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1977-11-22 第82回国会 衆議院 地方行政委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年十一月二十二日(火曜日)     午前十時三十七分開議  出席委員    委員長 地崎宇三郎君    理事 大西 正男君 理事 木村武千代君    理事 中村 弘海君 理事 佐藤 敬治君    理事 小川新一郎君       相沢 英之君    井上  裕君       中村喜四郎君    中村  直君       西田  司君    堀之内久男君       与謝野 馨君    加藤 万吉君       新村 勝雄君    権藤 恒夫君       和田 一郎君    中井  洽君       三谷 秀治君    川合  武君  出席国務大臣         自 治 大 臣         国家公安委員会         委員長     小川 平二君  出席政府委員         内閣総理大臣官         房同和対策室長 黒川  弘君         警察庁刑事局長 鈴木 貞敏君         警察庁刑事局保         安部長     森永正比古君         警察庁警備局長 三井  脩君         自治政務次官  中山 利生君         自治大臣官房審         議官      福島  深君         自治省行政局長 近藤 隆之君         自治省財政局長 山本  悟君         消防庁長官   林  忠雄君  委員外出席者         国土庁計画・調         整局計画課長  星野 進保君         大蔵省主税局総         務課長     梅澤 節男君         文部省初等中等         教育局中学校教         育課長     上田 一郎君         厚生省環境衛生         局水道環境部水         道整備課長   山村 勝美君         厚生省薬務局麻         薬課長     山田 幸孝君         通商産業省基礎         産業局基礎化学         品課長     児玉 幸治君         運輸省船舶局検         査測度課長   辻  栄一君         海上保安庁警備         救難部航行安全         指導課長    吉野 穆彦君         郵政省電波監理         局放送部業務課         長       志村 伸彦君         自治省財政局公         営企業第二課長 田井 順之君         地方行政委員会         調査室長    日原 正雄君     ――――――――――――― 委員の異動 十一月十五日  辞任         補欠選任   川合  武君     山口 敏夫君 同日  辞任         補欠選任   山口 敏夫君     川合  武君     ――――――――――――― 十月十六日  事業税事業主報酬制度創設に関する請願(石  田博英紹介)(第二八九六号)  同(越智通雄紹介)(第二八九七号)  同外三件(小坂徳三郎紹介)(第二八九八  号)  同(田中六助紹介)(第二八九九号)  同(萩原幸雄紹介)(第二九〇〇号)  同(濱野清吾紹介)(第二九〇一号)  同(藤井勝志紹介)(第二九〇二号)  同(齋藤邦吉紹介)(第二九九二号)  同(塩谷一夫紹介)(第二九九三号)  同外六件(葉梨信行紹介)(第二九九四号)  地方自治体財源に関する請願松本善明君紹  介)(第二九〇三号)  同(松本忠助紹介)(第二九九五号)  不況克服のための地方財政施策に関する請願(  増田甲子七君紹介)(第二九五〇号)  同(向山一人紹介)(第二九五一号)  臨時都道府県道路整備事業債等元利償還金に  対する財政上の特別措置に関する請願増田甲  子七君紹介)(第二九五二号)  同(向山一人紹介)(第二九五三号) 同月十七日  事業税事業主報酬制度創設に関する請願(安  島友義紹介)(第三〇三〇号)  同(石田博英紹介)(第三〇三一号)  同(江藤隆美紹介)(第三〇三二号)  同(大塚雄司紹介)(第三〇三三号)  同外二件住栄作紹介)(第三〇三四号)  同外十一件(橋本登美三郎紹介)(第三一二  九号) 同月十八日  事業税事業主報酬制度創設に関する請願(宇  都宮徳馬紹介)(第三一六五号)  同(中尾栄一紹介)(第三一六六号)  同外三件(丹羽喬四郎紹介)(第三一六七  号)  同(小沢辰男紹介)(第三二二七号)  同(國場幸昌紹介)(第三二二八号)  同外三件(金丸信紹介)(第三二二九号)  同外一件(斉藤滋与史君紹介)(第三二三〇  号)  同(山崎武三郎紹介)(第三二三一号)  公営交通事業健全化に関する請願川口大助  君紹介)(第三一六八号)  同(安島友義紹介)(第三二三三号)  同(井上一成紹介)(第三二三四号)  同(伊賀定盛紹介)(第三二三五号)  同(池端清一紹介)(第三二三六号)  同(小川仁一紹介)(第三二三七号)  同(大島弘紹介)(第三二三八号)  同外五件(大原亨紹介)(第三二三九号)  同(加藤万吉紹介)(第三二四〇号)  同外五件(川本敏美紹介)(第三二四一号)  同外五件(北山愛郎紹介)(第三二四二号)  同(後藤茂紹介)(第三二四三号)  同(渋沢利久紹介)(第三二四四号)  同(武部文紹介)(第三二四五号)  同(松沢俊昭紹介)(第三二四六号)  同(松本七郎紹介)(第三二四七号)  同(八百板正紹介)(第三二四八号)  同(矢山有作紹介)(第三二四九号)  同(山花貞夫紹介)(第三二五〇号)  同(吉原米治紹介)(第三二五一号)  地方自治体財源に関する請願鈴切康雄君紹  介)(第三一六九号)  行政書士法の一部改正反対に関する請願外二件  (斉藤滋与史君紹介)(第三二三二号) 同月十九日  公営交通事業健全化に関する請願伊藤茂君  紹介)(第三三七八号)  同(上田卓三紹介)(第三三七九号)  同(小川国彦紹介)(第三三八〇号)  同(岡田利春紹介)(第三三八一号)  同(栗林三郎紹介)(第三三八二号)  同(中西積介紹介)(第三三八三号)  同(日野市朗紹介)(第三三八四号)  同(水田稔紹介)(第三三八五号)  同(渡部行雄紹介)(第三三八六号)  同外一件(渡辺芳男紹介)(第三三八七号)  同(千葉千代世紹介)(第三三八八号)  事業税事業主報酬制度創設に関する請願(菅  波茂紹介)(第三三八九号)  同外五件(山口シヅエ紹介)(第三三九〇  号)  同外一件(川崎秀二紹介)(第三五六三号)  同外一件(登坂重次郎紹介)(第三五六四  号)  同(鳩山邦夫紹介)(第三五六五号) 同月二十一日  事業税事業主報酬制度創設に関する請願外十  件(有馬元治紹介)(第三六二一号)  同外九件(塚原俊平紹介)(第三六二二号)  同(中川嘉美紹介)(第三六二三号)  同(二見伸明紹介)(第三六二四号)  同外一件(宮崎茂一紹介)(第三六二五号)  同(依田実紹介)(第三六二六号)  同外二件住栄作紹介)(第三七六六号)  東京都財政確立に関する請願工藤晃君(共)  紹介)(第三六二七号)  同(小林政子紹介)(第三六二八号)  同(長谷川正三紹介)(第三六二九号)  同(不破哲三紹介)(第三六三〇号)  同(松本善明紹介)(第三六三一号)  同(山花貞夫紹介)(第三六三二号)  地方公営企業財政健全化に関する請願(水平  豊彦君紹介)(第三七六五号)  公営交通事業健全化に関する請願外一件(只  松祐治紹介)(第三七六七号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 十一月十八日  不況克服のための地方財政施策に関する陳情書  外二十五件  (第一八七号)  地方自治法第九十六条の規定による契約、財産  の取得及び処分の基準に関する陳情書  (第一八八号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  地方自治地方財政警察及び消防に関する件      ――――◇―――――
  2. 地崎宇三郎

    地崎委員長 これより会議を開きます。  地方自治地方財政警察及び消防に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。加藤万吉君。
  3. 加藤万吉

    加藤(万)委員 最初に、最近増発しつつありますアセチレンガス爆発について、二、三御質問をいたしたいというように思います。  昭和五十二年の十月といいますから先月ですが、横浜埠頭カルシウムカーバイド爆発事故がございました。このカーバイド爆発事故が各所に起きておりますので、少し調査をしてみましたら、この半年間に四件、カーバイドアセチレンガス化によっての爆発事故が起きておるわけです。東海産業茅ケ崎工場小池酸素五井工場高圧ガス三重工場。この爆発事故について、消防庁では、現地から書類をもって報告を受けていらっしゃるかどうか、まず最初にお聞きしたいというように思います。
  4. 林忠雄

    林政府委員 報告を受けております。
  5. 加藤万吉

    加藤(万)委員 海上保安庁に聞きますが、横浜埠頭における爆発事故については、海上保安庁報告を受けていらっしゃいますか。
  6. 吉野穆彦

    吉野説明員 書類でもって報告は受けておりません。
  7. 加藤万吉

    加藤(万)委員 横浜事故につきましては、埠頭、はしけから野積みをした段階での事故ですから、海上保安庁及び消防庁、それぞれかかわる事故だと思います。この事故の一番の発生原因が、台湾から輸入されるアセチレンガスの原料でありますカーバイド、しかもこのカーバイドが船で輸送される過程におけるガス化によって起きた、こういうふうに私は調査をしているのでありますが、消防庁の方ではそのようにお聞き取りを願っているでしょうか。
  8. 林忠雄

    林政府委員 実は、カーバイド事故は、過去はそうたくさんないのでございまして、御指摘のとおり、ことしになってから四件ございます。     〔委員長退席大西委員長代理着席〕 その四件のうちの横浜港の分は、これは船舶から船舶への積みかえの途中だったもので、実は消防庁には直接関係ないそうでございますけれども、あとの、いま御指摘になりました東海産業小池酸素高圧ガス三重工場事故、これらはいずれも消防当局の責任といいますか、関係が大変深いわけでございます。それで、いま御指摘のような、台湾からのカーバイド輸送中、取り扱いが不注意だからと事故を決めつけるわけにはまいらないのではないかと私は思いますけれども、とにかくカーバイドというのは、御承知のとおり水分を吸収してガスを出すわけでございますので、非常に輸送取り扱いを注意してやらなければ、事故につながりやすい危険性の大変大きいものだと存じます。その規制その他については、さらに御質問ございますれば御説明いたしますけれども、そういう意味でカーバイド取り扱いというのは細心の注意が必要だということで、常々消防機関をそういうふうに指導しておるところでございます。
  9. 加藤万吉

    加藤(万)委員 これも運輸省の、港政課長さんですか、お聞きをしますが、このカーバイド製品、これは危険物指定ですが、危険物船舶運送及び貯蔵規則の十九条、私から申し上げますが、「水又は空気と作用して危険となる物質」であること、そして本邦ないしは本邦輸入される運送の場合の危険物指定及び容器、この指定を受ける製品というふうに私は理解しますが、そのように理解してよろしゅうございますか。同時に、これは同じことですが、消防庁にお聞きをしますが、消防法の十条、危険物指定並びに消防法十六条の国内搬送、いわゆる政令で定める二十八条ですが、これに相当する物質と見てよろしいでしょうか。
  10. 辻栄一

    辻説明員 カーバイド海上輸送に関します安全規制について御説明申し上げます。  一般に、危険物海上運送につきましては国際条約がございます。これは、一九六〇年に採択されました海上における人命の安全のための国際条約、われわれはこれを通称SOLAS条約というふうに略称しているわけでございますが、それの第七章に「危険物搬送」という章がございます。この条約を受けまして、この条約事務局をやっております。国連の専門機関でございます政府間海事協議機関通称IMCOと申しておりますが、ここに危険物委員会というものがございまして、ここであらゆる種類の危険物を分類整理いたしまして、これの海上輸送荷姿包装等についての基準をつくっております。これはコード・オブ・デンジャラス・グッズ、われわれは危険物コードというふうに略称しているわけでございますが、そういう国際規制がございまして、カーバイドももちろんこの中に含まれているわけでございます。国内規制につきましては、この条約及び国際勧告を受けまして、船舶安全法に基づきます危険物船舶運送及び貯蔵規則によりまして、その容器包装標札及び積載方法等について規制を行っているところでございます。カーバイドは、先生指摘のように「水又は空気と作用して危険となる物質」として危険物に該当いたしまして、まず、容器包装については、鋼製ドラム等水密に密封して入れなければならない。それから標札をつけて「水とあって危険」ということを明白に表示しなければならない。それから船内における積みつけ方法につきましては、甲板上に積みつける場合はこれを室内に置く、甲板間に搭載する、あるいは船倉の中に搭載するということによって、海水等が直接この荷物にかからないような積みつけ方法をやるというように定められているわけでございます。
  11. 林忠雄

    林政府委員 消防庁関係の御質問先生の御指摘のとおりでございます。
  12. 加藤万吉

    加藤(万)委員 いま運輸省から細かに説明を受けました。この包装容器については水密に密封する、このことが非常に重要な要件になっています。恐らくこれは消防法にも同様の定め、自治省自治省令で定めたものも恐らく同様な規定を定めているものと実は思うわけです。ところが、横浜におけるこのカーバイド爆発事故、用語を正確に言えば破裂というようにいうのだろうと思うのですが、破裂引火して爆発になるわけですね。火災破裂爆発という、爆発には至らなかったわけですが、港湾労災防止協会横浜支部から船主にあてたもの、外船協会にあてたもの等をちょっと拝見をいたしますと、五十二年十月八日ですが、横浜埠頭におけるカルシウムカーバイドが平常荷役にかかわらず破裂する事故が発生いたしました、こう実は報告をいたして、それぞれの業界に要請をいたしているわけでございます。これはある商社の当日のレポートですが、これまた、まさに台湾より輸入カルシウムカーバイドが燃えたという情報を入手をいたした、こういうわけであります。平常な荷役を行い、しかもそれが燃えたという状況は何が原因だったのでしょうか。先ほど私はお聞きしましたら、必ずしも中に発生したアセチレンガスではないかもしれぬという御答弁がありましたけれども、いかがなものでしょうか。
  13. 林忠雄

    林政府委員 実は、この横浜事故につきましては、船舶から船舶への積み込みなので、いま御説明ありました運輸省船舶局の御所管でございますので、その具体的なことは一切そちらから聞いていただきたいのでございますが、私が先ほど申し上げましたのは、カーバイド事故というのはカーバイドから発生したガス原因かというのに対して、あらゆる事故がすべて台湾から来た粗悪なもののガス原因だと決めつけるのは早いのではないか、しかし非常に危険なものであるから取り扱いは万全に注意しなければいけないし、また現に起こった事故がそれが原因であることも多々あるだろう、こういうことを申し上げたつもりでございます。
  14. 加藤万吉

    加藤(万)委員 船舶局の方からいまの問題に対するお答えを聞きましょう。
  15. 辻栄一

    辻説明員 ただいまの横浜埠頭における事故の問題につきましては、実は私ども、先ほど海上保安庁から答弁いたしましたように、報告を受けておりませんので、実は、昨日先生の御指摘によってお伺いしたところが初めてでございますので、原因については、私どもどういう原因であったか承知はしておりません。  しかし、聴取いたしましたところでは、荷役中にカーバイドドラムかんを動かした、それからしばらくしてから突然ふたが飛んだということでございます。
  16. 加藤万吉

    加藤(万)委員 通産省にお聞きしますが、一カ月にいま台湾カーバイドはどのくらい日本輸入されるでしょうか。そのうちで、最近の月の最高の量でいいですが、横浜港に荷揚げされる量はどのくらいでしょうか。
  17. 児玉幸治

    児玉説明員 カーバイド輸入状況でございますが、これは昭和四十九年から輸入が始まっておりまして、当初は非常に試験的な小規模のものでございました。五十一年になりまして六百十二トンのカーバイドが入っております。  それから、本年は九月までの実績がわかっておりますけれども、ことしの一月から九月までで約一万三千トンでございます。  それから月別に見て、これはいろいろでこぼこがございますけれども、多い月でございますと二千五百トン余り入っております。  それから、どこの港でという点につきましては、いまちょっと資料がございませんので御容赦いただきたいと思います。
  18. 加藤万吉

    加藤(万)委員 私の調べたところでは、いま通産省からお話がありましたように、ここ二、三年の間に十倍近い量が輸入されているわけですね。しかも、その大半が横浜港です。横浜は、御承知のように、港の周りは全部石油コンビナートです。ぼくは、いま破裂があった事故について海上保安庁が御存じないというのは不見識だと思うのですね。もしアセチレンガス引火爆発して——先ほど言いました量ですよ、国内では一万三千トンです。ここに野積み写真がございますから、後で見ていただきたいと思うのですが、物すごい量ですよ。その量のところの一本が爆発して、引火性を持ち、それが広範に爆発状態を起こしたならば、横浜港はどうなるのでしょうか。  もう一遍私は運輸省にお聞きしますが、このような事故がどうして報告として早急に上がってこないのでしょうか。
  19. 吉野穆彦

    吉野説明員 現地横浜海上保安部には事故の直後報告がございました。先ほど申し上げましたのは、それが本庁まで書類報告が来ていなかったということでございます。
  20. 加藤万吉

    加藤(万)委員 そうじゃないのじゃないですか。横浜海上保安部も余り知らなかったのじゃないですか。ないしは知っておっても事故報告書を本省に提出をしなかったのじゃないですか。
  21. 吉野穆彦

    吉野説明員 現地保安部事故の直後に報告を受けております。本庁までは来ておりませんでした。
  22. 加藤万吉

    加藤(万)委員 この製品を扱っている商社は、この事故があったことによって、すぐ社内のあらゆるところに通達を出しているのですよ。この事故は十月の十一日ですが、商社関係書類では、一週間経ずし——一週間どころか二、三日を経ずして、この扱いに対する商社内の問題指摘を提起しておるわけです。あるいは港湾労災防止協会では、十月二十一日と言いますから、十日過ぎには本件扱いに対して危険な状態に対する警告と同時に、業者の改良問題を訴えておるわけですね。  私は、横浜港というあの状態から見て、海上保安庁が直ちに問題をキャッチして、その善後策を立てられるのが当然のことじゃないかというふうに思ったのです。実は私は、海上保安庁がきょうまで知らなかったということをここで答弁を受けるとは思っていなかった。恐らく承知の上の話であろうと思っておっただけに、率直に言って、びっくりしました。本部に報告がないわけですから、原因の究明がわからないわけです。  そこで私は申し上げるわけですが、先ほど通産省から話がありましたように、一万三千トンわが国輸入されているわけです。この火災破裂、地上においては爆発事故です。先ほど消防庁の方が粗悪なカーバイド、こう言いましたが、粗悪だろうと、純度が高かろうと、アセチレンガスを生み出すことは同じなんです。いわゆる品質の問題じゃないのですよ。水に接触するか否かの問題なんです。たとえば、これは通産省現地調査をやられましたけれども、三重工場高圧ガス爆発、これはカーバイドアセチレンガス化するために容器を移しがえをするわけですね。そのときに、スコップカーバイドを持ち上げましたらそのスコップが砂利に当たって発火して爆発事故を起こしたわけです。通産省が行かれておわかりだと思いますが、現地はそれぞれの住居の避難を命じましたね。あるいは近隣の人が大変のどを傷めて、やっぱり避難命令を出す。そのスコップの火花がどうして引火したかというと、実は周りにありましたドラムかんの中のガス引火爆発したのですね。私の調べではそうなんです。もし間違いならば指摘をしていただきますが。ということは、運送中ないしは海上輸送の間、陸上輸送の間を通して、何らかの形でカーバイド容器の中にガスが充満しておった、こう見るのが至当な推察、実態だろうというふうに私は思うのです。  そこで、問題は容器です。私は先ほど国際条約に定められました容器に対する諸法令国内諸法令から見て、今日特に日本から輸出するものもありましょうし、台湾から輸入するのもあるわけですが、台湾から輸入される容器わが国消防法なり、あるいは先ほど御指摘がありました船舶危険物運送ないしは国内貯蔵規則なり、これに適合する容器というように見られているのかどうか。この辺をまず消防庁からお聞きをしたいというように思うのです。
  23. 林忠雄

    林政府委員 御指摘のように、カーバイドは水に接触するとガスを発生する大変危険度の高いものであるので、危険物規制に関する政令、これは消防法十条三項に基づく政令でございますが、それでその容器については厳格な規定がございます。金属製容器等運搬容器に入れて密封し、さらにこれを木箱、すかし木箱段ボール箱等の外装を施すことという規定がございます。この規定を、船で運んでくる間はあるいは運輸省の御所管かもしれませんけれども、それが港へ揚がりまして、それで港から工場へ行くとか、そういう場合には当然この消防法規制を受けるわけでございます。私自身、直接台湾製カーバイド容器を拝見しておりませんから、私自身は申し上げるわけにはいきませんけれども、この規定の厳守をそれぞれの市町村の消防機関を通じて常々怠っておりませんし、今日までの報告からすれば、特にこの容器が不良品であるというような報告も余り来ていない。一応規定どおり容器を使っているものと現在は推察しております。
  24. 加藤万吉

    加藤(万)委員 消防庁の方、現地を見てないということですから、写真をひとつお見せをして、これが国際規則に沿っている容器であるかどうか、ひとつ御判断をいただきたいというふうに思うのです。写真を提示します。海上保安庁の方もできたら一緒に見ていただきたいと思います。  その容器を見ていただけばわかりますが、外ぶたがコの字形に切ってあります。その外ぶたガムテープで張られたものなんです。海上輸送中にガムテープから海水が浸入しないでしょうか。これが第一点です。  天然色で撮ってありますから、色を見ていただきたいというふうに思うのですが、赤い色のところはさびです。さびというのは、御承知のように鉄に酸化物がついて発生するわけです。媒介するものは海水ないしは水ですね。どうでしょうか。私はそういうものを見まして、これでは水を吸い込むのは無理ない、こう思ったのですが、それぞれ所見をお聞きしたいというふうに思うのです。
  25. 林忠雄

    林政府委員 私は、技術的には素人なので、たとえばさびの定義と、それからこの溶接が果たしてできているかどうかというのをここで見分ける眼力はございませんけれども、まず容器自体は、ドラムかんというのは金属製容器という規定には一応合っているそうでございます。  それから、密封しなければならないとかというふうに書いてございますので、この溶接が不完全で、もし穴でもあいておれば、これは規定に違反した容器になるけれども、何かこれは溶接したような跡がございますが、これが完全に溶接されて密封してあれば、規定上は金属製容器であり、かつ密封であるという条件には合っているようでございます。  さらに、これに外枠を、木枠か何かで外装を施さなければならぬと書いてありますが、これはそういった外装がとれて積み上げられたところの写真と思いますし、輸送中その外装がなければもちろん規定違反でございます。それから、密封というのが、いまここで拝見しますように非常にさびも多く、何か溶接も余りきれいにできておりませんから、こういう点がもし穴でもあるようなら規定違反になりますし、とにかくきちんと密封してあれば、一応規定上は合法的な容器であると私のところの技術者がいま申しております。
  26. 加藤万吉

    加藤(万)委員 海上保安庁からも同じ所見を聞きたいと思います。
  27. 辻栄一

    辻説明員 ただいま写真を拝見いたしましたところで、写真だけでは特段のことを申すことはできないと思いますけれども、私どももただいま消防庁長官の御説明のあったと同様の所見でございます。
  28. 加藤万吉

    加藤(万)委員 危険物船舶運送及び貯蔵規則には、容器及び包装に関する規定によること、船長が安全上差し支えないと認める場合は云々というようなことが書いてあります。要するに、形式的に言えばドラムかんですから鉄製です。外見上わからないかといえばもうこれは見える以外はないわけです。あるいは、溶接でなくてガムテープであるということを私は言いましたけれども、ガムテープの場合には明らかに浸水する可能性はあるわけです。したがって、そういうものが船に積まれて荷役が行われ爆発が起きたとすれば、船長としては、航行途中にもそういう状態が起きる可能性があるわけですから、危険物と判断されて、その運送を拒否されることも起き得るわけですね。陸上についても同じでありまして、自治省が通達しているいろいろな危険物取り扱いの文書、容器包装、その他私は一応調べてみました。確かに外見上は規則どおりのことが行われているかもしれない。しかし先ほど言いましたガムテープのようなものは、私は外見上も容認されるべき問題ではないと思うのです。問題は、容器が古過ぎるということですよ。  それからいま一つ申し上げたいのは、日本が外国に輸出をする場合のカーバイド容器は、ちょうどビールびんの上側をとめると同じような形になるわけですね。こういう円筒形のものの上側にかぶせて、中にパッキングを入れて締め込むという方式をとっているわけです。ハンダじゃないのですよ。溶接じゃないのです。仮にもし穴があいておって、ガスが充満しておって、容器は溶接してありますから、これが切れますね、このときに爆発事故が起きるのですよ。したがって私は、国内搬送あるいは海上輸送も含めて、この際、日本容器と同一の容器もしくはこれに匹敵するぐらいの容器にかえるべきだというふうに実は思うのです。これに対する御見解が一つと、いま一つ、消防庁現地を見ていらっしゃらないということですから、どうでしょう現地を見ていただいて、この台湾から来るカーバイド容器に対する判断を当委員会ないし私に対してお答えいただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  29. 林忠雄

    林政府委員 現在定められている規則がそのとおり守られておればあるいは技術的に安全なのかもしれませんが、先生指摘のようにドラムかんが余りにも古過ぎる。古過ぎるということは、外見上も非常に悪いけれども、ひびが入っておったり穴があいておったりする可能性が高い。そういうことを防ぐために、単なる金属性密封だけの要件ではなくて、もっと細かい要件をつけ加えるべきではないかという御指摘に対しては、私は技術者の方に十分検討させようと思います。果たして安全が保てるのか保てないのか、いまの要件だけでいいのかいけないのか。先生日本製と同じようなものにという御提案でございますけれども、技術的にそこまでやることが安全性を保つ上に不可欠であるかどうかということを、私技術者じゃございませんので、少しそれは研究をさしてみたいと思います。  それから、現地を見ぬかというお話でございますが、私自身が見るよりも、やはりそういうものが一目で危険かどうかわかる技術者が見た方が効果的だと思いますし、それも、そういったものの実際の取り締まりと申しますか、この消防法の施行に当たっているのは現地消防機関でございますので、横浜でこういう数がこの一、二年多いとなれば、また横浜の方にもよく連絡をしまして、ひとつ消防機関が十分自分の責任を果たし得るかどうかということについて、視察その他の検討をさせるように指導してまいりたいと思います。
  30. 加藤万吉

