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1977-10-25 第82回国会 衆議院 内閣委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    国会召集日昭和五十二年九月二十九日)(木 曜日)(午前零時現在)における本委員は、次の とおりである。    委員長 正示啓次郎君    理事 木野 晴夫君 理事 近藤 鉄雄君    理事 竹中 修一君 理事 塚田  徹君    理事 木原  実君 理事 長谷川正三君    理事 鈴切 康雄君 理事 受田 新吉君       逢沢 英雄君    井出一太郎君       宇野  亨君    内田 常雄君       関谷 勝嗣君    竹下  登君       中馬 辰猪君    塚原 俊平君       中村 弘海君    藤田 義光君       増田甲子七君    上田 卓三君       栗林 三郎君    栂野 泰二君       矢山 有作君    安井 吉典君       新井 彬之君    市川 雄一君       大内 啓伍君    柴田 睦夫君       中川 秀直君 ――――――――――――――――――――― 昭和五十二年十月二十五日(火曜日)     午前十時三十四分開議  出席委員    委員長 正示啓次郎君    理事 木野 晴夫君 理事 近藤 鉄雄君    理事 竹中 修一君 理事 塚田  徹君    理事 木原  実君 理事 長谷川正三君    理事 鈴切 康雄君 理事 受田 新吉君       逢沢 英雄君    井出一太郎君       塚原 俊平君    中村 弘海君       藤田 義光君    伊藤  茂君       上田 卓三君    栂野 泰二君       矢山 有作君    安井 吉典君       山花 貞夫君    新井 彬之君       市川 雄一君    柴田 睦夫君       中川 秀直君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 三原 朝雄君  出席政府委員         国防会議事務局         長       久保 卓也君         防衛庁参事官  夏目 晴雄君         防衛庁参事官  平井 啓一君         防衛庁参事官  番匠 敦彦君         防衛庁長官官房         長       竹岡 勝美君         防衛庁防衛局長 伊藤 圭一君         防衛庁人事教育         局長      渡邊 伊助君         防衛庁衛生局長 野津  聖君         防衛庁経理局長 原   徹君         防衛庁装備局長 間淵 直三君         防衛施設庁長官 亘理  彰君         防衛施設庁次長 安斉 正邦君         防衛施設庁総務         部長      銅崎 富司君         防衛施設庁施設         部長      高島 正一君         防衛施設庁労務         部長      古賀 速雄君         外務省アメリカ         局長      中島敏次郎君  委員外出席者         警察庁刑事局国         際刑事課長   新田  勇君         国土庁長官官房         審議官     伊藤 晴朗君         外務省アジア局         北東アジア課長 遠藤 哲也君         大蔵省理財局特         別財産課長   松岡  宏君         文部省管理局教         育施設部計画課         長       佐藤  譲君         運輸省航空局管         制保安部長   飯塚 良政君         建設省都市局公         園緑地課長   三好 勝彦君         日本国有鉄道建         設局停車場第二         課長      井上 六郎君         参  考  人         (日本住宅公団         副総裁)    上林 英男君         内閣委員会調査         室長      長倉 司郎君     ――――――――――――― 委員の異動 十月六日  辞任         補欠選任   中川 秀直君     山口 敏夫君 同日  辞任         補欠選任   山口 敏夫君     中川 秀直君 同月七日  辞任         補欠選任   大内 啓伍君     春日 一幸君 同月十一日  辞任         補欠選任   塚原 俊平君     藤井 勝志君 同日  辞任         補欠選任   藤井 勝志君     塚原 俊平君 同月十四日  辞任         補欠選任   宇野  亨君     笹山茂太郎君   塚原 俊平君     根本龍太郎君 同日  辞任         補欠選任   笹山茂太郎君     宇野  亨君   根本龍太郎君     塚原 俊平君 同月十五日  辞任         補欠選任   宇野  亨君     越智 通雄君   塚原 俊平君     笹山茂太郎君   中村 弘海君     古井 喜實君   柴田 睦夫君     松本 善明君 同日  辞任         補欠選任   越智 通雄君     宇野  亨君   笹山茂太郎君     塚原 俊平君   古井 喜實君     中村 弘海君 同月十七日  辞任         補欠選任   松本 善明君     柴田 睦夫君 同月二十五日  辞任         補欠選任   上田 卓三君     山花 貞夫君   栗林 三郎君     伊藤  茂君   春日 一幸君     大内 啓伍君 同日  辞任         補欠選任   伊藤  茂君     栗林 三郎君   山花 貞夫君     上田 卓三君     ――――――――――――― 九月二十九日  防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法  律案内閣提出、第八十回国会閣法第一〇号) 十月七日  特別職職員給与に関する法律の一部を改正  する法律案内閣提出第四号)  防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案(内  閣提出第五号) 同月十八日  台湾残置私有財産補償に関する請願瀬野栄  次郎紹介)(第三号)  同(大原一三紹介)(第一〇〇号)  傷病恩給等改善に関する請願外一件(藤本孝  雄君紹介)(第四号)  同(今井勇紹介)(第四六号)  同外二件(堀之内久男紹介)(第一〇一号)  同(中山正暉紹介)(第一四八号)  旧軍人恩給等改善に関する請願山崎武三郎  君紹介)(第五九号)  軍嘱託の旧特務機関員恩給給付に関する請願  (西宮弘紹介)(第一一一号)  救護看護婦に対する恩給法適用に関する請願(  井上泉紹介)(第一四六号)  同(森下元晴君紹介)(第一四七号) 同月二十二日  救護看護婦に対する恩給法適用に関する請願(  関谷勝嗣君紹介)(第一六六号)  同(中川秀直紹介)(第一六七号)  台湾残置私有財産補償に関する請願伊藤宗  一郎紹介)(第一九三号)  同(受田新吉紹介)(第一九四号)  元上海工部局警察官恩給に関する請願受田  新吉紹介)(第一九五号)  傷病恩給等改善に関する請願(斉藤滋与史君  紹介)(第二四四号)  同(竹中修一紹介)(第二七〇号)  同(古井喜實紹介)(第二七一号) 同月二十四日  同和対策事業特別措置法強化等に関する請願  (有島重武君紹介)(第三八五号)  傷病恩給等改善に関する請願外三件(伊藤宗  一郎紹介)(第三八六号) 救護看護婦に対する恩給法適用に関する請願(相  沢英之紹介)(第四七八号)  同(栗林三郎紹介)(第四七九号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 十月十三日  恩給共済年金受給者処遇改善に関する陳情  書  (第一号)  旧軍人恩給等改善に関する陳情書  (第二号)  旧海軍特務士官准士官等恩給格付是正に関  する陳情書  (第三号)  旧軍人軍属恩給欠格者処遇改善に関する陳情  書  (第四  号)  青少年の健全育成に関する陳情書  (第五号)  同和対策事業特別措置法強化延長に関する陳  情書外六十八件  (第六号)  水産省設置に関する陳情書外七件  (第七号)  中小企業省設置に関する陳情書外六件  (第  八号) は本委員会参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  国政調査承認要求に関する件  参考人出頭要求に関する件  防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法  律案内閣提出、第八十回国会閣法第一〇号)      ――――◇―――――
  2. 正示啓次郎

    ○正示委員長 これより会議を開きます。  まず、国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。  今会期中、国の行政改善を図り、公務員制度及び給与の適正を期する等のため、  一、行政機構並びにその運営に関する事項  二、恩給及び法制一般に関する事項  三、国の防衛に関する事項  四、公務員制度及び給与に関する事項  五、栄典に関する事項 以上の各事項について、小委員会設置関係各方面からの説明聴取及び資料要求等方法により、国政調査を行うこととし、議長にその承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 正示啓次郎

    ○正示委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————
  4. 正示啓次郎

    ○正示委員長 内閣提出、第八十回国会閣法第一 ○号、防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案議題といたします。  ただいま議題といたしました本案につきましては、第八十回国会においてすでに提案理由説明は聴取しておりますので、これを省略いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 正示啓次郎

    ○正示委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————  防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  6. 正示啓次郎

    ○正示委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。伊藤茂君。
  7. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 私は、先月九月二十七日横浜市で発生をいたしました米軍ファントム偵察機事故関連をしてお伺いをしたいと思います。  御承知のとおりに、九月二十七日の事故でございましたから、ほぼ一カ月が経過をいたしました。事故が起こりましたのは、私の直接の地元と言うよりも、うちそばでございまして、私のうちの頭の上もあのような米軍機がしょっちゅう飛び回っております。あるいはまた被害者方々被害者と言うよりは、御承知のとおり二人の幼い命を失った遺族というふうに申し上げていいかもしれません。その方々も近くでありますし、亡くなった子供さんも含めて、いまなお重傷状態にある方々の収容された病院もうちのすぐそばであります。これは周りの住民方々のお話を聞く中で本当に切実な思いがするわけでありまして、これからお伺いする中で、そういう住民気持ちにこたえることができるような御答弁をぜひお願いしたい。冒頭にお願い申し上げます。  この事故関連をいたしまして、実は昨日も地元での報告抗議集会が持たれました。これもいままでにないことですが、住民ぐるみでといいますか、地元連合町内会長らがみんなで主催をして、こういう集会を持つというふうないままでにない状態にもなっているわけであります。遺族方々あるいはまた被害者家族方々からも伺うわけでありますけれども事故のその日の夜に亡くなった二人の子供さんの命はもう返ることはありません。私は、今国会経過を振り返りまして、総理施政方針演説外務大臣外交演説とかございましたが、冒頭のときにも、ハイジャックのことは触れられておりましたが、国会の直前に起こったこのようなことについては、総理外務大臣もお触れにならない、本当に私は残念な思いがいたしました。亡くなった子供の命は返らないわけでありますし、また重傷で入院されている方々はいまも一進一退であります。重傷家族を抱えられている林一久さんや、またそのほかの方々の話を伺うわけでありますけれども、体に残った傷跡は一生消えることはない、そうしてまた心に残った傷跡も一生消えないで生き抜くのだということを言われております。私はそういう気持ちを込めまして、特にそういう周辺の住民代表の一人といたしまして御質問をいたしたいと思います。一般的な論争という形ではなくて、ぜひ具体的に、こういうことを起こさない、あるいはまたこういう事態に当たって少しでも改善の方向を見出していくという形での御質問をしたいと思います。  まず第一に問題となるのは、事故原因究明の問題です。あれからほぼ一カ月たちましたが、残念ながら事故真相究明についての作業は、ほとんど進んでいないという状況ではないでしょうか。それらについて、私はまず防衛庁長官にお伺いしたいと思いますが、いままでの経過を見ますと、日米安保条約地位協定によって第一次裁判権調査権、これは米軍の側にあるということに余りにもあなた任せのように安住をして、日本国の主権において日本市民の命を、あるいは安全を守るために努力をしていく、そういう姿勢が非常に薄かったのではないだろうか。いままでの何回かの事故における事故分科委員会経過などを見ましても、アメリカ側が出した書類審査をするというふうな経過をたどってきたのではないかというふうに思いますが、この際、後ほど専門委員会の問題についてはまた具体的に御質問したいと思いますが、抜本的にこういうシステムを改めていくということがまず必要ではないだろうか。たまたま昨日、事故分科委員会構成も変えられたようですが、私は、日米間の合意をすでに得てこれが承認されているのかどうか。かわりの人がきょう出席をされているということのようですが、昨日急遽仕組みを変えられたことも含めまして、まず長官考えを伺いたい。
  8. 三原朝雄

    三原国務大臣 お答えをいたします。  去る九月二十七日の横浜におきまする米軍事故、いま地元先生の切実なお訴えがございましたように、私どもも非常に悲惨な重大な事故だと受けとめておるところでございまして、この対処に対しましては全力を傾倒いたしたいと思っておるところでございます。  まず、とうとい犠牲になられました方々、また重軽傷を受けられました被災者方々に対しましても、心から弔意を表し、お見舞いを申し上げておるところでございます。  なお、御指摘のように、原因究明そして事故再発を防ぐためには、最善の努力をいたしたいということで、いまは努めてまいっておるところでございます。特に、先生から御指摘のございました、いままでの日米安保条約地位協定等の条項によって、米軍任せにしておるようなことはないのか、そういうことであってはいかぬぞという御指摘でございまするが、全く私どももそうした考え方に立って今回の事件の対処をいたしておるところでございます。  詳細につきましては、担当の施設庁長官から御説明をさしたいと思います。お許しを願いたいと思います。
  9. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 米軍任せにすることはしない、同じ考えであるということを長官は言われましたが、これから具体的にお伺いする中で、そのあかしをお願いしたいというわけであります。  今度、日米合同委員会の中に事故分科委員会があり、その事故分科委員会専門委員会設置をするということに合意をされたようであります。私は、いままでのこの事故経過をずっと調べてみましても、事故分科委員会の中でもアメリカ側の方は、それぞれ事故について、あるいは米軍飛行機について、飛行方法についての専門家がいらっしゃるようです。日本側の方は、そういう専門家あるいは専門的知識が非常に弱いということで、事故分科委員会といっても、どうしても一方的になるという経過が、その構成上の問題としてあったと思います。そういう意味で、専門委員会設置をする中身について非常に重要視をしているわけであります。  幾つか具体的にお伺いしたいのですが、いただけましたいままでの経過を見ますと、日本側としては事故分科委員会専門委員会内容について「日本側から追って具体的な提案を行う旨を米側に伝えた。」言うならば当然ですが、日本側がイニシアチブを持ってこういうものをやっていこうということにならなければならないと思います。  お伺いしたいのですが、分科委員会専門委員会設置する合意があるが、「必要に応じ」という表現になっております。私はこれは、常時こういうシステムはあるべきではないだろうか、市民に対する責任からいって当然であろうというふうに思います。  それから、いつ一体これが発足をするのかというめどを明らかにしていただきたい。二十七日に事故が起きまして、もう一月たったわけですから、一月たってまだ調査のそういう専門委員会設置の糸口もつかないということでは大変なことだと思うわけでありまして、いつ発足をさせるのか、具体的にめどをひとつ明らかにしていただきたい。  それから、その構成の問題です。いままでの説明や報道を聞きますと、海上自衛隊専門家とか航空自衛隊専門家とか、あるいは運輸省などというふうなことが言われております。私は、こういうものを構成する際に、軍人専門家を並べるというのではなくて、国民の目から見て、なるほど公正に市民の生活を、あるいは命を守るためにやっているという構成が必要ではないか。やはりきわめて民主的に、しかも広範な各界の専門家を含めて専門委員会構成をされるということが当然ではないだろうかというふうに思うわけでありますが、構成について具体的にどのようなお考えでどのような措置を進めておられるのか、具体的に伺いたいと思います。  参考までに、すでに御承知だと思いますが、横浜市の方でも神奈川県の方でも、地元では市民の生命を守るという立場から、航空安全対策専門委員会設置をするなどの努力をいたしておりまして、ぜひそういう専門家の中から市民と気持らがつながるという形で、そういう方々も含めて事故分科委員会専門委員会構成していただきたいという要望もあるわけでありまして、それらの具体的な措置についてどうなさっているのか伺いたいと思います。
  10. 亘理彰

    亘理政府委員 お答えいたします。  まず、調査の現状でございますが、ただいまの段階では、私ども、この十七日に国会にも中間的な経過報告を申し上げておりますが、主として米軍の情報によります事実関係中心として御報告いたした次第でございます。  事故原因究明については、現在米軍で組織しております事故調査委員会において、鋭意各般の原因究明作業を行っておるところでございまして、その結果が出ました場合に、事故分科委員会においてこれを綿密に検討する。そうして今後の再発防止対策とあわせてその結果を合同委員会に勧告し、かつこれを公表する、そういう手順になっているわけでございます。  そこで、いま先生から御指摘のように、事故分科委員会におきまするわが方のメンバーは、必ずしも専門家ではないわけでございます。防衛施設庁防衛庁、法務省、運輸省警察庁外務省職員から成っておりますけれども、技術的な点にわたりますことを十分に理解、検討できるだけの体制になっておらないわけでございます。そこで、去る六日の日米合同委員会におきまして、事故分科委員会に必要に応じて専門部会設置することができるという日米間の合意ができておるわけでございますが、これにつきまして、まずいつこれを発足させるかということでございますが、現在私ども、いろいろこの専門部会メンバーの人選をしておるところでございます。それで、これをできるだけ早く発足させたい。また、この専門部会立場とか権限なり、そういうことも明らかにいたしておかなければなりませんけれども、そういうことを含めまして仕組みを確定いたしまして、できるだけ早く発足させたい。いずれにしましても、米軍調査委員会報告が出てきました段階でこれに対応できる体制になっていなければならないということでございまして、いま関係省庁その他いろいろな御意見を伺いながら、発足をできるだけ早めたいということで準備をしておるところでございます。ただいまの段階で、いつ発足するということを明確に申し上げられないのは申しわけない次第でございますが、できるだけ早く発足させたいというふうに考えておるわけでございます。  それから、なお専門的知識は、事故分科委員会米側メンバーは各軍の代表でございますから、一応の専門家でございます。特に専門的知識を欠くというのは、日本側において問題であるというふうに観念しておるわけでございます。  それから、専門部会構成でございますが、これにつきましては、やはり日米間の合同委員会下部機構である事故分科委員会の一つの組織ということでございますから、政府関係職員がなるのが中心でございます。政府関係職員専門家と申しますと、運輸省航空事故調査委員会等専門家がおられると思いますので、運輸省にも推薦方をお願いしております。それから、かつ軍用機でございますので、やはり私ども航空自衛隊あるいは海上自衛隊専門家がおるわけでございます。そういうことを考えておりますが、さらにいまお話しの、民間学識経験者参加を仰ぐことにつきましても、どういう形でそのお知恵をおかりするか、いろいろいま検討しておりますが、いずれにいたしましても、これは積極的に、前向きに民間学識経験者のお知恵をおかりしたいということで検討しておるところでございます。
  11. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 非常に不満です。とにかくいままでの予算委員会などの答弁でも、事故真相究明を迅速にやらなければならないという問題に対して、二、三カ月とか、できるだけ早い時期にとかいうことを政府側から答弁がありました。一月たっているわけです。責任を持って、権威を持って調べるという仕組みを、できるだけ早い時期に決めたいと思います、という状態が一月たっても続いているということでは、私はどうにもならないのじゃないかというふうに思うわけでありまして、民間参加ということを前向きに考えたいという点については、事故が発生した地元の自治体が推薦をする権威のある、だれが見ても権威のあるというレベルでの専門家ども積極的に参加をしていただくということをぜひ要望しておきたいと思いますが、いまの段階でなおできるだけ早くということについては、これは本当に納得いたしかねる。  続けて伺いたいのですが、事故分科委員会が、伺ったところでは、いままで九月三十日、十月七日、十月十七日と三回開かれているようであります。また、合同委員会が一遍開かれたということのようでありますが、事故内容に触れたというのは十月七日だけですね。しかも米側の方から若干の資料提出があったという程度のようであります。これは後で触れたいと思いますが、まず日本側の方から、毅然として、主体的な姿勢を持って真相を解明をするというための資料、その他アメリカ側に要求しているのかどうか、事実を伺いたい。たとえば墜落の時刻は正確にはいつかということもまだわかっておりません。またその飛行機の速度がどうだったのか、こんなことは、計器はアメリカ側にあるわけですから、あなた方も一緒に見させてくれということをやればできる問題じゃないかというふうに思います。あるいは飛行機整備日誌とか、戦闘機には何かテープレコーダー、ボイスレコーダーが搭載されていないような話も聞くわけでありますが、それをコントロールしていた横田のコントロールタワーの方とか、あるいは厚木とかというところには当然応答のレコードが残っているだろうと思います。レーダーフィルムも残っているだろうと思います。それらの問題、あるいは飛行機整備日誌とか、この事故究明真相究明に当然必要な幾つかの資料ですね、三十日の時点で当然だと思いますが、第一回の事故分科委員会というようなところできちんと要求をされているのかどうか、事実を伺いたい。
  12. 亘理彰

    亘理政府委員 お答えいたします。  まず事故分科委員会でございますが、事故分科委員会は九月の三十日に開きまして、その次に十月の七日に開いておりますが、事故分科委員会という形での会合は、その後いたしておりません。あと個別に事故分科委員会の議長等が向こう側の代表と接触する等のことは常時やっておるわけでございますが、そういう次第でございます。  それから、いま先生がお話しになりました資料等については、当然日本側で点検すべきものであろうと思います。その点も必要に応じて点検するように申し入れをすでにいたしておるわけでございます。ただ、いろいろお挙げになりました中で、私ども、そういうものはない、たとえばレーダーフィルムのようなものはないということもございますが、おっしゃいました大半のものについては必要な場合にこれを点検し、検討できるようにすることについては申し入れをいたしております。  ただ、先ほど申し上げましたように、現在の段階は、米軍で組織しました事故調査委員会が、この諸般の資料を含めまして、まず第一次的な全般調査を鋭意続行している最中でございます。その調査が出まして、報告が上がってきました段階で、その一塁づけ資料として、いまおっしゃったような資料を点検する必要があるというふうに私ども考えております。  なお、それらの点につきましては、もちろん技術的な知識がなければ理解できない、あるいは不審の点も追及できない、こういうことでございますので、先ほど申し上げましたように、事実を確定できないで申しわけないわけでございますが、こちらのそういう専門的な、技術的な能力を備えた体制を早く備えたい、こういうことで考えておる次第でございます。
  13. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 三原長官、済みませんが、先ほど、専門委員会構成とかあるいは体制を整えるということについて、いまの段階でもなるべく早くという亘理さんの答弁でした。それから一応必要な資料についてはアメリカ側にも要求はしてあるというお話でしたが、私は、そういうことを含めて、きょう直ちにとは言いませんけれども、なるべく早くというふうな形で地元住民は納得されていないと思うのです。ますます不信が高まるということだと思うのです。たとえば、少なくともこの一週間以内にはそういう体制をつくりますとかということは、大臣、言えませんでしょうか。
  14. 亘理彰

    亘理政府委員 お答えいたします。  繰り返すようになりますが、ただいま米側事故調査委員会でいまの諸資料を含めて調査を鋭意続行している最中でございます。したがいまして、その調査がまとまりました段階事故分科委員会にその内容報告される。そのときに、いま先生から仰せられましたような資料につきまして、その裏づけとして事故分科委員会に提供があるというふうに考えておるわけでございます。
  15. 三原朝雄

    三原国務大臣 先生指摘のように、地元方々がすでに事故が起きてから一カ月もかかるではないかという立場からする御心境は、私はよくわかるわけでございます。理解できるわけでございますが、いま施設庁長官が申し上げましたように、私どももいまの事故調査体制整備につきましては、本当にできるだけ早くいたしたい、そういう立場関係各省とも相談をし、米軍側とも折衝いたしておるところでございます。  なお、何月の何日ごろまでにその構成ができるかというような点について、残念ながら明確にここで申し上げるところまでいっておりませんけれども、積極的に、いま人選の問題、特に横浜の市長さんあたりからも、こういうメンバーでどうだろうかというような、そういう候補のメンバーまで挙げていただいておるわけでございます。それらの方々等も含めまして人選等について御相談をいたしておりますが、何しろ相手のあることが一つ。しかもアメリカが精密検査を早急にやらねばならぬということで急いでおるという回答を受けておりまするので、そうした点等も考慮しながら、できるだけ早く地元の要請にこたえるようにこれから先も努めてまいると思いますが、そう長い日にちだと私は思いませんけれども、いましばらく時間をかしていただきたいと思うのでございます。
  16. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 私は、真相究明の中で一番大きな問題は、いま問題となっているエンジンの問題、もう一つはパイロットの問題ではないだろうかという気がいたします。その二つについてただしたいのですが、エンジンの持ち去りということがありました。これに関連をして幾つか事実関係を伺いたいと思うのです。  まず最初に、事故直後から日本側がこういう事態に関連をしてとった経過ですね。振り返ってみますと、五日の日に米軍側から神奈川県警の方に、これを動かしたい、搬送したいという連絡があって、神奈川県警からは、それは応じられない。六日の日には、近日中に移送するという連絡があった。神奈川県警の方からは一々それは施設庁の方に連絡していたということになっているわけです。七日の事故分科委員会日本側の方が、持ち出さないようにできればお願いしたいという態度表明をされたというわけでありますが、何で、三十日の第一回の時点とか、五日、六日にそういう動きがあったわけですから、緊急にこれは政治的な決意をもって手を打つとかということをなさらなかったのかということが一つです。それから七日の事故分科委員会における日本側の意思表示ということを見てみましても、アメリカ側の、米軍調査日本国内で実施してほしいが、調査の必要上米軍がエンジン等を本国に移す場合には事前に連絡を得たい、仮に米軍がエンジン等を米本国に移す場合にも、調査結果は日本側に提供してほしい、また、日本側調査の必要上エンジンの検査を行う必要がある場合には、米軍に対してエンジン等を持ち帰ることを要求することもあり得ると、まことにこれはへりくだった態度でありまして、私は、これは普通の人が読めば、事実上そういうアクションはもう了承している、黙認されているというのか了解されているというのが、これらの経過を見れば大体常識で判断することでないだろうか、しかも国際関係から言えば、そういうふうに思うのは当然のことではないだろうかというふうに思うわけでありまして、五日、六日あたりの時点でとった措置、それから七日の日ようやくそういう態度を表明されたことなどについての現時点での反省を込めたものがあれば、込めた考えを、お気持ちを聞きたい。
  17. 亘理彰

    亘理政府委員 お答えいたします。  五日、六日の段階における経過は、先生のおっしゃったとおりでございます。それで、そういう動き、気配を、私ども的確にその重要性を認識して、即刻手を打つべきではないかということで七日の事故分科委員会に申し入れをしたわけでございますが、おっしゃるとおり、もっと以前に、五日、六日の以前からでもそういう申し入れをきちっとしておくべきではなかったかという点についてはごもっともだと思います。私ども反省いたさなければならぬと思っております。  それから、七日の事故分科委員会段階におきましておっしゃるとおりの申し入れをしたわけでございますが、私どもは、一面において米側事故原因調査を促進してもらいたいということを申しておりまして、その調査の必要からしますと、これは米国で製造されたエンジンであり、日本における米軍施設で、機材等あるいは人員等も十分でないという実情があればこれは米本国に移す場合もあり得る、そういうふうな気持ちを持っておったわけでございます。  それはそれとしまして、私ども米側にはなはだ遺憾であるということを申し入れましたのは、移す場合には事前に連絡してもらいたいということについて、その事前連絡が適確に行われなかったということについてでございます。  それからまた、なお七日の段階におきまして口頭で申し入れをしたわけでございますが、十七日にまた改めて、事故分科委員会日本側代表から米側代表に対しまして、文書をもって、米本国に移しましたエンジン及びその関連部品については、米本国で実施されております精密検査をできるだけ早期に完了して、完了次第これらを日本に持ち帰るように申し入れておるところでございます。
  18. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 私は、この経過を振り返ってみますと、十五日の時点で、官房長官が記者会見の中で、大変遺憾である、日米合同委員会を今週中にも開催をして抗議をしたいという記者会見をされております、報道によれば。しかしそういう開催された形跡もございませんし、あるいはまた、これらのエンジン持ち去りについての抗議の形ですね、と私は思いますが、それらについても、事故分科委員会関係者である金井施設調査官から向こう側のダイザー大佐に文書で要求したという程度のことであります。大体私は、姿勢としてもう少し毅然としてもらいたいということを強く要求をしたいと思います。  では、ひとつ伺いたいのですが、持ち去られたエンジンはいまどこにあるのか、どういう状態にあるのか、それは確認しているのですか、それが一つ。  それから、七日の事故分科委員会で、あるいは十七日の時点で日本側からいろいろ要望したというわけでありますが、報道によりますと、米軍側はそれに対して、はっきりした意思表示はしていないというふうに言われております。その辺がどう詰められているのか。  それから検査済みのものを送り返してもらいたいという、それ自体ぼくはどうかと思いますが、要望しているようであります。それでは、いつの時点になったらそれが実現するのか、どういうめどを皆さん方は持っておられるのか、はかない期待を持っていつまでも待っておられるというふうなことなのか、それを伺いたい。
  19. 亘理彰

    亘理政府委員 七日の事故分科委員会における申し入れば口頭のやりとりでございますが、これについて、原則的に米側は了承をしておったというふうに報告を受けている次第でございます。  それからエンジンをどこに移したかということでございますが、カリフォルニア州にあります米海軍の航空修理施設にあるというふうに聞いております。  なお、これがいつ日本に持ち帰ってくれるかという点につきましては、現在そのカリフォルニアにおきまして精密な調査、検査を実施中でございますので、いつ持ち帰れるかということについては確とした見通しをまだ得ていない次第でございます。
  20. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 きわめてあいまいであります。私はこの経過を詳細に、いろいろな角度から調べたり、あるいは情報を集めたりしてみたのですが、調べれば調べるほど非常に何か問題がある感じがします。率直に言えば、この経過については重大な疑問があるという感じがいたします。予算委員会や何かで、大臣レベルでは、十四日の日にこの話を知らされた、三原長官も官房長官もそういうことを言われておるようです。十四日の夜遅くという段階になって初めて聞かされて愕然としたというようなことを言われて、米側に抗議をしたということが今国会におけるいままでの答弁経過になっております。しかし、七日に事故分科委員会がありましたが、その七日の時点ですでに移送は開始されていた、あるいは移っていたのではないかという話をいろいろ聞くわけであります。私も、これは大変問題だと思いますので問いただしたいというふうに考えるわけでありますが、私どもその間の事情についていろいろと話題を聞いております。  まず最初に、すでにオープンになっている日本の新聞界のいろいろな取材があります。これが本当なのかうそなのか、何も対決したわけじゃありませんけれども、それを一遍明らかにしていただきたい。たとえばその問題が出た朝日新聞の十五日の朝刊ですが、こういうことになっているわけです。七日の事故分科委員会のことなのですが、日本側から「国外へ持ら出さないように」と求めた。「これに対し、出席した米軍側から、すでにエンジンはとりはずして今月五日、厚木基地から横須賀港へ陸送、その日のうちに横須賀港からカリフォルニアに向けて船積みしてしまったとの事実を告げられた」。読売新聞はこう言っています。「七日の事故分科委では、米軍側は「すでにエンジンの基本調査のため、本国に向け送還中である」」というふうにアメリカ側が伝えた。それも「現実には今月初めに、米軍艦で横須賀港から日本国外に持ち出されていた」。その後のことについて、「この処置を知った防衛庁防衛施設庁担当官は、極めて不満だがやむを得ないとの考えで事実上黙認していたようだが、日米合同委に加わっている防衛防衛施設庁外務省の中堅幹部は、これを握りつぶしており、さる十日過ぎになってやっと防衛施設庁上層部に報告があった。」毎日新聞もあります。同じ十五日の夕刊ですが、七日の事故分科委員会で米国側議長のダイザー大佐に申し入れをした。エンジンはすでに移っている。それから「外務省筋にはエンジンなどの本国持ち帰りは、米軍から非公式にもらされていた」、いろいろ出ております。  こういう疑問を私は明らかにしていただきたいと思うわけであります。これらは朝日新聞、毎日新聞、読売新聞ですから、日本のマスコミの大きな責任を持つ機関になるわけでありますが、こういうところといままでの委員会における政府の御説明と非常に大きく違っているということになっているわけでありまして、事実を述べてもらいたい。
  21. 亘理彰

    亘理政府委員 経過を申し上げますと、十四日の夜の八時ごろであったかと思いますが、会議をしておりますところへある新聞の記者の方から私に電話が入りまして、エンジンはすでに五日に横須賀へ陸送して横須賀から船で持ち出したという情報があるが事実か、こういうお話でございました。私ども、全くその事実は知りませんし、七日に、事前には連絡してくれるようにという申し入れをしておりますから、そういうことはあり得べからざることである、こう思ったわけでありますが、直ちにそういううわさがあるがどうかということの確認をいたす手続をとったわけでございます。  具体的には、日本側事故分科委員会の議長から横田におります米側の議長ダイザー大佐に連絡をとったのでございますが、ダイザー大佐は当夜外出しておりまして、なかなか所在がつかめませんでした。それで、横須賀云々という話もございましたので、それではかわりの者に連絡してみろという指示をいたしまして、フレーザーという海軍大佐、これは横須賀の在日海軍の第三部長でございますが、米側事故分科委員会メンバーでもございます。これに電話をしましたところが通じまして、そのフレーザー大佐は、私は何にもそういうことは聞いておらない、しかし事は重大であるからすぐ確認してみようということで、在宅しておったのですが、オフィスへ出まして、いろいろ連絡をして、そうして電話を返してくれましたのが十時半かそこらであったかと思います。それで、フレーザー大佐のお話によりますと、わかりましたことは、五日ではなくして八日である、それから横須賀ではなくして、横田から空輸したという事実がわかったわけでございます。それで、さらにダイザー大佐にもその後に、十一時過ぎになりまして連絡がとれまして、ダイザー大佐からも同様の返事が参ったわけでございます。  それで、この点について日本政府側承知しておって隠しておったのではないかというお疑いでございますが、そういうことは全くございませんので、私どものみならず、これは外務省であれ警察庁であれ、そういう事実は全く知らなかったからこそ、当夜夜中までいろいろ情報収集、それから事後対策の相談等をいたしたわけでございまして、この事実を知らなかったということは、天地神明に誓って申し上げられる次第でございます。
  22. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 天地神明に誓ってと大変大げさに言われましたが、要するに、横須賀に陸送して横須賀からシッビングでというのではなくて、八日の時点で厚木から横田へ、横田からカリフォルニアに空輸された、皆さん方がそう言われている事実というものを皆さん方がチェックされたわけではないでしょう。アメリカ側からそう知らされたということだと思うのです。私はぜひこの疑問を晴らしたいという気が非常にするわけでありまして、私も、と言っても私どももと言った方がいいかもしれませんが、いろいろな方面からいろいろな話や情報なども聞きますし、先ほどのニュースなども読むわけであります。やはり地元の者と言うよりも、これらの関係について議員の一人として、これはどうなんだろうかという疑問を深く持つのは当然のことだと思います。いろいろまたそういうことなどについて専門的な知識のある方のお話なども私も伺ってみたわけでありますが、たとえば厚木から横田に持っていって、横田から空輸したというのも軍事専門家の常識からするとおかしいんじゃないか。これは今度のエンジンも飛行機も米海軍航空隊のものですから、どういう飛行機を製造するか、使うかということから始まって、飛行機についても海軍のもの、空軍のもの、陸軍のもの、それぞれの固有のシステムがあって、海軍の飛行機の一番肝心な部分を空軍に頼んで運んでもらうとかいうようなことは通例大体ないはずなんで、どうもこれは疑問を感ずるというお話も聞きましたし、また、七日の事故分科委員会でこの問題が何か話題となったときに、外務省の方ですか、安保課の方ですか、向こうの議長であるダイザー大佐に英語で直接御質問なさったわけですね。通訳が余り上手でなかったそうです。そうしたら、先ほどの新聞記事に出ているのと同じような返事があったなどという話も聞くわけであります。また、厚木から横須賀まで若干物々しい警備をして輸送したのではないかと聞くわけでありまして、私は、それらの疑問を大新聞のニュースを見ましても非常に感ずるわけなんで、これらについては私ども納得のいく真相、事実をひとつ明らかにしていくように努力をしていきたいというふうに思うわけであります。  私は、恐れ入りますが、委員長にひとつお計らい願いたいと思うのですが、そういう疑問について多くの方々が疑惑を持っておられるということだと思いますので、七日の事故分科委員会が正確にどうだったのか、議事録があると思います。七日の事故分科委員会の議事録、何かないなんという話もこの間聞きましたが、このような時の焦点になっている重要な会議ですから、日米側が確認しているのかあるいは日本側だけかは別にいたしまして、会議の記録が残っていないはずはないと私は思います。そんなものはつくってないとすれば、大変怠慢であるというようなことにもなると思います。そういう議事録かそういうものを一遍、きょうすぐと言ってもなんでしょうから、委員長にお計らいいただきまして、理事会でも御相談していただいて措置をして、私も含めて私どもがひとつこの疑問が解明されるようにしていただきたい。  それから、私大変残念なんですが、きょうは、事故分科委員会のいままでの責任者であった金井施設調査官が昨日急に交代をされて、大変格上げになったそうですが、安斉さんがお見えになっているというわけであります。私は、実はこの問題で昨日段階まで直接責任を持っておられた金井さんの話を直接詳しくただしたいということできよう参りましたら、交代いたしましたというわけでありまして、これはこれから後、何かの機会にそういうことについていままで出席をしていた日本側責任者からいろいろと詳しく事実経過を聞いていくということもお願いしたいと考えております。
  23. 亘理彰

    亘理政府委員 横田から空輸したというのがおかしいという御指摘でございますが、横田には米空軍の輸送部隊がおるわけでございます。したがいまして、私どもは、横田から輸送機を便って持っていったという方が、常識的と言うとなんでございますが、事故原因究明を急いでくれということを何回となく申しておるわけでございますから、これを船ではるばる運んでいくというよりは飛行機で持っていくというのが、調査する場合には当然の措置であろうかと思います。私どもは、その点について事前の連絡を怠ったということについて遺憾の意を申し入れておるわけでございます。  それから九月三十日並びに七日の事故分科委員会経過でございますが、これは議事録というようなものをまだ作成しておりませんけれども、それに当たりますような当方の議長がまとめました議事要旨はつくっておりますので、これはお出しするようにいたしたいと思います。  それから、議長が昨日をもって金井調査官から安斉次長にかわりましたわけでございますが、これは各省庁との連絡、あるいは防衛庁内部におきましても内局あるいは各幕との連絡、それから特にこれから専門家を交えました専門技術的な専門部会発足するということを踏まえまして、格の上の次長が日本側代表であることが適当であると私ども判断いたしまして、そういう手続を外務省からとっていただいたという次第でございます。
  24. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 お話を伺いましたし、何か資料もお出しになるということですが、私どもこの問題については徹底的にひとつやはり疑問を究明していきたい。地元市民の人たちにしてもそういう経過が信頼できるように明らかにならなければ気持ちとしてかなわぬだろうと思いますので、私はきょうの段階では、引き続き当委員会その他の場でこれらの真相、事実経過について明らかにするようにただしていきたいということにさせていただきたいと思います。  もう一つ大きな問題は、パイロットの問題だと思います。何か。パイロットは厚木に拘束をされているということのようですが、一つだけこれについてお伺いしたいのです。当初米軍側の方からは、墜落をする十秒以内まで機内にとどまって努力をした、あるいはまたノーミスであるというふうに言っているという報道もずいぶん出ました。私は、今度の事故真相究明の中には、一つはエンジンの問題、それからもう一つは、パイロットが日本市民の命を守るために十分な努力をしたのか、そうでなくて自分の命を守る方が先になって、日本法律で言うならば過失致死罪のような形になるのか、この点は、米軍側の人間であるからといっていいかげんにするのではなくて、きちんとやはり日本側で事実を調べて、そしてアメリカ側にきらんとした措置を要求するということが必要だと思います。  そういう意味で要望と質問をしたいのですが、問題は十秒以内まで機内にとどまっていたのか、十秒脱出かどうか、横浜の方などから資料も出されていると思いますが、三十・六秒ではないかとか、いろんなあれが出ております。ぼくは、この点はきょう全部解明してもらうというか今後の要望ということもあるので、ちょっと長官にも簡単にデータだけ申し上げておきたいと思うのですが、地図があります。ちょっと見にくいかもしれません。委員長、よろしければ大臣や何かに差し上げていただきたいと思います。  飛行機の経路その他パイロットが飛び出した後のいろんなデータとか、それからエンジンその他が衝突をして突っ込んだというときの方角、深さ、状態とか、いろんなものが基礎データになって真実が明らかにされる、それで。パイロットのミスがなかったのかどうかという問題が究明されなければならないということではないかと思います。皆さん方の方でもいろいろと調査をされていると思いますが、残念ながら現在米軍側の方からも、墜落時間の方は皆さんにも正確にはわからぬという状態のままですね。それからパイロットが飛び出したのは、何かブザー信号ですぐ厚木か横田のコントロールタワーに伝わるそうでありまして、一時十九分十二秒であったということが言われております。横浜市とも一緒になって、私どもこの経過の中で、パラシュートで二人おっこったところ、脱出したところも、実は私の自宅の真上ぐらいでありまして本当にいま衝撃は大きいのですが、それから座席とかいろんなキャノピーですか、カバーがおっこちた地点とか、そのときの風向きとか、それから飛行機の突っ込んだぐあいとかいうことを地図にしてございます。それからそういう当日の状態、風向き、気象状況、脱出地点、計算をいたしますと、脱出したところから墜落地点までちょうど二千五百五十メートル、目撃者も含めましていろいろ調べたわけであります。そうなりますと、これは飛行機の機体を調べれば、計器類を調べれば事実は相当程度明らかになるのではないかと思います。何キロの速度で突っ込んでいったのかという問題が明らかになれば、これは米軍において証拠調べの問題になると思いますが、十秒以内までいたというアメリカの言うことが本当なのか、あるいは相当の時間があって、三十・六秒かそれに近い数字かわかりませんけれども、通常日本法律から言ったら過失致死罪に当たるような状況であったのかどうか、重要な点ですからおのずからわかるのではないかと思いますが、それらの問題について、いままで地元では市の方もたくさんの目撃者からいろいろ聞いてやっているわけです。いままでどういう主体的な調査をなさっているのか、この点について市民の納得のいく調査をどうされるつもりなのか伺いたい。
  25. 亘理彰

