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1977-10-27 第82回国会 衆議院 科学技術振興対策特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年十月二十七日(木曜日)     午前十時三十五分開議  出席委員    委員長 岡本 富夫君    理事 木野 晴夫君 理事 佐々木義武君    理事 中村 弘海君 理事 宮崎 茂一君    理事 石野 久男君 理事 日野 市朗君    理事 貝沼 次郎君 理事 小宮 武喜君       伊藤宗一郎君    石橋 一弥君       大石 千八君    瓦   力君       北川 石松君    佐藤 文生君       玉沢徳一郎君    塚原 俊平君       原田昇左右君    与謝野 馨君       安島 友義君    川本 敏美君       上坂  昇君    渋沢 利久君       嶋崎  譲君    村山 喜一君       近江巳記夫君    瀬崎 博義君       中馬 弘毅君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      宇野 宗佑君  出席政府委員         科学技術政務次         官       大島 友治君         科学技術庁長官         官房長     半澤 治雄君         科学技術庁原子         力局長     山野 正登君         科学技術庁原子         力安全局長   牧村 信之君         科学技術庁原子         力安全局次長  佐藤 兼二君         外務省国際連合         局長      大川 美雄君         運輸政務次官  石井  一君  委員外出席者         科学技術庁原子         力安全局核燃料         規制課長    石塚  貢君         科学技術庁原子         力安全局保障措         置課長     栗原 弘善君         外務省国際連合         局科学課長   太田  博君         参  考  人         (動力炉・核燃         料開発事業団副         理事長)    瀬川 正男君     ————————————— 委員の異動 十月二十七日  辞任         補欠選任   佐藤 文生君     瓦   力君   竹中 修一君     北川 石松君   渡辺 栄一君     石橋 一弥君   上坂  昇君     渋沢 利久君   嶋崎  譲君     川本 敏美君 同日  辞任         補欠選任   石橋 一弥君     渡辺 栄一君   瓦   力君     佐藤 文生君   北川 石松君     竹中 修一君   川本 敏美君     嶋崎  譲君   渋沢 利久君     上坂  昇君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  日本原子力船開発事業団法の一部を改正する法  律案内閣提出、第八十回国会閣法第一二号)  核原料物質核燃料物質及び原子炉規制に関  する法律の一部を改正する法律案内閣提出、  第八十回国会閣法第七五号)      ————◇—————
  2. 岡本富夫

    岡本委員長 これより会議を開きます。  まず、日本原子力船開発事業団法の一部を改正する法律案議題といたします。  本案につきましては、昨日質疑を終局いたしております。  この際、宮崎茂一君外三名より修正案提出されております。  趣旨説明を聴取いたします。宮崎茂一君。     —————————————  日本原子力船開発事業団法の一部を改正する法律案に対する修正案     〔本号末尾掲載〕     —————————————
  3. 宮崎茂一

    宮崎委員 ただいま議題となりました修正案につきまして、自由民主党を代表して、提案趣旨を御説明申し上げます。  案文はお手元に配付いたしましたとおりでありますが、その内容は、附則第二条の改正規定中、「昭和六十二年三月三十一日」を「昭和五十五年十一月三十日」に修正しようとするものであります。  この修正は、日本原子力船開発事業団原子力船についての研究開発機関に移行するための必要な措置といたしまして、同事業団法を廃止するものとする期限を、昭和五十一年三月三十一日から四年八カ月間、延長するというのが趣旨でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  4. 岡本富夫

    岡本委員長 以上で修正案趣旨説明は終わりました。     —————————————
  5. 岡本富夫

    岡本委員長 これより原案並びに修正案を一括して討論に付します。  討論申し出があります。順次これを許します。日野市朗君。
  6. 日野市朗

    日野委員 私は、ただいま提案理由趣旨説明がありました修正案及び原案とも、これに対して日本社会党を代表して反対するものであります。  この日本原子力船開発事業団法はあくまでも限時法であるというのが私の考えであります。つまり、この法律附則第二条の昭和五十一年三月三十一日をもって失効している、もはやこの法律は存在していないと考えるべきなのであります。  法律にはあくまでも限時法と永久的な立法とあるわけでありまして、このようなあいまいな法域を残すことは、法治国である日本存立に非常に重大な影響を与えるものというふうに考えざるを得ないのであります。  また、実質的な理由を見ましても、原子力船むつ」というものは、これは非常に大きい欠陥を内蔵した原子炉を搭載している船であります。ストリーミングというようなアクシデントによりまして、現在「むつ」の原子炉は停止したままでありますが、さらにこれを動かしていく、運転をしていくというような場合になりますと、これが通常の運航についてであれ、また運航のための諸テストであれ、さらに大きい何かのアクシデントが発生しないという保証は何もないという状態にあります。  また、現在世界海運界また造船界において、原子力船というものがその経済性において非常に低劣である、経済的に引き合わないというような事情なども含めまして、採算を無視しても構わない軍艦であるとか、そういった軍用の原子力船を除いては、その開発に対する意向は非常に低調であるというような国際情勢下にもあります。  このような状況下におきまして、私たちはこの原子力船開発事業団法をさらに継続していくという必要性を認めません。  また、この原子力船開発事業団は、制度の本来のあり方から言って、このような原子力船開発していくというにふさわしい制度、形態を整えているものではなく、もはやこの事業団についてわれわれは断念するというのが国民に対する至当な態度ではなかろうかと考える次第であります。  よって、私たちはこの原案及び修正案両方について反対の意を表明して、私の意見といたします。
  7. 岡本富夫

    岡本委員長 次に、貝沼次郎君。
  8. 貝沼次郎

    貝沼委員 私は公明党・国民会議を代表して、ただいま議題となっております日本原子力船開発事業団法の一部を改正する法律案並びにそれに対する修正案の両案に対し、一括して反対討論を行うものであります。  以下、その主な理由の一端を申し述べます。  その第一は、この法律は、本来、原子力船むつ」が完成するための期間を推定して時限立法として立法されたものであります。しかるに、その結果、原子力船むつ」に欠陥が認められ、時限延長し、さらに再延長せんとしておるのであります。われわれはこのような場当たり的な対処に強く不満を持つものであり、将来のわが国科学技術振興を憂慮し、賛成することはできないのであります。  その第二は、この法律日本原子力船開発事業団が組織的に多くの問題を有するからであります。もちろん、これは当事業団時限立法であるところから来る問題だと思いますが、人材を集め、落ちついた研究作業を行い得る条件を備えた組織でなければならないと考えるからであります。  その第三は、行政原子力船むつ」に対する措置が不手際であったということであります。すなわち、原子力船むつ」は、昭和四十九年九月一日放射線漏れを起こし、母港に帰れないまま五十日間太平洋上を漂流するというトラブルを起こしたのでありますが、その原因は全くの偶然ではなく、起こるべくして起こったことがその後の調査結果で明らかになっております。「むつ放射線漏れ問題調査委員会、いわゆる大山委員会報告書にその原因、経緯、問題点が細かく指摘されております。この問題点は、当科学技術振興対策特別委員会でも徹底的に議論されたので、改めて申しませんが、行政上なさねばならぬことが多々あったと思うのであります。定係港の問題、四者協定の問題すら解決の糸口がつかめておりません。  以上、簡単に反対理由を申し述べましたが、われわれは、石油資源の枯渇が叫ばれている現在、先進工業国としてのわが国舶用炉等研究開発をおろそかにすることは、無責任のそしりを免れないと思います。よって、時代の要請、大山委員会の求める姿などを考えあわせたときに、より安全性を追求しつつ、当特別委員会でもしばしば議論がありましたように、研究所のような体制にならなければならないと思います。  私は、ともに政府においてもこのような方向が一日も早く実現するよう努力することを強く要望して、反対討論を終わります。(拍手
  9. 岡本富夫

    岡本委員長 次に、小宮武喜男君。
  10. 小宮武喜

    小宮委員 私は民社党を代表して、ただいま議題となりました原子力船開発事業団法の一部改正案並び修正案賛成討論をいたすものであります。  その理由を簡単に申し述べます。  今日、全世界の最大のエネルギー源である石油資源は一九八〇年後半には危機が訪れるであろうということは、もはや世界常識となっております。また、石油にかわるエネルギー源の本命は原子力エネルギーであることも、これまた常識となっておるのであります。もちろん、原子力エネルギーが未来永劫続くとは考えられませんけれども、次の新しいエネルギー開発されるまでのつなぎの役割りを果たすことは争えぬ現実であると思います。かかるエネルギー源の変革に備えて、四面海に囲まれ、かつ資源のほとんどを海外に依存しているわが国にとっては、船舶は国の繁栄と国の存立にとって必要不可欠であるということは申すまでもございません。しかも省資源時代を迎え、多量の油を消費する船舶原子力船に移行せざるを得ないことも宿命であると言わざるを得ないのであります。特に船舶は、陸上のように一部に言われている太陽熱、地熱等エネルギーの活用はできないものであり、残るは原子力以外にないのであります。そのためには、石油資源危機が訪れる一九八〇年後半までに原子力船研究開発は必須であると信じております。  以上の立場から、わが党は政府原案賛成態度を表明してまいりましたけれども、この法案をめぐる諸情勢を十分勘案し、研究所法案早期成立を前提にし、やむなく自民党修正案に対しても賛成するものであります。  以上で討論を終わります。(拍手
  11. 岡本富夫

    岡本委員長 次に、瀬崎博義君。
  12. 瀬崎博義

    瀬崎委員 私は日本共産党革新共同を代表し、政府原案並びに自民党修正案反対討論を行います。  まず、政府原案についてであります。  昭和四十九年九月に発生した原子力船むつ」の放射線漏れ事故が明らかにしたものは何であったのか。  原子力船開発出発点は、昭和三十年代初期、民間大手造船会社が当時の不況対策に役立つという動機からつくった計画が下敷きとなったもので、もともと確固とした原子力船開発国家的方針があったわけではなかったのであります。  原子力船開発機関としてつくられた事業団は、造船会社原子力メーカー、官庁からの出向者で構成され、主力の技術者は二、三年で交代するという最悪の寄り合い世帯であり、およそ技術の蓄積や継承性が図れるような体制ではなかったのであります。また、基礎研究が特に重要な日本最初の試みなのに、事業団にそれを行う体制は全くなく、基礎研究はもう終わったものとして、とにもかくにもつくればよいということに終始しました。遮蔽実験に携わった技術者中性子ストリーミング可能性などを指摘していたにもかかわらず、あるいはまた遮蔽についての新しい発達した計算コードが四十八年ごろには開発されていたにもかかわらず、さらにはウエスチングハウスのチュック・アンド・レビューでも遮蔽設計改良の指摘が出ていたにもかかわらず、事業団はそれらを検討し、「むつ」に取り入れ、生かす能力も意図も持ち合わせておりませんでした。  事業団は当初の資金の調達の段階や「むつ」の入札時点において、今日振り返ってみて、不可解な歴史的事実も残しています。政府方針自体が、時限立法の九年間でとにもかくにも「むつ」を建造し運輸省に引き渡してしまえば早々に事業団は解散の方針をとっていたのであります。  さらに重要なことは、国の安全審査体制などの原子力行政の根本的な欠陥と無責任さも明らかにされました。これらはこれまでの国会でも厳しく指摘されましたし、またその多くの部分についていわゆる大山委員会報告にも指摘されているのであります。今日では欠陥原子力船むつ」にさらに数十億円の国費を注ぎ込んで既定方針による修理運航に果たして意義があるのかどうか、国際的な海運造船界の現況は原子力船の早急な就航を求めているのかどうか、原子力船開発必要性緊急性があるのかどうかといった疑問が出されていることは周知のことであります。  ところが、政府は、青森県民に対する四者協定は履行せず、原子力行政の改革は何一つ実行せず、ただひたすら「むつ」の修理事業団延長のみを急いできたのであります。まさに「むつ」から何物も学ばず、何の反省もないと言わなければなりません。  日本共産党革新共同は、国が責任を持って職員の身分の保障を行った上で事業団を廃止し、「むつ」の処理、処分を初め原子力船研究開発あり方について広く専門家、識者の意見と英知を結集する審議会を設けて新たな方針を打ち立てることを主張し、政府原案に強く反対を表明するものであります。  次に、自民党修正案についてであります。  これは十一年延長は、その裏づけとなる計画も決まっており、絶対に譲れないと言っていた自民党が、まず今後五年に短縮し、最終今後三年にしてきたものであります。  ここで重要なことは、延長期限にあるのではなく、具体的に何が変わるのかということであります。この点、昨日の私の質問に対し宇野長官は、もともと十一年のうち三年は修理であると説明してきたのであり、三年延長修理せよということだろうと思うので、「むつ」の修理に励みますと、既定方針を進める旨の明確な答弁を行われたのであります。今後三年とか五年には特別の意味はなく、何としても事業団延長の今国会成立を急ぎ、「むつ」の修理だけは強引に進めようという政府並びに自民党意図ははっきりしているのであります。結局、年限短縮法案成立取引材料であり、将来、研究所への切りかえ案も単に看板の書きかえにすぎないことが明瞭になってまいりました。  今日、原子力行政に問われている原点を十分論議し改革しないで、その場逃れ小刻み延長欠陥原子力船むつ」の修理事業団延長を図ろうとする政府並びに自民党態度に強く抗議し、修正案にも反対を表明するものであります。  以上、日本共産党革新共同を代表しての反対討論を終わります。
  13. 岡本富夫

    岡本委員長 これにて討論は終局いたしました。     —————————————
  14. 岡本富夫

    岡本委員長 これより採決に入ります。  まず、宮崎茂一君外三名提出修正案について採決いたします。  本修正案賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  15. 岡本富夫

    岡本委員長 起立多数。よって、本修正案は可決いたしました。  次に、ただいま可決いたしました修正案修正部分を除いて原案について採決いたします。  これに賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  16. 岡本富夫

    岡本委員長 起立多数。よって、本案修正議決すべきものと決しました。  ただいま修正議決いたしました本案に関する委員会報告書作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  17. 岡本富夫

    岡本委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  18. 岡本富夫

    岡本委員長 次に、第八十回国会内閣提出核原料物質核燃料物質及び原子炉規制に関する法律の一部を改正する法律案議題といたします。  この際、お諮りいたします。  本案につきましては、第八十回国会におきましてすでに趣旨説明を聴取いたしておりますので、これを省略いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  19. 岡本富夫

    岡本委員長 御異議なしと認めます。よってさよう決定いたしました。     —————————————  核原料物質核燃料物質及び原子炉規制に関する法律の一部を改正する法律案     〔本号末尾掲載〕     —————————————
  20. 岡本富夫

    岡本委員長 これより質疑に入ります。  質疑申し出がありますので、順次これを許します。石野久男君。
  21. 石野久男

    石野委員 外務省の方、おいでになっておりますね。  まず、外務省にちょっとお尋ねしますが、この法律案核防条約関連する国内法として期待されておるということははっきりしておりますけれども、特にこの法律に、外務省関係から、ぜひこういうことの必要だという点はどういう点なのかということをひとつお聞かせいただきたいと思います。
  22. 太田博

    太田説明員 お答え申し上げます。  わが国は、先国会で御承認をいただきました核防条約上の義務に基づきまして、ただいま今国会保障措置協定を審議いただいておりますけれども、その保障措置協定を実施いたしますために、わが国国内的な体制を整える必要がございます。特に核防条約下保障措置と申しますのは、すでに先生も御案内のとおり、わが国国内自主査察制度を最大限に利用するというのが主眼になっておりまして、そのために必要な国内的な体制を整える。そのために関連国内法の所要の修正が必要なわけでございます。  換言いたしますと、わが国核防条約上の義務を履行するために関連国内法修正を行いまして保障措置協定規定が実施できるようにする必要があるわけでございまして、保障措置協定期限内に発効させるために原子炉等規制法、これの関連項目修正が必要なわけでございます。  特に、外務省といたしましては、核防条約保障措置協定交渉開始から十八カ月以内、わが国の場合には本年の十二月の四日になりますが、これまでに保障措置協定を発効させるということが核防条約上の義務になっておりまして、この義務を履行するために、ぜひ関連国内法の手当てが必要だ、そういうことでございます。
  23. 石野久男

    石野委員 重ねてお伺いしますが、保障措置義務というものを履行するために国内法を整備しなくちゃならないその内容に、現在は動力炉・核燃料開発事業団及び日本原子力研究所では使用済み燃料の再処理事業をやっておりますが、この再処理の仕事をこれらの機関以外に作業をすることを拡大する、拡大することがまた保障措置を履行する上で国際的に必要な条件になっているのかどうか、その点は外務省の見解としてはどうですか。
  24. 太田博

    太田説明員 その点に関しましては、保障措置協定上そういうことが直接必要だということはございません。
  25. 石野久男

    石野委員 大臣にお尋ねしますが、規制法改正に当たっていろいろ内容が盛られております。特に保障措置協定国として義務履行するためのことが盛られておるわけでございます。特に核燃料物質の再処理計画的に進めるために、再処理のために指定制度を設けて事業を行うことができる範囲を拡大することが、この中でまた求められておるわけです。これはどうしても、NPTを実施する上において絶対不可欠の条件として大臣はお考えになっていらっしゃるのかどうか、まずその点を先に聞かせてください。
  26. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 今回の日米交渉におきまして一番問題になりましたのが、御承知の再処理施設でありまするが、その出発点といたしまして、私は、NPT体制というものの強化、このことを相手国にも強く主張いたした次第でございます。そして、アメリカが、NPTへ極力多くの国々が参加することを勧めておきながら、今日、もしそれをおろそかにして、今日のままの姿で、ただアメリカ考えに基づく核政策を推し進めるならば、それはNPT空洞化にあるいはつながるかもしれぬ、この点を日本は非常に恐れる、だから私たちは、NPTに対しても、これは国会もすでに批准を終えて参加をし、なおかつすでに国会には規制法提案して、国内体制も整えて忠実に国際的な問題を片づけていこう、これがすなわちアメリカ大統領の言うところの核不拡散という一つの大きな精神、これを日本も率先して、われわれは言われるまでもなく、日本人みずからがそういう方向をたどっておるのである、同時に、そういうもとにおいてやはりわれわれとしては、資源小国だから、何としても核の平和利用、これも両立させて進めていかなくちゃならぬ、そういうふうな意味で、われわれとしては、今後いろいろな意味において核燃料サイクル確立を図らなくちゃならぬ、だから私たちとしては、国際的にも国内的にもいまのような主張を貫いてまいった、こういうふうな主張を私はいたしたものでございます。  したがいまして、そういう主張も当然アメリカに受け入れられたわけでございまするから、第二再処理施設をつくるということは、どういたしましても、これはもちろん規制法の対象であって、より厳格にやっていかなければなりませんから、私は、さような関連におきまして、今回の規制法に両者をお願い申し上げておるという次第でございます。
  27. 石野久男

    石野委員 日米交渉、特に再処理工場関連して行われた日米交渉については、日米処理交渉共同声明及び共同決定がございます。ただいま大臣からは、第二再処理工場が絶対必要だという話もございました。それは日本意図でございましょうけれども、NPTとの関係国内法処理するに当たって、そのことが、希望的にはそうであろうとも、絶対不可欠な条件としてそれを成立させなければならぬのかどうかという点で、われわれはちょっと疑問を持っておるわけです。そういう意味で先ほど質問したのですが、NPTとの関係国内法を成立させるために、これはどうしてもこの法案の中で成立させなければならないのだろうかどうなのか、その点についての大臣の所見をもう一度聞かせてください。
  28. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 趣旨はいまお話ししたとおりのものでございます。特に、私といたしましては、やはり核燃料サイクル確立というものがわが国の将来にとりまして欠くべからざるものであり、その中の再処理施設の占めるウエートというものはもうはかり知れないものがある、このことを当然国内的にも御了解を賜り、そして国際的にもそのことを推進しているという私たちとしての主張を貫かなくちゃなりませんから、さような措置をとっておる次第でございます。  御質問趣旨は重々私といたしましてもわかるわけでございますが、しかしこれは、その第二再処理施設にいたしましても、米国はかなりの関心を示し、なおかつ私たちの言い分をも取り入れてくれておるというところもございますから、今後の外交面におきましてもこの問題は必要な問題だと思います。  ただ、きわめて厳密にいま御指摘された点を伺うのならば、私といたしましても、いろいろ委員会のお考え方も十二分に今後拝聴したいと思いまするが、さような意味で、決してわれわれは、いわゆるNPT体制そのものに便乗してこれを出したというのではないということだけはひとつ御了解を賜りたい、かように存ずる次第であります。
  29. 石野久男

