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1977-10-18 第82回国会 衆議院 大蔵委員会金融機関の週休二日制に関する小委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    本小委員会昭和五十二年十月十四日(金曜日) 委員会において、設置することに決した。 十月十四日  本小委員委員長指名で、次のとおり選任さ  れた。       池田 行彦君    佐野 嘉吉君       林  大幹君    原田  憲君       村上 茂利君    村山 達雄君       山下 元利君    山下 徳夫君       伊藤  茂君    沢田  広君       山田 耻目君    貝沼 次郎君       坂口  力君    高橋 高望君       荒木  宏君    小林 正巳君 十月十四日  山下元利君が委員長指名で、小委員長選任  された。 ————————————————————— 昭和五十二年十月十八日(火曜日)     午前十時三十三分開議  出席小委員    小委員長 山下 元利君       池田 行彦君    佐野 嘉吉君       林  大幹君    原田  憲君       村上 茂利君    山下 徳夫君       伊藤  茂君    沢田  広君       山田 耻目君    貝沼 次郎君       坂口  力君    高橋 高望君       荒木  宏君    永原  稔君  出席政府委員         大蔵政務次官  高鳥  修君         大蔵大臣官房審         議官      渡辺 喜一君  小委員外出席者         大蔵委員長   小渕 恵三君         大 蔵 委 員 川崎 寛治君         参  考  人         (全国銀行協会         連合会会長)  村本 周三君         参  考  人         (金融制度調査         会会長)    佐々木 直君         大蔵委員会調査         室長      葉林 勇樹君     ————————————— 十月十八日  小委員小林正巳君同日小委員辞任につき、その  補欠として永原稔君が委員長指名で小委員に  選任された。 同日  小委員永原稔君同日小委員辞任につき、その補  欠として小林正巳君が委員長指名で小委員に  選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  金融機関週休二日制に関する件      ————◇—————
  2. 山下元利

    山下委員長 これより金融機関週休二日制に関する小委員会を開会いたします。  金融機関週休二日制に関する件について調査を進めます。  ただいま参考人として全国銀行協会連合会会長村本周三君が御出席になられております。  村本参考人には御多用中のところ、本小委員会に御出席を賜り、まことにありがとうございます。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山田耻目君
  3. 山田耻目

    山田(耻)小委員 村本会長、お忙しいところどうもありがとうございます。  長い間の懸案であります金融機関週休二日について審査をしてまいりました。五十年春でございましたが、当時の大蔵大臣の大平さんが、国際的に見て、日本金融機関週休二日が実施されていないので、大変世界からも指摘をされておる事情はよくわかる、一両年のうちに目鼻をつけたい、こういうお話がありまして、この小委員会が設置をされたわけです。一両年すでに過ぎ去って、両三年にかかろうとしております。しかも、環境といいますか、経済情勢はきわめて深刻でございまして、特に経済情勢の深刻さというのは、いま八十二臨時国会を開いておりますが、冒頭の総理の所信表明でも、事業規模二兆円の財源を用意しながら、何とかして総合経済対策を成功させたいと強い決意をお持ちのようです。国際的にも約束した六・七%の実質成長をぜひともなし遂げたい、できる、こういう強い決意でこの国会表明をなさったわけですが、それと同時に、失業がどんどんふえてきておって、非常に雇用不安が心配だ、近代政治というのは雇用を安定させることに諸外国も力を注いでおるので、ぜひとも日本もそうしたい、こういう二本の柱を大きくお立てになったわけです。  私は、この日本だけが週休二日ができない、それは、一つ大蔵省行政上の責任もありましょうけれども、やはり全国銀行を御指導をなさる立場村本会長として、銀行社会的責任を少し弱くお感じになっておるのじゃないだろうか、社会的責任が乏しい、こういう気も最近はし始めているわけです。  特に、先週来この方、円高が非常に騒がれてまいりました。この円高日本不況、不景気をより促進することは間違いございません。この円高というものは、やはりその側面に、日本サービス労働者産業労働者を含めて、働き過ぎじゃないか、こういう意見がずっと前から指摘されているのですね。百五十六世界に国がございまして、百カ国以上はすでに週休二日に入っているし、先進国では日本だけが残っているのです。この状態世界金融、財政をつかさどっておる人々指摘をする、世界労働関係をつかさどる行政機関指摘する、世界労働組合指摘する。こういうものが総合的に積み重ねられてきて、働き過ぎという批判円高ということで、輸出第一主義の日本不況対策に大きなブレーキをかけてき始めた。委員会でずいぶん客観的な側面を見出しながら審査を続けてきたのですが、私はもう限界じゃないかな、もう踏み切らなければいけないのじゃないかな、そういう気がここ数週間しておるわけです。  きょうは、まだ午後金融制度調査会長もお見えいただくわけですが、今月の五日に金融制度調査会を開きまして、六名の参考人をお呼びになったようです。そこでも、私がいま申し上げているようなことが議論されたやに承りますけれども、六名のうち三人は経済界の方でございまして、時期尚早ということが述べられています。あとの三人の方は、直ちに実施ということを述べられているやに伺っています。私は今日、この小委員会が三年もかかってなお問題の結論に到達しなかったというのは、やはり国民とのコンセンサス、時期尚早論、こういうものを非常に重視してきたからだと思うのです。しかし、国際経済を担当する諸外国人々はそんなことを言ってはいないのです。円高集中射撃を浴びせ始めたというのは、日本のこの事実について的をしぼってきたということがその中に一点あると私は見ているのです。だから、私はもう結論を出す時期じゃないだろうかと思います。  総括的なことを申し上げたわけですが、その中で、部分的にはミクロ的に、銀行そのもの勤務体制サービス条件、そうして週休二日というものを絡めておる銀行法十八条の改正、こういう立場だけあなたにきょうはお伺いしなければならぬわけですが、いまのような前提を受けて一体どうお感じになっていらっしゃるだろうか、そうして金融機関としてはどう対処しなければならないとお感じになっておられるだろうか、まずその点を伺って、今度は銀行内部のいろいろな労使間の問題とか、あるいはこれからなさろうとする御決意なり伺いたいと思いますので、まずその前提についてお考えを伺いたいと思います。
  4. 村本周三

    村本参考人 参考人村本でございます。  ただいま山田先生から、諸外国日本をどういうふうに見ておるかという点につきましていろいろ御教示があったわけでございますが、私ども先生がおっしゃったように、世界の大勢は週休二日制に向かっておるということを十分存じております。そしてまた、日本が働き過ぎと申しますか、これほどの経済成長を遂げながらいまだに週休二日制が日本国全部に定着していないということについて、やや働き過ぎではないかというような批判があることもそのとおりでございます。したがいまして、私は日本全体としては、労働者労働条件を向上していくために、なるべく早く週休二日制を日本国内で実現すべきものと考えております。  ただ、御案内のとおり、日本は何と申しましてもいわゆる資源小国でございまして、国民の勤勉さの上に国の経済を成り立たせておることも事実でございます。したがいまして、私どもは、現在のような輸出が非常に超過であるということは好ましくないけれども日本国際収支がバランスするような日本生産性を保ちつつできるだけ労働条件を向上していくのが道であろうかと思います。  それでは、その中におきまして、銀行週休二日がこれだけ議論を重ねてなぜ行われないのかという先生の御質問並びにそれに対する私の所見の御質問であろうかと思いますが、日本全体の週休二日制をそういうふうになるべくできる範囲で労働条件を改善していきたいと願う中で、銀行が、先生もおっしゃいました社会的責任を果たしていくという上で、どの時期にコンセンサスが得られたと判断するのが適当であろうかという問題であろうかと思います。この場合、社会的責任ということの中には二つあろうかと思います。  一つは、銀行が率先して週休二日制をやる。それは銀行だからできるからやるんだ、それは強者の論理ではないか、こういう一つ批判があることも事実でございます。現在、千人以上の大企業におきましては、労働者の数にして、完全週休二日制を実施いたしておりますのは約四三・三%と承知をいたしております。しかしながら、中小企業まで含めました全部におきましては約二三・六%と承知をいたしております。  日本全体が週休二日制が進む中で、金融機関がどの時期に進むのが一番いいのか、それがわれわれが求めておる社会的コンセンサスでございます。先生方からこうして御教示をいただくのも、そういった社会的コンセンサスを醸成していく上にお力をかしていただいておるのだと思いますが、私ども感じでは、全体の経過から言えば、金融機関はまあ中ほどと申しますか、先般も申し上げましたように、金融機関が、週休二日制にしても、ああ銀行週休二日制になったか、そうか御時世だなと世の中から見ていただく、そういうことをコンセンサス考えておるわけでございます。  もう一つは、先生が多分御指摘になった意味社会的責任かと思いますが、銀行労働条件を向上さしていくことが、たとえやや先走りになろうとも、日本全体の労働条件を向上させるならば、それも意味あることではなかろうかという御指摘かと思います。さような一面確かにあると思います。しかし私どもとしては、全体としては、初めに申し上げましたような社会的責任という意味から社会的コンセンサスを一日も早く得たい、こういうふうに思いながらいろいろの努力を重ねておる次第でございます。
  5. 山田耻目

    山田(耻)小委員 現状の苦しいことはよく御承知のようでございまして、私はこのコンセンサスというものは、経済好況のときでも不況のときでもなかなかコンセンサスは得にくいと思うのです。イギリスでは、普通の休みバンクホリデーと言っていますね。やはり金融機関が休まないとなかなか経済企業家というものは休めない。そこで私は、先導的、主導的な立場からバンクホリデーということわざが一般の休日にかぶせられているんだ、それが一つはいまのコンセンサスにこたえる銀行決意だと思うのですね。だから、それをやっていけば、消費者金融とか中小企業とか相談業務とか、なかなか土曜日休むと大変でございましょうから、これをどうするかということは、大蔵省金融当局行政指導と相まって充足をしていかなくちゃならぬでしょうね。その用意とともに、その決意をお持ちになる時期じゃないだろうか。それは全般雇用不安なりあるいは経済不況なりを考えて、もうコンセンサスというものはそういう点にしぼって措置なさっていただきたいなという気がするのですよ。  あなたのおっしゃっていた千名以上の大企業でございますか、これの週休二日の実績が四三・三とおっしゃっていました。銀行などを含めた全産業が二三・六でございますか、だから全体的にはいまだしの感があるわけです。しかしこの中で、大蔵省調査を見ると、普通の銀行は、相銀を含めてゼロなんですね。銀行だけがゼロというのはいかがなものでしょうか。私は、コンセンサスという隠れみのに隠れて何もできなかったのじゃないか。しかも銀行労使間ではかなり話がうまく進んでいてそれから先に出られないというのは、大蔵省行政指導、それから金融制度調査会にかかっておる銀行法十八条、この関連が邪魔をしておるんじゃないかと思うのですよ。  しかし私は、この時期になりますと、もう銀行関係がもっと積極的に補てんすべき諸事項も考慮しながら措置をしていく、そういうことが大切ではないだろうかと思うのです。だから、いまの日本における週休実績を見ましても、月三回週休をやっているという数を含めますと優に五二・五%という数になってくるのですね。だけれども銀行関係は月三回を含めてもゼロですね。イギリスバンクホリデーという立場をとって週休を完全に消化する基本を銀行がとった、やはりその考え方を一こういう経済不況のときにでも好況のときにでも、銀行というものが占める経済界の地位は私はそこにあるのだと思いますから、これもやはり、いまの五二・五%という三日を加えた現実週休制度銀行がゼロという立場は、少しお考えが不十分で結果がそうなったのではないかということを考えるわけですよ。だから、その点も銀行関係の新たなる決意というものを私はお願いをしたいわけです。その点についていかがでございましょうか。
  6. 村本周三

    村本参考人 ただいま山田先生からおっしゃいましたとおり、イギリスにはバンクホリデーという休日がございます。私も一九五八年から一九六一年までロンドンに在勤をしていたのでございますが、その当時のイギリス状態がまさに現在のわが国の状態でございまして、一般産業には次第に週休二日制が広く広がっていっている。銀行は、比較的上の方のものについては四分の一、それから比較的下の方については二分の一、あるいは逆だったかもしれませんが、そういうふうないわば半舷上陸的に土曜日の休みを与えているという状況でございます。ときどき銀行週休二日制もいいではないかという議論が出ますと、直ちにザ・フィナンシャル・タイムズのような新聞紙に、銀行はソシアルサービスをしているのだから、そういうことを考えてはいけないというような論文が出たりいたしまして、非常に苦慮いたしておったのでございます。ところが、イギリスは一九六〇年代の終わりになりまして、銀行業週休二日制を採用しないでは銀行労働力、特に女子労働力が確保できないという状態になりまして、キャッシュディスペンサーというようないろいろなものを設備しながら、英国の銀行業週休二日制に踏み切っていった、さような歴史的経過と私は承知をいたしております。現在、先生がおっしゃったとおり、完全週休二日ということになりますと銀行はゼロでございますが、銀行員立場から見ましての週休という意味では、月のうちに土曜日を一日、それから土曜日以外の日を一日休ませておる次第でございますが、ある意味で当時のイギリスにかなり近い状態ではなかろうかと思います。  先生がおっしゃるように、不況のときでも週休二日というものはある意味では進められてまいったのが歴史的な現実でございます。たとえば週休二日をすることによって雇用がふえるならば、全体の経済としてそれがいいではないかというような考えから、いろいろな立法が進められた例もあるやに聞いております。  私どもは、いま申し上げたような全般情勢を見ながら、日本における銀行週休二日制が実現できるようなコンセンサスを一生懸命求めておるのでございまして、先生からいまおっしゃっていただいたようなことは、それにお力をかしていただけることであり、少し感じ方が鈍いではないかとしかられつつ、大変力づけられておるというのが私の現在の気持ちでございます。
  7. 山田耻目

    山田(耻)小委員 銀行は、週休二日を調査するとゼロだ、しかし、かろうじて交代制で土曜日を実施しておる日もある、努力はしておるんだ、こういうことなんですが、それが実は大変評判が悪いのですね。だから、いまの交代制で一日土曜日をつぶすという銀行のやり方が、村本さんは銀行業務を見ておられて、顧客との間もサービス関係も非常に円満にやられておるというふうにお感じになるのか。私は、大切な個人の金銭、財産の出し入れ、相談なんでございますから、行くたびに人がかわっておるというのでは、零細金融をなさっておる人々にとっては不安がつきまとうと思うのです。相談業務の窓口もまた人がかわって、この聞こういうことをお話ししたんですのにきょうまた話すのですかというようなことなども起こって、金融機関サービスが非常によろしくない、こういうような意見を聞くのです。  労働基準法というのがございますが、女子職員に産前産後の休暇を与えています。特に学校の先生方女子職員が多いものでございますから、これの産休のときの交代要員というものをちゃんとプールして持っているわけです。それで、子供に接する先生たち感じ、印象というものが教育の上に少しもデメリットを与えないようにという配慮がなされておるのです。銀行関係は、こういう一つ交代制をやるのに、きちんとした要員を確保して、そしてサービス業務の低下を来さないようになさっておるのだろうか。それにしては、顧客の皆さんからの不満が非常に多いが、この点は一体どうなんだろうか。  時間がございませんから重ねてお尋ねします。  もう一点は、どこかの銀行で大量のお金を不正に消費した行員がおりましたね。そのことを契機に大蔵省が通達を出して、強い行政指導をした。それによって、銀行員全員が必ず年一週間連続休暇をとる。その交代要員が帳簿を整理しながら、不正があればわかる、こういうシステムが採用されたわけですね。この一週間連続休暇をとる五日間の措置をまずしなければならぬ、こういうことで措置をなさっておられる現状が、他の年次有給休暇に影響して、年次有給休暇をとるというときの休暇付与条件を非常に阻害してくる。たとえばあした休みたいという要求に対しては銀行は拒絶をする。だから支店長が、あさってはだれとだれと休んでくれ。しかし、それに対応して休み状態ができない、こういう不便も生じている。それは総体的に銀行予備体制をとっていないところにこういう問題が起こるのではないか。これは私は国会の問題ではないと思うのですけれども労使間でそういう問題も整理しながら、交代制サービスに不便なからしむるようにしていくという措置が並行的にとられないという結果が招来しているのです。だから、週休二日制に入る前提でとられたそういう交代制であるとするならば、そうした点を処理していかれないと、不十分な点が後に後に問題を残して、国民から見たら、週休二日なんて最もけしからぬ、こういう意見を出してくるような結果しか招来しないのではないだろうか、私はこの点も心配しておりますので、いわゆる交代休日を与えるというその実態を再検討していただいて、しかもそれがサービス条件を低下させないように、顧客に迷惑をかけないように配慮する体制をおとりいただいて措置をなさらないと、せっかく週休二日を目指してやるその第一段手だて交代制というものにまでコンセンサスを阻むような結果を起こしたのでは何にもならぬなという気が私はするのですが、その点いかがでしょうか。
  8. 村本周三

