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1977-10-13 第82回国会 衆議院 災害対策特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年十月十三日(木曜日)委員会にお いて、次のとおり小委員及び小委員長を選任し た。  災害対策の基本問題に関する小委員       有馬 元治君    今井  勇君       志賀  節君    谷川 寛三君       中村  直君    森   清君       兒玉 末男君    柴田 健治君       湯山  勇君    広沢 直樹君       渡辺  朗君    津川 武一君       菊池福治郎君  災害対策の基本問題に関する小委員長                 今井  勇君 ————————————————————— 昭和五十二年十月十三日(木曜日)     午前十時三十分開議  出席委員    委員長 湯山  勇君    理事 天野 光晴君 理事 有馬 元治君    理事 今井  勇君 理事 志賀  節君    理事 兒玉 末男君 理事 柴田 健治君    理事 渡辺  朗君       稲垣 実男君    小島 静馬君       佐藤  隆君    谷川 寛三君       中村  直君    西田  司君       村上 茂利君    森   清君       渡辺 秀央君    伊賀 定盛君       伊藤  茂君    池端 清一君       川俣健二郎君    馬場  昇君       瀬野栄次郎君   平石磨作太郎君       古川 雅司君    山原健二郎君       永原  稔君  出席政府委員         国土政務次官  佐藤 守良君  委員外出席者         国土庁長官官房         審議官     四柳  修君         厚生省環境衛生         局水道環境部計         画課長     藤田 恒雄君         農林省構造改善         局農政部農地業         務課長     佐藤 太洋君         農林省構造改善         局建設部防災課         長       長野 孝夫君         林野庁指導部長 須藤 徹男君         中小企業庁計画         部金融課長   松尾 成美君         運輸大臣官房観         光部整備課長  川手  創君         気象庁予報部長 窪田 正八君         気象庁観測部参         事官      末広 重二君         建設省都市局街         路課長     渡部與四郎君         建設省河川局防         災課長     井沢 健二君         建設省河川局砂         防部砂防課長  大工原 潮君         建設省河川局砂         防部傾斜地保全         課長      釣谷 義範君         建設省住宅局建         築物防災対策室         長       対馬 英輔君     ————————————— 委員異動 十月十三日  辞任         補欠選任   川俣健二郎君     池端 清一君 同日  辞任         補欠選任   池端 清一君     川俣健二郎君     ————————————— 本日の会議に付した案件  小委員会設置並びに小委員及び小委員長選任の  件  有珠山噴火による災害対策  台風第九号による災害対策      ————◇—————
  2. 湯山勇

    湯山委員長 これより会議を開きます。  災害対策に関する件について調査を進めます。  この際、小委員会設置の件についてお諮りいたします。  去る七日の理事会協議に基づきまして、災害対策の基本問題について調査を行い、必要な対策を樹立するため、本委員会に小委員十三名より成る災害対策の基本問題に関する小委員会設置いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 湯山勇

    湯山委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次に、小委員及び小委員長選任の件についてお諮りいたします。  小委員の各会派割り当ては、自由民主党六名、日本社会党三名、公明党・国民会議一名、民社党一名、日本共産党革新共同一名、新自由クラブ一名とし、小委員及び小委員長委員長において指名いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 湯山勇

    湯山委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  それでは、災害対策の基本問題に関する小委員に       有馬 元治君    今井  勇君       志賀  節君    谷川 寛三君       中村  直君    森   清君       兒玉 末男君    柴田 健治君       湯山  勇     広沢 直樹君       渡辺  朗君    津川 武一君       菊池福治郎君 以上十三名を指名し、小委員長今井勇君を指名いたしたいと存じます。  なお、本委員異動等に伴う小委員及び小委員長辞任及び補欠選任につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 湯山勇

    湯山委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————
  6. 湯山勇

    湯山委員長 災害対策に関する件について調査を進めます。  この際、有珠山噴火による災害対策につきまして、政府説明を求めます。国土庁佐藤政務次官
  7. 佐藤守良

    佐藤(守)政府委員 今回の有珠山噴火による被害対策の概況について、その後の御報告をいたします。  まず、有珠山の現況について説明いたします。  御承知のとおり、北海道有珠山は、八月七日第一回の噴火を起こし、同月十三日まで断続的噴火を続け、以後二カ月間、噴火を起こすことなく今日に至っております。  しかしながら、この間、火口原中央部から北部にかけて著しい隆起が見られるほか、地震活動についても地下一キロメートル付近を中心として依然活発でございます。  これらの事実等を踏まえて火山噴火予知連絡会では、十月十一日火山活動についての統一見解を発表しましたが、これによりますと、「地下マグマ活動は現在でも活発であり、主な火山活動エネルギー源は外輪山内に限られると思われるが、活動長期化する見通しである。」ということになっており、なお注意が必要であることを示しております。  次に、噴火に伴う被害につきましては、現在、政府関係機関によりその詳細な調査及び査定実施中でありますが、すでに農作物等については調査を終え、農地農業用施設公共土木施設その他のものについても十月中に査定を終える予定でございます。  なお、九月二十四日現在の北海道庁からの被害報告によれば、農業被害百十九億円、林業被害百二十九億円、水産被害十五億円、土木被害八億円、その他三十八億円、総計三百十三億円となっております。  次に、これまで政府の講じてまいりました諸対策について申し上げます。  八月七日の第一回噴火後、政府は、二度にわたる調査団の派遣、非常災害対策本部設置関係閣僚会議開催等により、実態の把握と各種の応急対策実施に努めてまいりました。これまでに講じてまいりました措置といたしましては、  (一) 火山監視観測体制強化充実  (二) 避難長期化に伴う避難者救護対策強化充実  (三) 被災農林漁業者に対する天災融資法の発動、自作農維持資金特別貸付限度の設定、制度資金償還猶予実施  (四) 農地農業用施設災害復旧事業の着手  (五) 中小商工業者に対する災害特別貸し付け及び制度資金償還猶予実施  (六) 公共施設等降灰の除去  (七) 降灰等流出防止のための応急工事緊急治山事業及び緊急砂防事業実施  (八) 被災地方公共団体への普通交付税の繰り上げ交付 等があります。  その後、九月二十八日、非常災害対策本部連絡会議を開催し、北海道及び関係市町村からその後の実情重点要望の聴取を行いました結果、さらに、  (一) 局地激甚災害早期指定  (二) 農地農業用施設等災害復旧早期実施  (三) 再度災害防止のための激甚災害対策特別緊急事業実施  (四) 中小商工業者に対する特別融資  (五) 降灰最終処理  (六) 活動火山法に基づく避難施設緊急整備地域指定  (七) 被災地方公共団体に対する財政措置実施 等の諸対策具体化について関係省庁において検討を加え、一日も早く被災地域が復興できますよう引き続き努力を続けてまいる所存でございます。     —————————————
  8. 湯山勇

    湯山委員長 災害対策に関する件について質疑の申し出がありますので、順次これを許します。池端清一君。
  9. 池端清一

    池端委員 私は、去る九月十二日の本委員会におきまして、有珠災害対策についていろいろ政府に対してお尋ねもし、また要望を申し上げてまいってきたところでありますが、本日も若干の問題にしぼりまして、その後の対策についてお尋ねをしたいと思うのであります。  私は、先日、連休を利用いたしまして、その後の現地状況はどうなっているのかということで現地に行ってまいりました。除灰作業も進み、農地災害復旧もかなりのテンポで進んでおります。交通規制も解除をされ、ホテル営業が再開されました。町には一応の活気はみなぎっております。  しかし、内面はどうか、実情はどうかということになると、きわめて深刻な問題を抱えて、そして苦悩しているというのが今日の現状でございます。とりわけ深刻なのは中小商工業者観光業者皆さん方でありまして、八月、九月の最盛期四十七日間も全く営業が閉ざされ、一人のお客さんも来なかった。そのことによる被害は甚大であり、きわめて深刻な問題を抱えておるわけであります。このままでいけば一体何軒のホテルが生き残れるのか、あるいはまた何軒の観光関連業者が生き残れるのか、こういうことさえ町ではささやかれている、こういう状況でございます。したがって、先日も本委員会において私は申し上げたのでありますが、倒産防止のための抜本的な融資制度を創設して救済の方途を講じなければ、きわめて重大な社会問題を惹起する、このように思うのであります。  先般の委員会で、中小企業庁では抜本策について積極的な姿勢で取り組みたいと考えておる、関係省庁と細目について詰めるよう早急に取り組みたい、このように御答弁をなさっておるわけでありますが、その後この問題についてはどのようになっているのか、中小企業庁の方からひとつ具体的にお答えを願いたいと思うのであります。
  10. 松尾成美

    松尾説明員 前回の委員会がございました以後、私どもといたしましては、まず政府部内で議論をするために、被害実態について計数的にこれを明らかにする必要がありますので、まず北海道の御協力を得まして、この調査を鋭意進めたわけでございます。私ども予想しました以上にこの調査は、大変北海道に御努力いただいたわけでございますけれども、時間を要しまして、これを取りまとめるのに九月いっぱいかかりまして、実は十月の早々から、財政当局あるいは関係方面と、対策について、この実態調査の結果を踏まえまして議論に入ったところでございます。現在、鋭意議論を続けておりますけれども、なお問題点が若干残っておりまして、そこら辺についていま鋭意進めておるところであります。できるだけ早急に結論を得たいと考えております。
  11. 池端清一

    池端委員 議論を続けている段階だ、こういうことでございますが、それでは一体どういう方向での議論を続けられておるのか、その辺をもう少し具体的にお答えを願いたい、こう思うのです。
  12. 松尾成美

    松尾説明員 実はこの点に関します一般的な議論は、この調査結果がまとまる前にも並行して検討を続けておったわけでございます。私どももこれらの被害実態についてはよく承知をしておりましたので。  一般の場合でございますと、局地激甚災害ということで、その激甚災害指定基準に該当するかどうかという議論をするような事態ではなかろうかと考えたわけでございますが、現行法ではこういう火山噴火のようなものは商工業被害について予想しておらなかったようでございまして、どうも現行法そのものではむずかしいということがございまして、ではこれに見合うような措置が考えられないかということで、たまたま地震の際に、やはりこれは現行法では適用がむずかしいということで、閣議決定をもちまして激甚災害に準じた措置を講じたという例が松代の場合にございました。こういう先例もございますので、そういった手法が考えられないであろうかということについて検討いたしました。  要はやはり、松代の場合にしましても、実態として物的被害ではございません、売り上げ減少という被害ではございますが、その被害実態激甚災害法指定すると同じぐらい深刻な事態であるという実態認識がございましたのでその措置を講じたわけでございまして、果たして激甚災害と同じような被害実態というふうに判断できるかどうかという点については、被害調査の結果を待たなければわからない。これは局地激甚災害の場合でも同様でございます。  そこら辺で、まず、その被害実態が計数的に見て激甚災害に匹敵するものと見得るかどうかというあたりを調べるために調査をいたし、また、その結果をめぐって検討しているところでございます。  以上でございます。
  13. 池端清一

    池端委員 もうすでにこの災害発生以来二カ月有余を経過している段階で、まだその結論が出ていない。いかにも私は怠慢のそしりを免れないと思うのです。しかも、いまの御答弁を聞いておりますと、一体どういう方向検討されているのか、どうも雲をつかむような話ですね。要するに、激甚災害に準じた措置をとりたいということでいま詰めているんだ、こういうふうに理解をしてよろしいのかどうか、その点をもう少し明らかにしていただきたいと思います。
  14. 松尾成美

