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1977-11-17 第82回国会 衆議院 内閣委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年十一月十七日(木曜日)     午前十時三十二分開議  出席委員    委員長 正示啓次郎君    理事 木野 晴夫君 理事 近藤 鉄雄君    理事 竹中 修一君 理事 塚田  徹君    理事 木原  実君 理事 長谷川正三君    理事 鈴切 康雄君 理事 受田 新吉君       逢沢 英雄君    井出一太郎君       宇野  亨君    関谷 勝嗣君       塚原 俊平君    藤田 義光君       大出  俊君    栂野 泰二君       中西 績介君    矢山 有作君       新井 彬之君    大内 啓伍君       柴田 睦夫君    中川 秀直君  出席国務大臣         文 部 大 臣 海部 俊樹君         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)      藤田 正明君         国 務 大 臣         (行政管理庁長 西村 英一君         官)  出席政府委員         人事院総裁   藤井 貞夫君         人事院事務総局         任用局長    今村 久明君         人事院事務総局         給与局長    角野幸三郎君         人事院事務総局         職員局長    金井 八郎君         内閣総理大臣官         房広報室長   島村 史郎君         内閣総理大臣官         房同和対策室長 黒川  弘君         内閣総理大臣官         房総務審議官  大濱 忠志君         総理府人事局長 秋富 公正君         行政管理庁行政         管理局長    辻  敬一君         行政管理庁行政         監察局長    川島 鉄男君         防衛庁人事教育         局長      渡邊 伊助君         防衛施設庁総務         部長      銅崎 富司君         防衛施設庁労務         部長      古賀 速雄君         外務省アメリカ         局長      中島敏次郎君         大蔵大臣官房審         議官      渡辺 喜一君         文部省初等中等         教育局長    諸沢 正道君  委員外出席者         経済企画庁経済         研究所総括主任         研究官     馬場 孝一君         通商産業省産業         政策局企業行動         課長      南学 政明君         労働大臣官房秘         書課長     北村 孝生君         労働省労働基準         局賃金福祉部企         画課長     宮川 知雄君         内閣委員会調査         室長      長倉 司郎君     ――――――――――――― 委員の異動 十一月十六日  辞任         補欠選任   関谷 勝嗣君     三池  信君   塚原 俊平君     小沢 辰男君 同日  辞任         補欠選任   小沢 辰男君     塚原 俊平君   三池  信君     関谷 勝嗣君 同月十七日  辞任         補欠選任   栗林 三郎君     大出  俊君   安井 吉典君     中西 績介君 同日  辞任         補欠選任   大出  俊君     栗林 三郎君   中西 績介君     安井 吉典君     ――――――――――――― 十一月十六日  台湾残置私有財産補償に関する請願外十七件(  木村武千代紹介)(第二八九三号)  同外十一件(辻英雄紹介)(第二八九四号)  救護看護婦に対する恩給法適用に関する請願(  矢山有作紹介)(第二八九五号)  同(増田甲子七君紹介)(第二九九一号)  中小企業行政専門担当国務大臣任命に関する  請願向山一人紹介)(第二九四三号)  同(増田甲子七君紹介)(第二九四九号)  同和対策事業特別措置法の強化及び適用期限延  長に関する請願増田甲子七君紹介)(第二九  四五号)  同(向山一人紹介)(第二九四六号)  看護職員の週休二日制に関する請願増田甲子  七君紹介)(第二九四七号)  同(向山一人紹介)(第二九四八号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  一般職職員給与に関する法律の一部を改正  する法律案内閣提出第三号)  特別職職員給与に関する法律の一部を改正  する法律案内閣提出第四号)  防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案(内  閣提出第五号)      ――――◇―――――
  2. 正示啓次郎

    ○正示委員長 これより会議を開きます。  一般職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案特別職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案及び防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案の各案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。柴田睦夫君。
  3. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 三つ法案同時審議ということになっておりますが、そういう関係で、順不同で質問することをお許し願いたいと思います。  まず、特別職給与法案についてでありますけれども、いま引き続くインフレ不況の中で雇用不安、生活苦にあえいでいる国民生活、そういう現状の中で、内閣総理大臣国務大臣、政務次官、人事官などの高級官僚は、いまでも月額六十三万七千円から百四十五万円という高額給与を取っているわけです。これをさらに六万円から十万円という大幅引き上げを行うことは、国民生活から見て、まさに反国民的であるというように考えます。現下の経済雇用情勢国民生活実態から見て、高級官僚高額給与を大幅に、これは一般職平均賃上げ額の六倍から十倍にも達するわけですが、こんな給与改定必要性、いまこれをやらなければならない緊急性が果たしてあるのか、あるのならその理由を明らかにしていただきたいと思います。
  4. 秋富公正

    秋富政府委員 お答え申し上げます。  特別職であると一般職であるとを問いませず、公務員の給与につきましては、その職務内容責任の度合いに応じましてその給与を決定するというのが給与決定原則でございます。総理大臣内閣の一番長でございます。また、それに伴いまして、三権の分立ということで衆議院、参議院の議長あるいは最高裁長官というものも総理同額にいたしております。また、国務大臣は、衆参の副議長、また最高裁の判事と同額ということでございます。一般職指定職につきましては、人事院勧告を尊重いたしまして、これをそのまま入れたわけでございますが、人事院におかれましても、民間給与との対比ということを踏まえながら指定職俸給表勧告をなされたわけでございまして、従来は総理一般職最高号俸の大体二倍というのが、ここ十数年の給与改定におきましての原則でございます。また、民間におきます三千人以上の会社の最高号俸というものとの見合いを見ながら決めてきたわけでございますが、今回は、現在の経済的、社会的状況を踏まえまして、特に総理の御指示によりまして、このアップ率を低めまして、指定職俸給表は八・八%の改定でございますが、その上の総理につきましてはこれを六・九%というアップ率にとどめまして、また国務大臣につきましても七・六%というアップ率にとどめた次第でございます。
  5. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 原則ばかりをいろいろ言われたのですけれども、そういうことは別に聞く必要もないことなんです。要するに、総理大臣がいまの月給じゃ食えないから上げてくれという要求を持っているのか、国務大臣がそういう要求を持っているのか、そういう緊急性必要性があるのかということを聞いているわけで、いまの答えを聞いていますと、結局そういう緊急性必要性の問題については答えられないと理解する以外にはないわけで、緊急性があるということを言うのであればこれ以上聞きますけれども、まともに言うことができそうにありませんから、次の問題に移っていきます。  次に、防衛庁職員給与法案について準備しておりましたけれども、きょうは防衛庁長官がおいでになりませんので、この分は保留しておきます。  次に、一般職給与法改正案について、初めに育児休業給問題ですが、育児休業給が昨年三月十一日に勧告されながら今日に至ってもまだ実現しておりません。これは、政府育児休業給支給と第三次教員給与改善を一本の法案として提案して、人事院がこの法案主任手当導入を連動させたために、給与法改正案が二度にわたって廃案になってしまったためであります。この結果と経過は、もう国会におればはっきりしておって、間違いのないことであるわけです。育児休業給支給が今日に至っても実現していないのは、第三次教員給与改善国民的合意が得られていない主任手当導入を連動させた人事院と、こうした第三次教員給与改善育児休業給支給をワンセットにして一本の法案として提案した政府のやり方に最大の原因があるわけですが、この点政府はこの原因を認めるかどうか、まず確認を得たいと思います。
  6. 秋富公正

    秋富政府委員 人事院勧告はいずれもこれを尊重するということが政府のたてまえでございまして、昨年の三月十一日育児休業給に対する勧告人材確保法に対する勧告二つ勧告をいただいたのでございますが、これをいずれも尊重いたしまして、昨年の三月十七日だと思いますが、国会に提出したわけでございます。これは昨年の秋の臨時国会におきまして廃案となりましたために、再度ことしの二月に通常国会法案を提出いたしました。いずれもこれは人事院勧告どおり昨年の四月一日から育児休業給支給するという法律案でございましたが、これも廃案になりましたために、今回改めて、この夏の勧告とあわせまして三つ勧告を一本の法案として出したのでございますが、いずれもこれは人事院勧告を尊重するということは政府の根本的、基本的たてまえでございますので、これをあわせて提案した次第でございます。
  7. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 そのあわせて出したために法律が通過しないで、いまなお人事院勧告が実現できない、あわせて出したところに問題がある、そこに原因があるのだということを言うのですが、その点は認めますか。
  8. 秋富公正

    秋富政府委員 人事院勧告が同じ時期あるいは異なった時期に出されまして、これを法律案として国会に提出する前例について過去にさかのぼってみますと、昭和二十七年あるいは三十七年、また四十九年に二つ勧告が別の時期に出ているのでございますが、いずれもあわせまして一本の法律案として提出しております。これが過去におきます前例でございます。  また、人事院勧告を尊重するということは政府の基本的たてまえ、先ほども申し上げた次第でございますが、そういったたてまえを踏まえますと、法律案を出します際に、それまでにまだ未達成の勧告というものはあわせてこれを一本の法律案として提出するというのが法理的にもきわめて素直な解釈である、また取り扱いである、かように考えております。
  9. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 法理的にということを言われましたけれども、別々に出してもおかしくない、法理上おかしい問題ではないわけで、これを別々に出しておけば、育児休業給の問題はこの前の国会でも当然通過しているはずなんです。一本にしたところにこの問題があるわけですけれども、一本にしたために国会で争われて、当然通るべき法案が通らなくなってしまった。これは人事院政府責任だと言っているのですが、総理府長官、いまの点についてはどうお考えですか。
  10. 秋富公正

    秋富政府委員 繰り返して御答弁申し上げるようでございますが、過去におきます前例がいずれも一本の法律案といたしておりますので、今回も同じような取り扱いをした次第でございます。
  11. 藤田正明

    藤田国務大臣 過去の経緯も十分に承知いたしております。しかし、従来からの慣例でもございますので、人事院勧告三つを一本にして出したわけでございます。
  12. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 次に移ります。  育児休業給支給を、政府案によりますと、昭和五十二年の四月一日としたのはどういう理由か。五十一年の四月一日からとしなければ、人事院勧告完全実施という政府がいつも言われる筋が通らないことになるわけです。なぜ五十一年四月一日からとしなかったのかを伺います。
  13. 秋富公正

    秋富政府委員 昨年、ことしの春とあわせまして二回につきましては、これを昨年の四月一日ということで法律案を提出したのでございますが、いずれもこれが廃案になったことは、先ほど申し上げたとおりでございます。今回改めて給与法を提出するに当たりましては、継続的、定期的に支給される給与改善を過年度にさかのぼって実施するということは、会計年度独立原則で行っている財政運営立場から見まして適当でございませんので、五十二年の四月一日からということにしたわけでございます。これは昨年勧告をいただきましたいわゆる義務教育等特別手当、これは人事院勧告は昨年の三月一日からでございましたが、ことしの二月に法律案を提出する際には、これをいまのいわゆる会計年度独立原則に伴いまして四月一日からというふうに変えて提出したことは御高承のとおりでございます。
  14. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 人事院の方の正式の見解を伺っておきますけれども人事院昭和五十一年の四月一日から支給することを勧告したわけですから、その完全実施について内閣に物を言うべきであると思うのですが、そういう意思はあるのかないのか、はっきりお伺いします。
  15. 角野幸三郎

    角野政府委員 お答え申し上げます。  人事院育児休業給に対する勧告は、育児休業制度そのものが発足いたしまして、その発足いたしますに際して制度が円滑にいくようにという趣旨で、その附則で例外的にといいますか、当分の間、育児休業給支給する。それに従って人事院が義務づけられておる勧告をいたしたわけでございます。これは人事院といたしましては、勧告ではございますが、いわば私どもが夏に一般勧告をいたしましておるああいう民間給与と比較しまして、ある特定時点調査いたしました較差を特定時点から埋めていただくというような、そういう水準に追いつくというスタイルのものではございませんので、その点に関しましては、両方が若干性格が違うところもある、こういうふうには感じております。いま総理府の方からお答えいただきましたように、予算あるいは財政的なそういうお取り決め、お考えに基づいておやりになっております。それは人事院としてもやむを得ないものと、そういうふうに考えております。
  16. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 結局、五十一年の四月一日から支給することを勧告したにもかかわらず、政府が五十二年の四月一日としているのにこの是正を人事院が求めない、これでは人事院政府から独立しているといういまの立場、これが失われていると思うのですけれども、その点もう一度。
  17. 角野幸三郎

    角野政府委員 お答えいたします。  人事院勧告水準を上げるという、たとえば夏の勧告で言いますと、四月時点民間に追いつくということを情勢適応原則としての基本勧告考えとして堅持いたしております。それに比べますと、ほかの勧告は軽重の差があると言うわけではございませんが、たとえば教員給与人確法に基づきます勧告でありますとか、あるいはいまの育児休業給勧告でありますとかは、これは教員の場合で申しますと、財政上計画的に予算措置がなされて、それでいわば水準に見合うものが決まりまして、それの配分を人事院がお任せいただいておる、こういう関係にも相なるかと思いますが、そういう意味で、その実施時期の点におきましては若干ニュアンスの差があるのではないかと思っております。そういう意味で、これは予算あるいは財政のそういう関係に従ってお取り決めいただくのもやむを得ない、こういうふうに考えておりまして、これによって人事院一般勧告に対する完全実施の問題がどうということでは必ずしもない、そういうように考えております。
  18. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 では私の意見を言っておきますが、立法上も昭和五十一年の四月一日から支給することにしても何もまずいことはないと思いますし、予算に計上されていないというのであれば、これは予備費を使うとか、それができないなら五十三年度予算に計上するとか、そういうことをやらなければならないと思うのです。文部省は五十一年度支給を不能にした提案の責任をとる上からも、勧告を尊重するという政府のこれまでの態度の上からもそれから後退してはならないということを強調したいと思います。  次に、文部省人事院に伺いますが、文部省人事院制度化主任中間管理職ではない、あくまでも連絡調整指導助言職である、こう言い張っております。しかし、実際はそうではない。日教組からも、新教組からも、あるいは二つ日本高教組人々からも、数多く現場実態を聞いてまいりました。私も船橋市に参りまして、実態調査も行ってまいりました。その中ではっきり言えることは、制度化主任管理職化が急テンポで進んでいるということであります。  まず、教務主任ですが、文部省主任制度化方針を忠実に実行しているところでは、ほとんど例外なく教務主任管理職化しております。たとえば船橋市では、昔は教務主任授業を持ち、クラスも持っていたわけですけれども主任制度化される前後から授業クラスを持たなくなってしまっております。学校現場では、校長教頭などは教務主任に対して、指導者としての地位が与えられたのだから、今後は後輩の指導に専念するようにという職務命令が出されておって、管理監督業務を代行させております。主任自体の意識も管理職化いたしまして、たとえば教務主任のほとんどが制度化後、組合から脱退したり、組合活動から遠ざかっていくようになっております。これは全国的に共通した現象であることを教員組合人々からも聞いております。  そこで人事給与担当大臣である総理府総務長官にお尋ねしますが、あなたは、このような実態一般化しているということを知っておられるかどうか、お伺いいたします。
  19. 諸沢正道

    諸沢政府委員 ちょっと私から簡単に申し上げますけれども、ただいま船橋市の学校の例を挙げられまして、文部省命令に忠実な主任実態はこうであるということで、主任になった方が管理職的な色彩を強め、授業時数担当も減らしておる、こういうことでございましたが、昭和五十年の十二月に主任制実施するに当たりまして当時の文部大臣の出しました見解におきましても、主任は決して管理職的なものではない、あくまでも連絡調整指導助言をする職務を持つものであり、また授業時間につきましても、むしろ従来の授業時数を引き続き持って教育活動に専念するのが主任たる者のあり方であるということを申しておるわけでございますから、御指摘のような主任文部省指導に忠実な主任ではなくして、指導に反しておる主任でございますので、御理解をいただきたいと思います。
  20. 藤田正明

    藤田国務大臣 私、船橋市のことはよく知りませんけれども一般的には連絡調整助言指導ということになっていると解しております。
  21. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 いまお二人から答弁を伺いましたけれども、それが実態と実際上離れてしまった認識になっているということを指摘したいと思います。  文部省人事院は、主任職務命令を出せないと言っているのですけれども校長教頭職務命令で、連絡指導業務の一環として教務主任管理監督業務の代行を命じております。こうして主任管理職化を進め、学校現場では教育業務管理監督教育現場連絡指導には区別がなくなってきているわけです。管理監督連絡指導の実際上の違いについて、文部省の方から説明してください。
  22. 諸沢正道

    諸沢政府委員 学校も一つの組織体でございますから、それを円滑に運営していくためには、管理職としての校長教頭が、たとえば職員服務につきまして、こうしなさいという命令を発することは当然ございます。しかしながら、各主任のします仕事は、たとえば教務主任でありますれば、各担当先生方教育活動について進度調整を図るというような場合に、それぞれの先生は自分の担任する教科あるいはクラス進度につきましては、責任を持ってこれを遂行する者であり、それに対して教務主任はそれぞれの先生方進行状況を見て、ここのところはもう少し進めたらどうですか、あるいはこういう教材を使われたらどうですかというふうに、助言をし、連絡をするというのがあくまでも主任仕事でございますから、それは校長教頭のような管理職服務などについてこうしなければだめだというふうな職務命令を発するのとは本質的に違うわけでございます。
  23. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 職務命令を出せるか出せないかというのは、これは形式上の問題にすぎないわけなんです。教務主任管理業務をやらないというのならば、何も主任手当を出す必要はないのじゃないか、そういう必要はないはずだと思うのですけれども、その点どうお考えですか。
  24. 諸沢正道

    諸沢政府委員 管理職的なものでなければ手当は出す必要はないのではないかというふうな御質問のように聞きましたのですけれども、今回の主任手当は、人事院のお考えではいわゆる特殊勤務手当の形として支給するというようなお考えのように聞くわけでありますが、この特殊勤務手当の中には、学校関係では、たとえば多学年学級担当手当というのがございますが、要するに僻地の小規模学校に行きますと、二年生、三年生、四年生というふうに多学年にわたる子供を一学級として教育する。こうなりますと、これは学校管理とは全然関係がございませんが、教育活動としては大変骨が折れる。そこでそういう先生には手当を出そう、それが特殊勤務手当であるということで、今回の主任手当もそういう性格手当というふうに私どもは理解いたしておりますので、管理監督とは関係ないのではなかろうかと思うわけでございます。
  25. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 それは納得できない答弁です。  そのほかの制度化主任管理職化も、これもまた進んできております。主任制度化が定着してから、それと並行して校長教頭教務主任学年主任というルートができ上がって、管理監督指導の体系ができ上がり、学年主任教育内容を統制するという事態が広がってきております。さらに、教務主任を中心とする制度化主任群が構成されて、その構成で運営委員会、これは仮称ですけれども、いろいろな呼び名がありますけれども学校運営委員会などができて、これまで校長教頭が行っていた管理監督業務を遂行するようになって、制度化主任管理職化が一層確実なものになってきているわけですが、総務長官人事担当大臣として、こうした事態一般化してきているということは御存じですか。
  26. 藤田正明

    藤田国務大臣 先ほども申し上げましたように、あくまでも連絡調整指導助言、こういうことに限定をされておる、こういうふうに解しておりますので、それが一般化しているとは思っておりません。
  27. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 一応承っておきます。主任制度化後二年を経過した今日、全国各地学校現場から、文部省人事院の説明とは反対に、制度化主任が急速に管理職化しているという実態が数多く報告されております。日教組や日高教などの要請行動もあるわけで、政府人事院も、これはいま答弁されたことと違って、実際を知っていらっしゃるはずであります。  この事実を踏まえて、制度化主任がもたらしている弊害や問題点調査をする必要があると思うのですが、文部省人事院には全国的調査をやる意思があるかないか、そういう決意があるかどうか、これを聞きたいと思います。
  28. 諸沢正道

    諸沢政府委員 私ども、県の教育委員会等から、その後の主任制度化及びその実施状況をお聞きいたしておりますが、先生指摘のような御心配はないというふうに考えておりますので、現在のところ、改めて調査をするというような計画はございません。
  29. 角野幸三郎

    角野政府委員 お答えいたします。  主任管理職といいますか、中間管理職でないということをはっきり申しておられますし、現に私どもは、そういう主任制度化されまして、それでそういう校務を担当せられる御苦労をお願いする主任の方々が、連絡調整指導助言ということで、それだけ御苦労なさっておるという、その負担に対して給与上評価をする。給与は後からついていくという関係にございます。そういう実態がありますと、これを評価して、給与として差し上げるという関係でございまして、そういう点で、そういうおそれがないということを踏まえまして、これは主任としての特殊勤務手当の評価をして差し支えない、こういうふうに考えております。
  30. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 調査する意思がないということですが、じゃ、学校先生で、主任手当が欲しいと思っている人、主任手当はもらうべきでないと考えている人、どういう割合でいるか、そういう調査はしておりますか。
  31. 諸沢正道

    諸沢政府委員 その点につきましては、一人一人の先生の悉皆的な意識調査をしているわけでございませんから、数字的に反対、賛成の割合をつかんでおるわけではございません。
  32. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 問題は、その制度化主任管理職化が進むにつれて、それと並行して学校教育の中に民主主義的要素の破壊が進んでいるということを私は憂えるわけです。その第一のあらわれは、最も民主的であるべき学校内で、自由に物が言えないという事態が広がっているということを聞いております。  調査した事実についてお話ししますが、たとえば職員会議では、制度化主任群で構成される運営委員会などの報告を受けるだけになってしまって、質問や討議もできないという事態が、学校現場では生み出されております。職員会議で発議、提案する場合に、事前に主任を通じて運営委員会に提案しなければならないというシステムがつくり出されております。ということは、校長教頭の意に反する発議、提案はできないということであるわけです。ある年配の教師ですけれども、これは戦前の軍国主義教育への逆戻りのようで恐ろしい、こういうことを語っている人もありました。学校教育の場で、このように自由に物が言えなくなるということは好ましいことでしょうか、どうでしょうか。総理府長官、お伺いします。
  33. 藤田正明

    藤田国務大臣 もしそのようなことがありとするならば、決していいことではない、好ましくないことであります。
  34. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 いまの点、文部大臣人事院総裁見解を伺います。
  35. 海部俊樹

    ○海部国務大臣 そういう一連の主任が、運営群ですか何かをつくって、職員会議で発言ができなくなったということは、私は信じられない話でありますし、学校の中では、児童・生徒の教育をつかさどる職員の皆さんが、職員会議でそれこそいかなる立場からも自由に発言をしながら、まとまった結論に従って学校を明るく運営してほしい、これが望ましい姿でございますから、御指摘のような事実がありとするなれば、それは望ましい姿ではございません。
  36. 藤井貞夫

    ○藤井(貞)政府委員 責任の当局者でございます文部大臣から、確信を持って御説明があったのでございます。そのとおりであろうと思います。  この主任の問題というものが生起をいたしましてから、そういう事態が特に起きたということは、われわれも承知いたしておりませんし、またそのようなことはあってはならないというふうに考えておる次第でございまして、事実、主任というのは、繰り返し御説明申し上げておりますように、要するに管理職というものではない、あくまで連絡調整指導助言ということでございます。そういう運営が事実上なされておることから、そのような事実はないというふうに私は確信をいたしておりますし、また、そういう事実が仮にどこかの学校にありとすれば、そういう点はやはり望ましくないというふうに考えることは、文部大臣と同意見でございます。
  37. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 事実の認識は反対になっておりますが、もう一つ重大なことを指摘しておきます。  それは、自主的な教育活動の抑圧が随所で問題化しているということです。学校教育において、教師と父母との協力関係が重要であることは言うまでもないわけですが、学校現場で教師が父母との懇談会をやろうとしても、学年主任がこれを承認しないということが行われております。承認を得ないままやろうとすると、教務主任学年主任に対して圧力をかける。学年主任はこの教師に対して、教務主任にこんなふうに言われている、私の立場考えてほしいという形での圧力が加わる。こうして、せっかくの父母との懇談会も自由にやれなくなるということが起きております。こういうやり方は、父母との懇談会だけではなく、クラス担任独自の自主的教育活動ができないことにもなっておって、学年ごとの画一化、統一化が進んで、学年主任が教育の中身そのものも統制をするという事態が常識化しているわけです。こういう事実について、いままでの御答弁を聞いていますと、あるいは御存じないということになるかもしれませんけれども文部大臣、いまの事態の進行を知っておられるかどうか、ひとつお答え願いたいと思います。
  38. 海部俊樹

    ○海部国務大臣 私どもは、学校教育の効果を高め、児童・生徒のためによりよい教育をするためには、やはり親の協力、家庭教育とか社会教育とかの関連も非常に大切でありますから、教師と親との対等ではない面がありますけれども、協力関係というものは大切だと思っておりますので、むしろPTAという形でいろいろの協力関係ができることを好ましいことであるとして、文部省はこれを促進、推進しておる立場でございまして、いま御指摘のようなことを私どもが知っておるとかいうようなことは全くありませんし、私はあり得ないことだと思うのでありますけれども、もしお差し支えなかったら、どこでそんなことをやっておったのかお漏らしいただければ、わが方で調査をして、そういう間違ったことは改めるように私の方からも注意をしたいと思います。
  39. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 文部大臣、なかなかいい御答弁をしていただきました。そのうち、私、幾つもそういう事例を具体的にお話しいたします。  それからもう一つ指摘しておきますが、主任制度化は教育の荒廃にも拍車をかけるということになってきているように思います。こういう事態の中で、学校内での自由な討議や自主的教育、教師相互間の不信、協力関係の破壊ということが進んで、無気力で物を言えない教師、みずから考えない教師が生まれて、こういう中で授業についていけない子、授業がわからない子が生まれて、一方では子供の非行化が進んでいく。非行を例にとっても、主任制度ができてから、親を呼ぶか、家庭訪問をするか、主任を含む管理職が協議して決める学校がふえて、担任教師の自主性が損なわれているわけです。親も学校に相談しなくなるというようになってきていると、私の調査では聞いております。  では、人事担当大臣は、こういう事態の進行はいいことか悪いことか、ひとつお答え願いたいと思います。
  40. 藤田正明

    藤田国務大臣 もちろんそういうことがありとすれば決していいことではございませんけれども、しかし、ちょっと信じられないことでございまして、そういうことはないというふうに私たちは考えております。
  41. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 いずれ、私も具体的な事例を幾つか持ってまいります。  そこで改めて聞きますけれども、そういう事例が現実にあるというようなことになった場合に、文部省人事院は全国的な調査実施する意思というものを固められるようになるかどうか。具体的な事例を出された場合に、全国的調査をやろうというようなことまで発展するかどうか、お伺いします。
  42. 諸沢正道

    諸沢政府委員 ただいま教育の荒廃ということで御指摘になりましたが、それにつながって全国的な状況を調べるつもりがあるかどうかという御指摘でございますが、具体的にどこの学校でどういう問題があるがということを御指摘いただきますならば、文部省としましても、従来たとえば非行の問題であればその非行の実態指導の方法等につきましては、警察庁と関係方面と連絡してこれまでも手を尽くしておりますし、学校と親との関係等につきましても、それぞれいろいろ工夫をいたしておるところでございますので、重ねてそれにどういう対策をとるかという点は、具体的に御指摘をいただきました段階において考えさしていただきたいと思います。
  43. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 私がきょう話したことは、私が調べた事実であるわけで、そういう面からもやはり主任手当を導入していくということはまだ早い。そこを調べた上でやるべきだということを主張しておきます。  最後に、同和対策事業特別措置法改正と延長という問題について、これは一昨日社会党の委員から発言がありましたし、これを私も最後に伺っておきたいと思います。  自民党政府が同特法の失効に当たって、同法に定められた期限内に所期の目的を達成できなかったことの責任はきわめて重大であります。同特法の延長問題に関連して現行法の不備欠陥をそのままにして、同法を強化して他の法律に優位する基本法にせよとか、期限を削除して半恒久法化せよなどという意見も出ておりますけれども、これでは現行法の不備欠陥をさらに拡大することにつながるとともに、部落差別を固定化することになるわけです。わが党は、基本的人権と民主主義の確立を願う広範な国民の要望にこたえ、政府が同じ過ちを犯さないようにするため、同特法自体の不備欠陥を明らかにし、その改正とあわせて同法の期限延長を図る必要があると考えております。  第一の不備欠陥は、法の目的と同和対策事業の目標が抽象的であって、他の一般行政に基づく事業とのけじめが不明確なことであります。そのため、一般地区の水準を無視し、しかも同和地区住民の要求ともかけ離れた超デラックス施設の建設や、困窮度や必要度を無視した機械的、一律的な施策が、同和対策事業の名で実施されております。したがって、同特法の延長に当たっては、目的の条文中に部落差別解消に役立てるという明文を追加するとともに、特別措置の範囲についても同対事業の目標の条文に一般地域との格差を是正するとの字句を入れ、その明確化を図るなどの法改正をあわせて行う必要があると考えます。  第二の不備欠陥は、同対事業に対する国の責任についての規定がきわめて不明確であり、実際には地方自治体、特に市町村に過重な負担をかける仕組みになっていることであります。同特法の延長に当たっては、国の責任のあいまいさを取り除くため国の責任を独立の条項とし、現行の同和対策事業を「推進するように努めなければならない。」という努力規定ともとれる表現を「推進しなければならない。」に改め、明確に義務規定にする必要があるわけです。同時に、これとの関連で、国の補助事業の指定や法の執行について、内閣勧告する権限を持ち、民主的に構成される同和対策推進協議会を内閣に設置するための法改正を行うよう提案しております。  第三の不備欠陥は、公正民主的な同和行政を保障する明文の規定がないということであります。そのため、今日なお一部の地方自治体で不公正な法の執行が続けられております。同特法の延長に当たっては、この弊害を断ち切るための新条項を起こす法改正が行われなければならないと考えております。期限の延長については、この法律の目的が、この法を一日も早く必要としない状態をつくり出すことにあるわけですから、期限を切る必要はあると思います。その延長期間は、国と地方自治体のこれまでの八年間にわたる事業の締めくくりと見直し、さらに今後の事業内容と事業費が、民主的に、客観的に検討された後、国民的合意のもとに決定する必要があります。  そのためには、国会における現地調査、公聴会、関係委員会との連合審査などにより、徹底審議を尽くすべきであると思うのですが、法案提出に至るまでの行政部内でとるべき一つの方法として、当面同対協に全解連などの関係団体の代表を委員、専門委員として加えるなど同対協を民主的に改組し、この協議会でこれまでの同和対策事業の到達点や問題点、期限を含む今後のあり方について検討し、公聴会その他の方法により、広く国民の意見を求めることを提案するものであります。この提案についての総務長官の御見解をまずお伺いいたします。
  44. 藤田正明

    藤田国務大臣 ただいまの最初から三点の不備と称せられる点につきましては、御意見として十分に承っておきます。  第四点のことにつきましても、御意見を交えながら延長をしたらどうか、こういうことでございましたが、いま五十三年度の予算の概算要求をやっておる最中でございます。御承知のとおりに五十三年度末、五十四年の三月末日でこの特別措置法も切れるわけでございます。時日は十分に余裕がございますので、われわれといたしましては、同和対策協議会並びに地方自治体と十分に相談もいたしまして、また各政党ともよく御相談も申し上げまして、このような延長をするかどうか、そうして延長の中身は、また延長するとした際はどのようにするか、こういう点は十分に御相談も申し上げたい、かように思っております。
  45. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 いま政党の問題に触れられましたけれども、それは政府部内における今後の検討作業の中で、各党の意見を含め各方面の意見を十分聞いた上、慎重に検討するというように理解しておりますけれども、もしそうであるならば、私が提起した意見、提案を十分検討していただけるかどうか、お伺いいたします。
  46. 藤田正明

    藤田国務大臣 いまおっしゃいました柴田委員の意見は、十分に検討をいたしますということを申し上げました。ですから、三つの不備の点、それから第四点の延長を含む点の中にも御意見がございましたので、これも検討はいたしますということを申し上げる次第であります。
  47. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 じゃ、保留部分を除きまして、以上で終わります。
  48. 正示啓次郎

    ○正示委員長 続いて、中川秀直君。
  49. 中川秀直

    ○中川(秀)委員 人事院総裁文部大臣も御出席でございますから、今回の給与法主任手当の問題について最初にお尋ねをいたします。  私は、今回の一般職給与法改正案、これと、いまいろいろ言われておりますところの主任手当というものは連動するものではない、こう考えておるわけであります。  まず、文部大臣に単刀直入にお伺いをいたしますが、いろいろな法律的な御説明は結構でございますから、実際の問題として今回の給与法改正案主任手当というものがどこで一体連動をするのか、教えていただきたいと思います。あるいはこういうお尋ねでもいい。主任手当給与法というのは同じものなのか、あるいは別のものなのかというお尋ねでもいい。ひとつ文部大臣にお伺いしたい。
  50. 海部俊樹

    ○海部国務大臣 人事院総裁がおられるので、人事院総裁がお答えになるべきかと思いますが、私に御指名でございますから率直に申し上げますと、文部省といたしましては、人確法に基づいて教員の皆さん方の処遇をよくしたい、そしていい人材に集まってもらって、いい教育をしてほしい、こういう願いで、人確法に基づいていろいろ処遇改善に当たっては人事院にお願いをしておるわけであります。その人事院に要請した中に、教務主任とか学年主任とかそういう方々に対しては、その職務と地位と責任にふさわしい何らかの手当考えてほしい、こういうことが要請してあるわけであります。人事院がそれに基づいて、広い意味の第三次給与改善の中の一環として勧告をしていただいた。そこに関連がある、私は、そう理解をしております。
  51. 中川秀直

    ○中川(秀)委員 それでは、人事院総裁にお伺いをいたしますけれども、本来主任というものは、文部省令で制度化されたわけでございますね。そういう制度ができていて、この主任手当支給するということは、一般職給与法があろうとなかろうと、人事院責任において支給することはできるはずであります。規則でできるはずでありますが、人事院総裁国会答弁で、教員の待遇改善、三次改善の際に実施をなさる、こうおっしゃった結果、結果的にこの給与法が通ればやります。あるいは逆に言えば、通らなければやらない、こういうことになるわけでありますが、これは本当におかしいと思うのですね。この問題で給与法の成立がおくれるということになると、場合によっては自治体なんかによっては、年度内のベアということさえ流れる、先に延びるおそれさえある。この法律関係なく、この主任手当国会任せになさらずに、人事院独自のお立場で堂々と実行されるべきだ、私はそう思う。人事院総裁、いかがですか。いつまでもこの問題を人事院がどろをかぶりたくないということで放置をして、延々と延ばすということは、私はどうも納得がいかない、こういう考え方なんですが、いかがですか。
  52. 藤井貞夫

