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1977-11-15 第82回国会 衆議院 公害対策並びに環境保全特別委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年十一月十五日(火曜日)     午前十時三十分開議  出席委員    委員長 島本 虎三君    理事 林  義郎君 理事 向山 一人君    理事 土井たか子君 理事 古寺  宏君    理事 中井  洽君       戸井田三郎君    永田 亮一君       福島 譲二君    阿部未喜男君       鈴木  強君    森井 忠良君       坂口  力君    竹内 勝彦君       東中 光雄君    工藤  晃君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (環境庁長官) 石原慎太郎君  出席政府委員         防衛施設庁施設         部長      高島 正一君         防衛施設庁労務         部長      古賀 速雄君         環境庁長官官房         長       金子 太郎君         環境庁企画調整         局長      信澤  清君         環境庁自然保護         局長      出原 孝夫君         環境庁大気保全         局長      橋本 道夫君         環境庁水質保全         局長      二瓶  博君         運輸省港湾局長 大久保喜市君  委員外出席者         防衛庁防衛局運         用課長     児玉 良雄君         国土庁計画・調         整局計画課長  星野 進保君         大蔵省主計局主         計官      志賀 正典君         大蔵省理財局国         有財産審査課長 野村  寛君         林野庁業務部森         林開発公団監理         官       小早川静法君         運輸省自動車局         整備部整備課長 北川  清君         運輸省航空局飛         行場部管理課長 増田 信雄君         自治省税務局固         定資産税課長  吉住 俊彦君         消防庁技術監理         官       矢筈野義郎君         参  考  人         (森林開発公団         理事)     大塚 武行君         特別委員会調査         室長      綿貫 敏行君     ————————————— 委員の異動 十一月十五日  辞任         補欠選任   上田 卓三君     鈴木  強君   田口 一男君     森井 忠良君 同日  辞任         補欠選任   鈴木  強君     上田 卓三君   森井 忠良君     田口 一男君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  公害対策並びに環境保全に関する件      ————◇—————
  2. 島本虎三

    島本委員長 これより会議を開きます。  公害対策並びに環境保全に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。森井忠良君。
  3. 森井忠良

    森井委員 私は、去る十月二十日、本委員会で御調査をいただきました、瀬戸内海大型埋め立てと言われます海田湾埋め立てについてお尋ねをいたしたいと思います。  まず最初に、事務的なことからお聞きしたいわけでありますが、この案件は、広島県から運輸省に対していつ認可申請がなされ、そしていつ審査が終わり、環境庁へはいつ送付をしたか、その辺をまずお伺いしておきたいと思います。
  4. 大久保喜市

    大久保政府委員 お答えいたします。     〔委員長退席向山委員長代理着席〕  東部流通業務団地埋め立てにつきましては、昭和五十年十二月二十日に運輸大臣あて認可申請がなされました。それから、東部浄化センター埋め立てにつきましては、五十一年七月三十日に運輸大臣あて認可申請がなされてございます。  それで、これを慎重に審査いたしました結果、両事案とも認可し得るものと判断いたしまして、昭和五十二年六月二十四日付をもちまして環境保全上の観点よりする環境庁長官意見を求めているところでございます。
  5. 森井忠良

    森井委員 それでは、続いて環境庁にお伺いしておきますが、いま、審査状況はどうなっていますか。
  6. 信澤清

    信澤政府委員 ただいま運輸省から御答弁ございましたように、本年六月二十四日付の書類を六月二十八日に受け取っております。  そこで、私ども内容を拝見いたしまして、なお私ども審査上不十分と考える点が十項目ほどございました。これにつきまして運輸省にお問い合わせして、その御返事はいただいておりますが、その御返事内容について検討中ということでございます。
  7. 森井忠良

    森井委員 私どもで聞いております範囲では、本事案審査をする前に、何といいましても環境庁というのは非常に仕事が忙しくて、審査案件が非常にたまっておるのじゃないかというふうに聞いておるわけですけれども、具体的に申し上げますと、瀬戸内海の中で二色の浜北九州響灘瀬戸内海じゃありませんけれども境港、それに海田湾、私が聞いておりますだけでもこれらの大きな埋め立て計画をされているやに聞いておるわけでありますけれども、これらの審査とあわせてやるのか、あるいは、大体いま私が申し上げましたような順序でそれぞれ審査の請求があったと聞いておるわけでありますが、物には順序がありますから、やはり先議案件から次々に解決をしていくのか、その点、事務的なことについてちょっとお伺いしておきたいと思うのです。
  8. 信澤清

    信澤政府委員 ただいまお挙げになりましたように、大阪湾二色の浜については本年五月十三日に運輸省から書類をいただいております。それから、海田湾につきましては先ほど申し上げたとおりでございます。北九州響灘関係では、九月一日に書類としていただいております。境港は十月十九日でございます。  したがって、順序から申しますれば、現在残っております四案件のうち、冒頭に申し上げました二色の浜が先行した順位にあるということでございます。  そこで、私どもの従来の審査の進め方でございますが、やはりいただいた順番に審査する、これは当然のことでございます。ただ、内容的にいろいろ私どもとして理解ができない、あるいは納得ができない、あるいは是正の措置についてお願いしたところ、それに対する的確なる対応を示していただけない、こういう場合がございますので、そういうもののために適切な条件を備えたものを後回しにするわけにまいりませんので、その場合には適宜対応いたしております。
  9. 森井忠良

    森井委員 一例で申し上げますが、北九州響灘の場合は、何か廃棄物処理に必要な埋め立てだというふうに聞いておるわけですけれども、そういうことですか。  その場合に、中身を吟味なさった上で、そうはいいますものの、やはり緩急順序をつけて審査をなさるのかどうなのか、その点をお伺いしておきたいと思います。
  10. 信澤清

    信澤政府委員 これもお話のように、北九州埋め立ての場合には、埋め立て用材につきましては、廃棄物主体にした埋め立てになっております。したがって、先ほど申し上げましたような問題を考える場合に、埋め立てそのものもございますが、その目的、それからまた、その埋め立てのためにどういう新しい意味での環境保全上の効果があるか、こういう点については私ども十分審査をすべき事項として従来対応してまいったわけでございます。
  11. 森井忠良

    森井委員 先ほどのお話だと、二色の浜は五月十三日ですね。しかも埋め立て規模は非常に大きいというふうに私ども聞いておりまして、かなり問題があるわけですけれども、これの審査についても、時間の関係もありますので、ごく簡単に御説明願いたい。
  12. 信澤清

    信澤政府委員 二色の浜につきましては、お話のように規模が大変大きいこと、ただし、上物は下水道終末処理でございますから、これは環境保全上重要な効果を持つというふうに考えております。  ただ、埋め立てに使います用材につきましては海底土砂をしゅんせつして使うということが主体になっておりますが、私どもは、やはり大阪湾沿岸につきましては、廃棄物処理というのは大変大きな問題でございますので、もしこの埋め立てを認めるとするならば、埋め立て用材廃棄物処理を相当部分投入するという計画であってしかるべきではないか。つまり、一つ埋め立てによって一石二鳥ならば、三鳥にも四鳥にもしたいというのが私ども考え方で、そういう考え大阪府当局に伝えているわけでございます。
  13. 森井忠良

    森井委員 そこで本海田湾の問題に返るわけでありますが、そういたしますと、海田湾審査につきましては、まだごく事務的な、先ほどの話ですと、大体十項目くらい問い合わせをしなければならないものがあって、いま返事が来ておる、こういう形でありますけれども、言うなれば、この審査としてはまだきわめて初期段階として理解をしていいですか。また、大臣にはどの程度まで報告してありますか。
  14. 信澤清

    信澤政府委員 初期段階にあると考えていただいて差し支えないと思います。  それから、大臣に対しましては、この問題は、正式に運輸省からいただく前に、すでに地元での反対あるいは賛成、いろいろなお立場の方からの陳情等がございます。したがいまして、その都度、大臣がお会いになった場合には、その間の事情等を御説明申し上げておるわけでございます。
  15. 森井忠良

    森井委員 石原環境庁長官、まことにぶしつけな御質問で恐縮なんですけれども、ひとつ気を悪くなさらないで御答弁いただきたいのですが、江戸英雄さんという方がいらっしゃいますね。御承知のように、この方は三井不動産会長さんであります。長官はこの方とは懇意と私は聞いておるのですが、そうですか。
  16. 石原慎太郎

    石原国務大臣 個人的には懇意でございます。お嬢さんと私の友人の指揮者の小沢君が結婚されたこととかございまして、そういう縁で、また、日生劇場という劇場をつくりましたときの株主にもなっていただきましたことで懇意にしております。
  17. 森井忠良

    森井委員 ちょうど私、いなかったのですが、長官、たしか十月の二十七日、やはり本委員会で、あなたは例の経済との調和条項に関連をする本委員会での議論の中で、たとえ話として海田湾の問題をお出しになったと聞いておるわけです。実は、これはまだ速記録が印刷配付されておりませんので、長官に改めてお伺いするわけでありますが、趣旨は、いわゆる経済との調和条項の問題で、これは魔女狩り発言もございましたけれども、この中で、やはり経済との調和のあなたの発言についてはずいぶん誤解をされているんだというたとえの一つに、海田湾のような場合は、もう埋め立てなければ海底ヘドロ等を封じ込めることができないという意味だろうと思うのでありますが、埋めることの方が公害をなくするために必要なんだ、したがって、埋め立てを認めることがいわゆる経済との調和条項を配慮したことにはならない、もっと言えば、企業寄りにはならないという意味の御発言をなさったやに私、聞いておるわけでありますが、申し上げましたように、まだ速記録ができておりませんので見ておりませんが、その辺の真意についてはいかがですか。
  18. 石原慎太郎

    石原国務大臣 いまの御質問もちょっとある種の誤解に基づいていらっしゃると思いますけれども、私があのときに海田湾引きましたのは、生活環境にかかる開発というものをやはり社会的な側面経済的な側面を無視して考えることはできないということで、先ほど信澤局長からもお答えいたしましたが、賛成反対両方方々から数度陳情を受けました。開発をぜひしてほしい、埋め立てをしてほしいと言われる方々の御意見の中には、ヘドロを積極的にしゅんせつしてあそこの海をよみがえらせ、漁協の方々があの海を再び使えるように、海の経済性を復活させてほしいという要求もございました。また一方では、とにかくもう周辺の生活環境をいじってもらいたくないという陳情もございまして、私は両方とも非常に心情的にわかりますし、また論理的にもわかる、そういうふうに承知しているわけでございまして、あの開発というものについて、海の経済性を復活させるためにもいますぐ促進すべきであるという意味で申したわけでは決してございません、これはもう審議中でございますし。ただ、海田湾一つとりましても、そこには生活環境をとにかくいまのままにしておいてほしい、心情的にも非常によくわかる要求と、同時に、同じ住民方々でいながら全く相反した社会的、経済的の側面考えられての積極的な賛成案もある、そういうことで例を引いたわけでございます。
  19. 森井忠良

    森井委員 いまそうおっしゃいますけれども、まあ繰り返し申し上げません、速記録を見れば明らかになるのでしょうけれども長官お聞きのように、まだこの海田湾埋め立ての問題については審査初期段階にあると先ほど説明がありましたけれども、何か環境庁長官一つ先入観をお持ちになってこの問題をごらんになっているんじゃないかという感じが私はしてならないわけです。いまお引きになった例にいたしましても、長官の場合はいまそれぞれから陳情をお受けになったのでしょうけれども、やはりいまあなたの部下が審査中でありますし、私は、何か長官発言というのは、対応いたします環境庁部局でそれぞれ長官意向というものが無視できなくなって審査影響があるのじゃないかという感じがしてならないわけです。そうじゃないわけですね。  先ほど申し上げましたように私がとっぴな質問をいたしましたのも、実は本件については、一切の埋め立ての具体的な事業の推進というのは三井不動産がやるわけです。いまあなたの懇意な江戸さんが会長をしていらっしゃいまして、しかもこれは定かにはまだ申し上げにくうございますが、やはりたびたびお会いになるときには恐らく海田湾の問題も出るのじゃないかという感じも持ったものですから、これはいきなりとっぴなという言い方ではなくて、あなたの方で何も名前まで出されなくてもよかったと思うのでありますが、具体的に海田湾の問題を経済との調和条項の中でお引きになるということは、現地ではかなりの衝撃を受けていると思うので、私はその点は明らかにしたかったわけです。もう一度、いま申し上げましたそういう疑いを私は持っておりますので、長官から、できることなら真意をお聞かせ願いたい。
  20. 石原慎太郎

    石原国務大臣 江戸英雄氏と私との関係について付言されましたが、私は、環境庁長官に就任してから、江戸さんとは一度も面談したことはございません。ですから、この件について三井不動産方々と話し合ったことは一度もございません。  それから海田湾を例に引きましたのは、たとえばあそこに二つ埋め立て候補地がございますけれども片方流通センター片方汚水終末処理場ということで、流通センターの場合にも物価に影響することでございますし、また終末処理場は、それこそ生活環境というものの改善のために一つの要件でもございますので、同じ開発と言ってもその中に、生活環境の問題の中にもそういう社会的な、あるいは経済的な側面というものを無視できないものがあるという形でその例を引いたわけで、この埋め立てを許すか許さないかということを、すでに私が物事を決定した上での発言ではないことだけは御了承いただきたいと思います。
  21. 森井忠良

    森井委員 そうすると、現在審査中でありますから、長官としては全く白紙である、こういうように確認をしてよろしゅうございますか。
  22. 石原慎太郎

    石原国務大臣 白紙でございます。  ただ、繰り返して申し上げますけれども海田湾埋め立てば非常にその典型的な例だと思いますが、開発埋め立てというものの中の経済的、社会的側面というものを無視できないという非常にわかりやすい例だと私は心得ております。
  23. 森井忠良

    森井委員 社会的、経済的側面とおっしゃいますけれども、そうすると、ちょっと具体的に聞いておかなければならぬわけでありますが、たとえばあそこは海底ヘドロが非常に多いというそういう印象が長官の中にあって、これらはやはり封じ込める方がいいというお考えなのか。それから、浄化センターにつきましても、これもいろいろ議論のあるところですけれども、いまないわけですから、流域下水道は必要だという立場に立って、これも最終的に進めていかなければならない、そのためにはちょうど海田湾がかっこうだという意味ですか。もうちょっとそこのところをお聞かせ願いたい。
  24. 石原慎太郎

    石原国務大臣 御存じのように、下水普及率は日本は全体的に非常に低うございまして、それから流れ込む生活排水というものの、たとえば瀬戸内海のような閉鎖性水域に対する汚濁の負荷量というのは非常に無視できない量がございます。そういう意味でも、瀬戸内海全体の保全のためにも下水というものの普及は非常に急がれておりますし、その下水を設置するならば、やはりどこかに終末処理場というものを設けなくちゃならぬと思いますが、ほかの適当な候補地があるかどうか私つまびらかにいたしませんけれども、県の方々も選び抜かれてあそこを候補地にされたんだと私思いますが、そういう意味で、下水という観点から見ましても、そのための最終的な処理場というものが不可欠でございますし、瀬戸内海全体からもまた周囲の海田湾広島湾と申しましょうか、それにつながる水域汚染防止のためにも非常に意味を持つ性格を持っておると思いますが、同時に、これは私自身が実はいままで長く住んでおりました逗子で体験したことでございますけれども、非常に美しい海岸線埋め立てまして、りっぱな終末処理場ができました。これはながめから言うと、昔どおりのながめの方がはるかに美しかったし、私たちの心情的なあれからすれば、そこにそういうものをつくってほしくございませんでしたが、しかしできたわけでございます。それによって確かに海も川もきれいになりましたけれども、やはりそういう二律背反と申しましょうか、その場合には結局汚水処理場を選んだわけですけれども、それでもやはりその周りの方々は何か不満を残した。こういう両方の面というものを取捨選択しなくてはならぬのが生活環境に関する今日の環境行政だということで例を引いたわけでございます。
  25. 森井忠良

    森井委員 この委員会現地を見ていただきました。具体的に海面を見ていただきましたのは、陸上自衛隊の第十三師団というのが海田町にございますけれどもその沖合いなんです。いままではうんと汚れているだろうと思っていらっしゃる委員が多かったと聞きました。ところが、現に見ていただきましたら、何だ、ずいぶんきれいじゃないかという声が期せずして皆さんから出たわけでございまして、私は事実を申し上げているわけですが、長官の頭の中にはどちらかというと、あそこはもう汚いんだ、ヘドロその他もう汚れ切ってしまっているからむしろ封じ込めた方がいいのじゃないか、そういう意味では海田湾という場所は適当なんじゃないかというような、いわゆる先入観がおありになって、いまのような御発言になったのじゃないかという危倶がしてなりません。実は、瀬戸内海環境保全臨時措置法ができまして、CODも二分の一、広島県の場合はあの報告によると二分の一以上のカットをいたしておりまして、とにかくあの海は見た目もきれいですし、それから現に付近の住民皆さんが、これはもう何百人も海へ同時に入って、そして調査をしていただいて、魚の種類も多うございましたけれども、稚魚が非常にたくさん入ってきているという報告が入っておるのです。大学の先生あたりはそれをホルマリンにつけていまでも保存してあるのですが、あなたはいつお行きになったのか知りませんけれども、少なくとも最近の海田湾は伝えられているような汚染度はないと私は見ているのです。だから、そういう意味では、先ほど御答弁をいただいた中身も、これから審査をいたします部局でやはり陰に陽に影響を与えるのじゃないかという感じがあるわけです。したがって、いまいろいろ御説明がありましたが、最初のくだりの全く白紙でございますという点だけでとどめていただくべきじゃないか、こういうように私は考えるわけですが、いかがですか。
  26. 石原慎太郎

    石原国務大臣 どの程度汚染をもって見た目で汚れているとするか、これはもっと詳しい科学的な調査をしないとわからないと思いますが、私が受けた陳情賛否両論ございましたけれども片方方々は、かつてそこでカキの養殖などに使えた水域というものがもう全く使えなくなって沖に移動せざるを得なくなったということを申しておりました。それからまた反対方々は、いまおっしゃったようにそれほど汚れていないとおっしゃっていました。ですから、そういうものを徹底的に調査して決めるべきだと思いますし、その限りで、繰り返して申しますけれども、私の立場白紙でございまして、私の発言環境庁の所管の局なり部に何らかの影響を与えないように、私もそのような指導をいたします。
  27. 森井忠良

    森井委員 次に、運輸省にお尋ねしますが、あなたの方は審査を終えておられるわけですけれども、これはずいぶん長くかかりましたね。どこに原因があったのですか。それが第一。  それから長くかかった以上は、恐らくそれぞれ問題点があったのだろうと思うのですが、特徴的な問題点をできれば三つ四つ挙げてください。
  28. 大久保喜市

    大久保政府委員 お答えいたします。  先ほど申しましたように、まず東部流通業務団地は五十年十二月に出たわけでございますが、実はその環境保全に関し講ずる措置を記載した図書、その中に海田湾水質保全に関する措置東部浄化センターの設置を前提としている、こういうような形になっておったわけでございます。そういう事情から実は東部浄化センターの方の埋め立て認可申請がなされるまで審査を保留していた事情一つございます。それにいたしましても、東部浄化センター埋め立てについては昭和五十一年の七月に出てきております。それからでも実は私ども審査が終えるまでに十一カ月を要しておるわけでございますが、その間の事情は、実は両事案とも出願書類の縦覧に際しまして多数の意見書の提出がございました。また、埋め立て反対する立場からの陳情も幾つかなされたわけでございます。これらの指摘事項に対しまして、私どもといたしましては、必要に応じまして免許権者補足説明を求める等いたしまして、特に審査に慎重を期した次第でございます。そういうような結果、相当の期日を要したというのが実情でございます。     〔向山委員長代理退席委員長着席〕  それで、いまの二番目の御指摘に関連いたしまして、私どもといたしまして、いま申しました免許権者補足説明を求めるというようなことにつきましては、たとえば御指摘になられた中で出願人の資力、信用の点に問題があるじゃないかというような御指摘もあったわけでございますが、これらにつきまして、その辺の事情免許権者照会をいたしたということもございます。それからまた、その災害防止対策、こういう点での不安が指摘されておられた点もございますし、そういうようなことについての照会をいたしております。  それからさらに、もうちょっと細かいことで申しますと、環境保全対策といたしまして、サンドマットの散布とか、そういう技術的なことにつきまして免許権者照会する、こういうようなことがございます。  それからいま一つ、これは文書による照会ということではございませんが、たとえば昨年の秋、あるいはことしの春、先生も当省に現地の班と御一緒にお見えになられました際に、県は地元意向をさっぱり聞いてくれないという御指摘がございました。それらの点につきまして果たして事実かどうかということを電話で問い合わせ、それで私どもといたしましては、その時点でやはりその地域の方々意向を十分よく聞いて、理解と協力を得てこのことに当たるように、ひとつ誠意を持ってそれらの方と接してもらいたいということの要請をいたした事情もございます。こういうようなことで約十一カ月を要したという次第でございます。
  29. 森井忠良

    森井委員 順次、問題になりました点につきましてはこれから御質問をするわけでありますが、いま言われました問題点以外はそう大きな問題はなかったわけですか。たとえば流通センターという名前がついていまして、きわめて公共性の高い埋め立てであるという表現がなされているわけでありますが、実際には私どもはその公共性はそんなに高くないし、もともとこれは土地取得が目的の、言うなれば利権のにおいの非常に強い埋め立てであるというふうな認識を私はしておるわけです。その点は全く問題になりませんでしたか。
  30. 大久保喜市

    大久保政府委員 お答え申し上げます。  いまの東部流通業務団地の件につきましては、これは広島広域都市圏建設基本計画とかあるいは港湾計画、そういうようなところでその計画が位置づけられております。そういう一環といたしましてそれを実現するための埋め立てということでございますので、私どもといたしましては、いま御指摘のような利権というようなことにつきましては疑念を持っておりません。
  31. 森井忠良

    森井委員 ちょっとお尋ねするのですが、流通業務団地というふうなものの本来あるべき姿としてはどこが土地を造成すれば運輸省としては一番適当だと思うのですか。本件の場合は、当初三井不動産が一社で埋め立てをしようとした経過がある。それが崩れて、今度は流通業務団地の場合は公共機関も入れていわゆる五十四社で共同埋め立て出願という形になる。そして、それが話がまとまると、具体的には三井不動産と事業遂行に伴いますところの契約を結んでいるわけですね。そして、一切合財でしょうけれども、坪当たり単価はたしか十三万六千円くらいの工事費というふうな契約が成立する、そういう形になっているわけですね。こういう進め方については運輸省の方の見解はどうですか。
  32. 大久保喜市

    大久保政府委員 お答え申し上げます。  どういう事業主体が土地造成するのがいいのかということにつきましては、いろいろケース・バイ・ケースということがございますので一概に申すわけにまいりませんが、本件につきまして経過を申し上げますと、実はこの流通センターと申しますか、広域都市圏構想が打ち出された時分には、第三セクター論とかあるいは民間資金の活用とか地方財政の問題点等もいろいろとございまして、広島地域におきましては、これもやはり流通業務関連のところでございますが、西の方では廿日市とか草津とかそういうような場所のいろいろなそういう計画もあったわけでございます。それで県当局にいたしてみますというと、そういう計画の推進のために、やはり公的な財政には非常に限界があるというような事情がございまして、当時といたしましては民間資金の活用ということで、第三セクター論とか、あるいは民間にその事業をやらせるにいたしましても計画はコントロールするというような手法とか、いろいろなことを検討しておったようでございます。それで、その後の経過におきまして、公有水面埋立法の改正とかそういうような事情もございました。それで、以前におきましては、改正前の法律におきましては、私人が埋め立て免許をとり、分譲する、そういう仕組みも可能であったわけでございます。しかしながら、改正埋立法におきましては、公的な機関が埋め立てる場合でなければ分譲のための埋め立てということが不可能になりました。それで、残された道は公共団体かあるいは公共団体が参画している公社ということでなければできないということになったわけでございます。一方、そういう段階に至る過程において検討しておりましたスタイルというのが、民間資金の活用ということで進んできておった事情がございますので、大体県の計画に沿った土地利用ということで、そこに立地する企業の共同出願という形が在来からの経緯を踏まえての一つの可能な道であったわけでございます。そういうことから、本件につきましては共同出願の形で出願されたという事情にございます。そういう長い期間の間の情勢の変化、それに対する対応ということで、この形も一つの現実的な形ではないかというふうに理解しております。
  33. 森井忠良

