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工藤(晃)
委員(共) 昨夜ニューヨーク市場及びロンドン市場で円が一ドル二百五十円台を割って、本日の東京市場も二百五十円を割るということになりました。そのきっかけは、言うまでもなく、昨夜アメリカの国際収支が発表されたということでありますが、そのことは、きょうの質問はおとといからの質問の継続にもなりますが、私の主張の、正しさをはっきり示したのではないかというふうに思っております。
つまり、円高の原因や背景、その中でアメリカの国際収支問題というのが非常に大きいのだ、そうしてそのアメリカの国際収支の大幅な赤字、先ほど企画
庁長官もそう言われましたが、それはやはりアメリカ自身がいわば選択している構造的な変化とか戦略、対外
政策、それにもかかわりが非常に大きいということになります。
〔中島(源)
委員長代理退席、
委員長着席〕
たとえば、きょうの
日本経済新聞や毎日新聞を見ましても、ことしのアメリカの
石油の輸入は四百五十億ドルになるであろう、これはいまアメリカが進めている
備蓄政策の一つの具体的なあらわれであります。先回も私申しましたが、昨年が大体三百二十億ドルくらいだと思いますから、百億ドル以上も
石油の輸入をふやしていて、これが貿易収支の悪化をつくり出しているわけであります。同時に、私は先回表をこの
委員会においてお配りしましたが、それでアメリカの国際収支がなぜ悪化するかという
理由として、アメリカの
企業というものが、アメリカの産業がアメリカの本国で製品をつくって輸出するというタイプから、世界じゅうに子
会社をつくって、多国籍
企業として発展して、そうして世界市場における地位はきわめて高いけれども、それは
海外での
会社の売上高の増大だとか、
海外での子
会社からの輸出の増大という形であらわれて、むしろ
国内から輸出するものは農作物だとか、飛行機だとか、兵器だとか、そういうものだけがふえる、こういう構造になっている。こういう問題も示したわけでありますし、また、アメリカが力の
政策の継続を行っているという形で、いろいろな対外
政策にかかわる
海外での軍事支出も含めて、それが経常収支の赤字の大きな要因になっている、こういうことを
指摘したわけであります。これに加えて、アメリカは非常に対外投
融資をふやしていることがいわゆるドルのたれ流しとなり、これがドル不安の大きな種をつくり出している、これも
指摘できるところであります。
しかし、私が
指摘しなければならないのは、どうも
政府はこの円周問題についてはっきりした認識を持っていないのではないか。この円高問題の認識、原因とか背景についての認識をもっとはっきり持つ必要がある。というのは、もうすでにニクソン・ショック以来、戦後のIMF
体制という旧来の仕組みが崩れて、変動相場制になってしまった。そこで起きている問題なのであります。旧来の
体制のもとならば、アメリカのドルは金との交換価値を一定に保とうとする、それで周りの通貨が、ドルとの
関係を為替レートを一定に保とうとする、この双方の利益が相まって、一見金為替相場制に近い形をとってきて、ある安定があったわけですが、そこが崩れてしまってから、すべてが全く相対的、変動的になってしまった。そして、その中でアメリカ側がさっき言ったような
政策上いろいろ大きな赤字を出すということが、たとえば
日本の円が強く表現される。もちろん
日本の側にも大きな問題があります。これは後で触れますけれども、
日本が輸出の黒字を出すといういろいろ問題がありますが、ともかくアメリカ側が
政策的に大きな赤字を出すということが実際円高というものを著しくしてしまっている。たとえば先ほど言いました
石油の
備蓄政策で、ことしは四百数十億ドルという輸入をするという
政策を選ばないとすれば、アメリカの貿易収支というのは、こんな赤字を出さないはずである。あるいは黒字になるかもしれない。そういうときは、円高問題というのはもっと別の形で、何もこういうふうにどんどん切り上がるということにはならないはずではないか。
だとすると、アメリカがこういう
政策をわざわざとっているときに、そうしてまた、円高がはなはだしくなって
国内の中小
企業や勤労者が大変迷惑をこうむっているときに、なぜアメリカ
政府に対して、この国会の中においてあるいは
政府として一定の見解を持ち、また、必要に応じてそれを言うということをやらないのか。この前、企画
庁長官がこれを非常にためらわれるようなことを言われたので、この点についてまず見解を
伺いたいと思うわけであります。