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1977-11-16 第82回国会 衆議院 石炭対策特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年十一月十六日(水曜日)     午後一時開議  出席委員    委員長 岡田 春夫君    理事 愛野興一郎君 理事 田中 六助君    理事 楢橋  進君 理事 山下 徳夫君    理事 岡田 利春君 理事 多賀谷真稔君    理事 西中  清君 理事 西田 八郎君       藏内 修治君    篠田 弘作君       白浜 仁吉君    藤田 義光君       中西 績介君    細谷 治嘉君       野村 光雄君    安田 純治君       中川 秀直君  出席政府委員         資源エネルギー         庁石油部長   古田 徳昌君         資源エネルギー         庁石炭部長   宮本 二郎君         資源エネルギー         庁公益事業部長 服部 典徳君  委員外出席者         科学技術庁原子         力局調査国際協         力課長     川崎 雅弘君         通商産業大臣官         房参事官    高瀬 郁彌君         資源エネルギー         庁石油部精製課         長       清滝昌三郎君         資源エネルギー         庁石炭部炭業課         長       山梨 晃一君         資源エネルギー         庁石炭部鉱害課         長       菊川 忠雄君         資源エネルギー         庁公益事業部火         力課長     早川 正彦君     ――――――――――――― 十月三十一日  炭鉱離職者緊急就労対策事業延長等に関する  陳情書  (第一七五号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  石炭対策に関する件      ――――◇―――――
  2. 岡田春夫

    岡田委員長 これより会議を開きます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  来たる二十四日、石炭対策に関する件について、参考人出席を求め、その意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 岡田春夫

    岡田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、参考人の人選及びその手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 岡田春夫

    岡田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————
  5. 岡田春夫

    岡田委員長 次に、石炭対策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。愛野興一郎君。
  6. 愛野興一郎

    愛野委員 日本のエネルギー政策の根本的な見直し、手直しの時期に当たりまして、石炭政策内外ともに重要視されておる昨今であります。しかし、その陰に隠れて、すでに閉山した後の鉱害復旧の問題がだんだん、だんだん日陰者扱いと申しますか、後ろ向きというようなことで、忘れ去られるのではなかろうかという懸念がそれぞれの鉱害復旧を抱えておる地域住民にみなぎっておるわけでございます。そこで、鉱害復旧に関しまして若干のお尋ねをいたしたいと思います。  まず、鉱害復旧進捗率でありますが、誠心誠意努力をしてもらっておることは私も認めるわけでありますけれども、しかし、鉱害地帯に住んでいる人から見れば、遅々として進まないというようないら立ちがあるわけであります。そこで、いわゆる鉱害復旧認定をされた分の全体の進捗率は何パーセントであるのか、同時に主として福岡県、佐賀県に分けて、福岡県が何パーセント、佐賀県が何パーセント、あるいは農地復旧率、宅地の復旧率福岡県が何%、佐賀県が何%、こういう進捗率がわかっておりましたらひとつお知らせを願いたいと思います。
  7. 宮本二郎

    宮本(二)政府委員 お答え申し上げます。  ただいま先生の方から鉱害対策復旧につきまして少し冷遇されるような可能性があるのではないかというお話でございますが、私どもといたしましては、そういう考えは毛頭ございません。鉱害復旧につきましては御高承のとおり、昭和四十七年当時、残存鉱害量調査いたしまして、そこで残存鉱害対象物を特定いたしたわけでございますが、当時の価格で約一千七百億くらい、その後インフレ等によりまして大幅に上がっておるわけでございます。これにつきまして今日まで鋭意努力してまいっておるわけでございますが、その後のインフレ等によりまして工事費が非常に増高しておる、にもかかわらず、予算の方はインフレに対する抑制公共工事抑制、こういうこともございまして、まことに遺憾ではございますが必ずしも当方が満足するような進捗状況になっておらない点は事実でございます。  その数字につきましてちょっと申し上げますと、これは五十一年度末、本年の三月末の進捗率でございますが、農地につきましては、これは物量ベースでございますが二九・六%、家屋等につきましては四四・五%、公共施設につきましては四二・二%、こういうことに相なっております。  いま先生おっしゃいました福岡県、佐賀県、そういう県別のものにつきましては、ちょっと手元にデータがございませんので、後でお届け申し上げたいと存じます。
  8. 愛野興一郎

    愛野委員 佐賀県の方は福岡県ばかりが進んでおるのじゃないかと思い、福岡県の方は佐賀県ばかり進んでおるのじゃないかというふうに思っておるような現状でありまして、実際は福岡県の方が鉱害量が多いわけでございますから、佐賀県よりも率は低目になっておる。しかし考えてみますと、それほどにこれは期限内に鉱害復旧が終わる見込みはないのじゃないかというふうな心配をいたしておるわけであります。そこで、これを五十六年末までのいわゆる期限内に完成させる見込みがあるのかどうか、まずちょっとお伺いをしておきたいと思います。
  9. 宮本二郎

    宮本(二)政府委員 現在福岡県、佐賀県とも別に決して不公平なことはないと存じております。ただ、佐賀県の鉱害につきましては若干軟弱地盤等の問題がございまして、被害者方々に非常に焦燥感を与えておるような感じはあろうかと存じておりますが、これにつきましても試験田その他で努力しておる最中でございます。  期限内にいかがかというお話でございますが、四十七年当時鉱害量を物量特定いたしまして十年計画で実施しておるわけでございますので、五十二年度はちょうど六年目に当たろうかと存じます。ちょうど半分終わったところで先ほど申し上げました農地が二九・六、家屋等が四四・五、こういう数字でございますので、今後五年間の事業費予算等伸び考えますると、情勢として終わるかと見込みを御質問いただきましても、正直のところ非常に厳しい情勢にあるとお答えせざるを得ないと存じますが、私どもといたしましては、五十三年度予算におきましても石炭勘定増加要求額の半分以上を鉱害対策に充てまして予算増加をいたしたい、こういうようなかっこうで努力いたしておる次第でございます。とにかくまだ六年目に入ったところでございますので、最大限努力を尽くしまして事態進捗を図っていく、こういうのが現状のところではないかと思っておる次第でございます。
  10. 愛野興一郎

    愛野委員 そこで、この財源対策がどうなるかということは、住民の方も財源がこのままでいけばとてもむずかしいということは心得ておるわけであります。しかし、それだからといって五十六年までにできないものを放置していくわけにはまいらぬわけでありますから、何らかの法的措置をとって延長してもらうかどうかということになろうかということまではわかるわけでありますけれども、しかし石特会計の特に原重油関税率通商政策上二年間で歯どめをされておるということから、さてそれじゃそれから先の鉱害復旧財源は何に求められていくのかということを心配しているわけでありまして、そういう点について当局がどういうふうなお考えを持っておられるのか、あるいはまた特別にこういう財源対策について新しい見地からいろいろと検討をしておられるのか、そこら辺をお伺いしておきたいと思います。
  11. 宮本二郎

    宮本(二)政府委員 実は五十三年度予算を現在財政当局にすでに出しておるわけでございますが、その五十三年度予算におきましても、こういうような景気情勢でございまして、原油輸入伸びが非常に低うございます。しかるに石炭石油特別会計の支出、需要の方は非常に強い状況でございまして、来年度予算におきましては、主として関税収入伸び石炭勘定の方に大部分充てまして、石油勘定の方の不足分につきましては新しい財源措置考えたい。約八百五十五億の赤字予算財政当局に出しておる最中でございますが、その財源措置といたしまして、揮発油税等他エネルギー諸税石炭石油対策に充当する、こういうことを現在検討しておるところでございます。先生御案内のとおり、原重油関税につきましては、五十二年度、三年度一キロリットル七百七十円ということで決まっておる次第でございまして、五十四年度から新たな予算措置考えなければならぬわけでございますが、すでに五十三年度予算においてそういう問題が実は生じておるわけでございます。五十四年度以降の長期的な財源措置につきましては、この五十三年度予算の結果を踏まえまして、来年の夏ぐらいまでに、エネルギー調査会基本問題懇談会におきましてそれぞれ専門家を煩わしまして検討をするわけでございまして、来年度予算が決まりました後、改めて五十四年度以降長期的な問題をどうするか、こういうことの検討に入る次第でございます。現段階においてはそういう事態でございます。
  12. 愛野興一郎

    愛野委員 財源対策についてもそうでありますけれども残存鉱害量につきましても、四十七年度以降ずっと次から次に鉱害によるいろいろな地盤沈下等々が発生をいたしておるわけでありまして、昨今は長崎県の方もだんだん鉱害状況が出てきておるというような状態の中で、根本的に財源の問題も、それから事業そのものも改めて長期的な計画を練り直していただく時期に来ておるのではなかろうか、こういうふうに思うわけでありますが、その点はいかがでございますか。
  13. 宮本二郎

    宮本(二)政府委員 先ほど申し上げましたように、四十七年以降十年計画で五十六年度までということで、現在特定しました残存鉱害をやっておるわけでございまして、ただいま何といいましてもまだ六年目でございます。現在特定されました鉱害をとにかく処理していきたい、これがわれわれのいま一番の課題でございます。これが五十四年、五年ちょうど十年計画のそろそろ終わりの時期に近づいてきますれば、その段階でもう一度その範囲内でこれがおさまるかどうか、また新たなものがあり得るのかどうか見直す必要があろうかと存じておりますけれども、現段階においては、とにかくいまありまして復旧を待望しておる被害者方々がおられるわけでございますので、予算伸び最大限努力をいたしましてこれを消化いたしたい、こういうように考えておる次第でございます。
  14. 愛野興一郎

    愛野委員 次に、二次鉱害の問題について対策をお伺いしたいわけでありますが、石炭採掘によって地盤軟弱なるがゆえに復旧後また再陥没をしたりいろいろな現象があらわれておるわけでありますけれども、そういったことに対する対策はどういうふうにお考えでございますか。
  15. 宮本二郎

    宮本(二)政府委員 臨時石炭鉱害復旧法対象となります鉱害は、その法律の第二条第一項で規定されておるわけでございますが、これは当然鉱業法上の賠償義務が存在する鉱害、こういう解釈でございまして、したがいまして、復旧済み物件は一応損害賠償義務関係が消滅しておる、こういう原則でございますので、再復旧いたさないというのが一応法律のたてまえでございます。しかしながら、農地についてはいろいろ複雑な状況がございまして、昭和四十二年度から追加工事という制度一つ設けまして、実施しておるわけでございますが、これは坑内水の排水が閉山等で停止する、そうしますと、地下水がその後非常に上昇してまいりまして、一たん復旧が終わったと考え土地ではございまするが、技術的に非常に対処しがたい、やむを得ないいろいろの事情がございまして、効用回復の効果が不完全となっておる、こういうような被害現象がいろいろなところで出てきておるわけでございまして、こういうものに対処いたしまして追加工事効用完全回復を図っておる、こういうのが現状でございます。こういう点で特に軟弱地盤地域につきましては、こういう現象がわりと多いように存じておるわけでございます。そういう地域につきましては、その復旧工事方法をどうするか、こういうなかなかむずかしい問題がございますが、一つ試験をいたしまして、それのぐあいを見ながらそういうところについて復旧をやっておる、こういう状況でございます。現に追加工事につきましては、かなりのものをやっておる次第でございます。具体的な地域なりそういう点について御指摘がございましたら、検討、対処いたしたいと思っております。
  16. 愛野興一郎

    愛野委員 この再復旧工事追加要求工事の申し入れというのは非常に多いわけであります。それは質問じゃなくて、またお願いに上がりますが、私、二つばかり例を挙げて、こういうのはどうなのかというのをお伺いしてみたいと思います。  一遍鉱害ということで当時の炭鉱農地復旧をやった。しかしその復旧をやった農地の下を炭鉱が掘っておったためにまた陥没をした。こういうのは、責任はともかくとして取り扱い上どういうふうになるのか。  それからもう一つは、圃場鉱害復旧でしていただいた際に、さっき工法の問題が出ましたが、むやみやたらにこんな大きな石が入っておったために、全く圃場効用を果たさなかった。そこでこれは何とかしなければならぬということで、さてこれはどこがやるのかというと、全く責任の所在が、事業団にもないし、通産御当局にもないし、農林にもないし、もとより県にもないし、町にもない、そういうことになるわけでありまして、かえって圃場が荒廃したというような場合はどういうことになるのか、ちょっとその辺をお伺いいたします。
  17. 宮本二郎

    宮本(二)政府委員 先生最初に例に挙げられました一遍地盤沈下いたしまして復旧しました後、さらに採掘地盤沈下する、これはもう当然新たな鉱害でございまして、当然復旧対象とすべきものであろうかと存じます。  それから、後に例を挙げられました非常に石が多くてというお話でございますが、それは復旧工事が妥当であったのかどうか、その辺の検討一つ要るのではないかと存じますが、復旧工事いたしました後、効用が完全に回復しておりますかどうか、一応役所の方で鉱害事業団を通じまして完成検査をやらせておるわけでございますが、もしそういうような問題で、それが農地として使用に値しないのであれば、やはり工事に何か問題があるのではないかと存じます。そういたしますと、効用を回復したということになるのかならぬのか、ひとつ具体的な案件につきまして御指摘ございましたら、もう一度検討さしていただきたいと思います。
  18. 愛野興一郎

    愛野委員 いまの問題は、先ほど言われました農地復旧工法をひとつ安定的に確立をしていただかなければ、山土工法でいろいろ問題があったりその他いろいろあるわけであります。そこで、実際問題としては、事業団もそれから圃場関係者も町も県も、その当時みんなこれでパスだと言っておるものですから、どこも責任がなくなってしまって、そこで耕作しておる農民だけが一番うろたえなければならぬ、こういうことになるわけであります。それで、すぐそういうごろごろした石が出てきたりなんかすれば話は別でありますが、やはり完成後初めて稲作をやったとかなんとかというときにそういう現象が出てくるわけでありますから、そういうことで、私は安定的工法をぜひ確立をしていただきたい。それはもう数年にわたって、現地事業団あるいは農政局とは実際はいろいろトラブルが起こっておるわけであります。しかし、これがなかなか先に進まぬわけでありますから、この点ひとつ十分監督というか御指導をしていただく意思があるかどうか、この辺をお伺いしておきたいと思います。
  19. 宮本二郎

    宮本(二)政府委員 先生お話ごもっともでございます。そういう具体的な事例を御指摘いただきまして、当然、現地を十分監督いたしまして対処いたしたいと考えております。
  20. 愛野興一郎

    愛野委員 それで私は、こういうような問題の処理の場合に、地元役所に対して感情的にならないようにしなければならぬと同時に、役所の方も責任を回避しようということでなしに、できるだけ両方とも話し合って、完全に圃場に役立つように効用を回復していくという方向で話し合わないから、結局責任のなすり合いみたいになって先に進まない、こういうふうに考えるわけでありまして、その面で地域住民の方も反省をしなければならぬ点は多々あるが、ひとつお役所の姿勢の面におきましても、まず仕事第一ということで御指導お願いを申し上げておきたい、こういうふうに思うわけであります。  それから、佐賀福岡は特に坑内水噴出地帯でありまして、特に水田地帯に悪水が流出したり流れ込んだりするという問題がときどき起こるわけであります。こういう問題についての抜本的対策をどう考えておられるか、ひとつお伺いをしておきたいと思います。
  21. 宮本二郎