    ○藤井(貞)政府委員 人材確保法に基づきまして、人事院といたしましては、法律上義務づけられたということもございまして、第一次から始まって、第二次、第三次の勧告を行ったわけでございます。第一次、第二次については、いろいろ御審議にもございましたが、早速法律を制定さしていただきまして、非常に感謝をいたしておるのでありますが、第三次につきましては、御承知のように、昨年の勧告以来今日まで実現を見るに至っておりません。これは、はなはだ残念なことに考えておるのであります。  いまお話がございましたが、主任手当の問題につきましては、給与法とは関係ないという言葉じりをつかまえるわけではございませんが、やはり給与法に基礎を置く特殊勤務手当でございますので、その点関連があるというふうに考えております。いまお話がございましたように、この手当については、人事院独自でやれるのだから、確信があるならば勝手にやったらいいじゃないかという御議論もございます。われわれの方にもいろいろそういう趣旨のお話が来ておるということは事実でございます。しかしながら、一方においてこの間来いろいろ御議論いただいておりますように、これに対して反対をするという意見というものも非常に強いわけであります。  そういう点がございますのと、もう一つは、やはり給与問題というものは、一つの総合的な姿を持って実施してまいりませんと、斉一性のある姿を保つことができないという問題がございます。毎年毎年勧告をやって今日まで来ておりますが、それらはすべて既存の制度というものを踏まえて、整合性のある姿によってどういうふうに改善していくかということを考えておるわけでございまして、そういう意味で、第三次の人材確保法に基づく勧告につきましても、いままで累次申し上げておりますように、四つの柱を立てて、われわれとしてはこういう点をひとつ実現をいたしたいという気持ちを持っておるわけでございます。そういう意味合いから申しましても、これだけを切り離してやるということは、やはり斉一性という問題から申しましても適当ではないというふうに考えております。特に主任手当の問題は、特別手当との連動性というものが非常に顕著でございます。  先生はいろいろお仕事がお忙しいわけですが、直接の教育活動以外に、やはり校務の分掌というものをいろいろやっていただいておるわけであります。それらの点で大変御苦労であろうというような点も配慮いたしまして、第三次勧告では二%の特別手当の引き上げをお願いをいたしたわけでございますが、それはそれといたしまして、そのほかに、主任の活動というものを通じて、大変御苦労度が高いというものについては、特別にひとつ給与的な評価をいたしたいということから、この考え方を打ち出したわけでございます。この点は前々から文部省からもお話がございましたし、第三次改善に当たっては特別に文部大臣からもそういう御要請がございました。われわれといたしましても、やはり野方図なことでは困るけれども、それなりの制度化をはっきりしてもらって、合理的な基盤ができるならば、その上に立っての給与的評価というものは、やれるならばやりたいというようなことでやってまいった結果が、この主任手当ということに相なったわけでございます。したがいまして、われわれといたしましては、給与の連動性、斉一性というものはあくまでも堅持してまいりたいという気持ちはいまなおはっきりと持ち続けておる次第でございます。
  53. 中川秀直

    ○中川(秀)委員 この問題で論争すると、総裁が四十分おしゃべりになって、私が二十分くらいお尋ねをしただけで終わってしまいますから、一言だけ申し上げておきますけれども、ではこの主任手当を、一般職給与法が通らなくても実行する、通らなくても実行した場合に、法制上の瑕疵が出てくるのかと言うと、出てこないという見解もあるのですね。総裁の見解とわれわれの見解、ちょっと違うのでありますけれども、問題は、われわれはそういう気持ちでこの問題を考え、また主張いたしておりますので、その点もお含みになって、余りすべてをこの法案の絡みになさらずに御配慮願いたいと思うのであります。  もう一点、人確法によれば、教職員給与一般の公務員の給与水準に比較して優遇措置を講ずる、こういうことになっているわけですけれども、この趣旨を受けて人事院給与改善をしてきたと思うのです。しかるに人事院は、本来本俸に繰り入れられるべきものを特別手当というようなかっこうで創設をしているわけでございます。それで五十一年、五十二年の給与改善は、特別手当の絡みで、実際に教育職(二)表、小・中学校の教(三)、この辺になりますと、行政職の一般のものと比べまして、五十一年度が六・四%で、〇・五%減、五十二年度が七%に対して六・七%ですから〇・三%減というぐあいに、相対的に本俸の方の関係勧告は低く行われておるわけでございます。これは人材確保法の本来の趣旨から言うと、ちょっと違うのじゃないかという気がしてならない。  これもまた文部大臣にひとつお伺いをしたいのですが、教職員については教育職として、これからの教員の役割り、次代を担う子供たちをつくる、あるいはそういう社会をつくる役割りを大変重要に認識をされておられる、そういう御見解をしばしば私もお伺いをいたしておりますけれども、そういう教員は教育職として、普通の一般職給与法から外してしまう、別枠にする、こうすべきだと思いますけれども、その点についての文部大臣の御見解はどうですか。
  54. 海部俊樹

    ○海部国務大臣 教職員の人の処遇をできるだけよくしたいという念願で、国会の御賛同も得て人確法ができ、その中で事実上教職員に対する処遇の改善というものが行われつつあるときで、まさに今回お願いしておりますいろいろな問題もその一環でございますから、全くこれを別にするかどうかという根本的な問題については、今後の検討課題として先生の御意見を受けとめさしていただいておきたいと思います。
  55. 中川秀直

    ○中川(秀)委員 現実問題として、先ほどお話ししましたように、他の一般職との比較で本俸はそう上げられない、そこで特別手当、こういうふうになってしまって、実際の本俸部分は人確法の趣旨に反してここ一両年低く、低く据え置かれているわけです。もうそろそろ検討だというような御答弁ですが、私は、そろそろ御決断をなさる時期が来ているのじゃないか、このように思いますので、その検討も、よく昔からのざれごとであるのですが、行政ですぐやると言ったら三カ月かかる、いずれやると言ったら三年かかる、検討すると言ったら絶対やらないという言葉があるのですから、検討という言葉の意味をそういう意味じゃなく受け取らしていただきたいと思う。ひとつよろしくお願いをしたいと思います。  いま一点、主任手当に関連して思うのでありますが、現在の教務主任学年主任生活指導主事、すなわち連絡調整及び指導助言職務とする人事院が指定する主任、これに支給対象を置いているわけですが、これは将来の問題として、主任というものは実際には五十種類ぐらいあるわけですね。たとえば同和教育に非常に力を入れている。これも大切な問題です。そういう主任さんもいらっしゃる。あるいは教科の御担当主任もいる。研修担当主任もいる。一般的、普遍的な主任、数種類ぐらいにはこの主任手当支給対象範囲として拡大していくべきだ。少なくとも、一遍に全教職員の三分の一というのは無理ですけれども、将来、校長教頭を含めて教職員の三分の一ぐらいまでは支給対象を拡大すべきだと私は思いますが、文部大臣、いかがですか。
  56. 海部俊樹

    ○海部国務大臣 文部省が昨年省令で制度化をいたしましたときには、これもよく御承知のように、全国的に重要であるというので普及をし、かつ定着をし、活動をしていらっしゃる、こう認められるものを小学校二つ、中学校三つ、高等学校では数種ということで一応の基準を設けたわけでありますが、御指摘のような問題がありますれば、これはまた、そういった重要性とか全国的に定着をしておるかどうかとか、いろいろな問題もございましょうけれども、これもやらないという意味じゃなくて、研究課題にさしていただきたいと思います。
  57. 中川秀直

    ○中川(秀)委員 いや、実際に活動しているのですね、ほかの主任も。きわめて重要な主任もいらっしゃるわけですね。私が先ほど挙げた同和教育、研修、教科、こういう主任なんかはかなり重要なお役割りをやっているのは、文部大臣御案内のとおりです。検討、検討ということで、ひとつめどを設けていただけませんか。
  58. 海部俊樹

    ○海部国務大臣 これは昨年制度化しましたその主任の全国に定着しておる状況というものを一応の基準に置いて決めたわけでありますけれども、御指摘のように、それと同じように重要な役割りを演じていらっしゃる主任が現にあることも私どもはよく承知いたしておりますので、今後そういったものを何年度からどれをどうするかということについては、これこそきちんと検討をしなければ、いまここで軽々に申し上げられませんので、検討課題にさせていただきたい、御理解いただきたいと思います。
  59. 中川秀直

    ○中川(秀)委員 前向きな御答弁なので、これ以上申し上げません。  それでは次の問題に移りまして、今度の一般職給与法の土台になっております人事院勧告について、総裁初め総理府にお伺いをしたいと思います。  現在の給与法、その土台になっている人事院勧告は、民間との比較で給与勧告が行われているわけでございます。通称ラスパイレス方式というもので、同年齢、同学歴、同職務を互いに平均、比較して、全体にそれを積み上げて、差を合わせて平均するという方式ですが、これも将来の問題ですが、私は、これについていろいろ問題点が多いような気がしてならないのであります。たとえば民間との較差でございますけれども、今度の人事院勧告によると本俸に六・一二%、諸手当に〇・四七%、その他いわゆるはね返りに〇・三三%、計六・九二%、こういうふうになっておりますけれども、この配分を比率に直すと、本俸に八八・四%、大方八九%、九割に近いわけですが、諸手当に六・七%、その他四・九%、こうなっております。昨年は配分比率が本俸に八六・五%、諸手当が八・六七%、その他はね返り四・八三%、こうなっている。ことしの人事院勧告は、昨年よりさらに本俸に重点を置いておられるわけですね。今後傾向的にこういうような方向で行かれるおつもりなのか。私は、もしそうだとするならば、こういう時代に、本当に民間では大変な厳しい経営を行っている中で、いわゆる第二基本給、退職金や年金にはね返らない諸手当に力点が置かれている、本俸自身の改善は少ないと言われているのです。この民間の流れとやや逆行してはいないかという点が一つ。  これは後でまとめて御答弁を願いたいと思いますが、もう一点は、ラスパイレス方式で比較をするのですけれども職員構成というものは民間とはかなり違うのです。たとえば年齢的にも公務員の場合は四十歳を超えていますね。平均年齢が四十・八四歳。民間の場合、十人以上の企業で平均年齢三十六・四歳です。学歴では公務員が大率が二三・九%、短大卒が一一%ですが、民間では百人以上の企業だけれども、大卒者は平均が一四%です。学歴も年齢もそういうふうに違う。男女の比率に至っては、公務員は男性の比率が八割、民間では百人以上の企業でも七三%、女性が非常に多いということです。こういうふうに職員構成も違うし、内容が非常に違うわけです。そういう中でいまの給与体系一つとりましても、年功序列で一年に一号ずつ昇給していく仕組みになっておりますけれども民間がそのような年功序列あるいは学歴重視の給与体系をとっているならいいけれども、だんだんそれは変わってまいりまして、実力、能力給に変わりつつある。こういういろいろな意味での方向の違い、あるいは中身の構成の違いという中で、単純にラスパイレス方式で比較をとっていくということがどうなのか、あるいは逆に言うならば、民間給与を基準とする考え方が全部いけないとは言わないけれども民間と公務員とは根本的に違うところもあるのですから、その他に考慮すべき要素があるのじゃないかということをこれから研究しなければいけない。  いずれにしても、そういう民間準拠だけでない国家公務員の給与というのは将来どういうふうにあるべきかということを根本的に再検討する時期が来ていると思うのです。この点、時間がありませんから、総裁、五分ぐらいで答弁していただけませんか。
  60. 藤井貞夫

    ○藤井(貞)政府委員 大変何か長い答弁になっておしかりを受けておるわけでございますが、問題が問題で、大変核心に触れた御質問でございますので、われわれの見解というものもそれなりに申し上げることが、国会審議の場を通じての国民に対する啓蒙と申しますか、そういうことで必要ではないかということで申し上げておる次第でございます。  いまお話がございました点は、謙虚に私も受けとめております。ただ、公務員の給与をどういうふうに定着をさせるかということは、大変むずかしい問題でございます。公務員の組合の方々から言えば、これは多いにこしたことはないということでありましょうし、国民の側あるいは納税者の側から申しますと、特に不況とか、そういうことになりますと、親方日の丸的なことでは困るじゃないかというようなことの意見が出てまいります。そういうことから、経験的にいろいろ論議をされた結果、いまのような官民比較ということが定着をしてまいったのであります。  この点は、人事院として自画自賛をいたしますわけではございませんけれども、世界各国でもやはり非常に模索をされている大変重要な問題でございまして、国民一般的なコンセンサスを得るためには、やはり官民比較というものが一番重要ではないかというようなことが出てまいっておりまして、いまやこれは世界の大勢に相なってきておる。アメリカにおいても、匹敵性の原則というふうに言っております。またイギリスにおきましても、均衡性の原則というようなことに帰着をいたしております。ドイツその他におきましても、大体そういう方式がとられてきておる。(中川(秀)委員「フランスは」と呼ぶ)フランスもそうであります。日本におきましても、外国から、戦後日本の制度が定着したものですから、その内容を知らしてくれというようなことで、いろいろ勉強に見える者も最近特にふえておるというような現状でございます。  われわれといたしましては、いろいろ試行錯誤を繰り返してはおりますけれども、いまの方法というものは、現在のところでは、やはり一番納得性のある合理的な帰結ではないかというふうに考えておるわけでございます。  ただ、先生非常にお詳しいので、お話がございましたような方式で人事院としては調査をやっておるわけですが、このやり方が全く完全無欠で、全然今後改善を要しない、またその必要もないようなりっぱなものだというような、そういう思い上がった考え方は持っておりません。常にそういう点は、問題点があるのかないのか、どこに問題点があるのか、さらに合理的なものにするためにはどうかというような観点から、種々検討は加えておるつもりでございます。その点につきましては、今後ともやはり慎重にデータも調べて検討を続けていく、そういう真摯な態度と申しますか、そういう慎重な態度というものは崩さなくて、なお合理性のあるものに進めるための努力は十分に引き続いて行いたい、かように考えております。
  61. 中川秀直

    ○中川(秀)委員 各国で民間均衡が大勢であるというのは、私も勉強してみましたが、確かにそのとおりですけれども、フランスなんかは必ずしもそうではない、やや独自の行き方をしておりますね。  いま総裁からいろいろお話がありまして、私は、それなりに非常に真剣な御答弁だと思うのでありますが、私どもも、じゃこういう方式にしたらいいじゃないかという代案というか、お示しができるようなものがないのが非常に残念ですけれども、なおもっと私たちも勉強しなければいけないと思いますが、ただ、少なくとも実態が、先ほどお話ししたように、官民比較といいましても、流れの方向も中身も相当変わってきている、こういうことを踏まえて、なるべくなら後追いでないように、それにぴちっと合うように本格的な検討をひとつ加えていただきたい。また、そのときどきの御検討の成果を国会あるいは国民にも知らせてもらいたい、このように御要望いたしておきます。  もう一点、これは公務員のモラル、勤労意欲とも関連をする問題でございますが、この給与法の十九条の四でいわゆる勤勉手当というものが定められておりまして、これによりますと、六月、十二月、三月にそれぞれ一・九、二・六、〇・五カ月分、手当があるわけでございますけれども、この六月の一・九月分の手当のうち、勤勉手当として〇・五カ月分と、こう定められている。十二月の二・六カ月分の手当の中の〇・六カ月分が勤勉手当と決められている。三月の〇・五カ月分のところには勤勉手当はありません。あとは全部期末手当であります。  この六月の勤勉手当〇・五カ月はいろいろ、勤勉手当というものは、まさに名前のとおり、よく働く人に報いる、こういう趣旨でつくられているわけですから、幅が成績率として、成績の余り上がらない人は〇・三五カ月分だ、一番低い人ですね、一番成績が上がった人は〇・七五カ月分だ、こういうぐあいに〇・五カ月分の幅を設けている。  十二月分につきましても、平均は〇・六カ月分と定められておりますけれども、働かない人は〇・四カ月分、うんと働く人は〇・九カ月分と、こう定められているわけですが、昨年の十二月期の勤勉手当支給状況を私はちょっと調べてみまして驚いた。どう驚いたかといいますと、働いている、働いていないという差がほとんどないのです。そういう支給実態がほとんどない。大多数の省庁は、四六・九%、大方五割、これは三段階制、A、B、Cランクです。それから四二・九%が二段階制、つまり、もうあらかた全部の省庁がA、BランクかA、B、Cランクなんです。それで先ほどの幅でやるのです。  しかも、たとえば、名前は言いませんが、ある省の場合は、十二月ですから〇・六カ月分なんですけれども、二段階制で、よく働く方のAランクに、いいですか、〇・六七五カ月分、余りよく働かなかった方のBランクで〇・六一五カ月分。差がわずか〇・〇六カ月分です。  それからもう一つの省の場合は、よく働く人が〇・六八九四カ月分、真ん中ぐらいに働く人が〇・六四四七カ月分、まあどっちかと言えば働かなかった方の人が〇・六カ月分。せいぜいA、B、Cランクそれぞれの差は〇・〇四カ月分あるかないか。いいですか、法律で決められておる幅は、十二月分は〇・四カ月分から〇・九カ月分の幅で差をつけて支給しなさいと、こうなっているのですよ。  現実には、もっと例を挙げれば幾らでもありますよ。いまのA、B、Cランクで言いました二番目の省の場合は、あらかた〇・六カ月分のところに集中している。七割以上です。それから、ほかの省の場合でも、成績率の差は少しつけても平均成績率に大多数が席を置いていますよ。全体の構成比のバランスもとれていなければ、すなわち勤勉手当というのは名ばかりで何にもなっていない、私はこう言わざるを得ない。やはりこういう手当というものはよく働く人に報いるという、いわゆるインセンティブの目的を持っているわけですから、ちゃんと法律どおりに運用しなければおかしいじゃありませんか。そんなものだったら、ない方がいいです。私もかって新聞記者時代役所回りをよくやりましたけれども、霞が関ランチョンタイムといいまして、昼御飯には、十二時から二時ごろまでいなくなってしまうことがあるのですよ。あるいは出勤簿は女の子がかわりにぼんぼんと押してしまう場合も現実の例としてあるのですよ。時差出勤はきちんと実行していながら、ところが退庁だけはきちんと退庁なさるということもある。ぼくは公務員の現在の社会には、本当に忙しい人と福祉型社会を満喫している人と二通りあると思う。そういうふうにしてしまっているのは、法律的に勤勉手当というものはこういう差を設けて支給しなさいと言っていながら、実態として全く実行していないに等しいからだ。私は、これは絶対改善をしていただかなければ困ると思いますが、人事院総裁、ちょっと調査をしてください。これについて余りきちっと調査したことがないのです。わずかな調査しかないのです。調査をして、きちんとそういうものは法律どおりに運用されるように改善をしていただきたい。これは強く要求をしておきたいと思います。
  62. 藤井貞夫

    ○藤井(貞)政府委員 御指摘の趣旨は、十分私も理解をいたします。期末手当と勤勉手当というものが制度的に決められている限り、勤勉手当というのはその成績に応じてやっていく、傾斜をつけるということがあるべき姿であるということは、そのとおりであろうと思っております。そういう仕組みでもって現在の法律もでき上がっておるということは事実ではあろうというふうに思っております。われわれの方といたしましても、サンプル的には常に関心を持っておりまして調査をやっております。ただ、この運用上の問題については、全くりっぱな運用がなされておるという断言はできませんが、いま先生からお話がございましたが、公務員全体は、先生も御承知のように、大部分はよく働いていると思うのです。夜の時間、超過勤務とかなんとかということにかかわりなく大変よく働いておる。これは、私は大部分だと思います。中には、この期待に反して、いろいろとかくの議論を呼ぶような者も絶無とは申しません。そのために、いろいろ汚職問題その他でもって国民の批判も受けておるということで、これは絶対にあるべからざることであるというふうに私たちは思っております。全体といたしましては、よく働いて、勤勉に一生懸命にやっておるというふうに思います。したがいまして、この勤勉手当の評価といたしましても、結果的に申して、いま御指摘がございましたけれども、全体としてはそう差別がないというのが普通のあるべき姿ではないかというふうに私は考えております。これは、言葉は悪いかもしれませんが、単に民間の社長のポケットマネーとかなんとかというものでなくて、やはり国民の税金でもって賄われる期末・勤勉手当でございまして、したがって、そのやり方というものもそれぞれはっきりとした一つの基準というものがございます。その方針に従って、われわれといたしましても各省を指導と申しますか、お願いを申し上げて、その運営に間違いのないようにできる限り御協力をいただきたいというふうにやっておるわけでございます。しかし、いま御指摘になりましたような点は、問題点としてあることは事実でございますので、そういう点は、今後これらの行政を進めてまいる上において、また各省庁の給与対策の進め方の過程におきまして、できる限り配慮して、御趣旨のような点ができる限り反映するような努力はやってまいりたい、かように考えます。
  63. 中川秀直

    ○中川(秀)委員 私は、私個人じゃなくて、国民一般の声の上から、いまの御答弁は全く納得ができません。では、そうおっしゃるならば、この勤勉手当支給状況、全省庁、ことしの六月の分で結構です。早急にお調べください。そしてどういうデータでこれだけの差をつけたか、みんなよく働いている、勤務時間何ぼ、全部わかるはずです。よろしいですか。こういう成績評価でこうだからこういう差なんですと、それは個々の名前までというわけじゃありません、数量的にきちんとお調べになって、国会へ資料を提出してください。――委員長、これはお願いしておきますよ。  公務員は全体としてよく働いている、総裁がお知りになっている範囲ではそういうふうにおっしゃることはわからないではありませんけれども国民に対してそういう説明ができるだけのことをしなければいけませんよ。勤勉手当という法律があって、こういう差を設けて、これはよく働く人、働かない人に応じてやるのですという制度になっていながら、ほとんど平均支給率のままで支給をされている。何のためにこの制度があるのかわからないじゃありませんか。そういうふうにせざるを得ない理由は、こういうふうにみんな同じなんですというデータがあるなら出してください。私は、いまの御答弁は納得ができない。  したがいまして、これはひとつ委員長にお願いをいたしますが、そういう資料を人事院において早急におつくりになって当委員会に提出をしていただきたいと思います。
  64. 藤井貞夫

    ○藤井(貞)政府委員 お求めでございますので、できる限り早く調査をいたしまして、その結果を御報告を申し上げることにいたしたいと思います。
  65. 中川秀直

    ○中川(秀)委員 いま一点。特別昇給というのがございます。現行法の規定によりますと、各省、各機関の総定員の一五%の枠で特別昇給をする、こういうことになっていますが、これについても、私はちょっと不可解な点がございます。それぞれの機関の定員の一割五分について特別昇給を毎年するわけですが、一号俸飛ぶわけですけれども組合の強い省庁ほど順番制によっている、こう言われております。また、私も現実にそういう話をじかに聞いたことがあります。つまり六、七年に一回持ち回りで昇給をしている、こういうことになっている。あるいは、中だるみの職員もしくは他と比較して著しく給与の低い職員に割り当てるということが通例になっているとも言われている。現実にそういう御担当の方から聞いたことも私はあるのです。本来この規定は、人材登用の道として民間企業と同等に設けられたものです。しかし、現実にはいま申し上げたように、趣旨どおりに運用されていない。私は、公務員の士気高揚、ところてん式な人事運用の払拭の方向に今後改善をしていくべきだ、こう思っているのです。しかし、これについても、それがどのように運用されているかということについて、われわれは聞いたこともなければ、国民も聞いたことがないと思います。人事院でも恐らく過去に一回だけ四十二、三年ごろに調査したぐらいで、それもはなはだ不十分な調査です。これについても実態調査をしていただきたい、こう私は思います。これも委員長、お願いをいたします。――人事院総裁、いかがですか。
  66. 藤井貞夫

    ○藤井(貞)政府委員 昇給というのは、いまお話がございました特別昇給だけではなくて、実は定期昇給といたしましても、やっぱり一定期間良好な成績で勤務したという者に対して昇給をするというのが原則論でございます。ただ、それとやはり一種の労働慣行と申しますか、それとの調整の問題がございまして、事実これは恒例的なと申しますか、そういうような措置をもってやられておるということは事実であろうと思います。ただ、特に特別昇給等につきましては、その趣旨のとおり、いまお話がございましたように運用されるのがたてまえであることは申すまでもございません。人事院におきましても、給与の定例監査、検査等の機会がございます。その際に、そういうような点についてはチェックをいたして、常に注意をいたしておる次第でございます。  なお、その実態等について御要望がございますれば、内容について御報告を申し上げたいと存じますが、今後ともやはり特別昇給は特別昇給として、そのあり方のたてまえというものを崩さないように、できる限り各省庁に対しての指導もやっていきたい、かように考えております。
  67. 中川秀直

    ○中川(秀)委員 ひとつそういう方向で総裁、早急に御調査をいただいて、乙の委員会にも御報告いただきたいですし、私は、国民の感情として効率のいい行政をしてもらいたい、そのためにわれわれは税金を納めておって、その中から、公務員の方々も、それは働く方々ですから、当然それに見合った給与をお取りになる、そういうかっこうで自分たちの税金が使われるならば、国民だって拍手喝采すると思うのです。しかし、現実にそういう両制度が、勤勉手当にしろ特別昇給制度にしろありながら、実際の運用というものはこんな調子でいったら、これから将来、国民のそういった感じはますます複雑なものにならざるを得ないと思いますよ。公務員給与自身の信頼性というものも国民に対する信頼性も失われてしまうし、一つの行政機構の活力というものも私は失われていくと思う。この辺の運用は本当に厳しく、厳に厳しく御配慮を願わなければならない問題だと、あえて強くそういう調査を求めた次第であります。  それでは次の問題に移りますが、せっかくお忙しい中、行政管理庁長官もお越しでございますので、ひとつ行政改革の問題に絡みまして、現在の公務員給与の問題、あるいはその他の問題についてお尋ねをしようと思うのであります。  西村長官、九月二日に閣議了解が出ました。この今後のことにつきましては、後ほどもう少しまとめてお伺いをしたいと思いますが、この中にたとえば「人事管理面の対策」というのがございまして、「高齢職員の離職促進等人事管理上の諸問題の解決を図るため、段階的にこれを進めるべく、現行諸制度の見直しや新しい諸施策の導入について準備を行う。」「定員」の中にわざわざそういう一項を設けて書いてあるわけです。これは非常にむずかしい言葉でございますけれども、やはり公務員のこれからの問題としての定年制の問題とかあるいは退職金の問題とか、そういった見直しということに私は受け取っているわけでありますが、そういう問題やあるいは特殊法人の関係で役員の給与や退職金制度及び役員人事、こういうものがどうも民間との均衡がとれていない、こういうものは見直しをするのだ、こういうふうに書いてあるわけでございます。  この点に関連をして二、三お伺いしたいと思うのですが、まずわかりやすいところから特殊法人の給与や退職金の問題からお尋ねをしたいと思うのですけれども、たとえば役員の退職金の問題。名前は申し上げません、経済企画庁のある局長だった方ですが、役所退職後いろいろ公団、公庫をお渡りになりまして、公団、公庫で十七年一カ月お勤めになって退職金が六千三百万円、二つの公団と公庫、二つのそういう特殊法人に行かれた方であります。あるいはある大蔵省御出身の方で言いますと、公庫が三つ、公団を一つ、十年お勤めになって、全部の退職金を合わせたのが三千七百万円、こういうことです。私は、民間の常識を考えていただいて、こんなことがあるだろうかという気がするのです。この九月二日の閣議了解におきましては、特殊法人の役員の給与、退職金制度は「民間との均衡を考慮しつつ改定を検討する。」こうなっていますが、こういう特殊法人の役員あるいは職員給与、退職金はガイドラインが現在あるのでしょうか、ないのでしょうか。ないとするならば設けるということを私は検討しなければいけないと思う。  まず、西村長官からこの問題についての総論的な御見解をお伺いして、あとガイドライン云々のことは、御担当の方にお伺いしたいと思うのです。いかがでしょうか。
  68. 西村英一

    ○西村国務大臣 今回の行政改革に当たりましての一つの大きいポイントは特殊法人であることは間違いはございませんが、その特殊法人につきましては、従来いろいろな御批判がありました。法人それ自身がもう役目が済んだから要らないのじゃないか。もう一つは、法人の役職員に対する批判でございまして、天下りが多いのじゃないか、横滑りが多いのじゃないか。もう一つは、退職手当が非常に多過ぎるのではないかというようなことでございます。実は所管といたしましては、特殊法人をつくるとか、あるいは廃止するとかいうことについては、行政管理庁として関与するわけでございますが、役員の任命、その給与、退職手当、そういうようなものについては、私の方は直接に関与しておらない、間接的でございます。責任がないとは言えませんが、間接的でございます。いま仰せのように、どうも退職手当が多過ぎる。  それで現在はその基準がございまして、これは前にやはり閣議決定をいたしておりまするが、役員の任期はおおむね八年、こうなっております。その八年というのは、役員の任期は大体四年が一番多いのです。特殊法人で役員が一年のところもございます。一番長いのは帝都高速度交通営団で一任期が五年でございます。二期やると十年でございます。しかし、おおむね四年でございます。二期がよかろう、こう決めたのでございますが、今回はこれを、その預かりは官房長官でございますが、おおむね二期六年が適当じゃないか、こういうふうに任期の基準を定めようといたしております。  退職金の倍率でございますが、御案内のとおり、これは大蔵省でございます。百分の六十五から百分の四十五に下げました。しかし、一カ月百分の四十五ですから、これを今度はどう取り扱うかということが問題でございますので、これは政府部内でこれからいろいろ相談をいたしたいと思うのでございますが、大変批判を受けておるところでございます。いろいろ後ほど御質問がございましょうから、そのうちに申し上げますが、いまの御質問に対しては、以上でございます。
  69. 中川秀直

    ○中川(秀)委員 認識としては、その基準を下げなければいけないと考えておりますか。
  70. 西村英一

    ○西村国務大臣 基準を下げようかといま相談をいたしているところでございまして、これは私がここで断定するわけにはいきません。大蔵大臣あるいは官房長官等との御相談になると思いますが、何とかしなければならぬのではないか、これだけは皆さん考えておるようでございます。
  71. 中川秀直

    ○中川(秀)委員 大変率直な御答弁で、私は、もう事務当局の方の御答弁は要りません。その方向で厳に御努力をいただきたい、このように思います。  特殊法人のみならず、先ほどの閣議了解の中にある「人事管理面の対策」、いわゆる普通の公務員の定年制あるいは退職の制度あるいは退職金、こういう問題についての見直し、現行制度の見直しあるいは新しい諸施策の導入、これについてちょっとお伺いをしたいと思う。  総論として御担当の方あるいは西村大臣にお伺いをする前に、それは後ほど具体的にこれはどういうふうにお進めになろうとしているのか、もうこれが出ましてから二カ月以上たつのですよ。もう相当御検討は進んでいるように私は理解をしたいのであります。これはどういう方向で実現をなさろうとしているのか、果たして定年制導入までいくのか、あるいは見直すとすればどの点を見直すのか、ひとつお伺いをしたいと思いますが、先に私ども見解をちょっと言わせていただきたいのであります。  いわゆる公務員の退職には、普通退職あるいは長期勤続して退職なさるという場合もある、あるいは法律の上では整理退職、いわゆる肩たたき、勧奨退職と三種類あるわけです。それぞれに皆退職金が違う仕組みになっています。たとえば普通退職を一とするならば長期勤続の退職者には一・二五、四分の一割り増してあげましょう、勧奨退職なら五割割り増しをしましょう、こういうふうな法律の仕組みになっているのですけれども、現実問題として、二十五年以上勤めた国家公務員には、みんな勧奨退職を適用して退職金を計算してくれている。これは、つい最近役所をおやめになった人が、私二、三人会いましたけれども、そうおっしゃっておられる。あらかた全部が勧奨退職。法律の上でも国家公務員等退職手当法の三条、四条でちゃんと普通退職、長期動続後の退職とありながら、事実上この三条、四条は死文化してしまって、実態的には全然動いていなくて、ほとんどがそうでない。全部とは言いませんけれども、ほとんどが勧奨退職というかっこうになっているというふうに聞いております。しかも、この退職金の最高限度額を俸給月額の六十カ月と定めている第六条も、その後の附則改正で四十七年十二月一日に在職している職員は勧奨退職で五割増しにした上、なおかつ二割増しを上乗せするという附則が四十八年につくられております。事実、三十五年以上勤続した職員は最高六十九・三カ月分払われている。これは、民間との比較ということを言われておりますけれども、たとえば今月の「行政監察監査週報」というものによりますと、通産省が勧奨退職制度の確立を強化しようということを決めたのだ、こう書いてある。行政職(一)表には六十歳から肩たたきを強力にやる、行政職(二)表には六十三歳から強力にやるという勧奨制度を軌道に乗せようとしている。なぜこんなことを考え始めたか、理由がある。通産省の一例ですけれども、通産省の場合は高齢者の在職数がいま六十歳から六十四歳で二百八人、六十五歳以上が九十八人。離職数はどうかというと、五十五歳から五十九歳が四十三人、六十歳から六十四歳が二十九人、六十五歳以上が二十九人という統計です。六十歳以上になったってなかなか退職をしない。ずっと続いてしまう。これではいかぬということで通産省はこういうことをやり始めたのだ、こう書いてある。通産省にお尋ねしたけれども、これは事実なんです。  いろいろな役所の勧奨制度を見てみると、行政管理庁は五十七歳ごろからだ、こう言われている。経済企画庁はおおむね五十歳から五十五歳、こう言われておる。大蔵省もしかり。農林省は四等級以上が五十八歳、それ以下は六十歳、建設省は役付と言われる方々が五十八歳、それ以外は六十歳から、外務省は六十五歳、文部省は、文部大臣、六十歳、郵政省は五十九歳、労働省は五十八歳というぐあいに、私がちょっとお伺いをしたところでは各省まちまちなんです。しかし大体平均をとると六十歳ということです。勧奨制度というのはあくまで勧奨であって、法的強制力は全くないわけですが、もし断れば、勧奨を受諾しない職員に対して適宜勧奨を続けるだけなんです。この点は地方自治体はもっと進んでいますよ。  私は、これから本論に入りますけれども、定年制検討の前に、いろいろ民間に学び、地方自治体に学ぶ制度があるのではないかと思う。たとえば京都、昭和四十七年十二月の条例によって、五十五歳以後は一切定期昇給をやらないのです。しかも、五十八歳までを在職期間とすることを決めた。奈良県、四十八年の四月に五十八歳以後の定昇は行わない。福岡市は五十一年に決めたのですが、六十歳以後は退職金、給料ともに下げるというきわめて大胆な方式を採用した。私は、最もスタンダードと考えられるのは北九州方式じゃないかと思いますが、これは五十八歳に達した日の翌日から在職する者の定期昇給は一切行わない。これは先ほどの奈良県とも似ているわけでありますけれども、私がこの北九州の場合が一番スタンダードだと思うのは、五十八歳に達した翌日から定期昇給は行わない、給与改定については毎年の労使交渉とする、退職手当上の措置については、五十八歳に達した翌日までを勤続期間とする、こういうふうに、五十八歳を超えた場合は普通退職とするというぐあいにして、それから以降の者をきちっとしている。私は、行政改革についての新聞の投書は全部切り抜いております。いろいろ出ておりますが、一番多い声は、五十歳前後でやめていかねばならぬエリート官僚を定年まで勤めさせることが国益である。「彼らをして在職中から民間大手企業への天下り先のことを考え、官民ゆ着ともいえる政策の推進に、なりふりかまわず狂奔させていると思うからである。」これは銚子市の四十六歳のある会社員の方の「行政改革構想の一環に、公務員の定年制をとり上げるべきだ。」実際よく働いて能力のある人をすぱっとやめてもらうのはもったいないじゃないか、きちっと定年制にするなり、あるいはいま自治体がやっているような移行的な諸措置を設けてやるべきだ、こういう御趣旨の投書なんです。「定年制がありながら、それでも途中退職して天下りするなら、民間と同様、退職金や年金を減額することが可能となろう。」しかしそういうのがないから、いまはそういうふうになってしまっているわけですね。「勧奨退職扱いで退職金の割り増しが行われているのも納得しにくいことだ。」こう書いてある。  そこでお尋ねになりますが、これも、行政管理庁長官直接の担当でないとおっしゃるかもしれないけれども、行政改革の大きな柱の一つに入っているのだから、その意味で御答弁を願いたいのですが、この問題は、国民のそういう声を受け、せっかく能力のある方々が行政の分野で一定期間までしっかりとお勤めいただくという意味からも、定年制もしくは民間、自治体でやっているような、そういった一定限を設けて、そこから先は、退職金はこうだよとか、定期昇給は行えないよとか、そういう措置をしなければいけない時期にもう来たと思うのですが、これはひとつ、管理庁長官いかがですか、長官の御感想、御見解をお伺いしてから、事務当局に御答弁を願いましょう。
  72. 西村英一

    ○西村国務大臣 お答えいたします。  この定員問題で一番苦心をしたところでございまして、いまあなたがるる申し述べられましたように、現在では定年制がないから各省ばらばらにやっておる。そこで定年制をしいたらどうだ、人生五十からもう人生七十以上になったのであるから、やはりせっかく修めた知識を有効に使うべきではないかという議論があります。したがって、定年制をしくべきではないか、そう言いましても、定年制をしくということは、相当な問題もまた一方にあるわけでございますから、総理府総務長官の所管でございますが、いろいろ相談をして、いま各省でばらばらになっておる、定年に似た、六十歳なら六十歳を、あるレベルに直したい、直してから後に公共団体がいま条例をつくってやっておるようなもろもろのことを法制化したらどうだ、しこうして後に定年制がやがて時代とともに来るのではないかという考え方で、何かわけのわからないような文句になっておるのでございますが、常識的には六十歳ということで、勧奨の年齢も一定させてから後にいろいろな制度をつくる、こういうことではなかろうかと思っておる次第でございまして、私も相談にあずかりまして、こういう文句にしたわけでございます。ステップ・バイ・ステップでやるということでございます。
  73. 中川秀直