    加藤(万)委員 違った観点からいま一つだけお聞きしますが、消防法の十条、危険物の取り締まりがありますね。それに付随して、危険物が三百トン以上の場合の仮貯蔵の問題が実はあります。今度の場合、防災協会から出ている要請文の中に、ばら積み、あるいは港湾で野積みは何と言うんですか、「はい」というのでしょうか、「はい」崩し、その場合に非常に危険性が多いので、「はい」崩しの際に衝撃が発生しないような積み荷高を規制してほしいという要請が実は出ているのです。これは一つの項目として。消防法によりますと、危険物の三百キロ以上の場合でも、十日間は消防署長ないしは地元の消防長等の許可を得れば許可をしてもよろしいと、こうなっておりますね。これはまず最初通産省に聞きますが、どうでしょう、これだけの台湾産のカーバイドに対して、日本の港における貯蔵庫、いわゆる危険物を貯蔵するだけの施設はあるのでしょうか。まず通産省から、輸入関係を通してどう見られるかお聞きしたいと思うのです。同時に関連して消防庁から、それだけの量をそういう野積みをする、バラ積みをする、これに対する問題、十条との関係をひとつお聞きしたいというふうに思うのです。
  31. 児玉幸治

    児玉説明員 港におきますカーバイドの貯蔵能力についての御質問でございますけれども、私どもの方では、各港におきます貯蔵能力につきましては、残念ながら資料を持っておりません。
  32. 林忠雄

    林政府委員 確かに消防法では御指摘のとおり、消防長あるいは消防署長が認めたら、十日間を限ってはその野積みにするということですか、認められているようになっております。もともとはこのカーバイドについては危険物でございますし、屋内に貯蔵しなければいけないというのが原則でございますので、十日間を限っての野積みというのは、あくまでも船から揚げて、それをちゃんとした倉庫に運ぶ間の臨時的な措置という趣旨で認められているに違いないと思います。埠頭に、たまたま船からおろして直ちに倉庫にやれないものでございますから。  そこで、その規定の趣旨というものを十分忠実に現地消防機関で実行してもらう必要がある。確かにここ数年、先ほど私が御答弁申し上げましたように、カーバイドに関する事故というものは本当に年間一、二件しかなかった。ところがここで急にふえた。急にふえた理由が、たとえば外から積み込んでくる量が非常にふえたとすれば、この十日間猶予の規定というのも、いままでと同じようにある程度安易に、ああ書類が出てきた、まあよかろうというので判を押すようでは本当はいけないだろうと思います。  そこで、横浜港が非常に多いというお話でございますけれども、横浜市の消防当局というのは、私たちから見ましても大変事務的にもしっかりしておりますし、実力を持っておると思いますので、そういったところが十分その施行については責任を持ってやっていると私は思っておるわけでございますけれども、さらに重ねてこういった船積みが非常に多くなったという事情について、よくその点を考えて処理しているかどうかをまた横浜市の消防当局に指導といいますか、督促してみたいと思っております。
  33. 加藤万吉

    加藤(万)委員 最後にこの対策について提案をして、この部分に対する質問は終わりますが、この労災防止協会の中で、第一項は、ドラムかんの強度を調査してほしいと、こう言っているのです。いわゆる古いドラムかんを使い、腐食状態があるものですから、その強度を調査しなければドラムかんの荷扱いができない、すなわち表面で見る限りは確かに鉄製でありますし、あるいはその腐食部分というのはたたいてみなければ崩れてこないわけですから、わかりません。あるいはそこから入ってくる水分についても、まさに化学的反応というのはむずかしいと私は思うのです。     〔大西委員長代理退席、木村(武千代)委員長代理着席〕 しかし、それを扱う者にとってみれば、ドラムかんがもう腐り始めているんじゃないか、中にガスがあるんじゃないかという危険を持ちながら荷役作業をしなければならぬわけです。まず強度を調査をしてほしい、これが第一でした。  危険物の標示、標札をしてほしい。私はいまここに標札危険物標示の国際的な標示を持っていますが、これもできればちょうど化学工場でやっておりますように、赤が酸素、緑が窒素、あのような識別の危険物に対する取り扱いがございますね、国際的なものでしたら。これだけの小さなものでよいのですけれども、荷扱いをする、ないしはそれを扱う現場の労働者の側から見るならば、これはもう色でわかる、これは酸素だ、これは窒素だ、これはアセチレンガスだということがわかるようなそういう標示をドラムかんにする、こういうようなことも一つの方法ではないかというふうに実は思うわけです。  さらに、私はこのことはよくわかりませんが、早急に船積みをコンテナにしてほしいと、こう言っているのです。コンテナ輸送にしてほしい。いわゆるバラ積み、こういう形の積み方ではなくして、コンテナ輸送にしてほしい。その他あります。  いずれにしましても、私は、これだけの爆発事故が起きておる。しかも港湾というきわめて石油コンビナートに近いところでこういう爆発事故が起きているということに対しては、もっと真剣に取り組んでほしいと思うのです。この場合は事故がきわめて小さかったからいいようなものの、もし大きな爆発——私は実は知っているのです。アセチレンガスによって大きな爆発が起きたことを。しかし、そのことは私はきょうは当面のことじゃございませんから申し上げませんけれども、東海道線がとまったことがあるのですよ。そのぐらいの事故が起きるのです。私は化学の労働者ですからよく知っています。幸いにして今度は事故が小さかったからよかったようなものの、これだけ大きい事故が起きる可能性があるものを、私は保安庁の本部長も知らないというのでは、政府の行政として少し怠慢だろうと思うのです。ぜひ現地に技術者を派遣をされてドラムかん調査を行い、同時に、この防災協会等が提起をしている危険防止に対する対策を早急に立てられるように、ひとつ要請をいたしておきたいというふうに思うのです。  カーバイド関係に関する質問はこれで終わりますが、次に、警察関係について一つだけ質問をいたします。  最近、秋葉原の駅で朝鮮人学生と不良と見られる人との間の口論、けんかがありまして、これに対して仲介をした朝鮮総連の職員、金何がしという人ですが、この人が万世橋署に逮捕されました。私は実はこの事件を聞きまして、これは一般で言えば、日本人同士ならば、電車の中でいうところのガンをつけたとかという形での争いで、仮に警察官がそこに入ったにいたしましても、これをまあまあやめろ、こんな大衆の中でけんかをするのはけしからぬという程度の事件の結果ではなかったかというふうに実は思うのですが、この事件が朝鮮人学生、そして中にとめに入った人が結果として朝鮮総連の職員であったことがわかったがゆえに、かどうか、万世橋署に留置をされ、検事による取り調べにまで至ったわけです。実はこの背景ですね、日本人同士がけんかをしたというのではなくして、朝鮮人と日本人がけんかをしたということが、何か今日の朝鮮人に対する日本の差別観といいましょうか、あるいは民族的な偏見といいましょうか、そういうものが潜在していてならないような実は気がするわけです。  そこで、たとえば一九七七年六月の二十七日あるいは十月の二十二日等にも大宮、池袋で同じような朝鮮人学生と日本人学生とのけんか、争いがあったわけですが、この一連の事件を警察庁ではどのように見ていらっしゃるのでしょうか、まずその総体的な所見をお聞きをしたいというように思うのです。
  34. 森永正比古

    ○森永政府委員 お答えいたします。  ただいま先生指摘になりましたように、最近朝高生と日本人の学生等との間にトラブルが発生しておりまして、いろいろ暴行傷害事件等を起こしていることは承知をいたしているところでありますけれども、この種の事犯に対する処理の基本的な態度といたしましては、私どもは、あくまでも法令に照らしまして適法かつ妥当な処理をしていくという考えであります。また、民族的な関係についても、そのような問題に左右されることなく、厳正な処理をしていくということでございます。過去の取り扱いについて、このような点で問題になることはないというふうに私どもは承知しておるわけでございます。
  35. 加藤万吉

    加藤(万)委員 朝鮮名で何と読むのでしょうか、金鎮根という人が万世橋署に留置されたその内容あるいは取り調べ経過については、きょうは時間がありませんから余り質問をいたしません。ただ、事件をずっと振り返ってみまして、たとえば大宮における朝鮮人高校生に対する暴行事件、この場合は、伝え聞くところですと、埼玉工業大学付属深谷高校の高校生とのトラブルがあった。日本人学生が二百人と言われているのです。さらに、六月三十日に起きました蒲田における事件、これは羽田工業の高校生、これもやはり集団的暴行ですね。あるいは十月二十二日の池袋事件。私どもも学生のころは、よく相手高校とトラブルがありました。ときには、やろう、やっちまえというような話がありますけれども、これはいわば若い時代の愛きょう的なけんかと見てもいいと思うのです。しかし、この朝鮮人高校生に関する限りは、集団的な組織的な暴行事件にいま発展している、こういうふうに私には見られてならないのですが、保安部長はどのようにお考えでしょうか。
  36. 森永正比古

    ○森永政府委員 秋葉原駅における事件は単独の事件でございますけれども、先生が先ほど来御指摘になっております一連の事件等を通じて見まして、確かにこのようなトラブルが集団化しつつあるということは言えると思います。
  37. 加藤万吉

    加藤(万)委員 よくある、あそこの高校生とここの高校生という集団的なものならば両方が集団であるはずです。ところが、この場合は事が外国人、朝鮮人でありますから日本人対朝鮮人、しかも朝鮮人の側は、そういうことがあってはいけないということで、最近では五人、六人あるいは十人一緒に帰りなさいという指導もされているようですけれども、一方では百人、二百人という集団暴行ということになりますと、単なる学生同士の若いときの行き過ぎというだけでは済まされないと私は思うのです。背景的にやはり予断と偏見ということがどうしてもある、そういうふうに私は見ざるを得ないのですが、保安部長はどうお考えでしょうか。
  38. 森永正比古

    ○森永政府委員 私どももこのような傾向というものは大変憂慮いたしておるわけでございまして、この種の事犯の防止のためには、事件そのものを厳正に処理するということが必要であるとともに、やはり関係学校にその点、生徒に対する指導というものを徹底してやっていかなければいけないということで、事件を契機にして特に学校当局と連絡をとりながら、このような事犯の防止に努めておるわけでございます。  しかしながら、この背景に民族的な偏見というものがあるかどうかということについてでございますけれども、私どもはやはり若い者同士のトラブルであって背景に民族的な偏見というものはないのではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。しかしながら、そのようなことがあっては重大なことでございますので、その点はさらに個々の事件等について詳細に検討いたしまして、学校当局と十分に連絡をとって、そのようなものの防止にさらに努めてまいりたいと考えておるわけでございます。
  39. 加藤万吉

    加藤(万)委員 私が最初に例を挙げたのは六月二十七日です。そして六月三十日、十月二十二日、まさに五カ月以上経過をする事件の内容です。私は、恐らく警察当局としては、この学校に対する何らかの指示、具体的な指導、要請をされているように実は思うのです。これはきょうは時間がありませんから、詳細にはお聞きいたしません。特に、私は、個々の傷害事件という問題と、いま一つは、やはり学校当局に対する教育上の問題、もし民族の偏見と予断とがあるとするならば、それを是正するような基礎的な解決の方針というものを、警察当局からは、教育行政に介入と言われるそしりがあるかもしれませんけれども、しかし、事件の内容が集団的暴行ということは事実ですから、その中に日本人と朝鮮人があるということもこれまた事実ですから、この事実の上に立っての指導、要請をぜひひとつしていただきたいと私は思うのです。そういうことが結果として秋葉原の事件のような形に結びついていく。私はそうは思いたくないのですが、普通ならば、けんかが起きた、警察が入っていった、おまえ、やめろ、何をするんだ、少しとめて説諭をする、そうして釈放するというのが一般的な扱いではないかと思うのです。それが、たまたま逮捕した人が朝鮮総連の職員であったがゆえに留置をする、検察庁も取り調べをする。幸いにいたしまして、勾留開示の請求前に本人は釈放はされましたけれども、もしそういう状態に第一線警察官が思っているということになれば、これまた、そこに予断と偏見というものが存在し得るわけです。  私は、あらゆる問題についてそうですか、そういう基本的な姿勢というものをこれからもぜひ堅持をしていただきたい。学校当局に対してもそうでありますし、あるいは警察の第一線の現場に対しても、少なくとも一般的に見られるような傷害事件を、朝鮮人であるがゆえに、あるいは日本人と朝鮮人の争いであるがゆえに、そういう偏見を持たない指導をぜひひとつしてもらいたい。このことを、できればひとつ確約をしていただきたいと思うのです。
  40. 森永正比古

    ○森永政府委員 お答えいたします。  まず、学校当局に対する学校教養のあり方についてアドバイスをする考えがあるかどうかということでございますが、この点につきましては、もちろん教育に警察が介入することは厳しく禁じられることでございますけれども、しかしながら、事件を起こして警察で処理をしている、その処理の内容から見て、人種的な、民族的な差別があるということであれば、特にそれらがこれらのトラブルの原因になっているということであれば、その事実を学校当局にも明らかにして善処方を要望しなければいけないというふうに考えております。  それからまた、警察官の事件処理に対する基本的な考え方でございますけれども、今回の十一月五日の秋葉原における事件の処理については、これは詳細に内容を検討したわけでございますけれども、このような民族的な偏見というものはない、このように確信をいたしておるわけでございます。  しかしながら、事件処理に当たって警察官が民族的な偏見を持つということはもう重大な問題でございますから、今後ともこれは絶対にあってはならないわけでございます。しかしながら、ないからこのままでいいということではなくて、やはり今後起こらないように、事前に十分に指導、教養の徹底を図ってまいりたい、このように考えております。
  41. 木村武千代

    ○木村(武千代)委員長代理 佐藤敬治君。
  42. 佐藤敬治

    ○佐藤(敬)委員 大蔵省の方、来ていますね。——この間の新聞でしか私、見ませんけれども、大倉主税局長が自民党の大平幹事長に、五十二年度の国の歳入欠陥が五千億ないし一兆円ぐらいは出てくる、こういうことを報告した、こういうふうに書いてありますが、それはそのとおりですか。
  43. 梅澤節男

    ○梅澤説明員 御説明を申し上げます。  ただいま御指摘になりました五十二年度の税収の見込みでございますが、先行き非常に不確定な要因はございますけれども、歳入不足を憂慮しなければならない事態にあることは事実でございます。ただ、計数的に申し上げますと、現在判明しておりますのは、九月分までの租税・印紙収入でございまして、これが約七兆七千億収入になっておりますけれども、補正後の今年度の税収見込みは十七兆九千四百億円でございまして、割合で見ますと、私どもこれは進捗割合と申しておりますが、四二・九%でございます。五十一年度の決算額に対しましてちょうどいまの時期、つまり昨年の九月までの税収の同じ割合を出してみますと四三%でございまして、その進捗割合だけを比較いたしますと〇・一ポイント今年度下回っておるということでございますが、その限りでは、ほぼ予算に見込みました割合で現在までは入ってきておる。  問題はこれからの先行きでございまして、一つは九月期の法人の決算。これは税収ベースで申し上げますと、十二月に入ってくる法人税でございますが、これが御承知の経済情勢でございまして、楽観を許さない。それから大きい項目で申し上げますと、所得税でございますが、十二月のボーナス、これが一体どういうことになるのかという問題、これは源泉所得税でございます。それから申告所得税。これは実は三月の確定申告の時期になりませんと確たる数字は入ってこないわけでございますが、そういう意味で先行き非常に不確定な要因がございますので、計数的に一体どれくらいの歳入不足になるのかということを申し上げる段階にはございません。  いずれにいたしましても、来年度の予算編成の時点までに、幸いいま申し上げましたような九月期の決算の状況とかいう見通しは十二月のある段階で固まってまいりますので、その段階で今年度どれぐらいの歳入不足が出るかということになろうかと思います。  なお、御指摘になりましたように、新聞報道でいろいろな予測記事が出ておりますけれども、これは経済の専門の記者がいろいろ予測された結果ではございますけれども、三千億から一兆までの開きがございまして、私ども具体的にどういう規模になるか、計数的にどういう不足になるのかということは、いまの段階では率直に申し上げまして、まだ申し上げられる段階にはない、こういうことでございます。
  44. 佐藤敬治

    ○佐藤(敬)委員 まだ先が、九月の段階での話ですから、あと半年あるわけで、長い話ではありますけれども、恐らく五千億円ぐらいの歳入欠陥がある。これは五千億ぐらいは確実だけれども、いまの景気の状態を見ると、ひょっとすると一兆円近くになるかもしれない、こういうような予測だと思うのです。私は、問題は、これから景気がよくなって税金が入ってくるかどうか、特に法人税の関係と、会社が不景気なのでボーナスが余り出ないじゃないか、こういうようないま話された法人税と所得税、この二つの今後の見通しからこういう問題が出てきた、こういうふうに思うのです。私どもが考えてみましても、いま早急に、今年度の税収の期間までの間にこれが非常によくなるという徴候はほとんどないように思われます。特に十二月期のあれは中小企業が非常に多い、こういうことでありまして、そういう点から見ても、とてもこれを回復して予算どおりに税が入ってくるということは、あなた方の見通しのとおり私どもも不可能ではないか、こういう感じがするのです。  それで、いまあなたはちょっと不確定なのでわかりませんというような答弁ですが、こうして主税局長がわざわざ大平幹事長のところへ、ことしはこういうふうに欠陥が出ますよと言っていくからには、かなり確かな見通し、一応上はわからなくても、下の方はこれだけは不足になる、こういうような見通しがあって言っているんじゃないか、こういうふうに思うのですよ。  もう一遍ひとつ本当に全然まだ見通しがないのか。最低は三千億ぐらいだ、大体どのくらいに落ちつきそうなのか、その見通しがあったらちょっと教えていただきたい。
  45. 梅澤節男

    ○梅澤説明員 御説明申し上げます。  先ほど申し上げましたように、歳入不足を憂慮しなければならない事態にあることは事実でございますけれども、計数的にそれでは幾らぐらいのオーダーのものであるかという御質問になりますと、先ほど申しましたような事情でございまして、いまの段階では確たる見込みを申し上げられない、こういう現状でございます。
  46. 佐藤敬治

    ○佐藤(敬)委員 重ねてお尋ねしますけれども、確たる見通しが全然ないで、——あなた方は自民党の大平幹事長のところへ行ったと新聞に書いてありますが、確たる見通しがないのに減収しますよと、こう言っていったのですか。言うには多少の、一つの何かめどがなければ物を言えないでしょう。それを何にも見通しがありません、そういうので行ったと私は思われない。これはいまあなたに聞いているが、あなたの方の問題じゃなくて、地方行政の問題で、私は地方財政に非常に大きな影響があるから聞いているのです。もう一遍ひとつ見通しをお話しください。
  47. 梅澤節男

    ○梅澤説明員 御説明申し上げます。  私どもが主税局長から伺っている範囲では、大平幹事長のもとへ局長が伺いまして、ことしの歳入見積もりについて御説明申し上げましたのは事実でございますが、その時点でも、確定的な計数はまだ判明しないというふうに御説明申し上げている由でございまして、新聞紙上でいろいろな予測が出ておりますのは、あくまでも報道機関の予測ということでございまして、計数的に申し上げられる段階にはないということを重ねて御説明申し上げまして御了承賜りたいと思います。
  48. 佐藤敬治

    ○佐藤(敬)委員 ちょっと納得できません。少なくとも一党の幹事長ともあろう人のところに、数字が全然わからぬで、幾ら減るのかもわからぬで、こうして税収が減りますよと言う、そんなばかなことをやるはずはないでしょう。あなたがわからなければ大倉主税局長をひとつ呼んでいただきたいのです。私は細かいところまでは言えとは言いませんよ。しかし、いまあなたは三千億とかなんとか言っていましたが、三千億だとか、五千億だとか、六千億だとか、何かしらの一つのめどがなければ話しするわけにいかないでしょう。普通のでたらめに、だれかに冗談言うのと違いますからね。これは大問題ですよ。いま補正予算をやったばかりでしょう。もう一遍補正を組まなければいかぬでしょう、もしこういう事態があったならば。こういうような大問題を、日本の政権をとっている自民党の幹事長に、何にも数字的なめどもないで、ただ減りますよといって一体あなた行きますか。あなたでだめなら主税局長を呼んでください。
  49. 梅澤節男

    ○梅澤説明員 重ねて御説明申し上げますが、ただいま委員が御指摘になりました点は、実は先週の衆議院の決算委員会で大蔵大臣に対して同じような御質問が出ておりますし、過般の衆議院の大蔵委員会におきましても、大倉主税局長に対しまして同じような御質問が出ておりますが、いずれにいたしましても、現段階で計数的なものは固まっていないということで、大蔵大臣も主税局長も国会に対しまして御報告申し上げている段階でございます。
  50. 佐藤敬治

    ○佐藤(敬)委員 あなたと押し問答をしていてもしようがないですからやめましょう。  自治省にお伺いしますけれども、いまお聞きのとおりで、何ぼ出るかわからぬ、だけれども減ることは確かだというところまでは確かなんですね。そうですね。何ぼ出るかわからぬけれども減ることは確かだ、こういうことなんですが、たとえば経済記者がこれを書いて、大蔵省は関知しない、こういうふうに言っているのですが、大体これは、もうかなりな見当をつけて新聞記者も書いていると思うのです。これは全然無見当で書けば、新聞のかなえの軽重を問われますから、ある程度の見当をつけ、それから大蔵省からかなりな情報を得てやっていると私は思います。  そういう意味からお聞きしますけれども、まず新聞に出ているのを基準として、最低として五千億の減収があるとします。これの大部分は法人税だとか所得税だと思います。今回の地方財政計画の本年度の税収入を見ますと、法人税関係の税金が地方財政計画で非常にいままでよりも伸び率を高く見ておる、二四・何%か見ておりますね。だから法人税関係ががったり減ってくれば地方財政にも非常に大きな影響があると思うのです。一つは法人税関係、一つは地方交付税、この二つにまず直接あれがあると思うのですが、これの見通し、それからもし最低で五千億あるとすれば、一体どのぐらい地方税関係あるいは交付税に影響があるのか、この点をひとつお聞かせ願いたい。
  51. 福島深

    ○福島(深)政府委員 自治省といたしましても、今年度の税収の推定作業をしているわけでございますけれども、ただいま大蔵省からお話がありましたようなことで、十分な見通しを立てるに至っていないわけでございます。都道府県税につきましては、毎月実績の報告をとっておりまして、それで見てまいりますと、計画ベースで申し上げますと一五・二%対前年同期でふえておりますので、五十一年度の実績ベースからいたしますと、この一五・二%の伸びというのはやや計画額を上回るような、計画額を確保するより若干上回るような率になっておりますので、全体としては何とかいけるのではないかということを考えておったのでございますけれども、先ほど来お話のありますような状況、あるいはまたほかの観点から、たとえば税収の進捗率がどうなっているであろうかというような観点で見ますと、逆に落ち込んでいるというようなこともございまして、私ども大変心配をいたしておるわけでございます。特に、ただいまのお話にもございました法人関係税につきましては、落ち込みの可能性があると申しますか、あるいは落ち込みは避けられないのではないかという感じを実は持っておるわけでございます。  ただ、ただいま申し上げましたのは、都道府県税の関係でございまして、市町村税の場合には比較的安定的な財源があるというようなこともございますので、地方財政計画の十兆五千億程度の額、これ自体は何とか確保できるのではないかという感じは持っておるわけでございます。しかし、これもまだ九月決算分もわかっていないわけでございますから、できるだけ早くその数字をつかまえまして見通しを立てたいと思っているわけでございます。  先生の御指摘のありました、仮に国税で五千億の歳入欠陥があった場合にどういうふうになるかということでございますが、これは五千億の中身が法人でどの程度なのか、あるいは個人の所得関係でどの程度なのかということがわかりませんと、なかなかこれを地方税の方でどういうはね返りがあるかという推定が困難でございます。と申しますのは、法人の場合には、これは国税で落ち込みがありますと、大体同じような計算をしておりますから地方税の場合も落ち込んでくる。仮に、仮にと申しますか、法人税が国税で五兆八千億でございますか、その程度の額でございますが、地方税といたしましては約三兆円でございますから、大体国税で減るといたしますと、その半分程度の減収ということを一応覚悟しておかなければならぬのではないかという感じがいたしておるわけでございます。  ただ、所得関係税につきましては、これは地方税の場合には前年所得を課税標準にしておりますので、たとえば年末のボーナスの問題でありますとか三月の確定申告でありますとか、こういう問題は今年度の税収には関係がないということがございますので、これは計画額を、いまの状況で見ますとある程度上回って確保できるのではないかという感じがいたしておるわけでございます。  したがって、五千億の中身が法人税でどの程度、所得税でどの程度ということがある程度明確になってまいりませんと、それが地方税にどういうようなはね返りがあるかということはなかなか推定が困難でございますけれども、ただいま申し上げましたようなことで、おおむねの傾向は御理解いただけるのではないか、このように考えております。
  52. 佐藤敬治

    ○佐藤(敬)委員 これはすべて仮定の問題になってしまって、仮定の問題を論じてもしようがないかもしれませんけれども、これもまた新聞の情報ですが、このままいって、五千億でも三千億でもいいのですが、国の歳入に欠陥が出れば補正予算を組まなければいかぬわけですね。国では、どうもこれを見ると国債三〇%のあれにこだわってはおられぬ、まあ国債を発行するようなニュアンスで書いておりますけれども、これで地方財政、交付税にどのぐらいの影響が来るかわかりませんが、どうも、本当に概略ですけれども、これも自分ながらに計算してみると一千億近いものが出てくるのではないかという感じもするわけですよ。そうしますと、これはやはりことしのあれを見ましてもかなりな規模になるので、当然これは地方財政計画の組み直しがあるし、それに対する何で埋めるかという対応がなければいけないわけですけれども、もうすぐ十二月、来月は十二月ですし、通常国会が始まる、こういう時期でありますので、何かそれに対する考え方、対策とまではいかないかもしれませんが、考え方をしているのか、その点をちょっとお聞きしたい。
  53. 山本悟