    石野委員 大臣は、法案にこの問題を便乗させて再処理工場作業をする者の拡大をするというようなことをしたのではない、こう言われたのですが、しかし実際にはそれが絶対に必要であるわけでもないことも言外にわかりました。ただ、法案をここで見てみました場合に、大臣が再三申し述べられておるアメリカとのいわゆる再処理問題に対する交渉の中で、先ほど申しましたように、幾つかの合意が得られ、共同声明を出し、共同決定もしております。その共同声明並びに共同決定との見合いで指定制度を設けて事業を行う者の範囲を広げたときに、INFCEとの関係でそれにこたえるための処置がいろいろなされなければならないものがあろうと思います。この共同声明共同決定の中には幾つかの制限規定があるわけですね。そしてこの法案意図されているものは、この共同声明あるいは共同決定においてずいぶん制限を加えられるものがあることが明らかなんです。そういうことに対して、この法律をもし通したときにはどういうふうに対処する段取りをとっておるのか、用意があるのかどうか、その点をひとつ聞かしていただきたい。
  30. 山野正登

    ○山野政府委員 ただいま先生の御指摘は、一つは民間に再処理事業を開放する、つまり通常申しております第二再処理工場の建設を可能にするということと、今回の日米交渉における共同声明あるいは共同決定との関連ということが一番大きな問題点かと存じますけれども、この共同声明に盛られておりますように、第二再処理工場に該当する問題につきましては、「日本国及び合衆国は、上記の期間中プルトニウム分離のための新たな再処理施設に関する主要な措置はとらないとの意図を有する。」という文言があるわけでございます。この「主要な措置」とは何ぞやという点につきましては、これは日米交渉の過程におきまして十分に日米双方が論議を尽くしまして、こういうふうな文言になっておりますけれども、実態といたしましては、ここでもってお互いにやるまいという意図を表明しておりますのは再処理工場の具体的な建設等でございまして、今回の法改正はもちろん、準備会社の設立でございますとかあるいは再処理立地地点の選定といったふうなことはこの文言によって禁止されないというのが両当事国の了解でございますので、私どもは、この共同声明によって、今回法改正並びに法改正によって将来行われようとすることが何ら制限されていないというふうに考えております。
  31. 石野久男

    石野委員 「意図を有する。」ということで合意に達している問題はあるが、しかしわが国政府としては別にそれで大きな制約を受けることはない、こういうような御答弁でございますけれども、それはちょっと私は双方の——この共同声明及び共同決定内容から見て、特にこの問題には、後に再処理についての共同決定の中では、見解を共有するとか、あるいはまたお互いにそういうことを意図するということを確認する、あるいはまたお互いに了解をする、こういうことがこの共同声明共同決定の中に入っているわけですね。しかもその見解の中では、軽水炉でのそのサイクルは商業利用に供せられる段階ではないということも見解として共有しているわけです。  それから、同時にまた、了解事項の中には、アメリカ産の使用済み燃料九十九トンというものに限界が与えられて、それ以上のものはアメリカが一切保証します。御迷惑はかけませんということが書かれておるとしますると、いま局長が言われたようなことの必要性はないし、またそのことをわれわれここで考える必要もない、こういうことになってくるわけですよね。その読みといまの答弁との関係をわれわれどういうふうに理解していいのか非常に苦しむわけです。局長、こういう共同声明並びに共同決定との関連性でもう一度ひとつ見解を示してほしい。
  32. 山野正登

    ○山野政府委員 私、ただいま先生の御質問趣旨を正確に把握したかどうかちょっと心配ではございますが、プルサーマル問題と九十九トンの問題につきましてちょっと御答弁申し上げます。  その前に、もともとこの共同声明なり共同決定というのは、昨日来大臣の方から御答弁申し上げておりますが、現在の日米原子力協定の実施に関する申し合わせでございまして、これによって新しい権利義務関係を生じたというべきものではないのでございまして、そういう前提でお話を申し上げるわけでございますが、まずプルサーマルにつきましては、「現時点では、商業利用に供される段階にはなく、」という表現は、現在日本を含め、米国を含めまして世界の大勢を客観的に述べておるわけでございまして、現在の時点ではプルサーマル、軽水炉のプルトニウム利用というものは商業利用の段階にはなっていない。しかし、わが国としましては、将来核燃料物質を有効に活用するという観点から、プルサーマルというものは一つの可能性としましてぜひ研究開発だけは続けていきたいという強い希望を持っておったわけでございますので、その点につきましては米側も理解を示しまして、研究開発をすることは妨げないということになっておるわけでございます。  それから、九十九トンの数量的な制限があるではないかという点でございますが、これは今回、共同声明共同決定をするにつきまして、並行的に別途先生御指摘のINFCEという国際会議も行われるということがあらかじめわかっておったわけでございますので、このINFCEの検討の成果というものも将来参加国の一員としまして十分検討の材料には加えていこうという配慮が日米双方にもちろんあったわけでございますので、そういう観点から今回共同決定をいたします対象としまして、まず当初二年間というものを頭に置いて話を進めたわけでございます。そういう意味で、この共同決定におきましては二年間の処理量ということで九十九トンまでの共同決定というふうになっておりますが、これは九十九トン以降についてはやらないという趣旨ではございませんで、現在の実証用の工場の運転というものは九十九トンを済ました後もまたやっていく。ただ、そのときには別途日米原子力協定によって新たな共同決定が必要であるという手続が残っておるということであろうかと存じます。
  33. 石野久男

    石野委員 この法律がもし通過成立いたしますと、当然新しい事業者というものがやはりできてくるわけですね。そうすれば、当然その事業者は再処理工場の建設ということを行うことになるわけでしょう。たまたま二年という年月はありますけれども、法律ができれば、成立すればすぐ実行されるわけですから、そして業者を広げるということについて一定の条件を満たされれば許可が与えられる。そのときに、いまあなた方が言われた共同声明の中では、「日本国は、当初の運転期間中、本施設に付設される予定のプルトニウム転換施設の建設を延期する意図を有する。」「建設を延期する」ということを言われておる。ここで言われているところの「本施設に付設される予定のプルトニウム転換施設」、こういうことと、それから新たに民間でも何でもいいのですが、できるものとは、読みとしては全然別個なものですか。そうすると、行政協定というのは別個なものに対してはもう全然及ばない、こういうことなんですか。
  34. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 いまの点だけちょっと私から特に御説明申し上げますと、片一方の建設をしばらく見合わせますというのは、いわゆるコンパーションプラント、転換工場、これは硝酸プルトニウムを本来ならば酸化プルトニウムに変えていわゆる粉をつくるわけでございますが、これはやはりPP等々の関連もこれあり、またINFCEという国際会議で今後なお一層どういうふうに核の不拡散を考えるかという重大な議題もありますから、本来ならばことしから建てる予定でございますが、これは二年間私としては自粛いたしましょうといった意味がそこに書いてあるわけでございます。  先ほど局長説明いたしましたのは、これは先生が最初から御指摘なさいました第二再処理工場と言われるもので、これが今回の規制法が通りますと民間がそれをつくるということであって、当初米国がその建設待った、こう言っていますが、建設はもちろん遠い先でございましても、やはり民間の会社を設立することと、どこにそういうような工場をつくるかというサイトを選ぶこと、これぐらいのことは準備行為として当然やらなくちゃならないからこれは認めなさいということ、それはわかった、こういうことでございますので、いまの工場はそういう二つの別々のものでございますので、御理解を賜りたいと思います。
  35. 石野久男

    石野委員 いま大臣が言われた、その工場選定だとかあるいは準備行為のサイトは一応この協定とは別なんだというお話なんですけれども、しかし私どもこの協定をずっと読んでおって、そういうことが許容される文言というのは余り見当たらないのですよ。どこにそういうことが書いてあるのですか。     〔委員長退席、貝沼委員長代理着席〕
  36. 山野正登

    ○山野政府委員 私どもが現在考えております第二再処理工場と申しますのは、これはただいまから建設準備を開始いたしましても十三、四年はかかるという非常にリードタイムの長いものでございます。先ほど私が読み上げましたこの共同声明の「再処理施設に関する主要な措置はとらない」ということの意味は先ほど御説明申し上げたとおりでございまして、私どもが先ほど申し上げました十数年と申します当初の二年間といいますのは、準備会社をつくりましたり、あるいは用地の選定をいたしましたり、せいぜい用地の取得をする程度にとどまるかと存じますが、そういったふうなことはこの「主要な措置」という言葉の中には入らないというのが日米双方の了解事項でございます。そういう意味で、この共同声明自体には二年間のことしか言っておりませんので、三年目以降はまた別の共同決定なり共同声明がまたあるわけでございますが、少なくとも現在ございます共同声明に関する限り、私どもの予定いたしておりまする第二再処理工場の建設のスケジュールには何ら支障はないんだ、こういうことを御説明申し上げておるわけでございます。
  37. 石野久男

    石野委員 そうしますと、日米交渉の中における再処理工場の扱い、再処理業務の扱いというのは東海村の問題に限られていて、日本で第二、第三の再処理工場をつくることについてはアメリカ側としては何の文句も言いませんよ、こういうふうにこの協定は読んでよろしいわけですか。
  38. 山野正登

    ○山野政府委員 今回の共同決定の直接の対象は、おっしゃいますように、東海の再処理工場における再処理事業でございますけれども、この共同声明の中にはそれよりも幅広いものが盛られておりまして、それがただいま問題になっておる個所でございまして、これは「プルトニウム分離のための新たな再処理施設」、「新たな」という言葉がございますのは、東海の再処理工場ではなくて、それ以後に引き続く第二再処理工場という意味でございますから、そういう意味で、東海再処理工場以外のものにつきましても両国が意図を表明し、合意したものについては合意したといったふうな表現があるわけでございまして、そういう意味では東海再処理工場以外のものにつきましてもある程度の意図の表明等は随所にある。先ほどのプルサーマルもその一つでございます。
  39. 石野久男

    石野委員 要するに、局長のいまの答弁は、この協定は新たな再処理工場施設に対しても共通して適用される、こういうふうには読めないのですか。
  40. 山野正登

    ○山野政府委員 これはあくまでも東海再処理工場で当初二年間の運転をどうするかというのが直接の対象でございますが、それを決める過程におきまして双方がお互いに意図を述べ合った問題のうち重要なものについては共同声明の中に盛られておるということにとどまるわけでございまして、今回のこの共同声明あるいは共同決定が東海再処理工場以外の新たな再処理工場等にも適用されるものであるというふうには考えておりません。現時点における日米双方の再処理事業等に絡みますもろもろの問題につきましていろいろな見解を述べてある部分はあるということでございまして、それがあるからといって直ちに現在の東海再処理工場以外の新しい再処理工場についても何らかの制限等を設けることになるものだという趣旨ではないのでございます。
  41. 石野久男

    石野委員 しかし、局長はそう言うけれども、この文言の主語は「日本国は、」とこうあるのですよ。それからさらに「日本国及び合衆国は、」「意図を有する。」とあるのですよね。だから、その「意図を有する。」ということを合意していながら、この文句とは全然別個に、それは別ですよということになると、この意味はちょっとおかしくなってきはしませんか。
  42. 山野正登

    ○山野政府委員 具体的な例示で申し上げますと、「新たな再処理施設に関する主要な措置はとらないとの意図を有する。」というのは、この二年間に第二再処理工場の建設はいたしません、そういう考えを持っていますよ、そういうふうな——これは例示でございます。そういう程度の趣旨でございます。
  43. 石野久男

    石野委員 そうでしょう。
  44. 山野正登

    ○山野政府委員 はい。
  45. 石野久男

    石野委員 それなんですよ。だから、この二年間は新たな再処理工場の施設はしませんよということを、日本アメリカも双方ともその意図を有することをお互いに認め合った、こういうことですね。
  46. 山野正登

    ○山野政府委員 ただいま申し上げた建設というのは、具体的な建設工事はいたしませんという趣旨でございますので、立地の選定から立地の取得といったふうに非常に幅広くこの建設という言葉をお読みになると正しくないわけでございまして、「主要な措置」というのは、具体的な建設工事というふうに御理解いただきたいと存じます。
  47. 石野久男

    石野委員 これはいろいろ読み方があって、都合のいいように読むのは幾らどう読んでも構いませんし、それからたまたまここは二年という期限がありますから、そういう短い期限ではということも言えますけれども、しかし本来カーター核政策というものの意図は、たまたま日本原子力処理工場というものの運行についてということとINFCEの期限が二年であったということが絡み合って二年ということになっていると思います。どちらが先かどちらが後かわかりませんけれども、とにかくその兼ね合いでこういうことになっている。これがもし十年ということになりますと、いま局長が言うように、「主要な措置」ということは、土地を探したり準備をするということだけでは済まなくなる。当然、建設か何かやらなければ——やらないものなら法律なんかつくる必要はないのですからね。だから、そういう釈明は便宜な釈明であって、やはりこの協定を読む上では何の価値もない、こう言わなくてはいけないと思うのですよ。だから、われわれは、この協定といわゆる共同声明並びに共同決定というものと、それから今次提案されております法律案との関連性において言えば、せっかく処理工場事業者を広げようということをやられておられても、二国間協定におけるところのこの共同声明及び共同決定の文言から言えば、この法律をつくっても無意味なものになる。再処理工場事業者を新たに拡大するということは無意味なものになってしまう。こういうふうに私は理解しますが、これは間違っていますか。
  48. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 私からもう一つ御理解を深めるために交渉の経緯の一端をちょっと申し述べますと、最初アメリカのドラフトにはプランニングということが書かれておりまして、プランニングということになれば、一体何が、どこまでがプランニングかということで、小委員会までつくりましていろいろ議論したのですが、アメリカの代表団は、御承知のように政治家だとかそういう人が少なくて、技術者が多いわけですから、日本法律そのものもプランニングの中に入っている、そういうふうな解釈でやってきているのではないかと思われる節がある。だから、私は、ジェラード・スミスさんもあれだけの人ですから、あなた、わが国立法措置までもまさかアメリカは容喙しますまいな、それは内政干渉ですよということを言いまして、そうしたことでわれわれはいま第二再処理施設をつくらなければならないのだから、その法律を準備しておる、しかも国会で御審議を仰いでいる最中であるから、あなた方はまさかその法律までをプランニングに入れるわけじゃありますまいな——相手は漠然とそのような考え方かあったのではないかというような節があります。そういう点もきれいに私が整理をいたしまして、法律問題を了解事項の中に入れるのじゃない、これは日本独特の話だから了解もくそもない、これは枠外だということにしまして、だからいま局長が言いました、主要なる以外のものとは何ぞやということになれば、サイトを選定するとか、会社を設立するとか、土地を購入する、まあそこら辺までだというふうにわれわれみずからも相手の了解を得た、こういうふうにお考え願いますならば、その点は日米折衝におきましても、この立法措置というものに対して十二分にアメリカが理解を示しておるということをお考えたまわると思うのでございます。
  49. 石野久男

    石野委員 これは大臣からそういう日本法律に余り干与するなということについて強い主張をなさって、向こうも理解した、それほどの主張をなさるのでしたら、たとえばこの共同決定の中の最後のところには、「合衆国は、混合抽出法による運転の範囲及び性格に関する合衆国の法律要件及び双方の合意に従つて、肯定的な共同決定を行う用意がある。」と言って、ここではアメリカ法律要件を日本に強要してきていますね。何でこれをけらないのですか。
  50. 山野正登

    ○山野政府委員 先生御指摘のこの共同決定の一番末文でございますか、これは将来混合抽出になるかどうかわからないわけでございますが、米国としましては、もしそういう混合抽出法になった場合という特殊なケースを想定しまして、その特殊なケースにつきましては肯定的な共同決定をいたしましょうという若干予約じみたことを言っておるだけでございまして、逆に混合抽出にならない場合については一切触れていない。違う言葉で申し上げれば、これは白紙の状態に残されておるというわけでございまして、白紙の状態に残されておるということは、違う言葉で言えば、否定されるものだとは決してならないわけでございまして、これは日米双方で協議の結果、またあるいは若干の条件等つくやもしれませんが、肯定の道は当然にあるという趣旨であろうかと存じます。
  51. 石野久男

    石野委員 これはあなた方が協定の成文をつくってきてしまった後なんですから、とやかく言いませんが、日本法律に余りアメリカは干与しないでということを強く主張されて、そしてこの声明なり協定の読み方を日本流に解釈できるのだということを主張なさる政府の見解が示されておるのですが、そういうことを主張することに成功しておるならば、アメリカ法律要件が、イフ、もしという言葉を前提にして、しかも協定の中にこんなに歴然と文言を書くということに問題があるのじゃないですかということを言っているのですよ。合衆国の法律要件をわれわれは一応合意の決定のために必要条件にしていくということになれば、そのことをまた日本共同声明とか共同決定の中で当然アメリカの指し示すというか合意の——共同声明なり決定の指し示しているものに制約を受けるということになりはせぬかということを私は言っているのですよ。
  52. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 アメリカとの間の法律問題は、日本の主権に属するいわゆる立法措置、それに対してまでアメリカがそんな立法しちゃいかぬのだと言うようなことはけしからぬではないか、こういう話で、そこは御了解賜りたいと思います。したがいまして、いま局長が申しましたとおり、合衆国の法律要件、いろいろ核に対しましては厳しい要件がございますが、また同時に、二年たてばあるいは、議会に現在三本出ておりますし、大統領が出しておる要件もあるわけですから、そうしたものが通過するだろう、そうしたときに混合抽出ならば無条件で認めてあげましょう、こういうことを言っておるわけです。ただし、私たちは混合抽出は両国が合意せざる限り現在の再処理施設は改造しませんよということはすでにきちっとうたってあるわけですから、だからいま局長が言いましたように、単体抽出の場合は全く白紙なので、そのときは二年先にも八条C項に基づく協定をわれわれはやらなければならない、交渉をしなければならぬ、こういうふうに申し上げておるわけでございますから、そういう意味が書いてある。  混合抽出を中心として、それを日本に何としてものませたいというのがアメリカの意向であったわけですから、そうしたものがここに存在しておる。しかしながら、私たちはそれに対抗する措置といたしまして、混合抽出に関しましては十二分にわれわれ両国が合意せざる限り——もし合意したならば改造しましょう、こう書いてあるわけで、私は二年先にもう一回交渉することをやぶさかとせず、こういうふうに相手に申したわけで、相手は、もしも混合抽出をやる場合、二億ドルかかっても日本はやるんだ、確率が高い技術はまだないかもしれぬがやるんだ、いま約束したら、もう二年先であろうが三年先であろうがオーケー、オーケーだと言わんばかりの押しつけをしてきたことをわれわれがはねつけたということもひとつ御了解賜りまして、そうしたことがここでアメリカとしてはちょっとアクセントを入れさしておいてほしいというだけのことで、これは決してわれわれに対するところの義務でもなければ何でもない、アメリカの権利でもない、こういうふうにわれわれは解釈しております。したがいまして、先ほどの法律問題は、立法措置に対する主権問題、これはアメリカの問題、こういうふうに御了解賜りたいと存じます。
  53. 石野久男

    石野委員 いろいろ解釈の仕方があると思いますけれども、少なくともここで新たな再処理施設の主要な措置はとらない意図を有するということをお互いに言っておりますと、仮に法律ができて、そして立地の問題も解決しているとすれば、当然のこととして民間は工場設置の申請をしてまいります。その設置申請というものが出てきたときに、この声明、協定に関係なく政府はそれに対して認可をするということをいたしました場合、この新たな再処理施設に関する主要な措置はとらないということについての意図に反しないかどうか、その点はどうですか。
  54. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 決して反するとは思いません。もう法律はわれわれ日本自体の話で、それに基づいて会社を設立しますよ、これはもうアメリカは、それはしようがないな、ただしその会社のコンクリート打ちのようなことはまだ十年先ですからやりませんよ、この二年間はやりませんよ、二年間の間に世界が合意していろいろ話ができるでしょう、だから第二次再処理工場といえども、たとえば単体抽出の再処理だけではなくして、もしわが国了解し、世界も混合抽出の方が高くつくがいいな、その方がいいね、こういう合意が得られれば、その再処理施設は米国の望まれる混合抽出もするわけですから、だからそこはまだ白紙ですよ、したがいましてわれわれとしては当然法律に基づいて、あなたたちの容喙を許さない、日本日本としての平和利用の道がある、特にこれはNPT条約の第四条に明示してあるじゃないか、ここまでやったわけです。したがいまして、いま先生おっしゃるように、法律が通りましたならば会社設立の準備をさしていきたいというのが私たち考え方でございます。
  55. 石野久男