    ○中川(秀)委員 大変重要な御答弁だと思いますが、ようやく意味がわかりました。きわめて具体的な御答弁なので、私もびっくりしました。人事局長、その方向でよろしゅうございますね。
  74. 秋富公正

    秋富政府委員 ただいまの行政管理庁長官からのお答え、そのとおりでございまして、人事管理を扱っております人事局また総理府といたしまして、この問題については、すでにことしの三月から取り組んでおるわけでございますが、さらに行政改革の一環としましても、十分積極的に検討を進めていきたいと考えております。
  75. 中川秀直

    ○中川(秀)委員 人事局長、もう一言お伺いしますが、実際に各省の勧奨、肩たたきの始まる時期とか、あるいは六十五歳を過ぎても通産省のようにずっといるとか、そういういろいろな制度の御調査を一度全面的におやりになるべきじゃありませんか。そうでないと、具体的にそうやろうと言ってもなかなか進まないのではないですか。それはいかがですか。
  76. 秋富公正

    秋富政府委員 国家公務員におきましても、いま一般民間の方とよく対比されますのは行政職(一)でございます。これ以外に守衛、小使、運転手さんのような行政職(二)がございます。またお医者さんのような、医療職関係、これがございます。また教育職の大学の教授、助教授、こういうように範囲が非常に広いものでございますから、そういう点をすべて含めまして、私の方としては検討を進めております。
  77. 中川秀直

    ○中川(秀)委員 時間がありませんので、ほかにもまだあるのですが、最後のお尋ねにさせていただきます。  西村長官、九月二日のこのことについて、世間では、竜頭蛇尾という言葉があるけれども、現在の福田内閣の行政改革は竜頭無尾ではないか、最初は非常に勢いがよかったけれども、しっぽもなくなっちゃったということを言う人がいるのです。テレビでもやっているのですよ。私は「別途検討」、前向きにお進めになるということで大いに期待をしておるのでありますけれども、はや二カ月以上たったわけですね。九月二日で、いま十一月十七日ですから、二カ月半たっている。総理は、たしか十一月にはなどと言っていた。その十一月ももうこんなになっちゃったですね。一体これからどうしようとしているのか。  いろいろ書いてある。私は、この方向性は、一つ御注文がありますけれども、それを除いたら非常にいいと思うのですよ。ただ、これがいままでの行政改革と同じく竜頭蛇尾、竜頭無尾に終わって、文書だけで終わる、せいぜいやったところで課や官や室の五%削減で終わる、基本的なことは進まないということでは国民の期待にこたえられない。いままでの行政改革に対する期待どころでない期待が今回の行政改革にあるのです。長官にもそれは十分御認識いただいておるし、御答弁も何回もお伺いをいたしておりますけれども、総論としてどうなりますか、この閣議了解「別途検討」、実際の具体的な詰めは。その辺をひとつお伺いしたい。
  78. 西村英一

    ○西村国務大臣 竜頭蛇尾というのは、ちょっとマスコミ、オーバーじゃないですか。どういうことをマスコミが期待しておったか知りませんが、御案内のように、行政改革というものは、だれも不賛成を唱える人はございません。けれども、具体的にということになりますと、そうはいかないのであります。しかし、せっかく関係省が努力いたしまして九月二日の閣議了解までこぎつけましたし、また昨日は総理から中間報告を求められまして、現在行政改革についてこういう段階になっておりますということを詳しく総理に説明をいたしました。  その中で、第一に、高度の政治判断を求めるもの、それはこういう事項とこういう事項がありますよ。これは高度の政治判断が要りますよ。第二に、いままでやりました要綱の中で事務的レベル、私の程度で考えられるものはおおむねまとまって、いまでも発表はできますよ。第三に、やはり何といっても予算の編成の時期ではやれないものがあります。たとえば補助金のごときは、あれだけの件数を一々私が取り上げて大蔵省とやるわけにいきませんよ。こういう三段階に分けて御説明を申したのでございます。したがいまして、今後その段階に沿いまして、少なくとも予算の編成の時期までには全部を閣議決定に持ち込まなければならぬと思っておるわけでございます。どういう結果になるかはいま予測はできませんが、全力を尽くして国民の皆様方にこたえたい、かように存じておる次第でございます。
  79. 中川秀直

    ○中川(秀)委員 わかりました。大変な御努力が要るとは思いますけれども、ひとつ初心忘れずでお願いをいたしたいと思います。  私は、先日、会計検査に絡む建設省の出先工事事務所の常軌を逸した接待ということを新聞で読みまして、本当にびっくりしてしまったのですが、ここに全国知事会がことしの七月におつくりになった「新しい時代に対応する地方行財政に関する今後の措置についての報告」というのがございます。この中にこういうことが書いてあるのですよ。御必要だったら幾らでもお見せいたしますけれども、五十年度に補助金総額十億円の道路事業をある県が獲得をしようということで、あるいは実施をしようということで非常に努力をされたのです。その十億円の道路事業をするために――これは国道改良事業ですが、県管国道でしょうね。建設省で言えば国道二課というところでしょうな。国庫補助の申請、予算の内示、工法の協議、補助金交付申請手続。申請から内示を経て、工法の協議をして、補助金の交付の申請の手続をして、さらに現地調査をし、設計の打ち合わせをし、計画変更をする。こういういろいろな手続の中で、上京したり、県内出張したりした職員が、あるいはそういった事務に従事した職員が延べ千九百七十二人、出張旅費だけで五千七百万円、いろいろな県内出張やその他の経費で一億八千八百万円の経費を使った。私は、出先から、つまり地方自治体もしくはそういうところから予算獲得のために費やしている国費あるいは地方自治体の税金というのは、本当に異常な金額に上っているということをこのレポートを読んで痛感したのです。十億円の国道改修事業に一億八千万円ですよ。ここに新聞の投書がありますけれども、行政改革というものは、これから地方を無視しちゃいけないし、中央省庁に何もかも権限を集中していることが問題なんだ。これからは、中央省庁から地方自治体への権限の再配分をしなければいけない、分権だ。地方自治のない時代に育ったエリート官僚の発想は時代に合わないのだ。要点だけしか言えないのですけれども、こういうような投書もあります。私は、まさしくこの行政改革の閣議了解の中で一つ欠落している問題意識というのがその辺じゃないかという気がして、しようがないのです。大きく欠落をしている。たとえば、私の本当に貧弱な経験でも、これは文部大臣いらっしゃるから、文部大臣に御関係のあるような予算を言いましょうか。大人の人が夜しかスポーツができないというので、学校を開放して夜間照明をつくりますね。これは国庫の補助の幅がせいぜい一校分三百万から六百万くらいです。各県大体毎年枠が決まっているのです。私のところの広島県は、ことし八校分でしたよ。去年も同じです。大体決まっているのです。その決まっている枠の中で、どこに個所づけをするかということを県にお任せすればいいのに、やはり文部省ですね、全部どこそこに決める。ほんの一例でございますけれども先ほどの、十億円の国道改良に一億八千八百万円も、やれ上京した、汽車賃もかかる、旅館代もかかる、タクシー代もかかる、出張旅費もかかるでしょう。あれやこれやの経費がそのような経費に上ってしまうという、その異常な額を見るにつけ、私はますますいま言ったようなケースを、夜間照明施設ならば各県何校分というだけをむしろお決めになって、後の個所づけは県にお任せになる。実際上そうなんですから、一々文部省のあれは要らないのです。一例でございますけれども、そんな方法をとるべきではないか、そういう行政改革がこれから必要じゃないか、このように思うわけでございます。  もうこれが最後のお尋ねでありますが、その点についての長官の御見解、それから、国会の論戦というのはただ聞きっ放し、言いっ放しじゃだめなんです。いろいろなものを引用しながら私もお尋ねいたしましたけれども、もしも取り入れていただくならば、こうしますというような御答弁をひとつぜひともいただきたい、そのお答えをお伺いして、私のお尋ねは終わらせていただきます。
  80. 西村英一

    ○西村国務大臣 補助金それ自身につきましては、いろいろこれは大蔵省で、極端に言うとゼロからスタートしろというようなことを言っておりますが、そんな極端なこともできませんでしょうが、今度の補助金の問題では相当に厳しく大蔵省も審査すると思います。ただ、その手続の問題ですが、これは要綱にもちゃんと書いてある。一番大事なところです。しかし、なかなか簡単ではございません。したがいまして、補助金の事務については申請から交付から、それから精算をするまでの事務的な手続が大変複雑なんです。それで私は行政監理委員に諮問をいたしております。おおむね来年の三月末日までには、この手続について一定の基準を決めたいと思っております。  いまあなたがおっしゃいましたのは、それは何か特殊の例でございましょうが、どうしても認可しないというやつを認可してくれ、認めてくれ、それで何回も陳情をやるとかなんとかでしょうが、それ以外に補助金の申請、交付、精算が大変なんです。しかもこの組織が、それを一々補助金で通しますと大変ですから、やはり事柄によって本省に行くものと、事柄によって地方の出先機関に任せるもの、こういうような基準をつくるべきではないかと思っておりますので、これは行政管理庁、私の方として委員会に諮問しております。非常に複雑になっております。ぜひともこれは簡素合理化したい、かように思っておるような次第でございます。
  81. 中川秀直

    ○中川(秀)委員 質問は終わらしていただきますが、一度長官、知事会のあれもよく御参考にしていただいて、実例はたくさん書いてありますから、私がさっき挙げたのはほんの一例です。ひとつ御参考にしていただいて、抜本的なメスと改革を加えていただきたい、心からお願いをいたします。  以上、終わります。
  82. 正示啓次郎

    ○正示委員長 午後一時三十分から委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午後零時三十七分休憩      ――――◇―――――     午後一時三十九分開議
  83. 正示啓次郎

    ○正示委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。中西績介君。
  84. 中西績介

    中西(績)委員 人確法に基づく給与法制定に当たって、長い間、今国会、そしてこの二年間にわたる論議の過程を、私は、議事録を通じてつぶさに勉強させていただきました。しかし、内容を検討すればするほど、問題が余りにも多いような気がいたします。そういう法案であるだけに、もう一度私は私なりにこれを整理をして、どこら辺に問題があるのか、この点を明らかにしながら、政府のこの法案提出に当たっての真意を確かめたいと思うわけであります。  そこで、この法案が通過をし、それに基づく給与法案、そして特に、昨年から二回にわたる廃案をして改めてまた提案をしてくるという、こういう経過はまれなことでありますし、いままでの経過と重複するところがあるかもわかりませんけれども、そういう点でわからない点が余りにも多いので、お聞きしたいと思うわけであります。特に学校教育の水準の維持向上のための義務教育諸学校の教育職員の人材確保に関する特別措置法なるものが四十九年の二月二十五日確定されて以降、その内容として出ております中身として、その第三条になるわけでありますけれども、この第三条に示されておりますように、「義務教育諸学校の教育職員給与については、一般の公務員の給与水準に比較して必要な優遇措置が講じられなければならない。」こうなっておるわけであります。この「必要な優遇措置」というのはどういうことを指しておるのか、この点について総務長官にお尋ねしたいと思うのです。
  85. 藤田正明

    藤田国務大臣 人材確保法という名前のとおりでございまして、人材を確保するために、ただ単に給与だけの問題ではないと思いますけれども給与の方も一般の公務員に比較して優遇をしよう、こういう趣旨であります。その内容に関しましては、もう先生も御承知のとおり、第一次、第二次、第三次にわたって、その当時のベースからすれば二五%増していこう、こういうことでございます。
  86. 中西績介

    中西(績)委員 そういたしますと、この二五%なるものの指摘をしたわけでありますが、当時のベースの二五%、この金額の内容、優遇措置の仕方はどういう中身で確認をされたのか、またどのように理解をしておるのか、この点をお伺いしたい。
  87. 諸沢正道

    諸沢政府委員 御指摘のように、三条をもちまして一般の公務員に比較して必要な優遇措置を講じなければならない、四条でこれを受けまして、その趣旨を体して人事院内閣及び国会に対して必要な勧告をしなければならない、こういうことになっておりまして、なお附則の二項にございますように、この優遇措置をするに当たっては、国は財政上計画を立てて実施しなさい、こういうことになっておるわけでございます。  そこで、法律全体の考え方からいたしますならば、これは恒久立法でございますから、さきに申し上げました三条、四条の関係は、今後恒久的に考えられる措置であります。しかし、とりあえずこの法律施行に伴って法律の趣旨を実現するためには、附則にございますように、財政上計画を立ててやりなさい、こうなっておるわけでございますので、その財政上の計画のめどとして、当面三年間で四十七年度の給与ベースをもとにして二五%の引き上げを図ろう、こういうのが法律立案当時の考え方でございます。
  88. 中西績介

    中西(績)委員 その際の、二五%引き上げるということについてはわかりますが、その引き上げの中身です。どういう方法でもって――国が財政措置をしなくてはならぬし、そしてそれに基づく内容については一応人事院なりが勧告をする、こういう措置になっておりますけれども、その中身です。本俸なのか、給与表に基づくものなのか、それともその他の措置でもってやるのか。ここいらについては、どのように理解をしておるのか。
  89. 諸沢正道

    諸沢政府委員 いまの法律ができます前に、文部省には教員等待遇改善研究調査会を設けまして、具体的処遇改善のあり方について御検討をずっと願っておったわけでございます。そうして法律が制定されました段階で、いま申しましたように、具体的な改善の中身は人事院勧告によることとなりましたので、文部省としましては、いまの研究会に御研究を願った中身を文部省において改めて検討をし、具体的に改善の中身についてこれを人事院に申し上げ、こういう点について改善をお願いしたいと申し入れをいたしまして、それらを前提として人事院において具体的に、いま御指摘のような本俸にするか、あるいは手当にするかというようなことも含めて御検討の上今日まで勧告をいただいておる、こういうふうに考えております。
  90. 中西績介

    中西(績)委員 この法案ができ上がった際に、少なくともこの点についての確認がなされなくてはならなかったのではないかと思うのですね。でなければ、ただ単に優遇措置ということだけでもって、それを今度は人事院勧告をする、そしてその財政上の措置については国がやる。この法がつくられる過程の中ではこの優遇措置なるものが大変重要な課題になるわけでありますから、この点がいま言うようなことでもって決められていったかどうか。いま初中局長は、事後の措置については指摘をされたわけであります。しかし、これが策定をされる以前に、どういう中身であったかということが、「講じられなければならない。」と決められておるわけでありますから、優遇措置の方法についてどのような中身があったのか。その当時、文部大臣なりいろいろと折衝する立場にあったのではないかと思われますので、この点、どのように考えられておったのか、明らかにしてほしいと思います。
  91. 諸沢正道

    諸沢政府委員 先ほども申し上げましたように、法律が通りましてから、四十九年の三月と五十年の同じく三月、二回にわたりまして文部大臣より人事院総裁に対してこの具体的改善の中身としてこういう点を十分御留意願いたいということを申し入れてございます。それがいわば文部省として考えておった中身であろうかと思うわけでありますが、具体的に申し上げますと、四十九年三月の段階では、初任給を含め教員一般俸給表改善の問題であり、特に一定の経験年数を経ますと、教員一般公務員では俸給表が交差をしてしまう、そういう点の改善をお願いいたしたわけであり、これらの義務教育学校教員改善と関連して、幼稚園、高等学校教員給与改善してほしい、こういうことを申し上げております。  さらに五十年にまいりますと、いま申しましたような俸給表改善に加えまして、教頭が法制化されたことに伴いますところの教頭給与上の処遇の改善、あるいは主任の規定の整備と相まって給与上必要な改善をしていただきたい、あるいは部活動手当等の特殊勤務手当支給範囲の拡大といったようなことを、簡単に申し上げますと、含めてお願いをしておる、こういうことでございます。
  92. 中西績介

    中西(績)委員 はっきり制定される際に、その内容についてということを指摘をしますけれども、この点については、その事後、法案ができ上がった後に措置をした事柄について、いま文部省の態度としてはしかじかこういうものを要求をしたいという言い方しかないわけなんですね。そこに私は問題があると思うのですね。  と申しますのは、この法案については、全党一致でもってつくり上げられたものであるということ、そして特にその附帯決議として出ておる中身を見てみますと、「この法律における教育職員給与改善は、現行給与体系に基づいて行なうこととし、いわゆる五段階給与制度はとらないこととする」、こういうことが入っておるわけであります。少なくとも、この法案が策定されるまでの過程の中にいろいろ話があって、その結果このような附帯決議がついたものと考えるわけです。  そして、さらにまたもう一つ申し上げますならば、同じ時期にやはり問題になりました文部省日教組との話し合いの中で、文部省日教組に回答した内容があるわけでありますけれども、この内容を見てみましても、教職員給与について十一月五日付で日教組から文部省に発せられ、そして四十八年十二月四日にこの回答があっておるわけです。その中にも、「その際、行(一)との逆較差の解消、初任給の引上げ、昇給間差額の改善最高号俸の引上げについて努力したいと考えております。なお、この改善はいわゆる五段階給与考えているものではありません。」こういうように、この教職員給与について回答した中身の中にもこのようなことが明確に示されておるわけであります。  後で触れますけれども先ほど初中局長が言われた、この文部省から人事院に出された要請書なりその内容については、いま私が読み上げた部分を否定するかのような中身が加わっておるわけですね。そこに問題があるわけでありますから、この特別措置法なるものが策定をされる際に、この第三条の「必要な優遇措置」というものについての内容が具体的に討論され、確認され、お互いにその点については話し合いがなされていった、このように、私は少なくとも、いままで長い間聞いてきた内容としては確認をしておるわけであります。  それとあわせましてもう一つございますのは、これを策定する過程の中で、いろいろなところでの話し合いがなされたわけでありますけれども、やはりこういう附帯決議をつける場合には、それぞれ党間における話なり、あるいはこの委員会における話なり、そういう過程があるわけでありますから、その過程の中におきましても、少なくともこの法律に基づく教育職員給与改善に当たっては職員団体と協議をしてやるのだということまで付していろいろ論議がなされ、確認がされてきておるはずなんです。ですから、少なくとも先ほど初中局長から回答があるような、事後になってそのことが論議され、策定されたということではなくて、事前にそういう問題が明らかにされ、そして「必要な優遇措置が講じられなければならない。」ということが条文としてここに明記された、このように私は理解をするわけであります。そういう意味で、この点について、この関係のわかっておられる方、総務長官でもよろしければ文部大臣でもよろしいし、あるいは人事院でも結構ですが、この点をもう一度明らかにしていただきたいと思います。
  93. 諸沢正道

    諸沢政府委員 繰り返してお答え申し上げますが、ただいま日教組要求書との関連で御指摘がございましたが、お読みになられましたように、四十八年の十一月三十日、つまりまだ人確法が成立しておりません段階におきまして、日教組の方からの御要望もあり、文部省改善の具体的考え方を申し上げたわけでありますが、その際、いま御指摘のように、一つは行(一)との逆較差の解消、もう一つは初任給の引き上げ、三番目が昇給間差額の改善最高号俸の引き上げ、こういうものについて文部省としても努力したいというふうに申し上げ、そのことが、先ほど申し上げましたように、教員等待遇改善研究調査会の結論としても同じようなものをいただいて、まさに同じようなことを人事院に要望したものでございますから、その間の関係はずっと一貫しておるわけでございます。  それから附帯決議の関係でございますが、この法律が成立するに当たりまして附帯決議をいただきました中の四項目につきましては、いずれもその御趣旨を体し、今日まで努力をしてきておるという関係にあるわけでございます。  なお、第三点といたしまして、政党間の方のお話として、改善に当たって職員団体等の御意見も聞くというような御指摘があったように伺うわけでございますが、党間のお話につきましては私ども存じておりませんので、お答えは申しかねるわけでございます。
  94. 中西績介

    中西(績)委員 いま言われました行(一)との逆較差の解消、初任給の引き上げ、昇給間差額の改善最高号俸の引き上げ、こういうことになってまいりますと、先ほど私が申し上げましたように、その中身は、措置としては俸給表ですべて済むのではないでしょうか。この点人事院にお伺いしたいと思います。
  95. 角野幸三郎

    角野政府委員 お答えいたします。  いま初中局長から御答弁のありました中の第一次改善の部分について申し上げますと、これは初任給、それから交差点の引き上げ、最高号俸ということで、いずれも本俸的な、それまでの教育職日表と行政職(一)表との間の制度線で見ました交差の状態、水準の状態を考えまして、俸給表改善ということですべて措置したのが第一次改善でございます。  それで、第二次改善は、第一次改善に引き続きまして、また、それから文部大臣から第二次、第三次改善を含めての御要望事項を受けとめました後でございますけれども、第一次改善に引き続きまして、俸給表の上で是正をいたしました。ただ、それだけではございませんが、そのほかに手当の措置を加えております。これは義務教育等教員特別手当という手当法律上創設いたしまして、これによって人材確保法の趣旨に沿う水準を維持する手当であるということで、二次改善のときに勧告内容といたしておりまして、これで四%相当分の水準を引き上げておりますとともに、それ以前に本俸においても三%の引き上げをいたしております。合わせて第二次改善は七%ということにいたしておりますが、これは一次も二次も、それから三次もいずれもそうでございますが、財政上計面的に措置するという附則の趣旨に沿いまして三回とも予算措置がなされておりまして、その予算措置を踏まえまして教員給与改善というその配分の内容人事院として措置したということでございます。  それで、第二次改善のとき以降本俸以外の改善が加わってまいったことはどういうことかというお尋ねかとも思いますが、それはやはり人事院といたしましては、教育職以外に一般職給与法のそのほかの職種を全体お預かりいたしております関係上、全体の関係を踏まえまして、たとえば税務職とか公安職でございますとか、いろいろございますが、その辺の本俸上の均衡ということを考えまして、そういう仕分けにしたわけでございます。
  96. 中西績介

    中西(績)委員 いま説明をお伺いしますと、この附帯決議そのものからいたしますと、行(一)との逆較差の解消、初任給の引き上げ、昇給間差額の改善最高号俸の引き上げ、第一次については確かにこのような本俸を引き上げることによって、その措置がなされた。ところがいまお答えになったように、第二次の場合におきましては、文部省から教員等待遇改善研究調査会の給与改善を中間報告として出させて、その出てきた内容人事院に要請したという、五十年の三月になるわけでありますけれども、そういう措置がされたために、今度はそれにこたえて人事院としては第二次としては俸給表改善と、そしてこの手当の面で措置をしていった。また第三次になると、そのことがさらに深化していったというように理解をしてよろしいのですか。
  97. 角野幸三郎

    角野政府委員 お答えいたします。  一次、二次、三次改善を通して見るという見方をいたしますれば、そういうふうな変化をたどっておるということは事実でございます。それをもう一度振り返って申し上げますと、第一次改善によって、本俸上義務教育の先生方給与水準は相当上がりました。第一次の改善で従来の一般行政職に比べます水準関係というのは、非常によくなったわけでございます。それでその上に第二次改善分として当初予算上一〇%、実行段階ではべースアップをくぐりましたので七%に相当いたしますが、その上にさらに七%全体を本俸改善によって継ぎ足すといたしますと、先ほど申しましたように、一般職のほかの職種との間に本俸上の差が非常にできるわけでございます。本俸といいますのは、これはいわば基本的給与でございまして、お金の高さであると同時に、基本的な格とでも言いましょうか、そういう高さを表現するお金の関係と、それ以外に基本的な高さを示すという関係にございます。したがいまして、これはほかの俸給表なり職種と比べますときには、そういう関係が本俸を上げることによって出てまいります。しかしながら一方、人材確保法によって、他の一般の公務員に対して水準を上げるという要請がございますので、そこで特別手当を創設いたしまして、これによって水準を維持する、そういうことでやったわけでございます。そういうことでございまして、水準を維持いたしますが、すべて本俸ではなくて、それ以上は本俸プラス手当ということで継ぎ足しでやったわけでございます。そういうことで、ほかの職種との本俸的な均衡を維持したということでございます。
  98. 中西績介

    中西(績)委員 この特別措置法なるものは、第三条にありますように「一般の公務員の給与水準に比較して必要な優遇措置が講じられなければならない。」ということで、これはもういまの高さを示すとか基本的給与、そのことで推しはかるとかいうことでなくて、少なくとも高くするわけでありますから、高くなるのはあたりまえのことでありまして、低くなるわけじゃないわけですよ。当然のことなんです。そのことを当然としてこの法案の中に盛ったわけです。ところが、いま人事院の場合には、基本的給与であるので、これは高さを示す。そうすると、一般職の場合と比較をしてみた場合に、教員の場合には高過ぎるということを言うわけでしょう。ところが、この措置法がつくられる思想は高くするということは当然のことであって、そのことをまず見落としておるのではないかと私は思うのです。ですから、その措置を今度する場合に、いま言われる特別手当なりという措置をとっていきました、こう答えているわけですけれども、この特別手当を措置しなくてはならなかったというのは、いまあなたが言ったから人事院考え方はわかりましたけれども、いま言う当然高くしなければならぬというこのことが一つ抜け落ちているのではないかと思うのです。まだ均衡論をすべてそこには考え、措置をしていこうという前提があって、この優遇措置というものを考えていったのではないか、この点はどうなんですか。
  99. 角野幸三郎

    角野政府委員 お答えいたします。  一次、二次、三次、いずれもそうでございますが、「財政上、計画的に」ということで、まず予算措置がなされてございます。それでこの予算措置がなされておりますその内容、それの配分を人事院勧告するわけでございます。それで、いずれもそれだけの財源を用いて、教員給与を高くするということでございます。ただ、高くいたしますその内容給与構成といいますか給与種目を考えますときに、そのお金を本俸で使うか、手当で使うかということでありまして、いずれにしても、給与水準は、その財源措置に見合うだけの制度としての高さだけ高くなるわけでございます。  それでどの給与をどういう内容の配分にするかということはかたがた一方で文部省から一次、二次、三次、それぞれ御検討いただきました結果を踏まえて大臣から御要望いただいたわけでございますが、その線に沿って改善をした、こういうことでございます。
  100. 中西績介

    中西(績)委員 それではちょっとお伺いしますが、予算措置をしたその中身、内容、これは予算措置されたときに、そういう制度的なものを含んですべてのものが織り入れられた予算措置がなされておるのですか、その点をお伺いします。
  101. 角野幸三郎

    角野政府委員 予算策定の段階のお考えは直接には私がお答えすることではあるいはないかもしれませんが、策定段階におきましては、中身を人事院勧告をするというつながりになっております。それを踏まえて、予算がありましたが、その勧告がない段階でございまして、一応計上されるその時点におきましては、そういう給与の中身がないという関係もあって、俸給表で、本俸で算定されるということがあろうかと思います。
  102. 中西績介

    中西(績)委員 問題はそこなんですよ。当初この法案がつくられたときの「必要な優遇措置」、そしてそれの予算化する基準はどこに置くかと言うと、先ほど答弁されたように、本俸ですよ。その当時のベース、それに基づく二五%措置をするというのが前提なんですね。ですから、予算措置はあくまでも本俸に対して予算措置をしてきた、このように確認をしなければならぬと思うのですよ。この点を予算措置をし、要請をしたその案を作成した省庁があるのなら答えてください。
  103. 諸沢正道

    諸沢政府委員 最初の年に一〇%、次の年一〇%、最後五%、こういうことでありますが、それは本俸の一〇%ではなくて、本俸の一〇%相当額を予算として計上し、その予算に計上された額を目安として具体的中身を人事院が検討なさって勧告をする、こういうことで予算を計上したわけでございます。
  104. 中西績介

    中西(績)委員 ですから、本俸に基づいてやるわけでしょう。予算措置はやっているわけですよ、計算上は。相当するという言葉が入ったといたしましても、これは少なくとも先ほどから申し上げるように、四十八年の十二月四日の文部省の回答、そしてその間における、この法案を設定するに当たってのいろいろな委員会での話し合い、そういう中身というのは、少なくともこの「いわゆる五段階給与制度はとらない」という、このことが確認をされた上で、この本俸相当額のものを予算措置をし、そしてそれを内容的に整備をしていくという中身になっておるということは否めない事実なんですね。このことについて文部省は否定なさるのですか。
  105. 諸沢正道

    諸沢政府委員 重ねて申し上げますが、二五%というものは、本俸の二五%引き上げというふうには了解しておらないわけでありまして、たびたび申しますように、予算要求に際しまして、金額として本俸の一〇%相当額を改善に要する経費のめどとして計上いたしまして、それを念頭に置いて人事院において具体的改善内容を検討していただくということでやってまいったわけでございます。
  106. 中西績介

    中西(績)委員 それでは、五十年の三月七日に人事院へ「教員給与改善について」という要請、これを出しておりますね。そうしますと、この中身というのは、先ほど私が申し上げたように五段階給与、これを考えてないという確認の上に、そして先ほどから何回か申し上げるように、「行(一)との逆較差の解消、初任給の引上げ、昇給間差額の改善最高号俸の引上げについて努力したいと考えております。」こういうふうになっているわけですね。文部省日教組に回答したその中身、それ以外に言えというと、「幼稚園教員にも教職調整額を支給することについては、人事院にも強く要望し、」とか、あるいは「実習助手の給与改善については、」同じように措置をせいとか、あるいは「学校事務職員俸給表上の優遇措置についても」云々、あるいは「現業職員の」というように書いてあるけれども先ほどから申し上げるように、あくまでも教員の場合におきましては、そこに書いておりますように、「教職員給与改善については「学校教育の水準の維持向上のための義務教育諸学校の教育職員の人材確保に関する特別措置法案」の提出からも判断できるようにその抜本的な改善を図りたいと考えており、その際、」先ほど申し上げる「行(一)」云々から始まって「最高号俸の引上げについて努力したいと考えております。なお、この改善はいわゆる五段階給与考えているものではありません。」こういう文章が入っているわけです。このことを否定されるのですか。
  107. 諸沢正道

    諸沢政府委員 ただいまお読みいただきましたように、四十八年の十一月三十日の日教組に対する回答では、おっしゃるとおりのことを申し上げたわけでありまして、その事実は否定するものではございません。ただ、これをやりました次の段階として、具体的改善内容にはいろいろ文部省として考えておるわけでございますから、いままで申し上げましたように、諸手当の問題もこの後に出てきたわけでございまして、日教組に回答しました中身は、その通り否定するものではございません。
  108. 中西績介

    中西(績)委員 それでは、日教組にそのように回答した、その後に出てきているわけですから。ではそのことは、この回答書なるものは正式に破棄をした、こういう事実はありますか。
  109. 諸沢正道

    諸沢政府委員 この回答を破棄した事実もございませんし、私ども給与改善で回答した事柄だけしかやらないとは言っておらないわけでございます。
  110. 中西績介

    中西(績)委員 ちょっと私、言いようがなくなったのですけれども、少なくともこの特別措置法、これを正式に国会でもって策定をされて、それに基づいて附帯決議もつき、その附帯決議は、少なくともいま言うような中身と大体同じ中身でもって附帯決議がつけられておるわけですね。しかも、この人確法の附帯決議は、いま言ういろんな長い間の話し合いの中でそれができ上がり、そうして正式のものとしてそれが回答され、その回答されたものについては、この人確法以外のものがこの内容としてされているならいざ知らず、人確法にかかわる問題としてこれは回答されているわけです。そうすると、いま言われましたように、この文部省の回答は破棄はされてない、生きているわけですから、その後に今度別のものが出てきたというのは、そういうことについては、回答してないから出すのはあたりまえだというような言い方になっていますけれども、そういうことになってくると、お互いの信頼関係なんというのはどこにあるか、こういうことになってくるし、この人確法そのものを文部省自体が否定をするということになるし、また立法府でこのことを、措置法なるものをつくり上げ、具体的中身についてまで触れながら附帯決議をつけておるわけです。それに対するそれは挑戦じゃないですか。否定じゃないですか。
  111. 諸沢正道

    諸沢政府委員 四十八年の十一月に、いまの日教組に対する回答を出しました段階で、御要望になりました点については、いま申し上げるようなふうに考えますという回答をいたしまして、その後もそのとおりに検討してまいったわけでありますが、一方、四十九年の二月に人確法が成立をいたしまして、これを三年次にわたって実現をしていくという段階になりまして、まず第一年次においては、いまの要望の内容を主眼とした要請を人事院にしたわけでございますが、この間、文部省における調査会でも、さらにその後の改善はどういう点に置いて検討すべきかという御検討を願って、先ほど来申し上げたような中身の御回答を得たもので、それを五十年の段階になりまして、また人事院に要望したわけでありますから、決して裏切り行為とか背信とかいうようなことではなくして、人確法に基づく改善内容をさらに拡充整備するということでやったというふうに御理解いただきたいと思うわけでございます。
  112. 中西績介

    中西(績)委員 附帯決議の中身、人確法の制定、そしてそれより以上に拡大をするということになりますと、では、何でもこれはできるということですね。ですから、私がいままで申しておりますのは、先ほど申したでしょう。第三条における「公務員の給与水準に比較して必要な優遇措置が講じられなければならない。」その「優遇措置」とは、先ほどから言っておるように、問題になりそうだからこそ、「教職員給与等について」ということで文部省から回答をいただいた。その中身としては、ここにあるように、先ほどからもう何回となく私が申し上げたように、(一)から(五)までそれぞれの問題をやるということになっておるわけなんです。これからはみ出て解釈をしていくということになりますと、では、この「優遇措置」というのは何かということが明確にされておらなかったかとぼくは言うのですよ。  ところが、このことについては、先ほどからいろいろ言っておるように、あくまでもこの当時には明らかにせずに、後になって、先ほど言っておるような教員等待遇改善研究調査会の設置、その中間報告なり報告を求めて云々ということになっておるわけですね。ですから、問題はそこにあると私は思うのです。拡大解釈をし、勝手に自分でいいようにしていくということになりますと、法案をつくるときに、よかれかしと思って皆さんが全党一致してこれをつくり上げている。ところが、後になってどんどん拡大をして、しかもここに書いてあるような回答したこととは全く無関係、大変外れた中身のものをここにつけ加えて人事院に対して要請をする、こういう措置をしておるところに問題があるわけですよ。  総務長官、いま私が申し上げたように、この問題はどこら辺にあるかということ、そして出発時点から、総理府なり総務長官は提案権があるわけでありますから、この給与法案なるものを提案していくわけでありますが、その際の大きな問題というのは、そういうところから二回にわたって廃案になるという事態、少なくとも五党なり六党なりが一致してつくり上げたものでありますから、これはいまのような拡大されて、お互いに確認されたことから外れておるようなところをどんどんやっていくところに問題があるからこそ、このような事態が出てきておるということがおわかりになりましたか。その点、お答えください。
  113. 藤田正明

    藤田国務大臣 意見の相違があることはよくわかりました。意見の相違があることはよくわかりますけれども政府の方といたしましては、文部省なりの要望によって人事院がいろいろと研究されたあげく勧告をされてきたことでございますので、給与法の提出をする政府また総理府といたしましては、それを取り上げて提案をさしていただいたわけでございます。
  114. 中西績介

    中西(績)委員 このように二回にわたる廃案、そしてこういう混乱の事態というのは、あなたがおっしゃる意見の相違、このことが原因であるということはおわかりになったわけですね。
  115. 藤田正明

    藤田国務大臣 意見の相違といいますか解釈の相違といいますか、そういうことがあることはわかりました。
  116. 中西績介

    中西(績)委員 時間の関係がありますから、これをいま確認をしていきますと大変長く時間がかかりますので一応おきますけれども文部大臣、いまのような初中局長そして総務長官答弁にありますように、この教員給与改善については、このような事態がある中で行われておるということ、そのことについては、おわかりになったわけでしょう。
  117. 海部俊樹

