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1977-10-25 第82回国会 衆議院 商工委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    国会召集日昭和五十二年九月二十九日)(木 曜日)(午前零時現在)における本委員は、次の とおりである。    委員長 野呂 恭一君    理事 中島源太郎君 理事 橋口  隆君    理事 武藤 嘉文君 理事 山崎  拓君    理事 上坂  昇君 理事 佐野  進君    理事 松本 忠助君 理事 玉置 一徳君       安倍晋太郎君    青木 正久君       鹿野 道彦君    粕谷  茂君       藏内 修治君    佐々木義武君       島村 宜伸君    辻  英雄君       中西 啓介君    楢橋  進君       西銘 順治君    萩原 幸雄君       林  義郎君    前田治一郎君       渡辺 秀央君    板川 正吾君       岡田 哲児君    加藤 清二君       後藤  茂君    清水  勇君       武部  文君    中村 重光君       渡辺 三郎君    長田 武士君       玉城 栄一君    西中  清君       宮田 早苗君    工藤  晃君       安田 純治君    大成 正雄君      橋本登美三郎君 ――――――――――――――――――――― 昭和五十二年十月二十五日(火曜日)     午前十時三十八分開議  出席委員    委員長 野呂 恭一君    理事 中島源太郎君 理事 武藤 嘉文君    理事 山崎  拓君 理事 上坂  昇君    理事 佐野  進君 理事 松本 忠助君       鹿野 道彦君    粕谷  茂君       島村 宜伸君    辻  英雄君       中西 啓介君    楢橋  進君       西銘 順治君    萩原 幸雄君       林  義郎君    渡辺 秀央君       板川 正吾君    岡田 哲児君       加藤 清二君    後藤  茂君       清水  勇君    中村 重光君       渡辺 三郎君    長田 武士君       玉城 栄一君    西中  清君       宮田 早苗君    工藤  晃君       安田 純治君    大成 正雄君  出席政府委員         公正取引委員会         委員長     橋口  收君         通商産業政務次         官       松永  光君         通商産業大臣官         房長      宮本 四郎君         通商産業大臣官         房審議官    島田 春樹君         通商産業大臣官         房審議官    山口 和男君         中小企業庁次長 児玉 清隆君  委員外出席者         通商産業省基礎         産業局総務課長 堺   司君         参  考  人         (日本軽工業製         品輸出組合副理         事長)     角田 両作君         参  考  人         (軽金属製錬会         会長)     中山 一郎君         参  考  人         (平電炉普通鋼         協議会会長)  安田安次郎君         参  考  人         (日本製紙連合         会副会長)   栖原  亮君         参  考  人         (日本化学工業         協会会長)   鈴木 治雄君         参  考  人         (日本紡績協会         専務理事)   西岡  宏君         参  考  人         (愛知陶磁器         工業組合理事         長)      山田 武雄君         商工委員会調査         室長      藤沼 六郎君     ――――――――――――― 委員の異動 十月五日  辞任         補欠選任   青木 正久君     田中 六助君 同月十一日  辞任         補欠選任   藏内 修治君     稻葉  修君   安田 純治君     松本 善明君 同月十二日  辞任         補欠選任   松本 善明君     安田 純治君 同月十五日  辞任         補欠選任   玉城 栄一君     浅井 美幸君 同日  辞任         補欠選任   浅井 美幸君     玉城 栄一君 同月十八日  辞任         補欠選任   稻葉  修君     藏内 修治君     ――――――――――――― 九月二十九日  日本国と大韓民国との間の両国に隣接する大陸  棚(だな)の南部の共同開発に関する協定の実  施に伴う石油及び可燃性天然ガス資源開発に  関する特別措置法案内閣提出、第八十回国会  閣法第三〇号)  下請代金支払遅延等防止法の一部を改正する法  律案松本忠助君外三名提出、第八十回国会衆  法第九号)  小規模事業者生業安定資金融通特別措置法案(  松本忠助君外三名提出、第八十回国会衆法第一  〇号)  伝統的工芸品産業の振興に関する法律の一部を  改正する法律案松本忠助君外三名提出、第八  十回国会衆法第四二号) 十月二十四日  鉄線二次産業危機打開に関する請願(大成正  雄君紹介)(第四七一号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 十月十三日  中小企業不況対策強化に関する陳情書外九件  (第六  七号)  陶管製造業不況対策確立に関する陳情書  (第六八号)  大規模小売店舗の進出に伴う中小小売商業対策  に関する陳情書外一件  (第六九号)  農事用電力料金適正化等に関する陳情書  (第七〇号)  エネルギー政策確立等に関する陳情書外一件  (第七一号)  不燃物再生利用のための企業責任確立に関す  る陳情書(第七二  号) は本委員会参考送付された。     ―――――――――――――本日の会議に付した案件  国政調査承認要求に関する件  小委員会設置に関する件  参考人出頭要求に関する件  通商産業基本施策に関する件  経済計画及び総合調整に関する件  私的独占禁止及び公正取引に関する件      ――――◇―――――
  2. 野呂恭一

    野呂委員長 これより会議を開きます。  国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。  通商産業基本施策に関する事項  中小企業に関する事項  資源エネルギーに関する事項  特許及び工業技術に関する事項  経済計画及び総合調整に関する事項  私的独占禁止及び公正取引に関する事項  鉱業と一般公益との調整等に関する事項 の各事項につきまして、本会期調査をいたしたいと存じます。  つきましては、衆議院規則第九十四条により、議長に対し、国政調査承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 野呂恭一

    野呂委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、議長提出する国政調査承認要求書の作成及び手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 野呂恭一

    野呂委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————
  5. 野呂恭一

    野呂委員長 次に、小委員会設置の件についてお諮りいたします。  鉱物及びエネルギー資源に関する諸問題を調査するため小委員二十名よりなるエネルギー・鉱物資源問題小委員会及び  流通問題に関する諸問題を調査するため小委員二十名よりなる流通問題小委員会を、それぞれ設置することにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 野呂恭一

    野呂委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  両小委員会の小委員及び小委員長選任につきましては、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 野呂恭一

    野呂委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  両小委員会の小委員及び小委員長は、委員長において追って指名し、公報をもってお知らせいたします。  なお、小委員及び小委員長辞任補欠選任に関しては、あらかじめ委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 野呂恭一

    野呂委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————
  9. 野呂恭一

    野呂委員長 この際、新たに就任されました公正取引委員会委員長橋口收君を御紹介申し上げます。
  10. 橋口收

    橋口政府委員 公正取引委員会委員長を拝命いたしました橋口でございます。  閉会中の発令でございましたが、今国会におきまして正式に御承認いただきましてありがとうございました。  大変にむずかしい時期、また大切な時期における就任でございますので、その職責の重さを痛感をいたしておるわけでございます。浅学未熟な者でございますが、職務の精励にはせっかく努力をいたしたいと考えておりますので、何とぞ御教導のほどよろしくお願い申し上げます。(拍手)      ————◇—————
  11. 野呂恭一

    野呂委員長 通商産業基本施策に関する件、経済計画及び総合調整に関する件並びに私的独占禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  不況対策問題等調査のため、本日、参考人として、日本軽工業製品輸出組合理事長角田両作君、軽金属製錬会会長中山一郎君、平電炉普通鋼協議会会長安田安次郎君、日本製紙連合会会長栖原亮君、日本化学工業協会会長鈴木治雄君、日本紡績協会専務理事西岡宏君、愛知陶磁器工業組合理事長山田武雄君の御出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  12. 野呂恭一

    野呂委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  午前中の参考人として、角田参考人中山参考人安田参考人、以上三名の方々に御出席を願っております。  なお、そのほかの方々には午後から御出席を願うことになっておりますので、さよう御了承願います。      ————◇—————
  13. 野呂恭一

    野呂委員長 この際、参考人各位に一再ごあいさつ申し上げます。  参考人各位には、御多忙中のところ本委員会に御出席をいただき、まことにありがとうございます。  ただいま本委員会におきましては、特に不況対策問題等について調査を行っておりますが、参考人各位におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただき、今後の調査参考にいたしたいと存じます。  なお、議事の順序でございますが、最初に御意見をそれぞれ十分程度取りまとめてお述べいただき、次に委員質疑に対してお答えいただきたいと存じます。  なお、念のため申し上げますが、発言の際は委員長の許可を得ることになっております。また、参考人委員に対し質疑をすることはできないことになっておりますので、あらかじめ御承知おき願います。  それでは、まず、角田参考人にお願いいたします。
  14. 角田両作

    角田参考人 私は、日本軽工業製品輸出組合の副理事長、亀田両作でございます。  雑貨軽工業品を代表いたしまして、まず現在の円高レートから申し上げたいと存じます。  御承知のとおり、一月二百九十円、二月二百八十四円、三月二百八十円、四、五月二百七十五円、平均しますと大体二百八十二円でございます。七月初めは、雑貨関係レートはただいま申し上げた二百八十円が平均でございました。このレートにおきまして契約の積み出しは順調であった。中旬に入りまして急にこれが円高の二百六十五円となり、既契約の積み出し期に入って一ドル二百五十六円で換算いたしますと、各業界にアンケートを出しましたところ、一社平均千五百二十三万の差損となっております。これを私どもはがまんして契約を履行しつつ現在に至っております。今回の差損、また七月の差損ともに、すべての差損は商社の負担となっております。あるいはメーカーに負担させておるというような話も聞いておりますが、私ども軽工業製品、いわゆる零細企業に対しては、この差損を負担させることはとうていできない実情にあります。  その後、一時二百六十五円で小康を保ち、業者も若干円高を想定して成約に努力を尽くしてまいったところ、今回一ドル二百五十円台の急激なる円高に見舞われ、業者としてはほとんど契約がまとまらぬような状態であります。二百五十円台で私ども商品はどうしたらよいかというのが現状でございます。  さらに最近、発展途上国台湾香港あるいは韓国の追い上げが激しく、私ども商品はこういう途上国との競争はもう不可能な状態になっております。このままでは必ずや三〇%ないし四〇%の落ち込みはあると想像しております。これに伴い、取り扱い業者経営も非常に苦しくなるおそれがあります。もうどうしたらよいか全く見通しがつかないというのが現在の私ども業界の声でございます。  八月より政府並びに各団体にお願いいたしまして、今回、政府御当局におかれましては、円高対策として中小企業為替変動対策緊急融資が決まりました。これはまことにありがたいのでございますが、十月一日より実施の予定がいまだに実行されておりません。それに、これは金利が七・六%、余り恩恵とは私ども考えておりません。せめて準商手並みの五・五ぐらいに抑えてもらわなかったならば、せっかくの緊急融資も利用する人も少ないんじゃないかという声も聞いております。  業界要望といたしましては、二百五十円台では採算がとれず、特に先ほど申し上げたとおり発展途上国との競合もあって、このままでは多くの業者がきわめて甚大なる影響を受けることはもう必至でございます。したがって、この際、安定したレート設定、希望と申しますと最低二百六十五円から二百七十円が適正であり、これが私どものぎりぎりの採算ベースでございます。  もう一つは、この際、為替変動保険及び為替変動準備金制度設定貿易政策根本的改善による輸入の促進、できるならば、いろいろ事情がございましょうが、この際、日銀におかれましては積極的にドル買い介入に踏み切ってもらいたいと思います。  結論として申しますことは、現在の花形商品集中豪雨的輸出によっていつも犠牲を受けるのは私ども軽工業製品業界だけであります。政府行政指導によって、秩序ある輸出に改めることができないでしょうか。私どもはこれに常に疑問を持っております。あるいは輸入を拡大するとともに、これは私の案でございますが、今日の苦しみを全企業が負うということです。少なくとも六カ月あるいは九カ月全輸出の五%ないし一〇%を自粛したならば、恐らく三十億、四十億ドル黒字減らしになるのじゃないかと思います。そうすることによって海外の感情も改善され、レートも安定することは私どもにとってはむしろ一〇%以上のプラスになるのじゃないかという考えを持っております。この際、ひとつ各先生方におかれましても、どうか積極的政策をとっていただくことを全業界を代表いたしまして望んでおる次第でございます。  また、これはごく参考でございますが、石油ショック前までは、私ども中小企業商品を買いに世界各国から数百人のバイヤーが来ておりました。当時は、東京に少なくとも三週間、四週間は滞在して商品を買い付けておりました。ところが、最近は、東京にはせいぜい一日か一日半でございます。残りはほとんど韓国あるいは台湾香港に三週間ないし一カ月滞在して買い付けをやっております。いかに日本商品が高いかということです。それから、魅力が減って、後進国商品魅力があるということが十分おわかりだろうと思います。  また、業界におきましては、大体ドルベース約五八%、現在は円為替が四二%程度の割合でもって商談を続けております。こういうようなわけで、とても現在の二百五十二円台ではどうにもこうにもならぬというのが現状でございますので、この際、政府におかれましても、本当に新聞やテレビで申すがごとく、ただ積極的にやります。やりますでなく、現実にやっていただきたいというのが私ども業界何千軒の中小企業経営者要望でございますので、どうかひとつよろしく御検討をお願いしたいと存じます。  これで終わりにいたします。
  15. 野呂恭一

    野呂委員長 次に、中山参考人にお願いいたします。
  16. 中山一郎

    中山参考人 ただいま御紹介にあずかりました軽金属製錬会会長中山でございます。  アルミニウム産業現状問題点をかいつまんで申し上げます。  わが国アルミニウム産業は、石油危機によるエネルギー価格高騰直接的原因とする生産費の急上昇によりまして、戦後、営々努力、涵養してまいりました国際競争力を短時間のうちに喪失しました。加えて、内外市況の停とんと最近の円高傾向によりまして、競争力を強化した輸入品との競争上、国内価格水準の下落、操業率の低下を余儀なくされ、文字どおり存立危機に立ち至っております。  石油危機以降の不況下におきまして、本産業は、自主減産備蓄実施とか販売価格の引き上げ、いろいろの努力をいたしましたが、最近の外的環境の悪化で、企業努力をもってしてはいかんともしがたい段階に入っております。  たとえば、五十一年度末において、アルミニウム精錬業は、ほぼ資本金に匹敵する五百億円の累積損失を計上しました。借入残高も約六千億円の規模に達しております。また、われわれのお得意さんであります圧延業におきましても、大手五社だけで三百億円に上る累積赤字と、二千億円に上る借入残高がいまの現状であります。  他方、アルミニウムは、すぐれた金属特性のために輸送や建設電力、機械など国民生活の多方面に使用されております。もはや近代生活に不可欠な基礎資材となっております。特に、軽量加工性のよさなどによりまして多方面に使われております。省エネルギー時代にふさわしい材料として、今後も需要の成長が期待されております。  最近のアルミニウム製品需要は約二百万トン近くになっておりまして、わが国は、アメリカに次ぎ、自由世界第二位の生産並びに消費国にまで発展いたしました。このため、一定限度供給能力国内に保有することは、安定供給の観点からも各方面から強く望まれております。  こうした状況下において、アルミニウム業界は、石油危機の痛手をいやし、正常な産業状態に復帰するまでの一定期間、今回の事態の根源である電力コスト面において、海外競争企業との競争力格差を何とか補てんする措置導入をお願いしてまいりました。一キロワットについて一円の電力価格差は、アルミニウム一トン当たり一万五千円のコスト差になります。ただいま約八万円から十万円のコスト差アメリカ日本の間にございます。三十数万円の原価の中で、電力代金だけで八万円から十万円の差があるのが実情でございます。ECの方は、これは全部政策料金をやっておりますから、高くて四円五十銭ぐらいでございます。普通三円から四円の間でございますが、日本は、御承知おきのとおり、大体九円前後というようなことでございます。アメリカが一円から高くて二円という電気を使っております。そういうようなことで、電力政策料金導入につきましていろいろお願いしてまいりましたが、なかなかこれはむずかしい、時間のかかる問題であるというふうに承知しておりますが、長い目で見て、そういうエネルギー問題としてこの電力問題を先生方に御勘案願いたいと思います。  それでは、現在、電気がそんなに高いのに生きる道はあるのかというと、これはあります。要するに、私どもはいま大体三分の一輸入しております。本当は輸入しなくてもいいのですが、円高のために輸入した方が安いものですから、どうしてもわれわれの売り値が輸入品に足を引っ張られるということでございますから、電力の問題が時間がかかる、すぐというわけにいかないということであれば、輸入をお行儀のいい秩序ある輸入にしていただきたいと思います。一カ月に数万トンも入られたのでは、これはとてもじゃないがどうしようもございません。したがいまして、いま産構審のアルミニウム部会の方でいろいろ御審議願っておりますが、やはりこの輸入を適当にコントロールしていただく。輸入規制という言葉を使うとあるいはどうかと思いますが、輸入の方を何か手をつけていただかないとわれわれの方は成り立ちません。  そういうわけで、いま通産の方でもいろいろ御研究願っておりますが、いや電力もだめだ、輸入もだめだ、関税上げるわけにもいかぬよ、数量を規制するわけにもいかぬよと、こう言われてしまうともうどうにもならぬわけですが、先ほど申し上げましたように、われわれは精錬だけで約六千億の長期借り入れ圧延の方で五社だけでやはり二千億も借りておるようなことでございますから、この金利の方の引き下げを何とかできないものか。一定期間で結構でございます。数年の間、特別な金利措置はお願いできないだろうかというのがわれわれの考えでございます。  それから、最後にもう一つ。いや、それもだめだといろいろおっしゃられてはもう立つ瀬がございませんが、いまドルが非常にたくさんあるので、円高を来しているような時代でございますので、われわれの品は変質しませんし、形が変わるわけでもございませんし、将来は、数年の後にはこれは必ず世界的に足らなくなるようになっておるのです。そういうような場合のためにこれは備蓄したらいいと思うのです。十万トンでも二十万トンでも政府で買い上げて備蓄していただいたらどうかと思います。アメリカあたりでも、ベトナム戦争の前は百二十万トンも政府備蓄したわけです。もしわれわれ民間で備蓄をやるとしたならば、非常に低金利でもって融資していただいて、輸入した安い余分なものを一応備蓄して凍結しておければ、これは秩序ある輸入ということになりまして、国内価格も安定し、需要家も皆さん喜んでいただけるのじゃないか、そう考えておりますす。  要するにアルミニウム産業というのは、省エネルギー基礎資材としてなくてはならない資材でございますので、どうか生かしていくような政策をとっていただきたいと思います。アルミは、精錬の場合は非常に電気を使いますが、でき上がったものは非常にエネルギーをセーブいたします。数字で申しますと、一のエネルギーを使ったものが耐用年数考えますと、約十八倍ぐらいの使ったエネルギーをまたもとに戻しております。こういうような関係で、自動車軽量化あるいは地下鉄の軽量化、それから新幹線の軽量化をいま一生懸命やっております。これは全部エネルギーをいかにセーブするかという基礎資材であるということも御認識いただきまして、何分よろしく御指導願います。  どうも御清聴ありがとうございました。
  17. 野呂恭一

    野呂委員長 次に、安田参考人にお願いいたします。
  18. 安田安次郎

    安田参考人 安田でございます。  これから平電炉に関する問題点四つほど申し上げます。一つは概況、第二の点は現状、第三の点は当面する諸問題、第四番目にそれらを踏まえて国家にお願いいたしたい点、この四つの点について簡単にお話し申し上げたいと存じます。  平電炉業界というのは、市中に発生する工場の加工くずとか自動車くず、家電のくずというようなものを溶かしまして、それをもう一遍建設用材料として小形の棒鋼とか中小形形鋼を製造するのが業界の仕事でございます。  わが国における平電炉のシェアは、粗鋼においては約一二%で、そのトン数は千三百十万トン、また鋼材においては一六%で、その生産トン数は千二百四十万トン程度になるのであります。ちなみに五十一年度におきます丸棒の総生産高は約一千万トンあったのでありますが、そのうち約七〇%が平電炉でつくられております。なお、中小形形鋼は三百万トン以上つくっておるのですが、そのうちの約九割が平電炉でつくっておる製品でありますので、平電炉業界は鉄鋼業界においては非常に重要な仕事をやっておるわけであります。  また、先ほど申し上げましたように、平電炉の主たる原料は鉄くずでありますので、これを原料としてやっておるのは日本産業の中で鉄鋼業界だけでありまして、これを除いては需要産業がないのであります。したがって、日本経済の立場から見ましても、この国内の資源を有効に利用するという電炉の仕事は非常に大切なものだと言わなければならぬと思います。  毎年発生するスクラップの量は約二千万トン以上超えるのでありますが、この市中くずをそのまま放置するといたしますと非常にゆゆしい社会問題になるわけでありますが、電炉業界はそれを利用することによって建設資材をつくっておるわけでありますので、環境保全の対策面からも非常に大きく貢献しておるものと信じております。今後この産業は国民経済上不可欠な産業であるのみならず、経済的にも社会的にも非常な重要な意義を持っておるものと私は信じます。  次に、現況でございますけれども、主たる製品の丸棒の内需のうちの約九〇%は建設用の部門に消費されております。昭和四十八年度以後は年間大体十数%の伸び率をもって伸びてきたのでありますけれども石油ショック以後は急角度にこれが減退いたしたのであります。  昭和四十八年度の小形の棒鋼の内需は年間八百七十万トンでありましたが、五十一年度においてはその百万トン減の約七百五十万トン程度になったのでありまして、片方、供給能力といいますと、四十八年度以後は積極的な設備投資がありましたために、五十一年度において平電炉の関連製品を粗鋼のベースで直してみますと、約七百万トンの需給ギャップが出たのであります。  こうした状況のもとにおきまして、昭和五十年の九月から五十一年の四月まで八カ月の間小棒について独禁法に基づいて生産数量カルテルをやってまいりました。ただし、残念ながらその事態は改善することができませんでしたので、再び昭和五十一年の十一月から九月末まで十一カ月間、独禁法に基づいた生産数量カルテルをやり、八月十七日から九月末まで一カ月半価格カルテルを実施してまいったのであります。それで、十月からは中小企業の団体法に基づきまして約五十二社の丸棒のメーカーは工業組合を設立して現在実施に至っておるわけでございますけれども、残念ながら市況は低迷いたしておりまして、価格はわれわれのコストを大幅に下回っておる状態でございます。  さて次に、当面する諸問題でありますけれども、まず第一番に、何といってもこの需給のギャップでありますが、これを早急に解決することが最大の問題点であります。  ことしの二月に、通産省基礎産業局長の私的諮問機関であります平電炉基本問題研究会によって報告されたところによりますと、昭和五十五年度の粗鋼の供給能力は二千六戸三十五万トンに見込まれ、これに対する需要は二千四十五万トンから、多く見積もっても二千二百四十五万トンとなっております。したがって、三百九十万トンから五百九十万トンという大幅なギャップが存在すると推定されておりまして、現時点において予測せられます最大限の需要見通しのもとにおいての過剰能力三百九十万トンについては少なくとも処理しなければならぬというふうに提案されておるのであります。このうち平電炉のしょうべき過剰能力は約三百二十万トンございまして、これは昭和五十三年、来年度までに必ずこの需給ギャップを解消することを図るように努力いたしておるわけであります。  第二の問題といたしまして、非常に問題になるのは資金難の点であります。  二カ年にわたるコスト割れによる販売のため、企業の体力はその限界に達しまして、関係当局の御指導、関連企業、金融機関、商社等各方面からの御支援をいただいておるわけでありますけれども、大幅な赤字、債務超過という状態の中では、市中からの民間融資を仰ぐことは非常に困難でありまして、運転資金にも事欠くような苦しい状態にあるということでございます。  これらの状態を踏まえまして、一体われわれは国家に対してどういうお願いをするのかという点について二、三申し上げてみたいと思うのであります。  ただいま申し上げましたように、平電炉の構造改善につきましては、個々のメーカーにおきましてはすでに設備の休止措置が行われ、小形棒鋼の部門から撤退するとか、あるいは業務提携による生産販売の調整、工場の集約化が行われ、構造改善は順次行われております。  こうした業界の自主的努力だけではとうていだめでありまして、政府当局のこの業界に対する特別の援助が必要でありまして、目下いろいろいただいておりますが、金融面については、設備処理に伴う所要資金を民間の金融から借り入れる場合に、その債務保証の制度を設置していただいたことであります。  また、商工組合中央金庫からビレットを担保にして金を借りるとか、政府機関から借りております金融による貸付金利の引き下げであるとか、あるいはその他借入金の繰り延べであるとかというような、いろいろな政府の援助をいたしてもらっておることについて、この席上をかりまして厚くお礼を申し上げる次第であります。  最後にわれわれが申し上げたいことは、こういう窮状にございますところに、さらに最近の円高傾向によりまして、小形棒鋼、中小形形鋼というものの生産の約三割が輸出に向けられておりますので、いまのような状態円高になってまいりますと、現在は約七〇%くらいの稼働率でありますけれども、さらに引っ込みまして六〇%を割るのではなかろうかという懸念があるわけであります。したがって、円高というものは全く当業界にとっては致命傷であると言わなければならぬと存ずるのであります。どうかそのために、こういう意味で政府資金を何とか融資していただくようお願いいたしたいのであります。  さらに、税制面につきましてもいろいろとお願い申し上げたい点がございますが、時間の関係で省きまして、われわれはもう一つさらにお願い申し上げたいことは、小棒の需給のバランスがとれておりません。したがって、現状約三十万トンくらいが在庫をオーバーしておると言われておりますので、何とかこれを政府で買い上げいただきまして、経済協力推進の一環として発展途上国へ製品の供与という方法をとっていただきたいということであります。  もう一つさらにお願いいたしたいことは、現在景気振興のため公共事業の促進をされておられることは、平電炉業界にとっては非常に喜ばしいことで、期待いたしておることでありますが、それの公共事業用の資材についてお願い申し上げます。  現在、公共用の資材の購入価格は市中価格で買われておるわけでありますけれども、いままで申し上げましたような構造上の不況産業である平電炉現状では、市中の価格というものはわれわれの原価をはるかに下回っておりまするので、どうか公共事業の買い入れるものについては適正な原価の購入価格にしていただきたいというのがお願いであります。  以上、いろいろとお願いを申し上げたわけでありまするが、われわれ丸棒の五十二社で工業組合をつくって減産をなし、さらに採算面でも資金面でも苦しい犠牲を払っておりますけれども、残念ながら、この組合に加入しておられない方が相当おられます。その数字は、われわれの生産に比して約二割の人たちが未加入でありますので、これだけのものがあったのでは、とうていこの業界の需給ギャップを解消したり、業界の安定を望むということは非常にむずかしいということであります。したがって、どうかこの中小企業団体法に基づきまして、早急にこれらの未加入の方々生産の制限をするように御指導願いたいというのがお願いでございます。  最後にお願い申し上げたい一点は、雇用の対策の問題であります。  いろいろ雇用対策に問題点がありますけれども、いろいろつくっておられますが、聞くところによりますと、今国会に構造不況業種の離職者を救済する目的のために特例法案が提出されるという旨を承りましたが、どうか離職者に対しては長期間の失業給付支給や国家的配慮による離職者救済をぜひとも実現していただきたくお願いいたしまして、私の説明を終わらしていただきます。
  19. 野呂恭一

    野呂委員長 以上で参考人意見の開陳は終わりました。
  20. 野呂恭一

    野呂委員長 これより質疑を行います。  なお、委員におかれましては、質疑の際は、まず質疑する参考人の氏名をお示し願います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。佐野進君。
  21. 佐野進

    佐野(進)委員 角田中山安田参考人には、お忙しいところをわが委員会に御出席の上、それぞれ意見を開陳していただいて、私ども委員として心から敬意を表したいと思います。  と申し上げますことは、われわれ商工委員会は、いわゆる構造不況あるいは円高におけるところの中小企業を初め地場産業、多くの産業界等が、その自主的な努力にもかかわらず、外的な要件の変化によってきわめて厳しい条件下に置かれている。その置かれている方々に対して御同情を申し上げるとともに、その対策について万全を期さなければならない、こういうことで鋭意努力を続けてきておるわけでございまして、ことしもそれぞれ事業調査等の際におきましても不況対策を重点として対応しておるわけであります。そういう関係の中で、今臨時国会において最初に開かれたこの商工委員会において、まず第一に不況業種に属する方々に御出席をいただき、その御見解を聞く中で、われわれとしていままでとってまいりました対策をさらに深めてまいりたい、こういうような関係できょう御出席をいただいておるわけです。お三方の御意見をそれぞれお聞きいたしまして、その内容の深刻なことをいまさらのように勉強をし、取り組んでおるわれわれとしてはさらに感じておるわけでございます。  そこで、御三方に共通した問題としてそれぞれ御見解の表明があった点について、一応御三方に一人ずつそれぞれ御見解を表明していただきたいと思うわけであります。  それは、今回のいわゆる不況と称する現在の状況を導き出しておる原因は、構造的な面、さらにまた円高、そういう二つの面から今日の状況は出てきておるわけであります。これは、かつて高度成長を続ける経過の中でわれわれがとってまいってきたその政策一つの反省点というか、そのことが決して悪かったとのみは言えない面もありますが、われわれとしては、いたずらなる高度成長は結果的にこういう状態を招くのではないかという形の中で幾多の批判を持っておったわけであります。そういうわれわれの批判が結果的に今日の状況と合致しておることを、われわれは、遺憾に思うと言うことがいいのかあるいはどうかわかりませんが、大変残念に思っておるわけであります。  そして、そういう面において、いずれにせよ不況下における円高という状況の中で困難な状態をお迎えになっておられるわけでありますが、お三方の御意見をそれぞれお伺いしておりますると、結果的に業界自体の持つ本質的な欠陥、そういうものが——私はその前提で先ほど申し上げておるわけでございます。いわゆる構造的な不況、高度成長に基づくところの状態から導き出された構造的な不況、そしてまた円高という外的な要件、この二つの要件があるにしろ、現在置かれている今日の状態の中でこれを脱却しようとするその方策として、お三方共通していることは、輸入の問題あるいは長期借り入れの問題あるいは備蓄の問題、すなわちそれらを解決するには、何年先になればその状態が必ず解消できるのだ、したがって、その間これこれの対策をとれば間違いなくそういう状況に到達することができるという、長期的な展望に立った対策のようにお伺いできない。いわゆるこの構造不況やあるいは円高傾向というものが今後ますます続いていくのではないかというわれわれの心配、危惧と言えばそれでいいのでありますが、そういう心配を前提といたしますると、いまのお考えでは、何かその場的な対症的な対策を求めておる。もちろんそれがなければ前へ進みませんよということはよくわかるのでありますけれども、もっと根本的な、本質的にそれぞれの業界の将来展望を踏まえてどうあらねばならないかということを行政当局なりわれわれ議会に関係する者にお聞かせをいただくことが、われわれがきょう参考人をお招きして意見を聞く上に非常に重要な意味がある、こう思うのであります。  ひとつ公述順にそれぞれの参考人からお答えをいただきたいと思うわけであります。
  22. 角田両作