    村本参考人 ただいま山田先生指摘の点は、まさに私どもが最も苦慮しておる点を御指摘になったわけでございます。われわれ銀行経営者といたしましては、銀行従業員のことを考えますと、やはり交代制でなくて完全週休二日制の方が、従業員モラルアップあるいは従業員の健康のためにずっといいということは事実であろうかと思います。現に銀行の中では、交代制休日というのは大変評判が悪いのでございまして、市銀連初めいろんな組合から繰り返し繰り返し、ぜひ完全週休二日制にしていただきたいという要望が出ておるわけでございます。  そういった中で、しかし現在まだコンセンサスが得られないから完全週休二日ができないから仕方ないという意味交代制の休日をいたしておりますが、まあ世間並みにとまではいかなくても、月に一回は土曜日の休日を与えたいというわれわれの気持ちと、片一方で、先生がおっしゃる土曜日のサービス体制は万全であるのかということのバランスの上にわれわれは日夜苦慮いたしておるのであります。先生指摘のように、指定休日制度というものが前の事故のときから設けられておりますが、これはそのために予備労働力を備えておると申しますよりは、いわば銀行労働力は月末のような一番忙しいときに焦点を合わせてつくっておりますので、月中などの暇なときにそういった余力を指定休日制に充てておるのが実情でございます。  それでは、土曜日の交代要員もうんとつくればよいではないかという御指摘かとも思いますが、一方で銀行は現在厳しい情勢下にございまして、できるだけ効率化を行ってその成果を社会に還元しなければならないという要求も同時に持っておるわけであります。したがいまして、なかなかそういった点が効率化の上からむずかしい。また、先生もいまおっしゃいましたように、銀行に行くたびに相手がかわっておるのではお客との間がうまくいかないではないかという仰せでございましたが、まさにそのとおりでございまして、土曜日を完全に交代要員でやるということは、そういったお客へのなじみはもちろんのこと、銀行業務がいわばチームプレーの上に成り立ち、毎日毎日仕事を通じて訓練をし、お客との顔なじみの上に銀行業務が円滑に遂行されておるということが、そういう交代制ではなかなか確保しがたい。そういうことの間に銀行としては苦慮しながら、片一方完全週休二日制についてのコンセンサスをお願いしながら、現在の銀行の中では、若干の交代制で一生懸命労働条件の改善に努力しておるというのが実情でございます。
  9. 山田耻目

    山田(耻)小委員 村本会長の、交代制が決して自然ではない、完全週休二日に入った方が銀行としてはやりやすい、職員のためにもなる、こういういまのお話気持ちはそこにあるのだと私も承知しているのです。  交代制年次有給休暇消化に支障を来しておるという点も申し上げたのですが、いま全国銀行年休消化を見ますと、八・七日でございますね。大体二年たつと二十日ございますから、一年の人も含めて平均すれば十七、八日年休があると思うのですが、八・七日しか消化できない。そうして恐らく銀行関係も、二年間ぐらい持ち越すことができて、総日数四十日ぐらいで抑えられておる。あとはどんどんみな流れていく、こういうことになっているのじゃないかと思う。  石田労働大臣予算委員会で、年休を全部とればいい、こういうことを言われているのですが、言葉と実行がこれほど離れておるという日本の今日の雇用条件はないのですよ。私はやっぱり決められたことは守るということを政治家考えなくちゃいかぬし、行政考えなくちゃいかぬし、経営者考えなくちゃいけない。だから村本さん、会長におなりになっても、そういう意見銀行従業員とは接せられておるやに聞いておりますし、前会長もそうでございます。それは週休二日やりたい。そのためには全体の調整もとらねばならぬし、コンセンサスも得なければならない。早くやりたい、こういうことを述べられて、期日も明示なさったやに聞いているわけです。私は、為政者としての政府も、そうして立法府としての国会も大事にしなくちゃならぬのは、近代社会において最も大切なことは、労使間の合意、社会的には合意した契約、こういうものが忠実に守られていかないと、世の中はだんだんと混乱の度を深める。だから、世界的にはILO条約九十八号を日本も批准しました。それは、団体交渉を促進してそれを守る国際的な取り決めです。日本は批准しておりますけれども、そういう一つの促進の過程にある条約を批准したのですから、また日本の憲法にもあることなんですから、私は、村本さんは非常に苦しかろうと思う。政府とそうして労働組合との板ばさみになって、国民との板ばさみになって、週休二日を約束するけれどもなかなか実行ができない、こういうお苦しみがいまの心境だと思いますけれども銀行という一つの単位のこの金融制度を見ましても、やはりそれは、あなたとそうして対応する労働組合との間に約束ができたら、私はこういう約束をしたのだから、それは大蔵省承知してくれよ、金融制度調査会考えて十八条をさせてくれよ、こういう強い意思をこれからもお述べいただけるものと私は思いますが、そうしなければとても世の中の秩序は保てません。そういう決意でこれからもやっていただけますことをひとつお聞きしたいと思うのですが、いかがでしょう。
  10. 村本周三

    村本参考人 ただいま山田先生から御指摘になりましたのは、昭和五十年二月に銀行協会が、五十一年上期をめどとして努力したいということを考えて、それぞれの組合にもこういう気持ちでおるということを言い、組合側もそれに非常に賛成したということをお指しになっておるのだと思います。  ただ、これは五十一年の上期にやるのだという労使の合意ではなかったのでございまして、銀行経営者側も、五十一年上期をめどとして、現在の日本週休二日の趨勢が続いていくならば、五十一年上期にはそういうコンセンサスが得られるようになるであろう、それを一つのめどとして、そういうコンセンサスづくりに努力していこうではないかという銀行経営者側の気持ちを言い、それに組合側も賛成をしたというのが実情でございまして、労使の合意が阻まれておるというふうに申しますと、多少そこに食い違いがあろうかと思います。しかし、私ども気持ちは、いま先生がおっしゃったように、ぜひとも一日も早くそういうコンセンサスを得て、銀行員のために週休二日制を実現いたしたいという気持ちでこれからも一生懸命努力することに変わりはないことを、改めて申し上げておきたいと思います。
  11. 山田耻目

    山田(耻)小委員 会長のお気持ちはよくわかりましたが、そのお気持ちを伺っているだけではなかなか国民コンセンサスも得られないし、お気持ちだけでは私はどうしようもないと思うのですよ。  それで、銀行の実態を見ますと、土曜日は交代制をとりましたから非常に殺到しているわけですね。業務が煩瑣になっている。だから、恐らく土曜日は、いろいろ調べてみると、昼飯も食う間がないのですよという苦情が出ている。これは会長も御存じと思う、支店長が皆そう言っていますから。そういう状態を続けていくということは、私は限界が本当に追ってきたという気がするのですよ。このままの状態で持続することはできないですよ。私は、銀行だけがそれほど苦しんでいかなくてもよかろう、そこに初めてすっきりと週休二日をやってくれ、こういう気持ちが出てくるのだと思うのですよ。だから、そういう非常に混乱している現状を残してこれからいくということならば、一つ交代要員をりっぱにつくってそれを充当させて、昼飯ぐらい人間だから食えるようにしてやりたいという道、年休も支障なく消化できるようにしてやりたいという気持ち、これがある意味では銀行の持つ社会的責任の大切な部分だとも思っているんですよ。それは今日の経済情勢がこんなだからがまんしてもらわなくちゃというのはちょっと通りません。それだったら、基準法違反をしてもいい、何をしてもいいというと無秩序になりますから、その点はそういう立場じゃなくて、週休二日に踏み切るという決意の方が本当は国民に対するサービスをよくしてあげることになるというお気持ちを持っていただきたい。少なくとも協会長としてはそれを持っていただいて、その立場金融制度調査会にも大蔵省にも働きかけてほしいという気が私はするわけです。その点、もう一度あなたの決意を述べていただきたいと思います。
  12. 村本周三

    村本参考人 私ども完全週休二日制になりますように、コンセンサスづくりの一助といたしまして、土曜日についてもなるべく別の日においで願えるのならばそういうふうにしていただきたいとか、あるいは土曜日には集金業務は時間外には行わない、あるいは外訪活動は行わないとか、さようなことも一方で実施をいたしておるのでございますが、ただいま山田先生指摘のとおり、土曜日の来客が特に住宅地、団地店舗でふえておる。時間当たりにして大体一・六倍ぐらいになっておるというのが事実だと思いますが、これは半舷上陸だから込んでいるというよりは、他の企業において週休二日制が次第に行われてきたからそういうふうに込んできておるというのが実情であろうかと思います。  確かにそのために、ただいま先生がおっしゃったように昼食が遅くなるという状況はときどきあろうかと思います。土曜日とそれが何日という日との掛け合わせによりましてそういうことも確かにあろうかと思います。それについて私ども一番苦慮しておるのでございまして、現在キャッシュディスペンサーを土曜日は午後二時まで動かしておりますのも、そういうふうな配慮からいたしておる次第でございます。  しかし、確かに初めに申し上げましたように、日本として週休二日制を推進した方が、労働条件を改善した方が全体としていいんだということと、それから片方で、こういった週休二日制がほかの企業で浸透していけば土曜日はますます忙しくなって、われわれとしては週休二日制に変えにくいといういわばジレンマのところにあるわけでございまして、その点は先生がおっしゃったように、だんだん耐えきれぬところに近づいてきておる。したがって、私どもといたしましては、できるだけ早くそういうコンセンサスを求めて週休二日制を実現いたしたい、かように考えております。
  13. 山田耻目

    山田(耻)小委員 もう時間がございませんからあれですが、過渡期の混乱というものはあるんですね。だから、早く週休二日という結論を引き出して皆さんに定着をしてもらう。それは、諸外国でもこの過渡期には大変混乱しておったんですよ。そうして定着してきたんですよ。日本も、この過渡期というものを長引かせば長引かすほど私は混乱の度は深まるばかりだと思う、いろいろ理由がついてきまずから。  特に今回は、この八十二国会でも、冒頭言いましたように、雇用安定ということを考えていくならばどうしたらいいかということで言っているんですよ。いま社労で千四百三十五億という予算を背景にいわゆる各党議員立法がつくられておりますけれども、これが失業してくる離職者の受けざらなんです。受けざらを幾らつくってみたって、国民の安定にはなっても、離職者の安定にはなるけれども経済の安定にはならない、そうだと思うのです。  だから、ここでもう一歩前向きで踏み込んでいくのは、円高の集中攻撃を一つの例で申しましたけれども日本の内需を強める。内需を強めるためには、雇用の安定をどうしていくのかということの一点に一つ週休二日がある。諸外国はそれを取り上げてやった時代があるのですから、なぜ日本がこの時代にできないのかということをいまあなたにもお願いしたわけです。だから、コンセンサスはもちろん大事です。大事ですけれども、いまのキャッシュディスペンサーなどを整備したり、企業相談の窓口を常設的に開いてやったり、あるいは消費者金融措置を十分完璧にしてあげたり、そういう一つサービスの具体的な措置を強化しながら、週休二日に入る準備に入っていただきたいとお願いをしたわけです。いまあなたのおっしゃっていることは、それはそれでわかりますけれども、もうここではそう時間的余裕はない気がしてならないのです。  だから、行政当局としての大蔵省にも聞きますけれども大蔵省のいままでの指導というのは、やりたくないという前提、やらねばならぬけれども、しかしいまやりたくないし、時期尚早だという立場行政指導の上でおとりになってきたんじゃないかと思う。ただ、不正事故が起こると思い切って一週間休ませなければいかぬということで措置なさるという手腕もお持ちなのです。今回のこの八十二国会の対策の中で、私が申し上げた不況対策というのは、そらごとを総理が申されておるんじゃないのです。だから、最も効果的に現実的な措置をなさるしかるべき案があるとするならば、私はお聞きしたい。言われておるように、付加価値の高い企業を育てて、そして貿易の国際シェアの中でも安定した姿をとりたい、そんなものは将来に対する寝言ですよ。当面のこの事態をどう解決するのかということは、やはり週休二日ということが大事だと私は思うのです。  だから、いまの私と村本さんとのいろいろな質疑の過程の中で、銀行としては一日も早く週休二日に完全に踏み切りたい、踏み切るコンセンサスをやっておるんだ。一体大蔵省はそれに対してどういう行政指導をしておられるのかを私はお伺いしたいと思うし、明日開かれる金融制度調査会の小委員会に審議官はおいでになるんじゃないかと思いますが、どういうつもりで小委員会大蔵省行政の見解を述べられるのか、その点をひとつお聞かせいただきたいと思います。
  14. 渡辺喜一

    ○渡辺(喜)政府委員 週休二日制が大勢である、まさに先生のおっしゃるとおりでございます。先進国の集まりでございますOECDの参加国を見ましても、現在全般的な週休二日制がとられていない国というのは、日本を別にいたしますと、ギリシャとスペインというふうなことになっておりまして、そういう意味日本が非常に立ちおくれておるということはおっしゃるとおりでございます。したがいまして、私どももできるだけ早くこの週休二日制の導入を図っていきたいという立場で従来から物事を考え、やってきておるわけでございます。  ただ、先ほど来村本会長の方からもお話がありましたように、思うように進まない背景には、やはり何といっても実態面が思うように進んでいないということがあるわけでございます。各国の導入当時の状況を見ましても、銀行とか公務員の週休二日制というものが導入されるころにおきましては、やはり相前後して民間企業の方もそういうふうな雰囲気が醸成されてきておる。現実週休二日制の導入率もずっと上がってきておる。そういうものと相まって、金融機関なり公務員の週休二日制も実施されてきておるというような状況でございます。コンセンサスコンセンサスということでございますが、このコンセンサスがなぜなかなか得られないかという背景には、やはり実態の進行がおくれておるということがあるわけでございまして、その辺が絡み合っておるというのが実情ではないかと思うわけでございます。そういう実態をある程度リードするという意味週休二日制に踏み切らなければいかぬという御議論も十分わかるわけでございますが、私ども立場としては、やはり金融機関の役割りというのは経済社会に対する影響が非常に大きいということでございますので、できるだけ経済社会に対する混乱を与えないように配慮をしながら早く週休二日制に移行したい、こういう考え方をとっておるわけでございます。  そのほか、もろもろの法律上の問題等もございますが、こういうものは踏み切りさえつけば解決のつく問題であろうかと思います。金融制度調査会で本問題の審議にいま入っておるわけでございますが、私どもとしてはこれからもそういう立場で一刻も早く週休二日制の導入を実現したいという方向で、金融制度調査会の審議にも臨んでいきたいと考えておるわけでございます。
  15. 山田耻目

    山田(耻)小委員 これで終わりますが、踏み切らなければ結論は出ないというお話もございまして、どうかひとつ金融制度調査会でもその決意を十分述べていただいて、金融関係経済に及ぼす影響は日本だけではないのです。世界共通のものなんです。その世界がやったのですから、日本だけがそれを特に誇大に申し上げる必要はないと思います。どうかひとつお話の趣旨を十分伝えていただいて解決へのお力添えをいただきたいと思います。  じゃ、これで終わります。
  16. 山下元利

    山下委員長 坂口力君。
  17. 坂口力

    坂口委員 村本会長には大変お忙しいところ、きょうは御出席をいただきましてありがとうございます。  いままでの経緯につきましては、いま山田先生から御発言があったとおりでございますが、この週休二日制の問題の基本はあくまでもそこで働く人たち、労働者を中心とした問題でございますが、最近の経済情勢と申しますか、この二、三年来の状態は、さらにその働く人たちの労働環境の問題に加えまして、雇用機会ということも含めて、この問題が大変多方面から検討しなければならないような段階になってきたのではないかと私は考えるわけでございます。  先ほどからいろいろ御議論されますのをお聞かせをいただきまして、少し私わかりにくくなってまいりましたのは、五十一年前半を目途としてということでございましたが、その解釈にもいろいろあるようでございますし、現在どういうふうな認識をお持ちになっているのかということが少しわかりにくくなりましたので、もう一度その辺のところをお聞かせをいただいて議論を進めさせていただきたいと思うわけでございます。  一つは、先ほどもお話ございましたとおり、銀行と申しますか金融機関週休二日制というものを実現をいたします場合に、金融機関はそれができるだけのものがあるからやれるんだというやっかみのような目で見られるという側面も確かにあろうかと思います。しかし、率先しておやりいただくということになれば、それだけのメリットというものもまたあるわけでありまして、このことにつきましては山田先生おっしゃったとおりでございます。この率先して、先んじて行うべきか、あるいはこれを同時着陸する形にすべきか、あるいは後追いの形にすべきか、こういう議論は前からもございます。議論がもとへ戻るわけでございますけれども会長はこの辺のところはどのようにお考えになっておりますか。
  18. 村本周三

