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1977-11-01 第82回国会 衆議院 内閣委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年十一月一日(火曜日)     午前十時三十二分開議  出席委員    委員長 正示啓次郎君    理事 木野 晴夫君 理事 近藤 鉄雄君    理事 竹中 修一君 理事 塚田  徹君    理事 木原  実君 理事 長谷川正三君    理事 鈴切 康雄君 理事 受田 新吉君       逢沢 英雄君    井出一太郎君       宇野  亨君    大坪健一郎君       関谷 勝嗣君    塚原 俊平君       中西 啓介君    中村 弘海君       藤田 義光君    堀之内久男君       増田甲子七君    栗林 三郎君       栂野 泰二君    矢山 有作君       安井 吉典君    新井 彬之君       市川 雄一君    大内 啓伍君       柴田 睦夫君    中川 秀直君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 三原 朝雄君  出席政府委員         防衛政務次官  浜田 幸一君         防衛庁参事官  夏目 晴雄君         防衛庁参事官  平井 啓一君         防衛庁参事官  番匠 敦彦君         防衛庁長官官房         長       竹岡 勝美君         防衛庁防衛局長 伊藤 圭一君         防衛庁人事教育         局長      渡邊 伊助君         防衛庁衛生局長 野津  聖君         防衛庁経理局長 原   徹君         防衛庁装備局長 間淵 直三君         防衛施設庁長官 亘理  彰君         防衛施設庁施設         部長      高島 正一君  委員外出席者         海上保安庁水路         部参事官    進士  晃君         郵政省電波監理         局周波数課長  森島 展一君         内閣委員会調査         室長      長倉 司郎君 委員の異動 十月二十八日  辞任         補欠選任   宇野  亨君     藏内 修治君   塚原 俊平君     粕谷  茂君   中村 弘海君     田中 六助君 同日  辞任         補欠選任   粕谷  茂君     塚原 俊平君   藏内 修治君     宇野  亨君   田中 六助君     中村 弘海君 十一月一日  辞任         補欠選任   内田 常雄君     堀之内久男君   竹下  登君     大坪健一郎君   中馬 辰猪君     中西 啓介君 同日  辞任         補欠選任   大坪健一郎君     竹下  登君   中西 啓介君     中馬 辰猪君   堀之内久男君     内田 常雄君     ――――――――――――― 十月二十八日  一般職職員の給与に関する法律の一部を改正  する法律案内閣提出第三号) 同日  救護看護婦に対する恩給法適用に関する請願(  谷川寛三君紹介)(第五八九号)  同(鈴切康雄紹介)(第六五一号)  同和対策事業特別措置法改正に関する請願(  山下元利紹介)(第五九〇号)  旧軍人一時恩給格差是正に関する請願(有島  重武君紹介)(第六五〇号)  元上海工部局警察官恩給に関する請願中川  秀直紹介)(第六五二号) 同月二十九日  救護看護婦に対する恩給法適用に関する請願(  大内啓伍紹介)(第七六二号)  同(竹下登紹介)(第七六三号)  同(大西正男紹介)(第九五五号)  国立病院療養所賃金職員非常勤職員の定  員化等に関する請願金子みつ紹介)(第七  七四号)  旧満州国軍人等恩給処遇に関する請願(奥野  誠亮紹介)(第一〇〇六号)  元上海工部局警察官恩給に関する請願(宮崎  茂一君紹介)(第一〇〇七号)  同和対策事業特別措置法強化及び適用期限延  長に関する請願井出一太郎紹介)(第一一  八〇号)  同(唐沢俊二郎紹介)(第一一八一号)  同(倉石忠雄紹介)(第一一八二号)  同(小坂善太郎紹介)(第一一八三号)  同(清水勇紹介)(第一一八四号)  同(中島衛紹介)(第一一八五号)  同(羽田孜紹介)(第一一八六号)  看護職員の週休二日制に関する請願井出一太  郎君紹介)(第一一八七号)  同(唐沢俊二郎紹介)(第一一八八号)  同(倉石忠雄紹介)(第一一八九号)  同(小坂善太郎紹介)(第一一九〇号)  同(清水勇紹介)(第一一九一号)  同(中島衛紹介)(第一一九二号)  同(羽田孜紹介)(第一一九三号)  中小企業行政専門担当国務大臣任命に関する  請願井出一太郎紹介)(第一一九四号)  同(唐沢俊二郎紹介)(第一一九五号)  同(倉石忠雄紹介)(第一一九六号)  同(小坂善太郎紹介)(第一一九七号)  同(清水勇紹介)(第一一九八号)  同(中島衛紹介)(第一一九九号)  同(羽田孜紹介)(第一二〇〇号) 同月三十一日  救護看護婦に対する恩給法適用に関する請願(  平石磨作太郎紹介)(第一三三八号)  台湾残置私有財産の補償に関する請願外十八件  (藤本孝雄紹介)(第一七六九号)  同(萩原幸雄紹介)(第一七七〇号)  同(受田新吉紹介)(第一七七一号)  主任手当制度化反対に関する請願浦井洋君紹  介)(第一八一〇号)  国立病院療養所賃金職員非常勤職員の定  員化等に関する請願外一件(浦井洋紹介)  (第一八五二号)  同外一件(瀬長亀次郎紹介)(第一八五三  号)  同外一件(田中美智子紹介)(第一八五四  号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 十月三十一日  恩給共済年金受給者処遇改善に関する陳情  書外十一件  (第  九一号)  恩給共済年金改善に関する陳情書  (第九二号)  青少年の健全育成に関する陳情書  (第九三号)  同和対策事業特別措置法強化延長に関する陳  情書外百十一件  (第九四号)  人事院勧告完全実施等に関する陳情書  (第九五号)  水産省設置に関する陳情書外三件  (第九  六号)  行政改革推進に関する陳情書  (第九七号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法  律案内閣提出、第八十回国会閣法第一〇号)      ――――◇―――――
  2. 正示啓次郎

    ○正示委員長 これより会議を開きます。  内閣提出、第八十回国会閣法第一〇号、防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。  柴田睦夫君。
  3. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 十月二十七日の委員会での私の質問に対して政府調査を約束した事項について、海上保安庁防衛庁、その調査結果の報告をしていただきます。  すなわち、一九六八年にロランCパターン変更された事実の有無、またその影響について簡明に説明してください。
  4. 間淵直三

    間淵政府委員 昭和四十三年一月二十三日から三月二日までの間、ロランC主局硫黄島から南鳥島変更されたということでございますが、その当時、自衛隊といたしましては、ロランC専用受信機は一台しか装備しておらなかったわけでございまして、その一台は潜水艦でございますが、この潜水艦は当時、就役後四十日ぐらいたったところでございますが、非常に陸岸に近いところで就役訓練を実施しておりまして、ロランC受信機を使うという必要を認めないところで航行訓練をしておったわけでございます。  また、本件につきまして、特に防衛庁にあてて米軍から通知があったということはございませんでした。
  5. 進士晃

    進士説明員 お答えいたします。  一九六八年のロランCレート変更のときには、私どもは、アメリカ水路部一般航行船舶用に発射しております水路通報によって一応承知しております。  ただ、その当時は、まだわが国一般船舶にはロランCの使用が普及されておりませんので、当方では、水路通報としては周知手段をとっておりません。
  6. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 進士参事官前回に、ロランCパターンをときどき変更することがある、こう答弁されましたが、どういう変更がどのようにして行われたか、過去三年間でいいですから、答えてください。
  7. 進士晃

