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1977-10-27 第82回国会 衆議院 逓信委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年十月二十六日(水曜日)委員長の指 名で、次のとおり小委員及び小委員長を選任した。  電波放送に関する小委員       伊藤宗一郎君    加藤常太郎君       左藤  恵君    志賀  節君       原田昇左右君    廣瀬 正雄君       阿部未喜男君    久保  等君       鈴木  強君    竹内 勝彦君       小宮 武喜君    藤原ひろ子君       依田  実君  電波放送に関する小委員長  加藤常太郎君 ————————————————————— 昭和五十二年十月二十七日(木曜日)     午前十時七分開議  出席委員    委員長 八百板 正君    理事 稲村 利幸君 理事 加藤常太郎君    理事 左藤  恵君 理事 志賀  節君    理事 久保  等君 理事 田中 昭二君       伊藤宗一郎君    倉石 忠雄君       原田昇左右君    廣瀬 正雄君       堀之内久男君    鈴木  強君       野口 幸一君    古川 喜一君       山花 貞夫君    大野  潔君       竹内 勝彦君    鳥居 一雄君       依田  実君  出席国務大臣        郵 政 大 臣 小宮山重四郎君  出席政府委員         内閣法制局第二         部長      味村  治君         郵政政務次官  綿貫 民輔君         郵政大臣官房長 河野  弘君         郵政大臣官房電         気通信監理官  江上 貞利君         郵政大臣官房電         気通信監理官  神保 健二君         郵政省郵務局長 神山 文男君         郵政省貯金局長 高仲  優君         郵政省簡易保険         局長      佐藤 昭一君         郵政省電波監理         局長      平野 正雄君         郵政省人事局長 守住 有信君  委員外出席者         環境庁大気保全         局特殊公害課長 波多 秀夫君         大蔵省理財局資         金第一課長   森  卓也君         建設省道路局路         政課長     山本 重三君         日本電信電話公         社総裁     秋草 篤二君         日本電信電話公         社総務理事   山本 正司君         日本電信電話公         社総務理事   好本  巧君         日本電信電話公         社総務理事   山本  孝君         日本電信電話公         社理事     長田 武彦君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   橋本 忠正君         参  考  人         (日本民間放送         連盟専務理事) 杉山 一男君         逓信委員会調査         室長      芦田 茂男君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  逓信行政に関する件      ————◇—————
  2. 八百板正

    八百板委員長 これより会議を開きます。  逓信行政に関する件について調査を行います。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本件調査のため、本日参考人として日本放送協会専務理事橋本忠正君及び日本民間放送連盟専務理事杉山一男君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 八百板正

    八百板委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————
  4. 八百板正

    八百板委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。稲村利幸君。
  5. 稲村利幸

    稲村(利)委員 昨日の逓信委員会理事会で、テレビ朝日社長高野さんにおいでいただいたのですか、モスクワオリンピック放送権については国民は非常に関心を持っておって、先般の委員会でも、責任者社長自身から、五月になったならば独占契約内容も明らかになるということを明らかにしておきながら、すでにもう半年になろうとしておりまして、この委員会としても一刻も早くこれを解明して国民を安心させなければならないという観点で昨日呼んだのです。これは各理事も同様の印象を持ったと思いますか、委員長か聞いていることをはぐらかして、何か、器材があとどのくらいでどうだということですが、それよりも、社長責任者がいつこの委員会でそれを明らかにできるかということを明確にしなければならない。こういうことで、私ども理事及び委員長を含めて、この問題が一刻も早く審議されることを私はこの席で強く要望をいたしておきます。  そこで、きょうは民放連杉山専務理事かお見えでございますか、いま日本の経済はおしなべて不況という言葉か当てはまり、中小企業の倒産なんかを見ていったら史上に例のないことですが、特にコマーシャルを扱っているテレビ放送等営業成績は大変な黒字でほくほくだと聞いております。皆さんは金もうけに忙しいようですか、重要なオリンピック放送問題について、その後、民放連として、テレビ朝日にどういう態度であるかということを聞いたことかありますか。
  6. 杉山一男

    杉山参考人 民放連としては報道委員会かございます。報道委員会としては、いま、この問題についてのきっかけをどこで考えるかということについて委員長に一任されております。  この問題は、テレビ朝日さんかモスクワ契約するときには一応民放連の手から放れまして、取材の自由ということから各社個々に折衝するということでありましたか、いま先生かおっしゃるような問題もございますので、そういう次元から何らかの形で考えたいという点で、報道委員長に一任されております。
  7. 稲村利幸

    稲村(利)委員 報道委員長に一任していると言いますか、民放といえども電波国民の限られた財産公共のものですから、民放の一社であるテレビ朝日が出し抜いたというか、あのような形になっているのですけれども、あなたは専務理事としての責任ある立場として、これを一刻も早く国民か安心して世界の祭典を楽しめるようにする必要性国民に対して感ずるかどうか、もう一度明確な答弁を伺いたい。
  8. 杉山一男

    杉山参考人 その点はわれわれも考えて、おります。したがって、現在の報道委員長テレビ朝日さんにも関係しております。そういうチャンスを見ながら関係の方といろいろ相談し、必要な根回しなどをした上で、この問題を最も効果的な形で取り上げるという機会を委員長としては考えておると思っております。
  9. 稲村利幸

    稲村(利)委員 テレビ朝日につきましては、昨日の理事会でも、会期延長を予測するのは大変恐縮ですが、一週間なり十日なりとうわさされていますが、そのうわさから推定して、次にできる委員会審議の日は二日と、三日は休みですから九日、十日となる。この九日、十日には、委員長にこれは強く私は一理事として要望しておきますが、どういうことかあろうと——きのうの高野社長発言では、大変重要なことがあってモスクワ及びヨーロッパ当事者が行っているということですが、最高責任者常務になすりつけるということはちょっと合点がいきませんが、常務社長が指名しているわけですから、これはどういうことがあっても、国会の権威にかけても九日、十日の委員会には間に合わせるように特段のお願いを委員長に強く要望しておきます。テレビ朝日が来て、そこで各党そろってこの問題について質問をするということにいたしたい。  それにしても、オリンピック放送権問題についてはその後の時間もかなり経過しておりますので、どのような動きがあったかを、民放でなくNHKの方にその動きをちょっと聞かせていただきたいと思います。
  10. 橋本忠正

    橋本参考人 モスクワオリンピック日本向けテレビ放送権につきましては、御承知のようにテレビ朝日が排他的な独占権を取りまして、その後私どもの方から申し上げるような格段の動きというものは率直に申し上げてございません。  ただ、若干日本以外のところで一、二動きがございますので、参考までによろしければ申し上げたいと思いますが、一つは、アメリカ、日本に次ぎまして、オーストラリア放送権がやはり商業放送独占権を取られたということと、もう一つは、西ヨーロッパ放送連合モスクワオリンピック交渉については一致団結して、個別交渉は絶対にやらないという強い決議がなされたという外の動きがございます。  先生のせっかくのお話でございますが、私の方から特段申し上げる動きはございません。
  11. 稲村利幸

    稲村(利)委員 私は時間も限られておりますので、オリンピックの問題についてはこの辺でやめさせていただきますが、もう一点橋本さんがおいでのついでにちょっと聞きます。  先般アジア放送連合総会が開かれたと聞いておりますが、モントリオール方式が崩れて高い放送料を払わなければならなくなったことに対しての各国の反応をちょっと参考のために聞かせておいてもらいたい。細かくは次でも結構です。
  12. 橋本忠正

    橋本参考人 アジア太平洋放送連合ABU総会か先日トルコで開かれまして、私も坂本会長出席いたしました。  モスクワオリンピック交渉の経過につきましては、最初にモスクワからアプローチがあった段階から、ABU会長であるオーストラリアABC会長のダクマントン氏に私は詳細報告してございますので、今回の総会で特に大変な議論になったとかいうことはございません。  ただ、総会の全体の意思のまとめといいますか、決議の中に三点ほど御参考になる点がございますので申し上げたいと思いますが、その一つは、テレビ放送権料の値上げを防止したいという見地からいろいろABUとしてやってきたのだけれども、今回の日本オーストラリアで起きた事態は遺憾である、残念であるということと、二つ目は、こうなりましたので、日本オーストラリア二つの国を除くほかのABU加盟機関が今後は一致団結して一括交渉方式を守るということ、つまり、ABUとしては個別交渉には応じないという原則を再確認したということと、最後に、ABUとしては今後ほかの放送連合に、たとえばEBUだとか、そういうところに呼びかけて、言うなれば共同戦線を張ってやっていこうということ、こういう主な点三点が決議の中に盛られております。  したがいまして、個々の代表がこの問題について日本オーストラリアを大変責めるとかいうことはございませんが、決議の中に遺憾であるという表現がございます。
  13. 稲村利幸

    稲村(利)委員 この問題は、世界でも残念だとか遺憾であるとかいう言葉か出ていることで重大な問題でございますので、またテレビ朝日責任者が来たら、その席でもう少し詰めてお伺いをしたいと思います。  実は、テレビ朝日のことばかり言ってちょっと恐縮でございますが、昨日の委員会のことで、きょうの読売新聞に、私は知らないでいたら私の名前が出ております。「放映のない音楽会」という見出しで、「黛さん “教育勅語すすめ” 中止をめぐり国会論争」という記事が出ております。  きのうの民放連の方は杉山専務理事じゃなく違う方がお出になっておりましたが、まず、私は法解釈から法制局の方に参考に聞きたいのですが、憲法二十一条と放送法第一条の「表現の自由」、それから放送法第三条の「何人からも干渉され、又は規律されることがない。」という規定、これについて憲法放送法との関係——あと国会決議かあった云々ということもありますが、その辺についてちょっと法制局解釈を聞かせていただきたいと思います。
  14. 味村治

