○
高橋(寿)
政府委員 大阪
空港周辺の代替地問題というのは、悪い言葉で言えば武家の商法の失敗した典型みたいなものであります。もう
一つは、地価の鎮静化というのは、一般的には大変結構なんですけれ
ども、機構の仕事にとっては大変マイナスな状態であった。つまり、機構をつくったときは、地価がどんどん上がっておりましたので、安い素地を買いまして、その素地を造成してお金をかけましても、その売り渡しのときの時価にはまだ十分間がある、したがって、十分喜んで買っていただけるというふうに
考えてした仕事が、この機構の仕事が始まったころから地価が上がらなくなってしまったということがありまして、造成費をかけただけ高くなったというふうなことがあるということ、これが士族の商法ということよりも、事実上はもっと大きな原因でございます。
そこで、大阪の問題でございますが、そういういきさつその他のことは抜きにしまして、やはり問題がありますのは、結局逆ざや問題です。
移転補償でもらったお金では新しい土地が買えないということでございます。これにも問題がありまして、
一つは、いまのような社会的な地価の動向の問題、もう
一つは、区画が大きかったのです。これは豊中の勝部地区なんかはわりと大きい土地の人が多いのですけれ
ども、たとえば川西市とかそういうところで非常に小さい家に住んでいらっしゃる、そういう
方々は、むしろちょうど四十坪ぐらいの土地が欲しい。ところが、この機構で整備した土地は大体七、八十坪ということでございます。これは安いところをつくろうと思いますから勢い郊外になります。御
指摘のように交通不便なところになります。交通便利なところはなかなか素地の価格が高いので、分譲価格が逆ざやになってしまうということで、やはり交通が必ずしも恵まれていない、しかしながら将来性はある、いずれはできるだろう、現に地価が安いというところを買収したために、そういうところでございますと、四十坪なんということではなくて、
周辺の宅造地も全部八十坪、百坪というようなことであった。そこで勢い、機構がつくりました土地も、周りにならいまして八十坪とか七十坪とかという規模になっている。ところが、これでは川西市のようなところに住んでいらっしゃる方、現に四十坪くらいのところに住んでいらっしゃる方は、それが倍も広くなったってとても金がないのだ、こういうことになりまして、なかなか
移転ができないことがあったわけでございます。
そこで、これらの問題でございますが、
一つは、やはり相手を見て法を説くということが大事でございますので、現に住んでいらっしゃる方、
移転をしたいと思っていらっしゃる方がどのようなところにお移りになりたいか、また希望の面積はどのくらいかということを十分アンケートいたしまして、余り大きいものはつくらない。これはもちろん県の宅地造成計画の基準がありまして、余り小さいものはスラム化していかぬということもあるようでございますが、この点は特免といいますか、
事情を考慮させていただいてできるだけ手に入りやすい区画に直す。それから交通の問題につきましては、
運輸省は陸上交通機関も監督いたしておりますから、バスその他をできるだけそこにつけまして交通の便利をよくする。それから
移転補償価格をできるだけ高くするようにいろいろの知恵を働かす。それからまた、代替地の価格を安くできるように利子補給をしたり、財政資金の比率をふやしたり、あるいは無利子資金の比率をふやしたり、それによりまして代替地の価格自体を下げるあらゆる
努力をいま傾注いたしております。何とか持っております土地を手に入りやすい価格で分譲いたしまして、いま御
指摘の寺野さんのような激甚地区の方に一日も早く移っていただきたいというふうに
考えて、日夜
努力をいたしております。