    亘理政府委員 お答えいたします。  先般お配り申し上げております中間報告にも記載しておりますとおり、いま正確な秒単位の時間がわかっておりますのは、パイロットの脱出の時点、これは電気的な信号で横田の管制でキャッチしておりますのがいまお話しの十九分十二秒ということでございますが、墜落時刻あるいは脱出したときの高度、スピード、方向等について正確なことはまだわかっていないわけでございます。私も詳細、専門的なことは存じませんけれども、これらは専門技術的にいろいろ物的な証拠あるいは人的な証言その他を総合して技術的に解析されて、妥当な推定の事実状態が明らかにされるべきものだと思っております。  私ども先生のおっしゃるとおり、パイロットの脱出の時期が早過ぎなかったかどうかという点は大きなポイントだと思っております。この点につきまして米側が、墜落の十秒以上前ではなかったということを九月二十九日の段階で、横須賀がプレスリリースをしたときにそういうくだりがございます。私は、これははなはだ軽率なことであったと思っております。と申しますのは、この点につきまして米側にその根拠は何かということをただしましたところが、それは僚機、当時後ろからもう一機行っておりますし、上空には米海軍のヘリがおったわけでございます。そのパイロット等の証言によるもので、裏づけされた、確認されたことではないという回答がございました。したがって、脱出の時期、時点はわかっておりますけれども、その場所あるいは高度、方向、墜落の時点との関係等々については、今後科学的に専門的に厳正に解明されなければならないことであると考えております。これらの点については、申し上げますように、技術的な詳細な解析を要することでございますので、いまの段階では私どももお答えする材料を持ち合わせていない次第でございます。
  26. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 いずれにしても、エンジン、パイロットの問題は重要なかぎでありますから、日本の主権の権威の問題としての姿勢を踏まえて対応していただきたいと思います。  次に移ります。  これは三原長官に伺いたいのですが、事故が発生した後、厚木からの飛行停止という要望が地元からも、またいままでの国会の論議でもあったわけであります。私も大変残念ですが、三原長官の方からは、安保条約の義務とか、軍事上、防衛上のいろいろな問題というふうなことで、飛行停止をアメリカ側に要求するわけにはまいらないというふうな答弁であったと思います。私もこれは大変残念なことだと思いますし、事故が起こりました当日も、いろいろ調べてみますと、三十八機か四十機飛行しておりまして、事故が起きた飛行機は十八番目か十九番目、ちょうど途中の真ん中ごろだったわけであります。米軍側も神奈川県の申し入れのときに言っておることでありますが、当日は十二時ごろから午後五時ごろまで飛んでいた。事故が起こったのは一時ちょっと過ぎですね。何とも無神経な話です。その下で、大変な重傷者が出ている、家は燃えている、まあ地獄のような騒ぎになっているところを、なお二十機もそのまま飛んでいく。このこと自体も、私は保守、革新とかなんとかよりも日本国の主権の問題として許しがたい問題ではないかという気がいたします。  それから、町田で御承知のとおり三十九年の四月ですか、同じようなアメリカ軍の事故がありました。いろいろ聞いてみますと、あのときにはしばらくの期間米側が自主的に飛行を停止したそうであります。今回の措置並びにアメリカ軍の行動はあのときよりもまだ悪いということを町田の大下市長からも言われました。  そうして、御承知のとおりに十月の十日にコンステレーションが横須賀に入港して、同じように十機ないし十五機と言われておりますが厚木に飛来をし、帰っておる。何か情報によりますと、今月中にさらに一隻米空母キティーホークが横須賀に入港するのではないかという話も伝えられているわけでありまして、これは安保の義務その他ということはありますけれども、私は、いま一体戦時中なのか平常時なのかということも含めて感覚を疑いたいわけであります。事故原因究明されるまで何カ月間か飛行が停止される、それによって日本がどこかの国から攻められるとかいう問題でも考えていらっしゃるのかどうかと言いたくなる気がいたします。  それでお伺いしたいのですが、横浜市の方からもいろいろな要望が出されていると思いますが、たとえば事故を起こしたアメリカの軍用機が自分の本国で事故を起こした場合には、アメリカ本土では運航管理規程に基づいて真相がいろいろ明らかになるまで、明確に立証された場合を除いて、原因究明されるまでの間一時飛行を中止するということは国際的な慣習にもなっているし、それから米本国でもそうなっている。いろいろな具体例などもございますから、必要でしたらまたそれも後ほど差し上げたいと思いますが、そういう状況になっております。  また、御承知のとおり、今度墜落した飛行機関係をするファントムの千八百機ですか、これが現在飛行中止で検査をしているという問題もあるわけであります。長官、お伺いいたしますが、そういう状況の中で、今日の事態で、予算委員会答弁をされたと同じような、飛行停止を要求する考えはない、それが正しかったといまもお考えになっておりますか。
  27. 三原朝雄

    三原国務大臣 いまの飛行停止に対する先生の御意見、ひしひしと私も胸に響くものがあって、受けとめておるわけでございます。  なお、私は先ほども申し上げましたように、今回の事故がきわめて悲惨な重大な事故であったということ、そうして犠牲者の方々に対する処遇でございますとか事故の徹底究明、または再発防止について全力を傾倒するという面につきましては真剣にこれと取り組んでまいっておるところでございます。  そこで、いまのお尋ねの問題でございますが、今回の事故に対して米側はいまだかつてない処置もしたという点もあるわけでございます。それは、大統領自身が総理に対して、事態に対する申しわけなかったというおわびのメッセージを送ってまいりますし、また外務大臣日本外務大臣に対しまして、そういう処置をし、向こうの国防長官は私に対してそうした遺憾の意を表するとともに、今後の安全処置に対しては一層万全の対処をしてまいるということも言ってまいっておりますが、なおまた米側の大使も、御承知のような、まずは外務省を訪れて遺憾の意を表するとともに、今後の再発防止について万全を尽くす、なお文書をもちましてもそうした点を送っておる、そうしたことはいまだかつてない、彼らも、米側も真剣な受けとめ方をいたしておると思うのでございます。したがいまして、私どもも、合同委員会なりあるいは分科委員会の場等におきましては、地元のそうした切実な要請なりお気持ちというようなものも、意見の交換の中で出しておるわけでございますし、米側もこの点は十分認識をいたしておるところでございますが、いま有事即応の体制を組みながら、日米安保条約の義務履行に精力的に努力をしております米軍に対して、現在直ちに飛行を停止せよというようなことを言うことは、現在のところ差し控えておるというのが現状でございます。そういう点についての御理解を願いたいと思うのでございます。
  28. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 長官の態度が変わっていないということで、大変残念に思います。また、アメリカ側も大変努力をして大統領がどうとかいう話がありましたが、長官、やはりこれは言葉ではなくて、具体的にどういうことをやるかという問題ですからね。  では、伺いたいのですが、外務省の方もお見、えいただいておりますから、これは三原長官とあわせて伺いたいのですが、諸外国の場合にはどうなっているか、先ほど同じような、米軍機がアメリカ国内で事故を起こした場合にはそういう措置になっていると、いろいろな実例も含めて私ども調べてみました。まあ、いじらしいほど従属的な日本の状況、屈辱的と言った方がいいかもしれません、という状態だと思います。それでは、同じ敗戦国である国ではどうだろうかということで、外務省の方もこれは御承知だと思いますが、西ドイツの場合を調べてみましたが、西ドイツの地位協定、その地位協定の補足協定がございます。五九年八月署名、六三年発効というわけでありますが、その中身をずっと調べてみますと、その補足協定の四十五条二項の(b)項にこういうことが書いてあります。「軍隊は」というのは駐留軍のことですが、「軍隊は、ドイツ当局の同意がある場合を除き、演習その他の訓練により損害を及ぼした土地については、三ヶ月が経つまで再び使用しない。」、(c)項の中に「土地の経済用益が軍隊の行う演習その他の訓練により実質的に損われた場合、軍隊は、演習その他の訓練が当該土地の経済用益を実質上更に又は新たに損うことになると思われるかぎり、同地での演習その他の訓練を実施しない。」さらにはまた別の項目では、これが守られないときにはドイツは抗議することができる、それから双方協議して、別の地域が選択されなければならないなどなどの規定が、これは明確な協定として存在いたしております。アメリカとの比較もありますが、同じ敗戦国である西ドイツの場合でもこのような措置がとられているわけであります。NATOの場合と日米安保の場合と、条約の発足上の経過、性格その他は意見があるかもしれません。しかし、日米間でももうしばらく前から政府の方ではイコールパートナーシップということを非常に言われているわけであります。やはり実際にはひどい状態。西ドイツの場合よりも日本の場合の方がはるかに屈辱的な状態でいいという理屈はないと私は思います。こういう事実について、三原長官、あるいは外務省アメリカ局ですか、どうお考えになっておりますか、簡潔にお願いします。
  29. 中島敏次郎

    ○中島政府委員 ただいま先生指摘のドイツの場合の規定につきましては、まことに申しわけございませんが、私、いま直ちにお答え申し上げるような知識を持っておりませんので、先生のせっかくの御指摘でもございますし、研究させていただきたいと存じております。  ただ、いま先生のお読みになったところから、ちょっと私、これはまことに推測で誤っておるかもしれませんけれども、双方協議して別の地域云々というようなところから推測いたしまして、それは一般的な演習のやり方に関する規定ではなかったかという気がいたしております。何分にも私自身のボン協定に対する知識も大分古いので確信は持てませんが、恐らくそれは一般的に考えて、地上における演習のどういうふうにやるかということを主として考えた規定ではなかったかという気がいたしますが、いずれにしろ私はいま責任のあるお答えを申し上げるほどの知識がございませんので、この点は勉強させていただきたいと思います。  それから米軍の問題につきましては、私ども防衛庁その他から伺っておりますことは、アメリカ側においてこのような事故があった場合に直らに全部の飛行を停止するというような慣行は必ずしもない、それからまたそのようなことを定めた法律もない。むしろ私どもが伺っておりますことは、一般的な米軍の慣行としては、航空機の事故が発生後に原因がはっきりしている場合には所要の手直しをするために飛行の停止をするけれども、その事故発生直後に直ちに原因がはっきりしているというような事情でない場合には必ずしも飛行の停止を一般的に命ずるというような慣行はないというので、これは米国の本国においてもそのとおりであるというふうに承っておる次第でございます。  なお詳細につきましても、先生の御指摘がありましたように、私どもも勉強をしてみたいと存じております。
  30. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 外務省からお話がございましたが、失礼ですが、大変不勉強で驚きました。  私は、基本のこの地位協定に関するいろいろな仕組み、二十七年、五二年当時にそのシステムができて二十何年間そのままになっている、国際情勢も日本の社会情勢も本当に変わりました、そういう中で日本の主権の範囲を極力やはり拡大していこうというのが外交当局もまた防衛当局も当然とられるべき努力だと思います。少なくとも西ドイツなどでどういうことがあるのか、日米安保の仕組み関連をして比較をしてどうなのか、少なくともそういうこと以上によくしていこう、権利を拡大していこうというのが当然のことだと思います。米軍基地の立ち入り問題でも御承知でしょう。西ドイツの場合には、ドイツの主権が米軍の基地の中でも、いろいろ具体的な規定はございますが、保障されなければならないという線でこれは規定をされているということになっておりますし、いろいろな意味でそうなっております。いま、ちょっと何か説明がありましたが、約百条ほどのこの補足協定、全部ずっと読んでみますと、航空機の演習、航空機についての規定も随所にございます。それら全体を総合いたしますと、日本とはまるで違った状態になっている。そうしてこの場合には、こういう事故が起きた場合には、三カ月間は演習あるいは軍事行動停止ということがこれは文章になっているわけでありまして、私は防衛問題に関係をする三原長官の方にも、外務省の方にもぜひ要望したいと思いますが、まるでこの占領の継続のような状態がいろいろと続いているという状態をどう抜本的に改めていくのか、こういう努力を今回の不幸なこの問題、この事件を契機にして努力をしていただきたい、対等の主権を持つ内容に改めていってもらいたいというふうに思うわけでありまして、これは大臣ですか、お考えを聞かしてください。
  31. 三原朝雄

    三原国務大臣 いまの御回答は外務省外務大臣がおやりになることが適当と思いますけれども、私、国務大臣という立場で私がおりますので率直にお答えをいたしたいと思いますが、いまきわめて重要な御指摘がございました。私自身もそうした点について西ドイツなりEC関係がどうなっておるか、アメリカの事実がどうなっておるかということも、現在外務省を通じ、私の方からも調査をいたしておるところでもございまするが、いま貴重な御意見がございましたように、将来ひとつ責任を持ちながら検討を進めてまいりたいと思うところでございます。
  32. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 大臣、西ドイツのいろいろな法律とか、その他の国の例をいろいろ調べてみますと、——皆さん方の方は大きな機構を持っておるわけですから、もっと詳細に、すぐ調べられるということだと思います。そういう国を見ますと、今回の三原長官のように、アメリカ側に飛行停止は要求できないなんという情けない国はないのですよ。やはり自分の国の主権を、自分の国の市民の安全を守っていくということがまず第一という立場で対応されているというケースになっているわけでありまして、私はぜひこの問題は深刻に考えていただきたい。全面的な作業が望ましいと思いますが、まず今度の事件に関係したこんな問題について早急にひとつ調べて、これは先ほど申し上げましたが、文字どおり日本国の主権の問題として対応されるように、ぜひ強く要望したいと思います。  大分この問題は詳しく聞きたいのですが、もう残り時間も少ないですから、次の問題に入らせていただきます。  今度の事件に関連いたしまして、厚木の米軍の使用状態あるいは飛行状況などが改めていろいろと焦点になっているというわけであります。私も調べてみましたら、昭和三十八年九月ですか、日米合同委員会騒音対策特別分科委員会合意した厚木飛行場周辺の航空機の騒音軽減措置などについての規定があります。この背景には、周辺住民の大変な苦労の積み上げがあったということだろうと思います。  ところが、実際に現状を調べてみますと、ほとんどこれが守られていない場合が非常に多いわけであります。たとえば飛行を停止する時間、エンジンのテストを行わない時間とか、あるいは編隊飛行を行わないとか、いろいろなことがあるわけでありますが、私も数字を調べてみましたら、たとえばことしの九月、先月の段階では、九十ホン以上の騒音を禁止されているはずの深夜に九日間にわたってそういう状況が発生をしている。これは大和の市役所の調査です。あるいは七月なんかを見ましても、何か機械がうまく動いたのが五日間だけあったそうですが、そのうち四日間は三十八年の規制に違反をした状態が発生している。こういうことについて、何かあの規定を見ますと、日本側から毎年七月一日ごろ米側に要求をすれば、向こうの方から資料を提供するという合意になっておりますが、そんなことを含めまして、一体どういう対策をいままでやってこられたのか。これが一つです。  また、内容を聞いてみますと、いろいろと非常に弾力的過ぎる解釈になっているようです。たとえばエンジンテストは深夜に行わないという時間規制がありますが、エンジンを飛行機から外した場合がエンジンテストであって、飛行機にくっついて動かす場合には、同じ騒音が出るわけですが、これはランナップでエンジンテストではないとか、あるいはまた、事実上の編隊飛行があるわけですが、これも二機以上は編隊しないと言っているけれども、三沢から岩国からたまたま参りまして、合流して一緒になりましたというような形で解釈されるとか、あるいは飛行機の飛ぶ高さの問題とか、いろいろな問題があって、何か実際にはしり抜けになっているということも聞くわけであります。私は、今回の事故が起こった後、合同委員会の中でもその他でも、これも官房長官が記者会見で言っているところですが、調査結果によっては米軍の演習飛行計画の再検討を含めて考えなければならぬだろうということも政府を代表して言われておりますし、あるいはまた、それと同じようなことも予算委員会三原長官も言われているようであります。私は、そういう意味で、三十八年のこういう合意全体を今日の時点で見直していく、改善をしていく、それらについて今回の事件に関連をした中で合同委員会に提起をするということにしていただきたいと思いますが、いかがでしょう。
  33. 亘理彰

    亘理政府委員 厚木飛行場の運用につきましては、いまお話しの昭和三十八年九月十九日の日米合同委員会合意事項の騒音軽減措置というものがございまして、ここにおきまして、エンジンテストの時間あるいは夜間飛行の制限、日曜日の訓練を最小限にする等々のことについての取り決めが騒音対策の見地から講じられてきておるわけでございます。  そこで、これにつきましては、おっしゃるとおり、原則として、あるいは訓練の必要上やむを得ない場合を除きというふうな留保条件もあるわけでございますが、米軍のこの合意の範囲におきます訓練活動でありましても、周辺に集中的に騒音その他のごめんどうをかけるというような場合につきましては、その都度文書あるいは口頭をもって米側に協力を要請してきておるわけでございます。  でありますが、なおかついま御指摘のような点が地元方々からも御意見をたびたび伺っておるわけでございまして、私どもは、今回の事故にかんがみまして、厚木の飛行場の運用につきまして、安全対策ということが主眼でございますが、これは騒音問題との関連も出てまいるわけでございます。  私どもいま事故分科委員会で進めております作業は、現在の段階は正確な事実関係事故原因究明ということでございますが、最終目標は再発の防止ということにあるわけでございまして、その措置を含めて事故分科委員会から合同委員会に勧告が出るわけでございます。したがって、最終のポイントであります今後の対策の勧告の内容といたしまして、いまお話しの三十八年九月の合意事項、その他にもございますけれども、これらの見直しを含めて、有効な防止対策が講ぜられるように、日本側代表を通じて意見を申し述べてまいりたいと思っております。
  34. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 ぜひ強力に努力をしていただきたいと思います。  それから、厚木基地に関連いたしましてもう一つだけ簡単に伺いたいのですが、厚木を北向きに離陸をして右旋回、左旋回の問題があります。今回の場合は右旋回の指示があって私のうちの近くに墜落をしたということになっているわけですが、これらの問題について、もうずいぶん前から、神奈川県からも地元からも繰り返し要望があったはずであります。四十一年八月、四十二年十二月等については米軍からも回答が来ておりまして、極力有視界飛行による北向き離陸後左旋回して、より人口の少ない地域の上空を飛ぶようにしていこう、あるいは例外的な計器飛行規則による場合は別とかいうことが当時ありまして、自衛隊機も、そういう使用もあるようですが、現実にはその後もそういう改善はされていないという状態です、現状は。ほとんどレーダー誘導か何かで人口密集地帯の上を飛んでいるということになっております。その話題になった当時から十年もたちまして、厚木基地周辺全体が人口密集地帯となっているという変化があるわけでありまして、やはり基地撤去の問題を含めた抜本的な対策を講じてもらわなくちゃならぬということだと思います。  参議院の去る十月五日の内閣委員会でも三原長官の方から検討はしたという経過のお話もあったようでありますが、検討はしたが有効なお答えができないで残念に思いますということで、長官は残念に思う方向じゃなくて、この際やはり、さっき西ドイツその他のことを申し上げましたが、ひとつ日本の主権、日本市民の生命を守る問題として対応していただきたい、そのことをどうお考えになっているか、改めてお伺いしたい。  それから、運輸省にも来ていただいておりますので、ほかのことも伺いたかったのですが、申しわけありませんが一つだけ伺いたい。ブルー14の問題です。  御承知のとおりに、縦二百キロ、幅十八キロ、横浜市なんかすっぽりそこに入っておるわけですが、それが全部米軍の管制の地域、ブルー14ということになっております。これは占領当時から続いておりまして、現在の航空法で運輸大臣から委譲されている権限ということになっておりますが、首都圏の西半分全体の空域が米国の管理するブルー14、横田エリア、こんな状態の国はおよそ世界にも余り例がないだろうというふうに思うわけであります。現実の使用状況を見てみますと、常時演習回路というわけではなくて、横田、厚木、座間など三飛行場の離着陸コースとなっている。それから民間航空機が羽田から大阪に飛ぶとか、銀座通り、そこを突っ切っていかなくちゃならぬということになるわけでありまして、運輸省の方でも、先般の一部空域の返還ということもあったようでありますが、ぜひこれについて努力をしていただきたい。また努力をされている経過、お考えがあれば伺いたい。その二つ、まとめてお願いいたします。
  35. 三原朝雄

    三原国務大臣 お答えをいたします。  先ほど施設庁長官が申し上げましたように、三十八年、またその後にもやったとも記憶いたしますが、騒音防止対策に関しまする合意、その後それがどういうように具体的に実施されておるかという問題も一つあります。なお、今回の重大な事故結果に基づきまする再発防止の施策なり、事故調査を踏まえての再発防止の施策等が具体的にまとまってまいると思うのでございます。それらのものを総合的に判断をし、なお、先生指摘のように、当時の厚木飛行場の状態と現時点の密集地帯のど真ん中に存在をするというそうした事態の飛行場のあり方等におきましても問題がございます。後ほど運輸省からもお答えがありましょうが、そういう飛行コース等の問題等もあるわけでございまするが、全体を含めて、私は予算委員会でも申し上げましたが、そうした結果を踏まえて再検討をいたさねばならぬなという決意でおるところでございます。
  36. 飯塚良政

    ○飯塚説明員 ブルー14の航空路と申しますのは、これは大島から横須賀を経まして関東北部へ至る航空路でございまして、運輸省の告示で実は告示をしております。そしてこの航空路はプロペラ機専用の航空路でございまして、実態としましてジェット機は現在のところ飛んでおりません。その飛行状態も、自衛隊機が非常に多くて、あと米軍機のプロペラ機、あるいは調布飛行場等を利用します民間の小型機等が一日二、三機飛んでおるという状況でございまして、このブルー14の航空路と申しますのは、関東地方の航空交通の円滑な流れを促進するというふうなことでできておるものでございますけれども、今後運輸省といたしましては、この問題とは別に、横田空域の削減計画等については、これは航空局で管制施設等が逐次整備されていっておりますし、これから逐次進めていくような計画でございますので、その時点におきまして慎重にブルー14の問題についても、横田空域の削減計画とあわせまして関係機関と、変更といいますか、そういうふうな可能性については検討していこうということでございます。
  37. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 可能性だけではなくて現実性を追求してもらうようにぜひやっていただきたい。  時間になって済みませんが、委員長、もう一問だけお願いいたします。  最後に一つだけ、補償被害者対策、賠償の問題で伺いたい。  きのうも地元市民集会が持たれまして、家族の方が言っておられましたが、あの事件で静かなところが一瞬にして悪夢と化した、この一カ月、被害者家族にとっては余りにも長かった、そして施設庁の方は手続などを説明してくれただけで、責任ある回答をしてくれない、誠意がない態度に怒りが倍増しているというふうな気持ちのお話も被害者の中からございました。  私は施設庁長官にお願いしたいと思いますが、いままでの経過の中で、やはり被害者立場に立ってもうちょっと真剣な努力をする、これをぜひやってもらいたいと思います。一々申し上げませんけれども、後の補償の問題でも、どなたかがお見えになりまして、あなたのうちは火災保険に入っているから大丈夫だろうということを言われたとか、それから、一々お願いをして品物を調えてもらう、それについても、判こを押してください、後で補償額から差し引きますという説明があったとか、いろいろなことを頼んでも大体二日たたないとなかなか実現しないとか、さかのぼれば、林一久さんの子供さんが二人その夜に亡くなりましたが、皆さん方の方からこういうことについての専門のお医者さんを派遣していただいたのも翌日の午後か夕方になってからですね。そういうことについての気持ちが非常に強いわけであります。私も地元ですから病院などにしょっちゅう寄りまして、皆さん方の方の係官には、家族あるいは被害者気持ちになって一生懸命やってくださいということを言ってくるのですが、その気持ちをぜひひとつお願いしたい。  それから、去る六日の夜に第一回の説明会があったわけでありますが、そのときの状況などを伺いますと、関係者は非常に不満を持っているということでございまして、手続は説明されたけれども質問に対する責任ある回答もできないという状態になっておるわけでありまして、それらについての責任ある会議をいつ持たれるようになっているのか。その場合には当然、やはり最大の誠意をもって責任ある方が出席をして対応されるということが必要だと思いますが、それらのことはどういう対応になっているのか。  それから、一緒に済みませんが、補償基準の問題ですね。これは、地位協定十八条とか、民事特別法とか、総理府令とか、閣議決定のさまざまなこと、三十九年ですか、それについても私どもいろいろな資料を持っておるわけですが、それから後、現在どういう基準でそういうものが運用されているのか、いつ閣議決定が行われているのか。特にこういう問題になれば、精神的補償といいますか、そういうことを本当に重要視しなければいかぬだろうというふうに私は思うわけであります。さらには、前の町田の事故のときにも、検討しなければならぬという話が当時の大臣からあったようなのですけれども地位協定でこういう事故の場合には日本側が二五%負担する、国民の血税から二五%負担するということでありまして、こういうことも協定自体としていかがなものだろうか。西ドイツも同じになっているようですが、事故を起こした方が全責任を持つ。日本の国民の税金からそれを一部分でも支払っていくというのはおかしいと思います。それらも含めました賠償、補償あるいは被害者対策ということについて対応をお伺いしたい。
  38. 亘理彰

    亘理政府委員 被害を受けられました方々、特に幼い子供さんお二人を亡くされ、あるいは奥様がまだ病床におられる方もおるわけでございまして、私ども、被害を受けられた方々に対しましては、まことに言うべき言葉もない次第でございます。  被害の当日から早速現地の横浜防衛施設局を中心といたしまして、被害者方々に対しまして最大限のお世話を申し上げるべく努力をしておるわけでございますが、特に初動の時期におきまして、何分十数年ぶりの民間人を巻き込んだ人身事故でもございまして、職員がふなれという点もございまして、いろいろ行き届かない点が多々ありましたことは、心からおわび申し上げなければならないと思います。  一生懸命いろいろやっておるわけでございまして、事故発生以来いまなお治療を受けられている方が三つの病院に分かれておりますが、この三つの病院には事故当日以来、職員を交代で二十四時間配置いたしまして、御家族方々のいろいろな御要望を承り、あるいは承らないでも最大限のお世話を申し上げるように申しつけておるわけでございます。なお行き届かない点があろうかと思いますが、私ども被害者方々のお立場に立って最大限のお世話を申し上げるというつもりで努力はいたしておる次第でございます。  今後、具体的な補償の問題になってくるわけでございますが、この補償の基準につきましては、先生承知のとおり三十九年六月に閣議決定もございまして、自衛隊の事故の場合に準ずる措置をとるということでございます。  これは内容的には、人身被害に対しましては、亡くなられた方につきましてはホフマン方式による逸失利益あるいは療養費休業補償、慰謝料等々をそれぞれの被害の態様に応じてできる限りのことをさせていただきたいと思っております。  また、財産被害に対しましては、時価と申しますか、要するに被害者の方の実損を賠償するということで、被害者方々と十分にお話し合いをいたしまして、御納得を得て円満にこれを解決していきたいと考えておるわけでございます。  なお、説明の不十分な点がございまして、おっしゃるとおり、去る六日に説明会を催しましたときに、いろいろ行き届かない点でおしかりをいただいておるわけでございますが、私ども後から様子も伺いまして、確かにもっと親切にいろいろ御説明申し上げるべきであったという反省もいたしております。  たとえば、火災保険に入っている場合にそれを差し引くということで、ただ差し引くということだけ申し上げれば納得しがたい、こうなるわけでございまして、火災保険会社から保険金が支給されますと、この支払い保険金については、火災保険会社から国側に請求して、その分は国が火災保険会社の方へ支払うということになりますので、その分は被害者の方の賠償から差し引くということでございまして、火災保険が支払われた場合に国の負担がそれだけ減るというような性質のものではないわけでございます。これは一例でございますけれども、そういうところをよくおわかりいただけるように親切に御説明をいたすべきであると思います。  この補償の問題につきましては、私どもできるだけ早く円満にお話し合いの上で解決したいと考えておりまして、また、最終的な被害額の確定の前にも、御納得いただければ概算で内払いを申し上げる準備もいたしておるわけでございます。  いずれにいたしましても、これは被害者あるいはその御家族と十分にお話し合いをいたさなければなりませんので、近々に、恐らく今週中にもまたその説明会を開く準備を横浜局がしておるように報告を受けております。前回、次長あるいは担当部長等が出て御説明申し上げたわけでございますが、十分責任ある回答が出なかったというふうなおしかりもいただいておりますので、施設局長自身参りまして十分御納得のいただける御説明も申し上げ、できるだけ早期に、かつ、できるだけ手厚い補償を申し上げるような措置をとりたいと考えております。  なお、地位協定に基づきます公務ということになりますと、米側が七五%の負担、日本側が二五%の負担ということでございますが、この点については外務省からお答えするのが適当かと存じます。
  39. 中島敏次郎

    ○中島政府委員 ただいまの七五%、二五%の分担の問題については、まさに先生指摘のとおり、これはNATOの地位協定のフォーミュラでございます。御想起いただけるかと存じますが、昔の安保条約の行政協定を改定いたしますときに、当時NATO並みの条件を確保するということで鋭意交渉いたしました成果が、実はこの規定でございます。  そこで、その考え方は、何といっても駐留軍がその受入国の安全のために駐留しておるということ、そしていまのような被害が起こった場合にその処理を受入国の法令で全部処理をする、その場合のツケをどうするかという問題でございまして、受入国の法令をもって被害者に対する十分な保護をなし得るというたてまえも考慮して、そこに派遣国と受入国の利益の妥当な合理的な調整を図ったというのがこの規定でございまして、私どもといたしましては、いろいろお考えはおありだろうとは存じますけれども、この規定そのものはよくできた規定ではないかというふうに考えておる次第でございます。
  40. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 これで終わりますが、一言だけお願いをしておきたい。  被害者対策の問題にしても、それから事故真相究明の問題にしても、残念ながらこれから本格的な作業をやらなければならぬという段階にあるわけでありまして、その途中経過その他を関係の皆さん方の方から、私ども地元の政治家として努力しなくてはなりませんし、ぜひ緊密な御連絡をお願いしたい。  それから、先ほどのエンジンの持ち去り問題などについて、これは当委員会その他の場で引き続き私どもの方でも論議をしていきたい。また西ドイツの協定の問題その他、外務省の方でも検討、勉強したいというお話がございましたが、私は、これからこれらについての努力を本当にしなくらやならぬというのが、今日の日本のこういう安保システムの中での問題だと思いますので、これらのこととか主権の確保等についてさらに必要な措置をとられて、また、それらの結果についてお知らせをいただけるようにお願いしたいと思います。
  41. 正示啓次郎

    ○正示委員長 続いて、安井吉典君。
  42. 安井吉典

    安井委員 あさって総理が見えてから、私ども矢山内閣部会長から総論の方をやっていただくことにして、各論として二、三伺いたいと思います。  初めに防衛庁長官に伺いたいのでありますが、在韓米軍の撤退が決まったことに伴って、自衛隊の配備についてどのような変更が行われたのか、あるいは行われようとしているのか。たとえば西の方を増強するとか、何かそういう具体的な変更措置があるのですか。
  43. 三原朝雄

    三原国務大臣 お答えをいたします。  過去において予算委員会等におきましても御回答申し上げた点でございますが、在韓米地上軍が撤退を一九七八年の暮れから始めるわけでございます。この撤退問題が日本防衛体制にどう影響するかというところからいまの御質問が出てまいると思うのでございますが、防衛庁におきましては、御承知のように、昨年の十月でございましたか、設定をいたしました防衛計画の大綱に基づいて、その内容の整備を自主的に計画的に進めておるわけでございます。そこで、そうした時期に在韓米地上軍の撤退なり戦術核兵器の撤収ということが示されておるわけでございますが、しかしそれにつきましては、米側も再三私どもにも申されておりまするし、また米韓の間においてもいろいろと話し合いを進めておることが発表されておるわけでございまするが、朝鮮半島におきまする平和と安全を損なわないということを大前提にして、慎重にしかも段階的な撤退を行うというのを前提としてこの撤退が進んでおるわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては、いまこの撤退自体が日本防衛力整備というものに、あるいは防衛体制に直接影響を来すというような受けとめ方をいたしておりません。  そういうことでございまするので、最後にお尋ねのありました日本の西方地区に何か配置の増強とかいうようなものを関連して考えておるかというようなお尋ねでございましたが、したがいまして、私どもといたしましては、現在配置について考えておりまするような問題等は、在韓米軍の撤退に影響されてそういうことを考えておるわけではございません。そういう事情でございます。
  44. 安井吉典

    安井委員 そのとき自衛隊少しも動ぜずという御答弁のようでありますが、私が特にいまそのことを申し上げたのは、今度の防衛二法改正法案で防衛庁側から出された資料では、現在の定員を海上八百九十、航空九百十七、合わせて千八百七人の人をふやす、それから輸送航空団の改編等の規定があるだけで、ただこれだけの資料では一体どのような形で日本の自衛隊の編成が行われているのか、その編成が人がふえることによってどういうふうに変わるのか、ふやす必要があるのかどうかということをも含めて、それに対する説得力のある資料が少しも出されていないということを私は申し上げたいわけです。ですから、いま在韓米軍の問題に絡んでちょっと伺ったわけでありますけれども、もっと詳しい資料をいただきたいと思います。陸海空の部隊別の現在の定員、それから実際の人員とはかなりの差があるはずでありますが、その状況、それから、この法律が改正されることによってそれらの編成がどう変わるのか、その実態並びに、これは法律が通ってないわけですから予定ということになるのかもしれませんが、今後の編成のあり方、その点を明確にした資料を御提出いただきたいということです。それをひとつお願いします。どうでしょう。
  45. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 いま先生の御要求がございましたが、まず陸上自衛隊につきましては、今度の増員の中には入っておりません。したがいまして、陸上自衛隊につきましては、十八万体制の中で防衛計画の大綱の時点で検討がなされております。御承知のように、陸上自衛隊は全国的に均衡のある配置ということで、私どもは前から十五の戦術単位と申しますか、師団あるいはそれに準ずるような部隊を持ちたいということを検討いたしておったわけでございます。防衛計画の大綱におきましては、通常の十二の師団とそれから現在北海道にございます第七師団、これを第一戦車団と一緒にいたしましていわゆる機甲師団というものをつくりたいと考えております。さらにまた、現在沖繩に一個旅団がございますが、四国にはそういったまとまった戦術単位というのはございません。普通科連隊が一個連隊あるわけでございます。したがいまして、先ほど申し上げました第七師団と戦車団とを合体いたしまして一つの機甲師団をつくりました場合に、人員が約二千五百人ほど浮いてまいります。この一部をもって西部方面隊の中で一部の部隊を編成したいと考えているわけでございます。この理由は、平均的に全国均衡のある配置にしたいということと同時に、九州地区の出身者が隊員の中にきわめて多うございます。したがいまして、その郷土配置という観点から、やはり九州地区にももう少し人員を配置した方が定員管理上、人員管理上も適当であるというふうに私ども考えているわけでございます。それと同時に、また四国におきます一個旅団というものも、まとまった戦術単位として私どもは編成したいというふうに考えているわけでございます。  さらに、いま増員をお願いいたしております海上自衛隊航空自衛隊でございます。簡単に艦艇、航空機の就役に伴う要員というふうに御説明いたしておりますが、御承知のように、海上自衛隊におきましては護衛艦あるいは潜水艦、その他毎年の予算でお認めいただいております艦艇が就役してまいります。同時にまた一方におきましては、二十年以上経過いたしました艦艇が除籍になっていくわけでございます。したがいまして、定員的にはその除籍になってまいります定員を新たな艦艇に振り向けるわけでございますが、艦艇の性能が向上してまいります。そしてまたその性能の向上に伴いまして艦艇も徐々に大型化してまいっておるわけでございます。したがいまして、その間の足りない定員、そういったものを過去三カ年間積み重ねまして、事務的には八百九十人という数字になってきているわけでございます。  同時にまた航空自衛隊におきましては、御承知のように戦闘機ファントムあるいは支援戦闘機F1、それから高等練習機あるいは輸送機、こういったものが逐次就役してまいります。これに対しまして、もちろんF86という古い戦闘機あるいはC46という古い輸送機というものは除籍になってまいるわけでございます。しかし、この航空機につきましても、性能の向上等に伴いまして整備員というものが従来の数では足りないというようなことから、その差を計算いたしまして九百十七人という数字になっているわけでございます。  したがいまして、いま御説明いたしましたように、陸上自衛隊につきましては、十八万の編成の中でいわゆる改編を行いまして、日本防衛あるいは平時におきます災害派遣のときに有効に使えるような形に改編いたしたいと思っておりますが、海上自衛隊並びに航空自衛隊につきましては、特にこの人員によって新たな部隊を編成するということはないわけでございます。  しからば、輸送航空団の改編というものにつきましては、これは現在、司令部を美保に持っておりまして、一つの航空隊が入間にいるわけでございます。輸送航空団の運用の仕方からいたしますと、他の航空団と違いまして、一つの基地に全部を集めておくというよりは幾つかの基地に飛行隊を分散して置きました方が運用の上できわめて有効でございます。そういう観点からいたしますと、他の航空団と同じ編成をとるよりは、それぞれの飛行隊を持っているところに整備あるいは補給、そういった能力を与えた方がより有効であるというふうに私ども考えたわけでございます。したがいまして、もちろんこの関係の人数が多少増加されております。しかし、そのために新たな部隊というものができるというのはほとんどないということでございます。
  46. 安井吉典

    安井委員 私が聞いているのは、編成表を出してくださいということなんです。いいでしょう。
  47. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 編成表を提出いたします。
  48. 安井吉典

    安井委員 在韓米軍撤退についての大きな変更がないと言うが、いまの御説明の中では西の方がどうも増強されるような中身のようで、それは関係がないと言われるのかもしれませんが、いずれにしても審議の前にやはりきちっと、この法律によってというか、法律関連してこういうふうな編成の変化があるんだという資料をあらかじめ準備されることを、これは今回だけじゃないと思います。将来にわたっても御配慮いただきたいということを申し上げておきたいと思います。  次に、駐留軍従業員の賃金や雇用の問題について若干伺います。  現在、駐留軍従業員は本土と沖繩に分けてどれくらいの数になっていますか。
  49. 亘理彰