    ○味村政府委員 お答え申し上げます。  日本国憲法第二十一条に、「言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。」という規定がございます。これは憲法の大原則でございます。ただ、この表現の自由をいかなる場合にも制限できないのかと申しますと、それは憲法の十三条あるいは十二条等によりまして、公共の福祉のために制限される場合もあるということでございます。  放送法の三条には、「放送番組は、法律に定める権限に基く場合でなければ、何人からも干渉され、又は規律されることがない。」と書いてございますが、放送するということも、もとより表現するわけでございますから言論の自由の範囲に入るわけでございまして、この憲法基本的理念放送の面において具体化したというのが放送法規定であろうかと存じます。
  15. 稲村利幸

    稲村(利)委員 いまの解釈に基づいて、テレビ朝日が、読売新聞によりますと、去る十四日に渋谷公会堂で収録され、三十日に放映予定であった。きのうまでの段階では、予定として他の新聞その他にも流されているわけです。「題名のない音楽会」で、副題が「教育勅語すすめ」ということですが、そういう場合に、あなたとしては突然の中止をどのようにお考えになるか。ちょっと感想をお聞かせいただきたい。
  16. 味村治

    ○味村政府委員 実は、私はこの問題はただいま初めて知りましたようなことでございまして、感想と申されてもなんでございますが、法律的な立場から申しますと、放送するということは、これは放送事業者かすることでございまして、その放送事業者がほかのタレントといった方々と契約をして、タレントに出演していただいて放送するということでございますから、放送事業者言論自由化ということになりますと、あくまで放送事業者自分の欲するままに放送するということになろうかと思います。  非常に法律的な観点からだけの感想でございますが、そのように考えております。
  17. 稲村利幸

    稲村(利)委員 そこで、民放連専務理事にお伺いいたしますが、「題名のない音楽会」というのは、きょうの読売新聞に書いてありますとおり、三十九年から十二チャンネルでやっていて、四十一年から十チャンネルでやっている非常に長寿人気番組ですね。この番組をなぜ二十五日に放送中止にしたかという実情について、ちょっとあなたからお聞かせいただきたい。
  18. 杉山一男

    杉山参考人 私が聞いておる範囲では、テレビ朝日さんの方でこの問題について社内で異論があって、検討した結果中止することにしたという話を聞いております。
  19. 稲村利幸

    稲村(利)委員 社内に、何ですか。
  20. 杉山一男

    杉山参考人 社内に異見があって中止することにしたというふうに聞いております。
  21. 稲村利幸

    稲村(利)委員 ここの委員会質問をすると通告をいたしまして、それで二十五日の夕刻に急遽取りやめになった。読売さんばかり例を引いて申しわけありませんが、この新聞によると、テレビ朝日側は「番組中止すれば質問をやめるか」ということを言っている。  これは憲法その他放送法から見ましても、あるいは常識から考えましても、どうも不自然なところを私は感じますが、あなたはどのようなことを感じますか。
  22. 杉山一男

    杉山参考人 事前にそういう話をしたかどうかということは私は聞いていないのでわかりませんけれどもテレビ朝日さんが、先ほど法制局の方もおっしゃったように、放送法の第三条がございますので、恐らく自主的に判断して決めたのではないかと思います。  その辺の事情については私は聞いておりませんので、質問中止するかと言ったか言わないか、その辺はわかりませんけれども、恐らく、放送事業者は、番組については自主的に判断するということについては十分承知のことでございますので、私は、テレビ朝日さんの自主的判断によって決められたというふうに考えております。
  23. 稲村利幸

    稲村(利)委員 いま、自主的に中止をしたとあなたは言われていますが、十四日に制作をして、その間委員会を一回も開いていない。また、中止をするべくその論議も何もされていない。そして突如あした質問があるからやめるということは、これはある圧力によってとか——日本婦人の会の東京本部からテレビ朝日に抗議の電報を打ったというようなことがきょうの赤旗に出ていたりしていますが、私は、これは圧力によったと考えるのです。  あなたは民放連専務理事だからおわかりでしょうが、一つ番組をつくり放映するのに、制作費というのはおよそどのくらいかかるのか。推計でいいですけれども、大体どのくらいですか。
  24. 杉山一男

    杉山参考人 私は現場を担当したことがないので、制作にどれくらいかかるのかという数字は持っておりません。  お答えできないのが残念です。
  25. 稲村利幸

    稲村(利)委員 それにしても、相当経費をかけている。これを没にするということは、この経費むだ遣いということにならざるを得ませんが、私は、民放連と、それからまたきょうは電波の方からもだれか来ていると思いますので、それぞれお答えをいただきたいのですが、私は、経緯をずっともう少しまじめに調べていただきたいと思う。  これは表現の自由にかかわる重要な問題ですから、責任ある民放連専務理事として、また、郵政省の、放送の方でしょうか、電波の方でしょうか、よくわかりませんが、この理由を正直に明確に突きとめていただくことを要望して、ちょっと一言ずつ答弁をお願いします。
  26. 杉山一男

    杉山参考人 放送開始前の問題でありまして、その放送開始前の問題は、その企画とか内容とか演出といったことは民放連は全然関知しないことになっております。したがって、そういう問題がテレビ朝日さんの方でどういう過程で事前にやめるということになったものか、われわれの方として、民放連として、その理由が何であったかというような追及はすべきではないのじゃないかと思っております。放送されたものが放送基準に抵触するかしないかという問題で論議になった場合は話は別ですけれども事前にそういうことをやれば、民放連事前審査というような形にもなってまいりますので……。  放送基準民放連として持って、各社がその放送基準を守るという申し合わせはしておりますけれども事前にそれをどうこうするということはいまのところしておりません。また、将来もすべきではないというふうに考えております。
  27. 平野正雄

    平野政府委員 放送番組につきましては、放送法第三条に、「法律に定める権限に基く場合でなければ、何人からも干渉され、又は規律されることがない。」と規定されておりまして、番組編集放送事業者が全く自主的に行うこととされております。  したがいまして、ただいま御案内放送番組につきましても、その適否につきましては放送事業者がみずから判断すべき問題であるというふうに考えております。
  28. 稲村利幸

    稲村(利)委員 あなたにもう一度ちょっとお聞きしますが、教育勅語に関して、これは私の主観というか、私個人考えですが、これは戦後国会決議であれしたわけですけれども、私は非常にいい要素もあると思うのですが、親孝行をしよう、夫婦仲よくしようというようなこと等が社会公共に悪い影響を及ぼすとあなたはお考えですか。
  29. 平野正雄

    平野政府委員 お答え申し上げます。  先ほども申し上げましたように、御案内放送番組につきまして、その適否につきましては放送事業者判断すべき問題だと存じてておりますので、私が番組内容に立ち入って言及することは、ただいま申しました放送法のたてまえから申し上げまして適当ではないのではないかというふうに考えます。
  30. 稲村利幸

    稲村(利)委員 ちょっと話題を変えますけれども、青少年に余りいい影響を与えていないなと思うようなもの、たとえば最近はポルノというものが、これはテレビ朝日だけじゃありませんが、各テレビ局で頻繁に耳目をにぎわしておりますが、こういう問題に関して、これもテレビは自主的に判断して、社会に害をなしているかどうか、その点をちょっとお答えいただきたい。
  31. 平野正雄

    平野政府委員 お答え申し上げます。  先生承知のように、放送法第四十四条第三項に、「国内放送放送番組編集に当たっては、左の各号の定めるところによらなければならない。」という取り決めがございまして、「公安及び善良な風俗を害しないこと。」「政治的に公平であること。」等が示されております。この取り決めと申しますか、規定に基づきまして番組基準というものがNHK及び民放連において定められまして、民放連につきましては、民放各社がコードに準拠いたしまして番組基準を定めております。  しかも、一方、NHK及び各民放放送番組審議機関を設置いたしまして、そしてその番組適否等判断しておるというふうに存じておりますので、私ども郵政省といたしましては、先生がただいまおっしゃいましたような問題につきましての編集というものは、それぞれNHK及び各民放判断をして自主的に編集をいたさるべきものというふうに存じております。
  32. 稲村利幸

    稲村(利)委員 ポルノというものが最近耳目をにぎわしていて、お母様方はPTAなんかで、先生、あなたは逓信委員会委員なんだし、そういうことを公の場で発言して控えるようにお願いしてくださいと言う。そういう声が非常に強いわけですよ。だから、そのことに関してどういうふうに考えますかということを私は聞いているんです。
  33. 平野正雄

    平野政府委員 ポルノ等の問題につきましても、郵政省といたしましては、その番組編集自主性ということに基づきまして、ただいま申し上げましたような期待を強く持っておるわけでございまして、郵政大臣といたしましても、たとえば昨年の十一月に行いました放送局の再免許の時点で、NHK及び各社に対しまして番組向上の件について強く要請をしておるということでございます。  当然、その番組向上の問題の中にはただいま先生御指摘の問題も入っておるというふうに承知をいたしております。
  34. 稲村利幸

    稲村(利)委員 教育勅語についてのテレビ朝日放映というものは、世論に判断をさせるということもテレビ放映の、いわゆる表現の自由の重要な課題じゃないかと私は思うのです。  私なんかはそのことについて、なるほどいい場面があるなと思って、放送中止となったということで非常に残念に思っている一人でございますが、あなたの感想をもう一度お願いいたします。
  35. 平野正雄

    平野政府委員 ただいま先生が申された問題を含めまして、その番組審査と申しますか、判断につきましては、個人個人によりまして相当判断の相違もあろうかと思いますので、私といたしましては、私個人判断につきましては御答弁を差し控えさせていただければありがたいと思います。
  36. 稲村利幸

    稲村(利)委員 では、民放連専務理事としてはいまのことについてどういうふうな考えを持っていますか。ポルノ教育勅語について、社会に与える影響をどういうふうに考えますか。
  37. 杉山一男

