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1977-10-25 第82回国会 衆議院 地方行政委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年十月二十五日(火曜日)     午前十時三十一分開議  出席委員    委員長 地崎宇三郎君    理事 大西 正男君 理事 木村武千代君    理事 高村 坂彦君 理事 中村 弘海君    理事 小川 省吾君 理事 佐藤 敬治君    理事 小川新一郎君 理事 山本悌二郎君       相沢 英之君    井上  裕君       石川 要三君    谷  洋一君       渡海元三郎君    中村喜四郎君       堀之内久男君    与謝野 馨君       加藤 万吉君    新村 勝雄君       細谷 治嘉君    山田 芳治君       権藤 恒夫君    斎藤  実君       和田 一郎君    中井  洽君       三谷 秀治君    川合  武君  出席国務大臣         自 治 大 臣 小川 平二君  出席政府委員         厚生省公衆衛生         局長      松浦十四郎君         自治大臣官房審         議官      砂子田 隆君         自治省行政局長 近藤 隆之君         自治省行政局公         務員部長    塩田  章君         自治省財政局長 山本  悟君         自治省税務局長 森岡  敞君  委員外出席者         大蔵省主計局主         計官      足立 和基君         大蔵省理財局地         方資金課長   鈴木 達郎君         文部省管理局教         育施設部助成課         長       倉地 克次君         厚生省公衆衛生         局保健情報課長 林部  弘君         厚生省環境衛生         局水道環境部計         画課長     藤田 恒雄君         厚生省保険局国         民健康保険課長 黒木 武弘君         厚生省年金局資         金課長     渡辺  修君         運輸大臣官房参         事官      沼越 達也君         運輸省自動車局         業務部長    梶原  清君         自治省財政局財         政課長     関根 則之君         自治省財政局地         方債課長    津田  正君         地方行政委員会         調査室長    日原 正雄君     ――――――――――――― 委員異動 十月十四日  辞任         補欠選任   相沢 英之君     福永 一臣君   井上  裕君     森山 欽司君   石川 要三君     木村 俊夫君   中村  直君     松野 頼三君 同日  辞任         補欠選任   木村 俊夫君     石川 要三君   福永 一臣君     相沢 英之君   松野 頼三君     中村  直君   森山 欽司君     井上  裕君 同月十七日  辞任         補欠選任   和田 一郎君     矢野 絢也君 同日  辞任         補欠選任   矢野 絢也君     和田 一郎君     ――――――――――――― 十月十八日  事業税事業主報酬制度創設に関する請願(只  松祐治紹介)(第四八号)  同外二件(大成正雄紹介)(第六〇号)  同(金子一平紹介)(第一一二号)  聴覚言語障害者運転免許に関する請願(粕谷  茂君紹介)(第一二八号) 同月二十二日  不況克服のための地方財政措置等に関する請願  (大村襄治紹介)(第一九六号)  聴覚言語障害者運転免許に関する請願和田  耕作君紹介)(第一九七号)  同(高沢寅男紹介)(第二七三号)  事業税事業主報酬制度創設に関する請願(片  岡清一紹介)(第二四五号)  同(鴨田宗一紹介)(第二四六号)  同(高沢寅男紹介)(第二七二号) 同月二十四日  事業税事業主報酬制度創設に関する請願(池  田行彦紹介)(第三八七号)  同(大成正雄紹介)(第三八八号)  同(武藤嘉文紹介)(第三八九号)  地方財政確立に関する請願安田純治紹介)  (第三九〇号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 十月十二日  地方財政健全化対策に関する陳情書  (第九  号)  地方超過負担早期解消に関する陳情書外一件  (第一〇号)  自治体病院経営健全化対策等に関する陳情書  (第一一号)  退職地方公務員共済年金恩給の改善に関す  る陳情書  (第一二号)  退職地方公務員恩給年金通算制度適用範囲  拡大に関する陳情書(第一三号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  地方交付税法等の一部を改正する法律案内閣  提出第二号)      ――――◇―――――
  2. 地崎宇三郎

    地崎委員長 これより会議を開きます。  内閣提出に係る地方交付税法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山田芳治君。
  3. 山田芳治

    山田(芳)委員 私は、交付税法の一部改正関連する地方財政全体の問題と、第二番目に公務員給与改定の問題、第三番目には有田市のコレラの問題、第四番目には公営交通の問題、第五番目には泉南市における庁舎の敷地使用にかかわる問題及び自治省通達等にかかわる問題等の約六点について質問をいたしたいと存じます。  第一点の、今回提案をされました地方交付税法の一部を改正する法律案について質問をいたしたいと思います。  今回の交付税の九百六十億の減額については、御承知のように、去る八十国会におきまして、私は三千億の減税関連をいたしまして、五十二年度地方財政に及ぼす影響についてどうなるかということを質問をいたしました。ここにその当時の会議録がございますが、三月十五日に、三千億の減税野党提案の中から政府修正という形で行われたことは御案内のとおりでありますから、これに関連をして、本年度中にこういうような事態が起こるのではないのかということを質問をいたしました。そのときの政府側、というよりも当時の財政局長政府委員答弁はこういうふうになっています。年度内を通じて国の予算編成見込みとして、たとえば三−四半期あたりになって歳入全部が足りなくなって歳入補正をやらなければならないような事態が生じない限りは影響がありません。こういう答弁をされたわけですね。要するに、三千億の減税だけではなくて、法人税だとか所得税であるとかあるいは酒税とかその他の税が全体として不足をしたときには、これが歳入全体の減として処理をされる場合には交付税影響が出てくることはあるけれども、今回の三千億だけの減税措置では五十二年度交付税については影響はない、こういうふうに考えるという答弁があったわけであります。ここに三月十五日の会議録があるので、また読んでいただいたら結構ですが、見通しが悪いと言えば悪いということに尽きるけれども、私はあえてそれを追及しようと思いません。それは政府だって万能ではありませんから、大蔵省が三千億を減税してきたから、それのうちの三二%、九百六十億を減額せざるを得なくなった事態ということであろうと思うけれども、当時私はそういう事態があり得るだろうということで質問したら、いやそういうことは三千億だけの問題ではなくて、法人税だとかほかの税が全体として減ったときには交付税影響が及ぶかもしれぬが、三千億だけでは税の減額措置をとっていないから影響はございません、こういう答弁だったわけですね。そうですな、財政局長さん。
  4. 山本悟

    山本(悟)政府委員 ただいま御指摘の点、前国会におきまして政府委員から御答弁申し上げました事項は、ただいまお読みになりましたとおりのことが速記録にあるわけでございます。その際、歳入全部が足りなくなって歳入補正をやらなければならぬという事態が生じた場合には支障のないようにという趣旨の答弁をいたしているわけでございますが、その際の考え方といたしましては、やはりこういった歳入法人税その他の各種の税金の自然増収というのが期待できなくなって、政府といたしましては補正減を立てざるを得ないような財政状況になっている、かような観点から今回の補正措置をとられたわけでございまして、この点は、当時の見込みといたしましてどれだけ的確に把握できていたのかいろいろ問題はあろうかと存じますが、事情といたしまして御了承賜りたい点でございます。
  5. 山田芳治

    山田(芳)委員 いや了承するのですよ。私はやはり自治省が考えておられたようなことが正しいと思うのですよ。こんなものに手をつけちゃいかぬのじゃないだろうか。要するに、ほかの歳入も減った、法人税も減りましたというときの補正予算として、全体として交付税がどうしてくるかというのならいいのだけれども、三千億だけ、野党要求をして修正したのだからこれ見よがしに三千億だけ減税している。しかも前年度剰余金で同じ三千億を、今度の政府予算ではそれと同じ額が歳入に入ってきているわけですね。いかにも何か三千億を減税したのが憎らしいと言わんばかりのやり方交付税まで減らしているというような感じに見えるのですよ。はなはだ遺憾で、これを、その当時財政局長さんがお答えになったように、ほっておいたら、翌々年度、五十四年度精算をすればいいのでしょう。なぜ三千億だけ減額に応じたのですか。抵抗しなかったのですか。私は、理論としては当時お答えになったようなやり方が正しいと思う。三千億だけ何か上げて、野党修正だけの問題を三角に立てて九百六十億を御丁寧に引くということをしないで翌々年度にやったらどうなんですか。三千億で済むわけじゃないと思うのですよ。恐らく法人税だって異動を生ずるだろうし、酒税だって異動を生ずるし、ましていわんや所得税三千億は三角三千億だけでぴしっと予算決算が合うものじゃないと思うのですよ。だから翌々年度に送ったらどうですか。その点はどうですか。
  6. 山本悟

    山本(悟)政府委員 御指摘のとおり、もしも今回の減税分につきまして補正を立てませんでしたら、決算は五十四年度交付税といたしましても精算する、かような事態になるわけでございますが、地方財政の方から申し上げますと、今回の措置は御案内のとおり、臨特によりまして後年度補正もするというので、将来の地方財政といたしましての影響はない、ただし、もしも五十四年度までにそのままにいたしておれば、三角立てばそのときは交付税精算減というかっこうにもなってくるような事情もございまして、私どもといたしましては、将来にわたって地方財政全体といたしまして減額要素にならないということであるならば、今回とりましたような措置をとることもやむを得ないのではないか、かように存じたわけでございます。  なお、今回これだけのものを補正減をしたといたしましても、国税全体として他の税収におきまして非常に自然増収が見込まれるというような状況でもないとも聞いているわけでございまして、そういった全体の事情判断した上で当局がかような措置をとって、私どもといたしまして地方財政悪影響がない以上は応じざるを得ない、かような状況になった次第でございます。
  7. 山田芳治

    山田(芳)委員 そうおっしゃいますけれども、五十四年度では借入金償還交付税においては二千億を超えるわけですね。五十九年、六十年ぐらいになれば五千億台になるわけですね。九百六十億は確かに多いかもしれないけれども地方財政全体から見たら五千億をもう償還をしなければならないという、しかもどうやら五十三年、来年度地方財政計画中期見通しも恐らく改定されるでしょう。大蔵省は国の財政収支見通しを変えることになると思うのです。それはこの前も質問をしましたように、二十数%の税の伸びということを五十二年から五十三年にわたってやろうとしているけれども、いまの税調なり全体の空気としては新しい税を導入するということも考えられそうもないとするならば、大幅な改定をしなければならぬ。そうするとあの中期見通しでさえ一兆数千億のものが足らないと言っているのに、二十数%の税が伸びなければまた二兆円からの特別の措置をとらざるを得ない。また二年据え置きの六年償還、八年間で返すという措置を恐らくされるであろうから、こうなってくるとこれはもう五十年代の終わりから六十年代にかけたら五千億を超えるものが交付税の中で借金として残っている。五千億を超えるということになれば交付税の一割を超える額が借金として残ってくるという事態ですから、まさに異常な事態である。こういう事態に際して、翌々年度でなく、いま処理しておいた方がいいなどというような単純な考えだけでは物が済まないほど非常に深刻な状態だというふうに考えるのが至当ではないですか、どうですか。
  8. 山本悟

    山本(悟)政府委員 御指摘のとおりに交付税特別会計におきます借入金も累増をいたしておるわけでございまして、この償還額というのが非常に大きな額になりつつあるというのも御指摘のとおりでございます。また、明年度以降におきますところの増税の問題といったようなものにつきましての判断、現時点においては的確ではございませんけれども、非常にむずかしい問題のあることも御指摘のとおりでございます。さような意味から申せば、地方財政といたしましてはきわめて深刻な事態にある。その深刻な事態の中での今回の措置、少し細か過ぎるのじゃないか、いういう御指摘のようでございますが、それはそれなりに、当面の解決の措置といたしまして地方財政悪影響のない範囲内においてできるだけの措置をしたい、かようなことで応じたわけでございまして、御了承賜りたいと存じます。
  9. 山田芳治

    山田(芳)委員 九百六十億を減額すると言ってみてもこれは二段になるわけですよ。翌々年の清算分も必ず出てきます、プラスに出るかマイナスに出るか知りませんが。私はプラスに出ると思いますが。そうなってくると九百六十億を削らぬでもいいのであって、借り入れせぬでもいいじゃないかというような感じがするわけなんですよ。だから何もここで九百六十億だけ目のかたきにして減額をするというやり方ではなくて、翌々年度まで持ち越しておくということの方がよかったのではないかという政策的な判断を私はする。それに対する自治省としての抵抗感はなかったのかということを質問したのですが、それだけもう一遍お伺いをしておきたい。
  10. 山本悟

    山本(悟)政府委員 三千億の特別減税分をどう処理するか、これははっきり申し上げまして国の予算でございますから、自治省で決めるべき立場にはなかったわけでございまして、それが決められてから地方財政として、先国会からたびたび御答弁を続けられておりますように、支障のないような状況にどうやって持っていくかということであったわけでございます。この際、そのまま現ナマでもらうという手ももちろん頭に浮かんでいるわけでございますけれども国庫財政状況から言って非常に困難ということでございますので、次善の策といたしまして、実質的に地方財政にとりまして将来にも悪影響のないように、かような手段をとった次第でございます。
  11. 山田芳治

    山田(芳)委員 余り納得ができない。何か私としては、野党要求をした三千億だけを三角を立てて、その分の交付税をこれ見よがしに削ったという感じを受けるという点については、はなはだひがみかもしれないが、そういう感じを受ける改正案であるということを申し上げ、かつ私は、こういう事態は恐らく起こるまいなということを念押しをしたにもかかわらず、起こったということについての見通しの悪さだけは一言指摘だけしておきたいと思います。  次に、今回の国の補正予算等に関係をいたしまして先ほど手元に、地方財政計画修正案なるものが出てきておるわけでありますが、これにかかわる給与改定の分。給与改定所要額六千百十八億、五%の措置済みが四千三百五十三億、差し引き要措置額千七百六十五億。この千七百六十五億を措置しなければならないという数字になっていますね。よろしいですね。そうするとこれは歳入の面から言うとどういう措置をされたのか、御説明をいただきたい。
  12. 山本悟

    山本(悟)政府委員 給与改定所要額全体といたしましては六千百十八億、そのうち特定財源といたしまして二百九十四億、それから五%の先組み分特定財源が九百四十四億、合わせまして義務教育負担金等特定財源が一千二百三十八億ございます。そうしますと、一般財源は四千八百八十億になるわけでございますが、そのうち五%の先組みをいたしましたのが三千四百九億、それから国の予算におきましても同様の措置をとったわけでございますが、節約額を一部充当いたしておりまして、これを二百億全体で充当いたしております。そうして残りますのは一般財源といたしては一千二百七十一億残るわけでございますが、これにつきましては当初の地方財政計画におきまして三千五百億の別途追加財政需要に充てるための経費を組んでおりますので、これを取り崩して充てていただきたい、かような措置をいたした次第でございます。したがいまして各団体に対します措置といたしましては、すでに八月に決定いたしました普通地方交付税決定措置によりましてこれらをすべて含めて措置をいたしている、かような状況になっております。
  13. 山田芳治

    山田(芳)委員 いま言ったような内容についての説明は何かの資料に書いてありますか。内簡その他で通知を出されておりますか。
  14. 山本悟

    山本(悟)政府委員 国の補正予算措置を決定いたしました直後に、財政課長名の内簡を各地方団体にお出しいたしまして、そこにおきまして国の補正予算内容説明と同時に、こういう措置になっているということを御連絡いたしております。
  15. 山田芳治

    山田(芳)委員 毎年毎年節約がかかっていますが、本当に地方はそんなに節約することができるというふうに考えられますか。
  16. 山本悟

    山本(悟)政府委員 今回の節約をかけました数字はただいま申し上げましたように総体で二百億でございまして、各種の通常事務費的なものにつきまして五%の節約率でございます。全体から申し上げますと、ただいま御指摘のとおり毎年のように節約をかけて規模の圧縮になっているじゃないかという御批判もあろうかと存じますが、国の予算におきましても同様の措置を積み重ねている次第でございまして、同じような考え方地方財政でも対処していただきたい、かような気持ちでございます。
  17. 山田芳治

    山田(芳)委員 それでは、いま各府県及び人事委員会のある地方団体においては、国の人事院勧告に準じてこれは自治省がここ一両年指導しておりますから、各府県ごとラスパイレス等を含めて必ずしもどこも同じ数字ではありませんが、少なくともそういうふうな指導自治省がされているという中での人事院勧告というものは、完全に守られるべきものであるというふうに考えられておるか、これはひとつ大臣からお答えをいただきたい。
  18. 小川平二

    小川国務大臣 申し上げるまでもなく原則はこれを守っていただきたい、こう考えております。
  19. 山田芳治

    山田(芳)委員 ちょっと原則というのがひっかかるのですがね。実は最近の人事委員会勧告というのは、自治省人事委員会委員長事務局長をお集めになって、各府県ごとにあるいはその他の団体ごとに国とのラスパイレスの差を含めて、それぞれ適正な勧告をせよということを累次にわたって指導をされている。したがって、各府県はいままで国が勧告をするのと同じようなパーセンテージで勧告をしていたのがすっかり変わって、各自治体ごとに非常にバラエティーに富んでいるというか、各団体ごと数字が違っているのですね。ということは、それだけ自治省指導が徹底したということになるのかどうか知りませんが、そうであればあるほどやはりそれは完全に守るべきであるというふうに思うわけですね。自治省としても指導して、そしてできてきた人事委員会勧告なら、当局は守るべきであるというふうに思うのですが、この点について原則ではなくて、そういう指導のもとにおける勧告であれば、自治省としては守らせるべきだという指導を逆にするべきではないか、こういう意見なのですが、どうですか。
  20. 近藤隆之

    近藤政府委員 国家公務員給与改定に伴いまして、地方公務員におきましても現在給与改定を行うべく、それぞれの人事委員会勧告の手続をとっております。まだ出てないところもございますけれども、そろそろ出そろいつつございます。いま御指摘のように地域の実情を反映いたしまして、いわゆる給与改定率国家公務員と比べましていろいろ差異があることは御承知のとおりでございます。それぞれの人事委員会勧告法律に決められておりますように、地域民間給与あるいは国家公務員給与、そういったものを勘案して適正になされることを私ども期待しております。そういうように適正になされるものであるならば、当然これは地方としては尊重すべきものであると思います。
  21. 山田芳治

    山田(芳)委員 そういう点で自治省は十分守られるように、ひとつ指導を願いたいということを申しておきます。  次に、今回補正予算の目玉というのは公共事業であるわけでありますが、公共事業について今回補助事業として三千四百二十八億という数字地方財政計画上出されているわけでありますが、これに伴って約二千億の公債、地方債が認められる、約八割程度政府資金である、こういうかっこうになっておるわけです。そこでこの地方債は国の施策、景気刺激策によって認められていくという形ですから、約二千億の地方債の八割強が政府資金であるということであるので、そのこと自身は適当なことである。私は全額政府資金ぐらいでやるべきだというふうに思いますが、それはそれとして、これの元利償還は昨年並み交付税措置をとられるのかどうか、その点伺いたい。
  22. 山本悟

    山本(悟)政府委員 御指摘のとおり約二千八億の地方負担公共事業に伴って生じますが、これにつきましては、ただいまの御指摘のとおりに、約八割強のものを政府資金、残りを縁故という地方債資金で一〇〇%措置をいたします。この元利償還金につきましては、五十一年度におきましてもほぼ同様の措置がとられた次第でございますが、それらの事項を考慮しながら、均衡を失しないように交付税上の措置も将来とってまいりたい、かように存じております。
  23. 山田芳治

    山田(芳)委員 前年並みというのは、念のために、どの程度元利償還をやられたのか、ちょっとお答えいただきたい。
  24. 山本悟

    山本(悟)政府委員 五十一年度補正予算に伴います交付税措置でございますか、これの算入率は、各種事業の従来普通交付税基準財政需要で見ておりました額との対比というものをいたしまして、それで本来ならば交付税一般財源でいくべきであるという想定される額を出しまして、その率を使わせていただいておるわけでございます。県分は約六五%、市町村分は約三八%、これが従来の交付税補正に伴いますが起債によっての措置されました事業におきますところの一般財源の率でございますので、こういうものを使用いたしますが、五十二年度の場合には全くこれと同じになりますかどうか、事業によって違ってまいりますので、結果はまだ出しておりませんが、考え方としましてはほぼ同様の措置をとってまいる、かように存じております。
  25. 山田芳治

    山田(芳)委員 それはいつごろ出されますか。あわせてひとつ伺いたいのですが、財政課長の内簡によりますと、この補正予算が決まったら直ちに地方団体補正予算を組んで年度内消化をしなさいと書いてあるのですよ。ところが、きのう成立をしましてこれから内示をされれば、これはどこの府県だって十二月府県会です。十二月府県会で、そして年を越えるということになると、一月、二月、寒いところではもう雪が降るというので、とても年度内消化などというものは非常にむずかしいのではないかというふうに思うのですが、内簡ではそういうふうになっていますが、その見通しをあわせてひとつ伺いたい。
  26. 山本悟

    山本(悟)政府委員 本年度の追加起債につきましての交付税措置の率の決め方、これは結局公共事業の割り振りが決まりまして、それに伴っての地方債の充当というのが決まって計算をいたすわけでございます。したがいまして少々おくれるとは存じますけれども、なるべく早い段階で率を出しまして、こういう措置をするということをはっきりさせたい、かように存じております。  なお、財政課長の内簡におきましては、今年度の追加公共事業につきましては、年度内消化ということをしてもらいたいという要請をいたしておること、御指摘のとおりでございます。今回の追加公共事業の趣旨、目的と申しますのが何と申しましても景気浮揚のためということでございますので、なるべく早い時期においてこれが具体化するようにということを政府といたしましても希望いたしているところでございます。その意味で内簡でもそういう要請をいたしておるわけでございまして、上半期におきますところの公共事業の契約の実施率は各都道府県にも非常に御努力を願っておるようなところでございまして、そういう点から申せば、確かに府県会といたしましては十二月というときが時期になろうと存じますが、各省庁におきましてもそれぞれ各団体の方の希望というようなものも十分勘案して、事業の選択というものをしておると聞いておりますので、年度内におきます消化というのは可能ではなかろうか、かように希望を持っている次第でございます。
  27. 山田芳治

    山田(芳)委員 公共事業関連をして最近地方債の追加が非常に多額ですね。私の調べたところでは、都道府県の道路を千五百億、地方債計画が当初に出されて以後、これは景気刺激と直接関係があるのかどうか、ちょっとわかりませんけれども、急に道路というものに、千五百億の都道府県道の起債を認めるということが出されましたね。従来から道路というのは特定財源があるからなるべく起債は認めないのだというのが奥野財政局長以来の方針でしたが、市町村道で一つ枠を破ったら、今度は都道府県まで出てきたというかっこうに実はなっているわけですね。だから、いままでの論点とえらい大きく変わったなというふうにわれわれは感ずるわけですが、それはそれとして、今度はそれ以外に、これは総合景気浮揚対策の一環に千五百億程度の単独事業を認めるということとの関連で、河川五百億、庁舎等の前倒し二百二十一億、公園緑地四十九億’公営企業債としての地下鉄五百億、上下水道七百四十八億等々、その他細かいものがありますが、合わせますと五千億を超えるのですね。大体地方債の当初が五兆円ですよね。一割を超えるというものを年度の途中で議会というか、国会のわれわれにも何ら連絡もいただかないで、政府で、確かに景気浮揚対策というのはきわめて緊急の問題であるにしろ、これだけ大きな地方債の枠を拡張していくというならば、もう少し地方財政計画その他についてわれわれに説明をされた上で認めていかれるということでないと、当初出された地方債計画や地方財政計画というのは、景気浮揚のためとはいえ、がらがらと大きく変わっていく、考え方もいままでと大分違ってくるという点について、われわれはわれわれなりに、おまえら勉強していればいいんだということかもしれないけれども、もう少し親切な扱いをすべきではないかというふうに思うのですが、こういう点は、前から資料その他はぜひ出してもらいたいということを、大臣にも何遍もこの委員会を通じてお願いをしているのですが、きょうあたり初めて机の上に乗っている。勉強する者は勉強しているというようなやり方ですけれども、もう少し親切に資料を出して、こういうことを今後自治省がやるからという説明ぐらいひとつした上で処置をさるべきではないのか。これは後で細谷委員からいろいろお話があると思う。私は、地方債の一割を超えるような総額のものを新しく発行していくというなら、あらかじめ御説明ぐらいはあってしかるべきものではないかと思うのですが、どうですか。
  28. 山本悟

    山本(悟)政府委員 御指摘のとおり、当初の地方債計画からその以降におきまして、臨時県道整備事業債約千五百億、それから今回の景気対策に伴います単独事業約千五百億、それに今回の公共事業の裏負担等二千億というような点で、合わせますと五千億程度のものが地方債計画といたしまして変わってまいった、御指摘のとおりでございます。  この臨時県道整備事業債それから臨時河川等整備事業債、こういったものにつきましては、ただいま御質問にもございましたように、今年度の経済の動向にかんがみまして、景気浮揚対策といたしまして、追加したものでございますし、かつ、いずれも全額民間資金ということで、正確に予算措置関連いたします政府資金や国庫資金というものを充当をいたしたものではないわけでございます。また、その性質から言いまして、早期に事業執行ということが必要であるというような点から、配分の内示というようなこともいたしたわけでございますが、国の補正予算に伴いますところの関連というものも含めまして、国が補正予算を閣議決定いたしました十月三日に地方債計画として修正をいたした次第でございます。それを本日お手元に御配付申し上げたということで、これらの資料につきましての取り扱いというものについて、もっと細心の配慮をすべきじゃないかという御指摘、この点につきましてわれわれといたしましてもよく承りまして、将来も考えてまいりたいと存じますが、今回はそういうような意味で、国会の御議決というものと直接の結びのない縁故資金というものだけというような点もございますのと、これはちょっとあれでございますが、それ以上に急ぐというよう点から機会がなかったということでございまして、御連絡というような点についてはこれからは細心の配慮をしてまいりたい、かように存じます。
  29. 山田芳治

    山田(芳)委員 普通ならいいのですけれども、河川五百億なんて、川は御承知のように非常に金がかかりますから、やるならこれをもっと思い切って、道路の方の千五百億をむしろ逆に河川でやった方が、同じ公共をやるなら、そこまで踏み切る。いままで河川の単独事業というものに起債などというものを認めていない。むしろ補助事業の裏負担というものに認めていたわけでしょう。道路についてもいままでは、さっきも言ったように特定財源もこれあり、これは精査すると、地方団体ごとに言うと、そう言ってはなんだけれども特定財源を必ずしも全部使い切っていない部分も、交付税の財源を入れたら使っていない団体だってあるかもしれないと言われているぐらいなんですから、相当あるのですよ。だからむしろ河川なんかにもつとそこまで思い切った発想の転換をやるというなら、私は意味があると思うのですよ。むしろ道路よりもいまや河川だ、私はそう思っています。公共事業だって道路は道路特定財源があるものだから非常に伸びるけれども、たとえば同じ五カ年計画でも二十八兆とか三十兆というのは道路でやれるけれども、河川の場合は七兆だとかそういうようなきわめて少ない五カ年計画の総枠しかとれない。というのは特定財源がないからですから、しかし河川の改修というものはわれわれの生命、財産にきわめて密接な関係があるのですから、五百億などと言わないで、むしろ道路の方に回している起債原資を河川に回す方が、私は景気浮揚策としても適切じゃないかと思います。  きょうは時間が限られておりますし、ほかの質問をしますので、この起債の問題についてはまた別途やらせていただきますが、そういうふうに発想の転換を考えておられるのですから、これはこの委員会だけではなしに、御説明を受けていろいろそういう考え方について十分討議をして、よいものはもっと伸ばす必要もあるだろうという点も含めて、もう少し御連絡をいただきたい。発想の転換をされているのじゃないかということを指摘しておきますから、今後はひとつその点を十分配意をいただきたいということであります。  次に、厚生省の松浦局長さん来ていらっしゃいますか。——それでは有田市の問題について質問をいたしたいと思います。社労委員会からこちらへ来ていただいておりますので、時間は三十分以内で切り上げたいと思います。  本年の六月十五日に有田市の港町というところにおいてコレラが発生をして、非常に多くの患者、百人を超えるというような患者数に広がって、この間六月十七日には世界保健機構、WHOの汚染地域に指定されるというような状態になったことは御承知のとおりであります。第一次発生と同時に、もちろん国、政府当局は当然でありますが、県、市等の自治体、官民一体となった防疫活動によって、七月二日に一応解除され、七月十一日には最後の患者の退院によって終えんを迎えた、こういうわけであります、  ところが、大体コレラというのは、検疫法という法律があるわけでございますが、この検疫法の第二条を読みますと、「この法律において「検疫伝染病」とは、コレラ、ペスト、痘そう及び黄熱をいう。」こういうわけですね。そして第一条には「国内に常在しない伝染病の病原体が船舶又は航空機を介して国内に侵入することを」防ぐと書いてある。だから、もともとはコレラというものは国内に存在をしないということであります。したがって、航空機なりあるいは船の到着する空港なりあるいは港なりにおいて検疫を強化することによって、水際で防ぐというのがいまの防疫体制のあり方になっているわけですね。ところが有田市においてかくも多くのコレラが発生をしたということは、検疫という国の仕事が十分行われなかったから、有田市という地方自治体が汚染をされ、そこの住民が非常に迷惑をこうむり、そこのいろいろの生産物等にも悪影響を与え、有形、無形のはかり知れざる損害を与えた、こういうふうに思うのですが、防疫、検疫が不十分であったからこういうコレラが発生をした、国の責任がこのコレラの発生には問われるのではないか、そのように思うのでありますが、この点について政府考え方をまずお尋ねをいたしたい。
  30. 松浦十四郎

    ○松浦(十)政府委員 ただいま先生、コレラの問題につきまして、検疫がしっかりすれば入らないんじゃないか、こういうお話だと思うのでございますが、実はコレラという病気は潜伏期があるわけでございまして、その潜伏期はいま大体WHOいわゆる国際保健機構でございますが、そこのところでは五日ということになっております。そうしますと、現在のように飛行機が発達しておりますと、実際にコレラが存在している地域から数時間でわが国の空港へは着いてしまいます。そうしますと、そこでは当然潜伏期五日以内の方がいっぱいある可能性があるわけでござざいます。そういたしますと、五日なら五日という日にちがたちませんと発症しないわけでございますから、その潜伏期の間は菌が証明できないわけでございます。そうしますと、向こうをお立ちになる前に感染して、そのままこっちへ来られたということでありますと、少なくとも現在のわが国の検疫では発見することは不可能でございます。もしどうしても見つけろということならば、外国から帰った人は全員五日間空港にとめておく、そして、それから菌の検索に二日かかりますので、一週間はいてもらう、こういうふうなことになるわけでございまして、そうやれば防げるじゃないか、こうおっしゃると、全く防げるわけでございますが、現実の常識問題として、とめ置くということは不可能なわけでございますので、そういう意味から、これは水際で必ずとめられるはずだ、こうおっしゃられましても、技術的には水際ではとまらない、こういうのが実態でございます。
  31. 山田芳治

    山田(芳)委員 潜伏期間があるから、感染者が日本へ来た場合、ある程度抑えることは不可能であるという答弁はわからぬではありませんが、問題は、コレラというものは日本の国内に存在していない、したがって外国から持ち出されている。そうした場合のこういったコレラの患者が発生をしたということによって有形無形の非常な損害を受ける場合において、これはどこに責任があるのかという問題をいま私は提起をしようとしているわけでありますが、いまの法律制度の立て方は、少なくとも検疫というものの責任が国にある限りにおいては、それが現実に不可能であるとしても、そこから発生をしてきているという原因が確かである限りにおいて、それから発生したところのいろいろの被害については、国が第一次の責任を持って全面的にこれを補てんをしていくという考え方に立つべきものではないのかということについてはいかがでございますか。
  32. 松浦十四郎