    進士説明員 お答えいたします。  ごく軽微な変更もございます。たとえば、変更と申しますか、従局の一つが一時的に発射をとめるというようなこともございます。  それから過去三年ということでございますが、過去三年の間には二件、主局硫黄島から南鳥島へ移ったということがございます。これは最初は昨年、昭和五十一年の六月一日から七月十五日までと、その次は、同じく昭和五十一年の九月十五日から十一月十四日まででございます。
  8. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 その変更理由ですが、五十一年に行われましたそのいま言われた変更は、プエブロ号事件の際の変更のような作戦上の理由があるのですか。
  9. 進士晃

    進士説明員 私どもは、このことについては一切承知しておりません。
  10. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 プエブロ号事件のときのロランC変更のときは、ロランC放送は聞こえなくなったかどうか。これはどうですか。
  11. 進士晃

    進士説明員 プエブロ号事件でございますが、これはやはり、先ほど申しましたアメリカ水路通報による資料から判断いたしますと、もしこの事件が一九六八年の一月二十三日の七時以前でございましたら、これは受信可能であった、一般船舶利用可能であったと思います。それ以後、この年の三月二日十六時四十分までの間でございましたならば、私ども考えます限り、これは利用できない状態にあったと考えます。
  12. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 そうすると、一般的にそういう場合があれば、ロランC放送は聞こえなくなるということなんですか。
  13. 進士晃

    進士説明員 その場合には、機器を操作することによって電波を受けることはできます。ただ、それは一般的には利用がいささかむずかしいかと考えられます。
  14. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 これはやはり技術的には聞こえなくなるのがあたりまえだと思うのです。  次に移りますが、日本米軍に対して、防衛施設庁施設を提供して、郵政省電波の割り当てをする、そしてさらに海上保安庁水路通報を出す。いろいろな形で米軍に協力しているのですが、その米軍作戦上の必要で一方的にパターン変更するときは、日本政府に対してどんな通報があるのか、お伺いしたいと思います。
  15. 間淵直三

    間淵政府委員 お答えいたします。  防衛庁に所属する艦船等は、そういう場合にはロランAを用いるとか、あるいはビーコンの方位測定を用いるとか、あるいは天測を用いるとか、あるいは陸に近い場合にはレーダーによる航行を行うということをいたしております。
  16. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 そうすると、作戦上の変更のとき、すなわち突然聞こえなくなるときのことなんです。いま、通報なくそういうことがやられた場合、いろんな方法をとってカバーしているようですけれども、どういう処置をとるのか。これはもう一遍、海上保安庁郵政省防衛庁にそれぞれ答えていただきたいと思います。
  17. 進士晃

    進士説明員 私どもレート変更その他の情報を入手いたしました場合には、私ども無線航行警報によって周知するという手段をとっております。
  18. 森島展一

    森島説明員 郵政省といたしましては、在日米軍電波周波数につきまして協議を行っておりますので、ロランCパターン変更周波数変更を伴いませんので、郵政省には通知はありません。
  19. 間淵直三

    間淵政府委員 お答えいたします。  硫黄主局の休止の情報パターン変更でございますが、私どもといたしましては、海上保安庁無線航行警報に乗せられておるところによって各艦艇がこれを知ることとなっております。また特に必要な場合は、米国防総省水路部ハイドロパックでございますが、ハイドロパックを受信することもございます。
  20. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 防衛庁の方に再質問になりますけれども、過去には、いままでの話を聞いておりますと、聞こえなくなってきたことがある。いろんな方法でカバーはしているようですけれども、実際上困るということがあるのじゃないかと考えられるわけです。こういうときに日本防衛を担当する防衛庁米軍に対して何か申し込みをするとか、そういうことはありませんか。
  21. 間淵直三

    間淵政府委員 お答えいたします。  現在までのところ、それによって影響を受けたということはございませんでしたし、また、したがいまして、米国に対しまして情報をくれとか、何とかをくれというようなことを要請したこともございません。
  22. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 どうもおかしいのですけれども影響を受けないということはちょっと納得できないのです。ですから、考えてみますと、防衛庁の方では、作戦上の変更のとき米軍から特別のチャートをもらっているのではないか、こういうふうに思うのですけれども防衛局長いかがでしょうか。
  23. 間淵直三

    間淵政府委員 私どもは、一般海上保安庁通知によって事前にこれを知っているわけでございますが、特に米軍から特別な通知を受けるとか、あるいは特別のその期間のチャートを受けるというようなことはございませんでした。
  24. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 どうも納得いかないのですが、要するに日米共同作戦ということがいろいろ言われております。そういうことでよく日米共同作戦を展開することができるものだ、おかしいと思うのです。いま問題になっております朝鮮半島有事の際も、米軍の一方的判断によってロランC変更される、これもはっきりしていると思うのですけれども、そういうときに自衛隊はどうするのか、お伺いします。
  25. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 いま先生がおっしゃいましたように、そのチャート変更するということが作戦上どういう影響を及ぼすか等については、私もまだ詳しく勉強いたしておりませんけれども、いわゆる朝鮮半島の問題は別といたしまして、日本が侵略を受けるような場合には、整合のとれた共同対処ということで現在日米防衛小委員会におきまして研究をやっております。したがいまして、あるいはそういう中で出てくるかもしれませんけれども、いままでのところ、そういった問題が提起されたことはございませんでした。
  26. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 防衛庁長官、お聞きのとおりですが、米軍作戦上、ロランC放送が聞こえなくなって、ロランC専用受信機を十五台持っている防衛庁の方が米用に対していまのところ何にもしてない、言ってない。これで、長官よく言われる日本防衛、これが果たしてできるのかどうか、長官のお考えを伺いたいと思います。
  27. 三原朝雄

    三原国務大臣 ロランCは、御承知のように、軍事面ばかりでなく、一般もこれを利用して運用されておるものでございます。  有事の際にどうだといういまお話しでございますが、今日までは、有事というような体制もございませんし、そうした局面に遭遇したこともございません。したがいまして、先ほど防衛局長お答えをいたしましたように、そうしたロランCというようなものが有事の際にどういうことになるのかという問題につきましては、今後の研究課題としていまお答えをしたところでございます。
  28. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 もう一つ防衛庁長官に伺います。  長官平和利用ということを言われますけれども、いままでのような経過が明らかになっているわけですけれども防衛庁防衛施設庁は事実を調査して、ロランC役割りについて柏市民を初め関係者に正確な説明をしなければいけないと思うのです。  これは防衛施設庁からいただいた資料で、「柏通信所返還について」というのがあるのですけれども、その真ん中あたりに「これにより、航空機及び船舶は、その航行精度を高めることが可能となる。」ということがあるわけですけれども、実際は有事の際に反対になってしまう、あるいは米軍作戦上の理由変更される場合に反対になってしまうというような事実があるのですけれども、いままではともかく、先ほど言われたような平和利用、こればかりを説明してこられた。だから、正しいことを説明しなくちゃいけない。長官部下の方にそういう説明をするような御指示をなさいますか。
  29. 亘理彰

