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1977-10-25 第82回国会 衆議院 科学技術振興対策特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年十月二十五日(火曜日)     午後一時八分開議  出席委員    委員長 岡本 富夫君    理事 木野 晴夫君 理事 佐々木義武君    理事 中村 弘海君 理事 宮崎 茂一君    理事 石野 久男君 理事 日野 市朗君    理事 貝沼 次郎君 理事 小宮 武喜君       伊藤宗一郎君    大石 千八君       玉沢徳一郎君    塚原 俊平君       与謝野 馨君    安島 友義君       村山 喜一君    瀬崎 博義君       中馬 弘毅君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      宇野 宗佑君  出席政府委員         科学技術庁長官         官房長     半澤 治雄君         科学技術庁計画         局長      大澤 弘之君         科学技術庁原子         力局長     山野 正登君         科学技術庁原子         力安全局長   牧村 信之君         科学技術庁原子         力安全局次長  佐藤 兼二君  委員外出席者         科学技術庁原子         力安全局原子炉         規制課長    松田  泰君         工業技術院総務         部技術審議官  蓼沼 美夫君         資源エネルギー         庁長官官房総務         課省エネルギー         対策室長    高沢 信之君     ――――――――――――― 九月二十九日  日本原子力船開発事業団法の一部を改正する法  律案内閣提出、第八十回国会閣法第一二号)  原子力基本法等の一部を改正する法律案内閣  提出、第八十回国会閣法第二五号)  核原料物質核燃料物質及び原子炉規制に関  する法律の一部を改正する法律案内閣提出、  第八十回国会閣法第七五号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 十月十三日  核燃料処理問題の解決促進に関する陳情書  (第八七  号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  科学技術振興対策に関する件(原子力安全性  確保及び使用済核燃料の再処理に関する問題  等)      ――――◇―――――
  2. 岡本富夫

    岡本委員長 これより会議を開きます。  科学技術振興対策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。村山喜一君。
  3. 村山喜一

    村山(喜)委員 まず初めに、東京電力柏崎の「原子炉設置に係る安全性について」という原子炉安全専門審査会報告を受けまして、九月一日に設置許可がなされたように聞くのでございますが、これについてまず長官お尋ねをいたしたいのは、裁判の問題が新聞にも出ておりまして、それから行政組織上の異議申し立てもなされておる。六十日以内に行政不服審査法に基づいて措置をするという期限もございますから、今月の末までにそれぞれさらに異議申し立てが出されるのではないだろうか、こういうふうに伝えられているわけでございますが、長官はこれをどういうふうに評価をし、どういうふうに対処しようとしていらっしゃるのか、その点をまず承りたいわけです。
  4. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 この間も予算委員会で同様の御質問を受けた次第でございますが、安全審査並びに許可に際しましては、われわれといたしましては十分慎重を期して、そして最終結論を得たものでございます。しかしながら、異議申し立てが現在来ております。もちろん、これに対しましては慎重に対処していきたい、かように存じております。
  5. 村山喜一

    村山(喜)委員 私も、この報告書を一応通読さしていただいたわけですが、特に柏崎の場合には、長官御承知のように、地質地盤に問題があるということで、六百本余りのボーリングもやっているようでございまして、いろいろ現地調査等もなされているというふうに聞いているのでございますが、いままで二年数カ月、二年三カ月ですかね、この間、地元住民やあるいは反対学者の方から意見が出されておるわけでございますが、この報告書を見てまいりますと、そういうようなものに対して、どうも科学的に処理がされたのであろうかということに対しまして実ははっきりしない、非常にわかりにくい審査内容になっているというふうにしか読み取ることができないのです。それで、どうも東京電力の出しましたそのベースに従って審査がなされてきたのではないか。したがって、住民反対立場からの学者意見というものは、それの検証をどのようにしたのか、そしてその結果、ないことを確認した、あるいはないことの証明がこういうような形でできたんだというように、疑問に対してこの報告書の中では一つも回答が寄せられていない、こういうふうにしか受け取ることができないわけでございます。そういう東電ベースではないかという印象は私一人だけではないのじゃないだろうかと思うのですが、それに対して長官は、もちろん原子力委員長でございますから、この答申十分目を通されて、そして御了承されたんだろうと思いますので、そういう立場からどういうふうにお考えになっているのか、ちょっとその点をお聞かせいただきたいと思います。
  6. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 詳細は、安全局長がおりますから、局長から説明をさせますが、原子力委員会の使命より考えまして、あくまでも私たちは、原子力平和利用、発電に関しましては、厳正中立立場で終始いたしております。  したがいまして、過般も申しましたとおり、いろいろと地元の御意見等々に関しましても当然耳を傾け、それ相応の回数を踏んで、安全に安全を期した結果である、私はかように信じております。
  7. 村山喜一

    村山(喜)委員 その問題に関連をして安全局長お尋ねをしてまいりますが、炉心が現在の位置決定をされるまでの間に、五回位置変更がなされたということについての事実関係はどうですか。
  8. 牧村信之

    牧村政府委員 炉心位置決定までに東電が五回変更を加えたということにつきましては、この原子炉設置許可に当たりまして申請書提出する以前のことでございまして、その炉心位置決定するためにいろいろな候補地点調査したということは聞いております。が、五回変更したというふうなことにつきましては、定かには確かめておりません。
  9. 村山喜一

    村山(喜)委員 五回の回数については調べていない、それはそういうような申請書が出る以前の姿であった。しかし、そういうようなうわさ住民の間に広く伝わっておることも事実であります。それは否定をされませんね。
  10. 牧村信之

    牧村政府委員 伺ってはおりますけれども、われわれの立場といたしましては、東京電力から提出されました炉心位置につきまして安全審査を慎重に行ったものでございまして、審査の結果も、そこへ炉心設置して何ら差し支えない、安全であるという旨の答申を得ておるわけでございます。
  11. 村山喜一

    村山(喜)委員 うわさがあったという事実はお認めになりましたので、それらは東京電力が現在位置に決めるまでの間に、非常に軟弱な地盤であるということから転々として位置変更をしたということの中から、住民がおかしいぞということに気がついて一つの運動が始まったのだという歴史的な過程を認識しておいていただきたいと思うのです。  そこで、科学技術庁活断層定義をどういうふうにしていらっしゃるのですか。
  12. 松田泰

    松田説明員 活断層定義でございますが、これは明確に文章化して活断層定義とはこういうものであるというふうに発表したものはございませんが、安全審査活断層を評価します場合には、大体地質学者が行っております第四紀層以降に発生したと思われる断層つまり二百万年以降よりは、もう少し実際的な工学的な観点を考えまして、大体第四紀の後半、数字で言いますれば、大ざっぱに言いますと四、五十万年以降というような地層に見られて将来も活動することが予想されるような断層活断層と言っております。
  13. 村山喜一

    村山(喜)委員 では、第四紀層までは、その間において動いた断層があった場合には活断層だ、こういうふうに見ていくという普通の学説ですね、それのとおりだというふうに確認してよろしいわけですね。
  14. 松田泰

    松田説明員 先生いま普通の学説とおっしゃいましたが、つまり、これは地質学者の間でこういう定義が普通に行われているわけでございますが、地質学で言う定義よりはやや新しい方に近い。それは地質構造というよりは実際に物をつくるという上でどの程度活動性を見るかということでございますので、もう少し範囲が短くなっていると申し上げた方が正確でございます。
  15. 村山喜一

    村山(喜)委員 そこで、この報告書を見てまいりますと、気比ノ宮断層活断層というふうにみなしておりますね。ところが、真殿坂断層椎谷断層ですか、これは第四紀後期活動性は無視できるというふうに五十七ページに書いてありますね。だから、ここで第四紀後期活動性は、そういうような動いた断層が仮にあった場合には、活動性が無視できる状態でない場合には、活断層の領域に入りますね。
  16. 松田泰

    松田説明員 そのとおりでございます。
  17. 村山喜一

    村山(喜)委員 そこで、理由を見てみますと、空中写真によるリニアメントが認められない、こういうふうに書いてありますね。そこで、リニアメントというのは線形構造だということですが、どういう線形構造なんですか。
  18. 松田泰

    松田説明員 専門的にはなかなか簡単に申し上げにくい点もありますが、地形を大きく見まして、たとえば何といいますか、がけが一直線に並んでいますとか、あるいはある線を境にしまして両側で植物の分布状況が違っておりますつか、いろいろな発生原因はともかくとしまして、一種線形的な構造が見られる場合に、それをリニアメントと呼んでおります。  ここで言っておりますリニアメントは、地下に大きな構造的な断層があれば必ずその断層原因となって、長い期間の間に起こった地質的な変動が原因となってリニアメントというのが見受けられる。そういうリニアメント地質鑑定専門の方に判読をしていただいた。その結果、そういうリニアメントは見られないということでございます。
  19. 村山喜一

    村山(喜)委員 私も、ちょっとこれは地学事典で調べてみたものですからはっきりしないんですが、いわゆる褶曲線というのもこれも線構造一種だ、あるいは鉱物線構造ですね。こういうようなものもやはり線構造の中に入るんだ、こういうふうに表現がしてありますが、ここで言うところのリニアメントというのは、これは平行線構造のことを言っているのですか。どういうようなところまで含めているのですか。
  20. 松田泰

    松田説明員 リニアメントつまり線構造という言葉自身は、非常に広い内容を持っておりますが、ここで言っておりますのは、地質学的に見まして下部に大きな断層があれば発生するであろうような、そういう線構造を言っておるわけでございます。  それで、具体的にはどういうものがあればそれは断層と結びつけて考えられるかどうかといいますのは、いろんなケースがございますが、それは地質専門家空中写真等を見て判読しているということでございます。単純に線形があったからといってすぐ断層があるというものでもございません。
  21. 村山喜一

    村山(喜)委員 そこで、七ページですが、この下の方から二行目。「各断層とも地表部断層面露頭は見られないが、地層の急傾斜褶曲によって断層潜在性が推定し得る地域もあるとしている。」と、こう書いてありますね。そうなりますと、この「リニアメントが見られる場所と一致する。」云々と書いてあるわけですが、これは地表面では露頭は見られない。それを、どうも説明を見てまいりますると、どういうふうにして見たんだろうかという説明を見ますと、空中写真によってリニアメントが認められないということを言っていますね。そういたしますと、その空中写真写真判定だけに頼ったんですか。
  22. 松田泰

    松田説明員 空中写真写真判定以外に、実際の現場付近地形踏査、それから、一つはここに出ております文献判断しております事柄の内容を、文献を全部読みまして判断したというものでございます。
  23. 村山喜一

    村山(喜)委員 文献現地踏査、こういうことでございますが、六ページには、この地帯はいわゆる砂丘地である新期砂層に覆われている。そうして七ページの方で、地表部で各断層とも断層面露頭は見られない。そういうような形の中で、八ページには、敷地内で最も顕著な中央部断層地すべり性のものなんだ、こういうふうな決めつけがなされているわけです。  そこで、ではボーリング調査の結果は、半径四百メートル以内に二百本くらいのボーリングをやったわけですから、そのコアの中から、やはりそういうような活断層の存在が証明をされるようなものはありませんでしたか。
  24. 松田泰

    松田説明員 ボーリングは、一般に敷地内部地質強度及び地質構造を詳細に調べるという目的で行うものでございます。ここであちこちに活断層という言葉が出ておりますが、主として活断層が問題になっておりますのは、敷地を含めた広範なあの辺一帯の大きな地形を見まして、地震発生原因となり得るようなそういう構造的な大きな断層があるかないか、あった場合に、活断層であるかどうかということを問題にしているわけでございます。これは数カ所のボーリングというよりは、広範囲地形の変化とか地質構造とか、あるいは広範囲文献を総合的に見るというようなことで判断するものでございます。もちろん、サイト内に掘りましたボーリングにおきましても、何がしかの断層は見られておりますし、それ以上に試掘坑を掘っておりますので、試掘坑の壁面に断層が見えているわけでございます。これは言葉定義から言いますと、活断層つまり新しい断層というものも一部あるわけでございますが、この場合には地震発生原因という意味ではなくて、あそこの地盤が上に乗っける原子炉施設に対して十分もつ強度を持っているかどうか、あるいは地すべりとか不等沈下を起こさないかどうかというような観点で評価しているものでございます。
  25. 村山喜一

    村山(喜)委員 大きな地形的な立場から構造的なものとしてとらえているのだ。それはそういうことでありましょうが、地震に結びつくような活断層というのは敷地内にはないというふうにおっしゃったのだが、その敷地内にはやはり活断層はあり得るというふうに見ていらっしゃるのですか。
  26. 松田泰

    松田説明員 地震発生原因となるような、あるいは地震時にそれが影響を受けて動くような、そういう活断層はありませんが、他に年代的に新しい断層があるという意味では活断層、そういうふうに見ますと、その範囲にあるものはございます。
  27. 村山喜一

    村山(喜)委員 そうすると、周辺にも活断層が多数ある、このことは認めるわけですね。敷地内だけじゃありません。
  28. 松田泰

    松田説明員 一番上の地層あたり地すべり性断層が認められるところがあることは承知しております。
  29. 村山喜一

    村山(喜)委員 そこで、問題は、安田層番神砂層ボーリングをした結果、鏡肌やあるいはラミナの傾斜が大きいものが見られているという報告は、これは聞いていらっしゃいますか。
  30. 松田泰

    松田説明員 聞いております。
  31. 村山喜一

    村山(喜)委員 そこで、八ページなんですが、「敷地内で最も顕著な中央部断層地すべり性のもの」だ、こういうふうに判定をされているわけですね。これは新潟県の地すべり特徴というのは、第三紀層風化に伴いまして、未風化部分との間に生じたすべり面に沿って地すべりを起こすという特徴を持っていますね。ところが、安田層番神砂層は、これは第四紀層ですね。西山層は第三紀層ですね。そういうような意味から、私はそこはごちゃまぜにしているのじゃないだろうかというふうに受け取ったのですが、それはどういうふうに説明ができますか。
  32. 松田泰

    松田説明員 ここで言っています地すべり判断は、ある意味で一般的な、いま先生がおっしゃいましたような地すべりに結びつけているわけではございませんで、特に中央断層付近は詳細なボーリング調査を行いまして、断層がどういうふうに下部の方に延びているかということを追求しているわけでございます。それによりますと、ある方向に沿ってずっと下部地層まで延びているのではなくて、ある深さぐらいになりますと急に水平方向に寝てまいりまして、そして消えるというふうな断層が非常に多いわけでございます。その傾斜方向がその下にあります地層のいわば谷のような傾斜に沿って割れているということもわかっております。これはほんの例でございますが、そういったいろいろな調査の結果を判断しまして、これは構造的なといいますか、下の方から割れてきている断層ではなくて、上の地層地すべりによって起こったものだという判断をこの調査結果に基づいてやったものでございます。
  33. 村山喜一

    村山(喜)委員 こればかりやっておりますと時間が足りませんが、真殿坂断層敷地内に入っていないことを証明、ができますか。
  34. 松田泰

    松田説明員 これにつきましてはかねてから非常に地元の関心を呼んでおりましたので、真殿坂断層延長方向に直角な線上にボーリングを行いまして、それはサイト内でございますけれども、そこでボーリングを行いまして、真殿坂断層方向には確かに一つの鞍部といいますか、専門語では向斜と言っておりますが、谷のような形をなしていることは認めておりますけれども、その谷底は非常に丸みを帯びたなだらかなものでございまして、そこに断層があるというようなものではないということを確認しております。
  35. 村山喜一

    村山(喜)委員 それであるならぼ、何か五千分の一の地質図あたりでもつくられましたか。
  36. 松田泰

    松田説明員 縮尺についてはいまちょっと記憶にございませんが、それに基づいた地質図は当然つくっております。
  37. 村山喜一

    村山(喜)委員 私は、ないということであるならば、そういう地質図ができておらなければおかしいし、またそれを安全審査会専門先生方が見なければならないものだと思いますし、またわれわれの方にもそういうのを見せてもらう。やはりこれは裁判になる筋合いの問題が非常にたくさん入っておりますので、客観的に、科学的に審査が行われて、そうして十分にそれは証明がされなければ私は断定ができないと思うのです。そういうようなことから、どうもいま説明を聞いただけでははっきりわかりません。  それで、昭和四十九年の十二月の新聞でも、五回も原発の位置を変えた。そして地盤が悪いから、そういう問題が生まれてくる中で相当慎重には対処されたことは記録によって明らかでありますけれども、どうもこの問題についてははっきりしない点が多過ぎるということを指摘しておいて、川内の問題に入りたいと思います。  川内原発の問題は、私もいろいろ事務局皆さん方とは接触もいたしておりますので、あるいは九州電力の方からも幾らかの資料もいただきながら検討をいたしておりますので、そういうような意味で、前この問題を取り上げましたときに、安全審査会地質地盤の問題について責任を持つとするならば、当然のことながら文書によって、こういうようなものについては不足をしているから調査をしなさいという追加調査指示をするのが本当ではないかということの意見を申しました。そのときに、そのようにいたしますということで、文書指示がなされて、それに基づいて九電側の方は調査をいたしたようでございます。  そこで、なぜ追加ボーリング指示をしたのかということの説明をまず承り、そのときに、後でございましたが松田規制課長が、従来の業者とは別な業者に変えて、それからやり方も変えるという説明をされましたので、そこで、業者会社名を見ればわかりますからどの業者ということは説明をいただかなくてもわかりますけれども、ボーリング採取やり方をどういうふうに変えたのか、その説明もあわせてやっていただきたい。そしてなお、どこを中心にして追加ボーリング指示をされたのか、それを説明願いたい。
  38. 松田泰