    ○松浦(十)政府委員 ただいま申し上げましたように、第一次の患者が国内で発生してしまう、外国から移入するわけでございますから。それはただいま申し上げたような理由で不可能に近いということだと思います。  ただ、問題は第二次以下の患者が出るということに問題があろうかと思うのですが、実際問題としまして、コレラという病気を考えてみますと、この病気が蔓延するのにはいろいろな条件があるわけでございます。それで、実際、最初に患者を発見して、それをどう処理するかという問題、あるいはその地域の特に環境衛生関係でございますが、そういうところがどうなっているかということが非常に影響いたします。そういうことで、必ずしも入ったからすぐ蔓延するということではないと思います。むしろ、それ以外のいろいろなファクターがそこに絡み合いまして、そして第二次患者以降の発生、こういうことになるわけでございます。ですから、そういう面からしまして、ストレートに入ってくるのを防ぐことは不可能でございますので、それが入った後どのような状況になるかというところにいわゆる二次患者以降が発生する原因があろうかと思います。そこのところは必ずしもストレートに国が入れちゃったからだというふうに私どもは考えておらないわけでございます。
  33. 山田芳治

    山田(芳)委員 いまのお話ですと、コレラ菌が国内に持ち込まれても、いわゆる第二次感染というか、蔓延をするためには、その地域地域の条件があって、そういう条件に適合したようなところは蔓延をするのだというようなお話ですけれども、しかし、これはどういうところがどうなんだというようなことを、日本国内全体がコレラならコレラというものの汚染地域になる可能性があるのだから、常に伝染病予防法にいう清潔保持などということを全国的にいつもやっておれというようなことを政府は指示をしておられるわけじゃないですから、たまたまそういう地域があったから蔓延をしたということですね。そういうふうに理解してよろしいわけですね。
  34. 松浦十四郎

    ○松浦(十)政府委員 ただいま申し上げました地域というのは、いろいろな意味合いを含めまして、たとえば患者を発見して隔離するやり方とか、そういうことも含めましてのそれぞれのそのときの条件、こういうことでございます。
  35. 山田芳治

    山田(芳)委員 今度の有田市の場合にわれわれがいま問題にしているのは、現実に百人を超える多くの患者が出てきて、他の府県からも、他の市町村からも応援を求めて防疫関係の支出をたくさんしている。たまたま有田市という地域において蔓延をしたから、有田市が非常な損害を受けているという形になっているわけですね。これが有田市ではない場合もあり得るわけですね。どこかの地域の人が外国へ行ってたまたまコレラ菌を保有して帰ってきたらそういうふうになるわけです。ですから、これは地方自治体の責任だとは私は思わない。むしろ、そういう偶然的な要素、不可抗力的要素によって蔓延をした。しかも、これだけのコレラの患者が蔓延をしたというのは、恐らく近代日本になってのわれわれの知る限りにおいては、有史以来最大の出来事であるというふうに思うのですが、これに匹敵したようなコレラの蔓延をしたという事例はありますか。
  36. 松浦十四郎

    ○松浦(十)政府委員 過去の実例でございますが、担当課長の方から説明させていただきます。
  37. 林部弘

    ○林部説明員 戦後の例で申しますと、二十一年にいわゆる復員コレラというのがございまして、外地からたくさん元軍人であった方々が復員された時点で非常に多くの患者を出したという事例はございますが、戦後の歴史の中にはこういう事例はございません。
  38. 山田芳治

    山田(芳)委員 まあ、非常に例が少ないというふうに思うわけですね。したがって、今度のコレラについては、いま申し上げましたように、防疫関係の支出だけでも、私の手元にあるのは、五十二年十月六日現在で、和歌山県及び有田市を含めるその他の市町村を含めて六億四千七百万円出ている。しかるに、補助の基本額になりますと二億四千百万円で、それの国庫補助対象額が九千九百九十五万一千円である。六億四千七百万円を出したけれども、防疫だけで国庫補助が三分の二をとにかく政府が持つとしても九千九百万円だ、こういう数字しかないわけですね。六億四千七百万円も出されている、こういう実態ということで、この内容については国庫補助の対象にならないとか、いろいろ言われるけれども、たまたま有田市においてこれだけのコレラが蔓延をし、しかも、たまたま有田市ということで、その周辺の市町村がこれだけの支出を強いられているということについて、厚生省はどういうふうにお考えになりますか。
  39. 松浦十四郎

    ○松浦(十)政府委員 ただいままで私どもが県からの補助金の申請を受けましたところで、防疫関係でございますが、総事業費四億一千万円でございます。それで、伝染病予防に関しまして、県の事業分につきましては二分の一、市町村の事業分につきましては三分の一という負担割合で補助をすることになっておりまして、ただいま申し上げました四億のうち、国庫補助の対象事業費ということで二億四千二百万、それにつきましてただいま申し上げました二分の一あるいは三分の一の負担分を概算交付いたしまして、その額が約一億九万円、こういうことでございまして、これは現在の伝染病予防に関しますところの国庫補助の規定をそのまま適用してその中でおやりいただく、こういうふうな考え方で概算の交付をしたところでございます。
  40. 山田芳治

    山田(芳)委員 あなたのお手元では大体四億と言うのですが、私の方では市町村分だけで四億、県分が二億四千五百万、合わせて六億四千七百万という数字になっております。これは突き合わせをしなければいかぬ。それにしても、四億というあなたのお手元の数字にしても、そのうちの約一億しか国庫補助対象にしていないわけですね。あとの三億は地方団体の負担という形になるわけですね。一体、いまの地方財政のもとで、国が一億で地方団体が三億、三倍も出すというだけの余力があるというふうにまずお考えになるかどうかが第一点。  いまお話を伺うと、戦後一度あったようでありますけれども、これだけ安定をした日本でこれだけの大きなコレラの騒ぎ、コレラの災いというものがあったことはないのであります。災害でも、たとえば有珠山の災害ということをこのごろ盛んに言われますが、これは激甚災というのがありまして、激甚災にかかわる法律によって特別にそういう場合には高率補助を適用するという方途があるわけです。いまあなたの手元の四億の数字でも、私の手元の六億の数字でも、いずれにしても国庫補助の額が非常に少な過ぎる。しかも、このことは有田市の責任においてやる、あるいは和歌山県の責任においてやるのだというだけの問題ではないと思うのですね。政府みずからがもっと積極的に、親切に手厚く措置をしてやるべきだ。いまの伝染病予防法の範囲内でございますというお話ですけれども、こういうような激甚災と同じような内容のものであるなら、厚生省みずからがやはり激甚災と同様の措置法律改正してでもやって、大蔵省から予備費でも取って、そして措置をしてやるべきだというふうに思うのですよ。いまの地方財政の現状というのは先ほどからるる言っているような大変な借金財政で、当面を糊塗してやっているという状態ですね。それは地方財政全体から言えば額はそうでもないけれども、個々の地方自治団体、有田市とか和歌山県という個々の地方自治団体にとってみれば大変な額になるのですからね。法律をもっと改正して、補助対象の拡大あるいは法律というものをもっと弾力的に運用する方法等、激甚災並みの補助率というようなことを県や市町村の要望に沿ってやっていくという意思はありませんか。
  41. 松浦十四郎

    ○松浦(十)政府委員 いまのところ、私どもといたしましては、この伝染病予防法の法律で決められた枠内でやるという考え方であります。
  42. 山田芳治

    山田(芳)委員 なぜそうですか。これだけの激甚災と見られるようなものを、積極的に有田市や和歌山県のために法律の一つぐらい直して、親切な国庫助成体制というものをどうしてとれないのですか。いまあなたのお手元で四億、四億でありながら一億でしょう。三億のものを地方団体で負担をしなければならぬという状態なんですよ。しかも、この内容は有田市や和歌山県が責任を持つものだというような内容ではないでしょう。それは国の責任だけだというふうには私も言いません。いまお話しのように、いろんな複合的な条件が重なったのかもしれない。しかし、それは有田市や和歌山県が、たまたまそこで起こったから何か運が悪かったのだということで済まされるべきものじゃないと思うのです。  自治大臣、ひとつ国務大臣としていまのやりとり、地方自治団体の財政の状況を含めて、一体どうお考えになりますか。
  43. 小川平二

    小川国務大臣 今回の集団コレラ、これはお言葉のとおり、防疫史上余り前例のない事態であると承知しております。  地方財政のはなはだ窮迫した状況のもとで、関係地方団体からは補助率の引き上げあるいは補助対象の拡大ということについて非常に強い要望に接しておるわけでございますが、自治省といたしましては、こういう要望に対しまする関係省、厚生省の対応をしばらく見きわめてみたい。自治省といたしましては、特別交付税であとう限りの配慮をするつもりでございます。  特別立法の動きがあるということも承知いたしておりますが、少しくこの推移を見守りました上で、いずれにしても適切な処置を講じてまいりたい、こう考えております。
  44. 山田芳治

    山田(芳)委員 まあ自民党さんの中にも特別立法をすべきであるという意見のあることも私ども伺っております。また、自治省においても特別交付税はいろいろのむずかしい面があっても考慮されるというふうにも聞いていますが、肝心の厚生省が非常に冷たいと思うのですよね。いまのところはそういうことは考えていないというのですけれども、どうして考えられないのですか、考えてやるだけの努力をどうしてされないのか、もう一遍答弁してください。
  45. 松浦十四郎

    ○松浦(十)政府委員 先ほど申し上げましたように、これはいろんな条件、その地域地域の条件というのが非常に大きく作用してこういうふうな流行が起こるわけでございます。そういう意味からして、国がそれだけストレートな責任があるというふうには考えられないわけでございまして、ただいま大臣からお話がございましたように、自治省の方でもいろいろ考えられる手だてがあるというふうにも考えますので、私どもとして先ほど申し上げたようなお答えを申し上げた次第でございます。
  46. 山田芳治

    山田(芳)委員 それはおかしいので、自治省が考えるのは第二義的なんですよ。第一次的には厚生省が考えて、足らざる点は自治省が考えていきますというのが特別交付税の制度でして、特別交付税というものは主管の省がまずやって、それからあと足らないところはひとつ特別という調整でやりましょう、こういうことなんですからね。こういう例を見ない集団発生をしたコレラに対しては、厚生省がまず県や市町村の要望を聞いて、先ほどから何遍も言っているように、四億出したとしても——私は六億だと言うんだが、四億を出したとしても一億しか国庫補助がなくて、三億も地方団体が出すということについては、これはいまの地方財政のもとにおける有田市や県というものは、非常に財政の苦しい中、しかも、たまたま有田市であったり和歌山県であったということだけであって、何もこれは地方団体の責任だというふうには必ずしも思わない。もちろん一銭の負担もしないというわけじゃないけれども、いまの負担が余りにも国の負担が少ない、地方の負担が多い。だから、せめて激甚災並みのような法律、災害においてもそういう特別立法があるんだから、そういう立法ぐらいは、せめてできるかできぬかは、大蔵省ががんとして聞かないのだというのならそれも一つのあれであるかもしれないけれども、厚生省みずからがそれぐらいの努力をどうしてできないのですか。私はどうしてもその点が納得できない。もう一遍ひとつ答弁してください。
  47. 松浦十四郎

    ○松浦(十)政府委員 この問題につきまして、党のサイドでもコレラ問題の対策本部というところがあったわけでございます。そこらでいろいろと議論もあったわけでございますが、いままでのところの推移はただいま申し上げたような形でございます。
  48. 山田芳治

    山田(芳)委員 自治大臣、ひとつ閣議の席等で一遍この問題を出してください。これはいまの厚生省の答弁では私は納得できません。これはどうしてもいかぬというなら社労委員会へ行ってまたやらせてもらいますけれども、いまお聞きのように、四億からあって一億しか国庫負担にしないのでしょう。三億というものが有田市で持たなければいかぬ。もちろん特別交付税を親切に配分していただけると思いますけれどもね、私はこれは限界があると思うのですよ。特別交付税には枠があるんだし、限界がある。やはりこれは激甚災ぐらいの特別立法をしておいて、それを適用するかどうかはその都度判断したらいいのであって、災害に対する激甚災の指定というものは閣議でおやりになるわけですから、それと同じように、ひとつコレラとかこういう伝染病の特定地域だけが非常な被害を受けたときには、激甚災的な要素のものに対して閣議で指定をしたら一定の補助率のかさ上げができるくらいの立法をいましておくべきだと私は思うのですよ。党が云々とおっしゃるけれども政府としてそういうことを考えられないかということを国務大臣としてもう一遍ひとつ自治大臣に伺いたい。もしそういう考え方が正しいとおっしゃるなら、ひとつ閣議の席で明確に発言をして、厚生大臣にも連絡をしていただきたいと思います。
  49. 小川平二

    小川国務大臣 御発言の御趣旨は十分理解をいたしておりますので、さらに関係省と問題を詰めました上で、必要とあらば閣議で発言もいたすつもりでございます。
  50. 山田芳治

    山田(芳)委員 財政局長さんも厚生省とか大蔵省と一遍この問題について、地方自治体の財政としてきわめて大きな問題なんで、ひとつ努力をしてくださいよ。ひとつその決意のほどを……。
  51. 山本悟

    山本(悟)政府委員 御指摘のとおりの態度で処理をいたしたいと思います。
  52. 山田芳治

    山田(芳)委員 不十分ですけれども、次の質問がありますからあれいたしますけれども、どうも厚生省の答弁がはなはだ不満であるということだけひとつ申し上げておきます。
  53. 木村武千代

    木村(武千代)委員 ちょっと関連で。
  54. 地崎宇三郎

  55. 木村武千代

    木村(武千代)委員 まず厚生省にお尋ねいたしますが、いまの山田さんの質問の中で、厚生省からの答弁で被害が四億一千万、こう言われましたが、県が四億一千万ですか。
  56. 松浦十四郎

    ○松浦(十)政府委員 私どものところへ申請がございましたのは、四億一千万でございます。
  57. 木村武千代

    木村(武千代)委員 私の方へ県の方から数字が来ておるのは、いま山田さんの言われたように六億四千七百万ぐらいになっておるのですがね。そこに食い違いがあるわけです。どっちが本当か、後で山田さんが詰めるはずだからそれは置いておきましょう。  そこで、四億一千万のうちで補助対象になるのが二億四千二百万と聞いておるのですが、これは本当ですか。
  58. 松浦十四郎

    ○松浦(十)政府委員 そのとおりでございます。
  59. 木村武千代

    木村(武千代)委員 そうすると、対象外のものが一億六千八百万できるわけですね。これはどういうぐあいにお考えになっておるわけですか。
  60. 松浦十四郎

    ○松浦(十)政府委員 法律に基づきまして補助対象とする基準がございます。その基準に照らし合わせまして対象外になっている、対象内である、こういうふうに私ども査定いたしたわけでございます。
  61. 木村武千代

    木村(武千代)委員 そうすると、対象外のもののいわゆる救済方法というのは厚生省としてどういうぐあいに考えておりますか。
  62. 松浦十四郎

    ○松浦(十)政府委員 これは先ほど申し上げましたように、たとえば農産物安全のPRといったようなもの、これはストレートの防疫対策の問題ではないわけでございまして、食べ物は安全だよ、こういうふうなポスターなどつくったということになりますと、これは防疫ということにストレートに関係ございませんので、それは私どもの防疫対策とは別の次元の話である、こういうふうに考えております。
  63. 木村武千代

    木村(武千代)委員 それでは四億一千万円としてもその対象外が一億六千八百万もあれば、その分についてはいま自治大臣言われたように、特別交付金でもこれはやってもらわなければいかぬということになるのですが、それについて自治省はどういうぐあいにお考えになっておりますか。
  64. 山本悟

    山本(悟)政府委員 一般的に伝染病の防疫対策費、通常のベースのものは普通交付税等にも単位費用で算入をいたしておるわけでございますが、非常に大量にかたまって出た場合には、最近でございますとそれほど大きなものというものは全国的に発生いたしておりませんので、一定のルールによって特別交付税によって措置ができる範囲程度で従来は済んでいたわけでございますが、今回は非常に特異な事例として非常に集中的しかも各種事業といいますか、対策をとられた事案でございまして、従来のベースのもので単純に全部特別交付税の中で見れるという範囲に入るのかどうか、これはもう先ほど来大臣も申し上げましたように、各省の対策というものを見ましてその上での最終判断をいたしたい、かように思っておるところでございます。
  65. 木村武千代

    木村(武千代)委員 そうすると、特別交付税の対象にならないものがもし出てきた場合にはこれは大変なことになるので、ここに負担をすべきものでない数字が出てきて、結局、県やそれから市が負担をしなければいかぬという状態になるのを政府の方ではお認めになった上での御答弁でございますか。
  66. 山本悟

    山本(悟)政府委員 現在の地方財政の制度から申し上げまして、一般的に防疫対策に関する経費ももちろん交付税とそれから税収、一般財源措置をしていく、かようなたてまえ、それに対しまして一定の負担割合によって負担金を出す、こういうたてまえになっておるわけでございまして、全部が全部交付税だけに入ってくるというようなシステムといいますか、そういうことにはなっていないと思います。  ただし、先ほど来申し上げておりますように、主管省におきますところの対策というものを見きわめまして、その団体の財政全体の問題といたしまして、最終的に特別交付税で困難を来さないようなかっこうで処理をする必要はあると存じますけれども、しかし、それよりも以前の段階といたしまして、こういったような激甚災害に匹敵するような、特定のところに集団的に起こったというような場合の措置につきましては、国庫補助率あるいは国庫補助対象の問題といたしまして、国の方も通常のベースとは違った負担というものができないのかどうか、こういうようなことも考えていただきたいという希望は私どもとして持っておるところでございます。
  67. 木村武千代

    木村(武千代)委員 いまの御答弁によりますと、将来は、伝染病予防法の規定によってカバーできないものがあるとすれば、カバーできるように改正するという問題が一つ残ること、それからもう一つは普通交付税並びに特別交付税の中から対象にならないところのものが出た場合においては、やはり国としては特別な措置を考えなければならないというような問題が残るという御答弁になるのでございますが、それでよろしゅうございますか。
  68. 山本悟

    山本(悟)政府委員 むしろ最終的には、特別交付税によりまして、その団体の財政運営の状況全般の問題といたしまして最終的な処理は考えざるを得ない、かようなことでございます。
  69. 木村武千代

    木村(武千代)委員 それでは現在の段階としましては、自治省としまして特別交付税というものでできるだけ考える、それができなかった場合においては、各省と相談をしましてこの問題の措置について当座の問題としては考えるというようになるわけですね。
  70. 山本悟

    山本(悟)政府委員 私ども地方財政の立場からの考え方といたしましては、まずこういった非常に大きなものが発生したときには、国庫の負担というものを通常のベースと違ったものにしていただけないか、これが先でございまして、それの各省の御措置というものを見た上で、最終的には地方財政全体としてその団体の財政事情を見て考えざるを得ない。そういう意味では第二次的あるいは最終的という意味での考え方が特別交付税でございまして、第一次的には、国の方がもっと負担してもらえないかということが第一次じゃなかろうか、かように存じます。
  71. 木村武千代

    木村(武千代)委員 それはわかりましたが、ひとつそのように努力していただきたい、こう思うわけでございます。  そのほかに、これは国務大臣としまして大臣にお願いするのですが、これはいわゆる直接被害の問題でございまして、コレラによって発生したところの県並びに市が負担をすべき直接被害の問題についていま論じておるわけです。しかしながらコレラが発生したことによって農業、水産業、商業というものに従事しておる者が非常な被害を受けておるわけです。間接的被害、いわゆる野菜が売れなかった、あるいは漁業者がせっかくとったところの魚が売れなくなった、あるいは水産物、農産物の加工業ができなくなった、あるいは商業、料理飲食店その他の小売商に影響を与えた、またそれらを運搬をするところの運搬業にも影響を与えた、こういう問題につきまして、それぞれ通産省とかその他の各省がやって、それを政府の方で補助対象になりませんと処置ないから、金融措置として非常にやられ、特別な措置を講じておるようでございますが、それについては私は多とするわけでございますが、なおそれらについて十分でなかった場合におきましては、将来それらに対して政府の方にお願いをするということがあり得るということをここでお願いをいたしまして、私の関連質問を終わりたいと思います。お答えは結構です。
  72. 山田芳治

    山田(芳)委員 いま話のあったのを整理をしますと、特別交付税でもできない部分があるし、それから特別交付税というのは、その主体の法律、伝染病予防法でもっと高率の補助という努力をした後で、なおかつ財政全般として足らざるものについては考慮をしていく、こういう考え方であろうと思うのです。ですから、先ほど私が言いましたように、激甚災に相当するような伝染病予防法の特例措置というものを、法律的に高率補助適用の道を開いて、それを適用した後で特別交付税が発動される、こういうふうに理解をされるべきものであると思うので、私どもとしては法律改正というものをぜひやってほしいし、できないまでも弾力的運用その他によって措置をされるべきものである、こういうふうに言っておるわけですから、この点ひとつ政府側もよろしくお願いをいたしたい、こういうふうに思います。厚生省の方、結構でございます。  次に、公営交通関係について質問をいたします。  去る七月三十一日、自治省では地方公営企業の昭和五十一年度決算見込み額というものを発表されましたね、ここにあります。その決算見込み額を見ますと、交通事業だけここでピックアップいたしてみますと、まず路面電車については、非常に経営が悪化をして、経営収支は年々悪化の一途をたどっておる、数字は省略いたします。それから第二番目に、自動車運送事業についてでありますが、自動車運送事業については、累積欠損金を有する事業は四十六事業で、その額は二千五十二億、前年度の千八百四十億よりも二百十二億増加をしており、全体の経営状況は依然として厳しい状況であるというのが自動車運送事業についての概括的な内容であります。第三番目の都市高速鉄道、すなわち地下鉄でありますが、累積欠損金は千六百六十九億円で、前年度比九十八億の増加である、こういうふうになっております。いずれにしても非常に厳しい状況公営交通は置かれているということであります。  その原因については、公営企業一課長の金子さんの通牒の中にも書かれておりますから、その点を考慮しても、そこにもありますように、企業内部の努力だけでは限界があるというふうに私どもは考えておる。このことは毎回指摘をしておるわけでありますが、この内簡の趣旨からいっても、単に公営企業内部だけの努力とか措置では限界があるというふうに思うわけでありますが、こういうような公営交通が厳しい状況であるという原因については政府としてはどういうふうにお考えになるか、ひとつこの際お答えをいただきたい。
  73. 砂子田隆

    ○砂子田政府委員 ただいま山田委員の方からお話がございましたが、交通事業の問題につきましては、お説の数字のとおりでございます。  この解決を図りますためには、企業内部の努力はもちろん必要でありますが、お話しのとおり、企業の外部を取り巻く環境、これもやはり整理をしなければいかぬと思います。そういうために、専用レーンでありますとかあるいは優先バスのレーンでありますとか、そういうことを各省にお願いをしながらこの事業を進めていくということが大変大事であろうと思います。もちろん企業内部におきましても、それぞれの効率化なり合理化なりを進めるということも大変大事であろうと思いますので、この両方を兼ね合わせながら総合的に交通事業の再建が図れるということが大変重要であろうと思っております。
  74. 山田芳治

    山田(芳)委員 この内簡ですが、これを読むと、いまあなたもおっしゃったように、内部でもっともっと合理化をしなさい、たとえばバス路線の再編成とかいろいろ民間との比較をしまして書いてあるわけです。いま日本で一番問題の政治の焦点は何かというと、非常な不況である、そうしてその中から雇用の問題をどうするかということが論議になっているわけです。確かに公営交通は民間に比べれば一車両当たりの従事する人員が多いとか、一人当たりの従業員の給与が高いとかというようなことはこの内簡に書いてあるけれども、もっともっと合理化をしろ努力をしろということは——もちろんむだなことをなくすということならいいのだけれども、何かこう無理無理合理化をして、首を切ったりあるいは路線というものを廃止をしていくというようなことになると、これは雇用の問題にも響いてきますし、住民の足にも響いてくる問題があるので、単純に合理化だけで物が済むというふうに考えることは非常に問題があるということが一つ。  それから、民間と比較されるわけだけれども、民間にはそれは確かに厳しい資本の原理が働くでしょう。しかし。公営交通には単なるそういう経営上の問題だけではなしに、たとえば地方には地方の議会があって、採算というようなものをある程度越えて住民の足を確保するという要請もある。だからこそ、後で触れますけれども、行政路線の問題というものを提起をされているというのもその事情を物語っていると思うのですよ。だから、それは民間と公営とを比較をするということになると、ある意味においては非合理な面もあるじゃないか、もっと努力をしなければならぬ面があるじゃないかというふうに、単純に見ればそうかもしれない。しかし、公営交通は民間で果たせない役割りを持っているのだということで考えていかないと、それを単に民間と同様に、合理化をするべきだというようなもしこの内簡の趣旨であるとするならば、雇用の問題というものを含めて、住民の足という問題を含めて、非常に問題を起こすおそれがあるというふうに私は思うのですが、その点はどうですか。
  75. 砂子田隆

    ○砂子田政府委員 もともと再建計画を立てます場合の一つの基本方針といたしまして、当初から新たな赤字は生じさせないということが一つ大事なことです。もう一つは、可及的近い年度に経常収支が均衡が図られるということが非常に重要であって、このことが一つの計画をつくるときの基本方針として出されたことはすでに御案内のとおりだと存じます。  そこで、今回の再建計画の変更の取り扱いにつきましては、その中身に添えまして、一つは、不良債務というものを増加させないということが大変大事です、もう一つは、この計画をもし見直しをする、石油ショック以来の問題もありますから、見直しをするという必要もあります。そういう点からこの計画の取り扱いについて課長の内簡を出したわけでございます。その中身に添えまして、いまお話がありましたように、民間との比較ということを申し上げておりますが、いまバス事業をやっておりますのは民間しかないということでございまして、一般の公営地下鉄なんかと違いまして、一番比較しやすいところにある。ですから少なくともそれを参考にしてもらえるということは一つの方法として大事なことだと思っております。そういう意味で実はこの内簡を出したわけでありまして、計画を国が承認をし、市町村が、団体がそれぞれ計画を議会の議決を経て出してきて、それでお互いに承認をしておるということですから、国と地方とがやはり信義誠実に基づいて計画を遂行していくということが私は大変大事なことだと思っております。そういう意味で実はこの内簡を出しておるわけでございます。
  76. 山田芳治

    山田(芳)委員 おっしゃるように、不良債務を増加させないこと、だれもそのこと自身は、無理して増加させるという意思もあるわけでもなければ、別にどうということではない。ただ、先ほど私が一番最初に伺ったように、いまの公営交通というのは、単に内部の合理化とか内部の努力だけで問題が処理されているのではなくて、たとえば交通環境という問題がきわめて大きなウエートを持っているということは事実ですね。たとえば時刻どおりになかなか走らないということでどんどん乗客が減ってくる。この地方公営交通の五十一年度決算見込みを見ても、乗客は横並びかもしくは減っているということを書いてあるわけですね。このことは、交通環境の悪化の中で、これは交通の従業員や交通の経営主体の責任だとは私は思わないのですよ。やはり交通を取り巻く環境の中で、時間どおりやってこない、非常に遅延をする、それからいつ来るかわからない、そういうようないろいろな悪条件が重なるので、乗客が横並びもしくは減ってくるという事態を生じているので、それは確かに再建計画を改定するときに不良債務の増加をだれも好んで、増加させないということについてはこれはあたりまえのことだけれども、不良債務を増加させたくなくてもさせざるを得ないような客観的な事実があるんだということを十分知った上で訓示的な意味の通牒であって、お互いにひとつ経営側とも努力をしながら、話し合いながらできるものはしていくという趣旨であるなら、これはそれなりの努力はお互いにしていかなければならないことは当然のこととして、その程度の意味に理解をしてよろしいかどうか、もう一遍。
  77. 砂子田隆

    ○砂子田政府委員 いまお話しの部分を多分に含んでおります。含んでおりますが、やはり社会一般的にバス事業を見ておりますと、先ほど申し上げましたように民間のバスというのがありまして、一番手近に国民全体が比較をするものがそこにあるということは一つ大事なことだと私は思います。そういう意味で比較をしておるというのが内簡の趣旨でありますが、基本的には、いま申されました表定速度がおくれておりますとか、乗客が減っておりますという事実は私たちも知っております。ですから、これに対応する計画をどう立てるか、路線の変更をするか、あるいはいろいろな系統のあり方を変えるか、その辺もやはりいろいろみんなで考えてほしいという意味でこの内簡を出しているということであります。
  78. 山田芳治

    山田(芳)委員 確かに、民間と比較するといっても、民間はたとえば路線を切ると言ったら比較的これは、もちろん運輸省の認可が要るけれども、それは住民が反対と言うてもそれほど、経営ができないのですからということでやれるわけですよ。ところが公営の場合には御承知のように議会もちゃんとついている、住民もついているということで、そう簡単にはいかない。それじゃ給与についても、これは年齢の平均その他またいろいろややこしい問題がありますからそう単純に比較すべきものではないと思うのですよ。だからそういう意味では公営には公営の一つの特殊性があるということを前提として、できるだけ不良債務を増加させないようにお互いに努力しましょう、そして合理化というか、より便利な方法があるならこういうことも考えなさいということで、お互いに自治省も一緒になって考えましょうという趣旨ならわかる。ただ内簡として頭からぽんとやってしまうと、つい管理者の方も、自治省から来た通牒というのは金科玉条で、法律以上に権威があるぐらいの通牒だと思っているのですから、そういう点を配慮してもらいたいということを言っているわけです。その点どうですか。
  79. 砂子田隆

    ○砂子田政府委員 そういう趣旨に御理解になって結構です。
  80. 山田芳治

    山田(芳)委員 次に、五十三年度予算編成関連をして質問いたしますが、まず第一に地下鉄の問題であります。  いま自治省と運輸省とでそれぞれ話し合って、昨年、自治省が一歩前に出た要求をしてわれわれ、も大いに結構である、バックアップしたいということを申したことがあるのですが、運輸省が一歩後ろに下がっておったわけですが、ことしはそういうやり方であってはならないということで先般の質問を私がしたときも、自治省も運輸省もともに研究会をつくって相談をしながら、とりあえず要求要求としながらも、自治省要求と同じように運輸省が足並みをそろえて要求をしていきたい、こういうふうに言っているわけでありますが、その内容としては、補助対象としては公営地下鉄のトンネル部分を総建設費の七〇%とするということを目標にして、補助率は国が三分の二、地方が三分の一とするという考え方に立って、来年度予算要求をしてほしいということで、当委員会においても先般政府質問をいたしましたところ、両方で話し合いをしながら進めていくということであります。すでにもう概算要求の時期が過ぎており、いよいよヒヤリングをやっている段階であり、十二月の中、下旬には決まるわけですが、自治省と運輸省の話し合いの経緯並びにいつごろその結論が出るか、そして足並みをそろえてやっていかれる見通し等についてまずお伺いをいたしたいと思います。これは運輸省からも自治省からもお伺いいたします。
  81. 砂子田隆

    ○砂子田政府委員 お話のように、公営地下鉄の問題につきましては、そういう趣旨に沿った要求をただいま大蔵省にいたしております。ただ、この公営交通地下鉄の問題につきましては、現在運輸省におきまして大蔵省と鋭意検討を進めている段階でございます。自治省におきましても、お話のとおり、運輸省の協力を得ながら、自治大臣の諮問機関であります地方公営企業経営研究会におきまして、現在地下鉄の補助制度の改善につきまして検討を進めていることでもございます。そういうことで、いまお話がございましたが、いま運輸省と大蔵省との詰め方、あるいは自治省大蔵省との話し合いの中で、大体十一月の早々にはその結論が出るというふうに考えております。
  82. 沼越達也