    森井委員 広島県の場合も、たとえば福山近海でずいぶん大規模埋め立てがございます。これも広島県が直営でやりました。それから同じ広島湾でも西部開発というのがありますが、これもやはり広島市、そういったところがやりました。つまり完全に地方公共団体が着手をしております。ずっと調べてみますと、まだ幾つもありますけれども、どれをとってみましても、こういうふうに三井不動産に請け負わせるというようなケースはいままでないのですよ、初めてなんです。しかも、五十四社が三井不動産と契約する。県もその五十四社のうちの一人、これは公共岸壁ですけれども入っているわけですが、私は形としてきわめていびつだと思うのですね。まことに言いにくいことを言うなら、不動産会社は不動産会社でありますから、これは当然、利益の追求が第一の目的であることは間違いじゃない。そうしますと、具体的なやり方、本当に公共性があるのなら、しかも県が前面に出なければならないのなら、たとえば資金については、資金が主だと思いますけれども、縁故債を募集して県がやるという手だってあるわけです。しかもこれは、申し上げましたように、当初三井不動産計画でありましたから、アセスメントにしても、三井コンサルタントを通じて東海大学の前田先生という方がやっていらっしゃるわけですね。地元にはちゃんと広島大学という権威のある大学もあるのですよ。従来の三井不動産の取引の関係からやはりそういうふうに東海大学へ御依頼になったのだと思うのでありますけれども、いずれにしても私は、埋め立ての公共性を言うなら、もっとしかるべきところが工事を進めていいんじゃないか、こういう感じがするわけです。もう一度御答弁いただきたい。
  34. 大久保喜市

    大久保政府委員 お答えいたします。  先ほど申し上げましたように、この計画につきましては発足からの経緯がございまして、県当局において相当このやり方につきましては多角的な検討をいたしまして、それでいわゆる港湾区域内の空間利用計画としては港湾管理者である広島県が公的な管理をする、規制ができる、そういう枠組みの中で行わせるということで十分公的な規制が可能であるという形でございますので、この点につきましては、先生の御指摘のように、他との比較によりますと若干形が変わっておりますが、ちょうどこの計画が企画された時点が第三セクター論が華やかだった時点であったという事情もひとつ御了解いただきたいと思いますし、いまの時点で最も問題のない形に港湾管理者が苦心して練り上げたものであるという点もひとつ御理解いただきたいと思う次第でございます。
  35. 森井忠良

    森井委員 いままでの漁業補償はどこが払っているのですか。(萩原委員「ぼくがここにいるのを頭に置いて質問してください」と呼ぶ)
  36. 島本虎三

    島本委員長 不規則発言は慎んでもらいます。
  37. 大久保喜市

    大久保政府委員 お答えいたします。  先ほど申しましたような発足のときの経緯からいたしまして、三井不動産が漁業補償を払ったそうでございます。
  38. 森井忠良

    森井委員 時間の関係で先へ進みますが、いずれにしても、まず工事を進める主体については、私は環境庁も十分考えていただきたいと思います。  次に、同じく運輸省にお尋ねするわけでありますが、こういうふうになっていますね、海田湾埋め立て計画の目的でありますが、広島県の資料によりますと、「広島地域は近年の都市化、工業化に伴なって土地需要は急増しているにもかかわらず、地理的条件等からその供給はひっ迫しており、」という表現が使ってあるわけですが、逼迫しているとお考えでしょうか。  時間の関係がありますから具体的に申し上げますと、具体的には広島県で廿日市というところに木材団地をつくっています。これは、この流通業務団地の前に申請がありましたいわゆる十三企業約五十万平米でありますが、ここに木材業者の方がかなり埋め立ての申請をして、これは認可になっているわけですね、条件つきでありますけれども。条件とは何かというと、流通業務団地と同時に着工しなさいという関連を持たせた条件でありますが、いずれにしても免許がおりています。ここはいま申し上げましたように、木材業者がかなりいらっしゃるわけですけれども、そういう意味では競合するわけでありますが、申し上げました廿日市の木材団地が、これもかなり大きなものでありますが、いままだ一二%しか売れていないんです。同じ木材業で一二%しか売れていません。それから、若干時期のずれはあろうと思うのでありますが、先ほど申し上げました福山近辺、箕島というところがありますが、ここの土地の売却、状況につきましても、これも県が分譲する土地でありますが、二五%くらいしか売れていないんですよ。それから、申し上げました広島市の西部開発につきましても、大体いま六割でしょうか、売れているのが。つまり県や市がつくった土地がいまもって売れずにおる、この事実との関係はどうなのか。いま申し上げました土地需要の逼迫とあわせて御答弁を願いたい。
  39. 大久保喜市

    大久保政府委員 お答え申し上げます。  土地需要の逼迫の状態というのは、やはり全般としての問題と、それから部分での問題と二通りあろうかと思います。  それで、本件の流通業務団地の計画は、流通業務市街地の整備に関する法律に従いまして、昭和四十七年九月に策定いたしましたところの広島市についての流通業務施設の整備に関する基本方針に基づきまして計画されたものでございまして、その一環として西部の草津地区におきましては、繊維、日用雑貨、食料品、建材などの流通業務団地と、それから海田湾地区におきましては、鉄鋼加工センターなど生産財を主とした流通業務団地、それから廿日市地区には木材団地というようなことを配しまして、市街地に立地する企業を移転集約化するということで、ほぼ同様の時期に計画され、ほぼ同様の時期に発足したわけでございます。  それで、御指摘の木材、廿日市の方と西部につきましては、一応全体の計画というのは公的な機関がやるという事情もございまして、長期的な計画で現に完全に何年間で埋まるというようなそういうところまで固いものだけで占められるという形ではなくて、やや長期的な見通しを立てた土地造成を計画してございます。  それで、そういうことから先生の御指摘のように、現時点においての処分地は非常に利用度が少ないという状況になっております。実は、これの埋立地の竣工期限が、いずれもここ二、三年前でございました。こういう事情もございまして、いま言ったような状況でございます。  それから、一方これに対しまして、東部の問題につきましては、先ほど御説明申しましたような生産財を主体とした流通業務団地ということで、それをあそこへ集約化するということで考えておるわけでございまして、都市における機能の適地分散というようなことからいたしますと、こうまとまって生産財の流通センターの用地を確保するには、あそこのところに埋め立てをやって土地を取得する以外に道がなかったという事情にあった次第でございます。
  40. 森井忠良

    森井委員 具体的な例を引いて申し上げますが、総計いたしまして、これは浄化センターも流通業務団地も十三企業団も含めますと百八十万平米を超すのですね。そのうち一番最初に申請のあった、申し上げました約五十万平米につきましては、これは木材業者がかなりいらっしゃるわけですね。それと廿日市の木材団地との関係は、私は、どう説明されようとやはり少なくとも土地が逼迫しているというようなことにはならないと思うし、もうあなたの方は審査を終えていますから、この点余り深くは言いませんけれども、私は問題があると思う。  それから、問題は、流通業務団地、流通センターという言葉が使われたりしておりますけれども、この流通センター中身を分析してみますと、たとえば広島の代表的な企業であります東洋工業、これの関連企業で運輸だとかスクラップだとかあるいは塗料、それから部品、そういったものが、何と五十四社のうちで十二社人っているわけですね。特に、これは恐らく全額東洋工業出資じゃないかと思うのですけれども、関連をして販売その他やられる会社がございますけれども、そういったところもいわゆる部品置き場として埋め立て申請をしておられるわけですね。そのこと自体を私は問題にするつもりはありませんけれども、少なくとも流通業務団地という公共性のあるものとはとても言いがたい中身のものが幾つかあるわけです。したがって、私は、少なくとも公共性ということになるとかなり疑問がある、こういうことを指摘をしておきたいと思うのです。  それから、やはり先ほど御説明ありました問題点一つでいわゆる資金の問題、あなたの方から、問題がありましたということで御説明がありましたけれども、資金的にもずいぶん問題がある会社があるのじゃないですか。一体、予定どおりいったとして本当に埋め立てができ、しかも流通業務団地という団地ができるのかどうなのか、その辺の見通しはどうですか。
  41. 大久保喜市

    大久保政府委員 お答えいたします。  先ほどちょっと触れましたように、免許権者に対して、この資力信用について問題ありという指摘があるがその点いかがかということの補足説明を求めたのが、ことしの一月でございます。その時点で免許庁で調べたところによりますというと、その時点におきましては、出願人埋め立て事業を遂行するに足る資力信用を有するかどうか、この再調査でございましたが、その結果、各出願人埋め立て事業を遂行するに足る十分な資力信用を有しているという結論を得てございます。  その審査内容といたしましては、これは県の方で財務分析等も行いまして、また借入金の償還計画がどうなっているか、こういうようなところまで相当立ち入ってお調べになったようでございますが、その結果といたしまして、企業によりまして対応の仕方がいろいろございますようでございますが、いずれも、あるいは財務分析による償還能力十分であるというもの、あるいは若干不安があるとはしながらも、親会社からの融資が主体となっているので、経営状況によっては償還条件が緩和されることも十分期待できるというようなこと、それで、そういう事情を背景にいたしまして、金融方面でもそれなりに保証しているというような事情もございまして、免許庁といたしましてはこの事業を遂行するに不安があるというような企業ではないという判断をいたしているようでございます。
  42. 森井忠良

    森井委員 それは土地の埋め立てに要する費用、それから倉庫なり工場なりをつくる費用、それに現在どこかで操業しているとすれば移転に関する費用、その他雑費がたくさん要るでしょうけれども、そういった各面にわたって調査をされましたか。
  43. 大久保喜市

    大久保政府委員 お答えいたします。  私どもの承知している範囲におきましては、免許庁としてのやれる範囲と申しますのは、この埋め立てにかかわるところの資金調達というところが限界かと考えますので、私ども報告を受けたのは上の建物、そういうようなものの資金繰り等については触れていないのではないかというふうに思います。
  44. 森井忠良

    森井委員 それはだめですよ、土地そのものをつくるのが目的じゃないのだから。だからあなたから答弁を求めたように流通業務団地、先ほどくどくどおっしゃいましたように、それは市内に散在をしている各企業を一カ所にまとめることによってメリットがあるというようなことを申しました。したがって、ただ土地を埋めるのが目的じゃなくて、そこに言われているところの流通団地ができなければ意味がないのでしょう。いまの話だと埋め立てに要する費用は審査をした、あとはわかりませんということですか。もう一遍そこのところを。
  45. 大久保喜市

    大久保政府委員 お答え申します。  ちょっとお答えするポイントがずれておりまして、申しわけございませんでした。  免許庁といたしましては、申請者がそれなりの土地利用の計画を持って、それで申請しているものでございます。それで免許庁が財務状況その他を調べたわけでございますが、これにつきましては、私ども承知しているのでは、免許庁のやりますところの権限というのは、埋め立てそのものに対する資金調達能力というところに限界があるわけでございます。しかしいま一つには、埋め立て計画計画の確実性というものを確認いたしませんと、これは適切な判断ができないわけでございます。それで免許庁が調べたところの結果を私ども報告を受けたところでは、親会社なりあるいは金融機関が十分保証するということを約束している。そういうことを保証するというのは先ほどちょっと触れましたように、操業開始することによって資金償還能力があるということがあればこそ保証するということを言っている、そういう背景があるというふうに私ども理解しているわけでございます。
  46. 森井忠良

    森井委員 環境庁にお伺いしますが、瀬戸内海埋め立てというのは無制限で認められるのですか。そうじゃないわけですね。御承知のとおり、瀬戸内海環境保全臨時措置法の十三条、これが審査の場合に当然かぶさるわけですね。そうしますと、少なくともあの法の精神にのっとるならば、これは瀬戸内海環境保全審議会の、現在のところ中間答申、それから最終的に去年の暮れ本答申が出ているわけですけれども、当然それの趣旨を考慮に入れなければならない。したがって、無制限に認めるものじゃなくて、埋め立てが何に使われるのか、どういう目的なのかということは当然重要な、考慮に入れるべき問題点だと私は思うのですが、いかがですか。
  47. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 お答えいたします。  瀬戸内海につきましての埋め立て案件でございますが、これにつきましては、たとえば東京湾とかよその地域と同じように環境影響評価、これは行うわけでございますが、ただいま先生からお話しございますように、瀬戸内海につきましては臨時措置法がございまして、十三条の規定がございます。したがいまして、その十三条の規定によりまして特殊事情といいますか、特殊性を考慮すべしということで、これにつきましては四十九年の五月に瀬戸内海環境保全審議会から御答申をいただきまして、埋め立ての運用についての基本方針というものが示されてございます。したがいまして、一般的な環境影響評価のほかに、さらに瀬戸内海につきましては、その埋め立ての基本方針というものに即したものであるかどうかという角度の審査がさらに付加される、こういうことでございます。したがいまして、そういう線に沿いまして個別案件ごとに審査をいたしておるということでございます。
  48. 森井忠良

    森井委員 そうしますと、その埋立地が何に使われるかということは、これは非常に重要な問題ですね。
  49. 信澤清

    信澤政府委員 ただいま水質保全局長が御答弁申し上げましたように、特殊な事情ということが一つの要件になっておる。具体的になかなかわかりにくいわけでございますが、あの立法は議員立法でなされたわけでございますが、いろいろ立法の過程の御審議の御様子等を伺いますと、先ほどから先生おっしゃっておりますように、やはり公共性ということを強く意識してあの規定が設けられたという経緯があるように伺っております。したがいまして私どもは、先ほど大臣が申し上げましたように、単に埋め立ての水質に対する影響がどうのこうのということのほかに、そのことによって得られるであろう経済的な、社会的な他の側面、これをあわせ検討しなければならぬ、こういう趣旨のことを大臣は申したつもりでございますが、そういう考え方で従来から案件処理に当たっておるわけでございます。
  50. 森井忠良

    森井委員 私もいまの答弁のとおりだと思うわけです。土地は埋め立てた、しかし申請の目的どおりに使えないということになると、これは公有水面埋立法でもそうで、目的というのはきちっとしなければなりませんが、なかんずく瀬戸内海の場合は、もう一回瀬戸内海法という網がかかっているわけですから、やはり申請をされた目的がまず埋め立てをしなければならない目的なのかどうなのか、その辺当然審査をしなければならぬと思うわけですね。  そこで運輸省、これは個々の会社のことでありますから、経理の状況について明らかにするというのは、具体的に固有名詞を挙げることだけは避けますけれども、Aという会社は五十年度の決算で、これは私ども調査でありますけれども二億五千万近く赤字を出しております。五十一年度はプラス・マイナス・ゼロです。利益なし。Bという会社は四十九年から五十一年までずっと赤字です。経済がこういうふうに不況に陥っていますから私は無理もないと思うのでありますが、とにかくBという会社はまるまる四十九年から五十一年まで赤字。それからCという会社は五十一年度を見ますとやはり赤字になっています。今度はDですが、Dという会社は当初、四十八年は四億三千万ぐらいの黒字を出した会社ですが、それが五十年になりますと三分の一ぐらいに減益になっています。まだありますけれども、調べてみると、何といいましても広島県というのはやはり自動車と造船、それに鉄でしょう。自動車と造船が悪くて、言うなれば深刻な不況がずっと続いているわけでありまして、先ほど申し上げましたように、たとえば自動車の、特に地元の東洋工業の関連企業と言われるところが五十四企業のうちで十二社も入っています。これはもう肝心の本家本元の東洋工業が、これから五千人も、三万人の従業員で五千人も国内販売に営業面を主にして出張販売させなければならないというふうな非常に深刻な状態であります。したがいまして、当然でありますけれども、協力工場についてもいま非常に経営的に行き詰まっている。これはもう間違いがない。特に先ほど申し上げました幾つかの会社等を見ましても、これはもう大変な減益もしくは赤字になって、とてもじゃありませんけれども、おっしゃいましたように銀行の融資あるいは親企業の融資等をあるいは得られるかもしれませんけれども、これはせいぜい土地を埋め立てるための費用くらいが関の山でして、工場をつくったり倉庫をつくったり、ましてや移転にも費用がかかりますから、そういったところまではとても無理じゃないかという感じがするところがずいぶんあるわけです。したがって、あなたの方が、いま申し上げました瀬戸内海法やあるいは公有水面埋立法に照らして、ただ埋め立てに要する費用だけを資力信用と見るというのは私は問題がある。少なくとも信用ということになると、これは流通センターをつくると言っておいて、一たん土地をつくったらどこかへ転売するというふうなことになったら、それこそ大きな信用の問題ですから。それから流通業務団地をつくると言って土地を取得しておいて、全然その目的にないようなものに転用するということも、これも問題ですし、そういう意味では埋め立てに要する費用だけではなくて、当然いま申し上げましたように、特に瀬戸内海法の規定からいけば、もうちょっと先まで、つまり本当にこの企業は埋め立てをしてそこに所要なものを建てて、そして操業ができるのかどうなのか、そこまで審査をする必要があると思うのです。この点いかがですか。
  51. 大久保喜市

    大久保政府委員 お答え申し上げます。  埋立地の転売とか利用目的を変えるというようなことにつきましては、公有水面埋立法の二十七条あるいは二十九条によりまして、これは制約を受けております。それで、そういう点は出願者の方も十分承知しているわけでございまして、それで私ども、免許庁に資力信用についての確認を求めましたところの結果——私、先ほどちょっと急ぎ過ぎて説明を飛ばしたために誤解を生じてしまったようなきらいがございますが、先生指摘の、特に名前をA、B、C、Dというような形でおっしゃられましたが、思い当たるところもございます。それで、ちょっといま少し詳しく私どもが聞いておりますところを申し上げますと、財務分析の結果、昭和四十八年から五十年までの三カ年間の財務諸表に基づきまして、資金関係、経営状況等九項目につきまして分析を行いました。これは総資本とか総事業費、売上高、自己資金、経常利益、借入金、純利益、減価償却、償還財源、こういうようなことについて分析を行いまして、これを総合的に判断した結果、実は中で十三社ほど若干問題点が見受けられるものがございました。このうち九社につきましては大手企業の系列下にありまして、これら親企業の全面的協力を受けることが見込まれておりまして、残り四社のうち一社につきましては、事業協同組合の協同事業でございまして、県の制度融資を活用する見込みでございますし、他の三社も金融機関等の信用が厚くて、それぞれ親企業あるいは金融機関の融資が見込まれており、いずれも資力信用は満足するものであるという結論を得ております。  それからいま一つ、借入金の償還計画。実は私が御答弁申し上げましたのは、埋め立てのサイドから言いますと、埋立免許権者としてやれますところはこの借入金償還計画のところだったものでございますので、私はいまの財務諸表云々のところを省略いたしまして借入金償還計画のことだけに触れて申し上げたわけでございます。それで、そちらの借入金を必要とする企業、先ほど申しました十三社でございますが、このうち八社につきましては財務分析による償還能力も一応十分だ、それで多分先生の御指摘になられた、A、B、Cと言われたのは残る五社だと思います。これにつきましてはいずれも大手企業の系列下にございまして、親企業からの融資が主体となっておりますので、経営状況によっては償還条件が緩和するのではないか。それで親企業への支払い手形の期日延期、償還期限の繰り延べ等されることも十分期待できますので、これらについても一応大丈夫である。それで苦しくなって転売とかいうようなことをするのではないかという御指摘でございましたが、これは公有水面埋立法によりまして竣工認可の日より起算いたしまして十年間は処分することが制限されておりまして、それからまた利用の用途の変更につきましても、これも埋立法の二十九条で十年間これを変えることを制限されておる、そういう事情にございますので、私どもといたしましては、この東部流通業務団地全体といたしましては当初の目的を変更することなしに実現できるものと判断した次第でございます。
  52. 森井忠良

    森井委員 港湾局長、もう子供だましはやめてくださいよ。いま親企業といわず、子企業といわず、日本経済の状況については御存じでしょう。いま、もう数字がはっきりしているように、これから設備投資をどんどんやろうかということが、あなた、まともに考えられますか。現に公定歩合の引き下げで、これは投資減税という意見もあるようですけれども、福田内閣があれだけあの手、この手でやっても、設備投資がふえていますか。私は具体的に申し上げているでしょう。同じ自動車でも、東洋工業については五千人もよそへ出張販売に出さなければならない、生産をコントロールしなければならないときに、具体的に示しておるように、関連企業が十二社も入っているじゃないですか。親企業があっぷあっぷして、すでに大阪や東京の土地でも売ろうか——現に売ったじゃないですか。そういう中で子企業へ融資ができますか。あなたのところが埋め立てに関する費用だけしか審査してないからそんなことが言えるのですよ。これはまた、現につぶれますよ。もう一つ造船の関連の企業も入っているけれども、造船が構造不況業種に指定されているのは、あなた、御存じでしょう。冗談じゃないです。親企業が融資をするから何とかなりますというふうな甘い見方じゃない、いま日本経済は。こういうふうなのはどうなりますか。住民に追及されて——これはある会社ですけれども、五千坪埋め立て要求をしている。五千坪と言えばこの辺から見ればびっくりするくらいの広さですよ。何せ海田湾というものは水深平均九メートルですから、土埋めさえすれば安い土地が入るんだ、だから五千坪要求した。そこで住民との話し合いになったとき、あなたのところ、本当に五千坪要りますか、どんな工場を建てるのですか、設計図を見せてください、こうなったわけです。実はうちのところは本当は千坪でいいのです。それはそうでしょう。資本金八百万や一千万円の企業なんですから。それが五千坪を要求しておるのです。あの東洋工業の中でも有力企業といわれているある会社ですけれども、これは島根県の三刀屋に分工場を持っていた。経営がどうにも成り立たなくて分工場がとうとう閉鎖をした。これは流通業務団地じゃなくて最初の十三企業の方ですけれどもね。ところが、いまこの埋め立てだけは一生懸命やろうとしている。これは何万坪もそこで——何万坪ですよ、万単位ですよ、広さが——請求しているという事実がある。時間の関係がありますから多くは申し上げませんけれども、私は、少なくとも埋め立てに要する費用だけを計算して、後はどうにかなるでしょうというあなたの姿勢は絶対に納得できない。環境庁にも強く私はアピールしておきます。  時間の関係で次へ入ります。  そこで、具体的な埋め立てでありますが、砂はどこから持ってくるのですか。
  53. 大久保喜市

    大久保政府委員 お答えいたします。  東部流通業務団地につきましては山土を購入することになっています。それから浄化センターにつきましては土地区画整理によっての発生土砂によって埋め立てることになっております。
  54. 森井忠良

    森井委員 これは埋め立てにどれくらい土砂が必要なんですか、量は。それから具体的に、山土と言いましてもこれはわからぬわけで、どこから砂を持ってくるのかもうちょっとはっきりしてもらいたい。
  55. 大久保喜市

    大久保政府委員 山土の方は広島県安芸郡江田島町の切串地区で採取された山土を購入して入手する、そういうことになっております。それから東部浄化センターの方につきましては向洋、大原町で計画されている土地区画整理事業から発生土を使うことになっております。土量につきましては、いまちょっと資料を出しておりますが、後ほどにさせていただきたいと思います。
  56. 信澤清

    信澤政府委員 土量の点でございますが、私どもいただいております資料によりますると、東部の流通業務団地、これは海底土砂が八十二万立米それから山土が二千百九十万立米、それから西部の下水道終末処理でございますが、これにつきましては、海底土砂が二百十万立米それから山土が四百七万立米それから山石が四十万立米、このように書類上見ております。
  57. 森井忠良

    森井委員 運輸省、どうもあなたのところを目のかたきにするようだけれども、あなたのところは審査を終えて、言うならば恋愛を通り越して結婚までいっているものだから、あばたもえくぼになっちゃって悪いところが全部いいように見えるのですな。だからやっぱりこれは恋愛かな、そういう意味で私は問題があるとは思うのだけれども、江田島町、これは島ですね。先ほど環境庁から答弁がありましたような、ここの山を崩して膨大な土を持ってくるわけです。これは自然景観をかなり損うことになると私は思うのだけれども瀬戸内海法上の配慮あるいは瀬戸内海環境保全審議会の答申、そういったものは運輸省としては配慮してありますか。
  58. 大久保喜市

    大久保政府委員 お答え申し上げます。  瀬戸内海法の関係につきましては十分配慮いたしまして、いま申しましたような認可できるというふうな判断をいたした次第でございます。瀬戸内海法との関係につきましては、実は、これはもう先生十分御存じのところでございますが、瀬戸内海環境保全審議会で答申された基本方針にのっとり特に留意すべき海域の埋め立てでございまして、留意事項のうち汚濁負荷量の小さいものに該当するということでございますが……(森井委員「景観だけ」と呼ぶ)景観でございますか、いまの土取りの場所の景観につきましては、埋立法上はそこの点のアセスメントという形はございませんが、実はそこの地域は、県の条例によりまして土取りする側がその点、県のコントロールを受けることになっております。
  59. 森井忠良

    森井委員 こういうふうになっていますね。瀬戸内海環境保全審議会からの答申では、これは去年の十二月一日付のものですが、その中にこういう項目がございます。「良好な自然景観を有する沿岸地域及び島しょにおける林地の開発及び土石の採取にかかる規制の運用の強化を図るとともに、沿岸都市においては、都市公園及び港湾の緑地の整備並びに緑地保全地区、風致地区の指定を行うものとする。」こういうことになっております。これは去年の十二月ですからその前はなかったと言われれば、例の中間答申といいますか瀬戸内海環境保全臨時措置法第十三条第一項の埋立てについての規定の運用に関する基本方針、これは環境庁の事務次官から四十九年六月十八日関係府県知事に通達したものですが、これの中にやはり「自然環境保全上の見地」というのがありまして、「埋立て、埋立地の用途及び埋立工事による自然環境(生物生態系、自然景観及び文化財を含む。)への影響の度合が軽微であること。」こうなっております。したがって、自然景観がどの程度どうなるのか。具体的にはあれだけ大量の土砂を江田島の山を崩して持ってくるわけでありますから、当然審査の対象にならなければならない、私はこう考えるわけですが、もう一遍この点についてはっきり答弁をしていただきたい。同時に、これは環境庁の見解も承っておきたい。
  60. 大久保喜市

