○中江
政府委員 これは一口で言いますと、五十回前後の抗議を
日本が韓国に突きつけておりますけれども、一向に動かないということでございます。それを一貫して流れておりますのは、韓国は、竹島は、これは独島という名前で呼んでおりまして、韓国固有の領土である、これは動かない。しかもそれをいまは実効支配している、したがって、これは紛争ではない。こういうことで一九六五年の日韓正常化のとき以来一貫してそういう態度をとっておるわけです。これのよってきますところは、御承知のように李承晩ラインが引かれたときからの話でございまして、
日本が主張しておりますようにさらにさかのぼって古来
日本の領土であるという主張とはこれは相当重みもかけ離れておると私どもは思っております。それに対して
日本側は、一貫していま申し上げましたように歴史的にもまた国際法的に見ましても
日本の固有の領土である、こういうことで真っ向から対決いたしまして、日韓交渉のときにはこれをどう決着づけるかということについて話が折り合わない。韓国は紛争でないと言う。
日本はこれは紛争だと言う。つまり
日本の固有の領土が韓国によって不法に占領されているんであるから、これを是正すべきであるという主張で意見の相違があるから紛争である。この紛争であるか紛争でないかという認識が、その後十二年たちますけれども、どちらも変わっていない、そういう状況のもとでありますので、事実上の占拠、
日本側から見ますと事実上の不法占領が続いておりますので、その事実を確認するごとに、またそれが強化されたり新しい事実が積み重ねられたりするごとに、五十回前後に及んで毎回口上書をもって
日本の不同意及び遺憾の意を記録にとどめてきておる。しかしそれを解決するためにどういう
方法があるかといいますと、
日本はあらゆる紛争は話し合いによって平和的に解決するという大方針を持っておりますので、しんぼう強くその時期を待つ、その間、恐らくこれは法律的な問題でございますので、司法的な解決、一番望ましい姿は国際司法裁判所でございましょうが、その前に調停その他の
方法もありましょう。そういう争うときにわが方にとって不利にならないように、あるいはわが方の立場がはっきりするための証拠は
一つ一つ残していかなければならない、こういう発想でございますので、最近のように海上保安庁の巡視の報告が出た場合には、その報告を基礎にして先方に抗議をするし、また新聞報道その他によって韓国が新たにコンクリートの何か記念碑を建てたといえばそれに対して文句を言うし、漁夫が住みついたといえばそれについて照会して注意を喚起するしということをケース・バイ・ケースで必ずその抗議の意をファイルに残しておく。
他方、
日本と韓国の間の紛争の解決につきましては、国交正常化のときに紛争解決に関する交換公文というものがございまして、これは外交交渉によって解決できないときには、別段の
合意があれば別だけれども、別段の
合意がなければ調停によって解決する、こういうことになっております。
日本はそれによって、まず外交交渉によってやろう、あるいは別段の
合意として国際司法裁判所に持っていくことも考えよう。あるいはそれでもだめなら調停という
方法もあるわけですが、その交換公文の対象である国際紛争かどうかというところが、先ほど来申しておりますように、韓国は紛争でないというようなことを言うわけでございます。それに対しましては国際法上確立しております見解といたしまして、片一方が紛争でないと言っても片一方がそれは意見が違う、したがって紛争であると言って異議を申し立てればそれはこういった紛争処理の場合の紛争になるということもございますので、理屈としてはこれは竹島は日韓間の紛争だということで持っていけるわけですが、何しろ話し合いによって平和的に解決するという大方針のもとで行える
措置には限界がある。しかしそのことは、将来必ずいつの日か決着をつつけるときに不利になるようなことはしてはならないということで抗議を重ねてきている、こういうのが
実情でございます。