    ○沼越説明員 わが方の民営鉄道部の方で、自治省とお話し合いしながら、両方足並みそろえてこの問題の決着を図るという方向でやっております。
  83. 山田芳治

    山田(芳)委員 見込み時期は。
  84. 沼越達也

    ○沼越説明員 定かには存じませんが、少なくとも、遅くとも十一月中には決着をつけたいというように考えております。
  85. 山田芳治

    山田(芳)委員 これは非常に長年の懸案でもあるわけですから、ひとつ大臣がんばっていただきたいということをお願いをしておきます。  その次に、再建団体のバスの車両購入費は本年度をもって切れるということになっています。自治省はそれはそれとして要求をされているんですが、非常に結構なことだし、当然そうあってほしいと思うのですが、非常に大蔵省の壁が厳しいという話を聞いております。これはぜひ、五年で打ち切りというのでは、再建自体が、すでに私どもは第二次再建というものが非常に困難な事態になっているということと認識をしているわけですが、それはそれとして、とにかくこういうバス購入費の補助については引き続いて継続をしてもらいたい。ひとつそれで大蔵省と十分話し合いをして確保してほしいと思いますが、その決意のほどをひとつ伺いたいと思います。
  86. 砂子田隆

    ○砂子田政府委員 バスの購入補助金につきましてはただいまお話しのとおりでございます。四十八年度から五十二年度までの五カ年間の予定で実は行われてきたものでございますが、この間におきまして、各団体におきまして再建事業に大変力を尽くされておりまして、再建のスタートにおきます石油ショック等がなければあるいはこのままでよかったかと思いますが、その後再建のスタート直後に御案内のとおり石油ショックがございまして、再建計画に大幅な変更をもたらさざるを得なかったという事情がございます。しかし、その後、経済が安定をしてまいりまして、再建団体の経営状況も、実は先ほどお話がございましたが、中小規模の都市における団体というのはおおむね良好に推移をしているという状況からも考えましてもう一息だ、胸突き八丁のところに再建が来ていると私たちは理解をしているわけであります。こういうことでもありますので、非常に重要な段階でもありますから、大蔵省と話をいま詰めておりまして、ぜひ五十三年度はこのバス補助金がとれるようにいま最大の努力をしているところであります。  それから先ほど十一月早々と申し上げましたのは、公営交通の研究会の結論が十一月早々出るだろうということでございますので、予算の確定はいずれこれは閣議で決定されることでございますので、先ほどの発言はそういうことでございましたので訂正いたします。
  87. 山田芳治

    山田(芳)委員 いや、私の質問したのは、運輸省が本来要求すべきものを自治省が一歩前にやっているわけですよ。それで、両方で話し合って、運輸省の予算要求を変えるというお話がこの前あったわけですから、それの結論を得て、いつ運輸省が変えるのかということを質問したわけです。それが、十一月の初めに結論が出た後で十一月中ぐらいには大蔵省に対して改めて要求を出し直すというふうな趣旨のように承ったのですが、運輸省、そういうことでよろしいですか。バスの購入費については五年でというけれども、先ほど話のあったように石油ショックその他の事態があって、非常に計画それ自身が、自治省が思っていたような状況ではないということは事実なんだから、これはひとつどうしても確保してもらいたいということを自治大臣、よろしくお願いをいたします。
  88. 小川平二

    小川国務大臣 交通再建がただいま政府委員から申し上げましたようにきわめて重要な段階に差しかかっておりますので、あとう限り努力をする決意であります
  89. 山田芳治

    山田(芳)委員 次に、再建団体における利子補給と交付税上の元金の繰り入れについて現状はどうなっているのかということが一点と、どうも全体として約六五%ぐらいのものが繰り入れられているというふうに言われるんだけれども、なかなかそれが、財政当局はわかっておっても管理者あるいは組合の諸君等ははっきりしないんです。この点、ひとつこの席をかりて、この際傍聴人の人もおりますから、まず明確に答えていただきたい。
  90. 砂子田隆

    ○砂子田政府委員 交通事業の再建の利子補給並びに交付税の問題につきましては、前回も山田委員が御質問になっているようであります。  今回の五十二年度事業をいま見ておりまして、大体利子補給では要求の八六・五%ぐらいがこれに応じられる。それから交付税につきましては前の御質問にございましたが、自治省といたしましても元金四〇%の繰り入れを五〇%に引き上げたいと思っております。そういう意味で総計といたしますと、約六五%近くのものが公共団体にいくことになると思っております。
  91. 山田芳治

    山田(芳)委員 いまの点をもう少し明確に管理者等に通知をされているのかどうか、その点はどうですか。
  92. 砂子田隆

    ○砂子田政府委員 これは既定の事実でございますから、皆さんが計算をなさればわかることでして、五十二年度の額で申し上げますと、五十二年度当初予算にすでに四十一億の利子補給の額が計上されております。恐らく交付税の額が五十二年度で、先ほど申し上げました五割に上げますと三十二億九千万、約三十四億になると思いますから、合計で約七十五億ぐらいの金が出ていくことになると思います。
  93. 山田芳治

    山田(芳)委員 六五%というのは高率だというふうに考えられるかもしれないが、都市交通の現状から見て、たとえば辺地債は八割、過疎債は七割、同和対策債は七割というふうになっているわけですね。だから、七割までいって悪いということはないんですよ。六五%を当面たとえば七〇%に上げるという努力は、もちろん交付税総額の問題もあろうけれども、これはひとつ努力をしてもらいたいというふうに思うのです。こういうところでひとつ再建団体を後ろからバックアップしてほしい。一方では相当厳しく締め上げるんですから、財政的には相当めんどうを見てやるということが必要だと思うのです。六五%である、これも逐次上がってきたということもわかっていますが、なおいま言ったように過疎債なり辺地債というのは元利補給をもっと上回っておる部分もあるんですから、そこに近づける努力をされたいというふうに思うのです。この点はどうですか。
  94. 砂子田隆

    ○砂子田政府委員 バス事業自身もやはり地方公営企業法の適用を受けているわけでありますから、地方公営企業としての立場を守らなければいかぬのだと私は思います。そういう意味で公営企業の法律の適用を受けているわけでもありますから、八割がいいのか、六五%がいいのか、その辺は大変いろいろな問題があると私も思います。ただ、いままで自治省としましては六五%ぐらいの補助をしたというのは大変サービスをしたかっこうになっておるわけです。これ以上やるということも、全体の財政の問題から見て大変むずかしい問題を含んでいると思います。ただ、お話もございますから、いろいろな点で研究はしてみたいと存じます。
  95. 山田芳治

    山田(芳)委員 それはそうだけれども、再建団体ですから、準禁治産者みたいなものなんだから、しかも過去の債務なんですよ、将来に向かっての問題じゃないんだから。これは過去の問題についてたな上げをして、それをめんどうを見ていくという形だから、六五%がいいか、それこそ八割がいいかといえば多い方にこしたことはないということは論理的にあたりまえなんだけれども、努力をしてください。六五%が現在なら次は七〇%ぐらいまで努力してもらうということをひとつ強く要求をしておきます。  それからその次は行政路線の問題。これははっきり言って、この間組合の諸君とあなたと話をしたときに、いい知恵があったら貸してくれという話ですよ。お互いにこれはむずかしい問題です。公営交通は全体が行政的なものなんだ、独立採算ではないという立場に立つ者と、いや、やっぱり独立採算でできるだけやるものと言う者との考え方の差というのは大変な差で、パラレルで平行線ですけれども、その中でそれを近づけるものとして行政路線というものを置いて、それが一つの考え方を両方でアプローチしていく一つのよすがになるわけです。過疎バスに対する措置も行政路線の一環だと私は思うのですよ。それから団地のバスに対する助成というのも行政路線だと思うのですよ。それ以外にどういうものがあるのだろうかということをお互いに考えていくということによって、できるだけ都市の交通、住民の足をどうやって守っていくかということをお互いに努力をしたいと思う。それは研究会が行政路線というものを出したのだから、研究会自身がどういうことを言っているのかということをわれわれは聞きたいと思うけれども、そう言ってみても、それぞれ考え方が人によって違うようでありますから、これはひとつ行政当局と組合の諸君なんかと、何も公式の機関でなくていいから、行政路線というのはどういうものだろうかということを勉強し合う。あるいは、たとえば当委員会においても小委員会が公営企業に関して設けられているわけですね、そういうところで一遍、そんなにむずかしいことじゃなくて、行政路線とは一体どんなものだろうというような話し合いをするというように、政府側でもひとつお考えいただけぬだろうか。まあ第三者機関の経営の研究会等もさることだけれども、われわれのように、若干考え方は違っているけれども、できるだけアプローチをしていこうじゃないか、話によっては近づいていこうという努力をしようとしている者も一緒に加えた懇談会というのか研究会というのか、そういうような組織をひとつ持って、行政路線について、いままでこれについては答申はあったけれども全然手がつけられてない部分ですから、そういう点についてアプローチを一歩進めるというような考え方はどうですか。
  96. 砂子田隆

    ○砂子田政府委員 いまお話しの行政路線の問題につきましては実は大変むずかしい問題を含んでおりまして、お話しのように、過般、組合の方が来られましたときにも、行政路線について何かいい知恵があったら大いに研究をしましようかというお話を申し上げましたが、そういうものが公式的にやられる方がいいのか、あるいは、日常そういうことに携わっている方々にお集まり願って、どういうふうな打開の仕方があるかということをお互いに話し合うのがいいのかという問題はありましょうが、私は率直に申し上げまして、そういうことに関与しておられる方に随時お集まりいただいて、私たちと意見の交換をし合いながらいい知恵を出していく方がより早いのではなかろうかと思っております。ただ行政路線の問題につきましては、住民の足を確保する生活路線という意味から申し上げますと、単に公営だけではなくて民営も含めた考えをしなければならぬということもあると思います。そうなりますといろんな面で、これは財政の問題も出てまいりますし、そういう検討もしなければいかぬと思います。したがいまして、この問題につきまして、御案内のとおり、いま行政路線としてありますのは先ほどお話しのような過疎バスの問題でありますとか、新住宅地のバスということで、運輸省において鋭意これの助成措置を拡充してきているわけであります。なかなかこれ以上の問題になりますと、営業係数をどうするかとか、どこで見るかとかいう問題も各団体によってばらばらでして、一概にこれがまことにいいのだという案が出てこないのもまた実情であります。ただ、こういうことにつきましても政府としても努力をいたしておりまして、運輸省の今年度予算におきましても、過疎バスの路線補助が六十八億五千万円から七十二億にまで引き上がっております。政府としてもそういう努力をしておりますが、今後もこういうことが十分に住民の足を確保するという意味から図られますように努力をしていきたいと存じます。
  97. 山田芳治

    山田(芳)委員 いや、それで運輸省も入れて、組合の諸君も入れて、何もそんな形式張ったことを言わぬでよろしい、金がかかるのなら組合に持たしたらよろしい。研究会というものを持って、むだであってもいいと思うのですよ、お互いにそういうものをどう考えていこうかということに努力すれば、こんな内簡出さぬでも、内簡のことを組合の諸君だってわからぬわけじゃないのだから、もう少しお互いに近寄る努力をするような、正式機関になるとややこしいのですけれども、そうじゃなくて、非公式に討議する場というものを運輸省も含めてお考えになってはどうですかと私は提案しているのですが、もう一遍いかがですか。
  98. 砂子田隆

    ○砂子田政府委員 冒頭に申し上げましたように、私はきわめてフランクな立場の意見の交換が望ましいというふうに考えております。
  99. 山田芳治

    山田(芳)委員 じゃ、そういうのをざっくばらんにやる機会をひとつ持ってほしいということを運輸省にもお願いをしておきます。ちょっと一言答弁を……。
  100. 梶原清

    ○梶原説明員 先ほど来の御質疑ございました行政路線の問題でございますが、乗り合いバスは都市といわず地方といわず大変苦しい経営を余儀なくされておりまして、運輸省といたしましても、御案内のとおり、地方バス路線維持費補助、新住宅地バス路線開設運行費補助という二つの制度を逐次充実強化をしてまいっておる次第でございます。いま御指摘の行政路線の問題につきましては、非常にむずかしい問題があるようでございます。財政補助との結びつきの中で考えられるような気もいたすわけでございますが、私どもといたしましては、先ほど来御質疑にもございました公営交通内部の経営努力をさらに真摯に続けていただく、あるいはバス専用レーンの設定等、交通規制が逐次進められておりますが、さらにそれを強化をしていただく。また運賃につきましても適正な運賃水準を確保していく。それに加えまして、先ほど申しました助成制度をさらに充実強化をいたしまして、国民の足を守り、育てていく必要がございますので、関係省庁とよく打ち合わせをいたしまして、適切な行政施策を進めてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  101. 山田芳治

    山田(芳)委員 そういうことなんですよ。そういうことなんですが、だから助成制度その他によって解決をしていくんだけれども、その助成制度の方途やどういうものに対してどうするか、先ほど話もあったように、営業係数等をどういうふうにとっていくのかというようなことを非公式に十分討議をする場に、運輸省も自治省も組合の諸君もわれわれも、もしできるなら一緒に入ってざっくばらんに討議をして、行政路線というものは答申をされているけれども、具体的に一つも実現をしていないから、その手がかりをひとつつかもうじゃないかということですから、そういう機会に自治省あたりイニシアをとってやっていただきたいということを要請をしておきます。  その次に、公営交通関係の職員の本年度給与政定についてなんですが、さっきから触れているこの再建計画の変更、すなわち給与改定の問題についての内簡があるわけですね。私は従来当委員会で、第二次再建ができた昭和四十七、八年ごろ以降、ずっと国会のたびごとに、給与改定のたびごとに大臣にも質問をしお伺いをしておったのは、いろいろの条件はあるけれども、先ほどの一般職の公務員との関係もあるわけですが、その中でずっと一貫してとってきた政府の方針としては、一般職の公務員といわゆる交通の事業に従事をしている交通労働者の諸君の給与改定は、経営の状態がいろいろあるにしても、それは必ずしも組合の諸君に責任があるわけではないので、さっき言ったように客観的な情勢等に責任があるという部分もあるわけです。少なくとも人事委員会勧告等については、他の部局なり他の公務員との間における均衡を失しないということについては、大臣からもいつもそういう方針で指導いたしますという言質をいただいておるのですね。今度新しくこういう内簡が出たものだから、いままでと方針が違うんじゃないかというふうに考えられておる向きがあるけれども、私はずっと、これで数年間にわたって毎回大臣から、他の市長部局なら市長部局、他の公務員との差別を設ける意思はないという答弁を承ってきているのですが、七七賃金といわれる本年度給与改定についても同様の措置と理解してよろしいか。
  102. 砂子田隆

    ○砂子田政府委員 いまお話しのように、交通に携わる職員と一般職員との給与についてはバランスを保つようにというお話は常々聞いておりまして、そういう趣旨に基づきながら書いた内簡でございます。
  103. 山田芳治

    山田(芳)委員 大臣、いまのでよろしいですね。
  104. 小川平二

    小川国務大臣 ただいま申し上げましたとおりと御理解いただいて結構です。
  105. 山田芳治

    山田(芳)委員 それでは他の公務員との均衡を失しない、差別を設けないで自治省としては指導をしていくというふうに理解をしておきます。  次に、最後に、これはちょっと大きな話になるのですけれども、私どもの党におきましては、公営交通というものを本当に再建をしていくためには、いまのような形ではなくて、もっと特定した財源を与えながら都市の交通を再建をしていきたいということで、私も当委員会に所属して以来何遍も申し上げておったわけですが、その一つとしては事務所事業所税というものができました。そして皆様方にお願いをして、事務所事業所税を目的税として、政令の第一項には、都市交通の整備に関するところにその事務所事業所税を使用してよろしいという形を書いてもらって、一つのワンステップを越えたという感じがしたのであります。ところが、残念ながら最初は五十万——三十万まで下げて事務所事業所税が取れるようになったということは一定の前進だということであるわけですけれども、三十万以上ということになるときわめて限られているということで、事務所事業所税それ自身については、これ以上拡大をするということは法人税との関係もあってできそうもないという状態ですね。ですから、私どもとしては、全国の都市交通を持っている地方団体に、何かの特定の財源を与えて再建の方途をつくっていくというために、過般来から、御承知のようにわが党が提案をしておるところの公営交通の健全化のための特別措置法というものを考えている。その中ではいわゆる揮発油税というようなものを財源として使ったらどうだろうか。  もう一つ言うならば、自動車重量税なんかもいままでは道路財源で使っているんだけれども、そうではなくて、マイカーばかりふやしてみてもしょうがない。いまのマイカーというのは御承知のように乗車平均一・四なんです。一つの自動車に二人とは乗っていない。一・五以下なんです。一・四といわれているのですから、そんなものよりも大量輸送機関をもっと大事にしなければいかぬと思うのです。  私は先月ヨーロッパへ行きましたら、ちょうど私の一日おくれで自治省主催の公務員制度の視察団がみんなやってきました。結構だと思うのです。大いに外国へ行ってどんどん見てきてほしいと思うんだが、ヨーロッパの各国ではガソリンまで補助しているのですね。都市交通に関しては、残念ながら日本の都市交通は欧米諸国にはるかに劣っている助成しかない。なぜ日本ができないのか。ILOの本部へ行きますと、日本は分担金はアメリカ、ソ連に次いで第三番目になった経済大国ですと、こう言うのですよ。高橋展子さんもそう言う。言うけれども、都市交通に関する施策に関しては、日本は経済小国であるところの欧米資本主義国家以下であるということは、これは自治省から派遣されるいろいろな調査団の人のレポートに必ず書かれてきていると思うのです。都市交通に関しては残念ながら欧米諸国よりはるかに低いというのが日本の交通政策ですよ。だから、見に行かれるのは結構だし、どんどん見に行ってほしいけれども、それをひとつ政策に反映してもらいたいものだと私は思うのです。これは余談ですが、そういうことの一助として、いままで余りにも——先ほどもちょっと触れたように、道路財源は相当手厚くなって、道路の五カ年計画は二十八兆だとか三十兆だとかというけれども、その他の方については、川なんかは七兆とか、下水道にしても七兆というようにはるかに低いのですよ。そう道路ばかりあれをして、まだまだ不十分だということも言えるでしょうけれども、それ以上に不十分なのが都市交通なんだから、自動車重量税とか揮発油税というような特定財源公営交通の方へ回して、大量輸送機関をもっと大事にする。ヨーロッパあたりは大量交通機関を非常に大事にしていますよ。みんなそれに喜んで乗るのですよ。そういう環境にしているのですから。そういう点についてどうですか、もう思い切って、道路整備にばかり金を使わないで、都市交通のために、いままでの特定道路財源であった揮発油税とか自動車重量税というようなものを振り向けていくというような発想の転換をする時期ではないか、こういうふうに思うのですが、大臣以下関係者の御意見をひとつ伺いたいと思うのです。
  106. 小川平二

    小川国務大臣 ただいま大阪、名古屋その他多くの団体が現行法のもとで体質改善の努力をしてきておるわけでございまして、五十一年度におきましては不良債務も減少ないしは横ばいというような状況まで立ち至っておるわけでございます。今後もそういう努力を続けてもらいまして、なお不良債務が残るという状況でありますれば、その段階であるいは別の対応の仕方を考えなければならないかと存じます。御発言の御趣旨はよく理解をいたしておりますけれども、そのために新税を起こす。新税を起こすということはよほど慎重でなければなりませんし、現存の税を交通再建の方面に振り向けるべしという御要望に対しましては、この場でお約束はいたしかねるわけでございます。
  107. 山田芳治

    山田(芳)委員 財政局長どうですか、考え方として。いいですよ、政府の正式などと言わぬでも……。
  108. 森岡敞

    ○森岡政府委員 いま御指摘のように、揮発油税あるいは自動車重量税、いわゆる道路目的財源を一般財源にしてしまえという御意見もありますし、あるいは少なくともお話しのような都市交通その他、道路と非常に関連の深い経費に使えというようなお話もあります。さらにまた、最近では、エネルギー問題に関連いたしまして、油の備蓄とかそういうふうな方にもこれを有効に使うようにしろ、非常にたくさんの御意見が各界各層から出ていることはもう御承知のとおりであります。  私どもは今後の税制なりあるいは税収入の使途を考えます場合に、そういう観点からの幅広い検討というものはやはり中期的には考えていかなければならぬのではないかと思いますけれども、ただここで一つ問題がありますのは、道路財源自体が、国と地方を見ますと地方の道路財源は非常に貧弱でございます。市町村道の整備がなかなか行き届かない状態のもとで、この狭い、小さいパイの中で他の使途に使うということはなかなかむずかしいことだと思います。そういう意味合いでは、そのもう一つ前の問題として、道路財源であります揮発油とか自動車に対する課税の分量をむしろ地方に配分をふやしてもらいたい、そこから始めていきたい、そういう気持ちを持っておる次第でございまして、中期的にはやはりそういうかなり広範囲な使い道の問題についていろいろな角度から検討することは必要ではないかと思います。
  109. 山田芳治

    山田(芳)委員 運輸省、どうですか。
  110. 沼越達也

    ○沼越説明員 運輸省といたしましても、公共的に使われる大量交通機関が順調に整備されるということは望むところでございますけれども、ただお話のようにいたします場合に非常に問題になると思いますのは、自動車の利用者の広範な合意が得られるかどうかという点に非常に困難を感ずる次第でございます。
  111. 山田芳治

    山田(芳)委員 いや、税の総額をふやさなければならぬという時代の要請というのは、租税特別措置や何かの問題は前提としてあるけれども、いまの状況では税総額をやはりふやさなければならないということになる点は、私は同意が得られていると思う。  さっき森岡局長が言われたように、省エネルギーという立場から言うなら、そういうエネルギーをたくさん使うものに対しては、やはり政策誘導として税を高くして、できるだけ大量輸送機関に持っていくというような発想というのは、ぼくはこれからの日本として当然だと思うのです。これは与党だとか野党だとかいうことではなくて、そういう税総額をふやしていく、特別措置も廃止をする、それでなおかつ足らないなら、そういう選択的税制をやらなければならない時代が来ていると思います。ここではそこまでの話をしようとは思いませんが、われわれとしては、大量輸送機関をもっと大事にするためには、いままでと違った発想の特定財源というものを与えていって大量輸送機関をもっと大事にしなければ、これからの日本はやっていけないと私は思うのですよ。そういう点ひとつ賢明なる皆さんですから、われわれも勉強しますから皆さんも勉強していただきたいということを申し上げて、都市交通の問題は終わります。  最後に、若干関連質問がありましたので時間が延びて恐縮ですが、泉南市の問題を一つ触れたいと思います。  泉南市におきましては、実は関西国際空港を海上に立地をするわけですが、それの前面になっている市が泉南市なんであります。地域住民が必ずしもこの新しい空港については賛成をしておらないということで、いろいろの運動をやっているわけであります。  ところで、泉南市の庁舎横の駐車場というのがあるのでありますが、その駐車場はあいているときには貸してもよろしいというふうになっておるので、新空港観測基地絶対反対実行委員会、これは組合の諸君のグループでありますけれども、そこが泉南市長に庁舎の横の駐車場を貸してほしい、そこで集会をやりたい。これは従来からいろいろのものに非公式に使わしておったし、庁舎の使用管理規則というのがあって、申請があれば使わすという形になっておったのですが、この新しい空港を設けるに当たって、観測をする基地を設けることに反対だという組合の諸君の団体が、その庁舎の横の駐車場を貸してほしいという申請をした。これはことしの五月十九日なんですが、却下をされたんです。  ただ問題は、却下の理由が、「貴殿が反対する観測施設の設置は市の方針と相反するものであり、過去の例からみて規律ある団体とは認められない。」から却下する、こういうのですよ。この理由が私はどうもおかしいと思うのですよ。反対をする団体だから使ってもいいものだけれども使ってはいかぬ、こういうのです。それだと、これはまるで独裁国家ですよ。自分に反対するものはだめだ、自分の、市の方針に賛成するものには貸します。市の方針に相反するものであるということになりますと、それは一々その団体の思想、信条の自由、法のもとの平等という憲法違反ではないかと思うのです。  そのほかに人数がわからぬとか、日にち、時間がわからない、これは補正すればできる手続ですから、親切に何時から何時まで使うのですかと聞く、何人ぐらいですかと言えば答えると思うのです。それがはっきりしないからと、こう言うのですが、これは私は申請の瑕疵があるとすれば補正すべきもので、手続的に処置すればいいと思うのですが、その第一段の却下理由というのは、「市の方針と相反するものであり、過去の例からみて規律ある団体とは認められない。」こういう形なんですが、市の方針と相反したら公共の施設を貸しませんというようなことは、法のもとの平等なり思想、信条の自由からいって憲法違反ではないかということを、私は団長になって調査に行ってその点を聞いたら、市長は逃げちゃっておらないのですよ。そこで自治省に親切に指導をしてほしい、こう思いまして質問するわけですが、どうですか。
  112. 近藤隆之

    近藤政府委員 山田委員指摘の広場というのは庁舎の横にあるようでございまして、したがって、庁舎と一体をなす行政財産ということになっているようでございます。ただ御承知のように、行政財産につきましても自治法の規定によりますれば「用途又は目的を妨げない限度においてその使用を許可することができる。」ということになっております。  ところでこの件につきましては、いま御指摘ございましたように、市長の方へ申請いたしましたところ、市長の方から四つの理由を付して却下したわけでございます。その却下の理由の一つは、いま御指摘のありましたように、「貴殿が反対する観測施設の設置は市の方針と相反するもの」云々というのでありますが、それと並びまして「貴殿が指定していると考えられる場所は集会等に供する場として設置されたものではないので、使用目的に反し、適切でない。」ということもございます。そのほか先ほど御指摘のこの申請では日時、場所が不正確でございますし、集会の時間が不明であり、参加者数も明らかにされていないというような点もあって、これらの点を勘案して却下したということでございます。これに対しまして団体の方からは異議申し立てがございまして、市の方ではこれを市議会に相諮りまして、実は市議会でも論議があったと聞いておりますけれども、却下ということでございます。  なお、団体の方はさらにこの件につきまして大阪の地方裁判所へ出訴しておる、損害賠償という意味で出訴しておると聞いておりますので、この解釈の当否につきましていま自治省として云々申し上げるのはやや不適当ではないかと思います。  以上でございます。
  113. 山田芳治

    山田(芳)委員 おっしゃるように、これは行政財産ですけれども、行政財産の目的に違反しない限りは使用していいということで、時間外であったり、駐車場ですから、駐車の車がないというようなことを前提として借りようとしたわけですが、おっしゃるように、四項目あるうちの二項目は時間その他は聞き合わせてもらえばいいのであって、積極的に却下の理由にならぬと思うのです。第一項としては、どう見ても、市の方針と相反するものだということが気に食わぬということで却下している。第四項の、いまお話しのあったような場所は集会等に供する場として設置されたものではないけれども、それではいままで全然貸したことがないかと言えば、貸したことがあるわけですし、目的に反しない限りにおいて貸していいという使用の規則があるのでありますから、それに基づいて申請したわけですから余り積極的事由がないと思うのです。ただ私は、何も自治省がやったわけじゃないから、自治省に言うわけではありませんけれども、市の方針に相反するなどというようなことは、行政をやる者のイロハとして、こんなことを書くこと自身が間違っておるぞ、しかもそこの助役さんはかつて自治省におられた方で、大阪府から出向されておられる方がいるのですよ。そういう状態なんだから、もうちょっと役人としての最低限度の物の考え方の基礎ぐらいはよく覚えておいてもらわぬと、市の方針に反するものはだめですなんということは表に書いてはいかぬですよ。笑われますよ。そういう点をよく勉強させてほしいということをこの席で申し上げておきます。訴訟にもなっているのは、そういう点がおかしいから訴訟になっているのであって、そういう点もあるだろうから、これはそれ以上申しませんけれども、そういう点はひとつ十分研修等をやっていただくようにお願いして、私の質問は終わります。
  114. 地崎宇三郎

    地崎委員長 午後一時三十分より再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午後零時三十四分休憩      ————◇—————     午後一時三十六分開議
  115. 地崎宇三郎

    地崎委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  地方交付税法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を続行いたします。細谷治嘉君。
  116. 細谷治嘉

    ○細谷委員 午前中山田委員質問が行われましたので、できるだけ重複を避けて質問をしたいと思います。  私は、今回の補正予算地方財政との関係、こういうものを主題にして質問をしたいと思うのですが、質問に入る前に二点ばかり、地方財政にも関連することでございますが質問をしてみたいと思います。  一つは、ことしの七月二十二日に内閣総理大臣名で政令第二百四十号というものが出されております。この政令二百四十号というのは、工事契約等についての首長の専決事項についての基準を改めたものでございます。この七月二十二日の政令改正というものはどういう観点から出されたのか、まずお伺いしておきたいと思います。
  117. 近藤隆之

    近藤政府委員 現在の自治法施行令の別表で基準を定めておるわけですが、その基準が昭和三十九年にできました当時から変えておらなかったわけでございます。その間、経済情勢の変動が非常に著しいものがございましたので、実態に合わせるべく改正したわけでございます。
  118. 細谷治嘉

    ○細谷委員 あなたの方の行政局行政課の課長補佐の田中君という人が「地方自治」のことしの九月号に「地方自治法施行令の一部改正について」ということを、論文というわけじゃありませんけれども、解説的に書いてございます。それによりますと、昭和三十九年と比べまして物価の推移は、指数として三十九年を一〇〇としますと二六二である。標準建築費の推移が、三十九年一月を  一〇〇といたしますと、五十一年一月は二五二・八である。したがって、当時と比べますと二・六倍程度に上がったので、政令を改正した、それで三倍に当てはめた。だとするのならば、どうして別表第二を変えないのですか。
  119. 近藤隆之

    近藤政府委員 消費者物価指数が二・八倍になったということだけではございませんで、たとえば建設費などの高騰の状況を見てみますと、五十一年では三倍以上になっておるというようなものもございまして、その他いろいろな条件を勘案して三倍にしたわけでございます。三倍に修正いたしません場合には、御承知のように非常に議会にかける件数がふえてきております。ところが、別表第二の場合の方は金額とそれから土地の売買が主でございまして、坪数と両面で押さえておる関係だと思いますけれども、議会で議決を受ける件数というのはほとんどふえてきておらないというような状況でございまして、関係地方団体からの要請も、特に別表一についての改正が強かったというような事情もございまして、とりあえず別表一を改正したわけでございまして、別表二はさらに今後検討してまいりたいと思っております。
  120. 細谷治嘉

    ○細谷委員 大臣、おかしいと思わないのですか。件数がふえてきたから煩わしい。物価指数なり建築費等を見ても二・五、六倍になっているから、二・五、六倍にした。現に件数がふえて煩わしい。そんなものを議会にかけるのはいやだから、だから政令を改正した。これがいまの答弁ですよ。こんなばかげたことがありますか。煩わしいと言ったって、議会にかけるべきものをかけるのが民主主義でしょう。議会主義でしょう。物価の値上がりも二・五、六倍だけどということを参考にしたので、件数がふえたからやった。別表第二の方は件数がないから確かに物価情勢に合わせなければいかぬ、改めなければいかぬけれども、とりあえずこれだけ改めた。これはおかしいでしょう。こんな理屈では議会無視ですよ。どうですか。
  121. 近藤隆之

    近藤政府委員 件数がふえたと申しましたけれども、件数がふえたから煩わしいとは申しておらないつもりでございますが、御案内のように、どの程度以上の契約案件につきまして議会にかけるかということはいろいろ問題があるところでございます。それで、昭和三十八年の財務会計制度調査会におきましてもこの点いろいろ論議になりまして、本来こういう契約というものは、長が自分の責任において行う予算の執行の一種でございますので、議会にかける必要はないという答申を私どもいただいたわけでございます。ただ、それまで、条例が定める重要な契約案件については議会にかけておる、かけるという法律の条文がございました関係で、議会側の強い要望もあり、それでどの程度にするか、いろいろ考えた末できたのが現在の条文でございまして、特に重要なもの、重要な契約だけを議会にかける、契約一般については、やはり長の責任において行うというのが法の趣旨であろうかと思います。そこで、どこに線を引くかということは、長の方にとっても、議会の方にとってもまことに関心のあるところでございます。そこで、あの当時は改正前の額というものが一応大方の合意を得てあそこに落ちついたわけでございまして、今回の改正にあたりましてもその考え方を受け継ぎまして、その当時と物価指数その他いろいろな方面を勘案いたしまして、約三倍になっておるということで、その点を改めたということでございます。  なお、別表第二表の方はやはりそういうような考え方で金額を直すことも当然検討すべきであろうと思いますけれども、何分土地の売買というのが御承知のようにそのほとんどを占めておる関係で、土地の坪数という方で三十九年の改正当時と現在とで考え方は変わるわけではございませんので、一応そのままにしておるわけでございますけれども、なお今後その金額の面についても検討はいたしたいと思います。
  122. 細谷治嘉