    村本参考人 ただいま坂口先生指摘になりました点で、第一は、全体としてどういう気持ちかということにつきましては、私どもは、銀行員労働条件を改善するために世間のコンセンサスさえ得られるならば、一日も早く週休二日制を実施いたしたい、かような気持ちを持ってコンセンサスづくりに努力をいたしておる次第でございます。  次に、先生質問の点は、一体世間の週休二日が進む中で、銀行は率先してやるのか後追いでいくのかという御質問でございますが、これは私どもは、コンセンサスが得られるという時期には、大体世間の企業の半分ぐらいは週休二日が行われておる。そういう意味で、あっ、銀行週休二日になったのかというふうに受け取っていただける、そういう時期がやはり適当なのではなかろうか。余り率先してやるということも、先ほど申し上げたようないろんな感情がございましょうし、またおくれるということも、銀行従業員労働条件の改善ということから考えて、私どもとしてはとれない立場である、かように考えております。
  19. 坂口力

    坂口委員 私は、統計資料も余り新しいものが手元にないのですが、一九七六年の統計でございますけれども、これは労働白書にあるものでございますが、調査産業全体で、日本は一九七六年では、完全週休二日制の実施は三二・六%という数字が出ております。その中で、完全に行われておりますのは金融保険業では二・一%という数字になっております。製造業のように三六%台に行っておるものもございますし、また非常に低いものも中にはあるわけでございまして、これは業種によって非常に違います。それからこれでまた一年近く時間的な経緯もしておりますが、現在の時点をお踏まえになって、たとえば仮に来年の四月から週休二日制をやるということになったとすれば、それは一応いまおっしゃったような、大体半分ぐらいの合意は得られている、来年の三月ぐらいにはそのぐらいに立っていると、こういう認識を持たれますか。——ちょっと私の聞き方が悪くて恐縮でございますが、こういうことでございます。  来年三月まで、現在からの予測も含めまして、もしもそこで断行するということになりました場合には、あなたの全体のコンセンサスを得てというそのお気持ちに合うかどうかという、その辺のところをお聞きしておるわけでございます。
  20. 村本周三

    村本参考人 ただいま先生指摘になりましたように、七六年の調査で、大企業では四三・三%、全企業で二三・六%ということになっておるわけでございますが、実は五十年の二月に、五十一年上期をめどとしてと言ったときに持っておりました完全週休二日の数字と、それからその七六年の数字との間に、われわれが考えていたような前進がなかったのが実情でございます。そういうことも考慮して昨年の九月に、五十一年上期をめどとしてということを言ったけれども、現在の状態ではまだコンセンサスが得られないなということで、ああいう決め方をいたした次第でございます。したがいまして、現在の不況下になかなか完全週休二日制の普及度が向上していないというふうに私は考えますので、来年三月にはもうそうなっておるかという先生のお尋ねには、残念ながら自信を持ってお答えいたしかねておるのが実情でございます。
  21. 坂口力

    坂口委員 いずれにいたしましても、週休二日制を導入していく方向で進んでおみえになることだけは間違いないわけでありますから、その時期の問題であろうと思います。  われわれの気持ちといたしましては、やはり率先をしておやりいただくことが、多くの波及効果を生み、メリットがかなり大きいと考えているわけでございますけれども、この週休二日制を導入していきます場合に、どういたしましてもいままでのいろいろの環境整備というものを行わなければならないと思います。その環境整備の中で、特にいわゆる銀行側、金融機関側の環境整備ということになると思いますが、金融機関側の環境整備というものを本年、現時点までどのように進めておみえになったのか。これは五十一年前半が一つの目安になっておりましたが、それからこれでまた二年ほどの経緯があるわけでございますが、その間どういうふうな環境整備というものを進めておみえになったのか、その辺をひとつお聞きをしたいと思います。そしてまた、その環境整備を進めておみえになりましたならば、その中でどういう点が一番むずかしい点であったか、どういうふうな問題を一番難関として感じておみえになるかということもあわせてお話をいただければというふうに思います。  それから、銀行局の方、渡辺審議官の方に、今日まで行政指導として環境整備の問題でどういうふうなことを手がけておみえになったか、どういうふうなことを指導しておみえになったか、それもひとつあわせて後でお話をいただきたいと思います。
  22. 村本周三

    村本参考人 ただいま坂口先生から、どういうふうな環境整備をしてきたかという御質問でございますが、まず第一に、個々の銀行といたしましては、お客様にお願いをいたしまして、なるべく手形の期日等が土曜日にならないようにお願いをいたしました。これによりまして、土曜日の交換事務が少しでも軽くなるようにというふうなことでお願いをいたしておったわけであります。しかし、銀行協会全体といたしましては、なるべく土曜日の仕事が少なくなりますようにということで、店頭に掲示をいたしまして、できますならばほかの日に少し散らしていただくとありがたいという意味のお願いをいたしましたし、それからまた、土曜日の営業時間外の集金業務は自粛しようという申し合わせもいたしましたし、また土曜日の勤務時間外の外訪活動については、お客様から特に御要求があってやむを得ないときを除いてはこれをやめたいというふうに、いろいろな意味で土曜日の営業が次第に少なくなっていくように努力を積み重ねてきておるわけでございます。  しかしながら、先生指摘のとおり、他の産業週休二日制が進みますと、土曜日の、特に住宅地店舗あるいは団地店舗が繁忙を来しておることは事実でございまして、私どもとしてはその点に一番苦慮いたしておるのが実情であろうかと思います。
  23. 渡辺喜一

    ○渡辺(喜)政府委員 私どもといたしましても、いま村本会長お話しのとおり、各種の金融機関の会合、あるいは協会その他といろいろ話し合いをいたしまして、いまのように土曜日の業務の平準化の問題、あるいはお客さんにそういうPRをできるだけするというふうなこととか、土曜日の時間外の勤務、これを自粛するというふうなことの話し合いを通じまして、銀行協会の方からそういうふうな方針が決まったというふうな報告を受けて、それを実施に移すというふうなことでやってきたわけでございます。  なお、御案内のとおり、政府部内におきましては、関係省庁の連絡会議というものを設けまして、その中に特に金融機関だけの週休二日制問題を審議するために特別の部会をつくりまして、関係省庁に対して一体どういうところに問題があるのかというふうな究明をお願いするというふうなことを現在続けてやってまいっておる次第でございます。
  24. 坂口力

    坂口委員 そういたしますと、団地等の場合には、他の分野における週休二日制等が前進すればするほど銀行側の方としては繁雑をきわめる、こういう状態が起こっているというお話を伺ったわけでありますが、それは対お客さんとの間の問題でございますが、いわゆる銀行、これはお客さんとかかわりはいたしますが、そのほかの銀行内部の機構でありますとか、それから内部のいろいろのやりくりというようなことにおきましては、さして大きな問題がないというふうに私ども受け取らしていただいていいのかどうかということが一点。  それからもう一つは、先般、労働基準監督署の立入調査というものが発表されておりますが、これは都銀、信託、地銀、相銀、信金、信組の六業界の平均でございますけれども、いわゆる法律違反率というのが実に六七・四%あったということであります。労働時間や労務的管理の初歩的な就業規制の違反というものも多かったということが報告をされているわけでございます。  私は、やはりこれらの問題も前進がないことには、いまの職員の定数で、そして内部的な整備というものがそれほど進まないままで週休二日制というものが導入されたならば、いままで以上にほかの勤めに出る五日間、勤務の五日間がさらにまた厳しい仕事を強いられるということにならざるを得ない。そういうふうな意味で、現在までどういう環境整備というものを進めておみえになりましたかということを実はお聞きをしたわけでございまして、その辺がどうなっているのかということをもう一つあわせてひとつお答えをいただけたらと思うわけでございます。
  25. 村本周三

    村本参考人 ただいま先生質問になりましたやりくりの点でございますが、これは団地店舗であるとかあるいは住宅地の店舗であるとか、そういう非常に忙しくなったところでは、先ほど申し上げました土曜日の外訪活動を停止をして、普通の日には外訪活動に従事しておる者が中で顧客業務に従事をする。あるいはまた本部、それから都心の店舗で比較的土曜日に余裕のあるところから人員を派遣いたしまして、そういうやりくりに役立たせる、こういうふうに努力をいたしておるわけであります。  ただいま先生から労働省の調査の結果ということでお話がございました。私ども、全体の結果につきましては、まだ非公式にしか承知をいたしていないのでございますが、かなりの事業所で問題があったように聞いております。まことに遺憾に存じておる次第でございまして、協会といたしましては、これに先立ちまして昨年八月労働省から御指示がございまして、労働時間管理の厳正化について各地銀行協会、社員銀行に関し趣意の徹底を行っておる次第でございまして、御指摘のとおり、法の遵守についてはなおがんばって十分に留意していきたいと考えておる次第でございます。  また、そういうふうな実態では、労働五日の中に従来よりももっと厳密なもっと激しい労働が課せられるのではないかという御質問であろうかと思いますが、私どもは従来から、労働時間短縮の歴史というものは、労働者は勤務時間を長からしめるよりも少しずつ短くすることによってかえって生産性が上がってきて全体の経済としてはいい結果が得られたというのが、労働時間短縮の歴史であろうかと思います。私どもは、週休二日制を実施することによりまして他の労働者と同じように土曜、日曜に休めるということで、銀行従業員のモラルも非常に向上するし、また健康あるいは自己研修と申しますか、そういう自己の向上にも役立つことができると思いますので、それを、五日間の労働にぶっつけることによって生産性の向上を見、従来よりも特に労働強化したということにならないようにと考えておる次第でございますが、しかし、何分にも六日が五日になれば、そこに多少の雇用の増加といいますか、そういうこともあり得るかとは考えております。
  26. 坂口力

    坂口委員 もう時間が来ておりますので、一問だけで終わらせていただきますが、簡単にお答えいただいて、それで終わりで結構でございます。  いろいろお聞かせいただきましたが、最後にお聞かせいただきたいのは、いろいろ内部環境の整備をおやりいただいているわけでありますが、その内部環境の整備でこの週休二日制というものの導入が可能かどうか、それとも、若干いま以上に人的資源をふやさないことにはこれが不可能なのか、その辺をどうお考えになっているか、簡単で結構でございますが、お聞かせいただいて終わりにしたいと思います。
  27. 村本周三

    村本参考人 私どもといたしましては、実現前のことでございますのではっきりしたことは申し上げられませんけれども銀行が現下置かれておる状況にかんがみ、できるだけ労働の内容に工夫をこらして、余り従来よりも効率が下がらないようにいたしたいと考えておるのでございますが、あるいは若干の雇用の増加を見るという面もあろうかとも考えております。その点はまだはっきりとは申し上げかねる次第でございます。
  28. 坂口力

    坂口委員 ありがとうございました。
  29. 山下元利

  30. 高橋高望

    高橋委員 お忙しいところ恐れ入ります。  五月二十日でございましたか、第八十国会のやはりこの金融機関に働く方々の週休二日制の問題でいろいろ申し上げましたし、またお話も承りました。当時私は、働く方々の特に私と同年配の方の健康問題等をまず配慮してのお話を申し上げたかと思います。ところが、その五月二十日にお話を申し上げてからわずか五カ月の間に、私たちの国を取り巻く貿易の問題が非常に変わってまいりました。御承知のように、すでに多額の黒字の中で円高ももう非常に心配になってまいりました。従来のように、単に私たちの国の内部でのいろいろなやりとりとか、ましてや働く方々の個人の健康問題だけで論議をするということは許されなくなってきた。  そこで、きょう冒頭お伺い申し上げたいことは、ともかくこういう貿易の問題を抱えた私たちの国の経済の中で、どうしてもこの際われわれの国の勤労に対する考え方、社会の仕組みというものを見直す時期に来ているのじゃないか。大変失礼ですけれども、私よりも御年配の上の方は、まだ勤労は美徳だという考え方が依然として残っておられます。私より下の世代の方にしてみると、今度はもっと別な意味での働くことに対する考え方が出てきている。こうした極端に言えば三種類の働くことに対する大きな差異のある中で、全銀協の会長のお立場もさることながら、日本経済指導者のお一人として、この辺についての社会の仕組みに対する御見解をまずお伺いいたしたいと思います。
  31. 村本周三

    村本参考人 この前、高橋先生から大変いろいろ御教示をいただいたわけでございますが、私も、失礼ですが高橋先生よりは年長でございますので、幾らか私の方が大いに働くという方の世界観の持ち主かもしれません。しかし私は、働けば働くほどいいんだというふうには考えておりません。やはり国民の健康を守りながら、国民の生活を豊かにしていくだけ働けばいいんだというふうに現在の私は考えております。したがいまして、日本国際収支の黒字というものが世界の注目を浴びております中で、日本労働条件をできるだけ早く改善していかなければいけない、それが現在の日本に与えられた務めであろう、かように考えております。
  32. 高橋高望

    高橋委員 その立場をおとりいただきますと非常にお話がしやすいかと思うのですが、とかく週休二日制問題というのは従来は労働問題として考えがちでございました。ILOにおけるいろいろな取り扱い、あるいはそれに対する私たちの国内の問題等々ございました。しかし、いまはもうILOといういわゆる労働問題の原点ではなしに、違った立場をとらなければならない。そうなると、言うならばILOの場合には国際労働公正基準、労働公正基準という立場に立ちましたけれども、今度の場合は社会公正基準というふうな立場をとらざるを得ないと思うのです。そうなると、逆に言えば財界のお立場で、やはり日本の国全体がもう週休二日をするんだよ、完全に週休二日をとるんだよ、こういう社会づくりをお考えいただかないことには、私はこの問題の抜本的な解決にならないと思うのです。  そういう考え方から申しますと、この際お尋ね申し上げたいことは、社会公正基準の公正というものに対して、会長のお立場での御発言を少し承りたいと思います。
  33. 村本周三

    村本参考人 高橋先生おっしゃいましたように、社会公正基準と申しますか、世界じゅうが日本社会条件、また労働の条件というものに注目しておるのが現実であろうかと思います。したがいまして、日本はむやみに働き過ぎという印象を外国に与えないということも一つ必要でございますが、同時に、資源小国に生まれたわれわれ日本人といたしましては、そういう中で何とか工夫をして生産性だけは向上をさせて、輸入物資を買うだけの輸出はやっていく、そういう意味効率化というものの保持ということも必要であろうかと思います。したがいまして、私ども社会公正基準と申しますか、日本社会条件日本労働条件、これが世界先進国の大部分に対して見劣りがないようにたゆまざる努力を続け、しかもその中で生産性の向上を図って、日本国際収支が成り立つように努力をいたしていかなければなるまい、かように考えております。
  34. 高橋高望

    高橋委員 とかくお話の出ます少資源、少ない資源国という意味での私たちの心構え、これは確かにあろうかと思います。しかし、現実にこうした黒字が出てきた現在では、少資源であるからという、私たちの言う生産性という問題もずいぶんと考え直さなければならない。やはり結果として出てきたものが黒字であって、特に今年度は恐らく百億ドルを超えるのじゃないかと思われるような黒字が考えられる。そうすると、いわゆる少資源国であるから生産性と一口におっしゃいますけれども生産性の中身は、同じ時間の中での生産性という意味であって、掛け合わせたものとして出てきたもの自体が生産性だという御解釈は、この際少々変えなければならないのじゃないか、かように思います。  その立場に立つと、どうしても従来の私たちの国のリーダー、特に財界の方のお考えの中には、少資源国としての心構え、少ない資源国としての心構えということで、表面は生産性とおっしゃるけれども、その中身は、掛け合わせた、仮に時間当たりの生産性が少ない場合には、それを長時間によってカバーしょうという傾向がどうしてもおありになる。この辺を私たち国全体として、先進国化したこの状況の中では考え直さざるを得ないところに来ているのではないかと思いますけれども会長、いかがでございましょうか。
  35. 村本周三

    村本参考人 高橋先生のおっしゃるとおり、時間当たりの生産性を向上していかなければならない、かように考えております。
  36. 高橋高望

    高橋委員 そうなると、各国がそれぞれに、すでに百数十カ国のうちで百を超える国が金融機関週休二日制をとっておられる現状考えた場合には、私はこの立場から言っても、どうしても日本の国でも早期に公正な社会基準という立場から言っても週休二日制を採用すべき時期が来ているのではないか、このように判断いたしますが、いかがでございますか。
  37. 村本周三

    村本参考人 大変ありがたい御激励のお言葉をいただいておると思うのでございますが、私どもがいろいろな方面から入手いたします中小企業の方々の声、また消費者の方々の声には、そこまで世界情勢から来る日本立場を御認識いただいて、もう金融機関週休二日に踏み切ってもよかろうというコンセンサスをいただいておるとは、残念ながらまだ思えないというのが私ども気持ちでございます。お言葉は大変うれしく拝聴いたしました。
  38. 高橋高望