    亘理政府委員 前回にも申し上げておりますとおり、ロランCは、ロランAに比べまして精度あるいは有効範囲が高まっておる、こういうことでございまして、かつその受信機を備えておれば、米軍以外の一般船舶航空機でも使用することができる無線航行支援施設であるわけでございます。  私ども、この点につきましては、柏通信所は百八十三万平方メートルあったのでありますが、七月に米軍からその約半分の返還と、残りの地域においてロランC局設置するという連絡を受けまして、このことを直ちに地元の柏市当局に御説明し、その後も市御当局からの質問事項について御説明お答えをしておる次第でございまして、このロランC意味につきましては、正確に御説明申し上げているつもりでございます。
  30. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 時間が参りましたので、最後に一つ……。  柏市のロランC局設置は、対朝鮮軍事戦略の一環であると考えております。在日米軍基地再編強化につながるもので、危険な実態を示すものである。そういう意味で私はこれを容認することができないわけですけれども前回質問施設庁長官は、在日米軍に対し全面返還を要求すべきであるという私の質問に対して、そういう考えがないということを言われました。この点について、三原防衛庁長官見解、それから部下に正しい説明をやらせるかどうか、その点についてお伺いしたいと思います。
  31. 三原朝雄

    三原国務大臣 柴田さんは、いま柏のロランC設置朝鮮作戦に備えての米軍の行為であるというような断定をしておられますけれども、私どもはそう受けとめておりません。あくまでも日本周辺におきます空、海上交通の安全を期するということが主目的でございますし、そういう点でこの利用をすることになると思うのでございます。したがいまして、柏におきます市民の方々にもそうした真実を十分御理解を願いたいと思っておるところでございます。そのことは施設庁長官防衛局長お答えをしたとおりでございます。そうした真実十分地元の方に御理解を願う処置をいたしたいと考えております。
  32. 正示啓次郎

    ○正示委員長 続いて、長谷川正三君。
  33. 長谷川正三

    長谷川(正)委員 私は、先般来、本委員会において今回の防衛二法の御提案をめぐっての質疑をずっと伺っていながら、非常に重要な問題が一つ伏在していると思いますので、その点についてお尋ねしたいと思います。  防衛庁は、現在行っている来年度予算に対する概算要求の中で、主要装備一つとしてF15導入考えているようでございますが、このF15装備をめぐりまして、公明党の鈴切委員の御質問に始まりまして、各党から質疑が行われました。本来F15導入問題は、来年度予算が審議される次の通常国会における案件であり、その際、わが党としては本格的な論議をし、追及すべきものは追及するつもりでございますけれども、ここで私から、本委員会における先般の討議を通じての応答に対して、総括的にただしておきたいと思うことがございますので、防衛庁長官の明快な御答弁をお願いしたいと思います。  まず第一に、来年度の主力戦闘機としてF15導入については、十月二十七日の当委員会におきまして福田総理は、政府としてはまだ白紙である旨の答弁がございましたが、これに対して長官の御所見はいかがですか。——続いて質問申し上げますので、後でまとめて御答弁いただきます。  第二に、F15には空中給油装置及び爆撃照準装置がつけられており、この装置はそのまま取りつけておきたい旨の防衛当局答弁がなされておりますけれども、この二つの装置につきましては、かつて現在のF4ファントム導入の際、わが党が衆参両院において追及をいたしまして、その結果これは取り外すことになった経緯のあるものであることは、長官も御承知のことと存じます。このような重要問題について軽々しく、F15については装着させる、あたかも当時の政府見解変更するような重大決定政府において行われようとしているような印象を与えているのは、まことに遺憾でございます。この点について、政府はまだ白紙である旨の総理答弁を踏まえまして、防衛庁長官の明快な御見解お尋ねしたいと思います。
  34. 三原朝雄

    三原国務大臣 ただいま二点についてお尋ねがございましたので、お答えを申し上げます。  第一の御質問でございますが、国の防衛責任を持っております防衛庁といたしましては、日進月歩いたします現在の世界軍用機趨勢考えまして、有効な防衛体制を整備するためにF15導入概算要求としてお願いいたしておるところでございます。  このような主要装備導入は、御指摘のように、防衛庁だけで決められるものではございません。国防会議の議を経まして、正式決定される手続をいたさなければなりません。さらに、昭和五十三年度の予算につきましては、政府案決定をされるわけでございまして、そうした閣議の決定の議も経なければならぬわけでございます。したがいまして、今日の段階におきましては、防衛庁決定をいたしておりますのは、決して政府としての決定ではございません。したがいまして、総理が去る十月の二十七日に、政府白紙であると言われましたことは、私もそれを十分受けとめておるところでございます。  第二の御質問でございますが、私もかつて、F4ファントム導入の際のその経緯及び当時の政府見解について十分承知をいたしておるところでございます。防衛庁といたしましては、さきに申しました日進月歩いたします世界情勢軍用機趨勢なり軍事情勢というようなものの中にありまして、最も有効なわが国要撃戦闘機としてのF15について、純粋に軍事技術面から、空中給油装置でございますとか爆撃照準器装置必要性を御質問に応じて防衛局長お答えをいたしたのでありまして、これからの機能の保有について、政府はすでに決定しているような印象を与えましたことは遺憾の御指摘がございましたが、私も決して政府決定しておるとは受けとめてはおりません。あくまでも防衛庁において決定をいたしたものと考えておるところでございます。したがいまして、この点につきましては、防衛庁の立場を先生がはっきりせよということでございますので、改めてここにはっきりいたしたいと思うのでございます。  もちろん御指摘のとおり、この問題は政府決定を必要とする重要な問題でございます。特にシビリアンコントロールが必要であるということも十分受けとめてまいっておるところでございます。いま御指摘のございましたように今後慎重に、まずは国防会議あるいは政府予算決定、そうした審議を行った上で政府決定が最終的に決まるものだと考えておるところでございます。その線に沿って努力をいたす心算でございます。
  35. 長谷川正三

    長谷川(正)委員 ただいまの防衛庁長官の御答弁で、政府はただいまの件についてはまだ白紙であるということが明確になりましたので、一応これについては了承いたします。  この機会に、私は、わが国防衛問題と自衛隊のあり方について基本的にお尋ねをしたいと思います。  実は私、内閣委員になりまして、この内閣委員会の使命を考えましたところ、各省設置法や公務員給与問題とあわせて、防衛問題について全面的に扱う委員会でありますことに改めて大きな責任を感じておるものでございます。その意味で、憲法に始まり自衛隊法あるいはその施行令施行規則等、多少勉強をさせていただき、深い関心を持ってこれを読んだものでございます。  それで、大変基本的なことであり、またある意味ではきわめてあたりまえのことかもしれませんが、しかし繰り返し私はこのことを確認することが大切だと思いますので、あえて申し上げるわけでありますが、憲法の前文の、しかも冒頭にこう書いてあります。「日本國民は、正當に選擧された國會における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸國民との協和による成果と、わが國全土にわたって自由のもたらす惠澤を確保し、政府の行爲によって再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、ここに主権が國民に存することを宣言し、この憲法を確定する。」かように前文の冒頭に述べておるのでございます。そして、「第二章 戦争の放棄」の条項として、これまた皆さんすでに十分御承知のとおり、第九条におきまして、「日本國民は、正義と秩序を基調とする國際平和を誠實に希求し、國權の發動たる戰事と、武力による威嚇又は武力の行使は、國際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。國の交戦權は、これを認めない。」と規定されておるのでございますが、私は、内閣委員として、この防衛問題を考える場合に、この条項は本当に腹の底からしっかりと理解をし、据えて考えていかなければならない、このようにみずから決意をしておりますが、防衛庁長官の御決意を改めてこの機会にお尋ねをしておきたいと思います。
  36. 三原朝雄