    松尾説明員 激甚災害に準じた措置をとるということで検討しているわけでございます。その前提として、被害実態がやはり激甚な災害でなければ激甚災害適用にならないと同様に、激甚な災害というふうに見得るかどうか、見得るとすれば激甚災害同様の措置適用すべきであろうというふうに考えて、いろいろ検討しているわけでございます。
  15. 池端清一

    池端委員 激甚災害に準じた措置をとるように検討をしている、こういうことですね。  それでは、その結論を出す時期は一体いつか、その点を明らかにしていただきたいと思います。
  16. 松尾成美

    松尾説明員 これは私どもだけで決めることではございませんで、関係方面相談をしながら決めることでございますので、私の方でちょっといつと決めるわけにはまいりませんが、実はきょうもこの委員会が終わりましたら早速相談したいということで、非常に急いでやっておりますので、できるだけ早くやりたいというふうに考えております。
  17. 池端清一

    池端委員 先日の委員会での御答弁では、政府関係中小企業金融機関については災害特別貸付制度適用、さらに既往貸付分についての返済猶予措置を講ずる、そのほか現地中小企業者実情に応じて弾力的な金融措置を講ずる、こういうような答弁がなされたわけであります。  しかし、その後いろいろ実情を調べてまいりますと、たとえばこれは虻田町の商工会でまとめたところでありますが、国民金融公庫の場合、七億五千万円の申し込みに対して、決定があったのはそのうちの六五%で、三五%は貸し付けを受けられない、こういう実態も出てまいっております。したがって、弾力的な金融措置を講ずると言いながら、実際にはそのような措置が講じられておらないのではないかというふうに思うわけでありますが、この点についてはどのような状況になっているか、ひとつお尋ねをしたいと思うのであります。
  18. 松尾成美

    松尾説明員 ただいまの、たまたま虻田町の例が出ておりましたけれども、六五%という点については、実はちょっと私、現在つまびらかにしておりませんが、この数字につきまして、まあ二つ考えられると思います。  一つは、この数字自体がどういう性格のものかということです。災害が起こりましてから、すでに政府関係機関全体で三十八億ぐらいの申し込みがございます。ただ、これは実際貸し付けるまでに調査その他の手続がございますので、現在まだ全部貸し付けるというわけにまいっておりません。九月二十日現在の数字がいま私の手元にございますけれども、十六億ばかり出ておりまして、その後引き続きこの貸付決定を進めております。そんな状況でございますので、まず、お申し込みになった方全部はまだ貸し付けが済んでいないという面が一面あろうかと思います。  それから、実は全数について調べたわけではございませんが、そういう御指摘がございましたので、特定の幾つかのケースについて、そういう十分に貸し付けが受けられなかった例はないのかということを調べてみました。これは確かに、お申し込み全額をお貸ししてない例もございます。それは、一つの例で申しますと、一年間の売り上げが一千万ぐらいの方が一年間の売り上げに匹敵する一千万の融資を申し込まれているという場合に、当面の売掛金等々の支払いに充てる資金としては三カ月分、三百万ぐらいがあれば十分ではなかろうかということで、御相談の上で査定をしたというような例があるようでございまして、小さな金額の場合には全額貸し付けられていると思いますが、そういう災害対策として当面本当に必要かどうかについて疑いがあるというものについては、とりあえず小さな金額になっているものがあるようでございます。  その辺で、確かに全額貸し付けを受けていないというケースもあろうかと思いますが、災害融資については、極力災害に伴って必要な資金については弾力的にやれという指導はしているつもりでございますし、個別の問題についても、もしそういう実情に合っていないという点がございましたら、これは私どもなりあるいは通産局あるいは道の金融担当のところで個別にまた指導もしてまいりたいというふうに考えております。
  19. 池端清一

    池端委員 実態をよく調査されまして、真に中小企業者のサイドに立った弾力的な金融措置が講ぜられるように関係機関を十分指導していただきたい、このように強く要望しておきます。  次に、運輸省お尋ねをしたいのでありますが、中小商工業者以外の観光関連企業対策の問題であります。  資本金一千万円以上あるいは従業員五十人以上のホテル旅館等観光関連企業は、政府系公庫融資の道も閉ざされておるわけであります。道の災害資金、三十億円ございますが、この貸し付けも受けられないという状況になっておるわけであります。  洞爺湖の温泉街は、約九千人の収容能力を持っておるわけでありますが、交通規制が解除された九月二十三日の宿泊人員はわずかに三百三人、二十四日、土曜でございましたが、四百五十五人、以下百人台から三百人台ということでずっと推移をしておるわけであります。多いところの十月一日、土曜日で千七百三十八人です。今度の連休ではかなり満館状況になったようでございますが、それでもその後の予約は非常に少ない、こういうことであります。前年対比の宿泊が九二%減、まことに惨たんたる状況でございます。これらの人たちは一体どこに救いを求めたらいいのか、こういうことで、特に北海道からの要望書にもありますように、北海道東北開発公庫資金貸し付けについて、長期運転資金融通措置が講ぜられるようにしてほしいという要請をしておるわけでありますが、この北東公庫の問題について、その後どうなっておるのか、運輸省見解をお聞かせ願いたいと思うのであります。
  20. 川手創

    川手説明員 いま先生から、いわゆる中小企業救済の枠に漏れた大企業ホテル業者等につきまして何らかの救済措置がとれないかというようなお話でありますが、先生のその御趣旨はまことにごもっともでありまして、いわゆる中小企業の枠を外れたといっても、いわばホテル旅館業者のごときは本物の大手業者と言えるほどのものでもないので、同一地区内で同一の天災による被害をこうむりながら、片や何らかの救済の手が差し伸べられようとしており、片や何にもそういうものがないということは、私どもとしても非常に気の毒で、何らかの手を打ちたいと前々から思っていたわけであります。私ども、当初から、御指摘のとおりに、この問題につきましても関心を持っておりまして、中小企業相当分融資に関して関係省庁へお願いする傍ら、この問題についても何らか打つ手はないかということで、地元観光団体、それの中央団体道庁商工部観光室関係金融機関関係主管省庁等協議を進めてまいってはきたわけでございます。  御案内のとおり、先ほど中小企業分についても御説明があったと思いますが、この種の問題はいわゆる政策ベースによる特殊な金融の分野の問題でありまして、中小企業分につきましては、中小企業庁初め関係省庁の格段の御努力により、いわゆる三公庫による特別な運用による緊急融資方式の実現を目指して現在検討されておるということでありますが、このこと自体もいわゆる被害算定、それから何か聞き及ぶところによりますれば、国の金を多少繰り入れなければならぬようなこともありまして、非常にむずかしいと聞いております。しかし、中小の場合には従来から中小公庫の中に一応災害時のつなぎ融資的なことを想定した制度があり、また、激甚災害時の特利制度も一応は既存のものとしてあったわけでございます。  今回の有珠山の場合は火山噴火でありますから、いわゆる災害救助法施行令等の定義によるところの激甚災害にはなかなか該当しにくいということであります。しかし、一応現在のところでも類似制度があるということで、何らか特別な運用ができないかということで、いま関係省庁が御努力されているというふうに思います。しかし、いわゆる中小企業外のものに関してこういうことを考えますと、北海道の場合には、御指摘のように北東公庫制度を利用せざるを得ない、こういうことになるかと思いますが、北東公庫の場合は、あるいは御案内のとおり、この種事業に関しましては、通常適用されますのは、現在の制度では設備資金のみでございまして、例外的にいわゆる長期運転資金というのもございますが、これはこういう場合を想定したものではございません。ですから、実際には、ホテル旅館に関しましては、設備改造時の新設の設備資金貸し付け制度があるのみだと申し上げてもいいかと思います。  また、本来、北東とか開銀の場合には先行的開発資金としての性格を持っておるものでございますから、いわゆる臨時の災害時の緊急回転資金というようなことを想定した制度はないわけであります。こういうわけで、類似制度がある中小公庫の場合でさえ激甚に当たらないということでその適用が非常にむずかしいのでありますから、まして本来そういう制度がない北東公庫の場合には、このような天災時の緊急融資といいますか、いわゆる運転資金の手当てにつきましては、制度上は中小公庫の場合に比して数倍むずかしいというふうに考えられるのであります。  私どもでは、いま先生の御要望にもございましたが、すでに北東公庫につきましては、中小以外の業者であっても、既往貸付残高を持っておるものにつきましては、貸し付け中の借入金につきまして、返済期間猶予等、いわゆる貸付条件の緩和ということにつきましては、すでに北東公庫へ申し入れて、実行してもらっているわけでありますが、もとより、こんなことで十分と思っているわけではございません。  運輸省の場合には、政策金融についていわゆる権限官庁ではございませんので、いま私どもがここで、いつの時点でここまでこうするというふうなことを申し上げられないのは非常に残念だというふうに思いますが、しかし、現実にはもう厳冬期のいわゆる閉鎖期を目前にして、非常に少数とはいえ、現地に困っている業者がおるということはまことに気の毒なことであり、何とかしなければならないというような気持ちでいっぱいでございます。  先ほど佐藤政務次官の方から被害額の御説明がございましたが、観光の場合はいわゆるその他の中に入るかと思いますが、道庁からの統計によりますと、九月いっぱいぐらいで、俗称大手八軒というもので大体九億円ぐらいでございます。ただし、この大手八軒というものの中では三軒が、ホテルとしては大手でございますが、中身は中小企業に相当するので、この大手の八軒のうち三軒は中小企業独自で救われるかと思います。だから、残りの五軒というものがどうなるかという問題で、この五軒分に相当する被害額としては、これは全くつかみでございますが、九月いっぱいまでで約六、七億円ぐらいではないかというふうに思うわけでございます。(池端委員「時間がないので簡単にまとめてください」と呼ぶ)  私どもといたしましては、そういうわけで、今後とも地元業界、それから中央関係団体、道庁、北東公庫とも十分相談の上、関係主管官庁とも十分協議を尽くしまして、中小企業以外のものにつきましても何らかの救済措置を講ずることができないかという点について引き続き努力してまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  21. 池端清一

    池端委員 北東公庫設備資金のみで、いろいろ制度的にむずかしいけれども今後とも努力をする、こういうお答えであったというふうに理解してよろしいですか。  時間がございませんので、問題を次に移しますが、農地災害復旧の問題でお尋ねをしたいと思うのであります。  私もこの目で見てまいりまして、確かに着々と農地災害復旧事業は進んでおります。いろいろ関係者の御労苦に対しては心から感謝を申し上げる次第であります。  そこで、いま関係市町村で非常に問題になっておりますことは、この補助金の交付の問題であります。従来の災害でございますと、年度が三年間にまたがるといいますか、三対五対二の割合で補助金が交付をされている、これが従来の方式のようであります。もし今回の場合もそういうことになれば、これは市町村は大変な財政負担になるわけでありまして、この点を非常に当該市町村では心配をいたしておるわけであります。事業が完了すれば、当然その年度内に補助金が交付されてしかるべきではないかと思うのでありますが、この辺のお考えについてお尋ねをしたいと思うのであります。
  22. 長野孝夫