    杉山参考人 個人個人にはいろいろ考え方があるかと思います。しかし、民放連としては放送基準がございまして、放送基準に抵触するということになれば、これは会長各社善処方を要請することはできます。また、先ほどお話がございましたように、各社には番組審議会がございますので、個々番組については審議会意見も十分徴しておると思います。また、NHK民放連番組向上委員会を組織しておりまして、この向上委員会においてもそういう問題か論議されれば当然われわれの方に反映されますので、それについても民放連として善処をしていくようになっております。  先ほど教育勅語の問題は、何せ私たちは、その内容あるいはどういう演出をするかというようなことも全然知らないことでありますし、放送以前の問題でございますので、私がそういうことについて自分の私見を述べるということは差し控えさせていただきたいと思います。  なお、これはあくまでも放送事業者自主的判断善処したものというふうに私は解釈しております。
  38. 稲村利幸

    稲村(利)委員 この問題で議論をすることは時間も限られていますので、当事者テレビ朝日おいでの節にまた私は詳しく掘り下げて聞くことにいたします。  それから、先ほどの私の発言の中で、まだ会期延長が決まっていないのに先のことを言いましたが、来月の九日、十日と委員会を開くかは理事会で協議を願うことになっておるということで、先ほど私が言ったことは訂正をさせていただきます。  次に、私は一般質問で、常々考えていることをきょうお聞きしたいのですが、まず、環境庁からきょうは来ていただいていると思いますが、衆議院が解散になりまして私どもが街頭演説をしているときに、あれは有線放送にかかわることだろうと思いますが、いきなり音楽がばっと鳴って、聴衆も耳を押さえるということで、私どもも演説を聞いてもらえないということで非常に残念に思う場面がありますが、こういうことに関して環境庁はどのようにお考えでしょうか。
  39. 波多秀夫

    ○波多説明員 拡声機を使用いたします放送にかかわる規制についてでございますが、この点につきましては、騒音規制法の二十八条の規定によりまして、地方公共団体か地域住民の生活環境を保全する必要があるというふうに認めた場合には、当該地域の自然的、社会的条件に応じて必要な措置を講ずるようにしなければならないというふうに規定をいたしておるわけでございます。これに基づきまして、おおむね各都道府県等におきまして条例を制定する等の措置を講じましてこれに対処しておるわけでございます。  ただ、先生が御指摘になりましたような観点からではなく、もっぱら拡声機による放送の大きさという点にだけ着目しての規制がなされておるという状況でございます。
  40. 稲村利幸

    稲村(利)委員 私どもが演説をやっていて自分で直接感じたことですけれども、受験期を控えた親御さんたちからの街頭のあれが非常にうるさいという声も聞いているわけなんですが、そういうことでありますので、環境庁としては厳しく道路上の騒音の問題に心していただきたいと思います。
  41. 波多秀夫

    ○波多説明員 道路騒音あるいは工場等一般の騒音等につきましても、またこういった拡声機等による放送による騒音につきましても、これらの騒音すべての防止につきまして、環境庁といたしましても今後一層努力をしてまいりたいと考えております。
  42. 稲村利幸

    稲村(利)委員 有線音楽放送業務については、これは実は私の知らない間にある連盟の顧問ということで名前が出ているので、驚いて、早速これは取り消していただきたいということで、その連盟についこの間やったのですが、これは野党の方々はかつて大変立派な質問をしているなと私は思ったのですが、いわゆる有線音楽放送業務を行う場合の法律上の扱いについてと、及び現状について簡潔に述べていただきたいと思います。
  43. 平野正雄

    平野政府委員 お答え申し上げます。  有線音楽放送業務を行おうといたします場合は、先生も御承知のように、有線電気通信法に基づく設備の設置の届け出、及び有線ラジオ放送業務の運用の規正に関する法律に基づく、先生がただいま申されました業務の開始の届け出、この二つの届け出が必要になるわけでございます。  また、御指摘の現状でございますけれども昭和五十二年三月末現在の状況を申し上げますと、届け出がございました施設数が五百十八施設、また、その業者の数が百九十八業者でございます。なお、このほかに、道路の占用許可を得ていない等のため届け出を受理されていない施設が約五十施設ほどある現状でございます。
  44. 稲村利幸

    稲村(利)委員 大臣の認可制その他届け出等々で、いわゆる無断、無法でやっている施設の取り締まりについて、これは国民が迷惑することですから当然厳しくしなければならないと思いますが、あなたはその対策についてどうお考えですか。
  45. 江上貞利

    ○江上政府委員 対策というお尋ねでございますが、その前に一体どういうところに問題が所在しておるかということを簡単に御説明させていただきまして、それで対策ということを述べさせていただきたいと思います。  有線音楽放送をめぐりまして、現在問題だとされております施設の違法の内容でございますが、放送線を無断で電柱に添架するとか、あるいは放送線によって道路を無許可で使用するとか、あるいは有線電気通信法等に基づく届け出をしないというようなことが問題となっているわけでございます。  したがいまして、これに対しての対策ということになるわけでございますが、現行制度による制約などもございましてなかなか即効的な対策というものはできないわけでございますけれども、道路管理者あるいはまた電柱の所有者などの関係機関でお互いに十分に連絡をとりながら、それぞれが可能な法律的な措置を講じていくということであろうかと思います。  したがいまして、郵政省といたしましても、これらの関係機関と協力しながら、特に悪質な業者に対しましては法的な措置をとるというようなこともしていきたい、そしてまた違法施設の解消に努力してまいりたい、このように存じております。
  46. 稲村利幸

    稲村(利)委員 道路の無許可占用について、建設省としても迷惑されていることと思いますが、その実態をどのように把握しているか、これを簡潔にお願いしたいと思います。  時間の関係上もう一点伺いますが、道路法によると、道路を占用する場合には道路管理者の許可が必要とされており、これに違反した場合にはかなり重い罰則が科せられているということになっておりますが、その罰則を科した事例と実情はどうなっているかを伺いたい。  この二点を続けてお願いしたいと思います。
  47. 山本重三

    山本(重)説明員 有線音楽放送施設、いわゆる音放線の道路の不法占用状況は、本年の三月末現在で、国が直轄管理しております国道で約五十六キロメートル、都道府県、指定市等が管理しております道路で約三百八十キロメートルに及んでおります。また、本年六月以降に関東地方を中心にかなりの不法占用の状況が続出している状況ですが、その状況については現在道路管理者等に調査を依頼して調査中でございますので、その結果は現在まだ判明しておりません。  なお、この音放線の不法占用の取り扱いにつきましては、過去にもたびたびこういう事例がありまして、四十八年に郵政省との間に有線音楽放送の正常化についての申し合わせができておりまして、この申し合わせに従いまして道路管理者側としても厳しく取り締まる方針で進んできておりますが、その措置としては、まず第一に、業者に対して自主撤去あるいは正規の占用許可手続をとるように勧告をいたしておりますが、これに従わない場合には道路法の監督処分を発動する、監督処分を発動してもなお従わない場合には告発の手続をとるというような措置を決めております。  先ほど申しましたように、本年六月以降関東一円で直轄の管理区間も含めてかなりの違反事例が出てまいりましたので、私どもは再三これに対して口頭、文書等による勧告をしたにもかかわりませずこれに従いませんために、八月の下旬に聴聞をいたしまして撤去命令を出しておりますが、残念ながら現在においてもこの状況が続いておりますので、現在、関係当局と打ち合わせ、告発をする準備を進めておるところでございます。
  48. 稲村利幸

    稲村(利)委員 いまの山本さんのお答えでいいわけですが、この問題については、たとえば電電公社でも東京電力——私は関東に住んでいるから東京電力ですが、これは大変煩わしい迷惑をしていると思います。最近はこの問題は責任が郵政省一本というような考えがあるので、建設省や警察その他と力を合わせて、この煩わしさ、市民、国民の迷惑をぜひなくしていただくために綿密な連絡と厳重な罰とをお願いしたいと要望して、この問題については終わります。  次に、私は、郵政全般のことについてちょっと気になる問題を申し上げますが、去る九月二十九日に郵便貯金の金利の引き下げが行われました。これによって郵便貯金の支払い利子はどの程度減少になるのか。この点について新聞報道等では各種の説がありますが、明確でありませんので、この際はっきりさせていただきたいと思います。
  49. 高仲優

    ○高仲政府委員 お答え申し上げます。  九月二十九日にいわゆる利下げを行います直前の郵便貯金現在高は、速報値によりますと三十三兆九千二百億円余りに相なっております。約三十四兆円でございます。一見いたしますと、この三十四兆円のすべてについて〇・五%の引き下げが行われるということになりますと千七百億円の利子の減少になり、これが年度内半年ということでございますから八百五十億円の減少になるような感じがいたしますが、郵便貯金につきましては、その主力は定額貯金でございます。私ちょっとこの前数字を間違えましたが、正確には八四・五%が定額貯金、一・五%が積立貯金となっておりますが、定額貯金につきましては、預入時の金利がそのまま引き続き適用される。その期間は最長十年である。積立貯金につきましても、最初の預入のときから二年間は旧利率がそのまま適用されるということに相なるわけでございまして、直ちに引き下げられるものは通常貯金、それから引き下げの日以後新たにお預けいただく定額貯金、積立貯金の金利、これは新しい金利が適用されるわけでございます。これらを計算いたしますと、今後の伸びの点につきましては、見込みの数字で申し上げるのでございますが百六十六億四千万円という数字に相なっております。  内訳を申し上げますと、通常貯金につきましては百十一億円の利子の減少、積立貯金につきましては四千万円、定額郵便貯金については五十五億円、合わせて百六十六億四千万円と試算いたしております。
  50. 稲村利幸

    稲村(利)委員 もう一点伺いますが、最近の郵便貯金の増加状況と社会経済環境の変化ですね。景気動向等から見ての郵貯の増加見通しについてもう一度伺いたい。
  51. 高仲優