    石野委員 読み方は非常に自由裁量が許されているというふうに理解しますが、そうしますと、たとえば共同声明の中にある、「プルトニウム転換施設の建設の延期から生ずるいかなるプルトニウムの不足も、日本国の計画に不必要な遅延をもたらさない」とか、あるいはその前に書かれております。新型転換炉等について「日本国のプルトニウムの必要量を各年ごとに日本国と考慮する用意がある、」こういうような問題は、素直に読んでいきますと、結局そういうものは全部アメリカがあなた方に保証します。プルトニウムは提供しますよ、こういうことであり、これにお互いが合意したわけですから、ざっくばらんに言えば、プルトニウムが必要なときにはアメリカから買うので、ほかから買いませんよ、こういうことだろうと思うのですよ。そのとき日本アメリカ以外のところから、安くてしかも有利に買えるというようなことがあった場合に、日本はそれはできるわけですか。
  56. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 いまのプルトニウムをアメリカが供給しましょうというのは、先ほど御説明いたしました、本来ならば転換工場において硝酸プルトニウムを酸化する、それを、今日はまだ高速増殖炉にいく段階ではありませんが、もう実験炉も動いておるし、いろいろと実験開発中であるから、それを私たちも使いたいと思うがそれが使えない。だから、それに対しましては当然アメリカが供給しなさいよということもあるわけでございます。あるいはまた、局長が申しました軽水炉との関係におきましてこれだけのものは私たちは現在使おうとしております。そういうようなことで、プルトニウムに関しましては私たちは将来はもう自前でやっていきたい、こういうことでございますから、アメリカとの間の話が書いてあるので、他国との話はこれによりまして拘束されるものではないということでございます。
  57. 石野久男

    石野委員 日本日本でつくったプルトニウムを使うについても一つの制限が出てくるでしょうが、その前に、九十九トンまで処理して、その中で「使用済燃料の若干部分は、4項に記されている混合抽出法の実験のために使用され得る。」、こうあります。この協定なり声明をつくったときの日本側の考え方としては、ここから出てくるプルトニウムの「若干部分」というのは、どの程度のことを皆さんは考えていられるのか。また、それはいつごろからそういうふうに使おうとしているのか、そういう点について。
  58. 山野正登

    ○山野政府委員 「若干部分」の数値的なものはいま直ちに調べますが、いずれにしましても、これはOTL等が中心でございまして、本体施設の五百分の一程度の規模でございますので、きわめてわずかな数量でございます。数値自体は早速調べて御報告申し上げます。  それから開始の時期は、ただいま混合抽出法自体の研究は小さな施設を用いまして別途やっておりますが、いま申し上げましたOTLを使っての実験というのは、大体来年の春程度から開始するという予定になっておりまして、現在所要の準備を進めておる段階でございます。
  59. 石野久男

    石野委員 きのう私は委員会になにしていませんでしたけれども、大臣は、プルトニウムをなぜつくるかと言えば日本ではFBRの燃料として使うのだ、そしてその過程で軽水炉にも使える、こういうお話をしておりますけれども、それはINFCEとの関係なんかでそういうことを簡単に言えるのですか、どうなんですか。
  60. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 当然、これはもう堂々と日本といたしましても主張し得るところでございます。むしろ日本といたしましては、INFCEにおいて現在考えられるところは、やはりプルトニウム核燃料再処理である、だから最終的には高速増殖炉がわれわれとして一番理想的な増殖炉ではなかろうかということは、私たち主張しても差し支えないと思います。また現在の軽水炉にプルトニウムを用いることも、これは研究開発としてその間においてそれが非常に有効な措置ならば、これもまた私たち主張してよいと存じます。  ただ、申し上げましたとおり、現在すでに軽水炉は四十四カ国、計画中を含めましてそこまで広がっているわけでございますから、したがいましてそこにおいてもしもプルトニウムがまだ非常に技術確立のままに、使わなくちゃならぬからよこせよこせということになった場合に、果たして核不拡散という見地からいいかどうか、こういうふうなことを恐らくいろいろな国々も心配しておるわけです。だから、私たちといたしましては、まだ研究開発の段階だからその研究開発の段階として、まあ五キロ程度のプルトニウムはこれは私たちは使いますよ、だからそれがセバラルというような表現になっておりますが、しかしそれ以上のことは私たちも多少これは遠慮しなくちゃいかぬ、自粛しましょう。自粛するということは、INFCEにおいてもやはり多くの国々がそうした意味合いにおいて自粛をする。ただ、ワランティ、つまり調査とそして研究開発ということだけは今後もやりましょうということですから、これは私は堂々とINFCEにおきましてもわが国主張していって、その安全度なりあるいはまた確実度なり、いろいろなことをひとつ世界じゅうが研究することは必要なことではないか、こういうふうに考えております。
  61. 石野久男

    石野委員 その点で、とにかく軽水炉でのそのリサイクルは、現時点では商業利用に供せられる段階ではないということをはっきりうたっておるわけですよね。     〔貝沼委員長代理退席、委員長着席〕 商業用に供しないということは、要するにプルトニウムを軽水炉に使うなという、使える段階ではないんだ、こういうふうに書かれておるときに、昨日、私は聞いておりませんけれども、電気新聞を見ますというと、長官は貝沼委員に対して軽水炉にも使うんだということを言われておりますね。これはちょっと私もそれはわかりませんけれども、ここにこのプルトニウムをなぜつくるかと言えば日本はFBRの燃料として使うその過程で軽水炉にも使えるわけだが、こういうふうに言っておりますね。これはちょっと大臣の気持ちはそうであるけれども、共同声明をこういうふうにつくっていき、しかもそれがここでは「商業化は避けられるべきである」という見解を強要してきているんですよね。なのに、また片方ではこういうことを言っておるということになると、これは非常に矛盾しているんじゃないですか。
  62. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 非常に適切なところを御指摘賜りましてありがとうございました。実は、それはそこだけを言ったんじゃございません。INFCEにおける今後の動向ということに関しまして、プルトニウムが一番問題になるんだが、プルトニウムは何に使うのだろうか、われわれとしては高速増殖炉、これの燃料として用いたい。しかしながら、現在は軽水炉にも使い得るじゃないかというふうな話も出ておるようです。ただ、軽水炉ということになると、国威発揚というふうな面に使われるおそれあり、こうしたことに関しても十二分にINFCEにおいて議論をしなくてはならぬだろう。だから、資源のある国とない国、すでに再処理施設を持った国と持たない国、いろんな関係において調整が図られなければならない、こういうふうな話をしたときの一節でございまして、私が積極的に、いまでも使ったらいいんだ、いいんだ、そんなことは申しておらないわけでございますので、いささか——それは私もまだ拝見いたしておりませんが、いま御指摘の限りにおきましては、きのう私の発言したごく一部をとらえて、そこにアクセントだけを置きますと、そういう記事になるかもしれません。私のつながりを見ていただければ、あくまでも協定におきましてまだまだ商業用の段階ではない、だからワランティはするけれどもわれわれは自粛しますよ。その方がむしろ世界にとりましても、核不拡散という点においては私はカーターさんの政策に、言うならばもう日本は大きな理解を示したのがここだよ、ここまで言っておるわけでございますから、いまそのような表現でもし記事が書かれておれば、それは全く違う表現だ、こういうふうに御理解を賜りたいと思います。
  63. 石野久男

    石野委員 記事が間違っているのか、あなたの言ったことが間違っているのか、これは議事録を見てみなくちゃわからない。もし、議事録がそうなっておるとすれば、これは共同決定内容とは大分趣旨が違うし、大臣アメリカではそう言い、日本へ帰ってくるとまた違ったことを言っているということになって、これは食言にもなり非常に信頼を失うことになるだろうと思う。もし議事録が間違っておるとすれば、大臣はこれは何か言い直さなくちゃいけませんね。そのときには、この共同声明共同決定のその方向でいろいろお考えなりするわけですね。
  64. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 恐らく、きのう貝沼さんに御答弁いたしましたのは、いま私が要約して申したことと変わらないから、間違っておらないと私は存じます。  当然、われわれがついこの間アメリカと合意に達しました共同決定の線が今後の日本の線である、国際的にも国内的にもその線が今後の日本の線である、はっきりいたしております。
  65. 石野久男

    石野委員 本法が成立しましたときに、いわゆるNPTとの関係保障条項がいろいろ決まります。と同時に、秘密保持のためのまたいろいろな施策が行われるだろうと思うのです。法律の中では秘密保持の義務というものが出てまいりますが、この六十一条の十八における「指定情報処理機関の役員若しくは職員又はこれらの職にあつた者は、情報処理業務に関して知ることのできた秘密を漏らしてはならない。」、このことが拡大解釈されてまいりますると、非常に問題が社会的に大きな波紋を起こすと思うのです。  大臣は、この秘密保持とそれから社会的に、何といいますかきわめて反動的な何かの行政施策をやるというようなことが出てくる危険性を持っていることに対して、政府はそういうことに対して十二分に配慮したり、また処置をなさるというお気持ちがおありになるか、それとも、そんなことは全然考えていないのかどうか、ひとつ聞かしてもらいたい。
  66. 牧村信之

    ○牧村政府委員 この指定機関に秘密保持の義務を課しました理由を若干説明させていただきます。  これは本来国が行うべき各原子力事業所等における核物質のいろいろなデータを集計させたりそれを解析したりする業務を委託するわけでございます。それを国がIAEAとの約束に基づきましてIAEAに通報する、そういうような下請の業務をやらせる。これは少ない国家公務員を節約するというような趣旨も入っておりますけれども、国の仕事をやってもらうということでございますので、みだりにその機関から情報が流れることはいかがなものか。発表する必要があれば、国が当然発表することでございますので、個々のデータ等につきまして、政府みずから必要があれば発表することになるわけでございますので、中間段階のデータ等がこの機関から出るのは望ましくないと判断して、この制度を設けたわけでございます。
  67. 石野久男

    石野委員 これは機関に対して守秘義務といいますか、とにかくNPT関連して必要なものを処理するという範囲ではわれわれも一定の理解は持ちます。けれども、これが拡大解釈されて、あるいは機関の中あるいは外にいろいろとやはり累を及ぼすことのないようにということだけは、厳にわれわれは注意をしてほしいということを要求しておきたいと思います。  もう一つ、私はちょっとこの共同決定の中でお聞きしておきたいのですが、共同決定の「保障措置がピューレックス再処理施設一般に効果的に適用され得るか否かに関する決定はここでは行わない。」ということがちょっと私どもわかりにくいのだが、これ説明してくれませんか。
  68. 山野正登

    ○山野政府委員 これは、今回の共同決定は二年間、九十九トンに限って行ったわけでございまして、ピューレックス再処理施設一般と申しますのは、東海処理工場もピューレックス法による再処理施設でございますが、一般論としてピューレックス法の再処理施設保障措置が効果的に適用されるか否かについて決定したものではございませんよ、そういう趣旨でございます。  もともと、日米共同決定をするという趣旨は、先生も御案内のように、日米原子力協定の八条C項に基づきまして、わが国で再処理いたします場合に、保障措置が有効に適用されるや否やということについて双方が合意することを共同決定と言っておるわけでございますから、その一つの態様としまして、一般的に東海再処理工場の施設に着目いたしまして、期間、量に関係なくこの再処理施設には保障措置が有効に適用され得るという決定の仕方もあり得るわけでございますので、この二項では、今回はそういうふうなやり方ではなくて、当初の二年間について行ったものですというのが今回の趣旨でございますので、その点を鮮明に書き分けたということでございます。
  69. 石野久男

    石野委員 そうしますと、この協定というのは、ここで言う、「一般に効果的に適用され得るか否かに関する決定はここでは行わない。」ということは、ここでは行わないけれどもどこかでやるということを意味しているのか、それはどういうことなのですか。
  70. 山野正登

    ○山野政府委員 「ここでは行わない。」というのは、ここでは行わないと言っているだけでございまして、ほかの場所でやるかやらぬかということは、それは別のことでございます。たとえば先生の御質問趣旨は、二年たちました後、次の共同決定というものは、ピューレックス再処理施設の一般的な問題についてやるのかどうかという御質問かと存じますが、それはまだわからないということでございます。それを含めて全く白紙でございます。  それから、今回の共同決定というのは非常に特殊なものでございまして、この共同決定の前文にもございますように、こういうふうな状況下において東海工場は特殊な扱いをしておるのだということも、一つにはこの共同決定の特徴になっておるわけでございます。
  71. 石野久男

    石野委員 最後に一つ。  大臣、こういう取り決めをして、今後のことは預かるということでありますけれども、交渉の経緯から見まして、一つには、混合抽出法というのができるかできないかにもかかわると思いますけれども、いまお話ありましたように、今後二年間たったらどうあるだろうかということについて、全くこれは白紙でございますというわけにもいくまい。やはり現に物を持って、しかもアメリカから積極的な一つの意図が示されているということになりますと、大臣としては、この二年間の取り決めというものから、次にどうあるべきかということに対する構えもしなければいけないだろうし、交渉の過程から一定の認識も得ておるだろうと思いますが、その点について大臣はどういうようなお考えを持たれておるかということを、この際ちょっと聞かしていただきたいと思います。
  72. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 第一番目には、今回の交渉を通じまして、日本が核を軍事転用しないということについては、これはもう確たる信念を持つに至るというところまで両国では了解がついた、私はこういうふうに考えます。私が行きましたときに、アメリカの世論では、恐るべきことには四〇%の国民が、日本は将来核武装するのじゃないか、いまだにこう思っております。だから、そうしたものは、やはり日本に対する核不拡散交渉というものについても私はある程度の何かあったのじゃないかとも推測できるのでございますが、この点におきましてははっきりいたしました。また私たちも、NPT四条を守っていきます。つまり平和利用を妨げず、各国それぞれ平等の権利である、これを主張しました。そうしたことで二年間というものは、御承知のとおり自粛をして二年間、こう申し上げたわけで、私は物のたとえでいたしまするならば、これで日本も六番目に一つのバスに乗った、こういうふうに申し上げております。米、ソ、英国、フランス、ドイツ、日本、これが現在再処理施設を持ち、なおかつ能力を有する国でございます。インドも小仕掛けな再処理施設を持っております。そうしたこともあわせまして、われわれが一応バスに乗る、そしてこれがINFCEを今日言うならばリードしていかなければならない核の先進国ではなかろうか。だから、私たちもバスに乗って、単にお客が乗ったからいいなあというのではいけない。したがいまして、あくまでもINFCEにおきましては、平和利用と、そうして核の不拡散は両立できるという大前提のもとにがんばっていきたい、これが私たち考え方でございます。だから、より平和なためには混合抽出も極力研究しましょう、これもはっきり言っておるわけでございます。  ただ、ここで二年先は白紙だと私が申し上げますのは、一部におきまして単体抽出にあらずんば混合抽出、混合抽出にあらずんばアメリカがノーと言うのではないか、こういうふうな一連の考え方がございますが、そうではない、単体抽出が大丈夫だということがわかって、では、単体ではあるが、それをどういうふうに今後保障措置をし、また防護措置をとっていくかということについても十二分に国際的に話し合わねばならぬ、そういう方法もあろう、また、混合抽出は結論がなかった、じゃ莫大な金がかかるよ、その莫大な金は各国ともにお互いに出し合って、保証し合ってこうするのだという方法があれば、それもよかろうということでございまして、決して単体抽出か混合抽出か二者択一、どちらだ、そういう思い詰めた結論を求めながら二年間を歩むのではない。いろいろな場合を考えながらやっていくことが日本の立場である。  だから、日本といたしましては、今日ただいまは、いわゆる技術継承性から申しましても、われわれとしては今日のプルトニウムの単体抽出によるところの核燃料サイクル、これの確立が大切だということを主張しながら、各国もそういうふうな考え方を持っておる、さらに新しい方法がある、十二分に私はそうした面におきましては弾力性を持って臨んでいきたい、こういうふうなことでございます。したがいまして、二年先は当然八条C項に基づいてもう一度交渉しなければならないことはあたりまえのことでございます。しかしながら、その答えはではどうかということにつきましては、白紙であって、それまでの努力をわが国は怠るべきではない、こういうふうに申し上げておるわけでございますので、御理解賜りたいと思います。
  73. 石野久男

    石野委員 最後に、外務省にちょっとお聞きしておきますが、いまのようなずっと法律案の問題と、それから今度の再処理工場にかかわる日米交渉、そうしてその交渉の中から共同声明あるいは共同決定ができております。NPT保障措置として国内法をつくる上において、いま日米の間で交渉が持たれ、そうして幾つかの協定や決定ができた。そのこととこの法律との関係で、外務省が率直にNPT関係する国内法あるいは国際的な諸関係というものを見るに当たって、日米交渉の問題は、NPTの実施あるいは協力実施について国内法を決定する上においてどの程度の位置づけを持っておるか。特に再処理工場事業者拡大という問題が一番最初にもあなたからお話は聞いたわけです。原則的には関係は余りありませんと。いまのようなお話をずっとお聞きいただいたわけですが、最初にいただいた御答弁をそのまま受けとめておいてよろしゅうございますか。
  74. 太田博

    太田説明員 お答え申し上げます。  ただいま先生御質問の点でございますけれども、第二再処理工場関係国内関連法でございますが、これは厳密に法律的に申しまして、日本核防条約を名実ともに実施するということと直接関係があるということではございません。ただ、先ほど来宇野大臣、山野局長からお話がございましたように、日米交渉を通じまして、わが国わが国としての原子力政策を当初の計画どおりやりたいという点はアメリカに強く繰り返し主張しておりまして、この点アメリカ日本の立場に対する理解は日米交渉を通じまして、前よりは非常に深まったのではないか、そういうふうに考えております。
  75. 山野正登

    ○山野政府委員 先ほど先生御質問の「使用済燃料の若干部分は、混合抽出法の実験のために使用され得る。」この「若干部分」とはどの程度かという御質問でございますが、使用済み燃料九十九トンのうちOTLで処理するものは一トン以下というふうに現在考えられております。
  76. 石野久男

    石野委員 終わります。
  77. 岡本富夫

    岡本委員長 石野久男君の質疑は終わりました。  午後一時二十分より委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     正午休憩      ————◇—————     午後一時二十六分開議
  78. 岡本富夫

    岡本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。日野市朗君。
  79. 日野市朗

    日野委員 午前中石野委員からの質問がずっと行われたわけでありますが、私は、法案のかなり細かい部分といいますか、そういった部分について質問を行いたいと思います。  この原子炉等の規制法でありますが、今度の改正案の中では、NPT条約第三条1及び4の規定の実施に関する日本政府と国際原子力機関との間の協定に基づく保障措置がずっと記載してあるわけであります。私、ずっと読んでおりまして、その中で若干気になるところがございます。  それは第六十一条の十以降でありますが、ここで情報処理業務についての条文が用意してあります。この条文を読んでまいりますと、「国際規制物資の使用の状況に関する情報の解析その他の処理業務をその指定する者に行わせることができる。」というところがございます。この条文の概要を私は知りたいと思うわけでありますが、この際、「情報の解析その他の処理業務」は具体的にどのようなことをこの条文から科学技術庁の方では構想しておられるのか、ちょっと御説明をいただきたいと思います。
  80. 牧村信之

    ○牧村政府委員 先生の御指摘は、この条文によってとる情報等の内容というふうに解釈してよろしいのでございますか。これは原子炉規制法によって種々な情報を報告義務等を課してとっておるわけでございますが、このうちIAEAの査察保障措置を受けるに当たって必要な情報がその中に含まれるわけでございますが、この機関にやらせようとしておるものは、そういう核燃料物質の所在等を示す情報を徴収するわけで、これは政府が徴収するわけでございますが、このデータによりまして集中的な記録を行ってこれをIAEAに報告するというような作業が必要になるわけでございます。その場合に大量の核燃料に関する情報を計算機によりまして統一的に帳簿をつくる。また帳簿をつくりました上でそれを統計処理いたしまして報告する。それからもう一点は、このIAEAの査察につきまして、わが国が自主的に査察を行いまして、それをIAEAが観察するわけでございますが、この方法といたしまして、私ども施設ごとに計量管理を義務づけてやらせようとしておりますけれども、その関連におきまして、その施設ごとの行方不明量と申しますか、が少なくなるように管理しなければいけないわけでございますが、そういうような物質不明量の評価をする必要がございます。このような評価をいたしますのも、先ほどと同様、計算機によりましていろいろ計算処理をする必要がございます。このような処理部分をこの機関に委託いたしたいというふうに考えておるわけでございます。
  81. 日野市朗

    日野委員 どうもよくわからないのですが、たとえば発電炉を持っているところであるとか、それから、発電炉に限らず、いろいろな事業所のようなところなんかもあるわけですが、そこからそのデータはどのように集められてどのように管理されるかという問題になってくるわけですね。その集めるところ、それから管理するところ、そこらの関係がよくわからないのです。
  82. 牧村信之

    ○牧村政府委員 収集し、最終的に集めるのは政府でございます。政府に集めましたデータをここに渡しまして、処理していただくという形でございます。
  83. 日野市朗

    日野委員 そうすると、これは情報の処理業務を行う者ということは、「その指定する者に行わせることができる。」ということは、「できる」という規定でありますから、これは必ずしも政府処理業者にこれを委託するということに限らないというふうに読んでよろしいでしょうか。
  84. 牧村信之