    宮本(二)政府委員 坑内水湧水の問題でございますが、これにつきましてはそういう事例がかなり出てきておるようでございます。これにつきまして、個別的に緊急に対処しなければならないものが若干出てまいっておりまして、これにつきましてはすでに対策を講じてまいったところでございますけれども、これと同時に一方で、昭和四十九年度から今年度にかけまして、これは福岡県でやったわけでございますが古洞水調査を行っておりまして、この結果を踏まえまして一般的な対策というものを考えていきたい、このように考えておる次第でございます。
  22. 愛野興一郎

    愛野委員 次にボタ山処理についてお伺いいたしますが、このボタ山処理についてはもっとスピーディーにやれないものかということを考えておるわけであります。そこで、ボタ山処理臨鉱法では処理できないのか、その辺をひとつお伺いしたいと思います。
  23. 宮本二郎

    宮本(二)政府委員 臨鉱法復旧対象となります鉱害は、先生承知のとおり鉱業法百九条の第一項に限定列挙されておるわけでございまして、そういう原因行為に基づきまして他人に与えました損害、これが対象鉱害ということになっておるわけでございます。したがいまして、ボタ山自体鉱害であると認定するわけにはなかなかまいらないわけで、ボタ山があるいは将来崩れまして派生鉱害が出るかもしれないわけですが、それをあらかじめ防止する工事までも臨鉱法対象でやるといいますのは、法律のたてまえとしてはきわめて困難な事態になっている次第でございます。そういうこともございますので、これは臨鉱法以外の問題ということで一つ予算措置処理をやっておる、こういうのが実態でございます。
  24. 愛野興一郎

    愛野委員 御承知のように、佐賀県の石炭産業はすべてちょっと低い山の上にあったわけでありますから、そこにボタを積んでおるわけですから、一朝事ある場合はずっと町中にボタが流出してきたり、あるいは圃場や河川に流出してきたりするわけであります。しかもそれが三十二カ所もあるわけであります。しからば、町なり市なりあるいは村なりでそのボタをどこかに移動させようとしてもボタの捨て場がない。こういうわけでありますから、この捨て場対策について何かいい方法なり知恵はないものか、その辺をちょっとお伺いしておきたいと思うわけであります。
  25. 高瀬郁彌

    高瀬説明員 ボタ山対策につきましては、県なり市町村工事でやっていただいているわけでございますが、その際にかなり技術的に工法その他を検討しなければならないということがございまして、福岡鉱山保安局長諮問機関ボタ山対策委員会というのがありまして、そこで工法その他埋め戻しの土地の問題まで含めて検討しておりますので、個別案件がございますとそこでその問題を含めて検討することになると思いますので、具体的な問題が起きますと、具体的な解決が図られた後に工事にかかれるかと思います。
  26. 愛野興一郎

    愛野委員 それからそのボタ所有が、もう閉山後は炭鉱経営自体が消滅しておるところもあるし、あるいはまた一般民間に渡っておるところもあるわけでありますから、こういうボタ山管理責任を明確にしなければその流出防止対策をやれないというところも生じてきつつあると思うわけであります。その点についてどういうふうに思われますか。
  27. 高瀬郁彌

    高瀬説明員 ボタ山管理責任の問題がございますが、かなりむずかしい議論でございます。ボタ山社会通念上は動産として取り扱われておりまして、管理責任といいますか、管理通常所有者がするというのがいまの法のたてまえになっておるわけでございます。それを前提といたしまして、鉱山保安法でも鉱業権者管理をせよということで各種の措置を義務づけておるわけでございますが、悲しいかな鉱山炭鉱閉山しまして鉱業権がなくなった、それから所有者がいなかった、また所有者がいても無資力であった場合の措置が欠けておりますので、その後を行政的にどう埋めるかが問題になりまして、三十九年からボタ山防止対策工事という制度をつくりまして、その辺でそれらの問題を解決していくというふうに進めております。この工事がかなり進んでおりまして、現在までに危険ボタ山と称するもの六十カ所に着手いたしまして、現在、五十二年度でたしか四十二完成する予定になっております。
  28. 愛野興一郎

    愛野委員 このボタ山の問題につきましては、具体的にいろいろ、また現実にもあるわけでありますけれども、これはまたそういう具体例をもちまして、これは質問じゃなくてお願いに上がりたい、こういうふうに思っておるわけであります。  それから果樹鉱害につきましては、先般、佐賀県に当委員会がお見えになりましたときも、市町村なりあるいは被害者組合なりから再々陳情があったとおりに、佐賀県の産業の中でミカン産業に及ぼす影響というのが非常に大きいわけであります。大体結実期までは愛媛とか和歌山とか静岡と余り違わないくらいの優秀さでいっているわけでありますが、それから先がいわゆる鉱害による脱水現象のために品質が非常に低下をする。それで価格が暴落をする。こういうわけであります。そこで、ミカン山に対する問題につきましては、水源があるところでないとできないというようなことで、それでは保水力がないから鉱害対策で何かできないものかということをお願いをしておるわけでありまして、そういう意味で果樹鉱害に対する、特にミカン産業に対する鉱害復旧についてはどういうふうに対処していかれるのか、お伺いをしておきたいと思います。
  29. 宮本二郎

    宮本(二)政府委員 佐賀県におきますミカン果樹園鉱害につきましては、先般国政調査の際にも私、お供いたしまして、そばから傍聴しておりました次第でございますが、昭和四十二年ごろから、佐賀県の方からは約千五百ヘクタールぐらいの果樹園からの被害申し出が出ておる、こういうことでございまして、地元からは鉱害認定の促進につきまして要望が非常に出ておったわけでございますが、昭和五十年度、一昨年からでございますが、申し出地域の千五百ヘクタールにつきまして被害実態利水関係地質等調査を実施しておる次第でございます。特に本年度におきましては、さらに従来の調査結果を踏まえまして、鉱害認定のための補足調査を行い、復旧工事方法等検討いたしておりまして、設定可能な地域から順次認定を行っていきたい、このように考えております。  すでに牛津町五十七ヘクタール、それから小城町、これは五ヘクタール程度でございますが、この両方、六十二ヘクタールにつきましては鉱害認定を行いまして、今年度中に復旧工事に着手する予定にいたしております。
  30. 愛野興一郎

    愛野委員 その牛津町、小城町については、水源があるから鉱害認定されたのか、あるいはいわゆる認定の要件と申しますか、それはどういうことになっておるのか、他の地域と比較をして……。
  31. 菊川忠雄

    ○菊川説明員 お答え申し上げます。  確かに牛津町、小城町はすでに認定をされたわけですが、これは鉱害認定科学調査に基づきまして鉱害の影響がありということで認定したわけでございまして、水源があるかないかということは認定の要件ではございません。ただ、水源がないと実際問題として復旧が技術的にきわめてむずかしいということでいろいろ検討すべき問題がありますから、認定等に時間がかかるという問題はあるかと思いますが、鉱害であるかどうかということは、まさに石炭採掘によってそういう被害を受けたかどうかということによって判断されるべきものだと考えております。
  32. 愛野興一郎

    愛野委員 いまの鉱害課長の御答弁で非常に力強く思ったわけでありますが、そういたしますと、水源にかかわりなく石炭産業鉱害であると認定された場合は果樹鉱害もやっていただくということでございますか。
  33. 菊川忠雄

    ○菊川説明員 石炭採掘による被害であると判断すれば鉱害として取り上げてまいります。ただし、その実際の復旧の技術的な工法等については十分検討が必要になってくるかと思います。
  34. 愛野興一郎

    愛野委員 私は、いまの御答弁が欲しかったわけでありまして、水源がないところはいわゆる水をためる工事をしていただいたりして、そうして水源確保も伴った鉱害対策鉱害復旧ということをやらなければ、これはとてもミカン産業鉱害復旧にはならないわけでありますから、そういうふうに解釈をしてよろしいかどうか、お伺いをしておきたいと思います。
  35. 宮本二郎

    宮本(二)政府委員 先生の御説のとおりでございます。
  36. 愛野興一郎

    愛野委員 最後に、過去に閉山をした炭鉱が、経営自体も、経営責任者も全く行方不明というか、このように存在がなくなったところの地帯の鉱害復旧はどういうふうに考えておられるのか。資力所在不明分の石炭各社によって受けた鉱害地は今後どういうふうにお取り扱いをいただくのか、これをちょっとお伺いをしておきたい、こういうふうに思うわけであります。
  37. 宮本二郎

    宮本(二)政府委員 いま先生のお尋ねの案件でございますが、所在不明ということは、結局無資力であるということをいかにして認定するかということの問題ではないかと思います。無資力ということがはっきりいたしますものであれば、無資力鉱害ということで、鉱害事業団と、あと若干地方自治体の負担金、それでやっておるわけでございますが、所在不明ということになりますと、無資力の認定のための情況証拠固めに若干時日がかかるのではないかというぐあいに存じますが、方向としてはそういうことで対処しておる次第でございます。
  38. 愛野興一郎

    愛野委員 実際には佐賀県で、資力所在不分明の鉱業権者というのはたくさんあるわけでありまして、全部で十六社、これが行方不明といいますか、どこにおるのかさっぱりわからぬというわけであります。そこで、この地域炭鉱から受けた被害者は、やはりまだほとんど鉱害復旧がなされていない、こういう状況でありますし、恐らくは、これは佐賀県のみならず、福岡県にもそういう小規模の炭鉱があったとするならば、存在をしておるのじゃないか、こういうふうに思うわけであります。  そこで、こういった賠償義務者不分明の鉱害についての新たな見地からの対策考えていただかなければ、どんどん後回しにされまして、そしてこの小さな炭鉱のいわゆる被害者がますます置き去りにされていくのではなかろうか、こういうふうに思うわけでありますけれども、その点ひとつお伺いしておきたいと思います。
  39. 宮本二郎

    宮本(二)政府委員 鉱害復旧方法といたしましては、結局賠償義務者が存在しておるものにつきましてはそれに負担をさせまして有資力鉱害復旧、ないものにつきましては無資力の鉱害復旧、いずれにいたしましても、どちらかに判断を、黒白を分けません限り、補助率も変わってまいりますし、国及び各地方公共団体の負担も全く変わってしまうわけでありまして、その間を不分明にしたまま割り切ってしまうというのも、国の資金の使い方としてやはり問題があろうかと思います。要するに、所在不明の人間をどこで無資力と判定するかという、その無資力の判定の割り切り方の問題というぐあいに理解せざるを得ないのではないかと存じますので、その点につきまして、大分技術的な問題があろうかと存じますが、それにつきましては、少し具体的な事例先生から聞かせていただきまして処理させていただきたい、このように存じます。
  40. 愛野興一郎

    愛野委員 これで質問を終わりますが、いずれにいたしましても、この福岡佐賀は、戦時中並びに戦前、あるいは戦後のある時期に一生懸命に国策に協力をしたがゆえに石炭鉱害地帯になっておるわけでありますから、これもひとつ、今日の石炭産業の見直しによって石炭採掘するエネルギーと同様の政策をぜひお忘れにならないようにしていただきたいということを要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  41. 岡田春夫

    岡田委員長 次は、岡田利春君。
  42. 岡田利春

    岡田(利)委員 当面の石炭諸政策の問題について、若干質問いたしたいと思います。  今年度から来年度を見通して、来年度の石炭政策の課題は、石炭の需給の安定をどうするかというのが第一であり、第二は、炭価政策をどのように来年度は展開をしていくかというのが第二の問題である。第三の問題は、いわゆるエネルギー政策下において、今日、石炭エネルギーの位置づけが一応策定をされておるわけです。したがって、この総合的なエネルギー政策の中ですでに進められておるサンシャイン計画、あるいは、すでに概算要求をいたしております石炭の利用技術の開発の問題、あるいは海外炭の開発の問題これに関連するコールセンターの設置、こういう諸政策をどう行政に反映していくかということが第三点でなかろうかと思うのです。そして、第四点には、再建計画の見直し、再検討されている北炭の動向が一体どうこれらに絡んでいくのか、こういう課題が私は来年度の石炭政策の中心的な課題になるのではないか、こう考えますので、以下そういう立場で質問を申し上げたいと思うわけです。  昭和五十一年度の需給の総括を見ますと、生産は一千八百三十二万五千トン、そして過欠給その他、いわば雑炭と称するものを含んで百四十一万トン、合計供給は一千九百七十三万五千トン、これに対して外国炭の輸入、特に一般炭の場合には八十六万二千トン、もちろん原料炭はこれ以外に五千八百九十七万一千トン、無煙炭が百十万四千トン、こういう石炭の需給が昭和五十一年度の大要であるわけです。  そういう意味で五十三年を展望する場合に、北炭幌内の再開をも含めて、そしてまた来年四月から北炭幌内は本格的な採掘が開始をされる、こういう展望に立って、特に昭和五十二年度の三月末の需給の状態はどういう落ちつき見込みと想定されているのか、こういう点についてまず第一に質問いたしたいと思います。
  43. 宮本二郎

    宮本(二)政府委員 ただいま岡田先生から御質問のありました昭和五十二年度の需給見通しでございますが、昭和五十二年度につきましては、当初生産の方を、原料炭、一般炭合わせまして約一千九百万トンの見通しを持っておったわけでございますが、現時点においてこれを見直してみますと、年度当初の見通しに比しまして、太平洋、松島、それから赤平、こういうところは生産は好調に推移しておるのでございますが、北炭新鉱、それから北海道におきます露天坑等が大幅な減産がございました。それから芦別炭鉱が災害により減産いたしまして、生産は当初見通しより約八十万トン程度減少するというのが現段階の見通しでございます。  一方、需要の方でございますが、需要の方につきましては、たしか本年の六月だったかと存じますが、砂川の石炭火力発電所の三号機が運開いたしまして引き取り増があったわけでございますが、当初見通しに比しまして、公害の規制強化、こういう点から硫黄分の高い石炭の取引量の減少、こういうことがございまして、総需要が百万トン程度減少する見通しでございます。     〔委員長退席、愛野委員長代理着席〕  したがいまして、貯炭の方につきましては、当初七十万トン程度を予想しておったわけでございますが一約二十万トン程度ふえまして、期末の貯炭は約九十万トンを超える見込みでございます。  以上でございます。
  44. 岡田利春

    岡田(利)委員 そういたしますと、三月末九十万ないし百万トンの貯炭で、これを昭和五十三年度に持ち越す、こういうことになるわけですが、五十二年度の輸入一般炭の落ちつき見込みは一体どう見込まれておるか、この点もお伺いしたいと思います。
  45. 宮本二郎

    宮本(二)政府委員 輸入につきましては、特にローサルファの石炭を要するとか、幌内の炭鉱の事故等によります暖房炭の補完的な需要、こういうものを満たすために、本年度当初約九十四万トンの一般炭の輸入を見込んでおった次第でございますが、現段階におきまして期末の貯炭増その他の状況の見通しがございますから、下期輸入につきまして若干抑制措置を図りまして、現段階におきましては、大体八十八万トン程度の輸入になるのではないか、こういうぐあいに予想いたしておる次第でございます。
  46. 岡田利春

    岡田(利)委員 一般炭の動向として、特に家庭暖房用ハウスコールの落ち込みは、ここ数年前までは大体一〇%平均というのが私は減少動向であったと思うわけです。最近これが一五%ダウン、これからも大体年率一二、三%強のダウンが続いていく、こういう見方を私はしておるのですが、この見方は一体正しいかどうか、この判断について、第一点お伺いをいたしたいと思います。  そういう動向を含めて、では来年度、昭和五十三年度、約百万トン近い貯炭を一般炭持ち越してまいるわけでございますけれども昭和五十三年度の需給見通しというものは当然、基礎的な検討がなされておると思うのでありますが、この見通しについてお伺いをいたしたいと思います。
  47. 宮本二郎