    大久保政府委員 お答え申し上げます。  先ほどお答え申し上げましたように、流通業務団地の方の土砂につきましては購入土砂である。その購入土砂は江田島町の切串地区で採取するということになっておりますが、これは土砂の売買を業とするものが行うものでございますので、その土砂採取における採取業者は、採石法の採石計画の認可を受けるに際しまして、別途広島県及び江田島町との間において環境損壊等の防止に関する協定を結びまして、跡地の修景、緑化に努めることになっていると私どもは聞いております。  以上でございます。
  61. 信澤清

    信澤政府委員 私どもで公式にいただいておる書類の上では、山土は購入するというだけで、どこから採取する、その他の問題に触れておられません。それから西部ですか、下水道終末処理の方は先ほど港湾局長から御答弁ありましたような区画整理の結果生ずる土砂を使う。これもどこの場所ということは特定されたものは資料としていただいておらないわけでございます。  そこで私ども、従来購入土砂につきましては、主として運輸省あるいは県を通じまして、一体どこから持ってくるのか、その採取地、それから運搬経路、採取後の修景、緑化と申しますか、こういうものについて別途資料をいただいております。今回も、きょう初めて江田島から取るということを伺いましたが、これは先ほど先生お読み上げになりましたように、瀬戸内海環境保全審議会でも答申されていることでもございまするし、また通知でも、先生お読み上げのとおりの通知を出しておるわけでございます。したがいまして、私どもとしては、さらに詳細にその点についての資料を取り、それに必要な環境上の問題についての十分な指導をやる必要がある、このように考えております。  なお、私どもは、採取地の問題もありますが、運搬経路も、これは自動車を使う場合が多うございますから、その場合起こるであろう大気汚染の問題等も従来から十分審査の対象にいたしております。
  62. 森井忠良

    森井委員 時間が余りないのではしょることになりますが、運輸省にもう一つだけ確認をしておきたいのですが、単に安芸郡江田島町だけですか。たとえば、私が聞いている範囲では、矢野町の背後地に恐らく四十万坪近い宅地造成を同時にやって、それも埋めるという形になりますと——これは聞いていないと言われるかもしれませんが、もうすでに現地ではそういううわさが出ているわけです。恐らく用地買収その他に当たっているのではないかと思うのですが、とにかく背後地を削る。もういまですらあの辺は乱開発で、それこそ山のふもとから中腹ぐらいまで緑がないという状況でありますが、とにかく背後地から土を取るという話がある。それから、私は呉市に住んでいますけれども、呉市の周辺の宅地開発とあわせてその土も持っていこうかと、要するに、とにかく幾らでももうけの対象になるような方法を考えられていて、そこにいわゆる景観に対する配慮が全くなされない計画だというふうに聞いていますが、あなたがおっしゃったように、流通センターについては安芸郡江田島町だけという審査で確認をしているのか。もう時間がありませんので、その点だけ一言お願いします。
  63. 大久保喜市

    大久保政府委員 私ども審査の時点では、江田島町の先ほど申しました地区だけでございます。  なお、もし供給方法の変更ということになりますと、これは免許条件で、免許権者の許可を受けることになっております。それで、その際に、先ほど申しましたように、免許権者の方ではやはりいまの条例にちゃんと合致するかどうかという審査は十分するものと理解しております。
  64. 森井忠良

    森井委員 次に、もう時間がわずかになりましたけれども、アセスメントの問題についてお答えを願いたいと思います。  先ほど港湾局長からもありましたように、問題がありましたので再度聞きましたというようなことをおっしゃいましたが、住民指摘をしておりますのは改ざんの問題です。つまり、東海大学から出たときと、それから現に県が審査をしたときのアセスメントというのは違うのではないか。もう時間の関係がありますから多くは申し上げませんけれども、現にそういう指摘があって、いまこの問題については、改ざんというのは言葉が悪いのですが、要するに県へ出した方が本物であって、それまでは原稿だから関係ないんだというような言い方をしていますが、住民の疑いは依然として消えてはおりません。このことだけは明確に申し上げておきます。これは時間の関係答弁は要りません。  そこで、たとえばいま瀬戸内海で一番大きな問題は赤潮です。だからこの特別委員会でもわざわざ南西海区水産研究所まで赤潮の研究に行っていただいたということなのです。それで、アセスメントの中で一体赤潮についての審査がなされているのか、特に窒素、燐についてどのような扱いになっているのか、その点についてお伺いしたいのと、それから一番地元住民が心配しているのはやはり災害です。災害についてはほとんど触れられていないし、触れられていても、きわめて抽象的で信用できない。もう明治以来何百人という人が死んでいる、たびたび災害が起きているという具体的な指摘があるわけですけれども、それにこたえることにならない。現地の人は一升ますには二升入らないということを言うんですよ。あそこはやはり付近の住民から見れば洪水時の潮回しの役を果たしておる。そういうことで、洪水があれば当然あの湾で受けて、しばらく災害を防げるという形でありますが、何せ今度は湾が半分になるのですから、いきなり鉄砲水等が海に流れた場合に、当然付随する高潮その他の災害が起きてくるのじゃないかという心配がございます。この点についても、審査の結果高潮の心配はないと運輸省が明確にお認めになったのか。ないと言われるのでしたら現地皆さん意見が違うわけでありますから、本当に起きたときにはだれが責任を持つのか。この点はあなたの首もかけて御答弁願っておきたいと思うのです。
  65. 大久保喜市

    大久保政府委員 お答え申し上げます。  まず最初に窒素、燐の点でございますが、窒素、燐についての水質環境基準は現在のところ設定されていないことでもございますので、流通業務団地の埋め立てに関しましては環境影響評価は行っておりませんが、実は浄化センター用地の埋め立てについてはある程度行っております。それでこの浄化センターの方の窒素、燐のことについて申し上げますと、一部供用開始する昭和五十七年度には、窒素及び燐の約四〇%を除却することになるものと見込んでおります。さらに完成時の昭和六十五年度には、窒素及び燐の約七〇%を除却するということを見込んでおります。  それから、次の災害の件でございます。洪水とか高潮とか、そういうような災害についての御懸念と思いますが、広島湾の高潮対策につきましては、既往の最高潮位を対象といたしまして高潮対策事業はほぼ完了しております。海田湾の一部が埋め立てられましても、計算結果を検討いたしましたところでは、洪水、高潮による背後地への影響はほとんどないものと考えられます。なお、現在ほぼ完了していると申し上げましたのは、実は海田湾の奥の矢野町の約四百メートルにつきまして、利用者との調整がおくれておる等のため現在完成までは至っておりませんで、天端がまだ四・五メートルのところがございますが、これは計画といたしましては五・五メートルまで上げるという計画になっております。それの処置のつき次第それを進める予定をしております。
  66. 森井忠良

    森井委員 三次処理が前提になって、しかも昭和六十五年に窒素、燐が七〇%カットというのは運輸省の御説でしょう。まだ現状の流域下水道、現にやられておるところから見ればせいぜい一〇%か二〇%のカットが精いっぱい。だからとてもじゃないけれども夢物語で、もうあなたの方は審査が済んでいるからこれ以上言いませんけれども、これはいまのところむちゃくちゃな議論だということを指摘しておきたいと思うのです。  それから、時間がありませんから環境庁にお伺いするわけでありますが、アセスメントの有効期間とでも申しますか、これはもうアセスしてから三年以上たっているわけですね。考えてみますとその間に瀬戸内海環境保全臨時措置法ができまして、たとえばCODは二分の一カットという、ある意味で歴史的な行為が行われてきているわけですね。これは一つの例ですけれども瀬戸内海をめぐる環境というのは臨時措置法ができてからずいぶん変わってきている。ですから三年も四年も前のアセスメントをいま使うというのがどうか。経済ももちろん低成長という形になっていますし、いろいろな意味であの占いアセスメントをいま使うということは問題である。したがって、再度環境庁としてアセスメントに抜本的なメスを入れてほしい。CODをカットした後どうなるのか。それから窒素、燐についても今度あなた方は積極的に、特に燐の場合は技術的にかなり進んでいますからカットするという方針があるわけですけれども、そういった点からすると、なるほど古い、疑われているこのアセスメントというものをそのままするよりも、審査に当たっては、私はもう一度——まあ使えるものもありましょうが、古くなったものもずいぶんあるわけでありますから、その意味でやはりアセスメントの更新というものを考えなければ、何年も前にやったのを、審査が長引いて古いアセスメントをそのまま使うというのは時代にマッチしない、そういうふうに思うが、その点はいかがかということをお伺いしたい。  それから、時間が参りましたから、最後にもう一問続けてやります。  これの扱いですけれども住民の話し合いというのは、きわめて形式的でほとんどなされておりません。それから、いわゆる公有水面埋立法の改正によりましても、なるほど縦覧期間を置いてある程度住民の声を聞く形にはなっていますけれども、これは要するに、縦覧をさせたままで、膨大な書類を、あるから勝手に見なさいということで、説明してくれと言えば、説明員も一人もおりませんし、説明するようになっていないということ。それから今度は、意見書を出すと、意見書はなるほど県は受け付けましたけれども、そのままトンネルで上がってきて、依然としてナシのつぶて、それがどのように措置されたのかというのも、全く住民とぶつりと切れたままです。私はこの点は後継ぎ法その他でも十分考える必要があると思うのでありますが、住民の声を聞くにはどうするかという問題が残ると思います。したがって、この点についての環境庁のお考えを、これは後継ぎ法をこれから具体的に国会で審議をするわけでありますから、その意味で明確にしておいていただきたい。  最後に、申しわけありません、もう一点だけ。  この審査の扱いですが、これは長官から御答弁をいただきたいのですが、去年、例の基本計画瀬戸内海環境保全審議会から答申になりました。そして、後継ぎ法の問題については、もうすでに本委員会で具体的に何回か一般質問その他で取り上げられてまいりました。そして、環境庁の日程では、いよいよ通常国会には法案をお出しになって、マスタープランも含めて審議をするというわけであります。したがって、私は、もうこの時期になりますと、この件につきましては、衆参両院で現地を見ているという事実、それから、いま申し上げました、具体的にこの埋め立て審査する場合に必要なものは次の後継ぎ法で、ほとんど国会の意思が組み込まれる形の審議が行われるという状況にございますので、やはり私自身もまた、後継ぎ法が出されれば、できればその審議に参加をしたいと思っていますけれども、そういう意味で、私は、軽々に審査を終えられるのではなくて、事によりますとこれは内閣の改造もありますけれども大臣関係なく、やはりこれは国会の審議にあわせて、もっと環境庁としては後継ぎ法との関連という意味意見を聞かれるべきだと思う。  その点を最後にお伺いをして、私の質問を終わります。
  67. 信澤清

    信澤政府委員 前段の二つのお尋ねに、私から先にお答え申し上げます。  環境影響評価をもう一回やり直す必要があるかどうか、これはただいま審査をいたしておりまするし、補完のための資料は一応運輸省に御要求を申し上げ、いただいております。  なお、先ほどお話のありました山土の問題等資料としていただきたいものがございますから、そういう要求した資料の中で、改めて県なり何なりに御調査をいただくという問題が出てこようかと思います。いずれにいたしましても、いろいろな方法によって十分な資料を補完いたしまして私ども審査を終えたいというふうに考えております。  それから、公示縦覧の問題につきましては、公有水面埋立法を四十八年に改正してあのような規制になったわけでございますが、お話のように、住民に十分徹底しない、こういう声も間々私どもも聞いております。したがいまして、いま先生瀬戸内海法の後継法とおっしゃられましたが、私どもとしては、仮称でございますが、環境影響評価法案というものを次の通常国会にぜひ御審議いただくようにいたしたいというふうに考えておりますので、その中では、住民意見聴取についての十分な配慮をいたしたいというふうに考えております。
  68. 石原慎太郎

    石原国務大臣 環境庁といたしましては、個別の案件ごとに、すでにあります特別措置法の基本方針にのっとって審査をしているわけでございますが、これからできます後継ぎ法も、やはりこの特別臨時措置法の基本方針というものの延長の上にあるものと思いますし、そういう意味で、後継ぎ法がいつの時点で登場してき、どのような時点で採択されますかわかりませんが、ともかくそれまで、臨時措置法の基本方針にのっとって審査をしていくつもりでございます。ただ、その間、いわゆる駆け込みという形での許可などは一切させるつもりはございません。
  69. 島本虎三

    島本委員長 森井忠良君の質問は終わりました。     —————————————
  70. 島本虎三

    島本委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  公害対策並びに環境保全に関する件調査のため、本日、参考人として森林開発公団理事大塚武行君から意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  71. 島本虎三

    島本委員長 御異議なしと認めます。よってさよう決しました。     —————————————
  72. 島本虎三

    島本委員長 質疑を続行いたします。鈴木強君。
  73. 鈴木強

    鈴木(強)委員 お許しをいただきましたので、きょう、第一に、問題になっております南アのスーパー林道問題第二に、山梨県の甲府市に起きました大協石油の油槽所から油の漏れた事件、第三に、公害排除の基準に反する欠陥自動車が出回っておるようでありますが、この問題に対して、三つお尋ねしたいと思います。  それで、このお尋ねの前に、石原長官に、あなたの政治姿勢について若干私はお尋ねをしたいと思います。  昨年長官に御就任以来、やがて一年になります。私も、ともに参議院で席を持った者の一人として、あなたの活躍を心から願っておりました。ところが、どうもあなたのこの一年間のおやりになった業績を振り返ってみますと、行くところ、なすところ、必ず問題を惹起するというような事件がございまして、私も同僚議員として、何とかならぬものかなあという実は気持ちをしておりました。  それで、きのう、実はあなたの母校の一橋大名誉教授の都留重人先生外十六人の学者グループが長官に反省を求める声明というのを発表しております。内容を拝見しますと、公害対策基本法の経済との調和の条項削除を魔女狩り的なものだと述べたことについて大変問題になったようでございます。声明は、「石原長官発言には看過しがたい歴史的事実の無視、あるいは誤認がその基盤にあると思われる。このような条項の復活を主唱することは、まさに国民の福祉を軽視した態度として容認できない」、こういうふうな内容になっているようでございます。  それから、最近、これの前提になるようなことを拾ってみますと、たとえば私どもが新聞その他報道機関を通じて承知していますところでは、住民団体との団体交渉といいますか、折衝に対して長官の誠意がどうも認められない、いまの経済との調和条項の問題、あるいは環境アセスメント法案をこの国会に提案することができなかった、勤務時間中のテニスの問題だとかいろいろございまして、あげくの果ては、あなたの環境庁の記者クラブからもボイコットされるというようなところまでいっているのであります。  大臣というのは、確かに私もむずかしい仕事だと思います。ですけれども、やはり大臣である限りは、いろんな意見、いろんな層から御意見があると思います。そういう意見を十分聞いた上で慎重に御発言をなさるということが、やはり私は大臣として、いろいろ心の中にはありましても——でなければ大臣が務まらないと思うのですよ。そういう点あなたは、どうも大ざっぱに物を考えて、ばんばんと言われる。そういうところに問題を醸したのだと思いますけれども、こういう事態になって、総評の九日の幹事会でもあなたの罷免要求特別決議というのが議決されているようでございますね。これは総評がどういうふうなつもりでやったのか、恐らくいま申し上げた都留先生と同じような気持ちではないかと私は思いますけれども、内閣改造があるので、御留任になるのか、おやめになるのかそれはわかりませんが、しかしこれからもあなたはまだ若い政治家として伸びていただくわけですから、われわれとしては、正すべきところは正して、国民から本当に信頼される大臣としてやってほしい、こう思いますから、大変失礼な点もありますけれども、私はあえて友人の一人あるいは同じ議席を持った一人として失礼なことを申し上げているわけです。これも、私はあなたを思えばこそでございます。そういう意味で、これらに対する明確な御所見を率直に承りたい。
  74. 石原慎太郎

    石原国務大臣 いろいろ御忠告を賜りまして大変ありがたいと思いますが、私、環境行政を行います際にいろいろな立場方々からの意見を聴取することは決してやぶさかでございません。その限りで私は、時間の許す限りすべての陳情方々に会ってまいりました。他の歴代の長官がどうだったか存じませんけれども、私はできる限り陳情の会見もこなしてまいりました。そういう意味住民運動の方々あるいは政治的な立場の違う方々意見もすべてしんしゃくして行政をするつもりでございますが、調和条項についての学者の方々の御意見はちょっとある誤解があるようでございます。  私は、調和条項を復活するということは言っておりません。ただ、現時点で環境行政をしておりますと、生活環境に係る公害の問題について、先ほども森井委員にもお答えいたしましたが、やはり今日の環境問題は経済的、社会的側面というものを無視することができないという意味で非常に二律背反が起こっているわけでございます。そういう意味で、四十五年のあの修正のときにあの条項を削ったままにしてしまったということでの新しい誤解がいろいろあるということを申し上げたわけでございまして、あのとき野党は結局、環境問題絶対優先原則というものを放棄したということで反対をされたようですが、しかし反対をされたということは、つまり調和条項を削っても、あそこに、OECDが言っているように、経済との相互主義というものが暗黙に残ったと私は解釈しておりますし、今日ほど要するに環境問題対経済というものを相互に考えていく、そういう状況の非常に濃いときはないんじゃないかという気がいたします。そういう意味で申しましたので、単に四十五年に削ったものを復活するということを私は言っているわけでございません。  それからアセスメントについて申されましたが、これは御存じのようにいままでの行政原理になかった新しい法律でございまして、案文ができたのはことし正月でございます。そういう意味で、関係省庁が非常に多くて、私も仕事を受け継いだときに、これだけ大事な法案が、正月に案文ができて、果たして今度の通常国会を通ることは物理的にどうだろうかと思いましたけれども、果たせるかないろいろ意見の食い違いがございまして、政治レベルでこれを決裁するまで持ち上がってこなかったわけで、次の国会には何としてでもこれを上程すべく、私たち、鋭意努力をしているわけでございます。
  75. 鈴木強

    鈴木(強)委員 団体交渉といいますか、住民意見を聞くことなり、あるいは調和条項の問題についての弁明的なお話がございました。もし大臣の本当のお考え誤解されているとするならば、いろいろな機関を通じて、場所を通じて、その誤解を解くようにしてもらわなくちゃいけないと思うのです。問題は、大臣になったからには、いろいろな層からの意見があると思います。ですから、そういうものをしっかりつかまえて、その上で慎重な配慮の上に物をしゃべっていただかないといけないと思うのです。あなたが就任以来、一連のいろいろな問題を起こしますけれども、特に国民が心配しているのは、歴代の長官、それぞれ環境保全そして国土の開発——私ともも何が何ても反対と言っているわけではないのです。問題は、開発保全というものをどうして調和していくか。これを、今日の日本における最大の英知を集めてやるならば、国民の理解と納得が得られるのではないか。あくまでもこれは皆さん理解と納得を得なければなりませんので、時間をかけても、そういう慎重な態度が欲しいわけです。ですから、悪いところは率直に認めて、そしてその非を反省して前進するという態度がなければ世の中は進歩しないのではないでしょうか。これは余りくどくど言うのは失礼ですから、ぜひもう少し——だれか見ても、石原さんになって環境行政というものが後退したのではないだろうか、あるいは後退しているのではないだろうか、そういう心配を持っていることは間違いないのです。心配を持つようなことをやったことは、やはりあなたの発言なり行動というものが国民に理解されて、もしあなたが正しいとすれば——しかし大多数の人たちが、われわれが回ってみましても、そういうふうに言うわけです。私は、そこいらはもう少し深刻に反省してもらいたい。私がせっかく失礼して聞いたのだから、大事なところをぼかさないで、抽象的でなくて、もう一遍ひとつ答えてもらいたい。
  76. 石原慎太郎

    石原国務大臣 もちろん私に非がございましたら、それを反省して正すことにやぶさかでございません。ただ私の言動につきましても、政治的な立場をそれぞれ異にされる方々、いろいろな意見がございまして、私の意見を非常に正論と申しましょうか、むしろそれをとらえて一つの国民的な討論が行われていいのではないかとおっしゃってくださる方もございます。私は、この問題はやはり避けて通るべきではないと思いますし、この機会にその調和条項を復活する云々ということではなしに、やはり正面から今日の環境行政というものが要するに質的な転換をして、社会的経済的側面を無視できない、そういう選択に迫られていることは、これはやはりどの立場にある方々一つの状況の現実としてとらえるべきだと私は思うわけです。言葉が足りなかったり、表現が妥当でなかったりして誤解を受けたことは大変私申しわけないと思いますが、しかし私の意のあるところを御理解願えると思いますし、今日の環境問題というものが、これは御承知のように、健康項目というものは、これが優先されることは論をまちませんが、しかし、生活環境に係る公害問題、環境問題になってまいりますと、先ほども森井委員から海田湾お話がございましたが、同じ周辺の住民方々でも百八十度非常に意見が違うといったような状況も間々あるわけでございまして、私は、やはりそういう問題について冷静な選択をみんなで考え合ってしていくようにしたいと思いますし、環境庁もそういう行政をしていきたいと思っておるわけでございます。
  77. 島本虎三

    島本委員長 鈴木君を指名する前に長官に、答弁一つごとにまた新たな誤解を生ずることのないように、答弁は語句を十分考えてしてもらいたいということを委員長からもお願いしておきたいと思います。  鈴木強君。
  78. 鈴木強

    鈴木(強)委員 では、南ア問題に移ります。  南ア問題は長いこと本委員会でも問題になっている事件ですが、最初に出原自然保護局長にお尋ねします。あなたは本年九月十七日に南アのスーパー林道の視察をなされておりますが、就任御早々いち早く現地に行かれたその目的は何であったでございましょうか。また視察をされた結果、いま感想はどういうふうにお持ちになっておりますか。
  79. 出原孝夫

    ○出原政府委員 私は八月二十三日に自然保護局長を拝命したのでございますが、九月の中旬に、先生指摘のようなことで、私が南アのスーパー林道の現地を見せていただきました。その趣旨は、私、環境庁の行政は初めてでございますので、できるだけ現場に即した私としての意見の整理をいたしたいということで、ちょうど私の就任直後に公環特のこちらの先生方が北海道の大雪山あるいは有珠山等を御視察になりましたので、それにも私は随行させていただきました。それからそのほかに問題をいろいろ聞いておりますので、その問題点一つとして南アのスーパー林道も現場を視察させていただいたわけでございます。したがいまして私の主たる目的は、問題の所在についての勉強ということでございました。そういう意味におきまして私どもは、従来いろいろな意味において論議をされておるところでございますので、私自身が就任早々に持ちました感想なり意見を申し上げるのは適当ではないと存じますが、いろいろな論議が出てくるのはやはりそれだけの根拠があったものであるということで、私も南ア全体の状況をよく勉強させていただいたと思っております。
  80. 鈴木強

    鈴木(強)委員 意見の整理をしたい、そのための勉強だ、勉強して意見の整理ができましたか。どういう整理をしましたか。
  81. 出原孝夫

    ○出原政府委員 私が参りました南アルプスの現地の状況は、先生も御案内のように、私が参りましたときも非常に天候がよろしかったので、植生の緑その他が非常に美しいところでございました。こういったところは私どもとしても、私どもの日本の、国民の財産として非常に大切なものであるという印象を受けたわけでございます。一方におきまして、林道につきましての歴史的な経過もございます。したがいまして、これらの問題につきまして、単に行政当局が判断するということだけではなしに、自然環境保全審議会の先生方の御意見も十分承った上で最終的な判断をしたいという、従来の私どもの官庁として持っております方針というものがそれ相応の理由を持っておるということにつきまして、私もよく承知をいたしたということでございます。
  82. 鈴木強

    鈴木(強)委員 あなたは現地へ行かれまして御視察をなさったわけですが、いまのお話ですと、国民の財産として大切にしなければならぬということと、本論の林道については行政当局でなくて審議会に意見を聞いた方がよろしい、こういうことのようですが、そこで、現地の方で賛成反対陳情を受けられましたね。これに対してあなたはノーコメント。それから新聞記者団からも、いろいろな質問をしたいというので会見の申し入れがあったようですが、そこでも全くノーコメントで帰ってこられた。ただ言ったのは、帰って長官報告をし、環境保全審議会自然公園部会と相談したい、こういうふうに言って帰られたわけです。ですから、あなたがせっかくいらしても何のために来たのか、どういう考え方を持って来たのか、そしてまた帰られて長官にどういう御報告をなさったのか、それから審議会に対してどういう御相談をなさったのか、これは当該の県民はもちろんのこと、広くこの問題にかかわる一連の関係者はつんぼさじきに置かれまして、環境行政というのはこんなものか、もっとオープンに感じたことをすばっと言われて、そして国民の、県民の、関係者の問題があるならば、それはいろいろな意見を出していただくようにして——やはり自分の考え方を述べないで帰ってくるということはどうも近代的な政治の中でおやりになる視察としては余りにも消極的であるし、納得できない行動ではなかったかと私は思いますよ。そういうところにやはり環境行政の批判というのが出てくるわけです。なぜ現地で言えなかったのですか。現地で言えなくて、ここでいま私が聞いたら一応御感想的なものを述べられましたけれども、どうして現地でできなかったのですか。
  83. 出原孝夫