    高橋委員 私が先ほどお尋ねの中で申し上げようと思ったことを会長の方から御発言があったのですが、土曜日はお店が込んでいる。特に郊外住宅地のお店が込むということの原因の一つには、お話しのように他産業週休二日制があって、言葉をかえれば、御主人が銀行へ行かれるチャンスも土曜日に出てきているのではないか、私はこう思います。とういう意味では、私はあえて申し上げますならば、銀行を利用される方々もこの辺の配慮をされるところへ来ているのじゃないか。従来のような銀行の利用の仕方をそのまま持ち込んで、そして社会全体を考えることは私は許されないと思います。自分たちは週休二日で、銀行の方に対しては年じゅう出てこい、土曜日も出てこいという話は通らぬことで、そういった意味を含めて、これは銀行協会というか、銀行局の方も含めてでございますけれども、この関係の方々の利用される方々に対するPRも1人には働かせて自分は週休二日だという考え方は、この際少し考え直さざるを得ない。特に住宅ローンの問題などは、大変失礼ですけれども、いまの段階では奥さんが銀行へ行って折衝なさるというだけのお家は非常に少なくて、大体御主人が銀行へ行っていろいろな交渉をなさる、あるいは事務手続を済ませておられるのが私は多いと思う。そういうことを踏まえるとなおのこと、金融機関に対してお休みをわれわれがお願いする以上は、逆に銀行局を含めて、利用される方々に対するPRもしていただきたい、こういうふうに思います。ここで、参考人には恐縮でございますけれども銀行局のお立場からこの辺についてお考えはいかがでございましょうか。
  39. 渡辺喜一

    ○渡辺(喜)政府委員 先生のおっしゃるとおりでございまして、現在郊外の団地地域にある店あるいは住宅区域にある店等が著しく土曜日が繁忙である、逆に都心等にある店はそれほど土曜日はお客が来ないという状況になっております。これはまさに週休二日制が一般企業で進んできて、その辺の住民、特に御主人等が休みのときに銀行に行っていろいろ住宅ローンの相談をしたりというようなことのあらわれであろうかと思います。そういう意味では、土曜日に非常に繁忙度が増すということは、まさに世の中週休二日制が進んでおるということのあらわれでもございますので、その辺につきましては、十分PRを進めればお客さんの理解も得られるのではないかと考えるわけでございます。  ただ、そういう団地にお住まいの方々というのは、やや大きな、中堅以上の企業従業員の方が恐らく多いのではないかと思うわけでございます。非常に小さな、中小あるいは特に零細の企業におきましては、数字で見ます限りはなかなか週休二日が進展していないというのが現状でございます。そういう意味で私どもは、そういう中小零細まで含めて全体として週休二日制の慣行が定着してくることを待ち望んでおるのが実情でございます。
  40. 高橋高望

    高橋委員 私、さらに銀行局にお尋ねしたいのは、土曜日の仕事の内容で、十八条の問題もございますから、根本的にお休みにするのには討議の時間が必要かと思う。これはまた後で伺おうと思いますが、業務内容に対して制限なさるお気持ちはございませんか。たとえば手形の交換とか為替、特に内国為替になろうかと思いますが、支店を含めてこの業務内容について一段と制限をされて、いわゆる現金の出入り程度にとどめさせるという行政の御指導をなさる気持ちはございませんか。
  41. 渡辺喜一

    ○渡辺(喜)政府委員 なぜ銀行法第十八条という規定があるかということでございますが、これはやはり何と言っても、銀行の業務が社会経済一般に非常に大きなかかわりを持っておる、国民経済に対しまして非常に重要な役割り、機能を果たしておるというところから来ておるのだろうと思います。そういう意味におきまして、銀行の業務もいろいろございますけれども、そういう業務の中で、そういう公共性という観点から見て非常に重要なもの、あるいは言葉が悪いかもしれませんが、それほど国民生活に大きなかかわりがないものと、軽重はいろいろあろうかと思います。そういう観点から、検討をすることは私どももぜひやりたいと思いますけれども、いま例に挙げました為替でございますとか手形でございますとかそういう業務は、やはり相当国民生活といいますか、国民経済活動に密接に絡んでおる業務でございますので、いまにわかに土曜はそれもやらないというふうにはなかなか踏み切れないと考えておるわけでございます。
  42. 高橋高望

    高橋委員 こういう新しいというか、従来やっていたことを変えるのには、どうしても過渡期のいろいろのトラブルが起こると思います。ただ、だからといって足踏みしていたのでは、いつになっても前進はございませんから、ここまでいろいろお話が尽くされ、私の知る範囲でもすでにもう数年も前からいろいろと御討議なさっておられて、その妥当性も十分にわかっておられる、なおかつ、コンセンサスという言葉だけで足踏みをしているという状態を、一刻も早くひとつ乗り越えていただいて、もちろん働く方々の健康、さらには私たちの国の置かれている国際的な座標からいっても考えざるを得ないと思いますので、どうかひとつ銀行当局あるいは銀行局の御決断を私は再度お願い申し上げたいと思います。  最後になりましたが、この銀行法の十八条の問題についてでございますけれども、この辺のいま検討の状況、実は午後私御無礼するものですから大変恐縮なんですが、十八条を含めて銀行法の私たちへのいろいろの提示というか、改めることについての提示の準備状況について、短い時間で結構でございますが、ちょっと御説明いただけませんでしょうか。
  43. 渡辺喜一

    ○渡辺(喜)政府委員 銀行法十八条の問題、これも、これを改めるということになりますと、当然でございますが、銀行法の改正ということになるわけでございます。たまたま御承知のとおり銀行法につきましては、現在金融制度調査会におきまして全面的な見直し作業をやっておるということでございますので、この十八条の問題も当然のことでございますが、金融制度調査会における審議の一つに入っておるということでございます。  金融制度調査会の審議は、こういう経済環境の変化に即応した銀行のあり方でございますとか、あるいは銀行のあるべき機能、あるいは業務の範囲はどうあるべきかというふうなことを順次順を追って審議を進めてまいっておるわけでございます。全体を七つの項目に分けて、現在第五の項目の審議に入っておるという状況でございますが、その第五の項目は、取引、サービスにおける問題点ということで、この週休二日制の問題も、銀行の営業時間でありますとか、営業日でありますとか、そういうことで銀行の取引、サービス上どういうふうな問題があろうかということで、その問題の一環ということに相なっておるわけであります。たまたま先月に、大体私ども事務当局がいろいろな資料を相整えまして、金融制度調査会で説明をいたしました。その後十月に入りましてから、各界の参考人の方に来ていただきまして、各界の銀行週休二日制に対する考え方をお聞きしたという段階に立ち至っておるわけでございます。これからなお審議を進めまして、各委員先生方の本件についての御意見考え方等をお聞きしながら審議を詰めてまいる、こういう段階にいまあるわけでございます。
  44. 高橋高望

    高橋委員 時間が参りましたので、最後にお願い申し上げておきますが、私たちの世界でよく言われる言葉に「傘屋の職人」という言葉があります。骨を折って怒られるということですね。国民全体が「傘屋の職人」にならないように、ひとつ国際的な位置の中で新しい場づくりをお願い申し上げたい。御要望申し上げて終わらせていただきます。
  45. 山下元利

    山下委員長 次に、荒木宏君。
  46. 荒木宏

    荒木委員 参考人には御苦労さまでございます。  先ほど来お伺いしておりますと、金融機関は大体中ほどがいいといいますか、早からず遅からず、世間からも、銀行週休二日を実施したか、こういうふうに言われるのがいいというふうに伺ったのでございますが、私は、これは従来の全銀協のお考えから見て、いささか後退しておるというふうに言えるのではなかろうか、こういう印象を持ったわけです。  と言いますのは、昭和四十七年の一月に労働省が銀行労使に、週休二日制を普及させたいので、まず金融機関からひとつ取り組んでほしい、こういう申し入れをしたという報道がございました。四十七年の十月には、労働者の生活ビジョンに関する懇談会の中間報告がございまして、その中でははっきりと、「すでに世界の主要六十数カ国において土曜閉店制が定着している金融機関」ここで「準備を進め」「措置を講じつつ」「土曜閉店制の実施に踏み切ることは可能であり、また妥当なことと考える。」こうして金融機関でこのような措置が進んでいけば、やがて両三年中に民間労働者週休二日制適用の比率は過半を超えるであろうし、そうして官公庁においてもこれに対応するような動きが見られるであろう、こういうふうに言っておりまして、金融機関牽引車論をとっておったわけですね。そうした経過を踏まえて、先ほどお話がありました、労使でいろんなお話し合いもあり、全銀協の中での御論議もありまして、これが労使合意と申しますか、あるいは了解と申しますか、共通認識といいますか、言い方はいろいろですけれども、五十一年の上期というふうなめどが出てきた。でございますから私は、そうした経過から見まして、やはり世間も金融機関週休二日に注目をしてきたし、また、労働省の申し入れもこれあり、中間報告の指摘もあり、それが、いつの間にかこう中間車両みたいなことになったということは、いささか後退のきらいなきにしもあらず、こういう印象を持っておるわけであります。  そこで、第一にお尋ねしたいのは、国際的に見て日本金融機関週休二日制実施は中ほどであるかどうか、どうごらんになっているか。もう結論は明らかだと思うのですが……。それから、基準法の遵法度合いから見まして、中ほどでいいのかどうか。そして、それらを踏まえて、いや、決して後退してない、こういうことでございますれば、今後の取り組みにどのように反映なさるか、決意も含めて、初めにそのことをお伺いしておきたいと思います。
  47. 村本周三

    村本参考人 ただいま荒木先生から、いろんな資料をもとに全銀協の考えが後退しているのではなかろうかという御質問でございますが、世界の各国におきまして、確かに金融機関週休二日制は現在、大勢と申しますよりほとんど常識になり、定着しておることは、先生指摘のとおりでございますが、それぞれの国の中で金融機関がどの辺を走って週休二日制を実施したかという点はいろいろございまして、私どもは、大勢としては金融機関が牽引車になっている例はそう多くないと考えております。したがいまして、全銀協といたしましては初めから、そういう金融機関週休二日制に踏み切っていいというコンセンサスが得られたならば実施したい、そういうコンセンサスを一日も早く得るように努力したい、こういう気持ちでおったのでございます。  確かに五十年の二月に、五十一年上期をめどとしてということはございましたけれども、それが実現できなかったのは、われわれの決意が後退したからではなくて、それまで進んでまいりました週休二日制のわが国における普及度の高まりが後退をいたした、それを反映してわれわれがコンセンサスづくりにもう少し暇がかかるというふうに考えたというのが実情かと思います。  また、労働基準法について御指摘がございましたが、これは私ども金融機関は中ほどでいいとは決して考えておりません。中ほどという言葉が労働基準法に関してはどういう意味を持つのか、意味合いが私にはよくわかりかねますが、私どもとしては、労働基準法は、法律であるからには守るために全力を尽したい、ぜひ守りたい、かようなつもりで経営をいたしておる次第でございます。  以上を総括いたしまして、この問題に対する今後の取り組み方といたしましては、私どもは、世界の大勢が日本で認識され、日本でも金融機関ももう週休二日制になってもよかろう、あるいは金融機関週休二日になったか、そうかという程度に受けとめられるというコンセンサスづくりに今後も一生懸命励んでいきたい、かように考えておる次第でございます。
  48. 荒木宏

    荒木委員 先ほど申しました中間報告が金融機関機関車論をとりました大きな前提は、もうすでに世界各国がそういう体制をとり、金融機関週休二日を実施していることが定着している、つまり世界情勢の中で金融機関機関車論をとっておるわけですね。前提の認識は参考人も御異論がないようでございますので、私は、決意の有無ということもさることながら、考え方としてそういう経過がたどられてきたということは十分御理解、御認識をいただきたいと御要望申し上げておきたいと思うのです。  同時に、参考人がおっしゃったうらはらとしまして、金融機関がまだだからということがまた世間の認識の一つの要素にもなる。ああ金融機関もここまで来たかということは、うらはらに金融機関がまだやってないからということにもなるわけでございますから、その点は、時間の関係もございますのでお考えを伺いませんけれども、十分に御理解いただきたいと思うのです。  それから、これからさらに実施をしていくために最大の努力をする、こういうお話でございますが、先ほど来の御意見を伺ってまいりまして、たとえば手形の交換の振りかえでございますとか、あるいは外訪の土曜日の自粛でございますとか、いずれも顧客側に協力を求める、そういったたぐいのことが御意見として出ていたようでございますが、同時に、代替サービスといいますか、こういうふうにしてくれ——してくれと言うだけじゃなくて、かわりにこういうことをいたしますよという理解と協力を得るための積極的提案、これがまたそれに劣らず重要だというふうに思うわけでございます。そうした点についてもいろいろ御検討かと思いますが、間々指摘されております相談窓口の拡充強化あるいはCDの増設でありますとか、いずれもこれらは金融機関内部の労働条件にきわめて密接な関係があります。従業員の皆さんあるいは従業員組合の方々の協力なくしては実行が非常に困難な事柄ではなかろうかと思うのです。  そこで、もちろん個々の職場の労使でのお話は、それはそれとしてあると思いますが、同時に、協会全体として、あるいは従業員の皆さんの組織全体として、労使双方全体としての話し合いをより積極的に具体的に、そして迅速にお進めいただく必要があるのではないか、かように思いますので、お客の方へのサービス提供の具体的な方策、それの従業員組合との話し合い、こういった点についての見通しゃ計画、御決意をお伺いしたいと思います。
  49. 村本周三

    村本参考人 荒木先生指摘のとおり、確かに土曜日の仕事が次第に少なくなって週休二日が楽にできるようにお客様にお願いする、それと同時に、銀行の側においてもそういうふうないろいろな努力が必要ではないか。たとえば相談窓口を別の日に拡充するとか、CDの運転と申しますか、そういうふうなことが必要ではないかという御意見でございますが、私どもも全くそのとおりと考えておりまして、それでは、週休二日になったときにどうするかという具体的なことをいまここで御返事申し上げる用意はございませんけれども、しかし、現在やはり土曜日のお客のそういう二ーズが高まってきておる、それをどういうふうに処理するのかということは具体的に考えていきたい。またそういう過程で、先生がおっしゃいましたように組合側の理解と協力も求めていきたい、かように考えております。
  50. 荒木宏

    荒木委員 時間が参りましたので、最後に一言銀行局にお尋ねいたしますが、先ほど申しました中間報告で、そうした金融機関の職場で努力が続けられていきます際には、国において必要な措置を行い、その実現を図るべし、こういう指摘がございます。ただでさえ一ただでさえという言い方がいいかどうかあれですけれども労働基準法違反が他の産業に比べて多いという指摘もございました。そういう中でお客へのサービス提供をさらに図っていくということになりますと、これはそうした点での配慮、指導ということがより一層必要だと思います。労働省との連絡もこれあると思いますが、同時に、業務の監督官庁としてそういう点についてどのように指導、援助を図っていかれるか、それをお伺いして質問を終わりたいと思います。
  51. 渡辺喜一

    ○渡辺(喜)政府委員 金融機関労働関係法規の違反がわりに多いという御指摘でございますが、サービス産業でございまして、お客さん等の御要請もあってそういうふうな結果が出ておるのだろうと思います。しかし、いずれにいたしましても、法規に違反するということははなはだよくないことでございますので、私どもといたしましても、そういうことのないように常々指導は強化いたしておるわけでございます。  なお、いろいろ具体的な事例等も、可能な限り早く報告を徴しまして、それぞれに注意を与えるということをやってまいっておるわけでございますが、労働省ともなお連絡を密にいたしまして、今後ともそういうことが減少し、だんだんなくなるように指導を強化いたしたいと考えておる次第でございます。
  52. 山下元利

