのです。  かつて私は行政管理庁の政務次官をいたしましたから、これまた行政管理庁の肩を持つわけじゃありませんが、たとえば地方の行政監察局を、これはあれだから監察事務所だとか所にしろというような意見が一部にあるようでありますけれども、これもせっかく国全体として行政改革をしようというときに……(「言い方だけだ」と呼ぶ者あり)言い方だけですから、局長さんを所長さんにしなくてもいいと思うのですよ。場合によっては数を減らしてもいいから局は局で置いておいて、そのかわり非常に合理的に行政改革を進めるということだと思うのです。ですから、くどいようですが、やはり定員というものをもっともっと厳格にして、遊んでいるような人がいないようにすべきだ、こういうふうに私は考えておるわけでございます。  そこで先日、行政管理庁が監察をいたしまして「検査検定業務等の合理化方策についての答申」というものを行政監理委員会から出しているわけでありますけれども、私も米どころの出身でありますから、いろいろ米穀検査をやっている方々の苦労もわからないではないのですが、こういう場所でありますので、ひとつ行政管理庁の方からこの答申について、特に米穀検査においてしよっちゅうどれくらいに人手が余っているというふうに考えられるか、時間もありませんので、簡単にポイントだけの説明をしていただきたいと思います。
  139. 佐倉尚

    ○佐倉説明員 お答えします。  行政監理委員会から御答申をいただきました内容につきまして、ごく簡単に米穀検査の分だけ御説明申し上げます。  ただいま近藤先生の御質問でございました人数の件でございますけれども、私どもは検査官がどのように米穀検査を行っているか、実際にどの程度稼働しているかということを調べさしていただいたわけでございます。  もちろん私ども調査は、一部の食糧事務所支所について行われたものでございますけれども、調べました範囲内では、各支所ごとにかなりの格差がございます。大体検査が非常に忙しいのは年間二カ月間でございますけれども、この二カ月間のうちの検査の最盛期約四週間について見ますと、検査官が検査に従事している比率は約九〇%から四〇%と、支所によってかなりの格差がございます。もっともこの検査官の中には本来管理職であるような人たちも入っておりますので、ただいまの数字はそういうものも含めて言っているわけでございますけれども、大体そのような数字が出ております。
  140. 近藤鉄雄

    ○近藤委員 私も行政管理庁の調べたデータを見て大変ショックを受けたわけでありますけれども、いま佐倉さんからお話がありましたように、最盛期においても、米どころは別として相当程度の検査官の方々が検査出張もしないで事務所の中に残って仕事をしている。仕事をしているかどうかわからないのですが、どうも残っている、こういうことだとすれば、私は、やはり食糧事務所の検査官の数はもうちょっと少なくしてもいいのじゃないか、こういうふうに考えるわけであります。どだい、現在の米の検査方式というものもいろいろ歴史的にできたことでありまして、いまみたいに一級から五級まで細かく米の検査をする必要が果たしてあるかどうか。極端かもしれませんが、一体国が直接米の検査をする理由は何だと言えば、それは財政資金で米を買うからだと思うのです。日本人の食生活に大事な食糧がたくさんあるのでありますから、なぜ米だけを国が直接検査しなければならないかといったら、あえて理屈をつければ財政資金で買い込むから国が検査して買い込むのだ、こういうことだと思うのであります。最近のように自主流通米をある程度自由に、値段を高くどんどん売れる状況では、細かく分けなくて、ぎりぎり合格、不合格くらい、ここから下が合格で、国はこのくらいは最低買ってやる、そこから上の方は自由にしなさい、こういうくらいのことで将来はいいと思うのであります。そういうようにもうちょっと米の検査を合理化すべきだと思うのですが、しかし、いまのような検査を前提にしてもなおかつ人が余っているようなことは、われわれ国民から見て少し困るのではないか、こういうことだと思うわけであります。  ただ、時間がないから、食糧庁から御説明を聞くのをあえて省きますけれども、いろいろ人員構成を見てまいりますと、四十代、五十代の方が非常に多い。したがって四十代、五十代のこれまでやってこられた方をすぐにおやめいただくわけにもいかない、こういう気持ちもわかります。ただ、だからといっていまのままで放置するのではなくて、私は、これまた逆に行政管理庁にお願いしたいのでありますけれども、いわゆる定員計画というものも単に機械的に単年度ごとというのじゃなしに、五年なり十年先に持っていくべき方向を考えながら、場合によってはある程度——食糧事務所の人も人間でありますから、そう簡単にやめていただくわけにいかないということになれば、五年間は少しがまんしろとか、そういう長期的なバランスを持った定員計画というものを今後行政管理庁として考えて、それに基づいて各省の定員計画を指導すべきだ、こういうふうに思うわけでありますけれども管理局長、この点について御意見があったら、ひとつ承っておきたいと思います。
  141. 辻敬一

    ○辻政府委員 行政経費節減の見地から、特に今日のような社会経済情勢のもとにおきまして、厳正な定員管理が必要であるという御指摘は、まさにそのとおりであるわけでございます。  御承知のように、四十三年度以降四次にわたる定員削減計画を実施してきておりまして、五十二年度までにすでに十一万七千人の定員削減を行ってきたわけでございます。先ほど御指摘になりました食糧庁の定員につきましても、第一次から第四次までで約七千名、六千九百四十三人の定員を縮減してきている次第でございます。それから第四次の計画は五十二年度から四年計画でございますが、その間全体といたしまして非現業では一万六千七百六十八人、五現業では一万一千五百十八人、合計二万八千二百八十六人の定員縮減を図ることといたしておりまして、先般閣議了解をいたしました行政改革につきましての要綱の中にも、既定のこのような第四次定員削減計画に基づきまして定員削減を着実に実施するということになっているわけでございます。長期的な見地に立って定員管理を行うべきであるという御指摘もそのとおりでございまして、したがいまして、私どもも単に単年度でなく、ただいま申し上げましたように、四年間というような期間を定めまして定員管理計画を立てて実施しているわけでございます。
  142. 近藤鉄雄

    ○近藤委員 一般的な問題につきましていろいろ申し上げたのでありますが、私は、この機会をあれして、実は、一般の公務員の中で特に国家の存立にとって非常に大事なことをやっておられる方々がいらっしゃる、全部の公務員の皆さん大事だと思うわけでありますが、特に最近のいろいろなハイジャック事件やまた過激派集団の行動というものを考えてまいりますと、国家社会の法と秩序を支えている、それこそ体ごと支えておられる公務員の方々、さらにはまさに国家の安全保障というものを、それもそれこそ、これに全生命をかけて勤務していらっしゃる自衛官の方々、やはりこういう方々給与というものは、全部の公務員の方々給与ももちろん大事でありますけれども、われわれ国会として特に取り上げていかなければならないのじゃないか、こういうふうに考えるわけであります。  実は私、かつて行政管理庁の政務次官をしておりましたときにあちこちの政府の出先機関を回ったことがあるわけでありますが、たまたま刑務所に参った経験がございます。そこで刑務所の所長さん、職員方々といろいろな話をしたのでありますけれども、これは私、初めて聞いたのですが、刑務所職員の間で三ころということが言われているらしいです。三ころとは何だ、マージャンのことかと思ったら、マージャンじゃないので、刑務所の仕事というのは精神的に非常に極端な緊張状況の中にいる。たとえば囚人たちを働かせる作業場にまる腰でいて監督をしているわけでありますから、まさにハイジャックがいつでもできる状況の中にいるわけです。だからといってピストルを持っていったら、逆に向こうに取られてしまうから、まさにまる腰で行かなければならない、こういう状況です。私も初めて行ってみてわかったのでありますが、当然のことなんでしょうけれども、刑務所があって、へいがあって、そこに就役している。その周りにもう一つへいがあって、その中に職員方々、家族が住んでいる。だから、言ってみれば刑務所の職員方々は壁の中の生活をしておられる。ですから、最近も何か東京拘置所に爆弾車が突っ込んだとか、また千葉の刑務所の近くに時限爆弾が仕掛けられた車が置いてあったとか、そういう非常に戦慄すべき事件が起こったわけであります。こういう状況の中におられますので、大体六十ぐらいまで勤められるそうでありますが、お勤め終わってもう退職されると、そういう緊張状況が一挙になくなってしまうものですから、安心するかどうかはともかく、三年たったらころりといってしまう、これを称して三ころ、こう言っているそうであります。  私は、どうもそれは考えてみたらそうだということですし、国家公務員から地方公務員までいろいろな職責がございますけれども、役人をやめてつぶしのきかない職業としてはこれが最高だと思うのです。法務省の方、いらっしゃるかもしれませんが、大変恐縮ですけれども、それは税務署員とかは何とかかんとかいろいろつぶしがきくのでありますが、およそ刑務所の仕事くらいつぶしがきかない仕事はない。しかし、これだけではなしに、いろいろ先ほど申しました、まさに国家のロー・アンド・オーダー、そして安全保障、こういう存在の根幹に携わっておる方々給与というものは、一般公務員と別にある程度お考えいただいていい、かように私は考えるわけであります。  時間があれば、なぜ若干の差があって、その差のことについて人事院総裁その他から承りたいと思っておったのですが、時間がありませんのではしょりますが、特に私は、きょうは総務長官、防衛庁長官人事院総裁お見えでございますけれども、そういう枢要な方に御配慮いただきたいのでありますけれども、そういう警察官、刑務官、自衛官の一般の給与もさることながら、特別の手当について十分に御配慮をいただきたい。  例を一つだけ挙げますが、同じ刑務所の話で恐縮でありますけれども、死刑執行です。死刑執行については特別の手当がついている。私も初めて参って聞いたのでありますが、いま日本では死刑執行というのは大体絞首刑だそうですけれども、大体それを執行するボタンが四つあって、四つのボタンの一つだけが本当のボタンだそうですね。あとの三つは全然つながってない。だから四人でボタンを押すのだけれども、そのうちの一人のボタンがつながって死刑執行するわけです。しかし、その四人なら四人が全員とも、おれが押したボタンであいつが死んだのじゃないのだという、そういう精神的な救いをいささかでも得てもらいたいということで、あえて四つのボタンをつけているわけです。実際体験談を聞いてみますと、それが決まって三日ぐらい前から食事もろくに通らない。特に肉ものは食べたくないそうです。斎戒沐浴だから、酒飲んだりしたくない。そういう気持ちでおやりになる。ですから、そういう方々の特別の手当というのは一体幾らついているのだと聞いてみたら、一回五千八百円だそうであります。それは執行する人たちです。そして補助作業する人は三千二百円だそうでありますが、こういう仕事を銭金でどうこう言えないと思います。しかし、承っているのでありますが、五千八百円という数字が一体どうして出てきたのか。これはそんな感じで決まったと思いますが、人事院総裁、総務長官もいらしゃいますけれども、一回押したら十万、二十万というのも、今度は十万もらえるから押したみたいなことになってしまっても困りますから、それは限度があるのですが、一回一万円ぐらいお上げしてもいいのではないかという感じがするのです。これは基準がないようですけれども、五千八百円というのはいかにも中途半端で、一回一万円お上げして——大体これは十五人ぐらいのチームでやるそうですから、それでぐっと回って、一回やったら必ずかわるそうです。ですから、一回やって、いやなことをやったわけですから、それこそどこかへ行って一ぱい酒でも飲んで憂さ晴らしする、おはらいするぐらいの金として一万円、いまの物価では決して高くないのではないか、こういうふうに考えますので、これはひとつ御考慮をお願いいたしたいと思います。  同時に、警察庁からもお見えだと思うのでありますけれども、いろいろたくさん手当を言うと切りがありませんが、たとえば一例を挙げますと爆弾処理手当、一件三千三百円だそうでありますが、最近みたいに、そうしょっちゅうありませんけれども、いわゆる企業爆破事件とか何か起こったときに、そういう非常に危険な仕事をするに当たって一件三千三百円という数字が果たして妥当かどうかという気がいたします。私なんかひきょう者でありますから、三千三百円もらってもちょっとしり込みをしてだれかやってくれ、こう言うのじゃないかと思うのでありますけれども。承りますと、防衛庁の方でも同じような手当があるのですか。ですから、防衛庁と警察庁と横に並べて大体一件三千三百円というようなことで決めていらっしゃるようでありますけれども、これなんかも危険度のいろいろなものがあると思いますけれども、私はもう少しお上げしていただいてもいいじゃないか、こういうふうに思います。  繰り返し申しますが、こういうことで公務員というのは大事なお仕事をやっていただいておるわけであります。その中でも本当に社会の存立の根幹にかかわっていらっしゃる国家公務員、そして警察官の場合は地方公務員でありますけれども、こういう方々の給料は、教育公務員について人確法でプラスアルファをして、さらに主任手当をして、こういうことですが、これも民族百年の大きな事業でありますから教育は大事でありますが、同時に、こちらのことについても人事院総裁、総務長官、そして各省の大臣や幹部、関係者の方々に十分御配慮いただきたいと思うのであります。  そこで、時間がなくなって恐縮ですが、一言防衛庁に承りたいのでありますが、ずっとこう見てまいりますと、いろいろな手当があるのでありますが、自衛官について災害派遣手当というものがどうも見当たらないのであります。実際災害救助に自衛隊の方々が努力していらっしゃる事例は私、しばしば見るわけでありますが、こういう場合の災害派遣手当は一体どうなっているのか、防衛庁の方で御説明いただきたいと思います。
  143. 渡邊伊助