    ○出原政府委員 先ほどもお答えいたしましたように、私といたしましては就任早々現地についての勉強に参ったわけでございます。それから、そのときの私が持ちました感想を述べるには問題といたしまして余りにも大きい問題でもございますし、それからまた自然環境保全審議会の自然公園部会の先生方に御審議を願っておる最中でございます。しかもいろいろな意見の出得る可能性のある問題でございますので、行政当局の私が、御意見を聞いておる最中に意見がましいことを申し上げるということは適当な時期でないと判断したからでございます。
  84. 鈴木強

    鈴木(強)委員 それはいわゆる官僚の発想というものですね。いまここであなたが私に述べられた、非常に美しい、大事な宝庫である、財産として大切にしなければならない、それからこの林道の問題については行政サイドだけでなくて審議会に諮ってやる、こんなことは環境庁の終始一貫した態度なんだから、そう感じたらそれをなぜ言えなかったのですか。それがどうして一官僚として言えないという——もしいままでの方針と反することを言うならばこれはあなた問題があるかもしれません。しかしいまお述べになったことは環境庁がとってこられた基本的な方向じゃないですか、審議会にかけてやるということは。美しい自然を保護しよう、これはあたりまえのことですよ。そのあたりまえのことがどうして言えなかったかということを私は聞いている。そこに国民に非常に誤解を与える、彼はひそかに林道再開を心に秘めて来たんじゃないだろうか、そういう憶測が流れてくるんだ、なぜもっと端的に言えなかったのか、そこを私は聞いているのですよ。まだこれからあなたも官僚として日本の国政の中でやっていただく方でしょう。そんな細々したようなことじゃいかぬと思いますね。どういうわけですか、もう一遍。
  85. 出原孝夫

    ○出原政府委員 私どもが視察をいたしました現場が非常に美しいところであるという印象につきましては、私も申し上げたつもりでございます。それから先どういうような意見かということにつきましては、今後のスーパー林道につきましての取り扱いについて自然環境保全審議会の御意向を承っている最中において、それについての予断を与えるような発言は私としては差し控えたいということで申し上げたものでございます。
  86. 鈴木強

    鈴木(強)委員 だからあなたが現地を見られて、いままでこういう状態で進んできたものをどうしたらいいか、要するに意見の整理をしようとしに行ったわけでしょう。あなたは意見の整理ができなかったわけでしょう。だから整理をしに行ったのだから、どういう整理をしたかということを聞いているわけですね。じゃ、長官報告をしたのは、いま私に最初に述べたようなそういうことだけですか。長官報告すると言って、どういう報告をしましたか。これは国民の税金で出張していくんだから、報告するのはあたりまえのことなんですよ。命を受けて行きまして、どういうことでしたということを長官報告するのはあたりまえのことなんです。その報告をした文書がありますか。それをひとつ聞かしてください。
  87. 出原孝夫

    ○出原政府委員 文書によって御報告を申し上げたものではございません。私がいま申し上げましたようなことを含めて長官には申し上げたものでございますし、なお長官に申し上げましたことにつきましても、自然環境保全審議会の先生方にこれから御審議を願うものがまだあるわけでございますので、私といたしましては、自然環境保全審議会の先生方にいろいろ御意見を承る、要するにそれだけいろいろの問題を含んだものであるということを申し上げたわけでございます。
  88. 鈴木強

    鈴木(強)委員 それから、自然公園部会の皆さんと相談するということについては、どなたとやりましたですか。
  89. 出原孝夫

    ○出原政府委員 その後何度か会長の林先生にお目にかかっております。自然環境保全審議会にお預けをしておる問題でもございますので、その点についての今後の取り扱い等について林先生の御意向等も承知をしたいということで、一般的な御報告を兼ねてお目にかかったことが何度かあります。
  90. 鈴木強

    鈴木(強)委員 では石原長官、あなたは衆議院の決算委員会でわが党の原茂委員質問に答えまして、御就任後でございますが、多分雪解けの五月を待って現地を私が必ず見に参ります。その上でこれに対する決着をつけたいというような御決意を述べられておりますが、雪解けが過ぎて、もう暮れになりますね。あなたは行っておられないようですけれども、どうして行けなかったのですか。やはり行けないならこういう神聖な国会の場で言っちゃいけないですよ。これはうそをついたことになる。石原長官はうそをついたとみんな言っておりますよ。そういうことがやはり、いまの話じゃないですけれども行政に対する批判の種をまくわけでして、行けないならば行けないと言っておけばいいし、行くならば、国政多端ですから、機会を見て行くとか——必ず現地を見ると議事録に書いてありますね。そこまで言っておって、どうして行けなかったのですか。それともう一つ、いまの出原局長からどういうふうな御報告を受けて、そしてあなたはこの問題についてどういうように対処しようとしておられるのですか。その点を伺いたい。
  91. 石原慎太郎

    石原国務大臣 前後いたしますが、局長から受けました報告は、局長がいまお話ししたとおりのものでございます。その限りでございます。  それから視察でございますけれども、これは実際に私、行くつもりでございまして、幾つか視察の案件がございまして、順次こなしてきたつもりですが、雪が解けてすぐということでしたけれども、むしろ夏に入っての方がよりいいということで夏に行こうと思いまして、そしたらやはりシーズンでいろいろ宿泊等の問題があるようで、シーズンが明けての方が好ましいということで、実は九月の中旬にはっきり予定を組んでおりました。そうしましたら、ちょっと予想外の問題が起きまして、タンカー規制の問題で急遽アメリカとアラビア湾沿岸諸国を回ることになりましたので、これが残念ながらついえたわけでございまして、いままだ雪が来ているのか来ていないのか詳しく存じませんが、在任中に何とか行きたいと思っておりますけれども、どうも国会の都合でなかなかそうもいかないようで、結果としてことしあるいは在任中に現地を視察できなかったことになると大変申しわけないと思いますが、私並びに環境庁としましては再三具体的に予定も組みまして、それがいろいろな事情でそのたびにつぶれてきたということはひとつ御理解いただきたいと思います。
  92. 鈴木強

    鈴木(強)委員 いまそういうふうに言われましても、結果的にこれから御任期中にあしたでもあさってでも行ってもらえればいいのですが、そういうわけにいきませんでしょう。ですから、やはりその点の配慮は十分にしていただかないと困ると思いますが、いま長官の言われた中で、五月は時期が悪いとおっしゃいましたけれども、むしろ雪解けの直後、いままで既設の五十何キロの道路なりあるいは北沢峠が雪解けの直後にどういうふうな状態になっているか、そこを見ていただいた方がむしろいいのですよ。やはり四年も放置されていますから、かなり崩壊の場所も出ておりますし、そういう姿を見ていただいた方が効果があったと思いますので、時期の選定をちょっと誤ったのじゃないか、私ども考えからしますとそういうふうに思います。いずれにしても、あなたが行けなかったことは事実でありまして、非常に私も残念に思っておりますが、何とか行きたいということですから、いつ行くかとかそこまで私は申し上げませんけれども、約束はひとつ果たしていただいた方がよかろうというアドバイスだけはしておきます。  それで委員長、何か本会議関係で十二時半までというので、私の大事な質問の中途で残念でございますけれども、これから森林公団の方に質問を進めるわけですけれども、そうしますとやはり十分くらいかかると思いますので、ここで一応質問を中断した方がよろしゅうございますか。あと十分間、いいですか。
  93. 島本虎三

    島本委員長 十分以内でおさまるなら……。
  94. 鈴木強

    鈴木(強)委員 まだ続きますけれども、森林公団の方だけは十分くらいで……。
  95. 島本虎三

    島本委員長 では十分におさめて、許可いたします。
  96. 鈴木強

    鈴木(強)委員 忙しいところを森林公団の方からおいでいただいておりますので、公務の時間の関係もありますから、お許しをいただきましたから若干質疑をさせていただきます。  森林公団が資源開発の見地からこの大型スーパー林道の建設をお考えになったのですが、北沢峠を除く大部分が完成をしております。この林道工事に使いました金額は幾らになっておりましょうか。
  97. 大塚武行

    ○大塚参考人 お答えいたします。  この林道は昭和四十二年から着工して今日に至っておるわけでございますが、北沢峠以外で現在までに施工しました経費は三十五億一千万程度になっております。延長にしまして五十五キロでございます。
  98. 鈴木強

    鈴木(強)委員 それから北沢峠部分は、いま問題になっているところでございますが、一応予算的にはどのくらいのものを見込んで施工しようとしておられますか。
  99. 大塚武行

    ○大塚参考人 峠部分は国立公園の第一種特別地域内が約八百メートル、それからそれに対する取りつけ関係が約八百で、合計千六百メートルでございますが、ただいまのところ約三億一千万程度を予定しておる次第でございます。
  100. 鈴木強

    鈴木(強)委員 それから工事が中止されましてすでに四年になります。この間、積雪高冷地ですから、ほとんどこれは閉鎖しておりまして便っておりませんが、しかし部分的に土砂の崩壊、決壊というものが出ておると思いますが、大体どのくらいの修理のための施工費がかかりましたでしょうか。
  101. 大塚武行

    ○大塚参考人 この五十五キロの現在開設している区間につきましては、いわゆるのり面、道路面あるいは排水設備の補修、それから若干の崩土の除去、そういったことを実施いたしておりまして、その経費は四十九年六月以降今日までで五千五百万円使用しております。延長が五十五キロ、四年間ですから、年間にしますと大体メーター二百五十円程度の経費を使用しております。
  102. 鈴木強

    鈴木(強)委員 それから山梨県の方で最初に建設いたしました野呂川林道がございますね。この部分の補修費というのはどういう分担になっておるのでございましょうか。聞くところによりますと三分の二が国庫補助というふうに聞いておりますが、管理がいま森林公団の方でおやりになっているとすると、そういう補修費——あそこは赤沢が非常に崩壊がひどいのでございますけれども、そのために要した費用と、それから、それは県からも負担がされていますか。どのくらい県から負担していますか。
  103. 大塚武行

    ○大塚参考人 先生も御案内かと存じますけれども、例の赤沢の個所につきましては、非常に昔からの崩壊地でございまして、発生時点は現在不明でございます。非常に大昔からのものらしゅうございますが、それでたまたまあそこには林道を野呂川林道として通したわけでございまして、山腹工事の大部分は東京営林局の直轄治山事業で実施いたしております。それで林道沿いの部分につきましては、直接林道に関連のある部分だけにつきましては、安全施設等の実施につきまして九千七百万円程度使用いたしております。(鈴木(強)委員「県は……」と呼ぶ)野呂川林道全体につきましては、私どもの方で部分的な改修事業をやっております。既設林道でございますので。その改修部分につきましては私どもの方で仕事をしておりますが、その他の改修、公団の方で手をつけないところ、ここは県の方で実施いたしております。県の方の使用経費につきましては私どもちょっと存じ上げておりません。
  104. 鈴木強

    鈴木(強)委員 それはちょっとおかしいですよ。少なくともこの野呂川林道というのは大型スーパー林道の中に包含されて進んでいるじゃないですか。県の方がやっているから知りませんという、そんな答弁ないでしょう。一体ここに旧野呂川林道部分の補修費を幾ら使ったか、そしてその負担は公団が全部やっているのか、それとも県が幾らか負担しているのかという質問だから、質問に答えてください。
  105. 大塚武行

    ○大塚参考人 県の方では二億円程度を使用しておると聞いております。先ほど申し上げましたけれども、あの野呂川林道全体で二十四キロでございますが、そのうち公団で部分部分の改修をやっております。その部分部分の改修したところにつきましては維持修繕等を公団で実施する、そういう改修をしない部分につきましては県が実施するという形をとっております。
  106. 鈴木強

    鈴木(強)委員 それから全長五十六キロのうち一・六キロがまだできていないわけですけれども、その中で土砂崩壊の個所というのはどのくらいございますか。
  107. 大塚武行

    ○大塚参考人 やはり山岳地帯の道路開設でございましたので、切り取り面等につきましては、小さい崩土は開設当初は発生するのが林道のすべての姿でございます。そういうものは別としまして、いわゆる従来問題になっておりました崩壊地の大きいものと申しますと、山梨県側では赤沢と無名沢でございます。それから長野県側では戸台の地すべり地帯と薮沢といったものが大きな崩壊地として問題にされておるところでございますが、赤沢は先ほど申し上げましたように、発生年度が不明の非常に古い自然崩壊地でございまして、現在、東京営林局が直轄治山事業として実施をしております。もちろん林道沿いの部分だけは公団で安全施設等をやっておるのでございます。  それから無名沢は四十七年の集中豪雨で山腹が崩壊したものでございまして、四十八年から復旧工事を実施しまして、五十一年度をもちまして修景工事を完了いたしております。  それから長野県側の戸台のいわゆる地すべり地でございますが、これもやはり四十七年に約百メーターくらいの区間にわたりまして地すべりが発生いたしまして、これは専門家の方々調査をお願いしたのでございますが、これは道路開設というよりも本来的に発生する地すべり地帯であったということが判明いたしまして、自後復旧工事を実施いたしまして、五十一年度までで大体排水工事それからくい打ち工等を終了いたしまして、その後毎年すべりの状況を計測しておるのでございますが、すべりは完全に停止をいたしております。  それから薮沢は、やはりこれも林道開設前に相当古い崩壊地でございます。むしろこれはスーパー林道の開設によりまして長野営林局が治山工事を現在実施をいたしております。現在、堰堤が三基、山腹工事一カ所、そういったものが完了している模様でございます。もちろんここにつきましても、林道沿いの部分につきましては公団で修景緑化事業を実施いたしておるという状況でございます。
  108. 鈴木強

    鈴木(強)委員 じゃ、最後にもう一つ。  完成をしました林道の部分はいま利用はほとんどされていないようでございますね。どういうふうになっていますか。どことどこの間がどういうふうになっていますか、ちょっとそこだけ御説明いただきたい。
  109. 大塚武行

    ○大塚参考人 この林道は全長五十六・六キロでございますが、そのうち三十キロは既設の林道の改修事業をやっておるわけでございます。完全な新設というのは二十六・六キロでございます。  それで山梨県側につきましては野呂川林道、先ほどお話しございましたあの野呂川林道でございまして、二十四キロメートルでございます。広河原まででございます。それから長野県側につきましては黒河内林道というのがございまして、戸台まで通じておりますが、これは六キロメートルでございます。合わせてこの三十キロにつきましては着工前から供用されておりましたので、現在も一般車両あるいは定期バス等が通っておるという状況でございます。  それから、新設区間は山梨県側では広河原から北沢峠までの区間でございますが、その下の約十キロ弱でございます。それから長野県側は戸台から奥の方でございます。約十六・六キロございます。この間につきましては自然保護の関連工事あるいは安全施設工事等の施行個所もございます。そういった関係で、現在のところは、交通の安全を期するという意味で、一般車両の通行については制限をいたしておるという状況でございます。
  110. 鈴木強

    鈴木(強)委員 じゃ、午後にします。
  111. 島本虎三

    島本委員長 この際、午後一時三十分より再開することとして、暫時休憩いたします。     午後零時四十四分休憩      ————◇—————     午後一時三十三分開議
  112. 島本虎三

    島本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。鈴木強君。
  113. 鈴木強

    鈴木(強)委員 午前中の質疑で、一・六キロメートルを除いた完成している部分の現状についてもお伺いいたしました。それで、これから今後の扱いを含めまして、基本的な問題についてお尋ねするわけですが、まず第一に、ちょっと経過について理解しがたいところがありますから、まずその点をただしておきたいと思います。  御承知のように昭和四十三年の一月二十九日、このスーパー林道の建設に際しまして、当時の厚生省国立公園部長から森林開発公団に対して、異存がないという回答が出されております。ただしこの回答には、のり面の緑化等一般的な留意事項のほかに、なお、北沢峠付近の第一種特別地域内については、国立公園の保護及び利用上重要な地域であるため、さらに詳細な検討を要するので、同地区にかかる区間については施工前に実施計画書を提出願いたい、こういうなお書きがついておりますが、いずれにしても、森林公団の提示されました道路建設については了承をされておる、こう伺っております。その後のいきさつから、この問題が自然環境保全審議会にかかっているわけでございますが、この計画が提示されたときに、当時国立公園の自然保護審議会、ここへこれをなぜかけなかったのでしょうか。そういういきさつはわかりませんでしょうか。当時厚生省のことですから、引き継いでおられると思いますが……。
  114. 出原孝夫

    ○出原政府委員 自然環境保全審議会は、環境庁になってからできたものでございますが、最初に、昭和四十三年に本件につきまして、厚生省側が包括的に異存がない旨の返事をいたしましたのは国立公園当時でございます。当時は国立公園の審議会がございました。ただ、この最後の、昭和四十八年になってから協議を受けましたいわゆるなお書きについております部分は、第一種特別地域に該当いたしておりますので、その意味におきまして、国立公園の中におきましても特に環境の保全に十分注意をする必要がある、そしてできるだけ新しい手を加えることは避けるべき地域である、したがって、大事をとって、この点については十分御協議を願いたいという意味で、なお書きがつけられたというように承知をいたしております。
  115. 鈴木強

    鈴木(強)委員 それでなくて、当時国立公園審議会というのがございましたね。ですから、その審議会に当然この計画全体を諮って、特に第一種特別地域というのは、計画路線から見ると、その当時わかっていたわけでしょう、ですから、そういう第一種地域を通る場合には、当時当然審議会にかけて、全体の計画を認めるか認めないか、そういう手続をとらなければならないと思うのですよ。もし当時必要なければ、なぜ今度の環境庁になってから保全審議会の方にかけているのか。第一種地域を通るということは初めからわかっているのじゃないですか。ですから当時手続上重大な問題をミスしているとぼくは思うのですよ。その点が厚生省当時のことでございますからね。きょう厚生省来ておりませんけれども、どういうように引き継いでおられるか。
  116. 出原孝夫

    ○出原政府委員 私どもも十分に承知をしていない面もございますが、ここで包括的に厚生省から異存がないという旨を申し上げたのは、当時、国立公園審議会と申し上げましたのは自然公園審議会という名称であったかと存じますが、審議会にもお諮りした段階でこの第一種特別地域にどうするかという問題は、法定へもう一度かけるというような事項ではございませんが、ただ念を入れる意味におきまして、厚生省側から注文をつけたというように承知をいたしております。
  117. 鈴木強

    鈴木(強)委員 だから、そのときに重大な過ちを犯しておるのであって、私は、この林道が森林開発その他観光面においても役立つという、いろいろ理屈をつけて開設されるようになったと思いますが、そういう大事な一種地域を通るスーパー林道だけに、当時、自然公園審議会というものがあるわけですから、そこにお諮りして、そうして広く委員皆さん、国民の意見を徴してやった方がよかったんじゃないですか。そういう大事なところを残して、抽象的ななお書きにして残してしまった。そこで、いよいよ第一種地域に差しかかって、計画を出してみたら、これはいけないというので、いまわざわざ審議会にかけておるのじゃないか。だから最初から審議会にかけておけばよかったと私は思うのです。こんな林道をただ一方的に行政サイドで認可しているからこういう事態になってきているのです。
  118. 出原孝夫

    ○出原政府委員 この内容は、要するに公園の中での道路計画でございまして、全般的には審議会が最終的に答えを出せるというような、要するに形式的にはそういう性質のものではないわけでございます。したがいまして、行政当局が大事をとって公団側に、この点については実際に工事にかかられる前に、というのは相当長期間を要する工事のように当初から考えられておったようでございますので、そういう意味で、そこにかかるときには十分にこちらの方に実施設計書を提出願って、遺漏なきを期せられたいという意味で申し上げたものであるというように承知をいたしております。
  119. 鈴木強

    鈴木(強)委員 その理論でいけば、いま環境庁になって自然環境保全審議会というものにかけられた趣旨もおかしくなるわけです。だから終始一貫して、そういう大事な一種地域を通る場合のものは、あらかじめ審議会があったはずですから、そこにお諮りして、そして引くべきか引かざるべきか、つくるべきかつくらざるべきか、そういう基本的なお考えを、特に自然との関係調和が問題になってきているときですから、やるべきではなかったかとぼくは思うのです。そういう点がどうも見ておりましてちぐはぐになっているように思うから、あなた方が慎重な態度をとって、少なくとも審議会にかけたということは私はりっぱだと思いますよ。そういうことをなぜ最初、このスーパーをつくるときにやらなかったかということを私は指摘しているのですよ。そういう行政サイドの一方的な考え方で、そのときになったら計画を出してください、よろしゅうございますということでやったかどうか知りませんよ、恐らくそうだと思いますけれども。そんなことをやっているから今日こういう事態を招いたのであって、出発点はそこにあると思う。こういう大事な問題について、国民の意見を聞かないで行政の方がどんどん進めてきたということは、これは許すことができない問題なんですよ。そういうことを私は聞いているのです。そんな形式的なことじゃないですよ。
  120. 出原孝夫

    ○出原政府委員 昭和四十三年当時と、それから最終の段階で出てまいりました、北沢峠付近の工事の実施の問題が出てまいりました四十八年当時を比較いたしますと、御指摘のように自然の環境の保護に関する考え方も非常に厳しくなってきた時期でございます。したがいまして、そういった意味におきまして、やはりこの間における時代の移り変わりというものもあったかと存じます。その意味におきまして、昭和四十八年、四十九年の当時におきましては、形式上は自然環境保全審議会の御意見を承ることが義務づけられてはおりませんけれども、これは自然環境保全審議会の先生方の御意見を十分承って措置をする必要があるということで、この段階で審議会の御意見をお聞きをしようということになったものであると承知をいたしております。
  121. 鈴木強

    鈴木(強)委員 これは当事者がきょう来ていただいておりませんから、どうも適切なお答えがいただけないのですが、私はこの論議を進めるに当たりまして、そういう重大なミスがこのスーパー林道の建設に際してはあったということだけは明確にして、それから次に質問を続けます。  それで率直に言って、出原さんも行かれてごらんになっているように、あそこは南アルプスの宝庫でございまして、自然保護の観点から非常に重大な関心を国民は持っているわけです。いつまでもあの美しい自然を残したいという気持ちはいまでも微動だもしておりません。したがって、自然を破壊する林道であればやめてほしいということがみんなの結論なんでございます。自然破壊と開発との調和、そういう点ももちろん考えなければなりませんが、現状のやってこられております経過を見ますと、そういう気が一層私たちは強くするわけでございまして、四年間も工事がストップをしているということは、なかなかこの問題に対する結論が出しにくいということにもあると思いますけれども、それだけにこれは重大なことだと思います。  そこで、昭和五十一年十一月三十日に環境庁が南ア自然保護連合会の公開質問状に答えております中に、南アルプス国立公園は登山利用を主体としており、車道により峰越えするような計画及び北沢峠に集団施設を設けるなどの利用に関する公園計画はない、また北沢峠の第一種特別地域内にかかる林道工事の実施については、自然環境保全審議会自然公園部会で審議を願っており、環境庁としてはその意見に従って対処することにしたい、この考え方はいまでも長官環境庁の態度と確認していいですね。
  122. 石原慎太郎

    石原国務大臣 そのとおりでございます。
  123. 鈴木強

    鈴木(強)委員 それから森林開発公団の方にお伺いいたしますが、きょうは農林大臣が御都合で御出席できませんものですからあなたにお伺いしますが、昭和五十一年九月二十三日、当時の大石農林大臣がスーパー林道の開通には反対である、工事の凍結解除を働きかけることはしない、こういう御発言をされております。環境庁長官を辞せられた後農林大臣になられた大石農林大臣のお気持ちが、本当に実感として出ているように私は受けとめました。  なお、昨年十月十二日に当委員会におきまして、いま委員長をなさっておる島本虎三委員から質問がありまして、当時の丸茂長官が、大石農相ははっきり反対を表明しているようだ、こういうふうなことも肯定されて議事録に載っておるわけです。したがってこの大石さんの態度は農林省、森林開発公団の態度であるとわれわれは確認しているのでございますが、それでよろしゅうございますか。
  124. 小早川静法