    ○細谷委員 自治省らしくない言葉だよ。論理的ではないですよ。予算が通ったのだから執行権限は長が持っておるけれども、こういう重要な問題については、ということは自治法に書いてある重要な問題として議決案件にしたわけでしょう。ところが、その後の物価状況なり土地の値上がり等を勘案すれば、別表第一を変えるならば——変えるということを私は否定しているのではないですよ。変えていいだろう。物価はこういうふうに上がったのですから、件数がふえてくるのはあたりまえですよ。それならば中央官庁としての、指導官庁としての自治省としては、全体を見て、別表第一だけを改めるならば別表第二も当然改めなければいかぬのじゃないか。何がそうさせたのか。七月二十二日にあわてて別表第一だけ手をつけて別表第二を手をつけないのは、何が原因ですか。あわてただけでしょう。理屈はないじゃないですか。この小論に書いてあるものからいけば、別表第二は当然いじるべきですよ。いじっておらぬのは、別表第一だけやればいいんだ、とにかくめちゃくちゃ工事を急げ、こういうことが腹にあったのでしょう。大臣、おかしいですね。そう思いませんか。一言、言ってください。いや、局長はもういいよ。時間がかかってしょうがない。
  123. 小川平二

    小川国務大臣 物価の上昇という事実にかんがみて別表一、二とも改正すべき時期が来ておったと存じます。なぜ別表第一だけ改めたかという御指摘をいただいておるわけでございますが、きわめてありていに申しまして、この際公共事業を施行していく上において、地方公共団体にも協力をしてもらわなければならないということが念頭になかったと申し上げますれば、これはうそになるわけで、正直に申し上げるわけであります。
  124. 細谷治嘉

    ○細谷委員 これは長と議会との、特に議会筋の方で議会の権限を縮小するものだ、こういうことでいつも問題になることでありますけれども、私は客観的な妥当な物差し、それが執行の迅速、効率化だ、こういう観点から時宜に応じて、これで十二、三年たつわけですから、改めることに反対しておるわけではないですよ。その取り扱いが片手間な、あわてて走り出したようなかっこうをとったところをまず問題にしているわけです。ですから別表第二を改めますか、改めませんか、これだけ聞かしてください。
  125. 小川平二

    小川国務大臣 かねてから検討いたしておるわけでございまして、早急に改めるつもりでございます。
  126. 細谷治嘉

    ○細谷委員 バランスある動きをしていただきたい、こう思います。  そこで、この点についてお尋ねしたいのですけれども、この政令の附則2に「地方自治法施行令第百二十一条の二第一項及び別表第一に規定する基準に適合しないこととなる場合における同号に規定する契約に係る基準については、昭和五十二年十二月三十一日以前において新令の基準に従い当該条例の改正が行われるまでの間に限り、なお従前の例による。」。お尋ねしたい点は、昭和五十二年十二月三十一日を過ぎたならば、来年の一月一日からはこの基準どおりでなければいかぬのですか、よろしいのですか。はっきりお答えいただきたい。
  127. 近藤隆之

    近藤政府委員 法律の規定から申しまして、基準以上ということになります。
  128. 細谷治嘉

    ○細谷委員 基準というのは、都道府県が一億円を三億円、指定都市が三倍になって一億八千万円、市が九千万円、町村が一千万が三千万円。  近藤局長、町村の財政規模からいって一件三千万円の工事なんというのはざらにないですよ。これはもう町村では十年に一回ぐらいはあるかもしれないのですけれども、ほとんどこれは長の専決になってしまいますよ。そういう実態、御存じですか。基準という言葉はどういうことなんですか。それ以下ということはあり得ないのですか。条例でやればいいのでしょう。おれのところの財政規模はこの程度だから、工事もこの程度だから、三千万ということでありますけれども、現在の一千万というのをまあ千五百万くらいにしようと、実態に即していいでしょう。三百万人の指定都市もあるのですよ。指定都市は別として、百万人に近い大きな市もあるのですよ。五千人の町村もあるのですよ。これを町村で、財政規模は小さいのに三千万以下は来年の一日以降はだめだ、それなら法定したらいいでしょう、基準なんて言わないで。いかがですか。
  129. 近藤隆之

    近藤政府委員 法令の規定によりまして以上ということでございます。法定するのも一つの方法でございますけれども、御承知のように現在でも、たとえば都道府県の場合一億となっておりましても二億、三億で県が条例で定めておるというところもございますので、最低限を法令で規定して、それを最低限といたしまして、各地方団体判断して条例で決めるという形になっておるわけでございます。  それから先ほどのお尋ねで、町村では非常に少ないじゃないかということ、事実そのとおりでございます。この法令が施行されました昭和三十九年、四十年、あの当時は全部で百件程度ということでございますから、各団体が毎年あるというような状況ではもちろんございません。  それからなお、これは事業を行う、大きな事業そのものは当然のことでございますけれども予算に計上され、その予算は十分議会で審議されるわけで、それを具体的にだれに幾らで契約するかということは後でかかるわけでございますので、だれに幾らというような問題は、本来ならばこれは執行部が責任を持って行うべきことである。ただ、過去からのいろいろな経緯があるので、特にその中の大きなものだけを議会に諮るという法律の体制からして、三十九年当時に一千万という基準が引かれたものだと思います。今回その基準を町村部分だけどうこうというのも一つの考え方かとは思いますけれども、やはりこれは議会の側から申しますれば権限の縮小になるかもしれませんが、長の側からすれば、物価の高騰等によりまして、初めに予定していたよりも権限が縮小されている、そういう見方も成り立つわけでございますので、今回は各般の経済指標等を勘案いたしまして、いままでのルールを変えないで一律に三倍といたしたわけでございます。
  130. 細谷治嘉

    ○細谷委員 基準三億円、知ってます。たとえば一億円のときに大阪府等は三億円まで条例をつくってあったでしょう。今度これが三億円になりますから大阪あたりは従来のぺ−スでいきますと五億円とか六億円とかになるかもしれません。上回っているのは知っていますよ。そうでしょう。都道府県三億円といっても五、六十万の県と一千万人を超える都道府県とがあるわけですから、三億円というのはあくまでもめどですよ。基準ですよ。それを下回ってはならぬというのは、条例制定権について枠をはめることであって私はおかしいと思うのですよ。実態に即応するように、こういうものを基準とするけれども、財政規模等でこういう範囲ぐらいの移動はやらぬと、下の方は来年一月一日以降無効だなんというのは条例制定権の侵害ですよ。大臣、どう思いますか。これは基準ですから、以上もいいのならば以下でもいいはずですよ。
  131. 近藤隆之

    近藤政府委員 たしか地方自治法制定当時は条例で定める重要な契約となっておりまして、団体によりまして非常にばらばらでございまして、高い金額以上のものあるいは低い金額以上のもの、それが弊害があるということでいろいろ論議され、そして先ほど申しました三十八年の財務会計制度調査会では、本来、だれに幾らで契約するかというようなことは、議会でお決めいただいた予算に基づいて長が責任を持ってやるべきことであるので、議会にかけるべきでないという答申をいただいておるわけです。しかしながら、戦後ずっと重要な案件については契約を議会にかけるという一つの慣行といいますか、法律に基づくそういったルールができておりますので、そのことも勘案しまして各方面の意見を聞いた上で現行制度というのをしたわけでございます。したがいまして、そういった趣旨から、一定金額以上について条例で金額を定めるという足切りをしておるわけでございますので、この点御了解願いたいと思います。
  132. 細谷治嘉

    ○細谷委員 近藤局長は町村で現実にどういう入札が行われているかということを御存じですか。紹介しましょう。町村に行きますと、大抵の工事の請負契約を締結する入札の際に、執行部ばかりじゃないのですよ。議会の議長、副議長が同席しなければ入札できないですよ。そういう慣行になっているでしょう。こういう慣行がどういうことを起こすか。執行権と議会との区別がいよいよ定かでなくなってくるのですよ。そういう間隙をついて汚職も起こってくるわけですよ。あなたがおっしゃるように、予算が議決されれば、それは執行権者である首長の責任においてやればいいのだ。けれども地方自治は大統領制ですからそれだけではいかぬので、こういう重要な一定限界以上のものについては議会の議決事項にしようということで自治法に書かれてあるわけでしょう。それが条例化されておるわけでしょう。だとするならば、基準を示すことはいいわけですけれども、町村三千万円、あるいは東京都のような大きいところでは三億円ということもおかしいかもしれませんよ。ですから、上の方をやってもいいわけです。上の方があるんなら下の方もあるのがあたりまえでしょう、基準というのは。現に私は市長をしておったときに、自治省の基準に基づいて土地の売買についての市長権限の条例を提案した。それを減額修正された経験を持っておるのですよ。いつからこんなことになったのですか。基準というのはそういうことじゃないのですか。大臣、もう一遍聞かしてくださいよ。おかしいですよ、それは。そんなばかげたことはないですよ、千差万別だから。
  133. 近藤隆之

    近藤政府委員 制度の問題と運用の面とおっしゃいまして、その運用でそういったところがあるかもしれません。またあることも私も存じないわけではございません。  ただ、制度といたしましては、やはり執行機関と議決機関ということで、その権限の境界をどこで決めるかということで現在の制度が三十九年にできたわけでございまして、この制度を基本的に見直して変えるということでございますならばいろいろ考え方はあろうかと思いますけれども、これはどちらにとりましても権限の縮小、拡大につながる問題でございますので、現在の段階におきましては三倍ということに決めたわけでございます。
  134. 細谷治嘉

    ○細谷委員 近藤流の考えでいきますと、予算、議決されたものは本来は執行権なんだ。長と議会のあり方という基本的な問題であって、従来の慣例で議会が議決すべき案件としてのっておる、それが一つの物差しになっておるんだ、こういう行政局長の考えが、この専決をすべき専決条例も長でやってしまえということが知らず知らずの間に指導されているのじゃないですか。そうでしょう。現にある県では、ある県というのは福岡県です。この政令に基づいて、政令はいつ出たか。七月二十二日に出た。八月十四日に専決条例を専決しちゃったのですよ。ですから、これはもう何もないわけですよ。専決条例を専決して、それは、理由は景気刺激のための工事を早くやらなければいかぬからというので専決条例を専決して、そして九月の末に議会を開いたのですけれども、これは与野党怒りました。特に自民党の議員は半数以上が、こんなばかげたやり方はない、専決条例を専決して、そしてもう後は自動的に専決してしまうのですから、全部野放しですよ。大変なことになりまして、議会が空転と、新聞に書いてある。とうとう知事が出した議案は一件も通らないで流れてしまった。流れた後、その晩にやったという。今度は自分が専決した条例の範囲内でまた専決してしまった。専決、専決、専決ですよ、みんな。こういう実例はあなたのような考えから出ているのじゃないですか。そうじゃないですか。本来は、予算が議決されたら知事の自由にやっていいという考えを持っているのですから。  大臣、御存じですか。専決条例を専決して、ばんばん専決してしまうのですから、これはもう議会は要らぬですよ。ですから野党はもちろん、自民党の議員も怒りました。とうとう議会は流れてしまった。これは困るというわけで、出た議案、流したものをまた専決してしまった。どうですか大臣、これはあなたの方の政令とその政令の背景にある考え方、こういうものから出ているのじゃないかと思うのですが、大臣、一言……。もう大臣でいいよ。あなたには聞かぬ。
  135. 近藤隆之

    近藤政府委員 専決の関係だけ……。  私どもは専決処分をしろという指導は、当然のことでございますけれどもしておりませんし、条例でございますので、議会の御審議を経るということは当然のことでございます。そういったこともありますので、十二月末までいわゆる経過期間、猶予期間と申しますか、それを設けておるわけでございますので、専決を指導するというようなことは一切ないことだけお断わり申し上げたいと思います。
  136. 小川平二

    小川国務大臣 専決条例を専決したという事例があるということにつきましては、この場で初めて承ったわけでございます。これはきわめて手荒な、遺憾なことだったと存じます。
  137. 細谷治嘉

    ○細谷委員 残念なことには、これは専決してしまえばもうあとはどなたもとめることができないわけです。それだけに法律に書いてあることもどなたも納得するような客観的条件がなければならぬ。議会がどうしても開かれない、流れてしまったとか、あるいはそういういとまがない、天災地変等でどうにもならぬとき、こういうように事実上長としては不可抗力の場合のみ専決ということでございます。政令が二十二日に出たら、翌月の十四日には専決してしまって、そしてじゃんじゃんやっていってしまうのですから、これはもう全く自治法の規定は要らぬですよ。基準も全くない、無軌道なやり方。ですから、与野党を問わず怒って流してしまうというのはあたりまえだと思うのです。まさしく議会無視じゃないですか。今後そういうことがないように——行政局長考え方ではこれは危ないですよ。大臣、これはやはり議会のチェックシステム、こういうものが必要なんです。大統領制のもとにおける地方自治でもこういうことをやっているわけですから、国会の議院内閣制とはちょっと違うのですから、議会のチェックシステムというのは確立しておく必要があると私は思います。
  138. 小川平二

    小川国務大臣 議会のチェック機能をはなはだしく損なうようなことがありませんように十分留意して今後指導をいたします。
  139. 細谷治嘉

    ○細谷委員 もう一つ聞きたい。  契約に工事または製造と書いてある。製造というのは何ですか。たとえば四百億円くらいかけて庁舎をつくる。その場合の設計が二億くらいかかった。現行条例は一億。そういう場合に、設計というのは工事なんですか、製造なんですか、どっちですか。
  140. 近藤隆之

    近藤政府委員 工事または製造に入らないという行政実例が四十三年に出ておるようでございます。
  141. 細谷治嘉

    ○細谷委員 設計というのは工事にも製造にも入らない。大体地方自治体で製造というのは、図面をかくのは製造かもしれぬ。しかし工事の前提になるものでありますから設計というのは工事と考えてもいいわけですよ。ところがおっしゃるように四十二年に、行政実例というか、警視庁捜査二課からの質問に対して、自治省が有権解釈として答えているでしょう。その場合に、設計というのは製造でもない、工事でもないということでやっているわけですよ。  ところが、これも福岡県ですけれども、福岡県でその四十三年の警視庁に答えた行政実例で、設計はもう製造でも工事でもないからというわけで随契をやったのだ、特定の業者と。ここでは余り言いたくないけれども、その特定業者も最近、問題のものと絡んでおるというくらいの特定業者に設計さしておるわけですよ。これ以上言えませんけれどもそういうことなんですよ。  大体、大臣、設計というのは工事についているわけでしょう。工事についているというか、工事の前提ですよ。四十三年の行政実例、警視庁に対して答えがあるからというのですが、これは直させたらどうですか。いまあなたは、チェックすることは確立していくとおっしゃったのですから、四十三年の行政実例を改めるにやぶさかではないでしょう。現に今度の地方議会の予算修正権についての権限を立ち入って改めたじゃないですか。改めたでしょう。四十三年の、警視庁が捜査上必要で自治省に解釈を求めたのを金科玉条として今日までそれを生かして、それがあるから二億円の県庁舎の設計を専決したというのですよ。もうこれも改めたらいかがでしょうか。四十三年ですよこれは。
  142. 近藤隆之

    近藤政府委員 ただいま見ておりましたら、工事の設計のみの場合は別表に言うところの規定に該当しないという行政実例が出ております。それを申し上げたわけでございますが、その背景その他、それなりの理由があったことと思いますけれども、突然の御質問でございますので私、その背景を現時点では詳細に存じておりませんので、調べさせていただきたいと思います。
  143. 細谷治嘉

    ○細谷委員 調べていいでしょう。  大臣、大きな工事の設計というのが製造でもない、工事でもないというのはおかしいですよ。私は、建築の設計というのは工事でも製造でもない、だから二億かかろうが十億かかろうが、設計料は知事が勝手にやってしまっていいのだ、予算がありさえすれば知事の権限なんだ、こういうやり方もおかしいと思うのですよ。この際、四十三年の警視庁に対する回答を改めて、ひとつ設計は工事または製造に当たるのだという改めた実例を、解釈を出したらいかがでしょうか。お答えいただきたい。
  144. 小川平二

    小川国務大臣 この場で初めて承ったことでございまするから、御趣旨のようにいたしますと確約申し上げるわけにはまいりませんが、御指摘の点はきわめてごもっともだと思いますから、研究をさせていただきます。
  145. 細谷治嘉

    ○細谷委員 犯人捜すときの有権解釈は、今日のこの段階では使うものではないということだけちょっと申し上げておきます。  もう一点、地方自治法第九条の三というものは、これから海と公有水面を埋め立てていった場合の境界という問題について、後々争いが起こらないようにという形で法律改正が、公有水面のみに係る市町村の境界の決定等、こういう法がつけ加えられたわけですよ。  ところが、これはいま新聞にあるように、千葉県と東京都が県境の争いをやっているわけですよ。それから私の住んでおる福岡県と熊本県が県境の争いをやっておるわけですよ。東京都の方も、東京湾を埋めるために二十三区の関係の市町村が、やがて固定資産税等が返ってくるわけだから国とりをやっているわけですよ、国とりを。こういう法律について自治省は何もやっておらぬじゃないですか。法律をわざわざつくった趣旨も生かしておらないじゃないですか。私は東京都と千葉県の境界の問題、福岡県と熊本県の境界の問題に立ち入った議論はいたしません。法律をつくりながら自治省が今日まで怠慢を決め込んでいた点を指摘しているわけですよ。現に、東京都と千葉県の問題に関連して、千葉県の方から油か何か引っ張ってくる線ができた。固定資産税がかかるわけですよ。争いが起こっているでしょう。福岡県と熊本県の間には新しい工場ができたのですよ。その工場の固定資産税をめぐって争いが起こっているわけです。  せんだって、新聞によりますと、福岡県の部長が自治省に上がってきまして、この争いは二十年にもなるんだ。そして、自治省の振興課の話では、自治省みずから地方自治法に基づく自治大臣の調停に乗り出す考えはない、こう言っているわけです。自治大臣は調停権を持っているのですけれども、乗り出す考えはない。何のために法律をつくったのか。しかも、その工場に対して何億という税がかかるわけですよ。千葉と東京の争いも、福岡県と熊本県の争いもかかるわけですよ。そして、この福岡県の部長は、その県の境と課税権については分けて解決しよう。分けて解決することは結構でありますけれども、ここに新しく建った工事は三井アルミという会社ですよ。三井アルミという会社——アルミはいま不況産業です。地盤がないわけですから工場が担保にもならないわけですよ。金を借りることができないわけですよ。すべてこれは自治省法律をつくりながら怠慢を決め込んだ。そして、いまも乗り出す考えはないという一語に尽きるじゃないですか。大臣、どうですか。
  146. 近藤隆之

    近藤政府委員 御指摘のように、市町村の境界をめぐる争いというのはまことに頭の痛い問題でございまして、特に最近埋立地があちこちに出てまいりますと必ずと言っていいほどそこが紛争の種になっております。いま御指摘の二つのケース、熊本県及び福岡県の間の問題、もう一つの東京都と千葉県の間の問題、これは県境にまたがる問題でありますので、より解決がむずかしい問題でございます。  そこで、法律では一定の手続を経て県あるいは自治大臣の方に上がってくる仕組みが御承知のようにあるわけでございまして、上がってまいりますれば仲裁あるいは裁定、場合によっては裁判所というような一連の手続があるわけでございますけれども、何分こういう問題というのはその前に両当事者が十分話し合って、お互いに折れ合って、和解というような形で決めていただくというのが原則的には望ましいのじゃないかという感じがいたしております。  いま熊本と福岡との間の争いの問題につきましては、それぞれの市が県の段階まで調停を申し出てているということでございますが、その期間もすでに切れておるような状況でございまして、両県の当局はなお両県の間で話し合いを進めると申しております。私どもは両県の話し合いによりまして円満な解決ができることを望んでおるわけでございます。  なお、東京都の問題につきましては、まだ当方にまで話が上がっておらないというような状況でございますが、いずれにしてもこういった問題につきましては、一番事情をよく知っておる地元の関係地方団体の方々で十分お話し合いを願うというのがまず先決であろう。事情を地元ほど詳しくない自治省あるいは裁判所、そういったものが、最悪の場合には裁定するということが必要かもしれませんが、その前に十分の話し合いということを行っていただきたい、そのように思っておるわけでございます。
  147. 細谷治嘉

    ○細谷委員 余り詳しくない自治省は余りくちばしを入れたくないと言う。詳しくないくせに、余分なところでもいろいろくちばしを入れているでしょう。こういう場合には詳しくないからくちばしを入れないなんて。  この問題は二十数年両当事者間、所在市町村、所在市との間でやった、両県の間でやったけれども片づかないわけですよ。片づかなくてやったんです。そして県の方に調停を出した。両県とも九十日の期限が過ぎてしまっているのですよ、もうとっくに過ぎてしまっている。ですから、言葉はきれいですが、両当事者の間で片づかぬわけで、両方とも県の方に調停をやった。ところが、県の方は、調停は期限が過ぎても調停員とか何かをつくる意思はない、最後には裁判だろう、こういうことをうそぶいている。そして、地元の新聞を見ても、新聞に書いてありますよ、「県の調停不発に自治省もさじ投げ」こんな大きな字で地元の新聞に書いてありますよ。これはやはり法律ではどうしても地元で片づかない場合、二十何年も片づかないわけでありますから、早く片づけてやらなければいかぬのじゃないか。  しかも、この新しい工場の税については、工場誘致奨励のために税の減免をするわけですよ。慣例によりますと、三年間まではさかのぼるけれども、それ以上はさかのぼらないということになっているわけです。固定資産税の課税権は五カ年ですよ。そうしますと、課税権もやがてなくなってしまうのですよ。三年間自治省の方から七割五分見るわけでしょう、基準財政収入額で見るでしょう。これも後で聞きますけれども交付税課の方でも財政局の方でもたまったものじゃない。七割五分を三年間さかのぼって見るということになりますと、過年度分まで交付税の計算の中に入れてやらなければいかぬ。交付税体系を乱す原因ですよ。そのよって来たるすべての責任は自治省の怠慢にある、こう申して私ははばからない。大臣、ここまで来たんですから、どうするのか。地方自治体当事者というのは、選挙民をにらんでいるわけじゃありませんけれども、一遍言い出したことはなかなか引っ込めないのですよ。そうして、それぞれまた歴史的な理由を持って主張しているわけですよ。やれ漁業権の設定はこうなっている、かつての境界はこうなっている、現に両県の間の県境の固定資産税の課税はこういうことで話し合いがついておる、そのままずっと延長していくかというと、それで済まないのですよ。そうしますと、私は認めませんけれども、一般的には自治大臣のオーソリティーというのは大したものなんですから、オーソリティーを振りかざす必要はありませんけれども法律に基づいて早く解決してやりませんと、これはそこに建っている企業も大変なんです、金を借りようとしても借りられないのですから。大臣、きちんと言ってください。
  148. 小川平二

    小川国務大臣 権威を認めてくださらないということでございますと、私でなく、なるべくこちらの方に御質問願いたいと思うのですが、やはりこれはお話しのようにいろいろ長い間の経緯があり、実際問題としてそれぞれの地方公共団体のメンツもございましょうから、なかなか解決しにくい問題だと存じまするが、やはりこれは第一次的には、またそれが本筋だと存じまするが、地方公共団体の間で時間がかかろうとも話し合いを遂げて解決してほしいものだ。国が介入いたしますのは、これは最終段階の問題ではなかろうかと存じます。もう少しひとつ研究をさせていただきたいと思います。
  149. 細谷治嘉

    ○細谷委員 不満な答弁ですが、私もこの問題は自治省の誠意なり両県の話し合いに信頼を置いて、さっき申し上げましたように、もう地元の新聞には特号活字の見出しで毎日のように出ているわけです。あえて私はこの問題を取り上げませんでした。しかもここでは掘り下げた議論をいたしませんけれども、問題はやはり自治省がやらなければいかぬ問題であって、この間、県の総務部長が来て、この境界と課税権の問題は切り離して分離方式をとろうということで、県の方も自治省はしばらく顔を出すのを待ってくれということを言ったと新聞に書いてありますけれども、これは企業にとっても両県にとってもあるいは関係両市にとっても大変な問題ですから、私もいままでしんぼうしてこの問題を取り上げなかったのですけれども、もうこんなことなら自治省は存在価値がない、こういうふうに覚悟したものですから、きょうあえて取り上げているわけです。自治省の存在価値があるんだということを、ひとつ大臣、証明していただきたい、もう一言簡単に。
  150. 小川平二

    小川国務大臣 さしあたりまして両方の当事者を招きまして事情を聴取いたしてみたいと存じます。それからどのような措置をいたしますか、その段階でひとつ決定をさしていただきます。
  151. 細谷治嘉

    ○細谷委員 政治家が中へ入るとろくなことないから、私はこれ以上は申し上げません。ただ自治省が早く解決すべきだということだけを改めて申し上げます。  そこで、今度はいよいよ本論に入るわけですけれども大蔵省にお尋ねしたいのでありますけれども、実質成長六・七%ということを確保するために今度補正予算が組まれたわけであります。その補正予算というのは公共事業費を一つの柱として、そして融資住宅十万戸を一つの柱として、事業費二兆円ということで六・七%を確保したいという補正予算であります。この補正予算については、きのう参議院で通ったのですから私は申し上げませんけれども、この補正予算を見ますと、公共事業の追加額は二兆二千八百億円、このうち治山治水が二六・四%、道路整備が三三・七%、この二つだけで合わせて六〇%であります。ところが目玉の一つである住宅対策というのはすべて公庫住宅にゆだねて予算はゼロ。そうして下水道とか環境等がございますけれども、こういう公共事業というものをそれではどういうふうになるかということを探ってみますと、大体私の計算では七割三分は地方がやるわけです。言葉をかえて言いますと、今度の公共事業というのは国の方で一般会計で二千七百億円程度の差し引きの追加がありますけれども、融資住宅十万戸と公共事業という名の七三%を挙げて地方に背負わせる、そして地方はすべて地方債借金、こういうことで現在の経済を切り抜けようとするように私は理解しているわけですが、私の言ったことは間違いでしょうか、どうでしょうか。
  152. 足立和基

    ○足立説明員 今回の補正予算における総合経済対策の一環といたしまして、公共事業等の追加事業規模というのは約一兆円でございます。先生よく御存じのとおりでございます。このうちの国費というのは三千九百億円でございます。それで、これに対応いたします地方負担額でございますが二千百三十億円でございまして、この中には災害復旧等の今後発生見込み分にかかります地方負担分というのが百二十二億円含まれてございますので、これを調整いたしますと、今回地方債計画で追加すべき地方公共団体の負担増というものは二千八億円でございます。これは先生いま御指摘のとおり、全額起債で見る、こういうことにしてございます。また、そのうちの政府資金でございますが、これにつきましても八割を上回る政府資金を充当する、こういうことで措置いたしておるわけでございます。  なお、今回の景気対策といたしましては、そのほかに地方単独事業というものを、先生御承知のとおり千五百億円いたしておりまして、それを加えますと地方債総額では三千五百八億円になる、こういうことでございます。
  153. 細谷治嘉

    ○細谷委員 自治省にお尋ねいたしますが、今度の総合景気対策による地方負担というのは三千五百八億円だと、いま主計官答えました。このほかに都道府県の道路の臨時債がありますね。これは景気対策じゃないのですか。
  154. 山本悟

    山本(悟)政府委員 臨時都道府県道路債、この決定をいたしました時期が、今回の二兆円という規模におきます景気対策よりは時期が早うございまして、年度のたしか六月だったと思いますが、そのころ決定をいたしておりますので、その分は今度の二兆円というこの九月の当初に決められました景気対策の中には算入していない、かようなことでございます。
  155. 細谷治嘉

    ○細谷委員 六月やった。四月には新年度地方財政計画というのを出した。そして九月の三日に総合経済対策がやられた。その中間に臨時の都道府県債を発行することになったのは年度の当初では考えておられぬで、突然景気対策の九月三日の前に六月に決めたというのはいかがな理由でございますか。
  156. 山本悟

    山本(悟)政府委員 御指摘のとおり、市町村分の臨時道路債につきましてはすでに昨年度からいたし、今度の当初予算の計画にも入れたわけでございますが、都道府県につきましては当初は予定をいたしていなかったわけでございますが、同様の趣旨で、しかも景気上にも役に立つという趣旨から、急遽決められたように存じている次第でございます。
  157. 細谷治嘉

    ○細谷委員 そうしますと、やはり景気対策の一環ということですね。市町村のやつは去年やった。ことしは地方財政計画地方債計画の中に二千五百億円というのが組まれた。その中には臨時の都道府県道路債はなかった。ところが、国会で決まって二カ月ばかりした六月に突如として都道府県の道路債を入れてきた。景気対策が九月三日に決まる前に入れたということでありますが、やはり景気対策でしょう。
  158. 山本悟

    山本(悟)政府委員 趣旨から申せばそのとおりでございますが、九月の三日でございましたかに決めました総合景気対策という中にはカウントしなかった、こういうだけでございまして、そのものといたしましては景気対策に大いに資するゆえんのものである、かように存じます。
  159. 細谷治嘉

    ○細谷委員 そうしますと、大体今度の景気対策に地方としては、三千五百八億円とそれから都道府県の千五百億円を加えた、おおよそ五千億円というのが、一〇〇%地方債で景気対策をやる、こういうことになりますね。
  160. 山本悟

    山本(悟)政府委員 総計いたしますと、都道府県道路債まで入れますれば五千八億、これを全額地方債によって財源措置をしている、そのとおりでございます。
  161. 細谷治嘉

    ○細谷委員 大臣私は、四月に発足した地方財政計画地方債計画というものが、やはり財政民主主義、財政公開主義という点からいって、突如として都道府県にも千五百億を入れるというやり方、これは財政民主主義、財政公開主義に反すると思うのですよ、まあしかし、何らかの景気的なあれがあったのですけれども。私のところでも、九月の定例議会でそれぞれ公共事業を組んでいるわけです。その財源はほとんど全部起債です、地方債。税収の伸び、交付税の伸びというのは、それこそもう新聞に出ておるようにわずかですよ。二けたか、まあ三けたちょっとぐらいでしょう。そのぐらいの税収や交付税の伸びだけで、あと公共事業を二〇%、多いところは三〇%以上の伸びで九月に組んでおります。もちろん当初で組み残した分もありましょう。ありましょうけれども、大変な公共事業を組んでおります。そして、九月の定例会の公共事業についての補正というのは、挙げて地方債ですから、地方の議員は驚いているのですよ。年度の計画にもないものがボーンと地方債で挙がってきていますから、こんなやり方が許されるであろうかという質問がございました。念を押しておきますけれども、こういうことしのようなやり方を今後もお続けになるのですか。  その前に、今度補正予算によりまして、この委員会に、地方財政計画の変更と地方債計画の変更、修正内容というのを出していただいたことは、私も長く地方行政委員会におりますけれども、初めてですよ。その熱意には敬意を表して、今後も続けていただきますけれども、今度修正しましたらそれは年度初めにやったのだから、修正はあなた方が後を追ってきなさい、こんなのじゃなくて、こういう問題をやるときは、こういう資料は世間に公表せんでも委員会に出していただく、今回のような温かい心をひとつ続けていただくと同時に、来年以降、年度の初めにないものを、適当に自治省の胸三寸で地方財政計画地方債計画を変更するということは、おやりになるかならないか、大臣、ちょっとお聞きします。
  162. 山本悟