    ○渡邊(伊)政府委員 先ほど来先生から非常にありがたいお言葉をいただきまして、今後とも私どもいろいろ改善について努力をいたしたいと思うわけでございます。  ただいま先生質問の災害派遣に関する手当でございますけれども、おっしゃるとおり、現在特別な手当は支給しておらないわけでございます。これは従来から自衛官本来の業務であるという考え方もございまして、いろいろ問題がございまして、いままで手当を設定されていなかったわけでございますけれども、災害派遣につきましては、非常に危険でもあるし不快でもある、あるいは不健康でもあるという性格もございますので、それに着目して、こういった手当をつくりたいということで、現在部内において検討を進めておる段階でございまして、いましばらくお時間をいただきたいというふうに考えております。
  144. 近藤鉄雄

    ○近藤委員 実際戦争などが起こってはいけないわけでありますが、むしろいまのようなときには、自衛隊の方々に災害救助出動に大いに力を尽くしていただかなければならない場合があるわけでございますし、その場合の手当が規定されていないというのは私はおかしいと思いますので、人事院総裁もぜひこういう問題についても御検討いただきたいと思うのであります。  同時に、ちょっと自衛隊の手当を見てみて思ったのですが、戦争が起こった場合、平時の訓練だとか何かと違って、これは非常に異常な状況の中に自衛隊の方々が身をさらすわけですね。その場合に一体どういう手当をお上げになるのか。その辺はどうなっているのですか、防衛庁さん。
  145. 渡邊伊助

    ○渡邊(伊)政府委員 有事の際の給与については、現在の防衛庁職員給与法の第三十条におきまして「別に法律で定める。」ということになっておるわけでございます。現在もその法律はまだ制定されておらないわけでございます。これにつきましては、現在の状況から考えまして、わが国において有事になったという場合にはいわば国土戦でございますが、その場合にはその事態に対処する状態は、自衛官とともにほかの公務員あるいは民間方々、皆同じような状態に遭遇するわけでございますので、それらとの均衡の問題もございますし、あるいは事態そのものが非常に千差万別であるということも考えられまして、大変むずかしい問題がございます。これにつきましても現在勉強はいたしておるわけでございますが、まだその成案を得るという段階には至っておらないわけでございますけれども、これにつきましても、しばらくお時間を与えていただきたいというふうに考えているわけでございます。
  146. 近藤鉄雄

    ○近藤委員 やはり自衛隊というのは戦争をする団体ですから、それが自衛隊の最終目的だと思うのです。最終目的と言ってはあれですが、本来の目的なのです。その最大、最終目的をやることについて何ら法律的な規定がなされてないというのは、防衛庁長官、これはおかしいのじゃないですか。ですから、いま人事局長からお話があって勉強中だということでありますが、こういう本来自衛隊が最も活躍しなければならないときにどうするのだということが何ら規定がないということは、防衛庁長官、あえて申し上げますけれども、われわれ国民が自衛隊を何か信用できないのですよ。何か安心して任せられない。いま実際、いろいろな新しい兵器を持っていることは全く賛成です。われわれもどんどん応援したいのですけれども、いよいよそれを使うときにどういう法律的な制約なり、また権利のいろいろな関係の中でこれが機能するのだということが全く書かれてなくて、そしてただずっと数をふやします。装備をふやしますということだけでは、私はこれはいけないと思う。  ですから、きょう野党の先生方もいらっしゃるが、国会にはややこしいことがあって、こんなことを準備しても通してくれない、こういうお気持ちもあるかもしれませんが、それはやはりいけないので、それはそれ、やはりわれわれの責任として大いに議論いたしますが、そうすぐあしたにも戦争は起こりませんから、きょう、あすじゅうに法律は整備しなくてもいいのですよ。だけれども、そういうことが起こったときにどういうことになるかということは皆がきちっと勉強していただいて、そしてそれはわれわれが国会で議論して、国民のコンセンサス、支持が受けられる程度においてだんだん具体的に法制化していかなければならないので、あえて申しますが、防衛庁が国民の期待にこたえて一番フルに活躍しなければならない、そういう状態についての整備がされてないということは、これは一防衛庁長官防衛庁皆さん責任だとは思わない。われわれ立法府のメンバーや政府・与党や野党の責任だと思います。われわれも責任を感じますが、どうかひとつこの機会でありますから、この問題について十分に検討するだけではなしに、決断をして作業を進めていただきたいと思うのですが、長官、どうでしょう。
  147. 三原朝雄

    三原国務大臣 貴重な御意見をちょうだいいたしまして、十分配慮しなければならぬということを考えております。私自身そういうものを含めて、有事立法に対する勉強をするようにという指示をいたしました。先ほど人教局長がお答えをいたしましたが、有事の場合、あるいは先ほど申されました大きな危険を伴うような災害の救援に出ますような場合等を含めて、勉強をしておいてくれ、しかし、いま言われました有事立法というか、そういうものは一省庁が決定をすべきことではない。先ほど国会においてもという御意見がございましたが、各省庁というか、政府が政策としてそういうことを御決定なさるその時期に、防衛庁として平素から準備をして、意見を求められた場合にはすぐお答えができる準備をしておくようにという勉強を命じておるところであります。
  148. 近藤鉄雄

    ○近藤委員 まさに防衛庁長官おっしゃるように、これは一防衛庁の問題ではない。政府全体の問題であり、また日本の政治全体の問題だと思いますので、われわれもわれわれの立場で大いに考えますが、何といっても、まず当面の担当省は防衛庁でありますから、いま長官の御答弁のようにぜひその線で御努力を願いたい、こう思うわけであります。  そこで、そういう身の危険をあえて冒してしなければならない仕事をされる方々が、一たんそういうことで亡くなられた場合の措置でございますが、国家公務員災害補償法というのがあって、これも私、最近勉強したのでありますけれども、十七条で公務災害補償というのがいっぱいされておる。しかし、生命または身体に対する高度の危険が予想される状況下において行った場合には、特別公務災害補償ということで、その額を五〇%アップして遺族年金が出る、こういうことのようであります。私は、五〇%では少し少な過ぎるではないか、もうちょっとこの率を上げてしかるべきじゃないか、こういうふうに思うのでありますけれども人事院総裁、どうでしょう。
  149. 藤井貞夫

    ○藤井(貞)政府委員 先刻来から大変切々たる御意見を承っておりまして、感銘をいたしております。  一般論として私から最初にちょっと申し上げておきたいと思いますが、いま御指摘になっております自衛官、あるいは人事院所管の一般職としての刑務官とかあるいは警察官の職務の特殊性というものが大変なことであることは、私もよく認識をいたしておるつもりでございます。そういう意味合いをもちまして、従来から公安職の俸給表というものについては、一般の公務員に比較をいたしまして、水準差というものを設けて優遇いたしております。この点はずっと過去長年にわたって続けてまいっております方策でございまして、今後もそういう方針というものはずっと堅持をしてまいりたいと考えております。  毎年勧告の時期になりますと、法務省あるいは公安委員会の方から、具体的に今年はこういうことをやってくれという御要望がいろいろございます。われわれといたしましては、常日ごろそういう点については検討もいたしておりますけれども、そういう具体的な要望の線というものは貴重な御意見として十分に承り、また御説明も聞き、また、取り入れるべきものはこれを取り入れていくということで、積極的にやっておるつもりでございます。  ただしかし、いろいろ見方によりましては、まだ十分ではないという問題があるかもしれません。また、先刻もお話が出ましたように、人確法に基づく教員の待遇改善というものが現実の問題として行われてまいりました。それとの対比において、警察官等については、やはり均衡問題としてもう少し何とかしてくれてもいいのじゃないかというような切実な御意見があることも十分承知をいたしております。問題の所在というものを、われわれも把握をいたしておるつもりであります。したがいまして、将来にわたってもそういう方向でなお十分に善処し、対処してまいる所存でございます。  また、お話のございましたいろいろな手当関係、これにつきましても、見方によってはいろいろ御意見があることはよくわかります。そういうことで、他との均衡の問題もありますけれども、われわれといたしましても、その点十分配意をいたしまして、毎年検討を加え、また、改定すべきものは改定をいたしております。最近も、いまの具体的にお取り上げになりました手当等についても、三割ぐらいのアップを図ったというようなことも、随時やっておるつもりでございます。しかし、お話にも出ておりますように、これをもってもう十分だといったものではございますまい。事柄の性質上、仕事の性質上から申しまして、そういう問題もあると思います。したがって、均衡その他の問題もございますけれどもお話のような点は十分ひとつ肝に銘じて、今後とも改善のために万全の努力を払ってまいりたい、かように考えます。  それから、公務災害の関係でございますが、これは特殊の職務でございますので、そういう点を配意をいたしまして、一般公務員と比較いたしまして、かなりの優遇措置を講じておるわけでございます。またそのほかに、先生もよく御承知のように、公務災害ということだけではなくて、職に殉じたというようなりっぱな警察官その他に対しましては、その労に報いる、功に報いるという意味で、賞じゅつ金その他の措置も並行して講じておるということは御承知のとおりでございます。公務災害の一つのたてまえ論というものがございまして、そこに枠があることも事実でございますけれども、いまお話しになりましたような特殊公務員というものにつきましては、その職責の特殊性に基づきまして、われわれといたしましても、今後とも十分検討して、善処をいたしてまいりたい、かように考えております。
  150. 近藤鉄雄