    ○海部国務大臣 そのとおりだと思います。
  118. 中西績介

    中西(績)委員 そこで問題は次に移りますが、教員給与改善について五十年三月七日出された中身というのは、ここに書いてありますように、「記」の1のところに「その職務責任に見合う処遇を確保する見地から行うことを基本とすべきである。」という、ここから出発を誤っておるわけです。そして2のロのところに「学校教育法の一部改正により教頭職が法制化されたことに伴い教頭の処遇をその職務責任にふさわしいものにし、あわせて校長の処遇を適正なものとするよう現行俸給表の等級構成を改善すること。」そしてその3のイに「校長及び教頭管理職手当については、学校の規模等を考慮してその改善を図ること。」ロに「教務主任、児童生徒指導主任学年主任等の職務担当する教員に対しては、」云々、こういうようなことがずっと盛られてくるわけであります。ですから、先ほど初中局長なりが答弁しておるその中身というのは、日教組との話し合のい段階あるいは確認された段階、そこで文書でもって回答されたその中身、それからさらにはみ出たものがこの研究調査会から中間答申なりがなされたということによってそういう要請をしていった、そしてそれを今度は人事院が受けて、そして第二次の、三次のということになっていったということを言っておるわけです。  そこで問題は、何と言い逃れようとも、少なくともこの附帯決議なり確認書は破棄はいたしておりませんから、その中の「いわゆる五段階給与制度はとらない」、あるいは「いわゆる五段階給与考えているものではありません。」という中身、これが二次から三次にかけて次々に出てきておるということですね。この分、確認された部分を破っておる。そのことはおわかりになりますか、文部大臣
  119. 海部俊樹

    ○海部国務大臣 国会の附帯決議の中にもそのことが出ておりますので、国会の附帯決議に出ておる五段階給与という問題でまいりますと、私も前大臣から引き継ぎを受けますときに、この主任制度の問題についてのお考え方も十分に聞いたのですけれども、要するにいわゆるえらい人をつくるのじゃない、管理職をつくるのじゃない、指導調整連絡助言をする、学校教育活動を生き生きとしたものにする、その職務責任に何らかの処遇をしていかなければならぬという、この考えがどうもうまく理解していただけないようだ、これは何とか誤解を解いていただいて、その点がわかってもらいたいものだということを永井さんが私に十分言われて、この主任制度というのは、いわゆるえらい人とか、そういう職階をつくるものじゃないのだということを、海部さん、あなたもよく理解しておいてくださいとさんざん言われておりますので、私は、いまおっしゃるようなことにはならない、こう理解をしております。
  120. 中西績介

    中西(績)委員 それでは、現在は何段階の給与ですか。
  121. 海部俊樹

    ○海部国務大臣 詳細にわたっては政府委員から答えさせますけれども教頭先生の格が一級というのに上がってきたときに、校長先生教頭先生の間が同じではいけないから、たしか特一級という呼び方だったと思いますが、校長先生を処遇する段階がある、それから一般の教諭の俸給がある、それから助教諭というのがある、私の理解では、三段階もしくは三段階のうちの一つが複合的に存在するものだ、こう思っておりますが、正確な表現は政府委員からお答えをいたさせます。
  122. 諸沢正道

    諸沢政府委員 教頭が法制化されまして、一つの職として法律上規定されましたのが四十九年であったかと思いますが、それ以前から文部省としましては、教頭管理職としての職務内容に照らしても、ふさわしい処遇にしてほしいということは人事院にお願いをしておったわけでございます。  そこで、その段階では俸給表は一等級、二等級、三等級であり、一等級が校長、二等級が教諭、三等級が助教諭、こういうことでございましたが、たまたま教頭が一つの職として確立いたしましたので、教頭を一等級に格づける、こういうふうなお願いをしたわけであります。そうなりますと、校長教頭二つの職種が一つの等級に格づけされる、こういうことになりますので、校長については特一等級を設けよう、こういうことで学校先生についても特一等級、一等級、二等級、三等級、四つの等級に人事院においてされたというふうに聞いておるわけでございます。
  123. 中西績介

    中西(績)委員 いろいろ言われておりますけれども、四段階になっていることは、はっきりしているのではないですか。四段階でしょう。お答えください。
  124. 諸沢正道

    諸沢政府委員 御指摘のように、四つの等級に分かれております。
  125. 中西績介

    中西(績)委員 ですから、この附帯決議なり何なりが設けられたり、確認書が交わされたり、その関係の中では、五段階ということは指摘をしておるわけですね。その当時の給料表は三段階です。ところが、今度は四段階になったということはお認めになったわけですから、五段階に一つ近寄ったということは否定されないと思いますが、その点はどうですか。
  126. 諸沢正道

    諸沢政府委員 教頭の法的な位置づけをそのままにして四つに分けたというのではなくして、いまも申し上げましたように、教頭を一つの職として新たに法律上位置づけた、そのことの効果として四つの給与に分かれたわけでございますから、単にこれを従来のままで四段階にしたということではないと思うのでございます。
  127. 中西績介

    中西(績)委員 へ理屈を言ったらいかぬですよ。ここにも書いてありますように、「現行給与体系に基づいて行うこと」とあって、その中で「いわゆる五段階給与制度はとらない」、こうなっているわけですね。ですから、現行の給与体系、それにあなたが言われるように、一つの職を設けてそれを入れていったわけでありますから、これは明らかに四段階であることは事実じゃないですか。ですから、そのことの論議はもういたしませんが、そのように四段階になったことは事実なんです。  これをいま振り返ってみますと、私が五段階にこだわるのはなぜかと言いますと、まあ考えてください。昭和三十二年に教頭が省令化されて、管理規則が制定されましたね。そして三十六年に教頭管理職手当なるものがつきましたね。校長の場合には三十五年ですね。そして四十一年に非組合員化しました。国内法の改正です。そこで、この問題が出てから、四十九年に教頭の法制化がされたわけです。学校教育法の中に位置づけられました。法律化されたわけです。そしていま言うように、管理職手当もそうだし、給与上も一等級に格づけをしていくという体制がとられたわけですね。そして今度は、五十年になってから、これは後で申し上げようと思っておったのですけれども主任制度が省令化されたわけですね。いわゆる学校教育法の施行規則を改めまして、それに基づいて管理規則制定を指示、通達をしておるわけですね。そして今度は、第三次の中にありますように、教育業務連絡指導手当というのが五十一年三月の勧告の中に明らかになってきたわけですね。呼び名は違うけれども教頭の省令化、そして管理職手当、そしてそれが今度は法律化されたと同じように、全くパターンは同じですよ。今度は主任が省令化され、名称は異なるけれども手当が五十一年にはつくという。その次は何ですか。大体出てくるのは法律化か何かなくてはならぬように、過去の歴史的な過程、これが全部立証するような中身になっているじゃないですか。ということになれば、この手当というのは五段階につながっていく、こういうことにしか受け取れないのじゃないですか。私はへ理屈をこねるのではなくて、常識的に物を言うならそうなるだろう、全くパターンが同じなんですね。その点をどのようにお考えなのか。私の言っていることが間違いなら間違いということを指摘してください。
  128. 諸沢正道

    諸沢政府委員 教頭学校教育法の施行規則で省令化し、さらに管理職手当をつけたわけでございますが、この場合は、あくまでも、教頭というものの性格を、校長を補佐して校務を整理するという管理職的な性格を規定の上におきましても明らかにし、それにふさわしい管理職手当支給することとしたわけでございます。  しかしながら、今回の主任制度化につきましては、御承知のように、主任という職務は決して管理職的なものではなく、学校教育活動を円滑に運営するために連絡調整指導助言をする、こういう性格づけを省令においてもはっきりしたわけであり、したがって、それにふさわしいような手当をひとつ検討していただきたいということで人事院にお願いをし、現在のところでは、それを特殊勤務手当という形で考えておるということでございますが、この経緯から見ましても、教頭主任ではその職務内容、またそれに対する報酬の仕方というものも違っておりますので、教頭と同じふうには考えていないことをひとつ御理解いただきたいと思います。
  129. 中西績介

    中西(績)委員 それは先ほど申し上げた教頭の省令化あるいは管理職手当法律化、こういう過程の中で、管理職ではないということは絶えず言われてきたことなんですよ。なのに終局的にはそのようになってきて、全く同じパターンをいま歩いているということを私は指摘申し上げたのです。ですから、そうでないということは言い切れぬと私は思うのですね。だれも保証しないのです。むしろ、さっきの答弁からいたしますと、先ほどの附帯決議、そして日教組に対する回答書、そういうものから大きく踏み出していくという、そういうことを平気でやっていくわけでありますから、このことは当然として私たちには受けとめられる。このことについては、いま時間がありませんから、もう深入りはいたしません。  そこで、もう一つ私はお答え願いたいと思いますのは、この二次勧告に基づいてはっきりしているのは、校長に対して特一、それは二分の一の校長に対してですね。それから教頭に対して一等級、四分の三程度、さらにまた管理職手当を一二%、一〇%、こういうことが二次勧告の中に明らかに出てきたわけであります。先ほど人事院の方の答弁の中にありましたように、いわゆる俸給表を引き上げていくということに対して、基本的給与が高まるということは高さを示すことであるから、手当をつけるということでもって特別手当四%がつけられた。ところが、そのときにまた附帯決議がついていますね。第二次財源配分教員給与改善に関する給与法改正、衆議院内閣委員会附帯決議が五十年の三月二十五日に決議されています。それを見ますと、「教育水準の維持向上をはかるためのものである」ということで、「人材確保に関する特別措置法の趣旨に沿つて、広く教育界に有為な人材をあつめ、教育水準の維持向上をはかるためのものであるが、今回の改善内容については不充分な点が認められる。従って政府および人事院は、給与法改正人事院規則の改正にあたっては、次の諸点を十分考慮すべきである。」その一として「教員給与体系の改正に伴い、一般教諭についても一定の資格と教職経験年数を勘案して一等級を適用できる途を開くこと。」こういうものがついていますね。ですから、あくまでもこの措置法がつくられたときのねらい、そしてこの附帯決議の中身、すべてどこにあるかと言うと、結果的には、このことは本俸を、俸給表を引き上げるという中身になっておるわけですよ。いま言うように、校長あるいは教頭とかいう職階的なものをつくるのではなくて、むしろその点が欠けておるということでもってここに附帯決議なるものをつけておるわけですね。この点はどのように御理解しておるのか、それを人事院から答えて下さい。
  130. 角野幸三郎

    角野政府委員 お答えいたします。  先生指摘の附帯決議でございますが、まず第一点の、一般教員についても一定の資格、経験年数を勘案して一等級を適用できる道を開くことというのがございます。これは、教員俸給表の運用の問題として、宿題にされておる俸給表上の問題でございます。  その次にございます。たとえば産振、定通の関係者に対して義務教育特別手当支給する、これは併給排除というような関係にいたしておりましたものを、併給ではございませんが、除外しておりましたものを支給してやるようにというような関係手当としてそこに出てございます。  二次改善内容は、法律そのものも手当が含まれておりますし、附帯決議にもいろんな多面的な関係が含まれておると思いますが、第一番目の問題については、おっしゃるとおり、俸給表の運用の問題でございます。
  131. 中西績介

    中西(績)委員 この問題は、少なくとも改善内容について不十分な点が認められるということを指摘しておるわけでありますから、この点についていま申し上げたように、やはり一般教員の賃金を引き上げるということを重点にかけて要請をしていったという経過があるわけですね。ですから、あくまでも第二次あるいは第三次に出てくるような内容であってはならないということは、このことをもってしても明らかなんですね。  そこで問題は第三次に移りますけれども、第三次の給与法について見ますと、幾つもの問題がこの中には内包されておるわけであります。先ほどから何回か申し上げますように、あくまでも給与表をどう高めるかということがその中心課題であるにもかかわらず、個々の部分になってまいりますと、そのことは全然触れておりません。そして特別手当四%に二%プラスするとか、あるいは新たに特殊勤務手当なるものが入っておるわけであります。そしてその中身としては、教育業務連絡指導手当なるものになって、出ております。そしてさらに校長は特一に全員、教頭は一等級に全員、そして教諭に云々という、こういうかっこうになってきておるわけであります。  そこで問題は、この二番目に出ております特殊勤務手当なるものは、大体先般もどなたかが聞いておりましたけれども、私は聞いておればおるほど、どうしてもわからないのです。もともとこの特殊勤務手当なるものはどういうときに支払われるというように人事院人事院規則で定められておるのか、この点を明確にして下さい。
  132. 角野幸三郎

    角野政府委員 お答えいたします。  現行給与法の十三条に特殊勤務手当の条文がございます。これは「著しく危険、不快、不健康又は困難な勤務その他」、こういう表現になっておりまして、そういう勤務の特殊性の評価として特殊勤務手当を払う、こういう趣旨の条文でございます。これを受けまして、人事院規則九-三〇というのがございまして、この中で個別の勤務をとらえまして、特殊勤務手当支給を規定しておる、こういうことになっております。
  133. 中西績介

    中西(績)委員 そうしますと、二十四条の二「その業務が心身に著しい負担を与えると人事院が認める程度に及ぶときに支給する。」こうなっているわけですね。その場合に、いま言うように二つのものがあるのだということを指摘をしておりますが、そうしますと、その教育業務連絡指導手当なるものはそのどちらに該当し、そしてどのような内容でもってあなたたちはそのように認定をなさったのか、この点について具体的に明らかにしてください。
  134. 角野幸三郎

    角野政府委員 お答えいたします。  現行の特殊勤務手当は、人事院規則の中に教員関係では幾つかございます。いまお話しの教員特殊業務手当もそうでございますし、それは部活動等の関係もそこに含まれるわけでございますが、そういうのと、それからすでにありますものでは、そのほかに教生実習の指導手当、そういう関係の御苦労の評価としての特勤がございます。それからもう一つは多学年担当手当、これは僻地等で子供の数が少ないので、一学級学年を割っておるようなところで一人の先生が複合した学年の生徒のごめんどうを見なさるという関係のものでございますが、それについても特殊勤務手当で評価をいたしておる現状でございます。  ところで給与法十三条の見方、読み方の話でございますが、現在の特殊勤務手当の条文の考え方といいますか、私どもが実際の規則の運用とつないでいる類型になりますけれども、危険、不快、不健康という、もっと一言で言いますと危険グループというような、そういう関係のものと、それから勤務内容が困難である、むずかしいという関係のグループと二種類に分かれておる、大別すればそういうことが言えると思いますが、主任に対する、連絡調整指導助言という御苦労をお願いしておる、そういう主任につきましての特殊勤務手当としての評価、その勤務の考え方というのは、勤務の内容が困難である、むずかしいということに対する評価の方に属する、そういうふうに考えております。
  135. 中西績介

    中西(績)委員 ですから、ますますわからなくなってくるわけです。危険ではない、困難であるということになりますね。困難であるということになりますと、先ほど答弁の中にありましたように、多学年担当するとか、あるいは教育実習指導を特別やるとか、あるいは修学旅行、実習、クラブの対外試合など、特別心労を伴う、泊を伴ってやるような場合、いろいろあるわけですね。この主任というのは、そのように大変困難なものなのかどうかですね。その困難の度合いというのがわからないわけですよ。だれが聞いても、これはわからないですね。どういう内容を指して困難と言っておるのか、その点を明らかにしてください。
  136. 角野幸三郎

    角野政府委員 困難ということでございますが、連絡調整指導助言という、そういう校務の分担ということで申しますれば、同僚の教員職員の方に対して、そういう校務の関係についていろいろ連絡したり、調整されたり、助言なさったりするという関係が、ほかの一般のものと違うということが、まずあると思います。  それから一般授業担当されるということのほかに、多かれ少なかれ、そういう校務の分担というのがどの先生もあろうかと思いますが、特にその中で、いま申しましたように、同僚の先生方に対してそういう関係で御苦労なさるということの、その困難及び負担の度というのを評価して、特殊勤務として評価する、詳しく言えば、そういう説明でございます。
  137. 中西績介

    中西(績)委員 著しく困難でなくちゃならぬというその内容をいま聞いてみますと、教員間の連絡をする。授業をしながら教員間の連絡を遂げるというのは、これはもう普通ありきたりのことだし、学校の中では、すべての人がそのことを遂げなくてはやれないことなんですよ。これはだれだってやらなくてはならぬ。だから、むしろ私たちが考えるなら、先ほど出ておるように多学年、たとえば一年生と二年生の複式学級を持つ、そういうときにどれだけ苦労されるかということはわかったから、著しいという認定をされたと思うのですね。あるいは教育実習なんかの場合に、まだ学生である方を、しかも一つの教科の場合には一人じゃありません。何人も多くのそういう実習生徒、学生を一々細かく指導しながらやっていかなくちゃならぬ。しかもこれは教員間の連絡をとりながら、授業をしながら、それにプラスしてそのことをやるがために困難だというわけですよ。だから、いま出ておるこの著しい困難という度合いについてはわかるわけですね。あるいはこの「泊を伴う」云々という修学旅行にしても実習にしても、クラブの対外試合等における引率等についても、これは想像を絶するものがあるということは、もし事故でも起こるならその教師の全責任になるというようなことだってあるわけですから、これは大変著しいということをみんな認めたわけですね。ですから、私たちがいままでこういう問題について当局なり、あるいは県で言うなら人事委員会、そういうところといろいろ折衝する際に、幾らかの例を出してもなかなか認めないにもかかわらず、今回の場合には、教員等待遇改善研究調査会が中間報告をし、それを文部省が受けて、文部大臣人事院にそれを出していった。そうすると、いま言うように、教員間の連絡だとか、あるいはその仕事授業のほかにプラスしてなされておるというような言い方でなされるといたしますならば、これは納得できませんね。このことは困難どころか普通なんですよ。ですから、このようなことを第一認める、そしてまた、これを要請した側の中身がそういうものになっておるだろうかということを、文部省というのは何を考えておるだろうかということを大変不満に思います。  ですから、私は、今度文部省に聞きたいと思います。  教員等待遇改善研究調査会、このメンバーを教えてください。どういう人がこういうばかげたことを要請せよと言ったのか。
  138. 諸沢正道

    諸沢政府委員 全部お名前申し上げましょうか。
  139. 中西績介

    中西(績)委員 どういう人たちで、何人ですか、ちょっと言ってください。
  140. 諸沢正道

    諸沢政府委員 十六名でございまして、千葉県教育委員会の教育長――行政官庁の教育委員会関係の方、中学校校長先生、大学の学長、新聞関係の方、小学校、高等学校校長さん、それから知事会の事務総長、そういったような方でございます。
  141. 中西績介

    中西(績)委員 どういうメンバーか、氏名はわかりませんけれども、大変失礼になるかと思いますけれども、教育長、小・中・高等学校校長、大学学長、新聞関係の方、知事、こういうことになりますと、この方々は学校現場、そこでの教育活動、こういうのがどういう中身であるかということを熟知された方ですか。文部省は、そのように認定なさって依頼され、そしてその方々の意見をそのまま受けて人事院に要請をした、こういうことになるのですか。この点明らかにしてください。
  142. 諸沢正道

    諸沢政府委員 小・中・高等学校校長先生方も、もとはただの先生でございますから、そうした教員としての経験も踏まれ、十分に現場のことを御承知である、こういう認識のもとにお願いをいたしたわけでございますから、調査会の御審議の結果をそのままお受けいたしまして、人事院に要請したわけでございます。
  143. 中西績介

    中西(績)委員 いま聞きますと、小・中学校校長は以前現場の教諭であった、ですから、そのことを十分御承知のはずだというように言っておりますが、そうなると、なおさら私はわからなくなるのです。だれがこのことを聞いても、先ほどから申し上げるように、特殊勤務手当などの中身は、その業務が大変著しく困難である、そういう中身だけれども、そうなりますと、この現在の調査会のメンバーになっておられる小・中・高の校長さん方は、以前に比べて、またあるいはこの方々がいらっしゃる時分から現在に至るこの間において経験なさったことは、教員間における連絡授業のほかに行うこの教員間における連絡が著しく困難であるということを認定なさっておるわけですね。
  144. 諸沢正道

    諸沢政府委員 そこのところはちょっと違うかと思うのでありまして、この調査会では、主任という職務が大変御苦労だから、それに対して何らかの手当てをする方法を考えろ、こういう御提言であり、それを受けて、人事院でいまの特殊勤務手当をお考えになったわけでございますから、いま御指摘のような意識を校長さんがお持ちかどうか、それはわかりません。
  145. 中西績介

    中西(績)委員 それでは、この校長さん方は、経験の中から御苦労であるということを言われたわけですね。これは全部の教師に言えることではないでしょうか。ですから、この人確法なるものが設定をされて、附帯決議なり何なりがつけられて、具体的に皆さんが本俸、俸給表を引き上げ、そして本当にその格づけをしていくべきではないか、こういうことになってくるならわかりますけれども主任が御苦労だから何か手当をつけろというこの発想は、私は大変誤りだと思います。  そこで、そのことを追及してもあなたがやったわけではありませんから、いたし方ありません。そこで人事院の皆さんにお伺いいたしますけれども、御苦労という、いま言うように、教員間における連絡が大変著しく困難である、そういうことに対してやってくれとは言っていないのだ、文部省はこう言っておるわけですね。ということになると、人事院は、これは先走って、内容を十分検討もせずに、あるいは把握もできないままにやったということで私は理解をいたしますが、よろしいですか。
  146. 角野幸三郎

    角野政府委員 お答えいたします。  文部大臣からいただきました、二次、三次を含めての、いわば二次勧告に際しての要望の中で、いまの関係のところは、教務主任とか、そういう主任の方々の「その職務責任にふさわしい処遇を確保する必要があるので、」それに対して給与上措置していただきたいと、こういうことでございまして、私どもとしましては、分担しておられますその職務の、職務責任ということの評価の仕方、とらえ方として、特殊勤務手当で処理する、こういうことにしたわけでございます。
  147. 中西績介

    中西(績)委員 それではお伺いしますが、管理職手当というのがいま校長教頭についていますね。その管理職手当というのは、職務責任、そのことが評価されて管理職手当なるものがつくられておるわけですか。そこをもう一度お聞かせください。
  148. 角野幸三郎

    角野政府委員 管理職手当、特別調整額でございますが、これは、管理監督の職にある、その職務責任でございます。
  149. 中西績介

    中西(績)委員 片一方は管理監督、その職務責任を評価して管理職手当がついているということをいま申されたわけですね。そうしますと、先ほどからの論議でありますように、主任御告労さん、ですから、今度は人事院としては、著しく困難だというその著しい困難というのは、先ほど出ておった、教員間における連絡授業のほかに行う連絡が著しく困難だと言っておったけれども、その困難さというのは、今度はその職務責任、その評価をすることによって、この特殊勤務手当としてつけられたというように、私はいまお答えを聞いておって理解をしたのですが、それでよろしいですか。
  150. 角野幸三郎

    角野政府委員 教務主任等の連絡調整指導助言という、そういう勤務に対する御苦労度ということの給与上の評価でございます。
  151. 中西績介

    中西(績)委員 ちょっとわかりにくくなってきたのですけれども、いずれにしても、先ほど来あなたの言っておるのは――私が言っているところの間違いを言ってください。私は、あなたの答弁の中で、文部省が言う御苦労さんという、教員等待遇改善研究調査会の中間報告、あるいは報告があって、文部省はその御苦労さんということを表現したのが、ここにありますようにこの教務主任、児童生徒指導主任だとか、いろいろな人たちに対する「職務責任にふさわしい」云々という、こういう言葉になっていったわけだ。御苦労さんがこういった表現になったわけですね。「当該主任等に関する規定の整備と相まって、給与上必要な措置を講ずること。」と、こういうものは、御苦労さんがこう変わったわけでしょう。しかし、あなたが著しい困難、その著しい困難は何かと言ったところが、教員間の連絡と、授業を行いながらやることについて大変困難な状況がある、したがってこの手当なるものは出したのだと、こういうように言われておるわけですね。ですから、私が言っているのは、そういう面がいわゆる職務として認定され、そしてそのことの責任、そのことが評価されてやられたのだと、こういうように私はあなたの答弁のままを理解をしていくとそうなるが、どうなのか、このように私は聞いておるわけですね。管理職手当というのは、それはこの条項は違いますよ、条項は違うけれども、いわゆるその職務責任に対する重さ、それに対する手当としてこれは出されておる、こういうことになっておるわけですから、違わぬような感じがするものですから、どうなんだと言ったら、何か勤務を何とかと言っていますけれども、だれだってこれは勤めてますよ。勤務上云々というのは、これはだれだってありますよね。ですから、そこら辺が大変似通っておりますから、どの部分が違うのか、そこを明らかにしてください。
  152. 角野幸三郎

    角野政府委員 私が先ほど申し上げましたのは、文部省からいただきました第二次、第三次の要望書を踏まえてということで読み上げたわけでございますが、給与上の評価といいますのは、そういう勤務の評価でございます。職員がその職にあって、勤務がございまして、その勤務の重みを給与が後から評価する、そういう関係でございまして、うらはらにあるかもしれませんが、そういうことで勤務という言葉を使ったわけでございます。
  153. 中西績介

    中西(績)委員 そこで、うらはらも勤務も、そういうことはいいです。いずれにしても、その御苦労さん、そういうように職務責任、それを評価することによってこのような手当がつけられた。しかし、それがこの特殊勤務手当に当たるかどうかという問題は、これはここで論議をしても論議する価値のないものですよ。さっきから言っているように、きわめて困難あるいは危険あるいは不健康だとか、いろいろな理由はあるでしょう。そういうものにはこれは該当せぬわけですよ。その職務責任、そのことがこれに該当するかと言ったら、するような中身でないから、このことの論議は、私はここでいたしません。しないというのは、論議をする価値がないからであります。こういうような内容をわざわざつけて、ここに五千円程度ですか、特殊勤務手当の中で、教育業務連絡指導手当なるものを設置をいたしておるようでありますけれども、これについては、これは大変な誤りだし、こんなばかげたことは人事院の歴史を汚すものになるのです。  また、このことをもう一つ踏み込んで言いますならば、もう論議する必要はないと思いますけれども、少なくともそれを今度受領する側、受ける側の多くの皆さんは、これは要らない、こう言っているわけであります。そういうことになりますと、ほかのところではまだまだ多くの皆さんが、こういう危険で困難なものがたくさんあります。ぜひ特殊勤務手当なりに加えていただきたいということに対してはおこたえにならずに、行政側の、文部省のそういう要請があると、これは直ちに受け入れていくということになるということになりますと、しかも無理から無理を重ねて、こうしてやるということになりますと、私は、人事院勧告がこれから不信の目をもって見られるという一つの事象をつくることになりますから、これはぜひ撤回をしていただきたいと思うのですね。これはもう論議いたしません、時間がありませんから。この点は大変な問題であります。  それでは、先ほどの論議の中からいよいよ明らかになってまいりましたように、私が指摘いたしましたように、一つのパターンが三十二年の教頭の省令化、そして三十六年の管理職手当、そして法律化、それと今度の主任制度化、この省令化が五十年、そしてこの手当が五十一年。名称は違うけれども、ここにありますように、特殊勤務手当として入れておりますけれども、これはもう、さっき私たちが指摘するように、大変ゆがめて無理をして、ここに設定をしただけである。ところが、いまの答弁の中にありますように、その職務責任は、その評価をすることによって大変重い、困難だというこの意味は、さっきから言っている管理職手当の中身と変わらないのではないかと私は思うのです。そうなりますと、先ほどから申し上げるように、管理規則、手当法律化という経過、これを指摘しましたところが、初中局長答弁は、いや違うのだ、主任制度化はし、手当はつけるけれども、この主任というのはそのように管理職ではないという言い方をします。ところが、管理職ではないと言うけれども先ほどからの、人事院が認定をする際、設置をする際について出てきておる答弁の中身からいたしますと、この管理職手当と同じような内容というものにすでになってきておるのではないか、こう断じても間違いでないと私は思うのです。パターンは全く同じです。ですから、いままでのものがもうすでに四段階で来たわけですから、それにもう一つこのような手当までつけて、そして今度は、この次に来るものは何か。それは法律化であります。そして、その上に今度つくのは何かと言うと、歴史的なものから見ても、結局、人事院がまたあえて一つの等級なりを設けざるを得ないということになってくるのは必定じゃないですか。このことは、私が先ほどから申し上げているように、一番最初に返りますけれども人確法の中身と、そして附帯決議と、そしてこのでき上がる過程における日教組に対する文部省の回答、そういうものを全部あわせて考えてまいりますと、すべてがこの法案設定に当たって一番中心的に問題になさったところを、いまあえて崩していこう、こういうことが具体的にいまこの中身から出ておるということを断ぜざるを得ないわけです。この点をいかにあなたたちが否定をしようと、その中身は否定できない事実として、ここに歴史的なものとしてあるということを、私は申し添えておきたいと思うのです。この点について、文部大臣はどのように理解いたしますか。
  154. 海部俊樹

    ○海部国務大臣 先ほども申し上げましたように、私は、そういうふうには理解しておらぬわけでありますし、また職務の引き継ぎのときに、永井前大臣から言われた基本的な物の考え方も、先ほどお答えしたとおりでありまして、私は、あくまで学校活動というものが明るく伸び伸びと活発になっていく、教育効果が上がる、そのために永井前大臣の考え指導連絡助言調整の役目というものは大切なものであるし、また大変御苦労願うのだなあ。これはえらい人をつくるのではない、管理職をつくるのではない、この点を海部さんはよく覚えておけと言われたことを、いまでも鮮やかに覚えておりますし、私は、そのように理解をしておるところでございます。
  155. 中西績介

    中西(績)委員 そこで、時間がなくなってしまったのですが、主任制度が制度化されて、いろいろ問題がありました。その点で私はこれを歴史的に振り返って、歴史的と言うと大げさになりますけれども、この法案が設定されてから、あるいはまた設定される段階、いろいろな点を考え合わしてまいりますと、大変多くの問題をこの中には抱えておったのではないか、このように考えるわけです。と申しますのは、五十年十二月二十六日に施行規則の一部改正をいたしました。そしていま、先ほどから問題にいたしましたこの省令化が実現をしたわけであります。このときの情勢をひとつ考えてください。これは大臣も、すべての方、特にまた初中局長あたりは、当時今村初中局長がやめて、その後の初中局長になられたわけでありますから、この点については、その経過は大体おわかりになるのではないかと思います。ですから、この点について触れてみたいと私は思うわけであります。  それは、このときには、私は一口で申しますならば、大変混乱をしたのではないかと思います。というのは、今村初中局長が、当時、十月の十五日だったかと思います。三部長制なるものを発表いたしまして、三部長制とすることが適当である、それは教務、生活、健康、そしてこれは同時に、学校の末端組織である学級担任についても仕事の重要性を明らかにすることが望ましいことであると説明しながら、ここから問題なんです。世間一般でのいわゆる職制であると言ってもよいという、職制という、一般的に言ういわゆる管理職、その位置づけをして問題になりました。ところが、それを受けて永井文部大臣は否定をいたしたわけであります。三部長性格について、このように言っておりますね。上からの管理体制の強化ではない、その性格も職制ではなく、校内組織の仕事の分担と理解してほしい、こういうことを言いまして、今村局長の発言と食い違いを生じてきたわけです。このことはお認めになりますか、文部省
  156. 諸沢正道

    諸沢政府委員 その当時は私、初中局におりませんで、ほかの仕事を一生懸命やっておりましたので、どういう経緯であるか、つまびらかにはいたしておりません。
  157. 中西績介

    中西(績)委員 これは少なくとも大変な問題でありましただけに、次のあなたは、十一月十八日に局長が更迭されたことは御存じでしょう。そして加えますなら、その後に局長になられたということは間違いないですね。
  158. 諸沢正道

    諸沢政府委員 おっしゃるとおりでございます。
  159. 中西績介

    中西(績)委員 そうなりますと、先ほど文部大臣が盛んに、前永井文部大臣から重々この案件については申し継ぎを受けたということを言われておりますけれども諸沢局長は今村局長から、あるいは文部省内でそういうことがあったこと、そして局長が更迭をされたそのときの新聞等を見ますと、新聞では岩間次官すらも更迭されるのではないかといって騒がれた時期ですから、この問題をあなたが御存じでないということになると、大変これは心外ですが、もう一度確認をしたいと思います。
  160. 諸沢正道

    諸沢政府委員 私が申し上げました趣旨は、当事者でございませんから、正確なことがわからないと申し上げたわけでありますが、私は、初中局長を拝命しましたときに直ちに前大臣からお呼びを受けまして、この主任制度に対する考え方というものを詳細に承りまして、その御趣旨を体してやろうということで、その日から一生懸命研究をしてまいったわけでございます。
  161. 中西績介

    中西(績)委員 それでは、前局長はどういう申し継ぎをなさったのですか。
  162. 諸沢正道

    諸沢政府委員 大ざっぱに申しますと、前局長がそれまでやっておられたことを一応やめまして、それで新しく大臣の御趣旨のもとに考えよう、こういうことでございましたので、引き継ぎの書類等も拝見いたしましたけれども、余りいま記憶に残っていない、こういうことでございます。
  163. 中西績介

    中西(績)委員 大変心外です。  そこで、具体的にそういう食い違いがあったということは十分認識をいたしておらないということでありますけれども、少なくとも、十月十五日に今村前局長が記者クラブで会見をいたしまして、そういう中身を発表し、そこで今度はあわてまして、日教組がこの点を追及いたしました結果、最終的に、いま申し上げるように大臣がこれを否定をするという、こういう状況が出てきたわけであります。そこで、今度はそれを受けて十月二十二日に、今村前局長は三部長制のこの案を撤回するということを明らかにしたわけであります。日教組に対しまして、このことを明らかにしたわけでありますから、あなたがいま言われるように、以前そういう案を持っておったということを言わなかったかもしれないけれども、しかし、撤回したということは、以前そういう考え方があったということは事実なんですね、申し入れに対して撤回をするということになるわけでありますから。そのことはお認めになるだろうと思います。そういう経過を経ながら、結果的にはそこではいろいろ問題があったやに聞きます。  そこで文部大臣に聞きますが、当時文部大臣はどういう職責にあったか、私は新人ですから存じておりませんけれども、とにかくそういう今村私案なるものか局長案なるもの、これを永井文部大臣が否定をし、今村局長から撤回の通告が正式にあった。そしてそれから以降、文部省なりあるいは自民党の中でどういう問題があったのですか。もうちょっと詳しく申しますならば、十一月十八日に今村局長は更迭をされたわけでありますから、それまでに至る間、十月の十五日から撤回の十月の二十二日、そして十一月の十八日の更迭の間、職制である、いや違う、いやそれを撤回する、そこにいろいろ問題が派生しておるわけでありますけれども、この点について明らかにしてください。
  164. 海部俊樹

    ○海部国務大臣 そのころおまえは何をやっておったかということでありますけれども、一昨年の十一月は、私は内閣官房副長官でございまして、たしかランブイエ会議か何かあったころじゃなかったかと思いますが、総理のお供をして走り回っておりました。
  165. 中西績介

    中西(績)委員 それでは、追及しても恐らく答えは同じでしょうから、その件についてはあれですが、局長が更迭をされたということは事実ですから、お認めになる。  そこで十二月十二日、今度は諸沢局長ですよ。あなたですから逃げてはいけません。主任職務権限についてこう言っておりますね。主任職務上の上司と言えないことはないし、必要があればその職務上のことに限定して職務命令が出せる、こうおっしゃっておりますね。どうですか。
  166. 諸沢正道

    諸沢政府委員 その点につきましては、少しく詳細に御説明を申し上げないと御理解いただけないかと思うのでございますけれども、たしか衆議院の文教委員会であったかと思いますが、ある先生から職務命令を出せるかどうかという御質問がございまして、その際に、主任は大体校内教育活動連絡指導に当たるわけであるけれども、ぎりぎりの職務遂行の場合において、たとえばその進度をもっと速めなさいというような物の言い方をする、そういうことをとらえて、それを職務命令と言えば言えないことはないかもしれない、こういうように私は申し上げたわけであります。  その後、その発言につきましては、いろいろと誤解の向きもありましたので、誤解のないように参議院の文教委員会等で釈明をし、御理解を願ったわけでございます。
  167. 中西績介