    山本(悟)政府委員 今回地方財政収支の試算の改定並びに地方財政地方債計画の修正を御提出して、本日御配付申し上げたところでございますが、年度の途中におきまして、今回のように景気対策というような事情によりまして大幅な改定があったわけでございまして、そういう際には、これからも計画といたしましては、本年と同じような取り扱いでやってまいりたいと私どもも存じているところでございますが、ただ、御案内のとおり、公共事業と申せば、これはもちろん国の予算とも関連いたすわけでございますから、国の予算が成立をいたしましてから初めて実行に移される問題、こういうことになるわけでございます。それに対しまして、純粋の民間の資金によりますところの単独債ということになりますと、正確な意味での国会の御議決ということにかかわる問題ではなくなってまいるわけでございますが、しかしながら、地方財政全体として大きな修正というわけでございますから、そういったものの取り扱いは慎重にしなければならない、かようにも存じているわけでございます。  なお、これから後年度におきまして、年度の途中でどういう事態が発生するかということを推察することは非常に困難でございますけれども、なるべくならば、そういう年度の途中において変更というようなこと自体が起こらないで、スムーズに年度当初の財政計画によって処理ができるという安定した地方財政であってほしいということは、、私どももそのとおりの気持ちでおります。ただし、実際の財政運営といたしまして、本年度のような事態が起こらないとは限らない。その場合には、また適切な地方財政としての対応というものも必要になってまいると思いますので、それはそのときどきでよく御相談をしながら処理をさせていただきたい、こういうように存じます。
  163. 細谷治嘉

    ○細谷委員 何を言っているのか少しもわからない。  そこで次に進みますが、今度の国会の資料として出されました五十二年度地方財政収支バランスによりますと、新しく必要な人事院勧告なり公共事業、これは地方債でありますけれども給与の改善費千七百六十五億円、それから追加財政需要というのが、三角をして千二百八十七億円ございますね。これは合わせますと三千五十二億円となるわけですよ。これはどこから金をしぼり出してきたのですか、お尋ねいたします。
  164. 山本悟

    山本(悟)政府委員 給与関係経費の給与改定所要額は、総体といたしまして六千百十八億であります。それで既措置額を差し引いて千七百六十五億、こういうようなことになり、そのうち、この給与関係経費のところの千七百五十一億として挙げておりますのは、単金職員でございますとか、そういったものの他の部分に回ります分を引きました残りの千七百五十一億というのを挙げたわけでございます。  それから追加財政需要の減は、御案内のとおり、当初の財政計画におきまして三千五百億円を追加財政需要に充てるための経費として計上いたしておりますので、今回の差し引きの残りの分を取り崩してもらう、かようなかっこうで計算をしているところでございます。
  165. 細谷治嘉

    ○細谷委員 当初の地方財政計画の中で、一般行政経費の中の国庫補助負担金を伴わないものの(2)の追加財政需要は、五十二年度は三千五百億になっております。三千五百億で、いま申し上げたように三千五十二億をこの人事院勧告と、今度は協力するためのあれに使うわけですから、四百五十億残っていますね。あと四百五十億は何に使うのですか。
  166. 関根則之

    ○関根説明員 便宜、私から答弁させていただきたいと思いますが、三千五百億の追加財政需要額につきましては、先生はいま三千五十二億という形で使っているではないかというお話でございますが、今回、給与改定財源として使いますのは、所要額の千七百六十五億と、それから追加財政需要の減の千二百八十七億を必ずしも足すという形ではございませんで、今回私どもで考えております補正予算に伴いまして取り崩します追加財政需要額の総額は千四百八十七億でございます。その前に当初予算の段階で、例の生活保護費等の増に伴います地方負担額の増がございましたので、そのときにすでに四十七億使っております。したがいまして、それを足しますと千五百三十四億使ったことになります。ところが、一方、節約が二百億かかっておりますので、その分は使わないで済む、逆にマイナスになりますので、差し引き全体でいままでに千三百三十四億使っております。したがって、三千五百億から千三百三十四億を差し引きますと、まだ二千百六十六億残っております。これについては、まだ何に使うかということを決めておりません。今後の財政状況等に応じて必要がある場合には取り崩していく、こういうまさに追加財政需要額として残るものでございます。
  167. 細谷治嘉

    ○細谷委員 私が質問しようとしたところをあなたは先に回って答えちゃった。あなたの方は地方財政措置はどうするのかというと、ここに三千五百億ありますよ、予備費的なものでありますと、これは全部逃げてくる。追加財政需要の項目に、あなたの方で書いておる「地方財政詳解」という本に、「追加財政需要は、現年発生災害等年度途中における追加財政需要の発生に備えて、前年度に対して五百億円増の三千五百億円が包括的に計上されている。」と説明されている。災害とかいろいろあるでしょう。そうしますと、この給与改定費の千七百六十五億というのはどこから出るのですか。私はさっき、この二つを合わせると四百五十億ぐらいしか残っておらぬから、あと四百五十億円ばかりありますからどう使うのですかと言った。もうとっくにほかの方で消えていることを知っているから聞いているわけだ。何でもかんでも三千五百億で処理しなさい。去年は別として、おととしまでは初め五%措置した給与改定、それから三%ないし四%はこの中に入れちゃった。去年からやってないのですよ。そしてやってないのでは、予備費的に三千億円あるから、五十二年度は三千五百億あるからもうそれでやれ、包括算入してありますという答えですが、とにかくハゲタカよりもひどい。肉を食って骨までしゃぶろう。それでも食い足らぬでまだ口をあけさせて押し込もう、こういう態度じゃないですか。地方財政たまったものじゃないですよ。大臣、どうですか。もう簡単でいい、時間がないから。
  168. 関根則之

    ○関根説明員 要するに、年度途中で五%を上回りますような給与改定が行われました場合に備えまして、再配等も含めて三千五百億円とっておるわけでございますので、今回国家公務員給与改定率が六・九二ということで決まりましたので、五%先組み分をオーバーいたします。その分を追加財政需要額で措置をしょう、こういうことでございます。
  169. 細谷治嘉

    ○細谷委員 もう時間がありませんから余り細かく質問できないのですけれども大臣、こういうことで間違いございませんか。府県の臨時道路債千五百億等加えて五千八億というのを挙げて景気対策に地方財政を動員しているのだ。動員というのがいかぬければ、継続しているのだ。これが地方財政サイドから見た補正予算の見方だ、こういう私の考えでありますが、誤りでしょうか、いかがでしょうか。
  170. 小川平二

    小川国務大臣 ちょっと御質問の御趣旨を理解いたしかねましたので、まことに恐縮ですがもう一度ひとつ……。
  171. 細谷治嘉

    ○細谷委員 今度の景気対策としての補正予算、それを受けての地方財政は五千億を超す地方債によって、それは政府資金が多いとか何とか言っていますけれども、やって、その景気浮揚に協力する、こういう一語に尽きるのではないか、大臣はそう思いませんか、こう聞いているわけです。
  172. 小川平二

    小川国務大臣 地方団体公共事業施行を容易ならしめるために御指摘のような措置をとったわけでございます。
  173. 細谷治嘉

    ○細谷委員 御指摘のような措置をとったということは私がいま数字で申し上げたとおりですが、御指摘のような措置をとったということは、挙げて総合経済対策に協力体制をとったということですかと、こう聞いているわけです。
  174. 小川平二

    小川国務大臣 そのとおりでございます。
  175. 細谷治嘉

    ○細谷委員 そこでお尋ねしたいのですけれども交付税を今度は九百六十億円減額した。この減額した理由は何でしょうか。自治省はどういうふうに、これはしようがないと思ったのですか。
  176. 山本悟

    山本(悟)政府委員 国会修正に伴います所得税の三千億の特別減税を国の歳入予算に応じて減額補正するという事態に相なりましたので、交付税法の規定により、その三二%の国の一般会計から交付税特別会計へ繰り入れられる金額が減少するというのは決律上の規定としてやむを得ないことである。しかしながら、各地方団体への配分されるべき本年度地方交付税といたしましては減額のできるような状況ではございませんので、さようなことの行われないように借り入れ措置による。しかも将来にわたっては、地方財政全体として悪影響のございませんように、それの償還につきましては国において責任を持つということを法定してもらう、かような措置をとったわけでございます。
  177. 細谷治嘉

    ○細谷委員 三千億円の所得税減税が行われたから自動的にそうなったのです、他意はございません、こういうことですね。大蔵もそうですが。
  178. 足立和基

    ○足立説明員 今回の補正においての九百六十億円の交付税減額というものは、いま自治省からお答えがありましたように、三千億円の特別減税に伴います制度上の減額と考えてございます。
  179. 細谷治嘉

    ○細谷委員 この点については午前中、山田委員から、何も今度あわててやらぬでもいいじゃないか。従来はそうでしたよね。今度はあわててやったから前の財政局長、いまの次官がたまげてしまったわけだ。ですからここで答えられたものと違ったような結果が生まれてきたわけだ。しかしそれについては余り言いません。大臣言うように、いずれにいたしましても地方団体としては大変協力する。これは国と地方というのは車の両輪ですから、総理が言うように協力しなければならぬでしょう。協力することについては結構であります。しかし交付税は切るぞ、挙げて借金でやりなさい。この借金については先ほど山田委員質問に対して五十年、五十一年の例によると、こういうふうにお答えいたしましたが、そういうことですか。
  180. 山本悟

    山本(悟)政府委員 先般お答えを申し上げましたのは、今回の二兆円の九月に決定をされました景気浮揚対策に伴いますところの地方負担の増、それを処置いたしました地方債についてお答えを申し上げたところでございまして、取り扱いといたしまして、ただいま先生のおっしゃいました五千億という地方債でやったという中で申し上げますれば、六月に決定をいたしました臨時都道府県道路債あるいは公営企業あるいは地下鉄等の準公営企業、そういったものに対しましての景気浮揚の中でカウントされている部分、こういうものにつきましてはもちろん別扱いでございまして、今度の景気対策に伴います普通会計分の地方債につきましての取り扱いを申し上げたわけでございます。
  181. 細谷治嘉

    ○細谷委員 あなたは先ほど山田委員質問に対して、五十一年度は都道府県六五%でございました、市町村の場合は三八%でございました、こうお答えをしていますね。五十二年度はどうなるのですか。事業内容によって違うのですか、どうなるのですか。見込みをお聞きしたい。
  182. 山本悟

    山本(悟)政府委員 個々の事業によって、どういう配分がなされるかによって変わってくるということは山田委員お答え申し上げたとおりでございまして、現在のところまだその数字ができておりませんので、何%ということを申し上げるわけにはまいらないというところでございますが、事業決定され起債の配分が決まりますれば、早い機会にその数字をお示しいたしたい、かように思っておるところでございます。
  183. 細谷治嘉

    ○細谷委員 事業決定といっても、もうあなた内容は決まっているのですよ。いまだわからぬというはずはないでしょう。私は、きちんとこういう結果になるということじゃないのです。大体めどはどうなるかと聞いているのですよ。五十一年度の例によると言っているのだから、例によるというなら、あなたは専門家だ。大体この辺になるだろう、補正予算内容が決った、公共事業内容が決まったわけですから、この辺になるだろうということがわからぬで財政局長財政課長は務まらぬよ。
  184. 山本悟

    山本(悟)政府委員 どうも県分市町村分その他個々の団体数字が積み上がってまいりませんと正確ではございません。しかしながらいま御指摘のとおり、ほぼのところどうだ、こういうことで御質問でございまして、それではぼでお許しいただけるのであれば、昨年度の先ほどお答え申し上げました率より少々上がる程度の率になるのではないか。県分で六五から六七、八あるいは市町村分で四五前後あるいはそのちょっと上か、その程度数字が出るのではないかと想定をいたしております。
  185. 細谷治嘉

    ○細谷委員 とにかく地方団体がなけなしの金どころじゃなくて挙げて借金で、そしてこの景気浮揚の一役を担おうということで五千億以上の対策をやるわけですね。だとするのならば、これは交付税のあり方からいきますと、毎年毎年の元利を交付税で見るなんておかしいわけですけれども、しかし国の方でそういうものについては何らかやっていかなければいかぬということになれば、もう事業内容はほぼ決まっているのですから、あなたの方は、県分では五十一年度六五だから六五か六七ぐらいになるだろう、市町村の方は去年は三八ですけれども四五ぐらいになるだろう、こうおつしゃっているのですが、府県と市町村でどうしてこんなに違うのですか。去年は六五と三八、どうして違うのですか。
  186. 山本悟

    山本(悟)政府委員 県分市町村分それぞれの事業ごとにどういう配分がなされるかによりまして、またその事業ごとに従来から交付税としてどういう算入の仕方をいたしているかによりまして、それぞれ費目ごとにと言っていいぐらい違ってくるわけでございます。それの加重平均をとりまして一括して率を申すものでございますから、県分市町村分にどうしてもおのずから差が出てまいります。そこで先ほど申し上げましたように、個々の団体ごと事業が積み上がってこないとどうも正確には出ないが、こう申し上げたわけでございまして、そういった県と市町村との事業ごとの相違といったようなものが中心になりまして、措置すべき積み上げ額が違ってくるということでございます。
  187. 細谷治嘉

    ○細谷委員 事業が違う、あるいは市町村の場合でありますと下水道等受益者負担を取っているのじゃないか、あるいは都市計画ですと目的税である都市計画税を取っているだろう、その財源があるのだからそれを差っ引くのはあたりまえじゃないか、だからこういう数字の違いが出てくるのだ、こういうことです。今度のやつはとにかく最初予定してないように、あなたの方もあわてて千五百億の事業を都道府県にやったり、九月三日にやったりしたのですから、あわてているのですから、そんな年度の半ばになって受益者負担を増徴しようとか、あるいは都市計画税が余っているからこれを充当しようとか、さっき言ったように三千五百億だって余りはないわけだから、言葉は適切ではありませんけれども、とにかくふんどしまで外さして地方に協力さしているのに、これはやはりもうちょっと理屈をつけて、山田委員の話じゃありませんけれども地方債については、たとえば八割を措置しているところもある、七割を措置しているところもある、あるいは六〇のところもあるわけですけれども、特段の配慮をすべきである。それは理屈がないと言うけれども、理屈がないと言うのならば、年じゅうあなたの方は理屈のないことを筆をなめてやっているでしょう、後で交付税のところで言いますけれども。筆をなめないでも、ちゃんと今日のこの事態地方が協力するという体制について国として対応してやるべきじゃないか。とにかく六五か六八ぐらい、市町村は四五か四七ぐらいと、あなたの方が概算した資料を持っているわけだよ。あなたが本当のことを言わぬから私はこの数字を申し上げるのだけれども、あなたの言葉どおり言っているのですけれども大臣、今日の地方財政から、これはやはりもう少し積極的な対応をしてやるべきだと思うのですが、どう思いますか。大臣、あなたはすぐおれの任期も任期もとときどき言いますから、そんなことじゃ困るのですよ。
  188. 小川平二

    小川国務大臣 事務当局の方にまだ申し分があると存じますので、御論議の尽きた時点で私の考えを申し上げます。
  189. 山本悟

    山本(悟)政府委員 御指摘のとおりに県分市町村分との違いというような点は、下水道なりあるいは都市計画なり、御指摘のような事業市町村分について多くあるというようなところからいたしまして、そういった措置率の差というものが出てくるのでございまして、全くそのとおりだと存じます。それで年度の途中で、しかも国の景気対策に協力するという意味でやらせるのだから、個々の団体について特段の財政措置をすべきじゃないか、こういう御趣旨に伺えるわけでございます。それも一つの考え方でありますことはもちろんでございますが、やはり今回の追加の事業をそれぞれの団体に配分し決定をいたすにつきましても、それぞれの団体といたしましても、やりたい、予定をしているというようなところを選びまして、各省庁におきましてもあるいは自治省におきましても、そういったところを中心にいたしまして事業の決定というもの、あるいは事業費の配分というものをいたしておるわけでございまして、特段のことだから特段の財政措置ということでやってまいりますと、やはり今回大きくやったところが非常に有利になるといったような事態も発生をしてくるわけでございまして、やはりその辺のところは当初の事業との均衡というようなものも配慮せざるを得ない。それから昨年度の分というものもやはり配慮せざるを得ない。いろいろの事情を勘案してまいりますと、方法論的にはただいま申し上げましたような去年のやり方というようなものを踏襲しながら、考えられるものは考えていきたい、こういうようなことにならざるを得ないわけでございまして、その辺はひとつやはり均衡論といったような点も御配慮を賜りまして御了承を賜りたいと存じます。
  190. 細谷治嘉

    ○細谷委員 時間がありませんからこれ以上申し上げませんけれども、そこで八月算定の交付税について、時間がありませんけれども、少しまとめて質問をいたしたいと思います。  三月の交付税審議の際におたくの方から出されました交付税の都道府県交付、不交付別、市町村交付、不交付別基準財政需要額、収入額のいわゆる全体計画、こういうものを見てみて、八月算定の数字と比べてみますと、まとめて申し上げますが、基準財政需要額において都道府県の方が八月算定は四月の数字と比べると百八十七億円狂っているのですよ。いわゆる八月算定が少なくなっている。市町村の方は二十五億多くなっている。乖離しているのだ。合わせまして基準財政需要額で四月と百六十二億円狂っているのですよ。基準財政収入額はどうかといいますと、都道府県で七十三億円狂っているのです。それから市町村で七十七億円狂っているのですよ。交付税では、あなたの四月の見込みの際と、都道府県で二百十三億円、市町村で十二億円狂っているのですよ。こういう乖離が出ております。このくらい狂うのはあたりまえだ、こうおっしゃるかもしれませんけれども、口を開けば、日本の交付税制度は世界に冠たる精緻巧緻なものだとおっしゃっているにもかかわらず、しかも交付税というのは三千二百の市町村の基準財政需要額、収入額というのを積み上げていって、そうして自治省で全体をまとめて、基準財政需要額のトータルは幾ら、収入額は幾ら、差し引きこれだけ足らぬ、そうしてこれだけ足らぬ場合に、著しく隔たった場合には六条の三の二項が働く、これが交付税制度でしょう。そういう点からいきますと、いかにもラフな計算であると言わざるを得ないのです。ラフな計算だと認めるか、依然として精緻巧緻だと言うのか。あるいは私どもが四月に審議した後に、基準財政需要額なり収入額に自治省が手を加えて、そして基準財政需要額でこれだけ違いが起こりました、収入額で起こりました、情勢に対応してこれだけの補正を加えましたからこうなったんだ、どういうことなんですか、まとめて御説明をいただきたい。
  191. 山本悟

    山本(悟)政府委員 確かに当初予算の御審議をいただきます際の数字と八月決定をいたしました際の数字がぴたりと一致するということはきわめて困難でございます。困難な事情は、需要、収入それぞれの面にもちろんあるわけでございますが、需要の面で申せば測定単位の数値の変化、あるいは収入の面におきましても、基準財政収入を測定いたします際の基礎数値の変化、こういったようなものが三千余の団体につきまして起こるわけでございますので、しかく的確を期するということは非常に技術的にも困難な点がありますことは、御推察をいただけることではないかと思うわけでございます。  この誤差の範囲がどの程度まで許されるのか、あるいは現在の誤差の範囲は大き過ぎるじゃないかというおしかりを本日はいただいたわけでございますが、誤差率という点から申せばそれほどの率ではございませんけれども、もちろん誤差が少ないにこしたことはないわけでございまして、私どもといたしましては、なお一層誤差の生じないような的確な予測、測定ということに心がけなければならないと存じているわけでございます。  しかしながら、何しろ技術的な限界というものは、多少の誤差というものについてはお許しをいただきませんと、これは全く事前の数字を使ってその翌年の推定をしているわけでございますので、まあこの程度のものはお許しいただけるかどうか、われわれとしては努力はいたしますが、本年はこの程度でお許しを賜りたい、こう存ずる次第でございます。
  192. 細谷治嘉

    ○細谷委員 お許しを賜りたい、こういうことですが、その原因は、国会で審議した後に基準財政需要額なり収入額を昨年と違って動かしているじゃないか、そこのところはどういうことなんだということについて私は聞いているだけです。それについては答えがないじゃないですか。
  193. 山本悟

    山本(悟)政府委員 御案内のとおり、交付税法におきましては、需要につきましては、測定単位あるいは数値の算定方法あるいは単位費用というものは御法定をいただきます。収入におきましては、それぞれの税目ごとの収入の算定方法の基本につきましては御法定をいただいておるわけでありますが、個々の年度の個々の計算のやり方の具体の数字というものは省令に譲っていただいているわけでございまして、これもまた実を申し上げますと、技術的に考えまして細部の点はお譲りいただきませんと、実際上の算定がほとんど困難になるというふうな点がございますものですから、ああいったかっこうで省令にお譲りいただいている。したがいまして、そのお譲りいただいた範囲で、基本的なことにかかわらない範囲におきましてのいろいろな計算方法の改善というようなことはさせていただいていると存じますが、それぞれ法律の御審議をいただきます際に、基本的な考え方については御了解を賜っているのじゃないか、かように考えます。
  194. 細谷治嘉

    ○細谷委員 私の質問に答えていないのですよ。私がいま申し上げたことは何を言っているかというと、都道府県基準財政需要額と収入額というのが、とにかく三けたのオーダーで狂っているわけです。市町村の場合でも二けたの上の方のオーダーで狂っているわけです。乖離がある。ところがしりの方がぴしゃっと合うわけですよ。最後のところがほとんど合っているのですよ。それは調整率を掛けました、こう言うのでしょうが、しりがぴしゃっと合っているということになると、常識的に考えると、最初は離れておって、最後のところでばちんと一致すると、どうも当初の見込みの中で計算の過程において補正に手心を加えて、最初は離れておったけれども、最後のところではもうぴしゃっと漸近線になるようにちゃんと操作をしたのではないかと勘ぐるのです。そういう勘ぐられるようなことではいけませんので、そういうことがありましたかありませんでしたか。基準財政需要額を当初の試算値と比べて、その後八月算定まで変わりましたかということを聞いているわけです。
  195. 山本悟

    山本(悟)政府委員 確かに普通交付税の額といたしましては、いま御指摘のとおりに調整率があるわけでございますから、ほとんど違わないかっこうになってまいります。それからその当初のときと実際に八月算定をしたりしたときに基本的に変わったところがあるかとおっしゃられれば、基本的には国会で御審議いただいておる法律によりまして基本線が決まっておるわけでございますから、それは基本的なものとしてやることはいたさないという態度でいるわけでございます。
  196. 細谷治嘉

    ○細谷委員 それでは実例をちょっと一、二申し上げたいのですけれども、せんだって衆議院の石炭対策特別委員会で北海道と北九州の調査に行きました。そのときにこういう陳情がございました。「地方交付税の基準財政収入額に算定されている鉱産税の算出において、昭和五十一年度まで補正率を六〇%としていたが、昭和五十二年度では七五%に改正されており、交付税の交付額に多大の減額をきたしている状況であり、」これを直していただきたい、こういう陳情を石炭産出の市町村から受けたわけであります。これは従来の、去年の六〇%を七五%にしたということは、基準財政収入額がよけいになるわけでありますから、したがって交付税が減る。私は今日のエネルギーの事情を考える場合に、やはり日本の唯一の資源である石炭というものを活用していただかなければならぬ。その場合に、かつての石炭山であったところの荒廃したところに対する対策も十分やらなければなりませんけれども、現在石炭が出ておる市町村についても財政需要があるわけですから、こういう措置は今日のエネルギー問題、福田総理の資源有限時代という点からいきますと、問題があるのじゃないか、こう思うのです。大臣、どうでしょうか。
  197. 山本悟

    山本(悟)政府委員 御指摘のようなことがあったわけでございますが、鉱産税のみならず、各税目とも、最も的確に申し上げれば個々の団体ごとに収入額と誤差のないように算定するというのが、基準財政収入額の算定の基本的な考え方としては妥当なのじゃないか、かように思います。  ただし、ただいまおっしゃいましたことは、石炭を出しているような団体についてはいろいろな財政需要があるじゃないか、こちらの方からは的確な測定ができているのかどうか、こういうことを念頭にお置きになって御質問になるわけでございますが、その辺から申しますと、特定の団体につきまして特定のものが全部完全に見られているかどうか、まあ疑問なしとしない、そういう事情があることは御指摘のとおりだろうと思います。  今回の鉱産税につきまして、算入率を少し高めたという措置は、確かに産炭地域における特別の財政需要に対処いたしますために、五十一年度から別途産炭地補正が行われたというようなこととの対応関係には一応あるわけでございますけれども、本来の考え方としては、財政需要は的確に見、かつ財政収入も的確に見るというのが普通交付税の基本としての態度だろうと存じます。
  198. 細谷治嘉

    ○細谷委員 あなた、何を言っているの。どういうことなんだ。ということは、的確にもとへ戻してしまうという意味……。
  199. 山本悟

    山本(悟)政府委員 個々の税目ごとには本来算入率が幾らというようなことがあるべきではないので、その団体に入ってくる税額は、もちろんその基準財政収入の計算といたしましては的確に捕捉し、計算ができるというのが収入額の計算の基本的な態度であろう。しかし、別途、財政需要というものもそれならば的確に算定されなければいけないじゃないか、こういう需要と収入というのはパラレルの関係になるのではないかということを申しているわけでございます。
  200. 細谷治嘉

    ○細谷委員 そんなことはわかっている。あたりまえのことだ。そういう出発点の中から対応していっているわけでしょう。ですから、六〇%を算入するとか七五%を算入するとか、そういう配慮をやっているわけでしょう。今日のエネルギー問題の中核としてはなっていないけれども、やはり今後石炭というものを見直すという段階において、こういうことをするのはいかがなものかということを私は言っているわけです。大臣、どうですか。技術屋の話は当てにならぬ。
  201. 小川平二

    小川国務大臣 基準財政収入額の算定でございますが、これは住民税、固定資産税と同様に、鉱産税につきましても本来は一〇〇%算入すべきものと存じます。しかし、産炭地市町村の財政需要、財政事情というものを考えまして、従来六〇%を算入するということをやってまいったわけであります。こういう地域の特別の財政需要に対応いたしまするために、五十一年度から別途に産炭地補正ということもやってきておるわけであります。五十二年度においては算入率を七五%にしたということでございますので、これを当面もとへ戻すということは考えておらないわけでございます。
  202. 細谷治嘉

    ○細谷委員 もう一つお尋ねします。  従来、特別交付税措置しておったものをルールに乗せて普通交付税に移しかえていっている。こういう例がいまの大臣がおっしゃった産炭地補正という形でありますね。今度も、たとえば密度補正の形で、市町村の市立病院等の補正を特別交付税でやっておったものを、ワンベッドあたり幾らという形で一部分を普通交付税に移しかえております。そうしますと、今度は特別交付税に全額移しかえた場合もあるでしょうけれども、一部を移しかえているわけですから、特別交付税と二本立てで見る、そういう措置が行われるはずであります。産炭地の場合はそういう措置が行われております。たとえば、従来〇・六算入されておったものを、一部〇・四かを普通交付税に移しかえて、そうして残りの〇・六というのを今度は交付税の方へ残して、トータルとしては〇・六を〇・八になるように特交と普通交付税で合わせてやっておりますね。そういう措置を行っているわけです。今度、経営に苦しむ市町村に対しても密度補正というのをやっているわけですよ。過疎地の病院については過疎地の対応をしているわけですね。そういうことでありますから、日本の石炭の現に出ておる、たとえば鉱産税等をとっているのは北海道と九州に幾つかしかないわけです。だとするならば、余りにも過酷じゃないか。産炭地補正という全体でやっている中においてはバランスを失するのじゃないかというのが陳情を受けた趣旨ですよ。しかし、大臣はかたくなに——よくわかっているのかわかっていないのか知らぬけれども、後へ戻すつもりはないと言うが、戻された方がいいんじゃないですか。いかがですか、金額はわずかですよ。一億五千万か二億ぐらいの問題でしょう。
  203. 山本悟

    山本(悟)政府委員 収入の見方といたしましては、ただいま御説明を申し上げましたようなことでございまして、むしろ、そういう団体におきますところの炭鉱があるためによる財政需要というのをどう考えていくか、そちらの方によって措置をさせていただきたい。これはもちろん普通交付税でできますものもあり、できないものもあると存じますけれども、やはりそちらの方でやるのが交付税やり方としてはベターではなかろうか、かように考えます。
  204. 細谷治嘉

    ○細谷委員 時間がありませんから、不満ですけれども、ちょっと先へ進みます。  そこで、大臣はなかなか答えないわけですけれども、問題は、地方債の元利をどうのこうのするよりも、一番基本的な問題は、やはり最後は地方交付税法第六条の三の第二項、交付税の総額に帰するわけですよ。どこか一方をふやせば一方がへこむ。これはもう総額が決まっておればそうならざるを得ないですよ。問題はそこに帰するわけであります。大臣地方財政を守っていく御意思があるならば、いろいろな補正をやるということは、ある意味では邪道ですけれども、現実に対応していくためにやむを得ない措置としてやっているわけですから、しかし、最後のところは総額ですから、総額について五十三年度予算においては、あなたの方の荻田さんですか、地方財政審議会の会長も、もはや今日では、三年続けたが、四年目、環境が熟してきている、その環境の熟しているのを落とすか落とさぬか、これはかかって自治大臣の力にある、こう言っているわけですよ。この問題についてひとつ大臣の決意のほどを伺いたいのです。
  205. 小川平二

    小川国務大臣 今日のように、国、地方を通じまして税収の絶対額が足りないわけでございますから、こういうときに地方債に頼って財政を運営していくということはやむを得ざることだと存じておりますが、これが本格的な対処の仕方でないことは御指摘をまつまでもございません。ただいまの時点で来年度地方財政状況、国の財政の状況を明確に測定をすることは困難でございまするけれども予算編成の時点で、交付税率の変更の問題を含めまして、地方財源を大幅に増強することを検討しなければならない、かつ、これを実行に移さなければならない、こう考えております。
  206. 細谷治嘉

    ○細谷委員 新聞紙上によりますと、自治省は不公平税制を是正するために大蔵省と手を組んだ、そして、地方税源を充実する、これは結構でありますが、どうも目標は、江戸なのか長崎なのかわかりませんけれども、それ以上言いません。まあ、税制の不公平を是正して、そして、何といってもこれから地方自治、地方分権の確立ということが必要でありますから、そのためには制度を改めるか、交付税率を変えるか、それ以外にないのでありますから、しかとひとつそのことを責任ある大臣としてやり抜いていただきたいということを要望しておきたいと思います。  そこで私は、時間がありませんから、一方的に話して結論だけを聞きたいわけでありますけれども、私が先ほど相も変わらぬ道路と治山治水を重点とした公共事業景気刺激策だ、こういうことを批判いたしたわけでありますけれども、せんだって皆さん方ごらんになったと思うのですが、新聞にも書いてありますけれども、「人口急増市町村における財政上の問題点」というパンフレットが人口急増都市協議会から配られてまいりました。私はこれを読んで、これはもう大変なことだということを痛感いたしました。その問題はどういうことかといいますと、校舎建築がこの資料によりますと、五十三年度は二千二百三十二億円ないと、ふえてくる生徒の九五%カバーできないというのですよ。用地の方もこれは大変なんであります。一年間に千七百億円以上なければ、用地の手配——これも大体四万五千円ぐらいの平米当たりの価格ですよ。私は、この間国分寺市の部課長と会ったのであります。国分寺で学校を建てようとすると、平米十三万円以上すると言うのですよ。坪当たり四十二万円以上する。小学校一つ五千坪要るとなれば、とてもじゃないが今日の地方財政ではどうにもならないということであります。これは深刻な問題として提起しております。新聞にも出ました。社説にもこういう問題が取り上げられておるわけでありますけれども、五十三年度地方債計画を見ますと、私の試算では、自治省の五十三年度地方債計画の要求の半分を百六十五の人口急増市町村につぎ込まなければ、九五%の教室の充足もできないという結論になるのでしょうけれども、時間がありませんから、文部省はどういうふうに見ているのか、自治省はどう見ているのか、大蔵省はどう対応するのか、まとめてお答えいただきたいと思います。
  207. 倉地克次