    ○長野説明員 お答えいたします。  いま先生から御質問ございましたように、一般的には初年度三〇%、二年度八〇%まで、三年度に完了という進度で実施をしておるわけでございますけれども有珠山噴火によります農地災害復旧事業につきましては、すでに牧草等の秋作に支障のないように八月末から復旧工事を実施しておりまして、本年の降雪期までに大半を実施し、来年の五月中には作付に支障のないように完了するということを考えているわけでございます。このために必要となります予算につきましては、補正予算等もございますし、道内の調整その他所要の措置を講じまして、極力地元の御期待に沿うよう早期復旧に努めてまいりたいと思っております。
  23. 池端清一

    池端委員 従来の方式によらずして、当然事業が完了すればその分は補助金を交付する、こういうことですね。
  24. 長野孝夫

    ○長野説明員 まだ被害額等査定が完了しておりませんので、その辺定かでございませんので、この席ではっきりした御約束というわけにはまいりませんけれども、極力そういう線で努力をしてまいりたいということでございます。
  25. 池端清一

    池端委員 次に、有珠山現地観測班の観測費用の問題についてお尋ねをしたいと思うのであります。  実は、これは北海道内で発行されている新聞でありますが、十月九日付の北海道新聞によりますと、「有珠観測費底をつく」、「自腹切る研究者安い宿を求め転々」、こういう大きな見出しで、現地で大変御苦労願っている有珠山現地観測班の実情が報道をされております。ちょっと紹介をいたしますと、「札幌管区気象台の場合は噴火で破壊された地震計の修理費が追加されただけで、会議費を全部つぶして現地観測費に回している。北大では地震計の記録紙だけで月百五十万円、そのほか機械の購入費、データ回線費、車両のガソリン代、宿泊費などで毎月四、五百万円の出費になるという。しかし、実際に大学から出たのは八月二百四十万円、九月百八十万円だけ。十月は全く見通しがついていない。このため、学生、大学院生らは安い宿を求めて六回も転々、今は壮瞥町の集会所「母と子の家」に貸しふとんを持ち込み自炊生活。研究費はとうに底をつき、借金もかなりの額になり、スタッフの一部は自腹を切って観測を続けている。」こういう報道がされているわけであります。  これは大変重大な問題で看過し得ないわけでありますが、まさに不眠不休で今日まで御苦労いただいておったこの科学者の皆さん方に対して、こういう状況であるならば、私は大変な問題であろうと思うのでありますが、この辺の実情実態はどうなっているのか。これは気象庁からお尋ねをしたいと思うのです。
  26. 末広重二

    ○末広説明員 御説明申し上げます。  有珠の爆発以来、気象庁、建設省、国土地理院、科学技術庁国立防災科学技術センター、北海道開発庁、農林省の農業試験場、工業技術院地質調査所等が、細かいことは省かせていただきますが、全部合わせますと総額約一億円の有珠山爆発観測に関する経費を現在支出して観測しております。また、このほかに科学技術庁から特別研究促進調整費も相当額支出していただきましたし、それから文部省におかれましても科学研究費を相当額支出しておられると存じております。こういうわけでございまして、有珠山観測に関します各関係省庁の態度と申しますか意気込みは非常に高いものがございまして、現在も遅滞なく観測が進んでいると私は思います。その結果としまして、最初に国土庁政務次官が報告申し上げましたように、活動は続行中であるけれども異変の起きているところは中央の火口原の下に限っておるんだという噴火実態が、相当把握できたわけでございます。  なお、ただいま先生が新聞の報道をお読みになりましたが、その中で当庁に関する部分だけ御説明させていただきますと、これはいわば私どもにとりましては非常時でございます。この非常時に対処いたしますためには、必要ではあるけれども緊急度においてそう高くない会議は、中止ではございませんで、この際一時延期をするということによって財源を確保し、この有珠の火山噴火活動長期にわたる、あるいはこんなことはまずないと私ども存じておりますが、再び活動が盛んになるといった事態であっても正規の観測がきちっとできるような、いま裏づけをとるためにそういった対処をさせていただいておるわけでございまして、当庁の事業の範囲内でこれを非常時と受けとめて、有珠に対しては手抜かりのないような観測は、活動の続く限り続行していくつもりでございます。
  27. 池端清一

    池端委員 手抜かりのないようにやっているということですが、現実にこういうふうな実態が出ているわけですね。確かに大変な問題なんですよ。  これは政務次官もおいででございますが、この辺の状況をもう少しよく調査されまして、科学者の皆さん方が後顧の憂いなく、しかも地元の皆さん方の不安を解消するためにいろいろやっておるわけでありますから、この点研究費が不足して観測も続行不能だというようなことのないように、ひとつよろしくお願いをしたいと思うのです。
  28. 佐藤守良

    佐藤(守)政府委員 いま先生のおっしゃるとおりでございまして、私も現地に参りまして、その後いろんな学者の先生方からそういうような話を聞いたわけでございますが、これは各省のいろんななにがあるようであります。私はできれば、国土庁に災害対策予備費というものがありまして、そういうときに逆にそういうような予算をつけるというような形でしたらどうか、こう思いまして、その努力をしたいというように考えております。
  29. 池端清一

    池端委員 時間も参りましたので、最後に一つ。  一つは、局地激甚災害指定の時期の問題であります。これはできるだけ早期にしたいという前回の田澤長官の御答弁がありましたが、今日の時点においてその見通しをひとつお答え願いたい。  もう一つは、先般の当委員会で私からも申し上げましたし、ほかの委員からもいろいろ出ましたのは、現行法ではどうしても救済できない、いかに弾力的に運用してもおのずと限界がある、したがって特別立法が必要ではないかという発言をし、長官からも、現行法救済できるものはできるだけ救済をし、そして不可能な場合には特別立法も考えたい、こういう発言があったわけであります。しかし、その後の衆議院本会議、十月六日でございますか、わが党の細谷治嘉議員の質問に対して、福田総理は特別立法の必要なしとにべもなく突っぱねておるわけであります。これは明らかに今日までのこの委員会における論議経過を無視した、いわば私は委員会軽視の発言ではないかというふうに考えるわけであります。この福田総理のお考え方を国土庁としてもお持ちなのかどうか、その辺をもう少し発言の真意をひとつお尋ねをしたいと思うのです。
  30. 佐藤守良

    佐藤(守)政府委員 いま先生の質問は二つございまして、一つ有珠山にかかる局地激甚災害指定の時期はいつかという御質問でございますが、これは実は長官が当委員会答弁したとおりでございまして、一番基本の問題は、実はこの場合に地元が有利になるように、地元が早く安心感を得られるようにという形でいつするかということで、その努力を続けておるということでございまして、できるだけ早期に方向づけたい、このように考えております。  それからもう一つの、いまの特別法を制定したらどうか、というのは、少なくともいまの現行法ではなかなか救済しにくいから、その面を特別法をつくってやったらどうかというようなことで、福田総理の衆議院の本会議答弁を含めましての御質問でございますが、実は有珠山噴火に際しまして、長官が先に飛びまして、私が第二回で行ったわけでございまして、実情の把握を行いまして、非常災害対策本部をつくり、そして関係閣僚会議開催等を行って救護対策とか火山観測体制の整備とかあるいは降灰除去の実施等の応急対策を講じてまいるとともに、本格的な対策を講じてまいったわけですが、私はずっと見ておりまして、先生のおっしゃる意味はよくわかるのですが、これらの施策の実施に当たっては現行制度の弾力的運用によって積極的に対処すれば大体救えるのではないか、こういうような感じでまいっておるわけでございます。したがって、現在のところ私は、もう少し様子を見ないとわかりませんけれども、特別法の制定の必要はないのではないか、このように考えております。
  31. 池端清一

    池端委員 その発言は非常におかしいですね。この間田澤長官も、特別立法等の措置については、本委員会にも十分御連絡を申し上げ、皆さん方とも協議をして考えていきたい、こういう話があったわけですよ。そういう連絡は事前にあったわけですか。皆さん方協議をしてそういう決定をあなたがしたというふうに理解していいのですか。
  32. 佐藤守良

    佐藤(守)政府委員 長官の申された趣旨というのは、結局現行法制度の積極的な運営等によりまして現地被害がどの程度救えるかという実態に即してと、こういう意味だと思います。したがいまして、私は、長官も恐らく、現行法制度の活用等によりまして本当に救えない場合はどうするか、その場合には皆さんに御相談してと、こういう意味だと理解しております。したがって、現在のところでは何とかほとんど救えるのではないかというような立場で私は申し上げたということでございます。
  33. 池端清一

    池端委員 その御答弁には非常に不満でございますし、この問題はもっと災害対策特別委員会でも十分御論議を願いたい問題だと思います。しかし、時間が参りましたのでこれで質問を終わりますが、最後に委員長にひとつ御要望を申し上げたいわけであります。  被災以来二カ月有余を経過をいたしました。いま地元では懸命に復興、再建のために努力をいたしております。しかしながら、きょう触れられませんでしたが、二次災害の問題やあるいは病院の復興の問題、あるいは水道施設の移転の問題等々、まだまだ多くの問題を抱えて非常に地元では苦悩しているというのが今日の実情であります。したがって、立法府としてはこれからいかにあるべきかということについて、やっぱり再度現地に参られて現地実情をつぶさにお確かめになられて、そして立法府としてのいろいろな対応をしていただきたい、こういう意味で、国会開会中ではございますが、ぜひとも第二次の現地調査実施していただくように十分理事会等で御協議を願いたいということを御要望申し上げて、私の質問を終わらせていただく次第です。
  34. 湯山勇

    湯山委員長 ただいまの池端君の御要請につきましては、せっかくのお申し出でございますので、理事会等で協議をいたします。  次に、瀬野栄次郎君。
  35. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 有珠山噴火による災害対策並びに活火山法等について国土庁並びに関係省庁に質問をいたします。  私も、党の調査団長として、八月、爆発直後五日間にわたって現地をつまびらかに調査してまいりました。その後再度調査をし、せんだって当委員会においても質問を展開してきたわけですが、確認の意味もあわせて、限られた時間でございますのでいろいろはしょりまして質問をしてまいりますので、簡明にお答えをいただきたいと思います。  まず最初に、局地激甚災害指定の問題でございますけれども、現在、農林省、建設省と十月をめどに査定をされて精力的に詰めておられることはよく承知しておりますが、政府としては、十月中には間違いなく指定をする、こういう考えのように承っておりますけれども、十月中は間違いないか、そのめどはどうか、その辺をまず最初に承っておきたいのです。
  36. 佐藤守良

    佐藤(守)政府委員 いまの御質問につきましては、先生御存じのように、局地激甚災害等の指定については査定事業費等を基礎とすることとなっておるので、関係省庁の行う調査結果も待ってその適用の見通しを得ることとしたいということになっておりますが、いまおっしゃったようなことで、できればその方向努力したい。ただ、問題が一つあります。先ほどもちょっと申し上げましたようなことでございますが、地元の人の有利になるような形へどうしてするかという問題が一つあるわけでございます。というのは、できるだけ皆さんを局地激甚災害にかけたいというようなことで、その方向努力しておる、このように御理解願いたいと思います。
  37. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 佐藤政務次官、それでぜひひとつ早目に指定をするように努力していただくと同時に、予算委員会中で大臣がきょうはおいででございませんけれども、この指定をした後さらに有珠山が、いまオガリ山を初め隆起しておりまして洞爺湖にだんだんこれが傾斜しているということを見ましても、再び爆発が起きてはなりませんが、再度爆発があるとしたならば、そういった場合には追加指定というようなことで十分考えていただきたい、こういうようにかねがね思っているわけですけれども、今国会も短いしなかなか質問の機会もございませんので、そういった場合は十分追加指定を考えておる、用意があるというようなことかどうか、その辺の点もこの機会にあわせて政務次官から御答弁をいただきたいと思います。
  38. 佐藤守良

