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1977-10-26 第82回国会 衆議院 科学技術振興対策特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年十月二十六日(水曜日)     午前十時十一分開議  出席委員    委員長 岡本 富夫君    理事 木野 晴夫君 理事 佐々木義武君    理事 中村 弘海君 理事 宮崎 茂一君    理事 石野 久男君 理事 日野 市朗君    理事 貝沼 次郎君 理事 小宮 武喜君       伊藤宗一郎君    竹中 修一君       玉沢徳一郎君    塚原 俊平君       原田昇左右君    与謝野 馨君       渡辺 栄一君    安島 友義君       上坂  昇君    村山 喜一君       古寺  宏君    瀬崎 博義君       津川 武一君    中馬 弘毅君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      宇野 宗佑君  出席政府委員         科学技術庁長官         官房長     半澤 治雄君         科学技術庁振興         局長      杉浦  博君         科学技術庁原子         力局長     山野 正登君         科学技術庁原子         力安全局長   牧村 信之君  委員外出席者         運輸省船舶局首         席船舶検査官  赤岩 昭滋君         参  考  人         (日本原子力船         開発事業団理事         長)      島居辰次郎君         参  考  人         (日本原子力船         開発事業団専務         理事)     倉本 昌昭君     ————————————— 委員の異動 十月二十六日  辞任         補欠選任   近江巳記夫君     古寺  宏君   瀬崎 博義君     津川 武一君 同日  辞任         補欠選任   古寺  宏君     近江巳記夫君   津川 武一君     瀬崎 博義君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  日本原子力船開発事業団法の一部を改正する法  律案内閣提出、第八十回国会閣法第一二号)      ————◇—————
  2. 岡本富夫

    岡本委員長 これより会議を開きます。  第八十回国会内閣提出日本原子力船開発事業団法の一部を改正する法律案を議題といたします。  この際、お諮りいたします。  本案につきましては、第八十回国会におきましてすでに趣旨説明を聴取いたしておりますので、これを省略いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 岡本富夫

    岡本委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。     —————————————  日本原子力船開発事業団法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  4. 岡本富夫

    岡本委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本案審査のため、本日参考人として日本原子力船開発事業団理事長島居辰次郎君、及び同専務理事倉本昌昭君から意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 岡本富夫

    岡本委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。     —————————————
  6. 岡本富夫

    岡本委員長 質疑に入ります。  質疑の申し出があります。順次これを許します。石野久男君。
  7. 石野久男

    石野委員 長官にお尋ねします。  きょうは政府が設定している「原子力の日」ということですが、このときに原子力船事業団法審議ということになりますと、わが党としては、これはもうすでに法案はないというたてまえをとってきておるし、船は廃船にすべきだというたてまえをとっておるので、余りこういう質問は気が進まないのです。しかし、原子力問題は非常に重要ですし、また聞くところによると、日本学術会議が秋の総会で、原子力余り事故が多過ぎるのじゃないか、だからこのことについて原子力安全性情報センターの設置というようなことを政府に勧告するやのことも聞いております。長官は、原子力行政について学術会議等からこういうような問題提起が行われることをどういうふうに受けとめておられるか。そしてまた、そういうものが出てきた場合に、これはもう仮定の問題とか何かじゃなしに、現実に学術会議がこれをやろうとしておるし、またわれわれもそういうことは当然だと思いますが、それを具体的にどういうふうに受けとめ、対処するおつもりでおられるか、この際、所見をひとつお聞かせ願いたい。
  8. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 私もいま御指摘の点に関しましては、まだ詳細承っておりません。しかし、検討されておるということは聞いておるような次第でございます。現在、政府といたしましては、もちろん原子力安全性確立を図りまして、いわゆる安全行政に対する国民信頼を得なければならぬ、そういう信頼関係を確立しなければならぬ、これが言うならば原子力開発の大きなキーポイントであろう、これはしばしば申し上げておりますので、したがいまして、いろいろな方々の御意見に対しましては耳を傾けて、そしてより一層安全体制をいろいろと具体化し得るものは具体化していけばよい、こういう考え方でございます。
  9. 石野久男

    石野委員 行政上の問題もそうでありますが、率直に言いまして、科学技術としての原子力は、政治の場だけでなしに学問の場においてもあるいは経済性の側面におきましても、技術的な面から言いましても、まだまだ問題を多く残しておると思います。いま長官から御答弁ありましたように、学術会議が真剣に考えて持ち込んでくる問題提起については、積極的にひとつ取り組んでいただくということが非常に大切であろう、こう思いますので、私は長官からもう一度そういうものについての御所見だけをはっきり聞かしておいてもらいたい。
  10. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 学術会議からそうしたものが正規に出ました場合には、政府といたしましても当然それに対しまして慎重な態度で臨む、なおかつ、その御意見をたっとぶべきであろうと考えております。
  11. 石野久男

    石野委員 原子力船事業団法延長ということについてのいま上程されておる法案は、われわれにとっていろいろな問題を提起しました。私はこの際お尋ねしたいのですが、延長法案でございますけれども政府はこの事業団法延長をすれば「むつ」が引き起こした問題はそれで十分解決し得るという見解に立っておられるのかどうか、あるいはまた、この事業団法延長することによって基本的には何を解決しようというふうにお考えになっていられるのか。それがたとえば船の構造の問題だとか炉の問題だとか、先ほど言いましたように、単に修理さえすればすべて解決してしまうんだというようにお考えになっているのか、その点をひとつ長官から御所見を承っておきたい。  それからなお、この問題については、事業団島居理事長もおいでになっておりますので所見も承りたいし、直接それを監督なさっておる運輸省の方はどういうように見ておられるか、その点もひとつそれぞれ所見を承りたい。
  12. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 原子力船むつ」の事業団法に関しましては、やはり将来原子力船時代わが国としても迎えなければならない。そのためには貴重な第一ページである。だから速やかに修繕を施し、なおかつ出カテスト等々、実験航海によっていろいろな実験をして、そして貴重なデータを得たい、それを実用化のために十二分に活用したい。このためにお願いをいたしておるわけでございます。  しかも、そのために事業団に積極的に参加し、そして奉職をしていてくれる人たちにとりましても、いままで時限立法でありましたから、いささか不安の念を与えてきたかもしれませんが、やはりそうした時代日本にあす迎えなければならないということになれば、事業団に入っていただいておる方々士気政府としては阻喪さしてはいけない、やはり大いに士気を鼓舞しなくちゃいけない。おれたちがあすを担うんだ、開くんだ、こういう気持ちで、かつ、いまあの船の中でがんばっていてくれる人たちもおれば、また事業団でがんばっていてくれる方々もおりますから、さような意味でひとつぜひとも早く御審議のほどをということをお願いいたしておるような次第でございます。  第二番目は、もちろんいろいろとこの「むつ」に関しましてはトラブルがございました。そうした面におきましては政府は謙虚に反省をいたしまして、その結果、幾つかの面におきましてもそれを行政面に生かそうというので、たとえば先国会から御審議お願いいたしております安全委員会の新設などは、言うならばそうした反省から生まれた大きな一つ行政的改革ではなかろうか、かように私は存じております。したがいまして、「むつ」に絡みましてはそういうふうな面が大きく生かされてきておるわけでございますが、あくまでもあすの原子力船時代を迎えたい、そしてガソリンというものは極力国民の必要とするところにお回ししたい、ガソリンにかわり得る場面は極力原子力でかえていきたい、こういうふうな気持ちからでございます。
  13. 島居辰次郎

    島居参考人 大体の政策のようなことはいま大臣からお話がございました。  それで、御存じのように、放射線漏れ以後大山委員会報告書も出ました。私どもはその後、その翌年理事長以下全部役員は一新されました。新しい陣容でもってわれわれは取り組んでおるわけでございます。それで責任体制も明確にすることにいたしました。また技術の問題もいろいろ問題にされましたので、技術蓄積を図るような措置もやりました。また団内に安全性専門部会もつくりましたし、また遮蔽専門部会もつくりまして、人員その他、そういうふうな面で張り切ってやっていこうとしておるわけでございますので、どうかひとつ法律問題をよろしく通していただきたいと存じておるわけでございます。
  14. 赤岩昭滋

    赤岩説明員 「むつ」の開発の目的は、原子力船建造経験を得るということと同時に、実験航海を行いまして諸試験を行って、いろいろの経験蓄積を積むということでございます。その蓄積が将来の実用船に反映されて、必要なデータがその実験航海等から得られるということでございます。わが国は御承知のように、世界有数造船国海運国でございますが、世界的に原子力船開発がかなり進められているという状況でございますので、運輸省といたしましても、今後の海運造船業の発展ということのためにも原子力船開発に鋭意取り組んでいきたいというふうに考えておる次第でございます。
  15. 石野久男

    石野委員 いまそれぞれの御所見を承りましたが、どうも運輸省などは「むつ」のトラブル発生といいますか、事故発生を正面から受けとめていない。ただもう造船国だから海運界に一日も早く出ていきたいというような意向がそこににじみ出ているようであって、どうも私どもとしては、この運輸省態度などには納得いかないものがございます。しかし、ここではもう余り論議をしません。大体は政府の方向がそうであり、そういう意図によってこの団法延長ということを考えておられるようであって、国民は、本当に原子力船むつ」で起きた事故にどう対処するかということに対する政府の姿勢は必ずしも固まっていないんだというふうに受けとめます。非常に残念です。  四者協定がありますが、実行されたものとまだ実行されないものとがございます。いま事業団法延長法案がかかっておるときに、この原子力船むつ」にかかわる四者協定というものは現在どのように実行され、そしてまた実行されないものに対してどういうふうに対処しようとしているのか、この点をひとつお答えいただきたい。特に母港の問題についてはどういうふうにお考えになっておられるか、所見を承っておきたい。
  16. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 四者協定に関しましてはいま仰せのとおりでございまして、実は入り口の方の長崎の事情は御承知のところでございますから、そうしたそれぞれ市並びに県会の御意見は違いますが、もし仮にそれを満たすとするのならば、やはり出口である青森におきましてもいろいろお願いをしなくてはならないことがある、こういうふうなことで、実はじんぜんとして日が過ぎておるようでございますが、その間、われわれといたしましても、両者に対しましてはいろいろとその間の事情も御説明申し上げまして、速やかにそうしたことが実行できるような体制をとるべく今日まで鋭意努力してきたところでございます。  その間の経緯といたしましては、委員会におきまして核燃料体そのものに関する安全性、さらにこれをきわめていただいて、その答えも出た次第でございますが、たまたま青森におきましては、むつ市におきまして市長選挙もございました。だから、われわれ科技庁といたしましては、そうした市長選挙に対しましてあくまで中立を守っていかなければならない、こういうふうなことで、厳に中立を私たちは守らしていただいた、かように存ずる次第でございますが、その結果、河野さんが四者協定とは内容的にも異なる公約をなさいまして、そしてそれが市民の方々の御支援を受けたという段階でございます。したがいまして、こうした事実をも私たちは厳粛にやはり選挙のことでございますから受けとめなければならないと、かように存じておりますが、しかしやはり青森県知事並びに漁連、こうした方々の御意見も非常に必要なことであります。なかんずく「むつ」のかぎ知事が預かっておられるというのでございますから、やはり知事が自分の県下においてこういうふうな選挙の結果どういうふうにお考えであろうか、また今後どういうふうなお気持ちでおられるのか等々も私は伺いたい、こういうふうに思っておりますので、まだ実のところはそうした機会を正式に得ておりません。したがいまして、近く知事さんにはさような意味で一度まずお目にかかっていろいろとお話を伺いたいものである。もちろん、いま御指摘の四者協定は、まだ履行しておらない面に関しましては私は深甚のおわびを申しながら、決して政府が怠慢でないというゆえんもあわせて御説明申し上げたい、こういうふうに考えておるところでございます。
  17. 山野正登

    山野政府委員 ただいま大臣から御答弁申し上げましたことに関連しまして、御質問の細かい点につきまして補足申し上げます。  四者協定の中身につきましては、御案内のように、一つ定係港にかかわる事項二つ目には地元対策並びに漁業対策にかかわる事項、さらに三つ目には原子力船むつ」の安全監視委員会にかかわる事項と、三つ大きな項目があるわけでございますが、このうち第二の地元対策、第三の安全監視委員会に関する事項と申しますのは、いずれも協定どおり履行済みでございまして、この点につきましては現在何ら問題ないと存じておりますけれども、1番目の定係港にかかわる事項につきまして、これは六カ月以内に新定係港を定め、二年六カ月以内を目途に定係港を撤去するという点でございますが、この点につきまして、当初の予定どおり考えました場合には、放射線漏れを起こしましたままの状態で新しい定係港を定めるというふうなスケジュールになっておったわけでございますが、私どもやはりお願いする各地元の理解と協力をいただきますためには、放射線漏れを起こしたものを少しでもいい状態に直した上で定係港お願いするのがよろしかろうという考えから、まず修理港を決めた上で定係港お願いしようというふうにスケジュールを若干組みかえたわけでございます。残念ながら先生よく御存じのように、修理港の決定問題というのが時間がかかっておりまして、結果的に新定係港の決定というのがおくれてしまっておりまして、そういう意味でこの協定事項の一番目につきましては、残念ながら現在のところ履行されていないという状況でございます。  なお、定係港にかかわる事項のうち、使用済み燃料交換用キャスク県外搬出とか、あるいは使用済み燃料貯蔵池の埋め立てとか、あるいはクレーン錠の保管を県知事の方に移管するといったふうなことは、すべて履行されております。
  18. 石野久男

    石野委員 長官にお尋ねしますが、いま長官の御答弁の中には、むつ市長選挙お話がございました。市長選挙は結果的には菊池市長が敗れております。このことについて鈴木農林大臣は、七月の段階で、この市長選挙にもし前市長派が勝った場合には、現母港での核抜き要請もあり得るということを言っておるわけですが、長官はそういうことについてどういうふうにお考えになっておりますか。
  19. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 そうした問題に関しましては、率直に申し上げまして現在は全く白紙でございます。したがいまして、どなたにもどのような話もいたしておりませんので、その点を御了解賜りたいと存じます。
  20. 石野久男

    石野委員 全く白紙だといいましても、鈴木農相は七月の四日に、青森市内での会見の中で、それに関する発言をなさっていらっしゃいます。鈴木農林大臣は、個人ということよりも政府農林大臣ですし、しかも四者協定には直接に関係して、皆さんを代表して仕事をなさっておる方です。この方の発言政府考え方というふうにわれわれ読まなくてはいけない。片方ではそういうふうに言っており、片方では白紙でございますというようなことでは困る。その上にまた長官も、市長選挙が終わったことでもございますから、ということは、言外にこれとの兼ね合いもあるわけでございまして、この際ひとつ本院において長官のざっくばらんな物の考え方を、あそこでやらないならやらないということにしてもらいたいし、これから交渉するというなら交渉するということを言ってもらいたいし、そこのところだけはっきりしてもらいたい。われわれの方に考え方もあるわけですからね。余りここで言っていることと実際とが違う、食言に類するようなことをやってもらっては困るので、率直なところをひとつお話しいただきたいと思います。
  21. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 鈴木農林大臣の件は、御承知のとおり、現在「むつ」に関する閣僚会議がありますが、このメンバーではございません。「むつ」に関する閣僚会議は、私と運輸大臣及び官房長官ということになっておる次第でございます。ただ、自由民主党の総務会長当時に、御承知の四者協定政府代表としてやられた、そういうことで、われわれといたしましては、いろいろな過去の漁業問題等々に関しましては、ときとして鈴木先生に過去の経緯をお尋ねすることがございますが、さような意味合いにおきまして、現在の政府といたしましては、その面では関与しないところでございます。なおかつ、私が申し上げたいのは、やはり菊池さんも相当理解しておられた市長さんではございますが、それ以上に、選挙でははっきりと母港をぜひともこの地域に求めるべきであるということを公約として当選なさったわけでございますから、この点におきましては、やはり一つ考え方青森県にもあるのではなかろうか。これは当選なさったから、現市長ひとりだけで進め得る問題であるかもしれません。しかしながら、四者協定には漁連知事もおられるわけで、やはりその方々がその市長考え方をどういうふうに理解されるかということも私は大切なことではないか、こういうふうに存ずる次第でございます。先ほどキーと申しましたが、やはり本物のかぎ等々は現在知事が奥深く秘められておる。だから、それに関しましても、「むつ」のいろいろな、運転するにいたしましても、あるいは委員会が抜いても構わないよということを言いました燃料体をたとえば抜くにいたしましても、あるいは抜かぬままにいたしましても、いろいろな場面が想定されるわけでございますが、まだその燃料体自体の問題まで実はいまのところは三者の方々の御意見も伺わずして、ただ政府だけがこうだと一方的に断定するということは、過去の経緯もございますから、したがいまして、私自身もはなはだ残念でございますが、本日ただいまそれは明らかにすることもできない、やはり関係の方の御意見を承ってそれから対処しようか、こういうことでございます。しかし、母港ということを表明されました市長さんが誕生したということは、政府から考えれば一つ前進であろう。燃料体云々ではなくて「むつ」問題をとらえましたときに、それの一つ前進である、こういうふうに考えておりますので、そういう意味でひとつ現状を御理解賜りたいと存ずる次第でございます。
  22. 石野久男

    石野委員 私の質問には直接お答えになっていませんけれどもお話の中で言外に、政府核抜きについてどういうふうに考えているかは察知されるように思います。しかし、核抜きの問題について地元での問題があるわけですから、軽々に扱わないようにしてもらいたいし、すでに「むつ」については四者協定の問題もあり、あそこも母港ではないという形で協定をしている。そういうことを無視して、市長母港を前提として支持を受けたからというだけでの処置をされますと、四者協定というものの存在が全く吹っ飛んでしまうということになって、われわれが政治課題としてきたことが全くむだになってしまうというふうに思いますので、そこはひとつ政府として十分な配慮をしてもらわないと、不測の事態が起きるだろうと思います。  事業団島居理事長にお伺いしますが、私はここに「「むつ」の安全性点検及び遮蔽改修について」というあなた方の書類を持っておりますけれども事業団はこの「安全性点検計画線表」というものを具体的にはこのとおりに実行なさっていらっしゃるのかどうか、その実情はどういうふうになっているか、この際ひとつお聞かせ願いたい。
  23. 島居辰次郎

    島居参考人 技術的の細部にわたりますので、倉本専務理事から答弁させていただきたいと思います。
  24. 石野久男

    石野委員 時間がありませんから、簡単で結構です。
  25. 倉本昌昭

    倉本参考人 「むつ」の総点検改修につきましては、安藤委員会の方で一昨年の十一月に報告されましたスケジュールの線に沿って業務を進めてまいっておるわけでございますけれども、この当時のスケジュールよりは大分おくれてまいっております。先生いまお手元にお持ちのスケジュールは、安藤委員会の当時のものよりは約一年ほどおくれた線表になっておるかと思います。なお、この線表も、一応予算的な関係もございまして、実際にはこれより二、三カ月程度はまた現在ずれ込んでおるという実態かと思います。
  26. 石野久男

    石野委員 これをどういう予算でやっているのかということも一つありますし、それからこれはとにかく五十二年十月というのが書いてあるわけですから、したがって五十二年の段階計画線、たとえばソフトウェア点検の場合では、改良設計設計再評価、事故解析、これらはこれに即して進んでおるのかどうか。あるいはハードウェア点検の場合、機能確認試験とかあるいは機器の点検などはどういうふうになっているかということを簡単にお聞かせ願いたい。
  27. 倉本昌昭

    倉本参考人 一応これは現在の予定、計画でございまして、実際ソフトの方の点検につきましては、現在まだ進行中という段階でございますし、まだ手をつけておらないものもございます。それからハードの方の点検でございますが、これは現在具体的にどういうようなマニュアルでこれを行うかということについてのマニュアルづくりをやっておる段階でございまして、実際のハード点検というところへまだいっておりません。
  28. 石野久男

    石野委員 この計画なり、あるいは大山委員会で指し示されておるところの「むつ」総点検あるいは修理に対しての問題で、特に私ははっきりわかりませんが、ここに示されております遮蔽改修案というものの格納容器上部遮蔽ですね。これはどういう仕事なんでしょうか。簡単にひとつ説明していただけませんか。
  29. 倉本昌昭

    倉本参考人 現在私どもの方で計画いたしておりますのは、この圧力容器上部の方の遮蔽改修につきましては、この圧力容器上部ふた部遮蔽というものを新しく追加するということを考えております。それからなお、そこにございます遮蔽コンクリートにつきましては、現在鉄リング等もございますので、こういったものは撤去をいたしまして、そのコンクリート蛇紋コンクリートにかえるという計画を持っております。それからまた、この格納容器の上部遮蔽につきましては、現在鉛とポリエチレンを使っておりますが、これを撤去いたしましてコンクリートにかえるということを計画いたしております。
  30. 石野久男

    石野委員 このいわゆる鉛となにをかえてコンクリートにするんだというやつは、この図によりますと、ものすごい厚いものになりますね。大体設計図の厚さはこれに比例した厚さになっているわけですね。これは相当重量も重いものだと聞いておりますが、実際には設計上の重量はどれくらいになるんですか。
  31. 倉本昌昭

    倉本参考人 この点につきましては、現在詳細設計に着手をしたところでございますので、はっきり具体的にどの程度の数字ということはまだ決まっておりませんけれども、おおよその見当では七十センチ程度になるんではなかろうかというぐあいに考えております。
  32. 石野久男

    石野委員 重量はどのくらいになりますか。
  33. 倉本昌昭

    倉本参考人 重量は約三百トンから三百五十トン程度ではなかろうか、これも一応の推定と申しますか、ラフな見積もりでございます。
  34. 石野久男

    石野委員 これはまだ詳細設計に入りかけているというわけですか。もう入っているんですか、どっちなんですか。
  35. 倉本昌昭

    倉本参考人 基本設計にちょうど着手したという段階です。
  36. 石野久男

    石野委員 大山委員会から指し示めされている改修の問題では、炉の圧力容器の中における問題点というのは、余り論議されていないのですか。
  37. 倉本昌昭

    倉本参考人 この圧力容器と申しますか、いわゆる炉心の設計でございますけれども、これにつきましては臨界実験等の結果から見て、問題はないというぐあいに考えております。
  38. 石野久男

    石野委員 あなた方の所見はわかりましたが、そこで、私は時間がありませんから、最後にひとつお聞きしておきたいのですが、事業団にはいま従業員はどのくらいおりまして、そこでは職員とか出向とかというものの状況はどういう配置になっておりますか。
  39. 倉本昌昭