    宮本(二)政府委員 最初に先生申されました一般暖房炭の需要減でございますが、確かに先生のおっしゃるような傾向があらわれておるように存じます。     〔愛野委員長代理退席、委員長着席〕 特に幌内炭鉱の事故がございまして、その穴埋めといたしまして一時輸入炭なども入れたわけでございますが、結局、暖房炭の需要がやはりかなり落ちておるようでございます。当初予想しておる以上に漸減傾向が大きいように感じておる次第でございます。そういうような状況でございまして、そういうような傾向も含めまして五十三年度の需給見通しは、実はまだ各社の生産計画が非常に流動的な要素もございまして、確定的なところはなかなか言いにくい点が現段階ではございますが、幌内炭の生産復帰等の供給増も見込まれる関係もございまして、それと先ほど先生が申されました暖房炭の傾向的な需要減、こういうのも考えますると、特に一般炭の需給につきましては、五十二年度よりもかなり緩むのではないか、このように判断いたしておる次第でございます。
  48. 岡田利春

    岡田(利)委員 そうしますと、昭和五十三年度の生産見込みは、大体今年度は一千八百二十万トン程度、八十万トンの落ち込みだ、そうしますと、幌内一山を考えただけでも、再建計画どおり四月以降日産四千トンという計画でありますから、大体百十万トン、こう想定されるわけであります。したがって、生産は当然一千九百万トン台に上るし、雑炭その他を含めると一千九百六、七十万トンに達するのではないか、これが私の試算であります。そういう中でずっと需給の関係を検討いたしますと、今年度百万トン近く持ち越して、来年度末には百六、七十万トンの貯炭を持ち越す、こういう見通しが、昭和五十三年度末、昭和五十四年三月末の見通しとして当然成り立つのではないか、こう考えざるを得ないのですが、この私の試算についてどう思われますか。
  49. 宮本二郎

    宮本(二)政府委員 来年度の生産見通しでございますが、いまの段階でかなり流動的な要素もございます。たとえば夕張新鉱の生産の伸びも必ずしも思わしくないような条件もございますし、千九百万トンを超えるような状況になるのかどうか、二千万トン切れておる段階でございまして、遺憾に思っているわけでございますが、この辺はかなり流動的な要素が濃いように存じます。したがいまして、現段階におきましては、来年度末百六十ないし百七十万トンと先生申されましたが、そこまではどうかなという感じでおる次第でございますが、いずれにしましても、今年度末よりはかなり貯炭がふえてくるということは動かしがたい、このように存じます。
  50. 岡田利春

    岡田(利)委員 原料炭の場合には非常にふところが深いわけですから需給の調整はできるわけですが、一般炭の場合には、いま部長の答弁ではそこまではいかないだろう。そうすると、大体百六十万トン前後かなという数値が大体見当がつくわけでありますけれども、それにしても、一般炭の生産は大体一千万トン程度でありますから、これに対して百五、六十万トンの貯炭を持ち越すということは、ウエートは非常に高いと思うわけです。全生産量に対する貯炭割合ではありませんから、そういう意味からすると一般炭は高い。したがって、この需給の対策は、特にいまから来年度を展望して進めなければならないと思うわけです。その基本的な対策をどう一体考えられておるか、この際お聞きいたしたいと思います。
  51. 宮本二郎

    宮本(二)政府委員 本来ならば、元来、石炭火力の需要を前提として考えておりましたわけで、たとえば東苫小牧の石炭火力発電所の運開予定ども、当初に比べましておくれたような経緯もあろうかと存じますし、そういうようなことがございまして、需要面におきまして目立った拡大余地がないわけでございます。したがいまして、たとえば輸入についてどういうぐあいに判断するか、それからもう一つは、油と混焼いたしておる発電所がございますが、こういうところもどうだろうか、いろいろ細かいところを検討しておるのが現段階でございます。ただ、輸入につきましても、いままで余裕をもって輸入させておるわけではないのでございます。必要最低限を見ておる関係もございまして、その辺、余り新しい需要増を見出すことができないのが率直のところで、苦しんでおる状況でございます。そういう点で、石炭産業側におきましても何らかその辺の配意をしておく必要があるのではないか、こういうのが現段階での私ども考え方でございます。
  52. 岡田利春

    岡田(利)委員 結局、需給を調整するとすれば、既存の火力発電所の石炭混焼率を高めるということが当然第一に考えられます。第二には、先ほど述べられた今年度八十八万トンの輸入炭の落ちつき見込み、昨年度は八十六万二千トン、昭和五十年度は五十万トンであります。したがって、輸入炭と一般炭との関係も抑制したとはいえ、前年よりは増加をいたしておるわけです。これをやはり最小限度に抑えるということはきわめて当然だと私は判断をするわけです。そうしますと、昭和五十年度の実績の五十万トン以内である、こう断ぜざるを得ないのでありますが、これらについて政治的にどう判断をされるのか。IQ品目である限り、これは政府の承認を要する問題でありますから、やはり思い切った調整を図るべきである、こう言わざるを得ないわけです。もちろん、それ以外にそれぞれの努力によって需要の拡大を少しでも図っていくという総合的な努力が展開されなければならぬことは当然であります。その点、一体どうなのか。輸入炭に対する態度、今年の通常国会でも国内一般炭と輸入一般炭との調整ということが政治的にきわめて重大な課題として議論されておりますので、この姿勢についてお伺いいたしたいと思います。
  53. 宮本二郎

    宮本(二)政府委員 輸入につきましては、一般炭の需給がそういうように見通されます以上、当然輸入は抑制的に対処いたしたい、こういう気持ではおるわけでございますが、先生がいま挙げられましたような過去の数字まで戻るようなことはなかなか困難ではなかろうか、こういうように考えておる次第でございます。  と申しますのは、一般炭の輸入は従来から国内炭のサルファ調整、そういった補完的なものとして入れておる関係もございまして、現にまた日本側の国内の石炭産業の事情からサルファ分の高い石炭が非常に量多く出ておるような炭層条件その他も現状では西地域の方にはございます。そういうような関係もございまして、環境問題の関係で減らすことがなかなか困難な点がございます。しかしながら一方では、暖房炭のように輸入を抑制する可能性の高いものがあるわけでございますが、同時に昭和五十五年以降、海外炭を一応要素に入れました新設火力が動き出す予定がございまして、そういう関係の試験用炭をある程度入れて、徐々に海外の石炭生産者の準備その他にこたえさせるような必要性も実は現に生じつつあるような状況がございます。そういう点がございまして、抑制的な運用はいたしたいとは考えておりますが、余り現状より減らせるような状況下にはないように判断いたしておる次第でございます。
  54. 岡田利春

    岡田(利)委員 石炭協会で出している「石炭時報」というのがあるわけですが、これの総括表を見ますと、昭和五十年度過欠給その他の供給に入ってくるわけですね、生産以外に。まあ雑炭その他も入るのでしょう。五十年度五十万トンに対して五十一年度百四十一万トンなわけです。それから、輸入の原料炭は六千八十一万二千トンに対して今度は落ち込んで五千八百九十七万一千トン。それから、鉄鋼消費が五十年度が五千八百十九万三千トン、五十一年度は五千七百五十一万二千トンで、その他の渡しが五十年四百十八万トン、五十一年三百四十四万トン、こういう数字になって鉄鋼消費が落ちている。数字で見ますと、過欠給というのが五十一年度九十万トンもふえているわけですね。そうすると、輸入原料炭の一部が市場を経由して一般炭に回っているのではないか、こういうことも一応数字を見ると懸念されるわけです。そういうことも調査されたことがあるか、そういう懸念があるかないか、一応の判断を承っておきたいと思います。
  55. 宮本二郎

    宮本(二)政府委員 非常に石炭の事情にお詳しい先生お話でございまするが、不肖にして私自身そういうような状況についてよく聞いておらない次第でございます。一度そういう事情を可能であれば調べてみたいと存じます。
  56. 岡田利春

    岡田(利)委員 公益事業部長にお伺いしたいのですが、いま石炭部長から石炭と油の混焼火力の石炭混焼率について若干の答弁があったわけですが、ここ数年を比較しまして、三年でも五年でも結構です。数年を比較して、石炭と油の混焼火力における混焼比率の動向については一体どう把握されていますか。
  57. 服部典徳

    ○服部政府委員 ただいま御指摘のございました石炭の混焼率の問題でございますが、石炭専焼が主力でございます北海道電力を除きまして、残りの八電力とそれから電源開発株式会社、さらに共同火力、そういう混焼火力十七ユニットにつきまして、四十八年度から五十一年度までのいわゆる混焼率、各年度の石炭の使用量に対します石油と石炭の使用量の合計の比率でございますが、これを熱量換算いたしました混焼率で見てみますと、全国平均で四十八年度は二三・六%、四十九年度はちょっと上がりまして二八・四%、五十年度が二四・五%、五十一年度が二五・三%という数字に相なっておりまして、四十九年度は若干高うございますが、ほかの年度は大体一定して推移をしているというふうに私ども把握しているわけでございます。
  58. 岡田利春

    岡田(利)委員 いま述べられた中で、一つの発電所をとってみたいと思うのですが、東北電力、これは八尺、仙台にそれぞれ混焼火力があるわけです。昭和四十八年、八戸は石炭が七万トン、仙台は二十四万二千トン、これに対して油は、七万七千キロリットル、三十九万二千キロリットル、これが昭和四十八年の実績であります。昭和五十年の実績を見ますと、八戸は、石炭が七万に対して一万八千トン、油はもちろん下がっておりまして三万六千四百キロ、それから仙台の方は、二十四万二千トンに対して十六万四千四百トン、油が三十九万二千キロリットルに対して四十八万五千キロリットル、こういう数字が出ておるわけです。  いま総体的な話をずっとされたと思うのですが、そういう点で数字はいま部長が述べられたような数字が出ておると思うのですが、こういう動向を考えますと、混焼率を高められない理由、それはすなわち公害協定によるSOxやNOxの協定基準、これが混焼比率を決定している、こうも言われているわけですが、あながちそれだけとは言えないのではないか。いわば混焼のタイプが固定化していて、燃料購入契約がむしろ優先的に固定化している、そういう事情もずいぶんあるのではないか、こう言わざるを得ないと思うのですが、この点はいかがでしょうか。
  59. 服部典徳

    ○服部政府委員 ただいま御指摘のございました八戸と仙台それぞれの混焼火力でございますが、八戸につきましてはことしの四月から公害防止協定が締結されまして、その防止協定によって混焼率というのはほぼ限界に来ているというふうに私どもとしては考えておりますし、また、仙台火力につきましても、硫黄分の規制がございまして、その関係からやはり混焼率というのは限度に達しているというふうに私どもとしては考えているわけでございます。もちろん先生の御指摘のような条件もあろうかと思いますが、やはり公害防止協定上もうどうしても限界に来ているというのが実情ではないかというふうに考えます。
  60. 岡田利春

    岡田(利)委員 苫小牧火力が今年十月に着工いたしたわけですが、普通発電所の建設は二年半程度要するとも言われるのですが、一応報道されているところによれば五十四年十一月運開、これは果たして可能かどうか、この点について伺っておきたいと思います。
  61. 服部典徳

    ○服部政府委員 ただいま御指摘の苫東でございますが、確かに御指摘のように着工時期が延びている傾向にございますので、完成時期もなかなか予定どおりいくというのはむずかしい状態にあるというふうには私ども把握いたしておりますが、何とか早く完成するようにということで指導してまいりたいと思っております。
  62. 岡田利春

    岡田(利)委員 苫小牧のような場合、運開以前に石炭の搬入は大体どの程度要するものですか。半年前から徐々に搬入するものか。一定の貯炭がなければならないわけですから、先ほどの需給の関係からいっても非常に重要だと思いますので、何カ月ぐらい前から搬入が計画されておるのですか。
  63. 早川正彦

    ○早川説明員 通常の火力発電所でございますと建設期間がございます。設備が完成をいたしまして、そして燃料をたきまして、それからタービンに通気をしまして、いわゆる試運転をするわけでございます。したがいまして、通気をする以前に燃料は搬入していなければいけません。そういうことを考えますと、やはり搬入が一度にできるわけではございませんので、先生おっしゃいましたように、六カ月がいいか、三カ月がいいか、これはいろいろ問題がございますけれども、事前にかなり石炭も入れていかなければいけないというふうに思います。
  64. 岡田利春

    岡田(利)委員 先ほども貯炭見通し、昭和五十四年三月末、百五、六十万トン程度の貯炭見通し。そこで、この貯炭がやはりいずれにしてもある程度出るということは、いまの議論の中で明らかになってきたわけですね。したがって、これに対する対応策、私は貯炭融資ということを、ぎらつくようなことを言うつもりはありませんけれども、いずれにしても何らかのこれだけの政策を展開しておる石炭政策から見れば、これらに対して資金的な対応策といいますか、いままでの制度を弾力的に運用してできるのかどうか、いずれにしてもその点は前進をさせるべきだ、こう思うのですが、いかがでしょうか。
  65. 宮本二郎

    宮本(二)政府委員 ただいま先生おっしゃいましたように、今後の石炭の需給の推移を考えますと、五十三年末にはやはりかなりの貯炭が出ることは避けられない感じがいたしておる次第でございます。しかしながら、これの貯炭が各社別にどのような状況であらわれてくるのか、その辺はなかなか現時点では判断できない状況でございまして、私どもといたしましては各社別の貯炭場の推移を非常に見守りながら、それぞれ各社がその資金面についてどのような対策をとりつつあるか、その辺を見守りました上で、それに対応いたしました必要な対策については検討してまいりたい、このように考えておる次第でございます。
  66. 岡田利春

    岡田(利)委員 エネルギー政策の中における石炭のウエート、これが一応中間の答申の中でも策定されておるわけですが、すでに電発の松島一号がかかり、これは五十五年に完成し、引き続き二号機が行われる。あるいはまた電発は竹原における第三号、七十万キロの建設、あるいは松浦における電発一号機百万キロ、九電が二号機七十万キロのジョイント、またそれ以外の地点では崎戸立地点、天草における電源誘致の動き、あるいは常磐共同火力の寿命にきている一、二、三号機の切りかえ、八号機以下の建設、これらも石炭が期待されるものではないかと思いますし、さらに苫に引き続く北海道道東における火力発電所、こういう地点がずっと挙がって、特に東北における石炭火力の建設も最近大きな話題を呼びつつあるわけですが、大体この内外の石炭活用の電源開発の傾向は、いま私が指摘したような状況あるいはそれ以外の状況としてつけ加えられるものがあるのかどうかというのが第一点であります。  第二点は、松浦の場合は電発が一号機をやって、二号機は九電だ。しかし、これはたとえば高砂の関電と電発の発電所は全く隣り合わせでありますけれども、松浦における地点は一キロ離れておる、こうも言われておるわけです。そうしますと、環境アセスメントやその他の関係が調整をされれば、これはジョイントではなくして電発が一号機であり、九州電力が一号機、将来建設可能であれば双方二号機が引き続き建設される、そういう方向を目指すことがきわめて当然と私は判断をするのですが、こういう認識についてどう思われますか。こういう一連の電源政策についてお伺いしたいと思います。
  67. 服部典徳