    ○山本(悟)政府委員 現時点におきましては、まだ国税の減収をどう見るのかというような点につきまして、先ほどの御答弁のようなことでございますので、何ら大蔵省からそういう話もない状況でございます。  ただ、万一御指摘のような事態が発生して国が補正予算を編成するというような場合には、当然その減収の中心が所得税なり法人税なりということでございますれば、その三二%の交付税に影響が及んでくる、こういう事態に相なるわけでございます。ただし、御案内のとおり、本年度の交付税はすでに八月に大部分のものは普通交付税として決定済みで、すでに配布済みでございます。したがいまして、事実上の問題といたしまして、本年度の交付税を減額するということはまず不可能な事態に相なる。まして、そのことによりまして本年度の地方財政はがたがたになってしまうというようなことでございますので、私どもといたしましては、もしそういうような事態になりますということになれば、交付税の当初計上額を何らかの方法によって確保して、支障のないようにするということにならざるを得ない。また、実際にそういう場合に当たりましたならば、具体的な措置につきまして大蔵省と十分に話をする必要がある、こう存じておるところでございます。
  54. 佐藤敬治

    ○佐藤(敬)委員 もう結構です。どうも御苦労さまでした。  次に、最近非常に新聞紙上、ジャーナリズムをにぎわしております麻薬の関係についてちょっとお伺いしたいと思います。時間があと四十分しかありませんので、余り詳しいことは聞かれませんが、最近、麻薬、覚せい剤、こういうものによる事件が非常に頻発しまして、改めて社会問題化している様相であります。警察庁から私、資料をいただきましたけれども、この資料によりますと、五十二年度の一月から九月までの覚せい剤の犯罪は、殺人、放火、強盗、こういう凶悪犯罪を皆含みまして五百十一件、それから人数にして四百四人に及んでおります。このままでいきますと、五十一年度、去年の殺人の事件二十五件、人員の二十四人、こういう殺人だけを見ましても、もうすでに半年で去年の域に近づいている、こういうふうになりまして、麻薬犯罪というか検挙というか、こういうものの事件が大幅に増加しそうな勢いであります。また、五十一年度全体の検挙件数が一万三千七百三十四件、これは五年前の五倍半ぐらいにも該当するという、大変な事件であります。人数にして八千三百三十四人、一万人近いわけです。五十二年度の一月から九月までのいまの例を見ますと、これもすでに五十一年度をオーバーしまして、一万七千八百五十三件、人数にして一万九百五十七人という大変な数字に達しております。五十一年度は一年間ですが、五十二年度は半年間なんです。だから、もう膨大な麻薬犯罪の検挙数が出ておるわけです。推計しかできませんが、現在日本に麻薬の使用者は一体どのくらいいるのか。それから、話によりますと、この普及の底辺が非常に広がって、主婦だとか学生だとか若い者だとか、いろいろな普通の、いわば暴力団に関係のない素人にも広く広がっているというようなことが伝えられておりますけれども、一体その実情はどういうふうになっているのか、ちょっと説明していただきたいと思います。
  55. 森永正比古

    ○森永政府委員 麻薬、覚せい剤の潜在的使用者がどれくらいあるかということでございますけれども、これは御指摘のように正確には把握できませんで、本当のつかみでの推定でございます。これは覚せい剤で約十万、その他の麻薬で約五万というふうに考えております。それから、現在、漁村や農村へ覚せい剤等がかなり蔓延をしておるという実情はどうかということでございますけれども、特にその傾向が顕著でありますのは覚せい剤でございまして、ここ数年、覚せい剤は毎年約三〇%程度ずつ増加をいたしております。  特に昨年ごろから、これが沖繩、北海道というふうに地域的にも全国的に広がってまいりましたし、また、職業別に見ましても、農業、漁業それから主婦あるいは学生、そういう層にかなり浸食をしてきておるわけでございまして、その事態に対して私どもは大変憂慮いたしておるところでございます。
  56. 佐藤敬治

    ○佐藤(敬)委員 さらに、この資料を見ますと、麻薬のあるところに必ず暴力団がある、暴力団があるところに必ず銃砲の不法所持がある、こういうようなことが言われております。そしてさらに、麻薬が暴力団の最大の資金源になっていると書いておりますね。その様子は、大体昭和五十一年度の検挙数で推定いたしますと、暴力団の推定の不法収入額が去年で二百四十四億円、そのうち覚せい剤によるところの資金が百四十六億円、全体の約六〇%、五九・八%を占めている、こう書いてあって、暴力団を養っているのは麻薬みたいなものだ、こういうふうに考えられるわけなのですが、ここのところの実態がどういうふうになっているか、ひとつ説明していただきたい。
  57. 鈴木貞敏

    ○鈴木政府委員 お答えいたします。  先生仰せのとおり、暴力団が麻薬、覚せい剤をまことに大きな資金源としているというふうな実態でございまして、いま全国暴力団は約二千六百団体、十一万人、こういうことでございますが、麻薬、覚せい剤の結びつきの点で、先ほど仰せのように、五十一年中の、警察による覚せい剤事案の総検挙人員、これが一万六百七十八名ということでございますが、このうち、暴力団関係者が約五八・七%の六千二百六十八人である、こういう数字を見ております。また、先生が先ほど御指摘になりました暴力団の昨年の資金源、トータル二百四十四億ということでございますが、これはあくまでも警察で五十一年中に検挙いたしましたものから推定した額でございまして、その他潜在的なものはこれ以外にもあろうかと思いますが、こういった検挙事例から推定した数字で、資金源が二百四十四億、そのうちで麻薬、覚せい剤の密売、こういったものによるものが約百四十六億ということでございまして、暴力団の資金源としては非常に多岐にわたっておるわけでございますが、何といいましてもこの麻薬、覚せい剤百四十六億数千万というのが一番多うございまして、その次、のみ行為であるとかあるいは賭博であるとか、あるいはその他不正手段にある恐喝その他のものによるという状態でございまして、何といいましても暴力団の根絶のためには資金源、なかんずく麻薬、覚せい剤の徹底した取り締まりが大きな柱にならざるを得ないということで努力しているところでございます。
  58. 佐藤敬治

    ○佐藤(敬)委員 その取り締まりのことなのです。この麻薬を取り締まるということは、とりもなおさず暴力団を取り締まるということでもありますね。これは密接不可分の関係にあると思うのです。     〔木村(武千代)委員長代理退席、委員長着席〕 そこで、この取り締まりの問題ですけれども、取り締まりは厚生省の麻薬取締官事務所あるいは警察でやっておりますが、これの取り締まりの実情といいますか、人数だとか、最初に、一体、これはどのぐらいの人数がいて、どういうふうに取り締まっているのか、ちょっと厚生省と警察庁からお聞きしたいのです。
  59. 山田幸孝

    ○山田説明員 麻薬あるいは覚せい剤事犯の取り締まりにつきましては、警察庁その他の機関のほかに、私ども厚生省麻薬取締官事務所というのが全国八カ所にございます。また、沖繩に一支所がございまして、現在百七十名の取締官を持ちまして、この麻薬、覚せい剤あるいは大麻事犯をもっぱらの業務として事犯の摘発に努めておるところでございます。
  60. 森永正比古

    ○森永政府委員 この麻薬、覚せい剤に従事している警察官だけの数字を出すということは、これは大変困難でございまして、大体この種の事件を担当いたしております係を総計いたしますと、約千名くらいということでございます。  それで、現在麻薬、覚せい剤について、警察と麻薬取締官事務所でどのような取り締まりをやっておるかというふうな関係でございますけれども、この主なものを挙げてみますと、ことし一月から九月までの間の検挙でございます。これは人員で申しまして、覚せい剤取り締まりにつきましては、総計が一万九百五十七人ということになっておりますが、警察で約一万七百四十人を検挙いたしております。それから麻薬取締法につきましては、双方で八十六人を検挙いたしておりますが、そのうち警察で七十二人、それからあへん法では、全体で百七十八人でありますが、警察で百六十人、大麻取締法が全体で六百八十六人でございますが、警察で五百三十七人、こういう状況になっております。
  61. 佐藤敬治

    ○佐藤(敬)委員 もう一遍お伺いしますが、麻薬取締官は何人いますか。
  62. 山田幸孝

    ○山田説明員 百七十名でございます。
  63. 佐藤敬治

    ○佐藤(敬)委員 いまも申しましたとおり、資料にも出ておりますが、もう麻薬の事犯、検挙されるのが激増しているわけですね。五年前の五倍以上というような、大変に激増しております。こういうような時期ですが、警察庁の千名あるいは厚生省の百七十名、こういう人数で間に合っているのかどうか。もうどんどん激増していく状態を見ると、もてあましているのじゃないかというふうに数字の上から見られるのですが、その点はどうです。
  64. 森永正比古

    ○森永政府委員 先生先ほど来御指摘のように、麻薬、覚せい剤事犯というのは、非常に急増しているわけでございます。それに対する体制の問題でございますけれども、大体これで十分かと言われれば必ずしも十分とは言えないわけでございます。ただ警察で、運用の面でカバーしているわけでございますが、やはり警察の仕事も間口が広うございますので、忙しくなった部門あるいはまだ余裕のある部門というものがそのときどきあるわけでございます。そういうものを総合的に運用いたしまして、それでカバーをするというような形で今日に至っているわけでございます。しかしながら、どうしても麻薬、覚せい剤事犯を検挙するということになりますと、これを鑑定をしなければいけないということになります。これだけは、やはり技術屋ということで、どうしてもカバーするわけにはまいりませんので、そういう面については、来年度の予算要求の中で増員要求をお願いすることといたしておるわけでございます。また今後の推移いかんによっては、この面について警察官の増員要求についても検討しなければいけないのじゃないかというふうに考えております。
  65. 山田幸孝

    ○山田説明員 現在お話しのように、麻薬、覚せい剤、大麻事犯が非常に深刻な状況を呈しておりますので、私どもといたしましても、この種犯罪をできるだけ撲滅するために、私どもの所管しております麻薬取締官事務所の機能の強化を今後十分検討してまいりたいというふうに思っておる次第でございます。
  66. 佐藤敬治

    ○佐藤(敬)委員 私どもは実際に麻薬取締官の活躍というのは、テレビか映画でしか知らぬのですが、非常に苦労していることはよくわかる。いま聞きましたら、たった百七十人しかいないというのは私もちょっと意外でした。警察の千名はいろいろやりくりして千名という数字が延べ人員で出てくるでしょうが、厚生省の麻薬取締官というのは専業でそれしかやっていない。これだけの事犯でたった百七十人しかいないというのは、私どもは非常に少ないと思うのですが、実際にそれで間に合っているのですか。
  67. 山田幸孝

    ○山田説明員 現在百七十名ということでこの種麻薬事犯の捜査に従事しているわけでございますが、もちろん人員の問題につきましては、おのずからやはり増員を図るにしましても限界がある問題でございます。私どもといたしましては、機能強化を今後図っていくという問題のほかに、現在の人員でいかにして能率的に、また効率的な捜査をやっていくかというような問題についても検討を行っておる状況でございます。
  68. 佐藤敬治

    ○佐藤(敬)委員 これは警察と厚生省はしょっちゅう連絡をとってやっているのでしょうが、どっちが本家ですか。厚生省と警察とは、どっちも本家ですか。
  69. 森永正比古

    ○森永政府委員 これは本家、分家ということになりますと、大変お答えがしにくいのでございますけれども、警察といたしましては、麻薬、覚せい剤等につきましては、従前から取り締まりの衝に当たってきておったわけでございます。しかしながら、麻薬取締官事務所は戦後の麻薬、覚せい剤の蔓延に対処するために新たに設けられた事務所であるというふうに聞いております。そういう時代的な点から言えば、警察が以前から取り締まりをやっておった、こういうことになろうかと思うわけでございます。
  70. 佐藤敬治

    ○佐藤(敬)委員 これは総理府でつくったと書いてあるのですが、どこでつくったかわかりませんが、「白い粉の恐怖」というのがありますね。これを今回実は借りて一読してみたのですが、これを読みますと、何というか慄然たるものがあります。これは麻薬の人間破壊ですね。そうしてそれに伴って人間を取り巻くところの周囲の社会を破壊してしまう。麻薬犯罪というのは、人間を破壊することによって金をもうけるという、まことに非人間的な、最も憎むべき犯罪だ、こういうふうに、これを読んでつくづく再認識したのです。私はこれを見てそう思ったのですが、いままで麻薬のことは、何かテレビなんかで麻薬官が忙しくぱちぱちやる、ああいうのでは見るけれども、あれを見ますと、両方とも英雄で、どうも子供たちが見ても、ぼくらが見ても、悪いという感じがしないのですが、本当の麻薬の恐怖というものを国民によく教えなければいけないと思うのです。だから、こういう本、どのくらい広がっているかわかりませんけれども、こういう本、私は非常に有益だと思うのですよ。これを見たらびっくりして、何も麻薬に手をかける人はいなくなるくらいびっくりするような本だと思うのです。だからこういうのも単に一部の資料にしてとっておかないで、どんどん市販するなり、あるいは政府が刊行物にして出すなりしてうんと普及させる必要があるんじゃないかと思うのです。これは単なる政府の資料として温存しておくにはまことにもったいない話なので、ぜひこういうのをもっとどんどん市販させるなり、公表して国民のみんなが見れるようにひとつ措置をとってもらいたいと思いますが、どうですか。
  71. 森永正比古

    ○森永政府委員 確かに御指摘のとおりでございまして、麻薬、覚せい剤を根絶するというためには、一面取り締まりの強化ということも必要でございますけれども、何といっても国民にやはりこれらの害の恐怖、こわさということを十分に知ってもらって、そして警戒心を持ってもらうということが肝要でございます。そういう観点に立ちまして、警察庁といたしましては総理府と協力いたしまして、ただいま御指摘の「白い粉の恐怖」、それから「覚せい剤中毒者の声」というのを作成いたしました。現在まで約十二万部印刷をいたしまして、全国の都道府県それから教育関係機関、医療関係機関、司法関係機関、その他関係団体等に広く配付をしておるわけでございますが、都道府県といたしましても、大変これに対する増刷要望が強いということで、それぞれ都道府県単位で警察を中心にして増刷をいたしておりますが、それを含めまして現在約二十万部ほどになっております。  しかしながら、先ほど先生指摘になりましたように、この内容を見ますと、体験者の声でございますので、大変国民に対する説得力も強いわけでございます。そしてまた、これを読んだ方々からのいわゆる増刷要望というものもかなり出ておりますので、今後さらに増刷について十分検討いたしたい。そして配付先についてもさらに効果的なところを考えていきたい、こういうふうに考えております。
  72. 地崎宇三郎

    地崎委員長 佐藤さん、ちょっと私からも発言さしてください。  いまの麻薬の問題について、アメリカあたりはテレビを通じて非常にいろいろな危険な問題だとかそういうのをどんどんやっておるので、やはりテレビなどで劇なども使ったりなんかして、もっと積極的にやっていただきたいと思います。  じゃどうぞ佐藤君。
  73. 佐藤敬治

    ○佐藤(敬)委員 私、後でそれを申し上げようと思っておったのですが、テレビの項はまた後でやります。  いまの委員長の発言、まことにそのとおりで、これは幾ら医者がそう言ったって、教育委員会がそう言ったって、実際国民が読まなければこれは何もなりませんから、ひとつ積極的にそういう手を講じていただきたい、こう思います。  さらに、犯罪を犯したとき、その人が心神喪失であれば罪にならないという、こういう原則みたいなのがありますがね。この覚せい剤中毒によって犯行を犯すというと、心神喪失者と認定されて不起訴処分になるケースが非常に多い、こういうふうに言われておりますが、この不起訴になった後、これが放置されると、また同じような再犯をするケースがこれもまた多いんじゃないかと思われますけれども、厚生省にちょっとお伺いしますが、何かこういうのに対して、強制入院というと、どうもちょっとごろが悪いのですが、何かそういうものの対策を現在やっておるか、あるいはこれからやろうとしておるか、ちょっとお伺いしたいわけです。
  74. 山田幸孝

    ○山田説明員 現在、覚せい剤中毒者の入院治療につきましては精神衛生法で定めがございます。一つは、自傷他害のおそれのある場合には措置入院の制度がございます。それからもう一つは、保護義務者の同意入院制度という、二つがございます。  御承知のとおり、覚せい剤中毒者は中毒の症状として非常に凶暴でございます。実際に病院にこの種の中毒者を入れる場合にも、受け入れ側の問題として非常にトラブルがございます。たとえば、入院いたしますと、看護婦なりあるいは医者に非常に乱暴を働くとか、あるいは実際に現に入院しておるほかの患者さん方の治療の妨げになるなど非常に多くの問題がございますが、私どもといたしましては、現在精神衛生法で定められております制度をできるだけ活用して、この種の中毒者の入院治療というものをどんどん進めてまいりたい、かように考えておるわけでございます。  それで、この治療を進めるに当たりまして非常に問題になりますのは、ただいま申し上げましたような受け入れ側の病院の協力なり理解ということがまず大前提になろうかと思います。  それからもう一つの問題としましては、この種中毒者の診断基準といいますか、そういう診断方法をできるだけ早くつくってまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  75. 佐藤敬治

    ○佐藤(敬)委員 いま盛んに新聞をにぎわしております例のマリファナの問題でちょっとお伺いします。  研ナオコだとか、にしきのあきらだとか、美川憲一だとか、井上陽水だとか、若い人のアイドル、これら一連の芸能人がマリファナ吸引事犯で検挙されて、ある人は執行猶予になったり起訴猶予になったり、いろいろなあれが出てきたようですが、これを契機にいたしましてマリファナが有与であるか無害であるか、こういうことが非常に大きな論争になってきました。この間参議院のあそこでもあったようですが、大麻を罪悪視するというのは時代錯誤だと思う、こういうような大麻擁護論というか、芸能人擁護論というか、こういう議論が盛んになってきております。  この間私はそういうのをずっと見ていましたら、どうも日本人は少し働き過ぎている、富国強兵から戦争から高度経済成長からで働き過ぎている、だから今度は大麻をのんでひとつゆっくりしよう、こういうようなものを書いている精神学者か何かがあるのですね。これを見たらびっくりしましたが。大麻をのまなくてもゆっくりできると思うけれども、マリファナをのんでゆっくりしたらいいじゃないかというような意味のことを書いた論なんかもあるようです。  こういうふうに、大麻の有害、無害論が非常に出てきておるのですが、その議論を見てみますと、ほとんどその根拠の引き合いに出されるのが、一九七二年に、アメリカの大麻及び薬物乱用委員会というのが大統領及びアメリカ議会に提出した報告書、「マリファナ・ア・シグナル・オブ  ・ミスアンダースタンディング」と書いてあるのですがね。何というのか、大麻の誤解のしるしというのですか、この報告書によって、賛成論、反対論、両方が議論しているのです。私はこれを全文読んだことはなくて、あちこち本に書いてあるのをぷつぷつとしか読んでいませんが、どうも、擁護論を読みますと、まるでマリファナには悪いところが全然ない、逆に芸術的感覚が鋭くなったり、疲れが取れたりして非常にいいものだと書いてあるのですね。その根拠がこの報告なんですがね。これの報告が、擁護論が言うようにマリファナが無害である、こういうふうにやはり書いてあるのですか。そこのところをちょっと簡単に説明してくれませんか。  それからもう一つ、これのあれは、どこかにあったらひとつ資料として後でいいですからいただきたい。
  76. 山田幸孝

    ○山田説明員 大麻の人体に対する影響につきましてはいろいろな報告がございます。その中でも一番権威があるというふうにされておりますのは、ただいま御指摘がございましたように、一九七二年のアメリカの大麻及び薬物乱用委員会がまとめましたレポートでございます。それからもう一つの権威のあるものとして、一九七一年に世界保健機構が専門家委員会を開きましてまとめました「大麻の使用」と題するレポート、この二つが大体権威があるというふうに言われております。この二つのレポートから、大麻は無害というような報告がなされておるわけでは決してございません。もちろん大麻を摂取した後の症状は、摂取量によりましても、あるいは吸った人の期待感とか吸った状況とか性格などによってもかなり違うようでございます。  それで、その全米委員会報告の中ではどういうことが書いてあるかといいますと、大麻の使用後間もなく生ずる効果としては、少量使用の場合には幸福感が増大をする、非常にハッピーな気持ちになるということが一つでございます。つまり、これは最初は落ちつきのないような陽気な気持ちに続きまして、夢のようなのんきな弛緩状態が出てくる。それから、空間と時間の拡大を含みます知覚の変化が見られる、あるいは触覚あるいは視覚それから味覚それから音感の鋭敏化など、そういう変化が出てくるということが記載されております。それから量がさらに多い場合にはこれらの反応がさらに強く出てくる。使用者は情緒の急激な変化とかあるいは感覚的な心象の変化、あるいは注意力が鈍くなる、あるいは考えが断片化する、あるいは想像の飛躍が出てくる、記憶力の減退、そういうような変化を経験するという記載もございます。それからさらに大量に使った場合には精神異常の発現も起こり得ますが、これらの現象の中には、物体がゆがんで見える、あるいは感覚、精神的な錯覚あるいは幻覚など、そういうものも見られるというようなことがこの報告書の中にも記載されてございます。
  77. 佐藤敬治

    ○佐藤(敬)委員 そうすると、マリファナは決して無害ではないということだと思いますが、アメリカでこれを是認するというような動きがあるようですが、無害でないものをアメリカでは一体どうして是認しようとするのですか。
  78. 山田幸孝

    ○山田説明員 最近米国で、個人のマリファナ使用につきましては刑罰を少し軽くしたらどうかという動きがあるのは事実でございます。本年の八月にカーター大統領が連邦議会に麻薬教書を送りまして、その中に先ほどお話に出ました一九七二年の全米委員会報告書をもとに、大麻の使用については従来連邦法をもって懲役を科していた、そういう懲役刑を少し緩めて罰金刑にしたらどうか。これは個人の使用、所持の場合だけでございます。密輸とかあるいは栽培については従前どおり、連邦法でも重大な犯罪として取り締まるべきであるということを教書の中で述べておるわけでございまして、個人の使用あるいは所持についてこれを解禁するというようなことを米国で現在検討されておるわけではございません。こういう事情につきましては、私ども考えますのに、アメリカにおきましては現在マリファナの常用者と言われる人が千百万人いると言われております。それからまた過去においてマリファナを経験した人は四千五百万人おると言われておりまして、こういう膨大な人たちが使用したり、あるいは所持したことがあるという現実を見ますと、この人たちを一々つかまえまして裁判にかけてこれを刑務所に入れる、そういうことに費やされるであろう労力あるいは費用と、マリファナの危害とをバランスにかけた場合に、アメリカとしてどうあるべきかというようなことで、こういう個人使用あるいは個人所持を罰金刑にまで緩めたらどうかという提案がなされたのであろうと考えておるわけでございます。米国においては、御承知のとおりヘロイン事犯が社会の根底を揺るがすような問題になっておるわけでございます。ヘロインの中毒者が現在五十万人いると言われておる社会でございますので、こういう米国社会でのマリファナ使用は、マリファナの個人の使用あるいは所持に対する考え方は、私ども日本社会の手本に必ずしもならないものであると考えておる次第でございます。
  79. 佐藤敬治

    ○佐藤(敬)委員 結論するに、とてもそういうのに手が回らぬ、もっとひどいヘロイン患者がいるので、それだけでいっぱいで、マリファナには手が回らぬ。野放しにするわけにはいかないから罰金ぐらい取れ、こういうことですね。私もそうだろうと思うのですけれども、マリファナがいいか悪いかという精神論というか医学論、こういうものと別に、いまもちょっと話が出ましたけれども、日本の社会でマリファナを使用するということは、社会的にたばこと同じように認められておりませんね。認めておられないものを、無理にとは言わないけれども、いまさらあえて是認する、許可するということは、これに対して何か社会的な意義があるか、こう考えますと、社会的な意味というものは何もないと思うのですよ。というのは、いま話がありましたように、マリファナは毒物である、これには変わりはないとすれば、そんな毒物を社会的に認められてないのにいまさらあえて許可をして吸わせるということは私はないと思うのですが、その点はいかがですか。
  80. 山田幸孝

    ○山田説明員 私どもも、こういう大麻を日本社会において個人の所持あるいは使用について、アメリカのように規制を緩和するなりあるいはもっと自由にしてしまうという考えは毛頭持っておりません。この種薬物乱用は、一たん緩めますと非常に蔓延いたしまして、だんだん刺激の強いものに移っていく可能性もございますし、こういう大麻などを使って一時的に現実を逃避するというような形が、果たして健全な社会の発展にためになるものかどうかというふうに考えておる次第でございます。
  81. 佐藤敬治

    ○佐藤(敬)委員 それを前提にしての論議ですけれども、マリファナを取り締まるならば、酒やたばこも取り締れ、酒やたばこよりも害が少ないじゃないかということが非常に大きなマリファナ擁護論の一つの根拠になっておるのです。しかし、たばこを見ますと、アメリカへ行くと、このたばこは有害であるとはっきり書いてあるのですね。日本でも、やれ、やれと言っても、なかなか日本の専売公社はやらないけれども、それでもいっぱい吸わないように気をつけなさいと書いてある。そしてたばこを禁煙するためにどれぐらい多くの人が苦しんでいるかわからない。最近はたばこを吸っている人の中にいるとのどが悪くなったり、公害論まで出てきて、それに対する社会的な負担というものは非常にたくさんかかっていると思うのですよ。さらにまた酒のことを考えてみますと、最近は女の人までにアルコール患者が多くなって、酒をやめさせるために大変な社会的な負担がかかっているわけですね。コストもかかっている。現実にわれわれは酒の害、たばこの害というものを抑えようとして金をかけているのです。どのくらい頭を悩ましているかわからない。それをもう一つ、皆のみたいとも言わないのにマリファナを許可するというのは、いまの話じゃないけれども、これは毒物を一つよけいわざわざ許可する、こういうことになると思うのですよ。  そういう意味で、いろいろな論議があるけれども、有害であるか無害であるかということはあれですが、少しでも有害であるということがわかるならば、それをわざわざ認めるというようなことは絶対やるべきではない。必ずこれはそれに苦しめられる人が出てき、そしてそれを緩和するために、また社会的に負担していかなければいけない。現実にこれは金がかかるのです。毒物をもう一つつけ加える必要は何もない。たばこはこんなになる前からみんな普及しているからやめられない。これはちょうどアメリカのマリファナみたいなもので、とめることができないからしようがないけれども、しかし新しくそういうものをつけ加える必要は絶対にない、私はこういうふうに思うのです。いまも話がありましたが、これをたばこと同じように一遍認めたならば、恐らく大変激増すると思うのですよ。みんなたばこと同じようにこれを吸うようになる。こういうことは必然だ。そしてそれによって大変な社会的負担をしなければいけないようになると思いますので、とめるならばいまが一つの時期だ、こういうふうに私は思いますけれども、どうです。
  82. 森永正比古