    ○近藤委員 総裁のお話、よくわかるのですが、総裁のお話の中にも出ました賞じゅつ金ですね、これは何か、三百万から千三百万まで、こういうことでいろいろな段階もあるようですが、私は、この制度を勉強させていただいて、もうちょっとこれを制度化してきちっとしたものにできないか、まあ子分が亡くなって親分がお見舞いを出すというような感じでもあるものですからね。何か各省ごとのつかみ金をやるのだという形じゃなしに、もうちょっとこれを制度化してきちっとしたものにできないかという感じがいたします。  実は、いまの普通の災害保険ですね、たとえば自動車事故でひかれたりなんかいたしますと、いわゆるホフマン方式とかいって、たとえばその人が、弁護士なりお医者さんなりまた一般の職工なり、それぞれが将来にわたってどれぐらいの収入が可能なのかということを計算いたしましてそれを払う、こういうことになっておるようですね。ですから、普通自動車事故でやられても、人によっては、その自賠責千五百万にプラス一千万とか二千万、三千万、こうなってくる。ですから、これは防衛庁長官も御存じだと思うのでありますが、よく笑い話みたいに言われるのでありますけれども、自衛隊員が、訓練とか、また営舎内で車にぶつかって死んでしまったら数百万で、外に出て、そして自動車にひかれたら千五百万だ、どうせ死ぬのだったら、外に出て民間の自動車にひかれて死んだ方がいい、こういうことを言われる。これも私は、どうも余りいいことじゃないような気がするわけであります。  ですから、私はよく思うのですが、たとえば三十、四十過ぎた男が、ハイジャックならハイジャックの者と格闘して、こっちが死ぬかもしれない、向こうを捕えるかもしれない、そういう非常に重大な決断、意思の決定をするときに、自分の一生なんというものは、自分が警察官なり自衛官で来たのだからどうでもいいのだ、こう思っていると思う。ところが最後に頭にくるのは、自分が死んだら自分の妻や子供がどうなるか、これだけだと思うのです。自分の人生なんかどうということはない、自分が死んだ場合に妻や子供が路頭に迷うというようなことがあったら、決断すべきときに決断ができない、行動すべきときに行動ができないということもあり得ると思うのです。  ですから、私は、いろいろな公務員の手当は大事だと思うのですが、しかし、こういう形で社会とか国家の安定のために殉じたという人の場合には、これはもう多過ぎて悪いということはないような気さえするわけであります。ですから、ホフマン方式で自動車に吹っ飛ばされて死んでしまったのは三千万、四千万入るのだったら、それは人間はどこでも死ぬのですから、そういう決断をするかしないか重大なときに、まさに昔で言えば後顧の憂えなく行動できるような体制は、これは政府の力として、また政府責任においてやるべきではないかというふうに考えるわけであります。  先ほど申しましたいわゆる遺族年金にいたしましても、一般公務死の場合に、特別公務死の場合にはさらに五割アップいたします。こういうことなんですが、しかしあくまでも最終平均給与の何割、何割ですね。ですから、たとえばこういうことで死ななければ同僚と同じようにずっといわば立身出世、昇給して、相当いい生活を奥さんや子供さんがしたかもしれませんね。しかし、仮に何割といっても、結局たとえば三十代なら三十代、二十代なら二十代で死んだときのその給与で横にずっと行くわけでありますから、やっぱり私は、民間でホフマン方式をやっているのだったら、こういう公務災害、特にいま申しました非常な危険で、まさに生きるか死ぬかという重大な決定をするときに——それは何でもかんでもと言っていないのですよ。しかも死ななければいいのですから、死んだときのことを言っているのですから。死んだときにはそれぐらいのことはやってしかるべきだと思うのでありますが、総裁どうでしょうか。
  151. 藤井貞夫

    ○藤井(貞)政府委員 これは御意見として承っておきますし、私たちもそういう考え方があるということは十分承知をいたしております。公務災害あるいは労災ということの考え方、理論の組み立て方というものにも、いまお話しのありましたホフマン方式等をもう少し導入していったらどうかというのは、たてまえ論、理論としては十分あり得ると思います。  ただ、これは公務災害、労災保険ということの共通問題といたしまして、亡くなったときの平均給与額というものを基礎にいたしておるということに相なっております。これは、ただ単に公務員だけの問題ではございませんで、全般に共通する問題といたしまして、問題点として深刻にひとつ検討を加えてまいりたい、かように考えます。
  152. 近藤鉄雄

    ○近藤委員 公務員だけの問題でない、いろいろ同じようなことがあるし、労働災害との関係もあるというのはわかります。しかし、私はあえて言うのですが、そういうハイジャック事件とか、たとえばビルに時限爆弾が仕掛けられている、それを捜せというわけですよ。近づけば近づく、捜せば捜す、抱いた人が終わりですよ、抱いた人が飛び出そうと思ったら爆発するかもわからないですから。だから、普通の事故とか何かと違う。少なくとも、そうなったら死ぬかもしれない。その判断をするのです。たまたま管理者の過失か無過失じゃないのですよ。判断するときに、もしくは上官が部下に向かってそういう行為をさせるという判断です。従うか従わないか、そういうときは、私はほかのこと全部とはちょっとこれは質的に、主観的に態度が違うと思うのです。自分の決定です。決心するわけです。  私は、時間がなくなりましたので、多くを申しませんが、いわゆる一般の民間企業で働く場合と、いやしくも国家公務員とか地方公務員になる決意をするのは、やはり一つのりっぱな決断だと思うのです。そういうことで私の利益を追求しないで国家社会に奉仕する決断をする。そういう決断をしたお役人さんは、一般の民間と違った形の待遇をしてしかるべきだと私は思うのです。ですから、お役人として一生やって、そして後も余り政治家にごまをすったり、会社のあれをしなくたってちゃんとりっぱに人生が送れるような給与体系を考えるべきだと思います。最近いわゆる年金の官民格差という議論がありますけれども、これも重大な問題を含んでいますが、しかし、お役人さんが一生りっぱにお役人として終わる、余り左右を横見しなくてもできるような体制をつくることも大事な、国家存立の基盤だと私は思います。年金を含めて思うのです。  しかし、その中で、さらに身の危険を冒してやる仕事を選ぶ、すなわち自衛官とか刑務官とか警察官、この判断をする人たちにとってはやはりある程度のことを考えていいと思うのです。その中で、ここで本当に生きるか死ぬかの判断をするわけですから、これは別なんです。ですから、一般の労働災害と同じ条件で私は絶対にお考えいただきたくない。特殊なものだ。そういう国民が日本の社会にいるかいないかが日本の社会が存立するか否かの岐路だとさえあえて言ってもいいと私は思うのです。ですから、私は銭金のことだけだとは思いませんが、しかも同時に、こういうものは殉職された遺族の方々から、ほかの組合みたいに賃上げしろ、あれしろという形で上げるべきものだとも思わないのです。むしろわれわれ政治家が、また皆さん考えて、事前に幾らかでも予見してやる、そういうことが大事だと思いますので、ぜひひとつ皆さん、お考えいただきたいと思うわけであります。  最後に一つだけ、きょうは防衛庁長官それから警察、法務省の方々がお見えでありますので、そういう殉職者の方々に対して、それぞれ防衛庁、法務省、警察庁では一体どういうお祭りといいますか、慰霊をやっていらっしゃるか。また遺家族に対してどういうような措置をしていらっしゃるか、最後に承っておきたいと思います。
  153. 渡邊伊助

    ○渡邊(伊)政府委員 お答えいたします。  まことに残念なことでありますけれども、常日ごろ安全管理には十分注意はいたしておりますけれども事故の絶滅を全く期するというわけにはまいらない状態でございまして、自衛隊発足以来本年までに千二百四十五柱合祀いたしております。  殉職をいたした場合には、まず部隊におきまして部隊葬を営んでおります。それからさらに、毎年の行事といたしまして自衛隊記念行事がございますが、この一環といたしまして、防衛庁長官主催のもとに自衛隊殉職隊員追悼式というものを営んでおります。これにつきましては過去一年間に殉職した隊員の御遺族、それから殉職後ちょうど十年目に当たる御遺族、こういう方々をお招きいたしまして、追悼式を営んでおるわけであります。  さらに、遺族の方々に対するいろいろな手当てでございますけれども、これは先ほど来先生お話がございますけれども、自衛隊員につきましても、国家公務員災害補償法を準用いたしておりまして、これに基づく諸種の支給金がございますが、このほか制度的には共済組合の方から遺族年金あるいは弔慰金というものが支給されております。そのほか、実はこれは制度的なものではございませんけれども、特にジェット機等によります事故に遭遇して殉職をした隊員につきましては、賞じゅつ金あるいは特別弔慰金というものが支出されることになっておるわけでございます。  ただ、こういうものだけではと申しますか、どのように償っても償い切れないものでございますけれども、さらに防衛庁所管の法人がございます。これは財団法人防衛弘済会という法人でございますが、この弘済会の方々とも相談いたしまして、現在この団体の方から弔慰金あるいは老齢父母の見舞い金、それから育英援護の関係の資金等を支出をしていただいております。さらにこれは防衛庁独得のものだと思いますけれども、団体生命保険というものがございまして、これは隊員が非常に多いことからこういう制度ができるわけでございますけれども、残念なことにこの団体生命保険が非常に大きなウエートを占めている状況でございます。隊員は非常に若うございますので、必然的に公務災害補償の方の支給金は低いものでございまして、これで補っている状況でございます。  それからさらに、金額とか物品によらず御遺族に対しましていろいろお慰めするということは一番心理的なものが大切だろうと考えております。自衛隊には全国に各地方連絡部というものがございます。さらにその出張所が全国に散らばっております。これらの職員をして命日には必ずお参りをさせるというようなことをして、御遺族をお慰めしておるわけでございます。
  154. 山口弘之

    ○山口説明員 まず亡くなられた方についての慰霊でございますけれども、慰霊祭といたしましては、警察職員で殉職した者が主体でございますけれども、そのほか警察官の職務に協力いたしまして亡くなられた一般の民間方々もあわせ含めまして、昭和四十八年以来毎年十月下旬に、警察協会という財団法人がございますけれども、そこが主催いたしまして、警察庁がこれを後援いたしまして警視庁警察学校におきまして慰霊祭をとり行っておる次第でございます。その慰霊祭には、全国各県から遺族の代表、戦前の殉職者の遺族それから戦後の殉職者の遺族、それぞれ区分けいたしましてお集まりいただきましてお祭りをいたしておる。近代警察が明治七年に発足いたしまして以来お祭りしておりますみたまは五千百五十五柱に上っておるわけでございます。  そのほか、各都道府県警察におきまして、県独自でやはり同様のお祭りをいたしておるのが実情でございます。  それからまた、そのほか制度的な公務災害補償、壮烈な殉職をいたしました場合に特別公務災害補償制度、そういったものの適用のほか、ただいま防衛庁の方からお話がございましたように、警察におきましても育英会という財団法人がございまして、殉職された方々の子弟、それから民間の協力援助者の子弟を含めまして育英資金をお渡しするとか、あるいは各都道府県警察の本部の厚生課が主体となりまして、一家の支柱を亡くされた方々の生活の不安を取り除くために、いろいろ進学の問題なりあるいは就職の問題なり住居の問題なりあるいは医療の問題、そのほかにつきましてすべて何くれとなく御相談に乗ることにいたしておりまして、遺族の不安を解消してまいる努力をいたしております。  そのほか、いま申しました警察協会という組織がございまして、亡くなられたときの弔慰金それからけがをされましたときの見舞い金あるいはその命日、あるいはお子様が進学されるときのお祝い、額はきわめて微々たるものでございますけれども、そういったものを気持ちだけお届けしておるといったようなことを行っておる次第でございます。
  155. 石原一彦