    ○牧村政府委員 本来、この仕事は委託をしなくても、政府が完全にできればそれでもよろしい本来業務でございます。しかしながら、計算処理、あるいは先ほど申しました解析処理をいたしますような特殊な技術を必要とする業務でございますので、そういうところだけを民間の指定する者にやらせたいというのが、こちら側の考え方でございます。
  85. 日野市朗

    日野委員 その収集された情報を政府から受け取ってそれを解析する、それから管理するということでありますが、具体的にどのようなことが行われるのか、これは余り細かいところまでは必要ありませんから、具体的に。
  86. 栗原弘善

    ○栗原説明員 お答え申し上げます。  規制法に基づきまして、各施設から報告を徴収するわけでございますが、その報告の中身といたしましては二種類ございます。一つは、核物質がそれぞれその施設に入った場合、それからその施設から出た場合、そういうようなものを受け入れ、払い出しと申しておりますが、そのような受け入れ、払い出しということについて報告をいただくことになっております。  それからもう一つは、定期的に、その施設の中に核物質がどのくらいあるかということについて、たな卸しをやるわけでございますが、そのたな卸しをやった結果、核物質がある一定の時期にたとえば濃縮ウランが何キログラムあったとか、それから天然ウランは何トン持っているとか、そのような一覧表が報告されてまいります。そのような報告をもとにいたしまして、この情報処理と申しますと、一つはわが国として集中的に核物質が幾らあるかということを知っておく必要がございますので、その集中管理をするというのが一つございます。したがいまして、この指定機関におきましては集中管理をして、核物質が現在日本の中にはどういう施設にどのくらいあるかということをいつもつかんでいただく、これが第一の仕事でございます。  それからもう一つの仕事は、このNPT保障措置協定におきまして、わが国は国際原子力機関、IAEAに報告提出しなければならないことになっております。このIAEAに提出する報告は一応のフォームがございまして、そのフォームに転換していただく、その作業をここで行うことになると思います。その転換された物につきましては、これは再び日本政府からIAEAの方に送付されるということになります。
  87. 日野市朗

    日野委員 さっき局長さんの方から特殊な技術が要るんだというふうなお話がありましたが、それはどのようなものを指すのでしょうか。
  88. 牧村信之

    ○牧村政府委員 主として計算機を駆使して統計処理すること、それから入手されたデータがどういうふうな意味づけを持つか、その施設ごとにどういうふうな意味づけを持つか、そういうような解析の仕事でございます。
  89. 日野市朗

    日野委員 いま伺いますと、まず受け払いの関係、それからたな卸しの関係、それから報告のフォームがあるんだというようなお話がありました。それから特殊な技術ということについては、要するに電算機が使えるということが一つですね。それからその持っているデータの意味を読み取ることが必要だ、こういうようなお話なんですが、私はこの一つ一つをとってみて、必ずしも高度の技術を要するとか、高度の知識を要するというようなものではないような感じがするのですが、いかがでしょう。
  90. 牧村信之

    ○牧村政府委員 私どもは、このような仕事が非常に定型的な仕事でございますし、電算機の操作という専門的な技術を持った人が必要であるということ、それから核物質の動きを解析評価するというソフトウエアの開発をしつつ正確な情報をつかむというようなことが必要でございますので、これを通常の行政職の者でやるというのは必ずしも得策ではないというように判断しております。むしろこういう民間のと申しますか、公益法人の方々にその部分だけはおやりいただきまして進めていった方がより効率的であると判断したわけでございます。
  91. 日野市朗

    日野委員 これは非常に定型的な仕事であればあるほど、それに伴う作業量というものは必ずしも多くはないのではないかというような感じすら持つのですが、実際はこれは、いろいろな作業というのはあるのでしょうけれども、この六十一条の関係で見てまいりますと、六十一条の十二に、指定の申請があった場合に次の各号に適合していると認めれば指定をするんだというふうに読めるわけでありますが、この指定の基準が載っております。これに「情報処理業務を適確に遂行するに足りる技術的能力及び経理的基礎があること。」これは理解できるのですけれども、その次の項に「民法第三十四条の規定により設立された法人」であるという規定がございますね。これがいま伺ったような業務の内容でありますと、何も民法第三十四条の法人に限定してくるという必然性が私にはないように思われるのですが、民法第三十四条の規定により設立された法人であるという限定を置かれた趣旨について伺いたいと思います。
  92. 牧村信之

    ○牧村政府委員 先ほども御説明いたしましたけれども、その業務自体、国が取ったデータを国にかわって電算機処理等をしていただき、またそれを国に戻して、必要があればこれをIAEAに通報するというような仕事でございます。したがいまして、私どもとしては、こういうような業務を指定する者は、中立的なしかも営利に走らない機関が行っていただくことが最もいいのではないかと考えたわけでございます。そういうような営利を目的としない公益法人に行わせることがその中立性を保つ非常にいい方法であると解釈したわけでございます。しかも、基準には経理的な面でもあるいは技術的な面でも持っておるこういうようなものが加味された者に指定いたしたい考えでございます。
  93. 日野市朗

    日野委員 さっきから局長さんのお話を聞いておりますと、シャ、シャというのが出てくるのですが、そのシャというのは、株式会社の社じゃなくて、者という意味ですね。
  94. 牧村信之

    ○牧村政府委員 はい。
  95. 日野市朗

    日野委員 こういう業務内容ということになりますと、民法三十四条の規定による法人でいま局長さんの説明された内容と業務の内容を見てみますと、適格性を持つ法人というのは必ずしも多くはなさそうだなというような感じを受けるわけであります。  そこで、このような適格性を持つ法人というものは現在予定されているわけでしょうか。予定されているというとおかしいですが、核物質管理センターというようなものなんかも予定されているようにちょっと聞くのですが、いかがでしょうか。
  96. 牧村信之

    ○牧村政府委員 これは法律でお願いしている段階で、ここがそうであるということではございませんけれども、予想される機関としては核物質管理センターというものがあることは事実でございます。この核物質管理センターは、これまで核燃料物質の管理のシステムに関します調査研究を推進しておりまして、民間等の核物質に関する管理手法の指導あるいは業務の委託等を受けて活動をしておりますほか、政府関係機関からもこれらの調査研究の委託を受けて、現在調査研究を推進している機関でございます。
  97. 日野市朗

    日野委員 いま核物質管理センターが一応予定されているというお話を伺ったのでありますが、この核物質管理センターの設立は昭和四十七年四月であろうと思うのですが、その点は間違いございませんね。
  98. 牧村信之

    ○牧村政府委員 私が申し上げましたのは、前の質問の答えが間違っておれば修正いたしますが、可能性のある機関であると申し上げたつもりでございます。  それから、設立の時期は昭和四十七年四月十五日でございます。
  99. 日野市朗

    日野委員 これはどのような寄付行為によって成立している法人であるのか、どんなところから寄付行為を受けていて、その総額がどのくらいになるものであるか、現在の人員の規模、そんなところがおわかりだったら教えていただきたいと思います。
  100. 牧村信之

    ○牧村政府委員 現在、五十二年度でございますが、約六千万円の寄付を予定しておりまして、主としてこの寄付を出しておりますところは産業界でございます。約三十四社が寄付をいたしております。  それから、現在のセンターの職員数は、役員が十名、そのうち常勤一名でございます。職員数は十八名でございます。
  101. 日野市朗

    日野委員 産業界とおっしゃったのですが、具体的にどんな業界がこれに加わっていて、大口の寄付者があれば、それも明らかにしていただきたい。
  102. 牧村信之

    ○牧村政府委員 九電力並びに原子力発電株式会社並びに電源開発株式会社、この電力関係が十一社、その他メーカー、このメーカーは原子力関係の機器メーカーあるいは原子燃料の加工メーカー等がその他でございます。
  103. 日野市朗

    日野委員 電力関係の十一社とおっしゃられましたが、ここから出ているのは、どの程度の寄付行為になりますか。
  104. 牧村信之

    ○牧村政府委員 約六割でございます。
  105. 日野市朗

    日野委員 いま伺いますと、役員が十名、そのうち常勤はわずか一名にすぎない。それから職員数十八ということなのですが、これはどうなんでしょうか、このセンターは、予定されていると言うとちょっと語弊があるかもしれませんが、情報処理業務の委託を受ければ、人員をふやすとかなんとかいうことは考えられるのでしょうか。
  106. 牧村信之

    ○牧村政府委員 現在、このセンターが実施しておりますのは調査研究でございますのでこのような人員でやっておるわけでございます。研究の主体は、研究委員会等を設けましたりして、外部からの学識経験者を集めてその少ないところは補うというような運営をやっております。しかしながら、仮にここに情報業務の指定を行いました場合には、それなりの人員の増強等も図らなければならないかとも考えております。
  107. 日野市朗

    日野委員 このセンターは、自分で所有している電算機はあるのでしょうか。
  108. 牧村信之

    ○牧村政府委員 計算機を所有しておりませんけれども、タイムシェアリングを電算機会社から時間的に借りるというやり方をいたしております。
  109. 日野市朗

    日野委員 いま、これは一例としてというふうにこのセンターについて伺っているわけでありますが、私もあくまで一例としてお伺いしますが、電算機も時間借りをやっている状態ですね、それから人員もこの程度である、それから寄付行為も五十二年度六千万円というようなお話でしたけれども、この一例で六十一条十二の一項の資格というものがあるというふうに判断されるのでしょうか。
  110. 牧村信之

    ○牧村政府委員 事業規模は、寄付を受けたのは六千万と申し上げましたけれども、それ以上の事業収入もあるわけでございます。私ども現在考えております業務を委託することにつきましては、十分に技術的な能力を持っているであろうというふうには考えております。
  111. 日野市朗

    日野委員 この程度の事業体といいますか、この程度のものであれば、これはもうちょっとした技術者——ちょっとしたと言うと語弊がありますが、技術者が集まる、それからある程度の資本が集まるというようなことになって民法三十四条の規定によって財団法人を設立するということになれば、幾つもこの指定の基準に合致するという事業体は出てくるわけですね。仮定の問題になりますが、そういうものが出てきた場合は、それにも情報処理業務を委託するということは考えられることだと思います。まずそれが考えられるかどうか。  それから、情報処理業務を行う者は、その数についての規定がないようですが、これは何も一つの事業体に限ったことではないというふうに伺っておいてよろしゅうございますか。
  112. 牧村信之

    ○牧村政府委員 まず数の方から申し上げますが、私ども、こういう業務がこの規定では一つであっていけないということは何ら書いてございませんけれども、こういう統計処理をお願いするのを別々のところにお願いしたと仮に仮定いたしますが、そういたしますと、またそれを一本にするとか一体化にするというような、国としては一元的な核燃料の計量管理をいたしたい、それをIAEAに通報するということでございますので、余り数が多いということは適当でないと考えております。
  113. 日野市朗

    日野委員 さっきから行政職の者がこの仕事を担当するのは余り適当ではないという発言があったわけでありますが、たしか今年度の予算でも、関係の各省庁のコンピューター、これは非常に強化されてきておりますし、それに各省庁間のコンピューターの連絡ということについても一応の予算がついて、その方の研究やその方のコンピューターの連絡を密にするという作業は行われているわけなんですが、いまこの核物質管理センターですか、ここの内容を聞いてみてそんなにりっぱな事業体でもないというふうに私、思っているのですけれども、こういう情報処理業務というのはむしろ国がやる方がベターである。そして国にはそれだけの能力もあるし、この業務をやったからといってそう格段人がよけいに要るとか金がかかるというものでもないのではないかというふうに思うのですが、いかがでしょうか。
  114. 牧村信之

    ○牧村政府委員 先ほど来申し上げておりますが、この仕事は、国内核燃料物質保障措置関連のいろいろな情報につきまして収集し統計的な処理をする、これはわりあい簡単なんでございますが、施設ごとに核燃料物質の動きを評価しなければならぬわけでございます。それを評価し、その施設特有の技術能力から核物質が他に分散しているかしていないかというような確認的な評価の仕事があるわけでございますが、この辺の情報の処理システムというものは一概に直ちにでき上がるものではございませんで、すでにここではいろいろな調査試験をやっておりますと申しましたけれども、その辺のコンピューターを用いましてそういう計算をやっていく計算システムの調査研究を長い間やっておるわけでございます。そういうような技術の蓄積がないと私どもはIAEAの要求する問題に対処し得ない。私どもその知識を持ってまいりまして役人がやるということは不可能ではございませんけれども、その技術自身も将来どんどん改善していきたい、合理的なものにしていきたいというふうに考えておりますので、私どもとしては、そういうような特殊な業務の部分についてはある指定された者にやらせたい、かように考えておるわけであります。
  115. 日野市朗

    日野委員 時間がなくなってまいりましたのでずばり伺いたいのですが、委託料としてはどのくらい見込んでおられますか。
  116. 牧村信之

    ○牧村政府委員 本年度三千五百万円程度でございます。
  117. 日野市朗

    日野委員 間違いございませんね。  こういう処理機関を想定してわざわざこういう法律的な措置をしてあるということについては、私としても非常に奇妙なことではないかと思うのです。これは私の勘ぐりであればそれにこしたことはないと思うのですが、まさかこういうセンターのためにわざわざ六十一条の十以下の法律をつくったということはないのでしょうね。
  118. 牧村信之

    ○牧村政府委員 仕事をやらせたいことが先でつくりました。ですから、先ほどもお答えいたしましたが、日本でこういう特殊な業務がし得るところの可能性としてここがございますということを申し上げておるわけでございます。
  119. 日野市朗

    日野委員 もっとほかにも聞きたいことがあるのですけれども、さっき十分時間を譲歩してしまったものですから、どうも時間がなくなってしまいました。きょうはこの程度にしておきます。
  120. 岡本富夫

    岡本委員長 日野君の質疑は終わりました。  次は貝沼次郎君。
  121. 貝沼次郎

    貝沼委員 ただいま議題となっております核原料物質核燃料物質及び原子炉規制に関する法律の一部改正、それから、核兵器の不拡散に関する条約第三条1及び4の規定の実施に関する日本政府と国際原子力機関との間の協定の締結について承認を求めるの件、これが外務委員会にかかっておるわけでありますが、このかかわり合いできょうは質問いたしたいと思います。  そこで、端的に、順序といたしまして、私は外務委員会のそういう趣旨説明など聞いておりませんので、ここで簡単に、この二つの法案についてどういう関連性になっておるのか、これは外務省の方からお願いいたします。
  122. 太田博

    太田説明員 お答え申し上げます。  ただいま先生御指摘の件でございますが、外務委員会の方にかかっております保障措置協定、これの規定によりますと、わが国が特定の国内的な措置をとることになっております。たとえば、保障措置協定の第三条というのがございまして、この三条の規定によりますと、わが国保障措置国内体制、これを整えて維持するという規定になっております。それからそのほかに、協定のその他の関連の条項によりまして、わが国が国際規制物質、これの適正な管理を行うという義務がございますし、また保障措置協定の第八条によりますと、日本政府がこの協定によりまして各種の保障措置関連した情報を国際機関に提供することになっております。  したがいまして、このような保障措置協定上、わが国は種々の義務を負うことになりますが、その義務を履行するために、原子炉等規制法の該当個所を改正して、その保障措置協定上のただいま申しましたような義務が履行できるような国内的な手当てをする必要がある、そういう関係でございます。
  123. 貝沼次郎

    貝沼委員 それで、具体的な問題になりますが、このNPT第三条第四項によって、非核兵器国は批准の日までに保障措置協定の交渉を開始し、その十八カ月以内に効力を生ぜしめることとする、概要でありますが、この保障措置協定の発効という問題であります。いま外務委員会にかかっておる協定ですね、これがたとえば国会を通過した、そして今回この当委員会にかかっておる規制法が十二月三日までに通過しなかった、十二月三日よりもおくれた、あるいは廃案になった、いろいろあると思いますが、要するに、間に合わなかった、こういうふうになった場合には、国際的にどういうふうになるのでしょうか。
  124. 太田博

    太田説明員 お答え申し上げます。  ただいま先生御指摘のように、わが国の場合には、保障措置協定の交渉を開始いたしましたのが昨年の六月四日でございますので、核防条約上の規定によりまして、本年の十二月四日までに保障措置協定を発効させる義務核防条約上負っているわけでございます。それで、その義務を果たすためには、先ほど申しましたように、保障措置協定におきましてわが国は特定の国内措置をとるという義務づけをされておりますので、国内的な手当てができませんと、保障措置協定だけが仮に国会の方で承認されたといたしましても、国内法の手当てがそれに伴いませんと、保障措置協定は実質上発効できないことになる。したがいまして、わが国としては、ただいま先生が御指摘のような事態が仮に起こるといたしますと、核防条約上の義務が果たせなくなる、そういう事態が到来することになります。
  125. 貝沼次郎

    貝沼委員 そうすると、世界的にいままでそういった事例は全然ないということになりますか。
  126. 太田博

    太田説明員 実は、核防条約上のそういう十八カ月以内に保障措置協定を発効させるという義務をいままでのところ守ってない国がないわけではございませんで、かなりの数の国が、核防条約上の規定までにそれぞれの国内の手続によりまして保障措置協定を発効させなかったという例はございます。
  127. 貝沼次郎

    貝沼委員 ほかの国のことはわかりましたが、わが国においてはいままで他の条約においてこれに似たようなケースはありませんでしたか。
  128. 太田博

    太田説明員 実は、つい最近国会で御承認をいただきました日韓大陸棚協定、これはやはり国内法の手当てをすることによって国内的な措置をとることになっておりますけれども、日韓大陸棚協定の場合には、本件の核防条約のように期限というものがございませんので、そういう期限がついているという点ではいささか事情を異にすると考えられます。
  129. 貝沼次郎

    貝沼委員 大体様子はわかりました。そういうようなこともあるので、私どもも法案の順序まで変えて実は審議をしておるわけであります。  なおまた、これもお尋ねになるわけでありますが、この協定は、協定本体とそれから議定書から構成されておりますけれども、その議定書の第二条、最恵国待遇というところがありますが、これは具体的にどういうことを意味しておるわけですか。
  130. 太田博

    太田説明員 お答え申し上げます。  ただいま先生の御指摘の議定書の第二条でございますが、この議定書は、全体といたしましてわが国がいわゆるユーラトム並みの待遇を受ける、主としてそのために設けられたものでございまして、この第二条も、ここに書いてございますように、わが国保障措置制度、これの態様がほかの国、またはユーラトムのような一群の国でございますが、これと同等であるという場合には、査察の受け方においてそういう国よりは不利でない待遇を受ける、そういうことが規定されているわけでございまして、いわゆるユーラトム並みの待遇を日本が受けるということが、具体的に規定されているものでございます。     〔委員長退席、宮崎委員長代理着席〕
  131. 貝沼次郎

    貝沼委員 科技庁にお尋ねしますが、この不利でない待遇というのは、具体的にどういうようなことを意味しますか。
  132. 牧村信之

    ○牧村政府委員 まず、現在の査察の様態は、IAEAがいつ、いかなるところにも来られるという形での査察を受け入れておるわけでございます。これは日米とか日英の協定に基づく査察でございますけれども、これを日本がみずから核燃料物質保障措置を行うという日本が自主的に行う保障措置制度に、IAEAはそれを横からと申しますか観察するということが基本的な査察の仕方になっておるということから、日本がかねがね主張しておりますユーラトム並みのあれがとり得た。また、査察のやり方につきましても、その必要な査察を行うポイントを限定するということ、あるいはその査察の量につきまして、その量をあらかじめ決めて、それ以上にはならないようにするというようなことの取り決めがございますので、十分ユーラトム並みの査察がとり得たというふうに考えております。
  133. 貝沼次郎

    貝沼委員 それからもう一点尋ねておきますが、これは外務省。  簡単に申しますと、第六条に「この協定の実施を通じて知るに至つた商業上及び産業上の秘密並びに他の秘密情報を保護するためすべての措置をとる。」というふうにして、秘密の問題を取り決めておるようでありますけれども、もしこういうような機関やらあるいは査察員が知り得た秘密を漏らした場合、盗まれたのではなしに漏らした場合ですね、この場合には、わが国並びにそういう、たとえばIAEAとか、こういうようなところでどういうような措置をとるようになっておりますか。
  134. 太田博

    太田説明員 お答え申し上げます。  もしそのような事態に立ち至った場合には、これはこの協定でそういう規定があると同時に、今度は国際原子力機関の服務規程がございまして、ここで、査察員はそういう査察の実施の過程で知り得た秘密は漏らしてはならないということになっておりますので、国際原子力機関の憲章及び規則に照らしまして、その査察員がわが国の抗議の申し込みに基づきまして処罰をされる、場合によっては査察員の地位をやめなければならない、そういうことになっております。なお、そのほかに、わが国と国際原子力機関との間で起こりました問題については、適宜協議ができることになっておりますので、それ以上の措置が必要かどうかにつきまして、必要な場合には協議をするということになっております。
  135. 貝沼次郎