    亘理政府委員 約二万三千人のうち、沖繩が約八千五百人であると思います。正確な数字は後ほどお届け申し上げます。
  50. 安井吉典

    安井委員 米駐留軍で働く従業員の給与その他雇用に関する問題は、雇用者は日本政府、使用者は米軍という不自然な雇用形態のもとで常にトラブルが多く、給与改定は国家公務員の人事院勧告による給与改定に準ずるという原則を決めながらも、米側の海外軍事費削減を理由に、このインフレ、物価高の状況の中で、毎年ベースアップは国家公務員よりはるかにおくれ、年内改定どころか、紛糾に紛糾を重ねて翌年にずれ込むことの方があたりまえのようになっているというのが現在の姿ではないかと思います。しかも、毎年賃金交渉のたびに労働条件の切り下げだとか諸手当の改悪等が米軍側から提起されて、そのために交渉が長引く、そして解決がおくれ、深刻な状況を呈しているわけです。これまでこのように雇用問題がこじれた原因を政府はどうとらえているのか、また、今後これに対していかなる対応をするつもりか、そのことからまず伺いたいと思います。
  51. 亘理彰

    亘理政府委員 ただいま先生指摘のとおり、毎年の駐留軍従業員の給与改定の問題につきましては、私ども公務員と同率、同時の実施、かつその実施時期をできるだけ早くするように努力いたしておるわけでございますが、特に四十九年度、五十年度のごときは年を越え、さらに年度末に至ってようやく米側との交渉が整ったというふうな状態がございまして、これはまことに遺憾なことであると思っております。この点につきましては、米側には、日本におきます特に石油ショック以降の賃金水準の高騰ということがございまして、沖繩復帰の四十七年当時に比べまして、現在、駐留軍従業員は半減以下になっておりますにもかかわらず、米軍の負担しております労務費が一向に減らない、むしろ少しずつ増高しておる、こういう状況でございまして、一方で海外経費の節減、節約というふうな本国の方針もございまして、この給与改定問題が年々難航し、それに伴っていろいろ労働条件等の問題をめぐって紛糾が生ずるという事態になっておるわけでございます。  こういう米側の事情は事情といたしまして、私どもといたしましては、やはり駐留軍従業員並びにその家族立場に立ちまして、こういう事情が従業員の立場にしわ寄せにならないように最大限の努力をしなければならないと思いまして取り組んでおるわけでございますし、今後ともそういう態度でできるだけの努力をいたすつもりでございます。  御承知のとおり、この給与改定交渉の年々の最近におきます難航をした経緯にかんがみまして、この問題を含めました労務諸問題について解決策を見出そう、そうして従業員の雇用関係を安定した基盤の上に置かなければならないということで、現在、昨年から鋭意、日米間の合同委員会を組織しまして検討が進められておるところでございます。これが十一月一日までに結論を得るという日米間の合意でございますが、これが現在の段階では若干おくれる見通しでございますが、大きくおくれないように、私どもはあくまで基本的に従業員の雇用関係を安定した基盤の上に置くという目標を見せまして、この問題の解決を図っていきたいというふうに考えておる次第でございます。
  52. 安井吉典

    安井委員 この際、労働問題がこじれている実態をまとめて資料としてこの委員会に御提出をいただきたいわけです。この数年間どんな経過をたどって毎年交渉が最終段階に至ったかというその経過と結果を明らかに知ることができるような資料をまとめてください。よろしいですね。
  53. 亘理彰

    亘理政府委員 ただいまの先生の御要望の資料、具体的にどういう資料がよろしいか、担当の者を先生のところにお伺いさせまして、御要望の資料を整えたいと思います。
  54. 安井吉典

    安井委員 大臣に伺いますが、ことしの給与改定はこの委員会でこの法案の後、国家公務員給与法改定法案の審議が始まるわけでありますが、駐留軍労働者についても人事院勧告による給与改定が決まれば無条件で完全に実施すべきものだと思いますが、その点どうですか。
  55. 亘理彰

    亘理政府委員 ただいま先生の仰せられました考えと私ども全く同じでございまして、すでにそういう考え方に立ってアメリカ側に申し入れもいたしておる次第でございます。できるだけ早い解決をいたさなければならないと考えております。
  56. 安井吉典

    安井委員 大臣、どうですか。
  57. 三原朝雄

    三原国務大臣 施設庁長官がお答え申し上げました線で鋭意努力をいたしております。ぜひひとつ公務員と同じ時期に、また同額でということで努力をいたしておるところでございます。
  58. 安井吉典

    安井委員 この駐留軍労務の問題がいつもこじれにこじれるという問題の解決のために日米両政府で協議が進められているということの御説明がいまもあったわけでありますが、現在の不自然な雇用形態がいままで三十余年の長きにわたって続けられてきているわけです。そしてその駐留軍労働者にしわ寄せをするかっこうで日米安保体制が今日まで維持されてきたのではないかということの反省の上に立っても、私は現行の地位協定の中で雇用主である日本政府がいかなることがその問題の解決のためにできるかということを十分に検討をし、明確な結論を出すべきだと思うし、これ以上従業員を犠牲にするということがないようにとの配慮の上に立ったアメリカ側との交渉をしっかりすべきだと思います。大臣のお考えを伺います。
  59. 三原朝雄

    三原国務大臣 従業員の生活の問題でございますし、いまそうした雇用の安定ということは非常に必要な条件であると私は思うのでございます。したがいまして、いままで長い間のそうした難航いたしました賃金改定の問題を顧みまして、いま御指摘のように、抜本的にひとつ今回は従業員の雇用の安定、生活の安定に向かって対処してまいりたいと考えておるところでございます。
  60. 安井吉典

    安井委員 その話し合いの際に、従来から基本的に主張されてきた点、とりわけ退職手当、格差給などの改悪案はやめて現行給与制度を確保すること、給与改定は国家公務員と同率、同時実施ということを制度として確立すること、雇用安定対策を確立すること、日本国の労働法令を完全に実施すること、これらの条件を明確に出して、その約束をしっかり取りつけなければならないと思いますが、どうです。
  61. 亘理彰

    亘理政府委員 ただいま先生の仰せられました諸点につきましては、合同委員会の席上で私どもの主張しておるところでございます。今日のこういう現実の事態を踏まえまして日本側として何をなし得るかということもあわせて真剣に検討しておるところでございますが、従業員の方々の雇用の安定、生活の安定にかかわる基本的な事項については決して譲ることがあってはならないというつもりで、先ほどから申し上げておりますようなあくまでも従業員並びにその家族立場に立っての交渉を精いっぱい進めたいというふうに考えております。
  62. 安井吉典

    安井委員 そこで大事な問題が一つあるわけです。アメリカが駐留米軍経費の日本からの分担を手をかえ品をかえて要求してきている現状の中にいまあるわけです。しかし、この駐留軍労働問題がその一環だというふうにとられては私は困ると思います。分担の問題としては問題はもう全く別な問題で、これは後で触れますけれども、区分をして明確な処理が必要だ、私はそう思うのですが、どうですか。
  63. 亘理彰

    亘理政府委員 全く先生の仰せられるとおりでございまして、私どもただいま申し上げましたとおり、日本側として何をなし得るかということも真剣に検討しておりますが、これは年来の労働問題のいろいろな給与改定交渉の難航等の経緯、こういう経緯を踏まえまして、従業員の方の雇用安定、生活安定、これを確固とした基盤に置くという、あくまでそういう労働をめぐる問題として対処いたしておるわけでございまして、世上時に伝えられますようないわゆる防衛協力の問題とは全く性質を異にする問題であるというふうに観念いたしております。
  64. 安井吉典

    安井委員 三原長官に伺いたいわけですが、九月十三日に訪米されてのブラウン国防長官との会談で、P3CやF15の導入について先方は日本防衛努力を評価するという表現があったと伝えられているようでありますが、このような際に、例の安保ただ乗り論というふうな言い方がアメリカでなされているそういう状況の中で、防衛分担を強めてくれというふうな向こうからの要求はありましたか。
  65. 三原朝雄

    三原国務大臣 お答えをいたします。  いま安保ただ乗り論でございまするとかGNP一%が云々であるとか、そういうような声がアメリカの政府あるいは議会あるいは一般経済人等にあることは私も承知をいたしているわけでございまするが、しかし、いまの御指摘のようにアメリカから、したがって防衛力の整備を要請されるというようなことはございません。あくまでも私どもは、先ほども申し上げましたように、防衛力整備につきましては、昨年設定をいたしました防衛計画大綱に基づきましてその中身を可及的速やかに、自主的に、計画的に整備を進めていくという方針のもとにやっておるわけでございます。したがいまして、ブラウン長官等にも私は具体的にそうした日本の態度、しかも日本の憲法の制約あるいは政治的ないろいろな諸条件、情勢というようなものを申し上げて、われわれとしてはいま申し上げました自主的に、計画的に進めておるんだということを私は申し上げたのでございます。  なお、わが国におきましては、純防衛的な立場とともに、日本の安全と平和あるいはアジアの安全と平和のためにはそうしたものの防衛力の整備とともに、広くアジアの経済開発なりあるいは文化交流というような幅の広い面でアジアの平和と安定のために協力をしておるんだというようなこともあわせて申し上げて理解を求め、米側もこれに理解、また評価をしたというのが結果でございます。
  66. 安井吉典

    安井委員 外務省の方は、この同じ問題についてどうとらえていますか。
  67. 中島敏次郎

    ○中島政府委員 お答え申し上げます。  ただいま三原大臣からお答えがございましたとおりでございまして、私どもといたしまして、いま特に防衛の分担を要求されているというようなことはない、防衛力の整備はわが国が自主的に行うことであるということで臨んでおりまして、その立場に基本的な狂いはないというふうに考えております。
  68. 安井吉典

    安井委員 最近、アメリカ会計検査院の報告書が議会に出されているのを見ますと、基地労務費の肩がわりと基地共同使用の方法を共同分担という形で提起をしているように思います。特に基地の共同使用という問題は、アメリカの会計検査院は、具体的に基地名までも例示し、検討を迫っているようであります。具体的な話し合いとか申し入れとか、そういうようなのはありませんか。
  69. 亘理彰

    亘理政府委員 アメリカの会計検査院が米議会に提出しました報告で、基地の共同使用の問題が取り上げられていることは承知いたしております。しかしながら、この点につきましては、共同使用という場合には、自衛隊の側においてその必要があるということでなければ共同使用ということは、私どもとしては考えられないわけでございまして、また現に、具体的に、在日米軍からこの会計検査院の報告に挙げられておりますような案件につきまして、共同使用の提案は、現在までのところ全く受けておりません。
  70. 安井吉典

    安井委員 共同使用という向こうの方の意図は、自主的に基地維持費を日本に負担させ、米軍が必要なときいっでも再使用することが可能になるように、大分虫のいいことを向こうは考えているのではないかと思います。しかも、相模の総合補給廠、牧港の補給地域、横浜のノースドック等、具体的に例示をしているようですね。あるいはまた、整備・修理施設、訓練場、弾薬貯蔵施設は共同使用の可能性のある施設だという言い方もしているようです。ですから、日本の方が必要があるかないかということが一つの大きな判断基準であるはずなのが、向こうの方で勝手にこうやって地域名まで出しているという、そういう状況から言えば必ず向こうの方は何らかのかっこうでこれから後出してくるのではないか、そう思うわけであります。  その点、大臣からも、あるいは直接の交渉は外務省かもしれませんが、これらの交渉に対してどういうふうな態度で臨むのか。まあ向こうから何も言ってきてないわけですから、そんなこと考える必要はないと言ってもいいかもしれませんけれども、向こうの議会に対する、議会の付属機関であるGAOからの勧告があるわけですね。いずれの日かそういうようなものが具体的な形で出てくるのではないかというおそれもあるわけでありますが、もう一度重ねて伺っておきたいと思います。
  71. 三原朝雄

    三原国務大臣 御指摘のように議会の予算局あたりの調査団が出しました結果等は、概要承知をいたしておるところでございますが、いま施設庁長官がお答えをいたしましたように、日本側自衛隊の必要性が前提でございます。それによって私どもは共同使用の問題は処理してまいるという方針でおるわけでございます。  なお、この点につきましては、まだ具体的な要請等も受けておりませんけれども、基本的な方針は、いま申し上げましたような方針でまいるわけでございます。  なお、外務省を通じてもそういう点はやっていただきたいと思っておりますので、外務省から御意見があればお願いをすることにいたします。
  72. 中島敏次郎

    ○中島政府委員 私どもといたしましても、いま三原大臣のお話のありましたところに尽きる、こう考えております。
  73. 安井吉典

    安井委員 この報告ないし勧告はもっと重要な要素まで含んでいるのではないかと私は思うわけです。特に問題なのは、この共同使用という考え方は、現在ある地位協定の解釈や運用の問題ではなくて、地位協定第二条四項の(a)でも(b)でも十分機能し得ないということから、協定に適当な条項を入れ、また日米両政府間で交換公文を交わすということまでこの中で提唱しているようです。もうこうなれば安保条約や地位協定の自主的な改定にまで進むものだと言わなければなりません。とりわけ在日米軍は、日本の安全の問題とともに朝鮮半島を中心とする極東の安全にもかかわる戦略遂行の任務を持っているわけです。ですから、日本がアメリカの基地を肩がわりをする、そして米軍と一緒に使用するということになれば、アメリカの極東戦略の中に巻き込まれてしまって、朝鮮にもしも紛争が起きるようなことになれば大変なことになるというおそれもあるわけです。ですから、近く日米合同委員会も開かれるというわけですし、そしてまたこれから先の段階においてもこういうような提起がアメリカ側からなされた場合には断固とした決意で拒否していただかなければならないと思います。政府を代表する意味で、長官からもう一度伺います。
  74. 三原朝雄

    三原国務大臣 いまの議会の予算局の報告書等に出ておりますような問題につきまして、安全保障条約の地位協定あたりを云々するというようなことは、私どもは絶対に容認できないことであると考えておるわけでございます。いま御指摘のように、米軍の行動等によって日本の自衛隊が安保条約五条以外の問題で巻き込まれるというようなことが絶対あってはならないことでございまするし、御指摘のように、断固たる決意のもとに折衝を進めてまいる、そういう事態が参りますれば断固たる決意で折衝をいたす考えでございます。
  75. 安井吉典

    安井委員 もう一つ、時間がありますから伺っておきたいと思いますが、防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する法律というのと、それから公害基本法による航空機騒音の環境基準と、前の方も環境基準の問題ですが、この二つの食い違いがあることが末端の自治体等でいろいろ問題を生じているようであります。そしてこの生活環境の整備等に関する法律による整備区域の指定はまだ行われてないということも聞くわけでありますが、その辺はどうなっているのか。つまり基準の違いの問題と指定の問題です。
  76. 亘理彰

    亘理政府委員 ただいまお話しの点でございますが、防衛施設庁におきましては、防衛施設周辺の生活環境整備等に関する法律の第三条に基づきまして、学校等についての防音工事を実施しております。これは学校等、特に静穏を必要とする公共施設について音響防止あるいは軽減するためのものでありますので、騒音の測定及び基準は、授業時間等における音響の強度及び頻度によることとしておるわけであります。一方、この公害対策基本法に基づきます航空機騒音に係る環境基準は、一般に生活環境を保全し人の健康の保護に資する上で維持することが望ましい基準として、人が騒音として感覚する障害の度合いをあらわしますWECPNLによることとされているわけでございます。  当庁におきましても、生活環境整備法の第四条に基づきまして助成しておりますいわゆる個人防音と申しておりますが、住宅の防音工事の基準につきましては、この公害基本法の考え方に準じた基準で、その達成についても、この環境基準に準じて鋭意努力しておるところでございます。したがいまして、三条に基づきます学校、病院等の、特に静穏を必要とする公共施設については対象の違いから測定の仕方等が違うわけでございますが、個人住宅の防音工事につきましては、考え方としましては同一でございます。ただ、民間航空機の運航形態というのは、大体定期便が主で年間安定しておるわけでございますが、自衛隊の基地あるいは米軍の基地によります運航は、民間の航空機と態様を異にしておりますので、その騒音の測定方法等につきましては、その実態に即して測定する方法をとっておりまして、これはその方がまた住民方々のためにもなるという判断によるわけでございます。  地域の指定の問題につきましては、施設部長からお答えいたします。
  77. 高島正一

    ○高島政府委員 お答え申し上げます。  現在防衛施設庁におきましてコンター作成を必要とする基地が二十三基地数でございます。現在のところ調査の進捗状況は、四基地を除きまして全部終了いたしております。終了いたしますと、それぞれの地方公共団体に意見を聴取いたしますが、現在その意見を聴取しておる段階でございます。意見聴取が調整が終わりますと、これを告示する、こういう順序になっております。
  78. 安井吉典

    安井委員 早く全体的な区域指定が行われるようにとの要求があるようでありますから、急いで行うべきだということと、それから公害基本法による基準との差といいますか、両方の間で格差ができないようにということで、もう少し防衛施設庁の予算をふやして対応を早めるべきだということが言われておりますが、それはどういうふうになっていますか。
  79. 亘理彰

    亘理政府委員 おっしゃるとおりでございまして、この空港周辺、基地周辺の防音対策につきましては、私どもやるべきことがたくさん今後に残っておる、できるだけ予算措置等を講じまして、この対策を進めなければならないというふうに思っております。
  80. 安井吉典

    安井委員 来年度予算ではかなり措置されるわけですね。
  81. 亘理彰

    亘理政府委員 個人防音、いわゆる住宅の防音工事につきましては、五十二年度予算で五千戸を予定しておりますが、五十三年度の概算要求におきましては一万戸の要求をいたしております。
  82. 安井吉典

    安井委員 この問題はもう少し詰めなければいかぬのですが、時間がありませんからやめます。  今度の国会に特定空港周辺航空機騒音対策特別措置法案というのが提案されています。運輸委員会付託。これに関連して防衛庁長官が、自衛隊と米軍飛行場周辺についても同様な対策ができるような法案を検討して通常国会に出すという言明があったと報ぜられているわけですが、その辺はどうなっていますか。
  83. 三原朝雄

    三原国務大臣 お答えをいたします。  今臨時国会に運輸関係から出されます飛行場の特別措置法、できますれば自衛隊並びに米軍の飛行場も同等な処置をいたしたいというのが私どもの願望でございますけれども、同辺の整備なり、市町村、県あたりとの調整がまだ十分できていない事情もございまして少しおくれてまいりますけれども、何とかひとつ通常国会には間に合わして出したいという願望を持っておるということを閣議の席上で申し上げたところでございます。そうした希望を持っておるということを私は申し上げて、関係大臣の協力を求めたのでございます。
  84. 安井吉典

    安井委員 大臣に申し上げておきますけれども、その運輸委員会付託の騒音対策特別措置法案は、国会に出る前から全部の野党がみんな猛反対、そういう宿命のもとに提案をしてきたといういわくつきの法案であります。今度の国会で通るなどという可能性は、私はさらさらないのではないかと思うし、それをさらに自衛隊基地や米軍基地を対象とする新しい法律考えるというようなことは、これはもう大臣、おやめになった方がいいのじゃないかと、いまのうちから申し上げておきたいわけでありますが、どうでしょうか。特に私権の制限の問題が大きな課題で、そこに空港やあるいは飛行場があるということによって、周辺の住宅建築制限やその他あらゆる制限が行われるし、そのことによって基地がいつまでも永久に置かれるのではないか、そういう不安感を住民に与えることにもなるし、あるいは現在運輸省提案をした法案でも、約十年後の航空機騒音を予測をして知事が騒音防止計画を立てる、こういうことになっています。しかし、民間機でも十年後の騒音がどうなるかということについての予測が非常にむずかしい以上に、自衛隊なり米軍の方は、これから十年後、ここにどんな飛行機が来るかなどという予測を立てること自体が大変な問題じゃないでしょうか。そういうような意味で、運輸省の方が出したから、そしてまた、運輸省の方では軍用飛行場は除かれているものですから防衛庁の方も出すんだ、こういうただ安易な考え方でこの問題に取り組まれては大変なことになるのではないかと思うのです。重ねてお考えを伺います。
  85. 三原朝雄

    三原国務大臣 先ほども申し上げましたように、周辺の住民方々なり、県、市町村の御意見等も十分承った上でないとそうした準備にかかれない自衛隊の飛行場あるいは米軍の飛行場でございますので、できますればそうした御意見等を踏まえながら対処いたしたいという希望を持っておるということを申し上げましたが、いまの御提言も十分受けとめて対処してまいりたいと思います。
  86. 安井吉典

    安井委員 まだ時間がありますけれども、中途半端になりますから、これで打ち切ります。
  87. 正示啓次郎

    ○正示委員長 午後二時から委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午後一時十二分休憩      ————◇—————     午後二時二分開議
  88. 正示啓次郎

    ○正示委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案議題とし、質疑を続行いたします。鈴切康雄君。
  89. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 私は、きょうは、三原・ブラウン会談並びにGNP一%の問題、ロッキード事件とPXLの関係、FX、こういうことで順次お伺いをしてまいりたいと思うのであります。  初めに、九月九日から十日間、日米防衛首脳会談、三原・ブラウン会談が持たれたわけでありますけれども、この三原・ブラウン会談の内容についてちょっとお聞きいたしますが、どういうことが議題にされたのでしょうか。
  90. 三原朝雄

    三原国務大臣 お答えをいたしますが、その前に今回の会談でございますが、もう先生は御承知だと思いますけれども、一昨年の八月の時点で、坂田前長官と当時の米国の国防長官シュレジンジャー氏との間に、安全保障問題等で日米の首脳会談を年に一回ぜひやろうではないか、そしてフランクな気持ちで意見の交換をしていこうではないかという話し合いがまとまって、実はそういう一つの合意に基づきました点を、今度は日本から五十一年に行かねばなりませんのを昨年はその実施ができませんでしたので、ことしに入りましてブラウン長官からの御招待があって、行ってまいったというようなことでございます。  そういうようなことでございますので、その内容等につきましては、これからひとつお尋ねによって申し上げさせていただこうと思うのでございます。性質はそういうようなものであったわけでございます。
  91. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 いま私は防衛庁長官にお伺いをいたしましたけれども三原・ブラウン会談におきますところのいわゆる会談のテーマはどういうふうなテーマでしたか。
  92. 三原朝雄

    三原国務大臣 いま申し上げましたように、安全保障条約の運営についてというのがテーマでございますが、それも余り漠然とし過ぎておるわけでございますので、多少具体的に項目を挙げてまいりますれば、国際情勢の意見交換が一つ、それからアメリカのアジア戦略というようなことが一つになります。そして、日本防衛力整備の状況等、なお今後の日米防衛に関します協力関係、具体的にそういうものの意見の交換をしたということになろうと思うのでございます。
  93. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 その中で、アジア、特に朝鮮半島をめぐる軍事情勢について日米間において話し合いがされたというわけでありますけれども日米間の認識はどのようであったか、その点についてお伺いいたします。
  94. 三原朝雄

    三原国務大臣 朝鮮半島の問題についてのお尋ねでございますが、この点につきましては、御承知のように、カーター大統領が選挙の公約といたしまして、在韓米地上軍なり戦術核兵器を撤収するというような公約をいたして、大統領に就任をされて、いまその政策の実現に取り組んでおるということでございます。一九七八年、来年の暮れまでに在韓米地上軍の六千人をまず撤退をする、それをスタートにして向こう四、五年間にこれを慎重に、段階的に果たしていこうというわけでございますが、しかしこの政策決定に当たりましてカーター大統領は、撤退をしても朝鮮半島の安全と平和を乱すようなことにはならないという判断に基づいてその政策の実行にかかったわけでございます。  しかしながら、現在の朝鮮半島の南北両国が強力な軍隊で対峙いたしております状況、あるいは軍事面のバランスがとれておるというような状況を無視してやるわけではございません。したがいまして、その撤退のためには慎重に、しかも具体的に、段階的に処置をしていこう、そして補完的な処置も十分果たしていって、現在のバランスを壊すようなことはしない、そういうことで朝鮮半島の安全と平和は保持されていく、したがって、そういう立場でアジア全体の平和と安定もそうした点で壊されるような事態にはならない、そういう判断に立っておるのでございます。  私どもも、朝鮮半島における在韓米地上軍の撤退に対しましては、そうしたアメリカの考え方、また約束、韓国に対する防衛に対してアメリカの責任はあくまでも遂行していく、そういうような約束をいたしておりますので、朝鮮半島に大きな事態、平和を乱すような事態は起こらない、そういう、受けとめ方をいたしておるところでございます。
  95. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 在韓米軍の撤退ということになりますと、やはりだれが考えてもわかるように、一つは非常に力の均衡的なものが崩れていくというふうに考えるわけでありますけれども、それに対してブラウン長官は、何らかの補完的な処置としての具体的な内容三原防衛庁長官に、こういうふうにしますから、だから均衡は崩れませんというようなお話があったかどうかという問題と、それと同時に、アメリカがわが国への防衛分担の強化を求める動きに対してブラウン長官から何かお話があったか、当初三原防衛庁長官が行かれる前にアメリカの方から、一つは対潜能力の向上、そして防空能力の向上、あるいは補給体制の充実、対韓経済協力、防衛費の分担というようないろいろな問題が、日本の方にそういうような話が来ておって、それを受けて防衛庁長官が行かれたわけでありますから、その点についてひとつもう少し詳しくお話を願いたい。
  96. 三原朝雄

    三原国務大臣 お答えをいたします。  先ほども私は申し上げましたように、いま鈴切先生は五項目を挙げられたようでございまして、そういう要請を受けて私が渡米をしたというような御意見のようでございましたが、それはそういうことでないということを初め、劈頭に申し上げました。したがいまして、第一に申されました在韓米地上軍の撤退についての問題は、今回の問題にはブラウンさんとの会談では出てまいりません。ブレジンスキー大統領補佐官との会談の際に、向こうから在韓米軍の撤退については慎重に、しかも段階的に撤退をするというようなことを前提にしてお話があったところでございます。  それからなお、その他の対潜能力の問題あるいは防空能力の強化の問題あるいは後方支援体制等の問題について話はなかったかということでございますが、こうした問題につきましては、実は御承知のように、米国の議会あるいは政府の一部にもあると思いますが、あるいは民間等において、日本が安全保障のただ乗りをいたしておる、あるいはGNP一%というものは非常に防衛力整備を軽視しておりはしないかとか、いろいろな意見があることは私も承知をいたしております。したがいまして、私の方から実はいま申されました防衛力整備につきましては、こちらから解説を申し上げたということでございます。それは、まず、防衛白書を出しておりましたので、防衛白書の大綱的なものを印刷にいたしまして、それを事前に渡しておったということでございます。そういうことで、私の方の日本防衛力の整備につきましては、御承知のように、防衛計画大綱に基づきまして自主的に、しかも計画的に整備を可及的速やかにやろうということで防衛力整備と取り組んでおるわけでございます。  そういう立場でいま大綱の中に一つの整備をせなければならないものは対潜能力の強化でございます。このこと自体は、もう十一年前から実は防衛庁においては取り組んでまいっておったものでございます。そういう立場で、今回この対潜能力の整備という点でP3Cを防衛庁として内定をいたしております。そうして、これを概算要求に計上いたしました。  なおまた、防空関係につきましては、F15を実は昨年の末決定を願っておりますけれども、これ自身がまだ十分国防会議あたりで決定を願うところまでいっておりません。そういう点もございまするので、これも数年前から、もう五、六年前からこの整備にかかっておるわけでございまするので、これをひとつ概算要求に計上をいたしました。  なお、補給面なり後方支援面につきまして、も、それ相当の計画に基づいて整備にかかっておるということを説明したわけでございます。  しかし、この点で、実は概算要求ということはどういうものであるかということもはっきりさせておかねばならぬと思いまして、これ自身は防衛庁だけが内定をして、これを予算に計上して、これから政府間の了解を得て、そしてこれが国防会議にかかり、またそれが国会の場で審議をなされ、最終的には国会の予算承認を受けなければ決定をするということにはなりませんという厳しい事態等の経過も申し上げておるわけでございます。  それだけではGNP一%論なりあるいは安保ただ乗り論というようなものがなかなか解明できない事情もあろうと思いましたので、そういうことで日本の憲法なりあるいは政治情勢の枠組みの中で最大の努力をいま防衛庁としてはいたしておりまするが、しかし、国全体といたしましては、純防衛的な立場ばかりでなく、アジアの平和と安全のためには、経済協力をASEANとしたり、あるいは文化交流をいたしたりして、アジアの平和と安全のために努力をいたしておるという説明を私からして、理解を求め、協力を求めたというような内容でございます。
  97. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 アメリカの在韓米地上軍の撤退というものは、実はその前にポスト四次防の大綱が決まっておったわけでありますから、そういう観点から考えますと、情勢の重要な変化に当たらないかどうかという問題、もし当たらないということであるなら、具体的にどういう事態が重要な変化とお考えになっておられるか、その点についてお伺いします。
  98. 三原朝雄

    三原国務大臣 どういう点が重要なことかということでございまするが、問題は、やはり朝鮮半島におきまする今回の米軍の撤収というようなものが全体のバランスを崩し、平和と安全を脅かすような情勢が生まれるような事態というようなものも一つの大きな情勢の変化でございましょうけれども、それは先ほど申しましたように、そういうような事態にはならないという判断をいたしたということですが、そういうことであったり、あるいは、いま極東におきましては、ソ連、アメリカ、中国、この世界の三大国の接点がアジアにおいてできておる、これらの三極的な立場に立つ三国の情勢、関係というようなものが相接触する中で均衡が保たれておると申しますか、そういういろいろな外交的な思惑の中で安全が保たれておるし、これらの三国もアジアでいま事が起こるというようなことは望んでおりません。そういうような情勢でございます。あるいはまた、日米の安全保障というようなものが一挙に取りやめになるとかというような事態が日本にとりましては大きな事態ではないか、私はそういうような一応の判断の資料にいたしておるところでございます。
  99. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 六月二日に福田総理大臣と自衛隊の最高幹部との会談が持たれた際に、一部の幹部から、在韓米軍の地上軍が撤退をするということに関連して、基盤防衛力の構想について見直しが必要ではないかという意見が出たというふうに聞いておりますけれども、そのときの状況と、これに対する防衛庁長官の御所見をお伺いします。
  100. 三原朝雄

    三原国務大臣 恐らく丸山次官が党の会合等に行かれて申されたことではないかと思いますが、とにかくそういうことがあります。それは私は情勢判断の前提があると思います。在韓米地上軍の撤退ということで先ほど申しまするように、朝鮮半島の南北両国の軍事バランスが壊れたりした場合はどうなるであろうか。そういうようなことを十分踏まえて、韓国におきまする米地上軍の撤退が行われるというようなことが明確でなかった時点において、そういうことが配慮されずに撤退がなされる場合には一つの心配が出てまいりますというようなことで、基盤的防衛力についての見直しをしなければならぬかもしれませんということを発言されたやに承っておるのでございます。
  101. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 その話は前に論議されたわけでありますけれども、六月の二日の福田首相と自衛隊最高幹部との会談の際に、いわゆる一部の幹部からそういう話が出たということ、これは丸山事務次官がそういうふうに言われたのとはちょっと違うわけなんですよ。
  102. 三原朝雄

    三原国務大臣 それは統幕のユニホームと総理との会談の際に、いまお尋ねのような話し合いが、意見交換がなされたということでございますが、この点につきましても、やはりいま私が申し上げましたように、朝鮮半島における平和と安全が保たれるか否かの判断に基づく一つの見解を述べたと思いまするけれども、朝鮮半島の平和と安全が保たれる場合には、いま私が申し上げまするように、防衛庁におきましてはそういう方針のもとに進んでおるわけでございまするので、私が申し上げたことには変わりないと私は確信を持っておりまするし、またユニホーム関係の三幕の幕僚長を初め、その方針に従って防衛力整備なり防衛の任務に携わっておるところでございますので、信頼を願いたいと思うのでございます。
  103. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 防衛庁長官がそのようにおっしゃるわけでありますけれども防衛庁長官考え方と同じであれば、何もそういうふうな話し合い、あるいは質問が出るわけがありません。要するに、日本の周辺の国際情勢というものはいま、先ほどお話がありましたように、米中ソの間に一種の均衡が成立しておるわけでありますけれども、そういうことで、前提として基盤的防衛力ができたわけでありますけれども、在韓米軍の撤退というのは、これは情勢の変化と見る以外にないわけでありまして、そういうふうになった場合に、当初、昨年の十月の末にポスト四次防の防衛力整備計画と関連をして、いわゆる基盤的防衛力構想がなされたわけでありますから、少なくともその変化が予測される以上においては、限定的なしかも小規模な侵略を想定しての計画変更というものはなされなければならないというような意見が出されたというふうに聞いておりますけれども、その点についていかがでしょうか。
  104. 三原朝雄

    三原国務大臣 何回も同じことを繰り返すようでございまするが、私ども朝鮮半島におきまする韓国からの米地上部隊の撤去ということが、撤去だけがなされるという場合にはいろいろな判断ができるかもしれませんけれども、それの補完作業なり、あるいは軍事バランスは壊さない、また平和と安全のためには米軍もいままで韓国の防衛を約束していた、約束は十分果たしますという体制の中で行われるわけでございますので、私どもは、いま申されるような、いまの防衛大綱なりあるいは基盤的防衛力の考え方を絶対に変えるというような、それに大きな変化がもたらされるというようなふうには受けとめておりません。これは防衛庁において決定した方針であり、現在におきましても、その点に基づいて一切の防衛庁の任務の遂行をやっておるわけでございまするので、そこでたまたまそういう話がなされたということは、いま申し上げまするように、情勢判断を何かに仮定をして話が進められたものだと思っておるわけでございます。  現状におきましては、先ほど来るる申し上げまするように、韓国の米軍の撤退はそれなりの措置がなされてまいりまするので、アジアにおける情勢の変化というような受けとめ方をいたしておりません。
  105. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 日米防衛協力ということで、すでに行われております日米防衛協力小委員会会議の開催状況とその議題、それから今後の進め方については、どのように話し合われておりますか。
  106. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 日米防衛協力小委員会は昨年の七月、第十六回の日米安全保障協議委員会下部機構として設置することが決まりまして、昨年の八月三十一日に第一回の会合を開きましてからことしの九月二十九日までの間に六回の会合を開いております。  その間、最初の一、二回につきましては、今後の進め方あるいは研究協議の対象、そういったものについてフリートーキングをいたしました。  そして第三回目の昨年の十二月の会合におきまして、今後この協議を進めていく上でのいわゆる前提条件と申しますか、これにつきまして日米両側で合意を見たわけでございます。  その前提条件の内容といいますのは、研究をやっていくに当たってこの点だけははっきりさしておこうということでございまして、前から御説明申し上げておりますように、できることとできないことをはっきりさせるというたてまえから、事前協議の問題あるいは憲法上の制約の問題、それから非核三原則、こういうものについては議論はしないということにいたしました。もう一点は、この研究協議の結果の内容は安全保障協議委員会報告をいたします。しかし、この研究協議の結果によって両国の政府が何らか義務づけられるというようなものではなくて、その研究の結果を踏まえて、それぞれの国が必要な対策を自主的に判断してやるということはあり得るけれども、これによって義務づけられるものはないということを合意いたしました。  そして、さらに研究協議の内容といたしまして、いわゆる安保条約の五条にございますわが国に直接武力攻撃がなされたときに整合のとれた対処の仕方、そういったものについて研究をしようということで、基本的な考え方、それからその際に必要な調整事項といたしまして作戦機能あるいは情報機能あるいは後方支援機能、そういったものについてこれから研究をしようということ、それからさらにその第五条以外の事態でわが国の安全に非常に影響を与えるような場合の問題についても研究を進めていこうということで合意いたしましたが、これは実は五条の問題で研究をした後にしようということにいたしました。  その他の問題といたしましては共同演習の問題、そういったものも将来は研究していこうというような合意がなされたわけでございます。  そして第四回目におきまして、この研究協議の対象の中で第五条の関係を研究するわけでございますが、いわゆる整合のとれた対処行動をするためのガイドラインをつくるに当たってもう少し具体的な事実関係というものを研究する必要があるだろうということで、部会を置くということを討議いたしました。  そして五回目の会合におきまして、作戦部会と情報部会と後方支援部会という三つの部会をつくることを決めまして、それぞれの部会で研究する項目というものを決めたわけでございます。  そして最後の九月の第六回目におきまして、作業の進捗状況というものを各部会から聞いたというのが現在までの状況でございまして、さらに部会で研究した結果を聞いた上で将来共同対処するための指針、そういったものをつくってまいりたいと考えておるわけでございます。
  107. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 そうしますと、その検討の結果、日米安保協議委員会に中間報告をするというお話がありましたけれども、その報告は大体来年のいつごろになりましょうか。
  108. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 作業部会の研究の進み方によるわけでございますけれども、まあこれは過去二十年間放置されていたような問題でございますので、いろいろ具体的な問題について研究をいたしておりますが、私どもといたしましては、来年の春ごろ開かれると予想いたしております日米安保協議委員会に中間報告という形ででも内容を御報告したいというふうに考えておる次第でございます。
  109. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 これは一部の報道でございますから、その真偽のほどはあれですが、実は三原防衛庁長官が福田総理大臣とお会いになったときに、行政改革の問題について三原防衛庁長官としては防衛省の構想を首相に提案をしたというふうに伝えられております。その内容については、防衛施設庁防衛施設局に格下げをすると同時に、防衛省というものをつくっていきたいというような内容のことが伝えられておりますけれども、その点を御提案になられたかどうかという真偽について。
  110. 三原朝雄

    三原国務大臣 お尋ねの点でございますが、ある新聞社の一社に出ておったことであろうと思いますが、福田総理は、行政機構の今回の改革は、まず各省庁の大臣から意見を聴取するということでございます。そこで、私の防衛庁関係行政改革に対する意見を聞きたいということでございましたので、私が参ったのでございますが、その際に私から申し上げましたのは、防衛庁におきましてはここ二十年ぐらいも防衛庁の大きな改革は行われておりません、局部的にはいろいろ改革をいたしましたが、しておりません、そこで防衛庁におきましては年度当初から、一年か一年半ぐらいかけてじっくり検討をしてみてくれ、そして防衛庁の組織機構の改革等について意見があれば勉強を進めてほしいということでいま勉強さしておるわけでございます、来年の半ばごろには成案を得るという方向で努力をいたしておりますということを総理に率直に申し上げました。したがって、防衛庁に関しましてはその方針で取り組んでおりますので、お任せ願うわけにはまいりますまいかという意見具申をいたしましたが、いまお尋ねのような防衛省、これは昔からその意見はございます、防衛省に昇格さしてはどうだというような意見があったりするわけでございます。しかしそのこと自体は、私自身もその問題について歴史的な回顧をいたしたこともあるわけでございますが、そう簡単なものでもございませんし、また客観的な情勢がそういうことを具体的に献策するような情勢とも受けとめておりません。  また防衛施設庁は、現在防衛関係と国民との接点になって基地の整備等をやっておりますきわめて重要な、業務も繁多な庁でございまして、これを局に格下げをするというようなことも考えられない事態でございます。  そういうことでございますので、ああした記事の出ましたことにつきましては、私自身はいま考えておらないということを申し上げておきたいと思います。
  111. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 まあ防衛省という考え方がないということでございますが、それはそれでいいと思います。  それでは次に、防衛関係費について防衛庁は、ちょうど坂田防衛庁長官がGNPに対する防衛関係費の割合というものは一%程度はという御発言をされましたので、私その問題について論議を重ねましたところが、一%程度が一%以内ということで従前どおりの考え方にとどまったわけでありますけれども、実は昨年の十一月五日に当面の防衛力整備について国防会議及び閣議決定されまして、その内容は「防衛力整備の実施に当たっては、当面、各年度の防衛関係経費の総額が当該年度の国民総生産の百分の一に相当する額を超えないことをめどとしてこれを行うものとする。」というふうに、言うならば、私が質問をしたときから変化をしてきたわけであります。この決定はGNPの一%以内というのと内容的に大分違うわけでございますが、「当面」という語句が入ったことと「超えないことをめどとして」という努力目標が入ったことによって、内容的には大変変質したものであると私は思うわけであります。「当面」という字句が入っていることについて、これは具体的にいつまでを想定されておるか。たしか三原防衛庁長官が二月の衆議院予算委員会で今後四年間ということをめどとして示されましたけれども、そうなった場合、昭和五十五年までを一応のめど考えておられると判断してよいか、その点についてお伺いします。
  112. 三原朝雄