    松田説明員 お答えいたします。  追加ボーリングは大きく分けまして三つのグループがございます。それぞれ名前はどうでもいいわけですが、SシリーズXYシリーズAシリーズという名称をつけておるわけでございます。  まず最初のグループSシリーズと言われておりますものは、かねてから川内川の川に沿いまして断層があるのではないかということが疑問として提示されていたわけでございます。これにつきましては申請者音波探査等で一応調べてはあったわけでございますけれども、なおもう少し両岸の地層について詳しく調べるべきであるという意味で、この川をはさみましてボーリングを追加指示いたしましたのが、Sシリーズというグループでございます。  それから次が、俗にXYシリーズと呼んでおるわけでございますが、これは炉心の下にあります基礎岩盤がどの程度の大きさで周囲まで広がっているか、つまり基礎岩盤の大きさ、まあ大きな意味での安定性といいますか、厚さとか大きさ、広がりぐあいというようなものを確かめるためには、申請者の出しておりますボーリングですと、範囲についてちょっと不十分であると思われましたので、炉の中心位置からある範囲外れたところをX方向Y方向という二つの方向につきましてボーリング指示したものでございます。  それから最後グループAシリーズと言っておりますのは、これは炉心の置かれる場所そのものの近くに数本ボーリング指示したものでございます。これは炉心の置かれる場所でございますから、非常に精密な情報が欲しいわけでございますが、申請者の行っておりますボーリングを見ますと、多分ボーリング技術上問題があったのではないか、つまり非常に地盤に適したような回転速度を十分配慮してボーリングデータをきちんととったとは思われない、つまりボーリング技術がやや拙劣であった、したがって得られたコアデータが、たとえばコアが崩れていて、大きな地質はわかりますけれども、細かい構造になりますと読み取りにくい、そういうデータがありましたので、あるいは採取率の悪いデータもありましたので、その辺につきましてはそういうボーリングをチェックできるような位置、それから炉心位置にあります細かい破砕帯等をなおよく調べられる位置を選びまして追加ボーリング指示した、これが最後グループでございます。
  39. 村山喜一

    村山(喜)委員 そこで、ボーリングコア分析は過去の古い分が百六十九本、新しい分が十七本だというふうに承っておりますが、これは分析はもう済みましたか。
  40. 松田泰

    松田説明員 正確に申し上げますと、百六十九本といいますのは、九州電力が当初この場所を選んだ直後から、どこに炉心を置くべきかを決める、そういう概査的なものも含めましたすべてのボーリング本数を言っておるわけでございます。私どもが安全審査対象としますのは、一応申請者の方で炉心位置を決めまして、つまりここが非常にいい岩盤のところであるというのを決めた後、その岩盤中心にしまして、ここに炉心を置くことによって十分強固な支持力が得られるかどうかということを見る範囲でおのずから選びますので、審査対象になっておりますボーリング本数は百六十九本ではございませんが、一応申請書に載っております。申請書に載っておりますもの及び追加ボーリング指示しましたものにつきましては、一応審査会判断は終わっております。なおしかし、前回ボーリングコア差しかえの件が指摘されておりますので、いま念のためにその辺を少し調べ直しているのはございます。
  41. 村山喜一

    村山(喜)委員 その概査的なものが入っている。審査対象になるのは、新しい十七本はもちろん対象になるんでしょうが、古いやつはこれは何本ぐらいになりますか。地図の上で説明をしてもらえば一番いいんでしょうが、どの範囲内をその審査対象としてお選びになるつもりなんですか。選ぶ対象として決めてあるのですか。
  42. 松田泰

    松田説明員 本数は大ざっぱに言うのはなかなか大変なんですが、三十本ぐらいになるかと思います。  考え方を申し上げますと、まず炉心位置にあります。基礎となります岩盤の形がわかる範囲、南北方向、東西方向、広がりが違いますから、それがどういうふうに広がっているかということ。それから、特にこのサイトで弱いような岩が入り込んでいるようなところはどの程度入り込んでいて、それがどういう影響を持つと考えられるかというようなこと。及び、たとえば俗に太田断層と言われておりますが、少しぐらい炉心から離れておりましても、大きな断層があると言われておりますところにつきましては、そこの断層についてはその付近について特に調べなくてはいけないわけでございます。そういう意味で言いますと、サイトによっていろいろ違うわけでございますけれども、川内のサイトで申し上げますと、大体二、三十本ぐらいと考えてよろしいかと思います。
  43. 村山喜一

    村山(喜)委員 ボーリングコア分析をやってみますと、いままでわれわれが知り得た資料の中で見る限りにおいては、南北には強いけれども、東西の線が炉心部を中心にいたしまして弱い、軟弱な地盤が多いというふうに見ているわけですが、そういうようなのは一般的な現象としてお認めになりますか。
  44. 松田泰

    松田説明員 川内のサイト特徴を申し上げますと、いま御指摘ありましたように、南北方向一つの、背斜軸と言っておりますが、山並みのような基盤の地形があるわけでございまして、東西方向にはそれがすその方に下がっておるように傾斜しているわけでございます。特に東西方向にはその基盤の傾斜の上に火山岩が乗っかってきておりますので、そういう意味で、地表から見ますと、そちらの方向には岩質の変化もありますし、弱い石も出てきているという地形になっているものでございます。
  45. 村山喜一

    村山(喜)委員 そこで、炉心部に当たるところは堅固な礫岩だ、これは一枚岩的な何で、数十メートルの厚さがある、こういうことが言われておりますが、その調査をされました結果はどういう数値が出ておりますか、差し支えない範囲内でお答えをいただきたいのですが、その中でこれは非常にいい地盤だというところのそのボーリングコアの柱状断面図を調べてみますと、ボーリングコア採取率は一〇〇%とれておる。ところが、最大コア長が三センチで、それから平均コア長がゼロ、深さのその位置によって違いますが、中には八十センチと十センチというような位置もありますし、コアチューブの長さが百五十センチ、そういうふうに見てまいりますと、ボーリングコア採取率が一〇〇%になったというのは、これはダブルで採取をするとかいろいろ技術的な力、専門の技能の優劣にもよって違うのでしょうが、そういうような分析は、そのコア採取率やあるいはコア長や平均コア長、最大コア長、そういうようなものの相関性はどういうふうになっているというふうに分析をしていらっしゃいますか。
  46. 松田泰

    松田説明員 お尋ね採取率、最大コア長、平均コア長につきましては、特に理論的に一つの相関関係があり得るものではございませんで、いろいろなケースがあり得るわけです。が、要するに、地盤が悪くてコアがとりにくい場合と、ボーリング技術が悪くてとれるところがとれない場合と両方あるわけでございます。したがいまして、特にこの川内サイトについて見ますと、通常ならよくとれるところ、つまり最大も平均もよくとれるべきところがとれてない、そういうケースと、それから地盤が非常にもろい岩のために平均コア長がほとんどないというようなところがございます。
  47. 村山喜一

    村山(喜)委員 それは炉心部についてあなたはおっしゃっているのですか。全体のボーリングコアのそのいわゆる採取いたしましたものについておっしゃっているのですか。
  48. 松田泰

    松田説明員 いま全般について申し上げましたが、炉心部について申し上げますと、炉心部について特徴的なのは、採取率が悪くて、しかも平均コア長が非常に少ない、そういうボーリングデータがございます。ところが、これを見ますと、いわゆるスライムと申しまして、崩れてしまっている、スライム状になっているという記載がほとんどでございます。ほかの場所ですと、単に石が細かくなっているという場所も多いわけですが、それは主として岩質の差によると思いますけれども、このように悪いボーリングはほとんどスライムであるということは、採取技術上やや問題があったのではないかとわれわれが判断したわけでございます。
  49. 村山喜一

    村山(喜)委員 それで、私も柱状断面図をその炉心部の近くに、炉心部と見られるところ、そこに四一一というナンバーのものと五〇一というのがございます。これを調べてまいりますと、いまお話がありましたように、コアの採取不能というようなものが出てきている。これはスライム状態であるからそれで採取できなかったのだというのは、それは技術の問題もありましょう。しかしながら、ほんの近くにそういうようなものがありながら、片一方の方はコア採取率は一〇〇%、そして良質の礫岩だ、五〇一の場合はですね。そして非常に強固な地盤だということが証明できるような柱状断面図があるかと思うと、四一一の場合にはこれはどうも怪しい。ほんの近くのものがそういういわゆる違うようなものが出てきた場合には、これはやはり一枚岩とは言われないので、そこには地質の不均一性というものがあることも認める資料にはなると思いますが、その点はいかがですか。
  50. 松田泰

    松田説明員 御指摘の四一一と五〇一につきましては、確かにこれだけ近くて、岩質は同じでございますが、採取率が違うという点は、審査会としても一応問題にしたわけでございます。審査会はしかし同時に試掘坑も見ておりまして、試掘坑と比較いたしますと、試掘坑からうかがわれるような岩質であれば、当然もっと採取率がよくてしかるべきである。四百番台の採取率はもう少し上げられるべきであるということから、追加ボーリングとしてこの場所に一本すぐ近くに指示しております。追加されたボーリング採取率が非常によく上がっております。これは五百番のものと非常によく似ておりまして、三本を実は総合判断して、その岩盤についての判断をしているわけでございます。  なお、追加されたボーリングにつきましては、申請者から補足して申請という形で出ておりまして、その内容は最近公表されておりますので、先生などもごらんになることができると思います。
  51. 村山喜一

    村山(喜)委員 まだ追加調査の分については私も目を通しておりませんが、スライムがあるということは、軟質な地盤で、そこには不均一性の、ほかの礫岩と違って弱い層がある、こういうことですね。したがいまして、そういうことから見てまいりますと、上の方の岩盤は非常に堅硬な岩盤が仮にあるとしましても、ずっとその下の方の地層はそういう不均一性な地層になっているのじゃなかろうか。そうなった場合には、平たく言うならば、布団を何枚か重ねていきまして、そして真ん中に座布団のようなものが入ったりしますと、重ねた布団の上に寝ておりますとひっくり返るというような現象が出るわけですね。それと同じような現象があり得るのではないだろうかという心配をするわけでございますが、そこら辺は十分審査の上で、単に工学的な処方を加えれば地盤が強固になるとかなんとかいうような説明じゃなしに、地質が持っている、地盤が持っている強度とかなんとかいう上から、心配がないような判断が下せるように準備がなされているのでしょうか。そういうようなものに対する自信がおありですか。
  52. 松田泰

    松田説明員 いまの段階で最終結論事務局の私から申し上げるわけにいきませんが、深いところの地層につきましては、申請者の行っておりますボーリングが大体三十メートル、四十メートルの深さのものが多かったわけでございますけれども、いま先生の御指摘のような問題にこたえるために、百メートルオーダーの追加ボーリングを行いまして、その深さを十分調べております。
  53. 村山喜一

    村山(喜)委員 そこで、私は先般、コアの差しかえがあるということで、住民の中から、作業に従事した者の証言の中から事実関係を確認して、それをどういうふうにやったのだ、こういうやり方、方法まで局長と課長には住民の代表がお耳に入れたわけでございます。  そこで、これに対してどういう措置をおとりになったのか、そしてその事実関係をどのように確認されつつあるのか、やられた方法をちょっとお尋ねしておきたいのです。
  54. 牧村信之

    牧村政府委員 先般、地元の方から十七本のコアにつきまして意見があるということで御指摘を受けたわけでございます。私どもはこの御指摘があったことを、安全審査会がいろいろなコアの科学的な判断をするのに誤りがあっては一大事でありますので、その点につきまして直ちに安全審査会地質地盤関係をやっております小委員会に御連絡いたしまして、早速、審査会で行っておる安全審査にどういうふうに関係があるかということにつきまして慎重な御検討をお願いしておるところでございます。審査会側といたしましては、われわれの連絡を受けまして、すでに審査会提出されております九電側からの資料あるいは場合によりましては現地を調べる、実際にコアを調べるというようなことを含めまして、慎重に対処していただけるものと考えております。
  55. 村山喜一

    村山(喜)委員 そこで、先ほども松田規制課長でしたか、認められましたように、南北線の場合にはわりあいに地盤が堅硬なものが見られるけれども、東西線についてはいわゆる風化安山岩あるいは高温で変色をしたようなものが見られることもわれわれは聞いているわけですが、ナンバー四〇三というのを見てください。これは空隙率が非常に大きい、非常に軟弱であるということから、そこに地下水の水位が二十メートル前後というのが見られるわけですね。そこで、私は、そういうような地層の状態の中では、いわゆる風化している、あるいは割れ目がある、あるいは空隙率がある、その場合には弾性波の伝播速度が減少をしていくわけですから、そういうようなものによる調査をやられているだろうと思うのですけれども、その状況がどのようにとらえられてくるか。空隙率が非常に大きいということになりますと、地震がありましたときに、揺れに固いところとやわらかいところでは差が出てもきますし、そういうような面から、地震のときにはどういうような影響が出てくるのかという問題をどのようにとらえていらっしゃるのか。それから、その水位が、二十メートル前後のところにありますが、それが炉心部の方に下がってまいりました場合、水の力で一つ風化現象を起こすということから、水の流れがどのような方向に向いているのかということも調べていらっしゃると思いますが、そこら辺はどういうふうになっておりますか。
  56. 松田泰

    松田説明員 ナンバー四〇三番の位置は、確かに安山岩、斑糲岩等が、基盤になっております礫岩の上に表面を覆うように入ってきているところでございます。そういう意味で、地表から掘りますと、まずそういった岩にぶつかるわけですが、深く掘りますと、やがて基盤に達するわけでございまして、そのような構造をしておりますけれども、耐震上は、その上に乗っております岩が少しあるからといって、基盤まできちんとやっておけば特に問題となるようなものは起こるとは考えておりません。     〔委員長退席、宮崎委員長代理着席〕 もちろん、建物の種類によりましていろいろ具体的な耐震設計がとられるわけでございますが、いま話を炉心中心部に置きますと、重要な構造であります炉心部はその部分から外れたところに建つようにはなっておるわけでございます。  それから御指摘の水位でございますが、このボーリング付近一帯は似たような高さに地下水位があるわけでございますが、現状は試掘坑を掘っております関係上、試掘坑のある場所つまり炉心位置に近づくに従いまして試掘坑のレベルまで水位が下がっております。これは試掘坑を掘った関係でございます。もちろん、試掘坑に出てまいります水はポンプアップして外に捨てているわけでございますが、この場所原子炉が建った段階では当然何らかの地下水の処置はとられると思いますが、特に技術上、これはほかのサイトも同様でございまして、特別大きな問題が発生するとは考えておりません。
  57. 村山喜一

    村山(喜)委員 そういうような状況の中で、炉心部に擬せられているところにも、不均一性のそういう性質を持ったものが、ボーリングをやってみると、ある。だから、一枚岩的なものではないということがおぼろげにわかってきたわけです。そういうような状況の中で、比較的に地盤が強固だと見られるところにも不均一性のそういう状況が下層の方には見られる。ましてや東西線については安山岩の火山岩をその上に乗っけているような地質になっておりますので、そういうような点から、安全審査の上において安全性というものについては十分に検討していただくことを要請しておきます。  私は、この際、委員長に要請したい点がございます。  原子力平和利用安全性の確保というのはわれわれが当然やらなければならないことだと思います。この場合に、住民の中から具体的な事実関係を指摘しながら、しかしそれは学問的に見てもあるいは技術的に見ても問題がない場合でも、そこに住んでいる住民が不安を感ずるというようなことに対して、これを科学的に解明をする、こういうやり方長官も当然やらなければならない大事なことだ、安全の確認ということについてはこれがもう最大の課題だ、こういうふうにとらえていらっしゃるだろうと思うのです。またわれわれ当委員会においても、住民のいわゆる請願権といいましょうか、訴えをする場合には、それについて当事者から事情を聞くという立場で、われわれがその声を聞いて、その事実関係がどのようなものであるかを確認をしながら、立法機関としてのお互いの職務の上からも、そういうようなものが処理していかなければならないのが今日の時代の要請ではなかろうかと私は考えるのです。したがいまして、委員長にもかねがね要請をし、理事会でも相談を願うようにわが党の理事を通じましても要請をしているところでございますが、この委員会にそういうような関係者の参考人の意見を求める機会をつくってもらう。それについては進んで事実関係を証言しよう、こういうようなことを言っている者もあるわけでございますから、それが事実であるかどうか。また、そのことが、どういうような判断を下すかは別といたしましても、やはり住民の、そういう政治に参加をするといいますか、いわゆる請願権というようなものについては国会が保障をするという立場をとるべきであると私は考えるわけでございますが、委員長はどういう御所見であるのか。また、科学技術庁長官はそういうようなものについては前向きに協力をしていただけるだろうと思いますけれども、それについての御所見をお聞かせいただければいいがと思うのですが、いかがですか。
  58. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 川内の件に関しましては、これまた先般の予算委員会で十分私も拝聴いたしました。そのときお答え申し上げましたとおりに、そうしたいろいろの声に対しましては、それをも含めまして、最終結論を出すときには慎重な審議を必要とする、こういうふうなことで、私もその旨を安全局長等を通じまして指令をいたしております。  また、参考人に呼んではどうかという問題は、むしろ委員会自体の問題でございましょうから、委員会にまた御判断賜ればいいのではないかと思う次第でございます。
  59. 宮崎茂一