    ○森永政府委員 お答えいたします。  先ほど先生指摘になりましたように、大麻と酒やたばこの害を比較されておりますけれども、先ほど厚生省の方から説明ございましたように、私どもは大麻そのものが有害であるということは相違ないことでございます。したがいまして、酒あるいはたばこの害と比べて大したことないから、それは法で規制する必要はないのじゃないか、あるいは取り締まる必要はないのじゃないかという論拠にはならないというふうに考えております。  それから今後の取り締まり方針でございますけれども、先ほど先生指摘になりましたように、大麻は現在のところ麻薬の中では一番薬禍が低い、軽いということが言われておりますけれども、しかしながら、この大麻には飛び石理論というのがございまして、大麻からさらに覚せい剤、ヘロインと移行するというふうに言われておりますし、これは過去に、ヨーロッパでも実験済みでございますし、またわが国におきましても、暴走族の間に最近トルエンとかシンナーから大麻に移り、大麻から覚せい剤あるいはヘロインに移るというような傾向があらわれてきております。大麻についてはここ数年、徐々に増加をしてきておるような状況でございますので、やはりいまのうちにこの大麻というものを根絶しなければいけないというふうに考えております。  そのためには、大麻はほとんどが東南アジア等からの密輸入でございますので、この密輸入のルートを絶つ、それでまた現在の密売組織というものを徹底的にたたいていく、それとともに、先ほど先生指摘になりましたように、やはり国民がこの大麻についても害があるということを十分認識する必要がありますので、こういう面の広報活動についても厚生省と十分に協議をして強力に進めてまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  83. 佐藤敬治

    ○佐藤(敬)委員 何かこんなことを言うと保守反動みたいに聞こえますが、どうもマリファナがいい、いいとやっているのを見ますと——芸能人なんか盛んにやっている。いわば文化人と言われるような人が盛んに大麻をいい、いいと言っているのです。そしてアメリカのあれを見ましても、大体根拠になっているのは、ヒッピー族が用いて、反体制みたいな形でこれが発展してきたというようなことが書いてあったりするのです。私は、反体制だか何だかわからないけれども、さっきも言いましたが、人間そのものを破壊してしまうような、こういうようなものが少しでもあるものは、これを吸ったから反体制になるというようなことはないと私は思うのです。これは人間性の破壊だ、こういうふうに思います。新しがったり、何か芸能人の社会に対する甘えだとか、特権意識だとか、そういうものでいろいろあれをやっているかもしれないけれども、そういうものは反体制でも何でもない。ある意味ではかえって非常に保守的な、権力的な考え方じゃないか、こういうふうに思います。  それはともかくとして、私はこのあれを見たとき一番先に思ったのは、現代は自動車社会である。マリファナをもし許可して、たばこと同じようにマリファナを許可してしまった後、かなり大量に吸って、たばこをふかすようにして自動車を運転したら、この自動車社会が一体どうなるかということが一番先にぴんときました。だから、そういうような意味からも、たばこと同じぐらいの量のマリファナを吸われたら本当に大変だと思うのです。そして自動車を運転されたら、これは大変なことになると思いますので、そういう点からも、現代社会としてこれを自由に吸うことを許されるべきではない、こういうふうに思います。  さらに、芸能人の問題で私がちょっと考えることは、現代というのは情報化時代なんです。特にテレビ、週刊誌でこういう人は若い人に非常に大きな影響力を持っている。ロックンロールを見たり聞いたりして失神する子供が出てきたりするような大変な影響力、ショックを与えるんですね。無神論的な現代から言えば、ああいう人気のある芸能人というのは神様みたいな大きな影響力を持っていると思うのです。  それで、今回の芸能界を中心としたマリファナ事件というものは、やはり社会、特に若い人に対する大きな影響があるのではないか、こういうふうなことを強く感じて質問を申し上げるのですけれども、いまマリファナを吸引している人は、芸能界では、吸っている人よりも吸ってない人を数えた方が早い、これぐらい非常に普及されているなんていって、本当かうそかわかりませんが、そういうようなことまで書かれているくらい非常に普及しておるようです。その裏づけとして、この間、太田明なる人物が六十キロという史上最高のあれをドアのパネルに入れて持ち込むというような大胆不敵な行動があって、しかも、それがいままでも芸能界を中心にばらまかれてきたし、それがもし入れば芸能界を中心にしてばらまかれるだろう、こういうようなことを言われておる。そういう意味から、今回の事件というのはいわば芸能界の体質というものをえぐり出した重大な事件であると私は思うのです。  そこで、この若い人たちに対する一つの影響を私は非常に重大視しておるのですけれども、特に人気のあるああいう歌手だとか芸能人がマリファナを吸った、それが一つの犯罪であるとして検挙された。ところが、それが軽い罪で起訴猶予だとかいうのですぐ釈放された。そしてそれがそのまますぐテレビへ出たりいろいろなショーに出たりして活躍をしているということになりますと、取り締まるということは、これの使用を抑えるために、吸引を抑えるためにやるのですけれども、逆に、若い人のアイドルであるああいう人気のある芸能人がマリファナを吸って何ともなかった、相変わらずテレビに出てやっているじゃないかということになれば、抑えるどころじゃなくて奨励することになりかねない、私はそういうふうに考えます。特に芸能人擁護論、大麻擁護論、いろいろ無害論などというあれがどんどん出てきていれば、それに勢いづいてますますそういうあれが出てきて、そのうちにどんどん吸って抑え切れないような状態が出てくるのじゃないかというような感じもするのです。  そこで、私はさっきからちょっと申し上げておりますけれども、一番大きな影響力があるのはやはりテレビだと思うのですよ。テレビに対して影響力を持っているのは郵政省ですね、許可権を持っているから。私はきょう、これを簡単にすぐテレビに復帰させるようなことでは困るじゃないかというようなことを言おうとしたが、言論の自由、信仰の自由、そういう面からそういうことは言われない、こういうような郵政省の意向のようです。だからそういうことは質問はいたしませんけれども、ただ、一つ問題になるのは、たとえばこういうことはないかということを最後に時間がありませんから質問いたしたいのですが、この間週刊誌を見た限りですが、参議院の何委員会かわかりませんが委員会で、マリファナで検挙された芸能人が芸能界に復帰するにはNHKに出演するのが一番いい、NHKに出演すれば免罪符を取ったと同じことだ、こういうふうな意味のことを言っておったようです。そこで、テレビの管理官庁である郵政省、こういうような発言を聞いてどういうふうに思いますか。それからもう一つは、NHKに対してそういう芸能界からNHKに出演させてくれ、させろというような何らかの働きかけがないか、このことをひとつお伺いします。
  84. 志村伸彦

    ○志村説明員 お答えいたします。  まず第一点のこういうことについてどう思うかということでございますけれども、先生、先ほどもおっしゃいましたように、放送番組に関することは言論の自由に関することということで、私どもとしてこれについて特に指導するとかあるいは云々することはできないたてまえになっておりますので、この点は御了承いただきたいと思います。ただ、放送法によりまして、NHKは、豊かでよい番組を放送することによって公衆の要望を満たすとともに文化水準の向上に寄与するように、最大の努力を払うこと。あるいは「わが国の過去のすぐれた文化の保存並びに新たな文化の育成及び普及に役立つようにすること。」など、いろいろわが国の文化の向上ということに寄与することが期待されておるわけでございまして、そういう意味で放送番組の向上という面からNHKが自主的に判断して、役に立てばというふうに期待しているわけでございます。  それから第二点に、NHKに対する働きかけという問題でございますが、これも番組に関することになろうということで、私どもは職務上も聞いておらないという状況でございます。
  85. 佐藤敬治

    ○佐藤(敬)委員 もう一つ、最後ですが、文部省にちょっとお伺いしたいのですが、いまのこの問題は、文部省にとっても青少年問題として将来非常に大きな、重大な問題だと思うのです。特に若い人、子供たちがシンナー遊びだとかいろいろなああいうことをやっておりますね。そしてすぐそれが大麻の問題に移行する危険性が非常にあると思うのですよ。だから私は、文部省は学校においても麻薬の害、こういうようなものについて徹底した科学的なあれをやっておくことが子供たちの将来に対して非常に大切だと思うのですが、何かそういうことをやっているか、あるいは将来やる意思があるのか、この点をひとつお伺いいたしたいと思います。  それからもう時間がありませんので厚生省にもついでにお伺いしますが、先ほど言いましたけれども、マリファナの有害性についての具体的な研究のあれをぜひひとつどんどん出して、そしてPRに努めていただきたい、社会的な蔓延を防止するようにしていただきたい、こう思います。  特に文部省では、この間参議院の文教委員会で青少年の麻薬・覚せい剤乱用防止に関する決議をいたしましたね。あれの項にも、いま私が述べたように、乱用防止対策、学校教育で影響について科学的な実例を挙げて対策を講じろ、こういうふうなあれもやっております。また社会教育も同様ですから、ひとつこの点について強力な指導をすべきではないか。特にアメリカの実情を見ますと、大変な数がこれから移行をしかねないということがありますので、それを防ぐためには取り締まりよりも教育が一番大事だと思う。そういう点からひとつ文部省の御意見をお伺いいたします。
  86. 上田一郎

    上田説明員 おっしゃいますように、そのような事態が児童生徒に蔓延するとすれば、これはきわめて憂慮すべき事態でございますから、文部省といたしましても従前からこの点について、学校、地域社会それから家庭等が一丸となって十分な配慮をするように指導に努めてまいっておるところでございます。  たとえば学校教育におきましては、保健体育とか理科の各教科のみでなく、道徳とか特別活動等の学校活動全体を通じて指導をする、それから教師の問題をとりましても、個々の教師としては個個の児童生徒を的確に把握してそのような事態を未然に防ぐとともに、教師全体で協力体制を確立することが必要であるというような指導をやっております。学校だけでもちろんそれは十分ではございませんので、学校と地域社会それから家庭、それから警察等の関係諸機関等と十分な連絡をとりまして、遺憾のないようにするように指導に努めてまいっております。  それからまた文部省自体といたしましても、そのような点につきまして、従来から発行しております生徒指導資料でございますとか、それから従前から開催しております生徒指導主事講座等におきまして、そのような事態に力点を置いて説明、指導するように最近努めております。  なお、先生先ほど御指摘がございましたように、今国会におきまして、衆議院におきましては文教行政小委員会という機関におきまして、十月の二十六日とそれから十一月十八日の両回にわたって、青少年の非行問題ということについて懇談をいただきまして、その中でも麻薬、覚せい剤等の問題を取り上げていただいております。それから参議院におきまして、文教委員会で十一月一日付で、先ほどお話しの青少年の麻薬・覚せい剤乱用防止の決議をいただきまして、それらをまとめまして、それらの内容を十一月十九日付の局長通達で関係方面へ徹底を図ったところでございます。なお、シンナー、トルエン等につきましては、すでに昨年六月二十五日付で同様の通知を出しております。  それで、御指摘のように、このような事態は極力未然に防止すべきことは当然でございますから、今後ともこの点に力を入れて指導の徹底を図ってまいりたいと思います。
  87. 佐藤敬治

    ○佐藤(敬)委員 これは、最後と言いましたが、最後の最後ですからお許しを願いたいのですが、新聞の報道によりますと、例のボブミュージックファクトリーの太田明が検挙されまして、芸能界から百数十人近いマリファナ吸引の名簿みたいなのが見つかった、こういうふうに書かれてあります。そして、これからもかなり出てくるのじゃないか、こういうふうな期待感を持って書かれておったようですけれども、その後一向にあらわれてこない。ちょっと私は耳にはさんだうわさ——うわさというかしゃべっておるのを聞いてみますと、何か事情があるのじゃないか。たとえば紅白歌合戦ができなくなるからやめてくれというような圧力がかかっているのじゃないかというようなうわささえぽつぽつ出ているのです。何かそういうようなことがあるか。なければないで結構ですから、その点はどうですか。
  88. 森永正比古

    ○森永政府委員 警視庁でやっております大麻事件の捜査に関連しての御質問だと承ったわけでございますけれども、私どものこの種の事案の捜査の基本方針は、あくまでも密売組織あるいは密輸のルートを解明していくということが重点でございます。したがいまして、そういう方針で現在も捜査を進めているところでございまして、先ほど御指摘になりましたように、外部からの圧力によって捜査がおくれておる、あるいは手かげんをする、あるいはしている、こういう事実は全くございませんので、捜査の今後の推移をごらんになっていただきたいと存じております。
  89. 佐藤敬治

    ○佐藤(敬)委員 どうもありがとうございました。  終わります。
  90. 地崎宇三郎

    地崎委員長 本会議終了後再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午後零時五十一分休憩      ————◇—————     午後二時三十二分開議
  91. 地崎宇三郎

    地崎委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  地方自治地方財政警察及び消防に関する件について質疑を続行いたします。権藤恒夫君。
  92. 権藤恒夫

    ○権藤委員 大臣にお伺いしますけれども、新聞報道によりますと、五十二年度の国税の歳入欠陥が相当あると言われておるわけです。これにつきましていろいろと心配をされるわけでございますけれども、この歳入欠陥の額は大体どのくらいになりそうでございますか。
  93. 小川平二

    小川国務大臣 ただいまの時点で、きわめて的確に来年度の地方財政に見込まれます財源不足の数字を申し上げることは困難でございますが、一つの手がかりといたしまして、例の中期収支試算等から大ざっぱな判断をいたしましても、まことに遺憾なことでございますが、本年度同様恐らく二兆円を超える財源不足が生じるのではなかろうかと考えております。
  94. 権藤恒夫

    ○権藤委員 私の質問が的確でなかったようでございます。もう一回質問し直しますけれども、大体五千億くらいの国税の歳入欠陥があると言われていますね、これが交付税にどういうふうにはね返ってくるかということを心配するわけでございますが、その手当ての方法はあらかじめ検討されておると思いますけれども、どういうふうになさるおつもりか、その点だけを聞いておきたいわけです。
  95. 小川平二

    小川国務大臣 お答えいたします。御質問の趣旨を取り違えておったものですから……。  相当程度の自然減が本年度の税収に生ずるのではなかろうかということが言われておりますけれども、この点につきましてはまだ大蔵省から正式の報告を受けておりません。さような状況に立ち至りました場合は、地方財政の運営に支障を生ぜしめない措置を当然とらなければならないと考えております。
  96. 権藤恒夫

    ○権藤委員 五千億の歳入欠陥がありますと、それの三二%、千数百億になるわけでございますが、その点につきまして十分手当てができるような措置をひとつぜひとも講じていただきたいと強く要望しておきます。  それから、行政局長おいででございますか。実は米子市で起こった問題でございますけれども、昭和四十八年に米子市に日本フェラス工業という会社が進出しております。これが、その工場の前に国道があるわけでありますが、その工場建設をするときにはその道路を使わせていただいた。ところが、工場が建設されまして、その出入り口を余り交通事情がよくないということで閉鎖をするので、その周囲に国有地があるから、それを買収して私道をつくったらどうかというようなことを言われたというのですね。ところがその会社が進出して、ちょうど四十八年後でございますのでどんどん物価が上がりますし、会社としてもかなり資金的に困っておった、だから貸してほしいということで、一応ここにも契約書その他ございますが、土地を借りまして、そうして自分で道をつくったわけです。借りて道をつくったわけですが、その工事費が約一千五百万と七百万、二千二、三百万かかっておるわけです。ところが、いつまでも貸すわけにいかないから、ひとつ会社の方で買収をしなさい、こう言われて買収をするようにしたわけです。やはり市当局から言われますと、その企業も断り切れずに結局買ってしまったわけです。そして舗装をして完全な道路にしてしまった。ところが間もなく、今度は寄付採納をしなさい、こういうふうに言われたのですね。寄付をしたわけです。こういうようなことがあるわけなんです。  それで、そこの会社の役員が言うには、貸していただければそれだけ事業の方へ金が回せた、けれども、最初借りなさいと言って、次に買収しろと言う。舗装もしてしまった。舗装してしまいますと、それがきれいになったものですから市の方に採納しろ。そして、こちらの方に大きな砂利の採取場があるわけですけれども、その砂利の採取場のダンプカーがどんどん来る。交通が危ないからと言って、そこに駐車禁止のあれを立ててしまったということで非常に困っておった。そういうことで、自治省の方にも私どもの方の同僚議員から、こういうことがあるので厳重に注意したらどうかというふうに言っておりますけれども、自治省の方としては、市当局に聞いてそういうことは一切ございませんというようなことで返事が来ておるそうでございます。小さな企業でございますので、市当局からいろいろと今後の企業活動にクレームがつくとやりにくいものですから、泣き寝入りをしているようなことが実態であるわけでありますが、これをとやかくいまから、寄付採納したものをもとへ戻せということは困難なことでございますのでこれ以上申し上げませんけれども、こういうような弱い者をいじめるような行政のあり方については厳重にひとつ注意をしてもらいたい。ひとつ要望しておきます。これは答弁は要りません。  次に公営企業の問題についてお伺いいたします。特に水道事業についてお伺いしたいわけでありますが、最近の財政事情等によりまして、この水道事業がかなり厳しい状態になっておるわけでございます。そこで、五十一年の決算もあらあらでき上がったと思うわけでございますが、不良債務を抱えている団体がどのくらいあるか、その不良債務の額がどのくらいあるか、またこの水道事業の概略をひとつ説明していただきたいと思います。
  97. 田井順之

    ○田井説明員 五十一年度の公営企業の決算、大体まとまったばかりでございますが、お尋ねの不良債務を有する団体は、法適用の水道事業全部で三百二十八団体でございます。金額は千二百四十七億でございます。
  98. 権藤恒夫

    ○権藤委員 私は福岡県の分だけについていろいろと調査をしてきたわけでございますけれども、福岡県下に六十一の水道企業団体があるわけであります。その中で三十二団体が累積赤字を抱えて、もうそれこそ困り抜いておるわけです。その中の二十一団体が不良債務を抱えております。これらは、水道料金を値上げしてもどうにもならない、もう二億、三億と赤字が予想されるわけでございます。  たとえば、一例を引いてみますと、福岡県に筑後市というのがあります。これは五十年度から久留米広域上水道事業団からも受水をしておるわけでございます。ところが、当初四十八年の建設費の見込みが九億円であったのが、当時の物価高騰というような中で結局二十二億ぐらいに事業費がかさばったわけです。したがいまして、いま水を買って売っておりますけれども、事業費が三倍近くなっております関係上、高い水を売らなきゃならぬということで、もうそれこそにっちもさっちもいかないというような状態であるわけであります。そこで、いろいろと地方公共団体も手当てはしているようでございますが、とにかくやりくりがつかなくて、もう最終的には国の補助を仰がなければいかぬということで、盛んに陳情が来ておる、これはもう御承知のとおりだと思うわけであります。  今回、水道法の改正がなされまして、そして補助制度が法制化されたが、今日のようなそういう窮状が果たして解決するような内容のものであろうかどうかということについて心配をするわけですが、その点についてひとつ御説明を願いたいと思います。
  99. 山本悟

    ○山本(悟)政府委員 水道事業は、ただいまの御質問のように、いろいろと各企業によりまして非常に高料金化している、非常に経営が困難になっているところのあるのは御指摘のとおりでございますが、水道事業の性格から申し上げますと、諸費用の高騰による給水原価の上昇というものに対しましては、基本的には水道料金の適切な改定を実施して対処する、これが一応基本の原則であろうと存じます。しかしながら、できるだけの負担軽減というものができますように、特に高料金の水道等に対しましては、自治省といたしましては、逐年特別交付税による措置の強化というようなことも手がけてまいっておりますし、また厚生省所管におきましては、ただいま御指摘のございましたように、各種の国庫補助制度につきましても制度化されてまいる、こういうようなことによってその対策というものがとられているところでございまして、方向といたしましては、やはり個個の団体による料金というのが基本でございますが、必要なる手当てというものはやっていく必要があるのではないかというように思っているところでございます。
  100. 権藤恒夫

    ○権藤委員 その必要な手当てというのについて知りたいわけなんです。たとえばどういうふうにやる方法がありましょうか。
  101. 山本悟

    ○山本(悟)政府委員 御案内のとおり、改正されました水道法によりましても、やはり市町村の責務、事務ということで、市町村がそれぞれの団体によって経営をしていく、一部広域的な水道もございますけれども、やはり個々の団体というのが一応基本的に責任を持つというたてまえになっているのは御案内のとおりでございます。  そういうような点から言えば、ある程度の料金差というものが起きるのも地域によってやむを得ない点もあるということになろうかと思います。しかしながら、そうばかりも言っておられませんので、やはりある程度のものは、御案内のとおり、地方財政の面から言えば、普通会計の方で持つというような意味での繰入金というようなものも、いろいろと制度的に地方財政計画に算入をする、そして算入して一定の条件に該当するものについては特別交付税も見ていく、その金額も逐年実は相当の額で増加をしつつあるわけでありまして、そういったような方法によって自治省といたしましては対処していきたい。あるいは厚生省方面におきましても、水源関係での非常に高くなるというようなものについての補助制度等の拡充、これなんかもいろいろと最近の年度におきまして厚生省も図られているようでございまして、そういったようなことによってできるだけ対処してまいりたいと思っているところでございます。
  102. 権藤恒夫

    ○権藤委員 厚生省にお尋ねしたいのですけれども、水道法の改正によりまして、いままでとどのように内容が変わってきたかということについて、ひとつ御説明を願いたいと思うのです。
  103. 山村勝美

    ○山村説明員 この六月に水道法が御指摘のように改正されまして、国庫補助の規定につきましても、旧法で簡易水道だけの規定しかなかったものが、上水道一般についても補助できるというふうに改正されたわけであります。これを受けまして、七月には施行令という形で出されたわけでありますが、その内容は、これまで予算措置として行われてきた上水道に対する補助というものを法律に基づくものとして整理したというのが実体でございます。  御指摘のように、先ほど自治省さんの方から説明がございましたように、事業体によってそれぞれいろいろな問題を抱えておるわけでございますが、事業体によっては料金が著しく高くなる等、公共性を維持することが非常に困難な事態が出ておるということも認識はいたしております。  それで、これまた自治省の方からも説明がございましたように、水道事業は独算制という原則のもとに経営していくことでありますし、それ自体長い歴史を持っておるわけでございまして、したがいまして、今後の水道のあり方につきましても、補助制度等につきましても、この独算制の原則とよく調和させながら考えていく必要があるというふうに考えております。  基本的には、特に水道財政の負担となっております水源開発のダムでありますとか、長距離の導水路、送水路を必要とする広域水道でありますとか、また、特に採算性の悪い簡易水道等、本当に助成を必要としておるものに重点を置いて助成してまいりたいというふうに考えております。
  104. 権藤恒夫

    ○権藤委員 実態をいろいろと調査いたしてみますと、その事業費の大部分が、取水口ですとか、あるいは広域化しておりますので、その導水管を長距離にわたって引かなければならぬというところで、かなりの事業費がかさばっておるわけであります。こういうものに対する補助というものはできないものでしょうか。その点についてお伺いしたいと思います。
  105. 山村勝美

    ○山村説明員 これは今度の政令の中でも明らかにされたところでございますが、上水道に対する国庫補助につきましては、昭和四十二年にスタートしまして、簡易水道が二十七年からの歴史を持っておりますが、それに対して上水道は四十二年からの歴史でございまして、その際、ダムとそういった長距離の導送水路を持つ複数市町村で経営しておるような事業体、久留米広域も入っておったかと記憶いたしておりますが、そういったものに対して国庫補助をやってきたわけでございまして、その後、物価の高騰等いろいろ最近の情勢が悪くなってきたということを背景にしまして、五十一年にはかなり大幅な改正をしてきたところでございます。
  106. 権藤恒夫

    ○権藤委員 補助金の割合のことにつきましてお伺いしたいと思うのですけれども、類似事業における国庫補助金の比較が、これは水道協会が出しております雑誌によりますと、水道事業におきまする事業費総額に対する補助金の割合が四・四%、下水道事業は三四・三%あるわけです。それから工業用水事業につきましては、二八・六%、それから治水事業につきましては六五・八%あるわけであります。この統計を見ますと、この水道事業だけが極端に割合が少ないわけであります。確かに、下水も工業用水も治水も、これはもう大切なことには変わりございません。しかしながら、この水道事業というのがいわゆる受益者負担だけでいいのか、あるいは公費負担をどうするのかということが検討はされておると思うわけでございますが、余りにもその差があるのではないかというふうに思うわけでございますけれども、この水道協会の雑誌が果たして真実性があるのかどうかということと、それからこれにありますように、なぜこういうふうに極端に少ないのかということについてお伺いしたいと思うのです。
  107. 山村勝美

    ○山村説明員 水道協会で出しておる数字、そういうものはちょっと確認できませんが、おおむねそういうものであろうというふうに承知をいたしております。  なぜこういう実態なのかということは、一つには基本的には水道が公営企業として長期の起債を借りて、その地域の住民にとっては長期の先行投資といいますか、長期的な資産をつくるんだというような基本的な性格から、そういう起債でずっとやってきたという長い歴史があるわけでございまして、国庫補助制度が、先ほど申し上げましたように、ほぼ十年しか歴史がないというところからやっとスタートしてまいりました。国の財政事情等から、いきなり大きな拡大はもちろんできないわけでございますので、まだまだほかの事業と比べて、公営企業であります工業用水等とも比べましても、まだまだ低いというのが実態でございます。そういった歴史的な背景が一つは大きな原因であろうというふうに考えております。
  108. 権藤恒夫

    ○権藤委員 その歴史的な背景も大事なことでございますけれども、現実問題としまして、この水道事業を行ったために一般会計からも繰り出せない。それかと言って、受益者負担であるからと言って水道料金も上げられない、上げたってもうどうにもならないというのが実情のようにあるわけであります。したがいまして、住民の要求によって水道が欲しい、じゃやりましょうというようなことでやっている。そのために地方自治体がいまやパンクするような状態の中で、私は、歴史がどうのこうのということじゃなくして、現実の問題を解決しようというやはり前向きの姿勢が欲しいと思うわけでございます。ですから、そのことについて今後の見通しなり見解を述べていただきたいと思うのですが……。
  109. 山村勝美