    三原国務大臣 はっきり固定した数字で四年間というようなことを、数字は申し上げましたけれども、そういう見解をとっておるわけではございません。当面ということはどう受けとめるかということでございましたので、当面は当面でございましょうが、見通せる範囲内というようなこともまだはっきりしませんので、まあ数年と言ってもなんでしょうから、四、五年でございましょうかというようなお答え方を私はしたと思いますが、現在の日本の内外の情勢、特に経済情勢等についての見通し等が明確でございません。そういう点から四、五年というような数字を挙げたわけでございます。固定して四年だという目安を申し上げたわけではなかったわけでございます。そうした私の見通しを申し上げたところでございます。
  113. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 政府の五十年代前期経済計画、いわゆる経済見通しのとおり今後推移したとすれば、昭和五十五年においては防衛関係費の対GNP比率というものは一%を超えるのではないだろうか、国民の中にはそのように思っている者がいるのですけれども、恐らく防衛庁ではそのことについての試算をされていると思いますが、大体何%になりましょうか。
  114. 原徹

    ○原政府委員 お答えいたします。  去年、GNPの一%を超えないことをめどにするというときに、五十二年度は〇・八八%でございまして、去年は〇・九%でございましたが、一%とのすき間が大体二千億ぐらいあったわけです。〇・八八%でことしで計算しますと、百九十二兆のGNPの一%は一兆九千二百億でございますから、そういたしますと、約二千三百億円のすき間があるわけでございます。まあGNPの方も、五十年代前期経済計画では六%程度の伸びということになっておりますが、その先のことは、実はよく政府として決めたものはない。そういうことも考えて、実は当面ということになっておるわけでございます。  五十五年度につきまして、その的確な見通しはまだできませんが、私ども、去年その数字を決めますときに、やはりこれはFXの問題、F15にするかどうかはまだ決めておりませんでした。それからP3Cの問題、PXLの問題、これもP3Cにするかは決めておりませんでしたが、そういう大きなプロジェクトは、どうもこの数字の〇・八八%の中ではなかなか入らないんじゃないか。しかし、去年の防衛計画の大綱では、要するに部隊の規模を原則といたしまして——若干の例外はございます。AEWの部隊をつくるというようなことがございますが、部隊の規模は大体現行の水準にとどめるということにいたしました関係上、そういたしますと、大体GNPと同じくらい防衛関係費が伸びれば、人件費は防衛関係費の五五%を占めますが、その人件費は現在の水準で賄えるのじゃないか、それが一つ。  それから、油とか修理費とかそういう維持費の系統でございますけれども、これは機材が高くなりますと、修理費の値段も高くなるというようなこと、あるいは油の消費も多くなるということ、こういうこともございますけれども、これも大体現在の水準でもいけるのではないか。そうするとやはり新しい装備とか、それから自衛隊の施設は非常に老朽化しておりますので、そういう施設あるいは研究開発費、そういうものにもつと重点を置かなければならないのでございますけれども、施設費の方は根っこが四百五十億くらいの程度の問題、それから研究開発はたしか百五十億程度の問題でございますから、それを相当ウエートをかけて増加をさしたといたしましても、全体に占める伸び率にはそう大して響かない。  結局どこに問題があるかといいますと、やはり装備の問題になる。確かに、装備は非常に旧式なものが相当ございますから、これをその都度更新、近代化をしなければならぬ。特にいまのPXLあるいはFX、そういったものは、いまの水準ではできないんじゃないか。それは上積みになっていく、なっていくといたしましても、これは十一年か十二年かかって買うものでございまして、しかも初めのうちはそんなに金額はかからないでだんだんふえていく。ピークは、去年の決めた段階では五十七年か五十八年ぐらいじゃないかという想定がございましたが、そういう遅い時期にピークが来る。そうすると、ピークが仮に来てもいまの一%とのすき間がございますと、いまの二千三百億のすき間が六%成長するといたしますと、それがまたすき間の方も成長いたしますわけです。  でありますので、F15、P3C両方買いまして、ピークの時点をとりましてもなおかつ千億程度のすき間は残るという感じがいたしております。したがいまして、私どもは特に五十五年ということでございますと、−確かにその装備費はかかりますが、まだピークには行っておりませんので、そういうこともございまして、そのときも千億くらいのすき間はある計算になります。したがいまして、全体としてGNPの一%を超えることはない、そういう判断をいたしたわけでございます。
  115. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 一%を超えることはないというわけでありますけれども、いま私が申し上げましたように、五十三年度概算要求がなされているわけでありますが、これは間もなく決定ということになるということも考えて、そういうことから、これが五十五年度においては一%を超えるというのでなくして、大体見通しとしてはすでに〇・九%、もう一%すれすれというような試算が大体出てくるわけでありますけれども、その点についてはいかがでしょうか。
  116. 原徹

    ○原政府委員 〇・何%と計算はいたしておりませんが、仮に六%ずつGNPが伸びたといたしますと、五十五年のGNPは二百二十七兆くらいになる。そうすると、GNPの一%というのは二兆二千七百億円くらいになるわけでございます。GNPの〇・八八というのは二兆二十四億円くらいでございまして、したがって、その差額は二千七百億くらいあるわけでございます。いまのF15とP3Cの購入費、五十五年で申しますと八百八十五億円でございます。したがって、まだ千八百四十六億円GNP一%との差が残る、こういうことになるわけでございます。
  117. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 防衛関係費と言っても、一つは防衛本庁に占める人件費、糧食費、いわゆる人糧費ですか、それともう一つは防衛費、こういう形に分かれると思うわけでありますけれども、五十一年、五十二年、まあ五十三年は概算要求でありますけれども、この人糧費と、それからいわゆる装備、装備諸費、油購入等の防衛費と、大体この割合はどうなっていましょうか。
  118. 原徹

    ○原政府委員 五十一年で申しますと、防衛庁費の中で、これは大体同じ傾向でございますので、いわゆる防衛関係費で申させていただきますが、防衛関係費全体といたしますと、五十一年度は人件費、糧食費が五六%でございます。五十二年度は、これは五五%になっております。五十三年度、これの要求というのは、実はまだベースアップを入れてございませんものですから、来年のベースアップは九月の段階では要求いたしておりませんものですから、この九月に出した計算では五一%になっておりますけれども、そういうことにはなりません。もっと高くなります。  それから、いまのいわゆる装備品の購入費、それから研究開発費、施設整備費、これを足しましたものをいわゆる資本的支出と申しておりますが、これが五十一年度は一九・六、それから五十二年度は二〇・七でございます。そして五十三年度は、いまの人件費のところが調整がしておりませんが、九月の段階の数字で申しますと二二・三になっている、こういうことでございます。
  119. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 この場合、いま私が申し上げましたように五十年代の前期の経済見通し、すなわち六%ずつ推移をしていくということで、昭和五十五年度の防衛費の資本的支出の割合についてはどの程度と予測されておりますか。
  120. 原徹

    ○原政府委員 これも人件費、糧食費とのうらはらでございますので、ベースアップその他の不確定要因がございますから、的確に推計ということはいたしておりませんが、私どもといたしましては、人件費、糧食費の五五%というのは非常に高過ぎる。昭和四十八年度は、その比率が四六・五%であったわけです。それがいまの石油ショック以後のインフレ、それに伴う非常に大幅なベースアップということから、ここ数年のうちに非常に人件費、糧食費の割合が高くなって、五十一年度には五五%まで一応行ってしまった。経済が落ちつきまして、そして物価もそんなに高くならないということでございまするならば、いわゆるベースアップの割合も比較的モデレートのところになるのじゃないか。そういうことになりますれば、この比率は当然徐々に下がっていくだろう。もちろんこれは四十八年度四六・五%が人件費、糧食費で、そのときの資本的支出は二九・八でございました。そういうことは頭に置いておりますが、では的確に人件費の割合を四六・五にするとか、それから資本的支出の割合を二九・八にするとか、そういう目標をいま別に立てているわけではございませんが、総体と申しますれば、人件費、糧食費の割合が減って、装備費の割合が高くなる、こういう傾向にあろうと存じます。
  121. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 五十六年度以降については、まだ政府の経済見通しが実は出ておらないわけでありますけれども、五十年代の前期の経済計画どおり六%台を推移をしていった場合、これからいよいよ防衛庁考え方でいきますと、P3CとかF15とか、そういうものを導入した場合、十年後において一%を超えるのじゃないかというふうに国民の方からの疑問が投げられているわけでありますが、その点については、いかがでありましょうか。
  122. 原徹

    ○原政府委員 確かに五十六年以後GNPがどうなるかの的確な見通しはございませんので、余り先のことまで言うのはどうかと思いますが、ただ計算を仮定いたしますと、先ほどの計算をずっと六%で十年先まで続けていくということになりますと、たとえば昭和六十年でございますが、GNPは三百四兆になります。したがって、GNPの一%ということは三兆四百五十億円程度になります。GNPの〇・八八%と申しますのが二兆六千七百九十億円、すき間が幾らあるかというと、三千六百五十四億円ございますわけで、そのときに昭和六十年ですと、F15とP3C、これはもちろん五十二年度の価格でございます。GNPも実質でやってございますから、それが千九百七十億円ということで、やはりここでもすき間は千七百億円程度ある、こういうことになるわけでございます。
  123. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 そうなりまずと、結局いまの政府の経済見通しの経済成長六%台においては、十年間は一%をオーバーすることはないだろう、こういうことに結論がなるわけでありますけれども、たとえば経済成長が五%台を割った場合においては、現在の計画の手直し、あるいはGNPの一%をオーバーするというふうにお考えになっているかどうか、それは政府の方としては六%台ということでございますので、それに基づいて皆さん方は計算されているわけでありますけれども、内外の情勢の変化のないうちに、経済成長が六%を達成できないで五%台あるいは四%、こういうような状態になった場合、皆さん方が考えられておられるいわゆる装備の手直しをするか、あるいはGNP一%以上でなければこれは賄い切れないという事態も起こる、こういうことで大体それについてどういうふうにお考えになっておられましょうか。
  124. 原徹

    ○原政府委員 先ほど申しましたように、とにかく当面は六%、五十年代前期経済計画でそうなっているということが前提でございます。その先はわからないということから当面という表現を使ったわけでございます。しかし、内外の国際情勢とそれから国内の経済情勢、その二つが前提となって、そういうことを見通し得る範囲において当面ということでございますので、仮にGNPの伸び率が減るというようなことでありまするならば、当然私どもは、その段階で十分慎重に考えなければならぬ、そういうふうに考えております。
  125. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 GNPの問題は、これくらいにしておきましょう。  次に、時間の都合がありますので、次期対潜哨戒機の選定について、これは防衛庁の出しておられる「防衛アンテナ」の中でロッキード事件との関係を述べられているわけでありますけれども、「次期対潜機の選定にあたっては、いやしくも国民に疑惑を持たれることのないよう措置する」、こう述べてきて、以下の理由で国民の納得は得られたとしている。こういうふうな書き方であります。  そこでお尋ねをするわけでありますが、ロッキード事件とPXLに関して、司法当局の捜査結果から、これまでのところPXLの問題について、犯罪容疑は生じないと断定をされておるわけでありますが、将来にわたってPXL問題について犯罪容疑が全くなくなったというふうに言えるかどうか。少なくとも国民の間においては、まだまだ疑惑は一向に解消されていないにもかかわらず、防衛庁として見切り発車をされたわけでありますけれども、その点についてお伺いいたします。
  126. 間淵直三

    間淵政府委員 お答えいたします。  ロッキード問題の裁判はまだ進行中であるというのは事実でございますが、法務当局から去る二月国会報告されましたとおり、あの段階ではP3Cに関しましては何らの犯罪容疑事実はないということでございますし、それから後の法務当局のしばしばの言明にありますように、現段階においても何らP3Cに関しましては犯罪容疑というものは存在しないということでございます。
  127. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 いまあなたがはからずも言われたとおり、ロッキード疑獄の公判は現在始まったばかりで、解明が進んでいないわけですね。しかもこのロッキード事件に関する法務大臣の報告の中においても、「昭和四十七年以降ロッキード社から顧問料、手数料として児玉に流入した約十七億円に関しては、その留保状況及び使途関係につき、一部不明な点があるものの、相当程度の解明をしており、その内容は、」ということになっておりますね。まだまだ全部解明は終わっていないということでしょう。実際には解明は終わっていない。しかもSECへの報告云々というふうに書いておられますけれども、SECは御存じのとおり、公表していないわけです。公表していないということは、まだまだ報告だけでは全面的にその疑惑が晴れたわけではないのです。そういうことを考えたときに、われわれは見切り発車をしたというふうに言わざるを得ないわけです。実際には公判もいま始まったばかりなんですから。これからどういうふうに内容が発展するかということについては予測はできないにもかかわらず、一方的に法務大臣の報告を受けて、そうして見切り発車をしたということ、これは国民は非常に——防衛庁長官はこういうふうに言っておりますね。ロッキード事件の解明が終わらないうちは、防衛庁はロッキード社からの購入は見合わせると言明をされてきているわけですね。まだ実際には解明が終わっていないわけです。公判はこれから続くであろうし、しかも十七億円の使途についてもまだまだ解明できない問題があると言っているし、SECの方においてはまだまだ公表をしていない。こういうふうな中において、実際にあなた方が断定をして、見切り発車をするということは許されるかどうかという問題について、防衛庁長官、どうお考えですか。
  128. 三原朝雄

    三原国務大臣 この問題は、私はきわめて大きな問題として取り組んでまいっておるところでございます。したがいまして、防衛庁においてPXLをP3Cということに決定をするに当たりましては、次のような諸点を評価し、判断をして決断を下したところでございます。一つは、選定の間にどうであったか、あるいは導入上あるいは販売工作上あるいは最後の予防措置、そういうものに分けて、私は詰めてまいったところでございます。  そこでまず第一に、選定の問題につきましては、防衛庁が十一年かかってこの選定について努力をしてまいりました。純防衛的な見地から、世界各国における対潜能力のすぐれた対潜機について選定を進めてまいり、この点につきましては、外部からの政治的な圧力なりは一切受けずに純防衛的な、技術的な立場で選定をしてきたということは御報告できると思うのでございます。  次には、いま公判があっております事態でございまするが、公判の終末まで待つということは実際上、先ほど申しました防衛上の見地からどうしても、十一年もかかって欠陥的な、防衛上の欠落した機能でございまする対潜能力を整備するために、その公判が終わるまで待つということはでき得ないことでございまするし、国民の方々にも御理解を願える。そこで公判の問題につきましては、まず法務省の御意見を承ってまいったことは御承知のとおりでございます。  なおまた、アメリカの証券取引委員会、SECの情報につきましても、すでに法務省とアメリカとの関係でそうした調査の協定があるわけでございまするので、これもやはりSECから十分な情報を入手されて法務省もそうした判断をしておられると私は思うのでございまするし、また私どもの聞き及んでおりまするSECの調査報告の結果等におきましても、実は導入から販売に対して犯罪事実は現在までにおいてはないという判断がなされておるわけでございます。そうした問題も逐一詰めてまいり、またその間において、これに関係を過去においてやってまいりましたロッキード社の問題、あるいは児玉あるいはブラウンリ一社との関係、それらの今日までの販売工作なり導入工作に対するP3Cとの関係について、これも詰めてまいったところでございます。これは公判廷の冒頭陳述等にもあるわけでございまするが、そういう点は具体的には厳正な法の立場でこれを審査される、司法当局がやられるわけでございまするけれども、そうした点におきましても、私どもはロ社との関係においていままでの証拠書類に対しまする検討を加え、あるいは契約に対しまする検討を加えてまいり、そうした点において児玉、ブラウンリ一社との関係でP3Cについては金品の授受なり、あるいは贈賄的な行為は認められないし、またそういうことが将来の私どものP3Cの入手との関係関連をしてくるというような場合は、その影響を及ぼさせないというような誓約書等まで入れさせてまいっておるわけでございます。  そうした予防措置等におきましても詰められる万全の処置をしてまいったところでございまするので、私どもといたしましては、そういう立場から、純防衛的な見地からどうしてもP3Cに着手をする一つの時限に来たということ、そうしてしかも今日までP3Cに対しましての選定から導入、販売工作、そしてこれから先そうした事態が起こらない予防措置等についても一々詰めてまいって、ここならばやっていける。その間も何回となく印刷物等を出して国民の方にも疑惑の解明を訴えてまいりましたし、これから先も年末にかけてまでそうした努力を続けてまいるならば、——私は一番やはり問題でございまする疑惑の解明を国民の方々にしていただかなければならぬ、理解を願わなければならぬという努力はこれから先も詰めてまいる。そういう点で私は八月末の時点において決断を下したという推移なり経過でございます。
  129. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 防衛庁長官、ロッキード社から誓約書を出さしたからそれでいいというものではないのですよ、この問題は。そんな甘いものじゃありません。少なくともこのロッキード事件というものは昭和最大の疑獄であり、しかもいま現在公判にあります例の田中角榮は、当時は国防会議の議長であったはずであります。そういうことから考えまして、少なくともこの問題で一番疑惑を持たれている問題については、児玉とロッキード社にPXLのコンサルタント契約が存在していたという事実は、これは否定しがたい問題であると私は思うのです。そうなった場合、もしロッキード事件が起こらなければ、明らかに所期の目的は達成できたはずであり、その可能性は否定しがたいわけであります。となりますと、これはもう日本を巻き込んだ疑獄の中にあって、PXLも少なくともその議題に上ったということについては、ロッキード社に対する道義的な責任、これに対する制裁というものは当然あってしかるべきじゃないですか。それも見逃して、ただ単に誓約さしたからそれでいい、そういうものでは絶対ないと私は思うのですがね。  なお、疑獄がないなんて、疑獄はちゃんとまだ晴れていませんよ、この問題については。公判だって、まだ入ったばかりだし、SECだって公表していないし、いろいろの問題を考えたときに、見切り発車するのは少し早くはないでしょうか、そのように私は申し上げると同時に、なぜこれに対して——普通、たとえば官庁と業者とがこういうふうな疑獄の問題を起こしたときには当然と言っていいくらい、それに対して、その相手方の業者に対しては制裁を与えるでしょう。こんなものは出入り差しとめですよ。それにもかかわらず、ただ疑惑がないからといって、そうして向こうから誓約書を書かしたからといって、こういうふうにすでにPXL、P3Cに防衛庁が決定されるのは余りにも時期が早いのじゃないですか、こう申し上げるのです。
  130. 三原朝雄

    三原国務大臣 ロッキード事件がわが国に与えた事態というのは、私はきわめて遺憾な事態であると受けとめておるわけでございます。したがいまして、できますれば契約というようなものをロッキード社としたくはないというのは、過去も、また現在も持ち続けておる心境でございます。私どもといたしましては、そうした日本に大きな事態を巻き起こしたロッキード社とそうしたP3Cの入手契約をするというようなことはできますれば避けたいというのが、これは御指摘のとおりでございます。  したがいまして、その点につきましては、先ほども申し上げましたように、この機種選定につきましては、世界各国におけるそうした対潜機の優秀なものの選択について調査を続けてまいったことは御承知のとおりでございます。そういう点において、純防衛的な立場、技術的な立場から、やはり日本が対潜機を選ぶとすればいろいろ問題はあるし、避けねばならない、そうした心境ではあるけれども、最優秀機としてP3Cを決定せざるを得ないという経過と私は思うのでございます。  次には、時期が早過ぎたではないかという点については、私は先ほど申し上げましたように、できますれば時期を何年でもずらして、公判が終了するまでということが一番すきっとすることであろうと思いますけれども、私どもが十一年かかって防衛力整備についての一つの欠落事項として問題提示をして検討をしてまいりましたのは、対潜能力の整備ということでございます。こういう立場で十一年間取り組んでまいりました。そこで、いつかの時点ではそれらの整備にかからねばならないということでございましたが、紆余曲折があり、ロッキード事件が起こりましたので、今日までこれを中止してまいりました。しかし、いよいよ決着の時期に来たなという判断をせざるを得ない事態でございます。したがいまして、そういう立場から、私は早過ぎたというよりも、そういう点で、先ほど申しますように、ロッキード社のやりましたいろいろな犯罪的な行為というようなものをP3Cに関してどうなんだということを先ほど細かく申しましたが、詰めてまいって、ここまで来ればひとつ国民の方々に対しましても疑惑を晴らしていただけることではなかろうかという判断をしてやったことでございまして、決して私は時期が早過ぎたというような判断には立っておりません。この時期にやらざるを得ないという極限まで来てお願いを申し上げ、決断をしたということだと思うのでございます。
  131. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 これはそれ以上言っても平行線をたどるわけでありますけれども、国民の率直な気持ちから言いますと、まだまだPXLの疑惑についてすかっと、青天白日のようになくなったなんてだれも思っちゃいません。少なくとも、公判も入ったばかりであるし、いろいろな問題がこの中には内在されているということから疑惑は晴れていません。しかも、黒い手で汚されたロッキード社が何の制裁もなく、純軍事的な立場からこうせざるを得なかったというような、そういうことは非常に説得力がない、そういうふうに私の方から申し上げておきたいと思います。  それでは、PXLについて。昨年、五十一年十一月にPXL調査団をカナダに派遣されましたね。どういうことが目的であるか。  それから、本年の二月二十七日から十五日間、PXLの機種選定調査のために海上幕僚監部と技研の合同調査団を派遣されましたけれども、それは何が目的で、そしてどこへどのように調査に行かれたのか。その点についてお伺いいたします。
  132. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 昨年一年かかりまして、私どもは、御承知のように、次期対潜機として何を選ぶかということの最終的な勉強をいたしました。その際、P3Cというものを採用するのか、あるいは機体も電子機器もともに国産をするのか、あるいは機体を国産して電子機器を導入するのがいいのか、大きく言いますと、この三つの形について研究をしたわけでございます。  昨年の十一月に参りましたのは、その中の一つとして、カナダでCP140という飛行機の採用を決定いたしました。この飛行機は、P3Cの機体といいますか、オライオンという機体にS3Aの機材を積む新しい型の対潜哨戒機で、この採用を決定したわけでございます。したがいまして、その内容、それから今後の製作に当たる時点、完成機が出てくる時点、あるいは費用、そういったものについて調査するために当時の渡邊審議官以下の者がカナダに参りまして、調査をしたわけでございます。  それから、ことし参りましたのは、P3CあるいはS3Aの電子機器、主としてS3Aの電子機器の内容を技術的に調査するためにアメリカに派遣したものでございます。
  133. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 五十一年十一月の調査団が行ったときには、CP140並びにS3の電子機器の分離導入は可能であるかどうかという問題そしてハードを購入したときにソフトウェアがついてくるかどうか、識別するプログラムをアメリカはカナダに渡すかどうかという問題、おたくの方ではそういう問題について調べてきているわけです。実際にはそれはやはり非常に大切な問題なのですよ。  それから、先ほどの二月二十七日に海上幕僚監部と技研の合同調査については、バイキングが積載している電子機器の分離導入は可能であるかどうか、そういうことで行かれたわけですから、そういう非常に大切な問題をあなたはあえてそらして御答弁になるわけですけれども、そういう点は非常に重大な問題だとお考えになりませんか。そしてまた、二月二十七日から行かれたところは、米国防総省並びに海軍省、電子機器メーカーのユニバック社にお行きになっているのではないですか。その点、どうでしょう。
  134. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 技術的な詳しいことは、あるいは装備局長から御報告した方がいいかと思いますけれども、いま先生がおっしゃいましたような内容調査してまいったわけでございます。私どもがこの調査の結果について聞きましたところ、調査をやりました者の判断といたしまして、カナダのCP140につきましては、S3Aの機材を積んだ、いわゆるオライオンに積んだ新しい型のものであることは明らかでございますが、今後開発すべきいろいろな問題がございます。  といいますのは、S3Aというのは小型対潜機でございます。それを大型の対潜機に積むためには、いわゆる艦艇に積んであります電子機器との連接において小型の対潜機というのは能力を発揮するわけでございますが、これを大型機に積んだときにはいろいろな開発をすべき問題がございます。その点についてのリスクというものも考えなければならないということがわかったわけでございます。  それから、S3Aの機器につきましては、いま申し上げましたように、この機器そのものは確かに現在のP3Cに積んでいる機器よりも新しい機器であることは間違いございません。しかし、いま申し上げましたように、これは艦載機の機器でございます。したがいまして、艦艇に積んだ機器とこの電子機器とを組み合わせることによって機能を発揮するわけでございます。したがいまして、これを日本でつくりました機体に載せた場合にさらにいろいろな開発をして能力をつけなければならないという問題があったわけでございます。  さらに、ソフトウェアにつきましても、カナダのCP140については、これからロッキード社との間でソフトウエアに関する勉強も始めるというような状況でございましたし、また、S3Aを日本でつくりましたPXLに積んだ場合のソフトウエアというものについては、これは、現在アメリカで持っているソフトウエアというものをある程度使うことは可能であるといたしましても、今後開発しなければならない多くの分野があるということがはっきりしたわけでございます。  したがいまして、アメリカの海軍が使い込んでおりまして運用上も十分自信を持っておりますP3C、さらにそれに搭載しております機器並びにソフトウエア、こういうものを十分利用することの方が直ちに実用機として有効であるという判断をいたしましたし、また、このP3Cに積んであります電子機器そのものも逐次改善されておりまして、現在ではUPDATEIIという新しい機材になっております。私どもが採用いたしますP3Cにはその機材を積むことにいたしておりますし、この機材を使ったP3Cというものは、米海軍も一九九〇年代になお有効である、これを使用していくということがはっきりしたわけでございます。したがいまして、費用対効果あるいは開発に伴うリスク、それからなるべく機種を少なくするということ、そういった観点からいたしましてP3Cが最も適した対潜機であるというふうに判断をしたわけでございます。
  135. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 私は、そういうことを聞いているわけじゃありません。いわゆる対潜探知や識別に必要なものは、これはハードとソフトということを分けた場合に、ただ機材というのではなくして、ソフトが必要なんじゃないだろうかと私は申し上げたわけですよ。いま一番ネックになっている問機材をつくるなんというのは日本だってできます。また、日本の科学技術をしていくならば当然、電子機器をつくるのはそうむずかしいものじゃないのですね。しかし、対潜機が一番必要なのは、機材でなくてやはり知識なんですよ。ソビエトとかあるいはアメリカの原潜に関するデータとか、あるいは音響の特性とか、あるいは海洋の状況による変化とか、あるいは潜水艦と海洋の両面についての広範なデータや、それを利用して探知、識別、そして攻撃するための完全なプログラムが必要なんですよ。これがいま一番必要なんです。だから、防衛庁が次期対潜哨戒機なんて言って、英空軍現用の対潜機のニムロッドMK1とかあるいは仏海軍現用のアトランチックMKIなんというのは、そういう意味から言うと、これはその対象にしてみたって実際にソフトが手に入らないものだから、恐らくこの問題を解決するわけにいかないわけですね。そういうようなソフトの問題について、知識の問題について、これからたとえばソビエトとかそういうところにおいては原潜がますます開発されてくる。そういう広範なデータを持っているアメリカにソフトの問題についてはお願いをしなければ、日本ではソフトのいわゆるANEWという電子情報機器の操作をすることはできないでしょう。そういう意味において、ソフトの問題をいままでずっと詰めてきたのじゃないですか。
  136. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 いま先生がおっしゃるとおりでございます。ただ、ソフトと申しましても、いわゆる知識というものを吸収し、そして判断する機材というものは当然関連してくるわけでございます。したがいまして、P3Cに関しますソフトにつきましては、この間大臣が参りましたときにも、一般的に必要なソフトウエアについての知識を欲しいということを申し込まれましたし、その後私も残りまして、向こうの担当者とも話をいたしました。その結果、いわゆるP3Cに関して有効に使えるソフトというものはでき得る限りいわゆる日本の対潜作戦をやる十分なソフトウエアというものをリリースするということをアメリカの国防省で約束をしてもらって帰ってきたわけでございます。
  137. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 やはりソフトウエアというのは一番大切であり、それがなければ対潜哨戒機あるいは電子情報機器なんて何の役にも立たないわけですよ。それを恐らく詰めに行かれて、それに対して向こうの方でソフトウエアは、当然それに対してP3Cをやった場合においてはそのデータは差し上げますということになっているわけです。ならなければ買う必要もないわけですから。  そういうことを考えて、アメリカの兵器の売り込みの基本戦略というものを私ずっと考えてみますと、兵器を売り込むことで、買った国は即座に確かに戦力化ができます。できますけれども、以後の補給、支援とか運用のための知識というのはアメリカに頼らなければならない。全部こういうシステムになったわけですね。だから、言うならば日本の国がアメリカの一つの防衛協力という名のもとにおいて、どうしてもそういう観点からいって、P3C、あるいはCP140についてはまだ開発途中ですから、こういうものについては未知な点があるのでP3Cというふうに決められたというのは、実際においてそういうところじゃないですか。ですから、P3Cについては見切り発車だと言われても何でもP3Cを入れなくてはならない。P3Cの現有機を入れるか、あるいはライセンス生産をしていくかはまた今後の問題でありましょうけれども、そういうところに大きな問題があるということを防衛庁長官はお認めになりますか。
  138. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 ただいまの先生の御意見でございますけれども、どんなりっぱなソフトウエアでもこれを使いこなせない場合がございます。ですから、仮にP3Cのソフトウエアをリリースしてもらっても、現在の私どもが持っておりますP2Jではこれを使いこなすことができないわけでございます。一方、いま先生がおっしゃいましたように、長い時間をかけてそれをやるとするならば、もちろん日本の技術でも絶対不可能ではないと私ども考えております。しかし、現在持っております対潜哨戒機百二十機の耐用年数が参りまして、一方どんどん減っていっているわけでございます。  さらに、先生すでに御承知のように、日本の近海におきます原子力潜水艦というものは逐年ふえてきている実情でございます。したがいまして、P2Jと護衛艦等をもってしてはなかなかこの原子力潜水艦には対処できないという現実の問題があるわけでございます。したがいまして、私どもはこの八十機程度の対潜哨戒機を維持しながら原子力潜水艦に対しても有効に対処できるような能力というものを維持したいということを願っているわけでございまして、そういう意味でP3Cが現時点において最もふさわしい飛行機であるということで大臣の御決断をいただいたということでございます。
  139. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 PXLの方はそれくらいにして、時間がございませんので、「新戦闘機の選定作業の経緯と今後の方針について」という、これは防衛庁防衛防衛課の方から出されている資料がございます。私はF14、F15、F16、いずれがFXによいなんということを申し上げるつもりはありませんし、またこれに対して、私は何もアメリカの飛行機会社に対してどちらの肩を持つというような気持ちは毛頭もありません。しかし、政府がその中で決定されたF15について、まだまだ国民の中において問題になって明らかにされていない部分があるので、この問題についてお話を少ししたいと思うのです。  そこで、「新戦闘機の選定作業の経緯と今後の方針についで」、防衛庁で作成されたものがありますけれども日本の防空にいま何が一番必要なのか、そしてそのために何が要求されるかという基本的な説明がまだなされていません。さらに、国民の税金を使用するだけに、費用対効果という総合的な立場に立って判断をされているかどうかということについても、実際には詳しいことについては説明がありません。  そこで私はお聞きするわけでありますけれども、F14、F15、F16の一機当たりの単価も示されていないわけでありますから、そういう点について現状においてどういうふうにこれを判断したらいいかわからないわけでありますけれども、それについて、F14、15、16の一機当たりの単価、これを示していただきたいということと、それと同時に、それに対して機材、いわゆる装備を積んだ場合においては幾らになるのか、その点についても御答弁願います。
  140. 間淵直三

