○
三井政府委員 事実
関係からまず申し上げます。
御質問の趣旨は、ICPOの手配制度のことが最後の御質問のように思いますけれ
ども、その前段階の問題の事実
関係がちょっと違いますので申し上げたいと思いますが、今回の
事件では、各国の協力を得て私
たちは捜査しておるわけでございます。
犯人は
日本人、男で五人、人相風体かくかくというようなことは現在までの捜査で一応わかっておりますが、これがだれであるのかということはまだわかっておりません。したがいまして、当然のことながら手配をするだけの材料がまだ整っておらないので、目下は手配をしておらないということになっているわけでございます。
そうしますと、ICPOルートを通じて何をしておるのか、こういうことになるわけでございますが、今度の
事件発生以来、
犯人はボンベイから乗り込んだのではないかというようなことが一応推定される。ダッカで事案が起こった。途中、クウェート、ダマスカス、アルジェリアというところに寄っている。最終的にはアルジェで降りた、こういうことでございますので、
関係の国のICPOの国家中央事務局に対しましてわが国から通報しております。それは何かといいますと、私
たちが捜査しておるので、おたくの国も捜査して得た材料を皆ください、こういう依頼をしておるわけでございます。
事件後の十月九日にそういう依頼手配をしたというのが現状でございまして、現在までのところ、先ほど申し上げた
犯人を特定するまでに至っておりませんので、いわゆる手配制度というのがあって、赤、青、緑、黒というのがあるわけですけれ
ども、これにはまだ乗せるだけの材料は整っておらないということでございます。
それからもう
一つ、いわゆる未決、既決の囚人を釈放犯として連れて行った。この六人につきましてははっきりしておるわけです。これについては手配をすることになります。
関係のところにこういう者だということは知らしてありますが、いわゆる手配に乗せるにつきましては、さっきの五人も含めまして十一人ですけれ
ども、いまのところアルジェリアにおると思われるといいますか、アルジェリアから外に出たという報道等はありますけれ
ども、まだ確たるところまで行っておらない、情報の
一つである、こういうことでありますので、アルジェリアをはっきり出たということは——はっきりの程度がまたありますけれ
ども、時間的な要素も入れなければいかぬと思いますけれ
ども、いまのところは一応アルジェリアにまだおるというように推定をいたしまして、アルジェリアには手配する必要はない、わかっておるわけですから。いま外務省がおっしゃったように、おたくの都合によってはいつでも引き取りますよと言っているわけですから、ここのところはもういい。むしろアルジェリアに言っておるのは、その
犯人五人の指紋だとか個人識別だとか、そういうものを送ってください、こう依頼をしておるわけです。ですから、そういう犯
人たちの所在の点からいってもまだ手配をする段階でない。
そうすると、それでは何をしておるのかということになりますが、私
たちは、いまの
犯人五名はわかりませんけれ
ども、六人の釈放犯はわかっておりますから、こういう材料をICPOの事務総局、パリにありますが、これに送っておるわけです。それで、アルジェリアを出たとか、そういうことになったら、直ちにICPO事務総局で世界じゅうに、あるいは
関係のところに手配してくださいよということで材料を全部送って、スタンバイの状態にある、こういうことでございます。
状況はそういうことでございます。
最後に御質問の、それでは、手配制度がいろいろあるが、赤色手配は逮捕手配だ、青色手配は情報手配だ、こういうことになるわけでございますが、これにはそれぞれの国の
国内法上の問題がありまして、わが国では相互主義というたてまえがございますから、諸外国はICPOの赤色手配があれば、それだけで
犯人を逮捕というかは別といたしまして、逮捕状と同じような
効果があるものとして仮に身柄を拘束しておくというような制度をとっておる国、ヨーロッパに多いわけでございますが、わが国はそこのところまでいっておりませんので、逮捕状がありましても、青色手配で、逮捕状がありますよという情報を知らせる、こういうことをしております。したがって、赤色手配がICPOから来たら、それをもとにわが国手配の
犯人を発見したときに、直ちに逮捕できるという制度にすれば相互主義になるかもわかりませんけれ
ども、その辺はいろいろ
法律上の問題もありますので、研究、検討を加えておる、こういう段階でございます。
そうしますと、赤色手配ができない、青色手配しかできないとこれは
効果がゼロかというと、そうではありませんで、赤色手配に近いような
効果がいま上がってきておる。つまり、さっきも話があったと思いますが、すでに
クアラルンプール事件以来もう七名送り返されておる。その前から含めますと、
日本赤軍関係者九名送還されてきておるわけです。
日本のいまの制度はそういう状態であってもそういう成果が上がっておるのは何かといいますと、
前回あるいはその前からの国際協力推進のために、いろいろな方法で
努力しておることのあらわれ、それからもう
一つ、
日本赤軍が中近東を根拠にしてヨーロッパ諸国に出かけていろいろのテロ
行為をやる、こういう中で、
日本赤軍の凶悪性というものがだんだんわかってきておるということで、各国から協力をいただいておるという成果でございますので、いまのところはそういうふうにやっておるということでございます。