    ○宮崎委員長代理 村山君に申し上げます。  ただいまの件につきましては、後刻理事会で協議いたします。
  60. 村山喜一

    村山(喜)委員 私は、割り当てられた時間が一時間ということでございましたので、一時間を忠実に守るように質問の内容を整理してきたわけでございますが、いま原子力の問題で問われているのは、原子炉安全性の問題もさることながら、これからはやはり地質地盤の問題が、立地の条件の上においても適当な地域が少なくなりつつある状況の中では非常に重要な意味合いを持ってくるのではないだろうかと考えるわけです。それだけに、そこに住んでいる人たちは長い歴史の過程の中で存在をしているわけでございますから、そこにはいつ地震発生をしたとか、そのときの状況はこうだったとかというようなのは体験的に持っているわけです。そこで生活をする人たちはそういう条件の中で生活をしているわけでございますから、ただ科学的に分析するだけではそれはおかしいじゃないかという気持ちが感覚的に働く場合が多いと思うのです。     〔宮崎委員長代理退席、委員長着席〕 そういうような問題をどういうふうに納得願い、そしてそういうようなものにどうして同意を求めていくのかというような問題が科学技術庁には問われているものだと思います。  したがいまして、いま幸いにして科学技術庁の場合は通産省あたりよりも信頼を得ておいでになることは事実でございます。それはなぜかというと、企業のベースによらないで比較的に科学的に問題を処理しようという構えがあるから住民の信頼をある程度得ている。しかし、それが電力ベース安全審査が行われたというふうに見られるような状況が出てまいりますと、これは裁判に持ち込むというような形で、一向に解決をしないと思うのです。それで私は、事実関係を明らかにしながら、どういう形でそこの住民の納得を得ていくかというのは非常に大きな問題だと考えるわけです。  それで、何かこの点について指摘をされました地質地盤の問題については、本当に慎重を期するほどこれは納得を得られると私は思いますから、そういう立場からいまいろいろな問題を指摘してまいったわけでございますが、今後の原子力発電所の設置の問題等に対する長官の取り組みの姿勢、安全性確認に対する、特に地質地盤に対する姿勢については、どういうふうにお考えになっているかを最後に承りまして、質問を終わりたいと思います。
  61. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 御指摘のとおりに、原子力行政に関しましては常に私は安全に安全を重ねてその行政を推進しよう、そうしたことにおいて、言うならば国民との問の信頼関係を打ち立てなければならない、行政が信頼を失われたときには何もできない、こうした趣旨で徹底していたしております。したがいまして、いま申されました地質上の問題に関しましても、その地方には独特の歴史もございましょうし、そうした歴史的な資料をも十二分に参考にいたしましてやってまいっておる次第でございますので、今後とも住民のそうした不安に対しましては、科学的にも解明を必要といたしますが、行政の面におきましてもやはり信頼の確立ということを中心といたしまして十二分に考えていきたい、かように存じております。
  62. 岡本富夫

    岡本委員長 次に、貝沼次郎君。
  63. 貝沼次郎

    貝沼委員 この前この委員会で質問をいたしましてから、その後日米の交渉その他ありまして、大臣はわざわざアメリカまでお越しになったようでございます。大変御苦労さまでございます。  そこで、あのときはまだ日米の交渉が非常に微妙な段階でありましたので、私の質問に対して、私は的確な答弁をどうも聞けなかったという感じがございます。大体第一段階できたようでありますから、この辺で大臣の口から公式にその経過その他について伺っておきたいと思います。  まず、大ざっぱに核燃料サイクルという観点から、核燃料サイクルは何も再処理に限るわけではありませんけれども、しかし重要な部分であることは間違いありません。そういうところから、日米原子力交渉の意義とかその経過、また今後の方向について大臣はどのようにお考えになっておられるのか、お伺いいたします。
  64. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 まず、日米原子力交渉に当たりまして、いろいろと温かいアドバイスなり激励をちょうだいいたしまして、衷心より御礼を申し上げるものでございます。  結論といたしましては、去る九月十二日、無事現行日米原子力協定に基づく共同決定に私とアメリカの代表が署名をいたすことにおいてすべては落着いたしました。  ただ、御承知のとおりに、七ヵ国首脳会談で、核燃料サイクルの再評価をいたしましょうということが提案されまして、この会議が先般来始まったわけでございます。ちょうどこれが二年間をその期限としようということでございますので、われわれといたしましてもそのことを念頭に置きまして、一応二年間に限ってアメリカとわれわれとの間においても、むしろこちらから自粛といいましょうか、言葉が正しいかどうかは別といたしまして、そういう問題を提案いたした次第でございます。  それは第一点は、カーター大統領が核の不拡散ということを中心にこの問題を提案いたしました。したがいまして、そのことに関しましては、軽水炉とプルトニウムとの関係において、われわれは二年間。プルトニウムを軽水炉に用いませんよ、ただ研究開発は必要であるからその分だけ私たちはきちっと研究開発は進めますということが第一点。第二点は、われわれは単体抽出をし、同時にそれを単体貯蔵したいが、しかしいわゆる酸化プルトニウムにする工程の段階だけはしばらく自粛をいたしましょう、言うならば転換工場の建設は二年間見合わせましょう、こういうふうなことを自発的にわれわれの方から申し入れまして、その他のことに関しては、ひとつ日本の言い分を聞いてほしいということを申したわけであります。  すなわち、日本の言い分といたしましては、第一点は、この新しい交渉をするに際していかなる新しい権利義務も発生せしめない。第二点は、混合抽出あるいは混合貯蔵ということを米国はよく言われるが、なるほど核不拡散という点から見ればそれは一つの理想の姿であるかもしれぬが、これはあくまでも未確立の技術である、よって未確立の技術に対して日本の納税者に過重な負担をさせること並びに約束する、そうしたことは絶対避けたい、これが第二番目であります。第一二番目は、いま先生がおっしゃいましたように、わが国はプルトニウム中心核燃料サイクル確立というのが悲願である、これをしなければあす飯が食えない民族なんだ、だからこのサイクルの計画には支障を来さないことが大切である、こうしたことを申し述べまして、結論といたしましては、アメリカも、共同声明に書いておりますがごとくに、日本のプロジェクトを妨害しない、あるいは日本を世界的にながめた場合においても差別をしない、幾つかのそうした前提条件のもとに、言うならばわれわれの主張が全面的にのまれたというのが、今回の交渉の経緯でございます。  したがいまして、今後二年間の経緯が問題であり、さらに今後どうするかという問題が私は重要だろうと存じますが、この二年間は、そこにも書いておきましたとおりに、INFCEPに積極的に参加することが第一点。  第二点には、再処理施設にはOTL、実験装置というものがついてございます。この実験装置によりまして、一応われわれとしても、より安全な方法として、もし混合抽出というものができるならばそれもよかろう、ただそれがどれだけの費用を必要とし、またその技術確立のためにはどれだけの期間を必要とするかまだ全くわからないわけであります。費用に関しましては大体二億ドル以上は要るということが日米両国で確認されているわけでございますけれども、果たしてそれだけ使って完全にできるかできないかという点に関しては、まだまだむずかしい面がございましょうが、われわれも全力を挙げて、この二年間にOTLを使って、その結果をINFCEPにも御報告をしよう、あるいはIAEAそのほか国際会議があるならばそこにもそうしたことを報告しようじゃないか、こういうふうな努力をわれわれから進んで申し入れておりますので、この努力は私は怠ってはならないであろう、こう思っております。  ただ、ここが大切なことでありまして、最初アメリカの方のドラフトに従いますと、いわゆる混合抽出というものが不可能だということを両国が認めざる限り、日本は二年目には混合抽出のための改造をしなさい、こういうふうな原案であったわけで、これでございますと、もうわが国が一方的に押し切られるおそれがございます。よく言われるアンレスという言葉を使って、何々にあらざればということでございましたが、これに対しましては私は徹底して反対を唱えまして、イフに変えました。つまり、イフでございますから、もし日米両国が混合抽出が非常に合理的で可能なものである、そうしたことをお互いが合意に達したときは日本はひとつその改造をいたしましょうというわけでございますから、わが国は、そのことが非常にフィージブルで、またエフェクティブであるということを認めない限り、わが国が了解がつかない限りそういったことは二年たってもあり得ないんだということが書かれておる次第でございますので、決してそれにもたれるわけではございませんが、一応そうした意味において、私たちの原則といたしておりました、将来に向けても新しい権利、義務を発生せしめない、国民には未確立の技術に対して過重なる負担をかけない、この点を私は守った、かように存じております。
  65. 貝沼次郎

    貝沼委員 大体いままで新聞等で様子はほぼ了解しておるわけでありますけれども、いま改めて大臣の口から伺ったわけでありますが、ただ、一点、この東海村の再処理工場が研究開発として、というお言葉がいまございましたけれども、これは商業用再処理というものを前提にした研究という意味合いですか、それとも純然たる研究としてアメリカがお認めになったということでしょうか。この辺どうでしょうか。
  66. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 現在の、東海再処理施設と私たちは呼んでおりますが、これは実証施設ということにおきまして両国の合意が得られております。したがいまして、いま申し上げましたOTLというのは、その実証施設の能力は大体五百分の一くらいの施設でありまして、ことさらそのために特殊な費用を必要といたしません。ただ、どういうことが負担になるかといえば、たとえば技術者のうち何人かをそちらに回してやらなければならないだろうなというくらいのことでありまして、特別な予算も要りません。したがいまして、そこで今後のことを実験いたしましょうということでございますが、いわゆる実証施設でもあるけれども、日本としては初めてのことであり、またアメリカの同意を得なければ運転ができないんだから、そこでいろいろと得たところの資料、これはひとつ今後とも出しましょうということでございます。  したがいまして、アメリカの言うところのいわゆる商業用施設ということになりますと、私たちが考えております第二再処理施設、これがそれに該当するのではなかろうか、こういうふうに存ずる次第でありますが、これに関しましても、その設立並びに敷地選定等々に関しましては、これは当然やっていかなくてはならない問題だから、その再処理施設がたとえ民間であっても、そこでは単体抽出だけではなくして、もしも世界的に、多少費用がかかっても世界は全部が混合抽出に切りかえたんだといえば、それをもって動かす方法もあろうから、そうした意味合いにおきまして、われわれといたしましては、今日ただいまの東海の再処理施設は商業用ではない、あくまでこれは実証炉である、そういうふうな概念で動かしていくつもりで、米国もそれを了承しております。
  67. 貝沼次郎

    貝沼委員 商業用の再処理施設ではないというふうに理解をしておるということでありますが、そうなりますと、二年たった後、現在のあの東海村の再処理工場においては商業的な事業は営まないということになりますか。
  68. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 これは能力が二百十トンでございますから、したがいまして、米国も二百十トンという能力の施設が商業用だとは考えません、こういうふうな考え方であります。
  69. 貝沼次郎

    貝沼委員 そうすると、処理能力によって商業用とか研究開発というふうに判断をしておるという意味でありますか。
  70. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 もちろん、九電力からいよいよ本物の使用済み燃料を持ち込みまして、それに対しましてはやはり再処理費用というものをちょうだいするわけでありますから、それをどういうふうに今後扱うかという問題もございます。純粋に商業として、手数料ですよ、再処理賃ですよと言って取るのか、あるいはまた、いやこれは一つの実証施設としての負担分ですと言って取るのか、いろいろございましょうが、まだそうした細かいことまでは私たちは——一応あれは実証炉であって、二百十トン程度ならば商業用ではなかろう、こういうふうなことで米国も了解いたしておる次第であります。
  71. 貝沼次郎

    貝沼委員 まあ、そこから先はまずいのかもしれませんけれども、やはり東海村の再処理施設というのは第一工場として実証まで持っていくということもあったでしょうし、それからもう一つは、たとえ二百十トンでもそれで再処理をしていこうということで始まったと思うのですね。そういうようなところから考えると、これから二年後どういうふうになるのかわかりませんけれども、いまこれが研究開発だけであるというふうに区切ってしまうと、また二年後言い直しをやらなければならないんじゃないか。アメリカとの間においてはそれはいろいろ話の仕方があるでしょうけれども、現在、日本の国の中の制度として考えた場合には、これはやはりある程度はっきりしておかないとうまくないんじゃないかなという感じが利はいたします。  なお、それに関連して、たとえばこれは報道によるわけでありますが、電力十社は二十二日から運転開始したこの動燃事業団の東海村再処理工場などで五十六年までの再処理対策をもうすでに終わっておるというふうな報道もなされておるわけでありますが、こういうものとの兼ね合いは一体どういうふうに考えたらよろしいのか、現在、実際そういう五十六年までの対策というものはどういうスケジュールになっておるのか、この辺について答弁を願います。
  72. 山野正登

    ○山野政府委員 ただいまの先生の御質問は、動燃の再処理工場の実証工場としての性格とそれから将来五十年代半ばまでの電力会社の使用済み燃料を再処理する、まあ事業的な性格を持った仕事との関連という意味合いからの御質問かと承知しておりますが、一般的に商業規模の再処理工場と言われておりますものは、大体年間の生産量にいたしまして一千トンないし千五百トン程度処理をするものというのが世界的な社会通念になっておりますので、そういう意味合いからも、現在の年間二百十トンばかりの再処理工場というのは、あくまでも研究的、実証的な性格が強いわけでございます。ただ、こういう研究的、実証的性格が強いとは言い条、やはり年間、将来は二百十トンの処理能力を持つわけでございますから、実証試験をしながら、しかも再処理の仕事はするということはできるわけでございまして、この処理能力を活用しまして電力会社の使用済み燃料の一部を、これは年間二百十トンでございますので、フルに稼働するようになりましてもたかだか七百万キロワット程度の電力を発生する原子炉をサポートする程度のものしかないわけでございますが、その程度のものは今後数年間の実証試験の後、幸いにして二百十トンのフルパワーの運転に入りましたときには支え得るといったふうなことになろうかと思います。そういう意味で、先ほど二十二日の決定の際に電力会社が五十六年までの手当てはできたというお話がございましたが、ちょっと私その記事を承知しないのでございますが、恐らくそういったふうな意味ではないかというふうに考えております。
  73. 貝沼次郎

    貝沼委員 きょうは規制法の質問をやっているわけではありませんから、そこまで入らないのですけれども、いまの答弁でずっといきますと、再処理を民間に云々という話は、それなら、この規模までなら研究段階だからよろしいのかという疑問が出てくるのですね。あるいは、少なくとも民間が研究開発のためにやることは構わない、ところが、これは事業に相当するのか相当しないのかという語句の解釈が出てくると思うのですね。事業の定義というのは、こういう規模というのは入っているのですか。規模そのものではなしに、むしろ経済性の問題であるとか、そういうことが入っておるのだと私は思うのです。それで、私はそういうところから非常に疑問に思うわけです。いまの段階だから研究的なんだ、実証的なんだということばかり言っていきますと、かえって法律の抜け穴が大きくなってくるような気がして心配しておるわけですが、この点の心配はありませんか。
  74. 山野正登

    ○山野政府委員 ただいまの動燃の再処理施設と申しますものは、あくまでも実証用の施設をつくるという目的でつくったものでございまして、御指摘のように、まず処理量を決めて、それだけの処理量だから商業用ではなくて実証用であるというふうに私どもが申し上げておるわけでは決してないわけでございます。もともと研究用、実証用のものをつくろうということから発想いたしまして、現在の二百十トンの規模に到着したわけでございまして、そういう意味で緊急にいまつくっておるわけでございます。  経済性という点につきましては、先ほども申し上げましたように、ある程度の規模を持ちませんと、商業的な採算ベースには乗り得ないわけでございますから、この二百十トンの工場で将来フルパワー運転に入りましても、それをもって、これが経済的に商業ベースで競争し得るだけの力を持った工場になるということは絶対にあり得ないというふうに考えております。
  75. 貝沼次郎

    貝沼委員 そういうふうに商業的に認めがたいようなものが、どうしてアメリカとの交渉であれだけ商業的なものは認めるとか認めない、しかもその対象は東海村の再処理工場をストップさせてやったわけでしょう。本当にそれが対象にならないんだったら、すっといったってよかったんではありませんか。
  76. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 そこがわれわれが主張したいところだったわけであります。特に、カーターさんの言っている商業というのは、アメリカにおいてはすでに民間会社がやっているわけで、わが国の東海は何々株式会社がやっておるのではなくて、政府の付属機関がやっておるのである、そうしたことを事業団がやっておるのだ、その点を十二分に考えたならば何が商業だ、カーターさんの原則に触れないよというところからこの問題は出発いたしましたので、アメリカといたしましてもその点を十二分に理解した結果ではないか、かように存じております。
  77. 貝沼次郎

    貝沼委員 大体わかりました。  それで、二年後問題になるわけでありますが、この二年の間、わが国が特にこれとこれは当然なさなければならないというようなものがあると思いますが、それはどういうものがありますか。
  78. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 技術的な面に関しましては局長から、いろいろ日米合同調査の結果等もございますから、申し述べることと存じます。  一応これは政治的にも大きな議題でございましたから、二年後のことをまだ約束したわけではなく、二年後のことはあくまでも白紙でございます。白紙でございますが、しかし、われわれが腕をこまねいて二年を過ごし得るかというと、決してそのようなことであってはいけない、かように私は存じます。  したがいまして、まず第一番目は、国際的に日本はどういうふうな立場をとっていかなければならないかという問題でありますが、過般もINFCEPに出かけます代表団の出発に当たりまして、私は平易な言葉ですが、次のように申しておきました。それは、米ソはもちろん、英国、フランス、ドイツ並びに日本、この六カ国、が今日ただいまは核についての一応先進国として一台のバスにちょうど乗ったところである。日本はそのバスに乗れるか乗れないか非常に問題であったわけでありますが、とにかく私たちは乗り込みました。だから、その六カ国がバスに乗っておる。だから、単純に乗客だと思って景色をながめておってはいけませんよ、われわれみずからが核の不拡散と原子力平和利用は両立し得るというそうした大きな主張があるので、この主張のもとに、時と場合には車掌もしなければならぬだろうし、あるいはハンドルを握ることもあるであろう、それくらいの気構えで進まなければならぬ。いまでこそ核の不拡散と原子力平和利用は両立し得る、これはINFCEPにおきましても認められました。いまINFCEPとPまでつけましたが、この間の会合でPはやめようということで、INFCEまででございますが、INFCEにおいてそのことは認められましたが、これは言うべくしてなかなか言いがたい問題で、これを最初に唱えたのは日本であるというふうなことからも、私たちはそれを今後も世界的な原子力問題の中においても主張すべきだ、こういうふうにわれわれは考えております。
  79. 山野正登