    ○小早川説明員 お答えいたします。  昨年九月二十三日付の新聞でございますか、時の大石農林大臣が同紙のインタビューに対しまして、先生のおっしゃったような御発言をされた旨の報道がございました。  そこで、翌月十月十三日でございますけれども、衆議院の農林水産委員会におきまして、この報道についての林百郎先生の御質問に対しまして、大臣から、「個人的には通したくないという自分の気持ちはある。しかしそれは別だ。そういう気持ちはあるけれども、農林大臣としてそれは環境庁の判断に従うのだという結論でございます」こう答弁されております。またその六日後の十月十九日の参議院の農林水産委員会でございますけれども、同じ報道につきまして神沢浄先生の再度の御質問がございまして、大臣から最終的に「あれだけの国費を二十何億かけてあるのですから、これはやはりできるだけ生かした方が私は意味があると思う。ですから、そのように自然環境を守りながらこれをうまくずっと完成するような方向、これを検討するのが私は環境庁の仕事でもあり、われわれの林野庁の方の考えでもあると、こう考えまして、できるだけこれは話し合いによって一番具体的な正しい方法を見出してほしいというのが私の願いでございます。」こういった態度を表明されているわけでございます。  林野庁といたしましても、この趣旨に沿いまして、公団に対し、北沢峠部分については自然環境の保全を最優先に置いた工事方法への設計の変更、また峠以外の部分につきましても可能な限りの緑化修景工事の施行、こういったことをそれぞれ指導いたしまして、従来から環境庁等に対しまして調整といいますかお願いといいますか、いたしておるわけでございます。  以上でございます。
  125. 鈴木強

    鈴木(強)委員 いまの御答弁で経過的にはわかりましたが、その経過の中で、少なくとも当時の森林開発公団を監督、指導なさる最高の責任者である農林大臣がスーパー林道の開通には反対だという意見を述べられたことは事実なんですからね。ですから、それほど当事者である最高の責任者が、このスーパー林道というものが自然と開発調和がむずかしいという判断をなされて発言されたことだと私は思います。非常に貴重な重大な御発言だったと思います。その後、趣旨が若干変わってきているようでございますけれども、当時の大石環境庁長官、もちろんまた当時の農林大臣、最高責任者としての発言として、これは歴史に残る一こまだと私は思うのです。それほど問題のあるところでございますから、四年間の歳月が流れ、なおかつその結論が出ておらない、こういうことになっていると思うのでございます。  そこで、手続的にはこれからいろいろあるでございましょう。その点もお尋ねいたしますが、長官、いかがでございましょうか、そういった歴史的な経過を踏まえまして、あなたはいま環境庁長官として、この地域に対して許可すべきかすべからざるか、すべての責任、判断を持っておられるわけでございます。審議会の方にももちろんお諮りになっているようでございますが、まず環境庁が判断をするということが一つのポイントにもなると思いますし、それにはもちろん拙速はいけませんし、いろいろと多角的な意見を聴取し、検討を加えた上でなければいけないと思いますが、長官自体として、いまこれだけ問題になっている林道に対して率直に、自然破壊と調和が保てるかどうか、こういう御判断についてはどうなんでしょう。いろいろと問題があります。ですから、むしろこの林道を見直してほしいといういまの委員長、当時の島本委員の多年のお考え方というものは、私もそう思うのですが、その辺は長官、どうでございますか。
  126. 石原慎太郎

    石原国務大臣 この問題につきましても、賛否両論いろいろ承っております。それぞれ根拠のある論だと思いますが、そういう意味で、先ほど御忠告にもありましたように、できるだけ衆知を集めて、冷静な、妥当な判断をしたいということでいま審議会に審議を願っておるわけで、審議会のメンバーもこの六月ですか、大分かわりましたので、メンバーの方々にも実際に現地を見ていただきまして、できるだけ早く答申をいただきたい。それを十分勘案して、環境庁として最終的な判断をしたいと思いますし、また私自身も、任ある限りできるだけ早く、先ほど申しましたが、現地を見て責任者としての判断、基準にしたいと思っておるわけでございます。
  127. 鈴木強

    鈴木(強)委員 これは審議会にお諮りになる際に、環境庁としてはどう考えるという案を示さずに、ある問題になっている点だけを指摘しまして、それについてイエスかノーか判断を求めるようなそういう審議会の運営になっておるのでございましょうか。いままで審議会は何回開かれたか知りませんが、その点も教えていただいて、審議会にお諮りする環境庁としての態度はどういうものであるのか、そういう点をあわせてお願いいたします。
  128. 出原孝夫

    ○出原政府委員 本件に関しましては、審議会には口頭で御意向を伺っております。その際には環境庁としての意見は申し上げておりません。  それから、ちょっといま正確に何日という記録を持っておりませんが、現在まで七、八回審議会を開いていただいておるはずでございます。
  129. 鈴木強

    鈴木(強)委員 七、八回というのは、七回だか八回だかわからないので、そんなことでは困るのです。審議会を何回開いてどうなったか、そういうことぐらいは的確につかんでおいてください。
  130. 出原孝夫

    ○出原政府委員 審議の経緯として順番に申し上げますと、四十九年十月に毛利長官が視察をいたしました後、四十九年十二月に審議会に説明をいたしまして、それから、五十年に入りましてから三月、六月に審議をお願いし、七月に現地視察をお願いいたしております。その後、審議会においての審議か五十年の九月、十月、五十一年の六月、十二月に行われておりますので、七回でございます。なお、五十二年五月二十三日は、審議会が開かれておりますが、これは正式な議題になっておりませんので勘定に入れておりませんので、これを入れれば八回ということになるわけでございます。
  131. 鈴木強

    鈴木(強)委員 それで、五十年三月二十八日に口頭で審議を依頼したというのですが、どういう審議を依頼したのでございますか。
  132. 出原孝夫

    ○出原政府委員 南アルプスのスーパー林道につきまして、昭和四十三年に、厚生省時代に全体について了承をいたしました際につけ加えました問題点について具体的な計画が出てまいりましたので、その点について、特にその後スーパー林道については賛否いろいろな論議が出ておりますので、その具体的な内容につきましてもう一度自然環境保全審議会の御意向を確認したいという意味において提案の説明をいたしたわけでございます。したがいまして、第一種特別地域におきます北沢峠の部分の実施設計書を確認するに当たりまして、その内容の適否について御検討をお願いしたい、こういうことでお願いしたわけでございます。
  133. 鈴木強

    鈴木(強)委員 その後、審議会が七回、八回開かれておるのですが、その間に一番問題になっている点はどういう点でございましょうか。
  134. 出原孝夫

    ○出原政府委員 大きな点で申し上げますと、一つは、ここまで工事が進捗し、一応でき上がっているもので最後の部分であるから、そのまま要するに工事に基づく自然の損傷をできるだけ少なくするようにして考えたらいかがであろうかというのと、それから自然環境の破壊がいろいろあるので、最後の部分についてはあきらめたらどうだろうかというような意見と、それからその間に中間的な御意見もいろいろあるように承っております。
  135. 鈴木強

    鈴木(強)委員 次は審議会はいつごろ開かれるような御予定ですか。わかっていませんか。
  136. 出原孝夫

    ○出原政府委員 先ほど大臣からもお答えいたしましたように、この六月に委員の交代が若干ございまして、新しい委員方々にもできるだけ現地をごらんになっておいていただくということで、ことしの秋、十月ごろまでかけて、これは散発的になりましたが、御視察を願ってきたわけでございます。部会長の林先生にもいろいろ御相談を申し上げておるわけでございますが、林先生に適当な時期を選んでまた審議を続けていただくようにお願いいたしたいと考えておりますし、林先生御自身もそのようなお考えではなかろうかと推察いたしております。
  137. 鈴木強

    鈴木(強)委員 これからいろいろ御審議もあると思いますが、一番問題になるのは、北沢峠の一・六キロ、第一種特別地域のことだと思います。少なくともさっき私が確認しました南ア自然保護連合会の公開質問状に対する環境庁の態度、これは変わっておらない。ここに述べてありますように、南アルプス国立公園は登山利用を主体としており、車道により峰越えするような計画及び北沢峠に集団施設を設けるなどの利用に関する公園計画はない、こういうことでありますから、この点からすれば、厚生省の態度はもう明確だと私は思うのです。ただ、そこの後に、北沢峠の第一種特別地域内にかかる林道工事の実施については自然環境保全審議会自然公園部会で審議を願っているからということで逃げているわけですけれども、基本的な態度は登山利用であり、峰越しをするような車道は考えていない、ここにきちっとした姿勢があるように私は思います。ですから、こういう姿勢をぜひ貫いていくように今後大いに努力をしていただきたいと思います。  長官も、臨時国会が二十五日に終わるわけですから、その後、内閣改造といった点でどうなるかわかりませんが、とにかく昭和五十一年十一月三十日に確認をして回答をしておりますこの方針を十分踏まえて今後やってほしい。私は、当時の島本委員が言ったように、自然破壊に通ずる林道というものは見直してもらいたいと心から願っているものの一人です。それもつけ加えまして、ぜひひとつ慎重に検討していただきたい。長官からもひとつ答えていただきたいと思います。
  138. 石原慎太郎

    石原国務大臣 就任早々、この委員会でございましたか、どなたかの質問にもお答えいたしましたときに、観光ということも文化生活の大事な一端かもしれませんが、しかしそれにしても、二千メートル、三千メートル級の山頂まで自動車で行くような、そういう観光というものは私は好ましくないと思うということを申し上げました。そういう点で、環境庁もいま御指摘のような回答の中に姿勢を加えておるわけでございまして、あと、林道としての道路をつけるかつけないかということに問題は狭められていると私は解釈しておりますし、その姿勢でこの問題を検討し、冷静な判断をしたいと思っております。
  139. 鈴木強

    鈴木(強)委員 じゃ、次の問題に移りますが、二番目の、石油油槽所のガソリン流出事件ですが、ことしの三月に甲府市住吉本町というところにございます大協石油甲府油槽所、ここでガソリンの流出事故がございました。この事件に対して、消防庁の方から概要の説明をしていただきたいのでございます。
  140. 矢筈野義郎

    ○矢筈野説明員 お答えいたします。  ことしの三月三十日午前十時ごろでございますけれども、周辺の住民から消防署に通報がございまして、どうも大協石油の油槽所の付近から油が漏れている、特に近くにあります住居の辺から漏れておるという通報に基づきまして検査いたしました結果、そのちょっと前に集中豪雨がございまして、その結果に基づいて地中に埋設していた油がどうも浮いてきたということがわかりましたので、その油の種類及び原因について警察当局と消防機関が一体になりまして調査いたしました結果、ガソリンのタンクがありますが、そのタンクの地下埋設管のところの一ミリぐらいの穴からどうも流出しているということがはっきりいたしまして、約五十キロリットルぐらいの漏れが予想されておる状況でございます。  したがいまして、付近の住民に対しましては、火災発生の危険もございましたので、警戒態勢をしき、火器使用制限等を十分行いまして、そういう災害の二次波及を防ぎ、かたがた原因の究明という点についても、警察当局と共同して当たりました結果、やはりどうも電食によるものではなかろうかという状況でございました。  以上でございます。
  141. 鈴木強

    鈴木(強)委員 原因が電食ではないかということがわかりましたと、その後、具体的対策は立てておられるのでございましょう。そこまで聞きたいのです。
  142. 矢筈野義郎

    ○矢筈野説明員 当該タンクの事故は、先ほど申し上げましたように電食ではなかろうかというふうに考えられておりますが、こういう油の漏洩という問題につきましては、特に地下埋設管の場合に、非常に発見しにくいという点がございます。したがいまして、実はそういうことも踏まえまして、昭和四十八年の政令改正においては、地下埋設管については電食のおそれのある場所においては電食の防止に関する措置を講じなさい、そうでない場合の配管については塗覆装によって塗装して、防食の効果を上げてくださいという規定の整備をいたしております。しかしながら、既設のすべての地下埋設配管についてそれを遡及するということには至っておりません。  その後、三菱の石油漏出事故を契機といたしまして法令の強化をいたしました。その中で、定期的な点検ということで自主的に年に一回、どうしてもタンクの点検を強化するその場合に、ただいま申し上げましたような地下配管を含めて総合的に自主的な管理体制の強化をすることによって、早期にそういう事故を未然に発見し、防止しようということで改正を行いましたので、それに基づきまして今後の定期点検制度に乗っかってのそういう事故の未然防止ということで万全の措置を図りたい。今回の事故を契機といたしましたわけではございませんけれども、さらに定期点検の励行については、現地の消防機関を督促いたしまして、十分万全の措置を講ずるよう指導しているところでございます。
  143. 鈴木強

    鈴木(強)委員 まず、この事故が起きまして、原因は何なのか、これを明確にする必要があると思います。いまのお答えによりますと、電食ではなかろうかというような非常にあいまいな御答弁でございますが、この原因追及については、一体現地の消防関係は、だれか専門家に委嘱をしてその原因を追及するとか、そういったふうなことはやらなかったのでございますか。
  144. 矢筈野義郎

    ○矢筈野説明員 消防法の規定に基づきまして、当然そういう災害の原因の調査については消防みずからの手によって行いますが、ただいま申し上げましたように、この問題はいろいろ地域住民とのかかわり合いもこれあり、他の問題もありまして、警察当局と一体となって原因の究明に当たり、かつ学識経験者も参加いたしたというのが実情でございます。  私が電食ではなかろうかというようなことを申し上げましたのは、避雷針の電極の銅が鉄よりもイオン化傾向が小さい、したがいまして、どうしても鉄の方がやられるというのが一般的に言われておる現象でございます。それによるのではなかろうかというところで、他の電食作用もあるいはあるのかもしれないという意味で申し上げておるわけでございます。
  145. 鈴木強

    鈴木(強)委員 私どもが聞いているのは、梨大の教授にも協力をお願いして原因の究明をされたようですが、その結果、原因は、地下のパイプをガソリンが流れるときに電流が発生して、電気腐食防御用に使っておりますパイプに塗ってあるアスファルトが傷ついて、その部分が腐食して穴があいてガソリンが流れ出したのだ、こういうふうに聞いておるわけですね。であれば、これに対して、いまのお話のように、今後再びこういう事件が起きないような危険物貯蔵所に対する安全管理というものを一体どうするのか、こういうふうになってくると思うわけです。  その安全管理の仕方について問題になるのは、お話しのように、四十八年以前のこれらの油槽所等については、政令がせっかくできましたけれども、適用除外になっておるという、むしろ私たちから言えば、四十八年以前の老朽化したといいますか、古い施設の方が非常に危険性があるわけでありますから、その面に対して、たとえば一年なり一年半の猶予期間は置くとしても、これはわかります。しかし、必ずそういうものについては問題の起こらないように修理をするところは修理をさせて安全管理を徹底するというのが筋ではないですか。ところが、四十七年前のものは放置しておる。それは技術的に大変むずかしいことも知っております。しかし、事は山梨県のただ大協石油の甲府油槽所だけではない。全国にこの油槽所が幾らありますか。教えてください。そういう油槽所を初め、ガソリンの販売店ですね、給油所とかいろんなのが官庁と民間を含めまして恐らく何十万、何百万とあると思うのですね。そういうところに埋蔵されております。貯蔵しております危険物の貯蔵管理というものをやらなければいけないと私は思いまして聞いているわけですよ。
  146. 矢筈野義郎

    ○矢筈野説明員 御指摘のとおり、タンクからの油の漏洩事故というものは、火災発生のみならず、環境に与える影響も非常に甚大でございますので、私ども真剣に取り組んでおるわけでございますが、四十八年の政令改正における地下埋設管の基準は、先生指摘のとおり遡及させておりません。しかしながら、先ほども答弁申し上げましたように、五十年の法律改正に基づく点検制度によって、自主的な管理体制を強化し、それに基づいて是正を図る、そういう強力なる指導を行うことによって、すべてのタンクに、あるいは他の危険物施設に関する安全を確保してまいりたいという趣旨でございます。  なお、さらに付言させていただきますならば、大きなタンクについてはいろいろな点について既存遡及の措置も図りましたけれども、ただいま申し上げました自主点検制度、それから消防機関の立ち入り検査に基づく異常発見等を踏まえまして、そういう事故のないように万全を図ってまいるという姿勢で臨んでおるわけでございます。御理解願いたいと思います。
  147. 鈴木強

    鈴木(強)委員 それでは、四十八年に政令施行後、全国に幾つの油槽所があって、幾つの油槽所を定期的に点検したか、それをひとつ教えてください。
  148. 矢筈野義郎

    ○矢筈野説明員 ただいま手元に資料を持っておりませんけれども、大体タンクは十万件ぐらいございます。そのうち、いま先生指摘の地下配管等によって、年間平均いたしまして二カ所ぐらい、若干の油の漏洩事件があるというのが実態でございます。
  149. 鈴木強

    鈴木(強)委員 点検を幾らしたか。
  150. 矢筈野義郎

    ○矢筈野説明員 消防機関の行いました立ち入り検査あるいは自主的な企業側の点検回数等については、正確な資料を持ち合わせておりません。
  151. 鈴木強

    鈴木(強)委員 資料を持ち合わせておりませんから、後からちゃんとしてくれますか、出してくれますか。
  152. 矢筈野義郎

    ○矢筈野説明員 企業の行います自主点検については常時行っておるわけですけれども、そういう点についての実態は調査できかねますが、消防機関における現実の査察状況については、私どもの方で調査できると思います。
  153. 鈴木強

    鈴木(強)委員 調査したところが幾つあるか、その資料を欲しいのです。
  154. 矢筈野義郎

    ○矢筈野説明員 提出するように努力します。
  155. 鈴木強

    鈴木(強)委員 これはお話を聞いておりましても、私たち、安心だという気持ちにはなれません。その程度の点検強化、行政指導によって、今後一切のこういう危険がないということは、あなた保証できないでしょう。もっと徹底した安全管理をやってほしい。問題は、事故が起きたら後から何か手を打つというのが、どうも日本の長い間の風習なんだね。悪い癖なんですよ。そういう悪いやり方は変えてもらって、まず絶対に事故が起きないという事前の管理をちゃんとしておくことが私は必要だと思います。  そういう意味において、きょうは資源エネルギー庁の方からもいらしていただいておりますが、これは所管が消防庁の所管になるのです。ただし、たとえば油槽所をつくる場合の設置許可は通産省の所管だと思います。したがって、今後もうひとつ御相談を政府内部でよくやっていただいて、いま私が指摘しました政令制定によって適用除外になっております四十八年以前の油槽所に対しても、もっと強力な何か、施設の取りかえその他については政令によってやらせるような措置をとらせる方法を考えてもらいたいと思うのですよ。その点、ここですぐ答弁ができないとすれば、検討していただきたいと思います。  この点は長官、あなたは国務大臣でございますから、ひとつ通産なり自治大臣ともこういう問題のあることをいろいろ話していただきまして、どうも心配でたまりませんから、これからだんだんまた多くなっていくでありましょうこの油槽所の管理については万全の体制をとっていただくように、長官からもお願いしたいのです。いま、向こうから担当の課長さんがいらしていただいておりますけれども、政治的な配慮になりますとちょっとお答えしにくいと思いますから、長官が、大変ですけれども、済みませんがひとつかわって答えてくれませんか。
  156. 石原慎太郎

    石原国務大臣 安全もまたこれは生活環境一つの重大な要因でございますので、こういうことが起こらないように、関係省庁に、閣議の折でも所管の大臣に私の方から申し入れさせていただきます。
  157. 鈴木強

    鈴木(強)委員 それから、矢筈野さん、あなたにもう一つお願いしておきたいのは、ぜひいまの行政指導を強められまして、少なくとも地下埋蔵パイプを使って貯蔵しておるようなところについては、一度、大変でございましょうけれども、定期的に一斉点検をするように、これは全国一斉といってもそうはいきませんから、部分的になると思いますけれども計画を立てて一回り早急に、四十八年以前のものについては業者にも協力を得なければならぬわけでございますから、そういう点でひとつ有効な調査方法を駆使しまして、何か点検をやってほしいと思うのですが、何とか努力してくれませんか。
  158. 矢筈野義郎

    ○矢筈野説明員 御趣旨の点を十分勘案いたしまして、努力してまいりたいと思います。
  159. 鈴木強

    鈴木(強)委員 時間がちょっと窮屈になりましたから、大急ぎで大変失礼ですが、最後に、排ガス欠陥車の問題について、ちょっとお尋ねします。  トヨタと日産の主力自動車の中で約百万台が厚生省の決めた排ガス規制にそぐわないような構造上の欠陥があるというので問題になっていますけれども、この件について、調査がなされておると思いますから、実情を簡潔に御説明願いたいと思います。
  160. 北川清

    ○北川説明員 お答えいたします。  実は、先般十一月八日に日本自動車ユーザーユニオンというところが、トヨタと日産の両方の生産しております五十年度規制、五十一年度規制の排ガス対策車に欠陥があるということでの新聞発表を行ったわけでございます。この指摘されております欠陥が出ておりますのは、トヨタが二件、日産が二件、合計四件でございまして、中身は排ガスの問題と火災を起こすおそれがあるという両方の問題での指摘でございますが、実は、このうちの日産に関します一件につきましては、新聞発表がありました時点よりもすでに前に、私ども当該メーカーから報告を受けておりまして、近日リコールを行うということをしておったものでございます。実は、新聞発表の三日後の十一月十一日にリコールの届け出がありまして、直ちに回収のための所要の措置を現在講じております。これにつきましては三十九万台でございます。  なお、ほかの三件につきましては、現段階におきましては、必ずしもリコールしなければいかぬ構造上の欠陥があるというふうに該当するものとは考えておりませんが、現在、早急に実情を調査しております。その結果によって、必要に応じまして適切な措置を今後講じてまいるという予定にいたしております。
  161. 鈴木強

    鈴木(強)委員 その十一月十一日にリコールの届け出をしてまいりましたので手続をとったという三十九万台の車種は、どういう車種でございますか。
  162. 北川清

    ○北川説明員 お答えいたします。  日産の五十一年度排ガス対策が施してあります乗用車でありまして、車種は三十型式でございまして一日産の出しております全車種のうちプレジデントを除く他の車種が対象になっております。製作年月日が五十年十二月二十五日から五十二年一月三十一日までに製作された車が対象になっております。
  163. 鈴木強

    鈴木(強)委員 そうしますと、日産のうち一件、他の三件についてはまだ調査をしているというふうに理解していいですね。  それで、私は、こういう欠陥車ができることについてもう何回も運輸省の方に意見を述べたこともございますが、なかなかこれが直らないといいますか、皆無にならないのですね。一体どういうわけなんでしょうね。やはり買って使うユーザーからしてみると、そういう技術にはうといものですから、大丈夫だという安全を確信して購入し、それを使っておるわけですけれども、途中で欠陥車だということがわかる。これは大変なことだと私は思います。いろいろ工夫されていると思いますが、こういう欠陥車が依然として後を絶たない。一体何が原因なのか、どういうところに問題点があるのか、そして運輸省としてはこれらの撲滅策についてどういうふうな指導をメーカーにしているのか、時間が来ましたから簡単にお答えをいただきたいと思うのです。
  164. 北川清

    ○北川説明員 お答えいたします。  実は、こういう欠陥車が出ますことについての回収制度を四十四年度から発足いたしております。これは自動車の構造、装置につきまして、設計とか製作上に欠陥がございまして、道路運送車両の保安基準という、安全とか公害の規制がございますが、この基準に適合しないことがわかりましたときには、自動車メーカーがその欠陥の状況とか改善の方策につきまして運輸大臣に届け出をしまして、これを一般に公表して当該欠陥部品を回収し、無料で修理するという制度でございまして、これにつきましては制度としては定着をしてきておりますが、しかし最近の状況をかんがみまして、運輸省といたしましては、今後とも車両検査の結果の報告でございますとか、自動車の使用者から、クレーム情報というものがございますが、それが私どもに受け付けられますので、そういうことから欠陥車の情報につきまして十分収集して分析いたします。  それから、あわせまして、このリコール制度が徹底いたしますように、自動車製作者におきます欠陥車の処理体制につきましても十分監視を強化いたしてまいりまして、今後欠陥車問題につきましての対応に遺憾なく、少しでも車につきましての信頼性の向上が図られますよう努力を進めてまいりたいと思っております。
  165. 鈴木強

    鈴木(強)委員 ここで私があえて取り上げたのは、排ガス規制に対して欠陥車だというのを取り上げたわけですね。一般的な欠陥車もございます。ですから、いま課長がおっしゃったような立場でやってほしいと思うけれども、せっかく五十年度規制、五十一年度規制をやっても、それが守られないで、依然としてNOXを振りまいているような車が走っているということは、何としても住民として納得できないわけですよ。そういうものについては長い間研究されていると思いますけれども、問題がいま提起され実施されている段階でございますだけにわれわれはショックを受けているのだ。だから少なくとも排ガス欠陥車などというものが再び起こらないように、その原因を徹底的に追及して、指導監督を強めてやってほしい。  それでもう一つ、時間がないですから、資料を欲しいのですが、この三十九万台の欠陥車で、排ガス欠陥の原因がどこにあったのか、それを詳細に資料として後で出していただきたい。それから、私が最後に述べたことについて、ぜひひとつ排ガス面についても一層力を入れてほしいと思います。
  166. 北川清

    ○北川説明員 お答えいたします。  今回の日産の事故の原因につきましては、後ほど資料を御提出いたしたいと思います。  なお、低公害車につきましてのガスの問題、それから安全の問題について十分信頼性の高いものが出ますように、運輸省のいろいろな行政におきまして十分対処してまいりたいと思っております。
  167. 鈴木強