    ○高仲政府委員 お答え申し上げます。  本年九月末現在の増加額は、純増加と言っておりますが、市中から新たにお預けいただいた金高で二兆七千五百三十九億円と相なっております。これは前年の増加実績に比べまして一二六%、三六%の増となっております。一見大変順調でございますが、実は、これを月別に見ますとやや数字が乱れておりまして、四月は対前年一一四%、五月が三一二%、六月が九六%、七月が一〇一%、八月が九六%、九月がまたいわゆる駆け込みがございまして二〇七%と相なっております。したがいまして、今後の推計値につきましては、この駆け込みの要素をどのように考えるかによってなかなかむずかしいのでございますが、安全率を踏みまして、六月、七月、八月の伸びの状況で十月以降三月の間推移いたすといたしますと、十月−三月間に一兆八千八百億円の預入の純増加が期待されるのではないかと思われます。このほか、元加利子と言って、郵便貯金は発生いたしました利子を逐次元本に繰り入れて、いわゆる利が利を生む形にいたしておりますが、この分を加えまして最終的な数字を予測いたしますと六兆七千百億円という数字が出てまいります。これは前年の実績に対しまして一四%増ということになります。  何分まだ十月の状況を的確につかんでおりませんので、単に六、七、八月の実勢値で推計したということでございます。
  52. 稲村利幸

    稲村(利)委員 非常に重要な公共投資等に役立っているこの郵便貯金が、見通しとしてはまあまあだという、こういう漠然とした解釈でいいのですか。
  53. 高仲優

    ○高仲政府委員 お答え申し上げます。  予算に定めました本年度の目標は六兆二千億でございますが、これに対比いたしまして六兆七千億余りの実績を期待できるのではないかと考えておる次第でございます。
  54. 稲村利幸

    稲村(利)委員 私は先ほど委員長会期延長の問題で取り消しをしましたが、最後に重ねて申し上げますが、モスクワオリンピック放送契約内容等を一刻も早く明らかにしなければならぬし、同時に、オリンピックまであともう二年十一カ月足らずですから、テレビ朝日に対しても少し責任を感じてもらわなければならないし、また、先ほど番組の突如の停止の問題についても、これは出てきてもらわなければ何ともならないことですから、一刻も早くこの委員会出席をするように強く要望をいたします。  私としては、個人的には番組が流れたということは非常に残念です。私は、いわゆる明治の教育勅語のよさをテレビを見ながら判断し、いまの若い者がこれに対してどういう反応を示すかということに興味を持ちながら見ようという気持ちでおったのが突然の中止を非常に残念に思っている一人でございますが、この点についても非常に詳しく聞きたいと思いますので、ぜひ責任者出席をお願いして私の質問を終わります。
  55. 八百板正

    八百板委員長 山花貞夫君。
  56. 山花貞夫

    ○山花委員 まず、初めに、昨日の委員会以来引き続いて本日も議論されましたテレビ朝日教育勅語に関する放映を自主的に中止されたという問題について伺っておきたいと思います。  この問題については昨日阿部委員の方からも主として問題にされましたが、昭和二十三年六月十九日でありますけれども、衆参両院におきまして教育勅語等の排除に関する決議がなされたわけで、その立法府におけるそれぞれのこの決議に関連して問題が取り上げられたわけであります。決議内容については改めて繰り返すまでもないと思いますけれども教育勅語が今日なお国民道徳の指導原理としての性格を持続しているかのごとく誤解されている、親孝行の問題だとか夫婦の問題だとか、部分的なそういう問題をとらえて誤解されている、これは従来の行政上の措置が不十分であったためであるという、こういう考え方のもとに、これら詔勅の部分的なところではなく、「根本理念が主権在君並びに神話的國体観に基いている事実は、明かに基本的人権を損い、且つ國際信義に対して疑点を残すもととなる。」と、こういう観点のもとで、両院が「詔勅を排除し、その指導原理的性格を認めないことを宣言する。」としたものであります。  私は、問題のとらえ方としての基本的な観点は、国会逓信委員会における議論でありますから、両院で確定していまだ変更のないこの決議を尊重すべきだと思います。しかし、その点については昨日すでに議論が済んでおりますので繰り返そうとはいたしませんが、本日法制局にもおいでいただきまして法律論としての議論がありましたので、重ねてその観点からいま少し御説明をいただきたいと思います。  ます、冒頭、憲法二十一条と放送法一条、三条あるいは憲法十二条、十三条の関連について先ほど御説明をいただきましたが、憲法二十一条が保障している「一切の表現の自由」は、これは決して無原則的な野方図な自由を放任したものではないと思います。そういう観点から考えてみれば、すでに実定法の中におきましても、憲法十三条、憲法二十一条の規定と形式的には衝突するような規定、あるいは刑法における名誉棄損の罪、公然事実を摘示して他人の名誉を棄損した場合は名誉棄損になるという罪、あるいは信用棄損の罪、いずれも形式的にはぶつかるかもしれませんけれども、そうではないのだという一例だと思うのであります。  さて、そういう観点から法制局に御見解を伺いたいと思うのですけれども放送法の四十四条、特にその三項におきまして、「協会は、国内放送放送番組編集に当たっては、左の各号の定めるところによらなければならない。」として四つの基準を示しております。なお、この規定につきましては、放送法の五十一条におきまして、四十四条三項からの規定については、一般放送事業者放送番組編集または放送についても準用するとされているわけであります。憲法二十一条の規定を無原則的にとらえるならば、放送法四十四条、一般放送事業者についての五十一条についても憲法とぶつかる問題が出てくるのかという疑問が形式的には出てくると思いますけれども、こうした条文が憲法二十一条との関係でどのようにとらえられるかということについて御見解を伺いたいと思います。
  57. 味村治

    ○味村政府委員 放送は、非常に多数の大衆に対して電波によります言論を与えることによりまして非常に影響力の大きいものでございます。そういう意味で、この放送につきましては、先ほど先生の御指摘になりました四十四条の三項のような規定があるのかと存じます。  先ほど申し上げましたように、憲法表現の自由は、無原則といいますか無制限なものではございませんで、公共の福祉のためにはそれを制限することもやむを得ない場合があるわけでございまして、この四十四条の三項も、その公共の福祉という観点から制限を加えたものであろうかと存じます。
  58. 山花貞夫

    ○山花委員 放送法四十四条について、公共の福祉の観点から御説明がありましたけれども、「公安及び善良な風俗を害しないこと。」「政治的に公平であること。」「報道は事実をまげないですること。」「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。」という基準については、放送における言論の自由あるいは放送文化における言論の自由を守っていくという観点から考えてみると、一面では、法解釈の問題として、公共の福祉における制限の規定であるというようにとらえることもできるかもしれませんが、放送における言論の自由、放送文化における言論の自由という観点から見た場合には、むしろ放送事業においてこのような基準のもとに放送事業を営むことこそかかえって言論の自由を確保することになる。こういう観点もこういう法律についての解釈の中から出てくるのではないかと思いますけれども、この点についてはいかがでしょうか。
  59. 味村治

    ○味村政府委員 確かに、先生のおっしゃるようなそういう観点もあろうかと存じます。特定の放送事業者、これは日本放送協会のみならず民放にも準用されておりますからNHKだけの問題でないわけでございますので、特定の放送事業者がこのような四十四条三項に規定するようなことに違反するような放送をいたしますれば、それはおのずから世論による反撃を受けると申しますか、非常に政治的に偏向しているとか、あるいは公安や善良な風俗を害するとかいうことになりますと世論による反撃をこうむって、かえって放送に対する制限が厳しくなると申しますか、そういうおそれもなきにしもあらずという意味では確かに先生のおっしゃるとおりかと存じます。  ただ、直接的には放送というものが大衆に与える影響の重要性にかんがみまして、放送事業者についてこのような制限を課したのは公共の福祉という観点からではなかろうか、直接的にはそのような観点からではなかろうかと存ずる次第でございます。
  60. 山花貞夫

    ○山花委員 民放連杉山専務理事にお伺いしておきたいと思うのですが、同じ問題点ですけれども放送法四十四条、五十一条に規定されているような四つの基準でありますけれども、こういう基準を日常の業務の中で具体的にお取り扱いになっているということの中で、このことによって、この基準を守ることによって言論の自由が阻害されているというお感じで日常この規定をごらんになっているのでしょうか。それとも、こういう規定を守ることこそが放送事業者として、放送文化の創造と放送における言論の自由を守るために必要であるというようにお考えでしょうか。ひとつ御意見を伺いたいと思います。
  61. 杉山一男

    杉山参考人 私たちは、先ほど法制局の方が申されましたように、放送というものは公共の福祉に寄与するということが大前提になると思います。そういうことから四十四条の規定をわれわれも守るということで、放送基準もその四十四条を受けていろいろな細かい制限規定をしておるわけです。  それを守るということで、先ほど法制局の方が話されたことに私は同感でございます。
  62. 山花貞夫

    ○山花委員 具体的な今回の問題に関しまして、先ほどの御質問の中で、「番組中止すれば質問をやめるか」という問い合わせがあったというきょうの読売新聞の部分を取り上げての御質問がありました。その点についてのいきさつについては、新聞記事に詳しく記載されているわけですけれども中止理由という観点で見てみますと、「放映を取りやめた理由について、テレビ朝日広報部では、内容に好ましくない点や、放映した場合、局として誤解される部分があるためだ。委員会質問とは全く関係なく、前日の二十五日夕、局として自主的にやめている。と説明している。」と、報道陣に対してこういう広報部の見解が示されているわけであります。  民放連の方で、やめた理由について、先ほど自主的にということについて御説明がありましたけれども、それ以上何か具体的に、こうだからという、自主的に中止した理由についてテレビ朝日から伺っているところがあるかないか。あるとするならばできるだけ詳しくお伺いしたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
  63. 杉山一男

    杉山参考人 私が川端審議室長を通じて聞いておるところによりますと、先ほど申し上げましたとおり、社内でいろいろ異見があって、その結果やめることにしたという報告だけで、まだ、テレビ朝日に私から直接話したこともございません。私は、また聞く必要もないのではないかと思っております。
  64. 山花貞夫

    ○山花委員 念のために聞くのですけれども、細かい理由は直接聞いておらないということでありますけれども、そのテレビ朝日から報告を受けた杉山専務理事の印象として、何か外部から不当な干渉があったからやめざるを得なかったのだというような報告だったのでしょうか。それとも、御説明のとおり自主的にやめたのだということだったのでしょうか。その点はいかがでしょうか。  最後にその点だけ伺っておきたいと思います。
  65. 杉山一男