    ○倉地説明員 私ども今回の補正予算につきましては、大蔵省と御相談して、大蔵省からこういうような予算をお願いしたわけでございますけれども、この積算につきましては、危険校舎の改築の面とプレハブ教室の解消という面を考えたわけでございます。  それで、危険校舎の改築の面につきましては、本年度当初の補助申請がありました面積から、五十二年度の実行によりまして補助認定した面積を差し引きますと、それが十四万一千平米程度残るわけでございますので、いろいろ地方事情を調べてみますと、大体その三分の二程度がこれから工事に着手することが可能であるということで、その程度の面積、九万四千平米程度の面積を考えた次第でございます。また、急増団体の関係につきましては、私どもかねがねプレハブ教室の解消ということを重点にしておるわけでございますが、五十二年度当初のプレハブ教室の存在の数は三千三百余の教室があったわけでございますが、その中からおおよそ五十二年度で約二千教室分解消が可能でございますので、あと残りました教室の大体三分の二程度が、これから市町村が工事を始めて解消可能であるというようなことでございますので、九百三十九教室分を計上した次第でございます。地方の解消可能な状態を見きわめまして、緊急を要するものからその程度の教室の解消を考えたわけでございまして、総枠といたしましては、面積で申し上げますと、プレハブの関係につきましては大体十四万二千平米程度、それから危険校舎につきましては九万四千平米程度補正予算をお願いした次第でございます。
  208. 山本悟

    山本(悟)政府委員 明年度地方債計画におきます要求額は、建物分二千六十億、用地分二千八百三十四億を要求いたしておるわけでございますが、建物分につきましては、義務教育施設整備事業債といたしましては、文部省が予定いたしております事業ごとの計画数値に基づきまして、その地方負担額をとりまして、それの充当率七五%という計算でございます。そのほかに、それに伴います単独事業分といたしまして、単独事業の過去三年の比率、一八%でございますが、これを上積みしたものでございますので、その意味では文部省の計画とマッチをいたしておると存じます。それから用地分につきましては、急増地域と一般地域に分けまして、急増地域につきましては、実績的な要望額の二千二百億をもとにいたしましてこれを確保する、そして、むしろこれをもとにいたしまして、一般分は大体七対三の比率でございますので、その分を上積みするというようなかっこうで、要するに文部省の計画とは関係なく、実績的なものを確保していきたい、かような要求をいたしているところでございます。
  209. 細谷治嘉

    ○細谷委員 もうちょっと掘り下げた議論をしたいのですけれども、時間がありませんから、これは過疎地もそうでありますけれども、とにかく急増地域は大変なことでありまして、しかも、あなたの方では、第三次の全総計画を受けて定住圏構想とかなんとかというものを実現しようということで張り切っているわけでしょう。住みよい圏域をつくるということになりますと、これは大変なことなんですから、その辺は改めて議論したいと思います。  そこで、時間がありませんから、最後に、山田委員から質問がございましたけれども、そのうち意に満たない点について一、二ちょっと質問をしておきたいと思います。  地下鉄の経営状態というのは持っておりますけれども、これはとにかく利子だけで総収益を上回っているという現況なんですよ。これではとても立っていかぬことはあたりまえで、自治省としては六六%方式というのを今度は七〇%で要求しているわけでございますが、これは去年は実現しなかったわけですけれども、これをぜひ実現したいというのが自治省の意図でありますが、この点についての決意のほどを伺いたいと思います。  それから第二の問題は、先ほどバスについて山田委員に対して、五十二年度で切れるけれども、五十三年度も続けたいと言っているわけですが、私はいまの経営状態を見ますと、五十三年度も続けたいということで言葉は済むかもしれませんけれども、五十三年度だけではいかぬのであって、政府が言う当分の間ということで、三十年とも四十年とも申し上げませんけれども、常識的な意味において、ヒューイヤーズという言葉が前によく使われましたけれども、まあここ当分、一人前になるまで、病気が治るまではやはりこの措置を続けなければならないのではないか。この問題については、この過疎地なりあるいは新住宅地等は運輸省の所管でありますから運輸省と提携をして、とにかく一人立ちできるところまで対応していく方針を貫いていただきたい、こう思います。  それから第三番目は、地下鉄等の輸送力を増加していく場合に、新しくできます停留所はホームが長いのです。けれども、ここで言えば銀座線あるいは大阪の古い地下鉄の線というのはホームが短いのです。ですから輸送力が、車が普通はいま十両つなぎというのが六両くらいで走っているのでしょう。そうしますと、そういう大規模な近代的な改修というものが必要だと思う。それは全線の停留所を全部やれということではなくて、重要なところからやっていくことによって都市交通を解決する重要な手口になると思うのです。したがって、大規模改良については要求がないのでありますけれども、運輸省との関係がありますけれども自治省としてどういうふうにお考えなのか、こういう点。  それから第四番目は、先ほど話がございましたが、都市交通は厳しいので行(二)に持っていけという指導があるかのごとく聞くのでありますけれども、事実かどうか。以上、お尋ねしたいと思います。
  210. 砂子田隆

    ○砂子田政府委員 まず第一点は地下鉄の補助事業でございます。これに関しましては、いまお話がございましたように、トンネル部分の七〇%の要求をいまいたしております。ただこの問題につきましては、いま運輸省が大蔵省との間で鋭意その内容を詰めておりますので、私はその問題の解決がなるべく早い時期になされることを願っておりますし、もう一つは、ちょうど去年もこういう問題がございまして、交通の研究会を自治省で開いております。     〔委員長退席、高村委員長代理着席〕 この結果も十一月早々に出ますので、その結果を踏まえながら、ともかく御期待に添うような努力をしてまいりたいと存じます。  それからバスの購入の補助金でありますが、このバスの購入の補助金につきましては、もともとバスの償却を問題にいたしまして、その運営に充てたいということで始めた補助金であることはすでに御案内のとおりであると存じます。そういう意味で四十八年から五十二年度までの五カ年間にこのバスの補助を行うということにしていたわけであります。しかし先ほども申し上げましたように、各団体ともこの再建計画にのっとりまして非常に真摯に検討を加えておりまして、御案内のとおり、その赤字の額も横ばいないしは低下しておるというような形で最近推移をいたしております。  そこで、この際にこの補助金自身を打ち切ることがこの胸突き八丁にある再建に非常に障害になるだろうということで、私たちの方は大蔵省に五十三年度もぜひこれはつき合ってほしいということを申し上げているわけです。ただお話のように、これを無限に続けるという話になりますと大変むずかしい問題にもなりますので、その辺は私の方といたしましては、バスの購入補助金というのは五十三年度ということでお許し願って、その後またいろいろなことを研究をしながら、どういう立場をとるか、あるいはどういうことをこれから望んでいくかということについては少し御研究をさせていただきたいと存じます。  それから地下鉄の大規模改良工事の問題でございますが、むしろこれは運輸省の方からお答えをするのが正しいことかと存じます。大阪の、おっしゃられているのは御堂筋線だろうと存じますが、銀座線なり御堂筋線なりに十両の車両を輸送強化をして入れるというのは、大変私はむずかしいことだと存じます。     〔高村委員長代理退席、委員長着席〕 ただ先ほど申し上げましたように、運輸省と大蔵省なり自治省との間で、新線の建設について補助制度を確立すべくいま検討している段階でもありますので、さらにここに新しい補助制度を持ってくるというのは、いまの段階では少しむずかしかろうと思いますし、自治省自身がどういう立場になるかということも少し研究をしてみなければならぬと思います。特にこれはプラットホームの長さを延長するとかいう問題でもありますから、その安全性なりダイヤの組み方なり、そういうことの方がむしろ大変大きい問題になると思いますので、この問題につきましては、運輸省の方からお答え願うのがよいかと存じます。  それから行(二)の問題ですが、これは行(二)を使えという指導はいたしておりません。
  211. 細谷治嘉

    ○細谷委員 これは最後でありますけれども、この春の国会で社会労働委員会で審議されまして、水道法が改正をされたわけでございます。厚生省大変お待たせして、時間もありませんで大変恐縮なんですが、いろいろ問題点があるわけですけれども、私が申し上げたい点は、石油ショック後、先ほど冒頭やったように建設費関係が大体三倍ぐらいになっておるわけですね。そのために当初八十円ぐらいであったと思ったところが、それが三百五十円とか六十円でなければならぬ。三百五十円か六十円なんという水道になりますと、住民は納得して発足したのですけれども、とても上げられない。しかも周辺のものははるかに低い。こういうような実態がありまして、利子の高いところで八分二厘ぐらいで借りておりますから、それがもろに一般会計にぶっかかってきておるというのが各所に見られる現象であります。そういうものについて自治省としては高料金の水道について特別交付税等で見ておるわけですけれども、もはやその限界を超しておるのではないか。そこで、この春の水道料金の改正に当たって、そういう補助ができるように、水源なりあるいは広域化なりあるいは水質についての補助があるわけですが、このほかに、この辺の特殊な状態のものについては何らかの補助の制度を——法律には今度はできるようになったわけでありますから、その辺をやらなければならないのではないか。言ってみますと、企業外の手の及ばないところで起こった原因については、オイルパニックというようなそういうものについては対応してやらなければどうにもならないのではないか、こういう気がいたします。  もう一つは、ある県で国立の医科大学をつくった。それは市の一番はずれの方だ。そこに水を引っ張ってやるためには、大きなパイプを引っ張らなければいかぬ。そのために水道料金を上げなければならぬという事態が、国立医大をつくるために起こってきております。こういうような問題についても、この建設費についての何らかの補助を、私はいまここで水道について一般補助を導入しろということまで言っておるわけじゃありませんが、そういう特殊なものについては対応してやらなければならぬじゃないか。その対応も特別交付税などではもはや手が届かないのではないか。特別交付税にオーソドックスに補助制度を導入してやらなければならぬのではないかという気がいたします。  この点について厚生省と自治省のお考えを聞いて、時間が参りましたので、私の質問を終わりたいと思っております。
  212. 藤田恒雄

    ○藤田説明員 本年の五月に水道法の一部が改正されまして、従来水道の国庫補助というのは簡易水道だけに限られていたわけでございますけれども、実態に合わせるというような意味において一般の上水道にも補助ができる、しかも政令で定めた範囲のものに限ってできるということになったわけでございます。ただ、これはことしの五月ということで、ことしの予算がもう決まった後に通った法律でございますので、現在の政令では、従来予算的に補助してまいりました上水道、主として水源でありますとか広域水道というようなものについての補助ができる旨を定めておるわけでございます。先生御指摘のような高料金の問題というのはあるわけでございますが、高料金になる大きな原因というのはやはり水源が遠いとかあるいは広域的にやらんがために相当長距離の導水路を持ってくるというようなことでございますので、厚生省としましては、従来の考え方のように、水源とか広域水道についてなお重点的に整備を図ってまいりたいというふうに考えておるわけでございます。  それから、医大等の特殊な問題もございますが、これもわれわれが調査したところでは、料金にそう大幅にはね返るというような事態はいまのところないようでございますので、今後そういう問題が出てまいりますれば財政当局ともよく相談の上、必要なものについては住民が困らぬような配慮はなすべきかとは思いますが、現時点ではそういうような事態は余りないのではないかというふうにわれわれは承知いたしておるわけでございます。  非常に簡単でございますが……。
  213. 砂子田隆

    ○砂子田政府委員 最近の創設水道の中には、水源事情なり地理的条件なり、そういうことで大変建設費が割り高になっているものがあることはお話しのとおりであります。そこで、高水準の料金設定を行いましても、なおかつ健全な経営を維持するということが公営企業法の適用を受ける水道に課せられた一つの任務ではありますが、なかなかそうもいかぬということで、実は本年には特別交付税の中で資本費を立米当たり三十に引き上げたりいたしまして、何とかこれを防ぎとめようということで自治省としていろいろ考えてはいるわけであります。しかし、先ほどもちょっと地下鉄で申し上げましたが、地下鉄建設の補助が現実には運営補助になっておりますように、それぞれの持ち場、各省の所管の中でやはりこれは解決をしていただくのが一番望ましいし、自治省としてはそれを補完的に起債、地方債等の許可をしながら、その中で質の改善を図っていくということがむしろ望ましいのではなかろうかと思います。たとえばいまの元金の均等というのを元利均等に直すとか、利子をもう少し下げるとか、そういう努力をわれわれの方でしたいとは思いますが、一般的な補助は各省それぞれでやるのが正しいと思いますし、そういう意味で関係各省と十分協議してまいりたいと存じます。
  214. 細谷治嘉

    ○細谷委員 ちょっと一点。  いまの審議官答弁の中で、水道の建設過程では、金は借りてくるのですよ。ところが、資本費の勘定にしないで、地方債で一応利子を払っていっているわけですよ。そうなってまいりますと、資本費を対象にした交付税の計算をしていきますと、これはもうとにかく建設過程で大変な財政負担、利子負担が起こってくるわけです。それではどうにもならないので、実態に対応するように、勘定が資本勘定でなければだめなんだ、こういう非情なやり方でないように対応していただきたい、これを強く申し上げて、終わります。
  215. 地崎宇三郎

  216. 和田一郎

    和田(一)委員 私は、数点にわたってお聞きいたしますが、まず財政問題についてお聞きしてまいります。  最初に、いわゆる五十二年度地方財政見通しについて伺いたい。というのは、交付税について、または地方税が本年度の地財計画どおりいくかどうかということを最初に御説明願いたいと思います。
  217. 森岡敞

    ○森岡政府委員 まず地方税につきましてお答え申し上げます。  最近の経済情勢は、御承知のように、経済自体は緩やかな拡大基調をとっておりますけれども、出荷停滞あるいは民間設備投資の盛り上がりの不足というふうなことで、今回の総合経済対策によっててこ入れを行うという措置を通じまして、当初見込んでおりましたいわゆる実質六・七%の経済成長率はほぼ達成できる、こういうふうな見通しが立てられているわけでございます。したがいまして、総体といたしましては地方税収入は地方財政計画見込みましたものは確保できると考えております。ただ現実の実収は九月決算法人の実績が出ませんと明確にはならないわけでございます。ただ、八月末の県税の徴収実績を見ますと、調定済み額で前年同月比で一五・四%の増を見ております。本年度地方財政計画の五十一年度決算に対します府県税の増収見込みを一四・二%と見ております。一四・二%の増収見込みに対しまして八月末で一五・四%ということでございますので、今後いろいろな情勢の変化があるかもしれませんけれども、一応財政計画に見込んでおる地方税収入はほぼ十分確保できるものと考えております。
  218. 山本悟

    山本(悟)政府委員 今回の補正予算に伴いますところの交付税措置につきましては先般来御説明いたしたとおりでございまして、一般会計からの繰り入れば減りますけれども、特別会計に措置をいたしましたので、影響はございません。したがいまして当初予定した交付税の額は確保できる、かように考えております。
  219. 和田一郎

    和田(一)委員 ことしの初頭に所得税の税額の控除、いわゆる所得減税がありまして、交付税の減収が九百六十億円になったということで今回の措置でございますけれども、それ以上に、たとえば三千億以外に変更はないですか。普通の国税三税の減収があったとかいうようなことで、九百六十億以上の措置をしなければならぬということはどうですか、見通しとしては。
  220. 山本悟

    山本(悟)政府委員 本年度の分の配分すべき交付税につきましては、国の予算におきましてもその他の部分には変更がないわけでございますから、一般会計から交付税特別会計へ予定どおりの金額が繰り入れられるわけでございまして、その意味では、なかろうと存じます。ただ、税収の決算等が出ました際の取り扱いは、これは五十四年度におきますところの精算の問題でございますので、五十四年度の時点におきまして地方財政支障のないような措置が必要になってくる、かような措置でございます。
  221. 和田一郎

    和田(一)委員 五十三年度地方財政自治省の中期財政見通しでも一兆一千八百億円不足が見込まれる、こうなっております。いまの御答弁では、五十二年度は大体とおっしゃっていますが、現段階で、不足としては五十三年度見通しは一体どのくらいになりますか。
  222. 山本悟

    山本(悟)政府委員 明年度地方財政収支につきまして現時点で的確に捕捉をいたすことはきわめて困難でございます。ただ、御指摘のように、本年三月に地方財政収支試算をいたしました結果におきましても、一兆一千八百億から一兆四千八百億までいろいろケースによりまして財源不足が見込まれているわけでございまして、しかもその試算におきましては、国税、地方税とも相当の増税を見込んでなおかつさような数字であるという結果になっているわけでございますので、明年度地方財政見通しました場合には、相当大きな歳入不足というような事態が予想されるのではないか、かように思っております。
  223. 和田一郎

    和田(一)委員 そうしますと、五十二年度、本年の交付税の審議に際しましても、五十年、五十一年、五十二年度の三年にわたっての二兆円以上の財源不足があった、いまの御答弁で五十三年度も相当大きな不足であろう。そうなってまいりますと、結局は交付税率の引き上げかまたは制度改正ということも行わなければならぬ、こういうわけでございますけれども、五十三年度の財源不足に対していかなる対策をとるつもりか、ひとつ伺いたいと思うのです。
  224. 山本悟

    山本(悟)政府委員 御指摘のとおり、明年度地方財政は本年に引き続きましてきわめて厳しい環境になることが予想されるわけでございまして、これらの点につきましては、御指摘の点も含めまして地方制度調査会等の御意見を伺いながら、できる限り地方税あるいは地方交付税等の地方財源を充実する方向で解決をしていきたい、かように思っており、また、そのための努力を今後一層続けなければならないと存じておるところでございます。
  225. 和田一郎

    和田(一)委員 そこなんですけれども、いつも同じ御答弁なんですよ、努力をしていくという。問題は交付税法六条の三の二項、不足財源が生じた場合の措置をちゃんと明記している。ところが交付税率を上げることもしないで、ただただ一般会計の補充でやるとか、またいろいろな臨時的な措置をやっている。だからどちらをとるかという問題ですね。先ほども細谷委員からの御質問がございましたけれども、これはもういまから自治省としても確たる体制でもって臨んでいかなければ、また五十三年度も同じような形で、そして本年初頭の地方交付税の審議の際と同じような形になっていくのじゃないか、一体どちらが本義なのか、そういうことですよ。ただがんばりますと言うことではなくて、具体的に交付税率の引き上げと制度の抜本的改革を行うのか、または一般会計から繰り入れといいますか、いわゆる定型化するようなそういう形でやっていくのか、一体どちらなんだということなんですけれどもお答え願いたいのです。
  226. 山本悟

    山本(悟)政府委員 たとえば五十二年度の対策といたしましてとりました措置、これはたびたび国会におきましても御答弁申し上げておりますようにやはり臨時的な措置である、恒久的な安定した改正措置ではないということは表明をいたしておるところでございまして、そういうような情勢にならないように、あるいはしないで済むように努力をする必要があるというのが私どもとしての基本的な態度であるわけでございまして、非常に大きな努力を要することとは存じますけれども、安定した制度改正になり得るようにさらに一層の努力をしてまいりたいと思っておるところでございます。
  227. 和田一郎

    和田(一)委員 先ほどの御答弁で、五十三年度もずいぶん不足であろうとおっしゃっておりました。ではいまの、来年度どうするのか、二つに一つどうするのかという私の質問に、とにやくやっていきますだけで、それではもうなるようになれ、風吹かば吹けというような立場でおっしゃっている。これはひとつ財政局長としても、自治省としては、やはり交付税法の条文にちゃんと不足財源が生じた場合の措置を書いてあるのですから、法を守っていくのか、または毎年毎年の臨時的な手当てで終始していくのかというその態度はどうなんですか、自治省は。まず事務当局からお答えを聞いて、それから大臣にお聞きします。
  228. 山本悟

    山本(悟)政府委員 五十二年度までとりました措置も法の趣旨から言えば最高の手段ではないかもしれませんが、その法の趣旨には合っていることと信じまして自治省としては措置をいたしているわけでございますが、さらによりよい方法、手段、制度というものに向かって最善の努力をしたいということでございまして、現時点におきましてはどれだけになるという、あるいは具体の方法ということは残念ながら申し上げられる時期ではないわけでございますけれども、従来の措置よりもより地方財政のために安定し、進んだかっこうに持っていくように努力をしたいと思っておるところでございます。
  229. 和田一郎

    和田(一)委員 それでは交付税はやはりそのままにしておいて、そしてことしと同じような形で何とか持っていきたいという、そういう消極的な態度ですか。
  230. 山本悟

    山本(悟)政府委員 いままでとりましたのが最高の手段とは申していないわけでございまして、それ以上にもっと進んだ、地方財政のためにも進んだような状況になれますように努力をいたしたいと存じます。
  231. 和田一郎

    和田(一)委員 ということは、交付税率を上げるということですか。
  232. 山本悟

    山本(悟)政府委員 交付税率の問題も含めまして当然検討し努力しなければならないことと存じております。
  233. 和田一郎

    和田(一)委員 大臣、いかがでございますか。どちらでいくかという問題、それから来年度地方財政に対してのお気持ちはどういうお気持ちかということ。
  234. 小川平二

    小川国務大臣 五十二年度におきましては交付税率の変更を行わずに制度の改正で対処いたしたわけですが、これとても決して恒久的、本格的な制度の改正とは存じておりません。これを実行し得ませんでしたのは、経済が一つの変動期に差しかかっておりまして一切が流動的である、経済の前途、財政の前途に確たる見きわめをつけにくかったからでございます。  来年度の問題につきましては地方制度調査会の御意見も承り、税制調査会の答申等も念頭に置きまして検討をするわけでございますが、いずれにいたしましても、いまの時点では、景気の動向あるいは経済の状況に的確な判断を下すことができませんので、先ほど来政府委員から申し上げておりますように、はなはだ抽象的な御答弁にならざるを得ないわけでございます。いずれにいたしましても地方財政の運営に支障を来さないような方法を講ずるつもりでございます。
  235. 和田一郎

    和田(一)委員 五十年度地方税の落ち込みによる減収補てん債がございました、一兆六百三十二億。実質はもう少し下らしいですけれども、その償還が各自治体で五十三年度から始まるのです。そういうところでまた財源の不足ということが如実に出てくるわけですが、その償還についてはどのような措置をお考えなのか、お答え願いたいと思います。
  236. 山本悟

    山本(悟)政府委員 昭和五十年度及び五十一年度に発行を許可されました地方税の減収補てん債の元利償還につきましては、普通交付税におきましてすでに地方税減収補てん債償還費という費目を設けまして、基準財政需要額に算入をいたしているところでございます。五十二年度までは御指摘のとおりにこれは利子分だけで済んだわけでございますが、明年度からは元金償還が始ってまいりますが、措置といたしましては、この基準財政需要額の中に算入をいたしてまいる、かように存じております。
  237. 和田一郎

    和田(一)委員 結局は交付税措置をするということになるわけですね。そうしますと、これは五十年じゃなくて今度五十一年度交付税の不足額の約半分の額を地方債に切りかえましたですね、一兆二千五百億。それから五十二年度は一兆三百五十億、建設地方債ですか。こういうことはどうなんでしょうか。交付税が足らないからその半分を地方債に切りかえるというやり方。先ほどからの御答弁ございましたけれども、これからもこの点についてはやはりこれを踏襲するおつもりですか。
  238. 山本悟

    山本(悟)政府委員 地方税収入あるいは交付税収入というようなものを一般財源によりまして相当程度のものを措置ができるということがもちろん希望することであり、理想、と言ってはちょっと言い過ぎで、目的とするところであろうと存じます。しかしながら過渡的な問題といたしまして、財源不足額に対しまして、一般財源措置できる額というのが非常に不足するという場合のやむを得ざる措置といたしまして、起債の充当率の引き上げというような措置によりまして、単年度的に収支のバランスをとってまいっているわけでございまして、これはそれなりに収支のバランスをとって、事業の執行に支障を来さないという意味におきましての大きな効果のあったやり方であろうと存じます。しかしながら、将来の問題として御議論でございますならば、いまのように起債の充当率が高くなるというのはやはり異常な事態でございまして、そういう事態が一刻も早くなくなってまいりますように努力しなければならないことと存じております。
  239. 和田一郎

    和田(一)委員 いまの点について大臣から御答弁を願います。
  240. 小川平二

    小川国務大臣 これは仰せのとおり、一般財源措置するということが本来の方法でございます。こういう異常な経済財政の状況下でやむを得ずして地方債を活用しているということでございます。
  241. 和田一郎

    和田(一)委員 五十三年度の住民税ですが、住民税の減税はどのような方針をお考えですか。五十一年度は課税最低限が百三十万九千円ですか、本年は百四十一万八千円、毎年ずっと上げているわけでございますけれども、来年度住民税はどの程度減税ですか。
  242. 小川平二

    小川国務大臣 御承知のような地方財政状況でございますので、住民税の課税最低限を引き上げるということはきわめて困難なことだと思います。税制調査会の御答申におきましても、ある期間を限って物価の動向に配慮して調整をすることは必要であるけれども、必ずしも毎年調整措置を行う必要はない、こうお述べになっておるわけで、きわめてこれは困難だと申し上げざるを得ません。
  243. 和田一郎

    和田(一)委員 これは重大な発言でございますけれども、いままでずっと毎年やってきて、そして物価の動向、物価の方も相当上がっていますから、しかもこれは住民税ですから、その住民税は減税はやらないという大臣のお考えですか。もう一遍ひとつ。
  244. 小川平二

    小川国務大臣 やらないと申しませんが、きわめて困難だと申し上げておるわけでございます。
  245. 和田一郎

    和田(一)委員 きわめて困難ということは、なかなかできないということですね。どうぞ税務局長の方でひとつ具体的に。
  246. 森岡敞

    ○森岡政府委員 いま大臣が申された以上に私はむずかしいことだと思っております。と申しますのは、税制調査会のいわゆる中期税制の答申をごらんいただきましても、住民税の課税最低限の百四十一万というのはイギリスあるいは西ドイツ、フランスなどの先進工業国に比べまして、ちっとも低くない状況にあるわけでございますし、また税率をそれにかみ合わせました実質租税負担率で見ましても、住民税と所得税と合わせた、いわゆる個人所得課税の負担率というものは非常に低いという数字が出ているわけでございます。もっとも、指摘されておりますように、各納税者間の負担のアンバランス、不公平という問題が制度面、執行面であると、それは直さなければいけない。こういう問題は大事な問題でございますけれども、しかし課税最低限の水準といたしましてはかなりのところまでいっております。そういうことと、それから財政の状況から考えまして、私は、明年度の住民税の減税は非常にむずかしいというふうに思っておりますし、大臣にも常々そういうことでお願い申し上げている次第でございます。
  247. 和田一郎

    和田(一)委員 最近、何か増税というような機運になってきておりますけれども、それは別問題にしまして、自治大臣、これはいま住民税の話をしているわけです。これからもまた御質問しますけれども、国民健康保険税、または料、これがまた上がるという。これは各自治体どんどん上げております。ですから、いわゆる地方税としての一般住民の負担が本当に高いのです。いま局長おっしゃいましたように、世界的にはそうかもわかりませんけれども、しかしこの世知辛い世の中でこれは大変な問題です。ですから世界的にはこうだ、だからこうだということじゃなしに、これは住民税というきわめて大衆的なそれから庶民的な税金ですから、そういう点では毎年多少なりとも物価減税でやってきたのだから、来年度も必ずこれをひとつ実行されるように強く要望したいのですけれども、もう一度御答弁をお願いいたします。
  248. 小川平二

    小川国務大臣 先ほど申し上げましたように、非常に困難な問題だと存じますが、予算編成の時点で十分研究をいたします。
  249. 和田一郎

    和田(一)委員 地方財政の問題はこの程度でやめておきます。  次に、これはやはり財政の問題ですけれども地方債について具体的にちょっと御質問をしていきたいと思うのです。  最近、東京都議会で、起債の許可制の問題で違憲であるという問題をめぐりまして種々論議が交わされましたけれども、この問題について自治省としてはどのようなお考えか、まずその辺をお聞きしたいと思います。
  250. 山本悟

    山本(悟)政府委員 東京都は財政収支が悪化しつつある原因といたしまして現行の地方税財制度に欠陥があることを主張し、特に国による起債許可制度は違憲であるといたしまして訴訟の準備を進められましたが、都議会の賛成を得ることができなかったことは新聞等で報ぜられたとおりでございます。  自治省といたしましては、地方債の許可制度は各種の理由からいたしまして、現在ではなおかつ必要であるというように存じておるわけでございますが、その理由の一、二を申し上げますと、一つは、地方財政全体の地方債の適正限度と個々の地方公共団体の要望との間にはいろいろやはり乖離があるわけでございまして、全体の立場からその乖離を調整する必要があるということが申せます。また、地方公共団体の資金需要も国や民間などの資金需要と調整を図りまして、限られた資金を最も適切に配分しなければならないといったようなこともございますし、また地方団体相互間におきましても、財政力のある団体が優先的に起債をし、一般の団体が起債が非常に困難になるというような事態も避けなければならないわけでございまして、そういったような意味からも、許可ということによりまして保障的機能を果たす必要もある。各種な理由があるわけでありますが、現在の状況におきましては、なおかつ地方債の許可制度は必要であるというように存じているところでございます。
  251. 和田一郎

    和田(一)委員 大臣にお尋ねします。地方自治の本旨からすれば、起債の自主権は当然各自治体にあると思うのですけれども、その点について大臣のお考えはどうでしょう。
  252. 小川平二

    小川国務大臣 地方公共団体が持っております行財政上の権限というものは、国から独立して全く本来固有に持っておる権限ではない、これは国に由来する権限である、国から伝来した権限であると理解すべきものでございましょうし、学説の問題としてもそういう考え方が今日定説になっておると存じます。今日のような財政金融事情のもとで地方公共団体の権限に何らかの調整を加えるということは必ずしも憲法違反ではない、こう考えております。
  253. 和田一郎

    和田(一)委員 では、ちょっと具体的になりますけれども地方債の許可権、これは一体どこにあるかということをひとつお尋ねします。
  254. 山本悟

    山本(悟)政府委員 地方団体地方債を出します場合には、起債の目的なり限度額なり起債の方法、利率及び償還の方法につきまして予算で定め、予算の審議を経て、議会の審議を経ることになっておるわけでございますが、地方自治法第二百五十条の規定に基づきまして、当分の間は許可が要る。そして、それらにつきましては、都道府県、指定市、特別区にありましては自治大臣、市町村にありましては都道府県知事の許可を受けなければならない。このことが地方自治法の法の規定を受けまして施行令の百七十四条に規定されております。
  255. 和田一郎

    和田(一)委員 その許可、審査の実態について自治省の方から具体的に説明していただけますか。
  256. 津田正

    ○津田説明員 許可の実務に関することでございますので、私から答弁させていただきます。  地方債許可の審査に当たりましては、各事業及び各団体ごとに許可予定額を決定するいわゆる一件審査方式というものと、それから許可予定額の枠の範囲内におきまして、各事業ごとに許可予定額を決定いたします枠配分方式、こういうような二つの大きな流れがあるわけでございます。  その実態でございますが、市町村の場合をまず申し上げますと、一件審査に係るものと枠配分の中で県財務部が調整を要するもの、こういうようなものにありましては、許可権者である都道府県知事に許可申請書を提出すると同時に、同じ資料を財務部へ提出しまして、さらに還元融資等に絡みます起債につきましては厚生関係機関へも提出説明を行っているわけでございます。場合によっては財務部、厚生関係機関で別の観点からの資料提出要求される事例もあるようでございます。このような都道府県知事への申請を受けまして自治省大蔵省と協議しまして、事業によりましては厚生省の意見も聞きまして許可予定額を決定、通知しておるような状況でございます。  それから枠配分中、調整を要しないというものにつきましては、自治省大蔵省と協議した後の金額を都道府県に通知いたしまして、要するに市町村からの申請を待たずに、自治省段階で大蔵省と協議して、その決まった額を都道府県に通知しまして、これを受けまして都道府県知事が各事業、各市町村ごとの許可予定額を財務部と調整を図った上決定しまして、各市町村へ通知をする、市町村関係はそういうような事務の流れになっております。  それから都道府県の場合でございますが、先ほどの市町村と同様に、一件審査にかかるもの、それと枠配分中に調整を要するものにありましては、財務部と事前に協議しまして、事業によりましては厚生関係機関、還元融資等の部分でございますが、そういうものにつきましては厚生関係機関の意見も聞きまして自治省に申請し、これを受けまして自治省大蔵省に協議し、還元融資等につきましては厚生省の意見も聞いた上で許可予定額を通知する、かような流れでございます。  枠配分中調整も要しないものにつきましては、自治省大蔵省と協議しまして、一部厚生省の意見も聞いた上で許可予定額を各都道府県に通知する、これを受けまして、都道府県は各事業への割りつけというものを財務部と調整して行っておるような状況でございます。  事務の流れとしましては、大体以上のようなことでございます。
  257. 和田一郎