    角田参考人 まことにただいま先生がおっしゃったとおりでございます。長期ビジョンをつくるということはやっておりますが、まず、私ども業界は非常に業界が小さいために、三年先のことよりも現在自体をどうするかというのが実際の状況であります。したがいまして、先ほど申し上げたとおり、ここにつなぎ資金というものをお願いして、それがやっと許可になっておりますが、いまだに私どもはそれを利用できない。そういうのを、決して政府へ頼ってはおりません。自分自身の生活でございますから、後進国の追い上げをいかにして防ぐか、あるいは新しい商品の開拓あるいは違った市場の開拓ということは絶えずやっております。やっておりまするが、何にしても規模が小さいものでございますので、これは三年先、四年先なんというような、そういう計画というものはなかなか私はむずかしいと思います。  と同時に、よく政府の方は転換とかなんとかおっしゃいますけれども、そう簡単に転換はできるものじゃありません。長い間、三十年も四十年も中小企業輸出専門業者あるいはそれに関連する二千何百軒の中小メーカーございますが、よく言葉はわかります。転換しろとかあるいは合理化しろとかいう言葉は。そう簡単に言葉どおり——私ども業界、私どものグループでは組織が小さいですから、まさか、おもちゃ屋やっていて、あしたから八百屋に変わるわけにいきません。そこに悩みはございますが、それはおっしゃるとおり、これからは、二百五十円になろうが二百三十円になろうが、それに対応していくべく現在考えております。そういうことで、なかなか大企業のように、規模的にそのものを構造的とかなんとかいうような言葉ではとてもお答えできないと思います。  とにかく、後進国に負けないようにいろいろ研究は十分やっております。けれども、ここに急激なる円高のために業界はそれどころでなくて、これから先、三カ月、六カ月間をどうしようかというのが、いまの私ども業界の窮状でございます。もちろん、この間においていろいろ研究して、発展途上国に負けないような方向に持っていくように、いま盛んにお互いに考え中でございます。
  23. 中山一郎

    中山参考人 お答え申し上げます。  私の方の産業は、少し時間をかしていただければ、必ずこれは成り立つ産業だと私は思っております。ただし、全然ここでもって政策的に何かお手伝いしていただかないとそれはだめでございますから、これは私の私見としてお聞き願いたいと思いますが、いま産業構造審議会アルミニウム部会でその問題が一番問題になっておりますが、アルミニウムというのは世界的に見まして新増設が大体三%から四%です。自由圏の話です。それから需要の伸びが大体六%から七%です。そうすると、いまは確かに世界的に弱いです。余っています。需給ギャップがあります。しかし、これはだんだん縮まってきます。そのために、私たちが非常に困っているのは電力問題、先ほど申し上げましたが、よそより三倍も高いのですからこれはとんでもない話で、やっていけないことは事実ですが、輸入が今度減ってくると思います。これは、日本はいま約三分の一輸入しておりますから、この輸入が減ってくれば自然とそういう問題も解決されるわけです。余分なものが入ってきて市況を乱すから、いま弱っちゃっています。  そういうようなことですから、私は、これはアルミニウム事業法か、時限立法かなんかつくっていただいて、本当にこれは私見でございますが、五年ぐらいの時限立法をつくっていただければりっぱにやっていけます。ただし、五年で長過ぎるとおっしゃるなら三年でも結構です。その間は、さっき申し上げたように、輸入の問題と金利の問題についてぜひやっていただきたい。電力の問題、時間かかるでしょうから、それは将来の長い懸案として、ぜひこれはやはり御勘案願いたいのでございますが、できましたらば時限立法で五年、それは長過ぎると言うなら三年、その程度のもので何とかお助け願いたい、そういうふうに考えます。  どうぞよろしくお願いします。
  24. 安田安次郎

    安田参考人 お答えいたします。約四点ございます。  まず第一点は、現在の生産能力の三百三十万トンは、五十三年度いっぱいで廃却するということが決まっております。したがって、五十二年度にいけば現在よりももう少し生産の稼働率が上がりますから、相当よくなる状態であるということであります。  それまでの経過措置を何とするか。これは、先ほど申し上げましたように、中小企業団体法に基づく工業組合というものによって経過措置をとっていきたい。そこで生産調整をやっていこうということであります。これが第二の点であります。  第三番目は、したがって、現在三百三十万トンの過剰設備を廃却するんだから、今後は新設設備は認めないということが一つ業界の意思として決定されておるということであります。以上、第三番目。  第四番目の問題は、輸出の問題でありますけれども、これは、輸出をやる気ならばできないことはありませんけれども、まず、損であるということ、赤字であるということが一つ。と同時に、そういう価格で出したんでは相手方からダンピングで提訴されるおそれが非常にあるわけであります。したがって、いまわれわれ考えているのは、取引法の規定に基づく輸出組合をつくって、ワンテーブル方式でいこうということで研究しております。でき得るだけ高い価格のもので、相手方からダンピングと言われないようにできるだけとろうということで、輸出組合というものをつくることを考えております。  以上、四点です。
  25. 佐野進

    佐野(進)委員 わかりました。  もう一点ずつお伺いして質問を終わりたいと思いますが、軽工業製品輸出組合というのを私どもお招きをしてお話を聞いている理由は、円高に伴うところの損害を非常に受けやすい業界、それらを代表する形で実はお話を聞こうということで来ていただいておるわけです。先ほどのお話のように、円高の傾向は二百五十円でとまるのかあるいは二百四十円台に入るのか、これは全く対外的な問題あるいは国内のいわゆる日銀当局なり政府当局の問題等々、いろいろな要件が絡むわけでございますから、あなた方が輸出をするという形の中で犠牲者になる、犠牲業種になるということが、これはもうみずからの努力をいかに積み重ねたところでどうにもならない条件であるということはよくわかるわけですが、さればといって、いまのお話で、当面のつなぎはもうそういう形の中でわれわれも積極的に努力することはやぶさかでないわけですが、製錬の中山さんのお話のような具体的な、この円高がやがて前のように二百五十円台に入ったのが三百円台までもとへ戻るという状況の見通しは、ここのところは前回と比較すると恐らくそういう可能性がないような気がするとすると、非常に深刻な状態を予測されるわけですが、そこらについてはいまここで御意見がなければ結構でございまするが、あればひとつ、その中において政府なりわれわれに何が必要か——当面はいいですよ、わかりました。将来はまだ考えている暇がありませんと言うけれども、せっかくの機会ですから、あればお聞かせをいただきたい。  中山さんの場合はよくわかりました。いまの御提案の趣旨を踏まえて、検討をしてみたいと私ども考えます。  平電炉の場合は、私は、安田さんの場合、これはいろいろ問題があるわけですから、たとえば雇用の問題にしろ未加盟組合の問題にしろ、それぞれ内部的な努力あるいは行政的な努力によって解消していかなければならぬと思うんですが、一つには、平電炉の今日の不況の状況の中で存在する、たとえば市価で買わないで原価で買ってくれ、そんなばかなことはないですね。原価に利益が積み重なって初めて市価というものが構成されるわけであるにもかかわらず、市価よりも原価の方が高いということの持つ意味は非常にむずかしい。いろいろな条件の中でこういう状態が出てきていると思うのですが、今日の平電炉の倒産を支えている条件のもう一つに、商社金融を初めとする金融界が、もうこれが手を引いたらつぶれてしまうから、どろ沼だとわかっているけれども手を引くわけにはいかないという形の中で平電炉業界が今日存在しているのだということをよく聞くわけです。きょう御見解がありませんでしたけれども、これら金融機関なり商社金融なりを通じての対策の中で、商社といえども金融機関の中で自分みずからが存在し得なくなるとすれば手を引いてくる。そうすれば当然倒産という形になってくる。その倒産の中で自然淘汰が行われることが望ましいという判断も出てくるわけでございますが、そこいらの点についてどう御判断なされ、どう対策を立てることが必要であるのか、この際、ひとつ御見解をお聞きしておきたいと思います。
  26. 角田両作

    角田参考人 お答え申し上げます。  大体七月の中旬に二百八十円から二百六十五円に落ちました。これは別段政府筋が声明したわけではございませんが、一般論として二百六十五円がもう底だろうというようなことに相なりました。したがいまして、私ども業界は二百六十五円をぎりぎりの線として努力して上どうやらこうやら生活ができる程度までやってきたわけでございます。今回の二百五十円、これは本当に現在の二百五十円と言えば出血輸出でございます。しかし、これはどうしてもあしたから商売やめるわけにいきませんから、出血でも何でも商売をつなぐということが第一条件でございます。ですから、二百五十円が五十五円になろうが六十円になろうが、とにかく五十五円とか六十円とかいうぎりぎりの線を政府が守っていただくようにしてもらわなければ、六十円にやっと安定したかと思うと今度はがた落ち、それでは私ども業界では、とてもそれだけの強い商品じゃありません。ですから、六十五円でも六十円でも——余り言うとしかられますけれども、六十五円でも結構です。あるいは五十五円でも結構でしょう。この線をいかなることがあっても崩さないというようなかたい決意を持って政府にやっていただければ、それに向かって私どもは向かう以外に方法はないのでございます。ですから、為替レートのことでございますが、常に不安定であるということが私どもの小さい業界のぐらぐらしているところでございます。  この際、もう一言お願いしたいことは、何とか政府におかれて集中豪雨的輸出をうまくコントロールできないのかということですね。これは輸出入バランスをやっておけば、恐らく、円安という意味でなく、レートが本当にいいあんばいなところにくるのではないかと思います。商売ですから輸出することは結構です。しかし、世界からたたかれて初めてああのこうの言うなんということはちょっと手遅れじゃないかと思いますよ。私どももしょっちゅうバイヤーが来ますが、日本は全く売ることばかり考えていて一つも買わないじゃないか、最近は年じゅうこれを言われます。私ども小さい商売でもそうです。どうかひとつ、二百五十五円でも六十円でも結構です。もうこの線はぎりぎりだ、絶対崩さぬというような政策をとってもらえないものかというのが私ども業界四千軒の希望でございます。どうぞそういう点に向かっていろいろ御協力をお願いしたいと思います。
  27. 安田安次郎

    安田参考人 お答えいたします。  ただいま先生からお話ありましたように、市中価格が原価を割っておるのは現状のとおりであります。これは金融相場でありまして、資金繰りがつかないために、皆さんがあすの金に追われて安売りしたというこの事実は間違いないと思います。それが商社の金融になっていろいろつながっております。これではいかぬということで、先ほど申し上げましたように数量カルテル、さらに、公取が何としてもいけないと言われ、何としてもやってくれと私どもはお願いして価格カルテルまでやったわけであります。それで、十月から工業組合がスタートしまして、価格、数量とも制限できるような仕組みに認めてもらいましたので、これから業界が一丸となっていけば、先生がおっしゃるように、原価を割って安売り競争して、おのれみずからの首を絞めるようなものはだんだんなくなっていくだろう。ただし、先ほど申し上げましたように、残念ながらこの組合に加入しておられない方が相当おられて、その数が約二割生産量を占めるので、これを中小企業団体法に基づいて規制していただきたいというお願いをしたわけであります。
  28. 佐野進

    佐野(進)委員 終わります。
  29. 野呂恭一

  30. 板川正吾

    板川委員 参考人に一、二お伺いをいたしますが、いまの構造的不況産業の根幹は、私は、なぜ構造的な不況産業になったかというと、国内需要が拡大をしないということに原因があると思うのです。国内需要が拡大をしないで生産は依然として昭和四十八年水準を今日維持しておる、生産は横ばいである、したがって国内需要が起こらない、ここに構造不況となった根本的な原因があるだろうと思うのです。     〔委員長退席、中島(源)委員長代理着席〕 これを一朝一夕に解決する方式、考え方というものはなかなか実はない。御承知のように、政府は補正予算を組んだけれども、膨大な需給ギャップがあって景気の立ち直りができない、こういう情勢の中でありますが、こういう中にあって、中小企業者群である三つの業界の今後のあり方について、実は率直に言ってなかなか名案がない。しかし、とりあえず当面の対策だけは何とか方法を講じたいという気持ちでおるわけであります。  そこで、平電炉安田参考人にお伺いをいたしますが、来年度五十三年度末までに三百三十万トン規模をスクラップする、こういう政府の方針であります。そこで、この過剰設備に伴う所要資金の金融機関からの借り入れについて、平電炉構造改善事業協会というのをつくる。そこで債務保証をすることになる。債務保証額は、業界から三億五千万、政府の方から三億五千万、七億を出して、その十倍の七十億の債務保証をしよう、こういうことでありますが、この方式で三百三十万トンの過剰設備の処理、これは可能でしょうかどうか、十分かどうか、この点について御意見を承りたい。
  31. 安田安次郎

    安田参考人 お答え申し上げます。  三百二十万トンという数字は政府から押しつけられた数字ではなくて、各メーカーみずからの自主的に廃却を申し出た数字が三百三十万トン以上になっておるということであります。  したがって、いまおっしゃるような心配は、私は帳簿価格がある以上はあると思います。ただ、申し上げたように、それらの中で一つは一貫メーカーの系列に入っているもの、商社の系列に入っているもの、そのいずれにも入っていないもの、この三種類に業界は分かれると思います。それでいろいろ調べてみまして相当償却の終わったのもありますので、それで完全かどうかということになると、先ほど申し上げましたように、親会社である一貫メーカーなり商社なり金融機関が償却のために特別の措置をとってくれたならば、損金として手段をとっていただきたいということを申し上げたのもその一つの中に入っておるわけであります。私は、その程度で、全部とは言わぬけれども、相当の目的は達し得ると考えております。ただ、そのためには一貫メーカーの系列は一貫メーカーの系列でできるだけめんどうを見てやる、商社系列は商社系列でめんどうを見る、こういう仕組みがやはり根底になければいかぬということであります。
  32. 板川正吾

    板川委員 わかりました。  これに関連して、委員長、恐縮ですが、通産省の局長来ておりますか。——通産省にちょっとお伺いしますが、平電炉業界で数量カルテルをやったがなかなか実効をおさめてない、そして価格カルテルをやって、若干、五万三千円から四千円近く回復をしてきたと思ったところが、実はアウトサイダーが二〇%から二五%のシェアを持っておる、そこで商工組合をつくって団体法によるアウトサイダー規制の大臣命令を出してもらいたい、こういう動きがあるようでありますが、通産省としてはこの大臣命令を出す意図があるかどうか、それから出すとすればいつごろ出す予定であるか、その辺について、関連しておるものですから、ひとつ伺っておきたいと思います。
  33. 堺司

    ○堺説明員 お答え申し上げます。  平電炉業界の方からのアウトサイダー規制命令をぜひかけてほしいという要望は、私ども十分承知してございます。したがいまして、現在、局内及び中小企業庁等と検討するということで前向きに相談をいたしておりまして、事態の推移等もにらみ合わせながら、できるだけ早い機会に措置できるようにしたいというふうに考えております。
  34. 板川正吾

    板川委員 安田参考人に伺いますが、カルテルを結んでおる業界がアウトサイダー規制をしてほしい、こういう要望をしておることはお話のあったとおりでありますが、たとえば、出してほしいというならばいつごろまでに出してほしいという希望を持っておられるか、その点をひとつ伺っておきたいと思います。
  35. 安田安次郎

    安田参考人 お答えいたします。  第一にわれわれが通産に対する希望を持っていたのは、工業組合がスタートすると同時にできる限り早い機会にやっていただきたい、そうしないと、経過措置でありまして来年の三月末までに三百三十万とにかくつぶすのですから、その間オーバーしておるということははっきりしておる。したがって、その間に早急に出していただきたいという意見を出してあります。
  36. 板川正吾

    板川委員 工業組合をつくったときになるべく早くというのは当然でありますね。通産省もこの点を聞き、いずれ公取と相談の上結論を出されると思うのでありますが、このアウトサイダー規制は、大臣命令が出されても、ある企業を中心に反対である、あるいはこれは中小企業団体法のときにそういう議論もあったのでありますが、憲法違反であるからというような動きで、あくまでも争うという空気などもあるそうでありますが、この団体法の規制命令が出た場合に、業界としてはどういうふうにその見通しを持っておられますか。
  37. 安田安次郎

    安田参考人 そういういろいろな意見の方もおられるようでありますけれども、現在二割の方全部同じというようなことになると実は大変だと思いますけれども、そのうち一部であれば、いまの業界意見ではやむを得ない、われわれはわれわれだけでやろうということに意見が一致しております。工業組合がスタートするときにもう私はそう申しました。全部の者が一致しなければできないということであれば、これは不可能である。もう八〇%が九〇%でもいいんだ、やるんだという気持ちでなければ申請はできないよということを言ってありますので、いまおっしゃるように全部でなくても私はやると思います。
  38. 板川正吾

    板川委員 次に、中山参考人に伺いますが、先ほどの御意見の中で、政府備蓄をしてほしい、こういう御意見がありました。実は銅については政府予算で昨年三百億の買い上げをいたしました。ことしは民間で三百億円分を備蓄し、その利子が六・五%以下ならば民間で負担をしますが、六・五%以上の場合はその分を国が持つということで三百億円備蓄をしよう、こういう業界自身の動きがありますが、業界の中からそういう措置をとって銅と同じような民間備蓄をしようという動き、また気持ちはございませんか。
  39. 中山一郎

    中山参考人 お答え申し上げます。  ただいま産業構造審議会の方でもこれから大いに御審議願うことですが、私が先ほど申したように電力が一番問題ですから、電力を五円にしていただければ、何もなくても——世界で一番高い電気ですから、五円でもやっていける。あとは輸入が適当にお行儀よく入ってくるような何か立法措置がとられれば、それももう大丈夫だ、そういうことで、いま電力に期待するのは時間的に間に合わないとしても、輸入の方が何とかお行儀よく入ってきていただけばいいんだということの方が先行しておりまして、それもだめだ、国際的に輸入規制するのがどうしてもだめだというのならば、これはやはり備蓄に回さざるを得ない。そういうときにはぜひ本当に低金利の御援助を願いたい。できればアメリカみたいに政府備蓄していただければ一番いい。しかし、そうもできないというならば、非常に低金利でやっていただきたい。というのは、先ほど私申し上げましたが、長短合わせて六千五百億円の借金をしております。これの金利だけがちょうどわれわれの赤字です。年間の赤字というのは五百億ずつふえているわけですから、資本金が六百三十億ですから、ことしでもうすっ飛んでしまうわけですね。そうすると非常に困るものですから、金利で弱っちゃっているわけですから、ここでまた備蓄をして、その備蓄金利を払うということはやはり非常にむずかしい問題があると思いますから、できたらば非常に安い金利でやらさせていただきたい。六・五%ではちょっと、われわれはもう少しという虫のいいお願いをせざるを得ないと思いますが、どうぞよろしく御指導願います。
  40. 板川正吾

    板川委員 もう一点、ある産業構造のグループの中では、アルミ産業というのは電力のかん詰めみたいなものだ、電力ばかり食って仕方がない産業であるから、エネルギー多消費産業である、こういうのは将来好ましくないという説をなしたグループがあることは御承知と思うのですが、いまお伺いをしますと、確かにアルミは製造面においては電力を食うが、それによって、軽金属であるために輸送等あらゆる面において逆にエネルギーが節約をされる、こういう論をなされたわけでありますが、これは、実は私どもそういったことをまだしさいに検討しておりませんから、後でひとつ資料として出していただきたいと思います。  なお、それについて若干の御説明あれば承っておきます。
  41. 中山一郎

    中山参考人 大変いい質問をしていただいて、私喜んでお答え申し上げたいと思います。  地下鉄を例にとりますと、従来の地下鉄はステンレススチールで九トン半でございます。いま、われわれ約二千台近くつくりましたが、あれはアルミが主体でございます。あれは一台四トンです。九トン半のやつを四トンにしたわけですから、毎日それだけのものが引っ張られる、これは非常な電力の節約になっております。  それから自動車の方、それから輸送関係、新幹線をまぜまして、これはもう軽くするということ以外に省エネルギー対策はないと思いまして、これはアメリカでも法律でもって軽くすることに決めておりますが、いずれ日本も資源が足らなくなってくれば当然そうなると思います。われわれも非常に輸送関係軽量化ということについて、地下鉄もそうですか、今度は新幹線が、いまの重量じゃあれは耐え切れないですね。しょっちゅう故障ばかりしている。レールがもう傷んでいるというので、あれはあと三割ぐらい軽くしなければいけない。  自動車もいま一台三十三キロ、アルミを使っていただいておりますが、あれは世界的の傾向として百キロ近くになると思います。そうすることによりまして、われわれが最初につくった地金に要したエネルギーを、今度は自動車とかいろいろ建築用の資材とか、そういうものの耐用年数でどのくらいエネルギーをセーブするかというと、約十八倍セーブするわけですから、これからエネルギーをセーブしようと思ったら、いろいろの資材が使われると思いますが、私はアルミニウムが最も有用な資材ではないかと思いますので、アルミニウム産業は絶対に死んではいかぬ、これは国のために大いに働こうじゃないかということで大いにがんばって、自助努力でもって成績を徐々に回復しておりますが、いかんせん、まだ赤字でございますので、どうぞその辺お含みの上、よろしく御指導願いたいと思います。  どうもありがとうございました。
  42. 板川正吾

    板川委員 終わりますが、業法などの注文もございまして、まあ、これは御意見として承っておきますが、急激な輸入などで国内産業に甚大な影響を与える場合にはガットの規定もございます。こういう点なども、この際、経済情勢とにらみ合わせて検討してみたいと思います。  私の質問を終わります。
  43. 中島源太郎

    ○中島(源)委員長代理 後藤茂君。
  44. 後藤茂

    後藤委員 角田参考人にお伺いをしたいわけですが、円高の問題につきましては、これは変動相場制でございますので、なかなかむずかしい点があろうかと思います。また、緊急避難的な対策はもちろん強化をしていかなければならないと思うのですが、先ほどの御説明の中で、発展途上国の追い上げなり攻勢なりというものが近年非常に強まっている、競争が不可能になっていくのじゃないかというような御指摘もあったかと思うのです。そういたしますと、円高の問題は一応別として、この軽工業製品というのは将来発展途上国に席を譲って、いずれは特殊なものを除いてなくなっていかなければならない性格を持っているのか、それとも、いや、そうじゃない、軽工業製品というものはこれからも将来展望を持った産業として生きていけるのだ、こういうようにお考えなのか、少し長期の問題としてぜひとらえてみたいと思うわけです。緊急な問題は、先ほども申し上げましたようにやはり大変ですから、そしてこれは単に軽工業だけではなくて、本日午後に出席される方のところもそれぞれが今日の経済不況の中で苦しんでいるわけですから、ただ将来展望としてつかまえておきたいというのが一つ。  それと同じような関連で、中山参考人にも御質問を申し上げたいのですが、板川委員の方からも触れておりましたけれども、一九六九年ですかの産構審の答申かどこかのあれで、結局エネルギーの多消費型産業なんだから、日本産業としてはむしろ撤退をして、より電力の安い場所に工場をつくって、そこで製造して日本輸出したらいいではないかというような意見を吐いている者もいたわけですが、ちょっとお聞きしておきたいのは、海外にアルミ精錬の工場なり、合弁会社ですか、あるいは全額資本輸出ですか、そういうような企業がどの程度つくられていっているのか。それと、約三分の一ですか、輸入が行われているようですが、それとの関連についてちょっとお教えを願いたいと思います。
  45. 角田両作

    角田参考人 お答え申し上げます。  本当に痛いところをつかれております。軽工業製品は将来どうなるのかということは、私どもも常々考えております。しかし、何にしても業者がたくさんおりますので、何とかこれを生かしていかなくてはならぬということで、通産の方の行政指導もいただいていろいろと研究をしておりまするが、本当に後進国に追い上げられていく可能性が強いと思います。しかし、また日本には日本の、たとえば陶器をとっても、陶器独特の、向こうでまねできないところの商品もいろいろありますので、現在はそういった方向を生かしてやっておりまするが、必ず将来は行き詰まるという時期が来るんじゃないかということはもう十分頭に入れてやっております。  それから、よく海外へ技術を持っていくとか工場を持っていくとかいうお話もございますが、これは、この間も私、東南アジアの方を四カ国視察してまいりましたが、向こうへ持っていっても、日本人のいわゆる技術者といいますかリーダーは、二人か三人しか置かせないわけですね。なかなかそれは問題があります。というのは、もう一つは、たとえばこちらの雑貨製品などをどんどん海外へ持っていきますと、これは小さい気持ちになりますが、日本の仕事をそっくりあっちへ持っていくというような感じになるわけなんです。それにかわるものが現在、軽工業製品にはそうたくさんないんでございますね。ですから、これは本当につかれるとおりで、私どもこれを五十年やっていますが、どうしようかということは常に常に考えております。ですから、この件につきましては、私どもも通産当局にもよく訴えまして、いい知恵を貸していただいてやっていかなきゃならぬということはもう十分身にしみておりますから、ひとつそういうことで御了解願いたいと思います。
  46. 中山一郎

    中山参考人 お答え申し上げます。  先ほどの御質問に対しまして、まず最初に海外プロジェクトの現状について申し上げますと、現在約四十万トン輸入されておりますが、そのうちわれわれが向こうに行って投資をしていまでき上がって持ってきているものが、ニュージーランドに投資したものが、これは日本が五〇%投資していますが、これがいま年間七万五千トン入っています。それからカナダに投資したものが、日本が五〇%でございますが、これが四万五千トンでございますから、両方合わせまして約十二万トンがわれわれが海外に投資したものが含まれているわけですね、四十万トン前後の中に。  そして、いま大きなプロジェクトとして進んでいるものにインドネシアのアサハン計画というのがございます。これは精錬五社が中心でございますが、これが二十二万五千トンですが、これができ上がるのは大分先になります。大体六十年度には十九万トンぐらいは持っていきたいと思っております。  それからアマゾン計画というのがございまして、これも精錬五社ほか商社から重工業大ぜい入っていただいて三十二社でやっておりますが、主として製錬五社が技術的に中心になってやっておりますが、アルミナが八十万トン、アルミニウム、アルミナを電解したものが三十二万トンでございまして、その半分十六万トンをわれわれは持ってこようということで、ただいまの計画ですと昭和六十年度に十三万トン入ってまいります。  それからベネズエラでございますが、これは日本が二〇%を資本投下しておりまして、間もなくでき上がって日本に入ってきます。これは五十五年度に大体十六万トン、六十年度にやはり十六万トン入る予定でございます。  その他、これはまだ非常に問題があるとは思いますが、計画としてはアメリカの方で計画しておるのがございます。これは水力でございまして、計画としては五十五年に四万トン、六十年度に八万五千トン。  そういうふうに、われわれは国内では電気が高いから海外の安い電力を使わさしていただいて、向こうの経済協力をしながら地金を自分でつくって、自分で持ってきて国内の高いのとミックスしてやらさしていただきたい、そういうふうに考えていろいろと政府から御援助いただいて海外投資をさせていただいている次第でございます。  それから、いま日本にある設備は、ちょっと付言いたしますと非常に安い、石油ショック前にできたものが大部分ですから非常に安い、いまの建設費の三分の一ぐらいじゃないかと私は思いますが、そういうようなことで、これはいま七〇%しか操業しておりませんが、これは宝でございますから、将来必ずお役に立つときが来ると思いますが、いま余りにも円高でもって安いものが入ってくるものですから、われわれはどうしても在庫ができてしまう。それを防ぐためにはやはり自主規制をやらざるを得ないというようなことでございますが、われわれの現在持っている設備は百六十万トンございまして、これ以上ふえるのはもうなかなかむずかしいと思いますが、将来は、六十年度には二百六、七十万トンがどうしても必要になってきますから、ある程度輸入は将来ともやらざるを得ない。しかし、できれば自分でつくったものを輸入したい、そういう考えでおります。どうぞよろしくお願いします。
  47. 後藤茂