    ○石原(一)政府委員 常日ごろ近藤委員からは刑務官の待遇改善その他につきまして格別の御配慮をいただいておりますことを厚く御礼申し上げます。  ただいまの御質問の点でございますが、防衛庁、警察庁からお話がありましたのと大体同じでございまして、また二庁でも同じだろうと思いますが、いろいろな災害で亡くなられたことに関するお金の出るほかに叙位、叙勲等がございますし、大臣表彰というものも行われております。それから私どもも矯正協会というのがございまして、矯正協会からも賞じゅつ金等が出るのでございます。その項目につきましては大同小異でございますので省略させていただきます。ただ現在、たびたび近藤委員からも御指摘がございましたように、今回のハイジャック事件におきまして一般の刑事犯が犯人から指名を受けたという点につきましては、私どもは重大なる事実だと思って受けとめておりますし、それに対する対策を立てなければならないと思っております。特に、その二人の刑事犯のうち一人は、無期懲役で千葉刑務所に服役中に管理部長を刺したことによりまして監獄闘争の先兵であるというような見方をされたがために今回指名があったと推測されるのでございまして、あらゆる場合におきまして、最近におきましては、対監獄闘争あるいは監獄解体運動というものが出ております。その点でわれわれは危機感を高めているのでございますが、そうした事態に対応して職務を忠実に、厳正に遂行するということにつきましては、これまでも財政当局、人事院から御配慮をいただいているところでありますが、今後とも御協議申し上げ、万全を尽くす所存でございます。
  156. 近藤鉄雄

    ○近藤委員 いろいろ各省やっていただいておるようでありますが、なおそういうことを推し進めていただきたいわけであります。  もう時間がたって恐縮でございますが、一言だけ最後に。  私自身も父親を戦争で亡くしたいわゆる靖国の子でございますが、いまのこの靖国神社の法制化の問題につきましては、本来当内閣委員会で議論しなければならないものでございますけれども、これは野党の皆さんの御反対もあって、正式にこの問題をこの委員会で議論してない状況でございますが、私は、いまいろいろ申し上げましたように、やはり日本の国家が存在するためにいろいろな大事なことがあります。しかし、そのために身を挺して殉ずる人がいないような国家は、それは洋の東西、思想の左右を問わず存在し得ないと思うわけであります。したがって、この靖国神社を単に戦争で亡くなった方々だけの社として残すのかどうか。むしろあえて、近代日本が始まって以来警察官、刑務官、その他いろいろな関係で殉死をされた方がいらっしゃるわけでありますから、こういう方を含めた総合的なまさに靖国の宮として再構築し、再編成、再組織し、そして、自衛官の方々が戦争で死ぬなんということがあってはいけないので、むしろそういうことで殉職された方々が今後ここで祭りを受ける。その形式は形式で、内容の宗教の問題について憲法その他いろいろ御異議がございますから、これはわが党が出しておる靖国神社法のような形で、内容については別途考えるということでいいと思うのでありますが、少なくとも国家として、こういう国に殉じた方々を祭ることがなければいけない。各省においてもそれぞれお考えいただいておるわけでありますが、しかし、同時にやはり国家全体で、社会全体で、国民全体で、こういう方々の霊を祭ることも私はこれからの政治の大事な課題だと思いますので、そのことをひとつ強く申し上げまして、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  157. 正示啓次郎

    ○正示委員長 続いて、栂野泰二君。
  158. 栂野泰二

    ○栂野委員 防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案に関連しまして二、三お伺いしたいと思います。  ただいま警察官あるいは監獄の職員についていろいろ御議論がございましたが、確かにこういう公務員の待遇に関しては、いろいろ問題があるように思われます。そこで、いまの御議論を聞いておりますと、そういう特殊な職務にある公務員の特殊性を強調することによって、特殊な手当なりあるいは特別な待遇を与えてこれを解決したらどうだ、こういうふうに伺ったのでありますが、私は、どうもそういう発想では根本的な解決にならないと思うのです。むしろ、いまそういう特殊な職にある公務員は、その特殊性が強調されることによって、一般の公務員に与えられている権利を制限されているわけですね。ですから、そういう人たちにもできる限り一般の公務員あるいは一般市民が持っている権利を与える、その権利をそういう公務員が自分たちで行使する、こういう形で解決すべきものだと思います。  監獄の職員あるいは警察官、消防職員は、御承知のように、国家公務員法上争議権はもちろんのこと、団結権も奪われているわけですね。私は、いま欧米のそういう労働基本権レベルから言えば、少なくとも消防職員あるいは監獄職員には団結権ぐらいは与えてもいいと思うのですね。団結権があれば、そういう人たちは自分たちで待遇について不満があれば権利行使をすることができるわけであります。しかし、これが奪われている。そこに実は問題があると思うのです。  監獄職員にさえも団結権を与えていないわけでありますから、まして自衛隊員にはそういう権利は与えられていない。私は、自衛隊員についても、いま申し上げたような基本的には考え方は同じ、自衛隊員だって一般市民なんですから、一般市民としての権利を当然持ってしかるべきでありますが、できるだけ一般市民としての権利を持たせるという、そういう方向をとるべきじゃないかというふうに考えております。いま隊員については、自衛隊法の四十九条で、身分について不利益取り扱いを受けた場合に不服審査を申し立てる手続が規定されているわけであります。そこで、これは身分だけに限るのですが、一体この手続をいままで利用した隊員がどのくらいあるか、何件あるか、お聞きしたいと思います。
  159. 渡邊伊助

    ○渡邊(伊)政府委員 公正審査会に対しまして現在までに、現在までと申しますのは昭和二十六年からでございますが、申し立て件数が百五十二件ございまして、そのうち、審理の結果の状況を申しますと、却下件数七十三件、それから取り消しの件数が八件、変更の件数が十一件、その他審理中という状況でございます。
  160. 栂野泰二

    ○栂野委員 この不服審査手続というのは、そういう降任、休職、免職などの身分にかかわる不利益取り扱いについての不服申し立てでありますが、いま問題になっております給与その他の勤務条件についての不服については、どうやら法律上そういう不服申し立ての手続がないわけであります。ただ苦情の処理に関する訓令というのがあるようでありますが、これは一般の国家公務員の場合には国家公務員法の八十六条で、そういう待遇問題については措置要求ができることになっている。これは警察官も監獄職員も消防職員も、この措置要求だけはできるわけですね。こういう法律上の権利が保障されているわけですが、自衛隊員にはそういう苦情処理措置要求というものが法律上規定されなかったというのには何か根処があるのですか。
  161. 渡邊伊助

    ○渡邊(伊)政府委員 先生おっしゃいますように、確かに一般職の国家公務員につきましては、国家公務員法におきまして勤務条件についての措置要求という規定がございます。自衛隊法にはございません。実は私不勉強で的確な理由を承知いたしておりませんけれども、沿革的にやはり自衛隊というまあ部隊の特殊性、そういうものから公正審査会という制度を設けて、これによって処理をしようという考え方で出てまいってきたものと思います。ただ、自衛隊発足以来そのような形で運用してまいりまして、やはりもう少しきめ細かい措置が必要ではないかということから苦情の処理に関する訓令というものを設けまして、これによって、隊員の身分上の問題に至らないまでの段階での不満というものを処理しようということにしてきてまいっておるわけでございます。
  162. 栂野泰二

    ○栂野委員 ところで、この苦情の処理に関する訓令を見ますと、「自衛隊において自己の受けた取扱いが不法又は不当であると考えるときは、」こうなっているわけですね。いま申し上げました国家公務員法八十六条の措置要求は、「職員は、俸給、給料その他あらゆる勤務条件に関し、」何でも言っていい、こういうことになるのですね。この苦情の処理に関する訓令の場合には、一応自分が不法または不当であるというふうに考えた場合という、こういう制限文言があるわけですが、ここら辺は一体どういうことでこういうふうになったのか、お聞きしたいと思う。
  163. 渡邊伊助

    ○渡邊(伊)政府委員 ただいまの御質問、必ずしも私実は十分理解いたさなかったわけでございますけれども、自己の受けた取り扱いが不当または不法であるというふうに考えた場合、つまりこれは実際の運用上からいたしますと、表現はこういうふうになっておりますけれども、日常茶飯事におけるいろいろな不満その他はすべてここで吸収しようという考え方で運用されておるわけでございます。
  164. 栂野泰二

    ○栂野委員 そこで、この苦情の処理に関する訓令で「自己の受けた取扱い」云々とありますが、これは給与その他、待遇に関する問題は何でも入るのですか。
  165. 渡邊伊助

    ○渡邊(伊)政府委員 これは一応運用上それも全部含めて運用いたしておりまして、現にそういう例がございます。
  166. 栂野泰二

    ○栂野委員 この苦情の処理に関する訓令ができてから、今日まで適用された例はどのぐらいございますか。
  167. 渡邊伊助

    ○渡邊(伊)政府委員 この苦情の処理に関する訓令を受けまして、各三自衛隊におきましてそれぞれの達を設けまして、さらに細部の運用要領を定めております。これによりまして各段階ごとにも処理するようになっておりまして、各幕僚監部まで上がってきたものは航空幕僚監部の件で二件ございますが、そのほか各部隊において処理した件数をいまちょっとつまびらかにいたしておりませんので……。
  168. 栂野泰二

    ○栂野委員 恐らく例は大変少ないのだろうと思うのですね。といいますのは、こういうふうに「不法又は不当であると考えるときは、」という制限がつきますと、そこのところで、不満があっても、こういう手続できちんと自分の不服を申し立てて聞いてもらうという気になかなかなれないと思うのですね。ですから、やはりこの辺は検討する必要があるのじゃないか。私は最初に申し上げましたが、自衛隊は一般市民として本来受けてもいいような権利が極端に制限されている、そういう世界だろうと思うのです。そこでいろいろ問題が発生しているのじゃないかというふうに考えます。これはどこでも言われることでありますけれども、いまでも旧帝国軍隊の伝統が生きていて、しごきが相当激しく行われているようでありますが、もちろんこういう私的制裁、暴行などというものは禁じられているはずであります。特に新入隊員に対して、そういうことがしばしば行われているというふうに言われる。自殺者もあるようでありますが、そういうひどいしごきが原因になっている場合もあるかもしれない。  そこで私は聞きたいのですが、一体いまこういう問題についてどういう処置がとられているのか、ひとつお聞かせ願いたいと思うのです。
  169. 渡邊伊助

    ○渡邊(伊)政府委員 その前に、先ほどの苦情処理の関係につきましてちょっと申し上げたいと思いますが、苦情の処理に関する訓令によりまして、先ほど申しましたように、きめ細かい配慮をしてまいったというふうに申し上げましたけれども、そのほかに各部隊におきましていわゆるカウンセラー制度というものを設けまして、隊員の一身上の問題その他につきまして何くれとなく相談を受けるという制度を三自衛隊ともとってまいってきております。  ただ、率直に申しまして、ややマンネリに陥っているという面もなきにしもあらずということでございまして、昭和四十九年に、実は庁内に人事制度調査委員会というものを設けまして、人事に関する万般の問題につきまして、いろいろこの際抜本的に見直そうということで作業いたしました。現在その作業の結果に基づいて各それぞれの関係部局におきまして、実際にそれを実現できるものは実現すべく検討を進めております。その中にこの不満を処理するという制度をどうしたらいいかということについてさらに検討を進めようということで、現在庁内において検討を進めておる段階でございます。  それから、ただいまのいわゆるしごきの問題でございますが、しごきというのは、いわゆる私的制裁のことをおっしゃっておられるのかと思いますけれども、これにつきましては、もちろん厳禁をいたしておるわけでございまして、私的制裁の例というものを実は私余り、過去におきまして一、二件あったかと思いますけれども、それ以外にはほとんど聞いておりません。こういうものは本来行われるべきものでもないし、それから恐らく隊員の全部はそういうふうに思っておると思うわけでございまして、過去において一、二件生じた段階におきまして、そのときの防衛庁長官は各幕僚長をお呼びになりまして、直接厳重な注意を与えておりますし、それから当時の人事教育局長は各幕の担当幹部を呼んでやはり同じように指導いたしておりまして、特段に文書による指導はいたしておりませんけれども、常日ごろそのようなものはあるべきでないということで指導いたしておるわけでございます。
  170. 栂野泰二