    倉本参考人 現在、事業団本部それからむつ事業所並びに本船、大きく三つに分かれておりますが、定員の方は百十七名ということでございますが、現在欠員が一名出ておりますので、百十六名の定員でございます。  なお、内訳は、本部に六十二名、それからむつ事業所に二十三名、それから本船の方が三十一名という割り振りになっております。これにあと実際上、団外からの協力員、また非常勤職員等が現在加わっておるわけでございます。
  40. 石野久男

    石野委員 その協力員はどのぐらい来ておられますか。どの部署にどういうふうに来ておられるのですか。
  41. 倉本昌昭

    倉本参考人 現在、協力員につきましては、先ほどお話し申し上げました遮蔽の基本設計を行いますために、契約といたしましては協力員契約を二十五名ほど一応しておりますが、ただこれは実際に作業が起きたときにその人たちに来てもらうということで、その実績によって分担金を払っていくという形でございます。したがいまして、その仕事の繁忙と申しますか、仕事の山が来たときには多くなるという形でやっております。
  42. 石野久男

    石野委員 だから、山が来たときには多くなるということはわかっておるが、現在どういうふうになっておるかということを聞いているのです。
  43. 倉本昌昭

    倉本参考人 現在の時点では、技術部に協力員として十六名でございます。
  44. 石野久男

    石野委員 それは船の方へ来ておるのですか、本部へ来ておるのですか、事業所の方へ来ておるのですか。
  45. 倉本昌昭

    倉本参考人 本部の技術部でございます。
  46. 石野久男

    石野委員 いまこの諸君に対する労務関係といいますか、むしろ給与支払いとかなんとかというものは、予算上根拠というものがないから非常に困っておるやに聞いておりますけれども、それは具体的にはどういうふうに処置なさっていますか。
  47. 倉本昌昭

    倉本参考人 これはいわゆる事業と申しますか、役務提供という形で契約を一応結んでおるわけでございます。この協力員の経験年数等に応じまして、月幾ら、時間幾らという決め方をいたしておりまして、それに相当した金額を会社の方に払う、実績を見てお払いをしていくという形をとっております。
  48. 石野久男

    石野委員 出向で来ておる役務提供者に対する措置もそうですか、従業員の問題についても、予算措置の問題等について法的に非常にむずかしい問題か起きているのか起きていないのか、そこらのところをちょっと確かめたい。
  49. 倉本昌昭

    倉本参考人 現在の時点におきまして、定員はふえておらない状況でございますので、その中でできる限りの仕事をいたしておるという状況でございます。
  50. 石野久男

    石野委員 そういう給与支給や何かについて予算の面で、事業団法というのが実際宙に浮いているわけですから、だからそこのところで非常に不自由を来しておるのか、あるいはどういう便法を使っておるのか、そういうことをちょっと。
  51. 倉本昌昭

    倉本参考人 一応定員として決まっております職員につきましての給与については、その予算の方で措置をいただいておりますので、その点については何らの不自由は感じておりません。
  52. 石野久男

    石野委員 役務提供は。
  53. 倉本昌昭

    倉本参考人 役務については、これは事業費の中で極力節約して、やりくりしてやっておるといということでございます。
  54. 石野久男

    石野委員 時間が来ましたから、私はこれで終わります。
  55. 岡本富夫

    岡本委員長 石野君の質疑は終わりました。  次に、日野市朗君。
  56. 日野市朗

    ○日野委員 きょうは島居さんと倉本さんにおいでをいただきました。私、まことに失礼でございますが、お二人がいつから現職におつきになったか、ちょっと存じ上げませんので、お二人が現職におつきになった日時、それからその前にどのような仕事にタッチしておられたか、伺いたいと思います。
  57. 島居辰次郎

    島居参考人 御存じのように、放射線漏れが起きまして事業団の役員は一新するということになりまして、理事はいま五人おりますが、私一人が事務屋で、あとは全部技術屋でございます。  それで、私から申し上げますと、私は運輸省海運畑、海上保安庁に勤務しておりまして、その後約十年会社を経営しておりまして、それからこういう問題が起こりまして、平たい言葉で言うと引っ張り出されて、それで一昨年の四月一日から理事長を拝命してやっております。  それから倉本専務は、運輸省科学技術庁を経まして事業団に来られたのでありますが、御質問の趣旨は恐らくどういうことが専門かということだと思いますので、倉本専務理事は造船及び原子力の方が専門でございまして、それを担当しております。  それでよろしゅうございますか。ほかの理事はよろしゅうございますか。
  58. 日野市朗

    ○日野委員 ほかの理事の方も御専門の領域だけお願いいたします。
  59. 島居辰次郎

    島居参考人 あと、川崎理事でございますが、この方は東京大学の助教授から東北大学の教授、工学博士でございまして、その後日本原子力研究所に勤務、それから当団においでになりまして、これは原子炉が専門でございます。  次に岸本理事は、これは造船でございまして、石川島播磨重工業からこちらの方へおいでになりました。  それからもう一人の理事の折原理事は、昔のいわゆる神戸高等商船を出まして運輸省に来ておられまして、こちらへ来られまして、これはもっぱら経歴の示すとおり運航方面の担当でございます。  以上、ざっと御趣旨の要点だけを申し上げました。
  60. 日野市朗

    ○日野委員 まず日本原子力船開発事業団法、長いから事業団法と呼びますけれども、この事業団法によりますと、事業団の業務については第二十三条に記載がございます。その中で、原子力船設計、建造及び運航を行なうこと、それからそこに掲げる業務に関する調査研究を行うこと、これが大きな業務の内容というふうにされているわけであります。  それで、ただいまの御説明によりますと、事業団の組織が「むつ」の事故以来大幅に変わったらしいんですが、現在の事業団の組織及び人員が大幅に変わったということは、こういう業務を十分にやっていける、つまり原子力船設計、建造、運航、それに伴う調査研究を行うということについて、そういうことを目的として改組がなされたものかどうか、そこの点について端的に伺いたいと思います。
  61. 島居辰次郎

    島居参考人 先生も、放射線漏れが起きまして大山委員会というものの報告が出ましたので、それをすでにお読みになったかと思うのでございますが、その中にいままでのいろいろな分析をされまして、たとえば責任体制がどうであったかというようなことがございます。そういう勧告もございますので、それを踏まえまして、先ほど申し上げましたように、まず役員の方の一新ということがございまして、そして今度は責任体制を明確にしなければいけないということと、それから事業団技術蓄積というものがなければいけない、こういうふうな大きな命題のもとに、それぞれのことを明らかにしたわけでございまして、技術の担当の理事に先ほど申し上げましたようなそれぞれの斯界のエキスパートを責任者として充てました。それから技術部門の再編成をいたしました。それから、ただ事業団だけでなくて、広く関係専門家の意見を聞くために、団内に安全性専門部会遮蔽専門部会というような部会を設けました。  重要なる点を挙げますと、以上のとおりでございます。
  62. 日野市朗

    ○日野委員 私も大山報告書を読ましていただきました。非常に興味深く読んだわけでありますけれども、その中の一つの大きな柱というのは、あたかも事業団が事務執行機関のような観を呈していて、独自に舶用炉を開発していくという独自の研究が行われなかったのではないかというような指摘がございます。  それで、若干沿革的なことについての質問になってしまうわけですが、大山報告書に書いてありますように、研究スタッフが当時の事業団には十分ではなかった、配置が十分ではなかったのではないか、それから配置された責任者、技術者が余りにも交代が激し過ぎたのではなかろうかというような点が指摘されているわけでありますが、これらの点は現在、過去を振り返ってみてやはり妥当な指摘であるというふうにお考えになりますか。
  63. 島居辰次郎

    島居参考人 現在は、いま申し上げましたように、非常に変わってきていると私は思っておるのでございますが、なお、当時と比較いたしますと、私も当時おりませんので、倉本専務理事がよく知っていると思いますので、細かいことを答えていただきたいと思います。
  64. 倉本昌昭

    倉本参考人 大山委員会の御指摘にございましたように、私どももいろいろ反省をいたしておるわけでございますが、過去におきまして確かに「むつ」の設計、建造、試験という各段階ごとに、その組織、陣容というものを変えてきておった。したがいまして、設計を行ったその経験者というのは、実際に建造を行うときにはもう出向元に帰っておる、それからまた、建造を行った時点で、また建造から試験に移行するという段階で、試験のときにはその試験の実際に計測とかそういうようなことをやる要員だけになっておって、実際に設計、建造に携わった人間はおらなかったというようなことで、いわゆる技術蓄積と申しますか、その継続性というものがなかったという点がやはりございました。その点については大いに反省をしておるわけでございます。  ちょうど放射線漏れが起こりました直後、この漏れの原因がどこにあるか、またそれについての解析、検討を行うという時点におきまして、そういった専門家がおらないということのために、原因究明、またそれの改修のための検討ということを進めるために、改めてまた陣容を整えなければならなかったということがございます。  その後、その時点で、やはり現在の事業団の陣容では技術部の方が少のうございますので、事業団だけではなかなかやれないということで、原子力研究所、運輸省の船舶技術研究所、また民間の造船会社、あるいは原子力関係の会社といったところと常に協力体制を持ってこれを進めていくという形をとっておるわけでございますが、現在の主な業務でございます遮蔽改修並びに総点検関係の業務を進めるに当たりましては、その技術部の中核となります陣容については極力技術の継続性を持たせていくということで、この業務が終了するまでは可能な限り同一の体制でいきたい、こういうことで現在人事等についての配慮を行っておりますし、またこの点につきましては、出向元の絶大なる御協力を仰ぎながら進めておるという状況でございます。  しかし、この遮蔽改修につきましても、やはりこういう日本として新たな問題でございますので、研究開発はどうしても実験等が必要になってまいります。しかし、私どもの方にはそういう設備等もございませんので、遮蔽のモックアップ実験あるいはこれの解析等につきましては、先ほども申し上げましたように、原子力研究所あるいは運輸省の船舶技術研究所というようなところと共同研究という形でやっておりますし、またソフトの解析等につきましては民間の会社との間に委託契約というようなものを結びまして、そして業務を進めておる。技術部の方の職員がただ漫然と頼みっぱなしでおるということではございませんで、これらの共同研究の中には私どもの職員も一緒に入って作業を進めていく、また解析もやっていくという体制を現在とっておるわけでございます。     〔委員長退席、貝沼委員長代理着席〕
  65. 日野市朗

    ○日野委員 いまいろいろ御説明いただいたのですが、確かに、大山報告書でも指摘しているように、研究者や技術者が継続的に研究や実験にずっと携われなかった、いろいろな段階ごとにその担当者がかわってしまったという点に非常に大きな問題があると思うのですが、そういう問題は現在の事業団においても、やはり事業団の性格上これはある程度やむを得ないというふうに考えられるのではないでしょうか。特に出向で来られる方ですね、これはずっと事業団の専属的な職員ではありませんから、どうしてもこれは出向元の民間会社なり官庁なり、そういったところの事情がまず優先するというような状況というのは、事業団が組織を変え、新しい気構えで望むにしても、やはりそこいらはある程度やむを得ないという事情がおありになるのではないかと思うのですが、いかがなものでしょうか。
  66. 倉本昌昭

    倉本参考人 先生お話しのように、現在の時点では、まだ事業団法自身もこういういろいろな不安定な状況でございまして、そういう状況がずっと続いておったわけでございますし、その間、出向者また事業団プロパーの職員と申しますか、先はどうなるのかということに対しての不安感というのは否めないと思います。やはり技術者でございますので、こういう問題ととにかく非常に真剣に取り組んでおりますし、またせっかくここまで来た「むつ」を何とかして物にしていきたいという熱意にみんな燃えておるわけでございます。技術的な熱意が片一方ありますけれども、やはり出向者が大半を占めております。また、この出向者は、余り長くなると出向元へ帰ったときに自分は一体どうなるのかという意味での不安感というものもございますし、また中には地方から当団へ出向のために地元に家族を置いたままで来ておるという者もございます。だんだん年数がたちますと子供さんなども上級学校へ進むというようなこともございまして、まあなかなか東京へ出てきて事業団にこれから先骨を埋めていこうということも思い切れないという面で不安定なところというのは感じられております。しかし、皆一生懸命やってもらっておることは間違いございません。
  67. 日野市朗

    ○日野委員 もう一つ、これは根本的に事業団の持っている制度上の欠陥ではなかろうかなという点について伺いたいのです。  やはり大山報告書によりますと、たとえば遮蔽についての実験を行いますね、JRR4でやっている試験ですが、こういうようなものについても主体性を持ちつつ必要な実験を進めることができなかったのだというようなことが書いてあります。これはもちろん事業団の持っている施設ではないJRR4でやっているわけですから、当然そういうこともあり得るであろうと思いますし、また、たとえば遮蔽の実験をやるについても、ある程度基本設計をやるに必要最小限度のデータだけをとってしまって、さらに詳細設計まで進むためには事業団としてはとてもやり切れない。それで勢い業界に任せざるを得ないというような事情が出てくるのではなかろうか。     〔貝沼委員長代理退席、委員長着席〕 そういったことから、いままでいろいろ実験や基礎的な研究をやったノーハウが事業団の財産としてとどまっていないというようなことは、ぼくは事業団という一つの制度的な存在の持つ弱点ではなかろうかというふうに思うのです。ぼくは大山報告書を読みながら、どうもそれは事業団がけしからぬなどとはよう言い切らぬわけです。これは制度上のいろいろな問題があるのじゃなかろうかと考えますが、古いことにもさかのぼって恐縮なんですが、現在の御見解、御感想を率直にひとつ伺いたいと思います。
  68. 倉本昌昭

    倉本参考人 今回の遮蔽改修の問題に関連をいたしまして、私どもの方で遮蔽の模型実験を原研のJRR4を使いまして行ったわけでございます。この実験に当たりましては原研、運輸省の船研、それから私どもの方の間で共同研究契約というものを結びまして、またこの三者の間でこの実験をやるための体制をつくったわけでございます。総括グループと申しまして、実験全体の計画取りまとめをやります総括グループのリーダーは事業団技術部長が担当するという形で進めてまいっております。また実験に参画をしたメンバーがやはり現在やっております遮蔽の基本設計のグループにも五名ほど入っておりまして、またその他の方々にも外部からいろいろ応援を願っておるという状況でございますし、また現在遮蔽の基本設計につきましても外部に委託をして設計をしてもらうということもいろいろ考えたのでございますけれども、やはり実験自身も私どもの方で進めてまいりましたし、またこの遮蔽に使います材料についての試験等も私どもの方で進めてきておるわけであります。こういったこともございますし、またこの解析等につきましても私どもの方がこの実験との関連でイニシアチブをとって進めてまいっておりますので、この基本設計自身も事業団が進めていくということで、現在事業団の中に基本設計のプロジェクトをつくりまして、外部からの協力員という、むしろ外部から役務の御協力をいただいて、その事業団の責任の体制のもとでこの設計を進めていくというやり方を現在とっておるわけでございます。しかし、現在定員が限られた数でございますので、できるだけそういう事業団自体で進めるとなりますと、やはり人員が必要になってくるということで、現在は協力員という形で進めておるわけでございますが、こういった点でいろいろやりにくい点もございますけれども、現在のところ、技術的には私どもの現体制でやれるというぐあいに考えております。
  69. 日野市朗

    ○日野委員 いろいろ御努力なさっておられることはよくわかるのです。ただし、私が聞きたいのは、そういった努力を超えるものがもっともっと必要なのじゃないかという感じがするのです。目いっぱい努力をしても、これはいろいろ努力をしましたということだけではいかぬのであって、これから原子力船を、現在の「むつ」の改修を進めていくというためにはもっともっと人員も必要だろうし、予算的なものも必要になってくるだろうし、そういった面からいって、どうしても現在の事業団ではもうやり切れないというような感じが実は私はするわけなのです。これは特に大幅に出向してもらわないと、技術的な点でもうカバーし切れない点があるのではなかろうかと思いますが、そこら辺はいかがでしょうか。
  70. 島居辰次郎

    島居参考人 いろいろいい御意見お話がございますので、われわれも全く先生に同感なのでありますが、事業団といたしましても、単なる事務というか、遮蔽改修なり安全性をやるだけではなくて、今後の舶用炉の開発なりということについて、おっしゃるとおりな研究もまことに必要だと思っておる次第でございます。
  71. 日野市朗

    ○日野委員 現実にこの舶用炉については三菱原子力工業株式会社に頼んで、そしてつくらしたわけなのですが、現在この三菱原子力工業から出向というような形なり、または三菱の方をやめて事業団の方に専属的にという形でなり、職員の派遣がございますか。
  72. 倉本昌昭

    倉本参考人 三菱の方から定員という方の中で私どもの方へ出向して来ておりますのが、現在二名おります。あと、現在協力員という形で三菱関係から——これは先ほども御説明申し上げましたように、仕事が山がございますとあれでございますが、現在三菱の方からは最高十三名ほど来てもらえる体制に一応なっております。  それからただいまのあれでございますが、三菱重工から二名と、それから三菱原子力工業から一名、三菱関係で三名出向しております。
  73. 日野市朗

    ○日野委員 これは事業団の資産の関係でちょっと伺っておきたいのですけれども、結果的には三菱に発注してでき上がったこの舶用炉から放射能漏れが出てきているわけなんですけれども、これについて原因の究明に当たって三菱原子力工業の方では協力をしてくれておりますか。
  74. 倉本昌昭

    倉本参考人 この原因の究明におきましては、これは事業団また原研、船研等におきましてその実験とあわせてやったわけでございますが、三菱の方からも一応協力はしてもらっております。また、この設計を進めるに当たりましても、先ほどお話申し上げましたように、三菱からも役務提供という形での協力をしてもらっております。
  75. 日野市朗

    ○日野委員 これは大山報告書でも指摘をしている。これは大山報告書も非常に遠慮した指摘をなさっておられるのだと思うのですが、ごく短く「三菱原子力工業(株)は、その意味で、責任があったものと考える」という一行ほどの指摘があるのですが、これは民事的な責任を考えてみますと、やはりこれは債務不履行に該当するのではなかろうかというふうに考えられるわけなんですが、事業団としてはこれは債務不履行であれば当然補てん賠償、損害賠償請求権というものが発生したわけでありますし、事業団としてもこれはかなりの貴重な財産権であろうと思うわけですが、これについては現在どのように処理されておりますか。
  76. 島居辰次郎

    島居参考人 これはもう先生、御専門ですから、私、答弁しなくてもいいかと思うのでありますが、いわゆる契約をやりまして、もう私が言うより先生の方がよく御存じと思いますが、民法の五百七十条の瑕疵担保の責任でございますが、御存じのように一年でございますが、当時この契約ではだんだん瑕疵担保の期間を延ばしまして、最後は十八カ月にしておるのであります。それでその十八カ月の期限が、船体と炉と一緒でありますが、四十九年の三月十二日になっております。それで放射線漏れが起きましたのが四十九年の九月一日でございますので、これはもうとっくに先生御存じのように期限が切れておりまして、いわゆる契約上は何ともしようがないことに当時なったと思っております。そこで、もうすでに先ほどからいろいろ御質問でお答えができておるわけでございますが、契約上はそうであるけれども、三菱として道義的責任なりその他の社会的の責任もあるじゃなかろうか、こういうようなことで、その後三菱といたしましてもわれわれの方にいろいろ人員の派遣なりあるいは今後の遮蔽改修なりについて非常に御協力を申し上げるというふうなことも言っておりますので、そのことによっていま現在進んでおる次第でございます。
  77. 日野市朗

    ○日野委員 これは、そこいらの責任が三菱から人の派遣を求めるということによって少し手抜きがあるのではないかというような感じもするのですね。これは瑕疵担保責任だと言ってしまえば、確かにそれは瑕疵担保という考え方もとることはできるのですけれども、これだけの問題が起きれば、やはり社会的な責任、道義的な責任とばかり言い切れない。これは三菱原子力工業そのものにとっても信用上の問題でありますし、そこいらを手抜きしているというような感じがするので伺うのですが、そういうことはないでしょうか。
  78. 島居辰次郎

    島居参考人 おっしゃるようなことは、もう絶対ないと私は思っております。  また、その三人だけではなくて、その他についても今後とも協力をわれわれもお願いする次第でございますし、向こうもそれは了承しておるわけでございます。よろしくお願いいたします。
  79. 日野市朗

    ○日野委員 現在の事業団体制が非常に強化された、組織的にも技術的にも強化されたというふうに先ほどからずっとお話があるのですが……。  「むつ」の総点検について、原子力船むつ」の遮蔽改修についてという改修計画事業団から出された。それから原子力船むつ」総点検改修スケジュールの概要が原子力船開発事業団から出された。これは一番最初のは昭和五十年十一月二十五日でございますね。ちょっと確認したいと思います。
  80. 倉本昌昭

    倉本参考人 これは私どもの方から「むつ」総点検改修技術検討委員会の方へ御報告をいたしまして、御検討の上、同委員会から十一月二十五日の第一次報告というものの中に私どものお出ししたスケジュールがついておるわけでございます。
  81. 日野市朗

    ○日野委員 いま私が指摘しました遮蔽改修とそれから安全性点検、この二つの計画が出された経緯についてちょっとお話をいただきたいと思います。これは、事故が起きたのでこういうふうにやりましたということではなくて、それまでにどこかの官庁とか関係機関からのプッシュがあったのかどうか。
  82. 倉本昌昭

    倉本参考人 これはあるいは政府の方からお答えいただいた方が適切ではないかと思いますが、大山委員会等の御報告の御検討もございました。  一方、政府の方で「むつ」総点検改修技術検討委員会というのを運輸省科学技術庁でおつくりになられまして、ここで遮蔽改修計画及び総点検の実施計画について、計画の内容またその安全性の問題等について適宜検討を行いながらこの遮蔽改修、総点検を進めていくということで、私どもの進めてまいります計画あるいは計画等の内容については逐次こちらへ御報告をして、それで御検討いただくということになりまして、その線に沿って五十年の八月から私どもの方の計画をそのまま提出しておるわけでございます。
  83. 山野正登