    後藤委員 時間がございませんので、実はもう少し聞きたいものがあるのですが、またの機会に譲りたいと思います。  安田参考人に一点だけお伺いしたいのですが、三百三十万トンの設備廃棄を五十三年度中に進めていく、これは単に政府が要請したからではなくて、業界自体がこの危機を打開していくためにはどうしてもやらなければならない、この御決意はよくわかりますし、また、いまの実態を見ますと、この過剰設備は何とか処理をしていかなければならぬということは私もそう思うのです。  ただ、一つ大変気になりますのは、系列別あるいはグループ別等々で廃棄をしていくのですが、いい設備、個別企業なりあるいは平電炉業界なりは別として、本来国民経済的観点に立って、残しておいた方がより効率が高いというものも、グループ別、系列別の設備廃棄ということになってまいりますと、本来もう老朽化しているものを廃棄した方がいいということがあっても、泣く泣くやらなければならないということが起こりはしないか、このことを大変危惧するわけなんです。こういうことを申し上げては大変失礼な言い分で申しわけありませんけれども、組合をつくってもなかなかアウトサイダー規制ができない。数量カルテルをやって、価格カルテルをやって、商工組合をつくって、なおかつ価格が安定していかない、トン当たりの大きなコスト割れをしているわけですから。そういうところだけに私は大変気になりますので、もう少し平電炉業界日本産業全体、しかも冒頭に申されましたように、資源の再利用という観点からいきましたらこれはどうしても残していかなければならない産業ですから、それだけに業界としてもこの設備廃棄についてもう少し知恵を出して、この三百三十万トンの廃棄について考えていくべきではないか、こう思いますので、その点だけに限ってひとつお答えをいただきたいと思います。
  48. 安田安次郎

    安田参考人 お答えいたします。  いまの三百三十万トンの廃却のものは、いま先生のおっしゃるようなものでなく、余り能率のいいものでないのが先にやられておると私は思っています。それは各系列会社でも、まず第一番に省力化ということが非常に大きな問題になっておりますので、能率のいいものを残してそうでないものを落とそうということになっております。これは三百三十万トンに関する限り、本当はもっと廃却すべきものが残ったというようなことではなくて、大体われわれ考えているものは廃却されておる。  ただ私は、いま先生のおっしゃることについて、私個人の意見になって、まだ業界意見ではありませんけれども、そういう三百三十万トン以上のオーバーのものを切り捨てる場合、何か客観的な物差しというものは必要である、そのために技術委員会というようなものをつくってそれを基準にして、北は北海道から南は九州までオープンに各工場を調べて、それに当てはまらないものからまず廃却の対象ということで話し合ってみたらどうだろうということを私は考えて提案したことはあります。その第一点はまず採算性があるかどうかの問題が一つ。第二の点は生産性の問題、生産性としてはそれがいいかどうか、能率のいい工場であるかどうかということ。第三番目の点としては、今後考えなければならぬ問題は、公害対策が完備しておる工場であるや否や、こういう点をやはり考慮に入れて今後考えるべきじゃないかというふうに私は提案しております。  三百三十万トンはそこまで行く前にもうすでに出てまいって、これはほとんど大部分のものはもう廃却に近くしてもいいようなものであって、能率のいいものが廃却されたとは私は考えておりません。
  49. 後藤茂

    後藤委員 これはお答えいただかなくても結構でありますけれども、大体能率の悪いものが廃棄されていくというお答えでございますが、私は、平電炉、特に棒鋼、小形形鋼等は地場産業的性格が非常に強いのじゃないかという気がするのです。したがって、いまの点を申し上げたわけです。つまり、設備、能率の面、コストの面だけではなくて、その地域の布存条件から考えていって、これまたむしろスクラップしていった方がいい、あるいはこの際その地域の産業考えていって、残していった方がいいという尺度も加味されてこなければならないんではないかという気がいたしたものですから、あわせて申し上げたので、時間がございませんので、これで終わりたいと思います。
  50. 中島源太郎

    ○中島(源)委員長代理 粕谷茂君。
  51. 粕谷茂

    粕谷委員 角田さんにちょっとお尋ねをいたします。  先ほどの御説明を聞いておりましたら、どうも私たちの業界はこの円高によって非常に苦しめられているのだ、ごもっともな話だと思います。そこで、今日的な問題として二百六十円台くらいで抑えていただければというようなことでございますが、私どもがしばしば報道機関で報ぜられている為替レートを見ておりますと、まだ騰勢は続くぞ、二百四十円台にいくんじゃなかろうか、こういうロンドン市況などのニュースが入ってくるわけですね。そういうことに対しての角田さんの業界としての展望をひとつお聞かせをいただきたい、こういうふうに思います。  それから、中山さんのお話、大変私ども素人としてはありがたい御説明をいただきまして、業界の苦しみというものはこういうところにあるのか、こういうようなことがわかりました。わかりましたが、ただ、私は与党の自民党ですが、政治はやはり厳正でなければならぬからこういう機会に申し上げますが、融資の問題、それから公共事業などの資材として買い上げるときは原価で買ってほしいとか、こういう価格支持制度みたいなことは諸法規からいってなかなかむずかしいだろうと私は思います。ただ、備蓄をやったらどうか、こういう御意見ですが、大変私はいいと思っているのです。いまエネルギーが不足してきたと言っているけれども、黒字を持っている日本が何も対策を持っていない。将来展望を持っていない、メジャーなんかは盛んに新しい開発をやったり備蓄を心がけているわけです。膨大な資金を使って。ですから、いま中山さんがおっしゃるように、形も変わらないし品質も変化しないのだ、だからやがて必要になるんだからこれを備蓄をすべきじゃないかという御意見は、私は非常に傾聴に値したのですが、そのことについて政府に、あるいはまた通産省でも結構ですが、申し入れたことがあるかどうか、これをひとつお聞かせをいただきたい、こう思います。  それから、安田さんに一つお尋ねしますが、安田さんの業界も大変軽金属業界と似通っておりますので、いろいろと同じような問題点があるようですけれども、きょうの新聞によりますと、高炉と平電炉の一体で米国向けの自主規制をやろうじゃないかということをきのう基礎産業局長に会見をして申し入れているというような記事が出ているのです。ところが、なかなか、その業界の中に、名前を言っていいかどうかわかりませんけれども東京製鉄なんというのがあるんですね、これは一匹オオカミでなかなか言うことを聞かぬのじゃなかろうかというようなことが報道されておりますが、しかし、最近になって、社長は池谷さんというのですか、この人は自主規制をやってもいいじゃないかというようなことに変化してきているということがつけ加えられておりますが、業界内の調整というものがうまくいっているのかどうか、この辺もひとつお聞かせをいただきたいと思います。
  52. 角田両作

    角田参考人 考えを申し上げます。  どうも私どもは、先ほど申し上げたとおり、二百六十五円から七十円ならば、十分ではありませんけれどもやっていかれる。しかし、二百四十円になったらどうだといいますけれども、どうも政府の方かあるいはマスコミか知りませんが、二百四十円にならないのにいつも誘導するような、新聞紙上でよく高官の方といいますか財界の方が、大物が申し上げますね。どうもわざわざ、二百六十円でとまるものを二百五十円、まだ高くなる、まだなると誘導するようなことに見受けられますが、この際、ここでひとつ特にお願いしたいことは、マスコミと申しますか、あるいは政府の方ですかあるいは自民党——自民党の方とは言いませんが、政府の方にお願いしたいことは、二百五十五円はもう切らないとか、それ以上、もう全産業に影響するから二百六十円にまで買い支えるとか、そういう逆の宣伝をひとつやってもらいたいと思うのですよ。どうも、二百六十円になると五十円、五十円になると今度は四十五円になる、また将来三十五円になるなんというようなことを言うから、それに乗じられて、外圧を食って、いろんな投機的にやられるのがあるんじゃないかと私ども考えますが、どうもいろいろ聞いていますと、わざわざ日本で誘導しているのじゃないかというようなことも思われますので、これは二百四十円でどうしても——そこまで落っこちれば、それでやれるかやれないか、もう業界としてはそれに向かって死にもの狂いでやらなくちゃならぬでしょう。だれも助けてくれませんから、やはりそれに向かって輸出業者、それに関連するメーカー、すべてがもうそういう決心をしてやっていくか、あるいはそれこそ本当に廃業していくか、どっちかになりますが、どうもそういった誘導的な、外圧に屈するような、たとえばこの間も米国の財務長官が言ったことが、あんなことでもってがたがたと落ちるような、へっぴり腰でなく、もう少し政府当局は強い決意を持って、日本産業を守るため——これは私どもばかりじゃないですよ。繊維業界でも自動車業界でも、二百五十円ではつらいと言っています。少なくとも二百六十円や六十五円は守っていかなくちゃならぬのだという、その強い気持ちをひとつやってもらいたいと思うのです。  それから、新聞紙上なんかでも、日本もひとつ緊急輸入はやりましょう、そのかわりまた輸出も自粛しましょうと——それはやらなくたって結構ですよ。やるというようなことにこっちがやっておきさえすれば、外国もだんだんと認識してくるのじゃないか。どうもそういう点の駆け引きが余りにもばか正直といいますか、どうも相手に乗じられるようなことが多いのじゃないかということに考えられます。  いずれにしましても、二百五十円なら二百五十円、六十円なら六十円と、安定してくださいということですよね。もう二百六十円とやれば、二百五十五円ですべてを研究していけば、これはできないこともないでしょうが、ところが、やっとそれが軌道に乗りかかったところにまた五円、十円上がったのでは、私どもの基盤の小さい業界はもうめちゃめちゃになっちゃうわけなんです。それをひとつ政府方々あるいは先生の方々にお願いして、もう少し、日本産業を守るためにかたい決意を持って、二百六十円なら六十円というものはいかなることがあっても守る。日銀にドルが余っていてしようがないのですから、そのくらいやったっていいじゃないですか。  それから、ここでもう一つ申し上げたいことは、後進国の援助も結構ですが、後進国よりもまず私ども業界をひとつ援助してもらいたい、それもひとつこの場でお願いしたい、こう思っております。どうぞよろしく。
  53. 中山一郎

    中山参考人 お答え申し上げます。  いま備蓄制度というのはあるのです。これは一万トンなんです。ところが、いまの制度ですと、売りも買いもできないようになっておって、五十四年の七月にならないと売れないという、まあいま余っているから売っちゃ困るのですが、そういう制度なんです。もう少しフレキシビリティーを持った備蓄制度というものを私たちはお願いしたいのですが、ただ、先ほど私申し上げましたように、長短合わせて六千五百億のお金を借りておるものですから、これの金利に追われちゃってみんな大赤字を出しているわけですから、ここでまた備蓄を十万トンなり二十万トンをわれわれの方でやるとなると、相当金利を安くしていただかないと非常に困るというので、ぜひやっていただきたいのだが、金利だけはいまの六・五%でなく、もっとずうっと低い金利でやっていただくか、アメリカ式に政府が買い上げてしまって、民間が足らなくなったら政府がいままでの金利とそれからその上へもうけを上乗せして売って政府ももうけているというような、こういう備蓄のことを一遍私はお願いしたいと思って、いまここに堺課長さんおいでになっていますが、通産も一生懸命で備蓄のことはお考え願っておるわけです。  私はなぜアルミの備蓄はいいかと申しますと、アルミは電気を食う食うと、確かに電気を食うのです。その電気を食う七〇%は油なんですね、あれは。発電の七〇%は油でつくった電気なんですから、地金を備蓄するということは油を備蓄するのとちっとも変わらないのです。そこのところがどうも一般に認識が不足じゃないかと私は思う。油の備蓄をしようと思ったら、タンクが要るとかいろいろの問題があると思いますが、私の方のはタンクも何も要らない、野っ原へほうっておいて盗まれないようにしておけば、それで油の備蓄がそれだけできる、そう考えていいのじゃないかと思いますから、そういう点も考えまして、本当に安い金利でできる備蓄ということでないと、私たちは体質的に耐え得ない。ぜひ備蓄はやっていただきたいが、その辺を——いずれ私たちも体質は丈夫になりますから、そのときには安くまけていただいた金利をお返しする覚悟でやらさしていただきたいと思いますが、どうぞよろしく御指導を願います。
  54. 安田安次郎

    安田参考人 お答え申し上げます。  鉄鋼の輸出の大部分は一貫メーカーでありますので、一貫メーカーが自主規制の問題を取り上げておられることはよくわかりますし、平電炉も若干ございます。特にアメリカについては東鉄、当社が問題だと思いますけれども、東鉄さんが自主規制というものに賛成だという状態になれば、恐らく平電炉は全部これにフォローすると思います。
  55. 粕谷茂

    粕谷委員 そこで、ちょっと将来展望のお話をさせていただきます。  各業界に共通していると思いますけれども、先般内田教授という方にいろいろと私たちも講義を受けまして、どうなんでしょう、構造的な不況産業というものをこれから私どもは基本的にどう対処したらいいのでしょうか、たとえば人件費などは発展途上国にはとても日本は太刀打ちにならぬ、それからまた輸入される素材などの値段もどんどん上がっていく、そういう中でもし対抗できるとすれば技術革新以外にないのじゃないだろうかという、私、疑問を持ったことを質問したのです。そうしましたら、その方のお答えは、全部の産業に当てはまるとは思いませんが、急速な技術革新というものはそう考えられないのじゃないだろうか、こういうお答えが出てきました。各業界で将来展望に立って、そういう条件のいい発展途上国の国々と比較して、日本企業が対抗できるだけのそういう技術革新ができるものかどうか、それをひとつお聞かせいただきたい。
  56. 角田両作

    角田参考人 どうも私ども商品は一年の輸出が去年で三十八億四千五百万ドル、ことしが大体四十億七千万ドル商品ですから、そういうなかなか大きな答えはできません。とにかく、この間も通産省にお願いして、少し輸出を自粛したらどうだということが、これが全業界の声であると言ったら、いまここで自粛されると国内景気が悪くなる、日本輸出立国だからどうしても輸出をやらなければならぬということを言われて、あなたの案はどうもちょっとまずいよと言われましたが、そのとおり、私どもは長年輸出で食べてきた人間でございます。戦後、本当に輸出輸出の道理でもってけつをたたかれて長い間やってきております。これからももちろん続ける覚悟でございますが、その輸出をもう少しバランスのとれた輸出をし、また輸入をして、バランスのとれる方向に持っていってもらうのが私は役所の御指導じゃないかと思います。どうもくどいようですが、出るものはどんどん出る、出ないものは倒れてもいいとは言いませんが、大体そういったような方向じゃないかと思います。  私ども、いま言うとおり、軽工業品は全部で四十億ドルです。いまの七百億ドルから比べるとものの五%か六%です。なくたって痛くもかゆくも政府といえどもありませんでしょう。それだからというわけじゃありません。長年の間軽工業製品にかかってきた輸出関連業者というものは、いま現在二千軒以上あります。それに関連する中小メーカーは二千何軒あります。これらの業界の死活問題なんですから、ひとつ平均輸出が伸びるようにしていただくのが政府行政指導じゃないかと私は思います。でありますから、私どもで技術がどうのこうのなんという問題よりも、何とか輸出輸入のバランスをつけていただけば、こういう不安定な円高にもならず、安心してお国のために尽くすということができるのじゃないかと思います。私らは、ほかの業界と違いまして基盤が小さいですから、余りでかいことはわかりませんし、また申し上げられませんので、そういう程度でもってひとつお聞き取りを願いたいと思います。
  57. 中山一郎

    中山参考人 お答え申し上げます。  電気が高くなったときに、では電気を使わない方法でアルミをつくれよという言葉はだれからも出る言葉で、私もそう考えまして、いまのホール・エルー法というのは約百十年前から同じ方法できょうまでやっておるわけです。これは非常に合理的な方法で、これにまさる電気を使わない電解方法というのはないのかというと、理論的にはあるのです。それでいま一生懸命でやらせております。  いま電解電力というのは一トン当たり一万五千キロワットアワーぐらい使いますが、いま一生懸命でやらせているのは、大体一万ぐらいでできないかというところで塩化アルミ法というものでやらせております。最初、石油ショック後直ちに硫化アルミ法でやりましたが、どうもうまくいかぬというので、いま塩化アルミ法というのでやらせておりますが、これは従来の方法が百年もやっていたというので非常に安定しているものですから、なかなかすぐはいかないと思う。ただ、アメリカのアルコアではすでにそれを企業化して一万五千トンばかりやっておりますが、まだ本格的な作業までには進んでおりませんから、日本の塩化アルミ法というものを編み出して、世界にこの技術を売って、世界の省エネルギー時代日本の塩化アルミ法を売りさばいていきたい、私はそう考えております。  少し希望は大きいのですが、相当のお金がこれはかかると思います。そのときには政府によろしく御指導をいただいて、ある程度のお金を出していただいて、世界じゅうに売りまくれるりっぱな塩化アルミ法というものをつくりたい。いま精錬六社でもって数千万の金を投じて続けさせております。まだまだこれから大いにがんばっていきたいと思います。時間がかかると思いますが、希望は捨てませんから、よろしく御指導を願います。
  58. 安田安次郎

    安田参考人 お答え申し上げます。  ただいま先生の御指摘のありましたように、日本の鉄鋼業界は恐らく技術的には世界最高の水準に行っておると私は信じております。したがって、今後手のひらが返るような技術革新というものはまず考えにくいと私は思います。ただし、目下研究しております原子力によるものが起こればそれはまた別です。  ただ、鉄鋼業界の中でも平電炉の方はずっとおくれておる。これはいま少し考えなければならぬものが残っておりまして、これは一分間のスピードによって決まります。一分間にどれくらいのスピードで丸棒が出るか。それは三倍も四倍も速いのも持っておられますが、そういうものを除いてはまず相当高い水準まで行っておりますので、先生の御指摘のあったように、私は特別大きな革新というものは考えられぬというふうに考えます。
  59. 粕谷茂

    粕谷委員 私の持ち時間が三十分まででございますので、時間を守らなければなりません。  そこで、いろいろ当面の問題として電気料金を政策料金に変えてほしいという業界の願いや、それから金融対策、特に利息を下げてほしいというようなこと、そのほか業界が今日抱えているいろいろな悩みがあります。そういうことについては全力を挙げて私たちも御要望に沿うように努力をさせていただきたいとは思いますが、なかなかいまの状況は、皆さん御承知のとおり、厳しく私たちはやはり判断をせざるを得ない、こういうたてまえに立っておりますので、皆様方の御希望が即かなえられるという状況ではありませんが、どうか、機会がありましたら、一番現実的にこういう方法でやるとわれわれの業界は少しは息つけるのだというものがありましたら、ひとつお申し出をいただきたい、こういうふうに思います。  これで質問を終わります。
  60. 角田両作

    角田参考人 ちょうどいい機会でございますので、皆さんにお願い申し上げたいと存じます。  恐らく皆さんはこんなこと御存じないと思いますが、私ども輸出業者は全部で約九千何百軒ございます。そのうちの約八五%が中小輸出専門業者でございます。ところが、この九千軒ある輸出業者でありますが、長年の間輸出貿易商としてやってきましたが、いまだ私どもの業種は分類別では卸屋でございます。輸出貿易商という分類にはいまだに入っておりません。去年、おととしも通産にお願いしましたが、今度改正するときには私どもの専門業者、商社をぜひひとつ輸出貿易商として入れてもらいたい、直してもらいたい。現在は卸屋です。卸業務の一角にあります。したがいまして、いろいろな問題が起きてもあるいは政府が乗りにくい点がたくさんあるのでございます。たとえばこういう不況になってあるいは転廃業しようと思っても、あなたのところは国内の卸屋と同じですということになれば、転換資金も何も恐らくもらえないだろうと思います。いままでにそういう不便を感じながら今日まで来ております。私どもは貿易商として、エクスポーター、インポーターとして世界にその名を広め、また肩書きも貿易商でやっております。ところが、そういった基本分類別では卸屋の一角でしかありませんので、本当に表向きには肩身の狭い思いをしておるのが現状でございますので、この際、私ども輸出業者輸出貿易商としてひとつそっちの分類別に分けていただきたいというのが——私ども輸出軽工業品ばかりでありません。私は全国中小貿易業連盟の理事長もやっておりまして、それが二千軒、その他方々からの要望でございますので、去年、おととし通産省の方へはお願いの書類は出ています。多分来年あたりが改正時期とか言っていますので、どうかこれを貿易商として一項目にやっていただきたい。  そうすればまた張り合いが出るのと、もう一つは、こういう不況に対してはこれじゃとても将来見込みがありませんからもう廃業しましょうと言って、政府の御援助を得て違う方面へまたかえることもできると思います。いまのところは国内の卸屋ですから何らの対象にもなりません。こういったときには呼び出されて貿易商なんて言われておりますけれども、法的にはそういう状態でございますので、この際、ぜひひとつ先生方の耳に入れていただいて、また、もちろん通産省に対しては私どもも十分にお願いいたしますので、早く貿易商として認めていただきたい、こういうわけでございますので、どうぞよろしくお願いいたします。
  61. 粕谷茂

    粕谷委員 どうもありがとうございました。  質問を終わります。
  62. 中島源太郎

    ○中島(源)委員長代理 玉城栄一君。
  63. 玉城栄一

    玉城委員 私は、公明党・国民会議所属の玉城でございます。  本日は、御三名の参考人方々には、大変お忙しいところ、また大変深刻な状態の中で貴重な御意見をこれまで聞かせていただきましたことを厚く感謝を申し上げます。  私は、基本的に、いまの円高の問題も含めまして非常に大事な問題は、やはり政府政策という問題に大きな原因もあろうかと思うわけであります。昨日五十二年度の補正予算が成立をいたしました。したがいまして、政府の総合景気対策を含めまして、御三名の方々の、本当に深刻な不況で苦しんでおられる皆さん方の率直な御意見をお聞かせを願いたい、このように思うわけでございますので、よろしくお願いします。
  64. 角田両作

    角田参考人 先ほどから同じようなことを何回も申し上げてありますので、そう変わった意見はありませんが、とにかく、私ども中小企業製品、軽工業製品はほかの商品と違いまして、大体が資材を余り使わない商品でございます。大体手間とそういったもので外貨をかせいで今日に至っております。ところが、御承知のとおり、二百五十円台になってはなかなかもうどうしていいかわからないような状況に相なっております。これまた御承知のことと思いますが、後進国はいまアメリカでは特恵関税を受けています。たとえば日本でダース千円、韓国でダース千円、値段は同じでも、向こうは一割ないし一割五分の税金だけ安くなるわけですから、そういう悪条件がいまあるのでございます。それに、今度のこういう円高ということになって、ただもう、どうも何回聞かれても、いまどうするかということははっきりお互いにいい知恵はないと思います。ただ、ここで早くドルが安定してもらいたいということだけが私どものお願いだと思います。  それから、二百六十五円、七十円に戻れば結構ですが、戻らなかったならば一体どの辺で円を安定させるのか、ドルを安定させるのかということだけが私どもが逆にお聞きしたいことでございます。それから後、業界のために、また自分の生活のためにはいかなる苦心をしてもこれを続けなくちゃならぬという覚悟でやっております。
  65. 中山一郎

    中山参考人 お答えいたします。  補正予算の件でございますが、まことに早く決めていただいて感謝しておりますが、私どもの不況の一つは、やはり全体の三五%は建材なんです。建築関係のサッシを中心としたものなんです。一般の住宅関係ですが、これが百七十万戸ぐらいの修正をされたわけですが、実際のいまの建築の感覚としますと、百七十万戸くらいの予算に対しまして百五十万戸くらいなんです。その辺がそういうふうにいかないというところに、どこかに何か欠陥があるというふうに考えるものですから、私の方の一番大きいコンシューマーである建築業界、特に中小企業のサッシを使う建築業界の方にもう一つ何か活を入れていただきたい。だんだんはよくなってきておりますが、まだまだとても足らないというのが実情でございます。  それから、御質問に背くかもしれませんが、円高の問題は私たちの業界にも非常に大きな影響がありまして、十円円が高くなりますとアルミニウムトン当たりで約千円安くなるわけですが、入ってくる地金は、十円円が高くなりますと一万円安く入ってくるわけです。差し引き九千円われわれは足を引っ張られる、そういうことでございますから、先ほど来いろいろお話があるように、円高を放置されたのではかなわない。やはりある程度のところでとめていただかないと、業界全体としてどうしてやっていいかという対策が立たないのです。ですから、そういう問題も、これから補正予算が済んで今度本当の予算に取り組むときには、円高もこの辺でもうというような何か施策がないと、産業界全体が非常に弱っちゃうのじゃないかと思うのです。十円上がって一万円ずつ足を引っ張られたんじゃやりようがないです。そういうようなことですから、どうぞよろしくお願いします。
  66. 安田安次郎

    安田参考人 ちょっと一言お答え申し上げます。     〔中島(源)委員長代理退席、武藤(嘉)委員長代理着席〕  政府の約一兆円の予算が追加されますとそれは鉄の鋼材何トンに響いてくるだろうかということでありますが、いままでのデータいろいろやってみますと、一兆円の予算が公共事業に投資されますと、平電炉の小棒が、形鋼だけじゃなく、一般メーカーのつくっております厚板であるとかあるいはH形鋼を含めて、多く見積もっても大体七十万トンということです。二兆円になりますと約百三十万トンか百四十万トンの影響があるだろうということであります。したがって、月十万トン程度のものはよけいの需要としてあらわれてくるんじゃないか。いままでのデータで見ると、大体六、七十万トンというものが一兆円というものの効果としてあらわれる、こういうことであります。
  67. 玉城栄一

    玉城委員 この円高の問題、ドルショック、オイルショック、こういうトリプルパンチと申しますか、非常に深刻な事態に置かれておるわけでありますが、政府の総合景気対策にしましてもこの円高の問題で吹っ飛んでしまったんじゃないか、効果はないんじゃないかというような意見もありますけれども、その点について率直に、簡単で結構ですから、お聞かせをいただきたいと思います。お三名の方々からそれぞれよろしくお願いいたします。
  68. 角田両作

    角田参考人 円高円高でもって、それで頭を費やしておりますが、ここでまた私の方からひとつ逆にお願いしたいことは、議長武藤先生もおりますので、先ほど冒頭に申し上げました緊急対策融資ですね。これが十月一日から実施という新聞、あるいはそういう発令があり、私どもも明細をもらっておりますが、先ほど申し上げたとおり、いまだ実行されておりません。銀行などに聞きますと、また、ある方面から聞きますと、大蔵の方がここにおるかどうか知りませんが、財源がないとか、何とかかんとか言っているようなことを聞いております。それから金利に対しても、七・六%じゃ市中銀行よりも高いのじゃないか、こういう声が多いので、それも何とかならぬかということを私の方は通産省の方に申し上げましたところ、大蔵省あたりでは財源がないからどうとかこうとかでなかなかはっきりされておりません。これは名前を申すわけにもいきませんし、中小金の方に聞いてみますと、まだ基本的に決まっていないというようなことを、日銀からの指図がないようなことを聞いております。  せっかく八月からお願いしてやっと承認していただいたこの緊急融資がいまだ実行されないなんていうことは、やっていることがまことにどうも消極的じゃないか。それだったら何も緊急融資にならないんじゃないか。いまここで三カ月、一カ月というのは非常に大事なときです。どうかひとつこれを、大蔵省の方だろうと思いますので、何とか——私の方はきょう返事をいただきたいところですよ。そういう結果ですから、円高もさることながら——円高はこれからいかにしてこなしていくかという一つの、三月、半年の余裕がこちらでは必要なんでございます。それにはやはりいまお願いしてある緊急融資が早く私どもの手に渡って、それによっていろいろな対策を講じなくちゃならない段階でございますので、先生方のお力によって、本当に積極的に、決まっているんですから出したらいいじゃないかというような気がいたします。そういうことですから、どうぞひとつよろしくお願いいたします。
  69. 中山一郎

    中山参考人 お答え申し上げます。  先ほど申したように、個人住宅がもう少し活発にならぬといかぬということでございますが、この補正予算で私の方はほとんどまだ影響がないということははっきり言えると思います。これから出てくると思いますが、いまのところございません。  それから、円高はひどい目を食っております。十円上がるたびに約一万円地金が安くなる、われわれの国内で売っているものを一万円足を引っ張られる、はっきり言うとそういうかっこうになっておりますが、これはどうしようもないのです。それですから、輸入の方を何かうまく行儀よく整理整とんできないものか。これは独禁法にひっかかるかもしれませんが、ここには堺課長さんもおいでになるからいろいろ御指導にあずかってやりたいと思いますが、たとえば、大体三割輸入しておりますから、国内の物二に対して一輸入品をくっつけて売れればお行儀よくいくから、円が高くなればなっただけ安く入れば、コンシューマーの方も安い地金が入るからそれでいいと思います。しかし、国内でつくっているものをつぶすわけにいかぬ。それにはやはり国内の価格というものはちゃんとありますから、それでお引き取り願うというふうにミックスして売れば、円が高くなってもそういう避難道はあると思うのです。ですから、円が高くなることを恐れずに、円が高くなったらどうしたらいいかという処置を真剣に私は考えなければいかぬと思う。円が高いのは結構だと私は言いませんが、政策がうまくいけばそれで結構、いかない以上は円が高いのは非常に困るということをはっきり言えると思います。その辺どうぞよろしく御勘案の上、政策を立てていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  70. 安田安次郎

    安田参考人 一言申し述べます。  円高の影響は全く致命的であると先ほど申し上げたわけでありますが、実は工業組合もカルテルをやっておる仕組みを申し上げますと、生産の枠は、国内枠は何トン、輸出枠は何トンと、こういう決め方になっております。したがって、円が高くて輸出できなかった場合は、輸出のできなかったものは国内に振り向けられるかというと、それはできなくて全部減産せなければならないことになっておるわけです。それだけに、輸出のできない場合はもうもろに減産ということにつながるという仕組みになっております。したがって、アウトサイダーになっておられる方はそういうことはないので、何とか規制してくださいとさっき申したのはそういう理由もあるわけであります。それで、つい最近までの実績の表を見てみますと、いまのような状態のスピードでいきますと、恐らく電炉の昨年の実績よりことしは百万トン輸出減になるだろうという数字の統計になると思います。
  71. 玉城栄一