    間淵政府委員 F15に関しましては、私どもの概算要求の数字といたしましては、二十九機の平均が一機当たり裸価格で七十五億円、補用部品を入れた価格で八十五億円となっております。F15の値段はF16と大体同じ、F14の値段が約三割高ということでございます。——失礼いたしました。F16が三割安、F14がほとんど同じでございます。
  141. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 こういうふうな中において費用対効果という問題を考えたとき、当然そこに一機当たりの費用というものは幾らであり、そしてそれに対するところの装備を積んだ場合には幾らであるかということが書かれていなければ、これはもうみんな手前みそなんです。F15をぜひともひとつ国民の皆さん方よろしくお願いしますというPRの内容であって、国民が聞きたいことはまだいっぱいあるのですから。  それではそれについてもう少しお聞きいたしますけれども、たとえば十年間におけるF14、F15、F16の三機種の経費の総額、その時点における対処能力ということについて検討されておりますか。検討されているならば、機材とか、人件費とか、飛行機の燃料の消費に対する燃料費、消耗度、これについてどうですか。
  142. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 その点も実は私どもは詳しくやっているわけでございます。その一つのやり方といたしまして、一定の兵力、たとえば百機を持ったときに十年間たつといわゆる防空効果としてどのぐらいあるのか、そしてまた費用がどのぐらい差があるのかというようなことは計算しているわけでございますが、一応飛行機を現在私どもが要求いたしております五個スコードロンといたしますと、経費といたしましては、投資の比率といたしましてF15を一といたしますと、F14が一・一二あるいはF16が〇・六七というような比率になっております。  それから今度は一定の効果を上げる、たとえば日本に侵略してきた飛行機を撃墜する一定の効果を上げるためにはどれぐらいの数が要るかということになりますと、これはF15が性能がようございますので、一番少ないわけでございます。その比率を見ますと、F15が仮に一といたしますと、F14は投資比率といたしましては一・七一ぐらいかかるようでございます。それからF16の方は一・四三ということになっています。これは、F16というのは能力が落ちておりますからたくさんの飛行機を持たなければならない、それを十年間維持しなければならないという問題がありますので、一定の兵力を維持する場合と、それから一定の防空効果を上げる場合とはそういうふうに違ってまいるわけでございます。
  143. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 機体の償却とその間に必要な経費、燃料費、人件費、そういうふうなことによる総合的な計算というものについては、実際にはこれにはなされていないわけですよ。書いてありますか。書いてないのですね。数字をもって出ていません。これではわかりません。あるいはF14、15、16の一機当たりの単価と一定機数購入に伴う価格あるいはライセンス生産に対する費用対効果、価格の推移すなわち上昇率に対する相手方の考え方、必要部品の入手方法等、全然これは明らかになっていませんね。こういう問題はどうなんですか。
  144. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 そこら辺のところは先生のお手元にございます十一ぺ−ジの図で示してあるわけでございますけれども、数字そのものを、何%の価格の上昇率等というのはこれはなかなか見通すのはむずかしいわけでございまして、私どもがいま知り得る範囲で今後十年間こういったものを維持していくのにはどのぐらいかかるかというようなことで計算をしているわけでございます。  それから部品の輸入その他につきましては、これはいままさにつくり始めている飛行機でございます。私どもの過去の経験からいたしますと、F104にいたしましても、ファントムにいたしましても、そういう点でトラブルがあったという経験はございませんし、現にこれから世界で使おうという飛行機でございますから、そういった点でトラブルが起きるということは予想いたしていないわけでございます。
  145. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 たとえばいま現在使われているF4ファントムで果たしてこれからの日本の防空ができないのか。できないとすればどういう点なのか。ファントムでできないというならばどういう点なのか。さらにそれよりもいいやつをというわけでありますけれども、それは金を出せばいいのは決まっているのです、そんなことは。金をたんまり出せばいいのは決まっているのだ。しかしいまのF4ファントムでどうして日本の防空はできないかという問題について、何らこれは説明がなされていないのですね。そういう点についてやはり明らかにしていただかないと、これはもう国民は納得しませんよ。その点についてどうですか。
  146. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 私どもは、そういう点につきましてもぜひ御理解をいただきたいと思いまして、御説明しているつもりでございますが、このパンフレットの十五ぺ−ジをごらんいただきますと図が出ております。日本立場からいたしまして侵略の可能性のある飛行機というものが上に書いてございますが、一九七五年、昭和五十年から五十五年のところを見ていただきますと、ミグ21とかあるいはSU7あるいは17といったようないわゆる第二世代の飛行機がだんだんふえてくる時期でございます。そしてまた第三世代になりますと次の、昨年参りましたミグ25あるいはミグ23、SU19、そういったものが主力になってくる時期でございます。これは軍事力の推移というものを私どもがいろいろな情報から判断したものでございまして、それに対しまして下の方の図をごらんいただきますと、実は、ここに図が書いてございますが、本来ならばこれに数字を入れるといいと思いました。しかしながらこの数字を入れるということが飛行機専門家が見ますると、この飛行機の能力あるいは戦闘する空域、そういったものがきわめて明らかになるということもございましたので、このような形で図示をいたしましたが、次の世代になりますと、右に書いてございます横の点線のところがございますが、きわめて広い範囲の行動ができるわけでございます。それに対しまして、F4の飛行領域と書いてございます中にファントムの能力というのはとどまるわけでございますから、その能力の範囲外のところでは、日本に対して自由に侵略をしてくるということになるわけでございます。  御承知のように、日本の脅威を考えますときに、やはり一番短期間に強力に攻撃が可能であるというのは航空機でございます。したがいまして、私どもも限られた防衛予算の中でF86の次には当時世界で最もすぐれていると言われましたF104を採用いたしましたし、その後ファントムというふうに変わってまいったわけでございます。と同時に、またこの次の世代の飛行機というのは、従来のF104やファントムと違いまして、一万時間近い寿命があるというふうに言われております。そして第三世代、第四世代というふうに脅威そのものが、性能が非常に向上してまいりますので、相当長期間にわたってこれらの脅威に対処できるという観点から私どもはF15が最適であるというふうに考えたわけでございます。
  147. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 脅威、脅威と、ずいぶん脅威を誇大化するわけですけれども、これはいつもの防衛庁のやり口なんです。たとえばミグ25は当初はマッハ三・二と言ったでしょう。ところがその後、マッハ三に下がったのですよ。よくよく調査をしてみますと、マッハ二・八というふうに下がったということですね。ですから、これは大変に違うわけですよ。ミグが当初の三・二から二・八に下がってきた。相手の物をよい、よいというふうに大変に大きく、誇大的にとらえて、そして脅威を感ずるというやり方をずっと続けてこられたじゃないですか。  それじゃ、たとえばミグ21とミグ23より私はファントムの方がすぐれていると思うのですよ。ミグ21とファントムのスコア、これはイスラエルとアラブ側との戦闘の結果、大体出ているわけですけれども、どんな状態ですか。
  148. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 いまおっしゃいましたイスラエルでどういう状況であったかというのは、ちょっと私いま手元に資料を持っておりませんけれども、私どもの判断といたしましては、ミグ21というのはF104級の飛行機だというふうに考えております。しかしながらミグ23になりますと、これは能力的にはかなり長距離、そして、そこにも書いてございますけれども、速力としては二・三マッハ、これに対してファントムの方は二マッハというようなことでございます。それから上昇限度等にいたしましても、そこに書いてございますが、やはりミグ23の方が優秀だろうと思います。したがいまして、ミグ23とファントムというのは、それほど大きな差はないと思いますけれども、ミグ25につきまして先ほど先生が、三・二マッハがそれほどなかったではないかとおっしゃいました。確かに、昨年参りましたミグ25というのは、三・二マッハ飛べるかどうかということにつきましては疑問がございます。しかしながら、あの飛行機自体がすでに十数年前につくられたものであり、しかもこのミグ25を改良した。第四世代に向かってソ連は、新しい軍事技術を開発しつつあるということが考えられるわけでございます。
  149. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 よくお調べになるとわかりますけれども、イスラエルとアラブとの戦闘で、十対一のスコアなんですね。だから、向こうが十機であればこちらのファントムが一機ということで、かなりファントムというのは優秀な飛行機なんですよ。その優秀な飛行機以上のものも、さらに必要かどうかという問題が実はあるわけです。  そこで、おたくの方から「対戦闘機戦闘能力比較」、これが出ているわけです。これを見ると、第四世代の飛行機というのはどういう飛行機ができるかということで大変われわれは疑問に思うのですよね。たとえば、防衛庁が図表として出されているところの第三世代のエンベロープは、何を対象としたデータなんですか。
  150. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 ミグ23、ミグ25、SU19につきましては、最近のソ連の新しい航空機の傾向、それからすでに極東に配置されているといういろんな資料によります情報から判断したものでございます。
  151. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 それでは、第四世代のエンベロープはどのようなものを対象としているのですか。
  152. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 実は、第四世代というのは、私どもはまだはっきり、こういうものだというふうにはつかみ得ないわけでございます。しかしながら、いわゆるミグとか、あるいはファントム、あるいはF15、そういった航空機の技術の推移から判断いたしまして、次の世代のもの、第四世代のものというのは、十分にマッハ三級のものであろう、あるいはいろんな多用途なものであって、その航続距離などもきわめて広く、そして飛行性能などもきわめて高いものであろう。したがって、非常に高高度で侵入してくることも可能でありましょうし、また低空をはって日本に侵入してくるということも可能であろうというふうに判断をしているわけでございます。
  153. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 第四世代の飛行機として考えられるのは、速度はもうこれ以上伸びるなんということは、実際には考えられないです。しかし、今後機動性能のよい飛行機というふうなことになるわけですから、当然向こうの方からこちらの方に来ます。ミグ25は、御存じのとおり防空戦闘機ですからね、防空戦闘機が攻めてくるわけはないのです。そうしたときに、実際日本の国で低空で侵入できるのは、北海道以外にはないのですよ。あとはやはり相当距離もあるし、相当の高さを持ってこなければならないわけですね。  あなたは、いま、はからずも、第四世代についてどれを想定しているかわからないとおっしゃったわけだ。これからできるであろうという予測のもとに、こういうエンペロープをお引きになった。そのエンペロープというものは、たとえて言うならば、ここにありますミグ23あるいはミグ25、SU19、こういうものをいいところはかり、性能のすぐれているところを全部おかぶせになって、そしてこういうエンぺロープをお引きになったのですよ。そしてファントムはこれに対処できない、こういうふうに出ているのですね。こういうそれぞれの特徴がある飛行機、その飛行機に対して対処する戦闘のいろいろの様式の中にあって、いいのだけをおつくりになってエンペロープを大きくお書きになり、そうしてFファントムは対処できないという論理、脅威を過大につくって、そしてF15でなければならない、これだけのエンペロープをお引きになって、F15で対処できますか。
  154. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 一番いい点だけをとらえてというお話でございます。防空の戦闘機というものは、まさに一対一といいますか、いわゆる上空におきまして対決しなければならない武器でございます。したがいまして、私どもとしては予想できる脅威というものに対処できるものを持ちたいということは当然考えるわけでございますが、いま先生がおっしゃいましたように、現在のデータにあるミグ23、25、そういったものが、たとえば防空戦闘機ではないかというお話がございますが、すでにこれは偵察機として二人乗りのもございますし、また、現在の開発状況によっては、あれによって、いわゆる攻撃機として使用することも考えられるわけでございまして、私どもがいま考えておりますのは、上の図をごらんいただきますと、一九七七年の時点でございます。そして一九八〇年代の初めごろ、このF15を持ちたいと考えているわけですが、それからずっと一九九〇年代まで、やはり優秀な飛行機として使ってまいりたいと思いますが、すでに現時点におきましてもミグ23、ミグ25、SU19というものは現存しておりまして、これらも、その五年なり十年の間というものはいまのままの能力だとは考えられないわけでございまして、その間に改良されるというふうに考えるわけでございます。したがいまして、私どもは、そういう時点になっても十分対抗できるような寿命の長い航空機といたしまして、やはりF15というものを採用していただきたいというふうに考えているわけでございます。
  155. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 たとえばF104Jにかわる飛行隊をFXにした場合、実際には同じ機数が必要であるかという問題があるわけですね。F15のような能力のある飛行機であるならば、当然機数が少なくてもよい、そういう考え方が出てくると私は思うのです。実際にミグ25の場合には防空戦闘機であるから、ソ連の国土防衛のための戦闘機、守るためのミグ25、こういうものを対象にする必要はないと私は思うのですよ。そうしてF104がなくなるとして、なくなる兵力量に見合う数を決めて、それから機種を選ぶというのは、おかしいやり方だと私は思うのです。そうすれば、結局高くていいものを選ぶに決まっているんだ、そんなことは。それは、いまの防衛庁のF15を選定をした大きな原因になっておるわけですね。買う金額を抑えて、高いものがよいか低いものがよいか、それに間に合うかどうかということをもし話題にするならば、おのずと選択が変わってくるわけですよ。そういう点について、私は非常に高価なF15、この機数を決められてお買いになるというやり方、これは国民の税金のむだ遣いだと私は思うのですよ。実際に、それではF16、NATOの国においては四つの国がこれを採用しようとしておるわけでしょう。採用しておるわけです。NATOは、御存じのとおり国境隣り合わせですよ。日本とはおのずと防空の環境も違うけれども、それにもかかわらず、NATO四国がこういうことでF16を採用するということについてはそれなりに根拠があるから、やはり採用するわけでしょう。そうした場合に、日本でどうしてそれじゃF16がだめなのかということについて何ら説明がなされてないじゃないですか。
  156. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 NATOの諸国がF16を採用した。それはそれなりの理由があると思います。NATOの戦術からいたしますと、もちろんその防空戦闘というものも一つございますが、同時に攻撃的に相手の敵を攻撃するという任務もきわめて大きな任務として考えているようでございます。そうなってまいりますと、F16というのはいわゆる小型の割りには多くの爆弾を搭載するという特徴を持っております。したがいまして、防空能力とそういった航空攻撃能力とその両方を勘案しながら、F16というものを決めたんだろうと思います。  わが国におきましては、要撃戦闘というものが最大の任務でございます。要撃戦闘をやるためには、やはり軽くてエンジンが大きいということが、いわゆる上空におきます飛行性能というものを高める上できわめて有効でございます。したがいまして、現在の航空技術の発達によりまして、従来私どもは二マッハを超えるような爆撃機というものに対しまして、防空戦闘というものを中心考えておったわけでございますが、戦術戦闘機、すなわち飛行性能のきわめてすぐれた戦闘機にも、いわゆる攻撃能力を持つようになったという時点におきまして、いわゆる戦闘性能といいますか、格闘戦闘といいますか、そういった能力の高い防空能力というものが必要だというふうに考えたわけでございます。
  157. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 この説明を逐一やってまいりますと、ずいぶん国民にわからない点があって、いつの間にかF15が決まっていくような感じを受けるわけでありまして、そういう点についての疑問をなかなか国会においていままで明らかにされていないので、その点について私取り上げたわけです。  私も、時間の制約がありますので、これからまたかわりの市川先生関連に立たれるわけでありますけれども、最後にちょっと軽く聞いておきますけれども、ファントムのときは爆装を外されましたね。F15のときは爆装をお外しになられますか。  それと同時に、空中給油機は将来も持たないと言っておられたわけですね。また、爆撃機も持たないというふうに言っておられるわけでありますけれども、空中給油機についてはどうですか。
  158. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 最初の爆撃装置でございますが、ファントムというのは、先ほど私がF16を御説明しましたように、ファントムというのは多用途機でございます。そして、いわゆる爆弾の搭載量なども、当時といたしましては、きわめて大きなものでございました。そしてまた、その爆撃装置とそれから射撃照準装置というものは分離してあったわけでございます。したがいまして、爆撃装置というものを外したわけでございますが、今度の新しい戦闘機F15につきましては、この照準装置が同じでございますので、物理的にこれを爆撃のものだけを取り除くということは不可能でございます。  それから、もう一つの空中給油装置でございますが、これはファントムのときには、いろいろ問題があってこれを取り外しましたが、いわゆる空中給油機というものは自衛隊は持っておりません。しかしながら、空中における滞空時間がふえるということは、特にスピードの速くなった航空機が進撃するようなときにはいろいろな意味で必要なことがございます。したがいまして、これは運用の問題といたしましては、私どもはこの空中給油機というものはつけておきたいというふうに考えておるわけでございます。
  159. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 そうしますと、爆装はF15は外さない、空中給油機のその部分はそのままつけておきたい、こういうことですね。念のために最後に。
  160. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 この爆撃照準装置といいますか照準装置は、これはとることはできませんので、つけておきます。  それから空中給油装置も、将来の運用を考えましてつけておきたいというふうに考えておりま
  161. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 これについてはいろいろまた論議があるかと思いますけれども、私は私の持ち時間で、これで終わらしていただきます。
  162. 正示啓次郎

  163. 市川雄一

    市川委員 私は、横須賀にいま米軍基地の集約化が行われているわけですが、それに伴う返還財産の処理のあり方についてお伺いしたいと思うのですが、その質問に入る前に、先ほど防衛庁長官の御答弁にございましたが、GNP一%の問題でございますが、長官は、防衛予算をGNP一%以内に抑える、当面である。当面というのはこの四、五年である。四、五年というものを字義どおり受け取れば、これは昭和五十五年もしくは五十六年ということになるわけですね。しかし一方におきましては、PXLのP3CあるいはFXのF15という、こういう航空機の購入経費が、大型のプロジェクトの購入というものを抱えておるわけです。それのピーク時、先ほどのお話では五十七年ないし五十八年度、あるいは五十九年度と言われておりますが、そのピーク時においても一%以内におさまるのだ、こういうお話でございました。そうなりますと、当面四、五年という長官の御答弁は、これはP3C、F15が導入のピーク時においてもGNP一%以内におさまるのであるならば、四、五年でなくてもこれは七、八年、ピーク時七、八年と見ても一%以内におさまるわけでございます。そうなってきますと、長官のおっしゃられたこの四、五年というのは必要がなくなってきて、当面というのは七、八年という意味にしてもいいのじゃないかと思うのですが、その辺、長官のお考えはどうですか。
  164. 三原朝雄

    三原国務大臣 お答えをいたします。  当面を四、五年先にするか、七、八年先にするか、私どもはそれ自体を問題にいたしておりません。防衛計画大綱に基づいて日本の平和と独立を守る、防衛任務を達成するために防衛計画大綱で示されておる防衛力の整備が自主的に、計画的にできるかどうかということが私どもの一番心配するところでございます。それは防衛責任を果たすためにそうであるわけでございます。  しかしながら、いまGNPが、したがって四年先か五年先かというような点につきましては、私は現在の国際情勢あるいは国内の財政経済の状態等を勘案して、また各政策、国内におきます国民福祉の政策なりいろいろな農業政策なりあるわけでございまして、それらの関連というようなものを考えながら決めることでございますので、いまこれをGNPを、当面というのを四、五年先にするのが妥当ではないか、あるいは七、八年先にするのが妥当ではないかという点につきましては、私はいま申し上げましたように、これを七、八年先と解していただいても結構でございますし、平和の状態がこう続き、お互いがそういうことを考えなくても平和を満喫できるような状態でございますれば四年先が十年になりましてもという、私はそうした考え方のもとに立っておるわけでございます。したがいまして、私が申し上げております四、五年ということは、当面をどのくらいと見るかと言われるから、経済の総合対策というようなものが一応そこらあたりに置いておられるとするならばそこらあたりをめどにするということも適当ではなかろうかという点で四、五年ということを申し上げたわけでございます。  したがって、その時点になって、いま申し上げましたような平和状態が続き、いたしてまいりますれば、それを先に延べられるということもあり得ようというような考え方のもとに私は立っておるわけでございます。特に固定をして四年後とか五年後とかというような問題が中心であるわけではございません。ひとつそういう考え方、姿勢でおるということを申し上げておきたいと思うのでございます。
  165. 市川雄一

    市川委員 そうしますと、それでは国会で御答弁なさった当面は四、五年先と考えておるという御答弁を訂正されますか。
  166. 三原朝雄

    三原国務大臣 いま申し上げました姿勢でおりまするから、訂正をする考えはございません。
  167. 市川雄一

    市川委員 一方におきましては、航空機の購入経費が一%を超えるということを言うと、要するに野党の反発を招く、超えません。一方におきましては四、五年先から何とかこの一%という枠を取っ払いたいという御意思があるように見えるわけですね。そういう意味では、四、五年先、ちょうど在韓米軍の撤退がカーター大統領の言明によりますと大体完了する時期と見られている。あるいはP3C、こういう航空経費のピークがやがてやってくる。その辺のことをにらんでGNP一%という枠を何とか取っ払おうというお考え防衛庁長官におありになるのではないか。しかし一方では、それを言ってしまうとまずいからということで航空経費のピークのときにおいても一%は超えません、こうなってきますと、そこに非常におかしな矛盾というものがあるわけですが、どちらが本音なのか。いまおっしゃられたように七、八年でも構わぬということであれば、国会で御答弁なさった四、五年を七、八年でも結構でございますというふうに訂正なさるのかどうかというのが私の質問の意味でございます。どうでございますか。
  168. 三原朝雄

    三原国務大臣 私は防衛責任者として、国の平和と独立のため、国の安全のために防衛力の整備と取り組んでおるわけでございます。したがいまして、国際情勢なり国内の政治経済の状態あるいは諸般の施策との調和、そういう面から現在防衛計画大綱に示されておる防衛力整備を可及的速やかに整備をして国の安全を保持したい、責任を持たねばならぬという立場で私は防衛力と取り組んでおるわけでございます。したがいまして一%そのものが、あるいは何年間がどうだということよりも、そうした情勢判断というようなものがどうなっていき、実際にそういう判断に立って防衛力整備を責任を持ってやっていけるかどうかということが第一の私の問題でございます。  したがいまして、そういう立場から、先ほども申しておりまするように、いま数字にこれを当てはめてまいりますれば、当面ということを、いまの日本の経済総合政策が進めておられるその時点等をにらんでまいりますれば大体四、五年後くらいの判断はつくであろうというようなところから四、五年というような、数字をとるならばそこらあたりに焦点を当てても結構だと思います、しかしもっと突き詰めて判断をしていって一つの中期展望、十年ということが仮になされるとするならば十年というような展望に立つこともできないのかと言われれば、それもできないわけではございません、積算をしておりますということを申し上げておるような次第でございまするので、いま一%がどうであるとかあるいは私ども自身が一%を超えたい、そういうために云々をしておるというようなことではございません。私は、いま申し上げましたように、日本の平和と独立、国の安全を保持するために防衛計画大綱の中身を可及的速やかに自主的に計画的に進めたいという責任上の立場から申し上げておるということを御理解願い  たいのでございます。
  169. 市川雄一

    市川委員 いまおっしゃられた長官の論理を裏返してみますと、現在においては日本の平和と安全を守るに必要な防衛力はGNP一%以内でいいという判断をしている、しかし将来において日本の安全と平和を守るに必要な防衛力が一%を超えなければならぬと判断したときには、経済成長率とかそういうことに関係なく、やはり防衛大綱で決めた考え方を優先さしてGNP一%を超えてでも長官がお考えになっておられる日本の安全と平和に必要な防衛力の整備を優先さしてやっていきますよ、こういう意味にはっきり受け取れるわけですが、そういうふうに解してよろしいわけですか、どうですか。
  170. 三原朝雄

    三原国務大臣 防衛力整備には大前提がございますという一つの問題も申し上げました。国際情勢をどう判断をするのか、あるいは国の内外の情勢、特に財政経済の状態がどうであろうか、あるいは過去積み重ねてまいりました数年間の努力、そういうものの積み重ねた装備整備の経過等も踏まえてまいっておりまするので、いま申されましたような、ただその時期が来ればおれは一%から上乗せをしたいのだということだけでそういうようなことを言っておるのではございません。あくまでもそうした内外の諸情勢なり国内の諸施策との関係の調和というもの、私は防衛はあくまでも国政の一部分であるという、そうした総合的な判断をとらざるを得ないと思うわけでございます。したがって世界情勢なりあるいはアジア情勢が急に変化がございますれば、そのときこそ私どもがどうするかという判断をせざるを得ないというような立場でこの問題と取り組んでおるわけでございます。
  171. 市川雄一

    市川委員 それではその問題はまた次の機会にお伺いすることにしまして、最近横須賀ミッドウェーの母港化を初めとして基地集約化という問題が起きているわけですが、ことしの十月一日付で横浜防衛施設局長から横須賀市長あてにこういう文書が出ております。「横浜海浜住宅地区等の移転について」という文書でございますが、まず第一点は、横浜海浜住宅地区旧二号地区の代替住宅三百五十戸及びその関連施設についても横須賀海軍施設内に集約整理する、それから第二点は、陸軍の相模原医療センターのうち病院及びその付属機能を横須賀海軍施設内に整理縮小する、それについてどうですかということと、もう一つ含めて同じ文書の中には、この間国側としても、かねて横須賀市から要望されている長井住宅地区、稲岡地区及び海軍兵員クラブの返還を米側に強く要請したところ横須賀海軍施設内に適当な代替施設を建設することを条件としてこれら三施設の返還に応ずるとの米側の意向を得ましたというふうに書いてあるわけです。  施設庁にお伺いしたいのですが、これは、米側が返還して結構ですという意向を示したという三施設、この三施設の返還と横浜海浜住宅地区の横須賀への移転、それから相模原医療センターのうらの病院とその付属機能の横須賀への移転、これは条件ですか。そういう集約移転を横須賀がのめば三つの施設を返しますという意味ですか。それとも、そういう集約を拒否しても米軍は単独の意思で三つの施設を返還しますということですか。この点はどうですか。
  172. 亘理彰

    亘理政府委員 ただいま先生のおっしゃるとおりの申し入れを十月一日にいたしておるわけでございます。これはいま申されたいろいろの内容を含んでおるわけでございますが、一つ一つはそれぞれ違った内容のものでございますけれども、私どもはそのいずれにつきましても地元の円満な御了解のもとにこれを進めたいというふうに考えておるわけでございます。
  173. 市川雄一

    市川委員 条件かどうかということについてはお答えがないわけですが、政治的に見ると、これは条件と受け取った方が常識じゃないかというふうに私たちは理解するわけです。  それで、横浜海浜住宅旧二号地区、相模原医療センターの病院及びその付属機能の受け入れ、これは地元の自治体あるいは市民感情にとっては非常に受け入れがたい問題でございます。  第一点は、横浜市、相模原市の他市からそういう米軍の施設の集約を持ち込まれるという問題。したがって市民感情の反発が非常に強い。また、横須賀の米軍基地が強化されることによって市民の受ける精神的な重圧感、こういう問題がございます。あるいはもっと細々した問題を取り上げますと、米軍がふえることによってごみの処理代が自治体に加算されてくるとか、あるいは米軍人の増加によって周辺の犯罪が、住民とのトラブルが多くなってくる。こういうことからやはり市民感情としては非常に受け入れがたい、こういう面を持っておるわけです。  そこでお伺いしたいのですが、この返還までは施設庁がいろいろ中に立っておやりになっているようなんですが、返還後、これは所管が大蔵省に移ってしまうわけですよ。大蔵省に移ってからごたごたしてなかなか返還されたものが自治体の利用に供し得ないという実情があるわけですね。人口はふえてくる、小中学校は足らない、あるいは幼稚園も建てたい、公園もつくりたい、墓地もつくりたい、こういういろいろな事情が東京周辺の市にはあるわけです。そこへ米軍の提供財産が返還されてきて使いたい。使いたいけれども、結局大蔵省との折衝がうまくいかないために、五年、六年と返還されたまま放置されているという実態が神奈川県にはございます。  そこで、こういう集約化はやりますよ、それでそのかわりそれを受け入れれば三施設が返還されますよと、いわばあめとむちを両方用意されているような感じを受けるわけですが、実際詰めて考えてみますと、あめとむちじゃなくて、このあめは大蔵省に移った途端にまたなかなかこれは自治体が使えないという問題ですから、むらとむちになっているわけです、そういう意味では。そういう意味から、ぜひこの際はっきりしておいていただきたいわけですが、この文章の中にも「三施設の返還跡地については、貴市」、横須賀市という意味ですが、「貴市の要望に沿うよう当庁としても関係機関との調整に最善の努力をする所存であります。」こういうように書いてあるわけですね。いままでの返還財産の処理の経緯から照らして、何といっても要望は、第一には軍転法の、旧軍港市転換法の精神に基づいて無償で譲与してもらいたいということが第一点。第二点は、自治体の立てた転換計画、跡地利用計画をやはり十分に尊重してもらいたいということ。第三点は、そういう軍転審等の決定を早くしてもらいたい。これは五年も六年もほったらかしということでは何にもならないわけでございますから、少なくとも米軍から返ってきて、本当は一年と申し上げたいところなんですが、いろいろな手続を含めて二年ぐらいのうちには自治体が使える。  こういう三つの点。これはいままでの過去のトラブルに照らしてみて、こういうことがはっきりしないで、何かあめとむちみたいな形で持ってこられても地元では受け入れがたい。そういう点から施設庁として各関係機関に折衝をやってまいりますというお話でございますが、こうした自治体の立場を十分に理解して大蔵省なり何なりとの事前の折衝というものをおやりになる決意がおありなのかどうか、またそういうことをこれからきちっとなさるのかどうか、その点を承りたいと思います。
  174. 亘理彰

    亘理政府委員 いまお話しの横須賀市にあります長井住宅地区、それから海軍の兵員クラブ、それから横須賀施設内の稲岡地区の返還につきましては、地元から非常に強い御要望がありまして、それを受けまして、私ども米側に申し入れまして、この八月に移設を条件とする返還の意向が示されたわけでございます。したがいまして、私ども、これから相当の予算措置を伴うわけでございますが、移設をできるだけ早く進めまして、この代替施設が使われました暁にはこれが返還になるということになるわけでございます。  お話しのとおり、返還になりました場合には、これは普通財産として大蔵省の所管になるわけでございまして、最終的な処理は地元と大蔵省とのお話し合いが基本になるわけでございます。私も横須賀の市長さんにもお会いいたしておるわけでございますが、この問題のずっと長い経緯もございます。私どもといたしましては、返還になりました後の利用についての直接の権限を持っているわけではございませんけれども地元の御要望は十分に承っておるところでございまして、返還後の地元関係機関との協議、調整に際しましては、側面的にできるだけの努力をいたしたいというふうに申し上げておるところでございます。  なお、軍転法の精神というお話もございましたが、問題は、やはり後の利用計画のいかんということも一つの大きな点であろうと思います。市長さんからもおおむねの青写真は伺っておるわけでございますが、さらに具体的な計画を私どもも十分にこれからよく伺いまして、そうして地元の御要望の線に沿った処理がしやすいような計画になることも大事であろうと思いますので、その辺のところを私どももいろいろ市当局とも御意見を交換しながら、今後私どもとして地元の御要望の趣旨が達せられるように最大限の御協力はいたしたいというふうに思っておる次第でございます。
  175. 市川雄一

    市川委員 大蔵省の方がお見えになっていると思いますので、いまのこうした三つの、最小限こういう希望を強く持っておるということを申し上げたわけですが、どうも施設庁長官の方から、何か横須賀市が要望した基地が返ってくるだけのお話のようなんですが、そうじゃないということですよ。これは基地の集約化が来て、そのかわり、それだけでは受け入れられないだろうから、何とかこの基地を返してあげようという話で始まっているわけですから、ただ基地が返ってくるだけでしたらそれは全くおっしゃるとおりなんですが、そういう性格じゃないということを御理解賜りたい。  時間がありませんので、どうですか、こういう自治体の意向というものを十分に尊重しながらやっていくということについて、大蔵省の見解を承っておきたいと思います。
  176. 松岡宏

    ○松岡説明員 長井住宅地区等三施設の返還が実現した場合には、その跡地利用につきまして、地元横須賀市の利用要望などを十分考慮し、適切な処理を行ってまいりたいと考えております。  横須賀市へ処分を行うということになりました場合の処分条件につきましては、法令により認められた優遇措置を適用してまいるつもりでございます。また、返還後におきましては、処理の可及的速やかな取り運びに努めてまいりたい、こういう考え方でおります。
  177. 市川雄一

    市川委員 それで、いま松岡さんからお答えがあったわけですが、昭和四十七年三月に日本政府に返還された衣笠弾薬庫について、横須賀市ではこれを公園墓地として使いたいということで、五十一年度から五千万の予算措置をもうすでに講じているわけですが、大蔵省と、一万五千基という墓地の計画について、その算定基準等いろいろなことをめぐってどうも折り合いがつかないようでございます。厚生省に聞いたところが、厚生省でも別に、何万の人口に対してどれだけの墓地がなければならないとか、墓地をつくる場合に人口どのくらいに対してどうだとか、そういう算定基準は持っていない。恐らく大蔵省でもお持ちになっていないんじゃないかというように思うのですが、その辺の算定基準をめぐって大分やりとりがあるようですが、これはなるべく早く決めてほしいということと、現時点における大蔵省の基本的な考え方はどうですか、ちょっと伺いたいのです。
  178. 松岡宏

    ○松岡説明員 御指摘の衣笠弾薬庫跡地につきましては、横須賀市長より大蔵省に対して、これを公園墓地の用に供するため無償貸し付けしてもらいたい、こういう御要望を受けております。現在、この問題につきましては、大蔵省の出先に当たります関東財務局におきまして実務的な検討を進めている段階でございまして、横須賀市当局からもいろいろと細目的な事情の聴取を行っているわけでありますけれども、大蔵省といたしましては、実務的な検討を順次煮詰めまして、なるべく早い機会に結論を出したいと考えているわけでございます。
  179. 市川雄一

    市川委員 次に、問題を変えまして、横須賀の米軍のごみの処理、これをめぐって横須賀市長と米海軍横須賀基地司令官との間に、昭和四十七年二月七日に協定が交わされた。その協定文を読みますと、時間がありませんのでポイントだけ申し上げますが、久里浜倉庫地区を米軍日本政府に返還する、それを条件に、米軍から出すごみについては横須賀市で持ってもらいたい、こういう協定でございます。  恐らくその協定を結んだとき、いろいろ調べて聞いてみますと、久里浜倉庫地区が日本に戻ってくる、戻ってくれは当然自治体もそれが使える、したがって、いつまでたっても、返還、返還と言ってもなかなか返ってこないから、ごみ代を持って返ってくるなら返してもらいたいということで横須賀市はオーケーをした。ところが、久里浜倉庫跡地は返ってきたけれども、大蔵省と自治体の話が煮詰まらないために、自治体では全然返ってきたものは利用していないわけですね。市民には何もメリットは生まれていない。ところが、このごみ代だけは横須賀市が負担している。現在年間で約一千万ですが、ずっと調べてみますと、どんどん毎月のようにごみがふえてきている。  ということを考えますと、久里浜倉庫地区を返還するからごみ代は持ってくれという約束だった。ところが、日本政府には返ってきたけれども自治体にはまだ何も利用のメリットが生まれてないという現時点を考えますと、市民の出すごみは市民は有料で、米軍の出すごみは市が無料で請け負う、しかもそれまで市民が負担をしなければならないという、こういう矛盾が生まれてくるわけですね。そういう意味では、久里浜倉庫地区が正規の手続によって市に譲与されるまでの間、やはり国でごみ代はきちんと負担する、こういうふうにお考えになった方がいいんじゃないかと思うのですが、その点どうかということと、あわせて、その返還財産が市に譲与された時点で、もう一度国と市がその後のことについては話し合う、こういうことを考えているわけですが、施設庁として、こういう問題について市の立場を理解して努力していくというお考えはありませんか、どうですか。
  180. 亘理彰

    亘理政府委員 米軍施設のじんかいの処理についての経緯は、いま先生からお話のございましたように承知しておるわけでございます。当初は米軍施設内に処理場をつくろうという考えもないではなかったようでございますが、四十七年に久里浜倉庫地区の返還と絡めまして、ごみ処理を市の方にお願いをするという協定が基地司令官と市長さんとの間で締結されておるわけでございます。したがいまして、アメリカとの関係におきましてこの取り決めを変更してアメリカ側に負担しろと申すことは、実際問題としてなかなかむずかしいと思うわけでございますが、一方におきまして、いま先生からお話のございましたごみ処理の増加、それに伴う市の負担増ということもよくわかるところでございますので、施設庁といたしましてどういう措置をとり得ますか、まあストレートにごみ処理費用そのものを肩がわりする、こういうのは、いろいろ考えておりますけれども、なかなかむずかしいように思いますが、何らか解決策はないか、この点は私どもさらによく検討いたしまして、横須賀市御当局とも御相談いたしたいと思っております。
  181. 市川雄一

    市川委員 もう一つ。時間が迫ってまいりましたが、横須賀で米軍の犯罪が非常に住民との間にトラブルを起こしているわけですが、現地の方々に伺ったところによりますと、ことしの四月から九月までに、現地の住民方々が記録している問題だけでも、主なものを拾ってみますと、こういう問題が起きているわけですね。  四月二十五日午後八時、空母の米軍人三百人が乱闘、その間約二時間、商店街住民は戸を閉めて恐怖におののいていた。八月二日午後一時三十分、米軍人二人がけんかをして商店の柱を折り、その近くのある商店は二十九万に相当する損害を受けたが、逃げられてしまった。八月二十五日午後三時、米軍人三、四人が日本人に暴行を加えた。九月十五日早朝、米軍人一人が住居に不法侵入した。九月二十三日午後九時、米軍人二人が窃盗を働いた。あるいは一人が婦女暴行、全治二週間の傷を負わせた。九月二十四日午後十時、米軍人三、四人が住居を破損した。  こういうことがあの基地周辺で起きているわけですね。主なものを拾っただけです。その他、深夜に大声を出して歩き回ったり、軒下や玄関前でやたらと立ち小便をしたり、あるいはシャッターをけっ飛ばしたり、車や婦女子にいたずらをしかけてきたりということは日常茶飯に起きている。これから冬場に入って放火が一番必配である。  こうしたことが起きても、示談成立なんていうのはいい方で、ほとんど泣き寝入りのケースが多い。中には、戦前からずっと住んでいながら、こうしたことを苦にして引っ越した人もいらっしゃるというお話をこの間伺ったわけでございますが、こういう実態に対して、地元住民としては、一体米海軍の規律という問題はどうなっているのか。またSPも昔と違って、米軍人の犯罪に非常に甘くなっているのではないか。最近はパトカーに女性のSPが乗ってきており、すぐ逃がしてしまうケースもある。そういう意味でSPの規律というものにも非常に不信感を強く持っているわけです。あるいは現行犯で米軍人をつかまえたとしても、英語が話せないので、結局SPに引き渡すと、そのまま無罪になることが多い。したがって英会話のできる警察官を十分に配置してもらいたいとか、米艦船が入港すると一度に何千人という米軍人が上陸して、通称どぶ板通りと言われているところで飲み歩くわけですが、市民とのトラブルが非常に多い。したがってこういうときにはそれなりのパトロールの体制というものを十分に配慮してもらいたい、こういう声がかなり多くの町内にわたって起きているわけでございますが、国としてこういう問題をおつかみになっていらっしゃるのかどうか。十分認識をしていただきたいということと、一回把握をなさったらどうですかということを申し上げたい。  それからこういうトラブルの解決なんですけれども、現在神奈川県では渉外委員会というのが自発的に設置されて、米軍も入って、施設庁も入っておられると思いますが、こういうトラブルを話し合うことになっているのですが、米軍の方は、開くと苦情ばかり言われるのでかなわぬということで、開きたがらない。四十五年にこの委員会がつくられましたが、一、二回やったきりで、四十七年以降は一度も開かれてないというのが現状でございます。この種の問題は日米両国の主権、裁判権等にかかわる問題ですから、本来なら日米合同委員会で話し合って決めなければならないのだろうと思うのですが、日米合同委員会には下部機関が全然ないわけですけれども、こういう、特に基地周辺の住民とトラブルの多い地区については、もっと日米合同委員会の下部機関をきちんと正式に設けて、そういう住民の意向というものをよく把握し、住民の意向が十分に米軍に伝わって、そういうトラブルの解決ができるというようなことをお考えになる必要があると思うのです。この辺どうですか。施設庁と外務省お見えになっていると思いますが……。
  182. 亘理彰

    亘理政府委員 ただいま先生からお話しの横須賀周辺におきます具体的な事例につきまして、私十分に承知しておらなかった次第でございますが、私どもとしても自後の賠償措置等についてはかかわりがあるわけでございますので、十分に実情を横浜施設局を通じて調査をいたしたいと思います。  私ども立場は、これはそういう米軍人の公務外の非行に基づくものでございますが、これのいわば後始末についてかかわりを持ってくるわけでございまして、米軍人の非行そのものの問題はまた警察その他の問題だと思いますが、非常に関係がございますので、いまお話しの地元におきます委員会にも施設庁も加わっておるということでありますので、その辺の事情もよく確かめまして、関係当局と御相談いたしたいと思います。
  183. 中島敏次郎

    ○中島政府委員 ただいま先生指摘のような米軍人による非行が現地で横行しているとすればきわめて遺憾な状態だと言わざるを得ないと存じます。  先生のお話にもありましたように、この問題は基本的には、現地の警察が米軍と協力しながらコントロールしていく、その非行を防止するということが望ましい形だろうと思います。そして、現実に警察当局から米軍に対しても種々適切な措置がとられていることと存じます。ただ、おっしゃられるように、これが多発するというような事態になりますれば、必要に応じまして、あるいは外交チャンネルを通じ、あるいは合同委員会の場で米側の綱紀の粛正を求めるというようなことは従来もやっておりますし、また今後とも必要に応じて適宜やっていきたいというふうに考えております。
  184. 市川雄一

    市川委員 警察庁の方、お見えになっていらっしゃいますか。
  185. 新田勇

    ○新田説明員 私どもが把握いたしております横須賀警察署管内における米軍人等の刑法犯検挙数でございますが、これは発生数ではございませんで検挙数でございますが、ことしの一月から九月までの間に合計五十五件、四十四名ございます。窃盗が四十一件、二十八名と大変多うございます。  手口的には、オートバイ盗、自転車盗、万引、しかもそれが酒に酔っているということで、御指摘のとおりの情勢であろうかと思います。  こういった情勢に対しまして、私どもは、たとえば軍艦が入港するというようなときには、必要に応じて警戒警察官の数をふやすというようなことをいたしておりますし、またアメリカ側に対しましてSPの待機数の増を求めているわけでございます。ただ、SPの区域外における職権行使につきましては、住民感情もあり、一概にすべてを認めるわけにはいかないということとなっているわけでございます。  なお、ことし一月から五月までの間に、米軍人の特に窃盗でございますが、例年に比べましてその数が多かったために、六月上旬に横須賀警察署長から米海軍横須賀基地の責任者に対しまして、外出の際のオリエンテーションについて強化を申し入れをいたしております。  それから、先生指摘の神奈川県の渉外委員会の件でございますが、私ども承知しているところによりますと、県知事部局の渉外部が主宰している渉外連絡委員会というのがあって、警察もメンバーの一員として参加いたしております。扱われる問題は地域レベルの問題ということで、中央に上げるまでもない問題をそこで取り扱っていると聞いております。最近の開催は一応一月十七日ということでございますが、警察の問題は取り上げられた事例を聞いておりません。しかし、こういった過去の経緯にとらわれず、もしこの委員会の場がふさわしいということであれば、この委員会に諮りまして、この委員会を通じての解決ということについて積極的に利用してまいりたい。神奈川県警でもその意向でございますので、そういう方向で指導してまいりたいと存じております。
  186. 市川雄一

    市川委員 これで終わりますが、要するに、何となくどうなるのかわからないような御答弁ばかりなんですけれども、一つは、現実的にはまず県の渉外委員会をしっかり開いてもらうということですね。  もう一つは、警察で、そういう公式な報告だけではなくて、こういう住民の強い要求があるのですから、一回きちんと地元の連合の町内会なり何なりと米軍の犯罪についての苦情、不満、そういうことについてしっかり聞いてもらう。聞いてもらって、渉外委員会なら渉外委員会を一回きらんと開いて、米軍側にその実情を知らせる。知らせて、話し合った結果を住民にきちんと報告する、こういうことをきちんとやっていただきたいと思うのです。そのことを一つは御要望申し上げたいことと、要するに基地が集約化してふえるということは、文書の上では簡単ですけれども、いつ基地が返ってきますよ、こちらでじゃ受け取ってくださいという一通の文書でございますけれども、実際に基地のふえる住民あるいは自治体にとっては、こういういろんな問題を抱えているのだということをよく御理解をいただきまして、大蔵省を初め返還財産についての自治体の意向というものを十分に尊重するという政治をやっていただきたいということを要望しておきたいと思うのです。  最初に言った渉外委員会を開く、住民の意向を聞く、米軍と話し合った結果を知らせるということをどこで責任を持って推進してくださいますか。警察庁ですか、どうですか、施設庁の方でやりますか。それだけ承って、質問を終わりたいと思います。
  187. 新田勇

    ○新田説明員 施設庁と話し合って決めたいと思います。
  188. 市川雄一

    市川委員 施設庁長官、どうですか。
  189. 亘理彰

    亘理政府委員 私ども別に責任逃れをいたすわけではございませんが、事故が起こりました後の補償の問題を担当しているわけでございます。したがって、犯罪事犯の防止そのものにつきましては警察庁の所管であると思いますが、いずれにしましても、関係機関でよく相談をいたしまして、しかるべき措置をとらなければならないと考えております。現地レベルで十分に話が進まない場合には、外務省にお願いして外交チャンネルでさらに話を進めるということであるかと思います。
  190. 市川雄一

    市川委員 警察庁に強く要望しておきます。  では、終わります。     —————————————
  191. 正示啓次郎

    ○正示委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本案審査のため、本日、日本住宅公団副総裁上林英男君に参考人として御出席を願い、御意見を聴取することにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  192. 正示啓次郎

    ○正示委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、参考人からの御意見は質疑応答の形式でお聞きすることにいたしたいと存じますので、さよう御了承願います。
  193. 正示啓次郎