    杉山参考人 私が受けた印象では、あくまでもテレビ朝日の自主的な判断でやったのであって、ほかからの干渉とかほかからの問題でやめたというニュアンスでは受け取っておりません。
  66. 山花貞夫

    ○山花委員 それでは、この問題については以上にいたします。  どうもありがとうございました。  次の質問に移らせていただきたいと思いますが、実は、当委員会でも取り上げられまして、昨日その内容の一部についてお話をいただいた問題でありますけれども、最近における郵政省の外務職員募集の問題について、特に朝日新聞の十月十四日の朝刊で、大変応募者が多いということで話題になりました。この問題について重ねて幾つかの問題との関連でお伺いしておきたいと思いますが、私がこれまで御説明を伺っているところによりますと、全体の採用予定人数は二千五百七十名、そうして応募人員が三万四千九十二名、全国的に平均すると十三二二八五倍ということでありますけれども、実は、各地域において大変大きな差があるようであります。  沖繩の場合には、採用予定人員十名に対して七百四十一人の応募があった。七四・一倍ということであります。これは今日沖繩の抱えておる問題のほんの一つを示したものという気もいたしますけれども、こうしたこれまでの経過を踏まえまして、まず冒頭に大臣にお伺いしたいと思うのですけれども、門戸を開放するという趣旨で、制限の年齢について事務局に対して指示をされたと伺っておるわけですけれども、大臣の本来のお気持ちと、現実にこうなってからその点がどうだという点について御見解を伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。
  67. 小宮山重四郎

    ○小宮山国務大臣 私自身、このようなことを事務局に命じてやりましたことは、少なくとも経済認識の問題がございます。  今回の経済は、やはり、十八年ぶりというなべ底景気以来の大変な事情でございます。ことに、倒産企業が大変多い中で、かつ妻子をお持ちの方々が大変苦しい生活を強いられておるので、そういう人たちに郵政省としては温い気持ちで職場を提供する。しかし、提供するといっても、これは御承知のとおり試験を通らなければいけないのでございますけれども、年齢制限を上げまして、炭鉱離職者等のときと同じに四十歳まで引き上げたということでございます。  いまおっしゃっておりましたように、沖繩が七十四倍の高さになっておる。確かにそういう実情があるだろうと私も予測はいたしておりました。と申しますのは、有効求人倍率を見ておりますと、たとえば青森が七月が多分〇・一一ぐらいで、盛岡、岩手が〇・六八と、大変な差でございます。これは青森にはやはりそれだけの公共事業投資がないが、盛岡には新幹線の投資があって一万人くらいの方が働けるというようなことの数字が出ているのであります。  そういうようなことから見ておりましても、大変な問題を抱えているということも考えておりますし、その中での総合経済政策を考える中で、こういう問題も政府自身が率先してやるべきだという考え方が基調にございます。
  68. 山花貞夫

    ○山花委員 いまの大臣のお話の中に炭鉱離職者について一言触れられておりましたが、実は、郵政省の場合にも、昭和三十七年以降、炭鉱離職者の離職対策の郵政省における一つの政策としてかつて採用されたことがございました。  そこで、お伺いしておきたいと思うのですけれども、三十七年以降の採用の実績について御説明いただきたいと思います。  関連して、採用の手続について、今回とはいささか違っておったのではないかと記憶するわけですけれども、その点も御説明をいただきたいと思います。
  69. 守住有信

    守住政府委員 お答えいたします。  先生お話のように、炭鉱離職者の採用につきましては三十七年から開始をいたしたわけでございますが、三十七年度の採用数は百十七名でございますが、その後、総体といたしましては八百四十一名と相なっております。  なお、この採用の方法でございますが、むしろ採用ではなくて、応募、募集の方法を私の方から関係の密度の深い地域の職業安定所に依頼いたしまして、職業安定所の方でいろいろ周知をしていただく。こういうやり方の中で、これはもちろん試験制度でございますので、いろいろな筆記試験面接試験、身体検査等も同じように行っておるものでございます。
  70. 山花貞夫

    ○山花委員 いまお話を伺っていましても、大臣の、門戸を開放して年齢の高い方についても就職の機会を与えていこうという観点は大変結構だと思うのですけれども、ただ、そういう観点考えてみますと、今度の郵政省のとった措置というものは、経済的背景とか離職者問題についての取り扱いの観点が違うことはわかりますけれども、炭鉱離職者の採用の場合とは全く違うわけであります。いわば、そういう意味で門戸は全く開くことができなくて、若干年齢だけの調整をしたということになっておるわけでありますけれども、これについてはこのように伺いたいと思うのです。  大臣のその趣旨を受けて、郵政当局におきまして、三十歳、四十歳と地域において採用の上限を分けて今回の募集を行ったようでありますけれども、そこのところの意味を、大臣の問題提起を受けとめての事務当局の対応として少し御説明いただきたいと思います。
  71. 守住有信

    守住政府委員 受験の条件といたしましての年齢制限の問題でございますが、これは地方ごとに、地方郵政局長ごとにその実情に応じて定めることといたしておりますが、大臣のお話もございましたので、本省としてこれをある程度引き上げるように指導いたしました。  その指導の物の考え方の中で、労働力需給関係が全般的に非常に悪い状況にございますけれども、大都市等を控えましたところと、それに比べればそれほどではないというところを念頭に置きまして、特に東京、関東あるいは東海、近畿等、いわゆる大都市圏で採用数の多い地域と申しますか、あるいは労働力需給関係、その相関関係を一応念頭に置きまして、そういう大都市圏を抱えたところはなるべく高い方にしようと考えた次第でございます。
  72. 山花貞夫

    ○山花委員 いまのお話を伺っていますと、どうも、私は、大臣が打ち出したその観点自体についてはクリーンヒットとして受け取られているわけでありますけれども、しかし、実際にとった措置について見ますと、完全に裏目に出ているのではないか、失敗に終わっているのではないかということを感ぜざるを得ないわけであります。それで、全体の応募人員と採用予定人員との差ということを考えて、倍率を見てみますと、特に倍率が高いのは、沖繩に次いで九州の二十六・三四三倍です。その次が四国で二十三・〇二七倍であります。そして信越が十六倍です。こういう数字が出ておるわけでありますけれども、いま御説明をいただきました三十歳で抑えたところと、これは三十四歳という信越が一カ所ありますけれども、四十歳まで門戸を開いたところと、それぞれについて集めて計算をしてみますと、いまの御説明とは逆の結果が出てきているわけであります。  実は、三十歳でしぼったところの方が倍率が高いという結果が出てきているわけです。信越は三十四歳でありますけれども、三十歳まででしぼったところの倍数は、全体を平均いたしますと、十六・六五倍であります。ところが、四十歳まで枠を広げたとされている東京と関東と東海と近畿の倍率については十・〇五倍であります。すなわち、門戸を広げたという方はむしろ倍率としては十倍ぐらいだけれども、少ないと思った方が十六倍となっている。十六倍から十七倍であります。したがって、大都市周辺の方が門戸を広げる必要があるだろうということで四十歳まで広げたということですけれども、まあこれだけ応募が多くて、その次の問題は別にして、当初の計画から言いますと全く裏目が出たという実情になっているのではないでしょうか。
  73. 守住有信

    守住政府委員 お答え申し上げます。  仮に、これを四国、九州等で四十にした場合はもっと大きな数になったのではなかろうかと、私個人といたしましては実はそういう感じがいたしております。  まあ、地域の中で採用するわけでございますので、以前のように大都市に来ていただいて、大都市の郵便局で雇用するというやり方でないことを考えておりますので、もしこれを東京と同じように四十にしたらもっと大きな数になったのではなかろうかと、こういう感じは私としてはいたしておるわけでございます。
  74. 山花貞夫

    ○山花委員 結果論を考えておっしゃっているからそういうことになるわけであります。当初から七十倍とか、二十倍、三十倍ということは恐らく想定されておらなかったと思います。だからこそ大都市周辺は門戸を開かなければいけないということで四十までにした。その他の地域におきましては、地元採用という一つの方向がまた含まれておりますけれども、三十にしぼった。ところが、結果を見てみると、むしろ応募者が少ないと思った方に大ぜい集まった。それは結果を抜きにして方針の方からまず考えていきますと、明らかに裏目に出ているということではないでしょうか。  私は、いただいた資料で、三十歳でしぼったところと四十歳のところをトータルで整理いたしますと、そう結論せざるを得ないわけでありますけれども、そうなのではないでしょうか。
  75. 守住有信

    守住政府委員 先ほども申し上げましたように、私どもの欠員発生数は大都市周辺に実は多いわけでございますし、一方では、また、民間の企業経験者等の問題も、その大都市周辺の工場地帯その他商業地帯等々にあるのではなかろうかというのが私どもの気持ちでございました。  ただ、先生がおっしゃいましたように、こんな数になるとは——マスコミの報道等もなされましたので、あるいは新規学卒の諸君も、来春に向かっての不安感もありまして郵便局の外務への試験応募の殺到がなされたのではないかと、このように感じておる次第でございます。
  76. 山花貞夫

    ○山花委員 実は、この辺は全体の数字を整理すれば出てくる結論ですから、もうこれ以上は追及いたしませんけれども、ただ、これだけ予想外の応募者があったという結果、実は門戸を広げたのだけれども高卒、大卒がこれだけ多い。ペーパーテストをやれば、その辺のところでほとんど合格者は占められてしまう。四十歳近い方というのはペーパーテストの段階で振り落とされてしまうのではないか。これは試験をやっている現状だと思いますから、結論が出ていないので、結論に基づいて整理するわけにはいかないと思いますけれども、予測ということになると思いますが、四十歳まで広げたのだけれども、結果的にはこれだけ大ぜいの広募者があったので、広げたことが結論的には全く役に立たないことになるのではないかという不安が当然感ぜられるわけですけれども、その辺をどう予測しておられますか。
  77. 守住有信