    山野政府委員 政府の決定も絡みますので、私、若干補足申し上げたいと思います。  「むつ」総点検改修技術検討委員会の開催につきましては、実は原子力委員会におきまして原子力船懇談会というものをつくりまして、今後のわが国におきます原子力船開発のビジョン、その中における「むつ」の位置づけといったふうなことをいろいろ検討されたわけでございます。その結果、今後の「むつ」の進め方について一つ提言されました。  その中の一つとしまして、今後はこの事業団の行います総点検改修につきましては、広く各界の専門的な意見を聞きながらやるべきであるということ、それからいま一つは、科学技術庁、運輸省が本件の監督官庁になっておるわけでございますが、科技庁、運輸省の連携も十分密にするようにという二つの配慮から、この「むつ」総点検改修技術検討委員会というものをつくることになったわけでございます。この場で事業団の進めます総点検改修の概念設計以降工事の実施に至るまで、あらゆる段階でこの第三者機関のチェックを受けながら、再び四十九年に起こしましたようなトラブルのようなものを起こさないようにするという配慮でつくられたという経緯でございます。
  84. 日野市朗

    ○日野委員 倉本さんにちょっともう一度確認させていただきます。  私が言いましたこの二つの計画ですね、遮蔽改修と総点検の二つの計画ですが、これが事業団内で作成されたのはいつとおっしゃいましたか。
  85. 倉本昌昭

    倉本参考人 この計画につきましては、私どもの方で五十年の春ごろから具体的にいろいろ計画を練っておりまして、この安藤委員会の方へ御提出いたしましたのは、たしか十月ごろではなかったか、現在はっきりした年次は覚えておりませんが、十月ごろだったと思います。
  86. 日野市朗

    ○日野委員 さっき局長の方からもお話があったのでちょっと補足して伺っておきますが、まず大山委員会が設置されたのが昭和四十九年十月二十九日の閣議決定だったと思います。この委員会を設置した法的根拠と言いますか、それはどのようなものと御理解になっておられますか。
  87. 山野正登

    山野政府委員 特に法律に基づいて設置された審議会といったふうなものではございませんで、四十九年に発生しました放射線漏れの原因等を究明するために、四十九年十月二十九日に閣議決定をされまして設置された委員会でございます。
  88. 日野市朗

    ○日野委員 それに引き続いて五十年の六月十日に、原子力委員会が「原子力船むつ」問題についての原子力委員会の見解」なるものを発表されたのは御存じでしょうか。先ほど局長が言われた総点検委員会までいくのは、ここいらからの一つの系列がずっと流れるわけですが。
  89. 山野正登

    山野政府委員 はい、存じ上げております。六月十日に、委員会で「むつ」問題についてめ原子力委員会の見解というものを決定いたしております。
  90. 日野市朗

    ○日野委員 原子力委員会がこの決定を出すに至った権原と言いますか、法的な根拠、それはどこにあるのでしょう。
  91. 山野正登

    山野政府委員 原子力委員会は、先生御案内のとおり、わが国原子力政策の基本的な事項につきまして審議し、決定するという権限をもともと持っておられますので、そういう趣旨において、この「むつ」問題というのはわが国原子力開発上の根幹にかかわるような重要な問題であるという趣旨で、本件についての決定をされたというふうに理解いたしております。
  92. 日野市朗

    ○日野委員 この決定は、その中でかなり大事なことを言っているのです。「現在「むつ」の原子炉内の放射能は極めてわずかで、改修に際して危険はないと判断される、」とか、また「むつ」の計画というのは推進すべきだとか、ずっと言っているわけですが、その決定と、一連の流れとして同じく原子力委員会が昭和五十年の七月二十九日「「むつ」の総点検および改修の実施について」という文書を出しておられる。これは御存じでしょうか。
  93. 山野正登

    山野政府委員 はい。存じ上げております。
  94. 日野市朗

    ○日野委員 それから直ちに五十年八月十二日、今度は科技庁と運輸省が「「むつ」総点検改修技術検討委員会の開催について」、こういう文書を出しておられる。これも御承知でしょうか。これはどのような法的根拠に基づいてなされたものか。
  95. 山野正登

    山野政府委員 これは、科学技術庁と運輸省とはもともと共管で原子力船開発事業団を監督いたしておるわけでございますが、この監督を進めます一態様としまして、このような第三者機関の委員会をつくりまして、この場で事業団の行う総点検改修というものを各段階において十分技術的に検討してまいろうという趣旨で、設けたものでございます。
  96. 日野市朗

    ○日野委員 この委員会仕事の内容とか性格、責任の根拠というようなものは明らかではないと私は思うのですが、この責任の根拠についてはどのようにお考えになりますか。ただ単に監督機関であるというだけでは不十分だと私は思います。本来であれば、これは、総点検をし、改修をし、技術的に検討をするというようなプロセスは事業団が踏むべきが当然であって、それをわざわざ科技庁と運輸省がこのような総点検改修技術検討委員会というような組織をつくり上げて、それを運用しておられる。どういう根拠があるのか、ちょっとお聞かせいただきたいのです。
  97. 山野正登

    山野政府委員 先生指摘のように、この総点検改修技術検討委員会自体が何らかの権限なりあるいは逆に責任といったふうなものを持っているとは私どももちろん考えていないわけでございまして、これはあくまでも第三者機関として、私ども並びに事業団にお知恵をかしていただきたいという趣旨でつくったものでございます。したがいまして、将来進めます総点検改修の最終的な責任というのはもちろん事業団が持っておるわけでございまして、この事業団を監督するという限りにおいて、科学技術庁、運輸省というものもその監督責任を負っておる、こういうふうに考えております。
  98. 日野市朗

    ○日野委員 私は、これは非常に心配な点があるんですね。結局、こういった検討委員会のようなところが出てきて技術的な補助をしなければ、事業団というものは実際にはこれだけの仕事をやってのけるだけの能力がないのではなかろうかというようなことが実は心配されるわけでありますし、ということは、ちょっと長ったらしいのですが、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律、つまり原子炉規制法と略称されるものですが、これの二十四条で、内閣総理大臣が原子炉を設置しようとする者に対する許可の基準を決めているわけですが、そこでは設置者に、「原子炉を設置するために必要な技術的能力及び経理的基礎があり、かつ、原子炉の運転を適確に遂行するに足りる技術的能力があること。」というのが要件として挙がっておることはすでに周知のところでございますが、何かこれだけの突っかい棒をしなければ、事業団というのはそもそも設置の許可基準をも満たしていないのではないかというふうな不安が私には非常に強いわけであります。この点について事業団の方もそれから科学技術庁の方もどのようにお考えになっておられるのか、ちょっと見解をお聞かせいただきたいのです。
  99. 山野正登

    山野政府委員 事業団技術的能力につきましては、先ほど来理事長、専務理事が御説明申し上げましたとおり、現在の事業団の部内におります技術者でもって十分この原子力船開発技術的能力はあると私ども考えておるわけでございますが、過去四十九年にああいったふうなトラブルを起こした事例もございますので、再びこういったようなことのないように、平たく申し上げれば、念には念を入れるという趣旨で、外部、第三者の御意見もよくよく拝聴して過ちなきを期そうという趣旨でございまして、その突っかい棒がなければ事業団の運営ができないというふうに私ども考えているわけではないのでございまして、その辺はよく御理解いただきたいと思っております。
  100. 日野市朗

    ○日野委員 事業団、いかがでしょう。
  101. 島居辰次郎

    島居参考人 いま局長からお話しのとおりでございまして、大山委員会によって衣がえをいたしました事業団でございますので十分にやっていきますが、やはりこういう特殊な業務でございますので、一般の信用を高める上においてもこういう措置は必要かと思っておるわけでございます。
  102. 日野市朗

    ○日野委員 これは、たてまえと本音というと大分語弊がありますけれども、たてまえとしてはそうお答えになるだろうと思うのです。  実は、この総点検改修技術検討委員会の第一次報告というのが昭和五十年十一月二十五日に出されているのですが、どうも妙な方に深入りしてしまって申しわけありませんが、これによりますと、「当委員会は、今後とも事業団における作業の進捗に伴い随時、その内容を事前にチェックし、」事前にチェックするのですよ。「安全の確保に万全を期することとする。」と、こう書いてあるわけですね。それは、つまり総点検改修技術検討委員会としては事業団のやることはちょっと頼りにならぬ、事前にこっちにまず言ってよこせ、そうしたら、それをチェックして、それについてアグリーメントを与えるかどうかはこっちで決める、こう言っているように見えるのですね。そして、その遮蔽の改修やら総点検やら、スケジュールその他についてずっとこの報告書には記載があるわけでありますが、この点についていかがでしょう、これはもう今後の運営としては、いろんな改修のプランですね、このプランを総点検改修技術検討委員会の方に必ず事前にお伺いを立てる、そうしてそれについてはアグリーメントをもらわないうちは手をつけられないということに現実にはなっているわけですね。
  103. 山野正登

    山野政府委員 この安全の確保に万全を期するということについての最終の責任者は、事業団理事長でございます。そういう趣旨におきまして、この総点検改修技術検討委員会がここで「安全の確保に万全を期することとする。」と申しておりますのは、そういった事業団が万全を期することについてこの委員会も十分に協力してまいりましょうという趣旨で、こういうふうにここで申しておると考えております。
  104. 日野市朗

    ○日野委員 事業団の方にもひとつ、実際どのように行われているか、その実情をお聞かせいただきたいと思うのです。
  105. 倉本昌昭

    倉本参考人 現在、私どもの方で遮蔽の改修の基本計画あるいはその模型実験、また総点検等の具体的な計画等やっておるわけでございますが、これらにつきましては、ある程度まとまった段階でこちらの委員会の方に逐一御報告を一応申し上げておるわけでございます。もちろん、そこへ参りますまでの間に事業団といたしましては、事業団内での検討、これも十分行っておりますし、また事業団の中にも、やはり第三者の学識経験者等の御意見等も伺いながらするということで、これは先ほど理事長からも申し上げましたように、専門部会等もつくって御検討をいただきながら進めておるという形をとっておりますし、また具体的な実施に当たりましては、当然事業団の中にも安全につきましての委員会等持っておりますので、団内でのまた検討についても十分進めていく、それで安全の確保に万全を期するということについては進めておるわけでございます。
  106. 日野市朗

    ○日野委員 ちょっと済みません、こっちに負けないぐらい大きな声でひとつお願いします。
  107. 岡本富夫

    岡本委員長 ちょっと、後ろ静かにしてください。
  108. 日野市朗

    ○日野委員 私の心配は、一応この原子炉舶用炉、「むつ」の舶用炉を指すわけですか、舶用炉の改修がずっと終わって、いずれまた安全の審査ということになるだろうと思うのですが、そのときに運輸省科学技術庁、こうやって検討委員会をつくらしてそこが一生懸命後押しをしてやったのに、それを今度安全審査の段階ではねるなんということは、自分の家の中のことを自分の家の中で判断するような非常に形の上としてもまずいことになるんじゃないかというような心配、これはだれでも当然持つことですね。どうせあれはなれ合いさと言われる、そしてみんななれ合いだと思う。当然あんなものは信用できないんだ、また反対だというようなことで、いろいろな問題が発生するような感じがするんですが、そこいらの御心配はいかがでしょうか。
  109. 山野正登

    山野政府委員 この検討委員会行政レベルで設置したものでございまして、先ほど来申し上げておりますように、私ども並びに事業団が独善的にならないように第三者的なチェックをして過ちなきようにいたそうという趣旨でつくってあるものであります。この結果、将来、安全審査を受けるという段階になりました節には、これは事務局は原子力安全局の方でやりますし、それからまた原子力委員会の安全専門審査会で審査をするわけでございますので、この検討委員会が後押しをしたからということでこの専門委員会の審査が手かげんされるといったふうなことは絶対あり得ないと考えております。
  110. 日野市朗

    ○日野委員 私もそう願いたいところなんですが、安全審査に対する一つの批判が大山報告書の中に出ていることは科学技術庁の方でも篤と御存じであろうかと思うのです。報告書の引用ということばかりでもちょっとぐあいが悪いので、その中の主な骨子はこんなことであろうかと思います。安全審査委員会は「原子炉などの基本設計について審査を行うが、詳しい設計・工事の方法の内容にまでは立ち入ることはない。」という指摘がありますね。それから「当面問題となっている原子力第一船の遮蔽について、原子炉安全専門審査会で審査を担当したのは、環境専門の委員を主体とするグループであった。同グループには放射線防護についての専門家は含まれたが、遮蔽設計の専門家と評価された人はいなかった点を指摘しなければならない。」こういうふうに、つまり安全審査をやるに当たっては必ずしも専門家がそれを担当するのではないのだ、一般論的に言うと、こう読めますね。しかも「一般に大学、研究所の研究者がパートタイマーという形態で審査に当っているので、必ずしも常に最も適当な専門家を当て得るとは限らない。したがって、審査の実態についても、申請された原子炉の安全性について、申請者側の計算を再計算によって確認することなどは事実上困難であり、また原則として書面審査のみであるため、設置許可を決めた原子炉がその後どのように運転されているか、また技術的に問題はないかなどを絶えず注意し、これを次の審査に反映させるという一貫した技術のシステムに欠けるところがある。いうならば、高名で多忙な学者、研究者にこのような実務的な作業を委ねること自体に無理がある」こう指摘をしているわけですね。この点はわれわれもずっと前から常に指摘してきたところなんですが、現実に安全専門審査会の審査のやり方ですね、どうでしょう、これはこの報告書指摘を受けて改めるところはあったでしょうか、それとも指摘を受けながらずっと旧態依然であるのか。現実はいかがになっておりましょうか。
  111. 牧村信之

    ○牧村政府委員 大山委員会指摘を受けまして、その後、原子力の安全規制体制についての反省を種々行ってきておるところでございますけれども、すでに先生御存じのように、原子力安全局を設置して原子力の規制体制の強化を図るということがまず第一点あったかと思います。  それから、大山委員会の御指摘で現在の設置許可、それからその後の詳細設計の設工認等の規制が二つの省庁によって行われ、その間に一貫性が欠けるきらいがあるという御指摘がございましたが、この辺につきましては、現在国会で規制の一貫化に関する法律改正の御審議お願いいたしておるわけでございます。また、原子力委員会が安全と推進を担当するというようなことに対する反省といたしまして、原子力安全委員会の設置をこれまた法案を上程してお願いいたしておるところでございます。  それから、先ほどの先生の個々の御指摘に対してでございますけれども原子力の安全専門審査会につきましては、先生方がパートであるというようなことあるいは非常に偉い先生であって中身の審査が十分でないという感触の御指摘でございますが、現在、安全専門審査会の委員のほかに調査委員という制度を設けておりまして、逐次その増強を図っておりまして、安全審査に心要な技術の評価等につきまして専門的な立場から審査に参画するというような制度をつくってございます。  それから、当時、遮蔽設計の専門家が日本に数が非常に少なかったわけでございますけれども、こういう船の改修計画が出まして安全審査にかかるような段階になりますれば、当然審査委員原子力船の審査をする専門家を追加することは考えてまいりたいと思っております。  なお、現行体制で安全審査を担当するところと設工認の段階の省庁が違うことに関連いたしまして、この間の連携を密にする必要が当然あるわけでございまして、大山委員会からも御指摘を受けておるわけでございます。そのような観点から安全専門審査会の中に舶用炉部会というものを新たに設置したわけでございます。なお、これにつきましては、発電用の原子炉につきましてもあるいは研究炉関係の原子炉につきましてもそれぞれ部会を設置しておりますけれども、安全審査の基本的な問題について設工認に十分それを反映させるような議題につきまして調整をしていただくというような、運用上の改善もいたしておるところでございます。  それから、安全審査が申請者から出た書面のみによって行われておるというようなお話でございますが、これにつきましては、従来から必ずしもそれだけでやっておったわけではございませんけれども、その御指摘も受けまして、原子炉規制課員の増員を図るなど事務局の強化を図りつつ、たとえば安全審査で非常に重要な安全性の解析評価の問題等につきまして、安全審査会みずからがそれを実施するというような制度を導入しております。ただ、これはみずからと申しましても、安全審査会は手足がございませんので、その便法といたしまして、日本原子力研究所のこういう安全解析等を担当する部門がございますが、そこと連携いたしまして、申請者から出てまいりますいろいろな安全に関する資料につきまして物理的あるいは工学的な解析をお願いし、それを審査に反映しているわけでございます。  なお、そのほか一般的な事柄でございますけれども、このような安全審査が中立的にしかも公平に行われるために、原子力委員会に原子炉安全技術専門部会というのがございまして、安全審査基準の作成等、鋭意その整備に努力しておるところでございます。
  112. 日野市朗

    ○日野委員 私は、いろいろいま聞きましたけれども、いま事業団が新しい陣容で非常に努力をしておられること、これはそれなりに評価するのです。また、大山委員会を閣議決定でいち早くつくって、また原子力委員会なんかもこれは大変なことだというのでいろいろな作業を進められた。そういうことも私はそれなりに評価したいと思います。そして改修技術検討委員会というようなものもつくって万遺漏なきを期したいという態度についても、それなりの評価を私はするわけなんですね。  ただ、問題は、事業団がこれだけの手当をしなければ何とも不安感が残るという現実を、私はこれはやはり直視すべきものは直視すべきではなかろうかというふうに思うのです。これはもう沿革的なことを言えば、昔の事業団というのは確かに大山委員会指摘のとおりに、これはかなりめちゃくちゃなものだと言うと若干語弊がありますけれども、語弊をいとわずに言えば、かなりめちゃくちゃであって、いろいろな出向してきた職員なんというのは、責任体制も十分ではない、中には技術の勉強だけに来たんじゃなかろうかというような職員もおったというようなことが言われているわけでありますが、そういうような状態が完全に一掃されたとはちょっと私としても考えにくいのです。  それで、昔からずっといる職員が現在どのくらい残っているかという点について、わかる範囲でひとつお聞きをいたしたいと思います。
  113. 倉本昌昭

    倉本参考人 現在、技術関係で定員という形で一応二十一名ほどおりますけれども、この中で、昔からと申しますか、放射線漏れ以前からおる人間といいますのは五名でございます。
  114. 日野市朗

    ○日野委員 あとは一新されたということでしょうか。
  115. 倉本昌昭

    倉本参考人 あとは全部新しい陣容でございます。
  116. 日野市朗

    ○日野委員 いまこの事業団法の一部改正についての論議をやっているわけなんですが、具体的に伺いたいのですけれども、現在、一部改正案が通らないためにどのような不自由がありますか。具体的に挙げていただけませんか。
  117. 島居辰次郎

    島居参考人 まず第一に、職員か意気阻喪するわけであります。これはひとつ御同情願ってなるべく早く通していただきたいと思います。  それから、予算の面におきましても、積極的には活動いたしかねますので、たとえば増員とかいうこともございませんし、むしろ減らされておりまして、なかなかやりにくいという予算の面が非常にございます。  大きな問題はそういうことでございます。
  118. 日野市朗

    ○日野委員 政府あたりの説明によれば、昨年、五十一年の三月三十一日を過ぎても事業団法はそのままずっと残っているのだ、だから全然心配は要らぬのだ、このような説明をしておられるのですが、現場におられる方は、そういう説明ではやはり納得できていないということでしょうか。
  119. 島居辰次郎

    島居参考人 まず「むつ」の乗組員の方も、動かないからということで人員も減らされました。しかし、乗組員は、いつでも動けるように、つまりエンジンは補助ボイラーその他でいつでも維持しなければなりません。ぼんやりしておるわけでもございませんで、非常に働いております。  それから、こちらにおきましても、いまのようにいろいろ積極的な長期の計画ということも差し控えなければなりませんので、そういうことはひとつお察し願いたいと思うわけでございます。
  120. 山野正登

    山野政府委員 若干補足させていただきますが、従来、私どもが五十一年三月を過ぎて事業団の運営の態様かどうなるかということについてるる申し上げておりますのは、法律上の解釈の問題を申し上げておるわけでございまして、実態といたしましては、ただいま理事長か申しましたように、いまのようになかなか国会において御意思を御決定いただけないという状況が続きますと、事業団士気にも大きな影響がありますし、また、私どもといたしましても、国会において今後の意思決定をなさるまでの間は、たとえ予算的に人員増等が認められましても、安易にこれを実行すべきではない、ある程度自粛すべきだというふうに考えておりまして、法的な解釈の問題と実態の問題とはまた別でございます。そういう意味におきましても、ぜひこの事業団法の早期成立ということについて御協力をいただきたいと思っております。
  121. 日野市朗

    ○日野委員 今度は質問の観点を若干変えさせていただきますが、先ほど石野議員の質問で四者協定の問題が出ましたから、私は余り四者協定に深入りしないで伺いたいと思うのですが、まず、四者協定というのは、これは永久的なといいますか、半永久的な協定として四者間での合意がなされたものである、こういうふうに理解をすることが正しいかどうか、その点まず宇野長官に伺っておきたいと思います。
  122. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 御承知のとおり、四月十四日までにこのことは履行いたしましょうということについて、四者間が合意したものでございます。
  123. 日野市朗

    ○日野委員 問題はその期限が切れた後の拘束力でありますが、依然としてずっとこの協定は拘束力を持っている、このような理解に立ってよろしゅうございますか。
  124. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 これは数次にわたって申しておりますとおり、政府といたしましては、履行いたしたい、こういう気持ちでずっと来ておるわけでありまして、今日もまた私たちといたしましては、四者協定は、先ほども石野委員にお答えいたしましたように、尊重いたしたい、こういう気持ちに現在は変わりはございません。
  125. 日野市朗

    ○日野委員 市長選挙があったという事情があるのですが、何か新聞等の報道するところによりますと、宇野科学技術庁長官青森県や青森漁連ですか、これがむつ市に同調してくれることを希望するというようなことを発言したやに報ぜられておりますが、その点はいかかでしょうか。そして、どのような御意向のもとに、どのような経緯を踏まえてそのような発言をなされたのか、伺いたいと思います。
  126. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 河野新市長が、自分の考えとしてはやはり母港をこの地域につくるべきである、そうしたことを一つの大きな公約として立候補されたということは御承知のところであります。特にそうしたことを契機として下北における産業的な基盤もつくりたい、そういうふうなお心だろうと思いますか、それに対しまして住民の方々が賛意を表された方の方が多かった、それで当選された、こういうことでございます。われわれといたしましても、母港はどこかということはまだ決めておりませんし、折衝もいたしておりません。しかしながら、将来の原子力船時代等々を考えました場合に、当然、燃料補給とかあるいは修理点検とか、そういうふうな機能を発揮し得る母港というものは必要である、その母港は従来は一つというふうに言われておりましたが、去る通常国会において私はもうはっきりと、将来に備えるためには複数であってよし、こういうふうな発言をこの委員会においてもいたしておるわけでございます。そうしたことに関しまして、やはりはっきりと意思表明をしていただいたということは、政府考え方そのものに関しましても、一応そうした住民の方々の意思も発表されたのだなという、かうな受けとめ方をいたしておりました。したがいまして、それが今後青森県でどのように生きるかということは、これは知事さんのお考え方もあろうし、あるいはまた漁連のお考え方もあろう、そういうふうな意味で、ひとつ新しい問題として提案されたことについての見解でございます。  政府といたしましては、まだいずれのところとも母港の折衝をしておりませんし、正式に母港の申し入れを受けたこともございません。ただ、いままでの長い経緯の中におきまして、一人の市長候補が母港というものをテーマとして闘われて勝たれたということだけは一つの大きな厳粛な事実である、これは私は私なりに受けとめたい、こういうことでございます。
  127. 日野市朗