    ○栂野委員 表ざたになるものは大変少ないだろうと思うのです。ですから、表ざたになればそういう措置がとられてきたのでしょう。しかし実際そういうことが行われていても、隊内でそのまま、外に出さない、そういう風習といいますか、そういうものが何となくあたりまえのこととして上の方でも見過ごされているという傾向が、私はまだまだ残っていはしないかというふうに考えているわけでございます。  そこで伺いますが、一ころ、隊員に貯金をさせる場合に、その判こと通帳は上官が預かっていて、外出する場合に一々上官の許可がなければ引き出せない、こういうことがあったようでありますが、こういうことは現在どうなっているのですか。
  171. 渡邊伊助

    ○渡邊(伊)政府委員 かつて先生がおっしゃったような事例がございました。しかし、現在はそれを全部改めておりまして、新入隊員につきましては、やはり隊内の事情もよくわからないという状況もございますので、いろいろその方面についての口頭指導はいたしておりますけれども、印鑑や通帳を預けておくというようなことはいたしておりません。  現在防衛庁におきましては、貯金とかあるいは保険については、共済組合において行っている制度がございますけれども、先ほど近藤先生からの御質問で私ちょっと申し上げましたが、これは自衛隊員にとって非常に有利な保険でございまして、強制加入をさせるというようなこともなしに、自衛隊員が自発的に喜んで加入いたしているというのが現状でございまして、貯金についても同様、強要するとかあるいは強制的にやらせるというような事実はございません。
  172. 栂野泰二

    ○栂野委員 その保険についてなんですが、これは東北のある航空自衛隊の基地というふうに申し上げておきましょう。昨年の暮れに、その基地の全隊員に生命保険に加入するようにという通達が文書で出された。内容は、一人十口以上三十口まで、一口の保険金額は五十万円、免許などを持っている人は最高の三十口まで入れ、こういうことであります。保険の契約会社は、東邦生命と協栄生命というふうに指定されている。協栄生命というのは御存じのように、朝雲新聞の「朝雲」という活字の下に毎号広告を出している会社でありますが、一体こういう事実があったかどうか、まずお伺いしたいと思う。
  173. 渡邊伊助

    ○渡邊(伊)政府委員 ただいま先生おっしゃいました事実を私は承知いたしておりません。  先ほどちょっと申し上げましたように、団体生命保険と申し上げましたが、これは先生いまおっしゃいました東邦生命と協栄生命でございます。これは一口について毎月百円ということで、非常に入りやすい保険でございまして、共済組合が仲立ちをとってやっておるわけでございます。これは先ほど申しましたように、非常に有利な保険でございまして、強要することをほとんど必要としないくらい隊員の方が自発的に入りたいという保険でございます。ただしかし、ただいま先生のおっしゃいましたようなことがあってはならないということもございまして、これは共済組合本部長、本部長は事務次官でございますが、この名前をもちまして、「この加入については組合員の生活設計に合わせて自由意思により行うように指導されたい。」という指導文書を出しております。  それから、さらにこれに基づきまして、実際の実務主宰者であります。これは厚生課長でありますが、この名前をもちまして「組合員がいかなる手段によって不慮の事故及び災害に備えるかは組合員の自由意思によるものであることに留意し、業務処理に当たられたい。」こういう指導をいたしておるわけでございます。
  174. 栂野泰二

    ○栂野委員 私が聞いたところによりますと、なかなか自分は入らないということの言える雰囲気ではなかったようであります。そういうふうな雰囲気で、なぜこういう保険の勧誘が行われなければならないのか、私は大変疑問に思う。いずれにしても全員入ったようでありますが、その辺のところは、よほど慎重にやっていただきたいと思います。  そこで質問を変えますが、これはむしろいま審議中の防衛二法と関係が深い問題かもしれませんが、自衛隊の充足率のことでございます。  初めにちょっと伺いたいのですが、私がいただきました資料は五十一年の十二月三十一日現在でございます。防衛白書には五十二年三月三十一日現在のものが出ておりますが、五十一年の十二月三十一日現在では八七・六%、それから五十二年の三月三十一日現在では八八・七%、約三千名、一・一%の差があるのですが、この間三カ月しかないわけであります。どうしてこういう差が出ているのか、お聞かせ願いたいと思います。
  175. 渡邊伊助

    ○渡邊(伊)政府委員 充足率の問題で、先生おっしゃいましたとおり、五十一年の十二月三十一日では現員が二十三万三千六十七人でございまして、充足率は八七・六%、それから五十二年三月末では、現員が二十三万六千六十一名、充足率八八・七%でございます。  わずか三カ月程度でなぜこのようにふえたのかという御質問でございますけれども先生御存じだと思いますが、現在自衛隊の、特に二士として採用する隊員は、陸上自衛隊の場合におきましては、ほとんど毎月入隊という状況でございます。海上自衛隊あるいは航空自衛隊におきましては、年に三回ないし四回ということで、まとめて入隊いたしておるわけでございます。そこで、充足率と申しますのは、毎月変動いたすわけでございます。年度末になりますと、ちょうど三月に高校卒業者が非常に多数入隊をいたすわけでございまして、その関係でぐっと充足率が上がるという状況でございまして、原因はそういうところにあるわけでございます。
  176. 栂野泰二

    ○栂野委員 この資料を拝見しますと、陸海空の充足率を比較してみますと、陸の方は五十一年十二月三十一日現在の充足率は八四・三%、五十二年三月三十一日で八六・〇%、海上の方は九四・三、空の方は九四・六、陸が非常に充足率が低いわけであります。それから幹部、曹、士でありますが、幹部も曹も皆九八以上あるんですね。ところが士の方は陸が六九・六%、海の方が八五・八、空の方が八六・五、こういうことになっておりますが、陸が非常に充足率が低い、しかも士が非常に低いという、一体これはどういうところに原因があるんです。
  177. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 いま先生がおっしゃいましたように、陸が八六%前後で低うございます。この定員の問題でございますが、私ども防衛庁として考えておりますのは、陸の定員と、それから海と空の定員というものは、性格がやや違っているわけでございます。御承知のように、陸というのは十八万の体制、十八万の定員でもって有事の際に戦闘力を発揮するというたてまえになっているわけでございます。海と空につきましては、その戦闘力を発揮いたします主力が艦艇であり、航空機であるということでございます。したがいまして、この艦艇、航空機を平時円滑に運用するためには高充足でなければならないわけでございます。  そういう観点で、陸上自衛隊につきましても、もちろん充足率が高くて実員指揮をする、訓練をやるということが望ましいことではございます。したがいまして、昭和三十五年ごろまでは陸上自衛隊の充足率もきわめて高かったわけでございます。昭和三十五年以降、きわめて経済力が高度成長の時期を迎えまして、一つには募集がむずかしくなったという時期がございます。そのころ陸上自衛隊の十八万の体制、まだそのころは十八万になっておりませんでしたけれども、その体制の中で平時の訓練を十分にできるその限度はどのぐらいのものであろうかというようなことで検討をいたしました。その結論が一応八六%前後ということで出たわけでございます。この八六%前後の充足の中で、たとえば教育期間あるいは陸上自衛隊でも高度の技術を要しますホークの部隊あるいは航空機の部隊、そういうところは充足率を上げまして、一般の普通科等の充足率をやや低下させまして、そして通常の訓練ができるという形で推移してまいったわけでございます。  そして四十八年の石油危機のころになりますと、一方では募集というものの状況はよくなりましたけれども、人件費というものが三〇%以上上がったという時期がございまして、こういった考え方のもとに限られた予算の中で有効に訓練を実施し、有事に備えるという形でその後推移しているというのが実態でございます。
  178. 栂野泰二

    ○栂野委員 士はどうですか。幹部と士は。
  179. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 いま申し上げましたその訓練のやり方でございますが、非常に重要なのは幹部であり、曹である、こういうところが中心でございます。したがいまして、その士のクラス、通常の簡易な訓練でできるというところが低くなっているというのが実態でございます。
  180. 栂野泰二

    ○栂野委員 それから私この間、各部隊別の現員数を示す資料を要求したのでありますが、それは出せないということでいただけなかった。たとえば陸上自衛隊については戦闘部隊と戦闘支援部隊、その他の部隊、こういう区分けしかないわけであります。一体なぜ各部隊別の現員数が公表できないのか、その点をお伺いしたい。
  181. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 各部隊に現在どれぐらいの人員がいるかということを詳細に公表するということになりますと、たとえば私ども、自隊にはいろいろな武器なんかも持っておりまして、自隊警備というようなこともございます。そこの現状というものが余りはっきりするということは、私どもとしては余り好ましくないと考えておりまして、全体的に御説明するというふうにとどめているわけでございます。
  182. 栂野泰二

    ○栂野委員 それにしても師団、隊くらいは公表しても、私は、いまおっしゃるような問題は何にも生じないと思うのです。  そこでこの資料を見ますと、陸上の戦闘部隊が定数が十五万一千、それから現員が十二万五千名で二万六千百名足らないわけであります。率にして八二・七%になっていますが、これは大変低いですね。  そこでもう一つ伺っておきたいのですが、この戦闘部隊の中に教育中の新隊員、これは入っているのですか、いないのですか。また、その人数はどのぐらいありますか。
  183. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 平時におきます自衛隊の部隊というものは教育訓練をやっているわけでございますが、その中で新しく入ってきた隊員というのは、一般の部隊にそのまま配属して訓練をするよりはまとめておきまして最初基本的な教育をした方がいいということで、各部隊に配属されるべきものを最初集めて教育いたしております。この人数が常時大体五千五、六百人ということになっております。
  184. 栂野泰二

    ○栂野委員 それで、いま私がいただきましたね、この戦闘部隊の十二万五千の中にその人数は入っているのですか、いないのですか。
  185. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 その他の部隊もございますが、大部分のものはその戦闘部隊の十二万五千の中に入っているわけでございます。
  186. 栂野泰二

    ○栂野委員 そうしますと、本当の戦闘部隊の充足率というのは、ますます低くなってくるわけでありますが、いろいろ理由は述べられましたけれども、この充足率を見ますと陸上が低い、それから幹部に比べて士、兵隊さんが非常に低い、それから戦闘部隊の充足率が低い、こういう結果が出てくるわけであります。  そこで、防衛庁長官はかねがね、自衛隊というのは国民と一体になってなければいかぬ、国民のコンセンサスがなければ国土は守れないんだ、こういうことをおっしゃっておられますが、そうしますと、やはり本当に自衛隊と国民が結びつくという観点から言えば、私はやはり陸上が一番近いと思うのですね。その中でもやっぱり兵隊さんです。幹部というのはどうしたって縁遠いですから。しかもその兵隊の中でも本当にいざというときに戦ってくれる戦闘部隊、これが一番国民から言えば信頼できる隊員だと思うのですね。そういう観点から見ますと、結局は一番国民が頼りにするであろうと思われる、そういうところが充足率が低く、海だとか空だとか、あるいは一生職業として自衛隊で食っていく、立身出世もできるでしょう、停年が来ればしかるべき企業に天下りをできるという、こういう幹部ばかりは一〇〇%の充足率を持っている。ここら辺が実は私大変問題があるのじゃなかろうかと思います。  十一月十三日の毎日新聞にこういう記事が載ったのですが、「“西の守り”緊張感なく 対馬の自衛隊、赴任きらう隊員」、こういう見出しです。「辺地のため自衛官が赴任をきらって、定員の充足率は極端に悪く、警備、警戒体制も旧式で、国境という緊張感はない。」「対馬に分とんする陸上自衛隊対馬派遣隊は昭和五十五年には現在の百八十人を倍増する計画だが、本土や沖繩と違って、基地の誘致運動が盛ん。」「迫撃砲、無反動砲は各一門ずつ一応は持っているが、管理、業務、通信小隊に隊員がとられ、砲小隊員はゼロ。」「航空自衛隊のレーダーサイトのある対馬の北端、海栗島分とん地でも定員の百九十人の八六%しか充足されていない。現在勤務する者も転勤を希望しているが、交代要員が来ないのでずるずると長期勤務になっているという。その結果、必然的に士気が下がる。それでいて、中央の幹部は高価な装備購入に熱心。定員の充足や待遇改善には関心を示さない。「お寒い限りの西の守り」という印象を強く受けた。」こう言っておるわけであります。いまF15なりP3Cの問題がありますが、こういうものすごく高い高度な兵器を買い込むことに血道を上げて、沖繩などのような巨大な基地の強化に狂奔しているわけですね。しかし一方、こういう辺地の基地状況はいま読んだとおりだと思うのです。私は確かにどこかが狂っているという感じがしてならないのです。こういう現状を一体長官はどう考えておられますか、御見解を承りたいと思います。
  187. 三原朝雄