    三原国務大臣 御指摘の平和憲法の冒頭、前文につきましては、きわめて重要な事項だと思いますし、防衛を担当する者といたしましては、日々これを服膺してまいらねばならぬと考えておるところでございます。  政府は、わが国の独立と平和を守るため、国防の基本方針をすでに明らかにしておることは御承知のとおりでございます。わが国の方から他国に対しては、絶対に積極的な武力行使は行ってはならない、行わないということを私どもは銘記して進んでおるところでございます。自衛隊は、他国からの侵略に対処するため、専守防衛に徹して、必要最小限の自衛力の整備に努力をいたしておるところでございます。御指摘のように、政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こるようなことは考えられないことでもございますし、絶対にしてはならないという基本的な方針のもとに私どもは進んでおるのでございます。  改めて申しますが、御指摘憲法の精神は、私ども自衛隊の根本方針として堅持してまいるところでございます。
  37. 長谷川正三

    長谷川(正)委員 長官の明快な御答弁をいただいたと思いますが、実は私、かつて小学校の教師の経験がございます。先般、十月三十日に朝霞で自衛隊の観閲式と申すのですか、ございましたのがテレビ等で報道されて、いわゆる陸海空の自衛隊の様相の一部が放映されておりました。私はそれを見ながら、自分が小学校の教壇に立っていたときのことを思い出し、子供があれを見ておって、あれは軍隊でないのか、あれは戦力でないのでしょうかと質問されたら、どう先生は答えるだろうと、きわめて素朴な問題意識を持ったわけであります。  先ほどの長官の御答弁にも、科学の進歩と申しますか、世界的な軍事情勢に即応するというようなお言葉もございますから、専守防衛と申しましても、憲法にいう戦力と、それから自衛のための防衛力との境というものはきわめて微妙な関係に立つものではないかと思いますが、この境をどういうふうに考えるかということについて、もう一遍長官から明快な御答弁をいただきたいと思います。
  38. 三原朝雄

    三原国務大臣 お答えをいたします。  憲法の九条に明示してございます戦争のための戦かは保持しないという方針は、貫いてまいっておるところでございます。したがいまして、自衛隊というのは専守防衛の立場に立ちまして、その憲法の精神を踏まえて必要最小限度の自衛力の整備をいたしておる、その必要最小限度の自衛力を保持していくという方針のもとに、自衛隊の整備あるいは教育、任務の遂行というようなものもそういう基本方針を踏まえて、それから逸脱しないということで努めておるところでございます。
  39. 長谷川正三

    長谷川(正)委員 もちろんそういうお考えでなければいけないと思いますし、そのお考えはわかりますが、実際問題といたしましては、冒頭申し上げたように、今回のF15装備問題におきましても、防衛庁側の説明からいきますと、世界の軍事情勢の中で、防衛という立場でありましても、より安全に、より確実にということをそれなりにまじめに追求していくと、いつの間にか憲法の範囲を逸脱するような方向が出ないとは限らないようなことを心配させるような御答弁も出たわけでありまして、国の大きな方針がいつの間にか変わったのかというようなことが出たわけで、それはいまの段階ではそうでないということが明らかでありますけれども、この点については絶えず戒心をする必要があると思うのであります。  そういう意味で、防衛庁長官責任は、あるいは内閣総理大臣の責任はきわめて重いと思いますが、そういういわゆる憲法下における防衛の任務を担当している自衛隊の隊員やあるいは大学校の学生、こういう人々に対して、この憲法の精神というものを基本的に十分身につけさせるということは、私はきわめて重要なことだと考えますが、それについてどのような方途を具体的に訓練、教育の中でとられておるのかということをお伺いしたいと思います。
  40. 三原朝雄

    三原国務大臣 お答えをいたします。  平和憲法の精神に徹することが、いま御指摘のように一番大事だと思いまするので、防衛庁におきましては、次のようなことを実施をいたしておるのでございます。  隊員に対する憲法の教育は、防衛大学校、防衛医科大学校、幹部候補生学校などにおいて憲法または法学、法制等の科目を設けまして、ここでまず法律的な理解を教育いたしておるところでございます。その内容は、憲法の基本理念でございますとか、現行憲法防衛の関係等について事例を挙げながら教育をいたしております。  また部隊におきましても、憲法の理念、特に民主主義の原理、基本的人権の尊重等を強調いたしますとともに、民主政治下における自衛隊の任務とそのあり方等を理解させ、法令に従って誠実に職務を遂行すること、これは隊法の五十六条にも明記いたしておるところでございます。また、政治的な行為等は行わない、いま申し上げましたのは隊法の六十一条でございますが、そうした点についてその趣旨の徹底を図りながら具体的な教育を進めておる、そういうことで、絶対に平和憲法を逸脱しないということは、常時私どもが教育、指導の中で徹底をさせておるところでございます。
  41. 長谷川正三

    長谷川(正)委員 いまのような御趣旨で教育、訓練に配慮されているということでありますが、ぜひ一層その徹底を期されたいと存じます。  そこで、私自衛隊法をちょっと読んでみますと、第三条に自衛隊の任務というところがございますが、この中で次のように述べてあります。「自衛隊は、わが国の平和と独立を守り、国の安全を保つため、直接侵略及び間接侵略に対しわが国防衛することを主たる任務とし、必要に応じ、公共の秩序の維持に当るものとする。」こう述べられておりますが、この中で直接侵略というのはきわめて明快だと存じますが、間接侵略というのは具体的にはどういうふうに解釈されておりますのか、ひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  42. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 間接侵略につきましては、国際法上はっきりした概念というのは、必ずしも定着しておりません。しかしながら、私どもが間接侵略として理解しておりますのは、外国の軍隊がわが国に直接侵入してくる場合、これを直接侵略と認識いたしておりまして、間接侵略は、外国の教唆または干渉によってわが国に引き起こされる大規模な内乱あるいは騒擾、そういったものが間接侵略であるというふうに理解いたしておるわけでございます。
  43. 長谷川正三

    長谷川(正)委員 いまお答えになったことは、自衛隊に関係する条章に明記されておることですか。
  44. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 この三条に書いてございますように、直接侵略及び間接侵略に対しては、これを防衛するということになっております。したがいまして、この侵略というものが外国によって行われるということを前提にいたしておりますので、形の上では騒擾、内乱というものが外国とかかわりなく起こり得ることもあるわけでございますが、私どもは、やはり外国が侵略の意図を持って行う直接の武力行使あるいは間接の武力行使というふうに認識しているわけでございます。
  45. 長谷川正三