    貝沼委員 それで、これは愚問かもしれませんけれども、この場合、「商業上及び産業上の秘密」というのは、この部分は秘密である、これは秘密ではない、これを判断するのはだれが判断するのですか。
  136. 太田博

    太田説明員 これは、協定の第四十六条に、産業上機微な工程の場合にはいわゆるブラックボックスというのを設けることができるということが規定されておりまして、査察の具体的な実施に差しさわりがない限りは、そういうブラックボックスを設けて機微な産業上の機密が査察という過程を通じて漏れることがないように配慮していいということになっております。具体的にはどういう場所にブラックボックスを設定するかということは、国際原子力機関わが国とが協議をして決めることになっております。
  137. 貝沼次郎

    貝沼委員 IAEAとわが国が協議をして決めるわけですね。その場合に、たとえば商業秘密、たとえば民間とかいろいろなところの問題等が出てきた場合に、これは政府ですべてがわかった上で相談をなさるということになるのでしょうか、それともそういう商業秘密上のものはわからないまま、その業界なら業界の言うことを信用して話し合いに応ずるということになるのでしょうか、その辺のところは何か取り決めがあるわけですか。
  138. 太田博

    太田説明員 その点につきましては、特に具体的な取り決めというのはございません。ただし、特に原子力平和利用の上において商業的にも国際的にこれは機密に属すると常識的に考えられております。たとえば再処理の一番肝心な工程でございますとか濃縮の技術でございますとか、これの中心的な個所につきましては、これはブラックボックスの中に入れてしかるべきものであるというようなことは、一般的に了解されております。
  139. 貝沼次郎

    貝沼委員 大臣にお伺いしたいと思いますが、要するに、エネルギーの状況から考えて、科学技術というものがより公開され、そして世界じゅうの技術というものが結集されて現在の地球上のエネルギー危機を突破するということは、私は非常に大事なことだと思うのです。ところが、それに絡んでくる問題はただいまの商業秘密、あるいは、余りにもオープンにしてしまうと今度は自国の研究開発、自主性、こういった問題がやはり絡んでまいります。そこで、こういう秘密という問題と自国の自主開発という問題、これはどういうふうに政府としてはお考えになっておるのでしょうか。
  140. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 何と申しましてもやはりウランは一つの有限の資源でございまして、現在の軽水炉のままだと二十年で終わりだというふうな説すらあるわけでございますから、それをどうしようかということで各国が必死になっておる。わが国資源小国で、高速増殖炉の開発に努め、さらには核融合という大きな問題に取り組んでおります。核融合は別といたしまして、その間におきましてはすでに、初期のころではいろいろと海外のものを輸入してそれに充てたわけですが、現在ではもう軽水炉といえどもその国産化は九〇%以上になっておるというふうな発展ぶりも見せております。したがいまして、各国それぞれ事情があろうと私は考えます。たとえばドイツは、核の開発は輸出産業として、将来その花形として育てるんだと、こういうふうな国もありますから、恐らくそういうふうな国になってまいりますと、いま言われました商業機密というものが非常に重大な問題になってくるのじゃなかろうか、私はこう思いますし、わが国のごとく、本当にもう自国だけでやるという場合には、これまた施設の秘密は必要でございましょうけれども、しかし将来、世界に対しましても、こういうふうな技術を用いた方がいいよという場合には、世界にも貢献し得るというふうな立場もあるのじゃないだろうか。一にかかって今後のそうしたことも、IAEAあるいはINFCEの会議等においても、私はこのような問題は一つのテーマとしていろいろ話題になるのじゃないかと思います。  しかしながら、現在はIAEAは、それぞれの国家に商業機密ありというふうなことで臨んでおりますし、当然わが国も現在といたしましては、まだまだ貴重にしなくてはならぬノーハウ等もございます。そういうふうに考えてまいりますと、やはりいまずっと外務省説明いたしておりましたように、そうしたことに対する十分な措置考えられて今回の改定がなされると、こういうふうに御理解賜りたいと存じます。
  141. 貝沼次郎

    貝沼委員 それでは、時間が少ないので先に進ましていただきますが、防護の問題です。  九月十三日に核物質防護専門部会第一次報告書というものが大臣提出されておると思いますが、この中で、いわゆる核物質の防護ということについて日本はさらにいろいろな面で検討していくべきであるというような提言がなされておるわけでありますが、これ一つ一つについて簡単に進行状況なり見解なり、あるいは考えておること、そういったことを伺っておきたいと思います。  まず第一番目に、法制面の整備というところがありますが、ここにおいて特殊核分裂性物質の、たとえば窃盗であるとかいろんな場合、この場合について罰則の話が出ておるわけであります。これは国際的動向を見きわめつつ検討を進める必要があるという提言がなされておるわけでありますが、これについては現在どのように考え、どういうふうな作業をされようとしておりますか。
  142. 佐藤兼二

    佐藤(兼)政府委員 御説明申し上げます。  現在、国際的に核防護の問題がどういう観点で取り扱われているかと申しますと、一口に申しますと、現に核物質を扱う事業者をいかに指導し、そういうような危険から守るために措置するかという意味で、主として事業者に対する指導という角度で防護の問題を扱っておるわけでございます。ところが、本質的にその問題を考えた場合、攻める側、反対にそういう物をとったりあるいはそういう施設を脅かそうとする側に対する何らかの予防的な意味を含めての罰則規定等の問題は、現在何ら講ぜられておらないわけでございます。それは、一般的な刑事罰的なベースでの措置しかとられておらないわけでございます。その点をいま申しましたような観点に集約させまして、それをさらにいかに強化するかというのが現在の国際的な共通の課題になっておるわけです。この点で、国際的動向を見きわめつつ具体的な、いわば特別な体系を考えるのが問題ではないだろうかと言っているのが、その趣旨でございます。
  143. 貝沼次郎

    貝沼委員 趣旨はわかるのですが、私は時間がないから一々申し上げてないわけですが、これに対して科技庁としてはいまどういうふうに対処されておるのですか。
  144. 佐藤兼二

    佐藤(兼)政府委員 この点につきましては、現在、国際原子力機関の場において、この問題を含めまして国際的な何がしかの取り決め的な問題ができないだろうかということに関しまして、検討を進めるべき段階に来ております。現にそういう場が現在設けられようとしておるところでございます。それに対して日本も積極的に参加すべきじゃないかというのが、考え方の内容でございます。
  145. 貝沼次郎

    貝沼委員 大体まとめて聞きますけれども、要するに、いろいろな提言をなされていますね。たとえば緊急時の問題であるとかあるいは治安当局の対応体制の整備であるとか、また関連研究開発の推進であるとか、いろいろ具体的に出ておりますけれども、これは九月十三日ですから、これをただ受けただけで、さあこれから考えます。何か国際的にも場をつくって検討いたします。ただそれだけでなしに、わが国の科技庁の中にはこの問題を今度は具体的に、たとえばさらに分化して、法律面の問題であるとか、その他分けて作業段階に入るとか、あるいはこれに対しての統一見解をまとめつつあるとか、そういったものは何もないわけですか。
  146. 牧村信之

    ○牧村政府委員 この関係の問題につきましては、私どものところだけではなく、外務省あるいは法務省、警察庁等々、関係省庁がございます。これの連絡会議をすでに設けておりまして、種々相談を始めておるわけでございます。当面大至急やらなくちゃいけないと思っておりますのは、法制面の整備で、この法制面の整備というのは、現行法で行える範囲の、たとえば特例の改正、省令の改正というようなことを各省庁共同してやっていきたいというふうに考えておるわけでございます。  それから、もう一点非常に当面大事なことは、緊急時における対応の仕方が、すでに警察庁等と地元の事業者の間でいろいろ話し合いが持たれておりますけれども、こういうような破壊活動が起こったときに、できるだけ早く治安当局と連携して進めていくというようなことに対しましては、警察の対応をぜひ強化していただかなくちゃいけない面もございます。その辺につきましては今後警察庁等と至急話し合いをいたしたいと思っておりますし、行政指導ベースでは、各施設者にその辺を地元の警察等とよく連携をとるように指導しておるところでございます。  それから、研究開発については、来年度の予算等に一段の増強を図りたいということで、予算のお願いをしておるところでございます。  それから、国際協力の推進につきましては、ただいま佐藤次長からもお話がございました、国際的な条約づくりの場に積極的に参画するというようなことで今後対処していきたい、かように考えております。
  147. 貝沼次郎

    貝沼委員 それじゃ、今後具体的に進みましたら、また具体的に議論をしてまいりたいと思います。  そこで、せっかくNPTのお話が出ておるときでありますから、少し外務省関係の話をこの際伺っておきたいと思います。  一つは、核保有国による核軍縮の問題なんですけれども、これは現在実態的にどういうような具体的な進展を示しておるわけですか。
  148. 太田博

    太田説明員 核保有国によります核軍縮の進展は、実は残念ながらなかなかわれわれが希望するとおりには進んでいないというのが実情でございます。わが国といたしましては、あらゆる機会をとらえまして、核防条約の実効を確保する観点からも、核兵器国が核兵器国としての義務を果たすことは絶対に必要であるということは強く申しておりますけれども、なかなか思うようには進展を見ないというのが実情でございます。  一つ希望が持てますのは、米ソ間のいわゆるSALT交渉、戦略核兵器の削減に関する交渉でございまして、ただいま米ソ間でいかにして実質的な進展を図るか、こういう点でお互いに打診をしておりまして、われわれとしてもこの米ソ間のSALT交渉が実質的な進展を見ることを心から期待している次第でございます。
  149. 貝沼次郎

    貝沼委員 そのSALTの問題でありますけれども、現在米ソの間でいろいろな新協定締結の意思はあるようでありますけれども、なかなかそううまいこといっておらない。  そこで、この際伺っておきたいと思いますが、このSALTの行き詰まった原因ですね、これは外務省としてどういうふうに判断をされておるのか。それからこのような米ソの核軍縮に対する態度というものを外務省はどう判断をされておるのか、この辺をお聞かせ願いたいと思います。
  150. 太田博

    太田説明員 お答え申し上げます。  まず、SALT交渉がなかなか思うように進展しない理由でございますけれども、これは先生御案内のように、米、とも二大核超大国として、米ソのそれぞれの戦略の最も中心を占めているのが核兵器でございますけれども、米ソの間でお互いにまず不必要な量の核兵器は削減しようではないか、シーリングを設けようではないか、それからお互いにできるだけ誤解を招かないような措置をとろうではないか、そういう観点から話し合いが進んだわけでございますけれども、何せこれは米ソ両国の国防あるいは世界戦略の最も核心にかかわる問題でございますので、お互いに核戦争は避けなければならないという強い意図は持っておりますけれども、お互いの間のこういう最も基本的な問題について信頼関係を打ち立てるというのはなかなか至難でございまして、やはり少しずつしか前進が見られないのではないか、そういうふうに考えております。  ただし、ただいま申しましたように、米ソとも特にキューバ危機以降核の世界戦争だけはどうしても避けるべきであるという認識は強く持っているようでございますので、その認識に立ちまして少しずつ現実的なアプローチをしていかなければならない。したがいまして、進捗のペースは遅々としておりますけれども、少しずつ前進を見ることをわれわれとしても期待しておるわけでございます。
  151. 貝沼次郎

    貝沼委員 それで、なかなか米ソ間は進展しておりませんが、核防条約体制ができてから核保有国の核軍拡競争、これは非常に進んでいるのではないか。こういった核軍縮が進まない一方に、今度は非核保有国の手を縛るような核防条約体制の問題、これについてやはり再検討といいますか、核防条約の第八条に基づく再検討会議、こういったものを開催することをわが国は求めて、そして検討をなすべきではないかという考え方があるわけでございますけれども、これについてはどういうお考えですか。
  152. 太田博

    太田説明員 ただいま先生御指摘の再検討会議でございますが、これは核防条約規定によりまして五年ごとに集まって見直しをしようということになっておりまして、二年前の一九七五年にジュネーブで大々的な再検討会議が行われました。したがいまして、次の再検討会議は、規定によりますと一九八〇年、あと三年後ということになります。ただし、ただいま先生御指摘の点は、わが国としても重大関心を有するところでございますので、八〇年の再検討会議を待つことなくあらゆる機会をつかまえまして、あるいは二国間の場で、あるいは国際的な場におきまして、他方では核兵器国の軍縮の責任を追及し、また非核兵器国の平和利用の権利は害されてはならないということは機会あるごとにいままでも言ってまいりましたし、これからも八〇年の再検討会議を待つことなく、そういう主張は続けていきたいと考えております。     〔宮崎委員長代理退席、委員長着席〕
  153. 貝沼次郎

    貝沼委員 過日カーター大統領は国連で演説をいたしまして、自衛のため以外には核兵器を最初に使用しない、こういうことを言っております。いままでの歴史を見て、自衛のため以外の言葉で恐らく兵器を使ったというのはそう余りないと思うのですけれども、自衛のため以外には核兵器を最初に使用しない、こう言っておるわけであります。こういう言い方について私は非常に疑問があるわけでありますけれども、こういう言葉について外務省はどういうふうに受けとめておられるわけですか。
  154. 太田博

    太田説明員 カーター大統領の発言の趣旨、真意、これはなかなかはっきりしたところは直ちにはわかりませんけれども、いずれにせよ米国がこれまで世界戦略の見地から核の使用につきましていろいろ言ってまいりましたけれども、攻撃的な意図でまず敵の機先を制するというような形で使うというようなことを余りはっきり申しますのは、先ほど申しましたような主としてソ連との間の核のバランスの上で安定を図るという点からも余り好ましくない、そういう考慮があるようでございまして、そのような考慮を背景にして今回のカーター大統領の発言が行われたものと思われます。
  155. 貝沼次郎

    貝沼委員 そういうカーター大統領の発言、まあこれは意地悪く解釈をすれば、自衛という名前をつければ、最初であっても核兵器は使用できる、こういうふうにも読めないことはないので、これは非常に危険な読み方でありますから私は賛成できませんけれども、そういうような非常にあいまいなところがある。こういったたぐいの発言では、たとえば中国なんかでも、最初に使用する国にはならないというような言い方をしておるようでありますけれども、いずれにいたしましても、最初に核兵器を使用しないという内容の核兵器国による核兵器不使用協定ですね、こういうものを締結する、これが非常に大事なことではないかと私は思うわけであります。したがって、日本国としてはこういうことが実現できるように積極的に働きかけをしなければならぬと思っておるわけでありますが、この点についてはどのようにお考えでしょうか。
  156. 太田博

    太田説明員 お答え申し上げます。  世界的に核戦争があってはならない、防止をするという観点から、もし基本的にそういうようなすべての核兵器国の合意ができればそれはきわめて望ましいことであることは間違いないと思います。ただし、世界の核兵器国を取り巻く現実の政治情勢というのもやはり無視はできない、こういう面も他方でございまして、たとえば特に欧州におきましてアメリカはワルシャワ軍との関係で、たとえばワルシャワ条約の方から大量の在来軍による攻撃が行われた場合にどうするか、その辺の核戦略の考えもございまして、直ちには、いかなる場合においても核の第一使用を行わないという協定に、現実のそういう政治的な条件を考慮に入れずにそのまま理想的な協定に署名するということにはなかなかいかないようでございますけれども、方向としては、もしそういうことが可能であるならばこれはきわめて好ましいことである、そういうふうに考えております。
  157. 貝沼次郎

    貝沼委員 要するに、日本の国としては、そういうような不使用協定の問題を世界各国に提示して、それを主張するというような考えはあるかどうかということについて一応お答え願いたいと思います。  それから時間がありませんので、もう一点は、アメリカの中性子爆弾が最近話題を呼んでおりますけれども、この中性子爆弾についてわが国はこれを核兵器という範疇で考えるのか、それとも全然別のものという考え方をとっておるのか、またこういうような兵器に対してわが国としては、相手がアメリカであれ他の国であれ、どういう態度をとろうとなさっておるのか、その点についてお答えを願いたい。
  158. 太田博

    太田説明員 お答え申し上げます。  第一の点でございますけれども、これは繰り返しになりますが、やはり国際的な政治的な現実を踏まえた上でわが国としての対処ぶりについて検討する必要があるというふうに考えます。  第二の中性子爆弾でございますが、やはりこれは核兵器の一種であるということで、先ほど申しましたように、わが国は、たとえアメリカといえども、核兵器国が核軍縮の責任は負うべきであるという立場をとっておりまして、いろいろな形で核兵器がますます拡散していくということは好ましくないというのが基本的な立場でございます。
  159. 貝沼次郎

    貝沼委員 最後に一言伺って終わりたいと思いますが、ただいまの答弁で、これは核兵器の範疇に入るということでありましたので、したがって中性子爆弾のわが国への持ち込み、これも当然事前協議の対象となるし、非核三原則が適用されることである、こういうふうに私は思うわけでありますが、この点を確認しておきたいと思います。
  160. 太田博

    太田説明員 ただいま御指摘のとおりだと思います。
  161. 貝沼次郎

    貝沼委員 終わります。
  162. 岡本富夫

    岡本委員長 貝沼次郎君の質疑は終わりました。  次に、小宮武喜君。
  163. 小宮武喜

    小宮委員 今回の保障措置協定によって、従来の二国間原子力協定に基づく保障措置に比べて具体的にいかなる点において合理化が図られ得るのか、まずその点お聞きします。
  164. 牧村信之

    ○牧村政府委員 現在の保障措置は、IAEAが一方的にわが国に対して特別の制限もなく査察を行う権限を有しております。ところが、NPT下におけるIAEAとの取り決めによりますと、これが全く変わった様態になってまいりまして、その様態と申しますのは、わが国の自主的な査察をIAEAが監察するというシステムを取り入れたということでございます。したがいまして、非常に自主的であり、しかもその査察の内部の規定につきましても、従来の制限がなくというのは、査察場所並びに査察の回数等についても制限をつけることができるという形になりますので、わが国にとっては非常に有利な査察になったというふうに考えておる次第でございます。
  165. 小宮武喜

    小宮委員 いわゆるユーラトム並みの査察を自主的にも確保するためには、わが国の自主査察の体制の強化が必要である、こういうふうに考えますけれども、その体制は整っているのかどうかという点、いかがですか。
  166. 牧村信之

    ○牧村政府委員 これまでもわが国におきましては、規制法によりまして平和利用の確保という意味国内の諸施設に対して監督をしておるところでございます。当方といたしましては、近くNPTの査察に移行するということを予想いたしまして、かねてよりその準備を整えておりまして、昨年度におきましては保障措置課を新設し、あるいは本年度査察官を増員するということで体制整備に努めておりますと同時に、技術的な面におきましても直ちにユーラトム並みの査察が可能であるように、種々の査察に対する研究を進めてきております。したがいまして、現状においてはユーラトム並みの査察を国内で十分行い得るだけの体制は整ったというふうに考えております。
  167. 小宮武喜

    小宮委員 それは、今回の保障措置協定によった場合に、いわゆるユーラトム並みの査察体制と大体同様になるというふうに理解していいですか。
  168. 牧村信之

    ○牧村政府委員 おっしゃるとおりでございます。
  169. 小宮武喜

    小宮委員 その体制はもうでき上がっておるということになるわけですか。たとえば十二月の四日なら四日に期限が切れるということでいろいろ問題になっているわけですが、すでに現在でもでき上がっておるということですか。
  170. 牧村信之

    ○牧村政府委員 先ほど申し上げましたのは私どもの組織、体制でございまして、NPT保障措置をお認めいただき、規制法改正の御審議をお認めいただいて改正国内法を準備いたしますと、それに伴って現有体制をつけ加えますれば、NPT体制下の査察がユーラトム並みに十分できるということでございます。
  171. 小宮武喜

    小宮委員 まあ大丈夫だということですね。
  172. 牧村信之

    ○牧村政府委員 はい。
  173. 小宮武喜

    小宮委員 それから、再処理に関する日米交渉において、動燃事業団の再処理施設保障措置研究対象として使用することになっておりますけれども、わが国保障措置関連技術開発は十分に進んでいるのかどうか、その点いかがですか。
  174. 牧村信之

    ○牧村政府委員 私ども、現在進めております保障措置関連技術開発は、ある意味では世界的なものではないかと自負しております。それで、実際に実施しておりますところは、主として原子力研究所並びに動力炉・核燃料開発事業団、それに補助金と申しますか委託費によりまして民間機関等へ出してやっておるわけでございます。したがいまして、それらの成果のうちには相当世界的なレベルに達したものがあるというふうに聞いております。
  175. 小宮武喜

    小宮委員 その保障措置関連技術開発はもう十分だということですか。
  176. 牧村信之

    ○牧村政府委員 もうこれでよろしいということではございませんけれども、少なくとも現段階においては相当のレベルに達しておると判断しております。しかし、この保障措置技術というものは、たとえば核物質の監視であるとか封じ込め技術というものを仮に考えたといたしますと、それがさらに良好なものができれば人による査察の回数を減らせるということにもつながるわけでございますので、なお一層この研究開発は進めるべきだというふうに考えております。
  177. 小宮武喜