    山下委員長 次に、永原稔君。
  53. 永原稔

    永原委員 時間が大分過ぎまして恐縮ですが、よろしくお願いします。  いまいろいろお話を承りまして、質問しようとすることがダブりますので、確認するような意味の御質問になるかと思いますが、お許しいただきたいと思います。  いろいろ国際的に、あるいは土曜の集中的な労務管理の問題、あるいは力関係の中で月一回の休暇が与えられているような状況、そういう労使関係の中で、いまいろいろ問題が取り上げられていますけれども、こういうものを乗り越えて社会的なコンセンサスが得られるならば一日も早く実現したいというのが会長のお気持ち、こういうふうに承りました。全くその線で進んでいただきたいのですが、個々には幾つかの問題がございます。  コンセンサスというのは全企業の二分の一程度のものの週休二日制の定着だ、こういうふうにおっしゃいましたけれども、それと同時に、環境整備について、手形交換あるいは来訪相談の日の変更とか、いろいろなことをお話しになりました。しかし、いま荒木委員質問されましたように、具体的な対策というものを示して目標を設定して、ここからやるのだという決意をしなければ、なかなかコンセンサスを得られるというような状態にはならないのじゃないかという気がするのです。むしろいま大蔵省では新効率論を打ち出されまして、金融機関についてより資金コストも低下させて、効率的な経営ができるような金融機関の育成ということをお考えになっているように承りますけれども、この低金利時代に中小の金融機関においてはむしろ逆ざやだというようなことを訴えているようなのが実情でございます。大銀行になりますと、過去の蓄積もありますので、そういうので耐えられるでしょうが、こういう低金利政策の時代により週休二日制の問題が実現困難な状態に落ち込んでいるのかどうか、その辺についての御意見を伺いたいと思います。
  54. 村本周三

    村本参考人 ただいま永原先生の御質問でございますが、現在金融機関が、御指摘のように大変厳しい経営条件の中にいることは御指摘のとおりでございます。ただ、そういういわば厳しい経営条件と申しますのは、それをもう一つ大きく包んでおるのは日本経済全体の条件が非常に厳しいということでございまして、それじゃそのことが金融機関週休二日制にどういう影響を与えているのだということになりますと、日本経済全体が不況だということが金融機関週休二日制に踏み切るコンセンサスを得るのにかなりの程度障害になっている、こう不況のときにもやるのかということではなかろうかと私は思います。もちろん、先ほど来お話がございましたように、不況のときこそやって雇用をふやすのがいいのだというお考え、これは週休二日制全体についてはそういうことは確かに私は言えると思うのでございますが、銀行についてもストレートにそういう目で温かくごらんいただけるかということにわれわれは疑問を感じておるわけでございます。  われわれといたしましては、週休二日制を採用することにより、行員のモラルも向上いたします、健康もよくなりますから出勤日の五日の業務能率は向上するであろう、そういうことを通じまして、銀行効率化にそう大きな影響はない、むしろ好影響があるのではないかという若干希望を込めての観測をいたしておりますが、しかし、いろいろな条件を冷静に考えてみると、それが若干の雇用の増加になるかもしれないということもやはり言い得ると思います。そういう意味では、金融機関の経営状況が厳しいときにおいては、採用に若干のブレーキを踏んでいることになると申し上げた方がいいのかもしれないと思います。
  55. 永原稔

    永原委員 この景気を浮揚させるために公共事業に重点が置かれております。公共事業を実施する機関としてやはり官庁が中心になってまいります。こういうようなものとの支払い関係で、金融機関が独自の立場で判断するというのは非常にむずかしいような情勢になっているのではないだろうか。こういうものについて大蔵当局はどういうようなお考えを持っていらっしゃるでしょうか。週休二日制と経済の景気浮揚策として公共事業を重点にやろうとしているそういう支払い関係の中で、この週休二日制についてのお考えを伺いたい。
  56. 渡辺喜一

    ○渡辺(喜)政府委員 公共事業が非常にウエートが高くなってまいるわけでございますが、それが即金融機関週休二日制と絡むということは別段ないのではないかと思うわけでございます。特に役所関係の支払いその他につきましては、できるだけ土曜を避けるというふうなことも可能でございますし、そういう意味では、そのこと自体が即金融機関週休二日制に絡んでくるということではないのではないかと思うわけでございます。むしろ一般的に土曜日にいろいろな取引関係をやるというふうなことを漸次少なくしていくような、そういうPRなりお願いということが必要であろうと考えるわけでございます。
  57. 永原稔

    永原委員 金融機関といいますといろいろあります。たとえばいま郵便局などは非常に大きな金融機関になっておるわけです。農協のようなところもあります。こういうところは、金融部門だけを週休二日制にするというわけにいかないと思います。やはり一般業務まで休んでしまわなければならない、こういうような状態になってまいりますけれども、こういうような公務との関連において、先ほど大蔵省の方では、各省庁金融部門を寄せていろいろ相談しているというお話がございました。その進捗状況も伺いたいのですけれども、特に会長さん、そういう金融機関と横の連絡をおとりになってお話を進めていらっしゃるかどうか、そういう点について承りたいと思います。
  58. 村本周三

    村本参考人 民間金融機関の中では、金融団体協議会の中でいろいろ連絡しておりますが、しかし、ただいまおっしゃった郵便局などとの連絡は、そういう意味ではとれておりません。  ただいま御指摘になりました公務員の問題でございますが、私は、先ほど申し上げた早からず遅からずという意味は、民間労働者の中だけということでなく公務員も含めて考えておりますので、公務員が週休二日制が現在いろいろ御審議いただき、また進められるやに伺っておりますが、これが実現するということは私どもコンセンサスづくりにとって非常に大きな援軍になるものと考えております。そういう民間金融機関と相応する他の金融機関、たとえば郵便貯金というようなものの週休二日制はぜひ同時実施ということに相なっていただきたいもんだ、かように考えております。
  59. 永原稔

    永原委員 役所の関係ではいかがでしょうか。
  60. 渡辺喜一

    ○渡辺(喜)政府委員 私ども関係省庁の連絡会議におきましては、郵政省も重要なメンバーとして参加をしてもらっておるわけでございます。  郵政の方の問題点といたしましては、郵便局の窓口を土曜日に閉めてしまうというのならそれはそれで一つのやり方でありますけれども、窓口をあけておきながら貯金業務だけはやらない、普通の郵便業務はやるというのは、これはもう非常に困難事だ。全国に非常に規模の小さい特定郵便局というのが相当数、恐らく一万ぐらいあるのでございますが、そういうところでは、同じ人間がいろいろな業務をやっておるというふうな状況にもございますし、あいている店にやってきたお客さんに、貯金だからきょうはだめですよというぐあいにもなかなかいきかねる面があるというふうなことで、公務員の週休二日制が全面的に実施されるということで店を閉めてしまうというなら別といたしまして、どうも貯金だけをやらないというふうな体制はなかなかとりにくい面があるということでございます。  それから、これは公務員ではございませんが、農協等もやはり預金業務、貸付業務等をやっておるわけでございますので、こういうところにおきましても、同じ店でやはり販売とかサービスというふうなこと、組合員に対するいろいろなサービス業務をやっておりますものですから、なかなかそこの分離というのはむずかしい面を持っておるというふうなことも聞いておる次第でございます。
  61. 永原稔

    永原委員 いまお話を承りますと少しさびしくなるのですけれども、やはり公務員の週休二日制の問題が解決しない限り銀行協会の方もなかなか踏み切れないというような、そういう結論になってしまいはしないでしょうか。
  62. 村本周三

    村本参考人 同じことをネガティブに申し上げるか積極的に申し上げるかの違いかもしれませんが、私どもとしては、ぜひ同時に早く実施いたしたいもんだ、かように考えておる次第でございます。
  63. 永原稔

    永原委員 やはりこういうような事態は決断だと思うのです。目標を設定して、いまいろいろな問題点が上がっておりますので、どういう措置で具体的に対応していくか、それをいまから考えていかなければいつまでたってもこれは実現できないと思います。まして経済規模は、これから縮小するというのでは困りますので、ますます六・七%ぐらいの成長はずっと続けていかなければならない。そういう中で経済活動は拡大の一途をたどるわけです。ということになると、仕事の量は縮小するはずはありません。土曜日だけ仕事が縮小するというわけはないわけです。それに対応するような経営体制というものを考え、また、公務のあり方についても考えていかなければ実現ができないんじゃないかという気がしてなりません。そういう点について善処をお願いしたい。要望いたしまして質問を終わります。
  64. 山下元利

    山下委員長 これにて村本参考人に対する質疑は終了いたしました。  村本参考人には御多用中のところ、本小委員会に御出席の上、貴重な御意見をお述べいただきましてまことにありがとうございました。厚く御礼申し上げます。  午後一時に再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時三十一分休憩      ————◇—————     午後一時四分開議
  65. 山下元利

    山下委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  ただいま参考人として金融制度調査会会長佐々木直君が御出席になられております。  佐々木参考人には御多用中のところ、本小委員会に御出席を賜り、まことにありがとうございます。  午前に引き続き質疑を続行いたします。村上茂利君。
  66. 村上茂利

    村上(茂)小委員 わざわざ佐々木会長がお見えでございますが、実は私が質問を申し上げたいのは、午前に行われました金融機関週休二日制に関する問題でございまして、あるいはほとんど私から質問する事項が少ないかとも思いますが、その点ひとつ御了承をいただきたいと思います。  金融機関における週休二日制の問題につきましては、長い経過をたどりまして今日に至っておるわけでございます。大方の御意見は、週休二日制実施につきまして前向きの姿勢をとっておる、かように理解をいたしておりますが、ただ、だんだんとこの問題が進行するにつきまして、十分配慮すべき問題点が多々あるやに私は痛感をいたしておる次第でございまして、以下数点につきまして私の考えを述べ、かつ御当局の御意見を伺いたいと思う次第でございます。  まず第一は、この週休二日制に関連いたしまして雇用の問題がいろいろ論議されておりますけれども、そのアプローチの仕方がさまざまであると私は思うのでございます。たとえば銀行につきまして土曜日を閉店をするという閉店二日制の場合を考えますと、関連する産業にはかなりな影響を持つものがございます。たとえば日本国じゅうの金融機関が土曜日休みますと、清掃業務に従事しておる方々、何千という方々がその日の仕事を失うわけでございます。特に日給制で働いておるような清掃あるいはメンテナンスの仕事に従事しておる方は、その日の賃金を失うということにもなりかねない。また、さまざまな出入り業者があるわけでございますが、その人方も場合によりましては土曜日分の仕事を失う、こういうこともあり得るわけでございまして、仮に交代週休二日制を行うという場合でございますれば、補充人員の問題が生じてまいりますけれども、その影響度は閉店二日制の場合と交代二日制の場合とは違いがあるというふうに私ども考える次第でございます。したがいまして、週休二日制があたかもすべてが雇用増につながるような論議をするという点については、私は慎重な考慮を払わなければならないということを申し上げたいのでございます。  また、週休二日制に踏み切った場合には、労働基準法上の労働時間の問題と非常に直接的なかかわりを持っております。午前中の質問にもございましたが、昨年労働基準監督機関が一斉取り締まりをやりました結果がもうすでに発表されておりますけれども、女子の労働時間につきましては三四・一%が違反をしておった。つまりこれは、女子につきましては労働基準法によりまして労働時間の特則が設けられております。したがいまして、時間延長をいたしますについても、一週間については六時間といったような男子の場合よりも厳しい制限があるわけでございますが、そういった問題につきまして監督をしてみましたら、三四・一%が違反をしておった。また、男子につきましても二一・一%が違反をしておった、こういうことが報告されております。このこと自体は私はなはだ遺憾に存ずるものでございますが、ただ、銀行側から見ますれば錯覚を起こすような問題がありはしないか。それは、営業時間につきましては九時から午後の三時までと、こう相なっておりますけれども、営業時間の延長については、銀行局長または財務局長が営業時間の延長を認め得る制度になっておるようでございますが、それがイコール働く人の労働時間の延長ということとは別でございまして、その営業時間の延長に対応したような労働時間の延長を行うとすれば、就業規則の定むるところにより、あるいはもっと重い手続といたしましては労働基準法の三十六条協定によりまして、営業時間延長に伴う労働時間の延長の措置を別途労働基準法上の手続としてとらざるを得ないわけでございますが、その点について大蔵省当局からお考えを私は聞かしていただきたいと思います。
  67. 渡辺喜一

    ○渡辺(喜)政府委員 営業時間につきましては、いまおっしゃるとおり、平日は九時から三時までということになっておるわけでございますが、この営業時間を延長することにつきましては、これはお客さんの御要望とかその他もろもろの事情を勘案しまして、その必要があればできるだけこれを認めるということにいたしておるわけでございます。  いまおっしゃいましたように、営業時間の延長とそれから各個別の銀行員の労働時間とは、本来直接には関係しない問題でございますので、私どもといたしましては、各行が営業時間を延長する場合におきましては、当然のことながらそれぞれの個別の従業員の労働時間については、やはり労基法関係に違反しないように十分注意しながら、営業時間を延長するということにするようにということでやってまいっておるわけでございますが、なかなか金融機関も、支店、出張所等まで含めますと相当の数になりますし、末端まであるいはそういうことが徹底していなかったという事情もあろうかと思うわけでございます。
  68. 村上茂利

    村上(茂)小委員 今後の一層の御指導をお願いしたいのでありますが、さらに申しますと、就業規則をつくって届け出なくてはいけないというものを怠っておったのが二〇・七%、大変な比率でございます。また、時間外労働をさせまして割り増し賃金を払わなかったのが二〇・六%、健康診断を出すべきものが出さなかったものが一一・二%、こういうようにかなり違反があるわけでございます。ですから、週休二日という大目標に向かいまして前進する、これも結構ですけれども、まず足元を見よ、照顧脚下じゃございませんが、足元をよく見て、末端の支店あるいは営業所によほど指導を徹底いたしませんと、非常にちぐはぐな、かっこうだけはよいが、実態を調べてみたらかなり問題があるということになってはいけないと痛感をいたしますので、その点を御指摘を申し上げたいのであります。  そして、かようなことはいかがかと思いますけれども、現在の労働時間のたてまえは一日八時間、一週四十八時間という制度がとられておるわけでありますが、仮に週休二日になりますと、その原則が一日八時間、一週四十時間、こういうかっこうになってまいります。女子年少者労働基準規則に違反して毎日超過勤務をさせるということはできませんので、そういたしますと、業務量が一定しておるとすれば、いかなる方法でこれをこなすか。人をふやしてこなすか、あるいは時間延長するか、この二つの問題にかかってくると思うのでございます。しかし、これは物理的な方法でございます。いま一つは、職員の質を高めるということによって解決する方法もあろうかと思うのでございます。これが工場でございますと、職種別の単能工をさらに職業訓練いたしまして多能工にいたしまして、いわば一人二役の仕事ができる。質を高めることによってそういう労働時間の短縮に伴いますところの企業の実態に即応する体制というものを考えられると思うのでございますが、そういう点について、仮に週休二日になりました場合に、時間延長でやるのか、あるいは人をふやすのか、あるいは職業訓練等質的な転換によって行うのか、いろいろな問題が出てまいります。すなわち人事管理であり、職業訓練管理でございます。そういう点について全く配意なしに週休二日制に飛び込みますと、これはいろいろな摩擦を生ずると思うのであります。その点について何かお考えがありましたらお聞かせをいただきたいと思います。
  69. 渡辺喜一

    ○渡辺(喜)政府委員 各国、特に欧米先進国金融機関週休二日制移行のときの事情等を見てみますと、ある国は、たとえば土曜日の前後、金曜とかあるいは月曜日の営業時間を少し延ばす、あるいはまた、CDを設置してお客さんに不便を生じさせないような配慮をするとか、それからまたさらに、特にお客さんへのPR等に非常に力を入れてやるということで、その移行をスムーズにやっておるわけでございます。わが国が仮に週休二日制ということになります場合にも、当然各国でやったようなもろもろの事柄等は参考にしなければいけないと思いますが、いま特におっしゃいましたように、職員の質の向上、これも非常に大切だろうと思います。特に、とかく金融機関はレベルの高い職員を抱えながら、そういう職員を外の預金集めに使ったりというふうな批判もあることでございますので、週休二日制移行あるなしにかかわらない問題と思いますが、職員の質の向上、特に研修、訓練の強化というふうなことについては、十分配意をしていかなければいけない問題であろうと思います。  なお、営業時間を延ばすのかあるいは職員をふやすのかというふうな問題、そういう問題については、いまのところ確たる考え方等も持ち合わせておりません。これはいよいよそういうときになった場合に、そのときの実情に応じまして金融機関側とも十分協議をいたしながら、どういうふうに対処してまいるかを決めていきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  70. 村上茂利