    ○日野委員 いま私が指摘した記事は、あれは「共同」か何かからでも流されたのか、ずっと数社の記事を見たところほぼ同一の内容なんですが、その中で青森県や県漁連も同調してほしいということを言っておられた。そうすると、もうすでにある程度の話し合いがむつ市との間ではついているのかなというような感じもするのでありますが、そこいら、いかがでしょうか。
  128. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 むつ市長の正式の申し入れも何もまだ現在ございません。ただ、市長さんが当選なさいましたごあいさつに地元の国会議員さん等々を御訪問なさったときに、非公式ではございますが、私もお目にかかったことはございます。そしていろいろ選挙のそうした苦労話も伺ったことがございます。しかし、この問題はやはり重要な問題であって市長だけで解決し得る問題ではありませんから、まあ政府としては母港という問題は、正式に表明してくださるところがあれば非常に結構な話でありますから、そういうふうな気持ちを申し上げたということであります。
  129. 日野市朗

    ○日野委員 事業団の方に伺いますが、事業団から出された資料によりますと「組織」というところに組織図が載っていて、そこにコメ印がついていて「佐世保市に連絡事務所を開設しております」こういうことが載っております。この佐世保の連絡事務所というのは、どの程度の規模で、どのような業務を担当しておられますか。
  130. 倉本昌昭

    倉本参考人 これは昨年二月に政府の方から佐世保港へ修理受け入れについての御要請がございましてから、佐世保、長崎地区におきまして「むつ修理につきましての安全性問題等についての御理解をいただくための説明会等を実施するということのために佐世保に、連絡事務所と申しまして、これは一応私どもの方から職員が現地に出張して活動をするための根拠地ということで、そういう場所を設けたわけでございます。これを拠点にいたしましてから説明会等を実施いたしてまいったわけでございます。  人数につきましては、説明会等の実施状況等に応じまして、人数を大ぜい派遣いたしましたり、これは非常に幅がございます。現在の時点におきましては、私どもの方から職員が少ないときで大体一ないし二名は常時出かけていっております。また、現地に女子の非常勤と申しますか、手伝っていただく方を二名ほど置いておりますので、そこの連絡事務所には現地における協力者等を入れまして大体四名ないし五名程度がおります。
  131. 日野市朗

    ○日野委員 どうもうわさで聞こえてくるところによりますと、事業団はもう佐世保の現地の業者と「むつ」の改修についてのいろいろな契約の前段交渉みたいなことをやっているというような話もちらほらと耳に入ってくるのですが、そのようなことは現在ございませんか。
  132. 倉本昌昭

    倉本参考人 佐世保港での修理政府からの要請以来、私どもといたしましては、もし佐世保の方で修理を引き受けていただけるということになりました場合には、佐世保重工で仕事をしていただくという期待を持っておりますし、また佐世保重工の方も、そういう事態に備えていろいろ勉強をしたいというお話もございまして、私どもの方から佐世保重工の方にいろいろ御説明に上がったり、また原子力関係の講演をしてほしいというようなことで御協力を申し上げております。また、この遮蔽改修等につきましては、現在その基本設計段階に入っておるわけでございますが、基本・設計になりますと、やはり実際に工事をしていただく方の工事計画についての御意見等も入れながら基本設計作業というものを進めてまいらなければならないというようなことで、その工事計画の作成の面で佐世保重工の方からもぜひ協力させてほしいというようなお話もございますので、協力員の形で現在私どもの方に五名程度の協力員を出していただくようなお話はいたしておりますが、これはいわゆる役務協力という形でございますので、協力員の方が私どもの方へ来ていただいて、それで実際の私どもの中の設計の作業に参画をしていただくという形をとっております。現在のところ、そういうことであります。
  133. 日野市朗

    ○日野委員 現在「むつ」か佐世保に行けるかどうかという問題については、まだペンディングな状態になっているわけですから、佐世保重工なんか余り期待感が大き過ぎたりなんかいたしますと、そこからもまた大きなけちがついてくるといいますか、そういう心配があるので伺うのですが、こういうペンディングな状態であるということを了解した上で佐世保重工はそのような協力体制なんかをとっているというふうに伺ってよろしいのでしょうか。
  134. 島居辰次郎

    島居参考人 私からお答えした方がいいかと思いますが、いわゆる契約とかその他のことは一切ございませんし、また先生のおっしゃるように、余りそういう期待感を持たしてもいけませんので、そういうことは全然ないというわけでございます。
  135. 山野正登

    山野政府委員 私どもも本件につきましては、常日ごろ事業団とよく連絡をしておるのでございますが、私どもといたしまては、契約を前提にしてこの種のことをするのは適当でないというふうに判断いたしておりまして、あくまでも修理に実績のある会社からいろいろ御協力をいただく、その御協力いただく相手の会社の中にこういったふうな会社もあるというふうに理解いたしておりますので、ぜひ先生もそういうふうに御理解いただきたいと思います。
  136. 日野市朗

    ○日野委員 最後に、これは非常に政策的な問題としてお伺いするわけですが、私は現在の世界の造船業界、海運業界、ここでの原子力船に対する需要というものは、この事業団法ができた当時から比べてかなり下回ってきていると思うのです。それにサバンナ号が商業実験航海をしたところがその運航費だけで七十一万五千ドルの赤字が出たというようなことも一応報告をされているわけで、運航費が余りに高くつき過ぎて原子力船というのは商業ベースには乗らぬ、採算を無視した軍艦とか潜水艦とかそういうものでなければ、もう原子力船というのは使い物にならないのではないかというようなことが一部報告されている事例なんかも見ているのですが、私は結論的に言えば、原子力船というのは現在の段階でそう急いで開発すべきものではなかろうというような考えを持っておるのですが、この点についての政府考え方といいますか、一九八〇年代は原子力船時代だというようなことが盛んに言われまして、それが全然変更されていないように私は見ているのですが、現在もう原子力船というのはほとんど動いていない。ソ連の原子力船なんかも、実は砕氷船とは言っているけれども、レーニン号なんかは実際は軍艦みたいなものでありますし、余り採算を考える必要なんかもない。こういう点から見て、原子力船開発を急ぐ必要性がもうなくなったのではないかというふうに私、考えるのですが、その点についてのお考えをただして、私の質問を終わりたいと思います。
  137. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 いろいろ日野委員も情報を得ておられるかもしれませんが、われわれといたしましては、やはり今日のエネルギー状態から考えまして、石油時代はいつまでも続かない、これはもうだれもが認めるところだろうと思います。したがいまして、特に一九八〇年代初頭においてすら、何か石油について世界がびっくりするようなことがあるかもしれぬぞというふうな不穏な情報すらあるわけでありまして、これも一笑に付すわけにはまいらないという状況でございます。そうしたことを考えますと、やはり将来に備えるということか大切でございまして、原子力船むつ」も、じゃ、きょうすべて修繕にかかったならばあしたからすぐ利用できるかと申しますと、そうではなくして、やはり修繕に三年もかかる、さらに出力テストあるいは実験航海等々、そうした場数を踏んで貴重な体験を得ていくということになりますと、やはり十年近い歳月というものを必要とするわけでございまして、急ぐなという御意味から申しますと、決してそれは急いでいる結果でもない、またゆっくりしておる結果でもない、やはりこれで順調に「むつ」の問題を、早いこと修繕をさしてそういうふうな体験を積ますということが将来に備うることではなかろうか、こういうふうに思いますので、きょうお願いいたしております法案は、決して急いでいるわけでもないが、しかしこのことは十二分にそれだけの手数を踏む、そのためにはきょうただいまから修繕に回したい、こういう気持ちでございますので、その辺をひとつ格段の御理解を賜りますようにお願いいたしたいと思います。
  138. 日野市朗

    ○日野委員 終わります。
  139. 岡本富夫

    岡本委員長 日野君の質疑は終わりました。  午後一時三十分から再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時十七分休憩      ————◇—————     午後一時三十九分開議
  140. 岡本富夫

    岡本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続けます。古寺宏君。
  141. 古寺宏

    古寺委員 長官にお尋ねいたしますが、まず最初に、事業団法の政正案がまだ未成立でございます。この事業団法の改正に対する政府考えとしては、十一年間延長するというような改正案になっているのでございますが、将来ともに、現在の事業団法で進めていくお考えなのかどうか、その点についてまず承りたいと思います。
  142. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 政府といたしましては、責任を持ってここに原案を提出いたしました以上、その線に沿って速やかに「むつ」の使命を果たさせたい、かように考えております。しかしながら、ことしの通常国会のときですか、それに対しましても野党の先生方からいろいろな御意見があったということは、私は与党の理事さんから聞いております。国会国会としての御判断もございましょうが、政府としての立場では、今日ただいまの原案で御了解を賜りたい、かように存じておる次第でございます。
  143. 古寺宏

    古寺委員 いま御答弁にもございましたが、期間を短縮するとかあるいは将来は原子力船の研究所を設置するとか、いろんな考え方があるようでございます。そういうような御意見に対しては長官はどういうふうに受けとめていらっしゃいますか。
  144. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 期限の点に関しましては、やはり私たちといたしましても、相当緻密な計画に基づきまして、修繕には三年かかる、出力テストには一年かかる、実験航海には前後二年に分けてまあ五年かかる、そういうふうなことで計算をいたしまして、そしてちょうど前法案としての使命を終えた日から勘定して十一年、こういうふうなことで出しておりますので、だからそうしたことを将来のために極力努力いたしまして短縮され、そしてそれで「むつ」が実験船としての使命を終えるならばこれにこしたことはない、かように考えておりますが、しかしやはり初歩の段階原子力船でございますから、当然安全に安全を重ねていくということも必要ではなかろうか。したがいまして、私はよく申し上げまするが、ただ期限を短縮したらすべての問題が解決するというものでもなかろう、こう考えておりますから、私の立場といたしましては、かねて法案提出に際しまして趣旨説明をいたしましたが、その中に書いてあるような姿で御了解を賜りたい、こう存ずる次第でございます。  また、事業団の内容等に関しましては、午前中にもそれに関するお話がございましたが、では、今日ただいまの姿で完璧なものであるのかどうかというふうなことに相なりますと、もちろんすべてがすべて私は完璧なものだとは、そういうふうなうぬぼれた御答弁を申し上げるものでもございません。しかしながら、やはり将来に向かって、わが海運国としてはどうしても原子力船時代を迎えなくちゃならぬ。そのためにはなお一層、こういうふうなよい方法がある、またこうすれば内容が充実する、技術が向上するというふうなこともやはり時代の進展とともにあるかもしれません。そうしたことに対しましては、われわれは謙虚に耳を傾けてりっぱなものに仕上げるというのが本来の姿でございますから、そうした意味合いにおきましては、事業団そのものの内容を整えるなり機構を整えるということも、決していまのままでいいんだというような横着なことは申し上げない、こういう考え方でございます。
  145. 古寺宏

    古寺委員 この事業団法の改正案が現在まだ通っていないわけでございますが、この改正案が通らないということで事業団としていろいろな支障があるんじゃないかと思うのですが、そういう点はいかがでございますか。
  146. 山野正登

    山野政府委員 事業団法の改正法案がまだ国会で御承認をいただいていない現状で一番困ります問題点と申しますのは、事業団が今後いつまで継続するか否かということが不明確でありますために、事業団士気が上がらないということでございまして、これが私どもとしましては最も大きな問題点だと考えております。やはり早く国会で御意思を決定していただいて、事業団の職員が安心して職務に専念できるようにしていただきたいというふうに考えております。  それからいま一つ国会におきまして今後長期に存続させるかどうかといったふうな御意思が決定されていないわけでもございますので、事業団としましては、技術能力を格段に高めるということで、技術関連部門の人員の増強をしたいと考えておりますが、これも団法が未成立の状態で安易に増強すべきでないという、私ども並びに事業団考えによって自粛いたしておりますが、こういったふうなことが事業団延長法案の未成立による私どもの問題点かと存じております。
  147. 古寺宏

    古寺委員 新しい事業はできるのでございますか。
  148. 山野正登

    山野政府委員 ただいま法的に事業団が存在しなくなったわけでは決してございませんけれども、やはり国会とされて今後の存続の御意思が決定されていない現段階におきましては、長期の存続を前提にしたような新しい開発業務、たとえば新しい舶用炉の研究でございますとかあるいは第二船の計画を進めるといったふうなことは当然できないというふうに考えております。
  149. 古寺宏

    古寺委員 そのほかに、この事業団法が改正になっていないために、いろいろ予算を削減されるとか十分に要求が通らないというようなことはございませんか。
  150. 山野正登

    山野政府委員 現在の状態におきましても、維持管理業務というものは当然に行っていく義務を事業団は負っているわけでございますので、特に財政当局がこの団法が現在のような状況にあるからというようなことを理由に予算をつけないといったふうなことはございませんけれども、先ほど申し上げましたような事情で、私どもが十分に予算の執行ができない、これはむしろ私どもが自粛をしていたさないという面もあるわけでございますけれども、そういった意味で、恐らく団法改正法案が通っておった場合に予想されるものと比べますれば、やはり予算の執行額は落ちざるを得ないというふうに考えております。
  151. 古寺宏

    古寺委員 そうしますと、現在の日本原子力船に対する行政というものは非常に後退している、停滞している、こういうふうに受け取ってよろしゅうございますか。
  152. 山野正登

    山野政府委員 私どもは、原子力船開発というものは一刻もゆるがせにすべきではないというふうに考えておりまして、団法がこういう状況であることを理由に、事業団が現在最も中心的な業務でございます遮蔽の改修の準備とかあるいは安全性の総点検といったふうな業務を怠ってよろしいというふうには決して思っていないわけでございまして、こういったものは鋭意進めさせておりますし、かつまた、原子力船の研究開発考えます場合に、ただ原子力船開発事業団のみではなくて、基礎的な研究をします原研でございますとかあるいは舶用炉の研究をいたしております運輸省の船舶技術研究所でございますとか、そういったふうな関係研究機関におきましても鋭意進められておるし、また科学技術庁原子力局といたしましても、原子力平和利用委託費によりまして舶用炉等の研究というものを産業界に委託しておるというような状況でございまして、鋭意この開発研究に努めておるという現状でございます。
  153. 古寺宏

    古寺委員 先ほど大臣は、十一年のスケジュールに基づいて今回改正を考えていらっしゃる、こういうお話があったのですが、いままでの御答弁にもありましたように、職員は非常に不安を感じておるし、すでにまたその十一年のスケジュールの中に食い込んでいるわけです。そういうような状態になっている責任はやはり政府であり、長官にあると思うのですが、なぜこの改正案が皆さんの賛成を得られないかというその理由と申しますか、どういうわけで賛成を得られないというふうにお考えでございますか。
  154. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 国会で御理解を示していただければ一番いいんでございましょうが、その点に関しましても、やはり国会先生方はいろんな住民の方々あるいは国民方々の声に耳を傾けておられますから、したがってそうした方々意見を申される。したがいまして、私からいたしますならば、ちょうど三年になりますか、そのときに政府の負うべき責めは幾つも私はあると思います。だから、そうしたことに対して謙虚に反省をしながら、それでまず住民の方々の御理解を賜りたい。さすれば国会先生方もその代弁者として御理解をしていただく面があるのではなかろうか。こうしたことで、現在は「むつ」そのものにつきましては安全、広く言えば原子力行政そのものにつきましても安全ということを第一義として、そして、言うならば安全のヘッドライトをつけて開発をしましょう、そうしたことで資源小国日本としての将来に備えたいということで努力をいたしております。でありますから、今日ただいま「むつ」がまだいまのような状態にあるということに関しましては、これはもちろん政府の責任でございまして、そのために、われわれもこの「むつ」問題が速やかに解決するようになお一層の努力をしなくちゃならぬ、こういうふうに心得ております。
  155. 古寺宏

    古寺委員 私は、「むつ」問題のたびに長官とここでこういうやりとりをしておるのでございますが、何と申しますか、私のような田舎者と違いまして、長官は御答弁が非常にりっぱでございますが、一向に進まぬと思うのですね。  そこで、具体的に申し上げますと、四者協定でございます。この四者協定につきましては、前の議事録もございますが、長官は四者協定を履行するために本当に積極的に努力をなさったというふうには私は受け取っていないわけでございます。  そこで、長官はこの四者協定というものが現在生きているというふうにお考えになっているのか。まずその点からお聞きしたいと思います。
  156. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 現在も生きております。
  157. 古寺宏

    古寺委員 それでは、四者協定に対して、現在どういうふうにこの協定を履行するようにしようとお考えでございますか。
  158. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 現在も私といたしましては四者協定を尊重いたしております。  御質問の意を体すならば、ただ一つ状況が変わったことがございます。それは言わずもがな、母港というものを一つの旗印にされて、そして選挙をやられました新しい市長さんが立たれたということが一つの新しい事実であろうと思います。これは住民がお選びになったわけでございますから、さような意味合いにおきまして政府といたしましても厳粛な事実として受けとめております。しかし、四者協定は、言わずもがな、青森側におきましては三者おられるわけでございまして、特に漁連の御意向もございましょうし、さらには知事があの当時最高の責任者として臨んでおられたという経緯もございます。したがいまして、その方々の御意見も伺わないことには、ただ選挙においてこうだったということだけで私が軽々に物事を申し上げてよいかどうか、こうしたこともございます。したがいまして、そうしたことは別の新しい現象だと、こういうふうに受けとめておりますが、四者協定そのものに対しましては、今日それは生きており、なおかつ政府はそれを尊重いたしておるという立場でございます。
  159. 古寺宏

    古寺委員 この前の委員会では、長官修理港として佐世保を候補に挙げられて、佐世保市あるいは長崎県の御意向、また安藤委員会の結論を待って積極的に修理港とし働きかけをするというお話があったのでございますが、現在、長崎の状況は、佐世保市、長崎県を含めましてどうなっているのでございますか。
  160. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 もう長崎県の結論、佐世保市の結論は御説明申し上げるまでもなく御承知のところと存じます。だから、それに沿いまして一日も早く修繕をしたいということでございますが、長崎県議会の方では核燃料体を抜いて持ってこいということでございます。そこで、どこで抜くか抜かぬかは別といたしまして、まず抜くこと自体に関しましても安全かどうかということが必要でございます。なぜかならば、その条件を出されました長崎議会も、知事の諮問機関があって、その諮問機関が鋭意努力された結果でありますから、私たちそういう事態を想定もいたしておらなかったものでございますので、では安藤委員会にそのこと自体をおかけしようということで、先国会におきまして御報告いたしましたとおり、安藤委員会にそのことをおかけいたしたわけでございます。安藤委員会といたしましては、核抜きをすること自体少しも心配は要りません、そういうふうな結論でございます。また、もともと言っておるが、抜かなくても大丈夫なんですよ、こういうふうな意見安藤委員会は言われたわけでございまして、現在、抜くか抜かないか、そのままかどうかということに関しましては、党の機関がございますから、その党の機関で十分に検討していただこう。そしてその場所がどこかということもまた大切なことでございましょう。安藤委員会の結論といたしまして、洋上では無理でしょうけれども他のところならいいじゃないか、こういうことですから、そういうところがあるかないか、これもやはり大切なことでございます。そうなりますと、いまは「むつ」が青森にいるから、じゃ青森でたとえばそういうふうな仕事をするのかという答えが返ってまいりますが、そういうことに関しましても、いま真剣に党の方か検討いたしておる最中でございまして、御承知のとおり、その中において市長選挙というものがあったわけでございますから、私は、この地方住民の意思決定の市長選挙に、たとえば抜くか抜かないかというふうな問題が飛び出すこと自体が、住民の方々にいろいろな判断をしていただく上でかえってよけいなものを持ち込んではいけない、だから、安藤委員会の答えがさようでありましても、やはり肝心かなめのむつ市で市長選挙がある間はしばらくそうした問題に関しましてもわれわれはむしろじっとしておるべきだ、そういう意味においても、科学技術庁といたしましては言うならばじっとしておったわけでございます。もちろん、選挙に対しましては中立であるというふうなことでございますから、そういうふうな姿で今日まで移ってまいりましたので、したがいまして、出口入り口の問題で出口の問題が、努力をしておりますが、残念ではございますがまだその解決なりあるいは回答なりあるいは四者間の合意なり何にもないわけで、私は、四月十四日に四者協定が残念ながら守れなかったという姿のままで今日まで来ておりますから、したがってそういう姿のままだということは長崎側にも御連絡いたしまして、長崎の方では早く持ってこいというお声もあるように私は承っておりますが、現在のところは、その点におきましては出口入り口の関係でしばらく模様をながめておった。また党の委員会におきましても、今度の市長選にあらかじめそういうふうな問題が予定されるといけませんので、これも余り政策の中に入らないように静かにしておったというふうにひとつ御理解賜りたい、こういうふうに思うのであります。
  161. 古寺宏