    守住政府委員 試験の場合に、前歴の職歴の調査という問題も含めまして、これは調査をいたしておりませんし、また、年齢等は、試験の採用の結果その数字が出ることに相なっておりますが、現在試験が進行中でございますので、いまの段階として何とも申し上げられないわけでございますが、その結果を見守って今後の施策の参考にしていきたい、このように考えておる次第でございます。
  78. 山花貞夫

    ○山花委員 結果を見守る前に当然予測されるところがあると思うわけであります。繰り返しませんけれども、ペーパーテストをやったならば、社会に出て大変苦労されて四十近くまでなった方が大学生と太刀打ちできないのは常識じゃないでしょうか。まずその段階でチェックされるのじゃないかと思うわけです。  そこで、本来四十歳まで門戸を広げることにしたならば、これまでの職歴その他について、げたをはかせるという言葉がありますけれども、ある程度何らかの優遇的な措置を開いて、大学生と競争して負けるであろう年輩の方に対して配慮するということは考えられなかったのでしょうか。あるいは考える余地はないのでしょうか。
  79. 守住有信

    守住政府委員 先生も御承知のとおり、郵政省の職員につきましては、国家国務員法及び人事院規則の定めるところによりましてやっておるわけでございまして、その国家公務員法におきましても国家公務員法の第三十三条その他の条項、あるいは人事院規則によりまして、そのような優先と申しますか、そういうような制度はとり得ないことに相なっておりますので、やはり競争試験の中で制度的にはやらざるを得ないのであります。  結果としての問題は先生のいろいろな御指摘のような面を私も感じておるわけでございますが、制度的にはそのような競争試験、こういう制度でいかざるを得ないわけでございます。
  80. 山花貞夫

    ○山花委員 結論は、法律のたてまえがあるから結果として年輩の方に不利益なことになることも現状やむを得ないというお答えであると開いたわけでありますが、ただ、問題は、先ほどの大臣の御説明にもありまして、私も伺いましたが、炭鉱の離職者の皆さんに対するかつての三十七年以降の措置について振り返ってみますと、これは同じ競争はその中にあったかもわかりませんけれども、募集、応募の手続を通じて離職者に対する配慮がなされておったということではなかったかと思いますが、そういうことが一体考えられないのかどうか。  今回の試験については、これはもうすでに終わったことでありますから、結果を見て、その結果を分折した中で改めて対策をお伺いしなければならないと思いますけれども、ひとつこの質問に区切りをつける意味におきまして——実は、大臣、いま応答にありましたような現状になっているわけであります。今度の試験の結果が、十月試験ですからそのうちにずっと出てくると思うわけでありますけれども、その結果をぜひひとつごらんになっていただいて、大臣の問題提起か現実にはどういう形になったかということを点検していただきたい。そして、それに対する対策をまたぜひ立てていただきたいと思いますけれども、その点はいかがでしょうか。
  81. 小宮山重四郎

    ○小宮山国務大臣 法律家の山花先生でありますし、また国会の場でございますので——私もその試験の結果大ぜいの方が受かっていただくことを心から願っておりますし、また、その結果を見て今後の施策も考えたいと思っております。
  82. 山花貞夫

    ○山花委員 質問を先に進めたいと思いますが、私はもう一つの問題との観点でお伺いしたいと思うのです。  それは、いま郵政省の内部に臨時雇いということで働いている皆さんが大ぜいいらっしゃいます。中にはいわゆる団地ママがパートのような形で働いている方もいらしゃいますけれども、中には全く臨時、本務の差なく日常的な外務の仕事におつきになって、しかもその臨時という身分のまま大変長期にまじめに仕事をなされている方が大ぜいいらっしゃるわけでございます。  そこで、今日の時点で、こういう臨時雇いの皆さんの数がどのくらいになるかということと、また、その方の基本的な労働条件ということになると思いますが、給料賃金の支払いについてはどのようになっているのかということについて概略御説明をいただきたいと思います。
  83. 守住有信

    守住政府委員 五十一年十月五日に全国的に調査いたしました悉皆調査でございますが、過去一カ年のうち、日々雇用の日が月二十日以上ある月が結果的に六カ月以上ある臨時雇いの者を仮に長期といたしますと、この十月五日現在では三千十九人となっております。その中で、おっしゃいましたように日額制とパートというのがあるわけでございますが、日額制は八百八人、パート制が二千二百十一人でございます。  なお、これの賃金についてでございますか、御承知のとおり地域で最低賃金制が定められておりますので、その限度が最低になるわけでございますが、各地方ごとに賃金の最低は非常に細かくなっておるわけでございますが、実態を見ますと、その約一〇%上くらいのところで定まっておるようでございます。
  84. 山花貞夫

    ○山花委員 いま、賃金につきまして、地域最賃以上のものであり、各地域ごとに区分されて最低が決められている、実態はその一〇%プラスぐらいであるというお話がありましたけれども、最低については私も資料をいただきました。  郵便、電信業務に従事する外務職及び乗務職の甲について見れば、東京特別区及び大阪市の場合には日給三千七百四十円、時給が五百十円という数字が出ておるようであります。同じように各地ずっと決まっておるわけでありますけれども、最低は結構ですが、最高の方はどういう基準で決めておるのでしょうか。最低はいま決めたところから一〇%ぐらい上であると言いますけれども、最高の方はどうなっているのでしょうか。
  85. 守住有信

    守住政府委員 最低は設けておりますけれども、上限は設けておりません。  また、ほとんど臨時雇いは、定められた最低日額と、先ほど申し上げましたように一〇%前後上回る額の範囲内で雇用されております。
  86. 山花貞夫

    ○山花委員 最高は定められておらないというお話ですけれども、青天井ではないはずであります。実務的な処理としては、私が調べて伺っておるところでは、その臨時雇いの方が本務になったとき、採用されたときの賃金以上にはいかない。すなわち、正規の本務の職員の人よりは下である。これが最高であると伺っているわけですけれども、その点はいかがでしょうか。
  87. 守住有信

    守住政府委員 最低以上で、予算の範囲内で行うわけでございますが、その場合も、やはり本務者と均衡を失しないようにということを指導いたしております。
  88. 山花貞夫

    ○山花委員 表現としては均衡を失しないということかもしれませんけれども、実務上は、その方が臨時から本務者になった場合を換算してみて、本務者より高くなることがないようにということだと思うわけですが、いまのお答えの中におよそ出ておった気もいたしますので、もう少し聞いておきたいと思うのです。  臨時雇いの皆さんの採用と退職の手続について伺っておきたいと思いますが、採用の場合にはどういう形式、内容になっているのか、退職の手続はどうなっているのかについて伺いたい。
  89. 守住有信

    守住政府委員 臨時雇いは任期一日でございますけれども、二カ月以内の期間で予定雇用期間を明示して雇用いたしておるわけでございます。採用の際は、本務者の方と違いまして、面接など適当で簡単な方法で選考を行っておる次第でございます。  なお、退職でございますが、そのように予定退職期間というものがあるわけでございますけれども臨時雇いを退職させる場合は、臨時雇いを命ずる旨の発令事項を辞令簿に記載いたしまして、本人に確認させた上で押印させるなどの手続によっておるわけでございます。
  90. 山花貞夫

    ○山花委員 いまのお話で大体よろしいわけですけれども、ちょっと確認しておきたいのは臨時雇いを命ずる場合でありますけれども、採用の場合には、日額あるいは一時間幾らを支給するということと、任期はたしか一日ですね。日々雇い入れる、だから一日である、そして予定の雇用期間はいつからいつまでであるということで二カ月か四カ月の期間が示される、こういうことだと思うのですけれども、間違いありませんか。
  91. 守住有信

    守住政府委員 いまおっしゃいましたように間違いございませんが、二カ月以内でございます。四カ月の方ではございません。
  92. 山花貞夫

    ○山花委員 そういう形で日々雇い入れられるという立場にある人が、先ほどお話がありましたとおり、十月五日現在で調査いたしますと、毎月二十日以上勤務した長期の勤務者で日々雇い入れられている形式の人が全国で三千十九名いる。一年以上、十二カ月にまたがり毎月二十日以上出勤しているけれども、日々雇い入れられるというかっこうになっている人が千六百四十三人いる。こういうように伺っているわけでありますけれども、問題は、そういうふうに大変長期間、一年も二年もという形で臨時雇いをやるということです。毎日毎日雇い入れるという形式ではあるけれども、そして更新の手続はとっているけれども、しかし臨時である。やめるときには、さっきの臨時職を免ずるという発令簿を見せられれば、はい、あしたから来なくてよろしいということになっている。  こういう臨時の方が実はいることとの関連で、きょうのこれまでの質問にありました年齢四十歳ということに一つ基準を置きまして、若い人から四十歳を上限にいたしまして、長期の臨時雇いで、かつ時間給ではなく日給である、すなわち常用本務の方と日常的にほとんど同じ仕事をして一年も二年も仕事をしているという、こういう方が、私がいただいている資料の中身を分析いたしましても、十九歳までの方が百二十五人、二十九歳までの方が三百二十一人、四十歳までの方が五十四人いらっしゃるわけであります。いわば本務者と同じように仕事をしている臨時雇いの皆さん、御説明いただいた手続によればいつやめてもよろしい、あしたやめてもよろしいと言われるかもしれないという皆さん、こういう方たちについて、臨時雇いではつらいから本務を希望している、労働条件も本務よりは下である、あるいはその他退職金ももらえないという問題もあります。  あしたやめてくれと一本辞令を渡されればやめなければいけない、だから本採用にしてもらいたいという皆さんがこの五百人の中にたくさんいらっしゃるのではないかと私は思うのですけれども、その点について郵政省はこれまで調査したことがおありになるでしょうか。
  93. 守住有信