    村上(茂)小委員 現在女子職員についての労働時間の違反が一番高いわけでございます。今後週休二日になった場合に、五日間、四十時間の範囲内で処理しなければいかぬ。時間延長をときどきやるにしましても、女子の方は法的な制限がきついわけです。したがって、女子よりも男の方でなければ間に合わぬということになりかねない、そういう懸念も私は持たれるわけであります。こういうことになりますと、女子の職場確保という問題からいろいろ波及してくる問題もありますので、私は、そういう点を十分御考慮に入れまして今後対処していただきたいと思うのでございます。  私の時間は二十分で、もうそうございませんので、言わんとするところは、要するに労働条件の問題は非常にきめの細かい問題が多いのでございます。したがって、労働法のたてまえも、労働条件については労使が自主的な交渉によりまして、そしてそれぞれ解決をしていくという自主的解決をたてまえにしておるのでございます。本委員会で取り上げられましたいきさつにつきましては、だんだんと私伺いまして理解はできるのでございますけれども、冒頭に申し上げました営業時間、銀行法上の営業日数の制約があるわけでございますけれども、そういった外皮、外枠の内部において非常にむずかしい問題がある。特に労働時間の問題は、私ども長年労働基準局長をやってこの法律を扱いましたが、この労働時間に関する本則と例外については手続その他非常に細かくてむずかしいのでございます。そこであえて私はこの基準法違反の問題を中心に御質問したわけでございますけれども、今後のあり方といたしましては、やはり労使の自主的な交渉、これを十分尊重していただきたい。そうして、行政当局のなすべき分野というものについてはおのずからこれは限界があるわけでございますから、そういう労働条件決定は労使の自主的交渉によるという原則を守りつつ、枠を踏み外さざる親切な御指導をひとつお願い申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。
  71. 山下元利

  72. 山田耻目

    山田(耻)小委員 佐々木参考人には御多忙のところありがとうございました。  この週休二日制の問題、金融制度調査会にかかりますものは銀行法十八条改正でございますが、ずいぶん長いこと本委員会審査を続けておりまして、佐々木さんの金融制度調査会にも大変お世話になっております。  大分情勢というのは煮詰まってきたという感じがしないでもないわけです。今月の五日に調査会をお開きになりまして、参考人を六名お呼びでございまして、その参考人の陳述の趣旨をプリントでいただいておりますけれども、総じて六人とも週休二日に踏み切ることは反対はしていらっしゃらないわけですね。ただ、経済界のお三方は、時期が早い、こういう意味意見を述べておられますが、その時期が早いという中で、民間金融機関週休二日に踏み切っていく、若干起こる混乱への対応策が何らないじゃないかということで指摘を受けているわけです。その一つは、CDの導入をもっと拡大をして、部分的には時間を延ばしてやったらどうかとか、あるいは少し営業時間を延ばして平日に顧客サービスにこたえたらどうだとか、あるいは相談の窓口をもっと広げてその活動を活発にしてあげたらどうだとか、そういう問題についていまだ具体策もない段階で週休二日に入ることは、経済に直結しておる金融立場から見たら混迷が避けられないのではないか、そういう意味の御心配が時期尚早論ということに大綱なっているように見受けました。  問題は、こうした問題をどう処理していくかということは、一つは、大蔵省行政上の指導の仕方にも関連してまいります。もう一つは、銀行金融機関として営業する上から当然顧客サービスということでなしていかなければならないという努力の成果もこの中には含まれていると思うのです。  諸外国が大体一九六〇年代週休二日に踏み切っていった過程をたどってみますと、大なり小なり皆同じような形が起こっているわけです。いまの日本にそれがあるからもうだめだということになりますと、国際均衡上問題がなかなか深刻の度を加えてきまずから、やはりそうした情勢を踏まえてぼつぼつその時期に来たのではないか、こういうふうに私は思うのですが、佐々木参考人にはどのようにその情勢を判断なさっておるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  73. 佐々木直

    ○佐々木参考人 先般こちらに伺いまして週休二日制の問題につきまして申し上げてから一年半たっておりまして、その間、この週休二日制の問題は金融制度調査会の席上、折に触れて断片的には出てきておりますけれども、まだまとまった発言が出てくるというところまではまいりません。これには一つには、いまの調査会の審議のやり方が、主要問題を七つほど選びまして、その問題について順次検討しておるということからそういうことになっておると思うのでありますが、いま調査会では第五の議題としまして、銀行の取引及びサービスについてという問題の検討をいたしております。その中で、当然のこととして週休二日制の問題が出て、ただいまも紹介がございましたように、参考人に来ていただいて御意見も聞き、それから事務当局の週休二日制に関する資料の説明も済みましたので、この次の小委員会からは週休二日制の問題を小委員の間で議論をしてみよう、こういうことになっております。  そういういまの金融制度調査会の段階でございますが、私といたしましては、この週休二日制の問題につきましては、その時期それから段取りはいろいろ考えなければなりませんけれども、当然前向きに考えていくべきものというふうに思っております。ただ、この前の参考人の方々の御意見の中にも感ぜられますように、やはりほかとのバランスというものを公共機関としての銀行はよほど考えなければいけない、そのバランスをどういうふうに考えて運ぶかというところが一番判断のむずかしいところである、こういうふうに考えておる次第でございます。
  74. 山田耻目

    山田(耻)小委員 昨年の五月この小委員会を開いたのですが、そのとき佐々木参考人から御意見も伺ったのですが、あれから一年半、佐々木さんのお考えも少しも進んでいない、こういうふうに私は残念ながらお聞きするわけです。  この国会、総理が施政方針演説をなさいましたが、総合経済不況対策を立てる、何とかして六・七%は成功させたいという強い決意、二つ目には、近代国家として雇用対策を決して軽視できない、何とかしていまの日本現状を打開していくという強い決意が述べられております。新聞で御存じのように、国会でも、野党の議員立法でこの国会では不況対策の一環として法律が出てまいります。  それほど政治の段階では現状に対応する努力が払われておるのですが、今日の国際的な影響の中で、日本不況を克服するという手だては、従来のパターンはやめなくちゃならない。従来の不況克服というのは輸出第一主義、これによって不況克服をする大きな努力が払われてきております。御存じのように、いま六十七、八億、七十億近い黒字が出ております。当初計画七億ドルの赤字にしたいという福田さんのお考えはみごとに狂っております。このままいきますと百億近くなるのじゃないかとみんな懸念しておるのですが、これに対して、輸出第一主義は根本から洗われてきた。それは、ここ最近の円高傾向ですね。恐らく来週あたりになると二百四十円台に落ちるのじゃないか。きのうのロンドン市況は二百五十一円四十銭ですね。このことが日本経済にどういう影響を与えてくるのか、大変なデフレ、不景気ですね。いろいろ伝えられておるのを聞きますと、燕市だとか桐生などは中小企業輸出はほとんどだめになってきて、町ぐるみの倒産、こういうことが伝えられております。とても深刻だと思うのです。  そういう情勢を受けて、不況克服の第一は内需の増大だといま言われているのですね。佐々木参考人、国際金融でも国内の金融でも大変エキスパートでございますから、これは私はよく御存じだと思うのです。この内需の傾向を強化をしていく、それによって落ち込んでいく経済を救い上げていく、これは輸出第一主義の不況対策ではないわけですね。  こういう関連から見たら、どうしたら雇用の対策が定着してくるのか、安定してくるのか、このことと無関係考えられないわけなんです。それをもっと延長していくと、積極策として週休二日、それの具体化として銀行法十八条、あなたのお仕事なんです。これとの関連をどう受けとめておられるのかということが、いまお話しいただいた御答弁では、ちょっと私は理解できない向きがあるわけです。積極的にこの問題に取り組んで、今日の重大な日本経済が見舞われておるこの姿から脱却し立ち直っていく一つ側面雇用対策、これとの関係についてどのようにお考えになっておられますか、お伺いさせていただきたいと思います。
  75. 佐々木直

    ○佐々木参考人 週休二日制の問題は、金融機関が公共的な機関として一般産業、それから個人生活と深いかかわり合いを持っておる、その観点から金融機関としての責務を考えた方向でいままでは検討されてきたと思います。実はこの前参考人の方々の御意見の中にも、すでにただいまおっしゃいました雇用との関係指摘がございました。私どももその問題はもちろん、こういう週休二日制を考えます上での一つの大事な論点だと思います。しかしながら、ほかの公共機関としての面が非常に大きいものですから、雇用の点で問題をどの程度のウエートを持って考えていいのか、そこのところは正直に申し上げて私自身もまだ判断がつきかねております。重要な要素だと思いますけれども、これをもって今度の調査会の意見の決定に決定的な役割りを果たさせるところまで持っていっていいものなのか、またそれが適当であるのか、その点については、私自身正直に申し上げましてまだ考えがまとまっておりません。ただ、重ねて申し上げますけれども、いまのような日本の置かれている国際環境の中で、そういう問題がいままで以上にウエートを増してきておることについては私も全く同感でございます。
  76. 山田耻目

    山田(耻)小委員 今日の経済の中で、雇用の安定のために週休二日をということは全然無視なさっていないし、だからこうするという結論はまだお考えになっていないようですが、そういう一つ側面を基礎に置いて作業していただく、そういうことは述べておられるように思うわけです。ただ、民間金融というものが公共性を持っておる、個人生活と非常に深いかかわり合いがある、そのことを全然無視して雇用安定という立場から踏み切るということの困難さも言われておるわけです。私は、この面も全然否定はしていないのですよ。冒頭に言ったように、あの参考人の時期尚早論者のお三方の中にも、個人の預金のことも考え、引き出し権のことも考えて、たとえば平日時間延長を考えてくれないか、そういう案も出ておるし、個人の預貯金引き出しについてCD制度の拡大ということも述べられておるし、こういう問題もあわせていけば、公共性なり個人生活なりの問題点もサービスの段階でさして不便はかけないのではないか。これはヨーロッパが週休二日に入りましたときにも、平日の時間延長なりあるいはCD制度の取り扱いというものは普遍的にみんな行われてきたところなんです。公共性なり個人生活というものを考えていけば打つ手というものはそういうもの、それが国際的ないままでの常識でございましたね。こういう点をあなたお考えになっていけば、これでどうなのか。公共性なりサービスの問題に対する度合いはこれでいいだろう、こういうような形で週休二日に入っていきながら、今日の経済事情の中で、国会の審議ともあわせながら、何とかして措置できるという判断をおとりになることは間違いでございましょうか。一方だけを指摘されて、一方はまだ不十分だということだけでこの事態がずっと先に延びていくということは私は非常に危険だと思うし、こわい気がするのです。そこらあたり両々相まって制度調査会の方でお考えいただく、会長としての責任を果たしていただく、こういうようなお考えにはならないものでございましょうか。いかがでしょうか。
  77. 佐々木直

    ○佐々木参考人 ただいまの調査会の審議のやり方は、総体としての銀行法の見直しという態度で進んでまいっておりまして、特定の問題について部分的に法律を改正するという考え方は、ただいまのところまだ持っておりません。
  78. 山田耻目

    山田(耻)小委員 私は、今日の不況対策は、既存の法改正、手直しという段階でその妥当性、必要性があるものは、当然改正してもらわなくちゃいけないと思うのです。この銀行法十八条の関連も、その妥当性、必要性はあると私は見ている。それは、四十七年以来このことを議論してまいりまして、週休二日について銀行家自身が労使の話で五十一年上期まででめどをつける、こういう取り決めをしておるくらい情勢は、尽くす議論は尽くされてきた。ただ、いまから一年半前佐々木さんと委員会お話し合いをしましたときに、国民コンセンサスをどうするのか、こういう問題が実際の姿として浮かび上がってまいりました。私は、この一年半の間に大蔵省銀行当局も、各企業を含めてずいぶんコンセンサスを得るための努力はなさってきたと思います。その努力が、先ほど申し上げましたようないわゆる時期尚早論者になって、その中でも具体策が出ておる。何が時期尚早なのか。それは、公共性を持ち、個人消費に深い関連のある金融業がこの対策を立ててくれ、そういうことで、賛否は申しませんけれども、時間延長の問題なりCDの取り入れの問題なり出されておるわけなんです。私は、それはそれなりに進歩してきておると思うのです。だから、現在の法律をどうするかということと、実際は日本経済金融関係はこういう情勢にあるんだ、そういうものを対置させながら実のある制度調査会の審議をしていただかないと、形式的に法律をどうするのかということだけでやられておる暇な委員会ではないと私は思うのです。  制度調査会も私は、それだけに限られて物を見てはおられないと思うのです。現状にどう沿うようにすべきか。たとえばいま全世界百五十六カ国ございますね。このうち百カ国以上が銀行を含めて完全週休二日に入っているのです。日本だけが先進国で入っていないのです。日本だけ入らないという特殊な条件があるのですか。恐らく一九六〇年代にほとんど週休二日に入った先進諸外国は、いま日本が直面しておると同じような苦しみを味わってきたのです。公共性についても個人生活についてもそうだったと思う。さっき私が言ったような、時期尚早論者が出しておる二点ないし三点の問題点も当時諸外国にあったのです。それをそのような措置で片づけながら実施に踏み切った。踏み切って、若干の混乱はあったけれども、一年たって完全に定着してきた。こういう経緯を諸外国がたどって百五十六のうち百カ国以上もやっている。先進国が全部やっている。日本だけがやらないという特殊な事情はいままで述べられた以外にございますか。その点についてもう一度聞かしてください。
  79. 佐々木直

    ○佐々木参考人 この問題、私は、日本のいままでの現実の推移が週休二日制についての物の考え方を国民的に決める上で非常に大きな影響を持っておると思います。確かにほかの国がこれだけやっているのになぜ日本ができないかという御質問、当然だと思いますけれども、しかしまた現実に、いままでそういうことが運んでいないといいますか、この前言われた言葉の中で国民的なコンセンサスができてないということは、結局いまの日本における週休二日制のみんなの受け取り方がほかの国と違うのだ、そう考えざるを得ないと思います。したがいまして、この問題を日本がやってはならないものだとはだれも考えていないと思うのですけれども、ただ、それを現実に実現する上の運びをどうするか、それの話し合いがまだ煮詰まっていない、こういうことだと思います。金融制度調査会というものがそういう場合にどういう役割りを果たすべきか、それについてはいろいろな見方もございましょうが、私どもは少なくともいまの段階で、全体の銀行法の改正の中でその問題を考えていこうという態度を持っております。  ただ、ここで新しく国民的なコンセンサスができ上がるといったような、そういう新しい動きが出てまいりますれば、それに対応した審査の運用、審査の運びを考えていくことは、これは当然だと思っております。
  80. 山田耻目

    山田(耻)小委員 世界がやっていてなぜ日本ができないかということは、コンセンサスというところへ落ちてくるわけですが、できてない。しかし私は諸外国も、国民完全合意の中でやられたものじゃないと思うのですよ。だからいろいろな過渡的措置というものが生まれてきているのです。日本も過渡的措置をお考えになる方が、今日の時勢で大切なのではないかということを私は申し上げておるわけなんです。  けさも話がございましたが、今日全産業で二三・六%実施されているのです。銀行関係はゼロですね。この三二・六%というのは少なくともコンセンサスがあったわけですね、みずからやっているのですから。おれなんかは週休二日やるけれども、おまえは働けよ、こういうことを言っている人たちではないと思う。そして、いま銀行は月一回交代制をとっておりますが、月三回を含めると、六・四%ですから三〇%ですね。国民の三分の一の勤労者は全産業で実施をしておるわけです。千人以上の大企業を中心にとってみますと、四三・三%完全実施をしているでしょう。そうして、月三回やっているところが九・二%、合わせますと五二・五%実施しているのです。銀行関係は、申し上げたように完全週休ゼロ、月三回ゼロ、こういうことですよ。  そういたしますと、コンセンサスの目盛りは一体何なのか、そういうことがよく言われるのです。それでも、いわゆる郊外、団地周辺では、お父ちゃんが土曜日休みだから、住宅ローンのこととかあるいはどこかへちょっと旅行するのに預金を引き出すとか、こういうことで窓口は殺到しておるようですけれども、そういうときには代替の措置があるではないか、つくったらいいではないか。全体のコンセンサスも、申し上げたように千人以上規模では五二%もやられておる、こういうことを考えていきましたら、佐々木さん、それはおっしゃることはわからぬことはありませんけれどもコンセンサスの煮詰まりは大体来ましたよ。  それから片一方、私はあなたの立場というものを尊重しておりますから、見ましても、十月五日におやりになった参考人六氏の招致につきましても、中心は週休二日制についての参考意見ですね、皆。それだけに金融制度調査会も、そういう参考人を呼ばなくちゃならない時代になってきておるということなんです。そこの中で、コンセンサスの度合いはいかがかと見れば半分である、三対三である。その三の方は時期尚早だということで、時期尚早だからこういうことをしたらどうだ、いわゆる代替で土曜日は開店してやったらどうだという意見もありました。しかし、それは今日のサービス部門から見て、銀行関係としては余り賛成でない。かえってサービスが低下し、混乱が起こる。だから、やるならむしろ代替でなくて完全週休二日をやりたい、こういう意見銀行側にはございます。だから、ここまで事態というものが推移してきておりますから、佐々木さんの方も、全然コンセンサスを得る形もとられていないとおっしゃいましたけれども制度調査会自身も参考人をお呼びになっておるくらいだから、かなり進んでおる。  お伺いすると、何か明日小委員会をお開きになるそうでございますが、ただ単なる銀行法の改正、その中でこの時代に合わせて適当な部分の改正ということのようでございます。しかし、私一番重要視していただきたいのは、銀行法十八条、週休二日の問題、その背景に今日の経済混乱がある、円のねらい撃ちがある。その円のねらい撃ちの中には、働き過ぎである、日本ほど週休二日もせずに働いてくれたのでは、その低コストの中で国際マーケットを荒らしてもらったら困る。何回か今日まで言われてきたものをどうしても実行しない日本に向かって、今度はレートを下げろと言っても聞かないから、逆に円高に向けてねらい撃ちをされた、こう言われておるのでしょう。これに対する対応策も何もない。これに対する対応策というのは、内需を拡大するというのも一つの手です。しかし、内需を拡大するのだったら、週休二日制をとって、稼働率六七、八%という企業実態をもっとならしていって措置するという手も私は有効だと思う。そういう手だてを打たないと、とても国際的には日本を信頼してくれない。国際的な不平等を来しておるということから逃げ切ることはできない。  私は、今日の日本経済を心配するの余り、もっと端的に言えばこれしかないのじゃないか。賃金の問題にしても、社会保障はうんとおくれておりますけれども、賃金そのものはヨーロッパ賃金にさして劣っておるとは私は思いません。劣っておるのは何だろうか、労働条件なんですよ。また資料をお届けしますけれども世界地図を見てごらんなさい。週休二日をやっておるところは、ほとんど赤で塗られておりますよ。その中で先進国日本だけが真っ白、やられていない。そういう不平等な比較をされながら、日本が国際シェアを荒らしていくということ、輸出第一主義ということ、この経済政策を政府も転換したいと言っておるのです。転換をして内需に切りかえると言うのですから、内需に切りかえるような協力を制度調査会もしていただきたいし、その具体的な問題点として、私はいま週休二日制にこうして踏み切ってくださいとお願いしておるわけです。  この議論は長くやってきましたので私は何回も申しませんけれども、どうでしょうか、ぼつぼつ私が申し上げたような点を取り入れられまして、もっと前向きでもっと具体的に週休二日についての結論、言いかえたら銀行法十八条に対する結論をお出しいただく気持ちにはまだなれないでございましょうか。どうでしょうか。
  81. 佐々木直