    ○山野政府委員 今後二年間にこの再処理工場で何をなすべきかという点、若干補足申し上げますが、まず対内的と対外的と両面あろうかと存じます。  対内的、国内的に申し上げますと、一つは、この二年間の運転によりまして施設の性能の確認をする、性能の保証をするということに加えまして、将来私どもは第二再処理工場というものはできるだけ自主技術で建設したいという強い希望を持っておるわけでございますので、このための技術の蓄積をこれで図ってまいりたいというふうに考えておるわけでございます。  それから、対外的には、ただいま大臣から申し上げましたように、今後二年間核燃料サイクルの各般の問題につきましてINFCEの場で検討されるわけでございますが、日本はその中の再処理問題を担当いたします第四グループの議長団の一員となりましたので、この再処理関係の検討をするに必要な各種の技術データを、積極的に自発的に動燃工場の運転の成果から、このINFCEの検討の方にフィードしてまいりたいというふうに考えておるわけでございまして、たとえば先ほども出ましたOTLを使っての混合抽出の検討の結果であるとか、あるいは保障措置技術の改善のための研究成果といったようなものをINFCEの場に提供してまいりたいというふうに考えております。
  80. 貝沼次郎

    貝沼委員 先ほどから国際核燃料サイクル評価、いわゆるINFCEの問題で議論が出ておりしまたが、このINFCEの場で、ただいま局長から答弁がありましたように、INFCEの再処理部会の議長団にわが国がなった、したがって今後国際的なプルトニウム利用体制の確立にどのようなリーダーシップをとるかというのは注目されておるわけです。いまのお話のようですと、たとえば技術的なデータでリードする、あるいはセーフガードの問題など研究してリードしていきたいということでありますが、この点はわかりました。  もう一つ、このINFCEと二年後の東海村再処理施設に関する運転方式、これはどういうふうに関係づけて考え、どういうものを主張なさっていこうとなさるのかということですね。先ほどの話ですと、単体抽出というものを中心にやっておるが、混合の方も研究するみたいなにおいがあったと思いますが、こういった点についての大臣の答弁を伺いたい。  それからもう一点は、もう時間が余りありませんからまとめて申し上げますが、カーター大統領の演説で国際燃料銀行の設立ということを言っております。それから使用済み核燃料の貯蔵をすべて米国だけで引き受けることはできないとしながらも、米国としてはこの貯蔵問題の解決に努力をするというような意味の演説がなされたようでありますけれども、これについてはどのようなお考えをお持ちなのか、答弁をお願いします。
  81. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 日米原子力交渉におきましても、その中心はプルトニウムということでございました。INFCEもさような意味においてプルトニウム並びにその再処理というのが非常に大きな課題ではないだろうか、私はこういうふうに思います。  そこで、これはまだ私の考え方でございますが、プルトニウムをなぜつくるかというところから出発いたしますと、日本の場合はあくまでも天然ウランの効率を六十倍、七十倍にする高速増殖炉の燃料としてプルトニウムを使う、これが私たちの最終的な願いでございます。その過程におきましては、軽水炉においても使い得るものならばプルトニウムも使いたい、そういうふうな願望もわが国にあるわけであります。  ところが、この二つを分けてプルトニウムとの関連を考えますと、まず軽水炉でありますが、世界四十四カ国がすでに軽水炉を持ち、またその計画をいたしておるということになりますと、その中においてあるいは国威発揚だというふうな国がなきにしもあらず、ここら辺も非常にアメリカは心配したのではなかろうかというふうなことから、私が冒頭に申し上げました二年間自粛いたしましょう、ただこのことも将来必要でしょうから、その調査研究はやりますよということに相なったわけでございますが、二番目のことを考えますと、つまり高速増殖炉は相当お金が要る問題でございます。日本におきましても、原子力に関してはこの十年間に四兆円を算するであろう、こういうふうなそろばんを考えますと、その四兆円というものは、世界第二位のGNPだと言っている日本においても、財源的に今後どうするかという問題は本当にむずかしい問題だろうと思います。しかし、それをやっていかなければならぬ、こういうふうに考えますと、はなはだ失礼な言い分でございますが、もしそれ、そうした財源措置等から考えれば、世界の中においてはある程度の国に限られてしまうのじゃなかろうか、こういうふうなことも言い得るわけで、こうした二つの問題を今後世界の会議の場においてどのように処理をしていくかということになりますと、大ざっぱに申し上げて、核先進国と先進国でない国々、またGNPの大きい国と大きくない国々、また天然ウランを持っている国と持っておらぬ国々、こういうふうな分類がなされまして、その中において平和利用と核の不拡散の両立を図ろう、こうなってくるわけでございますから、私はそういう問題を見透かして考えてまいりますと、ある程度一つの線は出てくるのではなかろうかとも思うのでございます。  そうしたところから私はカーターさんが核燃料バンクというものの構想を申し述べられたのではないか、かようにも察知いたしますが、まだ大統領の核燃料銀行に関する具体的な内容を出したというのは存じておりませんので、しかし、それは将来においては当然考えられる一つの方法であるかもわからないな、こういうふうに思うのであります。ただ、そこには天然ウランを持っておる国、持たない国あるいは技術を持った国、持たない国、あるいは大きくは核兵器保有国、保有国でない国、こういう間におけるところの調整も当然やっていかなければならぬ、さような意味でも日本の使命は非常に大きいのではなかろうか。私たちはあまくでも核兵器は持たないとはっきり今度の交渉におきましても言うておるわけでございまして、そういう点からも、私は非常にこの問題は大変であろう、こういうふうに考えております。  したがいまして、貯蔵プールに関しましては、これは恐らく——いままでカーターさんが商業用の再処理はちょっと待った、こう言っております。しかしながら、軽水炉の発電に続いて使用済み燃料をどうするんだという問題がございましょうから、当然どこかにおいて貯蔵しなくてはならないであろうし、また、どこかがもしもいろいろ燃料に不足を来したときには、分け隔てなく燃料を、つまり今日程度の濃縮燃料ならば差し上げてもいかがであろうか、そうしたいろいろなアメリカの新政策から出た新しい措置ではなかろうか。かようにいたしておりますが、いずれINFCEの各委員会におきまして、より具体的な問題がおいおい出てこよう、こういうふうに考えております。
  82. 貝沼次郎

    貝沼委員 だんだん時間がなくなってきましたので、先に進みたいと思います。  実はこの東海村再処理工場は、運転に入ってから何回かトラブルが起こっておるわけでありますが、こういうときにこういうトラブルが起こるということは、いまでなくてもいつでもよくないわけですけれども、非常にうまくない、私はそういう感じがするわけであります。  そこで、事務当局の方に、いままでたしか四回だと思いますけれども、どういうトラブルがいつ起こって、その報告はいつなされたのか、その対処はどういうふうになされたのか、これについて報告してください。
  83. 牧村信之

    牧村政府委員 ホット試験以降の再処理工場のトラブルにつきまして御報告いたします。  まず第一番に、九月二十四日、再処理工場の脱硝装置、脱硝塔ノズル配管から水漏れがございまして、この水漏れの水の中に含まれておる微量のウランがございましたが、その水漏れによりまして作業員の足に汚染が生じたということでございます。これは非常に微細なトラブルでございましたので、動燃が再処理工場の運転の経緯を報告する時期に外部に発表しております。  それから、同じく九月二十九日でございますが、東海の再処理工場の中の作業室にクリプトンが若干漏洩したというトラブルでございます。この漏洩した部屋は本来いろいろな放射性物質を貯蔵するような部屋でございましたので、そこでは当然放射性レベルが将来高くなるところでございますが、そういうところでございましたので、特別な管理がされておるということで、人が常時入らないという場所でございますが、そこの漏洩がございました。これもただいま先に申し上げました報告と同時に、少しおくれまして一括報告した関係で、十月七日に報告されております。  それから、十月六日に、再処理工場の最初の工程でございます核燃料を切断する勇断の工程で一つのトラブルがございました。これは機械が故障したとか放射線が漏れたというものではございませんで、核燃料を裁断機で切る工程でございますから、それの切れたものを受けるホッパーがございます。この中に、切った使用済み燃料破片、セルと申しておりますが、セルが詰まってしまった。そのためにその工程を一時ストップさせたということがございます。これは十月六日に起こりまして、その詰まりましたものを取り出すというような観点からいろいろ検討が行われたわけでございますが、報告自体は私どもの方にはその翌日に参りまして、公表いたしましたのは十月十二日でございます。これは動燃として詰まったものをどういうふうに取り出すかというようなことも十分見きわめたいというようなこともございまして、若干外部に報告するのがおくれたというようなことから、一部御批判を受けたものでございます。われわれの方も的確に処理しなかったことがちょっと悔やまれておりますけれども、そういうものでございます。  それから最後に、十月十四日でございます。分析所、これは再処理のいろいろなサンプルの分析をするところでございますが、分析所のグローブボックスの中で分析作業をしておるわけでございますが、そのグローブのつけ根付近に非常に小さなきずがあいておりまして、作業員が気づかず作業を進め、二名の作業者の作業衣に微少なプルトニウムが付着したという事故がございました。これは幸いにして作業終了後測定するということで、プルトニウムを吸引するというようなことも当然なかったわけでございます。これは液体でございましたので、そういうことはなかったということではございますけれども、若干問題点といたしましては、二人の方が汚染を受けたわけでございますが、最初の人が——直でこの仕事をしておりますが、午前中の直の人が衣服についたのを気づかずに退出し、その次の直の人が発見して、これでは前の人もあるかもしれないというようなことで、直ちに前の人の着衣に付着したのを見つけた、こういうようなトラブルがございました。  以上、四件があれでございますが、この最後の件の発表は十月の十五日でございまして、翌日でございます。
  84. 貝沼次郎

    貝沼委員 いま説明がありましたけれども、要するに、この短い期間に四回のトラブルが起こった。そしてその四回のうち一番最後のものは、一直の人が実際に作業衣が汚染されておるにもかかわらずわからなかった。二直の人になって初めて衣服でわかったので、初めの人をまた調べた、こうなっておるのですね。こういったことは、ちょっと考えられないようなことばかり起こっているのですね。原因一つ見ても、フランジボルトの締めつけが悪かったとかあるいはユニオンの締めつけの問題だとか、しかも実際にこれに遭っておる人たちは十年選手と言われるようなベテランであるというようなところから、単なるトラブルではなしに、やっておる人たちの空気といいますか、その作業の状況といいますか、こういうところに非常に弛緩があるのじゃないかという感じがいたします。  そして、特にこの報告のおくれですね。これは現在どういう法律によって報告がなされておるわけですか。恐らく核燃料物質の使用等に関する規則によるのではないかと思いますけれども、これはどういう法律によってやっておりますか。
  85. 牧村信之

    牧村政府委員 事故の報告につきましては、規制法に規定がございまして、設置者、この場合は動燃事業団でございますけれども、報告の義務を課せられたものがございます。ただし、この報告すべき事項は、ただいま私が申し上げた四点のような、問題になるものは非常に少のうございます。通常、法律によって報告をするものは、核燃料物質が盗まれたというような場合、あるいは施設の故障、これは軽微なものを除いておりますけれども、そういうことがあったとき、それから核燃料物質が異常に漏洩した場合、それから従事者に許容被曝線量を超え、または超えるおそれのあるような場合、その次に、その他人の障害が発生し、または発生するおそれがあるときというように、大きくカテゴリーに分かれておりまして、これは法律によって報告しなければいけないということになっているわけでございます。しかしながら、動燃事業団のようなプルトニウムあるいは再処理工場というようなところでのトラブルにつきましては、世の中の人々の注目も非常に高いところでございますので、科学技術庁としてはそのような大きな故障あるいはトラブルのみでなくて、もっと軽微なものについても十分に実態を知っていただきまして、それが影響があったのかなかったのかということも含めまして知っていただくということがいまの情勢では大切であろうということで、相当ささいなものにつきましても監督命令によりまして報告していただいているというのが実態でございます。
  86. 貝沼次郎

    貝沼委員 この法律で議論すれば長くなって時間がありませんけれども、ただいまも話がありましたように、「異常にろうえいしたとき。」という、その「異常」というのはどうなのかという問題がまずあるわけですね。それからさらに「直ちに」という言葉が入っている。その後に、「状況及びそれに対する処置を十日以内に長官報告しなければならない。」こういうふうになっておりまして、この「直ちに」というのについて科技庁では、直ちにといってもいろいろあるから、一日くらいというふうにたしか考えておるみたいな感触も受けたのでありますけれども、それは間違っておったら後で正してもらいたいと思いますが、法制局の見解ですと、直ちにとか速やかにというのは時間的即時性が強い、合理的遅滞であるとか正当な理由による遅滞は認められない、こうなっておるのですね。したがって、これは直ちに科技庁に報告が来なければならぬ。それで、それがマイナーなものであるとかそうでないとかいうものは、これは科技庁で怪しいものについては判断すればいいことであって、監督官庁である科技庁にそういう報告をすべきものなんだろうか、そうでないのだろうかと迷うようなものが即座に報告が来ないということは、余りよくないと私は思うのですね。この辺のところをやはりきちっとやってもらわなければならないのではないかと思います。その点について見解を。
  87. 牧村信之

    牧村政府委員 ただいまの御指摘の「直ちに」ということは、先生のおっしゃいましたように、先ほど私が最初に申し上げましたような、法律に基づくようなそういう事故があったときは、先生がおっしゃいましたように、直ちに——のんびりしていて翌日でいいというようには考えておりません。それから、それじゃ大したことない——大したことないというと語弊がございますが、もう少し軽度のトラブルについてはどうかということにつきましては、私どもの指導といたしましては、できるだけ早くということで期待しております。  これはある意味では動燃事業団自身が、そういう事象が起きたときに所内でどう判断するかということもある程度は大事でございます。報告する、しないの問題ではございませんで、そういう内部をしっかり通って私どもの方へ来るようなことも必要でございましょうし、法律に基づかないものが同じように直ちにとは、実はいまの時点では考えておりません。しかしながら、二日も三日もしていいということではございません。当日の昼に起これば当然夕方までには来る、夜中であれば朝ぐらいまでにはちゃんと来ておるという程度のことを実は私どもはいま考えておる次第でございます。
  88. 貝沼次郎

    貝沼委員 それじゃ時間がありませんから、この「異常にろうえいしたとき」という「異常」というものの基準を後で文書報告していただきたいと思います。  それで、この動燃の場合は、実はこの再処理の問題だけでなく、前に問題になっておったかと思いますが、九月一日に第二開発室における従事者がプルトニウムを吸い込んでおるわけですね。これなども何か話によりますと、ちょっとしたミスなんですね。そういうところからプルトニウムを吸い込んじゃって大騒ぎをしたという問題があります。こういったのはどれぐらい報告がおくれておるかというと、五日間もおくれておるわけですね。こういうことがありますので、そういう報告体制というものはもっとはっきりとしておかなければならない。しかも、昭和五十年ですか、五十一年ですか、科技庁の方から動燃に対しては厳しくこういうことについての強化を指示しておるわけでありますが、その後こういうことが起こるということはきわめて遺憾である、こう思うわけであります。こういうことがあるのでは、たとえば規制法で言っておる民間の再処理云々なんということは、これはもう示しがつかない。こういうことをはっきりしなければ、とてもじゃないけれども、大変ではないかという感じがするわけでございます。  それから、あと二、三分あるようですから、もう一言伺っておきたいと思います。  現在の民間のたとえば十電力、この電力会社は法的にプルトニウムを持って保管することはできるのでしょうか。
  89. 牧村信之

    牧村政府委員 できます。もちろんプルトニウムは特殊核物質でございますので、保管に当たっての安全確保が十分であれば、核燃料物質は現在のところ民有でございますので、民間で保管は当然できることになっております。
  90. 貝沼次郎

    貝沼委員 所有権は当然その電力会社にあるわけでありますから、これは私は所有権はあると思います。ただ、その場合に、保管しておくということが、たとえばアメリカのカーター政策その他の関係、不拡散との関係、セーフガードの問題、こういったことを考えた場合に——現行法では持ってはならないということはないわけですね。これは何にもないわけです。持っているのをよこせと言うこともできないわけですね。これがもし、たとえば英国の燃料公社ですか、英国に頼んで再処理をしてもらって、プルトニウムはすでに五百六十キログラムのうち三百キログラムが日本に入っておるわけですね。これは実際に動燃で使っておるかどこかでやっておるわけですけれども、また二百六十キログラムが英国に残っておる。これがその民間の所有権のもとに来た場合に、政府はどうなさるのですか、どう指導されるわけですか。
  91. 牧村信之