    守住政府委員 お答えいたします。  本採用を希望する者がどのくらいいるかということを特に調査したことはございませんけれども、勤務か十二カ月以上——これは結果としてでございますが、十二カ月以上になるというふうな者をしぼりますと、相当程度これは少なくなるのではないかと思います。  おっしゃいましたような日額制で、四十歳未満で大体五百人と見ておるわけでございますが、その日額制の中に、夜間の学生だとか主婦だとかいう方もおられるかもわかりません。そこはわかりませんが、いずれにいたしましても、結論といたしましては、これを特別に調べたことはないわけでございます。
  94. 山花貞夫

    ○山花委員 実は、大臣にこの点をお伺いしたいと思うのですけれども、いまの応答の中で調べたことはないとおっしゃっているので正式な数字はわかりません。私たちの調べというのも五百人全部に当たったわけではございません。しかし、およそ五百人のこの人たちについては、臨時という身分だけれども、恐らく本務化を希望しているのではないかと見られる条件の方がいらっしゃいます。  実は、そういう中のケースとして、今回の門戸を広げて四十歳まで外務職員の募集をするという記事か出たのを見まして——これはある地方のことでありますけれども、もう二年も臨時雇いとして仕事をしてきている。これは毎月誤配をやったり、あるいは勤務が悪ければ免ぜられるわけでありますけれども、二年続いているというのは、日々の勤務状況について他の一般の職員の方と遜色がないという評価を受けているからだと思うのですけれども、そういう方がある地方において、今度人員削減の関係があって免ぜられる、まあ首を切られるということになりかかったわけであります。  そこでこういう感想を漏らすわけであります。大臣が門戸を開いてくださるとおっしゃって一般的にこの募集をされる、一方においてそういう動きをしながら、実は、もうこれまで長年にわたって郵政内部においてまじめに仕事をしてきて二年も実績があって、ただ臨時雇いであって本務になる機会がなかったものだから試験だってなかなか受からない場合もある、だからここで職場を追われなければならないと、こういう苦しみを漏らしている事例を私は聞いたりしているわけです。  実は、こういうように長年にわたって郵政省の中で臨時雇いとして仕事をしてきて、しかも他の一般の職員と比べて遜色のない仕事をしてきているが、しかし、今度の試験のように大学生と競争するということではとても試験に受からないという、こういう皆さんに対して何らかの救済の措置と申しましょうか、検討をする余地をお考えいただくことができないだろうかということが私の大臣に対する質問でありますけれども、いかがでしょうか。
  95. 小宮山重四郎

    ○小宮山国務大臣 国家公務員を雇うわけでございまして、これには御承知のように法律がございます。所定の試験を通っていただくことが条件になりますので、私自身もいろいろなことを願っておりますが、しかし、法は法であります。  特に、この国会の中で、また委員会の中で答弁をする以上、それ以上申し上げられないのであります。
  96. 山花貞夫

    ○山花委員 公式の場における大臣の答弁としての限界もおありになるでしょうからその答弁もあり得ることだと思いますけれども、ただ、実態的に考えてみますと、そういう臨時の方が本採用になったという場合に、賃金がどうなって確定されるかといいますと、ある程度過去の職歴その他が反映してくるという実態があるのじゃないでしょうか。それは、たとえば一年、二年外務職員として仕事をして、その職歴も換算されまして、そうして初任給が決まっていくという実態があるのじゃないでしょうか。  そういう運用の実態ということについて見てみると、確かに、試験という制度を前提としながらも、そういう臨時雇いで長年苦労している方に対して、何らかの指導という意味をも含めて配慮があってよいのではないかという気がするわけですけれども、その点を重ねてお伺いしたいと思います。
  97. 守住有信

    守住政府委員 お答えいたします。  本採用の問題については、すでにその郵便局の中におるわけでございますので、情報その他も非常にわかりやすいし、管理者の方もそういう気持ちであると思いますので、試験を受けるようにだとか、あるいはどういう試験問題集があるのだとか、そういうことのチャンスと申しますか、情報は非常に得やすい、またそういう管理者ばかりであると、このように私は見ております。  なお、また、試験を通りまして本採用になりました場合、その場合は、特に処遇につきましては前歴換算とおっしゃいますような意味で一〇〇%見る、民間の場合よりも一〇〇%見るというふうなことに相なっておると記憶いたしております。
  98. 山花貞夫

    ○山花委員 大臣に一つ申し上げたいと思うのですけれども、確かに試験の制度は人事の公正を確保するための最低限必要なことだと私は思いますが、ただ、しかし、郵政省の業務の全般を見てみますと、たとえば特定郵便局の局長については試験はないはずであります。だんなさんが亡くなって若い奥さんが、全く業務に関係なかった方が特定郵便局長になっているという事例も私は伺っておりますけれども、そういう点を考えてみますと、特定局長に試験をしろということを私はいま申し上げるわけではありませんけれども、全体の業務の中で、大臣のおっしゃったたてまえはたてまえとしながらも、長年郵政事業に対して献身してきた臨時雇いに対して何らかの配慮をする余地があるのではないかと思うのですが、ひとつ御検討をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  99. 小宮山重四郎

    ○小宮山国務大臣 今回の問題についてもいろいろ検討をいたしまして、どうしたらいいだろうかということを非常に検討いたしました。また、これは私自身の悩みというか、問題点になってまいりますのは、中高年層とは何ぞやという問題がございます。そういうような問題を考えてみますと、非常にむずかしい問題を備えていることも事実であります。しかし、事務当局には最大限できるだけのチャンスを与えるように指示したつもりでございます。  先生のおっしゃる問題についても、法的に、また、できるだけの問題点として考えておきたいと思います。
  100. 山花貞夫

    ○山花委員 実は、臨時雇いの方がふえるということにつきましては、労使関係の中でもさまざまな問題か出てくるのではないかと思います。そういう皆さんは労働組合法、労働基準法の適用ということに当然なります。そういたしますとストライキをすることができるという問題も出てまいります。  さまざまな法律の適用が、本務の職員と臨時雇いの職員に対して違う。全く同じ仕事をやっていて、こっちはストライキができますよ、こっちはストライキはできませんよというような問題も出てまいりますし、あるいは臨時雇いの皆さんについては、労働基準法二十条、二十一条の関係におきましても、いま郵政省の方の手続としては、臨時雇いを免ずるという一片の辞令で解決しておる。こういう現状では、よろしいかもしれませんけれども、一般的には労働組合法、労働基準法適用の民間の企業の場合には、いわゆる臨時雇いについて、まさにこの郵政省のやり方と全く同じようなケースについて、退職の問題で大変議論があるところであります。  しかも、その議論の方向については、日々雇い入れるという形式を整えていたとしても、それが更新、更新ということで半年、一年、二年となったような場合、しかも本工と同じような仕事をしている臨時工については、解雇について、「日日雇い入れられる者」という、そのことだけで決着をつけることができないというのが学者や裁判所の傾向でもあるわけであります。したがいまして、この臨時雇い問題については、具体的に解雇を争う問題は出ていないかもしれませんけれども、これについては、その身分関係についてさらに御検討をいただきたいと思います。  あと、時間の関係でもう一つだけお伺いしておきたいので、以上でこの質問を整理したいと思いますが、さて、最後にもう一点、これは簡保の余裕金の問題でありますけれども、実は、私は前国会におきましてもこの点をお伺いいたしました。資金法三条二項によってその取り扱いが決められておることか保険加入者にとっても大変不利益になっているのではないかという観点についてであります。  実は、この問題については、五十二年、ことしの四月二十日にこの衆議院の逓信委員会におきまして附帯決議がなされましたが、実は、前国会におきましては委員長の方のサゼスチョンもありまして、七十二国会以降の逓信委員会における附帯決議が具体的にどう措置されているかということについて事務局の方から資料をいただいております。  これについて見てみますと、これは四十九年四月四日、第七十二国会における当委員会の附帯決議の中で、問題点としては、「簡易生命保険及び郵便年金の積立金の運用にあたっては、公共の利益になるよう留意するとともに、なお一層の利回りの向上に努め、もって加入者への還元をはかること。」という附帯決議がなされまして、措置の模様についての御報告について見ると、「余裕金運用制度の改善についても関係省庁と鋭意折衝を行ってきたが、五十二年度予算編成の際の大臣折衝において引き続き検討することとされた。」という報告をいただきました。そして、その後に、前々国会における四月二十日に附帯決議がありまして、三つありますけれども、これは余裕金の問題についてきわめて具体的な内容を持った附帯決議だと私は理解していますが、「簡易保険余裕金は、本来積立金と同一のものであるので、積立金として直接運用できるよう制度の改善を検討し、もって加入者の利益の向上に資すること。」というのが附帯決議の二項目に大変具体的になされておるわけであります。  こういう問題については、一方におきましてはこういうように国会議論が進んできているわけでありますけれども、一昨年六月の保険審議会の答申なども踏まえているということでもありますので、まず確認しておきたいと思うのですけれども、現状五十一年度発生の余裕金ということですけれども、現在の段階で整理されて、それは一体どの程度になっているのかということと、もう一つの問題は、この余裕金の現状を改善して自主運用ということにした場合には保険加入者に一体どれだけのメリットがあるのかということですが、これについてひとつお答えいただきたいと思います。
  101. 佐藤昭一