    中西(績)委員 大変おかしいと思いますが、いま言うように進度等についていろいろ指導していく、そのときに職務上の命令という言葉を使ったようでありますけれども、上司が一般教員に対していかに言おうと、このように職務命令が出せるということをあなたは言ったわけです。ですから、主任職務権限というのは、私がるる申し上げましたように、前局長はこれは職制だと言い、大臣はそれを否定し、そして今度は前局長がそれを撤回する、そして合わしたわけです。その後に諸沢局長は、それを否定するがごとき、職務命令云々という問題に触れるようなことについて発言をした。そこで、その後に文部大臣はこう言っていますね。職務命令校長ないし教頭が出せるものであり、主任指導助言に当たる、また主任は上司という関係を持たない、このように衆議院における諸沢局長見解を否定したわけです。そこで今度は、諸沢局長はそのときに、時間がありませんから、私の方で申し上げますけれども、大臣の発言のとおりであるとして、衆議院におけるその発言を参議院では訂正したということで、私たちは確認ができるわけなのです。このことについては間違いじゃないでしょうね。
  168. 諸沢正道

    諸沢政府委員 おっしゃるとおりでございます。
  169. 中西績介

    中西(績)委員 そこで、このように、文部省局長は職制と言い、大臣はそれを職制でないと否定をする。その後にまた、今度は別の初中局長が職制のごとき位置づけをした。それを今度は大臣が否定をして、最終的には前局長が撤回をしたと同じように諸沢局長もこのことを訂正をする。そういう時間的な経過というものを見てみますと、十月から十二月二十六日以前までの短い期間に、施行規制をつくるに当たっての主任の位置づけをめぐって大変混乱をしたという事実を指摘できると私は思います。このことの否定はできないと思いますから聞きません。  いま文部大臣は前大臣から、主任というものは職務権限を持つ管理職ではない、こういうことで引き継ぎを受けたということでありますけれども、私が先ほどから大変問題にしておりますのは、五段階賃金というものは、先ほども申し上げましたように、歴史的なものからいたしましてこのようになっていった、そして四段階まで来ておる。その中でまた再び同じような考え方が依然として底流にあるということを私は否定できない。ということは、パターンとしてはすでに四段階から五段階に向けて足を踏み出している、こういう中身になっておるだけに、先ほどから何回となく私が繰り返しますように、人確法、そして附帯決議、すべてのものに反する内容になって、これが進行しておるということが言えるのではないか、このように指摘できると思います。  そこで、問題は、いま文部大臣が盛んに言われておりましたように、前文部大臣が十二月六日に見解を発表して、さらに二十五日に補足的な見解を発表する、こういう異常な事態が現出した。このことについては認められるでしょう。
  170. 海部俊樹

    ○海部国務大臣 そういう見解が出ておることは、承知いたしております。
  171. 中西績介

    中西(績)委員 ですから、短い期間でありますけれども、この動きというのは、私が先ほどから申し上げるように、時期的に見ますと、昭和三十二年以降の状況と全く変わらないし、教頭法律化していく過程とこの主任というもののかかわりもまさに一致するような状況が具体的にそこには存在しておった、こういうふうに理解をしてよろしいと思います。  そこで、次に入りますが、そういう状況を私は大変危惧する。いわゆる主任制度化した、そのことはこういう経過の中から制度化されてきたわけでありますから、大変な状況になるだろうということを危惧するわけであります。特に戦後、教育改革が行われました。その教育改革の目指すものは何であるかと言うと、私たちがいままで指摘をしてまいりました中身と全く一体的でありまして、これから後、文部省なりわれわれがもう一度十分認識をし直して対処しなくてはならない重要な課題がこの中にはあるだろうということを申し上げなくてはなりません。  そこで、この問題から、主任制度化がもたらしたいろいろな問題点がありますので、その点について指摘をしてまいりたいと思います。  まず、主任の任命の問題でありますけれども職務先ほど言われたような中身であるということは、もう何回か聞きました。しかも、五十一年一月十三日、今度は文部省から通達が出されていますね。五十一年一月十三日、省令が改正されるに当たって、この「学校教育法施行規則の一部を改正する省令の施行について」という通達が出されております。これを見ますと、この中にそれぞれ主任の位置づけなり、いろいろなものが明らかにされております。そしてあわせまして、これは一月の二十九日になりますけれども文部省から学校管理規則モデル案なるものが出されておりますね。この経緯を見てまいりますと、いま主任の選び方等について問題があるのではないかと考えますので、私は質問を申し上げます。  先ほどからずっと混乱しだ経過なり、主任職務位置づけというものが大変問題になってきたわけでありますけれども、これを見ますと、通達の中の(9)の「その他」のところのアのところに、省令に規定するそれぞれの主任の名が挙げられまして、「これらの主任等は、学校の組織編制に関する基本的事項に該当するものであるから、公立の学校については、地方教育行政の組織及び運営に関する法律第三十三条の規定に基づく教育委員会規則に、それらの設置及び職務について規定を整備すること。」そしてイの項に「アに掲げる主任等を発令するに際しては、それぞれの主任等の職務担当するにふさわしい者を選任するものとすること。公立の学校については、」云々とずっとありまして、「従来の校務分掌の一翼を担う主任の選び方を変えるものではないこと。」こういう文章がありますね。「なお、主任は固定化せずに専門的な能力を持つ適格者ができるだけ多くこの経験を積むことが望ましいこと。」こういうように出ております。  ですから、このことでお聞きしますけれども先ほどから私は申し上げていろいろ指摘をしました際に、これはあくまでも調整指導助言、こういうことで言われておりますが、それを選ぶに当たって、「従来の校務分掌の一翼を担う主任の選び方を変えるものではない」、こういう指導がなされたのは、私が指摘したように管理職であるということになると、こういうことにはならないと思うけれども、これはそういうものでないということから、このことが明らかにされておると私は理解するわけでありますけれども、そのように理解してよろしいですか。
  172. 諸沢正道

    諸沢政府委員 おっしゃるとおり、これは主任管理職であるというような前提でなしに、管理職ではない。しかしながら主任も校務を分掌して、それぞれの仕事を行うわけでありますから、その主任を教育委員会が任命する場合もありますし、校長が任命する場合もあるという従来の実績がございますので、それを変えるものではない、こういうふうに言ったわけでございます。
  173. 中西績介

    中西(績)委員 それではお聞きいたします。  そういうような従来の選び方を変えるものでないということは、いままであった校長なり教育委員会、ここでもって任命をする主任というのはどういうものがあったのですか。
  174. 諸沢正道

    諸沢政府委員 五十年の主任の省令化以前から、文部省は、学校教育法の施行規則にございました主任としては、学校保健主事、それから進路指導主事といったようなものがございました。
  175. 中西績介

    中西(績)委員 保健主事、進路指導主事、こういうものについて同じようにこの措置をするという中身ですね。  それではその次に、「主任は固定化せずに専門的な能力を持つ適格者ができるだけ多くこの経験を積むことが望ましい」、このように「多くの経験を積むことが望ましい」ということをあえて言ったのは、なぜですか。
  176. 諸沢正道

    諸沢政府委員 それはたしかその前の十二月の六日と二十五日の二度にわたって、前大臣が、主任を設けた趣旨、あり方といったようなものについて詳細な見解を述べられましたが、その中で、この主任というものが、それぞれ分担する職務において、エキスパートとして当該学校運営を活発にする力にならなければいかぬ、そういう意味では能力のある先生方が、一定の期間を置いて順次交代をしてその仕事に当たるのが望ましいのだ、こういうことを言われたわけであり、その考え方を踏まえて通達に書いたわけであります。
  177. 中西績介

    中西(績)委員 そうしますと、いま言うように、従来の方式と同じ方式で選び、そうして多くの人にそういうようにこの任務については当たることが望ましい、こういうことになってまいりますと、先ほどから指摘をするように、主任というのはあくまでも職制いわゆる管理職ではないということを強調する意味で、このことが具現されたのではないか、私はこういうふうに理解をいたします。それでよろしいですね。
  178. 諸沢正道

    諸沢政府委員 いま御説明申し上げたような主任性格を前提として考えました場合に、これは管理職になじむものではないというふうに考えるわけでございます。
  179. 中西績介

    中西(績)委員 そうしますと、また再びもとに返るわけなんですよ。そういうようなものであるにもかかわらず、御苦労手当、御苦労さんであるという調査会の答申が、そのように人事院に行って、人事院では、教員間の連絡だとかそういうものが著しく困難な職務である、そしてその職務責任、それを評価することによってこの手当をつけた、こういうことになってくるわけでありますけれども学校現場実態からいたしますと、特に文部大臣は聞いておいてほしいと思いますのは、このように特別手当をつけるという、この人だけに特定して御苦労さんということの意味はないのじゃないか、私はこのように考えるわけです。それを許すとしますなら、学校の職場の中ではたくさんそういうものがあるわけでありますから、特定の者を限定できない、すべての教職員集団によってなされる学校の運営というものはそういうものでないということを、まず根本的に認識を改めなくちゃならぬということを申し上げておきたいと思うのです。それは答弁要りませんが、この点は、特に気をつけていただきたいと思うのです。  そこで、では学校運営がどうなったか、主任を任命し、それを省令化したことによってどうなっていったかと言いますと、大変大きく変化が起こりつつあるということをお気づきにならなければならぬということなんです。これをずっとやっていますと大変長くなりますから、意見だけを申し上げますけれども学校運営に大きく変化が起こったというのはどういうことを指しているかと言いますと、たとえば一つは校務分掌の問題であります。校務分掌というのは、学校教員の集団のものでありますから、学校の集団の活動組織形態というのは、やはりあくまでも一つの集団、個々のものでなくて、集団としてどうとらえられていくかということが大変重要な内容になってくるわけであります。ただ問題は、その場合に主任制度――制度というのは、そういう点で大変私は問題だと言うのです。先ほども申し上げましたように、たとえば教頭なら教頭、それを制度化しますと、最初のうちは皆さんが否定をしておったように職制ではないと言っていいような体制であったものが、制度化される中でだんだんと変わってきて、そして皆さんから見ればそれは既成事実として認められ、そして職制化しなければならぬようにだんだんだんだん変わってくるのです。そういうように主任制度化することは、また同じことを再び繰り返そうとしておる。制度化されない間は主任だとか係だとか部長だとか、それぞれの学校によって組織形態は違います。ところが、こういう全国的に一元化された制度的なものができることによって、どうしても上下という思想がそこに醸成されることが必定なので、これをまず第一にあなたたちはお気づきにならなければならぬ。  そこで問題は、先ほど局長の方から当初局長が言っておったことを訂正されましたから、いまここではもう必要なくなってまいりましたけれども、いわゆる限定したことで、たとえば指導という中身、どのように教える、どのようにまとめる、そういうこと等について職務命令が出せるのではないかという言い方があったわけでありますけれども、そういうものに近い条件というのが、いま言った上下の思想から出てくるわけです。たとえ職務命令ではないと言っても、結局このことは押しつけになってくるわけであります。ですから、そのことが最終的にどうなっていくかと言うと、結局職場の中における十分な討議になり得ない条件というものが出てくる大きな原因になっておるわけであります。逆に言うなら、そこにはいままで集団でちっとも問題のなかった、そして論議は自由に出し得たものがどうなっていくかといいますと、それができなくなってくる可能性が非常に強くなってくるわけであります。  もう一つ私は聞いておかなくてはならぬのですけれども文部省学校管理規則のモデル案にはA案、B案、C案というのがありますね。任命の方法の中に案があります。そうしますと、どの案でも結構なのですけれども、たとえばA案ならA案、あるいはB案ならB案というものを見た場合に、何と申しましても、この場合に問題になりますのは、いままでは主任というものは、教員の中で十分討論されて、いろいろ自由な意見を出していく過程の中で、あなたがその取りまとめをやってくださいとか、あなたが連絡員になってくださいとか、ほかのことは私たちがしますという任務分担がされておったわけですね。ところが正式にこのようになってまいりまして、A案等になってまいりますとどうなってくるかと言うと、今度はそういうものを校長から意見を聞いて教育委員会は任命するわけでありますから、あるいは校長が直接任命をし、教育委員会に報告するC案だって同じなんですけれども主任になろうとする者が出てくるわけです。なぜかと言うと、前から私が申し上げておるように、教頭が職制化されていったときの経過もございますように、今度は主任も同じようになっていくのではないか。ということになれば、自分もそれになろうとするためには、なるためには、校長との関係教頭との関係をどう保たなくちゃならぬ、どうなくちゃならぬということを必然的に考えるのです。命令し、なれ、こういうようにする場合に、校長との関係が生じてくるわけなんです。  そこで、いま現場で出ておる問題点を私申し上げますから、よく聞いてください。教員の世界というのはひしめく四十代、五十代ですね。これはおわかりになるでしょう。そうすると、ここでどういう結果が出るかと言うと、校長が任命する場合には、その主任にする人に、極端な言い方をすると、おみやげを持ってこいということになるのです。おみやげというのは何かと言うと、たくさんあるのです。たとえば組合を脱退してこいとか、他の人を連れて脱退せよとか、それからスパイ行為ですね。極端な言葉で言いますけれども、スパイ行為をやれ。そのスパイ行為というのはどういうことになるかといいますと、自分を有利に位置づけるためには、結局他の者を傷つけるようなことを言わなくちゃならぬ。これはおわかりになるでしょう。そうすることによって自分を売り込む。ですから、どういう形になるかといいますと、こういうような事態になる人の一番の弱みは何かといいますと、たとえば表面には出てないけれども、金銭上学校で問題があったとか、あるいは女性関係でいろいろトラブルがあったとか、あるいは交通事故でいろいろ問題があったとか、処分される、されないという問題等があったとか、こういうような大変弱い立場に立つ人たちがそういう組合脱退あるいは勧誘あるいはスパイ行為、そういうものをやりやすい条件を持っておることになるのです。あなたたちは頭をひねるかもしれませんけれども現場実態としてはそういうものがたくさんあるわけです。ですから、今度はそういう人の場合にはどうなるかと言うと、これはたとえば生徒から突き上げ等があるといたしますと、大変問題だということになるわけでありますから、問題が表面化しないようにするためには、今度はたとえば生徒と妥協するのです。どういうことをやるかと言うと、たとえば試験問題を、いままでだったら、点数で言うのは大変よくないとは思いますけれども、わかりやすくするために、たとえば六十点なり五十点なりの平均点が出ておった教科であるといたしますと、これを八十点と言うようなことだってやりかねぬ教師が中におったのです。私たちの具体的事実として知っています。こういうような条件というのが主任になるためにという中で出てくることがあるわけです。  もう一度極端なあれから言いますと、教育活動から逃避するようなかっこうでの人気取り、こういう状況が出てくるわけであります。この点を私は大変危惧します。ですから、先ほど申し上げるように、いままで何でもない中で主任というものが制度化――されぬ方がいいけれども、された場合、いままで歴史的なものがある過程の中で、すでに三段階が四段階になり、そして半分も五段階という状況にまでなってきつつある条件の中で、いまや主任になる、任命をされようという場合には、あらゆる手だて、それが今度は学校の教師集団なるものを完全に破壊し去るという全く信頼感がない条件をつくり出すわけであります。私は、このことを十分認識してほしいと思います。  しかももう一つ申し上げたいと思いますのは、職員会議の問題です。職員会議がどうなっていくかと言うと、否定的になっていくのですね。職員会議を否定するという状況になってまいります。学校における教育活動の源泉というのは、少なくとも集団思考の場がなければ、健全な、そして生き生きとした教育活動というのはできません。この集団思考を遂げるために皆さんが討論を重ねます。ディスカッションします。このディスカッションというのは、他の者の意見を聞く、それからそれを理解する、もし相違点があればそれを調和させる、調整する、そしてその中から創造していくというものでなくてはならぬと思うのです。いままでの場合であるならばこの職員会議というのはどうであったかと言うと、聞き、理解をし、調和させ、調整をし、創造する。ですから、それが助言としてまともに受け入れられ、そしてそれをむしろ感謝する、感激をもって受けとめる、そういう場であったわけです。ですから、そこでは個々の最善の能力を発揮し、そしてそこには自由があったわけであります。  しかし、このように行政機関から通達が出、そして今度は校長によってそれが任命をされ、任命制の主任ということになれば、これはもう大変なものになっていくわけであります。先ほど申し上げるように、最善の能力を発揮するということになりますと、皆さんで一緒に討論したことでありますから、共同の決定に従って本人は大変な責任を負うことになるわけです。ですから、むしろ職員会議というのは教養を高め、研修をする場でいままではあったわけであります。ところがこの任命制が行き渡る、それから以前に教頭の職制化とかいろいろなものが進行していく過程の中で、文部省からいろいろ指示され、そしてこれとあわせていろいろ問題になってきた問題はどういうことになってきたかといいますと、もう意思統一をする場でなくなる。みんながその助言というものを本当に感謝して受けとめる、感激をもって受けとめるということにはなってこない。第一、そこではそういう自由な発言というものがだんだんなくなってくるからであります。  なぜか。第一に、この職員会議は、校長だとか教頭だとか、いわゆるあなたたちが言う管理職議長になってやるわけです。これが非常に多くなりつつある。ですから、結果的にはどうなるかと言うと、報告の場であり、先ほど申し上げた押しつけの場、そして任命された主任だとかいう人たちからいろいろなものが報告され、いわゆるあなたたちが言う指導助言、こういうものになってくるからであります。指導助言をめぐる論議を私はしていきたいと思いますけれども、時間的な余裕がありませんから、きょうはやめますけれども、いわゆるその指導助言というのは、上から下へ、こういう発想、いわゆる上役から下役へという強制、こういうものになっていくからであります。そして指導助言というのは、理解ということが一番中心課題でなくちゃならぬわけでありますけれども、その理解ということは、先ほど申し上げるような民主的な職員会議の中でないと、そのことは具体的に具現できない、こういうことが言えるわけであります。いま職場の中では、この職員会議が大きく変わっていっておることを私は見落としてはならないと思います。  私がここで一番指摘をしなくちゃならぬのは、たとえば現在問題になっておる医・歯科大学、ここら辺でなぜ問題になっておるかと言うと、教授会の機能が完全に否定をされ、ここでは不毛になっておるところにこの問題が発生しておるということは、大体否めない事実として皆さんお認めになるでしょう。先般の文教委員会等でもこの問題が問題になっておりましたし、大臣自身もそのことを認めざるを得ないと私は思うのです。ということになれば、先ほど申し上げるような小・中学校、高等学校などにおける職員会議、そのことが将来的にどうなっていくかということのかかわりの中で、私は大変問題だということを十分認識しておく必要があろうかと思います。  最後にもう一つ申し上げますと、人事問題です。この人事という問題は校務分掌上の根幹をなすものであるし、教育活動を促すためには大変重要な問題であります。ところが、教務主任管理職的なものとしてから、配置をしながら配転をする、こういう事態がすでにでき上がりつつあります。このことはきわめて機械的になるし、そしてそのことは先ほども申し上げるすべての任命制、職制へという感覚に陥っていく。人事についてはたくさん申し上げることがありますけれども、こういうような内容になってくるということをぜひ認識していただきたいと思います。ですから、あくまでも指導助言ということで、答弁を求めると逃げるだろうと思いますし、またあるいは管理職でないと考えておると言われるでありましょう。しかし、そのことは決して私は認めるわけにはいきません。それは先ほどから時間を超過いたしまして申し述べてきた、いままでの経過がそのことを明らかにし得るものだと私は考えます。  したがって、私は最後に要請をいたしたいと思います。学校の中では、それがために不信感が大変増大しています。教師間における集団性がなくなる。そして逃避が起こる。そしてまた管理者の場合には、県教委あるいは市教委との関係で言うならば、校長教頭というのは、教師のそういう無気力、無関心等を含めて三無主義というものが起こっていく過程を一々指摘すると、正当な意見なりそういうものが出てくるから見過ごす。結局そこに悪循環がもたらされて、学校内における教育活動というのは大変な状況に陥っていく。ですから、いまの教育の荒廃は、こういう制度化されていく過程というのが大変大きな原因になっておるということを見過ごしてはならない。皆さんは、むしろ制度化することによってこれを枠にはめる、そうすることが皆さんの考える方向にということで考えておられるかもしれませんけれども、結局教育の荒廃は大きくここに原因があるということを申しても過言ではありません。ですから、生徒は不在になり、学校教育は不在になるという結果に陥っていくわけであります。  そこで最後に、そういう経過をたどるこの主任制度、そして主任手当の問題であります。先ほども申し上げるいわゆる特殊勤務手当、このことについて、なくすことがむしろ正常化する状況をつくり出すことになると私は思いますけれども、この点について長官、大臣、総裁、皆さんにそれぞれ御意見をお聞かせ願いたいと思います。
  180. 藤田正明

    藤田国務大臣 先生から十分に歴史的経過なり、そしてまた御意見なり、そしてまたこうなってはいかぬというふうな御批判も承りました。そのようなことがないように十分に注意しながら、現在の三法をぜひひとつ成立させていただきたい、かようにお願いをする次第でございます。
  181. 海部俊樹

    ○海部国務大臣 ただいま述べられましたことは、私、聞いておって大変さびしい気持ちが率直にいたしました。先生教員としての経験の中で、そういう人があったかもしれぬし、またそういう人があったからこそ、またそういうことがあったから、先生は言われたのだろうと思いますが、私は、そんな教師の人々が全国にそんなにたくさんいて、主任に任命するときにそんな条件ばかり起こっていくとしたら、こんな心さびしいことはありません。そうなれば、むしろ、学校の活動の中で職員組合というものが生き生きとみんなが意見を述べる話し合いの場であらねばならぬ、御指摘のとおりだと思うのですよ。私どものところへいろいろ集まってくる話の中で、私が先ほど申し上げたように、いろいろな立場の人がみんな自由に物の言えるようなそんな雰囲気にならなければならぬ、そういった学校活動というものがまさに望ましい、願わしいものでございます。そうであればこそ、学校に今度置かれる主任というものもそういったことを目指して動いてもらわなければいかぬわけであって、任用に当たって、そういう人間的な弱い面を持った人ばかりが抜かれていくような、そんなものであっては決してならぬと私は思うのです。そういう意味で、学校教育がいま抱えておりますいろいろな面の中で、先生のお話は十分私もいま拝聴いたしましたので、この制度の運用に当たって、こうなる、ああなるのだという断定の仕方ではくて、御指摘になっておるようなことにならないように、前大臣の意向を受けた私が一生懸命いまそういった方向で努力を続けておるわけでございますので、学校活動というものが健全な主任先生指導連絡助言調整等によって生き生きとしたものになっていくように私は心から願っておるわけでございます。
  182. 藤井貞夫

    ○藤井(貞)政府委員 現場の御経験に即した非常に真摯な御意見として拝聴いたした次第でございます。しかし、この問題につきましては、文部当局の見解等もあり、われわれもわれわれなりにこれの制度化について慎重に検討いたしました結果、お願いをいたしておる次第でございまして、これをめぐる運用上のいろいろな問題につきましては、文部省においても十分に善処され、御措置をされるということを期待いたしますということを申し述べさせていただきたいと思います。
  183. 中西績介

    中西(績)委員 期待する、またそうありたいということを皆さん持っておられることはわかりました。しかし、皆さんがいま進行させておる中身がどういう結果を持っておるかということを十分認識なさらずにやっておられるところに悲劇があると私は思います。ですから、私の願いは、ぜひこのことを撤回されてほしいと思います。  以上で終わります。
  184. 正示啓次郎

    ○正示委員長 続いて、大出俊君。
  185. 大出俊

    大出委員 冒頭に正示委員長に承っておきたいのですが、珍しいことですけれども給与法を抱えて寝てしまおうなんて話が出てきましたり、参議院の方で防衛二法が通らないと困るから、それまで参議院に給与法を送らぬでおこうじゃないかなどということが耳に入ってくるものですから、それならついでだから審議でもとめて二日ばかりここへ座っていようかという気にもなるのです。私に前科があるそうで、地方公務員の定年制法案、私トップバッターで地方行政でやり合って、野田武夫自治大臣、長野行政局長時代に、審議をとめて二日座っていたら廃案になってしまいました。どうせ皆さんが給与法を抱えて寝てしまうと言うのなら、同じことだからそれでもいいのですけれども、ただ、全国の期待感を持っている、ここにもおいでになりますが、公務員の皆さんの顔を見ていると、十二月の通常国会を早く召集して、預金だからそれまで待っていてくれればいいじゃないかという簡単なものじゃない、私はそういう気がする。だから、その意味では、きちっと質問が終わったら委員長は採決をなさるのだろうと私は思っているのですが、なさいますか。承っておきたいのです。
  186. 正示啓次郎

    ○正示委員長 お答えいたします。  大変御勉強いただいておりますが、きょうもこれからまだ遅くまで御審議をいただくことになっております。また、あしたも特に予備日を充当していただいて、大出委員を初め、御熱心な御質疑をいただくことになっております。十分審議を尽くしましたら所要の措置をとりたい、かように考え理事委員各位の御協力を願っておるところであります。
  187. 大出俊

    大出委員 与野党所を異にしたのじゃ妙なことになる。委員会時の責任は与党の皆さんにありますから、そういう意味で冒頭に委員長に承ったわけでありまして、わかりましたから、審議をさせていただきたいと存じます。  そこで、きょうは本来ならば、給与三法でございますから、三原防衛庁長官にお出かけいただくのが筋でございますけれども、お見えにならぬようでありますから、その部分は明日三原防衛庁長官に御出席をいただきたい、こうお願いをいたしておきたいのであります。  そこで、幾つか問題がございまして、この法案の扱い、あるいは当面多少の関連がございますけれども、定年制という問題も出てきておりますから、行政改革あるいは人事院勧告に載っております週休二日制など時間短縮を含む問題、それと、いま日米間の交渉の基本テーマになっておりますが、駐留軍に働く皆さんの給与の問題、それらに触れまして承りたいと思います。  私がこの席で、八月十日でありますけれども人事院勧告が出ましたので、質問をさせていただきました。このときに、藤井人事院総裁は、この勧告主任手当なる制度に触れた部分は「期待している。」という表現になっているわけでありまして、なぜ一体これは「期待している。」と書いたのだというところで詰めましたら、勧告を一遍行っているからと、まあ期待しているという程度ならやめたらどうだと。さらにもう一点、法律をいずれ国会に出すのだけれども、一本化するのか、分離するのかという問題が出てくる。いままでは給与法が二本あったわけでありますから、その辺は悪巧みを考えて、世の中一般のベース改定の方と主任手当の方と、これは手当そのものは規則ですけれども、教職特別手当等を入れたそういう法案を出してきて、これはつぶせば一般の皆さんのベースアップが一緒に飛んでしまうということで一本にして出してくる。これは悪巧みだということになる、そういうつもりで勧告の中身に書いたのかと言ったら、人事院総裁は悪巧みは毛頭考えていない、法律の形式にはこだわらないと、あなたはお答えになりました。御記憶ですか。総裁、いかがですか。法律の形式にはこだわらぬとあなたはおっしゃった。
  188. 藤井貞夫

    ○藤井(貞)政府委員 御指摘になりましたように、人確法に基づく第三次の勧告は、昨年にお願いをいたしたわけでございます。諸般の情勢がございまして、今日までこれが実現に至っておらないという事実がございます。それを踏まえまして、人事院勧告の趣旨から申しまして、これはぜひともひとつ実現をしていただきたいという気持ちがございますものですから、この間の八月一般勧告でその点にも触れたということでございます。ただ、人事院といたしましては、そういう要望、期待を意思表示をいたしたようなわけでございまして、法案をどういうような形にするかということは、これは私たちとやかく申すべき筋合いのものではございません。したがって、その立法形式についてはこだわらないということは、この間も申し上げたのはそのとおりでございます。
  189. 大出俊

    大出委員 ここに議事録を持ってきておりますが、「この点は、われわれ法形式のことをとやかく申し上げておるのではございません。」というのですね。その上で私は藤田総務長官に、これは大変むずかしいことになりはせぬか、下手に一本の法律にした場合に、主任手当に絡む部分があるからというので、これは勧告が一本なんだからセットですなと私が念を押して、人事院総裁は、セットですと。だから、法律が通らぬうちは規則制定はいたしませんと何遍もお答えになっている。これは私とのやりとりです。それだけに、主任手当に反対だという立場から、通常国会二回、前々通常国会、前通常国会、ともにこれは成立していない。今回も、一つ間違ってこれ廃案だなんということになりますと、一般公務員の方々の期待を大変に裏切ることになる。大変むずかしい問題。だから、総務長官、これは一体どうするのだと私が念を押したところが、あなたの方で、実は私は大変むずかしいと考えている、心配をしている、それはまさに、大出さん、あなた御指摘の点なんだという長官からのお答えが出てきた。これからのことなんだから、各党の意見を全部聞かせてもらいたい。そしてここにございますが、政府としてはその上で考えたい、こういう御答弁が出てまいりました。私は、それでは申し上げようというので、社会党のをということでるる申し上げまして、再度あなたに御答弁を求めましたが、意見を申し上げたのだから御検討を願えるかと言ったら、あなたの方は、十分それを考えていきたいということでした。  こういうやりとりをいままで歴代総務長官と間々いたしてまいりましたが、普通ですと、実は総理府の皆さんが私のところへ何回となく連絡に来られたり、その間にいろいろなやりとりをして、公務員全般の給与にかかわるわけですから、トラブルなくまとめたい、そういう腹がお互いにあるわけですから、大抵ならばそこで話し合いを詰めて、もちろん形は政府が決定をなさるわけですけれども、そういう手続をお互いに各党の間と皆さんの方でとってきている。これは内閣委員会の一つの大きな慣行でもある。特別職だ何だ、ややこしい問題もございますから、話がまとまっていないとなると、出てきた法律、これは一般の方に絡みますので、とんでもないことになる。ところが今回に限っては、私の質問は八月の十日なんですが、あなた方が閣議でお決めになったのはたしか十月の三日かそこらだと思うのですね。この長い間、一言半句もあなたの方から、検討の結果こうでございますなんというようなことのお話がない。まるっきりこれはつんぼさじき。代表して意見を言ってくれと言うから意見を言った。御検討願いたい、これから考えさせてもらうとあなたはおっしゃった。時間がたくさんあった。時間があるからと、こうなっている。私は最後にこれを念を押している、これもいますぐ詰まる筋合いのものではないから、時間があるのだから、後の論議にしましょうと。ですから、一言半句の連絡もないというのは、私は内閣委員会理事を十三年やりましたが、いまだかつてない。これは総務長官、人間というのは立場が違ったって信頼関係で成り立っている。そうでしょう。きわめて不親切きわまると私は思うのですが、いかがでございますか。
  190. 藤田正明

    藤田国務大臣 確かに八月九日の人事院勧告の明くる日、十日にそういうふうな御質疑もいただき、そういう答弁もいたしました。なかなかこれは過去の経緯からしてむずかしい問題でありますので、各党の御意見も伺い、でき得れば各党間でお話し合いでも願えれば一番よろしいのですがと、こういうふうな答弁をしたわけでございます。そのときに大出先生の方から、それでは社会党を代表して意見を言うが、過去二回廃案になった法案は別個に二つにして出す、これが社会党の意見である、こういうやりとりであったと思います。  そこで私の方は、その後参議院の方に要望に来られましたが、衆参の野党の諸先生方からいろいろお話も伺い、また人事局長それから総務副長官に方々に走ってもらったわけであります。その間に、社会党を代表して意見を述べられた大出先生のところに私が一度も伺わなかったということにつきましては、これは申しわけなく存じます。この席でその点はおわび申し上げます。ただし、人事局長は二度ほどお伺いをいたしまして、たまたまお留守のようでございましたので、結果は、連絡もとれないで法案提出ということに相なったと思います。  そういうことでございますので、いままでの慣例から、私の方が、質問の当事者であり、代表の見解を承った大出先生のところに伺わなかった、この点については、おわびをさせていただきたいと思います。
  191. 大出俊

    大出委員 この法案内閣委員会が所管の委員会でございますからね。しかも私が質問者ですから。また、前国会二回にわたってこれは成立をしていないいわくがございます。だから私は、旧来のいきさつからすれば、全くどうも二カ月にわたって何の連絡もないというのは不思議な話だというふうに考える。だから、実はさっき正示委員長に質問したのですが、これだけむずかしいものを一本でお出しになったから、珍しい話なんだけれども委員会議事をお考えにならなければならぬ与党の皆さんが、この法律を抱えて、どうも二十四日ぐらいまで寝てしまうかなんてめんどくさそうに言うことになる。何ならつぶしてしまおうか、そうすれば教組関係の皆さんの顔が立つだろう、十二月の初めあたりに通せば今度は自治労関係の皆さんの顔が立つだろう、そんなことを考えるようでは、ちょっとこれは筋が通らぬ。私が仕掛け人で仕掛けるなら、まことにけしからぬことだから、総理を呼んでくれと言って座り込んじゃって、二日、三日質問席に座りっぱなしにしていればこれはつぶれちゃいますがね。私は、やはり冒頭に申し上げましたように、これだけ二国会にわたってもみ抜いた法案ですから、そういう意味で言えば、議論は尽くす、そして決着をつけるものは決着をつけるということが一番フェアなんじゃないかという気がするわけです。そこで、いまその仕掛けをする気はありませんから、委員長に冒頭に承った、その点で了解はしますが、長官からのいまの御答弁がございましたから、がまんをして次に進めたいと思います。  ところで、人事院に承りたいのですが、週休二日制に絡む今回の勧告の中身がございます。これはまたいわく因縁がございます。どうも意見書をお出しになったのだが、十月まで閣僚懇は決めなかった。大変難航して試行に踏み切ったという実は前歴がございます。そこで、その試行をやった結果として、どことどことどこの省が試行に参加しなかったのか。かつまた、その結果を集約なさっているのだけれども、集約した結果、どういう答えが出たのか。あわせて、これからどういう手続、手順を踏んで進めておいでになろうというのか。三点、時間を節約する意味で、一緒にお答えをいただきたいのであります。
  192. 藤井貞夫

    ○藤井(貞)政府委員 週休二日制のテストにつきましては、いろいろ経緯がございましたが、昨年の十月から一年にわたってやるということで実施をしてまいりました。六カ月たちました時点において一度中間報告をとりました。さらに総括的に全体の集計といたしまして、結果の報告を聴取をいたしております。大体集まりました。その結果は現在収集、分析中でございます。私自身も大変督励をいたしておりますが、まだ内容にわたって詳細な報告は受けておりません。現時点において大体予測のつくことは、職員局長からでも何なら申し上げたいと思いますのでお聞き取りを願いたいと思います。     〔委員長退席、木野委員長代理着席〕 ただ、いま集計中であるという点は、前提としてひとつ御了承を賜りたいと思います。  今後のことなんですが、この結果が出た上で、私といたしましては、次のステップに入りたい。そのステップといたしましては、やはりもう少しテストをやっていきたい。ただ、そのテストのやり方といたしましては、もう少し濃密な程度でもってやるのがいいじゃないかというふうに思っております。いろいろな事情から実施ができないところもございました。また、われわれが示しました密度というものをそのまま実施ができないで、非常に薄くしかやれなかったというところもございます。そういう問題については、原因をよく検討いたしまして、対策も講じながら次のステップということにいたしたい、かように考えておりますが、いずれにいたしましても、方向といたしましては、もう少し濃密な方法でやってまいらなければいけないのではないかという考え方でおります。  私といたしましては、従来からも累次申し上げておりますように、やはり週休二日制というものは世界の大勢であり、潮流であるという基本的な認識には立っておるつもりであります。ただ、これは国民生活に大変大きな影響を与える問題でもございます。やはり全体の、国民的な同意というものも十分取りつけてやらないと、ひとりよがりになっても困りますので、そういう点の配慮は十分いたしますけれども、しかしいずれは、方法、時期等は別問題として、やはりそこへは移っていかなければならぬという基本的な認識に私は立っておるつもりでございます。したがいまして、結果を収集し、それの検討をいたしました暁におきまして次のステップに入りたいということでございます。ただ、現在のところ、その段階を経過をいたしておりまする状況でございますので、今日この時点において、いつ、何月に次のステップに移るという点につきましては、もうしばらくひとつ御猶予をいただきたい。
  193. 大出俊