    三原国務大臣 私も毎日新聞のその視察記を見せていただきましたが、私は、しかしその記事がすべてだとは考えておりません。ただ壱岐、対馬等に勤務する、第一線できわめて文化的な施設もないところで勤務しておる苦労のほどはわかるわけでございますが、しかし私自身も何回か対馬、壱岐等における勤務状態を見たのでございますけれども、そうした記事に出ておるような状況は受けとめておりません。しかし、たまたま行かれてそういうことを視察をしていただいた結果は、私はそれだけに重視をしながら、それを読ましていただいておるわけでございまして、対処しなければならないという問題である、私もそう考えております。  しかし先ほど来、士曹なり幹部との関係で、国民の信頼は士曹にあるぞという御意見でありますが、私は、自衛隊員、幹部から士に至るまで全体に対しての国民とのコンセンサスを得、信頼を受けたいという立場でおりますし、隊員全体がそういう意識のもとに活動いたしておると思うのでございます。先ほど防衛局長が申し上げましたように、士、要するに募集新入隊の隊員が士のクラスに大体おるわけでございますが、自衛隊の編成そして人員構成、それから教育訓練活動等の分野から、先ほども申しておりますように、士についてはできるだけ配置を充実いたしたいというのが私ども考え方でございます。しかし予算で一応の制約がある。予算定員等を見てまいりますれば、有事の際と申しますか、あるいは実際活動においての問題等を考えてまいりますれば、士等の新入隊の人員が少なくなるという結果がいま出ておるわけでございまして、この点につきましても、やはり士の数が余りにも少な過ぎるというような状態は適当でない。十何カ所にわたります現地に参りまして、そのポスト、ポストにおきます勤務状態あるいは充員の状態等を見てまいりますれば非常に厚薄が強過ぎる。先ほど防衛局長が申しましたように、会計でございますとか通信でございますとか、あるいは航空機あるいは艦艇等はどうしても充足をしておかなければ、その運用あるいは訓練というようなものができないという立場であって、陸は実際の訓練、教育等が充足しなくてもできるというだけで見送るということは適当でなかろう。予算の充実をすることによって士の人員もある程度高めていくということも考えていくべきであろうということを、いま申し上げておるところでございます。  したがいまして、いま先生の御指摘の点は、私は貴重な御意見として受けとめてまいりますが、先ほどお話がございましたように、重ねて言うようでございますが、士だけが国民とのコンセンサスを得る体制のもとにあるということではなくして、私は、士も幹部も——幹部は一層そういうような姿勢、考え方、そして国民とのコンセンサスを得る努力をしておることだけは御理解を願いたいと思うのでございます。
  188. 栂野泰二

    ○栂野委員 士だけがということではありませんが、何と言いましても、結局兵隊さんというのが本当に国民の信頼を得られなければ、これは自衛隊全体としての国民の信頼度は高まってこない、私はそう思うのです。  そこで充足率、細かいデータをいただきませんのでわかりませんが、もう一つは、陸上自衛隊で言えば北部方面隊の充足率がかなり低いだろうと思われるのですが、それとの関連でこの間の十月二十五日の委員会伊藤防衛局長が、新しく西部方面隊に北部方面隊から隊員を回すということで、こういう御答弁をなさっておりますね。北海道の第七師団と戦車団を合体して一つの機甲師団をつくる、そこで約二千五百人浮いてくるから、それを西部方面隊に回して一部隊を編成したい、また四国にも一混成団を置く、こういうことでございますが、これは具体的にもう少し細かく説明していただきたいのですが、つまり、西部方面隊の熊本の八師団を乙から甲に昇格する、格上げするというふうな計画なのか。また、四国に混成団を置くと言われますが、それは一体具体的にどういう構想をお持ちになっておりますか。また、いつごろまでにそういう編成がえをなさろうとしておるのか。その辺を御説明願いたい。
  189. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 昨年の十一月に御決定いただきました防衛計画の大綱によりますと、陸上自衛隊のいわゆる戦術単位といたしまして、十五個の戦術単位というものをお認めいただいたわけでございます。現在、十三個師団と一個混成団を沖繩に持っておりますが、十五の単位ということになりますので、十二の通常の師団と一個の機械化師団、それから二つの混成団、こういう編成にしたいというふうに検討いたしておるわけでございます。  その際に、せんだっても御説明申し上げましたように、現在の第七師団と戦車団、これを合体いたしまして一個の機械化師団を編成いたします。その際に、定員的に言いますと、約二千五百の定員が浮いてまいるわけでございます。それを八師団の、いわゆる七千師団を九千師団とするということにおいて吸収をいたします。それから、もう一つは、四国にいわゆる戦術単位としての混成団なり師団というものが従来ございませんでしたので、善通寺にございます。つの連隊、これを中心にいたしまして混成団を編成したいというふうに考えておるわけでございます。これは、いま十八万の中で編成を検討いたしますのはきわめて長い時間がかかりまして、陸上自衛隊で検討いたしておりますが、いまの見通しでは五十五年ごろ具体化するのではないかというふうに考えておるわけでございます。
  190. 栂野泰二

    ○栂野委員 新聞などの報道を見ますと、西の方では大変それを望んでいるようでありますが、今度は北部方面隊の方では持っていかれては困る、こういうことで、結局、なるほど定員上はそういう異動があるけれども、実際に現員は動かないのではないか、編成上だけに終わってしまうのではないか、こういうふうに言われておりますが、その点はいかがですか。
  191. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 実際にこの現員をどのぐらい持っていくことになるかということにつきましては、まだ見通しを得ておりません。しかしながら、現実の問題といたしまして、陸上自衛隊は主として郷土配置といいますか、出身地の近くの部隊に配置するという方針を従来とっております。これがいわゆる募集対策の一環でもあったわけでございますが、北海道の約五百万の人口の中で、陸上自衛隊の約三分の一、五万近くがおります北海道の部隊の人員というものを現実に充足はなかなかむずかしいわけでございます。そういったことでございまして、現在におきましても、先ほど先生が御指摘ございましたように、北部方面隊の充足率というものは比較的低く、西部方面隊、すなわち九州方面がきわめて高くなっております。したがいまして、いま何人ぐらいの者が異動するかということはちょっと申し上げられませんけれども、二千五百程度の定数が移ることによって、二千五百人が動くということにはならないというふうに考えておるわけでございます。
  192. 栂野泰二

    ○栂野委員 この編成がえについて、在韓米地上軍の撤退と絡んで、それとは関係ないのだと、こういう御答弁ですね。理由としては、全国平均のとれた配置にしたいということと、それから九州出身の隊員が多いから管理上都合がいいという、こういうことのようでありますが、しかしこれは、全国平均のとれた配置にしたいというならば、もともとそういう発想があってしかるべきだったのだろうし、九州地区の出身隊員が多い、確かに多いようでありますが、しかし、北の方も中部とか関東から見ればかなり多いわけですね。そうしますと、やはりこれはそういう理由ではなくて、最近の軍事情勢、特に朝鮮半島の情勢と絡んでいるのじゃないかという、今度統幕議長になられました栗栖さんが陸幕長時代に、雑誌「国防」でも、やはり北から西、南西の方に重点を移すべきじゃないかということでこの編成問題を取り上げられておる。私は、むしろその方が自然で納得できるように思うのですが、その点いかがですか。
  193. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 実は、在韓米軍の撤退の問題は、私どもがこの防衛計画の大綱を検討している段階にはまだなかったわけでございます。御承知のように四次防までは、周辺の軍事力、こういったものを参考にいたしまして、脅威がどの方向からどの程度のものが来る可能性があるだろうか、それに対処するにはどの程度のものを用い、どういう配置をしておけばよいかというような、主として軍事的な、純技術的な面からの検討による配置なり増勢計画というものを持っておったわけでございます。それが、四次防の後の計画を策定する段階におきまして、防衛計画の大綱の中に盛られましたいわゆる基盤的防衛力という構想が打ち出されてまいりました。したがいまして、この基盤的防衛力というのは、平時においては紛争が起きるのを抑止する力として働き、同時にまた、紛争が起きたときにはそれに対する抵抗力として働く力というような観点から検討されたわけでございます。  その際に強く、全国的に平均して部隊を配置するということが一つ。もう一つは、平時におきまして陸上自衛隊が国民に奉仕できる最大のものはやはり災害派遣でございます。ということになりますと、この陸上の部隊というものを平均して、余り差のないような形で配置するということが好ましい、そしてそれがいわゆる基盤的防衛力の構想にもかなうものであるということで検討されてまいって、それがたまたま昨年の十一月に御決定をいただいたということになっているわけでございます。
  194. 栂野泰二

    ○栂野委員 確かに在韓米地上軍の撤退というのはこの計画大綱ができた後ですが、しかし、軍事情勢が大きく変わっているということは、もうその前から言えることで、いずれにしても、いままで自衛隊が北中心であったということは、これはもう争えないと思うのですね。それをこれから南に移すんだという、そういうねらいから今度の編成がえも行われた、こういうことじゃないのですか。
  195. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 そういうことは私ども考えておりませんので、北海道の部隊といたしまして従来四つの師団を張りつけておったわけでございます。これを改編いたしまして、戦車団と第七師団との合体によりまして、機甲師団というものを編成するわけでございます。これは現在の第七師団よりははるかに機動力を持った部隊になるわけでございます。したがいまして、特にいままでの北方の脅威というものが減って西の方がふえたから移したということではございませんで、防衛計画の大綱を検討する際に、そういうふうに全国的に配置しておくということが平時においてもきわめて有効であろうという判断があったわけでございます。
  196. 栂野泰二

    ○栂野委員 時間の関係がございますので、問題を移させていただきたいのですが、鳥取県の美保基地の問題です。  ことしの十月二十四日に呉の防衛施設局長から鳥取、島根の両県知事に、美保基地にC1ジェット輸送機を配備したいから協力してほしいという正式な文書の申し入れがございました。そこで、いま地元ではこれが大変重大な問題になっておりますので、この点についてお伺いしたいのです。  まず、現在美保基地の輸送航空隊の現況は、人員、機種、それから機数、隊編成など、どうなっておりますか。
  197. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 現在、美保基地には輸送航空団がございまして、YSが九機配備されております。人員は約千二百人が配置されております。
  198. 栂野泰二