    ○服部政府委員 まずエネルギー政策における石炭火力の位置づけでございますが、私どもといたしましては現在、石炭火力五百十万キロワットでございますか、これを六十年度——これは電気事業審議会の対策促進ケースと呼ばれているケースでございますが、これでは九百八十万キロワットまで建設をいたしたい。五百十万のうちに約百三十万キロワットほど転換もしくは廃止の火力がございますので、差し引きは九百八十万から五百十万引いた四百七十万に、さらに百三十万キロワットを足した分だけこれから建設をしなければいかぬ、こういうことでございます。  それで具体的な地点を先生はいろいろお挙げになったわけでございますが、私どもとして現在、具体的になっておるものといたしましては、まず現在建設準備中でございます松島火力の一、二号百万キロワット、それから苫東厚真火力発電所三十五万キロワット、これはいずれも建設準備中ということでございます。また、竹原火力三号七十万キロワットについては、環境調査の実施中の段階でございます。それから松浦火力、これも御指摘がございましたが、九州電力と電源開発株式会社で、九州電力は七十万キロワット、最終的には二基と、それから電源開発株式会社は百万キロワット、最終的にはこれも二基ということで、これは地元へ現在、環境調査の申し入れを行っている段階でございます。そのほかはまだ具体化いたしておらないわけでございますが、御指摘のございましたように天草でございますとか、あるいは崎戸でございますとか、さらには能代地区でございますとか、常磐の増設の問題でございますとか、そういった点は確かに御指摘のように話としてはわれわれも承知しているわけでございますけれども、まだ先ほど申しました発電所ほど具体化はしてないという段階でございます。  それから第二点の方の松浦についてでございますが、確かに御指摘のように電源開発と九州電力双方でここに立地をするということでございまして、電源開発の方は広域電源ということで西地域と申しますか中国電力管内、それから四国電力管内の需要にも応ずるようにということで、広域電源といたしまして百万キロワット、最終的には二基ということで計画をしておる。それから九州電力の方は域内と申しますか、九州電力の供給区域内におきます電源といたしまして七十万キロワット、これも将来二基ということで計画をいたしておるわけでございまして、大体同一の敷地内にあるということでございますので、環境調査等につきましては両者共同で行うということが適当であろうというふうに計画をされておりますし、それからその敷地内におきます発電所のレイアウトにつきましても、両者が協議をして計画を進めていくという形をとっておるわけでございます。
  68. 岡田利春

    岡田(利)委員 電源立地難あるいはまた原発のロードがさらに実績が落ち込んでおるという最近の傾向、いわば電源の長期計画はそういう意味ではロータリープランといいますか、やはり見直しを長計といえどもしていかなければならない。したがって、五十三年度以降の長計についても、いまそれぞれ検討されていると私は伺っておるわけですが、この長計の今次の見直しはいつごろまで作業が終了するのかというのが第一点であります。  第二点は、先般当委員会質問いたしました東北海道釧路地区火力発電所のいわば電源主体の問題についても、電力審議会等の場を通じて調整を図っていきたい、こういう趣旨の答弁もすでになされておりますので、その後、この火力発電所の推進について、公益事業局としてどういう作業を進められておるか、この点についてお伺いをいたしたいと思います。
  69. 服部典徳

    ○服部政府委員 第一点の長期計画の見直しの問題でございますが、国全体と申しますか、国といたしましては、電気事業審議会でことしの夏に、六十年及び六十五年におきます各電源別の目標をそれぞれ現状維持ケースと対策促進ケースというふうに分けて計画をつくったわけでございますが、これをもとにいたしまして各電力会社が具体的にどうそれにマッチした計画をつくるかということにつきましては、現在、これから作業に取りかかるという段階でございまして、いまの見通しでは、今年度末、来年三月いっぱいぐらいにはそういった具体的な計画、六十五年の目標及び今後十年間の電源開発計画というのができてくるのではないかというふうに考えておるわけでございます。  それから、第二点の北海道の東地区と申しますか、道東地域におきます石炭火力の建設についてのその後の検討状況ということでございますが、私どもといたしましても、道東地域につきましては電源が需要に対しまして不足ぎみであるということは十分承知いたしておりますし、またエネルギー対策上も石炭火力を建設するのが望ましいというふうに考えておりますので、できるだけ道東地区における石炭火力につきましては積極的に前向きに対処していきたいという気持ちを持っておるわけでございます。現在、北海道電力におきまして、その立地に当たりまして環境問題、特にやはりNOxの問題と温排水の問題が大きいかと思いますが、そういった公害、環境の問題、それから地形の問題でございますとか、あるいは港湾等の条件の問題、それから石炭の安定供給の可能性の問題等につきまして概略的な調査を進めておるところでございまして、その進みぐあいによりまして、北海道あるいは市、町等、関係機関と協議をして具体的な環境調査実施計画をこれからつくっていくという段階に来ているというふうに考えておるわけでございます。
  70. 岡田利春

    岡田(利)委員 もちろん、一般炭の場合には電力エネルギー化するというのがこれからの大綱であることは当然でありますが、中期的には石炭利用という問題についてもいま技研等においてもいろいろ進められておるわけです。その中で一番進められている、石炭需要の中で一番近道なものというのは何があるのだろうか。いわば二、三年で何かできるものがあるのだろうか。電発の総裁の言をかりれば、コロイダル燃料は三年以内に実用化する、こう言いましたから、このあたりが一番早いのであって、それ以外は、と言ってもなかなかそう利用拡大という展望はむずかしいのではないかと私は思うのですけれども、この点、何か御所見があれば承っておきたいと思います。
  71. 宮本二郎

    宮本(二)政府委員 来年度予算につきましても、実は石炭利用技術、特に中期、短期に利用可能性のあるテーマにつきまして、来年度予算の主要テーマとして取り上げていきたい、こういうことで、技術開発関係の予算に重点を置いておる次第でございますが、一番短期になるものは何かと考えますると、やはりいま先生指摘になりましたコロイダル燃料、こういったものにやはり期待し得るのではなかろうか。あと、ガス化発電などもやっておるわけでございますが、初期の四トンプラントを三十トン程度に引き上げる——またまだパイロットプラント的な段階を抜け切らない感じでございまして、二、三年先となるかどうかわかりませんけれども、大体二、三年ないし七、八年ぐらいのテーマのものを取り上げておる関係から見ますと、比較的早いと期待されるものは、いま先生の御指摘のようなコロイダル燃料ではないか、このように考えております。
  72. 岡田利春

    岡田(利)委員 昨年、ことし、ここ二、三年、オイルショック以来、特に石炭価格価格政策というものがユーザーの理解の中で順調に進められてきたと一応は言えると思うし、評価されると思うわけです。しかし、来年度を展望する場合に環境は厳しいものがあるのではないかと私は思います。そういう意味で、来年度の炭価政策について石炭当局としてはどういう視点、どういう姿勢を持たれておるか、承っておきたいと思います。
  73. 宮本二郎

    宮本(二)政府委員 毎年の炭価につきましては、先生指摘のとおりオイルショック以降相当大幅に上げてまいりました。五十二年度におきましても、非常に需要業界は厳しい経済状況下に置かれておりましたわけでございますけれども、一般炭で、揚げ地トン当たり千七百五十円、積み地千五百円、それから原料炭につきましては上期千百円、下期千九百円、これだけの値上げができまして、石炭企業の経理改善には非常によい影響を与えてきた、このように判断いたしておるわけでございます。  来年度の問題でございますが、いままでは毎年度の労務費、資材費等のアップ、その分の単価アップのほかに、従来からの赤字分をそれに上乗せいたしまして、上げてまいった状況でございます。そういう関係で値上げ幅が大幅になってまいったわけでございますが、実は本年度の値上げにおきましてその赤字分を入れました価格で需要業界に要請いたしておりまして、最終的にはその価格を下期にはのんでもらった経緯がございます。そういった関係で、来年度におきましては、これは石炭企業側からでございますが、労務費諸資材費等のアップによるコスト増の範囲内での値上げが強く要望されてくるのではないか、このように考えております。  私どもといたしましても、こういうのを念頭に置きながら、ひとつ石炭鉱業審議会の場において、鉄鋼、電力等各需要業界の協力を求めるよう努力いたしていきたい、このように考えておる次第でございます。
  74. 岡田利春

    岡田(利)委員 石炭というものは、単にカロリーだけで品物の価格、価値というものが決まるものでないことは当然でありますが、たとえば原料炭の場合、灰の溶融点とか強度とか、そういうことが当然コークス製造上問題になってくるわけです。がしかし、七千八百カロリーの石炭も八千カロリー台の石炭もカロリー価格で見ればそう差がない、カロリーメリットというものが八千台になって、少ない、こういうような傾向に今日あるだろうと思うのです。あるいは一般炭で見ましても、もちろん三池のように四%近いサルファもあれば、太平洋のように〇・二五%のサルファ、北海道は概して〇・三%以内。価格政策上はそういうサルファメリットというものが事実上ないわけですね。しかし、いまのエネルギー政策上から考えれば、そういう流れがいつまでも放置をされておるというのはどうかなという感じがするのですね。これから外国炭の輸入の問題も当然起こってくるわけです。豪州の場合には比較的サルファが少ないのですけれども、アメリカは四%から四・六%くらいのサルファの石炭が圧倒的に多い。こういう内外の石炭政策をも含めて考える場合に、やはり新しい石炭の価値、これを新しい角度、立場で価値づける、こういうことが必要になってきたのではないかと私は思うのです。  しかし、一世紀続いている炭価形成というものはなかなか並み大抵のことでないことは十分承知をいたしておりますけれども、そういう点についてもやはり検討はされていくべきではないかという気がしますので、この点、特にこれからの石炭の消費量はいやでもおうでもふやしていかなければならないという国策、政策の観点に立って、ぜひこういう点についても検討していただきたいということを希望として述べておきます。  最後に、私企業の問題でありますけれども、北炭の動向というものは、私は、来年度の政策上非常に注目されるべきだ、こう申し上げたわけです。しかし、せっかく北炭はいま、前に出された再建計画が再見直しをされて、労使で協議をされて、十八日にはまた労使交渉が行われる、こういう状況も十分私ども承知をいたしておるわけです。幌内の再建が行われ、新鉱の五千トンベースが落ち込む、そういう中で清水沢の東部開発を中止する、新鉱側からこれを採掘する、こういう一連の提案がなされておりますことは新聞紙上にも出ておりますから、当然通産省の方としてもその動向については把握をされておるだろうと思うのです。  私は、現段階でこれを具体的に議論をするというのは時期的にちょっと早いのではないかという感じもしますので、今後の交渉の推移等も十分見守ってまいりたいという姿勢を実は持っておるわけですが、この北炭の動向について、特に通産省としても十分注目をされ、そしてまたいろいろな交渉や動き等については注意深く見守っておるものと判断をいたしておるわけですが、この点について、この機会に、報告できる点について報告願えれば幸いだと思います。
  75. 宮本二郎

    宮本(二)政府委員 北炭の問題につきまして、本日あたり証券市場欄にも北炭の問題が記事になって出ておる次第でございますが、北炭につきましては、諸先生御高承のとおり、前国会におきまして、特別災害助成につきまして御審議いただきまして、北炭の再建計画を前提に幌内の復旧につきまして約百億弱の政府資金を投入する措置をとったわけでございますが、一方、民間側においても、百億を超える資金を投入いたしておるわけでございます。  しかるに、その中心になりました夕張新炭鉱の日産五千トン体制が、その後の推移を見ておりますと、この夏ごろ一時は五千トン出ておったわけでございますが、その後必ずしも情勢としては芳しくない、四千数百トン程度。その辺の問題から再建計画全体を見直したい、こういうような会社側の話を聞いておりまして、いま岡田先生が挙げられましたような諸点につきまして、具体的に金融機関なり労働組合と全体まとまった案というわけではありませんが、会社側だけの一つの試案という形でのそういう希望表明は聞いておる次第でございます。  私どもといたしましては、先般、石炭鉱業審議会の経営部会におきまして、一つの北炭の再建計画についての見解が出ておるわけでございます。今日のこういうエネルギーの情勢下に対応して、ひとつ労使一致協力して再建に努力した上で自主的な再建計画を立てる必要があるだろう。その自主的な再建計画の上に立って初めて、ユーザーを初め関係方面の協力が得られるものではあるまいか。したがって、そういう観点から非常に厳しく見直して、見詰めて、再建計画をつくってもらいたい、こういうのが当時の答申ではなかったかと存ずる次第でございます。  今日、その見直し案につきまして会社内部において検討中と聞いておるわけでございまして、その再建計画がそういう石炭鉱業審議会経営部会の答申の線に沿ったような形で提出されることを私どもとしては期待いたしておる次第でございます。その上で、私どもといたしましてもできる範囲でこれを支援し、再建に協力していきたい、このように考えておる次第でございます。
  76. 岡田利春

    岡田(利)委員 北炭の再建は今通常国会でも予算措置がとられ、われわれもこれでいくものとし、期待をいたしておったわけですが、最近の動向は、その当初の再建計画が大幅に変更される、しかも再建の主力になる新鉱の五千トン体制が八百から千も日産で落ちるというようなことでは、一体何をやっているのか。まさしく経営者の罪は万死に値する、大げさな時代的表現でありますけれども、そう言わざるを得ないと思うのであります。  しかし、残念ながら、わが国の石炭産業実態考えますと、北炭は幌内そしてまた新鉱、現時点でなおかつ清水沢があり、真谷地がある。そして、独立している空知炭礦がある。こういう主力の炭鉱を持っており、地域経済にも、空知の中枢部に集中している。こういう意味でわれわれは、地域経済あるいは雇用されておる労働者の生活の安定という立場から、なおかつこの問題について深刻な受けとめ方をいたしておるわけです。したがって私どもも、今後これの推移によっては積極的な提言をいたしてまいりたいと思いますけれども、そういう意味では、責任体制というものを明確にさせる。大体社長のいない会社なんていうのはないと思うのですね。萩原さんは会長で、社長のない会社、しかもいま言った山の数は五山も六山もある。こういう形がそのまま放置されていいのかどうか。この点を含めてやはり毅然とした態度で臨まなければならないし、また、そういう中から、われわれとしても政府と一緒になって、十分地域の問題は地域の問題として聞いて対処しなければならない。そういう冷静な措置も必要だと思うわけです。そういう点で、今後私ども、積極的な提言もいたしていきますので、せっかくのこれらに対する通産省の対応を強く求めておきたいと思います。  特に、私はつけ加えて申し上げたいのは、炭鉱の例を出すと余り生々しいからメタルの例を一つ出しますと、秋田の北鹿地帯に黒鉱鉱床が発見された。これは東洋的な規模の黒鉱鉱床であります。そして、同和鉱業が松峰から入って採掘し、すぐその離れた川の向こう側は日本鉱業がやっている。その端の方は、今度は三菱金属の松木がやっている。その鉱床の一番質のいいところは、三菱金属鉱業の松木地域なんですね。これはもう、含有率から見ても一番いいわけです。ところが、現在どうなっているかというと、大体この同和鉱業の松峰は今日の情勢の中でも四十万円若干の台のコストですよ。日本鉱業の方は五十万円台です。松木の方は七十万円台なんですよ。そして、いま閉山提案が行われている。これが後から、鉱床帯が一体だから下から掘れるかというと、非常にむずかしいということが実は報告もされているわけです。なぜ一体こんなにトン十万台の三つのランクの差がつくのだろうか。そこにやはり経営者の姿勢なりあるいは技術、あるいはまた坑道の展開、こういうものが総合的に問われているんじゃないかと思うのですね。われわれはそういう意味で管理委員会をつくり、そして石炭の技術は公開しながら日本の炭鉱の近代化のために大変な努力を積み重ねてきた。能率的に見ればもうヨーロッパの国際レベルの段階まで来ている。ここまでは築き上げて、体質を変革してまいったわけです。だが、これに対応する経営者の対応姿勢というものがきわめて重要であり、炭鉱でもこれらの問題点については十分参考にして、これからももう少し開放的な、事業団管理委員会もあるわけですから、一歩進めて、これらの面についても十分他山の石として考えるべきではないか。そういう意味で、いまメタルの方の例を出して申し上げておくわけですが、せっかくの御努力お願い申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  77. 岡田春夫