    牧村政府委員 現在のところは、輸出入手続だけでございます。
  92. 貝沼次郎

    貝沼委員 大臣、日米交渉の後において、そういう世界的な空気の中で実はこういう問題が出てきておると思います。したがって、単なるセーフガードという問題だけではなしに、たとえば政府がそういう民間所有のものに対してどう対処するのか。民間がそれをたとえば保管するというような場合に、これだけの防護措置をしておりますと言った場合に、政府はそれを査察するだけの権限があるのかないのかというようなことになってくると、これはちょっと新しい問題になってくるのではないかと思います。こういった問題についても今後議論をしていかなければならぬと思いますけれども、きょうは問題提起だけをして終わっておきたいと思います。  時間が参りましたので以上で終わりますが、一言感想を述べてください。
  93. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 今回は特にPPと申しまして、御承知の核燃料物質防護体制に関しましても、相当日米間におきましていろいろと私は議論をいたしたものでございます。特にそうしたことを見逃してはいけないというごとは両国で一致いたしておりますので、なお一層そうした面で確実な方法を見出そうではないかということも、今後の重大な課題であろうとわれわれは心得ております。
  94. 貝沼次郎

    貝沼委員 終わります。
  95. 岡本富夫

    岡本委員長 次に、瀬崎博義君。
  96. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 きょうは、日米再処理交渉とその結末でもあります共同声明、共同決定について伺いたいと思います。  まず、東海再処理工場の運転について、結局暫定取り決め二年間となったのですが、この二年間となった根拠を説明していただきたいと思います。
  97. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 はっきり申し上げまして、福田・カーター会談が行われる前夜ぐらいまでは、アメリカは東海村再処理施設を何としてでも動かさないように福田さんに頼もうではないかということ、これがアメリカの出発点であるということを、私は訪米の際に有力な方から耳にいたしました。そうしたことで交渉が始まったわけですから、やはり交渉に際しましては相手の立場を尊重しなければならぬ、こういう気持ちも当然わが国の外交にあるわけです。しかし、将来はこれは大変な問題ですから、全部が全部アメリカの言い分を聞くわけにはまいりません。そうした意味で、たまたまINFCEが二年間あるから、そこでいろんな問題に関して世界じゅうが集まって話をするんだということになっておりますから、その結果も十二分に勘案しながら、今後日本としてはより一層りっぱな方向原子力平和利用をしよう、こういう気持ちに立ちましたときには、INFCEということを念頭に置きまして、日米共同決定をしなければならぬが、とりあえずその二年間、われわれとしてはさような趣旨で東海村の再処理施設を動かそう、だから日本の言い分ははっきり言って全部聞いてほしい、これが私たちの考え方であったわけであります。
  98. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 いまのお話の中で、当初カーター大統領は東海の工場を動かさせないという意向であったようにおっしゃいましたが、そんなことだと、私どもは決して工場を動かせと言っておるのではありませんけれども、日米原子力協定が結ばれておって、その八条C項というのはあくまで再処理工場の建設は前提になっておるし、建てた以上動かすということは前提になっておる、動かす場合の条件の取り決めだけであるという説明がかつてこの場でもあったわけですが、そういうことを言ったアメリカは何と心得ておるのか、アメリカが一方的に動かさせないぞなどということを持ち出すこと自身、非常に日米間の外交上問題ではないかと思いますが、この点はどうですか。
  99. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 いま瀬崎さんが言われたとおりのことを、私もやはりアメリカにぶっつけたわけであります。そして、この間も予算委員会で明らかにいたしましたが、恐らくこの問題はカーター大統領が大統領選挙の最中に核の不拡散、これは世界じゅうでひとつかたく戒めようではないかと言った、それはカーターさんの宗教的な信念から出たことであろう、だから私は必ずしも日本だけがその対象ではなかったと思いますが御就任の後に、たまたま日米間においては原子力協定があって、八条C項があったから、片一方においてはINFCEをしなくてはならぬ、その前に八条C項というものがありながら何か無原則に日本もどうぞ、たとえそれが実証期間であっても動かしてよろしいというのは不都合な話ではなかろうか、こういうことから動かさせまいというふうなかたい決意が当初はあった、こういうふうに私は考えています。しかし、その後粘り強いわが方の外交的な努力によりまして、いろんなことをアメリカが理解してくれたから今日のそういう体制になったということでございます。
  100. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 一応二年間の根拠としてはINFCEとの関係だということをおっしゃったんでありますが、この共同声明の中でその点については「両国は、使用済み燃料の貯蔵の可能性並びにその他再処理に代わる技術的及び制度的な代替策を含めINFCEPの結果を考慮に入れる意図を有する。」とうたわれているわけでありますが、ここで言われている再処理にかわる技術的な代替策とは、一体どういう範疇のものを指しているのか、答えていただきたいと思います。
  101. 山野正登

    ○山野政府委員 ここで申しております「再処理に代わる技術的及び制度的な代替策」と申しますのは、技術的代替策としましては、たとえて申し上げれば、使い捨て核燃料サイクル、これは先生御承知のように、タンデムサイクルとかあるいはスペクトラルシフトとかいろいろあるわけでございますが、こういった使い捨て核燃料サイクルでございますとか、あるいはウラン・プルトニウムサイクル以外の核燃料サイクル、たとえばトリウムサイクルを熔融塩炉に使うといったふうなことを、技術的な代替策というふうに言っておると思います。  それから、制度的な代替策でございますが、これは再処理にかわるわけでございますので、再処理をいたしませんで原子力発電を続けていきまするためには、一つはウラン資源を安定的に継続的に供給してまいるということと、それから使用済みの燃料につきましてこれを再処理しないで保管するための、たとえば国際的な枠組みをつくるといったふうなことが考えられるわけでございますが、そのようなものを制度的な代替策というふうに言っておると考えております。
  102. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 それでは、そういう使い捨ての核燃料サイクルであるとかウラン・プルトニウム以外の核燃料サイクルということがINFCEの検討の中に含まれるんだということを理解した上でこういう項目を約束しているというのですから、もしもそういう使い捨てサイクルであるとかあるいはウラン・プルトニウム以外のサイクルというふうな結論が出てきた場合に、一体、東海の工場はどうなっていくのですか。
  103. 山野正登

    ○山野政府委員 これはこのたびのINFCEの共同コミュニケにも盛られております大原則でございますが、INFCEの結論というのは参加国の今後の原子力政策というものを拘束するものではないわけでございまして、そういう意味では、INFCEの結論が出れば必然的にこれに従ってわが国の原子力政策を変えていくといったふうなことには、ロジカルにはならないわけでございます。  ただ、そうは申しましても、やはりわが国の原子力開発というのは、国際的な関係抜きにして、鎖国的に進めていくわけにはもちろんまいらぬわけでございますから、これはこれで十分に結論は尊重してまいりたいと考えますが、INFCEの結論を尊重しながら、その間わが国で行った研究開発等の成果もにらみ合わせて決めていく。たとえば技術的に実現可能かどうか、経済的な可能性はあるかどうかといった、もろもろの観点から評価をして、方向を決めていくというふうなことであろうかと考えております。
  104. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 いま言われたように、確かにINFCEの共同声明では、参加国がその結果に拘束されないとか、あるいはINFCEの作業期間中も各国独自の計画は阻害されないというふうな取り決めがあるのですね。  そこで、お聞きしたいのですが、自分の国の再処理計画の遂行に当たって、わざわざINFCEの結果を受け入れる意図を有する、これが日米共同声明の言葉でありますが、こういうことを別途二国間協議で決めているような国が日本以外にありますか。
  105. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 御承知のとおり、米国と原子力協定を結んでいる国は二十カ国ばかりございますが、共同決定をしたのはわが国が最初であります。
  106. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 それでは、今後そういう二国間の共同決定を行う場合に、日本並みに他国も、INFCEの結果を受け入れる意図を有する、というふうな文言が入っていくのが世界の大勢であろう、アメリカは大体そういうふうにしていくだろうというふうなお考えなんですか。
  107. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 だから、交渉の過程において私は、いまあなたの国とこういう問題を議論しているのはわが国だけだよ、果たしてフランスやあるいはまた英国やドイツともこういう話をしてないじゃないですか、何のために日本だけを拘束しようとするのですか、それだけ日本が憎いのですか、はっきりそこまで私は言い切ったわけでございまして、決してさようじゃない、今後われわれとしてもいわゆる核の不拡散というたてまえに立ったときには、ひとついろんな意味合いにおいて同様の協定を日本以外の国々、つまりヨーロッパの国々とも持ちたいと思っているのだ、これがアメリカの意向でございました。
  108. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 一方においてわが国はINFCEに加わって、その中ではINFCEの結論に拘束されないという取り決めを行いながら、一方アメリカとの間ではINFCEの結論を受け入れるというふうな取り決めをするのは、非常に矛盾している外交ではないかと思うのです。その点、長官はどうお思いになりますか。
  109. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 決して矛盾していると思いません。やはり核の不拡散と原子力平和利用というものは日本が初めて言い出したことで、現に総理もカーターさんに対しまして、ロシアとあなたが軍事転用をやめなさい、そこまで言っているわけでございますから、核の廃絶ということに関しましても私たちは主張しなければならないわけであります。だから、この二つの理論がINFCEにおいても確立されることを望みます。  同時に、先ほど局長が答えたことでほぼ足りておるわけでありますが、たとえば私たちは現在もなおかつプルトニウムサイクルというものが、これは同じ原子力平和利用の面におきましても一番経済的であり、またわが国にも適しておるし、すでに技術は確立されておる、こういうふうに信頼をいたしておりますが、ではここで、たとえばINFCEでそのほかのトリウムがいいんだ、その方がいいんだということになりましても、果たしてその改造をさらにこれから二十年、三十年かけてその技術を確立するということが、世界の資源有限時代に、特に天然ウランは資源有限でありますから、したがってそのようなときに許されるであろうか。私は、こうしたことがやはりINFCEで十二分に議論されると思います。また、たとえそういう技術があったとしても、それにかかるには大変な金がかかるのだ。そういうことが、これからますます燃料を大切にしなくちゃならぬ、エネルギーを大切にしなくちゃならぬ世界で、本当に真剣にまじめに考えていい問題であろうか。こういうことは、やはりイギリスにもアメリカにもわれわれにもドイツにも言い分があるから、そういうことをざっくばらんにお互いがぶちまけることが大切だ。だから、その議論等々を私たちもじっと考えましょうよ、こういうふうに言っておるわけでございまして、そこで恐らくりっぱなまとまった考えに近いものが皆の協同によってあるいは生まれるかもしれません。もし出たならば、それがたとえ高くついても、この方が軍事転用も防げるし、また核の拡散も防げるから、この方が大切なんだ、しかしこれは非常に高くつくよ、高くついても世界じゅうが協力してこうするんだという方法が見出せればそれも結構じゃないか。だから、そういう意味合いにおきまして、この二年間のINFCEにおきましては、各国それぞれの工場でそういう主張をしよう。われわれといたしましては、現在のプルトニウムサイクルというものがわれわれにとってすでに継続をしてきた技術であるから、これは今後も継続させたいということを主張いたしたい、こういうたてまえでございますので、INFCEの結論を待ちましょうということがうたわれておるのは、そういうふうなことであるとお考え賜りたいと存じます。
  110. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 もう一遍これは将来のために再確認しておきたいと思うのですが、それでは、日米共同声明ではINFCEの結論を待ちましょうということにしてあるけれども、だからといってINFCEで出た結論にわが国が自動的に従うということをアメリカに約束したものではないのだ、こういうことなんですね。
  111. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 非常にそういうふうに、約束したものじゃないんだとかかんだとかいうことで、ストレートのお伺いにお答えいたしますとまた誤解を招きますから、たとえば具体的な方法もきちっと書いてあるわけで、その具体的な方法とは、つまり混合抽出に関しましては両国がINFCEPの結果等々を見て、そしてそれが非常に可能であり、また有効であるということを両国が合意した場合に限り日本は介添えいたしましょう、こういうことをまず具体的に書いておるわけでございますから、そうしたことについて合意はいたしております。そういうふうに合意いをいたしておりますが、そこにもINFCEPの結果等々ということがうたわれておりますので、さようなことをひとつ御理解を賜りたいと思います。決してわれわれが先を見越しまして、こうだから日本に有利だろう、こうだからアメリカに有利だろう、そういうことではなくして、本当にわれわれといたしましてはアメリカの核不拡散という信念も将来の民族、人類のためにも大切な哲学である、これは日本としても大いに立てていかなければならぬ。しかしながら、だといって平和利用を無視してもらっては大変だ、その二つの両立し得るより一層いい方法があれば努力をしましょう、見出しましょう、こういうことでございますから、ひとつそのうに御理解を賜りたいと存じます。
  112. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 先ほどから言われているような大きな作業、一方でINFCEが技術的な代替策を見出すこと自身が大仕事だろうと思うし、たとえ技術的に見出されたとしても、それが宇野長官の言われるように、経済性の面、あるいは核拡散の防止の効果等の比較検討などもしながら一つの結論に到達しようということになると、まさにより以上の大仕事になるので、果たして限られた二年間に結論が出るかどうかを非常に危ぶむし、また現に危ぶむ声が強く出ていますね。もしもこの二年間でINFCEが結論に到達しない場合、二年後の日米間の新たな決定の取り決めは一体どうなるのか。INFCEの結論がずれるに従って日米間の新たな取り決めもまた今回のように何カ月も延ばされるということになるのでしょうか。
  113. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 非常に短い期間でございますが、すでに四十カ国集まって、そして八部門に分かれて真剣に議論をしよう、特にこの会合は御承知のとおり政治的な発言の場ではなくして、技術的な場で大いに検討しよう、こうなっておりますから、かなりなものが出てくるのではないであろうか。もちろん技術的でありましても、それについての経済性等々も議論されるのではなかろうか。     〔委員、長退席、宮崎委員長代理着席〕 このことは、わずか二週間そこそこでありましたが、日米の合同調査団が東海の再処理施設につきましても非常に真剣な議論をいたしまして十五の項目に関しましてもいずれもきちっとした答えが出ております。その中には、幾らかかるとか何年かかるとか、そういう具体的なことも日米間で合意をいたしておるような次第でございますから、私は二年の間にはそうしたものは出るであろうということを期待いたしております。もちろん、日米原子力協定がある限り、その八条C項はいつでもアメリカから出されるものであるということを資源小国の日本は覚悟いたしておかなければなりませんが、二年先はさような意味合いにおきましても当然アメリカと話し合いをしなければならないであろうと私は考えておりますが、まだ結論がどう出る、こう出るという問題ではない。だから、私は初めから二年先は白紙ですよ、白紙ですが八条C項があるということだけはわれわれは常に念頭に置いておく。よく私は申すのですが、日本が本当に開発輸入によって天然ウランを入手し、さらに再処理技術を確立して、自分の国の燃料は濃縮をし再処理して、そして高速増殖炉が動いた、そうなればもう首の根っこを押えられずに私たちは準国産のエネルギーを確保することができましょうが、その間、非常に長い期間でありましても、アメリカとの間におきまして八条C項については私たちもあるということを認識しておかなければならない。ただ、世界がどういたしましてもそういうものが不必要で、それは余りにも資源を持っている国々のエゴである、こういう認識があるいはINFCEにおいて出された等々の場合、日本とアメリカの間はどうだろうか。これはまた私たちは主張すべきことは主張しなければならない、そういう対応もあるでございましょうが、いまのところはINFCEの結果を私たちも見ながら、しかもそのINFCEには積極的に参加して、先ほど申したとおり積極的な発言をしていきたいと考えております。
  114. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 いまの宇野長官の答弁の中でも、INFCEの結論というものもぼくは非常に重要な位置を占めるように思うし、また先ほど暫定期間二年と決めた根拠が何かという問いに対しても、INFCEの結論が出るまでの期間というふうにお答えになっている。  そこで、もう一遍端的にお聞きするのですが、その二年後、暫定期間の過ぎた時点でINFCEの結論が出ていない場合に、日米間の新たな取り決めが一体どうなるか。その時点でINFCEとの関係がどうなるかは話し合われたのですか、そういうことの話し合いは何もなかったのですか。
  115. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 もちろん、いろいろなことを話しております。だから、米国といたしましてもINFCEをとにかく成功に導きたい、こういう思想でやっておりますから、われわれといたしましても、二年たてばINFCEが成功するであろう、そしていままで日本がアメリカに対して主張してきたことが、単に日本だけの主張ではなくして多くの国々も同調する主張であったのか、それともやはり日本だけが主張していたのか、そういうこともわかるであろう。われわれといたしましては、今日、日本の主張いたしておりますことは、ヨーロッパにおいてもおおむねの国が同じような主張を持っておるというふうなことを考えております。
  116. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 さて、われわれはINFCEが宇野長官の思惑どおり動いてくれるかどうかを心配しつつ、次の質問に移ります。  当面は硝酸プルトニウムの形で抽出する条件のもとに運転が認められているわけでありますが、この硝酸プルトニウムの状態のままで将来これを利用する方法というものはあり得るのですか。
  117. 山野正登