    佐藤(守)政府委員 現在先生おっしゃるようにマグマ活動が盛んでございまして、またいつ災害が発生するかというのはだれも予測できないというようなことでございまして、火山噴火予知連絡会の発表にもあるように、長期的な活動が予想されているものでございます。したがいまして、実はいま先生がおっしゃいました追加指定かどうかという問題につきましては、指定の都合上、一応の災害期間を区切って指定せざるを得ないのではないか。そして、もしその後災害が起きた場合には、新しく指定するか、あるいはその点につきましては指定基準に該当するかどうかを含めまして以前に指定した災害とは別の災害として指定するかどうかということ等につきましていろんな考え方がございまして、現在各省庁で取りまとめておるということで、追加指定にするかあるいは新しい災害指定にするか、どちらかにつきましては、とにかく現地の人のできるだけ役に立つような形で方向づけたいというようなことで現在研究している最中でございます。近いうちに統一したものを先生方に御連絡できる、このように考えております。
  39. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 詳しくはもう御承知でございますから申し上げませんけれども、今回の対策も相当おくれておりますし、現地調査も事実手間取ったことも承知しておりますが、降雪の時期を迎えるわけでもございますし、またぞろあってはいけないけれども、万一そのようなことが起きた場合には、直ちに対策をおくれないように手を打っていただくためにも、今回の例にならって各省庁と協議を重ねていただいて、どうかひとつ追加指定ができるような方向で地元の窮状を十分参酌して検討を進めていただきたい。これも大臣に篤とひとつ次官から伝えていただいて、精力的な詰めをしていただくようにお願いをしておきます。  さらに、適用範囲というものが、農地農業用施設だけでなくて、私は今回の災害に限らずかねがね思っているわけですけれども、公共施設とか中小企業についても適用するというようにしたらどうかということを考えております。にわかにこれがどうということにはならぬにしても、特に私は、先ほどもいろいろ質疑がありましたように、中小企業については当面緊急を要する問題でもございますので、将来は将来として検討するとして、かつてのあの松代地震のときに局地激甚災害に準ずるということで救済をした例がございますが、これと同等の対策は講じられないかどうか。私は少なくとも松代地震のときと同じような扱いをぜひしてもらいたいというふうに思っているのですけれども、その点については政府はどういうようにお考えですか。
  40. 松尾成美

    松尾説明員 先生指摘のとおり、確かに松代地震の際に激甚災害法に基づく局地激甚にはなりませんでしたがこれに準じた措置を講じたという先例はございますので、現在この先例を参考にいたしながら検討を進めております。
  41. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 ぜひ、そういう方向で進めていただきますようにお願いしておきます。  次に、農林省にお伺いしますけれども自作農維持資金特別貸付限度額の問題です。これは確認しておきたいのですが、一般災害は百万円を限度とする。ところが、今回の場合、こういう災害でございますので、特別災害という形で二百万円に枠を広げたいというようなことを検討されたやに聞いておりますけれども、一般災害の場合は、仮に五十万円の負債があった場合は五十万プラス百万で百五十万、特別災害の場合は、五十万プラス百五十万で二百万、こういうようなことになるやにも聞いておりますけれども、また、借りていない人は、被害状況に応じて二百万を限度として借りられる、こういうことですが、額はこれでは満足しないのですけれども、一歩前進という意味で、とりあえずやむを得ないというように思っているのですけれども、この特別貸付限度額の設定についてはどういうようにお考えであるか、もう固まったのか、いつごろこれを固めるのか、その点をこの際確認の意味ではっきりしておきたいと思うので、お答えいただきたい。
  42. 佐藤太洋

    佐藤説明員 ただいま御質問いただきました自作農維持資金につきましては、貸付限度額を、通常の場合は百万でございますが、今回に限りまして二百万円という特別の引き上げ措置を十月の四日付で行っております。また、通常の貸し付けは一月当たり百万を原則としておりますが、非常に今回の災害が特異であるということから、特別被害の大きい農家に対しましては、百五十万円まで貸し付ける、こういう措置をとっております。
  43. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 次に、昨日の陳情、あるいはけさの当委員会理事会北海道の道議会から議長名でもって要請がなされましたことについて、数点触れておきたいと思います。  北海道議会においては昨十二日、道の災害対策特別委員会を開いて、三十八億円の予算を先議案件として可決して対策を講じております。これを見ても、道の今回の有珠山噴火災害に対する取り組みの姿勢がいかに強いものであるかということがうかがえるわけでございますが、御承知のように、八月七日に発生した有珠山噴火は、農林漁業を初め観光関連等商工業者に広く被害を及ぼしております。その後、先ほど佐藤政務次官からも説明がございましたように、長期化する様相を呈しておりまして、被災市町村及び住民はいまなお不安におののいて毎日を過ごしているのが現状です。  私は、今次の災害というものは火山の噴火による災害という特殊な性格からして、現行制度の弾力的な運用をもってしてもなお対処できない、かように思うわけで、道議会のこの要請は全く当然のことである、かように実は昨日も陳情を受けまして認識を新たにしておるところでございます。  それで、観光関係においても、四千人のいわゆる宿泊能力があるにもかかわらず、一日に百五十名ないし三百名、平均二百名ぐらいの宿泊である。このままでいけば恐らく五年は回復できないであろう。またぞろ爆発が起きればこれまた大変な年限がかかるということは当然考えられます。また、関連市町村においても、物資あるいはまたいろいろ納品する関係からも大変な影響が及んでおることも事実でございまして、その深刻さはわれわれの想像以上のものがございます。  そういったようなことで、中小商工業者に対して道議会から四点にしぼっていろいろと陳情があった中で、まず第一点は、長期かつ低利の資金融資措置を講ぜられたいということがございます。これは通産省からお答えいただきたいのですが、貸付期間を十年以上、据え置きは三年にしてほしい。利率は、現行では六一二%でございますけれども、それを年三%にしていただきたい。貸付限度額も現行五十万円でございますが、そんなものではどうしようもない、二千万円を要求したい。現地では三千万円にしてくれという声が強いわけですけれども、けさの陳情では控え目に二千万円というふうに言われましたが、中小商工業者に対するこういった融資について、通産省はどういうようにお考えであるか。ぜひともこういった要望をかなえていただきたいというように私は思うわけですけれども、通産省の御見解を承りたい。
  44. 松尾成美

    松尾説明員 中小企業金融に関しまして、かねてから長期、低利の資金をという御要望が地元で強いということは、私どもよく承知をしております。先ほどお話のありました道議会の要望も承っておりますが、これに対する長期、低利融資ということを実現する方策といたしまして、私ども松代地震の例なども参考にいたしまして、激甚災害に準じた措置を講ずることができないかということで、目下鋭意検討を進めておるわけでございます。
  45. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 なお、この融資の実効を期するために、中小企業信用保険について保険限度額の別枠を設定し、保険てん補率の引き上げ及び保険料率の引き下げの措置をしてくれ。すなわち、中小企業信用保険限度額は五千八百万円を別枠として設定していただきたい。保険てん補率は現行七〇%を八〇%に引き上げていただきたい。また、保険料率については引き下げをしていただきたい。一つには、特別小口保険を現行〇・三三%から〇・一九%に、無担保保険を現行〇・四六%から〇・二九%に、普通保険を現行〇・五七%から〇・四一%に、こういう要請がなされておるわけですけれども、これについても同様に検討していただきたい、かように思うのですが、通産省の御見解をあわせて承っておきます。
  46. 松尾成美

    松尾説明員 この保険の点につきましては、法律によらずして、現行法の中で運用で対処するというにはある程度限界がございます。いまお話しの点の限度につきましては、実は法律をもってでなければ変えられないわけでございますが、私どもいろいろ実情検討いたしましたところ、実は通常の保険の限度が五千万ございます。それの別枠ということでございますので、今回の災害融資について見ますと、その全体の枠については余り大きな問題はなさそうである。問題は無担保保険というのがございまして、これは八百万でございまして、かなり使っている方が多いということで、この点が問題なわけでございますが、実はすでに道の方でいろいろ検討なさいまして、北海道の信用保証協会におきまして独自に道の支援のもとに保証協会で無担保の別枠八百万というのをすでに実施しております。  それから実は、てん補率とかあるいは保険料の問題は、これは保証協会と保険公庫との関係でございまして、利用される中小企業者の方には直接関係はないわけでございます。むしろ中小企業者の関係がありますのは保証料の方でございます。この保証料につきましても、道の方での御支援のもとに北海道信用保証協会ですでに〇・五七と、通常の場合の大体半分に引き下げをいたしております。こういたしますと、今度は保証協会の方にいろいろ負担がかかってくるわけでございますが、この点につきましては、国といたしましても中小企業信用保険公庫融資基金という制度がございまして、これを保証協会に貸し付けているわけでございますが、この貸し付けにつきまして、有珠山災害について災害分として若干の上積みをするということで、保証協会の財政負担を応援をするというような形で対処をしてまいりたい。この点についてはいろいろ北海道とも御相談をしながら進めておりますが、そういった弾力的な現行法の範囲内での運用措置において大体対処してまいれるのではないかというふうに考えております。
  47. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 松尾金融課長答弁によると、現行法の範囲内で何とか運用できるというようなことをおっしゃっておるけれども、われわれが聞いている道議会からの要請または明地の要請等を分析しますと、必ずしもそうじゃない、相当困っているような状況でございます。道議会からの要請等もさらにあるかと思いますけれども、その辺もっと地元と食い違わないようにお願いしたい。今回は私も数日前からいろいろ連絡をとっておりましたが、道議会からこの四項目にしぼってけさ陳情、要請がありましたように、特に重点的に深刻な問題をきょう要請があったわけですので、われわれは道議会の意見を十分に尊重して質疑もしているわけですが、金融課長とかなり認識が違うような感じがいたしますので、さらに詰めて、地元の要望をかなえるためにもひとつ最大の御検討をいただきたい、かように思っております。  次に、建設省に二点お伺いしますけれども、これまた道議会からの四項目の中の第二番目の「再度災害防止対策事業に対する助成」の問題でございますけれども、泥流防止のための治山事業及び砂防事業については、当面の応急対策に万全を期していただきたい。一部発注してすでに工事をやっていることもよく承知しておりますが、恒久対策については、特に治山事業及び砂防事業を激特として採択し、短期間に実施できるよう特別の予算措置を講じていただきたい。そして国庫補助率を現行三分の二を五分の四にぜひしてくれという要請が道議会の決議として要請されておるわけですが、これもわれわれ現地でいろいろ承ってまたやむを得ない要望である、かように思っております。現に政府の方においても、いわゆる建設省においても、この砂防事業及び治山事業は激特の基準に当てはまるわけでございますから、大蔵省といま詰めておられる段階であろうと思いますが、そのお考えと見通し、また大蔵省と折衝の状況等についてお答えをいただきたいと思います。
  48. 大工原潮