    岡田委員長 次は、細谷治嘉君。
  78. 細谷治嘉

    ○細谷委員 石炭問題、特に二千万トン以上を確保するという基本的な立場から、幾つかの問題を質問したいと思います。  最初に、これは西日本新聞という九州の新聞でございますけれども、ローカル紙といってもかなり有力な新聞でございます。その十月十四日に「九州は開発見送り 石炭新鉱難点はコスト高 通産省」という記事が載っております。読んでみますと、「五十年度から三カ年計画で四億円余を注ぎ込み、国内九地域石炭の新鉱捜し」をやった、その結果の報道でございます。これによりますと、北海道の天北、釧路西部は非常に有望であるということでございます。それから、長崎県の西彼杵では、こう書いてあります。「新鉱開発後の貯炭場の確保がむずかしい、」だから開発は困難だ、こういう記事が載っております。  私が質問したい点は、五十年度から三カ年計画でやってまいりました九地域調査について一応の結論が出ておりますが、この新聞のとおりかどうか、まずお尋ねしたいと思います。
  79. 宮本二郎

    宮本(二)政府委員 五十年度から実施いたしております国内炭開発可能性調査の内容の記事ではないかと思います。その内容につきまして、炭業課長の方から細かい御説明をさせていただきます。     〔委員長退席、岡田(利)委員長代理着席〕
  80. 山梨晃一

    ○山梨説明員 お答えいたします。  実は未開発炭田の開発調査というのは、五十年度から、いわゆる石油ショックの後で国内炭を見直すべきであるという考え方を受けまして、始めてまいったわけでございます。  それで、具体的には先生からいま御指摘ございましたように、九州、北海道合計九地域について、五十年度から予算化いたしまして、調査を始めてまいっているわけでございます。五十年度は九地域全般にわたりまして、地質鉱床条件等の技術的な把握及び経済的、社会的な開発の可能性というものを概査するということで、二億数千万の予算がつきまして調査してまいったわけでございます。ボーリングも合計四本ばかりやっているということでございまして、その結果、各地域別にいろいろ問題点が挙げられたわけでございますけれども、この九地域の中で比較的優位にあるというふうに考えられまする北海道の二地域、九州の一地域、その三地域につきまして、五十一年度にさらに二億何がしの予算をもちまして、精査と申しますか、ボーリング合計十六本を含めました精査をいたしてまいったわけでございます。九州は世知原、それから北海道の二地域と申しますのは、釧路西部及び天北の三カ所でございますが、その結果、一応その三地区の中で、開発に至ります細かい検討を進めていくのは、当面北海道の二地域から進めていくべきじゃないかという調査結果が出ている、こういうことでございます。
  81. 細谷治嘉

    ○細谷委員 いまお話しの国内炭の開発可能性調査報告書というのが昭和五十年度に出ておりますが、それによりますと、天北地区は、生産規模、五カ所で年間大体百九十五万五千トンを設定しておるわけですね。百九十五万五千トンというとかなり大きなものですね。それから、釧路地区では四地点、年間出炭規模百三十四万トンという生産規模の想定が載っております。この調査によりますと、とにかく五十年度に行われたわけでございますから、その際に、今後の課題という形で問題点が指摘されておるわけであります。  エネルギー問題というのは、今日、日本経済の最大の制約条件といってもいいほど重要な問題ですね。そういう中において五十年度の調査の結果が報告されて、その後に幾つかのボーリングをやったということでありますが、五十一年度一年間、それから今日、五十二年度ももう半ばを過ぎておる、約満一年を経ておる段階において、この調査から具体的にどういう前進があったのか、どういう具体的なものを通産省としてつかんでおるのか、それをひとつ具体的にお答えいただきたい。
  82. 宮本二郎

    宮本(二)政府委員 五十年度九地域、五十一年度さらに三地域にしぼりまして、一つの報告書ができておるわけでございますが、それをもとにいたしまして、五十二年度、本年度におきましては、札幌通産局を中心にいたしまして、天北及び釧路西部それぞれに、現地の地方公共団体の代表者の方々、それから学識経験者の方、そういう方を交えました協議会を組織いたしております。それで、そこにおきまして一応一つの試案が出ておる、それから問題点が指摘されておるわけでございますが、それを実際に取りかかり、精密な設計をいたします前に、やはり地域住民のコンセンサスの問題、それから農漁業関係者の諸権利との調整問題それから地域開発計画との調和の問題、鉱業用地の確保の可能性の問題そのほか、採炭技術上の問題、労働力の確保の問題、それぞれいろいろ問題が、一口に申せば、地元との調整問題がかなり残っておるわけでございます。そういう面の条件固めと申しますか、地盤固めと申しますか、そういう問題が必要でございまして、現地の協議会を中心にして、その辺のコンセンサスを得るように調整を図られるように協議を進めておるというのが現状でございます。
  83. 細谷治嘉

    ○細谷委員 言葉が非常に抽象的で、やっているかのごとく、やっていないかのごとく、具体的には進んでおらない、こういう一語に尽きると思うのですね。この調査報告書でも、天北では炭鉱開発の成否を決める最大の要因は労働力の確保だ、こういうことが指摘されております。それから、その次に、石炭火力発電所も含めて、いわゆる環境問題、それから市町村の機能分担、文教なり医療の施設、それから火力発電所についての住民の意向、こういうものが指摘されております。それから、釧路の方には「開発の基本構想の立案に当たっては、炭層賦存状況などの採掘条件、または技術面のみからの計画だけでなく、地元における各方面の意向などの社会的条件も加味して検討する必要がある。」これはおっしゃったとおりです。これから一歩も出ていないじゃないですか。どういうことなんですか。
  84. 宮本二郎

    宮本(二)政府委員 この報告書におきましては、いわばコンサルタント会社を使いまして調査をやっておるわけで、そこの問題点の指摘にとどまっておるわけでございます。現実にそこの地元の方の代表としての意見との調整が行われたわけではございませんわけで、その点を役所ベースで協議会の場で確認をし、詰めていくというのが現状という意味でございます。
  85. 細谷治嘉

    ○細谷委員 このことについては余り触れません。しかし、いま具体的に挙げた例から言っても、石炭を守っていこうという熱意、基本姿勢、これにやや弱いものがある、欠けたものがある、こういういうふうに私は指摘せざるを得ないと思うのです。この新聞に書いてあります、西彼杵では貯炭場がないからできぬ、これは本当ですか。この報告書を見ますと 農業の問題とか漁業の問題とかがあるというのですが、新聞にまともに「貯炭場の確保がむずかしい」とあるのですが、これはどこでも同じですよ。現在掘っておる私どものところの三池でも、ボタの捨て場がなくて参っている。これは貯炭は皆同じです。このようなことを新聞に書かれますと、普通の人は皆本当かと思いますよ。どうなんですか、実態は。
  86. 山梨晃一

    ○山梨説明員 ただいま御指摘になりました西彼杵の件でございますが、私ども、実は、西日本新聞に対しまして詳しい説明を申し上げたわけではごいませんで、何を根拠にこういう限られた理由を挙げて西彼杵が落ちたんだというふうなことを新聞がお書きになられるのか、その辺のことはどうも私存じませんで、私どもが了知しておりますのは、ただいま先生が触れられましたように、その報告書に——この報告書というのは、私どもはこの調査石炭鉱業合理化事業団に委託しているわけでございますが、石炭鉱業合理化事業団が採択いたしましたコンサルタントが作成いたしたものでございまして、われわれは一応、資源エネルギー庁といたしましては、公式にはそういう報告書にあるような理由で、当面九地域から三地域にしぼった際に、後に回った、こういうふうに了解しているわけでございます。
  87. 細谷治嘉

    ○細谷委員 貯炭場がないなんというのは、まあ新聞記者が筆を、漁業問題とか農地問題等のむずかしい問題があるということで、それを貯炭場に転嫁したのだろうと思いますけれども、貯炭場がないことで石炭政策が進まないというようなことでは、これはやはり通産省の姿勢が疑われる。あるいはエネルギー問題についての取り組みというのが疑われるわけでありますから、ひとつ十分な配慮と、積極的な新鉱開発についての取り組みをやっていただきたいと、こう思います。  話を次に移しますが、これもまた地元の新聞でありますけれども、九州では数少ない、そして日本の生産量の大体四分の一強を生産しておる三池炭、これは硫黄リッチの石炭であることは申すまでもないわけでありますが 地元の新聞 これは福岡にあります「フクニチ」という新聞でありますが、このくらい大きな「三池炭ばなれ」という、こういう新聞が出ておるわけです。読んでみますと、「同系企業にも広がる」ということは、硫黄リッチの石炭を拒否する、こういうことがあるのです。硫黄リッチの石炭を拒否して、通産省御存じと思うのですけれども、硫黄の低いソ連炭を買い取るわけですね。この同系企業の一つとして、たとえば亜鉛をつくっている三井金属、これが石炭を使っておるが、燃料としてたいておる石炭と、それから亜鉛鉱を還元するために還元剤として石炭を使っておる。硫黄がありますから、当然なこととして亜硫酸ガスが出る。亜硫酸ガスが出ますと賠償金を取られるわけですよ。公害被害者補償法という法律に基づきまして、一立米の亜硫酸ガスを出しますと、大体五百円近い負担を出さなければならぬわけです。その負担も、公害ですからPPP原則で、そこで被害者が出た場合には原因者負担でやるのは当然でありますけれども、その被害者補償法というのが、おっ取り刀で四十九年の九月一日から発足しておるばかりに、きわめて割り切った形で、とにかくPPP原則で、当面指定された企業は出せと、こういうことになって指定されておりますから、とにかく自分が害を加えただろう、そのために病気になったろうという人が一年に補償される金額の二倍半か三倍負担しているわけですよ。こういうことでありますから、自分の責任外のものも負担しなければいかぬという形で大変な負担金になって、一年間に一企業で八億とか、あるいはこの地域で十億ぐらいの負担金が起こっておりますから、負担金を小さくしようという形で、国内炭を使わないで——もちろん亜硫酸ガスの公害を出すことは困るわけですから、それは食いとめなければいけませんけれども、亜硫酸ガスは現にだんだん漸減の傾向にあるわけですけれども——そういうことでありますから、とにかく硫黄の少ないものを使おうという形で石炭の需要面、これは大したものじゃない、何百万トンということじゃないじゃないかということでありますけれども、国産の石炭というものがこういう形で外国炭に取ってかわられるということについてはやはり問題点があるんじゃないか。しかもそれを助成しているものは、やはりPPP原則でない過重な負担をその企業が負担しているところに問題があるのであって、これはおれの管轄じゃないけれどもということで石炭を守っていくということになりますと、この辺の科学性、合理性を貫くために通産省としても努力することが当然だと思うのでありますが、いかがですか。
  88. 宮本二郎

    宮本(二)政府委員 公害健康被害補償法の関係の問題かと存じます。私、エネルギー庁でございまして必ずしもそちらの担当じゃございませんのですが、私、現在のポストに参ります前に立地公害局におりました関係で存じておるのでございますが、確かにただいま先生の御指摘になられたような問題点がございます。健康被害の要する費用に見合うようにSOxを出しております量に割り当てた関係で、大都会の方は健康被害者が多いけれどもSOxを出しております工場は案外少ない。逆に大牟田のようなところは被害者は少ないがSOxの量はわりと多い。結局そこが吸い上げになってその吸い上げ分がみんな都会の方に来ておる。その辺はちょうど地元との関係においてPPPの原則が貫かれておらぬではないか、こういう御批判があることは従来からよく承知いたしております。  そいう点がございましたので、たしかこれはことしの春からでなかったかと思いますが、通産省の方で環境庁とたしか協議いたしまして、大阪地区の負担割合をPPPの観点から、一気に直すと非常に問題が多い関係で、若干でございますが手直しした経緯がございます。そういった関係で、若干大牟田地区におきましては当時とは少しはその辺が変わっておるかという感じはいたしますが、いずれにいたしましてもそういうような問題はある次第でございます。一気に完全に地元被害者地元の負担者との関係をぴったり直結するようなPPPの原則の徹底にはなかなかむずかしい状況がございまして、一歩ずつ前進さす必要があるような状況になっておった、このように私承知いたしております。  三池炭につきまして確かにサルファが高い点がございまして、需要先におきましていろいろSOxにつきましては環境規制問題が出てまいっております。私、この賦課金の関係で使いたくないという話よりは、むしろいろいろ最大の需要先であります発電所等におきまして、都会地におきましてSOxの規制数値がだんだん厳しくなってくる、それから総量規制なども導入される、そういう点でまいりますと、三池のハイサルファの石炭でございますと、それと一緒に燃やします石炭なり油の取捨選択が非常に限定される、そういった観点から非常に不利な立場に立っておる。石炭の需給が逼迫しておるときはさほどでもないのでございますが、やや余りぎみになりますとしわ寄せされる、こういうような事情があろうかと思います。  いずれにいたしましても、先ほど岡田先生からお話がございましたが、一般炭の需要のふところを深くするということがやはり現在一番重要ではないかと思っております。いまは、先ほど先生から指摘されましたように非常に一般炭の需要も販路が狭いかっこうでございますので、この問題が端的にあらわれてくるわけでございますが、一般炭の需要が原料炭のようにふところ深く拡大してまいりますれば、確かにローサルファの外国炭を輸入するのも一つの手だろうと思いますが、それと混炭いたしますことによりまして三池炭の需要というものは相当販路が拡大できるのではないか、このように考えておる次第でございます。いずれにしましても、たとえば長崎県におきます松島火力の建設とか……(細谷委員「そのくらいでいいです」と呼ぶ)そういうことをひとつ考えておる次第でございます。
  89. 細谷治嘉

    ○細谷委員 まあいろいろな面において解決できるものについては、たとえば脱硫という形で三井アルミ等は、一〇〇%じゃありませんけれども苦労した結果、自家発電についてのSOxは解決の方向をとっているわけですね。この場合には六割ぐらいが化学反応に使う石炭、そういう意味においては一般炭でない原料炭、こういうことになっておるわけですけれども、原料炭というのは何も製鉄ばかりじゃないのですから、量は少ないけれども。そういうことでありますので、解決できる問題はやはり公害問題も解決しつつ需要拡大への努力を通産省としてはすべきであって、その面の努力がやや不足しているんじゃないかというのが私の見方であります。これはもうこれ以上申し上げません。  揚げ足取りばかりで大変恐縮なんですけれども、たとえば産炭地振興ということに非常に熱心に取り組んでいただいておるわけですけれども、この八月に改定されました産炭地振興というのを見ますと、何のことはない。「計画改定の基本的考え方」というところを見ますと、「現計画と同じく石炭鉱業の合理化、衰退の結果疲弊した産炭地域が、新たな経済社会活動の場として再生」する、そのことだけが産炭地であって、現に石炭を生産しておるところ、これから生産しようというところのいわゆる環境問題なり生産体制というものをつくっていく、そういうことに、言葉は適切じゃありませんけれども、いわゆる後ろ向きの方には力を入れますけれども——力を入れているといったって、いつも私が指摘しておるように、大したことないですよ。不足たらたらですけれども、前向きの方のものについては通産省は忘れちゃっているんじゃないか、こう思うんですよ。それは証拠を挙げますと、この簡単なものを持ってくると、たとえば九州の産炭地といっても、筑豊は書いてありますけれども三池の方は書いてありませんよ。この「新日本列島」というのを見ましても、どうも前向きの方については完全に忘れちゃっているんじゃないか。忘れておらぬと言うでしょうけれども、どうもやっぱりやる以上は、後ろ向きと言われる、やめていった産炭地についてもやると同時に、新しくこれから石炭を掘っていくであろう、生産していくであろうそういう地域に対しても十分な対応をしていくことが必要ではないか、こう私は思うものですから、一言、通産省の姿勢をお尋ねしておきたいと思うのです。
  90. 宮本二郎