    長谷川(正)委員 私がお聞きいたしましたのは、そういう解釈が法文上どこかに明記されておるかということです。
  46. 竹岡勝美

    ○竹岡政府委員 お答えいたします。  自衛隊法あるいは防衛庁設置法、この二つの法律がわれわれの基本法でございますが、この自衛隊法の中に「間接侵略」という言葉は出てきております。たとえば第七十八条、命令による治安出動、「内閣総理大臣は、間接侵略その他の緊急事態に際して、」ということで、「間接侵略」という言葉が出てきております。  この間接侵略の定義につきましては、法文上の定義はございませんけれども、従来からの政府答弁といたしまして、ただいま防衛局長が答えたとおりの答弁を従来から続けておりますので、これで定着しておるものと考えております。
  47. 長谷川正三

    長谷川(正)委員 その点はわかりました。  そこで先般、これはたしか三十日であったかと思いますが、防衛庁が世論調査をされたことの発表がありましたね。自衛隊について国民がどういう認識をしておるか、その中でいろいろな結果の発表がございますが、非常に目につくのは、自衛隊に対して非常に信頼するというか支持するというか、その一番中心は災害時の出動、大災害、大洪水であるとか爆発であるとか、そういうようなときの出動についての自衛隊の働きについて国民が非常に支持をし、信頼をしておる、そういう報告がされたと思いますが、そうですね。
  48. 竹岡勝美

    ○竹岡政府委員 お答えいたします。  ことしの九月下旬に、従来総理府がやっております非常に公正な世論調査方法がございますので、自衛隊びいきの人だけに偏らないように、総理府が行います世論調査の方式をそのまままねいたしまして、自衛隊に対します国民の意向のアンケート調査防衛庁でやりました。  この結果、われわれが非常に喜んでおりますのは、自衛隊必要性自衛隊があった方がよいというのが実に八三%という高率に上ったわけでございます。これは、従来総理府がやっておりましたいろいろな調査の中で、実はおととしでしたか、総理府がやりましたのが七九%、その前が七三%、それをさらに超えて八三%ということでございますので、われわれの自衛隊に対して国民のこういう八三%、たとえば西ドイツの国防軍ですら、国防軍の必要性調査をやりますと八〇%そこそこということも聞いておるわけでございますので、われわれは非常に感謝しております。  その中で、自衛隊はこれまでどんなことに役立ってきたかというのは、災害派遣が七五%というので、もちろん一番多いわけでございます。これは、まだ自衛隊ができましてから戦争というものはないわけでございますから、何に役立ってきたかといいますと、やはり国民は災害出動でよくやってくれたというように高い理解を示してくれたものだ、このように思っておりますし、今後どのような面に力を入れたらよいかというところにも災害派遣というものが一番高い率で上がっております。そういう意味で、平時におきますこの二十五万の自衛隊員が、一たん大きな災害が起こりますときに警察、消防と並んで国民の生命、身体、財産を守る、わが自衛隊にできるだけ災害出動にも応援してくれよという国民の要望の高いことは当然であり、われわれもそれを誇りに思っておるところでございます。
  49. 長谷川正三

    長谷川(正)委員 そこで、いまの災害出動が大変国民に評価されているというのですが、これが「自衛隊の任務」というところの、いま私が読み上げた文章によりますと、どこに当たるのですか。
  50. 竹岡勝美

    ○竹岡政府委員 お答えいたします。  自衛隊法第三条、先ほど先生も御指摘されたところでございますが、この「自衛隊の任務」に、「自衛隊は、わが国の平和と独立を守り、国の安全を保つため、直接侵略及び間接侵略に対しわが国防衛することを主たる任務とし、必要に応じ、公共の秩序の維持に当るものとする。」このように書いております。当然わが自衛隊が、国民の高い血税をいただきまして、これだけの装備を誇り、これだけの人間を養っておりますのは、一たん有事の場合にわが国に対します侵略、これと戦うということが第一次の責任であることは言うまでもございません。それを「主たる任務」ということで書き分けておりますが、その後に「必要に応じ、公共の秩序の維持」ということで、自衛隊の一応裏芸ということになるかもしれませんけれども、国民の災害におきます生命、身体、財産を守ること、これは「公共の秩序の維持」に当たるものという解釈をいたしまして、この「公共の秩序の維持」という範囲で、われわれは災害出動に当たっておるわけでございます。もちろん、わが自衛隊は、平時におきましては災害出動もこれは十分なる表芸だと考えております。
  51. 長谷川正三

    長谷川(正)委員 私も、恐らくこのことをどこかに入れるとすれば「国の安全を保つ」というところに理由づけるのか、あるいは「公共の秩序の維持」というところ、それしかないなとは思ったのですが、しかし、災害出動が、国民の一番期待し、信頼していることが、自衛隊の目的の中から見ますと、そう重要視はされてなくて、ひっかけて解釈している程度で、この目的の中にうたわれているというふうには考えられないような感想を持ちましたから、きょうはこの程度にとどめておきますが、それについてお考えがあれば、どうぞ。
  52. 竹岡勝美

    ○竹岡政府委員 防衛庁のもう一つ法律防衛庁設置法、これの「防衛庁の権限」の第五条、この十六号に「天災地変その他の災害に際して、人命又は財産の保護のため必要がある場合において行動すること。」ということもはっきり書いておりますし、また自衛隊法の八十三条には災害派遣の手続が書いてあるわけでございます。  先ほど申しましたとおり、自衛隊はあくまでも、理不尽にもわが国に侵攻する敵と戦うことが第一の任務でございますけれども、平時におきましては、こういういろいろな条文がございますので、十分に災害派遣のことはできると思います。現在自衛隊は、東京の首都震災あるいは大阪を中心にします震災、あるいは名古屋を中心にします大都市震災、これらに対しまして、陸上自衛隊を中心にいたしまして毎年そういった大災害の演習を行っておるところであり、また隊員の一人一人も、平時におきましてはあの災害派遣に出ていきますときに、国民の皆さんから喜ばれること、これを非常に喜んで、張り切ってやっておると聞いております。
  53. 長谷川正三

    長谷川(正)委員 これ以上申し上げませんが、いま御答弁のあったようないろいろ規定があることはよく承知しておりますが、この「自衛隊の任務」というところにこれが一つの大きな任務というふうに据えてないではないかということを私は申し上げたので、これは今後御検討に値することではないかということをちょっと指摘をしておきたいと思います。きょうはこの程度にとどめます。  そこでもう時間がありませんので、最後に、これはぜひまた防衛庁長官お尋ねしておきたいのでありますが、ここほんの二、三年を顧みましても、世界全体の動向を見ますと、歴史の古い国においても、あるいはまた新興あるいは開発途上の国におきましても、かなりしばしば軍部によるクーデター、こういう現象が起こっていることは、御承知のとおりと思います。私は、その国名を挙げたり、その日時を挙げて御質問申し上げることを避けまして、一般的な言い方で申し上げ、御答弁一般的な御答弁で、政府にそれを具体的にどういう事象があったか問い詰めるということはあえて避けますけれども、少なくとも軍部によるクーデターがあったという事実、これは御存じと思います。  そこで私は、精強な武器を持つ集団が、こうした政治に介入した、いわゆるクーデターというようなことがいま世界に方々で起こるわけでありますから、この点は、わが国自衛隊におきましても最も戒心をしなければいけないことではないかと思います。そういう点につきまして、先ほどの御答弁にもシビリアンコントロールの話が出ましたけれども、最後に防衛庁長官に、わが国自衛隊においてこの世界各国でしばしば見られるような軍事クーデター的な、そういう危険、そういう憂いは絶対にないという確信をお持ちであるかどうか、またそれについてどういう心構えで指導されているか。このことをお尋ねいたしまして、質問を終わります。
  54. 三原朝雄

