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宇野国務大臣 まず、日米
原子力交渉に当たりまして、いろいろと温かいアドバイスなり激励をちょうだいいたしまして、衷心より御礼を申し上げるものでございます。
結論といたしましては、去る九月十二日、無事現行日米
原子力協定に基づく共同
決定に私とアメリカの代表が署名をいたすことにおいてすべては落着いたしました。
ただ、御承知のとおりに、七ヵ国首脳会談で、
核燃料サイクルの再評価をいたしましょうということが提案されまして、この
会議が先般来始まったわけでございます。ちょうどこれが二年間をその期限としようということでございますので、われわれといたしましてもそのことを念頭に置きまして、一応二年間に限ってアメリカとわれわれとの間においても、むしろこちらから自粛といいましょうか、
言葉が正しいかどうかは別といたしまして、そういう問題を提案いたした次第でございます。
それは第一点は、カーター大統領が核の不拡散ということを
中心にこの問題を提案いたしました。したがいまして、そのことに関しましては、軽水炉とプルトニウムとの関係において、われわれは二年間。プルトニウムを軽水炉に用いませんよ、ただ研究開発は必要であるからその分だけ私たちはきちっと研究開発は進めますということが第一点。第二点は、われわれは単体抽出をし、同時にそれを単体貯蔵したいが、しかしいわゆる酸化プルトニウムにする工程の段階だけはしばらく自粛をいたしましょう、言うならば転換工場の建設は二年間見合わせましょう、こういうふうなことを自発的にわれわれの方から申し入れまして、その他のことに関しては、ひとつ日本の言い分を聞いてほしいということを申したわけであります。
すなわち、日本の言い分といたしましては、第一点は、この新しい交渉をするに際していかなる新しい権利義務も
発生せしめない。第二点は、混合抽出あるいは混合貯蔵ということを米国はよく言われるが、なるほど核不拡散という点から見ればそれは
一つの理想の姿であるかもしれぬが、これはあくまでも未確立の
技術である、よって未確立の
技術に対して日本の納税者に過重な負担をさせること並びに約束する、そうしたことは絶対避けたい、これが第二番目であります。第一二番目は、いま
先生がおっしゃいましたように、わが国はプルトニウム
中心の
核燃料サイクル確立というのが悲願である、これをしなければあす飯が食えない民族なんだ、だからこのサイクルの計画には支障を来さないことが大切である、こうしたことを申し述べまして、結論といたしましては、アメリカも、共同声明に書いておりますがごとくに、日本のプロジェクトを妨害しない、あるいは日本を世界的にながめた場合においても差別をしない、幾つかのそうした前提条件のもとに、言うならばわれわれの主張が全面的にのまれたというのが、今回の交渉の経緯でございます。
したがいまして、今後二年間の経緯が問題であり、さらに今後どうするかという問題が私は重要だろうと存じますが、この二年間は、そこにも書いておきましたとおりに、INFCEPに積極的に参加することが第一点。
第二点には、再
処理施設にはOTL、実験装置というものがついてございます。この実験装置によりまして、一応われわれとしても、より安全な方法として、もし混合抽出というものができるならばそれもよかろう、ただそれがどれだけの費用を必要とし、またその
技術確立のためにはどれだけの期間を必要とするかまだ全くわからないわけであります。費用に関しましては大体二億ドル以上は要るということが日米両国で確認されているわけでございますけれども、果たしてそれだけ使って完全にできるかできないかという点に関しては、まだまだむずかしい面がございましょうが、われわれも全力を挙げて、この二年間にOTLを使って、その結果をINFCEPにも御
報告をしよう、あるいはIAEAそのほか国際
会議があるならばそこにもそうしたことを
報告しようじゃないか、こういうふうな努力をわれわれから進んで申し入れておりますので、この努力は私は怠ってはならないであろう、こう思っております。
ただ、ここが大切なことでありまして、最初アメリカの方のドラフトに従いますと、いわゆる混合抽出というものが不可能だということを両国が認めざる限り、日本は二年目には混合抽出のための改造をしなさい、こういうふうな原案であったわけで、これでございますと、もうわが国が一方的に押し切られるおそれがございます。よく言われるアンレスという
言葉を使って、何々にあらざればということでございましたが、これに対しましては私は徹底して
反対を唱えまして、イフに変えました。
つまり、イフでございますから、もし日米両国が混合抽出が非常に合理的で可能なものである、そうしたことをお互いが合意に達したときは日本はひとつその改造をいたしましょうというわけでございますから、わが国は、そのことが非常にフィージブルで、またエフェクティブであるということを認めない限り、わが国が了解がつかない限りそういったことは二年たってもあり得ないんだということが書かれておる次第でございますので、決してそれにもたれるわけではございませんが、一応そうした
意味において、私たちの原則といたしておりました、将来に向けても新しい権利、義務を
発生せしめない、国民には未確立の
技術に対して過重なる負担をかけない、この点を私は守った、かように存じております。