    古寺委員 ただいまの御答弁を承っておりますと、まず第一点としては、党内の委員会か何かで検討をしているということが一つ、もう一つは、選挙に対して影響があってはならないということが第二点、こういうことでこの四者協定を積極的に進めなかった あえて静観をしておった こういうふうに私、受け取ったのでございますが、そのように理解してよろしゅうございますか。
  162. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 四者協定を積極的に解決するべくしなかったのだ、こういうふうにおとりになりますると、いささか私たちも怠慢のようになりますが、これにはいろいろの政治問題も絡んでおりますし、したがいましてあくまでも私たちはこの四者協定を尊重していきたいという気持ちでございますが、そうした四者協定とはまた別に、今度の市長選においては、下北の繁栄のためにもやはり母港はもう一度われわれは考えなくてはいかぬというそうした候補者が当選をされ、またそれを支援される方々も多かったわけですから、さような意味において、私たちは何もこの四者協定の履行を漫然とほうっておいたというのじゃございません。やはり原子力行政というものは住民との間の信頼関係が大切でございますから、何かこの選挙という場を利用いたしましてわれわれがさあこれを言いなさい、あれを言いなさい、こういうものではなくして、むしろ地方住民の方々の中から盛り上がるそうしたものが、やはり一つの候補者そしてまた有権者という立場において本当に燃焼するのが一番いい姿でございますから、そこへ私たちがおせっかいのようなことを言っちゃいけないな、これが党にも相当あったわけでございますので、決してそれをもって四者協定の履行のためにわれわれがその義務を果たすことをしなかったとかそういうふうにおとりにならないでいただきたい、こういうふうに考えるのでございます。
  163. 古寺宏

    古寺委員 そうしますと、あなたはもちろん自民党に所属していらっしゃいますので、与党自足党の御意見というものは十分に尊重しなければからないと思いますが、そうしますというと、こういうような措置をおとりになったということは、自民党のいわゆる考え方を尊重してあなたがこういうふうに四者協定を静観するというか、あるいは長崎県の問題をそのままにしておくというか、そういうような措置をとった、こういうふうに理解してよろしいのですか。
  164. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 四者協定を静観するというのも言葉が果たして正しいか正しくないか、御承知のとおり、非常に大切な市長選挙が始まっているときに、じゃ出口の問題として私たちも極力一日も早く出ていきたいんだ、そして長崎で修理お願いした以上はそういう態勢にしたいんだ。ところが、長崎の方は核燃料体を抜いてこいとおっしゃるから、じゃ一体どこで抜くんだろうか、青森以外のところにかっこうなそういう場所があれば私は早速抜いて持っていったでございましょうが、青森も含めましてどこにもまだそういうかっこうの場所も見出せないし、もしそういうことをかりそめに、たとえば非常に大切な市長選挙の前に、じゃ私は青森で抜くことを決意しましたから青森知事さんよろしく頼みますと言うことが、あるいは長崎側からの要請によれば、それは四者協定を履行するため正しい行動であったかもしれませんが、しかしそのこと自体を言うことがやはりいろいろな意味合いにおきまして選挙に重大な影響を与え、かえって政府が恣意的な面で選挙をリードした、リードしなかったというふうなこともあってはいけない、こういうふうな考えも私たちは当然働いておりまするし、党はやはり地方選挙というのは純粋に、むしろ政党政派を超越したところで常に争われて、本当に地方住民の、それこそかまどに直結するところの先端の選挙でありますから、私はそういう意味で、やはり選挙がある間はもう少しくわれわれもこの問題を常に、サボっておるわけじゃない、一生懸命に検討したいけれども、もうちょっといろいろなデータを集めろ、こういうことでありますから、そういうふうにおとり賜りたいと思うのであります。だから、それを静観と決めつけられましても私もいかがかと思われますし、また静観じゃないということになれば不法介入と言われるおそれもございますし、出口入り口の問題で何も核をまだ抜くとも抜かないとも決定しておるわけではございません、党もそのこと自体をまだ決めておらぬ段階でございますから。しかしながら、四者協定が存在するんだから極力忠実にそのことを尊重して、やはりその趣旨に沿うようにしよう、これはお考え賜れば十分わかることであって、われわれ決して意地悪なことをした覚えもありませんし、また義務を怠ってサボタージュをしておったわけでもございません。やはり多分に純粋な科学問題から、この問題は国民政治的な判断も私はあろうと思われますから、さような意味合いにおきまして、今日まで四者協定がまだ履行する段階に来ておらないことに対しましては、私は政府としての責任を痛感いたしておる、こういうふうに申しておりますので、御了解賜りたいと思います。
  165. 古寺宏

    古寺委員 そうしますと、選挙がもしあれば、選挙のたびにこの四者協定というものはそのままにそっとしておくというお考えでございましょうか。
  166. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 決してさような意味ではございませんが、今度の四者協定は、その直接四者の中の一人の選挙であったんだということも、いろいろな意味合いにおきましてやはりわれわれとしては無視できないことであった、こうお考え賜ればよいのであって、じゃ衆議院選挙のときもほっておくのか、参議院のときもほっておくのか、こういうことになりますと、私は決してさようではない。われわれといたしましては、やはり政策は政策として高々と掲げて今後も前進いたしますが、しかし地元との話し合いということは、これはもうきちっとした協定があるわけですから、これを遵守すべく努力するのは当然のことでございます。しかし、今度の市長選挙においては新しい事態が出ておるということは私は厳粛に受けとめなくちゃならぬ、こういうふうに申しておるわけでございまして、その新しい事態が出るためにじゃだれがどういうふうな恣意的なことをしたか、そういうことはないわけで、これはそれぞれわれわれの同僚なりあるいは皆さん方の間におきましてそれぞれの主義主張によって戦われた市長選でございますから、政府がそれに介入した覚えもございませんから、そういうふうにひとつお考え取っていただきまして、私たちも四者協定は今日生きておるし尊重したい。しかしながら、四者協定以外の問題に関しまして新しい意思決定かなされたことも一つの厳粛なる事実として受けとめなければならぬ、こう申しておるので、そこら辺はひとつ古寺さんにもおわかり願えると思うのでございますが、そういうふうに考えております。
  167. 古寺宏

    古寺委員 どうも納得できないのですよ。もう一回お聞きしますけれども、なぜ四者協定を積極的に履行しようとすれば選挙に影響があるのか、どういう影響をお考えになっておられたのか、その点をひとつ教えてください。
  168. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 一番いいのは、そのまま出ていって長崎にそのまま入れる状態なら、四月十四日にもう「むつ」は動いております。しかしながら、修理港をお願いいたしておりまする佐世保はそのままでいいんだが、長崎県会といたしましては、いやしくも議会の意思によりまして燃料体を抜いてこい、こういうことでございます。燃料体がどこででも抜けるんだったら、いまごろもう四者協定は履行できております。しかしながら、燃料体をどこで抜いていいのかという問題に関しては、私たちはあらゆる調査をいたしております。決して手をこまねいておるわけじゃありません。もしそういうことを実現するとすれば——まだ決まっておりませんよ、しかしもしそういうふうに党が、抜く場所があったら抜けというふうなことになれば、そのためにはどういうところがそれに適当なんだろうかといろいろ検討いたしております。しかし、恐らく抜くということになれば、また同じような問題があちらにもこちらにも起こる、そういうこともやはり政治的には判断をいたしておかなくちゃなりません。しかしながら、抜いて初めて入り口においては、佐世保市は不満でございましょうが、長崎県は、そうか来たか、仕方がないな、こういうふうなことになろうということになりますと、私はやはり入り口の方の態度は別々であるけれども決まっておるが、ではその出口においてそれだけの仕事をしなくちゃならぬ。この仕事は、古寺さん、そう簡単にできないじゃございませんか。あなた方、抜くのは賛成だとおっしゃっていただければ、もういまごろ抜いて入っておるかもしれません。まだまだこれに対しては、それぞれここにも御議論があるように、それぞれ住民にも御異論がございますから、だから私たちはいろいろとあの手この手を考えておるような次第でございまして、決して腕をこまねいておるのではございません。  党の方もさような意味で、まず抜くことの安全性からやろう。非常に手間のかかる話で、私から言うならば、もうちょっと簡単な方法で党も決断下してくださいよとお願いをしたいところでありますが、党の方もやはり住民の意思あるいは国民の意思を十二分に尊重しなくちゃならぬというので、非常に一月、二月かかりましたが、安藤委員会にもお諮りになってその結論を得た。その結論はどこで抜いてもいいということでしょう。それを日本国中どこで抜いてもいいということを住民がお認めになるんだったら、もういまごろ四者協定は履行できておるでございましょうが、抜いちゃいかぬ、抜かせない、そういうふうな声もあり、そういうふうな勢力も現実にあるわけですから、その問題はやはりどうして解決していってできるだけコンセンサスを得るように努めるかが政治でございますので、決してわれわれは腕をこまねいておるわけでございませんので、宇野長官非常に怠慢だとおしかりの声は十分私は甘んじて全身に受けております。しかしながら、私は私なりに微力ではございますが努力いたしておりますので、その点も——もう長崎の方にも怒られておるんです。両方から怒られながら何かいい方法はないか、こう考えておるような次第でございますから、どうぞひとつ素直にそこら辺はおくみ取り賜りたい、こう思うのであります。  だから、決して四者協定を私は無視してほっとけ、そんなことはいたしておりません。これを極力——四者協定は出ていくことなんですから、そのことに関しての四者協定なんですから。出ていくためには、核を抜いてこなかったら入れないよというわけです。だから、私たちいまじっとしておるというのが現状でございますので、どういうふうにこれを解決するかということも、今後いろいろな方々の御意見を仰がないことには進まない、こういうふうに思っております。
  169. 古寺宏

    古寺委員 もう一回整理しますが、長官は、まず四者協定は尊重して、燃料については大湊港では抜かない、それから修理港については長崎県の方の問題でございますが、安藤委員会の結論を得た上で長崎県と折衝をいたします。こういうスケジュールだったのです。ところが、いまのお話を承っていますと、何か現在の「むつ」でもって燃料を抜く場合もあり得る、そういう感触の答弁に受け取れるのじゃないか、こう私は不思議に思っているのです。ですから、選挙むつ市で行われますよ、しかしこの四者協定を履行する立場からするならば、修理港に関してのいわゆる積極的な働きかけというものは幾らでもできるわけですよ。  安藤委員会の結論が出たのはいつでございますか。その後、長官は長崎県に対してどういう打診をしましたか、もう一回御答弁してください。
  170. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 長崎県に対しましては打診はいたしておりません。しかし、向こうにも科技庁の出張員がおりますから、そうしたものを通じまして、常に十二分に情勢は報告しておるつもりでございます。
  171. 古寺宏

    古寺委員 時間がなくなりますが、これは十月二十二日の新聞なんです。この新聞によりますと、宇野長官は四者協定を見直すというような感触と受け取れるような閣議後の記者会見の発言があった、こういうことが言われているのですが、長官としてどういうお考えでおっしゃっているのか、私、ちっとも意味がわからぬのですが、見直すというのは、一体どういうことでございましょうか。
  172. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 見直すという言葉は一切使っておらぬわけです。だから、それを書かれた記者の主観によりましてそういうふうにおとりになったかもしれません。見直すという言葉は私は一切使っておりません。公式の場におきまして、あの以前にも予算委員会がございまして、そこで石野委員から御質問がありましたから、四者協定に関しましては尊重いたします。こういうふうに言っておるわけです。このままの状態で来ております。四月十四日、残念ながら履行できない、そのままの姿でございます。しかしながら、むつ市長選において河野さんが勝たれたということは、何回も繰り返しますが、これは新しい一つの事実だろう。といって、河野さんだけの御意向で母港というものができるのかできないのか、これは非常にむずかしい問題で、やはり漁連の御意向、さらには一県の長である知事の御意向というものは非常に大きいのじゃなかろうか。しかしながら、河野さんが、そういう母港というものを旗印にして勝たれたということは新しい事態だということは、漁連さんも知事さんもともどもに御認識になっておるところだろう、こういうふうに私は申しておるわけでございます。したがいまして、まだ河野さんから正式に少しもそういう申し入れを受けておりませんし、また他の二者からも受けておりません。その段階でおこがましくも見直すというふうなことは言えないはずであります。言った覚えもございません。そういう言葉を使った覚えもありません。私は現状認識は、青森県においては河野さんが当選されたということは大きな一つの問題点として、それぞれ三者の間においては、そのこと自体は厳粛な事実として私と同様に受けとめられておるのじゃなかろうか。それが住民の意思だということも、やはり知事さんも受けとめていらっしゃるのではなかろうか。賛成、反対は別ですよ、受けとめていらっしゃるのではなかろうか、そういうふうに私は解釈する。  第二番目は、母港そのものにつきましては、いままでまだ母港はどことも私は折衝もいたしておりませんし、また正式に、うちは母港だと言われたところはどこもないわけですが、しかし長い原子力船の歴史から振り返ってみましたときに、母港ということを旗印にして、それに住民が共鳴をされたというのは、全くもって初めてのことでございますから、原子力船行政を推進する政府としては、このことはうれしいことだ、これは私は率直に申し上げておるということでございます。
  173. 古寺宏

    古寺委員 それでは記者会見でどういうことをお話しになられたのですか。同じ新聞にでっかく載っていますよ。
  174. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 大体うちのメモがありますが、「河野市長が上京すると言っているが、どう対応するか。」河野市長のスローガンを理解しているつもりだが、上京された際に市長から正式に聞いた上で、青森県、漁連とどういうふうに話をするか考えたい。政府としても四者協定に関しまして折衝を始めたいと考えている。地元代議士の御意見を聞くことも大切であると考えている。それで四者協定に対しましては、私はじんぜんとして黙って、青森だけで意見をまとめてきなさい、そういうものじゃありません。四者協定履行のためには非常に苦しんでおるのだ。私が積極的に知事さんなり市長さんなり、あるいは漁連方々にも出会って私みずからが折衝を始めなくちゃいけない、こういうふうな気持ちで、決して腕組みをしているのじゃございませんよ。特に地元代議士の意見を聞くことが大切であると考えておる。地元代議士との会合は開いてはいないけれども、院内で随時に出会ったり、あるいはまた政務次官がいろいろ耳にしたり、あるいはまた根本委員会では、根本委員長みずからが地元代議士さんの御意見も聞いておる。そういうことも私としては今後参考にしなくちゃいけない。その次は「今後の手順をどうするか」ということに関しましては、「むつ」に関しては、御承知のとおり私と官房長官運輸大臣閣僚会議がございますが、まだ関係閣僚会議を開くような段階じゃございません、そういうことが会見の趣旨であります。
  175. 古寺宏

    古寺委員 そうしますと、いまの御答弁を総合しますと、地元の代議士、国会議員の意向を十分に聞く、それからまた根本委員会意見も十分に聞く、そうして地元の県とかあるいは漁連に対して、あなたが四者協定に関する折衝を始めたい、こういう意思表明をなさったわけですが、その折衝というのは、どういう折衝をこれから始めるわけですか。四者協定を履行するという方向で折衝を開始するのですか、四者協定を破棄する方向でございますか、どちらですか。
  176. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 そういうふうに突っ込んでこられますと、突っ込むというよりも、二者択一、さあどちらかと言われますと、これは大変なことでありまして、決して私は四者協定を頭から破棄するのだ、そんなことは考えておりません。現在も尊重している。尊重するためには青森県の御協力を仰がなければならないことがあるかもしれないが、たとえばそういうことに対しましても、まだ一言も政府の案としていままで申し上げておらぬわけですよ。つまり、わが党の方も、こういうことで青森さんに頼むことがあったら頼め、もう頼まずにいいから、ほかにちゃんとあるから、青森に頼まなくたっていいよということが出るのか、まだ何もないわけです。したがいまして、私といたしましては、そういう意味においては現在も四者協定を尊重しています。こういうふうに申しておることは御承知だろうと思います。だから、破棄するために全部の方々と出会うのだとかそういうふうにはおとりにならないように、ひとつお願いをいたしたいと思います。  当然、この間の事情に関しましては、いま申し上げたとおり、地元代議士さんがどういうふうな御意見を持っていらっしゃるのか、あるいは根本委員会がそれをどういうふうに判断するのか、これは大切なことですから、そちらとも十分にお話し合いをしながら、私はそうした御意見を耳にしながら、それぞれ三者の方々には、あんたらが来るのを待っているよ、そんなことであってはいけないので、やはり四者協定履行のためには私の方から出かけますなり、あるいは私の方から会合を持ちたいがいかがでございましょう、こういうふうに言いますよということを、記者諸君に申しておるわけでございますね。  だから、そこは、破棄するのか、四者協定どうするのだ、四者協定守る、——仮想の問題ですが、先ほど私がこうしたこうしたこうしたことだと申しておりますとおりでございますから、まだそこまて——やはり会合には出会うなり結論を出して、さあこれしかないぞというのが会合なのか、あるいはお互いの立場を皆理解しながら話し合うのか、それぞれございますから、最初から、三者に出会うから、さああなたどっちにするんだ、こういうふうにおっしゃっていただいては、はなはだ私といたしましても困る次第でございます。私たちはいま現在四者協定は生きておる、そういう立場でそれぞれ青森方々の御意見も伺いたい、こういうふうに思っておるわけであります。
  177. 古寺宏

    古寺委員 地元意見を尊重されるということは大事なことでございます。しかしながら、一歩譲って、もうむつ選挙も終わりました。その後、それでは大臣地元の国会議員なりあるいは根本委員会に対していろいろ御相談なさったこともあるのじゃないかと思いますが、どういうふうなお話を受けているわけでございますか。
  178. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 具体的な話はまだ一切出ておりません。ただ、一つのムードと申しましょうか、そうしたことを話し合いに際しまして——確かにカーター大統領の原子力問題に関するああいう提案から日米交渉が行われて、これを通じて国民方々原子力に対する関心度というものが、よい意味においても悪い意味においても、非常に深まったのじゃないか。われわれからいたしますと、私たちの方針を理解してくださる方々もそれと同じようにふえておるのじゃなかろうか、こういうふうに私たち考えております。したがいまして、そうしたこともやはり今度のむつ市における市長選挙においては住民の方々の頭のどこかにも、日本がいまエネルギーについて大変な時代を迎えて、そうして政府がアメリカという大国を向こうに回して本当に悪戦苦闘しておる、そういう姿もじかに映っておるというふうなお話も承っております。そうしたことが言うならば今後の下北の産業的な基盤づくりとそして母港という問題に関して住民が深い理解を示されたのだ、こういうふうな御意見も私は承っております。現に下北におきましては御承知の、常に古寺委員も主張していただきましたあの大きな原子力発電所の問題もどんどんと進んでおるというふうな状態で、最終的にはわが国のエネルギーの大宗を賄ってくれるというふうな準備もなされておって、これに対しましても、やはり下北の方々も非常に理解を示されておるということも承っておる。そうしたことで、やはり「むつ」そのものに対してはまだまだ私は慎重を期しておりますが、しかし選挙の結果をながめた場合にはそういうふうなことが言えるのじゃなかろうか。こういうことはお互いに政治家である以上は非常に関心を持っておりますから、選挙は。そういう意味におきましては、そういうような会話が非常に頻繁に行われておるということだけは私は申し上げていいのじゃなかろうか、こう思うのでございます。東海におきましても幸いにもそれを主張される方が勝ったとか、人形峠におきましてもやはり推進派が勝ったとか、あるいは特別委員会におきまして、やはり国民の統合の一つの物差しでございますから、こういうことはむしろしてはいけないな、やはりそういう方向については努力すれば努力しただけのことはあるのだから、というふうなことがいろいろますます話し合われておるわけでございまして、では「むつ」をどうするか、青森をどうするかというところまではまだいっておらない。  それは、正式にむつの新市長さんの御意見も十分伺い、地元の国会議員さんの御意見も伺い、知事さん、漁連さんの御意見も伺いたい、こう申しておるわけで、私は少しも悪いことを言っておらない、こう思うのでございますけれども、その点もひとつ御了解賜りたいと思います。
  179. 古寺宏

    古寺委員 あなたが大臣に就任なさってからほぼ一年を経過しているわけでございますが、その中で一番大きな問題は、原子力船むつ」の問題ではなかったかと私は思うのです。こういう問題をあなたのような政治姿勢で、国民に納得のいかないような原子力行政というものを今後続けていくならば、日本原子力行政というものは後退していくばかりなんです。四者協定というものと市長選というものを絡めておっしゃいますけれども、四者協定というものは一つ協定ですからきちっと守らぬといかぬでしょう。これはもうことしの四月十四日が期限だった。事業団法もそのとおりでございましょう。これもいまだに改正できない。こういうことでエネルギー問題の解決ができるかということは非常に疑問ですよ。なぜあなたがもっと主体性を持って責任のある、誠意のある解決を図らなかったか、これは非常に残念なことだと私は思います。したがって、いま、この新聞の記事に関しても、あなたは四者協定を見直すなんということはおっしゃっていないという御答弁があったわけでございますけれども、現時点においては、もうすでに選挙が終わったのですから、この四者協定をまずきちっと実行してみせて、そして国民信頼を得るようなそういう原子力行政の進め方がまず一番大事な問題じゃないかと私は思うのです。事業団法の改正よりも以前に、いまこういう問題の解決をあなたが誠意を持って責任を果たしていく大事なときじゃないかと私は思うのです。内閣改造もあるそうですからどういうふうになるかわかりませんが、でき得るならば、大臣に御在任中にこの問題をきちんと整理をしてバトンタッチをしていただきたい、こう思うわけでございます。  それで、時間がないのでちょっと次に急ぎますが、最近、日本でカナダから原子炉を輸入したい、こういう動きがあるということを承っておりますが、これはどういうふうになっておりますか。
  180. 山野正登

    山野政府委員 先生指摘の、カナダから導入がうわさされておる原子炉というのはCANDU炉のことであろうと存じますけれども、これはカナダのみならずほかの数カ国におきましてもすでに実用化されて、建設、運転されておる原子炉でございます。  このCANDU炉にはCANDU炉なりのいろいろ特徴がある。つまりいいところもあるわけでございまして、わが国の国内におきましてもこれに興味を持っておる産業界の一員もあるわけでございますが、今後この導入問題が具体化しましたときには、政府としましても、この安全性とかあるいは安全審査に必要なデータがあるかどうか、そういったような諸般の面から検討していかなければならないというふうに考えております。
  181. 古寺宏

    古寺委員 安全性の問題は非常に大事なわけですが、いままでも原子力委員会の審査を通ったものでいろいろな事故が発生しているわけでございます。このCANDUに類似するような炉がわが国開発中であるならば、そういうものにもっと力を入れて開発を進めるということが望ましいのではないでしょうか。どうですか、長官
  182. 山野正登

    山野政府委員 CANDU炉に類似した型とおっしゃるのは、恐らくATRのことかと存じます。これは減速材に同じ重水を使っておるという意味で、類似しておるといったふうな表現もできようかと思いますが、私ども、このCANDU炉の導入が云々されておるということによってATR、新型転換炉の開発をスローダウンしたといったようなことは全然ございませんで、ATRの開発というのは現在も鋭意進めておるわけでございます。来年の春にはこの原型炉でございます「ふげん」が臨界に達しますし、この臨界に引き続きまして運転しまして、その実績によりまして、これに続く次の実証炉の概念設計等も続けてまいりたいというふうに考えておるわけでございまして、このCANDU炉と「ふげん」とを絡めて考えておるわけでは決してないわけでございます。
  183. 古寺宏