    ○正示委員長 質疑を続行いたします。山花貞夫君。
  194. 山花貞夫

    山花委員 私は、米軍事基地跡地の問題についてお伺いしたいと思います。なかんずく、先月の三十日完全に機能を停止して、その後の返還と跡地利用の問題が話題となっております立川基地に関する問題を中心に伺いたいと思います。  昨年の六月二十一日でありますけれども、蔵相の諮問機関である国有財産中央審議会が、首都圏の米軍跡地の利用方法についていわゆる三分割有償の方針を答申いたしました。答申の内容となっておりましたのは、すでに地元に払い下げが決定されておりました北富士の演習場を除きまして、いわゆる関東計画に基づいて日本に返還される水戸の射爆場、立川飛行場、府中の空軍施設、ジョンソン飛行場、関東村住宅地区、キャンプ朝霞、この六施設に大和の空軍施設、キャンプ渕野辺、横浜海浜住宅地区、この三施設を加えた九施設であったわけであります。  さて、ここで答申の中身となりました三分割有償の方式については、これまでこうした基地の跡地について全面的な無償返還を要求してまいりました地元の自治体と住民の期待を完全に裏切る内容となりました。さまざまな反対運動がこれまで起こったことについては、御承知のとおりと思います。それぞれ把握されておることと思いますけれども関係各自治体、あるいは市議会を含めまして三分割有償方式の撤回を求める意見書や反対決議というものが、現場におきましては超党派、全会一致で採択されて、その声が大蔵省や防衛庁防衛施設庁などに届いているはずであります。  たとえば、全国の市長会あるいは防衛施設全国協議会、あるいは基地を抱える十四都県で構成している渉外関係知事連絡協が、去年の十二月二十七日、また本年の一月十八日に申し入れ書を大蔵省に提出している、こういう事実もありました。本年に入りましてからはそうした動きが大変活発になりまして、二月二十八日には、これは大蔵大臣その他にあててでありますけれども、関東ブロックの春闘連絡会議、東京春闘共闘会議あるいは三多摩春闘共闘会議が申し入れを行いました。三月十五日におきましては、立川基地の三分割有償反対立川、昭島市民集会、これには与党の議員も出席しておりましたけれども、超党派で決議をいたしまして、これまた大蔵省、その他関係官庁に意見を提出いたしました。最近では、十月の十四日でありますけれども、自治法の九十九条二項の規定による意見書が東京都議会から、これまた超党派による全会一致の採択を基本といたしまして提出されました。さらに、五十二年九月、これは大変大きな出来事だとわれわれはとらえておりますけれども、東京都、立川市、昭島市の立川基地跡地利用計画が決定されまして、これも関係官庁に届けられている。こうした経過があるわけであります。  そこで、私はまず冒頭お伺いしたいと思うのですけれども、大蔵省は三分割有償の答申を受けて以後今日まで、いま私がほんの一部だけ指摘いたしましたけれども、三分割有償に対する反対の地元自治体あるいは地元住民の意見というものをどのようにこれまで受けとめてこられたのかということについてお伺いしたいと思います。
  195. 松岡宏

    ○松岡説明員 米軍提供財産の返還後の利用に関しまして、国有財産中央審議会からいわゆる三分割方式の答申をいただきましたのが、御指摘のとおり昨年の六月二十一日でございます。大蔵省といたしましては、この方式を行政運営上の指針としつつ、個々の財産ごとの具体的利用計画の策定に当たっては弾力的な姿勢で臨み、地元地方公共団体等の関係者と十分に話し合って適切な利用計画を策定してまいりたいと考えている次第でございまして、本答申以降、機会あるごとに大ぜいの関係者の方と十分なお話し合いを続けてきている次第でございます。  地方公共団体の中には、三分割方式の原則に対してなお異論もあるようでありますけれども、このような国の現実的な姿勢に呼応いたしまして、具体的な話し合いに入りたいと申し出ているところも幾つかございまして、近い将来返還財産の利用計画についての話し合いがより具体的に、また実りある形で進展することを期待している段階でございます。
  196. 山花貞夫

    山花委員 事の推移を大蔵省の立場で、いわば大蔵省流にとらえている、こういうふうに私は伺いました。  次の質問に移る前に重ねて概略御説明いただきたいと思いますけれども、それでは、これまで一年余の間三分割有償の答申に基づいて具体的にどのように手続が進められてきたのかということについてお答えいただきたいと思います。
  197. 松岡宏

    ○松岡説明員 答申をいただきまして以降、残念ながら地方公共団体側は、このいわゆる三分割方式の原則的な考え方に反対という態度をとり続けてこられたわけでございますが、大蔵省といたしましては、原則論の是非ということで抽象的な議論を繰り返しておりましたのでは一向に成果が望めませんし、大事な跡地がいつまでもたなざらし、こういうことになるわけでございまして、そういった抽象的な議論は一時お預けにして、それぞれの具体的な跡地ごとに個別の検討に入りたい、こういうことで関係者への話し合いの呼びかけを一貫して続けてきているわけでございまして、最近に至りましてそういった動きに相呼応してくださる地方公共団体も散見されつつある、こういう段階に達した次第でございます。
  198. 山花貞夫

    山花委員 抽象的な議論では事が進まないというのは、まさにそのとおりだと思います。しかし、いまお答えになった中身は、現実の形で見ますと、地元の窮迫に乗じて大蔵省の方針を強要しているという結果が出てきつつあるのではないか、私は、これまでの各地域における経過を振り返って、そうした感じを持たざるを得ません。いま抽象的ではだめだというならば、私は具体的に伺ってまいりたいと思います。  答申につきましては、三分割有償、一つ有償問題というのがいま大変大きな壁となっていることについては御説明の中にもありました。答申の内容を読んでみますと、なぜ有償にするのかということについて二つの理由が付されていると理解されます。一つは、関東計画を進めていく中で、移転経費がかかるから、その裏づけをしなければならない、したがって有償が原則になるのだというのが一つの観点だと思います。もう一つは、基地を持っていない他の自治体との公平を欠いてはならない、したがって有償でなければならない、こうした理由というものが付されているというように私は理解しています。  もし間違っておりましたならば御訂正いただいても結構だと思いますが、さて、そう理解をいたしますと、先ほど私が指摘いたしましたような、対象となった跡地は、関東計画に必要な移転経費をあがなう、こういう側面を持ってくるはずであります。そういたしますと、これまで関東計画、ほぼ完了したと私ども理解しておりますけれども、一体どのくらい金がかかったのか、この点について、施設庁になるのでしょうか、お答えいただきたいと思います。
  199. 亘理彰

    亘理政府委員 いわゆる関東計画に基づきます施設工事、各種のものがございますが、その全体の経費は、これは大体本年度で終わるわけでございますけれども、五十二年度の執行予定額、事務費等も含めまして約四百三十三億円という見込みでございます。
  200. 山花貞夫

    山花委員 一つの考え方の基準がそこで出てくるのではないかと思います。必要な経費が四百三十三億である。とするならば、有償によって一体どれだけの金が必要なのか、こうした考え方が当然出てくるのではないでしょうか。従来の有償方式によって試算をいたしますと、莫大な金が地元自治体に負担としてかかるわけであります。  典型的な一例でありますけれども、入間市の場合、数年前から駅前の遊休米軍跡地約三千平方メートルの返還を働きかけて、一昨年やっと払い下げが実現して、昨年三月支払いを完了したと伺っています。坪当たり単価約七十万、国が買い取った当時の値段が約九十銭、結論的には七十七万倍以上の価格で地元に引き取らせている、こういう事例が出てくるわけであります。これは私ども調査でありますので、御訂正いただいても、もしあるとするならば結構でございますけれども、こうして現実の金額で試算をいたしますと、莫大な経費が地元自治体にかかってまいります。したがって、三分割有償について議論をする前に、三分割有償ということでは現実には地元自治体が土地を取得することが困難であろう、こういう議論がいま出てきているわけであります。  たとえば立川基地の場合について一例考えてみると、昭島の市役所の年間の予算百億千三十万円、ところが、これを時価で買い取る、あるいは国土庁の評価した金額で買い取るということになりますと、八百五十一億円かかる、一般会計の予算、金全部をつぎ込んでも約八年かかる、こういうような計算を地元自治体はするわけであります。また、立川基地全体ということになりますと、莫大な金が地元にかかっていく、こういう形で、有償の原則というけれども、現実には赤字財政に苦しんでいる地元の自治体が買い取ることが不可能な中身を持っているのではないか、このように考えるわけですけれども、その点、大蔵省はどのようにお考えでしょうか。
  201. 松岡宏

    ○松岡説明員 それぞれの基地跡地におきます土地の時価あるいは土地の評価ということにつきましては、これは刻々変化する計数でございますので、いまの段階でどういう数字かということは申し上げられないわけでございますけれども、そこのところの見方がまたいろいろと分かれるかと存じます。ただいま先生が御指摘になりました数字それ自体として私ども了承するというものではございませんけれども、処分代金がどうなるだろうかということにつきましても、利用計画の中身に応じましていろいろ変化してきているわけでございまして、一概に申し上げることがなかなかできない、こういうことでございます。
  202. 山花貞夫

    山花委員 先ほど、抽象的な議論では事が進まない、こうおっしゃいました。したがって、私は具体的に三分割有償という大蔵省のたてまえでも結構だから、一体どのくらい地元に負担がかかるのかということを実際に一つの基準を示してもらいたい、こういうことを申し上げました。これは従来からの自治体の要求でもあるわけであります。ところが大蔵省の方では、そこになりますと話が抽象的になる、私はそう考えざるを得ないのであります。なぜ具体的に幾らかかるということが数字としてはじき出せないのでしょうか。この点について重ねてお伺いしたいと思います。
  203. 松岡宏

    ○松岡説明員 跡地を処分した際の売却代金収入がどのくらいになるかというお尋ねでございますけれども、跡地の利用目的に応じまして法令上の優遇措置内容が違うわけでございます。したがいまして、跡地の利用計画が固まってまいりませんと、この跡地についてどれだけの売却代金収入があるかということは計算できないわけでございまして、現在のようにこれから利用計画について関係者が話し合いを進めていくという段階で、処分収入がどうなるかということを数字をもって断定的に申し上げることは無理であるということでございます。
  204. 山花貞夫

    山花委員 跡地の利用目的がはっきりしないとむずかしい、こういうようにお答えならば、できるだけ話を具体的にするために、具体的な項目ということを頭に置きましてお伺いしたいと思います。  答申によりますと、「返還財産の処分に際しては、原則として有償処分とし、法令上優遇措置の認められる用途に充てる場合は、その優遇措置の適用限度について、すべての返還財産を通じ、統一を図ることとすべきである。」このようになっているわけであります。ここで「法令上優遇措置」というのは、たとえば国有財産法及び国有財産特別措置法、この内容として盛られている優遇措置などを指すものと理解いたしますけれども、具体的にたとえば小中学校の場合、国有財産特別措置法によりまして一体地元に土地を引き渡す場合の代価についてはどういう仕組みになっておりますでしょうか。
  205. 松岡宏

    ○松岡説明員 答申におきまして優遇措置の適用限度を統一するというふうにうたわれたわけでありますが、大蔵省といたしましてはその適用限度の具体的な内容といたしまして、対象面積の二分の一という基準を打ち出しているわけでございます。人口急増地域の小中学校につきましての優遇措置は無償貸し付けということでございますから、これを大蔵省の打ち出しております基準に当てはめて申し上げれば、小学校あるいは中学校として利用していただく土地の半分の面積につきましては時価で売り払い、残り半分の面積につきましては無償貸し付けを行う、こういうことに相なる次第でございます。
  206. 山花貞夫

    山花委員 いまのお答えは三分割有償方式に従った大蔵省の基準である、こういうことではないでしょうか。
  207. 松岡宏

    ○松岡説明員 そのとおりでございます。
  208. 山花貞夫

    山花委員 しかし、従来から存在している——特に、昭和四十八年六月二十二日に附帯決議が付されました。「米軍提供財産の返還後の処理については、国民の福祉に役立つ公用・公共用に優先的にあてることを原則とし、できるだけ住民の意思を反映させ地域の再開発、住民福祉の向上等に資するよう配慮すること。」こうした特別決議が付されております国有財産特別措置法の第二条第二項によりますと、児童、生徒の急増その他の特別地域として政令で定める地域については無償で貸し付けるということになっているのではないでしょうか。すなわち、私が申し上げたいのは、従来の法令によって無償で貸し付けるというものについて、今度の三分割有償の答申を受けた大蔵省が出している基準によりますと、半分は時価で買い取らなければならない、かえって高くなっている、こういうことになっているのではないでしょうか、いかがでしょうか。
  209. 松岡宏

    ○松岡説明員 御指摘のように、国有財産特別措置法の第二条によりまして、児童生徒急増地域の小中学校用地につきましては無償貸し付けすることができると規定されているわけでございます。この規定は、することができると規定されておりますように、大蔵大臣の裁量を認められた規定でございまして、いついかなる場合にも無償貸し付けしなければならないという意味ではございません。無償貸し付けすることもできるということでございます。  そこで、先ほど先生御自身御指摘になりましたように、返還財産につきまして多額の移転経費がかかっていること、及び返還財産の存在しない他の地方公共団体とのバランス、この二つの観点から、この法律の適用に当たりまして半分までを優遇措置の適用として認める、残り半分は時価処分でいきたいというのが大蔵省の三分割答申を受けた後における方針でございます。
  210. 山花貞夫

    山花委員 いまの御説明は若干わかりにくいわけであります。しかし、要するに現実の運用については別にいたしまして、われわれはそれは不当な運用だと考えておりますけれども法律の規定ということを基準として考えていきますと、小中学校用地については、現在は国有財産特別措置法の第二条二項において無償貸し付けが明記されているけれども、今度の答申をもととした大蔵省の考えている基準によれば、二分の一は時価で払わなければ取得することができない。法律的にはそうなったのではないでしょうか。
  211. 松岡宏

    ○松岡説明員 国有財産特別措置法第二条の具体的な運用に当たりまして大蔵省が打ち出しました基準でございます。
  212. 山花貞夫

    山花委員 いまの回答でも、私の言っている趣旨を認めているのか認めていないのかということか——法律の規定と、われわれは不満であるけれども現実に大蔵省が運用しているそういう運用、これをごちゃまぜにしてお答えになっているから、そういうお答えになるのではないかと思うのです。私は、現在の特別措置法に従って現実の運用の中で何割負担している、させているということは別として、特別措置法のたてまえとしては「無償で貸し付けることができる。」小中学校についてはそうなっているのではないでしょうか。高等学校については特別措置法の三条一項でありますけれども、「五割以内を減額した対価で譲渡し、又は貸し付けることができる。」こうなっているはずであります。あるいは公園用地については、これは国有財産法でありますけれども、第二十二条一項によりまして「無償で貸し付けることができる。」こうなっているはずであります。裁量の問題と運用の問題は、その次の問題であります。法律の規定は「無償で貸し付けることができる。」あるいは五割以内の減価で譲渡することができる、あるいは「無償で貸し付けることができる。」となっている小中学校、高校、公園用地について見れば、小中学校については無償貸し付けの規定があるけれども、今度の基準によれば二分の一は時価である。高校については五割以内の減額譲渡が法律で書かれているけれども、今度の基準によれば二割五分の減額ということになっている。公園については無償貸し付けということが国有財産法に規定されているけれども、今度の基準によれば面積の二分の一は時価で渡すということになっている。すなわち、いまある法律のたてまえよりも一歩も二歩も後退しているというのが三分割有償の原則に基づいた大蔵省のつくった基準ではないでしょうか。
  213. 松岡宏

    ○松岡説明員 法律の条文はただいま先生が御指摘になったとおりでございます。その条文のたてまえと申しますのが、それぞれすることができるということでございまして、最高限度優遇措置を適用する場合にはそこまでいくことが許される、しかしながら最高限度でなくて、ある一定限度当該条文を適用する場合には、残りの部分について時価処分という部分が残ってくる、こういう関係がこれらの法律条文のたてまえでございます。
  214. 山花貞夫

    山花委員 既成事実をもとに説明をされますからおっしゃるようなことになると思います。ただ私は、具体的にということの問題もありましたので、申し上げたいと思うのですけれども、従来の国有財産法とかあるいは国有財産特別措置法によって、たとえば立川基地、東京都と昭島市と立川市が三者で原案をつくりました。この部分について計算をいたしますと、従来の法令のもとで計算した場合には約二千九十億の金が地元にかかる、こういう試算が出されているわけであります。ところが三分割有償方式に従って大蔵省が出してきている基準によりまして計算し直しますと、二千九十億円では地元に土地が入らないのであって、約二千六百九十億円かかる、二割五分ほど高くなっているわけであります。三分割有償ということによりますと、従来の法律のたてまえよりも二割五分高く金を出さなければ土地が手に入らない、こういう問題が出てきているわけであります。私は具体的な数字を挙げて申し上げたわけですけれども、大蔵省の方で具体的に数字で、そうではないのだ、立川の基地ならば駅の周辺は幾らぐらいである、奥の方は幾らぐらいである、したがって、計算すればこうなるのだ、こういうように御説明いただければ納得する部分があるかもしれませんけれども、それを全く示しておかないとするならば、われわれのような疑問が生ずるのは当然ではないでしょうか。具体的に、たとえばどこの地域につきましてはおよそ基準は幾らぐらいであるということを明示されることが今後の地元との折衝の中でこれまで困難となっていた問題点を解決していくかぎになるのではないかと思いますけれども、その点はいかがでしょうか。
  215. 松岡宏

    ○松岡説明員 個々の跡地ごとに具体的な利用計画の話し合いということで地方団体と地元関係者と大蔵省との協議が開始されますれば、当然具体的な話し合いといたしまして、この土地についての時価の見当づけはどんなものであろうか、そういったような話題にも及び得るわけでございます。時価が幾らかという問題はなかなか軽々に数字を出して言うこともむずかしいわけでございますけれども、個々の跡地ごとの話し合いということであれば、そこはいろいろとお話を進めることができるのではないかというふうに考えております。
  216. 山花貞夫

    山花委員 実は全体の時価基準あるいは有償の中身についてもっと具体的に大蔵省に説明してもらいたい、こういう要求が大変強いというように私は聞いているところであります。実はそういう問題を含めて、どうも地元の意見を余りにも聞かない、三分割有償反対の問題についても大蔵省の方針と矛盾するからということで歯牙にもかけないというのが大蔵省の従来の態度ではなかったか、こういうように感ぜざるを得ないわけであります。  具体的な問題に立ち戻ってまたお伺いしたいと思いますけれども、立川基地の問題について伺いたいと思います。  立川は、東京のいわゆる多摩の地域にあるわけですけれども、これまで約一千六百万七千平米の軍事基地がありました。首都の近郊にこれだけの軍事基地があるということは世界に例のない異常な事態だと思います。一千六百万七千平米ということになりますと、三多摩には二十六市がありますけれども、その中のほとんどの市よりも広大な面積ということになります。一番小さい方ですと狛江市というのがありますけれども、東京に近い方ですが、約六百十五万平方メートルでありますから、狛江市二つ半分くらい、田無市というのが六百八十九万平方メートルでありますから、田無市約二つ分くらい、これだけの基地が実はあったわけであります。返還されるのは、東大和、関東村、これが約二百二十七万平米返還されましたけれども、まだ残っている土地だけでも計算いたしますと、一千三百七十三万平方メートル、こういう広大な基地が軍事基地としてまだ多摩地区には残っているわけであります。その中の中心は、何といっても横田と立川であります。立川基地について、先月の三十日に米軍が基地としての機能を停止させた、そして、新聞によりますと、大体一月中には返還が予定されている、こういう報道を聞きまして、地元としてはさてこの跡地はということで、いま関心が高まっているところであります。  跡地利用について伺う前提といたしまして、この立川基地につきましては、具体的に一体いつごろ返還の手続が進められて完結するのかということについて、手続と時期の問題をお伺いしておきたいと思います。
  217. 高島正一

    ○高島政府委員 お答えいたします。  立川基地につきましては、ただいま先生お話しのとおり八月末をもって機能を停止いたしております。現在米軍は、立川基地からいわゆる撤収作業をやっております。現在立川基地におります米軍というのは、ほとんどが住宅地区であったわけでございますが、その住宅地区からいま移転をほぼ完了したというふうに聞いております。  そこで、具体的な返還の手続になりますが、返還ということになりますと、やはり若干の民有地が含まれておりますので、その民有地の所有者の方々には一カ月程度の予告期間というものがございます。私どもといたしましては、そういう点を勘案いたしまして、現在米側と交渉を進めておるところでございますが、具体的には、少なくとも年内には返還が実現するであろうというふうに考えておるところであります。
  218. 山花貞夫

    山花委員 年内にと伺いましたけれども、実はもう少し具体的に手続を伺いたいとも思うのですけれども、時間の関係がありますので先に進みます。  返還後の跡地の利用について、すでに各関係官庁から希望が出ておると伺っています。きょう、それぞれの担当の省庁にお願いしてありますけれども、跡地利用について、従来いつごろ、どのような内容の跡地利用計画というものを提出されているのかということについて伺いたいと思います。  まず建設省から伺いたいと思いますが……。
  219. 三好勝彦

    ○三好説明員 お答えいたします。  建設省といたしましては、昭和記念公園、これは仮称でございますけれども、この構想のもとに、これは天皇陛下御在位五十年を記念して、都市における生活環境の改善、公害及び都市災害に対する安全性の確保等を図るため、国営公園として設置するもので、現在適地を選定中でございます。この仮称昭和記念公園の構想の基本は、緑の回復と人間性の向上というところに置いております。このため、候補地の一つといたしまして立川基地跡地を挙げておりまして、その一部を昭和記念公園として利用することにつきまして、現在事務的レベルで国土庁を初め関係省庁と協議中ということでございます。
  220. 山花貞夫

    山花委員 建設省にもうちょっとお伺いしたいと思うのです。いまのお話によって、公園計画は現在国土庁とも相談して打ち合わせをしておる、こういうことでしたけれども、来年度大体どの程度の計画を具体的な作業としてお持ちになっているのかということについて、わかっている範囲でお教えいただきたいと思います。
  221. 三好勝彦

    ○三好説明員 来年度におきましては、工事に一部着手するという考えにおいて計画を進めております。
  222. 山花貞夫

    山花委員 工事に着手するということになりますと、予算の関係も出てまいりますけれども、予算の概算要求その他についてはすでに部内打ち合わせが進んでおるのでしょうか。お話しいただける範囲で結構ですけれども、お話しいただきたいと思います。
  223. 三好勝彦

    ○三好説明員 工事に着手することを前提といたしまして、予算要求をいたしております。
  224. 山花貞夫

    山花委員 あと関係官庁にお伺いしたいと思うのですが、文部省の関係、お願いします。
  225. 佐藤譲

    ○佐藤説明員 計画といたしまして東京大学がございますが、東京大学から報告を受けているところによりますと、数年前から研究教育体制の改革と関連いたしまして、キャンパス問題がずいぶん大きな問題になっております。そういうことで、立川基地跡地利用につきまして東京大学が構想いたしておりますところによりますと、理工系学部の一部を除いたもの、理工系の研究所、共同利用センター、管理施設、それからその他といたしまして、新規に総合大学院構想だとかメディカルセンター構想などを持っておりまして、三百三十ヘクタールにつきまして、利用計画を立てている状態でございます。
  226. 山花貞夫

    山花委員 国鉄の関係について御説明をお願いします。
  227. 井上六郎

    井上説明員 お答え申し上げます。  中央線沿線の人口増加に伴いまして、三鷹以西の輸送力の増強が必要となりつつございます。都知事並びに沿線公共団体からも、同様な輸送力増強の要望がなされておるわけでございます。この中央線の輸送力増強のためには車両の増備が必要となってまいりますので、そのために、増備車両に対しまして新たな車両基地が必要となってまいります。位置につきましては、今後の三鷹以西の輸送力増強対策、あるいは立川駅で青梅線と中央線が分岐しておるというふうな事情から、立川駅から電車の出入ができるようにする必要がございまして、その適地として米軍立川基地の跡地が非常に適しておるということでございまして、必要面積は約十七万平米、車両数約四百両程度に対応するものということで、運輸省を通じまして関係方面にお願いしておるということでございます。
  228. 山花貞夫

    山花委員 日本住宅公団関係、お願いいたします。
  229. 上林英男

    ○上林参考人 立川の基地跡地につきましては、まだ公団といたしましては具体的な計画を立てるに至っておりませんけれども、住宅公団の住宅の適地であると考えておりますので、関係方面にその転用方をお願いをいたしております。
  230. 山花貞夫

    山花委員 あと防衛庁防衛施設庁、これはどちらになりますでしょうか。自衛隊の基地として跡地の利用をこれまで希望された案を大蔵省などに出しているかどうか、この点についてお答えいただきたいと思います。  念のために申し上げておきますけれども、私がお伺いしておるのは、跡地の利用に関してということでありますので、暫定的な使用ということではありません。跡地の本利用ということでありますので、その点についてお答えいただきたいと思います。
  231. 平井啓一

    ○平井政府委員 立川飛行場は御承知のとおり、現在陸上自衛隊東部方面隊航空隊が使用しておりますが、近くあの飛行場が米軍から返還になりました後、その跡地の一部を現在のような状態で陸上自衛隊東部方面隊航空隊に使用させたい、そういうふうに考えております。この点につきましては、かねてから大蔵省の方にもその希望を申し出ておりますが、過日、国有財産関東地方審議会において答申を得ました内容も当面は一時使用ということでございますが、防衛庁の希望といたしましては跡地利用の中においても同規模のものを使いたい、そういうふうに希望を申し出ている次第でございます。
  232. 山花貞夫

    山花委員 実は私が、きょうの国会質問の準備ということもありますけれども、お伺いした中では、暫定使用についての希望は出していました、しかし後の本格的な使用についてはということでは、防衛庁からも防衛施設庁の方からもお返事をいただけませんでした。いまのお返事は、要するに現在ある自衛隊について暫定の使用ということではなく将来ともに約同面積を使用していきたい、こういう希望をすでに出しておる、こういうように承ってよろしいわけですか。
  233. 平井啓一

    ○平井政府委員 要式行為と申しますか、書面でもって手続をとりましたのは、今回の国有財産関東地方審議会において答申を得ました内容に関するものとして手続をとっておりますが、恒久使用の面につきましては正式の書類でもってはまだ提出しておりません。
  234. 山花貞夫

    山花委員 書類で提出していないということでありますけれども、先ほどの答弁といまの答弁、総合して伺いますと、口頭その他何らかの手段によって大蔵省には恒久使用をすでに申し出ているというように承りました。それは一体、いつごろどのような方法によって希望を伝えたのかということを御説明いただきたいと思います。
  235. 平井啓一

    ○平井政府委員 昨年あたりから立川飛行場の返還の見通しが相当具体的になってまいりましたので、大蔵省理財局と打ち合わせをいたしました。口頭でもって先ほど御答弁申し上げましたような内容の希望を申し出ておる経緯でございます。
  236. 山花貞夫

    山花委員 大蔵省の側にお伺いいたしたいと思います。いまの内容に間違いありませんでしょうか。
  237. 松岡宏

    ○松岡説明員 ただいま平井参事官より御答弁申し上げた内容のとおりでございます。
  238. 山花貞夫

    山花委員 そういたしますと、今度の関東地方審議会における十九日の審議とその中身につきましては、跡地利用が決まるまで暫定的な使用である、こういう中身であったはずであります。ところがきょうのお話を伺っていますと、すでに恒久使用の要求を大蔵省に出している。私は従来から課長にそういう問題についていろいろな機会にお伺いしてまいりましたけれども、そういう御説明は一度だにありませんでした。その点については否定をされてまいりました。われわれはそうした従来の態度についてどう処理するかということについては、この委員会の席のほかで考えたいと思います。  しかし、従来否定しておったけれども、きょうの委員会で持ち出したということ、そのことは別にいたしまして、恒久使用ということを前提として十九日の関東地方審議会で暫定使用を認めたということは、三分割有償の方式と言いながら、しかもその三分割有償方式についてはきょうわざわざ関係省庁の皆さんにいらしていただきまして、それぞれの希望を伺いました。伺った中で、国土庁なども首都圏整備の観点から全体の調整をした中で将来その内容というものが決定されるものである、われわれはこういうふうに考えておったわけであります。しかし現実には暫定使用ということですでに自衛隊が使い始めている。同じ場所を将来とも永久的に、恒久的に使おうということをすでに大蔵省に伝達していたということであるとするならば、いろいろな省庁にいろいろな意見を出させている、あるいは東京都や昭島や立川からいろいろな意見を集めている。形式は整えているけれども、現実にはすでに大蔵省として立川飛行場を恒久的に自衛隊に使わせているということを決定したと同様ではないでしょうか。そう理解せざるを得ないのですけれども、いかがでしょうか。
  239. 松岡宏

    ○松岡説明員 十月十九日の国有財産関東地方審議会において答申を得まして決定しました方向というのは、この立川基地跡地の本格的利用計画が決定するまでの間の暫定的な使用という事柄だけでございます。すなわち本格的利用計画の中身については、すべて今後の問題として残されているわけでございまして、その本格的利用計画についての御要望といたしまして、先ほどの建設省の昭和記念公園あるいは文部省関係の東京大学、住宅公団、それから自衛隊というものが並列的に提出されている、こういう関係でございます。今回地方審議会で暫定的利用を認めるに当たりまして、本格的利用計画については何らのコミットメントもなされておりませんので、この点は御了承いただきたいと思います。
  240. 山花貞夫

    山花委員 内容確認的な意味でお伺いしたいと思うのですけれども、十九日の関東地方審議会で決定されましたところによりますと、六カ月ごとに継続的に更新されるという趣旨の文章があります。これはそのときどき関東地方審議会を改めて開くということでしょうか。それとも開く必要はないので自動的に更新されていく、いわゆる自動更新という趣旨なのでしょうか。その点いかがでしょうか。
  241. 松岡宏

    ○松岡説明員 本格的利用計画が決定されるまでの間の事柄といたしましては、改めて関東地方審議会を開催することなく、いわゆる自動更新でよろしいという意味でございます。
  242. 山花貞夫

    山花委員 結局いまの御説明によりますと、とにかく跡地の利用が決まるまでは暫定であるということで決めたのであるけれども、決まるまでは自動更新だということになれば自衛隊がずっと使っていくということでございます。しかも恒久的に使いたいという希望が出ているとするならば、その既成事実に基づいて自衛隊としては権益を主張するのは当然予想されると言わなければならないとわれわれは理解せざるを得ません。一体大蔵省は全体の計画を集めて、大蔵省のたてまえの三分割有償であったといたしましても、跡地の利用について調整をするめどというのをお考えになっているのでしょうか。それとも百年考えないということなんでしょうか。むしろ話がまとまらなければ自衛隊が使っていけるということにもなってくる。私たちはそこで従来の大蔵省の態度から見て、本当にまともに跡地利用について地元の意見を調整するというような考えがあるのかどうかということについて疑問を持たざるを得ません。  大蔵省にお答えをいただく前に、国土庁の方から、従来のそうした総合計画について一体これまでどのような調整の努力がなされたのか、そしてその経過と、将来一体いずれかの時期にその調整を完結されるというような予定がおありになるのかどうか、この点をお伺いしたいと思います。
  243. 伊藤晴朗

    伊藤説明員 立川基地、都心から三十キロの便利な位置にあります土地資源として非常に貴重なものでございまして、その利用方針いかんが今後の首都圏整備の上に重要な意味を持つものであろうということから、私どもといたしまして、首都圏整備の立場からその望ましい利用、地域整備の方向を検討すべきだろうということから、昨年来庁内にもそのためのチームをつくりまして、また、すでに御指摘のありました立川、昭島地区開発連絡会議、それからいま各省がいろいろ申し上げましたが、そういう御要望なり、それから各関係方面の御意見をいろいろお伺いいたしまして、現在個別の要望についての検討なり、さらに地域としてのマクロ的な方向をどういうふうに持っていくかという方向からの検討、そういうのを詰めておるところでございまして、現段階で必ずしも方針が決まっておるわけではございませんけれども、いま御指摘のような事情もございますので、私どもとしてはできるだけ早くわれわれの意見をまとめたいというふうに考えております。
  244. 山花貞夫

    山花委員 いまできるだけ早くというようにおっしゃいましたけれども、大体いつごろをめどにされておるのか。これは後で大蔵省にお伺いしますけれども、先ほど来お話を伺っていますと、どうも大蔵省としては、ずっと先まで延ばそうと思っておるのじゃないか、われわれはこういう心配をせざるを得ません。その間に自衛隊に使わせて、既成事実をつくらせて、既得権益として将来とも自衛隊が使っていこうと考えているのではないか、そういう心配があるからこそお伺いいたしますけれども、国土庁の方の調整、大体いつごろをめどにされているということでしょうか。
  245. 伊藤晴朗

    伊藤説明員 私どもの方でまとめます利用方針の大綱的なものをどの程度の詳しさにするか、そういうこともまだ必ずしも決まっておるわけではございませんし、その詳しさによりましては、今後関係省庁との協議、連絡、細部計画を経まして処分計画に至るいろいろな手続があるわけでございますので、時期をいつまでに限ってということを言われましても、ちょっといまの段階でいつごろまでにまとめたいということを期限を限って申し上げるわけにはいきませんけれども、大蔵省の方とも相談をいたしまして、できるだけ早くこれを調整いたしたいというふうに考えております。
  246. 山花貞夫

    山花委員 要するにお答えは、いつになるかわからぬというのが答えであるというように理解いたします。結局最終的には、国土庁が調整ということをいたしましたとしても、財産を管理している責任からまいりますと、大蔵省の方で最終的に決着をつけなければならぬということだと思います。従来からわれわれが受けとめているところでは、現在は関係者の跡地利用についての要求を伺っている段階である、これが大蔵省の説明であったと思います。一体いつを期限として関係者の跡地利用についての希望を伺うということなのか、いつで締め切っていつから本格的な調整に入るのか、その点について大蔵省の考え方をお話しいただきたいと思います。
  247. 松岡宏

    ○松岡説明員 ただいま国土庁から答弁がありましたように、現在この跡地の大きい方向づけということで、首都圏整備の観点等から国土庁が関係方面の意向を聴取し、またその粗ごなし的な調整に着手しているわけでございまして、大蔵省といたしましては、その作業の進展状況をにらみながら、国土庁と緊密な連絡をとりつつ全体としての調整を最終的に進めてまいりたいと思っております。  なお、この問題につきましては、国有財産中央審議会にこの跡地の利用計画の大綱がいかにあるべきかということが諮問されておりますし、さらに中央審議会から答申を受けました後に、より細目的な事柄に関しましては国有財産関東地方審議会に諮問いたしまして、最終的に決定してまいりたい、こういう手順でございます。
  248. 山花貞夫

    山花委員 お答えは結局国土庁とボールのやりとりをしている、こういう感じがいたしました。  ただ、大蔵省の答えの中に、国有財産中央審議会あるいは関東地方審議会で議論をするという趣旨の説明がありましたので、従来の経緯から見て私たちは、そこで本当にまともな議論がされるかどうかということについては不安を覚えます。  具体的に伺いたいと思いますが、今般の十九日の関東地方審議会、立川基地跡地について自衛隊に六カ月ごとの暫定使用を認めましたけれども、この十九日の関東地方審議会というのは、立川基地の跡地問題について何回目の審議会だったでしょうか、この審議会だけで決まったのでしょうか。もしこの審議会だけで決まったとするならば、この審議会には一体幾つぐらいの議案があったのでしょうか、何人ぐらいの委員出席されたのでしょうか。そうした十九日の審議会の概要についてお話しいただきたいと思います。
  249. 松岡宏

    ○松岡説明員 十月十九日、十分な審議の上答申が出されたものでございます。開催回数としては、この日一回でございます。  出席した委員数及び委員名でありますが、この国有財産関東地方審議会には委員二十四名及び臨時委員三名、合計二十七名の委員の方がお願いしてあるわけでございますが、当日の出席者は二十四名でございます。  なお、個々の出欠状況等につきましては、内部の事柄になりますので、お答えを差し控えさせていただきたいと思います。
  250. 山花貞夫

    山花委員 当日の審議会は、時間はどのくらいかかりましたでしょうか。何時に始まって何時に終わったでしょうか。  もう一つお伺いします。立川基地の跡地に関連して私の把握しておるところでは、議案が、諮問の標目が配られたということでありますけれども、たとえば跡地利用についての地元案、その他地元のいろいろな関係の意見、その他関連する資料というものが委員の方に配られたというようなことがあるのでしょうか。  その二点をお伺いします。
  251. 松岡宏

    ○松岡説明員 国有財産関東地方審議会の開催の仕方は、この日に限らず通常このようなやり方になっておるわけでありますが、十九日の日におきましても、一時半から四時ごろまで精力的な審議をお願いしたわけでございます。その審議をより能率的たらしめるためにいろいろな内部資料委員各位にお配りして、御審議をお願いしているわけでございます。
  252. 山花貞夫

    山花委員 約二時間半という御説明でしたけれども、当日諮問の対象となった議案というのは、幾つあったのでしょうか。
  253. 松岡宏

    ○松岡説明員 八件でございます。
  254. 山花貞夫

    山花委員 二時間半を八で割りますと一体その時間がどのくらいかということが出てまいりますけれども、私は、立川基地で全部やったのかもしれませんし、その時間の配分についてはわかりませんが、たった一回だけ諮問の資料を出して、八つの議案の一つとして議決をされたという経過の中にわれわれは、多く出ている地元の問題あるいは各自治体の問題、そして各省庁の要求の問題、跡地利用についてのさまざまな関係者の要求については一顧だに与えることなく諮問をほんの数時間の、あるいはほんの数分の議論によって決めたということになっているのではないかと思わざるを得ないわけであります。われわれはこういう問題について、しかも先ほどのお答えによりますと、自衛隊が恒久的に使用していくという意思をすでに通知している。いわばその前提としての暫定使用の議案が出てほんのわずかの時間で決まってしまったのかということで、これまで感じていた以上の不安を覚えないわけにはまいりません。  ちょうど時間がなくなりましたので、残念でありますけれども、きょういろいろお伺いした中で、自衛隊がいわば従来の移駐ということを既得権益として、しかもこれから六カ月ごとに自動更新という形で、話がまとまらない限りは使用していくという権益を確保して、さらにその上に大蔵省と秘密裏にと申し上げますけれども、秘密裏にわれわれに知らせないで跡地の本利用についても話をつけている。こういう事態は、国民の、そして地域住民の意向というものに全く反するものであるというように考えざるを得ません。  なおまた機会がありましたら、この問題について質問させていただきたいと思いますけれども、本日、時間の関係がありますので、以上で終わりたいと思います。
  255. 正示啓次郎

    ○正示委員長 高島施設部長から発言の訂正を求められております。許します。
  256. 高島正一

    ○高島政府委員 先ほど先生の御質問に対しまして、私は、立川基地の機能停止の月日は八月末というふうに御答弁申し上げましたが、九月末の誤りでございますので、謹んで訂正させていただきます。
  257. 正示啓次郎

    ○正示委員長 次いで、受田新吉君。
  258. 受田新吉

    受田委員 私は、今回のいわゆる防衛二法案の中にあります航空団の移動について一言だけ触れて、質問に入りたいと思います。  小牧基地から三沢基地に移動する航空団の意味は非常に有効であると私は思うのです。小牧周辺は人口が密集している地域が多い。この間三沢を拝見しました。いわば過疎地帯的な、田園がよく開けている。そういう面から見たときは、この航空団の移動は地域住民に対する公害その他の被害が少ないという長所があると判断をしたのですが、いかがですか。部隊の任務以外の副次的な効果についてちょっと触れてみたいのです。
  259. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 私どもは、第三航空団の三沢移転につきましては、やはり防空上の観点というものを重視いたしました。しかし、一方におきまして、小牧地区の非常な都市化という問題があったのも事実でございます。もちろん三沢の方にも地域住民という多くの方がおられるわけでございますから、その理由ということよりは、やはり私どもは防空作戦上から配置を変更するということを重視いたしたわけでございます。
  260. 受田新吉