    ○山村説明員 私の責任でどこまで申し上げていいかわかりませんが、先ほど申し上げましたように、水道事業が独立採算制のもとに経営されておるという原則がありますので、そういう調和の中で個々の水道ごとの格差と申しますか、そういう差があることにはきわめて問題であるというふうに認識をいたしておりますので、そういうことを意識しながら十分に研究してまいりたいというふうに考えております。
  110. 権藤恒夫

    ○権藤委員 自治省の方にお尋ねいたしますけれども、先ほどの御答弁の中に一般会計からの繰り出し、それを交付税で見るというような話があったわけでございますけれども、先ほど申し上げましたように、不良債務団体というものがある。これは福岡県下だけでございますけれども、二十一団体、全国は三百二十八団体もあるわけです。これが、その一般会計からの繰り出しができないような状態であるわけであります。したがいまして、特交の対象にもならぬというようなこともあるわけですが、いずれにしましてもそのようなことを調査をする必要があると思うのですが、その点についてはいかがでございましょうか。
  111. 田井順之

    ○田井説明員 特別交付税措置との関連で申し上げますと、不良債務の有無ということは必ずしも要件になっておりません。それは、水道事業の場合はある一定の期間、たとえば三年なり五年なり一定の期間をとりまして、その期間を通じて収支の均衡を維持していくという考え方で運営されておりますので、ある特定の年度をとりますと、最初相当黒字が出まして、その期間の終わりのころには赤字になるというような場合もございます。  それからまた、別の観点から申し上げますと、給水原価は平均から見ますと必ずしも高くはない。しかしながら、政策的に非常に低料金を維持しているとか、あるいは料金改定を実施しようとしてまいりましてもなかなかできない。結果的には平均から見ましてもかなり低い料金のままで運営しているために、多額の不良債務が出ておる、こういった団体も実はございます。したがいまして、そういったいろいろな観点から、特交の要件としましては不良債務の額の多寡を基準にとるということは問題があろうと考えまして、特別交付税制度との絡みではそういった調査はいたしておりません。
  112. 権藤恒夫

    ○権藤委員 その適正料金の問題ですけれども、低料金を維持しているために不良債務を抱えたというような話でございますけれども、それは、私は現状においては適当じゃないのじゃないかと思っています。一生懸命がんばっていますよ。たとえば三潴町というのがございますけれども、それが四十八年に計画しまして、大体一立方当たり九十円で採算がとれるという試算をしたわけです。ところが、五億で済む事業費が実績では十一億くらいかかっているわけです。ですから、一立方当たりの単価を百二十円から百三十円くらいに上げなければもう採算がとれない。それでも採算がとれないというようなことで、もう受益者負担の原則ということでできるだけのことはやっておるわけです。ということもひとつ知ってほしいと思いますよ。だから、そういうようなものに対して何かここで助成をするような方法はないものかということが自治体の陳情であるわけです。そういうことについて何か検討していることがあれば、ひとつおっしゃっていただきたいと思うのですけれども。
  113. 山本悟

    ○山本(悟)政府委員 特定の企業につきましていろいろの差が出る、ただいま御指摘のございましたような団体も起こり得るわけであろうと思います。なお、個々の団体の状況というのはそれぞれの状況といたしまして、いろいろと話も聞いているわけでございますが、現在御存じのとおり、特別交付税の措置の仕方といたしましては、大体それぞれの全企業の平均的なところをとったわけでございますが、前年度決算におきます資本費が一立米当たり幾ら以上であるか、まあ去年の数字で申せば二十五円以上、それから、同じく給水原価が一立米当たり八十円以上、また昨年の場合は、去年の十月一日現在の家庭用料金が十立米当たり七百五十円以上、こういったような条件を満たす、要するにそれ以上は平均を超えて高いのだという判定をいたしまして、そのものにつきまして相当額の特別交付税措置をする、こういうような措置をいたしているわけでございまして、非常に高料金になるというようなところにつきましては、こういう状況で入ってくる。  ただ、先ほど第二課長から御答弁申し上げましたように、不良債務というかっこうになりますと、これよりもうんと値段は安くても不良債務を持っているところがあるとか、いろいろな個々の団体の企業としての事情が出てまいりますので、やはりそこは特別交付税としては客観的な指標をとらえて、平均以上に非常に高いじゃないかと思われるようなところ、非常に経営の苦しいところ、そういう意味でただいまのような基準をとりまして援助をする、こういう措置をとっているわけでございまして、実態に合わせながら、地方財政全体としても問題がございますが、その許す範囲内におきまして強化をしてまいりたいというように思っているところでございます。
  114. 権藤恒夫

    ○権藤委員 もう一度確認する意味でお伺いしておきたいと思いますけれども、一般会計が赤字で特別会計に繰り出すこともできない、そのために特交の対象にならないというようなことになっては困るわけですが、こういうことについてはどうでしょうか。  それからずっとまとめて申し上げていきますから、ひとつ一緒に答えていただきたいと思います。  資本費、給水原価の参考指数が前年度ということになれば、開設した初年度は参考指数がないために、一年目では特交の対象にならないという問題、これをどういうふうにするのか。それから異常に高い給水料金の場合、資本費等一律に三十円以上とすることが果たして妥当なのかどうかということ。それから高料金対策が果たして交付税だけでいいかどうかということ。この点についてひとつ御答弁をいただきます。
  115. 田井順之

    ○田井説明員 一般会計からの繰り出しができないために特交措置がないという問題についてでございますけれども、特別交付税の措置は現実に一般会計から繰り出しをするなり、そういった負担をするという事実を踏まえまして、それに対する財源措置をするという考え方でございますから、一般会計からは、大変苦しい中でありましょうけれどもぜひ繰り入れをしていただきたい。それに対しまして特別交付税の措置は、資本費の一定額を超える部分につきまして、原則的には三分の二まで措置いたしております。それから特に財政力が非常に弱い町村の場合につきましては、さらに五十円を超える部分の資本費につきましては、四分の三まで措置をするというふうにできる限り手厚い措置をすることにいたしておりますので、一般会計として苦しいという事実はございましょうけれども、やはり水道事業の健全な経営のために必要な繰り出しはぜひお願いしたい。それに対して特別交付税でできる限りの措置をしてまいる、こういう考え方をとっている次第でございます。  それから二番目にお尋ねのありました開設早々の水道事業に対して措置がされないではないかということでございます。先ほど話題にございました久留米周辺の市町村の中にそういった該当事業がございます。五十一年度中に開設いたしました場合には、五十一年度の決算の数字が形の上では特交の交付要件を満たさないことになるものが事実ございます。ただ、先ほど局長からも申し上げましたように、繰り出し金に対します特交措置は、客観的な数字をもとにしてルール計算をして措置いたしておりますので、そういった意味ではルールに乗ってこないのはやむを得ないと思いますけれども、先ほど例に引かれましたような問題はそう数多くあるわけではございません。したがいまして、私どもとしましては、実情を十分に聞かしていただきまして、個別的な問題として検討をさせていただくという考え方で臨んでおる次第でございます。  それから資本費三十円なり二十五円なり超える部分について、一律に措置をするのが適当かどうかというお尋ねでございました。特別交付税の考え方としましては、水道事業の費用のうち、いろいろな要素がございますけれども、人件費でございますとか電力あるいは薬品等にかかる経費は、これは一種の経常的な運営経費の系統の問題でございますから、一番問題の多い、将来にわたっての投資として行われた資本費の部分について配慮していくのが一番適切であろう、資本費の部分の負担が重いか軽いかということが、経営が非常に苦しいかどうかということに一番大きなかかわりを持っているのであろうというふうにも考えられますので、この点につきまして、資本費が高いということは、何といいましても苦しいということに変わりはないわけでございますから、高い状況にあるものにつきましては、都市周辺の水道事業でありましょうと農村部の水道事業でありましょうと事情は同一だというふうに考えまして、同じような措置をいたしておるということでございます。
  116. 権藤恒夫

    ○権藤委員 大臣にお伺いしたいのですけれども、とにかく今日の水道財政はもう破綻をしていることは事実であります。特に過疎地になればなるほどその事態というものはきわめて憂慮すべきものがあります。またそのような過疎地の市町村では財政力もきわめて弱いということで、事実上一般会計からの繰り入れも困難過ぎる、こういうふうに思うわけでございます。そこで、市町村、それから県といたしましてもできるだけの努力はしているようでございますが、最終的には国の財政援助によらなければ根本的な解決はできないというのが結論のようになっておるわけであります。非常に厳しい実情というものをひとつ十分に把握していただいて、困難でありましょうけれども、適切な措置がとれるように最善の努力をしてほしい、こういうふうに思うわけでございます。大臣、いかがでございましょうか。
  117. 小川平二

    小川国務大臣 財政局長から答弁申し上げましたとおり、給水費の増高につきましては、原則として料金の形で利用者、受益者に利用の度合いに応じて負担をしていただく、著しく高料金の事業につきましては、逐年特別交付税も増強いたしておりますし、厚生省の補助の制度も強化されて今日に至っておるわけでございます。当面かような方法で対処いたしていくほかないと存じておりますが、個々の事業で非常に特殊な事情を持っておるというようなところにつきましては、事情をとくと承って、あとう限りの配慮をしていきたいと存じます。また著しく高料金の事業が随所に出てくるというような事態になりましたならば、これは水道事業のあり方を総合的に検討する中で解決をすべきことではないか、こう考えております。
  118. 権藤恒夫

    ○権藤委員 次に広域市町村圏の実績について、三全総についてお伺いします。  広域市町村圏の実績はどのようになっておるか、そのことについてお聞きしたい。
  119. 近藤隆之

    ○近藤政府委員 広域市町村圏につきましては、昭和四十四年から三年にわたりまして圏域設定を見ました。したがいまして、早いものでは現在もうすでに八年の実績を持っておるわけでございますが、先生も御承知のように、この計画は基本構想、基本計画、実施計画というふうに三つに分かれておりまして、基本構想というのはその圏域の将来のあり方というようなものを規定しておるわけでございます。そして基本計画というのは二つの部分から成っておりまして、一つは道路のネットワークが中心でございます。それからもう一つは事務の共同処理というのが中心でございます。何を行うか、どういう路線を整備するかというようなことがそこに書かれております。そして最後の実施計画というところで具体的な数字が出てくるわけでございますが、これは毎年度策定するということになっております。一応三年間の見通しはつくっておりますけれども、毎年その年度の財政状況等を勘案いたしまして、ローリングシステムによっておるというような状況でございますので、通常の計画のような達成率という形ではこの計画の進行状況は出てまいりません。ただ実施以来五十一年までの決算を見ますと、約三兆円の金額がこの事業のために投下されておるということになっております。
  120. 権藤恒夫

    ○権藤委員 この広域市町村圏を今日どのように評価していらっしゃいますか。
  121. 近藤隆之

    ○近藤政府委員 広域市町村圏は言うまでもなく、都市を中心として周辺の農山漁村というものが一体となった地域、環境というのができつつあるという状況のもとにこれを育てていこうということで、四十四年に発足を見たものでございますけれども、現状においてもそういった圏域行政の重要性というのは変わっておらないと思います。私ども、今後ともこれまでの実績を踏まえまして、さらにこの政策を伸ばしていきたい、そのように考えております。
  122. 権藤恒夫

    ○権藤委員 そうしますと、この三全総で言うところの定住圏というものとどのようなものになるか。たとえば定住圏は二百、三百の定住圏を構成すると言いますけれども、この広域市町村圏とどのように基本的に違うのか。どうでしょうか、これは。
  123. 近藤隆之

    ○近藤政府委員 三全総におきまして定住構想というのが目玉ということで打ち出されまして、これと広域市町村圏との関連につきまして、地方団体が非常に現在関心を持っておるところでございます。ただ、私どもが考えておりますのは、この定住構想というのはいま初めて出てきた問題ではなくて、すでに三全総の前の新全国総合開発計画、いわゆる新全総でございますが、あのときの開発方式として二つの手段を提言しているわけですが、その一つが、例の大規模プロジェクト、ネットワーク方式でございますが、もう一つ、広域生活圏構想というのを出しております。地域開発の基礎単位といたしまして、市町村の区域を超える圏域というものを想定いたしまして、それを地域開発の基礎単位としようという考え方でございます。  今度の三全総を読みましても、そのいわゆる広域生活圏構想と今度の定住圏構想との関係というものにつきまして、はっきりとは書いてありませんけれども、両方の計画を通じておりますところの流れをずっと見てまいりますと、結局新全総におきます定住圏構想というのをより拡大強化して、地域開発の基礎単位として位置づけようというのが今度の定住構想じゃないかというふうに私ども理解しております。そして、新全総におけるところの定住圏構想というのを受けてと申すと語弊があるかもしれませんけれども、それと同時期に、自治省は同じような考え方のもとで広域市町村圏の施策をつくり、そして一方、建設省の方では、地方生活圏の施策を推進したということでございまして、もちろんこの建設省の施策と自治省の施策との間にはそれぞれ整合性が保たれておるわけでございますが、そういうような過去の経緯から見ましても、私どもは、この広域市町村圏のいまの施策が定住構想と相反するものではないという理解を持っておりますし、国土庁が今度三全総をつくりますに当たりましても十分に緊密な連携をとりまして、こういった広域市町村圏の施策というものを踏まえて、定住構想を推進していくというようなことを随所に書き込んでもらっておるような状況でもございますので、矛盾する点はないと思います。  それからなお、いま定住構想が二百ないし三百の圏域設定というふうになっております。広域市町村圏の場合には、大都市圏を除きまして現在三百二十九の圏域設定が行われております。ちなみに建設省の場合の地方生活圏の場合には、百六十三の圏域設定が引かれております。だから、数だけから申し上げると、建設省の現在進んでおる施策、自治省の現在進んでおる施策のちょうど中間ぐらいの圏域ということになるわけでございますけれども、ただ現実問題といたしまして、地域開発の一つの基礎単位とするということになりますと、その地域の一体性ということがどうしても基本的に必要になってくると思います。そうなってまいりますと、広域市町村圏のいわゆる線引きというのは、御承知のように関係市町村が十分合意の上に立って、都道府県知事が線引きをしたということでございます。そして、その関係市町村で、その地域のいわゆる広域行政機構というのが現にできて動いておるということでございますので、もし定住圏の区域というものを、十分地域住民あるいは市町村の意見を聞いた上で線引きをするということになりますならば、私は、広域市町村圏の区域と違ったものが出るはずはないと思っております。そしてまた行政としても、すでにあるそういった圏域というものを基礎として、新しく定住構想をその中に盛り込んでいく方がベターではないかと思っております。  それからなお、定住構想では流域圏どうこうというようなことも言われておりますけれども、現在の広域市町村圏の区域というのは、昔の郡の区域というものが主になっております。郡の区域を一つ、二つあるいは三つ合わせたものを一つの圏域としておりますが、昔の郡の区域というのは、まさにこれは河川の流域というものを基礎としてできております。それがそうではない場合には、何らかの特殊な事情があってそうなっているので、それなりの合理性はあるわけで、やはり地域の一体性の見地から、私は広域市町村圏の圏域というものを今度の定住圏づくりの基礎に持っていきたい、そのように考えておるわけでございます。
  124. 権藤恒夫

    ○権藤委員 この広域市町村圏と定住圏構想といいますか、これがいずれにしましても地方公共団体の上にどさっとかぶさっていることは間違いないわけなんです。ですから、やはりこの広域市町村圏と定住圏というものを明確にしていきながら、地方公共団体と話し合いをしないと非常に困るという声が高いわけです。ですから、その点は十分にひとつ配慮する必要があると思います。  それから、これは地方自治協会の発表しております「広域市町村圏報告書」、この中で、人口五万ないし十万以上のところは人口の定着効果があった。これは広域市町村圏のことですがね。定住圏構想では、その人口規模というものは大体どういうふうになさろうとしているのか、その点についてちょっとお伺いしたいのです。
  125. 星野進保

    ○星野説明員 御説明申し上げます。  三全総におきましていま行政局長から御答弁がありましたように、一応定住圏というものを想定はしておりますが、それの具体的ないわゆる基準でございましょうか、先生のおっしゃられた人口はどのくらいかとか、そういうようなことについては三全総の中では述べておりません。したがいまして、行政局長がお答えになられましたように、むしろ現在あります広域生活圏というものを活用しまして、その成果を基礎としながら定住圏構想というものを進めていこうというのが基本的な考え方でございます。
  126. 権藤恒夫

    ○権藤委員 それからもう一つお伺いしたいのですが、この定住構想の中で、雇用の拡大をするということですが、この圏域の一つの重要な要素として、工業団地と産業基盤の整備をするというふうに言われております。これは具体的にどういうことをおっしゃっているのでしょうか。
  127. 星野進保

    ○星野説明員 三全総の中で文章で表現しておりますのは、各定住圏には自然環境それから生活環境、生産環境がそれぞれ調和のとれたものでなければならないというような表現がしてございます。その中で生産環境と申しますのは、いわゆる就業の場でございまして、就業の場をどう確保するかということが、定住圏が調和のあるものとするためには非常に重要な要素でございます。  具体的にそれではそれをどうやって進めるのかという話になりますと、通産省等で行っております工業再配置計画だとか、あるいは農工法に基づきます施策だとか、そういうものを活用しながら就業の場を確保していくということが実態的かと考えております。
  128. 権藤恒夫

    ○権藤委員 自治省が発表しました地域総合整備事業でございますが、これは国土庁の三全総を受けて発表したのかどうか、その点についてお伺いします。
  129. 近藤隆之

    ○近藤政府委員 国土庁で三全総がいろいろ練られておる、そういう状況を背景にして考えたことも一方では事実でございますが、一方ではまた、広域市町村圏の施策といたしまして、従来の計画というのが先ほどもちょっと申し上げましたように、市町村の道路網の整備、それから市町村の事務の共同処理ということに重点があったわけでございます。ただ、この広域市町村圏の施策施行以来八年目を迎えまして、私どもいろいろな広域市町村圏について実態調査をしたわけでございますが、やはり広域市町村圏も、それぞれその地域づくりという面に向かってもう一歩踏み出すべき時期じゃないかという機運が非常に強まってきております。地域づくりということになりますと、やはり市町村の事業だけではだめでございまして、やはり中心となりますのが県の事業、国の事業というようなことになるわけで、県もある程度この広域市町村圏の事業計画に参加させるということが必要なんじゃなかろうか、まさにそれが定住圏構想と考え方を一にするところでもないだろうかというようなこともありまして、一定の金額の起債、従来は、今年度もそうでございますが、百六十億円程度のものを広域市町村圏事業ということで地方債計画に組んでおりますけれども、そういったものをもっと拡大いたしまして、県に枠配分いたしまして、その中で広域市町村圏の基幹事業、それは県事業であれば県がお使いになっても結構です。市町村がお使いになっても結構です。あるいは市町村の連合がお使いになっても結構です。一番どこがやるのが効果的かを見きわめた上で県が適当な事業に配分する、そういったものがあった方が、地域づくりというのにはより役に立つんじゃないかというような発想のもとに、明年度の地方債計画でお願いしようということでございます。
  130. 権藤恒夫

    ○権藤委員 いろいろと聞いてまいりましたけれど、広域市町村圏と定住圏と、このように次々と新しい構想が出されてきておりますけれども、行政の現場であります自治体にはかなり混乱があるのじゃないかというふうに心配されるわけです。  たとえば、一つの河川で複数県にまたがってまいりますね、そういう場合、区分けをどうするのか、あるいは総合的な計画はどうするのか、そういうような調整ですね。かなり厳しいのではないかと思うわけでございますが、こういうことについてどういうふうに解決——解決と言えばおかしゅうございますが、どういうふうにして調整を図ろうとなさっておるか、そういう構想がありましたらひとつ聞かせてほしいと思うのです。
  131. 近藤隆之

    ○近藤政府委員 先ほど申し上げましたように、三全総に基づく定住構想というのは一つのビジョンでございます。ちょうど新全総におけるところの広域生活圏というのがビジョンであったと同じような意味において、ビジョンだと思います。広域生活圏のそうしたビジョンを受けまして、自治省としては、広域市町村圏という具体の施策を行っておるわけでございますので、今度国の方で閣議決定を見まして、これからの国の施策としては、三全総を基準として地域開発行政を推進していくということでございますので、その定住構想のビジョンを受けて広域市町村圏を脱皮させていけばいいのじゃないか、そうすれば混乱は起きないのじゃないか。もちろん、その過程におきまして、広域市町村圏の若干の見直し、特に計画について、先ほども申しましたように、市町村の事業というのを中心に現在組まれておりますのを、もっと地域開発的な色彩を持たせるというような見直しは必要でございますけれども、基本的には、それも広域市町村圏の脱皮という形で消化できるのじゃないかというように考えております。
  132. 権藤恒夫

    ○権藤委員 いろいろと聞いてまいりましたけれども、私は、特に強く要望しておきたいのでございますけれども、このような総合計画という名のもとで地方自治体の権限が弱まっていくのではないか、幅が狭くなってくるのではないかというような懸念もあるわけでございますが、そういうことについては十分配慮して、そうしてすべてが地方公共団体にしわ寄せされないような配慮のもとにひとつ施行してほしい、こういうふうに思うわけでございますが、そういうことについての御答弁を願いたいと思います。
  133. 近藤隆之

    ○近藤政府委員 今度の三全総の定住構想ができるかできないか、その大きな決め手というのは、地方団体が私は持っておると思いますし、三全総をずっと通読いたしましても、地域づくりに占める地方団体の役割りの重要さというのが随所に書かれておるわけでございます。したがって、国としてもこの定住構想を実現するためには、たとえば地方団体が自分の思うようにその地域づくりができるように、各般にわたるところの行政権限の移譲、あるいはそれを実現できるための財政措置というのが当然必要なわけでございまして、自治省はもちろんそれについて十分努力するつもりでございますけれども、この定住構想実現のためには、自治省以上に関係各省が努力してもらわなければならないと思っておりますので、国土庁初め関係各省に、そういった趣旨で私ども、今後この構想実現のためにいろいろ折衝してまいりたいと思っております。
  134. 権藤恒夫

    ○権藤委員 以上で終わります。
  135. 地崎宇三郎

    地崎委員長 中井洽君。
  136. 中井洽

    ○中井委員 権藤議員と同じく、私も三全総について、主に自治省、国土庁にお尋ねをしたいと思います。  最初に、自治大臣にお尋ねをいたしますが、過日閣議決定をされました第三次全国総合開発計画について、特にその中の目玉であります定住圏構想等について、自治大臣はどのようにお考えになっているか、率直に御感想を承りたいと思います。
  137. 小川平二

    小川国務大臣 定住圏構想は、人口、産業の地方分散を図って地方自治を振興する、これによって過疎、過密に対処しつつ、人間定住のための総合的な環境をつくっていく、こういう構想であると理解しておりますが、これはかねてから自治省としてきわめて望ましい考え方だ、こう思っておったところと合致いたすわけでございます。  そこで、先ほど来申し上げておりまするように、市町村の区域を越えまする行政実施のための仕組みとして、広域市町村圏というものがすでに存在しておって着々実績を上げているわけでございまするから、この広域市町村圏をさらに充実強化いたしていきまする上の定住圏構想というものは、そのための一つの理念である、このように理解をいたしておるわけでございます。
  138. 中井洽

    ○中井委員 国土庁にお尋ねをいたしますが、先ほどの権藤議員のときの答弁、あるいはいまの自治大臣の答弁に見られますように、今度の三全総の目玉であります定住圏構想というものは、いわゆる広域市町村圏の脱皮あるいは発展したものである、こういう形で第三次総合計画をお出しになったのかどうか、その点についてお答えを願います。
  139. 星野進保

    ○星野説明員 お答え申し上げます。  今度の三全総におきます定住圏という考え方でございますが、先ほど行政局長の方から一つのビションとして出ておると——そのとおりでございまして、若干説明が長くなるかもしれませんが、要するに、現在、三十七万平方キロの国土の上に一億一千三百万人ほどの人間が住んでおりますが、それがさらにこの後人口が増加いたしまして、恐らく一億四千万人ぐらいまでずっと二十一世紀に向かってふえていくだろうということになってまいりますと、その中でどうやって国土とその人間の活動というのがバランスしていかなければならないかということが基本的に重要だと思うのであります。  その場合に考えられますのが、一つは、現在大都市に集中しております諸活動を極力地方に移していくという、いわゆる地方振興とわれわれ申しておりますが、そういう形でのマクロ的な全体の国土利用の方向と、同時に、それぞれの地域に応じました恐らく環境容量みたいなものがありまして、人間の活動を受け入れる容量というものがありまして、それがうまくバランスするような圏域というものを何か考えられないだろうか。それが一つのあくまでも、大臣も理念とおっしゃられましたが、現段階ではまだ理念だと思いますが、一つの定住圏というようなものにいたしまして、その中では、いわゆる自然と人間の活動がうまくバランスする、そういうものを求めたい。  そこで、流域ということが計画の中には出ておりますが、流域圏を尊重しろということを言っておるのは、あくまでも川というのは一つの水の資源でありますと同時に、一種の環境を示す一つの指標でもございますので、そういうものと、従来の広域生活圏とかあるいは交通体系だとか、そういうものとうまく調和されるような形でいく一つの要素として付加して、それで全体として自然と人間の活動がバランスするというようなうまい仕組みができないだろうかということで、定住圏というものを提示したわけでございます。したがいまして、これから実態的に既存の広域生活圏その他を活用しながら、そういうふうに発展されることが期待されておるわけでございます。
  140. 中井洽

    ○中井委員 いまの御答弁にも見られるように、あるいは私自体もこれを、ざっとでありますけれども読ましていただいて、どうも広域市町村圏を脱皮してやればできるとかといったものではなしに、たとえば住民の積極的な参加だとか、地方公共団体の積極的なこれまた参加だというような理念をもとにした新しいものであろうかというふうに受け取っておるわけであります。これについては質問の中でいろいろとお尋ねをしていきたいと思うわけでありますけれども、この定住圏全体を見ましたら、ありとあらゆるところに地方公共団体の参加、住民の直接参加、こういったことがうたわれているわけであります。私らはそういった点に関しては大変賛成でございます。しかし、この定住圏構想そのものを三全総の目玉とするときに、国土庁は地方公共団体の意見をお聞きになったのか、こういった点についてお尋ねをしたいと思います。  特に、去年全国の知事あるいは市町村長にアンケートの調査をなさったようでありますが、そのときに、この定住圏構想というものを目玉とするんだ、定住圏構想というものはこういうものであるという説明をつけて、各地方公共団体の長にアンケートをとられたのかどうか、その点はどうですか。
  141. 星野進保