    ○山野政府委員 硝酸プルトニウムのままで利用する方法というものはあるまいと考えております。
  118. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 では、今度の日米協議の中で、将来プル転換施設の建設については、どういう取り決めになっているわけなんですか。
  119. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 アメリカはあくまでも核不拡散ですから、その原則にのっとった場合には、硝酸プルよりもむしろ混合貯蔵をしてほしい、その前には混合抽出をしてほしい、こういうふうに言いましたが、いずれも私はお断りいたしました。ただ、硝酸プルトニウムをさらに液体から酸化して粉にするということは一番大切なことですから、そのことに関しましては、その分だけアメリカが酸化プルトニウムをわが国に提供して、それによってわが国の実験施設が動くのならば、われわれといたしましても当然それを転換する工場の建設はしばらく見合わせましょう、こういうことでありまして、これも私は先ほど貝沼さんの御質問にお答えいたしたとおりに、やはり相手の立場を尊重して、核不拡散ということについては大切なことである、同時にPP体制に関しましても、私はアメリカと日本の差を申し上げたはずです。アメリカにはピストルを持っている人が多いが、日本はそんな人いませんよ、法律で禁止していますよ、そのような国家体制そのものをあなたたちは疑って混合貯蔵をせよというのか。いろいろと私も言いたいことをずけずけ言いました。さような意味合いにおいて、われわれといたしましては二年間それを自粛いたしましょうということでございますから、したがいまして、私たちは、当然、将来は転換工場は建設しなくちゃならないものである、こういうふうに考えております。
  120. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 一応、将来転換工場をつくるという前提になっていることはわかりました。  そこで、先ほども若干お話が出ておりましたが、問題の混合油出への変更の問題であります。結局、長官としては混合抽出への変更を約束してこられたのか、約束は一切されなかったのか、この点はどちらなんですか。
  121. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 あの条文に書いてありますとおり、全然約束はいたしておりません。両国が合意した場合に限り、であります。
  122. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 しかし、あの文面の他の場所にはこういうこともありますね。「本施設の運転が混合抽出法で速やかに開始することを保証するような方法で行われる。」となっておるわけなんで、これはあくまでこの二年間の暫定的な運転が、その先の混合抽出法を保証するような形で行われるのであるから認めるんだというふうにわれわれは理解するのですが、そうではないのですか。
  123. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 御承知でしょうが、もう少しく詳しく申しますと、やはり純粋プルトニウムを抽出いたしましても、それを燃料として用いる場合には、ウランを足して、その比率は、現在私たちはプルトニウム三に対してウランが七だ、こう考えております。そこで、混合抽出でそのような抽出が常に可能であった場合には、混合抽出というものは確立された技術になるでございましょうが、しかしながら、その都度その都度三対七が四対六になったりいろいろの比数になった場合はどうであろうかというのが、私たちのまず第一番目の疑問点であるわけでございます。しかしながら、それを今後研究によって開発する、そのためには相当な年月を必要とし、先ほども申し上げましたが、最低二億ドルはかかるということですから、私は、まだ未確立の技術に対して日本のタックスペイヤーに二億ドル、二百五十円といたしましても五百億円、そのような大きな金をいまから約束するということはとうていできない、将来もできない、完全にわが国がフィージブルで、そしてエフェクティブ、可能で実効を伴うということを日本とアメリカが合意した場合に——イフですから場合、こうなっておりますから、したがいまして、まだまだそんな技術は確立いたしておりませんとわれわれが同意をせざる限り、私たちはその改造をする必要はないわけであります。その点ははっきりいたしておることを御了解賜りたいと存じます。
  124. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 これは私、新聞報道からではありますけれども、九月二日にワシントンで、ナイ国務副次官ですか、記者会見をしておるのでありますが、この中で、日本政府は混合抽出を約束していないことを非常に強調しているけれどもという問いに対して、「重要なことは、日本がプルトニウム転換工場計画を進めるというのであれば混合抽出を研究するという決定はおかしくなる。しかし日本は今後二年間、転換工場に着手しないことに同意することにより、ある意味では混合抽出を真剣に検討することを保証している。」、また別の部分では「日本は混合抽出を実施する意向を持っているだけでなく、そうした態度を示す証拠もあると思っている。」とまで言っているわけなのです。アメリカではこういうふうに言って、日本がこの混合抽出への変更を約束したということを一生懸命力説しているわけなのです。かくも二国間で意見が違ったままこれをわれわれは見過ごすわけにはいかぬのです。こういうような点の距離は一体どうされるのですか。
  125. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 ナイさんと私も出会いまして、十二分に今回の共同決定内容に関しましてはナイさんも承知しておるはずで、いまの発言はそのまま私はそれでいいのじゃないか、こういうふうに思うのです。  なぜかならば、日本みずからが二年間は、INFCEもあることでございますから、したがいまして、たとえ単体抽出いたしましても、またその貯蔵は単体貯蔵でございましても、われわれといたしましては転換工場は自粛いたしましょう、こう言っておるわけですから、したがいまして、ナイさんがそれをもってアメリカ大統領の核不拡散という大原則に日本も近づいてくれたと御解釈なさることは当然のことであろうと思います。また混合貯蔵に関しましても、その結果あるいは技術的にも経済的にも本当に、先ほどから申しますとおりに、効果的でありまた可能性があり、こういうふうにわれわれもみずから納得した、国会も当然その前には納得していただき、国民も納得するというふうな段階ならば、われわれといたしましても改造いたしましょう、そのためには、それまでOTLで、混合抽出に関しましては一生懸命に勉強もいたしましょう、さらに、混合貯蔵に関しましても、共沈法等々も勉強いたしましょう、こういうふうに私たちも言うならば誠意を披瀝しておるわけでございますから、私は、ナイさんが言った言葉は、決してそのわれわれの意向とは異なるものではない、こういうふうに考えております。
  126. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 さらにこれはERDA長官代行が、九月十三日の米上院エネルギー委員会の小委員会公聴会でもこの問題に触れているわけでしょう。これも宇野長官がいまのように無理な解釈をされるのでなければ、自然に読めば、アメリカは、この二年間の経過を経て日本は混合抽出の方に移行していくということを前提に認めたのだというふうにしかとれないのです。  ちょっと読んでみますと、「米国が日米合意によって二年間暫定的に東海村の既定方式による運転を認めたのは「東海村施設の安全性を立証するため」であり、「プルトニウム単体抽出を避けるために設計される混合抽出法と、一層進んだ安全保障措置技術をテストするために設定された実験を行うためである」」このために二年間という期間が認められているのだとはっきり言っているし、また「プルトニウム拡散を効果的に管理できる画処理施設は一般的に言って現時点ではない」こういうふうにも証言しているようですね。  こういう点から見て、アメリカも日本側に同意して、単体抽出による現在の運転方法を今後とも認める内容だって入っているのだと力説されてみても、それは通らないのではないかと思うのです。いかがですか。
  127. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 あの共同決定等々をしさいにごらんになりました場合に、日本がコミットをしたとかあるいはまたプロミスしたとかいうような用語は一切ないわけでございますから、その点で、そのまま解釈していただけばいいと思います。  ただ、アメリカにはアメリカとしてやはりカーター大統領が核不拡散を、単に日本だけではなくして他の国々にもそうしたことを及ぼしたいというふうな意図もございましょうから、したがって盟友日本においてもこれだけ自粛をしてくれたんだ、現に私たちも二年間だけ自粛しましょう、その結果はINFCEで話し合いましょう、こう言っておるわけでございますから、アメリカがその辺をいろいろとお考えになって、そしてアクセントをつけられる面は私はやむを得ないんじゃないかと思いますが、問題は約束したかしなかったかということでございますから、これは共同声明においてはっきり書かれておることが一つの大きな約束であって、いまのように、何か二年先には必ずわれわれが混合抽出しなければならないということは、どこにもそうした面では約束はしてない、こういうふうにお考え賜りたいと思うのであります。
  128. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 共同決定の一番最後の部分に、東海の「施設の運転方式が全面的な混合抽出法に変更される場合には……肯定的な共同決定を行う用意がある。」二年後にはですね。つまりその二年後、また東海工場の運転が認められるであろう条件はここに明示されているわけです。つまり混合抽出の方法をとるならばということですね。  じゃ、逆にお尋ねしたいのですが、現行の既存の運転方式、単体抽出の方法のままでも運転できるのだというふうな表現は、どこかにあるのですか。
  129. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 それは先ほどから何回も申しておりまするとおり、やはり日米両方が混合抽出というものがいい方法だよということの場合に限って私たちは改造しよう、こういうふうなことが書いてあるわけで、それがもっと強い勢いで、アンレスというようなことで米国が一歩も譲ろうとしなかったのを、私たちは、それでは一方的なわれわれの義務になってしまう、混合抽出なんというような方法はいい方法はありませんよと日本が言ったとしても、米国は、まだあるまだある、まだあるから両国がそういういい方法はないのだということを認めざる限り日本はつくりなさい、これが最初ですから、私はそのアンレスを取ってしまってイフにして、日米両国が、両方がわかったというときにこそわれわれはつくりましょう、こうなっておるのですから、これが一番大きなポイントだと思います。  そしてまた、はっきり申し上げますと、交渉の経緯におきまして、最初、米国は頭から、協定の改定だというふうな調子でございました。その協定の改定というのは、八条C項ではなくして、いま結ぶことが協定なんだ、だからこの協定さえ結んでもらって、アンレスに従ったところの混合抽出ならば何年先であろうともいいのだ、こんな調子ですから、これでは二年先に日本が有無を言わさざる形において現在の東海の施設を改造しなくちゃならぬ、こういうことになりますから、これに対してまして、私たちが徹頭徹尾抵抗して、幸い認めてくれたのでございますから、その面をひとつ大きくわれわれとしても当然認めていただきたいと思うのであります。もちろん、二年先にはまたさらの立場で私たちは交渉しなくちゃなりません。
  130. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 日本の合意がない限り混合抽出を行うのではないということなんですが、それでは、二年後に日本は混合抽出に合意しないとしましょうか。それでは、現在の運転をそのまま日本として二年以後続けていくということは可能だという考えで、いまいらっしゃるのですか。
  131. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 そうしたことは決して可能だとは考えません。アメリカとの間において八条C項がある限りは、やはり常にアメリカの同意を得なければならぬということですから、これが資源小国のわが国の、共産党といわず自民党といわず、民族共通の悩みであります。したがいまして、私たちは、八条C項というものはないにこしたことはないが、そのC項のもとで、言うならば、当初におきましては何か非常に押しつけがましいなと思いながらも、これだけ努力してまいったのでございますから、やはり二年先、INFCEでも先ほど申し上げましたとおり技術的にいろいろなことが立証されておるであろう、特に今日のヨーロッパにおいては、混合貯蔵なんということを言っておる国ははっきり申し上げてございません。アメリカが、核不拡散ならこれの方がいいのだ、こういうふうに言っておりますが、ヨーロッパにおいては賛成だと言っておる国はありません。しかし、今後アメリカの主張がどんどん拡大されて、なるほどとわかれば、皆が賛成するかもわかりません。そういうことで、まだそういう先はわかっておらないのでございますから、われわれといたしましても、二年先になったらこうだああだということは決して申し上げたくはありません。やはり現行日米原子力協定がある以上は、八条C項に従いまして、われわれは二年先もアメリカとの間において交渉を持たなければならないことは自明の理でございます。そのとき日本の立場はどういうものであるか、それは今日の日本の立場よりも世界というバックがございますから、その世界のバックの中の日本ということを主張し得るような立場になっておるであろうということは私も想像できますが、だからといって、アメリカのイエスもなく、日本の濃縮技術、今日ようやくモデルプラントを建設したばかりの日本が、そんなことはどうでもいいのだというような横着なことはできない。はなはだ残念でございますが、そういう趣旨である、こういうふうに御了解賜りたいと思います。
  132. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 改めて、日米原子力協定がつまり対等、平等の外交関係で結ばれたものではないこと、日本にとってきわめて重くのしかかっておる協定であるということを痛感したわけです。だから、私は、二年間暫定的な運転が行われるに至ったことを果たして喜んでいいのかどうなのかということを、改めていま考え直させられているところなんです。同じ滋賀県でいらっしゃる宇野さんの御努力にけちをつけたくないので、この言葉は控えたかったけれども、しかし二年後の困難をいまの言葉から推察し得るので、アメリカとの関係でどうのこうのではなしに、やはり日本が自主的にあの再処理問題をどうすべきなのか、これは安全性の問題や技術的なレベル、そういうものからこの際もう一遍振り返ってみておく必要があるのではないかというふうに感じた次第であります。  あわせて、共同声明と保障措置との関係なんですが、IAEAが再処理施設において常時査察をし得るとされているわけなんですが、これでは結局NPT体制以前と変わりはなくなってしまうのではないかと思うのでありますが、時間の関係もありますから、簡単に答えてください。
  133. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 ちょっとその前に……。瀬崎さんの主張は主張として、それはあなたの立場の主張でございましょうが、今回これが妥結したことが果たして将来のためにいいのか悪いのかとおっしゃいますと、私はやはり反発しておきたいと思います。そのまま赤旗に載りますと迷惑でございますから。  われわれは、今回のこの交渉はりっぱな結果を得た、そしてわれわれが目指しております核燃料サイクルのプロジェクトにこれはむしろ貢献した、こういうふうに考えております。
  134. 牧村信之

    牧村政府委員 先生おっしゃいますIAEAは「本施設において常時査察を含む保障措置を適用する機会を十分に与えられる。」という「常時査察」という日本語訳でございますが、これはコンティニュアス」という言葉が英語では使われておるものでございます。それで、いま私どもが考えておりますことは、再処理工場の中で一番重要なポイントとして、たとえば勇断された燃料が熔解槽の中に入っていく、この工程が再処理工場を監視する場合に一番重要だと言われております。こういうようなポイントのところを連続的に測定するという意味合いでございまして、現在の二国間協定に基づきます。移管によるIAEAの保障措置のように常時、いつでもどこでも査察することができるということと違いまして、先生おっしゃいましたように、NPT下におきましては、こういうような査察が行われるわけでございますけれども、この考え方は、現在のところ、立ち入り場所、あるいは立ち入り回数を制限することができるのだ、その枠内におきまして査察が行われることになるわけでございます。しかもその査察の回数と申しますか頻度と申しますか、それは施設ごとにこれからIAEAと協議して決めるわけでございますが、ある一定のマン・デーの表示で査察が行われることになります。そのポイントのところがたとえばコンティニュアスに行われるとすれば、ほかのところはずっと簡便な査察をしなければいけないというような形で、いまの体制のいつでも行われるという体制とは全く違うものになることでございますので、この表現があるからといって、今後NPT下で行われる査察が、先生おっしゃいますような何ら変わりない、あるいはむしろきつくなるのではないかというような御疑点は全くございません。
  135. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 それだったら、いま御説明になっておるのはIAEAの査察の方法の問題なんですから、したがって本来IAEAと日本の問で取り決めればよい問題であり、IAEAとの協定本文やその議定書に載ってくるはずですね。それを、わざわざ改めてアメリカとの問でこの取り決めの中に織り込んでいかなければならないという理由は、一体どこにあるのですか。なぜアメリカにそういう約束をしなければいかぬのですか。
  136. 牧村信之

    牧村政府委員 再処理が行われます場合に、IAEAにおける保障措置が十分行えるかどうか、これが日米間の今度の共同決定一つの大きな判断材料になるわけでございます。まさにそのことがいろいろ話し合われて共同決定になったわけでございます。その査察のやり方については従来方式でよいということ、それからNPT下のIAEAの保障措置においては、現在、協定が結ばれようとしております保障措置の考え方でよろしいということをここで言っておるわけでございます。
  137. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 まさにそのためにこそ日本はNPTを批准し、かつそれに基づく協定も現在国会で批准しようとしておるのでしょう。それなのに、わざわざアメリカ、つまりIAEAとは一応無関係なアメリカとの協定——協定といいますか、声明の中にそんなものを織り込んでいかなければいかぬようなところに、なぜ日本は置かれるのですか。こういうことが納得できない。逆に言うならば、IAEAと日本との査察の取り決めをわざわざ別途二国間の何らかの取り決めのようなことにしている国がほかにあるかどうか、それをお答えいただいてもいいと思うのです。
  138. 牧村信之

    牧村政府委員 日米協定の八条C項によってこういう話し合いが行われたのは日本だけでございます。
  139. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 もう一つ、共同声明と保障措置に関する関連機器の改良試験との関係なんですが、恐らく従来とも、今日の運転に備えて日本側としても再処理工場の保障措置については十分な機器を備え、かつまた計量管理についてはいろいろといままで訓練、経験も積んでこられたはずだと思うので、これに新たな改良を加えることは悪いことはなかろうけれども、そういうものを加えなくても十分な保障措置体制をとれるようになっていたのではなかったかと思うのですが、どうですか、不足があるのですか。
  140. 牧村信之

    牧村政府委員 私どもの方の保障措置に対する考え方は、IAEAの保障措置を受けるにいたしましても、将来はできるだけ自主的査察を進めていく、その際にIAEAは横で観察していればよろしいではないかという協定に今後変えていこうとしておるわけであります。その際に、いろいろな測定用の機器あるいは監視的なカメラであるとか、封じ込め用のシールの問題あるいは分析機械、これは非破壊検査も破壊検査も含まれますけれども、こういうものが、技術が発達すればするほど人間の手によって査察をする必要が少なくなってくるわけでございます。また核燃料の全体の管理制度にいたしましても、有効な、たとえば計算機を使いまして、そういう技術を、コードを開発して、ある一点のデータを与えることによってその施設ではこういうような燃料の状態になっておるというような技術が進んでまいりますと、非常に査察のやり方が変わってまいります。そういうようなことを実施することによって、査察員が非常に多くの時間をかけて立ち入ることが減れば減るほど、たとえば国の施設の機密その他も守れることになるわけでございますので、こういう査察技術が発達することは非常に望ましいと考えているわけでございます。
  141. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 それじゃ、そういう機器の改良試験というのは、現在の東海の施設と一体とならなければ行われないのか、それとも全く別個に改良試験を行うのか、どっちですか。
  142. 牧村信之

    牧村政府委員 これは一体になって行う研究テーマもございます。また別途ほかの機関が行うテーマもございます。たとえば、非破壊検査等については原子力研究所あるいは動燃事業団がやっておりますけれども、施設と直接、密接にコンタクトをしなければできないものでもございません。ただ、監視用カメラとかこういうものは、できたものをできるだけその施設につけて、その実効性を確かめるということがまた重要ではないかと考えます。
  143. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 そうすると、この試験にアメリカが参加するというのでしょう。そうしますと、結局、保障措置関係の機器の改良のために参加すると言いながら、実質的にはアメリカが二年間東海再処理工場の運転そのものにも参加してくる、まさに東海の工場は日米の共同実験工場というふうな性格になってくるんじゃないか。そういうことがあるから、先ほどのフライ長官代行でしたね、この日本の再処理工場は実験の工場なんだ、アメリカにもそういうことを言われるような事態になってきたのではないかと思うのです。その点どうですか。
  144. 牧村信之