    鈴木(強)委員 ありがとうございました。  終わります。
  168. 島本虎三

    島本委員長 次に、古寺宏君。
  169. 古寺宏

    ○古寺委員 最初に防衛庁にお尋ねしたいと思いますが、米軍基地の騒音に関する環境基準の達成は、どのようにして達成するように計画を立てていらっしゃるかお伺したいと思います。
  170. 高島正一

    ○高島政府委員 お答え申し上げます。  御案内のように昭和四十八年に環境庁から、いわゆる騒音に関する基準というのが示されております。この基準では、防衛庁関係の飛行場についてもこの基準をできるだけ早く達成するように努めるものとするというふうに規定されてございます。そこで、防衛庁といたしましては、この環境基準に示された期間内にぜひこれを達成しようということで鋭意努力を続けておるところでございますが、何分にも防衛庁関係の飛行場は民間の飛行場と違いまして数も多うございます。それから飛行の機種、パターン等も非常に千差万別といいますか、民航とは異なるところがあるわけでございます。  そこで、この環境庁の基準に示された年度内にこれを達成するということは予算的にはきわめて困難でございます。しかし、この示された基準についてはどうしても、少なくとも民航と同じ程度にはやらなければいかぬということで、目下懸命の努力を続けておるところでございます。
  171. 古寺宏

    ○古寺委員 環境庁長官にお尋ねしますが、防衛庁としては民航と同じように環境基準を達成するように鋭意努力をしている、こういうふうにいまお答えになりました。しかし、民航の場合と防衛庁あるいは米軍基地の場合には、航空機の内容その他違うわけでございますので、非常にむずかしい、困難であるというような答弁もいまあったわけでございますが、この点について環境庁として、基準を達成するように防衛庁といままでどのように折衝をしてきたのか、また今後この目標達成をどのようにして解決しようとお考えになっているのか承りたいと思います。
  172. 橋本道夫

    ○橋本(道)政府委員 いま先生の御質問のございました防衛庁と環境庁との関係でございますが、防衛庁からも答弁のございましたように、民間空港に準じてその達成に努力をするということになっております。御指摘のように、非常にその飛び方等の問題あるいは機種の違いがあるという、むずかしいことは事実でございますが、これは全体の告示で決めておることでございまして、最大の努力を払って達成をするということを、絶えず私どもの方は防衛庁の方と接触する機会にお願いをしておるわけでございます。この点につきまして、防衛庁の方から進捗の問題についてお話があったり、あるいは地元の地方公共団体から相談があって、型別の分類の話があったりするというような問題があるわけでございまして、側面的に、ぜひとも達成をしてほしいということをしております。  もう一点の問題は、やはり全体の、いわゆる戸外の音で、すべての場所で間違いなく達成をできるかということにつきましては、すべての場所で間違いなく達成してもらうように最大の努力をするということは環境基準の趣旨でございますが、やはりどうしてもむずかしいところがあり得るということも、これは完全に否定し去るわけにはまいりません。そういう点になりますと、環境基準の「記」のところにもございますが、やはり屋内の防音工事をちゃんとしてもらうということが一番大事なところではないかということで、私どもは、どうしてもできない場所というようなむずかしい問題にぶつかるときには、全体としての努力はそのために緩めることなく、防音工事の必要なところはやはりどんどん拡大して、条件をよくしてやってもらうという方針で防衛庁と当たっておるわけでございます。
  173. 古寺宏

    ○古寺委員 そこで、民間の空港の場合も相当に予算が要るわけでございますが、基地の場合には、これはもう民間空港の何倍もの予算を必要とするわけでございます。こういうただいまの防衛庁あるいは環境庁の目標を達成するためには、どうしても予算的な措置が要るわけでございますが、大蔵省はこの問題についてどういうふうにお考えになっているか、承りたいと思います。
  174. 志賀正典

    ○志賀説明員 お答え申し上げます。  ただいま防衛施設庁からも御答弁がございましたが、防衛施設庁から十分そのお考えをお伺いをいたしまして、従来から、ただいまお話のございましたような防音工事を初めといたします基地周辺対策の推進につきましては、私ども鋭意努力を注いできているところでございます。これは先生にも御承知いただいているところであろうかと存じます。この問題につきましては、そういう従来の努力を推進してまいったわけでございますが、今後の点につきましては、わが国が現在置かれております財政事情の中でございますが、そういう中で、十分慎重に今後とも検討して推進をしてまいりたい、かように考えております。
  175. 古寺宏

    ○古寺委員 そこで、目標達成のためには、まず騒音コンターですね、予想騒音コンターの線引きの問題があるわけですが、現在、三沢基地周辺の騒音コンターの問題につきましては、いろいろ地域住民等の意見聴取等を行っているようでございますが、これはいつごろまでに線引きができる予定でございますか。
  176. 高島正一

    ○高島政府委員 お答え申し上げます。  防衛庁関係の全体の飛行場といたしましては、二十三施設ございます。この四施設を除いて一応コンターの作業は終了いたしました。ただいま先生から御指摘がございましたように、現在作業が終了したものにつきましては地方公共団体の意見を聴取しておる段階でございます。三沢を初めといたしまして、まだ大部分の市町村からその意見の開示が参っておらない状況でございますが、その意見の開示を待って告示をしたいというふうに考えております。なかなか市町村の調整に手間取っておりまして、いまこの段階でいつまでにというふうなことは申し上げかねる状況にございます。と申しますのも、私どもとしましては、できるだけ地方公共団体の意見を尊重いたしたいというふうに考えておるからでございます。
  177. 古寺宏

    ○古寺委員 先ほど、この目標を達成するように鋭意努力するというお話があったわけですが、この告示がおくれますといろいろ防音工事等にも支障を来すわけでございます。したがって、この告示をするまでの騒音に対する測定あるいは予想コンターの作成に当たりましては、十二分に地域住民から受け入れられるような、納得のいくような測定というものがなされなければならないと思うのです。ところが、基地の様相というのはそれぞれ非常に特色がございまして、たとえば三沢の問題にいたしましても、いま国会で審議中でございますが、防衛二法が通りますと三空団の移駐という問題もございます。あるいはミッドウェー艦載機のタッチ・アンド・ゴーの訓練等も行われております。また、全国の基地からは、この三沢に毎週交代で訓練に来ている。そういうふうに、基地の様相というものはその時期によって非常に変わるわけです。そういたしますと、現在この三沢基地に関しての予想コンターというものは、これはまだそういうような条件がないときに測定をしたコンターでございますので、地域住民はこれに対して意見を述べるわけにはいかない、そういう情勢に置かれているわけでございます。したがって、このコンターにつきましては、やはりもう一度実態に合った騒音の測定というものを行って、住民の納得のいく線で地域の地方公共団体に意見を求める、こういうことが必要ではないかと思いますが、いかがですか。
  178. 高島正一

    ○高島政府委員 お答えいたします。  ただいま先生指摘のように、三沢におきましては非常に使用の実態が変化しつつございます。具体的には、F1が先般配備され、ただいま御審議を願っておる防衛二法が成立いたしますと、第三航空団が三沢に配備されるというふうな状況に相なるわけでございます。先生指摘のように、三空団が行くことによって三沢基地の使用の態様が変わってまいりますので、その際はもう一度コンターのやり直しをするということは当然であるというふうに考えておる次第でございます。
  179. 古寺宏

    ○古寺委員 そこで、現在この三沢基地にどのくらいの航空機が配属されておりますか。
  180. 児玉良雄

    ○児玉説明員 お答えいたします。  現在、三沢基地に配備されております航空機の数は、三十九機でございます。
  181. 古寺宏

    ○古寺委員 三十九機というのは、これは第八一航空隊所属の飛行機と、それから米軍のP3Cでございますか。
  182. 児玉良雄

    ○児玉説明員 お答えいたします。  いま申し上げました三十九機は、航空自衛隊の第八一航空隊その他の三沢所在の部隊の数でございまして、米軍機はこのほかに九機おると承知しております。
  183. 古寺宏

    ○古寺委員 それから、ミッドウェーの艦載機、あるいは岩国とか全国各地の自衛隊基地、こういうところから年間どのくらい三沢基地に訓練のために参っておりますか。
  184. 児玉良雄

    ○児玉説明員 お答えいたします。  三沢以外におります航空機が、どの程度三沢基地に来て訓練をしておるかという数字については、つまびらかではございませんが、離陸を一回、着陸を一回として数えた航空交通量で見ますと、米軍機は年間、五十一年度の場合では約一万七百回の離着陸で基地を利用しております。
  185. 古寺宏

    ○古寺委員 つまびらかでないというのはおかしいのであって、後で資料を提出していただきたいと思います。委員長にお願いいたします。
  186. 島本虎三

    島本委員長 はい。
  187. 古寺宏

    ○古寺委員 それから次に、まだ現在審議中の問題でございますので余り触れたくはないのでございますが、三空団を三沢に移駐するという理由でございます。その点を明らかにしていただきたいと思います。
  188. 児玉良雄

    ○児玉説明員 お答えいたします。  第三航空団は、御承知のように現在、小牧基地に配備されておりますが、戦闘機部隊の全国的な配備の是正、それから小牧基地よりも比較的訓練環境の恵まれているところへ移動して訓練、練度の向上を図る、この二つの理由によりまして三沢基地に移動することを計画したものでございます。
  189. 古寺宏

    ○古寺委員 それだけの理由でございますか。
  190. 児玉良雄

    ○児玉説明員 いま申し上げたような理由が、三沢基地へ移動する理由でございます。
  191. 古寺宏

    ○古寺委員 私がお聞きしているのでは、F86Fの墜落事故があった、あるいはまた、地域住民の騒音に対する反対運動が非常に強い、こういうために三沢を選んだというふうに承っておりますが、どうですか。
  192. 児玉良雄

    ○児玉説明員 お答えいたします。  ただいま、移動する理由に訓練環境等を申し上げましたが、訓練環境につきまして、小牧基地の場合は日本海沖並びに浜松沖の訓練空域を使用することになりますが、この空域を使用するにつきましては、移動に時間を要するとか訓練空域が狭いとかというような部隊の配備上問題がございます。これに比べますと、三沢基地の場合は周辺の海上により広い訓練空域を使えるようになっておりますので、この面を考慮して移動を計画したわけでございます。
  193. 古寺宏

    ○古寺委員 その点につきまして、三沢市当局とどのような折衝をいたしましたですか。
  194. 高島正一

    ○高島政府委員 お答えいたします。  現在、三空団の小牧から三沢への移駐につきましては、国会で御審議を願っておる段階でございますので、まだ具体的に三沢市当局とは正規のお話はしてございません。
  195. 古寺宏

    ○古寺委員 これは新聞の記事でございますが、三空団の移駐に当たって、相当前から米軍との間に話し合いが行われております。ところが米軍側からは、格納庫がない、もし移駐するのであれば全面的に協力はするが、そのかわり、この代替地なりあるいは格納庫なり、こういうものを解決してもらいたい、こういうことが防衛庁に話されているというふうに報道されていますが、これは事実ですか。
  196. 高島正一

    ○高島政府委員 三沢の飛行場は、ただいまいろいろの格納庫とか建物等を米軍と自衛隊が共同使用しておる状況にございます。したがいまして、P3の移駐とかあるいはF1の配備等に絡みまして、その際、三空団の移駐も含めまして米軍と内々折衝といいますか、下打ち合わせをしたことは事実でございます。しかしながら、三空団が確実に移駐するという前提でそのような話し合いをしたことはございません。
  197. 古寺宏

    ○古寺委員 そうしますと、この防衛二法が通りますと、三沢市には一方的に押しつけの形で三空団が移駐することになるわけでありますが、そのように理解してよろしいですか。
  198. 高島正一

    ○高島政府委員 先ほどもお答え申し上げましたとおり、共同使用の内容ということで米軍と常々打ち合わせばしてございます。したがいまして、三空団が移駐するということになりますと、そのいままでいろいろな打ち合わせをしてきたことを基礎といたしまして、急速にこの詰めをやらなければいかぬというふうな事態に現在あるというふうにわれわれは考えておる次第でございます。
  199. 古寺宏

    ○古寺委員 これは大変な問題でございまして、騒音で申しますと倍増されるのです。しかもこのF1が来年の三月の末までに十八機配属されますと、これはエンジンが二基ついておりますから、これも騒音が倍増されるのです。三沢市民は余り文句を言わないので、こういうような騒音は全部押しつけてしまおうというような考え方が防衛庁当局にあるのではないか、私はそういうふうにしか理解できないわけです。よく、防衛庁には何回も申し入れがあったと思うのですが、三沢市では艦載機の訓練が行われます。これはもう想像を絶する、百二十ホンとか百二十五ホンというような、しかもものすごい金属音で、もうどっちへ飛んでいくかわからないようなもの、そういう夜間訓練に対して中止をするように再三申し入れをしているのですが、これも全然守られない。こういう点については米軍とどういうような折衝をしていらっしゃるのか、今後またこういうような夜間訓練が続くのかどうか、その点をお答え願いたいと思います。
  200. 高島正一

    ○高島政府委員 お答えいたします。  ただいま先生指摘のように、三沢市当局からも、ミッドウェーの艦載機のタッチ・アンド・ゴー及び夜間訓練について、これを是正してほしいという強い要請がございました。  当庁といたしましては、昨年の七月二十日でございますが、三沢市の言い分について米側にただしたわけでございます。その結果につきましては、今年の五月十日付で三沢市長に文書でもってお答え申し上げておりますが、主要な点は、タッチ・アンド・ゴーの訓練をやめてほしいということに対しまして、米側は、タッチ・アンド・ゴーの訓練はパイロットの飛行技術を維持する上においてぜひ必要であるので、これをやめるわけにはいかないという答えでございました。それから、夜間訓練は二十一時から七時までの間行わないということを約束してほしいということを申し入れたわけでございますが、二十二時から七時までに制限する、しかし二十一時ということについては同意いたしかねるということでございます。それから、日曜日の訓練は行わないということを約束してほしいということも強く申し入れました結果、日曜日の訓練はやらないというふうな答えがまいっております。  御指摘のように、大変な騒音でございますので、三沢市当局の言い分はまだ完全に調整ができておらないわけでございます。防衛施設庁といたしましては、今後とも米側に対して、住民の納得を得られない基地の使用ということについては十分考慮してもらわなければ困るということを強く申し入れる所存でございます。
  201. 古寺宏

    ○古寺委員 そこで、一つの方法として、米軍の方は米軍の方で折衝していただきたいのですが、自衛隊の場合、わざわざ三沢へ全国から、沖繩からまで来て訓練をしなくとも、それぞれの近いところで訓練をするような計画をひとつ考えていただきたいと思う。全部この騒音を三沢市に集中するというような行き方は、やはり環境基準を守る上からも好ましくないことだと思う。  そこで、防音工事の問題でございますが、学校の例で申し上げますと東北町の甲地中学校、御存じですね、あるいは清水目小学校あるいは六ケ所村の二又小学校、こういうような最も騒音の被害を受けているけれども山間僻地にある学校は放置されているのです。目につく学校だけはいかにも防衛庁がりっぱな学校をつくってあげましたというように防音工事はやるけれども、山間僻地の学校は放置されているわけです。こういう清水目小学校とか甲地中学校とかあるいは二又小学校のような学校をなぜ放置しておくのか、予算の都合でそういうことをやっているのかどうか、お答え願いたいと思います。
  202. 高島正一

    ○高島政府委員 お答えいたします。  先生指摘のように、山間僻地であるから放置するということはございません。われわれはあくまでも騒音コンターに基づきまして、当該関係の市町村長とよく連携をとりつつ、計画的に実施をしているというふうに確信しております。  いま御指摘の二又小学校につきましてもすでに設計に入っておりますし、恐らく明年度は完成するはずでございます。他の甲地中学校等についても同様であるというふうに考えておる次第でございます。
  203. 古寺宏

    ○古寺委員 どうも現地お話といまの御答弁と食い違いがあるというのは非常に残念なことですが、ひとつもう一度再確認をして、そういうことのないように措置をしていただきたいと思うのです。  次は個人住宅の防音工事の問題でございますが、三沢市の場合は田舎型というのと都会型というのがございますね。一室の場合には、これに対する補助金が都会型は百六十万円、田舎型が百八十万円、それから二室の場合は都会型が三百万円で、田舎型が三百二十万円、こういうふうになっている。ところが現地お話を聞きますと、防音工事がサッシとかあるいは防音壁とか天井とかそういうところに限定されているために、せっかく防音工事をやっても、土台が緩んできたり、あるいは寒暖の差が激しくなりますので、非常に建物が狂ってくるのですね。そのために防音効果が上がらない、こういうようなお話があるのですが、どうですか。
  204. 高島正一

    ○高島政府委員 私どもは、そのような批判を受けているということは承知しておりません。と申しますのは、個人防音の工事につきましては、それぞれ耐用年数あるいは型式の違う各個人のお宅を対象にいたしますと関係上、そのそれぞれのうちに対してどのような防音工事をしたらよいかということを各戸ごとに設計をいたしております。したがいまして、いま先生指摘のように非常に効果が上がらないというふうな指摘を受けたということは承知しておりません。
  205. 古寺宏

    ○古寺委員 承知をしていないということは、知らないんですね。  では、全国で防衛庁関係で一年間に何戸ぐらい防音工事をやっておられますか。
  206. 高島正一

    ○高島政府委員 現在まで防衛施設庁で実施いたしましたのは約八千戸でございます。今年度は約五千戸を予定いたしておるところでございます。
  207. 古寺宏

    ○古寺委員 三沢の場合は、私がこの前調べたのでは、いままでやったのは百七十尺全国八千戸やった中で三沢市は百七十戸ですよ。それで工事をした後が非常に効果がない、しかも価格が高い。サッシの場合で申し上げますと、普通の市価の三倍から四倍するのです。しかも業者と申しますか、その規格と申しますか、製造している会社が指定になっておりますね。何という会社でございますか。
  208. 高島正一

    ○高島政府委員 サッシの指定業者は、いま具体的に名前は記憶ございませんが、たしか四、五社指定しておったと思います。具体的には後でお答えをさせていただきたいと思います。
  209. 古寺宏

    ○古寺委員 その中には、普通市販されている安い価格で販売しているメーカーの製品は入っておらないわけです。したがいまして、現在防音工事に使われているメーカーは特殊なメーカーである、私はこう理解したのです。したがいまして、そのメーカーの住所氏名、それからまた年間どの会社がどのくらい防衛庁の工事にサッシを納入しておられるのか、そしてまたその会社に防衛庁なりあるいは防衛施設庁をおやめになった方が何人ぐらい現在就職していらっしゃるのか、そしてなぜそのメーカーを選ばなければならないのか、それを文書で後ほど提出をしていただきたいと思います。委員長、よろしゅうございますか。
  210. 島本虎三

    島本委員長 施設庁、よろしゅうございますか、文書で提出の件。——はい、よろしゅうございます。
  211. 古寺宏

    ○古寺委員 次に、住宅の中でも、老人あるいは身体障害者、病人、こういう方々のいる場合には、少なくとも二室以上の防音工事が必要でございます。そういうような非常に社会的に弱い立場にある方がいらっしゃるのに、五人以上でなければ二室認めない、あるいは田舎のカヤぶき屋根のような、十室もあるような家でも一室しか認めない、こういうような防音工事では、防音の効果というものは上がらぬわけです。したがって、そういうような病人や身体障害者あるいは老人を抱えている場合には、五人以下の家族であっても当然二室以上は認めるべきであるし、また、先ほども申し上げましたように、老朽化している、どうしても土台を直さなければならないような家屋の場合には、その費用も当然この費用として認めるべきである、補助の対象にすべきであると思いますが、どうでしょうか。
  212. 高島正一

    ○高島政府委員 先生指摘のように、二室が望ましいという声は私ども十分承知しております。しかしながら、冒頭にお答え申し上げましたとおり、環境基準による住宅防音を必要とする戸数は非常に膨大なものでございます。私どもといたしましては、何とかその戸数を、基準に合致するようにいま全力を挙げておるというところでございます。二室につきましては、昭和五十年度から、先生指摘のような基準ですでに実施に着手しておるところでございますが、やはり問題は、全体の住宅防音をいかに基準どおり実施するかということが当面の急務であるというふうに考えておる次第でございます。
  213. 古寺宏

    ○古寺委員 次に、市民会館あるいは乳児院、こういうものが三条なり八条なりの補助の対象になっていないわけでございますが、これはなぜでございましょうか。
  214. 高島正一

    ○高島政府委員 先生御案内のように、環境整備法の第三条は、それぞれ実定法を援用いたしまして施設を特定してございます。現在市民会館あるいは乳児院というのは、乳児院につきましては児童福祉法に規定されておる施設でございますので、何とかこれは三条に持っていけないかということを検討しておるところでございますが、現段階ではこれらの施設を三条に入れるということはきわめて困難な状況にあるというところでございます。
  215. 古寺宏

    ○古寺委員 そのきわめて困難な理由は何でございますか。
  216. 高島正一

    ○高島政府委員 特に市民会館というのは、先ほど申し上げました実定法上、この市民会館というものが特定されておらないというところが困難な理由であるというふうに考えております。
  217. 古寺宏

    ○古寺委員 それはおかしいと思うのですがね、大蔵省、どうでしょうか。
  218. 志賀正典

    ○志賀説明員 お答え申し上げます。  ただいま防衛施設庁から御答弁があったようなことかと私どもも承知しております。
  219. 古寺宏

    ○古寺委員 そうしますと、市民の集会所とかあるいは図書館とか、そういうものを総合している市民会館が対象にならない、そのままでよろしい、こういうふうにお考えになっているわけですか。
  220. 高島正一

    ○高島政府委員 市民会館というふうに特定するのではなく、いわゆる集会の施設、あるいは最近使われておりますいわゆるコミュニティーセンター、そういうふうな施設につきましては、防衛施設庁としては八条でとらえておるわけでございます。そういう形でとらえることが可能であるという観点から、私どもの方としては、いま先生指摘の市民会館について三条に特定するということはきわめて困難だ、しかし、市民会館あるいはコミュニティーセンターということでとらえるということであれば可能であるということで、どこの市町村に対してもそういうふうな御説明をし、御協力を得ておるというところでございます。
  221. 古寺宏

    ○古寺委員 時間がなくなりますので、それは準用して、やはり市民に御迷惑をかけておるわけですから、そういう点に十分に留意して助成をしていただきたいと思うわけです。  次は農耕阻害の問題でございますが、現在は千五百メートルでこれを打ち切っておるわけですね。千五百メートルの地点に立ってみましたところが、むしろその地域外の方が騒音が高い。何を根拠にして千五百メートルを基準にしてそういう補償をしていらっしゃるか。現地の実情に十分合った区域の線引きをすべきだと思うのですが、どうでございますか。
  222. 高島正一

    ○高島政府委員 現在は千五百メートルでなくて二千メートルになっております。いろいろ農耕阻害の実態を年々調査をいたしております。その調査の結果、現在は二千メートルが適当であるということで二千メートルに改正したところでございます。
  223. 古寺宏

    ○古寺委員 それはいつでございますか。
  224. 高島正一

    ○高島政府委員 昭和五十一年度から二千メートルで実施しております。
  225. 古寺宏

    ○古寺委員 三沢市の要望書は五十二年八月二十三日のものですよ。その要望書には千五百メートルを延長してもらいたいという要望が出ておるのです。そうしますと、三沢市だけ除外してあるのですか。
  226. 高島正一

    ○高島政府委員 そのようなことはございません。三沢市に対しても二千メートルでやっておるはずでございます。
  227. 古寺宏

    ○古寺委員 その点につきましては、私の持っている文書が正しいのか、あなたの御答弁が正しいのか、後で照会をして決めたいと思います。  次は庁舎の問題でございます。市町村役場の庁舎でございます。たとえば、三沢市の場合には四億円以上の経費がかかっております。これに対して、いわゆる定額補助と申しますか、約八千万円、またお隣りの上北町の場合は四億に対して三千九百万円、こういうふうに、その年次によっても違いますが、補助の額が非常に限定されておるわけですね。今後、野辺地町ですとか、あるいは東北町ですとか、あるいは大きな問題では八戸市が庁舎の改造というものが迫られておるわけです。これもまた「予算の範囲内」で、すべて「予算の範囲内」でという歯どめがかかっておるのですね。そうしますと、この法律にあるような、「関係住民の生活の安定」とか「福祉の向上」というものは、十分に考えられていないとしかわれわれは判断できない。八戸市の市役所のような場合には二十億近くかかるでしょう。そうしますと、ほんの微々たる補助金しか私はつかないと思う。こういう点について、一つの枠の中で、しかも限られた補助しかないというような行き方では、何年たってもこういう問題は解決できないと思うのです。  そこで一つ最初にお尋ねしておきますが、八戸市とか東北町とか野辺地町、こういう市町村からは恐らく要望が来ていると思いますが、その市町村庁舎の建設については、どういう方向でどのくらいの年数で考えていらっしゃるか承りたいと思います。
  228. 高島正一