    小宮委員 これは直接保障措置の問題とは関連がないかもしれませんが、最近よくテレビでも新聞にも核ジャックという問題がいろいろ出てまいっておりますが、そういう核ジャックに対する予防体制というのは大丈夫かどうか。私自身も一回あそこに見学に行きまして、私、素人の目で見て、なるほどよくやっておるなと思いました。大臣も、今度の日米交渉において、非常にすぐれた設備をしておるとか、体制が整えられておるとか言っておりましたけれども、最近いろいろこういった世の中不穏になってくると、飛行機だとか、バスだとかばかりでなくて、やはり国内にもかなりのそういった人たちがいるということも新聞に出ておるし、そういった意味では現状の体制で大丈夫なのか、この前たまたま私はあるテレビを見ておったら、核ジャックの問題が出ておった。そういう点で、いまの核ジャック対策というのは、あれで大丈夫なのか、諸外国では、アメリカあたりでは武装した警官がいるという話を聞きますけれども、その点、大臣、いかがですか。
  178. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 この点は、日米間におきましても非常に議題になりまして、アメリカとしては、そうしたものを少しく心もとなく思うから、だから混合抽出とか、混合貯蔵とかというふうな理屈が、そこから一面においては出たのじゃないか、私はこう考えております。しかし、私は次のように言いました。アメリカ人はそれぞれピストルを持っておるか知らぬが、日本人は持っておらないよ、ごく一部の限られた警官とかあるいは自衛隊とかが武装しているだけの話で、他は持っておらない、それは法律が、銃砲刀剣類等所持禁止法と申しますか、そういう法律によってわが国においてはあなたの国のような大仕掛けなギャング団もなければ、またそういうものもない、小仕掛けなやつが来たって、それに対するところの防護施設は現状で十分である、こういうふうに私は申し上げまして、いろいろな立場から現状で大丈夫だということを言ったわけであります。言うならば、言い切ったわけであります。もちろん、国内におきましては、たとえば武装した者を置かないと本当は大丈夫じゃないじゃないかという声もありますが、しかしこれはわが国の現状から申しますと非常に論議を呼ぶ問題であろうとわれわれ考えますから、したがいまして現在は科学技術の粋を集めまして御承知のとおりのような体制をしいておる。だから、その国を信頼しなさいということで、この間の合意ができた、こういう経緯でございます。
  179. 小宮武喜

    小宮委員 向こうの人たち考え方とわれわれの考え方は若干相違があるのは当然ですけれども、たとえば武器を持つことについても、われわれの方は持たなくても、そういう核ジャックをやろうというような連中はどこから手に入れるのか知らぬけれども、いろいろな武器を持っているわけですから、そういった意味で、あそこの予防体制の中ですぐ警官が駆けつけられるようになっておりますけれども、やはりこれは、私は何も武装した警官を置けとは言いませんけれども、その点は備えあれば憂いなしという言葉もありますから、いまのままでいいのかどうか、これで大丈夫だということが果たして言えるかどうかというような疑問を持ちます。この前の新聞とかテレビを見ておっても、いろいろわれわれが暗示させられるようなこともございますので、その点はひとつ十分の監視体制、また予防体制をとってもらいたい、こういうように考えます。  それから、保障措置、自主体制確立によって、国際核燃料サイクル評価計画等の場合においても、原子力平和利用と核不拡散の両立というわが国の基本的立場を強く打ち出していくべきだというように私は考えるわけですが、政府考え方はどうですか。
  180. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 今日私たちは、原子力平和利用と核不拡散は両立し得る、これが一つの日本の姿勢になってしまいました。これは総理大臣がカーターさんと初めて出会ったときにそのことを主張し、なおかつ私が原子力委員長といたしましてこの八月十五日に談話として発表したものの中にこのことを言い切ったわけでございます。だから、従来からこの問題がそこまで行けなかったというふうな恨みがあったかもしれませんが、よくぞ言い切ったという評価が高うございます。これが言うならば日米間の合意に達する大きな土俵であった、私はかように考えます。したがいまして、先般のINFCEにおきましても、このことを世界じゅうが一つの基盤として考えようじゃないか、核は将来廃絶だ。私たちは、軍縮だ、そんなものじゃなくて廃絶、このことも原子力委員長といたしまして談話ではっきり示しました。したがいまして、当然わが国はこの立場を守りたいと思いますし、幸いにも過般のワシントンのINFCEにおきましては、このことが参加国によって認められて大きな柱になっておるということでございます。
  181. 小宮武喜

    小宮委員 日米原子力交渉の成果を踏まえて、今後わが国世界各国と協力して、準国産エネルギーを確保するための核燃料サイクル確立していくためには、やはり再処理自主体制を適確につくり上げなければならぬと思います。同時に現在のNPT体制の実効性を高めていくことが必要だと思うのですが、その辺で今回の規制を変えた二つの内容である再処理事業指定制と保障措置体制確立は車の両輪のようなものだということでわれわれ民社党はこの法律案に対してもやはり原案賛成という立場をとっておりますけれども、いずれが欠けてもわが国核燃料サイクル確立されない、私はこういうように考えるのですが、念のためもう一度、われわれの考え方の正当性を裏書きするために、この問題についての政府考え方をお聞きしたいと思います。
  182. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 いま申されたとおりだと私も考えております。
  183. 小宮武喜

    小宮委員 再処理に関する日米交渉とか、英仏との再処理委託交渉等、最近の国際情勢は、核不拡散の立場から消費国への制約が非常に強まってきたというふうに考えますが、将来の再処理の需給及びわが国の自主性の確保について政府はどのように考えておるのか、また再処理必要性についてひとつ説明をしてください。
  184. 山野正登

    ○山野政府委員 まず将来の再処理の需給バランスについて御説明申し上げまして、その後自主性の確保について御説明申し上げたいと思います。  昭和六十年度の原子力発電の規模を、先般のエネルギー調査会の、若干幅はございましたが、三千三百万キロワットというものを想定いたしました場合をとってみますと、昭和六十年度におきまして再処理の需要が累積で三千八百トン、それから供給の方が三千二百トンで、バランスとしまして六百トン不足しておりますけれども、ほぼバランスしておるということになります。それから六十五年におきましては、発電規模を六千万キロワットと仮定いたしますれば、需要が累積で八千二百トンでございまして、供給が四千三百トン、差し引きバランスとしまして、不足分が三千九百トンばかりというふうなことになるわけでございます。  私ども将来、燃料サイクルのかなめとしまして、再処理の自主性の確保というのは緊急な最優先課題と考えておるわけでございまして、現在の動燃再処理工場の運転実績を積みました上で、この建設なり運転で得ました技術を生かして、第二再処理工場をつくっていきたい。そうして国内に自主的な再処理システムというものをつくってまいりたいと思っておるわけでございますが、それまでの間は、やむを得ず現在の東海再処理施設処理量を超えるものにつきましては海外に委託せざるを得ない。従来英仏に千八百トンばかりのものを委託しておるわけでございますが、今般新たにフランスと千六百トンを契約し、また近く英国と同じく千六百トンばかりのものを契約する予定にいたしておりまして、これが全部できますれば、先ほど申し上げました六十五年度の不足分三千九百トンというのもほぼ解消されるわけでございますし、昭和六十五年度以降は、先ほど申し上げました第二再処理工場をもってこの必要な需要を賄っていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  185. 小宮武喜

    小宮委員 仮に第二再処理工場国内で建設するにしても、国際情勢等から見て時期尚早だという意見も多くあるわけですが、なぜ現時点で法改正を行うのか、その理由をもう少し明らかにしてもらいたい。
  186. 山野正登

    ○山野政府委員 ただいま御説明申し上げましたように、自主的な再処理工場をつくってまいりますためには、需給バランスから申し上げれば、昭和六十五年、一九九〇年ごろまでには最初の商業規模の再処理工場をつくる必要があるわけでございます。一方、こういった商業規模の再処理工場をつくりますためには、相当長いリードタイムが必要でございます。民間につくられております濃縮再処理準備会の検討によれば、今後十三年ないし十四年かかるというわけでございますので、この一九九〇年に運転開始ということを考えますと、ただいま直ちに準備に着手しなければ間に合わないという状況下にあるわけでございまして、そういう意味で、今般の法改正におきましても、民間でこの第二再処理工場の準備工場ができるようにという配慮で改正をお願いしておる次第でございます。
  187. 小宮武喜

    小宮委員 再処理事業は、技術的能力の面でもあるいは資金的、経理的な基盤が必要であるという面でもきわめて大変なものでございますが、政府はこの第二再処理工場の建設にどのような措置をとるお考えなのか、その点ひとつ明らかにしてもらいたい。
  188. 山野正登

    ○山野政府委員 第二再処理工場の建設につきましては、先生御指摘のように、資金的にもまた技術的にも非常にむずかしい問題があるわけでございますが、私どもとしましては、今回の法改正を含めて、できるだけ早く所要の法令の改正をまず行うということにしたいと思っております。  それに引き続きまして今後の原子力開発利用関係の所要資金と申しますものは、わが方の原子力委員会の長期計画専門部会あるいは通産省の総合エネルギー調査会等でいろいろ検討されておりますが、そういった長期にわたる原子力開発利用全体の所要資金を今後どう調達していくかというのが非常に大きな課題になっておるわけでございますが、その中の一環として今後検討してまいりたいというように考えております。  それからまた、技術につきましては、東海の再処理工場の経験というものを最大限に活用いたしまして、できるだけ第二再処理工場以降は自主技術を中心にしてやっていくように、現在の動燃事業団技術の移転というものをスムーズにするように何らかの措置考えたいというふうに考えております。
  189. 小宮武喜

    小宮委員 細かい問題はいろいろまた別の機会に質問するとしまして、国際核燃料サイクル評価計画において、わが国は英国と並んで再処理プルトニウム取り扱いについての作業部会の共同議長国になったということを聞きますが、事実ですか。
  190. 山野正登

    ○山野政府委員 そのとおりでございます。
  191. 小宮武喜

    小宮委員 であれば、消費国であるわが国の立場を十分作業部会あるいは評価計画の中に反映させて、わが国のこの核燃料サイクル確立を実現させるべく努力をすべきじゃないかというふうに考えますが、その点は十分考えていただいておることと思いますが、いかがですか。
  192. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 いま重要な部会に属しましたのも、日本といたしましては積極的に、先ほど申し上げました二つの問題、これを両立するんだ、特に日本資源小国でございますから、したがいましてそういう面におきましてもわれわれの考え方があるということで、その部会の議長団に入ることをわれわれといたしましても希望いたしまして、それがそのとおりにいったという意味からいたしましても、当然それに伴う私たちの任務、今後いま仰せのとおりの気持ちで臨んでいきたい、こういうように考えておるわけでございます。
  193. 小宮武喜

    小宮委員 その再処理利用の民営化に当たって、これは非常に問題があるわけです。規模の大きい商業用施設についての安全確保、それからプルトニウム管理等の面で万全の配慮が必要だと思いますけれども、その準備は大体できているのか、どういう考え方であるのか、その点ひとつ御説明願いたいと存じます。
  194. 牧村信之

    ○牧村政府委員 再処理施設は、商業用の第二工場となりますと相当大きな規模でございますのはお話しのとおりでございます。こういうような工場が英仏ではすでに稼働しておるわけでございます。先ほど原子力局長からも御説明いたしましたのは、わが国の再処理工場はあと十五年くらい後に何とかつくりたいと申し上げておるわけでございます。現在、動燃再処理工場技術を中心にして、それを十分技術並びに知見を移管してやるということで、この辺の技術の蓄積が非常に重要だとは思っておりますが、安全確保について二通りの意味があろうかと思います。私の方は、一応そういうものを規制的に確保できるかということ、それの準備について申し上げたいと思います。  すでに動燃の再処理工場規制面につきましては、原子力委員会の核燃料安全専門部会におきまして設計段階からウラン試験の段階、現在ホット試験をいたしております。そういうような段階段階に区切りまして安全審査をしてきた、その経験がまず第一にございます。  それから、将来の第二工場の審査に備えまして特別の検討会をすでに安全局につくっておりまして、外国の安全規制を行いますに必要な技術基準の検討等に備えておる次第でございます。したがいまして、再処理工場の本格操業を踏まえていろいろな知見も得られますことを考えますと、そういう工場の安全規制につきましては、その必要な時期に十分それが行い得るというふうに思っております。
  195. 小宮武喜

    小宮委員 最後に、米国は最近使用済み燃料貯蔵政策を打ち出しておるようでありますが、資源小国であるわが国としては、核燃料サイクル確立の立場から、やはりアメリカとおのずから異なる立場にあるというふうに考えますが、この点に対する政府考え方をひとつお聞きしたいと思います。
  196. 山野正登

    ○山野政府委員 米国のエネルギー省が発表しました使用済み燃料の貯蔵政策と申しますのは、電力会社から使用済み燃料を引き取って所有権も政府に移転してしまおう、そして取り出し可能な状況でこの使用済み燃料を保管して、この保管に必要な経費は電力会社が負担しましょう、さらに将来商業的な再処理あるいはそのほかの技術によりまして再利用が可能になりました場合には、使用済み燃料は返還してその費用は割り戻ししましょうというのが、大体内容でございまして、これらを行いますための細かい具体的な措置というものはまだ発表されておりません。それから、主として国内の電力会社を対象に決められた政策でございますけれども、一部は外国の使用済み燃料についても配慮しようといったふうなことを言っておるようでございます。わが国の立場としましては、先ほどもお話し申し上げましたように、使用済み燃料のままで保管しておこうという考えではございませんで、できるだけ燃料の有効利用を図る見地から再処理をしてまいりたいということでございますし、またこの米国の新政策自体、外国の活動を何ら拘束するものでもないわけでございますので、現在の時点においてはわが国の核燃料政策というものに直接の影響はないというふうに考えております。
  197. 小宮武喜

    小宮委員 これで質問を終わります。
  198. 岡本富夫

    岡本委員長 小宮武喜君の質疑は終わりました。     —————————————
  199. 岡本富夫

    岡本委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本案審査のため、本日、参考人として動力炉・核燃料開発事業団理事長瀬川正男君から意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  200. 岡本富夫

    岡本委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。     —————————————
  201. 岡本富夫

    岡本委員長 質疑を続行いたします。瀬崎博義君。
  202. 瀬崎博義

    瀬崎委員 動燃事業団の東海再処理工場では、ホットテストに入って約一カ月ほどの間に十件近くもの事故やトラブルを起こしているわけであります。すでに科技庁も、一片の文書というわけではないでしょうが、とにもかくにも文書による注意を促しておるという状況なんですが、まずこの件についてお尋ねをしたいと思います。  十月六日、再処理工場の勢断工程において分配器の部分というのでしょうか、勇断した燃料片が詰まるというふうな事態が起こりましたね。詰まり始めてから発見に至るまでどれくらいの時間がかかっておったんですか。
  203. 瀬川正男

    ○瀬川参考人 ただいまの御質問につきましては、何分にも実際の使用済み燃料の剪断といたしましては一番最初のケースでございまして、そういう分配器のところで詰まるということは一応検討しましたが、まずあり得ないだろうということで剪断したわけでございますが、ただいまの御質問のように、発見するまでにはかなりの時間を食いまして、翌朝に気がついたというふうに聞いております。
  204. 瀬崎博義

    瀬崎委員 改めてはっきり、詰まり始めてから発見までの時間数をお答えいただきたいということと、もう一つは、当然コールドテストの段階でJPDRの使用済み燃料を使ってテストしておったはずではないのですか、まさかこれがいきなり本番、初めてであったとは思いませんが。
  205. 瀬川正男

    ○瀬川参考人 JPDRと同じ構造をいたしましたダミー燃料を数回剪断をして試験はして、詰まるということはないだろうという予想はしておったわけでございます。(瀬崎委員「発見までの正確な時間数」と呼ぶ)
  206. 岡本富夫

    岡本委員長 こちらから許可してから質問してください。瀬崎君。
  207. 瀬崎博義

    瀬崎委員 重ねての質問になりますが、翌朝と言われないで、いつからかわかりませんから、一体何時間かわかりませんね。何時間ですか。——それじゃ、正確なお答えができにくいようですから、よろしいです。  問題は、これは重大な事故なはずなのに、そういうことが副理事長のところに届いていないということが、私はむしろこうなってくると重大だと思うのです。それから、コールドで模擬燃料でテストして詰まらないだろうと見ておった、「だろう」が入っておるのですよ。こういう推定でこの重要な最初のホットテストに取り組んでおられるとしたら、これまた大変だと思うのであります。  次に、詰まっていることを一体何によって発見されたのですか。
  208. 瀬川正男

    ○瀬川参考人 翌朝、溶解槽の中でウランが溶けていないということによって、勇断した切りくずが下に落ちていないということがわかったわけでございます。しかし、私はたまったということが、つまり分配器で詰まったということが、ただいまの御質問のようになぜ早くわからなかったかという意味の御趣旨に対しましては、確かにもっと早くわかるようにすべきであるというふうに考えまして、現在は詰まり出すとすぐわかるように監視手段を講じまして、大体きのうの実情でもそういうことが監視できるという自信は現在持っております。御質問の先般のトラブルに対する、詰まり方に対する監視の手段は一応やり得るというふうに現在考えております。
  209. 瀬崎博義

    瀬崎委員 しかも、その詰まったことを認知されてから、とりあえずバイブレーターで振動を与えることによって二日間詰まりを落とそうとされたようですが、結局それができなくて、三日目には分配器そのものを取り外し——もちろん人の手ではさわれませんから、マニピュレーターで下から棒ぐいでつつきながら、詰まった燃料片を落としたとのことでありますが、そんな大層なことが必要であったのですか。
  210. 瀬川正男

    ○瀬川参考人 実は分配器のサイズと剪断のくずの大きさ等から考えまして、普通の考え方ではまず詰まることはあり得ないという判断は最初持っておったわけですが、やはりJPDRが普通の商業用発電炉の使用済み燃料と違って、いわゆる燃料を包んでおりますチャンネルボックスつきのまま剪断ずるという他の使用済み燃料とは特異な状態における切り方であったという点が、思いがけないような作業上の行き詰まりをこの場合生じたわけでございます。しかし、この問題は、そのこと自体は分配器が持ち上げられるとかあるいはバイブレーターを使えるとか、一応そういうような対策ができておりまして、したがって最終的には分配器を持ち上げてつつくとかあるいは揺さぶるとかということは、当然の作業上の対策でございまして、そのこと自体が特に原子力上の重大な事故であるというふうには私は考えておらぬわけでございます。つまり、作業上そういう詰まるというようなトラブルは、それに対処し得る技術的手段があればいいのじゃないかというふうに考えております。ただ、それが前もって十分でなかっだという点は、技術者として反省すべきだとは思います。
  211. 瀬崎博義

    瀬崎委員 当初のホットテストにおいて、JPDRからの使用済み核燃料を使うということはわかっていたことであって、たまたまこのホットテストに入ってその燃料を使うことになったのではないのだから、これに対応する設計なり構造なりというのはとられておったはずなんであります。それでなおかつ詰まりが起こって、かつその詰まりを落とすために、通常ああいう動き出したら人が入りにくい施設ですから、当然のことながら予想されるトラブルはあるでしょう。そのトラブルに対しては、また特別なこういう操作をしなくても、当然のことながら、自動的にこれが処理されるということになっておってしかるべきだと思うのですが、そうならなかったということに対しては、やはりこれは構造上の欠陥を持っておった、こういうことが一般的には認識されるべきではないかと私は思うのであります。  次に、現在では燃料片がすっす落ちているかどうか直ちに検出できるようにしたとおっしゃいますが、そもそも、剪断室といいますか、剪断セルですね、囲いの中にはガンマ線検出器があったはずでありますし、さらには溶解槽の口の方にも検出器はついておるのではないかと思うのですね。こういうことでは検出されなかったのですか。
  212. 瀬川正男

    ○瀬川参考人 御指摘のとおり、ガンマモニターによって剪断が順調に進んでいるかどうかは見られるようにすべきでございまして、そういう対策は一応考えてつけてあるわけでございますけれども、この第一回に詰まったときは、ガンマモニターが、分配器で詰まるということはまずあり得ないことであるという観点から、分配器のところでなくて溶解槽の方に注意をしていて、分配器のところにおけるガンマモニターというものはそのとき余り注意を払わなかったという点にちょっと遺憾な点があるかと思いますが、しかし私は、あくまでもそのこと自体が、対策、つまり詰まったものを再び通りをよくするという作業上の対策の経験を積めば、これは別段原子力問題として重要な事故とか重要なトラブルとかいうふうな問題になるとは考えられないというふうに考えております。
  213. 瀬崎博義