    古寺委員 時間がもう来ましたが、私、先日アメリカに参りまして、ワシントンで原子力関係の方といろいろ懇談したのでございますが、そのときに再処理の問題を申し上げました。     〔委員長退席、宮崎委員長代理着席〕 ところが、日本がエネルギーで困ることはない、中国から石油を買うなり幾らでも方法があるんじゃないか、そういう再処理なんか余り考えない方がいいんじゃないか、こういうお話もございました。後からお聞きしますと、現在わが国には約二百発の原爆をつくるだけのプルトニウムがある、こういうようなお話も聞いたのでございますが、そういう点について、長官はどうお考えですか。
  184. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 日本はつまりプルトニウム核燃料サイクルは不必要だと、アメリカのだれが言ったか知りませんが、私たちはそんなことは決して考えておりません。だからこの間原子力交渉をやったわけで、アメリカもわが国の立場を理解して、最終的には大統領がわかりましたということで、そして判断をして、お互いに合意に達したわけでございますから、その話は、いまさらわれわれの耳をかすべき話ではありません。中国の石油と申しましても、やはり石油も有限の物資でございまして、世界的には三十三年で終わりだ、こういうふうに言われておるわけでございますから、それを九九・七%輸入したままの姿で日本は今後いいかと言いますと、これは余りにも情けない姿で、首の根っこを外国に押さえられて、国民の諸君よ将来大丈夫だ、とだれが言い切れますか。だから、私たちは何としても自前のエネルギーをつくりたい、こういうことでアメリカと折衝いたしましたので、そこも御了解賜りたいと思います。  そうしたことで、プルトニウムは確かに試験用といたしまして、今日わが国も持っております。二百発と言いますと、これは大変な量で、決してそのような大きな量ではございません。大体、常識で言われますと、十キロあれば一発つくれるんだ、こんなことが簡単に言われます。したがいまして、十キロで何発だというふうな話でございましょうけれども、大体わが国は、これはもうかつて公表いたしておりますが、はっきり申し上げますと八百六十六キログラムございます。だから、二百発なんというようなことは、どこから勘定しましても、余りにも大さんな数字であります。この八百六十六キログラムは、現在もう三週間に一回IAEAの査察を受けて、一グラムたりといえどもおろそかにしないという出入り出納簿ができておるわけでございまして、これはアメリカの調査団も本当に感心して帰りました。だから、こうしたプルトニウムは御承知のとおりにもろ刃の剣であるということを、この八月十五日の終戦記念日に初めて私は原子力委員長として談話を発表しました。もろ刃の剣だ、そのことを十分理解してその平和利用を進めましょう、こういうふうに言っておりますので、たとえ八百六十六キロございましても、私たちはこれは軍事転用などをする国家ではございません。われわれは、これは平和利用一本で、しっかりと将来これが民族のエネルギーとして役立つということを願っておるわけでございます。
  185. 古寺宏

    古寺委員 私はむしろ逆に、核燃料サイクルのかなめをアメリカに押さえられている、こういうふうに感ずるわけです。  それで、先日ワシントンで国際核燃料サイクル評価会議ですかがございまして、おたくの方のお役所からも原子力委員の方も参加をしたようでございますが、その報告については、長官は承っておりますか。
  186. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 いわゆるINFCEでございますが、すべて聞いております。総理にも率直にきのう報告をいたしたのですが、わが国の主張が大きく取り入れられ、またわが国も今後この二年間のINFCEには責任を持たなくちゃなりませんよということを報告いたしておきました。
  187. 古寺宏

    古寺委員 先ほども申し上げましたように、わが国原子力行政というものは国際的にも国内的にも非常に多事多難であろうかと思います。そういうときに当たって、やはりその行政のかなめにある長官は、もっと国民から信頼を得られるような原子力行政というものを推し進めなければ、将来日本のエネルギー開発にとって大きな禍根を残すと言っても過言でないと私は思います。そういう考え方からいって、今後この四者協定の履行あるいは事業団法の改正、原子力船の問題、こういう問題については、任期中は——留任という声もございましたが、ひとつ任期中は全力投球で、もっとまじめに真剣に取り組んでいただきたい、こういうことを私は特に御要望申し上げまして、終わります。
  188. 宮崎茂一

    ○宮崎委員長代理 これにて古寺君の質疑は終わりました。  次に、小宮武喜君。
  189. 小宮武喜

    ○小宮委員 きょうは原子力の日ですが、この原子力の日にちなんで、これを記念するポスターがつくられております。このポスターを拝見しますと、ネオンの光を背景に若い男女が抱き合う図柄で、上の方に「無関心?無関係?」という文字が入っていますね。この若い男女の抱き合った図柄と「無関心?無関係?」とどう結びつくのか。これは一見して何をこれが意味しておるのか、何を訴えようとしておるのか、大衆にはよくわからないと思うのです。こういうクイズみたいなアイデアはどこから生まれたのか、またポスターのねらいがどこにあるのか、まずそれを説明願いたい。
  190. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 このポスターを採用いたしましたのは、最終的に私でございますから、いまの御質問に率直にお答えいたしたいと思います。  まず、現在、原子力に対して国民考え方はどうであろうかということを、われわれもやはり数字をもって知っておかなくちゃなりません。すでに御承知のとおり、昨年の十月でございますが、内閣が科学技術及び原子力に関する世論調査をいたしました。対象は全国二十歳以上の者五千人ということでございまして、もちろんこれは層化二段無作為抽出法というものでやっているわけでございます。有効回答が三千九百七十二名で回収率は七九・四%、私はこれは相当高いアンケートになったのではないだろうか、こういうふうに考えております。実施機関は、内閣総理大臣官房広報室でございます。その結果、原子力に関する関心というところでございますが、大いに関心ありというのが一八%、少しは関心があるというのが五〇%、関心がない、わからないというのが三二%ということでございました。ついででございますが、原子力の平和利用の推進に関するイエス、ノーの場合は、賛成七四%、反対八%、わからない一八%、こういうふうな数字に相なっております。ただ、具体的に原子力発電の開発の是非ということになりますと、もっと開発する方がよい五〇%、やめる方がよい一五%、わからない三五%、これが実は昨年の十月のことでございます。  ことしになりまして、私は先ほど古寺さんへの御答弁でも申し上げましたが、日米原子力交渉、苦しい交渉でしたが、半面におきましては国民に非常に原子力に対する、また大きくはエネルギーに対する関心を呼んだ、こういうことは言い得るのじゃないかと私も思います。私も決してサボっておらずに、全国遊説に回ったりやっております。そういう結果、去年のデータではあるが、やはりまだまだ原子力は関心度というものにおきましてももっと深めてほしい、こういうことで、河北秀也というポスターに関する若いアートディレクターがおられます。これは私の科学技術庁のお茶の間懇談会のメンバーでありまして、こういう優秀な人がおられる。この人は特に地下鉄のポスターなんかをおつくりになりまして、若者の間で非常に人気のあるポスター作家で、私も相当芸術を理解しているつもりですが、やはり大正の生まれだとちょっとその辺が死角でございまして、そんな人がいたのかということで、この人に三つばかり試作をこしらえてもらいました。そして まず私といたしましても、科技庁にも若い課長連中、若い職員がいますから、そういう人たちを対象に、この三つのうちから選んでごらんと言いましたところ、圧倒的にこの方がよろしい。つまり制作、文句からすべて河北君一任でありまして、これが一番いい、こういうふうなことで、私は大正だからいささか当初は辟易としていましたが、しかし若い人たちがここまでやろう、またわれわれもいつまでも大正の頭ではいかぬので、昭和の人たち時代ですから、やはり頭を切りかえて、行政の面でも古色蒼然たるところがあれば切り離したい、こういう気持ちでございましたから、私が最終的には責任を持ってこれを採用いたしました。  二万枚でございますから、そう大した量ではございませんが、はっきり申し上げれば、非常に人気を呼んでおるのではないだろうか。あちらからもこちらからも意外と人気を呼んでおる、私はそういうふうに解釈いたしております。経緯はそういうことでございます。
  191. 小宮武喜

    ○小宮委員 いま大臣はかなり自信を持って言っておりますけれども、逆に言えば、ぼくらの耳に入るところでは、これは何を意味しておるのかよくわからないという人の意見もかなり入ってくるのです。説明を聞くと、なるほどそうかという理解はできますけれども、ポスターというものは、そういう何かクイズみたいな、よくよく考えなければわからぬようなことでは、ポスターとしての意義が半減されるのではないかという気さえするのですよ。  いま大臣も言われましたけれども、総理府の世論調査に基づいても、平均年齢でいけば、いま言われておるように、原子力に対する関心の度合いからいきますと、やはり年齢の高い人、性別で言えば女性、これは関心がない方ですね。年齢の高い方が関心がないというのです。それからまた、学歴で言えば、低学歴の人たちがないというふうになっておるわけですね。逆に言えば、男性は関心があるということですね。それで若い人もまた関心があるということなんです。それから高学歴の人はまた関心があるということなんです。言いかえれば。だから、高校卒でも大体七三%ぐらいの関心があるということが出ておるわけですから、そういった意味では、無関心だとか無関係という、ああいうポスターよりは、せっかく原子力の日にちなんでああいうポスターをつくるならば、原子力、反原子力人たちもいっぱいおるわけですから、それからまた原子力に対する疑問を持った人もおるわけですから、むしろこういう人たちを対象にして原子力の必要性と安全性の問題について知らしめるということが必要ではないのかというように考えるのです。  だから、芸術的にどうだ、美術的にどうだということは、それは高度の人ならわかりますけれども、一般大衆が見てそれはこうだと言えるような、わかりやすいポスターでなければ——皆さん、選挙のときのポスターは変なポスターつくりますか。一番わかりやすいものでしょう。だから、ポスターというものは、そんなむずかしいものをつくってみたって、そういう人たちはぴんとこないのです。確かに、立ちどまってこれは何のポスターかなと見るようなことはあっても、それを一見してそのポスターが何を意味しておるのかということがわかるようなところに、私はポスターの意義があると思うのです。  まあ、ポスターの論争はしたくありませんが、そういった意味で、視点がちょっと違うのではないかとぼくは思うのです。原子力、反原子力人たちもおる、あるいは原子力に対して疑問を持っておる、そんな人たちを対象にポスターというものをつくって、もう少し理解を深めていくということを考えるべきだったのではないか。私の部屋にも、科学技術庁から持ってきておるものだから、一枚張っておるけれども、見た人がほとんど、これは何ですかということを言う。そういうことじゃ、せっかくポスターをつくっても余り効果がなかったんじゃないか、こういうように考えるのですが、どうですか。
  192. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 ここにも一つございますが、いまのようなことでPRが大切だ、常に原子力をもっとわかりやすくせよというので、これは私から見れば、まだちょっとごたごた書き過ぎだなと言っていますが、しかし常にわが庁におきましては頭を切りかえさしておるのです。頭を切りかえろということでやっております。だから、オーソドックスな面はオーソドックスでやっておりますが、私も実は小宮先生と同じ感情がございましたから、制作者に局長を通じてただしましたら、それがポスターなんだ、関心がある。なるほど、いままで原子力の日のポスターをずっと十四年やっていますが、こんな論争がやられたことはないですね。しかも新聞に取り上げていただいたことがない。今回は新聞が取り上げてくださいましたし、論説には出たし、コラムにも出ました、そしてきょうはまた社説に賛否両論が出ている、これがポスターだと思う、制作者はそう言いますからね。ああそうか、なるほどな。われわれもやはりそれはわからないけれども、中を見れば、エネルギーが不足していますよということぐらいは、見られた方はどっかに残って、意味は何だろうと思う。私は意味考えましたが、後ろにネオンがついておってどうなんだと言うと、あの二人は決して享楽ではないんだ。真剣なラブアフェアである、そしてブレスしているんだ。やがてあなたたちの将来、あなたたちのお子さんの時代に、もしも後ろのネオンが消えるような日本だったら大変だから、その意味も込めて、というふうに説明されますと、ああそうか……。説明を受けなければわからぬ面もありますよ。しかし「無関心?無関係?」と書いてあるから、何だろうと思う。そしてそこにエネルギーが足りませんと書いてありますから、そうしたことに関しましては、ある新聞は心憎いポスターだ、こういうふうに書いていますから、私も、ああ、それは心憎いな、こう思っておるのです。いろいろございます。先生のいまの御意見も私は決して無視できません。私の耳にも同じような意見も入っております。したがいまして、慎重に慎重を期して、決してふざけたポスターではない。一生懸命私らも考えて、そしてこの時代、この時点——やはり政治は同じステップを踏んでおったらちっとも進歩は見えませんから、思い切って、三段ぐらい跳べ。跳んで初めてその効果というものがよかったか悪かったか、悪い声が多かったら反省すればいいし、よかったらよかったでそれを進めよう。何もせぬとじっとしておるのがいけないので、飛び出していけということを常に私みずからが行政の面において申すものですから、若い人たちもそれに呼応してやってくれたと思いますので、私といたしましては、そういう気持ちで——もう先生のその御意見は十分拝聴いたしますが、今度はこれだけ新聞が取り上げてくれたということが、たった二万枚のポスターがもう何百万部になって皆さんの目に触れた、こういうふうにも感じております。そうしたことで、いろいろと、あの手この手で原子力に対します国民方々の御理解、御認識を深めたいと思っておりますので、その点は御了解を賜りたいと思います。
  193. 小宮武喜

    ○小宮委員 それは制作者は商売ですからね。それで大臣も自分で決めたことだから、やはり自己礼賛をやらなければいかぬだろう。しかしながら、原子力の日というのは、そういった意味でポスターか二万枚というのも——これはあるところに行ったら、ある省に行ったら、こんなものははずしてしまえと言われて全部はずしたところもある。そういうことで、せっかく大臣がこれがベターだと思って決めたポスターが、役所の中でもすかたんを食うようなことでは、やはりまず政府みずからがお役所の中をそれぐらいの気持ちになっていただかぬと、ましてやお役所ですかたん食らって、ある省でははずしてしまったというような、そういうことの中でいま言われておるようなことはどうも私は気になるのです。  原子力の日というのは、結局、二十一年前のわが国が国際原子力機関に加盟を決定した日でしょう、それにまたわが国が十四年前初めて原子力発電に成功した日でもあるわけですね。それを記念して十月二十六日を原子力の日と決めたわけですけれども、私は、いまの現状はどうか。当時は与野党満場一致で、原子力の平和利用をひとつやろうじゃないかということを決めた。そういう方針が決められたにもかかわらず、今日では原子力行政に対する不信感というものが非常に生まれてきている。しかも原子力発電所が遅々として進まぬ。それで、いま私たちのこの委員会にかかっておる原子力三法すらその成立が危ぶまれておるという状況の中で、政府がただこれを、それらの原因が無関心だとか無関係だという問題だけで解決できるものと私は考えません。だから、そういった意味でやはりもっともっと原子力の推進の具体的な対策を工夫すべきじゃないのか。だから、これも一つの方法として、考え方は違いますけれども大臣大臣で、あれで大分役立ったということで喜んでおりますけれども、またそういう場合には、ぼくはいつも言うのですが、たとえば長崎の佐世保とか長崎県に対していろいろな原子力の問題を説明する場合のああいったむずかしい言葉で書いたって——またこれはやさしく書けという方かむずかしいのです。しかしながら、漁業者の方々にああいうような専門語を使って、幾ら厚い本を何十冊やったって、それはなかなか理解しにくいのですよ。だから、そういった意味では、やはり大衆にわかる言葉で話しかけて、それで大衆との感覚のギャップを埋めるというような努力と工夫を今後一段と検討してもらいたいということで、私の意見を申し上げて、次は本題の「むつ」問題に移ります。  先ほどからも「むつ」問題について質問があっておるわけですが、大体原子力船の「むつ」はその後どうなっておるのですか、その後のことはどうですか。
  194. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 あそこにそのままじっとしておるわけでありまして、だから、入り口の方はもう態度を決めていただいたのですが、これが一本化しておればなにはなかったでございましょうが、佐世保の御決定どおりならいまごろ入っておるわけでありますけれども、長崎の方で条件がついて、その条件をどこで満たすかということが問題でございますね。だから、政府は早く離港せい離港せいと言われますが、離港せんがためには、その条件を満たさないことには、やはり佐世保にはなかなか入れない。あるいは党で検討していただきまして、たとえば抜く場所はここだからそこで抜けと党が言われるのか、もう抜く必要はない、安藤委員会は大丈夫だと言っておるから、もう一度長崎に頼んで、大丈夫だからもう一回そのまま入れてくださいと打診するのか、幾つかあるわけでございますが、先ほどから申し上げましたとおり、その間に肝心かなめのむつ市長選がありましたから、そういうときにああだこうだというような話が出まして、住民の方々の御判断をそれだけに向けて何かこれは恣意的だというようなことも、私も決してそういうことはよいとは考えませんから、じっとあそこにいるまま、そして四者協定も私は尊重しておるまま、そういう姿においてやはりむつ市長選を終わって、そして新しい市長さんがどういう御意向をお持ちか、またそれに対して知事あるいはまた漁連がどういう御意向をお持ちか、そうしたことを確かめながら早く出口の問題も考えていきたい、こう思っておる次第でございまして、はなはだ努力が足りないことは私もおわび申し上げますけれども、そういう現状であるとひとつお考え賜りたいと思います。
  195. 小宮武喜

    ○小宮委員 大臣は大分努力しておるということは認めますよ。しかしながら、どうもこの問題で私が腑に落ちぬことがある。というのは、まずこの問題は、この前も質問したわけですけれども、結局、長崎県側の燃料棒抜きの修理受け入れの回答を受けて、政府は燃料棒抜き修理安全性について安藤委員会に諮問をした。そこで安藤委員会からは重ねて安全であるという答申がなされましたね。これは何月何日だったですか。
  196. 山野正登

    山野政府委員 ことしの七月二十九日でございます。
  197. 小宮武喜

    ○小宮委員 そこで、私はこの委員会で何回も質問した。そのとき大臣が答弁をしたのは、安藤委員会の答申を受けて自民党内に設けられておる  「むつ」対策委員会すなわち根本委員会、この根本委員会で、燃料棒を抜くか抜かないかを含めて、一カ月間をめどに検討し結論を出したいということであったわけです。それは間違いないですね。一カ月間ですよ。これはめどですよ。しかし、二カ月間というのは一カ月間のめどの範疇に入らないですね。そうでしょう。あなたがこの前は、一カ月ちょっとたっておったら、いや私は一カ月でやるとは言っておりません、一カ月をめどということを言っておりますと言うから、それでは一応一カ月間のめどというのは何日までを一カ月間のめどにするのかというような気持ちで、この次はとっちめてやろうと思っておったわけですが、七月なら、もう何カ月たっていますかな。これは一カ月間をめどに検討し結論を出すということとはちょっと違いますね。根本委員会は私は怠慢のそしりを免れないと思う。この前、大臣が答弁したように、その検討期間は一カ月間をめどにするということと、もうすでに三カ月もたっておる、この問題をどういうふうに解釈したらいいのですか。三カ月かかってもまだ根本委員会は余り動いたという話も聞いておらぬ。その点、いかがですか。
  198. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 しょっちゅう根本委員長と私は連絡をとっておりまして、決して根本委員会がそういうふうな怠慢な姿であるというものではございません。しょっちゅう副委員長をお集めになってやっておられます。副委員長はここの佐々木さんも入っておる。そのほか足立さんを初め、かつての科学技術庁長官経験者が副委員長として入って一生懸命にいまやっておられるわけです。だから、肝心の入り口の、たとえば長崎の県会の御意向のままにそれを採用して動くとすれば、抜かなくてはなりません。では、どこで抜くか。安藤委員会は安全だと言っておるがどこで抜くのだという問題等々に関しましても、やはりそれがあるならば十分調べなくてはならぬということで、根本委員会はそうした会合の結果、調べたか、ここを調べろ、あそこを調べろというふうなことで、いろいろと手を尽くされておるわけでございまして、決して一つの答えを持ってその答えだけで動いておるというのではなくして、やはり佐世保のままなら何のことはないが、長崎県知事が言われた方法に従うとすればどうするのだ。これに対しましても、やはり相当な作業をそれ相応の機関に命じてやっていることは事実なんです。だから、それが一月で出る場合も、現在出なかった場合もあります。そうしたこともございましたので、その点もひとつ私からはっきり申し上げまして、事あるごとに根本委員長とは私は連絡して、そのことも委員長から直接承っております。また御指示のあったことに関しましても、全力を挙げましていろいろ調査もいたしておるということでございます。  いずれにいたしましても、全く青森関係のない場合もあろうし、時と場合によっては青森関係のある場合もあるというふうなことでございますから、その関係のある青森において市長選挙があったことも事実でございますので、そうした点におきまして何か新しい課題を市長さん方が抱えてもらわなくてはならぬ、それが確定したものならば結構なんですが、確定も何もしないこと、ただうわさだけであってはこれはいかぬから、しばらくの間はいろいろな意味合いにおいても調査を続けよということがあったことも、先ほど私、申し上げたとおりで、それを静観とおとりになるのか、あるいはそうじゃない、いま調査をしておる最中だとおとりになるのかは別といたしまして、そういうこともございました。しかし、もうすでに新しい市長もできたわけですから、われわれといたしましても、いつまでも拱手傍観いたしておりませんよ。またこの間の記者会見におきましても、青森でひとつ意見をまとめて、新しい時代だから新しい意見があるのかないのか、もとのままなのかまとめていらっしゃい、そんなことは私は言いませんよ、むしろ私が乗り出していって、それぞれの方々にいろいろなお話を承って、そしてお互いが最善の方策を見出そうではないか、こういうふうなことも先般も公にしたということでございますので、ひとつ決してわれわれも根本委員会も怠慢でないと御理解を賜りたいと存じます。
  199. 小宮武喜