    ○高島政府委員 お答えいたします。  八戸市から庁舎の改築防音工事をしてほしいという要望は承っております。その他の御指摘の町村からは具体的には承っておりません。  それから、まず庁舎の補助の問題でございますが、私どもの基本的な考え方は、学校あるいは病院等と違いまして、庁舎は本来、市の行政のセンターとなるべき施設でございますので、これらの施設については毎年積み立てをやっていただきまして、耐用年数が来たならば改築する、こういう基本的な考え方に立っておるというふうに承知しております。しかしながら、騒音によって御迷惑をかけておるわけでございますので、その騒音を防止するという観点からそれに必要な施設に対して補助するという考え方でございますので、学校あるいは病院等のような高率の補助は適用できないということでいままでやってきておるわけでございます。したがいまして、二十億かかるというふうなことに対しては、学校のように二年とか三年でやるという考え方で進めてもらうことはとうていできないというふうに考えておるところでございます。
  229. 古寺宏

    ○古寺委員 それは、この「予算の範囲内」でという歯どめがあるからでございましょう。
  230. 高島正一

    ○高島政府委員 お答えいたします。  この法律上「予算の範囲内」と明定しておりますのは、これはそういうことではございませんで、やはり国家予算の観点から、この環境整備法に明定しております補助金は歳出予算でございますので、当然「予算の範囲内」でやるべきものであるというふうに規定されておるわけでございます。仮にこの規定がないといたしましても、そのような解釈になるというふうにわれわれは考えておるところでございます。
  231. 古寺宏

    ○古寺委員 これは年次別によって違うわけですね。そうしますと、地域の自治体の要望によって改定されてきているわけですね。そういうものに対して今後も鋭意要望におこたえするような方向で進んでいくというお考えはないのですか。
  232. 高島正一

    ○高島政府委員 庁舎に対する補助金は、人口比が主たる要素になっております。したがいまして、人口の動態によって動きますし、年々の物価指数によって補助金の額が変わってくるということでございます。
  233. 古寺宏

    ○古寺委員 まあ物価指数もございます。人口一人当たりの面積とか単価もわかります。しかし、そういういままでの一つの枠組みというものを乗り越えませんと、いつまでたってもちりぼりしかできないわけです。大きな改築、増築ができますというと、他の予算に影響するわけですね。先ほどお話がありましたように、五十八年までに環境基準を達成するためには、あるいは民生安定のためには、やはり防衛庁がそういう問題を前向きに検討していかなければいけないと思うのです。そういう面で私いまお尋ねしているのですが、大蔵省のお考えはどうでしょうか。
  234. 志賀正典

    ○志賀説明員 先ほど来の先生お話、私ずっと拝聴させていただいておりまして、今後とも検討させていただきたいと思うわけでございます。  先ほどもちょっと触れたわけでございますけれども、現在のわが国が置かれております財政事情は、先生つとによく御承知のとおりでございます。そのような中で、先ほど来お話のございます基地周辺対策をいかにして推進していくかという点が問題になるわけでございますが、この点につきましては、各般の事情を勘案することはもとよりでございますし、また他の施策とのバランスということも十分考えながら、今後慎重に検討させていただきたい、かように考えております。
  235. 古寺宏

    ○古寺委員 そこで防衛施設庁にお尋ねしたいのですが、私が昭和四十四年、四十五年当時お願いしておきました下北の東通村の下北弾道試験場の問題でございます。これも、部落が小さいために人が非常に少ないせいもあろうかとは思いますが、道路の問題も県道に昇格をすれば施設庁の方でめんどうを見てくれるというお話がありました。これは林野庁にも折衝して県道に移管をしていただきましたが、まだ全然工事をいたしておりません。また、あそこには日本の三大砂丘と言われるすばらしい砂丘がございます。この砂丘につきましても、一週間のうち何日か弾道試験のない日には開放する、こういう約束をしていながらいまだに開放いたしておりません。弾道試験場をつくるときには、あそこの猿ケ森、田代あるいは小田野沢、こういうところの部落の方々から、今日と時代が違うせいもありますが、将来はめんどうを見てあげるということで漁業権を買い上げたので、この部落の方々は生活の根拠が失われているわけです。そういうものに対してきちっと約束をしたことが今日なお行われていない、これはどういうわけでしょうか。
  236. 高島正一

    ○高島政府委員 お答えいたします。  御指摘の道路でございますが、これは尻労−小田野沢線という県道であろうと思います。この道路につきましてはすでに工事に着手しておりまして、五十一年度まで三千四百万、五十二年度が千五百万、五十三年度が千七百万、五十四年度がさらに千七百万で、全体八千五百万で完了するということで、現在鋭意工事を実施しております。それから猿ケ森の問題でございますが、大沼に養魚施設の補助をいたしております。また、五十一年度に農民研修所も建設しております。したがいまして、先生指摘のように放置しておるということはないと考えております。
  237. 古寺宏

    ○古寺委員 道路の問題も、一部分はやっておりますが、まだまだ簡単に完成はできないと思いますし、砂丘の問題あるいは内水面漁業の問題、いっぱいございます。そういう問題について、もう何年もたっておるし、大した金額でもないと思いますので、せっかく協力をし、なおかつ騒音によって迷惑を受けている方々に対しては、早い機会にきちっとした対処をしていただきたいということを申し上げたいのです。  次は従業員宿舎の問題でございますが、現在、三沢市には従業員宿舎が四カ所にあるわけでございますけれども、岡三沢プレハブというのがございますね。これは第六従業員宿舎というところでございますが、三沢市の大火で火災に遭った際に、プレハブでつくったところで、これはもうおんぼろになって非常に衛生上も好ましくないし、また危険な状態でございます。それからもう一つは、C官舎でございますか、これも非常に危険になっているわけでございます。この宿舎について、基地の従業員から何とか払い下げをしていただきたい、こういうようなお話が過去八年ぐらいですか、続いているわけでございますが、この問題について防衛施設庁はどういうふうにお考えになっているか、承りたいと思います。
  238. 古賀速雄

    ○古賀政府委員 お答え申し上げます。  先生御承知のとおり、三沢飛行場には現在、駐留軍従業員が八百余人働いております。その宿舎が三沢市内に四カ所ございまして、現在百七十五世帯になっております。その四カ所のうち、先生指摘のような岡三沢とかそれから第四宿舎、C地区でございますが、岡三沢は戦後プレハブでできた臨時的な宿舎のようでございますし、それからほかの宿舎はいずれも旧海軍時代の士官、下士官、工員等の宿舎を引き続いて使用しておるわけでございまして、木造でございまして、大変老朽化がはなはだしいわけでございます。加えて、人員整理が引き続いてございましたので、中に空き家等もできておりまして、このままでは宿舎管理上大変問題が多いということで、私どもとしてはこれを集約をして、整理して、二年くらいかかりますけれども、二カ年くらいの計画でこれを二カ所に集めたい、こういうふうに思っておるわけでございます。  一方、この払い下げ問題につきまして、先生御承知のように四十四年からそういう声が大変高くなっておるわけでございますけれども、私どもといたしましては、いま申し上げました用途で現在行政財産としてお預かりをしている立場でございますので、これを個人に払い下げるというようなことはとうてい権限もございませんし、居抜きのまま個人に払い下げるというようなことは不可能であるというようにいつもお答えを申し上げておる次第でございますが、いずれにしましても、現在は、これを集約整理して二カ所に集めるという方針でやっておるわけでございます。
  239. 古寺宏

    ○古寺委員 そうしますと、集約整理して、第四従業員宿舎と第六従業員宿舎の土地があきますね、空き地になりますね。そうしますと、これは大蔵省に用途廃止をしてお返しをする予定ですか。
  240. 古賀速雄

    ○古賀政府委員 先ほどお答え申し上げましたように、これからそういう計画を立てて二年間の計画でやるわけでございますので、若干時日がかかりますけれども、これがきれいになりましたところで用途廃止をして大蔵省に普通財産として引き継ぐようなことになると思います。
  241. 古寺宏

    ○古寺委員 そういうふうに普通財産として大蔵省に移管した場合に、これはいままでおった従業員に払い下げをするということは可能でございましょうか、大蔵省。
  242. 野村寛

    ○野村説明員 お答えいたします。  現在までに住んでおられます従業員の方に直接払い下げますことは、現在の法律のたてまえ上からはできないことになっております。
  243. 古寺宏

    ○古寺委員 そうしますと、基地の従業員は現在もなおこの払い下げをしてくれという運動をしているわけです。そこで、先ほどから三沢市の問題を申し上げているわけでございますが、三空団が移駐する、あるいは自衛隊があそこにいる関係上、学童が非常にふえまして、自衛隊家族の小学校児童というのは五百名を超えているわけです。将来この増築をする場合に適当な土地がないのです。ですから、こういうような従業員の方々や市民の立場考えて、普通財産に移管した後に、そういう何か公共のお役に立つような考え方で、三沢市なりあるいは県なりに払い下げをするということは可能でございましょうか。
  244. 野村寛

    ○野村説明員 お答えいたします。  地方公共団体に対しまして学校用地として払い下げますことは、現在の法律上、十分可能でございます。
  245. 古寺宏

    ○古寺委員 いま大蔵省から御答弁があったように、そういうことが可能なんですから、そういう線でひとつ防衛施設庁の方は三沢市と十二分に話し合いをなさって、もちろん県も必要でございましょうが、お話し合いをして、もしそれでよろしいというならば、できる限り早い機会にそういう方向で、この問題を解決すべきではないか、私はそう考えるのですが、いかがですか。
  246. 古賀速雄

    ○古賀政府委員 この問題は大変長い経過を踏まえておりまして、解決に大変暇がかかっておるわけでございますけれども、いま申し上げましたような方向でもし解決策が立てられるとすれば、私どもとしても、地元、県、市それから財務局等とも十分打ち合わせをしたいと思っておる次第でございます。
  247. 古寺宏

    ○古寺委員 次に、運輸省航空局にお尋ねしますが、三沢空港の民間機の羽田−三沢間は現在二往復でございますが、この増便について地元からの要請があろうかと思いますが、どういうふうになりますか。
  248. 増田信雄

    ○増田説明員 三沢空港における増便の問題につきましては、地元の青森県それから三沢市から強い要請が出ております。私どもといたしましても、現在の需要から見まして増便の時期にかかってきていると判断いたしております。そこで、そういうような事情を踏まえましてこれから関係機関と調整を図っていきたいと考えておるところでございます。
  249. 古寺宏

    ○古寺委員 そこで、防衛庁にお尋ねしますが、三空団が移駐した場合に増便は可能であるかどうか、お伺いしたいと思います。
  250. 高島正一

    ○高島政府委員 三沢の飛行場は御案内のように現在民航も共同使用しておりますし、ただいま運輸省当局からお話がございましたように、地元の要望も非常に強いということでございます。私どもといたしましても、できるだけ運輸省とも御相談を申し上げ、地元意向をくみながら実現できるよう努力したいというふうに考えておるところでございます。
  251. 古寺宏

    ○古寺委員 これと関連いたしまして青森空港でございますが、現在ジェット機の就航がまだできないわけですが、この空港についての今後の拡張計画、あるいは運輸省のお考えを承りたいと思います。
  252. 増田信雄

    ○増田説明員 青森空港のジェット化の計画は現在の空港整備五カ年計画の中には入っておりません。ただ、私どもは、青森県の内部で高速交通体系の中における空港の位置づけを御検討中と聞いております。そこで、その結果を踏まえまして青森県から現在の空港の改良ないしはジェット空港の新設というような要請が出てまいりましたら、その時点において検討いたしたい、こういうふうに考えております。
  253. 古寺宏

    ○古寺委員 昨年の十月にイギリスのBACというジェット機がここでテスト飛行を行っていますね。これは目的は何ですか。
  254. 増田信雄

    ○増田説明員 私、担当でございませんので、その目的についてただいま資料を準備いたしておりません。
  255. 古寺宏

    ○古寺委員 では、何のためにテスト飛行を行ったのか、また、その試験の結果はどうであったのか、後で文書で御提出を願いたいと思います。
  256. 島本虎三

    島本委員長 よろしゅうございますか。
  257. 増田信雄

    ○増田説明員 承知いたしました。
  258. 古寺宏

    ○古寺委員 そこで、私が運輸省に申し上げたいのは、空港には第一種、第二種、第三種とございます。現在青森空港は第三種ですね。第二種と第三種の違いはどこで区別するのですか。
  259. 増田信雄

    ○増田説明員 お答えいたします。  空港整備法では、国内の空港を第一種から第三種まで格づけをいたしております。第一種は国際線のための空港でございます。第二種空港は国内の主要路線のための空港でございまして、第三種は地方的な需要に対応する空港というような分類にいたしております。
  260. 古寺宏

    ○古寺委員 これを決めたのはいつからいつでございますか。
  261. 増田信雄

    ○増田説明員 空港整備法が制定されましたのはたしか昭和三十一年だったと思います。それ以後、申請によりまして順次指定をいたしております。
  262. 古寺宏

    ○古寺委員 昭和三十一年以降、大体どのくらいの期間でございますか。
  263. 増田信雄

    ○増田説明員 本年も第三種空港の指定をいたしておりますので、それ以来順次設置の許可申請がある時点ということでございます。
  264. 古寺宏

    ○古寺委員 第二種はどことどこですか。
  265. 増田信雄

    ○増田説明員 全部で二十ございますので、全部を申し上げるのは大変時間がかかりますが、北海道で申し上げますならば稚内、釧路というところが第二種になっております。東北地方では現在は仙台が一空港でございます。西の方に参りますと、九州地方は主として本土内は第二種空港が多うございます。
  266. 古寺宏

    ○古寺委員 第二種というのは大半がそうだと思うのですが、いわゆる占領当時の米軍が移管した際に、地方自治体には十分な財政力がないためにこれは第二種という格づけをして今日に至っているというのが大部分であるように承っておりますが、すでに相当の期間が経過しまして、各空港の需要あるいは航空機の数等も変わっているわけでございますので、実態に合った見直しが必要ではないかと思うのですが、いかがですか。
  267. 増田信雄

    ○増田説明員 先生指摘のとおり、各地の空港の設置管理者から、三種空港から二種空港への格上げの問題が提起されております。そこで航空局といたしましても、必ずしも現状が実態に合っていないということから、空港の管理制度の抜本的対策というものを考えておりまして、ただいま航空審議会に諮問中でございます。その結論を待ちまして、空港制度の種別のあり方というものを改善していきたいと考えております。
  268. 古寺宏

    ○古寺委員 最後に。こういう三沢基地のような場合には特殊事情がございまして、非常に財政的な負担が多いわけです。いろいろ庁舎をつくるにしても防音の庁舎をつくらなければならない。また学校にしても住宅にしても、すべてそういうような負担がかかるわけでございますが、こういう面について基地交付金増額の要望が毎年のようになされているわけでございます。特にこの内容を見ますと、いわゆる米軍の施設等に関する市町村税が非課税になっているという問題、あるいは所在地は基地の施設に大部分の面積を占められているにもかかわらず固定資産税が入らない、こういう問題があるわけでございますが、自治省はこの対象資産の拡大ということについてどういうふうに考えていらっしゃるか、承りたいと思います。
  269. 吉住俊彦

    ○吉住説明員 お答え申し上げます。  ただいま御指摘いただきましたように、対象資産を拡大せよという要望は数多くの市町村から承っております。それで、今年度の予算要求におきましても対象資産の拡大を含めて基地交付金あるいは調整交付金の拡大について努力をしてまいりたい、かように存じております。
  270. 古寺宏

    ○古寺委員 限られた時間の中で一つの三沢基地の問題を中心にして基地の騒音公害の問題を取り上げてまいりましたが、いろいろなこういう問題を抱えているわけでございまして、一省庁だけではこれらの問題は解決できないと思います。したがって、民間空港よりもさらに大きな騒音問題を抱えている基地の騒音問題については、政府が前向きにその環境基準の達成に向かって努力をしていただかなければならないわけでございますので、その点について環境庁長官から、大臣としての今後の御決意を承って質問を終わりたいと思います。
  271. 石原慎太郎

    石原国務大臣 先ほど来の質問、また政府委員答弁を聞いておりまして、いろいろ啓発されるところが大変ございました。それを参考にいたしまして、環境庁といたしましても基地の環境問題に関係のございます省庁と緊密に連絡をとって、こういった問題をできるだけ早く積極的に解決するように努力する所存でございます。
  272. 島本虎三

    島本委員長 古寺宏君の質問は終わりました。  次は、東中光雄君。
  273. 東中光雄

    ○東中委員 第三次全国総合開発計画がこの四日に閣議で決定されました。果たしてこれで国民本位のつり合いのとれた、そして公害のない経済の発展、国土の開発が行われるかどうか、大きな疑問を持たざるを得ません。新全総の中心構想をほとんどそのままに受け継いだ苫小牧東部、あるいはむつ小川原、あるいは志布志などの大規模開発の推進は公害の再生産であるだけではありません。引き続く深刻な不況の中で、たとえば石油化学では昭和五十年は年間五百十一万トンの生産能力に対して、生産は三百四十万トン、稼働率は実に六六%まで落ち込んでおります。ところがむつ小川原の一期計画で石油化学、年間八十万トンをつくるということになっております。一体こんな計画が本当にできるかどうかという点で疑問がありますが、この点を見ただけでも、政府の重化学工業優先、大企業優先の開発政策が全く変わっていないということを示しておると思います。  さらに、新全総の継続である新幹線七千キロ建設計画、また新全総を上回る高速道路一万キロ計画。政府が三全総の目玉としている定住構想でも、地方自治体が現在抱えている問題には何にも触れておりません。生活環境整備をうたいながら、今後十年間の公共投資総額二百四十兆円の配分についても、地方定住促進のための基盤整備に重点を置くというだけであって、全く具体性がありません。  このように少し見ただけでも、経済の面でもあるいは地方自治の面でも、また環境保全の面でも非常に問題がたくさんありますし、非常に大きな問題があります。  私は、きょうは公害環境の面からこの三全総について長官の御意見を伺いたいと思うのですが、まず初めに、昭和三十七年の旧全総、昭和四十四年の新全総、いずれもほんの数年を経ずしてその破綻が明らかになって、次から次へと新しくされてきたわけでありますが、こうした旧全総、新全総を通じてどういう点が問題になったのか、特に環境の面から見まして長官の御認識をお伺いしたい、こう思うわけであります。
  274. 石原慎太郎

    石原国務大臣 時代が非常に刻一刻と変わりまして、それに見合った国土計画というものが旧全総、新全総、三全総という形でつくられてきたと思います。それなりの時代の変化というものに合わせた進歩といいましょうか、努力が見られると思いますが、いまの御質問は旧計画と申しましょうか、案に関することでございまして、それはむしろ国土庁側の方から答えていただいた方が正確だと思いますので、政府委員と交代したします。
  275. 東中光雄

    ○東中委員 環境問題の角度から見てどういうふうにお考えになっておるか。旧全総、新全総、そして三全総に引き継がれたこの全体の流れの中で、いま長官言われたように、時代が変わったとか情勢が推移したというだけではなくて、環境問題、環境保全というふうな観点から見てどのように認識されておるのかお聞きしたい。
  276. 石原慎太郎

    石原国務大臣 旧全総では都市の過大化の防止、それから地域格差の是正が重要かつ緊迫した地域的な課題としてクローズアップされているということで、人口と産業の効果的な分散を図るということを大眼目にしてつくられたと思います。その中で特に都市の過大化の防止が解決されれば、都市の住民あるいはその周辺の住んでいらっしゃる方々生活環境上の問題が相当程度解決されたと思いますが、実際には、結果は残念ながら逆で、三十年度後半から非常に過密過疎問題というものが日本全体に濃くなってまいりました。そういうことで、新全総というものがそういう反省を含めてつくられたと思います。  新全総においては、国土利用というものを再編成し、国土を有効に開発利用するということで大規模開発プロジェクト方式というものが採用され、新幹線を含めた交通ネットワークの形成あるいは大規模産業開発プロジェクトの実施、そして、加えて環境保全のためのプロジェクトの三つの趣旨というものが盛り込まれたと思いますが、結果としては、やはり交通のネットワークそれから産業開発のプロジェクトだけがどうも偏重され脚光を浴びまして、環境保全のプロジェクトがやや等閑視されたということは否めないと思います。そういう観点に立ちまして今回の三全総がつくられたと私は理解しております。
  277. 東中光雄

    ○東中委員 旧全総はいわゆる拠点開発方式で、いま長官も言われましたが、新産都市や工業整備特別地域、こういったものを中心にした開発を進められた。目的としたのが過密、過疎の解消であったわけでありますけれども、逆に過密の弊害が一層深刻になった。それにかわった新全総は、今度は開発可能性を日本列島全域に拡大するということで新幹線、高速道路、いわゆる交通ネットワークが出されたわけですけれども、この大型プロジェクト、これもまた過密、過疎を一層激化さしただけではなくて、こういう開発方式が行き詰まったというのは、重大な公害環境問題が引き起こされてきてそして行き詰まった、少なくとも公害環境問題が重要な一つの行き詰まりの問題点であったというふうに思うのでありますが、これは国土庁にも伺いたいし、同時に長官のお考えもお聞きしたい、こう思います。
  278. 星野進保

    ○星野説明員 御説明申し上げます。  いま長官から御説明がありましたように、第一次全総、それから第二全総、第三全総に至る経緯はおおむねそのとおりだと思います。  若干補足させていただきますと、御指摘のように開発計画一つの目標というのは所得格差の是正ということと、同時に極力国土利用を均衡化させていくというのが基本的目標だろうということで、第一次全総も拠点開発ということで、当時東京、大阪に集まっていました諸活動を周辺に分散していくという発想であったことには変わりないと思うのであります。  それから、新全総におきましてさらに遠隔地に工業基地等を立地していくという発想もそういうことでありましたが、これは先生指摘のとおり、実は当時、第一次全総ではちょうど所得倍増計画を受けまして、それの、ある意味で国土利用のための計画ということでございましたことから、たとえば成長率で言いますと、おおむね十年間倍増というふうに考えておったわけでありますが、それが、これも先生御承知のとおり三倍の成長をしたというようなことで、東京だとか瀬戸内海その他についてより過密な状況が発生してきたということが実態だろうと思うのであります。それで新全総におきまして遠隔地立地を目途といたしたわけでありますが、その結果といたしまして、既成工業地帯、それから新しい工業基地、そこのところで環境問題、いわゆる公害を含めた環境問題というのが発生してまいったわけでありまして、それに対処するということは非常に重要な問題になって、それが今度第三次全国総合開発計画でありますが、その三全総を策定する非常に重要な要素になったということは御指摘のとおりでございます。
  279. 石原慎太郎

    石原国務大臣 基本的な認識としては、いま東中委員がおっしゃられたようなことだと思います。
  280. 東中光雄

    ○東中委員 昭和四十七年の十月二十四日の国土総合開発審議会の「新全国総合開発計画の総点検について」というのを見ますと、その冒頭に、「新全国総合開発計画を策定して約三年を経過したが、その後の経済社会の諸情勢の変化、とくに公害など広範な環境問題の深刻化、巨大都市の過密化の進行等にかんがみ、地域開発政策の推進については、総合的な政策の展開との斉合性をはかるとともに、環境問題の側面から新全国総合開発計画の総点検を行なう必要がある。」これが四十七年であります。  それから、新全総がつくられた過程、そういう中で、例の公害対策基本法の経済との調和原理が削られる前の状態の中で、これは四十五年に削られたわけですから、新全総ができたときは、まだ調和条項があった段階ですね。そういう状態でこういった計画ができて、ほんの数年で総点検をしなければいかぬ、環境問題を中心にしなければいかぬということになっておるわけです。これは環境庁としても十分お考えになっていることだと思うのですけれども長官公害、環境問題というのは、こうした経済開発計画、発展計画を見直し、それから計画をやりかえる中心課題になっているのだということは当然御認識されたと思いますが、どうでしょう。
  281. 石原慎太郎

    石原国務大臣 よく認識しております。ただし、念のために申し上げますけれども、中心にして国土開発計画というものを考えるということ、環境問題を中心にして考え直すということは、その言葉のとおりでありまして、私も異存ございませんし、そう認識しておりますが、ただ、これは環境問題というものがすべてに絶対優先するということではないと私は思います。
  282. 東中光雄

    ○東中委員 公害、環境問題が、旧全総、新全総等開発計画を進めていく上で重大化してきた、この事実はそのとおりだ。それを逆に言いますと、旧全総の拠点開発や新全総の交通ネットワーク大規模開発、こういった開発が中心になって、国民の健康あるいは環境保全というものよりも実際は開発の方が優先させられた、その結果、環境問題が非常に重大な問題になってきた、こういうことではないでしょうか。この点は長官、どうでしょうか。
  283. 石原慎太郎

    石原国務大臣 そのとおりだと思います。
  284. 東中光雄

    ○東中委員 開発が優先させられた。なぜ優先させられたかと言えば、そのときの、十年前の公害対策基本法の調和原理がその一番根拠になっておる。それじゃいかぬということで、この前のいわゆる公害国会でその条項が削られたのではないですか。削られた時期は昭和四十五年であります。
  285. 石原慎太郎