    三原国務大臣 先ほど来基本的な点について御指摘がございましたように、わが国の平和憲法下におきます自衛隊のあり方につきましては、十分配慮をしてまいらねばならぬと思っておるのでございます。わが国におきましては政治が軍事に優先するという方針は、これは明確に確立をしておくべきことだということで、皆さん方とともに努力をいたしておるところでございますが、民主主義国家においては、ぜひそういう体制を確立せねばならないと思うのでございます。  自衛隊は、国会の審議を経ました法律でございますとか予算というようなもの、これに基づいて一切の行動が決められておるわけでございます。特に、また最高指揮監督者が総理大臣でございます。私はその指揮を受けて、総括の任に防衛庁長官として当たっておるわけでございます。したがいまして、私どもがいたします指示というようなもの、あるいは先ほど申しましたような基本方針に基づいて任務の遂行をやっておるわけでございますから、わが国に関しましては、いま御心配を願うような、配慮をされるようなクーデターというようなものは絶対に起こらないという確信に立っておるところでございます。  防衛庁といたしましては、以上のような文民統制制度と相まちまして、常に隊員に対しまして民主主義教育、平和憲法の徹底、そうしたものに努めてまいっておるわけでございます。今後とも、この基本方針が大前提でございますので、その方針のもとに自衛隊の整備なり育成に努めてまいる所存でございます。
  55. 長谷川正三

    長谷川(正)委員 終わります。
  56. 正示啓次郎

    ○正示委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  57. 正示啓次郎

    ○正示委員長 これより討論に入ります。  討論の申し出がありますので、順次これを許します。近藤鉄雄君。
  58. 近藤鉄雄

    ○近藤委員 私は、自由民主党を代表して、防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案に対し、賛成の意見を表明するものであります。  国の平和と独立を守り、その安全を保つことは、独立国として当然のことであり、かつ最も重要な国家の責務であります。  現下のわが国周辺地域において、米ソ中の三国間に、ある意味では一つの軍事的均衡が成立しているように見えますが、それをめぐる国際関係は複雑であり、他方、朝鮮半島における緊張はいまだに憂慮すべき状況から脱し切れていると言えません。このような状況のもとで、国連を中心とする平和維持の機能が十分でない現在、米国との安全保障体制を維持しつつ、わが国自身も憲法の許容する範囲内で国力に応じ、自衛のため必要かつ効率的な防衛力を整備することは、きわめて重要なことであります。  政府は、防衛計画の大綱に基づいて、いわゆる基盤的防衛力を整備すべく、自衛隊の人員、編成、装備等の充実に尽力されておりますが、私たちは、この政府の真摯な努力を心から多とするものであります。  今回の防衛庁設置法の一部改正は、海空自衛官千八百七名を増員するための改正であります。これは昭和五十年度から本年度までの艦艇、航空機等、自衛隊装備の充実に伴う必要最小限度のものであると考えております。また、自衛隊法の一部改正は、輸送航空団の編成を改編するほか、第三航空団の司令部を現在の小牧から三沢に移駐するものであり、いずれも航空自衛隊の任務遂行の円滑化を図るため適切な措置であると確信いたし、二法案ともに全面的に賛意を表するものでありますが、なお、第三航空団の移駐及び移駐後の基地の安定使用に関しては、先般行われた当内閣委員会の現地調査の結果を踏まえ、十分な配慮を行うよう希望するものであります。  もとより、国の防衛は、ひとり自衛隊のみで果たせるものではありません。国民の自衛隊に対する理解と協力があって、初めて成り立つものであります。今般防衛庁が発表した世論調査自衛隊支持率八三%が示すように、今日自衛隊が国民各層の支持と信頼空高力ていることは、まことに喜ばしい限りであります。  政府においても、国家の安全保障という国家民族存立の基本にかかわる最重要課題について正しい国民合意の形成になお一層の努力をされるとともに、防衛力を適切に整備、機能させるための諸施策をさらに積極的に推進されることを強く要望いたしまして、賛成の討論といたします。(拍手)
  59. 正示啓次郎

  60. 長谷川正三

    長谷川(正)委員 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題となりました防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案に対して、わが党の見解を明らかにしながら、反対の討論を行いたいと存じます。  近年、自民党政府の外交、防衛政策がますます平和憲法の理念を無視し、軍事力の増強、拡大を目指していることは厳しく批判されなければなりません。ポストベトナム、そして在韓米軍の撤退以降のアジア情勢に基づいて、平和を追求する新しい視野と発想の転換の上に立ったわが国の安全保障の確立について、これまでの誤ったアメリカ追随の外交、防衛政策を根本的に改変し、自主的な施策を立てるべきであると存ずるのでありますが、そのような意欲すらうかがえないからであります。  しかし、昨年正式に決定を見た防衛計画の大綱に見られるように、政府は四次防までのいわゆる所要防衛力構想から基盤的防衛力構想を明示することにより、従来の防衛政策の転換を図ることを明確にしたわけであります。  これによれば、七七年以降は整備の重点を質的向上に置き、現在欠陥のある防衛機能の補完、後方整備を充実する等、均衡のとれた基盤的防衛力の保持を目指すとしておるのであります。これは一見、四次防までの顕著な軍拡的傾向との間に変化があるらしく見えるのでありますが、実体は際限のない軍備の拡充に向かう危険を依然として内包するものと言わなければなりません。  まず、基盤は、全くの基盤にすぎないのでありますから、量的にも質的にも下限を意味し、上限を意味しないのは自明であります。あたかも量的上限らしく思わせる基盤的防衛力の「基盤」とは、大綱の説明に即して言えば、「情勢に重要な変化が生じ、新たな防衛力の態勢が必要とされるに至ったときには、円滑にこれに移行し得るよう配意された基盤的なもの」なのであります。自衛隊の違憲性が明白であるにもかかわらず、軍備でないと強弁しつつ、強引に、かつなし崩しに既成事実の積み重ねを推進してきた従来の政府の態度を見れば、これは全く疑問の余地のないところであります。  以上のようなことが反対の主なる理由でありますが、本改正案の内容となっている海上、航空自衛官の増員と、航空自衛隊第三航空団の小牧市から三沢基地への移転問題にいたしましても、増員問題は欠員で十分カバーできるし、航空団の移転にしても、緊急性は認められないのでございます。  以上により、わが党は、本法案の改正反対をいたすものであります。(拍手)
  61. 正示啓次郎