    ○小宮委員 いまの話を聞いておりますと、根本委員会というのがいろいろやられておる内容については理解するとしても、大臣がここで答弁されたことと根本委員会がそういう動きをしておるということは、根本委員会というのは政府、まあ自民党内に設けられた特別委員会ですから、大臣といろいろしょっちゅう接触はしておるようですけれども、しかしながら現実にはすでに三カ月たってもまだ結論が出ていないという状況の中では、大臣は一カ月間をめどにと言って答弁しておったけれども、実際はその問題についてはすでにもう私も、大臣が大分努力しておるから、余り激しい言葉じゃ言いませんけれども大臣の答弁したことはやはりこれは誤りであった、こう指摘せざるを得ないのです。  それから、これもあのときぼくは質問したように、あなたたち青森県のむつ市長選挙の結果をながめておるんではないですかということをあのとき言ったのです。いまの話を聞いておると、根本委員会というのは、むつ市長選挙で河野市長が当選するかどうか、当選したならばというような期待を持って、その間の根本委員会の作業はすべて、まあ停止とまでは言わなくても、やはりその間眠っておったということを推察せざるを得ないんです。そういった意味で、河野市長の当選をどういうように評価しておりますか。
  200. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 私としては、選挙そのものには中立で臨みました。なぜかならば、河野さんは自民党の県連の推薦はもらっておられました。そして母港ということを明らかにして戦っておられました。言うならば、大きな政策の上からはわれわれのサイドにおられる方でございました。しかしながら、片一方の菊池さんも、原子力船に関しては全くわれわれと根本的に意見が違うかと申し上げますと、決してそうでもない点もあったような次第でありました。  そういうふうなことで、やはりすべては原子力に対して私は極力一人でも反対者がないようにしていくのが政府の立場でございますから、あえてお二人の方のどちらの方がいいというようなことは、申し上げること自体がやはり原子力行政に対しまして、私はあらざる敵をつくることも避けねばならぬ、こういうふうに思っておりますので、あくまでも中立でいたことは、もうこれはどこからながめていただいてもおわかり賜うところだろうと思います。特にわが方の事情を申し上げれば、やはり国会議員さんも、ではすべてがすべてどちらかの陣営に偏っておられたかと申し上げれば、そうでもない面もございます。  そうした点におきましても、やはりその選挙公約というものの重大性から考えるのならば、堂々と母港をもう一度持ちたいとおっしゃった河野さんがお勝ちになったということは、広い原子力の推進の上からおきましては、私は私自身としては喜んでおるんだ、こういうふうに申し上げておるということでございます。     〔宮崎委員長代理退席、委員長着席〕
  201. 小宮武喜

    ○小宮委員 これは非常に微妙な問題があるので、大臣もどうしても歯切れが悪くならざるを得ないと思うのですよ。しかしながら、この根本委員会の作業が進まなかったというのは、青森むつ市の市長選挙の結果をやはり待っていたというふうに私はいままでの答弁からも判断せざるを得ません。まあそれは私の推測です。  そうしますと、あの市長選挙が終わって、聞くところによりますと、去る十九日までは菊池市長が登庁しておったけれども、二十日からは新河野市長が登庁するようになるということを聞いておるわけですけれども、そうしました場合に、政府としては、そろそろ青森県側とそういう何らかのこの問題についての意向を打診しているんですか。
  202. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 打診をしたいと考えておる段階でございます。したがいまして、地元の国会議員もおられますから、その方々からも、そういうタイミングもございましょう、いろいろございますから、そうしたことも十分考えながら、私としては青森の方から話があるというのを待っているのじゃなくして、こちらからむしろ——四者協定も今日生きておるわけで、そうした問題も含めまして、私としては地元の御意向がどうなっておるかということに関しましても、これはこちらから進んでお話し合いをしたい、かように存じております。
  203. 小宮武喜

    ○小宮委員 いまの話の感触からいけば、いわゆる青森県側を打診して、それで青森県側の意向がどうであるかをやはり一応把握した上で、たとえば燃料棒をあそこで抜かしてくれるかどうかとか、あらゆる角度から打診をして、それでその方向が決まれば、またそういう結論を待ってもう一度根本委員会で検討して結論を出す。その上でさらに青森県側に再要請をする、正式に。これは政府としていま青森県側といろいろ、正式の話し合いでなくて、まず非公式な意向打診ということになるでしょうから、もう一度根本委員会が結論を出した上で、もう一回青森県側と正式に今度は話し合いをするという順序になりますか。
  204. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 いま具体的な問題を言われましたが、そういうことを、内容はともかくといたしまして、やはりそういうかっこうで打診した以上は党にもお諮りしなくちゃなりません。あるいは根本さんが私と並行して党の立場で話を聞かれるということもございましょう。いろいろなことを取りまぜながら、やはり党とは緊密な連絡をとり、なおかつ地元の御意向も十分に確かめながらやっていきたいと思っております。
  205. 小宮武喜

    ○小宮委員 この辺になると非常に微妙な問題ですから、どういう立場で、どういう考え方青森県側との意向打診を始めるのですか。たとえば母港の問題があるでしょう、あるいは燃料棒を抜かしてくれという問題もあるでしょう。意向打診するというのに、何も目的なしに意向打診をする必要はないわけですから、その辺いかがですか。そうしないと、これは受け入れの方にも非常に関係がありますから、なかなか言えないと思いますけれども考え方はどういう考え方で意向打診をやるのですか。
  206. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 いま大体小宮先生の言われたようなことが中心になろうと思いますですね。つまり、青森県とは限りませんが、青森県を含めまして、もしも燃料棒を抜いて来いという長崎県の御意向がいいんだ、こういうふうに党が判断すれば、青森県を含めてまたどこかかもわかりませんが、抜かしていただきますから、こういうふうに判断をしなくちゃならない場面もあろうかと思いますし、いや、もう抜かなくったっていいんだよ、長崎の方もよくわかったからということになれば、そういうようなこともございましょうし、いろいろな場面が想定されますので、たった一つや二つだけの答えでないと私は思いまして、本当に言うならば、あらゆる場面を想定して、本当に御迷惑を極力かけないように、つまり、いま青森も長崎もお困りになっておることは事実ですね、よろしいという方もおられるし、また非常に困ったことだ、厄介なもんだと言ってお困りになっておることも事実ですから、こうしたものを余り全国に拡散してしまわないようなことも私は考えていかなくちゃならぬと思っておりますので、どういう打診をするかと言っていただきますと、まだ青森方々の御意向も承っておらないときに、私がこういう場面もある、あういう場面もあると言うこと自体が、やはり政府としてもちょっとおこがましい態度だ、こう思いますので、もう謙虚に臨みたいと思っておりますので、御理解賜ります。
  207. 小宮武喜

    ○小宮委員 これは常に科学技術庁のお役人の方々は非常に心配しておる。しかし、やはり長官とか事に当たる人が政治家ですから、物事をよく政治的に判断してやるわけです。そうすると、先ほどから申し上げますように、むつ市長選挙を待っておった。幸い市長選挙は勝った。そうすると、先ほど言葉の中にも出ましたように、燃料棒をつけたままやろうとするならば、もう一度長崎県側には要請をしなければならぬ。長崎県知事は来年の二月末は選挙ですから、それまで要請したってとうていその話に応ずることはできませんよ。そうすると、私が言うように、また来年の三月、四月になりますよ。その結果を待ってやる。それからまたどうするか。そうしたら、それではやはり燃料棒を抜かなければいかぬというならば、佐世保にもう一度再要請をする。そんなことをしておったら、これは来年の後半に実現すればいい方で、そういうことになった場合に、——大臣が早々と長崎県側、佐世保に対しては受け入れてくださいと言って、もう一年も一年半前からそういうような結論を出させ、もう受け入れ先はちゃんと決まっておるわけだから、そういう点、まあのんびりとは言わぬけれども、何かもたもたしてそういうことになってまいりますと、もうすでに佐世保でも、これはわれわれが行っても、政府は何をやっているのかという声が誘致賛成派の中からも出ているのですよ。だから、皆さん方が一年半たった、二年たってでも、一応決定しておるから、まあこちらの方は少々時間がかかっても、その受け入れの方は決まっておるから安心だというふうなことで取り組んだら、とんでもないことになりますよ。  そこで、大体もう佐世保の方も、たとえば修理をやるいわゆる佐世保のSSK、佐世保重工の労働組合も、今度の去る二十五日の定期大会で、修理受け入れの方針を決定しましたよ。それが非常に長くなると、来年の後半か、来年の後半でもいい方で、来年の末になるか知らぬけれども、そうなったら、必ずしも皆さん方が期待するような方向に、やはり感情というものは動いていきませんから、そういう意味で、青森県側と意向打診をやるのに大体どれくらいかかりますか。はっきり言ってください。
  208. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 また余りはっきり言い過ぎて外れるとおしかりを受けなくちゃなりませんが、しかし、先ほどから私も責任を痛感して、青森には四者協定ありということを十分存じておるわけでありますから、したがいましてそれは生きておるわけでございます。そのもとにおいて私としてはやはり最善の努力をしなくてはいかぬ、こういうふうに申し上げておるわけでございますので、まず青森と早く私は話をつけたい、こう思っております。決して長崎を無視しておるわけではございません。また安心しておるわけではございません。せっかく賛成したのに政府は何をしておるのだという声があることも十分私も聞いております。もう本当にむずかしい問題でございます。したがいまして、青森におきましては四者協定という一つの具体的な話もございますので、極力早くそれが生きておるというもとにおける話をしたい、こういうふうに思います。
  209. 小宮武喜

    ○小宮委員 でき得れば、ただ行き当たりばったりでなくて、意向打診をやった、交渉をやった、それが何カ月続くか知らぬけれども、それがようやくまとまった、また根本委員会で検討した、またもう一遍青森県側に要請をする、そこで決まった、また佐世保とかあるいは長崎県側に要請する。そういうふうなことをやれば、ただ行き当たりばったりいかぬので、やはり一応今後の日程というかプロセスというものをはっきりしてやらぬと、それは当たるか当たらないかは別として、やはり目標をもってやらぬと、いまの政府のやり方を見ておると、とにかく行き当たりばったりでその日暮らしで、いつ答えが出ようか、いつ出ても仕方かないなというような——なるほど、この問題はなかなか性急にはいきませんね。慎重にやらなければいきませんけれども、片一方、待たされておる方は大変ですからね、いつ恋人が来るのかということで。だから、そういうふうになるといろいろ問題が起きてきますので、大体、大臣の胸中もわかっておるし、大臣の苦衷がよくわかっておりますから、ここでぼくがはっきり言えと言ってもなかなか言えないこともありましょうし、その点はわかりますけれども、とにかく誠意をもってひとつ取り組んでいただかぬと、もういつまでも——恋人でもいつまでも待たされると結婚が破談になる場合もあるし、そういう問題にもなりかねないので、大臣はひとつその点をよく考えてこの問題と取り組んでもらいたいということを希望して、質問を終わります。
  210. 岡本富夫

    岡本委員長 小宮君の質疑は終わりました。  次に、津川武一君。
  211. 津川武一

    津川委員 原子力船母港むつに設置するとき、いろいろな放射能が漏れる、放射線が漏れる、危険が完全に解消されていないなどということを県民が心配したら、時の政府は、あなたじゃないのだけれども原子力を恐れるのは火を見ておののくけだもののようなものだというふうにして、非常に国民を罵倒し無知扱いにして、原子力船むつに置こうと決めた。そうしたら、果たせるかな、三年前の九月一日に放射線が漏れた。そして三年前の十月に母港を撤去するという四者協定を結んだ。ところが、それから三年たっていまだに問題はちっとも解決されていない。国民、県民の中には、政府は本当に真剣なのだろうか、こういう疑念がかなり出ております。そのとき、この間のむつ市長選挙菊池さんが負けて河野さんが当選した。いまの長官のあいさつにあったように、県側を打診する。また漁民や県民、国民の中には、それをいいことにかこつけて母港に、むつに居座るのではないか、四者協定を破るのではないか、こんな心配もささやかれて、だんだんその心配が大きくなっています。  そこで、第一にお伺いしたいのは、放射線が漏れたことと協定を守れなかったこと、これは非常に大事なことでありまして、これをどう反省している、ここからどんな教訓を引き出している、そこのところを厳粛に考えないことには、これから何をやっても大変なので、ここのところをまず第一に伺わしていただきます。
  212. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 三年前の放射線漏れ事故に関しましては、政府といたしましても大変な責任を痛感いたしておるわけでございまして、これはその後そうした後を継いでまいりました私といたしましても、当然その責任を痛感いたしておる立場でございます。したがいまして、ああしたことを契機といたしまして御承知のいろいろな委員会がつくられました。原子力委員会あるいは内閣でもつくられました。そうしたところから、さらに政府原子力という将来の貴重なエネルギーについてなお一層国民方々の御安心を願うために、その信頼を言うならば確立するためにも、相当安全行政に関しては力を入れなくちゃならぬ、こういうふうな貴重なアドバイスもちょうだいいたしましたので、御承知のとおり、われわれといたしましては、謙虚に、本当に謙虚に、そうしたことに対しましては一つ一つ積み重ねたいというふうなことで、御承知安全委員会の新設ということも、すでに国会にお諮りを申し上げまして御判断を仰いでおる最中でございます。     〔委員長退席、宮崎委員長代理着席〕 その後も私は安全は第一である、安全というヘッドライトをつけない限りは開発をすべからず、安全というヘッドライトのもとで開発を進めていこうではないか。これを私の今日の原子力行政の中心課題といたしております。したがいまして、「むつ」に関しましても同様なことでございますから、私はそういうふうな気持ちで今日ただいまも臨んでおるわけでございます。  四月十四日の四者協定の期限を守り得なかった、現在もまだ守っておらないということに関しましては、各党の代表の先生方に私みずからおわびを申しておりまして、はなはだ微力で申しわけない次第であるということを申し上げておるわけでございますが、御承知のとおり、出口入り口の問題でございますので、そうした問題を十二分に検討し、なおかつ、これ以上いろいろなところに御迷惑をおかけしちゃいけない、むしろもっと御理解を深めるような努力もしなくちゃいかぬ、こういうことで、いろいろと長崎からつけられました注文に関しましても努力をしておるということは御承知賜っておるところだろうと思います。  したがいまして、そういう気持ちでわれわれはあくまでも、初歩でございますから、原子力行政もすでにもう二十年もたち、あるいは発電所は十三年たっておりますが、しかしまだまだ、私はこれで完成された技術だとは考えておりません。もっともっと安全なる方途を見出すべきである。幸い今日まで事故が起こっておらぬということが、非常にわれわれにとりましてはうれしいことなんでございますが、しかしその意味でも、この行政は謙虚に臨まなくちゃならぬ。行政はすべて謙虚でなくちゃならぬが、なお一層われわれといたしましてはそういう気持ちで臨みたい、こうしたことで臨んでおりますので、御理解を賜りたいと存じます。
  213. 津川武一

    津川委員 長官の言葉にもかかわらず、六カ月でやって二年半後には撤去する、これはその場の苦しさを何とか逃れるための方便であったんじゃないのか、でたらめだったんじゃないのか、時間かせぎの、国民だましのあれでなかったのか、その後の政府の処置を見ていると、こういう疑念がかなり出てきているのです。本当に原子力の安全というものを、その設計段階において、実施の段階において、民主的に、学問的にやったんだろうか、また撤去のことについても、本当に国民の意思というものを民主的に尊重してやっているんだろうか、そういう疑念、不安が国民の中にあるわけであります。この点で何か言うことがありますか。
  214. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 国民方々の御意見を尊重し、なおかつ、これ以上原子力行政についてあらざるトラブルを招かないがために慎重になっているということはお認め願いたい、かように存ずる次第でございます。  たとえば、長崎がどういう態度であろうが、長崎の漁連がどういう態度であろうが、そんなものは強引に割り込んでいけばいいんだ、佐世保はオーケーじゃないか。果たしてそんなことが今日の時代に許されようか。そういうこともわれわれは十二分に考えて、だから長崎自体も十分にお考えください、佐世保はそのままでいらっしゃい、こういうふうに言っていただくが、もちろん佐世保自体の問題であろうけれども、県も深い関心があるから県の態度も決定したい、こうおっしゃいますから、その間も私たちは待っておったような次第でございますので、さような意味におきましては、決してわれわれ政府は、国民の意思なり、たとえそれが一部の方であろうとも、その方々の意思をじゅうりんして今日まで事を強引に進めたということはないということも、ひとつ御理解賜りたいと思います。  だから、極力私は、なお一層御理解を深めたい、こういうふうに思いながら、反面におきましては、謙虚に反省をしながら、また片一方におきましては、現在「むつ」の燃料体そのものはもうすでに冷え切った状態にあるから安全なんです。だからさような意味において、そのまま行きましても安全なんですということを、私はやはり多くの国民方々にも御理解賜らなくちゃならないと思います。しかし、佐世保の方はそれを了解しましたが、長崎が、いや、そう言われても、やはり抜いて来た方が大丈夫だよ、こう言われますから、実はそれを専門家に検討してもらったが、抜いても大丈夫だろうけれども抜かなくても大丈夫だという答えが返ってまいりましたがいかが計らいましょうか、こうしたこと等々を積み重ねておる次第でございまして、私は本当にこの行政は謙虚にやりたい、こう思っておりますので、ついぞそういうことが、あるいはこう見ていただきますと、何もしておらぬじゃないかというふうに映るかもしれませんが、われわれといたしましては最大の努力を常に傾注いたしておるということだけは御理解賜りたいと存じます。
  215. 津川武一

    津川委員 そこで、原子力船むつ」をむつ市から撤去する四者協定についてでありますが、市長選挙がありましても、知事はやっぱり四者協定は守らなければならぬ。むつの市民団体は依然としてその四者協定を守ることこそが国政のかなめだと言っているし、漁民は、あそこに居座るのは真っ平御免だ、こういう強い意思がだんだん表明されてきております。  そこで、四者協定は間違いなくやり抜くのでしょうね。むつに居座ることはないでございましょうね。三月五日の予算委員会で、この二点に対して長官がきわめてはっきりと申しておりますが、それには変更がありませんでございましょうか。
  216. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 きのうもきょうも同様の質問がございますが、四者協定は現在生きておりまするし、私も現在それを尊重いたしておるということで御了解賜りたいと存じます。
  217. 津川武一

    津川委員 それならば、いままでのことを厳正に自己批判し考えた上でこれから撤去に向かってどうするのか、そこいらあたりの日程だとか計画などを明らかにしないと、これまでだまされ続けてきた県民もちょっと不安になってくるのです。これからのプログラムというものをお聞かせ願えればと思います。
  218. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 やはりそうしたプログラムというものは極力公にいたしまして、関係地域の方々には御理解を深めることが必要だ、私はこういうふうに思っております。そうしたプログラムをつくる上につきましては、政府だけでこれはとうていできる問題ではございませんから、したがいまして、出口入り口と常に私は申しますが、決して逃げておるわけではなくて、出口入り口の問題でございますから、それぞれの御意向も確かめながら、そうしたことをいずれ明らかにしなければならない。まあしかし、それは極力早く私もやりたいものである、こういうふうに思っておるわけでございます。
  219. 津川武一

    津川委員 そこいらがやっぱり、皆さんが承知しない。つまり、いまの話を聞いても、具体的に何も進まない話だ。そして県側の意向を打診する、こういうことになるわけです。そこで、県側の意向を打診する前に、皆さんがちゃんとここで契約した四者協定の履行のために何らか手をお打ちにならなければ、行動を起こさなければ不安になるわけです。県側の意向を打診する前に何らか手を打たなければならぬと思いますが、いかがでございます。
  220. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 これは私自身にもいろいろそうした思いはございますが、同時に党にも専門の特別委員会が設けられまして、根本先生という大物がわざわざその委員長になっていただいて、あらゆる面の理解を深めようと努力をしていらっしゃるわけでございますから、したがいまして今後は十二分に党とも相談をいたさなくちゃなりません。だから、いつ幾日にだれそれさんと出会ってしゃべるのだということが解決になることもあるし、そうではなくして、いろいろと静かに打診をしながらしていくことも話し合いを円満に解決することにもなろう、そういうふうに思います。いずれにいたしましても、入り口の長崎で佐世保と同じような御意見県会も出していただいたのならば、先生、いまごろとうの昔に入っておりますよ。ただ、私たちの思いがけない、抜いた方が安全だという諮問委員会の答えによって県会もそれを決議されたわけですから、これは重大なことでございますので、その一県の決議を私たちが無視して行動を起こすわけにもまいりませんので、さようなことで、いろいろと煩悶し苦しみながらも速やかにこの問題を解決したい、こう思っております。だから、そうした意味合いにおいて努力をいたしておりますので、御理解を賜りたいと思います。
  221. 津川武一

    津川委員 つまり、この質疑の中で得られたのは、長官むつ選挙が終わった後、県側の意向を打診するということ、これが具体的に出たわけです。そのほかに具体的なものは一つも出ていない。これは国が何らかの具体的な行動を起こして誠意を示さなければ、私は反省にならないと思うのです。  実はこの間の三月の質問のときに、運輸大臣原子力船の船籍港をむつから抜かないか、そうしたら東京都と相談してみよう、そして地元は、何か国がやるんだなあという、そういう態度に出たわけです。ところが、今度は運輸大臣からそれはできないと言ってきて、またペテンにかかったという。私が質問してやったものだから、おまえまで政府にだまされた、こんな話なんです。やっぱり絶えず具体的な何かを起こしていなければならないわけですが、その点で四者合意協定文の中における「使用済燃料貯蔵池の埋立作業を昭和四十九年十一月から開始する、」これは開始しております。どのくらい終わっておりますか。
  222. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 使用済み燃料プールの埋め立てにつきましては、これは容量にしまして二百三十立米あるわけでございまして、深さにしまして七・三メーターあるわけでございますが、土のうで埋めまして、底から三メーターのところまで埋めております。この埋め立ては五十年の一月二十九日に完了いたしております。     〔宮崎委員長代理退席、委員長着席〕
  223. 津川武一

    津川委員 そこで、だまされ続けたむつの市民は、やっぱり猜疑的になる、疑い深くなる。これは無理もない。土のうで埋めても、それを除けばまた同じじゃないか、こういうことなんです。したがって、これはいつでももとのように復帰できる。協定に従っておる埋め立て作業というのは、こんなものじゃないはずだ。もう一度偽るときのためにこんなことをしているのではないかという、疑えば疑える節もあるのです。そこまでむつの人を疑わせたくないんだけれども、進行している現実がそうなんです。  そこで、これはやっぱり誠意を示す意味においても、定係港の付属施設としてあるものを、法に従って付属施設を除去したという手続をとらなければならないと思うのですが、この法的な手続はどうなっていますか。
  224. 牧村信之