    ○星野説明員 私ども、地方公共団体と、いま先生指摘になられましたようなアンケート調査というような形でもやりましたし、それから三全総の国土庁試案ができました段階で、各都道府県の知事さん方にも御意見をいただくというような手続を踏んでまいったわけであります。  いま先生が御指摘の、私どもアンケート調査の用紙を配付しましたのは、確かではございませんが、昨年の十二月ごろだったと思いますが、その段階でちゃんと定住圏構想というのをきちんとして出したかといいますと、その前に、五十年の末に三全総概案というのがございまして、その段階では定住構想ということは出ておりました。ただ、そのアンケートの段階では、定住圏という言葉を正確に明記した上で、こういう考え方はいかがかというような聞き方はいたしておりません。しかしながら、定住構想という考え方については概案の段階からございますので、恐らく概括的なと申しますか、全体的な考え方としては、それぞれ各地方公共団体の方々も一応は頭に入れていろいろアンケートに御回答いただいたのではなかろうかというふうに考えております。
  142. 中井洽

    ○中井委員 先ほどの自治省の御答弁と国土庁のお考えになっていることも違うし、私どもの受けとめ方もそれぞれ違うのではないかというふうに考えるわけであります。また地方公共団体の長等に聞きましても、どうもよくわからないままにアンケートに答えたという点もございます。したがって、これから十年間にこの総合計画を進めていくという場合に、その最も中心であります地方公共団体の長、あるいは住民に対するこの構想自体の理解というものをどのようにとっていくつもりか、その点はどうですか。
  143. 星野進保

    ○星野説明員 私どもといたしましては、第一番目には、自治省関係各省とよく連絡調整していくということでございましょうし、第二番目には、直接各地方公共団体の方々にわれわれの意図するところをよく御説明申し上げていくことに努めてまいるということになろうかと思います。
  144. 中井洽

    ○中井委員 それでは、この計画の中身をいろいろとお尋ねをいたします。  六ページの方に、第二次の総合開発計画が意図した目的を達成するに至らなかった、このように書かれているわけでございます。先ほど答弁を聞いておりますと、たとえば広域市町村圏だけを設定するのでも三年もかかったというようなこともありますし、あるいは、後でまた御質問をさせていただきますが、この中心であります定住圏そのものをどう設定して、どういうふうに線引きをしていくかということすら、先ほどの委員会でお尋ねをしましたら、まだ決まっていないということであります。そうしますと、この計画が第二次と同じくまた文章だけになってしまうのじゃないか、そういったおそれを私自身感じているわけであります。特に新聞等で拝見をいたしますと、いわゆる財源、財政等の基礎となります経済成長につきましても、初め国土庁の試案としてお考えになっておったのを、経企庁あるいは通産省等との話し合いで五・七%、後半は四・三%ですか、緩やかになって四・三%、それを五十年の後半は六%の実質成長率である、こういう形で書かれているわけであります。こういったところが違ってきますと、大きく計画自体が変わってくる。また、この文章の中で、「適時計画の点検を行い、その結果によっては計画に所要の修正を加えることにより、計画と現実の乖離について調整を図る必要がある。」と書いてあるわけです。そうしますと、こういう膨大な人知を集めてつくられた第三次総合計画がとにかくいつ変わるかわからぬ。計画と現実とが離れてきたら、現実を計画の方へ進めていく努力をするのが私は本当だと思うのですけれども、逆に計画を手直しするのだ、初めからこんな計画は変えられるのだということのもとに書かれていると思うのでありますが、そういった点についてどう御判断をされますか。
  145. 星野進保

    ○星野説明員 私ども、この計画を策定するに際しまして、方法論的にいろいろ検討してみたわけでありますが、基本的に、いま先生指摘のように、こういうある意味で国土開発というような形でございますから、非常に長期間を要する計画であります。そういたしますと、年々の景気変動だとかそういうものとどういうふうにうまく調和させるのかというところが一番悩んだところでございます。  率直に申し上げまして、私どもできるだけ、現在不確定な経済条件にありますから、そういう不確定な経済条件に余り左右されないような基本的な骨組みというのはどういうところに置いたらいいかということを検討したわけでございます。それが、先ほどちょっと触れさせていただきましたように、要するに人口がどのくらい伸びていくか、それから国土というのは一応範囲が決まっているじゃないか、そうなると、その決まった国土の上でこれからふえてくる人口、それから現在すでに過密、過疎というようなことで問題が生じておる人口の集積というものをどうやっていくかということが基本的に重要であろうということで、全体の骨格を組み立てたわけでございます。しかしながら、先生指摘のように、経済の動向いかんによりまして、たとえば石油の立地、電力の必要量、そういうもの自体も実は経済成長率と不可分ではございません。したがいまして、そういうときに立地問題としてわれわれがこの計画を考える場合に、一体石油基地としてどのくらいのものをつくったらいいかとか、そういうものを検討する前提といたしまして、ある程度の経済成長率というものを想定せざるを得ないわけであります。  そこで、私ども最終的には、現在閣議決定され、実施されております五十年代前期経済計画にあります長期展望の、例の六%程度という成長率を一応私どものそういう立地面上の前提、経済上の前提といたしまして使用したということでございます。したがいまして、さらにつけ加えさせていただきますならば、ある程度経済変動があっても、われわれとしては基本方向にはそう揺るぎがないんじゃないだろうかと考えておりますが、もちろん、その成長率が六%というのが二%あるいはゼロ成長というようなことになれば、当然環境条件は変わってくるわけでありますから、そのときには計画自体についていろいろまた検討すべき点が発生することはもとよりだと思います。
  146. 中井洽

    ○中井委員 それでは次に進みます。  特に、この定住圏構想は水系を中心としたものにしていく、こういう先ほどからのお話でございますが、市町村長あるいは都道府県知事に対するアンケートのときには、定住圏というものを決めずにアンケートしたということでありますが、現在国土庁は、定住圏というものについて具体的にどういう形で——数を大体二百から三百と決めただけで、どの地域はどうするのだということをお考えにはなっていないわけですか。
  147. 星野進保

    ○星野説明員 私どもの作業のベースといたしましては、先ほど行政局長がお答え申し上げましたように、既存の生活圏というものを非常に参考にして、それを基礎とするという基本的態度をとっております。
  148. 中井洽

    ○中井委員 この開発計画の目次等を見ましても、定住圏の内容とか構想とか、そういうことについては書いてあるわけです。三百に及ぶ定住圏をどう線引きしてどうつくるんだということはちっとも書かれていないわけであります。それじゃ、この定住圏を、先ほどから自治省が御答弁なすっているように、すでにある自治省の広域市町村をちょっと広げる、河川の流域をちょっと伸ばすことによって広げてつくり上げていくのか、あるいは定住圏の中身をつくっていく場合に見られるように、地方公共団体の意見によって、ぼくのところは、この地域とこの地域はここと一緒になって定住圏をつくり上げていくんだという形で、国土庁に具体的に意見具申をして、それでもって決定していくのか、どちらでございますか。
  149. 星野進保

    ○星野説明員 先生すでに十分お読みいただいていることだと思いますが、この「定住構想の仕組み」というところが三全総の計画案にありまして、その最後のところに「定住圏の整備方式」というのがございます。その中を読まさせていただきますと「定住圏の整備の方向については、既存の広域生活圏の施策等を基礎とし、新たに流域圏等に配意しつつ、地方公共団体が住民の意向をしんしゃくして定めるものとする。」ということになっております。
  150. 中井洽

    ○中井委員 私もそこのところは読んでおりますけれども、具体的にどうつくっていくのかわからないわけです。たとえば私の郷里で言えば、私の郷里は伊賀というところでありますが、二市二郡あって二つの広域に分かれているわけです。河川的に言えば淀川の水系になるわけであります。したがって、先ほど人口と国土が枠だということで、そこへ水系ということを加えるならば、人口は合わせて十三万ぐらいですから、まあ三十万から五十万の形でいこうと思えば、いわゆる淀川の上流である木津川の下流と一緒にならなければならぬ。そうすると、それは奈良県のわけであります。京都の笠置あるいは奈良県の月ケ瀬なんというところを一緒に含めた形でいくと、大体おっしゃるような定住圏になるのじゃないか、私はこう思うわけであります。私は、住民をよく知っていますから、住民にこれを言えば住民は賛成すると思う。国土庁、そういう形で認めていってくれるのか。あるいは先ほどの権藤先生のお話にあった県境をどうするのかということだってある。しかも、そういうかっこうでいけば、先ほど自治省のお話にあった、これはちょうど江戸時代の藤堂藩なんですよ。明治の郡じゃなくて、もう一つ前の江戸時代の藤堂藩になる。そういった形でお考えになっているのか。そこのところをもう少し具体的におっしゃってもらわなければ、地域住民に三全総というのは理解されないのじゃないか。いろいろ公害の問題あるいはエネルギーの問題、書いてございますが、何と言ってもこの目玉は定住圏だとぼくは思います。私自体は、この地域に若者も定着をするんだ、そしてそこで働く場所を見つけて、歴史的な、文化的なものを残しつつ定着をしていくんだという理念に対してはいいと思うのであります。若者の一人として大賛成であります。しかし、それを実現していくためには、やはり地域の住民の考えあるいは地方公共団体の考えというものが中心になっていかなければならない。しかも十年間の計画なわけでありますから、早くこの定住圏というものをつくり上げていかなければならぬ。先ほどからのお話のように、聞いておれば、何か自治省は広域市町村がある、建設省は生活圏ですか、何かある。そこへ国土庁がまた別の形でなわ張りを張るんだ、こういう形では混乱が起こるばかりで、かえって地方公共団体の邪魔になる、私はそうすら思うわけであります。そういった点からもう一度お答えを願いたいと思います。
  151. 星野進保

    ○星野説明員 いま先生が最後の段で、要するに、広域市町村圏、それから地方生活圏、定住圏というのがそれぞればらばらで、なわ張り争いがあってはかえって混乱するのではないかというお話でございますが、先ほど来御説明申し上げておりますように、私ども定住圏というのを一つの国土庁のなわ張りとか、そういうことで決して設定しておるわけではございませんで、既存の生活圏というものを十分しんしゃくしながら考えておるわけでございますので、そこの先生の御指摘のような御心配のないように、今後さらに研究してまいりたいと思っております。
  152. 中井洽

    ○中井委員 それじゃ質問を変えます。  いつぐらいまでに全国をこういう定住圏で決めていくわけですか、期限的に。
  153. 星野進保

    ○星野説明員 私どもといたしましていつまでということは、すぐこの場では申し上げられませんが、できるだけ早く研究、勉強してまいりたい、こう思っております。
  154. 中井洽

    ○中井委員 私は、この三全総を進める上で、目玉が定住圏で、しかも、その定住圏がいつまでにどういう形で決まるのかということがわからない、ただここの文章に載っているように、あっちと相談し、こっちと相談しというような形でやっておったんでは、計画自体が十年の短期でできるのかどうか、結局ばらばらで、一部のところだけかじられたようなかっこうになってしまうんじゃないかと心配するわけでございます。ぜひとも地域、公共団体の意見を取り入れて早急に決定をされたいわけであります。説明をするとともにお進めをいただきたい、かように考えます。  次に、先ほどから申し上げましたように、定住圏というものを整備していくその整備の方法でありますが、その整備をしていくに当たっては、何度も申し上げますが、住民の参加あるいは地方公共団体が主となってやっていく。「市町村は、広域生活圏の施策等の実績を踏まえて、生活環境の整備と」云々とございます。また、「都道府県は、」云々、が、「国は、」という形で市町村が一番最初に出ているわけであります。この市町村、地方公共団体を中心として定住圏の中身を整備をしていく、これには間違いはございませんか。
  155. 星野進保

    ○星野説明員 そのとおりでございます。
  156. 中井洽

    ○中井委員 それじゃ、そういう定住圏を地方公共団体が中心となって進めていく、このためには、ここに書いてありますように、現実に地方公共団体が財源を持って自由にやれなければ、私は、地方公共団体の意思を尊重し、あるいは住民の参加した中での定住圏構想にならないと思うわけでございます。この本の中には地方行財政の改革あるいは財源の再配分、事務の再配分、こういったことがうたわれているわけであります。こういったことに関して、自治省はどうでございます。早急にお取り組みなさいますか。
  157. 山本悟

    ○山本(悟)政府委員 定住圏構想の具体的な内容というのは、御案内のとおりまだ明らかでないわけでございまして、具体にどの程度の財政負担が要るかというようなことはこれからの問題である、ただいまのところでどうこう申し上げるような時期ではないと思うわけでございますが、しかし、いずれにいたしましても、ただいま御答弁ございましたように、いろいろ仕事をやっていきます実施の、担当するもの、これは地方公共団体が大部分であるということは明らかなわけでございまして、したがいまして、この構想というものの実効を上げてまいりますためには、どういたしましても地方財源の充実ということがぜひ必要になってくる。したがって、この計画の具体化される段階というときに当たりましては、自治省といたしましては地方財源の安定的な確保という面から各自治体首長、関係省庁に対しまして強力にその考え方を推進する必要があると思っております。
  158. 中井洽

    ○中井委員 いまのお答えは、とにかく定住圏構想をつくり上げていく、その中でいろいろ事業計画が出てくる、お金が要る、自治省でたくさん取ってめんどう見ましょう、こういうお答えでございます。そういったことではなしに、ここに書いてあるのは、地方公共団体が主になって計画をしてやっていくのだ、理念としてはこういうことであります。そうした場合、地方公共団体が定住圏を目玉としてこれをつくるのだ、たとえば学園都市にしていくのだということであるならば大学をつくっていかなければならぬ、文化的な都市だということであるならば、まあ美術館をつくったら文化的かどうかわかりませんけれども、美術館が一番先に欲しい、こういう形で計画をする。しかも大幅に国から任された自分たちの財源の中でやれるというような行政、財政の改革をすべきだと私は思うわけであります。また地方財源の自主、しかも強化というものがなかったら、この定住圏構想というものは、先ほどからおっしゃっている広域圏の市町村と同じことで、結局国にお願いしてこれとこれはやらしてもらうというかっこうになってしまう。私は、地域住民の参加もなければ、地方公共団体の自主性なんというものは何にも出てこないと思う。ここにも何ページでしたか、言いわけめいたことが書いてあるわけです。「現行の制度、慣行にとらわれることなく、その再編成と充実、更には新たな制度、慣行の導入を図る必要がある。」「制度改正の方向等の指摘にとどまらざるを得ないが、そのための制度改正は今後の課題として残されている。」この計画策定時点ではいろいろな制度、慣行を変えることができなかった、こう書いてあるわけです。しかも一番最後に「地方財源の確保、安定について適切な措置を講ずること及び選択的投資を可能にするような財政措置などについて検討を進める必要がある。」と書いてあるわけであります。これは「計画の実施」のところであります。結局言わんとするところは、私は、私どもが常日ごろ言うておりますいわゆる交付税を上げるということだけじゃなしに、抜本的に地方行財政の改革、制度というものを変えていかなければ、この定住圏構想というものは理念どおりできないのじゃないか、そういう気がいたします。自治大臣、その点についてどうでございますか。
  159. 小川平二

    小川国務大臣 この定住圏構想というものがあるなしにかかわりませず、ある時期に今日の税、財政制度の抜本的な改正をしなければならない、これはもう当然のことと考えておりますが、今後、市町村が主体性を持って、自主的な判断に基づいて新しい環境づくりをやってもらわなければならないわけでございまするから、そのために必要な行財政上の権限を強化する、あるいは税財源を充実するということに対しまして特別な配慮をしなければならない、これは当然のことだと考えております。
  160. 中井洽

    ○中井委員 重ねて要望をいたしますが、地方公共団体が本当にこういう形で流域の町村あるいは隣の市町村と手を組んで、歴史的、文化的なものを残しながら定着できるような居住地区をつくっていく、このためにこの地域は何と何が要るんだ、私のところは何と何が欲しいんだということを決めるのは、本当は地方公共団体であり住民であると私は考えるわけであります。それはいままでもいまの地方行政の中でもいろいろとやられているわけでありますけれども、予算的、制度的ないろいろな制約の中で、自治省さんが一生懸命おやりをいただいておるのはよくわかるわけでありますができにくいわけであります。そういった点をこの三全総においても強く新しい理念という形で言っているわけであります。それに向かって地方公共団体の財政の改革ということにぜひ取り組んでいただきたいと思う。  先ほど地方公共団体の財政強化の中で、国土庁の出された三全総の案の中には、弱体化しつつある地方財政を整備しなければならない、こうあるわけで、これが決定された中には弱体化ということだけは抜かれておるので、いろいろこの点における議論もあったと思うのであります。ひとつ、この地方財政の改革と、先ほど言いました定住圏をつくり上げていく、このことを急いでもらわなければ、この三全総そのものが骨抜きになってしまうような気が私はいたします。ぜひともそういった意味で御努力をいただきたいと思います。  最後にもう一つお尋ねをいたします。  この定住圏構想の中で若年層の定着ということがあります。特に定住圏をつくって大都市への人口の流出を防ぐとともに過疎というものをなくしていく、こういう構想だと思うわけであります。そのときにもちろん若者が喜んで自分の郷里あるいは地方へ残っていくという体制でなければならないと思うわけであります。この文章を見ますと、あっちこっちに若者が理念を持って定着をするとか、そういう環境づくりをする、このように書いてあるわけであります。そうしますと、この三全総をつくり上げる段階でどう若年層の意見を取り入れたのか、若年層がどういうことであれば郷里へ定着をしていくのか、こういったことをどうやって調べたのか。その点についてはどうでございますか。
  161. 星野進保

    ○星野説明員 私ども、三全総の作業過程でございますが、特に若年層のアンケートの形でデルファイ調査をやりまして、その中で一番大きく出てまいりました意見というものは、やはり進学をする場合に、どうしても大学が現在大都市に集中しておりますので学校の問題、それから次は一般的な生活環境と申しますか、いわゆる文化的な雰囲気を含めた生活環境だと思いますが、そういうものについての御意見、要するに地方定住させる場合には、そういう面について非常に大きな要素があるだろうということがデルファイ調査では出ておりました。まあ、限られた範囲でのデルファイ調査でございますので、それが全部をあらわすかどうかというのは私ども十分検討しなければいかぬと思いますが、そういうことを受けまして一応人口統計などを見てまいりますと、これも先生御存じだと思いますが、四十五年から五十年にかけまして人口は結果としましては非常に地方に定着したわけでございます。しかしながら、二十歳前後のいわゆる若年層と言われるところが一番流動的でございまして、ここが社会流動としては大都市へ流れ込むという形で、依然として大都市への社会流入になっておるということで、三全総におきましても先生指摘のとおり、特に若年層につきまして一つの視点を置きまして、それの対策といたしまして文化、教育、医療の地方分散というようなことを政策課題として掲げておるわけでございます。
  162. 中井洽

    ○中井委員 四十五年から五十年まで大分若年層が定着する、あるいはUターン現象がございます。このごろはJターン現象などという言葉もあるようでございます。私はそれは不景気だからだと思うのであります。大都会で大学卒業の人の就職がない、郷里に帰ったらあるだろうという形で寄ってくるだけだ。したがって景気回復、まあこの経済成長の中ではなかなかあれでございますが、そういった点を考えると、特に雇用ということを各地域で考えていかなければならぬ。この三全総の中にも盛られているようであります。しかし地方に、たとえば二十万、三十万ぐらいの定住圏のところへいろいろな工場をいまのような形で配置したところで、そういった工場が高学歴化する若年層、いわゆる大学を卒業した人たちを採らない。たとえば私らの田舎なんかで大学卒業者を採る企業なんてないですよ。そういった点をどう対処されるわけですか。
  163. 星野進保

    ○星野説明員 御指摘のとおり、就業問題がこれからの経済成長と非常にかかわり合いが深いわけでございまして、私どもその点についてもいろいろ検討したわけでございますが、従来のように重化学工業だとか機械工業、そういう形での太平洋ベルト地域の急速な発展というのは恐らく今後なくなるだろう。それで、それにかわって一体どういう産業構成というものが起こり得るのだろうかということでいろいろ識者の意見等も聞いてみたわけでございますが、やはり従来の地場産業であるとか、それから一部のサービス産業だとか、そういう形で就業機会というのはこれから期待せざるを得なくなってくるのではないだろうかということでございます。そのときに、先生指摘の高学歴者が一体うまくジャストミートするかどうかという問題があるわけでありますが、ここ二、三年の景気の状況の中で特に就業率が低いわけでありますが、ある程度安定軌道に乗ったような段階になりますと、それは恐らく新しい形での就業の場、従来のような重化学工業とかそういうところへの偏重型の就職から、だんだんと地場産業あるいはソシアルサービスと申しますか、そういったような新しい産業の方へ人材は動いていくのではないだろうかというような展望は持っております。
  164. 中井洽

    ○中井委員 展望を持たれても、現実に就職ということに関して、本当に大学卒業の方が地方で就職する機会というのは私はめったにないと思う。たとえば、大学卒業の資格がなければお採りをいたしましょう、そういう形での企業が多いわけであります。したがって、必然的に地方へ定着しようとする大学卒業者は地方公共団体あるいは国の出先機関、そういったところへしか行く機会がなくなるわけであります。ある意味ではそういった優秀な人材、大学卒だから優秀だとは申し上げませんが、優秀な人材が地方公共団体へどんどん就職をする、そのことによって地方公共団体の職員の質が高まれば——まあ自治省は常に地方公共団体というものを不信感を持って見られておるようでありますが、高まって、こういう定住圏を自分たちでつくり上げていこうということには逆に非常にいいと思うのでありますが、しかしそこでそういった人たちを迎え入れるあるいは大学卒業者が帰ってくる、優秀な人たちを採りたいということで地方公共団体がわりかし月給を上げて採用する、こうなると、自治省からラスパイレスのことでおしかりを受けるというような状態になってくるわけでございます。私は、こういう定住圏構想そのものが続いて、若者を本当に定着さすならば、先ほども申し上げたように、地方公共団体に自主的な財源というものをかなり大幅に譲って、その中で人件費も、国の制約の中じゃなしに、自分たちの判断で優秀な人材については高い月給を出しても採るのだ、そしてその優秀な人たちの力によってこの定住圏構想を進めるのだ、こういったことでなければならないと思うのであります。そういった点について、大臣、どうでございます。
  165. 小川平二

    小川国務大臣 国土庁、自治省の方針につきましていろいろごもっともな御懸念の表明もあったと存じまするし、適切な御注意もいただいたと思いますので、しかと念頭に置きまして所期の成果が上がりますように一生懸命努力をするつもりでございます。
  166. 中井洽

    ○中井委員 まだ少し時間があるようでございますので、聞き漏らした点、幾つかお尋ねをしたいと思います。特に先ほども話に出ましたこの定住圏と広域との関連でございます。  これから各市町村が定住圏構想の中でいろいろなことをしたい、これをしたいという形で出してくる、それと広域のいまいろいろやりかかっている要望等との関係をどうされるのか。あるいはたとえばこの定住圏構想というのは、根本的には水系に沿ってつくり上げるということである。そうしますと、道路等が水系に沿って整備をされているところはいいけれども、たとえば東海道線とか一号線、私の田舎でも国道一号線とか二十三号線などが走っております。あるいはまた鉄道網も、逆に言えば大きな河川をまたぐような形で走っておる。そうすると水系に沿って道路をつくっていくというようなことであれば、逆に大きく考えを変えていかなければいかぬわけであります。こういったところの調整を局長はどのようにされていくつもりですか。
  167. 近藤隆之

    ○近藤政府委員 先ほどもお答え申し上げましたように、私どもといたしましては広域市町村圏の区域を原則として守ればいいんじゃないか、あえてそれを無視して、白地に線引きをするというような形で定住圏というものをつくる必要はないんじゃないかという感じを持っておるわけでございます。  先ほども申しましたように、定住圏構想というものがそもそもが地域開発の基礎単位ということでございますから、圏域内の市町村、地域住民、そういったものの合意の上で圏域設定が行われなければならない。そういうことでございますと、現在の広域市町村圏というのは手続上もまさにそういう手続を踏んでできているわけです。それに加えまして広域行政機構、これが地方自治法上の一部事務組合あるいは協議会といったような形式をとっておりますけれども、そういった行政機構ができまして、圏域内の行政についてはそこで相談するという慣習がすでにでき上がっておりますので、一応原則としてはそういったものを尊重するのが筋じゃなかろうかと思います。  ただ、広域市町村圏の線引きをいたしまして以来八年の歳月がたっておりますので、その間の事情の変化によって、変えたいというところがあれば、それが住民の意向であり市町村の意向であるならば、その意向に沿って一部事務組合等も手直しすればいいわけでございます。そういった手直しというのは若干あるかと思いますけれども、基本的にはいまの広域市町村圏の区域で変える必要はない。  それから流域圏といいましても、これも先ほど申しましたように、大体広域市町村圏というのが昔の郡の区域によっておりますもので、水系によっておるわけです。水系によらないところ、これは太平洋のベルト地帯が多いかと思いますが、そういったところは水よりもいろいろな陸の道路の整備とかいったようなことで生活圏域が変わっているのですね。そういったものを基礎としてそれぞれの町村が圏域を設定したわけですから、私は、それはそれなりに意義があると思います。したがって、現在置かれておる圏域をこれもまた尊重すればいいんじゃないかと思います。  それから、先ほど先生のおっしゃった広域市町村圏の区域というのは、ある程度狭い区域でできているところもあるものですから、河川の流域の上流の部分で一つの圏域、下流の部分で一つの圏域というのがあります。そういうのはもちろん一緒になって一つの大圏域をつくることも可能ですけれども、やはりその地域地域の住民感情等もいろいろありまして、とりあえずはこの圏域でもって一緒に仕事をやっていこう、地域づくりをやっていこうというところでまとまっているわけなんです。広域市町村圏で一つの流域で二つに分かれているようなところは、上流と下流とでやはりいろいろな仕事について相談しなければいけないこともありますので、そういった場合には、上流の広域市町村圏と下流の広域市町村圏とがいろいろな形で相談し合いながらそれぞれの計画をつくるということもやっておりますし、そういうやり方もまたあるんじゃないかと思います。  それからまた、広域市町村圏の中で、たとえば盛岡などがいい例だと思いますけれども、これは非常に広い区域で一つの広域市町村圏をつくっているわけですね。そうなってきますと、やはりきめ細かい地域づくりというのには大き過ぎるというので、その圏域内をまた三つ四つに分けてそれぞれの地域、サブ圏域と言っていますけれども、そこで事業を共同にしたりしている、より大きなものは盛岡圏域でやるというような形があります。これもその地域の住民の方々がそういうやり方で地域づくりをやっていきたいと言うならそういう方法でもいいじゃないか。地域づくりというものは、地域住民あるいは関係市町村の意思を最も尊重すべきであるという基本線に立つならば、定住圏といいましても、これを本当に実効あらしめるためには、国の方でこうしろと言って押しつけるべき性質のものじゃないと思いますし、国土庁の方でもまさにそうおっしゃっているわけでございまして、したがって基本的には、すでに八年の経験を経ている広域市町村圏の区域というのが一応の基礎圏域として妥当するんじゃなかろうかと思います。  それから、定住圏構想が推進していかれますと、関係各省でこの構想に基づいていろいろな施策を行ってくると思いますが、それは国土庁のつくった定住圏だからやるというんじゃなくて、やはりそういった一体的な圏域についてその施策の受け皿があればいいわけで、その受け皿としては、現在の広域市町村圏の圏域というのが機能するんじゃないかというふうに私は考えておるわけでございます。
  168. 中井洽