    ○佐々木参考人 二日制についての検討は、この前の参考人に来ていただいたほかにもいろいろ具体的にやっております。たとえばアンケート調査ども間もなくでき上がると思いますが、そういう意味で、この問題について調査会として深い関心を持っておることはもう申し上げるまでもないと思います。ただ問題は、いまこの時点で十八条問題だけを取り出して先議していくかどうかということにつきましては、いまのところまだそういう考え方になっていない。円高の問題など十八条問題との関連、そういうようなことについて、まだ調査会において議論されたことはございません。ただいまの御発言は、あした小委員会に御披露いたしまして、各委員の御意見もよく伺ってみたいと思います。いまの日本の置かれておる環境その他については、十分金融制度調査会の席でも議論をし、勉強してまいりたい、そう考えております。
  82. 山田耻目

    山田(耻)小委員 明日から中身、本質について御審議をいただくということですから、それはそれで結構ですが、佐々木会長は、少なくとも金融制度に対しては特にエキスパートです。今日の日本経済がどういう現状であるということも先刻よく御承知のことと思うんです。今日の日本の経一済、景気浮揚策、雇用の拡大、これは非常に緊急なものなんです。こういう状態を受けて、金融制度調査会の見解と出されておる幾つかの問題処理は無関係ではないと私は思っているんです。その緊急性についてどういう対応策を佐々木会長お持ちなのか、その点をお聞かせいただけませんか。
  83. 佐々木直

    ○佐々木参考人 いまの御質問は、いま日本経済が置かれている非常にむずかしい姿、この解決におまえはどういう方策を持っておるかという御質問だと思いますが、これはどうも、私自身ここでこういう妙策があるというふうに申し上げる準備もしておりません。ただ、われわれが置かれている国際環境について、いままでわれわれなりに努力はしていたものの、しかしその努力が十分でなかったという反省は、確かにやらなければならないことでございます。  国際収支の大幅な黒字も、とにかく何にも国内に資源のない日本人が、ここまで経済を持ち上げるためにできるだけ働くということを中心にやってきたことの影響がここで出てきておると思います。こういう国を百年も考えてやってきたやり方を、そう急速になかなか直すことができない。その曲がり角での曲がり方の丸の大きさがいま問題になっておるんだと思います。そういう意味で、ただいまいろいろ御指摘がありました細かい点について、こういう大きな国際的な問題の解決との関連において、問題を一々詰めていかなきゃならない、この点は非常に大事なことだと考えております。  御質問に対して十分なお答えができませんけれども、いま考えておりますことを申し上げたいと思います。
  84. 山田耻目

    山田(耻)小委員 時間が余りございませんから簡単に申しますが、少資源国である、これはわかっているんです。そうして、諸外国で大変上位な黒字国家であるということもわかっております。それらに対して攻撃が加えられているんですよ。それで日本経済は、本当ここで悶死するかもしれない。それは燕市とか桐生というものはいま深刻なんですよ。そういう状態から抜け切る道は何か。公平な競争力であろう。だから、少資源国であるからみんながしんぼうして今日支えてきたんだ。私はそのこともあながち無視はいたしません。しかしながら、日本のように世界有数の高度経済国家であり、先進国であると、この立場を忘れてはいけないんですよ。だから私は、総攻撃を受けるし、円高に対してねらい撃ちをかけられる、そうして大混乱が起こってきた、こういうふうに見るべきが至当だと思いますから、やはりここではどうしても国際競争の条件をそろえていかなくちゃいかぬという気がするんです。  いまアメリカあたりでは、週休三日が二十数%やられているという統計が出ています。一九七〇年代になって、十年おくれて日本はいま週休二日を言っているんですよ。それは、少資源国の日本国民の勤勉に依拠して経済を支えてきた、これは永久にそうあってほしいという立場週休二日は時期尚早だということでは——佐々木さんもそうではないのだと思うのですよ。だから、やはりいつかの時期で国際並みに踏み切らなくてはいけない。その時期は当然来るのですよ。それが、今日の円高ねらい撃ちという事態を控えて、ますます深刻な不景気が増大しようとするその可能性が強い。来週になったら円は二百四十円台に落ちていくんじゃないだろうかと言われておる。きのうは二百五十一円四十銭というロンドン相場ですから、私はこういう時期に、少なくとも働き過ぎということの条件を最低にそろえていく。ヨーロッパ諸国より十年もおくれて週休二日に踏み切る、こういうふうなことはこの国会でも、そうして国民の間の意見でも非常に強く出てき始めたということを無視してはいけないのです。  金融制度調査会の役割りというものは大変大きいと思いますけれども、明日小委員会を開かれるのでございますから、くどいようでございますが、どうか何とかしてこの時期の打開のためにお力添えをいただきたい。制度調査会のお力添えをいただくためにわれわれが何をしていったらいいのかということも私たちも真剣に考えますから、何とかしてこの時期に一つの方向づけをしなくてはならぬ、強い決意も私たちは持っておりますので、どうかひとつ御賢察いただいて十分なる御配慮を賜りたい、このように私は思っています。  それから、大きな経済の問題だけで終始しましたが、一つ銀行に従事する職員ですね。この人たちの労働実態というものは大変低劣なんです。先ほど村上さんもおっしゃっていましたけれども大変だと思うのです。  その二、三例を挙げておきますと、例の週休二日の国民コンセンサスと同時に、部内の従業員との協議がなされてまいりました。そうして、五十一年上期に実施をする目途としたいという回答が出ていたのですが、それが延びてきた。しかし、そのことを何とかして上乗せさせていきたいという配慮から、月一回週休二日代替制でおやりになっておるわけです。ところがそれをやられていく中で、年次有給休暇がとれなくなってきた。これは銀行従業員雇用量に匹敵して答えが出るわけです。最近ではそればかりではない。一般の他産業との比較を、人間ですから皆大事にいたします。その比較を見ると、全産業年次有給休暇消化は十一・六日、これが年間全産業の比率です。ところが金融関係は八・七。この八・七の中には、不正事故がありまして、通達で一週間連続休暇をとって代替をするという制度大蔵省指導でできてきました。その中に年休が四日食われてまいります。そうなりますと、銀行職員年次有給休暇というのは、法定休暇、基準法上定められた休暇が六日でしょう。あとの十四日は一般並みでございますが、これは労使の協定でできております。それで、二年以上勤めておりますと二十日つきます。これは人並みだと言っているが、中身はない。二年程度繰り越しができますけれども、繰り越し限度は四十日です。四十日繰り越しを持っておりますと、それ以上ふえると皆消えていくのです。私は、これは銀行に働く皆さんの権利の侵害だと思うのです。  昨今では、代替制をとったためにサービスが低下した、この間来て頼んだ人とは人が違う、こういうことで大変おしかりを受けておる。だから昼飯を食う暇がないほど土曜日あたりは厳しいのだ。私は、一般の全産業労働者週休二日をとっておる姿が、月三回を加えて三〇%と申しました。千人以上は五二%を超えていると言いましたが、この人たちはそれでいい。しかし、銀行の人たちは、公共関連があるし、個人の生活関連があるから、おまえは昼飯を食わぬでもいい。おまえは働けばいい。年次有給休暇、そんなのはだめだ、こういうことにはならないと私は思うのです。  金融制度調査会としては、こういう銀行関係従業員の勤務の実態が法律違反になったり、基本的な人権までも侵そうとしておるということを考えられたら、私は、国際経済の話はそれで終わりましたけれども銀行の内部を見て無視できないと思うのです。そういう点も十分小委員会ではお詰めいただいて、一つの決着をつけていただきたい。一刻も早くつけていただきたいのです。私は逡巡は許されないという気がいたします。今日の世代ですから、こういう状態がいつまでも放置されておりますと、決していい結果はもたらさないと思っています。本当にこの時代のモラルをつくり上げていく、新しい秩序をつくるということは、特定の人たちだけを苦しめるということではないのです。そういう意味で十分ひとつ御検討いただきまして、一刻も早く結論を出していただくようにお願いをしておきます。そういうことで十分努力していただけますか。
  85. 佐々木直

    ○佐々木参考人 ただいまの御趣旨よくわかりましたから、明日からの審議には十分御意見を取り込んで皆さんの議論の中心にしてまいりたいと思います。
  86. 山田耻目

    山田(耻)小委員 よろしくお願いいたします。  それではこれで終わります。
  87. 山下元利

    山下委員長 坂口力君。
  88. 坂口力

    坂口委員 金融制度調査会の佐々木会長には大変お忙しいところを御出席いただきまして、ありがとうございました。  きょうも午前中、御承知のとおり全国銀行協会連合会の会長さんにお越しをいただきまして、いろいろお話を伺ったわけでございます。いままた佐々木会長さんから、先輩の皆さんの質問に答えていろいろ御議論をお聞かせいただきましたので、二、三の御質問をさせていただきたいと思うわけでございます。  いま佐々木会長さんのお話をお伺いいたしまして、非常に慎重な御発言でございまして、何となく御質問を申し上げるのは気がひけるような感じすらするわけでございますけれども、しかし、調査会においておやりいただいておりますことと慎重な御発言とは、これまた別問題であろうと思いますので、二、三の点だけを確認を込めてお聞きしたいと思うわけでございます。  実は先ほど申しましたように、午前中全銀協の村本会長さんともいろいろ議論をさせていただいたわけでございますが、村本会長さんは、全体の中で金融機関週休二日制というものは早からず遅からず、中庸を得てというような御発言でございまして、ほかの業種が大体五〇%ぐらいになるところを一つの目途としてというような意味の御発言があったわけでございます。金融制度調査会の方の資料も拝見をいたしましたが、その中にも、いわゆる成熟、未成熟という言葉があちこちに出てくるわけでございます。何をもって成熟と言い、何をもって未成熟と言うか、これも物差しがいろいろでございますから、その人その人の物差しもございましょうし、これは比較することもなかなかむずかしいかとも思うわけでございます。  村本会長さんは、コンセンサスを得るということを言われましたけれども、これも一つの尺度であるかもしれません。しかし、私がお聞きしました感じでは、村本会長さんは銀行側の全体を代表して言っておみえになるわけでありますから、やはり対お客ということを非常に中心にお考えになっておりまして、その辺のところに力点を置いたお話であったと思います。それは当然のことではあろうと思いますが、コンセンサスを得るとおっしゃるその内容が、お聞きをいたしますと、やや感情的な意味で、一般の人たちがどういう発言をするか、そういう意味合いが多分に含まれているコンセンサスというふうな意味合いに私にはとれたわけでございます。  コンセンサスを得るという本来の意味は、一般の人たちが、たとえば中小企業経営者の皆さん方がどういう発言をするかということではなくて、もう少し突っ込んだ形でのコンセンサスであろうと私は考えるわけでございますが、その辺のところを佐々木会長は、いままでの御議論を通じてどのようにお考えになっているか、まずお伺いをしたいと思います。
  89. 佐々木直

    ○佐々木参考人 申し上げるまでもなく、いまの銀行法の第十八条というのは、なぜああいう規定ができておるかと申しますと、公共機関である金融機関が勝手に店を休んだり何かしては一般に非常に迷惑をかける、ですから休める日はこれですというふうに決めているのがあの法文の趣旨だと思います。そういう点から考えますと、やはり銀行というものは一般大衆、一般企業の仕事に差し支えのないようにできるだけ勉強しなければいけないという趣旨だと思うのでありますが、そういう意味でたとえば村本会長が、一般の方が銀行のそういう新しい休みをどう考えられるか、それを許容される考えの方がどれくらいおられるかということを非常に気にしておられるのは、当然だと思います。  金融制度調査会といたしましても、もちろんそういう金融機関の公共性の観点からこの問題を考えておりますから、一般経済並びに個人の需要が許容する限りにおいては、労働条件をできるだけよくしていくというのは当然だと思います。したがって、よく言われます一般国民コンセンサスが得られればというそのコンセンサスの中身が具体的にどうであるかということは、確かにいま御指摘のように非常にむずかしいのでありますけれども、いま例として挙げられました五〇%がいいか悪いか、その数字のとり方もなかなかむずかしいと思いますので、いま各方面でどういう御意見かということのアンケートを実は金融制度調査会でとっております。そのアンケートの結果なども一つの大きな参考になると思いますし、それからまた、いまお役所の方で関係省庁の連絡会議で、この銀行週休二日制を中心とした問題を検討もしておられますし、そういう各方面でいま現に動きつつある、その動きつつあるものを比較考量するということが一番大事でありまして、私からはちょっと数字のパーセントは申し上げるだけの自信はございませんです。
  90. 坂口力

    坂口委員 ありがとうございます。  それからもう一つ、午前中のいろいろの議論を通じまして、また、二、三ページではございますけれども金融制度調査会におきますこの週休二日制の議論の恐らく要旨だろうと思いますけれども、ちょうだいいたしましたものを見せていただいた。その限りにおいての発言でございますので、違っておりましたらひとつお許しをいただきたいと思うわけでございますけれども、私ども、この金融機関週休二日制の問題を論じております場合に、ただ金融機関だけの週休二日制の問題を論じているわけではないわけでありまして、先ほど山田議員からもるるお話がございましたが、日本の全体の職種に及びますところの週休二日制の問題という大きな流れのそのプロセスの中で、この週休二日制というものをとらえて、どうそれを位置づけて、それをまたどう発展させていくかということを議論をしているわけでございまして、その点がややもいたしますと、金融機関だけの週休二日制というエリアでの御議論というふうに何か受け取れないこともないわけでございまして、けさの村本会長お話も、そのお立場は十分私もよく存じ上げておりますし、御理解もいたしますが、しかし金融機関であるがゆえにことさら一般の方に対する遠慮というような意味も出してお見えになりました。しかしそれだけではなくて、もう少しやはり広い意味の中でこの週休二日制という問題を取り組んでもらいたいなという感じで実は私は聞いていたわけでございます。  後ほど次の質問の中で、そういったことに対する佐々木会長のお考えをあわせて御答弁をいただければまことにありがたいわけでありますが、いずれにいたしましても、効率的にお互いよく働き、そして余暇を充実させ、そしてまた、先ほどからの御議論のように、雇用機会というものを分かち合わなければならない時代に来たわけでありますから、この総合的な立場から週休二日制という問題を全体に広めていく過程の中で、この金融機関週休二日制をどう位置づけていくかということを真剣にお互い、いままでも考えてまいりましたし、これからさらに続けなければならないと思うわけでございます。  もちろん、こういう大きな改革を加えるわけでございますから、それに対する抵抗あるいはそれに対する障害というものは、当然これは起こるでありましょうし、諸外国においても恐らく起こったであろうと思うわけでございます。先ほども一番最初に自民党の先生の方からもお話がございましたが、おっしゃられるようないろいろの問題も私もあるだろうと実は思うわけでございますけれども、特にその中で、中小企業等がやはり一番問題になるであろうと考えるわけでございます。しかし、それならば黙ってこれをこのまま捨てておいていいのかというと、決してそうではないわけで、何とか知恵を出し合って前進をしていかなければならないと思うわけでございます。  そこで、たとえば郵便でも、郵便の番号にいたしましても、まだ地方におきましては機械が存在しない前から一般の庶民に対しては番号を記入する、そういうビヘービアをだんだんつくっていこうということがやられまして、だんだんそういったことが当然のことのようにいまなってきているわけでございます。やはり一足飛びに行くわけにはいかないと思いますが、その行きますまでの間に、商取引のあり方でありますとかそういった中で、この土曜日というものに対する考え方、そういったものを、前もって若干新しいビヘービアをつくっていくための予行演習というと大変言葉は悪うございますけれども、そういうこともぼつぼつ取り入れながら改革を加えていくということでなければ、確かに先ほどおっしゃったような混乱も起こるであろうと思うのであります。その辺のところの議論があったのかどうかよくわかりませんが、もしあったとしたらお答えをいただきたいと思いますし、そういったことに対する銀行局側の考え方が何かあってしかるべきだと思いますが、ひとつ銀行局側もお答えをいただきたいと思います。
  91. 佐々木直

