○工藤(晃)
委員(共) ここは国会で、この法案を審議しているときに、この法案の評価にかかわるような資料は一切出すべきだと思います。もし出さないと言うならば、これは私の方の手元に入っておりますので、私の方からこの問題について質問したいと思いますが、その前に、これは写しでありますから、これがそのものであるかどうかの御確認はいまこの場ではむずかしいかもしれませんが、ぜひそちらの方で調べて、この私の質問中に御回答願いたいわけであります。これはこの法案の評価にかかわる重要な資料なんですよ。
日本石油開発というのが一体どういう会社なのかという、それによってこの法案に対する評価を全く変えなければいけないような、そういうものなんです。ここにありますから
委員部の方、どうぞ届けていただきたいのです。お断りしておきますが、これは全文の完全なコピーではありません。私の本日の質問にかかわるところでありますが、かなり大きな部分がこれは出されているわけであります。
それで、
日本石油開発というのが一体どういう会社か、これは今度予定では
開発権者になっていくようなんでありますが、この
契約書によりますと、
日本石油開発とテキサコ、シェブロンとの両方の役割りの違いということになりますが、
日本石油開発というのは対
政府係ということになるわけですね。このコンセッションに対する定義もあるのですが、これは
鉱業権や利権や
許可とか賃借権、特許、特権、
契約その他の
権利、そういうコンセッションを取得したり、効力を維持したり、更新したり延長したり、処分のときあらゆる適切な処置をとるというのは
日石開発の方の独自な役割りなんです。それは先ほど当
委員会においても言われたが、
鉱業法のたてまえから言うと
外国人は直接とれないということからこうなっている。
では、テキサコ、シェブロンの方はどうか。これは独自の仕事と独自の費用でやるというところで言えば、言ってみればその
技術力を生かして探査を行う、物探と掘削を行う、そして商業的発見が行われるまで事業を行う、そして今度は
共同開発事業と、こう移っていくわけであります。こういう二つの役割りの分業の問題。
それから、
二つ目の点の特徴として、テキサコ、シェブロンに対してきわめて有利な条件がある。私もいろいろ調べました。メジャーが
共同開発事業
契約を結ぶとき、メジャー側が大抵最初の物探、物理探鉱をするのですね。それから三本ぐらい井戸を掘る。これはカバーして、それから後はフィフティー・フィフティーでいくという例が多いわけであります。この
日石開発とテキサコ、シェプロンの場合には、たとえば参加割合は、
日石開発五〇%、テキサコ二五%、シェブロン二五%ということでありますが、テキサコ、シェブロンは一千万ドルの支出を限界にする、最初の物探とか掘削が一千万ドルを限界とする、あるいはまた二千三百マイルの物探を行った以後はいつでも脱退できる、そして、成功した暁には初期の支出も取り戻せる、そういう内容になっているわけであります。
三つ目の大きな特徴としましては、
日石開発に対して、テキサコ、シェブロンというのは完全な支配がここには及ぶわけであります。表向きは
日本の法人である。そしてまたフィフティー・フィフティーということになってあるけれども、これが実質的支配を及ぼすようになっている。オペレーターは
日石開発がやるということになっておりますが、あらゆる
共同事業作業は運営
委員会が承認する方針、計画、予算に基づかなければならない。これは第三条のところで決まっているわけであります。
そのほか大変詳しい義務を負うことになっております。この義務は、
作業上のことから予算の使用上のことからいろいろに及ぶものでありますが、それは一応省くことにしておきます。
しかも、もう
一つ重要なことは、この運営
委員会というのは、
日石開発が二人、テキサコ、シェブロンそれぞれが一で、それでこれは完全な全員の同意によってのみ行われるということになっているわけであります。全員一致制をとっているわけであります。そういうことから言えば、当然
技術力や資本力を持っているメジャーの方が強いということは明らかでありますが、ただ、そういうことでなしに、もっと具体的に、最後の付属書4という中に
技術調整グループというものをつくる。これは全くテキサコ、シェブロンの方からエキスパートが集まって、同数ずつ集まってつくるものでありますが、これが「
日石開発との間の
作業調整機関としての任に当るものとする。」ということになっております。しかも、どういう調整かというと、たとえば予算、
作業計画はオペレーターにかわって作成するということになっているんです。それからオペレーターにかわり
技術作業の
実施要領及び手続を決定する、そうして
作業地域における
技術作業を監督する、オペレーターにかわり
生産及び引き取りに関する予測を行い、
技術的研究を立案する、こういうことになっているんです。オペレーターは
日石開発であっても、その上に運営
委員会があって、それだけでなしに、
技術調整グループが一番主要な
作業はみんなかわってやるということがこの中で取り決められているわけであります。
しかも、さっき最初に言いましたように、
日石開発がもっぱら対
政府係で、それこそ書類をとったり
許可をとったりという係でしかないことは、
日石開発が、オペレーターでなくなった場合でも、当事者の指示に従って、そしてコンセッションの維持だとか更新だとか処分だとか、そのためあらゆる処置をとらなければならない、こういうことも書いているわけであります。そして、そのことに対して
日石開発は、これに同意するということがあります。
このほか、情報公開は一〇〇%の株を持っている範囲内でやらなければいかぬというふうに限っているという問題だとか、あるいはまた、さっき言いましたように、テキサコ、シェブロンの方は二千三百マイルの物探をやった後は本
契約から脱退できるということになっておりますが、
日石開発の方は、「
権利の保全」というところで、
日石開発の方がこの
鉱区をもう放棄したい、売却したいとかいうことになっても、それがテキサコ、シェブロンの
利益に合わないときはそれをやってはならないということまで書いてあるのであります。
こういうふうに見てみると、
日石開発という会社はなるほど
日本の資本かもしれないし、それで
共同開発事業
契約を結んでいるのかもしれないが、しかし、もう実質的には全くテキサコ、シェブロンの子会社といいますか、その監督下にがんじがらめになっている会社なのであります。
そして、こういうことになってくると、
鉱業権の問題もずいぶん問題になってくるんですね。
日本の会社あるいは
日本の個人でしか
鉱業権は得られないというけれども、実質的に、ただこういう
生産物の五〇%が向こうの手に渡るというのではなしに、もう事実上
日石開発はもっぱらその書面づくりだけであって、それはメジャーの方がやれないからであって、しかもその処分や何かをいつやるかということまであちらが支配しているということになれば、これは
鉱業権の問題にさえなるのであります。そういう重大な内容を含んでいるものでありますので、私は、まずもう一度、これはいまこの場で本物に等しいということを確認してほしいし、もしできないというなら、どこかへ行ってその資料と直接比較して後の質問で確認していただきたい。このことをまず要求するものであります。