○工藤(晃)
委員(共) 私は、
日本共産党・革新共同を代表しまして、ただいま議題となっておりますところの日韓大陸棚協定関連
国内法案に対する反対討論を行うものであります。
初めに、この
委員会はこの
法案を慎重
審議するということであったはずなのに、私及び安田
委員の
質疑に関しましても、多くの問題が残されたわけであります。たとえば、日石
開発、テキサコ、シェブロンの間の共同事業
開発契約につきましては、私か入手した資料をここに提出し、こういう資料こそ
委員会に提出して初めてこの協定や関連
国内法に対する評価が決まるはずであるのに、これらが出されないまま
審議されるのはきわめて遺憾であると強く
要求したものでありますし、また、安田
委員の
質疑に関しましては、あの協定の十九条関連で、探査やあるいは採掘の際のオペレーターが韓国側であったときの適用される法令の範囲というのは
一体どこまでなのか、この問題につきましては、鳩山外相と法制局当局との間で明らかに食い違いもあった、こういう重要な問題も残されているわけであります。
多くの反対理由がありますが、簡単に申し上げます。
第一に、この協定並びに
法案は、日韓癒着の
中心となって動いた日韓ロビイストや日韓協力
委員会のメンバーの動きによってわが国の外交の筋を大きくゆがめた、これもまた
一つの産物にほかならないということであります。
八十
国会の当
委員会におきまして、私の
質問に対しまして、当時日韓協力
委員会事務総長でありました
田中通産大臣の
答弁は、その事実を肯定的に答えました。また、毎日新聞その他で矢次一夫氏の証言などがこの事実をいよいよ明らかにしているわけであります。まさにこの日韓癒着の産物であるという点こそ、いよいよ究明されなければならない点でありますが、その点につきましては、これまでの当
委員会の
質疑におきましてもいよいよ明らかになったわけであります。
第二に、協定及びこの
国内法案の
内容でありますが、一口で言いまして、メジャーの既得権を五十年の長きにわたって守るためにわが国の主権を放棄するものである、こういう点であります。
もともとこの大陸棚問題の仕掛け人は、メジャー及びアメリカ資本でありまして、テキサコ、シェブロンやシェルのごときは、
日本側、韓国側両方から有望だと思われるところに鉱区を設定し、そしてこの紛争の仕掛け人となったわけであります。
日本側の会社日石
開発あるいは西
日本石油開発、これらは、私がこの
委員会におきまして示しました共同事業契約がはっきり示すように、まさにこれらのメジャーが
日本の鉱業法をくぐり抜けて
日本に設立したところの、完全にコントロールされる会社にほかならないわけであります。日石
開発は、その鉱業権の処分さえテキサコ、シェブロンの言うままになる、こういう
実態すら明らかになったわけであります。
したがいまして、この
共同開発なるものが行われ、
日本側もこのようにメジャー側に完全にコントロールされる会社であり、向こう側もメジャー側の
企業であるとするならば、ここで
日本側の発言権が四分の一残されるどころか、十分の一も残されてないという
実態が明らかにされたわけであります。
さらに、七三年九月、
共同開発の取り決めが日韓両国
政府において行われてから、両国のワーキングレベルミーティングが何度も行われましたが、そのいきさつか明らかになったところは、たとえば重複鉱区ごとの方式をとったことや、税金やロイアルティーを高い方にならすのでなしに、そういう均等化を排除したことや、あるいは坑井掘削義務の軽減を行ったこと、これなどはまさにメジャーの
要求がそのままここに盛り込まれたわけであります。そしてこの
法案によりますと、鉱区税などはこれまでも
日本の鉱区税がきわめて安いにもかかわらず、六分の一にも減らされるということになったわけであります。まさにメジャーの言いなりになってしまったという具体的な
内容が、ここにあらわれたわけであります。
こうして、この
法案によりますと、
国内法によって特定鉱業権の設定許可を受けることになっているのに、この
法案の附則で、これまでのメジャー系二社を含めて三社か必ず既得権を守れるような仕掛けになっているわけでありますし、両国交換公文でも九つの小区域の両国の鉱業権者が既定のものとされている、こういうことにもなっているわけであります。坑井掘削義務についても、
国内法で
通産大臣告示で定めることになっているのに、すでに詳しい
内容が交換公文で取り決められてしまっているわけであります。まさに
国内法はもぬけのからとなっているわけであります。そして、すでにつばをつけた巨大な
石油資本、それによってその少数者の利益が思うままに超法規的にこの中に実現されようとしているわけであります。
第三に、オペレーターが韓国側となるならば、わが国側の大陸棚であるにもかかわらず、当事者間の話し合いでは全域一〇〇%韓国側の法令が適用される
事態も考えられるわけであります。しかも、この適用される韓国側の法令という中には、韓国
政府とメジャー系の私的な資本との契約も法令と扱われる、こういうことも入っており、しかもこの何であるかも示されないわけであります。
また、第十九条で、探査、採掘に関連する事項について一方の締約国の法令が適用されるということになっております。安田
委員の
質問か明らかにしたように、プラットホームなどでわが国の国民が、労働者か働くときに、そこに韓国の法令が適用される。しかも、適用される法令の範囲については、この時点でまだ
政府は不一致なのであります。外相の方はいわゆる探査、採掘に関連するそれ以外は属人主義であろうという想像で物を言われ、法制局当局は、オペレーターが韓国側となった以上、労働関連法以外もすべて韓国の法令になり、領土と同じようになると全面適用の回答をしたわけであります。そうなれば、反共法や国家保安法、大統領緊急
措置九号などで、まさに思想信条のいかんで、ちょっと友だちに誘われたことだけで逮捕され、罪に問われ、そして重い刑罰を科せられる、こういう
基本的人権にかかわる弾圧法にわが国の国民がさらされる、こういう
事態が生ずるわけであります。
このことは何を意味するのか。まさにこういうことになっていることこそ、この協定そのものが欠陥協定であるということと、第二に、
政府がわが国国民に対して、憲法に定められた
基本的人権を守ろうという
決意の薄いこと、二百海里
経済水域以内あるいは中間線以内の大陸棚で働くそういう国民が
政府によって保護されない、憲法が適用されない、ここにこそ協定、
国内法の特徴も見られると言わざるを得ないのであります。
時間がありませんので、もっと多くの事実を挙げ、もっと多くの側面について触れなければなりませんが、省かなければなりません。
しかし、この協定は世界に例を見ないものであります。世界に例を見ない仕方で国家の主権を放棄するものであります。それは二重の意味であります。
一つは韓国
政府に対して、もう
一つはメジャーなどアメリカの
石油資本に対してであります。これほど国民の利益を裏切るものはないと言わざるを得ません。いまわが国はエネルギー危機の中にあって、いまこそ、これまでの対米従属的な、しかも無計画な総合性のないエネルギー
政策はやめて、本当に自主的
立場でわが国
国内及び大陸棚の資源の
開発を強力に行わなければならないときに、この協定と
国内法はまさにこの国民の利益を代表する方向を大きく裏切るものなのであります。逆行するものなのであります。多くの問題が究明されなければならないのに採決をするということは、まことに遺憾であります。
わが党は、最後に、この大陸棚協定を破棄すること、この
国内法の撤回を
要求し、私の反対討論を終わるものであります。(拍手)