    玉城委員 平電炉関係につきましては、この間当委員会としましても視察させていただきまして、現場で本当に深刻な状態につきましてつぶさに御説明いただきまして、その節は大変ありがとうございました。  最初角田参考人がおっしゃいました緊急融資の件でありますけれども、こういう深刻な事態に通産省がそういう円高対策一つとしてこういう制度が打ち立てられた。しかし、これが実行されておらない。これはきわめてけしからない、このように思うわけでありまして、この円高の問題におきましても、政府側としましてはいろいろな実情調査は何回もされておる、しかし、有効な対策を立てられてその一つすらそういう発動をされておらないという状況、これはまことにいまの中小企業行政というものにきわめて大きな問題があろうと、私もそのことを痛切に感じておる一人であります。  先ほど中山参考人のおっしゃいました冒頭での御説明の中で、いわゆる電力料金の問題、備蓄の問題、金利の問題とありましたが、電力の料金の特別措置を要求する、しかし、電力料金引き下げはガット上補助金とみなされ、アルミ製品の輸出に累を及ぼすという意見がありますけれども、その点についてどのようにお考えになっておられますか、お伺いいたします。
  72. 中山一郎

    中山参考人 お答え申し上げます。  日本電力料金制度というのは、御承知おきのとおり、原価主義ですね。原価がこれだけ上がったからこれだけ上げる、そういう主義になっておるわけです。ところが、北米にはとてもかなわないが、せめてEC、西ドイツやフランス、イタリア、英国、その辺と戦するわけですが、その方面は全部原価主義でなく業界別に電力料金が違っておるわけです。ですから、そういうガットの問題を考えると、やはりそちらにも問題があるのじゃないかと思いますが、私たち本来は輸入している産業でございまして、輸出するものじゃないのです。輸出したら大赤字なんです。ところが、どうしても金融がつきませんものですから輸出に向かっていますが、普通の状態では地金というものは輸入すべきもので、輸出するものじゃございませんから、電力料金の関係はそういう輸出の方からは本来ならないはずなんです。輸出はないのですから、あったらおかしいのです。ところが、現在は十何万トンも輸出しております。これは非常に苦しくて経営が成り立たぬから、金利に追われてしまっているということでどうしようもないものですから、やむを得ず輸出をしているというのが実情でございます。お答えになりませんかね、これは。よろしゅうございますか。
  73. 玉城栄一

    玉城委員 この円高の問題におきましてプラスの面そしてマイナスの面と申しますか、石油関係電力関係、これは円高によってプラスの面があるわけですね。そのマイナスの面が、皆さん方深刻な状態に置かれておるわけですね。したがって、そのプラス・マイナスというようなことで、この電力料金について特別な措置が講ぜられてもしかるべきではないかという考えもあるわけでありまして、そういうようなことが先ほど申し上げました点で一部ひっかかりがあるということを承っておりますので、それについての御見解をお聞きをしたかったわけであります。  平電炉関係につきましては、先ほど雇用問題がございました。そのときも状況につきましてはお伺いいたしましたけれども政府としてもあるいはわれわれとしましてもこの救済措置は当然全力を挙げてやるべきだと思いますが、皆様方自体とされてどういう対策を現在とられ、また今後どういう対策をとろうとされておられるのか、その点をお聞かせをいただきたいと思います。
  74. 安田安次郎

    安田参考人 一言申し上げます。  電炉業界では、この問題に関する限り、いろいろ調査を始めたのですが、残念ながらりっぱな資料は出てきませんでした。と申しますのは、その会社の秘密に属しまして、何人をどういうふうに整理するとかということになると、まず当該企業と組合との話し合いが決まらない限り出てこないわけであります。したがって、構造改善の問題に手を触れたときに何人の人が余剰人員として出るかというような資料は、残念ながら出ておりません。  そこで、鉄鋼労連の方からの申し入れもありましたので、鉄鋼労連とわれわれの首脳部の方とで平電炉の構造改善の雇用対策連絡協議会というものをつくりまして、互いに持ち寄りましていろいろの会議をやっております。その席上で了解事項としてやったことは、第一点は、雇用の問題は当該企業で最大限の努力を払って解決していただきたいということが第一点。第二点は、平電炉ですから、もしその企業で処理できないものについてはオール鉄鋼業界として取り上げてもらいたい、こういう意見が第二番目に出ました。第三番目は、それでもなおかつうまくいかなかったときには労使一体となって労働省なり官庁に当たろうじゃないかというグラウンドルールのような話し合いはついております。その線に沿ってやっておるけれども、具体的な数字がいまだに出ていなくて御報告できないのは残念ですけれども、各社は出してくれません。相当出るということはわかりますけれども、残念ながら数字はわからないと申し上げるより仕方がないと思います。
  75. 玉城栄一

    玉城委員 時間もございませんので、最後に角田参考人にお伺いいたしますが、先ほども話の出ました為替変動対策緊急融資、この制度ですけれども、二千万、一年据え置きというようなことで、利子はそのままなんですが、皆さん方とされましてはこの制度をどのように評価をされて、またどういう活用をされようとしておられるのか。話に聞きますと、ただでさえ借金を抱えて先行きどうなるかわからぬのに、こういう利子で金を借りたって返す当てがないじゃないかというような声も聞こえるわけでありますけれども、率直に、またその制度について要望も含めて御意見を承りたいと思います。
  76. 角田両作

    角田参考人 緊急融資はもともと私ども業界が一丸となってお願いしたものでありますので、これはもう非常に期待しております。ただ、先生のおっしゃった小さいメーカーでは、まだ借金を抱えているし、ただもらえるならとにかくも、返さなくちゃならぬから、これ以上借りては大変だという業者もおります。それからまた、これによって自分のいろいろな商品開発とかあるいは新型をつくって新しくやっていくという意欲に燃えている方もおります。ただ、業界で心配していますのは、四十八年の石油ショックのときに借りましたそれがまだ多少残っているんですね。それと、各銀行から金を借りていますので恐らく担保もそこへ入っていましょうし、担保力がないからというのが業界としての悩みなんでございます。制度はまことに結構なんでございますが、ただ、今度は借りる場合に担保力がないから削られるんじゃないかというようなこと、現在心配しているのはそういうことでございます。ですから、この間も無担保八百万円まで上げてもらいましたですね。そういう程度で、私はこれを活用していくんじゃないかという期待が多いのでございます。  ただ、残念なことには、金利が七・六%では普通の銀行よりも高いのです。だからせめて五%、しかも救済的金融措置ですから、五・五以上取るということは、ちょっとどうも取り過ぎるというよりも余り酷じゃないかという感じがします。普通私どもが現在貿手で借りておりますのは五・五ですから、少なくともその辺までに持っていっていただかなければ、せっかくいいものをつくっても使わせないようなことをやっているんじゃないかという感もいたします。業界の約一割、二割は借りる必要はないなんということを言っているのも耳にいたします。まことに制度は結構なんですよ。こういうことによって業界は助かります。ただ、しようがない、やはり借りなければならぬなという考えですけれども、七・六は、ちょっと銀行に信用のある人は、それを借りぬでも七%出せば銀行で楽に貸してくれますから、そういう考えもあるということで、この際、ひとつ本当に助けるんだったら、金利を思い切って下げてもらいたいというのが私どもの偽らざるお願いでございます。  これは本当にりっぱな制度ですから、これをみんな待ち構えています。待ち構えていて、うちあたりはまだですか、まだですかなんという電話がかかって聞きにきます。そのうちに発表できるだろうというようなことでもって返事をして返していますが、本当に一日も早く実行に移してもらいたいということをお願いする以外にないと思います。どうぞそういうわけですから……。
  77. 玉城栄一

    玉城委員 大変貴重な御意見、どうもありがとうございました。  以上です。
  78. 武藤嘉文

    武藤(嘉)委員長代理 宮田君。
  79. 宮田早苗

    宮田委員 参考人の方には大変と思いますが、十五分間時間をいただいておりますので、まず安田参考人にお伺いをいたします。  三百三十万トン分の設備廃棄ということでございますが、現在三〇%操短をしておるわけでございますので、もちろん廃棄される炉そのものについては別に人はついていないのじゃないかというふうな計算もできるわけでございますが、廃棄を予定しておりながら優秀な炉はまだ稼動しておるのじゃないかと思うわけでございます。非常に内容が複雑でございますから、機械的になかなか答えにくいのじゃないかと思いますが、私の聞かんといたしますのは、実は、人のついております炉、また、長い間こういう不況が続いておりますので休止しておりましてすでに人のついていない炉、同時に、この苦境を何とかして乗り切らなければならぬということですでに整理されたところ、こういうものが今日ふくそうして出てきておる、こういうふうに思っておるわけでございますので、まずお聞きいたしますのは、操短を余儀なくされておりますと、雇用の制度そのものが外国と違いますので、この平電炉業界におきましては大体どの程度の従業員を抱えておられるか。     〔武藤(嘉)委員長代理退席、山崎(拓)委員長代理着席〕 同時に、それだけで見るということもどうかと思うのです。関係いたしますいろいろな会社もあるわけでございますから、直接ついております人、同時に関係をしております人、安田参考人、ひとつ掌握されておりますなら、その点からまず総体的にお聞かせ願いたいと思います。
  80. 安田安次郎

    安田参考人 実はその資料を詳しく調査すべくやったことがあるのですけれども、数字は出てまいっておりません。ただ、この構造改善という問題に取り組む以前の状態のときには、電炉メーカーで直接使っておるカルテルメンバーの人たちのは、四万五千人と言われておりました。これも具体的な数字の統計じゃありません。それで、皆さんに出してもらいたいということを言っても、いま申し上げましたように、先ほどの先生に申し上げたようになかなか出てこないのであります。そう言うておるうちに、新聞紙上にありますように、自分で炉をとめて人員整理に入る会社もあるし、それから配置転換する会社もある。それと、一番最初に行われておることは、私の見たところでは、自家工員、作業員を残して、請負をまず切る。社外工と切りかえることのできる会社はまずそれをおやりのようです。それをやった後で、どうにもならないところは組合と話をして希望退職に入るというのがいままでの経過のようです。ただ、具体的な数字は、残念ながら申し上げるような資料は全然ございません。
  81. 宮田早苗

    宮田委員 不況に入ってもう三年になるわけです。その間私どもがキャッチしたところによると、もうすでに二千五百人以上の整理があったのではないか、こう思うのです。さらに現在、会社の名前を言いますと失礼になりますから申しませんが、希望退職を募ったり整理を発表したりというところもだんだんに出ておると思うわけでございますので、さらに三百三十万トン分の廃棄に伴う離職者ということになると相当膨大になりはせぬか、こう思うわけでございます。正確な数字がなかなか出にくいということについてはわかるわけですけれども、ある程度の予測として判断ができないものかどうか。  といいますのは、私どもよく考えてみますと、最近、八月現在で失業者は百六万と労働省は発表しておるわけですよ。とてもじゃないが、発表されております百六万というふうには私ども考えていないわけです。パートを中止したところもありましょうし、あるいはさっき言いましたように、余剰人員を抱えて草むしりとか掃除をさせておるところもあると思いますので、このままの形で私どもが見て対策をいたしますと、相当大きな反響を呼ぶということより失敗するのではないか、こう思います。  そういう意味からしますと、この構造不況業種の平電炉一つをとりましても、大体この程度の人をやめさせなければならぬということをここであなたの方から言っていただくことが、これからの対策の一つ参考になるのではないかと思いますので、一応、正確な数字でなくても結構ですけれども、どの程度かということがわかればひとつ言っていただきたいと思うのです。
  82. 安田安次郎

    安田参考人 ただいまおっしゃったこと、われわれも知りたいと思いまして、鉄鋼連盟の平電炉部の方で、各社がどの炉をいつおとめになって何人の人を社外工と切りかえられるか、そして何名希望退職をとられますかという調査資料を渡して全部回してあるのだけれども、集まってこないのです。  ただ、抽象的に申し上げますと、三百三十万トンというのは製鋼全能力に対し一六%に相当するわけです。そうすると、一六%を切らない以前から見れば一〇%くらいのものはどうしても離れるのじゃなかろうかとか、そういう抽象論はできましても、具体的な数字というものは、いま申し上げたように、資料を何遍渡しても全然出てこないので、各社まとまった数字だけは申し上げられないのはまことに残念ですけれども、遺憾ながら申し上げられません。
  83. 宮田早苗

    宮田委員 次にお尋ねいたしますのは、アウトサイダーの問題についてです。  自由競争という原則もございましょうけれども、こういう不況を乗り切るためにはある程度連携を強化しなければならぬというのはわかるわけですが、それにもかかわらず二〇%程度の組合に入らぬというところが出ておるわけであります。特に他の業種と比較して平電炉はわりあいに多いんじゃないかという気がするわけでございますけれども、この原因は何と思われますか。その点、安田参考人の判断で結構ですから、おっしゃっていただきたい。
  84. 安田安次郎

    安田参考人 申し上げます。  実は組合に入らない方々全部に一応私は会いました。どうしても入ってもらいたいということで会ったのですが、それらの人たちの考え方はそれぞれ違っております。一つは、組合に入るとどうしても減産しなければならぬでしょう、そうすると自分の会社としては資金繰りがつかないから入るわけにいかぬのだと言われる方がおられます。そういう考え方の人もおられます。また、現実に組合員でありながら守らないやつがいっぱいおるじゃないか、それにもかかわらず入れというのはどういうことだ、だから私は入らぬのだと言われた方がおられました。それからまたもう一つ、変わった理論として、経営理念としてカルテルとか組合というのはいやなんだ、私らの方は総論としていやだ、各論じゃないのだ、こういう方もおられます。外におられる方で、大ざっぱに見て、いま申し上げた三種類の方がおられると思います。カルテルに入れと言われても、メンバー自身の姿勢が直らぬうちはだめだよという方がおられることだけは間違いないと思います。
  85. 宮田早苗

    宮田委員 もう一つ、アウトサイダーの中に設備を拡張しようというところもあるようでございますが、その点について五十二社の中で、参考人まとめておいでになるようですけれども、御意見を聞かしていただきたいと思います。
  86. 安田安次郎

    安田参考人 五十二社の中には、設備の改良とかいろいろなことをする人は、通産省のヒヤリングが終わっておりますので、そういう方はおられません。もし新しい設備ができたとするならば、古い設備をおろしてリプレースしたものであって、新設のものではないということでございます。これは全部通産省がヒヤリングを細かくやっておりますから、全然間違いはございません。今後はやらないということは、産業構造審議会の下部組織でできておりますし、恐らくないと思いますけれども、いままでのものについては、もし新しいものが仮にできておったとするならば、それにかわるべき自分の持っておる古い何かをおろしておられる方です。
  87. 宮田早苗

    宮田委員 次に、中山参考人にちょっとお伺いいたしますが、プール価格で国内販売をできないかどうかということについてであります。  アルミは、現在国産で百二十万トンですか、輸入で三十五万トンから四十万トン、こう聞いておるわけです。将来の供給を考えた場合に、今後も国産と輸入をミックスして供給する、こういうことになるのじゃないかと思います。その際一番問題になりますのは、わが国企業をどう存立させるかということが中心でなければならぬ、こう思うのです。そういう場合を考えて供給をする場合の仕組みですね、こういう点について何かお考えがありましたら聞かしていただきたいと思います。
  88. 中山一郎

    中山参考人 お答え申し上げます。  先ほど私が申し上げましたように、世界的に見ますとどうしても需給バランスがタイトになってくるという事態があります。そうしますと、いまわれわれの持っている設備というものがやはり非常に安くできていますから、電力が高くともほかの方で安くできておりますから、そういう時期にはお役に立つのだろうと思うから、凍結はしてもいいが廃棄はちょっとまだ考えていないということ。  それからあと、日本がいまでも大体百五、六十万トンの地金をつぶすわけですから、これは自由圏ではアメリカの次ですね。これは日本でもって全然つくらなくなったらそれだけ入ってきません。そうすると大変なことになるということですから、どうしてもある程度のものは温存しておかなければいかぬというのが——いまの産業構造審議会のアルミニウム部会の諸先生方も、ある程度のものは置いておかなければいかぬじゃないか、それがあるから輸入品の方も価格をコントロールできるのだ、それがなかったらめちゃめちゃな高い物が入ってきちゃうというようなことです。  それで、われわれのつくっている地金の二〇%は形を変えて輸出されているわけです。たとえば家電とかカメラとかミシンとか、一番大きいのは自動車ですね。これはわれわれの地金が形を変えて輸出されていますから、経済的なナショナルセキュリティーという意味からもある程度のものはわれわれは温存しておかなければいかぬ、そう考えております。それで、いま一生懸命海外投資をして、海外の安い地金を持ってきてミックスして売ろう、そういうことをやっておるわけです。  しかし、その間に、先ほどもお話ししたように円高なものだから、いま遠慮なしに安い輸入品が入ってきます。そうすると、われわれの方の国内価格より数万円安いものですから、足を引っ張られちゃうわけです。それで、いま円高から非常に苦境に立たされております。それで産構審の方でも、何か秩序ある輸入ということはできないものかということに主眼を置いて、いまディスカッションしていただいているわけです。それができないと非常に大きな問題だろうと思います。
  89. 宮田早苗

    宮田委員 じゃ、もう一つだけお尋ねしますが、アルミ精錬ということになりますと即電気料金ということになると思いますが、国際競争力の喪失も電気料金が一番大きな原因だというふうに思っておるわけです。そこで、近い将来、アルミを含めた基礎産業向けの電力料金に関しまして料金体系の見直しを行い、少しでも電力料金における国際的な格差を縮めることを考えなければならぬ、こう思っておるわけですが、参考人の御意見を聞かしていただきたいと思います。
  90. 中山一郎

    中山参考人 やはり油に依存している日本ですから、電力の大体七〇%は油に依存しておりますから、この油の値段が突如として三ドルくらいのものが十三ドルにもなったというようなときになると、従来の常識ではちょっと判断のできないショッキングなんですね。ですから、そういうような昔の安い油の時代エネルギー政策と、いまのように十三ドルもしてあと十年もたつと二十五ドルになるだろうと言われているようなときと、やはりエネルギーを中心とした電力料金体系というものは長期的に御検討願わないと、あらゆる基礎産業がみんなまいってしまう、そういうことだろうと思います。その辺、ひとつよろしくお願いいたします。
  91. 山崎拓

    山崎(拓)委員長代理 安田純治君。
  92. 安田純治

    安田委員 まず、安田参考人にお伺いしたいのでございますけれども、平電炉の問題につきまして、昭和四十八年ごろからの設備投資、これが非常に大きかったということを聞きますけれども、これは一つの見通しの誤りということにあったのだというふうに言われております。商社の方でメーカーの方の設備投資に口出しをしたということも言われておりますが、その点はどうなんでしょうか。
  93. 安田安次郎

    安田参考人 お答え申し上げます。  具体的の数字はわかりませんが、商社の方々もやはり設備に相当金を出しておられるということは聞いております。やはり各商社、自分の会社の商権にかかわることだものですから、できた製品は自分で販売するという条件のもとに設備にある程度金を出すという仕組みになっていたものがあるということは聞いております。
  94. 安田純治

    安田委員 また、メーカーの方から商社に、設備投資をするから融資してもらいたいというような持ちかけもしたというようなことも聞くわけですけれども、それやこれやで商社の方で金融をしておる額、総額でおよそどのくらいになるか、それはわかりませんでしょうか、大体で結構ですけれども
  95. 安田安次郎

    安田参考人 われわれの方で商社の投資した金融はどのくらいだということはやったことはありませんので、残念ながら資料がございません。御返答できないのが残念ですが、おわび申します。
  96. 安田純治

    安田委員 それでは次に、中山参考人にお伺いしたいのでございますけれども一定期間対策を特別に見てもらいたいというお話で、この一定期間というのは、先ほどのお話ですと、たとえば時限立法でいえば五年、これが無理なら三年ということをおっしゃいますけれども、どういう見通しで三年ないし五年ということになるのか、これをお伺いしたいと思うのです。
  97. 中山一郎

    中山参考人 先ほど申し上げましたように、あくまでもあれは私の私見として申し上げましたが、需給バランスの関係上、大体五年ぐらいたてば、世界のバランスがとれれば余分なものは入ってきませんから、そうディスターブされないからうまくいくのじゃないかと思うことと、それから、世界的に見まして、日本電気料金というのはばかんと上がりましたが、いまアメリカでも三倍とか四倍の値上がりを最近続けておるのです。そういうようなことで、アメリカと比較した場合には多少は電力の格差というものは縮まる可能性があるというようなことと、それから、われわれが海外投資しているものが戦力になって入ってくる時期が大体その辺に来ますから、そうすると、国内で少々高い電気でつくったもの、安いものが入ってくる、それから輸入の攻勢がそう続かないだろう、そういうような見通しから言うと、五年ぐらいたてばりっぱな業界にならなければいかぬ、そういう覚悟をしておるものですから、五年が長いというなら三年でもいいから時限立法でわれわれが生き延びるような方策をやらせていただきたい。というのは、輸入品国内品、独禁法にひっかかる問題ですから、そういうようなところをうまくお許しをいただいて販売を一本化していけば、そういう問題は解消すると私は思います。  これは余分なものが入ってくるからおかしなことにもなる。それも、あるときはどかんと入るが、あるときには入らないというようなことで、安いものを買えるコンシューマーと買えないコンシューマーとあるものだから、お互いが非常に不信感を持ってしまって、それで精錬も大変なんですが、板、圧延、管、棒、そういうメーカーも、サッシとかコンテナとかいろいろおつくりになっているコンシューマーも、地金は品質が大体一定なんですが、価格はある人は輸入でうまいことをする、ある人は輸入ができないとかそういうようなアンバランスがあるものですから、コンシューマーの本当の声を聞きますと、りっぱな地金を譲ってください、ただし価格はどのコンシューマーにお売りになるのも一定になるようにできませんかというのがコンシューマーの一番の望みなんです。ある人は安く買う、ある人は高く買って、それで競争したら安く買った人にかなわないです。いまのままほうっておくと、うまくやった人は安く買う、そういうことがありますから、その辺を時限立法か何かでないと、そういうのは独禁法にひっかかってできないです。私たちは決してえらい金もうけしようなどと、そんなことは毛頭思ってない。とにかくつぶれないように何とかがんばっていかなければ国のためにならぬ、そう考えておりますものですから、よろしくお願いいたします。
  98. 安田純治

    安田委員 アルミの問題では、海外の合弁会社といいますか、開発といいますか、そういうことをおやりになっているという話ですけれども、現在どのくらいその合弁から輸入されているのか、数字がわかりましたらお教えいただきたいと思います。
  99. 中山一郎

    中山参考人 お答えいたします。  四十万トンのうち大体十二万トンが自分で開発して輸入して現在入っております。ですから、円高の影響を受けましてこれはもうかります。はっきり申し上げます。  それから、あと計画中のものは、一番大きいのはブラジルの三十二万トン、それからアサハン、インドネシアの二十二万五千トン、それからベネズエラ、これは近いうちに十六万トンくらい入ってきます。ですから、自分で投資をして開発して持ってくる、そういうふうな方向で、もうこれ以上国内は増産できませんから、これからのふえる分は自分で開発して持ってきてやろう、そうしないと採算面でも合わない、そういうことでいろいろ政府の御援助をいただいて海外投資させていただいております。
  100. 安田純治

    安田委員 合弁といいますか、開発して輸入する部分は、むしろ円高である程度利益があるといいますか、そういうことをいま伺ったわけですが、全体として見ますと、先ほどから平電炉業界参考人の方もあるいは角田参考人も、円高の問題が対策を立てるについてのいわば致命的なファクターであるというふうに伺えると思うのですね。共通して言われることは、円が高いことはある程度やむを得ないとしても、一定のレートで安定させてもらいたいという強い御要望のように伺ったわけですけれども、さて、いまの状態で必ずしもそうなるかどうか、そういうように努力はしなければならないと思っても、未確定なものだということを前提にして、たとえばアルミの場合の一定期間というものを考えた場合、そういう未確定要素がどういうふうに一定期間の見通しに作用するか、これを中山参考人にお伺いしたいと思います。
  101. 中山一郎

    中山参考人 お答え申します。  円高というのは私の方に非常に大きく響くんです。先ほどもちょっと御説明しましたが、アルミニウム一トンの原価が三十数万円、会社によって違いますからはっきりは申し上げられませんが、三十数万円です。そのうち、円が十円高くなってボーキサイトが千円しか寄与しないんです。ところが、輸入する方は、十円円が上がりますと輸入品が一万円安くなる。そうすると、われわれの方の三十数万円の内地のものと三十万前後のものと競争しなければいかぬ、それで非常に打撃を受けるものですから、これではどうにもならぬということです。そこで、輸入というものを何かうまくコントロールできる方法を考えないと、われわれの業界はおかしくなってしまう。それで、いま産構審でもそういう点をいろいろ御審議願っておる、そういうのが実情でございます。円高はアルミを三割輸入している業界には非常に大きな影響があるということを申し上げたいと思います。
  102. 安田純治

    安田委員 それで、三年ないし五年のいわゆる時限立法といいますか、それは一つの例でしょうけれども、一定の期間をかしてもらいたいと言われる、その一定の期間の見通し、円のレートが非常に安定しないとすれば、その一定期間というのもちょっととりようがないような感じがするのですが、そうでもございませんか。
  103. 中山一郎

    中山参考人 もちろん円レートが一定になった方がいいのですが、これはわれわれの手ではどうしようもない問題で、国全体の問題ですから、業界から見れば安定した方がいいというわけでそういうお願いをしているわけでございまして、円レートが上がったり下がったりされたら経営の基盤をどこへ持っていっていいのだかわからぬということで、これは一アルミ業界ばかりでなく、すべての業界がそういうことになりはしないかと思います。
  104. 安田純治

    安田委員 時間がございませんので、一応これで終わります。どうもありがとうございました。
  105. 山崎拓

    山崎(拓)委員長代理 大成正雄君。
  106. 大成正雄

    大成委員 産業界の参考人の皆様方には最後まで御協力いただきまして、長時間お疲れだったと思います。恐縮でございます。不況対策国会と言われるような今国会ももう一カ月近くを経過しまして、現場を預かるわれわれの委員会がきょう初めて業界の皆様方の苦しみを聞くということは本当に申しわけないことだと思っております。しかしながら、せっかくの御陳述でありますから、この業界の苦しみを胸に、われわれも精いっぱいこたえていきたい、このように考えております。  まず、アルミ関係でお伺いをいたしたいと思いますが、このアルミ関係の構造要因というのはきのうきょうの問題じゃないと思うのです。この累積赤字あるいは膨大な借入残、こういったものはこれを如実に物語っておると思うのでありますが、アルミ業界の今日までのこのような構造的な不況に対して政府自身からいままでどのような援助を受けられたか、これをひとつ承りたいと思います。
  107. 中山一郎

    中山参考人 直接いろいろやってはいただいていますが、昭和五十年度の赤字が精錬だけで約八百億あったわけですね。というのは、トンで大体六万円くらい。売れば損する、売らなければやっていけない、つくらなければ死んでしまうというようなことでやったのですね。それから五十一年度の赤字が約五百億ですね。これもすべて電力の突如とした三倍半の値上がりからきた。アメリカと比較しますと、三十数万円の原価に対しまして電気からくる格差というのが少なくとも八万円はあるのです。これはどうしようもないですね。私たちは、電気は五円にしなさい、電気を五円にすれば、あとは何もやっていただかなくても世界で一番高い電気五円でがんばりますと言うのだが、いやそいつはできませんよというので、これはなかなか根本問題ですね。それで、自民党、野党の先生方にもいろいろお話ししてみると、それはおまえの言うとおりだろうがすぐにはいかないな、時間をかけるよりしょうがないな。それであと、エネルギー庁の電気事業審議会の料金制度部会の方でいろいろ電気の審議をやって電気料金を決めるわけです。私も委員でございますが、逆に一般の民生の電気はその割りに上がっていませんが、石油ショック後の工業用の電気というのは非常に上がったわけです。それで、今度の料金制度部会のときには直していただきたいと思うことがたくさんあるわけです。われわれは電気をフラットに使うから負荷率割引というのがあったわけですが、そういうのを全部外されてしまったから、石油ショックで非常に油が上がった上に積み増しされてしまったわけです。だから、そういう点については政府のエネ庁さんの方も御理解をいただいていると思いますから、そういうものから今度は切り開いていきたいと思います。  それから、いまわれわれがお願いしているのは発電所ですね。ボイラーとかジェネレーター、ああいうものはよその国では大体三年に一遍とか四年に一遍やるわけですね。ところが、日本では規則で毎年やるわけです。毎年四、五十日休むと、その間高い電気を買わなければならぬということがありますから、こういうことも徐々にエネ庁さんにお願いして、外国並みにしていただきたい。日本の機械は一番優秀なんですから、外国が三年なら日本は五年でもいいはずなんです。そういうようなことで、これからいろいろ政府にお願いする。いままでのところは、いろいろお考えおき願って感謝しておりますが、根本的なところには手が届いていない、そういうことを申し上げておきます。
  108. 大成正雄

    大成委員 重ねてお伺いいたしますが、現在、業界として買電しておられるのと自家発しておられるのと、そのシェアはどのぐらいの比率になっておられましょうか。
  109. 中山一郎

    中山参考人 お答え申し上げます。  買電が二二%、残りが自家発、共発でございます。共発の大部分が油でございます。油が全体として七〇%です。水力と石炭と天然ガスとありますが、自家発、共発をまぜまして、七〇%油に依存しておる、そういう現状でございます。
  110. 大成正雄

    大成委員 重ねてですが、油の中でナフサの生だきはしておられるでしょうか。
  111. 中山一郎

    中山参考人 それはやっておりません。
  112. 大成正雄

    大成委員 六千億からの借入残ですが、平均的に言って、利子率というのは業界としてどのくらいの利子負担をしょっておられるのでしょうか。
  113. 中山一郎

    中山参考人 これは各社のことですから、私、ちょっとわかりませんね。大体八%から九%くらいにはまだなっているのじゃないですか。大分金利が下がっていますが、前に借りたやつはそれなりですからね。やはり九%前後じゃないかと思いますが、よくわかりません。
  114. 大成正雄