    大出委員 金井職員局長お見えでございますから、少し中身を承りたいのですが、総裁は、最終的な集約結果をつまびらかにしていないという意味答弁をいたしましたが、この報告は出そろっているわけですね。そして集約をなさっている。私もそれなりに方々から聞いておりますが、聞いている範囲では、特定の省庁を除いては比較的実行率は高いのじゃないかと思っているのです。厚生省あたりの病院関係だとか、これは文部省なんかでも大学の付属病院その他ございますが、そういうところ、あるいは運輸省関係で言うと、航空管制だとか――管制問題は長く取り扱っておりますから、私も大変詳しいのでありますが、この管制部門、あるいは気象庁などというところ、気象庁なんというのは、前の総裁のときに私細かい質問をしておりますが、三年五%でかんなをかけました関係で、定員の関係で、富士山頂レーダーが半日使えないということになったのですね。ここは定数の上でしわが寄っているのですね。そういうところは本来むずかしいところなんですね。そういうふうなところはどういうことになり、将来どういう手配をしようと考えるのか。さらに、やっていないところも挙げていただきたいのだが、海上保安庁とか公安調査庁とか、特に法務省なんというのは、稻葉修さんが法務大臣で、そんなことをやれば日本がつぶれるというばかなことを言ったいきさつがありまして、そんなことを言った覚えはないのだけれどもと私に言っていましたけれども、かくてやらない。その後私も何遍か法務省官房長に話しまして、今回は積極的に参加をするという趣旨の申し送りを前官房長がいまの官房長にしていると私に言っておりましたが、そういうふうなところはどういうことにするのかということ。  さらに、「濃密な」という答弁を総裁いまなさいました。     〔木野委員長代理退席、委員長着席〕 この「濃密な」というのは、ローテーションをもっと変えるという意味だと思うのですね。たとえば十分の三なら十分の三というローテーションを詰めるということ、そこらのところを具体的にどういうふうに考えておられるのか、担当局長立場でひとつ金井さん、お答え願いたいのです。
  194. 金井八郎

    ○金井政府委員 ただいま御質問のまず省庁の試行の実施状況でございますけれども、本年九月に終わりました試行におきまして、全省庁四十三省庁のうち総理府以下四十省庁が試行に参加いたしました。参加しておらないのは、前回にも申し上げましたが、法務省と公安調査庁と、それから防衛施設庁のうちの労務部、これは一般職の国家公務員でございますが、人数が少のうございますが、その三カ所でございます。  全体の結果につきましては、ただいま総裁からも申しましたように、現在鋭意分析、検討中でございますけれども、本年四月にとりました中間報告によりますと、その際の実行率、すなわち職務専念義務を実際に免除されて休んだ率でございますが、これが九五・五%ということになっております。それで、大体全体がローテーション方式でやっております関係から申しまして、一年間全体を通じましても、大体数字はそのくらいではないかというふうに見込まれます。  それから次に、いま御指摘ございました実施について問題があるであろうと思われた官署、すなわち医療関係であるとか、あるいは交代制部門の官署、窓口官署さらには文教関係学校関係といろいろございますが、これらにつきましても、中間時点における実行率はそうひどく低くはございません。これは一つは、実施期間が三カ月ないし二カ月ということで、それにもよったことと思いますけれども、やはり少人数官署であれば職員の代替に支障があるとか、あるいはそうでなくても一般的に申しまして、国家予算関係事務の担当者は支障があったとかいろいろございます。これらを私どもいま詳細に分析中でございまして、それぞれその部門に応じた問題点の解決の仕方というものについてそれぞれの当該省庁と御相談いたしまして、その原因を詰めて、今後どういうふうにそれを解決していくかということについてよく御相談したいというふうに思っているわけでございます。  大体におきましては、試行は一年間通じて見て、そうひどい支障というものはなかったというように一応理解しております。
  195. 大出俊

    大出委員 そこで、いまこの概略の報告をいただきましたが、詳細にわたって分析をし、こういう結果になったというのを明らかにできる時期というのは、確定的なものでなくても結構ですが、おおよそどのくらいにめどをお置きになりますか。
  196. 藤井貞夫

    ○藤井(貞)政府委員 私の目途といたしましては、早く結果を出すようにというふうに督励をいたしておりますが、見通しといたしましては、今月いっぱいにはおおよその結果が出るのではないかというふうに予測をいたしております。
  197. 大出俊

    大出委員 ということになると、そこから先実施するとかあるいは――この試行というのは実施が前提かということで私がいつか詰めたことがありますが、実施が前提ですという答弁を当時総裁はなさっておるわけであります。したがって、そうならば実施をするというふうに踏み切るのか、さっきちょっと口にされた第二次試行というふうに踏み切るのか、いずれにしても、そこらのところの決断が総裁御自身に必要だと思いますね。それは年内、十一月いっぱいに結論が出るとすれば、十二月という段階ではそこらの検討はできるわけでありますから、こう考えたいわけでありまして、そこらの時期とあわせて、これは本来一月二十日に書簡を出して十月に延ばされて、閣僚懇で決まったといういきさつがあるわけでありますが、そこらのところと絡みまして、決断をされたらそこから先はどういうふうに進めるのか、どういう手続をおとりになるのか、そこらはいかがでございますか。
  198. 藤井貞夫

    ○藤井(貞)政府委員 恐らく今月いっぱいで結果が出てまいりますので、その結果を見て、いろいろな角度から検討して次の措置をどうするかということについて、私自身がやはり決断をしなければならぬ時期が来ると思います。大体目途としては、年内には方向は決めなければなるまいというふうに思っております。ただ、この点はまだ結果が出ておらないという点もございます。また、いろいろな情勢というものもございますので、先刻申し上げましたように、もうしばらくその時期等について申し上げることは差し控えをさせていただきたいというふうに思っておりますが、できるだけ早い機会に結論を出したいというふうに思っております。その結論が出ました暁におきましては、昨年やりましたと大体同じような方式、すなわち人事院の方から官房長官なり総理府総務長官なりに対して書簡を出して、結果はこういうことでございます。ついてはその次のステップはこういうふうにやりたいと思いますので、よろしく御協力を願いたいというようなことを申し述べることに相なるかと思います。その後の段取りは、これは総理府の問題になりますから、私がとやかく申し上げる段階ではございませんが、恐らく関係の閣僚会議その他の一つの過程がございますので、そういうところで問題として取り上げられていくということに相なろうかというふうに思っております。  ただ、これはよけいなことですが、できるだけ私自身としては結論を急ぎたいと思っておりますけれども国民の世論なりあるいは各省庁の関係、いまちょうど予算編成の時期等でもございまして、これは先生もよく御承知のようないろいろな事情がございます。余り人事院が独走いたしまして、その結果何か非常に反発を受けて、独走じゃないかというふうなことになっても、これはせっかくやれることがやれないというようなことになっても困ります。要は、要するに皆さんの御協力を得て、できるだけ円滑にひとつ実施を図っていく、そういうことがねらいでございますので、そういうような点をにらみ合わせながら対処したい、かように考えております。
  199. 大出俊

    大出委員 筋道を言えば、十一月末までには集計分析の結果が出てくるであろう、だから十二月という、つまり年内ということで総裁はいずれかの決断をせざるを得なかろう。まあしかし、集計結果が出ていないという意味で言えば、できるだけ速やかにと思っている、そこで決断をした、その後はこの昨年の一月二十日の書簡でありませんけれども、何か官房長官等にそういう手続をとりたい、いまこういうお話ですね。そこから先は総理府だ、こういうわけであります。  そこで総理府総務長官に承りたいのですけれども、そこから先のところ、これは先例がありますから、私はいろいろな意味の危惧を持っておりますが、そこのところを総理府の方はどうお考えでございましょうか。
  200. 藤田正明

    藤田国務大臣 人事院からの試行結果の報告を受けておりまして、そこで御承知のとおりの週休二日制及び定年制問題閣僚懇談会というのがございますが、この懇談会にかけるわけでございます。この懇談会にかけまして、その試行の結果報告をどのように取り扱うかということを早速にも協議いたす、こういう段取りになろうかと思います。
  201. 大出俊

    大出委員 定年制及び週休二日制問題懇談会というわけでありますが、ここでちょっと触れておきたいのでありますが、総理府で、正式名称は週休二日制・定年制延長問題関係閣僚懇談会ですか、ここで第一部会、第二部会、第三部会、第四部会と、部会が旧来からございましたね。こちらの方の関係の手続はございますか。
  202. 秋富公正

    秋富政府委員 確かに第一部会から第四部会までございました。さらに、銀行問題が出ましたので、第五部会が追加になっております。私の方の総理府人事局におきましては、非現業の国家公務員につきまして、第一部会でございますが、これは四十八年の七月から十四回開いてまいりました。ですが、その後人事院の方から具体的な試行基準というものが出てまいりましたので、閣僚懇談会の下部機構といたしまして各省の人事課長あるいは官房長、関係局長、最後には事務次官会議までいたしましたが、この方を大体二十数回やりまして、第一部会からむしろこの週休二日制閣僚懇談会の下部機構としての活動に移りまして、この方をずっと精力的に昨年は続けてまいりました現状でございます。
  203. 大出俊

    大出委員 そうすると、人事院総裁が決断をする、書簡なら書簡を官房長官に出す、総理府の方は後は手続を踏んでいく、その過程との関連が部会との間で出てまいりますか。部会を開いてから閣僚懇談会と、こういう立場ですか。
  204. 秋富公正

    秋富政府委員 昨年は一月二十日に人事院から書簡をいただいたのでございますが、その前から後にかけましては第一部会と申しますよりもむしろ週休二日制懇談会の下部機構と申しますか、メンバーは各省の秘書課長、人事課長あるいは官房長、関係局長ということで大体同じことでございますが、組織といたしましては、第一部会と申しますよりも懇談会の下部機構という形で動いております。今回もそういたしたいと思っております。
  205. 大出俊

    大出委員 これは藤田さんに念を押しておきたいのですが、植木総務長官の時代に、これはずいぶん苦労しておるわけですよ。私も実はそのメンバー一人一人に当たったこともある。したがって、これはここまで来たら、これから申し上げますが、さっき総裁も他の関係官庁その他の話もなさいましたし、あるいは取り巻く環境の話も出てまいりましたから、それはきょうは労働省その他の方にもお見えいただいておりますから、そこで明らかにしていきたいのでありますけれども、今度は一遍やっておるわけでありますから、いろいろ当時の議論を知らぬわけではありませんけれども、また延々と延びるなんというようなことにされると、それこそほかの環境その他の方から見るとおかしくはないかという問題になりかねない。そういう意味で長官にひとつそこのところを、昨年のようなことにしない事前の人事院その他との準備あるいは出てきたらこうするという手続、そこらをお進めいただきたいのですけれども、いかがですか。
  206. 藤田正明

    藤田国務大臣 先ほどもちょっと申し上げましたが、そのような試行の結果報告をいただきましたら、まず第一に、やはり下部機構である、いまの第一部会と申しますか幹事会にかけることになろうと思います。幹事会の方が終わり次第、それを先ほどの閣僚懇談会の方にかけて、その結果の報告についていろいろと討議するということになろうと思います。その間は、それほど時間をとる問題ではないと思います。
  207. 大出俊

    大出委員 速やかにお進めをいただけるという御意思と伺っておきます。  そこで人事院にもう一遍重ねて承りたいのでありますが、「濃密な」、こういう言い方をされたのでありますが、職員局長担当でございましょうけれども、その「濃密な」というのは、どの程度濃密にお考えでございますか。
  208. 金井八郎

    ○金井政府委員 お答えします。  前回の試行におきましては、十分の三以内ということでやりました関係で、四週間に五回、半日土曜日があるという形で、四週五休という形でやったわけです。そこで、次回にどういうふうに持っていくかということは現在検討中でございますけれども、前回の実態から見ますと、一番長いもので十二週間実施したわけでございますので、やはり年間のいろいろ業務がございます。その波動がございますので、それをもう少し検討するためには期間をもう少し長くする必要があるのではないか。いろいろさっきもお話がございましたように、実施困難と一応思われる職種、部署がございます。ですから、そういうようなところをどの程度まで長くするかという問題がこれから検討の中で行われるわけでございますけれども、いずれにいたしましても、実施期間をもう少し長くやってみたらどうかというふうに考えております。密度と申しますから、四週五休をさらにもう少し濃い形でやるかどうかということも検討の中では出ますけれども、これは、私どもの方の考えといたしましては、いわゆる本格実施を前提という形で、そのためのテストという立場をとっておりますので、そういうことを考えますと、余り当初から濃い密度でやるというのはどうかということもございますので、いまのところは、期間に重点を置いて検討を続けておる次第でございます。
  209. 大出俊

    大出委員 これは先ほどの総裁の答弁とちょっと違うのですが、総裁は濃密なテストをやりたいと言う。期間というのは濃密じゃないのですよ、短い長いだけのこと。「濃密な」と言いますと、十分の三で四週五休だというならば、四週五休というのはどういうことかと言うと、要するに、簡単に言ってしまえば一カ月に一日土曜日休むということですよ。大体四週あるのだから、日曜日ならば四週で四日休むわけだけれども、そこへもう一日土曜日を休みにするから五休なんだ。そうでしょう。そうすると、「濃密な」というのは、総裁のさっきの発言からすれば、この十分の三をもうちょっといじるということになる。いまは本格実施を目途にやるのだからいじりたくないという意味答弁。どっちが本当なんですか。
  210. 藤井貞夫

    ○藤井(貞)政府委員 まだ結論を出しておらない段階ですから、次のステップの内容について申し上げることは差し控えさしていただきたいと思いますが、私が「濃密」と申し上げたのは、期間のことも含めて申し上げておるつもりでございますので、別に職員局長答弁と矛盾しているわけではないと考えております。まだ結論は下しておりませんから、いろいろな点を配慮して決めていきたいと思っております。
  211. 大出俊

    大出委員 そこで、いま、一つ聞き捨てならぬ答弁がありまして、四週五休という試行というものは、本格実施を前提にやっているのだからいじりたくないとなると、人事院のお考えは四週五休だということになる。そうでしょう。本格実施は四週五休、こう考えているから、それに合わせた試行をやっているので、いじりたくない。答弁をしたのだから、逃げたらだめですよ。総裁、いかがですか。
  212. 藤井貞夫

    ○藤井(貞)政府委員 いま、私から申すのはなんですが、職員局長は少し口が滑ったと思います。まだ、本格実施は次の段階ですから、とてもそこまではまいりません。もしも実現可能といいますか、いろいろな角度から見て本格実施というような段階に行く場合においても、そう簡単に完全週休二日制とかなんとかということには入りにくいのではないかという頭があるものですから、ふと口が滑ったのではないかと思いますので、ひとつその点にこだわらないで、御容赦をいただきたいと思います。
  213. 大出俊

    大出委員 これは総裁、こだわらないでと言ったって、私は質問者であなたは答弁しているのだから、口が滑ったらそんなものは逃がしませんよ。四週五休本格実施を前提に試行をやっているのだ、だから四週五休なのだ、したがって、いじりたくないというのなら、本格実施は四週五休という目途でやっていることになるじゃないですか。口が滑ったも何もない、それが腹の中だというわけだ。たくさん滑ってくださいよ、結構ですから。たとえば厚生省などのように、定員問題と絡んで労使双方でいろいろ意見があるところだってある。行政管理庁、きょうは辻さんお見えいただいているけれども、定員問題等と絡むからなかなか人事院は慎重である。その人事院の腹がわからぬわけじゃないのですよ、私は。だからそこらは、口が滑ったのならついでに総裁言っちゃってくれればいいのです。なぜ一体四週五休という滑った口が出てくるかと言うと、定員問題その他の関係もあって、そこらを考えるとその辺がという皆さんの内部の御相談がある、こういうことですか。
  214. 藤井貞夫

    ○藤井(貞)政府委員 事務当局といたしましては、あらゆる角度から慎重に検討を続けておる段階でございます。その段階でいまのような発言も出てきたかと思うのでありますが、これは、はっきり申しまして、私自身まだ腹を決めておりません。したがいまして、いまの点については、もうしばらくひとつ猶予が賜りたいということでございます。
  215. 大出俊

    大出委員 重ねて承りますが、腹を決めてないと言うが、担当局長から口が滑る。四週五休というのは、皆さんの立場から見て上限なんですか、真ん中なんですか、下限なんですか。
  216. 藤井貞夫

    ○藤井(貞)政府委員 それはいまのところ、まだ申し上げる段階でございません。
  217. 大出俊

    大出委員 衣の下に何とやらで、四週五休がちらりと出てきたのだが、その辺の見当でお考えなんだろうと、そういう推測はできますが、それじゃやっぱり各種職員団体、組合関係がおさまらぬところがたくさんあると思うのですね。また、これから申し上げる面等との絡みで、まあひとつその辺は上限だなどと言わずに御検討いただきたい、こう申し上げておきます。  そこで文部省にちょっと承っておきたいのですが、大臣御答弁いただければお願いいたしますが、西ドイツ等の例もあるが、おくれて試行をおやりになっているのですけれども、これは積極的にお進めいただきたいと思っているのですが、つまり学校の週休二日という問題について、永井さんのときに私は何遍か聞きましたが、海部さんのときに聞いてないので、あなた方がおくれて始めておられる試行とあわせまして、この問題についてどうお考えなのか、大臣から御答弁いただきたいのですが……。
  218. 諸沢正道

    諸沢政府委員 ちょっと私から事務的に経緯を申し上げますが、実は、人事院のそういうお考えを承りまして、昨年の秋から一般は試行をやるということでございましたが、いずれにしましても、小・中学校は、高等学校も含めて、一年を一区切りとして教育活動を編成しているということからして、年度途中からは無理だということで見送りました。ところでことしの四月からどうするかということでいろいろ検討をしたわけでございますが、今回の試行をするに当たっての前提として、予算と定員は現在のままだ、それから仕事のやり方もいまと同じだ、これを学校に当てはめますと、それぞれの学校において現在同様週六日授業をして、かつ先生は一日休む、こういうことになりますが、率直に申しまして、私はその提案を聞きまして、これは非常に無理だという感じを持ったわけでございます。もちろん教員の勤務条件を改善するということは、非常に大切でありますが、同時に学校としては、教育活動内容、質が低下するということは、これは絶対に避けたいというのが私の考えでございます。そういうことからしました場合に、果たして提案のような試行ができるかどうか、これはそれぞれひとつ各県において判断をして、できる、試行をやってみようという判断に立たれた県はやってほしいと、こういう趣旨の通達をことしの二月に各県に出したわけでございます。各県はそれを受けまして検討をいたしましたが、現在のところは、まだ高等学校以下の学校について試行をやっておるところはない、こういう実情でございます。
  219. 大出俊

    大出委員 人事院、どうですか、警察なんかでも、自治体警察の場合にいろいろな問題が起こっています。学校も同じようなことが言えるのですけれども、そこらはどういうふうに御判断ですか。
  220. 金井八郎

    ○金井政府委員 学校関係でございますけれども、現在試行の途中でございます。大体六〇%くらいの実行率というふうにちらっと見ておるわけでございますけれども、いずれにいたしましても、教育関係のは非常に一般の公務員と違いまして、教育関係のことでございますので、私どもの方も、文部省の方でその点について十分に検討していただいて、他の公務員との関係ということもございますが、まず検討していただきまして、その上で対処していきたいというふうに考えております。  それから警察関係でございますけれども、これは御承知のように、都道府県警察の中で通信関係だけが一般職の国家公務員でございます。一体になって仕事をしている関係もございますので、都道府県警察の方は週休二日制の試行をやっていないところがほとんどだと思いますけれども、その関係で比較的実行率が低いように見ております。これも今後十分に当該省庁と御相談しまして、少し実行率を高めるような形でやる工夫をしたいというふうに考えております。
  221. 大出俊

    大出委員 これは海部文部大臣に承っておきたいのですが、西ドイツのように、学校が反対をして当初は土曜日は休まなかったわけですね。ところが世の中じゅうが、西ドイツというのは徹底していますからね、完全に土曜日は休みなのだから、ハイウエーなんかも、トラック一切乗り入れ禁止で、全部休んでいるのだから運送機関が走ることはないのだと言って禁止して走らせないのだから、徹底しているのですね。だから、世の中じゅうがどうも二日休みになっちゃって学校だけやっているものだから、子供さんのために土曜日奥さん休めないわけですな。しようがなくなって、後から学校の方も二日休みにしたのですよ。これは有名な出来事でございます。だから、前に永井文部大臣に私は聞きましたが、文部省の方も、やはりこういう趨勢なんだから、余り後ろに引っ込まないで、やれるところはやっていくという姿勢が私は欲しいと思います。大臣、そこのところはいかがでございますか。
  222. 海部俊樹

    ○海部国務大臣 世の中の仕組みが全体にそういうふうになっていきますときというのは、やはり先生指摘のような政策的に踏み切るべきときである、こう判断いたしますが、率直に申し上げまして、現在学校の六日制というのは定着しておりますし、六日制の中で各教育課程というものが編成なされておるわけでありますから、現在文部省がおくれて、影響が及ばないように配慮しながらやれということでございますが、それは、ほかの動きというもの、世の移り変わりというもの、これをやはり敏感にながめて対応していかなければならぬということは、考えにおいては同じでございます。
  223. 大出俊

    大出委員 当面それで結構でしょう。  労働省に承りたいのですが、幾つもあるのですが、時間の関係もありますから、駆け足をいたしますけれども、一つは、石田労働大臣が銀行関係の方々を呼んで、これは金融経済新聞という新聞ですが、先月の二十八日ですか、都銀、信託、興長銀全頭取と副頭取、それから地銀協の正副会長などをパレスホテルに呼んで、不況の長期化の中で雇用を促進する方法ということで、銀行は交代制の月四日休日制、一日は土曜日、こういう提案を大臣みずからがされておりますね。ここらのところは、一体ほかの方の労働省のいろいろやっていることとひっかかりがあるのですが、担当の方々の方はどういうふうにこれを受け取っておられるわけですか。
  224. 宮川知雄

    ○宮川説明員 金融機関の週休二日制につきましては、労働条件の一つということで労使が十分お話し合いをいただきまして、それぞれの実情に応じてお進めいただきたい。これは金融機関と申し上げましたけれども、ほかの産業、企業、すべて同じでございます。そういう意味では、私どもといたしましては、金融機関につきましても土曜日も閉店して進められるのが本来であろう、かように考えます。  ただ、石田労働大臣がそういう提言をされたといいますのは、現下の非常な雇用失業情勢を踏まえまして、そういう状況のもとでは、土曜日はあけたままで従業員について週休二日制をそれぞれにとる、そういうようなやり方もあるのではないか、そういうような趣旨で提言されたというふうに聞いております。
  225. 大出俊

    大出委員 労働大臣みずからが雇用問題も考えて、これは身障者一・五%採用率にしろというようなことを言っているわけですね。そうでなければ、言い方は悪いかもしれませんが、法律適用をして罰金を取りますよという、この席上でここまで言っているのですね。この中の中心の一つが、いまの土曜一日銀行を休ましてくれというわけですね。そうすると、これは銀行法十八条と直接的に絡む。ただ、ここで言っているのは、交代制でということなんですね。ところがこのパレスホテルの会合で銀行側は何と言ったかというと、交代制というのは困ると言うわけですね。コストが高くつくという。だから交代制なんというようなことをやめてもらって、ずばり土曜閉店にしてくれ、そっちの方で進めたい、こう言っているわけですね。一九七五年に労使間で約束もある。協約もできている。ここらのところは一体労働省はどういうふうに受け取っておられるのですか。いまちょっとはっきりしないのだが、大臣がこう言っているのだから、あなたの方が横の方で答弁しては困る。
  226. 宮川知雄

    ○宮川説明員 労働時間の短縮、特に週休二日制は労働条件の一つでございまして、当然労使で十分お話し合いをいただきたいものでございます。金融機関についても、全く同様に考えております。  ただ、大臣が提言されましたのは、非常な雇用失業情勢を踏まえて、臨時に店はあけたままで従業員についてだけ週休二日制を完全にやる、そういうような方法もあるのではないか、そういうふうにおっしゃったと私ども伺っておりますが、本来的には当然お店を閉める、そういう形が望ましいことである、かように考えております。
  227. 大出俊

    大出委員 大蔵省に承りたいのですが、つまり労働省あたりも雇用対策が絡んではいますけれども、大分積極的に前に出て物を言っている。後から実は、中央労働基準審議会時短部会の労働省の中身もありますけれども、これも承らなければいかぬけれども、大蔵委員会に金融機関の週休二日制に関する小委員会をつくっておるということもあり、この銀行法十八条問題、何遍か私は大蔵省の皆さんに承っておりますけれども、こっちの方はどういうふうにお進めになるつもりですか。
  228. 渡辺喜一

    ○渡辺(喜)政府委員 銀行法十八条の問題というのは、先ほど労働省の方の答弁にもありましたように、銀行の店を閉める、完全週休二日といいますか、そういう場合に問題になるわけでございまして、交代制で月四日休むというふうな場合とは違う問題であろうかと思います。  私どもといたしましては、やはり週休二日という場合には、土曜を完全に店を閉じるという意味の完全週休二日というものを目指して進むべきであるというふうに考えておりますので、そういう観点からは銀行法十八条、このままの状態では店を閉めるというわけにいかないものでございますから、当然その点が問題になってくる、こういうふうに考えておるわけでございます。  それで、銀行法の改正ということになりますと、これはただいま金融制度調査会に銀行法全般についての改正を諮問しておる段階でございますので、この十八条問題も金融制度調査会における銀行法改正検討の一つの問題ということに相なっておるわけでございます。銀行法改正につきましては、大体大きな七つの項目に分けまして、金融制度調査会で順を追って検討を続けてまいっておるわけでございますが、この週休二日制の問題につきましては、銀行のサービス、取引に関する問題という項目のところで営業日という問題の絡みで取り上げられておるわけでございます。この問題はことしの夏から検討に入っておりまして、すでに九月、十月、十一月と何回か調査会が開催されまして、事務当局からいろいろな資料説明、あるいは各方面、たとえば産業界でありますとか中小企業あるいは消費者、労働界等々の参考人の方々の意見も拝聴し、さらに委員の間での議論も行われておるというのが現在の段階でございます。  いままでの議論を振り返ってみますと、大勢の意見は、銀行法を改正して完全週休二日制に行くということについてはまず異論はないと思うわけでございます。ただそのタイミングの問題、これをいつ実施するかという点につきましては、いろいろな御意見がございます。特に消費者あるいは中小企業、産業界等々の御意見は、いま直ちにこれを実施するというのはやや時期尚早ではないか、特に大方の中小企業の週休二日制実施率というのはまだ非常に低い、それから金融機関がそういうものに先んじて実施する場合に、金融機関に対する逆にいろいろな批判を招かないか、さらには金融機関というのは非常に日本経済における重要な立場、機能を担っている、そういう公共的な役割りというものを十分果たすという意味からも、いま直ちにこれを実施するのは適当ではないのではないか、まあいろいろな御意見がございまして、大勢としては、終局的には賛成なんだけれども、そういう意味でなお時期尚早であるという意見が多かったように思うわけでございます。  これらにつきましては、さらにほかの問題に調査会の審議は移行するわけでございますが、全体の審議を終わった段階で全体をさらに振り返って、総合的な検討をした上で銀行法改正についての答申をいただく、こういう段取りになっておるわけであります。  ただ、週休二日制の問題につきましては、いろいろ御議論もございますし、世論の関心もあるところでございますので、情勢がもう少し熟するというふうなことがございますれば、これは場合によっては、この部分だけを取り出して調査会で早期に何らかの結論を出すということはあり得ないことではない。ただ、いまの状況では、これは全体の一環として銀行法改正の答申の中でまとめて答申を行おう、こういうことであったかと思うわけでございます。
  229. 大出俊

    大出委員 そこが問題なんです。どうも大蔵省側の動きを見ていますと、人事院の動きとぴたっと合ってくる感じがするわけです。だから、人事院にも聞きたいのですが、第二次試行に踏み切る時期は十二月であるとした場合に、つまり総裁が決断をする時期、一月に書簡か何かを官房長官に出す、第二次試行をやる、四週五休というようなことを目途に十分の三ローテーションで今度は少し期間を延ばしてやっていく、ここまでさっきあなたはお答えになった。第二次試行をやったら、そこから先一体どうするか、これは大きな問題として残っていく。  ところで、いまの大蔵省答弁からいくと、金融制度調査会が七月七日から取引、サービス関係、銀行法十八条を含めてということで審議を始め、十月五日に銀行の週休二日制の可否についての公聴会をやっている。それから途中を省略いたしますが、十一月二日金融制度調査会各委員全員に意見を求めている。そして十一月二十九日、これから先です。十一月二十九日に、大体大蔵省が事務局ですから、あなたのところが作文をして表に出すのですね。いまいみじくもお述べになったが、全体の大勢、総論としては銀行法十八条改正、その方向で当然行くのだと言う。各論になると、いろいろなことを言っている。いろいろなことを言わせておいて、あなたの方は文章をまとめて出す。そしてこの文章は恐らく、いまいみじくも言われたのだが、機が熟するとすれば十八条単独改正という場面もあり得る、あるいはあり得るかもしれない。だが、いまのところは、七項目とさっき言っておられましたが、全体の検討が終わったところで全体として答申を出す、その中に銀行法十八条問題を入れようという考えなんでしょう。そういう作文なんでしょう、あなたの方は。あなたの方もそう考え、大蔵省もそう考えれば、そうなっちゃう。  それじゃ、全体の答申はいつ出るのだ。早ければ来年の夏、遅くなれば秋。となると、人事院の方は第二次試行をやっていくと、来年の八月の人事院勧告にぶつかる。いいですか、金融制度調査会の方の全体の答申は来年の夏、いまは十一月二十九日の作文には入れない。そういうふうに仕組んでいるのでしょう。人事院の方は、今度は来年の夏、人事院勧告が出る、そこらでもう一遍何か言おうというわけでしょう。そうすると、再びこういうところで審議されるのは来年の秋でしょう。そうなると、そこらのところは一体どういうふうになっていくのか、はっきりしてもらわぬと困る。これは両方にお答え願いたい。  人事院総裁は、第二次試行の後、来年の勧告の八月という時期がある、この辺まで見通して、一体どういうふうに持っていこうとするのか。それから大蔵省の金融制度調査会の方は、いま実は中間で物を言える場面が来ているのだが言わない、こういう考え方なんでしょう。そうであるのかどうか。そして来年の夏あるいは秋、この辺で全体が出る、ここまで延ばしていく、こういう腹構えなのかどうか、そこのところを、ひとつ両方で答えてください。
  230. 藤井貞夫

    ○藤井(貞)政府委員 試行の第二次計画につきましては、恐らくなるべく早く結論を出さなければならない段階が来るということは、先刻来申し上げておるとおりでございます。この第二次のテストというものはわれわれの方で措置をとって、それを受けて政府でもっていろいろ御検討になる。それが決まるのがいつかということにも関連をいたしますが、最終的な結論でないといたしましても、第二次のものも中途半端なことでは困るので、やはり一年間はテストをやらなければいかぬというふうに思います。  そうすると、いまお話しになりました、いつになるかということは今後のことなんですが、来年の八月の一般勧告の時期というのは、恐らくなお試行をやっている。去年の場合だと十月になってしまったわけですが、今度は恐らくはもう少しお早くやっていただけるのじゃないかという期待を持っておりますが、いずれにいたしましても、試行を実施をしているという段階でございます。したがって、試行をやる限りは、その結果を見て次にどうするかということを、これは次のステップとして考えていかなければならぬということに相なると思います。したがいまして、その点は来年の八月に必ず次のステップについて触れるかどうかということについては、ちょうど試行の実施段階を経過しておる最中でございますので、その推移を見た上ということも考えてまいらなければなりません。それと諸般の情勢の変化、いまお話しになっております金融界の情勢その他の推移の問題も、これはやはり無視するわけにはまいりますまい。そういうような諸般の点を考えながら次のステップを考えるという段取りに相なるかと思います。
  231. 渡辺喜一

    ○渡辺(喜)政府委員 十八条改正につきまして、一応の審議をいまやっておる段階でございますが、これらも次の項目に全部移って、全体をカバーした後に取りまとめて答申をするということを私は申し上げましたが、それは十八条問題に限りませんで、銀行法改正のすべての項目について、初めからそういう方針でいままでやってまいっておるわけでございます。特に、その十八条につきましては、逆にこれだけはほかのものと違って、非常に世論もありますし、いろいろそういう機運も盛り上がった時期もありますし、そういうことでもありますので、これだけはほかの項目とは別に、特に必要なときが来れば切り離して別途答申を考えてもいい、こういうところまで金融制度調査会長も申しておるわけでございます。そういう意味では、一般改正項目よりはむしろ、特にこれだけを特別に扱うという意図も持っておる、こういう意味でございます。
  232. 大出俊

    大出委員 念のために申し上げておきますが、これは読売新聞だと思いますが、十月二十四日のこれによると、「先月末から今月初めにかけ、市銀連代表が、銀行の休日問題で欧州共同体(EC)諸国に視察に出かけた。最初にEC本部を訪れたところ、金融担当官からいきなり「日本ではまだそんなこと(土曜営業)をやっているのか。」」世の中じゅうみんなやっておるのに、土曜を休むとか休まぬとか、「「恥ずかしくはないか」とまくし立てられ、二の句がつげなかったという。」アンフェアだ、不公平だと言って、たたかれたというのですね。「すごまれる一幕もあったとか」いう。また、もう一つ、アメリカの銀行家の代表団が先月中旬に日本にやってきた。大手の都銀の代表との話が長引いたので、ではこの用件はまたあしたにいたしましょうと日本側の都銀代表が言ったら、冗談言っちゃいけない、あしたは土曜日じゃないですか、だからお休みでしょうがと切り返されて、これで日本が土曜日は休みじゃないのがばれちゃって、引っ込みがつかなくなった、ここまで書いているのですよ。新聞だってそうでしょう。いまはそういう世の中なんですよ。問題は、人事院総裁が、これを試行、試行と言って、試行だけやっていればいいと考えているわけじゃないのでしょうけれども、踏み切るか、踏み切らないかというところまで来ておる。世界百六十カ国あるが、何と百カ国以上が、銀行が土曜日はみんなお休みなんですよ。先進国は全部休みだ。だから、ここにもあるけれども、「世界を見回しても、めぼしい国で土曜日に営業しているのは、スペイン、ユーゴスラビア、キューバなどほんの一部の国だけ。」という。いつか私申し上げましたが、フランスなんというのは、四十年も前に休みになっておる。いまこういう周囲の状況なんですね。だから総裁、そうのんきなことを言っておられたら困る。総務長官も、今度は人事院から出たらそんなに時間はかからないとさっきもおっしゃっている、前例があるのだから。だから、やはり試行を少し急いでいただいて、いま銀行法十八条の話がいみじくも出たが、金融制度調査会長も、十八条だけ取り上げて、何なら別に答申してもいいというところまで来ているのだとすれば、そこらの歩調を合わせる努力をなぜしないのですか。藤井人事院総裁、いかがですか。
  233. 藤井貞夫

    ○藤井(貞)政府委員 諸般の情勢は、われわれといたしましても、いろいろ情報を集めておりますし、また事務的な連絡もしょっちゅうとっております。そういう意味で、いろいろな関連事項というものを総合的に検討をした上で対策を講じていくということについては、十分配慮をいたしておるつもりでございます。したがいまして、いまの金融、銀行関係というものがどうなってまいるかというようなことも、だんだん煮詰まってまいります段階で、十分ひとつ連携をとりながら、われわれはわれわれとして、ひとつ考えていきたいと思っております。
  234. 大出俊