  62. 鈴切康雄

    鈴切委員 私は、公明党・国民会議を代表いたしまして、防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案に対し、反対の討論を行うものであります。  日本の平和憲法は、その前文で、全世界の国民が平和のうちに生存する権利のあることをうたい、第九条では、戦争放棄と戦力の不保持を明示しております。  わが党は、自衛権そのものを否定するものではありませんが、わが国の平和憲法の精神から言うならば、自衛権に基づく能力もおのずから制約があるのは当然であります。  政府は、今日まで専守防衛、他国に脅威を与えないと言い続けてきたにもかかわらず、昭和三十二年からの第一次防衛力整備計画以来、今日のポスト四次防まで、軍事力増強政策をなし崩し的に強行してきました。  その証拠に、来年度の装備計画の中のPXL選定に当たっては、ロッキード事件のいきさつもあり、いやしくも国民に疑惑を持たれることのないよう措置すると言明しておきながら、ロッキード事件の公判が始まったばかりでほとんど解明が進んでいないにもかかわらず、PXLはロッキード事件とは何ら関係がないとして、防衛庁はいち早くP3Cの導入決定しました。また、FXについても過大な脅威を設定し、それに対処し得る機種としてF15決定したことは、政府みずからが専守防衛、他国に脅威を与えないということから、将来のFXには爆撃装置や給油装置をつけないと約束しながら、今回の防衛二法案審議の過程において防衛庁がFXは爆撃装置や給油装置を取り外さないとしたことは、国会の審議権の侵害であり、シビリアンコントロールを無視したもので、断じて許すことはできないのであります。  かつての戦力なき軍隊と言われた自衛隊は、装備、能力、そして戦略構想まで一段と強化され、日米安保条約という軍事同盟体制のもとで完全に米国の核戦略体制の中に組み込まれ、新たに基盤的防衛力構想によって、量より質という変化を見せながら、再び近代戦争遂行能力のある軍事偏重政策へと転換しようとしていることを厳しく指摘しておかなければなりません。  今回の改正案は、自民党政府防衛政策の枠組みの中で、海空自衛官の増員と輸送航空団の改編、航空自衛隊第三航空団を小牧から三沢へ移駐させようとの内容であり、かかる考え方に立っての防衛二法案をわれわれは認めるわけにはいかないのであります。  本来、安全保障政策というものは、脅威に対抗するための軍事力増強政策よりも、むしろ外交、経済、文化、発展途上国への援助等、平和的努力への積み重ねによる相互信頼に立って国民的合意を得ることこそ、安全保障政策の根幹に置かなければならないと強く主張するものであります。  私は、政府が力の均衡による防衛政策を続けている限り、常に軍事力優先への危険な道をたどらなければならないことを指摘して、本防衛二法案に反対し、討論を終わります。(拍手)
  63. 正示啓次郎

  64. 大内啓伍

    大内委員 私は、民社党を代表して、ただいま上程されました防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案に対し、反対の討論を行わんとするものであります。  われわれが防衛二法案に反対する第一の理由は、わが国を含むアジアの平和体制実現のために、わが国がいかなる構想を持ち、また行動しようとするのか、その中でわが国防衛力はどう位置づけられなければならないのかという総合的な平和構想、平和戦略が欠如した状態の中で、ただ惰性的に防衛力の増強がなし崩しに行われようとしていることであります。それはまさに防衛力の独走であります。  昨年十月、政府は基盤的防衛力構想をまとめ、防衛力の規模については、これを現状で凍結し、今後の防衛力の整備は、質的な整備に重点を置く方針を内外に明らかにいたしました。  しかし、今回の防衛二法は、同構想が打ち出される前の原案であり、それは明らかに防衛力については現状規模を維持するという同構想の方針に矛盾し、したがって、本来的には、基盤的防衛力構想の決定に伴って当然その見直しが行われてしかるべきであったにかかわらず、それが全く行われていないことであります。基盤的防衛力構想とこれは一体どのような関係を持つのか一切不明のまま、三年前の案が惰性的に続けられていることは、余りにも不見識と言わなければなりません。  同時に、われわれが留意しなければならないことは、防衛力の規模は新装備導入理由として自動的にその増強が行われるべきではなく、シビリアンコントロールの最高決定機関である国防会議決定に基づき、陸海空の定員が定められ、かつそれが国会で承認され、その限界において人的配置が行われることが原則でなければならないことであります。今回のように、新しい装備の配備に伴って防衛庁ベースで人員増が当然事項のように行われていくならば、その数の大小を問わず、定員に関するシビリアンコントロールは基本的に崩れていくことを重視しなければなりません。  特に、国防会議が審議機関としての機能を実質的に失い、いたずらに防衛庁から出てくる諸提案について受動的にイエス、ノーを言うだけの諮問機関に堕していることは、シビリアンコントロールの最高機関として重大な欠陥があると申さなければなりません。昭和四十七年の第四次防先取り問題は、まさにこのような国防会議の欠陥と、それに基づく防衛庁の独走の中から起こったことはまだ記憶に新しいところであります。  今日、安全保障の問題は、狭義の防衛力整備の問題にとどまらず、外交、経済、エネルギー、食糧、国際協力等々、多角的な検討を必要とし、防衛力をどのように位置づけていくかはそれらの総合判断の帰結として結論づけられなければなりません。  しかし、国防会議の現状は、その構成並びに法制的位置づけから言っても、そのような体制は今日とられておりません。すでに政府は、昭和四十七年国防会議の改革を閣議決定し、その後の国会答弁においても、防衛庁長官も、国防会議事務局長も、国防会議改編の必要性指摘しながら、それを今日まで具体的に実行せず、ただわずかに運用面で議員懇談会を運用することによって事足れりとしております。最近の福田総理答弁もまたしかりであります。しかし懇談会は、その中身がどうであれ、しょせんは決定機関ではありません。しかし国防会議は、安全保障にかかわる各方面の責任者で構成される決定機関であることが要求されているのであります。  わが国防衛の基本であるシビリアンコントロール体制をこのように欠陥車のまま放置しながら、防衛庁からの要求によって定員増がなし崩しに図られる状態は、まさに本末転倒の姿であり、このような安易なやり方を容認することはできません。また、それは決して防衛力について国民のコンセンサスを得る道ではないと確信いたします。  反対の第二の理由は、陸を初め空、海において相当数の欠員を放置したまま、ただ定数の枠だけをふやせばよいという考え方は、余りにも形式的であり、安易であるということであります。  自衛隊は、現在約三万人にも及ぶ欠員を抱え、それが近い将来充足されるという見通しは、政府みずからが認めるように全くありません。むしろ、若年労働者の不足傾向からして、将来は、現在の充足率を確保することすら困難になることは必至であると言わなければなりません。それにもかかわらず、欠員を放置したまま定員枠だけをふやそうというのでは、国民を納得させることはとうていできません。  定員を充足させることができないというならば、その計画自体こそが洗い直されるべきであります。あるいは、今後定員は確保できますという保証と対策を示すことが先決であります。こうした方策を講ぜず、惰性的に定員枠だけをふやそうというやり方は、国民を愚弄する措置と断ぜざるを得ません。  以上が防衛二法に反対する主な理由でありますが、この際、防衛力のあり方について、一、二申し上げておきたいと存じます。  その第一は、すでに反対理由の中で指摘したとおり、防衛に関するシビリアンコントロール体制を名実ともに確立するため、この際、国防会議の改革を早急に進め、これによって総合的な安全保障政策を確立できる基盤を整えることであります。そのことなしに行われる一切の防衛強化は、きわめて危険であることを警告しておきたいと存じます。  同時に、これは国会自体の問題でありますが、懸案の防衛委員会を早急に発足させ、広義、狭義の防衛問題について総合的に討議できる場を国会の中に速やかにつくり上げるべきであります。  その第二は、防衛問題に対する国民のコンセンサスの確立であります。安全保障の根幹は、みずからの国を守ることに対する国民的合意と団結の確立であります。そのためには、まず政府が、これまでのような事なかれ主義的な防衛論議で国民をごまかし、既成事実の積み重ねによって防衛力の増強を図るといったこそくなやり方を改め、政府の国際情勢認識を国民に率直に述べ、その中におけるわが国防衛力整備の必要性がどういう点に存在するのか、それはどこまでの整備を目標とし、いまそれがどういう状態で進んでいるのか、またアメリカ日本防衛の実体はどういうものなのか、それに基づく日米の防衛分担はどういう形でなされなければならないのか、またそれはいまどのような現状にあるのか等々について国民に理解を求める率直な姿勢がきわめて重要だと考えます。  われわれは、これらの措置がこの際政府において早急にとられることを強く要望し、また、われわれ自身もわが国防衛問題について真剣に取り組むことをここに表明し、私の反対討論を終わります。  ありがとうございました。(拍手)
  65. 正示啓次郎