    大成委員 すると、利子負担だけでも大変だということがわかるわけですし、また、それが業界の足を大きく引っ張っているというふうにも理解いたします。  さて、繊維もそうですけれども、川上とか川下と言われますが、業界におかれましても、先ほどの輸入物の価格と国内物の価格とのプールの問題があります。この業界自体の垂直的な再編成というものは避けて通れないと思うのですが、この点に対する業界の足並みとか、いまどの程度までそういった作業が進んでおられるのか、ちょっと伺っておきたい。
  115. 中山一郎

    中山参考人 実はこのままではみんな死んでしまうというので、精錬業界圧延業界とサッシ業界、これの方で今度は逆に組合が一本になってしまったのです。いままでは精錬屋と圧延屋は、どちらかというと売り買いで相反目しておった。今度は圧延屋さんとサッシの方はまた反目するというようなことで、お互いが反目し合っておったやつが、はっきり言いますと、お互いがいま全部死にかかっております。これはとても助からぬ、少なくも労働組合でも一緒になろうじゃないかということで一緒になって、この二十七日に総決起大会をやって、議会にも請願に参ります。そういうわけでございますから、機運としてはそうならざるを得ない、だんだんそうなっていくと思いますが、従来長い間の資本関係や歴史がありますから、簡単にはいかない。しかし、精錬業界圧延業界が今度は協会を一緒にしてしまう、そういうふうにだんだんお互いが力を合わせていく。ですから、圧延業界の方も、いままでは精錬の方でとてもかなわないからタックスを上げようなんと言ったら、とんでもない話だ、タックス下げるべきだと言うんだが、もうそういう話し合いもお互いが理解ができたし、輸入の問題も、やたらに入っちゃ圧延も大変なんです。やたらに入ったらどうにもならぬです。ですから、それも一緒にやろうというわけで、今度業界が一緒になるのです。将来先生の御指示のとおり動いていく。まず労働組合から動いていきます。そういうことでございます。
  116. 大成正雄

    大成委員 アルミの方の最後として二つばかりお伺いしますが、開発輸入したものと一般的な輸入したものとの受け取り価格の違いがどの程度あるのかということ、それからもう一つは税金関係ですが、国内精錬施設に対する固定資産税の減免はどうなっているのか、それをちょっと承りたい。
  117. 中山一郎

    中山参考人 自分で開発して輸入したものと単純に買う地金、これはケース・バイ・ケースで、非常に市場性が強いもので一概には言えませんが、自分で開発したものの方が安いことは間違いございません。どのくらい安いということはちょっと申し上げられませんが、ケース・バイ・ケースで違うと思います。安いことは確かです。
  118. 大成正雄

    大成委員 固定資産税で減免措置がされているかどうか。
  119. 中山一郎

    中山参考人 いや、されていませんよ。
  120. 大成正雄

    大成委員 申請はしていませんか。
  121. 中山一郎

    中山参考人 いろいろやったことはございますが、やっておりません。
  122. 大成正雄

    大成委員 わかりました。  では、軽工業関係について一つだけ承りますが、先ほど来円高の問題で深刻な状態であることはよくわかったのですが、逆に、輸入を促進しろという面があるわけであります。その輸入促進の品目の中に競合品目がずいぶんあると思うのです。この輸入の影響についてちょっと承りたい。
  123. 角田両作

    角田参考人 私ども商品は、いま輸入の競合品というのはそうありません。台湾香港あるいは韓国から安物のおもちゃとか工芸品とかそういうものもいろいろ入っておりますが、国内産業がそれによって圧迫されるというようなことはそれほどないと思います。もしあるとすれば、輸入組合がございますから、ある程度そこで阻止することもできると思いますから、さほどそういう影響はないと思います。ただ、私どもレートによって左右される。  ただ一つ参考までに申し上げますと、私がいま申し上げているのは、大体資本金十億円以下の中小企業に関して申し上げているのですが、私ども輸出は多くのメーカーの製品を取り扱って輸出しています。それから、たとえば一つ商品がだめでも次の次といろいろ方法はあります。ただ、メーカーの方は中小企業メーカーですから、商品が単一化されています。これまでのあれでいきますと、大体内地が半分、輸出が半分、輸出専門というのは最近はだんだんなくなりました。ところが、いま内地物は余りよくありませんので、苦しい立場でございます。  よく、役所といいますか政府方面では、打撃を受けているというけれども倒産は輸出にはないじゃないかと言われますけれども、二百六十五円が二百五十円にきょうなったって、あしたから倒産するようなことはありませんね。というのは、二月、三月の注文は多少なりとも抱えておりますから、それをこなしていく時間と、また、メーカーもそれによって一カ月、一カ月半こなせる注文を与えてあります。そういうわけで、皆さんが思うほど、致命的な打撃を受けているなんて私ども申し上げますけれども、そうやすやすと倒産には追い込まないようにやっているのが私ども業界でございます。しかし、苦しいことは申し上げるまでもなく相当苦しいということでございます。
  124. 大成正雄

    大成委員 ありがとうございました。  では、時間がありませんので。
  125. 山崎拓

    山崎(拓)委員長代理 以上で午前中の質疑は終了いたしました。  参考人各位には、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚くお礼を申し上げます。  午後二時三十分から委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午後一時四十分休憩      ————◇—————     午後二時三十四分開議
  126. 野呂恭一

    野呂委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  不況対策問題等調査のため、明二十六日、参考人の出頭を求め、その意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  127. 野呂恭一

    野呂委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、参考人の人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  128. 野呂恭一

    野呂委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————
  129. 野呂恭一

    野呂委員長 午前に引き続き、不況対策問題等について調査を進めます。  午後からの参考人として、栖原参考人鈴木参考人西岡参考人山田参考人、以上四名の方々に御出席を願っております。  この際、参考人の各位に一言ごあいさつを申し上げます。  参考人各位には、御多用中のところ本委員会に御出席をいただき、まことにありがとうございます。  ただいま本委員会におきましては、特に不況対策問題等について調査を行っておりますが、参考人各位におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただき、今後の調査参考にいたしたいと存じます。  なお、議事の順序でございますが、最初に御意見をそれぞれ十分程度お述べいただき、次に委員質疑に対しお答えいただきたいと存じます。  なお、念のため申し上げますが、発言の際は委員長の許可を得ることになっております。また一参考人委員に対し質疑をすることはできないことになっておりますので、あらかじめ御承知おき願います。  それでは、まず、栖原参考人にお願いいたします。
  130. 栖原亮

    栖原参考人 栖原でございます。  紙の問題についてお話を申し上げます。  日本の紙、板紙産業は、年産約千六百万トンで、アメリカに次ぐ世界第二位の紙の生産国でございます。現在問題になっておりますのは、紙のうちの段ボール原紙でございますが、千六百万トンのうち紙が約九百万トン、これは新聞巻き取りとか印刷用紙とかいうような、主に情報の伝達もしくは記録の媒体として使われておるわけでございます。板紙が約七百万トンでございまして、主に包装用の資材として使われております。板紙の中に占める段ボール原紙のウエートは高いわけでございまして、五十一年度の生産実績で見ますと、板紙の合計が六百七十六万トン、段ボール原紙四百六十二万トン、全体の六八%でございます。紙器用の板紙百四十五万トン、二二%、建材原紙ほか六十九万トン、一〇%という構成になっておるわけでございます。  そこで、日本の包装資材の出荷数量は、昭和五十年で千二百六十万トンに相なっておりますが、その中で板紙は五百十四万トン、包装資材全体の四一%は板紙でございます。段ボールだけを取り上げて見ましても、四百十万トンで、包装資材の三三%を占めておる次第でございます。同じ量の木材から段ボール箱をつくりますと、木箱にいたしました場合の六、七倍の包装をすることができるわけでございまして、大変な省資源につながっておるわけでございます。  段ボールの使途でございますが、段ボールはほとんどの商品の包装に用いられておりますが、一番多いのは食料品関係でございます。青果物、魚類、またその加工品など、段ボール生産の五〇%はこの分野に使われております。次が電機、機械器具の一三%、陶器、ガラス、雑貨の一一%、薬品、化粧品の七%、繊維六%といったような日常の生産物資の流通、輸送に欠かせない経済性の高い重要資材でございます。  次に、段ボール関連業界について申し上げますが、最終の製品からさかのぼってまいりますと、一番目に、段ボールの箱をつくる製函業者が全国に約三千七百社ございます。  二番目に、これらの業者に段ボールのシートを供給する業者が約三百三十社ございます。シートと申しますのは、外装のライナーと中しん原紙を張り合わせるコルゲーターを持った業者でございまして、これらの段ボールのシートを供給する業者の五五%は箱までつくり上げて市場に売っております。また、四五%をシートのままで三千七百の製函業者に売るということに相なっておるわけでございます。  そこで、その原料でございます段ボールは、原紙をつくるメーカーが八十八社でございます。中小が六十五社。中小と申しますのは、資本金一億円以下、従業員三百名以下のメーカーさんが六十五社ございまして、中堅、大手が二十三社。大手と申しますのは、主として段ボール厚紙だけではなくて、その他印刷用紙等の紙をすいております総合メーカーでございまして、たとえば本州製紙とか大昭和製紙とか大王製紙とかいうのがこのたぐいでございますが、中堅、大手合わせまして二十三社ございます。このシェアが大体七〇%ということになっております。  このように、川下へ参りますほど小規模、化しておる反面、ユーザーの方は、農業団体であるとかあるいは各県の経済連であるとか食品メーカー、電機メーカーといった全国的な大規模需要家が中心になっておるわけでございまして、このような供給業界の構造と需要サイドの違いというものが、市況を安定させるのに大変むずかしい一つの大きな原因になっておる次第でございます。  次に、段ボール需給の現状について申し述べますが、段ボールの需要昭和四十八年に七十二億平方メーター。これは箱を平方メーターで表示いたします。七十二億平方メーターに達しましたが、その後、不況の影響で四十九年は六十一億平方メーター、五十年に五十七億平方メーターまで減りまして、五十一年は六十六億平方メーターまで回復をいたしました。  最近の需要動向から見まして、今年度、すなわち五十二年度は当初七十一億平方メーターほどを予想したが、それが落ち込んで六十九億平方メーター程度と予想されるわけでございまして、一方、段ボールシートの生産能力は約八十八億平米と見られておりまするので、シートメーカーの操業度は七八%程度と推定いたしております。  次に、段ボール原紙の需要でございますが、段ボール原紙の出荷は、昭和四十八年五百十六万トン、五十年四百二十万トン、五十一年に四百六十万トンとやや回復をいたしました。五十二年は四百八十万トン程度を想定いたしております。  次に、段ボール原紙業界の操業度でございますが、段ボール原紙の生産能力は年間七百八十万トン、月当たり六十五万トンございましたが、非常に低操業を強いられるということから、一部のメーカーさんは段ボール原紙からほかの品種、たとえば印刷用紙等のほかの品種に転換をしたものがございまして、現在では年間大体七百二十万トン、月当たり六十万トン程度に相なっておるわけでございます。したがいまして、五十二年度の操業度は六七%と想定されまして、採算に必要な操業度八五%を大幅に下回っておる次第でございます。  また、現在の製品在庫は正常水準の約二倍に達しておりまして、五十二年度中に正常水準へ在庫調整するためには、さらに生産減が必要でありまして、操業度は六五%に相なっておる次第でございます。  不況カルテルの実施についてでございますが、大幅な減産によるコストアップが加わりまして経営は悪化してまいりまして、赤字が累増してまいりまして段ボール原紙を専門にすく紙のメーカーが経営危機に陥りましたために五十二年九月二十日から十二月三十一日まで不況カルテルの認可を受けて、現在これを実施中でございます。  不況カルテルによります現在の操業度は六五%でございますが、認可が若干遅れたこと等によりまして効果が必ずしも十分に出てこない。さらに、最近に至りまして、予想したほど需要が出てこない、需要の落ち込みという現象があらわれてまいりまして、当初予定の需給バランスがとれないで、期間中に適正在庫に持ち込むことに困難な面が出てまいりました。加えて、例年一月ないし三月は最低需要期でありましたために、カルテルの延長を申請せざるを得ないと考えております。  次に、この業界の構造改善の問題でございます。  段ボール原紙の設備能力は四十八年から四十九年にかけまして急激に増加をいたしました。これは石油ショックのときに段ボール原紙は重要物資に指定をされまして、安定供給を果たしますために各メーカーさんが増産、増設が必要とされたためでございまして、その後の需要の落ち込みによりまして大幅な需給ギャップが続いておりまして、過剰設備が不況の根本的原因となっておるのでございます。  構造改善は焦眉の急務でございまして、目下設備を廃棄する、その目標は既存設備の一〇%程度、これに要ります金は大体七十億円を想定いたしておりますが、これを中心といたしました構造改善の具体化を進めておるのでございます。  この所要資金につきましては、業界の自力で出すということを原則としておりますが、一〇%以上の廃棄をする場合には、業界、各メーカーの負担にも限界がありますことから、一部は設備の休転も考えながら、いま対策を練っておる次第でございます。この点に関しまして、政府資金の導入あるいはこれらの供出金を損金に算入していただくこと、また、損金の繰り延べ措置をお願いするというようなことをぜひお願い申し上げたいと思っております。  なお、機械の廃棄につきまして各メーカーさんに働きかけておりますが、機械を廃棄するということは、経営の根本につながる企業にとっての重大問題でございまして、現在われわれが予想しております一〇%程度にはなかなか進まない。四、五%程度の御希望しかないわけでございまして、各メーカーさんは有償による休転をぜひ同時に併用してもらいたいということをきわめて強く希望されておりますが、有償休転というものは、現在の独禁法にかかわってくるのではないかと思って心配をしておるわけでございます。  当然のことながら、業界各社が経営の安定、ひいては将来の供給力の確保に向けてそれぞれ努力を行うとしましても、自力安定には限界がございます。今後、景気対策による需要の増加と、一方では独禁法の弾力的運用などにつきまして格別の御配慮をお願いする次第でございます。  以上でございます。
  131. 野呂恭一

    野呂委員長 次に、鈴木参考人にお願いいたします。
  132. 鈴木治雄

    鈴木参考人 鈴木治雄でございます。  現在、日本の化学工業界は大変な不況に悩んでおりますけれども、特に、収益悪化とともに国際競争力の低下が著しいわけでありますが、その一番大きな原因は高いナフサ価格にあると考えておりますので、いろいろな問題がございますが、この点を中心にいたして、問題をしぼって意見を申し述べさせていただきたいと思います。  わが国のナフサを原料とする化学工業は、生産額で約十二・七兆円、製造工業全体の約八・七%を占めております。従業員数が約百九万人に達する基幹産業として大きな産業でございます。  そして、その化学工業の中には、化学肥料あるいは合成樹脂、合成繊維、合成ゴム、塗料等、広範な部門を含んでおりまして、範囲、すそ野がいずれも広く、国民生活の向上に必要な素材の安定供給産業でありますけれども、何分商品が国際商品でありますので、国際競争力が一番問題になってくる産業でございます。そういう次第でありますので、原料の価格を国際的水準でどうしても考えなければいけない性質の産業でございます。  この産業が主な原料としておりますナフサとは、粗製ガソリンでありますけれども石油化学会社の売り上げに占めるナフサ代金の比率は現在約四〇%以上に達しておりまして、ナフサ価格のいかんが企業経営に大変な影響があるわけでございます。  ナフサ価格につきまして、わが国の状況と比較的よく似ておりますヨーロッパ、わが国もヨーロッパも、ともに中東の原油を同じような条件で受け入れてこれを精製しているわけでございますが、そのヨーロッパと比較いたしますと、わが国のナフサ価格はキロリッター当たり二万九千円であります。ところが、最近のヨーロッパのナフサ価格はこれより約七千円見当安い状態になっております。しかも、この七千円の価格というのは決してスポット的なものではなくて、ヨーロッパの化学会社が使用している長期契約ナフサについての価格でございます。  こういう状態に放置しておきますと、日本の化学工業は、世界で一番高いナフサを使用することによって国際競争力を失い、不況の継続、雇用問題の発生につながるゆゆしい問題が生じてくるわけでございます。不況の継続によって日本全体の内需の縮小ということにもなりますし、いろいろな問題が起こってくるわけでありますので、ぜひひとつ国の産業政策上の重要な問題としてナフサ問題を配慮していただきたいと思います。  なぜナフサ価格がかように高い価格ベースで定着しているかということについて御説明申し上げます。  オイルショック以前におきまして、昭和三十八年に植村調停案なるものがありました。それ以後、原油の値下がりにもかかわらずナフサが値下がりしなかったような状況もあったのでありますが、ナフサ価格はほぼ安定した状態で継続しておりました。ところが、オイルショック以後は大幅な価格上昇がありまして、昭和五十年十二月に通産大臣が、石油精製企業経営安定という角度から標準価格というものを設定いたしまして、これを告示して、昭和五十一年の四月にナフサ価格はキロリッター二万九千円に到達したわけであります。今日は標準価格なるものは存在いたしませんが、その価格が実態的には修正されずに今日に継続しているわけでございます。したがって、こういうふうに政策によって決定された日本のナフサ価格は、実態的に固定的にそこで定着して、現在、世界のいろいろな変化があるにかかわらず、一番高い価格になっているわけであります。このことにより、日本の化学工業は国際競争力を失って、非常な不況に陥っているわけでございます。  もちろん、ナフサ価格というものは個別企業間の交渉によって決まるものでありまして、われわれ化学工業側の努力が足りないのじゃないかという御指摘があるかとも思いますが、各社とも、ナフサが高いことを石油精製会社に訴えまして値下げを強く要求しておりまして、何回も交渉を行っております。しかし、実際にはこの二万九千円はいまだに変わらないで続いているわけでございます。  なぜそういうことになるかということについて若干御説明したいんですが、日本の化学工業会社は自分でナフサを製造する設備というものは持っておりません。また、みずから輸入を自由にするわけにもいかない特殊な産業であります。したがって、相手の精製会社に価格の交渉をする場合に、いわば武器を持たないで価格の交渉をする、裸の状態で価格の交渉をするということで、非常に交渉力は弱いという状況にあるわけでございます。そこで、どうしても化学工業だけの努力では現在のナフサ価格二万九千円と国際価格とのギャップ、つまり七千円程度が現在のギャップかと思いますが、当事者の協議、交渉だけでははかがいかないという状況でございます。  そういうことをお考えになったのかもしれませんが、先般の総合景気対策の中に、政府は、輸入も弾力化する、価格も調整するということを示したわけでございまして、私どもはそれに期待しているわけでございます。もちろん、石油精製も大事な産業でございまして、これを十分育成していかなければならないわけでございますが、昨今の円高による為替差益というものは全部蓄積されているということもはっきりしていることでございまして、標準価格設定時の場合、一ドルは三百二円だったわけであります。現在は毎日変動しておりますが、仮に二百五十二円ということで比較いたしますと、円はこの間一ドル五十円高くなっております。これをそのままナフサの価格に連動させて考えますと、ドル建てで円換算いたしますと、キロリッター五千円は差があるという計算もできるわけでございます。したがいまして、最近の日本、ヨーロッパのナフサ価格の格差が七千円あると言いますが、その中で為替の理由によるものが約五千円あるということに相なります。  輸入のナフサについてちょっと申し上げますが、石油供給計画というものは、基本的に各石油製品の需給のバランスをとって、どの製品も過剰にならないように生産調整を行う、その結果、不足する重油とナフサを行政指導で制限をしながら輸入する、そういうたてまえに石油業法はなっておるわけでございます。したがって、仮に外国に安いナフサがありましても、これを勝手に自由に輸入するというわけにはまいらないという実情でございます。  今回の景気対策の個別対策として、安価な輸入ナフサの増量、具体的には七百五十万キロリッターを九百万キロリッターに増量するということを一応決めていただいたわけでございますが、この実行に当たりましては、精製会社の協力、それから関係行政官庁の御指導によりましてぜひ全量を達成さしていただきたいと思います。実施段階ではなかなかむずかしい問題がございますが、こういう措置を今後も弾力的かつ適切にやっていただきたいということをお願いしたいわけでございます。  化学工業は、先ほど申しましたように国際的産業でありまして、ナフサ価格が産業政策として非常に低目に決まっております韓国台湾並みにしてほしいというようなぜいたくなことは申しませんが、先ほど申しましたように、ぜひヨーロッパ並みにはしていただきたい。そのために、今後ドル建て円払い方式というものを導入して、絶えず日本とヨーロッパの価格が為替ベースで連動するような方式を確立したい。もちろん、円が安くなり得ることも将来あるわけでございまして、そういうときは為替リスクを化学業界は負担するという覚悟でございます。その際には、輸出採算もよくなるわけでございますから、それでいいわけでございます。  それから、一言化学肥料について申したいのでありますが、これが大変な状況になっております。わが国のアンモニア製造能力は四百四十三万トン、ナフサを原料とするものがそのうち四五%の大部分を占めておりますが、ナフサの価格の高騰によりまして総原価中に占める主要原料費の割合は、アンモニアにして四十七会計年度の五九%から、五十会計年度は驚くべき数字でございますが八三%というふうに多くなりました。尿素について言いますと、同じく三〇%から四〇%へ上昇しております。尿素、硫安は法律によっても豊富、低廉な供給を義務づけられておりまして、そのためにはどうしても低価格ナフサの安定的供給を受けることが必要な条件であります。  また、肥料工業は三十九会計年度以降行政指導による二次にわたる合理化計画によりまして、アンモニア、尿素の生産能力は増大し、輸出依存型の産業構造となっておりますが、国際競争力の著しい低下によりまして、尿素輸出量は四十七肥料年度の二百七十万トンから五十肥料年度は百二十五万トン、五十一肥料年度は実に七十七万トンというふうに急減いたしました。五十一肥料年度の尿素工業の操業率は三六%という低い率になっておるわけであります。  そして、中国を初め東南アジア諸国からぜひ肥料を輸出してもらいたいということでありますが、ナフサ高であることを主とした異常な原価上昇によりまして、採算的に不可能でございますので、輸出が非常に停滞しているということでございます。政府は東南アジア諸国に、その欲している化学肥料を経済協力したい、経済援助したいというお気持ちがあると思いますが、実施段階で価格の条件が相調わないという状況になっております。  肥料工業の安定は、産業政策だけでなく、農業政策にもわたる問題でありますので、ぜひひとつナフサについて特別の配慮をお願いいたしたいということでございます。  以上、申し述べてまいりましたけれども、私ども企業間の交渉にはなかなか限界がございます。この際、ぜひ政治、行政からの政策的御配慮を速やかに実施されることをお願い申し上げます。  なお、早急にお願いしたいことが二つございます。  一つは、先ほど申しましたように、ナフサの価格について国際価格、つまりヨーロッパ価格の水準まで引き下げていただきたい。それから第二は、その関連におきまして、化学工業が希望するナフサをいつでも自由に輸入できるような体制にしていただきたい。その二つを緊急の問題としてお願いし、なお、中長期的な問題としては原油の関税の廃止であるとか生だきの中止等についても御検討をお願いしたい、かように考えます。  ありがとうございました。
  133. 野呂恭一

    野呂委員長 次に、西岡参考人にお願いいたします。
  134. 西岡宏

    西岡参考人 紡績協会の西岡でございます。  御承知のように、繊維には川上と申しますか、化繊協会、紡績協会、羊毛紡績会という団体を初め、途中の中間素材加工段階としましての各工連さん、あるいはより糸さんというところから縫製業界というように関連業界が非常に多いのでございますが、本日は、私の所属しております紡績業を中心といたしまして、不況の現況なり現在やっております不況克服の対策についての御援助をお願いいたしたいと思います。  まず最初に、紡績業界の不況の現況を申し上げます。  紡績業は、昭和四十九年以来ずっと継続して厳しい不況下にありまして、企業規模の大小を問わず、ほとんどの企業が赤字経営というかっこうになっております。  たとえて申しますと、大手十社で計算いたしまして、昭和四十九年から五十一年の三年間の累積の経常赤字が千八百二十億円になっております。これは当該十社の資本金の約一・八倍という巨大な赤字を出したわけでございます。大手でこういうかっこうでございますので、中堅あるいは中小の紡績さんへの影響はさらに深刻でございまして、御承知のように、この間に不幸にも倒産した会社も数社あるわけでございます。  現在のような低成長経済下に入りまして、しかも繊維につきましては発展途上国での織維産業の奨励、勃興で、かなり追い上げを食っておるというような厳しい国際環境下にも置かれておりますために、業界は非常に苦しい構造調整期に入っている次第でございます。  加えまして、今回の円高輸出の方は当然減少してまいりますし、一方、輸入の方は非常に入りやすくなるということで、業界の立ち直りをさらにおくらせるのではないかという点で非常に心配しておる次第でございます。  業界は、御承知のように、ことしの四月から不況カルテルを実施しております。これは三カ月ずつすでに二度の延長を御承認いただきまして、この十二月まで継続してやっております。一方、中長期的に見まして、将来の業界の安定を図るため、かつ国際競争力に負けないように再強化するために、業界としては過剰設備の処理を現在進めておる次第でございます。  この不況カルテルと過剰設備の処理は、もちろん各企業にとっては非常に大きなマイナスになるのでございますけれども、これをできるだけ有効ならしめるためにも、ぜひとも秩序ある輸入体制の確立を政府当局にいつもお願いしておる次第でございますが、この機会に、これらの事項につきまして先生方の御理解と御支援をお願いいたしたいと存じます。  まず、不況のカルテルの問題でございます。  この四月から不況カルテルをやりましたために、いわゆる供給過剰といいますか、過剰在庫の調整は大体当初の計画どおり進行してまいりましたが、この五月、六月ぐらいに起こりました信用不安が依然として解消しないために、取引がかなり萎縮しております。それと、景気回復が若干おくれてまいりましたための内需の振興がなかなか回復がございませんで、末端需要が思ったより伸びないということと、さらに、紡績の原料でございます綿花が海外でことしはかなり増産になりまして、相場的には綿花は先安になってきたために価格が回復しないという問題、さらには、大体輸入というものは国内の景気が上向くとふえるというこれまでの例がございますので、在庫調整がかなり進んだにもかかわらず市況が低迷して、依然として採算線の下にあるというような状況が続いております。  御承知のように、現在のカルテルは三〇%の設備封緘ということでやっておるわけでございますが、われわれといたしましては、こういった状況をできるだけ早く切り上げて、次に申します過剰設備の処理に移っていきたいわけでございますが、過剰設備の処理の方がどうしても来年度になりますので、その間はやはり不況カルテルというかっこうである程度つないでいかざるを得ないと思っておりますので、またそういうような情勢が来年以降出てまいりましたときには、よろしく御援助をいただきたいと思っております。  次に、過剰設備の処理でございますが、紡績協会では、先般各会員からアンケートを募りまして、具体的に各社さんの自主的な判断でどれくらいの設備を縮小あるいは廃棄されるかというようなことについて調査をいたしました。その結果、おおむね二百万錘、これは四十七年の設備に対してなるわけでありますが、当時千百七十四万錘ございました設備に対しまして二百万錘、約一七%を廃棄するということで、もうすでに廃棄されておりますものが約六十万錘ございますので、これから廃棄されるのは正味百四十万錘になりますが、これだけの希望が集まったわけでございます。これは本会の方でさきに予想しておりました需給、将来の過剰紡機処理の目標数とほぼ見合う数字じゃないかと思いますので、廃棄が全部完了いたしましたら、当面、構造不況といわれる過剰設備は解消するのじゃないかと思っております。  ただ、これの実施に当たりましては、御承知のように、紡績業は過去のこういった初期の赤字経営のためにもうすでに体力的にかなり疲労しておりますので、非常に苦しいわけでございますが、大手についてはもちろん自前で廃棄をする、中小企業につきましては中小企業振興事業団の融資制度を利用させていただきまして廃棄するということに御決定いただきまして、非常に喜んでおるわけでございますが、問題になりましたのは、中小企業と実態的にはそう変わりません、われわれの業界ではいわゆる中堅企業と呼んでおりますグループの方たちが、この優遇を受けられずに完全に自前で廃棄するというようなかっこうになったわけでございます。これは時間的な問題、いろいろとあったと思いますが、できますれば、今後の新しい政策をお考え願う上におきまして、この中堅企業に対する特別の配慮をできるだけ速やかにお考え願えたらというように希望する次第でございます。  それからもう一つ、過剰設備の処理をやりますと、必然的に問題になりますのは雇用問題ということになるわけでございますが、これらにつきましても現在各党の間でいろいろと対策を御検討いただいておるようでございますので、ぜひともこれが実現いたしますように、この席からも改めてお願いする次第でございます。  それからさらに、もう一つ業界として機会あるごとに絶えずお願いしておると申し上げました輸入問題についてでございます。  もちろん、業界の今日の不況の原因は、需給ギャップということから生じておることは当然なんですが、特に、一般に言われております過剰設備を持っておる業界と違います点は、輸入という問題を抱えておるということでございます。御承知のように、われわれは絶えず、輸入につきましては、繊維は国際的に認められた多繊維協定というルールがございますので、それをできるだけ速やかに適用願って二国間協定をやっていただきたい。あるいは適正輸入対策というようなことをお願いしておるわけでございますが、現在のところまだそれが実現しておりません。  御承知のように、不況カルテルをやるにいたしましても、あるいは過剰設備処理をやるにいたしましても、輸入が野放しでございますと、これだけやっても果たして需給が回復するか、あるいは価格が回復するかという確とした見通しがつかないという点で業界の者が非常に不安がり、思い切った再生産投資ということもできないというような現状にもございますので、ぜひ秩序ある輸入という問題についての対策をお進め願いたいと思います。  もちろん、繊維品関係輸入は、主として近隣諸国が多いということになりますので、経済原則あるいは多繊維協定が世界の繊維品貿易のルールだということはおわかりいただけても、非常にむずかしい問題があるとは思いますが、日本に繊維産業がなくなった場合にはどうなるのかというような、いわゆる国策としての繊維産業をどうするかという大きな観点から、現在防波堤が全くございません繊維についての何か国際的な取り決めというような方向にぜひ進んでいただきたいということが、特にお願いいたしたい点でございます。  特に、先ほど申し上げました円高の影響というものは、一部伝えられておりますけれども、確かに紡績が輸入する原綿は安くなるわけなんですけれども、同時に、輸入される綿糸は、綿代だけではなしにその他の加工賃、言いかえれば相手国の人件費その他の経費そのものも全部円高になったというかっこうで入ってきますので、利益よりはマイナスするところがはるかに大きいという事実を御認識いただきまして、ぜひ早く輸入対策というものを具体化していただくようにお願いいたしまして、私の御説明を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  135. 野呂恭一