    ○中井委員 そうしますと、私のどうも理解の仕方が悪いんですかね。御答弁になった自治省としては、定住圏の理念だけはいただきましょう。わざわざ定住圏なんということを言うてもらわぬでも、もう全国広域市町村圏があってその中でやっておる。広域市町村圏の中で、住民が希望するならそういうふうに、まあところによってはちょっと分けてもええな、こんなことですか。
  169. 近藤隆之

    ○近藤政府委員 広域市町村圏の場合と定住圏の場合に、一つ基本的な理念の違いがございます。  と申しますのは、先ほど来国土庁の方で申しておりますように、定住圏というのは国家的見地から見て、人口の全土におけるところの適正配置というのが一つの大きな柱になっているわけでございまして、東京圏及び大阪圏につきましては閉鎖人口以上にふやさない。今後ふえるべき社会増というものは地方にそれぞれ定住させるという理念があるわけですね。そうすると、その地方で定住できる。この場合には若い者が定住できるような環境づくりということですから、幾ら空気がよくてあるいは環境施設がよくなったって、それだけでは人間は住めませんので、やはりそこに職業を与えれば、あるいは教育を与えれば、先ほど先生もおっしゃいましたところの大学の分散であるとか、工場の分散であるとかということが必要ですし、また現在の公共投資というのが、御承知のように大都市対地方六対四の割合でずっとここ三十年ばかり来ているわけですね。そういった公共投資の投資自体も、定住圏構想ということを前提にして考え直さなきゃいかぬ。この三全総の中にも、そういったところはちょこちょこいろいろな個所で触れておりますけれども、そういったいわゆる国の施策として定住圏づくりというのが当然必要になってくるわけで、その受け皿として広域市町村圏を使おう、広域市町村圏の場合には、先ほど申しましたように、まずその地域の住民が快適な生活ができるというようなことで、道路のネットワークとそれから共同事務処理というのが二つの柱であって、むしろそれが中心になって、そのほか地域づくりというようなことは、何といいますか、スローガンではありましたけれども、現実の仕事はその二つに限られておったわけです。しかし、せっかくの広域市町村圏でございまして、私どもここ三年ばかり関係十一圏域につきましていろいろ意見調査をやりましたけれども、この圏域をそういった単なる市町村道づくり、あるいは事務の共同処理、そういったことだけでなくて、もっと本当の地域づくりに発展させるべきじゃないかという意向が、地方団体の場合も非常に強うございました。たまたま、今度の国土庁の言っておりますところの定住構想というのとそれはマッチするわけでございますので、国のそういった定住構想の各般の施策と相まって地域づくりを行うというふうに、広域市町村圏を脱皮さしていったらいいんじゃないかというふうに考えているわけです。そのためには、先ほども申しましたように、現在の計画そのものについてはメスを入れなければいけないというふうに考えております。
  170. 中井洽

    ○中井委員 それでは、いまある広域市町村というものは、おっしゃるように道路とそれから事務、共同事務ということである、それを拡大する、あるいはこの定住圏の理念というものをそこへ持ち込めば、自治省としては、この国の施策である定住圏構想を、いわゆる広域市町村という形の中で十分やっていける、こういうことでございますか。
  171. 近藤隆之

    ○近藤政府委員 受け皿としては、一つの線引きができており、広域行政機構ができており、ある程度その地域住民の一体感というのがあるから、受け皿としましてはこれ以上適切なものはないという感じでございます。  そこでしたがって、今度の定住構想に基づきまして、国を挙げて関係各省その方向に沿っていろいろな施策が打ち出されてくる。それをいまの広域市町村圏の広域行政機構なり圏域で受けとめられるのじゃないかというふうに考えております。
  172. 中井洽

    ○中井委員 そうしますと、いまの自治省の考えで国土庁はいいわけでございますか。私らからしたら大半は、内容は公害の問題、エネルギーの問題、いろいろございます。あるいは食糧の問題等ございますけれども、やはり中心は地方公共団体であり、地方公共団体がどう定住圏をつくっていくかということだと思う。その定住圏づくりにおいて、わざわざ定住圏という言葉を使わなくても、自治省としては広域市町村で十分受け皿としてやっていけるのだ、こうおっしゃると、目玉として水系による定住圏構想だ、こういう形で打ち出したのが、何とも目玉にも何にもならぬのじゃないかというようなかっこうになりますし、定住圏なんという言葉すら削っちゃっても私は構わないと思うのです。その点どうです。
  173. 星野進保

    ○星野説明員 いま行政局長がお答え申し上げましたように、いわゆる線引きされた受け皿と申しますか、できているものとしてはまさに広域市町村圏というものが現在、現存しているわけでございますね。それに対しまして、さらに行政局長がおっしゃられたのは、たとえば工業団地の問題一つとってもいいと思いますが、従来の工業団地の張りつけ方とかなんとかいうものについて、一つの考え方としての広域市町村圏なり、定住圏という一つの受け皿がありますと、そういうものをむしろ育てるようなかっこうでそれぞれの工業団地あるいは文化、教育施設などがそこへ集まってくると申しますか、一体的に運用されていくところに非常に重要性があるのだろうと思うのです。  それから、治山治水の問題も同じだと思うのです。治山治水の問題の場合には、確かに流域が長い場合には県境を越えちゃうという問題があって、現実にある行政区域とかなり違いますが、その限りでは、むしろ現実の行政区画同士でのいろいろな調整だとか相談というのは重要になってくるでしょうが、そのときに理念としての定住圏というのが頭の中にあるということが、全く違う事実だろうと思うのです。そういう一つの理想的な形で言えば、あらゆる国の施策、これも先生先ほどからの御議論で言えば、補助金行政の問題になっていってしまうのかもしれませんが、要するにあらゆる施策がそういう定住圏というものの圏域を尊重しながら、そこへ総合的に調整されながら行くということに非常に重要な意義があるのじゃないかと私は思っております。
  174. 中井洽

    ○中井委員 おぼろげにはわかるのでありますが、どうも定住圏あるいは生活圏あるいは広域市町村、そういったところの概念、あるいは調整、違いといったものが、私は国民にもいまのままじゃなかなか明確にわからないと思います。また地方公共団体にとりましても、一層行政が複雑になる。自分たちの仕事を進める場合に、さらにこれは国土庁へも、逆に言えばお願いをしにいかなければならないという形になって、複雑な形が出てくるのではないか。私は先ほどから申し上げましたように、定住圏構想あるいはその中に盛られている理念ということについては大いに賛成であります。ぜひお進めをいただきたいと思うのであります。  私は、私事で恐縮なんですけれども、二十二歳のときに田舎へ帰りました。帰ると言いましたら、やはり友だちは三分の二以上は、おまえそんなあほうなことやめておけと言います。いまになってみると、おまえは田舎におっていいな、こういうふうに全体の空気も変わってきたわけであります。まあ田舎は田舎なりに、地方は地方でまだまだ不便なところがありますけれども、必死の努力をしているわけであります。そういった意味では、私はこの理念というのは非常にいいと思う。ぜひ進めていただきたいわけでありますが、それが先ほどから申しますように、各省の何かなわ張りみたいになって、それぞれが圏をつくっておれの分担だ、おれの分担だという形で計画全体がおくれないように、地方公共団体にとっては地方がよりよくなるための大いなる助けであるために運用をしていただきたい、こういった点を御要望申し上げまして、質問を終わります。
  175. 地崎宇三郎

    地崎委員長 三谷秀治君。
  176. 三谷秀治

    ○三谷委員 私は、大分県の南部の市町村で発生しております異常な事態について、総理府、自治省警察庁の見解をお聞きしたいと思います。  最初に、総理府にお尋ねしたいのは、同和対策事業特別措置法に言う「対象地域」とはいかなる概念のものか、これをまずお聞きしたい。
  177. 黒川弘

    ○黒川政府委員 同和対策事業特別措置法に申します「対象地域」でございますが、これは同和対策事業特別措置法第一条に規定されている地域を申すものでございまして、ある特定の地域がこの法律でいいます「対象地域」になるかどうかということにつきましては、その地域が、法律の中でこういう言い方をしておるわけでございますが、「歴史的社会的理由により生活環境等の安定向上が阻害されている地域」あるいは周辺の、社会通念として認識されているかどうかによって判断されるべきであるというふうに考えております。
  178. 三谷秀治

    ○三谷委員 歴史的というのは、徳川幕府がつくりました身分制度以後の一定の経過という意味でしょうか。それから社会的というのは、これはその身分制度のもとにおける特殊な劣悪な状態という意味のことなんでしょうか、この点をもう一度お尋ねしたい。
  179. 黒川弘

    ○黒川政府委員 同和地区の発生につきましては、学問上いろいろな意見があるというように聞いております。おっしゃるように徳川幕府の一つの統治政策に基づいて発生したという意見ももちろんあるわけでございますが、そういった要因をもとにいたしまして、その後の歴史的経過を踏まえ現在、現在といいますか、法律にうたっておりますような生活環境等がなおこの時代におきましても劣悪である。その「安定向上が阻害されている」というように把握される地域を目して「対象地域」だというふうに考えるべきだというふうに考えております。
  180. 三谷秀治

    ○三谷委員 その「歴史的社会的理由」によりまして生活環境が著しく劣悪な地域を対象として、その地域と地域住民の「社会的経済的地位の向上を不当にはばむ諸要因を解消すること」、いわゆる実態的な差別をなくする、これがこの目的とされておりますが、これは間違いありませんでしょうか。
  181. 黒川弘

    ○黒川政府委員 目的につきましては仰せのとおりだというように考えております。
  182. 三谷秀治

    ○三谷委員 そこで、大分県の南部地域、いま事態が発生しております犬飼町、野津町、臼杵市、蒲江町、津久見市、佐伯市、弥生町、佐賀関町、緒方町、竹田市、竹田市は別としまして、その他の市町村は対象となる未解放部落が存在しておりますか、どうでしょうか。
  183. 黒川弘

    ○黒川政府委員 いま名前を挙げられました地域、市町村につきまして、「対象地域」があるかどうかということにつきましては、いま該当の市町村当局において調査中というふうに聞いておりますが……。
  184. 三谷秀治

    ○三谷委員 いま調査中であるかないかは別としまして、六四年でありますか、総理府で調査をされましたし、それ以後同特法施行後、四百部落ほどが新しく「対象地域」としてふえておるという事態がありますが、いまの時点で総理府としては、ここに未解放部落の存在を認めていらっしゃいますか、どうですか。
  185. 黒川弘

    ○黒川政府委員 現在把握しております調査の中では、いま挙げられました地域について「対象地域」があるという報告は受けておりません。
  186. 三谷秀治

    ○三谷委員 あるということでなければ、ないということなんですね。要するに歴史的社会的な差別が存在をする、劣悪な条件が存在するわけでありますから、これは客観的に認識のできる状態なんです。いまの状態は、その客観的認識はできないから、ないとなっている。そこで、五十年、六十年この町で生活しておる人が、だれ一人未解放部落があることを知らない。そんなものはありませんと言っている。そのことは歴史的あるいは社会的な理由によります生活環境の劣悪な状況、そういう地域はないという、これを客観的に示している。そこで総理府の方でも、いまのところないという御見解でありますが、この地域に新しく転入した人物がある。解放同盟の支部長という名のりを上げまして、そうしていきなり市町村に団体交渉を要求する、もちろんその市町村には未解放部落はありませんから、団体交渉するといったって、村の人は参加しない。よそから日当で動員してくる。そうしてこれが市町村長を取り囲んで罵声を浴びせる、あるいは怒号を加える。はなはだしきに至ってはバケツでなぐるあるいはける、あるいは突き飛ばす、そういう行為をして市町村長に金品の要求をするという事態が続発しております。この事態は御承知でしょうか。先般佐伯市の市会議員が各党派から代表を派遣して、一陣が三名、二陣が六名、おたくの方にもたしかこの事情について訴えていっているはずです。
  187. 黒川弘

    ○黒川政府委員 そういう状況はあったという話を聞いておりますが、その内容につきましては調査いたしたいと思っております。
  188. 三谷秀治

    ○三谷委員 調査いたしたいというのは、いつやるのですか。それでいまそういうことを訴えてきた、これは町長も来ておれば市会議員も来ている。しかもそれは各党派から来ている。そういう事態に対して、あなた方は話は聞いているという程度で聞き流していらっしゃる、そういうことなんですか。
  189. 黒川弘

    ○黒川政府委員 聞き流しているということではございませんで、ただいま調査中でございます。
  190. 三谷秀治

    ○三谷委員 どういう手段で調査されていますか。県に照会しているわけですか。
  191. 黒川弘

    ○黒川政府委員 県の担当者を呼びまして事情を聞きたいというふうに思っておりますが、これから着手いたしたいと思っております。
  192. 三谷秀治

    ○三谷委員 県を呼びましても、実態がつかめない。県の指導が非常によくないということなんです。県が指導しておりますのは、むしろ市町村長などがこの問題で困ってしまっている。相談に来ますと、県が言いますのは、要求をのまなければならないでしょう、こう言っている。しかも、そういういまおっしゃった、歴史的社会的な差別の存在する部落の有無にかかわらず、一人でも解同が認める未解放部落の住民がおればあるいは入ってくれば、そこは対象になるのだ、こういう指導をしている。これは県の指導でありますが、この指導は同特法の規定とは全く違っている。この点はどうですか。これはもちろんお調べになる必要がありますが、もしも県がそういう態度をとっておるとすれば、それは正しいことなんでしょうか。
  193. 黒川弘

    ○黒川政府委員 仮に、いわゆる対象地域がない地域に、いまお話しのように、他から転入してきた方がありまして、対象地域であるということを主張するというふうなお話であるといたしますれば、それは同和対策事業特別措置法の趣旨に照らしまして、対象地域とはなり得ないものであるというふうに考えております。
  194. 三谷秀治

    ○三谷委員 おっしゃるとおりでありますが、県は移住者であれ混住者であれ、部落出身者が一人でもおればそれは同和事業を実施しなければならない、こういう指導をしている。そこで市町村長が困ってしまった。ですから、幾つかの事例を一つ一つ確認をしましても恐らくまだ明確なお答えができませんでしょうが、私どもで調べました事態につきまして若干申し上げますと、犬飼町というのがある。ここには七月初めに解同の支部と称する者から、四十人で交渉に行くから弁当四十人分を用意せよという通告が来た。町長びっくりしてしまった。自分の村にはそういう部落はないはずだが、これは一体どういうことであろうかというので県に相談すると、そういう指導をしている。そうして四十人分の弁当を準備して恐る恐るお待ちしておったところが、五十人いらっしゃった。そこで、弁当十人分追加をして提供する。そして慣れない集団交渉でありますから、五十人の人がきに囲まれまして怒声や罵声を浴びせられます。そして三十項目の要求が出されましたがとうとうこれを承認してしまった。もうまいっちゃったんだ。これは確かにまいるのですよ、私ども経験がありますけれども……。  そのうち団体補助金が千五百万でありますが、町長もにわかに町の予算を右から左に出すわけにはいきませんから、町長の個人責任で二百五十万円を渡した。助役が百五十万円を取り寄せて渡した。しかし、部落のない町でありますから、同和対策事業の対象住民のいない町で三十数項目の要求、合わせてみますと、大体町の計算では九億数千万になりますが、そういうものをどうして出すのか。年間の予算額が八億ほどにすぎませんが、この要求を全部やりますならば九億以上の金がかかる。そういうものがどうしてできるかというので議会がこれを反対した。そうして九月二十日に町議会はこの同和予算を全部否決をしてしまった。それに先立ちまして、町長は大体そういう雰囲気がわかりましたから、助役とこぞって連袂辞職をする、こういう事態が起きてきた、これが犬飼町。  それから野津町というのがありますが、この野津町は七月初めに犬飼町と同じように三十数項の要求、この要求は全部一緒です。内容は。公営住宅を建てろとか、あるいは事務所をつくれとか、あるいはいろんな個人給付の制度をせいとか、こういうのを並べますと時間がたつから省略しますけれども同じものであります。これが提案されてきた。ここで町長もびっくりしたのです。交渉の前に警察に連絡して、もしも暴力をふるった場合には出動してもらいたい、そういう約束をして連絡係を決めたんです。ところが交渉では多数に包囲されてしまって威嚇されて連絡係が外に出られない。そこで外から険悪な様子を見ておりました職員が連絡したところが、決めた通報者ではないからと言って警察が出てこない。これは羽曳野でもあったのです。実は私は経験している。こうして集団的な脅迫の中で団体補助金の五百万円を渡した。そうして九月二十八日同和予算を提案しましたが、これも議会が否決してしまった。未解放部落はないわけでありますから、なぜそういうべらぼうな予算が必要なのかというのが議会側の意見であって、否決してしまった。  それから臼杵市でありますが、これも七月七日に要求を出したのです。津久見市から移ってきました森何がしというのが支部長であると言って、そして交渉を要求する。五十名で市長を包囲する、そして三千万円の団体補助金、支部補助金を出せ。市長は、頭の一つや二つはなぐられる覚悟で交渉に臨んだと自分で言っておりますが、しかし、頭の一つや二つではなしに、とにかく抵抗できなかった。そういう状態の中でこの補助金を出す約束をした。これも九月に入りまして議会は、妥当性がない、そういう理由でこれを全部否決をするという事態になってくる。  それから蒲江町でありますが、ここも七月二十八日に、ここでは町会議員をしております奥田という人物が支部長を名のって町外の者五十名を連れて押しかけて交渉した。例によって団体補助金を二千万円出せ。これもとうとう集団的な圧力でのまされてしまった。二十九日に五百万円を渡しております。そしてこの奥田という人物は、自分は未解放部落の出身ではないとみずから言明しておる。養豚業をやっておる。こういう人物が支部長と称して、しかも支部員もおりゃせぬ。未解放部落がないわけですから、おりゃせぬ。ところがそういう同和に名をかりた脅迫を行って五百万円を手に入れている。  それから津久見市におきましては、八月一日に臼杵市から移ってきました平川という人物がおりますが、これが転入をしてきまして、そして支部長を名のって団体補助三千万円など、これもまた三十三項目の要求をやっている。そしてこれは八月九日に七、八十人が押しかけまして怒号、罵声、異常な雰囲気の中でほぼ全要求をのまされた。  それから佐伯市でありますが、これも八月一日に臼杵市出身の浦辺何がしという人物が転入してきたのです。そしてこれは支部長だと名のっている。そして三十三項目を要求してきた。八月五日になりますと七十人で交渉する。これも同じ手口です。そして四千万円の団体補助金などを含む全項目、ほとんどの項目をのまされて、そして、うち一千万円を受領しておる。もちろんこれも村の中にはそういう構成員はおりません。ですから支部長と名のっているだけであって、ただそういうことを名のって金を受け取るという事態になってきた。ここでは九月五日に、こういう事態ではたまらぬというので連合区長会が持たれまして、同和予算の全面否決、それからこの三十三項目の契約の白紙撤回を求める決議を区長会がやった。そして九月二十日に三千人の市民が一カ所に集まって大会を持って、有史以来と地元の新聞は報道しておりますが、こういう無法なことは自分たちは反対であるという決議をする、そして同日、市議会も同和予算を全面否決をする、こういう事態になってきた。ここでは一千万円の補助金の使途が不明とされまして、地方紙がこれを取り上げて問題にしておるのであります。  それから弥生町でありますが、これは八月十九日に、ここも臼杵市出身の浦辺何がしというのが転入をしてきて、そしてすぐさま要求書を出すという通告をした。転入しましたところは、四畳半二間と六畳一間の四人家族が住んでおります市営住宅でありますから実際上転入できるわけがない。架空の転入をしてきた。そして要求書を出す。そして八月二十日にこの浦辺が支部長を名のりまして、三十数項目の要求書を提出して、二十七日には交渉をやるので七十人分の弁当を用意せよ、こういう通告をしてきた。びっくりした町の当局は、これは大変だというので二十二日に早速同和問題を抱えております市町村に調査団を派遣していろいろ様子を聞いた。県にも行った。県の指導はさっき言ったとおりです。それはのまなくちゃならぬでしょうという指導なんです。そこで町内の団体の幹部にこの経過を報告する報告会を開いた。そうして住民が憤激しまして、なぜそういうべらぼうな金を出さなければならぬのか、まるでおどし取られるようなものじゃないか、それは認められないといって、地方自治を守る会というのを結成した。そして二十五日に地区別集会を開きました。各地区で集会を開きましたが、これには千五百人の住民が参加した。異常な関心を持っているのです。そして、もしも二十七日に集団交渉をやるのであれば、各戸から一人以上は必ず出て行ってその団交を監視しよう、こういう決定をしたわけです。そこで、二十六日に浦辺何がしの方から、交渉は延期をすると言って通告してきた。ここでいまとまっておるのであります。  佐賀関町は、八月の二日に城何がしという人物が、これも臼杵市から転入してきておる。そして支部長を名のりまして、三十数項目の要求を出す。八月の十一日に百三十人が押し寄せてきて集団交渉をやる。町長が困難な町の財政事情を話しておるうちに、何をばかなことを言うかというので、大声を上げて威嚇しておった連中が、一斉に町長を取り囲んで町長の机をひっくり返す、バケツで水をかける、ネクタイを絞めて引き倒す、踏む、けるの暴行を加えた。そのために古田町長は頭部打撲、胸部打撲のため、軟骨にひびが入るけがのため、三週間の入院をしておるのであります。同席した企画課長が、このままでは町長が殺されるというので、助けを求めるために外に出ようとしたら、きさま何するかと言って突き飛ばされて、この人は治療一週間の負傷をしておる。今度はおれが殺されるのではないかと思った、こう述懐をされておる。こういう状態でありましたが、八月の二十日に町長が、どうにもこれは仕方がない、こういう蛮行をふるっても警察が手をつけない、県に相談に行っても、これはどうも出すより仕方がないとおっしゃる。そこで五百万円を出した、城に渡した。ぼろい商売です。これは。そして九月の五日に町議会では、部落のない町で、実体のよくわからない団体に公費の支出をするのは正常ではないというので、同和関係予算が否決される。そこで、七日に町長は約束を白紙に戻して辞職をする、こういう事態が起きてきた。これはずっと並べますと長くなりますから、この程度にしておきますが、この事態を見て一体どうお考えになりますか。
  195. 黒川弘

    ○黒川政府委員 暴力がふるわれたというようなことであれば、もちろんそれは否定されるべきであるということは申し上げるまでもないところでございますが、この点につきましてはただいま調査中なので、その点を調査によって明らかにいたしたいというように思います。  それから、先生指摘のように、問題が県の指導の態度にあるということであるといたしますれば、その点につきましても県からよく事情を聴取いたしまして調査いたし、かつ、今後の指導のあり方について検討し、必要があれば指導いたしたい、かように考えております。
  196. 三谷秀治

    ○三谷委員 あなたの方は決算委員会がありますから、五時十五分前から五時までという約束をしておりますから、どうぞまたお越しになってください。  そこで、いま申しましたような事態は、単に当事者の議員や理事者が訴えているだけではありません。地元紙がこれを詳細に報道しておるのであります。共産党の新聞と違いますよ、これは。これは、つながっておるのを保存の必要上切っておりますけれども、連日のように詳細に報道しておるのであります。そこで、この地元紙が報道するのを見ますと、転入をして支部長となる。この支部長になるというのがおかしいでしょう。こういう自主的な、民主的な組織というものは、まず該当者が集まって、そこで役員を選んで、そして全体の意思で組織をつくり上げていくというのがあたりまえでありますが、ここでは、よそから入ってきたのがいきなり支部長を名のるのです。そして補助金を要求する。この手口を地元の方ではわたりと称している。それから、これに自治体が金を出しますのをつかみ金と称しているそうです。そういう報道をしておるのであります。そして、動員されました人たちに対しては六千円の日当が支給されておる。動員を他の地域からやってくる。村にはだれも該当者がいない。こういう状態になっておるのであります。  そこで警察にお尋ねしますが、こういう事態について警察がさらに適正な処置をとる必要があるのではないか。警察が一つ処置をおとりになりましたのは、九月の十三日に竹田市で、解同の竹田地協委員長木村という人物から市に三十三項目の要求書を出した。ところが、この木村君というのは指名手配の人物であった。覚せい剤取締法違反容疑で指名手配をされておった。そのためにこれだけはつかまえた。あとは全部放任されておるのであります。こういうことで果たして今日の地方自治体というものが、公正な行政の執行ができるだろうか、あるいは公金の正当な使用ができるだろうか。警察がもう少しこの点につきましては犯罪予防の観点に立って厳格な取り締まりをする、規制をする必要があるのではないか。  たとえば、だれそれが連絡をするという連絡係を決めておったとしましても、それが連絡できない状況にあれば、だれが連絡をしたところで、警察が出かけていって現場を視察をするということは当然の処置だと思うのです。いわんや暴力行為等処罰ニ関スル法律、これは親告罪ではないわけでありますから、私たちが町を歩きましても、暴力を見たら、聞いたらすぐ警察へ、こういう看板が出ている。だから、暴力を見た職員が警察に連絡をしたところが、おまえは決まった連絡員ではないからだめだといって出てこないでしょう。こういうことで果たしていいだろうかという疑問をだれしもが持つのであります。こういう点について局長の御所見を承りたいと思います。
  197. 三井脩