    ○牧村政府委員 現在「むつ」の定係港にございます使用済み燃料の貯蔵プールにつきましては、先ほど原子力局長がお答え申し上げましたような措置をとりましたので、定係港の施設の中にはそれは含まれていないという形で法的な手続をとっております。これは御存じのように、原子力船が現在建設中の状態にあるのでございます。したがいまして、冷態状態であるということで、定係港の陸上付帯施設の一部の施設がなくても十分安全が保たれるということの判断のもとに、こういう措置をとったものでございます。
  225. 津川武一

    津川委員 これは原子炉等規制法の第二十六条に従って手続をとっておりますか。
  226. 牧村信之

    ○牧村政府委員 御指摘のとおりでございます。
  227. 津川武一

    津川委員 その次に、いずれ修理のときは定係港から出ていって、定係港でなくなる。したがって、陸上の付属施設はどこにもなくなって、むつは単なる港となると思います。現在そういう点で、修理に出かけていく、出かけていったときは定係港は撤去された、こういうふうな状態になる、このような状態とみなしていいのか。修理に出かけていったとき、長崎へ行くかどこへ行くかわかりませんけれども定係港は撤去された、こういうふうにみなすことができますか。
  228. 牧村信之

    ○牧村政府委員 現在、定係港を出まして、たとえば佐世保に行って修理をするということ等を考えましても、原子力船むつ」には設置の許可の上で陸上付帯施設が必要でございます。したがいまして、よそへ出かけていったらば陸上付帯施設はもう要らないかという御指摘かとも思いますけれども、私どもはそうは考えておりません。必要であると考えております。
  229. 津川武一

    津川委員 そうすると、修理のためにむつを出ていく……何のために出ていくのですか。
  230. 牧村信之

    ○牧村政府委員 修理しておる期間は、もちろん定係港の機能は必要といたしません。
  231. 津川武一

    津川委員 修理している間は定係港の機能はしない、したがって要らない。帰ってこないのでしょう、定係港でなくなるから。いかがでございます。
  232. 牧村信之

    ○牧村政府委員 原子力船修理されまして、原子力船として運航する際には、現在の状態におきましては、定係港の陸上の付帯施設は必要でございます。
  233. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 ちょっとぼくから言いましょう。  たとえば修理のために出ていった、定係港はどうなるんだ。定係港を廃止したら、そこへ戻ってくるわけにいきません。だから、母港は修繕中にどこかに見出さなくちゃならぬということを私は申し上げておるわけでありまして、ちょっと局長の方、混乱していましたから。
  234. 津川武一

    津川委員 大臣の言うとおりならば、陸上施設は要らない。したがって、修理のために定係港を出ていくときには、規制法二十六条に従ってやはり陸上施設撤去の手続をとるべきじゃありませんか。これからの見通しなんです。
  235. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 当然「むつ」が、修繕港にきちっと佐世保が喜んでしましょうというふうに、たとえば長崎県でそういうふうなことがオーケーになったとか、あるいはまたどこかにおいて、いや、やはり長崎県会意見を尊重すべきだ、したがってどこかが、政府が困っていらっしゃるからひとつうちでめんどうを見ます。構いませんよとおっしゃっていただいたというふうな場合、そうした場合には、長らくお世話になりましたと言って出ていくわけでございますから、そうしたときには定係港というものは四者協定どおり撤去しなくちゃなりません。政府といたしましては、その間に別の母港を設ける、見つけなくちゃならぬ、こういうふうになるわけであります。しかし、それはまだ決まったわけでもなければ何でもございません。私はまだ抜くとも抜かないともこれは判断もついておりませんし、その場合はどこだとか、まだ白紙でございますので、その点はおしかりをこうむるかもしれませんが、いまたとえばのお話をしただけであって、決してそのとおり進むものでもあるかないか、私は現在具体的な問題じゃなくして、先生が仮にという話ですから、仮にの場合をお答えした、こういうふうなときにはそういうことになる、こういうふうにお答えをしているわけであります。
  236. 津川武一

    津川委員 仮のお話になりましたので、もう一つ仮のお話をします。  むつ市を四者協定定係港でなくすると決めて、そうしてどこかで修理する、港の間をどこかさすらっている、動いている。そのときに定係港でなくなる。同じように、いま「むつ」を原子力船、そういうことで「むつ」の定係港をとってしまって、どこかに定係港を求めてさすらっている、その間にむつに仮に停泊している、こういう考え方で、いますぐ「むつ」の定係港を抜かれませんか。そうすると、皆さんが政府の誠意を……。私の言うこと、わかってくれましたか。
  237. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 わからぬことでもございませんが、そうしたことのないように私たち考えたいと思いまして、できるだけ——あれたけのりっぱな船でございますから、修繕をすれば私たちの将来のために役立つ船であるということを考えますと、やはり極力四者協定は尊重いたしたいと思います。また長崎の御希望にも沿いたいと思います。佐世保の御希望にも沿いたいと思います。そうしたことで、できるだけその間においてはリスキーなことは避けたい。リスキーというのは、「むつ」を宙に浮かしてしまうというふうなことは避けたいと思いますから、やはりどこかにおいてきちっとはっきり母港も見つかったということを三年間にもやりたい、こう思っております。幸いにもむつ市長さんも母港賛成だ、こうおっしゃつていただいておりますが、これはまだ私は市長さんのお考えを正式に承ったわけではございませんが、そのほかにも、まだ正式ではございませんけれども、やはり将来の原子力船時代に備えて、おれのところを母港にせよと言っておられるところも風の便りで聞いたりはいたしております。だから、そうした意味合いも含めまして母港は複数だと私は申し上げておるわけでございますので、そのためには「むつ」が再び海洋にさまよう船でないように、われわれといたしましても、国民の貴重な税金をお使いしてつくった船でございます。決して無意味な金の使い方をしなかった、ただその安全に関してはいろいろ御議論をまいたことは政府としても責任重し、こう思っておりますので、その点はひとつ御了解賜りたいと存じますから、いま先生がおっしゃったようなことに、ちょっと私、この場でとっさにそうだ、イエス、ノーと言うことはどうかと考えますから、御了解いただきたいと思います。
  238. 津川武一

    津川委員 これで、四者協定を誠実に間違いなく実施することを求めて、私の質問を終わらせていただきます。
  239. 岡本富夫

    岡本委員長 津川君の質疑は終わりました。  この際、暫時休憩いたします。     午後三時四十三分休憩      ————◇—————     午後三時四十七分開議
  240. 岡本富夫

    岡本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続けます。瀬崎博義君。
  241. 瀬崎博義

    瀬崎委員 原子力船事業団法延長問題が国会にかけられて、これが非常に難航をしているわけでありますが、その原因として、国会における法案の取り扱いといいますか、技術的な法案の取り扱いに起因をしているとお考えなのか、それとも、「むつ」の放射線漏れ事故が決定的に明らかにしたこととして、安全を無視した開発体制であるとか、あるいは安全審査体制などの原子力行政国民信頼を失っている、非常に間違ったものである、こういうふうなことが原因になって国民的な合意がなかなか得られない、こういうところが反映して、法案審議が非常に難航するというふうにお考えなのか、どちらですか。
  242. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 国会のことは別といたしまして、こうやりて熱心に御審議を賜っているわけでございますから、そうしたことよりも、さらに政府原子力の安全について責任を持ち、なおかつそのことを国民に御理解賜るという努力がさらに必要だということについて、現在いろいろと国会審議もそうした意味でおくれがちであったと私は率直に受けとめて、なお一層原子力行政に関しましては安全を確立いたして、これは口の酸っぱくなるほど申しているわけでございますが、そうした意味で「むつ」の現象を私は謙虚に受けとめております。
  243. 瀬崎博義

    瀬崎委員 そういう謙虚さがあるとすればなんですが、具体的な問題としては、たとえば「むつ」が放射線漏れ事故を起こした。     〔委員長退席、宮崎委員長代理着席〕 もうすでに論議されましたように、その収拾のために、先の見通しも十分ないまま四者協定が結ばれる。結局その四者協定は今日履行されないままである。あるいはまた、原子力行政改革は全般にわたるものではありますけれども、少なくとも原子力委員会を分離して規制は規制担当の安全委員会をつくるべきであろう、こういうふうなことでは、大体の国民的コンセンサスになったと思うのだけれども、いざ法案が出されてくると、そこへ全く合意が得られそうにない原子炉設置の許認可権までくっついて、今日ではその安全委員会もつくられるに至っていない。あるいはまた、原子力の平和利用を進める上で保障措置は、たとえ外国との協定、条約がどうであれこうであれ、国内措置としては必要なものでありますけれども、この点でも結局、政府が出してくる法案には国民の合意のきわめて得にくい再処理問題がくっついてきて、これ自身については、与党である自民党の方からも改めてこの法案を修正するような意向が示されてくるというふうな事態で、こういうような点では、一つ一つ国民の世論を逆なでするようなことはあったとしても、何一つ国民に合意の得られるような具体的行為はしてこなかったのではないか。その中でただ一つ、この原子力船事業団法延長問題だけは、何とかという姿勢だけが先行したので、こういうところが一番大きな問題ではなかったかと思うのですが、いかがですか。大詰めにきておりますから、改めてお聞きいたしたい。
  244. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 決してそういうふうなことではなくて、やはり原子力船の問題は、足かけ二年というふうな経緯を経ておることは御承知のところでございます。したがいまして、すでに寿命が来た事業団であって、これではせっかくがんばっていただいておる方々に活力を与えることができない、そういうことで、ひとつもう十一年間生命をお与えください、その間にりっぱに原子力船むつ」の使命を果たさせますということですから、これはこれなりに私たちといたしましてもずっと貫いてまいった主張でございます。  第二番目には、安全に関しましては、決して朝令暮改ではなくして、原子力船むつ」に端を発した政府委員会において、安全委員会等々をつくって、より一層安全性を期せと、委員会の全く公正厳正なるそうした諮問に対して、私もその実現方を努力すべく出したものでございますので、決して思いつきだったとか、あるいはまた何か国民の感情を逆なでするとかいうものではないと私は考えておるのでございます。やはり謙虚に、過去の行政のあり方を考え、より一層りっぱな行政にしたいという心から出した法案ばかりでございますので、その点は御理解を賜りたいと思います。  ただ、国会の場に参りますと、こうやって毎日毎日熱心に御審議を賜っておりますが、あるいは通常国会におきましても時間がいささかなかったとか、そういうふうなことで、残念にして継続になったというふうなことも、これはまた物理的な問題として否定できないのではないか、こういうふうに思いますので、われわれといたしましては、原子力行政に関しましては自信を持ちながらも、決してまだまだ一〇〇%胸をたたいてよしと言えぬ面もあるかもしれませんが、そんなことではなくして、常に一歩下がって物事を考え、それを国民方々に、押しつけではなくして、理解をしてもらう、こういう姿勢を貫いておりますので、「むつ」に関しましても、基本法の改正にいたしましても、規制法の改正にいたしましても、いずれもそういう私たち気持ちがみなぎっておるのだというふうにひとつお考え賜りたいと思います。
  245. 瀬崎博義

    瀬崎委員 結局、土壇場へ来て与党自民党の方から、せんだっては、十一年延長のところをこれから五年延長に短縮してもいいんだという妥協案みたいなものが示されてきて、きょう現在では、さらにこれが短縮されて、今後三年延長ではどうか、期限を五十五年十一月三十日とする、これが最終案なんだというふうな形で出されてきたわけだ。もちろんその間、五年以上は短縮できないなどという中身として政府ともいろいろ相談しているんだがという話だったのです。  そこで、お尋ねなんです。この「むつ」の修理とかあるいは点検などの現在出されておる政府の方針、こういうものはこの間に再検討されるのかどうか。またさらに、「むつ」を含めてでありますが、原子力船開発全体についての現在政府の持っている方針自身に、この期間新たな検討を加えられるのかどうか、この点をお聞きしたいと思います。
  246. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 われわれといたしましては、あくまでも原案どおり十一年という期間をお与え賜りますことが一番スムーズに「むつ」の問題を解決していく方途である、こういう確信には現在も変わりはないわけでございます。しかしながら、より一層安全を期してはどうか、さらには「むつ」の事業団そのものについても、いろいろな場面を想定してもっと内容を充実してはどうか、こういうふうな御意見が、単に与党だけではなくして、野党の間からもあるということも私たちは承っております。  したがいまして、われわれといたしましては原案どおりお進め願いたいのですが、今日ただいま与党の方からそういうふうな判断が示されましたときには、私は私として、その与党の判断にも従っていかなければならないであろう。そしてとにもかくにも、いまお互いにあそこで働いていただく方々考えたいのです。あそこで働いている方々が百何名いる。しかも船に三十名乗っていらっしゃいますですね。一般の方々は、船にもやっぱり乗っているのですか、その人たちはどうしているのでしょう、こういうふうに親切に質問してくださる方もいますが、そうした問題につきましても、かつて瀬崎委員みずから、身分の安定のないような事業団はどうだろう、こういうふうな疑義も示されておった等々、私は政治というものは、ある場合には野党にうまく合意をいただくことも大変必要なことでございますから、さようなことで与党から、そうした人たちのことを考えても、いろいろまだまだ野党にも異議があるのだから、そうしたことを今後お互いに調整するとして、しばらくは三年ということで、その方々にさらにあすに備えてもらおう、こういう御意見ならば、私もこれは当然耳を傾けて、そうした御配慮に対して心から感謝を申し上げなければならない、こういう立場でございます。だから、三年の間、私たちは十二分に修繕に励みたいと思いますし、また、その間におきましても、さらに原子力船に備えるためにはどうするかという問題は、新しい問題として、当然与党からもまた野党からも御意見が出てくるものでありとすれば、やはり政府は、政府考え方だけが最善なのだ、そんなものじゃなくて、そうしたことにも今後は耳を傾けていかなければならぬであろう、私はこういうふうに考えながら、いまちょっと先ほどからそういうふうな事態の変化を耳にして、私自身もそういうふうな所感を抱いたところでございます。
  247. 瀬崎博義

    瀬崎委員 きょうは、自民党の方からはきょうじゅうにも採決をという要求まで出されたくらいなんですから、回りくどい説明は抜きにして、もう少し的確な答えをほしいのであります。決して十一年がいいのか、五年がいいのか、三年がいいのかというような問題ではないとわれわれは考えている。バナナのたたき売りではないわけであります。問題はその中身なんです。先ほどから言っておりますように、今回の事業団法の難航というのは、原子力行政全体が今後どう変わっていくのかということとの関係があるからこそ、これが非常に慎重審議されるし、国民も注目するわけでしょう。そこに全然変化があらわれてこないからこそ、政府反省してない、本気で改革をやる気はない、こういうふうに見られてくるので、こういうときに事業団法延長だけというのは認められないということになってくるわけなんです。とりわけその中でも「むつ」をめぐって言えば、これを現在の政府計画どおり修繕することに果たして研究開発上も意義があるのかないのかということも、大きく論議として分かれている点ですし、さらには、原子力船開発計画全体についても、けさほどもある方が質問されましたように、私も質問したように、今日の海運界状況その他から見て、原子力船開発そのものが果たして緊急性があるのかどうかということも大きな論議の分かれ目です。  こういうふうなことがあるわけですから、少なくとも自民党の方でそういうふうに年限を短かくしてきたという中身として、じゃいままでのそういう「むつ」の改修計画その他を、あるいは原子力船開発計画を思い切って白紙に戻してでも、国民意見あるいは専門家の意見を聞いて改めましょうということに政府側が対応するのかどうか、ここが大事なのです。この点を的確にひとつお答えいただきたい。
  248. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 もちろん、そうした事情の変化に対しましては、私たちといたしましても呼応していかなければなりませんが、しかし本日自民党から出されたと承っております期限の短縮に関しましては、一応私たちはそれは修繕に当たるものである。しかしながら、その後には、修繕が終われば当然出力検査もしなくちゃならぬ、さらには航海実験もしなくちゃならぬ、そういうふうな重要な問題もまだスケジュールの中にございます。これを自民党案だから、三年だから、もうあとは放てきだというわけにはまいらない。やはり船である以上はそうしたことも考えなくてはなりません。  ただ、十一年でお願いしたのが三年になった、じゃその後どうするんだという問題に関しましては、私たちは私たちスケジュールがございますし、それを実行していくことに与党も御異議なかろうと思います。しかしながら、現在の原子力船事業団そのものに関しましても、やはりこうした方がより充実するよ、あるいはこういう面をもっと強化すべきだと、いろいろと与党にもかたじけなき御意見がある。野党にもまた同じような御意見がある。そういうようなことを含めて自民党としては、いまのままの政府スケジュールだとなかなか十一年は野党さんのんでくれないよ、しかしながらわれわれも野党の方々のお考えをおもんぱかって、お互いに知恵を出してこうだと、政府もはっきりしたことをこうだと言うならばわれわれとしても当然そうした時代のためにお互いに知恵を出し合おうじゃないか、そういうふうなことも考えられながら、とりあえず修繕をせい、その後のことは政府も知恵を出す、おれたち考えよう、こういうふうなお気持ちではなかろうか、こういうふうに私は解釈いたしておりますから、当然そうした理解のあるお考え方にはわれわれも許される範囲内において対応していくのが政治ではなかろうか、こう思っておるということでございます。
  249. 瀬崎博義

    瀬崎委員 年限がいかようになろうとも、「むつ」の修理については現在政府の持っている計画どおり進めていくのだ、こういうお話ですね。
  250. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 いまのところ、私たちは十一年の中の三年は修繕だ、こういうふうにして御説明を申し上げてまいりましたから、いまたちまちそれが一年でできる、二年でできるというふうなものではない、私はこういうふうに考えております。  したがいまして、われわれといたしましては、与党の方からそうした御相談があったときも、それは修繕期間にしか当たりませんよ。だから修繕はとにかくせよ、しかしその後当然航海実験もいろいろ必要だろう、しかしながら現在のままの姿では与野党のコンセンサスが得られない、やはり議会は極力コンセンサスを得ることが大切だから、その三年の間に政府もまたさらに新しい知恵を出し、われわれも出そう。こういうことですから、現在のわれわれがそんな与党の考え方はだめですと言うわけにはまいりません。これは原子力、特に原子力船を進める上においては一つの大きな物の考え方ではないか。やはり議会の御判断を仰がないことには、私たちがどれだけ法案を出しましたって、いつまでたったって法案が上がらなかったら、それこそわれわれの仕事が推進できないのでございますから、やはり議会は政府のあり方について常にきちっとしたいろんなアドバイスをちょうだいするところなんですから、私はそういう意味でとっておるということでございます。
  251. 瀬崎博義

    瀬崎委員 結局、いまのお話からいけば、年限の問題のみならず、研究所に切りかえるという案、これはもう先々、国会からも出た話ではありますけれども、中身はやはり「むつ」を今後どのようにするのかということが重要な中身である。これはやはり実態の変化ということがあればこそ、事業団が研究所に変わった場合意味のあることになるんでしょうが、私ども、研究所そのものについてもそう単純に賛成できるとは思っていないんです。原子力研究所だって遮蔽部分などはほとんどそこでやるんだし、あるいはまた船舶技研にも原子力船部もあることだし、しかし、結果としていまのお話ではっきりしたことは、たとえ年限がどうなろうと「むつ」の修理計画は既定方針どおり進めますということになりますと、これは看板が研究所に変わったとしても中身変わらず、こういうふうにわれわれとしては判断せざるを得なくなってくるので、ますますもって問題はこじれてくるんじゃないかと思うんですね。  そういう中で、一つだけ最後に聞いておきたいのは、職員の身分の安定とか労働条件の問題を言われましたけれども、これは一方でたとえ法律の期限が切れても事業団は今日存在は合法的である、こういうふうに政府が言われたんですから、言われた限りは、政府が責任を持って職員の給料であるとか身分というものを保障せねばいかぬということではないかと思うので、そのことを法案おくれの責任にされては私は主客転倒ではないかと思うのですが、いかがですか。
  252. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 おくれの責任には決していたしておらないわけです。当然、法律上はこれを廃止するという法律が成立せざる限り事業団法があり、それは動いておるんだ。ただ、言うならば、もう任期が切れている、そうした状態のもとにおいて、そこで働いている職員に意気軒高たれというようなことを要求するのは勢い無理でなかろうか。なおかつ、研究をどんどんと進めていきたいというのが私たち気持ちですが、言うならば、まだ正式に新しく期限が定められておらない事業団の増員——増員を図らねはならぬところもありますが、そういうことは現在は私たちは慎んで、しておらない。こういうことでございますから、そうしたことやいろいろな面におきまして、決していまの状態事業団そのものにとりまして、あれでいいんだ、いまのまま法律がなくたっていいんだ、そんな横着なことは申しておるわけではないので、やはり事業団法というものがあってこそ、初めて増員すべきところは増員を要求し、さらに研究費の多く要るところはそれだけの増額を要求するということができるのでございます。いまきわめて遠慮しておる、しかも働いている人たちはお互いに不安定だと私は思うのでございます。そうした意味合いにおきましても、ひとつ十一年の寿命をきちっと与えていただき、その間に、十一年たてばその方々を今度はどうするか、これは当然政府の責任でございますから、そのときはそのときの準備もちゃんといたしますよと従来からお答えいたしております。だから、法案のおくれに直接そういう問題を持ってきて、委員会がこの問題に無理解だ、そんなことは決して申し上げておるわけではない。御質問によりまして午前中からも、どういう不便があるか、こういう不便があります。こういうふうなことを率直にお伝えしておるのでございますから、そこもひとつ御理解賜りたいと思います。
  253. 瀬崎博義

    瀬崎委員 それほど真剣に考えていらっしゃるのなら、われわれの言ってきたことあるいは国民が期待していることをもっと率直に受け入れて、これに優先させてできる原子力行政の改革なり、国民信頼を取り戻すような安全審査体制をつくるなりされれば、おのずからこういう問題も解決するのではなかろうかと思うんですね。ここらが私は全く逆になっておると思う。結局、これもいわばその場逃れの小刻み延長の繰り返しというふうなことで、事業団の当面の存続、延長だけを急ぐ政府と自民党の姿勢に対しては、私はきわめて厳しい抗議をして、本日のところは質問を終わっておきたいと思います。
  254. 岡本富夫

    岡本委員長 瀬崎君の質疑は終わりました。  これにて本案に対する質疑はすべて終局いたしました。  都合により、残余の議事は明日に延期いたします。  次回は、明二十七日木曜日、午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時九分散会