    野呂委員長 次に、山田参考人にお願いいたします。
  136. 山田武雄

    山田参考人 愛知陶磁器工業組合の理事長山田でございます。  本日、ここにわが業界の現況を述べ、要望をさせていただく機会をつくっていただきまして、厚くお礼を申し上げます。  陶磁器は、全国で年産額約五千億でございますが、そのうち約三分の一が輸出に依存しておる状態でございます。企業数は全国で五千を超えておりまして、そのうち輸出品の生産関係している工場は約千五百工場あるわけでございます。その九九%、ほとんどが中小企業と言っても過言ではございません。なお、その輸出陶磁器を取り扱っていらっしゃる輸出商社は、全国で約五百ございます。  陶磁器の品種は、大別いたしまして、食卓用品、置物装飾品、これをノベルティーと申しております。それからタイル、衛生陶器、電気用品、理化学工業用品等に分かれておりますが、これらの品種別によって輸出依存度をそれぞれ異にしておりますが、たとえば置物装飾品はその生産の六〇%が輸出に当たっておるわけでございます。食卓用品は五〇%、タイルは三〇%、特にこのうちモザイクタイルは五〇%を占めておるわけでございます。電気用品は二〇%になっておりますが、これらの合計で見ますと、先ほど申し上げましたように生産の約三分の一が輸出に当たっておるわけでございます。  愛知県の瀬戸市は、陶器の中でも輸出依存度の多いノベルティーの生産地でございまして、ノベルティー輸出額の約七〇%は当地方でつくっておるものでございます。  輸出陶磁器は、昨年からことしの夏ごろまで比較的順当に推移してまいりましたが、御承知のごとく、急激な円高傾向によりまして、目下非常な苦境に当面しておるのでございます。ことしの初めごろは円レートは二百九十円でございましたが、三月ごろ二百八十円になり、輸出メーカーは大体このレートに基づく価格で生産計画を立ててまいったものでございます。御承知のごとく、昨今の急激な円高によりまして、目下クリスマスを控えまして契約期を控えておりますが、この成約が極度に渋滞をしておりまして、今後の生産が非常に懸念されておるところでございます。  瀬戸市のノベルティー陶磁器については、具体的に申し上げますと、今回の円高によりまして、バイヤー筋は現価格の一五%あるいは二〇%程度の切り下げを要請してきておるのでございます。陶磁器中小企業はもともと非常に利潤の薄い経営が続けられておりまして、二%程度の純利益しか確保しておりません。ここで一五%から二〇%の引き下げということではとうていこれに応ずることは不可能でございます。もしメーカーが現在の手取りの円価格を維持すれば、二百五十円レートのもとでは注文は半減するのではないかと危惧されるものでございます。  輸出契約は積み出しの数カ月前に締結されます関係上、最近の円高による影響は来年以降の生産に厳しく影響してくるものと思われ、メーカーはその対策が立たず苦境に追い込まれておるのでございます。  輸出陶磁器は、大体注文生産によっておるのが大部分で、見込み生産は少ないので、受注がなくなると直ちに生産をやめなければならない事態になります。  ノベルティーの輸出先は大部分はアメリカ向きでございまして、メーカーと輸出業者の間はいずれも円建てによって契約しておりますが、米国のバイヤーは、自己がこうむる円高の損失を結局メーカーに転嫁してくるわけでございまして、現在、新規受注の停滞はもちろん、既契約の分におきましてもはなはだしきに至ってはキャンセルをもって出てきておるものもあります。  ノベルティーは、昨今、発展途上国台湾韓国陶磁器業界の激しい追い上げを受けておる。ことに米国においては、ノベルティーを特恵関税品目に指定しておりまして、台湾韓国の製品に対しましては輸入関税は無税でございます。日本品は規定の関税が課せられております。すなわちアメリカのノベルティー関税は一五%から二二%になっております。これだけで日本品は途上国製品に比較して大きなハンディキャップを負わされておるのに、円高の衝撃によってその打撃は一層深刻なものがございます。  陶磁器の内需品は、昨年来依然全般的に不況でございまして、この中でわずかに輸出品の進展が見られたにかかわらず、この円高によって大きく転落することは、業界全体に重大な影響を与えるものと憂慮をしておるわけでございます。  この局面を打開するためには、中小企業自体の力だけではどうすることもできません。  そこで、業界といたしましては、次のような措置を速急に実施してこの窮状を救っていただきたく、先生たちにお願いをするわけでございます。  第一は、何と申しましても円レートの安定でございます。そして、円レートを少なくとも一ドル二百七十円以上にしていただくように、特にお願いをいたしたいと思います。  その二は、貿易収支のアンバランスを是正していただくため、輸出の急増している業種に対して輸出の抑制を図られるとともに、一方、輸入の促進を図って国内物価の引き下げにも資していただきたい、そのように思うわけでございます。  なお第三は、陶磁器生産の中でコストに大きな影響のある石油類でございます。御存じのように、粘土と燃料とありますと陶磁器はできるわけでございます。その燃料の重油は生産費の約三五%を占めておるわけでございます。この石油類の価格は為替差益があるはずでございます。私らの陶磁器差損とこれを相殺するようなかっこうで何とか施策が講じられないものかと、この際、お願いをしたいと思います。  第四に、いま目の前に迫っております低利長期な運転資金の融資をばぜひとも早くしていただきたい。これにつきましては、先日政府の方から発表がありましたが、この年利等につきましても、できるだけ三歩程度で五年以上ぐらいの返金ということで金融措置をしていただくことを希望いたします。  先ほど申し上げましたように、来年の一月、二月、三月ごろには、多分これは休業というようなことが必ず出てくると思います。そこで、雇用保険法に基づく支給業種に指定していただきたい。雇用保険法によりまして制度がございますが、これの指定業種にひとつ指定をしていただきたい。注文生産関係上、休業が必ず来年一月、二月ごろにくるわけでございます。陶磁器生産とその関連企業に対しまして、雇用保険法の適用ができるようにひとつ業種指定をしてほしい。  第六に、今後の恒久的な措置として、為替変動に備えるため為替変動準備金制度というものが法制化されてあるわけでございますが、これが二年以上ということになっておりますが、先ほど申し上げましたように、陶磁器の場合には非常に短期でございます。これが半年以上でも適用ができるように法改正をお願いいたしたい。  私は、ノベルティーの主産地であります瀬戸市の業界の立場でただいま意見を申し上げさせていただきましたが、地元の陶磁器工業組合の理事長でもあり、なお業界の団体でありますところの日本陶業連盟の会長をも務めさせておっていただくわけでございます。輸出向き陶磁器は、ノベルティー、岐阜県の非常に依存度の高いタイルなどもあります。どうかひとつ、窯業界全般につきまして、非常に苦境に追い込まれておりますことを先生たちも御認識いただきまして、できるだけひとつ救助の手を差し伸べていただきますことをお願いいたしまして、私の意見要望を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  137. 野呂恭一

    野呂委員長 以上で参考人意見の開陳は終わりました。     —————————————
  138. 野呂恭一

    野呂委員長 これより参考人に対する質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山崎拓君。
  139. 山崎拓

    山崎(拓)委員 四名の参考人方々には貴重な御意見をお聞かせいただきまして、ありがとうございました。  まず、鈴木参考人にお伺いをいたしますが、化学工業の製品原価の中でナフサ代金の占める割合が非常に高いというお話がございまして、特に肥料につきましては具体的な数字をお挙げになりましてお話になりました。アンモニア肥料につきましては五十年におきまして八三%、尿素肥料につきましては四〇%というようなお話があったわけでございますが、その他のナフサを原料といたします主たる製品につきましてどのくらいのコストになっておるのか。たとえば合成樹脂でございますとか塗料その他につきましてお話しいただきたいのです。
  140. 鈴木治雄

    鈴木参考人 御質問でありますが、化学の製品が非常に多岐にわたっておりまして、個々に何%ということは非常に申しかねますが、化学工業会社で石油化学、特にナフサを原料にする会社の総売り上げと、そこの企業で使っておりますナフサの金額との対比というのが、ある意味では御質問に答えることになるかと思います。大体その数字を調べますと、総売り上げの中でナフサが占める比率が四〇%くらいという数字が出ております。  それで、どの製品がどうということは、非常に数が多いものですから、私、いま資料を詳細に持っておりませんので、そういうお答えで終えさせていただきたいと思います。
  141. 山崎拓

    山崎(拓)委員 石油ショック後に非常にナフサ価格が大幅に上昇をした、こういうお話でございまして、それまでは比較的安定をしてきたということでございましたが、ナフサ価格の上昇率と製品価格の上昇はどういう関係になっておるか、お話しいただきたいのです。
  142. 鈴木治雄

    鈴木参考人 ただいまの御質問ですが、資料を詳細に持っておりませんけれども、ナフサの上昇価格が製品価格の上昇よりはるか上回っているということは事実でございます。つまり、ナフサの上昇を製品価格に転嫁できないというのが現状でございます。  なぜできないかということは、一つは、もちろん需給の面において供給圧力が大きいということもございますけれども、外国からは、安いナフサでやっておりますので、たとえば周辺の韓国台湾における石油化学製品というようなものがどんどん日本に入ってまいりますし、アメリカからも入ってくるわけです。そういう価格との対比において日本の価格が高過ぎるじゃないかというような製品もありまして、価格が上がらない。  それから、先ほどちょっと申しましたように、尿素のごときは国際価格でございますけれども、これが国際場裏で輸出価格で競争しているわけですけれども日本がいつも劣勢である。つまり、競争力がないということは、ナフサの価格のコスト高ということは国際価格で成立している尿素の価格に到達できない、競争できないということになっているわけであります。
  143. 山崎拓

    山崎(拓)委員 ナフサ価格が政府の標準価格で二万九千円に決められてからずっと固定しておりますのは、個別企業間の交渉があるにもかかわらず交渉力が非常に弱いからだ、こういうお話でございました。ということは、ある程度ナフサを含めました石油製品の価格体系に関しまして政府政策的な介入が必要である、そういうふうにお考えですか。
  144. 鈴木治雄

    鈴木参考人 ただいまの御質問でございますけれども、ナフサの価格がいまの二万九千円の成立のいきさつを考えますと、そのときに明らかに行政的指導、介入という言葉がいいかどうか知りませんけれども政府が標準価格というものを決めたわけです。そしてその後、円の価値も変わって状況は一変しておるわけですけれども、現在に至っても固定している。それは、先ほどちょっと御説明申しましたように、使用者側、ユーザー側は交渉力が非常に弱い。弱いというのは、交渉の態度が弱いということより、物的条件で対抗できない状況にある。といいますのは、ナフサの生産量とかその他が石油業法によって需給がある程度行政的に安定しているという、そういう中での交渉でありますし、先ほど申しましたように、外国に安いものがあっても自由に輸入できない立場にありますし、なお供給が大体において単数の会社から受けているケースが多いわけです。それで石油化学会社と精製会社とは、本来は一体といいますか非常に連帯しておって、現在でも今後も仲よくしていかなければいけないという関係もございます。われわれ、決して石油精製側と対立しているということじゃなしに、公平な価格で取引したいということなんですが、先ほど申しましたように、非常に交渉力が弱い。それで、できた価格がそういう行政的な介入によってできたあれですから、後始末も行政的にやっていただきたいというのが私どもの願望といいますか、希望になるわけでございます。
  145. 山崎拓

    山崎(拓)委員 そうしますと、輸入を弾力化するという御主張もあったのですけれども輸入を弾力化するということは、いま交渉力がないけれども、そういう要素があれば交渉力が出てきますね、輸入が弾力化すると。そういう御主張ではないかと思うのです。それと、政府がある程度価格体系についてはいままで誘導したのだから、もう一遍後始末もしろということとは、ちょっと理念的には両立しないように感ぜられるので、どちらか一方でこれからの価格体系を決めていくということの方が、私は妥当な主張ではないかと思うのですが、いかがですか。
  146. 鈴木治雄

    鈴木参考人 いまの御意見には、若干私は違う意見を持っております。と申しますのは、なるほど輸入の弾力化というものは、本問題に対する一つの側面的な解決方法ではありますけれども、全面的な解決方法ではないわけです。と申しますのは、仮に輸入のナフサを使えるにいたしましても、そのものがある程度安くなる。しかし、安くなり方につきましても、海を隔ててある物を日本まで運賃かけて持ってきて、関税とか諸掛かりというようなものを含めた形で使いますから、ヨーロッパのわれわれと同じ立場にある石油化学会社が使う価格とは、その分は高いという問題があります。  それから、量的にも弾力化するんですけれども、さっきもちょっと申しましたように、私どもは大体の会社が受け入設備を持っておりません。結局輸入する場合には、精製会社にお願いしてタンクを使わしていただきたいとか、受け入れ設備を使わしてもらいたいという形で輸入をしなければならない。ですから、先ほど申しましたように、大枠ができましたけれども実施段階で精製会社が気持ちよく協力をしてくださらなければ実現しないという問題があります。  それから、輸入の方は、しかしそれにもかかわらず若干安くなりますけれども、主として供給を受けている国内価格が、いまのままの二万九千円で少しも安くならないということになりますと、問題は少しも解決しないわけでありまして、輸入の弾力化で大半の問題は解決するんじゃないかという御質問、御意見であれば、そうじゃないということをお答えせざるを得ないわけでございます。
  147. 山崎拓

    山崎(拓)委員 もう一点だけ伺っておきますが、主としてナフサの問題についてしぼってお話があったんですけれども、その他のたとえば設備の問題、あるいは需要面での開拓の問題、あるいは円高による影響の問題とか、ちょっとかいつまんでお話しいただきたいと思います。
  148. 鈴木治雄

    鈴木参考人 現在、化学工業全体の操業率が、平均いたしますと約七〇%ございます。その中で、先ほど申しましたように、アンモニアとか尿素の稼働率というのは非常に低いんです。したがって、そういう業種につきましては、能力の廃棄問題というものを、業界として政府と一緒に真剣に検討しております。また、塩化ビニールのようなものは、非常に深刻な不況に襲われておりますが、この業種におきましても、能力の廃棄というものが真剣に検討されております。したがって、個々の製品になりますと、相当能力の廃棄問題というのが真剣に討議されております。  それから、円高による影響は、輸出採算に非常に大きく影響があるわけでありまして、たとえば尿素のような肥料も、世界的な需給はややよくなりつつあります。ドル表示では、若干輸出採算は好転はしておりますけれども、これを円に換算する手取りの価格では、そのドル高というものが円高のために相殺されまして、ちっとも手取り採算がよくない。したがって、どうしてもやはり大きな原価項目であるナフサを国際的な価格にしていただきたいということに、問題は戻ってくるわけでございます。
  149. 山崎拓

    山崎(拓)委員 栖原参考人に二点お伺いしたいのですが、一点は、不況カルテルの認可がおくれたために、タイミングを失してその効果が十分でなかったという御指摘があったのですが、少し具体的に経過をお話しいただきたいと思います。  それからもう一点は、設備廃棄一〇%の目標であるというお話であったのでございますが、現在の操業率からいたしまして、一〇%の設備廃棄で果たして採算可能な操業率に達するのかどうか、その二点。
  150. 栖原亮

    栖原参考人 お答え申し上げます。  不況カルテルの認可がおくれました主な原因は、不況カルテルを申請しました直後に、製品の売価がやや上昇の兆しが見えたということで、だんだん審査の中で不況要因が少なくなったんじゃないかというようなことから、審査に大変手間取ったという背景がございます。  それから、いまの設備廃棄の問題は、先ほど私が申し上げましたように、現在の操業度六七%と申し上げましたけれども、この紙はGNPと非常に相関関係がございまして、GNPが六%伸びれば、大体その九〇%くらいの実需の伸びはずっといままでの経過からいうと伸びているわけでございます。したがいまして、今後も仮にGNP年率六%が達成できれば、五%くらいの需要の伸びがあるという背景がございます。したがいまして、仮に一%の設備廃棄ができれば、操業度が一〇%上がる。さらに毎年の需要増が五%くらい入ってくれば、この程度の廃棄でもどうやら採算点の八五%に近づくことができる、こういう考え方でございます。
  151. 山崎拓

    山崎(拓)委員 終わります。
  152. 野呂恭一

    野呂委員長 佐野進君。
  153. 佐野進

    佐野(進)委員 時間が余りありませんので、各参考人にそれぞれ的をしぼってお尋ねをしてみたいと思います。  栖原参考人にまずお尋ねをいたしますが、先ほど来お話しの事情につきましては、私どもある程度勉強しておりましたけれども、さらに内容の深刻さについては、改めてその感を深くいたしました。  そこで、いろいろ要望事項がございましたが、これらの要望事項につきましても、それぞれわれわれも努力してその実現に努めてまいりたいと思いますが、ただ、ここで過剰設備の廃棄、あるいはいわゆる操業度をいまのお話のように一〇%ないし二〇%上げる形の中で努力をされていくわけでございますけれども、私ども聞きますると、この中で、先ほどのあなたのお話にありましたように、全体的に関連業界は三千七百社で、原紙関係は八十八社、そのうちで二十三社が中堅、大手だと、こういうお話がございました。ところが、この中堅、大手というのは、とかく私ども中小企業問題に関心の深い議員は、製紙業界ということになるとすぐ問題になってくるのですが、大手メーカーがその商権を伸ばすために、中堅、中小企業の犠牲の上にみずからの商権を守っていこうという動きがきわめて露骨な業界一つである。いわゆる大手業界首脳部の低成長下におけるところの企業倫理というものが、相変わらず高度成長下におけるところの倫理を基礎にしてやっておられて、弱肉強食、力の強い者が弱い者を圧迫していくのが当然であると、こういうような批判を私どもはよく聞くのであります。  あなたはきょうは製紙連合会副会長という立場に立たれて御出席になっておられるわけでありますが、実はきょう本州製紙の社長さんに出ていただいて、本州製紙がいま計画されておるダンボール業界における進出の事情等についても、ひとつ見解を聞こうと思ったのですが、あなたがおいでになられたのでちょっと肩透かしを食わされたような感じなんですが、その点ひとつ御見解をお示しいただきたいと思います。
  154. 栖原亮

    栖原参考人 ただいま御指摘のございました点でございますが、大手と申しましても、本州製紙とか大昭和製紙とか大王製紙とか、これは先生御承知のように、紙の総合メーカーでございまして、たとえば本州製紙の場合ですと、全売り上げの中のダンボール原紙の売り上げは二〇%でございます。したがいまして、ダンボール原紙の売り上げだけをとってみますと、シェアで一〇%そこそこであるというようなことでございまして、これは大昭和さんも大王さんも同じことでございます。むしろ、われわれ原木からの一貫作業でダンボール原紙をすいておりますメーカーは、たとえば私の方ですと、主力工場四台ダンボール原紙の機械があります中の一台を、こういう過剰設備が背景にあるからということでいち早く印刷用紙に転種をいたしております。そのようなことを大昭和さんもあるいは大王さんもやっておられるわけでございまして、大手が力をふるうというよりも、過剰設備が背景のダンボール原紙業界からは、むしろ大手がいち早くほかのものに転換しているという姿の方が、現在は顕著に出ているということをお話し申し上げたいと思います。
  155. 佐野進

    佐野(進)委員 私は、製紙業界、特にダンボール業界がきわめて深刻な不況下にあるということを認識してきょうは御出席をいただいているわけですので、あなたのことをきょうの席上ではそのまま受けとめておきたいと思います。したがって、製紙業界が今日の、特にダンボール業界が今日の不況から脱却するために、あなたのお話しになられた点については私どもは率直にそのまま受けとめて、全力を対策の中に生かしていきたいと思いまするが、いま私が申し上げたことも、よくひとつ業界内において御浸透願いたいと思います。  さらに、鈴木参考人にお尋ねをいたしたいと思います。この前独禁法のときも来ていただきまして、またおいでを願ってお忙しいところ大変で、鈴木さんをそうたびたび呼ばなくてもいいだろうと私は申し上げたのですが、ぜひきょう来てもらった方がいいという大方の意見がございましたので、御出席をいただいております。  そこで、先ほど来お話を聞いておるわけですが、私は、鈴木参考人関係する化学業界が今日特に不況下、しかも構造的な不況の中で、本来成長産業であるべきにもかかわらず、大変苦労されておるという点についてはよく事情を知っております。そして、いまお話を聞けば、かかってナフサの価格、いわゆる高価格における状況の中で御苦労をなさっておるということはよくわかります。いま質問に答えての実情を私ども聞いておりまして感ずることでございまするが、全く精製会社というのは不都合きわまりないというような感じがするのです。あなたは、決してけんかするのじゃない、対立するのじゃない、事情をわかってもらうのだと、こうおっしゃるのですが、わからないでここに半年も一年も来て、為替差益でごっぽりもうけているにもかかわらず、お話をしてちょっとというもみ手方式で果たして目的が達せられますか。政府の強い指導力はもちろんでございますが、法律の力でもこれに一定の制約を加えるとか、あるいは業界はそれに対してもっと強い態度でお臨みになるとか、いわゆる石油精製会社が今日の円高の傾向の中で最も多く差益を受けておるということはもうだれしも否定することのでき得ない現実であるにもかかわらず、価格は下がらない、高物価の一因をなしておる、しかもその影響下においてナフサ供給先の企業不況下にあえいで、人員整理を初めとする一連の犠牲を強いられているということに対して、その代表者の一人である化学工業協会の会長であるあなたの態度はまことになまぬるいのじゃないかという気で、私は切歯扼腕をして聞いておったわけですが、もう少し腹を据えて御答弁をいただければ幸いだと思うのです。
  156. 鈴木治雄

    鈴木参考人 大変御理解を賜ると同時に、弱過ぎるのじゃないかという、まあ御激励あるいはおしかりを受けたわけであります。それで私どもは、できるだけこれから、いまのような御忠告もありましたので、ひとつ値下げ交渉を必死になりふり構わずやっていきたいと思います。その際に、ぜひ理解のある公正な第三者の方から、石油化学工業の言い分の方に妥当性があるという、ひとつ御同情と御理解を賜りたいと思います。いまいかなる問題も、ある意味で対立している問題がありますけれども、その帰趨を決めるのはやはり世論ということになりますので、そういう意味できょう機会をいただいて御説明させていただいたことは非常にありがたいと思いますし、御激励とともに、この解決についてできるだけひとつその正しい応援団の有力な一員として御協力をお願いしたい、かように思います。できるだけ勇敢にやっていきたいと思っております。
  157. 佐野進

    佐野(進)委員 紡績協会の西岡さんに御質問を申し上げます。  きょうも紡績協会の会長さんにおいでを願おうということで私ども御連絡申し上げたわけですが、あなたがおいでになられ、実情には深く触れておられますが、経営者としての直接的な御責任をお持ちになっておるかどうか、これはわかりません。  私は、きょう紡績業界、あしたは化繊業界の代表の方に来ていただくわけでございまするけれども、その置かれているきわめて厳しい情勢をよく認識いたしております。特に、先ほどお話がございましたとおり、一千八百九十億にも上る累積赤字を抱えておられるということは、これは容易ならざることであって、一社平均いたしましても百八十九億というお金であります。したがって、この種大幅な赤字が出れば、普通の場合倒産ということになるわけでございまするけれども、これをいろいろな形の中で乗り切っておられる、しかもそれは構造的な形の中で乗り切っておられるということでございまするから、その努力に対しては敬意を表するわけであります。  しかし、私はいまのお話を聞いて感ずることは、日本における紡績業界——ここに繊維の神様と言われる加藤先生がいらっしゃいますが、加藤さん遅く来たのできょうは質問しないのですが、本当なら質問したかっただろうと思うのです。それで私の方から質問をいたしておるわけでございますが、いま言われたような秩序ある輸入というのは、国内におけるわが国政策上の問題でありまするからこれは別といたしまして、不況カルテル、過剰設備の廃棄というような形の中で、この構造的な不況を、いわゆる輸入という問題を度外視した場合、乗り切ることができるかどうか、時間がございませんから長い質問をすることはできませんけれども、私は疑問だと思うのです。やはり秩序ある輸入とは、すなわち韓国なり台湾なりその他の国に対してわが国が優位にある立場に立って、その形の中において競争力を強化し、その中で政策的にそれぞれの国に対して絶対的な権限を持つ秩序ある輸入という形じゃなくて、国内産業をどう守るか守らないかという形の中での決断をつけること以外、このような言葉だけの表現ではどうにもならないところに来ているような感じがするわけです。  そういうことになると、不況カルテルだの過剰設備の処理だのという形だけではなくなってしまうというと言い過ぎでございまするけれども、もっと厳しい条件をわが国の繊維産業が受けても、なお太刀打ちできないような状況下にいってしまうのではないかという危惧を持っているわけです。相当これは一時しのぎだというように感ずるわけですが、一時しのぎでない、根本的な対策についてはもっと勇敢なる——何も縮小しろというのではなくて、わが国繊維産業の生きる道としてこうしてもらいたいという政府に対して強い要求が出て、また域外に対してもこうしなければならないという意見が出てしかるべきではないかという気がするのですが、いかがですか。
  158. 西岡宏

    西岡参考人 ただいまの御指摘の輸入の問題でございますが、要するに新しい繊維産業再生の道といいますか、このために昨年産構審の提言というかっこうで示されました要するに縦型系列でありますね、そういった方向への移行ということを目標にしてやっておるわけでございますけれども、これにはかなりの時間と資金がかかる。そのためには、現在疲弊し切っている体力をある程度回復さすためには、カルテルあるいは輸入の調整という問題は、若干その間の利益確保のための一つの手段でございます。将来構造改善が進みまして、体力的にいわゆるアパレル産業志向というかっこうでのあれができました暁には、輸入問題ということはおのずと解消するのではないかという努力目標をつくってやっておるわけでございます。いま何せもう完全な疲弊の状況でございますので、緊急避難という意味、輸入規制も若干それに近いわけでございますが、そういった意味でとりあえず外はこう、内はカルテルと過剰処理というかっこうで、御承知のように、市況産業でございますので需給を合わすというかっこうにとにかくウエートをかけてやるという現状でございます。  実はこういうことで、いろいろと業界内部にも問題はございますが、できるだけこの方向に向かって全員一致でいこうというかっこうでいま現在一生懸命やっておりますので、さらにこれ以上の御応援をひとつお願いいたしたらというように思っております。
  159. 佐野進

    佐野(進)委員 もう一言紡績の西岡さんに、時間の関係もありますから簡単に質問してみたいと思うのですが、私は、紡績、化繊も円高関係で非常に重要な問題になって、明日質問してみたいと思っているのですが、あなたの場合には円高は、もちろん原料を輸入するわけで、これは化繊もそうですけれども、それよりも輸出の問題、それから、それよりもいわゆる韓国等の——いまや低開発国などと言うと怒られてしまいますね。わが国と変わりのないほどの技術進歩をいたして高成長を続けておるわけですね。これと競争をしていくということになってくると、新式設備を持って、低賃金、長時間労働、それに対してのわが国の紡績業ということになってくると、なかなか対抗できないというのが常識的な見解になってきますね。  しかも、廃棄した資材を買い上げする。中小企業のは買い上げをする。われわれも五、六年前に何回もやりました。しかし、ちょっとよくなるとまたそれがいつの間にかやみ織機になって復活していく、過剰設備だ、また廃棄する、またやるというような形の中でいままで繰り返してきているような感じがするわけです。これは感じですから、実際かどうか。私は、実際だと断言したいのです。差しさわりがあると思いますが、そう思うわけです。そういうような形の中で、大手でも千八百九十億でしょう。実際上の数字を出せばこれよりもっとありますね。粉飾決算とまでは言わないけれども、ある程度つじつまを合わせて千八百九十億で、もっとあると思うのです。中小企業が倒れるのはあたりまえですね。中堅企業がここのところやっていけなくなってくるのはあたりまえだと思う。  したがって、あなたの場合には、紡績業界については、日本の基幹産業一つである紡績業界が健全に発展していく必要のために、何かもっと積極的な対応をわれわれに求める姿勢があるのではないかなと思って、そのことを期待してきょうおいでを願ったという気持ちをお伝えしておきたいと思います。これは後でも結構ですから、もしありましたらお知らせ願いたい。  時間がありませんから、最後の山田さんにお尋ねしたいと思います。  実は山田さんは愛知県瀬戸の陶磁器工業組合理事長、後で聞いたら全国の組合理事長もやっている、ああそれで来られたのかなと思ったのです。実は愛知県に敬意を表しまして——遠州も愛知県でしょう。そこの綿スフの組合の理事長も呼ぼうとしたら、商工委員会などに行ったってちっとも効果がないだろう、そんなところへ行くだけなら、もっと地元で働いた方がいいということで断られたわけです。そこへもってきてあなたに来ていただいたということは、私としては大変敬意を表しているわけです。私ども円高不況下に苦しむ今日の地場産業の声を聞いて、これを行政の上に反映させていくために、われわれ国会としてどうあるべきかということを十分聞きたいと思ってやったところがそういう形になって、これは明日経済問題についての議論がございますから、通産大臣等についてもよく聞いてみたいと思っているのですが、そういう経過の中であなたがわざわざお忙しい中を御出席いただいたこと、加藤先生から聞くと、加藤先生の地元だということで、さっき聞きますかと言ったのですが、ぼくは遅く来たから、佐野さんは理事なんだからあなたから聞いてくれ、こういう話でございますから、私がかわってお聞きをいたしたいと思うのでございます。  先ほど来お話を聞いておりまして、二百七十円でなければもう採算が合わないというところへ来て、今日二百五十円である、来年はほとんど成約がないであろうというきわめて深刻な状況に置かれておるわけです。いまの常識的な見方からすると、二百七十円に復元するということは、輸出状況を判断いたしますと、恐らく不可能だということは常識ですね。  一体どうしたらいいのかということになると、いろいろ要望が七点ばかり出てまいりましたけれども、為替差益を得たところから吐き出させるとか、具体的な要望がいろいろありました。御見解よくわかりました。しかし、いずれにせよ、先ほど来のお話の筋からいたしますると、いわゆる大メーカーと称するものよりも中堅企業といわれる方々の方が相当多い。しかも私ども視察に行って陶磁器界はよく知っておりますけれども、大変な厳しい状況だと思うのです。そういう中で理事長といたしまして地場産業発展のために、地場産業代表はあなたしか来られませんので、きょうお尋ねしたいと思うのですが、地域的な一貫性の中でこの円高不況をどう克服していったらいいかという点について、お話の中で重複されても結構ですが、もし新しい視野に立っての御見解があれば、お示しいただければ参考にしたいと思うわけであります。
  160. 山田武雄