    和田(一)委員 事務の流れはよくわかりました。  それで昭和三十九年の臨時行政調査会の答申、課長さんお持ちですか。それから五十二年度の七月十三日発行の全国知事会臨時地方行財政基本問題研究会、この二つは公式の文書で、この実態がよく出ておりますけれども、お持ちだったらちょっとお読みになっていただきたい。事務の流れはよくわかりましたけれども、本当の実態はこうだということをそちらの方からおっしゃっていただきたい。
  258. 津田正

    ○津田説明員 臨時行政調査会答申でございますが、「許認可等の改革に関する意見」としまして、三十九年の九月でございます。「地方債の許可」につきまして、  地方公共団体地方債を発行しようとする場合は、自治大臣または都道府県知事の許可を受けなければならない。しかし、このほかに大蔵省、特別地方債については厚生省、融資段階においては郵政省が関与しており、書類の提出事情説明が重複するばかりでなく、許可決定も相当遅れて事業の計画的な執行の支障となる場合が多い。この許可制度を直ちに全面的に廃止することは困難であるが、現行の手続を次のように簡略化することは可能である。すなわち、  (1)地方債の窓口を自治大臣または都道府県知事に一本化し、大蔵大臣、財務局(部)長等は行政庁間における協議という形で関与するにとどめること。 以上でございます。  あとの方はちょっと手持ちございませんで、失礼いたします。
  259. 和田一郎

    和田(一)委員 では私が読みます。   この資料は、国の出先機関の行政事務のうち二重行政、二重監督の弊害があるものの事例である。  一 財務局財務部  (1) 地方債許可事務の一元化    地方債の許可事務は、自治大臣と都道府県知事に一元化し、自治省と関係省庁との協議のみにとどめるべきである。    自治省の協議機関である大蔵省に対し、事業内容を進達する地方財務部および地方財務局は、自治省要求する以上の詳細な資料の提出ならびに説明要求し個別的関与が多く団体側にとっては二重の煩雑な事務となっているばかりでなくひいては許可決定の大幅な遅れをもたらし地方における事業の計画的な執行の障害となっている。 こういうことでございます。  私まだいろいろと調査してまいりまして、ある県の意見としてはこういうことも言っております。「本県においては、許可予定額の決定について協議が不調であった例はないが、財務部の充当作業が遅れるため、充当期限を経過してしまう例が多かった。」「協議が難航するケースとしては、次のような点についての基本的な考え方、方針の相違によるものが多いと思われる。」一として事業の優先順位、二番目に事業実施市町村の財政状況、三番目に事業の緊急性、事業効果等の判断、それから四番目に市町村間のバランス、五番目に市町村の要望、こういうふうな形で出ております。「協議に当っては、財務部は県と同様の方法、観点からのチェックを行っており、単なる数字合わせにすぎない場合が多く、両者の労力が重複しており、また、相互の協議のための日程の調整に時日を要することもあり、市町村の「早急に許可予定額を決定してほしい」という要望に応えられない場合もある。」こうなっておるのですが、きのう大蔵省の方と厚生省の方にも来ていただきましていろいろ御説明を受けました。やはり大蔵省大蔵省、厚生省は厚生省なりの理由等もございます。しかしこれは知事会からの報告でございます。また私がいま読んだのはある県の地方課の話です。こういうことに対して大臣は基本的にどういうふうにお考えになるか——これは一番最後にしましよう、大臣のは。もう少し詰めていきます。  たとえば各自治体では財務部と自治省との、場合によっては厚生省の三者に同じ資料を提出してヒヤリングを行っている、こういうことなんですね。その根拠は一体何かという問題なんです。市町村とすれば各県の地方課、それから県とすれば真っすぐに自治省ということになりますけれども、市町村とすれば各県の地方課、それからその地方の財務部、それから厚生省、この三者になるわけですね。そして書類を出し、ヒヤリングをする、何回も何回もまた呼び出しを受けて説明に行く、こういうことなんですけれども、一体どのような法律的な根拠でそういうことをやっているのかということを、まず大蔵省の方と厚生省の方にちょっとお答えを願いたいと思います。
  260. 鈴木達郎

    ○鈴木説明員 根拠ということに限定してお答えいたします。  国の地方自治法二百五十条で許可の規定はございます。それを受けました地方自治法の施行令百七十四条で、許可に際しては大蔵大臣と自治大臣の定める手続によるべしという規定がございます。いずれも昭和二十二年のものでございます。それを受けまして次に省令の段階で、これも昭和二十二年内務・大蔵省令でございますけれども、その中で起債の許可に当たっては都道府県分については自治大臣が許可、市町村分については都道府県知事が許可、自治大臣が許可をするに際しては大蔵省と協議をしろという規定がございます。現在われわれが受けております協議というのは、この都道府県分についての協議とそれから都道府県知事が許可をいたします際に財務部にいただいております協議と、この二通りがございます。それでこの地方債の許可制度というものは、御承知のように昭和二十二年にできて以来余り法令上の整備が行われずに、長い間実情に応じまして慣行的にでき上がっているものだと私ども理解しておりますが、そういう意味から申しまして、自治法体系上からの法的根拠と申しますと、明確になっておりますのは、都道府県分についての自治大臣の協議、その他指定都市分についてでございます。それから、市町村分につきましては、慣行的にでき上がっている自治省の協議というふうに理解しております。  この協議そのものの必要性につきましては、先ほど財政局長から起債許可制度の必要性についていろいろ御論議がございましたけれども、あの中にもございましたように、公的資金とか私的資金の適正な配分というのはまさに大蔵省の関心事でございますし、それ以上に、また大蔵大臣は郵便貯金資金等の運用の管理責任者でもございます。したがいまして、地方債の許可協議を受ける際に、大まかな融資の審査というものも実態上行われているわけでございまして、その両面からそういった形での協議というものがぜひ必要である、こういうふうに理解いたしております。
  261. 渡辺修

    ○渡辺説明員 厚生省がこの手続に関与いたします部分は、地方債計画上特別地方債ということで掲げてある分でございます。特別地方債として特に別掲してございますのは、それに充てるべき資金が年金積立金のうちの還元融資資金であるという点に着目いたしまして、私ども厚生省としても、事実上地方債という形ではございますが、還元融資資金の融資決定に参画をさせていただくということで、毎年度大蔵省自治省、厚生省の三省の事務次官の連名通達で、自治大臣あての許可申請書の写しを厚生省の方に−もいただきたいということでお願いしているところでございます。
  262. 和田一郎

    和田(一)委員 先ほど自治省の方の課長さんがおっしゃった地方自治法施行令の第百七十四条、これを受けて、「地方自治法施行令第百七十四条の規定による地方債の許可に関する件」、いわゆる内蔵令というのがありますね。先ほども大蔵省の課長さんもおっしゃいましたけれども、この内蔵令の第一条には確かに、「地方自治法第二百二十七条の借入金を除く外、地方債を起し又は起債の方法、利息の定率若しくは償還の方法を変更しようとするときは、第二条に定めるものを除く外、都道府県地方自治法第百五十五条第二項の市及び特別区にあっては内務大臣、」これは当然自治大臣と読みかえるのでしょうけれども、「市町村にあっては都道府県知事の許可を受けなければならない。」ですから、都道府県にあっては自治大臣、市町村にあっては都道府県知事の許可を受けなければならぬ。第二項に「内務大臣は、前項の規定により、許可をしようとするときは、予め大蔵大臣と協議するものとする。但し、起債目的一件の金額が五百万円未満のものについては、この限りでない。」ここに出ていますね。  これに対して、内蔵令の解釈、いろいろあったそうでございますけれども、昭和五十二年、本年五月十二日に、参議院の地方行政委員会で法制局長官がこの内蔵令に対する見解を述べております。短い文章でございますので、ゆっくり読んでみます。   昨日この点について御質問があるという御通  告をいただきまして、私実はこのいわゆる内蔵  令なるものを初めて見たわけなんですが、正直  に申しまして、はなはだできが悪いといいます  か、整理ができてないという感じは免れないと  思います。まあしかしそれはそれといたしまし  て、この規定は、自治法施行令の百七十四条  に、「自治大臣及び大蔵大臣の定めるところに  より、」という文句がございまして、この規定の  委任のもとに自治大臣と大蔵大臣とが省令の形  で定めていらっしゃるものだと思います。もち  ろん、内務省令となっておりますけれども、こ  れは昭和二十二年でございますから、当然内務  省令という形のものでできておるのだと存じま  す。   それで、中身について申しますと、先ほど先  生がおっしゃいましたように、第一項で許可権  限者として、簡単に言えば、都道府県レベルは  自治大臣、市町村レベルは都道府県知事の許可  を受けなさいと、こう規定がございまして、第  二項では「内務大臣は、」と、これは当然自治  大臣というふうに読みかえるべきだと思います  が、「前項の規定により、許可をしようとする  ときは、予め大蔵大臣と協議するものとする。」  とあるだけでございまして、都道府県知事の話  は第二項には全然出ておりません。したがいま  して、先ほどおっしゃいましたように、都道府  県知事が起債の許可をするについて大蔵省筋に  協議をしなければならないという義務はこの内  蔵令から出てくるというふうには読むわけには  まいらないと存じます。こうなっているのですね。ですから、都道府県のための起債の許可は自治大臣がやり、当然大蔵省と協議が必要であるけれども、市町村に対しての許可に対しては都道府県知事がやるのであって、大蔵省筋に協議をしなければならないという義務はここから出てこない。これは法制局長官の意見であります。  そうなってまいりますと、先ほど大蔵省の課長さんが、長い間慣行的にやっているということをおっしゃいましたけれども、現実に私、九県ばかりずっとこの点では歩きまして、いろいろ意見を聞いてまいりました。自治省をほめているわけじゃないのですけれども、これは実態だけですが、自治省関係では、一定の書類を提出させてヒヤリングをして、大体二時間ぐらいの程度で終わる。ところが財務部の場合は、八時間から十時間ぐらいのヒヤリングは普通だ。また、それも細かい資料の要求がある。ですから、この場合は市町村の場合を限定して言いましょう。なぜ大蔵省自治省以上に細かい資料を要求するのかということですね。たとえば、ここのはしごは必要ないじゃないかということまでやるそうです。ですから、そういうことでの意見の符合がおくれるので事業の施行が遅くなる、こういうことが頻繁と言われているわけなんです。こういう実態、私の調査した限りでございますけれども自治省としては、財政局長はこの点について恐らく御存じだったと思うのですけれども、どういうふうな御意見をお持ちでしょうか。
  263. 山本悟

    山本(悟)政府委員 御指摘のとおりの実態があるとわれわれも聞いているわけでございまして、自治省といたしましては、もちろん、地方公共団体の自主性と事務の簡素化というような意味から、簡易な許可制度というものは必要であると存じているわけでございます。  それぞれの大蔵省なり厚生省なりといたしましては、先ほど御答弁がありましたように、政府資金の貸し付け機関あるいは原資の所管官庁というようなお立場からいろいろと関与をされていると聞いているわけでございますけれども、私どもといたしましては、手続の一本化あるいは書類の簡素化というような点に向かいまして、従来からも主張もし努力もいたしておりますけれども、さらに努力をしていきたいと思っております。
  264. 和田一郎

    和田(一)委員 内蔵令の解釈については、財政局長はどうですか。
  265. 山本悟

    山本(悟)政府委員 ただいま先生お読みいただきましたような応答が法制局長官との間にも参議院において行われたわけでございまして、その辺のところから見れば、法律解釈論といたしましては非常に明確になっていると存じております。
  266. 和田一郎

    和田(一)委員 じゃ、大蔵省にお聞きしますけれども、どういうことでいろいろな書類を要求されるかということなんですね。それから、知事会の方にも、いま私が言いましたように、こういうことが出ておりましたね。どういう理由でこういうふうになるのかということです。たとえば、何とかという法律の第何条によってということがあればおっしゃっていただいても結構でございますけれども、ひとつその点の御答弁を願います。
  267. 鈴木達郎

    ○鈴木説明員 前々からそういう御批判をいただいておりまして、私ども実は大変いつも神経を使っております。したがいまして、財務部なり財務局の課長なりが集まった際は常々そういうことは申しておりまして、つい最近も、私ども調べた範囲では、そういう極端な例というのは私どもには報告がございません。したがいまして、全く皆無とは申し上げられませんが、そういった例はきわめて例外的な例だと実は私ども思っておりましたが、さらに今後ともそういったことがないように一層徹底したいと思います。  ただ、書類徴求という場合に実は二通りござい・まして、一つは地方債の許可協議の際でございます。これにつきましては、私どもが調べた範囲では、ほとんどの場合に、自治省にお出しするあるいは市町村が地方課にお出しする書類の域は出ておりません。大体それで間に合っているのが通例でございます。それから、起債協議が調いまして、覇予定額の通知がありまして、それ以後、現実に事業が執行された後の段階で政府資金の借り入れという局面がございます。その際には、ほかの地方債資金もそうでございますが、一応事業が完工し、支払いも大体なされたという時点で資金運用部資金が貸し出されるという手続上のことがございますので、その際に事業が本当にどの程度進行したのか、あるいは当初の起債の協議の際に予定されていたとおりの事業が行われたかどうか、その辺につきまして若干の資料をいただいていることがございます。  それからもう一つは、特に御批判が多いと思いますのは、写真とか何かだと思いますが、たとえば、御承知の県の単独災害とか、十万円以下の小災害という大変細かい起債が実はございます。それは後刻国からそれの元利補給金が支給されます。場合によっては交付税の対象に元利償還費が全部なるものでございますけれども、それは起債の許可がなされることによってすべてが決まるということでございまして、その際に、財務部といたしましては、何千カ所もの被災個所を見るわけにもまいりませんから、全く書類手続だけでやります。その際に写真がないことには、果たして本当に災害が起こって少額なりといえども復旧工事がなされたのかどうかわかりませんし、会計検査院等の確認もございますので、そういう際に写真をいただいておる。ただ、それがそういう小さな被害個所が何十カ所、何百カ所に及びますと膨大な写真量になるということから、御批判をいただいておるんじゃないかと思っております。そういう面のいわゆる貸し付け手続に際しての書類徴求、これにつきましては、いろいろ御批判を踏まえまして、目下私ども、課の中の作業でございますけれども、できるだけ省略できるものは省略しようということで鋭意検討を進めております。これは省令の改正が必要になりますけれども、できるだけ早い機会にそういった団体側の手間を省く方向で処理いたしたいと思っております。
  268. 和田一郎

    和田(一)委員 いまの御答弁の中でも出ておりましたけれども、これは知事会にも出ておるのです。特に農業基盤整備事業、これは一つの県が内容は百ぐらいあるのですね、一軒一軒の農家のことですから。そのたびに全部出さなければならぬ。会計検査院のことがあるかもわからぬけれども、そこまで自治体というもの、それから自治省というものが信用されていないのですか。これは局長、一体どうなんですか。そこまで写真を出さなければ、この災害が本当にあったのかどうかということまで、そこまで国の機関というものは疑うのですか・自治省が自治大臣の判こを押して、または都道府県知事がちゃんと判こを押して許可しているものを、それを写真を出さなければならぬという。これは警察の捜査ならそういうことがあるかもわかりませんよ。いまにこれは大蔵省は指紋を採取するかもわかりません。そうなったら大変ですよ。どうですか。
  269. 山本悟

    山本(悟)政府委員 自治省といたしましては、都道府県なり指定市のものは自治省が許可をいたしまして責任を持つ、また、市町村の分につきましては機関委任事務といたしまして都道府県知事に責任を持ってもらうという体制ができているわけでございまして、そちらの系統の方で十分責任を持つ必要があるし、また、持つこともできるというように存じております。
  270. 和田一郎

    和田(一)委員 ちょっと厚生省の方にお聞きいたしますけれども、厚生省の方の資金を使わせてもらうために県の地方課が中に立っていろいろ調節する場合に、この市は厚生資金の、いわゆる年金ですか、徴収率が悪いから起債の充当は後回しだというようなことをおっしゃるというような話を聞くのですが、そういうことはやっぱりあるのですか。     〔委員長退席、大西委員長代理着席〕
  271. 渡辺修

    ○渡辺説明員 先ほども申し上げましたように、特別地方債の原資が年金積立金の中の特に厚生年金、国民年金、船員保険といった政府が所管しております年金の被保険者等の福祉還元の一環として行われているということから、いろいろ要請が出てまいります。保険料を拠出した人たちの意向を反映させる仕組みですとか、あるいはそういう人たちに年金の積立金がこういうふうに使われているのだというようにはっきり理解できるものでなければ困るとか、いろいろな要請が出てくるわけでございますが、いういうことは、だんだん突き詰めてまいりますと、それによって保険料の拠出意欲の向上を図り、ひいては最終的にはそういった年金制度の円滑な運営に資そうというのが還元融資の趣旨でございます。  この還元融資制度の一還として地方債の一部にそういう資金を充てております関係上、やはりその制度の趣旨に沿った形での運用というものをお願いせざるを得ない。私ども、先生おっしゃいましたようなことは、これまた先ほど申しました三省の事務次官通達の中で、保険料の、特に国民年金の保険料の徴収状況の特に悪いところについては特別地方債の対象としないということもはっきり申し上げております。しかし、運用に当たりましては、起債の許可を留保するというのが本来の目的ではございません、いま申しましたように年金制度の運営を円滑ならしめるということでございますので、非常に弾力的にやっているつもりでございます。規模別に基準を決めまして、この基準は同じ規模の地方公共団体の収納率を非常に下回る低い線で設けていまして、私ども国民年金の検認率と呼んでおりますけれども、検認率の著しく悪いところについて、ぜひこれを改善するような努力をしていただきたい。その努力の跡が認められればこの留保を解除するにやぶさかではございません。非常に弾力的な扱いをしているという点は御理解いただきたいと思います。
  272. 和田一郎

    和田(一)委員 自治省にお伺いしますけれども、事務次官通達といいますか、大蔵省自治省と厚生省のこの三者の話し合いで、徴収の悪いところは充当しなくてもよろしい、こういうことは本当にあったのですか。
  273. 山本悟

    山本(悟)政府委員 毎年三省の連名での通達を出しているわけでございますが、意見は意見といたしまして、自治省自治省判断で各省と折衝するというような態度で臨んでおります。
  274. 和田一郎

    和田(一)委員 おかしいじゃないですか。いま厚生省の方はおっしゃいましたよ。三省間では、年金の徴収率の悪いところは充当を留保する、こういう話し合いになっているというお話、あると言うのだけれども自治省はそれをそのままにして、各自治体が甘んじているわけなんですね。厚生省関係の資金を何に使うかというと、結局これは住民福祉なんです。徴収と福祉とはまた違うわけですよ。
  275. 津田正

    ○津田説明員 還元融資それ自体の目的もあるということでございますので、今後そういうような還元融資のもとになります年金等の改善が図られる、こういうような観点から私ども共同で通達を出しておるところでございます。
  276. 和田一郎

    和田(一)委員 では自治省はそういう通達を出したのですね。どうもはっきりしないのだけれども自治省は、たとえば何かをつくりたいというところへ、あなたのところは集め方が悪いからやらない、そういうことを了としたのですね。
  277. 津田正

    ○津田説明員 通達自体をちょっと申し上げますと「なお国民年金の保険料の納入状況または適用状況が不良である地方団体は、対象としないものであること」こういうことになっております。私どもとしましてはやはり地方財政全般の観点からも考えていくわけでございますが、還元融資の目的という点からこのような通達になっておるような状況でございます。
  278. 和田一郎

    和田(一)委員 では自治省はその点については譲ったということですか、細かいことで申しわけないけれども。     〔大西委員長代理退席、委員長着席〕
  279. 津田正

    ○津田説明員 還元融資の目的からそういうようなことで合意はしておるわけ、でございますが、もちろん私どもなりに個々の団体の財政需要あるいは事業の緊急性というような判断から、また必要に応じまして各省と意見を調整する際にはそのような態度で調整をしてまいっておる、こういうような状況でございます。
  280. 和田一郎

    和田(一)委員 たとえばある団体が徴収率が悪かったというのは何か理由があると思うのです。その理由のところを何もしてあげないで、集まりが悪いからやらないよというようなやり力、これは自治省としてそういう考えに立っていいのですかね。それは大蔵省だとか厚生省はそういうことをおっしゃるかもわかりませんよ。そんなこと、自治省だけは一まま母みたいですよ、これは。どうなんですか。
  281. 津田正

    ○津田説明員 徴収率が悪いような団体、先生もおっしゃいますようにそれ相応の事情は個々具体的にあるかと思います。私どもとしましてはそういうような点、それから当該団体の財政事情あるいは事業の緊急性というものを十分確かめた上、意見は意見としまして各省と調整を図ってまいっておるような状況でございます。
  282. 和田一郎

    和田(一)委員 では、今後もやはりそのようなことで三者で通達を出し合うわけですね。検討するのかどうか……。
  283. 津田正

    ○津田説明員 そういうような状況でございますが、今後におきましても御意見等も十分検討してまいりたい、かように存じております。
  284. 和田一郎

    和田(一)委員 いよいよ本論に入っていきますけれども自治省としてどうなんですか、実際問題として、出先機関の市町村または県がこのような感覚で起債の事務を扱っているということ、大蔵省としても厚生省としてもそれぞれの理由はあることはあるのです。しかしながら、これは法律的には何もないわけですよ。県の起債については確かにちゃんと出ていますからこれはやむを得ませんけれども、市町村に対しての起債の許可権限は知事にある、その知事から上に対しての大蔵大臣と話し合わなけばならぬということは内蔵令からは出てこないです。なぜそれを大蔵省はやっているのかということです。自治省としてそれはどういうお考えですか。遠慮しないではっきりおっしゃってください。
  285. 山本悟

    山本(悟)政府委員 自治省といたしましては、従来から起債の許可事務の簡素化あるいは許可窓口の一本化という主張は持っております。それを持っておりますようなそういった考え方がいろいと反映している点もあるわけでございますけれども、現実はただいま各省から説明のあったような実態になっておりまして、まだなかなかそこまで達していないのが現実で、私どもといたしましてはなお一層許可事務の簡素、合理化のための努力を重ねる必要があると思っているところでございます。
  286. 和田一郎

    和田(一)委員 では大蔵省の鈴木課長さん、済みません、もう一遍、どういう根拠でやっているかちょっとお答えください。
  287. 鈴木達郎

    ○鈴木説明員 起債について協議をいただくという意味は、結局都道府県分につきましても市町村分につきましても考え方としては同一でございます。要は、現在地方債の資金がどういうものであるかと申しますと、まず第一に政府資金というものがございます。それにつきましては貴重な国民の郵便貯金が大部分原資になっておるわけでございますけれども、それにつきましては大蔵大臣が運用部の責任者でございまして、個々にどういう形で貸与されているのかということについては、当然大蔵省としてかかわり合いを持たなければならない事項だと思います。  その次にございますのが、いわゆる公募債ですとか地方債ですとか公営公庫の資金でございます。これら民間市場におきまして調達される資金につきましても、実は自治大臣とともに完全な消化について努めなければならないという義務も負っております。  そのほか、もろもろ財政金融の総括責任者としての立場というものがどうしてもございます。くどいようでございますけれども、先ほど起債許可制度の存置の理由の中にもまさに述べられておりました起債許可の存置の理由というのは、私どもから言わせますれば大蔵省に協議をしていただく、まさにその理由ではないかというふうに理解しておるわけでございます。かかる意味におきまして都道府県分、市町村分それぞれにつきまして御相談をいただく必要があるというふうに理解をいたしております。
  288. 和田一郎

    和田(一)委員 結局は何も根拠がないのです。たとえばこういうことですよ。市町村の場合——これは局長でいいかな。市町村の場合に県の地方課と財務部と協議をした、どうしてもこの協議が一致しなかった。しかし日限が来たので知事が一致しないなりに許可をしたという場合、これはどうなんですか。この起債は無効ということになりますか。どうでしょう。
  289. 山本悟

    山本(悟)政府委員 市町村分につきまして知事が許可をする際には、法制的には先ほど来のように他省庁との協議というものは必要としないわけでございますから、そういう事態は現実の問題としては実際上は起こっていないと思いますけれども、仮定の問題として考えれば、別に知事の許可というものには制約はないはずである、こうなるのじゃないかと思います。
  290. 和田一郎

    和田(一)委員 ですから、市町村分については知事の許可が最後であるということですね。いまの鈴木さんがおっしゃったように、大蔵省としてはいろいろな金を扱っているから、それはやはり見ていかなければならぬということですけれども、国庫から出ている金なら問題はありませんけれども、縁故債まで大蔵省でやっているわけですね。それはどういうことなんですか。結局は運用部の金じゃないということですよ。いわゆる縁故債までも微にわたり細にわたりぴしっとやっている。そういう点についてはどうでしょう。
  291. 鈴木達郎

    ○鈴木説明員 微に入り細に入りやらない方向で努力いたしますが、政府資金と申しますと必ずしも政府資金全額だけで融資されるわけではございません。かなりの場合が協調融資的な形でもって融資されておりまして、最初の申請の段階から別に資金が決まっているわけでもございませんので、実務上もこの分は政府資金分、この分は縁故資金分というような区分はかなりむずかしいと思います。  それからそれ以上に、先ほども申し上げましたように、必ずしも運用部の管理責任者としての立場だけではございませんで、公共債市場を含めます公共債一般、それから銀行等の借入政策一般、要するに財政金融政策の総括責任者という立場から、縁故債についても御相談いただくのが適当であるというふうに理解しているわけでございます。
  292. 和田一郎

    和田(一)委員 自治省はどうですか。縁故債についても大蔵省の監督は必要だと思いますか。
  293. 山本悟

    山本(悟)政府委員 この点につきましては自治省といたしましては、五十年の暮れでございましたか、内蔵令の改正案大蔵省に持ち込んだことがあるわけでございますが、意見の一致を見ずといいますか、返事がないままに至っているわけでございます。ただいま御指摘のとおり、資金運用部資金の管理者としての立場というのはある場合もあると思いますけれども、それ以上の分野にまで及ぶのはいかがかという考え方からの改正案を持ち込んだわけでございますが、そのままになっているという状況でございます。
  294. 和田一郎

    和田(一)委員 この問題はどうも納得できないのです。自治大臣、これはどうなんでしょう。これは実務にあずかる人は大変なんですわ。それでヒヤリング——書類は何枚でも書くというのです。書類は同じ形式のものがほとんどですからね。これは大蔵省自治省とが違うということは余りないらしい。だから、書類は幾らでも書く、だが、ヒヤリングはかなわぬ。しかも、県庁所在地の近くの市町村はいいかもしれぬが、遠くは大変なんです。しかもこの高等学校の定員を教えろとか、ちょっと統計を見れば定員数ぐらいわかるんですよ。そこまで、書類持ってこい、説明に来いと言われるというのです。きのう鈴木課長さんは、そんなことはないとおっしゃいましたけれども大蔵省としても相当厳しく指導しているのでしょうけれども、現実にそれがある。そして結論として、知事会から報告書が出ておったとおり、事業に非常に支障を来す。これでは市町村は踏んだりけったりですわ。いまここでいろいろ御質問申し上げたら、自治省の方はどうもそれをやってもらっては困るんだ、大蔵省は、法律には書いてないけれども、やはりやらなければまずいんだ。よく聞きますと、厚生省の資金も、結論的には資金運用部の金になっているんだそうですね。そうすると、同じ資金運用部の金、その資金を大蔵省と厚生省とでがんじがらめにがちっと調べに来る、それほど市町村というのは信用ないのでしょうか。自治大臣、どうでしょう。
  295. 小川平二

    小川国務大臣 関係者も出席しておることでございますが、取りつくろったことを申し上げるつもりはございません。それぞれ言い分がございまして、いまお耳に入れたわけでございますが、確かに大蔵省政府資金の貸し手でもあり、あるいはまた、縁故債の消化に金融機関を監督する立場でございますから、協力もしておるわけでございます。これは大蔵省の立場でございましょう。  県段階の出先機関である財務部というようなものが根掘り葉掘り口出しをして、地方公共団体に要らざる手間をかけ、財政の自主性を阻害しておる、これは否定できない事実でございます。現状は是正されなければいけないと考えておりますから、今回の行政機構の改革に際しましても、私は財務部を廃止すべしということをあらゆる機会に閣内で主張をしておるわけでございます。  これが自治省の立場であり、考え方でございますから、どうぞこの問題につきましては、これ以上追及なさることをやめていただくことをお願いいたします。
  296. 和田一郎

    和田(一)委員 自治大臣は追及するなというのだから、方向転換しまして、自治省の方針で、起債自主性を拡大、府県債の一件審査を改善、五十三年度から枠配分、これはある新聞ですけれども、こう出ています。この内容についてちょっと説明してください。
  297. 山本悟

    山本(悟)政府委員 その新聞の記事のもとになりましたのは、東京都の議会におきまして、起債許可権に関する訴訟を出すべく提案されまして、それに対しましていろいろ都議会におきまして御論議があったわけでありますが、その際一、二の政党の都議会の方々が自治省の担当の班のところに参りまして、いろいろと自治省の起債につきましての考え方等を論議もし、質問もしていったわけでございます。  その際、起債の許可のやり方につきましていろいろ論議があり、従来各党の方からもいろいろと御要望なり要求のあっていたことでございますが、なるべく一件審査を減らし、枠配分による許可という制度に持っていくべきじゃないかという話があり、それにつきまして、自治省といたしましても、かねて考えていたことにつきまして、現在の市町村分のみならず、県分の単独事業等につきましてもある程度の枠配分というのは可能じゃないかというような考え方を持っておりましたので、そのことを申したところでございます。それにつきまして、都議会のある会派の方から、そのことを書いてくれということがございましたので、メモといたしましてお渡しをしたのがそういう記事になって出たというように存じております。
  298. 和田一郎

    和田(一)委員 そのある会派を問題にするわけじゃないのですよ、ここにもいらっしゃいますから。  いま自治省説明がございましたけれども大蔵省は、これは都道府県ですから、当然おたくの方は必要です。おたくの方はこれに対してはどういうお考えですか。
  299. 鈴木達郎

    ○鈴木説明員 あのメモはいただいて読んでおりますが、具体的にどういう形になりますかは、恐らく五十三年度許可方針が決定される際に私どもに協議がいただけるものだと思っております。その際十分検討させていただくことになりますけれども大蔵省といたしましても、従来から特にその市町村分についての枠配分の拡大ということにつきましては賛成いたしておりますので、今回の方針につきましても、一層枠配分方式を拡大するということについて別に異議をはさむつもりはございません。
  300. 和田一郎

    和田(一)委員 では大蔵省はこれはどうぞおやりくださいということですね。
  301. 鈴木達郎

    ○鈴木説明員 具体的な中身についてまだ実はわかりませんので、いいんですねとおっしゃられましても、その中身のわからぬままに、はいとはちょっと言い切れませんのですが、方向としては了解しておるということでございます。
  302. 和田一郎