    瀬崎委員 私は非常に危険だと思うのです。あり得ないことだと思っておったから監視を怠っていたとか、あるいは最も見つけやすい場所にガンマ線検出器を置いていなかったということなんでしょう。そうなってくると、ほかの場所には恐らく、いまの副理事長のような判断から、あり得ないこととして手抜かりがあるということは普通技術者なら考えるべきではないかと思うのです。ですから、そういうふうに考え方を改めていただくのが、本当に責任ある良心的な技術者の見解であるということを厳しく申し上げておきたいと思うのであります。  同時に、いまの事実は、結局構造上の欠陥だけじゃなしに、監視用といいますか、計測装置の設置の仕方にも問題があること、さらには今日までのテスト自身が不十分であった。つまり、コールドテストを何回もやったからホットテストでトラブルが起こる心配はないんだと何回も聞いてきたけれども、このテスト自身が必要な回数重ねられておったかどうか、こういう疑問をわれわれとしては持たざるを得ない。  さらに、詰まった燃料はJPDRの十一本目、十二本目、十三本目、十四本目の計四体分と聞いているのでありますが、保安規定がありますね。これによりますと、「濃縮ウラン機械処理セル内に使用済燃料を同時三体をこえて保持しない」こういうふうに述べられているのですが、これとの関係は一体どうなるのですか。
  214. 石塚貢

    ○石塚説明員 確かに保安規定では、機械セル内に三体と書いてございますが、分配器は機械セルの外にございますので、保安規定のその規定は適用されないと思います。
  215. 瀬崎博義

    瀬崎委員 ということは、逆に言うと、この保安規定そのものが——いまの分配器といえども、これは機械処理の一部門であるわけでしょう。そこに適用しないようにつくられているということもまた誤り、不十分さというものを私は証明していると思うのですね。  それから、安全作業基準というのがあるでしょう。これを見ますと、「燃料の装荷及びせん断」という項のところには、「燃料のせん断にあたっては、化学処理課溶解係の作業員と相互確認のうえ行なうこと。」と書いてありますね。さらにまた、「せん断作業が完了した時、化学処理課溶解係の作業員に溶解準備完了の連絡を行ない、確認を得ること。」こうなっているので、もしこの相互間の確認が行われておったら、こんなに長い間詰まっていることがわからないなどということはあり得ないと思うのですが、どうなっているのでしょう。
  216. 瀬川正男

    ○瀬川参考人 私どうも、その辺の細かい技術的なことをお答えできるほど現場作業に詳しくありませんので、この際、私の方の再処理部次長を臨時に答弁をお許し願えたらいかがかと思いますが……。  それでは、ただいまのような点につきましては、はなはだ私、どうも技術的に大分詳しくありませんので、後日、その点の説明につきましては、文書で提出いたしたいと思います。
  217. 瀬崎博義

    瀬崎委員 結局、安全作業基準や保安規定に基づいて従来教育訓練というものを繰り返してこられたと思うのです。したがって、ホットの場合には間違いなくそれに基づく作業が行われていなければならないはずなんだけれども、ここらが今度の事故から見て、私たちとしては非常に危険なものを感じるわけであります。また逆に言うと、この安全作業基準とか保安規定そのものが果たしてこの最初のきわめて危険な再処理工場を動かすのに十分なものなのか、このことの検討が十分にできているのかどうか、これも非常に不安なのであります。  すでに、科技庁の方からは両局長名で動燃事業団に対しては厳重注意が出ておりまして、速やかに総点検して報告せよ、こういうことですね。これは宇野長官、御存じのことであります。ところが、もし総点検されておったら、少なくともいままで副理事長として再処理工場を担当してこられた瀬川さんがそういうことを御存じないはずがない。御存じないということに、一体この科技庁の注意がどうなっているのかということを私は感じるわけです。これはひとつ長官の見解をお聞きしたい。
  218. 瀬川正男

    ○瀬川参考人 どうも細部の点にわたりまして私が学がないものですから、はなはだ醜態を演じているわけでございますが、ただ最近のそういう一連のトラブルの報告を一応聞いておりまして、私の全体としての感じは、やはり実際の使用済み燃料の最初の試運転であるという段階におきまして、若干のトラブルというものはどうしても避けられないのじゃないかというふうに考えております。しかも現在続いて出てまいりましたトラブルの内容につきましても、設備場所の放射能による汚染の程度とかあるいは作業者の汚染の程度、こういうものは大体許容基準とほぼ同等以下であるという程度に大多数がとどまっているということを見まして、全体として設備的にそう大きな欠陥はないというふうに私は考えております。おっしゃるように、もう少しいろいろと吟味すべき点があるじゃないかという点は、確かに吟味すべき点はあると思いますが、全体を通じて重大な事故または重大なトラブルにつながるような現象は、御指摘のようなトラブルの問題を聞いておりまして、私は若干の対策を講ずれば今後かなり改善されるだろうし、また訓練もこの最初の試運転によって著しく向上できるというふうに考えておりまして、再処理の運転技術がきわめて危険なものであるというふうなことは、現在までの経過から見まして、私は毛頭感じておらない次第でございます。
  219. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 細心の注意をもって当たれということは一番大切なことで、瀬崎さんの先ほどからの御発言はもっともだと思います。私といたしましても、それは故障じゃなく、また事故でもない、こういうふうな報告を受けておりまするし、言うならば、トラブルという言葉、それで言い得る範疇であろうと思いますが、しかしいずれにいたしましても、構造試験もあったことでありますから、したがいまして私もなぜそれだけトラブルが起こるのかと、実のところは首をかしげている面もあるわけでございます。  しかし、いま瀬川参考人が言いましたように、私もいろいろ詳細にわたって報告を受けておりますが、だからと言って、いまのところはこれが非常に危険だというふうな断定のものではないので、そういうことがないにこしたことはないけれども、要は今後は十分注意してほしいし、また現在は試運転だから、その間にいろんな現象に対しても対処し得るような技術的な方策も必要であろう、あるいはまたいろんな規定上の問題もあろう、そうしたことでやってほしい、そういう意味で総点検を命じたような次第でございます。私ははっきり、動燃たるんでおる、こういうふうにこの間言ったわけでございます。しかし、たるんでおるだけでは済まぬ問題でございますから、われわれといたしましても、総点検の結果を待って、さらにそれに十分対処したいと思います。  くどいようですが、今日までのことは、私は一応いま瀬川副理事長が言ったその範疇のものであるということを信じております。
  220. 瀬崎博義

    瀬崎委員 時間の関係もありますし、一番大きいと思われます剪断器での事故について、いまのような副理事長のお答えから推定して、他の事故についてそれ以上のお答えがあろうとは思えませんから、一方的に私の方から危険性だけ指摘しておきたいと思います。  たとえば九月二十四日に、ウラン脱硝塔ノズルの管の除染作業をしていたときに、ウランを含んだ水が漏れ、床とくつが汚染されております。現場の作業員は、直ちに汚染地区として囲いをして表示しているわけであります。時間的な経過はあったようでありますけれども、今度は別の従業員がその汚染されたくつをはいて、そしてくつ下が汚染し、部屋を出る際フットモニターにひっかかって、これは二回目の汚染が出てきたわけであります。これはわれわれとしてはどうしても合点がいかないわけですね。なぜ最初のときにくつの汚染が発見されなかったのか。またノズルの除染作業は、これも安全作業基準によれば「除染作業にあたっては化学処理第二課長の指示に従って行うこと。」となっておりますから、当然、課長が指示し、その結果については課長が確認しておったと思うのでありますが、一体これがどういうようになっておったのか、疑問を持ちます。  それから、さらに九月二十九日に、放出ルート中の配管フランジ部分からクリプトンが約二時間漏れていた事故が起こっております。これも二時間もたってやっと漏れに気づいたということ自身も問題ではありますけれども、フランジの締め忘れというふうに説明を聞いております。大体これはアンバー地域でありますから、これまた一たん運転を開始してしまうと、本来はなかなか人の入りにくいところなので、こんなところのフランジの締め忘れということはどうも合点がいかない。なぜコールドのときに、十分なテストでそれが発見できていないのか。  また、十月十四日、分析所のグローブボックスのグローブの亀裂、二ミリメートルほどでありますけれども、ここからプルトニウム漏れの事故が起こっております。これについても、ボックス内を水洗いしているときに、グローブの傷があったために練習用のプルトニウムの溶液がグローブ外に漏れてA、B二人の人が汚染した、こういうふうに聞いているわけであります。ところが、この汚染した二人が同時に汚染が発見されているならいいのでありますが、まずAという人が部屋を出るときに、モニターでプルトニウム汚染を受けていることが判明した。その後、部屋の中や作業服を調べているうちに、Bの人が着ていた服の汚染が発見されてきた。果たしてBの服を着て出た人が部屋を出るときにモニターしたのだろうかどうか、こういう初歩的なことに疑いが持たれてくるでしょう。またグローブの二ミリメートルの傷の発生の原因はわかっているのかどうか。さらにグローブボックスの安全作業基準を見ますと「作業終了後、グローブまたはボールソケットが正常であることを確認すること」、「作業の開始または終了時に外観検査及び放射線測定器によりサーベイを行い、異常を認めたときはグローブの交換など適切な措置を講じること」、こうなっているので、これも安全作業基準が守られていなかったのではないかという一つの例であります。  こういうわけでありますから、重ねて私は宇野長官にぜひお尋ねしたいのです。一片の文書で、点検しなさいでは済まないような危険な状態がある。これは何も装置全体が欠陥だとかなんとかいうことではなくて、現在は汚染自身が軽微だからいいようなものの、これがもし大きい汚染で、安全基準が守られていない、保安規定が守られていない、また指示命令系統が正しく行われていない、こんなことになったらこれは大事故につながることは必至であるし、またその措置も誤るおそれがあります。だから、この際、一片の通知じゃなしに、科技庁自身が専門職員を派遣して、立ち入り調査をするくらいのことは必要だろうと思います。この点についていかがですか。
  221. 牧村信之

    ○牧村政府委員 ただいま御指摘の点、われわれといたしましては、先ほど先生のお話にもありましたように、局長名で点検を命じておりまして、現在、動燃事業団の方でその点検を行っておるところでございます。     〔委員長退席、宮崎委員長代理着席〕 これをできるだけ早くやっていただくようにお願いしておるところでございますが、その結果によりましては、私どもも現地に出向きまして、その確認をいたすことは何らやぶさかではございません。事実、若干の問題のあるトラブル等が起きましたときには、担当の核燃料規制課の検査員が行って確認をするとか、現地を見てくるというようなことも従前からやっておりますので、その辺も含めまして対処してまいりたいと思っています。
  222. 瀬崎博義

    瀬崎委員 以上のような状況ですから、私は、再処理工場を民間に拡大するどころか、東海の再処理工場においてすらこの際運転を中止して総点検をやる、このくらいのことが将来のため、また国民の安全のために必要ではないかということを申し上げて、次に国内保障措置の問題に移りたいと思います。  私どもは、国内における保障措置体制については、これは核拡散防止条約があろうとなかろうと不可欠のものであるというふうに考えているのであります。問題は、本当に国民が安心できるような、信頼のおける体制になっているかどうかということが一番重要な点ではないかと思います。  そこで、今度の改正案によります指定情報機関として、政府がいま予定しているのはどこですか。
  223. 牧村信之

    ○牧村政府委員 情報の指定機関を予定しておるところはございませんが、可能性のあるところは核燃料物質管理センターというのがございます。
  224. 瀬崎博義

    瀬崎委員 それ以外にも将来の可能性としてどこか機関がありますか。
  225. 牧村信之

    ○牧村政府委員 現在私どもが承知している限りにおきましては、そういうような事業を円滑に行える機関はないというふうに思っております。
  226. 瀬崎博義

    瀬崎委員 その理由は何ですか。
  227. 牧村信之

    ○牧村政府委員 この業務自体が核燃料の動きにつきまして、わが国核燃料物質の集計その他の業務をやらせることと、施設ごとの核燃料の動きにつきまして保障措置上の評価を行うというような、技術的な計算処理システムを用いた評価作業でございます。これにつきましては、このセンターは、現在もうすでに三、四年にわたりまして、国の委託費等も含めてその調査研究を実施しておるわけでございまして、現状においてはそういうような業務を引き受ける可能性の非常に高い、技術能力を持ったところであると私どもは考えております。
  228. 瀬崎博義

    瀬崎委員 そういう点でいくならば、原研などの方がもっと歴史もあるし、技術レベルは高いと言えるのじゃないですか。
  229. 牧村信之

    ○牧村政府委員 研究開発のことに関しましては、それは原子力研究所も可能であろうかと思いますけれども、これは国が行う統計的処理あるいは解析業務でございますし、その業務自体は何ら研究開発ではございませんので、原子力研究所がやるということには直にならない問題ではないかと考えます。
  230. 瀬崎博義

    瀬崎委員 原研でもやれるということは間違いないことだけは、いまお認めになっていますね。  そこで、その核管理センターでありますが、ここの役員構成を見ておりますと、専務理事理事の二名がもと科技庁御出身とかあるいは原子力委員の方、それ以外に、たとえば会長は日立の取締役会長さん、それから理事は、原研の副理事長さん、動燃の理事長さん、そして電気事業連合会の理事とか原産会議の常任理事、それから監事は東電の取締役、もう一人が三菱重工の常務。この特徴は、一つは、査察を受けることになっている企業というか事業体の幹部であること、いま一つは、大企業ないしはその大企業グループの代表であるということだと思うのです。こういうことで、この核管理センターが国民から見て厳正中立といいますか、公正な機関と言われ得るかどうか。この点はいかがですか、大臣
  231. 牧村信之

    ○牧村政府委員 現在の役員は、ただいま先生おっしゃいましたような構成でございますが、これはある意味では、こういう調査研究を非常にサポートしていただいておる有識者を理事にいただいておるということでございます。将来の査察制度が合理的である方が望ましいのは当然でございますし、受ける側としてはよりよい査察制度というものがあるはずでございますが、いまの核センターの立場はそういうものについての調査研究をしておるわけでございますので、そういう観点において、こういう方々が理事になっておるというのはいささかもおかしいところはないと存じます。
  232. 瀬崎博義

    瀬崎委員 それならば、それこそ伝統のある技術力の高い原研にやってもらえばもっとよいということに結論はなってくると思うのですね。  同時に、基本財産一千万円について言っても、このほとんどが電力会社の出損金であるというふうに聞いております。そうでしょう。こうなってきますと、今日言われるように、大企業は、金は出すが口は出さないなどということはあり得ないのであって、金を出せば必ずいろいろと口も出すわけでしょう。いよいよもって、こういうセンターに業務を委託することは、まさに重要な査察体制のかなめとして私は適当ではないと思うのですね。特にこの査察の技術が非常に高度なものであり、さらに研究開発を必要とするものであることは、いまもそういうところにサポートしてもらう必要があるとおっしゃったとおりであります。  この点でお聞きしたいのでありますが、わが国の今日までの査察技術開発研究は主としてどこの機関で行ってきたかというと、特に日本がとにもかくにも原子力平和利用を手がけたのは大体昭和三十年代、一九五五年以降でありますけれども、それ以降、今日一九七七年でありますが、政府が査察技術研究開発のためにつぎ込んでまいりました予算は、毎年度大体どのくらいであるのか、年度ごとにおっしゃってほしいのであります。簡単にやってください。
  233. 牧村信之

    ○牧村政府委員 手元に四十八年度以降のデータしか持っておりませんが、四十八年から五十年までが毎年千四百万から千五百万の間でございます。五十一年度まで同様でございます。それで五十二年度は約倍額の三億二千二百万、それから、五十三年度は現在要求中でございますが、約六億の予算を要求しております。
  234. 瀬崎博義

    瀬崎委員 いま単位を間違われたのじゃないかな。
  235. 牧村信之

    ○牧村政府委員 一億四、五千万のオーダーでございます。
  236. 瀬崎博義

    瀬崎委員 昭和四十七年度以前は大体どのオーダーの予算がついておったのですか。概略でいいです。
  237. 牧村信之

    ○牧村政府委員 ただいま数字を持っておりませんので、すぐ調べまして……。
  238. 瀬崎博義

    瀬崎委員 大体三千万程度が多い年です。こっちから申し上げましょう。アメリカの場合は、これは今井隆吉さんの「国際査察」という本でありますが、ここにこう述べられていますね。アメリカ原子力計画のそもそもの始まりから核物質計量管理の厳密な制度を持っておった、ところが、わが国はようやく今日数年の間に研究に取りかかったにすぎない、こういう点の批判が出ておりますが、これは率直にお認めになりますか。
  239. 牧村信之

    ○牧村政府委員 わが国わが国規制法の体系で、平和利用に徹してわが国核燃料物質の動きを実施しておりますので、そのようなことはないかと思います。発足のときから十分な核燃料の管理が行われておったと考えております。
  240. 瀬崎博義

    瀬崎委員 私はいま査察技術開発研究の問題を言っているのです。今井隆吉さん、この方も専門家ですが、「統計的手法による保障措置確立されるためには、(a)ロスの標準値の確立、(b)できるだけ自動化され精度が高い、非破壊式の計量機器の開発、(c)各種原子力施設の運転データを統計的に分析して核物質の流れのパターンをつかむこと、が大切になってくる。逆にいうとこれだけの準備がととのわなくては、統計的手法による保障措置意味を失うであろう。」この点はどうですか。
  241. 牧村信之

    ○牧村政府委員 おっしゃいますように、わが国の査察を受ける業体はIAEAから一方的にいつでもどこでもという形で受けておったわけでございますが、NPTの条約がらみで、条約の批准その他を目安にいたしまして、自主的査察技術開発必要性考えまして、ここ数年急速に力をつけておるわけでございます。したがいまして、それ以前は御指摘のように諸外国に比べると劣っておったことは事実でございます。しかし、最近の研究成果は非常に上がってきておるというふうに聞いておりますし、IAEA等の評価も非常に高まってきておるというのが実態でございます。
  242. 瀬崎博義

    瀬崎委員 これは一つの目安であろうと思いますが、そのように早くからこの査察の技術開発の蓄積を持っておるアメリカが、たとえば一九七〇年にこの査察技術開発のためにつぎ込んだ予算が五百十九万ドル、日本円に直して当時ですから約十八億前後ではないかと思います。七一年度が六百二十二万ドル、二十二億前後になると思います。残念ながら今井さんの資料にはそこまでしか出ておりません。西ドイツについては当時アメリカの約三分の一と推定される、だから七億前後でしょうね。そのころ日本はわずかに三千万程度しか出していなかった。これではこういう膨大な研究開発は実質的に不可能であるという結論が出ておりますし、いまもおくれておったことは認められた。今日にしてよくやくドイツの約半分ぐらいの予算ですが、まあ貨幣価値が大分違っておりますから、かなり水準は下だと思います。もちろん、予算規模だけでその技術水準を評価するのはやや一方的かもしれませんが、一つの目安にはなると思います。  おくれてようやくここ数年この査察技術開発に取り組んだ日本が現状のような予算と、しかもこれを核管理センターのようなところに下請をさせるというふうな効率主義といいますか、経済主義といいますか、こういうやり方で果たして西ドイツやアメリカなどの技術と肩を並べ得るような、逆に言うと、日本国民から本当に信頼されるような技術水準になるかどうか、私たちは非常に危惧を持つわけであります。この点について大臣がどういうふうにお考えになっているのかお聞きをしたいと思います。
  243. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 いろいろと予算の面においてはいま報告したようなことであったでございましょうが、私も現にIAEAの職員の方とも面接をしたことがありますが、日本のそうした面における技術を非常に高く評価いたしておりました。なかんずくプルトニウム等々の管理におきましてはもう模範生ではないかというぐらいのことをIAEAの査察員みずから申しております。しかしながら、なお一層そうした面におきましてはやはり研究開発が必要でございますから、原研、動燃等におきましてさらに努力を積み重ねさせたい、かように存じております。
  244. 瀬崎博義

    瀬崎委員 時間が来ておりますので最後に、私どもはこの国内法のもとと言いましょうか、NPTそのものに反対をしているわけであります。しかし、これは決して共産党だけの見解ではないということを今井さんの本を読みながら私、思ったのであります。そこには「IAEA自身が査察によって核兵器国の受払い報告を検証する権利を持たないと問題の解決は完全とはいえない。非核兵器国の送り出し報告と核兵器国の受取り報告の間に食違いを生じた時に、(a)単に両者の計量の食違いなのか、(b)受取り側が核物質の一部を故意に隠したのか、(c)輸送途中で抜取られたのか、の判定がつかないであろう。万一このような食違いが核防条約に違反して核兵器製造をしている可能性を含んだ国際紛争にまで発展した場合、一方の当事者に関しては検証の手段がないことは、致命的な欠陥となる。」こういうことについては大臣はどうお考えですか。
  245. 牧村信之