    山田参考人 お答えさせていただきます。  私、先日ジェトロのお使いでアメリカへ参りまして、実は特に問題のノベルティーにつきまして、ジェトロの派遣員の方といろいろ話したわけです。いきなりまず、円高問題で日本のノベルティーはつぶれてしまうのではないかという言い方をしましたら、非常にいいことをおっしゃった。いま先生のおっしゃるように、先ほど申し上げました要請のことを政府の方でお取り上げいただいて、お聞きしていただくだけではいけません。それで考えてみるに、いまのジェトロのお方のおっしゃるには、ノベルティー製品は、新しい物をつくれば新しい価格がそこで制定されるのではないか、旧来やっておるものを同じようにやっておると、理事長の言うように円高がすぐ影響するわけである、これは口に言ってはやさしいことであるが、新規に物を創造するということはなかなかむずかしいかもしれぬが、そうでなしに、心ある業者は常に新しい物をジェトロの方に送ってよこす、そういうものは新しい価格で取引がされるから、そう理事長が心配するようなことではないのではないかというふうに軽くおっしゃっていらっしゃいました。よく考えてみますとおっしゃるとおりと思います。ただわれわれに許されておる突破口は、できるだけ旧来の製品を打ち捨てまして、新しいデザインの物、新しい物を開発するよりほかに道はないと思います。ですから、組合におきましてもそういうことを切に申し上げました。  ただ、レートが違うということで、先ほど私が申し上げましたように、一五%から二〇%低くせよというふうにおっしゃるが、ここで仕事がなくて手形が落ちないというと、どうしてもそういうものを引き受けてやることを私は防止したいから、低金利の金を貸してやっていただきたいということを申し上げるわけでございます。そしてまた、ときによれば一時休業もするというくらいの決意で、ジェトロでおっしゃるように、できるだけ新しい製品を新しい価格で、こちらの言い分の値段でやっていきたい、突破口はそれよりほかにないと理事長考えております。  お答えになるかなりませんか知りませんが、答弁させていただきました。ありがとうございました。
  161. 佐野進

    佐野(進)委員 終わります。
  162. 野呂恭一

  163. 板川正吾

    板川委員 ナフサの問題を主として鈴木参考人に伺いたいと思うのです。  ナフサが、ヨーロッパの価格と比較いたしまして、ことしの九月現在にいたしましても五千円ほど高い。さらに円高の利益をこれに加算するとするならば、七千円くらい高くなっている。そういう一方において、石油輸入業者が利益を受けておるのにどうもナフサの値下げに応じない。最近の新聞によりますと、ひとつ実力行使をして今月の末からは二万四千円以外に払わない、こういうようなことも報道されておるのでありますが、政府が九月三日の総合政策の中でもナフサの問題を取り上げて、何とか需要者と生産者の業者間の調整をしなければならぬ、こういうことを方針に打ち出しておるのです。そうして、それに前後して、経済界の土光さんがこれまた中へ入って調整しようと言っておる。通産省の産業政策局長の濃野氏が、これまた何とかせねばならぬだろう、こういう報道がされておるのですね。  それで、輸入業者円高によって利益を受けておることも事実だ。それから、石油化学業界がナフサが高いことによって非常に苦境に陥っていることも事実なんです。こういう事実の中でなぜ話し合いがつかないんだろうか、こう思うのですね。ある時期、石油化学を育成しようという時期には、ナフサの価格を割安にした時代もあったはずだと思うのです。ですから、こういう石油化学業界が苦況に陥った場合に、ある種の考慮が払われてもいいと思うのに、話し合いがつかないというのは一体どういうことだろう、どこに原因があるんだろう、こういう点についてひとつお答えを願いたい。
  164. 鈴木治雄

    鈴木参考人 先ほどその点について御説明申し上げましたけれども、御質問に再度お答えいたしたいと思います。  私どもはどうしても、現在の二万九千円というのはヨーロッパの国際価格に比べて七千円ほど高いから、ぜひ下げてくれということを個々の精製会社に申し上げております。しかし、精製会社側の主張は、必ずしもそんなに高くないとか、あるいはまだ石油会社の中には赤字の会社もあるとかいうような理由等を述べられまして、今日の段階では一切値下げに応じていただけないというのが現状でございます。  私どもが並行的に通産省にお願いしておるのは、なるほど現在の二万九千円というのは標準価格ではないけれども、それの決定によって成立した価格が定着しているのですから、状況の変化によってそれを手直しする行政的な責任もあるんじゃないですか、今度の構造不況対策の中にも「調整」という言葉をうたっている以上、そういう行政的な責任があるからぜひやっていただきたいということをお願いしておりますが、政府側としては、統制経済でないから価格介入はできない、せいぜい君たちが必死に値下げ交渉をやりなさい、やった上で調整しないわけでもないというニュアンスのお答えでございます。経団連の会長にも、事情を申し述べて、何とか調整していただきたいということをお願いしておりますが、私の受けた感触では、ある時期にはそれは調整しないでもないけれども、もっと強い交渉をやれということでございます。  しかし、条件としてなかなかむずかしいのは、どこからでも買える品物じゃないということ、それから、外国が安いからそれじゃどんどん入れられるかというと、これは石油業法との関係でそれにもネックがある、それからまた、輸入が自由であるとしても、われわれ輸入の設備が十分じゃないということがありまして、どうも価格交渉について、これはわれわれが泣き言を言うわけではございませんけれども、互角の条件が整備されていない。確かにいまの状況下においては、何がしか下げることが常識だということがはっきりしておりますけれども、なかなか交渉の場についていただけないというか、そういうのが実情でございます。  しかし、先ほども少し弱過ぎるんじゃないかというおしかりもありましたので、私どももじんぜん日を過ごしておるわけにはまいりませんので、これからひとついろいろな方法で交渉を大いに強めていきたい、それでこれはどうしても早く決着をつけたいということを申し上げたいと思います。  どうもありがとうございました。
  165. 板川正吾

    板川委員 先ほどの鈴木参考人の御意見の中で、ヨーロッパ並みの価格でドル建て円払い方式をとってほしい、あるいは輸入を自由化してほしい、二つの点を強調されたですね。  ドル建て円払い方式というのは、言うのはやさしいですが、現実の問題としてはなかなかむずかしいんじゃないか、こう思うのです。たとえば午前中参考人として呼びましたアルミ業界では、力が外国の三倍も高い、だからそれを三分の一にしてもらえば別にいま心配はない、こういう話です。これまたアルミ業界だけに電力を外国並み、三分の一にするというわけにはいかないのじゃないかと思うのです。ですから、ドル建て円払い方式は、確かに方式としては、理論的にはあり得るけれども、実際にそれをやったら各産業に同じような問題が波及をする結果になるのじゃないでしょうか。そういうことで、石油化学業界の苦境というのはわかります。わかりますが、その方式はなかなかとりにくいのじゃないだろうか、これが一つです。  それから、輸入を自由化してほしいといいましても、輸入を自由化して、じゃあ全部石油化学関係で私の方でやりますということになると、先ほども、それは実際はなかなかむずかしい、石油精製業者の設備なり、あるいはタンクなり、そういうものを借りなければそれはできないのだ、協力が得られなければできないのだということです。それで、協力を得ずに外国から自由に好きなだけ買える、安い物が買えるということが予想されますか。その点をひとつ……。
  166. 鈴木治雄

    鈴木参考人 お答えいたします。  最初のドル建て円払いという意味ですが、日本石油精製事業というものは、ヨーロッパの石油精製事業と条件はほとんど変わらないと私は思います。というのは、中東の原油というものを両方とも輸入して、そしていろいろな油を近代的な設備でつくっておりますから、アルミニウムにおける日本電力高という問題とは根本的に事情が違うと思います。それで、私どもが申し上げますのは、そういうわけでヨーロッパの石油精製事情と日本石油精製事情というのは、若干の相違はあるにしても大体同じだ。そして、ヨーロッパで生産されるナフサの価格というものは変化するわけです。その変化する価格は、ロッテルダムのスポット価格というものにそのときどきに反映されておりまして、ヨーロッパにおける化学工業の使用するナフサの価格は、四半期ごとに、三カ月ごとにその価格を見ながら連動して変化させているわけです。それで、私が希望いたしますのは、今後日本の場合も、四半期ごとにその価格というものに連動させてナフサの価格を決めてもらいたい。別にドルで払うとかなんとかというのではなくて、ドル表示のものを円に換算した国際価格並みにナフサ価格というものは連動していいのじゃないか。そのために不都合があるとすれば、石油を取り巻く税制の問題であるとか、あるいは油種間の価格のゆがみという問題があるのかもしれませんが、それは別途検討をすべきであって、これはアルミの電力の問題と根本的に違いまして、私もアルミをつくっておりまして、午前中の参考人意見と同じ意見を持っておりますけれども、ナフサの場合は全く事情が違いますので、連動というものは可能だというふうに思います。そして、それは非常識ではないというふうに思います。  それからもう一つの自由の問題は、現在の状態においては設備もございませんし、それでは石油化学会社が輸入するから勝手にやりなさいといっても、素手で輸入できませんけれども、もしも石油業法の運用というものが、今後使用者が希望するならばいつでも自由にその業者輸入していいという政策というか、政策の運用が確立すれば、今後石油化学業界は、受け入れる設備とかタンクとかいうものを自分の設備の一部として使って対応すると思います。その点で、輸入が今後可能かどうかという問題について、政府がやはりこの段階では見解をはっきりすべき時期なんじゃないか。それによって、すぐは輸入できませんけれども、将来の中長期的な問題としては、相当側面から国際価格に連動する仕組みというものが確立する方向に条件整備が行われるというふうに思います。  ありがとうございました。
  167. 板川正吾

    板川委員 まあ、ナフサだけ自由に輸入ということになりますと、原油を輸入して各得率で石油製品を生産しておりますから、そういう点との調整がなければやはりエネルギー政策として十分にいかない、こういう点があると思うのですね。それで私は、この点について鈴木参考人が二つの点を強調したものですから、しかし、これはなかなかむずかしいでしょう、そしてこれを何とか解決するためには石油業界と話し合うほかにないんじゃないか。     〔委員長退席、中島(源)委員長代理着席〕 そしてその話し合う手段として、この新聞にありますように、場合によってはそれは強硬手段をとるということも前提でありますが、一番いいのは、この前の二万九千円を決めたときには通産省の行政指導で決めたのですから、通産省がこの問題についてしりぬぐいをする責任が私はあると思うのです。  私は、この前も議論したのですが、この前の価格を決めたときには通産省の指導だ、そして今度は、それではどうするんだといったら、今度は価格に介入をいたしません。都合のいいときには価格に介入し、都合が悪くなったら逃げているというのがいまのエネルギー庁の長官の心理のようでありますが、いろいろ御意見を聞いても、私は、これは結局は両業者間で話し合いをして一日も早く解決をすべきだと思うのです。その点では、石油精製業界が話し合いを拒否してかたくなに改定に応じないというのは態度として行き過ぎであろう、こういう点は私も同感でありますが、いずれにしましても、石油政策上から言いましても、石油精製業界石油化学というのは同じ類型に属するのですから、十分話し合いの上に一日も早くその妥結点を見出してもらいたい、こう思います。  それからもう一点は、繊維の関係参考人にお伺いをいたしますが、政府の対策の中で、中小企業振興事業団に対して設備共同廃棄事業資金の融資制度がございます。これは今度の予算で一億五千万出資をふやして、民間からも同額を出資され、その二十倍ということになりますと三十六億ですか、枠がふえますね。しかし、三十六億ふえて七百八十億になるのですが、どうもこの債務保証の枠が従来余っておる、実は使われてなかったということが一億五千万程度しか政府が出資しない原因になっておるので、この買い上げ制度が進んでない原因はどこにあるのでしょうか、その点ちょっとお伺いをいたしたい。
  168. 西岡宏

    西岡参考人 お答えいたします。  ただいまの御質問の方の例の中小企業に対する繊維工業構造改善事業協会による債務保証につきましては、前回の対米補償買い上げのときには買い上げと融資とございまして、融資の方につきましては事業団が債務保証して融資を受けたわけでございます。これには利子補給がついておったのでございます。したがいまして、かなり有利になるということで皆さん行かれたわけなんですが、今度の決まりました分につきましては、そちらがなくて融資だけということになっておりますので、どうしても業者としては一応そろばんをはじくということがあろうかと思います。前回の分は現在ちょうど返済期で、大体ことしから来年にかけて紡績の方は皆お返しすることになりますので、枠としては現在も余っております。今度新しくいただいた分は、いま言ったような利子補給の制度はついておりませんので、業界としては、銀行さんとの話し合いで、もう銀行の方は枠はいっぱいだからあっちへ行って借りろとおっしゃられたら行くと思いますが、そうでない限り、前回より優遇度がちょっと落ちているというかっこうになっておりますので、これは無理だと思います。
  169. 板川正吾

    板川委員 時間ですから終わります。
  170. 中島源太郎

    ○中島(源)委員長代理 後藤茂君。
  171. 後藤茂

    後藤委員 時間がございませんので二点ばかりお伺いをしたいわけですが、一つ栖原参考人にお願いをしたいと思います。  先ほどの御説明の中で、過剰能力の廃棄一〇%、約七十億円ばかりは自力でやっていく、こういう御説明でございました。大変厳しい情勢にある中での一〇%の設備廃棄、この見通しですけれども、緊急避難的な性格と、それから遠い将来ということになりますと、また想定は変わってくると思いますが、これからの需給見通しを考えていった場合に、現在の一〇%程度の過剰能力を廃棄していけば、これからは大体心配しないような方向にいけるというようなお考えをお持ちなのかどうか、お聞きしたいわけです。
  172. 栖原亮

    栖原参考人 実は一〇%廃棄を目標にしておりますが、各メーカーさんの御意向がなかなか買い上げに積極的に集まってまいりませんで、現在四ないし五%の買い上げでとまっているわけでございます。と申しますのは、機械を買い上げるということは経営の根本にかかわることである、買い上げでなしに休転ということで協力さしてもらえないかというような向きが相当多いわけでございます。休転となりますと、お金を払った有償休転ということになるわけでございまして、買い上げと有償休転とを並行的に持っていって一〇%以上の数字にしたいということで考えておりますが、冒頭ちょっと申し上げましたように、有償休転ということになりますと、現在の独禁法から言うと御認可をいただくことはなかなかむずかしい、こういうこともまあ独禁法の弾力的な解釈の中で認めていただけないかということが、まず第一番目のお願いでございます。  それから、一〇%をめどにすると申し上げたことは、先ほどから申し上げておりますように、大体現在の段ボール原紙の操業度が六七%ございますが、幸いにことしの後半から原紙の輸出が相当出てまいったわけでございます。それを加えますとやや操業度が上がってまいる。一〇%程度の設備を廃棄いたしますと、先ほど申し上げましたように、採算はやはり八五%操業に持っていきたいが、どうやら八〇%に近い操業度になるので、これに年間GNPに見合った成長量を見ますと、どうやら一〇%買い上げ、廃棄ができれば来年度以降はつじつまが合う形になるんじゃないか、そう考えておるわけでございます。
  173. 後藤茂

    後藤委員 恐らく最初は相当な決意で設備廃棄を考えられたのだと思うのですけれども、先ほどの御説明の中で、少し輸出が上向いてきた、こうなってまいりますと、独禁法の運用の問題は一応別として、有償休転という方向にこれは人情としてどうしても行かざるを得ないだろう。これは午前中の平電炉の問題でもそうだったのですけれども、そうやって一寸延ばしに延ばしているうちに、事態はそう大きく——つまり循環的な不況ではないわけですから、構造的な不況だと言われている中で、目先の動きでこういった基本的な問題を変えていくということになりますと、後々よけいに矛盾を深めていくのではないだろうか。したがって、私が申し上げるのは、一〇%がいいのかあるいは四、五%がいいのかは私もまだよくわかりませんけれども、相当長期に板紙関係なり段ボール等の需給というものを、単にGNPの成長率だけに合わせたいままでの考え方ではなくて、相当見通しをしておかないと、後でほぞをかむ危険性があるということで申し上げたわけです。これはもう御答弁は要りません。  それと同じような点を西岡参考人にちょっとお伺いしたいのでございますけれども、紡績関係も構造調整期に入ったというように御説明がございまして、各社に廃棄の希望を募った。そうすると、二百万錘ばかりの廃棄希望が出てきた。すでに六十万錘は廃棄をしてきている、こういうような御説明であったと思うのです。  ここでお伺いしたいのは、つまりこれは各社の任意な希望、もちろん業界としての指導はあると思うのですけれども、希望としての設備廃棄なのか、それとも絶対的にこの二百万錘は設備廃棄をしていかなければもうにっちもさっちもいかないということなのか。さらに、いまの栖原参考人への御質問とも関連するのですけれども、これからの経済成長、それから後進国といいますか近隣諸国からの輸出攻勢の中での、つまり一つの市場を日本の紡績業は一体どの程度これから持ち得るのか、将来展望としてどうなっていくのかということを考えての二百万錘の廃棄なのか、こういったところをひとつもう一度詳しく御説明をいただきたいと思うのです。
  174. 西岡宏

    西岡参考人 それでは、私の方の過剰設備処理の目標の問題について申し上げますと、これは全くアンケートでございますので、強制ではなしに、各社がそれぞれの判断でおやりになった。ただ、御承知のように、私どもは、一番最初に昭和五十五年を目標とします過剰の想定をやりましたときには、大体輸入の見通しを内需の一五%ということで押さえまして、一応百三十五万錘という数字をはじき出しておるわけでございます。したがいまして、そこには、できたら輸入は一五%ぐらいでとまってほしいという希望が入っておるわけでございます。今度アンケートをやりましたときには、それが大体二百万錘近く、各社の任意で出てきたということでございますが、これにつきましては、先ほども申し上げましたように、例の中小企業振興事業団による買い上げが特に中小紡については適用されるということが確定いたしました後でやっておりますので、繊維産業の将来の見通しというようなことからいろいろと判断されて、特に小さい方ではなかなか後進国競争するのがむずかしいという御判断に立たれて、特に廃業でございますね、そういったかっこうでお出しになったところが多かったように思っております。  それで、この約二百万錘という数字は、大体輸入が二二、三%くらいになったときの数字に合うわけでございまして、現在、ことしは大体一七、八%じゃないかと思いますので、若干それより余分に出たという感じではございます。ただ、一番私ども心配しておりますのは、その二百万錘といった中に、実は中堅紡でございますね、中小紡よりちょっと上の規模の方の希望廃棄も出ておるのでございますが、これは特に名古屋方面の皆さんの御希望で、われわれにも中小企業に与えられたと同じようなフェイバーはもらえないだろうかという希望が若干乗っておりますので、結局中堅にはその適用がなくて、先ほどちょっとお話がござました例の融資補償というかっこうだけになったわけでございますので、それでも出すという御決心でおられるとは思いますけれども、若干そこが実は問題点としては残っておるわけでございますが、われわれとしてはできるだけお出し願うようにお願いしております。  それと、先ほども申しておりますように、われわれは一五%あるいは二〇%くらいという一つ輸入規模ということを想定しております。これは紡績の場合でございますと、後進国で一番強い韓国と比較しまして、人件費では確かにこちらが高いわけなんですけれども、労働生産性あるいは品質という面から押していきますと同時に、また韓国の方も、実は先般紡績協会の委員長も向こうへ行って会談をしたわけなんですが、やはり労務費のアップが日本よりきついということで、もう近き将来には労務費が日本に対して非常に優位であるという事態はなくなるというような見通しも実はあるわけでございます。  したがいまして、事紡績に関してはそうひけはとらぬだろうという判断でございますが、紡績の糸を使っていただく織布、さらにその布を使っていただく縫製の方は、特に縫製なんかこれは完全な労働集約産業でございますから、ミシン一台に一人が必ず要るわけでございますね。そうすると、ここでは要するに合理化の余地が非常に少なくて、本当に労働費同士の競争になるということになりますれば、やはりそこが非常にまだ将来的にもこれに力を入れる。したがって、提言もそれをねらってやっていただいておるわけでございますけれども、そういうぐあいに縫製で負けますと、紡績が幾ら勝って糸をつくっても、それを国内で使っていただく業者がつぶれてしまうわけですから、結局紡績もまた、せっかくここまでがんばっても、もう一遍小さくならざるを得ぬ。だんだんだんだん縮小ばかり続けることになるということになっては、これは国家としての大きな問題だろうから、したがって、この際、繊維には国際ルールがあるわけでございますから、何か一定のめどというような問題での二国間協定というようなことをやっていただけないか、そういうふうに発展していっているわけでございます。  お答えいたします。
  175. 後藤茂

    後藤委員 ありがとうございました。終わります。
  176. 中島源太郎

    ○中島(源)委員長代理 玉城栄一君。
  177. 玉城栄一

    玉城委員 長期不況の中で大変御苦労しておられる中で、このように当委員会に御出席なされまして、心から感謝を申し上げます。  まず最初に、栖原参考人、それから西岡参考人山田参考人の御三名にお伺いをしたいのでありますが、これは午前中の参考人の方にもちょっとお伺いしたのですが、円の急騰、円高対策として、通産省がその一つとして中小企業の為替変動対策緊急融資制度を創設をした。この制度については評価をする。しかし、実際に緊急融資といいながら、十月一日から発動もされているのにもたもたしておる。それに、利子が七・六%、非常に高い。そういう御不満がありまして、利子も下げるべきである。また、業者の中には、ただでさえ借金を抱えていて、これ以上、そういう先行き不安の中で、果たしてこれが活用できるかどうか等等の御意見もあったわけでございますけれども、まず、最初の御三名の参考人の方から、その件についてよろしくお願いをします。
  178. 栖原亮

    栖原参考人 いまの先生の御質問につきまして、私は、ちょっと答える基礎がございませんので、御答弁を控えさせていただきます。
  179. 西岡宏

    西岡参考人 繊維の方は、特に紡績は輸出は少ないわけでございますが、やはり現在繊維全般について言えますことは、御承知のように、ある程度操業をキープするために輸出はかなりきつい値段で売っておられますので、これが円高ということになりますと、恐らく皆さん赤字になるのだろうと思います。しかし、その赤字を取り戻すために高く売るということができませんので、やはり必然的にまあ出血輸出を続けるかあるいは輸出をやめて内需へ持ってこようという問題になると思います。ところが、御承知のように、内需の方はもうすでにだぶだぶというかっこうでございますので、非常にこれからの問題としてはむずかしい局面へ来ると思います。  したがいまして、一応、繊維産業連盟の名前におきましては、円筒を是正してもらいたい、まあ希望レートは二百七十五円ぐらいだということで陳情に回ったわけでございますが、実際問題としてこれは特にむずかしいことだろうと思いますので、この吸収対策につきましては、さらに精力的に各業界の中で協議が続くだろうと思います。非常に困惑している現状でございます。  それから、特に綿につきましては、輸出もさることながら、輸入の方が非常に安い価格で逆に入ってくる。先ほどちょっと申し上げましたのですが、棉はもちろん輸入でございますから安くなります。ところが、綿糸あるいは綿織物で入ってくる製品につきましては、先方でかかった加工賃までが、円高というかっこう、実質的には為替ダンピングというかっこうで入ってきますので、その値段が日本でつくった綿糸あるいは綿織物にも影響いたしますから、国内的には物すごく価格が下がる可能性が出てくるということが非常に心配されておるということでございます。  以上でございます。
  180. 山田武雄

    山田参考人 玉城先生から大変ありがたい御質問をちょうだいしまして、厚くお礼を申し上げます。  先生がおっしゃるように、今度の施策につきまして、本当にありがたく思わなければなりませんが、その中身が、金利の面それから担保の面、先生のおっしゃるようにわれわれの業界は非常に疲弊しておりまして、そのいずれか——政府でせっかく出していただいたものの、利用価値というものは非常に低いものではないかと私は危惧しております。そこで、できましたら年利三分ぐらいの利子補給というような形でも結構でございますが、より一層これを生かして使えるような施策をば先生たちで講じていただきたい、そのようにお願いいたします。
  181. 栖原亮

    栖原参考人 先生ただいまの御質問、紙の業界では、先生の御指摘になりましたような中小メーカーの輸出がございませんので、ああいう返答をいたしまして、失礼いたしました。
  182. 玉城栄一

    玉城委員 これは午前中の参考人方々にもお伺いした失業の問題なんですが、当然、過剰設備の廃棄に伴いまして、雇用問題というのが深刻な問題が出るわけです。当然こちらのサイドでもその対策は全力を挙げて立てられなくてはならないわけですけれども業界の皆さん方自体とされて、どういうふうな対応策をとっておられるのか、その点を栖原参考人並びに西岡参考人、御両人にお伺いをいたします。
  183. 栖原亮

    栖原参考人 製紙業界といたしましては、相当減量経営を徹底しておりまして、現在以上に市況が落ち込まない限り、従業員のこれ以上の整理ということはないと思っております。
  184. 西岡宏

    西岡参考人 紡績の場合は、すでに全繊同盟さんといろいろと話を進めておりまして、部分縮小あるいは工場廃棄というようなかっこうで行われます離職者問題につきまして、できるだけうまく転職できますように、企業内外を通ずる政府の施策をお願いするというかっこうで現在鋭意陳情いたしておりますので、何とぞその点はよろしくお願いいたしたいと思います。  大体以上でございます。
  185. 玉城栄一

    玉城委員 それでは、鈴木参考人にお伺いをいたします。  昨日五十二年度の補正予算が成立をいたしました。政府の総合景気対策も含めまして、これは原則的な一般的な考え方としまして、どのようにこの総合景気対策を評価をしておられるか。先ほどの御説明の中にもちょっと触れておられましたけれども、全体的にこれはやはり長期不況を一日も早く回復するということがこの問題の基本的な解決の一つになるわけでありまして、そういう点から率直にお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  186. 鈴木治雄

    鈴木参考人 現在の日本の不況というものに対して、先般不況対策として、金利の大幅な低減とそれから二兆円の規模の補正予算を組むという対策、主としてこれは公共事業を内容とするものですが、その時点でいろいろな角度から考えて可能な政策手段としてはそういうことだったかと思いますが、その後の経緯を見ますと、特にこのところ急ピッチの円高によって、ある意味ではせっかくの政策がほとんど不況を緩和して景気を上昇させる方に機能しないようになったのではないか。事態は非常に深刻でありまして、そういう問題について見解を述べろという大変ありがたいお話でございますが、私は、この急激な円高というものは、日本全体の経済に対して非常に深刻なデフレ効果を与えているのじゃないか。現在の公共投資というようなあの程度のものは、ある意味では消えてしまったのじゃないか。したがって、これからの対策としては、ぜひこの委員会でお取り上げになっているように、構造不況業種というものについて適切な政策を早くとるということ、それから、場合によっては、国債の三〇%というような問題を固守するのか、もう少し財政の面で仕事をふやす政策をとるのかという深刻な選択の場面が近づきつつあるのではないかと思います。  私ども産業界に身を置いている者から言いますと、事態は非常に深刻なので、余り国債の限度というようなものを神経質に考えないで、やはり経済全体がよくなるような、産業全体がよくなるような財政というものを積極的にやっていただきたい。そのことによるインフレの心配というものは、日本は現段階ではないのじゃないか。二十兆ないし三十兆の需給ギャップがあるということが言われております。それに対して二兆や三兆の予算を組むことは、ある意味じゃ効果が薄い。したがって、継続的にさらに上積みの財政規模のある仕事というものを考えるべきじゃないか。この際、日本としては、向こう二カ年間か三カ年間くらいの間に、民間、政府でやらなければいけないという問題をひとつできるだけ洗い直して、その仕事はどうしてもやらなければいけないわけですから、極力前倒しをしていまのむずかしい局面を打開すべきじゃないか、事態は相当深刻になっていくんじゃないかというふうに考えております。
  187. 玉城栄一