    和田(一)委員 済みません、もう一遍聞きますけれども、枠配分を増加するという基本的な方向はオーケーということですね。  それから、五十二年度自治省の施策としても中に入っておりますけれども地方団体金融公庫ですか、この構想がございます。「地方債の円滑な消化を図るため」として、「「公営企業金融公庫」を「地方団体金融公庫(仮称)」に改組する。」この案が出ております。また、わが党としても議員立法ということでこの点は議会に審議をお願いしているわけでございますけれども、この点について、自治省は当然これは御自分の施策の中に入れていらっしゃるのだから賛成なんですけれども、この点については大蔵省は一体どういうお考えでしょうか。
  303. 鈴木達郎

    ○鈴木説明員 今回の五十三年度予算要求の中身としてそういうものがございます。ただ、まだ予算要求をいただいたばかりでございまして、これからお互いに相談してまいりたいと思っておりますけれども、私個人の感触から申し上げますと、実は昨年度とは大分様子が変わってきていると思います。と申しますのは、公庫をなぜ改組するかという理由につきましては、特に市町村段階での縁故債の消化難という問題があったわけでございます。五十二年度につきましては政府資金を三〇%ほどふやしました、一般の財投機関は一五%ぐらいでございますけれども。その結果、縁故債の総額も若干減りまして、それから金融も大体緩和してきたというようなことから、目下縁故債の消化難という事態はないわけでございます。それ以上に、私どもは現在の縁故地方債消化の仕組みと申しましょうか、要するに地元の金融機関が縁故地方債資金を供給して、それがまた県の公金とかあるいは地元企業の預金を通じてそこへ還流してくるといういまの縁故債の仕組みというのは非常にうまくワークしている、非常に効率的なものだろうと思っております。したがいまして、そういうものがあるからこそ、事実縁故債は非常に急膨張したわけでございますけれども、何とか難局を乗り切ってきた。今後におきましても、そういう仕組みがある限り、一般的な消化難という問題は当面ないのではないかというふうに考えておる次第でございます。  ただ、五十三年度につきましても、やはり五十二年度と同様に、でき得る限り政府資金の方は増加いたしまして、縁故債の増量そのものは極力抑制したいという、そういう方向で私なりに努力していきたい、そういうふうに考えております。
  304. 和田一郎

    和田(一)委員 ちょっとお話を聞いておりますと積極的じゃない、むしろ大蔵省としては反対だ、現在のままで十分縁故債を消化できる、またその方が地方に還元ができてよろしい、こういうわけでございますね。ところが、全然考えが違うのじゃないかと思うのですね。大蔵省の考えていらっしゃる公庫のあり方と自治省の考えている公庫のあり方、これはちょっと違うように思うのですがね。局長、ちょっとかいつまんでおっしゃってください。
  305. 山本悟

    山本(悟)政府委員 自治省といたしましては、明年度予算要求も昨年度と同様にいたしているわけでございます。ただいまの大蔵省側からの御答弁の中で、金融が緩和して去年ほど逼迫していないじゃないかというような観点から、必要ないのじゃないかというような感じに受け取れる御意見もあったわけでございますけれども、金融が緩和しているというのは、景気が沈滞している、なかなか借り手がないという状況のもとにおいて、そういう一時的な現象としては去年と比べてどうだという議論はあるかとも存じますけれども、やはりこれが多少でも景気が上がってくる、経済が発展してくるということになれば、まさに地元の銀行におきましては、地方団体と地元企業との資金の取り合いということは目に見えているわけでございまして、そういう情勢がまさに目前に迫っている。かつ、地方債資金というものを活用するという方向というのは、これだけ大きくなりました地方財政にとりましても、従来のように地方債資金が少なくて済むという状況はなかなか参らないのではないかというように考えられるわけでございます。  そういう状況を踏まえて考えますれば、良質な資金というのをより安定的に確保する手段、方法というのは常に考えておかなければならないことでございまして、そういうような意味からいきましても、この公庫の改組ということはきわめて重要なことであるというように存じます。  また、政府資金につきましては、いろいろと御努力を大蔵省側からいただくにいたしましても、政府資金の伸びというのが、しかくさように地方財政の要望を賄うだけのものになるのだろうかということにつきましてもやはり問題はあるわけでございまして、いろいろな意味で、良質な資金を獲得する手段というのは地方財政の対策として考えておく必要があるのではないか、こういうように思っておるところでございます。
  306. 和田一郎

    和田(一)委員 これはひとつ大臣の方の御決意を聞きたいのですけれども大蔵省の反対している理由というのはちょっと私たちもつかめないのですけれども、現在の国庫資金と、そして縁故債と、このままでいいじゃないかという考え方ですね。ところが、これからどんどん債券というのがふえていくだろうということ、そのふえた部分をどうするかということになってくるわけですね。それを共同で公募しようということが地方団体金融公庫のあり方だと思うのですけれども、そうなんでしょう。ちょっとその点をひとつ。
  307. 山本悟

    山本(悟)政府委員 おっしゃるとおりだろうと存じます。
  308. 和田一郎

    和田(一)委員 ですから、いまの大蔵省から出している資金、そういうものはそのままでいいわけですよ。それ以上にふえた部分を共同で原資を集めようという形なんだから、反対される理由はさらさらないと思うのですけれども、なぜ反対しているのだろうか。その説明が少し不十分じゃないですかね。どうですか、自治大臣
  309. 小川平二

    小川国務大臣 説明には十分理解できない点がたくさんあるわけでございます。いま縁故債礼賛論のごときものを大蔵省から聞いたわけで、まことに意外な思いをいたしておる。確かに、いま金融が緩んで縁故債の率も下がっておりますが、金融の情勢というものは非常に急激に変化するものでございます。地方公共団体に良質な資金を供給しなければならない、そういう要請というものは依然として強く存在しておると思いますから、十分協議を遂げまして、明年度においてぜひ実現をしたい、こう考えております。
  310. 和田一郎

    和田(一)委員 それでは、時間が迫ってまいりましたので、この問題についてはこれで一応終わります。  次に、国保の問題について、厚生省の方が来ていらっしゃると思いますので、そちらの方に入ります。  通常国会で、私は国民健康保険のことについてお尋ねいたしました。最近また一般会計からの繰り入れであるとかまたは国保税の率を上げるという、これがどんどん進んでおります。とにかく各家庭一軒一軒を調べますと、普通の税金以上に高いのが国保税なんですね。そういうことで、通常国会ではずいぶんと議論をさせていただきましたけれども、結局は根本的な医療制度の改定もこれは当然だと思うのですけれども、現在どのような御検討中であるかどうか。ちょうど私の質問に舘山さんがお答えになりまして、厚生大臣の私的な諮問機関としての老人保健医療問題懇談会がある、そして五十三年度予算をめどに結論を出すようにがんばっている、こういうことがあったのですが、つい最近の新聞にも、渡辺厚生大臣からのその点についての前向きな答弁も載っておりましたけれども、担当者の方から、現在どうなっておるかということをひとつ御説明願いたいと思います。
  311. 黒木武弘

    ○黒木説明員 国保の保険料につきましては、先生御指摘のとおり、年々二〇%相当の引き上げが行われているわけでございます。これは年々の医療費増に加えまして、国保では老人の割合が多いということで、老人医療費によるしわ寄せが国保に大きくかぶっているわけでございます。そういう意味で、国保の被保険者の保険料をどうするかという場合に、当然私どもとしては老人医療を今後どう考えていくかということがあるわけでございまして、前課長がお答えしておるように、厚生省としては老人保健医療問題懇談会というのを昨年発足させまして、鋭意検討が続けられておりまして、今月中には報告がいただけるものと私どもは考えておるわけでございます。  そういう懇談会の結論なり報告を跡まえまして、私どもは医療保険制度あるいは国民健康保険制度の中で、国保の被保険者だけが老人医療の影響を受けて苦しい保険料の負担をかぶっておるということがないように、全国民ひとしい保険料の負担ということの実現を目指しまして種々検討いたしたいというふうに考えておるわけでございます。
  312. 和田一郎

    和田(一)委員 来年度予算に間に合うようにという御答弁があったのですが、その点についてはどうなんですか。
  313. 黒木武弘

    ○黒木説明員 老人保健医療問題懇談会の検討の過程におきまして、今後のわが国の老齢化社会を迎えて老人医療をどうするか、老人問題をどうするかということで大変議論がございまして、本来ですともう少し早く結論が出べきところ、大変むずかしい問題があるということで、報告が相当大幅におくれまして、今月中であるということでございますので、これから報告を私ども得まして検討に直ちに入るわけでございますけれども、五十三年度予算に根本的な制度改革は果たして間に合うものかどうか、大変危惧をいたしておりますけれども、それ以外に老人のヘルスサービスとか等々いろいろな報告も期待されておりますので、私どもとしてはできるものから予算に反映させていきたいということでございまして、報告全体の趣旨を来年度生かすということはとうてい間に合わないと思っておりますけれども、その中で、来年度施策に反映できるものはできるだけ早く実現に努力したいというふうに思っております。
  314. 和田一郎

    和田(一)委員 大臣、いまの説明をお聞きになったように、とても来年に間に合わないけれどもということなんです。国保の問題は大変な問題ですから、いまの説明を踏まえた上で、大臣のお考えを述べてください。
  315. 小川平二

    小川国務大臣 国保でございますが、たとえば、市町村におきましては国保税の負担というのが市町村民税を上回っているという現状でございますし、負担力の限界に近づいておると存じます。国保の会計そのものも、収支も大幅な赤字を出しておるということで、何らか抜本的な改善策の樹立を強く期待いたしておるわけで、この点については厚生省においていろいろ検討なさっておると聞いておりますが、さしあたっての措置といたしましては、この臨時財政調整交付金でございますか、この大幅な増額、五十二年度におきましては九百四十八億円、パーセンテージにいたしまして三八・八%増額することになっておりますが、これらの助成措置をさらに強化してもらいたいと存じます。  これとあわせて、市町村におきましては、適正な保険料の確保に努めてもらい。合理化と申しましても、合理化の余地にも乏しいかと思いますが、合理化の努力を一層続けてもらいまして、事務経費の節減に努めてほしい、このように考えております。
  316. 和田一郎

    和田(一)委員 あと二つでございますが、そのうちの一つは補助金なんですけれども、これは足立主計官でよろしいのでございましょうか、補助金のことは。−補助金の整理、合理化、これはずっと論じられてまいりました。特に、地方関係の行政改革の最大の焦点は補助金の整理だ。五十三年度から何らかの改善の姿勢が見られるのかどうかということなんですね。知事会でも、また市町村長会でも補助金のメニュー化であるとか、それから零細補助金を統合するとかいろいろ出ておりますけれども、そういう要望に対しての実現の見通し、これはどうでしょうか。
  317. 足立和基

    ○足立説明員 補助金等につきましては、財政資金の効率的な使用あるいは行政運営の能率化という見地から絶えず見直しを行っていかなければならないと考えております。現在、御承知のように、国は三割近い財源を公債に依存するという非常に厳しい状況にあるわけでございますから、五十三年度予算編成に当たりましてはなおのこと、一層の補助金の整理合理化ということを行政改革の一環として行ってまいりたいと考えております。したがいまして、現在その作業を予算編成の一環といたしまして鋭意進めておる状況でございますが、各省庁の御協力も得まして、その実現を図ってまいりたいと考えております。  いま御指摘の補助金の統合、メニュー化というような点につきましても、具体的な補助金につきまして、できるだけそういう方向で成案を得たいと考えております。
  318. 和田一郎

    和田(一)委員 それでは、来年度は具体的にそういうことができるという御答弁と承ってよろしいんですね。
  319. 足立和基

    ○足立説明員 そういう方向で検討を進めてまいりたいと考えております。
  320. 和田一郎

    和田(一)委員 まあ、方向でいいでしょう。また時間のあるときにやらせていただきます。  それから、先ほど細谷委員の方からも御質問がありました、重複しますけれども、人口急増市町村の問題について一つ御質問します。これは先ほども細谷先生がるるおっしゃいました全国の小学校、中学校の子供たちの約三五%が百六十五市町村にいるということです。大変なことです。問題は、小中学校の校舎建設の補助金、これは用地買収の方とそれから校舎の方とに補助金のかさ上げがやられるわけですね。ところが、五十二年度で校舎建設の方で補助率のかさ上げ措置が終わってしまう。五十三年度以降はどうするかという問題です。これは一体どうでしょうか、文部省の方。
  321. 倉地克次

    ○倉地説明員 いま先生御指摘のございますように、急増市町村で児童生徒の急増のために相当程度校舎の建築が必要になっているわけでございまして、その財政需要という見地もございまして、四十八年から急増市町村については三分の二の補助率で校舎の新増築の補助をしている次第でございます。これが五十二年度で終わるわけでございますが、私どもとしては、五十三年度の概算要求にさらに継続を要求しておりますので、今後大蔵省と十分御相談してまいりたい、さように考えております。
  322. 和田一郎

    和田(一)委員 自治大臣、いまの人口急増市町村ですが、いま文部省の方は、何とか五十三年度以降も校舎建設の方に補助率のかさ上げもやっていきたいというお話、これはひとつ大臣の方からもよくまた大蔵省の方に折衝してもらいたいと思うのですが、これは大変な問題なのです。決して文部省だけではなくて、自治省の方も力を合わせて、ひとつこの方の措置の方も全力を挙げてもらいたい。その御答弁をいただいて、私の質問を終わりたいと思います。
  323. 小川平二

    小川国務大臣 人口急増に伴いまして出てまいりまする公共施設の整備のための財政負担で地方財政が非常に強く圧迫をされておりますが、御指摘の点につきましては、すでに関係省に強く要望をいたしております。これからも鋭意努力をするつもりでおります。
  324. 和田一郎

    和田(一)委員 終わります。
  325. 地崎宇三郎

  326. 山本悌二郎

    山本(悌)委員 もう大分お疲れのようですから……。格調高く行きます。主に自治大臣にお尋ねを申し上げます。  いま、税調の答申がある前、あるいはまた税調の答申が出てからもそうですが、ちまたでは、一般消費税の導入についてかなり動揺するというか、いろいろな批判、あるいはどのぐらいの税金になってどうなるんだろうという心配をしている向きが非常に多いのであります。  ところが、この税調の答申が出る前にすでに自治大臣は、九月十七日だったと思いますけれども、伊那の講演会でこれを取り上げて講演をいたしております。その記事が出ております。お覚えになっていると思いますけれども、読みましょうか。「地方交付税率の引き上げは税制調査会が検討中の一般消費税の創設など、来年度の税制改正との関連の中で解決していきたい」云々、ずっとあるんですね。かなり長い講演をしているんですね。  そこで、自治大臣にまずお伺いしたいのですけれども、この講演の内容を踏まえて、この一般消費税に対する考え方からまずお伺いしたいと思います。
  327. 小川平二

    小川国務大臣 財政の均衡を取り戻しまするために、ある時期に国民の納得を得て、相当程度の新たな税負担を求めなければならない、こういう考え方は中期収支試算においてもすでに示されているところでございますし、この点について税制調査会が時間をかけて御検討の結果、一般消費税の導入に踏み切るべし、こういう答申をなさっておるわけでございまして、私も、方向としてかような方向を支持せざるを得ない、こう考えております。
  328. 山本悌二郎

    山本(悌)委員 その中で、これは自治大臣が歓迎すべきことなんでしょう、一般消費税を創設した場合に、事業税の外形標準課税の問題が出ているわけですね。大臣は一体、事業税の外形標準課税の導入と一般消費税の導入とどっちがいいのか、それともまた、これは含まれているという考えでいるのか、その辺ちょっとお伺いしたい。
  329. 小川平二

    小川国務大臣 事業税は、地方公共団体の提供いたしまする行政サービスと企業の事業活動との間の応益関係に着目して課する税でございますから、外形標準をとることが望ましい、そのことが都道府県に対して安定した税源を与えるゆえんでもある、このように考えまして、自治省はかねてから強く要望してきておるところでございます。  そこで、税調の御答申でございますが、その要旨は、一般消費税の課税標準として売上額を用いるわけでございますが、従来から事業税に外形標準を導入せよという主張を私どもいたしておるわけですが、この場合、新たに導入される税と事業税とは、外形標準をとるという点において共通している面があるわけでございます。同時に、一般消費税におきましても事業税におきましても、最終的には消費者に負担されることを予定している、そういう点でも共通をしている。  そこで、新税を創設するということは国、地方を通じる財源の不足に対処する対策であるから、したがって、その増収額を国と地方との間で何らかの方法で適切に配分することを考えるべし、こういう考え方で御審議が行われたと承知しております。その結果、答申におきましては、どのようにこの問題に対処すべきかということについては、さしあたって新税が創設される場合に一部を売上高とか従業員割、その他適切な基準で都道府県に配分するという方法、これが一つ。もう一つは、配分される新税のうち地方税とされる部分については現在の事業税の上にこれを乗せる、これを加えることとして、現行の所得課税方式とあわせ用いるという方法が考えられる。政府においてえこれらの点について、納税者の便宜あるいは国培調整という観点を含めてこの問題の解決を図るために十分検討すべし、こういう答申をいただいておるわけでございます。したがいまして、今後税制調査会の御意見を承り、あるいは地方制度調査会の御意見を伺いまして、地方財源を増強すると同時に、この事業税の外形標準導入問題についても決着をつけなければならない、こう考えてただいま一生懸命に研究をしているという段階でございます。
  330. 山本悌二郎

    山本(悌)委員 そういう地方の財源を維持していくあるいは確保するためにということで押しまくられますと、これは確かにそのとおりだ、何かしなければどうにもならないだろう。先ほどから先輩諸公がいろいろ話をしておるとおりでありますからわからぬではないのです。しかし、この消費税を導入した場合に、まず一つは物価高にならないかという心配があります。これは国務大臣としてぜひひとつ御検討願わなければならないし、どういうお考えでおられるのか、お聞きしたいのですけれども、ちょうどいまから七年前にオランダが付加価値税の導入をしております。そのときは一カ月で約四%近くも物価が急上昇したのですね。そういう見本が幾つかあるのですけれども、付加価値税とは違うと言う。しかし以たようなものだ。かつて付加価値問題についてはかなり議論をされて、反対もされてきておるわけですけれども、一般消費税というのは、そういう意味で物価の高騰をかなり呼び起こすのじゃないか。だから、一方ではあめをくれてやる、だけども一方ではむちだ、そういう形のものになる心配があるのだが、大臣はどうでございましょう。
  331. 小川平二

    小川国務大臣 EC諸国の実例として聞いておりますところでは、西独では、たまたま不況の時期であったためにさような現象か起こらなかったけれども、ほかの国ではほとんど例外なしに物価の上昇が起こっておるということであります。ただし、これはそのときだけの、いわば一過性の物価上昇でございましょう。財政が破綻して国民生活の安定ということはあり得ませんから、そういう見地から新税、一般消費税を導入せざるを得ないということになりますれば、物価が上昇するというデメリットと申しますか、これはがまんしなければらない問題ではなかろうかと考えております。
  332. 山本悌二郎

    山本(悌)委員 それは、大臣、ちょっと違うのですね。いまの実態を申し上げますとかなり不況だ、そして低成長だ、そういうときに新税を導入していくということは、いまオランダの例を申し上げましたし、また西欧諸国の中でもそういう例はあるのですけれども、決して得策ではないのじゃないか。一般国民にとってはかなり圧迫を受けるということになりはしないか。むしろこれは大蔵大臣でもお呼びして積極的に話をお伺いした方がいいかと思うのですけれども、とにかく自治大臣がかなりの時間を費やして講演をなされているのですから、どうしてもこのところはもう少し聞かせていただきたいと私は思うのです。
  333. 小川平二

    小川国務大臣 一般消費税導入の提言と申しますか、税調の御答申というものは、中期の税制のあり方として答申されておるわけでございまして、これを実際に導入する際には、経済の動向、物価の状況等にも十分留意しなければならないと存じます。したがって、これを直ちに来年度から実行に移すべきものかどうかという点については、私どもまだ判断をいたしかねておるわけで、確かに御指摘の点は考えなければならぬことだと思います。
  334. 山本悌二郎

    山本(悌)委員 大臣考え方は大体わかりましたけれども、もう一度お尋ねしますが、大臣は結局、あめむちであっても、とにかく一般消費税の導入はやむを得ない、それはいわば地方財源の確保のために仕方がないのだという考えは変えていないわけですね。
  335. 小川平二

    小川国務大臣 物価の点につきまして税調の答申は「物価への影響については、一般消費税の導入は一般的な物価騰貴の契機となるおそれがあるとの意見がある。これに対しては、一般消費税の導入の際物価上昇が生ずるのは避けられないが、それ自身増税の反映であり、それによる実質所得の縮減と所得税増税による可処分所得の削減との選択の問題であるとの指摘があり、」——要するに、所得税を増税すればそれだけ可処分所得の削減ということが起こらざるを得ない。どっちをとるかという選択の問題だ。「さらに、一般消費税の導入による物価上昇は本来一回限りで、便乗値上げの防止措置、導入のタイミングの選び方等により一般的な物価騰貴の契機となることは回避できるし、また、そのように努力すべきであるとの意見が多かった。」こうお書きになっております。私も同じような考え方を持っております。
  336. 山本悌二郎

    山本(悌)委員 どうも税調のやりとりを読まれたのでは味がないのですね。わかりました。いずれにしても導入して、とにかくあめむちでも地方財政の補てんにしたいという考えだろうと思うのですね。しかし、一般消費税を導入しなくたって、地方財政を確立していく道はあるのじゃないですか、これはどうですか。局長さんにお伺いしましよう。何か、税金を取らなくたって方法があるということはお考えございませんか、財政局長さん。
  337. 山本悟

    山本(悟)政府委員 財政の健全化を図りますためには、一方では収入の確保、一方では歳出の合理化、二面がもちろんあるわけでございます。歳出の合理化というものにつきましては、各団体いろいろ御努力を願っておるところでございますが、人件費を初めといたしまして、きわめてむずかしい問題が山積をいたしておると存じます。また、各種の社会福祉、その他民生関係の行政費というものにつきましても、やはり財政需要というものはなかなかに減少しない状況であろうと存じます。  そういうような状況の中で財政の立て直しということになった場合には、やはり住民と申しますか、国民と申しますか、全体といたしましての租税負担というような面につきましての再検討というのは、避けて通れないことではなかろうか。これは財政の立場からでございますが、そういうような感じで物を見ている次第でございます。
  338. 山本悌二郎

    山本(悌)委員 まあこのくらいにしておきましょう。先に進みます。一般消費税は、いずれまた機会もあると思いますので、一応概略だけお伺いしておきました。  自治大臣にお伺いいたしますが、きょうの新聞を見ますると、行政改革は大幅に後退、こういうことに相なったようであります。福田総理の言っていることは真っ赤なうそ。七月から大いに騒いで、結果的には何にもない。大山鳴動してネズミどころか、ゴキブリ一匹も出なかった、こういうことですね。まことに残念だと思います。そこで、これも本来なら福田総理に予算委員会ででもやればいいのでしょうけれども、自治大臣は閣議の中でかなり総理に一生懸命に進言をしておられる様子であります。私たちが何回か国会で取り上げ、また委員会で取り上げてきた地方事務官の問題も、結局省庁の反発が強くてだめと書いているわけですね。その辺のところをひとつ大臣にお伺いしたいのです。
  339. 小川平二

    小川国務大臣 地方事務官の問題につきましては、非常に長い間の懸案になっておるわけでございまするし、衆参両院の地方行政委員会におきましても、附帯決議あるいは識別決議が行われておるわけでございますから、今回の行政機構の改革を契機として、ぜひ決着をつけたいと考えておるわけでございます。残念なことに、いままで関係省庁の間で合意を見るに至っていないというのが実情でございます。これからもひとつ一生懸命努力をしたいと思います。
  340. 山本悌二郎

    山本(悌)委員 一生懸命やりますということだからお任せをするわけですが、しかしこれは私たちも何年来の念願でありますから、バックアップもしますけれども大臣の首にかけてもひとつやっていただかなければいかぬ、こう思うのです。ということは、行革に対する自治大臣考え方というのがあるのですね。これは八月の十九日に、全国都道府県の県総務部長会議というのがありまして、そこで発言をしておりますね。要約しますると、国の出先機関の統合、それから許認可事務の整理、それから国庫補助事業の合理化、それといま申し上げた地方事務官の廃止、この四つを提唱しています。そこで、いま地方事務官の話はわかりましたけれども、あとの三つについてはどうお考えでございますか。
  341. 小川平二

    小川国務大臣 出先機関の整理ということにつきましては、先ほども一端をここで申し上げたようなわけで、ぜひともこれはこの機会に実現をしたいと思っております。  補助金につきましては、補助金の整理統合、零細な補助金は廃止する、類似の目的を持っておりますものは統合をするあるいは補助金のメニュー化ということを図っていく、これは予算編成の際に、大蔵大臣がその方向で努力をする、こういうことを閣議で決めておるわけでございますから、自治省としても強く要望しておりますが、同時に大蔵大臣の御努力にも期待を申し上げておるところでございます。  あわせて補助金の交付手続、現状は非常に繁雑でございますから、これをより簡素なものにしてほしいという要望も提起いたしておるわけでござ  います。さようなわけでございまして、これも一生懸命努力をいたします。
  342. 山本悌二郎

    山本(悌)委員 大臣の決意をお聞きしておきまして、これは首にもかかることだから、とにかく腹を据えてやっていただきたい、こういうふうに思います。  私は本当に簡単に質問を終わらしていただきますから、もう一問で終わりますけれども、最近、地方の高級公務員の退職金がかなり多くなってきている。これは大変困った現象でございまして、先般も私、ある中小企業者の会合でかなり突っ込んだ話を聞かされました。また資料を調べてみますると、びっくりしておるのでありますけれども、たとえば東京都の退職金を見ますると、部長の平均で、勤続が二十八年で退職金が二千四百万、課長の平均が二十四年で一千五百万、一般の職員が平均で七百五十万ということですね。一般職員の平均というのは、勤続年数が十五年くらいですが、これは看護婦とか保母さんとかも含まれておるものですから非常に少ないのです。ところが中小企業者の方を見ますると、非常に気の毒だ。おれたちの税金でえらい金をたくさん、取られるのだが、われわれはどうかというと、たとえば三十人から四十人の製造業者で、三十年働いて退職金が四百六十六万円です。五十人から百人までで五百五十一万円です。雲泥の差でしょう。  先ほど申し上げたのは東京都の退職金の一例ですけれども、この間清水市でもこの問題が一つ起きておりまして、何か四千万円の退職金を出したとか出さぬとかの話が出ておりました。私は実に驚いているのです。地方財源がない、地方財源がないと言いながら、どうしてこんな多くの退職金を出さなくちゃならないのか、どういう算定になっているのか、まずそこからお伺いしたいと思います。
  343. 塩田章

    ○塩田政府委員 お答え申し上げます。  地方公務員の退職手当が御指摘のように多くなっておる、その算定の状況ということでございますが、ちなみに昭和五十年の数字で申し上げますと、全職員の単純な平均は約七百万円でございます。ただし御承知のように、割り増しの形の、二五%割り増しあるいは勧奨の場合は五〇%割り増しというのがございまして、一番多い割り増しを受けたグループで申し上げますと、約千五百万円というのが五十年度の実績でございます。  私ども国家公務員と同じような退職の基準でやるべきだということを指導しておるわけでございますが、国家公務員に比べまして高くなるケースがあるということは残念でございますが、その場合高くなりますのは、一つは支給率を高くしておるということがあります。それから一つは役付加算というようなことをやっているケースがございます。支給率の場合で申しますと、国家公務員の場合六十カ月分が限度ということになっておりますが、例外的の場合でも六十九・三カ月が限度ということになっておりますが、地方公共団体の場合、特に指定都市というような団体におきましては、八十何カ月とか九十カ月とか、あるいは東京都のような場合は百カ月というような限度額までなっておる例がございまして、御指摘のような高い例が出てきておるというような実情でございます。
  344. 山本悌二郎

    山本(悌)委員 大臣、そんなようなことなんですよ。五十年度でそんなですから、これはことしの春の例なんですけれども、いま私が申し上げたような例なんです。これを自治省として何か指導することはできないのですか。ますますエスカレートしていく一方だと私は思うのですがね。そのけつは結局最初私がお話し申し上げたように税金に頼らなくちゃならなくなってくる。そうでしょう。地方税か交付税かそれしか方法がないということになるわけでしょう。職員の給与の高いのもさることながら、退職金もばかにならないと思うのですよ。  もう一つ例を挙げましょう。大企業と言われる大成建設が三十年の勤続をして、これだけの大きな会社でも二千百万ぐらいですよ。小西六が三十年勤続で一千八百万くらいです。この点大臣どうお考えですか。何か方法がないのか、このままどんどんどんエスカレートしていくということは大変なことですよ。
  345. 小川平二

    小川国務大臣 地方公務員給与国家公務員給与に準じて定めるということが基本でなければならないと存じます。退職手当についてもまたしかりだと考えております。いずれにいたしましても、地域住民の納得が得られるようなほどほどのものでなければいけないと考えまするから、そういう観点からあらゆる機会に今日までもやっておりまするし、これからも地方公共団体指導してまいりたい、こう考えております。
  346. 山本悌二郎

    山本(悌)委員 何かこういう通達をお出しになったことがあるのですか。
  347. 塩田章

    ○塩田政府委員 別段退職手当についてのみの通達を出したことはございません。
  348. 山本悌二郎

    山本(悌)委員 ではどういう形の通達を出しているのですか。
  349. 塩田章

    ○塩田政府委員 財政運営の通達というのを毎年出しております。その中で給与問題の運営について指導しておりますが、その中に触れております。そのほかにもいろいろな地方課長会議とか財政課長会議といったような会議の際に指導いたしております。(発言する者あり)
  350. 山本悌二郎

    山本(悌)委員 いまそちらで話があったけれども、本当に一般の職員の方は比較的安いのではないかと私は思うのですね。しかし部課長クラスになってくるとかなり高いというこの例はわからぬではないけれども、野方図にしておきますと天井知らずになってしまう。結局財源が、先ほどから多くの人が論じておるように、また明日も論じるでしょうが、困ってくる。そうすると税金というものに振りかかってくるという悪循環を繰り返すわけなんですよ。そこで、何とかそういうことではいかぬという、あるいは算定の方法を変えろという通達というか指導の仕方をする気持ちはないものですかね。
  351. 塩田章

    ○塩田政府委員 公務員部長の立場で申しますと、私は財政がいいか悪いかとは関係なしに、給与問題のあるべき姿というものを求めておるわけでございます。そういう意味で、退職手当につきましても、財政のいかんにかかわらず、国家公務員に準じた形に持っていくべきであるということでいままでも指導しておりますが、今後ともそういう気持ちで指導してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  352. 山本悌二郎

    山本(悌)委員 持ち時間たくさんありますけれども、この議論をこれからやっていますと、まだ一時間も二時間もかかりますからきょうはやめます。  そこで最後に大臣からもう一度、私の申し上げました税金を取る方、いわゆる一般消費税をかける考え方、しかしその反面には行政整理もよう行えない、そうしてそこに働く高級官僚、いわゆる地方の高級官僚の退職金、給料が多い。こういういわゆる人件費に対しての物の考え方をもう少し改めなければいかぬ。その意味でひとつ最後に大臣の決意を聞いて私の質問を終わります。
  353. 小川平二

    小川国務大臣 国民に新しい税負担を求めるにつきましては、それに先立って政府も自分でやることはきちんとやらなければいけない、これが福田総理が行政改革に非常な情熱をかけておいでになるゆえんだと存じますから、私も微力でございますが、懸命に努力をしてまいりたいと考えております。
  354. 山本悌二郎

    山本(悌)委員 終わります。
  355. 地崎宇三郎

    ○地崎委員 次回は、来る二十七日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時四十六分散会