    ○牧村政府委員 確かにおっしゃいますように、核兵器保有国がこのIAEAの査察を受けるというあれはないわけでございますが、しかしながらアメリカ、イギリスにつきましては、その平和利用の施設につきましてはIAEAの査察を受けておるということでございまして、このようなことが他の国にも及ぶことを私どもは念願したいというふうに考えております。
  246. 瀬崎博義

    瀬崎委員 この保障措置技術的な体制というのは、一言で言えば、入り口と出口を押さえていこうという考え方でしょう。したがいまして、今日のように国際的に核物質の移動が激しくなってくる、そして軍事の面と民間の面とある場合に軍事、民間、そして国際的な収支全体についてきちっと査察ができるようになってなかったら、完全じゃないことは言うまでもないと思います。そういう点から言って、このNPT体制というのは保障措置としては当然のことながら欠陥を持ったものであるということも指摘をいたしまして、質問を終わりたいと思います。
  247. 宮崎茂一

    宮崎委員長代理 瀬崎博義君の質疑は終了いたしました。  次に、中馬弘毅君。     〔宮崎委員長代理退席、委員長着席〕
  248. 中馬弘毅

    ○中馬(弘)委員 NPT条約批准、それに伴いますIAEAの保障措置協定、これを受け入れるということ、これはわが国が国際協調のもとに原子力平和利用を図っていくというためには必要の手続と考えるわけでございますが、そのための規制法改正自体には特に問題を差しはさむものではございませんが、若干の疑義を明らかにしておきたいと思います。  協定の中にもありますように、情報提供が抜けた場合だとかあるいは計量のミスがあった場合、それから核物質を紛失した場合と、いろいろなケースがございましょう。これに関しまして罰則といいますか、これがかなり個人的なものになっているような気がするのですけれども、これでは委託を受けたところの業務停止といったようなことまでも含んでおるわけでございますか。
  249. 牧村信之

    ○牧村政府委員 まことに申しわけございませんが、最後の要点をもう一度ちょっと……。
  250. 中馬弘毅

    ○中馬(弘)委員 罰則規定ですけれども、かなり個人的な罰則といいますか、過料を何万円にするとかいったケースが多いのですけれども、業務停止といったようなことまで含んでおると考えていいのですか、委託を受けたところが。
  251. 牧村信之

    ○牧村政府委員 どうもありがとうございました。  業務停止あるいは取り消しまで含んでおるわけであります。
  252. 中馬弘毅

    ○中馬(弘)委員 国内的なこと以外に、諸外国から受ける対抗措置だとか、そういったことについてはどういうことが考えられますか。
  253. 牧村信之

    ○牧村政府委員 先ほどのお答え、ちょっと間違っておりましたので修正させていただきますが、罰則を受けるのは、個人並びに経営者である理事ということであります。
  254. 中馬弘毅

    ○中馬(弘)委員 そうですね。そこについてなのです。  ちょっともとに戻りますけれども、これは個人だけを罰しましても、それの機構自体のあり方だとか、こういったことが問題になるケースが多くなると思うのです。そういった場合に、そのセンター自体を業務停止を行うとかあるいは別の機構をつくり直す必要が生じてくると思うのでございますけれども、その点についての御見解、いかがですか。
  255. 牧村信之

    ○牧村政府委員 この規定では、内閣総理大臣は、事柄によって違いますが、事業の「指定を取り消し、又は一年以内の期間を定めて情報処理業務の全部若しくは一部の停止を命ずることができる。」ということになっております。
  256. 中馬弘毅

    ○中馬(弘)委員 では、先に進みますが、先ほど申しました諸外国からの対抗措置といったようなことはどういうことが考えられましょうか。
  257. 牧村信之

    ○牧村政府委員 ちょっと質問趣旨がはっきりしないのでございますが、秘密を守るというような観点の御指摘でございましょうか、諸外国からの防御と申しますのは。
  258. 中馬弘毅

    ○中馬(弘)委員 この協定自体に違反した場合の国際的な問題でございます。国内的にはだれだれを罰するだとかあるいはその業務停止をするといったようなことが起こりましょうけれども、この保障措置協定に違反した場合、国際的な意味での何か罰則規定があるのか、あるいは罰則規定がなくても、予想される諸外国からの対抗措置、不都合といったようなことでございます。
  259. 大川美雄

    ○大川政府委員 ただいまの御質問は、核防条約保障措置協定の第十八条がそれに該当するかと思います。要するに、日本の中で取り扱いにつき何か問題が起こった場合に、国際原子力機関理事会が日本政府に対して適当な措置をとることを要求することが可能であるように書いてあるわけです。それが恐らくただいまの御質問に対するとりあえずの協定上の答えになるかと思います。
  260. 中馬弘毅

    ○中馬(弘)委員 それについて具体的にどういうことが予想されるかということです。
  261. 大川美雄

    ○大川政府委員 保障措置協定の第一条におきまして、日本はIAEAの保障措置を受諾することを約束いたしております。それに対しまして第二条で、国際原子力機関IAEAは保障措置日本に対して適用する権利並びに義務を負っておることになっております。そういう関係にかかわらず、もしわが国側における何らかの原因で国際原子力機関がこの協定で定める保障措置を有効に適用できないような事態が起こった場合には、国際原子力機関理事会は、わが国に対しましてその原因を取り除くよう要求することができるということでありまして、それに対しまして日本政府がIAEA理事会を満足させるような措置をとれなかった場合には、たとえばその保障措置協定上の特別な査察といったような規定も含まれております。
  262. 中馬弘毅

    ○中馬(弘)委員 これは外務省の方からいただいた資料でしたかね、カナダからのウランのあれが入ってこないといったようなこと、質問意味はそういったような具体的なケースなんでございます。
  263. 大川美雄

    ○大川政府委員 カナダからは実は天然ウランの輸出をいま一時的に差しとめられております。これは核防条約あるいは保障措置協定と直接の関係はなくて、日加間の問題として解釈すべきであろうかと思います。言いかえれば、カナダは一九七四年にインドが核爆発をいたしましてから、各国と締結している二国間協定を引き締める新しい政策をその年末に打ち出したわけです。日本に対しましても現在の日加原子力協力協定の保障措置等々の規定を引き締めることを要求してまいりました。それに対しまして、自来カナダと交渉いたしておりますけれども、ことしの一月になりまして、カナダ側は一方的に日本に対する天然ウランの積み出しを停止するというような措置に出たわけでございまして、それはそのカナダの国内政策に基づく一方的な措置でございます。これは核防条約に予想されているような措置ではございません。これに対しましてわが国としましては、引き続きカナダ政府と交渉をして、一刻も早くその輸出差しとめの停止を達成すべく努力をいたしておりますが、何分にもカナダはヨーロッパ諸国、特にユーラトム諸国とも同じような交渉をいたし、同じように輸出を停止しておりますので、日加間だけの問題ではなくて、同時にほかの国との交渉も絡んでまいっているわけでございます。そういう協定の改定を求めてきて、それに対する圧力として一方的に原料輸出の差しとめを行うというやり方は、わが国としては必ずしもこれは望ましいやり方ではないということで、カナダに引き続き説得交渉を続けている状態でございます。
  264. 中馬弘毅

    ○中馬(弘)委員 IAEAの保障措置委員長ランダース氏が、プルトニウム高速増殖炉時代に入りますとその保障措置というものは余り有効ではなくなってくるのじゃないかというような発言をしているようでございますけれども、これもそういったようなこと、罰則、特に二国間のこと以外については余り罰則もないといったようなことになりますと、何年か先にはこれは有名無実になるようなことはないわけですか。
  265. 大川美雄

    ○大川政府委員 国際原子力機関保障措置は、今日の状態では期待できるきわめて高い水準の保障措置ではないかと思います。ただし、日進月歩の科学技術でございますから、それに満足せずに常時保障措置内容の改善、あるいは査察関係の機器、保障措置関係の機器の改良、改善に努め、変わっていく世の中に対応できるように、常に最高水準の保障措置体制を維持することが必要であろうかと思います。そのためにこそ国際原子力機関におきまして、あるいは先週発足いたしました国際核燃料サイクル評価作業の場におきまして、今後とも各国が協力して保障措置の改善に努めていくことになるかと思います。
  266. 中馬弘毅

    ○中馬(弘)委員 今後そういった国際的なあるいは政治的な機構というものを前向きに日本としても進めていかれることを強く望む次第でございます。  と同時に、現在この協定を取り巻く環境と申しますか、これはこの間のザルツブルクの会議提案されました六項目ぐらいのことがございますが、こういつたことの進展状況を見て協定に加わろうといった国もあろうかと思います。そういうことで、その後の進展状況、これはウラン、トリウムの埋蔵量の確認だとか濃縮ウランの供給の保証、それから国際核燃料銀行の設立の可能性の問題、それから使用済み核燃料の貯蔵プールの問題、あるいは効率的な運用の問題、それから新型炉、増殖炉の技術的な検討、こういった六項目についてのその後の具体的な進展状況はどうですか。
  267. 大川美雄

    ○大川政府委員 あるいは私の取り違いかもしれませんけれども、その場合には御容赦願いたいと思いますが、先週始まりました国際核燃料サイクル評価作業、INFCEと略称しておりますけれども、それについての御質問かと思いますが……。
  268. 中馬弘毅

    ○中馬(弘)委員 はい、そうです。それを少し具体的に、いま申し上げましたような点について個々に、具体的に。
  269. 大川美雄

    ○大川政府委員 実は六項目ではございませんで、八項目でございます。INFCEの作業のもとで八つの作業グループができまして、第一が核燃料及び重水の入手可能性の問題、第二が濃縮の能力の問題、第三番目が長期的な供給保証の問題、第四番目が使用済み核燃料の再処理、そこから分離されたプルトニウムの取り扱い及びプルトニウムの再利用の問題、第五番目が高速増殖炉、第六番目が使用済み核燃料の管理、第七番目が廃棄物の管理及び処分、第八番目が新型核燃料サイクル及び新型炉の概念、こういった八つのテーマを設けまして、それぞれに一つずつの作業グループを設置して、今後二年間にわたってそれにつきましてあらゆる角度から客観的、技術的な検討を行っていこう、こういうことになりました。
  270. 中馬弘毅

    ○中馬(弘)委員 それの具体的な進展状況ですが、たとえばいつごろ成案を得るのだとか、協定に持っていくのだとか、こういった見通しはどうでございますか。
  271. 大川美雄

    ○大川政府委員 この作業は先週発足いたしましたばかりでございますが、目標は二年以内に完了しようということでございます。  いまの八つの作業グループはそれぞれ並行的に会合をしてまいることになろうかと思いますけれども、それぞれ別々に作業を進めますと、どこかでやはり技術的にこれを調整する機関が必要になってまいりますので、その技術的に調整するための機関としての技術調整委員会というものも設けられることになっております。その調整委員会は、原則として六カ月に一回ずつ会合する。しかし、第一回の会合は、十二月の十二日からオーストリアのウイーンで、国際原子力機関の場をかりまして開催されることになっております。  それから、全部を統括する機関としては総会、先週ワシントンで開かれたのがその第一回目でございますけれども、参加国の総会は原則として年に一回会合をする。それの最終会合はいまから約二年後に開かれるということになっております。  ですから、二年後になってこの作業の結果が出てまいるわけでございますけれども、初めから一つの目標を設定して、それに向かってまっしぐらに進んでいくということではなくて、全く客観的な、技術的な検討を行う。したがいまして、各作業グループにおきましてコンセンサスで一つのまとまった結論が出ればそれもよし、そうでない場合には両論併記あるいは各論併記あるいは少数意見併記というような形になろうかと思います。それが先般合意された手続でございます。
  272. 中馬弘毅

    ○中馬(弘)委員 その状況を見てからこれに加わろうといったような国があるわけでございますか。
  273. 大川美雄

    ○大川政府委員 とりあえず四十カ国が参加して設立総会が開かれたわけでございますけれども、この二年間にそれぞれの作業グループは関心のある国には開かれております。それから、二年後に出てまいります結果報告はそれに関心のあるどこの国に対しても提供されるということで、きわめて開放的な体制になっております。  なお、申しおくれましたけれども、先ほどの八つのグループの中で第四グループにつきまして、日本はイギリスと一緒に共同幹事国ということに決まりましたので、あわせて御報告申し上げます。
  274. 中馬弘毅

    ○中馬(弘)委員 このNPT条約にしましても、これは一面から言いますならば核不拡散をてことしたパワーポリティックスの一つの論理が働いているということにほかならないと思うのです。この間のハイジャック事件ではございませんけれども、日本の場合には、ともすればその場において、たとえば原子力の国際利用のためならばすぐにでもその条約に加わっていくというような姿勢に見受けられる面がありますし、またドイツの場合におきましては、そういったものに加わりながらも、外国依存ではなくて、自分のところで自立を図っていこうとする姿勢がかなり見受けられるわけでございますが、この点につきましても、われわれは、この条約に加わって国際的な役割りを果たしていくことに何ら異論をはさむわけじゃございませんが、今後の日本エネルギーの問題も含めまして、ひとつ自立的な方向に持っていっていただきますことを心から希望いたしまして、簡単でございますが、質問を終わりたいと思います。
  275. 岡本富夫

    岡本委員長 中馬弘毅君の質疑は終わりました。  これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  276. 岡本富夫

    岡本委員長 この際、宮崎茂一君外四名より、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党及び新自由クラブ五党共同提出に係る修正案提出されております。  趣旨説明を求めます。宮崎茂一君。     —————————————  核原料物質核燃料物質及び原子炉規制に関する法律の一部を改正する法律案に対する修正案     〔本号末尾掲載〕     —————————————
  277. 宮崎茂一

    宮崎委員 ただいま議題となりました修正案につきまして、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党及び新自由クラブを代表して、提案趣旨を御説明申し上げます。  案文は、お手元に配付してございます。  この修正は、昨年六月、わが国が批准いたしました核兵器の不拡散に関する条約に基づき、国際原子力機関との間の保障措置協定を一定期日までに発効させる必要があることに伴い、同協定の実施に関する規定の早期施行を図るため、原案を同協定の実施に関する規定のみに改めるというのが趣旨であります。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  278. 岡本富夫

    岡本委員長 以上で修正案趣旨説明は終わりました。     —————————————
  279. 岡本富夫

    岡本委員長 これより原案並びにこれに対する修正案を一括して討論に付します。  討論申し出があります。順次これを許します。石野久男君。
  280. 石野久男

    石野委員 私は、日本社会党を代表して、修正案賛成討論をいたします。  本法の提案趣旨は、核兵器の不拡散に関する条約第三条1及び4の規定に関する日本政府と国際原子力機関との協定の実施に伴って、保障措置を充足させることを目的としたものと理解します。  本法はまた、使用済み燃料処理事業者を指定することによって、事業を行うことができる者の範囲を拡大することが必要であるという立場で立法を要請しているのであります。  NPT関連する協定が、国内関係法の成立を来る十二月四日の日限で審議完了を要するという日程的要請を素直に認めまするので、それに対応する審議にわれわれは参加してまいりました。  本法案に組み込まれている、再処理事業者を指定し、事業を行うことができる者の範囲を拡大することについては問題が多いのであります。  わが党は、再処理事業を民間に広げることには反対であります。  その理由は、一、東海再処理工場安全性に問題が多い、また周辺地住民の保全並びに環境保全の立場からきわめて大きな不安を持って反対の立場を持ち続けてきた私どもは、この作業を民間にまで拡大することには反対であります。  二つには、米国カーター大統領の核政策が具体的に東海村再処理工場の操業開始にクレームをつけ、政府はそのために対策閣僚会議をつくり、対米交渉を数多く重ねてきたことは周知のとおりであります。その結果、一定の制約のもとでしかこの東海村における再処理工場の操業を行うことができないという実情にあります。  その実態を見ますと、日米両国は本年の八月二十九日から九月一日にいろいろな交渉を行いました。そしてそのもとで共同声明共同決定がつくられたのであります。共同声明は、「両国は、プルトニウムが核拡散上重大な危険性を有するものであり、軽水炉でのそのリサイクルは、現時点では、商業利用に供される段階にはなく、その尚早な商業化は避けられるべきであるとの見解を共有する。」とあって、当面プルトニウムをつくっても商業利用はできないことを明らかにしております。また「今後二年間続くと予想される国際核燃料サイクル評価計画(INFCEP)の間、延期する意図を有する。」とあって、いわゆるリサイクル、プルトニウムを利用することは延期する意図を有するとあって、共同声明は、実際には東海再処理工場が操業をこの声明と共同決定の制約のもとで行うことが精いっぱいであって、それ以上のことはできないという現実に置かれている実情にあります。  さらにまた、混合抽出の実験について「INFCEPの結果に照らして、混合抽出法が技術的に実行可能であり、かつ効果的であると両国政府が合意するならば、本施設の運転方式は、在来の再処理法から全面的な混合抽出法に速やかに変更される。」とあって、現有施設はきわめて不安定のもとに置かれているのであります。これを要するに、二カ年間は新たな施設はできないし、プルトニウムは軽水炉に使うことはできないという見解を共有していることを表明しており、さらに混合抽出法が実行可能になればそれに切りかえなければならない、さらに米国産の使用済み燃料は九十九トンの精製しかできないという制約も受けておるのであります。  これらのことは、再処理事業者の範囲を拡大することの必要があったとしても、日米間の約束事からして、事実として拡大する意味がないのであります。またできないのであります。国が主導する動燃事業団の再処理工場においてすらこのように厳しい制約を受け、自由な操業は望めない実情であります。  このような実情のもとで、民間に再処理作業を許可し、事業者の範囲を拡大しようとする政府態度は、日米交渉をも含めて、核不拡散に協力するという真剣な態度とは思われないのであります。素直に具体化しているとは思われないのであります。原子力安全性を軽視し、核不拡散に対しても開発優先をとる政府部内の意図が示された法案であると受けとめざるを得ないのであります。  この際、各党の共同提案としてただいま提案されました修正案は、使用済み核燃料再処理事業者の指定、事業者の範囲を拡大する条項に関する一切の条項を原案から削除することにいたしました。このことは賢明であると考えます。したがって、私どもはこの修正案賛成をするものでございます。  以上であります。(拍手
  281. 岡本富夫

    岡本委員長 次に、瀬崎博義君。
  282. 瀬崎博義

    瀬崎委員 私は、日本共産党革新共同を代表して、政府原案自民党日本社会党、公明党・国民会議、民社党及び新自由クラブ五党共同提案による修正案に対して、反対討論を行うものであります。  当初、政府はこの原子炉等規制法改正案について保障措置協定関係だけと説明していました。ところが、提出間際になって、再処理の民間移行の改正内容を便乗させるなど、こそくな手段をとったのであります。  第一に、保障措置協定関連部分についてでありますが、核拡散防止条約があろうとなかろうと、わが国において核物質の軍事転用及び原子力の軍事利用を防止する上で、また国民の平和と安全を守る上で、厳重な核物質管理は不可欠であると言わなければなりません。  しかるに、政府原案では、指定情報機関制度保障措置分析所に象徴されるごとく、経済性や効率性のみが重視され、その目的に沿うものとなっていません。特に、指定機関と予定されている核物質管理センターの役員は、被査察事業所や大企業の代表で構成されている上、資金構成においても電力会社などに依存しており、中立公正な機関とはとうてい言えないのであります。  今回の政府案は、わが党が反対した核拡散防止条約の具体化にすぎず、その条約が核拡散防止の有効な措置とならないことは、当のカーター米大統領も事実上認めているところであります。第二に、再処理関連部分についてでありますが、再処理事業は、再処理過程にとどまらず、長寿命の高レベル廃棄物の処理、処分を行うところまで含むもので、民間企業の枠をはるかに超えるものであります。しかも、現在、商業用再処理技術は未確立であり、世界で一つも稼働していません。  また、核燃料が企業所有となっている現状においては、企業秘密を理由に、ひそかに軍事転用を図る危険性があり、再処理事業の民間移行は一層その危険を拡大するものであります。  以上の理由で、政府原案に強く反対いたします。  次に、五党共同修正案についてでありますが、政府原案から再処理事業の民間移行の改正部分を撤回したからといって、保障措置関連部分政府原案どおりで、何らの改善も加えられておりません。したがって、同修正案反対いたします。  以上をもって、日本共産党革新共同を代表しての反対討論を終わります。
  283. 岡本富夫

    岡本委員長 これにて討論は終局いたしました。     —————————————
  284. 岡本富夫

    岡本委員長 これより採決に入ります。  まず、宮崎茂一君外四名提出修正案について採決いたします。  本修正案賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  285. 岡本富夫

    岡本委員長 起立多数。よって、本修正案は可決いたしました。  次に、ただいま可決いたしました修正案修正部分を除いて原案について採決いたします。  これに賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  286. 岡本富夫

    岡本委員長 起立多数。よって、本案修正議決すべきものと決しました。  ただいま修正議決いたしました本案に関する委員会報告書作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  287. 岡本富夫

    岡本委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  288. 岡本富夫

    岡本委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時二十九分散会      ————◇—————