    大出委員 労働省に一つ言っておきますが、ここに今後の労働時間対策の進め方についてというメモがある。中央労働基準審議会時短部会、五十二年十一月十日。基準局の皆さんは中身はまだ表に出しておらぬそうですから、私も出すのを差し控えます。これはあなた方のメモだけれども。時間短縮だとか週休二日というのは労使の問題だと、さっき言いましたけれども、そんなのんきなことを言っておられる時期じゃない。この中身を見たって、ここでは、労働時間、休日、休暇の現状というところから始まって、休日も入っている。不況対策もこれあり、雇用問題もこれあり、時短なんという問題については行政指導していこうということになっている。そうでしょう。労使間の問題だと言ってぶん投げておったのでは、世の中一つも変わりはしない。何のために一体労働省がある。労働省が労働強化の方針なんか出されては困るのですよ。  もう一つ、時間がないから一緒に申し上げますが、労働省の五十二年の労働白書を見ますと、「週当たり実労働時間の国際比較」というのがある。日本とアメリカの比較で、日本が四十・二時間、アメリカが三十七時間、大変な違いで、西ドイツは三十六時間。「完全就労週当たり労働時間」というのがございまして、イギリス、フランス、日本の比較も出ている。また「一日当たり労働時間」の比較が日本とイタリアで出ている。しかし、日本ぐらいよけい働いている国はない。そうだとすると、これは労働省あたりももう少しその気になってくれないと困るのですね、さっきのようなことでは。労使間の問題だというようなことを言っていてはね。やはり促進する方向での行政能力を御発揮願わなければ意味がない。だから労働大臣だって、要望も含んでいるかもしらぬけれども、銀行協会の諸君を集めて物を言った。それを単なる要望だなんてへっぴり腰では困る。問題は解決しないですよ。  それから、通産省の皆さんが六月十四日に、総合エネルギー調査会省エネルギー部会に、省エネルギー対策として週休二日制の普及というのを諮問しているのですね。これも通産省がお読みになったら答えていただきたいのですが、いろいろな人が出てきてしゃべっているのを読んでみますと、週休二日なんかにすると、みんな車でどこかに遊びに行くので、ガソリンをよけい使うから、かえって資源が要って省エネルギーにならないなんて言っている。  ところが、私はびっくりしたのだが、経済企画庁がそこらまで研究しているのですね。なかなか官庁というのは――だけれども、こういうものは皆さんが使えるように宣伝してくれないと困るのですが、経企庁の経済研究所の編集で、「経済分析」第五十五号「週休二日制の影響分析」というのがある。これも経企庁からついでに答えていただきたいのですが、これを見ると、いま世の中、週休二日にたくさんなっている、その週休二日はどんなことに使っているかというのを細かく調べている。中心的に伸びているのは、創作活動とかスポーツです。スポーツは徹底的に伸びているのです。この分析の結果は、二日休んだからといって、マイカーでもってどこかとんでもないところに遊びに行ってしまってガソリンをよけい使うなんて、ばかなことを言っている人もいるが、そんなこと書いてない。逆に、そっちに行ってないというわけです。そうでしょう、働いている皆さんですからね。ただでガソリンが買えるのじゃないから、行かないですよ。みんなスポーツだとかなんとか、そっちの方がどんどん伸びている。だから、本当に官庁と銀行が週休二日に入っていったら、六十三兆ぐらい余暇産業の方に需要が出てくると言うのです。片や、これによって雇用対策が大きく前進する。環境ができ過ぎているのじゃないですか。やる腹があるかないかなんだ。労働省と通産省と経企庁と、答えてください。
  235. 南学政明

    南学説明員 お答えいたします。  私の方で、省エネルギー部会に週休二日制の関連でどのような諮問をしたか、私、直接担当しておりませんので、後ほどその点についてはお答えさせていただきたいと思いますが、週休二日制については、労働者の福祉向上という観点から望ましいというふうに考えられるわけでございまして、こうした観点からは、労働省において産業界に対しても所要の行政指導が行われていると了知いたしております。  ただ、雇用の拡大という観点に立って週休二日制を推進するかどうかという点になりますと、一概に、週休二日制を実施すれば拡大されるかどうかという点につきましては、企業経営者が先行きをどんなふうに見ているか、あるいは労働者をどの程度雇っているかという幾つかのファクターによって左右されるものと思われますので、私どもとしては、雇用拡大という観点からすれば、むしろ景気を早急に回復するということがきわめて重要なんじゃないか、そのように考えておる次第でございます。
  236. 馬場孝一

    ○馬場説明員 私どもの研究所の刊行物でございます「経済分析」というのがございます。これは表紙の裏にお断りしてございますけれども、研究所員の研究試論でございまして、研究所の公式見解ということにはなっておりません。これはあくまでも学界その他における御批判、研究の資にしていただきたい、こう思って発行しておるものでございます。  それから二番目に、研究所は政策そのものを研究するというよりは、その原型について、プロトタイプと申しておりますが、そういったものをまず研究しまして、これを実際に適用される官庁において御利用いただく、こういう二点が研究所の研究の性格でございます。  それから三番目に、先生が御指摘になりました、これからどういう余暇活動がふえていくだろうかという研究も、確かに「週休二日制の影響分析」に載っております。個人の研究試論ということもありまして、その分析を担当した者が現在研究所におりませんので、つまびらかにいたしませんけれども、私ども内部の者としてそれを検討してみますと、おっしゃるとおり、創作活動やけいこごと、それからスポーツ、こういった方面に欲求が強いように見受けられます。  ただ、これは定量分析とわれわれは言っておりますけれども、数字的にはっきりAとBと比べて絶対Aだとか、BとCと比べて絶対Bの方がCよりも多いとか、そういうようなものは必ずしもこういう定性的なデータからはすぐ出てこないわけで、これをいろいろな分析手法によって、仮定の上に、先生の御指摘になったような創作活動とか、それからけいこごととか、そういうものの伸び率が高いのではなかろうか、こういう推定を下しております。この基礎データは、余暇開発センターというところでおつくりになったデータでございまして、私どもは、ただしそれを生のままに使わないで、さっき申しましたような数量化の理論、そういうものを適用して、一つの試論的な結論を出しております。
  237. 宮川知雄

    ○宮川説明員 週休二日制の推進につきましては、労働時間の短縮という意味で、労働者の福祉の向上という点からも当然のことだろうと思います。それから、御指摘のございましたような国際的な日本の立場というものもございますし、また、少なくとも長期的に見た場合には雇用の確保という面で好ましい影響があることも、ほぼ間違いのないところだろうと思います。そういうことで、労働省といたしましては、週休二日制まで含めまして労働時間の短縮の推進に努めているところでございます。  それで、労使の話だから労使でやればいいというふうなことは申し上げたわけではございませんので、あくまで労使が自主的にお話し合いをいただくのが本筋でございますが、そうした雰囲気の醸成には及ばずながら一生懸命努めているつもりでございますので、御了解いただきたいと思います。
  238. 大出俊

    大出委員 時間の関係もありますから、ここで防衛庁関係の皆さんに、冒頭に申し上げましたように、長官がおられませんから、明日承りたいのでありますが、一つだけ注文を出しておきますので、お調べいただきたい。  というのは、神奈川県の長洲知事がきょうシャーマン公使に大使館に行って会っているわけでありますが、これを前にして、横須賀の例の士官食堂首切り問題、十七名解雇する、こういうわけですが、そうしてこの食堂を民間委託する。これは筋が通りません。かつて兵員食堂の問題がございまして、私も当時大分苦労したのですけれども、解決を見ておりますが、同じようなことをやる。それで、在日米軍司令官その他が幾ら言っても海軍が聞かないというので、話し合いをしている最中に勝手に発注をする。これもずいぶん強引だと私は思うのです。発注した相手が、いいですか、海軍人事部より横須賀の労管に次の連絡があったという。士官食堂の請負業者の決定をした。これは労働省にも調べていただきたいのですが、どういうところに発注したかといいますと、業者名がスター・プリンティング・カンパニー、スター印刷所ですね。スター印刷所というのを調べてみた結果がここに書いてあるのですが、これは食堂を民間に外注するというわけですね。ところが何でこれが印刷所の方に発注したのか全く見当がつかないのだが、この通告が来ている住所に、横浜市中区山下町八十一番地というところに、確かにスター印刷所というのがあるのです。代表者は根本敬明という方で、二人しか従業員がいない。ところが、この人が本当に契約をして請け負うのだとすると、おかしなことが出てくる。印刷所なんですからね。そして二人しか従業員はいない。そうすると、これは職安法との関係だってなくはない。もしもこの方が仲に立って人を集めて士官食堂の賄い、十七名首切ったかわりに十七名安い賃金で集めて、士官食堂のいままで十七名の方がやっていたことをやるということになるとすると、これは一つ間違うと、労働者の供給事業をこの印刷所の方がやったことになる。私は、どうもこれは解せない。しかも、きょう神奈川県知事が渉外知事として会って、いろいろこの問題についてお話し合いをしようということで手続がしてあって、外務省の皆さんにもお願いしてあった。ところが、ぽんと一方的に海軍の人事部から横須賀の労管に通告してきた。こういうやり方は、私は放任できないと思うのですね。一体何でこの印刷所の方に発注したのか、そこらのところが私はわからぬわけですが、あわせて外務省の皆さんに、もう少しこの種の問題は、従業員がそこにいるのに、しかも、いま米軍に勤めている従業員というのは、米側が困って一生懸命その人の自宅まで行って連れてきた人までいる。それなのにそれを首切って外注すると言う。このやり方をそこらじゅうでやられたのでは、日本の労働者諸君の生活の安定は成り立ちませんよ。だから、一体この真相はどうなのかというのをあしたまでにお調べいただきたい。いかがでございますか。
  239. 古賀速雄

    ○古賀政府委員 お答えいたします。  この問題は、単に十七名の整理の問題ではございませんで、いわゆる業者切りかえと申しまして、先生がおっしゃいましたように、仕事があるのに従業員の首を切って業者に切りかえるということでございまして、この問題は、私どもとしては、昨年来労務の大きな問題として、基本的な問題として日米間で協議をしているさなかのことでございます。  きょうまた、おっしゃいましたように、午前中長洲知事がこの問題についてシャーマン公使と会って、お話をしておられたばかりでございまして、いまの先生のお話は、私もきょう午後聞いたばかりでございまして、いろいろ問題もあるように承りますけれども、何分まだ私どもとしては十分な調査をしておりませんもので、至急調査をいたしまして、これは労務の関係の基本問題の一環として、十分慎重に検討いたしまして、できれば解決をしたい、こういうふうに思っておるわけでございます。
  240. 大出俊

    大出委員 大臣がおられませんから、御調査をいただいておいて、明日これは承りたいのです。  あと、能率的にきわめて簡単に承っておきたいことがございます。それは行政管理庁に承りたいのですが、西村行管長官がおととい、十五日の午後に福田総理にお会いになっていますね。ここで、こういうことになっているのです。第一段階、第二段階、第三段階、これを見ると、こういうことになるのでしょうか。まず第一は、今月末にも行政改革本部会議を開いて政府案を決めたい、その政府案の中身というのは何かと言うと、省庁の統廃合なんですね。この省庁の統廃合、これは前に一遍出たり、引っ込んだりした経緯があります。ありますが、幾つか案がここにありますけれども、たとえば国土庁を分離統合して同庁の調整部門を環境庁と統合する、これが一つ。残った土地部門を建設省の住宅局、都市局と合わせる、国民生活省あるいは住宅省、こういうものをつくる。あるいは二百海里時代なんだからということもあって、農林省を農林漁業省に改組する。四番目に、資源有限時代だからというようなことで、通産省の資源エネルギー庁を科学技術庁に統合し、エネルギー省というのをこしらえる。北海道開発庁、経済企画庁の他省庁への吸収。中小企業省の新設などというのを内部検討なさっている、こういうわけです。総反撃だ、云々だ、大平氏が福田氏に会ったとかなんとかいろいろあって、がたがたいたしましたが、これは一体どうなっているのか。この種のことをやるのなら、われわれに皆さんが十分に御相談をいただかぬと、そう簡単なわけにはまいらぬ。それなりの位置づけもしなければならない。国民全体に大きな、二十七年以来ないことですから。これは一体どういうことになるのかという点が一つ。  それからもう一つ、地方支分部局などの千カ所の統廃合だとかあるいは課、官、室、五十カ所の整理だとか、五十の審議会を整理するとか、あるいは公務員の定年制の導入というような問題まである。これは一体どうなっているのか。これは独走されても困るので、われわれも行政機構を改革をしていかなければならぬという熱意は持っております。持っておりますが、それで、もう一点だけつけ加えて申し上げますが、それだけに、一体これを行政管理庁はどうお考えなのか、簡単にして要点をひとつお答えいただきたい。
  241. 辻敬一

    ○辻政府委員 行政改革に関します具体案の立案につきましては、御承知のように、九月二日の閣議了解に定められた基本方針と要綱に基づきまして、ただいま鋭意検討を進めている段階でございます。  具体的に申し上げますと、すでに事務レベルにおきまして、かなり検討の進んでいる事項がございます。たとえば、ただいま御指摘もございましたけれども、中央省庁の機構のうち、課レベルの整理でございますとか、地方支分部局のうち支所、出張所の整理、審議会の整理統合、許認可の整理等につきましては、できれば今月末にも結論を得ることといたしたいと思っておる次第でございます。その他の事項につきましては、事柄の性質上、予算編成過程におきまして結論を得るべき事項も多く含まれておりますので、できるだけ協議、検討を急ぎまして、なるべく早く結論を得たいと考えておるわけでございます。  お話のございました中央省庁の再編成の問題につきましては、申すまでもございませんけれども、省庁の編成はわが国の行政組織の骨格をなすものでございまして、また各般の行政運営の基礎となるものでございますので、その再編成はきわめて重要な問題でございます。そこで、九月二日の閣議了解でも、別途検討することとなっているわけでございまして、ただいま慎重に検討をいたしております。高度な政治判断も必要とする事項でございますので、具体的な考え方や内容をただいま申し上げる段階にございませんことを御了承願いたいと考えております。  地方支分部局の整理合理化につきましては、ただいま一部申し上げましたように、支所、出張所等については、おおむね千カ所を目途に整理案を検討いたしております。  それからブロック、府県単位機関につきましては、省庁別に見直すことといたしたいと考えておりますが、やや作業がおくれておりまして、引き続き鋭意検討を進めてまいる考えでございます。  定年制の問題につきましては、総理府の所管でございます。
  242. 大出俊

    大出委員 いま定年制が抜けておるのですけれども、定年制は総理府の所管ですか。それではそっちで答えてください。ここに西村さんがしゃべっている中にあるんだ。秋富さん、あなた所管でしょう、答えてください。また一つ間違うと二、三日ここに座っていなければならぬことになりますから……。
  243. 秋富公正

    秋富政府委員 総理府人事局といたしましては、いわゆる人事管理の一環といたしまして、国家公務員のいわゆる中高年問題というのは、われわれといたしましても、かねがね検討してきたわけでございます。特に、現在平均年齢が四十・五歳、また四十八歳が一番ピークの年齢でございまして、今後の長期人事計画ということを考えますと、職員の士気の問題、あるいは公務能率の問題という点から、高年対策というものをいかにすべきかということは、ことしの三月に、五十二年度の人事管理運営方針におきましても主要検討事項としたのでございますが、さらにこの夏の行政改革の一環といたしましても、人事管理の問題といたしまして高齢者の問題ということがテーマになりまして、現在、主要各省の秘書課長、人事課長を集めまして、各省の勧奨退職の現状を把握し、またその問題点をいろいろときわめておるところでございます。今後、各方面にわたって勧奨退職の問題について広く検討を進めていきたい、かように考えております。
  244. 大出俊

    大出委員 秋富さん、ということは、定年制というものを、法律改正その他法案を提出するとかなんとか、そういうことが一つ前提になっておるのですか、西村さんの言っているのはそういうふうに受け取れるのだが。ここをお答え願いたいのと、それから行政管理庁に、別途検討だから言えないと言うのだが、それでは困るのですよ。決まる、決まらぬというのはここから先のことだからいいけれども、国土庁の分離統合だとか環境庁との統合、あるいは残った土地部門を建設省の住宅局に入れて、都市局と合わせて国民生活省だとか住宅省だとか、あるいは農林省を農林漁業省に改組するとか、エネルギー省をつくるとか、北海道開発庁だの経済企画庁の他省への吸収だとか、中小企業省だとかいうのは、あなたのところで検討しているのですか。それをはっきりしてくださいよ。決まる、決まらぬというのは先のことでしょうけれども。その二つ、お二人答えてください。
  245. 秋富公正

    秋富政府委員 私先ほど申しましたように、私の方は勧奨退職の問題を現在主に考えております。と申しますのは、勧奨退職は、五十五歳から六十三、四というふうに非常に各省に幅がございます。また職種によりまして行(一)の問題、行(二)の問題あるいは医療職の問題、研究職の問題等、公務員と申しましても、非常に多種多様でございますので、このあたりをどう持ってくるかということでございまして、これは……(大出委員法律は出すんじゃないの」と呼ぶ)私の方は、現在早急に定年制を導入するということは考えておりません。まず第一歩として勧奨問題に取り組みたい、かように考えております。(大出委員考えていない」と呼ぶ)はい。
  246. 辻敬一

    ○辻政府委員 中央省庁の再編成の問題につきまして、各方面からいろいろ御議論のございますことは、十分承知いたしております。たとえば、ただいま御指摘のありました中でも、農林省を農林水産省に改組するというようなことは、五十三年度に関します農林省の要求でも出てきておりますので、当然検討いたしておるわけでございます。ただ、先ほど来申し上げておりますように、この問題はわが国の行政組織の中心的な課題でございますので、閣議了解でも、別途検討することになっておりますし、政治レベルの御判断もあると存じますので、ただいまの段階ではこれ以上申し上げられませんことを御容赦賜りたいと思います。
  247. 大出俊

    大出委員 それでは、一時間半ということで五、六分過ぎたようでありますから、これでおしまいにいたしますが、一つだけ行政管理庁に承っておきたいのです。時間を節約する意味で、改めてひとつこれはこの場所でなくて、少し行管の考え方を聞きたいのです。というのは、労働省に関する定員の数字がここにあるのでありますが、昭和四十年のころに比べまして、大変にこれは減る一方なんですね、労働行政の面における人の数が。最高時から見ますと、四千三百三十二名も減っているんですね。四十年度末で二千三百十名の減、四十三年度の定員削減開始以来五十一年までの純減が二千三百九名あるのですね。これはたとえば職安行政なんかを見ても、新規求人、つまり新しく人を求めたいという中小零細企業の皆さんを初め、求人の方は減る一方なんですね。職を求める方はふえる一方なんですね。そうすると、新しく求人開拓をしなければ失業者が増大してくるのを吸収できない。求人開拓は一体だれがするのだということになる。県なんかだって、神奈川の場合もそうですか、人材銀行その他つくりまして一生懸命求人開拓をしている。そうしなければ職を求める方に職がない。ところが、どんどん人が減ってしまうということじゃ、これはどうしようもないですね。労働省は非生産的な省だからといって、人ばかり減らされちゃ労働行政成り立たぬのだ。  そうかと思うと、基準監督官なんかはひど過ぎるのです。これは。私は、新潟の局へ行って調べてびっくりした。時間があれば申し上げたいのだが、これは朝一件、監督官が一工場を回って、午後に無理して二工場回った。大変数が少ないのだから苦心惨たんなんですね。手のつかぬところだらけ。それで旅費もないのですな。官庁用の車で行くと、それも十分に使えない。ヘルメットを持って行かにゃいかぬのだけれども、自分で買わなければ、官用のヘルメットは足りない。そういう状態で、監督官に満足な事故防止その他を含めた監督ができないです。ひど過ぎるですね、これは。私は、だから行政改革はいいのだけれども、実際に必要であるところになぜ人を配置する気にならぬかという問題が残る。ほっぽっておけない問題がたくさん出てくる。にもかかわらずいまの審議会廃止の中で、これだけのものを申し上げておきたいのだが、九十九条によると監督官を置かなきゃいかぬことになっておって、労働基準監督官に対する分限審議会というのがあります。この分限審議会というのは何かと言うと、労働省設置法で言えば十三条です。分限審議会というものは監督官の身分を保障している審議会。基準監督官が調べに行く、企業から圧力がかかる、年じゅうあります。こんなことは。  私はこの間の予算の分科会で、石田労働大臣に質問したやつなんかもそうなんです。監督官には年中圧力がかかる。そうすると、この監督官の身分というものを保障しなきゃならぬ。それが実は分限審議会なんですね。ところが、前にこれ分限審議会を廃止して基準審議会に併合するというようなことで法律が出たことがある。これは廃案になりましたが、またこういう問題まで出てくるとなると穏やかでない。だから、行政改革は私は認めるけれども、何もかも一緒くたにというわけにいかない。分限審議会の廃止なんということが五十審議会の廃止の中にまた入ってくるのですか。あわせて労働省のかくのごとき定数をあなた方はどういうふうに見ておられますか。二点だけ承りたい。
  248. 辻敬一

    ○辻政府委員 定員管理全体の考え方につきましては、すでに御承知のとおりでございますが、できるだけ公務員の総数を抑制しながら、その中で合理的な再配置に努めるという方針のもとに従来からやってまいっておるわけでございます。そのために、一方におきまして、ただいま第四次の定員削減計画の実施中でございますが、一次から四次に至ります定員削減計画を実施をいたす、ただし減らすばっかりではもちろんございませんで、必要なところには所要の増員措置を講じているわけでございます。  労働省につきましてただいま御指摘があったわけでございますが、労働省につきましても、最近では新規の増員といたしまして、労働基準監督官あるいは職業安定部分でございますと、身体障害者でございますとか、高齢者でございますとか、そういう者のための職業紹介担当官、あるいは徴収適用業務の担当官等につきましては、増員をいたしております。  ただ、ただいまお話のございましたように、全体として見ますと、確かに純減にはなっているわけでございますが、一方、たとえば労働保険の適用徴収業務の一元化というような制度改正も行われておるわけでございますし、また業務の電算化、機械化と申しますか、御承知のように石神井にコンピューターの大きなセンターをつくりまして、職業紹介業務あるいは徴収業務等の機械化もかねてから進めておるわけでございます。  そのほか、失業保険金の支払いについての銀行の振り込み制の導入でありますとか、いろいろな面で合理化を図っているわけでございます。そういう面の合理化を図りながら、一方におきまして所要なところには増員措置を講じているつもりでございますが、今後ともよく実態を勉強いたしまして、適切な定員管理に努めたいと考えておるわけでございます。  それから、もう一点御指摘の労働基準監督官の分限審議会の問題でございますが、過去の経緯につきましては、十分承知をいたしております。ただいま審議会整理合理化の一環といたしまして検討いたしておりますけれども、十分慎重に検討いたしまして、適切な結論を出したいと考えております。
  249. 大出俊

    大出委員 分限審議会、またこの法案廃案にする努力をさせるつもりなんですか。いままだお出しになるというのじゃないですな。前にお出しになったから、苦心惨たんしてこれつぶしましたが、監督官、おちおち一生懸命企業相手にやりとりができなくなっちゃ困るので、分限審議会なんというものは開かれないのだから廃止する、そうじゃないのですよ。開かれちゃ困るのですよ、分限、審議会なんというのは。なければ困るのです。これは。監督官の身分を保障しているのだから、この承認を得なければ首を切れないのだから。そうでしょう。そこらお考えにならぬと困るので、聞いているのですが、お出しになる気はいまはないのですか。
  250. 辻敬一

    ○辻政府委員 審議会の整理統合の問題は、先ほどお答え申し上げましたように、事務的にはかなり進めておりますけれども、もちろんまだ最終的に全体の結論を出したわけではございません。その一環で、確かに労働省の御指摘の審議会を検討いたしておりますけれども、これは何もかつて廃案になりました案と同じものを出すというところまで考えておるわけではございませんので、いろいろな面から十分慎重に検討いたしまして、適切な結論を出したいと考えております。
  251. 大出俊

    大出委員 労働省、その点で労働省の定数、追加して申し上げておきましたが、お答えいただけますか。いまのこの定数満足しておられますかね。
  252. 北村孝生

    ○北村説明員 労働省の職業安定所なり監督署の職員の問題につきましては、先ほど先生指摘のように、過去十年間にわたって現実に減っております。その間、電算機等の導入とか合理化に努めてまいりまして、何とか仕事をこなしてきたわけでございます。  最近の雇用失業情勢の悪化あるいは職業性の疾病が増加しておるというように、労働行政に対する需要が増加してまいっておりますので、そのために必要な人員の確保については今後一層努力をいたしたい、こういうふうに思っております。
  253. 大出俊

    大出委員 労働省が自分のところで労働強化を職員にさせたのじゃ、これは話にならぬですから、労働行政成り立たないですから、したがって、時間がありませんから、改めてひとつこれは実情を私の方も申し上げたいし、ひとつ行管の方でこの点はお調べいただきたい、こう思っているのですが、あるいは印刷局なんかでも似たようなことがたくさんありますけれども、ぜひひとつこれは、行政というのは前々から申し上げているように、ともかく何でも減らせばいいのだということにはいかないわけでございまして、仕事の見合いでございますから、労働省にも新規事業がたくさんふえていますし、だから、そこらのところはひとつ改めて申し上げたいと存じます。  時間の関係もございますから、以上で終わります。
  254. 正示啓次郎

    ○正示委員長 続いて、大内啓伍君。
  255. 大内啓伍

    ○大内委員 それぞれ朝からでお疲れだと思いますが、もう少しでございますから、ごしんぼういただきたいと思います。  限定された時間でございますので、私は主任手当制度に限定をいたしまして質問をしたいと思うのでございますが、今回の公務員給与改定に際しまして、教職員に対する主任手当支給が行われようとしているわけでございますけれども、これはすでに多くの方々から御議論がございましたように、その対象となる主任昭和五十年十二月文部省令で制度化された主任のうちの一部に限定されようとしていることから、教育現場におきましては、教職員間において多くの混乱が見られるのであります。私のところにもきょうこのぐらいのはがきが参りました。その中には賛成と反対が入り乱れているのであります。  この一つの事実が示しておりますように、確かに今度の主任手当制度というのは、それなりのいろいろな説明がございますが、必ずしも教職員間におきましては、これがスムーズに受け入れられるどころか、むしろたくさんの拒否反応も出ている。もう一つは、現在の主任実態に、政府考えているいまの主任制度というものが果たしてマッチしているかどうか、この辺もなかなか問題のあるところであります。  したがいまして、私は一つ一つ確かめたいのでございますが、まず、人事院総裁、今回の主任手当一般職給与法の第十三条に基づくものであろうと思われますけれども、これは当然人事院規則によって受けている特殊勤務手当に該当するのであろうと思いますが、この特殊勤務手当で列挙されているもののうち、この主任手当というのはどれに該当するのか。たとえば一般職職員給与に関する法律の第十三条、特殊勤務手当の規定を見ますと、著しく危険なもの、著しく不快なもの等々、幾つか列挙されておりますが、今度の主任手当はこのうちのどれに該当いたしますか。
  256. 角野幸三郎

    角野政府委員 お答え申し上げます。  給与法の十三条に特殊勤務手当の規定がございますが、先生いまお話しのとおり、「著しく危険、不快、不健康又は困難な勤務その他の著しく特殊な勤務で、」こういうことになっております。これは、非常にざっとでございますが、大別をいたしますと、危険、不快、不健康というグループと困難というグループに分かれると思います。それで、今回主任に対して特殊勤務手当で措置しようという考え方は、困難とその困難に伴う特殊な負担度という関係に属する、そういう考え方であります。
  257. 大内啓伍

    ○大内委員 そうしますと、今度の主任手当というのは、この一般職給与法に言いますところの著しく困難な勤務、著しく特殊な勤務、そういうものに該当するもの、こういうことでよろしゅうございますね。
  258. 角野幸三郎

    角野政府委員 特殊勤務手当でございますので、全体が「特殊な」という範疇の中の話でございますが、困難で特殊、そういうことでよろしいと思います。
  259. 大内啓伍

    ○大内委員 そういたしますと、この特殊な勤務ないしは困難な勤務というのは、職務上の責任の軽重によって決せられますか、それとも別の理由でございますか。これは主任手当性格を規定する上で非常に重要なことなのですから、正確にお答えをいただきたいと思います。
  260. 角野幸三郎

    角野政府委員 これは給与法の十三条の条文にもございますが、「著しく危険、不快、不健康又は困難な勤務その他の著しく特殊な勤務」に対する給与上の特別の考慮、こういうことでございまして、勤務に対する給与上の評価、そういうことでございます。したがいまして、職務の上下といいますか責任といいますか、いろいろな意味がございますが、給与法上はそうではなくて、そういう困難な勤務に対する給与上の考慮というつながりで特殊勤務手当が出てくる、こういう関係でございます。
  261. 大内啓伍

    ○大内委員 そういたしますと、言葉をかえて言いますと、勤務態様の物理的な困難性というものを尺度として決める、こういうふうに理解してよろしいわけですね。いまのはそういう趣旨ですね。
  262. 角野幸三郎

    角野政府委員 それでよろしいと思います。
  263. 大内啓伍

    ○大内委員 そういたしますと、たとえば昭和五十年に教頭制度化されましたが、そのときの発想とは全く違いますね。それとも似通っているところがございますか。というのは、教頭のあの制度化に際しましてきわめて重要視されたのは、職務上の責任の軽重という問題が非常に評価されたのですね。そして昭和三十三年に手当が先行いたしまして、あの当時は教頭管理職にしないのだという言葉もささやかれておった。ところが、それから十数年たった昭和五十年の段階で教頭管理職として制度化されていった。これに対して教職員関係組合先生方も、何かしてやられたなという感じが実際にあるのですよ。ですから、今度の主任の場合でも、手当が先行しまして、何年かたった後にはこれまた、管理職にはしないと言ったけれども、その実態からいってこれは管理職にする必要がございますという形で転換をしてくることを非常に恐れている。  教頭制度化の場合は、確かに、いま申し上げたように、職務上の責任の軽重という問題が非常に重要視されまして教頭制度化されていった。しかし、いま私が主任というのはどうやって決めていくのかということを聞いているのは、今後の問題として、主任というのはこういう性格で決められていったのだということによりまして管理職の問題にけじめをつけておきたいと思うからなのです。いかがでしょう。
  264. 角野幸三郎

    角野政府委員 教頭の場合とは大変違うと思います。文部大臣からお答えがございましたように、管理職ではないということでございます。管理職でございますと、管理監督ということで、特殊勤務手当ではなくて特別調整額の系列に属すると思います。教頭の場合には職務責任の高さという評価でございます。その点は違っておると思います。
  265. 大内啓伍

    ○大内委員 現在各学校にはたくさんの主任がございます。これはいろいろな説がございますが、全部の学校で、つまり何学級以上とか、そういう一つの基準を設けないでどのぐらいの主任がございますか。
  266. 諸沢正道

    諸沢政府委員 昭和五十年五月一日現在で、全国の小・中・高等学校について、大体各県にありますそれらの学校の十分の一の学校について調査をしたわけでございますが、その結果を集計いたしてみますと、全部の学校の一〇%以上の学校において共通に置いておる主任というのが小・中・高を通じまして十七、八から二十二、三あったかと思います。さらに、全部の学校の一〇%に満たない主任というのがやはり同じ、あるいはそれより若干多いぐらいある、こういうことでございまして、これは悉皆調査ではございませんから、それ以外の主任というものもあるいはあろうかと思いますので、全部合わせますれば相当の数になるであろうと思うわけでございます。
  267. 大内啓伍

    ○大内委員 私の方で勘定いたしますと、主任というのは全部で大体八十種類ぐらいありますよ。そして、この主任というのは、それぞれの学校におきまして、やはりこれは必要だなと考えられて設置されているのですね。ですから、そういう者を画一的に一くくりにしましてこれを制度化して、その一部には手当は出すけれども、他の一部には出さない、これは、それぞれの学校によりまして規模別ないろいろな格差もありましょう。しかし、大小を問わず、その主任はその学校において必要だと思われる主任として存在するのですね。そういう者を一つの画一的なグループに分け込んで、片方には手当をやるけれども片方には手当をやらぬぞ、こういうことは主任実態から無理があるのじゃありませんか。この辺は人事院総裁、どういうお考えですか。人事院総裁が決めていかなければなりませんよ。人事院総裁答えてください。
  268. 藤井貞夫

    ○藤井(貞)政府委員 各学校実態にもよりますが、主任という制度があることは、これは現実の問題でございます。ただ、その種類というものがいろいろございまして、勘定の仕方もございますが、私たちも説明を受けました限りで覚えておりますのは、いまお話がございましたように、単なる種類でいけば八十ぐらいあるのじゃないかということは、私も大体そういうふうに記憶をいたしております。ただ、その主任の中で、繰り返し申し上げておりますように、これは先生に対して連絡調整指導助言というものをやっていくわけでございます。そういう意味で大変御苦労度が多いということでございますが、主任というのは学校実態に応じて必要であるから置かれておるといたしましても、これは制度的にいたしましておのずから軽重というものの度合いがあろうかと思います。そういう点は文部行政の衝に当たっておられます文部省が、その専門的な立場から御調査に相なりまして、その結論として省令化主任ということに相なったわけでございます。したがいまして、私たちといたしましては、そういう意味の省令化主任という者についてその実態をよく精査をいたしました結果、給与上の評価というものをする必要があるのではないかということで、そういうことをやっていきたいというふうに考えておるわけでございます。  ただ、いまお話がございましたように、文部省はそれぞれ責任を持って省令化主任というものをお決めになったわけでございます。したがいまして、われわれ人事院といたしましても、その省令化主任というものをまずは第一次的な検討の対象として、その中でどういう者に手当支給するかということを区分けをして考えてまいらなければならぬというふうに考えております。ただ、まだこれはやってみないとわからないという面もございましょう。文部省といたしましても、いま決めてあるものが完全無欠であって、これは今後改正の余地がないのだというふうにお考えになっておるわけではないと思います。そういう点、実態に即して追加あるいは改正等が行われる可能性も無論出てまいるかと思いますが、そういうことが出てまいりますならば、われわれといたしましても、いまの省令化主任に拘泥しないで、弾力的な態度をもって対処をしていくというふうに考えております。
  269. 大内啓伍

    ○大内委員 先ほど来の質疑よりもいまの総裁のお答えは少しずつ前進してきたように受け取られますが、ただ、私がいま申し上げましたのは、たくさんの主任がそれぞれの存在理由を持って存在する、そういう実態からして、画一的にこれは制度化主任、しかもその制度化主任の中で、これは手当主任、これは非手当主任と分断していくことが、主任実態から見て無理があるのじゃありませんかと私は聞いているのです。るる御説明がありました、しかし主任手当を出すという意味は、制度化されているから出すのじゃありませんよ。主任というその実態があり、その主任にふさわしい方に手当を出す必要があるから主任手当は出すのですよ。片方においては出す者があり、それと同じような者があっても出さないということになったら、実態から見て無理があるのじゃありませんかという私の疑問の方がよほど素直じゃありませんか。そのことを聞いているのですから、そのことに答えてください。
  270. 藤井貞夫

    ○藤井(貞)政府委員 この問題が表面に出てまいりました時点から、私たちの方にも大変いろいろな御意見また要請というものが出てまいっております。これは先生もいまお話がございましたとおりでございます。賛否両論で大変大きな問題になっておることは事実でございます。  ただ、主任といいましても、その学校学校でいろいろ実情が異なっておりますし、その点を文部省といたしまして制度的に確立すべきものとして選定をせられましたのが一応現在の省令化主任ということに相なっておるのだと思います。したがいまして、第一次的には、私たちといたしましてもこれを対象として検討していくことがやるべきことだろうと思っております。  ただ、今後これを実施をしてまいりました結果に基づきまして恐らく実態が明らかになってまいると思いますし、その結果、文部省におきましても、この点はさらに追加すべきじゃないかとか、そういうような改善の意見は恐らく出てまいるのではないかということは予測いたしております。国家公務員の場合は直接人事院の所管でございますが、これにつきましても、国立学校の付属小・中学校等につきましては、実はすでに現在の省令だけでは間に合わないのじゃないかというような点も若干出てきておるというようなことを耳にいたしております。そういうような点もございますので、実情を踏まえて恐らく文部省としても次の段階ではいろいろお考えに相なることだと思いますが、その時点におきまして、それらの点、実情に即して人事院といたしましても弾力的に対処してまいる所存でございます。
  271. 大内啓伍