    大工原説明員 建設省所管の砂防事業につきまして御答弁を申し上げたいと思います。  有珠山の泥流問題につきましては、現在のところ緊急対策と、それからいま先生指摘のような恒久対策と二種類に分けて検討し、一部すでに実施しているところでございます。当地域は、やはり融雪期等あるいは積雪等の基礎的条件がございますので、緊急対策につきましては枠ダム等を設置いたしまして、現在すでに一部において工事にかかっておるところでございます。  恒久対策につきましては、砂防激甚災害対策特別緊急事業ということで、いま御指摘のように短期間といいますか一定計画のもとにおおむね砂防事業につきましては三カ年を目途に砂防堰堤あるいは流路二等によります対策工事を実施するよう現在大蔵当局と細部について詰めを行っておる状況でございます。  なお、激特の砂防事業につきましては、砂防法に基づきまして三分の二ということで、災害並みの高率補助で実施することにいたしておりまして、いま御要望がございましたような五分の四というふうな補助率アップにつきましては現在のところ困難であろうというふうに考えております。
  49. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 建設省の渡部街路課長見えていると思いますが、市街地に係るところの降灰除去作業の問題でお答えをいただきたいと思います。  内容についてはもう昨日あらかじめ通告いたしておきましたので省略いたしますが、市街地に係る降灰除去事業が現地においては大変な問題であることは御存じのとおりでございます。公共土木施設災害復旧事業と同等の補助の措置を講じてくれというのが道議会の強い要請でございますが、これまた現行二分の一を五分の四にしていただきたいということでございますけれども、どういうふうに御検討していただいているかお答えをいただきたいと思います。
  50. 渡部與四郎

    ○渡部説明員 お答えいたします。  いまおっしゃる市街地に係る降灰の除去事業につきましては、都市災害復旧事業費国庫補助に関する基本方針に基づきまして、堆積土砂排除事業として二分の一の補助で行うことが一般でございます。有珠山関係につきましては激甚災害指定がされることになるという判断がありますと、特定地方公共団体の指定を受けた場合は通常の補助率にプラスしましてその激甚災としてプラス部分がありますので、この公共土木災害並みの、それ以上かもしれませんが、特別財政援助が行われるのではないかと私たちは期待しておるわけであります。
  51. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 厚生省に一点お尋ねしておきますけれども、水道施設の整備事業でございますが、時間がもう余りございませんから簡潔にお答えいただけば結構ですけれども、御承知のように、先ほど佐藤政務次官からも説明がございましたが、洞爺湖にいわゆる噴火による軽石が相当滞留しまして現在は沈下しています。現在洞爺湖の三カ所からいわゆる水源を求めておりますし、また沢から一カ所、合計四カ所の水源を求めて取水していることは御承知のとおりでありますが、確かに最近、洞爺湖も水が澄んできたということで、厚生省としてもこの飲料水についてはさほど心配ないやに判断をしておられるようでありますが、実際には、これは一時的にそういうふうに澄んできましても、雨が降ると、いわゆる周辺に降りました火山灰等が流出して再び汚濁することは間違いありませんし、さらには雪解けの水がまた洞爺湖に入って相当な汚染をするということも当然将来考えられます。そういったことで、地元としてはぜひともこの取水条件の変更をしていただきたいということと、浄水施設の移設を余儀なくされておるから水道施設等の整備事業に要する経費について補助の対象として、公共土木施設災害復旧事業と同様の補助措置を講じていただきたいという強い要請がございます。厚生省としては現在のところ水が澄んできたのでその心配がないというような判断で、余りこれに対する力を注いでおられないようでありますけれども、いま言った理由で再び雪水や雨が降ると相当汚染されるということでございますので、ぜひともこれまた現行二分の一を五分の四の補助にして、引き上げていただきたいという強い要請でございますが、これに対する厚生省の見解を承りたい。
  52. 藤田恒雄

    ○藤田説明員 お答えいたします。  先生御質問のように、厚生省といたしましては、いまのところ水質的には心配なく水道が使われておりますのであれでございますけれども、ただ融雪期でありますとか豪雨がありました場合にどうかという心配はごもっともでございますので、本当にそういう場合に水源移転、あるいはまた水源は移転しなくても特別の沈でん池等を設けるとか、そういうような必要性があるのかどうか、いま検討中でございます。万一どうしても水源を変更しなければやっていけないということになればそれなりの措置をとらなければならぬわけでございますが、この面の国庫補助につきましては、現在のところ前例もございませんので非常にむずかしゅうございますけれども、その際には慎重に検討してまいりたいと考えております。  以上でございます。
  53. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 時間がなくなってまいりましたので、ぜひお尋ねしたい問題が若干ございますのではしょって質問いたしますが、農林省にもう一点伺っておきますけれども農地等の災害復旧事業の問題ですが、現在第三次査定分を合わせて約十三億円余に達しております。農民が生活の基盤を失って、何としても明春の作付には間に合わしたいということで、苦しい中にも鋭意努力をしておることは御承知のとおりでございますが、現在のこの交付を見ますと三カ年の分割交付になっておりまして、三分の二補助で初年度が三割、次年度が五割、最終年度の三年度が二割、こういうような交付基準でございますが、現地要望としましては、事業実施年度分、すなわち仮に三カ年計画を二年でやった場合あるいは一年でやった場合は、この三カ年分の交付を単年度で交付していただきたい、こういう要請が強いわけでございます。これについてはぜひともひとつ地元の復旧の意欲また地元農民の要望にこたえて政府も対応していただきたいと思うのですが、農林省はこれに対してどういうふうに検討せられているか、先日もいろいろと要望を申し上げておきましたが、御答弁をいただきたいと思います。
  54. 長野孝夫

    ○長野説明員 いまの御質問につきましては、先ほど池端先生にもお答えしたとおりでございまして、一般的には先生おっしゃいましたような三カ年の補助になっておりますけれども、緊急の場合には極力弾力的な運用を図ってまいりたい、地元の御要望に沿うように努力をしていきたいということでございます。
  55. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 次に林野庁に若干お尋ねいたします。  今回の有珠山の爆発によって森林が被害を受けたことは御承知のとおりです。森林国営保険法の問題で、現在この森林保険は地震とか火山に関する保険がないわけでございます。今回の有珠山噴火に森林保険が適用できるかどうか、林野庁も御検討いただいていると思うのですが、ぜひともこれは何とか該当するように、また適用できるように御検討いただきたい、こういうふうに思うわけでございます。御承知のように、今回は灰が降ったその後で雨が降ってモルタルみたいに樹木に付着した。そのために倒木したりいろいろな被害が起きておるわけでございます。降灰したところはほとんど壊滅的打撃を受けております。そういったようなことで、次善の策として、雨が降ったので被害が起きたということにすれば雨の被害として適用できないこともないというふうに広義に解釈できるわけです。これもいずれ災害基本問題小委員会で詰めていただくことになると思いますけれども、林野庁としてはこの点はどういうふうに検討しておられるか、お答えいただきたい。
  56. 須藤徹男

    ○須藤説明員 お答えいたします。  先生も御承知のとおり、森林国営保険は人工林を対象に火災、気象災、気象災の中でも特に風害、水害、雪害、干害、凍害及び潮害に限るということになっておりますが、これらによって損害を生じた場合に適用されるものでございますが、今回の有珠山噴火に伴います森林被害に対しましては、森林国営保険法第十五条に、政府は損害が地震または噴火によって生じたときは損害をてん補する責に任じないというふうに規定されておりますので、この森林国営保険の適用は困難でございます。  また、いま御指摘ございましたように、噴火と同時に雨が降っておるので、雨による損害というふうに認定できないかというお話でございますが、実は先ほど申し上げました国営保険法の十五条に従いまして森林国営保険損害てん補要領というものを定めておりますが、その中に水害の規定がございます。水害の規定は、「降水又は出水による山くずれ、表面浸食、地すべり、土石流等の災害で保険目的の全部又は一部に次のような事故が発生し、これにより損害が生じたもの」とありまして、その「次のような事故」と申しますのは、一つが「根返り」、二つが「埋没」、三つ目が「流失」というふうにはっきり規定されてございますので、まことに残念でございますが、今回の災害につきましては主因が噴火に伴う降灰でありますことから、ただいま申し上げました水害として認定することは非常に困難だというふうに考えております。
  57. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 それで、これはすぐにはどうということはないのですけれども、来国会で噴火を含めた保険法の改正をするということを林野庁は検討すべきだと思うのですが、そういった用意がございますか。これは今後のこともありますので、ぜひとも改正の方向で進めるべきだと思います。桜島にしても熊本の阿蘇山にしてもまた同じことが言えるわけですけれども、その点どうですか。
  58. 須藤徹男

    ○須藤説明員 実は、ただいまの先生の御質問と若干異っておりますが、私どもが主管いたしております森林国営保険制度につきまして特に現在検討を進めておる状況につきまして御説明申し上げます。  最近特に野鼠、野兎等によります森林災害が多発いたしておりますし、一方森林保険制度の保険事故が火災及び気象災に限られていることによりまして本制度への加入が非常に低水準にとどまっております。そこで森林災害による損失の合理的な補てんが図られていないという状況にございますので、現行の保険事故に野鼠、野兎等を加えると同時に、ただいまございました地震噴火、ひょう害等を加えるように現在一部改正を検討中でございます。
  59. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 ひとつぜひとも来国会にはそういったことで提案いただきますように要望しておきます。  もう一点林野庁にお伺いしておきますが、今回の災害有珠山周辺の各市町村は林地が百年もしなければもとに返らぬというような被害で深刻に悩んでおられますが、ぜひともこの造林事業について、林業関係事業補助金等交付藤綱別表一の(五)、造林補助事業実施要領第六の五の(三)によって高率助成措置をしていただきたいという要請が強いわけです。現行制度でいきますと、指定災害復旧造林は、補助率が四〇%でございますけれども、これを特殊林地改良事業の適用というようなことで補助率を七〇%にしていただきたい、かように思っておるわけです。  さらには倒木の引き起こし補助を適用していただきたいということでございますが、現行制度では激甚災害復旧造林の場合のみこれが適用されておりますけれども、倒木起こしの補助適用を、指定災害、一般災害、復旧造林にもぜひ適用するように、造林補助事業実施要領七の一の(四)によって拡大解釈してできぬものか、そういったことを考えていただきたいと思うのですが、その点お考えを承っておきたいと思います。
  60. 須藤徹男