    宮本(二)政府委員 大牟田周辺について地域として出ていないという先生の仰せでございますが、産炭地の一つといたしまして筑後・有明地区という地域対象に入れておる次第でございます。産炭地域の振興計画をこの夏改定した次第でございますが、いろいろ専門委員会検討していただいたわけでございます。やはり長い高度成長の過程を経まして、決して地域を差別するわけではございませんが、産炭地域として炭鉱閉山の影響がほとんど治癒されております地域とそうでない地域とにかなり差が広がっておるというのが、そのときの問題点の一つ指摘でございました。  そういう関係で、たとえば北海道の石狩の六条地域、これは必ずしも閉山地域だけじゃございませんが六条地域、それから筑豊地帯の奥地の地域、こういうところが指摘されたわけでございます。そういう意味で、決して現在なお生産をやっているところを軽視したつもりはございませんが、やはり格差が広がっておる。依然として低迷して失業者、生活保護率の高い地域が残っておるわけです。そういう点を指摘されました関係で、そこがいささか強調されておるきらいが確かにあろうかと存じますが、無視しておるというつもりはさらさらございません。現にいろいろその中に取り上げられておりますプロジェクト、産炭地振興計画の表現は抽象的な表現になっておりますが、その裏にございます具体的なプロジェクトは、地元の県及び市関係といろいろ協議の上取り上げておる次第でございますので、決してそういうつもりはございません。
  91. 細谷治嘉

    ○細谷委員 石炭を生産しておる都市あるいは自治体で、六条六条と六条ばかり書いてあるのだけれども、六条の指定を受けておらないところがあるのでしょう、現に生産しているところで。
  92. 宮本二郎

    宮本(二)政府委員 私の承知いたします町といたしましては釧路市がございます。
  93. 細谷治嘉

    ○細谷委員 いま委員長席に座っているのだけれども、釧路は地元です。どうして釧路を指定しないのですか。前向きなら指定してやっていいでしょう。日本の有力な一般炭の生産地でしょう。何が原因ですか。
  94. 宮本二郎

    宮本(二)政府委員 これは鉱産税とか、その他いろいろ指定の際の条件に当時合わなかったというのが一つの理由になっておったかと思います。     〔岡田(利)委員長代理退席、委員長着席〕
  95. 細谷治嘉

    ○細谷委員 鉱産税とかなんとか、それは何ですか。鉱産税があったらやってやれぬということですか。産炭地はみんな鉱産税を取っておりますよ。その鉱産税も、去年よりもことしは扱いが悪くなっているのです。あなたは知らぬでしょうけれども。全体的な財政の措置については、昨年より五十二年度は後退しておるのです。詳しくは申し上げません。恐らく釧路は財政力指数がどうのこうのということでしょう。いまこの段階において、石炭はこれからの日本のエネルギーの一翼を担おうとしている。その生産地である、日本でたった一つ石炭を生産しておる釧路が指定されていない。この二十年ぐらい前の物差しを依然として当てはめているのはおかしいでしょう。これはこの席で私は取り上げたことがありますけれども、ついぞ物になっていないのです。そしてこれによりますと、釧路のところを見ますと、「引続き六条地域の疲弊の解消に留意しつつ、」ということです。これ以上は重箱のすみを針でつつくようなことになるからなんですけれども、もう一遍物差しを考え直したらどうですか。釧路一つが例外です。有力な石炭の生産地ですよ。お答えいただきたい。
  96. 宮本二郎

    宮本(二)政府委員 この点につきましては、この夏の北海道の国政調査のときにもたしかそういう御要望が出たような記憶がございます。産炭地振興問題は、この夏の計画も含めまして、先ほど御説明申し上げましたように疲弊の差が非常に大きくなっておる次第でございまして、むしろそういう疲弊の落差の大きいところに集中的に資金をもっとふやせという御要望が圧倒的に強いような状況になっておるのが現状でございます。各地元におかれましては、いろいろ地元のお立場もありますし、お気持ちもあるものですから、必ずしもそういう専門委員の先生方の御意見どおりに固めるというわけにはまいらぬわけで、非常に緩やかに、ある程度のならしをやって計画をまとめておるのでございますが、釧路市につきましては、とにかく道東最大の都会でございますし、確かに産炭地で炭鉱のある町ではございますけれども、財政力指数その他からいっても抜群の関係がございます。地元における御不満の立場はわかる次第でございますが、今日それを指定するというよりは、とにかく疲弊の落ち込んだところを何とかせざるを得ない、そちらの方に重点を置かざるを得ないような状況でございますので、ひとつその点は御寛容願いたい、こういうように私この夏の調査の際にお答えした次第でございます。先生の御意見よくわかるわけでございますが、現状はそういう厳しい状況下に置かれておる次第でございまして、ひとつ御理解賜りたい、このように思っております。
  97. 細谷治嘉

    ○細谷委員 そんなことを言うと議論は果てしなくなってしまう。申しわけないけれども、きょうはそれが主題じゃないから。それは指定地として日本の代表的な指定都市にはわずかの金の中から相当部分行っているでしょう。六条地域を全部合わせたぐらい金が行っているでしょう。釧路よりはるかに規模の大きい——まあそれ以上言いません。しかしおかしいですよ。もっと疲弊したところを重点的にやらなければいかぬけれども、これから生産をしていくところ、現に生産しておるところ、こういうところに対してもいろいろな手だてを講じてやることが石炭二千万トン以上を守っていく一つの道であろう、こういうことだけを申し上げておきたいと思うのです。  次に、話は違いますが、実はこれもことしの十月十四日の毎日新聞に出たわけでありますけれども、「九電八丁原、大岳発電所 ピンチ!地熱発電」。地熱発電というのは、サンシャイン計画の重要な一つの柱でありますし、エネルギーの中期、長期計画の中でも位置づけられておるわけでありますけれども、これを読みますと、地下から熱水が上がってくる。ところが、その熱水を地下に戻そうとして、戻らなくなってしまったというわけです。これによりますと、せっかく発電所をつくって、わが国五番目の地熱発電所として本年の六月下旬に営業運転を始めたが、出力は二万三千キロワットで国内の最大規模だというのですけれども、熱水をくみ上げたけれども熱水がもとへ戻らぬ、こういうことでピンチだ、いまは恐らくこの二万三千キロワットというのが四分の一ぐらいの形で動いている、こう言われております。事実ですか、どうですか。通産省、把握しておりますか。
  98. 早川正彦

    ○早川説明員 先生のおっしゃいました毎日新聞、私ども承知しております。実情を説明させていただきたいと思います。  当地域においては二つの地熱発電所がございます。一つは大岳発電所、これは出力が一万一千キロワットの発電所でございますが、四十二年八月に運転を開始いたしまして、一万一千を出すということでございますけれども、五十二年の現在でございますが、四千キロワットの運転になっております。それからもう一カ所、八丁原発電所、これは出力が五万キロワットの発電所でございまして、この五十二年四月から一部運転に入っておりまして、現在二万三千キロワットの出力で運転をしているということでございます。  大岳のケースは四十二年から十年余り経過をしておりまして、先生の御指摘がございました還元井の自然流下能力が下がってきた。そのために蒸気の採取量を下げて、そして出力を落としているということでございます。それから八丁原の発電所におきましては、現在一部運転でございますが、一点は、生産井が五百トン程度の蒸気を予定しておったわけでございますが、掘削後蒸気井の試運転をやりまして、その後蒸気の噴出をとめたわけでございます。そのために生産井と申しますか蒸気井の井戸に目詰まりが生じましたということが第一点でございます。それから還元井については大岳発電所と同様に還元井の目詰まりができまして、熱水を自然流下させる能力が下がってきたということでございまして、現状はただいまのような状況になっておる次第でございます。
  99. 細谷治嘉

    ○細谷委員 一万一千が四千しか出ない。あるいは新しい発電所については熱水がもとへ戻らぬ。もう一本井戸をふやそうとすれば莫大な金がかかる。しかも新聞によりますとここの所長はこう言っているのですね。「還元能力が急激に減ることは予想もしていなかった。参考となるデータもなく、解決の糸口すらつかめていない状態だ。全国の地質学者らが結集して、この問題を解決しない限り、地熱発電の前途は暗いとしかいいようがない。」所長が言っているのですよ。そこでこの問題、時間がありませんから深く立ち入りませんけれども、あなたの方で調べたその結果、そしてこれからの展望、こういうものをひとつ岡田委員長の手元に出していただきたいと思います。よろしいですか。
  100. 岡田春夫

    岡田委員長 課長、いいですか。資料として出していただけますか。質問の御希望はそういう意味ですね。よろしいですか。——よろしいそうですから、後刻取り寄せまして配付します。
  101. 細谷治嘉

    ○細谷委員 その次にお尋ねしたい点は、きょうのどの新聞にも出ておるわけでございますけれども、原発の相次ぐ故障によりまして五十二年度のわが国の原子力発電所の稼働率は過去最低になる公算が強まってきた。きょうの新聞によりますと、大体設備稼働率というのは三八%、時間稼働率で四二%、完全に五〇%を割ってしまっているのですね。原子力発電というのは大体七五%ぐらいの稼働率がなければ経済性がない、こう言われているわけですけれども、現実には五〇%を大きく割っておるということが報道されております。しかも現在全国にある原子力発電所のうち半分が動いてないわけですよ。こういうふうに報道されておりますが、事実ですか。
  102. 服部典徳

    ○服部政府委員 原子力発電所の稼働率の問題でございますが、いま御指摘にございましたように、五十二年度に入りましてから稼働率は非常に低うございまして、ことし、五十二年度の四月から九月までの実績で申しますと、時間稼働率は四二・八%、設備利用率は三八・九%という数字でございます。ちなみに五十一年度が時間稼働率が六〇・四%、設備利用率が五二・八%でございますので、五十一年度より五十二年度はかなり落ち込んだという現状にございます。  これは現在、定期検査をやっております発電所が幾つかあるわけでございますが、その定期検査中に故障と申しますかトラブルが発見されまして、たとえばひび割れが生じているとかそういった故障につきまして修理を行う、大体同じような型の発電所には同じような故障が出てきているということでございますので、その修理にかなりの時間を要するということで、現実には定期検査というのは通常は二月程度のものでございますけれども、ことしはそういうことで共通の故障が見出されたということでその修理に時間がかかっているということでございまして、御指摘ございましたように現在稼働中のものは七基でございまして、全部で十四基でございますので半分ということでございます。  なお、定期検査というのは、通常電力の場合には八月がピークと申しますか一番電力需要が大きいときでございますので、八月を避けて定期検査をやっているというのが普通でございますので、通常の年でも、現在時点でございますとかなりの発電所がやはり定期検査に入っているというのが実情だろうというふうに考えます。
  103. 細谷治嘉

    ○細谷委員 新聞の記事ですが、通産省は、「ことしの稼働率が特に低いのは、同タイプの沸騰水型原子炉でたまたま同じ原因による故障が重なって起きたため」と言っている。故障が再発しないように改良を進めているので来年度になると稼働率は再び回復する」こう書いてあります。いまのあなたの言葉ですと、去年は五十数%行った、これでも経済性ということから問題があるわけですね。詳しく質問をしませんけれども、来年になりますと故障が再発しないようになりますか。そして稼働率は間違いなく回復しますか。
  104. 服部典徳

    ○服部政府委員 先ほど御説明いたしましたように、沸騰水型の発電所について共通の欠陥と申しますか故障が見出されまして、それの修理に時間がかかっているということが実情でございます。その修理が大体一巡いたしますので、来年度におきましては稼働率がことしのような低い数字でなくて向上するというふうにわれわれは期待しているということでございます。
  105. 細谷治嘉

    ○細谷委員 期待しているということで、ここで断言できないのでしょう。今日の原子力発電の状況はそういうことでしょう。わが国よりも独自の技術を開発しておると言われております西ドイツの情報によりますと、これは毎日新聞のきのうの記事ですね。エネルギー三原則を提示して、西ドイツにおいても、原発に問題があるのでやはり石炭と並行開発、原子力開発をやめるということじゃありませんけれども石炭にウエートを置いてこの原子力と石炭を並行開発するという記事が載っております。お読みになりましたか。
  106. 服部典徳

    ○服部政府委員 記事は私も読んでおります。いま御指摘のように、わが国におきましても石炭火力は積極的に開発すべきであるということで、電気事業審議会の長期目標におきましても、六十年度には九百八十万キロワットの開発を行うという目標を掲げております。われわれとしては、石炭火力も積極的に前向きに開発に努めていくという気持ちにおいては西ドイツと変わらないというふうに考えます。ただ、原子力発電所につきましては、先ほど来申し上げておりますように、五十二年度においてはいわば特殊な事情におきまして稼働率が低いということでございまして、現在並行して進めております改良標準化と申しますか、現在の炉の型を改良いたしまして、さらにそれを標準化して、現在、八十万キロワットと百十万キロワット二種類について標準化をしよう、いわば日本型の原子炉をつくろうということで鋭意検討中でございまして、改良標準化ができますと、さらに稼働率は向上するということは十分言えるというふうに考えております。
  107. 細谷治嘉