    石原国務大臣 でございますから、その経済生活環境のバランス、兼ね合いというものが、調和という形であらわれておれば、調和条項を削る必要はなかったと思うのです。しかし結果として、これは行政の責任もいろいろあると思いますけれども開発というものが環境問題に比べて非常に偏った形で優先されたという事実になってあらわれてきたわけでございまして、結局不調和という形になってあらわれてきたというふうに私は認識しております。
  286. 東中光雄

    ○東中委員 では、質問の仕方を変えますけれども開発あるいは経済の発展のために、その開発主体、あるいは経済団体、あるいは経済主体といいますか、そうでない国民の健康が侵されてもいいということにはならない、健康の方が開発より優先する、この原則は、長官、異論はないでしょうね。
  287. 石原慎太郎

    石原国務大臣 それは当然でございます。公害に二つの項目がございまして、健康項目に関しては、健康問題がすべてに優先するということは論をまたないと私は思います。ただし、生活環境においては、一種の相互主義という形で、調和という言葉はなくなりましたけれども調和というものを考えていく行政が最も好ましいと私は思っているわけです。
  288. 東中光雄

    ○東中委員 それは、調和条項が削られる前から健康の方が優先するということになっておったわけですから。調和条項が入っておったのは、環境保全ということについてと、条文ははっきり分けてあるわけですから。  ところで、環境問題あるいは公害が問題になるのは、国民の健康あるいは生命というものに悪い影響を与える、あるいはそういうものを損なうような開発あるいは経済活動というものを規制していく、極限において言えば、そういう国民の健康を破壊するような、あるいは損なうような経済活動はやめなければいけないし、やめない場合は、その企業は企業自体をやめなければいけないというふうな立場に立つ、そういう原理が作用するということ、これは長官は異論がないわけですね。
  289. 石原慎太郎

    石原国務大臣 それは全くそのとおりでございます。人間あっての社会でして、その人間を棄損してまで、いかに社会工学的に重要な問題であろうと、経済があり得るということはないと私は思います。
  290. 東中光雄

    ○東中委員 そうすると、今度は、環境の保全という問題について言えば、環境の保全というのは、いまある状態を保存していくというだけではないと思うのです。国民の健康なり生命なり、そういうものを維持していく上での自然環境の保全という問題だと思うのですが、それと離れたようなものはあり得るのですか。その点はいかがお考えですか。
  291. 石原慎太郎

    石原国務大臣 生活環境ということになりますと、健康というものを直接規制する環境とはまた違ったいろいろな要件ができてくると思います。この間からもしぱしばその例に出しましたけれども、たとえば汚水の終末処理をするための埋め立て等々は、ある意味で、これまた文化生活だけではなしに、健康な生活を保障するための一つの手だてでございまして、そういった意味では、生活環境の中には、もちろん自然というものもあるでしょうけれども、同時にそれをある形で手を加えて何らかの形の造成をする、造形をするということで、むしろ保障といいましょうか、獲得される健康に間接につながる、そういう要素もあると私は思うわけです。
  292. 東中光雄

    ○東中委員 ちょっと角度を変えてお聞きしますが、いま問題になっている魔女狩り発言の問題ですが、魔女狩りという言葉自体は取り消されましたけれども、同時に調和条項を削ったことが不思議だというお言葉はまだ依然として維持されておるわけでありますが、経済との調和条項が削られたのは誤解を避けるためだということ、しかも、それは情念的にとか、感情的にとかいう言葉もあるわけですけれども誤解を避けるためということで削って、そのことがかえってまた新たな誤解を生んでいると言われておるわけですが、誤解を避けるためというのは何をどう言われているのか、私はまだよくわからないわけですが、長官はどういうふうにおっしゃっているのですか。
  293. 石原慎太郎

    石原国務大臣 佐藤総理のあのときの答弁の中に、無用な誤解を避けるためにもという言葉がございます。それは調和という言葉を残しておくことで、それまで確かにそれが隠れみのに使われてきたということは私も事実としてあったと思います。これはやはり行政の姿勢の問題でございまして、行政というものがそういう問題に対して正確な判断をすれば無用な誤解というものは阻止できたと私は思うのです。  話は飛躍するようですけれども、この間も申し上げたと思いますが、結果、あのとき、四十五年に調和条項を取り除きましたけれども、野党の方々はあれに反対されました。それは、環境優先の原則を放棄したということで反対をされたと聞いております。私は、野党が反対されたということそのものは、結局その調和条項というものを外しはしましたけれども、政府・与党が考えておりました、OECDが言っておる経済との相互主義というものは、調和という言葉を取りばしても結局残っておりますし、いまなお、それは公害基本法の中に見えざる一つの趣旨としてあると思うのです。調和というものを取りっ放しにしてしまったために無用な誤解経済を優先するんだという誤解は確かに生じなくなったかもしれませんけれども、たびたび申しておりますように、これは筋違いの苦情でもありますけれども、産業界から、調和条項を取ったために健康被害補償制度が非常に厳しくなったとか、あるいは調和条項を取ったことがすべての開発と称されるものは好ましくないのだというふうな論を引き出している根拠になっている、これは新しい一つ誤解であるという意味で申したわけでございます。
  294. 東中光雄

    ○東中委員 それは誤解でも何でもないのでありまして、調和条項があれば開発優先になるというふうに国民が誤解をしたのではなくて、調和条項がある中で現実に産業優先の旧全総、新全総というものがやられて、実際、開発優先になっておって、それで環境問題が非常に深刻な問題になってきた。そういう事実の中で調和条項を外すべきだ、それはむしろ環境というものを保全することを優先させるという立場に立たなければ、それをそのまま置いておいたのでは、現に旧全総、新全総と進めてきたこういう事態が続くじゃないかというふうに私たちは考えておるわけです。  十年前に初めてこの基本法ができて調和条項が載ったときに、わが党は反対をしました。わが党だけでありましたけれども、これは結果において産業優先になる——現に、それから旧全総が進められ、新全総ができて、やはりひどい状態が起こったわけです。だから、今度は、調和条項を削るということについては、全会一致で削ったわけであります。だから、私は、これは誤解でも何でもないので、現実にそうなっているからこういう条項は削りなさいということを言っているわけであります。と同時に、環境が十分保全されながら経済も発展するということであれば、これはだれも異論を言っているわけじゃないわけです。経済の発展をやめてしまえなんというようなことを言っているのはどこにもおらぬわけですし、開発なんかどうでもいいというようなことを言っているのはどこにもおらぬです。私たちもそんなことは言ったことがないし、そういうことを言っておるのは、いま産業界で誤解が生じておるということを長官が言われましたけれども、そうじゃなくて、意識的にそういうことを言って攻撃をかけてきているわけなんです。それは決して誤解でも何でもない、新たな誤解じゃなくて、公害をなくするということについての運動を抑える、開発優先にしていくということを意識的に意図している人たち、あるいはそういう産業界、特に大企業、財界の方からはそういう攻撃がかけられておるということなのであります。長官がその立場に立って物を言われておるから、これは公害環境行政の根本にかかわる問題で、いまその姿勢が問われるということになっていると思うのですが、どうも誤解と言われるのは、われわれが誤解しているのじゃなくて、正解をして主張をしておるのでありますし、それから、いま新たな誤解と言われておるのは、誤解ではなくて、新たな公害運動に反対するキャンペーンがやられているのだというように私は思うのですが、長官、いかがでしょう。
  295. 石原慎太郎

    石原国務大臣 どうもいささか言葉の問題になってきたような気がしますけれども、私が産業界云々と申しました例も、公害に二つありますその健康項目生活環境というものをごちゃごちゃにした産業界の誤解に基づいた苦情だという意味で申し上げたので、それは健康の被害というものが出てくれば、当然それによって補償制度というものはPPP原則で強まるのはあたりまえのことでございまして、この点について私は産業界の苦情をバックアップするつもりは全然ございません。  先ほどの問題に戻りますけれども、私、否まれるべきものはこの調和という言葉じゃなしに、行政の結果としてもたらされたいわば不調和だと思うのです。つまり、経済の極端な優先という形であらわれてきた結果だと思うのです。  私は、調和という言葉は削られましたけれども、今日のこの時点になってみますと、環境行政というものは、やはり生活環境に関する公害問題に関しては、とにかく社会的側面経済的側面を無視して進めることのできないような意味合いを持ってきている、そういう意味で、いまの時点で行政を預かる人間として、過去には異常がありましたことはよく存じておりますけれども、しかし、もし調和という言葉が生きていたならば、そこで私たちはもっと冷静にその言葉というものの意味を現時点で判断して有効に使えたのではないかということで申したわけでございます。  私は、お断わりしておきますけれども、ここでことさら申すこともないかもしれませんが、列島改造論、高度成長には疑問を持ち反対をしてきた人間です。今度の三全総の問題も、これについてはこれから具体的に施行の段階でいろいろ討論もまた重ねられてくると思いますけれども、ともしますと、経済がいま非常に不況になりまして、この不況から脱出するために、公共事業も大変結構でしょうけれども、とにかく公共事業の種類にもよりますが、そういう論がはっきり政府の中にある、あるいは論調の中にあるとは私は言いませんけれども、もう一歩進むと、つまり、この不況をとにかくはい上がって脱出するためには環境問題がむしろ後回しにされてもいいのではないかと言われ出しかねない一つの趨勢があるということを私自身感じるわけです。ですから、そういうときこそ、やはり相互主義というものをもう一回いまの立場考え直して、以前ありましたそういう過ちを犯さぬようにということを配慮しなければいけないと思いますし、その限りで私たちは調和という言葉を、削除はされましたけれども、この時点でもう一回かみ直して、冷静な取捨選択をする必要があるのではないかと思っております。
  296. 東中光雄

    ○東中委員 たとえば、産業界の方から健康についても調和条項の適用があるような趣旨のことを言って、そういう誤解に基づく発言がある、それにはくみしない、こう言われたのですけれども、決して産業界はそういうことを誤解しているのじゃないのですよ。誤解してなくて、そしてそれに対して積極的なあるいは社会的な反公害公害運動に反対する、あるいは補償に対してチェックをしていくというふうな攻撃がかけられているのだ。そんなものを産業界や経団連が誤解をして物を言っているということはあり得ぬわけですよ。だから、環境庁長官としてはそういうものは間違いだとむしろはっきりと対社会的にも言い、基本法の精神をはっきりと打ち出していくということでなければいけないのに、それが誤解であるかのように、新たな誤解が生まれておるなんというようなことを言われて、調和条項がまた戻ってくればいいような印象を与える発言をされておるのは、これは、客観的には結局それらの人にくみしていくことになってしまう。いまくみしているものではないとおっしゃったのだけれども、しかし実際には、政治的には、あるいは客観的にはくみしていることになっているので、その点を特に指摘をしておきたいと思います。  それで、もとへ戻りますが、旧全総あるいは新全総ともに公害、環境問題が大きな問題になり、そして策定されると間もなく数年の間でとんざし、見直しをされる、やり直しをしなければいかぬ、こういうようになってきたのですが、そういう経過から見て、今回三全総が策定されるについて、従来の経緯に照らしてあるいは環境問題でどのようにこの三全総に反映をさせておられるのか。国土総合開発法の策七条第一項で、当然環境庁長官は三全総作成について意見を述べられておるはずですが、どのような意見を述べられ、どのようにそれが反映しておるのか、お伺いしたいと思います。
  297. 石原慎太郎

    石原国務大臣 環境庁はさきに環境保全長期計画というものをつくりました。これが三全総の中に反映されますように、具体的に国土庁と交渉いたしました結果、その趣旨が反映されたと思いますが、具体的な交渉経過につきましては、政府委員の方から答弁させていただきます。
  298. 信澤清

    信澤政府委員 先ほど来先生お話にございますように、今回三全総をつくりました一つの契機は、環境保全問題でございます。したがいまして、私どもは、いま大臣が申し上げましたような、私どもの手元でつくっております環境保全長期計画というものがございますが、その内容をより具体的にこの新しい計画の中に反映させたいということでいろいろと関係当局に御意見を申し上げたわけでございます。  その結果、たとえば「計画の基本的目標」というところでは、省略して申し上げますが、いろいろ今後計画を立てる場合に、「公害の防止及び自然環境の保全について適切な考慮を払い、各種の施策の実施は、」「環境保全観点から受容可能な範囲内において行われる必要がある。」と、まず冒頭、「計画の基本的目標」のところで環境保全のことをうたっております。なお、計画の性格等につきましても、たとえば「計画の限界」については、一つの限界として、「計画に提示される個別事業計画については、あらかじめすべて実施の条件を整えることは不可能であり、その具体化に当たっては、住民意向を反映しつつ、計画調査や環境影響評価の結果を踏まえて総合的判断を行わなければならない。」あと、計画の実施等につきましてもほぼ同様な趣旨のことをそれぞれの項目についてうたっておるわけでございます。  なお、先生御案内かと思いますが、この計画を最終的に御答申いただきました国総審の際にも留意事項というのが付されてございます。この第二番目に「大規模開発事業等を実施するに当たり、住民意志の反映、環境影響の評価、環境容量に応じた総量規制などの方式を充実強化すること。」こういう留意事項がついているわけでございます。したがいまして、国土の総合開発につきましては土地利用その他の観点からいろいろなアプローチの方法があると思いますが、私は、全体的に見て、今回の計画では、私どもが従来から申しております環境保全の見地からの配慮が相当程度行われておる、このように考えております。
  299. 東中光雄

    ○東中委員 付帯意見をつけなければいかぬようなそういう状態で三全総がつくられておる、私たちの方から言えば、そうも言えるわけです。  まず第一に申し上げたいのは、新全総で打ち出された全国交通ネットワーク、この大プロジェクトですね、これはそのまま三全総で引き継がれておるわけですね。たとえば新幹線計画あるいは高速道路計画については新全総を上回る、先ほど申し上げたとおりであります。これでは、近年特に激化しておるいわゆる交通公害あるいは道路公害、モータリゼーションが一層進むわけですから、環境保全あるいは健康公害防止というふうな観点から、そういう計画自体についてどういうふうに処置されておるのか。新全総で行き詰まった、そして高速道路なんか大分おくれた分もある、それをまた三全総で出しているわけですから、これは一体どういうことなのか。これじゃ公害、環境問題が一層激化していくと言わざるを得ぬわけですけれども、その点は、まあアセスメントのことは後で聞きますから、この点はいかがなんでしょうか。
  300. 信澤清

    信澤政府委員 第一次の総合開発計画が始まったというのは、先ほど先生お話にもあったように、人口の集中化を排除し、分散化を図ろうとして、結果的にはそれがうまくいかなかったということでございますし、それから新全総におきましても、交通システム等、大規模工業基地方式でやろうとして、そして失敗したといいますか、うまくいかなかった、こういうことでございます。したがって、今回の計画では、私ども理解いたしております範囲におきましては、いわば上からその計画を与えると申しますか決めているのじゃなくて、一応のデッサンはいたしておりますけれども、しかし、その具体化に当たっては常に住民意向を反映しつつということを中心眼目に置いておるわけでございます。私どもは、どうもそこのところに一つの今回の計画の新しい性格と申しますか、特徴があるというふうに考えているわけでございます。
  301. 東中光雄

    ○東中委員 言葉ではいろんなことが書いてあるのは私もよく知っております。先ほど局長も言われましたが、第一に「居住環境の総合的整備」、それから第二に「国土の保全と利用」、この「計画の基本的目標」は、「地域特性を生かしつつ、歴史的、伝統的文化に根ざし、人間と自然との調和のとれた安定感のある健康で文化的な人間居住の総合的環境を計画的に整備することである。」と、言葉は非常によしということであります。しかし、こういう作文というのは作文になってしまうのじゃないか。というのは、新全総のときも同じようなことを言っているわけですね。「長期にわたって人間と自然との調和を図り、」ここで調和があるのです。「また、将来都市化の進展に伴っていっそう深刻化すると考えられる国民の自然への渇望に応ずるために、自然を恒久的に保護保存すること。」こう書いてあるのです。それはそう書いてあるだけで、そうしてできた新全総も、もう三年たったらすぐに総点検をやって、いま行き詰まってきてやり直さなければいけない、こうなっているわけですから、結局、具体的なプロジェクト自体についても、環境庁としての意見が当然あるべきだし、そういう角度からの計画についての意見を出していくということが、あの国総法の七条で言っている趣旨だろうと思うのです。ただ、作文なり言葉なりを入れるだけではどうにもならぬじゃないか。それで、アセスメントの問題は住民意見を聞いてということ、これもいろいろなところに出てくることは事実であります。しかし、先国会でアセスメント法はついに、環境庁がつくろうとしておったけれども、つくれなくなった。そういう状態で、今度の計画でも、たとえば新しくつくる環境影響評価制度の手続を経て、国民の意見を十分聞いてやるべきだ。何か具体的な、作文じゃなくて、そういう保障というもの、保障といいますか、計画を当然出していかなければいかぬのじゃないかというふうに思うのですが、そういう点で非常に作文になっていはせぬかということを思うわけです。長官、こういう点についての決意をひとつはっきり聞かしていただきたい。
  302. 石原慎太郎

    石原国務大臣 確かにそれが作文に終わってはならないので、実は三全総を閣議決定しましたときに、私、閣議で申したことがございます。それは、決して私たちが考えている法案をこの場で売り込むつもりはないがと申しましたが、実は売り込むつもりだったわけでございますけれども、それをただの作文に終わらせないための一つのたがというものはアセスメント法だと私は思います。これも、時期がこういう時期になって、先ほど申しましたような危倶がまた感じられぬでもないときに、冷静な相互主義というものにのっとって、生活環境というものと経済というもののバランスをとっていくためにも、各省庁がアセスメント法というものを根底的に理解をして、この提案に協力してほしいということを申しました。私は、現在環境庁考えておりますアセスメント法が実現されれば、先ほど局長が申し上げましたように、あくまでも住民意向をしんしゃくした上で個々のプロジェクトを考えていくわけでございますけれども、それにさらに住民意見参加するということで、三全総の趣旨はただの作文に終わらずに、実を持ったものになると思っております。
  303. 東中光雄

    ○東中委員 最初にお聞きしましたように、旧全総にしても新全総にしても、結局重大な環境問題を発生させて、それでもうできると間もなしに総点検をやり、そうして今度のものをつくってきた、いわばこの十年なり長期の計画を途中で変えていくようになった一番中心の課題がこの環境公害問題なんですから。ところが、そこが、アセスメントを主張しているけれども、アセスメントについて言えば、まだきわめていわば抽象的なことになっておる。これでは何のための総点検をし、何のための見直しをしているのかということになってしまうわけであります。特に、いま局長の方から言われたいわゆる三全総の付帯意見ですね、これについて文字どおり聞いておきたいのですが、「大規模開発事業等を実施するに当たり、住民意志の反映、環境影響の評価、環境容量に応じた総量規制などの方式を充実強化すること。」いまどこがぐあいが悪くて、どこを充実し、実施すべきものというのはどこなのか。これは具体的な内容があってのことであると思うのですけれども、ただ、これも作文だけじゃないと思うのですね、もし作文だけだったら意味のないことになりますから。充実強化されなければいけない現状はどうなんで、それについてどういうふうに充実強化するのかという点についてお伺いしておきたい。
  304. 信澤清

    信澤政府委員 この留意事項は、国総審の委員方々の御意見として、政府案に対して付された留意事項でございます。したがって、国総審でいろいろ御審議がされました過程で、私、全部出ておったわけじゃございませんが、一、二具体的な事例についてお話があったものもございますが、この留意事項はあくまでいわば一般的に申されておるものと私ども考えておるわけでございまして、どちらかと申せば、先ほど来申し上げておりますように、計画を見直したそもそもの理由、それからまた、今回の計画内容の中にそれぞれこの留意事項に該当するものがあるわけでございますが、やはり委員の方としては、特にこの点に十分配慮すべきだという御意見が強くて、こういういわば付帯事項がついたというふうに承知をいたしております。
  305. 東中光雄

    ○東中委員 国総審には環境庁からも次官が出ているはずですね。これは局長が出ていないから知りませんというような問題じゃないと思うのですよ。国総審として環境問題について付帯意見をつけているときに、環境庁から次官が出ておって、それはどうなったのか知りませんけれどもと言うのでは、余りにも環境庁としては無責任じゃないですか。責任官庁なんですよ。その問題についてつけているのでしょう。そこへ委員を出しているのでしょうが。余りにもきれいごとじゃないですか。もっと内容のあるものでなければいかぬと私思うのですけれども、どうですか。
  306. 信澤清

    信澤政府委員 私の申し上げ方がまずかったと思いますが、おっしゃるように、私の方の次官が委員になっておりますから、私は出なくても、だれか環境庁の者は出ておるわけでございます。  ただ、私が申しましたのは、先ほど先生のお尋ねが具体的な事例を想定しての留意事項ではないかというお尋ねでございましたから、そういう意味では、具体的な事例をお挙げになって御議論されたものはありますが、いまお挙げになりました環境問題にかかわる事例としてはなかった、承知をしていないということを申し上げたわけでございます。
  307. 東中光雄

    ○東中委員 結局、三全総の中で、アセスメントについて具体的に討議をされ、問題になった、明確になっていない。むしろ付帯意見がついたということは、三全総自体の中に、ちゃんとやれるようになっておるんだったら、そんな付帯意見なんかつける必要はないわけですから、やはりやっていない、非常に不十分なところがある。だから、「充実強化」ということをわざわざつけるということになっておると思うのですね。むつ小川原の開発の場合を見ても、これは新全総で盛られて、いま三全総に引き継がれたわけですけれども、いままで環境庁が、法的根拠があってではないが、行政努力として、青森県にアセスメントについての指針を示された。それに基づいて青森県がアセスメントを実施した。八月三十日には閣議が開発計画に了解を与えた。こういう経過がありますが、しかし、そういうふうにやられておっても、このアセスメントの中身について、たとえば手続問題について言ってもいろいろ問題があった。縦覧期間の問題についても、当初は二週間、それが住民要求で三週間になり四週間になったという問題があるわけですね。あるいは縦覧対象の市町村も、当初は四市町村だったのがようやく十市町村にする、こういうように改善された。だから、言葉でアセスメントと言ったって、実際にやられているかどうかということになれば、これは実体を伴わなければだめだと思うのです。そういうことを付帯意見としてつけてあるのだったら、それは実際にやられるようなアセスメント法を、ちゃんと住民意見を反映させる、しかも科学的な公正な調査ができるようなそういう体制をつくらなければいかぬと思うのですね。三全総だけが進んでいく、また環境問題を中心にして行き詰まりが来る、総点検だ、こういうことを繰り返しておったのでは環境行政がなっていないということになると思うのであります。そういう点で、むつ小川原の経験から見ても、これを生かして三全総でやっていかなければいかぬと思うのですが、その点どうでしょう。環境庁としての取っ組みというものをお伺いしておきたい。
  308. 石原慎太郎

    石原国務大臣 まことにおっしゃるとおりでございまして、そういう意味で私も、三全総にいわば魂を入れると申しましょうか、それを作文に終わらせないためにもアセスメント法が必要だということを力説しているわけでございます。
  309. 東中光雄

    ○東中委員 もう時間が余りありませんが、青森県に環境庁が示された指針の中で、必要に応じて公聴会を開催するというのがありましたね。しかし実際は公聴会は開かれないままですね。それから報告書案を入手できるような措置等を講ずるということもあったわけですが、これも実施されていない。そういうかっこうで、アセスメントとしては非常に不十分なまま、しかしむつ小川原の開発は三全総の中に入れられていく、こういう状態になっていきます。だから、アセスメント法をつくり、特にアセスメントのネックとなった発電所及び都市計画をこのアセスメント法の対象にするというふうにしていくべきだと思いますが、アセスメント法をつくることと、それについての、いま言った発電所及び都市計画関係の問題についての長官の御見解を承って私の質問を終わりたいと思うのです。
  310. 石原慎太郎

    石原国務大臣 私の説明が足りなければ政府委員から答弁をいたしますが、都市計画はアセスメント法の対象になることはもう当然だと私は思います。そういうことで建設省とも議論をしてまいりましたし、建設省の理解を得るように今後も努力していくつもりでございます。  発電所もやはり当然で、通産省の方でも発電所の問題をとらえてこの法案に非常に疑義と申しましょうか、がありましたが、むしろ私は、電発の立地を、いま非常に難渋しているケースが多うございますが、これをスムーズにいかせるためにもアセスメント法が必要だと思いますし、この電発をアセスメント法の対象にしないでは画竜点睛を欠くと思いますし、これは当然入るべきものと心得て法律を進めるつもりでございます。
  311. 東中光雄

    ○東中委員 三全総も発足したわけですから、特に旧全総、新全総の轍を踏まぬように、その計画自体に問題はありますけれども、同時にその実施について、これは環境庁の十分な決意のもとに、アセスメント法を含めて進めてもらうように強く要望して、質問を終わります。
  312. 島本虎三

    島本委員長 東中光雄君の質問は終わりました。  次回は、来たる十七日木曜日、午前十時理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時三十五分散会