    ○須藤説明員 お答えいたします。  今次の噴火によります被害状況に照らしまして、降灰により悪化いたしました土壌条件を改良する必要の認められる個所が多いようでございますので、特殊林地改良事業の実施について適切な啓蒙、指導を森林所有者に対して行いますように北海道庁を指導して、今後の森林機能の早期かつ確実な回復を図ってまいりたいというふうに存じております。  ただいまお話ございましたように、特殊林地改良事業としてやりますと高率の補助になりますので、そのように進めてまいりたいというふうに考えております。  それから二点目の倒木起こしの点でございますが、今回の噴火によります被害については北海道庁による現地調査が終了したところでございまして、それによりますと、被害の程度が非常に大きいと考えられる地域は激甚災害の復旧造林の指定基準に該当することとなる見込みでございますので、今後北海道知事からの指定申請を待って現実にそのような指定をしていきたいというふうに考えております。  なお、お話がございましたように、倒木起こしの補助を拡大解釈で指定災害あるいは一般災害にも適用するということにつきましては、いろいろ検討した結果なかなかむずかしいということでございますが、今回、先ほど申し上げましたように、一般災害指定災害に該当するものも余りないようでございまして、激甚災害で大体いけるという見通しでございます。
  61. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 最後にひっくるめて一、二点お伺いしておきます。  まず佐藤政務次官とそれから厚生省にお伺いしておきますけれども、今回の有珠山の火山災害を見ましても、災害救助法という法律は現在厚生省所管になっております。ところが本来の国土整備とか自然災害対策からいっても、当然国土庁所管にすべきだ、こういうふうに私はかねがね思っているわけですけれども災害救助法の問題についてどういうふうにお考えであるか、それが一点。  それから、活動火山周辺地域における避難施設等の整備等に関する法律、これは昭和四十八年七月二十四日、法律第六十一号によって議員立法でわれわれはこの法律を制定した経緯があるわけですけれども、今回の有珠火山についても、現地でこの申請が道知事からなされて、中央防災会議の意見を経てまいりますと、御承知のごとく総理大臣が指定すればできるというようなことになっております。そういったことで、第二条でこの指定ができるわけでございますが、実は桜島及び熊本の阿蘇山がこれに含まれておりまして、実はこの法律はいま二ヵ所でございますけれども、ぜひとも有珠山も入れるべきであると思うのです。事実北海道においてはいろいろまだ内部の意見の調整が固まっておらぬので、いずれこういった問題については十分検討した上で意見が出てくる。またけさの理事会で、二十日に小委員会を開いていろいろ各県関係者の意見を聞いて取りまとめ、今後検討しようということでございますが、実は私たちも数カ月前から鹿児島を中心に十万名署名運動をいたしまして、去る九月二十九日これがまとまり、明日政府に対して十万名署名の要請をいたすことにいたしております。  ちなみに申しますと、御存じのようにこの適用範囲が避難施設や防災、営農施設等の設備、避難港の整備等に限定されておりますので、その整備拡充というものはだんだんになされてはきたものの、実は鹿児島の場合なんかにおいては、桜島周辺地域では、過去三年間の降灰量は一平方キロメートル当たり約五千トンの降灰が起こっているということで大変市民は困惑をいたしております。こういったことで、実は今回われわれが請願をいたしておる中身を申しましても、とりあえず四項目ばかりあるのですけれども降灰対策のための各種機材、ロードスイーパー、また散水車などの購入に助成をしていただきたい。また二つには病院、医療施設その他冷房施設を必要とする個人、団体等の施設等に対する助成をしていただきたい。三つには、恒久的農業用防災施設等に対し助成をしていただくようにお願いしたい。四つには、降灰に伴う電気代、水道代、固定資産税などの減免等の措置を講ずること、こういった大要四つの問題を中心に要請をいたしておるわけです。  きのうも政府に対していろいろと事前に説明をしておきましたが、こういったことについて小委員会、または当委員会としても十分検討してまいりますが、北海道の方は意見がまとまっておりませんけれども北海道も、現在立法措置に対する要望を三項目大きくまとめて大体素案ができております。私手元に持っていますが、時間の関係で省略しますけれども、そういったことで、ぜひとも北海道についても有珠山を中心とした災害について、道知事から指定の要請があれば将来はぜひとも指定する方向で前向きに検討いただきたいということと、いま申しました十万名署名による鹿児島、熊本を中心としたこういった問題について法改正等十分検討いただきたい、こう思うわけです。  さらに気象庁に簡潔にお答えいただければ結構ですが、熊本の場合に、現在阿蘇山は地震が絶え間なく、また爆発もせんだってありまして、地元観光業者並びに商店、中小企業等大変営業に影響いたし、来年の旅行シーズンを控え旅行客が減少しているということで大変憂慮いたしております。さればとて、火山規制を解くということになると、また事故があった場合は大変でありますが、いずれにしても火山噴火観測体制の強化ということが問題でございまして、阿蘇山のみならず有珠山にしても当然でありますが、特に熊本の場合は、火山爆発の予知について観測技術の開発促進をぜひやっていただきたい。確実な予知技術の向上をやっていただきたい。この科学が進んだ世の中に、観測予知が的確でないために地元業者はいら立たしく思っております。地元では、いま一の宮、白水村、阿蘇町の三カ町村で防災協議会を設けて登山規制の措置をしておりますけれども、こういった国の観測体制の弱体のために判断が的確につかないということで、地元業者、住民も大変困惑しております。そういったことを考えて特に力を入れていただきたい。いま政府の方としては各大学の協力を得て現在の体制でいくような考えでありますが、そういう甘っちょろい考えではなくて、もっともっと強力な観測体制の強化をしていただくように、来年度の予算にも計上し努力していただきたい、このことを強くお願いする次第です。  以上の点について簡潔に関係者からお答えいただいて、時間も参りましたので質問を終わりたいと思います。
  62. 佐藤守良

    佐藤(守)政府委員 いま災害救助法の所管を国土庁にしたらどうかという問題でありますが、これは実は四十九年に国土庁ができましたときに、国土庁は調整官庁に徹するということでございまして、たとえば、これは余談になりますが、一時行政改革の話が流れた場合に、国土庁についていろいろなうわさが飛びました。たとえば環境庁を国土庁が抱いたらどうだとか、あるいは国土建設省をつくったらどうだという話がございましたが、私は真っ向から反対でございます。私はあくまでも調整官庁に徹するというようなことでございまして、特に、実は災害救助法というのは応急救助に関する基本的制度として長年厚生行政の一環として培われてきておりますし、また現行の救助法に基づく救助内容は十数項目ございますが、実はほとんど厚生関係が多い。たとえば炊き出しにいたしましても、飲料水の供給にしましても、医療あるいは助産、埋葬あるいは環境衛生等非常に多いわけでございます。したがいまして、いまの国土庁設置法の趣旨から、それからいままでやられたことにつきまして、現制度のもとに厚生省が担当するのがふさわしいのではないか、こういうように考えているわけでございます。
  63. 四柳修

    ○四柳説明員 活動火山法関係だけ御答弁申し上げます。  第一点、北海道からの申し入れがあったら指定するかどうかという点でございますけれども、先ほど趣旨の御説明がございましたように、火山の爆発によって、住民等の生命、身体に被害が生ずる、あるいは生ずるおそれがある。あるいはその被害を防止するための施設を緊急に整備する必要がある地域、こういう要件がございます。この要件についての適否ということを判定した上で中央防災会議の意見を聞いて指定することを検討してみたいと思います。  ただ、この指定を受けますと確かに事業計画の点ではメリットはあるかと思いますけれども、そういう意味での一つの危険地域という区域を設定するわけでございますから、関係地域をどこにしぼるかとか、あるいはその後の諸影響をどう考えるか、そういったことにつきましても十分地元の意見を聞いた上で対処してまいりたいと思います。  それから、第二点の活動火山法の中の事業への各種の追加の御要望の点でございますけれども、私どもも御指摘のロードスイーパーでございますとかあるいはその他の施設整備の要望の点につきましては聞いております。ただ、現在の法律の体系が、御案内のように、噴火があった場合に緊急避難するための避難施設の整備が一つと、もう一つは常時降灰のために農作業に御支障のある方々の農業施設の整備、この二点が重点でございまして、そういう意味では通常の道路管理ですとか、あるいは学校その他個人施設等の環境条件の改善といいますか、そういう点につきましてはいまの読み方ではなかなか困難だろうと思います。いずれそれらの点につきましても、本日御決定いただきました当委員会の小委員会の中でも御検討があろうかと思いますけれども、私どももそういった点、現行制度との関連等を見ながら、あるいは関係省庁と十分協議しながら、できるだけ実質的に対処してまいりたいと思います。
  64. 末広重二

    ○末広説明員 御説明申し上げます。  まさに先生指摘のとおり、現在火山噴火予知ということが完全に技術的に開発されていないとところに問題点があろうかと存じます。それで、これを解決いたしますためには、有珠あるいは阿蘇を初め現在活動している火山をいわば教材にいたしまして火山現象の解明を進め、これによって噴火予知技術を進めていきたいと私ども思っております。  四十九年以来火山噴火予知連絡会というのが発足いたしまして、大学の研究陣並びに火山観測に関係ある各省庁が手を携えていまこれに全力をもって当たっております。また、その火山予知が業務化に達します以前でございましても、わかりましたことあるいは向上しました技術は、防災並びに地域の皆様のお役に立つように、その時点その時点で還元することは忘れないように努めていきたいと存じております。
  65. 湯山勇

    湯山委員長 次に、山原健二郎君。
  66. 山原健二郎

    ○山原委員 最初に確かめたいのですが、有珠山被害についていままでの答弁をお聞きしますと、激甚指定については大体十月中に確定をするというふうなお話であったと思いますが、そういうふうに確認してよろしいですか。
  67. 佐藤守良

    佐藤(守)政府委員 いまおっしゃったこと、いままでの答弁は長官もそういう答弁をしてございますし、実質的に本当に地元の役に立つようにという乙とで、その方向努力しているというように御理解願いたいと思います。
  68. 山原健二郎

    ○山原委員 大体方向決定をしておると思いますので、そこでこの補助の問題ですが、五十一年災の場合の復旧費の補助が大体九〇%を超しておるという状態ですが、今回の有珠山被害というのはこういうきわめて重要なしかも深刻な被害でございますから、当然いままでより以上の補助体制がとられるべきだと思いますが、そういうふうに認識してよろしいでしょうか。
  69. 長野孝夫

    ○長野説明員 お答えいたします。  いま先生九割以上とおっしゃいましたので、私どもの方の農地及び農業用施設に関する災害ではないかと存じますけれども、先ほども説明いたしましたように、まだ査定が完了しておりませんので正確な率はわかりませんけれども、それに近い高率の補助率になるのではないかというふうに予測をしております。
  70. 山原健二郎

    ○山原委員 次に、激甚指定の場合に行政区単位になっておりまして、そのためにアンバランスが起こってくるという問題を地元では心配をいたしておるわけです。たとえばこの町は指定になっておる、この町はならないという場合、畝一つ隔てて一方は大体九十数%、一〇〇%近い補助がありますが、一つ隔てるともう自己負担で復旧しなければならぬという問題が出てくるわけですね。これはいついかなる場合でもそういうことは起こってくるわけですが、災害救助法の適用の場合でも、私どもずいぶん深刻な、そういうアンバランスが生ずる問題を幾たびか経験しているわけですが、これは当然私は指定要件について弾力的な適用をしていくということが必要だと思います。いままでも、政務次官もまた国土庁長官もしばしばそういう答弁をしておられますので、この点はそういうふうに考えてよろしいか、再度伺っておきたいのであります。
  71. 佐藤守良

    佐藤(守)政府委員 いま先生のおっしゃったことにつきましては、そういう方向で不均衡を生じないように努力をいたしたい、弾力的に運用したい、こう思っておりますが、といって、実は各町ごとに、たとえば灰が降った場合に、灰の降ったのが多い、少ないとかいろいろあるわけでございます。その場合にどこかで線引きをする必要があるというようなことでございまして、なかなかむずかしい点が非常にあるわけでございますが、可能な限り広範に援助措置を講ずるよう御趣旨を十分生かしてやりたい、このように考えておるわけでございます。
  72. 山原健二郎

    ○山原委員 政務次官の御答弁はそういうことですが、実はこの問題について最近の国土庁長官並びに政務次官の答弁を議事録で調べてみたのですけれども、十七回にわたっていまおっしゃったような答弁をいたしております。現行制度でだめなら特別立法でやる、いわば新たな手段を考えるという御答弁があったわけですね。これは先ほどから問題になっていますけれども現行法を弾力的にやり、それで救済ができなければ新しい制度をつくってでもやりたい、これは九月十六日の参議院の災害委員会でわが党の小笠原議員に対してもそういう答弁がなされているのですが、再度お伺いしますけれども、こういうお考えには変化はないというふうに考えてよろしいですか。
  73. 佐藤守良