  66. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 私は、日本共産党・革新共同を代表して、防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案反対の討論を行います。  今回のいわゆる防衛二法の改正は、アメリカの極東戦略の補完部隊として、基盤的防衛力の美名のもとに、自衛隊の増強、自衛隊基地の再編強化を進めるものであり、わが党は断固反対するものであります。  今日、自衛隊は、二十六万六千四十六人を擁する強大な軍隊であります。その装備は、アメリカの要請にこたえて年々増強され、まさしくアメリカの極東戦略の重要な戦力として急成長を遂げています。  現在、アメリカ・カーター政権の軍事政策は、アメリカの地上兵力を大規模に投入して大きな犠牲を払ったベトナム侵略の教訓から、極東の地上兵力をできるだけ削減して、同盟国を最大限に活用することを特徴としております。在韓米地上軍撤退の公約なるものも、この一環として打ち出されており、日本を最大の根拠地として、極東におけるアメリカの支配を維持しようとするものであります。  こうした情勢の中で、福田内閣はこのアメリカの極東戦略にみずから進んで深く入り込み、福田・カーター会談、三原・ブラウン会談などでカーター政権への協力を約束し、アメリカの対日要求を素直に受け入れています。  P3C対潜哨戒機やF15戦闘爆撃機の導入が米首脳に満足の意を与えたことを初め、労務費分担の肩がわり、在日弾薬庫の増強、米空母の佐世保母港化構想など、一連の事実が端的に物語っています。  このような日米軍事協議を背景に、自衛隊は、朝鮮半島有事の際の準備を着々と進めています。  日米合同の対潜訓練は激化し、空でも海でも、日米共同作戦態勢が飛躍的に強化されています。特に最近では、コープダイヤモンド作戦のような、沖縄の自衛隊在日米軍、韓国軍と一体の作戦演習をするという米日韓の一体化への態勢づくりも進められており、自衛隊の対米従属性、侵略性がますます明らかになっています。  さらに重大なことは、三原防衛庁長官有事における戦時立法の必要性を公然と主張し、新たな三矢作戦計画の容認を迫っていることであります。これは、君が代の国歌化などと並んで、軍国主義の復活を図るものであり、決して許すことのできないものであります。  こうした危険な情勢の中で、四次防及びポスト四次防の目指す自衛隊の増強を図ることは、対米従属の軍隊のその侵略性、反国民性を一層強化するものであり、わが党は断じて容認できないものであります。  また、自衛隊法改正案にある輸送航空団の格上げ、第三航空団の三沢移駐にしても、アメリカの対韓政策に基づき、支援、補給の態勢の強化を進めるものであり、自衛隊基地の撤去を強く要求するものであります。  以上のように、今回の防衛二法改正案は、安保体制のもとでの日米軍体制の一層の強化アメリカの要求に基づく自衛隊の増強、自衛隊基地の再編強化を進めるものであり、断じて容認できないものであることを主張して、反対討論を終わります。(拍手)
  67. 正示啓次郎

  68. 中川秀直

    中川(秀)委員 私は、新自由クラブを代表いたしまして、ただいま議題となっております防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案に対し、賛成の意見を表明いたします。(拍手)  新自由クラブは、国家の安全が直接の武力侵略によって脅かされるだけでなく、石油危機、二百海里問題、迫り来る食糧危機など、エネルギー、資源、食糧の供給の不安定等によっても、今後重大な危機に遭遇すると考えております。  それゆえ、わが国の安全保障政策は、ひとり軍事面防衛のみならず、こうした資源、食糧の備蓄など、非軍事面の各般にわたって総合的に組み立てられなければならないと考えます。  こうした総合安全保障政策の一環としての日本防衛政策については、敵性国家をできる限り少なくし、友好国家をできる限りふやす冷静かつ果敢な外交政策の展開とともに、日米安全保障条約を基軸とし、自衛のために過大でもなく過小でもない必要最低限度の防衛力を備える必要があると考えております。  最近の国際情勢、とりわけ北東アジア情勢をかんがみるに、ソ連のこの地域における著しい軍事力の強化、中ソ対立の継続、米中間の改善趨勢、在韓米地上軍撤退による朝鮮半島の動向等、複雑な様相を呈しております。  このような諸情勢下における今日の防衛二法改正案は、若干の問題点はあるにせよ、輸送航空団の編成がえ、第三航空団の三沢移駐等、時宜を得たものと判断いたします。  若干の問題点と申しますのは、海空で五千百五十人もの欠員、定員未充足がありながら、海空の自衛官定数を千八百七人ふやすことであります。これは、新装備に伴い、ほぼ定員いっぱいの幹部曹クラス定員をふやす必要があることを理解しても、防衛の中核として常に有事に備えた体制をとる自衛隊の特に士クラスの充足率を現状のまま放置して、士クラスまで定員をふやすことは、今後も新装備のたびごとに定員の総枠が歯どめなくふえることを意味し、国民の理解を得て防衛を進める本旨からすると、かなり問題があると言わざるを得ません。  また、防衛予算中、人件費の占める割合が五十数%に迫っていることを考え合わせても、低成長下における日本の今後の防衛の方向という点から考えまして、逆行しているように思われます。  私どもが低成長下の防衛と言いますのは、軍事面では中東戦争で数十億の戦闘機あるいは戦車が、わずか数百万円、数千万円の兵士の肩から発射するものさえある簡単なミサイルでばたばたと撃墜、撃破されたように、すでにその効用が証明済みであるいわゆるPGM、精密誘導兵器など、効率的、高性能の装備を中心に装備拡充を進めることであり、人的面では福利厚生施設の充実、欠員の充足努力という中身、実態の改善であります。  こうした方向に今後なお一層の努力をするよう特に強く要求をして、賛成の討論といたします。(拍手)
  69. 正示啓次郎

    ○正示委員長 これにて討論は終局いたしました。     —————————————
  70. 正示啓次郎

    ○正示委員長 防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  71. 正示啓次郎

    ○正示委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  なお、ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  72. 正示啓次郎

    ○正示委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  73. 正示啓次郎

    ○正示委員長 この際、防衛庁長官から発言の申し出がありますので、これを許します。三原防衛庁長官
  74. 三原朝雄

    三原国務大臣 ただいま防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案につきまして、慎重な御審議の結果、御可決をいただきまして、まことにありがとうございます。  私といたしましても、本委員会における審議の内容を十分に尊重いたしまして、防衛庁に与えられました任務の遂行に全力を尽くす所存でございます。  ありがとうございました。(拍手)
  75. 正示啓次郎

    ○正示委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午前十一時五十八分散会