○草川
委員 これのことを称して、そういう集める人を通称トンビと言うのですよ。いわゆる試し品、供試品だとか、かつて禁止をされておる添付品というようなものが実際はこういう流通機構の中に入っておるわけでございまして、薬というものがいま非常に乱れて、正規なルートで利用されていない。だから、いろいろな
意味での不信感なり薬害の問題なり、悪い方一方の問題になってくると思うのです。いわゆる道徳的なものから離れたことの動きがある、こう思うのです。しかも、銘柄別ばっかりではございませんけれ
ども、薬価収載を変更するとかなり下がるわけですね。新規開発した薬が流通する、ぞろぞろメーカーが出てきて過当競争になる、下がります。実勢価格がどうしても下がるということになりますと、メーカーは競って新規の薬品開発をやるわけですよ。新種開発ですね。新種開発も非常に厳しい審査があるわけでございますけれ
ども、たとえば最近、具体的な例が二つも三つもあるわけでございます。
時間がないので、私ずっとしゃべるわけですけれ
ども、塩野義がバクタ錠というのを五十一年の二月に出しました。これは前の収載で二百六十八円だったのです。ところが実際は、これのもとになるのはサルファ剤のシノミン、五百ミリで薬価が五円ですね。別の化学物質のトリメトプリム、八十ミリグラム、これの合成でございますが、これも六円か七円だというわけですよ。だから、薬というのは原価ではなくて薬効で決まるのだから仕方がないといえば仕方がないわけですけれ
ども、従来のものでちょっと手を加えただけで倍以上の値段がつく。そうするとやはり高いものが投与される、中身は変わらぬじゃないか、こういうことがあるわけですよ。
しかも、これも有名な話でございますけれ
ども、A、Bペニシリンというのは先ほ
ども触れたわけでございますけれ
ども、このA、Bペニシリンに比べて半分の使用量でいいといってアモキシリンというものが出たわけです。たとえば協和のパセトシンだとか藤沢のサワシリンだとか武田のアモリン。実勢価格はこれも百十五円でございますけれ
ども、前回の場合は二百六十八円に収載をされておるのです。A、Bペニシリンの場合は百三十四円。本当は、半分だから、筋で言うならば倍になってもいいのですよ。しかし、半分になったら、二錠だったら一錠でいいのですよということですけれ
ども、実際の投与は相変わらず前と同じような投与をされるわけです。だから、お医者さんは、前は百三十四円のA、Bペニシリンだったら、今度はアモキシリンにほとんど変わっていく。しかも、こういうことが正常な論理から離れた形で、また新薬というものがどんどん採用されていく。
しかも、実際的には
——ちょっと次元が変わりまして、全然違う次元の話ですけれ
ども、たとえば抗がん剤で新しい薬が欲しいというのは、全国的にあるわけでしょう。丸山ワクチンという問題があります。あれは一週間に四日か五日か知りませんけれ
ども、もう徹夜で、朝六百人も七百人も並んでおる。新しい薬が欲しいという動きがあるけれ
ども、これはまた別の組織でございますからなかなかそれがおりませんけれ
ども、一方では、信仰に近い形で薬が欲しいという声がある。一方では、いまのような全くふざけた話で薬が使われておる。これが現在の対比だと私は思うのです。だったら、厚生省というのは金も力もあるし、権威者もいる。国立の衛生試験所というようなりっぱなものがある。丸山ワクチンなんか、別な立場から、いいか悪いかを、調査の方法でどんどんヘルプをすべきだと思うのですよ。そして、こうあるべきだと言って、
医療というものを早く
国民に返していくということだと思うのです。私は、丸山ワクチンがいいか悪いかという論議をいましょうと思いません。だけれ
ども、全く次元の違う話だけれ
ども、片や、いま言ったように非常に熱望的なものがある。片や、いま言った害を拡幅するような問題もあるわけでございますので、私はこの際、本当に
抜本的な
医療のあり方という問題をぜひ御
検討を願いたいと思うわけです。
最後になりますけれ
ども、では一体、私
どもは薬価の問題についてどうしたらいいのかということでございますが、過日来からわれわれも主張いたしておりますけれ
ども、薬価調査についても、調査方法についても
抜本的な
見直しをしてもらいたいと思うのです。明らかに私は、九〇%オンライン方法を変えてカットオフ、いわゆる九〇%以上を全部切ってしまって、トータルを加重平均にするという方法、あるいはテレスコープ方式といって九十番目までの薬価を全部加重平均してみる、これが一番正しいと思うのです。だから九〇%のオンラインを八〇、七〇にするなんというのは
意味ないと思うのです。それよりは、いま言った全体の量を加重平均にしてみれば、市場価格ですから落ちつくところへ落ちつくと私は言うんです。上も下がるけれ
ども、下も上がるんですよ。それでいいじゃないですか。そして、お医者さんには本当に正当な技術料を払う。一番
最初に申し上げたように、外科医がだんだん、もう、わしはいやだと言い出してきておる。もうからぬから従業員も苦労するだけだ。そんなことになったら、私は
日本の
医療は完全に壊れると思うのです。
最後に
大臣の御
見解を承って私の質問を終わりたいと思います。