○村上(茂)
委員 その手続はわかっているのですよ。ぼくは、同じ医療行為をやりまして、労災の方の必要経費をどう見るかという問題について聞いているのです。必要経費は、必要に応じたものをその都度調べて控除しています。それはわかっているのです。しかし、ほぼ四〇%か五〇%か、見合いの見当があると思うのです。
私がこれを質問しているのは、私は労災補償部長と労働基準
局長を合わせて十年間やりまして、その間この労災の点数、単価の問題で医師会と非常に折衝したし、この特例を適用しろということをいろいろ言われたのです。そのやった経験をもとにして、いま御質問しているのですよ。
そこで、いろいろ見方はありますけれ
ども、同じ医療行為をやりながら、必要経費の見方に非常に差があるというのはおかしいじゃないかというのは、実は私らもまいったところなんです。しかし私
どもはこういう
考えをとりました。まず点数、単価の採用の仕方が適正であるかどうか、それとの関連においてこの特例というものを
考えましょうというので何年間もやったのです。労災の場合は、点数、単価の決め方が都道府県ごとに決まっておりまして、そして医師会の方は慣行料金でやってくれということを強く要望いたしました。慣行料金とは言いながら、支払いの
計算の物差しがなければいけませんから、そうしますと、やはり単価と点数というものが
考えられる。その場合に、単価というのは
計算の基礎ですから、一とか十とか百とか簡単なやつがいいのです。点数だけでも
計算できるようにするのが一番簡単なんです。
それはいろいろ見方はありましょうが、問題は、点数、単価が高いから医療の支払いが多いかというと、実はそうでないということが、昭和三十四年に、同じ疾病、たとえば指の第二関節から先の治療にはどれぐらいの医療費がかかったかとか、あるいは片足切断のときにどれぐらいの医療費がかかったか、入院日数は何日か、それから休業補償給付は何日かというのを各県調べてみたのです。その結果、点数、単価と医療費の支払い額とはかかわりが全くない。むしろ点数、単価の高いところが、入院
期間が短かったりいたしまして安上がりだ。特に医療の支払いと休業補償の支払いがありますから、休業日数がぐっと短くなりますと、支払いの総額としてはぐっと減るわけなんです。たとえば労災保険で申しますと、療養補償で支払っているのが昨年は千三百四十四億円です。ところが、休業補償で療養のため休むのが七百六十三億と、その半分は休業補償なんです。ですから、入院
期間ががらっと短縮されますと、これは支出がぐっと減るので、保険の総支出としてはプラスになるのです。
そういう意味で、私
ども点数、単価と医療の支出の実際のあり方というものを丹念に調べたところが、そう大した関連性はない。いわば空気を抜いた風船の片一方を押さえたようなもので、押さえたと思っておったら、ほかでふくれているのです。そういう意味で、点数と単価と、それから医療行為、つまり治療の
内容の問題が絡み合っておりまして、そういう意味でできるだけ適正と申しますか、総合的に判断した立場の適正という態度をとりつつ労災保険の点数、単価を決めさせていただいた。ところが、現実には健保と全く同じ点数、単価を採用した県もある。しかもそれには特例が適用されていない、こういう問題があったわけでございます。現在もほとんど同じ点数、単価ですが、ただ現在は、単価の方が十二円になっているということで、健保の方よりは有利だ、かようになっておるようでございます。
そこで、いろいろ問題はございましょうが、同じ治療行為をしながら必要経費の見方に非常に差があるということはやはり問題なんですよ。そういう意味から、私
どもは従来いろいろ関心を持ってまいりました。しかし、この特例につきましては、社会保険の診療報酬の適正化というものがもう
一つ関連性を持って議論されておるわけでございますから、その適正化を図るということは非常に大事な問題になってまいります。それを税の方は税だ、これは
大蔵大臣の所管だ、これは厚生
大臣の所管だ、ばらばらでやっておりますと、なかなか問題の全面的解決に至らない。これを今後どう進めていくかということは非常に問題でございますけれ
ども、もとに戻りまして、中期答申の中で特例を廃止すべきである、かようにはっきりうたっておりますが、その根拠はどういう点にありますか、お聞かせ願いたい。