    ○細谷委員 まあきょうは原子力発電の問題について詳しく議論する時間がございませんから……。そういう状態の原子力発電、経済性すらも今日の段階では問われておる原子力発電について、何がゆえにこのめどもなしに——めどもなしにというと失礼ですけれども、挙げて原子力に全力を注いでおるのか、私は不思議でしようがないのです。  その一例としてちょっと質問をしてみたいと思うのですけれども、四十九年に、問題の電源立地というものが問題になりまして、電源開発促進税という税を取ることになりました。現在は一キロワット時当たり八十五円取ることになりました。そうしてこの税というのが完全に消費者に転嫁されておるわけですね。電力会社が納めておりますけれども、電気料金のコストの中には一〇〇%この八十五円というのは織り込まれておるわけですね。そうして年間三百億円を超える促進税を取って、そしてこれに対して、会計を明確にするために、電源開発促進対策特別会計法というものをつくって、そうしてこの特別会計から、発電用施設周辺地域整備法という法律に基づいて、発電所の設けられた自治体あるいはその周辺の自治体、それからそれが所在する府県、こういうものに金を配ることになっておる、いわゆる電源三法ということでありますが、私がちょっと不思議に思うことは、この法律に基づいて四十九年の十月ですか、稼働しておるわけです。稼働をしておるわけでありますが、この法律は変わっておりませんけれども、政令が物すごく一人歩きしておるのですね。政令が物すごく一人歩きしております。たとえば電源開発促進対策特別会計法、この法に基づいて、政令の第一条で、一、二、三、四と四号だけで——これはすべて交付金です。その自治体に対する財源援助という形で、交付金であります。ところが、一年過ぎましたところで政令が物すごく変わっておるわけです。一年過ぎた後には、この施行令の第一条に一、二、三、四まであったのが、七までいっているわけですよ。言ってみますと、法律のねらいというものがこの政令で大きく崩れていっておるわけですね。その結果どういう事態が起こっているかと言いますと、例を申し上げますと、昭和四十九年には、年度の途中でありますから、税としては百一億円、そしていわゆる立地の自治体に対する交付金というのは八十二億円いっておるわけです。ところが五十年度からどういうことが起こったかと言いますと、税は三百五億円入る予定になっておりまして、立地促進対策交付金というのは最初法律で予想しておったものについては二百二十九億円。ところが委託金、補助金というのが驚くなかれ五十年には四十四億円出ておるわけですね。五十二年度はどうかと言いますと、百十二億円出ているわけですよ。そして委託金がどこに出ているかと言いますと、民間に出ておるのですよ。言ってみますと、促進税のうち相当部分、五十二年度の三百三十二億円のうち百十二億円という、三〇%程度のものが民間の委託金に出ているわけですよ。そしてまた、ことしの七月に第三回目の政令改正をしているわけですよ。そして民間の委託金がますますふえるようにしているわけです。私はこの電源三法については反対の立場をとりました。反対の立場をとりましたけれども、法はできたわけですから、その後の推移を追跡していきますと、とにかく、法律が願っておることよりも民間の委託、その民間の委託は、挙げてみますと、こんなものは原子力の開発の一般会計で負担してもよさそうなもの、こういうものが日本分析センターへの分析委託金とか、いろいろ出ておりますよ。それが三〇%になるわけですね。こういうやり方は問題がありますね。法律はつくった。つくれば後は勝手だという形で政令を——詳しく申し上げる時間はありませんけれども、政令をひねくって、そして国民の目の届かぬところで、言葉は適切ではありませんけれども、国会の目の届かぬところで適当に民間に委託という形で莫大な金を投げ渡している。やることは結構ですよ。しかし、一々洗ってみますと、これは間違いなく一般会計で負担する性質のものが多いですよ。電源開発促進税というのは目的税ですから。まとめて質問しましたが、これはどうなんですか。
  108. 服部典徳

    ○服部政府委員 御指摘の電源三法の使途でございますが、電源開発促進対策特別会計法によりまして、その使途が二つ定められております。一つは、いわゆる電源立地促進対策交付金でございまして、発電用施設の周辺地域の公共用施設の整備のための交付金でございます。もう一つは、「発電用施設の設置の円滑化に資するための財政上の措置で政令で定めるもの」、この二種類が決まっているわけでございます。  御指摘は、その二番目の政令で定めるものが範囲が広過ぎるではないか、一般会計と区別がつかないではないかという御指摘でございますが、私どもとしては、電源開発促進対策特別会計法に掲げてあります「施設の設置の円滑化に資するため」という観点から、地元対策に資します安全性の実証試験等の対策に限定いたしましてこの電源三法の対象にしている。したがいまして、一般的、基礎的な試験研究というようなものはもちろん一般会計の方で行うべきであるということで、そこの点は明確に区分しているわけでございます。  ただ、御指摘がございましたように、立地対策交付金とその政令で定めるものとのウエートがだんだん政令で定める方に偏っているではないか、こういうことでございますが、これにつきましては、確かに、御指摘のように、一つは、電源立地がなかなか思うように進まない、計画どおりに進まないという点から、交付金の交付がそれほど予定できなかったという事情もあるわけでございますが、私どもとしては、立地促進をさらに一層進めると同時に、立地交付金につきまして、運用改善と申しますか、一キロワット当たり、たとえば原子力でございますと三百円ということに対しまして、今年度はそれに上乗せいたしまして、たとえば四十五円上乗せするというようなことで、できるだけ交付金を手厚くするという方向で五十二年度も対処したわけでございますし、五十三年度要求につきましても、さらに立地交付金がもっと手厚く地元に交付できるようにということで、その単価を約五割増しということで単価アップを行う。したがいまして、予算要求では約百億ぐらいの金額を地元の交付金の方に増額として要求をしているということでございます。
  109. 細谷治嘉

    ○細谷委員 いまのお答えだけでは納得できないのですよ。問題点がありますよ。恐らくいま予定している中では、法律改正を伴うというものも起こってくるんじゃないかと私は思うのですけれども、きょうはもう時間がありませんから、ほかの方に迷惑をかけますから、後で折を見てこの委員会でもう一度この問題を取り上げるということだけを申し上げて、いまの話ではとても納得できませんが、きょうは終わっておきます。
  110. 岡田春夫

    岡田委員長 細谷治嘉君の質疑は終わりました。  次は、野村光雄君。
  111. 野村光雄

    ○野村委員 私の方から、まず第一に、非常に北海道道民にとりまして大きな関心事になっております石油の備蓄基地問題に関しまして御質問いたしたいと思います。  去る十日の北海道新聞の一面トップに、「石油備蓄に廃鉱利用」、こういうことで、北炭夕張鉱がその候補地になっている、そういうことで財界、通産省が検討を始めている、こういう見出しの新聞が出ておりまして、非常に関係住民が不安と関心を深めているわけです。  さらに翌々日の新聞には、「苫東に石油備蓄基地」、こういうことで、五十五年完成をめどに検討を開始した。こういうことで、いずれにいたしましても、北海道にいま大きな課題になっております石油備蓄基地というものが検討されているようでございまして、特に、本石炭対策特別委員会といたしまして、北炭夕張鉱の廃鉱を石油の地下備蓄基地として検討している、こういうようなことが報道されておりますので、その点に対し、道民が非常に関心と不安を持っているということで、この北炭夕張における地下備蓄というものに対して、通産省としてはいまどのような検討をしているのか、その真相をまず最初にお聞きいたしたいと思います。
  112. 清滝昌三郎

    ○清滝説明員 ただいまお尋ねのございました炭鉱に石油を備蓄するという考え方につきましては、私どもも新聞記事を拝見いたしましたけれども、事夕張炭鉱に石油を備蓄するという趣旨の話は、私ども承知しておりません。  なお、現在の私どもの備蓄計画は、すべて陸上タンクに石油を備蓄するということで、五十四年度末に九十日の石油備蓄を行う計画を進めておるところでございますので、ただいま先生の御指摘になりました問題につきましては、通産省といたしましては一切承知しないところでございます。
  113. 野村光雄

    ○野村委員 こういう重要な課題を一石油精製課長の段階では——全くまたあなた方に検討の指示も何も出ていない。こういうような重要な課題は、一挙に課長クラスとか係長クラスに入る問題でなくて、最大の政治課題でございますから……。  そういうことで、私はこの際委員長に申し上げておきますけれども、この問題に対しまして、通産大臣は出られないというから、私としては少なくとも石油部長を答弁に出していただきたいと要請いたしておきました。しかし、いま別の委員会を担当して出られない。では別の委員会に石油部長に対する質問通告が出ているのか。出ていない。そういう中で、課長段階でこのような重要な問題を——課長か知らないのはあたりまえだと私は思う。政治問題ですから、これは。われわれ北海道にとってみれば、苫小牧の東部にこれができるのか、石油備蓄基地というものが北炭夕張にできるのか、この問題は——新聞紙上からいきますと、この北炭夕張の廃鉱坑内におきまして、備蓄量五十万トンから百万トンを見込んでいる。苫小牧から約六十キロ、この区域をパイプラインで運ぶのだ、こういうことまで書かれております。地方紙としては一流新聞です。一面トップです。これはやっぱり信頼に値するわけです。  そういう中で、全く検討もしたことがないのか。検討はしたけれども、あなたの言うように中止したのか。今後とも全く検討はしないというのか。この点に対してはどうなんですか。あなたで答弁できるのですか。
  114. 岡田春夫

    岡田委員長 野村委員に申し上げます。  石油部長には早速連絡をとっておりまして、すぐ連絡があると思いますから、もう少々お待ちください。  それでは、いまの点、答弁を求めます。精製課長清滝君。
  115. 清滝昌三郎

    ○清滝説明員 石油備蓄の方法等につきましては、技術的な面からいろんな検討を進めておりまして、そのうちの一つといたしまして、昨年度、いわゆるメタル、石炭を含めまして鉱山廃鉱が果たして利用し得るかどうかという点の検討はいたしたわけでございます。しかし、その結論といたしまして、わが国の炭鉱につきましては残念ながらそれを利用し得る可能性はないという結論が出ておるわけでございます。  なお、ちなみに、夕張は、先生いま御指摘のように海岸から六十キロも陸地に入っておるというふうなことでございますが、そういった地理的な状況等を勘案いたしますと、少なくとも、そういう経済面からも不可能と言わざるを得ない、こういうふうに一応技術的には、また経済的にはそういう判断ができようかと思います。
  116. 野村光雄

    ○野村委員 それでは、あなたの段階でわかる範囲内しか答弁できないのでしょうし、これは先ほど言ったように相当大きな政治課題の問題でありますから、課長段階でどうこうということは、もうこれ以上、私としてももう少し突っ込みたいわけですけれども、石油部長がお見えになるなら後回しにしますし……
  117. 岡田春夫

    岡田委員長 もう来るようですから、後回しにしてください。
  118. 野村光雄

    ○野村委員 その場合、私は時間が制限されていますから……
  119. 岡田春夫

    岡田委員長 それは適宜考えます。やってください。
  120. 野村光雄

    ○野村委員 それではお預けにいたしまして、質問を第二点に移らさせていただきます。  先ほど同僚岡田委員の方からも質問が出ておりました、これまた昨日の新聞紙上で見ますというと、御存じのとおり北炭会社が九月中の決算発表において、上場維持を断念せざるを得ない、こういう内容の記事が出ておりました。特に北海道にとりまして、北炭会社というものにかかわる労働者というのは非常に多いわけでございまして、しかも最近の二千万トン達成に対する北炭の占める位置、責任、非常に重要な立場にありますし、またそれだけに国といたしましても、今日まで数度にわたりまして北炭会社の健全化というものに対しましては大幅な資金の調達等もやってまいってきております現況でありますけれども、この上場維持断念という表明がございましたけれども、これに対する具体的な内容、さらに石炭部長として、まさしく新聞紙上どおり断念せざるを得ない内容として認識していらっしゃるのか、また、これにかかわる今後の対策についてどのようにお考えになっていらっしゃるのか、対策も含めてお伺いいたしたいと思います。
  121. 宮本二郎

    宮本(二)政府委員 北炭の上場廃止問題につきまして御質問があった次第でございますが、北炭の現状につきましては、先ほど岡田先生にちょっとお答え申し上げましたように、前国会法律改正を御審議願いまして、幌内炭鉱復旧を実行しておりまして、この十月から一千トンの生産体制に入っております。幌内炭鉱は比較的順調に推移いたしておる次第でございますけれども、北炭の再建計画の基本になっております夕張新鉱の日産五千トン体制というのがおくれておるような状況でございます。そういった関係で、再建計画を見直したい。その再建計画に基づいて、実は政府並びに金融機関、前回措置をとってまいっておるわけでございますが、その基本がそういうかっこうでございまして、見直したいということで現在会社側において検討中の段階でございます。  私どもにおきましては、一応会社のまだ試案の段階のいろんな項目について聴取いたした次第でございますけれども事態はそういう状況でございますので、具体的な中身につきましては、現段階においてはコメントを実は控えさせていただきたい、このように考えておる次第でございます。  北炭の上場廃止問題につきましては、これは五十年の三月でございますか、証券の上場廃止基準を東京証券取引所で改正施行したのにかかわる問題でございまして、改正されました後の基準の一つとして、「最近五年間無配継続、かつ最近三年間の各事業年度末において債務超過であるもの。」こういう基準になっておるわけでございます。北炭の現状考えますると、来年三月末日までにこの条件を回避するということはほとんど不可能に近いような状況ではないかと考えざるを得ない次第でございます。したがいまして、今回の上場廃止断念ということはやむを得ざる事態ではないか、このように当方としては判断いたしておる次第でございます。
  122. 野村光雄

    ○野村委員 これからという問題でございますから、私としても、新聞紙上に掲載されております内容範囲内でございますと行き過ぎはないと思いますので、その範囲内で若干お尋ねをいたしたいわけです。  新聞紙上によりますと、上場維持断念の最大の理由としては、御存じのとおり幌内鉱の復旧費夕張新第二鉱の閉山、こういうことで特別損失九十四億円が加わって、最終損失が百十一億三千八百万、しかもこれは前年同期の六十七億五百万円の損失に対して一・七倍に拡大したのだ、こういうことで、今期三月末で約百六十三億に達するというようになってきた、こういうような新聞内容でございます。こういう内容については、部長としては、今回このようなことが新聞掲載になって初めてわかってきたのか、もっと早くこの段階が予測できていたのか、予測は全くしてなかったのか、この点についてさらに突っ込んでお尋ねをいたしたいと思います。  それともう一つは、今後の対策ということに対して、先ほどの答弁の中ではちょっと物足りないので、もう少し具体的に対策を聞きたいと思います。
  123. 宮本二郎

    宮本(二)政府委員 私、今年の六月末に着任した次第でございますから、その際に、北炭の問題についての引き継ぎをずっといたしました。その段階におきまして、こういう事態になりそうなことは十分推測されておった状況でございます。  それから対策の点でございますが、対策につきましては、ひとえに従来石炭鉱業審議会、本年の初頭でございますが、石炭鉱業審議会経営部会、ここにおきまして検討されました北炭の再建計画の基本にございます夕張新鉱の生産計画の見直し、これがやはり中心になって見直されるということでございまして、この見直しを含めまして五つ、六つぐらいポイントがあるんではなかろうかと思っております。ただ、私どもといたしましては、会社が自身だけの希望を出されましても、検討対象にもなり得ないわけでございまして、現在いろいろ金融機関あるいは労働組合と協議しておる段階ではないかと存じます。そういう段階でございますので、そういういろいろの関係者と自主的な経営努力を中心にいたしまして、労使一致協力したものが出てくる、その上でないと私どもといたしましては行動も何もできない次第でございます。現段階においては、先生、物足らないと仰せでございますけれども、とにもかくにもそういうような中途半端な時期でございますので、ひとつそういうことでお許しいただきたいと存じます。
  124. 野村光雄

    ○野村委員 次に、産炭地の振興対策問題でお聞きをいたしたいわけですけれども、前々から言われておりますとおり、産炭地が、閉山に次ぐ閉山ということで、過疎化に次ぐ過疎化を余儀なくされてまいりました。そういう中で、特に国といたしましても産炭地の地域振興整備公団、こういうものによりまして、できるだけ企業の誘致でありますとか、団地造成等を行いまして、いち早く産炭地の振興というものを進めたい、非常に熱意ある対策を今日までとってこられたことに対しましては、率直に敬意を表するものであります。  そういう中で、ぜひここでお尋ねいたしたいことは、産炭地の振興整備公団といたしまして、全国的に今日までやってまいりました団地の総面積は一体どれぐらいなのかということと、その整備公団の扱った総面積に対して、果たして造成面積というのはどの程度やったのか、さらに造成いたしました面積の中で譲渡したのはどれぐらいなのか、同時に未造成面積ないし未譲渡面積はどれぐらいあるのかということと、特に北海道におきますところの産炭地域の振興公団におきます譲渡事業、造成事業というものに対しましては、全国の比率から見ますと非常におくれているんじゃないか、こういうことで、全国レベルと、特に北海道地域の整備公団におきますところの事業の推進状況というものをここで明らかにしていただきたいと思います。
  125. 宮本二郎