    佐藤(守)政府委員 実はいまの問題につきましては、長官の説明が不十分なのかあるいは私自身の日本語が不十分なのかという点があるわけでございますが、私はこう考えております。基本的にいけば特別立法の必要はない、現行制度を弾力的、積極的に運用すれば大体地元の要望にこたえ得るのではないか、このように思っておるわけでございます。と申しますのは、実は地元の要望について一〇〇%これをやるかどうかという問題あるいはこちらの制度運用についてどの程度助けられるかという問題があるわけでございますが、私は実は災害対策で各省庁を呼んで一々個々に詰めておりまして、大体いまの制度を積極的に運用すれば何とか地元の要望にこたえ得るのではないかというようなことでございまして、私は特別立法の考えは持っておらないということでございます。
  74. 山原健二郎

    ○山原委員 その点議事録と参照しながらもう少し煮詰める必要があると思いますが、それはちょっと後へ回しまして、中小業者に対する被害への激甚災適用についてお尋ねをいたします。  これは救済要件としては、災害救助法の施行令第一条の第一項の一号から三号の地域となっておりまして、住宅の滅失などの物的被害に対するものになっておるわけです。ところで、有珠山被害のように、結局交通を遮断したり避難命令が出たりしましてお客が来ないという場合に、売上損などの問題が出てくるわけでございますが、これらは被害認定も決して困難ではありません、はっきりいたしておりますから。これは四号発動の場合当然中小業者に対しても激甚災適用の必要があるのではないかと思いますが、この点いかがでしょうか。
  75. 佐藤守良

    佐藤(守)政府委員 お答えいたします。  いまの問題は、中小業者関係の激甚災害指定条件の緩和を行うべきじゃないかということだと思いますが、実は、現行の激甚災害法に基づきます災害復旧対策は、物的な損害をこうむった中小業者がその事業の再建を図る場合に特別な援助をすることとしているわけでございまして、売り上げの収入減等につきましては一切考慮できないというような制度になっておるわけでございます。そこで、先ほども池端先生からお話ございましたが、結局中小企業融資をどうするかというようなことで、長期、低利融資というような要望が出ておるわけでございます。この点につきましては先ほど松尾金融課長がるる説明したとおりでございまして、何とかその方向努力いたしたいということで現在がんばっておる状況でございます。
  76. 山原健二郎

    ○山原委員 この点について、松代並みの対策を立てるというお話がこの間の理事会でもあったわけでございますが、結局松代並み——松代でそれが閣議決定か何かでやられて今回もまた松代並み、二回にわたってこういう事態が起こるということは、この法に不備があるのではないかということなんです。だから二回もこういうことが起こるということを考えますと、当然この法令の改正というものが必要だと私は思うのですが、この点は現実にそれに処せられておる国土庁として、やはり私と同じ気持ちではないかと思うのですが、この点いかがでしょうか。
  77. 佐藤守良

    佐藤(守)政府委員 実は、洞爺湖の中小業者にとりまして、現在まで借りている金をどうするかという問題、現在の収入減をどうするかという問題、そして将来に対してどうするかという三つの場合があると思います。  その場合に、とりあえず中小企業庁が現在借りている金につきましては処置いたした。現在の収入減それから将来の問題につきましてはむしろ融資でお願いしたいというような陳情を受けているように聞いておるわけでございます。したがって、実態的に、たとえば旅館、みやげ物業者を入れて洞爺で約三百軒でございますか、一日の収入減七千万と聞いておりますが、実はその人たちをどうするかということで、どうしたら生かせるようにできるかということで、激甚災に準じてやっているということでございます。先ほどから松尾金融課長が言っておりますようなことで、現地で役に立つにはどうしたらいいかというような形で研究しているということで、現在立法につきましては考えておりませんということでございます。
  78. 山原健二郎

    ○山原委員 この問題は当委員会としても今後の問題だと思いますので一応おきまして、この激甚災の指定基準について今回建設省の方が「昭和五十三年度建設省重点施策」というのを出しておられます。これはいただいたわけですが、その二十三ページの七に「災害対策の強化」というのがありまして、ここで「激甚災害指定基準の緩和等地方財政に対する助成を強化する。」ということが書かれておるわけですね。これはどういう内容をお考えになっておるか、建設省の方お答えいただきたいのであります。
  79. 井沢健二

    ○井沢説明員 お答えいたします。  公共土木施設災害激甚災害指定されるかどうかということにつきましては、公共土木施設の復旧事業費、それからその当該地方公共団体の標準税収入との比較で決定されることになっております。この基準は昭和三十七年に決定されたものでございますので、こういう問題につきましては今後十分検討して関係省庁協議してまいりたいというふうに考えております。
  80. 山原健二郎

    ○山原委員 一般的に災害地におきましては、激甚災の指定基準についての改善方向はもうおわかかりのように指定地域の拡大、そして国の援助を強める、この二つだと思うのです。こういう趣旨でこの重点施策をつくられたのだろうと思いますが、そういうふうに解釈してよろしいですか。もう一回お答えいただきたいのです。
  81. 井沢健二

    ○井沢説明員 いまの基準で申しますと、標準税収入がかなりふえてまいっておりますので、激甚災の指定に達するチャンスが非常にむずかしくなってきているというふうなことでございますので、そういう問題について今後検討してまいりたいということでございます。
  82. 山原健二郎

    ○山原委員 ずいぶん局限をされた重点施策ということになるわけですね。いま災害が起こる場合にいつも問題になるのは、先ほど言いました行政区単位でやられる場合に畝一つ隔てて差が出てくるなどということをなくしてもらいたいとか、いま書かれておりますように基準の緩和と地方財政に対する助成を強化するということですから、これは文面どおり見るならば、私が言いましたように基準の適用地域の拡大と補助のアップということ、これ以外に考えられないわけですね。建設省は、この方向で今後も大蔵省その他に対してがんばっていただかなければならぬというふうに私は思っておるわけです。  それからついでに、その次に、「急傾斜地の崩壊による災害の発生を防止するため、急傾斜地崩壊危険区域の指定を促進するとともに、急傾斜地崩壊防止事業を強力に推進する。」というのがあります。これは実は有珠山から少し離れて恐縮でありますけれども、この問建設官が発表されております資料を見ますと、たとえば九月二十四日に建設省砂防部が発表しておりますがけ崩れ危険個所ですが、台風の常襲県であります私の高知県なんか、がけ崩れ危険個所に至っては三千六百八十一カ所で全国のトップという状態ですね。それから土石流の危険がある渓流が千六百四十二カ所、地すべりの危険個所は百三十九カ所、これは県独自の調査によりますと二万カ所に及んでおるわけでございます。この建設省の資料によりますと、台風常襲県、九州とかあるいは和歌山とか三重とかいうようなところには非常に多いのです。それに対してこういうふうに重点施策が出されておりますので、これからかなり強力な対策が立てられると思うのですが、建設省、そういうお考えでこの重点施策を発表されたか伺っておきたいのです。
  83. 釣谷義範

    釣谷説明員 傾斜地保全課長でございます。  ただいま先生おっしゃいましたように、急傾斜の危険個所は非常に多数ございまして、いまおっしゃいましたように全国で六万四千二百八十四カ所、本年度の調査の結果判明しております。  これに対しまして、建設省としましては予算を急傾斜については特に増大を図っておりまして、五十一年から五十二年にかけまして、対前年比で申し上げますと一・四四倍、四四%の予算の増大を図っております。  それで、高知県につきましては、いまおっしゃいましたように、やはり全国でも一番危険区域が多うございますので、全国の予算の伸び四四%に対しまして、高知県については四八%の予算の増大を図りまして、極力急傾斜地の崩壊対策事業を促進してまいりたい、かように考えております。
  84. 山原健二郎

    ○山原委員 次に、いま御質問が瀬野議員の方からありましたいわゆる火山法の問題ですが、これは先ほどの答弁をお聞きしておりますと、火山爆発による危険地帯として指摘されることが果たしていいかどうかというふうな話がありましたけれども、先ほども指摘がありましたように、この法の整備事業として避難施設緊急整備事業、防災営農施設整備事業があるわけですが、この補助は一般の補助事業と変わらないという点があるわけですね。その点では、補助をもっと上げなければ名前だけつけられても何らメリットがないという問題が出てきます。きのうお聞きしますと、何しろ事業順位を、優劣といいますか、順位を決める程度のことだということで、いまや余り効果のないものになっているのではないか。特に降灰除去の点について、桜島の例を見ますと、ロードスイーパーが三台しかないんですね。県が一台、市が一台、建設省が一台で三台、三台では除去できぬという御意見がたくさん出ています。また散水車もない。散水車は鹿児島市二台、建設省一台でこれも三台でありまして、これでは本当に火山法の適用を受けろと言ったって逡巡するのが当然だと思うのです。だから、危険地と名前を受けていろいろ事業に商売に差し支えるなどということではなくて、やはりこの火山法の中身をもっと適切なものにしていくということをするならば、阿蘇あるいは桜島、そしてこの有珠の場合も北海道庁としても当然指定をしてもらいたいという要請が出るのじゃないかと私は思うのですね。この点について見解を伺っておきたいんです。
  85. 四柳修

    ○四柳説明員 ただいま先生指摘の点、私ども実情としては十分伺っております。この法律ができたとき、御案内のように気象庁の常時観測のA級四火山のうちの桜島と阿蘇を地元の御意見を聞いて指定した。つまり、その指定したときには非常に噴火の危険ということが頭の中にあったのだろうと思います。そういう意味で、避難施設緊急整備計画も防災営農計画も実はそれぞれ計画期間を延長しながらいままで対応してきてようやく整備が進んできておる状況でございまして、いま御指摘のような点はいわばその次の事業としまして、いろいろ御要望があろうかと思いますけれども、私どももそういった点かたくなに拒むという話ではなくて、いまの制度運用でできることはできるだけ対応したいと思いますけれども、やはり制度の改正という点につきましては、たまたま先般御視察いただきました姶良カルデラの地域でもございますし、そういった点、基本問題小委員会の方の御検討とあわせまして私どもの方も十分研究してまいりたいと思います。
  86. 山原健二郎

    ○山原委員 災害に関する法令の問題は、いま審議官もおっしゃったように、災害が起こったときに新たな事態も生ずるわけですし、基本的には、その教訓に基づいて法令も変えていくということでなければならぬと思うのです。そういう点で、国土庁としましても、これら幾つかの法令について積極的な姿勢を示すと同時に、もちろん国会の方もこれについて今後小委員会等で検討していくのが当然のことだと思うのです。そういう意味で、やはり災害から学んでいくということを基礎に置いてやってほしい、こういうふうに申し上げておきたいのです。  次に、これと関連しまして、やはり台風災害常襲地帯であります沖永良部の問題について一言質問しておきたいと思います。  政務次官もちょうど沖永良部へ調査に行かれて、私もあのときちょうど行っておったわけですが、ちょっとごあいさつをする機会を失いまして恐縮しておるのですが、この沖永良部の災害というのは御承知のように大変すさまじい、家屋はほとんど壊滅するというような状態でありまして、しかも離島で、大変な災害でありますし、町長さんに会いましても一器最初に出てくる言葉が「ねぐらをつくらなければならぬ」、こういう言葉ですね。まず寝るところをつくらなくてはならぬというような問題があるのですが、この沖永良部の災害につきまして、公共土木施設への激甚災の早期適用ということが求められておりますが、これはめどはどの程度に見ておったらよろしいか伺いたいのであります。  もう一つは住宅の問題でありますが、これはたとえば特例がありまして、北海道防寒住宅建設等促進法もありますし、豪雪の場合も文教施設などに対する特別な手当てが講ぜられております。そういう意味で特例があるわけですが、いわゆる台風の常襲地といいますか、そういうところに対してはたとえば建築の設計基準をいわゆる台風用につくる必要があるのじゃないかというふうに考えるのです。これは最初の部分は国土庁に伺いまして、後の住宅については建設省に伺いたいと思います。
  87. 四柳修