    ○栂野委員 そこで、C1の配備計画ですが、この美保だけではなくて航空自衛隊全体としてC1の配備を今後どういうふうにするのか、その点をお聞かせ願いたいと思います。
  199. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 C1につきましては、現在二十六機持っておりまして、入間に二十一機、岐阜の航空実験団に一機、それから残りの四機はいわゆるオーバーホールに入ったり、他の基地に配備されているわけでございますが、将来の計画といたしましては、輸送航空団のもとに美保に四機、小牧に十機、それから入間に十機、こういう形で配備をしたいと考えておるわけでございます。
  200. 栂野泰二

    ○栂野委員 それですと二十四機になりますね。これは将来計画としては二十八機じゃないのですか。そこのところも含めて、ちょっと説明してください。
  201. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 そのうちの一機は岐阜に配備されます。それから残りの三機は予備機としてオーバーホールに入るものでございますから、それの交替機として拘置しておく計画でございます。
  202. 栂野泰二

    ○栂野委員 美保に四機というお話ですが、今度の施設局の両県知事に対する申し入れ書には、別にその機数は書かれていない。それから、ことしの三月十五日の衆議院の予算委員会の分科会の野坂浩賢代議士の質問で、伊藤局長が答えられているのを読みますと、「この美保におきます輸送航空隊というのは、通常の輸送業務というよりは輸送航空機のパイロット養成ということが主になりますので、美保におきましてはC1が二機程度、YSが三機程度という形で、入間あるいは小牧のC1約十機、YS二ないし四機というような形とはちょっと違った形の航空隊になると考えております。」それから「C1の配備の機数といたしましては、将来は定数上四機ということをお願いしたいと思っておりますが、当面は、いわゆる来年度法案が通りまして、さしあたっては二機配備ということに計画いたしております。」こういうことなんですが、一体二機なのか四機なのか、ちょっとはっきりしないようですが、あるいは段階的に入れようというのか、その点を説明してください。
  203. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 実はC1の配備というのは、だんだんおくれてきております。かなりおくれてきております。かつて私が御説明申し上げましたときには、その時点では確かに二機であったわけでございますが、いま後のができてまいりまして、先ほども説明しましたように、すでに入間に二十一機というものが来ているわけでございますので、いわゆる教育部隊でございますので教育の所要量とも関連がございますけれども、できるだけ早い機会に四機まで持っていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  204. 栂野泰二

    ○栂野委員 そこで、いま伊藤局長の答弁をちょっと読みましたが、輸送航空隊のパイロット養成というのが主になる、こういうことなんですね。そうしますと、いままでのYSとC1ジェット機ではそれだけでも質的に違うのですが、さらに、教育隊ということになればその訓練があるということで、騒音の度合いとかいままでとは質的に違ってくるだろう。そこが実は一番地元が心配しておるところです。前から資料をもらっておるのですが、そのC1の騒音測定値については、四十九年の十二月二十三日に航空自衛隊の岐阜基地で行ったという非常に簡単なものしか出ていないわけですね。その後、いろいろな観点からこの騒音測定というのは行われているのか、いないのか。  それから、この四機入った段階でおよそ予想される一日当たりの離着陸回数とか、あるいはどういう飛行コースをとるのか、それから騒音だけではなくてテレビにもかなり影響が出ると思う、そういうふうな、配備するについての一番住民が心配しているそこら辺の資料が非常に不足しているのであります。騒音については、一体いま申し上げたものしかないのかどうか、いかがでしょうか。
  205. 平井啓一

    ○平井政府委員 ただいま御指摘がありましたように、C1輸送機に関する騒音をいわゆる騒音レベルのデシベルAという測定値ではかった資料としましては、最近のものとしましては昭和四十九年十二月に岐阜基地で測定したものでございます。ただ、C1のこういった測定のやり方と申しますのは、一応ICAOの騒音の評価に関する一つ基準がございまして、騒音証明制度を取り入れる場合にどういう測定をやるかという一つ基準がございまして、その基準に基づきまして昭和四十九年に岐阜基地で測定したものでございますので、こういうはかり方といたしましては、これはいつの時期におきましても通用する測定値だと思うわけでございます。  ただ、先ほど御指摘がありましたように、現在航空機の騒音というものに関しましては、単に瞬間的に出ますところの音圧値としてのデシベル、あるいは一般に言われますホンとして表示される飛行機の騒音だけの問題ではなくて、昭和四十八年に環境庁が告示として出しました航空機騒音に係る環境基準というのがございます。その中で航空機の騒音というものをとらえます場合には、音の強度だとかあるいは頻度だとか、音の発生します時間帯だとかあるいは持続時間、そういったものを加味しましたところの一般に言われますWECPNL、こういう一つ基準値ではかることになっておるわけでございまして、これはいわば一日の各時間帯におきます騒音というものを総合的に見まして、その付近に住んでおられる住民の人たちが音の感覚でどう受けとめるか、そういうことで騒音というものをはかる一つ基準がございます。  こういった測定をやります場合には、美保においてはどうかということになりますと、やはり実際にC1を美保において飛ばしてみて、そして各地点におきます騒音値というものをデシベルAではかって、それを一つの計算式に入れまして、大体一日にどの時間帯に何回くらい飛ぶかという一つの平均というものを推定するか、あるいは実際に行われるという実態に即してそういった一つ騒音の影響の状況というものをはかる、そういったものを出すことになりますと、実際にC1輸送機の騒音というものが美保周辺の住民の方たちにどういう影響があるかという一つの客観的データが出るわけでございます。いま御質問の点で、そういったことを今後ともいろいろ何らかの機会に御相談させていただきながら、また他の飛行場におけるC1の実態等も見ていただき、聞いていただくなり、あるいはそういったものを加味して御説明することによって御理解を得ていくという努力も必要であろうかと私ども考えている次第でございます。
  206. 栂野泰二

    ○栂野委員 それで、C1が入った場合に、YSも幾らか残るのですね。そこのところと、それからいま飛行教育集団ができるというのですが、こうなりますと、現状はどういうふうに違ってきますか、ちょっと説明してください。
  207. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 先ほどの私の御説明が足りなかったかもしれませんけれども、現在もあそこでは輸送機のパイロットの教育をやっておるわけでございます。現在はYSが九機配備されております。将来の考え方といたしましては、C1を四機とYSを三機、すなわち七機ということになります。したがいまして、現在も教育はやっておりますので、いま具体的な数字でどのぐらい、どのようになるかということはちょっと正確に申し上げられませんけれども、飛行機の数が減るということ、従来からやっている教育をそのまま引き継ぐということでございますので、飛行回数がふえるというふうには予想しておらないわけでございます。
  208. 栂野泰二

    ○栂野委員 そこでC1ジェット機が配備された場合には、防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する法律、新周辺整備法といいますか、これが適用されることになると思うのですが、この法律による補助金それから整備調整交付金の支払い対象になる市町村はどういうことになるのか、御説明願いたいと思います。
  209. 高島正一

    ○高島政府委員 お答え申し上げます。  先生御指摘のように、美保基地にC1が配備されるということになりますと、当然生活環境整備法の第九条が適用されるものと私どもは予想いたしております。その際にどの市町村がいわゆる関連市町村として指定されるかというお尋ねでございますが、先ほど参事官からお話がございましたように、実際C1が周辺で飛行をしてみて、その騒音の度合い等も勘案しなければいけませんが、現在予想されるところでは、境港市それから米子市が入るのではないかというふうに予想しておるところでございます。
  210. 栂野泰二

    ○栂野委員 そうしますと、この九条の調整交付金というのは、島根県側は関連市町村に指定されるところはない、こういうことですか。
  211. 高島正一

    ○高島政府委員 お答えいたします。  この九条の交付金と申しますのは、法律並びに政令、府令によりまして詳細な規定がございます。その基準に照らしますと、島根県の方は無理ではないかというふうに予想されるところでございます。
  212. 栂野泰二

    ○栂野委員 これからいろいろ問題が起こりかねないと実は思っているのですが、その場合にいまのお話ですと、境港と米子はこの九条の適用がある、こういうことになりますね。  そこで、実はこの九条の整備調整交付金というのが一番問題でして、各地でいろいろこれをめぐって問題が起きている。私は、これはどうも性質が言ってみればつかみ金、そこで住民が反対すればこの九条の調整交付金で札束攻勢をかけて住民の反対運動を抑えるという、これは大変政治的に運用される、悪用されるおそれがあるというふうに考えているのです。特に地方自治体というのは大変財政が苦しいわけですから、そうしますと、結局これは、結論的には一般交付金のような機能を果たすわけです。だから、自治体にとってはのどから手が出るほど欲しい、そういうことでございますから、美保基地の問題についてもそういう札束攻勢をかけて、この第九条の調整交付金を悪用するというふうなことは絶対にないようにしていただきたいと思うのです。  いずれにしましても、このC1ジェット機の配備については、これはもう何回も確認してきたところでありますし、この正式の申し入れがあった翌々日の十月の二十六日に、島根、鳥取の両県の社会党の国会議員全員と施設庁の長官その他が出られたところで確認したわけでありますが、地元の了解を得ない限りは配備はしないと言う。そこで、その地元というのは鳥取、島根両県と、それから米子、境港、安来、松江の四市、東出雲、八束、美保関の三町、この了解を得ない限りは配備をしない、これは改めて御確認願いたいのですが、それでよろしいですか。
  213. 亘理彰

    亘理政府委員 基地の円滑な維持運用を図りますは、地元の御協力、御理解が絶対の要件でございます。従来からどこにおいてもそういう態度で臨んできておるわけでございますが、重要な配備の変更に当たって、地元関係市町村あるいは県御当局の御了解なしには円滑に進められないわけでございますので、私どもはあくまでもこの御了解を得る努力を進めまして、御了解を得た上で配備をしたいというふうに考えております。
  214. 栂野泰二

    ○栂野委員 実は、地元市町村の中に、もとは松江市と美保関町は入っていなかったのですね。これが入ってきたのは、施設庁としては何か特別のお考えがあるのですか。
  215. 高島正一

    ○高島政府委員 四十七年に滑走路の改修の問題がございました際に、両県知事と御相談申し上げました。その御相談の過程で、御指摘の二市町村が入ってきたということでございます。
  216. 栂野泰二

    ○栂野委員 それから、念のためにお伺いしておきますが、この美保基地にはC1以外には、いままでずっと問題になっておりましたジェット戦闘機等は入れない、それからナイキの基地というふうなものは絶対つくらない、昨年策定されました防衛計画の大綱、これが変わらぬ限りはそういうことは絶対あり得ないという、これは再三確認してきたのですが、今日段階でもそれでよろしゅうございますか。
  217. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 そのとおりでございます。
  218. 栂野泰二

    ○栂野委員 この点でちょっと関連してお聞きしたいのですが、実はきょうの日経を見ますと、「防衛庁首脳は十七日、ブラウン米国防長官が訪米中の矢野公明党書記長に対し西太平洋地域の米軍段階的に削減する方針を明らかにしたことについて、外交ルートを通じてブラウン長官の゛真意″の確認を急ぐ意向を示すとともに、「防衛庁としてはこれまで十年程度とした防衛計画大綱達成のテンポを早め、四、五年内を目指したい」と言明した。」こうあるのですが、これは一体真相はどういうことなんでしょうか。長官、いかがですか。
  219. 三原朝雄