    ○大内委員 いま各種の主任実態を見ておりますと、つまり教職員が何らかの部とかいろいろな係に分かれまして、たとえば自分たちは生徒指導部である、あるいは自分は教務部である、あるいは自分は道徳部である、こういうふうに各先生方が手分けをしまして学校運営を分担しているのが実情でございますね。ですから、たとえば主任という者と主任という肩書きがつかない一般教諭と比較してみまして、別に主任だから一般教諭より高い立場にある、御存じのとおりこういうふうには必ずしもなってないです。したがって、この省令化主任という者が手当をもらう資格があるとか、そうでない者はもらう資格がないとか、これは手当を出すのですから、資格の問題になりますね、そういうふうに区別することが実態に照らしてむずかしいのじゃないですか。それはきわめて明確に分かれていることである――いま人事院総裁主任の中にもおのずから軽重があるとおっしゃった、それでは何の軽重ですか、軽重の基準は何ですか。
  272. 角野幸三郎

    角野政府委員 省令化主任といいますか、いま省令で規定されております主任の中に連絡調整指導助言という勤務内容が明定されております主任と、そうでない主任と区分されております。それでいま私どもの取り上げ方として考えておりますことは、その中で、いわば同僚の先生方に対して連絡調整指導助言、そういう関係の勤務をなさる方に対して御苦労賃といいますか、その御苦労なり負担度に対して特殊勤務手当を支払おう、こういうことでございまして、その資格の違いとかそういうようなとらえ方でございませんで、それを現に担当なさっておる、そういう校務の分担をなさっておる方の勤務の御苦労ないし負担度の評価、こういうことでございます。
  273. 大内啓伍

    ○大内委員 それじゃ別の聞き方をいたしましょう。いまおっしゃったのは連絡調整指導助言を他の先生方にやっている先生ですね。そうすると、それは文部省令で制度化された主任だけが対象になるのですか。あなたのおっしゃっているのはそうですか。ほかにもあるでしょう。
  274. 角野幸三郎

    角野政府委員 先ほど総裁からもお答え申しておりますように、いろいろな主任がございまして、国立ならばまだわかるわけでございますが、公立の場合ですと、とても大変な数の主任がございます。そういうことで、これに対してその勤務の負担度に対して評価するということになりますれば、統一的にまず制度化していただいて、その中からその度合いを評価しよう、そういうことでスタートしたわけでございます。したがいまして、現在文部省令の上に規定されております主任の中で――そのほかにも連絡調整指導助言というのがあるかもしれません。少なくとも現在省令でおとらえになっておりますもので、その中でそういう職務を分担しておられる主任ということについて考えたわけでございます。
  275. 大内啓伍

    ○大内委員 私が聞いておりますのは、文部省令で定められた主任の一部に対して今回主任手当を出そうということですね。しかし、主任手当というのは、先ほど給与局長が説明されておりますように、人事院としては、教育活動において連絡調整指導助言に当たる者、そういうものに主任手当を出したいのですと言っておるわけですな。そう言っておるわけですね。ですから、主任手当というものはこの連絡調整云々に該当するものについてはこれを支給するということが基本ではございませんか。それは予算上の問題がございましょう。ですから、たとえば時間的に見て、予算の範囲内でこれを処理しなければならぬ場合には、その資格、本来支給しなければならないものがあっても、それを段階的にやるケースというのは、予算措置としてたくさんありますよ。ですから、私はそんなことまでわからないと言っているのではありません。しかし、物の考え方をただしている。少なくとも教育活動においてその連絡調整指導助言をする、そういう立場にある主任に対しては主任手当を出すということが基本ではありませんかということをただしているのです。そうしたら、文部省令で定めたものを第一に考えております。そんなことを聞いているのじゃありません。主任手当というものはどういう者に出さなければならぬという基本はどこにあるのですかということを聞いているのです。
  276. 角野幸三郎

    角野政府委員 今回のこの主任に対して手当支給するということの事の起こりということになりますが、文部大臣から人事院総裁あてに、人確法に基づきます教員の一連の給与改善の一番最終段階を迎えますについて、二次、三次を含めての御要望がございました。その中で、教務主任等の校務を分担する主任については、制度の整備と相まって、これに対してその勤務に対する給与措置をしてもらいたい、こういうふうな形になっております。それで私どもといたしましては、給与上これを評価いたしますときに、いろいろありますので、それをまず統一的に制度化していただいて、その中からまず見させていただこう、受けとめ方としてはそういう形になっております。  それで、先生いまおっしゃいますように、本来どうなのかということでございますれば、連絡調整指導助言という勤務がありまして、それでその勤務の負担度が重いということでありますれば、それは、給与考えますれば、省令の中、外を問わないわけでございます。しかし、その外枠といいますか、一般にたくさんありますものですから、制度の整備ということをまずお願いできたらと思っております。その中で私どもの理解できる、中の評価がしやすい状態になって、統一的な評価のできる状態の中からまず選ばしていただきたい、こういうことでございます。
  277. 大内啓伍

    ○大内委員 そうしますと、給与局長が言っているのは、手当てをしていく順序の問題をお話しになっているのですな。そうでしょう。主任手当支給していく順序の問題をお話しになっている。  私が聞いているのは、主任手当というのは一体だれに出さなければならないのかということをお伺いしているのです。そして順序としては、文部省もこれを制度化し、そして人事院としても制度化されたものについてまず支給したいなというふうにお考えであるけれども、その制度化された主任の中に、本来連絡調整指導助言をやって主任手当を出さなければならない者があるにもかかわらず、それが漏れているという場合には、それをさらに制度化を拡大して、そしてそれらの人々にも主任手当支給できる体制をとるということが、この主任手当支給していく上での平等の原則ではありませんか。そういうふうにお考えですね、それでは。
  278. 角野幸三郎

    角野政府委員 繰り返して申しますが、特に公立学校が国を基準としてやりますという関係で、まず公立学校実態については文部省が直接の責任官庁でございますので、そちらの方でその制度化するということをやっていただきまして、それからわれわれがそれを頭に置いてやる、こういう関係にいたしております。  それで、先生いまおっしゃいました、そういう順序と申されますと、まさにそういう順序の話、私どものこの手当の作業の順序の話かもしれません。
  279. 大内啓伍

    ○大内委員 これははっきり認識していただきたいのですけれども、皆さんの答弁主任手当をやっていく順序の話をしているのです。たとえば給与局長、あなたは八月十日の私の質問でこう答えていますよ。「現在制度化されているものの文部省令にありますもののほかに、実態があるものがあるということでございます。たとえば国立で申しましてもそういうものがございまして、研究主任でありますとか、教育実習の関係でありますとかの分担をなさっている先生は、国立としてはそういう連絡調整指導助言ということで、それ相当の内容職務を果たしておられるものと思います」。ですから、給与局長は、いま文部省令で制度化されたもののほかに、本来人事院主任手当支給したいなと思っている、この連絡調整指導助言に当たる主任というものがはっきり制度外にもございますよということをあなたは認めておられるのです。  それから人事院総裁はこう言っておりますよ。「実態的にはやはり省令でないもので同じようなものが中にはあり得ると思います。特に国立学校あたりではいま局長が御説明申し上げましたような、明らかにやはり他の主任と同じような性格で」、後はもっと重要ですよ。「さらにもっと重要性のある」ものもあると思われます。と言っているじゃありませんか。  それなら人事院としてはおかしいのじゃありませんか。人事院というのは、いまこの連絡調整指導助言に当たる主任に対して主任手当支給するという勧告をし、支給したいと考え、しかも、文部省令で定めてきているもののほかにちゃんとそういうものがありますということを認めながら、主任手当支給についてはきちっとして区別をして考えるのだということは、そんなことはおかしいじゃございませんか。どうしてもっと公平にやらないのですか。同じような主任というものが現実に存在し、そしてそれらが片方は手当支給され、片方は手当支給されない、そんな行政がありますか。わからないで、不明のままそういうことをやってみたら、後から出てきたから、そういうことはいたし方ありませんでしたというならまだわかる。しかし初めからわかっているくせに、片方の方では手当支給して、片方は支給しない。こんな差別待遇がございますか。これが本当に人事院が求めている公平な行政ですか。いかがですか。
  280. 藤井貞夫

    ○藤井(貞)政府委員 よく御承知でありますように、この主任問題というものが俎上に上ってまいりました段階で、私たちの方といたしましては、各学校でいろいろ雑多なもの、種類が非常に多い、また各学校まちまちであるというようなことの現実がございますので、まず第一に、やはり文部省といたしましては、これをはっきりと制度化していただきたいという御要望を申し上げたのでございます。その結果、文部省ではいろいろ御検討になりました結果、省令を出して、そこで具体的に何々ということの御規定をなすったわけでございます。ただ、これは先刻も申し上げましたように、私自身といたしましても、この省令主任というものが完璧なものでありまして、これが全然改正等の余地のないものであるというふうには私自身も思っておりません。恐らくさらに検討をいたしました上で、先刻来具体的にお話のございます国立学校その他につきましても、追加してもいいのじゃないかというふうに現在でも考えておるものはございます。そういう点は、十分これからも文部省ともお打ち合わせをした上で善処をいたしたいというふうに考えております。恐らく文部省でもそういう点はお気づきではないかというふうに考えております。  総じて、この問題については、弾力性のある態度でもって対処をしてまいりたいという基本的な気持ちを私は持っております。そこに不公正があったり、不均衡があったりということになりましては、せっかくの主任手当というようなことも実情にそぐわない、かえって混乱の種を提供するというようなことにも相なりますので、繰り返して申し上げますが、やはり省令化ということで、はっきりとした措置を私自身としては講じていただくことが前提だと思いますけれども、その点、それらの進行状況とも絡み合わせまして、弾力性のある措置を講じてまいる所存でございます。
  281. 大内啓伍

    ○大内委員 混乱するおそれがあるのではなくて、やはり現実に混乱しているわけなんです。それは先生立場に立ってごらんなさいよ。たとえば自分も連絡調整指導助言をやっている主任である、自分もそう思う。AとBとの先生がおった場合に、現実にそういう主任としての中身を持ちながら、君は文部省令の中で制度化された主任手当をもらう、私も実は連絡調整指導助言をやっているけれどももらえない、こういう状態になったら、教育の現場は混乱するのはあたりまえじゃございませんか。だって、これをやれば現実に起こってきますよ。だから、先生方が、そんな不平等なことなら、そんなものは要らないと言うのもわからないことはないのですよ。先生仲間というのは、大変気を使うものですよ。私もアルバイトで先生をやったことがございますけれども、自分だけが手当をもらって、同じことをやっている主任手当をもらわなかったら、もらっている人ももらってない人も気まずい思いをするのです。そういう混乱がこの主任手当の導入によって持ち込まれてはならない。そういうことを私どもは十分注意しなければならないのですよ。ですから、たとえば今度の主任制度化に際しまして、標準規模以上の学校主任は大変だから、これは制度主任にしてやる。標準規模以下の学校主任は、この際オミットする。どうしてそんな差別が成り立つのですか。たとえば主任の設置率が一〇%以上と以下ときちっと分けてみる。どうしてそれが必要なんですか。何か給与をやっていく一つのさっきの順序の議論としてはわからないことはありませんよ。しかし主任手当を、その実態に即した主任の皆さんに対して公平に差し上げるという、この趣旨からは反しますよ。学校規模別の格差を認めるのですか。そういう考え方は明らかに矛盾だと思いますけれども、それなら普遍していけば、校長教頭にも学校の規模によって差があるのですか。それでは管理職手当も分けなければなりませんな、その論理でいくなら。君の学校は規模が大きい、規模が大きい学校校長教頭だから管理職手当は少しよけいやる、君のところは小さいのだからその手当も少なくていいのだ、校長教頭にそんなことはありませんでしょう。どうして主任だけにそういう差別を導入するのですか。答えてください。
  282. 角野幸三郎

    角野政府委員 お答えいたします。  主任の御苦労度の評価の話でございますが、まだいまそういう点をまさに検討中の問題でございますが、考え方といたしましては、たとえば学年主任のような場合に例をとりまして、一学年学級の数の多寡によって、学年主任が同僚の先生方に対して連絡調整指導助言のそういう勤務をなさる、その重さがどうであろうかということから出てくる話だと思います。それでたとえば一学年学級ということでございますれば、そういう連絡調整の対象となる同僚の先生方は一人であるというふうな関係がございますが、大きな学校学級の数が多い場合には、やはり大ぜいの同僚の先生方に対する学年主任の方は負担度が重かろうということは考えられることでございます。ただ、これをどういう線の引き方をするかということは、大変思案を要するところであろうと思いますが、私どもは、その負担度、特殊勤務手当としてその負担度を給与上評価するということでございますので、その負担度の程度というようなことも検討しておる、そういう状況でございます。
  283. 大内啓伍

    ○大内委員 今度の主任手当の発想というのは、政府の説明によりますと、人確法に基づいてやるのですな。そうすると、人確法というのはよく御存じのように、他の公務員よりか教職員の皆さんの優遇措置を講じまして、それによって教育界に優秀な人材を確保する、その一環として今度は主任手当考える、こういうことじゃございませんか。もし学校規模の大小によって差があるのだったら、僻地学校をどうするのですか。辺地の学校はどうするのですか。そこにおいて本当に粒々辛苦、一生懸命教育活動に従事している主任の皆さんには主任手当が渡らないじゃございませんか。人材確保というのはまさにそういう辺地、僻地の学校においても優秀な先生方がそこに行けるように手厚い手当を施し、そうしてそういうところにも先生方に行っていただけるようにすることが人材確保法案のねらいであったし、また主任手当もそれを基本とするならば、そういう人々に対して主任手当が行くということを考えることが本当の主任手当じゃございませんか。一定規模以上のでかい学校あるいは中心の学校については主任手当考えるけれども、それ以下のものには考えないなんという主任手当は平等の原則に反しますよ。そうお思いではございませんか。文部大臣いかがです。平等の原則に反するでしょう。だって、あなたたちがやろうとしているこの主任手当制度では、僻地やあるいは辺地においては主任手当をもらえるような主任は出てきませんよ。これはどうしますか。文部大臣答えてください。一番大事な行政の基本に関することじゃございませんか。
  284. 海部俊樹

    ○海部国務大臣 御指摘意味は私もよくわかるのですけれども、全国に普及しておる基本的な主任、たとえば教務主任学年主任、――学年主任のことについてはいろいろ議論があろうかと思いますが、また僻地へ行っていただく先生には、やはりそれなりに主任以外に僻地手当というようなこと等も考慮しているわけでありますので、これが差別とはどうぞおとりくださらずに、全国に普及しておる基本的なもの、そういったものを選んだのだというふうに御理解をいただきたいと思います。
  285. 大内啓伍

    ○大内委員 いま先生方にいろんな手当が出されております。そして僻地に行かれる方にも僻地手当が出されておることは承知しております。しかし、主任手当というのはやはり新たな制度なんですね。そしてそういうこれまであった諸手当の上に、ないしは諸手当のほかに主任手当支給していこうというお考えですから、主任手当制度というものをつくる以上は大きな学校に勤めているから主任手当が出るのだとか、僻地だから出ないのだということじゃなくて、僻地の方にも、たとえばまさに人事院指摘しておられますように連絡調整指導助言に当たるような主任がおられるとすれば、その人々に対して主任手当支給するということであればわれわれもわりあい理解ができるのです。そうじゃなくて初めから学校規模の格差をつけて、中心校であるとか有名校であるとか、そういうところに勤める教職員の皆さんには手当を出すけれども、肝心かなめの人材確保法で救っていかなければならない、そういうところに行く先生主任手当が出ない、これ国民はわかりますかな、それで本当に僻地に先生が行きますかな。文部大臣、本当に真剣に考えてくださいよ。私は、党利党略でこんな問題を議論しているのじゃないのです。どうせおつくりになるなら、先生方からも喜ばれ、これは制度としてもなかなか公平な、いい制度であると喜ばれるような形でこういうものをスタートさせなきゃいけないのじゃないか、こういうふうに考えたからそう申し上げているのです。だって、いま僻地手当とかいろんなことで考えているからとおっしゃいましたけれども、問題は主任手当。僻地手当は僻地手当、教職員の皆さんにいま出されているいろんな特別手当は特別手当手当が全然違うのでございますから、僻地、辺地においても主任手当を出すということが文部大臣の基本行政になるのじゃございませんか。違うのですか、それとも。
  286. 海部俊樹

    ○海部国務大臣 主任手当の問題については、僻地だから出さない、中心地だから出すという考え方とか、そういう面から議論したり物を考えたりしたことは全くございません。したがいまして、いかなるところであろうとも、全国的に普及しておるところで連絡調整指導助言仕事に当たっていただく方の職務責任に対して報いなければならぬというのが基本の考えでございますから、文部省が僻地は初めから除いてということは全くございません。それからどこの学校でも教務主任あるいは中学校生徒指導主事といいますか、そういった方々に対する手当というのは出るわけでありますし、それからいま議論に出ておりますように、小規模校になった場合には、学年主任というものの仕事の性質上いろいろと問題が出てきておるということでありまして、僻地だから出さないというわけではございませんから、それはそういう考えを持っておりませんので、それは御理解をいただきたいと思います。
  287. 大内啓伍

    ○大内委員 それは大変結構なことだと思います。そしてそれを本当に具体的に実行に移す必要があると思うのです。しかし、いま文部省制度化された主任というものを考えますと、僻地におられる主任に対しては手当、行きませんよ。そういうことは一切考えておりませんと言うけれども、いま予算化してこれから主任制度で手当を出していく、その制度を発足させていく、その段階で、いま規模別に、いろんな学校規模を考え主任手当を出すとおっしゃっているのですから、僻地、辺地、行きませんよ。それじゃどうしますか。
  288. 諸沢正道

    諸沢政府委員 御指摘のような点を考えまして、制度化をする場合にどの主任とどの主任を省令に書こうかということを考えたわけでございますが、結局最も設置率の高いところから選んでこれを省令化しようということでございまして、そうしてみますと、小学校では教務主任、それから中学校では教務主任に生徒指導主事、高等学校はさらにそれに加えて進路指導主事等あるわけでございまして、ただ学年主任は十一学級以下ぐらいの学校でありますと置いてないところがかなりございますので、平均いたしますと設置率はそう高くございませんが、十二学級以上の学校について見ますと、いまの教務主任、生徒指導主事に次いで高い設置率を持っておるわけでございます。  そこで、いま大臣も申し上げましたように、小規模学校についても、そこにおられる主任の方にお報いするというためには、いま申しましたように、設置率の高い教務主任とか生徒指導主事を省令化したということでございますので、その点はひとつそういう考えがあったことを御理解いただきたいと思うわけでございます。
  289. 大内啓伍

    ○大内委員 そんな考え方は理解できませんよ。そんな不平等な主任手当をやろうなんていう考え方は理解できません。  それじゃ聞きましょうか。標準規模、つまり十八学級以下は何ぼございますか。小学校で何校ありますか。
  290. 諸沢正道

    諸沢政府委員 小学校で申しますと、十一学級以下の学校の累計が一万二千九百九十三でございます。十八学級以下の学校の累計は一万七千四百七十六でございます。
  291. 大内啓伍

    ○大内委員 一万七千四百幾つある。全体はたしか二万四千くらいですな。そうでしょう。――そうしますと、いま文部省考えている主任制度化、その対象になっている学校というのは三分の一じゃございませんか。三分の二は見捨てるのですか。
  292. 諸沢正道

    諸沢政府委員 いま申しましたように、文部省として当面手当支給の対象にしていただきたいというのは、教務主任、生徒指導主事、学年主任でございますので、いまの生徒指導主事とか教務主任学校の規模に関係ないと思います。それから学年主任は確かにおっしゃるように三学級以上ということになりますと学校の数は限定されるわけでございますが、一方学校の規模に相応する先生の数というものを考えました場合に、小規模学校とそれから大規模の学校ではそこに先生総数に差があるわけでございますので、その辺も一つ考えた場合に、決して小規模学校であるから、そう差別をするということにはならないのではなかろうかと思うわけでございます。
  293. 大内啓伍

    ○大内委員 この問題、もうちょっと議論する必要があると思いますが、私の時間はそう長いものではございませんので、先に急ぎますけれども、永井文部大臣は教育の重層構造化を導入する考えはないということを再三言ってきたわけなんですね。海部文部大臣もこの考え方を踏襲されますか。
  294. 海部俊樹

    ○海部国務大臣 私は、永井文部大臣から引き継ぎを受けましたときに、永井前大臣の考え方は私もきわめて共感のできる、全くそのとおりだと同感しましたので、その考え方を引き継いで今日もやっております。
  295. 大内啓伍

    ○大内委員 すでに教員の区分というのは、校長教頭、そして主任一般教員、ここで主任制度化されまして手当が出されていく、そうすると、ここに明らかに管理職でないにしても事実上の中間指導職というものが出てきている、また出てくる。これは事実上避けられないと思うのです。私の前の質疑におきましても、いや、それは中間指導職ではなくて事実上の中間管理職に位置づけられている例がたくさんあるが、というお話すらもございました。しかし、私は文部省やあるいは人事院当局がこの主任を仮につくったとしてもそれは管理職にはしないとおっしゃっておりますので、一応これを信頼するとしても、この主任制度というものが明らかに中間指導職的な存在として定着してくるということは避けられないと思うのです。それが好ましいか好ましくないかということは、それぞれの立場によって価値判断がありましょう。しかし、少なくとも教員というものが校長教頭主任一般教員、これはまさに重層構造化が実現していくということではございませんか、文部大臣
  296. 海部俊樹

    ○海部国務大臣 その点は、永井前大臣が「調和のとれた学校運営」ということで自分の見解を発表されて、それに対していろいろな、いま先生指摘のような御批判がございましたので、それにさらに答えて補足的な説明をしました中にも、そういう考え方はとらないということをきちっと言っておりますし、また私自身もその考えを受け継いで、これは管理職をつくるものでもない、それから指導連絡調整助言の係というものもこれは固定してしまうのではなくて、永井前大臣も言っておったように、なるべく多くの方々がそれを経験されることが望ましいというそういった流動的な面もあるわけでありまして、私は、そういう御指摘なさるようなことにならないように今後も意を配っていかなければならない、こう考えております。
  297. 大内啓伍

    ○大内委員 私は、この重層構造化というものを避けるためには、いま政府人事院が、あるいは文部省が提起されておりますように、この主任制度というものをきわめて限定的に局限していく、いまの制度化のやり方では、そういうことを意図しないとおっしゃっても、実体的に重層構造化にならざるを得ないと思うのです。そして、もしそれを避けよう――いま文部大臣は避けたいとおっしゃっていた。これを避ける道は二つあります。一つは主任の範囲を思い切って拡大するか、あるいはこのような制度をやめるか、いずれかだと思うのです。公平に考えて、こうしたたとえば文部省令で非常に限定的な主任制度化が行われていけば、校長教頭制度化主任制度化されない主任一般教諭という形で重層構造化が起こることは明確であります。したがって、もしそれを避けたいというなら、その主任制度化するもの、あるいは手当支給するものを相当拡大していくという措置がとられるならば、まさに文部大臣の意図というものは実現されてくると思うのであります。私は、教職員の皆さんが今度の主任制度に対して大変な反対をされている。もちろん賛成の方も一部おられます。しかし反対されるという一つの根拠の中に、いまのような狭い範囲の主任ではまさに重層化の方向に入る、それは危険である、そういうふうにはだで感じ、ただはだで感じているだけじゃなくて、その制度現場に持ち込まれた場合には教員同士の間でいろいろな混乱が起こってくるということに対して反対の意見が述べられてきているのだろうと思うのです。そういう点はどういうふうにお考えですか。
  298. 海部俊樹

    ○海部国務大臣 現在文部省主任の省令の対象として考えましたものは、御承知のように、小学校においては教務主任学年主任、中学校においては教務主任学年主任、生徒指導主事、高等学校におきましてはそれに進路指導主事、学科主任、そして農場長を持つところは農場長、盲・聾・養護学校におきましては小・中・高校に準ずるほか、寮務主任考えておりますが、それが実現いたしますれば、いま先生指摘のような問題が、それぞれの地方、それぞれの地域、いろいろ特殊な事情もございましょうけれども、やはり学校において学校運営面でそれらに準ずると考えられる主任もあろうかと思います。そういった主任に対する手当を支払う対象となるようには私は努力をいたします。しかし、きょう現在は、何回も申し上げておりますように、全国的に定着し、普及をしておる基本的なものをまず主任として省令化をして活発な学校活動をしていきたい、こう願っておるわけでありますから……。
  299. 大内啓伍

    ○大内委員 いま文部大臣のお話でも、あるいはその他の皆さんのお話でも、全国的に設置率の高い主任というものを一応今回は対象として考えたということでございます。しかし、その議論も私は必ずしも正確ではないように思うのです。と申しますのは、ここに文部省が出されている数字がございますけれども、たとえば小学校における生徒指導主任、これは全体の五一・二%に達していますよ。あるいは教科主任の場合は五六・七%にも達している。そのほか四〇%台以上のものも、たとえば給食主任であるとか、特別活動主任であるとか、あるいは図書主任であるとか、みな相当高い設置率がある。また、中学校におきましても教科主任五八・五%、これは相当高いですよ。これはたとえば小学校でいけば千八百十校が対象になった調査でございますけれども、これだけ主任の設置率が高い主任については全然考えない。今度は二学級以上の八〇%以上の設置率を持ったところだけ考えた。何でそんな基準がどこからどうやって引かれるのですか。少なくとも五割以上設置率があるものについては、これは相当定着している主任ではありませんか。そういう問題についても考えると言うなら、それは多少わかりますけれども、その上にさらに切っておいて、しかもその切る根拠なんて何もない。そしてこれだけ設置率が高い主任というものは完全にオミットしている。どうして全国的に設置率の高い主任をオミットするのですか。それは総計で何人ぐらいあると思いますか。オミットされた、そういう設置率の高い主任というものはどのぐらいあると思いますか。
  300. 諸沢正道

    諸沢政府委員 小学校の教科主任ももちろん検討をいたしました。ただ、先ほど指摘もございましたけれども、私どもといたしましては、およそ主任という名称がある職務分担をする方のその主任仕事内容はひとしく重要ではありますけれども、そこにおのずから差があるであろう。ところで小学校は、御承知のように、たてまえは全科担任でございます。したがって、教科主任という方の仕事の分野ももちろん大事ではございますけれども一般的に言いますと、それこそ教科主任は大規模の小学校において主として置かれるものでございます。そこでそういうことを考えまして、第一次の改善においては、やはり小学校教務主任学年主任を第一に考えるべきではなかろうか、こういうような判断に立ちまして省令化をしたわけでございます。
  301. 大内啓伍

    ○大内委員 そうしますと、今度主任手当支給の対象となるのは何万人ですか。
  302. 諸沢正道

    諸沢政府委員 いままで申しました教務主任、生徒指導主事、それから学年主任文部省としては対象にしていただきたいというふうに申し上げておるわけでございますが、その数はどのくらいになるかということは、いまの学年主任をどういうふうに考えるかという点が一つあろうかと思いますので、その辺人事院の御意向も伺いました上でわれわれとしても考えてまいりたい、こう思っておるわけであります。
  303. 大内啓伍

    ○大内委員 藤田総務長官、いままでお聞きのとおりです。そしてこの間、八月十日に私が藤田国務大臣にお伺いしたときにこういうふうにお答えになっているのです。「文部省令による主任ということにとらわれない方がいいぞ、こういう非常に貴重な御意見をいただきましたので、この点につきましては、文部当局とも御相談の上、弾力的に考えさせていただきたい、かように思います。」これは先ほど人事院総裁も申しておられたことでございます。つまりここで言う「弾力的」ということをお話しになったのですから、文部省令だけでこれからくくってしまって、それだけが主任であって、これだけに手当を出すということではやはり問題が残るということが、いままでの議論でおわかりだと思うのですね。したがって、弾力的に考えるということは、拡大していく必要があるというふうな御意見をお持ちですか、それを確認したいのです。
  304. 藤田正明

    藤田国務大臣 確かにそういう御答弁を申し上げましたが、その前に、「政府といたしましては、人事院勧告を尊重するというのがたてまえでございます」ということを最初に申し上げております。これは当然なことでございますけれども人事院は第三者機関でございまして、そこで文部省の意見なり要望なりを聞かれて、人事院規則というものができ上がってくるということでございますので、私の方といたしましては、それをいただくという形になるわけでございます。  そこで、私の方がいま先生から言われたとおりの答弁をしたということは、まさに公平にやっていく上においては、同じような連絡調整指導助言、また勤務の困難性というようなものを持つ主任の方々が文部省令によらざるともおられるならば、将来はそういう方々にも主任手当を差し上げるべきではなかろうかという考え方を私として述べたわけでございますが、しかし、その決め方の筋道としては、先ほど私が申し上げたとおりでございますから、その点は御理解願いたいと思います。
  305. 大内啓伍

    ○大内委員 文部大臣、お聞きいただいておわかりのように、主任手当というものは、主任としての実体があるものについてはやはり支給していくということが原則だろうと思うのです。そして同時に、人事院総裁を初め、ただいまの藤田総務長官のお話でもわかるとおり、現実に文部省でいま制度化された主任以外にも主任手当支給すべき主任というものが、つまりそういう実体を備えた主任というものが存在するという事実は否定することはできないと思うのであります。したがって、人材確保法第三次改善の後期分とあわせて今後の検討課題になってくる。  そこで、この際、文部大臣にひとつ明言をしていただきたい点がございますのは、現在文部省考えている省令で定められた主任以外にも実体のあるものについては主任手当支給していく、特に学校運営面でいま文部省考えているものに準ずるものについては主任として手当支給していく、こういう措置がとられなければ、やはり学校先生方はなかなかこの問題を理解することはできない。いま文部省主任手当を出そうとしている主任の種類は、小・中・高合わせまして七、八種類です。そして実際には全体で八十種類も主任がある。実体を持った主任も、制度化された以外にもたくさんある。こういう現実を踏まえますと、私どもが計算したのでは、それらに該当する人々一般教諭の中で二十万人ぐらい出てくるのではないかなという計算も一つには成り立つ。そして先ほど来の議論でおわかりのように、本当に文部大臣が永井文相のお考えを継いで重層構造化を避けたいということであれば、主任の枠というものは相当拡大しなければならない、そして本当に人事院が言っているように、この連絡調整指導助言をやっている主任の皆さんに対して主任手当支給することが基本だということであれば、今度の主任手当以降の問題として、主任手当支給する対象の枠を、二十万人もいるということを念頭に置きながら拡大するということをこの際お約束できるかどうか、お伺いしたいのであります。
  306. 海部俊樹

    ○海部国務大臣 私どもといたしましては、学校の運営を活発にしていただいて、児童・生徒のために教育効果が上がるようにしたい、そういう願いから、しておるわけでありまして、先ほども申し上げましたように、いまお願いしておりますのは、先生指摘のとおりの数でありますが、学校運営面で文部省として手当支給の対象として現在考えておる主任等に準ずるような主任に対しては、これが手当支給の対象になるように努力をいたします。
  307. 大内啓伍

    ○大内委員 ただいまの文部大臣の発言は、きわめて重要だと思うのであります。というのは、これまで文部大臣は研究課題とすると言っておられたのでありますが、準ずると考えられる主任については手当支給の対象となるように努力する。人事院総裁はいかがですか。
  308. 藤井貞夫

    ○藤井(貞)政府委員 問題は文部行政の基本になる事柄でございます。したがいまして、人確法内容につきましては、勧告の際にも文部大臣からいろいろ御意見を伺いまして、これは当然のこととしてわれわれも十分その点を尊重して検討を加えておるところでございます。したがいまして、いまの点につきましても、先刻来私は弾力的に対処したいということを申し上げております。先生の御発言の趣旨は十分腹に入っておりますので、今後その具体化等につきましては、いま文部大臣の御意見もございましたので、十分その方向に沿って努力をいたします。
  309. 大内啓伍

    ○大内委員 それぞれ前向きな答弁でございますが、問題はこれが際限なくてはいかぬわけであります。したがって、ある程度の実施時期が必要だと思うのですが、たとえばいま海部文部大臣がおっしゃられた、学校運営面でこれらに準ずると考えられる主任については手当支給の対象となるよう努力する、この努力は、いつの時点で完了したいという努力でございますか。
  310. 海部俊樹

    ○海部国務大臣 これはそういった実態を十分調査いたしまして、できるだけ早い時代にそういったところへも手当支給されるように努力をするということでございます。
  311. 大内啓伍

    ○大内委員 私ども調査では、再三申し上げますように、本来この主任手当支給する対象になると思われるものは、教頭あるいは校長を除きまして二十万人ぐらい一般教員の中にあると見られる。そしてそういう準ずるものについては、文部大臣人事院総裁主任手当支給されるようにこれから努力したいとおっしゃっている。そしてそれはできるだけ速やかにというお話もいまあった。速やかにという意味は、五十三年度中には遅くも完了されますか。
  312. 海部俊樹

    ○海部国務大臣 私どもは、必要な主任はこれだけだと思っていまやっておりますことについて、いろいろな角度からの御議論もあり、私どももまた、そういったものに対しては、できるだけ学校運営面に支障を来さないようにお報いをすべきであるという基本方針で私が努力をすると申し上げておるわけでございますから、この制度の発足の後何年とか五十三年度中とか限らないで、一日も早く、できるだけ実情を調査しまして、どれがそういう同等に準ずるものか十分な判断をして、そして一生懸命努力いたします。
  313. 大内啓伍

    ○大内委員 そうしますと、私の申し上げた趣旨を十分御理解をいただきましてその方向で実現に努力する、くどいようで恐縮でございますが、そういうふうに理解させていただいてよろしゅうございますね。私が申し上げた趣旨というものを十分御理解をいただいて、その方向で実現するように努力するということで理解させていただいてよろしゅうございますか。
  314. 海部俊樹

    ○海部国務大臣 御発言の御趣旨はよくわかりますし、私の方もそれに従って実情をきちんと調査をいたしまして、それに準ずるものがあった場合には当然努力いたします。
  315. 大内啓伍

    ○大内委員 もう、私に与えられた時間が幾らか過ぎましたので、最後に一言だけお伺いを申し上げて、終わりたいと思うのであります。  一つは、主任制度化実施していないところがございますね。東京であるとかあるいは神奈川、大阪、京都、沖繩あるいは北海道の一部とか兵庫の一部、こういうものについて主任手当支給というものをどういうふうに措置されるのか、これが第一点。  第二点は、人確法に基づく給与改善措置というのは第三次給与改善で一応終わるわけでございますが、私どもの見る限りでは、どうも教員の待遇改善ということで一生懸命やってみたけれども、周りも大分上がってきたりして、人確法の趣旨が達成されたとは必ずしも言いがたいのじゃないかなというふうにも考えられますが、その点についての文部省としての見解。  この二つをお伺いいたしまして、私の質問を終わりたいと思うのであります。よろしくお願いいたします。
  316. 海部俊樹

    ○海部国務大臣 未実施県のことにつきましては、私も機会あるごとに全体会議とか、あるいは個別に教育委員長さん、教育長さんにお目にかかったときに実施していただくように強く要請を繰り返しておりますし、人確法につきましては、第三次給与改善の第三次分が前期と後期、二度に分かれたわけでありますけれども、それをもって一応当面のところは終了するものと考えております。
  317. 大内啓伍

    ○大内委員 以上をもって終わります。  ありがとうございました。
  318. 正示啓次郎

    ○正示委員長 次回は、明十八日金曜日午前十時理事会、十時三十分から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後七時十四分散会