    宮本(二)政府委員 地域振興公団の工場団地の造成及び譲渡状況につきましての御質問でございますが、昭和五十一年度末現在で完成いたしました団地は、全国では団地数で百二、面積は二千十五ヘクタールでございます。これに対応いたします北海道におきます団地数は十六、面積は四百七十八ヘクタールでございます。  現在さらに造成中の団地でございますが、全国では、団地数が二十、面積は千五百五十五ヘクタール、これに対応いたします北海道は、団地数が三、面積は二百四十七ヘクタールでございます。  造成団地の企業の譲渡状況につきましては、同じ時点におきまして、全国では五百六十七件、面積は千五百十八ヘクタール、譲渡率七五・三%、こういうことになっておりますのに対しまして、北海道では五十八件、面積は二百三十九ヘクタール、譲渡率は五〇%、こういうことになっておる次第でございます。
  126. 岡田春夫

    岡田委員長 野村君、石油部長が参りましたので、差しつかえなければ前の問題に戻っていただきたいと思います。よろしいですか。
  127. 野村光雄

    ○野村委員 それでは、石油部長がお見えになりましたので、いまお着きになりました早々端的の質問ではちょっと御答弁しにくいかと思いますので、私が先ほど来お尋ねをいたしたいということで、担当課長からいままで御答弁いただいておった内容を概略申しますと、去る十日に、石油備蓄基地というものに北炭夕張鉱が候補地として上がっている、こういうことで、北海道新聞の一面トップにこういうように出たわけでございます。そういうことで北炭夕張鉱の廃鉱の地下を通して約五十万トンから百万トンの見込みで坑内に備蓄をするんだ、しかも、具体的に苫小牧から六十キロの間をパイプラインで輸送するんだと、こういうような具体的な内容で出ております。さらに翌々日になりまして、苫小牧東部に五十五年完成をめどにして道開発庁として大規模な石油備蓄基地を設置するんだ。相次いで石油備蓄問題が提起されまして、北海道道民にとりましていま大きな不安と関心事になっているわけです。  そういうことで改めて聞きますけれども、北炭夕張鉱を石油備蓄基地としての検討とか考えとか、こういうものは全くなかったのか、また検討したけれども中止したというのか。先ほどの課長の話では、やはりこれは大きな政治判断を要する問題でありますので、あえて石油部長の御答弁を煩わしたい、こういうことでおいでいただいたわけでございますが、この点をひとつ明確にしていただきたいと思います。
  128. 古田徳昌

    ○古田政府委員 端的に申しまして、北炭の夕張炭鉱の廃鉱利用の件につきましては、私どもは全く承知しておりません。  私どもとしましては、もともと五十四年度までに九十日備蓄の達成ということで、今後三年間の間に二千万キロリットル以上の備蓄タンクの建設が心要になるということでいろいろな施策を講じているわけでございます。その施策のもとで、各企業がそれぞれ立地の選定に努力しているわけでございますが、先生御存じのとおり、この立地の選定といいましても、地元住民方々の御了解も十分得る心要があるというふうなことで、環境対策なり安全対策の観点からしまして十分な準備が必要ということで、なかなかむずかしい問題があるわけでございますが、それとの関係で実は新しい備蓄方式についての検討も私どもとしまして行っているわけでございます。  この新しい備蓄方式といいますのは地下備蓄の方式あるいは海上備蓄の方式でございます。この地下備蓄の方式につきましては、たとえばアメリカや西ドイツでは岩塩鉱を利用するということで現実に利用されております。それからスウェーデンでは花崗岩のかたい岩盤の中にトンネルを掘りまして備蓄するというような方式が進められておりますが、世界的に見ましても炭鉱の跡を利用するということは技術的にも非常にむずかしいということで行われておりません。私どもとしましても、地下備蓄につきましての検討は行っておりますが、炭鉱の廃鉱利用というようなことにつきましては技術的にも地質的にも恐らく不可能ではないかというふうに考えておりまして、検討対象にもしておりません。したがいまして、御指摘の具体的な地点についての構想といったものも全く承知していないわけでございます。
  129. 野村光雄

    ○野村委員 そうしますと、先ほど石油精製課長の第二回目の御答弁によりますと、一時この北炭夕張鉱の石油備蓄基地というものは検討はしたけれども、適当でないので中止した、こういうことは誤りでございますか。
  130. 清滝昌三郎

    ○清滝説明員 先ほど私の答弁で申しました検討と申しますのは、メタルとか炭鉱とかといったものを果たして利用し得るかどうかということを検討したということでございまして、北炭の夕張炭鉱について具体的に検討したということを申したわけではございません。  それから、あえて申しますと、従来の検討も地質的な問題及び特に海岸に近いところが可能性としての検討対象になったわけでございまして、夕張のように海岸線から六十キロもあるようなところではおよそ検討対象となり得ないということもつけ加えさしていただきます。
  131. 野村光雄

    ○野村委員 石油部長にこの際、関連してどうしてもお聞きしておきたいわけですけれども、北炭夕張鉱の廃鉱跡の石油備蓄というものに対しては、今後ともそれでは全く考えないということを断言なさるとおっしゃるのか、この点がまず第一点。  もう一つは、では苫小牧東部の備蓄というものに対しては検討している、こう言うのでございましょうか。この新聞紙上に報道されていることはどちらも全く根拠がないとおっしゃるのか。片方は根拠がある、すなわち片方というのは苫東の方は検討中だ、こういうのか、この点をひとつ明確にしていただきたい。
  132. 古田徳昌

    ○古田政府委員 北炭の夕張炭鉱の廃鉱利用につきましては、現時点では全く考えておりませんし、恐らく今後とも検討対象にはなりにくいのじゃないかと私考えております。  それから苫東の件につきましては、この地域の利用に関しましていろいろな構想が出ているわけでございますけれども、その一環としましてタンクの建設ということも検討されております。私どもとしましても関係省庁とその可能性についての相談もしているわけでございますけれども、まだ具体的な構想とかあるいはプランというような形にまでは至っておりません。
  133. 野村光雄

    ○野村委員 そうすると、一応苫東の方に関しては検討段階には入っている、しかしその規模でありますとか時期でありますとか、こういう問題に対しては今後の検討課題としていま鋭意検討中である、こういうふうに受けとめておいてよろしいでしょうか。
  134. 古田徳昌

    ○古田政府委員 そのとおりでございます。
  135. 野村光雄

    ○野村委員 それでは、地域振興整備公団の事業問題に対しまして、先ほど石炭部長の御答弁によりますと、振興公団の事業推進状況からいきますと、公団が造成いたしましてすでに各企業に対して譲渡いたしております面積が全国的には七五%であるけれども、北海道はまだ五十%である。全国比率から見ますと北海道の地域振興がいかにおくれているかということが明らかになったわけでございますけれども、いま全国的な二千万トン体制の中で、現在の全国的出炭レベルから言いましても、御存じのとおり北海道は半分以上、その責任を果たしております。そういう中で日本の将来にとって北海道の石炭の占める責任は非常に重いと思うのです。そういう中にもかかわりませず、北海道が遅々として全国レベルよりもおくれている。こういうことに対して石炭部長は、まず最初に基本的な課題として北海道の石炭産業の占める役割り、位置づけをどういうふうに認識し、今後の本道石炭産業の育成に対してどのような手を打とうとしていらっしゃるのか、この点をお伺いいたしたいと思います。
  136. 宮本二郎

    宮本(二)政府委員 石炭産業に占めます北海道の地位につきましては、すでに先生御高承のとおり、九州地区につきましては筑豊地帯はほとんど閉山いたしまして、主として三池につきましては離島部にしか残っていない次第でございます。したがいまして、今後の国内炭の開発の可能性、それからさらに石炭の二千万トンをできるだけ長期的に生産を維持しようという観点から、先般国会で御審議願いました法律によりまして鉱区の調整を拡大いたしておりますが、その点につきましても北海道が中心であろう。こういう点におきまして北海道の石炭産業に占めます地位というのはますます高くなっていくように考えておる次第でございます。そういう意味におきまして、石炭産業におきます北海道の地位というものは従来にも増して比重が上がり、重要性が増す、このように考えておる次第でございます。  先ほどの企業の誘致の点、すなわち地域振興整備公団の譲渡率の割合が北海道は確かに低いわけでございますが、これは特に北海道がこの譲渡率が急激に五〇%に落ちたわけではございませんで、元来、団地に取りかかります時期がその他の地域に比べまして非常におくれておった点がございます。その点は、閉山したものがほかの九州地方の方が早かったという点も関係あろうかと思いますが、団地に取りかかりましたタイミング、時点自体がおくれておりまして、そういった点で譲渡率もかなり低かったわけでございますが、この五〇%程度まで来ましたところで横ばいになっておる。こういう点、確かにほかの地区に比べて若干残念に思っておる次第でございます。産炭地振興計画のこの夏改定いたしました線も、こういう問題を踏まえて実は改定の主題になったということでございます。
  137. 野村光雄

    ○野村委員 時間が迫ってまいりましたので、幾つか重ねながら質問していきたいと思います。  ただいま御答弁で明らかになりましたとおり、北海道における未譲渡面積というものがいまだに五〇%残っておる、こういうことに対して、いつごろのめどで、どういう方法で全国レベルまでにこれをしようとしているのか、もう少し具体的な対応策、時期、方法、こういうことについて御答弁をいただきたいと思います。  さらに、もう一点ここでお尋ねいたしておきますけれども、いまこの産炭地振興事業の中で、産炭地域市町村が抱えております一番大きな課題として、いままで先輩も何回かここで取り上げていらっしゃるのをお聞きいたしておりますけれども閉山後の環境整備でございます。この公団が扱う事業の中に閉山後の廃屋の撤去、また閉山跡地の整備事業、こういうものも振興整備公団の事業としてきちっと取り入れながらやっていくべきではないか、こういうふうに私ども考えるのでありますけれども、この廃屋の撤去というものが遅々として進まない。そういうことによりまして、非常に地域の環境というものが乱れていく、不衛生である、こういうことがいま関係市町村の大きな悩みの種になっております。そういうことで、この廃屋の撤去、閉山跡地の整備事業、こういうものに対しての今後の対応策もあわせてこの際お聞きいたしたいと思います。  次に、炭鉱閉山跡地を何とかして公有地として払い下げをしてほしい、特に、産炭地域北海道関係の市町村は市有地、市町村の公有地というものが全くないと言っても過言でない。ほとんど社有地になっております。閉山で、せっかく市町村として公用的に活用したい場所、面積、こういうものがありますけれども、いかにせん社有地のために、しかもこれが担保物件に入っているということで、容易に市町村の活用したい土地が活用できない、こういう悩みと実情にございまして、これら市町村に対する大幅な財政援助を通して、この全く現在使われていない閉山跡地の公有地としての対応策を早急に立てるべきではないか、こういうふうに考えるわけでありますけれども、この点につきまして御質問をいたします。
  138. 宮本二郎

    宮本(二)政府委員 最初に先生質問されました企業誘致対策の問題でございますが、現在、地域振興整備公団は産炭地に進出いたします企業に対し設備資金、運転資金の長期低利融資、それから造成団地を長期低利で割賦譲渡、こういうことをいたすほか、現地視察団の派遣とか説明会の開催とか、いろいろPRをやって誘致をしておる次第でございます。  こういうようなことで企業の誘致に努力いたしておるのでございますが、残念ではございますが、地域によりまして、先ほど先生から御指摘ございました譲渡率につきまして地域差が出てきておる次第でございます。北海道、確かに何とかもう少し譲渡率を上げたいと実は考えておる次第でございまして、この夏産炭地振興計画改定の際に、俗に産炭地の振興格差、こういうわけでございますが、おくれておる地域をもう少し何か引っ張り上げるような措置検討したらどうか、こういうような話が出ております。私どもといたしましても、そのような観点から、特に疲弊が著しい産炭地域の六条地域を中心にいたしまして、この地域振興整備公団の助成措置を強化いたしたい、こういう観点から、この施策の拡充につき現在、検討を進めている状況でございます。来年度予算の折衝の過程におきまして、何とかして努力してみたい、このように考えておる次第でございます。長期的には、経済情勢の推移によって、北海道だけが特にほかの地域に比べて落ち込んだということではございませんで、譲渡率は差がございますが、全般的に、景気情勢に伴いまして、並行的に変動しておるような状況でございますので、何か一段、これを少しレベルアップしたい、そのための施策を検討している次第でございます。  それから第二番目の、地域振興整備公団に閉山跡地の整備事業ということと、それから同じく跡地の問題について、地方公共団体の公共用地としての取得措置についての御質問がございましたが、地域振興整備公団の業務としてこれを実施させるということはなかなか問題が多い次第でございます。先生もちょっと御指摘ございましたように、閉山跡地の問題につきましてはかなり抵当権などが設定されておりましたり、所有権の移転登記などいろいろなされておりまして、一方的に整備公団——この点は、市町村か公共用地にする場合も同様でございますけれども、なかなか簡単にいかないような状況でございます。  今後の処理といたしましては、幾つか例があるわけでございますが、地方自治体当局におかれまして、何かこれを公共用地として、公共事業の対象として利用するような方向でひとつお考え願えないだろうか。全部が全部そうはいかぬ点はあろうかと存じますが、そういうぐあいに当方としては考えておるわけでございます。そういうことになりますれば、公共事業としてのいろいろの補助金の交付とか起債の許可等が当然伴ってあるわけでございますが、その際には、現在の石特会計から産炭地振興事業として補助率のかさ上げ、それから臨時交付金の交付等で財政援助についてかなりの措置が上積みできるような状況になっておるわけでございます。そういう方向でひとつ御検討願えないだろうか。先ほどの抵当権の問題あるいは所有権の移転の問題等あるわけでございますが、そういう点につきましては、地方公共団体を私どもとしては支援していくよう努力していきたい、このように考えておる次第でございます。
  139. 野村光雄

    ○野村委員 時間でございますが、いまの御答弁をお聞きいたしておりまして、地域振興整備公団としてこの事業をやることは無理だ、こういうことでございます。しかし、先ほど来私が申し上げておりますとおり、石炭部長もこれは重々御存じと思いますけれども、特に北海道産炭地域におきますところの閉山後の廃屋というものがいまだに惨たんたる状態で残っておる現況でございます。さらに、この閉山後の跡地の整備事業も遅々として進んでいない。こういう実態に対しては十分御理解になっていらっしゃるのだろうと思いますが、いずれにいたしましても、国として今日まで全く対応策はしていないというのではないけれども、いまだに遅々として進まない実態に対して、振興公団でなければ何らかの、もっと急速な対応策で整備をする、こういう考えはあるのかないのか。いまのままでやむを得ない、こうおっしゃるのか。この点を最後にお尋ねをいたしたいと思います。
  140. 宮本二郎

    宮本(二)政府委員 跡地の問題につきましては、私ども認識を持っておる次第でございます。ただ、問題解決の方途がなかなかむずかしい次第でございます。決してこれを現状のままでいいとは考えておりません。実情をもう一度調査いたしました上で、私ども検討課題としてまいりたいと思っております。
  141. 野村光雄

    ○野村委員 そうすると、本当の実情というものを再度調査しなければ具体的な実態がわからないので対策がおくれているのだ、先ほどの答弁からいきますと、石炭部長、こういうことになりますね。そういうことであるならば、むしろ早急に実態の再調査をしていただいて、閉山跡地の廃屋の問題とか、また閉山跡地の整備事業というものを、各市町村の実情を早急に調査の上ひとつ改善していただきたい、こういうことを強く要望いたしまして、私の質問を終わります。
  142. 岡田春夫

    岡田委員長 次回は、来る二十四日午前九時三十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時三十三分散会