    牧村政府委員 これは取り決めでは「合衆国は、合意された手段により、保障措置の試験に参加する用意がある。」ということになっておるわけでございます。  実は、先ほど申し上げました保障措置技術の改良の研究につきましては、日本はもともとIAEAとこういうものを改善していこうではないかということで共同研究を進めていく話があったわけでございます。そこへ今回こういう交渉が行われた際、アメリカ側が非常に関心を示しまして、できればアメリカも参画いたしたいというようなことの意見の表明が行われたわけでございます。これはすでにそういうことを決めたということではございませんで、今後アメリカと日本あるいはIAEAを含めまして相談をしていくということになるわけでございます。  ただ、保障措置の問題と、それから研究開発で場合によってはアメリカ人がやってくる、技術者がやってくるということとは、片方は研究の目的で来るわけでございます。それからIAEAの職員は査察ということで、そういう査察と研究と一緒になるようなことではないかということでございますが、これはもうはっきり分かれた見解で、共同研究をやるということになりましても対処してまいりたい、そういうふうに考えております。
  145. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 どんな対処をするのか聞きたいところですが、時間も来ておりますから、最後に日本とカナダとの原子力協定問題を一言お尋ねして、終わりたいと思うのです。  カナダが日本に対するウラン鉱石の供給をとめてかれこれ一年近くなると思うのですが、この最大の原因は何ですか。
  146. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 もっぱらこれは外務大臣がその点推進をいたしておりますけれども、やはりカナダにおきましても原子力そのものについての今後のいろいろな考え方、つまり国民の中には反対を唱える人が多い、だからそのためには、やはりカナダ政府としてもより一層天然ウランの輸出についてはシビアな態度をとれ、そういうふうなことが起こってきたのだというのが直接カナダから聞いている理由であります。
  147. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 カナダがシビアな態度をとってきたというのは、特に要求している点はどういう点なんですか。そのシビアの内容ですね。
  148. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 やはり、アメリカと日本との間の原子力協定八条C項と同様のものをカナダも持ちたいということです。
  149. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 カナダのウラン鉱石供給がストップされた場合、わが国として一番障害になってくる問題は何ですか。
  150. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 現在のところ、たちまちというわけではなく、御承知のとおり、ある年度までの天然ウランは確保いたしておりますが、しかしカナダのウランはわが国の天然ウランの中におきましても相当比重が大きゅうございますから、この問題だけは速やかに妥結に至りたいと思っております。特にわれわれが現在カナダ政府に申し上げていることは、天然ウランについても共同決定、濃縮についても共同決定、これではもうとてもじゃないが日本のスケジュールが進まない、だからその点は十分日本の立場を理解してほしい、これをいま繰り返し繰り返しカナダ政府に主張しているところであります。
  151. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 今回アメリカのエネルギー研究開発庁、ERDAが、ウランの供給が遅延した場合の違約金を引き上げましたね。約四倍ほどに上げたと思うのです。一ポンド十一ドルから四十ドルですか。もしカナダのこういう態度が続いて、カナダからのウラン鉱石の供給の遅延によって日本側がその違約金を要求されるようになった場合、その違約金の最終的な支払い責任は、供給をとめたカナダ政府に出てくるのか、それともカナダのウラン鉱石の販売業者に出てくるのか、あるいは日本の電力会社が支払うのか、その他であるのか、一体どこが持つことになるのですか。
  152. 山野正登

    ○山野政府委員 ただいまの御質問でございますが、電力会社が天然ウランを入手します必要性と申しますものは、現在、電力会社が米国のERDAと濃縮契約を結んでおるわけでございまして、この濃縮作業をいたしますために原材料として電力会社が契約に基づいてERDAに天然ウランを渡すということが必要なわけでございます。この渡す義務は電力会社が持っておるわけでございますので、もし御指摘のように、遅延して延滞金を払うといったような事態が起これば、これは電力会社の責任になろうかと存じます。ただ、いまのところ確かにカナダのわが国に対する供給シェアは非常に大きいわけでございますが、日本側といたしましては、できるだけスポット買い等によりまして、おっしゃるような実損の出ないようにいろいろ配慮してやっておるというのが実情でございます。
  153. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 結局、こういう事情ですから、もちろん原子力発電の安全性の問題が基本なんですが、そのほかにも、日本は資源を持たないわけですから、ウラン供給の面での不安もあるので、これが準国産エネルギーだとか、石油より安全がとかいうことは言い得ないということを申し上げてきましたが、そういうことの危険がこういうところへあらわれてきた。つまり政治的な要素で供給が左右されるという心配が現実のものになってきたし、またその場合、違約金という形でか、あるいはまたスポット買いということになれば当然これまた高いわけですから、これが日本の電力会社の負担となれば、しかも相当な額に今度は上りますので、結局電力料金にはね返って、原子力発電で高い電気代を国民は背負わされるという悪循環をするというふうな点から見ても、余りに原子力に安易に頼り過ぎることは非常に危険だということを指摘して、終わりたいと思います。
  154. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 答弁だけいたしたいと思います。  もう私の答弁はお察し願えると存じますが、しかし、なればこそわれわれは準国産のエネルギーを一日も早く開発したいのでございますし、石油がもしストップしても、そのほかのエネルギーで十二分に大丈夫だというのだったらいざ知らず、他の新しいエネルギーも十二分に私たちは開発いたしますが、やはりこれだけの大世帯を賄うのは、現今といたしましては私たちの考えておる現在の核燃料サイクルだ、こういうふうにひとつ御理解を賜りたいと存じます。
  155. 宮崎茂一

    ○宮崎委員長代理 次に、中馬弘毅君。
  156. 中馬弘毅

    ○中馬(弘)委員 まずは長官にお伺いしたいと思うのでございますけれども、現在の財政状況、御存じのように、三割の国債依存ということで、戦時を除いてはこれほどの高率はないというような状況になってきております。そしてこれもただ単なる一時的なものでないということはほぼ認識が基本的にも統一してきているのではないかと思いますが、国家公務員の数にしましても五十一万人、それから非常勤の者を加えますと七十万人余りの国家公務員になっております。人間の数だけではなくて、仕事のダブリといったようなこと、これは戦後三十年の間にいろいろな仕事がふえるたびに行政機構をふくらませてきた、こういうことで、大変な事態を招来しているわけでございますけれども、このことに対しまして福田総理は、特に今国会におきましては非常に行政改革に意欲を燃やすという発言をされております。内閣の一員としての大臣のこれに取り組む御意欲についてお伺いしたいと思います。
  157. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 私も行政改革に関しましては国務大臣の立場で次のように申しております。これは閣議でも発言したこともありますし、あるいはまた総理大臣にお話をしたこともございますが、やはり政府というものは常にチープガバメントを目指すべきである、そのためには、ぜい肉もついたであろうし不合理な点もあるであろうから、そうしたところは英断をもって削っていくことが必要である、しかしながら、事エネルギーということになると、時と場合にはチープガバメントだけではいけないこともあるが、これは時代の要請としてそれはそれなりの行政の改革というものを考えていかなくちゃならないでございましょう、このように申したわけでございます。
  158. 中馬弘毅

    ○中馬(弘)委員 そういたしますと、科学技術所管の科学技術庁についてはどのようにお考えでございましょうか。
  159. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 科学技術庁はあくまでもわが国の将来のために、その技術開発を目指さなければならない役所でございます。かつて申し上げたかもしれませんが、よく議論されます資源小国という環境を克服する科学、さらには環境を整備する科学、安全科学あるいはまた先端科学、さらには国際競争力——いつまでもやはり国際競争力は常に持つことが私は必要だと思いますから、そうした国際競争力を持ち得る科学、さらには、大きくは世界の平和に貢献し得る科学、そうした幾つかの科学を純粋無垢にわれわれは開発をしなければなりませんから、だから私は申すのですが、科学技術庁の話をするときに、そろばんずくで話をしてもらっては困る、時と場合には、将来のためにこれはチープガバメントじゃありませんよという場面があっても、それを踏み越えてでも科学の新しい面に取り組んでいくことが必要であるというふうに私は常に科学技術庁位置づけております。だから、時おりエネルギー省の話が出ますが、私は、エネルギー省というものは将来科学についても相当権威のあるお役所でなければならないであろう。極端に言えば、不要不急の部面に対しては科学政策が果たしてとり得るのかどうか、また、本当に必要な部面に対しては、これまた科学政策がより有効に動くかどうかということ等を考えますと、エネルギーに関しましては、科学政策というものはもう本当に忘れることのできない一つの大きな部門であろう。そういうものと科学技術庁と一緒にすると、やはり純粋なものが失われがちであるから、したがって科学技術庁そのものから言えば、そろばんずくで話ができないお役所が科学技術庁である、こういうふうに私は内外に説明をしております。
  160. 中馬弘毅

    ○中馬(弘)委員 私は、科学技術庁の予算をこのために削れと言っているわけじゃございませんので、いろいろな仕事のやり方とか、またよその各省庁との整合性の問題だとか、こういった点についてお伺いしたいと思っているのでございますけれども、たとえば航空宇宙技術研究所は文部省所轄の東大のロケット研究所との関係がございます。また地震の問題にしましても、国立防災科学技術センターと通産の地質調査所あるいは運輸省の気象研究所、自治省の消防研究所、こういったところとダブっている面があるかもしれません。それからまた、放射線医学総合研究所にしましても労働省の労働衛生研究所との兼ね合いがございます。  こういった研究所だけじゃなくて、それぞれの仕事におきましても、特に原子力におきましては通産との関係がかなりダブリが考えられます。こういうことについて今後どういう取り組みをされるかについて、お伺いしたいと思います。
  161. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 確かに一面を考えますと、私のいまの主張によれば、科学技術というものはもっと集合すべきであるというふうなことも検討しなければならないであろう、こういうふうに考えます。現行といたしましては、さような意味で、それぞれがばらばらに予算要求してみても、その初志は貫徹できないからというので、科学技術等々の予算に関しましては、科学技術庁が現在はリーダーシップをとりまして各省庁に大体の標準なら標準、そうしたものを示す、さらにはまた、そうしたことにのっとって予算が計上された後、また緊急に必要であるという場面も出てまいりますが、そうしたときには科学技術庁が調整の役を果たしておる、そういう面もございまして、現行といたしましては、確かに文部省あるいはそれを初めとする各省においてあるいはばらばらに見えるけれども、それぞれの伝統もあり、それぞれの一つ技術方式もあって、そうしたものがそれぞれのところで確立されておる面もございますから、そうしたことで、言うならば、それぞれが分担をし合いながら総合的にながめていくことも必要だというので、現在といたしましては、いま御指摘のような面があるかもしれませんが、しかし中にはやはり時代の推移とともに、これはもうぜい肉じゃないか、これは不合理だとか、もっとこうすれば能率が上がるという面があらば、われわれといたしましても、やはり科学技術行政の本当に真価を発揮するためにも、決してそういう面に取り組むのにはやぶさかでないということを申し上げておきます。
  162. 中馬弘毅

    ○中馬(弘)委員 具体的に日本原子力研究所と動力炉・核燃料開発事業団、これの統合について長官はどういうふうにお考えでしょうか。
  163. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 これはよく言われますが、全く両事業団は性格が異なります。一言にして申し上げるのならば、原研は本当に研究開発であり、動燃は実用化の一歩手前のものである、こういうふうに御理解賜るのならば、やはりそれぞれ目的が異っておりますので、現在の姿が一番理想的ではなかろうか、こう考えております。
  164. 中馬弘毅

    ○中馬(弘)委員 そういたしますと、これは確かに初めの御答弁にもありました、行政改革の総論には賛成だ、少なくとも科学技術庁所管の部門についての各論では特にさわるところもないのだ、このように理解してよろしゅうございますか。
  165. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 私は非常に大きな面を申し上げたかもしれません。しかし、内部的に考えました場合に、果たして現在の局部課のあり方でいいのかとか、あるいはまた審議会等々もたくさんあるがそれでいいのかとか、あるいはまた事業団そのほか付属機関に関しましても、そのほかでもっと合理的に考えられるところはないのかとか、そういうふうな問題も私はあろうかと思います。そうしたことに対しましては私はかたくなに現状のままでいいのだということは決して申し上げておりません。  われわれ福田内閣の閣僚はこの問題でよく話し合ったのですが、お互いに国家、国民という頭で動こうね、自分のポストがここだからここはこうしたいのだ、その方が大臣として人気がいいのだと、そんなことを考えておってはとうてい大きな意味のいわゆるチープガバメントができるはずがございません。また行政府としての能率を上げるわけにもまいりませんから、私としても個人的には少しも総論賛成、各論反対ではなくて、私は、各論も相当突っ込んだところでいろいろ研究しておきなさいよということは申しておるわけであります。
  166. 中馬弘毅

    ○中馬(弘)委員 先ほども言いましたように、科学技術という面において何か予算を安く上げようとかそういうことを考えているのではございませんので、一つの行政機構のあり方というのを効率よく——特に科学技術ということはそれこそ日本の将来にわたってのことを素早くしかも効率的にやっていかなければならない部門でございますから、それだけにそういった観点からの取り組みを特にお願いしたいという気がいたすわけでございます。  行政改革についての要望といたしましてはそれだけにいたしまして、次にエネルギー問題に触れさせていただきたいと思います。  エネルギー問題、これは技術開発の面から言いますと人類、もう少し狭く言いまして日本人と考えた場合でも、大変な問題を将来に惹起することかと思います。ただ単に機械の改良だとかあるいは何か新材料の開発であれば、それがたとえば成功しなかった場合においても日本人がどうなるというようなことは特にないかもしれません。しかし、エネルギー問題にこそ失敗いたしますと、本当にいろいろな面で日本人の滅亡の大きな危機すら起こるのがこのエネルギー問題じゃないかと思います。そういうことを考えますと、いまの科学技術のあり方が、本当にエネルギーの開発といいますか、これに真剣に取り組んでいるかどうかということに若干の疑問すら感じるわけでございます。  いま原子力の問題にかなり取り組んでおられますが、そのほかのことにつきましてももう少し大きな力を入れていかなければならないのではないか。原子力の問題にしましても、たとえば六十年四千九百万キロワットと言っておったのが、これも達成できないような状況でございます。このあたりについての長官の御見解をお願いしたいと思います。
  167. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 もうおっしゃるとおりでございまして、私も本年度の予算編成に当たりましては、予算は単年度で、景気対策とかいろいろなことが必要であろうけれども、単年度で終わらない問題、して中期、長期にわたってわれわれは何をなすべきかということになれば、私は教育とエネルギーだ、各単年度とは言え、これが十年、二十年その予算を貫く一つの大きな棒でなければならぬ、その出発点がことしだと思って私は予算編成に取り組みたい、このことは内外に申したわけでございますが、そういう気持ちで今後もエネルギーには取り組んでいきたいと存じます。  ただいま御指摘のとおりに、現在の原子力だけを考えますと、これは各国の比例から申し上げましても、実は国民総生産と、GNPとどういう比率になるかということを私も研究いたしたことがございます。そう悪くはございませんが、決していばれる数値ではございません。特に今後、先ほども瀬崎さんを初め諸先生方の御質問にお答えしたとおり、われわれといたしましては高速増殖炉を一九九五年に確立をしてエネルギーの原子力の比重を高めたい、もちろん、そのほかにもいろいろな新エネルギーの開発も急ぐということになりますと、今日のような程度の予算であってはならない、私はこういうふうに考えておりますので、この点におきましてもエネルギーに対処する財源をいかにするか等々につきましては、過般来、予算委員会におきましても総理みずからが明らかにされましたように、現在、審議会等々において十分に研究をしてもらっておるということでございますので、その点は御指摘のとおり今後にも備えなくてはならぬ、こう考えております。
  168. 中馬弘毅

    ○中馬(弘)委員 五十年に、エネルギーの需給見通しが出ましたが、このたび総合エネルギー調査会の基本問題懇談会の中間報告が出ております。これが五十年から二年も経ずして改定した主な理由は何でございましょうか。
  169. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 五十年のときには、石油の量も一応現行の倍くらいをもくろみ、さらには原子力におきましては四千九百万キロワット、そのときの発電施設量の四分の一を賄う、こういう数値であったのでございますが、石油は御承知のような事情で産油国の情勢も変わってまいりましたし、われわれもいろいろと、あのままの数値ではだめであるということを申し上げたわけであります。  特に原子力におきましては、はっきり申し上げまして四千九百万キロワットはもう本当に夢であります。はなはだ残念なことでありますが、中間報告にもありましたとおり、最高三千三百万、最低でも二千六百万を確保したいというのが現在私たちの気持ちでございます。  なぜ二年間でそこまで下がったかということに関しましては、私はもう明らかに、一つは立地難であったと思います。しかし、その立地難そのものは、じゃ原因は何かということになれば、これはやはり政府の責めを負うところが大きいのじゃないだろうか。やはりもう少しくいろいろとPRをすればよかったであろうし、また信頼をし得るに足るだけの原子力行政機構そのものも、果たして今日のものでよかっただろうか、そういう点を私はおもんばかりまして、やはり原子力委員会のみならずもう一つ安全委員会をつくろうというのも、実は、さらに政府は立地難解消のためにもこれだけの安全な体制をとりますからどうぞ御信頼くださいという一つの方法ではなかろうかと思います。一口にして申し上げれば、それが一番大きなウエートを占めておるのではなかろうか、こういうふうに思います。
  170. 中馬弘毅