    受田委員 私がいまから指摘する質問の中に部隊の存在意義という問題が入ってきますので、その方で移動の主目的の中身に触れることになると思いますが、いずれにしましても、自衛隊の存在は国民とともにある存在であって、国民を犠牲にして存在するものであってはならないのです。だから、三沢周辺の方々が騒音その他で御迷惑される部分について別途その補いをつけてあげる配慮を考えていく、対象の人口の比率からいったときに、この間のような米軍のジェット機が落ちたというような状態が起こったときにできるだけ被害が少ないことを一方に考えるということも大事なことであって、部隊の編成の都合だけで考えるべきではないと思うのです。
  261. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 いま先生のおっしゃいましたように、立地条件からいたしまして三沢は海岸に近いところでございます。御承知のように、航空機の事故というのは離陸のとき、着陸のときというのがやはり危険な状態でございます。したがって、あのように海に近いところというのは立地条件としてはよいことでございますし、同時にまた訓練空域の問題がございます。三沢には近くに訓練空域がございますが、小牧からだとどうしても雫石事故以来限られた訓練空域を利用しなければなりませんので、そういった意味でも適地だというふうに私どもは判断したわけでございます。
  262. 受田新吉

    受田委員 いま事故の問題が議題に上っておりますので、私がお願いして資料提出していただいているこれによって質問をちょっとさせていただきましょう。  昭和五十年度に自衛隊航空事故が四件あって、六名の死亡、五十一年度は六件あって、四名の死亡、今年度、四月からまだ半年しかたっていないのにすでに十一件の事故がありまして、死亡者は十七名。大変な犠牲が半年間に起こっておるのです。  私はこの件につきまして、この四月、岩国沖南西の事故、小月の部隊の事故のときに特に長官に、とうとい自衛官を犠牲にするような、人を軽視するような訓練をやってはならぬ、速やかにその原因を綿密に調査して、これが人為的な事故、つまり操縦の誤りとかそういうようなことであったとするならば、断じてそういうミスを犯してはならぬし、機械的な事故であっても、これを避けるようにしなければならぬと申し上げた。かつて小松上空で雷が落ちたというので事故を起こした事件があります。全天候性の性能の高い戦闘機を擁しながら、気象関係、通信関係等のあらゆるものを十全の配慮をしながらなお事故が起こっておるということのようでございますが、防衛庁長官、四月からいままで十数件の事故が起こって、十七名もとうとい自衛官がこの世を去っておられる。これは胸を打ちますね。私は、今年の初頭にこれを長官に申し上げてあります。事故の皆無を期せよという強い要望を申し上げてありますにかかわらず、この事故の驚くべき続出の原因はどこにあるのか。士気の退廃であるか、あるいは装備の欠陥であるか。自衛隊はえりを正して、このとうとい犠牲者に対する冥福と事故を絶対に起こさないという新しい装備上の欠陥を除去するための努力、国民の合意のもとに信頼ある自衛隊として操縦されてこられた自衛官がこうしてとうとい犠牲を十七名も半年間に——一年間の計算でいったら三十数名です。大事な戦闘機を数十億かけて国内に、国民の税金で買った。ところがそれがまことに簡単に、機数については十一機もこれがだめになってしまった。国民に対しても申しわけない、犠牲を受けた人にも申しわけない。防衛庁内における、自衛隊内における士気の緩みがあるのではないか、あるいは防衛庁の指導体制に欠陥があるのではないか、三幕の統一に事を欠いて、自衛隊の連絡、協調に欠陥があるのではないか、非常に私は憂慮しております。御注意申し上げた直後に事故が続出して、連絡官が頭を下げて、申しわけありませんと何回も言っていた。これは非常に気にかかる問題です。冒頭に、この問題に対する長官の御見解を伺いたい。
  263. 三原朝雄

    三原国務大臣 非常に温かいというか、ありがたい御配慮を賜っておるわけでございまして、心から感謝を申し上げる次第でございますが、私自身も約二千機に近い戦闘機からヘリまでの航空機を自衛隊が有しておることを承知いたしております。したがいまして、それこそ寝ても起きても祈る気持ちでおるということを常に申し上げておるところでございますが、御指摘のように、本年になりまして相当事故数が増しておるということ、これは御指摘のとおりでございます。したがいまして、私は特に事故調査委員会の結成をいたしてまいっておるのでございます。各事故別にその内容を審査をいたしまして、いま申されましたように安全第一で事故絶滅を期するように指示をいたしておるところでございます。
  264. 受田新吉

    受田委員 事故絶滅を期すると仰せられながら、相次いで事故が起こっておるのです。これは去年の国会でも鋭く私は申し上げました。そしてその遺族に対する補償、これについてもお伺いをしたわけです。自来、ことしの四月からでも十七名のとうといみたまがこの世を去っておられる。前途ある有為の青年です。その御家族の身の上を思うと、自衛官になったばかりに青春を犠牲にして亡くなられる御主人に次いで、青春を犠牲にして未亡人になられる奥様や子供さんのことを思うと——の命は地球よりも重いと総理か仰せられて、ハイジャックにあれだけの力を入れた。十六億円の金も支払い、犯人までもみんな、殺人犯までも引っ張り出して向こうへ送り届けるような配慮をされておられる。それにしてはこの犠牲は余りにも大きゅうございます。人命は地球よりも重いとは逆を行っておる。自衛官の訓練に欠陥があるのではないか。このような無理をしてまで平常の訓練で犠牲者を出さなくてもいいのじゃないか。編隊飛行の際にもう少し正確な間隔をとり、指揮官が常に公正な判断で部下の飛行機を率いていく。離陸するときだけじゃない、空中において尾翼が接触して落ちておるものもある。小月部隊などそうです。もう少し間隔を開いていけばいい。実戦じゃないのですから、訓練ですから、基準を教えればいい。あえて尾翼が接触するような危険を冒してまで訓練を強行する必要があるのかどうか。長官は最高責任者でありますが、訓練の責任をとっておられる自衛官、各幕の責任者というものは一体どういう考えを持っておるのか。三幕の長と統幕議長とを十分叱咤激励して事故の絶滅を期さなければならぬはずなんです。私は、この御質問を申し上げるのがたまらない感じです。たった半年間にこれだけの大きな犠牲。もう少し訓練を緩和する手はないか。実戦じゃないのですよ。対潜飛行機ですよ。一機買うと五十億も六十億もする。今度は九十億の飛行機を買おうとしているのです。いかがですか。長官がいまおっしゃったようなことをおっしゃりながらも、また引き続き事故が起こっているのです。この原因がどこにあるか。私がいただいたこの資料を見ても、機械による原因、操縦のミス、不規則爆弾の吸入とか調査中、調査中、たくさんあるのですが、不明、不明では片づかぬ問題です。不明の究明をやって今後の絶滅を期する配慮をしなければ、しばらく訓練を停止してでもこの事故絶滅を期する体制をしいてもらいたい。事務当局でこれに対してどういう連絡をとっておるか、御答弁を願いたい。
  265. 夏目晴雄

    ○夏目政府委員 お答えいたします。  航空事故が一たん発生いたしますと、人命に影響を及ぼすということを承知して、われわれとしてはかねがね事故の絶滅を期しておるわけでございます。  そこで昭和四十六年七月でございますか、航空交通安全対策会議というところで決定しました航空交通安全緊急対策要綱というものが設定されまして、航空自衛隊の訓練につきましては、民間航空路その他から完全に分離した空域で行うというふうなことを運輸省と協議の上設定して、そこで訓練をする。また防衛庁独自の方法としましても、たとえば航空自衛隊の訓練機が空域から逸脱しないようにレーダーサイトで監視、助言をする、あるいは見張りの徹底をするように、教育の周知徹底を図る、あるいは航空安全に関するいろいろな資料をパイロットに配付して参考にする、あるいはまた訓練その他の際には航空安全の係の幹部等を配置しまして、事故の絶無を期しておるわけでございますが、最近、いま先生指摘のように、事故が必ずしも減っていないということはまことに残念でございますが、私どもとしては決して過酷な訓練、そういったことをしておるわけではございませんので、航空事故の絶無を期するような、安全に十分配慮して訓練をしているものでございます。
  266. 受田新吉

    受田委員 訓練をするのに配慮しているなら、余り事故が起こるはずがないのですがね。それから五十年度と五十一年度に比べると、飛躍的な、半年間にもう十七人、これは一体何たることか。私は昨年防府基地の隊員の皆さんにあいさつをしました。皆さんに対して自衛官としての誇りを持って祖国の防衛に当たる皆さんの健闘を祈ると同時に、秩序ある自衛隊員として皆さんの健康を祈ると言ったその直後に、防府基地のパイロットの死亡事故が出たのです。私のあいさつを聞いてくれながら、その人はその後に亡くなっておるのです。たまらぬですね。どこかにこれは欠陥がある。この間の神奈川県に墜落した米軍ジェット機は、国民の非常な怒りさえ買って批判されているが、その処理についても日本の独自性はさっぱりないかっこうで、米軍のペースの中に巻き込まれておるというような状態の中で、少し自衛隊は馬力をかけて、本当に国家、国民のために尽くす自衛隊らしく、秩序ある訓練団体として何とかしてもらいたいものです。  それから、私亡くなられた方の補償のことを調べてみたら、生命保険に入っておられる方などは、民間保険に入っておられるとその分が三千万円なり四千万円なり上積みされますけれども、それに入っていない方々は、例の労災関係の規定に基づく自衛隊の特別の方法によって、二千万か三千万、二千数百万、こういう調子になります。奥さんと子供さんを抱えて、命を祖国にささげたと同じような訓練に殉じた人の遺族にしては余りにも気の毒だ。ダグラスという飛行機事故で亡くなった人に、裁判によってダグラス社は七千万円を出している、これをどう判断されるのか。事務当局でその扱いをこの時点でどうされておられるか、今回こうして十七人も亡くなられた方々には、最高でどれだけ、最低どれだけの補償をしておられるのか、お答えいただきます。
  267. 渡邊伊助

    ○渡邊(伊)政府委員 お答えいたします。  先生いまおっしゃいましたように、公務によって死亡した隊員につきましては、一般の公務員と同様に、国家公務員災害補償法によりまして公務災害、それから、高度の危険な訓練に従事して死亡したという隊員につきましては賞じゅつ金、さらに、ジェット機について訓練を行って死亡したという隊員につきましては特別弔慰金というものを支給するようにいたしておりますけれども、現行制度ではそれ以外に、いま先生おっしゃいましたように、生命保険その他によって補てんをするということしかございませんけれども、これにつきましては、さらに私ども検討を進めてまいりたいというふうに考えております。
  268. 受田新吉

    受田委員 厳粛に故人となった方々の冥福を祈り、その遺族の援護に当たる。しかも、防衛庁としては、ずっと後までもその遺族を見守ってあげなきやならない。その当座だけではいけません。その後においても、子供さんの将来について行き届いた愛情を示すべきである。中学校に行くようになり高等学校に行くようになったときに、どうですかと言って相談に乗ってあげるような手だてをしているかどうか、過去の犠牲者に対して。その場限りか、ずっとその後も心遣いをしているか、お答えをいただきます。
  269. 渡邊伊助

    ○渡邊(伊)政府委員 ただいまの件につきましては、遺族会等の方々とも御相談申し上げているわけでございますけれども、育英のところまではまだ手が回らないという状況でございます。
  270. 受田新吉

    受田委員 それはさびしいですね。いま往年の戦没者の場合は、恩給法及び戦傷病者遺家族援護法等で公務扶助料が支給されており、また奨学資金等の配慮等もされておるわけで、その生涯が守られている。同じように祖国を守ってきた自衛官の御家族は奨学金までには手が回っておらぬ、その当時の一応の礼を尽くしたようなかっこうでおしまいである。家族会とももう少しよく連絡をして、交通遺児の方々に対してもいろいろと、これは非常に不十分でありまするが、手当てがされつつあるわけでありますが、ずっと後々までもめんどうを見る、それぐらいの担当者を防衛庁に置かれたらいいです、長官。それは大変なことですよ。その場で弔慰の手を打ったらもうそれっきりでおしまいだということでなくして、かつての自衛官で空で散った人、あるいは陸上で散った人もおる、そういう人々には、ずっと同じ自衛官であったという意味でめんどうを見てあげなければいけない。  何か私の提案に間違いかあれば——そんなことは必要がないと言うなら、私は一言ありますから……。
  271. 三原朝雄

    三原国務大臣 御指摘のとおりでございます。  そこで私は、この問題について遺族方々、特に遺族のお子さんの将来の育英資金等についてはどうなっておるかということをただしてまいったところでございますが、実は防衛庁からも資金の一部を拠出し、弘済会というのがございまして、弘済会において遺族の子弟の育英につきましてはめんどうを見てくれておるわけでございます。十全なものだとは思いませんが、四、五日前も弘済会長の加藤陽三先生をお迎えいたしまして、そうした事態についての感謝を申し上げるとともに、これから一層の努力防衛庁におきましても払いたいということを申し上げてお別れをしたというような事態でございます。
  272. 受田新吉

    受田委員 三原先生長官は非常に平和な心の持ち主でいらっしゃるお人柄に私、敬意を払っております。いつも笑顔をもって人に接せられるお方である。したがって私、私であればやるであろう、私がもし防衛庁長官という任にあったとしたならば、こうして亡くなった方の遺族防衛庁長官室へ呼んで、御苦労でした、お後はしっかり私たちお手伝いしますからお元気でがんばってくださいよと坊やの頭をなでて、坊や、がんばるんだよ、お父さんはりっぱな祖国に殉じた方だというふうに私はやりますが、長官、やられていますか、どうですか。
  273. 三原朝雄

    三原国務大臣 ありがとうございます。私自身、実は着任のときにいま受田先生から御指摘がございましたような点を議長、幕僚長、事務次官以下を集めて申したことがございます。私は満州において異国の方と一緒に公的な生活をいたしておったことがあるわけでございまするが、民族のいかんを問わず、けがをされた、あるいは命をなくされたというときは、いかなる治安状態であろうとも私は第一線に出たということを申し上げて、実は各幹部に対して、事故があった場合にはいかなる事情があろうともまず責任者であるところの人々は現地に行けと、そして自分の部下に対する心からなる弔意なりお見舞いを申し上げることが第一であるぞということを申し上げたわけでございまするが、いま申されたような心境で私自身も事に処しておるつもりでございます。
  274. 渡邊伊助

    ○渡邊(伊)政府委員 遺族方々に対します施策といたしまして、毎年自衛隊記念日の前後に追悼式というものを挙行いたしております。これは、ちょうど亡くなられて十年目の方の御遺族と、それからことし亡くなられた方の御遺族、これをお招きいたしまして追悼式を行いまして、総理防衛庁長官その他の方々からの心尽くしの品物を贈呈する、こういうことをいたしてもおります。
  275. 受田新吉

    受田委員 それは防衛庁の内部でやるのですか。
  276. 渡邊伊助

    ○渡邊(伊)政府委員 防衛庁の主催でございます。
  277. 受田新吉

    受田委員 長官出席されて、あるいは総理出席されて、皆さんを激励しておられる……。
  278. 渡邊伊助

    ○渡邊(伊)政府委員 総理の御出席はございませんが、防衛庁長官以下幹部全員が出席いたします。
  279. 受田新吉

    受田委員 その心遣いは了といたします。けれども、私がいま提案したような問題等も前提にされながら、今後の遺族を大事にする策をとっていただきたい。これは単に形だけのものではなくて、心からこれらの方々に勇気づけをしてあげることが大事であるということです。  さて、質問に入らしていただくのに当たりまして、もう一つこれに関連する、訓練にも関連することで、エネルギー問題にひっかけてお尋ねしたいのであります。  自衛隊の飛行機、艦船、これらが使う燃料の量は大変なものであろうと思います。これに対して、いまエネルギー節約時代において自衛隊は、たとえば訓練の回数を減らす、あるいはガソリンを灯油、重油等価格の安いものに、あるいはそのまぜ合わせ等によって経費の節約を図る、つまり訓練回数を節約する、そして、できるだけ油そのものを節約するというような配慮をされておるのかどうか、お答えを願います。これは質疑の通告をしていなかったのですが、いま飛行機事故から急に思いついて失礼でございますが……。
  280. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 燃料関係が窮屈になっているというのは事実でございます。そのために私どもといたしましては、たとえばシミュレーターを使うとか、そういうようなことをやっておりますが、同時にまた、燃料を確保して、いわゆるパイロットの教育などというものはやはり実際に飛行機に乗るということが重要でございますので、この点につきましては、四十八年度のあの石油ショック以後落ち込んだのをできるだけ回復するような形で、いま必要な訓練が実行できるような形で予算を要求し、お認めいただいているというのが実情でございます。
  281. 受田新吉

    受田委員 その細かい中身で、石油ショック以来、訓練回数をある程度減してもいいと私は思うのです。スクランブルのような特殊の事情が起こる場合は別として、平素は回数を一割なり二割減らすということの配慮、それは生命を大事にするということとあわせて大事なことである。それから、いまのような値段の高い油から少し値段の安い油で済むところはないかというところで、具体的に石油ショック以来の自衛隊の燃料、エネルギー対策というものがどうなっているかをお伺いしたいのでございますが、これは装備局ですか、わかりますか。
  282. 夏目晴雄

    ○夏目政府委員 現在、航空機のパイロットの訓練時間につきましては、機種ごとにいろいろ基準がございまして、その基準に基づいて訓練をしているわけでございますけれども、いまお話がありました石油ショック以来、必ずしも十分でない、むしろ訓練空域が遠くなるというふうなことから、十分な訓練がまだできかねるという状況でございまして、そういうことでは先ほど御指摘がありました事故の発生ということにもつながるというふうなことから、訓練だけは基準で決められたとおりの訓練をしたいというふうに考えております。
  283. 受田新吉

    受田委員 三原先生、大変申しわけないのですけれども、私はちょっと長官質問を申し上げることを忘れておったことでありますが、「国防」の昭和五十二年八月号に出ている防衛庁長官と菊池記者との安全保障問題に対する対談の中で、私は一つどうしても伺っておきたいことがあるのです。  自衛隊の国民への理解を深めるための安全保障国民会議、県段階でそういう会議構成して、各県から出た代表者で中央には中央安全保障国民会議というものを持って、そこで自衛隊に対する理解と協力を求めるような、あるいは知恵をおかりしたいというような御構想を示しておられますが、これは具体的に御指示か何かされましたか。
  284. 三原朝雄

    三原国務大臣 具体的に指示をする段階になっておりません。  ただ、私の考え方は、国民の理解と協力のない自衛隊というものは真の国の防衛を完遂することはできない。責任を果たすためには、どうしても国民の理解と協力を得て支援を受けるという体制を組むことが大事なのだ。私自身が防衛庁長官になります前にも、私といたしましては自衛隊と地域の、私のところにも基地がございますが、地域住民との真の結びつきというようなことを非常に配慮いたしたいという考え方を持っておったわけでございます。  そういう立場から町村の段階あるいは県の段階等で防衛についてじっくり話し合える一つの会合を持ちながら、それを中央まで代表者が来られて、またそこで国民会議をしていただく、また帰られて、それらの方々が一般国民にも理解、協力を求めていただくような運動を展開できるというようなことになれば、私は防衛に対する真の理解を国民から受けることができるのではないか、実はそういう構想を持っておるが、具体的にどう進めるかということについてはまだ指示もいたしませんし、私の考え方だけを菊池記者との意見交換で申し上げたところでございます。
  285. 受田新吉

    受田委員 もう一つ、長官、これは私自身は大変結構だと思っておるのですが、防衛庁の内部で異論のある方があるかと思います。  今度、国会防衛特別委員会ができることに申し合わせができております。次の通常国会からそれができるといたしまして、その委員会は、国の防衛をどうするかということでざっくばらんに話をするわけで、与野党が本当にユニークに会談をするというようなかっこうに持っていくことが適当である。そこで、それはいままでの閣僚と政府委員だけでなくして、制服の諸君にも参考意見を、言えるように出てもらって、本当に国家の安全をどうするかという問題を進めていったらいいのだという制服の国会登場というお考え三原長官は持っておられるわけです。これは個人の意見でございますから、長官が個人のお気持ちでおられたわけですが、これは私は非常に賛成です。与野党で本当に自衛隊を理解し合う意味では、制服の皆さんが参考人としてここへ出られることについては賛成です。これはやはり「国防」に明確に出ていることでございますので、長官、この点、個人の見解であるが、同時に、長官の御発言でありまするので、部下にこの考えをどこかで話されたか、あるいは長官だけがお気持ちで持っておられる程度であるのか、お答えを願います。
  286. 三原朝雄

    三原国務大臣 お答えをいたします。  特別委員会構成、運営等は国会でおやりになるわけでございまするけれども、私の議員としての個人の意見といたしましては、全く受田先生と同じ考え方を持っておるわけでございます。その点につきましては、幹部会の庁議におきましても、特別委員会設置がいま議会で取り上げられておる、その運営等については、こうした運営というようなことが話し合われておるし、また一部からはいろいろな問題点の提起もされておるというようなことを、私から申し上げたことがございます。
  287. 受田新吉

    受田委員 長官の御意思を十分部下に浸透していただきたいです。  そこで、今度は、ひとつ国の大事な防衛機構について重要点をお尋ねさせていただきます。  三原先生、二十日に任命をされました統幕議長の栗栖陸将に厳重注意をされたという新聞記事を読ましていただいたのですが、国会質問の後でそういうことが記事に出ておりましたが、どういう形の厳重注意でございましたか。
  288. 渡邊伊助

    ○渡邊(伊)政府委員 先般、栗栖統幕議長に対して長官から厳重注意をしたという、この注意というのは別段法令等に基づく根拠のある注意というものではなくて、ただ長官から発言を慎重にするようにという事実上の注意ということでございます。
  289. 受田新吉

    受田委員 注意の中に、厳重と普通の注意との区別があるのじゃないのですか。
  290. 渡邊伊助

    ○渡邊(伊)政府委員 訓令上にはいろいろの使い分けがございますけれども、いま申し上げておりますのは事実上のものでございますので、これはきつく注意をしたという意味でございます。
  291. 受田新吉

    受田委員 きついときとやさしいときがあるということになりますと、きついというのは、これはやはり少なくとも統幕議長と言えば自衛官の最高の地位にある方です。その方に対して防衛庁長官が厳重に注意するということになると、よほど何か悪いことをしたように国民は感じるわけです。一応、訓戒等に関する訓令というのを防衛庁はお持ちのようでございまするし、また分限、懲戒に関する法律の規定もあるわけでございますが、それには該当せぬということであります。普通の注意というのは、こらこらこれから余りこういうことを言うなよという程度、しかし厳重と言うたら、おもむろに相手をして萎縮せしめるような注意ということになるのかどうかです。普通注意と厳重注意とは、どこに区別があるのかをお答え願います。
  292. 渡邊伊助

    ○渡邊(伊)政府委員 私どもは、対外的にこれは厳重注意だというような言い方で発表したという性質のものではございませんで、厳重というのは単に形容詞だというようにお考えいただいて結構だと思います。
  293. 受田新吉

    受田委員 そうですが、形容詞ですか。やはり統幕議長が厳重注意を受けるというのは自衛官に影響力があるのですよ。われわれの最高の地位にある自衛官が長官からおしかりを承る。三原先生はきついお顔をされても心に笑みがあるからやさしいお顔に見えるのですけれども、その三原先生が厳重なお顔をして注意をされたということは、自衛官には影響力があります。これは決して無反応ではないのです、そうすると統幕議長は何かやったんだなということで。これは非常に大事なことなので、だから特に上級の指揮官については、老子の言葉をかりますならば、「厳にして愛せられ、寛にして恐れられる。」寛大であるが恐れられる、厳重であるが愛されるという、部下から敬愛をされる指揮官でなければいけないのです。栗栖さんの場合はちょっと生ち立ちが変わっていて東大の御出身で、自衛官としての、軍人としての経歴のないお方であって、これは大変すかっとさわやかな人が今度議長になられるというので、内心歓迎しておったのですよ。その方に対して、事務次官にしてもそこにおられる局長さんにしても、東大の先輩というので、先輩に対する敬意を払って、心の中では遠慮しておるということがいままであったのではないですか。そういうことは虚心に、自衛官の士気を鼓舞するためには、その長になる人にはぴしっとしたものを持っていただくことが大事である。  内局と政府との間における長官補佐の立場をちょっとお伺いいたします。長官の補佐役としての内局参事官、局長は皆参事官なのですが、それから制服の皆さんの三幕の責任者、たとえば統幕議長に三幕の長、その方々の補佐の関係はどういう形になっておるのですかむつまり自衛官指揮の点については制服が補佐するが、内局はどういうことを補佐するのですか。
  294. 竹岡勝美

    ○竹岡政府委員 お答えします。  内局の各局長すなわち参事官、これは防衛庁長官が行います自衛隊全般の運営につきまして、それぞれの各局を担当しております事務につきましで長官を補佐いたします。それから各幕僚長は、それぞれ軍事関係の専門的な助言者として長官を補佐いたします。また統幕会議は、これは統合防衛計画とかそういったものを運営する機関として防衛庁の中に存在しておりますけれども、統幕議長はこの会務を総理いたします。そしてこの統幕会議というものは、そういう総合的な防衛計画につきまして長官を補佐することになっております。もちろんわれわれは、内局と幕僚監部、制服、これはそれぞれの立場はございますけれども、真に精強なる自衛隊、国民に信頼される自衛隊をつくるために、相ともに信頼し合って手をとり合ってやっていかなければならない、このように思います。  私、官房長といたしまして、先般の栗栖発言のときも、栗栖さんの真意も十分に聞き、私自身も誠意を込めて自分の意見を申し上げたところでございます。
  295. 受田新吉

    受田委員 三幕の一佐以上の人事については内局が一々、人事教育局長なり官房長なり次官、最後は長官がそれをチェックしますか、どうですか。
  296. 渡邊伊助

    ○渡邊(伊)政府委員 おっしゃるとおり、一佐以上につきましては長官が任命するということでございまして、この任命の際に内局で補佐をいたします。
  297. 受田新吉

    受田委員 そういたしますと、たとえばこの幕僚長は統幕議長にするに適当でないという助言を渡邊さんがやることもできるわけだね。
  298. 渡邊伊助

    ○渡邊(伊)政府委員 統幕議長あるいは幕僚長という高い地位の方々につきましては、長官自身の御判断ということがあると思いますので、私どもはその御判断の材料を差し上げるということになろうかと思います。
  299. 受田新吉

    受田委員 材料だけを差し上げるにとどまる。そうしますと長官、あなたの責任は非常に重いのでございます。  そこで、統幕議長はいま三幕の中から陸海空と交代でなっておるようですね。この慣行が壊されたことはないと私は思うのですが、壊されたことがありますか。
  300. 渡邊伊助

    ○渡邊(伊)政府委員 ちょっと手元に資料がございませんが、過去において一度だけございます。
  301. 受田新吉

    受田委員 これは大事なことだと思うのです。陸幕長が適当であると思えば、陸幕長が統幕議長になった後でも、また次の陸幕長から統幕議長を選んでもいいわけです。海、陸、空を交代でいくということになれば、本当に統幕議長に適任かどうかということが、そういう慣行で破られることになるのです。適格な統幕議長であるかどうかを見るときは、そういう三幕という行きがかりにとらわれないで、三幕の長のだれがいいか、将来だれを統幕議長の候補にするかを、常に大所高所から判断していかなければならない。長官が何回もかわっておったのではなかなか思うようにいかぬわけでございますが、最後は長官の御判断ということですが、内局の官房長とか人事局長の地位にあられる参事官はその資料だけ差し上げる、御判断は長官のあなたにということで、非常に責任が重い。  私がいま提案したこと、三幕の長の中でどれを統幕議長にするかは陸海空の慣行にとらわれなくてもいいということになれば、これからは二回に一回はそういうものをぼんぼんとやった方がいいです。
  302. 渡邊伊助

    ○渡邊(伊)政府委員 私、先ほど判断の材料を差し上げるというふうに申し上げましたけれども、その中にはもちろんただ材料を差し上げるだけにとどまらないわけでございまして、私あるいは官房長、次官等の意見というものを長官の御質問に応じてお答えをするということは当然含まれます。  それから、統幕議長、各幕僚長のローテーションによってということでございますけれども、これは必ずしもそういうことが確立しているというわけではございません。  なお、先ほど過去においてそれが順番どおりになっていないことがあるというふうに申し上げましたけれども、それはたとえば昭和四十五年か六年ごろのあの雫石事件のときに航空幕僚長が辞任されたということもございまして、そういうような場合あるいはその他統幕議長についての任命は、必ず各幕僚長の順番でやるということが確立しているというわけではございません。
  303. 三原朝雄

    三原国務大臣 人事教育局長から事務的な整備、そしてその進め方等について一応のお答えをしたようでございます。しかし、いま受田先生指摘のように、統幕議長でございますとか幕僚長人事につきましては、簡単な事務的な処置ではなかなかまいりません。それは、幕僚長の場合は各幕におきまするかねてからのいろいろな準備体制がございます。そういうもので各幕で一応の線を出してまいります。参考意見を付して出してまいる。また、それが統幕議長の人事でございますれば、各幕のそうした意見を踏まえての統幕議長人事というものを準備してまいるわけでございますが、それを事務次官の段階において、内局でまずそうした意見について審査を加え、政務次官にも当然私は御相談をするわけでございますが、最終的には幕の意向を聞き、なおまた政務次官、事務次官等の意向を聞き、最終的な決断を下すわけでございます。しかし、過去のいろいろなそうした進め方等の慣例は無視するわけにはまいりません。大体陸海空、特に陸が人員的に多数を持っておりまするので、回数からいくと統幕議長の人事は陸が多くあろうと思います。しかし、そういうことで、私といたしましては、最終的には人物本位で最終的な決定をするわけでございまするけれども、やはりそうした積み重ねられた過去の業績、あるいは人物、識見等の各資料を踏まえて検討いたしますとともに、本人自身の人柄等を直接私自身が承知をいたしておりまするので、最終的に私の判断で、今回の場合にもあるいは幕僚長人事等におきましても決定をするわけでございます。しかし、その間には個人の主観が入らないように事務次官初め政務次官、各幕の幹部の意向をいろいろと聞いた上で最終決断を下すという処置をいたしてまいっておるのでございます。
  304. 受田新吉

    受田委員 これはシビリアンコントロールにも関係する大事な問題で、文民優先の原則をやる大変大事な人事でございます。だから、内局の参事官たちの意見も聞くと同時に、政務次官よりは事務次官の意見を多く聞くというようなことになって、政務次官には、なあ君、よかろうかのうというような調子ぐらいで片づくようなことになりはしないかと思うのですが、政務次官は事務次官よりは防衛庁内では上位にあるわけです。政務次官をいま最後に申されたので、事務次官の方を大事にされて政務次官を軽く扱われることがないように、ただ、たまには政治家というものは感情が先へ行きまして、この自衛官は適当でないというようなことで、おかしいなと思うようなときは長官が神の声によって任命するということをやらなければいかぬのですからね。これは私、ぜひ公正な人事ということについて、特に制服の最高責任者たら、三幕の長と統幕議長にはよほどの人材が行くように、部内で本当に心服できる人が長になるように御配慮を願いたい。  そこで、また関連する基本的な問題になるのですが、ここに国防会議の久保卓也事務局長が来ておられる。長官、御記憶にまだ新しいと思う。あなたが内閣委員長をやられた前後でございますが、昭和四十七年の二月に予算の先取り事件というのがあったのです。第四次防整備計画が十分できていないときに、T2、C1というような飛行機を決めるのに、先に予算だけを取って国防会議で決定していない、つまり四次防の策定ができておらぬ段階でその特別の要求を予算に盛り込みました。そのとき、その前の年、もうわれわれ内閣委員の体験者は、本当にあれは奇妙なことがあったと思うのですが、その前の七月に増原さんが長官になったと思ったら八月に例の雫石事件が起こっておやめになる。その後西村直己先生長官になったと思ったらすぐおやめになって江崎真澄君が長官になる。江崎先生まで簡単にばっばっと行ったですよ。そういうふうに防衛庁ががらがらっと行ったものだから、つい予算の先取り事件でとうとう国会が十数日も二十日も空白になって、最後には船田議長が裁定をして決まったというわけで、防衛庁が敗北をした苦い経験をお持ちになっている。長官、あの事件知っておられますか。あの予算先取り事件のときに、久保国防会議事務局長が防衛局長だったですかね、これは大変苦汁をおなめになった体験をお持ちなんです。  それで、ここではっきりしておかなければいかぬ。国の基本的な防衛を担当するお役所が国会で一月も空白を生むような事件を起こして、そうしてせっかく出したT2、C1のこの二種の予算分は削って予算修正をやったのです。この間初めて野党が三千億円の上積み減税をやったけれども、あのときには野党が押しまくって防衛費の予算修正をやったんですよ。これはもうりっぱな予算修正の先例が一つある。これをひとつよい教訓にされて、国会には十分説明がつくような予算案をお出しにならないと今後また問題を惹起するわけです。  そこで、国防会議というのは一体どういう性能を持っているのか、権能を持っているのかというところへいまスタートするわけです。あのときは国防会議がなめられたのです。あのときは事務局長はどなたでしたかね、海原先生茶くみだと言われて怒ったことがあるのですが、この海原さんが事務局長のときですよ。国防会議というものは権威を持たなければいかぬ。国防会議というのは大体防衛庁の上にあるべきもので、それがいまごろ防衛庁の茶くみというようなことになると、これは本末転倒もはなはだしいものでございまして、アメリカなどでは安全保障会議の事務局長と言えば、前はキッシンジャーがやり、いまはブレジンスキーがやっていて、大統領補佐官で、大統領を動かす力を持った者がそこにじっとおるから、国防総省にしても陸海空省にしても、もうあの安全保障会議に頭が上がらぬのです。それで、ずっと国防計画が外交、経済等をもとにしていっておる。ところが、日本の方はどうかと言うと、三幕からそれぞれ資料が出てきた、それを統幕会議で決める、それに内局の皆さんの知恵を足して、最後に防衛庁長官が決裁して、今度でも予算の要求の中へいまの新兵器のF15もP3Cも入ってくる。それをまだ国防会議にかけておらぬのですから、今度本予算のときにこれを物にしようというようなことですから、国防会議というのは宙に浮いておるですよ。もう防衛庁ぺ−スでばっばっばっば行く。国防会議というものは、平素から外交、内政すべてを勘案して自衛隊の増強を、あるいは配置転換をどうやるか、あるいは人員をふやすとか減らすとかいう問題は、国民合意の上に、シビリアンコントロールの一番根元の国防会議でさあっとその都度やるべきですよ。あえて申し上げますが、ミグ25のときでも早速国防会議をやるべきであった。AEWをどういうふうに採用するか、ミグなんか来たときはすぐそれに対処する兵器を早くやろうじゃないかとか、調査員みたいなものでなくて、もう少し大物をやるべきですよ。それから韓国の、例の大統領の地上軍撤退、こういう声明が出てきたら日本にすぐ響くわけです。これにわが国はどう対処するか。防衛の肩がわりを命ぜられないようにするにはどうしたらいいか。二百海里の問題がある。相次いでいろいろな問題が発生するごとに国防会議をやって、一年に一遍か二遍やるかやらぬかわからぬような会議でなくて、国防会議は常時権能が発揮できるようにやっておくべきだと思うのですが、これはあさって総理質問をしなければ答えが出ぬとすればそうさしてもらいますが、長官としては、防衛庁ぺ−スで、国防会議防衛庁のでき上がった案を最後はうのみにしていただくような行き方というのは、これは下から上へ防衛庁が押し上げて国防会議を抑えつけるというようなことになるのは間違いで、国防会議が国の防衛の大綱を決めて、それを防衛庁その他外務省、経済企画庁、大蔵省がこれを下で実行に移すというのが筋じゃないかと思うのですが、私の申し上げることに御賛成ですか。
  305. 三原朝雄

    三原国務大臣 お答えをいたしますが、私も国防会議の組織運用等につきましては、受田先生と全く同じ考え方に立つ者でございます。したがいまして、現在の国防会議防衛庁設置法の中にあるということ自体にも、そうした性格づけから問題がありはしないか。そういう問題も含めて将来の問題として、いま久保事務局長が見えておりまするが、シビリアンコントロールの最高峰的な機関として運用されるように、そうした立場で御検討をしておられると私は思います。私もそういう意見を久保事務局長にも申し上げたことがございます。
  306. 受田新吉

    受田委員 防衛庁長官から非常にはっきり国防会議権威を高める意味の御発言があって、従来国防会議を自分の子分ぐらいに考えていた長官とは御意見が大分違うようです。そういう長官防衛庁におられるのですが、国防会議の事務局長久保先生ひとつ……。
  307. 久保卓也

    ○久保政府委員 最近は国防会議はほぼ二カ月に一遍ぐらい開いております。そして国防会議においてもっと幅広く審議すべきであるということは、先生おっしゃるとおりでありまするし、歴代の総理大臣もそうおっしゃっておりますのでわれわれもそういう運営をしてまいりたいと思います。  そこで、国防会議の問題を御検討いただく意味で少し御説明しておきたいと思いますのは、国防会議というのは、私の解釈では一つには文民統制の手続の機関であるという分野があります。この点は軍事力、つまり防衛力あるいは自衛隊を政治が統制する分野の問題でありまして、主としては防衛庁からいろいろな案が出てまいりますものをそこでチェックすることだと思います。もう一つの分野は、広い意味での国防あるいは安全保障の政策を審議する分野ではないか。この分野について余り審議が行われておらないという御指摘が広く国会でも、一般からでも行われているところなんです。ところが、これについては制度上若干の問題があります。御承知のように、日本行政は縦割りになっております。どのような安全保障にかかわる政策もどこかの省に入っておるはずでありまして、もし入っていないとすれば、それは行政上は総理府か内閣官房ということになってしまうわけです。しかし、そういうところが国防にかかわる仕事をやるのはやはりおかしいわけなんです。したがって、縦割り行政で見た場合に、安全保障政策という見地から機能的に行政機構上欠けているところがあるのかないのかという問題があろうかと思うのです。アメリカの場合に大変機能しておりますのは、日本と違って憲法上国防省も国務省も、そしてまた国防会議も、すべて唯一最高の機関である大統領の補佐機関であるわけです。つまり縦割り行政として仕事を国防会議が持っておるわけです。法律上、国務省と国防省、つまり安全保障に関する政府機関が安全保障に関する政策の調整について大統領に助言をするという機能を縦割りとして持っているわけです。日本の場合には諮問機関としての性格が大部分でありますし、縦割りの機能として持っておらない。その辺にどうも行政機構上若干問題があるのではないか。したがいまして、先生おっしゃいますように、国防会議が十分に機能するためには、当然政治の方々が十分御関心を持っていただくと同時に、その機構上若干問題がないかということを私ども感じておりまして、いま事務的に勉強をさせていただいているところであります。
  308. 受田新吉

    受田委員 久保事務局長はかつて国防会議の参事官として、あのころは防衛庁には余り御縁のな警察庁局長防衛庁へ行かれて、国防会議知恵を持って防衛庁の高級幹部になられたのが久保さんです。その意味では国防会議権威を高めるのに非常にいい立場にあられる。だがら、この仕組みをどうするかということであれは、法律的地位をどうするか、構成メンバーをどうするかというような問題にも触れて法改正ということも、これは現状のままでは、いま長官指摘のような、防衛庁設置法の末尾にちょこっと出るようなことでは権威がないという意味で、法律を改正しなければ、本当はこの仕組みの上では権能を発揮するのにむずかしいとお考えですか、どうですか。     〔委員長退席、木野委員長代理着席〕
  309. 久保卓也