    ○佐藤(昭)政府委員 お答え申し上げます。  まず、余裕金はどのくらい発生するかということでございますが、最近の状況で申しますと、五十一年度で一兆四千百三十二億円発生いたしております。これは年度末の運用資産が八兆一千九百十五億円でございますので、余裕金の占める率と申しますと一七・三%ということになるわけでございます。また、五十二年度で申しますと、これはまだ見込みでございますが、一兆四千四百七十三億円ということでございまして、これも年度末の運用資産を一応九兆六千三百八十七億円というふうに見込んでおりますので、余裕金の占める率が一五・〇%と、かように見込んでおります。  それから、次に、余裕金の利回りでございますが、御承知のように、現在、簡易保険の特別会計の余裕金は、他の特別会計の余裕金と同様に資金運用部に預託しなければならないということでございまして、そのほかには運用できないわけでございます。したがいまして、その預託の利率というものが資金運用部の資金法に定める利率になっております。実態といたしましては、一応通常一年以上の預託をいたしておりますために、利率は運用部資金法の規定によりまして四・五%プラス特利一・五%つけまして、六%ということでございます。そのほかに一部一年未満の短期の預託としているものもございますので、その場合にはさらにこの利率が低くなりまして、余裕金全体の利回りといたしましては五・七%程度の低い利回りということになるわけでございます。  そこで、この余裕金を積立金と同様に運用いたしますと、五十二年度で試算いたしますと、運用収入の増加額が約九十億円でございます。これが簡保資金全体の利回りを約〇・一%強引き上げる効果が見込まれるということでございます。  この効果と申しますのは、金利水準の上がりあるいは下りに従いまして、この利幅というものが拡大したりあるいはまた縮小したりということになりますので、五十年度当時、これは高利率の時代でございますが、この五十年度当時で見ますと、想定増収額が約二百億円、利回りの向上率が〇・三%程度見込まれたわけでございますが、現在のような低金利の時代に入りますと、先ほど申し上げましたようにこの幅というものは小さくなってくるというふうに流動的でございます。  いまのところ、余裕金を積立金と同様に運用することによります効果を上回るような改善策というものはほかに考えられません。したがいまして、この余裕金の制度改善というものを簡保資金全体の利回りの向上のためにもぜひ強力に推進してまいりたい、かように考えている次第でございます。
  102. 山花貞夫

    ○山花委員 仮にの試算ですけれども、過去十年間ぐらい自主運用してきた場合には、得べかりし増収益といいますか、それがどのくらいになったんだろうか、そして、そのことで資金全体の利回り向上効果がどのくらいになったのかということについても、次の質問の前提としてちょっとお伺いしておきたいと思います。
  103. 佐藤昭一

    ○佐藤(昭)政府委員 過去十年間、四十二年度から五十一年度まで余裕金を積立金と同様に運用したと仮定して試算いたしますと、得べかりし増収益というものが約七百七十億円で、これは簡保資金全体の利回り向上の効果といたしましては、平均いたしまして約〇・一八%というふうな数字になります。また、これを最近の五カ年間でしぼってみますと、得べかりし増収益が約六百六十三億円でございまして、全体に対します利回りの向上効果と申しますのは約〇・二五%と、かように試算上出てまいります。
  104. 山花貞夫

    ○山花委員 大臣にお伺いする前にもう一つだけお伺いしておきたいと思うのですけれども先ほど指摘いたしましたところの前々国会における具体的な附帯決議ということを踏まえて、当局においても大蔵省と折衝努力されてきたと思うのですけれども、まず、郵政省の側でどういう努力をされてきたかということについてお伺いいたしたいと思います。その点をひとつお願いします。
  105. 佐藤昭一

    ○佐藤(昭)政府委員 先ほど先生からもお話がございましたように、当委員会におきましても附帯決議をちょうだいしておりますし、また、従来からもこの問題につきましては鋭意解決に努力をしているわけでございますが、先ほど先生もおっしゃいましたように、昨年の暮れの五十二年度の予算編成時におきまして大臣折衝までやっていただいたわけでございますが、結局引き続き検討するということで今年度に持ち越されているわけでございます。  その後におきましても大蔵省とは折衝しておりますけれども、いまだに結論を得ない状態でございまして、五十三年度の予算編成時に向けまして、ぜひこの解決を図るように努力してまいりたい、かように考えております。
  106. 山花貞夫

    ○山花委員 大蔵省の方に伺いたいのですが、特別決議がなされました。きわめて具体的であります。  これまで具体的になされたのは、前々国会におけるこの決議が初めてではないかと理解していますか、大蔵省はこの決議をどういうように受けとめておられるのか、今日なお改善されていないという原因はどこにあるとお考えになっておるのか、その点を御説明いただきたいと思います。
  107. 森卓也

    ○森説明員 お答えいたします。  本年四月の附帯決議の御趣旨は、運用利回りの改善を通じまして加入者の利益の向上を図ることにあるというふうに私ども理解いたしておるわけでございますが、簡保の運用利回りの改善につきましては、先生承知のとおり、従来から、積立金の運用対象の拡大あるいは財投協力枠の中に占めますところの有利運用比率の向上、あるいは法律規定がございますように余裕金の預託金利の特利付与といったような、そういういろいろの配慮を払ってきておるわけでございます。その結果、かつては民間生命保険との間に四ポイント程度ございました利回りの格差が、最近では一ポイント程度にまで縮小されてきているのは御承知のとおりだと思います。  さらに、最近におきましては、一般的な長期金利が、たとえば八月あるいは九月に合計いたしまして〇・六ポイント引き下げられたわけでございますので、五十二年度以降の民間生命保険の運用利回りというのは、従来に比較いたしますと恐らく相当低下せざるを得ないだろうと思いますが、簡易保険の方の貸付利率につきましては、私どもの方の資金運用部の貸付利率とバランスをとっていただくように郵政省といろいろ御協議を申し上げまして〇・二五%の引き下げにとどめたわけでございます。その結果、民間生命保険との利回り格差というものは恐らく今後一層縮小されるだろうというふうに考えておるわけでございまして、附帯決議に御指摘がございましたところの「もって加入者の利益の向上に資する」という努力は、そういう意味で格差解消という形でもって努力を続けているわけでございます。  ただ、余裕金の運用制度を改めるということにつきましては、運用利回りの向上のための一つの手段としては御指摘のとおりでございますが、現在は特別会計の余裕金はすべて資金運用部に預託をして、そして安定的、効率的な運用を図るという法律制度になっているわけでございまして、簡易保険の余裕金も制度創設以来この原則に従いまして一貫して運用部に預託されているわけでございます。  特に、最近の財政事情が非常に問題を抱えておる時期でございますので、私どもといたしましては、この財政運営の基本的原則を見直すということになりますと、いろいろとほかへ波及もし、いろいろな問題も惹起する可能性がございますので、慎重に検討を要する必要があるというふうに考えておりますので、そういった財政制度の根幹に触れる問題につきましては、財政制度の基本を踏まえながらも、なお郵政当局といろいろ引き続いて検討するというお約束がございまして、今日まで検討を続け、なお今後とも検討を続けていきたいというふうに考えております。
  108. 山花貞夫

    ○山花委員 いまのお答えでは、結局いろいろ御説明がありましたけれども、制度の改正という観点では検討という言葉しかお返事として伺えませんでした。しかし、この投資的な運用あるいは財政の基本ということをおっしゃいますけれども、簡保の余裕金は他の特別会計の余裕金とは性質が違っているんじゃないだろうかと思うのです。これは他の特別会計では余裕金が生ずるとしてもきわめて不確かであるとか、利殖を内容としないとか、これだけ膨大な金額が出てこないとか、そういういろいろな違いがあると思いますけれども、この簡保の余裕金はほかとは性格が違うんじゃないかと思うのですが、その点はどうお考えになっていますでしょうか。
  109. 佐藤昭一

    ○佐藤(昭)政府委員 会計制度上はほかの特別会計と同様に余裕金ということで一括くくられておりますけれども、やはり、簡保の資金というものを考えてみますと、余裕金と言いましても、これは会計制度上、一会計年度の間に生じました歳入と歳出の差額、いわゆる過剰金、これを余裕金と言っているわけでございますが、これも積立金と同様に加入者のために将来支払うべき準備金として長期に運用しなければならない性格のものでございますので、その性格から申しますとやはり積立金と同様に運用されるべきもの、またはそれが加入者の利益につながるというふうに私ども考えておるわけでございます。  また、最近の低金利時代になりまして、運用利回りというものも当然に他の金利と同様に下がってまいっております。したがいまして、そういった際におきまして有利運用を図るということになりますと、先ほど御説明申し上げましたように、現在では余裕金を積立金と同様に運用することによる利回りの向上というものの幅は狭まっておりますけれども、しかし、やはり全体の利回りが低くなっている時期でございますだけに、向上の一つの方法としてなおさらぜひともこういったものを実現してまいりたいというふうに私どもとしては考えております。
  110. 山花貞夫

    ○山花委員 いまと同じ観点について大蔵省から一言お伺いしたいと思いますが、余裕金の性質と違うのではないかということですね。
  111. 森卓也

    ○森説明員 いろいろと細かい点につきましては、それぞれの特別会計にそれぞれの特別の事情がございまして、いろいろな形の余裕金があるわけでございますが、私ども立場から見ますれば、やはり会計制度上特別会計の余裕金であることは明らかでございますので、そのまま法律規定に従いまして預託をお願いしているわけでございます。
  112. 山花貞夫

    ○山花委員 その説明はわかるけれども、要するに、法律があるからいまだめなんだという、その制度を変えてもらいたいということが問題の中身であります。  時間の関係がありますのできょうはこれで終わりますけれども、実は、従来から大臣折衝にも持ち込まれてということの経過もございました。ひとつ、大臣としてもこの問題については何とか制度改善をして、保険者の利益にかなうような方向に解決のために努力をしていただきたいと思いますけれども、その点だけ最後にお伺いをしておきたいと思います。
  113. 小宮山重四郎

    ○小宮山国務大臣 俗な言葉で言いますと、これは郵政省の悲願でございます。特に、簡保の余裕金については積立金と同じように取り扱っていただきたいと、私は就任早々昨年の十二月に総理と個別に会談しまして、この問題について特に要請をいたしました。しかし、法律上の問題もございます。また、長い歴史、伝統がございます。そういうようなことでなかなか意を得ませんでございましたけれども、また、ことしに入りまして、予算折衝のときに、余裕金についても相当長くお話を大蔵省ともいたしました。その結果、今後とも話し合いをしていこう、検討していこうということになったわけでございます。  特に、余裕金の金額も大変大きいものでございます。その利子換算からしても大変なものだと思います。そういう意味でも、今後とも鋭意努力いたします。
  114. 山花貞夫

    ○山花委員 以上で終わります。
  115. 八百板正

    八百板委員長 次回は、来る十一月二日水曜日、午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時十三分散会