    ○中馬(弘)委員 いままでのケースが、こういった見通しといいますか、計画といいますか、これを出されるたびに、それがただ数字の羅列であったり、そして何年か後には必ずそごを来して改定する、それが特に政策と結びついているような様子も見られない、これでいままで過ごしてきたような気がするわけです。本当に将来のことを考えるならば、これであってはならないと思いますし、今後この中間報告、この数字といいますが、これを政府としてはどのようにお取り扱いになりますか。  ちょっとつけ加えておきますと、これは計画なのか、それともこうありたいという希望を述べた目標なのか、それともこうなるだろうという単なる見通しなのか、そういったところの認識……。
  171. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 これはあくまでも計画でございまして、エネルギー長期需給計画、こういうことであります。  では、その考え方のもとをなすものは何かと言えば、これはやはり経済の成長率でございます。成長率は総理も明らかにされましたとおり、何も六%をもってたっとしとせず、四%あるいは欧米のごとくにもっと低くてもいいのです。しかしながら、現行まで日本が走ってきた成長率から考えますと、やはり今日、ことし一つを考えましても、六・七%の成功か否かが今日の日本の経済財政政策に大きな関係がある、特に国民の生活には関係がある。こういうことになりますと、勢いわれわれといたしましても、緩やかなカーブを描きながらもっと理想的な成長率に落ち込んでいくということはいいでございまもょうが、がたっと落ちれば、たちまち失業という問題が出てくる。こういうことでございますので、一応長期でそれを見直した場合には、やはり六%台が望ましい成長率だというところからはじきますと、一億キロワットの施設の発電量が勢い二億キロワットになる、こういうことでございまして、五十年はそういうところから出発したのが、いま私が申し上げましたいろいろな関係で見直さざるを得なかったわけでございますから、私も就任いたしまして直ちに、この数字はだめですよ、経済成長率の方はこのままいけるかもしれぬが、いけばやはりこれだけのエネルギーが必要なんだから、このエネルギーが確保できないときには成長率ががたっと落ちますよ、それが緩やかなカーブで落ちるのだったら何をか言わんだけれども、六%から、ある日谷底に落ちたがごとくに五%、四%になれば失業問題を抱えますよ、たちまちインフレ問題ですよ、どうしますかというふうなことで、やはり国民生活さらには産業、すべての問題が一つの計画に沿って動くというものであるのならば、より確実なものをつくりましょう、こういうことで、さらに審議会にかけてもらったわけでございます。だから、われわれといたしましても、恐らくこれが来年の夏ごろまでには、その財源手当てを初めといたしましてすべてのものが算出されるのではなかろうか。この場合には一九八五年、昭和六十年を一つのめどとして、さらにはもう五年先どうなるんだろうということをもあわせて考えるようなものでなくてはならぬ。そしていままでは四千九百万キロワットと言って限定いたしましたが、そういう限定が非常にむずかしい時代ならばある程度幅を持ちなさい、幅を持っていいじゃないか、最高はこうだ、最低はこうだ、それくらいのことで進まないとおかしいですぞということを、私はみずから関係閣僚会議で発言をいたしまして、幅を持たせたような数字が二千六百万、三千三百万というふうな数字になっておるわけでございます。  現在、御承知の二十九基だけでちょうど二千二百万キロワットでございますから、最低の二千六百万に近づくには百万キロワットをあと四基、こういう数字が出てまいります。三千三百万ならばもう十一基ということが出てまいりますから、そうしたものに対しましても、いままでの経緯から考えて、立地ということが非常に大きな問題であったとするのならば、それを克服するような努力をしなければいけない、こういうふうに心得て、やはり国民のための計画は充実していきたい、かように私は考えております。
  172. 中馬弘毅

    ○中馬(弘)委員 これからは従来のような目標とか見通しじゃなくて計画にするんだという強い御信念と承りました。それであるならば、個々に見ていきますと、原子力の三千三百万にしましても、従来と同じことをしておれば、それが立地問題であったとしても、結局これが達成できないようなことになるわけでございまして、今後立地問題に対してどう対処されようとしているのか、少し具体的にお伺いしたいと思います。
  173. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 これは幾つかに分かれるでございましょうが、何と申しましても原子力行政、なかんずく安全行政と申しましょうか、その確立が必要でございます。これが第一点であります。一  第二点は、やはり原子力に対する国民の方々のなお一層の御理解を仰がなくちゃならぬ。そのためにはどういうふうにすればよいかと申し上げれば、当然、安全行政確立とともに、一方においては私はPRということを忘れてはならない、かように存じます。そのためには原子力白書、それも必要だけれども、ミニ白書であってもよいから出すことにおいてより一層住民の方々の御理解を仰ぎたいものである、こういうふうに私は考えております。  その次に、もう一つ重大なことは、やはり発電地域におきましては、国家の計画に対しまして非常に御苦労賜っておるわけでありまして、本来ならば政府みずからが出かけてやらなくちゃならない仕事を、今日までは町長さんがやったり村長さんがやったり、あるいは知事さんが御苦労なさっておったということを考えますと、そうではなくて、その面においても政府みずからが乗り出すような姿勢を示すと同時に、やはり私は還元ということも忘れてはならないと思うのであります。今日まで電源三法がございますが、この三法の内容地元にとってより一層充実した方向へ改正をしていかなければならないであろう、こういうふうに私は考えております。  そのほか、安全対策に対しましては、いままで申し上げましたように、より一層安全にいたしますが、先ほどもそれぞれの先生方の御質問にありましたとおり、トラブルが起こったならば直ちにこれを率直に報告をさすということも必要なことで、そういうことがややもいたしますと怠りがちであったがために、トラブルの何でもないことが故障になり、故障が事故になり、事故でいかにも死人がたくさん出たというふうなことを何か国民に思わしめるようなことであっては、私は立地難というものは解消できないというふうに思っておりますので、そうした面におきましても厳しくみずからを律して臨みたい、かように考えております。
  174. 中馬弘毅

    ○中馬(弘)委員 原子力以外にも、今後の見通しではたとえばLNG、これは長官の方ではないかもしれませんが、LNGあたりにもかなりの期待をかけております。しかし、これも、前のときには四千二百万トンを推しながら今度は三千万トンに下げているような状況で、技術的な問題も非常にあろうかと思います。  それから、これは確かに民間に依存しておって、計画には挙げておりますけれども、政府が特に大きな力を入れたわけではなかったと思います。今後もやはり民間に依存していくのか、あるいは政府が大きなてこ入れをするのか。     〔宮崎委員長代理退席、委員長着席〕 LNG船の開発なんということも、これは原子力船と同じように大変な金のかかる問題だと思うのですが、こういったことに対しての取り組みをどのようにされていくか、お伺いしたいと思います。
  175. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 もちろん、これは科学技術庁の開発研究というよりも、むしろ現実の問題として取引の条件なりあるいはまた国内におけるそれの備蓄体制なり、いろんな問題もまだ整備しておらないということもございましょう。したがいまして、通産省といたしましても、将来LNGの果たす役割が大きゅうございますから力を入れていかなければならない、かように存じております。したがいまして、単純に原子力だけあるいは石油だけでやっていけるわけじゃございませんので、その他石炭に関しましてもやはり力を入れていかなくちゃならない、こういうふうに私は考えておるわけでございます。  特に石炭は、やはり開発輸入ということが今後は中心になるのじゃなかろうか。国内におきまして現在二千万トン確保いたしておりますが、非常に深いところを掘っていただいて、ことしも九月までに、私この間耳にいたしましたが、すでに五十人近い犠牲者が出ておられるというふうなこと等々を考えますと、その上まださあ掘れ掘れということがいいかどうか。わが国といたしましては貴重な資源で、今日のままではあと五十年だということになりますと、石炭に関しましても私はむしろ開発輸入を進めることが必要だ。その開発輸入のためには、生のままでは運賃が高くつきますから、ガス化、液化することも必要だろう。  やはり新しいエネルギーに関しましても、そういうふうに次々と開発の努力を怠ってはならない。だから、先般も、二十一世紀の話ですが、核融合をアメリカと合同してやりましょう、そのときに地熱の話も出ました。新しいエネルギーに関しましては、恐らくもう世界じゅうが、今後はノーハウがどうだこうだと言うよりも、お互いが力を出し合うところ、分担し得るところは分担し合って開発を急がなければならないのじゃないだろうか、こういうふうに考えております。
  176. 中馬弘毅

    ○中馬(弘)委員 いまお伺いしただけでも相当か資金の要る話でございます。それから開発体制、研究体制にしましても、ちゃんとそういうものをつくっていかなければならないでしょう。そのほか新エネルギーの問題がございますね。サンシャイン計画というようなことでやっておりますが、石油にしましても原子力にしましても、これはある意味では有限なものかもしれません。そうしますと、太陽エネルギーだとか自然界のエネルギーを利用するような形での新エネルギーの開発、これこそが人類の究極の目標かと思います。資源のない日本が、この点において特に大きく力を入れて取り組んでいくということがどうしても必要だと思いますし、それによって日本における科学技術全体の振興にもなってくるかと思うので、ここに大きな力を入れていただきたいという気がするわけです。  と同時に、今度は省エネルギーの問題が出てくるわけですが、この中で少しうたわれております省エネルギー技術研究開発制度だとか、あるいは省エネルギー促進法、こういったことについて具体的なことが何か考えられているわけですか。
  177. 蓼沼美夫

    ○蓼沼説明員 いまお話がございました省エネルギーの、一つ技術開発の問題でございますが、通産省の工業技術院といたしましては、この省エネルギーの政策を推進するに当たりまして、個々の消費者とかあるいは企業がそのエネルギー節約に努めるということは当然でございますけれども、これに先立ちまして、たとえばエネルギー消費機器の製造とか、あるいは二次エネルギー生産の段階におきまして技術開発による省エネルギー化、これを図ることがぜひ必要であると考えているわけでございます。このために工業技術院におきましては、省エネルギーの技術研究開発を総合的に推進する手段といたしまして、来年度から省エネルギー技術開発制度、これは通称ムーンライト計画と申しておりますが、この創設をいま考えておりまして、組織的あるいは効率的に省エネルギー技術開発を進めることとしているわけでございます。  それで、この内容でございますが、まず、エネルギー効率の高い、たとえばガスタービン等の大型の省エネルギー技術の開発というのがございます。それからその基盤となります先導的な技術の開発、たとえば新しい電池とか超伝導、こういうものなどを国家的なプロジェクトとして取り上げたいということを考えております。それから民間におきます省エネルギーの技術開発の助成を抜本的に拡充するということなども内容としておりまして、これに要する予算も来年度二十七億円を要求しておる次第でございます。
  178. 高沢信之

    ○高沢説明員 技術開発の問題以外の問題についてお答えを申し上げます。  わが国としましては、従来から熱管理法の運用によります工場等のエネルギー使用の効率化の問題、それから内閣官房長官を本部長といたします資源とエネルギーを大切にする運動本部、ここを中心とした省エネルギー運動の展開、それから省エネルギー型設備の導入促進、廃熱利用技術システム等の技術開発などの省エネルギー対策を講じてきております。しかしながら、エネルギーの長期的な高価格化、不安定化の時代を迎えまして、今後一層厳しさを増しますエネルギー情勢に対応して、わが国としましても従来の対策を抜本的に強化いたしまして、産業、民生、輸送等あらゆる事業分野での省エネルギー化を促進する必要があると考えております。こうした認識のもとに、総合エネルギー調査会の省エネルギー部会、これが八月に中間取りまとめを行いましたが、その中間取りまとめの基本的考え方と施策の方向に沿いまして、さらにその具体的な施策の検討を急いでいるところでございます。各事業分野において効率的なエネルギー消費が確保されますよう、立法措置を含めまして、今後総合的な対策の展開を図ってまいりたいと考えております。
  179. 中馬弘毅

    ○中馬(弘)委員 エネルギー庁長官が来ていただけるものと思っておったのですが、お忙しいようなんで、その点は軽く飛ばします。  技術的な問題以外に、一つやはり価格メカニズムを通じた社会的な制度的な対策が省エネルギーには必要だと思うのですね。ミクロにおいては、その方が安いからそれを使うという形になっておっても、それが、マクロのエネルギーの観点から見ますと、非常に高いものについているというようなことがあるわけでございます。そういう意味から、ひとつ人為的な石油ショックすら起こす必要があるのではないか。これは極端な言葉でございますけれども、はっきり言いまして、ことしの暮れにあるかもしれない、また来年の夏にあるかもしれない中東の紛争の問題、そしてそれに伴う非常に大きな石油の逼迫あるいは値上がり、これはまた政策的な意味でも政治的な意味でもまた第二次の大きなOPECの石油値上げの問題があるかもしれない。そのときになってあわてるのではなくて、人為的にでも毎年何%か石油関税を上げつつ、そしてそれに対応したような日本の経済体制、価格メカニズムを通じての体制にしていくような必要があると思うのです。そしてそれを財源として省エネルギー対策、今後の新エネルギーの開発といったことに取り組んでいく必要があると思うのです。このようなことは、たとえば国鉄の問題にしましても、トラックを野放しにしておいてどんどん国鉄の貨物が減っていく、これは国家的な意味から言えば、非常なエネルギーのマイナスかもしれない。こういう観点に立ちますと、単なる技術的な問題だけではなくて、社会的な観点でのエネルギー対策というのが必要だと思うのです。これに対して長官はいかがお考えでしょうか。
  180. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 省エネルギーは、もう最大の開発だという意気込みでやらねばならぬと思います。いま御指摘になりました価格政策、価格メカニズムというものも、冒頭に申しましたとおり、エネルギー政策の中ではやはり重要な部面を占めるのじゃなかろうか。現にアメリカにおきましてはエネルギー省というものが新設されましたが、これは当初価格政策を大きく取り入れると言っておりました。しかしながら、アメリカの民生と産業の比率はわが国とがらっと違いますから、したがって、わが国のごとく産業の部面が非常に多い、民生の方がわずかだ、そうすると、また産業優先かというふうな思想がおのずから出てくるかもしれませんが、そうした点に関してもどういうふうにするかということは、私は今後大きな政策上のキーポイントであろうというふうに考えます。  私は、第二番目に、産業構造そのものを考えていかなくちゃならぬと思います。現在はもう大型道路がどんどんとできて、これはそれなりの意味がございましょうが、じゃトラックがそこを走るじゃないか、トラックが走れば当然騒音でうるさいから、周辺のところは皆サッシにする、サッシにすれば冷暖房でまたエネルギーを使う、サッシのアルミはまた電力を大いに食う、こういうふうに考えてまいった場合に、じゃ、そうしたことを世界的にどういうふうに考えたらいいだろうか、資源小国の日本は今後どういうふうに考えればいいだろうか、アスファルトの問題から、サッシの問題から、冷暖房の問題から、水源地の問題から、どう考えればいいだろうか。やはり大きな政策をいまから実らす必要もあるのじゃないだろうか。現状のままでこれでいいのだということにはならないと思います。  もう一つ、私が特に申したいのは、これはいずれエネ庁でも取り上げて実行する手はずになっておりますが、国民のそれぞれがひとつ協力をしたいものだなというふうなことで、四季を通じて一日ずつ、一年に合計四日間エネルギーメニューというものをつくり上げました。これによりますと、A、B、Cとありますが、Aの場合は驚くべし一人口一万の都市を基準にした場合に四十七年分のエネルギーに相当する。たった一年間四回がけ官民が力を合わせてエネルギー節約に出るということで、一万都市の四十七年分が出るということでございまして、A、B、Cの一番悪いメニューでございましても十三年あるという数字もきちっと出ております。やはりこうしたことも、今後はお互いに国民との間に御理解を賜りまして、できたならばそうした方向によって少しでも節約というムードを高めながらやっていかなくちゃならないのじゃないか、こういうふうに思っています。
  181. 中馬弘毅

    ○中馬(弘)委員 いま言ったような価格メカニズムを通じてやることの一つの例といたしまして、たとえば料金体系にさわることも一つ考えられるわけですね。ある程度一定量だけの範囲はただのような値段にしておいて、それを超えたら非常に高くする。そうすると、みんながその範囲内で節約する。これもある人が計算したこともありますけれども、非常に大きな量になってまいります。こういったことを提言し、やっていく官庁の部署はいまどこだとお考えですか。
  182. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 それぞれ所管によりまして皆違うわけでございます。それぞれが自由価格でありますが、しかし、中には大臣の認可価格もございましょうし、指導価格もございましょうし、それらは現在ばらばらでございます。
  183. 中馬弘毅

    ○中馬(弘)委員 じゃ、ばらばらでいいとお考えでございますか。
  184. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 エネルギーという観点に立ちましたら、どこかがそれをやらねばならぬということは、先ほど私が冒頭に申したとおりであります。
  185. 中馬弘毅

    ○中馬(弘)委員 先ほど冒頭に言いましたような形で、これは日本人の危急存亡にかかわる問題ですから、やはりエネルギーとしてはっきりした国家的なことを計画し、提言していくような部署がどうしても必要だという気がいたすわけでございます。長官も先ほど言われましたように、今度のものは目標や見通しではなくて計画にするんだ、資金的な裏づけもはっきりつけるんだ、来年にはそれが出てくるという答弁でございましたから、それに大きく期待するといたしまして、時間も参りましたので、質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
  186. 岡本富夫

    岡本委員長 これにて本日の質疑は終了いたしました。  次回は、明二十六日水曜日、午前十時理事会、十時十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時四十一分散会