    三原国務大臣 私もその記事を読んで、防衛庁の首脳と言えば長官も中に入るわけでございますが、私自身そうした矢野書記長に対するブラウンの発言というようなものでそういうような考え方を毛頭持っておりません。  これはかねてから申し上げておりますように、私ども昨年設定をしていただきました防衛計画大綱に基づいて、その装備の整備なり質的な向上を図っておるわけでございます。自主的に、計画的にこれを実施いたしておりますが、その際にも申しておりますように、できるだけ速やかに整備をいたしたいということで、ブラウン長官の発言があったから、そういうようなことを考えるというようなことは毛頭ございません。所期の方針どおり、防衛計画大綱に基づいて可及的速やかに整備をしてまいるという方針でございますので、そうひとつ御理解を願いたいと思うのでございます。
  220. 栂野泰二

    ○栂野委員 長官自身はそういうことをおっしゃってないということでありますが、しかし、これだけはっきりと防衛庁首脳が言明したとあるのですが、これは部内に、そういう発言があったかどうかお確かめになっておるでしょうか。
  221. 三原朝雄

    三原国務大臣 私は、ここに、周辺におる者は朝来会っておりますから明確に確かめておりますが、しかし首脳自身が防衛庁の方針を逸脱してそういうようなことを勝手に発言をするとも考えておりません。
  222. 栂野泰二

    ○栂野委員 それと、いまちょっと長官の御説明で気にかかる部分があったのですが、ブラウン国防長官がどう言ったからというのではなくて、できるだけテンポを速めたいということだとおっしゃるのですが、いままでの経過からいきますと、いま問題になっていますF15なりP3Cは、十年ないし十一年という、こういう計画ですね。この新聞記事の趣旨も恐らくそういう予定が四年ないし五年になるという、こういう意味だろうと思いますが、そうしますと、この国防長官がどう言ったかとは関係はないけれども防衛庁長官は、いまの段階ではF15なりP3Cが十年ないし十一年になっている、これを四年とか五年とかできるだけ縮めたいというお考えがあるのですか。
  223. 三原朝雄

    三原国務大臣 御承知の対潜機にいたしましても、防空関係F15にいたしましても、現在公表いたしております計画を変更する意思はございません。
  224. 栂野泰二

    ○栂野委員 それから、美保基地にはあの付近の高尾山というところにいまレーダーサイトがございますが、このレーダーサイトはすでに三次元レーダーに換装されていると思うのですが、そうでしょうか。
  225. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 高尾山のレーダーサイトは、三次元レーダーに換装いたしました。
  226. 栂野泰二

    ○栂野委員 このレーダーサイトにつきましても、私ことしの四月二十七日に、資料要求しまして現在三次元レーダーがあるのはどこなのかという質問に対しては、設置サイト名については防衛上支障があるので、公表は差し控えたい、こういうことだったのですね。一体なぜサイト名を公表することが防衛上支障があるのか、私はさっぱりわからない。本日は言っていただけると思うのですが、昭和四十六年から現在までに三次元レーダーに換装されたサイト名をおっしゃっていただけますか。
  227. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 実は、いま先生のお尋ねでございましたので、高尾山のことは申し上げました。ただ、レーダーサイトの三次元レーダーに対する換装といいますのは、これは御承知のように、古くなりましたレーダーを新しく取りかえているわけでございます。現在までに取りかえましたのが六個サイトございますけれども、この場所を逐一申し上げますと、どういう形でこのレーダーというものが変わっていきつつあるのかという全貌がわかることになります。したがいまして、現在までどこがどういうふうに変わったかということを一覧表的に申し上げるのは差し控えさせていただきたいという意味でお断り申し上げたのが経緯でございます。
  228. 栂野泰二

    ○栂野委員 そうおっしゃいますけれども、しかし新聞にはどんどん出ているのですね。  たとえば、四十七年四月二十七日の朝雲新聞ですが、大滝根のレーダーサイトを三次元に切りかえたということで、「技術日本の勝利 山頂にくっきりレドーム」という見出しででかでかと出ているわけでしょう。それから五十一年八月五日のやはり朝雲新聞ですが、これは笠取山の分とん基地、三次元レーダーが完成したので落成式を盛大に挙行した、こういう記事になっているわけですね。こんなに新聞に出るのになぜサイト名が言えないのか、おかしいのじゃないですか。
  229. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 三次元のレーダーといいますのは、日本でレーダーを開発してまいりまして、できましたときには、これはきわめてすぐれた性能を持ったレーダーでございました。したがいまして、最初のレーダーサイトが大滝根にできましたときには、私ども大変これを高く評価し、防衛庁全体で喜んだわけでございます。したがいまして、記者がそこへ参りまして、これを取材いたしました。その後、朝雲新聞でございますので、二番目のサイトのときにも取材に行ったようでございますが、その後は防衛庁の方としてこれを順次どういう形でやっているかということは申し上げていないわけでございます。
  230. 栂野泰二

    ○栂野委員 これは簡単でいいですけれども、従来のレーダーが三次元にかわるというのはどういうことなのか。
  231. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 昭和三十四年に、米側が運用しておりましたレーダーを私どもの航空自衛隊に移管されてまいりました。このときのレーダーというのは、捜索用のレーダーと測高用のレーダーというふうに二つ分かれております。  この捜索用のレーダーというのはどういうレーダーかと申しますと、飛んでまいります飛行機の方向それから速度、こういったものがわかるわけでございます。ところが測高レーダーというのは別にございまして、これは上下といいますか、首を振るようなかっこうでその高さをはかるものでございます。したがいまして、速度、方向、高さ、この三つの次元というものを二つのレーダーでやっておったわけでございますので、捕捉する頻度というのがきわめて少なかったわけでございます。この三つの機能を一つにいたしまして、飛行機を見つけたとたんに、方向、スピード、それから高さがわかるようなレーダーに換装したということでございます。
  232. 栂野泰二

    ○栂野委員 私どもの理解では、いまの三次元のレーダーサイトは大滝根、輪島、笠取山、背振山、襟裳、高尾山、それから峰岡山がもう終わっておれば峰岡山、この七つだと思うのですが、このバッジシステムが在日米軍の情報処理システムと当然つながっておると私どもは思うのですが、その点はいかがですか。
  233. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 いま先生がおっしゃいましたそのバッジシステムというのは、レーダーの目でつかまえましたのを飛行機に早く伝えるシステム、これがバッジシステムでございます。したがいまして、現在二十八のレーダーサイトを全国に持っておりまして昼夜警戒管制を行っているわけでございますが、これはたとえば領空侵犯の場合にスクランブルで上がってまいります飛行機等を誘導するという機能を持っているわけでございますが、現在日本の中で領空侵犯の措置として待機しております飛行機に米軍のものはございません。したがいまして、現在米軍がこれを利用するということはないわけでございます。しかしながら、有事になりますと防空作戦を行います場合には、このレーダーによる警戒等は自衛隊がレーダーを運用しておりますから、そういった情報は交換することは当然あり得るというふうに考えておるわけでございます。     〔委員長退席、木野委員長代理着席〕
  234. 栂野泰二

    ○栂野委員 それからついでに伺っておきますが、移動式三次元レーダーというものは、いま自衛隊では幾つ、どこにあるのですか。
  235. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 先生も高尾山のレーダーサイトを御存じだと思いますけれども、固定式のレーダーサイトというものは、攻撃を受けた場合にきわめて脆弱でございます。したがいまして、そういう固定式のレーダーサイトが機能を失ったときに移動用のレーダーサイトを使う。また固定式がありましても、これの補助的なものとして、移動式のレーダーサイトを使いたいというふうに私ども考えております。さしあたって北部と中部と西部、こういう方面隊ごとに一つずつ持ちたいということで、現在まで北部と中部の方面隊が一セットずつ持っておるわけでございます。
  236. 栂野泰二

    ○栂野委員 それから、この美保基地の近くに美保通信所と呼ばれるものがございますが、この美保通信所と美保基地とはどういう関係にありますか。
  237. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 美保にあります通信所と基地というのは、直接関係はございません。美保基地というのは航空自衛隊の基地でございますし、美保通信所は陸上自衛隊の二部別室の機関でございます。
  238. 栂野泰二

    ○栂野委員 そこで、二部別室とおっしゃいましたが、陸上幕僚監部の第二部別室、これはいろいろ問題になっておりますけれども、一体この二部別室というのは、何をやるところなんですか。
  239. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 これは一言で申しますと、通信情報でございます。で、日本の空にはいろいろな電波が飛び交っているわけでございますが、その中で、軍事関係に属するものを聞いておりまして、これを収集し、これを分析し、そして情報としてこれを集めていくという機能を持っております。
  240. 栂野泰二

    ○栂野委員 そこで、この二部別室というのは、防衛庁の組織図には出ていないですね。ですから、この二部別室というのは一体、陸上幕僚監部の組織系統にあるのか、それともそれ以外のところにつながるのか、いかがですか。
  241. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 この二部別室というのは、陸幕の二部の別室でございまして、陸幕の組織になっておるわけでございます。
  242. 栂野泰二

    ○栂野委員 そうしますと、この二部別室は、歴代の室長が警察庁の警備局出身で、今度はどうもそうじゃなくて内閣調査室兼務、こういうことになっておるようでありますが、一体これは警察庁なり内閣調査室とどういう関係になるのです。
  243. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 従来、別室長というのは警察からおいでになっておりましたけれども、内閣調査室とは関係がございません。
  244. 栂野泰二

    ○栂野委員 そうしますと、この二部別室に関する人事、予算、そういったものはすべて陸幕がやられておる、こう理解してよろしいですか。
  245. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 陸幕が予算を計上いたしまして、やっております。ただ、この人事につきましては、情報でございますので、海上自衛隊、航空自衛隊の必要な要員がこれに参加いたしております。
  246. 栂野泰二

    ○栂野委員 私どもが聞いているところによりますと、この二部別室というのは、人員が千五十とも千七十とも言われているわけですが、きょうは余り詳しくお答えにならなくて結構です。  そこで、通信所は美保のほかに東千歳、東根室、小船渡、大井、大刀洗、喜界島。そこで、この東千歳の分遣室が稚内、根室にある、こういうふうに聞いていますが、これでよろしゅうございますか。
  247. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 いまおっしゃいましたように、七カ所の通信所と二つの分遣班を持っております。
  248. 栂野泰二

    ○栂野委員 そこで、美保の通信所は、どこの軍事情報をキャッチする通信所ですか。
  249. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 それは、私どもは周辺諸国の軍事情報を集めておりますので、美保の基地の周辺、近いところということになるわけでございます。
  250. 栂野泰二

    ○栂野委員 少し前までの通信所のアンテナはロンビックアンテナ二本ですね。これは三百度と三百二十五度方向に向かっているわけですね。それを延長してみれば、大体三十八度線と三十八度線のやや北というところを指しているものですから、この美保通信所は、朝鮮民主主義人民共和国、北朝鮮の三十八度線付近の電波を受ける、大体こういうふうに理解しているのですが、恐らくこれ以上お聞きしても、きょうはしようがないと思います。  そこで、最近、この美保通信所は周辺をへい囲いをしまして、中で改装工事が行われてきたのですね。「象の檻」と言われるのだそうですか、いままでのコミント機能だけではなくて、エリント機能というのですか、それもつけ加える、こういう工事だったようでありますが、これはそういう工事ですか。それで、この工事はすでに終わっておりますか。
  251. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 まず、いま先生がおっしゃいましたエリントとコミント、両方のために改装しているというものではございません。従来の通信の器材が老朽化してまいりましたので、新しいのに更新しているものでございます。
  252. 栂野泰二

    ○栂野委員 きょうの趣旨は、いずれにしても、こういう一般の市民にとってはわけのわからないものがあるということで、地元で大変心配しているものですから、お聞きしたわけであります。  時間も参りましたので、あと十分ばかりあるようでありますが、私の質問をこれで終わらしていただきます。
  253. 木野晴夫

    ○木野委員長代理 次回は、来る二十二日火曜日午前十時理事会、十時三十分から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時十一分散会