○高橋(寿)政府
委員 関西新
空港につきましては、
先生、
地元でいらっしゃいますから釈迦に説法になるかもしれませんけれ
ども、私
ども、
成田の経験にかんがみまして、建設
計画を決める前に徹底的に環境影響評価をすべきであるというふうに思いました。環境影響評価をするためには、どうしても出発点は自然
条件の調査でございます。そうすると、航空審議会の答申でうたわれました泉南沖の海上に一カ所、陸岸に二カ所あるいは三カ所、そういう観測地点を設けまして、自然
条件、海流の
方向ですとかあるいは気温、風向等々の自然
条件を調べて、そこへ
飛行機が飛んだときにどういうふうな影響を与えるかということを調べるのが先決であったわけでございます。
そして、そういう
計画を
地元に御提示したわけでございますけれ
ども、大変残念なことながら、そういう観測のための塔を建てるわけですが、観測塔を建てるということは、つまり関西新
空港の建設のゴーにつながるという御判断から
地元に大変な反対がありまして、なかなかその観測塔の設置が思うようにできなかったということがございますけれ
ども、昨年の秋口でございましたか、黒田
知事と私とお約束をいたしまして、観測結果については全部
地元に公表いたします。そして
地元の御意見を同府県を通じて最終的に伺った上で建設すべきかどうかを決めますというお約束をしまして、初めて大阪府としては御賛成いただいた。それから後は、具体的にその塔が建つ
周辺の
住民との交渉に入りまして、本省、地方局とも
どもに力を合わせまして説得に当たりまして、やっと二、三カ月前に一番最後の一本が建つ
計画が決まりました。したがって、当初は五十三
年度いっぱいには環境影響評価のためのすべてのデータの調査が完了すると思っておりましたけれ
ども、恐らく一年ぐらいずれると思います。したがって、五十四
年度いっぱいぐらいにならないと、そういったデータの集計評価が終わらないと思います。
この評価の方法は、これも御
承知のように、
一つは、いまのような自然
条件でございます。それからもう
一つは、
空港をつくる前の大阪
空港を取り巻く各市町村の人口とか経済、産業、文化等々の社会的な
状況の調査でありました。そういった環境のところにどういう
空港ができるかということでございまして、この
空港の工事方法についての調査もございます。航空審議会の答申を数年前にいたしました段階では、おおむねこれは埋め立て
空港ということで答申がされたいきさつがございますけれ
ども、その後いろいろ技術が進歩をいたしまして、埋め立てだけが工法ではない、そのほかにも桟橋工法もあるし、あるいは最近新聞に出ておりますところのフローティング構造、つまり鉄の大きな箱をつくりまして、それを浮かべたものをつなげて
空港にするというふうな浮体構造の
空港でもいいじゃないか、あるいはそれらのミックスもあり得るだろうというふうな、大変ないま百家争鳴の状態でございますが、それらをやはり客観的な評価を下す機関にかけまして評価をしてもらいまして建設工法を決める。そうしますと、そのような自然
条件、環境
条件のところにこのような工法で
空港をつくる、そうするとどういう影響が出るかということの調査をするわけであります。そしてその評価をいたしまして、その結果を
地元に御
説明する、こういう段取りになります。
それから、いままで申し上げましたのは、狭い意味での
空港関係の調査でございますが、もう
一つ、もう少し広い調査がありまして、これは大阪府とあそこの
周辺の地方公共団体が熱望していらっしゃることでございますけれ
ども、これは関西新
空港ができることによって関西新
空港の
周辺の地域にどのような経済的、文化的影響を及ぼすか、そういうふうないわゆる総合的な開発影響調査、開発効果の調査というものをせよ、こういう御
要望がございまして、これは私たちの調査よりももっと幅の広い調査でございますので、
関係各省もたくさんございます。そこで、国土庁の調査調整費、これをお願いいたしまして調査をしてもらうということで折衝いたしておりまして、今
年度中にはその調査が行われると思います。そしてその結果ももちろん地域
住民に十分御
説明がなされると思います。
そういったことで、恐らく五十四年あるいは五十五年の段階になりますと、このような工法でこの場所にこういう
空港をつくるという
計画が決まると思います。そういたしますと、早ければ五十五
年度中、おくれても五十六
年度からはその
計画に基づく関西
空港の建設が行われることになると思いますが、何せ大変な難工事が予想されますので、完成までには着工後私は恐らく五年はかかるだろうと思うのであります。これは工事期間ということでございます。
したがいまして、
成田空港のように、工事はできても
周辺の反対で
開港できないということになっては大変でございますので、着手をする前に、十分その辺の御意見を聞きまして、着手をすれば、工事期間だけ計算しておけば
開港日が読めるというふうにすべきである、こう考えて、せっかく地域団体への
説明、交渉、説得を続けておる現状でございます。