    ○三井政府委員 ただいまのは、いろいろ交渉の中でのことのようでございますが、何ごとであれ、暴力が行使されたり、不法な実力が行使されるということは、私たちはこれを看過しないで、厳正に取り締まるというのが基本姿勢でございます。この場合に、その暴力や不法な実力の行使の主体がどういう団体であるかということは問いません。  ところで、いまお挙げになりました事案の中では、あらかじめ打ち合わせをした連絡者でない人が連絡をしてきたので警察は取り合わなかった、こういうようなお話でございますけれども、私はそういうことはあるべきことではないと思います。したがいまして、御指摘もありましたので事実関係は十分調べてみたいと思いますけれども、そういうことは何かの間違いではないか、こういうように思います。  ただ、一つ申し上げたいのは、いまお挙げになりました団体がそういう暴力を行使をする。そうすると、たとえば佐賀関の事例のように、警察がそういう話があるということで行きましても、御本人はけがをしておるのに、おっしゃらない。したがって、警察はいろいろ聞き込んで、病院へ行って聞いてみるとかいうことになると、確かにけがをされておるということで、町長さんとか企画課長さんとかに聞くのですけれども、いや、けがはしたけれども警察でこれを処理してもらうことは困る、こういうようなことでございますので、これでは、せっかく警察が一生懸命やろうと思いましても、被害者の御本人がそれをお認めにならないということで、実は警察も困っておるわけでありまして、こういうことでは法秩序の維持ということには大変支障があるということで、御本人がそういうことには積極的に法秩序を守るために被害申告をするとか、また関係者で事案を見ておる人も警察に申告をしてもらう、こういうような御努力をしていただく。したがって、なぜ御本人がそういうことを警察に申告することをいやがられるのか、そういう根本のところについてメスを入れていかなければならぬというふうに考えているわけでございます。
  198. 三谷秀治

    ○三谷委員 後でおっしゃった点は私全く同感でありますが、ただ、定まった連絡員が連絡しなかったから取り上げないというようなことは考えられないとおっしゃいましたけれども、実は羽曳野市長が二十時間監禁されましたときに、彼が一室に包囲されてしまってどうにも外に出られない、そのときに、確かに一定の課長の名前を挙げまして警察との連絡を定めておりましたけれども、その課長も一緒に包囲されましたから連絡の仕方がありませんから、この町に住んでおります弁護士、杉山という弁護士でありますが、この人を通じて連絡しましたけれども、おまえは定まった連絡員ではないからだめだと言って出てこない。そこでやむを得ず警察に行って交渉しますと、やはり同じことなんです。連絡員は決まっているんだから、それがしてこない限りは出動はできない、こういう態度をおとりになりました。ですから今度の場合も同じケースなんです。これは警備局長が直接そこにいらっしゃったわけではありませんから、地元の警察署長あたりはどういう姿勢でおるのか、ここに私は問題があると思います。  たとえば、いま公判中の八鹿事件におきましても、警察署長があの残虐なリンチを放置したというので、犯人の逮捕の義務を放棄した責任を問われて告訴されました。これを不起訴処分にしました検察に対して、検察審査会が不起訴は不当であるという決議をやりました。つまり国民世論というものはやはり物事をきっしりと見ているわけでありますから、警察署長が犯人の逮捕の義務を放棄して暴行を放置しておったというところが、検察審査会の、不起訴は不当であるという決議になってきている。私はそういう事例を幾つかこういう問題については承知をしております。ですから、いまおっしゃいました点につきましてもこれは蓋然性を十分に持つものであります。  それからもう一つは、いま申し上げましたのは野津町の例でありますが、佐賀関町では連絡が一一〇番でなかったからといって出動しなかった。その後、病院にも警察が行かれて、企画課長に直接事情をお聞きになっております。まあ企画課長がどの程度の話をしたか、私の方にはその点は明らかでありませんけれども、警察は確かに事情聴取に行かれております。事情聴取に行かれて暴力はなかったという談話を発表されておるのであります。けがをしておるわけでありますから暴力がなかったというのはおかしい話であって、あいまいさは確かにある、こういう被害を受けながらその被害を率直に申告ができない、いわゆるお礼参りを恐れるという事態があると思いますから、そういう事態をしんしゃくしますならば、よしんば企画課長がそこで事態をきわめて正確に述べなかったといっても、暴力はなかったというふうな発表をすることは、警察としても少し妥当を欠くのではないかというように私は思っておるのでございますが、この点はいかがでしょうか。
  199. 三井脩

    ○三井政府委員 まずその前段に、八鹿事件での署長の措置について検察審査会で起訴相当、こういうことを決定されたというお話でございますが、この点につきましてちょっとつけ加えさせていただきます。今月の七日にそういう決定がありました。十一月十九日には神戸地方検察庁では不起訴相当、こういうことでありますし、またあれを職権乱用罪ということで告発されておりますから、当然に、不起訴決定に対する付審判請求がありましたが、神戸の地方裁判所も、あれは審判に付しないのが適当、こういう決定で、付審判請求を却下しておりますし、これは抗告があって、大阪高等裁判所も却下しておりますということで、本論ではございませんけれども、警察措置適切ということかと思います。  ただいまの点につきましては、私たちが受けておる報告では、捜査を継続しておりまして、被害者である御本人ははっきりおっしゃらない、しかしけがは三週間、一週間それぞれされておるということで、病院等につきまして、被害の程度を確認し、そして被疑者を割り出すための捜査を継続しておるという報告を受けておりますので、暴行の事実がなかったと警察官が言うことはどうもおかしいわけでありまして、これまたどういう事情であるかよくわかりませんけれども、あるいは聞き違いかと思いますけれども、捜査継続中でございます。
  200. 三谷秀治

    ○三谷委員 それは徹底的に調査をしていただきたいのです。そうしなければ、こういう事例が、まるで油を流したように広がってしまう。これは単に佐賀関や野津町だけではありません。たとえば大分市におきましても集団交渉の席上、机を倒して、助役にバケツで水を浴びせる、部長をバケツで殴りつける、こういう事案が起きております。宇佐市におきましても、市の建設課長の机をひっくり返して殴る、けるという被害を受けておる。日出町におきましても、ここでは活動費を一千万円要求したものですから、町長が自分の月給から二百万円ほど出しましょう、こう言ったのです。ところが、それは差別である、湯のみが飛んで、そして町長が辞表を書かされる、こういう事態になっております。この事態を見てみますと、まるきり無法地帯に等しいのですね。だれが考えても一緒なんです。私たちは、部落解放という問題は重大な課題でありますから、これは十分に住民の理解と納得を得る中で、長年の部落差別を終えんさせるということにつきましては何ら反対するものではありませんが、こういうことが繰り返し行われますと心理的な差別が逆に広がるのです。実態的な差別が若干改善されましても、人間の心理に与える差別意識というものがなかなか払拭できない。  そこで、ここのところが大事な点でありますが、一体自治省はどういう指導をしているのですか。これは市町村に起きた、いわゆる地方自治体に起きた問題でありますが、これについてどのような指導をなされておるのか、お尋ねしたい。
  201. 近藤隆之

    ○近藤政府委員 ただいま御指摘の大分県南部の幾つかの町村における同和問題をめぐるトラブルにつきましては、県を通じまして私ども一応事態を知っておりますけれども、ただいま先生の御指摘になったそういう詳細な点については実は存じなかったわけでございます。この点につきましては総理府の同和対策室の方でも調査するようでございますので、その調査にまちたいと思うわけでございますが、御指摘の件によりますと、いろいろ暴力、あるいはそれに類するようなことが付随して起きておるようでございます。同和の問題につきましては過去においてもいろいろな県においてこれに類するようなこともありまして、トラブルにつきましても長い経緯のある問題でございますけれども、そういった暴力問題につきましては当然のことでございますけれども、治安面におきまして警察当局の方で適宜な判断を願うことであろうかと思いますが、私どもは、同和問題もその地域の問題でございますので、やはり第一義的には、当該地方団体の長あるいは議会がその実態に応じまして公正な判断が下されるべきものである、県もまたそういった方向で指導すべきものであると思っておるわけでございます。その公正な判断が下せないような客観情勢がもしあるとするならば、それは、先ほども三井警備局長から申しましたように、その原因の除去に皆が協力して努力しなければならない、そういった問題ではないかと思っておる次第でございます。
  202. 三谷秀治

    ○三谷委員 行政局長の話を聞いておりますと、どこやら自分たちの責任外の問題のようにおっしゃっているわけですね。そうじゃありませんですよ。これはもちろん町や議会というものが住民に対する責任を持つものでありますが、しかし適正を欠く行政については指導責任を持つのでしょう。たとえば、あなた方は口を開けば地方公務員の給与が高い、ラスパイレスがけしからぬ、そんなことはしょっちゅうおっしゃっている。ここの県南の団体補助金を累計してみますと一億五千万円に達する。その一億五千万円というものが対象地区のないところ、対象地区住民のいないところ、団体補助金としていわゆる団体支部に支給される、こういう事態になっている。これが許されることなんでしょうか。これは国民の公金を委託されて適正管理し、執行すべき地方自治体の首長が行っていいことなんでしょうか。それを自治省が放置しておいていいことなんでしょうか。
  203. 近藤隆之

    ○近藤政府委員 公金でございますから、長が提案いたしまして予算案に計上し、議会の議決を経て支出されるわけでございますが、ただいまお聞きしておりますところによりますと、ほとんどの団体で予算は否決になっておるようでございまして、そうすれば公金の支出というのはできないわけでございます。若干専決処分をやっておる例もあるようでございますが、町としてはやはり予算から出すということでございましょう。したがって、地方自治のたてまえからいきますならば、いろいろな状況を勘案されて長の方では支出を約束され、議会の方ではそれを否決したというようなことであろうかと思います。ただ、先ほども申しましたように、長のその判断というものが何というか、自由意思でなされないような環境のもとで、万一先生のおっしゃいますように行われているというような事態があるとするならば、そういった環境の打破ということは当然私ども努力しなければならない点ではないかと思っております。
  204. 三谷秀治

    ○三谷委員 否決されたのが大部分だから実害がないようにおっしゃいましたけれども、否決されていないところもあるんです。市町村別に見ますと全体として大体半分ぐらい、出したところが半分、出さないところが半分、こういう状態になっておるのであります。そして、出したところには大なり小なりこういう形での圧力というものが加わってきている、県の圧力もそこに加わってきている。ですから、県に対する指導という問題は国がもう少し責任を持ってやるべきだと思います。やらなくちゃいけません。県の指導をしております具体的な方針を見ますと、同特法に反している。同特法は御承知のように地域を対象にしているのであって、その地域の劣悪な生活環境の条件を改善をするというのが一番大事な点です。それを人を対象にしますと、これはもう部落差別は永久になくなりません。人を対象にするということは、その人が何か人種的な特別な差があるような根拠に立ってこそ初めて人を対象にするわけであって、この差別というものは徳川幕府がつくりました。もちろん古代における身分差別もありますけれども、いまも残っております差別は、徳川幕府がつくりました士農工商以下の賎民制度に起因するものでありますから、何らこれは人種が違うわけでも血統が違うわけでもない。要するに、その地域の改善をすれば部落差別の解消は大きく前進するものでありますから、だからこそ対象地域というものが対象になっているわけなんでしょう。ところが、対象地域のないところでこういう蛮行、暴行が行われるということは、これは明らかに同特法に便乗した脅迫行為と違いますか。これは警察庁の方にも私はお聞きしたいと思うのです。私はそういうふうに思うのですが、そういう状態自治省が放置しておる。対岸の火災視して、議会や町長や県が適当にやるだろう。これは県が間違っているから市町村がどうにもできない。住民が猛烈な反抗をして初めて議会の方もこれはえらいこっちゃというふうになっている、そういう事態。そこには圧力があるわけです。力学的な背景があるわけなんです。それをほおかぶりをしてこの問題をとやかく言ったところで実態はつかめません。それについて自治省としてはもう少し適切な指導をしてもらいたい。  もう一つお尋ねしますが、自治省の姿勢が第一よくない。自治省から地方に派遣する職員がおりますね。北九州市に小林君という教育長が行っておりました。帰っておりますか。いま帰っておりますでしょう。彼は北九州市で何をしましたか。私も北九州市の実態調査に行きまして小林君に会った。つまり個人給付ですね、未解放部落の子供たちに対して入学祝い金だとか就学資金というものを出すわけでありますが、あの北九州市におきましては一つの窓口以外は認めないと言った。そこで、それはおかしいじゃないかと私は言っていった。彼は教育長をしておって、自治省の方針とは違うじゃないかと私は言った。ところが、彼はそれについては黙して語らなかったけれども、依然としてこれは改善されなかった。それがまた今度自治省の方に帰ってきているんでしょう。自治省から出ていく人たちは、一体自治省の方針を本当に理解して行っているんですか、そこをひとつお尋ねしたい。  それからもう一つ、いまの件につきましては御承知のように福岡地裁と福岡高裁におきまして十四回も判決が出たんです。これは行政の公正、平等にかかる法律的な規範がはっきり示された。未解放部落住民であれば所属団体や信条、思想のいかんにかかわらず全部これは適用されるものだという立場、これが広島地裁の判決でも出ておるのであります。しかし、これは自明な行政的な原理、原則なんです。しかし、このわかり切った行政原則が裁判で裁定されなければならぬほど今日の同和行政の公正性が損なわれておるということだ。これに対して、地方行政に対して指導監督をする立場にある自治省、これがいまのような姿勢でいいだろうかという疑問はだれしもが持つ問題であります。しかも、そういうことを放任しますからかえって心理的な差別が広がっていく。部落差別に手をかす結果になってしまう。そういう態度を改める必要があるのではないかと私は考えておりますが、大臣も御意見があればお聞かせいただきたいと思います。
  205. 小川平二

    小川国務大臣 非常に多くの具体例を引用なさっての御質疑でございます。私もとより個々の事実関係について知悉をいたしておるわけではございませんが、地方公共団体の行政運営はもとより当局者の自主的な判断に基づいて行われるべきものだと存じます。しかるに、この自由な意思決定が何らかの圧力によって妨げられておるということでありますと、これはまことに憂慮すべき問題だと存じております。仮にもし暴力による威迫あるいは暴力の行使というような事実があったといたしますれば、これは警察が峻厳な態度で臨まなければいけない、こう考えておるわけでございます。  また、この同和行政はもとより本来の趣旨に従って実行されなければなりませんから、その点について遺憾な点があれば是正してまいらなければならない、こう考えております。
  206. 三谷秀治

    ○三谷委員 具体にお尋ねしましたから、もう少し局長から答えてください。
  207. 近藤隆之

    ○近藤政府委員 自治省と申しますよりも、政府全体の同和行政に対する姿勢といたしまして、四十八年に関係省庁の次官の連名で御承知のように通達が出ておりまして、行政の公平性と対象地区住民の信頼の確保というのが必要な二つの柱となっておりますので、先ほど御指摘の窓口一本化というような問題についても、こういった観点におきまして各地方団体がこの趣旨にのっとって運用をされるということであろう、そういうようにまた指導をしてまいっておるわけでございます。  それから、今回の事件につきまして大分県当局の指導方針といたしましては、いま両者が非常に過熱しておる、それで円滑な同和行政に資するため、運動体及び住民運動の両者に冷静な行動を呼びかけるなどの指導を現在行っておるところだということでございますので、県の方が地方自治の本旨に従って円満にこの事態が解決できるよう、なお一層の努力を続けていただきたいと思っておるところでございます。
  208. 三谷秀治

    ○三谷委員 県の自主性に期待するだけではだめですぞと言っているのです。御承知のように、兵庫県におきましてもこういう事態が一時あった。しかし、これはいろいろと問題が発生しまして、県政資料によりまして、従来のやり方は大きな誤りがあったということを県民に明らかにして、兵庫県の同和行政はかなり公正、民主的なものに発展をしてまいりました。いまの大分県の状況を見ますと、とてもじゃありませんがその期待ができない。期待ができないのは、こういう見解を示しているでしょう。歴史的、社会的に一般に認められないところであっても、解同が認める人がおれば一人でも対象地域になる、こんなことを指導で述べておるじゃないか、これは根本的な間違いと違いますか。そうして、その主張が正しいかどうかというのはだれがチェックするのか。つまり一人でも未解放部落の人がおる、それを解同が言えばそれは同和地区だ、対象地区になる。その一人の人をどうしてチェックするのかと言いますと、それは団体を信頼する以外に方法がないのだ、こういう指導なんです。これは同特法の規定と全く反するものと違いますか。さっき総理府の同対室長が答えておりましたが、それについては自治省はどうお考えですか。
  209. 近藤隆之

    ○近藤政府委員 ただいま先生指摘の、県の具体的な指導について私ども報告も何も受けておりませんので、それについてどうこう申し上げる立場にないわけでございますけれども、県といたしましては、やはりそれなりに同和行政に真剣に取り組み、その事業の円滑な推進のために努力しているのだと私どもも思っておりますし、私どもといたしましては、同和行政につきましては先ほど申しましたような総理府の同和対策室を中心として、政府としての確固たる姿勢というのがあるわけでございますので、そういう基本線で私ども県を指導し、県が市町村を指導していくのがまた一つのルールであろうかと思いますが、なおいろいろ県の事情等も聞いてみます。
  210. 三谷秀治

    ○三谷委員 いまのお答えの中で、県が真剣に取り組んでおるとおっしゃいますけれども、真剣に取り組んでおればこんなことは起きてこないのだ。こういう事態になってくるのは、責任を回避して当面の困難に立ち向かうという姿勢と勇気がないからこうなってくるのだ。  ですから、県が各市町村に行きましていろいろ発言をしておる。あるいは先般弁護士団などが調査に行きましたが、調査団に答えました県の見解を私はここにまとめて持っておりますけれども、これを全部読み上げる必要はありません。さっき申し上げました一点だけで、これは国の同和対策事業に対する基本的な見解と違っているということは明らかだ。その違ったままで市町村を指導しますから市町村が困ってしまう。そういう指導をしますから、一人でも移入者が入ってくればだれもいなくても支部長を名のっている。そうして外部から動員をしてきて脅迫、恫喝をするという事態が起きてくるわけです。ですからこれは総理府と自治省で実態の調査をしてもらいたい。私どもも近く、さらに実態調査に出かけてくるつもりでおります。それをやるかどうか聞かせていただきたい。  それから警備局長さん、いま申しましたように、もう少し警察がにらみが効けばこういう事態はある程度改善ができる。ところが、さっき申しましたように、現地警察の態度の中にもあいまいさが非常にある。捜査は徹底的にやるとおっしゃいましたからそれに御期待申し上げますけれども、しかし事件が起きた後の捜査でありますから、今後におきましてこういう事案が起きないような予防処置についてはどうお考えなのか、これを局長の方から先にお答えいただきたい。
  211. 近藤隆之

    ○近藤政府委員 自治省としましては県に事情は聞いてみます。ただ、実態調査をするかどうかということは同和対策室の方と相談いたします。
  212. 黒川弘

    ○黒川政府委員 調査と問題点の究明につきましては自治省に協力いたしまして実施いたしたいと考えております。
  213. 三井脩

    ○三井政府委員 暴力が支配するなどということはあってはならないことでございまして、これをなくすためには、何といいましても関係者が暴力に対して勇気を持って対処するということが基本でございます。したがって警察といたしましては、そういう関係者の勇気をふるい起こすような努力を粘り強くやることと、起こった事案を的確に検挙していくということが予防につながりますし、また具体的にそういうことがある場合には、事案が起こらないように現場の、この場合市町村当局でございますから、当局者と十分連絡をとって、事態をよく見た上で、事案が起こらないように防止の措置を的確にとっていくということにさらに努めてまいりたいと考えます。
  214. 三谷秀治

    ○三谷委員 いま同対室長さんですか、実態調査については自治省に協力するとおっしゃいましたが、自治省が県の話を聞くようなことでお茶を濁すということは、この事態に対して真剣に対処する気持ちがないということだ。これだけの問題が起きておって、しかも県が非常に不公正な指導をやっているときに、県から事情を聞くなんということで問題解決するわけはない。あなた方もどこかの圧力があるのと違うのかね。あなた方自身がそれをこわがっておってはだめですぞ。やはり自治省も当事者になるわけですから、事態は事態として正確に把握する。私どもの言っていることに間違いがあれば間違いがあるということをきっぱりと事実に即して明らかにしてもらう、あるいは私の言っていることが間違いがなければ、それは重要な問題でありますから、どのようにしてこれを改善するのか、当然これは段取りをつけて処置をとるべき問題なんでしょう。どうですか、同対室と一緒になって実態調査をしてもらいたい。
  215. 近藤隆之

    ○近藤政府委員 私どもといたしましては、お言葉を返すようですけれども県を信頼しております。いまいろいろ細かい事柄につきまして先生指摘になりましたけれども、私ども確認している部分もあるし、ほとんど確認していない部分もございますので、とりあえず県のいろいろな意向を聞いてみたいと思います。
  216. 三谷秀治

    ○三谷委員 県を信頼しているとおっしゃいますけれども、県の指導方針、私が申し上げたのが正しくてそれを信頼しておるということなんですか。
  217. 近藤隆之

    ○近藤政府委員 その点も含めて県にいろいろ聞いてみたいと思います。
  218. 三谷秀治

    ○三谷委員 それでは県の事情を聞くということは一つの方法ですが、被害を受けた市町村にもやはり事情をよく調べなければならない。仲を介してやったんじゃだめなんですよ。中の意見も聞く必要がありますが、直接当事者の意見を聞く必要もあるわけですから、県、県というのではなしに、この当該の市町村の事情についても調査する必要は当然ある。これはどうですか。
  219. 近藤隆之

    ○近藤政府委員 とりあえずの段階として県の意向を聞いてみまして、もしそういうような必要があれば適宜判断いたしたいと思います。
  220. 三谷秀治

    ○三谷委員 県の意向を聞きまして、とりあえず必要があればというのはどういう場合のことですか。
  221. 近藤隆之

    ○近藤政府委員 先ほどからもお話ございますように、総理府の方の同対室は同対室の方でまだいろいろ調査する点もあるようでございますので、そちらの調査も進んでいくことだろうと思います。私どもも、いまいろいろ御指摘になった事項につきまして、県の意向も参考にし、いろいろなものを参考にして、必要があるならば市町村の意見も当然聞くことになろうかと思います。
  222. 三谷秀治

    ○三谷委員 それはいつごろおやりになりますか。事態はまだ完全に終わった状態ではありませんが、これは急ぐ問題だと私は思っておりますが、いつごろおやりになるおつもりですか。
  223. 近藤隆之

    ○近藤政府委員 先ほども申しましたように、県の方の現在の指導方針といたしまして、両方が現在非常に過熱しておる状況でありますので、冷静に物事が判断できるようにということでやっておるようでございますから、県の方とそういった点も含めて相談したいと思います。
  224. 三谷秀治

    ○三谷委員 過熱するというのは、だれとだれが過熱しておるのだ。
  225. 近藤隆之

    ○近藤政府委員 トラブルが過熱しておるという意味でございます。
  226. 三谷秀治

    ○三谷委員 トラブルなんというものと違うでしょう、これは。住民の方はそういう根拠のない金を出すべきではないと言っておる。何のトラブルもありはせぬ。あなた方は何か暴力行為が起きると、暴力ではありません、トラブルですと言うんだ、これが常套手段になっている。何もトラブルではありはしません。そういうことがなければこんな問題は起きるわけはないんだ。
  227. 近藤隆之

    ○近藤政府委員 暴力行為があるかどうか、これだと治安の問題になるわけでございまして、そういったこともいま非常に微妙な表現が使われておる面もあるようでございますので、それを含めてトラブルと申し上げたわけでございますけれども、何といいますか、一つの事件ではありますので、そういう事件がいま非常に厳しい状況にあることは事実だろうと思います。それをトラブルと表現したわけでございます。
  228. 三谷秀治

    ○三谷委員 時間が来ましたからこれで終わっておきますけれども、こういう事態がいまの法治国家のもとにおきまして果たしてあるだろうかという疑問を持つのですよ。少なくともいまの地方公共団体というものがそういう公私の妥当を欠く支出、不法支出といいますか、こんなことが行われるだろうかとだれしもが思うことなんです。そのだれしもが思うことが現実にあるというところに問題がある。これは調査を速やかにしていただいて、調査結果につきまして御報告をいただきたいと思います。  なお、私どもも現地調査に行きますから、あなた方も行っていただきませんと話が食い違いますよ。現地の詳細な調査というものと、県を通じての話ぐらいなことではこれはなかなか話が合いませんから、そういう点からも現地でよく調査をしていただきたい。このことを申し上げておきますが、大臣、どうでしょう。
  229. 小川平二

    小川国務大臣 私は、この同特法の適正な施行を図っていかなければならないという気持ちにおいて自治省の担当者が欠けるところがあるとは思っておりませんし、何か圧力を恐れておるとも思わないわけであります。(三谷委員「要らぬことを言わぬでいい。具体の問題を言っているんだ」と呼ぶ)これからお答えしようと思っておるのです。  調査をせよというお言葉でございますが、先ほどお言葉にもございますように、段取りをつけてということです。物には順序がございますから、さしあたって県につきまして事情を取り調べてみたいと存じます。それから先のことはこの場ではお約束いたしかねますので、御容赦いただきたいと思います。
  230. 三谷秀治

    ○三谷委員 またそれは行政局長と違う答弁をなさったな。行政局長は、まず県を調べて、その上で必要に応じて市町村の調査もやろうとおっしゃった。どちらが本当なんですか。大臣が偉いようだけれども……。
  231. 小川平二

    小川国務大臣 別に違ったことを申し上げたつもりはないのでございます。さしあたって県について事情を調べます。その上でいかような判断をいたしますか、状況によってはさらに町村について調べるということもあり得るわけでございます。どうぞそのように御理解をいただきたい。
  232. 三谷秀治

    ○三谷委員 それでは、時間ですから終わっておきます。
  233. 地崎宇三郎

    地崎委員長 次回は、二十四日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時二十六分散会