○渡辺(朗)
委員 その点、ではぜひお願いをしたいと思います。
私は次に、最後の問題でございますが、
外務大臣にお尋ねをいたしたいと思います。
これは、
日ソ、
ソ日の
漁業協定の今日までのあり方というものを振り返って、一体どのようにバランスシートを考えたらいいのかなと思うのです。この点について、私ぜひ
外務大臣の御
見解を伺いたいと思っているのですけれ
ども、本年の二月以来、
モスクワと東京で異例のマラソン
交渉というような形を続けてまいりました
日ソと
ソ日の
漁業交渉でございます。そのバランスシートを考えてみるときに、一体何が残ったのか、一体何が教訓として後に残されたのか。大変抽象的な問題でございますけれ
ども、
外務大臣の御
見解をお聞かせいただければと思うのです。
具体的には、
一つは私、
ソ連の二百海里
水域内での本年三月から十二月の
漁獲量というようなものを見た場合、
わが国は
ソ連から七十万トンの割り当てを受けております。それが前年の同期の
実績と比べますと四五・三%の
削減だ。これに対して、
日本側が
ソ連に提示した本年七月から十二月の
漁獲割り当てでは三十三万五千トン、三二%の
削減にしかすぎない、こういうバランスシートも出てまいります。ここでもう何か、どうもこの
交渉を通じて見ますと、
ソ連側の余剰原則に押しまくられてしまったのじゃないか。それに対して
わが国の方は、
実績主義ということで
ソ連に対しては、結果的に大変、寛大という言葉を使ったら正しいかどうかわかりませんけれ
ども、緩やかな割り当てに終わったというような点が
一つ、
漁獲実績割り当て量というものを比較したときにも、バランスシートで出てくるわけであります。
また私は、それもそれとしてもう
一つ心配なことは、
日ソ、
ソ日で
漁業交渉をやっていて残ったものは何だといったら、
日本国内における反ソ的な
感情、ナショナリズムみたいなものがわっと大きくなって、その後遺症がいまも残っている。そういうようなことを考えますと、
漁獲量の方ではどうも失ったものの方が多い、しかも、これから
日本の国際外交で対ソナショナリズムみたいなものだけが肥大をしたという結果が残って、これは今後の国際
関係あるいは外交の上で何らか大きなマイナス要因をもつくり出したのではあるまいかというふうなことを私は感じるわけであります。大変大きな問題で恐縮ですけれ
ども、
外務大臣、この春からの
交渉を大変御苦労されたのですけれ
ども、振り返られて、一体バランスシートは何か、どういうような教訓がこれからの
日本外交の上で生かされていかなければならぬのかということについての率直なお考えを、ひとつ聞かしていただきたいと思います。