○安田
委員 そこで、一般的に「探査又は採掘に
関連する事項」の範囲を決めがたいというのでしたら、一つ一つ伺っていきますけれ
ども、
先ほど労働法については適用になるのではないかというお話でしたね。労働法にも、御存じのように、労働条件それ自体を決めた保護立法と団結権を保障した
法律と、大きく分ければ二つに分けられると思うのですが、
韓国の労働基準法、これは勤労基準法というらしいですが、これは
日韓を見ると大分違うですね。たとえば
韓国の勤労基準法を見ますと、これは五条ですが、
日本で言えば労働基準法の三条に当たるのですが、思想、信条によって差別してはならないという例の有名な条文です。当然、
日本の場合には
日本国憲法を受けて書いているのですが、その中にはっきり、信条によって差別してはならない、こうなっています。これは当然
日本国民が享受する憲法上の
基本的人権の労働法上の表現だというふうに
考えていいと思うんですね。ところが、
韓国では、同じ均等待遇に当たる条文は勤労基準法五条にあるわけですが、信条というのじゃなくて、信仰によって差別してはならないというふうになっておるようであります。
こういうふうに勤労基準法と労働基準法でも、
基本的人権のところで大分違う。あるいは、
日本の労働基準法で言えば三十二条、
日本は変則四十八時間制ですが、とにかく一週四十八時間。ところが、全くそっくりなような条文、
韓国の勤労基準法によりますと四十二条、これを見ますと、特約で「一週間に六十時間まで労働することができる。」こういうことにもなっております。
このように労働条件に対する保護立法ですね、労働保護法といいますか、これでも大分違うわけでして、しかもそれは、単に国情といいますか、技術的な違いだけではなくて、それぞれ憲法に基づいてこれは受けていると思うんですね。
韓国のいわゆる維新憲法を見ますと、
基本的人権に関するような定めが若干見えますけれ
ども、
相当の
部分が
法律の留保がついておる。ちょうど
日本の戦前の帝国憲法と同じに、
法律に定めるによらざれば制限できないというような
法律の留保づきの人権なんですね。ただ、維新憲法でも違うところは信仰なんで、信仰のところだけは、何人も信仰によって差別されないみたいな、信仰の自由を保障されると書いてあるんですね。
法律の留保がない。そこで
韓国では、キリスト教のミサ会とか祈祷会などで——実際は言論を弾圧されているんだけれ
ども、あそこは、信仰の自由ということは
法律の留保がないということで、キリスト教会で大分いろいろなミサが行われたりして、その中で政治的演説がされているというようにも聞きますけれ
ども、このようにはなはだしく法体系が違う。単に技術的に違うだけではなくて、
基本的人権の範囲といいますか、
考え方が根本的に違うわけであります。
たとえば労働組合法を見てみますと、
韓国の労働組合の定義、三条の四号ですけれ
ども、「労働者ではない者の加入を許す場合」には、これは労働組合とは認めない。
日本にはそういう該当条文はございません。「労働者が主体となって」としか書いてない。それから三条の五号を見ますと、既存労組の正常運営の阻害を目的とする場合には、労働組合とは認めない。そこで
韓国では、いわば端的に言ってしまうと、御用組合が一つできれば、絶対そのほかの組合を結成することは許されない、組合とは認められない、それが非常に悪用されているわけであります。ところが、
日本にはそういうものに該当する規定はない。
韓国の労働組合法の七条の二項を見ますと、「この
法律に基づく労働組合でなければ、労働組合という名称を使用することができない。」そして四十八条で、使用した者は、三万ウオン以下の罰金である。
日本は、従業員組合と言おうが何と言おうが構わぬし、いわゆる労働
委員会に救済される資格がないような組合でも、労働組合と使っても構わない。罰金はもちろんないわけだ。
それから、大変重要なことですが、
韓国の労働組合法の十二条を見ますと、「政治活動の禁止」というところがございます。それを見ますと、こう書いてあるんですね。「労働組合は、公職選挙において、特定の政党を支持し、または特定の人物を当選させるための行為をしてはならない。」「労働組合は、組合員から政治資金を徴収してはならない。」「労働組合の基金は、政治資金に流用してはならない。」こういうふうに書いてありまして、これに違反したら、同法の三十二条で解散命令が出せる。
日本の労働組合の中では、実際問題として、こういうことを適用されると大分解散させられる労働組合が多いのじゃないかと思うんですね。このように違う。
また、労働組合をつくるについて、
韓国の労働組合法によると設立申告というものがなされます。
日本は、労働
委員会に救済の申し立てをするときだけ資格があるかどうかを認定すればいいのであって、設立は自由なんだ。それからあと、行政官庁が労働組合の規約の取り消し、変更命令を出せるのが
韓国の労働組合法の十六条です。それから二十一条では、決議を取り消すこともできるし、変更命令をすることもできる。これは行政官庁ができるわけです。三十条を見ますと、労働組合に対して行政官庁による検査、会計とか業務の検査をすることができる。これに対して四十七条で、こういうものを妨げたり虚偽の報告をしたりすると三カ月以下の懲役あるいは一万ウオン以下の罰金という刑罰に処せられる。三十二条には、
先ほど申し上げました解散命令がある、こういう状態です。労働組合法でも極端に違うわけであります。
そこで、
伺いたいんですが、
先ほど労働
関係はオペレーター側の
法律に従うだろう、こういうようなことをおっしゃいました。リグもしくはプラットホームの上に宿泊設備もあり、
日本人だけかもしらぬし
韓国人もまざるかもしれないし、外国人が入るかもしれませんが、少なくとも宿泊設備六十人あるいは百人もあるリグもある。通常、井戸が稼働するようになると保守の二、三人でいいとは言いますけれ
ども、
先ほど明らかになったように、ペンキの塗装とか、百人くらいの人間が一週間くらいそこにとどまる、こういうことになってきますから、当然こうした掘削設備の上に労働者が住む、そして雇用契約を結ぶ。この
協定などを見ますと、雇用に関する件はオペレーター側がやることになっていますね。もし
韓国籍のオペレーターになってそこへ
日本人が働く場合に、労働組合法がこういうふうに違うわけですよ。もしそこで、そういうリグなりプラットホームの上で、
日本人が
日本の国内と同じようなつもりで労働組合なんという名前をつけると、三カ月以下の懲役ですか、なってみたり、いろいろなことになってくるわけですね。こういう調整は一体どういうふうになるのか、外交交渉の過程で一体こういうことについて詰められたのかどうか、
韓国との間の認識が食い違いがないのかどうか、この点をまず労働法に関してだけ
伺います。労働組合法について、労働基準法もまぜて、その信条、信仰のこともまぜて……。