    ○佐々木参考人 確かに御指摘のように、この週休二日制の問題は、決して金融機関だけの問題ではございませんで、先ほども山田先生から御指摘があったように、いまの日本人の働き過ぎが円高につながっているとすれば、これはよほどわれわれとしても考えなければいけないことは当然であります。したがって私は、この二日制の問題はもう全産業にわたる問題だというふうに考えております。ただ、普通の会社の場合には、ある会社が二日制をとることは、その会社自身がいろいろ利害を比較考量し、準備をして決めれば、ほかの方には、ただ取引先にたとえば了解を求めるぐらいで済むわけでございますが、銀行の場合には、申し上げるまでもなく一般との関係が非常に深いものですから、そう勝手にはやれない。しかもまた、いまの十八条という法律もある、こういう点が差があります。また、金融制度調査会としては、金融機関の問題を取り扱っておりますので、そういう一般産業まで広げた議論は具体的には確かにやっておらない、それは一つの自分の持ち場としての考え方だ、こう思います。  それから、銀行がだんだん準備をしていくべきだということ、これは私はもうすでにだんだん行われておると聞いております。先ほどもお話がありましたように、銀行では五十一年を目途として週二日制を進めておられた時期もあったわけで、こういう問題についてはやはり前広の準備が必要であるということは、もう銀行自身が非常によくわかっておられると思うのです。そういう意味で前向きにいろいろな段取りを考えながら進んでおられる、こういうふうに私は存じております。
  92. 渡辺喜一

    ○渡辺(喜)政府委員 いま佐々木会長からお話がありましたとおり、当然のことながら、金融機関サイドとしてはできるだけ早く週休二日制に移行したいという希望を持っておるわけでございますので、いろいろなそれへの移行に備えた環境づくりといいますかは当然進めておるわけでございます。特に一番大切なのはお客さんの理解を得るということでございますので、その辺のキャンペーンをできるだけあらゆる機会をとらえてやる。それから個別にも、お客さんと個々にいろいろ話し合いをして、できるだけ土曜の仕事を減らすという方向で御協力をお願いしておるという状況でございます。  なお、具体的に私ども相談にあずかりまして、土曜の業務の平準化でございますとか、あるいは土曜の時間外における集金活動とかあるいは外訪活動ということを自粛するというふうな、相互の過当競争を排除しつつ、そういう方向に業界全体として進もう、こういうふうな手だても講じてきておるわけでございます。  なお、私ども行政当局といたしましても、たとえば国税当局に対しまして、できるだけ国税関係の土曜業務というものを減らす方向で御協力願いたいというふうな申し入れもいたしておりますし、あるいは労働省、郵政省等とも、一体どこに問題があって、どういうふうに改善していったらいいかというふうな御相談もしておる、こういう状況でございます。
  93. 坂口力

    坂口委員 これで最後にさせていただきたいと思いますが、政府の方にこの問題を質問をいたしますと、いつも調査会の結論を待ってという答えが返ってくるわけでございまして、すべては調査会の結論待ちということにならざるを得ないわけであります。そういう意味調査会の行方が注目されているわけでございますが、今後のこの調査会のスケジュール、ある程度お持ちでございましたら、大体こういうふうなスケジュールで今後大体いつまでくらいにこれを整理するつもりだというようなお考えがあれば、ひとつこの際にお聞かせをいただきたいと思います。  それから、けさの議論の中で村本会長さんは、まず公務員の方の週休二日制というものが実現をしてから、それから後でないとというような意味の御発言が、けさ、お昼までにあったわけでございますが、これに対しましては、佐々木会長さんはどのようにお考えになっているかという、この二点をお聞きをいたしまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
  94. 佐々木直

    ○佐々木参考人 最初の御質問でございますけれども、先ほどもちょっと申し上げたのでございますが、いま調査会といたしましては七つの大きな問題を柱として審議を進めておりまして、ただいま検討しております銀行の取引並びにサービスの問題は第五番目でございます。第六番目は銀行の業務の範囲ということ、それから第七番目は銀行に対する監督の問題こういうふうになっております。いま取引及びサービスについての検討は、ここ一、二カ月で大体済むのではないか。そうしますと、来年に入りましてから残りの二つの問題を検討する、大体こういうつもりでおります。  それから、第二番目の御質問政府機関との関係、これは郵便局などもございますから、銀行が非常にその問題を気にしておるのは当然でございまして、したがって、金融制度調査会としましても、お役所がどういうふうにするのか、それの考え方がどういうふうに落ちついてくるのかというのは、これは非常に大事な一つの問題のかぎであろうと思っております。ただ、政府の方がやらなければ絶対にできない、それほど密着しては考えておりません。しかし、非常に重大な決定の要素であるというふうには考えております。
  95. 坂口力

    坂口委員 ありがとうございました。
  96. 山下元利

    山下委員長 荒木宏君。
  97. 荒木宏

    荒木委員 参考人には大変御苦労さまでございます。  大蔵省にお尋ねをいたしますが、御承知のように五十年の四月でございましたか、当時の大蔵大臣が、この問題について一両年の間に結論を出す、こういう約束を大蔵委員会でお述べになりました。しばしば指摘されておりますように、一両年はもうすでに過ぎ去ったのでありますが、そういう意味からいいますと、私はある意味では、国会における政府の当該政策責任者の約束違反と言ってもいいのではないかというふうにも思うのでございますが、いまこの問題を担当しておられる銀行局の審議官として、この大臣答弁を踏まえてどうお考えになっていらっしゃるか、これからそうした経過を踏まえてどのように取り組みをなさろうとするのか、これをお伺いしたいと思います。
  98. 渡辺喜一

    ○渡辺(喜)政府委員 五十年に当時の大平大蔵大臣が、一両年の間に結論を出したいということを申し上げたことは、いま先生指摘のとおりでございます。その後早速に閣議にこの問題を諮りまして、関係の閣僚懇で、では、それを取り上げていこう、こういうことに相なったわけでございます。その具体的なあらわれといたしまして、関係省庁会議の中に特別に第五部会——それまで第四部会まであったわけでございますが、特別にこの金融機関週休二日制問題のために第五部会を新たに設けまして、審議を現在まで重ねてきておる、こういうのが実情でございます。  ただ、問題が非常に多面にわたりますし、それから、背景となる経済社会の実態等の進行というふうなこともございまして、なかなか当時考えておりましたように、一両年すでにたった現時点におきましても、結論に到達するということには残念ながらならなかった、こういうことでございますが、決して週休二日制の導入がいやでこれを延引しておるということではございませんで、私どももできるだけ早く週休二日制に移行したい、こういう考え方に立って関係方面との話し合いあるいはPRその他に努めてきておる、こういうことが実情でございます。
  99. 荒木宏

    荒木委員 いやでこうなったのではないということはお述べになったのですが、私が聞きましたのは、本委員会でお述べになったことと結果が違っているではないか、それについて官房の担当者としてどうお考えになるか、これからどうなさるか、それを伺ったわけでございます。
  100. 渡辺喜一

    ○渡辺(喜)政府委員 結果が違ったではないかという御指摘でございますが、正確にそのとき大臣がどういう言い方をされたか、私もよくは存じてないわけでございますが、恐らくそういうことを努力したい、できるだけ一両年の間に実現するようにやりたい、こういう決意といいますかを述べられたということではなかろうかと思います。現実にはなかなか事態が、その当時思ったとおりに進展していないというのが現実でございます。私どもしかしながら、決して熱意とか意欲というものが薄れたということではございませんで、ますます新たな決意をもって推進を図っていきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  101. 荒木宏

    荒木委員 私は、現在の担当者である審議官の処置を特に取り上げて云々しておるわけでは決してありません。ただ、いまもお話しのように、年来論議が続けられてきておりまして、しかも国会の場で大臣が年限を明示してお述べになったことでありますから、そうした経過は今後の処置にも十分反映されなくてはならない、こういう点からあえて申し上げておるわけでございます。  そこで参考人に伺いますが、そうした国会における論議の経過、内容でございますね。そして、お述べになったこと、志と現実が反する結果になっておる。にもかかわらず、それを踏まえてさらに新たなる努力をしたいという、こういう政策当局の御答弁がありましたが、それは制度調査会の席上にありのまま報告されておりますでございましょうか。
  102. 佐々木直

    ○佐々木参考人 いままでの審議の中でときどき散発的に週休二日制についての発言があったことはございますが、しかし、先ほども御説明申し上げましたように、審議のやり方として問題別に審議をしていくという考え方で、いずれ銀行の取引及びサービス問題として取り上げる時期が来るので、週休二日制の問題はそのときに集中して審議をしようということでやってまいりました。したがって、この取引並びにサービスに関する問題の論議に入りましてから、ことに、前半は取引自体の問題でございましたけれども、後半は週休二日制に集中してやっておるわけでございます。先ほども触れましたように、アンケート調査も目下進行しておりますし、参考人の御意見も聞くという準備行為をいろいろやっておりまして、これから今度は委員の中での討議に入る、こういう段階に進めておるわけでございます。この問題についての審議につきましては、各委員とも非常に熱意を持ってやっておるのが現状でございます。したがって、いまの政府の姿勢は、その中にいろいろな形で反映しておると思います。
  103. 荒木宏

    荒木委員 最後にお述べになったことですが、国会における論議の経過は、各委員会ございます、また、それぞれの日にち、機会がございまして多岐にわたっておりますが、それが調査会に報告をお受けになっていらっしゃるかどうか、それを伺ったわけでございます。
  104. 佐々木直

    ○佐々木参考人 いまの細かい委員会の御報告はまだ伺っておりません。
  105. 荒木宏

    荒木委員 大蔵省に申し上げますが、いまお聞きのとおりでありまして、私は、調査会の審議の進行その他は、それぞれ御相談でお決めいただくと思うのでございますが、衆議院だけでも、御案内のように予算委員会で取り上げられました。五十年二月のことでございました。大蔵委員会で取り上げましたのも、これはもう一再にとどまりません。また、小委員会もわざわざ設けられまして審議を重ねてまいりました。あるいは委員会以外では、社会労働委員会でもこのことが論議になりました。そうした各委員会、各時期における審議の要点、そうしたことをひとつぜひ調査会に反映をするようにしていただきたい。  また御案内のように、午前中も申し上げましたが、労働省の方もいろいろな動きがありまして、これについての懇談会の中間報告その他もございます。先ほど審議官にお尋ねいたしますと、五十年四月の委員会議事要領ですね。あるいは突然のことであったかもしれぬと思うのですが、少し正確に、お忙しいと思いますが把握をいただいて、明日調査会にできるだけ反映するように、また資料としてもそろえて提起をしていただくように、特にお願いをしたいと思います。
  106. 渡辺喜一

    ○渡辺(喜)政府委員 五十年当時の大平大臣の御発言等につきましては、金融制度調査会にその内容は報告はいたしておるということでございます。  なお、各委員会予算委員会、大蔵委員会を初めといたしまして、内閣委員会、社労その他各委員会で本問題が取り上げられておりますので、それらにつきましての議事録等もできるだけ取りそろえまして、調査会の方に配付をして御参考に供したいと、こういうふうに考えます。
  107. 荒木宏

    荒木委員 私申し上げましたのは、どうもいろいろなお話を伺っておりますと、ひところ期限の明示があったわけでありますが、いまのところそうした点がいつのことになりますことか、一たん出されました期限がその後経過をして、次の時期のめどというものが必ずしもはっきりしない。それから手順、進め方が、どこをどういうふうに押していけばこれがすっと見通しが開けてくるのか、どうも言葉がなにでありますが、持たれ合いといいますか、あるいはそれぞれが様子を見てといいますか模様ながめと申しますか、そういうふうな感じがしてならぬのでありますが、そういうことであってはならぬというふうに思いますし、そういう点から、いま審議官も熱意のほどを示されたわけでございますので、さしずめ午前中も論議になっておりましたが、利用者の協力を求めるということばかりではなくて、むしろこういうふうに積極的にいろいろな対策を講じていきます、サービスの提供も図りますと、具体的なプラン、利用者対策の案を行政当局からもひとつぜひ出されてはどうであろうか。もちろん、労使の話し合い、労働条件にかかわりますから、そうしたことは十分討議、協議がされなくちゃいかぬと思いますし、制度面では制度調査会の方の御論議が進むでありましょうけれども、当面いま申しました利用者対策プラン、幾つか指摘をされておりまして、相談窓口ですとか、CDでございますとか、場合によっては営業時間の点にまで触れて大蔵省の方でひとつその案を示されて、そして労使の協議が進むように検討をされる必要があるのではないかというふうに思うのでありますが、まあ理解、協力、キャンペーンと、こういう話がありましたが、その内容の重要な一つとして、そういう作業に取り組まれる点についてのお考えをひとつ伺っておきたいと思います。
  108. 渡辺喜一

    ○渡辺(喜)政府委員 基本が労働条件に関する問題でございますので、行政当局がどこまで踏み込んでいいのか、あるいは踏み込むべきか、なかなかむずかしい問題であろうかと思います。基本的には労使間の合意あるいは労使間の話し合いというものがベースにあって、それを踏まえた上でいろいろ行政当局がやるべきことを考えていくということではなかろうかと思うわけでございます。ただ、一つ法制の問題、法律で規制しておる問題、この問題はまさに私どもが主となって考えていかなければならない問題である、こういうことで、私どもは従来、金融制度調査会における銀行法改正に力点を置いて事を進めてまいった、それからまた、関係各省との話し合いというふうなことを進めてきた、こういうことでございます。
  109. 荒木宏

    荒木委員 最後に一言伺いますが、いま言われた法制度改正について、それでは時期のめど、スケジュールですね、それはいまどういうふうにお考えになっておりますか。調査会の方からは、一、二カ月でこのサービス問題についての論議を大体見通しをつけておる、こういうお話でありましたが……。
  110. 渡辺喜一

    ○渡辺(喜)政府委員 いま会長からお話がありましたように、一わたりの金融制度調査会銀行法改正に絡む審議が終わりますのが、大体来年に入って春ごろになろうか、こういう感じのことでございますが、各七つの項目それぞれにまたいろいろ関連もございますし、全体として一わたりおさらいが済んだところで、また全体を振り返って、もう一遍見直しをするという作業もあるいは要るのではないか、こういうふうに考えておるわけでございます。いずれにいたしましても、法律改正ということになります場合には、その前提として金融制度調査会の御答申をもらわなければならない、こういうことがあるわけでございますので、私どもといたしましても、できるだけ審議を促進して早く御答申を得たい、こういうふうに考えておるわけでございます。  なお、本件改正につきましては、単に法律の条文を変えればそれで済むという問題ではございませんで、やはりその背景にあります経済の実態、国民生活の実態、そういうふうなものがある程度改正に適するように熟していなければ、それを無視して単に法律の条文の改正だけを強行する、こういうことになりますと、不必要な混乱を国民経済並びに国民生活にもたらすことも懸念されるわけでございまして、それやこれやいろいろな情勢の進展というものも慎重に見守りながら、できるだけ早い機会をとらえて改正を進めてまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  111. 荒木宏

    荒木委員 時間が来ましたから終わります。
  112. 山下元利

    山下委員長 これにて佐々木参考人に対する質疑は終了いたしました。  佐々木参考人には御多用中のところ、本小委員会に御出席の上、貴重な御意見をお述べいただきましてまことにありがとうございました。厚く御礼申し上げます。  本日は、これにて散会いたします。     午後二時四十二分散会