    玉城委員 先ほど西岡参考人の御説明の中に、秩序ある適正な輸入と申しますか、というようなことがあったわけですが、実際の問題としまして、この輸入制限ということは非常にいろいろ問題があるわけです。先ほどの御説明の中で、国際的な協定というようなお話もちょっとあったかのように承ったわけですけれども、もう少し輸入を規制する、まあ規制という言葉でなくして、その辺をどのようにもっと具体的にした方がいいのだというお考えがありましたら、お聞かせをいただきたいと思います。
  188. 西岡宏

    西岡参考人 これは、輸入規制というもう一つ前に、日本の繊維産業あるいは日本の国民に供給する衣料の何%を国産の物で賄うかという一つ産業の基本的な問題としてのいわゆる繊維産業政策というものがあれば、わりあいに簡単にいく問題じゃないかと思います。  といいますのは、われわれが韓国に行きますと、国際分業論ということを向こうはよく言うわけでございます。要するに、繊維のようにかなり人手を食うような労働集約産業韓国なんかに譲ってもらって、日本はもっと高度の重化学工業、そっちの方にウエートをかけて、極端に言えば繊維産業はもうやめたらどうかというような議論までされるわけです。  われわれの言っておりますのは、そういうことはおかしいので、やはり国としてはあらゆる産業をそれぞれ備えておるということが必要だという話を、さらにこれに対してしておるわけでございますが、その次に向こうは、それでは紡績という場合に、たとえば二〇とか三〇の低い番手のものは向こうにもらいたい、紡績の方は四〇とか六〇というように、一つの繊維の中で国際分業の考え方はどうだというような、いろいろな話はやっているわけなんですけれども一つの繊維産業というものがうまく成立するためには、紡績だけがよくてもいけませんし、末端だけがよくてもいけない。やはり上から下まで一つのバランスのとれた供給力を持った産業というかっこうで、国家としてそれを残していただくという方向にいくべきではなかろうか。  そういった場合、しからばそれを幾らに置くかという議論は別としまして、それ以上入ってくるのは何らかの方法で規制していただきたい。しかもその規制の方法については、世界には繊維についてはガットの中で設けられた多繊維協定という協定がございます。しかもアメリカ、ECあるいはカナダといったような先進国は、皆これを使って輸入の一応のめどをつけておるわけでございますので、日本としてもそれをやっても別に世界から非難されることは、事繊維に関してはないはずですという議論で進んでおるわけでございます。われわれとしては、終局的にはぜひこれを実現していただきたいということでございます。  以上でございます。
  189. 玉城栄一

    玉城委員 山田参考人にお伺いをいたしますが、この円高によります為替差損の負担の問題で、バイヤーと皆さん方との間にいろいろお話し合いがされているやに伺っておるわけでありますけれども現状としまして具体的にどういう状況にいまあるのか。関係断絶といいますか、そういうところまではまだいっていないと思いますけれども、その辺の事情を少しお聞かせをいただきたいと思います。
  190. 山田武雄

    山田参考人 お答えさせていただきます。  先生が察知していただいたように、いまアンケートをとっております。実態どういうふうであるかというと、先ほど私が述べましたように、円高を盾にとって、バイヤーから一五%から二〇%の値切りをされておるという段階でございまして、いまちょうどその境目に来ておるところでございます。一方、私としましては、先ほど申し上げましたように、がんばれがんばれ、金は何とかなるからがんばれをいまやっておるところでございます。実態としましては、ようやくここでまとまりがもう二、三日で出ると思います。  ただ、そうしますことによりまして予測のつきますことは、こんなふうな状態でいきますと、来年の二月、三月ごろにはかなり休業の業者が出るのではないかということです。予測で物を申し上げておって大変失礼でございますが、そういう予測しかつかぬわけでございます。いまのところすでに、二百七十円で換算いたしましたときに食器、ノベルティーにおきましては八〇%、二百六十五円の場合には七〇%、二百六十円の場合には五〇%くらいの受注しかないであろうということを予測しておるわけでございます。これは食器、ノベルティー輸出商社百八社、タイルの輸出商社十九社について調査したものの詳細でございます。これから考えてみますと五〇%くらいの休業が出るのではないかというふうに考えられますが、実態は、いま細かいことを調査しておりますので、数字を持ってきておりませんが、あらまし申し上げることのできるのはきょうここで申し上げる範囲でございます。  ただ、防衛策といたしまして、先ほど先生御指摘になりましたように、金融の面につきましての措置国会でもお取り決めいただきまして、これにつきまして実施する場合においてもう少しわれわれが使い得るお金にしていただきたい、そのように考えるわけでございます。  答弁になっておりませんが、以上のことを正直に申し上げましてお答えにさしていただきます。  ありがとうございました。
  191. 玉城栄一

    玉城委員 大変たくさん問題があるわけですけれども、ただ、私自身も非常に痛感をしますが、例のドルショック、オイルショック、そして今回の円高というように非常にショックが続いておるわけです。そして長期不況、そういうようなことできわめて深刻な状態に置かれているという認識はわれわれも十分持っておるわけです。通産省の方も、特に今回の円高問題についてはいろいろと実情調査などを何回もやっておるわけですけれども、なかなか有効な政策が出てこないというようなことで、非常に歯がゆい思いをわれわれ自身もしておるわけです。そういう点につきまして、いまの政府の対策と申しますか、通産省のこういう行政のあり方について、きわめて簡単で結構でございますけれども、それぞれの方々から率直にお聞かせいただければ幸いと思います。
  192. 栖原亮

    栖原参考人 企業としては、いまのような環境の中で、製造業全体を通じましても八〇%以下の操業率ということが続くわけでございますので、もっと通産が果敢に業界に対する行政指導をしていただきたいということを強く希望いたします。
  193. 鈴木治雄

    鈴木参考人 最近一年間の経験から見ますと、どうも経済の実態に対する認識が政府の方がいつも甘い、したがって、対策がいつもおくれるし、小幅であるしということを痛感いたします。ただ、行政の面ではいろんな規則とか予算とかいう問題がありますので、積み上げた努力ではこれからむずかしい段階はなかなか打開できないんじゃないか。総理とか通産大臣とか大蔵大臣とか、上の方からリーダーシップを持って乗り切るというような姿勢、実践力というものが非常に痛感されます。  以上でございます。
  194. 西岡宏

    西岡参考人 非常に適切に業界実情に対して御指導をいただけて、非常にありがたいのですが、ただ、繊維につきまして申し上げますと、御承知のように、不況といいますと繊維が一番早くこの波をかぶる。好況になるときも一番遅く好況の余波をいただくというようなかっこうの産業でございます。したがって、繊維が妙な情勢になりつつあるということをキャッチされましたときには、これが全般へのさらに大きな不況が出てくるのだというような認識判断で、速やかに適切な時期に手を打っていただくということが、後々の施策もスムーズに、余り大きな出費もなしにいくのじゃないかと思いますが、結果的には非常によくやっていただいておりまして、感謝しておりますけれども、そのタイミングがいつもおくれておるという感じでございます。  以上でございます。
  195. 山田武雄

    山田参考人 輸入輸出の差益と差損を連動させるというような方策を講じていただきたい。具体的に申し上げますと、重油で得ますところの差益をば、われわれ重油を使っている側に回していただくような慣行ができないかということを申し上げます。
  196. 玉城栄一

    玉城委員 大変貴重な御意見をありがとうございました。
  197. 中島源太郎

    ○中島(源)委員長代理 宮田早苗君。
  198. 宮田早苗

    宮田委員 昨日、事業規模で二兆円の補正予算が決まったわけでございます。私の前の質問者がその点についてちょっと触れていたようです。鈴木参考人はそれにお答えになっておられたわけでございますが、他の参考人方々御三人、皆さん方の担当されております業界にどれほどの効果といいますか期待が出てくるものか、わかりましたらそれぞれお答え願いたいと思います。
  199. 栖原亮

    栖原参考人 昨年は、前半は私どもの紙の産業も自然に需要が伸びて好調でございまして、後半腰折れという苦い経験を積んだわけでございます。ことしこそはそういうことがないのだ、補正予算も大型のものを組んだし、公定歩合も引き下げたしということで、大変期待をしておりましたところが、円高ショックで一遍にそれが吹っ飛んでしまったという関係でございまして、また、私ども需要の伸び方も下方修正をしなければならぬような状況になっております。  第二段の景気対策を先ほど鈴木参考人がおっしゃいましたことと全く同意見でございまして、これもひとつ果敢に打ち出していただきたい、かように要望いたします。
  200. 西岡宏

    西岡参考人 私どもの方は、過剰設備の処理につきましてのいろいろな措置が盛られましたので、設備処理は非常に進展するというぐあいに喜んでおるわけでございますが、円高とかあるいはいわゆる景気振興予算での内需振興ということにつきましては、いつも波及が、特に内需振興が遅うございまして、円高の方は、これから現実の問題として輸入動向がどうなるかということを見きわめていかぬとわかりませんが、直接的にはそういった買い上げが非常に効果を発揮するということで評価しております。  どうもありがとうございました。
  201. 山田武雄

    山田参考人 せっかく通していただいた予算でございます。さっそく執行していただきまして、きょう私らが述べましたことを取り上げていただいて、次の予算にこれを組み込んでいただきたいということを要請いたします。
  202. 宮田早苗

    宮田委員 皆さん方の業界はそれぞれ過剰設備を抱えておられるわけでして、それの廃棄という大問題があるわけでございます。ただ、それだけに終わらなくて、雇用問題というものが非常に大きな焦点になるわけであります。問題は雇用問題で、設備廃棄によって起こります離職者はできるだけ出さないようにという努力をしていただかなければならぬわけでございまして、今日の諸情勢からいたしますと、離職者を出さないようにするためのちょうど一つの転機にあるのじゃないかと私は思っておるわけでありますが、その点について皆さんの方でその努力をしておいでになるということは聞いておるわけでありますけれども、それぞれの業界方々に、その点についての対策といいますか、ありましたらお答え願いたい、こう思います。
  203. 栖原亮

    栖原参考人 紙パルプ業界におきましては、段ボール原紙だけにしぼって申し上げますと、八十八社ございますが、従業員の数は一万人程度と想定されます。非常に装置産業でございまして、一人当たりの生産高が高くて、従業員の数は少ない産業でございます。  なお、今後設備の買い上げが進みました場合も、恐らく各メーカーさんが買い上げを希望される機械はすでに長期休転をしておるマシン、それらの機械についておりました人員についてはすでに転換済みの機械の賢い上げを希望してこられることになると思いますので、極端に市況が落ち込まない限り、この二万人の人員をさらに減少することは起こらないだろうと思っております。
  204. 鈴木治雄

    鈴木参考人 いま御質問の問題は非常にむずかしい問題でございまして、私ども経営者としては雇用をできるだけ守りたいと思っておりますが、何分設備も余り、仕事が減るということになりますと、その問題というのはやはり経営者として非常に大きな考慮要素になるわけでございまして、ぜひお願いしたいのは、たとえば雇用調整法のようなものを弾力的に拡大してやっていただきたい。それから、民間の仕事が減るならば、ほかの部門で仕事がふえて、そこに雇用の機械がふえるように受けざらというようなものを国、政府におかれて用意していただきたい。  それから、私どもは、同時に、中の従業員に対しては、必死の努力をして企業を守るという観点から、場合によっては労働条件もできるだけがまんしてもらうというようなことを言わざるを得ないわけですけれども、いずれにしても、事態は相当深刻でありますので、経営者としてはできるだけその問題は重視して対処してまいりたいと思いますが、どうぞひとつ、国ベースにおかれましてもいろいろな条件を整備していただければありがたいというふうに思います。
  205. 西岡宏

    西岡参考人 紡績の方の雇用者といいますと、大体一万錘当たり八十人というのが一つの常識になっております。このうち男女比率は、女が大体六〇から六五%、男性が四〇から三五%ぐらいというのが一つの常識でございます。したがいまして、今度希望廃棄というかっこうで約二百万錘、そのうち実際に、現在操短をやってとまっておるものがほとんどだろうと思いますが、百四十万錘を現実につぶすわけでございますので、かなりのの職を離れざるを得ない男性が出てくると思います。特に女性は、御承知のように、わりあいに若年者が多うございますので、そう大きな問題ではございませんが、男性にはやはり離職という問題は大きな問題でございます。したがいまして、もうすでに、御承知のように、自動車産業とかそういったほかの産業さんの方へ出向というかっこうで受け入れていただいているような企業もございますし、また、一般的な受けざら、あるいはその間の給与補償というようなかっこうでゼンセン同盟ともいろいろ話し合いをしておりまして、現在、先ほどもちょっと申し上げましたが、不況業種の離職者対策臨時措置法案といったものを通じまして国家の施策をお願いしているというようなのが現状でございます。  どうぞよろしくお願いいたします。
  206. 山田武雄

    山田参考人 私らの業界もできるだけ離職者の出ないような努力をしたい、また、せなければならないと思って、先ほどから申し上げております雇用保険法に基づく雇用調整給付金の業種指定をしてほしいということを要請しておるわけでございます。これが素直に行っていただけないと、どうしても離職者を悲しいけれども出さなければならない。でありますから、このことにつきまして、できるだけ陶磁器陶磁器関連産業につきまして業種指定をしていただきたいことを再々申し上げておるわけでございます。
  207. 宮田早苗

    宮田委員 大変貴重な御意見を聞かしていただいたわけですが、私どもの方で希望いたしますのは、やはり離職者をできるだけ出さないようにということ、そのためには時間短縮とかあるいは居残りの規制とか休日をふやすとか、こういう方法もあるのじゃないかと思っておりますので、その点についての極力の努力をお願いする次第です。  次に、栖原参考人一つだけお伺いいたしますのは、設備廃棄を一〇%はしなければならない、こういう意見でございます。ところが、自力でどうやっても四、五%だ、どうしても他の方法を考えなければ一〇%の設備廃棄というのはむずかしい、こういう意見であったわけであります。他の方法とはどういうことをお考えになっておるか、それをお聞かせ願いたいと思います。
  208. 栖原亮

    栖原参考人 一〇%の買い上げをぜひしたいということで、まだ私どもとしては各メーカーさんに小当たりをしておりますので、現在の段階では四、五%にしかきてないけれども、それをもっと上げるべく努力はいたします。しかし、それでとても一〇%にいかない場合には、機械を長期休転をしてもらう。その場合、休転をしてもらいますメーカーさんには、有償で、つまり同業相寄ってお金を出し合って、休転したマシンに対して有償休転という形をとらなければならぬということが起こるわけでございます。これは、先ほど申し上げましたように、ちょっと独禁法にひっかかる問題があるかと思います。いまそれを盛んに研究しておるところでございます。  なお、なぜ買い上げにわれわれが当初予期しましたように一〇%集まらないかと申しますと、これも先ほど申し上げましたように、製紙産業というのは装置産業でございまして、設備に大変お金がかかる、これを買い上げて廃棄してしまうということは、将来の経営の基幹に関することだということで、いざ買い上げに進むとなかなか渋るメーカーさんが多くなってくる、これはあたりまえのことだと思うのでございますが、これもなお根強くやりますが、なかなか一〇%にいかない、その場合には別の方法もあわせて考えてまいりたい、それが有償休転である、こういうことでございます。
  209. 宮田早苗

    宮田委員 鈴木参考人に一点だけお伺いいたします。  ナフサの価格、これが一番中心のように聞いたわけでございますが、これをヨーロッパ並みに二万二千円程度ということでなければと、そのために石油会社との交渉が盛んに行われておるようですけれども、なかなかその交渉がむずかしい、こういうことなんでございます。やはりその交渉を何とかひとつ成功させなければ、不況、好況にかかわらず将来の展望というのはなかなか開けにくいのじゃないかと思うわけです。その成功をさせるために、単なる石油会社との交渉ということだけでなしに、別の面でのそれの打開策というものをもしお考えでございましたら、端的におっしゃっていただければ非常に幸せと思います。
  210. 鈴木治雄

    鈴木参考人 いまの御質問ですけれども、どうしても買い手と売り手の関係でなかなからちが明きません。それで、ぜひひとつ通産省に価格の調整をやっていただきたい、あるいは両方とも民間の業界ですから経団連の会長にも考えていただきたい、そして速やかに、決して一方的な利己的なことを申し上げているわけじゃないと思いますので、公平なところで裁定をしていただきたい、それが率直なお願いです。同時に、やはりいまの世の中は世論あるいは国会考え方等も非常に影響力があるわけで、先生方によく研究していただいて、こういうことが妥当なんじゃないかという雰囲気をぜひ期待申し上げたいと思います。
  211. 宮田早苗

    宮田委員 最後でございますが、西岡参考人山田参考人にお伺いいたしますのは、皆様方の業界での一番ネックは、やはり発展途上国との貿易の関係じゃないか、こう思うわけでございます。特にそれぞれで、産地は産地ごとに、業界業界でこの問題についてのいろいろな申し出もあるわけでございますけれども、やはり特別的な措置を今日とらなければならぬというのが皆さんの一番大きな問題じゃないか。この特別措置ですね、たとえばどのようなことを期待をされておるか、希望されておるか、この点について簡単にお答え願いたいと思います。
  212. 西岡宏

    西岡参考人 先ほどから申し上げておりますように、繊維の方には、御承知のように、ガットの場で定められました多繊維協定という国別の協定をやることを可能にした協定がございます。日本も実はこれに加盟しておるわけでございますので、われわれの業界としては、日本輸入国の立場に立って、そういった日本に対する輸出国との間に二国間協定を結んでいただきたいということをお願いしておるわけでございます。
  213. 山田武雄

    山田参考人 関税問題につきましては、片方は無税である、われわれは関税はかけられておりますが、これはやはりアメリカ、ヨーロッパ方面の実情をどうすることもできぬと思います。ただ、ここでわれわれが考えられることは、低開発国でつくるものより以上のいいものをつくり出す。かつて日本の陶業界も欧州の方のものを侵食した、それと同じように、低開発国のこれが来ないように先へ先へと行く道しかない、そのように思っております。
  214. 宮田早苗

    宮田委員 どうもありがとうございました。
  215. 中島源太郎

    ○中島(源)委員長代理 安田純治君。
  216. 安田純治

    安田委員 参考人の方には大変長時間にわたって御苦労さまでございます。いままで同僚委員がいろいろな角度から長時間にわたって御質問申し上げ、大変私ども勉強になりました。これから皆さん方の御意見参考にしながらやっていきたいと思うわけですが、したがって、同僚委員と余り重複しないように、長時間にわたりますので、わずかな点お伺いしたいと思うのです。  鈴木参考人にお伺いいたしますけれども、実は日本経済新聞が、「構造不況 再生への道 トップは語る」というシリーズものをずっとやっておりましたね。     〔中島(源)委員長代理退席、委員長着席〕 これの中で、化学肥料に関しては三菱化成の社長さんとの一問一答がずっとありまして、最後に「診断」という題名でコメントがついております。それを読みますと、いろいろございますけれども、「ナフサ対策、内需喚起策だけで、直面している危機を克服できないということも明白だ。輸入国の新設備ラッシュと東欧、産油国の輸出市場へのなぐり込みという流れは、どうにも押しとどめようがない。輸出市場に君臨してきた日本の肥料業界はまさに前門のトラ、後門のオオカミのはさみ撃ちに合っている感じだ。このトラとオオカミから自らを守るためには、縮小均衡対策の推進がどうしても必要だろう。設備対策をどう推進するかについての方法論や構想を持たずに、ナフサの引き下げを叫んでみても、いささか説得力に乏しい感じがする。」こういうコメントがついているわけでございますが、これに対して鈴木参考人の御見解なり御意見がございましたら、伺っておきたいと思います。
  217. 鈴木治雄

    鈴木参考人 お答えいたします。  肥料のいまの不況というのは、ナフサの問題が一つ、それからもう一つは、発展途上国が自己の肥料の消費のために設備の自給化の現象というのが起こっているわけです。これは、中国におきましても、インドネシアにおきましても、フィリピンにおいても、インドにおいてもそういう傾向が見られるわけでありまして、そういう意味から、従来の肥料の需要構造が七割を輸出するというような構造はなかなか無理だ、そういう点で設備の過剰というものにどうしても取り組まなければいけないということは事実であります。それじゃ、それをやればナフサの問題はいいのかというと、決してそうではなくて、ナフサの高さというものは肥料のコスト高になって、そういう環境の中でもなおかつできる輸出を大幅に阻んでいるという事実がございます。したがって、いまのコメントをさらにコメントさしていただければ、設備の問題についてはおっしゃるとおり、しかし、それなるがゆえにナフサの問題はどうでもいいとか、あるいはそちらの問題じゃないということについては当たらないと思います。
  218. 安田純治

    安田委員 そうしますと、このコメントの中の設備対策をどう推進するかという方法論や構想は、お持ちになるわけでしょうか。
  219. 鈴木治雄

    鈴木参考人 お答えいたします。  いまやっておりまして明らかに設備過剰という問題が出てまいりまして、それに対してどこの設備をどういうふうに過剰と認めるかとかあるいは過剰が結論として出た場合に、自力でやるか、政府に何らかのお願いをするか、それができるかというようなことを真剣に業界内部で検討している状況でございます。
  220. 安田純治

    安田委員 いまの段階では、ある程度具体的にその中身についてお話しいただける段階ではございませんでしょうか。
  221. 鈴木治雄

    鈴木参考人 大体アンモニアについては三割程度の過剰じゃないのか、尿素については、さらに大きい、四割かあるいは五割くらいの能力がひょっとすると過剰かもしれないというようなことが、次第にコンセンサスになりつつあります。しかし、それを具体的にどういうふうにやるかという問題については、いろいろなむずかしい問題がありますので、非常に真剣に通産当局と相談しながら検討しているという段階でございます。
  222. 安田純治

    安田委員 終わります。
  223. 野呂恭一

  224. 大成正雄

    大成委員 参考人の皆様方には最後まで大変ありがとうございました。お疲れのところ恐縮でございますが、よろしくお願いします。  製紙、紡績、陶磁器等につきましては、もう懇切に十分御説明をいただきましたので、明日の政府を対象にした集中討議の中で十分反映さしていきたいと思います。  そこで、ナフサに関しまして幾つかの点で鈴木参考人にちょっと承りたいと思います。  政府が構造不況対策として精製側と化学との調整に乗り出した、結構なことだと思うのですが、私の感触としまして、調整といった段階で解決ができるかどうかということを非常に心配しております。この八日、精製側と化学側との話し合いが行われたわけでありますが、その話し合いの内容をいろいろ情報等で聞いてみましても、精製側に根本的な認識の違いがあるのか、あるいは化学側の主張が間違っているのかわかりませんけれども、相当の距離があるような気がいたすわけであります。本来ならば石油業法十五条を発動して、そして調整といった段階よりは、いわゆる法にあるように、石油製品の国際価格その他の経済事情を参酌して石油製品の販売価格を定めるといった石油業法の精神にのっとって審議会に諮問して、石油の価格体系全般を検討しなければならぬといった段階じゃないだろうか、このように認識するわけでありますが、両者の話し合いによる調整といったことで済むのか、あるいは石油業法の精神を生かして政府みずからがその責任において価格を改定していくといった方向に踏み切るべきなのか、その点の、私見で結構ですが、御所見を伺いたいと思います。
  225. 鈴木治雄

    鈴木参考人 ただいま先生がおっしゃいましたように、本来ならば、条件が非常に変わっておりますから、石油業法に基づいて油種別の価格体系のゆがみあるいはあるべきレベルというものを決めるべきだと思います。しかし、それができないとすれば、今回の不況対策の中にうたわれているように、調整ということを速やかにやってもらいたい。調整しているというような御認識のようですが、実は調整にまだ全然乗り出していただいていないわけです。ですから、こういう膠着状態の中で政府の出番じゃないかと思いますので、調整というのは両方の言い分を聞いて正しいところに調整するということだと思いますので、どうしても調整の発動というものをこの際速やかにやっていただきたいというのが私の率直な希望でございます。
  226. 大成正雄

    大成委員 ただいまの御意見のように、明日以後の政府側との討議の中で十分その点は考えていきたいと思っております。  そこで、精製側との意見の違いの中で、どっちがいいか悪いかは別といたしまして、私どもも非常に問題だと思うものがあります。たとえば、まず第一に国際価格のロッテルダム価格というものを精製側が率直にこれを認めているのかどうか。たとえばこのロッテルダム価格の市況というのは欧州全体のナフサの需要の三〇%ぐらいだ、あるいはスポット物は三%ぐらいだというようなことも口の端に出ている。そういう考え方で果たして正しく理解できるのかどうかという問題もあるわけでございます。また同時に、精製側に言わせれば、いまの国内価格というものは、備蓄やあるいは保安とか防災とかいったいろいろなチャージを考えたときに、その国際価格との差が三千円ぐらいあったってしようがないのだというような見解を持っておるわけであります。そういったことを考えましたときに、まず第一に、政府も責任がありますが、ナフサの国際価格というものの標準というかルールというか、そういったものを精製側も化学も政府も一体になって共通のテーブルにつく必要があると思うのです。この点の意見はどうですか。
  227. 鈴木治雄

    鈴木参考人 ナフサの国際価格の事実認識については、私ども調査並びに認識は絶対に正しいと思います。もしもそれが違うとすれば、共同調査という方法もありますし、あるいは利害の関係によらざる公正な第三者の調査ということによっても結構ですが、しかし、私はその結果ははっきりしておって、私どもの事実認識と全然変わらないというふうに考えております。
  228. 大成正雄

    大成委員 次に、輸入の問題について承りますが、今回、政府はナフサを輸入して状態を幾らか緩和しようというような考えが出ています。ところが、精製側の方は、国内だけでも今年度の石油計画に対して上期で二百万キロリットル、下期で五、六百万キロリットル供給過剰になるだろう。要するにナフサはだぶついている。そういう状態において輸入するなどということはとうていできない。特に化学に輸入の権利があればいいのですけれども、化学には輸入の権限を与えていないのですから、ヤマネコ争議みたいな形でしぼんでしまっているというか、政府の意図するような輸入が円滑に行くと思うかどうか、その点の考え方をお聞かせいただきたい。
  229. 鈴木治雄

    鈴木参考人 政府におかれましても、不況対策の中にうたわれている輸入の弾力化ということを早速実施に移されまして、輸入量の拡大を図ったのですが、いま御質問のように、それがスムーズにいくかどうかということについては、どうしても精製側の協力というものがなければできないわけで、これはそう簡単にするするとはいかないと思います。したがって、どうしても精製側の協力を促進する意味で通産当局の行政指導というものが必要じゃないか。  しかし、翻ってみますと、なぜ輸入したいかということは、価格問題でありますので、需給の関係から、いまでも足りなくないのに輸入する必要がないという需給面からの反論があるとすれば、国内価格を下げれば何も無理に輸入しなくていいわけですから、価格問題がやはり本格的な解決であるということを申し上げておきたいと思います。
  230. 大成正雄

    大成委員 石油化学のバーゲニングパワーは、参議院の予算委員会の討論の中でも出てきたわけですが、化学にバーゲニングパワーがないかどうかというところの問題があると思うのです。いわば腹背にナフサ問題を抱えておるわけですよ。非常にすそ野の広い誘導製品業界も大変な不況ですし、会長さんの方に対してもいろいろな交渉もあると思うし、結局腹背においてこの問題を解決していかなければいけない。しかも誘導製品関係業界生産額は十二兆七千億ですか、大体改定GNPの六・七%、今年度のGNPの伸び率と大体同じくらいの比率を持っておるわけです。これは重大な影響を持っていると思うのです。  そこで、精製側と石化とは、利害が対立するものでなく、運命共同体でなければならぬという認識で問題の処理がなされていかなければならないと思うのですが、しかし、ある程度のバーゲニングパワーはなければならぬ、こう思うのです。そういう意味で、誘導製品業界鈴木さんの方との足並みの関係はどうなっているのかということが一つ。これは精製としても、これだけの大きなすそ野を向こうに回して、敵にして戦うわけにいきません。コンビナートの中にパイプはつながっている、へその緒につながっているかもしれませんけれども、そのパイプを断ち切って精製が成り立つものではないのだ、私はそのような認識を持っておるわけであります。そういう意味で、どうしたらバーゲニングパワーを持つことができるかというこのことについて、どのようにお考えになっているか。要するに他の製品によってかえる。ナフサ一辺倒、そういうものから、技術革新を進めることによって重質重油の分解技術を開発するとか、あるいは灯軽油の利用とか、それがための石油業法の壁をどう破るとか、そういった面も一つのバーゲニングパワーではないか、こう思うのですが、その辺のところを承りたい。
  231. 鈴木治雄

    鈴木参考人 お答えいたします。  最後の原料の多元化という問題は、中長期的に、バーゲニングパワーという観点からのみでなく、石油化学の原料対策あるいはコストの合理化という面から真剣に取り組まなければいけない問題と思います。しかし、これがあすあさってすぐどんどんできるかということになりますと、そう簡単ではありません。しかし、その結果として、それが一つのバーゲニングパワーの要素になるという側面もあるわけでありまして、その点については真剣にやっていきたいと思います。  それからなお、力の結集という問題ですけれども、現在すでに、狭い意味の石油化学業界、肥料業界、それから合化繊業界も一体になって、ぜひ下げてもらいたいということを言っておりますし、それからナフサの一次製品であるエチレン・プロピレンを使用する企業から、もうすでに早々と、早くひとつ下げてくれ、これは間接的な非常な圧力でありまして、いかに石油化学業界が弱いとかバーゲニングパワーが少ないとかいっても、もうそれから先の業界からも強い圧力を受けておりますので、弱い弱いと言わずに一層力を結集して、この問題を解決するように努力をしていきたいと思います。
  232. 大成正雄

    大成委員 ありがとうございました。終わります。
  233. 野呂恭一

    野呂委員長 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人各位には、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。厚く御礼を申し上げます。  次回は、明二十六日水曜日、午前十時理事会、十時三十分から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時三十一分散会