    ○四柳説明員 沖永良部台風の関係のうち公共土木施設につきましての激甚災の指定のめど、こういうお尋ねでございますけれども、現在査定が進行中でございまして、査定がわかりますと一応めどがつくと思いますけれども、私ども鹿児島県の方から聞いている被害報告だけの数字で見ますと、標準税収入を相当上回っておりますから、その報告どおりになりますと可能性はあると思います。何分にも狭いところでございますけれども、十分実態を見た上で一応めどをつけたいと思います。時期としましては、通常の場合と同じように年を越したときになろうかと思います。
  88. 対馬英輔

    ○対馬説明員 後段につきましてお答え申し上げます。  先般の沖永良部島の被害につきましては、御存じのように風によりまして屋根を飛ばされたというケースが非常に多いわけでございますが、現在の建築基準法によりまして建築物は台風等の風圧に対しまして安全であるように必要な基準を定めてございます。これによりまして通常の台風等に対しましては十分耐え得るものと考えておりますが、今回の災害につきまして現地等からの報告によりますと、小屋組みと柱との緊結とか屋根ふき材のくぎどめ等、施工面に非常に不備があったというのが主要な原因である、こういう報告を受けております。  いま先生の御指摘にございました住宅につきましての特別な基準というようなことでございますが、こういういま申し上げましたような現状でございますので、当面は設計者とか施工者、こういうものに対しまして、現在住宅金融公庫で行っておりますような工事仕様を使っていただく。これは必ずしも強制されるものではございませんが、そういう住宅金融公庫の工事仕様書というものもございますから、住宅金融公庫融資を受けないものにつきましても、そういうものを積極的に使っていただくというようなことで施工の適正化を指導することによりまして住宅の安全の確保に努めてまいりたい、かように考えております。
  89. 山原健二郎

    ○山原委員 例もあることですから。台風常襲地、たとえば沖永良部はとにかく強烈な風が四時間にわたって吹きすさんでおりますので、ほとんど屋根は飛んでしまう。緊急避難地として指定された公民館や学校の体育館なども全部飛んでしまうということですね。よく見てみますとトタンぶきが多いのですが、もともとトタンぶきではなかったけれどもトタンが災害に一番強いだろうということでトタンぶきにしてみると、今度はそれが全部被害を受けるというようなことですね。また沖繩へ行きましたら、沖繩は最近では例の沖繩特有の赤屋根というものは次第になくなって、いわゆる鉄筋コンクリートに近いような建物にずっと改善されつつあるわけです。  それから、私の県の室戸岬あたりへ行きますと、もともと住宅を建てる場合には高い石のへいをつくって風を防ぐというふうに、住民はみずから大変な苦労をしながら自分の生命、財産を守るということで今日まで来たわけですけれども、しかし台風常襲地、特に強烈な台風の来るところに対しては、やはり何らかの建築の場合にも融資の特例をつくるとかいうことをしないと、毎年毎年災害を受けて財産を失うなどということを国がいつまでも放置することは、私は誤りだと思うのです。  そういう意味で、この問題は一遍にここで解決できる問題でもありませんし、また私は執拗にこの問題については質疑を続けていきたいと思いますが、そういう点でぜひこういった問題についても十分配慮していただくようにお願いをしておきたいのでございます。  最後に、気象庁の方おいでていただいておりますのでお伺いいたしますが、先ほど有珠の場合の地震予知の問題についても予算の不足などということも起こっておりまして、きょうは文部省おいでいただいておりませんが、この気象観測、地震予知などということについてやはり私はいまもう一度検討し直してみる必要があるんじゃないかと思っているのです。  というのは、この沖永良部の今回の台風情報が約四時間おくれているわけです。この島の人たちが報道で聞きまして大体翌日の朝方台風が襲いかかってくると思っておったのが、前日の夜の九時、十時に襲いかかってきたわけです。四時間の誤差があるのです。もしそれがもう少し早く確認をされておったら、あれだけの強風ですから災害を完全に防ぐことはもちろんできなかったと思いますが、少なくとも逃げ惑うということはなかったと思うのです。そういう意味では、本当にこの晩逃げ惑っておるということで、母屋は飛んでしまうし、牛小屋の中に逃げるというような惨たんたる光景が深夜に続くわけでございますが、なぜこの四時間の誤差が生じたのかという点について気象庁はどういう検討をされておりますか、伺いたいのであります。
  90. 窪田正八

    ○窪田説明員 ただいまの先生の御質問でございますが、当日問題が二つございました。  一つは技術上の問題でございますが、台風が東の方に流れるというふうに考えておりましたが、昼ごろから沖繩の東の方から北上しました。われわれの技術の常識といたしますと、上層の風に流される場合にはわりあい速いのでございますが、それに逆らったりあるいはそれに直角の方向ということになりますと、かなりスピードは落ちるというふうに判断をいたします。この判断の誤りがいま申し上げました四時間、そういうようなおくれになったと考えられます。  それからもう一つの問題がございます。御存じのとおりに、沖繩とそれから奄美でレーダーを観測しております。このレーダー観測によって位置の決定をして、それをなるべく早く現地あるいは全国的にお伝え申し上げておるわけでございますが、現在のシステムではそれを本庁で両方のレーダーを突き合わせたり、あるいはそのほかの資料と突き合わせて位置決定をするということがございます。これがレーダーを見てそのまますぐ位置決定ができます場合には非常に速いのでございますが、一時間ないし一時間半、観測からのおくれがございます。その辺の問題が一つございます。したがいまして、われわれとしては多少位置の後の修正ということも考え、あるいは御理解をいただいて、防災上の立場からは、とにかく現在の場合でございますと沖永良部の南あるいは南東何百キロぐらいのところにあるといったような情報を、全国的ではございませんけれども、そういう使い方をしたらどうかというようなことを検討しております。  それからもう一つ、突然という印象でございますが、恐らく毎時間ごとに情報が伝わっておればこれはかなり緩和されたというふうに考えておりますが、残念ながら沖繩から鹿児島にわれわれの場合にはバトンタッチをいたします、その辺に多少の問題がございました。  これはどういうことかと申し上げますと、大体三百キロないしそれ以上離れております場合には、大体三時間ごとの情報ということになっております。その辺につきまして速度の判定を誤ったことと兼ね合わせまして、多少スムーズにいっていなかったという、情報の三時間近い空白があったと思います。そういう点で大変御迷惑をおかけしたというふうに思っております。  したがいまして、この後の問題につきましては、現在鋭意各中枢間でどういうふうにして情報のバトンタッチをしていったら最もよろしいかということの検討を進めております。これは先ほどの台風情報の使い方と同じような問題でございまして、あるところからはこういう態勢になったらすぐにバトンタッチをしろといったようなことを、少し現地の方とも相談しながら進めていきたいというふうに思っております。
  91. 山原健二郎

    ○山原委員 いま確かに気象庁の方から御説明がありましたが、いろいろ行き違いもあったようなんですね。しかし、本来この気象庁のお仕事というのは非常に重要でして、事人命に関する問題が多いわけですから、そういう点で、もう時間がありませんので申し上げてみますと、いまもお話がありましたけれども、離島での台風観測は三時間ごととなっているわけですね。東京では一時間ごとにやられておるわけでして、その点、非常に地方に対する軽視があるんではないかという点が第一点です。  それから二つ目は、沖永良部と名瀬の間の気象情報はテレックスで送られておりますが、電話回線が殺到してこれが大変おくれるという問題があります。  それから三つ目は、沖永良部測候所へ参ってみますと、所員の方六名、所長以下おいでになりますが、本当に潮水をかぶって大変な状態の中で必死で活動されておりまして、その点、私は心から敬意を表明する次第であります。しかし、ここは沖永良部空港の観測を兼ねています。空港に測候所が併置されているわけでして、したがって、考えてみますと本来飛行機用の観測に人が要るわけですね。私がお聞きしますと、大体五人要るんではないか、それから測候所としての役割りを果たす方が三名は要るということで、沖永良部測候所には少なくとも八名の要員が必要ではないかと思いますが、実際は定員削減等で六名に減らされておるわけであります。こういったことが今度の誤差を生じた一つの原因ではなかろうかと考えるわけです。  それからもう一つは、この沖永良部測候所は予報権限がないわけですね。ここでも予報できる、そして危ないということを測候所長が判定したならば、直ちに消防その他を通じて各家に知らすとかいうような機敏な体制がとれるような状態をつくってあげておったならば、このようなことはなかったのではないかというふうに考えます。これは私の考えでございますが、これら一つ一つ改善をしていただきたいと思いますが、最後にその点を伺って私の質問を終わりたいと思います。
  92. 窪田正八

    ○窪田説明員 御返事申し上げます。  その前に、先生の御発言であるいは私の理解が行き届かない点があったかと思いますが、離島でもレーダーの観測はある距離に参りますと毎時観測をやることになっております。これが間違っておりましたら後で測候課長が来ておりますので訂正させますが、私の承知している限りでは、近くに参りましたら離島だからスリーアワリーということはないと思います。  それから、次に予報権の問題でございますが、現在沖永良部の上級官署でございます奄美が指定されておりまして、こういう場合の対応措置は十分とれるというふうになっておりますので、この辺については技術的にはわれわれとしては問題はないというふうに判断しております。  それから、空港と一般業務、こういう定員削減があるいは誤りに至ったのではないかという御意見でございますが、この両方の業務が一緒になりましても観測そのほかそういうような仕事については支障はございませんので、その資料が鹿児島の中枢あるいは東京の中枢に参って作業をするためには支障がないと考えております。
  93. 山原健二郎

    ○山原委員 いま私の申し上げたことに反論されたわけで、もちろん私も専門家ではありませんから私の発言、それがすべて正確だとは思っていません。だから反論されることは結構ですが、同時に、この気象観測の問題について、私は甘い考え方は許されないと思うのです。その点で、気象庁としてもかなり厳しい反省をしていただかないと、また点検をしていただかないといけないんじゃないかと思うのです。私はきょうは言いませんでしたけれども、アメダスの問題、本委員会で何遍も取り上げました。アメダスができたら大丈夫だと言ったのです。けれども、今度電気が全部ストップしたのです。無人アメダスは電気の情報を送る体制もないというような状態もありまして、私は、その点はもうちょっと詳しく調べてからここで発言しようと思ったのですけれども、気象庁の皆さんがおっしゃっているようにはうまくいってない面もあります。だから、それが全部じゃありません、アメダスの効果というものについても私たちは認識していますけれども、しかし、だからと言って、甘い立場でそれにおんぶしてはいけないという意味で私は今度の沖永良部の例を申し上げているのでして、その点十分認識して、もう少し検討していただきたいということを申し上げまして、質問を終わります。
  94. 湯山勇

    湯山委員長 ただいまの点、私どももいまの四時間のおくれというのは非常に重く見ておりますので、ひとつぜひもっと精細に御検討になって対応するように、委員長からも要望したいと思います。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時四十四分散会