    ○久保政府委員 当然、現状でも相当の改善が可能なはずであります。したがって、これをとことんまでやる場合に法律上の問題が出てくるということで、何もすべて組織とか人員とか権限の問題に逃げようという気持らは、私どもは全くございません。当面、運用上どのようにして国民の御要望に沿い得るような国防会議にするかということに焦点を当てておりますが、しかし、あわせて事務的にはいろいろの法制的なことも勉強させていただいておるということであります。
  310. 受田新吉

    受田委員 この防衛二法は誕生以来もう二十二年たっているのです。時代の進運とともに改めていかなくちゃならぬものはどんどん改めていってしかるべきである。そうして、社会の環境、国際情勢、大変な変化を見つつあるときに、成長した日本防衛、国防を考えるという段階では法律改正もこれはやぶさかであってはならないわけでございます。その意味で、私もこの国防会議の地位をシビリコンの根源を裏づけるような高いものにするために、防衛庁の役所の中のおしまいの方にちょこっと一章ほど出るような形でなくして、独立の法律として防衛庁の上に君臨すべきものであるというふうに感じておるわけでございます。これは総理にもお尋ねしてみたいと思っております。  もう一つ長官、この間総理は東南アジアに外国旅行をされたときに、日本は軍事大国でないとおっしゃっていましたね。これはどういう意味でございましょうか、総理の指揮をお受けになる長官の軍事大国という言葉に対する御認識は。日本は軍事大国でない、これはもう新聞に大きく出たことでございますが、総理の真意をお確かめになられたかどうかです。私がなぜこれを申し上げるかというと、米ソのようなのが軍事大国と言う。日本はそれほどまでにはなっていないが、日本のいわゆる軍事的な力というものは東南アジアよりはるかに上を出ておる、こうなれば、日本は軍事大国ではないかという印象を東南アジアの皆さんが受けておる。それに対して総理が、いや、そうじゃないのだと言ったかどうかです。防衛庁の幹部は、内閣総理大臣の発言なとは——これはだれか軍事大国の論議を丁議か何かで提案されましたかどうか。総理、自衛隊の最高指揮官が発言したようなことは、防衛庁の参事官等は長官を補佐して、こういう総理の発言があるがどうでしょうかということをさっさっとやらなければいかぬですよ。
  311. 三原朝雄

    三原国務大臣 お答えをいたします。  私は、総理の発言は、問い返す必要もなく、そのまま受けとめて了承をいたしておるわけでございます。と申し上げますのは、総理は、わが国は平和に徹し、軍事大国にはならないことを決意しており、東南アジア、世界の平和と安定に貢献をするのだということを明確に言っているわけでございます。私も総理のその意見には全くの同感でございます。要するに、平和憲法のもとに立っておるわが国でございます。したがいまして、総理が言われる軍事大国というのは、かつての旧軍時代の日本のあり方は徹底的にとらないという方針のもとに、新しい憲法のもとで自衛隊の設置考えておるわけでございます。その姿勢、精神を踏まえて総理が言ったものと思いますので、問い返すような必要を私は認めておりません。総理の言ったことはそのまま私も受けとめておるところでございます。
  312. 竹岡勝美

    ○竹岡政府委員 あの新聞記事が出ましたときに、当然防衛庁の内局におきましても事務次官のところでお互いに論議したところでございます。  日本の憲法のもとにおいて、軍事大国ということは当然だれも考えない、総理のあの意見は当然のことであり、いま長官の言われたとおり、同じ意見でわれわれ各局長同士で話し合ったことがございます。
  313. 受田新吉

    受田委員 軍事大国にはならないので、という言葉が私は気に入らぬのです。軍事大国などというものはわが国はあり得ないのだ、ならないのじゃなくて、そういうものはあり得ないのだという認識を私は持ってほしいと思うのだ。ならないと言うと、やがてなるかもしれぬことになるからね。だから、そういうことは日本はあり得ないのだ。かりそめにもそういうことはあり得ないのですから、皆さん安心してください。そういう国にはならないのですと言うよりは、そういうことはあり得ないのですと言うぐらいの心遣いが総理に欲しかったのです。それを皆さんもひとつなにしていただきたいと思うのです。  さてそこで、統幕問題が出ましたから、ここでまとめて先へ質問いたします。  日本は、陸海空が少し分離し過ぎているという私の印象です。一例を引きます。私が去年中部総監を訪問したときに、東部、中部、西部の管轄区域と空の管轄区域が入りまじっておる、これでは陸海空の一体防衛作戦をとるときに困るから、その各総監の管轄する区域とそれぞれの海、空の長官が管轄する地域とをできるだけ、日本海などでも入りまじりをなくするようにしてはどうか。  それからもう一つ、去年も私が質問したのですが、そのときに、四国には南の方に陸はさっぱりいないが、南の方には、外部から侵略されたら、よその方から移動するのにも大変じゃないか、四国は一体どうなのかと質問しましたら、それはそこに穴があいておる。「日本防衛」という白書を拝見すると、どうやら南の方の欠陥がちゃんと書いてございまして、四国に連隊的な存在もなかったのを考え直したいと、この間出たのに書いてありますから、国全体から見た防衛体制というものを、一局部には防衛が欠けているということがないようにする配慮がちょっと見られるのですが、これは先に答弁をしていただきたい。  陸海空の警備区域については、できれば調整してほしいというのが当時の中部総監中村陸将の御意見でございました。
  314. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 ただいまお話のございました警備区域の問題でございます。これが陸海空が一致するといいというお話でございますが、御承知のように、陸上自衛隊は五つの方面隊に分かれております。それから海上自衛隊は五つの地方総監部に分かれておるわけです。航空自衛隊は三つの方面隊に分かれております。沖繩には混成団がございますが、一応三つ。そうなってまいりますと、警備区域といたしまして担当している区域、この警備区域というのは警備計画を実施したり、あるいは警備地誌調査といったことをやる区域として一応定めてあるわけでございまして、運用というのはまた別な観点から実施されるわけでございます。したがいまして、先ほどのお話にございましたように、統幕議長が一括してこれをやるということも一つの方法でございますし、いわゆる統合幕僚会議といいますか、統幕の任務等については、中央組織の一環として検討もいたしておりますけれども、一方、陸海空の自衛隊は過去二十年間の歴史がございまして、指揮権につきましてはそれぞれの伝統も持っているわけでございます。したがいまして、運用するに当たってやはりそれぞれの利害得失というものがございますし、また統合的に運用する必要のある場面は統制という形で実施している場面がございます。  たとえば、防空という観点からいたしますと、ナイキの部隊それから戦闘機の部隊、そしてまたホークの部隊を航空自衛隊の航空総隊司令官が統制するという形で必要な部門はやっておるわけでございますし、また平時におきます航空救難の区域は、全国を七つだったと思いますが分けまして、それぞれの空域の責任者といたしまして航空自衛隊の司令官あるいは海上自衛隊の司令官が、陸上の部隊も含めまして両方の部隊を統制をしながらやるという形をとっているわけでございます。しかし、この指揮統制をさらに迅速に、かつ適確にやるという意味で、現在防衛マイクロ回線あるいは中央指揮所といったものを設置する計画を持っておりまして、有機的に三つの自衛隊が行動できるような体制をとる努力をしている次第でございます。
  315. 受田新吉

    受田委員 私これまで何回か指摘したのですが、そういう陸海空の総合的な力を発揮するために、ちょっといま局長指摘されたナイキとホークの部隊が、高空の方は航空、それから低い空に対するミサイル発射はホークで陸上というような分け方がしてある。現にこの間東北を視察したときにも、千歳と青森との間でナイキ部隊とホーク部隊との連絡調整の話を聞きましたが、高空へ差しかかった、レーダーに受信した敵機を、いまどういうふうに進行しているかというところから今度ホークに連絡するというのです。ホークの方には高空のレーダーがないので、いまここまで来たという連絡をすぐするというようなことでございました。これはやはり航空隊として一括して、高空であろうと低い空であろうと、それに対する地対空ミサイルは一本でやっていく。それで両方が——今度八個隊ですか、何か近いうちに一つできるのですね。全国に配置してあるのが八個隊ずつあるわけですが、陸上自衛隊の指揮下にあるのと航空自衛隊の指揮下にあるのとが相互に連絡し合って、敵機を捕捉してこれを撃ち落とすなんというのはちょっとまずい。これは、空は航空自衛隊に任したらいいじゃないかという感じを持ってきた。それはこの間ナイキの指揮官がホークの指揮官に連絡をしてあげるのです、こういう話を承ったとき、これはもう空は航空に任せて一本で——地上は大体もうそうなっている。自衛隊法第三条においても、「自衛隊の任務」、はっきり三条に「主として」というので、主として陸上自衛隊は陸、海上は海上自衛隊、空は航空自衛隊と、  「主として」というのが書いてあるけれども、事実は、陸は空をやりおるのですから。「自衛隊の任務」の末尾に書いてある。直接侵略、間接侵略に対してこれを防衛するという任務の中に、それぞれ分けてあるのです。こういうふうなところは、空は空の方に任したらいいんじゃないですか。これは、私はもう時期が来ていると思いますよ。これは陸上勤務の皆さんに、防空体制で今度は諸君は航空の方に入るということであっても、それはもういまの自衛官だって、昔兵学校を出た者も士官学校を出た者も皆ごちゃごちゃになって、それぞれの任務についておるのですから、部隊編成上の都合というものは適当にできます。スタート当時は、それはもう空の低い方は陸にホーク部隊をつくろう、高空の方はナイキにしようという、スタートした当時の所属の区別があったでしょうが、いまはもう空は主として航空に任したらいいですよ。ナイキ部隊とホーク部隊の所属について、私は、むしろ空へ、陸へ合わすのはちょっとおかしいから、これは空に合わした方がいい。沖繩などでもそういうことでいけば、非常に防空体制に一貫した指揮系統ができて、私はいいと思うのですが、いかがでしょう。
  316. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 このナイキとホークが航空自衛隊と陸上自衛隊に分かれますときに、いろいろいま先生がおっしゃったような議論がございました。その後、私どもはバッジシステムというのを採用いたしました。このバッジシステムというのは、目標の飛行機に対して、現在こういう高度でこういう角度で入ってくる飛行機に対して、どこに配置してあるどの武器をもって対処するのが一番有効かということまで全部コンピューターで出てまいるわけでございます。したがいまして、連絡をして陸は陸で勝手にやれというような形にはなっていないわけでございまして、平時におきましては連絡官というのが来ておりますけれども、有事の際には航空自衛隊の総隊司令官がこれを統制するということを長官の指示で出していただいておりますので、防空体制を一体としてやるという形は整っているわけでございますけれども、やはり制服が違うというような形で、当時よく議論されました、血の通う作戦ができないのではないかというようなことも言われたこともございますたけれども、一応形としては総合的に対抗する形をとって訓練をしているというのが現状でございます。
  317. 受田新吉

    受田委員 そうしますと、いまバッジシステムのお話が出ましたので、とにかくこの間ミグ25が北海道へ飛んできた、そいつは低空から入ってきたのでどのレーダーにもひっかからなかった、こういうようなレーダーの欠陥がある。そこで、AEWを用意してやろうじゃないかということで、今度、調査費は幾らでしたか。
  318. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 調査費を一千万要求いたしております。
  319. 受田新吉

    受田委員 この一千万という調査費旅費に使われるわけでしょうが、それを今度調査されるようです。われわれとしても、AEWというものがいま日本にないので、ミグ25が入ってきてもそれを捕捉できない。グラマンE2ホークアイという、これは防衛庁で研究されておるようでございますが、早期警戒機というものを、これはバッジシステムとの連係でやらなければだめなんですね。連係でやるということですと、これはソフトウエアでいくのですね。これはどういうことになるのですか、これからの方針は。
  320. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 レーダーでとらえるということにつきまして、この連係を保つにはもちろんハードとソフトウエアと両方あると思います。ただ、先生も御承知のように、私どもが一番適当な飛行機考えておりますE2Cというのは、アメリカの海軍の艦載機でございます。したがいまして、航空母艦との連結というのは完成しているわけでございますが、これを現在私どもが便っておりますバッジとの連接、いま先生がおっしゃいましたソフトウエアの面も含めまして調査をして、来年以降これを装備したいというふうに考えているわけでございます。
  321. 受田新吉

    受田委員 前にP3Cをどうするかというときに調査費を組んだ。それがずいぶん長いことかかって、事実六年も七年もかかったわけですね。これは年数がたちましたよ。そういうことで、いまから調査費を組んで一千万程度でスタートしていくとするならば、これはやはり物になるのは大分先の話ですね。
  322. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 私どもは、このAEWにつきましては、先生も御承知のように、昭和四十六年、もっと前からこれは欲しいと思っておりました。ところが、当時から調査しておりましたけれども、なかなか適当な飛行機がなかったわけでございます。昭和四十六年の当時、アメリカにありましたのはE2Bという飛行機でございました。E2Bというのは、艦載機でございますので、海上における反射波というものはクリアにできましたけれども、地上の反射波というものをクリアにできなかったわけでございます。したがいまして、こういうものを直ちにわが国のAEWとして使うことは適当ではない、したがって自力で開発したらどうだというような議論が当時ございまして、そのことも研究をいたしました。その後E2Cというのができまして、これが地上のクラッターなどにつきましても完全にクリアにできるというようなことがわかりまして、この飛行機自体についてかなり調査をし、研究を進めております。残るところはバッジとの連接の部分でございます。したがいまして、この飛行機が航空母艦のシステムの中に入っているわけでございますから、私どもが使っておりますバッジとの連結というものは、そう時間をかける必要はなく、ことし調査をいたしますことによって、来年度は必要な改装といいますか、アタッチメントをつけるといいますか、そういうことによって装備が可能だというふうに私ども考えているわけでございます。
  323. 受田新吉

    受田委員 相当早期に答えが出そうなんですね。いまお説のとおり、昭和四十六年ごろからこの問題は国会で論議をした問題ですけれども、ことし調査費を、これは一千万ですから、何人かの調査団の旅費ですぐ消えますよね。本物になるとすれば、すぐテンポを速めていかぬと、実現までに時間がかかるということですから非常にテンポを速めて、それから、事実ミグ25のようなのがどんどん乗り込んだときに手も足も出ぬ祖国の防衛体制というのは、これはAEWをつくる以外にないというのは国民が知っとる。知っとるとなれば、これに予算をとることを理解をしてもらえると私は思うのです。こういうところは、本当に専守防衛立場に要る兵器だけをりっぱにとって、どんどん遠くへ飛んでいく危険のあるようなのをなるべく少なくするという意味では、私は、これは早く準備してもいいものだと、個人の見解では思っておるわけなんです。
  324. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 いま先生がおっしゃいましたように、なるべく早く入手するということでございますが、四十六年ごろ考えておりましたのは、開発ということでございましたので、かなりの時間を要するというふうに考えておりました。しかし、現時点におきましては、とりあえず五、六機程度というものを北の方に配備をするという考えに立っておりますので、これは輸入をしてまいりたいと思っております。したがいまして、いまお願いしております来年度の予算で調査が終わりましたら、必要であれば、もう再来年からこれを輸入するということは可能であろうと思います。現にアメリカでこれを生産しておりますので、その生産の流れの中でこれを買うということは比較的短い期間で入手できるというふうに私ども考えておるわけでございます。
  325. 受田新吉

    受田委員 ことしの「日本防衛」は、非常に皆さんに親切に、理解しやすいような書きぶりで、兵器についても国民がわかりやすいように書いてある。これは非常に「日本防衛」としては、最近の防衛白書では上できだと思います。ただ、この中にずいぶん苦心をされて、「新たな防衛力の態勢への移行」などずいぶん苦労しておられる。限界線の問題等で苦労されておるところがわかるのですが、これを見たときに私たちは、アメリカのレーダーサイトというものをそのまま日本が受け入れて、そして今日のレーダー網を持っている日本のレーダーサイトのあり方というものも、時の流れとともに少し考え直さなければいかぬ。レーダーの機械はどんどんかわっておるのですね、前のアメリカからもらったのが。レーダー基地は大体前と同じですよね。機械はどうなんですか。どのくらいかわったのですか。
  326. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 昭和三十四年にアメリカから移管を受けましたレーダーサイトの機脚いうものはかわってきております。かわってきておりますというのはどういうことかと申しますと、先生も御視察いただいたかと思いますけれども、アメリカから移管を受けましたレーダーというのは、方向と距離を探るレーダーと、それから高度を探るレーダーとは別になっております。したがいまして、きわめて効率が悪いわけであります。これに対しまして、いわゆる三次元レーダーというのを国内で開発をいたしまして、四十六年から逐次これを換装いたしております。換装をする場合に、古いものから換装をやっているわけでございます。アメリカから移管を受けました機材そのものも全部同じものではございませんので、おのずから古いものがございまして、そういうものから順次やりまして、現在六個のレーダーサイトの換装が終わっております。そして五十二年度、今年度さらに一個が完成するはずでございますし、五十四年度の完成を目指しまして、もう一個サイト、八個サイト目を計画している状況でございます。
  327. 受田新吉

    受田委員 レーダーの目は、主に北の方へ向いて、南の方に向いていない。四国、高知県にはレーダーサイトがないでしょう。
  328. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 レーダーサイトは全国でいいますと二十八カ所あるわけでございます。一応全一日本をレーダーでカバーをしているということでございますが、いま先生が御指摘のように、四国にはレーダーサイトがございません。したがいまして、低空で侵入してくる場合には一部穴があくというのは事実でございます。しかし、私どもの判断といたしまして、四国の南の方からずっと超低空で入ってくるチャンスというのは、北の方あるいは西の方に比べますと、きわめて少ないわけでございます。したがって、南の方を回って入ってくるためにはかなりの長距離を飛ばなければならない。そうなってくると、超低空で入ってくるということは不可能でございますので、一応レーダーのカバレージの中に入るという判断でございますけれども、確かに御指摘のように四国にはないというのは、低空に対してあの辺が弱いということでございます。
  329. 受田新吉

    受田委員 私も室戸岬の方に行ったら、あそこに台風などに対する救難関係の気象レーダーがあるのです。ああいうものは防衛庁としても、気象レーダーを利用はしておられるのですか。
  330. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 気象レーダーは利用いたしておりません。
  331. 受田新吉

    受田委員 空を飛ぶ飛行機、もうこれは、太平洋へ日本の自衛機が飛んでいくというようなときの気象関係というものは、気象レーダーの力をかりねばいけぬのじゃないか。気象状況を調べる通信気象、これは大事なことだと思うのですが、これを抜きにしたら危ない。全天候性だといったって、気象関係を調べぬといったら大変でしょう。
  332. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 大変失礼いたしました。いま気象レーダーを防空レーダーとして利用しているかということだと思ったものですから。それは違いまして、実は気象庁との間では、航空総隊との間に直接の連絡網を持っておりまして、気象レーダーによる気象状況というものは刻々入るようなシステムになっているわけでございます。
  333. 受田新吉

    受田委員 いまお話を承っていると、南の方へ回ってくる危険がないということになって大体北と西の方に目を向けていると言うと、どうやら仮想敵国を想定しておられるような感じがするのですがね。
  334. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 それは、仮想敵国というのではございませんが、地勢的に見て隣国が近いのはやはり北と西でございます。南の方は何しろ太平洋でございますから、ずっと低空で飛び続けて南の方から低空で入ってくるというのは、運用上きわめて困難な状況であろうと思います。可能性のあるものといたしましては、航空母艦ででも来まして、ずっと低空で入ってくるということはあり得ると思いますけれども、一応現在の航空機の能力からいたしますと、遠くまで低空で飛び続けるということは燃料をものすごく消費いたしますので、なかなかむずかしいわけでございます。そういう点からいきますと、地理的に近い隣国からはそういうことが可能だというふうに私どもは判断しているわけでございまして、仮想敵国というふうには考えていないわけでございます。
  335. 受田新吉

    受田委員 アメリカはもうソ連を対象にして仮想敵国みたいなかっこうで軍備をやっている。それでソ連がいまどんどん追いついて、追い越しておる。ウラジオストクにソ連の潜水艦の基地があって、太平洋艦隊があそこにあって、原潜だけでも五十隻もおる。こういうことで、今度P3Cも、これに対処する目となればどうしてもあららの方にいくわけですね。某国の強大な潜水艦に対処するという作戦になるわけですね。そうでしょう。仮想敵国というのが事実で出る。
  336. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 日本というのは、海に囲まれている国でございます。そしてやはり海の脅威の中で一番の大きな脅威というのは潜水艦の脅威だろうと思います。しかも、その潜水艦というのをアメリカとソ連を比べてみましても、はるかにソ連の方が多く持っておるわけです。しかも極東に配備されております百二十五隻の潜水艦のうち、すでに四十五隻くらいのものが原子力潜水艦になっているということでございます。したがいまして、私どもは、仮想敵国ということではございませんけれども、現実に日本の海上で脅威を受けるものとしては、そういった潜水艦というものを当然考えなければならないわけでございます。しかも、そういった原子力潜水艦に対抗し得る能力としては、私どもは現在P3Cという飛行機が最も有効であり、このP3Cと、あるいはヘリコプター、護衛艦等によりまして対潜作戦を実施するのが最も効果的であるというふうに考えているわけでございます。
  337. 受田新吉

    受田委員 事実上ソ連を相手に考えてきておる。これはもう、これだけ原潜を処分しようというりっぱなP3Cを用意する以上は、目標が一応決まっている。それは目標が決まったっていいと思う。別にそのために国交がどうと言うのじゃないのですから。あなたの国の脅威に対してうちの方はこういう用意をしましたよとやっておけばいいので、現に中ソ条約には、はっきり日本を仮想敵国としておるのですから。国連憲章の五十三条は敵国条項というのが生きておる。それで向こうが条約を結んでおるのですから、こちらだって、その危険に対してP3Cを用意しておりますよと、それは別に急に戦争するわけじゃないのだから、これは一応目標をアメリカのようにはっきり正直に考えていいと私は思うのです。それは、友好を保ちながら、同時にそういう防衛に当たっておる。  もう一つ、もう日本も自衛隊ができて二十二年にもなってきたので、いま私、最初に質問をしました搭乗員、パイロットを犠牲にし、飛行機を犠牲にして莫大な損害を日本国民に与えておる、このことを思ったら、このあたりでレーダーサイトを強化して、同時に、有人飛行機というよりはもう無人飛行機をどんどんつくっていって、電波で操縦して、受信、送信を明確にして、目標へ的確に行くようなやり方にして、人の乗らぬ飛行機です。DASH、無人ヘリコプター、このDASHをいま日本は採用しておるのですね。このDASHのようなものを戦闘機にかわらせてやる時代が来たのではないかと思うのです。FXXはもう無人戦闘機、電波で操縦して、発信、受信を明確にしてやる。六十年ごろで一応の体制を固めてくる次期戦闘機ですから、それから先はそういう方向へ研究していってはどうか。日本防衛庁もそのくらいの頭脳のある人がいまそろってきたと思うのです。日本防衛庁の内部に頭脳を持った職員というのが余りおらぬのではないか。研究開発費、日本はこういうものの開発費というのは非常に少ないですね。防衛庁は一%くらいでずか、いま幾らですか。
  338. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 一・三%程度でございます。
  339. 受田新吉

    受田委員 長官、諸外国に例をとってみましょう。これは大体九%から二〇%近い研究費です、多くの国々は。もう別に言われなくてもわかる。日本はこういう開発研究費というやつがたった一・三%で、いま私は一%だと思ったら〇・三%多かったようですが、これでは研究開発は不可能ですよ。このあたりで日本の兵器も、アメリカの知恵をかりてはそれを日本へ持ってくる、むしろこのあたりで日本がぴしっと国内開発、国産、これに踏み切っていい。そして、その開発の頭脳、いろいろ国内に優秀な企業もあるわけで、そういうところで多くの人が手持ちぶさたになっている。いま国内は非常に景気が悪い。外国から高い兵器を買うより日本でそれをつくれば国内の景気刺激にもなるのです。国産で防衛の兵器はつくっていいのです。兵器を外国へ輸出することは絶対に許しませんが、国内で生産することは国内に景気をつけるわけです。日本の頭脳を示すわけです。開発費に少し奮発をして、このあたりで国内生産に当たる、その一つとして無人戦闘機、電波で操縦して、目標に的確に当たっていく。すでに無人ヘリコプターができておる、DASHができておる。そういうことにひとつ踏み切る用意はないのですか。
  340. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 いま先生がおっしゃいましたお考え、技術的に可能であるということであれば、私どももそういうふうにはもちろんしたいと思うわけでございます。ただし、いま先生がおっしゃいましたように、確かにDASHがございますけれども、DASHというのはわずか十マイルの範囲内で操縦できるわけでございます。ところが、侵入してくる敵機に対しましてかなり遠くのところまで無人で飛ばして、そして縦横に戦闘をするというところまで実は技術はまだ進んでいないというのが現状でございます。各国にも無人機というのはございますけれども、主として使われておりますのが標的機であり、一部偵察機として予定の飛行コースを飛んでその状況を把握してくるという程度のものでございます。したがいまして、防空戦闘を自在にできるような無人機、そこまではなかなか技術的にはむずかしい問題があろうかと思います。そしてまた先生も御記憶だと思いますけれども、二次防のころ、こういった防空ミサイルというものが進んでいって、将来は有人機というものはなくなるだろうということが考えられた時代がございました。それで、あのF104を採用しましたときには、最後の戦闘機だと言われたわけでございます。しかしながら、このミサイルというものも命中精度の問題等がございまして、その後やはり有人機によってやり先を伸ばし、その有人機からミサイルを発射することによって防空体制というものの有効性を高めていくという方向に世界各国が進んでいるわけでございまして、いま先生が御提案になりましたような無人機による時代というものがいずれは来るとは思いますけれども、まあ考えられる、見通し得る将来において、いまF15をやめて無人機に切りかえるということはとても技術的にはむずかしい問題だろうと思います。現在、技術研究所でも無人機の研究をやっているというふうに聞いておりますけれども、その状況につきましては担当の政府委員の方から御説明させていただきたいと思います。
  341. 番匠敦彦

    ○番匠政府委員 御説明いたします。  防衛庁の技術研究本部におきましては、無人機につきまして、大分古くなりますが、昭和三十年代から四十年代の初めにかけまして、主としてターゲットといいますか目標にするための無人機の研究、あるいは将来の技術資料を得るために無人機の研究をやってまいりました。しかし一応その途中でちょっと中断しておりましたけれども、先ほど先生おっしゃいましたように、現在RPVと言っておりますが、無人で遠隔操縦する小型の飛行機に関する研究開発が諸外国でも非常に盛んになってまいりまして、われわれも研究をしておかなければいけないということで、五十三年度予算にはその試験研究費として三千万円程度でございますが、要求をしておりまして、これから本格的にやっていきたいと思っております。  ただ、現在の見通しといたしましては、先ほど防衛局長が御説明いたしましたように、有人戦闘機の支援任務ということを当面考えられておるようでございまして、偵察とかあるいは電子戦に使うとか、あるいは目標の探知に使うとか、長時間の偵察に使うとかいうようなことをいろいろ目標とされておりまして、値段が安いこと、それから人が乗っていないということで非常に潜在的に多方面に使えるということは考えておって、われわれも一生懸命やりたいと考えておるところでございます。
  342. 受田新吉

    受田委員 防衛局長、私がお尋ねしているのは、FXはもうF15ということで一応内閣で決まっておるのですね、FXXを言うのです。FXをいま変えろと言うわけじゃないのです。事実P3Cにしましても、アメリカは一九八三年には生産をとめる、そういうことでしょう。生産をとめると言う。日本のピークの時点にはアメリカは生産をとめておるのです。カナダのS3Aにしましても、これもなかなか一つ魅力のあるのがあるというと、それならどれを選ぶかという問題になってくると、生産をとめるのが一九八三年、それからはつくらぬようになっている飛行機日本がいま買って、この飛行機をつくらぬようになったときには日本のピークでおしまいだというようなことは、これはちょっと残念だなという感じですよ。
  343. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 アメリカは現在P3Cを生産いたしております。そしてアメリカの必要数が終わったところで生産は終わるわけでございますけれども、私どもが聞いておりますところは、一九九〇年代に至るまでこのP3Cというものは十分有効であるというふうに聞いておるわけでございます。私どもも、先生も御承知のように、たとえばF104も昭和三十七、八年に生産が終わりまして、いまだにこれを使っているわけでございますから、生産が終わるということと、有効性がなくなるということとは、私は必ずしも同じものであるとは考えていないわけでございます。
  344. 受田新吉

    受田委員 質問の時間が、思わず切れそうになりますから、私、ポイントをつかんで申し上げたいのですが、カナダの国でもああして陸海空を単一の部隊に切りかえて、陸海空を分けないで一緒にしよう、事実しておるのですよ。こういうときに、日本の陸海空、この狭い国土の日本で陸と海と空とがばらばらに行く、しかも統幕議長の権能は、各幕長を指揮監督する権限はない、これは連絡調整機関ですよ。そういうところで、陸と空と海とが争って、ナイキとホークでも、一遍実績ができるとなかなか陸でも放したがらない、空に任せましょうというぐらいの幅を持ってもいいと思うのです。そういう時期が来ておるのです。無人戦闘機なら戦闘機を生産するのに、各幕が一緒に協力して、ほかのところを節約してでも無人戦闘機の研究費三千万円というものをもっともっとふやしていきましょう、日本の頭脳はアメリカに負けません、西独にも負けないというぐらいで、しかもそれは専守防衛である、断じて攻撃してはいかぬ。さっき鈴切委員のお尋ねに対して、F15は爆弾を積む倉がついておる、もぎ取らぬということでしたね。残っておる……。どうですか。
  345. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 F15は、いわゆる爆撃照準のためのコンピューターと、それから空対空の射撃照準のコンピューター、これが同じものでございます。したがいまして、それを外すということは不可能であるというふうに御説明申し上げたわけでございます。F15というのはファントムとやや違いまして、先ほどもちょっと御説明いたしましたが、ファントムというのは多用途機でございますが、F15というのは主として空中における防空戦闘といいますか、空中戦闘をねらった飛行機でございます。したがいまして、私どもの防空作戦上は最も有効な飛行機だと考えておりますし、地上を爆撃するのにこれを使うということはないわけでございますので、先ほど申し上げましたように、このコンピューターを分けることができないということで、外さないというふうに御説明申し上げたわけでございます。
  346. 受田新吉

    受田委員 地上を爆撃することはないということですけれども、積もうと思えば爆弾を積めるのですから、そのF15か出かけていって——ちょっと勇敢なる自衛官がおってぐうっとやりまくってきて、ミグ25のようなのが日本から出てきたら、そんな爆弾を積んでおるのだから、バカンとやれば、もう戦端が発せられますよ。だからそんな危険なものをしないで、専守防衛というところに当たる——いまちょうど、局長もNHK大河どラマのテレビを見ておられますか。日曜の晩、「花神」、山口県が、防長二州が日本じゅうを相手に戦争したのです。あのときは専守防衛ですよ。四方から襲いかぶさったときに、昔の武士階級でなく、農民、庶民が立ち上がって防衛に当たって、この困難なる四境戦争、四方から攻め立ててきた幕府軍をけ散らして、ついに明治維新をつくった。専守防衛のモデルが山口県、「花神」。そういう意味で、専守防衛日本ですから、外国へ弾を積んでいく危険のあるような飛行機はできるだけ避けて、もっぱら祖国の防衛に当たるというかっこうにするためには、陸海空ができるだけ一体にならなければならない。ナイキ、ホークなども三原長官、あなたの長官時代にこれは思い切ってぴしっとやったらいいと思うのですよ。防空体制を一本にする。古い歴史と伝統で各幕が競争になってくるからなかなか陸上も放さぬということです。いわんや今度統幕議長が陸幕長から来られたりすると、この間はなかなかむずかしいというようなことがあるかもしれぬが、こういうものを、ひとつ大所高所から、祖国の自衛隊は一本であるという体制、しかも、専守防衛で、外国へ行く危険、そういう危険のある兵器をつくらぬ、こういうたてまえで行くべきだと私は思うのです。  もう五分ほどありますから、外務省が来ておられるのでちょっと。  私はこの間北朝鮮へ行ってきたのです。私は南朝鮮へ四回、北朝鮮へ二回行きましたが、三十八度線を境にして南北がにらみ合いをしておる。朝鮮民族として余りにも悲劇ですよ。ところが北へ行った議員さんは、北から南だけを見られるから偏見になる。南へ行った議員さんは、北へ行かぬから、南側から見た偏見が起こる。私は両方ながめているだけに、きょう北東アジア課長さんにちょっと伺いたいのです。  南側は北の脅威があるとおっしゃる。ところが北鮮と韓国を見たら、軍備はほとんど同じです。大まかに言って、北の人口は一千六百万、南の人口は三千万、人間は南よりか北の方が少ない。もし北を後ろにいる中国があの鴨緑江を渡ってばっと応援する、一前の朝鮮事変のようなことがあればそれは別だが、北と南だけから見たら、そんなに北の脅威ということもあるわけではないし、南だって韓国に一握りの米軍がおるだけのことでそんなに脅威はないのだから、脅威、脅威といって両方が血眼になって対立しているのを何とか避けさせたい、これは外交の努力でやるべきだと思うのですが、北の脅威というのは、鴨緑江の北の中国軍がいつでも支援体制に入っていると判断されますかどうですか。
  347. 遠藤哲也

    ○遠藤説明員 北朝鮮の背後といいますか、関係しております中国、ソ連があるわけでございますが、私の見る限りは、両国とも朝鮮半島での動乱は望んでいない、こういうふうに見ております。
  348. 受田新吉

    受田委員 望んでいないのにもかかわらず、南は北の脅威があると言い、北は南の脅威がある、こう言っておる。これは外交の力で、一番近い日本が、この両国に本当に平和をもたらす努力日本が外交ですべきです。  北を承認している国と南を承認している国、両方承認している国、それから国連加盟の国はどれだけありますか。
  349. 遠藤哲也

    ○遠藤説明員 数字を一、二問違うかもわかりませんが、私の記憶しております限りでは、南、韓国を承認しておる国が九十七カ国、北を承認しております国が九十一カ国、両方承認しております国が四十九カ国であったと記憶しております。(受田委員「国連加盟国の総数は」と呼ぶ)国連加盟国は百四十……。ちょっと私いま数を記憶しておりません。
  350. 受田新吉

    受田委員 国連加盟国は百五十に近い、百四十九ぐらいです。その中で北と南をそれぞれ九十何ぼでは承認し、両方承認しておる国も五十近くある。それほど接近しておるのですよ。だから、これをけんかさせぬようにするのが日本外交の非常に大事な役割りなんです。この朝鮮半島の民族の両方を余りにらみ合いをさせるような、ハッパをかけるような日本であってはいけないのです。本当に脅威がないことを両方に伝えて、そうして、できれば民族として平和統一を図らすように、三十八度線の壁を外してやりたいです。  軍事警戒ラインというのを北鮮がやったのを御存じですか。これはどういう目的のもとにできたのですか。
  351. 遠藤哲也

    ○遠藤説明員 先生指摘のように、去る八月一日に北朝鮮が軍事警戒ラインを引いたわけでございますけれども、なぜかというのは、私どもとしては——結局、北朝鮮は本件を軍事警戒、つまり自分の安全保障のためである、こういうふうに説明しておるわけであって、それがなぜかというのは、それ以上ちょっと推測しかねる状況でございます。
  352. 受田新吉

    受田委員 その答弁に私は満足せぬのです。こういうのがほかの国にあるのかどうか。
  353. 遠藤哲也

    ○遠藤説明員 全世界はともかくといたしまして、アジアでは中国がその一部に同じようなことをやっておると承知しております。
  354. 受田新吉

    受田委員 中国の一部にですね。だから、それを一国としてやったのは初めてなんです。そういう敏感なところへ外部の刺激がそうさせておると思うのです。だから、この両国はもう本当に相手を見ないで、両方とも盲ヘビだ、両方を見た者から見たら。北へ行くと、南は飢え死んでおるとおっしゃる。南の方へ行くと、北の方は共産主義のとんでもない政治をやっておるという話なんです。両方見たときに、これは同じ朝鮮民族で、日本の本当に親密な国ですよ。これは外務省中心になってカーターにも北に行かせる、そして北朝鮮も余り南に気を使わないで、もっとおおらかになってもらいたいのです。そして日本の外交がそういうところへ心遣いをしていけば、防衛庁長官、朝鮮半島について非常に危険を感じておられる、戦争が起こるときにはどうだというような新韓国条項の心配もない。日本防衛に対しても、朝鮮の南北が平和に統一する方向へ日本の外交努力——これは両方行ってから、両方けしかけるようなやり方を改めなければならぬと思うのです。  長官として最後の御答弁をいただいて、私の質問を終わることにします。
  355. 三原朝雄

    三原国務大臣 受田先生承知のように、日本の国防の基本方針は第一がいま御指摘の近隣諸国との平和の確立でございます。その点がわが国の防衛の基本方針でございますから、私どもも朝鮮半島においては平和的な統一体制のできることを悲願として願望いたしておるところでございます。ただ、私ども防衛を担当する面から見ますと、そうした外交的な努力がまず大前提として進められることが必要であるということは、一番大事な要諦であると思います。しかし、現実に北と南との対峙しておる事実、そしてしかも越境事件というようなものが次々に頻発しておるというような事態、そういう現実を無視するわけにはいかないというところで、いま申し上げますように、基本的には平和統一を願望し、各国の外交努力が優先することを願望いたしますが、現実のそうした事態等も私どもとしては看過するわけにはいかないというところに一つの問題点があるわけでございますけれども、基本姿勢といたしましては、先生の御指摘のとおり、私どももそういうことを願望してやまないところでございます。
  356. 受田新吉

    受田委員 課長さん、いまそういうお気持ちだが、竹島という島が日韓の間でわだかまりになっておる。これについても、外務省は紛争の拠点にせぬような対策を——最近韓国の何人かかまた新しく乗り込んでいる。これはどういうことになっているのですか。  これで質問を終わります。どうもありがとうございました。
  357. 遠藤哲也

    ○遠藤説明員 先生指摘のように、竹島は国際法上も、あるいは歴史的事実に照らしましても日本の領土であり、これまでも機会をとらえまして韓国の不法占拠に対して抗議をすると同時に、その不法占拠の撤回を強く要求してまいったわけでございます。一番最近では九月五日、六日に日韓定期閣僚会議が東京で開かれました折にも、鳩山大臣から韓国側の外務部長官に対しましてそういった趣旨の申し入れを行ったわけでございます。  ところで、いま御指摘の件でございますけれども、実は昨日の十月二十四日の韓国の新聞に鬱陵島という近くにある島の漁民が住民登録を竹島に変えて、そこで家を建てて漁業に従事しておる。これによって独島が、その新聞記事そのまま引用いたしますと、政治地理学上や国際地理学上の無人島から有人島とみなされるきっかけをつくった云々、こういうふうな記事が出たわけでございます。  私どもとしましては、日本固有の領土であり、かつ歴史的に見ても日本の領土に間違いないところにこういうふうな事態が発生したということは、もしこれが事実であるとしますと、日本の領土主権に対する大変な問題でございまして、わが国としてはとうてい認めることができないわけで、したがいまして、早速いま事実照会というか、事実関係の確認を急いでいるわけでございますが、それを踏まえまして適切な措置を講じたいと考えております。ただし、この竹島紛争というのは非常に歴史的な背景もございますし、粘り強くこの解決に努力してまいりたい、こういうふうな基本姿勢をとっておるわけでございます。
  358. 木野晴夫

    木野委員長代理 次回は、来る二十七日木曜日午前十時理事会、十時三十分から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後七時四十五分散会      ————◇—————